運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-03-22 第40回国会 参議院 法務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十二日(木曜日)    午前十一時九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員秋山俊一郎君辞任につき、そ の補欠として村山道雄君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松野 孝一君    理事            井川 伊平君            亀田 得治君            大谷 瑩潤君    委員            井野 碩哉君            野上  進君            林田 正治君            村山 道雄君            高田なほ子君            赤松 常子君            辻  武寿君   国務大臣    法 務 大 臣 植木庚子郎君   政府委員    法務省民事局長 平賀 健太君    法務省訟務局長 浜本 一夫君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○民法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付) ○行政事件訴訟法の施行に伴う関係法  律の整理等に関する法律案(内閣送  付、予備審査) ○連合審査会開会に関する件   —————————————
  2. 松野孝一

    委員長松野孝一君) ただいまから法務委員会開会いたします。  本日は、まず民法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引き続き、質疑を続行いたします。ただいま平賀民事局長が出席しておられます。御質疑のおありの方は、順次御発言下さい。
  3. 井川伊平

    井川伊平君 先回、私の質問したことに対しまして答弁を延ばしたものがあります。本日承われば、それを承りたいと思います。
  4. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 前回御説明いたしました中に、訂正を要する事項がございますが、まず、それを申し上げたいと思います。  訂正を要します事項は、まず二点ございます。第一点は、井川委員の御質問で、民法三十条の危難失踪に関する規定の中に、失踪期間起算点として、戦争終了のときというのがございますが、その戦争の意義につきまして、私、局地的な戦闘をいうのであるというふうに御答弁申し上げましたが、帰りまして先例等を調べましたところ、あれは間違いでございました。訂正をいたします。やはり井川委員仰せのように、戦争全体が終了したとき、それから、講和条約というような正式の形式的な手続は必要でないけれども、事実上その戦争がやはり終わったとき、全体として終わったときと解釈するのが正当であるようでございます。  それから、第二点といたしましては、前回、検出が失踪宣告取り消し請求ができるかという御質問でございまして、場合によってはできるのではないか。たとえば、失跡宣告を受けた者が現に生存いたしておりまして、それが犯罪を犯して検事が起訴するという場合には、まず失跡宣告を取り消すのが妥当ではないかというようなことを申し上げましたが、あの設例は適当でございませんで、あれは取り消しをいたしたいと思います。現行法解釈としましては、どうも検事利害関係人ということで失踪宣告取り消し請求をする場合というのは、ちょっと考えつかないのでございます。そういうわけで、失跡宣告を受けた者が現に生存をしておる。ところが本人も、法律上の利害関係ある他の者も、だれも失跡宣告取り消しをしないという場合、なるほどこれは困るわけでございまして、家庭裁判所の職権とか、あるいは検察官に失跡宣告取り消し申し立て権を与える、それくらい公益上の強い必要があるかどうかという点につきましては、若干疑問がないわけでもございませんけれども、現に生存しておって、だれも失踪宣告取り消しをしないということになりますと、やはり全般的に見まして、あちこち不都合がでてくるのではないかということも考えられますので、現在なお、民法の全面的な改正につきましては、法制審議会におきまして検討いたしておるおりからでもございますので、今後の問題といたしまして、その点は検討させていただきたいと思う次第でございます。
  5. 井川伊平

    井川伊平君 お答えは、すべて了承いたしました。ただ一点お伺いしておきたいのは、ただいまのお話の中にもありましたが、民法の根本的な改正についての検討昭和二十九年以来行なわれておるということでございますが、現在どの程度にその作業は進んでおるか。そして大体現在の見通しでは、いつごろまでにその作業は終わるのであるか。また、現在のその作業中の内容についていえば、非常な大きな大改革というものが行なわれるものがあるとすれば、それは、どういう点についてそういうことが問題になっておるか。この三点をお伺いいたしたいと存じます。
  6. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) ただいま仰せのとおり、法務省におきましては、昭和二十九母以来、法制審議会において民法全面改正検討いたしておるのでございます。まず、身分法のほうから先に手をつけまして、少しおくれまして、財産法関係に手をつけたのでございます。ところが、何分問題が非常に広範でございまして、新民法ができます際には、財産法部分には全然手がつけてございませんし、身分法のほうにおきましても、民法上の家族制度廃止ということに重点が置かれまして、その他の根本問題につきましては、改正がされてない部分が少なくないのでございます。  そういうわけで、法制審議会民法部会、その民法部会に設けられておりますところの小委員会も、数十回にわたって開かれまして、身分法関係で申し上げますと、親族編全般検討いたしまして、最近相続編のほうに入ったところでございます。  親族編のもとでは、一体どういう点が問題になっているかと申し上げますと、ごくかいつまんで申し上げますと、非常に問題点が多岐にわたっておるのでございますが、たとえば、内縁関係と関連いたしまして、事実婚の問題をどう処理するか。これは、もうずっと以前から、戦前から問題になっておった問題でございます。それからまた、協議離婚制度、妻の知らない岡に離婚をされておるというような例がやはり間々ありまして、日本協議離婚制度は、現在のままでいいかどうか。それからまた、裁判離婚につきましても、現在は、民事訴訟手続法による離婚と、それから、家庭裁判所の調停あるいは審判による離婚というふうな裁判離婚と、二とおりに分かれておりますが、この離婚のあり方はこれでいいだろうか。特に家庭裁判所が非常に大きな働きをしなくてはならない現在においては、人事訴訟手続法によって、地方裁判所で原告、被告対立して、訴訟手続によって離婚をするということが、はたして事柄の実感に即するものであろうかどうか、家庭裁判所が、訴訟手紙と違った別個の手紙離婚というものをさせるということのほうがより適当ではなかろうかというようなことが、裁判離婚につきましても問題になっておるわけでございます。それからまた、親子関係の部門におきましては、嫡出推定という規定があるわけでございますが、現行法嫡出推定規定はあれでいいのだろうか。婚姻成立後三百日以内に生まれた子供でも、これは内縁関係から生まれた子供であれば法律嫡出推定は受けないけれども、大審院の判例でもって、これは当然の嫡出子だというような判例もあるわけで、そういう点も、やはり立法の中にも織り込むべきではなかろうか。あるいは現在の嫡出否認制度、これははたして適当であろうか。父親のみが否認ができるというような制度がはたして適当かどうか。それからまた、認知につきましても、現在のように、事実上の父の意思を求める認知裁判によって、あるいは認知意思表示によって親子関係が創設されるというような制度がはたして適当であろうかどうか。むしろこれは、事実関係そのものによって決定すべきではなかろうかというような意見もあるわけでございます。それから、養子制度につきましても、前回井川委員の御質問のような、死亡養親との離縁は、家庭裁判所の許可を受ければ離縁もできる、こういう制度がはたして適当かどうか。それからまた、現行法では、養子になろうとするものが夫婦である場合には、一緒に縁組みをしなくてはいけないというようなことになっているが、あれもはたして適当であろうかとか、そういうわけで、これはごく一部の例でございますが、親族編全般にわたりまして非常に問題が多い、根本的な問題が多いのでございます。小委員会におきましても、非常に熱心に、前後六、七十問にわたって審議を続けたのでございますが、いろいろの意見が出まして、まだ結論的なものが出てないという状況でございます。  それからまた、相続につきましては、まだあまり審議が進んでおりませんけれども相続人の範囲は現行法どおりでいいかどうか。それから、農業資産相続に関しましては、またいろいろ別な問題がある。これはまた、詳細な検討がまだなされておりませんけれども幾多の問題が相続編にもあるわけでございます。  それから財産法のほうにおきましても、一番実際上問題になっておるというところで、抵当権規定から手をつけたのでございます。御承知のとおり、根抵当あるいは譲渡担保というような制度が、これは判例、それから実際上等において認められておるわけでございますが、民法にはこういう規定がない。こういうものを一体どうするか。ところが、この財産関係につきましてだんだん審議をしていきますうちに、借地借家法現行法どおりでいいか。借地借家法に手をつけたのでございます。一応の私ども事務当局の試案というようなものができたのでございますけれども、これは非常に影響するところが大きいので、慎重に検討する必要がある。借地借家法をやっていきまするうちに、実は建物区分所有関係がもっと切実な問題ではなかろうか。これは、利害の対立というものも、借地借家関係ほどそう深刻ではありませんし 現実区分所有建物というものが、最近のようにふえて参りますと、早急にこれは立法化いたしまして、民法の現在のような規定だけで、解釈でまかなうということは、種々不都合が生ずるのではなかろうか。現に生じております関係で、まず区分所有関係が先決であろうということになりまして、財産法関係では、一番緊急を要するものとして、区分所有関係を取り上げまして、目下提案になっておりますところの建物区分所有等に関する法律案となったわけでございます。  そういうわけで、民法全面改正は、こういうふうに非常に大きな根本問題がございまして、なかなかその結論が出にくいという状況でございます。したがいまして、この全面改正がいつ実現するかということでございますが、現在のところは、私どもといたしましては、大体何年後という見当がまだつきかねる状態でございます。相当長期にわたるのではないか。そういうわけで、身分法のほうにつきましても、さしあたって緊急を要するものと思われることを取り上げて、今回御審議をお願い申し上げておるわけであります。今後におきましても、法制審議会におきまして結論を得た問題がございまして、それが緊急を要することでございますれば、一度に全面改正ということでなしに、その分だけでもいいのじゃないか、御審議をお願いするほうが妥当かというように考えている次第でございます。
  7. 亀田得治

    亀田得治君 一部改正に入ります前に、ただいま井川委員から御質問があった点を若干ただします。  民法改正に関する作業法制審議会でおやりになっているようですが、根本的な立場といいますか、それはどういうことになっておるのですか。
  8. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 根本的な立場、これはいろいろ考え方があるかと思うのでございますが、私どもといたしましては、新民法によって改正されました一大眼目は、何と申しましても、旧法の家の制度廃止するという点に主眼が置かれたわけでございます。ところが、私ども感じから申しますと、家の制度廃止というのは、理念的と申しますか、観念的と申しますか、そういう点で非常に大きな改正なのでございますけれども、実際上の日常生活家族関係におきましては、もっと切実な問題があるのではないか。ただいま例として申し上げましたような離婚制度の問題、こういうものはどうあるべきか。実際現実に困っておりますのは、家族制度がどうとか、家がどうとかいうことよりも、むしろ、法律制度としては、離婚手続の問題そういうふうなところに実は問題があるわけなんでございます。ところが、肝心のそういう日常生活に特に密着しておる、多くの人々が困っておる、そういう問題につきましては、実は新民法はあまり手を触れていない。そういうところをやはり今度根本的に検討して、ほんとう現実の必要に即応したような制度を作るべきではないか。ほんとうに困っている人が救われる改正というものを考えるべきではなかろうか。私どもは、この全面改正主眼はそういうところに置くべきものではなかろうかというふうに考えております。しかしこれは、見る人の見方によりまして、男女同権というものをもっと徹底させるべきである、あるいは家の制度廃止を徹底させるべきである、そういう見地からすべきであるという見方もあるかと思います。それも一つ考え方で、そういう面もあろうかと思いますけれども、私ども事務当局といたしましては、むしろ現実の多くの人々が困っておる、これは何とかならないか、そういう点をやはり探し出しまして、それを改めていく、困っている人が救われる、そういう改正をすべきではなかろうかというのが私どもの根本の考え方でございます。
  9. 亀田得治

    亀田得治君 法律改正は皆そういうものでしょうけれども、そういたしますと、現在の民法と合わない現実のある部面ですね。そういうところを拾い上げて、現状に合うように検討していく、そういう理解でいいわけでしょうか。
  10. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 現状に合うと申しますか、現実の必要に応ずるもの、そういうふうに考えておる次第でございます。
  11. 亀田得治

    亀田得治君 そういう際に、たとえば、家族制度廃止があったから現状に合わないような面が出ているわけでもないわけでして、先ほどから御指摘になったような問題は、これは、家族制度廃止以前から起きておる問題でもあるわけですね。だから、家族制度廃止になったというような点にあまりこう重点を置かれますと、結局また、その復活といったような意識が何となく動いてくる。こういうふうなことがありますと、そこでいろいろ各個々の扱いにおいて混乱も起てくきるのじゃないかと思うのですが、その辺のところは、どういうふうに理解されておるのでしょうか。
  12. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 私ども考え方では、旧法の家の制度は、もう戦前から現状に合わなかった点が多々ある。新民法におきましては、あの旧民法の家の制度廃止になったということは、あれはあれでいいのじゃないか。これをまたどうというふうには、法務省としては全然考えていないわけでございます。ただ家廃止以外の点、たとえば、先ほども申し上げましたように、離婚手続がどうあるべきかというふうな問題、そういう根本問題、もっと切実な問題が、実は新民法のときは、非常に急いだ関係もありまして、十分に検討されていない、そういう問題を取り上げていくべきではなかろうかというのが私ども考え方でございまして、家族制度を復活させるというふうなこととはちょっと関係がないのじゃないかと思うのでございます。
  13. 亀田得治

    亀田得治君 そういうことなら大体いいわけですが、もう一つ念を押しておきますが、たとえば、憲法第二十四条ですね。両性の関係についての基本的な規定というものがあるわけですが、私は、こういうこれはこれとして、やはり大きな意味があるわけですから、ことに日本の社会における実際の動きから見ますると、非常にこれは大事な規定だと私は思うのです。しかし、実際の親族制度なり、そういうことになりますと、基本的にはそういうことであっても、家族といいますか、家庭といいますか、いろいろそういう点を考慮して、具体的な制度というものは作られなければならぬ点が多々あると思うのです。そういう点は、実際に合うように御検討になるのは、私はけっこうだと思うのですが、たとえば、憲法二十四条のようなものに何か疑問を持っておるというふうな立場で扱われますと、相当問題があろうと思ってお聞きしたわけですが、まあそういう点は、法制審議会等で、特に憲法二十四条それ自体を問題にしていると、そういうことはないわけですね。
  14. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 法制審議会におきましては、憲法二十四条をどうというようなことはございません。憲法二十四条のこれは大原則でございまして、あの原則に基づくものでなくてはならぬことは当然だろうと思うのでございます。
  15. 亀田得治

    亀田得治君 それでは、本法について若干お尋ねをします。  大事な点については、井川委員からすでにお尋ねになったように聞きますので、重複しないように、二、三点だけお聞きするわけです。  その一つは、いわゆる危難失踪についての改正を今度おやりになったわけですが、それ以外の不在者の生死分明でない、いわゆる普通の失踪ですね。そういう場合については、今度は手を触れておらぬわけでして、現行法失踪期間七年ということが要件になっているわけですが、この七年というものについて、私、若干疑問を持っているからお尋ねするわけですが、従来の例といたしまして、失踪宣告後に本人が現われたと、そういうふうな事例ですね。こういうものはどの程度あるわけでしょうか。資料はいただいておりますが、これでは必ずしもはっきりわかりませんが……。
  16. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) お手元に提出いたしております資料の第一ぺ−ジでございますが、この一ページの二段目のところに、既済事件の数字が出ておりますが、ここに取り消し件数内数が出ております。まあ多少はやはり取り消し事例があるようでございます。なお、私どものほうでは、戸籍事務の監督をしている関係で、よく例に出てきますのは、現在では戦時死亡宣言といっておりますが、要するにこの危離失踪、戦地でなくなった場合は、特別に戦時死亡宣言というような、まあ失踪宣告と同じでございますけれども、こういうような言葉を使っておりますが、それが死んだと思ったのが、実は生還したというようなことで問題になる例が若干あったように記憶いたしております。
  17. 亀田得治

    亀田得治君 この第一表の中で、既済のところのカッコのところが取り消し件数のようですが、たとえば、その右のほうで、却下とか取り下げとか、こういうようなものの表が出ておりますね。これは大体どういう性格のものでしょうか。やはり裁判所に、七年間たっても出てこないからということで、宣告申し立てをしたんだけれども、その後出てきた、こういうことがおそらく多いんじゃないかと思いますが、それはどういうことでしょうか。
  18. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) この却下または取り下げの具体的な内容は、ちょっとここではわかりませんが、仰せのような、実は生存しておった、あるいは死亡が確認されたというような場合もあろうかと思います。あるいは却下の中には、申立権者でない者が申し立てたというようなこともあり得ると思うのでございます。
  19. 亀田得治

    亀田得治君 その辺がよくわからないのですが、私の疑問に思うのは、不在者失踪宣告につきまして、年の若い人、こういう人については、やはり七年ぐらいいなくて出てくる可能性というものは相当あり得るのじゃないか、可能性が多いのじゃないかと思いますので、そういう意味で、たとえば、成年までは失踪宣告などは待つとか、何かそういうふうなことのほうが適当なんじゃないか。外国事例では、ドイツ民法などは、二十五才までは失踪宣告は待つというふうな制度があるようですが、年取ってから行方不明になって、七年も帰ってこないといえば、これはちょっと、再び現われる可能性は少ないと思いますが、若い場合は、十分そういうことは考えていいのではないか。そういうような点はどうですか。
  20. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 外国立法例では、そういうような例もあるようでございます。しかし、現在までの失踪宣告制度の運用上から、この点がどうも不備で、改正すべきではないかというような意見は、家庭裁判所方面からも、その他の方面からも実は出ていないので、今回は、その点は問題にいたさなかったのでございますけれども、これはなお、根本問題といたしまして、今後検討さしていただきたいと存じます。
  21. 亀田得治

    亀田得治君 これは、ぜひちょっと研究をしてもらいたいと思います。失踪宣告をされますと、結局、効果として考えられるものは、婚姻関係、それから財産などの移動の関係でしょう、大きな問題は、しかし、二十才ぐらいまででしたら、婚姻関係の問題というものは、まあほとんどないのが普通でしょう。だから、そういう点から、早く物事を処理しなければ困るということは考えられぬわけでしょう。それから財産のほうは、せっかくおやじなどが死んだりした関係で、どういう関係になるか」今、設例としてよくわかりませんが、財産のほうも、そういう若い人のためには、しばらく浮動的な状態があっても、私はいいのではないかという感じがする。将来のある若い人にせっかく帰属すべき財産が、七年問いないために、もうふいだ、まあふいにもならない。現われてきて取り消せば、ある程度また取り返しも法律上は若干できるわけですが、しかし、それはむずかしくなるわけですね。そんなに急いで財産関係というものを始末をつけてしまう必要は私はなかろうというふうな感じがするわけでして、まあ従来の実例等から見まして、やはりもう少し若い人についての失踪宣告というものは、期間を延ばしたほうがいいんじゃないかといったような経験なり実例等があれば、結論は別として、ちょっと御披露を願いたいと思うのです。
  22. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 先ほど申し上げましたように、この点につきましては、特にこの制度を運用いたしまして不便である、不都合なことが多いということで、改正意見というものは別に出ていないわけでございますけれども仰せのようなことも考えられないわけではございません。なお、二十才未満というようなことになりますと、亀田委員仰せになりましたように、婚姻関係というのは考えられない。だから、若い未亡人が残って、早く再婚したいという人もあり得ないわけです。また、財産関係などにつきましては、これはそう急ぐほどのこともない。大体家族の人は、生存を信じまして、やがて帰ってくるだろうということで待っているのが普通の人情でございまして、たとえば、家出をしてから七年たったら直ちにということには普通ならないので、これも、統計の資料をここに持ってきてございませんけれども、普通は、やはり七年とはございましても十年、十五年、二十年たってからされる例が実際は多いのでございます。そういう関係で、現行法七年となっておりましても、実際問題としては不都合が生ずるということは考えられないというふうにも考えられるのでございます。しかし、これはなお、実際の従来の家庭裁判所事件の実情も詳細に検討いたしまして、ただいまの問題は、今後の課題として研究をいたしたいと思う次第でございます。
  23. 亀田得治

    亀田得治君 なお御研究倣うわけですが、今の平賀さんのお答えからしましても、七年いないからすぐ申し立てするというのが実際は少ないということであれば、なおさら実際に合うように法律改正検討しているわけですから、やはり常識的な期間というものを待ってやるというふうに、法律自体もそういうふうにしておく。そうしませんと、あいつ、ちっとにくいから、もう取り上げてしまえ、こういったようなまた悪だくみも出るわけでして、財産があればなおさら、そういう悪だくみをさせないというのが法律なわけですから、ひとつ十分検討を願いたいと思います。  それから、資料の第一表を拝見いたしますと、昭和三十四年に四千五百五十一件という新受があるわけですが、急に三十四年にふえてきているわけですね。これは、何か特別な事業でもあるのでしょうか。それから、三十五年、六年なども、やはりこういうふうにふえてきている傾向があるわけでしょう。
  24. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 昭和三十四年に急激にふえておりますのは、軍人軍族等遺家族援護法、あの関係で、死亡宣言という制度ができまして、その関係で、援護金を遺族の人が、留守家族の人が受け取るという必要から、こういうふうに急激にふえたのじゃないかと私思うのでございます。
  25. 亀田得治

    亀田得治君 三十五、六年はどうですか。
  26. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは家事審判統計によりましたので、まだ三十五年、六年は統計が出ておりませんけれども、やはり二十三年以前に比べると、かなり多いんじゃないかと私想像いたします。
  27. 亀田得治

    亀田得治君 相続人の不存在の場合の財産の処理の問題についは、ちょっとお尋ねしておきます。  この点も、すでにだいぶ重要な点について御質問があったようですが、せっかくこういうふうに死亡者に対する気持を考えて親切な規定を置かれたわけですが、そういうことであればですね。この特別な縁故者からの請求があった場合ということに限定しなくていいじゃないかというふうに私たち考えるんですが、本人自体がそれほど積極的でなくても、裁判所のほうで特別本人と親しく、あるいは本人意思をよく聞けば、ぜひその人に幾らかでもしてやってほしいというふうな気持が推定できるような人がわかっておるような場合には、やはりそちらのほうに財産が帰属するように措置をとる。どうしても私は絶対要らない、こうおっしゃる人はまさかあまりないでしょうが、そういう場合には、仕方がないから国のほうに帰属する。せっかくこういうふうに、相続人不存在の場合に国庫にすぐ帰属させないで中間に一つの段階を設けたわけですから、そうういふうなことのほうがより適切じゃないかと思うのですが、どんなものでしょうか。
  28. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) ただいまの点につきましては、実は、法制審議会におきましても、審議の過程におきまして、家庭裁判所が職権で与える道を開くべきではないかという意見も一部にはあったのでございます。ところが、家庭裁判所が、職権で、こういう特別縁故者があるということは普通わからないわけでございまして、戸籍出ておるわけでもございませんし、普通は、家庭裁判所がこういうことを知り得る機会というのはほとんどないと言っていいんではないか。それからまた、たまたま何かほかの事件との関連なんかにおきましてわかったという場合に、その者に職権でやるということにしました場合に、ほかにそれと同じ程度の特別縁故者がかりにいたといたしますと、それにはやらないで、たまたまわかったものにだけやるということになってはやはりどうも公平を失することになりはしないか。そういうことも考えられるわけでございます、そういうわけで、やはり申し立てをしてきたものについて、はたして特別縁故があったかどうか、これに財産を与えることが適当かどうかということを家庭裁判所が判断をして与えるということにするのが筋ではなかろうか。家庭裁判所としては、やはり受けて立つということのほうがより適当ではなかろうかということになりまして、職権でという道は設けなかった次第でございます。
  29. 亀田得治

    亀田得治君 この制度の根本的な考え方によって違ってくると思いますがね。この残った財産をもらうことについて、特別縁故者がこの権利として主張するとか、まあ権利であろうがなかろうが、ともかく特別縁故者が主張する、そのことに重きを置けば、こういうふうな改正でいいかもしれません。それも民事上のことですから、ひとつの筋だと思います。しかし、こういうふうにしたのは、せっかくの財産をすぐ国庫に帰属させるのはちょっとおかしい、死亡者の気持から考えて。そういう常識的なところから出ているものじゃないのでしょうか。私は審議の過程は知りませんが、この条文を見て、これはなるほど死亡者にとって非常に親切なやり方だというふうな感じを持って見ているものですから、それならば、請求があってもなくっても、ともかく家慶裁判所において、何らかの方法でわかった場合には、その人に与えてやる、このほうが筋が通るように思うのです。たまたまわかった人に与えるのだ、わからない人には与えないのだ、これは、そこに多少不公平があるかもしれませんが、しかし、わからないのは、これはどうにもならぬわけでして、幾ら親切心があってもね。だから、このわからないところとの比較まではする必要がないのでして、死亡者の気持という点に重点を置くか、つまり権利の主張といいますか、請求といいますか、そういう手段的なことに重きを置いて考えるかというようなことで違うように思うのですがね。死亡者の気持になって考えれば、実際に与えてほしいと思う人が多少遠慮している。ところが、たいして関係のないものが横から出てきて、とにかくおれにくれと、あつかましく言ってきた。この条文でいきますと、家庭裁判所が、それはちょっとひどいなと思いましても、遠慮しておるほうに与えるわけにいきませんしね。それではちょっとおかしいのじゃないかという感じがするわけですけれども……。
  30. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 相続人がいない場合に、遺産の全部または一部を特別縁故者に与えるという制度は、国庫の建前は、私どもとしましては、こういう相続人不存財産というものはやはり国庫に帰属するというのが建前ではないかと、現行法と同じような建前であろうと思うのであります。そういう遺産が生じたというのも、やはり国家のおかげといいますか、そういう社会全体のおかげであるわけでございまして、国庫に帰属するということは決して意味のないことではない。十分意味のあることなのでございまして、したがいまして、こと特別縁故者に与えるというのも、国庫に全部帰属させるのは措しいからくれてしまえという、そういう建前ではないと思うのでございます。従来の例におきまして、内縁の妻が残っておるとか、そういうような場合に気の毒であるということで、国庫に帰属する前に与えてはどうかという、そういう非常に気の毒な場合があって、これは配偶者と同じに、配偶者に準じて考えていい、家族同然に考えていい、そういう場合には、これは与えようという制度なのでございます。その根本の建前の問題。  それから第二は、実は手続の点が問題になるわけでございまして、家庭裁判所が職権でするといいましても、これは、家庭裁判所としては、なるほど遺産の管理人を選任するとか、相続人捜索の公告をするとかという手続はございますが、はたしてこれが特別縁故者があったかどうかというような調査は、家庭裁判所としてはやらないわけなんで、またやりましても、これはなかなかわかるものではないので、家庭裁判所が職権でその特別縁故者の有無を知り得る機会というものがなかなかないのでございます。でありますから、実際問題としては、だれかがやっぱりこういう特別縁故者がおりますよと言って、本人なりその他の者が家庭裁判所に申し出てくるということによって初めて家庭裁判所はきっかけをつかんで、それから調査ということになるのが一般の場合だろうと思うのでございます。そういたしますと、家庭裁判所が、その申し入れがあったというので、事実上の申し出があったというので調査をします。特別縁故者なりやいなやを調査して事実上の申し出があったというので調査をします。特別縁故者なりやいなやを調査しております。そうすると、またしばらくしてそういう申し出が出てきて、また現われる。はてしがない、きりがない、いつまでたってもけりがつかない、いつになったら終止符が打てるか、次から次に申し立てが出てきて困ることになりやしないか。全部与えてしまうなら全部だれかに与えてしまう、あるいは特別縁故者に該当する者がないということならないということで、適当な時期に打ち切って、けりをつけなければならぬのが、だらだらだらだらと、いつまでも手続が続きまして、終止符が打てないような事態が生ずるおそれがありはしないだろうか。何かやはり終止符を打たなければならぬ。この法律案におきましては、相続人捜索の公告の期間を満三カ月と、こういうふうに終止符を打ったわけでございますが、やはりこういう終止符を打たんと、どうしても請求を増す。それで、請求期間を三カ月ということに区切るよりほかないのではないか。そういう手続上の関係もありまして、実は請求ということにいたしたわけでございます。
  31. 亀田得治

    亀田得治君 まあ請求という条件をつけておけば、それは明確にはなるでしょうがね。だから、請求という点はこれは残しておいていいと思うのですよ。ただ、私の申し上げるのは、それと並行して、裁判所自体がもっと適切な者を知った場合には、その者に対しても配れるということにしても差しつかえないわけですね。知れない場合には仕方がない。ただ、それを知るために改正法できめておるいろいろな期間をさらに延ばすとか、そんなことをする必要は私はないと思うのです。たとえば、だれかが、おれが特別な縁故者だということで請求してきたとする。その甲という人が請求してきても、裁判所がすぐその言い分を認めるわけではないわけでしょう。やはり甲の言い分を聞いて、ほんとうかどうか、やっぱり多少調べるわけでしょう。調べる過程で、実はお前よりもこの乙のほうがもっと深いじゃないか、関係者というものはどうせつながっているわけですから、そういう場合もあり得るわけでしてね。ところが、乙のほうはぼんやりしておって、あるいはまた気持の上から、特にそういうことまでやりたくない、また甲がすでにそんな申し出ているのに、それを排除するような、争ってまでというような気持のある場合もあるでしょうし、だから、裁判所が積極的に探して歩くということまでは、そこまでは必要ないでしょうが、しかし、法律できめられた短期間の間に、しかも、裁判所がこの条文を運用しておる過程においてでも、やっぱり案外こんなことが知れる場合もあるのじゃないか、もっと適切な人が。そういう場合には、この条文だけでいくと、裁判所が、どうも気の毒だ、ここに申し出てきているのはちょっとひど過ぎるといった感じを持っても、処理しにくい。そういうことになれば、まあ扱いとしては、結局多少の関係があっても、その申し出人には与えないということになるのかもしれません。しかし、それではちょっと改正の趣旨にほんとうにはやっぱり沿わぬと思うわけでしてね。そういう点を申し上げているわけですがね。この条文はこのままでいいと思うのです。これにプラスを考える余地を残したほうがいいのじゃないか。
  32. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 少しへ理屈になるかもしれぬと思うのでございますが、この条文をこのまま生かしておきまして、さらに職権というものを加えると、こういう場合が生じやしないかということがおそれられるのでございます。これは、三カ月内に請求すればいいというのでありますから、家庭裁判所としては、何人出てくるかわかりませんので、三カ月待って、請求が出そろってから、財産をやるかどうかということを検討しなくちゃならぬことになると思うのでございます。で、三カ月の期間の終わりごろになって請求する者も出てくるかもしれませんので、どうしても、家庭裁判所が、特別縁故の者、あるいは財産を与えることが適当かどうかということの判断には、さらにその後相当期間がやはりかかるわけでございます。調査の期間がその後さらに要るわけでございますが、その調査期間中に、実は私も特別縁故者でありますから、何とかしてもらいたいと言ってきた場合に、もう請求はできませんから、そういうふうに事実上申し出があった場合に、家庭裁判所は職権でもやれる、ほんとうに特別縁故者であり、相当と認める場合には、職権でもやはりやらなければならない、やってもやらなくてもいいというものではなくして、相当と認められるものであれば、やらなければならぬことになるわけでして、そういうものには職権でやらなければならないことになるだろうと思うのでございます。そういう申し出が次々に出てくるというような事態をやはり考えなければいけない。果てしがない、いつ終止符を打っていいかというところがなかなか出てこないというような場合も出てきやしないかということで、手続上の理由で、こういうように請求一本にしぼった一つの理由なのでございます。それからなお、後見人の職権介入というような道も今度の改正では入っておりますが、これはまた、別の理由でそういう改正を加えたのでありますが、その他では、家庭裁判所もやはり裁判所なので、請求を待たずに何らかの裁判をするというのは、他にはあまり例がないのでございまして、現に離婚の場合の財産分与なんかの場合におきましても、やはり離婚をした当事者の一方が財産分与の請求をしない限りは、家庭裁判所としては、財産分与の審判をしないわけでございまして、その事例との対比から言いましても、この場合だけ職権を加えるというのは、やはり適当ではないだろうというふうに、法制審議会におきましては結論が出た次第でございます。
  33. 亀田得治

    亀田得治君 そういたしますと、特別の縁故者だと称して、ある人が残余財産についての請求を出してきた。そこで、その裁判所でいろいろ調べている間に、もっと関係の深い人が見つかったというような場合の措置というものはどういうことになるのでしょう。
  34. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) この請求期間の三カ月内でございますれば、家庭裁判所が事実上、お前も請求をしてはどうかというような勧告もできるかと思いますが、三カ月期間経過後でありましたら、これはいかんともしがたいということにならざるを得ないわけでございます。
  35. 亀田得治

    亀田得治君 三カ月以前であれば、裁判所から注意するという方法があるでしょう。三カ月後にそういう事態がわかったというような場合には、特別縁故者の請求に対する裁判所の態度ですね。これは、最終的には担当の裁判官の判断になるわけでしょうが、いろいろな場合が予想されるわけですね。そういう特別の縁故者などがさらにほかからもっと関係の深い者が出てこなければ、その請求があった者に幾らか行く、これは普通でしょう。ところが、ほかから事実上現われたために、どうも気持の上で裁判官として割り切れぬものがあるといったような場合には、現われなければ与えたであろうというようなものを抑えるような態度はとっていいのですか、悪いのですか。
  36. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) それは、具体的なケースによっていろいろ考えられるわけでございますが、たとえば、内縁の妻なんかは請求しないで、それに比較すればもっと関係の薄い者だけが請求してきた。そういう場合でありましても、内縁の妻は、私は要らないというのもあるかもしれませんし、内縁の妻には与えないで、より関係の薄い者に与えるということも、これはございましょうし、あるいは、亀田委員の今仰せのように、内縁の妻が実はほしかったのだけれども、この期間を逸してしまったという場合に、その辺は、多少裁判所の判断に影響を及ぼすということは考えられないことはないと思います。でありますから、遺産の全部でなくて、一部しか与えないということもあり得るかとも思うのでございますが、これは具体的ケースによって判断されることで、一がいには申せませんけれども、とにかく請求期間内に申し出てきた者が、この法律の考えております特別縁故者であり、しかも、その者に財産を与えることが本来相当であるというような場合でありましたら、後日になって、より強い、より縁の深い者が現われたとしても、先に、請求期間内に申し出た者に全然与えないというようなことにはならぬと思うのでございます。
  37. 亀田得治

    亀田得治君 三カ月というと、非常に期間としては短いですからね。こういう法律の条項でいけば、一日おくれたって、もう権利はないわけだ。非常な不公平も想像としてはあり得るわけだね。一日おくれてもだめなんだ。
  38. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) この財産の分け前をもらおうという人は、特別縁故者でございますから、当然これは被相続人死亡を知っておると見なければならないと思います。財産管理人が選任されますが、死亡と同町に選任されるのではなく、死亡後相当期間たって選任されまして、選任の公告がなされて最小限度十カ月あるわけでありますから、それにさらにこの三カ月をプラスいたしますから、これは、死亡後から相当期間がございまして、三カ月とございますけれども、この三カ月の期間が始まる前でも、これは請求したっていいわけでありますから、三カ月では短きに失するということはないだろうと思うのでございます。
  39. 亀田得治

    亀田得治君 もう一点だけお聞きしておきますが、このより関係の深いほうからは請求がこないが、裁判所はそれをわかっておる。それから、関係の薄い人からは正規に請求が出ておる。そういう場合に、どうも全体から見て公平を失するという立場で、裁判所が、その関係の薄い人からは正規には出ておるが、お前のほうには一文も与えない、こういう決定をした場合には、その請求権者の権利侵害という問題が起こるか起こらないか、それはどういうふうにお考えですか。
  40. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 権利侵害というよりも、この法律規定の趣旨から言えば、当然全部でなくても一部はもらえるはずのものであるというものでありましたならば、それが請求が認められません場合は、不服の申し立てができる、上級裁判所に。やはり現行手続から言いますと、即時抗告ということになろうかと思うのであります。法律規定としては、そういうことを予定した規定だと私は思うのでございます。なお、その点につきましては、前回も御説明申し上げましたが、家事審判規則の中で、即時抗告の規則が定められていると思うのでございます。
  41. 赤松常子

    ○赤松常子君 関連して。これは申し出の三カ月の期間中に、たとえば内縁の妻あるいは遠くに子供がいた。それが知って請求した場合に、その三カ月間は待つわけですね。三カ月間中に二人、三人申し出るかもしれませんね。そうすると、その三カ月間は待ってもらえるわけですね。待つわけですね。あるいは二人申し出る。三人申し出る。子供が二人も三人も方々にいた。内縁の妻もいた。それを知って、続々申し出たという場合に、一番先申し出たというので、それに全部行くわけじゃないのでございますね。
  42. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは仰せのとおりでございまして、ただいま子供というお話がございましたが、これは、どんなに遠くにおりましても、子供相続人でございますので、子供がおれば相続人がいないということにはなりませんので、これは全然問題になりませんが、内縁の妻、それからもっとほかの特別縁故者がほかにおると仮定いたしますと、三カ月はやはり裁判所は待たなくちゃならぬわけで、三カ月たたないうちに、先に来た者から順順にやってしまうということになると問題で、調査は始めるかもしれませんが、三カ月間待ちまして、出そろったところで、だれにどれだけやるかということを家処裁判所としては判断することになるわけでございます。
  43. 赤松常子

    ○赤松常子君 その場合、子供のことはもちろんはっきりわかっておりまするが、財産の分配は、妻が半分、子供は均等にするという財産の分け方がここに適用されるわけですか。
  44. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは、妻や子供がおる場合には相続の一般原則でいきまして、この場合は、妻や子供なんかないわけでございますから、ところが、妻に準ずべき者としては、先ほどからお話が出ました内縁の妻というものが出てくるわけでございます。内縁の妻は、これは妻じゃございませんので、相続権はございませんが、事実上、これは妻に準ずるような地位を持っている。それからまた子供に準ずるようなもの、たとえば事実上養子をしているが、養子縁組みの手続をしてはいないという例がございますと、内縁の妻と、事実上養子がおるという場合ですと、家庭裁判所裁判官が判断をします場合には、これは相続規定も頭に置きましてそれを一つの基準にするということ一は、これは考えられるかと思います。
  45. 亀田得治

    亀田得治君 私はこのくらいにしておきます。
  46. 辻武寿

    ○辻武寿君 私は法律専門家ではありませんので、しろうとの立場からお伺いしますから、ひとつわかりやすくお願いしたいと思います。  新民法昭和二十二年にできまして、昭和二十九年以来全面的に改正検討しておるというお話ですが、もう昭和三十七年で八年になる。十年「昔と言われるのですから、相当な期間がたったわけですが、いまだに目鼻がついていない。全面的改正というのは、そうするといつごろを目標にして検討されておるのか、その目標なしにやっているのか、その点をひとつお伺いしておきます。
  47. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは先ほど申し上げましたように、民法全体を通じまして非常にこれは問題が多いわけでございまして、なかなか結論の出にくい重要問題が多々ございます。そういう関係で、今後なお全面的改正ということになりますと、相当の期間が、要るのではないかという状況にございます。それでありますので、結論の出ました事柄で、この点はできるだけ早い機会に改正したらいいだろうと思われるような事項を取り上げまして改正をいたしたい。今回はその手始めだというような状況でございます。
  48. 辻武寿

    ○辻武寿君 その点ですけれども昭和四十年ごろを目途にしてとか、四十五年までにはやりたいとか、そういうような目標というものは置いてないわけですか。
  49. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これも先ほど申し上げましたような状況で、昭和四十年ごろというような目標を掲げることは実はなかなか困難でございます。そういうわけで、必要が生じましたつど、改正をしていくということも考えるべきではなかろうか。今回はその第一回でございまして、部分的な改正審議をお願いしている次第でございます。
  50. 辻武寿

    ○辻武寿君 では、私は財産相続の件について二、三点質問いたしますが、戸主が死亡したような場合、遺族の財産の配分、妻、子供、そういう配分は、現行法ではどういうふうになっておりますか。
  51. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 現行法におきましては、財産を持っている人がなくなりました場合に、相続人としてはどういう者がなるかと申しますと、第一には子、孫——直系卑属でございます。それから配偶者でございます。それから、子供、孫という直系卑属がございません場合には、被相続人の父母。それから子供も孫もない、父母も祖父母もない、そういう場合には兄弟姉妹。その兄弟姉妹もいないという場合には、兄弟姉妹の子供になります、おい、めいというものも相続人になる。現行法ではそういうふうに相続人の範囲がきまっているわけでございます。  それから相続分につきましても、たとえば子供と配偶者がいるという場合でありましたら、子供三分の二、配偶者が三分の一、それから子供「孫なんかがなくて父母がいるという場合でありましたら、父母の相続分二分の一、配偶者の相続分二分の一、そういう工合に現行法ではこまかく定めているわけでございます。
  52. 辻武寿

    ○辻武寿君 そういう場合、主人がたくさんの負債を残して死んだ場合ですね。つまりマイナスの財産を残した場合は、残った妻子等が負担しなければならないのですか。マイナスの財産相続する義務があるのですか。
  53. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 負債もやはり、何も手続せずにおきますと、相続させられてしまって、相続人が背負わなければならぬということになるわけでございます。そのために、民法には、限定承認であるとか放棄の制度を設けまして、負債をかぶらなくてもいいというような制度にいたしているわけでございます。
  54. 辻武寿

    ○辻武寿君 衆議院の会議録に株分け説というのをあなたが言っていましたと思うのですが、株分け説というのを、もう一ぺん私に教えて下さい。
  55. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 株分け説ということを申しますのは、これはいろいろな場合で事実上そういう言葉が使われておりますが、今回の改正で関連のあるところを申し上げますと、九百三十九条を今回改正いたしておりますが、これは相続放棄の効果に関する規定でございまして、非常に説明がごたごたしてわかりにくいかと思いますが、主人がなくなって、未亡人とそれから子供が二人いると仮定いたします。主人がなくなりまして細君とそれから二人の子供が残った場合に、子供の一人が相続を放棄いたしたと仮定いたします。たとえば次男が相続を放棄しまして、自分は相続しなくてよろしいと言って放棄した。その場合に、他の相続人でありますところのなくなった人の妻、それからその長男とが一体どういう割合で相続することになるか。これは実は見解が二つに分かれておりまして、この次男がかりに相続を放棄しなかった。普通のとおりに行きますと、遺産の全体の三分の二が子供たちに行くわけでございますから、三分の二を二人で平等に相続しますので、それぞれ二人の子供相続分は三分の一ずつになるわけでございます。それから配偶者、すなわちなくなった人の妻は、これは全体の遺産の三分の一を相続するわけでございますので、三分の一を相続することになるわけでございます。で、放棄というようなことがございませんと、この妻と二人の子供はそれぞれ三分の一ずつ遺産を相続することになるわけでございます。ところが、この次男が放棄をした場合には、一体妻と子供相続分がどういうふうに変わるだろう。一つ考え方に従いますと、その次男が放棄した三分の一相続分がそれぞれ妻と子供にさらに分かれていくのだ。で、妻の相続分、長男の相続分に応じて分かれる。そういう計算をしますと、妻の相続分は二分の一、長男の相続分も二分の一になる計算なのでございます。これが一つ考え方。ところがもう一つ考え方に従いますと、これが実は今回の改正内容がそうなのでございますが、次男が相続を放棄したとしますと、もう初めからその次男は相続しなかったものと、相続人にならなかったものとみなす。あたかも次男はいなかったのと同じように考える。相続人は妻と長男だけしかいかなかったというふうに考える。そういうふうに考えますと、相続の放棄をした次男の相続分というものは、これは子のほうに、長男のほうにだけ行ってしまう。長男の相続分がこれは三分の二になって、妻の相続分は依然として三分の一である。この後のほうの考え方をこれを株分けだと言うわけであります。  なぜ株分けかと申しますと、配偶者、なくなった人の妻の相続分というものは、株は三分の一なんだ。子供たちの株は三分の二というふうにワクがきまっておるのだ。それぞれ三分の一と三分の二という工合に株が分かれておるのだということから株分けというような言葉を使っております。これは事実上使っておりまして、民法なんかに出ておる言葉じゃございませんが、ただ、今も私ごたごた説明しましたように、話が非常に長くなってややこしいものでございますから、わかりやすく言うために私どもよく株分けなどという言葉を使うわけであります。株分けというのはそういう場合に使っております。
  56. 辻武寿

    ○辻武寿君 そうしますと、株分けに反対して次男坊の分は妻と子供で二分の一ずつ分けるべきであるという主張もあるわけですね。
  57. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 現行法解釈としてはそういう二つの解釈があるわけでございます。二つの解釈に分かれております関係で、どうも取り扱い上区々になって困るわけでありまして、たとえば家庭裁判所で遺産の分割なんかのときにこれが問題になるわけでございますが、ある家庭裁判所では株分けによる。ところが、他の家庭裁判所ではこの場合二分の一ずつになるのだ、半分々々になるのだというような解釈では、同じ民法規定相続規定裁判所によって異なった解釈がされるということになりまして、これはきわめて不合理でございます。そういう争いの余地を、解釈上の疑義をなくしようということで九百三十九条を改正した次第でございます。これならば疑義が生ずることはなかろうということで改めたのでございます。
  58. 辻武寿

    ○辻武寿君 それでは八百八十七条ですか、直系卑属にならない者には相続権がないということですがね。夫婦養子を迎えた。夫婦養子には子供があった。子供がある夫婦養子をして、その子供自体は親から見れば今度は直系卑属に当たらないから相続権はないと、こういうわけですか。
  59. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 夫婦養子子供のある夫婦を養子にもらったという場合に、その養子縁組み前に生まれておる子供でございますね。夫婦を養子にもらう前にその夫婦の間にすでに生まれておる子供、これはまあ現行法解釈でもこれはその養親の孫にはならないわけでございまして、これはまあ旧法からもそうでございましたが、旧民法からもずっとそうで、現行法でもそうでございますが、その場合に、養子縁組み前の夫婦の子供というものはこれは代襲相続権はない。これはこの新しい規定でもそうでございますが、現行法解釈でもこれはそのとおりでございます。
  60. 辻武寿

    ○辻武寿君 そうしますと、これは両親が死んでしまったような場合には、九百五十八条の三の特別な縁故者という、そういう理由で財産がもらえるわけですか。
  61. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) ほかに相続人がございませんで、だれもほかに相続人がいない。ところが、その養親が自分の孫と同じようにかわいがって育ててきた、孫と同然に扱ってきたというような事情があれば、これは特別縁故者と言ってもいいかと思います。そういう場合はあり得ると思います。
  62. 辻武寿

    ○辻武寿君 夫婦のもともとの子供なんですから、これは一番財産をもらえる権利が強いような気が普通ではするのですがね。それがもらえないようになっているというのは、何となく不合理な気がするのですが、そういう点は今度の民法改正で根本的に検討される条項になっているわけですか。
  63. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは、先ほども申し上げましたように、これは養子縁組み制度に関するやはりこれは一つの問題なのでございまして、事実上これは孫であるが法律上は孫ではない。これははたして妥当であろうかということは、これは確かに問題になるわけでございまして、法制審議会におきましてもその点はやはり問題になっておりまして、これは今後のやはり検討一つの課題となるものでございます。今回はその点は現行法どおりで手を触れていないわけでございます。
  64. 辻武寿

    ○辻武寿君 では、九百五十八条の三のほうの、先ほど問題になっておりましたが、相続人が存在しない場合、家庭裁判所の裁量で特別縁故者に相続財産の全部または一部を与える道が開かれたという規定ですが、特別な縁故というのはこういう関係だというはっきりした基準というものはないわけですか。
  65. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これはいろいろな事例がございまして、その規定だけで具体的に明確になるようなそういう条文がなかなかこれはできにくいのでございまして、私ども法制審議会委員の諸先生方にもいろいろ恵知をしぼっていただいたのでございますが、この程度以上には具体的にははっきり書きにくい。またあんまりはっきりさしてしまいましても、これはまたこの制度の妙味もなくなるということでこういう規定におちついたのでござますが、ここにございます「被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者」、こういう例示があがっておりますので、これから解釈ができるのではないか。要するに、言いかえますと、先ほど申し上げましたような内縁の妻であるとか、あるいは今例にお出しになりましたような夫婦養子子供を連れてきておる。その子供ほんとうに孫と同じように同居をして暮らしてきておる。そういうような場合、要すると相続人に準じて考えてしかるべきような者、そういう者に与える趣旨であるということがわかるのじゃないかということでこういう規定に落ちついたのでございます。さらに抽象的に言いかえますと、法律上の相続人ではないけれども相続人に準じて考えていいような特別な関係があるのだ。そういうふうに言いかえることができるだろうと思うのでございます。
  66. 辻武寿

    ○辻武寿君 はっきりきめると妙味がなくなると今おっしゃいましたのですが、はっきりきめなかったら、それこそわれわれもと特別な関係を申し出てきて、紛争事件がたくさん起きはしないかと思う。また裁判官が足りなくなったというような騒ぎが出てくるのじゃないかという心配も考えられるわけですよ。また自分は特別な関係があるのだけれども、どうもあまり有利でないという場合に、裁判官と知り合いだからそこへ運動して、本来ならばもらえそうもないやつを獲得するというような運動も展開されないこともないと思うわけですから、その点は、はっきりきめたほうが妙味がなくなると言うけれども、きめないほうがかえっておかしくなるのじゃないかというような気もするわけですが、そういう点はどうですか。
  67. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) その点の御懸念はごもっともでございますが、これをもう疑問の余地がないくらいまで明確にといいますと、第一、内縁の妻、第二、何々というふうに、やはり列挙していかなくちゃならない。それからどうしてもやはりただ血縁関係がある、姻族関係がある、姻戚関係があるのだというだけでは不十分なので、やはり家族同然、相続人に準じて考えられるというようなことになってきますと、単なる血の続き柄とか姻戚関係ということでは、足らないので、やはりこれにやるのがふさわしいと思われる者、そういうふうにやはり抽象的な要件が加わってきまして、どうしてもこれは規定が抽象的にならざるを得ないのでございます。最後にやはりこれは家庭裁判所裁判官の健全な判断にまかせる、たよるということ以外にないと思うのでございます。民法の他の規定でも、やはり一切の事情を考慮して家庭裁判所で定めるという規定は他にもあるわけでございますし、家庭裁判所の公正な判断を信頼するということに最後は持っていかざるを得ないと思うのでございます。ただしかし、ただいま仰せのような、これはきわめて例外の場合でございましょうけれども、そういう例外の場合もこれはないと言えないわけでございますので、そういう場合に備えまして、やはり上級の裁判所に不服申し立ての道を開いて、そういう不正あるいは不当な処理がなされました場合にそれを救済するという道を開く。まずそこまで手当てしますればまあまあ大丈夫ではなかろうかということなのでございます。
  68. 辻武寿

    ○辻武寿君 それはそれとして、遺言というものがありますね。遺言が認められて財産相続できるという条件は、どういう条件に当てはまれば遺言は認められるわけですか。おれは遺言を聞いたのだというだけでは財産はもらえないでしよう。
  69. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 遺言につきましては、民法に詳細な規定がございまして、一定の方式があるわけでございます。その方式が踏んでございませんと、遺言としての効力がない。ただ、そうではなくて、法律上の遺言ではなくて、生前に、お前に自分が死んだらこの財産やるよと言ったというような場合は、これは世間にあり得ることでございますが、お前に自分が死んだらこの財産やると言うからには、何かやはりそこに特別な縁故があった場合でございましょうから、それもやはり特別縁故の、その者に財産を与えることが適当かどうかということの判断に、生前よく被相続人がその者にそういうことを言っておったということは、これはやはり九百五十八条の三の規定の運用上考慮さるべき事柄であると思うわけでございます。
  70. 辻武寿

    ○辻武寿君 最後に、法規の上では当然相続すべきであるけれども、親としてはとても財産など譲れない。道楽むすこでしょうがない。勘当と昔から言われていますが、そういうことは、今法規上では認められてないけれども、勘当されたから財産相続できないということはあり得ますか。なんとかいうようなことで、あの子には相続されたくないという場合でありましたら、これは相続人廃除という制度がございます。親が死ぬ前に相続人でなくする、相続人廃除という制度があるわけでございます。それから廃除によりませんでも、あの子は親を虐待してどうもいかぬ、財産をやりたくない、ほかの子供たちにやりたいという場合には、遺言でそういう趣旨を講ずる道もあるわけでございます。現行法ではそうなっております。
  71. 井川伊平

    井川伊平君 今、辻さんの御質問にお答えになりました点を確かめておきたいと思うのでありますが、法律上は遺言としての効力はない。しかし本人が、そういうような法律上の効力のない形式ではあるけれども、事実上遺言したということはある。こういう場合に、その遺言によりまして財産をもらうことの意思が表示される場合は、特別の縁故者の中にその者が入るか、入らないか。今のあなたのお答えでは、何かほかにやはり縁故があるからそうしたのであるだろうという話があったが、ほかに縁故が何もなくて、そうした法律上遺言の形式を備えてない遺言があった場合には、その相手方は縁故者してこの相続の対象になるか、ならぬか。この点確かめておきたい。
  72. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは具体的な事情いかんによることでございますが、生前贈与したという場合も考えられます。手続が済んでないが、贈与の場合もございましょうし、それから死んだらやるという、いわゆる死困贈与という場合もございましょう。贈与とか、死因贈与でございましたら、そちらのほうで救済できるわけでございます。ところが、そうじゃなくて、ただ遺言して、やるぞということだけでございますと、これは今仰せのとおり、これは遺言ではないわけでございまして、その場合には、やはり今度の九百五十八条の三の規定の問題になるかとも思いますが、ただやるぞと言ったということだけでは、やはり足りないのではないか。やはりそれを裏づける何ものかがあるのじやなかろうか。何もないのに、やるというようなことはやはり言わぬわけで、何かプラス何がしかがある場合が大部分じゃなかろうかと思いますので、さよう申し上げましたけれども、これは具体的な事情いかんによることでございまして、一がいにどうというふうに断定することは困難かと思うのでございます。
  73. 井川伊平

    井川伊平君 今の私の質問とあなたのお答えとの問には、客観的に裁判官が認めて特別の縁故というものをきめる場合と、そうでなくて、たまたま主観的にはその人が何か、客観的には特別の縁故であるとは思えないけれども、お前にこれは死んだときにやるのだという、法律上の遺書の形式の備わらない遺言のあった場合は、その者をやはり特別縁故と認めるかどうかという点ですな。
  74. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) それは財産をやると言ったという、そのことだけでただちに特別縁故と言えるかどうか、これはちょっと疑問ではないかと思うのでございます。ただその場合は贈与ということで解決がつく場合もあるかと思いますけれども、特別縁故を持ってくるまでもなく、贈与ということで解決がつく場合もあり得ると思うのでございます。
  75. 井川伊平

    井川伊平君 そうすると死因贈与ということが認められる場合は格別、それが認められない場合には今言ったようなのは特別の縁故者と言うわけには参らないと、こういうお説ですね。
  76. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) ただ口頭の遺言をしたという、ただそれだけの一事でもってでは無理ではなかろうか。まあこれは具体的な事情によることで、そう断定して、言い切っていいかどうか、これは私も自信が、確信がございませんけれども、そういう感じがいたします。
  77. 辻武寿

    ○辻武寿君 関連。今の問題ですが、私が遺言を受けた、何も証文はもらってない。けれども、私の兄弟が知っているとか、あるいはおじさんが知っているとか、その遺言を受けたことの証人になる人がそこにいたときには、特別な縁故者となり得るんじゃないかと思うんですが、どうですか。
  78. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) まあ口頭で遺言をしたということが確実でございますと、先ほども申し上げましたように、何にも縁もゆかりもない人にそういう口頭の遺言をするはずはないわけでございまして、単に口頭で死にぎわの枕元で口で言ったということじゃなしに、何かやはりそれを言うだけのほかの事情があるんじゃないか。多くの場合は、そういう場合は、特別縁故に該当する場合が多いだろうと思うのでございます。しかし、ただその口頭で遺書をしたと、それだけで直ちに特別縁故者に常に当たるかどうかと申しますと、これはどうもそれだけでは何か足りないような感じが私としてはいたします。ただ、こういう場合が考えられます。遺言をした。方式を踏んだつもりで遺言をしたけれども、軽微な過失でその遺言というものが無効であるというようなことは、これはあり得ると思います。で、たまたま、これはまあ方式がなかなか厳重でありますがために、方式が履行できないために遺言が効力を有しなかったと、そういうような場合、これはやはり特別縁故者として、そういう問題はこれは非常に重要な要素となって考慮されるんじゃないかということは言っていいと私は思うのでございます。
  79. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 他に御質疑はございませんか。なければ、本案に対する質疑は終局したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  81. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 速記始めて。   —————————————
  82. 松野孝一

    委員長松野孝一君) ただいま委員の異動がございましたので御報告いたします。本日付をもって秋山俊一郎君が辞任され、村山道雄君が選任されました。   —————————————
  83. 松野孝一

    委員長松野孝一君) これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  民法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  85. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 全員一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。   —————————————
  87. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 次に行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を議題といたします。  本案については、前回委員会で提案理由の説明を聴取いたしておりますので、本日は補足説明を浜本訟務局長より聴取いたします。
  88. 浜本一夫

    政府委員(浜本一夫君) 行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について、逐条説明を申し上げたいと思います。  本日議題になっております行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案についですでにその提案理由の説明がございましたので、以下さらにそれを敷秘して御説明申し上げます。  初めにお断わりいたしておきたいと存じますが、本整理法案は、数多くの行政法規を諸種の角度から改正し、さらにこれを法案としての形式を整えるため各省別に配列いたしております関係上、これを逐条的に条文の順序で説明いたしますと、改正理由の説明が重複して、わずらわしいばかりでなく、かえってその趣旨が明確を欠くことになるおそれがございますので、改正趣旨の種類に応じてこれを提案理由の説明にありましたように四分類いたしまして、その種類別に改正条項を取り上げ、それについての説明をいたすことにさせていただきたいと存じます。  まず第一に、現行の各秘行政法規における訴訟に関する規定について、行政事件訴訟法案の趣旨にのっとり、それとの関連における所要の整備をいたしておりますが、これにつきましては、さらにその内容を四つに分けて御説明申し上げます。  その一は、独占禁止法、公職選挙法等における訴訟に関する規定に所要の改正を加えております。すなわち、まず第三条の独占禁止法の改正におきましては、同法第八十二条第二項が裁判所に審決の違法のほかに当、不当についての判断権またはその変更権を与えているかのように規定していますのは、裁判の性格にかんがみ適当でないと考えられますので、これを削除するとともに、これに伴って、同法第八十三条中の字句を整理いたしております。  次に、第七条の土地調整委員会設置法の改正におきましては、同法第五十五条及び第五十六条の規定を改め、委員会は、申請を認容した裁定を取り消す判決が確定したときは、判決の趣旨に従い、あらためて申請に対する裁定をしなければならないとしておりますが、この趣旨は、かような、実質証拠の有無が裁判所の判断の対象となるものにつきましては、取り消し判決の拘束力が行政事件訴訟法案第三十三条第三項の規定だけでは明らかでないばかりでなく、従来、この点については、解釈上疑義があったところでもありますので、特にこれを明らかにすることにいたしたものであります。なお現行の同法第五十五条第一項を削りましたのは先ほど申し上げました独占禁止法第八十二条第二項を削除したのと同趣旨でありますし、さらに第五十三条第三項を改めましたのは独占禁止法の建前と同様に新証拠の取り調べの必要があるときは、裁判所は、事件委員会に差し戻すこととするためのものであります。  次に、第十五条の弁護士法の改正におきましては、同法第十六条または第六十二条の規定が処分の違法または不当を理由として訴えを提起することができるといたしておりますうち、当、不当を理由とする点は先に申し上げましたように不適当でありますので、これを削るとともに、所要の字句の整理をいたしております。  次に、第四十三条の性病予防法の改正は、同法第二十五条を行政事件訴訟法案第三条の規定に応じてその表現を改めましたもので、その実質には変更はございません。  次に、第百四条の労働組合法の改正におきましては、同法第二十七条第八項の規定の趣旨が行政事件訴訟法案第十条第二項との関連において従来以上に明確を欠くことになりますので、これを削除いたしまして、そのかわりに新たに使用者は、中央労働委員会に再審査の申し立てをしたときは、その中し立てに対する中央労働委員会の命令に対してのみ、取り消しの訴えを提起することができるといたしますとともに、この訴えについて行政事件訴訟法案第十二条第三項の規定の適用がない旨を念のため明らかにすることにいたしております。また、同法同条第十一項の規定につきましては、従来から解釈上の疑義が少なくありませんでしたので、この際、この訴えに準用または適用される規定の範囲を明確にいたすことにしたものであります。  次に、第百十八条の地方自治法の改正におきましては、同法第七十四条の二における署名の効力を争う訴訟については、その性質上これを専属管轄とするのを適当といたしますので、その旨の規定を置くとともに、この訴訟についての行政事件訴訟法案の規定の適用関係を明確にする規定を置くことといたしております。  次に、第百二十一条の公職選挙法の改正におきましては、まず同法第二百十九条の選挙訴訟または当選訴訟に関する訴訟法規の適用について、行政事件訴訟法案第、五条及び第四十三条との関連において、規定の整備をいたすことといたし、同法案の諸規定の準用において、この種訴訟の迅速処理の必要から関連請求の併合等を所要の場合以外は制限し、また、この訴訟の性質上準用するのを不適当とする規定を除外することといたしております。また、このような訴訟法規の適用についての規定の整備は、第二十四条の選挙人名簿に関する赤松についても同様の趣旨に基づきこれを行なっております。次に同法第三十四条、第二百三条、第二百四条、第二百七条及び代二百八条の訴訟における被告適格についての規定が不備、不統一でありましたのを改め、いずれも選挙管理委員会または中央選挙管理会とすることに統一し、また、第二十四条の選挙人名簿に関する訴訟の管轄を専属管轄とするのを適当と考え、その旨の規定を設けることといたしております。  その二は、第十九条における国の利害関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律を一部改正いたしました点であります。その改正点の一つは、同法第五条に一項を加え、下級行政庁が当事者または参加人となる訴訟についてその上級行政庁の職員を指定代理人となし得る道を開いた点でありまして、これは、行政事件訴訟法案がその第十条第二項に規定しておりますように、いわゆる原処分中心主義を採用いたし、下級行政庁を当事者または参加人とする訴訟の増大が予想されますので、現行租税法規のとっている建前を一般化して、これに対処することとしたものであります。第二の改正点は、同法第七条として一条を新たに加え、地方公共団体その他政令で定める公法人の事務に関する訴訟について、これら公法人の求めがあるときは、法務大臣においてその所部の職員を指定代理人とすることができることにいたした点でありますが、このうち地方公共団体の事務に関する訴訟につきましては、地方自治の本旨を考慮しこれとの調整をはかった規定を置くことといたしております。なお、現行法規におきましては、各種公法人の訴訟につき法務大臣が監督する旨の規定が多々ございますが、これらの訴訟につきましては右第二点の改正によりまかなうことといたし、法務大臣の監督規定は削除することといたしました。第八条、第二十三条、第三十三条、第四十六条、第五十七条、第八十二条、第八十三条、第百十六条、第百二十二条による改正がそれであります。なお、現行の職業安定法第六十条の規定も不要の規定でありますので、第百七条による改正でこれを削除いたしております。  次にその三は、取り消し訴訟の出訴期間に関する特別規定を整備いたした点であります。この出訴期間が短期に過ぎることは望ましくありませんので、第十五条、第四十二条、第百二十四条における弁護士法等の改正により短期の出訴期間を調整いたし、また、取り消し訴訟についての特別の出訴期間現行法上不変期間であるかどうか必ずしも明確でありませんので、第三条、第七条、第六十七条、第百四条、第百二十四条における諸法規の改正により、これを不変期間とすることを明らかにいたしております。  次にその四は、現行諸法規における訴訟に関する規定のうち不必要なものを整理することにした点であります。まず、河川法等若干の法規におきましては、旧行政裁判所時代の訴訟に関する規定が未整理のまま現行法として残存し、そのため解釈上無用の疑義を生じておりましたので、第百十条ないし第百十二条、第百十五条における改正によりこれらの規定を削除することといたしております。また、行政処分に対し裁判所に出訴することができる旨の規定を置いている法規が少なくありませんが、これは当然のことを規定しているにすぎませんので基本法たる行政事件訴訟についての法律が整備されるこの際、これら不要の規定を第五条、第六条、第二十条、第二十一条、第二十九条、三十条、第九十四条等における改正により削除いたすこととしております。さらにまた独占禁止法、海難審判法においては執行停止に関する規定を特に設けておりますが、行政事件訴訟法案において、執行停止制度が整備されることになっているのに関連して、不必要なばかりでなく、かえって疑義の生ずる余地を残すこともなりますので、第三条、第九十七条における改正によりこれを削除いたすことにしております。  次に改正項目の第二といたしまして、特定の処分につき訴願を前置する規定を設けることにいたしました点について申し上げます。この趣旨並びにその選定基準につきましては、すでに提案理由の説明において明らかにされたところでございますが、さらに若干これを敷衍して御説明いたしますと、現行法上訴願ができる処分は、訴願法によるものと特別法によるものとをあわせて、約三百に達する法律規定されており、また、行政不服審査法案によりさらに広く概括的に認められることとなるわけでありますが、その中から特に訴願を前置する必要のある処分に限ってこれを前置する規定を置くこととし、その選定にあたりましては、提案理由の説明にありました三つの基準に照らし、これに合致するもののみを認める方針のもとに各種行政法規に規定されています処分をしさいに検討し、その結果、五十数個の法律のみを取り上げることといたし、さらにこれらの法律において規定される処分についても、できるだけ特定の処分に限定してこれを認めることといたした次第であります。これを本法律案の条文別に申し上げますと、第一条ないし第三条、第九条、第十二、第十二条、第十六条ないし第十八条、第二十二条、第二十七、二十八条、第三十二条、第三十四、三十五条、第三十七条、第三十九条、第四十七条ないし第五十五条、第五十九、六十条、第六十二条、第六十七、六十八条、第七十条ないし第七十四条、第七十八条ないし第八十一条、第九十二条、第百二条、第百五、第百六条、第百八条、第百十条、第百十七条ないし第百十九条、第百二十三条、第百二十五条による改正でありまして、これを選定基準との比較において申し上げますと、大量的処分としては、恩給法、生活保護法、健康保険法、農地法、鉱業法、地方税法等が、専門技術的処分としては核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する律法、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律外国為替及び外国貿易管理法、外資に関する法律、計量法等がこれに当たり、さらに第三者的機関によって裁決がなされる処分としては、犯罪者予防更生法、関税法、文化財保護法、道路運送法、建築基準法、国家公務員法等がこれに当たるものと考えたわけでございます。  次に改正項目の第三として、各種行政法規に規定する処分のうち若干のものについて、いわゆる裁決主義を規定いたすことにしております。行政事件訴訟法案第十条第二項は、取り消し訴訟において原処分の取り消しの訴えをもって本則とする建前をとっておりますが、特定の処分につきましては、その処分の性質、裁決の手続及び性質等を勘案いたしますと、原処分でなく訴願の裁決のみを訴訟の対象とするのを適当とするものがあるわけでありまして、現行法上も海難審判法、特許法、土地調整委員会設置法等において、その趣旨の規定が見受けられるのであります。本法律案におきましても、かような見地から諸種の法律規定する処分を検討し、現行法規定するもののほかにも、若干のものについては、その性質上、裁決主義をとることを適当と認め、その旨の規定を置くことといたしております。その一は、農産物、船舶、計器等が所定の基準に合致するかどうか等の技術的検査におきましては、検査についての不服申し立てに対して行なわれる再検査の結果のみを訴訟で争うこととするのが妥当と考えられますので、第二十四条、第二十五条、第六十一条、第六十三条、第六十九条、第七十二条、第八十五条においてその旨の改正を行ない、また、その二として、土地改良法におけるように訴願の裁決が実質的には最終処分に当たると考えられるものにつき属しても、これのみを争うこととするのが妥当でございますので、第四十二、第五十八条、第百二十三条による改正によりその旨の規定を置くことといたしました。  改正項目の第四といたしまして、各種行政法規における損失補償の額等を争う訴訟についての規定を整備いたしております。これらの訴訟につきましては、土地収用法、特許法等最近の立法にかかるものでは、起業者等実質上の当事者を被告とする旨を定め、当事者訴訟といたしておりますが数多くの行政法規においては、いまだに行政庁か損失補償の額等を決定する旨の規定をされているのみでありまして、そのためこれを争いますには、当該決定をした行政庁を被告とする抗告訴訟の形式によらざるを得ないこととなるわけであります。しかしそれでは、額そのものが直接に判決で決定されないため、これを争う国民にとって不便である、はかりでなく、その争訟の性質にも適合しないと思われますので、行政事件訴訟法案により当事者訴訟の規定が整備されるこの際、それらの損失補償等の額についての行政庁の決定を争う訴訟は、これをすべて当事者訴訟といたすことにしたのであります。本法案における第二十六条、第三十六条、第三十九条ないし第四十一条、第四十四、四十五条、第五十六条、第五十九条、第六十一条、第六十四条ないし第六十六条、第七十三条、第八十四条、第八十六条ないし第八十九条、第九十五、九十六条、第九十八条、第百一条、第百十一条ないし第百十五条による改正がそれであります。また、これらの訴訟についての出訴期間規定が不備、不統一でありますので、第九、第十条、第九十六条、第九十八条による改正により新たに出訴期間を定め、また、第三十八条、第七十三条、第七十五条ないし第八十条、第九十三条、第九十九条、第百一条、第百九条による改正によりあまりに短い出訴期間を適当な期間に延長するとともに、第三十九、四十条、第九十二条による改正によりあまりに長い出訴期間はこれを適当の期間に短縮することといたしました。なお、補償額の決定につき行政上の不服の申し立てを許し、これに対する決定が実質的な処分と認められますものについては不服の申し立てに対する決定に対して当事者訴訟を認めるのが適当でございますので、第九条ないし第十一条による改正によりその旨の規定を設けることといたしており、また、補償額について行政庁の決定を介在させることの、要がないものについて、第三十一条により所要の改正を行なっております。  以上が本法律案における本則の大要でございますが、これまで言及いたしませんでした第四条、第十四条、第九十、第九十一条、第百条、第百三条、第百二十条による改正は、いずれも単に行政事件訴訟法案または本法律案の他の規定との関連等における字句の修正または準用条文の変動による整理をいたしておるものにすぎません。  最後に、附則について、申し上げます。  附則第一項は、本法案の施行期日につき、行政事件訴訟法案と同様、今年十月一日から施行いたすことにしております。附則第二項は、経過措置に関する一般原則規定したものでありまして、通常の例にならったものであります。附則第一三項は、本則においてすでに申し上げましたように新たに若干の処分について裁決主義を採用いたしましたが、本法施行の際現に係属している原処分についての訴訟については、なお、従前の例によることにいたしたのであります。附則第四項は、本則において若干の裁判管轄といたしましたので、本法施行の際現に係属している訴訟については、なお、従前の例によることとして無用の混乱を防ぐことといたしております、附則第五項は、本法案で取り消し訴訟及び当事者訴訟の出訴期間を整備いたしておりますが、中には出訴期間を短縮したものが若干ありますので、本法施行前の処分についてのかかる出訴期間は、なお、従前の例によることとし、逆に出訴期間を延長したものについては、本法施行前の処分で本法施行の際その出訴期間が満了していないものについては本改正法を適用いたすこととしております。附則第六項は、すでに申し上げましたように、損失補償の額等を不服とする訴訟について新たに出訴期間を定めたものがありますので、本法施行前の処分についての出訴期間を本法施行の口から起算いたすこととしたものであります。附則第七項は、本法案において損失補償の額等を不服とする訴訟を当事者訴訟といたしたものが数多くございますが、本法施行の際抗告訴訟として係属いたしておるものについては引き続き従前の例によるといたしますとともに、当事者の便宜をおもんぱかって当該訴訟を当事者訴訟に変更する道を開いたものであります。附則第八項は、右の訴えの変更につき所要の規定を準用いたすことにしております。附則第九項は、本法案で公職選挙法における訴訟に関する規定改正いたしておりますが、同一の選挙等については、同一の法律が適用されるのが望ましいわけでございますので、改正規定は、その施行後に行なわれる選挙等についてのみ適用することといたしたわけであります。  以上、簡単でありますが、本法案の説明を終わります。説明の不十分な点につきましては、御指摘により補足申し上げたいと存じます。
  89. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 以上で説明は終了いたしました。  本案に対する質疑は後日に続行することとし、本案については本日はこの程度にとどめます。  速記を中止して下さい。   〔速記中止〕
  90. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 速記を始めて。  この際、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。本院規則第三十六条に基づいて、建物区分所有等に関する法律案について建設委員会より連合審査会の申し入れがございましたが、本法案について当委員会連合審査会開会することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、開会の日時等につきましては、建設委員長と協議決定いたしたいと存じますので、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  次回は三月二十七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十一分散会