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1962-06-01 第40回国会 参議院 法務委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年六月一日(金曜日)    午前十時五十三分開会     —————————————   委員の移動 五月九日委員藤田進君及び鈴木壽君辞 任につき、その補欠として野上元君及 び山口重彦君を議長において指名し た。五月十五日委員野上元辞任につ き、その補欠として加瀬完君を議長に おいて指名した。 五月三十一日委員秋山俊一郎辞任に つき、その補欠として仲原善一君を議 長において指名した。 本日委員山口重彦辞任につき、その 補欠としあ大和与一君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松野 孝一君    理事            青田源太郎君            井川 伊平君            亀田 得治君    委員            井野 碩哉君            加藤 武徳君            西田 信一君            野上  進君            加瀬  完君            高田なほ子君            大和 与一君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    法務省刑事局長 竹内 寿平君    郵政省電波監理    局次長     石川 忠夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  (交通関係事件処理等に関する  件)  (被疑事件処理状況等に関する  件)     —————————————
  2. 松野孝一

    委員長松野孝一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  この際、委員の異動について御報告申し上げます。  五月九日付をもって藤田進君及び鈴木壽君が辞任され、その補欠として野上元君及び山口重彦君が選任されました。  次に、五月十五日付をもって野上元君が辞任され、その補欠として加瀬完君が選任されました。  次に、昨五月三十一日付をもって秋山俊一郎君が辞任され、補欠として仲原善一君が選任されました。  本日付をもって山口重彦辞任され、その補欠として大和与一君が選任されました。  以上であります。     —————————————
  3. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 検察及び裁判運営等に関する調査中、交通関係事件処理等に関する件を議題といたします。  ただいま法務省竹内刑事局長最高裁樋口刑事局長警察庁交通局町田参事官が出席しておられますので、まず本件について当局側の御説明をお願いいたします。  委員長からちょっと申し上げますが、先般来新聞紙上で、交通事件を迅速に処理する方法一つといたしまして、交通切符制度というものを法務省最高裁、それから警察庁、この三者の間でいろいろ検討して案が練られておるという話を聞いておりますが、それで、その後それがどうなっておるか、それによってどういう程度の効果が上がる見込みであるか等、中間的にでもひとつ御報告願いたいと思いますが……。
  4. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 最高裁判所事務当局から資料として当委員会に提出してござます「交通事件迅速処理に関する簡易共用書式(いわゆる「交通切符」)(仮称)」と称するものと、それからそれの「採用による交通事件処理手続要綱案」というものが出ておるわけでありますが、それをごらんいただきますと、大体この制度の運用の仕方、ねらいというようなものが簡明に書いてあるわけでございます。そこで、その内容につきまして御説明を申し上げる前に、なぜこういう制度をとる必要があるというふうに私ども考えるに至ったかということをちょっと申し上げまして、御参考に供したいと思うのでございます。  御承知のように、交通事件は非常に近年増加して参りました。その数は、裁判所の全受理事件検察庁の全受理事件を見ましても、非常に大きなウエートを占めているのでございます。それで、交通違反事件でございますが、日本年間交通事故によって死亡します者が非常に多いのでございまして、こういう人身事故並びに大きな物件事故を伴いますこの交通違反というものを減少し、ないし食いとめていくということには、どうしたらいいかということでございますが、これにつきましては、いろいろ考え方がございまして、ただいま取り締まっております取り締まりが少し手ぬるいのではないか、もう少し程度の高い取り締まりを実施する必要があるのではないかというのが警察取締当局のお考えでございます。私どもも、外国例等に徴しまして、そういう考え方に実は賛意を表しておるのでございます。しかしながら、この取り締まりを強化いたしまして、事件の送致を受けましても、現在の検察庁処理能力、さらには裁判所処理能力というようなものを考えてみますると、今の取り締まりを若干強化しますことは、全国的に見ますと、必ずしも受け入れが不十分だというのではございませんが、大都市等におきましては、これ以上強化いたしますと、なかなかさばききれないという現況でございます。そこで、検察におきましては、相当なものを放任せざるを得ないような状況になっているのだということから、何とかその放任されているものにつきましても処罰的な制裁を加えて、そして取り締まりの実をあげる必要があるというような考えになりまして、いろいろ実は案を考えておったのでございますが、そのこまかい案は申し上げなくても、すでに新聞等で御承知のことと思いますが、それらの案には一長一短ございまして、なかなか理想案に近いものができにくかったのでございますが、幸い、昨年来、私ども手元におきましても、このような状態に対処するために、特に外国、と申しましても、アメリカ交通切符制度というようなものを研究して参っておりまして、このアメリカ交通切符制産をそのまま日本に適用しますことは、裁判組織等関係から申しまして、アメリカのとおりには参らないのでございますし、また、交通事情道路事情等も、日本アメリカとは違うのでございまして、これに何がしかの修正を加えまして、日本に適用できるものかどうかというようなことを実は研究して参ったのでございますが、今言ったような情勢が、本年の二月から三月にかけまして、機運が熟して参りましたので、三者で話し合いまして、相当修正と申しますか、補正をいたしまして、アメリカのいいところを日本制度に乗せて運用するというような線で実は話し合いました次第でございまして、その結論と申しますものは、実はまだ最終的には出ておりませんが、大体は三者の間で意見の一致しております案としまして、お手元に配付しましたかりのものができたのでございます。  この案の骨子をなしておりますのは、手続の面におきまして、迅速化合理化がはかられ、実体面におきましても公正な、しかも実質的な危険防止の観点から危険なる行為を取り上げて類型化して、その処罰の実をあげていくということにあるのでございます。そしてその最も長所と申しますものは、従来取り扱って参りましたやり方、このやり方について、法規の改正をせずして、この切符制を採用することによって、今のような目的を果たす方法、こういうことになるのでございますが、現行手続によりますと、これは大ざっぱな見込み計算でございますけれども、大体現在の検察官が現場で違反を摘発いたしまして、それから裁判所裁判を受けて、一応手続が終了してしまうという時間を、それぞれの役所で占めております割合をずっと合計して計算してみますると、約四時間くらいかかる。それに待ち時間その他を加えますので、相当関係者も取り調べのために時間を空費するわけでございまするのみならず、またそのために相当、たとえば墨田の交通裁判所のごときものは、一日に二千六百人から三千人というような日もありまして、裁判所というよりも、何か雑踏のちまたといったような感じのするような状態でございますが、これらも、一つ手続が長いことと、待ち時間が長いこと、事件が多くなってきているというようなことから生じている現象でございます。それをずっと今の手続だけで時間を割り出してみますと、約四時間くらいかかると思うのでございますが、これをもし切符制度に移しましてやりますと、警察検察裁判の各段階において時間が非常に省略されて参りますのでおそらくは四十分から五十分の範囲内で済む。つまり四時間が一時間以内に圧縮されるというようなことになりまして、この時間だけから受理件数を多くすることができるというふうには参らぬと思いますが、少なくともこの手続が円滑に運用されまするならば、今の受理件数がかりに二倍になりましても、現行のままで一応検察庁裁判所も受け入れ態勢を整えていくことができるのじゃないかというふうに考える次第でございます。  もう一回、先にちょっと触れました点でございますが、取り締まりが弱いのではないかという、その疑念の点でございますけれども、はたしてこの取り締まりが強くなれば事故は少なくなっていくかどうかということは科学的に必ずしも明確ではないのでございますけれどもアメリカにおける二、三十年の歴史を持っておるこの切符制度でございますが、このアメリカにおける実績を学問的に研究しましたいろいろな文献がございますのでありますが、それらの研究の結果によりますと、取り締まり指数という考え方がございまして、危険なる違反行為を実際に起こる事故で割りますと、たとえば百の取り締まりをしたのに対して事故が十ありますと、その割りました十という数字が出ますが、これが取り締まり指数でございまして、この取り締まり指数が、事故を減らしていくにはどのくらい指数が上がっていくのがいいかという研究があるわけでございまして、それによりますと、十五ないし二十五くらいの指数になりますと、事故は減少の傾向を示してくるというようなことが科学的に立証されておるようでございまして、この考え方は、アメリカでは一般に承認されておる考え方のようでございます。先ほど申したように、交通事情が違いますので、日本でそのままの指数がすぐ取り締まりの最も適当なものとはならないと思いますが、日本の現状についてこれを見ますると、大体この取り締まり指数は七から十前後ではなかろうかというふうに思うのでございまして、今のアメリカ計算によりますと、もう倍から三倍くらいまで取り締まりをいたしませんと、交通事故を減少させるということは言い得ないのではないかというふうなことも一応資料といたしまして考えられるわけでございまして、そういうことを根拠といたしまして、今のような制度に踏み切って参った次第でございます。近く、明日でございますか、あとは少年の交通違反をこの切符制にどういうふうに乗せていくかというようなことが、三者の間で協議をいたしまして、結論を得る予定でございます。大体大綱におきましては三者一致しております。その結論を得ましたならば、これを一つのモデル・フォームといたしまして、実施いたします庁に示し、それぞれの庁で、地元の警察検察庁裁判所家庭裁判所等で話し合いまして、これをできるだけ近い機会から実施に移して参りたいというふうに考えておるのでございます。  もし御質問がございましたらば、係の者からもなお内容につきまして御説明を申し上げます。
  5. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 速記をとめて。   〔速記中止
  6. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 速記を始めて。  それでは、ただいまの点については次回に質疑を行なうこととし、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  7. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 次に、検察庁及び裁判運営等に関する調査中、被疑事件処理状況等に関する件を議題といたします。本件について、亀田君より質疑の通告がございますので、これを許可いたします。
  8. 亀田得治

    亀田得治君 私は徳島新聞社並び四国放送不正事件につきまして、若干問題点について当局に確かめたいと思うのでありますが、本件は、刑事事件対象になっておるというだけではないのでありまして、この四国放送徳島新聞社関係というものは、実質上は前川静夫という同一人がこれを支配しておる。こういう関係から見まして、現在のこの無線局免許基準というものに反しておる、こういう実は重大な問題もともにこれはからんでおるわけなんです。単なる刑事被疑事件ということとは違うわけでして、考えようによりましては、むしろそういう言論、放送機関を独占しているということ自体、このことは、現行法では固く禁じておる建前になっておるわけですが、実質的にはむしろそのほうが重大かもしれないと思っておるわけです。したがいまして、刑事局長に若干被疑事件関係につきまして差しつかえない程度の問題について聞こうと思っておるわけですが、きょうは電波の日で非常に忙しい関係にあったようですが、電波監理局のほうからもお越しになりましたので、そちらに若干確かめたい点を先にお尋ねをしてみたいと思います。  今申し上げました点に関連して、まず、前川静夫という人が四国放送徳島新聞社の両方の実権を実際上握っておる、こういう点の事実関係を最初に確かめてみたいと思うのです。それは、昭和三十三年の三月十五日でありますが、前川静夫四国放送社長をしておるわけですが、当時徳島新聞代表者もしていたわけです。ところが、そのようなことは、放送事業建前からいっていけないということで、監督官庁つまり電波監理局から注意をして、徳島新聞社代表者であることをやめさせたことがあるようですが、そういう事実があったかどうか。
  9. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 三十三年の十月二十二日の一斉予備免許を行なった際に、先生のおっしゃるようなことがございますので、新聞社社長辞任させております。
  10. 亀田得治

    亀田得治君 それは三十三年十月ですか。
  11. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 三十二年でございます。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 三十二年十月に注意をしたわけですね。
  13. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) はあ、そうでございます。
  14. 亀田得治

    亀田得治君 その結果、注意に基づいて辞任したのはいつですか。
  15. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 三十三年の初めごろだったと思いますが、ちょっと何月になるのか、はっきりした資料を持って参っておりませんので、はっきりしておりませんが、三十三年の初めだというふうに記憶しております。
  16. 亀田得治

    亀田得治君 徳島新聞社代表者を、理事辞任したわけですが、その後新聞社定款を変更して、会長制というものを作って、そして理事会決議などは会長承認を得なければならない、こういったようなことをきめまして、そうしてみずから会長に就任した、こういうふうな事実関係は握っておられますか。
  17. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 当時は、新聞社定款については調べてございませんし、会長になったということは、確認はいたしておりません。
  18. 亀田得治

    亀田得治君 昭和三十六年の五月三十一日に再び新聞社理事に就任をした。そこで、再び監督官庁から、その三十六年の十二月のようですが、勧告を受けて、理事をやめた、こういう事実関係ははっきりしておりますか。
  19. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 今度問題が起こりまして、調べてわかりましたが、実は、私どもといたしましては、再免許の際にそういう点を調べますけれも、普段、まあ免許されている期間の途中においては、わかれば、もちろん注意してやめていただくようには措置いたしておりますが、全国にわたって絶えずそういう問題を十分に調べるというような状況になっておりませんものですから、実は最近までわからないできたわけです。
  20. 亀田得治

    亀田得治君 質問以外のことをお答えになると、質問の要点がぼけますし、時間もかかりますから、知っておることは知っておることとして、その点だけをきちっと答えてほしいです。つまり、私のお聞きするのは、三十六年五月三十一日に、前川静夫が再び徳島新聞社理事に就任した、こういうことが、あとからでもいいわけですが、わかっておるのですか。
  21. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 記録の上ではございません。
  22. 亀田得治

    亀田得治君 記憶の上ではないのですか。記憶ですか。
  23. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) こちらで保管しております記録の上ではございません。
  24. 亀田得治

    亀田得治君 最近まで前川静夫徳島新聞社会長をやっておる、これはわかっておりますか。
  25. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) わかっております。
  26. 亀田得治

    亀田得治君 それは、どういう関係でわかりましたか。
  27. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 昨年の終わりだったと記憶いたしますが、テレビの再免許がございました際にわかったわけでございます。
  28. 亀田得治

    亀田得治君 その際に、徳島新聞社会長というものはいかなる権限定款上持っておるのか、そういう点の検討はされましたか。
  29. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 社団法人代表者である理事でないということをはっきり確認いたしております。
  30. 亀田得治

    亀田得治君 理事でないから差しつかえないという意味ですか、その当時皆さんがおとりになった見解は。
  31. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) さようでございます。
  32. 亀田得治

    亀田得治君 理事でなくても、定款において、理事会の決定は会長承認を要すると、こういうことが定款の第二十二条で特にきめてあるわけですね。そういう点の研究はされた上でそういう結論を持っておられるのですか。つまりですね。この新聞社実質的に支配している者が同時に放送事業支配するような者になってはいけない、こういうことがあなたのほうのこの基準免許の中に明確になっておるわけでしょう。これは単に形式的のものじゃないわけです。私たちはそういうふうに解釈する。単なる形式だということであればそういう基準なんかを実質上骨抜きにするような方法というものは幾らでもこれは考えられる。だから、そうじやなしに、これは決して単に自分腹心の者を理事に入れて、そうしてその理事をあやっておる、そういうようなものじゃないのでして、定款自体に、理事よりも会長のほうがこの社団法人支配する権限としては上にあるのだということが書かれておるわけなんです。これは非常に重要なわけですね。実値上の社長なんです。対外的な関係はどうなるかというと、これは別ですよ。しかし、対外的な関係が問題になっているわけじゃない。実質的な支配というものが問題なんです。だから、そういう意味で、定款の二十二条との関係というようなものをよく検討された上で、形式だけは理事になっておらないから差しつかえないというふうな考え方を持ったわけでしょう。そこを明らかにしてほしいのです。
  33. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) これは、今先生から経営支配有無判断指針として、「一の者の代表者権を有する役員又は常勤役員放送局所有権代表権を有する役員又は常勤役員を兼ねること」という、何といいますか、内規の条文についての御質問だと思いますが、先生のおっしゃるとおり、経営支配有無というものは、事実上の問題といたしますと、非常にいろいろな問題がありましてむずかしい。そこで、それをどういう場合には経営支配があるというふうに判断するかという判断指針として、ここに掲げてあるように、「代表権を有する役員」という言葉で表現してございます。で、社団法人の場合でありますと、代表権を有する役員というのは理事である、こういうふうに私どもはまあ解釈いたしまして、理事でない者は、まあ事実上だれが実権を握っているかということは、非常にむずかしい問題でございますが、とにかく判断にあたっては、形の上で代表権を持っているかどうかということによってきめていくというのが指針趣旨だと、いうふうに解釈いたしております。
  34. 亀田得治

    亀田得治君 まあ、それはあなたほのうで再免許してしまっておるものですから、その自分がやったことについてけちをつけられるような感じを持って聞くものですから、何とかつじつまを合わしたい、こういう説明をされるわけでしょうが、たとえば、この免許基準に関する別紙の第四のところにも書いてあるわけですが、「一の者が放送事業を行うことによってラジオ事業テレビ事業の三事業を兼営し、又は経営支配をすることにならないこと」、こういうふうな表現もあるわけです。これなどは、形式的なそういう代表権云々という問題ではなく、あくまでもこれは実質的な点を表現しているわけなんです。そこで、今回あなたのほうで、きょうですが、六月一日、別な、何といいますか、線についての再免許をする予定になっているようですが、やはりこの徳島新聞社会長をやっておるということが相当検討対象になったように聞くわけですが、その点はどうでしょう。今回も簡単に、その点はたいした重大問題じゃないというような扱いをされているのでしょうか。どうでしょうか。
  35. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) その点は、私ども検討いたしましたし、また、御承知のとおり、無線局の一種として、放送局につきましては、電波管理審議会に必ず諮問して、その答申を得て免許または拒否の処分をする、こういうふうになっておりますので、電波監理審議会におきましても検討していただきました結果、この統営支配の中には入らない、こういうふうな結論が出さまして、免許するのが妥当である、こういうことでございます。
  36. 亀田得治

    亀田得治君 そんな電波管理委員会だったら、解散してしまったほうがいいですね。どうして統営支配に入らないのでしょう。前川静夫徳島新聞社会長なんですよ。しかもそれが理事会決議はおれの承認がなければだめだと、こういう、君、定款を作っているのですよ。明らかに脱法行為じゃないですか。しかも、社員権過半数を独占しておるのですよ、社員権過半数を。しかも、これは全く全国にも珍しいわけでして、社団法人形式新聞社なんです。出資は前川などは一文もやっていないわけなんです。定款目的には、公益を目的とすると、こういうことまで書いてある。そういう者が、単に形式だけ理事になっておらない、だからこれはいわゆる代表者ではないのだ、そういう扱い放送会社社長も兼ねさせる、そんなことがあなたのほうでは正しいと思っているのですか。脱法行為というのは、こういうことを脱法行為というのです。世の中がよく言うでしょう。形式にきちっと合っていることは脱法でも何でもない。形式は合わしているけれども、中身はまるっきり違ったところをねらっているというのが脱法なんです。行政官庁監督というものは、そこをはっきりさせんといかぬのと違いますか。単に前川腹心理事として入れて、裏のほうであやつっていると、そういう問題でない。前川自身がそういう定款を勝手に作って、みずから会長に就任して、社員権過半数を独占して、たとえば、せんだって専務理事を追放する場合でも、前川形式上は権限がないのに、社員総会を聞いて追放の決議をするとか、理事でなければもうそれでいいのですか。そんなところまで検討をされて、電波監理局なりあるいはその委員会というものがこれで差しつかえないと言っているのですか。そこまでの資料も実はなかったと、また、そういう御意見も聞かしてもらわないままで、多少その点の検討は十分されないままで承認されたというなら、これは人間のやることだから、多少の手落ちというものはどういう場合にでもある。こんなことが、自分のやったことだからといって、あくまでもあなたのほうでへ理屈をこね回すというようなことじゃ、これは全くおかしいじゃないです。これは、刑事局長も今お聞きになっておりますが、こんなことはもう明らかな脱法的な行動なんです。もっと、あなたで答弁できなければ、大臣なり最高責任者を呼んできて答えてもらって下さい。そんなばかげた話あるものですか。
  37. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) この三事業の兼営につきましても、いろいろなまあ経営支配やり方というものは、ただいま先生がお話しになったように、方法があるかと存じます。また、われわれがそれを経営支配経営支配でないかということをいろいろ判断するのに困難な場合があることが予想されますので、そこで、第四項の最後に経営支配有無判断につきましては三項に準ずるということになっておりまして、そうして形の上でこういう形になっていたら経営支配と断定すると、こういう趣旨になっているわけでございます。何分放送会社は、言論機関の一つでもございますので、われわれの関与につきましても非常に慎重を要するわけでございまして、したがいまして、まあ画一的と申し上げますとおしかりを受けるかもしれませんけれども、こういうな形の上でとらえて判断をしていくと、こういうふうになっておるのでございます。
  38. 亀田得治

    亀田得治君 まあともかく程度の低い答弁でしてね、そういう答弁の仕方は。一々こまかいことを言い出したら、これはもう二時間も三時間もかかりますが、別紙の第四というものは、なるほど準ずるとはなっているが、三のとおりではないのですよ。三のとおりであれば、何も第四というものは要らないのです。実質的な統営支配はよくないということを特に第四に書いていることは、第三のような、そういう形式代表権を両方兼ねない場合もあり得るからこれを書いている。こんなことはあなた、法文の解釈としてあたりまえのことです。何んでそんな悪いことをやっているやつの味方だけするような解釈をことさらにしなければいけないのか、おかしいじゃないですか。しかも、一体社員権の過半を持って、そうして理事会決議というものは、会長が、おれの承認を得なければだめなんだ、こういうことをやっているものが、一体どうして経営支配にならないのですか。そしんな個々の場合に、違うとか、違わぬとか、そんな問題じゃないでしょう。あなたのほうで、今回のこういう問題が明らかになってきた関係もあったと思いますが、松山電波監理局から定款を出すようにという要求が四国放送に出たようですが、それはあなた御存じですか。
  39. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 本省では承知しておりません。
  40. 亀田得治

    亀田得治君 何にも知らないんだな。なるほど言論機関にはそんな役所が簡単に介入するということはわれわれも反対だ。これは国民の公器なんですよ。それだけに、明らかなけしからない行ないをやっている場合に、最小限度きめられている監督官庁権限が発動されないというようなことで、一体今度は国民に対する言いわけができるのですか、皆さん。松山の電波監理局から——おそらく定款というものは相当問題になったのだと思います——四国放送に対してそういう要求があった。そこで、四国放送は最近その定款を松山の監理局に送ったはずです。ところが、その送った定款の中には——先ほどから問題になっておる定款の二十二条ですね、会長理事会決議を拘束するこの権限ですね、これを削ったものを書いて送っている。そんなものは本省に来てないのですか。当然この地元から松山の監理局に出しておるわけですから、本省に来ていると思う。
  41. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) ただいまお話のありました、四国の監理局から定款を出すようにというお話がございましたけれども、これは私のほうで、問題が起きましてから、その定款を出すようにと、こう言ったことがございますので、それが誤り伝えられたのではないか、かように存じます。
  42. 亀田得治

    亀田得治君 定款を出すようにと言うたというのですか、言わぬというのですか、どっちなんですか。
  43. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 要求いたしました。
  44. 亀田得治

    亀田得治君 松山のほうへですか。
  45. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 四国放送に対してです。
  46. 亀田得治

    亀田得治君 直接言うたのですか。
  47. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 直接言ったのです。
  48. 亀田得治

    亀田得治君 それはいつその要求をしましたか。大体おかしいじゃないか。それならそれと初めから言えばいいじゃないか。それは松山じゃなしに私のほうからいたしました、そう言えば、質疑がスムーズにいく。いつごろしたのですか。
  49. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) はっきり日時は記憶いたしておりませんが、最近でございます。四月ごろだったように記憶しております。
  50. 亀田得治

    亀田得治君 その結果、送ってきましたか。
  51. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 社団法人徳島新聞社定款案というものを送ってきております。
  52. 亀田得治

    亀田得治君 定款案じゃないですか、それは。現在の組織を問題にするのでしょう。あなたのほうは定款の提出を要求したのでしょう。そんなものであなたの要求にこたえられたと思っておるのですか。なぜ、定款案というようなことでなしに、現行定款をよこせときつく言わないのですか。
  53. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) この定款案におきましては、現行のものと改正案との比較の対照もございまして、その中でお話のありました会長承認云々ということを削除するような案になっております。
  54. 亀田得治

    亀田得治君 それは案でしょう。定款として確定してないわけでしょう。
  55. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) そのとおりでございます。承認を得ていない案でございます。
  56. 亀田得治

    亀田得治君 現在も案のままですね。定款の変更には、民法三十八条の二項によって知事の許可が要る。しかもそれは、法律でも明確なように、定款変更の効力要件なんです。単に再免許を得るために一応案を出しておくといったような、そんなことではおかしいじゃないですか。そこはどう考えているのですか。もうこういう案が送られてきたからそれでいいというふうな、そういう簡単な考えですか。
  57. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) この定款案を取りましたことは、実は、こういう紛議が問題になりましたので、どういうことになっているのかということで取ったわけでございまして、私のほうといたしまして、再免許の、何と申しますか、経営支配の行なう判断としては理事がはずれておるかどうか、こういう点を判断指針にするようにということでございます。それによりまして、理事がはずれているということで、この点につきましては、この内規に合っている、こういうふうに判断したわけでございます。
  58. 亀田得治

    亀田得治君 そうじゃないでしょう。やはりあなたのほうでも、異例な会長制というようなものを作って、そうして実質上それが徳島新聞社支配している格好になっている。これはやはり不都合だ、こういう考えを言うたればこそ、定款を一ぺん送ってみい、こう言うたのでしょう。ところが、その結果、案として二十二条を修在するようなものを送ってきた。これならばまあいいわいというふうにお考えになったに違いないのだ。おかしいですな、何のために一体定款の提出を求めたのかはっきりせんじゃないですか。そんな形式理事でなければ差しつかえないというような割り切った考えを持っているなら、定款の提出なんか求める必要ないでしょう。
  59. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 事実上の問題といたしまして、経営支配になるような格好になっておるということは、決して望ましいことではございませんので、いろいろ実情——支配しているのではないかというようなことを耳にいたしまして、これを徴したわけでございます。
  60. 亀田得治

    亀田得治君 こんなことは思わしくないということは、もうどんなしろうとが聞いたってわかり切ったことですよ。そんなことを、私が追及してようやく今ちょびっと説明の中で言うている程度で、普通の人だったら、違法であるかないかということはなかなか慎重を要するが、実質的には思わしくないくらいのことははっきり言いますよ、特別そんな不正なことをやっておる者から頼まれたり、そういうことをしておらぬ以上は。全くおかしい、きょうの答弁は。これはいずれ選挙が済んだあと、郵政省の大臣なり責任者を呼んでもっと追及することにします。さっきから速記録というものが残っているわけですから、そんな事務当局がいいかげんな考え方でやっているというようなことは許されぬよ。それからもう一つ聞きますが、この免許基準によりますと、やはり新聞社が放送の株を一割以上持ってはならない、こういうことも明確になっておる。ところが、この徳島新聞社四国放送の株を現在一割持っておる、御承知のように。ところが、そのほかに、この前川静夫その他この徳島新聞社の幹部の名義で約二万数千株というものを持っておるのです。これは徳島新聞社の今刑事事件として取り調べの対象にもなっておる。白紙委任でなっておる株なんです。こういう関係というものは、一体どのように見られておるのか、これも聞きたい。
  61. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) おしかりをこうむるかもしれませんけれども、この点につきましても、一の者が放送会社の議決権の総数の十分の一をこえて所有するということが経営支配有無判断指針だということになっておりまして、一の者がいろいろな名義を使ってというようなことを調査することもなかなかできないし、またできる場合もございますし、できない場合もあるというようなことになりまして、不公平なことを招くおそれもございますので、この点につきましても、形の上であくまで一の者が所有する議決権が放送会社の議決権の総数の十分の一をこえないように、こういうように解しております。
  62. 亀田得治

    亀田得治君 まあそういうおめでたいようなことを言っていたんでは、監督にもなりませんね。四国放送の株主名簿というものは、私たちもちゃんと持っておるわけです。そうして、あなたのほうにも、再免許を受けるにつきましては、持ち株の内訳の資料も出されておるはずです。それを見れば、徳島新聞社はすでに一割持っておるということははっきりしておる。そのほかに前川個人の名前で一万何千という株が書いてあるはずです、そこに。こういう紛糾が起きておるのに、そういうことにも疑問を持たないで、一方は新聞社で、こっちは個人だと、そんな簡単なことをやられておるような態度では、これはもう、ちょっとあなたに質問をする実は熱意も失うぐらいなんです。調査ぐらいはしてみたらどうなんです。調査などはしたんですか。ただ形式上、会社と個人は別になっておるからと、それだけで済ましておるんですか。そこだけ聞きましょう、調査したかどうか。
  63. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 実質的にどれとどの株が、出資額が一体になって実は二つのものであり、あるいは三のものか、いわゆるここに書いてあります一のものに当たるかというような調査はいたしておりません。これは、この点につきましても、この四国放送の場合だけではございませんで、すべての放送局につきましてそういうような審査の方針でやっております。
  64. 亀田得治

    亀田得治君 四国放送では、前川がともかく徳島における新聞、放送というものを独占し、しかもそういう権力を背景にして、一方では莫大な隠し金といったような不明朗な金をたくさん作って、そうして今批判を受けているわけなんです。どの会社についても、この個人名義の株がほんとうに個人かどうかを調べよということを私が要求しているわけじゃない。問題が起きておるものについて調べぐらいしてみたらどうですか。調べたって、前川がすなおに言うかどうか、これはわからぬでしょう。調べもせぬというような、そんなばかげた話ないですよ。  それからもう一つ聞いておく。昨年郵政大臣あてに無線局の再免許申請が四国放送から出たわけですね。その中で、前川の個人の所有株というものは何株になっておりますか。
  65. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 私のほうで調査した時点におきまして、前川社長四国放送に対しまして出資している額は、七百二十五万七千五百円、比率にいたしまして三・六%になっております。
  66. 亀田得治

    亀田得治君 何株かというのですよ。何株か、こっちの言うたとおり答えなさい。
  67. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 一万四千五百十五株になります。
  68. 亀田得治

    亀田得治君 森田茂、これも徳島新聞の有力者ですが、これは何株になっています。
  69. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 六千九十七株になります。
  70. 亀田得治

    亀田得治君 過去の事実関係に対するあなたのほうの見解のただし方は、この程度に一応しておきますが、これははなはだしく私としては納得できない。だから、あらためてこれはひとつ、もっと最高責任者に来てもらって、その点はさらにただしたいと思います。  そこで、本日付で、さらに、四国放送に対して電波の再免許をされる方針のようですが、これについては、何か条件なり、そういったようなものがついておるわけでしょうか、その点を明らかにしてほしいと思う。
  71. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 条件はついてございません。
  72. 亀田得治

    亀田得治君 これだけの問題を起こしておいて、一体条件もなしに免許というものが出るのは不思議じゃないですか。何しているのです。たとえば、農地転用といったようなものがちょいちょい問題になる。農林省には農地転用を許可する場合の基準がある。しかし、どうもこれは許可したあとにまたいいかげんなことをやるかもしれないという場合には、一年内に必ず工場を作るのかどうかとか、いろいろな条件等をつけてやります。何もないのですか、これだけ世論の批判を受けておる問題について。そんなものを第一こういう不明朗なままで認めること自体がおかしいじゃないですか。
  73. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 私どもといたしましても、放送をする会社の経営が安定いたしておりまして、何と申しますか、品位の高い、そうして公正中立なと申しますか、非常によい放送ができることが望ましいとかねがね考えておるわけでございまして、この問題につきましては、第三者の入った一つの解決案と申しますか、そういうものもできておりますようでございますし、またこの点に沿って、できるだけ早い時期に収拾する、こういうふうに誓約しておりますので、この問題につきましては、そういった事情を了としたわけでございます。
  74. 亀田得治

    亀田得治君 どういうことなの。もっとはっきり言うて下さい。何か収拾することを了としたというのは、どういうことができたのですか。
  75. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 私どもとしても、できるだけ早い時期にこういう問題が解決いたしまして、紛議のない会社にしたいと考えておりまして、できるだけ早い時期に安定させたいと、かように考えているわけであります。
  76. 亀田得治

    亀田得治君 何か、三月二十三日に、この紛糾を収拾するための覚書のようなものができたことをおっしゃるわけでしょうか。
  77. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) さようでございます。
  78. 亀田得治

    亀田得治君 それはどういう覚書ですか。大事な点はどういうことなんです。
  79. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 紛議に関係しました個人の人事の問題、それから裏金については、調査した上で、はっきりしたら会社に返還させるというような点が主たる点でございます。
  80. 亀田得治

    亀田得治君 人事というのは、どういうことなんです。
  81. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 社長前川静夫、それから代表取締役・専務森田茂、それから副社長の戎谷利平並びに取締役柏原大五郎、小野研三の間におきまして、三月二十三日、事態を平和的に解決するために、前川静夫は三十八年五月末日における定時株主総会までを辞任すべき最大の期限といたしまして、会長に就任することは認めるが、代表取締役にはならない。森田茂は、三月二十九日に開催される取締役会におきまして、代表取締役、専務を同日付で辞任する。そうして東京駐在取締役になる。さらに、三十八年五月末日における定時総会までとしまして、取締役に再選しない。それから戎谷利平は、三月二十九日に開催される取締役会において副社長辞任するということでございます。
  82. 亀田得治

    亀田得治君 そのくらいでけっこうです。その覚書は、資料として委員会に出していただけますか。いいでしょう。あなたのほうの行政措置の基準としてそれをお使いになったのでしょうけれども、私のほうでも、聞いてみると控えはあるらしい、写しはあるらしいけれども、どうも不明朗な点もあるようだから、ちゃんと取締役会できまったものはきちっと出ているかどうか、われわれとしても確かめる必要がある。ただ、それをきちっと全部読んでもらえば時間がかかるから、資料として後刻出してほしい、いいですね。
  83. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 御要求があれば提出いたします。
  84. 亀田得治

    亀田得治君 ともかく、そんな資料の提出にしたって何か四国放送にびくびくしているような態度で、そんな態度では笑われますよ。  それから、そういう覚書のほかに、きわめて最近になって前川静夫からさらに誓約書が郵政大臣あてに出たようですね。出たのはいつかということと、前の覚書をさらに一歩前進させるものであろうと思うのですが、その点をおっしゃってもらいたい、どういう中身のものか。
  85. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 提出の月日は五月二十六日付になっております。誓約の内容は、六十二回の取締役会承認の覚書によりできるだけ早急に事態の収拾をはかるようにし、取締役社長前川静夫も適切な後任者を得た上で代表取締役の辞任時期を早めるように努力いたす所存でございます。こういうことでございます。
  86. 亀田得治

    亀田得治君 結局、最初の話にまた若干返るかもしれませんが、前川静夫徳島新聞を事実上支配しながら、そうして四国放送というものもこの社長として支配しておる、まあ実質面から見てどうも思わしくない、こういうふうなことがあって、そこで今お答えになったような覚書ができたり、あるいは誓約書等も人づてきたと、まあそういうことなら、四月一日を限ってしばらく放送を中止させるというようなのも少し手荒いから、まあそういうふうなことなら一応ここで再免許を与えてもいいのじゃないか、そういう気持で再免許が本日おろされたんとは違うのですか。実質的には、前川のやっていることに対しては、やはり困る、こういう考えがあるのでしょう。私の長い質問の中で、先ほどちょこっと多少批判的な意見が出ただけでして、あなたの形式論はもう何べんも聞かなくてもよろしい。実質です。実質が悪いからこそ、このような誓約書が出ることならそれで了承しよう、こういうことで再免許というものに踏み切られているわけではないでしょうか。実質の悪いものでなかったら、このような誓約書をとること自体が実はそれこそ干渉です。ざっくばらんにほんとうのところを話して下さい、そこのところを。答え方によっては、これは重大な問題です、実際のところ。
  87. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 省といたしましては、放送がよい放送であるためには、放送会社を安定して、その経営が円満に円滑にいかなければならないと、かように考えておるわけでございまして、今度の紛議につきましても、できるだけ早い時期にこうした紛議が収拾されまして、そうして円滑に会社の業務が運営されることを期待いたしておるわけでございますが、このたびの紛議につきましては、その後こうした調停、覚書ができておりまして、この線で会社がこの事態を収拾して、放送事業が円滑に運営されるという見通しを得たと言っては何でありますが、そういう点でできるだけ早く安定させたいということを考えておりまして、会社からもできるだけ早い時期に収拾するからということでございますので、この問題は、会社としては早い機会に収拾できるというめどがつきまして、免許が与えられることと相なったわけでございます。
  88. 亀田得治

    亀田得治君 つまり、そういうことなら何でしょう、今までの会社のあり方に対するやはり批判というものが前提になって、それが改められる、改めましょう、こう言っておるわけでしょう。それではよしわかった、それなら再免許しょう、これは条件じゃないですか、世間ではそういうことを条件と言っている。皆さんはきちっと再免許証に何かそのことを付記しなければ条件じゃないというふうに考えているかもしれないが、そんな形式的なことを聞いているわけではないのです。  それでは、郵政当局としては、前川静夫は、覚書もあるし、さらに五月二十六日付の誓約書も出ていることであるから、できるだけ早い機会にこれは社長をやめるものと、そういうふうに理解しているわけですね、どうなんですか。
  89. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) できるだけ早い時期に紛議がおさまって安定することを期待しているのであります。
  90. 亀田得治

    亀田得治君 紛議がおさまってじゃない、この五月二十六日の誓約書に書いてあるわけでしょう、できるだけ早く辞任するという意味のことを。紛議がおさまって安定するようにとか、そういうこちらの聞かぬことを答えぬでもいいじゃないですか。やめることを期待しているのですか、せぬのですか、あなたのほうでは。
  91. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 期待いたしております。
  92. 亀田得治

    亀田得治君 そうでしょう。そうしたら、初めからそう言ったらいい。何かこうかばうようなことを言うから、はっきりしない。  大体電波関係の問題につきましてはこの程度にいたしますが、最初に申し上げたように、はなはだしく電波監理局の態度というものは変なところがある。これはまた別個に追及することにいたします。  そこで、たいへん刑事局長のほう、お待たせいたしましたが、これから若干そっちのほうをお聞きしたいと思います。  それで、まあ法務省のほうからも簡単な報告書がありましたが、ともかく——郵政省もいてもらって、どういう刑事事件関係のことが問題になっているか、参考に聞いてもらったほうがいいです。——この三月二日に告発状が出まして、三日、四日と、告発人側を徳島地検が事情聴取をしてくれまして、それで相当強いやはり確信を持たれたようです。その結果、三月五日にこの書類の押収をするということまで踏み切ってもらったわけですね。おそらく、この書類の押収ということがなかったら、間々見られるように、この事件というものは刑事事件としてなかなか進展しなかったじゃないかと思うのですが、とにかく三月五日に書類の押収をやる。で、その当時は、告発人側にも検察庁としては資料の提出を求めますし、協力方を非常に求められたわけです。したがって、当然これは告発人側としても大いに検察庁にも協力をしていたわけであります。そのころは担当の天野検事にしても、原検事にいたしましても、単にそういう脱税といったようなことだけじゃなしに、業務上の横領という問題も必ずこれは明確になるだろう、こういう考え方を告発人側にもやはり披瀝しておるわけです。ところが、三月下旬ごろからだんだん速度がにぶって参りまして、告発人側も非常に実は気にいたしておるわけなんです。地検からも報告が来ておると思いますが、実情はどのようになっておるのか。今までのあらましなり、今後の見通しなりをひとつ差しつかえない程度にお聞かせを願いたいと思います。
  93. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 徳島新聞並びに四国放送事件につきましは、今、亀田委員から概略お話のありましたように、三月二日に四国放送の取締役戎谷利平氏から告発が出まして、被告発人は前川静夫四国放送の専務取締役森田茂、同じく映画部長岡田太郎の三名でございます。この告発事実は、大体大づかみに申しまして、業務横領と、それから出張旅費名下に会社の金を使ったという点で、これは詐欺だというように申しておりますが、この三点について告発が出たわけでございます。徳島地検におきましては、直ちに告発人から事情聴取をいたしまして、ある程度の確信を持つに至ったのでございますが、先ほど来お話もありましたように、新聞並びに放送事業というものは社会の公器でありますし、その経営に疑惑が存しますことは、社会一般に及ぼす影響も大でありますので、まず第一に、不正事実があるかどうかというようなことについての真相をつかみたいという見地から、この告発事実にとらわれることなく、真相の究明ということで捜査に踏み切ったわけでございます。仰せのとおり、三月三日、四日と調べをし、さらに三月五日には関係会社四国放送徳島新聞前川静夫氏宅等に家宅捜索を行ないまして、関係書類の押収をいたしたのでございます。次いで三月十二日、関係書類の捜査その他から、徳島新聞四国放送の両社につきまして、法人税の通脱容疑が明らかになって参りまして、その取り調べをまずいたしまして、五月二十四日、徳島新聞並びに前の専務理事でありました武市仁一郎の両者——新聞は法人、武市氏は行為者ということで、法人税法違反により、徳島地方裁判所に公訴を提起したわけでございます。この間に三月から五月二十四日までの約二カ月ばかりが、ややもたもたしているのじゃないかという御指摘のように伺ったのでございますが、法人税法は、非常に技術的な捜査が必要でございまして、税務計算というようなことは、なかなか検察庁の職員みずからの力では消化しにくい点があるのでございまして、この点について高松国税局に協力を求め、国税局の援助のもとに、検察官が独自の立場で調べを進めていったわけでございます。  この調べは、相当時間がかかるものでございまして、ここに明らかにされましたのは、昭和三十二年四月一日から三十四年三月三十一日までの事業年度における通脱犯についてその翌日の五月二十五日が時効満了になるのでございまして、急拠他の事件とは切り離しまして、この分だけを公訴提起した次第でございます。それより以前のものにつきましても、もちろん捜査をしているのでございますが、これらはいずれも公訴時効が完成しているので、処分ができないことになっております。それから、さらにその後の分につきましても調査をしておりますが、このほうは非常に金額が少ないという状況でございまして、結局おさまったところは、この事業年度の逋脱犯でございますが、これを高松国税局当局との協力によって捜査するために、時日を要した次第でございます。こういうことで、一応この二十四日に起訴をいたしたのでございますが、問題は、かようにして通脱して積み立てておいた金を、どういうふうに使ったかということが、今後の捜査の対象になると思うのでございます。告発人の考え方によりますると、こうしてためこんだこと自体が、何がしかの犯罪になるのじゃないかというような見解に立っているようでございますけれども、それ自体は、必ずしもすぐ犯罪とは言えないのでありまして、その金をどういうふうに使ったか、個人の用途に使ったということになりますと、業務横領になると思うのでございます。で、徳島新聞関係におきましても、若干の業務横領の容疑が出ておりますし、それから四国放送の分につきましても、業務横領のほかに外為法に違反する事実、あるいは商法に違反する事実等も現われておりまして、今後それらの事実を鋭意捜査いたしまして、なるべく早い機会に結論を得たいというふうに考えておる次第でございます。
  94. 亀田得治

    亀田得治君 まず、法人税法によってせんだって起訴された点でありますが、法人税法の趣旨からいいましても、第四十八条の起訴というものは、実際にそういう脱税のための積み立てをやったという事実上の関係を取り上げておるわけですね、第四十八条は。したがって、責任者が、あるいは責任者に近いような人がそのことをやったというような場合には、必ずしも両罰規定を適用して、この五十一条でさらに法人を起訴する、こういうことは必ずしも必要がない。むしろ、責任者が海外旅行などをしておるときに、実際上事務関係をやっておる者がそういうことをやったという場合には、事務関係者だけを四十八条で起訴して、ほうっておくことは、これはいかぬということで、やはり五十一条の意味というものがこれは出てくるわけですね。だから、何といったってこれは刑事犯罪ですから、中心はやはりやったやつが悪いということが今の刑法ではこれは原則です。そこで、今回の起訴は、法人並びに個人両方適用されているわけですが、個人のほうの追及ですね、この点が私は多少的をはずれていはせぬかと、武市というのが当時の専務理事であることは間違いない。ないが、この株数も、株数といいますか、社員権ですね、社員権の持ち方から見ても、あるいはまた前川の実際の新聞社内における行動、それから先ほどから定款の問題はだいぶんお話をしておったとおりなんですが、刑事責任はやはり事実関係が基礎にならなければならぬわけでしてね。その前川——とにかく、あそこでは前川天皇と言うておるのだから、前川天皇を抜きにして、そんなほかの者が莫大な積立金などができるわけがない、常識的に考えて。前川と武市は、これは、結局これも内部でけんかが起きまして、武市がほうり出された格好になっておる人なんです。そういうところへ責任をかぶせている格好ですね、世間から見たら。かたがた、前川が起訴されますと、先ほどから問題になっておる、できるだけ早くやめるという、それが覚書では、最高来年の五月までとなっておるわけですが、そういう前川の起訴というようなことがあった場合には即時やめるという、これは文書に書いていない了解事項というものがあるわけなんです。だから、そういうこと等が関連して、責任の所在というものをそらそうと、向こうは、これは努力する気持はわかる。わかりますが、どうも検察庁がそういう点について少し実態というものをつかむことにおいて欠けているのじゃないかと私は思うのです。だから、この点は、何も武市を起訴したからといって、事実上のこれは関係の追及ですから、さらに前川を共犯として起訴していくということは可能なわけですからね、まんまとやはり向こうの手に乗っているのじゃないかというような感じを、私も、新聞等をちょっと見て直観的にこれは持っておる。というのは、先ほど郵政当局に対して質問したような、そういう実態にあるわけでしてね、秘密の積立金というのは、約一億二千万でしょう、徳島新聞が。これはもうほとんど公然と言われておりますから、もう別にあなたのほうでも隠す必要もないと思いますが、そんな莫大な積み立てがこの前川を抜きにしてできるわけがない。前川は、検察庁では武市がやったので、おれは知らぬというような意味のことを言うておるやにこれは伝え聞いております。しかし、そこが問題だなというふうに私ども感じていたわけですが、そこら辺は一向に——新聞社の実態を洗ってもらえば、四十八条の適用について、もっと適切な処置がとれるはずなんですが、どういうふうになっているのでしょう。
  95. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 仰せのとおり、刑事責任は事実関係を基礎にするわけでございますから、事実の実態が、今の起訴が実態に即してないのじゃないかという御疑念でございます。私も、その点につきましては、き手めになる、そうでないのだというふうに、亀田委員の仰せを反駁する資料を私持っておりませんとともに今の行為者が、どういう人が行為者になるかという場合につきましては、やはり税務関係を担当しておる責任者ということになると思うのであります。その税務の責任というのは、下のほうの事務員から、ずっと上の取締役まで、一連の関係において責任があると思うのでございますが、この事実関係が違うかどうかというようなことにつきましては、なお私のほうでも十分検討さしていただきたいと思いますが、ただ私は、検察庁がこの事件に取り組んでおります取り組み方等から考えまして、そんなところで腰砕けになるとは思いませし、まず起訴は、将来また共犯者として追加される者があるかもしれませんが、現段階においては、この現地の処置に信頼をいたしておるのでございます。もちろん前川という人が事実上の大きな力を持った人でありましたと思いますが、しかし、金をためて、それを使うというようなことについての力を持っておったとしても、税の申告をして、それをどういうふうにして金をためるかというようなことは、責任者がやっておるのかもしれませんが、その辺のところは、利きめ手として御説明できませんけれども、事実関係は、今検察庁がそういうふうに認定しておるところに一応信頼して申し上げるほかないと思います。
  96. 亀田得治

    亀田得治君 だから、この点を、まあ武市を取り上げたということが必ずしもこれは間違いでないかもしれない。しかし、それだけでいいかどうかという点は、相当問題になるのじゃないか。へたをすると、そういうふうなことになりますと、今度は実際の裁判になりますと、武市のほうが、いや、あれは前川なんだ、前川と武市との関係はこうじゃないか、実際は、というようなことをやられますと、はなはだ今度は検察庁のほうが面目ないことになる。だから私は、こういう、書類などもない不明朗な関係においては、やはり両方やっておくということのほうが、これは起訴者としても正しいのじゃないかというふうに考えておるのです。技術的に、どっちかは大丈夫だというような、そういうものじゃなしに、これは入り組んでおるに違いない、協力関係にあるに違いないのですから、だから、その点はまあこれで武市だけに限っておきますと、今度は公判になって、せっかくきちっとできるものを、その点でけちをつけられるという実は検察庁の立場を心配している。だから、この点十分検討してもらいたいと思います。  それから三十四年度以降の脱税ですね、それから四国放送の脱税関係ですね、これはどういう程度なのか、差しつかえなければ御説明を願いたい。
  97. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 四国放送につきましても、帳簿の調べによって脱税があることがわかったわけでございますが、ちょうどこの年度の三十三年四月一日から三十四年三月三十一日までの事業年度につきましては、脱税所得額が九十万円ということになります。その脱税額は大体三分の一になりますか、そうすると三十万円前後ということになりまして、あまり少額でありますので、あとは国税庁当局の重加算税とか何とかいうことで処理をいたしますのが、この脱税違反の一般の原則でございますが、一般の原則にまかせて、この捜査をこの点は打ち切ったということでございます。  それから、それ以前の分につきましても脱税がありましたが、これは徳島新聞の場合と同じように、公訴時効の完成ということで処理できない。それからなお三十四年度以降の分につきましても調査をしておりますが、現在までのところでは両法人とも非常に少額のようでございます。これはまだ最終的な結論を得ておりません。
  98. 亀田得治

    亀田得治君 脱税関係は、じゃ、その程度にしておきまして、いわゆる秘密の積立金の使途の関係の点ですが、結局この点が明らかになれば、横領の問題というものの結論も出るわけでしょう。まあひとつ姿勢としては、四国放送にいたしましても徳島新聞にしても、これは特殊な組織なんだということを、ひとつ検察当局でよく頭に入れていただいて、これは徹底的に究明してもらいたい。で、新聞社のことは、先ほど郵政当局の方にも若干申し上げたとおりですが、組織自体社団法人というようなことになっておる関係上、そうして出資の関係からいきましても、現在の役員の方が幾ら出資したというようなことは全然ないわけなんです。社員権の移動等がありましても、対価をとって取得するといったようなことはないわけです。また利益配当にいたしましても、社団法人になって、そういう関係になっておるために、利益配当もしないわけです。それから法人税にしたって、一般よりも一〇%低いわけですね。しかも、実際にやっているのは、普通の株式会社の新聞社と同じようなことをやっておるわけです。したがいまして、成立当初の趣旨なり組織等からいうならば、そういうふうに金が余ればやはり広告料を安くするとか、購読料を若干でもサービスするとか、あるいはまた社員の待遇改善をしてやるとか、そういう方向をとるべき性格のものであると私はこれは考えているのです。だから、それがそういう方向じゃなしに、結局、新聞社の場合には一億二千万という隠し金を銀行と結託して作り上げているわけですね。しかも、その使途がはなはだはっきりしないわけですが、その中でただ若干明確なのは、この前川が現在住んでいる家の宅地ですね。宅地の購入という問題が一つの大きな問題になっているわけなんです。これは私もその宅地は見て参りましたが、これは宅地は二口あるわけですが、その大部分は弓町一丁目一番地、二百五十八坪余りという土地のようですが、これは最初杉本という人から新聞社の名義に移され、そうして新聞社から三十二年八月九日に前川名義に移されているんです。この経過は形式上はっきりしているわけですが、このために前川は金は一文も出しておらない。これも大体私たちとしてははっきりしているやに聞くんです。いわゆる隠し金から、秘密積立金からこの金が出されているんだ、これも大体はっきりしている事実のようです。したがって、そういうふうになっておれば、これはやはり前川が横領したものだというふうに当然これは発展すべきものだと思うし初めは検察庁も大体そういう考え方だったようですがね。最近は秘密積立金の出し方いかんによるというふうな考え方があるやに聞くわけなんですが、これはまあ一つ大きな注目の的になっているわけですが、この土地の問題というのはどういうふうにお考えでしょうか。
  99. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 今御指摘の宅地購入の点も業務横領の容疑の一つになっているようであります。そのほかにもございますが、このほうはただいま捜査中でありますので、ひとつしばらくの間検察当局を信頼しておまかせを願って鋭意捜査をしてもらうようにしたいというふうに考えております。もちろんこの起訴、不起訴が決定をいたしますような段階になりますれば、もちろん御説明を申し上げるのにやぶさかではございません。
  100. 亀田得治

    亀田得治君 まあおそらく前川のほうとしては裏金を、秘密積立金から一種の給与として自分がもらってそれで買うたといったような、新聞社から買うたというような理屈をつけるんだろうと思いますけれども、しかし、ともかく新聞社の秘密積立金としてある金があって初めてその土地が前川個人の住宅の敷地になっているわけですからね。そういうちょっとした理屈のつけ方でがらっと事態が変わるというようなことでは、まあ実情を知っている人はちょっと割り切れぬものが残るわけですね。ですから、ここら辺はよほど慎重にやってほしい。  それから四国放送の、これもお調べになっておるかもしれませんが、もしあまり検討してないのであれば、これはやはり検討してほしいという意味で申し上げるわけですが、四国放送の株式を前川名義その他で相当数持っておるわけです。これは新聞の隠し金で入手しているわけです。これも、たとえば配当金が来ますね、その配当金が新聞社の秘密積立金の中にそれがさらに還元されておるということになりますと、横領ということは薄くなるかもしれませんが、その配当金などを、実際上も前川なり名義人が使っておるのじゃないかということになれば、これはもう明確にやはり横領という性格が強くなってくるわけでしてね。この四国放送の個人名義の株の問題というものはやはり一つの問題として対象になっておるわけですか。
  101. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 先ほど私が商法違反の容疑と申しましたのはそれでございまして、ただいま捜査の対象になっております。そのほか、四国放送につきましては、外為法の違反の問題、業務横領等数個の容疑事実があるようでございます。これもあわせて捜査中でございます。
  102. 亀田得治

    亀田得治君 まあ、あまり中身に入ることは、適当に遠慮いたします。  それからこの四国放送から、あなたのほうのお調べが始まった後に、過年度分簿外積立金、隠し金の決算書と、こういうものが検察庁に出されておるようですが、そういう事実は御存じでしょうか。
  103. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 私のほうではそういうものを見ておりませんですが、おそらく検察庁のほうで手に入っておるだろうと思います。
  104. 亀田得治

    亀田得治君 これはまあ告発された方が出したものの写しです、私の手に入っているのは、これによりましても、裏給与としての人件費が五百十七万出ている。それから機械器具類として一千一百六十一万余り出ておるわけですね。これはまあこの関係の証票も何もついておらぬようです。したがって、監査役も取締役会でも、これの承認ということは拒否したようですが、ともかくその被告発人が四国放送の裏金の使い方としてこういうものを出したわけであります。だから、向こう側の言い分も一応これは耳を傾けてみるということもこれは必要なんでしょうが、これによりましても、この人件費というのは、重役に対する報酬とか賞与というような意味で二重に出しておるようですが、しかしこれは’重役の報酬はもちろんこの総会の承認が要るわけですし、また賞与にいたしましても、結局これはまあ利益金の配分の問題になりますから、これもやはり株主総会の承認事項ですわね。だから、そういう承認を経ておらぬし、これはもう秘密積立金なんだから、これは形式上はっきりしているわけです。だから、これだけでも私はもう横領ということが成り立つのじゃないかという感じを強く持っておるわけですが、向こうさんの言い分それ自体を取り上げてもですよ、こういうことはもう書いてある問題ですから、特に秘密にする必要もないことでしょうが、どういうふうに御検討になっておるのでしょう。
  105. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) ただいまの裏給与の問題も業務上横領の容疑の一つとして、これはあの四国放送にも、徳島新聞にもあるわけで、いずれも容疑の対象となって捜査中の点でございます。
  106. 亀田得治

    亀田得治君 金額などはこれはきちっと個人々々について確定しなければならぬと思いますが、とにかく株主総会の承認を得なければならない支出につきまして、それを得ないで出されているということは明確でして、その点からいえば、金額は別として横領はあるというふうに断定していいのじゃないですか。できませんか。
  107. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 法律論としましては仰せのとおりでございます。私もそういうふうに確信いたしております。しかし、だれがその業務横領の責任を持つかという事実関係でございますね。これは捜査をして証拠に基づいてきめなければならぬことでありますので、今その点の責任の所在が研究され検討されているわけであります。
  108. 亀田得治

    亀田得治君 だいぶ時間もたちましたから、もうそろそろ結論に入りますが、最後に、もうすでに現実に起訴された部分もある。またほかにもいろいろ容疑があるわけですね。ところが、その横領という点についての追及は、検察庁としては、証拠がほとんど焼却されていて、非常に困難を感じておるというふうに私たち聞いておるわけなんです。それでそういうことであれば、私はやはり容疑の濃い前川なり、ある程度の人は身柄拘束をしてよく調べるという必要があるのじゃないか。単に自白を求めるためということじゃなしに、前川もまあ検察庁に二、三回すでに出頭して調べを受けているようですが、ともかく証拠書類を焼却しておりますから、まあ勝手なことを言えるわけですね。しかも、それを言うにつきましても、関係者とちゃんと打ち合わせをしてやっている。これはやはり私は証拠隠滅をはかっているという認定のもとに、これだけ疑いがはっきりしておればやはり逮捕して調べなければ、なかなかその真相というものはっかめないのじゃないか。贈収賄におけるちょうど犯意のようなもので、非常に微妙なところなんだという感じを持つわけなんですが、まあ刑事局長が今そんなことを言うたら、前川はそれは逃げ隠れするかもしれぬから、それは簡単には言えぬでしょうが、どうももう一つ、まあ大した疑いがないというのなら別ですよ。一億二千万、あるいは放送は二千万幾らの秘密金があるわけですからね、社長が勝手に使える。これは常識で考えたってそれが正当に使われているということはあり得ない。まあそんな常識と見当だけで刑事事件はやれるわけではございませんが、具体的には相当先ほどあなたがおっしゃったような疑いがあるわけですから、強制捜査に踏み切っていいのじゃないですか、その人的な関係も。と思いますが、いかがでしょう。検討の余地ないですかね。
  109. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) これは具体的事件によりますので、この事件がそうしたほうがいいかどうかということの判定がなかなかむずかしいわけでございますが、もちろん現地の検察庁といたしましては、必要があれば身柄拘束もあえて辞せないと思いますし、証拠隠滅の容疑があれば、これまた取り調べるのに容赦はしないというふうに思うのでございます。一般論として今涜職事件をおあげになりましたが、涜職事件のようなものは、全くその供述から物的証拠を引っぱってくるんじゃないかというような捜査過程をたどるのが普通でございます。どうしても身柄拘束を必要とする場合が多いと思います。しかし、業務横領とか背任とかいうようなものは、何と口で弁解をしましようとも、帳簿の上で事実がある程度物語っておようなものにつきましては、これはもちろん伝票等が焼却されてしまって事実が固まらないというような場合もしばしばあるわけでありますけれども、とにかく物的証拠の調査によって、意見、弁解を求めることによって捜査が進められる場合が、この種の事件には多いわけであります。一般論としましては、身柄を拘束しないからうまく固まっていかないのだというふうにも言えないように思うわけであります。もう少し捜査の推移を私どもとしても見ていきたいという気持で私はおります。
  110. 亀田得治

    亀田得治君 これは最初に申し上げましたように、初めは検察庁としても、これはなかなか大きな事件を持ち込んでくれたということで関係者に感謝の気持もあって協力も求め、なかなか積極的だったんですよ。ところが、だんだん最近の模様は必ずしもそういう印象を受けない。告発関係者が行っても何の用事で来たかというようなことは言わぬけれども、そういう印象を与えるような態度が見える場合もあるわけです。そのいうことをしている間に、たとえば先ほど来問題になった定款ですね、徳島新聞定款、あれはだれが見ても不当な定款でして、そういう定款は改めたらどうか、あるいはまた、前川新聞社の株を過半数持っている、そういったようなものはもう少し分散したらどうかといったような忠告的なことが検察当局あたりから出ておるような話も聞くわけです。そうすると、そういうことを言い出すようになりますと、何かこれはもう被告発人をやはり救う立場に転換したのではないかという印象を与えるわけでして、そういう問題は、おれたちも問題ないのだというふうに、担当検事も全然そういう話には乗らないという態度を私たちとしてはとってほしいと思うのですが、必ずしもそうではないような点がある。だれがどう言うたといったようなことを私も書いてあるわけですが、あまり露骨にも申し上げられませんが、そういうことがある。あるいはまた告発人のめいの婿が徳島新聞の庶務課長をしておるわけです、前川新聞社の庶務課長。ところが、この事件が起きたので在宅勤務にされた。そんなことはおかしいじゃないか。親戚の者が何をしょうと、関係のない自分までそういう処分をされるのはおかしいじゃないかということがたまたま検察庁でも話が出たらしい。そうすると、担当検事が自分からひとつ徳島新聞の有力者——これは名前を出しておるわけですが、に話をして、そいつを解除してやろうかというような話が出るわけですね。そんなことは要らぬことでして、その辺にどうも地検の基本的な態度というものが、当初の意気込みから見て相当変わっておるという感じを受けるわけなんです。で、これは刑事捜査とは別な問題ですけれども、そういうことによって要らざる疑いなど受けないようにやはり注意をして厳正なる捜査をやってほしいと思いますね。逮捕に踏み切れないのはやはりそういうところじゃないか。そういうものがからんできておるとなかなか踏み切れない。ここまできたらやはりつかまえて、そうして関係者との関係を一応遮断して、そうして別個にいろいろ聞いてみようというような時期であると思っておるやさきにそういうふうな情報がまた入ってくるわけでして、はなはだ遺憾だと思っておるわけです。そういうふうなことは検察庁として容喙すべきことじゃないでしょう、どうなんです。
  111. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 今いろいろお話のありましたことは、実は私はみな初耳でございまして、そういうような検察官の動き方があるとすれば、御指摘のような御疑問も生ずるかと思うのでございますが、私ども検察官は、犯罪になれば何でもぴしぴしやればいいという、もちろんそういう性質のものでもございません。もちろん大所高所からの具体的妥当な処理ということは必要でございますが、今この段階は鋭意捜査の段階でございますので、そういうことは最終的に処分する段階において十分考慮すべき事柄でありまして、一線で捜査に当たっております者としては、事実関係を明確にするというこの一点に精力を集中して処理をすべきものだと思います。  なお、そのような派生的な問題がなぜ起こっておるのだろうかということを実は私も今も自問自答しておったわけでございますが、報告によりますと、四月十六日に、さきの告発人から告発の取り消しがなされておるようでございます。告発状の内容は存じませんが、和解が成立したというのであります。これは四国放送の幹部である戎谷氏が同じ幹部である社長以下の幹部を告発したというこういう事実、いわば一会社の内部紛争のような形をとっておりますので、その内部紛争が平和的に和解した、こういうことを正式に持ち込んできておるようでございまして、こういう点を若干検事が考慮した結果じゃなかろうかとも思うのでございますが、もちろん告発によって捜査を開始したものの、告発取り消しによって捜査を打ち切らなければならぬ性質のものでもございませんので、不正のありますところは明らかにして適正な処理をするということが検察官の任務でございますので、かりに告発が取り消されたとしても、そのために捜査の手を差し控えるということはあり得べからざることであると私は思います。
  112. 亀田得治

    亀田得治君 しかし、形式的にそういうようなことがあったということが検察庁では相当考慮されておるのじゃないかというふうな点も私は心配しておるのです。そのために申し上げるわけですが、あの一種の、四国放送に関する部分だけですが、話し合いができまして、そうして告発を取り下げるということになったいきさつについては、告発をもし戎谷が取り下げなければ本件関係した社員はこれを首にする、こういう態度に出られたわけです。問題のポイントは。それでそういう検察の調べに協力して、そうして逆にしっぺ返しを受ける、それははなはだ、重役は別として、社員としては気の毒なことですから、そういうことはほうっておけないということで告発人がやむを得ずその部分についての取り下げをやっているわけですね。これは検事正にも特別その点は上申しておるはずです。だから、上申しておりましても、何とかこの辺で捜査をゆるめてやろうという気持になりますと、そういうことがひとつのゆるめる材料に利用されることを私たち心配しておるわけですが、事実はそういう関係なんです。だから、取消書を出すにつきましても、告発人は非常に苦慮をしたわけなんですね。話し合いがまとまった後にも、なかなか出なかったのです、両方の板ばさみになって。ところが、お前は一たん約束をしておいて、なぜ出さぬのか、それならもう首切るぞ、これできたものだから、やむを得ず出している。そういういきさつ等もありまして、あの取り下げなんかは全然やはり論外という立場で、やはり、あくまでもこういう公共的な機関における不始末というものは徹底的に明らかにして、県民に事情をはっきりさせる、こういう態度でやってもらわなければ困ると思います。  本日はまだ捜査の途中でもありますから、この程度にいたしておきますが、適当な機会に捜査のきちっとある程度まとまったところで、本日十分お答え願えなかったような点についてひとつ明らかにしてほしいと思います。希望だけつけ加えておきまして、きょうは質問を終わります。
  113. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 他に御発言もなければ、本件については、本日はこの程度にとどめることといたします。  次回の委員会の日時は、追ってお知らせすることにし、本日はこれにて散会いたします。   午後一時十二分散会