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1962-03-27 第40回国会 参議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十七日(火曜日)    午前十時五十八分開会     —————————————   委員異動 三月二十三日委員山本杉君及び勝俣稔 君辞任につき、その補欠として大谷藤 之助君及び松村秀逸君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河野 謙三君    理事            石原幹市郎君            塩見 俊二君            鶴園 哲夫君            山本伊三郎君    委員            上原 正吉君            木村篤太郎君            下村  定君            中野 文門君            一松 定吉君            松村 秀逸君            千葉  信君            横川 正市君            高瀬荘太郎君   国務大臣    法 務 大 臣 植木庚子郎君    通商産業大臣  佐藤 榮作君   政府委員    法務大臣官房司    法法制調査部長 津田  實君    法務省入国管理    局長      高瀬 侍郎君    公安調査庁次長 関   之君    通商産業大臣官    房長      塚本 敏夫君    通商産業省軽工    業局長     倉八  正君    特許庁長官   伊藤 繁樹君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    法務省刑事局参    事官      長島  敦君    法務省保護局総    務課長     中田 慎一君    工業技術院調整    部長      堀坂政太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○法務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付〉 ○通商産業省設置法等の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  三月二十三日山本杉君、勝俣稔君が辞任され、大谷藤之助君、松村秀逸君が選任されました。     —————————————
  3. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に続いて質疑を行ないます。  政府側から出席の方は、植木法務大臣津田調査部長關公安調査庁次長高瀬入国管理局長説明員として神谷人事課長池川民事局第一課長中田保護局総務課長西尾人事課付検事伊坂刑事局付検事福井矯正局参事官であります。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います、。
  4. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、先日に引き続いてちょっとだけお伺いしておきたいのですが、公安調査庁次長、先日問題になりまして、次長もいろいろと、ある程度誠意のある答弁があったのですが、その後、向こうとの連絡がついて大体はっきりした事情はわかったかどうか、この点だけちょっとお尋ねしておきます。
  5. 関之

    政府委員(関之君) その後も毎日連絡をとっているわけであります。事実といたしましては、この前のこの席でお答え申し上げたような事実関係でありまして、特にその後これがえらく変わるというようなことはないようであります。また、相手のほうの団体側からもきぅうにも来るという話だったのですが、まだ来ていないと、こういうようなところがけさまでの状況でございます。
  6. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 相手田中某という副委員長には了解ができておるという話ですが、それは間違いないんですか。本人は、そういう了解といいますか、無理のないことであったという了解ができておるのかどうか。この点がキー・ポイントだと思う。
  7. 関之

    政府委員(関之君) こういうふうに、抗議事件と申しましょうか、ある紛争になりまして、その後におきましては、局のほうから田中委員長に特に御了解を求めるようなことはしていないと、こう私は思っております。そういうふうに、一般紛争となって現われたものでありますから、そこらの紛争の経過を通じて御了解を深める方法をとっているようでありまして、特にそれ以外の方法で御了解を得るというようなことはどうもしていないように報告がきているわけであります。
  8. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 問題は、本人の受けた感じと申しますか、それが一つの問題になって発展してきておると思うんです。何か、聞けば、本人自宅まで行っていろいろと調査をされたように聞いておるんです。私はまだ直接本人に会っておりませんが、そういう点が一つの問題であって、調査すること自体は、どういう方法でやられるか、やられる方法は問題だが、職務事項としてやるんだから、これまでに対して私は干渉しようとは思わないんです。ただ、やり方について非常に組合干渉のような印象を受けておるということで問題になっておるんですから、本人がそうでないんだということになれば私はこの問題は発展しないと思うんですが、本人組合の副委員長として、いわゆる組合の指導をする立場にあるものに対して、公安調査官がそういうことをやったことが問題なんです。次長の話では、これはもうそういうことではないんだというこの間の話だったんですが、本人が、そういうことでないんだと、いわゆる調査官として意を尽くしてやられた問題であるということになれば、これはもうわれわれが取り上げる必要はないんですが、その点、われわれ伺っておるんですが、これは、そういうことはその後全然、何と申しますか、了解してもらうとか、そういうことでなくして、そのまま捨てておると、こういう状態ですか。その点について。
  9. 関之

    政府委員(関之君) 田中さんが県職組の副委員長であることは申すまでもないところでございますが、どうもそのほかに——そのほかと申しましようか、この前ここで読み上げました「前衛」に、高知の共産党の地区の責任ある報告によりまして、共産党組合長を含む四名が県職組委員に当選したと、こういうふうに書いてあるわけでありまして、どうも全体から見まして、田中氏がその県庁自体組合組合長をしているようにも聞いておりまして、公安調査局調査官が、そういう共産党のそういう関係にある——きわめて疑いの深い田中さんに伺えば一番よくわかるだろうと、こういうふうに判断して、おたずねしていって——そして、自宅へお伺いするということは、これは調査の上から見ましてもちろんいろいろ問題はございましようと思いますが、あるいは公然と県庁の中へお伺いするよりは、自宅のほうにお伺いしたほうが事柄が穏便にうまくいく、こう考えて行ったものかと判断される次第でありまして、そういうようなことで参りまして、自分の身分も明瞭に述べ、そして事柄のお願いする趣旨、すなわち共産党の情報をいただきたいんだと、お話をしていただきたいということを述べておるようでありまして、こちらといたしまして、その趣旨と、そしてお願いの依頼のことはよく一応御了解を得るように、明確に言っている、こういうふうに局の調査官は申しておるわけでありまして、そこで問題になりますのは、そういう共産党との関係が、そういうお立場の方がやはり副委員長というお立場にあって、二重のようなところがある。そこで、調査局としては、調査対象でないそれらの団体にいろいろお騒がせをしたのでありますが、こちらの調査せんとする目的、そしてその筋道につきましては、一応正しく私は田中さんに伝えておると、こういうふうに考えている次第でございます。
  10. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大臣、今の次長答弁を聞いておられて、どう思われるか。公安調査庁から見ると筋を通しておるというのですが、受けるほうから見れば、そういう調査官というものが私宅を訪れて——もちろん破防法に示された調査要項は言っておられるけれども、そういうものがどういう衝撃というか——家族の者も同居しておるのに、調査官というのは破防法上どういう資格があるものだ、こういうのは全然そういう者は知らないと思うのです。法律を知らないのは国民が悪いというけれども、それはそうはいかない。そういう人が自宅を訪れて、こういうことをひとつ聞かしてもらいたいと言うことは、言葉はどれほど丁寧に使われても、その影響するところは私は大きいと思うのです。私は本人にまだ会っておりませんが、そういう点をこちらのほうに伝えてきて、何とかひとつ法務大臣にその点を聞きただしてくれ。そういうことが常時やられることになれば、どう弁明されようとも、やはり組合運動に対する一つ制肘になり、弾圧——と言うことは行き過ぎかしれませんが、ある程度制肘されると思うのです。そういうことがいいのだ、そういうことを言われるならば、われわれとしては一応本人にも来てもらって、直接会って、そうしてその上でないと、ここに百四名の公安調査員増員をしようというそういうものをわれわれが、どういう目的であろうともふやしていこうということについては、もちろん基本的には反対であるけれども、これを承認してどうこうというわけにはいかないと思うのです、明らかにしてからでないと。この点、ひとつ法務大臣はどういう考え方をせられる。それはあたりまえだ、そういうことはいいのだ、こう言われるのならば、私はもう問答の必要はないと思うのですが、その点ひとつ。
  11. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) ただいまの御質問に対しましては、せんだってもお答え申し上げましたとおり、調査官調査態度なり、方法なり、言語なりというものについて、よほど訓練もし、修養もさせなきゃならぬということをますます痛感するのでありまして、今後十分気を張って参りたいと思うのであります。  で、本件の、御指摘になりますこの場合におきまして、たまたま相手の方のお受けになった印象が、こちらで調査員考えておった程度よりも非常に強く響いたのじゃないかと思います。しかし、そう響いたということが、御本人が訴えられておるというところが事実とすれば、そうすれば、やはり調査官態度なり何なりというものについて、十分報告も徴し、あるいは直接中央から人を派して、そして実情をよく調査して、そしてその間に行き過ぎなり、不穏当な言葉なり、態度なりがありはしなかったかということを十二分にやはりあとになって調べる必要があると思います。それを十分調べてさえいけば、本人行き過ぎの点に気がつくかもしれませんし、本人行き過ぎないと思っておっても、相手はその態度に対して行き過ぎたと思うようなことも、人間お互いに交渉の場合にはあり得ることでありますから、だから、したがって、職員訓練意味からも、十分真相調査する必要があります。先ほど来の質問応答を聞いておってどう考えるかとおっしゃれば、次長のお答えしている点がちょっと私にとって不満なのは、やや推測の点が入っているように思う。だから、はっきりとよく調べて、そうしてこの上にも行き過ぎが明瞭になかったと言えるかどうかということを、もう少し実態の突き詰めが足りないような感じがいたしてならない、こう思います。この点につきましては、後ほどまた部内へよく申し伝えまして、改めるようにさせたいと思います。  なお、ちょっと一言つけ加えさせていただきますと、この問題と、今回の定員増加の問題でありますが、これはやっぱり私は、一つには、従来の手不足ということが自然そういう場合に、短時間に会って、短時間に事を知りたいというようなことになりますと、丁重な態度で話をしようと思っても、できないという場合も出てきます。私はそういう意味からも、今回の公安調査庁調査官増員については、手不足のために、単に調査が不十分というばかりじゃなしに、相手の方に与える印象とかなんとかという点についての配慮も、自然お粗末になりがちだ。そうすれば、むしろ定員はできるだけ充実しまして、そうして懇切丁寧な態度調査を進めていく、また、その目的を失わないようにするということが必要であると感ずる次第であります。
  12. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大臣がそういう何といいますか答弁ですから、まあ一応了解するんですが、われわれも、調査官職務の遂行上非常に困難性のあるということは、これは法律自体がそういう法律ですから、調査官自体を責めるということも非常に無理である点もあると思うのです。しかし、少なくともそういう重要な職務を預かるのですから、やっぱりやる方法についてはよほど考えて、周囲の事情なんか考えてやっていただきたいと思うのです。直接ずばりと行って、名刺を出してこうこうと言われると、取り次ぐ者もやっぱり家族の者だと思うのですね。まあそれは日本人のまだ民主化されていないことも一つ原因であるかもしらないけれども、警察とか、あるいはそういう公安調査庁というようになると、いろいろやはり何か衝撃を受けると思うのですね。そういう点が問題になってきておるのじゃないかと思う。しかも、相手組合の副委員長として一応その団体責任者である以上は、相当やはり慎重な態度で、事前に全然面識がなければ、電話で一応その事を聞いて、一ぺんお伺いしていいかどうか、こういうくらいの配慮があり、十分な配慮をしてやるということであればいいんだが、ずばりと行かれると、本人もそういうことを予期しておらない、家族も予期しておらない、そういう点に私は問題点があろうと思う。そういう点は今後十分ひとつ注意をしてもらいたいと思う。その点は一応、機会があるかないか知りませんが、よく十分そういう点を調査をされて、いい機会にひとつ法務大臣から、この結果なりそういうものをひとつ御報告願いたいと思います。  大体私の一応の質問は終わったのですが、この機会にちょっと聞いておきたいのですが、現在刑法改正いろいろ準備といいますか、そういう調査といいますか、その審議が進められておるようですが、今の、現在の進行状態、それから結論が出されるのはいつごろであるか、今問題になっている重要な点、できればひとつお聞かせ願いたいと思います。
  13. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 刑法改正につきましては、多年の懸案でございまして、部内においても慎重に検討を進めておる次第でございます。昨年の暮れに発表いたしました刑法改正準備草案と申しますのは、これは法務省事務当局刑事局内に作りました刑法改正準備会が各方面意見を聴取し、また、十分研究を遂げて一応まとめたものでありまして、まだ法務省原案という程度になったものではないのであります。しかしながら、非常に大事な法典でございますから、この段階においても、広く世上にこれを発表いたしまして、各方面の学者、経験者実務家、あるいは一般世論のことは申すに及ばず、国会の諸先生方のひとつ御意見等も、とれに対してどんどん出していただきまして、そうして、これからいよいよ法務省原案というものを作る段階に入ったのでございます。  法務省原案は、いつごろできるかというお尋ねに対しましては、これはなかなか予想困難でございますけれども、本年度、若干の予算も新規にいただきまして、そうして全国各地で適切な機会を作りまして、こちらからも、進んで皆様の御意見国民世論の存するところを知って、そうしてこれを参酌して参りたいと、かように考えておりますので、少なくとも一年半ないし二年は、法務省原案を作るのにがかろうかと考えます。そうしてその原案ができますと、これを、今度は御承知法務省にございまする法制審議会にかけます。そうすると、法制審議会がまた詳細に検討を遂げて、これまた予測でありますから、どれくらいの日子を要するか、簡単には判定いたしかねますが、一応想像いたしますと、これまた少なくとも一年や一年半の日子は、最小限度見ましても、要るのではあるまいかと、こう思います。それが終わりまして初めて、法務省原案として国会へお出しをする、こういうことになりますから、あと、どうしても三年ぐらいはかかりはしないだろうかと、こう思います。  しかし私は、今日事務当局がまとめました準備草案というものも、各方面の御意見等、若干耳に入ったところから感じましても、非常によくできている。中にはもちろんいろいろ御意見のある部分もございますが、よくできているという批評が多いようであります。そこで、そうしたりっぱな、せっかく準備ができたのだから、なるべく早くひとつ、功を急いではいけませんけれども、なるべく早くひとつ今の現行刑法にかわるものとして、国会に御提案できる状態に持っていきたい。それには、三年かかるものなら二年半でいかぬか、あるいは二年半かかるものならば二年でいかぬかというようなことを、今しきりに考えている状態でございます。  その内容につきましては、私もまだ勉強が足りませんので、詳細申し上げかねますが、今日までにやや私の耳に入りました問題としては、たとえば不敬罪を置くのか置かないのか、どうするか、今の原案では、特別にそういうものを考えておりませんが、しかし、そういう問題もいろいろ論議になっているようでございます。あるいは、いわゆるスパイ罪というようなものを置く必要があるのかどうか、これについては、機密漏洩に関する一カ条ないし二、三カ条だか、原案に入っておりますが、そんなものは必要ないんじゃないか。いや、必要があるけれども、その範囲機密範囲等について、なかなか定義その他困難だから、よほどこれは慎重に検討を加えなければならぬ。でなければ、言論の自由、出版等の自由に、その他人権の自由に対して、非常に大きな制限を加えることになりはしないかというような御意見等は、耳に入っておりますが、その他の部分につきましては、ただいまここで特に頭に残っているほどの世論は、今日までのところ、まだ承っておらないという状態でございます。
  14. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは先日、日にちは忘れましたが、今言われた準備草案として出されておったのですが、とれはどうですか。私は刑法とかそういう法制にはしろうとですが、憲法の問題と刑法改正とはやはり相関関係があると見るのですか。今言われた不敬罪とか、そういうものがありますが、そういう点はどうですか。これは今大臣言われましたように、将来の問題ですから、やはり憲法との関係が出てくるのじゃないかと思いますが、その点ひとつ専門家をわずらわして聞きたい。
  15. 長島敦

    説明員長島敦君) おっしゃいましたとおり、憲法基本法でございますから、憲法ともちろん関係があるわけでございまして、ただいまの準備草案は現在の憲法を前提といたしまして立案されて参っておるということになっておる次第でございます。
  16. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実体法刑法そのものよりも、今実際非常に困っておるのは刑事訴訟法のほうが非常に問題があるように私も聞いておるのです。今度の準備会の中では、刑事訴訟法もやはり一緒にやられておるのですか、その点お尋ねしたい。
  17. 長島敦

    説明員長島敦君) この準備会は、刑法改正準備会という名前が示しますように、もっぱら刑法の問題を議論いたしまして、今度のこの準備会の中に、たとえば刑事政策的な保安処分のようなものがございまして、こういうものには当然に手続法がまた伴うわけでございますが、そこまではいまだに検討がついておりません。今後の検討にまかされておるということになっておるということをお聞きしております。
  18. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは法務委員会で相当深められておると思いますが、しかし実体法改正しても、今言われたように、手続関係が、やはり相関関係でやらなければ、私はしろうと考えでいかぬと思うのです。今法務大臣は主として実体法について、刑法について言われたのですが、いよいよそれが将来結論を出して国会改正案を出すとなれば、訴訟法一緒に出さなくちゃいかぬと思いますが、その点どうなんですか。
  19. 長島敦

    説明員長島敦君) おっしゃいますとおり、刑法刑事訴訟法は車の両輪のようなものでございまして、したがいまして、実務上うまく円滑に運用いたしますためには、両方見合って改正が必要かと思うわけでございます。ただし、ただいまおっしゃいましたような格好でございますので、事務当局といたしましては刑事訴訟法のほうも今改正準備に入ろう、まだ具体的には入っておりませんが、資料などを集めているという段階でございます。できるだけ並行して検討したいという考えでございます。
  20. 横川正市

    横川正市君 二問簡単にひとつ説明していただきたいのは、地方公安調査局における破壊的団体の規制に関する調査業務充実をはかるための増員百三名、この充実をはかるというのは、現行と、それから定員増百三名された場合の業務内容といいますか、それときわだって違う点があればその点をひとつ説明していただきたいと思います。  それからもう一つは、増加額は一億二百九十七万円ですから、一入頭にすると大体三十万くらいですが、どういう経歴の者が職種がえをされてこちらに増員になるのか、新規。というのは、新規ということになれば、そこで逐次訓練をしていく新規と、それから関係警察畑とか、その他から配転をして充足する場合といろいろあるわけでありますが、どういう程度の人が百三名に充足されるか、その二点お伺いしたい。
  21. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 私から簡単に御説明をしまして、あとまた政府委員に補足してもらいます。今回の定員増加の主たる理由は、今もお話のように、事務充実を期するということが大きな目的でありますが、それは御承知のとおり、破壊活動防止団体として指定しております団体のうちで、最近御承知のように、はっきり申せば日本共産党でございますが、日本共産党指定団体でありますが、これが非常な勢いをもってその党員の数が増加いたしております。しかもまた、さらに、増加しようとする趨勢がはっきり見えるのであります。したがって、これらの動静につきましてはできるだけわれわれのほうで把握をしておく必要があるのでありますが、何しろ現在の定員調査官の数が、公安調査庁発足当時よりもまだ減っておった、少ないというような格好であります。一方、日本共産党の勢力の状態は今日と比べますと雲泥の差があり、しかもそれがふえようとしておるということでありますから、これについての、なにも全部が全部を片っ端から調べるというわけじゃございませんけれども、ほんとうの要点を引っつかむために調べるのに現在の定員では足りないというのが第一番の補充しておる理由であります。  第二には、この調査庁発足当時におきましては、右翼の動きというものが御承知のように、今日の状況ほどでございませんでしたが、それが近年いろいろな事情原因があると思いますが、右翼のばっこというものがだんだん激しくなって参りまして、しかも現在のところはいろいろな事件を起こしております。そうすると、これについても従来ある程度のものはもちろん調査をいたしておりましたが、それでは人手不足だ、どうしても人手不足充実して、そうして今後間違いのないように期さなければならないということでございます。主として事務充実するといいますのは、この二点の調査対象関係を持っているということを御承知願います。  また第三には、しいて申せば、右も左も両方とも時代の趨勢ととむになかなか調査がむずかしい、従来のような調べ方ではなかなか調べがわからぬ、非常に複雑多岐にわたっておりますので、どうしてもこれが客観資料を集めて調べるほかないから、事務充実を期する以外にないということがわれわれの今痛感している問題であります。  それからどういう人を新規採用するかということは、具体的には政府委員からお答えいたしますが、部内研修機関を持っておりまして、かりに新しい学校出の者を採用しても、そこで相当期間訓練をいたしますし、また、その研修期間におきましては、現にいる者の再研修というようなこともできるだけ努めてやっております。こういうような方法新規の者といえどもこれは養成していくことが可能であるということを御承知願いたいと思います。なお、一般の中からもこうした問題について理解協力をもって下さる方々もございますので、こういう人たちの中からほんとうに資格があり、適当な人材であるという場合にはこれを採用することにしているのが実情でございます。
  22. 横川正市

    横川正市君 今のは抽象的な説明ですから、私はもっと突っ込んで聞きたいのは、実は公安調査庁ができてから、それがどういうふうに運営され、今どういうような事態を把握しているかという問題、それがどう影響するかと懸念されて、それを把握をされているかという深い点まで私どもは知っておって質問をするのならば、あるいは今のような大臣答弁でもわかるのですが、実はわからないわけですよ、実際には。公安調査庁ができてからの業務内容についてそういう抽象的な説明であるならば、たとえば合法政党として認められて、しかも憲法で保障された範囲内で行動している共産党調査の対象にして、そうしてこれを破壊団体と規定しているというようなそういう点だって、実は表面だけの説明だけじゃちょっと納得しかねるわけです。たとえば運動方針の中に暴力革命を否定しておらない団体であるから、今はどう行動を規制されておっても将来は暴力を使って政権奪取のそういう行為に移らないとも限らないからということでやられているのだとすれば、私はそれなりに単に調査ということでなしに、もっと積極的な行動というものがあり得ると思うのです。しかし、そうではなしに、日常行動というものは、憲法範囲内で認めておいて、そして調査の対象としてはきわめてまあ結論といいますか、結論だけを求めて調査をしている。そのために非常にいろいろな問題が起こってくるわけですよ。その問題が起こってくるもう一つ理由は、実はこの公安調査庁で雇用されている人たちの日常の何といいますか、人間形成のいろいろな訓練とか、研修とかいろいろな中でそういうことをしている人たちの人間に対する調査官としての適否といいますか、そういった点が非常にまあずさんといいますか、あるいは割合からすれば少ないのだ、こういうことになるかもしれませんが、たまたまそういう人たちによって問題が起こり、国会で論議をするのを私たちが聞いておりますと、あたかもスパイ事件のようなのが起こって、それは検察という権力の中で正当化されていく。国会答弁というのが出てくる。ところが、一般にはそれはどうも理解できないという問題がそのままの形で残っていっておるわけですよ。それは日常平地に波瀾を呼んで、波瀾を呼んだことが対立したまま、未解決のままずっと尾を引いてきているというのが私は現状じゃないかと思うのですが、そういう不幸を取り除くといいますか、そういう不幸を起こさないということが私は必要じゃないかと思うので、そういう点から第二の新規用員あるいは現在員の研修訓練等については、相当まあ大臣として突っ込んだ意見を持ち、それからまた、その適否については厳格な態度というのが必要なんじゃないか、こういうふうに思われるので、まあ質問を先ほどしたわけなのです。もし私どもがそういう形で質問をいたしておるのに対して大臣から答弁があれば答弁いただきたいし、同時にまた、事務当局で実際に日々やっていることですから、少し詳細御報告いただきたいと思う。これはたまたま群馬の沼田にスパイ事件が起こったとか、あるいは郵便局所でアカハタの配布先を調査するのに金を出したとか、いろいろな問題が過去に起こっているのですね。そういった問題の個々をとっていうのじゃなくて、全体にそういうことが起こらないようにするために私は質問しているのですから、そういうことで少し詳しく説明をいただきたいと思う。
  23. 関之

    政府委員(関之君) お答えいたします。少し講釈みたいになりますが、公安調査庁発足当初からの業務内容の発展の概況と、そして最後のお尋ねのいろいろの個々の問題点があるが、その解決の仕方についての今日まで私どもがいたしてきたことの要旨を御説明申し上げたいと思います。公安調査庁は御承知のとおり、破壊活動防止法というただ一つ法律に基づきましてそれを実施する役所でございます。それで、破壊活動防止法におきましては、中心に暴力主義的破壊活動という、これは刑法の規定でございまして、内乱であるとかあるいは政治目的の騒擾とか殺人とか、そういう刑法の概念を借りてきまして、破壊活動というものを規定しているわけです。これが第四条に規定してあるわけです。その破壊活動をなす可能性のある団体を一応調査しているわけです。そしてその団体が破壊活動を一回いたして、さらに継続または反復してこれを行なう危険性が認められる場合、こういうふうに認められる場合、これを別の公安審査委員会に提示いたしまして、そして判断を求める、こういうところでありまして、公安調査庁の仕事はその事前の段階、すなわち破壊的な容疑の団体調べる、こういうのが公安調査庁の責任であるわけであります。そこで、暴力主義的破壊活動でありますが、これは非常に概念がコンクリートになっておりまして、今申し上げたようにすべて刑法の規定を借りてきごておりますので、かつての治安維持法のような工合に無限にこれが拡張乱用されるというようなことは考えられないと由しましようか、そういうことがないようにという工夫のもとに刑法の規定を借りて規定しているわけであります。そこで、そういうような態勢のもとにスタートいたしましたときには、全体で一千七百二十一人の職員がいたわけであります。その中で調査官は一千三百十二人というのが調査官あと事務官でございます。調査官としてでなければ調査ができない、こういうことになっておりまして、一千三百十二人ばかりの者が全国の各府県に地方公安調査局ないし公安調査局がございまして、それが総計五十ございまして、それが各地においてその調査の仕事をいたす、破防法に命ぜられたる業務を遂行して参ったわけであります。  さて、そこで業務を、遂行いたして参りまして、しからば破防法のものさしから見まして当たる団体があるかないかということでございましたが、今日までのところ、一応諸般のその団体の行動あるいは綱領等に基づくその意見の主張から、そしてその具体的な現実的な行動から見まして、大まかにいたしまして、左のほうが五つ、右のほうが五つというものが一応破防法の線において調べをいたしておる、こういうことになるのであります。左のほうは、これは日本共産党を初めといたしまして、在日朝鮮人総連合、そうして全学連と称する全日本学生自治総連合、日本社会主義学生同盟、これは社学同、それから共産主義同盟、これは共同、こういうものの今日までの十年間における現実的な行動というもの、これは破防法上一応破壊的な容疑の団体として調べているのが現状であります。それから右のほうでございますが、これはやはり五つございまして、大日本愛国党とか、あるいは治安確立同志会その他三つばかりの団体を右のほうの破壊的容疑のあるものとして調べておるのでございます。さてそこで問題は、これらの団体調べ方になるわけでありまして、調査調べ目的は、これらの団体破防法上から見て、かりに委員会に提訴した場合にどういうことが問題になるかということを一応頭の中に入れまして、そうしてその団体の危険的なる行動を中心として調べるわけであります。それは団体の組織性あるいは構成員、団体の構成員の行為というようなことを調べていくことに相なるわけであります。それは規制の場合の効果ということが、どういうような法律上のちょっとこれはむずかしい問題になりますが、そういう点も考慮いたして、そういうふうな組織性あるいは構成員の構成員性というような点を中心としてその団体の活動全体を見ていくということに相なるわけであります。  さてそういうふうにいたしまして、左五つ、右五つの団体を今日まで調べておりまして、したがって、それ以外の団体につきましては、私どもがここで調査をするということは毛頭考えていないわけであります。ただ、ここで申し上げておきたいのは、右のほうの団体でございますが、これは最近の情勢から見まして、この五つのほかにいろいろのものがございまして、深く注意をしなければならない、こういう意味において実は注意をいたしておるわけでありますが、私どもといたしましては、明確にそういうものが認められるもの以外については、破防法上の調査をしてはならないように、これは破防法国会審議の際における国会の当時のいろいろな意見から見ましても、乱用してはならない、あるいはこれをもって国民の基本的人権を侵害したりあるいは労働組合その他の行為に介入してはならないということが二条、三条の規定に、調査の指針ないしは規制の基本の指針として掲げられておりまして、すでにそういうことを中心として全然関係のない団体には御迷惑のかからぬようにということを中心として考えてきているわけであります。ところが、ここで問題になりますのは、たとえば日本共産党というものが空中にあるというわけではございませんで、それは現実の社会現象としてあり、また、党員が各種大衆団体の中に入って、しかもそこで党の勢力を拡大強化せんとしているのが事実なのであります。さてそこで、それらとどういうふうに、全然関係のない団体に御迷惑をかけずにうまく調べていくかという問題がしたがって法の運用において私どもが最も苦心しているところであります。それで、今日まで実は調査を進めて参りまして、これは破防法上の調査という点から見て、なるほど初めのころは手なれないこともありまして、いろいろ調査官にも法律趣旨がわからずに、何でもかんでも団体調べればいいのだという気持を持っていた者もなかったではないようであります。まあ当初からその点を非常に心配をいたしまして、局のような小さい公安調査庁は役所でございますが、研修所を作っていただいたわけであります。まあそういう心配があるから、よくそこで職員に研修訓練を与えるようにという立法のときの御趣旨で、小さい役所でございますが、研修所を作っていただきまして、そこでまず法律趣旨調査権の限界、範囲ということにつきまして繰り返し繰り返し研修し、勉強し、そうしてまたそのときどきに起きましたいろいろの事件を取り上げて訓練をし、研修をいたして参ったのであります。それで二、三申し上げますと、たとえて申しますと、一般共産党を調へるのに関連して、たとえば関係のない組合の情報という問題に関連いたしますが、ある調査官が、共産党の情報もくれ、組合の情報もくれといったときに問題があって、いろいろ調べてみるとそういうことがわかりました。そういうことはわが庁に関する事項ではないからそういうことはいけない、こういたしまして、正当な処分と申しましょうか、まあ処置をとってその職員の責任をとったことがあるわけであります。その他いろいろのケース、ケースごとに御迷惑のかからないようにという趣旨から、いろいろ紛争の、事件が起こりましたらそれを通じて正しい姿に調査権がいくようにということを注意いたしている次第でございます。それで調査官全体がただいまお尋ねの、人間形成の観点から見て、まあ何でもかんでもごしょごしょやって、そうして短兵急に片づけてそうして敵を射るのも何とも思わずに全部やってしまえというような気持になって、そうして権限を振り回してえらい御迷惑をかけるというような方向にいきはしないか。問題々々を夫解決に残しておいてそうしてそれが積み重なっていってある種の悪い風習が調査官調査の仕方あるいは仕振りに積み重なっていってしまわないかという御心配でございますが、実は私どももなれっこになってそういうことになるのを非常に実は心配いたしているのでありまして、今申し上げたように、いやしくも二条、三条の精神に反するような問題につきましては厳格な処置をとってやる、そうしてまた、こういうものはこの範囲はよろしいのだ、この範囲はいけないということを個々の事例に即して研修所で研究をさせ、そうしてこれを一般調査官に通知いたしているわけであります。ここまではいけない、ここまでは大体よい、ここまではよかろうというふうにいたしておるわけであります。それで、どうも仕事の内容一般的にスパイであるとかいうふうに新聞には呼ばれておるようなことに関連いたしておりまして、なかなかその問題がむずかしい実は問題でございまして、今申し上げたように、対象団体だけを正確にねらって、その他に迷惑がかからぬという一線は、率直に申しまして私がここで全責任をもって間違いなく実施されるとも私は実は申し上げかねるわけでございまするが、むずかしい問題でございますが、私どもの意のあるところは実は今申し上げたような苦心をいたしておる次第でございまして、いろいろだだいまも高知のほうの問題がございまして、山本委員さんからいろいろお尋ねを受けておりまするが、そういう問題もそういう過程における一つの問題としまして、十分に検討をいたしてあやまちなきを期したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  24. 横川正市

    横川正市君 そこで、私は予算の面から見て、雇用対象となる新規人たちの何といいますか、前歴ですか、それから学歴とか職歴とか、そういったものについては、大体一つのワクをきめて、その中からおそらく採用適否については何か試験か何かがあるんじゃないかと思いますが、どういう方法で採用されるわけですか。
  25. 関之

    政府委員(関之君) お答えいたします。百三名のうち十六名は雇用人なのであります。調査庁はスタートのときにはほかのところをお借りしたりあるいはほかの役所の中等に同居したりしておりまして、警備はほかの役所におまかせをしたりしていたわけでございますが、漸次独立の庁舎ができて参りまして、そうして先般大臣の御説明のとおり、独立庁舎になると、守衛はまだもらっていなかったところが多いのでございます。そこで便宜やむを得ない措置として、警備の補助に外部の人を頼んでいました。そういうものが役所のやむを得ない警備のために十六人要るのであります。そういう観点から適任者を得たいということであります。その次は二十人の者でございますが、これは実は公安調査庁の仕事には非常に翻訳的な仕事が多いわけであります。と申しますと、まあ国内で申しましても朝鮮語であるとか、支那語であるとかあるいは英語であるとか、さまざまな翻訳の仕事が多いのでありまして、その翻訳の要員として、現在二十人ですが、まあ常勤的非常勤と申しますか、そういう意味で使っておるのであります。その二十人につきましては、その中の適任者はその中で採用したい、年令その他のいろいろな制限がございまして、右から左というふうには参りませんが、その中の適任者をその中から採用したい、こう思っておるわけであります。その他の六十七名につきましては、これは今のところは、大体のところは、これの調査のほうに回る者かと思っておりますが、第一にはやはり上級試験を通った者というふうな者を第一の目標といたしております。しかし、なかなか公安調査庁のような仕事にはみんなが喜んで来るというような状況ではないのでありまして、その次といたしましてはできるだけ大学卒業の、能力の高い、知識及び文化的思想の教養を受けた者を採用してこれを訓練いたしたい、こう思っておるわけであります。また、そのほかに少しく私は時間をかけまして、そういうような観点から見て、間違いのないような者をあるいは一般の民間に人を求める場合もありましょうし、あるいはまた、各種の役所その他でりっぱな経験を持っておる者にお願いする場合もありましょうし、大体そういうふうに考えておるわけであります。
  26. 横川正市

    横川正市君 いいです。
  27. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 前回残りましたものが一つあったんですが、保護観察所ですね、これにつきましてこの点少し問題が残りましたので若干伺っておきたいんですが、これ各県に四十九カ所あるんですね。ですから各県一つあるということになるわけですが、約九百名くらいの職員が従事しておられる。つまり各県の保護観察所に二十名前後の方々がおられるわけですが、その人たちの仕事の量が非常にふえておるということ、それからこれは保護観察処分者が非常に多いということが一つ理由だろうと思いますが、一人で大体二百名程度の人を負担をする、受け持つというようなこともありますし、それから事業の性質上、市町村の更生委員、こういう方々との打ち合わせ、連絡というような会合が非常に多くて、日曜日、土曜日というものがつぶされるというような勤務状況にあるようであります。したがって、そのような勤務条件に合った超過勤務手当なり、あるいは業務旅費ですね、こういうものがあっているのかどうか、その点を伺いたいわけであります。前回ちょうどいらっしゃらなかったように思いまして、残っておりましたので……。もっと詳細に伺いたいんですけれども、ただどうも法務省の中で、法務局の勤務条件をとってみましても、あるいは一万六千名くらいおられる刑務所、監獄の労働条件をとってみましても非常におくれているように思いますですね。で、その中で保護観察所というのはただ働きの典型だというふうに言われているのですね。それほど非常に日曜日、土曜日をつぶして働いておるようですね。それに対して手当その他が見合っていないという実情にあるんじゃないかと思うのですよ。だから簡単でよろしゅうございますが、私も簡単に申し上げますから、どうなってるかという点を伺いたいと思います。ただまあ監獄の問題につきましても漸次努力をなさっておられるのでありますし、法務局の問題につきましても努力をなすっておるようでありますが、この点についても一そうのひとつ努力を要望したいと思っております。実情をちょっとお伺いします。
  28. 中田慎一

    説明員中田慎一君) ただいまの御質問につきまして、保護観察事件が年々増加いたしておりますことは事実でございまして、非常に保護観察所の仕事が忙しくなって参っております。また今お話のように、民間の保護司を使っての仕事でございますので、そういう会合が土曜日あるいは日曜日に開かれるということもあるわけでございますが、実は昨年保護観察官の手が足りない、事件が非常に多くなりまして負担が過重になりましたので、増員の要求をいたしまして百名の増員が認められました。現在までの保護観察官の定数は五百五十九名でございましたが、約その五分の一に相当する百名の増員が認められました。今これを各庁に配置いたしまして、現在その訓練を実施しておるわけでございます。この百名の増員が全部一人前の観察官として働き得るようになりますれば、今の勤務の過重という点がかなり緩和されるんじゃないか、まだその実績を実は調査する段階に至っておりませんので、実績はわかりかねますが、そのように考えております。  それから土曜、日曜のそういう会合に出席いたしました旅費等の手当でございますが、これは超過勤務手当を支給することにいたしております。旅費はもちろん支給されることになっているはずでございます。ただし、その旅費や超過勤務手当につきましても、将来さらに改善をしなければならない点があると思いまして、この点につきましては、従前も努力いたして参りましたが、今後も改善の方向に向かって努力いたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  29. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今の土曜、日曜の会合がしょっちゅう持たれておるわけですが、それについて超過勤務手当を支払っておるというお話ですが、支払っておられるということであればけっこうであります。一体一人当たり何時間組んでおられるか聞きたいのです、超過勤務手当を……。
  30. 中田慎一

    説明員中田慎一君) 超過勤務の予算の関係から申し上げますと、一人当たり一カ月六・六時間の超過勤務、こういう予算の積算をいたして、大体千五百六十万くらいになりますが、そういう予算が配賦されております。
  31. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 六・六時間という超過勤務手当は月六・六時間ですね。
  32. 中田慎一

    説明員中田慎一君) そうです。
  33. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは官庁の常識からいいまして、普通の役所の超過勤務手当です、六・六時間というのは。大体土曜日、日曜日働かないで六・六時間出ているのです、どの官庁におきましても。しかし、保護観察所におきましては、特に土曜、日曜という仕事がある。年中持たれているという実情からみますと、六・六時間の超勤で土曜日、日曜日の超勤を払っておりますということはこれは言えないですよ。土曜日、日曜日払うということでありますからけっこうでありますから、ぜひひとつ払うように。実態も私ども聞いておるところではそうなっていないんですね。ただ働きの典型だと言われているのですよ、それは。土曜日、日曜日を働くというのはきついですよ。それに対して事実上超勤が出ていない。また月六・六時間ですから払えるはずがないのです、そう思いますがね。一そうの一つ努力を要望いたしておきます。
  34. 中田慎一

    説明員中田慎一君) 御指摘のように、六・六時間では十分でない点もあろうと思いまして、今後十分改善に努力いたしたいと考えております。
  35. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  37. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 日本社会党を代表いたしまして、本案に対して反対の意思を表明したいと思います。  本案全般を見ますると、たとえば法務局の登記所関係の人員の不足、それを補うための増員、あるいはその他を見ましても、われわれとしては別に反対すべきものでないものもあることは事実でありまするが、との前の委員会から明らかにしたように、われわれとしてはどうしてもこの公安調査庁増員ということは、説明はあるけれども、今までの活動状態、また、基本法である破防法についてもわれわれとしてはいまだ理解ができないところが多々あります。したがって、われわれとしては、右の五団体に対しても、これが相当やられておるように言われておりますけれども、一昨年のわが党の委員長の浅沼氏のあのいわゆる刺殺事件等から考えましても、非常に公安調査庁の活動というものに対しては一まつの疑義を持たざるを得ない。将来、大臣も言明されましたが、これの運用については、基本的人権に対しては触れないように十分な注意をしてやると言われておるけれども、今の段階では、われわれとしてはこれを了解することができません。その意味において、本案に対して反対の意思を表明いたします。
  38. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題になっておりまする法務省設置法の一部を改正する法律案につきまして若干意見を申し述べ、附帯決議を付して賛成をいたしたいと思います。  それはこの委員会でもいろいろ論議されたのでありまするが、最近の登記事務の激増に対しまして、受け入れ態勢というか、つまり法務局出張所の整備ということが一向できていないように思うのであります。国民はそれによりまして非常に不利と不便を感じておるというのが現状であろうと思います。まあたとえて申しますれば、一出張所に職員が一人しかいないというようなところも相当ある。それから建物は老朽しておる。また、町村の配置分合等による管轄区域の整備というようなこともできてない。そこで私は、法務局出張所につきましては思い切って定員を増加するなり、あるいはまた、一人職員のようなところに対しましては家族の者に留守手当を出すとか、いろいろ工夫をして、処遇改善をはかってもらいたいと思うのであります。そこで次の附帯決議をつけたいと思うのでありまするが、附帯決議案を朗読いたします。   最近における登記事務の激増にか  んがみ、政府は法務局の定員、出張  所の整備、職員の処遇改善等につき  速かに検討の上善処されたい。   右決議する。  以上であります。
  39. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。法務省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  41. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました石原君提出の附帯決議案を議題といたします。石原君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  42. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 多数でございます。よって石原君提出の附帯決議案は、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  次に、ただいま決定いたしました附帯決議につきまして、植木法務大臣から発言を求められております。これを許します。
  44. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、御意見の存するところを十分了承いたしまして、今後執務上並びに省務実行上の指針として進めたい、かように考える次第でございます。
  45. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 午前の審議はこの程度にとどめ、午後一時より再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時四分休憩      —————・—————    午後一時二十五分開会
  46. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより内閣委員会を開会いたします。  通産省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、去る三月六日衆議院の承諾を得て内閣修正されておりますので、その修正の趣旨について説明を聴取いたします。  佐藤通商産業大臣
  47. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 通商産業省設置法等の一部を改正する法律案につきまして、その修正を求めました理由および修正の概要を御説明申し上げます。  通商産業省におきましては、最近の経済情勢に即応した体制を整えますために設置法の改正検討いたしますと同時に、審議会につきましてもこれを整理する方向で検討し、さきに通商産業省設置法等の一部改正法を提出いたしました。  その後も審議会の整理につきましては検討を続けておりましたが、このほど新たに武器生産審議会を廃止しても差しつかえないとの結論に達しましたので、急遽、修正を求めた次第でございます。  武器生産審議会は、昭和二十八年武器等製造法が制定されました際に設けられたものでございます。  武器等製造法は、当時、武器生産事業が特需を中心として再開されたばかりであり、乱立、過当競争の状態にあったものを調整し、秩序づけることを目的として立法されたものでありますが、同法の運用につきましては、当時の武器生産業界その他四囲の事情から識者の意見を反映させる必要があり、そのために審議会が設置されたものであります。  しかし、最近に至りまして、武器生産業界は、整備され、しかも製造法の運用に関しましても一応軌道に乗っておりますので、今後とも、恒常的に独立の審議会を設けておいて識者の意見を聞く必要が出てくることはまずないと思われます。  このような見地から、地下資源開発、電気関係法令改正、鉱業法改正、石炭鉱害対策の各審議会とともにこの際武器生産審議会を廃止することとした次第でございます。以上、修正の理由及び概要を御説明申し上げました。
  48. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 以上で説明は終了いたしました。  それでは、これより質疑に入ります。政府側出席の方は、佐藤通商産業大臣、塚本官房長、倉八軽工業局長説明員として荒玉文書課長、堀坂工業技術院調整部長、生駒通商局振興部長、小林鉱山保安局管理課長の方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  49. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まず、工業技術院について聞きたいわけですが、この工業技術院は工業技術院設置法によって設けられておるのですけれども、かねてから大体工業技術院というのは付属機関のようでもありますし、それから外局みたいな感じもしますし、内部部局的な感じもしますし、国家行政組織法から見まして若干疑義のあるような点を感ずるわけなんです。そこで、今回内部に総務部を設置されるという機会にその点を若干伺いたいと思うわけですが、工業技術院というのは、国家行政組織法の第八条でいうところの機関なのかどうか、あるいは七条でいうところの内部部局ではなかろうか、あるいは三条でいうところの庁ではなかろうかというような疑問点がありますので、その点をはっきりひとつ伺いたいと思います。
  50. 堀坂政太郎

    説明員堀坂政太郎君) お答え申し上げます。  工業技術院は国家行政組織法の八条機関として、通産省の付属機関として設置されておるものでございまして、ただ工業技術院がそのような付属機関でございますが、やや他の純然たる試験研究機関等と違いまして、若干の技術行政業務というのは設置法によって権限として許されておりますので、技術行政業務についても幾分かはやっておるのでございまして、その点今御指摘のように、他の内部部局的な性格が一部ございますけれども、私どもは八条機関と了解をいたしております。
  51. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは経理の取り扱い、それから人事の取り扱いというような面については、これは付属機関というよりも内部部局的な、あるいは外局的な取り扱いをなさっておるのではなかろうかと思います。予算の取り扱いを見ましてもそういうような感じがしますが、また、この設置法の第二条の第三項によりますと、職員の任免権も持っておるようです。その意味では消極的な庁のような性格も持っておるわけですが、要するに、内部部局的な、あるいは外局的な予算、経理、人事の問題については取り扱いが行なわれているのではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  52. 堀坂政太郎

    説明員堀坂政太郎君) お答え申し上げます。人事及び会計につきましては、試験研究機関に関するものの人事及び会計を取り扱います場合において、それが付属機関として取り扱う分には差しつかえないと思うのでございますが、ただ、ここで問題がありますのは補助金等が若干工業技術院にございまして、その面におきましては外局的あるいは内局的な機能を含んでおるということになるかと思います。
  53. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 工業技術院設置法の第三条に、第一号は各種の技術指導が出ておりますね。それから第三号、これも各種の技術の指導あるいはこれに付随する事業、それから四号は工業の基準の制定、普及、それから六号が鉱業及び工業の技術進歩及び改善、並びにこれに関するところの発達及び調整に関する事項、それから試験研究の四項の二としてこの試験研究の助成ですね、つまり補助金だと思うのですが、助成というようなものが載っているわけですね。ですから、内部部局的の仕事とは別個に普通の行政事務、普通の行政を遂行するものとは別個に独立さしてあるというような付属機関の意味になっておるのですけれども、実際は試験研究の助成をやる、あるいは工業の技術の進歩、そういうものの指導、それから改善発達に関する事項をやる。どこをとって見ましても、技術行政というものを相当やられるように思うのですね。その点で、どうも付属機関というには、常識でいって付属機関にはどうも入りにくいような気がするのですがね。
  54. 堀坂政太郎

    説明員堀坂政太郎君) 工業技術院は、御承知のように、もともと工業技術庁として昭和二十三年にスタートいたしたものでございますが、これが昭和二十六年でございましたかの行政機構の縮小の際に、工業技術庁の主体が、約四千名の研究職員を有する試験研究所が主体であるということで、付属機関ということに実は改められたのでございます。ただいま先生の御指摘の補助金の問題あるいは本省の技術行政に関する援助的な業務等におきましては、従来、またさらに工業標準化の事業につきましては技術行政という性格でございまして、内局的な性格を持っておりまして、したがいまして、将来この通産省の技術行政を強化いたします場合におきましては、このような分野を取り上げまして、内局的な構成をすることが考えられると思うのでございますが、現段階におきましては、こういう付属機関においてもこのような行政を担当することについては差しつかえないとの行政管理庁の解釈でございますので、主体が試験研究機関であるという実態等にかんがみまして、現在のところ、付属機関という形のままで一部内部の改正を行なおうとするものでございます。
  55. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 お話のように、技術庁という外局であったものを、当時の行政機構改革の際に技術庁というものがむずかしくなって、そこで工業技術院設置法というものができごまして、付属機関という形にしたのですけれども、しかし、技術庁の性格というものはそう失われない。外局的な性格は失われないまま設置法という形が残っておる、こういうことになるのじゃないかと思うのですよ。したがいまして、ばく然と見ましても、どうもその付属機関のようであるけれども、実際は外局みたいでもあるし、予算の取り扱い、経理の取り扱いあるいは補助金その他技術の発達についての普及あるいは指導というような面から見ましても、その意味が非常にあいまいな感じがしますし、それから今お話のように、行政管理庁はこれでもいいのだというお話ですけれども、しかし、こういうような付属機関で、この程度のことをやっているのはないように思いますけれどもね。先般農林省の農林水産技術会議というものが設置されましたけれども——設置じゃなくて、設置されたものを改革したのですけれども、その場合も種々問題になりましたけれども、こういう程度のものをやらないのですね。ここまで入ってないわけですよ。ですからやはり私はこれは国家行政組織法から見まして、非常に問題があるというふうに感じたわけです。そこでその問題は一応別にいたしまして、今回この調整部と技術院官房ですね、これを一緒にしまして、そうして総務部というものを作られるというのでありますが、この総務部ができまして、総称部の所管の業務というのは、従来件術院官房が取り扱っていたものと、それから調整部が取り扱っていたものを、二つを一緒にした形ではなくてふえているのですね。二つほどふえているわけですよ。その二つほどふえたものを見ますと、どうも今お話のように、工業技術院というものを近い将来において二分されるようなお考えがあるんじゃないだろうかという印象を受けるわけですね。ところが、試験研究機関の管理統制、総合的な役割をひとつ、従来のは残して、そして技術行政的な面ですね、そういうものを近い将来においては内部部局的なものとして独立なさるんじゃないだろうかという気がするわけですよ。そういう考え方はあるものかどうか、伺っておきたいと思います。
  56. 堀坂政太郎

    説明員堀坂政太郎君) お答え申し上げます。このたび官房及び調整部を廃しまして総務部を設置いたしますゆえんは、従来官房で担当いたしておりましたのは、人事及び会計でございますが、人事及び会計の大部分は、実は試験所関係でございます。また一方に、調整部におきましては、研究あるいは試験その他の検定等に関しまするところのいわゆる私どもの申します試験研究機関におきまする業務の実態的内容の管理業務と申しますか、につきましては調整部で担当いたしておったのでございます。会計及び人事と、それから研究内容の管理この三者は実は一体に運用せられるべきものでございまして、実際に運用しておりますというと、会計の内容につきましても、ほとんどいかなる試験研究業務を行なうか、それを裏づけするための予算はどうあるべきであるかということが大部分でございまして、これを別個の組織で担当することが適当でないということが痛感いたされましたので、その意味におきまして官房、調整部を一本にして総務部という形で運用するのがいいということになったのでございます。  さらに第二点といたしまして、今御指摘のように、工業技術院で担当いたします業務の範囲がやや拡張をいたしております。すなわち通商産業省の所掌にかかわる事業のうちで技術に関する問題の総合的な施策の立案及び連絡調整という点、これが従来と変わりましたのは、従来は通産省の所掌に関します事業に関する技術の援助という形であったのでございますが、やや前向きに改正をされまして、通産行政に関連いたします技術行政につきましては、やや積極的な役割を果たすことになったのでございますが、これは総務部の中におきまして試験研究業務と、それから通産行政の方向とをうまく調整をいたしながら担当することが適当だと考えておるのでございまして、現在の通産省の体制から申しますならば、やはり試験研究の裏づけなしにこのようなことを実施する適当な部局は設置することは困難でございますので、工業技術院で担当することになったわけでございます。  第三の点といたしまして、将来このような技術行政業務と、それから試験研究所の管理運営というものを別個にする意図があるかどうかという点についてでございますが、これは今後の通産省の機構についての検討が行なわれた結果によらなければわからないことでございますが、私どもといたしましては、少なくとも現在の工業技術院の担当いたしておりまする仕事の性格からいたしまして、これを外局にするか、あるいは将来技術行政分野を独立をした技術局というようなものを設けるかすることが適当ではないかと考えておりまして、と申しますのは、御承知のように、所属の試験研究機関は十二あるわけでございますが、その試験研究機関の実態が施設あるいは設備等におきまして現状のように分離しておきますことが適当でない、もっと近代的な試験研究を実施いたすのに適当な体制にいたすことが望ましいと考えておりまして、いわゆる私ども研究所の団地化という問題でいっておるわけでございますが、そのような方向が実現される暁におきましては試験研究所の管理という問題と技術行政の問題とは、あるいは別な機関で担当するか、あるいは外局で一本で運営をするか、いずれかに改めるよう検討する必要かあろうかと実は思っております。
  57. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御報告申し上げます。ただいま伊藤特許庁長官、国井軽工業局アルコール事業長、土屋鉱山局鉱政課長出席されましたので御報告いたします。
  58. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 問題が二つあるように思うんですけれども、一つは従来調整部というのが、これは調整部の仕事としまして、試験研究機関と、それから内部部局との関係の調整の面が入っていると思うのです。その意味で調整部が相当試験研究機関に対するところの発言力といいますか、力を持っておると思うのですね。そこへ持ってきまして、今回官房の会計と人事をあわせる、そして総務部を作るということは、さらに一そう権限というものを拡張される、強まってくるということになるだろうと思うのです。したがいまして、そこから懸念されますことは、試験研究の管理統制という面が、人事を一緒にすることによりましてさらに強まってくるんじゃないかという懸念を持つわけですね。今までは一応調整部というものと技術院の官房というものは別になっておりましたから。しかし、これが総務部ということで一本になりますと、そういうような意味の試験研究に関する統制管理というものが非常に強化されるんじゃないかという懸念を持つわけです。その点について、そうはならないんだということになるのかどうか、それをひとつ伺いたいのと、それから今の答弁を伺っておりますと、総務部というものを従来の官房調整部をあわせて作ることによって、さらに相当技術行政の面に積極的になっておる。お言葉は前向きとかいうお話でしたけれども、積極的に技術行政に出る、そういう機構になってくると思う。ということになりますと、お話のように、将来はどうも内部部局といったものにするか、あるいは庁にするかというような話にやはり展開せざるを得ないんじゃないだろうかというように思うわけです。そこでこれは大臣に、そういうようなお考えがあるのかどうか、それをひとつ伺いたい。
  59. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 技術院を将来技術と、それから技術行政の面と二つにする意思がありやいなやというお尋ねかと思います。いろいろむずかしい理屈をとやかく並べておるようでございますが、ただいまのところ、当分の間それを分離することはございません。はっきり申し上げておきます。
  60. 堀坂政太郎

    説明員堀坂政太郎君) 第一点の統制を強化するのではないかというお話でございますが、そのような意図は全然ございません。むしろこの機会に、従来工業技術院長が一括して持っておりました支出官業務等につきましては、試験所のほうに移す考えでおりまして、そのような趣旨からいたしましても、私どもとしては統制を強化する意図はない。むしろ研究につきましては、研究者の創意を尊重しつつ国家的要請等との調整をはかるということに専念をする気持でおります。
  61. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今の大臣の御答弁で、将来技術行政と試験研究機関というものを分離していく考えはないというお話ですが、もう少し詰めて伺っておきたいと思うんですけれども、三十七年度の予算編成にあたりまして、先ほどもお話がありましたように、研究の団地化というものを推進されたようですが、要求としては十六億の要求をなすっておる。実際は調査費として、研究の団地化と別に調査費として一千万円という経費がついておりますが、この団地を進められます場合に、先ほど技術院からのお話がありましたように、技術行政というものと試験研究機関というものを分離するという考え方が出てくるんじゃないかというふうに伺っていますけれども、ないということですか。
  62. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 団地化は御承知のように、ただいま技術院に所属する各研究機関が散在しております。しかるに研究の面から申せば、相互の連繁を緊密にする必要がございます。また、技術指導、技術行政という面から見ましても、やはり分離するよりも一カ所にあるほうが望ましい姿でございます。そこで、いわゆる少し離れた場所で研究に没頭ができ、そうして技術指導も可能なような、そういう場所をひとつ考えてみようということで予算は要求し、調査費だけいただいたわけでございます。御承知のように、なかなか住宅の問題があったり、あるいは通勤の問題があったり、さらにまた、それにからんでの私生活の問題等があって、なかなか適当な場所を選ぶということも困難でございますが、しかし少なくとも、この団地化はぜひとも進めたい、こういう強い意向を持っております。で、それができた暁においてどうなるか、こういうことで一部でいろいろなことを言っておる向きがあるやに私どもの耳に入っております。しかし私、この機構というものは、とにかく生い立ちがあるし、なかなかそう簡単に改善、改革などができるものではございません。よく実情を検討し、そうして結論を出すべきものと思います。そういう意味で、先ほども申しますように、当分こういう姿を変えないというととが望ましいのじゃないか、少なくともこれを変更するというような、それだけの積極的な理由がなければいけません、十分それを慎重に考えてやるべきことだと、かように思うので、先ほど申しますように、当分そういう点に触れる考えはないということを重ねて明確に申し上げておきます。
  63. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 具体的に伺いたいのですけれども、研究の団地化というものをする、それで十六億の予算も要求なすった。したがいまして、相当具体的な考えがあってお進めになったと思うのです。それで、かりにことし一千万円の調査費ですから調査をお進めになると思いますが、それで団地化が実行に移されるという場合、どうも私の見た、今度の総務部設置の発展の方向を見ますに、試験研究に関するところの管理、あるいは総合的な面は、これは団地にいくけれども、ことで出ている総務部に該当するようなもの、つまり総務部におそらく科学技術行政というものの中心がうんと移っていくと思いますが、そうなりますと、二分化されるのじゃないかというふうに思うわけなんですよ。そこの点を、具体的に案をお作りになるときにそういう考え方がなかったのかあったのか、今お持ちでないのかどうか、具体的な問題として聞いておきたい。大臣に聞いているのではない、具体的なものを聞いているのですふら……。
  64. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 実は団地化は私自身が主唱し、私自身が計画を進めさしておりますので、そういう意味でお答えをいたします。  今日の組織法改正の法案自身につきましても、ただいま御懸念なさるような点は、実は考えておらなかったのでございます。ただ調整部と人事課、会計、そういうものを一緒にしまして、総務部を作ることが、業務の充実、能率を上げる上からいいますと望ましい姿であろうということで、今回の改正を企画しているわけでありまして、これは団地化を前提にしてどうこうというわけのものではございません。それから申し上げるまでもないことですが、技術院の院長と申しますか、その統轄のもとにおいて、各機構が行政能率を発揮するわけでございますので、やはりワンマン・コントロールという言葉は語弊があるかもわかりませんが、その組織を通じて制度を生かしていくという、これが本来の行政の姿でございます。だから、そういうことを考えますと、別の場所にあることがこれは非能率的にもなりますししますので、本来は当然一緒にあるべきものだと、私はそのように考えております。しかし、将来仕事がせつ然と分け得るというようなことが検討の結果出てくるとか、あるいはせつ然と分けたほうがより能率的である、こういう積極的な理由がない限り、これは分割すべきものではないと私は考えているわけであります。具体的に今回の改正案自身には、ただいま御懸念なさるような前提的なもののないことを明確に申し上げておきます。
  65. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その点は了承いたしました。研究の団地化について、十六億の金を御要求なさって、一千万円の調査費がついているのですが、これからどういうふうにお進めになるのか、それを伺っておきたいと思います。これは大臣でなくてもいいですよ、具体的な問題ですから。
  66. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) これはどうも国の予算でこういうことを計画することは非常に不向きだということが、今回の計画で痛切に実は感ずるのでございます。鶴園さん御承知のように、今の研究機関というものは都市のずいぶん地価の高いところに散在しております。ただこういうものが自由に処分ができますならば、その処分した資金で全然今まで開発されていない地価の安いところに移り得ることができるわけであります。ところが、役所で予算にしばられ、いろいろの計画をすると、具体的にある候補地を探し当てると、必ずその地価は暴騰して参りますし、非常な実施については不便を感ずるわけであります。一面御承知のように、首都圏という整備委員会なるものがございますし、また、郊外にも開発計画をいろいろ持つわけでございます。それらの計画ともにらみ合わせて総合的に考えざるを得ないということにもなると、通産省だけの一存でもなかなか決しかねるようにもなり、だんだん実現がむずかしくなりつつあるということでございます。今回は、少なくとも土地についてある程度予約でもできるくらいの予算がほしい、こういうような気持も多分にあり、大蔵省と折衝したわけでございますが、なかなか思うとおりに予算はできておらない、今回の予算で可能な範囲調査をひとつ進めてみたいと思っておりますが、これは本来の研究所の施設をどういうようにあんばいするかという問題もございますし、あるいは道路計画なり、あるいは住宅計画なり、各種の総合計画を進めなければならない、ただいま予算をいただいただけでございますので、私どもの当時の腹案から申しますと、なかなか困難が伴っているということを実は痛感しているというのが現状でございます。あるいはお尋ねになりましたことに触れていないかもわかりませんが……。
  67. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣お話はわかったわけですがね、実際どういうように進められるのかという、とにかく十六億円要求して、一千万円の調査費がついているのですから、どういうふうに進められるものか、それは決して通産省の試験研究機関だけの問題ではなくて、実は各省の試験研究機関の団地化と相伴なったものですから、影響するところが大きいわけです。だから一千万円の調査費で具体的にどう進められるのかという気がするわけですよ。何せ試験研究機関の大どころは、何といっても通産省にあるわけでしょう。これらの統合いかんによりましては、各省とも相当影響を受けるわけです。その点について伺っておきたいと思う。
  68. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 今要求いたしておりますのは、通産省関係の技術研究機関の統合でございます。で、各省のものまで拡大するという考え方で予算は要求したわけではございません。しかし、将来もっと大きい規模でというお話がないでもございません。そういう意味ではこの実地調査にあたりまして十分それらの点も勘案して計画すべきかと思いますけれども、ただいまスタートしておるのは通産省所管、それだけでスタートしておるのでございます。
  69. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、鉱山保安監督の強化充実ということで、九州と、福岡と札幌ですね、とれの鉱山保安監督部が局に昇格をする、そうして人員が二十二名増加する、この問題につきまして伺いたいのですが、通産省の設置法ですね。これの二十七条によりますと、「通商産業局は、本省及び外局の事務(鉱山保安局の事務を除く。)」と、ですから鉱山保安局の事務は除いて通商産業局がやることになっておるわけですね。三十二条にいきますと、鉱山保安監督局及び部を通商産業局に付置すると、こうなっていますね。  それで伺いたいのは、付置というのはどういう内容を持っているのか。付置することによってどういうようなことになるのかということを具体的に聞きたいわけです。
  70. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 付置と申しますのは、あくまで仕事の監督関係は鉱山保安監督局、鉱山保安局から直接監督する。ただし、庁舎及び会計等については通産局がめんどうを見る、こういうのを付置と称しております。
  71. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 仕事の面は鉱山保安局がやると、それ以外の庁舎とかそういうものについては通商産業局がやるのだ、こういうのですか。私はそれだけではないように受け取るのですけれども、付置という言葉はもっと仕事の内面にも入るのじゃないか。あるいはその旅費とか——庁舎だけの問題じゃなくて、旅費とかいうような問題にも入っておるのじゃないかというように思うのです。ですから、付置することによってどういうような影響を保安監督部あるいはその局に与えているのかという点ですね。
  72. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) さっき申しましたように、仕事の面では全部鉱山保安局から直接監督をいたしておりまして、会計の事務、これは予算は鉱山保安監督部が別になっております。でありますから、旅費等につきましても別の予算を持っておりますが、支出の事務、そういった会計事務等につきましては通産局のほうでめんどうを見ている。こういう形であります。
  73. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこで今度部が局になりますところが二つできたわけですが、局になって会計課ができるのですか、局の中に。
  74. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 会計課はできません。
  75. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 会計課はできないわけですね。それで次に今度は伺いたいのは、通産省の組織規定を見ますと、これは通商局、企業局、重工業局、軽工業局、繊維局、鉱山局、石炭局と、こういうふうに業種別にがっちり局ができているのですが、この中で鉱山保安局というのはいささか異様な感じを受けるわけなんですね。これはどういうわけで重工業局、あるいは軽工業局、繊維局、こういうととろの保安行政と別建てに鉱山保安局というものをお作りになるのか。その点を伺っておきたいのですけれどもね。
  76. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 通産省の機構といたしましては、いわゆる縦割りの局と横割りの局があります。たとえば企業局、通商局、あるいは中小企業庁、あるいは工業技術院、それから鉱山保安局、こういうのは一応まあ横割りと申しますか、そういった抽象的な広い仕事をやっております。特に鉱山保安関係につきましては、そのほかのいろいろガス爆発等の保安関係につきましては、あるいは軽工でやるというようなこともやっておりますが、鉱山保安につきましては特別にその保安の重要性にかんがみまして独立の局を作った。こういうことであります。
  77. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 確かに鉱山なりあるいは炭鉱なり、そういうところの保安行政というようなものは非常に長い歴史を持っておりますし、また、非常にきびしい災害を繰り返しているわけです。その意味で他の重工業なりあるいは軽工業なり繊維局、そういうところの保安行政と若干の特殊性があるというのならば、非常にきびしい災害に見舞われてきているという歴史、そのことはあると思いますけれども、そのことを強調することによって別建てに保安行政というものが行なわれている。労働基準法が成立しましたときに、軽工業なり、あるいは繊維関係なり、あるいは重工業なりの保安行政と並んで、この問題のある石炭、あるいは金属鉱山、こういうところの保安行政も一元化してやるべきじゃないかという論議もあったというふうに記憶しておりますけれども、私は少なくとも、ここに業種別のがっちりした局が並んでいるのですが、これと同様な精神でもりて保安行政というものは行なわれなければならぬのじゃないだろうか。特殊だということで、そういうところが通産省の中にあるということについて若干の疑問を持つわけですが、しかし、そこまで論議をしますというとなんですからして、私は少なくとも同じような精神で繊維なりあるいは重工業なり軽工業と同じような精神で鉱山関係の保安行政というものが行なわれてしかるべきじゃなかろうかというふうに思うわけなんですよ。
  78. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 私の説明がちょっと足りなかったかと思いますが、爆発物取り締まり関係につきましては、これは通産省でやっておりますが、その他のたとえば今お説の繊維とかあるいは重工関係の工場のほうは、これは全部労働省がやっておりまして、石炭鉱山関係の保安だけが、これは専門的な知識を要するということで通産省がやっておるわけであります。
  79. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあ鉱山局、それから石炭局、これは生産行政ですね。つまり奨励し、督励していくというような生産行政というものと、それからそこに働くところの労働者を危害から守るとかというようなことと保安行政とは一緒になって、存在しているということは、これは鉱山関係の保安行政の特殊性なり、長い歴史なりというものを主張なさったとしましても、どうも奨励し督励する生産行政のほうの犠牲を保安行政というものが受けていくという印象をこれはぬぐい切れないわけですね。その点の私懸念があるものですから何回も伺っておるのですが、そういう点についての何らかのお考えがあってしかるべきじゃないかと思うんですがね。
  80. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) お説のとおり、生産行政と保安監督行政ば分離すべきだと、これは鉱山保安につきましては長い歴史がありまして、特に専門的な知識を要する関係上通産省でやっておったわけであります。戦時中は、御承知のように、石炭あるいは鉱山につきましても生産行政の局で担当いたしておったわけでありますが、戦後は、そういう先生のお説のように分けるべきだということで鉱山保安局というものを独立いたしたわけであります。なおまた、通産局に付置するということもそういう趣旨でありまして、鉱山保安局から直接監督するということでありまして、通産局長が仕事の命令をするということは避けたわけであります。
  81. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 やはり私は、石炭なり鉱山なり、あるいは金属鉱山、こういうものに対する保安行政というものが、できるならば省を離して、省を別にしまして、重工業なりあるいは軽工業あるいは繊維という工場関係の保安行政と同じような、同列においた考え方、あるいはそういうような立場から保安行政というものが行なわれるほうがいいという感じを持つものです。しかし、長い間の経過もあるし歴史もある、伝統もある、あるいは特殊な技術が要るという点は確かにそうだと思う。しかし、それを強調することによって、何か軽工業なり重工業の保安というものと石炭なり金属鉱山の保安というものが別扱いになるというようなおそれはないかどうかという点を心配しておるわけなんですよ。そこで今回、札幌と福岡の鉱山保安監督部が局になる、この機会に、先ほど官房長お話のように、通商産業局に付置するというのではなくて、鉱山保安局にすべて直結をさせるというような考え方をお持ちにならぬかどうか。これは通産省設置法の二十七条にはっきり書いてあるわけですからね。それを何かまた三十二条でちょっと、付置するというような形でつけてある。そうすると、やっぱり何となく生産行政からチェックを受けるという感じを強く受けるのですね。ですから、局までお作りになるのですから、そういうものをはずして、通商産業局というものに付置するというのじゃなくて、業務の命令その他が全部鉱山保安局からいくわけですから、それに直結する鉱山保安局の支分部局にしてしまうという考えをお持ちにならぬかどうか。
  82. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) この点はさっきから申し上げておりますように、仕事の関係では全部鉱山保安局から直接指揮命令いたすわけでありまして、全然通産局長の指揮命令を受けることはありません。ただ人数も、たとえば九州におきましては百五十人程度、あるいは北海道につきましては百人足らずという程度の人員でありまして、そのためにわざわざ会計課を置くとか、あるいは庁舎を別にするとか、これはまあ非常に経費もかかりますので、ある程度通産局でそういう仕事の関係は直接やるわけでありますので、通産局がめんどうを見たほうが適当ではないか、こういうことでやっておるわけでありまして、仕事の面で通産局がこれを制肘するということは絶対に今後もありませんし、ないように心がけたい、かように考えておるわけであります。
  83. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど付置するという点についてお尋ねしたのですが、庁舎あるいは会計の面においても通産局が握っておるという話なんですね。そのことはいろんな面においてやはりチェックするということになるんじゃないでしょうか。庁舎が狭いからお前のところの庁費を少しよこせとか、あるいは業務旅費が少ないから、お前のほうからおれのほうによこせとか、あるいは電話料金だって、災害にあたりて長距離電話が十分使えないというような事情になってくるんじゃないでしょうか。ですから、仕事の面が鉱山保安局からかちっといくんなら、それをお分けになったらどうかと思いますね。それでないというと、これでいきますと、予算の面でも握っておる、経理の面でも握っておる、備品の面でも握っておるということで、チェックされるという気持を非常に受けるわけですね。それは付置しなければいいわけですからね。
  84. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) さっきも申しましたが、予算を握っておるということではなくて、予算は鉱山保安監督局が別途に持っておるわけでありますが、その会計事務、いわゆる支出事務をこれは通産局の会計課の職員がやっておるわけであります。なおまた、庁舎等につきまして、もちろん具体的にはいろいろ問題があるかと思います。そういう点ではある程度通産局長が監督部長を押えるのではないかという点はごもっともかと思います。これは将来の問題として十分検討いたしたい、かように考えます。
  85. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ほんとうに簡単な問題です。庁舎は別に作るわけではないし、各省とも出先機関が同じ所にありますし、別に作らなければならないというわけじゃないですからね。ただ、行政的にどうも通商産業局に付置されているということがいろいろな意味で誤解を受けやすいし、それから先ほど言いましたように、旅費、庁費なんというものはいろいろやりくり算段するものでして、その面でやはり種々問題も起こるように思うんですよ。したがって、別庁舎を作る必要はないわけですから、鉱山保安局に直結した支分部局とする、こういうふうになさったらいいじゃないかと思うのですがね。大臣ひとつ。
  86. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 通産省の機構、これは私も、先ほど鶴園さんが御指摘になりましたように、通産省に参りまして、非常にわかりにくい機構であります。あるものは縦割り、あるものは横割りというか、非常にわかりにくい機構でございます。ことに地方の出先機関等見ますると、今の附置云々で、これはもう非常にわかりにくくなっておるわけであります。御指摘のとおり、一般通産行政とそれから保安監督の仕事はせつ然と分けることが望ましい。ところが、御承知のように、今まで保安が大事だと申しながらも、それが局の形をとっておらないで、部の形で地方の通産局へ付置されておる、こういうことでございますので、今回は、炭鉱の整理等が積極的になる、また、非常に経理内容も悪くなっている、そういう際に、大事な保安でございますから、これをひとつ強化して、そうしてそこで働く人たちが安心するようにしよう、こういうことで、最も山の多い場所だけまず部を局にしようと昇格を計画し、ただいま御審議をいただいておるわけでございますが、本来ならば、全体をもっとすっきりした、わかりいいような形で局にいたしますと、何らの疑問なしに私どもの意図も明確になり、誤解を受けなかったかと思います。しかし、私どもできるだけ機構は簡素なものにし、そういう意味のむだはできるだけ省きたい、こういう気持もあるものですから、今回鉱山保安監督局を作りましても、本省の権限を一部局長に委譲する、そういうことにし、通産局とは仕事が紛淆を来たさないように、せつ然と分ける、こういう建前でやり、今までの経費等が急にかさむようなことのないようにということで、まあ中間的な組織を計画いたしたわけでございます。将来の事柄につきましては、いろいろ誤解を受けやすい組織のようでございますから、さらに工夫はしてみたいと思いますが、私は今回の趣旨が、一般の生産部門とは別に、保安行政というか、それを特に取り上げた、この点が十分に御理解いただければ、ただいま御指摘になりました点などは将来の仕事の内容でまたその際に考えることにしたらいいのではないか、かように実は考える次第でございます。御指摘になりました点は、理論的にはまさしく私どもも同感でございます。
  87. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記をとめてろ   〔速記中止〕
  88. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記をつけて。
  89. 横川正市

    横川正市君 大臣に、今回の設置法の中から、武器生産審議会を廃止するという項目がありますので、その点について質問をいたしたいと思います。まず、昭和二十八年に武器製造法が制定された際に、おもに生産事業関係が、唐突というよりかも初めてのことなので、その運用に混乱が生じやしないかということで審議会が作られた。その後生産がある程度軌道に乗り始めて、すでに審議会が必要がないのでこれは廃止するということで廃止ということになったと思うのですが、まず第一問としては、大体現在の日本における防衛産業の、現在日本の防衛任務を持っているものは、その防衛の任に着くのに日本の防衛産業がまかなって足りるとする点ですね、そういったものをこれをどの程度にお考えになっていらっしゃるのか、まずそれが一つ。それからもう一つは武器製造産業というものと、それから防衛という広い意味の中には思想的なものやその他ありますけれども、主として武器に限定してお聞きしたいのでありますけれども、一体武器生産というものが軌道に乗ったということは、防衛の任務にあずかっている現在の防衛庁のいわゆる要求を満たしているのかどうかという問題、この二つの点からまず、廃止の問題とは別でございますけれども、お聞きいたしたいと思います。
  90. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 私どもは、本来国力相応の防衛力が必要だ、こういう考え方を持っております。そういたしますと、その防衛態勢に必要な装備等の製造、こういう問題は当然あわせて考えなければならないと思います。ことに戦後の状態を見ますると、これはもうあらゆる産業といいますか、工業が壊滅状態でございまして、当時アメリカ側の特需等がいろいろございましたが、急場に間に合わない。これは一面戦争に負けた後の状況でございますから、国民の中にもそういう点で武器弾薬等を作ることについては十分の理解を持ってもいない、こういうようなこともあり、産業界自身も乱立、事業再開というような状況で、秩序ができておらない。そこでただいま御指摘になりましたような審議会が必要だということでこれを作ったわけでございます。その後の情勢を考えてみまして、まあ審議会は別といたしまして、装備についての国内生産ということを見ますると、これは思うようにもちろんできておりません。で、ただいまの装備その他はアメリカの軍事援助、これで大体まかなってきております。一部では非常に古いものがあって、部品等も調達困難だ、こういうような不満もしばしば聞くのでございます。ところが、大きな意味においての装備、たとえば航空機だとか、あるいは艦船であるとか、あるいは自動車であるとか、こういうようなものについては順次それぞれ軌道に乗りつつある、かように見てもいいんじゃないかと思います。しかし、まだもちろん特殊なものにつきましては、アメリカその他の国から特別な指導を受けない限り十分にはできません。今ジェットの航空機にいたしましても、組み立てばできても部品その他あるいはエンジン等、大事なものがまだ国産できないという状況でございます。しかし、順次そのうちに整備されていくだろうと思います。それからもう一つは、いろいろの各種の火器の問題でございますが、火器の点になりますと、技術的な非常なおくれがあるということ、これが国内生産でまかない得ないということにもなっておろうかと思います。私どもの考えました際に、ただいまのような技術の面でおくれておるもの、これはやはり技術導入等によって整備を続けて参る、国産といいますか、国産でまかなえるような姿が望ましいことだと思います。ところが、今日までの装備等の需要、これはなかなか継続的に需要が出てこない。そういう意味からはいわゆる特殊な国内における防衛生産というものがなかなか採算に乗らないという問題もあるわけであります。したがいまして、今国内の防衛生産、産業というものは、私は本来軌道に乗っているという姿ではもちろんないと思います。別な数字等で申し上げますと、おそらく鉱工業生産の面から見まして軍需防衛装備等の生産は、おそらく一・一、二%程度のものじゃないかと思います。だから本来から申せば、自衛隊等の必要とする装備は、国産でまかなえるようになれば、これは支払いの面から申しましても、予算を使う面から申しましても、非常に適切だと思います。しかし、なかなかそこまできておらないというのが今の実情だと思います。で、しからば一体鉱工業生産技術そのものは一体どうなのか、こういうことになりますが、いわゆる武器あるいは装備生産、こういうことにはぴったりは合いませんけれども、このままの工業の技術あるいはその生産水準等から見れば、設備等の点から見ましても、指導よろしきを得れば十分必要なものも国内で調達し得る、こういうことになり得るのじゃないかと思います。今日まで通産省といたしましても積極的にそういう意味の相談をまだ受けておりません。しかし、今後防衛庁のほうの計画そのものによっていわゆるアメリカの軍事援助等が後退するとなりますと、国内産業をもってこれにかわっていくということにならざるを得ないのじゃないか、かように思う次第でございます。
  91. 横川正市

    横川正市君 たまたまこれは解消さわるのですから、事実問題としては、そう質問を多としないわけですがね。しかし、防衛庁の装備局長が通産省へ入ってきて、それで防衛庁の内容については十分承知のはずなのに、その承知の上に立ってこれは要らない、こういうことがあったのだから、いささか勘ぐられる点が二、三あるわけですよ。そこで私は、今大臣の言われるように、国の防衛を考えた場合に、他の国の産業に依存をしてそれをなすということは、まずこれは少しおかしいわけですね。大体それならば国内で防衛産業というものを、これからひとつネジを巻いて、さあやろう、こういうことになったら一体大臣が言ったように、はしなくも技術の面、それからいわば費用の面、そういったことでどの程度までなし得るのかということにぶつかってくるだろう。そこでおそらく答弁は、援助をされながら、逐次、年次をかけて助衛産業というものを育成する、こういう答弁になるのではないかと思うんですがね。大体そういう場合、私は今の防衛産業で組み立てをやっておられる会社なんかの事情を見てみても、何回か防衛庁との間にやりとりをした中にも、速記録に残っているはずでありますけれども、非常に計算しづらい、つかめない、むだなようなという、そういったものの重なった発注とか取り引きとかというものがたまたま起こってくるわけですよ。そういうことにぶつかった場合に、当面の問題として一番必要なのは何かといったら、最も適正な有識者によって、そういったものが総合的にいつでも検討されるような第三者というものが必要なんじゃないかと、おぼろげながらそう思うんです、大体。それについては大臣は、どうお考えですか。
  92. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 今までありました武器生産審議会、これは当時たまを作るのが主じゃなかったかと思います。そういう意味で非常に程度の低いものだったと思います。最近の装備で一番問題になりますのが、航空機の整備であるとか、あるいは電子工学の関係のものが、非常に台頭してきているというか、頭を持ち上げてきておる。そういたしますと、在来のような審議会よりももっと専門的な審議会が必要だ、かように実は考えられます。したがいまして、今回これを廃止し、また、すぐ新しいものを作るという考えを持って申すものではございませんが、武器生産審議会は本来の目的からみると、時勢には合わないものと、かように実は思います。ただいままで航空機に関しましては、あれだけ特別なやかましいロッキード問題等がございまして、十分関係業者と検討を遂げて参っておりますし、また、国産の中型航空機なども近く第一号を引き渡すという時期になっておりますから、そういたしますと、航空機についての特別審議会を設けなくても、それぞれの研究者の団体で十分話し合いができるのじゃないかと思います。特に必要だと考えられますのは、電子工業の関係では、研究の分野も大きいし、また、これに関与する技術部門も相当広範だと思います。そういうものについては、あるいは将来必要かもしれません。だから今回廃止するものが、国内生産をないがしろにする、こういう意味のものではなくて、もっと形をかえた方法で、必要な審議会は審議会として検討すべきだ、かように私は理解し、また、それならば国民にも納得のいくものではないか、かように私は思います。
  93. 横川正市

    横川正市君 これは廃止する問題ですからその程度にとどめて、あとはまた防衛庁あるいはそのとき関連して通産当局の意見もお聞きしたいと思います。  それから第二点は、今回電気関係の法令改正審議会というものが廃止になって、電気事業審議会が設置をされるということになったわけですが、そこで具体的な問題でお伺いしたいのでありますけれども、きわめて高い水準で日本の経済が伸びたということは、これは数字が示すとおりなんでありますけれども、私は各山村あるいは漁村等で無電灯部落が依然として解消しない。しかもその無電灯部落へ行って事情を聞いてみると、山村で三反か一反五畝の全くの零細農家か、他は日雇いで生計をまかなっているというところの人たちがなけなしの金を作って電灯を引いた、さあ電気料金が高いということで、ついに休灯するというような問題にぶつかる。ですから、これは電灯を引いたところから、それから最後の維持のところまで私は今問題が出ているのではないかと思うのです。そこでこの審議会、電気事業審議会はこの法令関係審議会を廃止して、もっと広範な問題を検討しようということは、他にも何か農林省それから文部省、通産省その他関連して他の委員会に何か法律が出ているようでありますけれども、通産当局としては今の電気事業関係の全体の経営について、公共性というものを考えながら無電灯部落を解消し、なおかつ将来、維持については最も低廉な料金でこれが提供できるような、そういう考え方をもって法律改正その他を進めているのかどうか、その点をお伺いしておきたいと思うのです。
  94. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 今度の電気事業審議会につきましては、もちろんそういった電気料金全般の問題につきまして検討をいたしますほか、その料金制度そのものにつきましても、根本的には電気事業の企業体制のあり方はどうあるべきか、あるいは公益事業としての規制はとうあるべきかといった問題等も、十分検討すべきであろうと思っております。でありますので、この審議会におきまして、もちろん将来理想としましては、電気料金も下げていくべきだということは当然でありますが、なかなかその点がいろいろ問題はあろうかと思いまして、そういう点につきましてこの審議会で十分検討いたしたいと、かように考えております。
  95. 横川正市

    横川正市君 そこで大臣に、電気事業関係が九分断されたときには、当時私どもは国会審議するのを見ておったほうですが、はたして分断されることはよいか悪いかということは論議したはずなんです。そこでこういう公益事業という性格が非常に強い面を、地帯性を持たせて、そうして当時は電気の必要に従いまして重点配給をするという性格もあって分断をされたと思うのですし、また、各地域に従って経営を合理化するという意味もあったと思うのですが、そろそろここまで日本の経済事情その他が発展してきた時期ですから、これはやはり全国統一の方向に向かって、同一料金でどういうような地域にも電気の供給を行なうという方向に行くべきではないかと思うのですが、大臣のひとつ所見をお伺いしておきたいと思うのです。
  96. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) なかなかむずかしいお尋ねでございます。電気は一緒であるべき、あるいは水も一緒であるべきだとか、こういう画一的な議論ももちろんあると思います。あるいは鉄道も国有鉄道である限り全部賃率は一緒だとかこういう事柄、これは非常に見いい、見やすい方向でございますが、しかし、今の電力会社が九つに分かれておるというその立場から見ますと、コスト主義から見て各地域で電力料金が違うこと、これもまたやむを得ないと思う。そういうことを考えると、第一段の大前提から、エネルギーの基礎だから国内のどこへ行っても同じであるべきだ、それからその統一論が出てくるという、いろいろ体制上の議論としてはいろいろなことがあるだろうと思います。私は必ずしもそういう画一論に賛成する者でもございません。もちろん産業の地域的分散なりあるいは地域的格差をなくする、こういう意味からはいずれの土地でも同じように産業が興り、興ってしかるべきだ、そういうことが地域格差をなくするゆえんでもありますから、そういうことを考えますと、これは電力あるいは水というようなものが同一であることが望ましいと思います。思いますが、やはりある程度地理的条件なり立地条件の相違は、人間の制度等ではなかなか克服しにくいんじゃないか、そういう点が自然の姿であることも場合によっては好ましい姿ではないかと思います。だから、非常に横川さんのお尋ねはむずかしいことでございますが、ただいまの審議会ができれば、もちろんこの審議会の審議対象には企業体制というものも検討するつもりでございますから、こういう事柄は各階層の良識を集めてそうして結論を出すべきが望ましいことじゃないかと、かように思いますので、まあ、個人的意見は発表を差し控えさしていただきたいと思います。
  97. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ただいま説明員として、藤岡工業用水課長、武藤公益事業課長が御出席になりましたから御報告いたします。
  98. 横川正市

    横川正市君 私は、何もかにも思想を異に——根本を異にしている大臣ですから、それをまず直せという意味質問をしたんではなくて、ある時期においては大臣の言うようなそういうアンバランスがあってもいい、まあ、いいというよりか、仕方がない。しかし、この段階にきたときに大体どの程度のことになるかというと、キロワット当たり大体倍額ぐらいなたしか値段になるんじゃないですか。その日常消費量がそのぐらいの料金くらいはこれは同一——まあ地帯制でいうならばたとえば関東とか東北とかに分けて、関東の統一料金とか、あるいは東北の統一料金とかということでまかなっていいんじゃないか。また、ことに消費量が都市に偏重いたしまして、そのパーセンテージというのが全然問題にならないくらい都市の使用量が多いわけですから、かりに平均ベースをとってみても、それほど全体のコストは高くならないと思うんですよ。かりに、もうなけなしの資財を投入して、そうして電気は引いたわ、休灯するわという事態は、これはもう料金の問題でくるわけですから、さしあたってその地域のいろいろなアンバランスがあることもやむを得ないと認めても、その地帯地帯の料金というものを均一料金にする——まあ、冬の均一料金、夏の均一料金というのはありますけれども、そういう程度までのものにこの料金というものは変えていって、そう私は会社側の収入にどうとかこうとかという問題ないと思うんですよ。だから、そういう手段を講じてやらなければ、実際上は無電灯部落へ行って私どもが聞くいろいろな事情というものを聞いたら、これはもう聞くも涙語るも涙ということですよ。今もう盛んに、入学期になってから、電灯のないところでは結局お月さん——昔の二宮金次郎みたいなものですよ。外のほうが明るいから、外のほうの明るい間そこで勉強しているという状態があるわけですね。だから私は、そういう子供たちに電灯をぜひ引いてやりたいという親心もこれはわかるんですよ。それから、その人たちがせっかく引いたものを切らなきゃならぬというような事態に至らないようなものは、さしあたって最小限何とかできないものかということを考えるわけですが、それから、審議会なんていうものを今どき作ってやらなきゃならないような、そういう何か大きなものがあるのかどうかといえば、これは私、経営全体の問題だと思う。実際は今、電灯が普遍的に、どこへ行っても電灯がつきますよというぐらいにはなってもいい時期じゃないかと、これは何も、思想が違っておってもそのぐらいのことは考え方としては同じだと思うんです。あとは維持料としてどうかという、このぐらいの点は政府のほうとしては考えて、そうして、そういう地帯に対する救済の手というものを引いてやるべきだと私は思うんですがね。もう一回、ひとつ御答弁願っておきたい。
  99. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 基本的に各地の東北あるいは関東あるいは関西、九州こういうのが今電力料金がまちまちでございますから、そういう意味においてのお話かと思いまして、話を無電灯地区、これの解消というところへしぼってお答えをしてみますると、各電力会社がその配電区域を一応持っておりますので、これにつきましては通産省無電灯地域の解消の年次計画等を作成さして指導をいたしております。ことにこの本土関係におきましても、山間僻地あるいは海岸等にそういう場所がところどころできてくるようですが、北海道地区など非常に多いようです。そういう意味で北海道地区なども年次計画を作り漸次それに合わすような方法を行なっております。それにいたしましても、横川さんが今御指摘になりますように、せっかく電灯を引いてきた、引いてきたが、電灯代が高くて休灯せざるを得ない、こういうものの解消方法、これにつきましては、私どもも初めて実は伺ったのでございます。たいへんお気の毒な立場にあられる方もあるということを私ども今知ったわけですが、今日まで私の耳に強く響いておりますのは、無電灯地域、これを解消しろ。相当の部落数があります場合において、電力会社自身がこれを解消することについての各種条件も出し、地域的にもそういう相談がまとまりますと、相当幹線から遠隔の地でも電灯をつけるように順次いたしておりますが、一時にはなかなかできません。まあしかし、年次計画で解消すること、その程度で電力会社の負担もなしくずしにしていただく、こういうことで御了承を得ているわけでございます。実際の消費電力量その他の関係でこれが特に負担過大になる、こういう処置は、いわゆる最初のイニシアル・コスト自身の金利その他を考えますと、相当高いものになっていますけれども、月々払う料金そのものとすれば特別料金は実はないように思いますので、今どこでも行なわれている料金でひとつごしんぼう願いたい、かように思います。まず第一は、そこへ電力を引っぱっていく、それが最初な問題なものですから、それを会社といろいろ相談してただいま申すように逐次なくしていく、こういう方針をとって参りたいと思います。
  100. 横川正市

    横川正市君 だから私は、審議会が設置されてからそこで審議するということを待たずに、検討していただきたいと思うんであります。要望して質問を私は終わります。
  101. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大臣は三時ごろまでというので、簡単にひとつ要点だけ質問したいと思います。これは実は第二分科会でやりたかったのですが、こちらとかけ持ちであなたとお会いできなかったので、せっかくですからここでやっておきたいと思います。  実は工業用水道事業の問題ですが、これは相当地盤沈下の関連で非常に問題があって、大臣非常に陳情があり、私も取り次いだこともありますが、幸い今度予算で前年度に比較して五〇%の増額となってけっこうだと思いますが、しかし、総額から見ますと、まだ三十七億程度しかならない。そこでわれわれとしてはこれではいけないと思っているんですが、順次それについて通産省としては年々計画的にこれを助長するという考えはあるのかどうか、これをちっょと聞いておきたい。
  102. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) これは大事な問題でございますのでもう少し予算がほしかった。しかし、まあこの程度の予算にきめざるを得ない状態でございます。もちろん今あります年次計画を推進して参ります。同時にまた、各地とも工業用水には不足しておりますので、その計画がおありのことだと思います。そういうものを適当に取り上げて、そして整理の方向へ進んで参りたい、かように思っております。
  103. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあこれは大体が地方団体が力を入れてやらなくちゃならぬ本質的な問題でありますが、地方の財政状態は、御存じのように、そう余裕はない。そういうところから地方も非常に財源に困っておるのですが、そこでまあ私は大阪ですから大阪の例はよく知っておるのですが、この工業用水を利用した場合と地下水を利用した場合はコストがだいぶ変わってくるんじゃないかと思うんですが、これは通産行政上から見てどういう将来これに対して——コストを下げるということはなかなかこれはむずかしいように思うんですが、この点はどういうお考えであるか、これをちょっと聞いておきたい。
  104. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 大阪の地下水とそれから工業用水道と、これは料金が確かに工業用水道のほうは高くなります。ところで、大阪の地下水の汲み上げ、これはまあ地盤沈下の大きな原因だといわれておりますが、これも順次制限をするという方向で、きょうこの国会に提案して御審議をいただきます法律案が閣議で決定をいたしまして、今まで地下水を使っておりましたものも順次工業用水道に変わっていただく、こういう指導をするつもりでございます。しからばその高くなったものは一体どうなのかと、まあこの工業用水道を使うものは全部が全部同一なものでございますが、今までの地下水よりも幾分か高くなりますけれども、地下水も、御承知のように、一度掘った井戸がいつまでも使えるものでございません。そういうことを考えますると、まあ順次、やや高くなったが、そのほうに変わっていただいて、それを他の面でひとつ、コストの低下には他のほうでひとつ工夫していただくということでないと、どうも地盤沈下対策等には対応できないんじゃないかと思います。まあできるだけ私どもも工業用水道を安く供給したいと、かようには考えますけれども、最近の状態だとあまりどうも安くはならないようでございまして、たいへん御迷惑をかけておる次第でございます。
  105. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それからもう一つこれに関連して。近代ビルが続出するということで、冷房用の用水ですね、これが地盤沈下に相当影響があるという専門家の話なんですが、そういう点で、おそらくこれはまあ工業用水ですから、そういうものに回すだけの余裕もない。これに対して通産省はどういうお考えなんでしょうか。
  106. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) との冷房用の水は、建設省のほうでちょうど今回それを規制する法律案を出します。き、出うそれがちょうど閣議決定したばかりでございます。これで工業用水とそれから冷房用のビル用の用水と大体歩調がそろうようになっております。
  107. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは要望ですが、この交通の問題も、もうすでに数年前から交通問題でいろいろ、われわれもこれは当時大阪におりましたぶ、当局に言ったんですが、それが今日まで放置されていよいよ行き詰まってきた。これもまた行き詰まってから対策を講ずるのではもうどうにもならぬと思うんですが、大阪はもう御存じのように、川筋が下がっちゃって船が通らない。もう川は用をなさぬと、こういう状態です。これもすでに十数年前から、戦前からこの問題は取り上げておったんですが、今日までそれが放置されていた。結局行き詰まっているような状態です。したがって、この点はひとつ、どこの所管であるか、通産省が主としてやられると思うんです。佐藤さんは実力者ということになっております。でひとつこの点は力を入れて、政府の力を入れるように御協力願いたいと思うのです。この問題はこのくらいにしておきます。  それからもう一つ、自動車産業の問題ですね。これは設置法には関係ないのですがね。最近三十六年では生産が八十万台を突破しておるようです。三十七年度は百万台というようになっておるのですが、交通問題との関連でこれは今の経済状態ではおそらくそういう自民党政府としてはそういう規制を加えられぬけれども、生産の方面も若干規制する必要があるのじゃないか。これは全般に生産を押えるという意味じゃないのです。車種の規制とか、輸出向けの、とにかく輸出が多くなればそれでいいんですから、現在内需向けの宣伝ばかりで、もう困っておるのじゃないかと思うのですが、その点野放しで生産を高めていくということだけでは私はいかぬと思うのですが、通産大臣はどうお考えですか。
  108. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 自動車交通、ことに都市における道路交通、これはもうたいへんな混雑で、ただいま御指摘になりますように、自動車の整理関係、各大臣、たいへん力を入れておるわけでございます。一部山本さんの御指摘になりまするように、生産を少し制限したらどうかというような話もたまにはあるやに伺っております。しかし、私はこれはまあとんでもない考え方だと思うのです。ただいまの都市における自動車は相当はんらんしているとは申しましても、日本全体から見ますると、まだまだ自動車の量というものは不十分といいますか、十分だとは言えない状況だと思います。ことに御指摘になりますように、輸出産業としてあるいはトラック、ジープその他バス等も相当出ておりますが、輸出産業としては相当輸出いたしておるわけでございます。やはり量産するところにコストの低減もございますし、技術の前進もあるわけでございます。そういう意味では、もう少し国際的には立ちおくれている国内自動車産業を拡大していくことを、私どもは考えるべきだと思います。ただ非常に都市に集中している、これに対する特別の対策を立てるべきじゃないかと思います。都市における需要が非常に減退した場合にこの生産が維持できるかどうか、そういうことは一つの問題だと思いますが、業界等におきましても今直ちに生産を減じなければならない、かようにまで需要の減退を見込むということはまだ早計のようにみんなが見ているようでございます。これは非常に大事な問題でございますから、今の都市交通、これの緩和がどのくらいかかるという、今のように制限することが本体の姿ではないでございましょうから、これは制限は一時的なやむを得ない措置だとかように考えて、伸ばすべき産業は産業としてやはり育成していくべきじゃないか、かように思います。
  109. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 通産大臣としては、そういう立場であろうとは思いますが、しかし、日本の自動車産業については非常に無統制でやられておるのじゃないかと思うのです、実際問題で。いわゆる内需を主体として何とかいわゆる月賦販売なんかで各家庭にまで普及する、これは一がいに悪いとは言わない。しかし、道路の状態とか、あるいは日本の経済の成長工合と非常にびっこになっている。そういうところにそういう努力目標に産業経営者が考えるということよりも、やはり輸出ということに重点を置いてやはりある程度考えていかなくちゃ、日本産業の発達というものは私は成り立たぬじゃないかと思う。内需は限度がありますから、したがって、内需でそれをまかなうということになればおそらく私行き詰まると思う。もうすでに年産百万台となればもちろん毎日々々償却していきますから決して永久的なものじゃないのですが、そこに行き詰まると思いますので、この点はひとつまたいずれかの機会にもう少し掘り下げてやりたいと思います。  もう一点だけ、鉱山監督局を強化される、これはわれわれ賛成なんですが、どうも予算を見ましても何を見ましても、鉱山監督局の増員は割合にわれわれが思うよりも少ないと思うのですが、私はあまり増員することに賛成しないほうなんですが、その点は十分これで監督業務は遂行できますか。ここにちょっと不安があるのですが、その点ちょっと……。
  110. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 鉱山保安行政につきましては、特に御承知のように、保安係員を十分増員するということが重点でございまして、そういう面からしましても、昨年の中途におきましても四十名を増員いたしましたり、来年度におきましてもさらに二十名を増員いたしたい、かように要求をいたしておるわけでございまして、そういう面におきましては、われわれといたしましては、今後とも十分留意をいたしていきたい、かように思っております。
  111. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕は昔から鉱山についてはいろいろと、私自身経験はないが、親がそういうところで非常に苦しんだ経験がありますが、災害が起こるたびに思うのですがね。おそらく何といいますか、鉱山、もちろん坑内夫を対象ですが、あれほど実は不安な作業場はないと私は思っている。朝出ると、夜帰るまではどうなるかわからないというような不安な家庭の状態ですね。しかも非常に日本は鉱山の災害というものは多いのじゃないかと思うのです、統計から見ても。もちろんこれは監督だけじゃいけないので、これは通産省が今度重点施策としていろいろ取り上げておりますが、非常に徹底してやっていただきたいと、私は個人的にもそう思うわけです。災害が発生するたびに身の引き締まるような感じがするのですが、これは本人やその家族でないとその気持はわからない。昔は監獄部屋といって、向こうには囚人あがりか何かしか行かないというようなきわめて酷な状態であった。割合戦後民主化されて、組合運動も自由になって、だいぶ変わってきましたけれども、それでも普通他の産業の労働者から見ると、非常に私はまだ酪であると思うのですね。この点はひとつ今後通産省としても十分考えてもらいたいと思うのです。私は時間がないのであまり言いませんけれども、あれに携わる人の家族だと思って、十分国としてば施策を施してもらいたいと思うのですが、これについて大臣の所信だけ聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  112. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 御指摘のとおり、安全操業、これはたいへん大事なことでございます。私ども石炭産業が特に不況産業だといわれあるいは廃止炭鉱等がうわさされておる際でございます、そういう際でございますだけに、一そう保安作業は厳重にいたしまして、そうして安全を確保したい、かように実は考えておる次第でございまして、今回特に部を局にいたしましたのもそういう意味を明らかにする、あるいは一般の行政とはこれは別個にして、本省直轄の指揮下に置く、こういう点はただいま申し上げるように、人命尊重、ことにまた、鉱山の最近の経営状態等から、ともすると、こういう点に力がおろそかにされるのではないか、手を抜かれるのではないか、そういう心配等から、これに対応するつもりで機構も整備したいとの現われで改正案を出しておる次第でございます。
  113. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 残余の質疑は次回に譲り、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五分散会      —————・—————