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1962-03-31 第40回国会 参議院 大蔵委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月三十一日(土曜日)    午前十時四十七分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    理事            上村 忠次君            佐野  廣君            荒木正三郎君            永末 英一君            市川 房枝君    委員            青木 一男君            大谷 贇雄君            岡崎 真一君            木暮武太夫君            田中 茂穂君            高橋  衛君            西川甚五郎君            林屋亀次郎君            堀  末治君            前田 久吉君            山本 米治君            木村禧八郎君            成瀬 幡治君            平林  剛君            原島 宏治君            杉山 昌作君            須藤 五郎君   衆議院議員    修正案提出者  毛利 松平君   政府委員    大蔵政務次官  堀本 宜実君    大蔵省主税局長 村山 達雄君    大蔵省関税局長 稲益  繁君    国税庁長官   原  純夫君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○関税定率法及び関税暫定措置法の一  部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○国税通則法案内閣提出、衆議院送  付) ○国税通則法施行等に伴う関係法令  の整備等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を開きます。  法人税法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のある方は御発言願います。
  3. 市川房枝

    市川房枝君 法人税法関連してちょっと伺いたいのですが、法人税法の第九条にあります寄付金損金算入の問題ですね、あれはいつからそういう規定ができたのでございましょうか。
  4. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 今はっきりわかりませんが、相当古いだろうと思います。昭和二十二年の申告納税制度か、あるいはそれ以前ではないかと思います。いずれその点は、ほかの法規を調べますとすぐわかりますので、あとで調べてお答え申し上げたいと思います。
  5. 市川房枝

    市川房枝君 終戦後に新しくそういう規定を設けられたのかどうかしら。その設けられた理由というものも伺いたいと思います。
  6. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 今九条の損金算入……。三回ございます。一つは、いわゆる法人の一般的な寄付金につきましてある限度を設けまして、その限度をこえる分は損金に算入しない、この分が一番古いわけでございまして、所得の百分の二・五、資本金の千分の二・五、合計額の二分の一をこえたら、その分は損金に算入しない、こういう規定でございます。これが先ほど申したように一番古い規定でございまして、昭和二十二年か、あるいは戦時中であったか、あとで調べてお答え申し上げると、こういった分でございます。  その次は、いわゆる指定寄付金でございまして、大蔵大臣が指定する寄付金については、限度をきめずに全額損金にいたします。この制度昭和二十五年から設けられたわけでございます。同じ九条関係で政令で指定している分がありますが、これは昨年入った分でございまして、いろいろな科学技術研究機関とか、あるいはそれを奨励する機関、あるいは私立学校育英会、こういうものに対する寄付金につきましては、最初申しました所得の百分の二・五、資本金の千分の二・五の合計額の二分の一まで、これと同じ額に達するまでは別ワクとして、特に損金算入に認めるというのが昨年の改正で入った分でございます。今ちょうど三つあるわけでございます。
  7. 市川房枝

    市川房枝君 今の御説明の第二と第三については私納得がいきますが、第一のは、これはどういう理由で設けられているのですか。
  8. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) それはこういうことでございます。法人寄付金のうち、事業関連をする寄付金、これは当然損金に算入すべきものでございます。しかしながら、事業と何の関係もない——会社事業は、それぞれ定款でもってきまっております。それと何にも関係のないことでございまして、たとえばそこの社長さんの郷里寄付をするとかということは、これは間々あるわけでございます。これは法人事業とは何の関係もないことでございます。これは当然損金にはならない性質のものでございます。ただ、一般的に申しますと、法人というものは個人と違いまして、私生活がないわけでございまして、やはり事業目的にできておるというのが法人の特質でございます。したがいまして、一つ一つその支出を調べるのもむずかしいし、実際いいますと、さっき言いましたような基準でもって振り分ければよいのでありますが、本来会社というものは事業目的のために存立しておるものであります。したがいまして、ある程度損金がありますと、寄付をしたといえば、ある限度までは寄付でその事業関連したものとして推定して取り扱うほうが相互便宜だと、そういう意味である限度を設けまして、その範囲でありますれば、一々内容を調べませんでも、おそらく事業関連してお出しになったのでございましょう、こういう推定のつもりで今の限度が入っているわけでございます。
  9. 市川房枝

    市川房枝君 今御答弁の中に、社長郷里寄付をするといいますか、あるいは会社の私用のことに対する費用の出所がないというようなお話でしたが、それは交際費というのは別に租税特別措置であるのですね。これは相当額なんです。もちろん、昨年これは少し制限をされたようですけれども。だから、交際費——交際費というのは、「交際費接待費機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業関係のある者等に対する接待、きょう応、慰安、贈答その他これらに類する」ものというのですから、当然そこに入るのであって、今の寄付金使途説明は、ちょっとそれに該当しないと思うのですが、いかがですか。
  10. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 交際費はあくまでもやはり事業関連して出されているのでございます。ですから、得意先とか、そういうものを接待するとか、得意先に対する機密費的な使い方をするとか、しかしあくまでもその中心は事業関連するわけでございます。したがいまして、本来からいえば、やかましい論理からいいますと、それは法人にとっても損金と認めらるべき性質のものだ。しかし、それは今の情勢からいって、あまりにも大きな交際費になってもいかがなものであろうかということで、逆に強くする意味租税特別措置で押えているわけでございます。逆に抑えているわけでございます。  ところが、寄付金というのは事業関連のない支出を考えているわけでございます。ですから、今の、社長さんが事業と何も関係のない、生まれ故郷の郷里寄付をされたというようなことは、これは事業遂行には何ら関係ないわでけございまして、それがいわゆる寄付金といわれているわけでございます。その場合に、先ほど申しましたように、別に指定寄付金制度がございますし、それから特別の試験研究機関とか、あるいは教育用にやれば、別ワクはございますけれども、本来のワク寄付金はそういう意味事業関連を持たない寄付金について書いてあるわけでございます。
  11. 市川房枝

    市川房枝君 まあ第二、第三の指定寄付金なんかのは、これは社会公共のためということなんで、これはある程度外国でも損金算入を認めているらしいのですけれども、いわゆる第一に掲げられているといいますか、おっしゃったような事項には、これは外国ではそういう例がないというのですが、どうして日本だけそういうことがあるのですか。
  12. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これは何と申しますか、外国のほうは一々指定寄付指定寄付でありますが、そうでないものにつきましては——、指定寄付というのは本来損金性質を持たないものを特に損金にしているわけでございます。これは損金性質を持たないものでございます。それから、損金性質を持っているものにつきましては、外国では一々調べて、これは損金、これは損金性を持たないと、こうきめているわけでございます。ちょうど日本個人が今それと同じ扱いをしているわけです。ところが、法人の場合でございますと、それが一々相互にたいへんな手数になるということでございます。本来、やはり法人というものは、寄付をするためにある存在でもございませんし、事業遂行上にあるものでございますから、それがある程度使途がわからない、しかし社外には出ておる、これは要するに寄付金でございます、そういうものがあったときに、一々そのこまかい金額をはたしてそれが経費に相当するものであったかどうかということをいわないで、ある程度相互の実務の便宜を考えて、ある程度までは使途を問わないで損金にする、いわば相互手数をはぶくための便宜規定というわけでございます。しかしながら、その思想におきましては、外国とそう違うわけではないだろうと思います。
  13. 市川房枝

    市川房枝君 事業関係があるということをいえば、交際費がありますわね。さっき言いましたように、このほうは事業とは関係がない、直接の関係がないので、損金に算入すべきほんとうは性格のものではなくて、むしろそれは、その金額はまあ配当として株主に還元するなり、あるいはそれこそ法人税として国家に収入となるべき性格のものではないかと思うのですけれども、いかがでしょう。
  14. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 現行のその規定の結果は、その事業遂行関連があろうがなかろうがということになります。あってもそうなります。ですから、外国のほうは一々調べまして、その金額がどんなに大きくっても、それが事業関連をしたいわゆる支出金であれば、経費に認めるわけでございます。それから、それがどんなに小さい金額でありましても、事業関連がなければ、それは否認さるべきものでございます。日本の場合と考え方は同じなんです。ただ、それを一々その両方で詰めていくということがむだではなかろうか、こういうことで、ある金額限度にいたしまして、そこまではそういうものといえば、推定する意味で、みなす意味で書いてあるわけでございます。ですから、今度はそういう規定を設けられたあとになりますと、かりに事業関連のある寄付金でございましても、オーバーすればだめだということにはなります。なりますが、考え方の発足は、何を損金に認め、どういうものを損金に認めないかということについては、外国日本も同じ考えだ。ただ、日本の場合は、手数の点を考えまして、それを法定してしまったというところが結果的に違ってくる、こういうととでございます。
  15. 市川房枝

    市川房枝君 御説明、どうも私納得いかないのですが、事業関係のあるものなら、はっきりとそれは損金に私は算入していいと思うのですけれどもね。関係のないものだったら、損金に入るのがおかしいので、その区別ができないとおっしゃるのですけれども、今の国税庁の機能でできないはずはないと思うのですが、その点、私はどうも納得がいかないのですが、どうでしょう。
  16. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これは一つ手数関係と、それからもう一つは、その限界線になると非常な問題がありまして、かえってこまかくやることが不公平になるのではないか。この両方をにらんできめた規定でございます。
  17. 市川房枝

    市川房枝君 私、もっと率直にいえば、その金の中にいわゆる政治献−金というものが、その金の大部分といいますか、その金額がわからないとおっしゃるのですけれども、政治献金になっているという現実ですね、そういう認識をなさいますかどうですか。
  18. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これはいろいろな方面に出されると思います。もちろん、事業関連して出さねばならぬ金もたくさんあると思います。それから、そうでないものもあると思います。法人によってかなり違うんじゃないか。政府献金だけだとはとても考えられませんです。
  19. 市川房枝

    市川房枝君 それの区別は、全然当局としてわからないのですか。
  20. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) その限度以内の問題については、現行法上調べる必要ございませんので、調べておりません。
  21. 市川房枝

    市川房枝君 一体、その税率といいますか、損金に算入する率が、現行で一体適当なのか適当でないのかということなんかは、これは当局として当然調査をなさるべきである。それのためには、その内容が一体どういうことに使われているのかということは、当然私は当局としては調べるべきだと思うのですけれども、どうなんですか。
  22. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) この金額は、もう見ておわかりのように、所得の千分の二・五、資本金の千分の二・五の合計額の二分の一ですから、非常に会社では少な過ぎる、こういう非難、そういうほうの不平が一般的でございます。
  23. 市川房枝

    市川房枝君 全部の法人でなくてもいいですけれども、たとえば資本金十億円なら十億円以上の会社法人で、一体その損金算入してもいい寄付金額というのはどれだけかということは、これは当然おわかりになりますね。それの金額の一ぺん調査したものをちょうだいできますか。
  24. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) こういうことでございます。限度は、したがって、法人によってみな違うわけでございます。資本金が違いますし、その事業年度所得が違います。それで自動的に出て参ります。どれくらいこれを使っておるかと申しますと、かつてサンプル調査をやったことがありますが、この限度内の六割程度を普通に使っておるようでございます。
  25. 市川房枝

    市川房枝君 そうすれば、あとの四割は税金対象になっておるわけですか。
  26. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) ええ。支出されていないから、自動的に税金対象になる、こういうことでございます。
  27. 市川房枝

    市川房枝君 それは当然計算をすればわかりますから、資本金がそんなに小さいものは必要ないと思うのですが、今局長は非常に少額だとおっしゃいましたけれども、考え方によって少額かどうかという問題は言えると思うのですが、だから、これは会社資本金とその年の所得ですね、というものにさっきの率をかければ出てくるので、当然わかるはずだと思いますが、これはすぐでなくてもいいのです、あとでもよろしゅうございますから、ひとつその数字——額ですね、との会社資本金幾らで、損金に算入する限度幾らだという、その表がほしいのですが。
  28. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これは表も何もないわけです。たとえば五百万円の資本金でございますと、資本金の分が千分の二・五ですから五千円の二倍半でございますから、一万二千五百円ですか、一万二千五百円と。それから所得がかりに百万円といたしますと、百分の二・五ですから二万五千円になりますね。だから、その合計額の二分の一でございますから約一万八千円、そういう会社ですと、一万八千円が限度でございますということになるわけですね。実際使っておるのは、先ほど申しましたように一万八千円一ぱい使っていないので、大体その六割でございますということから、二万一千円くらいしか使っておりませんと、こういう状況でございます。
  29. 市川房枝

    市川房枝君 そのそろばんは私だってできるから、一々教えていただかなくてもいいのですが、しかし二、三年前に調査したというのがおありになるなら、それはいただけますか。
  30. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) あとでその数字は差し上げます。
  31. 市川房枝

    市川房枝君 あとでけっこうです。  なお、伺いたい。納得のできない点が多々ありますが、これはあとでまた引き続いて何かの機会に伺いますから、一応これでよろしゅうございます。
  32. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ほかに御発言がなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  34. 永末英一

    永末英一君 民社党はこの法案反対であります。  理由は、法人税に関しては、特に中小法人に対する軽課課税という問題について、中小法人側が非常な期待を持って見ておったのでありますが、今回の改正案におきましては、この重要な問題に触れることなく、退職年金積立金に対する課税等という非常に小さな問題の改正だけをやって、一時しのぎをやっているように思われる。しかし、現在の池田内閣所得倍増計画による日本経済成長政策と称せられるものが進行しておりますときに、一番困っておるのは、これは中小法人なり、また企業規模を小さくしておる個人事業者である。私どもは、特に中小法人に対する税率を下げるという問題は、現在の資本市場におきましては、大法人はいわゆる他人資本によって自分の事業規模を拡張することは非常に容易である。さらにまた、そのやり方は、政府における政府資金の活用、あるいはそれに裏打ちされた大きな銀行からの融資というものが容易に得られるにかかわらず、中小法人企業規模を拡張しようとするならば、一にかかって自己資本蓄積に待たざるを得ない。したがって、もし中小資本によって経営されている法人経営というものが日本経済の現状から見てどういう地位を占めておるかということがはっきりわかるならば、政府の全般的な政策の中に、中小法人における課税軽減をして、自己資本蓄積をはからしめて、それによってこれらの事業を大きくしていくという配慮がなくてはならぬと思うわけです。ところが、政府は、その面については問題のありかを承知しておりながら、特に中小法人個人所得者との、あるいは個人事業者との不均衡という面にのみ眼を置いて、もし中小法人税金軽減するならば個人事業者の負担と著しく不均衡になるということを理由にして、今回のこの軽減の問題を見送っております。われわれは、個人のほうも下げろと、こういうことを言っておるのである。個人のほうも下げるならば、したがって小法人も中法人もその税率について下げられることが容易である。ところが、政府は一貫して低所得者に対する税率を下げないという方針で臨む。すなわち、この面における大衆課税によって、その家計から、あるいはまたその所得から、政府の中に金を集めて、それを別途の回路を通して大産業に対してこれを落とすと、こういう方策を強行いたしております。この方策は現在の池田内閣経済政策の進行の上において非常な困難をこれらの中小法人なり、小さな個人事業者に与えておるということを考えました場合に、この問題を解決せずして、こんな程度法人税改正案という態度について、民社党としては承認するわけには参りません。  この問題については、今までの政府答弁で、研究をいたしておりますという程度でありますけれども、そうじゃなく、今この問題をはっきりしなければ、たとえば大企業面におきましても、設備投資の過熱のために今、引き起こってくるいろいろな将来見込まれる経済困難に対して、それらの引き締め政策はとられている。その引き締め政策はどこへ一体しわ寄せが来るかという見通しについては、われわれはきっとそれは下に落ちて、これらのところに落ちてくると思うわけでございます。私は税制だけによってこれがまかなわれるとは思いませんが、少なくとも税制においてもそういう用意をしなければ、日本経済均衡のとれた発展はあり得ないと思います。  こういう観点から、今回の法人税法改正ははなはだ不十分、不満足でございますから、反対意見を開陳をいたします。
  35. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ほかに御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。法人税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手
  37. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  39. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。——別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。−別に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  42. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  速記をとめて。   〔午前十一時十三分速記中止〕   〔午前十一時三十一分速記開始
  44. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記をつけて。  暫時休憩いたします。   午前十一時三十二分休憩      ——————————   午後零時五十六分再開
  45. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を再開いたします。  国税通則法案国税通則法施行等に伴う関係法令整備等に関する法律案議題といたします。  両案に対し質疑のある方は御発言願います。
  46. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まず最初に、この国税通則法という画期的な、非常に重大なこの法案を、十分に利害関係者の、あるいは学識経験者意見を聞かずに、どうして急に制定し、そして十分な審議もしないのにこれを通過させようとしているか。なぜ、この実施を急ぐのか。私、この通則法が答申され、それから制定され、国会に提出されてから今日までの世論を見ますると、財界においても反対しています。それから、日本で非常に権威のある税法学会においても反対しております。時期尚早である、十分に検討しない、これは非常に学説的にもいろいろ問題がある、また納税者に重大なる利害関係がある、それで学界でも、それから財界でも反対しているのです。また、これが十分に国民に公表され、そして検討、研究の余地が与えられていないわけなんです。これが国会に上程されるや、私のところにはもう、今持って参りませんが、反対の電報やらはがきやらたくさん来ているのですよ。それから、署名運動もたくさん来ております。こんなにほとんど国民をあげて反対しているものを、また十分これは納得されていないのです、議論も尽くされていないものを、なぜこんなに早く急速に実施しなければならないのか。この点がどうしても納得いかないのです。まず、この点について納得のいく御答弁を伺いたい。私は、いたずらにこの審議を妨げたり、引き延ばしたりするつもりはございません。こんなに画期的な重大なる法案を、十分なる審議もせず、国民に十分にこれを理解させないで実施したならば、これは重大な今後に影響を及ばすものでございます。普通の税法と違います。普通の税法は、毎年これが改正されますが、国税徴収法国税犯則取締法みたいに恒久法になると、簡単にこれは毎年修正するわけにいかぬのであります。いわば税法の憲法みたいな、手続法における憲法みたいなものになるわけですから、こんな重大な法案を十分に国民納得されないまま、急遽これを実施するという理由が、意図が、どうしても理解できない。この点について十分に理解のいくような御答弁をいただきたいわけです。
  47. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 御承知のとおりに、戦後ほとんど毎年といっていいくらいの減税に減税を続けてきたわけでございますが、税制の根本的整備という点につきましては、なかなか時間がありませんで、その機会がなかったわけでございます。そこで、昭和三十四年五月十九日に発足いたしました三年間という長期にわたる調査会に対しまして、内閣総理大臣から、日本税制の根本的改善策いかん、こういう諮問が出されたのは、まさにこういう状況下においてなされたわけでございます。  そこで、問題は二つございまして、一つは、実質的に各税の負担をいかに配分するかという問題、いわば実質的税制整備の問題が一つあるわけでございまして、この点は、去年、ことしの両年度を通じて各税におきまして改正が加えられたわけでございます。もう一つは、現行の租税体系、形式的な租税体系があまりにも複雑である。これを抜本的に整理いたしまして、納税者現行税制がわかりやすいものにするということ、現行税制納税者に親しみやすいものにいたしまして、納税者の理解を容易にする、その上に立って初めて今後における税制の合理化あるいは民主化が可能であろう、こういうふうに考えられたわけでございます。  現行の租税体系は、御承知のように、各税法の中にその納税義務者であるとか、課税物件であるとか、課税標準であるとか、あるいは税率、そこまでで大体税額が出るわけでございますが、その税額算出に至る実体規定と、きまりました税金をいかにして納めるかという納付の問題、間違っておった場合に税務署のほうで更正決定等をいたします、その自余のそれを修正する手続、それらの処分に対して不服のあった場合の救済手続、いわば実体規定のほかにこれらの手続規定が各税の中にそれぞれ設けられておりまして、これがかなり重複的な同じような制度でございます。しかも、その規定の仕方は、一方の税法では法律の中にあるかと思うと、他方におきましてはそれが政令の中にあってみたり、あるいは省令の中にあってみたり、しかも、その内容が十分なる理由なくして不統一であるということでございまして、非常にわかりにくいのでございます。  そこで、今度の通則法の第一のねらいといたしましては、これらの関係を整理いたしまして、実体的規定は原則として各税法に、それから諸手続はこれは通則法に入れます。滞納処分に関することは、各税を通じて国税徴収法にとどめる。こういたしますと、体系的に非常にわかりやすくなるわけでございます。これが一つのねらいでございます。  それから、第二のねらいといたしましては、それらの問題を考えますときに、現行のいろいろな制度で、納税者のほうから見て特に不利益になっておりまして、これを急速に改善する必要がある、こう認められるものが多々あるわけでございます。これまた急がれる次第でございます。  第三番目といたしましては、各税法を通じまして、基本的な法律関係が非常に不明でございまして、これまた税法の基本といたしまして明らかにする必要があるわけでございます。  こういう大体三点でございまして、先ほど申しました税制調査会におきまして、過去三年にわたりまして慎重審議をいたしたわけでございます。各界の学識経験者その他の方々にお集まりいただきまして、それぞれこまかく議論をいたしまして、昨年の七月に答申をいただいているわけでございます。政府は、これらの答申をもとといたしまして、さらに、政府はまた独自の立場で検討を加えまして、非常に広範な、示唆に富んだ答申ではございますけれども、この際としては、実施するに適するかどうか、機が熟しているかどうかという点にも十分配意いたしまして、この際実施することは、やはり情勢が熟していないと判断されるものにつきましては、これは税制調査会にお諮りの上、今度の通則法において制度化することから省いたわけでございます。そのような慎重な手続を経てやっておりますので、われわれといたしましては、十分な審議を尽したものと思っているわでけございます。  なお、この税制調査会におきます答申をいただきますとともに、広く世間に発表いたしました。いろいろな御批判があったわけでございますが、その批判の大部分は、実質課税の原則を初めとする五つばかりの項目でございまして、これらは政府におきましても検討の結果、今回はこの通則法からはずすことが適当と認められましたので、制度化していない事項でございます。
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ただいま政府当局のほうから大体四つの点をあげて、至急通則法を制定実施する必要があるということを述べられたのであります。  第一の理由は、現在日本には税金の種類が非常に多い。それぞれの税金がそれぞれの税法として規定されているが、これを通ずる共通の問題を個々の税法の中に規定されている。たとえば申告とか、更正決定とか、再調査審査の要求とか、あるいは税務職員の質問検査権とか、加算税とか、利子税とか、罰則、こういう各税法に共通な問題が各税法にそれぞれ書かれている。そこで、こういう共通な規定一つにまとめてしまったほうが納税者あるいは徴収者を通じて便利ではないか、これが第一の理由のように承ったのであります。  第二の理由は、非常に税法が難解である。だから、これをわかりやすくする。これが第二の理由である。これは確かにそのとおりだと思うのです。第一の理由もごもっともだと思います。今の税法は、人によると、非常に難解である。読めば読むほどわからなくなってくる。ある人は、一読して難解、二読して誤解、三読して迷宮入り、四読して了解に達せず、こういうふうに言っている人もあるわでけあります。この難解な税法をやさしく書き改めるということは、これは私はよろしいと思います。  それから、第三の理由として、納税者に不利な点のいわゆる救済規定、これをもっと明確にしていく。これもけっこうであります。しかし、今納税者に対して不利な点と言われたのは、税法自体よりは、その税法をもととして行なわれる通達にあると思うのです。この前もここで論議になったのですが、いわゆる通達行政である。実際の納税者は、税法よりもむしろ通達というものが権威があるように実際には受け取っているのです。各税を通じて、この通達が、非常に法律をこえた通達行政が行なわれており、しかも通達が十分に国民にこれまた明らかにされておらないのです。税法による税金が苛酷である、重いという感じよりも、むしろ通達行政が非常に納税者に恐怖を与えている。これは実態だと思うのです。問題は通達行政にあるのですが、ですから、かりにですよ、国税通則法でそういう規定をしても、行政を改めないと、実質的に納税者の救済というものは保証されないと思うのですね。いろいろ聞きますが、実際通告処分なんか、国犯法に基づいてまるで罪人扱いにして通知したりなんかする事例がたくさんある。それは例をあげろといえば幾らでもあります。それがはたして救済されるかどうか、これは問題なんです。  それから、第四点としまして、政府税制調査会に諮問して、各学界の意見を聞いた、三年間にわたって慎重に検討してもらったと、こう言われますが、これは小委員会において実質的に審議したわけです。これには、この経過を見ますると、非常に問題があるわけです。この小委員長の松宮さんという方は東京の税理士会の会長なんです。これは日本税理士会の会長でもあります。この松宮さんは、東京税理士会長をやめさせられたのですよ、この答申をしてから。その理由はなぜかというと、これは税理士に重大な関係がある法律なんですが、答申を行なうときに税理士に何ら意見を聞いていないのですね。そこで非常に問題になってもめまして、それでこの人は東京の税理士会長をやめさせられたのですよ。そういうような人なんです、この委員長が。十分に各方面の意見を聴取していないのであります。しかも、小委員は、小委員のメンバーを見ますると、ほんとうに税務行政に経験のある人がおりますか。おったら、どういう人がおりますか。小委員のメンバーを見ますると、ほんとうに税務行政に明るい人は私はいないと思う。それは学者だけではだめなんです。税法に明るい人だけではだめなんです。これは徴税規定ですね、徴税の手続きをきめる基本法なんでありまして、税務行政、今の通達行政というものはどういうふうになっているか、そういうことについて十分経験があり、また学識のある人がやはり小委員会のメンバーにならなければならぬと思うのです。十分に審議されたと言われますけれども、まず小委員長に問題があるのであります。また、この委員のメンバーにも問題があるのであります。  それから、学界の、学識経験者意見を十分聞かれたといい、あるいはまた三年間十分に審議されたといいますけれども、財界、学界において有力なる反対があるわけなんです。まず、関西経済連合会、関経連、これは日経連の関西のこれは支部でありまして、これは財界を代表するものであります。この関西経済連合会が「国税通則法制定に関する意見」として、昨年十二月十八日に反対意見を、これを発表しております。有力なる財界の団体でございます。それは長いものじゃありませんから、私ここで反対意見を一応紹介します。こう述べているのですよ。「政府は、税制調査会の「国税通則法の制定に関する答申(三六・七・五)」に基づいて、国税通則法案を今次通常国会に提出し、来年度中に施行する予定であると伝えられる。国税通則法制定の趣旨として、答申は「租税制度の基本的な仕組みないしは各税に共通する事項、すなわち租税に関する通則事項と称すべきものについては、この際、これを統一的に整備規定することが必要」であり、従って「このような法律として国税通則法の制定が望ましい」と述べている。然し答申に盛られている諸項目を仔細に検討するとき、単なる通則法的な内容を持つもののみに止まらず、税務官庁の権限の拠り所となる根本法・基本法的な性格を有しているものが多い。最近伝えられるところによれば、立案当局は若干の項目については、」さっき局長が言われましたように、「当面法案化を見合わせ、将来の検討に委ねる模様であるが、なお税務官庁の権限を不当に強化し、租税法定主義の原則を破って納税者の利益を侵すべき項目が数多く残されている。詐偽その他不正行為に基づく脱税防止に万全の努力を必要とするは勿論であるが、国税通則法の制定に関する基本的な考え方其者に納得し難いものがある。」と述べているのです。さらに続けて、「国税通則法は、手続規定の統一を目的とするものである以上、その範囲を逸脱すべきでない。又この種法律は国民生活に直接且つ深刻に影響するものであるから、充分な時間を与え慎重な審議を尽して後、その草案を発表して衆知せしめ、国民各方面の輿論を充分に反映する所要修正を加え、然る後始めて立法措置を採るべきものである。拙速を要する理由も、これを容れる余地もない。よって蒼惶のうちに多くの問題点を内蔵する法律を制定施行せんとする政府の方針に対し、当連合会は次の理由から絶対に反対するものである。」、これは財界意見ですよ。  そして、反対理由の第一に、「徴税当局の権限を不当に強化することになる」、つまり「国税通則法の制定に関する答申によって窺い知られる限りに於て、徴税当局の権限が不当に強化される。これを列挙すれば次の如くである。」、まず最初は、「「税法の解釈及課税要件事実の判断については、各税法の目的に従い、租税負担の公平を図るよう、それらの経済的意義及び実質に即して行なうものとする」という税法の解釈及び適用に関する一般原則を規定するということであるが、このような解釈及び適用に関する規定税法以外の他の法律についてはその例がない。答申の説明によれば、この規定は実質課税の原則、租税回避行為の否認、同族会社等の行為計算の否認、無効又は違法の行為の課税法人格の否認など多種多様の解決の最後の拠り所となる規定であるとされているが、その内容は複雑難解であって、かかる解釈原則規定の解釈そのものが問題となる。このような規定を設けることは租税法定主義の趣旨に反するが如き自由な解釈適用の門戸を開き、税務官庁の権限を不当に強化し、いわゆる通達行政の弊害が公認せられることとなる。」、いみじくも指摘しているのです。それから第二の理由として、「租税回避行為の否認に関する原則的授権規定を設け、租税回避行為の成立要件については漠然と規定し、ただ節税の目的以外に事業上の合理的な目的が存する場合などに限り、否認しないものとしている。これは租税回避行為の否認を容易にし、時に税務官庁がこれを濫用する慣れなしとせず、立証責任を転換して、納税者に租税回避行為に該当せざる旨を立証する困難を負わしめるものである。」、それから第三の理由は、「行為計算の否認に関しても、同族会社以外の他の場合にも適用し否認し得る場合を拡大しようとしている。而も、租税回避行為の場合と同様、いかなる行為計算を否認しようとするのかの基準となる法的要件は不明のままに残されている。」、第四は、「租税債権の期間制限として、賦課権即ち更正決定権の存続期間を延長する特例を新設し、この特例の場合に於ては現行法の場合と異り現行の消滅時効の枠内に止まらず、除斥期間の延長と共に租税の時効をも延長するものとしている。このことは租税の消滅時効による法的安定の制度を無視するものである。」、第五は「資料提出義務の違反に対して従来の処罰規定のほかに更に過怠税を課する制度を新設しようとしている。」、第六に「印紙税法について、過失のないことの立証責任を納税者に負わせ、一方的な通告処分によることとしている。」、これが、有力なる財界の団体である関経連が、徴税当局の権限を不当に強化する理由としてあげている点であります。  それから第二に、関経連は「納税者の利益保護のための改正が考慮されていない」ということ指摘しております。その理由として、第一は「通告処分の制度を従来通り存置しようとしているが、この制度については訴願、訴訟による不服審査の途はなく、刑事訴追を免れようとすれば一方的な通告処分にも納税者は忍従しなければならないという不合理があるので、至急改正を要する前時代的な制度である。」と指摘しております。また、第二に「税務行政事件訴訟について訴願前置主義を存続することも、納税者の欲する裁判上の救済を阻むこととなるので、他の一般の行政事件訴訟と同じく選択制とする改正が必要である。」、先ほど主税局長は、納税者の救済々々と言いながら、この訴願前置主義を存続しているのであります。これでは救済にならない。さらに第三の理由として、「一般的に、国税通則法によって税務官庁の権限の強化が意図されているのであるから、これとの釣合いからも、納税者の利益保護のために税務官庁の恣意的権限の行使を制限する措置が必要であるにも拘らず、かかる配慮は全く行われていない。」、こういうふうに指摘しているのであります。  さらに第三の理由としまして、「国税審査団制度が第三者的なものとなっていない」という点を指摘しているのであります。「答申によれば、協議団の名称を国税審査団と改め、「第三者的性格制度上明らかにする」ことになっているが、「法令等の解釈につき疑義を生じた場合には、すみやかに国税庁長官の判断を求めることとすべき旨を法令上明らかにするものとする」と述べいるから、国税審査団の第三者的性格は結局否定されていることになる。よって納税者保護のため国税審査団に納税者の代表を加え、真に強力な第三者的なものにする必要がある。」と述べております。  それから第四には、「一旦制定されると改廃が容易でない」、これはさっき私が述べましたが、関経連もその点についてこう述べています。「税法は一般的に言って、毎年度予算の関係、事情の変遷などから比較的容易に改廃されるものであるが、根本法的性格を有する国税通則法は一旦制定されると容易に改廃されない性格のものであることは国税徴収法国税犯則取締法の例を俟つ迄もなく、想像し得るところである。従って制定迄に充分論議を尽しておく必要がある。」  それから最後に、「法案国民に公表していない」として、「国民の利害に甚大なる影響を及ぼすこのような租税問題の根本法制定について、政府は法制審議会にかけることもなく、又法律案要綱も公表せずに一挙に法案の作成に着手しようとしている。これは国民意見を軽視若くは無視するものというべく、極めて不明朗である。よって法案国会提出を急ぐことなく、事前に法案乃至要綱を公表し国民意見を充分反映させる必要がある。」、こう述べているわけです。  で、これは十二月の十八日に発表された意見でありますが、私はこの意見は妥当であると思うのです。で、なぜ急ぐかということを疑問としてしているわけなんですが、いろいろ疑義があるのになぜそんなに急ぐのか。十分に国民にこの法律の趣旨内容、そういうものを、それが法律としてこういう法案を提出するということを公表して、また各方面の意見をよくいれて、そして法案化すべきなのに、なぜ急ぐのか、その急ぐ理由がわからぬというがこの趣旨であります。それを具体的に財界の有力なる団体である関経連が述べているのですよ。自民党の人、いかがですか。財界の人が述べている。
  49. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) まず、関経連のほうからお答えいたします。  関経連は、ただいまは十二月の意見書でございますが、三月十九日に関経連がかように言ってきております。「国税通則法案の成立を要望する。昨年十二月当連合会は国税通則法の制定施行に反対意見を表明した。その理由は、当時の主税局試案には税務官庁の権限を不当に強化し、租税法定主義の原則を破って納税者の利益を侵す項目が数多く存していたからである。然るに今回政府が最終的に決定し国会に提出することとした国税通則法案は、かつて当連合会が問題とした点は一切削除されているのみならず、附帯税制度改正案に見られる如く制度の簡素化、延滞税加算税の軽減が図られている面さえある。この様に修正を加えられた国税通則法案は国税に関する法律関係を明確にし、国民の納税義務の円滑な履行に役立つものであるから、今国会に於て成立し本年四月一日から施行されることを要望する。」、こういうふうに言ってきております。ただ、ここで言っているように、当時主税局試案なるものはございません。これは当時の答申をごらんになって、主税局試案というふうに言ったというふうに解しております。かようなわけでございますので、その点は御了解いただきたいと思います。  それから、先ほどの松宮委員長の話でございますが、これはおやめになったことはおやめになりましたが、これは通則法とは何の関係もございません。それらの問題以前に、連合会と単位会との関係に関する会則等の問題で、自発的に辞任届を出されております。このことはわれわれのほうで明らかでございます。ですから、今度の通則法の問題とは関係ございません。  それから、関係委員会の構成メンバーは、これは主としては、税法もさることながら、一般公法、私法との関係が一番問題でございます。かような意味で、公法、私法に関する学界の権威の方々並びにそれらの事柄を取り扱っておられます関係諸官庁の方々、これらの方々にお集まりいただきまして、で、税に関するデータはわれわれのほうからいろいろ出したわけでございます。これらの事柄の性質がさようなものでございますので、やはり学識経験者を中心として練りに練ったものでございます。  それから、先ほど国税通則法を制定されても、やはり通達というものがあって、複雑難解ではないかというお話でございます。通達はやはりその必要があって、それぞれ解釈通達、取り扱い通達が出されると思いますが、今度の通則法でどれくらい簡単になるかをざっと試算したものがございます。それでいきますと、現在大体国税通則法を設けないとした場合に、設けられるべき条文数は千五百二十条ぐらいとわれわれは考えております。で、国税通則法の制定に伴いまして、まず整理したものは、整備法でもって百十条ぐらい整理しております。それから、通則法を予定して各税法から落としたもの、これが二百四十条程度ございます。しかし、一方、国税通則法で九十六条ふやしております。ですから、まあ差し引き二百七、八十条くらいの条文整理にはなっております。これは単に条文の数を減らしたということでなくて、先ほども申しましたように、諸手続、これは税務の第一線と納税者の接触する面がどういう工合の仕組みになっているかということを取りまとめて通則法規定されるわけでございます。したがいまして、納税者の方々がこの通則法を見ていただければ、大体税というものは各税を通じてこういう仕組みになっているのだということがはっきりわかるわけでございます、従来と違いまして。そういう意味で、国民の方々はこれをごらんになって、いろいろ御意見はあると思うのです。国税通則法一本見ていただいていろいろ御意見を言っていただく。ここはこうすべきじゃないかとか、いろいろ活発な御意見は出ると思うわけなんです。そういう活発な御意見の上に立って初めて今後のやはり税の進歩があるであろうとわれわれは考えているわけでございまして、単に条文を二百七十条減らしたというのではございません。内容もできるだけ整備したつもりではございますが、ここに国民関係のある手続規定を統括いたしまして、今後の活発なる批判に待つ、こういう態度に出たわけでございます。
  50. 平林剛

    ○平林剛君 関連質問。ただいま村山さんの御説明を聞いておりますというと、この法律案が、内容複雑多岐にわたるのを整理して、その整理したものだけでも二百四十条に達するという御説明がございましたし、またこの考え方、構想について、税制調査会あるいは各方面の意見も聞いて長い間十分な検討をしたという御説明がございました。しかし、議会においての審議時間はまだきわめて短いのでありまして、そういう意味では、私ども十分これについて国民に安心してもらうほどの審議は、今始められたばかりにすぎません。  私は、その段階におきまして、政務次官にお尋ねをしたいと思うのであります。この法律案は、国民に一般的関心が持たれ、またそれにいろいろな利害得失があるという意味では、法律案自体としては非常に重要視すべきものだと思いますけれども、政府の見解はいかがですか。
  51. 堀本宜実

    政府委員(堀本宜実君) この国税通則法並びに整備法は、ただいま主税局長からお話を申し上げましたように、税法に関しまする基本的なものでございまして、たいへん重要な法律であるというふうに承知いたしております。
  52. 平林剛

    ○平林剛君 委員長にお尋ねしますが、今、政府がお答えになりましたように、これは国民にとっては一般的関心の度合いが大きく、かつ内容についてもきわめて重要な法律案であるというお答えがございました。委員長も御承知のとおり、この国税通則法についての審議は現在始まったばかりであります。そういう意味では、従来税制調査会や一般においてはかなり、半年とか数ヵ月という期間がございましたけれども、本委員会としては、まだきわめてわずかの審議日数にしかすぎません。しかるに、政府答弁のように、重要な法律案だといたしますと、国会法第五十一条との関係において、委員長としては今後どういう処理をしなければならぬか、それについてひとつ委員長の御見解を承りたいと思います。そうしてそれにつきましては、委員長と理事において、その件に関しても私は十分御相談をなさる必要があると思いますので、ぜひそういう件についても御相談をいただきたいと思います。つけ加えて、これは委員長に御要望申し上げておきます。
  53. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 後刻御相談いたします。
  54. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 木村委員の質問に関連をしてお尋ねをするのですが、昨年の十一月十一日付で、日本税法学会から内閣総理大臣に対する意見書というものが出ておりますが、これは大蔵当局においても、この意見書については検討されたかどうか、お伺いしたいと思います。
  55. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 出て参りました意見書はすべて読ましていただきました。
  56. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 読んだだけじゃなく、読んで、その意見書に対して政府としてどういう考えを持ったか。
  57. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これらの意見書が出ておりますので、それらの意見を十分参酌いたしまして、削るべきものは削り、直すべきものは直して、今国会に提案しているわけでございます。
  58. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは、この意見書の冒頭に、国税通則法を制定するのにはもっと長年月の研究が必要である、ということが冒頭に出ておるわけです。その中に、スイス等の例をあげて、スイスでは十数年これが世間において発表されてから検討が加えられておる、なお今日決定を見ていない、こういうふうな例をあげて、今日早急に、わずかに一年半や二年の研究で、国民に重大な影響のある、国税の基本法ともいうべき通則法を制定するということは軽卒である、こう言っている。これは私が言うまでもないことですが、この税法学会の冒頭の意見に対して、大蔵省並びに政府としてはどういう見解を持ったかという点です。
  59. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 今度政府が、答申にありましたうち、実質課税の原則の一般的宣言規定、あるいは租税回避行為の禁止に関する一般的規定、あるいは同族会社の行為計算の否認に関する宣言規定、それから質問検査権の統合規定並びに特定職業人との守秘義務との関係、あるいは記帳義務を青色申告書以外に設けるかどうか、それから資料を提出しなかった場合の過怠税の問題、それから無申告犯に対する改正規定、実はこれらの問題は除いてあるわけでございます。むずかしいのはこの辺でございます。おっしゃる意味もおそらく、どこがどうとも言っておりませんが、あとの全体のあれを見てみますと、その辺が非常にむずかしい、で、それが抽象的な文句で書かれると、ともするとそれが権限が必要以上に行使される場合があり得る、それを非常におそれておるわけでございます。で、われわれにおきましても、同時にこの問題を検討いたしまして、現在の学説、判例、まだ十分帰一するところを知らない段階でございます。こういう場合にこれらの規定を入れることは適当でないと考えまして、この点は各これらの税法学会で述べておる点と同感でございまして、削除いたしておるわけでございます。それ以外の事項、今度入れましたような事項につきましては、いずれも事柄が熟しておりまして、しかも相当合理的の判断でもってすればその判断の下し得る問題でございます。のみならず、現行に比べていずれも納税者にとって利益に属する問題でございます。さような意味で、今度の改正案のような事項でありますればさようなおそれはない、かように考えて出しているわけでございます。
  60. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、この国税通則法の第一条ですね、私は今各個条に入ろうという考えを持っているわけじゃないのですが、第一条に「この法律は、国税についての基本的な事項及び共通的な事項を定め、」とありますね。この通則法を制定した目的は国税についての基本的な事項を定めるのだと、こういううたい文句で始まっているわけです。まさにこの目的からいけば、国税基本法ともいうべきものですね。今の主税局長のお話であれば、そういう重要な点はみなはずしたのだと、こういうことになれば、これは目的それ自身を変えなければ、法案とあなたの説明しておられるのと食い違ってくるんじゃないですか。それが第一点。  それから、学会の意見書ですがね、これは大体御承知のとおり十三項目からなっているわけですね。こういう内容も、それはもちろん重要です。内容が重要ですけれども、こういう国税の基本法ともいうべきものを制定するのにはもっと年月をかけて——この学会も基本法を制定することに反対しているわけじゃない。基本法は必要だと。必要だけれども、いろいろ問題があるので、これは相当な年月をかけ、十分な検討をした上でやるべきであると、こういう意見です。ところが、今回の制定は、税制調査会に諮問をして、税制調査会で検討せられて大体一年半ということを私は聞いておるのですが、そうして政府のほうで若干それを修正してこの国会に出されておるわけですね。しかし、国民全体が非常な影響を受ける税法の問題ですから、もっと国民の間で論議される期間というものが必要であると思う。税制調査会の答申が発表されてから、まだあまり日がたっていないわけです。国民の間にこれを十分検討する時間的余裕はないと私は思う。政府はあると思っておりますか。これは私どもが読んでも、なかなか容易でないのです。これは非常に簡単にわかりやすく書いてあるといっても、私も若干は読んでみましたけれども、容易でない、この解釈は。国民の間に十分検討されて理解されるというのには、半年や一年というような短い期間ではとうていそういうことはできないと判断するのですが、これは私はこの問題は主税局長に聞くということよりも、大蔵大臣に聞かないといけない問題だと思うのですね、委員長
  61. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 大蔵大臣は今予算委員会に出席中で、こちらへ出席することは不可能らしゅうございます。
  62. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今、荒木委員大蔵大臣に重要な問題でありますから意見を聞きたいと言っている。ところが、今大蔵大臣は予算委員会に出席中であるから、当委員会に出席することは困難であるという委員長からのお話でありますが、それでは、いつ大蔵大臣は出席されますか。これは重要な問題でありますから、大蔵大臣が出席されないで事務当局だけの御答弁では、審議が十分できないと思うのですね。責任ある御答弁を求めなければ。その点はどうなんですか。
  63. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 予算委員会の終了後なら出席されます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  64. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記始めて。
  65. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは、さっきの答弁を……。
  66. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) ただいま一条を引いてお話しでございますが、ここにあります「この法律は、国税についての基本的な事項及び共通的な事項を定め、」とあります、この基本的事項と申しますのは、後ほどに書いてございます納税義務の成立及び確定、その意義とその時期を明確にしたというような点がその一つでございます。  第二番目に、いわゆる賦課権、それから徴収権、これの除斥期間と時効との概念の関係を明らかにしたもの。それから、賦課権行使の期間制限につきまして、原則としてこれは申告期限から三年となってございますが、現行税法では、所得税法法人税法、相続税法、この三税に限って三年となっておるわけであります。その他の税につきましては、すべて解釈上五年と取り扱われておるわけでありますが、これも納税者の利益にも着目してすべて三年にいたしたわけでございます。しかも、これらの点は、すべて除斥期間といたしまして、徴収権とはその性質が違う。したがって、時効に関する中断あるいは停止、こういう制度は賦課権においてはないので、その三年間行使しないことによって絶対的に賦課権は行使し得ない、この性質を明らかにしたこと、これがその第二点であります。  第三点といたしまして、従来とかく問題のありました、たとえば納税者が当初申告を五十万円という税額をいたしました。その次七十万円という税額の申告をしたときに、前の五十万円というのは生きているのか死んでいるのかという問題があるわけでございます。これは更正決定をした場合も同じでございます。ふえた場合のみならず、減った場合には一体どうなるのだ、前の税、一応きまった税に基づく徴収処分はどうなるのだということは、解釈にまかされておったわけでございます。今回はこれらの点もすべて明確にいたしまして、それぞれ増差額、減差額が出た場合には、その増減の範囲内でもって変わるのだ。変わらない部分は従来どおり効力を発揮する、そのとおり効力は維持するのである、こういう従来の一般的にいわれておった解釈を、この法文で明らかにしているわけでございます。その他所轄税務署という場合に、各段階における所轄税務署はあるわけでございますが、その所轄税務署というのは具体的にどういうものをやっているのか。つまり納税者から見ての窓口というものはどういうものであるか、との点も従来は不明であったわけでございます。  これらの点をすべて明らかにいたした、これが基本的な法律関係と申しておるわけでございます。  先ほどおっしゃられたように、それなら基本法としたらどうか、こういうことでございますが、先ほども申し上げましたように、この通則法と申しますのは実体規定ではございません。主として手続に関する通則的な規定でございます。そういう意味で、基本法といたしますとかえって誤解を生ずるという見地から、これは用語の問題でございますが、われわれは通則法のほうが適当であろう、かように考えて提案いたしているわけであります。
  67. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほど私は二つ質問をしているわけですがね。一つは、この目的から考えて、この通則法は国税に関する基本法と考えるべきかどうかという点ですね。今の答弁を聞いておると、国税基本法と呼ぶべきではないと、そういう答弁のように取れるんですがね。そう取っていいのかどうかですね。しからば、国税基本法はこれと別個にいつか制定する考えがあるのかどうか、そういう点、ちょっと明確でなかった。それが一点です。  もう一点は、税制調査会が答申してまだあまり期間がないと思うんですが、税制調査会の答申は何年の何月でしたか。それをはっきりしてもらいたいと思いますがね。
  68. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) ここに掲げましたのは、手続的な事柄のうち通則的なことを入れたわけでございます。それと同法に、従来それらの事項のうちで基本的な法律関係について不明確な点がありましたので、同時に明らかにいたしました。個々のものにつきまして改正する際には、納税者の利益に着目しながらできるだけ統一をはかりました。こういう内容でございます。したがいまして、手続法たる共通的な規定でございます。そういう意味で、用語でございますから、いろいろな用語はあると思いますが、われわれは通則法と呼んだほうがより内容にふさわしい名称ではないかと、こう申しているわけでございます。それ以外の基本法という問題、これはちょっと考えられませんが、いろいろ問題になりましたたとえば実質課税の原則といったような問題が、将来判例とか学説が帰一するところがあって、税法の中にもそれを織り込んだほうがいいと一般の世論が受け入れるような時期になりますれば、これまたその問題があると思いますが、それにいたしましても、それを基本法と呼ぶほどのことはないんではなかろうかということでございます。  それから、第二点の、答申は昨年の七月にされておりまして、直ちにこれは公表してございます。
  69. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、税制調査会の答申が出されてから今日まで、若干の経緯はあります。答申について政府が検討をして、その答申のうち重要な点についてこの法案に織り込むことを避けておるという点もわかります。それはわかるにいたしましても、税制調査会の答申、それから続いて出された政府通則法案、こういうものについては、国民が十分に検討する期間がないということを私は先ほどお尋ねをしておったわけです。非常に短い期間であって、検討する余裕が時間的に非常に少ない。しかし、こういう非常に重要な法案について、国民にかける税金の問題については、少なくとも国民が常識的に考えてですね、私はそう長い年月を言っているわけじゃないんですがね、少なくとも十分国民が検討し理解し得るという期間を置くのがあたりまえじゃないかと、こういうことを言っているわけなんです。
  70. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) われわれは、答申を発表いたしまして、それで今回国会にまあ提案しているわけでございます。で、中身をごらんになっていただくとおわかりのように、いわゆる世間で非常に問題になりました事柄について、その意味で尚早と言っているわけでございます、多くの議論は。それらの点はほとんど今後の検討にゆだねられておるわけでございまして、今度改正事項として、あるいは共通的な事項として盛られていることは、大体従来のものを取りまとめたもの、あるいは納税者の利益に着目して改善したものでございまして、納税者に特に不利益になるものはほとんどないわけでございます。しかも、今日最も急がれている点は、やはり税法をわかりやすくするということでございまして、今度の調査会に課せられました使命もそこにあるわけでございます。同時に、その内容からいいまして、加算税の問題にいたしましても、あるいは付帯税の問題にいたしましても、争訟制度におきましても、いずれも現段階で納税者の利益を擁護する方向でのわれわれは適切な改善だと思っている方策が盛られているわけでございます。今後各税法が相次いで改正を見るやと思うわけでございますが、その場合におきましても、この基本法が——基本法といいますか、国税通則法が一種の手続的な土台をなしておりますので、これがございませんと、ほかの税法をいかにいじくってみても体系的に簡素化がはかれないわけでございます。そういう意味からいきまして、われわれはこの機会にこの通則法を制定する緊急の必要があると、かように考えたわけでございます。
  71. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私の質問から関連して荒木委員が質問されておるわけですが、前の関経連の意見に対して、その意見を十分取り入れて制定したと言いますけれども、これについては私はまた意見があるんですけれども、さしあたり荒木委員が質問された税法学会意見も十分取り入れてそうして制定したと言われています。しかし、そうなつておらないと思うんです。  そこで、お伺いしたいのは、税法学会は昨年十月二十一日、二十二日の両日、京都で約五十名の会員が参加して国税通則法に関するシンポジウムを行なったわけです。そうしてその報告は、さっき主税局長が言われたこの法案から除いたという一番重要な問題の、実質課税の原則について名城大学教授中川一郎先生、行為計算の否認について京大の助教授の清水敬次先年、租税債権の期間制限について京大の須貝脩二先生、課税方式、申告賦課の、手続については早大の大学院教授の北野弘久先生、記帳義務については近畿税理士会の竹内寅太郎さん、質問検査については弁護士の三木今二さん、それから付帯税及び過怠税については早大の大学院教授の新井隆一先生、税務争訟については大阪地裁の判事の宅間達彦先生、それから協議団制度については東京税理士会の斎藤明先出、執行停止その他について大阪法務局の山田二郎氏、それから罰則、犯罪取り締まり及び通告処分については日大の助教授の板倉宏氏ですね。「これに対し、大蔵省主税局税制第二課、平尾照夫事務官から、明快な答弁があったが、報告者を含め、参加者全員の通則法に対する見解を変えるに至らなかった。同学会としては、中川一郎、順貝脩二両教授が起草委員なり、反対意見書を関係方面に具申することとなった。」、その反対意見書が先ほど荒木委員が述べられた点であります。大体、これは荒木委員も言われましたが、ナチスのドイツ法の条文を参考にして答申がされている。荒木委員が言われましたように、「民主主義国家として先輩国であるスイス連邦においては一九四七年六月二十三日に連邦税基本法、ブルーメンシュタイン草案が作成されたが、十四年を経た今日に至るも未だ審議中で立法化されていない。」、ところが、わが国ではわずか一カ年半の間に、これら外国における学説、判例を研究することなく、ドイツ——ナチスの法律でしすね、ナチス一九三四年の租税適用法ですか、これはナチスの体制に税制を適応さしたものです。そういうものを参考にして作成されていると、この税法県会の意見書には書かれておるんです。ですから、先ほど主税局長が、税法学会意見も十分に織り込んだ、あるいは関経連の反対意見ですか、そういうものを十分に織り込んだと言います。そうしていわゆる五項目を削ったと言いますけれども、五項目を削っても、なおかつ税法学会では、制定の時期がこれは早過ぎる、国税通則法を緊急に制定する必要はない、学説、判例の兆展を待って、機が熟してから、むしろ租税基本法を制定すべきである、こういうふうに言っているわけですよ。ですから、十分この学会の意見を入れているとは言えないんですね。  で、五項目を削除したけれども、基本法と第一条にうたっているんですから、いつかはまたこれを私は入れると思うんですよ。入れなきゃ基本法にならぬと思うんです。そこで、学会ではそういう点も憂慮しておるでしょうし、一般の国民は、この通則法というものができると、一応これが通ると、一番懸念した五項目等、そういうものがまたあとでこれは単独立法その他で入れられるんじゃないか、そういう懸念もあるわけなんですね。これは実は大蔵大臣に聞かなきゃならぬのですけれども、荒木委員に対する先ほどの御答弁は事実に相違しております。税法学会意見を十分に入れている、だから、税法学会納得したごとくに御答弁があったんですが、そうじゃありません。事実に相違している。五項目を削っても、なおかつ制定の時期が早いと、こういう意見を十分に尊重したかどうか。尊重していないと思うんですが、いかがですか。
  72. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 先ほど私は、税法学会意見をそのまま取り入れたとは申しておりません。これらの意見を参酌しまして、こう言っているわけでございまして、取り入れるべきものは、税法学会意見に限らず、商工会議所の意見にいたしましても、すべて十分検討いたしまして、取り入れるべきと思ったものについては取り入れました、こういう意味でございます。  で、ただいま税法学会の話が出ましたので、項目だけを見ましても、「国税通則法を緊急に制定する必要はない。学説、判例の展開を待ち、機熟してから、むしろ租税基本法を制定すべきである。」これは先ほど申し上げました。  それから次に、「税法の解釈及び課税要件事実の認定に関する原則規定は、絶対に投げてはならない。」、これは今度は設けておりません。  「租税回避に関する規定はこれを必要とするが、税務官庁が租税回避を理由として否認権を濫用しないように立法上防止策を講ずる必要がある。」、これもいろんな見地から将来の検討にゆだねている。  四番目は「行為計算の否認について「隠れた利益処分」に関する規定を設け、具体的にこれを例示すると兵に、同族会社の行為計算の否認に関する規定は、これを削除すること。」通則法には設けてございません。  五番目に、「税務行政の権力主義の排除について、税務行政の権力主義、国庫主義を排除し、これを民主主義化させるために、左の事項を租税基本法に明文化する必要がある、(1)裁量処分の限界及び基準の設定 (2)課税処分の合法作性の明示 (3)信義誠実の原則に反する税務行政処分が違法であること(4)納税義務の発生、変更、消滅に関する規定の拡張解釈、縮小解釈、類推解釈の禁止」、これらはいずれも、最初の「裁量処分の限界」、これはもとより法規作川でございますので、当然のことでございます。「課税処分の合法律性の明示、租税法定主義でございます。「信義誠実の原則に反する税務行政処分が違法であること」、これらの抽象帆足は反対でございます。わかりません。四番目、「納税義務の発出、変更、消滅に関する規定の拡帳解釈、縮小解釈、類椎解釈」、拡張も縮小もいけないと思いまして、やはり適正に解釈すべきものと思っております。  「賦課権」を「査定権」と改め、「徴収権」を「収税権」と改めるべきである、これは名称はやはりなれたもののほうがいいだろうという考えでございます。「「査定権」の除斥期間を現行法どおりとし、その延長の特例を認めるべきではない」、現行法よりは縮小してございます。延長などはいたしておりません。  七番目、「記帳義務について 一般的な記帳義務制度は、理想的ではあるが、時期尚早である」、これもおっしゃるように延ばしているわけでございます。  「特定職業人の守秘義務と税法に基づく質問、検査の権限の行使との関係について」、これは先ほど申しましたような意味から、将来の検討にゆだねております。  九番目、「資料提出義務違反に対する過怠税について 資料提出義務違反に対する過怠税の制度は設けるべきではない」、設けておりません。  「通告処分に対し、新たに行政不服審査の途を拓くとともに、印紙税法改正して罰則の規定を廃止し、これに代える加算金の制度を設けること」、通告処分については、これは行政不服審査法の問題でございまして、これは審査の対象にはその性質上いたしておりません。「罰則の規定を廃止し、これに代えるに加算金の制度を設けること、」これは現行はこのとおりでなくて、現行のままにいたしております。  それから、上一番目、「協議団制度について 協議団の構成員の過半数を非常勤の民間学識経験者をもってし、その身分を保障し、かつその意見の決定につき国税庁長官または国税局長の指示を受けないものとする。審査の裁決は、原則として協議団の審査意見に従うものとする。これに異なる裁決をなすときは、その審査意見及びこれに従い得ない理由を裁決書に具体的に明記するものとする」、その前段の民間の人を入れるということは、現段階では不適当だと思って、その構想は入れておりません。ただ「審査の裁決は、原則として協議団の審査意見に従うものとする」、ここまでは書いてございませんが、現行より尊重の思想を出してございます。  それから、十二番目、「法令等の解釈上の疑義に関する国税庁長官の指示について 審査請求の審理において法令等の解釈につき疑義を生じた場合、国税庁長官の判断を求めることとすべき旨を法令で規定すべきではない。法令等の解釈に関する事案の審査等について第三者の判断と意見を求めるための国税庁参与の制度はこれを設けるべきではない」、前段の、この法令上の問題はもちろん設けてございません。後段の問題は、今後のこれは、一般の運営の問題でございますので、運営い考えるべきことであろう、こう考えております。  十三番目、「訴願前置主義について、税務訴訟については、一般の行政事件訴訟と同じく訴願前置主義をとるべきではない」、これはわれわれは能率の見地から、かえって置いたほうが適当であろうと考えております。これは現在では四十数件の法律につきまして、訴願前職主義を設けたほうがやはり納税者、国の相互の利益のためになるであろう、こういうところから設けてございますし、今度の案でもそれは言っているわけでございます。しかしながら、非常に遅延した場合、三十日あるいは六十日遅延した場合には、いつでも行ける、また緊急の場合にはいつでも行ける、こういう訴訟に行ける道は当然開いているわけでございます。
  73. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その税法学会の京都で開かれた国税通則法に関するシンポジウムを行なった際ですね、大蔵省の主税局の税制第二課の平尾照夫事務官から説明をされたとあります。これは事実でありますか。
  74. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これは当時答申がありまして、答申をめぐって、答申は一体どういうものかという会合が方々に持たれました。で、おそらく税法学会もさようであろうと思いますし、平尾課、長補佐が出て答申の意味説明したものであろうと思います。
  75. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうときに、今主税局長が言われたようなことも説明されたんじゃないですか。
  76. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これは、この答申をさらにしさいに検討しまして、現段階で制度化を適当とするものと申しますのは、これはもう十二月のぎりぎりのところまで検討して参りました最後の総会におきまして、政府としては、せっかく答申を頂戴したけれども、非常にむずかしい問題を含んでおるが、現在の段階で実施を適当とするものはこれぐらいでございますということを。調査会に諮りまして、その了承を得たわけでございます。したがいまして、その段階では答申が出た直後ではまだ政府側の実施に関する意見は何ら出ておりません。
  77. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 このでき上がった法案について、税法学会意見を求めるなり、あるいはまた意見の開陳がありましたのですか。
  78. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) ございません。
  79. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 前に平尾事務官からいろんな説明を聞いたけれども、参加者全員の通則法に対する見解を変えるに至らなかったと。そうしてこういう意見書を作ったわけですが、それなら、なぜ……。税法学会というのは、御承知のように、ここに書いてございますように、当学会は租税立法並びに税法の解釈及び適用について法律学的研究など日本学術会議所属の唯一の学会である、こういうようになっておる。なぜそいううところに意見を徴されないのですか。
  80. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) われわれは、今度小委員会を構成いたしまして、その小委員会のような構成が最も適当であるというふうに考えておるわけでございます。でほかの団体のことはほんとうに申し上げにくいのでございますが、それは財界、いろいろな方面でももちろん御意見があることと思います。それらにつきましては、その理由とするところ、それから主張しておるところ、そういうことはしさいに検討しておりますが、一つ一つの団体について意見を徴するということは、正式にそいうことには特にいたしておるわけではございません。
  81. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは国税通則法に対する関連質問の関連質問になっているわけですけれども、さっき私はこの小委員会の構成について疑義を差しはさんだんです。これに対する御答弁がない。しかし、ただ小委員長については、東京の税理士会会長をやめさせられた、それについて、私は東京税理士会の人から聞いたのですよ。それはやはり従来問題があったかもしれぬけれども、ことに通則法について何ら意見を徴することなく答申しておるということに非常な不満があったのです。それから、この小委員について税務行政についての専門家というのはだれなんですか。
  82. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 先ほどお答えしましたが、松宮会長はその前に全然別のことからみずから辞表を出しております。それであいさつに見えておりますので、それは何かの誤解だろうと思います。  それから、この小委員会の構成、これは先ほど申し上げましたが、事柄の性質上、税務に関する問題につきましては、いろいろなデータにつきましては、これは税務官庁がよくわかっております。われわれの一番むずかしいと思うところは公法、私法との関係、一般の国民の権利義務と、それから国との利害の調整の問題でございます。で、通則法はその辺の問題を扱っておるわけでございます。したがいまして、公法、私法に関する学界の方々並びにそれらの法規に関係しております官庁の責任者の方々、これらの方々の御意見を十分拝聴いたしまして、ずいぶん討議を重ねまして今日に至ったわけでございまして、このような通則法を設ける場合、最も適当なる構成であるというふうに考えております。
  83. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうことを伺っているんじゃないのです。この税法学会の人が一人も入っていないのですね。会長は中山伊知郎、部会長三好重夫、小委員長は松宮隆、委員が石井照久、木村元一、田中二郎、こういう人ですが、税務行政の専門家というのはだれなんですか。税法学会のこういう権威のある人をどうして委員に委嘱しないのですか。
  84. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 税法整備小委員会の構成にあたりましては、これは当初から予定されたわけでありますので、調査委員のメンバーの中から適任の方々、並びに総会の了承を得まして最もこの問題を審議するに適当であると思う人たちにお願いしたわけでございます。したがいまして、はずれましたからどうということではございません。人選の経緯はさようなことでございます。
  85. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 税務行政専門家はだれですかと私は聞いているのです。
  86. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) こり小委員の中には、特に税務行政の専門家はございません。税務行政の専門家と申しますと、国税庁、これが専門家だろうと思いますが、あとは公法、私法の関係の学者並びにその実務を扱っている関係官庁の方々でございます。
  87. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは非常に不十分だと思うのですよ。この国税通則法を制定するときには、今通達行政との関係が非常に重要なんです。だから、税務の実態をやはり知っておる人が入らぬと、これは私は非常に不充分だと思うのです。単なる法律解釈だけで足らないと思うのですよ。今問題になっているのは、どうも通達行政が租税法定主義を侵しているのではないかという点が非常に問題になっており、国税通則法を制定すると一そうこの徴税強化になるのじゃないかと、こういうことが非常に懸念されているのですよ。だから、通達行政との関係がこれはやはりあるわけなんですよ。そういう専門家を入れないということは、これは非常に不十分です。大蔵省の御用的学者を集めたりなんかして、それでやったんでは、これは十分にほんとうの民意が反映されません。実際反映しておらないと私は思うのです。  それで、さっきの関経連の問題について、あとで関経連が自分たちの要求をいれているから差しつかえないというような答申があったと、こう言うのですけれども、関経連は私はおかしいと思うのですよ。この中でやはり関経連の要求したものがいれられていない点もあるのです。訴願前置主義なんですね、これはいれられてないでしょう。それから、関経連も、法案国会提出を急ぐことなく、事前に法案ないし、要綱を公表して十分に国民の意思を反映させる必要があるという答申をしていながら、これは十分に国民の意思を二反映させていないです。いないのにかかわらず、関経連が前に国税通則法制定に対する意見ですね、さっき私が述べたような、ああいう意見を述べておりながら、あとで簡単に法案は答申の趣旨に、前に出した国税通則法制定に関する意見の趣旨に合致しているから差しつかえないと、そういう意見を述べることは関経連自身としても不見識だと思うのです。おかしいと思うのです。それは関経連が出したのですから、それは関経連の自由でありますけれども、私は非常におかしいと思うのです。何かやはり政治的にいろんな了解があってそうなっておるのじゃないかと疑わざるを得ないわけですね。ですから、要は、一番今問題にしているところは、国民の意思を十分反映していない。法律が制定されてから、なおさら国民はまだこれを十分見ておらぬと思うのです。十分に理解されておらないと思うのですよ。ですから、十分に国民意見を反映されていると一体思うのかどうか。これは大蔵大臣に聞かなければならぬことになるのですが、この点をもっと明確にしなければ、これは私は重大問題だと思うのです。  それから、さっき、記帳義務についてはこれは今はやらない、あとに残してあると。こうなると、あとでまたこれは加えるつもりなんですか。
  88. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) この答申で述べておることがやや世間で誤解されておるようでございますが、答申はこう言っておるわけでございます。現在記帳義務は、青色申告者にあるが、正確な意味では義務ではございません。つければ更正の制限に関する一種の特典的な規定がございますというような点、あるいは税法上の負担に関する特典のようなものがございます。これでございます。ただ、将来の申告納税制度を考えた場合に、どうしても納税者の記帳の発達を待つ以外にはない、より発達を求める方法はないか、そのためには青色申告者以外の者にも罰則の何にもない申告の記帳義務というものを形式的にかけておいて、その反射的効果として青色申告と同じような、更正の制限をしたらどんなものであろうか、これが発足の考え点でございます。しかしながら、しさいに検討して参りますと、現在の青色申告制度、これは昭和二十五年から発足しております。今日まで十二年たっておりますが、まだ特に個人につきましては、せい、ぜい五割何分というくらいまでしかいっていない。そう考えますと、青色申告制度を伸ばした上での制度ではなかろうか。制度のしにいたずらに制度を作ってみても、かえって問題は紛糾するだけで、やはり現状の国民の記帳の水準というものをもっと現実的にながめていく必要があるのだ、こういう意味で今回は延ばしたわけでございます。したがいまして、これらの問題はすべて今後の記帳の習慣がどこまでいくかという実際問題にかかるものと思っております。したがって、今後この問題を再び持ち出すかどうかというような問題、それらの問題はすべて国民の記帳の慣習並びにそれに伴ってその納税税務行政というものがお互いに円満にいくかいかぬか、その場合にその記帳制度を導入したほうがより相互にとって利益であるかどうか、こういう判断にかかるものと、かように思っておるわけでございます。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど政務次官から、この法案国民一般の非常な重大関心事であって、重要法案であるという、こういう御答弁がありました。さらに、この法律案について、十分国民意見を反映しているかどうかについて、ここで政府答弁を求めているわけですが、政府の判断では、国民意見を取り入れてあると、こういう判断をしておる。ところが、われわれが税法学会のこの意見書を見ましても、税法学会では賛成しているとは思えないのです。それは法律案になってから、これの意見を聴取していないわけですよ、さっきの御答弁で。それから、われわれのところへ電報とか電話で、それから葉書でも反対の陳情がたくさん来ております。それから、署名もうんと来ております。そうしますと、ここで見解がちょっと水かけ論のような、政府のほうは十分聴取したと、ところが実際にわれわれが接触している面ではものすごい反対論があるわけです。  そこで、この実態を確かめるために、先ほど平林委員が提案されたんですが、どうしてもこれは税法学会のやはり意見をわれわれとしては、委員会としては聞く必要があると思うのです。それから利害関係者ですね、中小業者の団体とか中小業者の人は、五項目削ったから安心だと言うっておりませんですよ。それから、人格なき社団に関する労働組合の人、そういう利害関係人、あるいは学識経験者、その意見を徴さなければ、この一般国民が重大関心を持っておる重要法案について、ここでわれわれは軽々に判断を下すことができないのですよ。それは、ですから、公聴会かなにかを開くことは重要だと思う。本来ならばここで公聴会を開くとともに、各地方においてやはり公聴会を開く必要があると思う。そのくらい丁寧にやらなければ、こんな重大な法案をですよ、ここでこれを怪々にきめることは、これはもう国民に対して非常な責任が出てくると思うのですよ。そこで、公聴会を開くことになったのですかならないのですか、その点がはっきりしませんと、今後の議事の進行にも私は非常な支障が生ずると思うのです。それから、これからの質問にも困るわけです。今後逐条的に、いろいろな具体的に、われわれは陳情等がなされておるのですから、そういう点についてもこれから質問しなければならぬわけです。それから、これは衆議院段階で改正されましたが、その改正についてもよくわからぬ点がある。そこで、議事進行上、ここで平林委員がさっき提案されたことについてはっきりさしてもらいたいと思うのです。(「休憩」と呼ぶ者あり)  ここで、国民意見をいれているかいないかを議論しても水かけ論になると思うのですよ。ですから、むしろ議事の進行に私は協力しておるわけですよ。こんなことをやっていたら、時間ばかりたつでしょう。ですから、時間をむだにしないために、ここで具体的に提案します。日本税法学会の人たちの意見を聞くことですね、これが一つ。それから、人格なき社団に関しては、労働組合の方、それから中小企業の団体、それから芸能関係についても非常な陳情が来ておるのです。そういうほうの人を呼んで、一日でけっこうです、これは。まあ欲をいえば、各地万別にやるのが本来ですけれども、地域別にね。そのくらい、重要な法案だと思うのです。ほかの法案についてやっているのでありますから。  休憩して、それでは理事さんの間でひとつ相談してみて下さい。反映している反映していないと言ってみても、本論のほうに入らないので十よ。
  90. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちょっと速記をとめて。   〔午後二時三十九分速記中止〕   〔午後三時三分速記開始
  91. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記をつけて。
  92. 高橋衛

    ○高橋衛君 私は、国税通則法について二、三の点について政府当局にお伺いをいたしたいのでございます。大体今回の国税通則法規定によりまして、相当いろんな法令が整備され、まあ何と申しますか、税法を専門にやっておる者以外、一般の国民もだんだん理解されやすいような形に改正されましたことは、非常に私どもわが意を待ておる次第でございますが、この多くの法令の中で、私は行政救済の制度について一、二お尋ねをいたしたいのでございます。  今回の法律の改正によりまして、行政救済に関連する問題は、相当何と申しますか、納税者に親切な改正が行なわれたように考えておるのであります。たとえば不服の申し立て事項の範囲を拡大いたしまして不服の申し立て事項は現行法においては賦課徴収の処分に限れておったのでございますが、その他のすべての税に関する処分について異議の申し立てができるという制度になり、さらにまた不作為に対する異議の申し立てもなし得るという制度ができて参ったのでございます。また、滞納処分の執行等につきましても、従来は運用の面でこそ納税者に対して相当親切になし得るということが配意されておったようでございますが、   〔委員長退席、理事上林忠次君着席〕 法律上の建前としては直ちに滞納処分の執行がなし得るという建前に相なっておったのでございます。それを、たとえば不服申し立て人から滞納処分の執行の停止の申し立てをなすことができるという制度を新しく作ったこと、また、ことに滞納処分の一番最終の段階における問題として公売処分があるのでございますが、不服の申し立てがあり、その基本が相当検討を要するというような場合におきましても、公売処分を相当に了し、その結果後にそれが回復できないというふうな事態もあったようでございますが、それらの点につきましても、不服の申し立て期間中は差し押え物件について一般的に公売処分ができないという制度に新しく今回なったのでございます。または差し押えされることによって実際上事業運営の継続が困難になるいう事態も従来あったのでございますが、そういう場合に担保提供することによって財産の差し押えをなし得ないというような制度を新しく新設する等、相当配意がされておるようでございます。  ところで、私のお伺いいたしたいと申します点は、協議団の制度についてでございます。第八十二条において「国税庁長官又は国税同長は、国税に関する法律の規定に基づく処分に対する不服申立てについて決定又は裁決をする場合には、国税庁又は当該国税局に附置された協議団の議決に基づいてこれをしなければならない。」そうして第二項に「協議団の運営に関し必要な事項は、政令で定める。」、こういうふうに法律上明定されて参ったのでございます。協議団は、すでに相当長い歴史を持ち、その運営もだんだん改善されて参ったようではございますが、しかしながら、必ずしも協議団というものが、つまり協議団の本来の趣旨は、賦課徴収を担当する当該の官吏でなしに、第三者的な観点から人をかえてあらためてその問題について検証し直すと、全然先入主なしにその問題に虚心に立ち向かって検討し直す、そうして無理のないようにするというのが協議町の制度の本旨であろかと思うのでございますが、今回その運営の面においてこういうふうに法律上明定され、また漸次これが改善されてきたと思うのでありますが、私はこれに第三者的な性格をさらに強めるということが相当必要じゃなかろうかと。たとえば協議別の考えとしては、虚心に考えた場合に、これはいかにも無理だろう、こう決定したいという場合におきましても、本来賦課徴収をした当該の責任の部局の意見を聞き、その間の意見がまとまらないために非常に決定が延引するとか、または原局の意見に拘束されて必ずしもほんとうにすなおに決定できないというふうな事例もあり得たのじゃなかろうかと思うのでありますが、それらの点について政府当局の現状並びに将来についてのお心がまえを、まず最初にお伺いいたしたいのでございます。
  93. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 今回協議団の協議の持つ意味につきまして通則法改正いたしました点は、従来は、国税局長が審査の決定をなす場合には協議団の協議を経なければならない、これだけであったわけでございますが、その意見に第三者的な意味を多分に含ませまして、その意見が原則的により尊重さるべきものである、こういう気持でその協議団の協議に基づいて決定しなければならないということにいたしたわけでございすます。法律の文章にいたしますとそれだけでございますが、その精神とするところは漸次さような方向に向かっていくことが望ましいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、現段階で、その協議団の協議に拘束されなければならないということをとらなかったわけでございますが、これにつきましては、その審査に関する能率の問題と税務行政の統一性の問題と、この両方の実際的な政府並びに納税者の利便の点を考えまして、今度はこの程度改正にとどめることが適当だと考えたわけでございます。その間、この問題も先ほど申しました諸制度と同じように、現状の発達段階というものを十分考慮していかないと、あまりにも理想に走りますと、非常に手数だけかかりまして、費用のかかる、時間のかかる制度になるわけでございます。そういう点も顧みまして、これを全然独立の機関にするということにきましては、まだ時期尚早であろうと、かように考えた、わけであります。
  94. 高橋衛

    ○高橋衛君 もちろん、協議団に対するところの審査が非常に能率的にしかも急速に行なわれることが、これは納税者のためにどうしても必要だと思うのであります。統計によりますると、昭和三十五年度におけるところの、要処理件数が五千四百七十六件でありますか、それに対して四千百二十五件処理されておる。しこうして、なお千三百五十一件というものが処理未済で年度を繰り越しておるという状況でございます。したがって、この数字から推定をいたしますれば、もちろん速急に処理できたものも相当あろうかと思いますけれども、平均的に申しますると、その年内に全部を処理していないということは、すなわち一年以上この審査に処理を要しているんじゃないか、平均的に申しますとそういうふうな面がございます。したがって、この処理の能率化ということは、どうしてもさらに必要であろうかとは思うのでございますが、同時に、そういう方面については、たとえば人員の配置をふやすとか、処理の仕方を考えるとかいう問題が当然必要であろうかと思いますが、さらに考えますると、租税について最終的な救済方法として裁判所に対する出訴の問題があるのでございます。ところが、裁判研に対する訴訟事件の処理の状況を見てみますると、これはさらにはなはだしく非能率でございまして、たとえば昭和三十五年度の数字によりますると、前年度からの繰り越し裁判事件が六百二十三件ある。それに対して年度内に解決できたものが二百三件、言いかえまする三年分繰り越しを持っておるという状況になっております。これでは税のごとく経済情勢がぐんぐん変動していっている時代においてこういうふうに行政救済というものが非常におくれるということでは、これは判決があって、ほんとうにそれが正しくされた場合において、ほんとうにはそのときにはもう救済がなかったも同然のような事態になるおそれがあろうかと思うのであります。そういうふうな観点から、まずそういうふうな事務処理の能率化と、これは裁判の問題については大蔵省にお聞きするのはいかがかと存じますが、そういう点について、つまり行政救済の制度の充実という面から、政府としてどういうふうにお考えになっているか、その点をお聞きいたしたいと存じます。これはあるいは国税庁のほうが妥当かとも思いますが、双方からひとつ。
  95. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これは大部分は運用の仕方の問題と思いますが、今回の制度改正につきましても、この点については配意をいたしました。一番われわれが目につきますのは、更正があってその次再更正がある場合、今まででございますと、その再更正がやはり訴願前置主義で異議の申し立てから経てこなくちゃいかぬ、こういうことでございました。今回は審理をすべて併合いたしまして、更正のほうがすでに審査請求に行っておりますというときに、再更正が同じ事案について行なわれた場合に、異議の申し立てがあったら直ちに審査のほうに併合することにしました。なお、その再更正について、かりに異議の崩し立てをしなくても、今度は、今の審査の決定の段階で再更正に対する審査決定までできることにしたわけでございます。  具体的に申しますると、五十万円で申告しました、百万円の税額の更正がありました、これが審査に表わされております。その後二百万円とかりに再更正があった、その場合、不服の申し立てがあったら、すぐ百万円、二百万円と一緒に審査決定してしまう。本人が申し立てなくても、これは二百万円は間違いであるという、百万円については間違いであるかどうかという決定を下し得ると同時に、対象にならなかった二百万円の決定についてもその審査の段階で直し得ることにいたしました。  なお、訴訟についても同様でございまして、最初の更正が訴訟に行っております。再公正がまた、従来でございますと、異議の申し立て、それから審査の請求と、一歩々々こなくちゃならなかったが、今回はすぐ訴訟に直ちに一緒にやってもらいたい。すでに訴訟に行っておるのだからということで、その間事務処理の迅速化につきましても、今度は審理の併合化を通じまして能率的に事務処理ができるように制度上にも配意をいたしたわけでございます。
  96. 原純夫

    政府委員(原純夫君) ただいま私の、ほうに若干お話の含みで御指定がありましたので、ただいまのお述べになりました筋について私どもの努めておりますところを申し上げたいと思います。  裁判所における訴訟が相当時間がかかるという問題につきましては、私どもは早くこれを処理していただきたいという気持を持っておりますほか、別段私どもとして出てこれをどうこうという筋合いはございませんので、私として申し上げますのは、私のほうの部内におきまするこの異議申し立て系統の処理について、特に協議団の仕事の処理につきまして配意しておる点、またその結果どうなっておるかというようなことを中心にして申し上げたいと思います。  まず、たいへん、長くかかるのではないかということ、その前に、この数字をおあげになりましてだいぶ未済が多いというお話でございますが、私、一昨年このポストに参りましたときに、やはり審査の系統の仕事の未済が多いということ、これは歴代の長官がそれを指摘して努力してこられたのでありますが、なおそれが相当たまっておるということでありましたので、協議団の仕事をやるについての一番大きな柱の一つをこの長期の未済事案の整理ということに置きまして、自来努めてこれに努力してもらっております。  先ほどの数字でございますが、五千四百七十六件の、要処理件数に対して四千百二十五件を処理した。未済が千三百五十一件になった。三十五年度は、年度初めに前年度からの繰り越しが千二百五十七件でございましたので、未済が若干ふえたのでありますが、その後三十六年度に入りまして、今のような気持でなお努力いたしております。ただ、これらの中で長期の未済事案は、年度をまたがって比較する数字を私は持ち合わせておりませんけれども、長期未済事案については非常に強く申しまして、整理を申しました結果、だいぶ減ってきておるということをここにはっきり申し上げてよろしいと思います。  数字的には、これは三十六年度分の数字で、本年二月末で集計しました数字であります。したがいまして、十一カ月分であります。総協議済み件数で三千八百十六件、このうち一年以上を、要しましたものが百三十六件ということになっております。比率としてはたいへん少ないので、まあ四%以下、三%ちょっとということになっております。自余の九五、六%以上は一年以内、それも六カ月以内が八割あるということでありますので、まだまだ私どもの努力は足りないと思いますけれども、ひとつその辺を御了承いただきたい。  なお、この問題は、やはり非常に今後も問題があるところだと思いますので、毎年々々、重ね重ね、努力して参りたいと思います。  それから、協議決定を経まして局長が審査の決定をします場合に、主管部の意見を聞く。その主管部の意見を聞くのに手間をとるのではないか、また主管部の意見に押され過ぎるのではないか。これはまことに大事なポイントを御質問になられましたが、協議団の問題で私が特に重点を置いております第二の点がまさにそこなのであります。やはり主管部に参りまして、非常に時間がかかるということがございます。それから、意見がなかなか調整がとれぬというようなことが、間々ございます。それで、私としましては、単に協議団だけに対する措置ではなくて、各局長に対しまして、この関係の打開をみずからはかるようにということを強く申しております。局長会議のあるたびごとに申しております。そうして、このために主管部と協議団との間の連絡会議という制度があるのでございますが、それをよりひんぱんに聞いて、そうして局長がどんどんむずかしい事案については自分がみずから乗り出して判断をするように、裁断をするようにということを強く申しまして、本庁におきまする各局の会議の際にも、特に協議団関係の会議をいたします場合には、未決の事案でただいま申したような意味で主管部との調整がとれないような事案というようなものを持ち寄りまして、中央でもこれを検討するというようなことを随時やって促進するというようなこともいたしております。ただいま申しましたように——先ほど申しましたのは協議決定までの時間でありますが、これに今のような調整の時間がかかって、そうして最終協議決定——協議に基づく審査の決定が出るわけでありますが、この全体も長い未決というものはだいぶ減ってきておるということを申し上げるができると思います。  以上二つの点を、特に重点を置いて私どもとしては努力いたしております。まだまだ不十分な点が多いと思いまするが、なお御指摘いただいて努力して参りたいと思います。
  97. 高橋衛

    ○高橋衛君 協議団に関する規定はこの八十三条にあるだけで、実は古い法令を私対照しておりませんのでよくわからないのでございますが、今回、協議団の議決に基づいてしなければならぬ、そうして運営は政令で定めると、こういうふうに規定しておられるのでございまするが、更正についても相当重要な問題じゃなかろうかと思うのでありますが、その従来の書き方とどういうふうな表現の違いをしておられるか、またそれが実質的にどういうふうな意味を持つかというふうな点について、ちょっと御説明を願いたいと思います。
  98. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 現行法では協議団令でこの統制並びに運営が規定してございますが、これは合議制でございまして、三人以下ということの協議団の協議によってきめられるというようなことがきめられておりますが、それらの審理の進め方の細目については何もございませんです。で、今後の協議団令におきましても、これは今後の問題でございますが、目下検討中の段階でございます。人数をいたずらに多くするのがいいのかどうか、先ほどの処理件数との関係がございます。まあそういった点で、これは主として国税庁のほうでお考えいただくよりほかにないと思いますが、現行の政令はそのようになっております。
  99. 高橋衛

    ○高橋衛君 法令の表現の変更の点をちょっと……。
  100. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 従来は、決定をいたします場合には、協議団の議を経てしなければならない、議を経て。今度は、議に基づいて……。
  101. 高橋衛

    ○高橋衛君 議決に基づいて……。
  102. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) はい。
  103. 高橋衛

    ○高橋衛君 「議決に基づいて」と、議を経てと、その解釈上どの程度の差があるかという点をお聞きしたい。
  104. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これは「基づいて」というほうが、より尊重しなければならないという意味が表われるものだと考えております。
  105. 高橋衛

    ○高橋衛君 これからお伺いすることは、ただいま申し上げたことと逆のことになるわけでございますが、税務の行政処分について不服のあった場合における処理の状況の実態を、私どもいろいろ見てみますと、どっちかと申しますと、こういう便宜主義と申しますか、お互いに話し合いでもって、そういう事実関係について、または法律関係について十分な掘り下げをしないで、まあまあというふうなことできまるということが相当多いような感じがするのでございます。そういうような傾向はだんだんなくなって参りまして、非常に悪い言葉でいえば、顔をきかせるとかなんとかということも言われるのでございますが、今日とかく公認会計士の制度も相当歴史を経て、これが内容が充実して参った、また税理士の数も相当多数になって参りまして、税理士がこういうふうな事案に関与する割合も相当多くなって参ったと思うのであります。したがって、協議団の議決でもって、大部分の者がほんとうに満足をして、訴訟にまで持っていかんで済むというようになることが、私は行政救済の制度としては最も望ましいことである、こういうふうに考えるのでございます。裁判までいかぬで、ほとんど大部分の納税者が協議団の決定で満足するというようになることが、これが私は理想でなければならぬ、こういうふうに考えるのでございます。まあそういうふうな観点から、この協議団が議決をいたします場合における手続、これは先ほど非常に能率的に、処理がおくれているじゃないかという点とはあるいは逆になるかと思うのでありますが、現在の裁判所におけるような裁判のあの窮屈な手続を私はやれと言うのではございませんが、何か筋を立てて、そうして手続を規定化して、そうしてきちんと、その主張の根拠がどこにあるか、またそれがどういうふうにされたかという記録がはっきりとられて、そうして処理されていくというようなことが、ひいては協議団に対するところの納税者の信頼度を増すゆえんである。また、協議団の決定したその事項についても、常時重要な問題については公表していく、そうして、一般の批判を受ける。またそれについては、特にそういうふうな職業会計人が正式に関与するというふうな制度を考えることがいかがであろうか、そういうふうに私は考えるのであります。  外国等におきましては、租税裁判所の制度が現在あって、特に米国等においてはタックス・コートが非常に能率をあげて、結局一般の普通裁判所におけるところの裁判の非能率を、このタックス・コートによってきわめて迅速に処理することができる、それによって納税者の不平不満を相当解消している、また行政救済の実をあげておられるという実情であると私は見ているのでございますが、そういうふうな観点から、やはりそういうふうな方向に一歩進めていくということが、私は税に関する行政救済の方途として、方向としてぜひあってしかるべき問題じゃなかろうかと、かように私は考えるのであります。したがって、これは政令で定める範囲に属するかとは思うのでありますが、その政令で定める場合におきまして、その心がまえ、どういう方向でどんな将来の発展を期待してこうした政令をきめるかということが非常に重要なポイントになろうかと思うのであります。まあそういうふうな観点から、政府当局の御意見も伺っておきたいと思います。
  106. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 協議団の仕事が極力能率的に、かつ、これにおいて納税者の利益が十分に守られるように、協議団の仕事のやり方を配慮する必要があるというお考えでのお尋ねでありますが、全然同感であります。ただいまも協議団令というもので基礎的な骨格が出ておりますが、仕事の運営の詳細につきましては、部内の通達であります協議決定に関する事務提要というものを作って、これによらしております。その事務提要の精神として、お話の能率的に処理する、それから納税者の利益を守るということが、もう協議団の本質からして当然の建前としてやっておるのでありますが、なお、今回の法律改正がさらに協議団の第三者的な地位を高め、これの議決を尊重するようにということでありますので、これを十分に取り入れまして、将来の運営要領の、事務提要の改善をいたしたいというふうに思います。  なお、協議に際しまして職業会計人、主として税理士でありますが、税理士さんの関与を得るということについて、やはりそれが非常に望ましいと思っております。まだ今のところ、どうもその角度からいいますと、法人税事案では相当関与が普遍的に行なわれると、まあ全部とはいきませんけれども、大半のものに行なわれるという状況でございますが、所得税の関係はそうでもない、まだ半分までとはいかないというようであります。まあ所得税の場合には、より小さい納税者も多いということから、そこでは、私の気持としましては、税理士さんを頼まれるということはより強く擁護されるということになると思う。しかし、それがない場合におきましても、御案内のとおり、協議団は公平な第三者的な立場で話を聞き協議決定をすべきものでありますから、その際、納税者の知識が足らない、税務に関する物事の知り方が足らないという点については、当然に十分これを教えて、そして補完しながら主張をしてもらうというふうに努力すべきだと思い。そういうふうにやっておるつもりでありますが、なおこの改正を機会に一段と努力を深めたいと思います。
  107. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 税理士あるいはその他の職業会計人の関与の問題につきまして、方向としてはただいま長官がおっしゃったとおりだろうと思います。その場合に、ただまあいろんな軽微の事件がございます。それから、費用等の関係がございます。したがいまして、その事案の内容によるところもあるのじゃないかと。将来、制度を考えます場合に、いろんな——それができるかどうかわかりませんが、いろいろな制度を考える場合にも、その事案の内容によってその辺の何か区分ができないかどうか、その辺が一つの山だろうと思います。  それから、米国のタックス・コートの問題でございます。救済手続はそれぞれの国の発達の歴史があると思いますが、アメリカの行き方でございますと、まず本人の申告に対して税務署のほうでどうもおかしいということになりますと、まず両者の間で話し合いが行なおれて、それでまとまればそれでよし、まとまらないと、いわゆる三十日レターが出るわけでございます。三十日レターをもらいまして、そこでそのときに行き方が幾つかございまして、そのときには国税局の訴願部、いわば日本の国税局の訴願部のほらに訴願として行く場合、これでまとまりますればそれで事は済むおけです。まとまらないと、不足税額の通知を九十日レターでもらってくる。これですぐタックス・コートに行くか、あるいは民事裁判所に行くかという問題、あるいは納税者の選択で直ちにいきなり訴願には行きたくないというので、九十日レターで不足税額をもらいまして、それですぐタックス・コートなり民事に行ける。そこはかなり自由でございます。いずれにしても、行政官庁と話し合いがつどきますと、もうそこは修正申告になるのですか、その辺ははっきりわかりませんが、そのまま行ってしまう。こちらのいうような処分という形の審査決定とか再調査決定とかいうような形はなくて、無事円満に納税して納めてしまう。正式に争うときに、今の九十日レターによる不足税額の通知を受けまして、それでタックス・コートなり民事裁判所に行く。タックス・コートへ行く場合は、これはやはり執行権のほうは一般的に停止になりますが、同時に先取特権が全部にかかるという格好になっております。民事裁判所へ参ります場合には、あらかじめその税金は不足税額が納めていないと民事裁判所には行けない。いわば納めておいて、不当利得の返還請求、これで訴訟を起こすわけであります。  これらのものを見てきますと、日本よりはまあ何といいますか、その辺が裁判の程度にいたしましても、かなり発達しているような感じもいたします。しかし、よく考えてみますと、税務署における再調査の決定に相当するものというのは、いわゆる税務署段階におけるコンプルマイズで片づいているわけでございます。それから、再調査の審査の決定に該当するものになりますと、これは話のついたものはやはり訴願部との間のコンプルマイスで片づいているわけでございます。日本の場合直ちにこれが採用できるかどうか。また、租税裁判所もなかなか、言うべくして、この問題はやるということになりますと根本的に考えなければならぬ問題でございます。そういう意味から、われわれはなお外国制度は今後検討して参らなければならぬと思いますが、今日の段階では、従来の制度に若干の融通性等みがきをかけて能率の迅速化をはかるほうが、一番当面課題ではなかろうか、こういうことで、将来に対して基本的な検討は残してはございます。今度の改正ではそこまでは行っていないわけでございます。
  108. 高橋衛

    ○高橋衛君 ただいまも御答弁がありましたとおり、今回の国税通則法におけるところの改正で、この行政救済と申しますか、滞納処分関係において相当納税者の利益を保護するという面に大きな一歩を進めているのでございます。先ほども申しましたが、滞納処分の執行の停止とか、または公売処分の禁止だとか、または担保を提供したときにおけるところの差し押さえの禁止というふうに、漸次不服のある場合には強制処分をいたさない、こういう方向に持ってきている。そういう方向に持ってきますれば、当然にそういうふうなタックス・コートの問題もそれと関連して検討せらるべき問題であるわけでございます。そういう趣旨で質問いたしたわけでございます。   〔理事上林忠次君退席、委員、長着    席〕  次に、この租税通則法全般についてずっと見てみますと、そういうように納税者の利便のために相当書かれた面が非常に多いと思いますが、とにもかくにも、租税通則法というものは、これは各税法が実体法であり、租税通則法はこれに対する手続法であるという実体を持っているのでございます。したがって、税法は全体としてこれが動く。言いかえれば、各税法は胴体であって、この国税通則法は手足だ。したがって、実体法が成立してもこの手足が動かなければどうにもならない。したがって、その間、法律の空白ができたりなにかするおそれがあるのじゃないかということを私は感ずるのでございますが、ちょうど本日は年度末、他の税法委員会を通ったのでございますが、または成立したものもあるのでございますが、それらがこの国税通則法がこの年度内に成立しない場合にはどういうふうな具体的な障害があるか。法律の欠陥、つまり法律が存在しないというふうな非常なギャップができるのじゃないかということを私は非常におそれるのでございますが、そういうふうな面について具体的に、どういう点が一番困るのだ、どんなことになるぞという点を、ひとつ詳しく御説明を願いたいと思います。
  109. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 御指摘のとおり、今度の通則法は各実体法に対しましていわば手足でありまして、その執行面を受け持つわけでございます。ただ、この国税通則法とそれに関連する諸法律の整備に関する法律、これが一緒になっておるわけでございます。で、これがもしおくれますと、第一には、その通則法並びにその整備法が目的といたしました納税者に対する利益とか、基本的な法律関係を明らかにするとか、こういった点がおくれることはもちろんでございますが、法律的にどこが動かないかという点を申し上げますと、酒税法、物品税法、入場税法、それからトランプ類税法、これは間接税でございますが、今度相当大きな改正をいたしたわけでございます。したがいまして、これらの規定の中から、実はそれぞれの税法でそれらの規定をあらかじめ設けないところで規定されているわけでございます。したがいまして、整備法でこれを直すにいとまがないわけでございまして、すべてそれは通則法そのものの規定で動くわけでございます。具体的に申しますと、申告納税まで、期限内申告までは各税法に書いてございます。しかし、それ以降の修正申告、期限後申告、更生決定、再更正決定並びに納付につきましては、期限内申告たると期限後申告たるとを問わず、あるいは更生決定たるとを問わず、すべて通則法規定によって初めて納付ができるわけでございます。したがいまして、納付に関する限り、それが成立しないということになりますと、自動的に増減税以前の状態になりまして、法律そのものが事実上死んでしまうということでございますし、期間がおくれればその間空白が免ずるということでございます。  その次に、もう一つは、税額に関する端数計算法、これが通則法の中にかかえてございます。この点につきましては、御承知のように、源泉徴収税額表、これは非常にこまかい税表でございますが、今度の端数計算法に基づく税額ですべて組まれておるわけでありまして、すでに全国に配付されておるわけでございます。四月一日からこれで徴収されるわけでございますが、もしそれが成立しないということになりますと、端数計算が旧法で動く関係で、その税額が間違った税額が徴収されるということになるわけでございます。  それから、これは若干手続的な問題でございますが、政令段階では、これは各税法改正に基づく政令と通則法の施行に伴なへ政令と、実は一本ですべて動くわけでございますが、もしこの時期が過ぎますと分離したくちゃならぬという事務が起きるおけでありまして、これまたたいへんな問題を引き起こすというように考えておるわけでございます。
  110. 高橋衛

    ○高橋衛君 ただいま政府側の説明によりますると、この通則法がもしも成立しないということになれば、結局手足がない、胴体だけの法律というような格好で、その運営がとうていなし得ないという御説明でございますが、かくのごとく他の税法と不可分の関係にあるもの、それがしかも非常に重要な内容を持っておる問題でございますので、われわれとしても十分に審議をいたさなければならない。今日非常に押し詰まってようやく衆議院から回ってきたということについては、私どもは衷心から、何と申しますか、わずかな時間において審議をしなきゃいかぬということについては、まことに遺憾とするものであります。こういう点については、政府側も今後こういうふうな急迫した時間内において審議をしなければならぬという事態にならぬように配意されることを強く要望して、私の質問を終わります。
  111. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 この国税通則法並びに施行等に伴う関係法律の整備に関連いたしまして、二、三質問をいたしたいと思います。  この二法案が出ましたときの提案理由の御説明で、これはいわゆる国税に対する手続法だということで、それをいろいろ集大成したのだということでありまして、その点は非常にこれは画期的な意味合いにおいて重要なものであるということを私は考えました。これについて、逐一ではございませんが、ざっと法案研究してみたのですが、この法案は、始終こういう法案を読みつけている者から見、またこれに関連して仕事をしておられる方々から見れば、比較的わかりやすいということも言えますが、しかしながら、ふだん読みつけぬ君から見まして、やはりむずかしい印象が与えられる。そこで、実は先ほど木村委員からお話がありましたが、ずいぶんこれに対する反対の陳情が来ております。これをぶちこわせというような激しいのもあります。あるいはいろいろなこういうふうな反対の電報等も参っておりますが、しかし、これは一がいにおっしゃっていることすべてを私は肯定しません。何となれば、これは法案を知っております者から申しますと、言っておられることのすべてがこれに当たっていない点がたくさんある。非常にそこに誤解に基づいて反対をしておられるというような点も、私はたくさん見受けられるのです。そこで、こういうふうな誤解を起こすような、この法案の中に、提案の中にありました趣旨と相反するような表現があるというような点があるのじゃなかろうか。そういう点につきまして、むろんこの法案というものは、われわれは非常に必要なものであり、通してもらいたいという趣旨を徹底する意味からいきまして、また通さなければならぬという趣旨からいきましても、二、三の点について御質問を申し上げたいと思います。  実は、きのうも私のところに、これに対する反対の陳情がありました。どこが反対なんですかということを伺ったところが、その中に、二、三ありますが、時間が短かったのでたくさんおっしゃいませんでしたが、たとえば人格なき法人というような言葉があります。これは近ごろこういう言葉がよく使われるから、たとえばわれわれのごとき仕事をしております、経済界の仕事をしております者からいいますと、はなはだおかしな言葉でありますが、償却前の黒字というような、はなはだもっておかしな言葉が流行する世の中であります。そういう意味からいうと、あるいはこれに関連をして、人格なき法人というような、わけのわかったようなわからんような、そういう言葉が横行するところから、あるいは大蔵省の方々はよく御存じかもしれないけれども、どうも一般にはわかりにくい問題があろうと思います。そういう点から、どういうものがそういう範囲に入るのかということについて、非常に何もかもそれで税金がかかってくるのじゃなかろうかというような心配をして、反対理由にあげておられる方もございましたが、まずこのことから伺ってみたいと思います。  そういうようなわけですから、私の質問は、むろんこの法案というものに反対をしておられる方に、反対が誤解であるということを解明する意味合いからいきまして、こくこういう税法その他の法律を始終見つけられない方にもわかりやすく理解していただくように、懇切丁寧に時間をかけて御説明を願いたいと思います。
  112. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) わかりにくいものの表現の一つの事例といたしまして、人格なき社団または財団のお話が出ましたので、その点について申し上げます。人格なき社団の代表的な事例は、たとえば財団法人の認可申請をして人格が下りますと、それはいわゆる法人でございます。ところが、認可申請中の法人がたくさんあるわけでございます。これが一番多い形の人格なき社団でございます。それから、何々学校の後援会とか、あるいはPTAとか、こういうものもいわゆる人格なき社団でございます。それから、労働組合で人格のないようなものにつきましては、これはまた人格なき社団だといわれております。それから、ゴルフ場のクラブで人格のないものがたくさんございます。こういうものはいわゆる人格なき社団といわれておるわけでございます。  そこで、現行税法は、これらにつきまして納税義務があるかないかということにつきましては、間接税系統は、たとえば酒を製造場から移出したる者、こう、うたっておりますし、また物品税法も同様でございます。入場税法については、その経営の主催者というのが納税義務者になっております。その解釈は、法人であろうが、個人であろうが、人格なき社団であろうが、要するに「者」でございますので、すべて含むということで、その点はわれわれは疑いを持っておりません。ただ、法人税あるいは所得税でございますと、それは法人であるか個人であるかによりまして、税の納税義務の範囲が非常に違うわけでございまして、所縁税でございますと、利子とかあるいは公社債の利子とか配当だけが源泉徴収に付するわけでありまして、これに反しまして、個人は全体の所得について課税を受けるわけでございます。そういう意味で、所得税法では、人格なき社団は今言った源泉徴収、ほかの法人も源泉徴収を受けるそういう所得に限って法人とみなす、こういうことにいたしまして、その取り扱いを明らかにしたわけでございます。また、法人税法におきましては、人格なき社団のうち収益事業を営む者については、これは法人とみなして課税をいたします、こういう規定の仕方をしておるわけでございます。一方、国税徴収法、これはすべてのものについて納税義務を最終的に実現するためには、強制徴収の場合の規定が要りますので、人格なき社団または財団で管理人の定めのあるものについては、これは法人とみなす、こう書かれて、おります。したがいまして、納税義務からその徴収に至るまで、すべてそういうふうに書いておるわけであります。  今回、衆議院で修正になりましたけれども、修正になる前のこの通則法は、その社団がその実体におきまして個人というよりは法人に近い点に着目いたしまして、これを各税法の適用について法人とみなす、こら入れたわけでありまして、これは納税義務に関する限り、現行法の解釈に何ら影響を及ぼすものではない、かように考えておるわけであります。  ただ、問題は、こう入れまして、罰則規定のほうに実は手を打ったわけでございまして、人格なき社団でございますと、これは法人とみなされますと、普通の法人でございますと、行為者は違反行為があれば罰せられますが、そうでなければこれは法人そのものは罰を受けたいわけでございます。そこで、法人税法その他、法人が罰則の適用を受ける場合の違反行為があり得る場合を想定いたしまして、各税法ではそういう場合には行為者を罰するほか法人についても罰金刑を課する、こういう規定を入れておるわけでございます。この両罰規定が入っておりますのが、現行では所得税法法人税法、それから国税徴収法が入っておるわけでございまして、その他の税は非常に古い税金でございますので、今までその規定がなかったわけでございまして、したがって、それらの税については、人格なき社団、財団が違反行為があって毛、社団、財団に関する限りこれは罰則の適用なし、これは明文を必要といたしますので、そういうことになっておったおけであります。  今回は、それはやはり刑罰の規定の上からいきまして一種の治外法権を作ることになりますので、それを入れようと政府原案ではいたしたわけでございます。  しかるところ、衆議院におきます修正案は、先般衆議院の提案者から説明がありましたように、さきの答申のうち五項目を政府は落として提案をしている、人格なき社団について両罰規定は、政府はなるほどそういう意図かもしれぬけれども、納税義務について課税関係に変革を加えたような規定にも受け取れるから、同時にこれも現状維持にとどめるべきである、こういうことにいたしまして、今度の人格なき社団に関する規定は一切従前と全く同一と、こういうことになるように修正を受けたわけであります。現在この委員会にかかっておりますのは、そういう意味で、ちょうど、衆議院の修正を受けまして、この現行法と全く同じ規定内容が提案になっているということでございます。
  113. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 ただいまの質問申し上げたことで御説明を伺いましたが、この人格なき社団ですが、この範囲を明確に、こういうものと、こういうものずと、何か限定するとか、指定するとか、そういうふうなことは考えておいでにならないのですか。
  114. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 人格なき社団または財団と申しますのは、非常に広範囲なものでありますから、そこで代表者またに管理人の定めあるという制限だけはつけておりまして、大部分の人格なき社団というものは何らかの意味で財産を持っていればその管理人か代表者がおのずからあるわけでありますから、それだけを捕捉すれば足りるということでそういうことになっているわけであります。
  115. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 かなりわかりましたが、しかし、これは先ほどちょっと申しましたように、くろうと筋はわかるのですけれども、端的に申しますと、一般の人にはどうもわかりにくいというところに、こういろいろな、反対をしなくてもいいような反対が起こってくる一つの根拠があると思うのでありますが、今後立法技術上こういうことについては気をつけていただきたいと思うのであります。もちろん、各条文を個々のものを全部当てはめて、包括的にこういうのは入るのだということをきめて——法三章という方針は賛成なんであります。しかし、事と場合によってはやむを得ずこういうことも必要なんじゃないかと思います。これは意見として申し上げます。  それから次に、四節の 「送達」のところに、「通常の取扱いによる郵便によって」云々ということがある。従来こういう送達につきましては、送達主義になっているのか、あるいは発信主義をおとりになっているのかという問題でありますが、場合によりますれば、私も詳しく一々は知りませんけれども、両立しておったようにも聞いているのでありますが、ここで非常に問題になりますのは、「通常の取扱いによる郵便によって……通常到達すべきであった時に」と到達という時間的な要素がここに入っておりますが、これを考えると、やはり到達主義でありますれば問題はないのですが、発信主義の場合にその「すべきであった」という時間という問題が、近ごろのように郵便の遅配の問題が起こってくると、この点でまたいろいろ疑義が存して、これが争いのもとになると思いますので、これについてどういうふうにお考えなのか、伺います。
  116. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) その点は二つございまして、一つは、いわゆる期間の定めがあるときに、一月以内に提出しなければならないといったときに、やはり発信の日付で考えるのか、到達した日で考えるのか、この問題がございます。それから、発送したけれども受け取っているかどうかわからないときにどう考えるか、こういう問題と、別の問題でございます。  そこで、前段の問題につきましては、従来一般に、民法と同じように到達主義だといわれておるのが一般でございます、ただ、これが取り扱いによりまして、若干緩和して、発信主義をとっておった税もあるようでございます。  そこで、今回はその点を明確にいたしまして、二十二条でございますか、これはあらゆるところに準用されております。三十ぺ−ジでございます。「郵送に係る納税申告書の提出時期」、これはあとで再調査の請求とか、そういうものに全部準用されておりますが、これは「納税申告書……が郵便により提出された場合には、その郵便物の通信日付印により表示された日……にその提出がされたものとみなす。」、こういうのでありまして、途中の郵送期間は算入しない。したがって、納税者にとっては、それだけ今までよりも、到達主義をとっていたときよりも期間が少し延びた勘定になるわけでございます。これはその問題でございます。  一方、発信したが、これはしかし着かなければ話にならないわけでございます。着いた場合に、その期間をどう見るかがこの問題でございます。着いたか着かぬかという問題に争いがある場合には、これは民訴なりあるいは会社更正法と同様な規定国税徴収法に現在あるわけでございます。今般も、その国税徴収法による規定をそのままこれを通則事項としてこちらに移したという規定が、いわゆる十条の2でございます。「通常の取扱いによる郵便によって前項に規定する書類を発送した場合には、その郵便物は、通常到達すべきであった時に送達があったものと推定する。」と、こうありまして、それから3に、「税務署長その他の行政機関の長は、前項に規定する場合には、その書類の名称、その送達を受けるべき者……の氏名……あて先及び発送の年月日を確認するに足りる記録を作成して置かなければならない。」と、ちゃんと証拠をはっきりしておきなさいということで規定してあるわけでございます。ただ、実際、税務の実務におきましては、いろいろな更正決定の通知書とか、重要なものは書留で出しておるやに聞いております。
  117. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 たくさん実は伺いたいと思うのですけれども、それよりひとつ、こういうふうな法案ですので、先ほど高橋君が私が聞こうと思います点についてだいぶ質疑応答がありましたので、その点はダブることを省略したいと思いますが、そこでそのときにも御質問がありましたけれども、ひとつここでまとめてわかりやすく個条的におっしゃっていただきたいと思うのですが、それは、この通則法の判定によりまして従来よりも納税者が非常に不利になった場合と、それから非常に有利になった場合というように、これはもちろんいろいろの問題があろうと思いますけれども、こういうような点について逐次、こういう点はよくなった、こういう点は悪くなったというような点があろうと思いますので、そんな点をひとつ個条的に御説明願えたら、たいへんけっこうでございます。
  118. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) あまりにも多いものですから、全部あげられますかどうかわかりませんが、おもな事項について申し上げます。  一つは、付帯税に関する改正でございます。これは従来は利子税と延滞加算税、これを両方取っておりまして、利子税は納期限の翌日から日歩三銭で取っております。ところが、今度は、その督促状を納期限から二十日以内に督促状を出します。督促状を出してから十日以内に納まりませんと、これから差し押えの手続が始まるわけでございますが、督促状を発付してから十日目が過ぎますと、その翌日から別に延滞加算税が百円につき日歩三銭かかるわけでございます。ですから、原則として滞納いたしますと、六銭かかっていたわけでございます。今度はこれを統合いたしまして、延滞税という名前にいたしまして、それで原則として日歩四銭。二銭下げたけわでございます。ただし、従来と同じように、督促状を発付してから十日目まで、これは従来は利子税だけの三銭だけで済んだわけでございます。そこで、一本に統合した場合には二銭にとどめますということにしたわけです。したがって、簡単に申しますと、従来は原則は六銭、合わせて。督促状発付の日から十日目までは三銭、これが二銭になりました。これが納税者に非常に有利になるわけでございます。少し商過ぎるという感じでございます。  ただ、そこで不利と考えますかどうですか、従来は今の延滞加算税の三銭分は滞納本税の五%の頭打ち、こういうものがございました。今度はその頭打ちは取りまして、従来のその頭打ちは百七十日ぐらいで頭打ちになるわけでございます。この点は徴収猶予に関する規定の整備をしまして、それから徴収猶予の場合の、理由のある徴収猶予の場合には、延滞税免除の規定が方々にうたわれているわけでございます。そういうことを考えますと、そのいわば全く自分の責任で滞納になったもの、免除をする必要のないようなものでございますので、頭打ちする必要はないであろう、安くしたことでもあるし、こういうことでその制限がはずれた点が不利といえば不利でございますが、全体合計いたしますれば、もちろん有利の点には違いございません。  第二点は、いわゆる加算税でございます。過少申告加算税、これは従来と変わりございません。無申告加算税、これは法定申告期限が過ぎましてまだ申告しないという状態でございますと、従来はその不足税額  本来の正しい税金に対して不足する税金につきまして、おくれた期間によりまして税額を加算していったわけです。おくれること一月まで一〇%、二月まで一五%、三月まで二〇%、三月以上になりますと二五%、こういう工合になっておりました。源泉徴収にかかる所得税の加算税についても同様でございます。これは従来軽加算税と呼んでおりました。これを今度はすべて、その徴収がおくれたとか申告がおくれたとかいうことは、期間の長短にかかわらずすべて一〇%にとどめたわけでございます。これはおくれたというのは延滞税のほうで片をつける問題であって、その申告の態様、すなわち申告書の提出がおくれた期間の差で差をつけるべきではないという考え方、同時に、重過ぎるではないかということで、直したわけであります。  それから、もう一つは、これは申告所得についてもございますし、それから源泉徴収でもございますが、詐欺または不正の行為と申しますか、隠蔽、仮装にかかる——隠蔽、仮装という行為を伴ってそれで税金をまぬがれたという場合には、その不足税額につきまして、もとの申告は、過少申告である場合には五〇%取っておったわけです。それからまた、源泉徴収の重加算税についても、それから無申告の場合でも、それが隠蔽、仮装という作為によった場合には不足税額の五〇%を取ったわけです。今度はそれを、原則としてこれはあまりにも重過ぎるということで三〇%に下げました。この点が直接負担として納税者に及ぼす影響としては最も大きいものだと思います。平年度われわれは大体二十二億程度の減収になるというふうに考えてございます。  それから、第三番目は、先ほどちょっと申し述べましたが、訴訟の手続の関係でございます。これは第一に、不服の申し立ての範囲というものを非常に拡大いたしたわけでございまして、従来でございますと、法律処分で、しかも賦課徴収に関する処分だけが不服の対象になり得たわけでございます。今度はおよそ税務署のやった処分であれば何でもけっこうです。その処分の中には法律行為だけでなくて、事実上の事実行為も含みます。それからなお、税務署にあるものを請求した、たとえば更正の請求をしました、それでおくれています、いわゆる不作為に対してもこれは異議対象になり得る。ただし、今度は行政不服審査法のほうで、そこは事務を配分しておりますので、その不作為によるものは行政不服審査法で文句を言っていただくということになりますけれども、非常に範囲が広がったわけでございます。大体これと関連する問題といたしまして、もし処分をした場合には、必ずこういう救済手続がある、この処分に対して異議があるものはこういうふうに文句を言ってくれ、こういう手続があるからどこでも言ってくれということを、必ず教示をしなくちゃならぬということも、行政不服審査法のほうでそれはうたっているわけでございまして、それとこちらと密接の関係があるわけでございます。  それから、先ほど申しましたように、不服申し立てをしておりましても、現在白色申告者については執行の停止ということはなかったわけでございまして、換価処分までいけたというわけです。今回は換価処分は一切だめだ。こういうふうにいたしますと、差し押えはこれは財産の請求権の保全措置でございますので、これはどうしてもやらざるを得ないということで、そこまではいくのは当然でございますが、換価はやらぬ。しかし、担保を提供すれば、それは差し押えもできないということ、あるいは執行の停止について、従来は職権指揮しかできなかった、税務署長の職権しか認めなかったわけですが、今度は明らかに申し立て権を認めた、こういう異議の申し立ての人たちに対してそういう広い権限を認めている。それから、先ほど申しましたように、審査と異議の申し立ての手続の併合、それから再更正があった場合に、不服がなくても税務署長が進んで再更正そのものを直せるという処分、それから訴訟にすでにかかっておって同じ処分について異議の申し立てが出ますと、これを一々訴願前置主義をとる必要はないというので、訴訟に直ちに行ける。要するに納税者に非常にそこは便利です。訴願前置主義というのは、やはり全官庁の立場がありますが、基本的には納税者の迅速な処理ということが中心でございます。そういう意味で、そういうふうにして特別の場合にはその理由のないときには訴願前置をはずす、こういうことも行なわれているわけです。  その他、先ほどちょっと申しましたが、いわゆる徴収権と賦課権、これが従来さっぱりわからなかったわけでございますが、今回はっきりその性格を分けまして、賦課権は除斥期間の制度に服するし、徴収権のほうは時効制度である。賦課権はしたがって中断もなければ、停止もない。ある期間は、法律で定めた期間が過ぎれば、もう全体として行使はできないのだ、こういうことにはっきりさせるとともに、従来その賦課権の制限として原則的に申告期限から三年という制限がありましたのは、所得税法法人税法、それから相続税法、この三つだけでございました。あとはすべて五年だと解釈されておったわけでございます。これをすべて明らかにいたしまして、三年たったらすべての税金についてできない、増額のほうは。減額のほうは五年までいきます。この減額五年いけるというのは、従来も同じ考えでございました。ただ、三年間だめだ。三年間しかできないといったのは、所得法人、それから相続だったわけでございますが、これを全部の税に及ぼして、その点をはっきりさしたという点。それから、所轄税務署と申しましても、これはなかなかわかりません。この点をすべてわかるようにそれぞれ申告の段階、更正決定の段階、再調査の段階、審査の段階、それぞれいたしまして、これも原則として納税者便宜のために納税者の新住所地のほうに持ってきたわけでございます。ただ、納税者のほうで間違って出した場合に、それを無効とするとたいへんでございますので、縁のあるところで出しました——納税者が間違って出せば、それを生かすような別途の措置も同時に講じてございます。  それから、もう一つ重要な点は、従来時効の問題につきまして、これは解釈上いろいろございまして、たとえば更正決定というのは時効中断事由だと、こういうわけでございますが、従来の解釈では、それが全部について中断するものなりや、あるいは更正決定によって増加した部分だけが中断してもとのほうは中断しないものなりやということは、これはいろいろな学説があったわけでございます。今度はその点ははっきりしました。中断事由は増加した部分だけである。これを明確にして参ったわけでございます。その他同じことでございますが、税額が確定——納付の前の手続をしまして具体的にきまらなければわかりませんが、その場合に更正決定をやった場合に、どこまで確定するのか。これもいろいろな、先ほど申しましたように、意味があったわけでございますが、これも増加部分だけは確定する。こういうふうにしていろいろな疑義のある点を明らかにしていったわけでございます。  その他、従来徴収の、納税の猶予の制度につきまして、非常に読みにくくて、災害減免法にもある、所得税法にもある、徴収法にもある。おそらくこれを統一的に納税者の方に理解していただいてこの制度を有効に活用なさるという人は、よほどの人でなければできなかったと思います。今度は全部それを一本に入れまして、徴収猶予というのはこういう場合だということを明確にうたいまして、それぞれ十分活用できるようにいたしたという点も、これもその実際の面からいいますと相当大きい利点ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。その他まだあると思いますが……。  それから、不利な点は、先ほど一つ申し上げました。それから、もう一つ不利な点を申しますと、こういうことがございます。従来青色申告につきまして不服を申し立てると、これは差し押えもできないという制度でございました。これは行き過ぎである。この点は是正いたしました。やはり財産の保全でございますので、その点は白も青も同様であるべきだ、こう考えまして、その点は手を打ちました。  大体おもな不利と考えられる点をしいてあげれば、さっき言った二つ、それから有利と考えられる点は先ほど幾らかあげました点がおもな事項であろうかと、かように考えるわけでございます。
  119. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 今ちょっと青色申告の話が出ましたが、差し押えができるようになったというのですが、これは担保さえ入れればいいのですね、ほかの場合の救済と同じように、担保さえ入れれば問題はないのですね。差し押えという問題は。だから、非常に物としては緩和されているわけですね。一応物を押えている、こういうわけですね。わかりました。  ただいま伺っていますと、通則法ではむしろ納税者に有利な話ばかりで、これは説明するほうからいえば当然のことかもしれませんけれども、しかし、だいぶその点でこの法案は非常に国民大ぜいにとっては有利なものではないかという感じを私個人として持つわけですけれども、そんな点で、実は先ほど私が当初質問の趣旨として申し上げましたように、実は反対をなさる方々にもよく理解をしていただけるこれはPRになると思うのです。そこで、先ほど実は高橋君から話がありましたように、この実体法とのにらみ合わせもありますけれども、時間切れの関係があって、審議時間が短い。これに対して社会党の諸君がいろいろ御不服があるようですけれども、しかし、これはあとで理事会でどういう話が出るかしれませんけれども、とにかくこの法案につきましては、執行せられる上においては十二分にPRをしていただいて、いろいろな誤解のないようにひとつ努めていただくということが、これは大蔵省のほうとしては当然なさるべき筋合いのものじゃなかろうか。審議の時間が短いということをそれでカバーしていただいて、非常な誤解のないように、ひとつ念入りにしていただきたいということを私は特に希望いたしまして、質問を終わります。
  120. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいま、国税通則法の衆議院の修正案について毛利衆議院議員が御出席になりましたから、質疑のある方は御発言願います。
  121. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 衆議院で修正された分についてお伺いしたいと思うのですが、十三条と十四条を削除せられて、修正文を見ますと、十三条が、第三条に移っておる。それから、十四条が第七条に移っているというふうに、こう見られるんですけれども、この関係はどういうふうになっているのか、御説明を願いたいと思います。
  122. 毛利松平

    衆議院議員(毛利松平君) 十三条は、今度の修正で全然中身が違って参りました。十四条は、従来どおりの姿で残るわけであります。国税徴収法の形で残るわけです。
  123. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 十三条は全然中身が違う、こういうお話でございますが、ほとんど文章が変わっていないように見られるんですがね。第三条に挿入された文章と十三条の文章とはどういうふうに違うか、おっしゃっていただきたいと思うのです。
  124. 毛利松平

    衆議院議員(毛利松平君) 国税通則法についての修正案でございますが、すなわち政府の原案においては人格のない社団等は「国税に関する法律の規定の適用については、法人とみなす。」としております。これを、国税通則法規定の適用については法人とみなすと改めました。
  125. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、「国税に関する法律の規定の適用については、」というととろが、国税通則法規定の適用については法人とみなすということになると、実際問題として税法が適用される場合、どういう差別が起こってくるのか、具体的におっしゃっていただきたいと思います。
  126. 毛利松平

    衆議院議員(毛利松平君) 納税義務については、各税法について見て下さいという趣旨になって参ります。
  127. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 一点、聞いておくのですがね、これはあとから僕は法制局長に来てもらって、はっきり答えてもらったらどうかと思う点なんです。非常に不安な面があるので確かめておきたいと思いますが、間接税については両罰規定から人格なき社団等は削除されたわけですね。しかし、私は通則法の第一条と第三条が仲立ちとなって、国税犯則取締法が生きてきて、人格なき社団等に刑罰が科せられるのをおそれるわけです。いわゆる国犯法についてあなたはどういうふうに考えられておるか。
  128. 毛利松平

    衆議院議員(毛利松平君) 修正には関係ないと思います。
  129. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それで、結果的にはどうなんです。
  130. 毛利松平

    衆議院議員(毛利松平君) 現行法のままに返って参ります。現行まであった法律に返って参ります、各税法が。
  131. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、間接税から人格なき社団が全部はずされているわけですね、そうでしょう。
  132. 毛利松平

    衆議院議員(毛利松平君) そうです。
  133. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、今後はこの通則法の第一条と第三条ですね、これが仲立ちとなってもう再び息を吹き返すということは絶対ない、間接税のほうで人格なき社団は削除されたんだから、罰則規定は間接税には——人格なき社団には罰則規定が及ばない、こういうふうに理解していいんですか。
  134. 毛利松平

    衆議院議員(毛利松平君) 各税法自体に返って参りますから、各税法自体のところで、現存するものは、従来あったものが生きてくると思います、ないものは生きてこないと思います。
  135. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そのすると、人格なき社団の罰則規定が及ぶのは、所得税法法人税法と徴収法との三本であって、ほかの間接税法には絶対関係がない、こういうふうにはっきりと理解していいんですか。
  136. 毛利松平

    衆議院議員(毛利松平君) そのとおりだと思います。
  137. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この点、もう一度法制局長に出席を求めて、私ははっきりと明らかにしておきたいと思うのです。
  138. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、さっき「国税に関する法律の規定の適用については、法人とみなす。」、それが国税通則法規定の適用については法人とみなす、こういうふうに変わったわけですね。この変わりによって、納税については各税法が適用される、こういう説明でありましたね。そうすると、所得税法法人税法等については両罰規定が現在あるんですね。ところが、間接税については、そういう両罰規定がないということになると、この「国税に関する法律の規定の適用」ということを変えたことによって法人税所得税は両罰規定が従来どおり残っているけれども、間接税についてはそういうものがない、こういうふうに変わったと解釈すべきですか。
  139. 毛利松平

    衆議院議員(毛利松平君) 全く御趣旨のとおりと解釈します。
  140. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっとそれに関連して。全然間接税については変わるということになるんでしょうかね。その場合こういう疑いが持たれるんですね。たとえば入場税なんかにつきまして、これまでは人格なき社団で、それで法人とはみなさなかったわけでしょう。それが今度法人とみなすわけなんですよ。とにかくここに書いてある。「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの……は……法人とみなす。」、そうしてこの法律の適用を受けるんだけれども、両罰規定については従来どおりの適用であると。そうすると、それは適用されないことですね、人格なき社団には、間接税については。そういうあれですね。しかし、それが今より一歩進んで、人格なき社団は法人とみなしていないんでしょう。それを今度はみなされちゃうんです。その点は現行と少し違うんじゃないでしょうかね、そこのところは。やっぱり一歩進むんじゃないですか。進むというのは変ですけれども。
  141. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 木村先生、私からお答え申し上げてよろしいでしょうか。
  142. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ええ、この事態がはっきりすれば。
  143. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) こういうことでございます。ここに書いてございますように、第三条、「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの……は、法人とみなして、この法律の規定を適用する。」と書いてある。ですから、各税法とは関係ございませんと、裏から書いてあるわけでございます。各税法の適用上、法人とみなすとは書いてございません。したがって、実際問題は、今の送達のときに、人格なき社団の事務所がございますと、それが住所地になるわけでございます。そこに送達の場合には送ります。代表者の住所ではなくて社団の所在地に送りますと、これでいいわけです。主としてそれくらいの適用がおもなことでございます。で、各税に関する適用はございませんので、その納税義務があるかどうかという点は、何もこれは関係ない。やはり各税法で読んで下さい。各税法で納税義務があると書いてあれば納めて下さい、こう言っているわけです。  それと同時に、今度実はこの整備法で、両罰規定を相当入れたものがあるわけでございます。それから、整備法でなくて、各税法の中で、これを前提にして両罰規定を入れたものがあります。印紙税、相続税、通行税、こういうものはそれぞれ両罰規定が入っておるわけでございます。それから、すでに通りました、酒税、物品税、入場税、この辺もみんな本法に入っておるわけです。これはこの整備法であとで追っかけて削除する、その部分は。そういう規定が入っているわけでございます。それから、この整備法の施行に伴って、両罰規定改正しようとしておった税があるわけですね。これは、今まで減税法案そのものとしては出てきていなかった砂糖消費税、それから地方道路税、それから揮発油税、こういったたぐいでございます。これは減税法案は何も出ておりませんから、この両罰規定をこの整備に伴う法律で入れようとしておったわけです。それを今度はこの修正を受けましたので、今度は入れないという提案に差しかえてあるわけでございます。すでに各税法で入れたものについては、この整備法案で削ります、現行法と同じにいたします、変えるつもりであったものは変えないことに提案し直しますと、こう言っているわけでございます。それから、納税義務のほかに関する問題は、心配なものですから、その点は、ここで、各税法の適用上とありましたのを、各税とは関係ございませんと、この法律の適用上法人とみなすだけですと、こういう意味を入れまして、納税義務があるかどうかは従来の現行法でお読みいただきたい、こういうふうにいたしましたので、実質的に申しますと、その納税義務に関する規定並びに両罰規定を通じて、現行法と全く同じということに相なったわけでございます。
  144. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ちょっと関連して、もう一点。それじゃ、主税局長、その人格なき社団の人たちが、——入場税の問題に例を取りましょうか、催しをやる。で、入場税を払わないという場合、罰則の規定は動かないのですか、どうなんですか。
  145. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 人格なき社団に関する罰金刑は——まあ罰金刑だけですわね、問題は。その罰金刑の規定を削除する提案をしておりますから、これが通れば動かないということになります。
  146. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 で、第十三条は大体わかったような気が私はするのですけれども、第十四条の場合ですね。これが第七条にあれになっておりますね。これはどういうような変化が起こっておるのか、説明をしていただきたいと思います。
  147. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これは、実は人格なき社団とはあまり関係のない問題でございまして、たとえば法人が人格のない社団等の財産に属する権利義務を包括して承継した場合には、その法人はその人格のない社団等に課されるべき、またはその人格なき社団等が納付し、または徴収せらるべき国税を納める義務を承継すると。これは従来徴収法四十一条一項にある規定をそのまま持ってきているわけでございまして、典型的な場合は、先ほど申しましたように、今財団法人が認可申請中のものがあるわけでございます。これがすぐ人格をもらいますと、そうすると、その人格をもらったあとで、振り返ってみますと、その法人が人格なき社団の権利義務を包括的に承継したのだ、こういうことになるわけでございます。その場合には、もしそのものに納税義務があれば——納税義務があるかどうかということは各税法がきめる問題です。それは当然承継した法人がそれをやはり継承するのだということでございまして、ごく普通のことでございます。これは従来から徴収法にございまして、先ほど論議になっております、人格なき社団に関する課税問題、課税に関する規定とかあるいは罰則の規定とは何の関係もない規定でございます。
  148. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 じゃ、念のために伺いますが、十四条は、今度は修正はなかったと、こういうように解すべきですか。
  149. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) さようでございます。これは現行の徴収法の規定そのままでございまして、改正する場合にも文章を一つも訂正しておりません。
  150. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 じゃ、一応その修正点については、あとでまた質問が出るかもしれませんが、私はさっきの質問の続きに戻りますが、ちょっと確認しておきたいのですがね。  先ほど、税制調査会の国税通則法に関する答申の中で、実質課税の原則とか、あるいは租税回避行為の禁止、それから同族会社の行為計算の否認の拡大、この三つの条項は今後のこの慎重審議の中で削除——それから一般的な記帳義務の規定、質問検査権の拡大、これは今後の問題にする。それから、特定職業者の黙否権のことですね、黙否義務、それから資料不提出者に対する過怠税規定も今後の問題とする、こういうふうになっているのですが、今後の問題という点がどうも不安なわけなんですね。そこで、これははっきり確認しておきたいことは、先ほど、五項目については学説、判例が積み重ねられた上で制定すると、こういうことであったわけですね。そこで伺いたいのは、今までの御答弁ですと、五項目については今後全然これは制定しないということじゃなくて、慎重審議をする。それからまた記帳義務とか、質問検査権の拡大とか、特定職業者の守秘義務とか、資料不提出者に対する過怠税規定は今後の問題にする、こういうことになっておるので、今後この通則法が通ると、あとを追っかけて、それはいつかわかりませんが、一応これを通しておいて、あとでこれを修正するなりあるいは特別の法律を作るなりして加えるのではないか、こういう懸念があるわけです。その点はどうなんですか。こういう点はっきりさせておいてもらいたい。
  151. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 将来の問題でありますので確言するわけには参りませんけれども、われわれが今回提案を見合わせたという理由を明らかにいたしますれば、およそいかにそれがむずかしい問題かということ、したがって、相当その、確言できないといっても、その程度がどの程度のものかということはおわかりいただけると思うわけでございます。一つ一つ申し上げます。  一つは、この実質課税の原則の問題でございます。これは法形式の場合と、実際租税負担というのはやはり経済的な負担の公平というところにあるわけでございますので、そこで法形式がどうであっても、やはり経済的の成果、それは着目して課税すべきである、こういう原則から出てきておる考え方でございます。で、もちろん、そこには限界がある問題でございます。現行税法でその典型的な例をあげますと、一つは信託の場合がございます。信託財産から生ずる所得、これは法律的には信託財産の所有者は受託者であるわけです。しかし、その利益は受益者に帰属するわけでありますので、その所得課税に関する規定ではそれは受益権者がその財産を所有するものとして課税いたします、これが一つあります。それから、いわゆる譲渡担保等の規定につきましては、これは担保の目的で譲渡しております。したがいまして、その納税者が滞納した場合には、かりにやはりその形式は所有権は他人に移っておるようではございますが、実質的にはなお滞納者のものであるということで、滞納処分ができるというような規定がございます。あるいは所得税法あるいは法人税法で法律上の権利の帰属者と見られる者と、実際の収益を享受する者とが違う場合には、その収益を享受する者に課税するのだといわれております。これはいわゆる、たとえば権利株等につきましては、その失権株があって、その間すぐ消却しないで、会社のほうでは明らかにその財産は会社のものであるといたしまして、いわゆる重役名義に、ほんとうは会社のものだが、これは自己株所有禁止の規定がありますので、便宜重役名義にしておりますが、実際は会社の失権株、いずれは売り出すというものについては、財産目録にあげるとともに、その配当は会社の計算に入れておるわけでございます。こういうものにつきましては、当然課税の原則からいいまして会社課税しておるわけです。こういう規定があるわけでございます。そこで問題になりましたのは、もうあらゆる脱法者というものはいろいろ法形式を考えてくるからそんなことでは追っつかないぞ、何とか一般的規定を賢く必要がないだろうかというのがこの論議の対象であったわけでございます。そこで、しかしながら、よく考えてみますと、これは一般的な規定を置いた場合にどれだけの混乱が起きてくるか、具体的なケースをあげて、これが実質課税の原則上、この法律上の名義人に課税すべきか、そうでなくて実際の経済的な収益を帰属しておると認められる者に課税するかについては、これはたいへんな認定の問題があるこういう心配があるのであります。個々のあらゆるケースを考えてみまして、この一本の抽象的規定を置いて判断するということは無理ではなかろうか、それにしてはあまりにも現在の判例、学説、それからケース、それも乏しい。その具体的な必要があったときに個々のケースを、場合、要件を規定して積み重ねていけばいいのじゃないか。将来、判例、学説その他で、あるいは訴訟事件等が起きまして、だんだん個々の事件、事案を集積した上でそれを設けてもおそくないのじゃないか。ですから、相当出てきましてもこの規定を置くことのよしあしというものは依然として問題になると思います。そういう意味で、なるほど課税の公平という観点からいうと、一つ考え方には違いないのだ、しかし、立法化するというには非常な危険がある。しかも、それが裁判所で全部判断するわけではございません。実際の行政の段階で納税者もある理解を持ち、それから税務官庁もある理解をもって、解釈をもって執行するということになるとたいへんな問題である、かように考えて今度はやめたわけでございます。  それから、租税回避行為、この典型的な事例も幾らかあげられておるわけでございます。それで、現行法でこの典型的な場合といわれますのは、いわゆる抱き合い合併に伴う清算所得を免れるという行為がございます。これは会社が初めから合併して、交付金なり株を出しまして、そうしてやりますと、その当時の株主の株式のこれは価格ですね、それを受けるものは清算所得としてその場合法人税を取るわけでございますが、そのときにもし脱法しようと思えば、初めから合併しようと思う会社は、被合併法人の株主からあらかじめ自分で買っておくわけです。買っておきまして、そうして、自分の株にしておいて合併すると、その分については交付金は要らぬわけでございます。そうすると、清算所得は免れる。これは明らかにいかぬということで税法で手を打ってございます。それからまた、あるいは土地の賃貸借契約、これ、非常に土地が上がっております。地代なり権利金を高く取る。取りますと、ずいぶん税金がかかって参ります。それで、反対給付として無期限でもってたとえば金を貸してやり、利息はただにしてやる。そのかわり地代も安くしてやる。こういう場合があるわけです。経済的利益をもって相殺する場合があります。明らかにその当該契約の趣旨から見て、これは一方においては長期借り入れである、それで一方は貸付金は無利子でもって何十年も貸します。経済的には、これで目的を達するわけでございます。失われるのは課税金だけが失われるわけでございます。こういう明らかなものにつきましては、その場合にはその現在借りた金と将来返すものを現在の原価価値で計算した差、その差額は、それはその地代なりあるいは権利の譲渡による収入とみなすということを、要件を規定して書いてあるわけでございます。  しかし、およそこのあらゆる法律形式を使いまして、この脱法をもしやろうとすれば、いろんな手が考えられるわけでございます。これを一般的に禁止する方法はないものかというのが、やはり課税の公平という理念から出て、この問題になったわけでございます。これについても同じ問題があるわけでございます。それであらゆる場合を想定してみまして、かりに一般的な禁止規定を置いた場合に、これがひっかかるのかひっかからぬのかということになると、まだまだ税務の実務からいいましても、判例、学説からいたしましても、非常な問題がある。そんなときにこの抽象的規定を定めることは危険である。一々その場合があれば、要件をきめてまだ書くべき段階ではないか。こう申して、これも見合わせたわけでございます。  それから、行為計算に対する一般的規定、これはもとより法人税法所得税法にあるので、通則法では設けるか設けないか、これは設けても宣言的規定として設けるかどうか。要するに、国税通則法の体裁として設けた方がいいかどうか、こういう議論だったわけでございます。それは、今回はほかのやつもやめるのですから、その点だけ体裁を整えることはない。実質的には何らの意味もないことなんだから、各税法でまかなっていることでございますので、それもやめたわけでございます。  それから、質問検査権に関する統合規定と、それから特定職業人の守秘義務との関係、たとえば弁護士でありますとか、あるいは税理士等に関しましては、職務上知り得た秘密は、これは守る権利、義務を同時に負うのだ。刑法にはその場合の秘密を漏らした場合の罰則があるわけでございます。ところで、問題は、一体どこまでがその守られるべき秘密の範囲であるのか。税務署のほうはやはり課税の公平というものを期するために、調査をしていきます。それで、そのときに守られるべき秘密というのは、それらの特定職業人の所得を調べる場合に働くのか、あるいは依頼者の所得を調べる場合に働くのか、それから秘密というのは秘密と考えたことが全部そうであるのか。たとえば、またドイツ、アメリカのように、その秘密というのは個人的信頼関係で打ちあけられた秘密だけをいうのか、その辺がわからないわけです。どちらも公益上の問題だと思います。質問検査権にいたしましても、それから守秘義務、両方とも公益目的から設けられた法規でございますが、それらの調整はどこに置くべきか、こういう問題でございます。この点は単に税法だけがかように解釈すると申しましても、これはなかなかむずかしい問題でございまして、刑法にも関係し、秘密一般の問題でございます。そういう意味で、より広範な角度が必要である。単にその法律と税法という関係だけでなくて、もっと広い見地で、この問題を研究すべきではなかろうか、こういうことで延ばされているわけでございます。延ばされているというのは、実施をするとかしないとかいうことでなくて、なお検討すべきものという意味でございます。非常にむずかしゅうございます。  それから、官庁の協力義務でも同様でございまして、現在指定統計というようなものがございまして、これはだれにも見せないことになっております。しかしながら、たとえば県庁で今やっております幼齢林のようなものは届出制度になっております。それから、成熟林も、これは伐採すれば届け出ることになっております。こういう資料は官庁にあるわけでございますが、これを適正な納税義務の実現の公益目的のために開示すべきかどうか、こういう問題があるわけでございます。そういう意味で広範な角度から検討する必要がある。  それから、先ほどの記帳義務の問題につきましてもそうでございまして、なお青色申告の人員が、個人でいいますと五〇%程度の段階で、青色申告の問題はまずわれわれはそれの普及をすべきではなかっただろうか、という反省でございます。もとより、これは罰則のない規定でむしろ特権ともいうべきものなんですが、そういうものを青色申告制度が普及しない上にさらにこういう制度を設けるということは、さらに屋上屋を重ねて、あまりにも現実的でないのじゃないか。そのためにかえって税務行政の第一線が混乱するという事態も考えられる。これは納税者の記帳の慣習が高まるという事態をもう少し待つべきではなかろうかという感じで、この点も残されたわけでございます。  それから、先ほど申しました資料提出義務過怠税でございます。現在資料提出義務違反については、もとより罰則はあるわけでございますが、現在罰則の適用はほとんどいたしておりません。罰則の適用はむずかしいから、一件百円くらいの過怠税を設ければ励行するかもしれぬ、こういうことが問題になったわけでございますが、よく考えてみますと、まず第一に資料の提出について協力を求めるという行政措置から出発すべきではないか。うんと力を入れても、どうしてもうまくいかぬという事態であるということには、まだきまっていないわけでございます。そういう点、まだその結論を下すのは非常に早い、こう考えまして、この点も延ばしておるわけであります。  それから、もう一つ、無申告の場合の脱税犯の問題でございます。これは現行では、たとえば二重帳簿を作って、それで申告をしなかったという場合について、無申告脱税犯の規定があるということについては、ほとんどだれも疑いを持っておりません。しかしながら、かりにそういう作為をしないで、それで申告の段階で、おれはこの申告をしないことによって税金を免れるという認識だけをもってやったときに、脱税犯を構成するかしないか、こういう問題でございます。何ら認識なくしてやった場合のいわば形式犯、これはもちろんその犯罪は構成しないと思いますが、そういう何といいますか、特に作為はしないが、その認識をもってやった場合は、理論的にはやはり脱税犯に該当するんだと。したがって、その趣旨を盛ったような改正規定を盛るべきではないかという、理論的な見地から出た意見であったわけであります。しかし、その点もよく検討してみますと、いわゆる犯意のない単純無申告の場合と、犯意のある無申告、今の脱税犯を構成する場合の限界というものは非常にむつかしい問題です。それからまた、これは立証問題ともからみます。それからまた、その犯意があるかないかという問題を、税法のほうから、税法だけがひとり進んでいくのはどんなものであろうか。そういうことにつきましては、やはり刑事事犯全般の問題ではなかろうかという観点から、勉強はいたしましたけれども、この点を規定化するということについては、われわれはまだ早い、現状においては反対である、こういう意味でことごとく延ばしたわけでございます。  したがいまして、将来やるとかやらぬとかいう問題でなくて、事柄が非常にむつかしい問題でございますので、大体御了承——そういう意味ではずしたものがどういう条件になったときにどうなるかということは、御想像いただけると思うわけでございまして、私の個人的の感じを率直に申しますと、いずれも非常にむずかしい問題で、実現はきわめて遠い将来ではなかろうかという感じがするわけでございます。
  152. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一般の人たちの危惧しているのは、今の御説明で、非常に問題があるから当面削除した、しかし将来においてもこれは簡単にすぐ実施はできない、まだまだたいへん研究しなければならぬ、今後の実績を見た上で、また判例とかその他も見た上でなければならぬということでございますけれども、しかし、それは国税通則法というこの基本法が通ると、この修正あるいはまたほかの法律、独立の法律等をもって、今は削除したけれども、それが将来つけ加えられるんではないかということを非常に危惧しているわけですよね。そこで、今のお話ですと、特にこの中で非常に問題になるのは、たとえば特定職業人の守秘義務の問題とか、それから質問検査権の拡大とか、こういう点は、これは一応今度は削除したが、今後はこういうものを規定するという建前で検討していくのか、そういう点を非常に危惧するわけなんですよ。今は一応削除したけれども、今後はそういう建前で、答申の線に沿うて、これを規定する建前でいろいろ検討もし研究をしていくのかどうかということなんですね。規定していくということを建前とするということになると、いずれの日かは規定されてくると、これはたいへんじゃないか、こういう危惧があるんですよ、僕は率直に言いましてね。そういう点をやはりここで明確にわれわれとしてはしたいわけなんです。そういう点、もう少し、くどいようですけれども、一番心配している点なんですから、御説明を願いたい。まあ大体の考え方はわからないことはないんです。大体は了承できましたが、しかし、まだ不安は完全に払拭されたとはいえないと思うんです。その点をもう少し御説明を願いたいと思います。
  153. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 先ほど申し上げたことで、あるいはおわかりいただけたんじゃないかと思いますが、少なくとも規定する方向で検討するということではございません。やはり先ほど落とした事項以外にも、税務のことでございます。いろいろ問題が、これから批判が起きてくると思います。そういう問題については絶えず研究は続けなければならぬと思いますが、そういうものと同じように、問題点は検討する。しかし、それを規定する建前でやるとか、初めからその意図をもってやるとか、そういうことではございません。
  154. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 暫時休憩いたします。    午後五時一分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      ——————————