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1962-03-06 第40回国会 参議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月六日(火曜日)    午前十時四十五分開会   ——————————  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    理 事            上林 忠次君            荒木正三郎君            永末 英一君            市川 房枝君    委 員            青木 一男君            大谷 贇雄君            岡崎 真一君            木暮武太夫君            高橋  衛君            西川甚五郎君            前田 久吉君            山本 米治君            木村禧八郎君            野溝  勝君            大竹平八郎君   政府委員    大蔵政務次官  堀本 宜実君    大蔵大臣官房長 佐藤 一郎君    日本専売公社監    理官      谷川  宏君    大蔵省銀行局長 大月  高君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   説明員    大蔵大臣官房財    務調査官    柏木 雄介君   ——————————   本日の会議に付した案件 ○保険業法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○しよう脳専売法を廃止する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方自治法第百五十六条第六項の規  定に基づき、税関支署及び財務部出  張所設置に関し承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付)   ——————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を開きます。  保険業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  大月銀行局長から発言を求められておりますので、これを許可いたします。大月政府委員
  3. 大月高

    政府委員大月高君) 前回保険業法の一部改正法案審議に際しまして、荒木委員からのお話がありましたときに、船舶保険損害率に関する数字につきまして、荒木委員のおあげになりました数字と私が御説明申し上げた数字といろいろ食い違っておりまして、その間の関係がどうであるかということが問題になりまた。その点につきまして、資料をお配り申し上げて、補足説明さしていただきたいと思います。  お手元にございます「船舶保険損害率について」という表は、昭和三十二年度から三十五年度にわたりましての船舶保険損害率の表でございます。左のほうの全船舶と書いてございますところが、荒木委員お話のあった数字でございまして、右側の百トン以上の鋼船損害率が私の申し上げた数字でございます。  その数字の違っております原因は二つございます。一つは、前回説明申し上げましたように、私の申し上げた数字が百トン以上の鋼船に関する損害率でございまして、全船舶損害率とその点において異なっておるというのが第一点でございます。それから、第二の点は、保険会社事業年度保険年度との違いから来る数字でございまして、左は事業年度に関する損害率、右のほうは保険年度に関する損害率ということでございます。保険会社事業年度は、御存じのように、四月から三月ということになっておりまして、その間において保険料収入がございます。それから、その事業年度間において、前年度保険契約に基づく保険金支払いがあり、当事業年度の間における保険契約に基づく保険金支払いがある。そういう二つのものを合わせまして、保険金支払い当該事業年度にあるわけでございまして、一事業年度における保険収入分母といたしまして、その年度現実支払いました保険金を分子といたしまして、その比率を出した数字が左のほうの数字でございます。それから、右のほうは契約年度数字でございますので、たとえば昭和三十六年度契約がございましても、そのうちの一部は、保険事故といたしまして、昭和三十七年度以降に事故が起きるわけでございます。大体船舶保険契約は一年契約になっておりますので、三十六年度契約を取って三十六年度事故が起こるものと、三十七年度にまたがるものと、こういうものがございます。右の数字は三十六年度に取りました契約最後までフォローいたしまして全損害率を見ると、こういうことでございます。そういう意味で、保険事業が次第に伸びておりますと、保険料収入は毎年ふえる。そういたしますと、分母のほうはふえて参るわけでございますので、事業年度で見た数字よりも全契約として見ました場合に個々の事故率があがってくる、こういうようなことになるわけでございます。  それで結局、この損害率を差し引きました残りがどうなるかと申しますと、一部は事業費に充てられまして、残り責任準備金、それから異常危険準備金、こういうようなものになっていくわけでございまして、その最後のしりが利益あるいは損失となる。現在の保険会社の経理から申しますと、こういう保険料収入からそういうものを差っ引きました残りは、大体毎年度赤になっております。保険会社全体としては大体七、八%程度利益率をあげておるわけでございますが、これは会社が持っております資産収入、つまり株式が大体三〇%から四〇%程度、それから貸付金が二〇%程度でございまして、そこらから参ります配当だとかあるいは利息収入、こういうものが収入になって、それがおもなる利益を構成する、こういうことになっておるわけでございます。
  4. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) これより、前回に引き続いて質疑を行ないます。  質疑のある方は御発言願います。
  5. 野溝勝

    野溝勝君 私、しろうとで、よくわからないのですが、局長さんにお伺いします。  損害保険の点ですが、外国業者日本業者ですが、その両業者間における損害保険業務上の関係はどうなっておるのですか。
  6. 大月高

    政府委員大月高君) 現在国内損害保険会社が十九社ございまして、外国保険会社日本に進出いたしておりますのが三十七社ございます。で、保険関係は、外国から参っておりますものは別といたしまして、国内で取っております保険契約は、一部は国内保険会社間で再保に付します。それから、一部は海外の市場に出しまして、再保に付しておるわけでございます。それからまた、外国で取りました損害保険契約の一部は国内において再保険を引き受けるということで、今日本保険会社も国際的な活動をやっております。しかし、何分にも、実力から申しまして、日本保険会社実力イギリスロイドその他相当世界的に有力な保険会社が多うございますので、どちらかというと、まあ国際的には劣勢である。そういう意味で、再保の関係におきましても、比較的いい保険海外に出しまして、質の程度の落ちているものを再保で取っておると。そういうことからいたしますと、海外との関係におきましては、国際収支の面において若干の赤、たとえば千万円、二千万円程度の総合的な収支じりの赤を出しておるというのが現状でございます。
  7. 野溝勝

    野溝勝君 お話を聞くと、日本業界力関係において劣勢だということなんですが、しかし、その劣勢原因などについてもいろいろと当局検討されておると思うのですが、単に資本力が小さいとか弱いとかということだけでなくて、いわゆる契約上あるいは、すなわち保険の仕事の上等業務の上において、日本民族産業保護すれば、この劣勢をある程度取り戻すということもでき得るようなこともあると思うのです。その点について、政府は、単に劣弱とか資本力が小さいとかいうような点で違憾ながら外国商社との太刀打ちができないということでは、済まされぬと思うのです。この点、当局は何か考えておる点があると思うのですが、この際お示しを願いたいと思います。
  8. 大月高

    政府委員大月高君) この保険会社国際競争力の点から見ますと、必ずしも保険業界からだけでは考えられないと思います。それは、わが国といたしまして国際貿易に従事いたしておりますと、貨物の輸出入に関しての保険は全部どちらかの、つまり外国会社日本会社かにかかる。それから、船舶につきましても、自由に海外を航行いたしておりますので、その保険関係もいずれにもかけられると、こういうことでございます。そういたしますと、保険契約をかける主体は、日本及び外国商社力関係、それから輸出業者輸入業者、それに関連いたしまするいわゆるメーカー力関係、それから船会社自体がどの会社を選ぶかという力関係、あるいは系列、こういうようなものにみんな関係いたしまして、そういうものの総合として、日本会社にかけてくるか、あるいは外国会社にかけてくるかと、こういう問題になるわけでございます。そういう意味で、わが国全体の経済力をとにかく強くしていくということがやはり保険業界の基礎を固めるゆえんであろうかと考えるわけでございます。  それから、再保の関係における利、不利という点におきますと、これは保険会社自体の力になるわけでございますが、何と申しましても、ロイドその他何百年という歴史を持っております会社と、損害保険会社制度がようやく明治以降発達して参りましたわが国とでは、やはり資本蓄積力その他海外に比べて劣勢であるということは、どうも否定できないと思うわけでございます。ただ、外国におきましても、やはりイギリス保険業界が断然強いということでございまして、各国におきましてやはり国内業界保護のためにいろいろ対策を講じておる国もございます。あるいは、そういう保護立法をやらないで、イギリス保険会社業域になってしまっておって、地元の保険会社が成り立っておらない国というようなものもあるわけでございます。結局、世界の海上保険関係で考えますと、やはりイギリス保険業界海外のその他の各国保険業界競争というように、実質的に見ていいのではないか。  それで、貿易為替自由化が進展いたしますると、次第にこの競争も自由な国際競争ということになって参ります。その場合に、はたして日本業界を存立せしめるため、あるいはこれを育成強化いたしますために、特別の保護立法をいたすかどうかということは、これまた非常に重要な問題でございまして、あまりに保護立法を強くいたしますれば、国際競争力をだんだん弱くする、温室で育てるということになりまして、長い目で見て不利だというような問題もございます。そうかといって、手放しにこれを置いておきまして、海外保険業界から日本保険業界が侵食されていくということも、これは大問題でございますので、まだ今のところ為替管理法その他がございまして、そこいらの競争上の調整はとっておる。それから、海外保険会社わが国に進出するにつきましては、外国保険事業者に関する法律というようなものがございまして、大蔵省としてこれを許可し、あるいは許可しない自由を持っておりますので、そういう点での調節もいたしておるわけでございますが、今後の業界のあり方、国際競争に当面する業界の問題につきましては、業界においても真剣に今検討しておられるところでございまして、われわれ政府当局といたしましても、この問題を非常に重要な問題として、今慎重に検討いたしておるところでございます。
  9. 野溝勝

    野溝勝君 局長お話のとおり、われわれの心配しているのは、政府は口を開くと、国際収支赤字に対する解消努力するとか、あるいはしょうとしておるとか言うのですが、この一つの事実を見ても、実に政府はだらしがないと思うわけです。と申すのは、今お話の中にありましたとおり、これだけでもすでに赤字が二千万ドル以上にもなっておるのでして、せっかく赤字解消に努めておる政府としては、こういう点についても日本メーカー初め貿易商社並びに船会社等に対し一貫性のある指導をしていかなきゃならぬと思うんです。この点について政府は、今銀行局長の話を聞きますると、この調節に非常に努力するとか言われておるのですが、いわばこの関係業君間における協議といいましょうか、諮問をしたようなことでもあるのですか。または諮問でなくても、当局としてはそういう点について日本国際収支赤字、すなわち国際的な競争に対する対応策について、ただ努力をするというだけでなくて、経済企画庁中心にいたしまして何か相談でもしたことがあるのですか。
  10. 大月高

    政府委員大月高君) 貿易為替自由化の問題がやかましくなりまして以来、業界に対しましては十分、これは業界自体の存立の問題でもございますので、真剣にこの対策検討いたしていただくように申し入れしてございまするほか、現在大蔵省には保険審議会という審議会が設けてございまして、生命保険損害保険面面にわたりまして、いかにしてこれを合理化し、かつ保険契約者に対して利便を増進するかという問題につきまして御検討願っておるわけでございます。で、先般この問題に関しましても、正式の諮問ではございませんが、非常に重要な問題としてこういう問題があるという御説明を申し上げまして、あらかじめ今各委員の方に御研究を願っておる段階でございます。いずれ正式の問題としてこの審議会において十分御検討願いたいというような心がまえをいたして、おります。
  11. 野溝勝

    野溝勝君 先ほど銀行局長お話しになったように、単に保険関係の領域だけの審議会では総合的な答えにはならないと思います。先ほど来お話にもありましたように、何といいましても、ただ業界だけの問題ではなくて、いわばメーカー並びに船会社、それから外国業者との関連、こういうものを総合的、具体的に検討してでなければ、正しい解答が出てこないと思うのですが、今のお話を聞くと、保険審議会検討を願うことにしてあるというのですが、その保険審議会というものは、どの範囲で、一体どういう構想でやろうとするのですか、この際お話を願いたい。
  12. 大月高

    政府委員大月高君) 現在、保険審議会は、大蔵省設置法に基づきまして、正式に大蔵省付属機関といたしまして設けられておるわけでございます。ここ数年来保険関係のいろんな問題について御審議願っておるわけでございますが、構成員は経団連の会長の石坂さんを会長といたしまして、保険業界代表者学識経験者、それから産業界代表者、そういう方にお集まりを願って御検討を願っておるわけでございます。たとえば、船舶に関しましては三井船舶の社長の一井さんの御参加を願っておる。その他倉庫業界からも、一般の主婦連の関係の方からも、いろんな各層にわたった代表者を集めておりますので、今の国際取引国際競争力の問題に関しましても、必ずしも保険業界としての検討ではなしに、全日本の各産業を網羅し、保険関係のある業界の方その他、たとえば東京大学鈴木竹雄先生その他の商法及び保険業法関係の御専門の方もございますし、あらゆる面からこの問題を検討していただく、そういうことになっておるわけでございます。
  13. 野溝勝

    野溝勝君 関係業界から多く出ておるというようなお話でございますが、一体この総合的な経済施策をする経済企画庁などは関係しておりませんか。よく、口を開くと、藤山経企長官などは経企庁としての総合的の意見を出しておりますけれども、内容は別個に何かやっておるものと思われます。企画庁との関係はどうですか。
  14. 大月高

    政府委員大月高君) 現在は、保険関係に関する問題でございますので、保険審議会において取り扱っておりますが、これが正式に立法を要する、それから最終的結論を出すということになりますれば、当然、たとえば運輸省でございますとか、企画庁でございますとか、全体の各行との調整を要する問題もあろうかと存じますので、必要に応じて審議会においてもいろいろな御意見を承りますが、最終段階においては当然政府部内における調整をやるということも考えております。
  15. 野溝勝

    野溝勝君 そこで、ひとつ具体的にお伺いしたいのですが、こうした日本経済の一翼、いわば業界だけの問題ではなくて、日本経済全体に影響する問題は、今日始まったことではないのですが、一体保険審議会委員は何をぼやぼや今までしておったのでしょうな。
  16. 大月高

    政府委員大月高君) 貿易為替自由化の問題は、昨年のIMFとのコンサルテーションにおきまして、いつ具体的にどういう格好で自由化するかという問題が、具体的な日程として上って参ったわけでございます。いずれ本年の、三十七年度コンサルテーションにおいても、いろいろまた論議があるということだと思いますが、われわれは平生から、国際競争力をつけるという面、あるいは一般保険契約者保護という観点から、保険行政について非常な努力を払っておるわけでございまして、根本は保険業界のやはり合理化にあると存じておるわけでございます。一般的にはそういうような努力をいたしておりますが、貿易為替自由化の問題がこうして具体的な日程に上りました以上、それに対してどうするかということを真剣に具体的に考究する段階に入りましたので、今まで御説明申し上げたようないろいろなステップをとっておるわけでございます。IMFコンサルテーションで、かりに貿易為替自由化結論が出ましても、それは即日実施するということではなくて、一年ないし、その他特殊な事情があるものについては逐次自由化をしていくということになります。そういう意味で、立法の機会もその間にございますし、十分に案を練りまして、必要な措置が講ぜられるとすれば、十分この国会の御審議を経て結論を出したい、こういうように考えておるわけであります。
  17. 野溝勝

    野溝勝君 保険契約者利害、これはもちろん直接的にはそういうことになりますが、間接的にはこの利害労働者の賃金の問題に影響し、その理由づけとなり、さらには農産物の原料などに対して農産物低価格として影響するということになるのでして、単なる保険契約者という直接的な利害の問題だけではないと考えております。そこで、貿易自由化中心お話が進められたというお答えがあったのでございますが、貿易自由化はもう行なわれてから相当期間を経ておる。大体こうした問題が起こって、日本経済にも大異状を受けておるわけなんです。特に外国業者日本業者との差別についてですが、沖縄あたり取り扱い、たとえば貨物、こういうものの取り扱いなどにつきましては、日本保険業初め一般産業者は虐待されている。法律ではそういうことにはなっておりませんが、実際上において。そういう点について何か御配慮したことはあるのですか。
  18. 大月高

    政府委員大月高君) 現在、沖縄との保険取引は、保険業法関係から申しますと、海外取引ということに扱われておると思いますが、沖縄における日本保険事業がどの程度活躍いたしておりますか、あるいは沖縄にどういうような保険会社があるのかないのか、どの程度活動をしておるのかということは、私そう非常な関心を持って調べたことはございませんので、ただいまのところ資料を持ち合わせておりません。
  19. 野溝勝

    野溝勝君 局長だけでなくて、説明者、こまかく答えて下さい。
  20. 柏木雄介

    説明員柏木雄介君) 東京海上会社が現地の沖縄保険会社業務提携をして、指導いたしておるそうであります。
  21. 野溝勝

    野溝勝君 私、失礼な言い分だが、その答えでは、開き直りたいところなんでございます。そんなばかなことはないと思うのです。今までどうもそれを調べたことはないとか、まあ調査もしたことはないとかというようなことは、責任ある政府としては許されない。それは局長、その答はおかしいですよ。そんなことは長い間問題になっておる点でございまして、もしあなたの耳に入らぬとすれば、あなたの部下が怠慢だと思うのですよ。こんなことはわれわれしろうとでさえも耳に入っておる。新聞にも伝わっておることなんでございます。特にこれがために日本業者は非常に迷惑をして、何とか政府でも手を打ってくれないかということを強く要望しているのですよ。もっと具体的に申しましょうか。
  22. 大月高

    政府委員大月高君) 日本保険会社海外における活動状況でございますが、具体的には、会社といたしましては二十七の会社各国に出張所を置き、あるいは支店を置き、代理店を置いて活動いたしておるわけでございます。で、アメリカイギリス、香港、ビルマ、ブラジル、ベルギー等、各地にそういう事業進出をいたしておりますが、沖縄に関しましては、今調査官から御説明申し上げましたように、一社が出ております。これは東京海上であると存じますが、三十五年度における収入は二千八百万、支出が百七十七万、差引二千六百万円の黒を出しておるわけでございます。それから、三十四年度におきましては、二千二巨万の収入がございまして、支出が七百七十七万、差引千四百万の黒を出しておるわけでございます。で、これが全体、海外各国における活動状況においてどの程度比率を占めておるかと見ますと、三十五年度におきましては、海外における保険料収入が全体として八億九千万、約九億でございますので、九億に対する二千八百万程度のウエートでございます。なお、保険料収入の点から申しますと、アメリカ合衆国からの収入が最も多いわけでございまして、今の八億九千万円のうちの六億二千四百万円はアメリカでございます。
  23. 野溝勝

    野溝勝君 局長さん、私の質問の仕方が徹底しなかったと思うのですが、具体的にいえば、これは外交上の問題になるしするから、そのことはあなたに聞こうといたしません。ただいま沖縄は、お話のように、日本領土でありながら海外的な取り扱いをしておるといわれますが、日本領土であることを放棄しておるような印象を与えておるのですが、これが既成事実になって、今後の外交上の問題にも日本にまずい結果を及ぼすと思うのです。そのことは外交上の論議の問題として別の委員会に譲り、質問いたしません。今申されましたとおり、六割以上がアメリカ業者取り扱いをしておるのです。実際問題として日本領土でありながら、どうしてこうした差別をされるのですかね。
  24. 大月高

    政府委員大月高君) 先ほどのアメリカ関係で申しました六億二千四百万というのは、日本保険会社アメリカへ進出いたしまして、アメリカ保険を取っておる数字でございます。そういう意味で、アメリカ会社から進出されておるということではないわけでございます。  それから、沖縄関係におきましては、もちろん潜在的領土権を持っておるわけでございますが、現在のほかの制度におきましても外国として扱っておる部面がいろいろあると思います。この保険関係におきましても、沖縄は一応外ということで取り扱っておるわけでございまして、これが政治的に沖縄わが国に復帰する問題、そういう問題は別途また外交上の交渉においてきめらるべきことだと思うわけでございます。
  25. 野溝勝

    野溝勝君 多分御承知だと思うのですが、保険事業だけでなくても、日本船舶業者も非常に不利益を招いておるのですね。今回の予算を見ると、一億何千万円の利子補給をしたり、その他長期低利資金融資を行なっている予算でございますが、政府としてはその前に、なぜこうした当面不平等な施策を改めることにしないか。日本潜在領土でありながら、日本船舶貨物取り扱いを自由にできないということの不利益、こうした問題をなぜ解決するように努力しないか。もっと具体的にいえば、日本国内から貨物沖縄に輸送する場合、沖縄船舶の着いた那覇港で荷揚げをするとか、帰航の場合日本内地運搬荷を受けるためたとえば白浜港から荷物を内地に運ばんとすると、それは相ならぬということになっておるのです。かようなことですね、船舶がからで帰ってくるというようなこと、これでは船舶業者はますます赤字になってくる。民族産業の圧迫である。そういう点、あなたの直接関係ではございませんから、お答えは求めません。しかし、これが事実なんです。保険のほうでもそうじゃございませんか。実際において日本船舶業者のそういう事実、現実の姿でございますから、勢い日本船舶業者損保取り扱い数量が少なくなってくる。そうなると、損害保険のほうも取り扱う数量及び額が少ないために営業的に非常な不利益を招くということになるのです。沖縄潜在領土権を持っておるとするならば、この点を強くアメリカに向かって折衝するということを大蔵当局としては意見を出してしかるべきものだと思うのですが、こういう点はどらでございますか。
  26. 大月高

    政府委員大月高君) 保険関係は……。
  27. 野溝勝

    野溝勝君 ちょっと待ちなさい。あなたが具体的な答弁をされたあとに、きょうは大臣が来ておりませんから、政務次官が大臣にかわって答えられるよう。結論として、政治的な問題ですから、あとから政務次官にお答えを願いたいと思います。さよう注文します。
  28. 大月高

    政府委員大月高君) 保険事業、特に損害保険事業を今の船舶あるいは積荷の関係、あるいは現地にございます建物に対する火災保険、いろいろな関係があるわけでございますが、保険は何分そういうような実体的な関係にフォローして参っておるわけでございまして、保険だけ特別の扱いをするというのも、なかなか実際問題としてはむずかしいのではないかと考えておるわけでございます。しかし、沖縄の問題自体につきましては、われわれといたしましても、大きな意味外交の問題として、国民の一人として一日も早くこれが復帰されることを希望するのでございまして、われわれ行政の当局としても心から、そういうふうに日本保険会社沖縄におきまして自由にいろいろな制約なしに活動できる日が一日も早く来る日を希望いたしておるわけでございます。
  29. 堀本宜実

    政府委員(堀本宜実君) ただいま野溝委員から御質問になりました沖縄わが国における将来の関係につきましては、御指摘のように、潜在領土という考え方に立って、広い意味のやはり外交問題で解決をつけなければならぬと思いますが、やはり当省といたしましても、いろいろ経済上の問題、ただいま御指摘になりました保険の問題、あるいは船舶の交流の問題等、たいへんに大きな問題が内在しておると思うのでございます。つきましては、これらの問題につきましては、当然ただいまでもこれらの問題を解消いたしますために政府努力をいたしておりますことには間違いないのでありますが、一そうの努力を払って日本に復帰いたします方向に持っていって、これを経済の順調な発展ができるように努力をいたしたい、かように存じております。
  30. 野溝勝

    野溝勝君 これは答弁は必要といたしませんが、この際私の意見を申し上げておきたいと思います。  政府国際収支赤字の問題につきまして非常に悩み、かつ努力をしておると申されますが、いつまでたってもその展望は明るくならぬのです。具体的には、今まで申したような不利な事実が出ておるわけなんです。これは大きな額とは申しませんけれども、一つ一つ解決することによっても、日本国際収支は前進するわけでございますから、この具体的の問題解決に政府はやってもらいたい。これはわれわれ国民にもわかっておる問題ですから、このことをひとつ努力をして、遠い将来の経済展望のことなどは今のところじゃ見通しがつかない、実際問題として。だから、これは現実に解決し得る問題なんで、日本経済に貢献することになるのですから、具体的にその成果のあがるように、日本民族産業の有利になるように、十分閣僚諸君に連絡を願って努力するよう、強く要望しておきます。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 二点ばかり伺いたいのですが、さっき政府の御答弁で、この船舶保険自体では赤である、そうして証券その他の資産の運用によってまあ責任準備金とかあるいは配当ですかというような状態になっておるというのですね。その点はどうもよくわからないのです。そうすると、その業務自体は赤である。それで、その他の資産の運用によって収益を——収益という言葉でない、配当をやっているのでしょう。配当なんかそういう収益でやっているということですね。これはどうも私は理解がいかないのですよ、その事業自体は赤であるということが。それはもう少し具体的に説明していただきたいのですがね。
  32. 大月高

    政府委員大月高君) 具体的に数字をもって御説明申し上げます。昭和三一五年度数字を概観いたしますと、まず収入の問題でございますが、正味の収入保険料が三十五年度におきまして九百七十一億、約千億足らずというものがあるわけでございます。それで、その中から正味の支払い保険金事故がございますと保険金支払いますが、これが四百二十五億。すなわち、収入保険料の九百七十一億に対しまして四三・九%、約四四%という数字になっておるということでございます。それから、人件費、物件費その他の、正味事業費と申しておりますが、これが四百億ちょうどでございます。パーセントにいたしまして四一・三%という数字になるわけでございます。そういたしますと、事業活動といたしましては、正味の収入保険料から保険金支払いまして事業費支払いまして、差し引き残りが百四十四億というような数字になっております。これが一四・八%。それで、この百四十四億に対しまして、さらに、先ほど御説明申し上げましたように、責任準備金を積む必要があるわけでございまして、これは、たとえば三十五年度で申しますと、保険料収入いたしまして、さらに三十六年度にわたりまして損害が出る可能性がございますので、そういうものに対する留保をとっておく必要があるわけでございます。そういう意味で、責任準備金の三十五年度の積み増し額は百六十九億円、こういうことになっております。これが今の正味の収入保険料に対しまして一七・四%ということでございます。それから支払い備金——同じような性質のものでございますが、やはり準備金の積み増しが、支払い備金といたしまして十六億ございます。これが一・七%でございます。そういたしますと、事業利益は、今のを差し引きますと、三十四億という赤が出るわけでございます。パーセントにいたしまして三・七%、正味収入保険料に対しまして三・七%の赤が出る。それじゃ、この赤をどういうように処理いたしておるかと申しますと、一つ貸付金及び株式の配当金収入がございます。これが百三十三億でございます。パーセントにいたしまして、正味保険料に対しまして一三・七%の利息及び配当収入があるわけでございますが、その他雑損益といたしまして十九億の損を出しております。それを差し引きますと、資産全体としての利益が百十三億、今のを差し引きますから百十三億で一一・七%、そういうことになるわけでございます。そういたしますと、資産利益百十三億、それから先ほどの事業の損失三十四億で、百十三億から三十四億を引きますと、七十九億という数字が出るわけでございますが、これが正味保険料に対しまして八・二%。で、前年度の繰越金が、三十五年度におきまして三億ばかりございます。〇・三%でございます。この繰越金を先ほどの七十九億に足しますと、当年度利益金といたしましては八十二億ばかりが出る。これが正味保険料に対して八・五%になるわけでございまして、損害保険会社全体として考えますと、総利益率がおおかた八%ちょっというところでございまして、普通の事業会社としての損にほぼ匹敵しておる。これが損保会社全体の経理でございます。  で、従来からこういうように次第に資産の蓄積ができて参りますと、その運用利益でもって事業の損失をカバーする。しかし、その損失と申しますのは、責任準備金その他の積み増しを入れた損益でございます。保険会社を健全に運営していくためのこれは国際的に確立いたしております慣行に従いまして経理いたしておるわけでございまして、必ずしも事業関係で赤が出るということは不健全でもなく、資産の収益でもってこういうものをカバーしていくというのが大体の考え方でございます。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 配当なんかどうですか。配当なんかどのくらいやっておりますか。
  34. 大月高

    政府委員大月高君) 今の手元の資料では、利息配当収入と総括してございますので、ちょっとございませんが、調べればすぐわかりますので、後ほど御報告申し上げます。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さっき御説明のあった、当年度利益八十二億、三十五年度ですね。これが配当に引き当てられるわけですか。
  36. 大月高

    政府委員大月高君) 損害保険会社支払います配当といたしましては、この八十二億から払うわけでございます。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど赤と言われましたけれども、責任準備金とか、それから支払い備金ですね、こういうものが運用されるわけなんでしょう。それはただしまっておくわけじゃありませんからね。こういうものは株式とかあるいは貸付金等で運用されるのでしょう。
  38. 大月高

    政府委員大月高君) そのとおりでございます。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはまあ三十五年度の話ですが過去のずっとこういう蓄積があるわけですよ。そういうものの運用でしょう。ですから、赤というのはおかしいので、その九百七十一億の収入金から責任準備金なり支払い備金というものを引くと赤になってくるのであって、しかしこれは必ずしも赤というものではなくて、資産ですからね、資産としてこれをまた運用して利益が出るというのですからね。さっきのお話ですと、何か事業自体が赤のように聞こえたのです。それじゃおかしいと思ったのですが、この御説明でわかりましたが、その赤という意味はわかったのですよ。しかし、実態は赤じゃないのであって、そういうものを積み立てて、その運用利益から配当金なんかも出てくるのでしょうね。それならまあわかるわけですけれども、それじゃ赤というのは……。だから、責任準備金支払い備金が非常に多く積み立ててあるから赤のように見えるだけであって、見えるだけなんです。そうでしょう。それであるから、この保険料が安過ぎるとかなんとかいう問題は起こってこないと思うのですよ。
  40. 大月高

    政府委員大月高君) この責任準備金支払い備金は、経理上は損金経理になっておるわけでございまして、これも自由に積み立てるということではなしに、当年度収入いたしました保険料に相当する保険金支払いでまだ現実化しておらないものが、保険経理上数字的にあるわけでございますので、それを正確に計算いたしまして積んでおるわけでございます。そういう意味からいきますと、たとえばほかの会社の貸し倒れ準備金とかその他いわゆる損金性の引き当て金になるわけでございまして、こういうものがとれるかどうかということは、先ほど申し上げました資産収入がございますので、その資産収入のうちから損金経理としてこういうものを引き当てる。事業会社全体として普通外部に申し上げますときには、こういう利息収入、配当収入全部入れて、会社一本として利益が出ていると申しておりますから、それで別に不思議ではないわけでございますが、保険の行政ないし保険会社自体として、保険料を一体幾らにしたらいいのか、あるいは事業活動をどうするかということになりますと、保険料収入をどの程度にしてここでつじつまを合わせ、あと資産収入がこれだけあるのだ、まあまかない得ると、こういうようないわば計画を立てるわけでございまして、そういう意味で実は分析して申し上げたわけでございます。事業利益とか事業損益というような言葉が若干専門的な言葉になりましたので、あるいは誤解を招くようなことになったかと思いますが、御了承願いたいと思います。
  41. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いや、別に誤解はしなかったのですけれどもね。会社の運営からいって、今のお話でつじつまが合うわけですよ。ただ、貸付金とか資産難用によって得た利益が配当その他に回されるというようなことになるものですからね。普通の事業収益からそういう配当その他の利益が出てくるという普通の事業会社の場合と違うものですから、疑問に思ったんですよ。その点はそれでわかりました。ですから、さっき御説明のあった営業自体が赤だということ、そうすると、何か保険料が非常に安過ぎて、もっと上げてもいいんじゃないかというしろうと考えでは判断が出てくるわけですが、そうではないので、赤に見えるようだけれども、かりにまあ少し下げても、まだ会社自体は損しないんだという結論も出得るということなんですね。そのことは了解しました。  それから、もう一つ伺いたいと思うんですが、それはさっき野溝委員が質問をしましたが、国際収支の点についていろいろ質問をしましたが、シップ・アメリカンの問題ですが、これについてアメリカに何か交渉したことがあるのか。間接的には影響があるわけですね。直接的ではなくっても、間接的に影響があるんですよ。何もこれだけじゃありませんけれども、ボナ一法とかいうのですか、私はよくわかりませんが、とにかくアメリカ船舶を、日本アメリカから輸入する場合何%使わなければいかぬ、こういう規定があるように聞いておるのですが、それをシップ・アメリカンというのでしょうが、これに対して、この船舶保険にも間接に影響があるわけですから、まあこれだけじゃありませんが、全体として、バイ・アメリカンについては箱根会談の当時、だいぶ向うに日本政府から緩和するように要請されたようですが、こういう問題については何かアメリカに要請しているのでしょうか。
  42. 大月高

    政府委員大月高君) このシップ・アメリカン問題は、たとえばワシントン輸銀の借款に伴いまして、その条項をつけるとかつけないとかというふうなことが、各種の経済的な交渉の場合に問題になっておるわけでございまして、この点がわれわれといたしましてそういう借款問題を交渉いたしますときの非常な関心事でございます。そういう意味で、逐次、そういう不利な扱いを受けないような取り扱いをいたしておるわけでございまして、たとえば今度ワシントン輸出入銀行の保証でもちまして、一億二千五百万ドル、あの借款をいたしました。これは具体的には、アメリカの市中銀行六行から借りまして、それをワシントン輸銀が保証してくれるわけでございます。そういたしますと、ワシントン輸銀のとっておりますシップ・アメリカンという制約がはずれるわけでありまして、それは直接ワシントン輸銀が貸してくれるのと違うわけでございます。そういうような点もいろいろ具体的な話としてわれわれとしては十分努力いたしておるわけであります。  保険関係は、お話がございましたように、船の関係がきまりますと、CIFというようなことでくっつくわけでございますから、その根っこの船の関係がうまくいけば保険関係もうまくいくというふうな感覚で、いろいろな問題を取り扱って、いろいろこまかく努力いたしておる次第であります。
  43. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その努力という意味はよくわからぬのですが、今お話では、一つの具体的ケースだけを伺ったのですね。借款も輸出入銀行の保証による市中銀行の借り入れに振りかえれば、シップ・アメリカンの適用を受けないで済むというようなお話ですが、それは一つ具体的にわかりましたが、その他について向こうにやはりいろいろ折衝をしなければならぬと思うんですが、これだけでなく、いろいろ問題があると思う。大蔵省として、国際収支改善の見地からバイ・アメリカンの問題ももちろんあるわけです。そういうものを含めて、総合的にアメリカに要請しなければならない。非常な片貿易ですね。全体としてお話にならないほど片貿易なんですから、そういう点についてもっと強く要請してもいいのじゃないかと思うのですね。そういう点、これも含めて全体として大蔵省としてもっと基本的にそういう案を立てて積極的に要請すべきじゃないかと思うのですが、それはあなたに質問をしてもこれは無理かとも思うのですが、何か事務当局としてそういうようなことを作業されておるかどうか。
  44. 大月高

    政府委員大月高君) どうも対外的にそういう交渉がわれわれの所管でございませんので、具体的な問題についてどの問題がどう扱われているか、実は詳細承知いたしませんが、従来のいろいろな綿借の問題につきましても、たとえばワシントン輸銀から借りる場合も、従来非常にやかましく言われておりましたのを、先般この前の交渉においてそれを半分にしてもらったというようなこともございます。ただ、一般的にシップ・アメリカンの原則をアメリカのほうで撤廃するかどうかというような問題になりますと、なかなか個別のお話だけでは済まない。アメリカのむしろ国内のプリンシプルというものがございますから、これは世界各国に適用しておる問題だと思います。しかし、われわれのもちろん希望といたしましては、そういう条項をはずして、フリーに貿易してもらいたいというのが基本原則でございますので、あらゆる機会をとらえまして、われわれの立場といたしましてはいろいろやってみたいと思いますが、何分大きな話でございまして、私の局だけの立場でどういうようにお答えしていいか、率直にいってわからないのであります。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 アメリカは非常に日本自由化を強く要求しているわけです。アメリカが直接というよりは、さっき言ったようにIMFを仲介にして、日本に非常に自由化を強く要求しながら、アメリカのほうは、どっちかというと、日本に対して不自由化の状態にあるわけですね。ですから、そういう点、これは大蔵省だけでもないのですね、政府全体の問題だと思うのですよ。ここで今あなたに申し上げても答弁できないのは無理からぬと思いますが、この点、強く政府全体として取り組むように、大蔵政務次官から何かこれに対してお答えがあればお答えしていただいてけっこうなんですが、お答えございますか。
  46. 堀本宜実

    政府委員(堀本宜実君) ただいま木村委員の御指摘になりましたIMF関係、あるいは自由化の促進をアメリカが相当強く要求しているということ、また貿易の実態から考えてみましても、片貿易でございまして、将来シップ・アメリカンの問題にいたしましても、バイ・アメリカンの問題にいたしましても、わが国における貿易上の不利益という問題が相当多くございますので、御指摘のように、今後はいろいろ経済交渉あるいは経済会議等も開かれると存じまするし、また外交上の問題等もございまして、御指摘になりましたような問題は、今後アメリカに要請するということについてはどうかと思うのでありますが、そういう立場に立って具体的な交渉を一つ一つ積み上げていかなければならない、さように存じておる次第でございます。
  47. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一応私の質問はこの程度に……。
  48. 永末英一

    ○永末英一君 算定会料率から協定料率に変わるとしますと、全体の傾向として上がりますね。
  49. 大月高

    政府委員大月高君) 大体の傾向といたしましては下がっていくというように考えております。それは、現実にこの本日お配り申し上げております造船の保有船舶の推移の表でごらん願いましてもおわかりでございますように、新造船がどんどんウエートをふやしておりまして、全体としての八二%というのが三十五年度数字でございます。昭和二十七年度で四二%しがなかった新造船が、ほぼ率において倍になっておるというようなこともございまして、新造船はやはり事故率において低いということになりますと、算定会料率か協定料率かということは別にいたしまして、逐次これは低下していく数字だと思います。それから、戦標船とか老齢船の問題は、本来事故率が高いわけで、保険料は高かるべきものでございますけれども、これは政策的にわれわれまあ認可事項として持っておりまして、非常な高騰をしないように押えぎみに持っていくということになりますと、全体としての保険料率は実勢よりもさらに低いところに押えられるだろうと、そういう両面を含めまして、今後協定料率になりますと、国際競争の面としまして非常に料率を上げますと競争力がなくなるというような実態もございますから、いろいろな要素を考え合わせますと、保険料率はまあ次第に下がっていくだろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  50. 永末英一

    ○永末英一君 協定料率になって下がっていく傾向だという理由の中で、新造船がどんどんふえてきておるということが理由の一つだと。しかし、新造船がふえていくということは、別段算定会料率であろうと協定料率であろうと、船の質が変わってくるのでそうなんだということであれば、今算定会料率から協定料率にして、独禁法の規定から除外する積極的な理由がどこにあるかということを、その点に関してひとつ御説明を願います。
  51. 大月高

    政府委員大月高君) この算定会料率を協定料率に変えます理由は、積極的に保険料率を算定会料率に比較いたしまして下げていくという意味ではございませんので、むしろ現在の算定会料率が非常にあらいものでございますので、これを協定料率に変えることによって、船の性格、会社の持っております全船舶の特性、そういうものを考えて、きめのこまかい料率が作れるだろう。それは海外に対しても、今算定会料率は公にされておりまして、国際競争上不利なわけでございますが、協定料率になりますと、これは船会社保険会社との間の約束になりまして、必ずしも海外に明らかにしないで済むというような、国際競争上の利益もある。そういう面で法律改正を考えておるわけでございまして、それじゃ、そういう意図で改正するといたしまして、逆に算定会料率に比べて上がるんじゃないかというような心配があるかという点になりますと、その心配はないという消極的な意味として御説明申し上げたわけでございます。
  52. 永末英一

    ○永末英一君 現在では、この算定会料率と国際的な保険料率と比べた場合に、国際水準のほうがむしろきめこまかくいえば低いところがある、それで競争上不利だと、こういうことですか。
  53. 大月高

    政府委員大月高君) 水準といたしましては、ご存じのように、今国際競争にさらされておりますので、大体同じと。ただ、きめ方が非常にあらいわけでございますので、その個別の問題について必ずしも競争上有利でない点が個別的にある、こういう問題かと思います。
  54. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 暫時休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩    ————・————    午後一時三十三分開会
  55. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 午前に引き続き、委員会を開きます。  しよう脳専売法を廃止する法律案を議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。
  56. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 初めにお伺いいたしたい点は、今度の専売制度の廃止の問題ですが、これは三十五年、この調査会の答申といいますか、調査会の決定に基づいて今度のしょう脳専売制度の廃止、こういうふうなことになったのか、それを……。
  57. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 三十五年の三月に、大蔵大臣の諮問機関であります専売制度調査会から大蔵大臣に答申が出されております。その答申によりますると、しょう脳専売制度はその存在の意義がなくなっておりまするので、しょう脳の生産者の転廃業対策、またしょう脳の流通機構の育成等を十分に考慮しながら、しょう脳専売廃止を実現することが適当であるという意味の答申があったわけでございますが、その後大蔵省におきまして、あるいは専売公社におき幸して、しょう脳専売制度を答申のとおり廃止することが適当かどうかということを慎重に検討をし、また関係業界の意向等を十分に聞きまして、その結果答申のとおり廃止することが適当であるという結論に達しましたので、今回法案を提案した次第でございます。
  58. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、この専売事業の意義がもうなくなっているという一番大きな理由は、どういうところにあるのですか。
  59. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) しょう脳専売制度は、元来、台湾を領有しておりました時代において、台湾のしょう脳専売制度を発展させるために、内地におきましても内地の生産物であるしょう脳の価格を安定する必要があったことによりまして、内地、台湾共通の専売制度をしきまして、そして日本の特産品であるしょう脳が海外市場におきましても価格の安定をはかるということ、そういう必要によって内地、台湾共通の専売制度をしいたわけでございますが、戦後台湾を失い、また戦後の世界の産業界の技術革新等もありまして、しょう脳にかわるべき品物の進出が目ざましく、今日ではしょう脳の経済的な価値が戦前に比べまして非常に小さくなって参ったわけであります。日本の特産品であるという点は変わりございませんけれども、御承知のとおり、合成しょう脳との関係からいいましても、天然しょう脳は価格が若干割高でございまするので、またセルロイドにいたしましてもプラスチック製品等の発達によりまして需要が少なくなっておりますので、国民経済的に見てしょう脳を専売制度のもとに価格統制をするという必要が少なくなってきた。これが専売制度を廃止するのに至ったおもな理由でございます。
  60. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、一つは何ですか、台湾というのがなくなった、そういうことが一つの理由ですか。
  61. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) しょう脳の日本における経済的な重要性が失われたということの一つの理由として、台湾を失い、内地、台湾両方のしょう脳を同じ歩調で国が保護育成するという内地、台湾共通の専売制度意味が、そういう点で失なわれたということでございます。
  62. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、調査会の答申ですね、しょう脳専売事業はその意義を失っているというのは、一つは台湾を失ったということをさしておるのですか。
  63. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 三十五年三月の答申を見ますると、一つには、台湾を失って国内の生産額が少額となった、もう一つは、先ほど御説明しましたように、合成しょう脳、プラスチック等の新製品の出現とその発展に伴って天然しょう脳の用途が狭まった、こういう二つのことからいたしまして、しょう脳専売は単にわが国の特産物の維持という意義しか認められないことになって、そのためにしょう脳専売事業が年々赤字を招き、その改善に努力をしたけれども、今では専売事業としての意義を失っておる、かように書かれておる次第であります。
  64. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、しょう脳の専売事業ですね、これは最近事業として成り立っておるのかどうか、そういう点を若干説明願いたいと思います。
  65. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) しょう脳の生産事業は、現在五百四の工場によって生産されております。最近の経済情勢を反映いたしまして、その原木が割高になって参りましたし、また山の労力が減り、またその労賃が上がりぎみでありまするので、しょう脳のコストの中に占める原木代が二五%程度、それから労務費が四〇%程度占めておりますので、こういったような関係で、しょう脳生産者はコスト高に悩んでおることは事実でございます。そこで、昨年の八月、専売公社の買い上け価格を二割引き上げたわけでございますが、その結果、コスト的には大体全体から見ますると引き合う状況でございますが、しかし労賃の上昇傾向はまだ続いておりまするので、今のような零細な近代化されない設備によって生産を続けておる現状におきましては、なかなか著しいというのが実情でございます。  そこで、今回専売制度を廃止いたしまして——廃止いたしますると、現在は生産の割当を毎年行なっておりますが、割当数量以上に作りたいというものがありましても、なかなか希望が達せられない。今度廃止いたしますると、自由に生産ができるようになりまするし、また専売廃止に伴いまして企業の合理化資金を出すことになっておりまするので、それによりまして、現在の零細な企業があるいは集中することによって、また設備を近代化することによって、合理的な経営が可能になるように配慮していくわけでございますが、そういたしますると、今後はしょう脳の生産者もほかの自由企業並みに努力次第で相当の成績をあげることができることになろうかと思います。  その理由は、現在、先ほど申したように、合成しょう脳とか代替品が出てきておりますけれども、やはり天然しょう脳の需要というのは、日本においてまあ三千トンはここ当分下らないという見込みでございますので、現在の五百四の工場がある程度転廃業して少なくなりましても、残った人たちがその経営を合理化し設備を近代化することによって生産を上げる努力をするならば、今よりももっと企業の経営内容はよくなるであろうと、こういう見通しを持っております。
  66. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の説明、ちょっとおかしいと私は思うのですがね。専売事業でやっているとうまくいかない、しかし専売事業をはずすとうまくいくというようなお話に、私とれるのですがね。
  67. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 専売制度のもとにおきましては、しよう脳専売法によりまして毎年各生産者の割当を専売公社が決定することになっております。それから、専売公社が収納価格をあらかじめきめることになっております。で、この収納価格は、主要な生産者の過去における実績のコストを中心にして、しょう脳の需給関係海外市況の動向等をにらみ合わせながら、一応きめるわけでございますが、必ずしもそれによって一番能率の悪い企業のコストをカバーするということになっておりませんで、平均的な生産費というものを中心にきめておるわけでございますが、今度専売制度がなくなりまして自由企業になりますると、生産の割当がございませんから、各出産者ごとの適当な規模に応じた生産量をあげることができまするし、また現存のような設備、専売制度のもとにおいては、助成措置というものがなかなかとりにくい関係もございますので、今回廃止に伴う合理化資金を得て、それによって設備を近代化するならば、各企業のコストも相当下がるということになりますので、専売制度のもとにおけるよりも、自由企業になり自由競争を行なった場合のほうが、それぞれの企業の努力は必要でございますけれども、生産者としては立場上大部分の者が有利になるというふうに考えております。
  68. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、今の専売事業の場合は、ある程度価格というものが上からきまるわけですね。これをはずすと、今後は自由価格になるんだろうと思いますがね。その場合に十分生産者が経済的に立っていくのかどうか。去年二割の引き上げをしたというお話でしたが、これはさっきの説明ですね、しょう脳自身の経済的地位が非常に低下しているというふうな点から関連して、今後立っていくかどうか、今の価格を保持しながらやっていけるのかどうか、その点の見通しはどうですか。
  69. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 専売廃止後、しょう脳生産者は十分に企業的に採算が合うようになると考えております。その理由は、現在五百四工場がございますけれども、まだ専売公社におきましても、専売制度廃止後事業をやめるかあるいは存続するか、その振りわけの見通しについて確定した数字をつかむ段階に至っておりませんけれども、大体のところ、私どもが業界の方々から聞いたところによりますると、三割程度はこの際しょう脳生産事業をやめまして転廃業したい、こういうものが三割程度あると見込んでおります。残りの七割の方々が引き続きしょう脳生産事業を続けるわけでございますが、三割程度のやめる方々は、自由経済になった場合に競争上もう太刀打ちできないであろう。ことに現在は一事業主体当たり六トン程度の生産高でございますが、残る人々は、たとえば十人が一団となり、あるいは二十人が集まりまして、今より以上に集中生産をする計画であるわけであります。一方、各生産者は協同組合を組織しておりまして、協同組合を通して需要者に販売をするという建前になっております。そこで、今後専売廃止後におきましては、たびたび申し上げておりますけれども、合理化資金によって設備を近代化する、あるいは集中生産を行なうということによって、今よりもコストは下がるはずでございますが、その価格のきめ方も、協同組合の組織全体として需要者とどの程度の価格にするか交渉をすることになろうと思いますが、大ざっぱに申し上げまして、今の公社の収納価格よりも高くなるということはまあないであろうと思います。その場合におきましても、コストが相当下がります。また、一単位当たりの労務費が少なくて済むわけでございまするので、経営的にはよくなるというふうに考えております。
  70. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、専売公社としては従来これは利益をあげておったものか、あるいは相当な損益、欠損をしてやってきたものか、そういう点の内容を少し説明して下さい。
  71. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 専売公社以前は大蔵省専売局で扱っていたわけでございますが、明治、大正年間におきましては、全体として利益をあげておりました。それから、昭和元年から昭和十九年まで、すなわち戦前におきましても、かなりの利益をあげておりました。これは台湾のしょう脳の生産が、五、六千トンございましたし、そういうわけで世界のしょう脳業界において指導的な地位を占めておりましたので、台湾を含めまして日本の専売公社がきめる販売価格が世界市場で決定的な立場にありましたので、こういう利益をあげたわけでございますが、戦後は昭和二十年から三十五年まで、合計いたしまして三億四千百万円の損失になっております。これは物価の関係調整しなければいけませんが、かりに三十五年度の日銀卸売物価で換算いたしますると、十一億三千万円の赤字になるわけでございます。最近の状況を見ますると、三十五年度は四百万円の黒字、三十六年度は約一千万円の黒字の見込みでございますが、それ以前の年代、すなわち三十四年度は八千四百万円の赤字、三十三年度は一億三千万円の赤字、三十二年度は九千六百万円の赤字、三十一年度は九千八百万円の赤字というように、赤字の時代が続いているわけでございます。
  72. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 しょう脳の価値というものが下がってきたという問題に関してちょっとお尋ねいたしますが、合成しょう脳等が出てきて、しょう脳でなければならぬということは非常に薄れてきたと思うのですよ。しかし、しょう脳でなければならぬというものがまだありますか、今日でも。
  73. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) まだ若干ございます。
  74. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 どういうものですか、ちょっと……。
  75. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) たとえば、めがねのふちに使用するセルロイドでございますとか、あるいはまた医薬品、カンフル注射のカンファ、それから農薬関係等に若干ございます。ただ、代替品でも用途としては間に合うという場合におきましても、天然しょう脳のほうが品質的にいいという点はございます。  それから、一般的に申しますると、先ほど需要が三千トンあると申しましたが、その中の半分がセルロイドの用途に充てられるわけでございますが、しょう脳自体として防虫用、あるいはインドにおける宗教用の儀式でしょうをたくというような場合も、品質的に見ますと天然しょう脳のほうがまさっておるという点はあるわけでございます。
  76. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、先ほどからの説明では、業界ともよく話し合いをして、大体合意に達したといいますか、了解し合うことができたので、この法律を出すことになったということですが、業界と話し合いというのはどういう内容ですか。
  77. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 業界を二つに分けまして、生産者の業界と、それから公社からしょう脳を買います利用加工業界、まず第一の生産者の業界との話し合いでございますが、協同組合組織がございますので、樟脳組合中央会といろいろ話し合いをしたわけでございます。それから、主要生産地であります鹿児島県、熊本県、あるいは福岡県のその組合の連合会長といろいろ話し合いをしたわけでございます。で、生産業界の方々は、先ほど申し上げておりますように、現在の設備を何とかして近代化する必要があるということ、また今のような零細企業であっては、ことに貿易為替自由化に伴いまして合成しょう脳が自由に輸入されるという時代になりますると、どうしても太刀打ちできかねまするので、百トンあるいは二百トン程度の工場で集中生産をしたい。それには相当の資金が要るわけでございますが、専売制度の廃止に伴いましてそういう合理化資金を出してもらえる道があるならば、この際むしろ自由企業としてお互いに競争しながら品質の改善あるいはコストの引き下げをやっていきたい、こういう観点から一日も早くそういう事態が来ることを希望しておったわけでございます。  一方、利用加工業界の方々の立場は若干これと異なりまして、専売制度のもとにおいて自分の希望する時期に希望する数量だけ専売公社から買えるという、非常にけっこうな状態に今あるわけでございますが、そういう立場からして、専売制度を続けてもらうほうが望ましいけれども、最近のように生産の事情があまり思わしくなく、生産量が年々減ってくるという状況のもとにおいては、何とかして生産量を上げてもらう必要がありますので、専売制度を廃止するならばコストの引き下げが行なわれ生産量がふえるということであれば、しょう脳専売を廃止することもやむを得ない、それによって利用加工業界もますます合理化をはかっていきたい、こういうような見解を持っておりました。  私どもは、与党である自民党の政調会の先生方の御意向も十分にお聞きし、与党を通じまして社会党の先生方の御意向もお聞きいたしまして、今回法案を提案するに至った次第でございます。
  78. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、合理化資金といいますかね、専売制度廃止に伴う業者に対する国の援助ですね、そういう点は、その中身ですね、大体どういうふうになっていますか。
  79. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 三十七年度日本専売公社の予算案の中に、しょう脳専売廃止に伴う交付金として、五億六千万円計上されております。
  80. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その内訳は。
  81. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 五億六千万円を積算いたしました内容といたしましては、かりに現在の五百余のしょう脳生産工場が全部やめるとした場合の営業所得の三年分、それからそれらの工場が雇用しております従業員の退職手当として六カ月分、第三には、五百余の工場の現有設備の原価を補てんするための費用、第四には、協同組合におきまして組合員が全部なくなるとか大部分廃業することによって協同組合自体を清算する必要が起こるという場合の清算費用等、これら四つの項目を過去の実績によりまして計算をして積み上げますると、五億六千万円になるわけでございます。
  82. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その中で、従業員の給与の六カ月分、八千万円ですね、これは実際どういうように使われますか。
  83. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) この専売事業廃止交付金は各生産事業の経営者に交付されるわけでございますが、経営者が交付金を受領した場合におきましては、それぞれの項目に従いましてその交付金が使われるようになると思いますが、ただいまの従業員の退職手当相当額六カ月分は、各生産者が交付金を受領した上、従業員に退職手当を払うということになろうと思います。
  84. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この八千万円でいいかどうかという問題もありますが、かりにいいとしても、八千万円が労働者に確実に渡るのかどうか、若干問題があると思いますが、この従業員で作っている労働組合等の意見を聞くと、この問題については専売公社とまだ話をしておらぬ、こう言っております。これは先ほど、関係業者と話し合いをしてこういう結論になったという話ですが、その関係業者というのは、結局生産者、経営者、それから利用加工業界の組合で、私はもう一つどうしてもそこに、やはり専売制度を廃止するという画期的のことなのですから、労働組合としてはこの問題は死活に関する問題ですから、労働組合とは十分話し合いが行なわれてしかるべき問題ではないかというふうに思うのですが、こういう点の話し合いが行なわれていないということは、どういうことなのですか。
  85. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 現在のしょう脳の生産者の実情を調べてみますると、その就業員の数でございますが、全体の中で割合として一番多いのは、一工場四人から一人までの就業員を持っている工場が一番多いのでございまして、これが二百三十一工場、それから六人から十人までが二百六工場、これを合わせますると八七%になるわけでございますが、十一人以上の工場はわずか十二工場でございまして、このように就業員の数は非常に少なく、非常に零細な企業でございます。労働者の団体中にはあろうかと思いますが、私ども生産者の組合から聞いたところによりますると、全体として労働組合を組織しているものはいないように承知しておりますし、また、この従業員も季節的な作業関係がございまして、一年に二百日程度、それも蒸留関係中心的の仕事をしますのは百六十日程度でございまして、季節的な労務者が中には相当いるわけでございます。もちろん、私どもは、これらの従業員が退職いたします場合に退職手当を企業者が払うことが適当であろうと考えて、企業者に交付する交付金の中にそういう要素も含めて計算しているわけでございます。また、それがそのとおり退職者に退職手当として支給されることをできるだけ確保すべきだと思いますが、私どもの考えは、専売制度廃止は、専売制度のもとにおいて割当を受けあるいはまた公社の指導監督を受けておったものは、しょう脳生産者——企業者でございますので、その企業者に総体として交付金を交付し、それぞれの使途によって生産者がそれぞれ金を支出するということが適当であろうと考えているわけでございます。もちろん、私ども、しょう脳の出産組合を通じまして、十分御趣旨が徹底するように努力したいと考えております。
  86. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 極端な零細企業ですね、こういうところでは労働者の立場というのは非常に弱いわけですね、一般に。しょう脳の場合もそうだろうと私思うんですが、五億六千万円交付金として出す、その中には従業員に対する手当等も考えてあるということであっても、実際はこれが専売公社のほうで考えているように実施されるかどうかということは、私は相当疑問に思うんですけれども、どうもそういう点の保障がないというふうに考えるのです。何か少し積極的なそういう血における保障ですね、ないものでしょうか。
  87. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 交付金を交付する方法等につきましては、この法律に基づきましてできます大蔵大臣の諮問機関であります臨時しよう脳事業審議会において十分慎重に検討していただきまして、できるだけ確実に退職者に退職手当が支給されるような方法があるかどうか、十分研究していただきまして、できるだけ御趣旨に沿うことができるように努力していきたいと思います。
  88. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、審議会ができるようですが、審議会でそういう労働者の立場を主張できるようなメンバーというものを考えておられますか。
  89. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 審議会委員予算上九名認められておりまするので、できるだけ関係業界の代表の方も入っていただき、また問題が非常に重要な問題でございますので、学識経験者委員になっていただきたいと考えておりますが、特に今後自由企業になった場合の合理化の具体的なやり方が一番問題になりますので、出席者の代表の方を委員になっていただくことに予定いたしておりますが、生産者の代表の方々ももちろん従業員の立場も十分に考えていろいろ審議していただくはずでございまするので、審議会におきまして今の点慎重に検討いたしたいと思います。
  90. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 どうも今の答弁では、私は納得しないわけです。生産者が労働者の立場を十分考慮するだろうということでは、十分でないと私は思うのです。こういう零細企業の従業員というのは、非常に立場が弱い。特に、先ほどお話があったように、いわゆる一年のうち百五十日なり二百日、出かせぎといいますか、そういう格好で雇われておるというものの身分というものは非常に弱いですね。そういう人たちに対する保障というものは、これはなかなか生産者がその利益を代弁するというようなことは、実際上むずかしいと思う。審議会にもっとほかにこういう立場を主張し得る人を一人ぐらいはね、九人あれば入れる余地はあるのじゃないでしょうか。
  91. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) しょう脳生産企業に従業しております従業員は、先ほど数字的に申しましたように、五百余の工場にばらばらでございまして、その団体というものもございません。それであるからといって、十分その立場を考えなければいけませんですが、学識経験者委員になっていただく予定の方々につきましては、専売制度調査会におきましても、いろいろしょう脳専売の問題について十分力を尽くされた方でございますので、その事業の内容については十分理解をされておられる方々でございます。で、私どもといたしましても、この従業の方々の退職手当がそのとおり従業員に渡るように、できるだけそういう方向で指導することについて審議会で十分慎重に検討していただくことにしたいと思っております。
  92. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 たとえば、従業員で労働組合はあまり結成されていないというようなお話ですね、それはこういう小さいところでなかなか労働組合を作るということは容易でないでしょうから、できていないと思うのですが、しかし、専売公社の中に労働組合があるじゃありませんか、従業員でなくてもね。そういう人たちが、かわってこれは十分私は代弁し得るあれを持っていると思うのですがね。そういうことを考えられたらどうでしょうか。
  93. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) お言葉を返すようでたいへん申しわけないのでございますが、この従業員を各企業ごとに、五百余の工場について、しよう脳専売法廃止の時点において従業員の数を確実に調べるということも、何分山の中において炭焼き小屋程度の規模において生産をしておられる方々でございまするので、また季節的な作業の関係もございまして、十分具体的に企業ごとに人数を調べ、それに応じて退職手当を配分するということは、技術的になかなかむずかしいわけでございます。そこで、交付金の交付の方法も、これも臨時しょう脳事業審議会に諮りまして慎重に検討していただくつもりでございますけれども、できるだけ実情に合ったような交付の方法をやるといたしますると、一キロ当たり何円というようなことで交付せざるを得なくなるのではなかろうか。その場合に、退職手当相当額につきましては、各企業ごとに十分従業員に渡りますようにいろいろな角度で指導して参りたいと。たとえば交付金を交付する場合におきまして、各企業者について内訳として退職手当はどのくらいの金額になるか、十分従業員と話し合いをつけてほしいということを指導するなどの方法で、交付金を受け取った生産者が退職金を払わないということがないように、万全の措置を考えて参りたいと思います。
  94. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題は私はちょっとまだ納得しがたい点があるんですが、次にお尋ねいたしますが、五億六千万円ですね、これは一応専売制度廃止に伴う経過措置として出される金だろうと思うのですが、先ほどのお話では、設備の近代化、合理化等をやっていかなければならぬ。それは相当な資金が要ると思うのですが、それはこの五億六千万円とは関係がないのでしょう。
  95. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 関係があるわけでございます。五億六千万円は、専売廃止に伴いましてしょう脳生産をやめる方々に対する転廃業資金として、第二には、専売廃止後におきましてもしょう脳生産を続ける方々にとっての合理化資金という性質の交付金でございます。私どもいろいろ研究したところによりますると、大体この程度の金額でございますと、企業の集中あるいは設備の近代化が大体できるという見通しでございます。
  96. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、企業の集中、近代化という問題ですが、このしょう脳事業が非常に零細に分かれておるということは、原木が相当広範に分布しておるというふうなところから来ているのじゃないでしょうか。したがって、これを設備を合理化する、集中するということ非常にむずかしい問題のように、私しろうとですから知らぬですけれども、そういうふうに考えるのですが、そういうことが簡単にできるなら、今までだってできるはずだと私は思うのですが、どうでしょうか。
  97. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 現在、鹿児島県に百トン、能力は百五十トンから二百トン程度ある近代的なしょう脳生産企業があるわけでございますが、今後の問題といたしましても、業界の実情に応じて、またそれぞれの地域の実態に合うような合理的な計画を業界において立てていただき、また臨時しょう脳審議会においてもそういったような方向で合理化計画を検討して参りたいと思いますが、お話のように、原木の所在地と工場の立地条件との関係も重要な要素でございますが、それと販売する場合の地理的な関係等を十分勘案しながら、一番適当な方法で合理化を進めていくのがよろしいと考えております。
  98. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それから、もう一つは、私こういうように聞いているのですが、三十五年に調査会の答申があって、そのときに相当やめた人があるというように聞いているのですが、こういう人たちに対する処遇ですね、これはどういうことになっていますか。
  99. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 今回専売廃止に伴いまして交付します交付金は、専売廃止によって直接被害を受けまする方々に出すわけでございます。もともと専売廃止ということは従来専売制度のもとにおいて受けておりましたいろいろな恩恵を取りはずすわけでございますが、ほかの一般の国民と比べまして特別に義務を課するとか、あるいは権利を制限するとかいうことでないわけでございまするから、専売廃止をもって当然法律上補償をする義務が公社なり国にあるというわけではございませんが、先ほど来述べましたようなしょう脳生産業の実態に即しまして、政策的に交付金を交付するということにいたしましたので、交付金の交付の対象はしょう脳専売廃止時におけるしょう脳生産者、すなわち公社から生産の割当を受けて製造に従事しておった生産者ということにするのが当然だと考えます。  そこで、今お尋ねの三十五年度においてやめました生産者でございますが、これは当時業界におきまして、自主的に、能率の悪い企業が盛業することによって残った生産者が合理的な経営をやることができるという趣旨をもちまして、業界において、自主的転廃業者をつのってやめてもらったものが百二十名おるわけでございます。これは今回の専売の廃止と直接関係がございませんので、この法律に基づく交付金の交付対象とすることは法律的に適当でないわけでございますが、当時業界が自主的に転廃業させた場合に業界から若干の転廃業資金をもらっておりますが、それが非常にわずかな額でございましたし、また当時専売公社におきましても、形式上は公社が指導したわけではございませんけれども、業界の方々と相談をしたという経緯もございまするし、毎年割当を受け盛業をしたという人々とは少し事情が異なりますので、三十七年度予算成立の上は、適当な措置を講じて救済することは適当であると思いまして、目下検討中でございます。
  100. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、この法律が成立するまでに結論出ますか、検討中というが。
  101. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 三十五年度にやめた方々に対しましては、三十七年度予算から適当な見舞金を支出することに予算措置も講じてございまするし、与党自民党政調会とも話し合いがつきまして、また自民党政調会は社会党のしょう脳担当委員の方々とお話し合いがつきまして、その話がついた線に沿って三十七年度予算で措置を講ずることに予定しております。
  102. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 さっきから自民党とか社会党というお話が出るのですが、これは僕は迷惑な話だと思うのですよ。そういうことは関係ないですよ。そういうことが考慮されておるということであれば私も了解しますけれども、別に社会党は了解しているということはないということを、了解するとかしないとかいうことはないということを、はっきり言っておきます。  大体の私のお尋ねしたいこと、思っておったことは以上です。で、先ほど質問の中にも述べましたように、従業員に対する退職手当ですか、これはひとつ誠意をもって、きょうの答弁にもありましたが、やってもらいたいということを要望して、質問を終わります。
  103. 上林忠次

    ○上林忠次君 転廃業資金とか、それから合理化資金ですね、出るようになっているけれども、これはしょう脳生産業者だけで、加工業者には何もないのですか。加工業者あるいはその後の第二次製品を作る業者ですね、これはしょう脳関係業者に対しては特別なことは考えておりませんか。
  104. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 利用加工業者あるいは第二次製品の製造業者に対しては、この法律によって特別な交付金を交付することは考えておりません。その理由は、しょう脳の利用加工業者、すなわち専売公社からしょう脳を買う立場の方々には、現在におきましても専売制度法律的な制約のもとにないわけでございまして、自由な立場で買うことができるわけでございます。しょう脳の生産者は専売制度によりまして割当を受けなければならない、割当以上に作れない、で、作ったものは全部公社に納めなければいけないという制約がございますが、利用加工業者はそのような制約はないわけでございます。また、専売公社はその需要者から要求があった数量を全量売らなければいけないという拘束も法律的にないわけでございまして、ただ、事実上専売公社がしょう脳専売をやっておりまするから、需給関係を十分考慮しまして、需要者の希望に応ずるような配慮を事実上やっておるわけでございまして、零細な近代化されない設備を持っております生産業者と違って、利用加工業者は大企業が多いわけでございますので、専売法上の立場も違いますし、経済的の立場も異なりますので、生産者に交付金を出すからといって、政策的に利用加工業者に同様の交付金を出す必要はないと考えておるわけでございます。
  105. 上林忠次

    ○上林忠次君 今のお話で一応わかりましたけれども、加工業者ですね、このしょう脳専売廃止とともにいろいろの収納施設、購買施設、いろいろな施設を公社から引き継いで買わなければならぬ、相当資金が要るだろうと思いますが、生産業者に対しては低利資金が必要であるというお話ですが、加工業者に対しても見てやらなければいかぬじゃないかという気がいたしますが、いかがですか。
  106. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 専売廃止をいたしました場合におきましては、生産者、また利用加工業者も、自由企業としてそれぞれの自主的な責任によって出産をし取引をするというのが建前であるべきだと考えますが、専売廃止の当座におきましては、経過的な措置として、専売公社は専売廃止後におきましても九カ月は生産者からしょう脳の買い入れをする、一年間は経過的に需要者に販売をするという経過措置を講じて、流通秩序の急激な変化による生産活動あるいは取引活動の阻害を来たさないように配慮しておるわけでございますが、なお、公社にかわるべき集荷機構が必要になるわけでございますので、その集荷機構が必要とする資金等については十分関係各省で話し合いまして、できるだけうまくいくように十分考慮していきたいと思います。
  107. 上林忠次

    ○上林忠次君 専売公社では、前に分収林というやつを作りまして、政府で土地を持っていて、業者とか団体と一緒になって樟樹の育成をやった。ああいうふうな相当面積の樟樹林を持っているわけでございますけれども、しょう脳専売廃止とともに、これをどういう工合に処置するのか。国の財産として適当にやはりしょう脳の生産のほうに役立てていくのか、これはどういう工合に処置するつもりですか。
  108. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 現在、専売公社が地主と契約しまして、四十五年の期限の契約によって、契約の満期のときにおいて分収をするという契約があるわけでございますが、専売廃止後におきましては、今後しょう脳産業は地域的な産業として主要生産地においてますます発展していくべきであると考えまするので、私どもは農林省とも十分打ち合わせしまして、またそれぞれの県当局におきましても、その契約の当事者の肩がわりをしたいという希望もございまするので、できるだけそういう線で処理を進めて参り、原木対策といたしまして十分慎重な配慮を加えて参りたいと思います。
  109. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) この問題はこの程度にいたします。    ——————————
  110. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、「地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び財務部出張所設置に関し承認を求めるの件」を議題にいたします。  まず、補足説明を聴取することにいたします。佐藤政府委員
  111. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 御説明申し上げます。「地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び財務部出張所設置に関し承認を求めるの件」について補足説明を申し上げます。  第一は、神戸税関姫路出張所税関支署とすることでございます。最近における姫路出張所管内の入出港船舶、輸出入貨物及び保税地域の状況等からいたしまして、この出張所における業務の取り扱い量は著しく増加の傾向にあります。また、姫路港は、港湾及び背後地域産業等の状況からいたしまして、将来の伸展が大いに期待されているところでありますので、この際、同出張所税関支署とすることにより、関税行政上の独立性を付与いたしまして、現地における税関業務の一そうの迅速化と円滑化をはかろうとするものでございます。  第二は、中国財務局岡山財務部に倉敷出張所設置することでございます。岡山県倉敷市水島地区には、戦時補償特別措置法によりまして物納されました国有財産等が現存しているわけでございますが、現在、同地区は新しい重化学工業地帯といたしまして急速な発展の途上にございます。今後その売り払い等の管理を活発に行なうべき時期に至っておりますので、この際、水島地区に財務部出張所設置いたしまして事務処理体制の確立をはかりまするとともに、これらの国有財産の管理処分の適正かつ円滑な遂行を期するものでございます。  以上、簡単でございますが、補足説明を終わります。
  112. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本件について質疑がある方は御発言願います。
  113. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この姫路港における最近の輸出入が非常に増加している、そのために事務取り扱い件数が飛躍的に大きくなっておる、こういうお話でございます。どういうふうな傾向にあるのか、その内容を説明願いたい。
  114. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) まず、最近におきまする姫路港の入出港の船舶、それから旅客並びに乗組員数でございますが、それで申し上げますると、たとえば船舶について申し上げますると、入港が昭和三十三年二百六十二でございましたが、三十六年には三百九十四になっております。また、出港でございますが、三十三年に二百五十九でございましたが、三十六年には四百三になっております。また、旅客について申し上げますと、入るほうでございますが、三十三年には四人でございましたが、三十六年には三十五人と、また出るほうは、これは三十二年は十七人ですが、三十四年には六百四十八人となっておりまして、これは何か特殊な事情があったものかと思いますが、その後は大体横ばいでございます。それから、通過はたいして違いありません。
  115. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ちょっと人数の点をもう一ぺん……。
  116. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 三十三年は十七人です。それから、三十四年が六百四十八人、それから三十五年、三十六年は——三十六年は今度は減りまして、七人になっておりまして、ですから、ここは変動が非常に大きい。三十四年はどういう事情かわかりかねますが、非常に多くなっております。それから乗組員は、一万三千四百三十二人が三十六年は一万七千八百五十七人になっております。  それから、貿易額の調べでございますが、三十三年は、これは輸出が六十五億と非常に伸びております。ところが、景気の関係もございましょう、三十四年には三十二億と減っておりましたが、その後またふえ始めまして、三十五年は四十億、三十六年は五十九億というふうに逐次増加をいたして参っております。輸入は、三十三年が百七十億でございまして、これが三十四年には百四十五億に減りましたが、三十五年はまたふえ、百七十二億になりまして、三十六年は二百八十二億ということに相なっております。  そのほか、事務の取り扱い件数でございますが、たとえば輸出申告の件数を見ますると、三十三年、四百九十一件が、三十六年には一千八件ということになっております。それから、運送の申告でございますが、三十三年、百三十九件が三十六年は六百十九件になっております。それから、納税の告知でございますが、三十三年は百五十六件でございましたが、三十六年は五百二十八件というふうにふえて参っております。  大体以上であります。
  117. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、この税関支署に昇格するということになると、税関の業務に従事する人たちはどれぐらいふえるのですか。
  118. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 現在十一人おるのでございますが、それが二十人になる予定にしております。
  119. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういう建物はできているのですか。支署の拡張でですね。
  120. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) この程度のものでございますので、特別に拡張しないで現在の建物で済ませ得る状況になっております。
  121. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 よくこういうことに便乗して、地元負担で事務所を拡張したりなんかよくやることがあるのですがね。そういうことはないわけですね。
  122. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) そういう計画は持っておりません。
  123. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 計画はないにしても、それは計画はないと思うのですが、そういうことが実際によく行なわれるのではないかと思います。この間も岡山の水島の問題で質問したかったのですが、総合的なビルが建って、それを使うのだ。これはかなり地元負担があるのではないかと思って、私聞くのを忘れたのですが、こういうことがしばしばあって、いわゆる税外負担で相当問題になっていると思いますが、いろいろな問題を合わせると大きな額になりますね。こういう、事務所が拡張するということになると、地元に負担を押しつけると、こういうことが間々ありますが、そういうことはないですか。
  124. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 税関には、ただいまのお話のような例はございません。また、そういうつもりもございません。
  125. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 なければけっこうですが、その次に倉敷出張所を作る、こういう問題ですが、そこでひとつお尋ねしておきたいことは、いわゆる物納をされた財産ですね、これが今まで処理されないでだいぶたちますね。終戦後十七年かたちますね。土地等はいいとしても、物納の内容はどういうものか知りませんが、工場とか、あるいは設備とか、そういうものもあるのではないかと思いますがね。これらは、こんな長い間処理されないであるということは不経済な話じゃないですか。その点。
  126. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) おっしゃいますように、相当不経済な状態がいろいろないとは申し上げられないと思います。ただ、これは従来から国有財産の処分で非常に頭を悩ましておるのでありますが、この地区にはいわゆる小口の占拠者が相当おるようであります。それで、まあなかなかそういう占拠者をどういうふうに取り扱うかという点が一つの問題になっておったようであります。大口のものにつきましては、現在までに相当処分をいたしております。
  127. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十七分散会