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1962-02-27 第40回国会 参議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十七日(火曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————   委員異動 本日委員山口重彦君辞任につき、その 補欠として大和与一君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     井上 清一君    理事            青柳 秀夫君            鹿島守之助君    委員            笹森 順造君            杉原 荒太君            苫米地英俊君            永野  護君            堀木 鎌三君            加藤シヅエ君            羽生 三七君            大和 与一君            佐藤 尚武君   事務局側    常任委員会専門    員       結城司郎次君   説明員    運輸省航空局監    理部長     栃内 一彦君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○航空業務に関する日本国とパキスタ  ンとの間の協定締結について承認  を求めるの件(内閣提出) ○航空業務に関する日本国イタリア  との間の協定締結について承認を  求めるの件(内閣提出) ○航空業務に関する日本国とインドネ  シア共和国との間の協定締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出) ○国際民間航空条約改正に関する議  定書締結について承認を求めるの  件(内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 井上清一

    委員長井上清一君) ただいまより外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告申し上げます。  本日、山口重彦君が委員を辞任され、その補欠として大和与一君が選任されました。   —————————————
  3. 井上清一

    委員長井上清一君) 次に、航空業務に関する日本国パキスタンとの間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国イタリアとの間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国インドネシア共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、国際民間航空条約改正に関する議定書締結について承認を求めるの件、以上航空関係条約四件を便宜一括議題とし、前回に引き続き質疑を続行いたしたいと思います。  御質疑のおありの方、順次御発言をお願いいたします。
  4. 羽生三七

    羽生三七君 先日お願いした資料ができてきたようでありますが、これについて若干の説明をしていただいて、それで日本航空会社といいますか航空業務というか、とにかく日本民間航空の実勢というものは、ここに表が出てきた各諸国のそれに比べてどういう程度の、これを強いてランクをつけるのも変ですが、どのくらいのところにおるのか、外国と比較してどんなところにあるのか、その辺もあわせてひとつ説明していただきたい。
  5. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) 前回の本委員会におきまして資料の御要求がございましたので、さっそく手元にありましたICAOの資料その他の外国の雑誌をもとにいたしまして、取りまとめて差し上げましたのが、この二枚の資料でございます。この資料に選びました外国航空会社は、全世界航空会社を網羅してはおりませんが、わが国が乗り入れている相手国航空会社、またはわが国に乗り入れている国の航空会社、すなわち日本関係のある国々の航空会社を選びました。しかし大よそ全世界有力航空会社はこの中に網羅されているのではないか、かように考えます。  そこで二枚の表でございますが、片方のほうは資本金企業形態とそれから政府出資割合、これは企業形態民営国営となっておりますが、そのうち政府出資が何パーセントになっておるかということを見たわけでございまして、民営国営というのは、必ずしも正確にどうであるかという法律的な点までは、ただいまの資料でははっきりせぬ点もございましたが、大よそ政府出資割合その他で判断した点もございます。それから「補助金又は損失補償」という点につきましては、これは大体全部調べたつもりでございますが、あるいは別の資料とつき合わして、この点が間違っているじゃないかという点が絶対ないというほどの自信は、今の資料でははっきり申し上げかねますが、これで大体のところは間違いないと思います。  それから「備考」に、それではいつ現在のところで調べたか、こういうふうになっております。  それから片方のほうの資料は、航空会社飛行機を何機持っておるかというので、これは一九六一年四月現在の表でございまして、比較的新しいものでございます。  それから次に日本航空会社との比較、すなわち日本航空世界のこれらの航空会社のうちでどの程度の地位を占めているかという点を御説明いたします。  まず企業形態のほうからの関連で御説明いたしますと、日本航空の現在の資本金は百十八億四千三百万円になっております。これは三十六年の十一月の数字でございます。それからそのうち政府民間の株の比率でございますが、政府保有は六十八億円、民間が五十億四千三百万円、率に直しまして、政府は五七%、民間が四三%、こういうことになっております。企業形態はもちろん民営でございますが、純粋の民営ではなくて、特別会社法に基づく特別会社、こういうことになっております。  それから補助金または損失補償の問題でございますが、この点は、現在日本航空には補助金損失補償もいたしておりません。と申しますのは、現在ここ数年間の企業実績を振り返ってみますというと若干ではございますが、利益金を計上しておる。したがいまして、株式による配当ではございますが、年五分程度配当をやっておる。したがって補助金または損失補償の必要は現在のところはない、こういうような経理状態でございます。もちろん政府出資金というものに対しては後配株というようなことになっております。あるいは社債につきましては政府が保証するというような点がございまして、政府のそういう意味の間接の補助ということはもちろん行なわれておりますが、直接の補助金または損失補償というものは行なわれておらない。そこでこの面につきまして、日本航空というものがどの程度世界的なランキングかということになりますと、資本金の額では、これはなかなか何番目と……今申し上げましたように百十八億ということになっておりますが、たとえば一番初めにありますパンアメリカンがわずかに十九億円になっておるというような点で、資本金の額というものでは決して比較できないわけであります。  それから次に第二番目の表の御説明をいたしますが、これはジェットとプロペラということで機数を分けております。これで見ますと、ただいま資本金が少ないパンアメリカンにおきまして保有機数は百五十四機ということで、一番多くなっております。しかも相当優秀なフリートを持っておる。そこでわが国の現代の日本航空におきましては、現在はジェットといたしまして合計七機、これが国際線に主として就航しておりますが、DC−8が四機、コンベアが三機、合計七機ということになっておりまして、これはジェットでございますが、そのほかにピストン機DC−7が四機、これは貨物機を含めて四機、それから6B機が五機DC−4が十機、これは主として国内線、それから太平洋貨物便DC−7が使われております。これを合計いたしますと二十六機ということになっております。この保有機数で見ますというと、たとえばカナダのカナディアン・パシフィックが二十七機、カンタスが二十機、それからスイス航空が三十七機というような点、これはもちろん国内輸送用のものもお互いに含んでおるわけでございますが、たとえばスイスなんかは、国内輸送というよりむしろ国際的な活動のほうが多いと思いますが、その辺いろいろな国情によって違いますので、一がいに保有機数でどうということもありませんが、その辺の見当になっております。そこで使用機数で見ますと、資本金その他で一応のランキングというものはわかるわけでございますが、各国の航空会社ランキングを示すのに一番普通に使われるのはIATA輸送ランキングというものでございまして、これが一つのある航空会社の力を一応は示しておる。もちろん、これが絶対ではございませんが、これは有償トン・キロというもので示しておるわけでございます。このIATA有償トン・キロによるランキングによりますと、これは昭和三十四年でちょっと古い資料でございますが、おそらく三十五年も大同小異と思います。これによりますと、日本航空は十六番目になっております。  御参考までに上のほうから順序を申し上げますと、一番上がパンアメリカン、それからBOAC、それからKLM、エア・フランス、SAS、TWA、BEA、これはイギリスのBOACと並んで、主として英国本土欧州大陸間をやっておるBEAという会社、それから次がベルギーのサベナ、九番目がスイスエア、十番目が豪州のカンタス、十一番目が西ドイツのルフトハンザ、十二番目がアリタリア、それから十三番目がトランス・カナダ、それから十四番目がエア・インデア十五番目がキャセイ・パシフィック、それから十六番目が日本航空、それから十七番目も御参考に申しますと、日本に来ているアメリカの航空会社でノースウエスト、こういうことになっております。以下ずっとございますが、おもな航空会社はこの辺まででございまして、日本航空は、十六番目になっております。もちろんアリタリアルフトハンザから日本航空あたりまでは有償トン・キロにそれほどの差はございませんので、この辺は今後の日本航空発展いかんによっては相当ランキングが上がるということは予想されるわけでございます。以上大体のところを御説明申し上げました。
  6. 羽生三七

    羽生三七君 そのほかに、今後協定を結ぶパキスタンイタリアインドネシア等はどの程度の力ですか、簡単でよろしいです。
  7. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) パキスタンにつきましては……。IATAランキングでございますか。企業形態としましては……。
  8. 羽生三七

    羽生三七君 いやこまかいことでなしに、実勢力としてどういう程度のものか。資本金とかそんなことはいいんですから、どういう程度の力を持っているか。もっとも機種や機数がわかればそれでもいいです。
  9. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) パキスタンにつきましては、御説明いたしますと、パキスタパンにはパキスタン・インターナショナル・エアラインズという会社がございます。この会社の現在の使用機ボーイング707DC−8に大体似たような飛行機でございます。これはちょっと資料が古いかもしれませんが、この資料によりますと、ボーイング707が一機、それからスーパー・コンステレーションが三機、バイカウントが三機、フレンドシップが三機DC−3が九機、こういうことになっております。したがって、今申し上げました程度フリートでございますと、日本航空よりはだいぶ規模が小さい、かように考えます。ただ、路線といたしましては、カラチからロンドンに行っておりますし、それから、将来は——あるいは現在すでに実施しておるかもしれませんが、ニューヨークまで延ばすということを先方は言っております。したがって、今後相当有力な航空会社になるのではないか、かように考えております。  それから、次にインドネシアガルーダでございますが、現在はロッキードのエレクトラというのを三機、それからコンベアの440型、これを三機、コンベアの340型八機、それからコンベアの240型五機、それからDC−3を十七機というふうに持っております。このうちでエレクトラが主として国際線に活躍する。そのほかの飛行機につきましては、御承知のように、インドネシアは多くの島に分かれておりますので、この島嶼間を連絡することに使うというふうに運用しているのではないか、かように考えております。先般ガルーダの人の話によりますと、やはり日本にはエレクトラを乗り入れしたい、かようなことを言っております。この今申し上げましたようなフリートを見ましても、日本航空よりはだいぶ力が足りないのではないかというふうに感ぜられます。  それからイタリアアリタリアでございますが、これはダグラスのDC−8を使って国際線をやっておりますが、この資料では、機数がはっきり何ということは出ておりません。それからカラベルのジェット機というのを使っております。このアリタリアフリートは、だいたい日本航空と同じか、あるいはそれより若干上の力があるのではないか、かように考えております。
  10. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 何といいますか、航空を扱っている者として、今後どの程度——五ヵ年計画なり何ヵ年計画日本航空を充実していきたいという理想、考え方があるはずでしょう。それに対して、今の経営形態そのものについても、資本割合についても、どういうふうに考えているのか。そういう問題が——これはまあ大臣が考えることかもしれないが、一応事務当局としてもそういう考え方があるべきはずだと思うのですが、そういう問題について簡単でいいですから、御説明願いたい。
  11. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) ただいまの将来の計画でございますが、日本航空につきましては、現在の路線につきまして、決してわれわれは満足しているわけではございません。今後も大いに路線を延ばしていきたい。具体的に申しますと、この夏ごろから南回りヨーロッパ線開設いたしまして、コンベア880によりまして、週二便の運航をやりたい。それから今御審議になっております問題と直接関係あるわけでございますが、もちろん南回りヨーロッパ線そのものも非常に関係がございますが、現在シンガポールまで行っております路線をジャカルタまで延ばしたい。それからこれはいろいろな国際情勢の問題もございますが、東京——京城線というものをやりたい。それから現在米国西海岸との間で週七往復やっておりますが、これをとりあえず今年度は十往復ぐらいまで延ばしていきたい、太平洋線の充実をはかっていきたい。それからこれは日米間の航空協定の問題になるわけでございますがニューヨーク路線あるいはニューヨークから大西洋を渡ってヨーロッパにつなぐ世界一周路線これは今後の大きな課題として実現に努めていきたい。こういうような路線が現在の大よそのもくろみでございます。  そこで、この路線を充実させるためには、まず飛行機が要る、あるいはパイロットが必要であるということになるわけでございます。しかして、それらの裏づけとして十分な資金力がなければいけない、こういう関係になるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、ここ過去数年間は比較的順調な経理状況でございましたが、昨年の夏から始めました北極回りヨーロッパ線というものが相当負担になっておる。それから今後、近くこの夏に予定されておる南回りヨーロッパ線もまた相当負担になるだろう。これは新期路線開設いたしましたときには、まあ何年かはいわゆる赤字に悩むわけでございまして、この点は太平洋路線につきましても、当初は成績が芳ばしくなかったのをここまで持ってきたような次第でございまして、これは新路線、特に国際線に乗り出す場合にはどうしても避けられないことでございまして、これに耐えて将来の希望を持っていくということでなければ、いつまでも列国の航空会社に伍して出られないわけでございます。したがって三十六年度あるいは三十七年度収支状況は、今までに比してかなり苦しくなるのではないか、かように考えております。したがいまして、これに対して今後新設路線に対する補助金というものをもって見ていくか、あるいは従来以上の政府出資金財政投融資を仰ぐということでいくか。また従来民間資本を、先ほど御説明しましたように、相当に導入しまして、現在は四三%にまで行っておりますが、これの株式配当五分というものが今後どうなっていくか。赤字欠損の場合に無配というような問題になるのではないか。その場合に今後の民間資金導入というものがどういうふうになっていくかというような点を考えますと、現在日本航空の前途は必らずしも楽観は許されない。ここで政府としても何らかの積極的な手を打つ必要があるのではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。この際、それでは補助金をぜひ出すように三十八年度で持っていかなければならぬかという点につきましては、非常に重要な問題でもございますので、この際はっきりそこまでは申し上げかねますが、いずれにしましても新規路線開設ということに伴って相当経営上の問題が起きてくる、かように考えております。
  12. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 その点もう一つお聞きしたいことは、今、日本航空国内線でもうけて国際線赤字を補てんしている現状じゃないのですか。
  13. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) ただいま御指摘のように、端的に申しますと、国内線では収益を上げております。一方国際線におきましては欠損でございまして、その差し引きにおきまして若干の黒字を出しておるというのが現在の姿でございます。すなわち国際線国内線をともにやるということにおきまして、機材相互融通あるいは乗員相互融通というような経営上の妙味があると同時に、国内においてかなりの収益を上げておるという経営上の強味というものが国際線の伸長に対して相当の現在貢献をしておるということは事実でございます。
  14. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 もう少し数字をはっきり言ってもらいたいのですがね。
  15. 羽生三七

    羽生三七君 今堀木委員質問関連してですがね。数字を言う場合に、わかっておったならば、国際線の場合に乗客は一体ふだんはどのくらいあるのか、特に国際線でも国内線でもわかればお示しいただきたい。
  16. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) 三十五年度収支手元にございます。三十六年度はまだ年度末でございますので集計ができておりませんので、現在手元にありますもので御説明いたしますと、国内線につきましては、もちろん国内線国際線と分けます場合に、なかなか経理上いろいろな分け方があるわけでございますが、現在の一応一定の前提のもとに振り分けをして分けたのでございまして、この分け方が絶対に正しいものかどうかという問題は別にあると思いますが、一応今会社のほうでやっております振り分けによりますと、国内線におきまして収入が五十八億六千二百万円、支出が四十六億四千二百万円、差し引きいたしまして十二億二千万円の利益。一方国際線につきましては、収入におきまして百二十一億四千五百万円、支出におきまして百二十九億九千三百万円、差し引きいたしまして赤字が八億四千八百万円、こういうことになっております。国内線収益国際線赤字差し引きが三億七千二百万円、こういうことになっております。  それからただいま追加で御質問のございました輸送状況でございますが、三十五年度で申しますと、国内線が七十四万四百五十人、国際線が十一万二千三十六人、かような数字が出ております。
  17. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと今のに関連して。実はこの前にちょっと御説明いただいたと思うのですが、一機についてどのくらいの乗員数になるでしょうか。つまり搭乗者の数、パーセンテージ、たとえば七割ぐらい乗っておるとか、八割ぐらい乗っておるとか、そういう比率がもしわかっておったら…。
  18. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) ただいまの三十五年度の実数に見合います旅客利用率につきましては、国内線につきまして七五%、国際線につきまして五九%、かような数字が出ております。
  19. 羽生三七

    羽生三七君 もう一つだけ、今の関連で。ほかのたとえばパンアメリカンとかBOACとか、そこらのところでは、今の大体パーセンテージでいくとどの程度ですか、日本の五九%に対して。
  20. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) これは、ただいま手元にあります資料は三十四年の先ほどIATAランキングの御説明のときに用いました資料でございます。今の年がちょっと違っておりますが、これによりますと、パンアメリカンにつきましては利用率が六九・五%、こういう数字が出ております。これはおおそらく国際国内を平均したものだと、かように考えます。
  21. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 大体まあわかったんですが、そうすると、一方においては国際競争の上から相当拡充しなければならぬ。それから国内線と合わしての利益というものはそう大したものではない。両方がどうしても調和していかないでしょう。国内線でもうけただけ国際線へやるという形では、国際競争に耐えていくわけにはいかないという情勢になってくる。そういうものについて、航空当局としてはやはりこうしていかなければ国際競争にも耐えられないということははっきりしているわけですね。国内線でもっともうけるか、あるいは今言われた政府出資割合を多くするか、あるいは何というか、あまりもうからぬところに民間資本をレイズするわけにはいくまいだろうけれども民間資本をレイズするとか、そういう問題に直ちに逢着してくるんじゃないですか。
  22. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては国際競争に打ち勝っていく。しかもこれをステディな姿でやっていく。極端な膨張をやることはもちろんいかぬわけでございますが、適当な速度で伸ばしていく。しかし適当な速度で伸ばす場合でも、御指摘のように、はたして国内線の黒でまかなっていけるかどうか。また逆に、国内線の黒でまかなっていける程度で伸ばすというような消極的なことでいいのかどうか。むしろ国際線を伸ばすという場合に、国内線収益というものは確かに一つ潜在力ではございますが、これのみにたよるということはやはり適当ではないのじゃないか。政府出資、これはまあ後配株でございまして、これは非常に機材購入その他には有力なものでございます。この点も従来の実績を振り返ってみますというと、必ずしも私どもの努力が十分でなかった、あるいはむしろもっと努力しなければだめではないかというおしかりを受けると思いますが、たとえば政府出資にいたしましても、これは二十八年から始まりまして、当初は年に十億というものの政府出資がございましたが、これが三十三年には五億になり、しばらく五億で続いておりましたが、三十六年以降三億、三十七年度予算におきましても三億ということで、そのままになっておる。いわば数字的に見ますと、ジリ貧の格好になっております。もちろん一方で社債に対する政府保証の額は年々ふえておりまして、初め三十一年に十五億であったものが、三十四年以降大体二十億から二十三億ぐらいを上下しております。しかし、こちらのほうはもちろん政府保証ではございますが、政府出資に比べまして、企業としてはやはり金利その他の問題もございますし、また経営資金のソースの比率から申しましても、次第にこういう社債的のものがふえていくということは芳しくないわけでございます。したがって、できるだけ今後努力したいと思いますが、従来は、先ほど申しましたように、日本航空がともかく株式配当ではあれ、五%の配当をやっておったというような点が、やはり日本航空はほっといても何とかある程度の手を差し伸べればやれるのじゃないかということも一つの原因で、こういう結果になったのじゃないか。しかも先ほど申しましたように、ことしあたりは非常な転期に立っておりまして、まだ最終的な決算は出ておりませんが、どういうことになるか非常に憂慮しております。明年度は新路線開設により、さらに負担がかかる。まあこういうふうに情勢が非常にきびしくなってきました現段階におきましては、今後路線補助金ということでいくか、あるいは従来の政府出資金というものをさらに大幅に増加してこれに対処していくか、この辺の岐路に立っておるのではないか、こういうふうに考えますが、まだここでどういう方向でこの問題を切り開いていくかとを御説明申し上げるまで考え方が固まってないようでございますので、私からの御説明はこの程度にいたさせていただきたいと思います。
  23. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 もう一つ。今の説明を聞いていて考えられることは、この前も話があったように、みんな大型のジェット機になってきておる、まあ路線の問題だけでなしに。だから、みんな、非常に航空機の発達というものが、過去の経験と統計だけでなしに、よほどそういうものから見れば飛躍的に変わってくるのじゃないかという考え方が私としてはあるわけなんです。だから、過去にこうでございましたから将来もこれでいきますということだけでは、どうも説明にならないような気がするのだな、率直に言って。世界の趨勢がこうだから日本もこうしなくちゃならないというふうな事柄がもっと考えられなくちゃなからないのではなかろうか、そういう気がするものだからお聞きしているのですがね。どうも過去の統計だけでの御説明では、おそらく将来に対してはよほど違ってくるのじゃないか、そういう考え方で御質問しておるわけです。これから考えるのだとおっしゃるのだが、まだ考えが固まっておりませんとおっしゃるのだが、どうもそういう点から見ると、非常に全体の先行きに対してどう考えるかという見通しは事務当局としても、あっていいのじゃなかろうか、こういうふうにも考えるものだから御質問したのですが、そういう問題点について考え方が何かあるなら御説明を願いたい。なければないで、ようございます。
  24. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) 過去の数字その他で今御説明した点、まあ御不満ということでございますが、結局先ほど差し上げました資料にも、列国の航空会社補助金または損失補償というものを受けておる会社がかなりあるわけでございます。したがって、この点を考えますと、航空事業というものが国際的に伸びていくためには相当政府補助がなければやれないのだ。もちろんやっておる会社もございます。その会社にはその会社の従来のいろいろな歴史なり、そういうものがあるわけでございますが、新しく世界航空市場に乗り出すという場合には、相当補助金政府が出しておるということはそのとおりでございまして、日本航空につきましても政府補助金が今後出る、また出すべきであるということになれば、確かにこの点は有力な支えになるということは言えるわけでございますが、現在予算も審議中でございまして、現在の予算におきましては、そういう意味の補助金というものはない。ただ若干の乗員養成に対する補助というものがありますが、これは決して日本航空のみを対象としたものてはございません。現在におきましては、繰り返して申すようで恐縮でございますが、政府出資というものの割合を今後大きく伸ばしていかないと、企業の規模が非常に弱くなって、今後の路線拡張に支障が起こるのではないか。この辺が今後明年度予算でもって、われわれとして大いに努力しなければならぬ点ではないか、かように考えるわけでございます。
  25. 大和与一

    大和与一君 答えも簡単でいいですからね、一つ経営状況の中で、SASは何番でしたかね。
  26. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) 経営状況につきまして何番ということですが、IATA輸送ランキングにおきまして、SASは五番目になっております。
  27. 大和与一

    大和与一君 去年ちょっとあれに乗ったのですがね。非常に国内線収益が悪くて、人員整理なんかすると言っておったのですが、そういうことをあなた方がよく御存じであるかどうか。
  28. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) SASにつきましては、IATA輸送ランキングは五番目でございます。その点では相当上のほうに位しておりますが、情報によりますと、今先生のおっしゃいましたように、かなり経営的には苦しいのではないか、こういうことを外国の雑誌その他に出ておるのを読んだことがございますので、おそらく先生のおっしゃるとおりではないか、かように考えております。
  29. 大和与一

    大和与一君 第二問。今度日本航空ヨーロッパに入りますね、ベイルートを通らないわけですね。それはどういうわけですか。
  30. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) 現在はカイロを中心にして考えております。したがって、ベイルートの問題は、将来の問題としてもちろんわれわれとしては考えていく必要がある、かように考えますが、とりあえずカイロを選びましたのは、カイロがアフリカに対する門戸である、あるいはあそこが観光地として非常にすぐれた地位にあるというような点、その他を勘案いたしまして、まずカイロから始めて、そして今後また力がつきましたら考えていくというふうに思っております。とりあえずカイロから行くことのほうが日本飛行機会社としてはいいのではないか、かような判断に基づくものでございます。
  31. 大和与一

    大和与一君 この日本航空の問題ですがね、先ほどお話があって、新しい路線を開拓したときに、当然これは何年かたてばペイできるという目算があると思う。そういうような目算があるのか。今までの新路線開拓については、大体その予定どおりいっているのか、それにもかかわらず、あなたがおっしゃるように、どうもとても先行き見込みがないという判断に立たれておるのか、それの関連についてお尋ねいたします。
  32. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) もちろん何年でペイするかという問題は、なかなか簡単には申し上げかねると思います。しかし、その点は太平洋線につきましても、先ほど、当初は非常な赤字であったが、次第によくなってきたということを申し上げたわけでございますが、それにしても現在、先ほど申しましたように、国際線については赤を出しておるということでございます。これはもちろん太平洋線は比較的よろしいわけでございますが、東南アジア線がかなりの負担になっておる。それから、特に北極回りの、去年から始めましたものが相当負担になっておるということでございます。しかし東南アジア線はおそらく次第にまたよくなりましょうし、北極回りにつきましても、まあ、ことし、来年ということではたして黒になるかどうかという点につきましては、必ずしも楽観は許さないわけでございますが、太平洋を約十年やりましてこういうようなことになってきておるわけでございますので、おそらく北極線につきましても、今後何年かすればペイするまたペイするようにわれわれとして持っていかなければならない。それからまたこの路線拡張という問題につきまして、確かに新しい路線というものをやりますと、その路線がペイをしないということはそのとおりでございますが、既設の関連路線相当の好結果をもたらすということもまた言えるわけでございまして、その路線そのものとしてはかなり赤でも、その路線がいわゆるフィーダー・ラインとなって既設の路線に今まで以上のプラスが来る、こうこうこともよくあるわけであります。たとえば、今度南回りヨーロッパ線を開きました場合に、アメリカからの客が、従来日本まで来て、日本からさらに、インドなりあるいはパキスタンなりに行くという場合に、ほかの飛行機で行っていた人が、日本航空が東京経由でインド、ヨーロッパに行くということになると、アメリカから太平洋を渡ってインドに行くお客さんが日航に乗るというような点、あるいはその逆というような点も考えられますので、あるいは、たとえば南北ヨーロッパ線というものにつきましても、そういう点も考えられますし、将来延ばす予定であります。大西洋線、世界一周線というようなものにつきましても、相互にお客が流れるというようなことで、かなり既設路線の黒がふえるというような点はあるわけでございます。しかし、いずれにしても今度の南回りヨーロッパ線は、その線としては相当な困難な道ではないかかように考えております。
  33. 大和与一

    大和与一君 これは日本航空とその他の民間航空と分けて、その他の民間航空では、国際的には全日本航空が、去年でしたか、シベリアへ墓参りに行った、それだけだったと思う。その他の民間航空には国際的な仕事をさせないという建前なのか。逆に言うと、日本航空の主たる目的は、国際的にもちろん商売も一生懸命やりながら努力もしていって、しかる後に主たる目的は路線の拡張であって、商売もうまくいかぬからといって国内路線なりその他の民間航空を少し押えるような格好にはならないのですか、その辺二つ、ちょっと表裏の言い方をしたのだけれども……。
  34. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) 日本航空につきましては、特別法で国際線及び国内幹線をやるというふうに規定してございますので、日本航空国際線をやり、また国内幹線をやるという点は当然のことでございます。しかしこの表現は、決してその他の会社国際線をやり、あるいは国内幹線をやることを禁止するというような意味には解されないわけでございまして、しかし特別法までも作りました会社でございますから、この会社国際線を主としてやり、また国内幹線を主としてやるという点につきましては、そのとおりだと思います。しかしそのことは、国内幹線に他の会社を入れてはいかぬ、あるいは国際線に他の会社が出ることを禁止するというほどの強い意味はない。むしろそういう法律のもとにおいて、政府としてどういうふうに調整をとって持っていくかという一つの政策的な問題ではないか、かように考えます。
  35. 大和与一

    大和与一君 先ほどのお話で、日本航空の将来ですね。特に財政的な面でどうもなかなか困難だというお話があったと思うんですね。しかしまあきょうは自分としてはこの程度しか答えられぬと、こういうお話だったと思うんです。だとすれば、きょうはそれでいいんだけれども、それじゃ一体いつごろになったら、日本航空が増資になるのか。御承知ないのか知らぬけれども、何とか手直しをしょう、手を加えなきゃいかぬという場合があるかもしれませんね。それは一体いつごろあなたのほうじゃまとめた話を提案できるんですか。それは限度があるでしょうね。きょうの今のあなたの話はそれぐらいでいいけれども
  36. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) 財政上の問題にいずれにしても関連いたします問題でございますので、この点につきましては、はっきり申し上げられる段階と申しますのは、おそらく三十八年度予算というもので日本航空に対する補助の態容をどう持っていくか。すなわち、従来どおり、政府出資金についての増額、あるいは社債に対する政府保証というものだけでいくか、あるいはこの際補助金というものを新たに打ち出すかということ。すなわち、このことは、今の年度の決算がまとまりまして、その決算に基づき、また三十七年度の経過的な収支状況を勘案して、おそらく大体の決算上の見通しがついたところで、それではどういう予算措置を翌年度に講すべきかという議論の過程において固まっていくと、かような問題であろうと存じます。
  37. 大和与一

    大和与一君 最後に、ちっちゃい問題ですが、北日本航空が、臨時便で秋田経由函館、札幌に行っていましたね。それでたとえば、秋田の何か設備があるんですよね。それができていないから定期便にできない。そうすると、四月なら四月にそれができればあるいは行けるんじゃないかと、こういううわさを聞いている。うわさですよ。それで、今度新聞を見たら、全日本空輸が秋田便を……大体きまったんですか。あの経緯はどうなっているんですか。
  38. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) 秋田空港は、昨年の九月の末か、あるいは十月の初めに一応土工事ができまして、しかも土工事ができましたことにつきましては、昨年の秋、秋田で国体がございましたのですが、それに間に合わせるために、非常に県もわれわれも努力して作ったわけでございます。しかし、今先生のおっしゃいますように、保安施設につきましてはこの三月一ぱいでできるという予定になっております。したがって、土工事ができましたから有視界飛行の離発着は可能なわけでございますが、保安施設が完備しておりませんので、定期便ということは現在できない。臨時フライトでもって飛んでおると、こういうような状況がございまして、しかし、もう年度末も近づいて参りましたので、新年度からいよいよ定期ができるということになりましたので、現在におきましては、北日本航空も、全日本空輸も、いずれも東京−秋田−北海道という間の路線をやりたい、こういう意思を持っております。しかし、この点、どちらにどういう路線をどういう形で認めるかという点につきましては、現在のところ全然まだ白紙の状態でございます。
  39. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 さっき日本航空で北極回りの線が赤字を出している、そういう御説明でございましたね。その理由はどういうようなところにあるんでございましょう。
  40. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) これは一番簡単に申しますと、十分お客がシートの割合に乗らないということに帰結するわけでございますが、結局、路線開設の初期の段階におきましては、いわゆるお客がつかない。これは東京から向こうへのセールスがかなり日本は有利でございますが、ヨーロッパからこちらへのセールスというものは、何と申しましても、支店の開設当初の活動がなかなか十分でない。それから、おそらくアメリカに比べてヨーロッパ日本に対する地理的な関係その他の関係、人の交流その他も、アメリカに比べればやはりヨーロッパは少し少ないんじゃないかというような点で、努力は現地でしておりますが、まだいわゆる売り込んでいないというのが主たる問題であろう。もちろんそのほかに、これは初めての北極経由のフライトでございますので、特に冬期間におきましてはかなり便もむずかしいというような技術的な問題も開設当初にはあるわけでございまして、両方の理由が重なって収益が上がらない、かように考えております。
  41. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 もう一つだけ。先ごろ皇太子御夫妻がパキスタンインドネシアに御旅行になったときには、日航機をお使いになったと思いますけれども、そのときは二機特別にお使いになった、そうなんでございますか。また、そういうような場合には、その経費というようなものはどういうような計算になるのでございますか。
  42. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) この間は、私の記憶では、一機のほかに予備機を、全部見ないで私は一部見ていたのじゃないかと思います。この点、あるいは記憶の違いでしたら訂正さしていただきたいと思いますが、運賃につきましては、宮内庁のほうで予算を大蔵省のほうへ御要求になりまして、宮内庁のほうから日本航空に対して必要な経費が支払われる、かようなことになっております。
  43. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 そういう場合には、あれでございますか、普通の民間が一機全部チャーターしたと同じ費用でなさるのでございますか。何か特別の計らいがあるのでございますか。
  44. 栃内一彦

    説明員栃内一彦君) これは、民間がD・C−8をパキスタンその他に持っていくというような点が、先例がございませんので、全部新しい事例でございますので、民間との比較ということはちょっと考えられないのじゃないか。結局必要な経費を積算いたしまして、そして宮内庁のほうにお話しして、宮内庁のほうから大蔵省に予算を要求する、こういうことになっております。
  45. 井上清一

    委員長井上清一君) 他に御質疑のおありの方は、ございませんか。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十九分散会    ————————