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1962-02-20 第40回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十日(火曜日)    午前十時二十八分開議  出席分科員   主査 赤澤 正道君       井出一太郎君    仮谷 忠男君       倉成  正君    八田 貞義君       松浦周太郎君    三浦 一雄君       淡谷 悠藏君    加藤 清二君       角屋堅次郎君    川俣 清音君       戸叶 里子君    芳賀  貢君       広瀬 秀吉君   兼務       田口 誠治君  出席政府委員         農林政務次官  中馬 辰猪君         農林事務官         (大臣官房長) 昌谷  孝君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)     桧垣徳太郎君         農林事務官         (大臣官房経理         課長)     筒井 敬一君         農林事務官         (農林経済局長坂村 吉正君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君         農林事務官         (振興局長)  齋藤  誠君         農林事務官         (畜産局長)  森  茂雄君         農林事務官         (蚕糸局長)  立川 宗保君         農林事務官         (農林水産技術         会議事務局長) 増田  盛君         食糧庁長官   大澤  融君         林野庁長官   吉村 清英君         水産庁次長   村田 豊三君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   相沢 英之君         農林事務官         (農地局参事官)堀  直治君         農林事務官         (畜産局参事官)保坂 信男君         水産庁長官   伊東 正義君     ————————————— 二月二十日  分科員高田富之委員辞任につき、  その補欠として広瀬秀吉君が委員長  の指名分科員に選任された。 同日  分科員広瀬秀吉委員辞任につき、  その補欠として角屋堅次郎君が委員  長の指名分科員に選任された。 同日  分科員角屋堅次郎委員辞任につ  き、その補欠として戸叶里子君が委  員長指名分科員に選任された。 同日  分科員戸叶里子委員辞任につき、  その補欠として芳賀貢君が委員長の  指名分科員に選任された。 同日  分科員芳賀貢委員辞任につき、そ  の補欠として高田富之君が委員長の  指名分科員に選任された。 同日  第一分科員田口誠治君が本分科兼務  となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算農林  省所管  昭和三十七年度特別会計予算農林  省所管      ————◇—————
  2. 赤澤正道

    赤澤主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和三十七年度一般会計予算、同特別会計予算中、農林省所管を議題といたします。  質疑を続行します。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私は一点だけお伺いをいたしたいと思います。それは農業共済団体に関連をした問題であります。  予算書で参りますと、農業共済関係については、今年は六億円ほど予算をよけいにとっていただいてあるわけなんですが、それにつきましては、の秋以来各地方から陳情がなされており、また請願の手続も成規になされているわけでございます。従って、そういう面からこの予算雷に基づいて確認をいたして参りたいと思う次第でございます。  まず第一にお伺いをいたしたいと思いますることは、この予算書の中にも明記してありますように、事務費全額国庫負担とする、それからそこに勤めておる従業員の賃金の引き上げも行なう、こういうような文章が羅列してあるわけでございますが、この内容についてお聞きをいたしたいと思いますことは、農業共済団体に勤めておりまするところの職員給与の問題でございます。この給与の問題につきましては、もはや当局の方へは陳情その他で十分に徹底されておると思うのでございまするが、昨年までの比率を申しますれば、一単位共済組合に対して三人半の事務員で一万四千四十四円という助成が行なわれておるわけでございます。従って、今年のこの六億の中には共済組合団体に勤めておるところの従業員ベースアップの分はどれだけ含まっておるかということ、これをまずお伺いいたしたいと思います。
  4. 中馬辰猪

    中馬政府委員 御承知通り共済組合または共済組合事業を行なう市町村の職員給与等基幹事務については、昨年の七月から全額国庫負担といたしまして、また十月から補正予算による国家公務員給与改善に準じて給与単価引き上げましたけれども、昭和三十七年度予算では、これらの措置を継続いたしまして、定員二万二十九人について、年間を通じ引き上げられた給与単価をもって機関事務費全額国庫負担とするといたしております。昨年十月のベースアップのほか、さらに昭和三十七年四月からは、一カ月一人当たり千五百円のベースアップを行なおうといたしておりまして、定員二千三百二十八人につき、前年度当初予算に比して七百万円増の予算を計上いたしております。
  5. 田口誠治

    田口(誠)分科員 昨年度は一人に対して一万四千四十四円、三十七年度はそれに千五百円のベースアップ予算計上をしてあるというお答えなんですが、これにいたしましても一万五千五百四十四円ということになるわけで、御承知通り、各団体に勤めておりまする従業員は、相当年令もいっておりまするし、扶養家族もかかえておるわけなんですが、そういう人たちが今度千五百円引き上げられても、国家公務員の現在の給与より一万円少ないということに相なるわけなんです。それで、従業員の諸君の要求、また団体側からの要求といたしましても、国家公務員並みにしてもらいたい、もしそれができなければ、各地方地方公務員並み給与はやはり国で負担をするように努力をしていただきたいというのが、今まで出されておるところの請願書の趣旨であるわけなんですが、この千五百円という金は、これは大蔵省との折衝の結果、大づかみに千五百円のベースアップということにしたのか、それとも何かこれについて理論づけがあるのか、その点伺いたいと思うのです。
  6. 坂村吉正

    坂村政府委員 今回の予算で、農業共済事務費国庫負担のうち、連合会職員につきましては、一人当り千五百円のベースアップ、こういうようにすることで組んでおるのでございます。これは今までの建前からいたしましては、連合会事務費については、建前としては全額国庫負担、こういう建前で参っておるわけでありますけれども、給与ベース等につきましても、実際の公務員ベースとも違いますし、それから現状も実際ずいぶんかけ離れておくれておりまして、そういう関係で、一度に現状に合わせるというわけにもなかなか参りませんし、そういうような事情もありまして、毎年できるだけ財政の許す範囲でベースも上げまして、そしてできるだけ現状に近づけよう、こういうことで努力して参ったわけでございます。そこで、今年は千五百円のベースアップということを考えたわけであります。
  7. 田口誠治

    田口(誠)分科員 千五百円という考え方は、一般国家公務員でございますれば、昇給の額とそれから年々ベースアップされるのと二本建になっておるのですが、この千五百円のアップという考え方は、国家公務員昇給という性格に該当するものであるか、それとも昇給ベースアップも含めて千五百円という考え方であるのか、この点を伺いたいと思います。
  8. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 予算編成の途中の経緯につきまして、ちょっとその点だけ御説明申し上げますと、従来共済職員給与は、従前予算単価公務員昇給率をかけたものをもって次年度予算編成をいたしておったのでございますが、その前年度予算単価と申しますものが、公務員俸給表のどこにも該当しない単価であったのでございます。本年度何らか給与改善をはかりたいということで、従前給与単価を新しい給与単価公務員給与表直近上位号俸に当てはめました関係で、その差額の千五百円が出てきたことになったのでございます。
  9. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうしますると、行(二)か、そういうような給与表と合っておるのですか、それとも別個にお作りになったのですか。
  10. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 今回の共済職員給与単価は、行(一)の俸給表の、号俸はちょっと忘れましたが、号俸に合わせたのでございます。
  11. 田口誠治

    田口(誠)分科員 とにかく千五百円のベースアップがあっても、一万五千五百四十四円ということに平均が相なるわけなんですが、年令構成勤続年限構成、こういうものはそこでおわかりですか。
  12. 坂村吉正

    坂村政府委員 ただいま年令構成勤続年数等数字は持ち合わせてございませんけれども、全般的に見まして、比較的団体職員等の中では勤続年数の長い方でございます。年令構成平均三十五、六か七、八くらいだと思っておりますけれども、大体平均としますと高い方でございます。そういう関係で、ベースといたしましては、基本ベースが一般的には低い線が見られるわけであります。毎年何とかベースを上げて近づけよう、こういうような格好で努力をしておるわけであります。
  13. 田口誠治

    田口(誠)分科員 今のお答えでもはっきりしておりますように、勤続年数においても、年令構成においても——、年令構成によって扶養家族構成も大体三人ぐらいだと思いますが、そうしますると、三十五、六才の人で、三人の扶養家族を持って二万五千五百円にようやくしてもらえるんだということでは、これはとても生活のできるようなものではないわけなんです。こういう点をそれぞれの団体がいろいろとめんどうを見ておられるのですけれども、やはり団体自体といたしましても、そんなに予算は持っておりませんし、掛金が高いというようなことで、どちらかといえば、こういう方へ加入することがいやだというような考え方農民の方もたくさんあるわけなんでございますから、私は少なくとも今度の給与表お作りになったとするなれば、公務員の行(二)ぐらいの適用は当然してしかるべきだと思うわけなんですが、思想的には私の考え方と変わっておりませんですか。
  14. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 根本的な考え方については、経済局長から補足して御説明もあるかと思いますが、予算編成考え方としましては、共済団体に対します事務費国庫負担ということをどう考えておったかという点で申しますと、基準的経費について全額国庫負担をするという考え方でありましたために、人件費につきましても、現員、現給について全額を見るという考え方予算の上でとっておりません。基準人件費単価について考えるという予算を組んでおることは、これは予算書の上では事実でございます。従いまして個々の人件費現員、現給の、あるいは現員につき適正な給与は幾らであるかという問題とは、必ずしも予算上一致しない点が出るかと思います。なお連合会につきましては、任意共済も行なっておるわけでありまして、人件費のうちどれが国庫負担対象となる事務職員であるか、あるいは負担対象外となる職員であるかという点の分別も必ずしも容易ではございませんので、三十七年度予算につきましては、標準単価による基準的経費についての国庫負担を考えるという考え方予算を組んだのでございます。
  15. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこでなお詳細にお伺いいたしたいと思いまするが、ここにも書いてありますように、「前年度に引き続き組合等基幹事務費全額国庫負担とするとともに連合会職員給与改善を行なう。」こういうように書いてあるのですが、全額国庫負担というものの仕訳ですね、事務費全額国庫負担という仕訳はどういうようになるのですか。
  16. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほど予算課長からお話ございましたように、一定の単価で組みまして、それについて基準的なものを考えまして、それについて全額負担する、こういう建前できておるわけでございます。そこで従来の考え方は、共済組合につきましては事務費の三分の二国庫負担、それから連合会については全額国庫負担、こういう建前——全額といいましても、先ほど申し上げましたように、実額全額という意味ではございませんけれども、そういう建前で参りましたわけでございます。そこで実は三十六年度から、共済組合につきましては、制度を改正して、末端の方に通常災害の責任をおろそう、こういう法律改正案を考えておって、現在継続審査になっておるものでありますから、ここで末端事務費については、基幹的な事務費については全額国庫負担をしよう、こういうことで三十六年度から——基幹的事務費といいまして、職員給与と、それから職員人件費に伴いますところの庁費とか旅費、こういうようなものについて全額国庫負担しよう。こういう考え方に改めまして、そうして三十六年、引き続いて三十七年も、全額国庫負担建前をそういう線で出して参っておる次第でございます。
  17. 田口誠治

    田口(誠)分科員 事務費全額国庫負担というのは、ちょっと確認いたしますが、職員給与とそれから出張旅費と、それから消耗品も入るのですか。
  18. 坂村吉正

    坂村政府委員 いわゆる人件費と、それから人に伴いますところの——当然役所の俸給でも、人間に伴いまして庁費とか旅費とかいうものがついておりますね、人当の庁費旅費がついておりますから、そういうような性格のものについては全額、こういう考え方でございまして、その他の事業関係事務費等につきましては三分の二の国庫負担、こういう考え方で組んでおるわけでございます。
  19. 田口誠治

    田口(誠)分科員 職員給与については、国からの補助だけではとてもやれるものではないという考え方で出されておるようでございますが、こういうような点は、やはりそれぞれの団体とのお打ち合わせとか、そういう面についてのいろいろな要望とかいうようなことを十分にそしゃくされて、今度お作りになったのか、その点どうなんですか、だいぶ強い要求があるようですから。
  20. 坂村吉正

    坂村政府委員 もちろん、団体要望等も非常に強いのでございまして、それと同時に、全般的に見ますと、農業共済制度におきまして、共済掛金農民が払うのでございますが、掛金のほかに、こういう事務費賦課金として納めるわけでございます。そういう点が、最近におきましては掛金の方もだんだん下がって参りまして、それに伴いまして、いかにも事務費賦課金の方が掛金に比べて高いというような現象が、あちこちに現われてきつつあるのでございます。掛金賦課金と逆転いたしまして、賦課金の方が問いというところが、県で当ってみましても、大ざっぱに言って十県以上、十一、二県できてきておるという実情でございますので、これでは賦課金、いわゆる農民負担がますます高くなってくる。こういうことにもなりますので、そういう点も考えまして、大体国として負担ができます限度で、最大限一つ全額持ってやろう、こういう考え方に変えましたわけであります。
  21. 田口誠治

    田口(誠)分科員 農業共済団体事務費については全額国庫負担とするという、そういう表現のもとに一つの線が決定なされているので、なかなか現地で、国の方から助成されるところの給与以外に各団体組合員から出してもらうその戦いというのはなかなかむずかしいし、効を奏さないわけなんですね。そしてあまりそういうことにやかましく言う人は出ていってもらいたいという極端な、特に農家でありますから、そういう町については封建性が強いわけなんです。そういうことから、勤めておる職員は非常に困っておるわけなんです。  それで私、先ほど確認したことでなおもう一度お伺いしておきたいと思いますことは、ここで一人に対して千五百円のベースアップ引き当て予算化していただいてありまするけれども、国家公務員給与がこの率よりよけい上がったような場合の処置をどうするかということ。それから先ほど申し上げましたように、この千五百円というのは、国家公務員で言えば定期昇給というような形の予算化である。従って、今度国家公務員ベースアップのあった場合には、その率に準じて引き上げを行なうんだ。こういういろいろなやり方があるのですが、私がこの額から考えますと、おそらく国家公務員定期昇給という考え方において引き当て予算化されておるのでないか、こう思うわけなんです。国家公務員の場合も、定期昇給の分だけはやはり予算に載っておりますけれども、人事院から勧告があって、どれだけ上げるのかどうかわからぬ未知数なものについては、全然予算化されておらないわけなんですね。そういうのと同じ取り扱いをなされるのかどうかということ、これを明確にしていただきたいと思います。
  22. 坂村吉正

    坂村政府委員 おっしゃる通り全額補助職員でございますから、今までも公務員ベースアップがございました場合には、そのつど補正予算を組んでベースを上げております。ですから、この三十七年度千五百円のアップをいたしました分は、定期昇給も含めましたいわゆる基準ベースをこれだけ上げた、こういうことでございまして、今後公務員ベースアップ等がございますれば、そのときにはあらためて補正予算を組んでベースを上げるということに努力をいたすつもりでございます。
  23. 田口誠治

    田口(誠)分科員 先ほどちょっとお伺いしました給与表というようなものですね、これは何かできておるのですか。頭の中でできておる程度か、文章化でもされておるのですか。
  24. 坂村吉正

    坂村政府委員 具体的に給与表というものがございますかどうか、私もちょっと存じませんので、いずれ調べまして御回答申し上げたいと思います。
  25. 田口誠治

    田口(誠)分科員 あとから御返事いただくということなんですか。その時期は、私それまで待っておるのか……。
  26. 坂村吉正

    坂村政府委員 今すぐ電話で聞かせますから。
  27. 田口誠治

    田口(誠)分科員 じゃその他の方に……。  今度特別会計を廃止して、農業保険事業団を設立するということに、これは継続審議で相なっておるわけなんですが、この切りかえというのはどういうような方法でやられますか。
  28. 坂村吉正

    坂村政府委員 ただいまの考えでは、継続審査法案農業災害補償法改正法案農業保険事業団法案が出ているわけでございます。これを御審議をいただきまして、成立いたしますれば、来年の二月に現在の特別会計を大体中心にいたしまして事業団に移そう、こういう考え方でおるわけでございます。
  29. 田口誠治

    田口(誠)分科員 あと五分しかないようでございますので、そこでもう一度給与関係でお伺いをいたしたいのですが、やはり千五百円ベースアップをする対象の人員というのは昨年の二千二十九人ということですか。これはふえておりますか。
  30. 坂村吉正

    坂村政府委員 本年は人間対象は二千三百二十八人ということでございまして、昨年の数字は私ちょっと今ここにございませんけれども、二千三百二十八人というものを対象にいたしております。
  31. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その数字は、逆算していきますと、一単位団体に対して三・五人ということに今まではなっておったと思うのですが、この数字は変わりませんか。
  32. 坂村吉正

    坂村政府委員 ただいま申し上げました千五百円のベースアップ人間は、連合会職員でございます。ですから、二千三百二十八人というのは四十六連合会でかかえておるわけでございまして、三・五人といいますのは、おそらく共済組合単位組合のものではないかと思います。
  33. 田口誠治

    田口(誠)分科員 時間がないので、質問しておる方と回答していただく方と考え方が違ってやっておったかもわかりませんが、単位組合の場合、単位団体の場合、これもやはり同じなんですか。一切が同じですか。
  34. 坂村吉正

    坂村政府委員 三十七年度ベースアップを特にいたしましたのは連合会職員でございます。単位組合職員につきましては、ベースアップはいたしておりません。しかし、これにつきましても、今後全体のべース・アップという問題がございますれば、そのときには、従来の例もございますから、それに応じて十分一つベースを上げるように努力をいたしたいと思います。
  35. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこがおかしいと思うのですがね。連合会の場合には上げる、それから単位組合の場合には上げないということになりますと、今まで単位組合の場合には全然ノータッチであったものならば、これはそういうこともあり得るかもわかりませんけれども、従来はやはり三・五人に対して、昨年は一万四千四十四円だったと思いますが、こういう助成がなされておるのでしょう。そうしますると、連合会だけ上げて単位団体を上げないということは理屈が合わないのですが、こういう点補正できませんか。
  36. 坂村吉正

    坂村政府委員 おっしゃる通り、三十七年度の上げ方を見ますと、そういう疑問も起こるのでございまするけれども、従来とも、単位組合員についても、連合会についても、同じように上げるときに上げてきておるのであります。しかし、従来の、実際を見ますと、連合会の方が実態とかけ離れてベースが非常に低いわけでございます。ですから、連合会職員に比べますと、単位組合の方の職員はまだその点の差が割合に少ないものでございますから、昨年全額補助、こういう建前も立てました関係もございまして、その際に連合会についてのベースアップも十分にできておりませんので、本年度は特に連合会職員を取り上げてそのベースを上げよう、こういう方針に努力をいたしたわけでございます。
  37. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうなりますと、今度公務員ベースアップのあった場合に、単位団体の方の職員は、やはりこの千五百円を含めて公務員ベースアップの分だけ上げるという処置がとってもらえるかどうかということです。
  38. 坂村吉正

    坂村政府委員 連合会職員単位組合職員、それぞれについて補助ベースというものを考えておるのでございますので、かりに今度全体のベースアップがありました場合にも、単位組合職員について千五百円を含めてベースアップするという考え方ではございません。現在のベースにおいて全体のベースと合わして上げる、こういう考え方で処理をいたしたいつもりであります。
  39. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうしますと、千五百円というものは単位団体の方はまま子扱いということになるわけですか。時間がありませんので、これ以上質疑応答できませんので、私は強く要望申し上げておきますが、そういう取り扱いということはどこへいってもなっておらない。従って、こういう面については、今度の公務員ベースアップのある時期までに補正をして、同様な取り扱いのできるように一つ御考慮をお願いいたしたいと思います。その点をお願いして私の質問を終わります。
  40. 坂村吉正

    坂村政府委員 一言お答え申し上げておきますが、このたび連合会職員について千五百円のベースアップをやるということは、今までのアンバランスをここでできるだけ是正しようという考え方もございますので、その点をお含みおきいただきたいと思います。
  41. 田口誠治

    田口(誠)分科員 また直接会ってお話します。
  42. 赤澤正道

    赤澤主査 時間がありましたらまたお願いすることにいたします。  次に広瀬秀吉君。
  43. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 私は、土地改良の問題について若干御質問をいたし、時間があれば飼料問題について御質問をいたしたいと思います。  農業基本法が昨年通りまして、特に日本の農業の発展のために構造改善をしなければならぬ。その相当大きな要素として、自立経営農家二町五反以上の農家を十カ年計画で大体百万戸作ろうというような計画もあったわけでありますが、そういう工合にして過小経営規模というものを改善していこうということが非常に大きな問題点になるわけでありますが、どうも土地改良事業全般をながめてみますと、ここのところ停滞もしくは後退をしておるのじゃないか、こういうような気がしてならないわけであります。予算に現われたところを見ましても、昭和三十五年度では百六億六千八百万の予算であった。三十六年度で若干ふえまして百三十八億、昭和三十七年度予算では百五十九億ということでありますが、特に国土総合開発法に基づく特定地域の土地改良事業というようなものにつきましては、三十五年が四十八億五千五百万円、三十六年度は逆にこれが八億も減りまして四十億九千七百万円、三十七年度はようやく三十五年並みに四十八億八千四百万円、こういうような状況をたどっておるわけでありますが、一体農業基本法にいうところの構造改善過小経営規模をどうやって解消していくかというようなものは、やはりわれわれが従前から主張したように、こういうような土地改良あるいは土地造成というような問題に真剣に取り組んでいないとするならば、やはり小農を切り捨てていく以外にないのじゃないか。いわゆる離農促進だ、あるいはゆり出しだ、こういうような農業基本法審議の過程を通じて論ぜられた点が、やはり予算の面でこういうように出てきているのじゃないかということが指摘されると思うのであります。それらの問題についてどのように農林当局としてお考えであり、どのように具体的に将来の展望に立って考えられておるか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  44. 堀直治

    ○堀説明員 土地改良全体のきわめて大きな問題でございまして、私から答弁を申し上げるのはいささか何でございますけれども、土地改良及び開墾、干拓の予算全体につきましては、御指摘のような経過でございます。当然今の基本問題の考え方から申しましても、一月当たりの耕作面積を増加していく、あるいは各土地の生産力を高めていくということが一番必要なことと思われますので、現在までやっておりますような方法のほかに、もっと徹底的に不良地と申しますか、要土地改良、要するに排水の悪いところ、あるいは用水の工合の悪いところというようなものは直し、また区画の大きさというものについても、来年度からは特に大規模な区画整理事業を行なうような方式に改めまして、これの奨励をしておるわけでございます。  開墾、干拓につきましては、終戦後緊急開拓事業で、単に面積だけではなしに、海外の引揚者あるいは都市の失業者の対策といたしまして発足いたしたわけでございますけれども、これは相当大きな面積を短期間に仕上げるということでやりました関係上、途中で御存じのように相当数の脱落者も出すような状況になりまして、また社会一般の経済情勢も変わりまして、一戸当たりの配分面積も少なきに失するというようなことから、三十六年度におきまして、開拓審議会の答申の結果によりまして、三十七年度以降は入植だけではなしに、増反に大いに力を入れていくというような方式で開拓を進めていく。それから干拓につきましては、これは非常にこまかいものを従来まではやって参りましたけれども、こういうようなものだけではなかな工事の進め方もはかばかしく参りませんので、ただいまやっております八郎潟あるいは島根、鳥取の中海、または九州の長崎干拓というような大規模なものにつきまして工事に着手しまして、その地方の営農の改善に資したいというようなつもりでせっかく努力中でございます。  なお、本三十七年度からは構造改善事業といたしまして、その中に土地改良あるいは小規模の干拓を取り入れまして、今後の村の恒久的な土地改良政策を振興させていきたいというふうに考えておるというようなことで、予算の伸びから見ますと大したことはございませんけれども、できるだけこれらの制度を活用いたしまして、農村の要望にこたえていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  45. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 この際伺っておきたいのですが、農業基本法ができてから向こう十カ年という計画があると思うのですが、一体現在日本の農地はどのくらいあるのか、そして将来十カ年計画でどのくらいふやすつもりがあるのか、それらを数字的にお示しをいただきたいわけであります。  それから、今日都市周辺において首都圏整備法に基づく市街地開発区域、工業団地の造成というような問題があるし、あるいは産業都市の立法等がなされまして、あるいは後進地開発関係の法律等が整備されまして、それらに基づいて工業の地方分散というような形の中で、農地が相当程度他の目的に転用されていく、こういうようなものが相当最近多いようでありますが、今日やっております新たなる土地造成といいますか、干拓なりあるいは開墾なり、こういうようなものでふえてくる面積と、それからそういった面で減っていく農地の面積とは、どういう関係に立っておるか、そういう計画についてこの際はっきりお示しをいただきたいと思います。
  46. 堀直治

    ○堀説明員 開墾の実施面積でございますが、終戦後の開墾の完了面積は、三十六年度末で五十一万九千町歩、継続して仕事をやっていきますものが十万一千町歩、なお、昭和三十七年度以降に調査をやりますものが十三万七千町歩、そのほか小規模のもので約二万七千町歩、こういうことになっておりまして、今後残された開墾面積は、いろいろ今までの基本問題その他で数字をお出ししておるように百万町歩程度ということになっておるわけでございますけれども、これは経費のかけ方、あるいはそこに入れる技術の程度によりましていろいろな見方が出てくるわけでございまして、ただいまはっきりいたしております面積は、申し上げました通りのものでございます。  なお、干拓面積につきましては、終戦後昭和二十一年から三十六年までに工事が完了いたしましたものが一万三千三百八十九町歩、工事を実施いたしておりまして当然短縮されるというものが、これは三十七年以降昭和四十五年ぐらいまでに完了できるであろうという見込みのものが二万八千町歩、なおそのほかに調査をいたしております面積は一万一千五百町歩、それから、今後有明海のようなものを含めまして、調査をいたす見込みのものが五万一千四百町歩というような見込みになっておるわけでございます。
  47. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 質問に答弁漏れがあるわけでございます。大体現在どのくらいの農地があるのかということ、それから十年先にはどのくらいまでに持っていこうという計画があるのかということです。それと、こういうようにして作っていくものと、それから農地が転用されてしまって減っていくものと、これとのいわばバランスシートのような問題、農地のバランスシートのようなものを示していただきたい。現状の出たり入ったりの損益みたいなものと、十年先のバランスシートをどういうように考えているのかということを、はっきり一つ計画を聞かしていただきたい。
  48. 堀直治

    ○堀説明員 ただいまの御質問の問題につきましては、ただいま耕地は田畑合わせて約六百万町歩でありますけれども、昭和三十五年度で水田が約三戸四十万町歩、畑が二百七十三万町歩でありまして、合計して六百十四万町歩でございまして、それを昭和四十五年には、目標といたしまして水田を三百三十六万町歩、畑を二百八十五万町歩、合計六百二十一万町歩程度にしたいという考えでございます。その間に、お話のように工業用地あるいは住宅等につぶれていくと推定される面積が、水田では十万七千町歩、畑でも約十万七千町歩、合計二十一万四千町歩が壊廃されるという見込みでございまして、その差額が造成面積ということになるわけでございます。造成面積は水田に六万五千町歩、畑に二十万四千町歩、この程度のものを昭和四十五年までに作っていきたい。なお、そのほかに一万八千町歩程度のものは、これは自力造成と申しますか、いわゆる政府の補助あるいは融資を受けないでやっていくものがあるであろうという見込みで、計算をしているわけでございます。
  49. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 その造成の目標である水田六万五千町歩、畑二十万四千町歩というもののうち、国の責任でやろうというものと、今の自力でというもの、この内訳は大体どのくらいの見込みになりますか。
  50. 堀直治

    ○堀説明員 二十六万九千町歩というものは、国の補助あるいは投融資によって作っていこうということでございまして、そのほか自力でできるというものは一万八千町歩という、まあ少ない数字を見込んでいるわけでございます。二十六万九千町歩の内訳をもう少し詳しく申し上げますというと、畑からたんぼになるもの、それからたんぼから畑になるものというようなものがございまして、たとえば水田で申し上げますと、造成面積は六万二千町歩で、畑から作られるものが三万四千町歩、逆にたんぼから畑にかわるものというものが三万一千町歩で、差引六万五千町歩である。それから畑につきましては、これから作りますものが二十万七千町歩でございますけれども、畑から田になるものが三万四千町歩ございますから、それを除きまして、また逆に田んぼから畑になるものが三万一千町歩という差し引きをいたしまして、二十万四千町歩、こういうような考え方でございます。
  51. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 いろいろ数字をこまかくお聞きしたわけでありますが、政務次官にちょっとこの際お伺いしたいと思うのです。今お聞きになった通り、現在、昭和三十五年現在で六百十四万町歩の農地が、十年先に六百二十一万町歩、わずかに七万町歩の増にすぎない計画になっておるわけであります。こういうような中で、農業基本法の裏づけとして、自立経営農家を約百万戸、二町五反以上のものを作ろう、こういうような計画があるわけでありますが、そうしますと、農地はほとんどもうふえないのだということになりますと、そういうような計画をお持ちになるということが、やはり零細な農民をどんどん農外に出していくということ以外にはやりようがないのじゃないかと思いますが、そういうことに了解してよろしいわけですか。
  52. 中馬辰猪

    中馬政府委員 これは国の最も基本的な農業対策の根本でありますので、大臣からお答え願うのが至当であると思いますけれども、私どもとしては、決して零細な農民を残すということが目的ではなくて、漸次選択的拡大という農業基本法の精神に沿って、農地の造成あるいは集団化あるいは耕地整備等を行ないまして、できるだけ一つ自立経営のできるような農民を作りたいというのが目的でございます。
  53. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 非常におざなりな答弁をなさったわけですが、過小経営規模農家が日本の農業の特徴であった。そのことが資本蓄積を妨げ、近代的な企業として成立しない貧しい農業、貧しい農家、貧しい農村というものを形作ってきたのだということで、農業構造改善、生産関係を変えていくのだというような意欲が、やはり農業基本法にあったのだと思うのですが、それにしてはあまりにも農地造成という問題、あるいは農地をふやしていくという問題についての国家的な取り組みがいかにも——十年計画でわずかに差っ引いて七万町歩ぐらいしかふえないというようなことで、日本のこの過小経営というようなものが直っていく道理はないのでありまして、少なくとも二百万町歩、三百万町歩ぐらいはこの十年に造成をするというような大きな対策、農地対策というものがそういう形で非常に大きな意欲を持って達成されなければならないと思うのです。そうでなければ、ほんとうに農業基本法のいうところの最終的な目的、農業所得を増大さしていく、生産性を上げていく、それから資本蓄積が進んで十分近代的な企業として成り立ち得る農村、農家にしていくのだ、こういうような形が、やはり経営規模の面で私はできないのじゃないかと思いますが、私どもは二百万町歩なり三百万町歩というような大きな規模での農地をふやしていく政策というものが必要だと思うのですが、その点についての御見解を明らかにしていただきたいと思うのです。
  54. 中馬辰猪

    中馬政府委員 ただいまおっしゃった通りでありますけれども、まだ固まった農林省の数字ではありませんけれども、畜産を中心とする農業という意味から、草地の改良、牧草地といいますか、それらの面積の拡大については、大体一年後には五十万町歩ぐらいということを、一応想定をいたしております。これはまだ具体的な、どこの町村が何町歩、どこの県が何方町歩という数字ではありませんけれども、大体の見通しとして五十万町歩ぐらいは可能だろうかということで、水田の面積拡張も、もちろん先ほど参事官が申されたように拡大をいたしますけれども、それと並行して、あるいはもっと進んで、草地の改良あるいは牧野の造成という方向で畜産の振興等を考えておるわけであります。
  55. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 今次官から草地造成で約五十万町歩ぐらいのことが今ぼつぼつ考えられつつあるのだということが言われたわけでありますが、十年先には大体牛乳は三倍ぐらい飲むだろう、あるいは食肉も二倍ぐらいよけい食うだろう、こういうような計画が所得倍増計画の中にはっきり示されておるわけであります。そうなりますと、一体どのくらいの牛がふえ、あるいは豚がふえていくかというような、あるいは鶏卵等も二倍なり三倍なりという計画が立っているわけでありますが、そういうようなもので、飼料を作るためには少なくとも百万町歩ぐらいは草地として造成をする必要があるのじゃないかと思いますが、これもまた五十万町歩というようなことでは、所得倍増計画計画している面に対して、その裏づけになる飼料作物を中心とした草地造成ということがいかにも小さ過ぎるという気持がするわけでありますが、この点いかがなものですか。
  56. 保坂信男

    ○保坂説明員 ただいま御指摘のございました家畜の増産と飼料作物の関係でございますが、政務次官のお答えになりましたように、草地の改良、造成につきましては、ただいまの目標といたしましては、一年後に牧草地の改良としまして一応五十万町歩を達成することを目標といたしておるわけでございます。そのほかに既耕地の飼料作物への転換等につきまして、現在では約三十九万町歩程度の飼料作物が栽培されておるわけでございますが、それをさらに拡大しまして百万町歩程度に転換をするような目標で努力がされますならば、一応十年後の畜産計画の目標については、飼料作物の問題は、ある程度の国内自給度として達成されるのではないかというふうに思います。その場合におきましても、一応外国からの輸入飼料が現在約三百万トン程度でございますが、それが六百万トン程度に増加をするであろうというふうに考えられておるわけでございまして、畜産経営の問題といたしましては、さらに国内自給度を飼料作物といたしましても高めて、コストの安い経営であることが望まれるわけでありますから、さらに牧草地の改良等につきましては努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  57. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 そのほかに既耕地の飼料作物転換が三十万町歩ということになりますと、大体八十万町歩ぐらいにはなるという計算でありますので、だいぶ近づいてはいるわけでありますが、一方において所得倍増計画で、成長部門の作物の消費量というものをはじいておいて、それに対する土地の裏づけというものについて、どうも私ども不安でならないという気持が今の答弁の中からもうかがえるわけでありまして、この問題はどうか一つ十二分に配慮をいたされまして、農村の人たちの、今政府の施策について、どうも農業基本法で言っていることとやっていることは違う、とても信用できないという気持を、具体的な事実をもって、予算の裏づけのある計画をもって、そういう不安を解消するような方向にぜひいっていただきたいということを、要望しておきたいと思うのです。  次に、先ほど申し上げました土地改良の問題ですが、要改良——排水なり、灌漑の不十分なところなり、あるいはその他用水の不便なところに川水をつける、地下水の高過ぎるところを適当に直していくとか、あるいは特殊土壌の問題とか、いろいろな問題があるわけでありますが、そういうことで今農林省がやらなければならない土地改良の面積はどのくらいの計画面積になっているのか、この点を一つお示しいただきたいと思うのです。
  58. 堀直治

    ○堀説明員 要土地改良と申しますか、土地改良を必要とする面積の調査で、三十五年度末に調べましたもので申し上げますと、田におきましては、用水改良を必要といたしますものが約百二十一万町歩、排水改良を必要といたしますものが四十二万町歩、用水と排水の両方やらなければならないというのが十七万町歩、冷水改良と申しますか、水が非常に冷た過ぎて、それを変えてやりたいというのが約四万町歩、暗渠排水を必要とするものが二十八万町歩、客土を必要とするものが二十七万町歩というような調査になっております。また畑につきましては、田畑輪換、あるいは畑地灌漑を必要といたしますものが約三十七万町歩、それから排水改良を必要とするものが約十万町歩、畑の暗渠排水が必要なものが十三万町歩というような状況でございまして、これらのいずれも延べ面積になっておりますものですから、実面積はこれよりも減りますけれども、それぞれの目的に従って必要とするものを調べた数字は、ただいまのような形になっております。
  59. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 今の答弁の中でもはっきりいたしましたように、要土地改良地域というものが非常に多いわけでありますが、今日の予算の裏づけというのは、非常に膨大な土地改良を要する面積から見ましても非常に少ないと思うわけでありますが、しかもこれから農地の生産性を上げていくというような、生産力を倍加していくというようなことが、農地面積を拡大するということと同時に非常に必要なことになってくるわけでありますが、どうも農業構造改善事業というようなことに、言葉だけが先に行ってしまって、現実に一番必要とするそういう基礎的な問題というものが非常になおざりにされつつあるのではないか、むしろ軽視される方向にあるのではないかということを心配するのですが、そういう点について、農林省としては土地改良事業をいかにして積極的に推進をしていく意欲があるのか、それを予算の面でどういう工合に裏づけていくつもりなのか、この点について一つ伺いをいたしたいと思います。
  60. 堀直治

    ○堀説明員 所得倍増計画で立てました数字で申し上げますと、約三百万町歩程度の土地改良を実施していきたいというふうに考えておるわけでございますが、三十六年度、七年度のただいまの計画では、そのうち約一六%程度になっておりまして、計画といたしますと、十年間にもう少し伸ばさないと達成できないという形になっておりますけれども、これは全体の国の予算の伸び等とからみ合わせまして、今の程度のものをもう少し努力して進めていくというと、ほぼ最終年次までには達成できるのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。  先ほども申し上げましたように、新たに構造改善事業というものを各村に立てさせまして、これも別途予算で進めていくというような方式もとって参りましたので、この方面からも、今までよりはもう少し早い速度で土地改良を進めていくことができるだろう、こういうように期待をいたしておるわけであります。
  61. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 三十六年度、三十七年度で、三百万町歩の土地改良の十カ年計画の一六%だ、まあ年率で八%ということですから大体近いのだという御説明でありますが、ことしの予算あたりを見ましても、やはり新規の国営の土地改良事業などは非常に切られているような気がするのですが、そういう点はありませんか。新規のものを、ここのところは少し休もうじゃないかというようなものが出ているんじゃないかというようにとれるのですけれども、いかがですか。
  62. 堀直治

    ○堀説明員 国営の土地改良につきましては、三十七年度予算におきましては、調査地域二地区、全体設計四地区というふうに、前年度に比べまして大幅と申しますか、前年度が、調査地区二地区、全体設計一地区であったのをふやしていくという形になっております。  なお、今のは内地でございまして、北海道におきましても、直轄の灌排の着工三地区、直轄明渠の調査を八地区というふうにとっておりまして、三十六年度よりは大幅にこれまた増加をしているわけでございまして、こういうような面からも、逐次こういうように新規地区をふやしていくような方向になっておりますから、御心配の点は私どもはないというふうに考えておるわけであります。
  63. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 そういう非常に強い気持でおやりになることは非常にけっこうだし、ぜひ一つそういう方向でこの土地改良事業を進めていただきたいと思うわけであります。しかしながら、この土地改良については、これは国営よりもむしろ県単等の場合に非常に多いと思うのですけれども、不良土地改良区というようなものが非常に多いわけでありますが、ああいうようなことで非常に問題を起こし、また農民負担というようなものは、当初約束したよりもきわめて巨額に上っていろいろ問題を起こしている。こういうような土地改良区のきわめて不振な成績というようなもの、それからまた農民負担が当初よりも著しくふえて、農民が不満を持って、とても払い切れぬ、現在の農産物価格、そうして農家の生計状況からいって、とてもその負担にたえないというような問題が続発をいたして、至るところにこの問題はあるわけでありまするけれども、こういったものは一体どういうところに原因があるのか、この点をはっきりお示しいただきたいと思います。
  64. 堀直治

    ○堀説明員 土地改良区がいろいろ財政的に困っている地区のあることは御承知通りでございます。御指摘の通り、またそういうところがたくさんあるわけでございますが、これらにつきましては、いろいろその原因を調べて参りますと、計画当時よりも物価騰貴その他で非常に金が上がったもの、あるいはまた、計画が非常にずさんであったために所期の面積ができなかったもの、あるいは、また、土地改良区の当事者に人を得ていなかったがために、負担金の徴収その他に問題が起きて、結果的には借金となって残っているというようなもの、その他原因がいろいろございまして、なかなか一つの方法でこれらのものを全部救うということはできないような状況でございます。農地局といたしましても、この土地改良区の財政再建に対しましては、早く実情を把握いたしまして、それぞれ個々のものに対して適当な対策を作るほかないのではなかろうかということで、あるいは借金の整理、利子の取り立てをしばらく猶予するような方法、その他いろいろ手を打っておるわけでございますが、一方には土地改良法それ自体にもある程度問題があるのじゃなかろうかということで、この点につきましても、法の改正に対する準備を進めているというような工合でございます。  なお、この問題は、補助率であるとか、あるいは融資の方法等にも関係がある問題でございまして、これらにつきましても、地方別に、そういったものをどういうふうに取り上げていくか、せっかく今検討を進めているというような工合でございまして、できるだけ早い機会に、これらの不良地区と申しますか、気の毒な改良区の解決をはかりたいというふうに考えておるわけでございます。
  65. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 先ほど堀参事官から答弁がありましたように、私どもがおそれた点を、決してそうではない、将来やはり三百万町歩の土地改良を十カ年くらいで何とかやりたいという意欲的なものが示された。やはり、こういう問題が、このままの状況でございますと、そういう新規の政策展開というものが、こういう面から非常にくずれる可能性というものがある、これらがまた足を引つぱる原因になる、こういう問題がありますので、どうしても、この問題については、やはり相当思い切った手を打って、こういう今日の不振土地改良区、不健全な運営をされているそういうものを何とかしなければならない。今幾つか原因をあげられましたが、そういう幾つかの原因というものが非常にからみ合っているということはあるわけでございますが、その中でも、特に、この土地改良事業というのを保守系の地方のボスがちょうどいい食いものにするというような形になってきたということは争われない事実だと思います。そういうふうなことなども十分考えて、また、国の補助率の問題、物価騰貴に対する補助率を何らかの形で補てんしていくかというようなこと。あるいはまた、工事の経過期間中における利息が農民負担に転嫁される、これがばかにならない額になるわけであります。そういうふうなものに対しての何らかの処置がほんとうに本気になって講じる。あるいはまた、今も堀さんが言われました取り立てを猶予するというような問題も、これは思い切って長期にわたって一応たな上げをして、基盤がしっかりした後において解消をはかるというようなところを、やはり五年なり十年なりという形でたな上げをするという思い切った手がとられていかなければならないだろう。補助率の再検討も必要でしょうし、現実の政策として、どの程度まで、そういう措置をとられる気持があるのかということをこの際示していただきたい。
  66. 堀直治

    ○堀説明員 先ほど申し上げましたように、いろいろな問題がございますので、三十七年度におきましては約六百万円の予算を計上いたしまして、それの再建整備に関する方策を樹立したいということで努力いたしていく予定でございます。
  67. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 この六百万円というのは調査費だけでありますね。この調査に基づいてこれから具体的にどうするかということを立案するのだという御答弁になると思うのですが、やはり、そういうことでは、先ほど申し上げたような、これからの土地改良事業を推進し計画を完遂しようというような点を阻害する面が出てくるのじゃないかということで、この点を早急にやって、しかも対策を早く出していただく、このことを一つ十分お考えいただきたいと思うが、政務次官はどんな決意を持っておやりになるか、この点をはっきりお答えいただきたいと思います。
  68. 中馬辰猪

    中馬政府委員 ただいまの御要求につきましては、おそらく今までも農林省におきましても真剣に対策を講じてお考えになったことと思いますし、本年度予算編成におきましても、大臣を初め、事務当局はもちろん、各政党の方からも非常に強い御要求がありまして、国営から公団に移すとか、あるいは水資源公団との関係その他国営事業、県営事業あるいは農村構造改善事業の中の土地改良の部面の問題等、各方面からいろいろな議論がございまして、積極的に推進すべく努力をいたしておりますし、今後におきましても、何といっても農村の基盤は農地の整備拡張にございますので、この点については今後とも努力を続けて参ることは当然だと考えております。
  69. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 次に具体的な問題でお伺いしたいわけですが、栃木県から茨城に関係のある鬼怒川地区の土地改良の問題でありますが、これは、昭和三十年に二百二十五万八千円の調査費がついて以来、三十一年に九百四十万、三十二年、三十三年は二百四十五万、二百九十万というように足踏みをいたしまして、これはドンブラット問題というようなものが入りまして不幸な出発があったわけでありますが、それにいたしましても、三十四年で二千九百万、三十五年でようやく工事費らしい一億五百万、三十六年度で三億五千九百万と、本格的にどうやらなってきたわけでありますが、農業川とあわせて電力開発という問題がからんでおる事業でございますので、昭和三十七年度は、栃木県でも約十億の金をつぎ込んでいかないと計画通りにはいかぬだろうということで、少なくとも農林省の予算としては四億五千万くらいはどうしてもないと四十一年度に完成というのはむずかしいということになっておるのであります。さらに、先行きの計画といたしましては、三十八年度で三億九千万、三十九年度で二億六千六百万、四十年度で二億五千万、四十一年度で三億五千万、大体こういうような先行きの予算の裏づけというものがないと、予定の年度には完成をしないような状況にあるわけでありますが、大体、その問題については、先ほどから申し上げておりますように、工事が大へん延びるとか、あるいはその間における物価事情に非常に変動があるとか、いろいろなそういう要素が入ってきて問題になると思いますけれども、そういうようなことを避けるためにも、計画年次には少なくとも完成をさせるというような御決意で進まれておられるかどうか、この点を一つ具体的な問題でお答えいただきたいと思うのです。
  70. 堀直治

    ○堀説明員 鬼怒川の中部の問題は御指摘の通りでございまして、ようやく下流部の茨城県との協定も済みましたので、三十七年度からは本格的な仕事ができるということになりまして、三十七年度予算といたしましては、今のところ四億五千万の予算を計上しておるわけでございます。従いまして、今後は、予定のベースに乗って仕事を進めて、なるべく早く工事を完了するように努力いたしていく予定でございます。
  71. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 今、堀参事官から、大体鬼怒川中部土地改良の問題は、完成予定の年次までには完成をするように努力をしたいというお答えがあったわけであります。  農地局長今お見えになりましたが、鬼怒川中部土地改良の問題についていろいろ今まで質問をしてきたわけであります。土地改良について、その工事が予想外に長引いたりいろいろな関係でさまざまな問題が発生をするということで、予定年次にはこの問題も片づくように、一つ予定通り予算の裏づけをしてもらえるかどうかということを今御質問したわけでありますが、いかがでありますか。
  72. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 堀参事官から御説明申し上げたと存じますが、われわれ担当者といたしまして、土地改良事業の拡大とともに、着工いたしました継続地区につきましては、国営、県営、団体営を通じまして、大体計画いたしました年次で、国営ならば大体特別会計で七年を目標にいたしております。一般会計の国営ならば七年から十年、それから、それに伴います付帯県営につきましては、効果発生が、国営事業の基幹工事の終わりますときには県営工事も大体工事が完了する、そういう一貫施行的な考え方で、できるだけ早く継続地区につきましては完了するように、こういうふうに努力いたして、今計画を進めております。  それで、来年につきましても、国営の一般では、残年数を従来よりも一年ほど短縮いたしたい、こういうことで努力いたしておりますし、県営につきましても、残年数をやはり従来よりは短縮する、こういうことで考えております。御指摘の鬼怒中部につきましても、そういった一般原則にのっとり、また、地区の緊急度等も考えまして、できるだけ期間内に完了できますように努力いたしたいと考えております。
  73. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 その問題とからみまして、発電事業農業灌漑用水というものとからんで行なわれるわけでありますが、そこで、昭和三十七年度には、農業川として、あるいは施設の共用といいますか、費用分担というような形の中で四億五千万の予算が盛られておるようでありますが、そのほかに電気関係の工事費としてこれが約五億五千万くらいほしい、合わせて十億くらいの工事量というものをやらなければ定年次に完成がむずかしいというような状況にあるわけであります。しかも、この電気関係の経費は、県の一般会計から支出されずに、財政投融資における関係があるわけでありまして、従いまして、地方財政に百五十億か何か回される分の中で、いわばぶんどり合戦のようなものが行なわれるわけであります。この点につきまして、この土地改良事業をそういうものとからめて出発をさせておる場合において、やはり、農林省としても、この財政投融資の面からこの工事がおくれないように、地元の要請に従って、財政投融資のその面でのワクを獲得するということについては責任を持っておやりいただけるのでありましょうか。あるいは、これは別に大蔵省の方で勝手にやることですか。それとも、農林省がやはり相当な発言権を持ってこの問題の裏づけもしていく、こういうことになっておるのでありましょうか。お伺いをいたしたいと思います。
  74. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 土地改良につきまして、他事業との共同施行になります分につきましては、従来見返り建設等の費用分担方式によりまして分担金をきめまして、工事施行に必要な分は各年度計画を立てまして、国から支出する分と、県営発電ならば県、電発ならば電発といったところと協定をいたしまして、年度割で工事の進行の度合いに応じて共川工事部分につき納入していただきまして、工事の進捗をはかっておる次第であります。鬼怒中部につきましては、三十五年度までに二億四千万ほど入れてもらって、あと一億五千万ばかり残っておりますが、これも、県と十分連絡をいたしまして、工事施行にさしつかえないように県から納入していただきたい、こう思っております。  なお、アロケート分と、そのほかに県が電気施設の専用としてみずから工事を施行する、いわゆる発電部分等がございます。これなどはやはり地方財政の起債のワクの中で県は処理されると思いますが、その分につきましても、われわれといたしましては、この工事が全体として効果の発生することが、国の面から見まして、あるいは農民負担の面から見ましても妥当でございますので、自治省とも連絡をとって、そういう起債の確保等には協力いたしたい、こう考えております。  なお、共用部分等につきましての工事のアンバラ等がもし起こりますれば、あるいは経済企画庁等にも調整費というものがございます。そういうものにつきましても、私たちは県と協力いたしまして、調整費の支出等も努力いたしていくつもりでございます。  そういう面の道の開かれておりますので、よく県と連絡をして、計画の遂行に遺憾のないようにしていきたいと思っております。
  75. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 今のお答えでけっこうなんですが、どうぞ、そういう方向で、土地改良事業は予定よりもむしろ早目に完成するように、そういう電気関係における地方の起債の面も一つ十分御努力をされるように、これは一貫した計画でありますから、お骨折りをいただきたいと思うわけであります。  それから、最後に、工事関係の期間中における利子の問題ですが、これが地元の農民に非常に大きな負担を及ぼしておるわけであります。これについて、何らかそういうものの負担を軽減する措置というものがないものか。少なくとも工事期間中は何ら受益しないわけであります。しかも国の予算が次々に分割してついてくるわけで、少なくとも七年ということでございますから、その経済効果が現われない期間中の利子まで地元が負担するということは、これが非常に農民の不満の種になっているわけでありまして、この問題について何らか一つ配慮をしていただきたいと思うのですが、農地局長としてどのようにお考えか、この点の対策を一つお示いただきたい。
  76. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 建設期間中のいわゆる建設利息でございますが、これにつきましては、従来、国営なり県営なり、あるいはその他、愛知用水の事業につきましても、やはり農民負担ということに建設利息を付加して計算いたしまして、その全体の建設工事に要しました費用と建設利息というものとをもって農民負担額をきめる。その負担額は、採択いたします際に、この工事によりまする投下費用、収益の増、あるいはその他の便益等によりまして農家の収益が上がり、あるいは地元収益が上がる、そういうものを計算したものと比較いたしまして、十分増加費用で農民負担がまかなえる、そういう負担につきましてわれわれは検討いたしておるわけでございまして、農民負担といたしましては、それは低い方に越したことはないと存じますが、事業性格上、建設利息というものにつきましてはそれぞれにおいて負担していただく、こういうことがやはり至当でございますが、これの軽減につきましては、利子率の問題もございますが、やはり、先生御指摘のように、建設期間をできるだけ経済スピードによりまして短縮して、早期に効果が発生するということが本来の本則的な解決策と存じますので、われわれといたしましては、そういう方向で新規の採択をする、これはできるだけ必要最小限度ということにいたしまして、勤続事業の早期完成ということにかねてから予算編成の方針を固めて実施しておる次第でございます。やはり局部的に建設期間をできるだけ短縮するということが最も妥当な方法だと考えて、われわれは努力いたしておる次第でございます。
  77. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 その点は理屈としてはわかっておるわけでありますが、現実に農民がこの問題で非常に困っておるし、また、建設することによって経済効果が出、それを受けるのだという気持はあるのだけれども、何かしら割り切れないものがその点で残って、そういうものが償還の段階に支障になってくるという現実があるわけでありまして、これらの問題については、何らかの措置というものをなさることによって、農民も気持よくこれの償還をするような状態になる。期間を短縮するという、これはなるほど本筋でありますけれども、何らかの措置というものを、若干の利子を補給してやるなり何なり、そういうふうなものは絶対に考えられないのかどうか。この点についてもう一度お答えをいただきたいと思います。
  78. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 現在のところ、まだ利子補給というような問題までわれわれといたしましては考えていない次第でございますが、なお、農民負担の軽減ということにつきましては、いろいろ各方面にわたりまして問題もございますので、十分検討して参りたいと思います。
  79. 赤澤正道

    赤澤主査 三浦君。
  80. 三浦一雄

    ○三浦分科員 私は、農林省の御説明のうち、十一ページと十二ページに書いてある農業構造の仕事をやる段取りについてお伺いしたいと思うのです。  十二ページの方に書いておりますことは、九十二のパイロット地区を選定する、そうして、この九十二地区の選定と、「一般地域事業の初年度として二百地域を指定し」、こう書いてあるのですね。これはどういう関連ですか、ちょっと御説明して下さい。「このため三十七年度におきましては、全国の地域分類、営農類型を代表する九十二地区について、農業構造改善事業推進の拠点となる。パイロット地区事業を実施するとともに、一般地域事業の初年度として二百地域を指定し」、こう書いてあるのですね。そうすると、九十二地区について、これはどうもよりどころがわからないのですが、簡明に御説明していただきたい。
  81. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 この文章はお読みずらいと思いますが、こういう趣旨でございます。一般の町村につきましては、おおむね三千百市町村を対象にいたしまして、そうして次々に十カ年くらいで事業を、実施して参りたい。そのために、年次を追いまして、計画を立てるべき市町村、それから事業を実施すべき市町村を選定いたしたいという考えでおります。そこで、計画町村といたしましては、三十六年度に五百カ町村を指定するということになっております。それから、三十七年度に新しく予算といたしまして三百カ町村を指定するという計画にいたしております。この計画指定町村の中から事業を実施すべき地域を選定する考えでございまして、従って、ここにありまする二百カ町村は、三十六年度五百カ町村を指定いたしますから、その指定した中から、三十七年度において事業を実施すべき町村として二百市町村を選定して参りたいというのがこの二百でございます。それから、九十二の方は、それとは別個に、大体各府県二地区ということになろうかと思いますが、ここにありますように、全国の地域分類、あるいは経営類型を代表するような地区を九十二地区選びまして、これは一般市町村の事業推進のいわば拠点として、濃密指導し、発展的な効果をもたらそう、こういうものでございます。大体、九十二地区につきましては、一般地域の方は、市町村を単位として考えておりますが、これは、そういう意味におきましては、大字とか、もっとまとまったところで濃密指導ができるようなところを選んでやりたい、こういうようなことでございます。
  82. 三浦一雄

    ○三浦分科員 その順序はわかりましたが、その九十二地区に配分する予算はどうなるのですか。その計画の分量と、それに対する助成並びに融資の計画はどうなりますか。  それから、同時に、二百市町村をいよいよ実施させる、こうなるのですが、それに対する関係は、これに書いてあるところによりますと、一地域当たり九千万円の事業費に対して平均二分の一の助成と、二千万円の融資を三年間にやる、こういうようになっているのですが、その点について伺いたい。  それから、第三番目には、この三百市町村に対する計画を樹立するというのですから、計画をさせるのですが、それに対する予算措置はどうなるのですか。
  83. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 まず一般地域について御説明いたしますと、五百地域につきましては、まず計画を一年間くらいで立ててもらう、それから、事業の、実施はおおむね三カ年くらいで事業をやってもらう、こういう考えでございます。一カ年目におきましては、計画を立てるための調査、それから、計画樹立といったようなものが当然考えられますので、これに対しましては、町村に十五万円の助成をいたすということにいたしております。それから、事業費につきましては、ここにございますように、一地域当たり補助事業として九千万円、それから、融資事業として二千万円ということを予定いたしております。もっとも、その九千万円につきましては、これは平均でございますので、町村の規模あるいは戸数あるいは事業の種類等によりまして、町村別には差が出てくることは当然予定しておるわけであります。増減があるわけでございます。  それから、パイロット地区につきましては、一回限りの指定でございまして、本年三十六年度におきましては、計画費の助成として一地区約五十万円の助成をいたしております。それから、来年度から事業に取りかかるわけでございますが、事業といたしましては、補助事業として約六千万円、融資事業として千五百万円を予定いたしておるわけでございます。
  84. 三浦一雄

    ○三浦分科員 もう一点。往年各町村並びに部落等を動員して計画的な振興計画をやったのは、われわれの大先輩の石黒忠篤先生がやったわけなんです。このときには文字通り自主的な計画に基づいてだんだん推進している。今日の指導方針としても自主的にやらせるということではございましょうけれども、現在の農村の実態から行きまして、必ずしも今日の事態に合うようないい計画を立て得る素質を持っておるものがあるとは言えないと思うのです。そうですから前提として、ここにも書いてあるようですが、これらの計画を策定してこれを推進する中堅人物といいますか、そういう者がいなければならぬし、ある程度の指針がないとなかなかやれないと思うのです。たとえば畜産をやるにしても、現存の農村の実態からいきますと、先進地とはいえどもなかなかめんどうな問題がある。さらに、園芸等を進めるにしても、ほんとうに植物生理まで知っておる人がおらずには、今日ねらっておるような拡大したものはやれない。そういうような場合に、計画を立てさせる上に、もしくはそれを担当する人の上にどういう配慮と指導をするか、その点を一つお聞かせ願いたい、こう考えます。
  85. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 この事業を進めて参りますためには、今先生がお話しになった通りでございまして、一つには、何としても基本は、その村における農民のエネルギーといいますか、創意工夫といいますか、そういうものを基盤に置きまして事業をやっていくということが前提であろうと思います。しかし、この事業を進めて参ります上におきましては、たとえば、その地域における一つ計画目標といいますか、どういう適地適産を行なっていくか、また、どういう主産地を形成していくかといったようなことになりますと、当然、全体的な農産物の将来の需給と見合って、地帯的にそういうものを形成していく必要があるわけでございます。従って、農林省といたしましては、今後村がそういう計画を立てます場合におきましては、幕本法でも長期の生産あるいは需給の目標というものを立てて公表することになっておるわけでございます。また、基本法では、同様に、これを地域的にさらに具体化するように努めねばならないというような規定もあるわけでございます。そこで、こういう目標ができましたならば、われわれといたしましては、さらにそれを地域におろし、あるいは各府県におきましても地帯的におろしまして、そして果樹地帯だとか、あるいは酪農地帯だといった地帯に即応してその町村で計画を立てるように指導して参る。それから、今お話しになりましたこの事業を進める内容といたしまして、基本法にも構造改善のいろいろな目標が掲げてあるわけでございますが、これを実現するためには、村で特定の地域につきまして、かくかくの施策を総合計画を持って実施するということになっておりますけれども、これを実行する上におきましては、他の関連施策と相待って実行していかなければならない部分があるわけでございます。今国会で提案いたして御審議願っております農地法の改正であるとか、あるいは農協法の一部改正等もその一つの施策でございます。あるいは金融の措置もその一つの施策でございます。そういう施策とのからみ合いでこの事業を進めていくということも非常に必要なことでございますので、これらもやはり関連を持って進めていくような指導をやっていくことが必要であるわけでございます。  また、事業の内容あるいは段取り、どういう構想で進めていくべきかといったような指導指針についても、目下農政審議会の専門部会におきましていろいろ審議いたしておりますので、われわれといたしましても、一応のガイド・ブックといいますか、そういうものを作りまして、指導に万全を期して参りたいということを考えておるわけでございます。  なお、指導の体制をどうするかということでございますが、中央におきましては、今申し上げましたような農政審議会の専門部会の審議をわずらわして、指導の指針を作るとか、あるいは今後の主産地についての全体的な地域計画等の指導指針も作るということをやりますほかに、ブロックにおきましては、大体、試験場、地域農業試験場、あるいは地方農地事務局、あるいは、今回設置法の改正法案を提案いたしておりますが、農林省の地方農林局といったところで、関係の学識経験者等も集めまして、村の計画についての指導、あるいは計画自身の審査ということにつきまして助言指導を行なわせたい。それから、府県の段階におきましても、同様に協議会を設けまして、そういう関係者の意向を取り入れて十分な指導効果をあげるようにして参る、そういう措置も考えておるわけでございます。  なお、これに関連する専任職員というものを、各府県におおむね二名、全体的には八十五名でございますが、専任職員を設けて、総括的な責任者としての任に当たらせる、こういう措置もとることにいたしておるわけでございます。簡単でございますが……。
  86. 三浦一雄

    ○三浦分科員 もう一点。この指導はやはり普及員等も使うわけですか。——そういうわけですね。普及員等は、現在の素質からいきまして、なかなか理想的じゃないと思うのです。ですから、今度打ち出されたこの構造改革等には、特段に、再訓練というか再教育というか、そういうことに周到な御考慮をしていただきたい、こう考えます。  それから、ちょうど畜産局長もお見えになったようですから、一点だけお聞きしたい。昨今は豚ブームと非常にやかましく言われております。そこで、地方におきましても、これを屠殺し貯蔵し同時に都会方面にタイミングを見て送ろうということがだんだんふえてきた。ところが、その設備をします場合に、協同組合であれば現在の農林漁業金融公庫等がすなおに出すわけですが、なかなかその農協でやることが各方面で十分ではない。これが遺憾な点でございます。そこで、会社系統でやる向きもあるようですが、その場合の融資は公庫でもって許されるかどうか。この点は事務的なことなのでそっちの方で伺えばいいのかもしれませんが、差しかかった問題があったために、実は不明確なままに残っておる問題ですから、この点一つここでお聞かせを願いたいと思うのです。
  87. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 農協がやる場合は、おっしゃる通り、近代化資金等でやれることになっておりますが、公庫の場合でもやれる道があります。これは、農協出資が大部分の場合、たとえば九割以上の会社。それから、近代化の場合は、農民出資が五割以上の会社ということで、農民出資を重点に置いておるわけであります。御指摘のように、会社あるいは市町村等の場合につきましては、一応、中小都市の枝肉冷蔵施設の設置補助費といたしまして、本年度は一千七百万円、来年度は二千百万円程度予定しておりますが、これは補助率はわずかで、五分の一であります。そういう近代化資金や公庫の制度はありますものですから、予算ではそういうものに該当しないものを補助して参ろう、こういう予定でおります。
  88. 三浦一雄

    ○三浦分科員 今の助成農林省所管でやるのですか。
  89. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 その通りでございます。
  90. 三浦一雄

    ○三浦分科員 そうすると、資金の方はどうですか。五分の一の助成はとにかくとして、今の条件がないと資金の方はどうですか。
  91. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 今の条件がありませんと……。
  92. 三浦一雄

    ○三浦分科員 実は、今の中小企業金融公庫の方に相談に行ったのですが、そうしましたら、農林漁業金融公庫創設のときに、両公庫の間で当時業務関係でもって何か残っておるというので、なかなか動かないのです。これは一つお考えを願いたい。私は、立法論としては、今日の段階ではある程度の会社に融資するのも相当な時点になってきたのじゃないかと思うのです。これは現在の法律で制限されておれば別問題ですが、現在の公庫法はそう厳格に規定があるのでしょうか、あるいは運用等で若干調整し得るのでしょうか、その点はいかがですか。
  93. 坂村吉正

    坂村政府委員 ただいまの融資の問題でございますが、先ほど畜産局長お答え申し上げましたように、ただいま農林漁業金融公庫では非常に制限的に運用しております。現在の制度では非常にむずかしいというような状態でございますが、近代化資金等におきましては、先ほど申し上げましたように、やはり農民を主体に考えるものですから、そこには相当制限を加えておる状況でございます。しかし、実際の運用といたしましては、私どもといたしましては、農協系統でも員外貸し出しというような問題もございます。関連産業というようなものもございますし、それからまた、商工中金とか中小企業金融公庫、そういうようなものにつきましても、今までも、どうも農林省としても、あまり積極的にそういう面での融資のあっせん等がいたされていないのが実情だと思うのでございますが、その点、そういう分野についての事情も考えなければならぬ問題があるので、その点は努力をいたしたいと思います。
  94. 三浦一雄

    ○三浦分科員 最後に、今の融資の問題ですが、今の形式的な議論ばかりしておると、とんでもない人が組合を作って、そうして実力でもって金を持っていったという実例さえあるわけですから、もう少し失態を見て、これが法人であっても、ほんとうに農業生産に対応してこの流通改善等に資するということが考えられるものもあるのですから、御研究をしていただきたい。  主査、私は約二十分いただきましたが、残余の時間は他の同僚の質問に妨げないときにすることにして、私の質問を保留して、今回はこれで終わります。
  95. 赤澤正道

  96. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 今日の農林分科会では、実は大臣の御出席を得て農政上の問題についてそれぞれお伺いをする予定でございましたが、大臣の御都合が他にあるようでございますので、これを了承いたしまして、問題をもう少し小型にいたしまして、それぞれ事務当局関係からお考えを承りたい、こういうふうに存じます。  最初農地局関係からお伺いをいたしたいと思うのでありますが、過般、たしか予算委員会の一般質問だったかと思いますが、ここにおられる加藤委員が水資源開発公団と愛知用水公団の関係についてお尋ねがございました。この点について農林大臣の方からもたしか御見解が発表されたかと思うのであります。私ども、この問題を取り扱う段階では、当時大平官房長官等からも、愛知川水公団は世銀の借款その他国際的な問題が伏在をしておるので、従って、いずれは水資源開発公団に移行したいと思うけれども、それらの問題を処理して後にそういう問題を考えるのだ、こういうことを答弁をしておりました。ところが、河野農林大臣になられてから、この問題については、水資源開発公団に既定の方針として移るということでなしに、移るかどうかという問題も含めて検討するというふうに変更されたように承っておるわけであります。かねて愛知用水公団法の問題を論議する段階では、私どもは、御承知のように、従来農地局等でやって参りました豊川用水等の問題、あるいは、農林漁業基本問題調査会の答申方向から見て、土地改良あるいは農地の開発、こういうふうな関係のものが、従来のような国営、県営、団体営の形でなされる性格から、場合によっては公団方式によってそういうものをやっていくという形が出て参るんじゃないか、その第一歩として、愛知用水公団の問題に関連をして豊川用水の公団移管という問題が出てきているんじゃないかというふうな問題のとらえ方で指摘したことはございましたが、それは当面ともかくといたしまして、愛知用水公団の今後の身の振り方について、大平官房長官が答えておった当時と情勢にどういう点で変更があって、移行そのものも含めて検討ということになったか、もう少しその経緯を事務当局の立場として明らかにしていただきたい。
  97. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 愛知用水公団と水資源開発公団との合併の問題でございますが、水公団を発足させる段階におきまして、愛知用水公団もそちらの方に合併吸収せしめたらどうかというような考え方で進んできたことは御指摘の通りでございます。事実そういうことで作業もいたしておった次第でございます。愛知用水公団の事業完了も大体三十五年度で基幹工事は終わる。三十六年度は手直し的なこと、あるいは災害復旧等の問題もございまして一部工事は残りましたが、大体三十五年度で終わる。そういうわけで、工事の進捗は予定通り進んだ次第でございます。水資源の公団の発足は、予定いたしましたよりもずっとおくれて、本年度の四月に入りましてからそういうような次第になったわけであります。その段階におきまして、愛知用水公団の人的、物的ないろいろな資源、特にあれだけの大工事をやりました人的資源をどういうふうに活用していくかというような問題もございまして、鶴川用水を特定工事でやっておる次第でございますが、愛知用水公団方式で鶴川用水も事業促進をはかる方が非常に効率的にもよろしいし、また、用水公団の技術その他の資源の活用上も非常によろしいということで、昨年九月十六日に豊川用水を愛知用水公団事業として承継いたしまして、それに全力を尽くしておる次第でございます。そういう段階におきまして、水資源公団あるいは水資源の開発促進法といったような問題が問題になって、いろいろ具体化して参った次第でございますが、われわれといたしまして、やはり、水資源開発の問題といたしましては、特に水の需給が逼迫して産業開発上緊急を要する水系を先にやるということで、利根用水系あるいは琵琶湖を含めまする宇治・淀川水系といったものが、第一次的には水系指定がなされる、こういうような大体の方針が政府としては内定いたした次第でございます。そういうことになってきました場合におきまして、愛知用水として、木曽川を中心に豊川用水事業もやっております。また、世銀から借り入れました借款の処理の問題もございますし、なお、われわれといたしまして、先ほど角屋委員から御指摘がありましたように、一つの新しい土地改良工事施行方式として、愛知用水の工事方式が非常に効率的で、国営のもの、県営のもの、団体営のものを一貫施行して、五カ年間であれだけの大事業計画通りに遂行した、こういった工事施行方式につきましても、さらに農林省としてただいまやっておりまする木曽三川を中心といたしまするいろんな事業も今後も予定されまするし、今もやっておるそういった専業についても、愛知用水公団方式でやっていったらどうか、こういった将来の問題もございまして、河野大臣御就任になりましてから、いろいろ検討を命ぜられて、これについてはもっと十分慎重に検討を要するのじゃないか、吸収問題についてはさらに検討を要する、こういうことに相なった次第でございます。ただいまその問題については慎重に検討中でございます。
  98. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 結局、豊川用水の仕事が終わる場合、従来からも論じられたように、愛知用水公団の仕事というのは管理公団的な性格となる。今は豊川用水を含んでおるわけですから事業実施面の性格と二様に持っておるわけですけれども、今後の問題としては、豊川用水を含んだ事業が完了する場合、管理公団的なものは当然そのまま残らなければならぬ。そうすると、事業部面の実施人員と技術陣容というのは一体どうなるのかというのは、やはり、愛知用水公団におる側としては、従来は水資源開発公団に行くのであろう、こういうふうな見通しを持っておったけれども、その問題も含めて検討するということになると、結局将来が明らかでない。そうすると、これは将来の農地局関係の仕事にそれぞれ再分配をしていくということも含めて検討しているのかどうかということがやはり現地側では問題になるだろう。今のところ、検討といっても、やはり事業技術陣容の問題については、可能性としては水資源開発公団に行く可能性が強い、しかし、今後の農地局の他の仕事の発展方向とにらんで弾力的に考えるのだということで大臣のこの前のような答弁が出ておるのか、あるいは、そうでなくて、水資源開発公団に行く可能性は、従来はそういうふうに大平さん言っておったけれども、客観的に相当変わって、別の問題の検討の方が強くなってきたというふうに判断していいのか、その辺のところは、現時点における性格といいますか、現在の状況というものをもう少しお話しを願いたいと思います。
  99. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 予算委員会等で、大平官房長官なり、あるいは建設大臣なり、あるいは経済企画庁の長官なり、農林大臣なり、いろいろ御答弁になった次第でございますが、この問題につきましては、今御指摘のように、われわれといたしましては、愛知用水の事業が完了いたしましたが、逐次管理的性格に切りかえつつあるということで、管理面の仕事も、これはまだ大きな問題として今取り組んでいる未解決問題等が相当ございまして、このまますぐ水公団に持っていくかどうかということについては、水公団の性格からは、そういうものは事業公団として開発の方に専念する、こういうような性格がはっきりいたしておるわけであります。そういう点、愛知用水の方は管理面から来る一つの問題があろうかと思います。それから、もう一つは、豊川用水を中心にやっておるわけでございますが、豊川用水につきましても、これは今後五カ年間で完了していきたいというように、事業完遂に全精力を打ち込まなければならぬ、こういう問題が一つ。それから、先ほど申し上げましたように、今後の農地局の土地改良の方針を愛知用水公団方式でやっていくという場合に、愛知用水公団をそのまま十分活用できないか。特に、木曽三川につきましては、いわゆる水資源開発促進法による基本計画を立てる水系指定というのに、調査等の現段階からはまだ目鼻が早急につかない、こういったような段階でございますが、そういう面から来る水系指定の面が一つあるのではないか。それから、農林省といたしましては、木曽三川につきましては、調査事務所を作りまして、農業開発上の水の問題はもちろん、その地域におきます他の水利等につきましても、工業用水、上水道等につきましても、関連して調査をある程度具体化して進めて参って、木曽三川については、農業開発上も、国営級の工事が、調査の段階でありますが、今後相当予定される、こういったようなこともございまして、そういう場合に、愛知用水公団でこれが事業の促進をはかる場合に活用できないかどうか、こういうファクターも一つございます。それから、世銀から借りました金の償還につきましても、主体が変わるわけでございまして、その問題については、世銀との交渉はまだ十分進めておりませんけれども、そういう問題の処理についても相当の交渉を要する。  そういうようないろんな事情がございまして、早急にこれを吸収合併するというところまではでき得ないということで、いろんなファクターを考えながら、この公団を最も活用して、そして、農業水利はもちろん、他水利の開発を促進する、そして、職員についても、心配のないようにわれわれとしては処理したい、こういうような考えで今検討いたしておる次第でございます。
  100. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 今の農地局長のお話を聞きますと、木曽三川のこれからの開発の中で、愛知用水公団というものがその機構のままで活用できるという可能性等についても十分検討しなければならぬ、こういうことも含めてとにかく検討しておるんだというように判断いたします。この問題は、 ここでさらに愛知用水公団の今日の地元負担その他の問題も含めてやる気持はございません。ただ、過般従来の情勢と少し変わったような農林大臣の御発言がありましたので、その考え方の変わった根拠は何かということを少しただしておきたかったわけであります。  今もお話しのように、水資源開発公ができましてから、利根川水系なり、あるいは淀川水系なんというところに綱を張って、そしてこれから総合的な水の資源を利用するという形で仕事が始められる。このこと自身は建前として非常にけっこうなように判断されますけれども、しかし、そういうことが進展していく場合の中身に入って参りますと、これは、たとえば利根川水系の場合においても、最近、従来農林省でやって参りました印旛沼の国営、干拓というような問題が事業計画に相当修正が考えられて、そして、水資源開発公団の仕事の中に吸収をされていくんだというふうに言われておるわけであります。しかも、事業計画の内容等を検討して参りますと、従来農林省がやってきた農業を中心にした開発事業という性格から、いわゆる第二次、第三次産業の発展に伴う経済開発に従属をして、農業用水その他の問題については相当な制約を受けながら事業開発がなされていくという性格に変貌していくんじゃないかということが判断をされるわけであります。現に、これはこまかいデータは申し上げませんけれども、とにかく利根川のこれからの総合開発の中での分析等の資料も出て参っておりますが、その中で一番心配になるのは、利根川沿岸地域におけるところの従来の農業用水の使用量、あるいはこれから農業の近代化の中で発展すべき使用量というものが必ずしも充足されるのではなしに、むしろ東京その他を中心にした今後の工業用水をいかに確保するかということが最重点に考えられておる。あるいはまた、そういう確保と関連をして、治水面というふうなことから、印旛沼開発の場合においても、従来の計画の中から新しく遊水池等が新設をされるというような計画等も聞いておるわけでありますが、そういう形でいわゆる今後の水資源開発公団方式ということが推移していくという場合には、そういうことが包まれていく水系の中におけるところの農業の発展の方向というものは、はたして危惧すべき性格はないのかどうかということが、農政の立場から大へんに問題になろうかと思います。そこで、今利根川の場合にも印旛沼の国営干拓の吸収問題が起こっておりますが、そういうふうな方向に対して、特にその仕事の中心になってやっていくべき農地局の考え方というものはどういう方針で対処しようとしておるのかということを承っておきたい。
  101. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 水資源開発促進法に基づきまして水資源を開発するということに相なるわけでございますが、これは、特に水の需要供給の逼迫いたしておりまする利根水系あるいは淀川水系、こういうことに相なっております。われわれといたしまして、この水資源を開発いたしますにつきましては、既存の慣行水利権というものは十分尊重すべきものだというふうに考えておりますが、他面、やはり、農業技術の発展等によりまして、既存の慣行水利権につきましても、合理化すべき点はわれわれといたしまして十分合理化いたしまして、農業技術の発展に即応しまして、水の合理的な使用、合理的な需要というものは確保して参りたい。なお、新しい選択的拡大その他によりまして、今までの畑地に水を灌漑するといったような、いわゆる畑地灌漑も問題になりましょうし、また、田畑輸換といったような面からする水需要も、今後の農業の発展とともに必要になってくるかと思います。そういう面も、新しい農業上の水需要ということで、われわれといたしましては、十分そういうものの将来の動向を調査いたしまして、農業面から来る合理化による需要の問題、あるいは新しい農業の発展に即応する水の確保といったようなものにつきまして、水資源開発促進の基本計画を立てます場合における他産業との調整については、農業に支障のないように最善の努力なりをいたしていきたい、こういうふうな考えでございます。
  102. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 河野農林大臣が登場をいたしましてから、しかもそればかりではありませんが、最近の農業情勢の中で今後のたとえば農業基盤整備というふうなことを一体どういうふうに持っていくかという問題について、従来土地改良をやってきたというような継続的なものについては当面重点的に処理し、新規の問題についてはなるべく押えるということを大臣就任早々に方針として言われた。最近の農業基盤整備の方向あるいはそういう事業を推進すべき仕事のやり方、——従来であれば、国営、県営、国体営等の一貫施工によって、なるべく短期間にこれを推進するというようなことから、土地改良事業計画の長期にわたるものを是正するために特定土地改良事業特別会計というものが設置されるという形で推進されてきたわけですけれども、最近、農業生産の選択的拡大、畜産だ、果樹だ、そういう方向に生産の力点が移行していくというようなことから、従来の水田、畑地等の土地改良あるいは農業基盤整備というような性格が今後変わっていくという前提に立って、農地局として農業基盤の整備というものを考えていこうとしておるのか。あるいは、これを実施する事業のあり方等についても、先ほど公団方式等の問題について別の角度からお伺いしたわけですけれども、従来土地改良法で考えておるような形以外のシステムというものが新しく相当大きな比重で登場をしてくる、あるいは登場させてこなければならぬ、こういうような考え方についても予定をされているのかどうか。農地局として、農業基盤整備の今後の方向というものについて、最近の農業情勢の変化からして変わりつつあるのか、また変わらなければならぬという考え方に立っておるのかどうかということを一つ伺いしたいと思う。
  103. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 農業基盤整備の問題でございますが、従来継続いたしております分につきましては、従来からの計画なり目標なりございますので、そういうものにつきましては、できるだけ早期にこれは完遂して、予定しました経済効果が出るように努力したい、こういう考えでございますが、今後新しい基盤整備というものにつきましては、従来とかく水田重点といったような考え方で基盤整備が大きく取り上げられて参った次第でございます。今後の基盤整備というものは、農業が発展いたしまする段階、技術の面におきましても、また食糧構造の変化に応じまする需要の面から来る農産物の主要作物の転換の面から考えましても、新しい基盤整備は、新しい技術なり新しい農業の生産食糧で需要に応ずるような作付に資しまするように基盤整備の方向を向けていかなければならぬ、こういうように考えまして、われわれといたしましては、問題はやはり構造改善なり新しい農業の方向に即応するように、基盤をそういう方向に向けていきたい、こういうように考えております。
  104. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 昨年から相当与野党間で農林水産委員会等でも問題にして参りました、例の、戦後の食糧増産の悩みの中で全国的に土地改良事業等が推進をされまして、現実に、土地改良区等において、これはいろいろな理由がございますが、災害の関係あるいは設計の関係、あるいはまた指導その他いろいろな関係等で問題が生じた点もありますけれども、現実に、不振土地改良区の問題が全国的に相当数に上っておる、従って、この不振土地改良区の問題については、与野党で速急に片をつけなければならぬのではないか、農業団体あるいは漁業団体等でも、そういう再建整備の問題を現実に論議し、また措置していった経緯があるけれども、この際、戦後の食糧増産の歩みの中でやってきた、しかも現実に非常に問題を抱えて苦悩しておる、不振土地改良区の問題については、その実態を精査して、やはり、正当な理由のある問題については、これらに対するところの利子補給なり赤字補てんなり、いろいろな問題について適切な措置を速急に講ずる必要がある、これは新しいこれからの農業基盤整備事業を推進する第一歩ではないのか、こういうことでいろいろ従来から論議して参りました。農地局の伊東さん当時、この意向については全面的に賛成だということでいろいろ検討なされてきたわけですが、本年度予算を見て参りますと、そういう問題について調査をするということで若干の予算がついた程度であって、積極的にこの問題に踏み切るという態勢にまでいっていないのはまことに残念だと思うわけであります。そういう問題について、なぜさらにもう一歩積極的に踏み切るという段階までいき得ないのか、また、今後、この不振土地改良区等の問題については、一体農林省としてどういうふうに処置していこうというのか、どういう構想の上に立っておるのか、この点について一つ事務当局の考え方を承っておきたい。
  105. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 不振土地改良区の対策の問題でございますが、先般の国会で予算的、法制的措置を講ずるように決議があった次第であります。われわれといたしましても、その決議の線に沿いまして、十分その対策について検討して参った次第でございます。不振土地改良区の問題につきましては、土地改良区は、御承知のように、経済団体ではなしに、土地改良法によりまする土地改良事業遂行と事業完了後におきまする土地改良財産の管理といったような問題を中心にいたしまして賦課金の徴収等を行なう公共団体でございまして、この問題につきましては、今後の土地改良の推進上におきましても早急に対策を講じなければならないと、われわれも御指摘の通り考えておる次第であります。不振土地改良区の不振の原因につきましてはいろいろございまして、三十七年度予算に費用を計上して十分その実態を究明いたしまして、さらに次の措置を講じたい、こういうように考えておる次第でございます。なお、その土地改良区の不振の原因を究明いたしまして、その財政内容、経理内容等をいろいろ診断、調査いたします段階におきまして、経営診断と申しますか、そういう段階におきまして不振の原因がいろいろ判明いたしてくる次第でございますが、財務内容の問題等から来ます問題につきましては、農業金融機関等から、たとえば農林漁業金融公庫等から融資を受けて事業をまかない、土地改良区の組合員から賦課金で徴収しておる、こういったような問題につきましても、徴収の不振の状況等がいろいろあろうかと存じます。事業効果が出ない、あるいは災害のために業務ができない、あるいは土地改良区の運営に不備の点があって業務ができない、いろいろな点があろうかと思いますが、そういう点は十分究明いたしまして、さらに、金融機関等につきましては、三十七年度におきましても、金融機関ベースにおいて融資条件等の変更、緩和等の措置をすれば、そういう問題にも措置し得るものが相当あろうかと存じます。そういう点につきましては、三十七年度においても、あっせん機関等を作りまして、金融条件の変更等によって処理していきたい、こういうふうに考えておる次第でございますが、三十七年度におきまするいろいろな経営内容調査等によりまして、さらに今後利子補給あるいはその他の法制的な措置を必要としますれば、三十八年度以降において早急にそういう点は具体化していきたい、こういうような考え方で、とりあえず三一七年度は不振土地改良区の運営状況等の調査をいたしていきたい。そして、その段階において処理できる金融機関等の償還条件の緩和等については、あっせん委員会等において処理していきたい。さしあたりの処置としては、こういうような三十七年度予算を計上しておりまして、今後の問題については三十八年以降十分対処していきたい、そういう考え方でおります。
  106. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 畜産局長がお見えでございますから、畜産行政の問題で少し伺いたいと思います。  畜産関係の問題は、いわば保守党農政の中で看板上は脚光を浴びた姿になっておるわけですけれども、実際問題としては、脚光を浴びたはずなのに非常に問題が提示されておるということだと思う。過般来豚の価格その他の問題等が論ぜられましたし、また、飼料問題その他がいろいろな場合に指摘されておる。食糧庁の古麦の緊急払い下げ計画等は去年もあったのですけれども、いろいろそういう飼料対策の問題が出てきたわけです。現実に、畜産の問題も、生産の選択的拡大の中で、第一線の農家の諸君が非常な苦労をして、資金を借りたり、みずからの乏しい自己資金を追加するなどして畜産をやっても、今日の条件の中では確信を持って推進ができていくのだという姿に必ずしも考えてない。えさの問題もありますし、価格の問題もありますし、いろんな問題でやはり将来の不安を持っておる。極端に言えば、最近の畜産振興の波の中でわれわれは一生懸命に汗水流してやっておるけれども、まるでえさ屋のえさになっておるのではないかというふうな声さえ第一線においてはあるわけである。最近、草地造成の関係を公共事業の中に織り込む、飼料の自給化という問題と関連をして積極的に草地の造成等をやるんだというように言っておりますけれども、たとえば、新しい年度なら年度の場合に、畜産の各種目別の増産の方向というものがどの程度になり、それの所要量の飼料はどういう形になる、地域別に、あるいは全国的な視野から、輸入の飼料の関係、あるいは国内で従来から増産される部面、あるいは新しく草地造成で期待できる面、あるいは水田酪農ないしは田畑輪換政策というようなものの並行の中でやるべき面、そういう点については、もっともっとやはり地についた計画に基づいて、一定の時点で緊急に、飼料の価格の非常な高騰であるとか、あるいはまた畜産物についての価格の騰貴あるいは暴落とかというようなことのないようななだらかな形でいわゆる成長財としての畜産が伸びていくという前提の上では、従来の畜産行政もそうであったけれども、現実にこれから脚光を浴びようとする段階の中でも、まだそういうきめのこまかい具体的なプランないし推進という面で欠ける点が率直に言って多いのではないかという感じが第一線の諸君に多いと思うのです。従って、この機会に、畜産局長として、本年度の畜産の振興ないしこれに伴うところの裏づけ的な諸政策等について、特に力点として、従来のいろいろ問題の提示されておる点をどう是正し、畜産振興を着実に発展させるというような方向で考えておるのか、その点をお伺いしたいと思う。
  107. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 ただいま角屋委員から、さしあたって本年度としてどういうことを考えられるかという御意見と御説の上のお話ですが、御指摘のように、畜産関係につきまして、勅物的な生産奨励の関係は、旧来相当の歴史を持って充実しておるわけです。御承知のように、動物からできる製品関係につきましては、われわれ、いろいろほかの仕事の部面から見まして、非常に自由経済に堕し過ぎておるという感じがするわけです。やはり、今後の畜産の関係から言いますと、ある程度伸展する需要を見通して生産をやっていかなければならぬ。それがためには、現在の畜産関係は、全販連にいたしましても経済連にいたしましても、あるいは特殊農協関係につきましても、団体活動が一言にして言えば行なわれていないと言っても過言ではないと思います。一部豚その他につきまして、芝浦市場で全販連が三割ほど扱っておるにしましても、各単協、経済連段階等におきましてあまり団体活動が行なわれていない。私といたしましては、予算の面に、それは一部市乳等について酪農会議等も開催いたしまして共販体制を整えようとはいたしておりますが、その他肉畜関係におきましても、極力この不幸な事態を幸いといたしまして、共販体制の樹立に邁進したいということで、特に行政的に考えたいと思います。  それから、えさの問題でありますが、御指摘の通り、濃厚飼料あるいは自給飼料の問題がございますが、特に濃厚資料につきましては、約百万トン程度特別会計で握っておるにすぎませんで、昨日もほかの委員等からも御意見がございました通り、政府運用から出ますふすま等については、ある程度自由価格と言っていいくらいに自由にしておられるわけです。私どもといたしましては、濃厚飼料の需給の関係につきましては、いろいろ養分関係あるいは蛋白関係等をながめまして、全体としての計画は立てておりますが、私ども最近畜産行政に飛び込みまして感ずることは、各府県単位の需給関係から盛り上げた際需給見通しと実際の配給関係とが必ずしも計画的にいっていないということを痛感するわけであります。従いまして、えさにつきましては、特に濃厚飼料につきましては、飼料需給審議会等がございますので、現在貿易部会あるいは価格部会あるいは需給部会等で専門の御意見を伺ってはおりますけれども、私、事務当局としては、今後の方向としては、ある程度各府県の需要関係からながめた流し方も、およそ百万トンを流すにいたしましてもやりたいと考えております。こういう関係で、全国的な操作がだんだんと府県単位関係の操作にやっていきませんと、一部地区等では、全体的な平均価格よりも場合によっては高まっていくという関係があると思います。  それから、草地改良問題でございますが、草地改良のほかに、振興局等でも相当の計画で飼料作物への裏作転換ということを取り上げております。農林省総力をあげて、そういう畑作振興といいますか、あるいは水田の裏作等につきまして、特に技術陣の旺盛な振興局等で十分検討をいたしております。これが年度別あるいは家畜の導入と結びついた関係につきましては、必ずしも計画的でないといいますか、ただ都道府県の単位で、それぞれ御計画を立てて上に上がっていっておるという関係がありますので、十分これを総合的にやっていかなければならぬと考えるわけでございます。先生御指摘の通り、あまりにも畜産がえさの関係において、——これも需給、それから草地関係等全国的単位計画はされておりますが、これをきめのこまかい都道府県単位、あるいは団体単位ということで、表裏一体として盛り上がった上に行政措置をやっていくことが必要だと思いますので、畜産局としては、それぞれ今後の問題に対処するためには、各般の資料整備をし、各局の応援も得て全般的に仕事をやっていきたいと存ずるわけであります。
  108. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 畜産関係の問題は、冒頭に申し上げましたように、これから積極的に振興しなければならぬと言われながら、現実にはいろいろな問題をかかえておる。だから、畜産物の価格安定事業団の問題についても、やはり強化の方向を考えなければならぬでしょうし、また、飼料需給安定法というふうなものが現状のままでいいのかどうか、法改正も今後の発展の方向とにらんで真剣に検討すべき問題を含んでおる。あるいは畜産経営今後の自立対策の問題についても、やはり、伸ばしていくからには、安心してそれについていけるという裏づけが現実になければならぬ。せっかく一生懸命でそれについていこうと思っても、私どもの地域の関係でも、ずいぶんそういうふうな問題と取り組んで現実に不安を持ち、あるいは苦悩しておるという姿を見るわけです。その点については、さらに深くいろんな問題の具体的内容に触れませんけれども、もっときめのこまかい、しかも計画的な、また、地域の末端まで見通した総合施策というものがやはり立てられないと、せっかくの畜産振興も現実には相当大きな障害にぶつかりながらジグザグコースをたどらざるを得ない結果になるのではないかと思う。  次に、振興局の関係でもう一つ成長財と言われております果樹の関係の問題ですが、御承知の果樹振興の特別措置法ができて、いわゆる集団園地等に対する融資というものが農林漁業金融公庫等から出されるような計画等も並行して進められ、さらにまた、従来であればパイロット事業として樹園地の造成等もなされるというふうなことで、現実に果樹等に対する全国的な熱意も相当高揚してきているわけですけれども、この機会にお伺いしたいのは、果樹振興の例の特別措置法が施行されましたが、そういうものの実施施行の経過が一体どういう実績を示しているか、あるいは将来の方向としてこれがさらに大きな需要というものを当然考えていかなければならないと思いますが、そういう将来の方向の、この特別措置法の持つ存在意義をどういうふうに評価しておられるか。さらにまた、これからの貿易自由化の問題などと関連をして、たとえば私の地元に行くと、メロンなんというものを現実に始めた。ところが、それは非常な好成績で伸びようとしておる段階の中で、やはり貿易自由化の中でメロンの自由化というものが出てくるとばたりそれとぶつかってしまうというような貿易自由化等の関連の問題等もあって、振興局としてはこれから果樹振興の方向というものについて具体的にどういうような方針のもとに進めようとしているのか、特に本年度に力点を置いて一つ伺いをしておきたいと思います。
  109. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 果樹につきましては、昨年の国会におきまして御審議を願いました果樹振興特別措置法が制定されたわけでございまして、農林省といたしましては、まずこの法律の完全なる実施に重点を置きまして行政を進めておる次第でございます。  そこで、今後の法律の運用の第一の問題といたしましては、さっき畜産についても御質問がございましたように、長期の生産目標を打ち立てまして、これを指針として行政分野におきましても、その実現に向かって努力するし、また、生産者についても、それを指針として進めていくということが必要だろうと思うのでございます。近く農業基本法におきまする重要農産物の生産及び需給の長期見通しができますならば、果樹につきましても、それに即応いたしまして、早期に長期の見通しを立てたいということで、目下着々と事業を進めておる次第でございます。  このような目標に向かって事業を進めるにあたりましては、だんだんとやはりきめをこまかくして参る必要があろうということで、府県におきましてもやはり長期の見通しを立てる。さらにまた、地域についてもそういう目標を立てていくというようなことが必要であろうと思うのでございます。そういう意味で、本年度は常緑果樹につきましては特に適地調査を行なうことにいたしまして、最近のミカン・ブームで各地にミカンが造園されつつありますけれども、ミカンについては、御承知のように、非常に局地気象によって影響するところが非常に大きいわけであります。そういう意味で、適地調査を常緑果樹について進める方法をとったわけでございます。こういうふうなことで、一年適地調査を行ない、きめこまかく適地について振興をはかっていくということが必要であると考えておりますが、しかし、基本におきましては、やはり、生産対策につきまして、果樹振興特別措置法にありますように、健全なる経営の発展ということが一番望ましいわけでございます。そういう意味におきましては、経営自身について近代的な経営に持っていこう、さらにまた、それを通じて果樹についての生産地の形成をはかっていこうということで、構造改善事業におきましては、特に果樹につきましては今後の成長農産物として事業の振興をはかるようにこの事業を進めて参ることが必要であろうと考えておるわけでございます。それ以外の施策につきましては、たとえば種苗対策であるとか、あるいはこれに必要な指導体制であるとか、あるいは技術指導、あるいは技術研修、これらの施策については昨年度に引き続いてさらに拡充して参るような考え方で進めておるわけでございます。  しかし、今後の問題といたしましては、御指摘のように、果樹については、特に流通、加工の段階における行政分野というものが相当残されておるように思うわけでございます。貿易の自由化をとりましてもその一つでございますが、だんだんに生果物から加工段階に向かって事業が伸びていくことが必要であろうと思うわけでございます。さらにまた、そういうことになりますと、取引の形態におきましても一そう合理化をはかっていくということが必要であろうと思うのでございます。今国会におきましては、農林省設置法を改正いたしまして、園芸局を設置することに予定いたしておるわけでございますが、生産、流通、消費、加工という分野にわたりまして、さらに強力な行政体制でこの果樹の振興をはかって参りたい、こういうことでございます。  きわめて簡単でございますが、以上でございます。
  110. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 農林水産行政の推進の場合の農業協同組合あるいは漁業協同組合、こういう協同組合の今後の性格、あり方の問題は一体どういうふうにしていくのかということが、やはり重要な問題の一つだと思うのです。何か、議論の中では、たとえば山間部においては、農業協同組合というものと山林関係組合とを一諾にした農林協同組合的なものを考える必要はないのかどうか、あるいは、沿岸漁業地域においては農業協同組合と漁業協同組合とを一緒にしたような農林水産業協同組合というようなものを考える必要はないのかとかいうふうな議論等も従来出ておるわけであります。現実には、農業であるとか、あるいは漁業であるとか、あるいは林業とかいうふうに、縦割りで分けておりますけれども、の実態あるいは地域別の様相というものは、必ずしもそういう形で画然と分けられる姿ではありません。農業協同組合関係については、過般、農業協同組合合併助長法等によって、これからいわゆる経済圏の拡大に伴うところの農業協同組合としての規模というものに耐えるような条件に持っていこうということが現在推進をされておるわけですが、今日、たとえば漁業協同組合の場合には、漁業法の改正問題であるとか、あるいは水産業協同組合法の改正問題であるとかいう新しい漁業政策上の重要な改革をやろうという段階にあるわけであります。その場合には、やはり、最近の漁業経済圏の問題や、あるいは農林漁業基本問題調査会のたとえば漁業に対する答申の中では、漁業経済圏の中における漁港一つを考えるにしても、中核漁港という考え方を中心にしてやはり漁港のこれからの改修計画というものを立てる必要があるのではないかという答申が現実に出ておるわけですけれども、たとえば海区調整委員会の問題一つにしても、従来数海区に分けておったというのを一県一海区方式でいこうという考え方が現在答申されておりますし、また、現に水産庁では、法改正の中でそういう方向で今度はやろうという考え方をとっておる。いろいろ考えて参りますと、今日の農業協同組合、あるいは漁業協同組合、あるいはまた森林関係の問題、こういう問題を含んで依然として縦割り方式という形でいくのか。また、縦割り方式でいく場合には、やはり中央の指導あるいは施策等によって、経済圏の拡大に伴うところに応ずる形になるべく早い機会に持っていく。それには、やはり、人的、地域的、いろいろな問題がからみましては、今日農協の合併促進の問題についてもなかなか現実には問題が多いわけでありますけれども、そういう点についてはもっと十分検討もし、また、考え方等についても今後の農林水産業の発展の方向とにらみ合わせて、おくればせながらついていくというのではなしに、むしろこれはそういう点では農林水産業の推進上のいわば農民、漁民の中核的な母体にならなければならぬはずなんだから、そういう点についての検討というものは具体的にそれぞれの関係局においてはどういうふうに現在進められておるか。これは、もちろん、農業団体なら農業団体の、かねて論じられてきたような農業団体の再編成問題、こういうような問題については農業団体自身でいろいろ論議をしておるけれども、なかなかこれは結論にいかぬわけでありますけれども、それはそれとしてやはり自主的にやられていくだろうと思いますが、農政指導上の立場から見て、今日の農業協同組合、あるいは漁業協同組合、あるいは山林関係、そういうものを縦割りで発展の方向に行くべきなのか、あるいは地域別に考える場合にはそういうものも横断的に含んだような形というものを考えて検討する必要があるのか、こういう点についても今日の時点における関係のそれぞれの局における検討の経過あるいは今後の考え方というものを少しお聞きしておきたい。
  111. 坂村吉正

    坂村政府委員 協同組合の全般的な問題でもございますので、全体の問題について一応お答えいたしたいと思いますが、山村とか、漁村とか、そういうところで、農協と森林協同組合や漁業協同組合が一本でやったらいいじゃないか、そういう方が金融やその他の面から言っても便宜じゃないか、そういう議論がここ数年盛んに出ておりました。実は、今回の継続審査中の農協法改正の立案をいたします場合にも、いろいろその問題を検討いたしたわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、団体問題というような問題もいろいろ関連をいたして参りますし、非常に簡単に早急に結論を出すという段階に参りませんでございましたものですから、引き続き検討することにいたしまして、現在の農業協同組合法では、そこまではまだ立ち入って考えていない、こういうところが現状でございます。
  112. 村田豊三

    ○村田政府委員 漁業協同組合のあり方につきまして御指摘がございましたけれども、御承知のように、ただいま漁業法の一部改正、水産業協同組合法の一部改正、それぞれ準備中でございますから、組合組織全体の問題としましては、ただいま経済局長から一般的なお答えを申し上げた通りでございますが、水産業協同組合といたしましては、さしあたりの問題は、ただいま御指摘のございましたような漁業法の改正と関連いたしまして、漁業権行使の適正化の問題、あるいは水産業協同組合の問題といたしましては、協同組合の零細化を防止し、規模を拡大して、その活動を拡大していくというふうな当面の問題がございましてこれら漁業法の改正の問題点とも関連し、また、一方におきましては沿岸振興という別の問題がございまして、沿岸漁業の構造改善に即応するような漁業協同組合の体制整備というふうな観点からただいまそれぞれの法律の改正案を準備中のような次第であります。
  113. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 水産関係の問題はいずれ大臣出席の際に農林水産委員会でお伺いすることにいたしますから、その機会に譲りたいと思いますが、ただ事務的な問題で漁業法の改正あるいは水産業協同組合法の改正と関連をして、水産庁ではかねてから検討されてきております沿岸漁業振興の問題について、今度国会提案をするということで検討しておるように承っておるわけです。もちろんわれわれの力からは、かねて農業基本法の対置すべき考え方としては、漁業の関係については、もちろん沿岸、沖合い、遠洋等、農業の場合よりも漁業の場合には、やはり階層間の格差というものは非常に拡大をしておる。資本漁業から、実際に小型漁船の漁業まで非常にその段差が大きい。しかし、それにもかかわらず日本の水産業全体として遠洋漁業あるいは沖合い漁業、沿岸漁業のそれぞれのやはり位置づけというものを、漁業基本法的な法制化の中で明らかにして、その中で特に今日苦悩しておる湾岸漁業等の振興の問題について、積極的にこれをどういうふうにするかということを取り上げてはどうか。そういう法体系の表わし方というのがやはりいいのではないのか。しかも、やはり漁業を論ずる場合には、国際的な関係もあり、国内的な、やはり沿岸を含んでの問題もあり、そういう点では、いわゆる農業の場合のグリーン・レポート、グリーン・プランに対置すべき水産関係についての全体的なレポートなり、プランというものが出された中で問題の所在も明らかにし、そして特に力点を注ぐべき方向について、やはり、その問題を真剣に掘り下げて問題の推進をはかる、こういうふうな形が望ましいのでないかというふうに判断をしておるわけであります。  事務的にお伺いするのでありますが、当面水産庁としては、漁業基本法、その中における沿岸漁業振興法という形では必ずしもなくて、漁業基本法的なものをある程度織り込んだ沿岸漁業振興法という形で検討されておるやに聞いておりますが、いずれにしてもこの問題は、現在大体どういうふうに話が進んでおり、大体いつごろ出せる段階になるのか、これは漁業法なりあるいは水産業協同組合法の改正の問題も含んで、お話を願いたいと思います。
  114. 村田豊三

    ○村田政府委員 御指摘の沿岸漁業振興法案でございますが、御承知のように、一方には基本的な立法といわれる漁業法の大改正を控えておりますし、またそれと不可分の水産業協同組合法の一部改正案も、ただいま検討いたしておりますので、それらの漁業の基本になります二法との関連におきまして、かねがね基本問題調査会の答申もあることでございますので、沿岸漁業と申しますか、漁業の基本的な問題を織り込みまして、沿岸漁業振興法の法案の作成を、今鋭意努力いたしておる次第でございまして、具体的にはただいま官房の方で、文書課と水産庁との間で事務的に検討を先般来何回も重ねておりますけれども、できるだけ早く、漁業法並びに水協法の問題が片づき次第、引き続いてこの問題を取り上げて、なるべく早く提案いたしたい、かように考えております。
  115. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 時間の関係もありますので、この程度で終わります。
  116. 赤澤正道

    赤澤主査 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      ————◇—————    午後二時三十八分開議
  117. 赤澤正道

    赤澤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林省所管について質疑を続行いたします。戸叶君。
  118. 戸叶里子

    戸叶分科員 農村の問題は今日曲り角に来ているということを、よく言われておりますけれども、それが至るところで不安な状態に置かれているところに問題があると思います。農村の婦人たちは、その中でも苦しみながら何とかささえようと努力しておりますけれども、なかなか光を見出すことができないで、どうしたらいいか迷っているのが、今日の状態だと思います。政府はそういうような末端の情勢というものをよく把握されて、単に机上のプランだけではなくして、十分農林予算をとっていただいて、農村に希望を与えるようにしていただきたいということを、私はまずお願いするわけでございますが、きょうは、その中でもなお非常に苦しい状態に置かれている開拓の人たちの問題について二、三点お伺いしてみたいと思います。  まず昨年の十一月十四日に、開拓営農振興審議会が、河野農林大臣に対して答申を出されておりますけれども、私は、ぜひその答申を早急に実施して、開拓農民の窮状を救ってもらいたいということを、結論としては申し上げたいのですけれども、その答申に沿うて二、三お伺いしてみたいと思います。  まず、政府はこの答申案に対してどういうふうな態度で臨まれるのか、最初に伺いたいと思います。
  119. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 開拓営農振興審議会の答申を、昨年非常に慎重審議していただいたわけでございまして、政府といたしましては、答申の線に沿いまして、答申の内容をできるだけ尊重しながらこれの実施に努めたい、こういうふうに考えております。
  120. 戸叶里子

    戸叶分科員 その答申の線に沿うてできるだけそれの目的が達成されるようにしたいという御答弁でございましたが、それでは具体的な問題としてお伺いしたいと思います。  今後の開拓のあり方といたしまして、この答申の中にも、開拓は、わが国農業構造改善の先達として生かされるべきものであり、今後の開拓はこのような任務をになうものとして理解されるべきである、こう書いてございます。政府はこれに対してどういう見解をお持ちになっておられるか、この点をまず確かめたいと思います。もしこれと同じような見解をお持ちであるといたしましたならば、具体的にどういう内容を持っているからそういう表現がされているのだというふうにお考えになるか、その点を具体的にお示し願いたいと思います。
  121. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 開拓の将来のあり方でございますが、この問題につきましては、われわれ事務当局といたしましてかねてから、戦後緊急開拓時代から引き続きました開拓について、どういうふうにこれを展開していくか、戦後の緊急開拓時代に入植されました方々の営農状況等も勘案しながら、その新対策を講ずるとともに、前向きの姿勢として将来の開拓のあり方についてはどう考えるか、こういうふうにわれわれも検討していた次第でございます。審議会におきましても、将来のあり方については構造改善に資するようにというようなこと、あるいは今後の農業のあり方として成長農産物等に重点を置いた農業の作付転換、そういったものも考える、こういうような方向でございます。御承知通り、開拓地におきましては畜産あるいは果樹園芸といった灯地帯の農業が中心になって、今まで営農が進められてきたわけでございまして、今後のあり方といたしまして構造改善に資するとともに、やはり従来の開拓の経験を生かしまして、振興なり果樹園芸その他の畑地帯の営農振興に資していきたい、こういうふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  122. 戸叶里子

    戸叶分科員 ただいまの御答弁によりますと、これまでも開拓が畜産、果樹園芸に力を注いでおったように、今後におきましても構造改善という基礎の上に立ってそういう問題の転換をはかっていきたい、こういうふうな御答弁でありましたが、私はもう少し具体的に伺いたいと思います。  それはたとえば営農の基盤規定の問題とか、農業成長部門に対して、現在どういうような素質を持って、将来これがどういうふうに進展していくものであるかというようなその具体的な問題等を、もしできれば数字をもって示していただきたいと思います。
  123. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 構造改善の方向に資するようにという方針が、農業関係の開拓のあり方についてはあるわけでございまして、われわれといたしましては、従来の戦後に行なわれました緊急開墾というものが、いわゆる食糧増産、特に穀菽農業に中心を置いた農業経営のもとにおきまして、戦後急激に海外からの引き揚げなり、あるいは軍関係等からの帰村ということで、そういう人にも入植して職を与える、そういった面から進められた面を十分改め、反省いたしまして、今後の問題といたしましてはむしろ地元増反といったような点に中心を置きまして、開墾いたしまして造成された農地峠につきましては、既農家の経営規模の拡大ということに資していきたい、こういう意味におきまして、従来考えておりました開墾方式に、さらにパイロット方式というもので、今テスト的に国営のパイロット地区、あるいは県営のパイロット地区という考え方で、地元の農業計画の一環として、地元の既農村におきまする経営基盤の拡大ということに、パイロット開拓組織をもって資していきたいという、こういう考え方で、開墾、いわゆる開拓方式の転換を今はかりつつある次第でございます。  それから農業経営のあり力につきましても、逐次穀菽農業から、先ほど御説明いたしましたように、畜産、果樹といったものを考えておりますが、その展開段階におきましては、基本営農類型といったような一つの開拓地の営農のあり方につきまして、果樹なり、畜産なりを主体にしました経営方式を立てまして、その方式で入植をやるというような考え方で進めておるわけでございます。今後のパイロット方式におきまする経営方式につきましても、畜産なり、果樹といったような点に最前点を置いてこれを展開していきたい、そういうふうに考える次第でございます。
  124. 戸叶里子

    戸叶分科員 ただいまの御答弁で新しい方式をいろいろ取り入れながら、開拓の振興のためにお骨を折るようなお活でございましたけれども、やはり過去の例を見ましても、努力をして効果がなかったというような面が非常にたくさんあるわけでございまして、今開拓はいよいよ最後の総仕上げだというような気持でやっておるにもかかわらず、これまでの努力に報いられておらない面というものが、まだまだあるわけでございます。たとえば今数字をおあげになりませんでしたが、私が調べました数字をあげて見ますと、大体この戸数め比例で参りますと、全国の農民五百九十八万戸のうち開拓農民が十四万戸で、この戸数の比率は二・三%でございますけれども、乳牛の保有は全国が八十八万四千頭のうち十一万頭で一四%、それから二町歩以上の農家三十万戸のうち十万戸で三〇%、こういうふうに、人口の比率は二・三%でありながら乳牛の保有率一四%とか、二町歩以上の農家が三〇%とかいうふうに、非常に少ない農家で畜産なりいろいろの年産に携わっている苦労が多いわけでございます。それにもかかわらず大して効果が上がらないというふうな面を見ますると、結局この生産基盤というものの面で不合理な点があると思うわけでございまして、そういう問題が今おっしゃったものより、もっと以前の問題として解決されなければならないのじゃないかと思うわけです。なぜそういうふうに開拓事業が不振であるかというようなことを考えてみますると、たとえば非常に初歩的な問題ではございますけれども、道路の問題とかあるいは水だとか住宅だとか電気だとか、そういうものさえまだまだはっきり解決されておらないような面があるわけでございまして、そういうふうな対策というものも、もっと具体的に解決するような対策をお立てにならなければ、この問題は解決しないのじゃないかと私は考えますけれども、この点についてどうお考えになるかを伺い、さらにまたそういう問題については、今後は何年のうちにこうこうこういうふうな予算もとってこうするんだというような具体的なお考えがありましたら、これもお示しを願いたいと思います。
  125. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 今数字をおあげになって御指摘になりました点、ごもっともだと存じます。御承知通り、開墾につきましても五千万町歩、これだけの開墾を戦後いたしておるわけでございますし、また開拓地の十四万戸につきましても、農業料牛津で四百二十七億をこすというような状態に、今営農も伸びております。最近の例で申しますと、年平均約一割程度ずつ粗生産が伸びておるという、こういうふうに、開拓地といたしましても農業粗収入としても相当の伸びを示しておりますが、なお開拓地の中には、御指摘のように、いろいろな面におきまして営農不振の農家が相当あるわけでございます。これは御指摘のように、やはり戦後急速に開墾入植をしましたために、建設工事等が入植の年次におくれまして、なかなか進捗しなかったというような点もございまして、今御指摘のように、道路とかあるいは飲料水の施設とかいった基盤につきましての建設工事のおくれがある。こういうような点もございまして、入植者の中にも、総体として営農は伸びておりますが、なお不振の農家が相当ございます。その点につきましては、先般来営農振興臨時措置法というものを制定いたしまして、それによって営農の資本装備を増加いたしまして、営農基盤の整備をやる、それにあわせまして開拓地改良といった工事を、さらに追加投資いたしましてやるというような考え方で、営農振興対策をやっておるわけでございます。なお資金需要につきましては、御承知のように開拓者資金融通特別会計から大体五年計画で資金を供給する。これは畜産とか蚕、そういった経営の転換のための資金ということでございます。また相当の起債等もありまして、その起債につきましては自作農資金で肩がわりするが、そういうものはほとんど完納したわけでございますが、なお一般の負債等がございまして、そういうものについては、先般制定いたしました負債整理に関する条件緩和法というもので、さらに据え置き期間を置いて条件を緩和していくといったような措置を講じながら、できるだけ建設工事をつけまして、不振農家の営農振興に最善の努力をいたしておる次第でございます。
  126. 戸叶里子

    戸叶分科員 今の資金に対してのいろいろな御配慮の問題でも、内容的に見ますといろいろ問題があるわけでございますけれども、私が先ほど申しましたそれに関連しての問題ですけれども、たとえば道路なり、電気なり、水なりというような、ちょっと一般には想像のつかないような問題が、まだまだ解決せられておらないところがあるわけでございます。たとえばその一例を引いてみますと、私たちの方に足尾というところがありますけれども、その近くの開拓は、せっかくいろいろなものを生産いたしましても、それを運び出す道がないというふうな問題さえ残っておるわけでございまして、道路なり、水なり、電気という問題も非常に初歩的な問題ではございますけれども、これをもっと徹底的に改善して、そういうような不便がないようにしていくということを今お考えにならなければ、この開拓総仕上げというところまでいかないのじゃないかと思います。  そこでお伺いいたしたいことは、道路の問題にしても、電気の問題にしても、水の問題にしても、今後大体何年くらいあれば大丈夫だというようなお見通しがあったら、それをお伺いしたいと思います。
  127. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 道路等の基本的な建設工事につきましては、御承知のように、開墾建設工事といたしまして、国営なり代行なり、あるいは開拓道路といった点につきまして、できるだけ予算を計上いたしまして、これの推進に努めておるわけでございまして、ただいまのところ、総事業量に対しまして道路等を含めます建設工事が、三十七年度を入れまして大体六判程度進んでおります。あと四割程度が残っておるかと思いますが、これにつきましても、開拓営農振興審議会の答申もございまして、これはできるだけ早くということでございますが、開拓営農振興審議会におきましても、われわれといたしましては、不振農家を、すでに近傍類似の、既農家の域に達した農家、あるいは建設工事その他の資金を追加いたしますれば、近傍類似の既農家平均に大体達し得る農家、それから自然的条件あるいは経済的条件等で、どうしても非常に莫大な国費を投入しなければちょっと簡単に営農振興ができないというような農家もございますので、そういうふうに、営農振興審議会の線に沿って大体仕分けをいたしまして、そして仕分けのできたところで、大体五年くらいの計画で全体の振興対策を完了していきたい、こういうふうに考えておる次第であります。すでに開拓営農振興臨時措置法でやっております分につきましても、六割程度進んでおりますので、今後もさらに努力いたしたいと考えます。
  128. 戸叶里子

    戸叶分科員 今もちょっとお話が出ました建設工事のことですが、建設工事に対する国の補助制度の中に、末端支配とかいう制度があって、表面は相当の比率の補助を行なうふうに見せておいて、実質は現地農民の負掛が過重になるというようなこともあるということを聞いておるわけでありますけれども、それが事実だといたしますと非常に問題があるわけで、この際、その真相を明らかにし、特にこの飲み水についても、まだこういうような制度があるとすると非常に大きな問題だと思いますので、この点を撤廃して下さるようにする御意思がないかどうか、これを承りたいと思います。
  129. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 国営工事あるいは国労に付帯する工事ということで、それぞれ国営の分としては基幹的な工事をやる。それから地区内に入りまして、付帯工肝といった点については、補助制度等をとりましてこれをやっておるわけでございます。大体入植可能な状況に至るまでは国営で全額負担でやるわけでありますが、入植後におきましては、一般の農家負担との比率を考えながら、付帯工事については農家負担というものを考えておるわけでありますが、末端支配面積等につきましても、工事の区分といたしまして、多少の支配面積は現在実施しておるわけであります。われわれといたしましては、この問題につきましては、かねてから大蔵省との関係もありまして、いろいろ折衝を続けておりますが、現段階におきましては、実際上撤廃するということはなかなか困難な問題だというように考えております。できるだけ地元の負担が過重にならないようにという配慮は、その支配面積の範囲においてもわれわれとしては考えておる次第であります。
  130. 戸叶里子

    戸叶分科員 水だけでもこの制度を何とかなくすということはできないものでしょうか。
  131. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 水につきましては、特に飲料水、雑川水、その他開拓地における水の問題は、やはり生活の問題あるいは農業経営の問題とも非常に密着いたしまして、非常に重要な問題でございます。特に生活が安定して営農に専心するためには、飲料水の確保がやはり先決問題であろうかと存じます。われわれといたしましても、これには、段の努力をいたしたわけであります。特に水の問題につきましては、建設工事でやる分については、大体二十戸以上のところまで引っぱるというふうにして、そこまでは全額国費でやっておりますが、それ以後は付帯工事その他でやりますから、国庫補助負担ということにしております。また付帯工率につきましては十戸のところもあります。また入植施設で、いわゆる補助工事でやっております分については、一月ないし二戸のところまで引っぱっていくというような、いろいろな規模によって、区分しながら、この解消に努めておるわけでございまして、一戸、二戸残りますれば補助工事でやるということにわれわれとしてはいたしておるわけであります。
  132. 戸叶里子

    戸叶分科員 ただいま農地局長がおっしゃいましたように、水は生活の必需品でございまして、ぜひとも一戸、二戸のところでも負担なしに何とか引いていただけるような方法を考えていただきたい、この制度を早く撤廃していただきたいということを要望したいと思います。  それから次に、この入植施設の本年度予算で老朽住宅の改築費補助というものを計上されておりますが、これは適切なことだと思いますけれども、何と申しましても、四割が補助で残りの六割が自己負担ということになりますと、開拓の現状から見まして、これは非常に過重でありまして、ほかからの高利の融資を受けなければ、なかなかこの住宅の改築ということもできないような状態でございますので、この辺を何とか国の協調融資というようなことがっけられないかどうかということを伺いたいわけでございます。なぜかと申しますと、この開拓の人たちの住宅というのは、御承知のようにたった一部屋に大ぜい住んでいるわけで、ほかの農家でさえもお嫁さんをもらうことができないのに、開拓の住宅では特に青年がいても適当なおよめさんのきてがない。いろいろな問題があるにしても、住宅問題が解決しないというような悩みも持っておりますし、さらに非常に老朽になってきておりまして、もう風が吹けば飛ぶというようなうちを、私はあっちこっち見ているわけでございます。こういう面から考えまして、何とかこれを補修していくにしても、どうも六割どこかからお金を見つけてこなければならないとなると、なかなか手はつけられないというふうなことを、よく聞くわけでございますけれども、何かその点でいい考えはないものでしょうか。何かお考えはないでしょうか。この点伺いたいと思います。
  133. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 老朽住宅の改築でございますが、大体これは、戦後の緊急開墾時代に入植された方の住宅の改築でございます。すでに国といたしましては、これは入植当時大体住宅補助が出ておるわけでございまして、それが営農が予定通り進まなかった、そういうようなことでなかなか自己資金をもって改築ができないで、そのまま老朽している、こういったような実情でございまして、二、三年前からこの問題は非常に問題になりまして、何とか再補助の形になりますが、この改築費を補助したい、こういう考え方で三十五年まで努力しましたが、つきませんで、やっと三十六年から初めて一千戸ずつ改築して、危険なものから、その緊急度を考えながら改築していく、こういうことに相なった次第で、再補助というような問題がありまして、なかなか大蔵省の折衝では難航いたした次第でございますが、ようやく四割程度ということでついた次第でございます。なおこの六割部分について自己負担がなかなか困難だ、御指摘の通りでございますが、これについては、われわれといたしましても補助残の融資等、あるいは住宅金融公庫等からの補助をいたす道を開きたいと思って、今一生懸命努力している次第でございます。さらにこの問題については解決の促進をはかっていきたい、こういうふうに考えております。
  134. 戸叶里子

    戸叶分科員 農地局長の大へんに考えていらっしゃる御答弁をいただきまして、補助残について、あるいは金融公庫なんかの道を開いていただけるような御答弁でございましたが、なるべく早くそれをお考えいただけまして、そして老朽してもう倒れそうになっているうちが何とか補修されるような方法をこの一年くらいの間に、ぜひ考えていただきたいということを私は要望したいと思います。  次に婦人ホームの問題でございますが、婦人ホームを作るという施策は、非常に開拓地の婦人を喜ばせているわけでございまして、保健衛生上、生活改善上最も適切であると思いますが、これが全国的な要望から見ますと非常に少ないわけで、すずめの涙程度のものでございますが、今後の開拓振興の拠点となっているような点をも考えてみましたときに、もっとやはり建設できるような予算を考えていただきたいと思うわけでございますが、ことしの御計画と、それから大体今後何年くらいの間に、どの程度のものを作るかというようなお見通しを伺わせていただきたいと思います。
  135. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 婦人ホームの点につきましては、御指摘のように、やはり開拓地の婦人の一つの拠点といたしまして、非常に要望があったわけでございまして、これもかねてから努力いたしましたが、三十五年から初めて婦人ホームという形で予算計上ができたわけでございます。昨年までに二十一棟補助してできております。三十七年におきましては内地が十二棟、北海道六棟、離島が二棟ということで、総計二十棟を助成いたしたい、こういうふうに考えております。なお今後の問題につきましては、これはやはり県の負担がございますので県とよく相談いたしまして、希望が出ますのでその希望に沿いまして、できるだけ多くとっていきたい、こういうふうに考えております。
  136. 戸叶里子

    戸叶分科員 大体最終的には何棟ぐらいお作りになる御計画でございましょうか。そしてそれを大体何年くらいまでに仕上げようとされているか、これも伺いたい。
  137. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 特に設置棟数なんぼというふうな計画は、われわれの方ではまだ積み上げておりませんですが、大体毎年予算編成時までには、来年度計画を地元から申請して参りますので、それをよく審査いたしまして、地元の、いわゆる県の財政負担の状況等をも考えながら、開拓地に負担がかからないように、こういう配慮のもとにそれを予算化していく。そういうことでございますが、われわれといたしましては相当密集した開拓の団地には、少なくとも一つぐらいは将来設置するようにいたしたい、こういう考えでございます。
  138. 戸叶里子

    戸叶分科員 その次ちょっと教育問題に触れたいと思うのですけれども、開拓地の子供たちが、ろくな教室もない中で勉強をしているわけでございますけれども、もうそろそろまともな教室の中で勉強するような状態に置くべきではないかと思いますが、この開拓予算だけに依存していると、なかなかそういう問題は解決できないので、やはり文部関係においてもこういうふうな点の実態をよく調査して、そして責任を持ってお互いに整備をしていくというような具体策を、開拓の方の担当者である局長と、文部関係の方とお話し合いになって、前進させていくような必要が今日あるのではないかと思いますけれども、この点はどういうふうにお考えになっておられますか。
  139. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 開拓地の子弟の教育問題は、御指摘のように将来の後継者の養成ということで、非常に重要な問題でございます。われわれといたしましては、開拓行政プロパーの問題といたしましても、小学校、北海道につきましては中学校までも、開拓地に設置助成をするというような点で推進して参っておりますが、文部省におきましても、僻地におきまする教育の施設の拡充ということで、非常に努力を払われておるわけでございまして、われわれといたしましては文部省とよく連絡をとりながら、僻地の学校の施設に乗せられるものはできるだけそちらに乗せてもらうし、どうしてもそれから漏れてくるようなものについては、地につきましては、開拓のわれわれの方の分野で助成するといったような、連絡あるいは向こうの方への設置のお願い、そういったことを文部省ともやりながら進めておる次第でございます。
  140. 戸叶里子

    戸叶分科員 今の御答弁を信じておりますけれども、何にいたしましても今の御答弁のようにすぐにできないのではないかというような感が私はするのです。その通りになってくれれば問題ないのですけれども、なかなかそういうふうにならないのではないかということを私は懸念するのですが、ほんとうに今お子さんたちはひどいところで勉強しております。御存じだろうと思いますけれども、まあ行って見ていただきたいと思うのですが、あれではいい子供も十分な教育ができなくて伸びないというような問題があると思いますので、これは今の御答弁を、ほんとうに本気になって実現させるように、ぜひやっていただきたいと思うのです。今の御答弁の中にもございましたが、北海道は中学校も併置しておるということでございますけれども、北海道だけでほかは併置を認めておらないのは、一体どういうわけでございましょうか。
  141. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 北海道は御承知のように非常に隔遠の地に開拓地がありまして、いわゆる農村の中学校までなかなか通学が困難である、地理的な問題がございまして、特に北海道につきましては中学校の分校等の新築を開拓行政の中で見ていきたい。内地におきましては、子弟も中学校段階になりますと、相当大きくなりまして、非農村の方まで通学ができるというようなこともございまして、中学校については北海道だけというふうになっております。われわれといたしましては、におきましても僻遠の開拓地等には、そういう問題もあろうかと存じまして努力はしておりますが、まだ実現を見ておらないわけでございます。
  142. 戸叶里子

    戸叶分科員 北海道は非常に離れた土地にあるからというふうなお話でございまして、私もそうだろうと思いますけれども、内地でも非常に遠くの方に離れている場合がありまして、やはり小学校と中学校を併置してもらわないと、子供がもう三里、四里、五里というふうに雪の中を通わなければならないようなところもございますので、こういう点は今の義務教育の施設という問題とからんで、どうぞよくお考えいただいて、文部省とお話になって、今後の教育の問題にも関連することでございますから、早急に適当な措置をとっていただきたいと思いますが、この点の念のためにもう一度お伺いしたいと思います。
  143. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 御質問の点十分検討いたしまして、実現するように努力いたしたいと思います。
  144. 戸叶里子

    戸叶分科員 最後に、この開拓者の旧債の整理についてお伺いしたいと思いますが、この政府資金の条件緩和措置は、去年の立法によりまして行なわれているわけですが、しかしこの政府資金だけを処理しても、開拓民の現在の窮状を救うことはできないわけでございまして、たとえば災害資金とか農林漁業資金についても、これを整理資金に措りかえた上で、政府の政策の責任下にかかえて緩和措置を講ずるとかなんとか、何かそういったいろいろな問題を考えてあげませんと、総仕上げというところで、普通の農民と同じようなところまで行きたいというような意欲というものが失われるのじゃないかと思いますが、こういうふうな点で何か特別に考えてあげて、そうして今ただでさえも今後の農林がどうなるかということで困っておられる農民のさらに一段と低いといいますか、ものの足りない状態の中にいられる開拓民の人たちにも、総仕上げらしく希望を持たせてあげるようなことを考えていただきたいと思いますが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
  145. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 開拓者の旧債の整理でございますが、政府あるいは金融機関以外の高利のものにつきましては、自作農資金で措りかえをいたしました。それから過去の天災融資法によりまする災害資金につきましても、これは全部政府資金に措りかえて処置した次第でございます。  なお開拓者の営農の、開拓者資金融通特別会計から貸し出しておりまする、いわゆる開拓者への最も大きな貸出金につきましては、先般来の政府資金の条件緩和に関する措置法によりまして、本年の三月末までにこれの処理が大体済むかと存じます。それによりまして大体政府関係の資金等にできるだけしわ寄せをいたしまして、その他の農林金融公庫なり、あるいは系統機関からの融資を受けました分については、返還が相当楽になろうかとわれわれは考えておるわけでございますが、なおそういった公庫資金なり系統資金なりで、やはり営農の重圧になるものも多少はあろうかと存じますが、そういう問題につきましては、審議会の答申もございまして、よく金融機関とも相談しながら、それについての措置は考えたい、こういうふうに考えております。  なお公庫資金等につきましては、条件緩和の変更の措置も、業務方法書等で定められておりまして、非常に困るものにつきましては、個別にでもできるわけでございますが、さらに一般的にどういうふうに処理するかということにつきましては、答申の線に沿って、早急に金融機関とも協議して何か方法を考えたい、こういうふうに考えております。
  146. 戸叶里子

    戸叶分科員 条件緩和の措置は相当考えるし、また個別にでも非常に困っている場合には考えてあげられるというふうな御答弁もいただいたわけですけれども、なかなか局長がそういうお考えでいらっしゃっても、末端においてはそこまで徹底されないで困っている人たちが、現実の問題として多くあるわけでございまして、特にその問題は末端の方までいろいろ調査されまして、そして今御答弁にありましたような成果をあげていただきたいということを、私は要望いたします。  局長の今までの御答弁を伺っておりますと、大体非常に誠意を持って答えていて下さいましたが、今後は、これは実行の問題だと思いますので、どうか今御答弁になりましたことが、全部実行されますように、ぜひ私はお願いいたしまして、一応私の質問を打ち切りたいと思います。
  147. 赤澤正道

    赤澤主査 芳賀君。
  148. 芳賀貢

    芳賀分科員 主として開拓問題について、農林省当局にお尋ねしたいと思います。  第一の点は、昨年の十一月十四日に開拓営農振興審議会の平川会長から農林大臣に対して答申が行なわれたわけでありますが、この答申の内容を見ると、文字は豊富に羅列してあるが、われわれが率直に見ると、どうも迫力がないというような印象を非常に受けることは残念でありますが、この内容を大きく分けますと、第一は、開拓事業の今後の営農のあり方をいかにするかという点と、第二は、既入植者の営農振興対策をいかにするか、この二点が柱になっておるわけでありますが、農林省としましては、この答申を受けて、これをどのように今後開拓の施策の上に実現しようとしておるか、特にまた三十七年度の開拓事業並びに開拓予算等を通じて、この答申の線に沿ってどういうような方向に、これからの開拓行政を進めようとしておるか、まずその点について大要の説明をお願いしたいと思います。
  149. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 これはほかの委員からも御質問のあった点でございまして、内容を御説明申し上げたと存じますが、さらにあらためての御質問でございまして、まず第一点の開拓事業の将来のあり方につきましては、われわれといたしまして、従来の緊急開拓時代のやり方を反省しながら、構造改善の新しい農業のあり方に資するように、そういう方向で開拓のパイロット方式による国営、県営あるいは団体営の規模に応じて、この開拓事業を進めていきたい、こういうふうに考えております。またそういう意味におきまして、三十六年からパイロット方式によるものを実施しておりますが、三十七年度におきましては、さらにその事業規模を拡大して、将来の開拓のいわゆる構造改善に資するあり方に資していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。それから既入植者対策についてでございますが、これにつきましては芳賀委員特に御承知のことと思いますが、過去におきましての入植者の開拓営農振興臨時措置法による分を、さらに引き続いて推し進めますとともに、一昨年からやっております政府資金の負債の条件緩和を進めるということと、一方また今度の開拓営農振興審議会の答申の線に沿いまして、入植者を先ほど申しましたように一定の基準を設けまして、近傍の既農家平均規模以上に達しているもの、あるいは建設工事その他の資金の追加投資をやれば大体近傍の既農家の線に達し得る農家、それから自然的あるいは経済的条件から見て、なかなかそこの線には達し得ないような農家、そういうふうに区分をいたしまして、その線に沿って集中的に、また既農家の実態に応じた営農振興を打ち立てたいというような考え方で、われわれは答申の線に沿って、来年度はテスト的な基準を作ったり、あるいはどういうふうにやるかという一つの、実態を把握するといったような面から、大体全国二百地区についてテスト的に営農の実態を調査して基準を作って、それによって営農改善を立てていく、こういったものを実施したい。この既入植者振興の問題は、やはり従来のものが非常に抽象的にあったという点もございまして、個々の農家の営農の実施だ即応した振興計画を立てていく、振興をさせるという必要があるわけでございますので、そういった仕分けを調査してやりますとともに、その方法等もテスト的にやる、そういう予算を来年は取ったわけであります。
  150. 芳賀貢

    芳賀分科員 そこで、答申の第一にある点ですが、今後の開拓方式の問題についてです。この答申においても、政府が昨年以来講じようとしておる、従来はいわゆる買収開拓の方式であったのを、今度は相対売買によるいわゆるパイロット方式に切りかえたわけなんですが、答申においても政府の後退したパイロット方式を原則的には認めるという態度をとっておることは、これは非常に残念なことであります。この際お尋ねしたい点は、昨年度あたりから政府は開拓適地を認定して、そして開拓財産として保有しておった分を再度これを認定して、不用地と認定して、これを旧所有者に返還する手続を進めておるわけですが、この問題は非常に大事な点だと思う。たとえば国有財産のうちでも林野庁の行政財産を開拓適地に認定して開拓財産に繰り入れたのを、これをまた不用財産と認定して林野庁に返還する、こういう事例も一つあるわけですが、これらは、昨年以来のたとえば農業基本法を具体的に進める問題、あるいは畜産農業を高度に発展させるというような一連の施策から考えた場合は、これは単純に返還するということでなくて、従来の概念規定からいくと、これを耕地にしなければならぬということでありますが、この範囲を拡大して、たとえば耕地並びに草地、放牧地等を含めた使用目的を、これを農用地というふうに認定して活用するということになれば、不用財産の返還を行なわないで、相当開拓財産の活用ということが可能であるというふうにわれわれは考えておるわけでありますが、こういう積極的な方向に進める考えが一体あるのかないのか、そういう点はいかがですか。
  151. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 政府が買収いたしました未墾地の土地でございますが、買収いたしますにつきまして、戦後は非常に緊急を要しまして、適地調査等も十分やれないままにやりました未墾地買収の土地も、中には相当ございまして、買収いたしましてから長年これにつきまして手をつけないで放置されているといったような未墾地は、政府が管理いたしております買収財産の中にあるわけでございまして、そういう未墾地につきましてこれをそのまま放置するということにつきましては、非常に問題があったわけでございまして、われわれといたしましては、すでに地区計画等を立てたものは、当然これは残すことになるのでありますが、二十四年までに買収して今日まで何ら手をつけてないといったようなものにつきましては、これは旧所有者に返還する、こういう措置を昨年制度化したわけでございます。その線に沿っているわけでございますが、ただいま持っております財灘といたしましても、相当の未墾地をまだ保有いたしておりますので、御指摘のような今後の農用地の構造改善に資するように、これはぜひ使っていきたい、こういうふうに考えております。
  152. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは使用範囲を拡大して、これを有効に活用すると言われるのですか。
  153. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 われわれといたしましては、返還いたしましたあとの未墾地の財産は、十分そういう方向に活用していきたい、こういうふうに考えております。
  154. 芳賀貢

    芳賀分科員 返還した後に油川するというわけですか。返還しないで活用するのか。その点今はっきりしませんでしたが。
  155. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 返還する分と手元に残していく分とあります。手元に残しております未墾地につきましては、十分構造改善の方向に沿うように活用したい、こういうふうに申し上げたのであります。
  156. 芳賀貢

    芳賀分科員 従来は未墾地の開拓の場合も、原則としては自作農主義の方向においてこれを行なったわけですが、現在においては単なる自立農業だけでなくて、共同化あるいは協業化の方向に農業を進展させる必要があるわけですから、対象をやはり共同化あるいは協業化にこれを用いるということになれば、共同の草地あるいは採草放牧地ということに十分活用する適地というものは、大部分あるわけですね。大半あるわけなんですね。だからこの際すみやかに使用目的を拡大して、そういう目的に基づいた調査認定を行なって、そうして早急に国の方針を立ててこれを開発するということは、緊急の問題だと思うわけなんですが、三十七年度予算あるいは事業計画等には、そういうことは全然見受けることができませんが、この際やはりこの方針を積極的に立て直す必要がどうしてもあると思いますが、この点はいかがですか。
  157. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 開拓財産として持っております分が約四十八万町歩でございますが、その中で開拓に着手いたしたところもございますし、また、未着手のところもございます。また、その中で、先ほど申しましたように、全然十年以上も何ら計画も立たないで放置してあるところもあるわけでございまして、調査もやらないで、買収して十年以上計画も立たないといったようなところにつきましては、これは逐次返還していく、こういうことに相なるわけでございます。手元に残ります分については、先ほど申しましたように、この利用方法については、十分御指摘のような共同の採草放牧地等にも使い得る、こういう考えでございます。なお、三十七年度におきましても、既継続地等については七千町歩程度は買い足していくということも考えておるわけでございまして、一方においては必要なところは買うし、不要なところは返すというふうにしまして、農業の経営の改善に資するというふうにわれわれは考えたいと思っております。
  158. 芳賀貢

    芳賀分科員 この答申の中にも、今後の開拓農業の中心は畜産農業を主体にしたものでなければならぬというような点も指摘されておるわけでございます。しかし、現在の畜産の失態を見ると、ほとんどが他給飼料に依存しておるわけですが、開拓農業の場合には、畜産の飼料等についても、これは自給するという態勢を確立する必要がどうしてもあると思うわけです。そうなると、現存の経営面積の範囲内でそういう完全な態勢が整うかどうかということは、これは相当疑問のある点です。ですから、この点については、先ほど私が指摘したごとく、所有規模の拡大を行なう、あるいはそれを個々の使用にまかせるということでなくて、共用利用の方向にそれを持っていくということになれば、単にその開拓財産だけの活用でなくて、あるいは林野の行政財産等についてもそういう開発の余地というものは多分にあると思うわけですからして、こういう点についても、今後積極的な開拓営農の振興というものを具体的に指導推進する必要があると思いますが、その点はいかがですか。
  159. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 開拓の進め方につきましては、国が買収いたしました未懇地について開拓を進める従来の方式と、今後の新しい方式といたしまして、いわゆる買収はしませんが、地元の民有地あるいは公有地等の権利調整をいたしまして、その上にパイロット方式によりまして開拓を進める今後の方式もあるわけでございまして、必ず開拓は未懇地を国が取得してやらなくちゃならぬというわけのものではございません。今開拓財産として政府が持っております必要な分だけについては、御指摘のように、十分これは継続事業として開拓を進めるとともに、新しいパイロット方式によりまして、民有地につきまして権利調整を済まして地元の構造改善に資するように、あるいは成長農業の畜産改善に資するようにパイロットとして進めていく、こういう方向でわれわれは開拓の推進をやりたいと考えております。
  160. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、既存入植者の営農対策振興の問題でございますが、従来指摘されておる点は、この建設工事が非常におくれておるということなんです。これは一昨年の国会においては、すみやかにその建設工事の未完了のものを完了させるようにするという政府からの態度の表明があったわけでありますが、その後、この建設工事の関係はどういうふうに進展しておるのか、その事情について御説明願いたいと思います。
  161. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 建設工事につきましては、国営代行でやる直轄の分と補助工事でやる分と、われわれといたしましては、いわゆる既入植者対策として継続の分は、できるだけ早くこれを完了いたします。あるいは追加工事を必要といたします分については、できるだけその計画で推進をはかる、こういう方向で進めておるわけでありまして、建設工事全般といたしまして、三十七年度予算といたしましては八十億の予算を計上いたしております。大体三十七年度まで建設工事を進めますれば、先ほど申しましたように、六割をちょっと上回る程度の進捗率になるわけでございますが、さらにこれは引き続き三十八年、三十九年とこの進行を進めて、できるだけ早く予定の建設工事の完了をやりたい、こういうふうに考えております。
  162. 芳賀貢

    芳賀分科員 そういたしますと、三十七年度に八十億程度予算がついて、進捗率が六〇%になる、残余の四〇%は三十七年度以降何カ年でこれを完了させる予定であるのか、また、内地と北海道の進度が違っていますから、内容を区分して再度御説明願いたいと思います。
  163. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 総合いたしまして六割程度でございます。直轄の分は、これは六七%、約七割近い進度でございますが、おくれているのは、補助工事が多少おくれております。全体を総合いたしますと、六〇をちょっと上回るというくらいでございます。内地、北海道の比率は、ちょっと今持ち合わせておりませんので、いずれまたよく調査いたしまして、お手元に届けたいと思います。今後のことでございますが、これにつきましては、特段の努力をいたしまして毎年予算の増額をはかっておるわけでございますが、今の進度で申しますと、まだ多少時間がかかると存じます、できるだけわれわれは進度を進めたいと思っておりますが。
  164. 芳賀貢

    芳賀分科員 一昨年の国会においては、内地関係については今後三カ年、北海道については四カ年で完了しますということを言っておるのですよ。一昨年ですから、ことしでもう三年だから、大体三十七年度で内地のやつは完了ということにいかなければならぬですよ。北海道は三十八年度、来年ということになるんですよ。もう忘れているわけじゃないでしょうが、そのようにして遅々としておくれていることだけは事実なわけですね。ですから、新規開拓事業に対して全く政府は熱意を失っておるわけですから、せめて建設工事の残事業等については、すみやかに完了して、実績が上がるようにされることが、国としても経済的な効率が上がることになると思いますが、そういう点で、経済合理主義の上に立った現在の政府の考え方と、この開拓の建設事業の進み方は、何かちぐはぐな点があると思います。この点について、もう少し確信のある答弁をしておいてもらいたいと思います。
  165. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 新しい前向きの開拓事業に全く熱意を喪失したと言われますが、そういうことはございません。構造改善事業の一環としても、そういう問題を取り上げて参っておりますし、また、新しい事業の経営規模の拡大のためにも、開墾あるいは干拓といったものは取り上げていかなくちゃならぬ、こう思っております。先般も、大臣は、開墾につきましては今後も非常な熱意を持ってやる、こう申しておられますので、われわれといたしましても、さらに特段の努力をいたしたい、こう思っております。  なお、既入植地のいわゆる開墾建設工事あるいは補助工事でございますが、御指摘のように、われわれといたしましては、できるだけ早く、一昨年から三年ないし四年と、こう申しましたが、なかなかそういうふうには事実参っていないのですけれども、そういう気持でわれわれは努力をいたしておる、こういうことを申した次第でございます。今後も、できるだけそういう早期完了という考えなり方針で対処していくということを申し上げたいと思います。
  166. 芳賀貢

    芳賀分科員 次に、答申によりますと、新たに振興対策五カ年計画なるものを策定して、これによって進むべきであるという指摘がなされておるわけでありますが、この点に対して当局はどう考えておるか。それからまた次に、開拓農家の階層区分をこの際行なって1表現は、第一類農家、第二類農家、第三類農家というふうに、経営の階層区分というものをこの際明らかにして、各階層の農家群に対して適切な施策を与えるべきであるという点でありますが、これは、かって農林省が行なった営農振興計画に基づく営農類型による階層別の農家群の選定と、また違うようにも考えるわけですが、この二点に対してどういうお考えで進むつもりであるか。
  167. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 答申は、五カ年計画で新対策を完了するようにと、こういうふうになっております。われわれといたしましても、先ほど戸叶分科員お答え申しましたように、やはり開拓者の個別の実態をよく把握して、経営の実態に即応した振興対策を立てなくちゃならぬかと存じておる次第でございまして、この五カ年計画につきましては、来年は実態調査を精密にいたしまして、そして、いわゆる答申の線に沿う階層区分をどういう基準でやるかということを調査の結果出しまして、それによって階層区分をできるだけ早く処理いたしまして、その積み上げによる五カ年計画を作りたい、こういうふうに考えて、来年はとりあえずは精密な実態調査を進め、さらにその上に積み上げた五カ年計画を作りたい、こういうふうに考えております。  なお、附属区分等につきましては、その詳細な具体化というのは、実態調査を見まして、階層区分の検討もよく考えながらいたしたい。ただ、答申にもありますように、大体の振興の目標というのは、近郊の農家の中庸程度の規模の農家所得を確保するように、そういうことになっておりますので、そういう点もやはりよく調査しなければならぬと思いますが、そういう線を目標にして振興計画を立てていく、こういう基本線でわれわれはやっていきたい、こういうふうに考えております。
  168. 芳賀貢

    芳賀分科員 答申によりますと、第一類農家というのは、大体一般農家と同様程度の経営水準にある開拓者であるから、この階層に対してはそれほど積極的な施策は講じなくてもいいだろう、一般農家並みでいいだろう、そういう判断なんですね。第二類農家については、この農家群に対しては、従来同様、中心的な強力な施策が必要である。それから第三類の階層の場合は、現状においては農業者としての営農が不可能である。そういう態勢が全く今後も確立される見通しがないので、対策としては、離農あるいは脱農政策というものを進めて、他に転業させる必要がある、こういうふうに大まかに区分しておるわけでありますが、これを農林省の方からながめた場合に、この一、二、三熱の各階層というものが、全体の開拓者のそれぞれ何十%程度の階層比率を示しておるか、その判断された資料があれば、この際説明を加えてもらいたいと思います。
  169. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 答申の階層の区分の考え方は、御指摘の通りでございます。われわれといたしましては、この線に沿いまして区分をこれからいたすわけでございますが、その区分をいたします前提といたしまして、三十七年度におきまして開拓地の詳細な実態調査をやりまして——パイロットになるような二百地区をとりまして基準を作り、その基準で実態調査をしましたところで分数をしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。ただいまのところ、第一類は十四万何千のうち幾ら、それから第二類がどれだけ、こういうふうな大見当はまだついておりませんが、大体の感賞といたしまして、第二類農家が非常に多いのじゃないか、こういうふうに考えております。
  170. 芳賀貢

    芳賀分科員 大よそわかりませんか。
  171. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 まだわかりません。
  172. 芳賀貢

    芳賀分科員 従来も谷間開拓といわれた階層があったわけですが、今度のこの答申による階層区分をやった場合は、おそらく第一類農家と第二類農家の間に、そういう谷間的なものが当然出てくるんじゃないかと思うわけです。これは従来も非常に問題になった点でありますが、施策を進める場合には、できるだけきめのこまかい振興対策というものを立てて進めてもらいたいと思いますが、特に問題になる点は、この第三数といわれる、どうしても——これは従来の間引きという考え方でなくて、おそらくもう脱農させなければならぬというようなことになれば、これは十五年間に及ぶ政府の開拓政策の失敗というものが、ここに決算をしなければならぬことに遂に立ち至ったわけですから、これを進めるとすれば、政府としても、単に農業政策的な問題でなくて、社会政策的にも重大な責任のある問題ですから、これに対処する場合には、相半綿密な検討を下して、われわれとしても納得のできるような解明と具体策が立てられるように、ぜひしてもらう必要があると思いますが、その点はいかがですか。
  173. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 御指摘の点、十分慎重にいたしまして誤りなきを期したい、こういうふうに考えております。
  174. 芳賀貢

    芳賀分科員 次に、開拓者団体の問題について答申は触れておりますが、これは従来の開拓者団体に対する考え方を一歩前進させて、その地域における開拓協同組合の経済事業等の面については、同一地域にあるいわゆる総合農協と事業の統一合併を行なって、そうして効率的な経済事業を進めるべきである、こういうことが内容にしるされておるわけなんです。ですから、これを農林省が採用するとすれば、相当大きな前進になると思うわけです。ただ、問題は、従来講ぜられた、たとえば開拓者の負債の条件緩和法とか、あるいは営農振興法とか、それぞれの開拓者の制度に基づいた融資上の責任の帰属等については、ただばく然と総合農協の中へ事業吸収することはできないとしても、とにかく生産的な卒業あるいは経済的な事業というものは、昨年、農協の合併促進法が成立したような経過から見ても、非常に規模の小さい、経済力の弱い開拓協同組合が、協同組合として自立的な経営をやることは、まことに困難なことでありますから、こういう点は、答申の趣旨というものを十分検討して、どうあるべきかという方向をすみやかに打ち出して、その方向へ向かって団体の育成、指導をすべきであると思いますが、この点はいかがですか。
  175. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 総体といたしまして、答申の線は、政府といたしましてできるだけ尊重して対策を講じて参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。特に開拓農協の問題につきましては、一本立ちできるものについては、これは当然一本立ちということにも相なりましょうが、問題は、弱小な、あるいは非常に開拓組合員の少ない開拓農協等のあるところでございますが、これについては、今御指摘のように、経済事業と、片や政府の融資等の取り扱い等もやっておる関係もございまして、とくに経済事業の購買、販売事業等は、近傍の総合農協等を窓口にしてやった方がいい場合もございましょうから、そういう点については、よく、実態を究明しながら考えておるわけであります。なお、弱小な開拓農協について、近傍の農協とも事業の合理化をはかって一本にして窓口を通すということにもなりにくいようなところもございますので、合同事務所等を設けて、そこで組合の事務の合理化をはかる、そういう予算も来年にはやはり計上いたしておりますが、大体百六十八カ所程度は来年合同事務所を設ける、こういう考えで進めております。この問題につきましては、御指摘のように、十分実態を究明しながら促進して参りたいと考えております。
  176. 芳賀貢

    芳賀分科員 これは現地においては、開拓者の場合には、大体開拓農協と総合農協に二重加入をやっておるというのが実情なんです。それだから不便はないだろうということで放任しておいてはいけない。ただ、従来普通農協の場合には、これは農林省においても経済局所管、それから開拓農協の場合には農地局所管ということになっておるし、また、都道府県においても、普通農協と開拓農協が別々の所管に置かれておるというような実態もあって、これが完全なセクト主義とも言えないとしても、そういう点に勇猛を欠いた点があったことは事実であります。ですから、この点について、今庄町さんが言われた通り、これはもちろん自主的な経済事業を行なう協同組合ですからして、天下り的に、有権的にこうやれということは避けなければなりませんが、あるべき姿というものは、だれが判断してもそう変わるわけはないのですから、今言われたような方向に速急に問題の処理を進めていくべきであると考えるわけです。  その次に、問題になっておる点は、開拓者の旧債整理の問題です。政府資金等については、毎年の国会においてその処理が進んでおるわけでありますが、たとえば公庫の融資であるとか、あるいはまた系統融資であるとか、民間の融資等については、固定した負債が処理されないで残っておる面が相当あるわけでありますが、これは一昨年条件緩和法や開拓者融資法等を審議した場合も、政府資金だけの条件緩和とか、政府資金だけについて政府が債券を確保するという考え方でなくて、それ以外の公庫融資や系統の融資あるいは民間融資等の分についても、債務の償還計画が完全に立つような形の中で、すみやかにこれは解決すべきであるという附帯決議も行なっておるわけでありますが、これが依然として進んでおりませんし、既存の入植者の振興対策を今後どのような形で進める場合においても、旧債の重荷を解決するという長期的な見通しと解決ができなければ、実効が上がらないと思われるので、この点に対する政府の方針を明らかにしていただきたいわけであります。
  177. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 開拓者の負債の整理でございますが、芳賀分科員承知通り、天災融資法によるものは政府で全部肩がわりを終了いたしておりますし、それから政府あるいは系統機関以外の負債につきましては、自作農資金でこれを全部肩がわりが終了いたしております。残りますものは、開拓者・資金融通特別会計から貸しました政府資金を、公庫並びに系統金融機関からそれぞれ貸し出したものでありまして、政府資金につきましては、先般御審議を願って今実施段階にございます条件緩和法によりまして、最も負債の直江の強いものにつきましては、据え置き期間を設けて期限を延長する、あるいはその次のものは償還期間を延ばす、こういった条件緩和を実施中でございます。大体本年の三月末くらいにはその措置ができるかと存じておる次第でございます。そういうふうにいたしまして、逐次それぞれの面において肩がわりなりあるいは条件緩和等をいたしておりますので、先ほど申しましたように、公庫資金その他の資金についての償還余裕は出てくるわけでございますが、なおそれでもその償還が経営を圧迫するという面につきましては、今後金融機関とも十分協議いたしまして、答申の線に沿って適切な措置をいたしたい、こういうことで目下検討中でございます。
  178. 芳賀貢

    芳賀分科員 以上、審議会の答申の主要なる内容の諸点についてお尋ねしたわけでありますが、最後に一点お尋ねしたいのは、せっかく出された審議会の答申を今後政府において十分検討されて、採用すべきものは当然採用して計画化することになりますが、大体いつごろをめどにして、検討を終わって新たなる開拓振興の方策を策定して明らかにされるか、その時期等について見通しがあれば、この際明らかにしておいてもらいたいと思います。
  179. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 従来から促進対策といたしまして臨時振興法でやっている線が一つございますので、あの既定線はできるだけそのままの形で進めたい、こう考えておりますが、その段階におきまして、先ほど申しましたように、開拓者の階層分けをやって、その開拓者の経営の実態に即応した振興措置を講ずるようにという答申でございまして、その線に沿って、三十七年度は開拓者の実態をよく調査いたしまして、さらに振興対策を講じたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、十分な調査と検討が済みますれば、答申にございますように、五ヵ年計画で何とかこれが完了するように持っていきたい、こういうふうに考えております。
  180. 芳賀貢

    芳賀分科員 いつごろ……。
  181. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 調査が済みまして、三十八年度以降に、どういうふうに下から積み上がってくるか、その積み上がり模様によりまして考えるということに相なるかと思います。今昭和何年までという見当はお答えいたしかねると思います。
  182. 赤澤正道

    赤澤主査 川俣清音君。
  183. 川俣清音

    ○川俣委員 農林省が農地法の一部改正で信託制度を設けるという内容があるのですが、農地というものを、一体商品性の高いものと考えておるのか、または農地は農民の生産手段である、こう理解しておられるのか、または農地というものは農民の財産的所有であるというふうに見ておられるのか、この見解のいかんによって、信託制度の運用も違って参りましょうし、実態のあり方も異なってくるだろうと思います。この点についての見解を聞かせてほしいと思うのであります。
  184. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、農地の性格につきましては、見方によりましていろいろな性格があろうかと存じます。また、行政の対象といたしましても、いろいろ見方があろうかと存じます。また、農民の感覚においても、財産と見る農民もございましょうし、また収益を狩る元本としての生産手段として見る農民もあろうかと存じます。それぞれの見方がございまして、一がいにこうだと断定はできませんが、われわれが大体考えておりますのは、農業収益を上げる収益財産、こういうふうに考えております。
  185. 川俣清音

    ○川俣委員 農業収益を上げる財産という、初めての新語を承ったわけです。収益を上げる生産基盤だ、あるいは生産手段だということなら、またこれは聞き取れるのですけれども、ちょっと理解しにくいのです。どうも新語を使われますと、むずかしいのですけれども、しかし、そのことは別にいたしまして、米価を算定するときは、農地は一つの生産手段に見ておるわけです。従って、一定の収穫という制約を受けておる。また、土地逓減の法則にもある通りでございまして、地代をどう見るかということは非常にむずかしい問題でございますけれども、慣習による小作料として生産費を算定しておるわけですが、その考え方と、今度の農地法の信託的考え方と、必ずしも結びつかないのではないか、これが衰微農業であるとか後退農業であるとかは別にいたしまして、米価算定の基礎になっております生産手段としての農地は、一定の収穫量に制限を受けておるわけです。すなわち、地代というものは一定に押えられておる。これだけの収量という限界を示して、その中における小作料——もう一つの小作料の制限もありますけれども、収穫が一定だ、ある程度この程度だという限界があっての地代、小作料ということになる。もう一つ制限を受けた小作料というのがありますけれども、必ずしもそうではないのです。一方においては制限を受けた小作料だけれども、実際に小作料から把握するということになりますから、米価算定のときの地代は、従って、一定の収穫を上げるということが前提になっておるのです。ところが、この農地法では信託をするということは、これは御承知でしょうけれども、銀行でも相互銀行などが一番程度の軽い金融機関です。普通銀行はそれより程度が高い。信託銀行となると、資本主義の最高の金融機関なんです。それほどこの信正業務は非常に高度な運営の仕方をしなければならないものです。しかも、信託業務のうちで、土地の信託業務が一番困難だといわれておる。そういう農地というものが、最も高度な経済機構の中に、はたして適応できるようになり得るのかどうか、この検討をしておかないと、頭では考えたけれども、実態が勅かないという結果になるのじゃないかと思うので、この点をお聞きしておるのです。
  186. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 一般財産の信託という概念を、今度の農地信託には借りて参っておりますが、これにつきましては、御指摘のように、農地は年々農民が収益を上げます一つの生産手段——財産的性格もございますが、生産手段と考えておるわけでございまして、そういう面から、農地の信託につきましては、農協という一つ農民の自主的団体を受託機関とするという制限を付しておる。それから信託の目的も、農地の売り渡しという信託と、貸付という二つの目的に限定した信託制度を設けた。そういう点で、一般の財産信託の経済的な面における複雑性というものを排除いたしまして、そういう限定された目的で信託制度を設ける、そういう点で道を開いていくということで、構造改善の農地の流動化等に資したいと考えております。
  187. 川俣清音

    ○川俣分科員 一つの信託制度というものを用いて、貸付をやる、あるいは売り渡しをするということでありましょうが、信託の高度利用面からいいまして、利用度を高めていくということになると、貸付にいたしましてもあるいは売り渡しにいたしましても、商品化の傾向が必然的に出てくるのではないか。役所がそういうことはさせたくないと考えましても、この経済の波の中におきまして運営するものといたしましては、そちらへだんだん追いやられていくといいますか、そちらの方に伸びざるを得ない結果が生まれてくるのではないか。農地として置くよりも、宅地造成の方にあるいは転出していくというような傾向が出てくるのではないか。そうすると、農地信託のこの法案でねらっておるものではない方向というものが、経済の流れの中に推し進められて、流されてしまうのではないかという懸念から、実は質問したのですが、これはもう一度一つ御検討を願いたい。これ以上あなたと議論しましても、少しピントが合わないようですから、従って、検討を進めてほしい。あなた方の頭で描いておるものと経済の実態というものは違うのです。役人というのは、経済の実態というものを一番知らないんだ。知らないところに役人の価値があるのですよ。だから、経済のほんとうのまっただ中に入れられると乗せられてしまうのです。そういう意味で、検討を願います。時間がないというから、これ以上やっていると時間ばかり食いますから、御検討願いたい。
  188. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 農地の商品化という非常に新しい概念で御指摘になりましたが、われわれのこの信託制度に新しい制度として道を開くという趣旨は、商品化といったようなことは、われわれとしては防ぎたい。こういうふうに考えておりまして、御指摘のように、やはり農地が農地として構造改善を志す農民に売り渡され、あるいは貸し付けられることを確保される範囲における信託の道を開く。こういうことでございまして、転用目的の信託といったようなことは、われわれとしてはできるだけ将来も避けなくてはならぬと思っておりますし、現段階におきまする制定においても、そういう面はないわけでございます。将来とも、そういう面についてはできるだけ防いでいく、こういうような感覚でわれわれは考えております。
  189. 川俣清音

    ○川俣分科員 それだけで終わりたいのですが、一つ文句があるのです。というのは、あなたの所管でありまする自作農資金で取り扱っておりまする農地——農林省は農地より持ってない、宅地を自作農創設は持ってないはずです。これは農地として収用したのですから、農地ですね。これは現に農林省の自作農資金で買われました農地が、すでに実態は宅地になって、家が建っておるところがあるのです。そういう調査も実際行なわれていない現実なんです。これは、区画整理をしたところは、必然の流れとして台帳は農地、所有は農林省、現在宅地、もう四、五年前からだ、こういうところを私はいつでも指摘することができます。去年ですか、この資料を要求いたしましたところ、やはり農地以外に宅地としてあなた方が転売しているところもたくさんおありになる。実態は、すでに宅地になり住宅になっておるところもあるわけです。だから、あなたの言われるように、これは農地なら農地としていつまでも持っているのだと言いましても、経済的発展に伴って押し流されていくのです。それが今日の農地の本体なのです。農業が曲がりかどに来たとも言われている原因がそこにもあるでしょうけれども、あなたが今答弁された、やはり役人としてはそうありたいということと、実態とは違ってくるということをここで申し上げて、御検討願うということにします。  これ以上やるとまた時間がかかりますから……。
  190. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 御指摘のように、国有農地が宅地になったりいたしておる所もあろうかと存じます。われわれといたしましては、現状把握に最善の努力を尽くしておるわけでございますが、また、そういうものの無断転用の防止等にも最善の努力をいたしておりますが、間々そういう面があろうかと思います。先ほどおしかりを受けましたように、役人は何も知らない、こういうことでございますが、この信託制度は、農民の自主的な農協に管理させるわけでございまして、われわれの及ばないところを、現実に即して、農民の自主的機関で管理するわけであります。役人と違って、そういう点はないかと存じます。
  191. 川俣清音

    ○川俣分科員 それでは林野庁にお尋ねいたしますが、これから林野行政が非常に大きな問題にぶつかっておりますのは、先般農林大臣に質問いたしました畜産基盤としての牧野、もちろん、明治初年から牧野はいろんな変遷はしておりますけれども、畜産基盤としての牧野及び森林資源を確保する上からの林地としての土地の利用、この競合がますます激しくなるであろうと思われるわけでございます。一方、高度成長に伴いまして、建築用材の需要も増しておりますし、また、化学工業の原料としての木材の需要も相当高まってきております。一方また、食生活の変遷に伴いまして、畜産物の消費も増大し、畜産の重要性が脚光を浴びてきておるわけでございます。そういう中において、重要な畜産基盤であります用地と、ますます必要になって参りました木材の需要に対応する上からの、林分の拡張と畜産の基盤の拡張との衝突が出てくるわけでございますが、この点をどう調整されるおつもりでありますか。大臣にもお尋ねしたのですが、事務当局としてどうお考えになっておりますか。どうも最近の林野庁は、独立採算制とは言いませんけれども、そういう面について合理化というような形で、木材を供給するにきゅうきゅうとしておられまして、従って、木材を供給するといたしますれば、どうしても造林を必要とする、造林面積の拡大をはかっていかなければならないという方向へ追いやられるわけであります。そこで、この衝突がどう調和していくであろうか。これは、ほんとうから言うならば、今日林業基本法を作りまして、こういう区分を大体定めていくということが一番妥当だと思います。明治初年のころは相当大きい牧野があったものが、だんだん農業が発展するに従って、牧野が耕地になってくる、あるいは林地になってくるということで、だんだん牧野が狭まってきております。もちろん、ただ大きい牧野を持つということだけが能ではございませんが、最近のように縮小されて参りました牧野の拡大が絶対必要になってきたこの際、どう調整されるか、伺っておきたい。
  192. 吉村清英

    ○吉村政府委員 利用区分の問題になると思いますが、仰せの通り、非常にむずかしい問題でございまして、林野庁といたしましては、お話のございましたように、これからますますふえて参ります木材の需要をいかにしてまかなうべきかというところにまず主眼は置いて、政策を進めておるわけでございます。しかしながら、一面、御指摘のように、畜産あるいは開拓、そういう方面での要請も大いに考慮しなければならない段階になっていると存ずるのでございます。従いまして、私どもといたしましては、この木材の生産の合理化、育林事業をいかに集約化して生産性を上げて、単位面積当たりの生産量をふやすかということを検討もし、実行に移しておるのでございます。そういった段階におきまして、はたして森林はどの程度必要であるのかという結論を出さなければならないと考えておるのでございます。一方におきましては、農林省内部におきまして、この土地利用区分の問題について、関係各局がすでに協議をいたしておるところでございます。その結果を待ちまして、私どもも、林業をどの程度に進めて、土地の利用区分をきめていくべきかということを検討いたしたいと考えております。
  193. 川俣清音

    ○川俣分科員 そこで、お尋ねしたいのですが、かつて牧野は山林局の所管にあった。最近は畜産局が草地改良を受け持っておる。牧野法の主管庁は一体どこかと言いますと、畜産局でもあるし、また、従来林野という野が入っておるように、牧野も林野庁の所管であるがごとく見えまするし、また、時には従来からの縁故もありまして、牧野についても必ずしも等閑に付しているわけではない。そういたしますると、この区分が農林省の中ですら解決つかないものを、民間の畜産と造林との間に解決がつくわけがない。農林省の中ですら解決がつかないものが、民間で解決をつけろと法律を出されたって、解決がつくわけがない。大体大まかな方向を打ち出す必要があるのではないかと思うのですが、あわせて畜産局長の御意見も伺いたい。
  194. 吉村清英

    ○吉村政府委員 お言葉の通りだと思います。私どもも、牧野の所管と申しますか、原野の所管につきましては、林野の所管のつもりで、一部国有林等におきましては改良事業等も進めておるわけでございますが、まことにその点は十分にいっておりません。それから国有林におきましては、この第三極林地と申しますか、そういった地元の利用に供しておるところもあるわけでございます。そういう地域につきましては、この改良あるいは利用の改善をはかって参るように努力いたしておるところでございます。
  195. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 御指摘のように、牧野で二〇%が国有であります。三五%が市町村有ですが、その他は私有地でありまして、四五%のうち入会権が相当あるわけでございます。権利関係がそういう関係にあるわけでございます。非常に開発に不便な状況になっているのが現状でございます。われわれといたしましても、草地制度協議会を設けまして、これが利用開発についていろいろ検討中でありますが、やはり利用する側、いわゆる農協とか、あるいは現在部落共同体の管理しておる場合が多いのですが、公有あるいは国有とも合わせて計画的な調査をやって、動物を飼う人と、山なり林野、牧野等を利用する人を結びつけた関係で開発していきたいということで検討中であります。
  196. 川俣清音

    ○川俣分科員 昭和十三年の推定のえさの状態を見ますと、粗蛋白で六十二万五千トン、澱粉価換算で四百六十七万トンとなっております。大体粗飼料と濃厚飼料とは半々という形になっております。今後単なるいわゆる放牧地という昔の畜産から、近代化された畜産に転換しなければならない現状であると思う。今なお外国から飼料は輸入しなければならぬ。かつて満州及び朝鮮があった場合は、雑穀等が入りまして、幾分需給のバランスがとれておりましたものの、それでもやはり六五%内外でなかったかと思うが、主としてやはり輸入、移入に依存しておった。戦後ますますいわゆる成長農業としての畜産を進めていくからには、ここに新しい、むしろ草地というよりも、飼料耕地としての目的を果たしていかなければならぬじゃないか、こういうように考えますと、やはり安定した区分というものがなければ改良はできないと思う。常にそこに不安定な要素がありますと、改良する条件を欠くわけであります。その意味で質問を申し上げているわけです。  今、従来のまま使っているが、それは放牧地の時代あるいは単なる敷草を刈る程度のものでありましたならば、問題もそう起きてこないと思いますけれども、これをやはり高度の飼料作物を作るということになって手を加え、肥料を入れて参りますと、所有権の問題もまた再び問題になってくるだろう、区分の問題も起きてくるだろう。所有者におきましても、単なる採草地の場合は、寛大に見る、あるいは地代も安く見る。あるいはそれが草地である場合におきましては、草を刈る程度でありますならば、将来の値上がり待ちと言いますか、放任しておく。しかし最近では、それを安い地代よりも林地にした方が採算ベースに合うというようなことで取り上げられる状態も起こってきております。さらに一歩進んでは、飼料作物を作ろうという意図と必ず衝突が起きてきているわけであります。そこで、何ともこれは一つの方向を見出しておかないと、ここ二、三年は飼料作物を作り、また今度はそれを林地として植林をする、植林した途中でまた飼料作物を作るのだ、こういう非常にむだな経済を農民に勧めることになると思う。特に国有地につきましては、比較的昔から牧野について理解があったとみえまして、いろいろな形において地元に利用させておりますけれども、それは共用というような形やなんかで利用させておりますが、これも本式のものではない。ただごく便宜をはかってやりましょうということだけであって、将来林地にする間、むしろ土壌も肥えるであろうから、共同利益だという程度で利用させているのでありまして、これも利用価値は決してなかったわけではありませんけれども、今後の畜産基盤としては不十分だということになると思うのですが、畜産局長、どうですか。
  197. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 川俣委員のおっしゃる通り、特に入会地あるいは部落有林等が、今後の畜産経営あるいは集約経営の場合の障害になることは、御指摘の通りであります。われわれといたしましては、現在多くの場合に、市町村名義あるいは部落名義になっている、それが開発上非常に支障になっているという事実を認めているわけであります。従いまして、その権利関係につきまして、何らか行政措置あるいは立法等も要しまして、利用団体とか、そういう土地の地域的に帰属している関係等を整理して参りまして、あくまでも住民等の同意によりまして、利用者が経済開発ができるような関係にすべきものだと考えております。
  198. 川俣清音

    ○川俣分科員 今畜産局長から、幸い入会権の問題が出たのですが、きょうは第四分科会でも自治省にお伺いしたのですが、自治省は、入会権を慣習によるものとして自治法の二百九条を適用いたしまして、どんどん市町村会の議決でこれを召し上げている。ところが、御承知のように、判例は、むしろ私権的な判例の方が多いので、自治省は公権的な解釈で、最近は入会権の公権と私権論をめぐりまして、かなり激論が戦わされておったのでありますが、   〔主査退席、倉成主査代理着席〕 最近は折衷説が出てきている。むしろ、実態に合うのは折衷説ではないかと思うわけですけれども、いずれにしましても、今後町村合併や牧野の利用度が高まるに従いまして、この入会権の問題が相当紛糾をしてくるであろうと思われます。これは従来農林省は、ときには公権論をとりましたり、私権論をとりましたり、まちまちだったと思うのです。林野庁は大体従来から公権論をとってきたようですが、必ずしも畜産局は公権論に味方をしておるようにも見えなかったのですが、最近はどうなんでしょうか。
  199. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 公権論、私権論、いろいろ御高説を拝聴いたしましたが、いずれにいたしましても、入会権の問題は、これをある権利に変えようとか、あるいは確立しようという場合に、非常に問題になるわけであります。私どもといたしましては、法制上いろいろ支障はありましても、地元の部落民等の御了解を得て、そういう一つの部落、あるいは市町村等の御了解を得まして、一種の、過渡的ではありますけれども、利用者の賃貸借関係というようなことで、開発を促進して参りたいと考えております。ただ、御指摘の慣行による入会権、あるいは現在名義人になっておりましても、おじいさん、ひおじいさん時代からの名義でありまして、これらを法制的に整理するということは、非常に困難なことではありますけれども、われわれとしては、こういう点については将来の問題として、法制的に十分検討させていただきたいと思います。
  200. 川俣清音

    ○川俣分科員 大いに検討すると言うが、今どんな陣容で検討していますか。畜産局長、ただ言葉でなしに、どれだけの陣容で、どれだけの費用をもって検討しておるか、その点はっきりしなければ、検討のうちに入らない。
  201. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 畜産局といたしましては、草地制度の協議会等を設けてやっておりますが、非常にむずかしい問題で、その権利関係についてはまだ結論が出ておりません。
  202. 川俣清音

    ○川俣分科員 ほんとうに熱心になられるなら、やはり畜産局だけの予算ではとてもできないと思います。どこかに委託しなければならないと思います。そこで、せっかくの競馬の益金もありますので——、あれは畜産の部類なんです。今は畜産の部類ではないにいたしましても、畜産から発展したものですから、ああいうところから特別に調査費を出させるとか、何か考えまして、何とか解決しなければならぬ。特に東北は、入会権の紛争が非常に多いのです。最近町村合併が起こりまして、同じ村の中の部落と町村とが、裁判ざたにしておる問題が非常に多いのです。どっちも部落有林、部落のものです。一部は部落の人として村に対して、町に対して訴訟を起こす。町はまた部落に対して訴訟を起こす。同じ村の中で、同じ町の中で、長年かかって訴訟を起こすようなことはやめさせなければならない、経費の上からばかりでなく、感情も高まってくるということになりますから。またその点を離れても、将来の牧野行政の上からいって、単なる従来の牧野でなくして、いわゆる飼料作物を作るという建前から、どう解決していくのかということについて、真剣に検討しなければならぬことだと思うのです。そうでなければ、畜産に力を入れておりますといっても、基盤ができなければ力の入れようがないじゃないですか。基盤が安定しないで力の入れようがない。そこで輸入に仰ぐ、輸入に仰いでおったのでは、とても畜産の奨励になるようなことにならない。従来飼料が不足をして、畜産が衰微したこともあります。えさ不足のために畜産が衰微したことがあります。えさの供給が完全であれば、畜産局がなくても畜産というものは発展すると思うのです。要は畜産局でなくて、基盤がしっかりしておるかどうかということになると極言できると私は思うのです。従って、熱心におやりになる決意でございましょうけれども、やはりほんとうに開拓するということが出てこなければならぬ。もちろん予算で草地改良が幾らかふえております。しかしそういうことだけでは、なかなか足りないのではないか。予算の額よりも、この入会権の整理の問題については、よほど本腰を入れなければならないのじゃないか。三年なり四年なり遊んでいる間、これは休閑地です。遊んでいる間は、せっかくの使用さるべきものが、争いの中において無利用になっておる。両方で手をつけられないというような状態は、好ましくないのではないかと思いますから、よほどの努力が必要ではないか。一方、国有林の方は、かなり東北に偏在しておるところは利用度を高めておりますからいいのですが、しかし長官、関西の方の民有林の非常に多いところは、国有林のように便宜を計らってもらえないわけです。特に民有林の、大面積を持っておる林業家は、なかなか林業に魅力を感じまして、牧野に開放する、あるいは使用させる、あるいは貸与するというようなことを拒んでおる。そういうことに対して、どのように指導されていくのか。林野庁は国有林ばかりでなく、民有林に少しく熱意を示されてきましたので、そういう態度を示されますか、お尋ねしたいと思います。
  203. 吉村清英

    ○吉村政府委員 非常にむずかしい問題でありまして、それぞれの所有権に関係があることでございますから、なかなか国有林でやるようなわけにはいかないと思いますが、土地利用区分の上から、畜産がどこまでも適当であるというようなところにつきましては、やはりそういった奨励と申しますか、指導を重ねていくということを、いたさなければならないかと考えておるのでございます。
  204. 川俣清音

    ○川俣分科員 時間がないから、次に移ります。  きのう大臣にお尋ねしておったのですが、林野庁の業務規程、管理規程を見まして、一草一木については厳重な管理規程があり、業務規程がございます。しかしその一草一木よりも、もっと最近高価になりつつあるところの水についての管理規程もなければ、業務規程もないというのは、今日の時勢に対して対処できていかないのではないか、こう思うのですが、この点いかがですか。
  205. 吉村清英

    ○吉村政府委員 水の問題でございますが、水の所有権という問題について、きのう大臣に御質問があったわけでございます。私どもまことに不勉強でございまして、十分にわからないのでございますが、たとえば、この間お示しになったような、国有林の中のたまった水というようなものですと、国有林の所管と申しますか、国の所有になるような考え方もあるようでございます。どうも流れている水につきましては、所有権というようなものはないと申しますか、私ども今まで調べた範囲ではないように考えられるのでございます。
  206. 川俣清音

    ○川俣分科員 長官、それはおかしいですよ。国有林の中には小川もあるのです。小川の魚はとると窃盗になる。水は何でもなくて、いる魚は盗んだということになる、こういうことになる。水なしには魚はいないのです。その本体である水は別だ。何かわからない。おれのものか人のものかわからない。水がなければ魚というものは存在しないのです。川があります。橋もかけておられます。橋は林野庁の所有構築物。川はおれのものかだれのものかわからない。これではちょっとおかしいのではないですか。
  207. 吉村清英

    ○吉村政府委員 その管轄をしております河川法適用、あるいは準用河川以外の河川といいますか、水につきましては、その管理者に使用権はあるように考えておるのでございますが、どうもその所有まではわかりません。   〔倉成主査代理退席、主査着席〕
  208. 川俣清音

    ○川俣分科員 これは準用河川になれば、当然建設省の所管に移るわけです。しかし準用河川の前の源流は、国有林地内にある。そうすると、もしもこの水がかれると、その敷地は林野庁ということになるのです。またその川をせきとめたりいたしますと、地形変更だということで、たとえば薪炭業者あたりが川をとめたりいたしますと、国有地に対して一つの障害を与えたということで、山に入ることを禁じられたり、あるいはそこでタケノコをとったり林産物をとったりする者も、その川をせきとめたりいたしますと処罰を受けるということになっておる。川という形になると処分するけれども、その川が、もう少し上流に行くと、川であるか、水の流れであるかわからないということになる。川については一定の管理規程はあるようです。業務規程もあるようです。川というものは急に幅が広くなるわけではない。何滴かの水が流れているところから川が始まるのでしょうから、そういう点について、もう少し管理規程なり業務規程なりを、やはり今の時代に合わせて作りかえる必要があるのではないか。私は、そのことよりも、一体基本法をなぜお作りにならないのかということの方が、ほんとうは先なんです。森林法の改正ではとうていそこまで入れない。今の水の問題からいたしましても、やはり林業の基本的なあり方は、どうあるべきかという検討をすべきだ。いや、それは非常にむずかしいのだと言われるかもしれない。私どももやりまして、非常にむずかしいということは十分承知しております。しかし世間ではそれは許さない。われわれはむずかしいと言ったって、世の中は、むずかしいからほうっておいていいのだということは許されない。やはり何らかの目標を与えていかなければならないのではないかと思います。いろいろ努力されておることはよくわかりますけれども、その努力は内輪のことでありまして、外に現われてこなければ努力というふうには国民は見ないわけです。その点、もう一度お答え願いたい。
  209. 吉村清英

    ○吉村政府委員 水の問題に関連いたしまして、基本法の問題をお答え申し上げたように思うのでありますが、実は今回森林法の一部改正を提案いたしておるのでございます。これも、その基本問題並びに基本対策の答申にございました線に沿って、まず結論の出ましたところを改正するという考え方で進めておるのでございます。御承知のように、森林法はかなり完備したものと存じておりますが、御指摘のように、林業という面にやはり十分でないところもあるということは、私どもも考えておるのでございます。従いまして、その面で十分に施策に反映のできますような措置を講じますために、ただいま努力をいたして、勉強しておるところでございます。何分にも非常にむずかしい問題で、特に構造改善の問題につきましては、非常にむずかしい問題もございますので、その点につきましてまだなかなか結論が出ないような状態でございます。その他生産政策の点におきましても、すでに着手のできるものは着手はいたしておるのでございます。まだ、林業の基盤を作って参ります林道問題等につきましては、かなりの検討を必要とすると考えておるのであります。そういった状態でございますので、今後さらに馬力をかけ、基本的な方向を打ち立てるための努力をいたしたいというふうに考えておるのであります。
  210. 川俣清音

    ○川俣分科員 もう一点だけで打ち切りましょう。食糧庁については、まだありますけれども、林野の分だけ一点で切りたいと思います。  よく、水資源を確保しなければならない、森林の水の保有能力が非常に低いから、造林をして保有能力を高めていかなければならぬ、そのために造林が必要だ、こういわれておるわけです。ところが、どうも私はこれについて一つの疑問がある。幾多の災害地を視察しまして、あるいは山くずれ等の視察をいたしましたときにおきましても、これは秋田県の集中豪雨の場合、国有林の崩壊地を見ましたが、植え付けてから十二、三年のところが崩壊をしておるわけです。隣の沢は実は造林をしておらなかった、自然のままであった。ところが、崩壊しておらないということで、どうも不思議だというふうに見たのです。ところで、今、いろいろ資料を調べてみますと、木を植えたから保水能力が上がって、一時的に流出を防ぐのではなくて・むしろ造林が新しい場合には、集中豪雨のときには耐え得られないで、造林地みずからが崩壊する危険が出ておるのではないか。そこで、いろいろ林野庁からのお調べをいただいたわけですが、そのことが適切に出ておると思うのであります。「流出率は伐採後一、二年間は急激に増加する。」これは当然です。「増水率は無林地が大である。」「流量漸減の状況は無林地の減水が急である。」(三浦分科員「無林地じゃない、無立木地だろう」と呼ぶ)これには「無林地」と書いてある。試験場の報告だから、わざわざそのまま読んだのだが、三浦さんの言うように、無立木地のことだろうと思う。「土地の保水作用は有林地が大きい。」次に、「表土の乾湿は有林地は乾燥の度が少ない。」こういう調査になっておりますが、さらに、外国の例などを見ますると、集約造林といわゆる天然林を比較いたしますと、集約造林の方が保水能力がない、こういうことになるようです。それは、造林してから四十七年のものと保安林との比較がございますけれども、四十七年の造林地の方が保水能力が少ない、こういうことになっておるようでございます。そういたしますると、二点考えられる。造林するがために、表土を動かすということによって崩壊が起こる危険性及び浸透力を地下にまで伸ばさないで、うわずみで表土を荒らすということが起こってくるのではないか、従って、保水能力が完備しないということになる、いわゆる広葉樹と針葉樹が混淆しておるところに保水能力が高いところが出てきておる。そうすると、集約造林地は同一種類によって植えられます。さらに、面積も大きいということになると、必ずしも保安的に見ていいものではない、しかしながら、いわゆる木材の供給源としては、集約造林が一番高いということになる。だから集約造林というのは、木材の供給源として見ればいい林相であるけれども、保安的な面から見て、あるいはますます枯渇するであろうところの水資源を涵養するという上からするならば、必ずしも適切ではないという結論が出てくるのじゃないかと思うのですが、この点の御見解を一つ、これは吉村さんなかなか研究されておるところだと思うから……。
  211. 吉村清英

    ○吉村政府委員 針葉樹と広葉樹の保水機能と申しますか、崩壊防止の機能と申しますか、保安機能と申しますか、その問題でございますが、確かに針広混淆の場合の方が、単純な針葉樹よりはそういった保水能力は高いというような結果が出ていることが多いように考えられます。これはしかし試験の範囲が小さいものですから一概に申し上げられないと思います。私どもといたしましてもこの崩壊防止、局部的な、局地的な保安林におきましては、もちろんそういうことを主体にいたしまして充実をいたして参っておるのでございますが、水源涵養保安林等におきましては、一面におきまして木材需要上の要請、経済上の要請から、やはり成長のいい針葉樹がどうしても選ばれることになるわけでございます。もちろんこの広葉樹におきましても、早成樹種等の導入ということには極力努めて参っておるのでございますが、そういった点で、やはり日本は伐採量等からいたしましても、世界でも四番目くらいのものを量の面では切っておると言われているくらいなんであります。それでもなお足りないという現状でございます。従ってそういった面を合わせまして、調和をとって参らなければならないというように考えておるのでございます。
  212. 川俣清音

    ○川俣分科員 そこで水源涵養林を公団でやる、あるいは民間に企業利潤を生むようにやらせるということ自体が、少し無理ではないかという結論が生まれるわけであります。やはり混淆林がいいのだということになりますと、採算ベースから申しまして、また造林によって利益を得ようという考え方と、保安林の必要というものとは衝突をすることになるのではないか。従って国有林の場合は、国がやる場合は企業利潤も生むけれども、なお以上に国土保全が必要だという観点に立ちますと、これは利害が一致するということになりましょう。国の利害が一致するということになりましょう。しかしながら民有林に強要することは無理なことではないか。しかもそういうところに、分収歩合をきめて造林をするということはなかなか困難なことではないか。従って森林公団などはなかなか思うような実績が上がってこないのも、そういうところにあるのではないかと思うわけです。きょうはそこを詰めてというつもりはございません。資料として、官行造林のあと始末の問題について、資料を求めていたけれども、私はつめるつもりはございませんけれども、大局的に言って、これはやはり国有林が国土保全の大使命を持っているのだ、そういう点で解決をしていかなければならない。それについては、単に木を売ることが収入ばかりでなくて、水も林野が提供しているのだという、有償で渡すか何かは別といたしまして、有償の価値のあるものを育成しているのだという立場に立って保安林行政をやる必要があるのではないか。有償なものを流出しておるのだ、価値のあるものをやっているのだ、木でだけ採算を考えないで、水も、大きな有償物を提供しているのだという考え方に立って保安林行政を進むべきではないかと思うのですが、大臣にもお聞きしなければならないと思いますけれども、長官の御答弁を求めます。
  213. 吉村清英

    ○吉村政府委員 私どもといたしましては、やはり今までもそういう方針で進めて参っておるわけでございますが、保安林におきましては、国でできるところは買い入れまして、国の力によって保安機能を果たせるような森林を造成して参るということに努めておるのでございますから、こういった点につきましては、さらにそういった方向へ進みたいと考えておる次第でございます。
  214. 赤澤正道

    赤澤主査 本日はこの程度にとどめ、明二十一日は午前十時より開会し、農林省所管についての質疑を続行することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十七分散会