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1962-02-19 第40回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和三十七年二月十六日(金曜日)委 員会において設置することに決した。 二月十七日  本分科員委員長指名で次の通り選任された。       赤澤 正道君    井出一太郎君       仮谷 忠男君    倉成  正君       重政 誠之君    八田 貞義君       松浦周太郎君    三浦 一雄君       淡谷 悠藏君    加藤 清二君       川俣 清音君    高田 富之君 同日  赤澤正道君が委員長指名主査選任された。 ――――――――――――――――――――― 昭和三十七年二月十九日(月曜日)     午前十時二十五分開議  出席分科員    主査 赤澤 正道君       井出一太郎君    仮谷 忠男君       倉成  正君    八田 貞義君       松浦周太郎君    三浦 一雄君       淡谷 悠藏君    加藤 清二君       川俣 清音君    島本 虎三君       芳賀  貢君    兼務 安井 吉典君  出席国務大臣         農 林 大 臣 河野 一郎君         通商産業大臣  佐藤 榮作君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房長) 昌谷  孝君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)     桧垣徳太郎君         農林事務官         (大臣官房経理         課長)     筒井 敬一君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君         農林事務官         (振興局長)  齋藤  誠君         農林事務官         (畜産局長)  森  茂雄君         農林事務官         (蚕糸局長)  立川 宗保君         農林事務官         (農林水産技術         会議事務局長) 増田  盛君         食糧庁長官   大澤  融君         林野庁長官   吉村 清英君         水産庁次長   村田 豊三君  分科員外出席者         農林事務官         (畜産局参事         官)      保坂 信男君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    中西 一郎君         水産庁長官   伊東 正義君     ――――――――――――― 二月十九日  分科員高田富之委員辞任につき、その補欠と  して島本虎三君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員島本虎三委員辞任につき、その補欠と  して芳賀貢君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員芳賀貢委員辞任につき、その補欠とし  て高田富之君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  第四分科員安井吉典が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算経済企画庁、農  林省及び通商産業省所管  昭和三十七年度特別会計予算農林省及び通商  産業省所管      ――――◇―――――
  2. 赤澤正道

    赤澤主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  私が主査を勤めることになりましたので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  本分科会は、昭和三十七年度一般会計予算経済企画庁農林省及び通商産業省所管、同特別会計予算農林省及び通商産業省所管について審査を行なうことになっております。  なお、分科会は、本日より二十七日まで、二十五日の日曜を除く八日間開会し、二十七日の午後主査報告を行なうことになっておりますので、審査の都合上、一応の予定として、本日は本分科会所管全部について説明を聴取した後農林省所管についての質疑を行ない、二十日は農林省所管についての質疑、二十一日は農林省所管及びこれに関連する経済企画庁所管について質疑、二十三日は農林省所管及び通商産業省所管並びにこれに関連する経済企画庁所管についての質疑、二十三日は通商産業省所管及びこれに関連する経済企画庁所管についての質疑、二十四日は通商産業省所管についての質疑、二十五日は日曜のため休みまして、二十六日は経済企画庁所管についての質疑、二十七日は残余の質疑を行なうことにいたしたいと存じます。分科会の期間を通じて三省に関連ある質疑もあろうかと存じますので、協議の上かような日程にいたしたのでありますが、委員におかせられては、要点を御整理の上、質疑日程を御選択下さるようお願いします。  なお、質疑の御希望の方がたくさんありますので、与党側はできるだけ遠慮願うつもりでございますが、一応一人の持ち時間は、一時間以内と予定し、重複はなるべく避けていただきたいと存じます。  それでは、昭和三十七年度一般会計予算経済企画庁農林省及び通商産業省所管昭和三十七年度特別会計予算農林省及び通商産業省所管議題とし、順次説明を聴取することにいたします。  まず、昭和三十七年度一般会計予算経済企画庁所管について説明を求めます。藤山経済企画庁長官
  3. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいま議題となっております経済企画庁予算案につきまして御説明申し上げます。  歳出予算要求総額は八十一億七千二百十三万円でありまして、これを前年度予算額五十九億七百二十八万二千円に比較いたしますと、二十二億六千四百八十四万八千円の増額となっております。この増額となったおもな理由は、離島振興事業費におきまして十億七百三十三万七千円、国土総合開発事業調整費におきまして二億円、水資源開発事業費におきまして九億二千九百四十万六千円増額となったためであります。  次に経費の内訳を申し上げます。  第一に、経済企画庁の項では、要求額は四億九千四百四十万円でありまして、前年度の四億五千二百五万七千円に比較いたしますと、四千二百三十四万三千円の増額となっております。この要求経費内容を御説明申し上げますと、人件費三億一千六百九十八万八千円と、事務費一億七千七百四十一万二千円であります。この事務費は、一般庁務運営経費並びに次に申し上げる内容のものであります。  (一)、わが国経済に関する、長期計画及び年次計画策定海外経済協力推進基本的経済政策企画立案、物価の安定並びに経済審議会その他各審議会調査会運営等に要する経費として一千八百六十六万二千円を要求しております。このほか、低開発諸国に対する経済協力の一そうの推進をはかるために、海外経済協力基金運営資金を充実するための経費として六十五億円を大蔵省所管政府出資金の項において要求しております。  (二)、国民生活向上をはかるための基本的な政策企画立案するために必要な経費と、国民生活向上対策審議会運営するために必要な経費として一千三百二十四万六千円を要求しております。このほか、消費者行政推進するために必要な総合的な調査研究機関として、社団法人国民生活研究所特殊法人へ組織がえの上、その育成、充実をはかるために必要な経費として一億円を大蔵省所管政府出資金の項において要求しております。  日、河川、湖沼、港湾沿岸海域等公共の用に供する水域水質の保全をはかり、あわせて水質の汚濁に関する紛争の解決に資するため、水質審議会運営し、公共用水域調査に関する基本計画による水質調査及び水質基準の設定並びに紛争処理事務を行なうため、これに必要な事務費二千八百六十六万三千円を要求いたしております。  (四)、わが国内外の経済の動きを的確に把握し、また経済白書等報告書及び統計指標を作成する等経済動向調査分析に必要な経費は三千四百四万九千円であります。  (五)、国土総合開発に必要な経費は三千九十二万九千円でありまして、前年度の三千四百八十九万三千円に比較いたしますと三百九十六万四千円の減額となっております。この減額となったおもな理由は、地方開発計画を樹立するために必要な調査が一部終わったこと等により減額することを得たことによるものであります。この経費は、国土総合開発法電源開発促進法特殊土じよう地帯災害防除および振興臨時措置法離島振興法東北開発促進法九州開発促進法四国開発促進法中国開発促進法北陸開発促進法及び台風常襲地帯における災害防除に関する特別措置法等の各法律に基づきまして、地域開発推進と、災害防除を促進するための諸施策を樹立するために要する経費と、国土総合開発審議会電源開発調整審議会等法律に基づく各審議会運営に要する経費であります。この経費のうちには、特に開発のおくれた地域工業開発を促進して国民生活均衡ある発展をはかるための施策産業人口都市集中を防止し地域格差の是正をはかるため、新産業都市の建設を促進するための施策並びに産業発展都市人口の増加に伴う水需要の増大に対処して、水資源を確保するための施策などを樹立するに必要な経費として五百二十四万四千円が含まれております。なお、昭和三十七年度におきましては、水資源開発公団の発足に伴う公団監督事務及び水資源開発促進法に基づく水資源開発計画の作成並びに水資源開発審議会運営業務を適切に推進するため、新たに水資源局を設置することとなり、その機構を整備するに必要な経費として、増員経費などを含め、一千一百二十二万三千円を要求しております。また、水資源開発公団業務を円滑ならしめるために、公団所要資金の一部として三億円を大蔵省所管政府出資金の項において要求いたしております。  第二に、土地調査費の項では、要求額は三億六千二百五十九万四千円でありまして、前年度の二億六千八百七十九万七千円に比較いたしますと九千三百七十九万七千円の増額となっております。この増額となったおもな理由は、地籍調査に対する補助金が九千三戸七十九万二千円増額となったためであります。  要求額内容を申し上げますと、基準点測量に要する経費として二千四百五十四万四千円、国土調査法の規定によって地方公共団体土地改良区等が地籍調査を行ないますときの補助金として三億三千六十九万三千円、土地分類調査水調査については七百三万円となっております。  第三に、経済研究の項では、五千四百三十八万九千円を要求しておりまして、前年度の六千二百四十二万四千円に比較いたしますと八百三万五千円の減額となっております。この減額となったおもな理由は、昭和三十五年度国富調査事務が本年度で終了することになったためであります。  経済研究所経費内容を御説明申し上げますと、人件費三千六百八万五千円と、事務費一千八百三十万四千円であります。この事務費は、経済研究所の一般庁務運営費研究調査費でありまして、わが国経済の構造と経済の循環その他経済の基本的な事項を調査研究するために要する経費であります。  第四に、国土総合開発事業調整費の項では、十一億五千万円を要求しております。国土総合開発法に基づく開発事業は、各省各庁によって、それぞれ実施されるため、開発事業相互間の事業進度に不均衡を来たし、総合的な効果が発揮せられない場合があります。このような場合に、この経費によりこれを調整いたしまして、総合開発効果をあげようとするものであります。  調整費使用対象地域としましては、特定地域及び調査地域並びに東北地方四国地方九州地方中国地方北陸地方及び首都圏地域で、これら地域における開発事業対象といたすものであります。  第五に、地域経済計画調査調整費の、項では、五千万円を要求しております。この経費は、地域経済計画策定のための調査に関し、各省庁の調整をはかり、これを総合的に行なうためのものであります。  第六に、離島振興事業費の項と揮発油税財源による離島振興道路事業費の項では、合わせて五十一億三千一百三十四万一千円を要求しておりまして、前年度の四十一億二千四百万四千円に比較いたしますと十億七百三十三万七千円の増額となっております。この経費は、離島振興法に基づきまして、離島振興対策実施地域において、国または地方公共団体実施しますところの治山治水道路整備港湾、漁港、空港、農業基盤整備公共聖業等及び電気導入事業簡易水道事業等に必要な事業費またはこれを補助するための経費であります。  この経費は、経済企画庁に一括計上し、実施にあたっては各省に移しかえ、または特別会計に繰り入れて使用するものであります。  第七に、水資源開発事業費の項では、九億二千九百四十万六千円を要求しております。その内容を申し上げますと、水資源開発公団が建設する水資源開発施設のうち、(一)、工業用水道事業負担に関する部分の事業費の一部を補助するために必要な経費として六千六十万円、(二)、治水事業負担に関する事業費財源公団へ交付するために必要な経費として八億六千八百八十万六千円を要求しております。  この経費は、経済企画庁に一括計上したもので、その使用に際しましては、実施に当たる各省に移しかえ、または繰り入れるものであります。  以上で経済企画庁予算説明を終わりますが、なお、御質問に応じて詳細御説明を申し上げたいと存じます。  何とぞよろしく御審議の上すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  4. 赤澤正道

    赤澤主査 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  5. 赤澤正道

    赤澤主査 速記を始めて下さい。  次に、昭和三十七年度一般会計予算、同特別会計予算農林省所管について説明を求めます。河野農林大臣
  6. 河野一郎

    河野国務大臣 農林省所管につきましての説明は、資料として委員各位に御送付申し上げておりますので、これを速記録にとどめて、省略さしていただきます。
  7. 赤澤正道

    赤澤主査 御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 赤澤正道

    赤澤主査 それでは、農林省所管についての説明の詳細は速記録にとどめることにいたします。
  9. 赤澤正道

  10. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 お手元へ予算説明書を配付してございますので、これで読むことを省略さしていただきます。御了承願います。
  11. 赤澤正道

    赤澤主査 通商産業大臣の申し出に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 赤澤正道

    赤澤主査 それでは、通商産業省所管についての説明の詳細は速記録にとどめることにいたします。
  13. 赤澤正道

    赤澤主査 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  14. 赤澤正道

    赤澤主査 それでは、農林省所管について質疑に入ります。川俣清音君。
  15. 川俣清音

    川俣分科員 私は農林大臣に数点お聞きいたしたいと思うのでございます。肥料水資源の問題につきましては建設省及び企画庁に関係するところが非常に多いのでございますから、この点は後ほどにいたしまして、農林大臣にだけ必要な点をこの際お尋ねいたしたいと思います。  まず第一に、大臣でなければ答弁できないと思いますこと、また、こまかいことは事務当局が来ないとちょっと無理だと思いますので、大臣の考えで答弁できる問題だけを一つ取り上げたいと思うのですが、農林省で取り扱っておりまするいろいろな事業年度が非常に不統一であるというふうに思われるわけでございます。会計年度暦年度にするのかどうかという問題もいろいろ起こっておりますが、農林省内部の問題につきましても事業年度が非常にまちまちであります。たとえば、麦、酒、肥料、澱粉、大豆、生糸などは年度の始まる月の所属する年をとっておる。ところが、米あるいは需給計画農薬砂糖などは年度の終わる月の所属する年をとっております。そこで、米と需給計画年度の終わる月の所属する年をとっておりますが、肥料農薬では全く逆な年度になっておるわけです。こういうことは、一般国民生活向上して参りましたにつきまして、だんだん経済生活が複雑になってくる上から、やはり統一する必要があるのじゃないか、いろいろな慣習上の問題もございまするけれども、この際河野さんでなければこの整理がつかないのじゃないか、こう思って、信用して一つお尋ねをするのです。
  16. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘、ごもっともに考えられます点も多々あると私は思います。しかし、御承知通り、長年やって参りました慣習、慣行であり、また、それには理由もあることと考えます。もっとも、米のごとき、現に端境期が変わっておるものもあるのでございますから、再検討を要する点もあろうかと思います。非常にいい機会でありますから、十分検討してみます。
  17. 川俣清音

    川俣分科員 これは、ほんとうに検討して、いつごろそれじゃ結論を出していただけましょうか。これはいろいろ複雑であることは承知しますよ。これは決して簡単でないことは十分心得ておりますが、できるだけ事業年度などは統一する必要があるのじゃないか。資料のごらんになり方でも、米穀年度麦年度と全く一年違うという形になるわけです。こういうことでは、今後の食糧政策を遂行する上からも、常に会計年度米年度あるいは麦年度砂糖年度肥料年度というものをあわせて見ていかなければ検討できないということになっておる。従って、できるだけ会計年度に合わせることが最も妥当かと思いまするけれども、それは別にいたしましても、始まる月を年度にいたしましたり、終わる月の所属する年度年度にするというようなことでは、非常に不統一だと思いまして、需給計画からも、あるいは価格の安定の上からも、施策が十分立たないんじゃないかと思いますので、すみやかに一つ結論を出していただきたいと思うのです。
  18. 河野一郎

    河野国務大臣 私、検討するという意味は、その結果を出すとということの意味で申し上げたのでございまして、今お話し申し上げた通り、米についても考慮余地があるだろう。麦についても、外麦に依存している面が非常に多いのでございますから、その意味において検討余地があるだろう。砂糖については、現に、いろいろ御指摘もありましたので、再検討いたしております。肥料についても、輸出肥料がこれだけ多くなって参りまして、輸出輸入関係国内需給関係等から考えて、必ずしも年度を変えて悪いという理由もないように考えます。こうしてちょっと考えてみましても相当理由があると考えますから、至急一つ検討いたしまして結論を出して、その上でお答えを申し上げることにいたしたい、こう思っております。
  19. 川俣清音

    川俣分科員 次に砂糖の問題についてちょっとお尋ねしたいと思うのですが、河野農林大臣が、前に三十年に就任のときに、砂糖価格安定と自給促進のために、砂糖に関する法案を出された。今もその事情は変わってはいない、こう思うのです。御承知のように、一度閣議で自由化決定いたしておりながら、甘味資源という国内資源擁護のためにこれまた変えたという歴史を持っておりますが、やはり、三十年に河野農林大臣が考えられたあの案は、今でもなお必要なのではないか、こう思いますが、 この点いかがですか。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 実は先般も砂糖の問題についていろいろ御注意をいただいたのでございますが、私は、大臣に就任いたしましてから、暖地ビートの問題に手をつけまして、この結論を得た上で砂糖全般について考慮をめぐらそうというようなことで今日まで参っておったのでございます。しかし、いろいろ御指摘の点もありますので、すみやかに、全般にわたって、どうしたらいいか、――御承知のように今非常にいろいろな問題がございます。どの程度国内自給してよろしいのか、自給度をどの程度高めてよろしいか、価格をどの程度に安定さしてよろしいかという問題が非常に複雑になっておりますので、農林行政としては簡単に踏み切りにくい点もある。しかし、結論が、国内自給が困難であるということがはっきりして参りますれば、その上でまたおのずから、輸入砂糖について、これを関税にまかせまして、そしてその入った金で国内甘味奨励をするとか、ないしはまた、両者をあわせてバランスをとったいわゆる瞬間タッチというような手もあるでしょうし、いろいろ手段方法は私はあると思うのであります。確かに、現にやっておりますような過剰利潤を吸い上げるとかいうような点は、一時暫定の処置でありまして、制度として適当でないということは御指摘通りと私は考えますので、これについては現に研究に入っておりますから、しばらくの間御猶予をちょうだいいたしたい、こう思っております。
  21. 川俣清音

    川俣分科員 次に、事務当局がおいでにならぬのでちょっとむずかしいかもしれませんが、三十七年度予算米価は三十六年度と同様な要求予算米価になっております。一万一千五十二円五十銭という、いわゆる一-四等平均予算米価になっておるようでございます。しかも、大臣は、予算委員会におきまして、その算定方式については生産費及び所得補償方式をとることをたびたび言明されておるわけです。ところが、生産費及び所得補償方式をとると、三十六年度決定米価をそのまま三十七年度予算米価にするということは筋が通らないのじゃないかと思うのです。事務当局がおりませんから、もう少しわかりやすく申し上げますが、いわゆる基準米価の中に含まれております生産費にいたしましても、これは算定当時の農業パリティで修正を加えます。それから、所得補償であります自家労賃の換算も、算定時における都市労賃との均衡をはかるわけでございますから、これも動くわけでございます。従って、三十六年度決定米価をもって三十七年度予算米価とすることは、いわゆる生産費及び所得補償方式をとるのだ、こう説明されると筋が通らないということになるのではないかと思うのです。これは予算米価であるから一つの目標だ、実際の決定は違うのだ、こう言われるかもしれませんけれども、生産費及び所得補償方式をとるのだと言うからには、違うということが前提にならなければならないと思うのです。割合にわかりやすく表現したとも言えますし、逃げやすく表現したとも言えましょうが、この点もたびたびの言明とは合わないということになるのではないかと思いますから、この点を一つ……。
  22. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、現行米価決定にあたりましては、出産費及び所得補償方式プラスアルファということはお認めいただけると思います。そういうものをプラスした平均が一万一千五十二円五十銭じゃなかろうかと私は思うのです。つまり、早場奨励金だとか何奨励金というものが相当に加わりまして、一応の計算にプラスしておるということは言えると思うのです。従いまして、そこに、今川俣さんのおっしゃったことも、なるほどこれだけいろんなものが上がっているじゃないか、去年きめたときよりも補償方式ならば幾らか上がるのがあたりまえじゃないか、それを見て、いないのはお前の言うのは違うのじゃないかとおっしゃる、その理屈も正しいが、また、私の言うように、逆に、その理屈からいけば、プラスアルファがあるじゃございませんかと私は申し上げたい。そこらのところは、いわゆる予算米価でありますから、そこで、去年までいたしましたプラスアルファを削ってしまうという量見は毛頭ございませんので、いずれまた米価決定の際には一段の御協力を得まして、農民諸君の満足のいくように米価決定いたしたい、こう考えておるものでございますから、その点一つ御了承を願いたいと思います。
  23. 川俣清音

    川俣分科員 事務当局がいないところでこの問題を出すことはちょっと控えたいと思うのです。というのは、大臣プラスアルファとこう言いまするけれもど、最近はプラスアルファではないのです。一万一千五十二円五十銭という中から地域別格差を除く、あるいは歩どまり加算を除いてきめるというやり方をしておりますので、基準米価ができてから、みんなから集めてきて、時期別格差を払う、あるいは歩どまり加算金を百円払う、こういうことになっておるのであって、これは見積もりが悪いというと持ち出しになります。見積りいかんによりましては、残ることにもなりまするし、不足するということにもなります。そこで、プラスアルファだという考え方は、大臣、ちょっと違うのですけれども、今事務当局がいないところでこれを進めるのは少し無理だと思います。しかし、無理なような考え方ではないのですから、その点だけは一つ御勉強おき願わなければならないと思います。――首を振るけれども、説明を読みましょうか。時間がないから省略しますけれども、基準米価というものができて、総体の生産費及び所得補償方式であるから、総体のあれができて、そして取り集めて期別格差を払う、あるいは歩どまり加算を払うという形式をとっておるわけです。ただ、アルファになるかならないか別にいたしまして、その上に積み重なるのは包装代であるとかいうものでございます。これは確かに積み重なるわけですが、そういう意味で、アルファではないわけです。  そこで、もう一つ大臣に注意を喚起しておきたいと思うのですが、事務当局に命じてほしいと思うのですが、包装代も、できるだけ見場のいいように、実際はそれだけの包装代が石当たりにかからないのにかかわらず、見積りを多くしております。これは、御承知のように、複式俵、二重俵等が比較的多いという計算で、かますあるいは麻袋などは少ない、紙袋もほとんど少ないという計算で、これだけの包装代がかかるんだという計算で出したのが一万一千五十二円五十銭なんだ。自民党の政調会が、一万一千円をこえなければならないということで、無理に表面づらをてらうためにこしらえた一万一千五十二円五十銭で、実際はその内容はそれに達しないのでございます。ただ、時期別格差といいますか、早場米奨励金と俗称言われております金額が、ときには非常にふえますので、予算をオーバーして、それを計算いたしますと、ときにはふえるということがありましょうけれども、実際の内容としては一万一千五十二円五十銭にはならないのです。それをできるだけ自民党の政調会にこたえるようにこしらえてあるだけでありまして、これをそのままことしもそうなるんだなんということを言われまするというと、今後作業が非常にしにくくなるのではないか。私詳しい計算を持ってきておりますが、この際これはやめましょう。いずれ事務当局のいるときにやります。そこで、大臣生産費及び所得補償方式でやるからには心配するなと言われまするけれども、こういう不安の点があるのだという点をここで強調いたしておきたいと思うわけでございます。  次に、これはなお米価の問題について一つ大臣の注意を喚起しておきたいと思うのでございますが、大体都市労賃をとって米価算定を基礎にいたしております。農林省のやり方は、一人から四人までの労賃をとりまして、これを全規模の労賃にかえておるわけでございます。これが都市労賃なりとして物価差を見ておるわけです。ところが、物価差というものについては、内閣統計局の調べによりまして二十八都市の物価なんです。ところが、配付されておりまするこの資料は、約千八百十地域でありまして、三百市町村にわたっております。しかもこれは実態調査をやるのでございます。しかも、これは、どれだけに延ばすかというと、百万カ所の常用労働者三百万人のうち、三万八千五百カ所・七万七千人を実態調査対象にしておるわけでございまするから、これは結局は百万カ所の常用者の存在するところということになります。全国ということになるわけです。農村も入っておる。これをもって均衡労賃として見るばかりじゃなくて、物価差をもってさらに修正を加えておりますることは適切じゃないと思うのですが、大臣、この点どうです。
  24. 河野一郎

    河野国務大臣 川俣さんは非常に理論的に合理的に御議論になっていらっしゃいますけれども、一体、わが国の米の生産者の所得を補償するということになりますと、それもまた私は千変万化、非常に違いがあると思うのでございます。そこで、それをまあまあどの辺に該当するかというところでやっておるのでございますから、一方に非常にルーズな面があり、一方にあなたのように非常に合理的に理詰めをされると何が出てくるか、何か石ととうふを一緒に合わせたようなものが出てきて、どれもこれも全部今のように理論的に詰めることができればいいが、詰められないものもあるということでございますから、私は、ある程度まで詰めて、そうして、その上に全国的にいろいろな加算をし、まあまあというところできめることが一番実情に合うものになるというふうに思うのでございます。これは私はそういうことは考えませんけれども、現に一部にはこの米価決定が高過ぎるじゃないかというような議論があるくらいに、そこにいろいろな要素の取り方によっていろいろ考え方も出てくるというようなものでございますから、われわれ政治家が扱います場合には、政治家の段階において数字は扱ったらよろしいのであって、銀行屋さんのような数字を持ってきて米価算定するということは、また別の意味から無理が出てくるというふうに考えられますので、先ほどお話がありましたように、補償方式とお前の言うこととは違うじゃないかとおっしゃいますけれども、全国的にここでまあまあというところにいっているんじゃないか。あるところは、単作地帯では比較的割高に、また関東以西においてはむしろ割安に米はなっておるようなことも、それぞれの農家経済から参りますれば、まあまあここらのところで補償されているんじゃなかろうかというような気持がいたすので、理論的にやることが悪いという意味じゃありません。悪いという意味じゃありませんけれども、そこまでお進めになると、またほかの方に無理が起きてくるのではなかろうかというふうな気持がいたすのでございます。
  25. 川俣清音

    川俣分科員 それは、大臣、大へんな違いですよ。物価差があるということで、ずいぶんたくさんの資料を集めて計算をして、結局はどうかというと、都市と農村の物価差は〇・九〇五四という差をつけておる。〇・九〇五四なんということになりますと、ほとんどあまり差がないということなんです。大臣の言う通りなら、そこまで詰めなければならないということにはならないのじゃないか。それほどまでに資料を集めて差をつけなければならないという実態でもなさそうじゃないですか。むしろわずかなことにこだわっているのは今の計算方式じゃないか。しかも、その資料というものは、都市と農村の物価差が確かにあることはある程度認められましょう。しかし、その土台となっておる散布されておる資料というものは、農村も都会もない。一人から四人までですから、野かじのような一人でやっておるようなもの、あるいはおけ屋というようなものまで入った労賃なんです。これは農村にもある労賃なんです。農村にある労賃と農民の賃金との差を見なければならないというような結果になるわけです。しかも、その〇・九七九八というようなわずかな差よりないものを、わざわざこれまでしなければならないのかどうか、食糧庁に人が足りないというときにこんな計算までしなければならないという根拠はないのじゃないか、こう言っているだけですから、私は無理に詰めていくなんという考え方じゃないのです。散布された資料をとる場合には物価差がないのだ、それから、都市と農村では物価差はあることはあるのだけれども、そういうことをもしもやるならば、もっとわかりいい方法をとるべきではないか、こういう感じがするだけで、何も無理に詰めろという意味じゃございません。
  26. 河野一郎

    河野国務大臣 今年度米価決定にあたりましては、十分検討いたしまして、御納得のいくようなふうにいたします。
  27. 川俣清音

    川俣分科員 次に、それでは、あと、米価の問題が少しこまかくなり過ぎますから、事務当局一つ譲ることにいたしますが、今、だいぶん、上水道について、こういう干天が続くので、水の節減等が行なわれようといたしておる。一方において、地下水をくみ上げるために地盤沈下などが起こってきた。工業用水にいたしましても、上水道にいたしましても、だんだと日本で考えられないような枯渇の状態が出てきております。そこで、水資源開発するのだということで、建設省もあるいは企画庁も説明されておるわけですが、これは、建設省や企画庁の考えている水資源というのは、流れてきた水をどこで受けるかということが水資源だと思っております。ところが、ほんとうの水資源というものは、受けることではなしに、上から流してこなければならない。流れない水は受けるわけにはいかない。この流す機能を管理しておるのが農林省だと私は思うわけです。  そこで、これも詳しいことは林野庁長官の方にお尋ねしますけれども、大臣で答弁できるところだけでけっこうだと思うわけですが、今の林野庁の管理規程あるいは業務規程から見ましても、一木一草について非常にやかましい規定がございます。革といえども無断にとらせないというほどの規定がございます。ところが、この国有林に持っておるところの、いわゆる保有しております表流水、これに対する規定は一つもないのです。大臣は最近ずいぶん山を歩いておられて、いろいろ造林計画を進められたり補植計画をされて、なかなか眼識の高いところを示しておられますが、どうも旅行されても水のことについてはあまり触れておられないようですが、私は、これは立木以上に、林産物以上に重要な資源だと思うのです。山林地内に保有しておりまする水は重要な資源だと思うわけです。一木一草どころではない、価値の高いものだと思うわけです。これに対して、国有林野の持っておりまする水の管理または保水についてもっと一段と注意を喚起したいと思うのでございますが、大臣はどのようにお考えになりますか。
  28. 河野一郎

    河野国務大臣 同感でございます。
  29. 川俣清音

    川俣分科員 同感の意を表したので、これ以上質問できないわけですが、同感だと言われるからには、やはり私と同じくらいの熱意を持っておられると私はとったのですけれども、ほんとうに水は今後ますます大切になってくるだろうと思います。そこで、この水の保有につきまして従来よりも以上の注意と努力を払っていかなければならないのじゃないかと思いまして申し上げたのでございますが、こういう問題を解決するために、林業の基本法的な、原則的な林業のあり方というものを規定するものが必要ではないか。ところが、今日出て参っておりますのは、森林法の改正ということでお茶を濁したと世間では言うようでございますが、必ずしもお茶を濁したわけではございませんでしょう。しかし、せっかく、基本問題調査会で林業部会を作りまして、ある方向を出したわけです。これをすぐ農林省として受け入れられるかどうかということはいろいろな問題がありましょうけれども、一つ研究課題を出したわけです。私どもも一つの問題点を出したわけです。これらのものを総合して基本対策を講ずる必要があるのではないかと思いますが、大臣のお考えを伺いたい。
  30. 河野一郎

    河野国務大臣 私は同感でございますけれども、申し上げましたのは、考え方としてそうなければならないと思いまして申し上げたんでございまして、施策その他につきましては、問題調査会でも研究をしておられるようです。また、今回提案いたします法案につきましても、中身は十分ではございません、私自身としましても、もう少し積極的に植林を進めるとか水源を涵養するとかいうようなことをすべきであるという考えでせっかく研究を命じておるのでございまして、まだその結論を得る段階に至っておりませんけれども、他面、川俣君が熱心に主張せられます点は、われわれとしても敬意を払っておる点でございまして、大いに今後努力いたす所存であります。
  31. 川俣清音

    川俣分科員 大てい、国会で議論される場合には、陰に利権がからむ。私などが国有林の水を大切にしようと言っても、これは利権に一つ関係がない。何にもない。むしろ国民経済総体において必要であろうというところから強く主張しているだけでございまして、国民経済全体の上から、すみやかに取り上ぐべきだろうということでございます。なお詳細については、大臣のおられないところでも、林野庁長官から詳しくこの点について検討を願うことにいたします。  もう一つ、今の点で、基本問題調査会でせっかく出したものをそのまま受け入れろとは必ずしも申しませんけれども、大臣が非常に熱心でありまする畜産計画と造林計画とは今後かなり衝突してくるのではないか。日本全体から申しまして、国有林は東北及び北海道に偏在しておりますが、一部には国有林を開放して牧野にせよという要望もあります。一方においては、また、牧野どころでなく、耕地になり過ぎておって、将来の木材を確保する上から、需給の安定をはかる、あるいは価格の安定をはかる上から、山から少し里へ下りてこなければならない地帯もあるようでございます。やはり、こういうところは基本問題調査会では十分な検討をしておらないようでございまして、今後の畜産振興と木材の需給計画から、あるいは価格計画から、何らかの調整をはかっていかなければならない。林分と牧野の分の調整をはかることをしなければ、二、三年はこう押していく、今度はまた上から下がってくる、下から押してくるというようなことで、取り合いだけをして競合いたしておったのでは、畜産振興の上からも、また木材資源の上からも、決して安定したものにはならないと思うわけでありまして、何らかここに一定の、各町村ごとにはっきりはできないでしょうけれもど、大綱だけは示して、畜産にも役立つ、あるいは林業にも役立つというような方向を見出す必要があるのではないか、これだけはすみやかにやる必要があるのではないか、こう思うのですが、この点いかがですか。
  32. 河野一郎

    河野国務大臣 全く御説同感でございまして、私も、同様の趣旨で、その基準をどこに置くかということを考えているわけでございますが、各方面の御意見も伺わなければむろん結論は出ませんけれども、一応の線として、水源涵養、国土保全という線で植林はすべきものである。わが国のような狭い、人口の多いところでは、植林によって木材収入を得るということよりも、今申し上げた点に重点を置いて、植林は考えるべきであって、むしろ材木の足らないところは海外に仰ぐ。従って、従来のように関税政策等によって材価の維持をはかるというような点はむしろ自由に考えて、そうして植林政策は進めるべきではないか。従って、国家が補助をして植林をする面をもっとより以上高度にしていくという考え方でいいのではないかと思います。そうして、原野として放牧地帯等畜産方面に利用できるところは、なるべく利用するということの考えでいきたいものであるというふうに一応考えておるのでございます。
  33. 川俣清音

    川俣分科員 私の持ち時間が、大臣と話をしているだけでなくなってしまいますが、委員長まだよろしゅうございますか。
  34. 赤澤正道

    赤澤主査 もう一問ぐらいけっこうです。
  35. 川俣清音

    川俣分科員 次に、肥料について、いずれ通産省並びに経済企画庁のおられるところでこれは詰めていかなければならない問題だと思うのでございますが、大臣は、まだ期限があるのにもかかわらず、肥料二法案を廃止するというお考えのようですが、これは、端的に申し上げまして、消費者にも不安を与え、業界も必ずしも賛成ではないという形をとっております。それだけに、大臣は、公平ではないか、こうおそらくいばられるのではないかと思いますけれもど、これはやはりなお検討する必要があるのではないかという考え方の前提に立って申し上げますが、いわゆる現行の肥料合理化案は、私どもなかなかあれは苦心して進言して作ったつもりでございます。確かに、バルク・ライン方式をとったということは、すみやかに肥料業界に合理化を達成させようとするところにあのねらいがあったと思うのです。ところが、実際は、通産省から出させました資料に基づきましても、合理化のためよりも、むしろ従来の合成肥料を存続するために資金が使われておる。合理化というからには、もう合成肥料ではなくして、合成肥料では諸外国にも対抗できないし、コスト・ダウンも困難だ、そこで、廃ガスを利用するとかあるいは副成硫安にかわっていかなければならないということが早くから唱えられたところです。ところが、なかなかこの切りかえが困難だ。これはあなたの方の所管ではないが、通産省が、石炭を保護するために、石炭を使わなくなるようなことについてはちゅうちょぎみであったということから、むしろ合理化について規制を加えまして、生産を制限するというようなやり方をして今日まで来たったのが業界の経過でございます。ただ、問題は、業界から言うならば、その輸出会社の赤字をうまくやってくれないから合理化がおくれたのだというような詭弁を弄しておるようでございますが、私は、これによってずいぶん安泰であったのだから、安泰のときにほんとうは合理化を促進すべきであったと思うのです。むしろこの法律に基づいて強行することの方が日本の肥料業界のためにも必要じゃないかと思うわけですが、大臣、この点いかがですか。
  36. 河野一郎

    河野国務大臣 肥料二法廃止があたかも私の主張であるかのごとくに考えられておることは非常な間違いでございます。私は何も肥料二法を廃止しなければならぬという論者ではございません。ただ、通産行政を運用して参られる立場に立って、現行二法は適当でない、一つ積極的にもう少し化学肥料の振興方策を講じたい、こういうことで、御承知通り、現在の百億前後の赤字をどう解消するかという善後措置と相関連して事態が変わってきたのでございます。そういうことでございますから、私とすれば、もし二法を廃止するとすれば、これだけのことは農林大臣として必要である、これだけのことを約束してもらえるならばあえて二法に執着はいたしません、こう私は申しているのでございまして、だから、その私のお願いしておることが入れられなければ、現行通りでいってもらうよりしょうがない、こういうことでございます。これ以上は通産大臣に御質問いただいた方が適当であろうと思います。つまり、必要な肥料と適当な価格、これだけが確保できるならば、それ以上のことはいいじゃないか、こう私は思っておるのでございます。御案内の通り、国際的にあまり外国がめちゃな輸出競争に出て参りましたので、国内的にこれを合理的にやっておりましても、なかなか対応の困難な点がございます。何分、四割もしくはそれ以上のものをこれからは輸出していかなければならぬという立場にある肥料でございますから、国内体制をこの世界競争に順応できるような体制にするということが、私はむしろ重点であるというふうに考えて、これに対応できるような振興方策を講じられることこそ当面の急務であろうという意味において、農林行政としては必要な最小限度を保障願えれば、それ以上のことは通産大臣よろしくということでおまかせする、こういう態度で行っておることでございますから、その点、一つ御了承いただきたいと存じます。お前どうだと、こうおっしゃられても、基本的には現行制度で悪いと私決して考えているのではないということを一つ御了承いただきたいと思います。
  37. 川俣清音

    川俣分科員 今の態度は了承いたします。大いに私もそのつもりで応援をしたいと思いますが、世間では、何か河野さんが主導権を握って、そして二法を廃止するのだといううわさが飛んでおる。その真偽は、今明瞭になりましたから別でございますけれども、私は、大臣の言われる通り、その点は大臣と全く同感です。外国の肥料と対抗できるようにしなければならない。今後発展すべき日本の化学工業が外国と競争できないような状態ではいけない。農産物を外国と競争させることよりも、化学工業が対抗できる状態を作らなければ、日本の産業発展しないことは明らかなことなんです。一番困難な農産物ですら対抗できるようにさせようとするときに、対抗できるべき状態であります化学工業が対抗できないような状態では、日本の産業なんというものは問題にならないと思いますから、それは非常にけっこうだと思います。  そこで、ただ一つ非常に不安に思われますのは、合成硫安でありますと一つの長所がある。この設備は他に転換できないために、あくまでも肥料を作らなければならないということです。ところが、回収硫安だとか廃ガスを使う副成硫安になりますと、いつでも転換できる素質を備えているわけです。それだけに、合理的に安くはできますけれども、他に転換しやすい。そこで、業界でトラスト等を作りまして数量の調整などをやりまして、価格を上げる心配はないわけではございません。これは不安はあります。しかしながら、先ほど申し上げましたように、いずれにいたしましても、化学工業こそが世界的に発展を続け、将来性のあるこの産業だが、それが外国と競争できないような状態では、高度成長などはとても及ばないことだと思います。その意味で、まだ法律の存する間に、農林省がもう少し鞭撻をいたしまして、合理化を促進して、そうして農民の資材であります肥料に対して、――農民はほかのものよりも肥料の安いことに何か一番執着的なものです。ほかのものと比べて安いじゃないかと言われますけれども、農民からいたしますと、現金支出にいたしましては一番大きなものでございます。目につくものでございます。肥料とか農薬、――農薬などは一反歩についておそらく千円以内でございましょう。肥料になりますと三千円から四千円くらいでございましょうけれども、これが現金支出として出ますところになかなか農民の執着がありまして、できるだけ安いものをほしいという要望のあることは確かでございます。そういう意味からも、農林省が今後果樹園芸等を振興していく、あるいは草地改良をしていくということになりますと、肥料農薬等に対する支出がふえて参るのでございますから、できるだけ生産コストを下げる上から一段の努力が必要だと思いますので、これだけ申し上げまして、大臣に対する私の質問をきょうは終わっておきます。あとは通産省または企画庁に質問いたしまして、足りない点は農林大臣にすることにいたします。あとの点は、りっぱな局長がおいでになっていますから、そこでお尋ねすることにいたします。
  38. 赤澤正道

  39. 松浦周太郎

    ○松浦(周)分科員 与党の質問ですから答えやすいと思いますけれども、腹を割って一つ御答弁を願いたいと思います。  主として本会議大臣の答弁された内容についてお伺いしたいと思いますが、まず、今川俣さんが質問されました肥料の問題でありますけれども、肥料は、数量を確保するとともに価格を安く供給することが何よりであるという御答弁でありました。私もそれは同感でありますが、その方法について、今御答弁なさいましたように百億近い赤字が輸出会社の方にある、しかし、肥料産業はただ単に農村の肥料ばかりでなくて輸出対象として伸ばしていきたいというのが通産大臣の答弁であります。そうすると、いつまでも今のような生産コストでは、農村に供給するが、貿易のためには損していかなければならないということで、そういうことは永久には続けられないというように私は考えるのでありますが、このコストを下げるということについては、生産の合理化によって下げるということになるでありましょうけれども、私どもの見ておる見方では、今売っている三十六ドルとか三十五ドルとかいうようなことにはとてもコストは下がらないと思うのであります。農村の人の心配することは、そのはね返りを農村に負担させるのではないかということであろうと思いますが、これに対して、価格を安く供給するという大臣の構想をこの際御発表願えば、農民が非常に安心するのではないか、かように思いますから、その構想を一つ承りたい。数量については、四一%も輸出しておるくらでありますから、確保はできると思います。政府として安く供給するという考え方、これを一つお伺いしたいと思います。
  40. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通り、私は二つの点を考えております。第一は、具体的に申し上げまして、すでに通産省から今後五カ年にわたる肥料の合理化計画が発表されまして、五年後には大体わが行政は硫安についてこの価格に下げるように助長するということを約束しております。従って、現在の政策をそのまま進めていっても、五年先にはこういうふうになるのだということでございますから、私は、通産大臣との間に、今後の肥料の下落して参るべき傾向というものはお約束できると思うのでございます。従って、今後農林大臣は、この傾向を一応のめどとして農村行政を進めていってよろしいということは考えられると思うのであります。その値段をどうして抑えるかといえば、それは、輸出を許可制にしておりますから、その輸出を許可する場合には農林大臣の同意を得て許可するということに通産大臣はいたすわけでございます。今申し上げましたような、すでに現状においても、今の肥料のあるべき趨勢値というものについての理解があるわけでございますから、その行政を通産大臣が進めていく。さらに、通産大臣は現状よりもむしろ進んで硫安の振興に関する法律をお出しになるわけでございますから、今日期待いたしております価格よりも下がるということは、よほど一般物価その他の特殊の事情がない限り期待できる、こういうふうに私は考えるのでございます。従って、まず明年度の硫安についてはどのくらい、その次はどのくらいという傾向は、つまり、ことしよりも順次どういうふうに下がっていくかということについての期待を持つことは、この法律の有無にかかわらず可能である、こういうように私は思うのであります。むしろ、現在の法律でありますれば二つの欠点があると私は思う。あまり言い過ぎるかもしれませんが、一つは、皆さんからもお話のありました通りに、肥料を下げるために政府が使っておる金は、輸出振興費であるにもかかわらず、これが農村対策費であるかのごとく誤認されておる。食管会計の赤字にしても、当然のことながら、これが農村振興費であるかのごとく誤認されておる。私は全部とは申しません。全部とは申しませんが、相当のものは農村振興費じゃないんだ、一部は確かに農村振興費かもしれませんが、今の食管赤字の補てんは、これを全部農村振興費と考えられることは非常に迷惑である。同様に肥料においてもそういうことは言えるんではないかということを思います反面、において、現に肥料業者はどう思っておるかというと、現行法である限り興味がない、政府からこれだけ補助を得ておるにもかかわらず、その合理化をするには全部それが下落に引き当てられるのであって、現行法ではどこまで行っても泥沼の中から出られないという観念を持って、御承知通り、他の化学鷹巣に比べて非常におくれております。非常におくれておりますゆえんのものは何かというと、私はこの二法に原因がなしとしないと思うのであります。でありますから、むしろ、政府も努力をし、法律の建前も振興法に変えて、もっと積極的に肥料の振興を期することの方がいいのじゃないかという意味合いにおいて、通産大臣が硫安の振興方策を講ずるために諸般の施策を講ずるということであれば、進んでそれに御協力申し上げることの方が適当ではないかという意味合いにおいて、私は踏み切っておるのであります。従って、今お話しの、価格の点について不安がありはせぬか、もしそういうことをやるためにはね返りが来はせぬかということであるならば、それはおよそ私とは考えが違うのであって、はね返りじゃない。むしろ、積極的に合理化され、積極的に肥料価格も下がり、硫安政策の振興を期待してこの処置に臨んでおるのであるというふうに考えてやっております。最小限度としては、輸出の同意権を握っておれば、それによって価格政策は実行できるという意味においてやっておるということを御了承いただきたいと思います。
  41. 松浦周太郎

    ○松浦(周)分科員 肥料の振興法制定に対しましては、通産大臣と五分五分の発言力によって御決定されることと思いますが、そうでないと片手落ちになると思いますから、その点特に御留意を願いたいとともに、五カ年の間に下がるという目標の率は一体どのくらいに見込んでおられますか。第一年度が幾らで、第二年度は幾らというようなことが計数的に出ているだろうと思いますが、それがおわかりでございましたら御発表願いたい。やはり農村が非常に安心することと思います。
  42. 河野一郎

    河野国務大臣 通産省がすでに肥料審議会等で発表しております合理化の数字は、三十八年度までに四十三ドル五十セントという数字を発表しております。
  43. 松浦周太郎

    ○松浦(周)分科員 それは農村に供給する価格ですか。
  44. 河野一郎

    河野国務大臣 これは合理化の目標の価格でございますから、現在の法律であれば、この数字で国内価格決定して参るということであります。
  45. 松浦周太郎

    ○松浦(周)分科員 そうすると、四十一ドルのものが、アジア方面に出しておるものの最低は三十五ドルというようなことになりますから、その六ドルの差はどこで負担されますか。
  46. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 通産省の資料によりますと、先ほど大臣の御答弁のように四十三ドル五十セントを目標にしておりますけれども、最近の輸出価格は、平均いたしますと、大体三十七、八ドルから四十ドルくらいになっておるようであります。国によっては特に安いものもございますけれども、平均価格では大体そういうことでございまして、輸出の運賃とかいろいろメリットもございますし、そういうことも考えまして、大体四十三ドル五十セントくらいのところでございますれば、輸出のメリットがやはり四、五ドルございますから、大体輸出競争できるのじゃないかということを通産省では現在中しております。
  47. 松浦周太郎

    ○松浦(周)分科員 そうすると、農村に供給するものと同じようなことに輸出ができるわけですか。
  48. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 合理化の目標がそういうところに置いてございますから、その際には、そういうような海外のものも、国内のものも、すべて大体違わないような姿にいくのじゃないか、こういう見通しで通産省でも検討をやっております。
  49. 松浦周太郎

    ○松浦(周)分科員 今まで輸出しておりまして、差損が約九十億くらいあると思いますが、これは一体どういうふうに処理されることになりますか。
  50. 河野一郎

    河野国務大臣 これは私からお答え申し上げることは適当でないと思いますけれども、実は、九十億といいますけれども、この九十億も、業界の言うのが九十億で、私の聞くところでは、九十億になるか、七十億になるか、計算の仕方によったら五十億になるか、計算の仕方はいろいろあるということでございます。これはそういうことでございますから、今さしあたりわれわれの考えておりますものは、これは、長期にわたって減税その他の点で埋めていくようにしたらどうだろうか、この際これについての政府の方の補助政策でこれを解決するように考えたらいいということを、あわせて通産大臣、大蔵大臣と話し合っておる段階であります。
  51. 松浦周太郎

    ○松浦(周)分科員 合理化によって四十三ドルまでなければけっこうですけれども、物価は上昇の一途をたどっておりまして、よほど思い切った政策をやらなければそこまではいかないのではないかと私は思う。  そこで、私が大臣にお聞きしたいのは、ドイツの肥料政策は、生産力というのか、キャパシティ、そのキャパシティの一〇〇%までの労力その他経常費というものを見ておりますが、農村に供給するその出産の実態は七五%くらい。しかし経費は一〇〇%見ておる。そこで、輸出する場合には、面接の原料、電力、そういうものだけで売っても損はないというような組み立て方なんです。従って、農村にそういう負担をさせますから、肥料購入補助金というものを農村に対して二割くらい出しておる。僕村に出さなければガットその他の関係がありますから、さっき大臣もお触れになりましたが、農村の負担すべきものでないというような問題だけれども、農村ということにしなければダンピングの関係があるというようなこともあろうと思います。そういう方法で、肥料購入補助金というものを、農業基本法の制定に対しまして、そういう新しい構想のもとにコストを下げて、輸出もやり農村も振興するというようなことも一つの方法だと思いますが、そういうことに対しましてはどうお考えでございますか。
  52. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほど申し上げました通りに、現在の価格もしくはこの程度価格で、農村の諸君は肥料が高いという感じはしておられないじゃないか。むしろ、他の農業資材に割高のものが、非常に負担の過重のものが多いというふうな感じのものが多いのじゃないか。従って、もし農村振興費として使える金が巨億でも二百億でもあるならば、それは他に使うべき有効な需要が非常に多いのじゃなかろうか、こう思うのであります。そこで、今ドイツの話が出ましたが、私、昨年の四月、ドイツの農林大臣にお会いしましたときに、今まで年間二百億程度のものを出してきたのでありますが、これはことしでやめようと思う、どうも大農保護になって適当でないから、ドイツではやめようと思うとドイツの農林大臣が言っておりました。私は、そういう点は日本でも考えて、その処置をとることはむしろ適当でないの、ではないかというふうに実は思っております。
  53. 松浦周太郎

    ○松浦(周)分科員 先ほどの、現在の九十億が七十億になるか五十億になるかということに十分計算を締めて、それを政府で補助するというような構想であれば、同じような意味になりはしませんか。やはり、他の資材もいろいろありましょうけれども、農村として最も重要な点は、肥料を安く供給してやるということが一番大きなウエートではないかと思います。ただいますぐそのことについて御返事を求めることは困難だと思いますけれども、農業基本法というものができた年からドイツはやっておって、今年もやっておるようです。率は下げております。農村の振興に従って率は下げておりますけれども、そういう方向で行っているようでございます。何もドイツにまねすることはありませんけれども、そういう方法を考えることも一つの方法ではないかと思ってお尋ねいたしておるのであります。
  54. 河野一郎

    河野国務大臣 私のお答えしたのは、肥料振興費を農村振興費として見られることはむしろ農村としては迷惑だ。それなら農村そのものずばりで使う金がたくさんある。むしろ化学振興費か農村振興費か中途半端でわからぬようなものが農村振興費として見られることの方がつらい。今五十億、七十億の問題が出ましたが、このことも、決して農村に関係のないことでございまして、輸出のために出てきた赤字でございます。従って、これは断然、農村関係の費目でなしに、通産関係肥料振興費で出していただく。従って、今考えておりますのは、減税とか、低利の融通とか、利子の補給とかいうようなことで将来行ってもらいたい、こう私は申しておるわけでございます。
  55. 松浦周太郎

    ○松浦(周)分科員 その問題はしばらくおきまして、もう一点は、農村の金融の問題であります。今年、大臣の御努力によりまして、農業基本法に対する七つばかりの新しい政策予算に芽を出しまして、金額はわずかでありますけれども、近代化にしましても、構造改善にしましても、機械化にしましても、それぞれ基本法の選択的拡大の生産方面に対しまして御努力をされましたことに対しては非常に感謝いたしております。しかし、芽を出しただけでありますから、これからこの裏づけをするには、やはり、一般予算を拡大していくことと同時に、資金を供給するという面が円滑でなければなりません。この間本会議大臣の答弁で、現存の農業金融というものを抜本的に改正する、こういう力強い御返事をいただきまして、われわれもそれを期待いたしておりますが、現在、農村は、御承知のように、単位協同組合から県信連、県信連から中央の機中、また、それを借りる場合も、同じ段階を経て六回行き戻りの手数料を取られるものですから、非常に高くなる。これを農村の預金に少し手数料をかけてすぐ貸してやれるというように簡素化しなければ、農民の資金が大企業に使われているというような今日の状況に改めることができないので、抜本的におやり下さるということについて非常に期待いたしておりますが、どういうふうにおやりになりますか、構想はおありであろうと思いますから、お漏らしを願いたいと思います。
  56. 河野一郎

    河野国務大臣 今松浦さんのお話しになった通り、行きに帰りに寄り道が多い。そのために経費がかかる。もうこの姿をこのまま続けていく時世ではない。最初におきましては、やむを得ずこういう系統を通っていかなければならなかった。これはやむを得ません。今日の段階に来たならば、少なくともこの三段階を一段階、二段階というふうに何とか合理化しなければいけない。極端に申せば、銀行のごときは、本支店間において別に一々寄り所があって利息がかさむわけではないので、農業銀行のような形式のものも場合によれば考えられるだろうと思いますし、何とかして合理化しなければいかぬ。このことは農村問題として非常に重大なことでございまして、現在の販売につきましても、単協から県、全敗、全購というような三段階の現在の制度、このままそれぞれの段階で経費がかかるというものが一体いいか悪いか。従来でございますと、米麦が中心でございましたから、取り扱う品物は非常に大量であった。米、肥料というようなものであったから、それがごくわずかなマージンで、行きに一回寄り所をしましても大したことはない。ところが、これが現在のように成長農産物というような意味から業種も非常にふえてきたということになりますと、販売、購買の面におきましても、それぞれ専業的なものにならざるを得なくなると私は思います。従って、販売、購買、金融、現に今ありますところの協同組合の制度そのものについて再検討する時期がぼつぼつ来ておるのではないかと思うのでございます。しかし、このことは、言うはやすいのでございますが、なかなかこれを改革するということになると大問題であります。従って、一朝一夕にできることじゃございませんので、各方面の御意見を十分拝聴し、十分な用意、準備、調査をした上でやらなければいかぬだろうと考えておるのであります。せっかく御協力をわずらわしたいと考えております。
  57. 松浦周太郎

    ○松浦(周)分科員 金融ばかりじゃなくて、今仰せになりましたような販売、購買の問題に対しましても、流通機構改善のために、ほんとうにこれに力を入れていかなければならぬと思います。これに対しまして総合的な調査をするということになれば、調査機関か何かを特設しなければ、十分納得させることが困難じゃないかと思いますが、そういうことはお考えでございませんか。
  58. 河野一郎

    河野国務大臣 今、さしあたって省内で研究をしておる程度で、積極的に外部に向かって調査会を作るとかなんとかいうことを言う段階まで至っておりません。おりませんが、私は、もし調査会を作るとすれば、国会の中に作っていただくのが妥当である、これをいわゆる民間有識の人にやっていただくというようなことではなかなかいけない、従って、これは党派を超越してやっていただくか、もしくはわが自民党において積極的に取り上げていただくということにしていただくことが一番適切であろうと考えております。
  59. 松浦周太郎

    ○松浦(周)分科員 構想は私も賛成です。やはり国会の中にお作りになって、それでいろいろ総合的に調査の上、腹をきめてやる方が、これがやはり基本法の裏づけになるのではないか、こういうふうに思いますから、善処を要望いたします。  その次の問題は、畜産の問題でありますが、政府当局の生産見通し計画によりましても、だんだん澱粉食が減って、脂肪、蛋白の食事が所得倍増に従って多くなる傾向にありますことは、統計が示しております。従って、畜産計画も大臣の構想によって従来に見られない案が出されております。また、実行に移されております。ただ、私の憂慮する点は、もっと脂肪、蛋白のコストを下げなければいけない。コストを下げることによって大衆化されるでありましょうし、また、生産も拍車をかけて増大しなければならぬということにたりますが、現在のような水田地方、あるいは内地と一口にいいますが、東北は除きまして、本州、四国方面における二頭や三頭牛を飼ってやっておるところのコストは下げられないと思うのです。もっと大規模の方法でなければコストは下げられないと思う。それと同時に、飼料対策に対して、これだけの計画を持っていながら飼料の自給に対する計画が乏しいのではないか。日本の国が飼料を年々入れておる数字は、大臣がよく御存じでありますが、大きな金であります。この飼料の自給ができる、そうして現在の脂肪、蛋白の供給が需要に応ずるような生産体制にするということでなければならぬ。現在でも飼料を自給すれば相当な貿易の黒字に拍車をかけることになる。ところが、飼料生産ということには、ほとんど積極的なものは今までの農政では見られないと思うのです。今年の予算のときも非常に大臣に御苦心をしていただきまして、草地改良の公共事業費化というものが芽を出したのですが、金額はごくわずかであります。ところが、東北の岩手県、青森県及び北海道というようなところの大草原地帯を開発するということがこの際最も必要なことである。それが脂肪、蛋白のコストを下げて供給することのできる素因である、こういうふうに考えますが、それに対する大臣の御意見を承りたい。
  60. 河野一郎

    河野国務大臣 全く同感でございます。その通りでございます。
  61. 松浦周太郎

    ○松浦(周)分科員 そうであるとすれば、私はこういうことを考えております。岩手県、青森県及び北海道の北部地方においては、私の今までとっている資料では、二百万町歩くらいの草原がある。その中には高位泥炭あるいは強度の火山灰地帯というようなものが含まれておりますから、こういう多額の費用のかかるものはあとにいたしまして、少なくとも海岸線あるいは丘陵地帯の亜粘土地帯というようなところは、従来、土壌はあまり悪くないけれども作付が開拓せられなかった。というのは、潮風、冷風によって、受粉作用、いわゆる交配が行なわれない。そのために穀菽農業ができないということで、穀菽農業中心の農業指導というものが今までその方面ではできなかった。海岸線は、特に土壌は悪くないけれども、ほとんど開発されておりません。これを集団的に、いわゆるオランダやデンマークにおけるような方向にやりまして、所有権がいろいろに分かれておりますから、それを一つ統一して、開拓事業、草地改良の大規模のものをやる。やる方法としては、やはりオランダは海底干拓のために干拓院という特別の役所を作っております。そこでかかった金は、公債に求めたり、政府の一般会計から、あるいは財政投融資によって作っていきます。そして、でき上がって、家も牛もすっかり買ってやって、それを三十五年、四十年の年賦償還で、生産をあげながら払っていくという方法であります。日本においてもそういう二百万町歩なんというものをこれから畜産的に開拓するとするならば、やはり一つの開拓院というようなものを作って、それで、私有地も、あるいは公有地も、あるいは国有林も買って、そこで二千町歩、三千町歩というような集団的な開発をやって、その中には、加工工場も、あるいは教育機関も、全部一つの社会的な機構が成り立つようにやった上に、年賦償還でその開拓したものを払っていくという方向でないと、現在の、戦後に行なわれた入植者というようなものが方々に二戸、三戸くらい散らばっておったんでは、下におりてくると三石もとれるような美田がある、自分の追い上げられた山の上では燕麦が五俵くらいしかとれないというようなことでは、いつくはずがないのです。だから、私は集団的な大規模の草地改良の計画を今後お立てになる考えはないかということをお尋ねいたしておるのであります。それをやることによって、自分の手で飼料を生産し、それ以上に余れば外国から輸入する飼料を補うことができる。これは貿易と同じことでございますから、そういう面についてお考えはないかということをお尋ねいたしておきたい。
  62. 河野一郎

    河野国務大臣 大へんけっこうなお話でありますが、何分にも、農村が現在御承知のように動揺しておるときでございます。従って、今政府がそういう計画をにわかに立ててやりましても、たとえば、北海道のビートは、これによって酪農と並行して大いに振興策を講じたのでございますが、現にビート地帯に酪農があまり入っていかないというような現実を見ましても、今わが国に大いに畜産を振興しなければならぬといいましても、その振興するところの畜産がどういうものであるか、――今お話しのように、東北、北海道にわたって大規模の酪農地帯を設営していきましたところが、それに入ってこなすだけの意欲のある人がどこにどういうふうにあるだろうかというようなことも考えなければならぬだろうと思います。従って、だんだんに農村の構造を改善し、そして主産地を形成し、酪農民を教育をして、そして余剰した酪農民を徐々に山の上に上げていくという段階が必要ではないかと思うのでありまして、計画と実施との間にうまくテンポが合うようにしていかなければならぬのではなかろうか。  御承知通り、わが国の畜産は他の農業と異なる一つの特異性がある。それはどこにあるかと申しますと、飼料が比較的国際価格で入手できるというところに私はあると思います。たとえて申しますと、トウモロコシを入手する場合に、アメリカのトウモロコシ・アルゼンチンのトウモロコシ、タイのトウモロコシ、アフリカのトウモロコシ、これら世界各地のトウモロコシの中で一番適当なものが入手できるのでありますが、主産地であるアメリカのトウモロコシによって行なっておりまする家畜の経営と、わが国の養鶏業との間にどういう程度の開きがあるか。これが他のものと違うゆえんだろうと思います。同じ農業でもそういう関係にありますので、養鶏が非常に発達した、また、同様なことが、今後経営の合理化もしくは経営の刷新等によって新たに他の畜産にも生まれてくるのではなかろうかと思われるのでございまして、まずさしあたり技術の刷新に一番重点を置いて、そこに固定した日本畜産というものを創造していくことが順序ではないかというふうに私は考えておるわけであります。
  63. 松浦周太郎

    ○松浦(周)分科員 適当な国際価格で飼料が入れられるといいましても、その飼料はただでは入りませんから、やはり貿易じりに影響するのであります。それを国内で生産すれば、それだけの外貨が流れ出ないのですから、この点は、買いやすいから買ってやる方がいいという考え方はやはり変えてもらって、順次飼料は自給できるという体制に持っていくべきではないかと私は思います。  それから、ビートと畜産をつなぐことは絶対条件であります。絶対条件でございますから、現在の構造改善の中において農業の収入を倍加するといっても、やはり経営規模が倍にならなければ倍加できない。多少の二割、三割を増産させることはできますけれども、経営規模を倍加しなければならない。一ぺんにはそれはできない。しかし、今申しましたような新しい地帯ができるならば、そこに移って新しい畜産農業をやるということによって、従来持っておった土地を他に転売する、買った人は構造改善ができる、新しい所に行った人はそれによって従来よりも倍か三倍かの収入を得ることができるということになりますから、現在やっておる畜産農業がこの計画を行なうために動揺を受けるものではない、むしろ今の政策奨励する意味にもなる、かように考えておりますから、この点に対しましても一つ十分御研究の上に立案していただきたいことをお願いいたしておきます。
  64. 河野一郎

    河野国務大臣 私は松浦さんのお話を決して反対だという意味ではないのでございまして、そういうことも必要である。必要でありますが、順序として今申しましたようなことを申し上げたのでございます。ことに、御留意いただきたいと思いますことは、今日、世界農業の特徴として、耕地面積の大小が農家所得の大小には関係ないということをわれわれは注目しなければならぬのじゃなかろうかと思うのであります。もちろん、広いに越したことはございません。そういう恵まれた所におる人はけっこうでございます。しかし、広いところを扱っておる、たとえばアメリカ農業が非常に恵まれており収入が多くて非常に裕福かというと、私はそうではないと思います。そこにはやはり技術が入り用でございますし、施設が入り用でございます。必要な土地に対する施設というものがない農業というものはだめだというふうに思うのでございまして、従って、わが国の農業でも、たとえば今日十万羽養鶏をやっておるものの利用しておる面積がどのくらいかというふうに考えて参りますれば、わが国にはわが国独特の農業というものが創造できるじゃないか、資本を投下することによってそこに、養豚にしましても一つのものが生まれてくるのではないかというふうに思うのでございます。しかし、私は、この意見を持っておるからといって、今の耕地面積を拡大することを怠るという気持は毛頭ございません。できれば耕地面積がふえるということは一番けっこうでございます。しかし、なかなかふえにくいし、それには金が非常にかかります。それだけの金をかけるならば、その金、その資本を他に考えて使っていく、そして経営するものがあるのかどうかということと両々相待って比較検討して進むべきであるというふうに考えておるのでございます。その点、御了承いただきたいと思います。
  65. 松浦周太郎

    ○松浦(周)分科員 もう一点、仮定理論としてのお話でありますが、私は、それは、アメリカの農業の例を引かれたのでありますけれもど、その土地の広さ狭さについても限度があると思うんですよ。日本の現在のような平均経営規模の小さいのは、もう今までの技術と今までの農薬肥料の発達が限度じゃないか。だから、やはり経営規模というものはおろそかにできないものである。同時に、国土に不生産的な土地が、ほとんど利用しないものがある。林にでもなっていれば、森林にでもなっているならばいいんですけれども、ほとんど不生産的な雑草しかはえていない土地が二百万町歩もある。それを、民族の将来を考えて、多少金がかかっても、そこからも生産をあげて、外地から入る飼料やあるいはその他の脂肪、蛋白の輸入をさせないようにするというのが一つの構想としてある。それを一ぺんにやれというんじゃありませんが、需給関係と見合いながらやればいいのですから、これはやはり農業基本法を制定した一つの農地拡大の方法じゃないか、こういうふうに思いましたのでお尋ねいたしたのでございます。どうか一つ、十分に御検討願いまして、私どもの意見が具現できるようにお願いしたいと思います。
  66. 赤澤正道

    赤澤主査 島本君。
  67. 島本虎三

    島本分科員 せっかくの機会でございまして、この農林関係予算のこの説明をよく拝読いたしました。この中で私は特に一点大臣に率直に聞いておきたいことがあるわけです。  今度、経済高度成長政策に見合った倍増計画、こういうようなものを基本にしたいろいろな予算が組み立てられておる中で、意を用いて、特に、「農業経営担当者の養成確保と農業従事者の就業促進及び福祉の向上」という点を設けて説明されておる。この細則を見ますと、開拓地の振興と僻地の農山漁村の電気導入政策、こういうようなものも取り入れて、はっきり、この中には、電気導入事業については三十七年度においては五カ年計画の第三年度として所要経費の二億三千九百万円を計上した、こういうふうになっておるわけです。こういうようなところまで意を用いて、結局は格差の是正ということを考えて、また、あまねく文化を均霑させるという考えでこういうような問題を取り上げられてやっておるという点は、私は敬意を表したいと思うのですが、それにつれて、この計画の三年目だそうですが、この計画の中で、全国の無灯火部落と申しますか、僻地農山漁村の電気関係の仕事は、これで全部終了するという見通しで立てられておるものでございますか。この計画が全部終わったならば日本国じゅうは無灯火部落、無点灯部落はない、こういうような構想でこれを進められておるのでございますか。大臣の御見解を承りたいと思います。
  68. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ただいま御質問になりました僻地の電気導入の計画の点でございます。  御質問のございましたように、本件につきましては五カ年計画で約四万二千戸を対象としてこの計画を立てたものでございます。これは大体一集団五戸以上が無点灯のところを対象地域に選んでやったわけでございます。そこで、本年までにすでに二ヵ年過ぎまして、三十七年度から九年度までに約三万四千五百戸が残っておるわけでございます。そこで、それを対象にいたしますならば、僻地につきましての今申し上げましたような五戸以上の集団がある地帯につきましては、大体解消できるということになるわけでございます。なお、このほかに、開拓地及び離島についても、同じような計画は別途対策としては進められることに考えておるわけでございます。
  69. 島本虎三

    島本分科員 ただいまのような計画を承りまして、私の方としては、これを全面的に信用する上に立っての質問なんですが、今のような計画でいくと、これは五戸以上の戸数を有するような部落には均霑というか全部行き渡るというような御答弁ですが、ほんとうにそれで間違いないならばけっこうですが、いつからいつまでの計画なんですか。
  70. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 三十七年から三十九年度を予定しております。
  71. 島本虎三

    島本分科員 三十九年までにこれが全部終わるということですが、私の方としては、ちょっとその点で事務的な点に入りましたのですが、これはもう大臣にその意向を承って、それに対して一つ鞭撻をしたいと思っていたのです。そこで、事務的にそうなれば、私の方ではっきり聞いておきたいと思うのです。現在までのところでは、全国平均無点灯部落は何%まで残っておりますか。それと、たとえば北海道の場合とか九州の場合、こういうような場合ははっきり差ができておりますが、これも全部今の予定通りにいくというふうに大臣の前ではっきり答弁されましたから、三十九年度までにこれは全部終わるんだと解釈いたしますが、それはいいんですね。
  72. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 今御説明いたしましたのは、われわれとして当初五カ年計画を立てて約四万二千戸を対象として計画を立てたわけでございます。現在までにすでに計画を実施したものを差し引きまして、約三万四千五百戸というものが残っておるわけでございます。そのうち、三十七年度におきましては八千九百戸を対象として予算を組んだわけでございますから、三万四千五百から八千九百を引いた残りを二カ年で実施するということになるわけでございます。従って、来年度におきましては、二カ年で消化できる計画で実現するように努力はもちろんいたさなければなりません。
  73. 島本虎三

    島本分科員 今のような答弁ではございますが、はっきり私の方には資料もございます。また、これはいつか通産大臣から今のような答弁とは別な答弁も承った経験があるのでございまして、もしそうならばまことにけっこうですが、北海道ではまだ四・三%が残されておるような状態である。それが二十五年度の一一・七%に比べたらこれは相当消化はされておるのですが、全国平均〇・四八%から見ると、北海道と九州がまだ多いようでございます。九州の点は、これは五カ年計画で解消するということになっておりますが、北海道の点は、依然として三十三年度四・八%残っており、三十四年度で四・三%と若干上昇しても、全国の平均から見たら依然としてこういうような点が残っている率が高い。これは九州の方面の五カ年計画の点は了承いたしました。同時に、北海道のような、雪が多くて、土地の広い部落を構成しておるこういうような場所にも同じようにやるというこの言葉は、議事録によって生きておりますから、私は十分その点を信頼しておきたいと思うのですけれども、しかし、まだ、これをやるためにも、三十四年度でさえも戸数の四・三%も残っているのです。そして、戸数をはっきり言うと、私どものところにはデータもありますが、一万八千戸ほどもまだ残っておるわけです。そういうようなことから見ましても、これはよくやってもらわないとなりませんし、やると言った以上、私どもの方では、大臣を前に今の答弁ははっきり大臣の答弁と同じように聞いて、この予算実施を監視していきたいと思いますが、その方法としてはどういうふうにしてやるのでございますか。方法は、はっきり配電会社にやらせるんだ、たとえば組合を作らしてやらせるんだ、自治体に補助してやらせるんだ、こういうような方法がはっきりしないと、幾ら計画ができても、この点では、やり切れない、わからなくなってしまう、うそだということになってしまうおそれがある。こういうようなこまかい問題は大臣に聞くほどでもございませんから、どういうような方法でこれを解消させるのか、その解消の具体的な方法を承りたいと思います。
  74. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 先ほど申し上げましたように、全国の未点灯の戸数の中で五戸以上集団している部落数というのが、先ほど申し上げたような対象の戸数になるわけでございまして、これは私の方で全国的な調査をいたしました資料として用意いたしておるわけでございます。従って、地区の数につきましても、そういう条件の対象になるようなところは、県庁におきましてもわかっておるわけでございます。従って、われわれといたしましては、毎年そういうところから積み上げまして、三十七年度は八千九百戸を対象にするというふうにきめたわけでございます。実施の主体といたしましては、大体は農業協同組合等が中心で、市町村でやっているところもあると思います。かようになっておりまして、現在やっております大体の方法といたしましては、施設だけをまず協同組合が作り、電力の配給は一般電力会社から受ける。電力会社としては、その施設まで作って配電するということはなかなかむずかしい。そこに未点灯という部落もできたわけでございますので、施設を作ることに対して国が助成し、できた施設を活用して一般電力会社から供給を受ける。これが内地における一般的なやり方でございます。ところが、北海道におきましては、現在の段階ではなかなかそこまでいかないので、むしろ、未点灯部落におきましては、自家発電、自家受電、こういう施設でできたところもありますが、まだまだたくさん残っておるわけでございます。内地につきましては、現在の方針としましては、一般受電以外には原則として認めておりません。しかし、北海道につきましては、なかなかそこまでいきませんので、一般受電で受け入れる方式と、それから自家受電、自家発電でやるという方法と二本建でやっております。北海道だけがそういうような措置をとっておるわけでございます。  それから、助成の方法でございますが、大体九万円ぐらいの事業費を見まして、二戸当たり三万円から九万円までの額に対しまして国が助成いたす、こういう方法をとっております。
  75. 島本虎三

    島本分科員 それで、今のような方法で北海道だけは特にやっておるといいますが、そのやっておる方法についても、三十九年までにはこれは完成できないという見通しがはっきりしておる。と申しますのは、これは、第一から第四順位まであるのは、その通りです。第一順位として、現在配電会社でやっておられる方法によりますと、一万百円、一般電灯の需用家が納める金と同じようなものをやるところに対して、これは、都市ですが、こういうようなのは無条件でつけてやるのですから、いいのです。第二順位として、それ以上の場合は、通産大臣の許可できめる条件で、工事負担分をこえた分については、それははっきり出してくれたならばそれをやる。こういうような点はまずいいのです。第三順位になると、全額を出してくれたならば配電会社でやる。これあたりまでは順当でしょうけれども、第四順位が問題なんです。これによると、全額を負担しても配電会社ではやれない。従って、共同受電として組合が施設をして、そこに配電会社が一括して電力を供給するだけで、保守も経営も全部その組合員にやらせておけというのでしょう。従って、雪の多い北海道で、それも現在のような開拓農家の多い、漁村の多いような、こういうようなところは、今の第四順位に属する部落が多いのです。こういうようなところに自分が金を出してやれと言っても、九万までのやつを補助するとあなたは今おっしゃいましたが、かかるのは、一戸の負担が十五万から二十万かかるのです。これでは幾ら補助してやったって焼け石に水です。それで、三十九年度までに、今のようなやり方でもってやって、はっきり解消ができますか。これはどういうような方法でやるのですか。
  76. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 お話の通り、北海道につきましては、非常に地域が広がっておるし、電力会社におきましても、一戸当たりの電力会社の負担すべき維持費、管理費というものは非常にかさばるというような関係がございまして、なかなか一般受電の方式ではでき得ないということは十分承知をいたしております。従って、北海道に限りましては、われわれとしては、共同受電、自家受電、共同自家受電、共同自家発電、こういうような施設についてのやり方を認めて、そしてそれに対する助成をやっておるわけです。内地にはそういう方法をとっておりません。従って、第四の部類に属する点が、確かに北海道におきましては問題だろうと思います。そういう特殊事情を考えまして、北海道では、第四の方式についても特に取り上げて、助成する対象に引き続いてやって参りたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、九万円以下の事業費に対して、実際はそれ以上かかるではないかという点でございます。これも、われわれも調べております。しかし、この点につきましては、たびたび、ほとんど毎年と言っていいほど、実質的な単価の改定をいたして補助をいたしておるわけでございます。全体の事業費までどう調整していくかという点につきましては、今後われわれも調査の実態に合わせて検討して参りたいと思っておりますが、まだ九万円以下でもどんどんやりたいという対象の戸数が残っておりますので、できるだけ重点的に早くやっていきたいというように考えております。
  77. 島本虎三

    島本分科員 事務当局がそこまではっきり言うならば、これはやはり大臣に決意をはっきり聞いておかなければならないと思います。そういうふうにして、九万円ぐらいまでかかるような費用に対しては、これは答弁はございませんでしたが、国が三分の一、都道府県が三分の一、受益者が三分の一ぐらいで、これは補助してやるということになっておるわけですが、農林省関係ではおそらくそれだけで済まないというふうなことを考えておるのは、今の答弁ではっきりしておるわけです。しかし、配電会社も独立採算を主張してやる以上、それに対して、今度は農林省大臣が通産大臣と双方で話し合いをして、この電力会社に対してある程度の規制をするか指導をするか、こういうふうにしてこういうような無灯火部落の解消に政治的な手を打つことが、北海道の場合ではまことに重大な問題として残っておるのじゃないかと思うわけです。北海道へ行ってみてまず驚くことは、電灯がついていない部落に電話がついている。こういうような現実の事実があるのです。その部落も五戸や十戸じゃないのです。八十六戸もある部落、また五十何戸もある部落、十何戸もある部落、こういうような部落でありながら、郵便局があり、漁業協同組合、農業協同組合があり、その他の国家機関の出先機関があるところで、電話がついておって電灯がないのです。こんなばかなことが一体ありますか。こんなのがたくさんあるのですよ。これはあくまでも政治的な手を打つ以外にないと思うのですけれども、大臣、こういうようなのが現にあるのです。このような格差の是正というものは、一方は公社の方でやる場合にはちゃんとついている。独立採算を宵としてやる配電会社の場合には今のようにつけ得ない。農民、漁民の方は所得がなくて、これまた九万円くらいの問題ではございませんから、それ以上の問題に対してはとうていやっていけない。われわれはあくまでもこういうふうな是正は大臣の政治性による以外にないと思うのです。現在の配電会社、電力会社、こういうふうな一つの磁力の系統に対して、はっきりした政治力を発揮する以外にはないと思うのですが、こういうふうなことに対して、大臣、いかがなものですか。
  78. 河野一郎

    河野国務大臣 だんだん事情もよく承りましたので、一つ事務当局を督励しまして、御期待に沿うように善処いたします。
  79. 赤澤正道

    赤澤主査 午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ――――◇―――――    午後二時二十二分開議
  80. 赤澤正道

    赤澤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林省所管について質疑を続けます。島本君。
  81. 島本虎三

    島本分科員 まだ大臣も来られないようでして、事務的な質問が若干あるならば、ぜひこの際やっておけという懇切なる主査の仰せもありまして、その点はもっともだとも思いますので、先ほどの質問の続きを事務的な点に限ってやろうと思いますから、この点一つ懇切丁寧にお話し願いたいと思います。  この予算案農林大臣説明書の中に明確にある――この通りなんですが、これを具体的に推進していくためには計画が必要である、その計画は、無点灯の僻地農山漁村電気導入事業については五カ年計画を進めておって、昭和三十七年度はその五カ年計画の第三年度目、こういうふうになっておる、これは十分やっていけるのだというようなお話があったわけです。こういうような一般的な概念はそれでけっこうだと思いますし、そういうようにやってもらうことを心から私は期待してやまない。ただこれからはずれる部門に対して、もう少し重点的にこれを進めていくのでなければ、いかに政府の方では高度経済成長政策推進だとか、所得倍増計画を進めるとかいっても、地域の格差が依然として大きくなっていく、こういうようなことの一助にしかならないということなんです。これではもう政策に対して全体的に逆行しますので、私としましては、この未点灯部落に対してのこの方針を、具体的にはっきり、どういうふうにするのだということを言ってもらいたい。ここで先ほど終わったわけです。  それで、私の方の調査では、もうすでにこれは言う必要がないほど明確なんです。九州では今後、五年間で解消するようなことになっている。他の方面では〇・四八%くらいですから、これは弔ういつでもできるだろうと思うのです。この年度から申しますと、北海道の場合には、未点灯部落が昭和二十五年度で一一・七%あったのです。それが三十三年度で四・四八%に縮められました。それでもなおかつ、昭和三十四年度では四・三%、それから若干進んでおっても、依然としてまだ四%台にとどまっているのが現在の状況なんです。これでは数字から見ましても、北海道の場合だけはけた違いに未点灯部落、僻地が多いという現状ははっきり了解しないといけないと思います。こういうようなことの対策は、単に農山漁村電気導入促進法だとか、自治省の方で考えている僻地関係の立法だとか、または、現在これはまだやっておりませんが、通産省関係の電気事業に対するいろいろな補助もあるようですけれども、そういうようなものだけ別々にやっておっても、これはできないと思う。これは一貫して農林省当局が強硬な政治的な手腕をふるう以外には、この解決はないと思います。現に六十キロ以上まだ送電線からの距離があるような個所、これは五百三十戸ある。それから五キロから十キロまでのものが二万戸もある。それから十キロ以上二十キロまで、この距離にあるものが七千六百戸もある。この集積の約二万戸近くが未点灯部落になっておる。そこで農山漁村電気導入促進法、こういうものをやって、ほんの場当たり的のもの、補助的なことだけを進めていって、これでもって十分だという考えを持たれることは、どうも北海道だけが他国のようなもので、置き去られるおそれがある。今のパーセンテージは、はっきりしたパーセンテージなんです。送電線からの遠い個所は、今の数字によっても明確なんです。さて、補助をするなんといったって、これがやりは九万円台くらいのところにとどまっておっても、一人平均二十万円くらいかかるような個所が随所にある。これを九万円くらいに限ってやったからといっても焼け石に水のようなものです。今のような農山漁村電気導入促進法、これだけによって、この格差の是正が、北海道の場合は農林省の方では完全にやれるという確信がおありなのかどうか。ないとするならば、このほかにどういう方法を考えてやられるのか、事務当局の御答弁をいただきたいと思います。
  82. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ただいまの御質問の中には、電気導入を北海道においては特に進めていく必要があるのじゃないかという御質問と同時に、あわせて全般的な僻地の対策をどうするかという御質問だったと思います。  前の電気導入につきましては、御指摘通り、全体の未点灯戸数の中で、北海道の占める率というものは非常に高いのでございます。先ほど午前中に、三十七年度から三十九年度までの間におきまして、今後十年計画の対象といたしております戸数を約三万五千戸と申し上げたのでございますが、この三万五千戸の中で、一応道の方から上がってきております対象の戸数は、一万五千戸でございますから、約半分くらいは北海道で占めておるということでございます。御質問の中の数字と若干違います点は、今申し上げました三万五千戸の僻地電気導入計画の対象外に、あるいは開拓地であるとか、あるいは北海道の離島だとかというような夫点灯部落もありますので、それらを含めますと、二万数千戸に北海道はなろうかと思います。しかし、一応電気導入事業の中で取り上げております三万五千戸の中では、北海道は約一万五千戸を占めておるわけでございます。  そこで午前中にも申し上げましたが、当然各地区に電力会社がございますから、その電力会社が公益性に基づいて配電線を張るというのが、本来の姿であろうと思うのでございます。しかし、そうはいっても、農村におきまする距離の関係、あるいは負担関係あるいは電力会社自身の非常な負担関係とかいうことで、いつまでも僻地においては受電の恩恵にあずかれないということもいかがかという観点から、農林省では農山漁村の電気導入施設についても助成しておるわけでございます。特に北海道におきましては、午前中に申し上げましたように、一般には電力会社が当然施設を国が助成したものについては、一般受電の方式でやっておるのでございますけれども、北海道については、それではなかなか事業が伸展しないという見地で、共同受電の方式でやる場合におきましても、特別に助成の対象にする。つまり先生のお話しになった第四方式を特別に認めて、今後とも推進していきたい、こういう考え方でおるわけでございます。電気につきましては、最近非常に大蔵当局も認識が深まりまして、本年のごときは、大体各府県、道から需用のあった戸数そのままを予算としては計上し、また大蔵当局もその通りの趣旨を了承しておるわけでございます。  それから一戸当たり九万円という事業費につきましては、それ以上にかかるところがあるではないか。確かにこの点も、御指摘のような個所が北海道にあることも承知いたしております。しかしわれわれの今までの大体やって参りました結果から見ますと、例年積算の単価を実情に合わせるように引き上げて参ったのでございまして、去年は単価が二万二千円であったのを、ことしは二万二千五百円に引き上げるといったように、単価の改定もいたしておるわけでございます。全体としまして、今では平均事業費としてはまだ二戸当たり九万円未満のところになるのではなかろうか。例外的には、もちろんそれ以上になるところもあるわけでございます。しかし、全体としては九万円の中に入る地区がまだ相当ありますので、北海道におきましても、そういうところをまず重点的に拡充して参りたい。それから町村によりましては、ある程度負担をしておるということになったような地方もあるわけでございます。この点午前中、事業の主体は、農協のほかに市町村があるということを申し上げましたが、あれは間違いでございまして、農協だけになっております。それから先生のお言葉の中に、補助率が三分の一となっておりますが、これは二分の一の助成でございます。そういうことでだんだん実情に合うような形で、また要望に合うような形で事業を伸ばしておりますので、現在のところは、一応予定通りに進捗いたしておるし、またそういうつもりで今後とも処して参りたい、かように考えて一おります。
  83. 島本虎三

    島本分科員 いつでも私の方では、皆さんの答弁を聞いていると、ほんとうにそれで安心するような気がするわけなんです。それでその通りやってもらったらけっこうなんですが、私の方でやはり具体的な例をあげて、この問題に対してはどうなんだという以外には、解決の方法がないのじゃないかと思う点があるわけです。と申しますのは、同じ農村の問題でも、無灯火部落解消の問題は主管が農林省であっても、その事務が通産省であったり、自治省であったり、いろいろそれに対する法律のあれが違っているものですから、やはり中心になってやってもらわなければならないのは農林省です。ただこういうふうな無灯火部落に対して、電力会社の電力行政、こういうふうなものを見たら、今言った通りに、これは公益事業でありながら、地域独立採算を旨とした卒業に陥っているわけです。従って損をするおそれがあるようなものは手をつけないでしょう。これをこのままにして事業を育てていっても、公益性を持ったこの電力会社そのものは、無灯火部落の解消に何ら益するところがないという結果になって、はたしてこれでいいのかどうか、ここをもっともっと考えて、大きく政治的な手を打たなければならない、私どももそう思っているのです。ことに、あなたの方で言うならば、具体的な例をあげてもよろしゅうございます。北海道の積丹半輪、あの岩宇地帯の中に、アイヌ語で神恵内という村があります。この村へは陸の交通はできません。船で参ります。道路がないのです。船で行くと珊内という部落があって、八十六戸の戸数がある。もちろん郵便局もある、小学校もあるのです。他の官庁の下部組織、末端組織もそこには駐在しておるわけです。漁業協同組合やそういうふうなものはもちろんあるのです。それでありながら、依然として電灯がないのです。電灯がないけれども電話が通じているのです。電話も電灯も、同じ電柱を立てて線を引けば通るのです。電柱があれば、配電会社の方で電柱を借りて、線を引いて協定を結べば、それでいけるはずなんですが、電話が何年か前にありながら、電灯はいまだにない。それから若干離れたところに川白という五十五、六戸の戸数の部落がある。そこも学校があれども何があれども、依然として電灯がなくて、電話だけが通じている。その先に引くと、能津登という部落があって、これは十二戸の戸数。もう少し行くとオブカル石という部落があって、これは十二戸。こういうふうに五戸以上、十戸以上の部落が点々とあって、全部電灯がついていませんよ。ちゃんと線を引いて電話はいっている。そうしていざという場合、急病人なんかの場合は――病院なんかの分院もあるのです。いざという場合は病院の分院が用立ててやっているのです。ところが電灯はつけられないのです。こういうようなところが依然として北海道に散在しているのです。浜益の部落から千代志別という部落、これは二十戸か三十戸ある部落です。ここへ行っても依然として電灯がないのです。陸の孤島です。電話はあるのです。電話だけあって、電灯がない。これは少しおかしいじゃないですか。電電公社だから電話がつくのだ、一方は公益性を持っていても配電会社だから、これは独立採算であって損するところはつけないのだ、こういうようなものをそのままにしておいて、前世紀的な農山漁村電気導入促進法などという法律によって、第四順位によって、全部施設しておいて、線路をつけば電力を売ってくれる、あとの保守や運営は農村、漁村だけでやる、こういうようなものが九万円で落ちつくというようなところは、北海道では一つもありませんよ。これは全部十五万円から二十万円かかっておる。現在の制度はそのままにして政治的な手を打たないならば、これはやはりかかっただけの経費の二分の一でもちゃんと補助してあげます、または九万円なんと言わないで、十五万円にするなり二十万円まであげます、こういうふうにしておかないと、これは仏を作っても魂を入れないような結果にしかなりません。いかに無電灯部落を解消すると言っても、現制度をそのままにしておいて、これは幾らでもやりますと言ったって、それはほんの五戸か十戸ばかりの安くつくところはいいでしょう。そのほかのところは依然として残る。強力な政治的な手を打つか、そうでなければ皆さんの手でできる、補助率というのですか、事業費の補助限度を引き上げる、こういうような画期的な手を打つ以外に無灯火部落の解消の方法はない、こういうふうに私は思っておるのです。まして大臣説明の中では、所要経費二億三千九百万円を計上して、これによって五カ年計画の第三年度にわたってやって、あと二年度でやってしまいます、これがおそらくほんとうだとすると、国民を瞞着することじゃないか、こういうように思うのです。今言ったことに誤まりあるならばはっきりここで指摘してもらいたいし、そうでなければどのような決意を持ってやるのか、無灯火部落解消のために農林省としてのはっきりした態度をここにお示し願いたいと思います。
  84. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 だんだんといろいろ御意見がございましたのですが、配電会社と電話、電灯の共同利用の電柱を、こうしたらどうかというような御意見でございました。これは私が答弁するというよりも、通産省なり関係の省の問題でございますので、十分そういうことについても連絡をとって遺憾のないように努力いたしたいと思いますが、私の方で担当いたしております、電気の導入についての今後の見通しなり、考え方はどうかという点について、若干補足して申し上げたいと思います。  三十七年度の八千九百戸を一応計画の対象にいたしましたが、それはさきに申し上げましたように、各県の昨年度における実績をそのまま単価といたしまして、また各都道府県の受け入れ準備の整った個所全部を計上いたしまして予算要求をしたものでございます。従って現状におきましては、一応各府県の調査資料をそのまま信頼した上で、要求数も要求額も計上いたしたのでございますので、私は三十七年度につきましては、これで大体いけるのではなかろうかと考えておるわけでございます。  今後の問題につきまして、しからば九万円以上かかるものに対してはどうなるのであるか、こういう御質問であろうと思います。北海道におきましても、現在までの平均的な事業費で見ますと、大体今の額の前後で私は入っていくのではなかろうかと思いますけれども、しかし確かに十五万円かかり十二万円かかるというところもあるわけでございます。従って、そういう地域について、今後九万円というワクを設けたのではできないかという点でございますが、この点につきましては、一般論としては、まだまだ九万円程度でやりたいというところ、また受け入れ準備の整っているところもたくさんあるわけでございますので、まず、それを優先的に進めて参りたい。  それから第二は、今回自治省におきまして、市町村の負担に対する起債が認められたわけでございまして、先ほど先生もちょっとその点にお触れになったようでございます。現在、九万円をこえるようなものにつきましても、町村が二万円とかあるいは二万円とか負担しているようなところがあるわけでございます。現在のところは国が二分の一、県が二分の一でありますから、末端においては、一応受益者の負担はないことになっておりますけれども、今申し上げたような九万円をこえる分については、町村が負担しているという事例があるわけでございます。このような町村の負担分につきましては、今年は僻地における公共施設に対する特別の起債としまして、十億か認められておるわけでございます。従って町村の負担を若干お願いして、そして、それには起債の裏打ちをもって実行していただく、これが第二の考え方でございます。  第三といたしましては、一般論としてまだまだ九万円でできるところもあるわけでございますから、できるだけそれでやっていくようにいたしますけれども、どうしても九万円ということでは、実質問題としてこの事業の受け入れができなくなるというような事態もあろうかと思いますので、そういう事態については、三十七年度から調査もいたす考えております。従って、そういう状況をにらみ合わせながら検討いたして参りたい、かように考えておるわけであります。
  85. 島本虎三

    島本分科員 これからの計画という一応の御発表でございますから、それでがっしりやってもらわなければいけないと思います。  なお未点灯部落の解消の中で、段階がある。一段階から四段階まである。第三段階までは配電会社でやり、四段階はいわゆる組合の方でやる。この組合の方でやるところの第四段階と申しますか、四順位と申しますか、これは、全額どうしても配電会社で負えないようなところに対しては、その地域の住民が組合を作って、その中で全部敷設して、電力だけを買って、あとの施設の保守も運営も全部自分らがやる。こういうようなところはおそらく経費関係上安い線を使い、おそらく最小限度の、手を抜いた施設にしてやっておるから、消耗の度合いも相当早いのじゃないか、こういうように思っておるわけです。そういうようなところに対しては、共同自家発電と申しますか、それとも共同受電施設と申しますか、この施設ですから、全体の命数から見ると、相当現在も改修しなければならないような、命数が尽きているところも相当あるのじゃないか。現在無灯火部落に点灯を促進しながら、こういうようなところをそのままにしておくと、配電会社ならやりますけれども、この自己負担によるところに対しては、多大の負担をまた村なりあるいはこの組合なりに負わせなければならないような状態になり、これをそのままにしておくことはとうてい忍びないと思います。電気施設の改修事業に対する助成、こういうようなものはもっともっと考えて、親切に扱ってやらなければならないと思います。すでにでき上がったものの助成、これはどういうように考えて指導されておりますか。
  86. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 これは、北海道でなかなかむずかしい問題になっておると聞いておるわけでございます。内地におきましては、今後の助成の対象としては、先生のお言葉でいえば、第三までのものに限定して助成するということにしまして、つまり施設は助成してできますけれども、電力会社にすぐそれを全部引き移しまして、維持管理も電力会社でやってもらう、こういう方法をとろうとしておるわけであります。ところが内地におきましても、実は共同受電の形でやったものもありまして、それを今後一般受電に切りかえる。ところが電力会社としては、それを引き取るについては、維持補修をはっきりさした上で引き取りたいというようなこともございまして、今後一般受電以外の共同受電はやらないというような地区につきましては、電力会社と協議の上で、どうしても維持補修をした上で切りかえる、そして、その後においては一般受電にする、電力会社とこういう話のついたものにつきましては、これは助成の方法をとって参りたい。具体的には、九州だけがそういうのが残っておったわけでございますが、九州につきましては、三十七年度から修繕、補修に要する経費についても助成する、そのかわり、以後は一般電力会社でこれを引き取ってもらう、こういうことにいたしたわけでございます。私の意見といたしましては、北海道におきましても、従来共同受電でやったものが、一定の更新期に来て維持管理を要するものがあるわけでございます。その際、できれば従来維持管理をしてきたものにつきまして電力会社に引き取ってもらう、こういう条件ができるならば、そういうものについては引き取る条件としてのやむを得ざる指貫として、修繕あるいは補修等の経費に対して助成するということも考えられるのではなかろうかと実は思っておったわけでございますが、しかし、北海道の実情としては、全部をそういうことにはとうていできかねる実態であるということを聞いておりますので、どうも、趣旨といたしまして、従来通りの共同受電をやっておるものについても、次々に補修、改善するための助成をするということになりますと、その方式をいわば固定化するようなことにもなり、本来ならば、当然経過的な措置として、一般電力会社に引き継ぐべき将来の方向ではないかというふうに私は思われるのであります。しかし、北海道には、そういう特殊な事情があるということもよく承知いたしておりますので、一体現在までの、共同受電の形式をとっている組合がどのくらいあって、更新期にきておるものがどのくらいある、また維持改善すべきものがどの程度にあるものであるかということを、実はせっかく北海道庁を通じまして、現在調査を進めておるところでございます。その結果によりまして、慎重にどうすべきかを検討して参りたい、かように考えております。
  87. 島本虎三

    島本分科員 全くあなたはひどい人で、九州まで全部それをやってしまって、北海道だけ残しておいて、いまだにそんなことを考えるなんていうのは、ほんとうに血も涙も北海道に対してはない人です。そういうようなことではほんとうに因るのです。北海道だってりっぱな開発国ですから、遠慮しないで、皆さんのあたたかい行政の手を差し伸べてもらわぬと困る。そういうような考えをまず第一番にあなたからなくしてもらいたい。今後の重点は北海道ですから……。いいですか。
  88. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ただいまの私の趣旨、あるいは違って御理解願ったかと思いますが、私の申し上げたのは、九州方式が北海道でも一日も早くできれば、同じような方式がすぐでもとれるのではなかろうか、しかし北海道では九州方式はとりにくい、こういう特殊の事情にあることを聞いておりますので、その特殊の事情について、今、北海道の道庁を通じていろいろ調査をいたしており、一日も早く九州と同じような方式がとれることを望んでやまないものでございます。
  89. 島本虎三

    島本分科員 実際、北海道庁へ聞かなくても、資料ははっきりできていますから、早くこれをやってほしい。北海道の農村の自家発電組合は二百六十一組合、戸数にしてみて一万六千九百九十九戸、開拓地や不便な土地、こういうようなところにあります。そして皆さんの方から補助してもらって、一戸当たり十五万円から二十万円の自己負担でも電灯をつけたい、もう何としてでもやりたい、こういうようなところですから、これから資料を聞くなんて――もう何年も前からでき上がっていますから、一つうんとがんばってやってもらいたい。  それともう一つは、今度、やはり未点灯部落の解消及び共同自家発電、こういうようなものを順次整理していかなければならない、こういうようなことだとすると、おそらくは、今までやっていたそれを、一挙に配電会社の方に引き取らせるような予算措置も、当然皆さんの方で考えていいのじゃなかろうか、その総費用は百三十億ほどかかるそうです。この百二十億の費用を独立採算にすると、北海道だけに電気料金を二割五分から三割までまた上げなければならない。それでなくても地域的な格差があって、所得の格差も低いところにこういうことをしたならば、一そう格差がひどくなるからやるべきでない。これはどうしても皆さんの政治的な力によって、配電会社に何とか方法を講じて、こういうような未灯火部落を解消するような方法を講ずることが一番なんです。こういうようなことをやらないで、会社の独立採算制だけにゆだねておっても、これは百年河清を待つにすぎないような態度じゃなかろうかと思う。この点も、一つ勇断を持ってやらざるを得ないのじゃないか。これは独立採算にまかしておいたら、二割五分から三割値上げしないと間に合いませんから、こういうことをやらしては、まさにとんでもないことである。これは皆さんの方で十分考えてやって――方法だってあると思うのです。特に融資を皆さんの手によって、何か国家機関の方から配電会社の方にやってやってくれればいいでしょう。高くしないでもやる方法もあるから、こういうふうにして、着々と、北海道の方に、雪解けに際してあたたかい手を皆さんの方から差し伸べてやってもらわなければならないと思う。方法は、考えれば何ぼでもありますから、この点を十分考えてやってもらいたい、こういうように思うわけです。  そういうようなこととあわして、この自家受電にしても、一人々々の負担が、おそらく北海道の場合は、本州の都道府県下にあるところの各側々より相当程度高くなる、これも個人の負担になってしまいます。こういうようなものに対しては、もっともっと見てやらぬといけないのじゃないか。  こういうような手と、それからもう一つは、みんな金を借りてやっておりますから、この償還の延期の点なんかももっと考えていったならば、おそらく仏を作って魂を入れる結果にもなり、あたたかい皆さんの気持も農民に伝わるのじゃないかと思うのです。こういうような点について、いかがなものでしょうか。
  90. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 現在の助成の計画といたしましては、農民の負担は三万円までで、三万円をこえるものについて、国が二分の一、県が二分の一でございますから、結局最終の受益者は三万円だけを負担するということになるわけでございます。それも負担できないということになりますと、いろいろ問題は複雑になりますけれども、大体従来の農家の負担割合、特に電気料金の負担割合等を考えまして、三万円までは大体負担願えるのではないか、こういう建前をとっておるわけでございます。三万円につきまして、なお自分の負担分について所要資金が必要であるということでありますならば、これは農林漁業金融公庫から、十五年償還の融資をするという道も開かれておりますので、今のこの仕組みでいきますならば、農民の負担としては、三万円くらいが一応現在のところはそう大きな負担ではない、またこれに対する所要額についても、公庫等から融資の道を開いて、融資して参りたいということで大体いけるのではないか、かように考えております。
  91. 島本虎三

    島本分科員 これはやはり一つの政府機関ですから、一つ皆さんの方で十分考えて、この方法を急いでもらいたいことがあるのです。おそらく、局長は未灯火部落に行って、一晩泊まったことがおありだろうと思いますが、向こうに行って泊まってみてびっくりすることが一つあります。というのは、そこの小学校に行ってみると、電灯がないものですから、その部落だけで使っている教材を見ますと、おそらく皆さんは、まだこういう教材を使っておるのかといってびっくりされる。丘陵地の一漁村で、陸からはいけないし、船で通っている積丹半島の岩宇地帯の一番突端の方のオブカル石、能津登部落、ここの中にある小学校に行くと、教材に馬がある。猫や犬はみんな飼っているから知っているが、馬というものがいないので、これが馬というものだ、それからこれが消防自動車ですと、学校の先生が教えている。それから汽車、それは現在の特急のような汽車じゃなく、義経、弁慶号のように煙をはいて走っているあの汽車を、これは汽車というものだと教えている。もちろんテレビはないし、電灯はありませんから、ラジオも聞けない。こういう小学校の子供たちは、そういうところで教わっておるのが実情なんです。こういうところに行ってみたならば、まさに農家である以上、これを保護助成し、りっぱな生活をさせてやるような一つの監督指導機関は農林省でございますから、この点はもっともっと考えてやらないといけないということを率直に考えるでしょう。十一戸、十二戸、こういうようなところに行くと、川の水を飲んでいるところがいまだにある。これは十分気をつけないといけないと思う。未点灯部落は単に電灯をつけるだけじゃなくて、文化的ないろいろな施設をそこに施してやる、電灯によって持ってこられるような文化施設があるということなんです。教育もその中に入っている重大な問題の一つなんです。そこを考えてやって、もっともっとこれに対して真剣になってやってもらわないといけないし、あなたも一回、あの離れた孤島ではございますけれもど、この北海道の未点灯部落に行って一晩泊まってもらいたい。そうしたならば、その実態はよくわかるし、一年でも放置しておくことはできないというふうに身をもって感ずるだろうと思います。そういうふうにしてやってもらわないといけないし、それは教育の面にもいろいろ影響してきているということを、皆さんよく知っておいて下さい。教育なんかの問題はゆるがせにできないですよ。ちょっと脱線だけれども、そういうようなところと、こっちのようなテレビ、ラジオ、FM放送まで受けて勉強しているところと、一緒にできません。こういうような状態なんです。これも同じ国民なんです。そういうことはもっともっと皆さんは真剣に急いで考えてやって下さい。三カ年計画なんておそいから、繰り上げて来年から二年くらいで全部やる、現在の受電施設だけやれば百三十億くらいでいいというのですから……。あなたが大臣でないから残念だけれども、将来大臣になるでしょうから、あなたは、そう思ってこの問題に対してすぐ手をつけて下さい。そうしないと、これはとんで毛ないことになるのです。おそらくそういうような意思がおありであると思うのですけれども、そういうような点も十分考えておいてやってもらわないと困ります。  そういうようなことと、受電施設の点でもっと問題になるのは、第一順位から第三順位まであるという配電会社のいろいろな電力行政について、私は今までるるとして申し述べました。この電力行政のあり方は、一方の電電公社の場合と、無灯火部落の皆さんの場合に、これをやって未点灯部落を解消する、この行き方を見ますと、相当隔たったような行き方が見えます。北海道の方だからといって、とこに農山漁村電気導入促進法というような前世紀的なものをやって、受電施設をやってこれでいいのだという考え方がある。しかしながら同じ弱電気を使うところの電話の点になってきますと、どういう計画でやっておるか、これは念のために参考に聞いておいて下さい。向こうでは電話のつくところは加入区域、それ以外のところは特別加入区域、それ以外のところは電話はつけない。つかないけれども、農民はいるのでしょう。農民がいる以上黙っておくわけにいかないし、台風がくるかもしれないし、病人が出るおそれもあるから、そういうふうな場合に有線放送電話というようなものをこれ作ってやっているのです。この有線放送電話を電電公社の持っている線につないで市内通話までできるように、もう第一年度の三十六年度で第一回の試験が終わり、三十七年度で二回目の試験が終わり、加入区域、特別加入区域、それから有線放送地域、これも今の電電公社の線につないでまでもやるように、もうすでに試験実施二年目ですよ。どうして農林省の方だけ未点灯部落をそのままにして、前世紀的な導入促進法なんかによって、まだまだやっていなければならないような、政治的なおくれをそのままにしておかなければならないのか、これはおそらく政治の貧困じゃないですか。これは大臣に聞くべきだと思うのですが、あなたは将来大臣になる人だから言っておくのだが、これはやはり政治の貧困じゃないですか、行政の貧困じゃないですか。ちゃんとそっちの方ではやっているのです。こういうような点は一等困る。それだけではないのです。今度は雑音の入らないFM放送、あの七十から八十メガサイクル、これを超短波でやる、こういうようなものまでやって、農村の、聞こえるところまでの何かの学術的な用に供したいということを考えて、これも研究中です。一番おくれているのは農林省じゃないですか。まだ未点灯部落なんかそのままにしておいて、いつになったら全部解消できるのか。三十九年度はどこまでだ、内地の都道府県だけだ、北海道なんかいつの日にできるのかまだわからぬでしょう。これではほんとうに困る。あなたの重大なる決意を聞きたいのだけれども、どんなものでしょうか。
  92. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 いろいろ有意義な御意見なり御激励をいただきまして、謹聴しておった次第でございます。未点灯部落の問題は、実は農林省といたしましても、いわば農業政策以前の問題でもあるわけでございますが、先般農林省と農山漁村電気協議会で未点灯地帯におきます小学生の作文を募集いたしまして、その結果まことに頭の下がる実情を、その作文を通じて拝読いたしたわけであります。そういうわけでございますので、農林省としては農業政策の、いわばその前の問題であろうという感じもいたすわけでございますが、今お話のありましたような実情にあることは十分承知いたしておりますので、今後とも二カ年、三十九年度までには、北海道も含めてぜひとも早急に未点灯部落の解消に努力いたしたい、かように考えるのでございます。
  93. 島本虎三

    島本分科員 これはただ解消に努力するとばかり言っていても、よくいってみたら二億三千万円ほどの予算しかつけなくては、これではとうていだめですから、予算額についても画期的な決意をしなければできないと思うのです。これだったら本州だけでも全部解消できないだろうと思うのです。この予算的な裏づけを完全にしなければならない。現にある施設をもっといいものにするためには、百数十億もかけてこの施設の転換をはかる、そしてないところに対しては、何かはっきり配電会社に対しては、何かはっきり配電会社に対して強行命令でも出すか、どうしても独立採算によってしかやれないような地域に対しては、特にその財政的援助をはかるかまたは融資の点なんかで相談に乗ってやればいいでしょう。こういうふうにして、はっきりした計画を作ってやるのでなければできないし、今まであなたの方で、十分これをやっていないという怠慢のそしりを免れない、こういうふうに思う。そうでないと、もうすぐ内地の都道府県と一緒にこれはできておるはずなんです。いずれにしろ向こうの方では一万九千戸ほどのところがまだ残っている、こういうような状態なんですから、この際清水の舞台から飛びおりるようなつもりで、予算措置等についても十分考慮しなければいけないと思います。教育上に及ぼす影響なんかも今言った通りですから、一つそれを含んで大いにがんばってもらいたいと思います。それと同時に、今度は電力会社への敷設移管の促進、これはうんとやってもらわなければいけませんし、これに伴うところの費用、こういうようなものに対しましても助成措置は完全に講じなければならないと思います。おそらくそういうようなものも、この計画の中に入れても入れなくても当然考えていかなければならないと思います。そういう点に対しては十分考えておられますか。
  94. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 先ほど九州の例で申し上げたのでございますが、北海道についても、九州と同じように、いち早く電力会社が施設を引き受ける、こういう体制を地元で進めていただきたい。農林省も通産省も相談いたしまして、できるだけそういう方向でやってもらうように電力会社に努力してもらう、そういうことができますならば、農林省としましても、今お話になりました額はどのくらいになりますか、要するに電力会社が引き受け等に伴って従来の施設を修理するというようなことであれば、これに対する助成の道も検討しやすいというふうに思われるわけでございます。しかし現実におきましては、なかなか電力会社が引き受けるというところまでに至っていないというのが、どうも北海道の実情であるようでございまして、われわれとしましては、一日も早く、そういうことができるように、地元における御協力、それから農林省は通産省にそういう意見を申し出ておるわけでございます。電力会社に対する直接の監督官庁は通産省でございまして、われわれは農民がそういうことをやる場合における負担について、助成をするという間接的なこと以外には、直接は手が及ばないわけでございます。今後とも、今お話になりましたような点については、通産省ともよく協議いたしまして、電力会社にできるだけ協力してもらう、また北海道は相当地域も広い関係があって、電力会社自身も財政上苦しい点もあるのかもわかりませんが、あるいは内地の各電力会社等におきましては、相当サービスといいますか、負担をしてでも引き受けるというような事例もあるわけでございます。今後ともそういうことで努力して参りたいと思っております。
  95. 島本虎三

    島本分科員 そうすると、電力会社が了解しない以上、北海道の未点灯部落は解消できない結論だ、お前、あきらめろ、こういうようなことですか。
  96. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 やはり今後の行き方につきましては、会社が施設を引き取って、そうして維持管理を見るというのが本来の建前だと私は思います。ただ現実にそれができないということで、第四方式みたいな形で今行なわれておるわけであります。従って私は、第一の考えとしましては、できるだけ電力会社に引き継いでもらうような方向で考えて参りたい、しかしどうしても現実問題として、なかなかそう参らない実態が北海道についてはあるということでありますならば、先ほど来申し上げましたように、道庁を通じていろいろ調査をいたしておりますので、その結果によりまして慎重に検討いたして参りたい、かように考えております。
  97. 島本虎三

    島本分科員 道庁の方では、前からこの問題に対してのはっきりした計画とデータを持っておられると思います。よく調べて、それと一緒になって、一日も早くこういうような非文化的な部落を残さないようにするために、努力してもらいたい。それと同時に、これはどうも困るのです。同じ無灯火部落という一つの農村を構成しておるその行政が、ある場合においては通産省であったり、ある場合には自治省、ある場合にはおたくの方の農林省であったり、こういうようにいろいろなっておるものですから困る。これは窓口はそれぞれ三本であってはいけないから、やはりこれは担当するのは直接農林省ということで、そこにからだを張ってでもやるのでなければ、こういうような大きな問題は解決できないと思う。おそらく通産大臣だって、それはいろいろ言うでしょう。言つたってもそれは一年たち二年たったならば、はたして実施されたかどうか。これはやはり農民のことですから、直接皆さんの方の行政となって、上がったか下がったかによってすぐ現われてくるわけですから、直接それを受けるのは、また勧告指導しなければならないのは、これは農林省だ、こういうようなことになった場合には、もっと一生懸命になってやってもらわなければいけない。ことに農林大臣の場合なんかだったら、これは通産大臣も、ともに実力者の双壁ですから、こういうようなことで、今やらないとだめですから、こういうようなのは一生懸命やらせるべきだと思う。これは独立採算が合わなくとも――北海道の電力行政だから合わないのかもしれない、ほかのものなら合うかもしれない。それぞれの独立採算でやっているから、そういうような一つの経営内容というのも見ておかないといけない。そうでないと、そのままにして、配電会社の意向の通りにということになったならば、いつの日にこれが解消できるかわかりませんから、そういうようなことを十分考えて調整するように持っていくのが、一つの農政じゃなかろうかと思っております。そのためには、金がどうしてもかかるところには、何か自治省と一緒に相談して、交付税か特別交付税の関係を見るとか、またはいろいろとそのほかに、電力会社で金をとらないようにしてやらせるためには、金の点を、融資の点でめんどうを見るとか、こういうふうな点があるはずなんだ。それを独立採算制にまかしておくからできないのだったら、九電力を一本にしたならばいいでしょう、それはもう北海道のようなところがあるから、なかなか一本にしない。一本にしたならば、なかなかりっぱな行政ができますよ。これは大臣でないあなたの方に、一本にしたらと言ってもしようがないでしょうが、こういうようなところも考えておかなければならないような重大な段階に逢着しておりますし、ことに電話、電灯なんて同じように考えておられるところが、北海道に行くと、ずっと差があるという実情から、配電会社に対する格段の鞭撻と指導を、皆さんの方を通じて通産省でやるようにしてもらわないといけない、これをはっきりやって下さい。この点、約束できますか。
  98. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 従来にも増して努力したいと思います。
  99. 赤澤正道

    赤澤主査 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  100. 赤澤正道

    赤澤主査 速記を始めて下さい。
  101. 島本虎三

    島本分科員 では今までのことを総括して、大臣に、一言にして決意を伺うことにいたします。午前中から引き続いていろいろやっておりました無点灯部落の解消の問題ですが、農林省もこれに対して意を用いて予算措置を講じ、それぞれ計画を立ててやっておられるようです。その内容等について十分わかりましたが、依然としてそれを進めても、北海道約二万戸の戸数だけはそれに該当しないで残るような傾向がはっきりいたしました。この際私どもの方としては、同じ電力、弱電を使ってやる電電公社の組織がぐっと伸びており、同じ経常であっても、私企業である配電会社の場合には、当然つけるところもつけ得ないで、全面的に農民の負担にしても、まだできないで残っておるようなのが現状です。そういうような状態を解消するのでなければ、これは所得の格差の是正にもならないし、いかに高度経済成長政策発展していっても、地域の格差、所得の格差が、依然として残されるというような結果になり、この解消はやはり大臣によって、重大な決意を持って今後やってもらわなければならない問題であろうと思います。そういうような問題等からいたしまして、これは大臣の管轄外ではございますが、大臣の場合、窓口として、通産大臣と十分にこの問題については話し合いを持つようにされまして、そしてこの無点灯部落の解消について――独立採算制を建前にしている現在の電力行政のもとでは、これは九分割をされておる、北海道の場合では、とうてい日の目も見ないような状態に放置されてある個所が多うございますから、そういうような場合には、あくまでも、これは補助によるか、または融資をあっせんしてやるか、またはいろいろなことをして――これも採算のベースに乗せますと、二割五分から三割まで料金を上げなければできないということになり、このままでは道民の生活が相当困ってしまうということで、これはできません。従って独立採算を志向する以上、ここには損するような場合でも、公益性ある場合には、これをどんどんやってくれるようにやらせるように、それがやはり電力会社の一つの公益性ではなかろうかと思いますので、この際、おそらく重大な決意をもってやるのでなければ、とうてい無点灯部落の解消ということになりませんので、政治的にこの際、大臣の方では十分ここを考えて、電力会社等については十分この点を浸透さして、若干の犠牲を払ってでもこれをやらせるように指導し、農民生活の向上をこの際はかってもらいたい、こういうようなのが一つでございます。  それと将来はやはり一本にするためには、今までへんぱ的に行なっておった農業協同組合または漁業協同組合、こういうようなのが主にしてやっておった受電組合という組合がございますが、こういうような組合を配電会社等に全部統一させてめんどうを見させなければなりませんが、そのためには百数十億の予算が必要のもののようでございます。こういうような点も考えて、十分農民の生活を明るくするためには、将来この点も考えておかなければならないと思います。予算上の措置の問題等もございますが、こういうような点を考えることと同時に、事業費に対しで現在九万円までで打ち切りされておりますが、この補助限度を十二万円から十五万円ほどまで当然上げて差しつかえないものであり、九万円くらいではまだまだ焼け石に水のような状態でございますので、この点も十分考えて将来措置してもらいたい、こういうようなことでございます。この点について大臣の決意を伺いたいと思います。
  102. 河野一郎

    河野国務大臣 午前中から熱心に無電灯地帯の解消のためにいろいろ調査の結果を御審議いただきまして、お話のように通産省所管と考えられる点もないではございませんけれども、私といたしましても、事農村の生活に関する問題でございますから、通産大臣ともよく話し合いまして、事情等につきましてもよく調査をいたしまして、できるだけ御期待に沿うように善処いたしたいと思います。
  103. 島本虎三

    島本分科員 では、これで未点灯部落の問題は全部終わりまして、あと一、二点、この際ですから大臣に質問しておきたいと思います。  大臣はいろいろと水産の方の権威でございまして、その方面につきましてはいろいろと研究もされており、われわれとしては教えもちょうだいしてもいいような状態も多々あるのでございますが、私どもの方で現在までいろいろ調査し、なお、あわせて将来ともにこの点は大事じゃないかというふうに思っている問題に、沿岸漁業の振興という問題があるわけでございます。かつては、すでに私どももそうではございましたが、沿岸から沖合い、沖合いから遠洋、こういうふうにしていろいろと住民を指導し、こういうような行き方によって沿岸の一つの立ち直りということを考えて参ったのでございます。しかし、最近はそのような状態を進めるということについていろいろ障害が生じて参りました。ことに沿岸漁業自体の豊度を高めるということが現在一番必要になっており、沿岸漁業家から、特に沿岸漁業の生産性を向上してもらい、所得の向上をはかってもらい、あわせて近代化を積極的に進めるような方策を講じてもらいたい、こういうような声が高いのでございますが、この沿岸漁業の振興ということにつきまして大臣の考えを承りたいと思います。
  104. 河野一郎

    河野国務大臣 何分御承知通り沿岸漁業は、だんだん漁業方法の改善もしくは漁獲方法等の進歩によりまして、非常に魚族が減少いたしておりますところに根本がある。あえて申しますならば、従来、例は悪いかもしれませんけれども、略奪農業にひとしいような形式で沿岸の魚族を荒らしておりますから、順次これが窮迫、窮乏に陥りつつあることは事実ではなかろうかと思うのでございます。従って、沿岸からだんだん遠洋へというようなことも言われたこともあるのでございますけれども、そうは申しましても、なかなかそういきかねる場合もございますので、私といたしましては、特にこの際沿岸に漁礁等なるべく大規模なものを増置いたしまして、そうして一方にはトロール漁業等の障害にもなり、一方には魚族もしくは海草等の繁殖によって、魚族自身の繁殖に資する。さらにまた孵化事業等をなるべくよく研究勉強して参りまして、そして明年度は、さしあたり瀬戸内に数カ所その試験研究所もしくはその瞬化装置を作ることにいたしております。もしこれが所期の目的を達成することができれば、全国に順次そういうふうなものを増設して参るということで、問題は沿岸の魚族をふやすということが根本ではなかろうかと思いますので、基本的にその方に力を入れてこれからいってみようと考えております。
  105. 島本虎三

    島本分科員 そういうようなお考えはよくわかりましたが、やはり漁場の豊度を高めていくという考え方からして、当然沿岸の増殖事業を、重視していったり、または養殖を促進していったり、またはその方法としては個々では資金の問題等もありますから、これは協同化していくという三本の柱も当然必要なんじゃないか、こういうように思うわけなんです。こういうようなことからして、とる漁業から育てる漁業にしていくということが、沿岸に対しては一番大事で、その一つとして漁礁の問題もある、こういうようにも思うわけなんでございます。しかしながら、そういうような意向はわかりましたが、これをはっきり沿岸漁民の生活を安定させ向上させるために、一つの基本法のようなものでも立てて、これによって将来の安定もはかるべきじゃないかと思うのです。こういうような点に対しての大臣のお考えはいかがでございますか。
  106. 河野一郎

    河野国務大臣 そういう御要望も一部にございますが、できればこの国会に漁業法の改正を提案いたしまして、三本のうちでそれに近いものをまずやりたい、こう考えております。
  107. 島本虎三

    島本分科員 これが最後だと思いますが、その漁業法の一部改正の法案を出したい、こういうような御意向のようでありますので、一点だけ伺っておきたいのですが、これは指定漁業のうちに入る問題でございますが、北洋の独航船の問題、母船の問題、こういうような問題の考え方もいろいろあろうかとも思います。これは今までいろいろと戦前からの問題もあり、いろいろな影響もあり、あわせてそういうような継続等によりまして、独航船、母船の関係というものがなかなか緊密になってきていることは御承知通りなんですが、しかしながら、昔のようなカニ工船的なこういうような制度の復活をすることに対しては、今後われわれは十分戒めていかなければならないのじゃないか、こうも考えられるところでございます。そういうようなことからして、この許可につきましては、これは指定漁業の許可ということになりましょうが、大臣の指定漁業の許可についての考え方というものも大事な要点を占めるのじゃないかと思うのです。あくまでもこれは独航船側、母船側別々にしておいて、相互の関係だけはちゃんとつけて承認をしてやるというふうにして、今までの制度を一そう強くして指導する方がいいんじゃないか、こういうふうにも考えられるわけなんですが、この指定漁業について大臣のお考えはいかがですか。
  108. 河野一郎

    河野国務大臣 カニ工船の例をおとりになりましたが、現在の母船と独航船の関係が全然そういう時代のものでないことは、御承知通りでございます。私は、実情を無視して行政はあり得ない、どこまでも実情に基盤を置いて、そして、それを円滑にすべてがいくようにすべきであり、安定性を考慮しつつやっていくべきだと考えております。従って、決して認可の場合におきましても、指定を母船だけ考慮して、独航船を無視するというようなことを考えておりません。むろん、独航船には独航船の立場があり、金融その他の関係についてもいろいろ複雑な問題もございますから、これらの点を十分しんしゃく考慮いたしまして、そして両者の円満に発展するように考えていきたい、かように考えます。
  109. 島本虎三

    島本分科員 終わります。
  110. 赤澤正道

    赤澤主査 芳賀貴君。
  111. 芳賀貢

    芳賀分科員 大臣に畜産問題と甘味資源対策について主としてお尋ねしますが、先週衆議院の農林委員会の視察と前後して農林大臣も芝浦の屠場の視察をされたわけですが、お尋ねしたい点は、あの屠場の視察をされて、現在当面しておる食肉の需給対策あるいは価格安定対策等についてどのようなお考えを持ち、また今後どのような施策を進めていこうとお考えになったか、その点についてまずお尋ねします。   〔赤澤主査退席、倉成主査代理着   席〕
  112. 河野一郎

    河野国務大臣 農林委員の皆さんも一緒に御視察いただきましたので、よく皆さんの御意見も伺った上で、あのままでは何としても非常に迷惑いたすのは生産者であり、消費者であるということは、もう論を待たないのでありますから、一つ十分皆さんの御意見を伺った上で結論を得て実行いたしたいと考えております。
  113. 芳賀貢

    芳賀分科員 主としてどんなような方向で進むお考えですか。
  114. 河野一郎

    河野国務大臣 今申し上げるように、皆さんの御意見を承って考えてみます。
  115. 芳賀貢

    芳賀分科員 たとえば昨年の臨時国会で成立した畜産物価格安定法に基づき、指定食肉あるいは乳製品や原料乳の運営等についても、特に食肉については、先般畜産物価格安定審議会において政府の諮問にこたえて、食肉の安定基準価格なるものについて二木立の答申を行なったことは大臣も御承知通りでありますが、この価格安定法の運営から言いますと、食肉の基準価格並びに上位価格については、主として中央卸売市場における技肉の取引価格というものが中心になって価格が設定される今日の流通上の機構であることは御存じの通りであります。これらの価格が設定される中心をなすものは、芝浦屠場における豚肉あるいは牛肉等の毎日々々の取引の相場というものが中心をなしておるわけでありまして、一番大事な価格構成上の卸売価格というものが、あのような芝浦屠場の不自然な取引状態の中で行なわれるということについては、これは多分なる疑点を持たざるを得ないわけでありますが、こういう点については、一体今後安定法の運営上どのような処理をされようとしておるか。
  116. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘通りでございますから、さしあたりましては、芝浦は中央卸売市場の適用を受けておりませんから、芝浦は指定いたさない。そしてすみやかに芝浦屠場に対して、中央卸売市場としての一切の制度を完備するようにということを強く要請いたしております。
  117. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは条件の具備するまでの間は、芝浦屠場については現在のごとき取引の実情というものを認めない、そういうお考えですね。
  118. 河野一郎

    河野国務大臣 さようでございます。
  119. 芳賀貢

    芳賀分科員 先般われわれが調査に参ったとき、芝浦屠場から配付された資料によるわけでありますが、この中で枝肉の取引状態についての説明が行なわれているわけであります。特に取引の実情については、牛肉あるいは豚肉の取引をする取引方法としては、値をきめるには売買当事者の相対で行なわれ、牛の場合はそでの下で指を握って値段をきめ、豚は発声で値をきめる。こういうことが東京都が経営しておる屠場の資料として出されておりまして、われわれが現場を見ても、やはりそでの下の取引、あるいは豚肉については発声によってきめるということでありますが、この発声なるものは、たとえば築地の中央卸売市場等においてせり場においてせり人が発声してきめるというやり方ではなくして、その屠場を利用している卸売人並びに仲買人の主たる四、五人の代表が毎朝集まって、前日の取引の数量あるいは取引価格の実情等を基礎にして、きょうはどのくらいの建値にするということを談合できめて、それを朝、豚の枝肉については一応発表するというやり方が、発声方法による取引ということになっておるのです。これは現在屠場ですからして、農林大臣の所管のもとに置かれるわけではないと思いますが、とにかく屠場において食肉の実際取引を認めておるということについては、農林省としても卸売市場に準じた監督というものは怠ってはいけないと思うわけであります。この点について、新聞等によりますと、大臣も、このような原始的な取引方法等については、率直な指摘と改善に対する決意を述べたということが伝わっているわけでありますが、これについてはどのような態度で臨まれるか。あくまでこういうような屠場における食肉の取引というものは認めないという先ほどの答弁通りでやるのであるかどうか、いかがです。
  120. 河野一郎

    河野国務大臣 私も、あなたがごらんになりました通り、非常に遺憾に考えまして、あの現状では、中央卸売市場としての指定市場にはとうていできない。またこの点を強く関係業者に伝えまして、一日もすみやかに中央卸売市場としての名目を整備するように要請をいたして参ると同時に、東京都に対しても、副知事に面談をいたしまして強く要請いたした次第でございます。
  121. 芳賀貢

    芳賀分科員 この点については、大体今後どのくらいの時間的な経過を経て、大臣の期待されたような改善の実、あるいはこれが卸売市場としての運営ができるようになる見通しであるか。
  122. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、関係業者並びに東京都の責任者に強く私の意思を表示いたしてありますので、一日もすみやかに期待に沿うようにならんことを希望する次第であります。
  123. 芳賀貢

    芳賀分科員 次にお尋ねしたい点は、昨今の特に肉豚を初め食肉の価格暴落の原因は、昨年政府の出されました所得倍増計画の中における農業の成長部門、特に畜産農業に対して期待を持っておる、畜産については十年間に三倍、牛乳については七倍の生産期待を持っておるというようなことが表明された関係もあって、急速に畜産農業が全国的な一つの速度を早めておることは事実でありますが、そういうような政府の指導にこたえた畜産の振興発展が、一年後の今日においては価格暴落というような悲惨な状態に当面したわけでありますが、これはやはり政府の施策の中にまだ不用意なものがあって、それが大きな原因となってこのような状態が惹起されたということを回避することはできないと思うわけであります。今後このようなことが過去のように周期的に、たとえば豚肉については、三年ごとに一つの周期があって変動がはなはだしいというような、こういう不安定の状態というものは一日も早く克服して、政府の言うところの、いわゆる農業の安定的成長をはかるということにするとすれば、この現状に立って、今後どのような生産体制あるいは消流機構の根本的な改善に当たられようとしているのか、この具体的な施策について御説明を願いたいと思うのであります。
  124. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘のように、需要の増大を予想されまして増産に協力願った農民諸君の期待にこたえることができずに、安定法の施行がおくれたこと、もしくは諸般の準備が遅延したことのために、一時非常に御迷惑をかけましたことは、はなはだ遺憾に考えております。しかし、おかげで協力を賜わりまして、一応二百四十五円という相場を指定いたしましたところ、各方面ともこれに対して相当の御理解をいただきまして、産地からの出荷も一応消費に見合っているようでございます。先日も芝浦に参りましたときに、一時は道路にはんらんしておった豚が一応片づいて、芝浦の需給は一応安定しているという格好になっておる事実も、その通りであると私は思うのであります。私は、こういうことは一月早くこのことを政府がすれば、こういう事態なしに、農民諸君に非常に御迷惑をかけずに済んだと思うのであります。決して需給関係が非常にアンバランスになったのではない。中間におけるところの出荷もしくは消費、これを消化する過程が非常に不円滑であったというところに一つの大きな原因があると思うのでございまして、いたずらに産地に不安を助長するような悪い刺激を与えたくない。また産地から入ったものを、東京の小売市場が小売価格を異常につり上げて、協力を願うことができなかったというような、あらゆる悪条件が重なって、ああいう結果になったのであって、一応これらの悪条件につきましては、今回の経験を非常に貴重なものといたしまして、再びこういうようなことのないように万全の措置をとる。それが農民諸君の御信頼にこたえることができれば、再びこういうことはないというふうに思うのでございます。また将来、それだからといって、さらに一そうの増産体制が出てくるというようなときには、あらかじめ今後、各畜産衛生、その他構造改善、その他の計画、さらには畜産組合その他の指導といったようなものを順次整備強化いたしまして、再びこういうことのないようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  125. 芳賀貢

    芳賀分科員 そこで大臣は、畜産に対しては相当勉強されておるわけですが、肉豚の場合、増殖率というものは一体どのくらいの割合で伸びるものか、御存じであれば知らしてもらいたいと思う。ネズミ算ほどはふえないとしても、豚の生産が生産者の生産意欲を刺激して、これが農業の経済的な経常の上にマッチするという条件を与えた場合には、肉豚というものはどの程度増殖率を示すか。
  126. 河野一郎

    河野国務大臣 存じません。
  127. 保坂信男

    ○保坂説明員 現在のところ、一頭につきましては平均六、七頭程度の能率になっておりまして、年に二回これが生産回転をするということに考えられております。
  128. 芳賀貢

    芳賀分科員 それは増殖率ではないでしょう。母豚が一年間に二度交尾して子豚を二度生産する。ですからすべての雌豚が全部一年間に六匹ずつ二回生産するというわけではないんでしょう、そこらはよく調べておかぬと、豚の場合は人間とだいぶ違うですよ。
  129. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘通り、母豚がどういうふうな生産になるかということは、私はかかって需要供給の関係があろうと思うのでございます。従って、生産農家の生産意欲は、これらの需給関係もしくはその利害のそろばんがどういうところにあるかということであろうと思いますから、それは中央におきまして全体をながめて、需給関係、産地の生産の状況等を常時指導して参る必要があろうと思います。
  130. 芳賀貢

    芳賀分科員 結局、畜産の場合は、需給関係に対する長期的な見通しというものが明確になって、生産者の場合にも、やはり長期的な需給関係の生産の面、供給の面に対して、それに即応したような生産体制というものを確立していかなければいけないと思う。そういう意味で、たとえば農業基本法の第八条にも、重要な農畜産物に対しては需要及び生産の長期見通しを立てて公表する、あるいは必要に応じては、主要な生産地域に対しても同様長期的な見通しを立ててこれを公表するということになっておるわけです。先般本会議において大臣から、三十六年度の農業報告と三十七年度の行なうべき農業施策に対する説明を受けたわけでありますが、特に今後大事なことは、この第八条に基づく農業生産の需給の長期見通しというものをすみやかに政府、農林大臣策定して、これを確実な内容に整えて公表するということは、今後非常に大事な点であると思いますけれども、これに対する農林省としての作業というものは、どの程度進んで、いつごろこれが自信のある公表ができるか、その点に対してお尋ねしておきます。
  131. 河野一郎

    河野国務大臣 何分基本法発足第一年のことでもございますから、すべての資料の取りまとめ、予測の立て方等について各方面に御議論がございます。なかなか作業がはかどりませんが、できるだけ努力いたしまして、できれば今月中、来月早々にも結論を得たいと思っております。
  132. 芳賀貢

    芳賀分科員 次にお尋ねしたい点は、食肉の全国的な需給安定あるいは価格安定をはかるためには、たとえば法律指摘してある中央卸売市場法に基づいた市場の指定、あるいはこれに準じた指定市場の指定を農林大臣の権限で行なうことになっておるわけでございますが、食肉の場合は、一般の食料品と同じように全国的に消費が行われているわけでありますから、この取引の中心をなす市場の指定については、やはり適切に、すみやかに行なう必要があると思うわけでありますが、たとえば先般の畜産物価格安定審議会等におきましては、卸売市場に加えて指定市場を含めても大体全国八カ所程度しか政府としては用意しておらぬようでありまして、これではあまりにも少なきに失するわけであります。ですから今後、もちろんこれは卸売市場においても、その条件を備えておらなければみだりに指定することはできないとしても、こういう点に対しては、政府も、農林省の直接の指導、あるいはこれは公共団体が運営を行なっておるわけでありますから、これらに対しても十分なる指導と促進を与えて、少なくとも全国の主要なる消費地を中心とした市場の指定あるいは開設が行なわれるように当然なすべきであると思うわけでありますが、これに対する農林大臣の考え方はいかようでありますか。
  133. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、これが運用はなるべく経費をかけないで目的を達成することにあると思います。従って、価格の維持をするということが最終の目的でございますから、その目的達成に所要の手段を講ずるということで尽きるのであって、全国なるべく広範囲から買って、経費のかかるということはなるべく避けたいと考えております。
  134. 芳賀貢

    芳賀分科員 特に食肉は鮮度の落ちやすいものですから、やはり産地と消費地の間を直結して、なるたけ時間的にも、距離的にも、最短距離でこれが処理されるようにするのが当然ですが、農林省の考え方によると、北海道においては指定市場を考えておらぬ、まことにこれは不当な考えなんですが、こういう点が先般述べられたのであって、わざわざ北海道の食肉の価格を、東京周辺あるいは内地の消費地の市場価格に依存して、それから逆算して北海道における消費価格を設定するというようなことは全く常識では考えられないことでありますが、どういう点に対しては、大臣の答弁と非常に離れておるような当局の考え方でありますから、これは後刻農林大臣からすみやかに指導されて、そういうことのないように改善の実を上げてもらいたいと思いますが、この点はいかがですか。
  135. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通り、魚と違いまして、家畜の場合には、たとえば北海道の豚も、北海道で屠殺して、枝にして芝浦に来る、大阪へ行くということは、ほとんどまれだと私は思います。従って、これはいずれも生体のまま参るわけでございますから、殺してそこらをぶらぶん運んでいるうちに鮮度が落ちるということはない。同じことであります。同じことだといたしますと、これを処理するのに、北海道のあなたの選挙区で殺すのと芝浦で殺すのと、いずれが彼ら業者のいうところのごみかわの値段が有利かということになりますと、問題にならない。東京の場合にはこれらが非常に有利に処分できる。従って、まずまず生体のまま東京に送ってこれを処分した方が、農家のために有利に処分できるということのために、鹿児島の豚も北海道の豚も芝浦に芝浦にと集まってくるのが現状だと思います。従って、芝浦屠場が一日も早く適正な、合理的な、日本の代表的な市場になることを強く期待する次第でございます。しかし今遺憾でございますが、一応今申し上げるように、芝浦対関連し牽制するところの大宮なり横浜屠場なりを指定して、芝浦の肉の牽制をする。それに大阪なり名古屋なりというような大消費地における買い上げ、もしくはこれが倉入れ等を行なうことによって、ある程度目的の達成ができるということではなかろうかと思うのでございます。どこまでも消費地主義とは決して申しませんけれども、消費地における価格の維持が生産地に反映するということだと思うのでございまして、むしろ生産地における冷蔵その他の不便なところよりも、保管が非常に確実にできるところに置く方が、経費その他の点からいっても妥当ではないか、こう一応原則として考えるのでございますが、ただ、それには例外があることは申し上げるまでもないわけであります。
  136. 芳賀貢

    芳賀分科員 とにかくこれは地元消費、地場消費を促進させる必要がある。大臣の選挙区の神奈川県において、適当な屠場を設けて地場消費を進めれば、枝肉ではなくて並肉にして一キロ大体二百四十円くらいで生産者も採算がとれる。そうすると、これは百グラムにすると二十四円ということになる。長野県においては二百円を割っても、百八十円ないし二百円程度で採算がとれるという資料も出ておるわけですから、結局、中央における卸売価格が商いということだけが決して魅力にはならぬと思うわけです。結局、消費者に対しても低廉な新鮮な食肉を提供して、しかも生産者にとっても有利性が高まるという、そういう生産と消費との流通機構に対して根本的な改善を加える必要があるというのが、私が今指摘した点であります。  それであわせてお尋ねしたい点は、先般農林大臣が指導されて、卸売価格が、芝浦建値ですけれども、枝肉二百三十円を一応想定して、これから計算して、小売価格については五円ずつの段階を設けて、百グラムについて四十八円、四十三円、三十八円という三通りの小売価格を指導して現在実行されておることは、われわれも承知しておるわけでありますが、ただその基礎になる卸売価格が、暴落した最低の二戸三十円を基礎にしておるということになれば、今後取引が正常に回復して、あるいはこれが二百八十円とか三百円台というふうに、過去をたどれば、三百円なら三百円の平均の取引価格の線に回復したような場合においては、この二百三十円を基礎にした四十八円とか四十円とかいう価格というものは再び値上がりするという不安も消費者にはあるわけでありますが、正常な価格に卸売価格が回復した場合においても、現在農林大臣が指導されておるこの小売価格というものはくずさないで、このまま維持できるという確信があって、この卸売価格と小売価格との相関性に基づく価格指導をやっておるかどうか、その点はいかがですか。
  137. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘のように、卸売価格が異常な安値でありますことは御承知通りであります。しかし、異常な安値にあるから、卸は安いのだ、小売はそれについていく必要はないという態度は適当でない。こういうときには、よろしく消費を大いに助長すべきものだということで、小売価格の値下げを勧告したのでございます。当然卸売価格は順次ある程度平常に復元するということは、われわれとしては期待しなければならぬ。そうなった場合には、小売価格はまた適当にこれを是正するということはあたりまえのことであります。
  138. 芳賀貢

    芳賀分科員 いや、それでは意味がないじゃないですか。卸売価格が正常に回復した場合は、むしろ指導して、抑制した小売価格というものが今度は値上がりする大きな理由を与えるようなことに結果はなるとわれわれは心配しておるわけです。たとえば昭和三十四、五、六年の三カ年間の中央における枝肉の卸売価格平均価格は、三カ年平均で一キロ三百四円です。これを卸売物価指数で修正しますと、キロ三百十円ということになるわけです。ですから政府の価格安定のめどというものが、たとえば過去数年間の卸売価格平均価格というところに一つの目標を置くとするならば、大体三百円程度価格が回復した場合においても、これは不当な高値ということは、過去の実績を見た場合には言えないわけです。ですから、現在の価格が二百八十円とか三百円に回復した場合、従前でありますとこの小売価格というものは大体五十三円、四十八円あるいは四十三円という五円高の線でその当時も取引はされたわけでありますが、今度の場合にはそのように卸売価格が回復した場合においても、消費者の立場から見れば、卸売と小売との間の流通機構の改善あるいは中間における中間経費の節減等によって、この卸価格というものは、当分の間安定した小売価格であるというふうに政府の行政に信頼をしておるわけでありますが、今大臣の言われた点によると、回復した場合には、また小売価格が上がってもしようがないということになれば、何も農林大臣が指導してこうしたということにはならぬと思うわけですが、その点はいかがですか。
  139. 河野一郎

    河野国務大臣 卸に対して割高であるから下げなさいと言ったのであって、今お話しのように、問題は二つあると思うのです。卸と小売の間に不当なマージンがある、それであるから下げろ、合理化せいといって下げさしたならば、それは別にもとへ戻るということは適当でない。しかし、その点に入ります前に、当面卸価格がこれだけ下がっておるのに小売は高いじゃないか、まず現状の卸売価格に順応して小売価格考慮しなさいというて指導した。そこで一応卸売価格が二百四十円もしくは四十五円という線になってきた。そこで、この程度ならばむろんけっこうでございますけれども、さらにこれがわれわれ期待するところの適当な豚肉価格であれば、そのときに適正な小売価格は一体幾らぐらいが適当かということをあらためて考慮すべきであると私は思うのでございまして、今指導いたしましたものは、先般の暴落に対して平常価格であることが適当でないという点から言うたのでございます。ただし、そうであるからといって、それじゃまた小売はそのときには幾らになってもかまわないのだというわけのものではないのでございまして、この施策を講ずる以上は――卸価格についても適当な安定値に、御注意いただきました上下一割のところで安定させるということになっております以上は、それを基準にして、小売価格についても適当な価格を指導して参ることが必要であろう。これらにつきましては、あらためて屠場の整備ないしは卸、小売の業界の自粛、革新というようなものもあわせて一つ期待いたしまして、そうして適正なものに将来安定させたいと思っておるのでございます。
  140. 芳賀貢

    芳賀分科員 とにかく食肉の場合も中間経費というものが非常にかかっておるわけですね。性質上これはやむを得ぬ点もある。ですから今後完全に近い市場対策や流通機構の根本改善をやる場合には、生産者価格と卸売価格と小売価格、この三者の相関性というものを十分検討して、現段階における流通面の経費というものがどのくらいかかっておるか、あるいは現段階において、特に卸売業者あるいは小売業者の段階においてあるべき適正なマージンというものは大体どのくらいであるか、これは自由経済のもとですからきっちりしたことは出ないとしても、せっかく農林大臣が宣伝まじりで指導するということであれば、もう少し科学的な分析を行なって、この相関性の中における適正な価格のあり方、こういうものを一つ方式として考案されて、たとえば卸売価格が三百円になった場合には小売価格のあるべき姿は大体どのくらいである、こういうことを、一ぺんにはできないとしても漸次合理的に大臣の手元で考案されて実行に移すということになれば、だいぶ河野さんの株も上がるのではないかと思いますが、そういうお考えはおありですか。
  141. 河野一郎

    河野国務大臣 せっかく堪能なる係がおりますから、それぞれについて遅滞なく勉強もし、実行に移すよう努力いたしているものと考えます。なお、御注意の点十分指導いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  142. 芳賀貢

    芳賀分科員 次に、畜産問題に関連して、えさの対策ですが、たとえば肉豚の生産費内容等を調査しますと、この生産費の中でえさ代の割合が予想以上に非常に高い。子豚の場合は生産費の四七%ぐらいがえさ代ということになっております。それから肥育豚の場合も大体四〇%以上がえさ代、それから労力費が大体二〇%をそこそこということになっているわけですから、今後畜産の合理的な経営をやるということになれば、どうしてもえさ問題を離れて論ずることはできないと思うのです。しかし、最近のわが国のえさの需給の傾向を見ると、御承知のように、毎年国内において生産された飼料よりも輸入飼料に依存する度合いが高まって参って、今後十カ年間に畜産三倍とか、牛乳七倍というようなことになれば、輸入飼料に対する依存度というものは急速にまた高まるということが明らかなわけです。こういうことは結局賢明な対策ではないと思うのです。ですから、えさ対策というものに対して、やはり抜本的な生産あるいは需給面における対策を立てる必要があると考えますが、これは相当多岐にわたるからきょう十分論ずることはできません。特に需給関係価格安定の面から、現在飼料需給安定法という法律がありますが、この法律の適用の外に、たとえば一年間に外国から二百五十万トン程度の食糧小麦を輸入しているわけです。食管が買い付けたこの食糧用の、製粉用の小麦を製粉会社に払い下げを行ないまして、ここから生ずる、いわゆる製粉から見れば副産物のふすま等に対しては、これは何ら規制をしておらないわけです。ですからせっかく食管で食糧小麦を二百万トン以上も輸入して、特定の製粉会社にこれを政府が払い下げをするわけでありますから、この払い下げの場合の払い下げ条件として、製粉によって生じた副産物のふすま等については、政府の指示した条件に基づいて、あるいは生産者、実需者団体等に、その指示した価格あるいはその方法等によってこれを消流させるというようなことを、この際飼料需給安定法の改正等を行なって、これを包括することが大事でないかと考えるわけですが、これに対する大臣の考え方。それからもう一つは、昨年以降、春先にはえさの緊急対策として、食管手持ちの大・裸麦等に対しては、これをえさ用に去年も、またことしも払い下げ計画があるようでございますが、これらは今後やはり一つの制度として、食管が持っておる食糧用の大・裸麦等についても、国の飼料需給計画に基づいて、必要な場合にはこれをえさ用に払い下げができるという道を開く必要があると思うわけです。緊急対策の場合だけやるということでなく、今後こういう点に対してもやはり制度の改正として行なう必要があるのではないか。これにあわせて、昨年の国会において、再度政府は大・裸麦の麦作転換の法律を出したわけです。これは幸いに不成立に終わったわけですが、これに付随した行政費として三十億円が三十六年度に用意されておったわけであります。聞くところによると、あの法律が廃案になったことによって、この金は使う必要がないというようなことを言っておる向きもあるようでありますが、これは非常に間違った考え方だと思うわけです。政府が有権的に指導しなくとも、去年は約十五万町歩作付が減少しておる。やはり農業生産の選択的拡大の方向というものを政府が明らかに示して、その方向にこれを誘導するということであれば、この三十億円は、あるいはえさ対策であるとか、あるいはまた甘味対策等の面に積極的に使用する必要があると思うわけでありますが、これに対する農林大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  143. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 第一点の御質問でございますけれども、御承知のように、えさの需給計画に合わせまして、政府の持っております大麦、裸麦をふすま増産用としまして飼料工場に払い下げます。その場合には、ふすまは幾らの値段でというような指示をいたしまして、払い下げの値段の中で調節をしてやっておるわけでございますが、一般の製粉用に回りますものにつきましては、そのような特別な価格を指示しているということでないわけでございます。私どもやっておりますのは、えさ用についてそういうことをやっておるわけであります。  それから、政府が持っておりますものを、緊急用ということでなくて、いかなる場合にもえさに回し得るように制度の道を開いたら、こういうお話でございますが、ただいまやっておりますように、えさの値段が上がるというようなときには、政府の手持ちのものをいろいろな道で放出をして、えさが不円滑にならないようにということで一応手は打たれておると思いますので、こうした方法を続けたいと思います。
  144. 河野一郎

    河野国務大臣 それから転用の援助資金につきましては、いろいろお話しでございますけれども、法律の性質上これを流用することは適当と考えておりません。  それから今後も緊急対策として常時えさを出せばよろしい、それにつきましては、必要があればいつでもそういう措置を講ずるつもりであります。
  145. 芳賀貢

    芳賀分科員 ただいまの第一の点の、製粉用の払い下げ小麦の副産物のふすまについて、現在はそういうことになっておらぬという、そういう答弁を求めたのではないですよ。現在はこういうことになっておるが、とにかく年間二百万トン以上の製粉をやれば、その副産物のふすまの生産量というものは相当大きな数量に上るわけです。これを全然規制しておらない。しかも政府は、輸入ふすままで食管で買付しておるという実情にかんがみた場合には、今後は、製粉用の小麦を製粉業者に払い下げする場合には、一定の条件を付して、これをえさ対策の有効な施策の一環として運営すべきではないか。そういう考えがおありかどうかということを大臣にお尋ねしたわけたんで、これは農林大臣からお答え願いたい。
  146. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、現在製粉の業者の立場について考えてみますと、昨年八月、私、大臣就任の当時に、いろいろ工賃その他の値上がりのために、粉の値上げを要請して参ったような実情でございます。ところが、一般国民食糧の値上がりを憂慮いたしまして、今、これを現状のままで製粉の値上がりを抑えておるような実情でございます。ところが、御承知通りに、製粉業者の立場に立ってみますると、ふすまの売り払い代金と粉の売り払い代金と両々相関連し計算してみまして、なおかつ今のようなことでございまして、もしふすまについて条件付でこれを払い下げするということになれば、外麦の払い下げ価格について相当考慮を払わなければ、粉の値上がりが非常に大きくなってくるということだろうと思うのでございます。従いまして、現在以上に麦の価格を上げて払い下げするということはなかなか困難でございますし、さればといって、これを非常に下げるということも困難でございます。諸般の情勢から考えまして、今御指摘のように、飼料対策として外麦の払い下げ価格相当に下げて、ふすまについて条件をつけるというような処置まで出ることについては、相当研究考慮を要することだと思うのでございます。われわれとしては、日本の家畜の長年の慣習から、ふすまに対する依存度が非常に高過ぎるのではないか、ふすま以外のものをもって、ふすまの代替に充てるということの研究をもう少し進めるべきでなかろうかという議論も一部にはあるわけであります。従いまして、ふすまについて特別な配慮を払うために、引き続きふすまに対する新たなる研究というようなものも考えなければなりませんので、今御指摘のようなことにつきましても、いずれ今後の畜産経営の研究と相待って考慮すべき問題だろうと考えております。
  147. 芳賀貢

    芳賀分科員 とにかく、食管会計の中においても、外麦勘定については毎年相当の黒字を上げておるわけです。ですから、これは弾力性があるわけです。しかも日本の巨大な製粉会社に対して、製粉のもうけ以外にふすまのもうけを加算してやらなければ製粉企業が成り立たぬというようなことは、国民の側から見れば納得できないわけです。ですから、製粉から生じたふすまの値段が割高であるので、せっかく政府が食管でふすまの輸入を行なって、えさについては相当の赤字を出しておるのが無意味なものに近いような結果にもなっておるわけです。ですから、これはやはり現在は食管制度の中ですべて扱っておるわけですが、こういう点についても、河野さんともあろう人が、粉屋にちょっと遠慮して、ふすまの面については手を触れることができぬなどということではいけないと思う。(笑声)これは笑いごとじゃないのですよ。しかし、きょう即答できないとすれば、これは今後畜産問題あるいはえさ対策の上からも重大な盲点であると私たちは考えておりますので、十分検討して、政府としても責任のある方針を示してもらいたいと思う。
  148. 河野一郎

    河野国務大臣 別に粉屋にどうというわけじゃありませんが、御承知通り、粉の値上げも一応抑えて、現状でいえば、昨年の八月以来据え置きにしておるわけでございます。さればといって、ただむやみに抑える、押えるというばかりが能じゃありませんので、一応の計算は計算としていたさなければなりませんから、今私が申し上げた通り、内麦との関係において外麦のことも考えなければなりませんし、外麦については、今申し上げたように、製粉の歩どまり等から考えて考慮しなければならぬ点もある。従って、まあ畜産の関係からいけば、ふすまが一番大事のようでございますから、ふすまの価格について考えなければなりませんけれども、これらも相関性がございますから、十分検討いたしまして考慮したい、こうお答え申し上げたのでございまして、なお御趣旨を了といたしまして検討いたします。
  149. 芳賀貢

    芳賀分科員 時間の関係がありますので、次に甘味問題に移りますが、政府から先般、現在のてん菜生産振興臨時措置法の改正案が出たわけですが、この内容を見ると、現行法がことしの三月末で切れるわけですが、これをさらに一年延長するという単純な一カ年の延長のための改正法案でありますが、これはわれわれとしては全く意外きわまることであって、どうして、もう少し積極的な国内甘味全体の総合施策というものを、制度の中で打ち出すことができなかったか、その理由のおもなる点に対して御説明を願いたい。
  150. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほども、実はお答えをいたしたのでございますが、度予算暖地ビート研究調査費を計上いたしております。私といたしましては大臣就任以来、国内甘味自給を充足するという意味から、暖地ビートについて深く留意いたしまして、これが研究に着手しておるわけでございます。だんだん海外の調査をいたしました結果、わが国内において、明年度は大規模に暖地ビート研究調査をいたしまして、その調査の結果を待って抜本的な対案を立てよう、どういうつもりで、実は明年度暖地ビート調査研究費を予算に計上し、これが研究の結果を待って抜本的なビート対策に乗り出す、つまり国内甘味対策に乗り出すという所存でおるわけでございます。
  151. 芳賀貢

    芳賀分科員 北海道のてん菜については、過去十年の振興法に基づいた経過がありますが、特にこの際、府県ビートに対する育成方針ですね、私たちが昨年農林水産委員会調査を行なったわけですが、たとえば岡山、大分、熊本あるいは調査には参りませんでしたが青森県、こういう、すでに工場が建設されて操業に入っておる、あるいは三十七年度に操業するというような関係県においては、県当局初め、また生産農民の各位も、やはりでき得ればすみやかに府県ビートを、現在ある北海道だけが対象になっておる振興法の対象に加えてもらいたい、こういう熱意が、これは企業者の立場でなくて地元から、非常に強く述べられたわけでありますが、われわれとしてはもっともなことでもあるので、これらはすみやかにやはり制度の対象に加えて、そして強力に施策を進めるべきであるというふうに考えておったわけでありますが、これが全く期待に反しておる。これはなぜやらないか、なぜできないかというその理由についてお尋ねするわけです。  それから第二点は、これも甘味資源の長期十カ年計画に沿って、カンショ澱粉あるいはバレイショ澱粉を主原料にした精製ブドウ糖の育成についても、これは相当政府の手持ち澱粉の安売りとか、あるいは輸入砂糖の超過利潤からの育成とか、いろいろな措置が講ぜられて、十カ年計画の線から見れば、相当テンポが早まっておることは事実でありますが、これも安定した姿にはまだなっていないわけです。三十六年度で大体八万トンぐらいの精製糖の生産は行なわれることになっておりますが、その実態あるいは今後のその消流の安定拡大がどうなるかということについては、見通しの不明な点があるわけでありますが、これに対してどういうふうに今後やっていこうとするかというその点。  第三点は、これは特に九州の南部、西南暖地等においては、最近急速にいわゆるカンシャ糖の生産が高まって参りまして、現地においても工場の建設等は進んでおりますが、これもやはり生産者の立場から見れば、価格変動を避けて安定的な経営作物として、これを拡大したいという熱意が非常に見られるわけでありまして、このカンシャ糖に対する政府の育成方針というものを、やはり総合的な制度の一環として行なうべきである。この点と、この三点について大臣から具体的な説明を願いたいと思います。
  152. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、暖地ビートについて、お話のようにだんだん研究なすっていらっしゃる方もおありのようですが、私自身の経験からいたしまして、実は多少の疑問を持っておった一人でございます。そういう関係がございますので、就任当初直ちに先進国たるイタリアにビートの調査団を派遣すること二回、わが国における最有力の技術者諸君にも、二回目には調査に行っていただきまして、その調査の結果について考えますると、御承知通りイタリアにおきましては、わが国の現に国民の消費いたしております輸入糖よりも、廉価のてん菜糖をイタリア国内で販売しておる。従って供給しておる。しかもイタリアにおいては、てん菜糖については生産過剰である、一部生産制限をしておるという事実がある。この事実を基盤にいたしまして考えまするときに、研究の結果いかんによっては、わが国においてもイタリア同様に、輸入糖以上に安い国民食糧としての砂糖が、全部国内生産でできる見込みが全然絶無でない、不可能でないというように勘案いたしまして、それならば、その道に到達するには、どこに一体ポイントがあるかという意味から、第二回目の技術者の調査したその結果によりますと、たとえて申せば、国内で現にやっておられるような小規模の経営でなしに、もっと大規模でなければいかぬ。機械についても今国内で使っているような機械ではなしに、もっとずっと進んだ機械でやっておるのがイタリアの現状であるというようなことを、技術者から報告を受けました。そこで私は、これまで手をつけて参られた一部農民諸君、一部国内の企業者諸君のやっておられることを、この段階で国家として取り上げるよりも、国として抜本的に、どういう町がどの地方にどういうふうに生産したときに、どういうふうな結果を得るかということを、国家の組織を動員して、大規模な全国的な調査を行ない、その上に甘味対策を立てるということが適切であろうというふうに考えて、実は今までやって参ったものを一応ここで一年間中止して、そうして根本的な基礎調査の方向に切りかえたのでありまして、その結果といたしまして、私は新年度になりましたらば、さらにイタリアに調査団を派遣すると同時に、大方の農民代表もしくは生産者、企業者の方の代表、技術者の代表というようなものも、さらに派遣いたしまして、国内の出産の実験等と相待って、明年度においてはある程度のものをまとめて、甘味対策が完備することができるのじゃなかろうか、少なくともその方向は明確につかむことができるのじゃなかろうかという気持がいたすのでございます。今までのように輸入糖の益金で、国内甘味資源を保護育成していくという立場から、一躍して、輸入糖よりもさらに安い国内糖に全部切りかえるというイタリア式の方式が可能であるかどうかというところに、抜本的に研究して結論を得たいというために、以上の処置をとった次第でございます。
  153. 芳賀貢

    芳賀分科員 次に精製糖の方を……。
  154. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 ただいまお話のございました府県ビートを含めまして、甘味資源対策、これは根本的に考え直すべき段階になっていると思うのでありまして、そういう意味で今、精製糖あるいは納品糖等についても、いろいろの助成政策をやっておりますけれども、今後もこうした今までやりましたようなことに準じて、育成をはかるという方針には変わりございませんけれども、いろいろ問題を掘り下げて、一つ研究をしていきたいと思っております。  それから奄美大島等の黒砂糖でございますけれども、これにつきましては沖繩等と話し合いをいたしまして、需給安定をする、生産調整をするというようなことで価格安定をはかって、それの適正をはかっていきたい。いずれにいたしましても、ほかのてん菜糖その他全般甘味対策をどうするかということとからみ合いまして、私どもの方も一そう研究をしていい政策を生み出したい、こう思っております。
  155. 芳賀貢

    芳賀分科員 次に、超過利潤の問題については、後刻同僚の永井委員から質問がありまするので詳しくは触れませんが、最近われわれの承知したところによると、農林大臣の指導のもとに、社団法人甘味資源振興資金管理会なるものが設立されて、いわゆる三十四年、三十五年、両年度の超過利潤と称せられる十八億円をこの管理会に受け入れて今後運用するというような内容のようでありますが、これは農林大臣としてどういうような御意図のもとに、このような管理会を作らして運営されるのであるか、その点に対してお尋ねをいたします。
  156. 河野一郎

    河野国務大臣 この十何億かの超過利潤をすみやかに受け入れするということが問題でありましたが、受け入れすべき機関と申しますか団体と申しますか、というものに適当のものがございません。さればといって、そのままほっておくわけにもいきませんので、公正な機関に受け入れて、その使途等については、今いろいろ甘味資源対策その他に使うことにいたしたらどうだろうか――まだ作りませんで、今準備中ということでございます。
  157. 芳賀貢

    芳賀分科員 これは農林大臣が監督して運営させるわけなんですか。
  158. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 公益法人でございますから、当然そういうことになります。
  159. 芳賀貢

    芳賀分科員 今後の問題になるわけですが、現在においても輸入砂糖については、相当大幅な超過利潤というものが連続的に免じておることは、これは大臣すでに御承知通りであります。そうなると、これは単に三十四年、三十五年度だけに限って、この十八億円を受け入れるということでなくて、むしろ長期的に連続的に超過利潤が生ずるということであれば、これはやはり国の制度の一環として、この超過利潤というものを吸収する措置が必要であると思いますが、その点に対してはどうお考えですか。
  160. 河野一郎

    河野国務大臣 三十六年度においては超過利潤が出ない見込みだそうでございます。いずれにしても、あまりそういうものが出るという格好はいいものじゃないのであって、私としましては、いつまでもこういうふうな制度、また超過利潤が出るような姿があるべきではないと思うのでございまして、従ってこの甘味資源については、今申し上げた通り、二面においてはビートの抜本的対策を講ずるとともに、これが外糖の関係についても何がしか解決策を求める必要があるだろうということで、勉強いたしておるのが現状でございます。
  161. 芳賀貢

    芳賀分科員 三十六年に超過利潤がないというのは、これはおかしいじゃないですか。ないというのは、超過利潤を大幅に認めておるからして、それは超過利潤じゃないというのか。これは私の方に資料があるから申し上げますが、一体超過利潤が出るか出ないかという基準がどこにあるかというところに、さかのぼらなければわからないわけなんですよ。これは昭和三十四年に国内のてん菜糖の増産措置を講ずるために、てん菜二法の改正あるいは制定を行なうと同時に、国内における砂糖輸入糖並びにてん菜糖の標準価格というものを設定して、卸売価格については、輸入糖、これは精製の上白、それからてん菜糖、ともに卸の標準価格というものが一キロ百二十二円六十七銭、これが標準価格ということになっておるわけです。ですから、これを不当に越える利潤を獲得した場合は、これは不当利潤ということになるのであって、この利潤は輸入糖についてはニューヨーク相場をとって、これが三セント四五、それがCIF価格にすると一トンについて八十九ドル五三、これは邦貨に換算しますと一トンが三万二千三百三十八円ということになるわけです。ですからトン当たりCIF価格が三万円そこそこである場合は、これは不当利潤というものは生じないということになっておるのでありますが、これが三十四年度の場合には輸入価格が二万八千四百六十三円、それから三十五年度は、これが二万九千二百五十円ということに、それぞれトン当たりのCIF価格がなっておるので、これは相当膨大な超過利潤が出る、そういう計算が自動的に出てきておるわけです。それを農林省が第一回の試算と第二回試算を大きく狂わしてしまって、最初は百四億円もあった超過利潤が最後には十八億しかない。こういうでたらめなことを、実は過去においてやっておるわけです。それでは現在どうなっておるかというと、昨三十六年に入って一番安いときのニューヨーク相場は、ニセント〇五ということになっておるわけであります。この価格で入ってくれば、トン当たりCIF価格が二万一千四百九十九円で、これは三十四年度の不当利潤として指摘した輸入価格よりも非常に安い価格である。最近の相を調べますと、これは若干上向いておりますが、二月十九日のニューヨーク相場は二セント三四、これを輸入価格に換算するとトン当たり二万三千八百三十七円ということになるわけであって、従って、食糧庁長官が、三十六年を通じて超過利潤が出ませんと言っておるが、これは三十六年一年間の平均価格というものを出してみれば、相当大きな超過利潤が免じておるということになるわけです。大体年通算して一キロ十円くらいの超過利潤というものは生じてくる。そうすると百万トン輸入すれば、これは当然百億円ということになるでしょう。これは軽視できないと思うのですよ。過去にもインチキをやって百四億円を十八億円に縮めたという、その経緯のいろいろな内幕の話もわれわれは承知しております。今回の場合にも、少なくとも年間百億くらいの不当利潤、超過利潤というものがあるというふうに、国民は判断しておるにもかかわらず、しゃあしゃあと、いやありませんというようなことは、断じてわれわれとしては了承することはできない点であります。従って政府が三十四年に設定した標準価格というものはあるわけなんです。ですから、これを基準として、はたしてこの超過利潤というものは、どの程度あったとかないとかいう問題は明確になるわけでありますからして、この点についてはただいま即答ができないとするならば、これは具体的な正確な資料というものを後刻お出し願いたいと思う。こういうような実情ですからして標準価格については、精製糖の上白とてん菜糖が卸売価格については、大体同列に置いてあるわけでありますが、実際の取引価格の面から見ると、やはりてん菜糖が割高であって、なかなか消流が困難な面もある。あるいは競争する場合には安く売らなければならぬということで、ここに現在てん菜糖の生産というものが伸びない一因もあるわけです。ですから超過利潤が持続的に生じておるということになれば、これを吸収するための方法としては、三十四年度には砂糖消費税の引き下げを行なって、その減収部分に見合う分を関税の引き上げということで措置したわけでありますが、一昨年の十二月周東農林大臣の時代においても、これは自由化を前提として関税率をキロ当たり六円引き上げるというような動きもありましたが、これは精製糖工業界の猛反撃にあって、ついにこれもなれ合いでつぶれてしまったという経緯が実はあるわけです。ですから、大臣が言われた通り国内甘味の生産体制を整えて、これを強力に進めるということになれば、このような年間百二十万トンにも及ぶ輸入糖の超過利潤というものを正確に把握してこれを吸収する、そうして国産糖との均衡が市場において、はかれるようにしなければいつまでたっても、あるいは何回イタリアに調査団を派遣しても、その実は上がらないと思う。イタリアにおいては第二次大戦直後は、年産十数万トンの生産しかなかったのが、わずか十カ年間で百万トンをこえるてん菜糖の生産が上がって、現在は大臣が言われた通り、生産を抑制するような措置さえ講じておるわけです。これはやはり学ぶべき点がありますが、今のようなでたらめな砂糖行政をやっておる限り、日本においてはこの実現というものは私はできないと思う。ですからこの点については、やはり国内のてん菜糖と輸入糖との市場における価格均衡をはかる。そのためにはやはり制度上根本的な措置が必要であって、単に農林大臣が指導する管理会の設置で、わずかばかりのテラ銭をここで吸い上げるくらいのことでは、抜本的な改善はできないと思うのですが、この点に対しては、本気になって取り組まれる御意思が一体あるのかないのか、この点に対する大臣のお考えを示してもらいたいと思う。
  162. 河野一郎

    河野国務大臣 後刻よくケースを整理調査いたしまして、あらためてお答えいたします。
  163. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは時間超過の指摘があるので、残念ですが、もう一点だけ申し上げたいのは、実は昨年の十一月九日の衆議院の農林委員会の小委員会において、私の方から食糧庁に対して資料を要求したものがあるわけですが、これがいまだに提出されていないのです。これは忘れたといえばそれまでですし、私もあまり厳重な催促をしなかった点もあるが、これは実は大事な点なんです。特に昭和三十七年度のてん菜糖の原料価格について、現在の法律によりますと、これは四月中に生産者価格を政府がきめて公示しなければならぬということになっておるのと関係があるわけです。過去八カ年間北海道におけるてん菜糖の原料価格というものは、一トン当たり五千二百五十円台で、これはくぎづけになってきたことは、大臣も御承知通りですが、昨年度になって、ようやくトン当たり二百円程度の引き上げを行なうということで、その二百円から会社が出しました生産奨励の費用をトンに換算して大体百円程度あるということで、これを差し引いて、原料についてトン当たり百円の追加払いというような措置をとることにきまったわけでありますが、今年度もこの原料価格決定は、非常に大事な点であります。私が要求した資料なるものは、これは米価であるとか麦価であるとか、他の主要農作物のここ数年間の価格の上昇率から見ると、てん菜糖の原料価格の政府の決定が八年間も据え置きということは不当である。それでこれを是正するための一つの方法として、たとえば現在のてん菜糖の工場における標準価格が、これは一ピクル、百斤ですか、五千三百十四円ということになっておるわけです。ですから、原料価格を少なくとも六千円にこれを引き上げた場合に、現在の砂糖の標準価格をくずさないで、これを吸収する方法があるかどうか、こういう点に対して具体的な資料を食糧庁から出してもらいたいということを要求してあるわけでありますが、これが出てこないわけです。一体原料価格を六千円に引き上げた場合、当然これは工場における一日の原料の処理能力であるとか、操業日数の問題であるとか、あるいは歩どまりの問題であるとか、いろいろ関連はありますが、これらは食糧庁においてすでに頭に入っておるコスト計算上のそれぞれの要素でありますが、この機会に原料を六千円にして、標準糖価をくずさないでこれをやる場合には、一体この原料の歩どまりをどれだけにして、ロスを一体どういうふうにして一日の処理能力、操業日数をどうして、そうして一工場の原料処理を何十万トンにすればこうなりますという、そういう点に対して率直な御答弁を願いたいと思うのです。
  164. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 おっしゃるようなことを昨年から研究をしております。しかし、まだお見せするような段階にいっておりませんので、なおしばらく研究さしていただきたい、こう思います。
  165. 芳賀貢

    芳賀分科員 それは全然不可能だという前提に立っておるか、これは可能性がある、やり方によっては実現性がある、そういう考えで検討しておるのか、どっちなんですか。できないというならば、できないとはっきり言ってもらえば、これは待つ必要がないし、可能性があるので鋭意検討しておるということであれば、あと何日ぐらい待てばその資料が出されますか。これは非常に重大な点ですから、率直な御答弁を願います。
  166. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 可能か不可能かを含めまして検討をいたしております。
  167. 芳賀貢

    芳賀分科員 そういう政治的な答弁じゃだめですよ。そのくらいなことは、農林大臣から一言ってもらえばいいのであって、かりそめにも期待をしょって就任した食糧庁長官として、そんなでたらめな政治答弁なんかでは、もう約半年たっておるのですから、われわれは引き下がるわけにはいかぬですよ。これは不可能だから、やってもしようがないからもう作業をあきらめておるのか、可能性があるという見通しの上に立って鋭意いろいろ作業をやっておるのか、その二者のいずれかであるぐらいは、答弁ができないことはないじゃありませんか。
  168. 河野一郎

    河野国務大臣 お聞きの通り、そういう資料を、どこかにあるものを集めて出すのならば、資料を出せますけれども、そういうものを政府で作って出せ、出したものはどういう影響があるかということを考えますと、政府の立場として、提出する資料の限界を越えておるのじゃないかと思います。参考にいろいろお話し合いをする、あるいはこういうふうな数字をそろばんを入れてみろという御示唆があれば、そろばんを入れる努力は幾らもできますけれども、総合的にそういうものをやるには工場の運営をどうしたらそういう結論が出るかということは、これはどこかの工場に頼んで計算をさしてみるということ以外には、今の政府の能力としては困難だと私考えます。
  169. 芳賀貢

    芳賀分科員 できなければできないと言えば、こちらで作ってお見せしてもいいのですよ。今まではできますから、もう少し待って下さいと言うので、われわれは待っておったのです。この重要性というのは、こういうところにあるのです。昨年河野さんが就任された直後、それまで北海道に七工場あったのを二工場新設を認可されたわけです。従って三十七年度には合わせて九工場が操業するということに当然なるわけです。ところが、この八カ年計画の線に基づいてみても、第二年目の昨年の作付と生産量から見ると、全然生産計画の線に沿っていないのです。現状維持という線にとどまっているわけです。作付反別も四万三千町歩に依然としてとどまっておる。生産数量も巨万トンそこそこでとどまっおる。ことしも傾向としてそういうことであれば、従来の七工場の場合にも、大体一工場にこれを配分すれば十五万トンしか原料の配分ができないということになるが、これを二工場ふえて九工場ということになれば、一工場について大体十一万五千トンぐらいしか原料の配分はできないということになるわけです。そうすると従来は一斤について五十三円十四銭の標準糖価を出す場合には、一工場当たり一日千二百トンの百二十日で十四万四千トンというのが、標準糖価を維持する最低の線であったわけです。それが十一万トン、十二万トンということになると、この標準糖価を今年度は維持することができるかどうかわからぬという点が当然出てくるわけです。しかもそれに加えて、昨年の秋には、さらに昭和三十九年度には新設四工場を認めるというような河野さんと北海道の町村君との間における黙約が成立したのです。それで北海道においては現在十三地区を区画割りをしようというような作業さえも進められておるので、非常にこれは現地の生産者に対しても不安と動揺を与えておるわけです。イタリアにおいては、調査によっても従前は一日二千トン程度の工場が、最近は一日四千トンぐらいの規模の工場になっておるということを見てきながら、従来よりも操業度を下げるような形の中において、一体将来このてん菜糖のコストというものはどうなるか、国の期待する方向に進むか進まぬかということは、国民的に見ても重大な関心のあるところであります。ですから行政が逆行しておるのです。十カ年計画の期待と逆の方へ逆の方へ進んでおるのを、それでは大へんだ、一体どうすればいいかということで、私が要求したのはとにかく原料を六千円に引き上げる、そして現在の糖価をこれ以上上げることはできないから、その中で一体これが吸収できるかどうかということを検討してもらいたい。どうしてもできなければこれは違う施策で、たとえば消費税とか関税の操作であるとか、あるいは先ほど言った毎年百億にも及ぶような輸入糖の不当な超過利潤というものを、国民から会社が吸い取っておるのだから、これらをやはり有効に処理して、そうして国内の総合的な甘味対策を進めるべきでないかという一連の構想の上に立って、私は資料を要求したのであって、何も一営利会社にそれを計算してもらわなければできないような貧弱な情けない農林省であるというふうには、今の今まで私も考えていなかったのであります。そういうお粗末な役所であるとするならば、われわれとしては考えを新たにしな、ければならぬわけであります。一体そういう実情に農林省という膨大な役所が置かれておるものであるかどうか、この点についても参考までにお聞かせ願いたいと思うわけです。
  170. 河野一郎

    河野国務大臣 私は大臣就任早々に二工場の認可を、北海道長官に同意をいたしました。これはかかって地元の強力な要請に基づいてやったことであります。地元民諸君から強くその要請が数年来出ておるということであるからやったのでございまして、原料のないにもかかわらず軽率にやったとは、私今の今まで考えておりません。それを今、原料が前年と同じであるのに工場だけふやせば足りなくなるじゃないかという御指摘を、私今まで受けようとは考えていなかった。もしそうであるとするなら、これは非常に重大な問題であります。しかし私は行政の指導を、今後の北海道のビート産業等からいたしまして、最初に北海道にビート計画を立てるときから、今後何年間に何工場の増設をしていこう、こういうふうに生産の増加をして参ろう、そこに家畜の導入をしていこうというような一連の道農政の上に立ってやっておるのでございます。従って、私はこの処置を軽率にやったとは考えておりません。のみならず、町村君から非常に慎重な検討の上に立って要請がありましたので、私はこれにこたえたのでございます。また今後のことにつきましても、おそらく北海道農政は、そういうふうに強力に増産を指導奨励されまして、そうしてビート工場が十分原料にこたえるように計画があって、されておるものと私は考えます。これにつきましては、地元町村長諸君を初め非常に広範囲から要請のあった事実を知っております。従って今の点については、御意見でございますが、私ははなはだ食い違いがございます。  また最後の点でございますが、私が申し上げたことは経営のことでございますから、これをどういうふうにしてつぶした場合にはどういう点が工場運営の場合にロスが出てくる、どういう点にプラスが出てくるということがありましょうから、これはみだりに政府で計算するということはどんなものだろうか。今芳賀さんのお示しのように、何トンつぶしたら幾らになるじゃないか、イタリアではどうか、それはわかっております。わかっておるから、イタリアについては今検討しておりまして、従ってわが国の工場は小さいということを、先ほど申し上げたのもそのゆえんでございます。従って、むしろ政府として民間の経営等について、そこまで立ち入った資料を作って差し上げるのは妥当かどうかという点についてちゅうちょしております。こう先ほど申し上げたのであります。あしからず御了承願います。
  171. 芳賀貢

    芳賀分科員 では、資料の要求をいたしますが、第一の点は、先ほど申した、いわゆる原料を六千円にした場合にこれを吸収できるかどうか。これは必要とあらば国会法並びに衆議院規則に基づいてこれを委員長から内閣に要求していただくこと、それからもう一つは、昭和三十六年における輸入糖の超過利潤についてですが、この月別の輸入価格、それから必要な数字的なものを全部整理して、一体超過利潤があるかないかということを、われわれとしても十分検討したいと思いますので、この二つの資料について後刻提出されるように、主査に要求いたします。
  172. 赤澤正道

    赤澤主査 御要求の資料については、主査の方で善処いたします。  安井吉典君。
  173. 安井吉典

    安井分科員 私、この間農林水産委員会で、農林基本問題の施策につきまして大臣質疑応答をかわしておりますので、きょうは大豆価格の問題、それに菜種を含めまして、これにしぼりましてお尋ねをいたしたいと思います。だいぶお疲れのようですけれども、満足ができるような御答弁をいただけましたら三十分でも十五分でも終わりたいと思いますので、そのように一つお運びをいただきたいと思います。  その前に漁港の問題につきまして、ちょっと伺いたいわけでありますが、地方の漁村から漁港の新設あるいは拡充につきましても要望が非常に多いわけです。現在の整備計画の進捗の状況はどうなっておりますか、その点を一つ伺います。
  174. 伊東正義

    ○伊東説明員 私からお答えいたします。  漁港は、昭和三十年に第二次整備計画を作りまして、その計画に乗せましたのが六百一港でございます。そのうちで現在までに百二十二港ばかり完了いたしまして、六百一の中でまだ四十四港ぐらい手のつかない漁港がございます。整備計画をやりまして、三十年からでございますので、だいぶ時間がたちまして、いろいろ漁業の事情等も変わってきておりますので、実は現在各都道府県から、漁港につきましていろいろ希望を聞きまして、三十七年度中に新しい第三次の漁港整備計画というのを作りまして、三十八年度から新しい計画でやっていきたいというふうに考えております。当初事業費が五百五十億くらいございましたが、三十七年度までで、そのうち約三百九十億くらいの事業をやりまして、まだ若干残っておりますが、今申しましたような新しい計画で三十八年度からやりたいということで、三十七年度につきましては、新しいところに手をつけるということよりも、今まで手をつけましたものを、なるべく早く完了するというようなことで予算を計上いたしております。
  175. 安井吉典

    安井分科員 漁港審議会等の作業も必要になるわけでありますが、新しい計画は大体いつごろできる見通しですか。
  176. 伊東正義

    ○伊東説明員 三十八年度から実施をいたしたいというふうに考えておりますので、三十七年度中に計画を作りまして、これは国会の御承認も経なければいけませんので、ことしの十二月でございますか、この次の通常国会には、新しい整備計画はこうでございますというのを新しく提出いたしたい、その上で三十八年度から仕事につきたいというふうに思っております。
  177. 安井吉典

    安井分科員 初めに申し上げましたように、水産振興というふうな立場からいいましても、あるいはまた地域の格差是正というふうな観点からいたしましても、漁港の問題についてもっと関心が持たるべきだと思うのです。今新しい計画に入る段階にあるそうでありますが、今度は農林大臣の方から、今後この問題につきましてどういうふうなお見込みで、あるいは御方針でお進みになるか、その御決意のほどを一つ伺いたいと思います。
  178. 河野一郎

    河野国務大臣 今長官の言うた通りでございます。
  179. 安井吉典

    安井分科員 そういうおっしゃり方では、どうもあまり御関心がなくて、そういう問題はまあ長官の方が何とかやるだろう、それくらいのお気持のように受け取れるわけでありますが、その点いかがですか。
  180. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、あまりはっきり申し上げたらおしかりを受けるかもしれませんが、水産計画におきまして、従来の漁港重点主義時代から、今は沿岸漁業と遠洋漁業との間に非常に区別ができた、そこで、漁港についても根本的に考え直さなければいかぬ面が今出てきておるというような意味合いから、漁港審議会等の意見を聞いた上で、自分としても想を新たにいたしたいというので、いましばらく長官にまかしてある、はっきり申し上げればこういうことでございます。
  181. 安井吉典

    安井分科員 じゃ一体漁港中心主義から、どういうふうな方向にお進みになるお気持なんですか。
  182. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、先ほど申し上げました通りに、沿岸漁業の振興、魚族の保護、繁殖という面に当分の間はなるべく重点を置いた水産計画を、沿岸においては立てていこう――遠洋については別でございます。これは船種の改良等に重点を置いて、大きな船で十分に漁獲を上げていくというような方向に行かなければならないだろう。こう思っております。この点は、一般農業において労力が移動いたしておるのと同様に、水産においても同様な傾向が今後出てくるのではなかろうかというふうに考えております。
  183. 安井吉典

    安井分科員 沿岸漁業振興の中心的な課題をどこに置くかという問題に、結局なってくるわけでありますが、これはさらに後に機会がありますので、その場合に一そう突っ込んだ検討をいたしたいと思いますが、しかし沿岸漁業振興のために漁港の拡充なり整備なりが必要だ、こういうことにも回りめぐってくるわけであります。この点につきましては、さらに別な機会に待ちたいと思います。  農林水産委員会で、この間価格政策についてお尋ねをいたしましたが、このとき昭和三十五年産大豆の価格が今未払いになっておるという問題につきましてお尋ねをいたしましたら、農林大臣は、それは知らなかったから、早急に結論を出して払うようにするというお答えがありました。  この問題につきましては、さらに後に触れることにいたしまして、まず昭和三十六年滝の大豆や菜種の価格についての、大豆なたね交付金暫定措置法に基づく基準価格が最近告示をされたり、あるいはまた通牒が出たりいたしているようでありますが、その価格につきましては、近来ずっと物価が騰貴しているというふうな事情もあるわけでありますが、パリティ価格や再生産確保の価格として十分なものとしておきめになっておられるのかどうか、その点を伺いたいわけであります。というのは、そういうような問題で、たとえば北海道から三千二百五十円を下回っては因るといったような要請等も、私ども聞いておるものですから、一つ確かめたいと思います。
  184. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 三十六年産の大豆の基準価格、つまり交付金を計算する基礎の価格でございますが、政令できまっておりますように、一月の三十一日に、六十キロ当たり三千二百円ということできめて告示をいたしたのであります。これをきめますのは、法律あるいは政令にございますあの趣旨でやったのでありまして、パリティをはじき、あるいはまた生産性の伸びを考慮し等のことではじいたのであります。
  185. 安井吉典

    安井分科員 価格の適否の問題もきょうはあと回しにいたしまして、そこで告示されました価格でありますが、お聞きいたしたいのは、たとえば大豆につきまして、十勝小粒素俵三等、いわゆる規格その一です。その価格は幾らになるわけですか。
  186. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 三千二百円というふうにきめましたのは、あくまでも交付金を計算する基準の価格でございますので、何といいますか、どの規格のものということではなくて、計算する基礎として六十キロ三千二百円というふうにきめたのであります。
  187. 安井吉典

    安井分科員 私ぜひお聞きしたいのですが、それでは十勝小粒素俵三等、規格その一、その価格はどういうふうな形で出てくるわけですか。
  188. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 どの規格のものがどういう価格であるかということは、通常の公定価格を定めるような形ではきめないつもりでございます。御承知のように、法律の趣旨が、平均的に基準価格は幾ら、平均的に販売価格は幾らということの基準価格をきめまして、その差額を交付金で払うという、そういう算出の基礎をきめるという趣旨でございますので、どういう規格のものが幾らかというような定め方はいたしません。
  189. 安井吉典

    安井分科員 その場合どういうことになるのですか。大豆一般というものはあり得ないわけですね。だから、具体的に規格その一というものが幾らになるのだと聞かれましたら、どういうふうにお答えになるわけですか。
  190. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 私、目下勉強中でございますので、間違うといけませんから、第二部長から説明させます。
  191. 中西一郎

    ○中西説明員 お答えします。  十勝小粒規の一、三等について幾らの価格が支払われるかという点につきましては、全販連、全雑連あるいは全集連等が委託販売という形で農民の委託を受けて販売される、その販売の金額いかんに応じまして、従来の銘柄、等級別格差というものがございますし、そういうものを参酌されて、それぞれの調整団体が売れた値段をベースにしておきめになってお払いになるべきものであって、政府でそこまで立ち入る必要はないのではないか。特に法律の建前としまして、交付金を単価としてきめて交付するような法律になっております。従って交付金を算定すれば足りるのであって、その場合には売れたものも平均であり、基準価格平均である。その平均平均の比較をしまして交付金単価をきめるということで、必要な限度を満たせばそれで十分ではないかと考えておる次第であります。
  192. 安井吉典

    安井分科員 農家の人は、大豆一般を作ったり菜種一般というようなものを作っているわけじゃないですね。一つ一つの銘柄をもって、しかも売るときにはそれぞれの規格を持った形で売り買いされるわけでしょう。その場合にどういうことなんですか。農家の人が大豆十勝小粒素俵三等は幾らですかと聞かれたら、一体どういうふうに――いつそれがきまるのですか。
  193. 中西一郎

    ○中西説明員 従来の全販連その他におきます、農家からの委託を受けての販売を考えていただきますと、大体事は明らかになるのじゃないかと思うのですが、委託販売の場合に幾らになるということはあらかじめきまっておりません。売れた値段をもとにして所要経費を引いて、全販連は各農家に払っておったわけでございます。それと同様のことを、今後も期待いたしております。政府として、その等級なりあるいは産地によって銘柄が非常に複雑になっておりますが、それごとに価格をきめるということは、今度の法律のもとでも必要はない、従来通りの仕切りをそれぞれの委託販売の過程で、全販連その他にやっていただけば十分であると考えておる次第であります。
  194. 安井吉典

    安井分科員 それじゃ、大豆のそれぞれの銘柄別の価格は、全販連が勝手にきめてそれでいい、農林省はそんなことは知らぬ、そういうことですね。
  195. 中西一郎

    ○中西説明員 今まで全販連といろいろ打ち合わせてきました経過で申しますと、十勝小粒、北見小粒あるいは中粒、大粒、長野県その他各県産ごとに、一定の格差があるようでございます。そういう格差をもとにして、全販連の方で仕切られるとすれば、それも一つの方法であると考えております。決してそうむずかしい仕事であるとは思っておりません。
  196. 安井吉典

    安井分科員 交付金算定の基礎というふうな言い方を、今なされたように思うのですが、その交付金というのはあの法律の趣旨からいえば、ストレートに生産者におりていく、そうして法律第一条の生産確保と農家所得の安定のための国家補償額というようなものであるべきだと思うのですが、その点いかがです。
  197. 中西一郎

    ○中西説明員 あの法律の体系をずっと見ていただきますと、価格をきめてそれを支払う、あるいは全販連にそれを支払わせるという形で、個々の価格を補償するという体系ではございません。自由化以前の農家における大豆なりあるいは菜種なりの手取り水準というものが、将来にわたって安定的に確保されるように交付金を出そう、こういう法律でございます。従って交付金を算定するに足る資料として、基準価格としては、平均的なものを把握するので十分ではないか、それ以上立ち入って非常に複雑な銘柄、等級別に価格を政府がきめまして、その通り全販連なりその他の調整団体が払っていく、こういうことまでやることは、あの法律は要求してないというふうに考えております。
  198. 安井吉典

    安井分科員 今大へんな御発言を聞いたわけでありますが、価格補償じゃないと言われるわけですか。
  199. 中西一郎

    ○中西説明員 個々の取引されました大豆なり菜種なりのそれぞれの銘柄、等級ごとの価格を具体的に決定しまして、その価格を補償するという建前になっておりません。法律としましては、水準が自由化以前の手取り水準であるように交付金を出そうということで、できておるためであります。
  200. 安井吉典

    安井分科員 農林省が先まで見届けないで、あとは適当に全販連がやるだろうというふうな補償の仕組みというのは、これは私今までの農安法の中にもなかったし、今まで聞いたことがないと思うわけです。そういうふうなことでいいわけですか。
  201. 中西一郎

    ○中西説明員 わが国の今までの農産物価格安定の仕組みとしては、今度の交付金のような体系は新しいものだと思います。政府が全部買って、それを全部売る、その場合の買入価格を全部公定し、売ります場合の価格も全部公定するというようなやり方も、たとえば米でやっておるのでございます。麦の場合も、政府の買った麦については具体的にきめてある。政府が買わない仕組みということもあり得るわけです。農安法の場合などは、在庫調整という意味で、市場における超過出回り分をたな上げするような形で、それを場合によって買うという体制でございますが、今度の大豆なたね交付金暫定措置法は、そのいずれでもない、新しい、いわば第四の方式ではないかと思います。一口でいいますと、イギリス等でやっておる不足払いに似ておるのではないか。その場合に不足払いする単価というものを求めまして、それを委託販売したそれぞれの農家にその単価を渡していくということによって、基準価格の水準が満たされる、そういう交付金単価をきめる、そういう制度であると考えております。
  202. 安井吉典

    安井分科員 三十七年度に講じようとする農業施策というのは、これは長官になられる前にお書きになったのか、これは起草者はあなただというふうに伺っておりますが、この二十三ぺ-ジには、「以上の価格流通対策によって農業従事者の農業所得の増大を図るほか、自由化対策の一環として生産者の所得補償を直接の目的とする「大豆なたね交付金暫定措置法」というような表現の仕方をされております。ことさらに直接にという表現をなさっておるわけです。だから、これは立法者の意思としては、やはりそういう初めからお米やなんかの価格と同じような考え方が、この中にあったと思うのですが、それが何かのかげんで私は基準価格だとか何もかも込みの価格だとか、それがいつの間にか妙な変化を見せて、今日あるのではないかということを思うわけでありますが、その点いかがです。
  203. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 この二十三ページに書いてございます趣旨も、中西部長から説明のありましたように、価格水準を維持する、価格水準で所得を保障するという趣旨でございまして、先ほど来御議論のある、個々のどういう品物を幾らでということまで事こまかく保障をするという趣旨ではございません。
  204. 安井吉典

    安井分科員 基準価格算定にあたって、パリティだとかあるいはまた生産費計算とか、いろいろな資料をお使いになったと思うのでありますが、どの銘柄のどの等級をそれにお使いになっておられたわけですか。資料を後にいただきたいと思うわけでありますが、とりあえず今お答えをいただきたいと思います。
  205. 中西一郎

    ○中西説明員 三千二百円、先ほど長官から一月三十一日にきめたというお話がございましたが、その計算の基礎は、農家経済調査をもとにしてやっております。農家経済調査をわれわれ集計いたします場合に、すべての銘柄、等級というものがそれぞれ込みになって出てきておる調査でございます。そういう意味で、三千二戸円もそういうものであると理解することが、調査の過程から申しましても、妥当であろうというふうに考えておる次第であります。
  206. 安井吉典

    安井分科員 そういたしますと、大豆の一つ一つの銘柄についての計算はなさっておられないのですね。
  207. 中西一郎

    ○中西説明員 はっきり聞き取れなかったのでございますが……。
  208. 安井吉典

    安井分科員 つまり、大豆の生産量だとか、そういったような問題がありますね。農家の人は、何々の大豆というふうなことで、特定の種を選んで、それを売り買いをするわけです、従って、生産費の計算の中には、具体的な銘柄がなしに計算ができるわけはないと私は思うのです。どうでしょう。
  209. 中西一郎

    ○中西説明員 生産費調査のお話が出ましたが、農家経済認否は、農家の庭先を離れまして、通常農村で流通します段階における大豆の価格調査でございます。物価賃金調査の一環としてやっておるのでございますが、特定の銘柄についてやっておるものではございません。なお、生産費調査でございますが、これも特定の銘柄ということでなしに、数十戸の農家を対象としまして、大豆の平均的なものを見出すような仕組みでの計算になっております。
  210. 安井吉典

    安井分科員 白芽大豆は、大体普通の大豆より二百円くらい高いのでしょう、一体あなた方の方でなされた生産費計算の中で、白芽はどれくらいの価格に出るわけですか。
  211. 中西一郎

    ○中西説明員 先ほど申し上げました通り生産費計算では、特定の銘柄のものについての調査として結果が出て参りません。白芽大豆が高いというお話は、その通りであると思います。ちょっと技術的な話になるのですけれども、たとえば米価一万一千五十二円五十銭といいます場合に、これは特定の銘柄をさしておりません。これと似たような方法が大豆、菜種の価格についても言えるのではないかと思います。
  212. 安井吉典

    安井分科員 なるほど米価もそうですね。そういうことは言えます。しかしながら、その基礎になった銘柄なり等級なりははっきりあるでしょう。ありますよ。何等幾らとはっきり告示されるじゃないですか。それがあるでしょう。いかがです。
  213. 中西一郎

    ○中西説明員 それは銘柄、等級別の価格があって出てくるのではございません。一定の価格水準というものが出てきまして、それをもとにして銘柄、等級別の格差と、そのウエートをもとにしましてその水準価格を開くわけでございます。その上で、一等は幾ら、二等は幾ら、各銘柄のは幾ら、こういうふうに出てくるわけでございます。
  214. 安井吉典

    安井分科員 ですから、大豆の場合も菜種の場合も、農林省でなさろうと思えばできるわけですね。
  215. 中西一郎

    ○中西説明員 その点について農業団体等といろいろ詰めております。技術的に非常にむずかしい問題が実はございます。菜種の場合に比して大豆の方はなおむずかしい。といっても、菜種もそう簡単でないというようなことでございます。といいますのは、菜種なり大豆なりの流通といいますか、商品化の程度といいますか、そう全日本の市場を相手にしての流通をいたしておりません。地場限りでいくというようなものも相当多いということで、横にずっと並べての銘柄別、等級別格差というものをしかく固定的に考えるということについては、なお問題がございます。全販連等で今までやって参りました経験による格差というものはございますが、今それで当面やっていくということで、委託販売も整理をしていく、清算をしていくということはやむを得ないかと思いますが、国としてそういうものを取り上げて、それが格差としてよいものであるというのには、まだ十分熟してないように考えております。
  216. 安井吉典

    安井分科員 どうもごまかしだと思うのです。それは、初めのうち、一応こういうような形で出すという約束をしておきながら、それがあとで、価格を少し値切ってやろうというふうなそういうお気持からか、妙な形で今ゆがんできたような印象を私受けるわけであります。そこで、製油用菜種三等六十キロ包装込み三千百八十円ですね。これは洋種なんですか、和種なんですか。
  217. 中西一郎

    ○中西説明員 今お話のございました製油用三等三千百八十円といいますのは、せんだって来三十六年産の菜種について全販連に通達した価格であると思います。その場合の考え方としましては、基準価格という思想であり、かつ、製油用三等というものをその基準価格としてとらえてしかるべきではないか。といいますのは、製油用三等のウエートは非常に多うございます。そういうこと等も勘案して、まだ十分熟してない段階でございましたけれども、一応急ぐということで、製油用三等ということで通達をいたしております。その製油用三等といいますのは、農産物の検査法を読んでいただきますと、その中にあるのですが、洋種、和種の区分はいたしておりません。洋種にも製油用三等はあり、和種にも製油用三等がある。製油用三等といいました場合には、それらのものの平均的なものであるというふうに考えての措置でございます。
  218. 安井吉典

    安井分科員 大臣御用で御退席だそうでありますが、大豆、菜種の問題は、これはもう私どもは単純な事務的な問題だと考えております。ところが、今伺いましたその中からも考えられますように、当初私どもがこの法案を作った趣旨とは、まるきり違う形で運用されようというような傾向が今見えてきておるわけです。そういうことになりますと、これは単なる事務的な問題だけじゃなしに、大きな政治的な問題にもなりかねないというような気が私するわけでありますが、一つ、この点まだ具体的な内容等について大臣の耳まで入っていないのかしれませんけれども、慎重な態度で御検討いただかなくてはならない問題だと思います。お考えを一つ承りたいと思います。
  219. 河野一郎

    河野国務大臣 この価格決定いたします際に、今事務当局から説明いたしましたように、平均価格、農家の手取りを保障する価格というような意味合いで、この程度価格が適当であろうということで、私もその辺がよかろうというので指示をいたしました。それを実際処理する場合において、全販連との間にいろいろ意見の交換をいたしておるのであります。それらにつきましては、なおよく事情を十分聴取いたしまして、善処いたします。
  220. 安井吉典

    安井分科員 なおあと二、三分続けて伺いたいと思いますが、この菜種についてだけ三等と限定されたわけですね。大豆はそうじゃないけれども、そういうことですね。
  221. 中西一郎

    ○中西説明員 三十五年産の大豆のお尋ねかと思いますが、これについてはまだ具体的に決定をいたしておりませんが、製油用三等というような考え方で参るのが、予算処理の段階としてはやむを得ないのではないか。法律が出る前のものの処理という意味合いで、製油用三等というものと似たような取り扱いをするべきではないかという意味合いで、内部的に検討をいたしております。
  222. 安井吉典

    安井分科員 私がお尋ねしたのは、三十六年産菜種の農家手取り基準価格についてという通牒について、「製油用菜種三等六十キロ、三千百八十円」と書いてありますね。ですから、これは大豆については単純な基準でいっているし、菜種については三等とそこまで限定されたわけですね。この点です。
  223. 中西一郎

    ○中西説明員 私、少し勘違いをいたしましたが、三十六年産大豆については、銘柄、等級、何も言わずにきめております。これは三十六年産大豆から今度の交付金が適用されるために、法律ができ、政令が施行になりまして、その上に立って考えました場合には、製油用三等ということを菜種について言うことも避けた方がベターである、三十七年産菜種については、そういう取り扱いにするのが筋合いであろうというふうに考えております。
  224. 安井吉典

    安井分科員 いよいよもって農家の手取りというものを明らかにしないという形で、問題の所在をごまかそうとしている、そういうような印象を私ども受けるのであります。別に法律では、全体の平均価格を出すとか、そんなことをちっとも書いてないはずです。AA制に移行することによって、大豆や菜種を作っている農家の所得を保障する、そういうような立場から法律が定められており、ですから、こういうような方向でやはり農林省当局として問題を処理すべきだと思うわけですね。大蔵省の圧力か何かかかって、急に問題をすりかえたのじゃないですか。その点いかがです。
  225. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 そのようなことはございません。
  226. 安井吉典

    安井分科員 結局、今になって農民を値切ろうと政府がしていると思います。その点許すことのできない事態だというふうに私ども考えるわけであります。三十五年の大豆の価格にいたしましても、交付金が未交付でありますが、これについては、先日、農林大臣は早急に処置をするというような言明はあったわけでありますが、その後の作業はどうなっておりますか、それもあわせて伺います。
  227. 中西一郎

    ○中西説明員 いろいろ御批判があるようでございますが、一例を申します。三十六年産菜種について言いますと、製油用三等といいます場合と和種の三等という場合と比べると、それから全体を平均に込みにしまして三千百八十円といった場合、交付金の単価といいますか、基準価格、いずれが高くなるのかというようなことについての一つの作業がございます。どっちが大蔵省が有利不利であるかという見地から言いますと、三十六年産の菜種につきまして、法律ができたあと考えております平均というのを適用する場合の方が、基準価格は高く出るという試算がございます。実は関係団体にもその点は連絡を申し上げておるのですが、まだ十分煮詰まっておりません。  なお、三十五年産大豆の交付金でございますが、これはかけ足でやっております。まだ若干私の力でも大蔵省と詰めなければならぬ問題が残っておりますので、残念なんですが、できるだけ早く措置いたしたいと思います。なお、調整団体の方も二、三作業が残っております。あわせてできるだけ早く交付金が渡るようにしたいと考える次第であります。
  228. 安井吉典

    安井分科員 込みで渡したやつを小さく内部的に銘柄別に分けたら、かえって手取りがふえるだろうと今言われたわけですが、それなら、初めからちゃんと銘柄をお示しになったらどうですか。何か基準的なものを一つお示しになれば、自然に出てきますよ。規格一が幾らということをみんな出せば、それでみんなの価格が出るわけです。米とよく比較されるわけですが、やはり米のような措置が具体的な価格で出てこなければ、個々の農家は納得しないと思います。全販連に渡せばいつか支払いが行なわれるだろうということでは、やはりこれは法律の趣旨も通すことにならないし、また、農家を納得さすことにもこれはならないと思います。この問題は、さらに農林水産委員会でじっくり時間をかけて論議をいたしたいと思いますから、きょうはもうこのくらいにいたしますが、そのほか、概算金の支払いの問題だとか、保管料の問題だとか、いろいろ問題があるように聞くわけであります。政府はすみやかに法の精神に従った措置――そういうふうな具体的に農民を納得させ、AA制移行によるその被害を幾らかでも少なくしようという、その筋が通せるような方向で問題を御処理願わなくては、私どもも了解いたしかねると思います。そのことだけを一つお願い申し上げて終わります。
  229. 赤澤正道

    赤澤主査 本日はこの程度にとどめ、明二十日は午前十時より開会し、農林省所管についての質疑を続行することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十八分散会