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芳賀分科員 三十六年に超過利潤がないというのは、これはおかしいじゃないですか。ないというのは、超過利潤を大幅に認めておるからして、それは超過利潤じゃないというのか。これは私の方に
資料があるから申し上げますが、一体超過利潤が出るか出ないかという基準がどこにあるかというところに、さかのぼらなければわからないわけなんですよ。これは
昭和三十四年に
国内のてん菜糖の増産措置を講ずるために、てん菜二法の改正あるいは制定を行なうと同時に、
国内における
砂糖、
輸入糖並びにてん菜糖の標準
価格というものを設定して、卸売
価格については、
輸入糖、これは精製の上白、それからてん菜糖、ともに卸の標準
価格というものが一キロ百二十二円六十七銭、これが標準
価格ということになっておるわけです。ですから、これを不当に越える利潤を獲得した場合は、これは不当利潤ということになるのであって、この利潤は
輸入糖についてはニューヨーク相場をとって、これが三セント四五、それがCIF
価格にすると一トンについて八十九ドル五三、これは邦貨に換算しますと一トンが三万二千三百三十八円ということになるわけです。ですからトン当たりCIF
価格が三万円そこそこである場合は、これは不当利潤というものは生じないということになっておるのでありますが、これが三十四
年度の場合には
輸入価格が二万八千四百六十三円、それから三十五
年度は、これが二万九千二百五十円ということに、それぞれトン当たりのCIF
価格がなっておるので、これは
相当膨大な超過利潤が出る、そういう計算が自動的に出てきておるわけです。それを
農林省が第一回の試算と第二回試算を大きく狂わしてしまって、最初は百四億円もあった超過利潤が最後には十八億しかない。こういうでたらめなことを、実は過去においてやっておるわけです。それでは現在どうなっておるかというと、昨三十六年に入って一番安いときのニューヨーク相場は、ニセント〇五ということになっておるわけであります。この
価格で入ってくれば、トン当たりCIF
価格が二万一千四百九十九円で、これは三十四
年度の不当利潤として
指摘した
輸入価格よりも非常に安い
価格である。最近の相を調べますと、これは若干上向いておりますが、二月十九日のニューヨーク相場は二セント三四、これを
輸入価格に換算するとトン当たり二万三千八百三十七円ということになるわけであって、従って、
食糧庁長官が、三十六年を通じて超過利潤が出ませんと言っておるが、これは三十六年一年間の
平均価格というものを出してみれば、
相当大きな超過利潤が免じておるということになるわけです。大体年通算して一キロ十円くらいの超過利潤というものは生じてくる。そうすると百万トン
輸入すれば、これは当然百億円ということになるでしょう。これは軽視できないと思うのですよ。過去にもインチキをやって百四億円を十八億円に縮めたという、その経緯のいろいろな内幕の話もわれわれは
承知しております。今回の場合にも、少なくとも年間百億くらいの不当利潤、超過利潤というものがあるというふうに、国民は判断しておるにもかかわらず、しゃあしゃあと、いやありませんというようなことは、断じてわれわれとしては了承することはできない点であります。従って政府が三十四年に設定した標準
価格というものはあるわけなんです。ですから、これを基準として、はたしてこの超過利潤というものは、どの
程度あったとかないとかいう問題は明確になるわけでありますからして、この点についてはただいま即答ができないとするならば、これは具体的な正確な
資料というものを後刻お出し願いたいと思う。こういうような実情ですからして標準
価格については、精製糖の上白とてん菜糖が卸売
価格については、大体同列に置いてあるわけでありますが、実際の取引
価格の面から見ると、やはりてん菜糖が割高であって、なかなか消流が困難な面もある。あるいは競争する場合には安く売らなければならぬということで、ここに現在てん菜糖の生産というものが伸びない一因もあるわけです。ですから超過利潤が持続的に生じておるということになれば、これを吸収するための方法としては、三十四
年度には
砂糖消費税の引き下げを行なって、その減収部分に見合う分を関税の引き上げということで措置したわけでありますが、一昨年の十二月周東
農林大臣の時代においても、これは
自由化を前提として関税率をキロ当たり六円引き上げるというような動きもありましたが、これは精製糖工業界の猛反撃にあって、ついにこれもなれ合いでつぶれてしまったという経緯が実はあるわけです。ですから、
大臣が言われた
通り、
国内の
甘味の生産体制を整えて、これを強力に進めるということになれば、このような年間百二十万トンにも及ぶ
輸入糖の超過利潤というものを正確に把握してこれを吸収する、そうして国産糖との
均衡が市場において、はかれるようにしなければいつまでたっても、あるいは何回イタリアに
調査団を派遣しても、その実は上がらないと思う。イタリアにおいては第二次大戦直後は、年産十数万トンの生産しかなかったのが、わずか十カ年間で百万トンをこえるてん菜糖の生産が上がって、現在は
大臣が言われた
通り、生産を抑制するような措置さえ講じておるわけです。これはやはり学ぶべき点がありますが、今のようなでたらめな
砂糖行政をやっておる限り、日本においてはこの実現というものは私はできないと思う。ですからこの点については、やはり
国内のてん菜糖と
輸入糖との市場における
価格の
均衡をはかる。そのためにはやはり制度上根本的な措置が必要であって、単に
農林大臣が指導する管理会の設置で、わずかばかりのテラ銭をここで吸い上げるくらいのことでは、抜本的な改善はできないと思うのですが、この点に対しては、本気になって取り組まれる御意思が一体あるのかないのか、この点に対する
大臣のお考えを示してもらいたいと思う。