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1962-04-28 第40回国会 衆議院 農林水産委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十八日(土曜日)    午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君    理事 田口長治郎君 理事 山中 貞則君    理事 足鹿  覺君 理事 石田 宥全君       飯塚 定輔君    草野一郎平君       小枝 一雄君    坂田 英一君       田邊 國男君    谷垣 專一君       綱島 正興君    寺島隆太郎君       内藤  隆君    中山 榮一君       福永 一臣君    藤田 義光君       本名  武君    松浦 東介君       米山 恒治君    角屋堅次郎君       東海林 稔君    楢崎弥之助君       玉置 一徳君  出席政府委員         農林政務次官  中馬 辰猪君         水産庁長官   伊東 正義君         水産庁次長   村田 豊三君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      林田悠紀夫君         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 森   博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  漁業法の一部を改正する法律案内閣提出第一  三二号)(参議院送付)  水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一三三号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付にかかる漁業法の一部を改正する法律案及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案、以上両案を一括議題として審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。田口長治郎君。
  3. 田口長治郎

    田口(長)委員 今回の漁業法改正及び水協法改正につきまして、いろいろ問題になっております一、二の点について、政府の御意見をお伺いいたしたいと思います。  その第一は、特定区画漁業権のうちのノリ漁業権存続期間の問題であるのでございます。先般来、ノリ養殖業者及びノリ養殖関係漁業協同組合方々が、特定区画漁業権免許期間が五年であるが、ノリ漁場その他は工業の発達によって埋立地予定になる漁場相当に多い、さような場合におきまして、五年の期間が切れたときに、地方長官免許をしないような実例が現実に相当ある、ノリ養殖業者としては非常に不安で仕方がない、こういうようなことを盛んに言っておるのでございます。この特定区画漁業権は、その漁業協同組合よりほかに持っていけない漁業権でもございますし、また個人に新たに免許する、さようなことのできない漁業権であるのでございますから、そういう埋め立てその他の問題がないときに、五年の期間が切れて、新たに免許をする場合におきましては、何にも不安のない漁業権と思うのでございますが、さような点から申しまして、これらの人の主張は、埋め立て予定地になった場合に漁業権の設定がないということは、漁業権補償の問題で、補償を、要求する要素がなくなってしまう、こういうようなことを非常に心配をしておるようでございます。この点につきまして、水産庁としてはこれらの方々が不安を一掃されるような処置をお考えになっておるかどうか、その点を明確にいたしたいと思います。   〔委員長退席小山委員長代理着   席〕
  4. 伊東正義

    伊東政府委員 御質問の点は、ノリ業者やなんかが心配されることはごもっともな点がございますけれども現行法律におきましても実はその点は同じような問題がございます。それで私どもといたしましては、今度の改正案では五年なら五年という期間がきましたならば、この漁場をどういうふうな漁場に使うのが一番いいかということを、海区調整委員会その他関係者意見も聞いてその上で区画に使うとかあるいは定置に使うとかいうようなことで若干制度改正いたしたわけでありますが、今先生の御質問になりましたような場合に、知事さんがある免許期間がきましたあと免許をしようとしないでほうっておくというようなことが過去においても実は往々にしてございました。今度の改正案通りますれば来年が切りかえになるのでありますが、ここには特定区画漁業権免許をしないというようなことを知事がしようとするとき、あるいは漁場計画を立てないというような場合には事前に農林省に報告してくれ。そうしますと農林省としては、どうしてそういうことを免許しないのだというようなことを県と農林省との間で少しいろいろな交渉を持つというような場を作ることにいたしまして、先生のおっしゃられましたようなことが極力起こらぬように、最小限度にするようにというようなことを通達等をもちまして、過去においてはやりませんでしたが、今度はやっていったらいいだろう。そして漁場計画をなぜ作らぬか、なぜ免許しないかということを農林省と県の間で交渉するということをやりますれば、区画漁業権者人——これはノリだけでなくカキその他もございますが、そういう人が安心されるのではなかろうかというふうに考えまして、従来やらなかったような行政措置をとることを考えております。
  5. 田口長治郎

    田口(長)委員 今長官の御答弁によりまして、ノリ養殖業者の不安を一掃するために農林大臣名をもって地方長官通牒を出す、かようなお話でございますが、この点は現行法で施行しております現状におきましては、そういう通牒も何もないのでございますから、改正後そういう通牒を出されることは、その点について相当プラスになるだろう、こういうことを考える次第でございます。  それから地方でいろいろな補償の問題が出ますときに、地方で片づかない場合中央に問題を持ってくることが非常に多いと思うのでございますが、ここで水産庁長官によくお話をしておきますことは、この漁業補償問題につきましては、従来漁業権補償、こういうような観念の時代があったわけでございますけれども、今日におきましては、漁業権補償でなしに、漁家生活保障、こういうことに大勢が変わっておるのでございます。従いまして、補償の算定には、平均漁獲高、これから通常の経費を引いたその数字の八掛をとるか七掛をとるか九掛をとるか、そういう係数をかけまして、そうしてそれの十年なら十年、九年なら九年、こういうような計算によって補償をする、こういうことが最近の傾向でございます。必ずしも漁業補償というものが漁業権補償ではない、こういうようなことになっておりますから、この種の問題について中央に持ち込まれた場合におきましては、単に漁業権補償という思想でなしに、漁家生活保障、こういうような意味におきまして、漁獲高というものを基礎にして御指導にならなければいかないと思うのでございます。さような観点からいたしますと、今回ノリ養殖業者が不安であるということで相当問題になっておりますが、これは漁業権補償するという観念に立っておるので、漁業者生活保障、こういうような観点からいたしますと、非常に意味が違ってくると思うのでございますから、中央にこの種の問題を持ち込まれた場合におきましては、その点を一つぜひお考えになっておいていただきたい、かように考えるのでございます。  それから第二の問題といたしまして、いわゆる従来の指定遠洋漁業者現行法では当然に許可が継続するのに、改正法によりましては、すべてが一度切れて、そうして新たに許可になる、こういうことにつきまして非常に不安を持っておったのでございますが、この点につきましては、私どもとしては漁業者適格性がある、まじめにやっておる、そういうような漁業者に対しては、漁業法がどうあろうとも、やっぱり仕事を継続してやらせる、こういうようなことが必要である、かように考える次第でございますが、継続許可、このことを削られた改正漁業法といたしましては、その点に対する処置をどういう意味でどういうようにされたか、ここで一つ明確にしておいていただきたいのでございます。
  6. 伊東正義

    伊東政府委員 今の御質問の点でございますが、最初の補償の問題は、先生のおっしゃる通りでございまして、電源開発補償方式も、先生のおっしゃいましたように、権利補償ということじゃなくて、過去にどういう所得があったかということを基礎にして補償いたしております。先生のおっしゃる通りでございますので、十分善処いたします。  それから御質問の従来五十九条にありました継続許可の問題を今度は許可につきましては一斉更新をとるというようなことを考えまして、その時点に立って、資源保護あるいは漁業調整上、この許可漁業全部についてどうするのだ、そしてどういうワク考えたらいいのかというようなことで、一斉更新制度をとりました関係上、この五十九条を改正いたしましたことは、先生おっしゃった通りでございます。ただ、おっしゃいましたように、過去の実績者全員に、平穏に漁業法に違反なくやっておりましたものにつきましては、新しい許可についても当然許可がいくようにして、経営の安定をはかっていくという意味からしまして、今度の改正法の五十八条に、許可をいたしますときにはワク公示をするということを考えております。その公示をする場合にどういうことを考え公示するかといいますと、水産動植物繁殖保護でございますとか、漁業調整その他公益に支障を及ぼさない範囲内で、かつ今まで当該指定漁業を営んでいた人の数とかその経営の状態、そういうものも、資源保護とか漁業調整につけ加えまして頭に入れて数の公示をするというので、公示をしますときにまずそのことを考えております。それから、その公示に基づきまして許可をするわけでございますが、五十八条の二の三項で、そういう従前から漁業を営んでいた人が同一内容の申請をしてきたという場合に、当然、ワクがあるという場合には、他の申請に優先しまして許可をしなければならぬというような規定を入れまして、やはり実績者につきましては優先して考えていくのだということを、公示の際と、それから公示に基づく許可の際と、両方規定を入れまして、法律改正しましたが、極力経営に不安なからしめるようにするというような規定を入れたわけでございます。
  7. 田口長治郎

    田口(長)委員 今のお話によりまして、いわゆる新規許可に全部してしまうのであるが、その新規の場合において、漁業法上において実績尊重というような意味において許可の際優先的に許可するというような、そういう問題について十分配慮しておる、こういうようなお話でございました。そうなりますと、従来の方法とほとんど変わらない、こういうふうに考える次第でございますから、その点は了承ができると思うのでございます。  次にいろいろ問題になりましたのは、母船式漁業における独航船地位の問題でございますが、現行法では、母船及びその付属船——その付属船ということで独航船を片づけておるのでございますが、独航船側の言い分としては、漁船というものは魚をとる船が漁船じゃないか、従いまして、しいてそのどれが本体かということになれば、母船よりも独航船の方がほんとうの漁船である、従いまして、現存サケ、マスの母船式漁業におきまして母船及びその付属船ということでは困る、また今日の許可出し方は、母船にだけ出して、そうして独航船許可証を渡していない。従って、自分の船がどうも許可になったらしい、こういう程度まではわかるけれども、はたして真に許可になったかならないかということは、なかなかわからない。こういうことがひいて金融その他にも関係してくるのだ、こういうような議論が非常に盛んでありまして、さような点から、水産庁といたしましては、この独航船定義、あるいは独航船自主性、そういうようなものを考慮されまして、今回の改正で思い切ってその点を非常に明確にされた次第でございます。ただこの鮭鱒母船式漁業というものは、いわゆる船団になって初めて仕事ができる。従いまして、独航船個々自主性は尊重しなければならぬが、船団であるというその前提のもとでなければ、漁業の組み合わせというものがすっかりこわれてしまう、かように考える次第でございます。この独航船処置及び船団ワクの内における許可、こういうような問題につきまして、改正漁業法はどういう御配慮されておりますか、その点を明確にしていただきたいのでございます。
  8. 伊東正義

    伊東政府委員 今御質問でございますが、現在の法律では、先生が今御指摘になりましたように、独航船等地位法律的に若干不安定といいますか、そういうことがあったことはいなめません。御承知のように、母船式漁業許可を受けますと、そのあとでそれに使います母船と、それから付属船使用承認というのを役所の方に出していきまして、その承認を受けまして、どの母船、どの独航船を使うというような形に、法律的にはなっているわけでございます。それで今度の法律におきましては、五十二条で、独航船といいますか、その付属船定義も、母船一体として漁業を行なうというようなことで、法律上の地をはっきりいたしまして、母船及び独航船ごと主務大臣許可を受けるというようなことにしたわけでございます。しかしそういたしますと、先生のおっしゃいますように、ばらばらな許可になって、その組合わせは自由だということになりますと、これまた問題でございますので、同じ五十二条の中で、母船許可を受けようと思います場合には、自分母船一緒になって当該漁業に従事する独航船というものをきめまして、母船はどういう独航船を使うんだということを書いて許可をもらう。今度は独航船にありましては、自分がどの母船一体になって漁業をしているんだという母船をきめまして、その母船がきまった上で、初めて独航船としての許可をもらうというようなことにいたしまして、所属関係といいますか、一体となって漁業関係をする両者の関係は、許可面ではっきりできる事態にならなければ、許可できないということにいたしまして、先生が御心配になるようなことにならぬように、両方とも独航船も確定し、独航船許可の場合には母船も確定して、初めて、その後に許可を出すというようなことにしまして、混乱は起きないというような手当をしたわけでございます。
  9. 田口長治郎

    田口(長)委員 具体的の許可証出し方、そんな点を第一に明確にしてもらいたいのでございます。  それから第二の問題といたしまして、一応母船及び独航船が合意の上で許可をとった。とった後に、おれたちは何々船団に加わっておることはいやだ、こういうような人がもし出た場合、これは漁期も非常に切迫しておりますし、そういうことはほとんどないと思いますけれども、そういう場合も想像されるわけなんですが、さような場合におきまして、どういう処置で出漁に差しつかえないか、その方法、何かお考えになっておりますれば、一つ明確にしておいてもらいたいと思います。
  10. 伊東正義

    伊東政府委員 許可の具体的な出し方でございますが、これは六項で、省令でいろいろ許可証交付等について手続を書くと思いますが、たとえば今先比例をあげられました北洋の場合を考えてみますと、北洋独航船が、どの会社母船一体になって自分は行くんだというようなことが話がつかぬ限り、その独航船は、独航船としての許可はもらえないわけでございます。どこかの会社母船というものが、自分一緒漁業をする母船がきまりまして、初めて、その母船名前がAでありますれば、私伊東という独航船は、Aという母船について漁業に行くということが、許可面で、A母船一緒仕事をする独航船伊東丸だというような名前を書いた許可証を初めてもらえるわけであります。でありますので、母船が特定せぬうちには、独航船許可証はもらえません。  それから、もらったあとの問題でございますが、自分はAという母船についていく伊東丸でございますが、伊東丸が、どうもAというものはいやだから、自分取り消したいとういような場合には、これは許可を失うわけでございます。独航船としてまず許可を失ってしまいます、その母船と行かぬということになりますと。その次には、今度はほかのBならBという母船に行くか行かぬかという問題でございますが、これはBという母船と話し合いがつかぬうちには、また新しい許可は出せぬということになりますので、漁期の切迫した事態に、そういうことはまた新しい人等の承諾も要しますし、役所としましては、一回出しました許可をまた取り消します。それは母船をかえれば取り消しになります。また新しい許可を発行するということは、それは水産行政をやる面からしますと、まずい。混乱を起こすということになりますので、漁期の切迫した当時において、そういうことは、行政庁としては、またやりたくないというふうに考えまして、先生のおっしゃるような心配が出るような許可は、取り消しをもししますれば、その独航船は、その漁期は行けなくなってしまうというようなことになってしまうのじゃなかろうかというふうに私は考えております。
  11. 田口長治郎

    田口(長)委員 今御答弁になりましたところによりまして、一つ船団として操業する、こういうことにつきましては、ほとんど不安がないような、さような感じがいたすのでございます。一方独航船旧主性許可証の問題はよくわかりました次第でございますが、独航船について、何か定義をしておられれば、この際明確にしておいてもらいたい。
  12. 伊東正義

    伊東政府委員 五十二条に規定いたしております。五十二条は、船舶によって行なう漁業であって、政令で定めるもの、これは指定漁業でございますが、にあっては、船舶ごと主務大臣許可を受けなければならぬ、こうなっているわけでございますが、式漁業の場合には、これは母船及び独航船ごと許可を受けるわけでございます。その中の独航船というものは、母船一体となって、当該漁業に従事する独航船その他省令で定める船舶、これは鯨でありますと、探鯨船とか、そういうものが船についているわけでございます。それから川崎船というものもございましょう。そういうものを省令で定めるつもりでございますが、要するに母船一体となって、当該漁業に従事する独航船、その他の省令で定める船舶をこの法律独航船等というふうにしまして、母船一体となって当該漁業に従事する船、そういうものを「独航船等」ということで法律規定したわけでございまして、これはあくまでやはり母船一体となって操業するということに相なろうと思います。
  13. 田口長治郎

    田口(長)委員 独航船定義といたしましては、大体今の御説明によりまして自主性が保たれておる、かようなことに考える次第でございますが、漁業法改正の途上におきましてもう一つ問題になりましたことは、真珠養殖許可漁業権の問題であるのでございます。現行法真珠養殖許可権につきましては経営者免許、こういう建前をとっておるのでございますが、何ゆえに真珠養殖業経営者免許をとっておかなければならないか、こういうことについて明確な説明一つお願いいたします。
  14. 伊東正義

    伊東政府委員 真珠につきましては、御承知のように現在の法律自体経営者免許経験者優先ということになっております。一般区画漁業の中で特別な区画漁業権特定区画漁業権、これは団体管理することはなじまぬ漁業権ノリでありますとか、カキとかいうものがございますが、これと違いまして、特に経験者優先というふうにいたしました趣旨は、私はこの漁業自身団体管理漁業にはまだなじまない性格があるというふうに考えております。と申します理由は、この漁業につきましては、特にこの商品考えてみますれば、ほとんど大部分が輸出商品に相なっております。いろいろな技術的な面その他からいたしまして、団体管理漁業権にいたしますと、これはどうしても零細化といいますか、そういうふうになることを免れませんが、この商品性格上からいたしますと、かなり資本も要ります。大玉等を作りますには数年もかかる、金融の面も必要ございましょう、そういうようなことで、やはり商品性格からしまして、経験者優先ということが今の時点においてはいい。またこの漁業について見ますと、単にその漁業組合地先の水面だけでこの漁業が終わるのではございません。御承知のように化粧巻でありますとか、あるいは避寒とかいうほかの全然別なところに行きまして、同じ玉の生産工程点々漁場を何度も変えるというような技術的な問題もございます。そういうような面からしまして、これを組合管理ということに今いたしまして、組合員が平等に——どうしてもその結果零細化になりがちでございますが、そういうことから出てきます商品は、商品としてはあまりなじまぬのじゃなかろうかというふうに考えまして、水産庁としましては、現在の法律経験者優先という原則をとったわけでございます。ただし、新規漁場につきましては、漁業協同組合自営等につきましては、経験者、たとえば極端な例で申し上げて、一人おりましても、ほかの経験者同一順位にして新しい漁場ではその漁場の運用を考えていくというような例外規定を設けたわけでございますが、従来の漁場につきましては、今申し上げましたような現行法のままを貫いたわけでございます。
  15. 田口長治郎

    田口(長)委員 ただいまの御答弁によりまして、真珠養殖業というものは四年、五年と非常に長くかかって初めて一つ商品ができる、かような事情もあるし、非常に資本もかかる、また一区画漁業だけで養殖できないので、化粧巻あるいは避寒漁場を求めてやらなければならぬ、こういうような特殊な性質があるので、ほかの団体管理漁業権すなわちくじを引いて漁場を使用する、あるいは順番制漁場を使用する、こういうような区画漁業権には不適当な事業である、こういうような見解のようでございますが、その点は私もさよう考えるのでございます。ただ問題は、現在利用しております真珠養殖場は、漁業協同組合員あるいは真珠養殖協同組合員、こういう人がすでに免許をとってやっておる、こういうような実情でございますから、この協同組合の日常によって真珠養殖ができる、こういうことになりましても、今利用をしておる漁場では組合員がやっておる権利を取り上げて漁業協同組合自営する漁場を設定しなければならぬ、こういうような事情になるのでございますから、その点非常に無理もありますし、今長官からお話がありましたように処女漁場、まだだれも漁業権を設定してない漁場、そういうところに対しましては、経営者と同じ立場において漁業協同組合自営を認める、こういうことでございますと無理がないと思うのでございますが、従来漁業協同組合自営でやる場合、これは従来もそういうことができておったわけでございますが、なかなか実行されないで改正漁業法でそれに実行しやすいような道を開いた。この点につきまして一般の人はよく御承知がないと思いますから、従来からできておったのに実際にはできなかった、今度はそれができるのだ、こういう処置をどういう点についてなされたか、その点を一つ明確にしおいていただきたい。
  16. 伊東正義

    伊東政府委員 過去において漁業協同組合自営を五百件くらいやっております中で、真珠につきましてやっておりますのは約二十件くらいでございます。母貝は約五十件くらいございますが、真珠そのもの自営は十九件、二十件くらいで割合少のうございます。これは一つ経験者が過半おらぬとできないという自営の資格として高くならぬということでございますので、なかなかやれなかったわけでございますが、新規漁場につきましては、これは経験者過半ということでなくて、極端に言いますれば、一人でもその中に経験者があればやり得るというように非常に制限を緩和いたしましたので、これからの新規漁場においては従来よりも協同組合自営はやりやすくなったというふうにわれわれは考えております。
  17. 田口長治郎

    田口(長)委員 真珠養殖業は御承知通りに九七、八%程度輸出商品である、国内消費のものは非常に少ないのでございまして、しかも竹と金網と貝とあればとにかく輸出商品ができる。ほかの輸出商品のように原料を外国から輸入しなければ商品化できない、こういうようなものと比べますと、外貨獲得という点からいいましても非常に重要な産業でございます。かような観点から申しまして、その消費の伸び、また生産の伸びあるいは消費の嗜好というようなことを考えますと、やはりある程度計画性を持たせた生産ということに非常に重点を置かなければならぬと思うのでございますが、かような観点から近き将来この線に沿うた真珠養殖事業法の改正をやられる意思があるかどうか、その点を一つ明確にしてもらいたい。
  18. 伊東正義

    伊東政府委員 御質問の点でございままが、現在の法律は施術貝の目標数量を割り当てるということはいたしますが、これに対してあまり強制力はないということで、法律そのものからいきますと、その点について若干不備な点があるように私ども考えております。漁業権免許をいたしますときに、条件制限等でいかだの数等を制限していることもございますので、私どもこれでは不十分だと思っております。ただ不況要因その他がございませんのに、そういう強力な調整ができるかどうかということにいろいろ問題があるのでございます。中小企業その他の方面ではそういう道も開けたということを私聞いておりますので、真珠につきましては特に先生のおっしゃるようなことは必要でございますので、そういう方向であの法律をどうしたらいいかということの検討を実は従来もやったのでございますが、不況要因との関係でいろいろ困難がありましたが、いろいろな問題が一つ一つほぐれてきつつございますので、あの法律をどうするかということにつきましてはなるべく早い機会に検討したいと思います。
  19. 田口長治郎

    田口(長)委員 真珠漁業権の存続期間に関連し、あるいはノリ免許期間に関連いたしまして、定置漁業の現在の存続期間五カ年をぜひ十年にしてもらいたい、こういうような希望も非常に強かったわけでございますが、現行通りに定置漁業権の存続期間五年、こういうことになっておるようでございます。その間の事情をよく御説明願いたいと思います。
  20. 伊東正義

    伊東政府委員 法律改正をやる過程で先生のおっしゃったような議論があったことは私も承知いたしております。御承知のように、十年とありますのは、共同漁業権と今度新しくいたしました真珠大規模養殖業だけが十年でございます。十年といいますと、いろいろその辺の経済事情も変わってきますし、海況、魚況等についてもかなり変わることがございますが、共同漁業権、特にこれは従来からの、前浜は自分のものだという漁民の観念から出ております共同漁業権と、数年に一回収穫がある、あるいは収入がある、あるいはよほど大規模の投資を要するというものだけに限りまして十年といたしまして、あとは五年としたわけでございます。特に定置につきましては沿岸との関係が非常にございます。沿岸の漁業者の釣はえなわとの問題でございますとか、こういうものとの調整がしょっちゅう起こる漁業でございます。それからまた海況、魚況によりまして、定置の水揚げというものも非常に動く可能性のある漁業でございますので、こういう漁業につきまして十年という長い間同定して権利を与えますことは、漁業調整の面からも非常にまずい面が起きて参ります。あるいは定置をどこに張るというようなことからいいますと、海況、魚況の面でまた違ってくる場合もございますので、これは十年といたさず、従来通り五年ということで、五年たちましたらもう一回その浜をどういうふうに使うかということを再検討しようということで、従来通り五年としたわけであります。
  21. 田口長治郎

    田口(長)委員 玄界連合海区の問題につきまして、あれはちょうど福岡県、佐賀県、長崎県の地元でございますが、その区域を見ますと、長崎県の壱岐が日の丸のあのまるいところにちょうど相当する、こういうような状態になっておりまして、壱岐郡民こぞって玄界連合海区の設定につきましては反対をしておるのでございます。私らのところにも五百人、六百人と署名捺印して非常に払い反対の嘆願書が来ておるような状態であります。それにつきまして、長崎県としては何とかこの問題をおさめたい、こういうようなことで、福岡県、佐賀県といろいろ折衝いたしました結果、あの連合海区の地区になっておるところは、今海区が福岡県が一、佐賀県が二、こういうことになっております関係上、一つ単海区から委員を一名ずつ、こういうことを福岡、佐賀といろいろ折衝いたしました結果、あの調整委員会は別に多数決でやるのでもないんだから、そういうことでけっこうでしょう。福岡県も佐賀県もその点については長崎県に同意を与えておるのでございます。すなわち、原案では長崎県一人、福岡県一人、佐賀県一人、こういう委員の数になっておるものを、単海区から一人ずつということになりますと、長崎県が二人、佐賀県が一人、福岡県が一人、委員を一名ふやす、こういうことで県及び漁業関係者の方では話がまとまっておるのでございます。しかしながら、いろいろな事情からいたしまして、法律の修正ということはできないのでございますから、この際は原案通り委員おのおの一名、こういうことでいかざるを得ないとは思うのでございますけれども、あれだけの不平が、福岡県、佐賀県が同意をした委員一人の増員ということで片づくことになりますれば、これは委員一名をふやす、こういうこともやむを得ない、かように考えるのでございます。ただ、今回の漁業法審議にあたりましては、その点を修正いたしますと、いろいろな関係がありまして、ついに漁業法が今国会で成立しない、こういうようなおそれもある次第でございますから、非常な反対があるのはやむを得ない、こういうことで私どもは先方にはそういうことを言っておるのでございます。そういう関係からいたしまして、いよいよ改正漁業法を実施してみるということになりますと、何か委員を一名ふやしたというようなことにかわる適当な処置がないかどうか。また三県が合意に達した問題でございますから、いつか漁業法を再び改正するというような場合におきましては、当然に委員を一名ふやすということもやらなければならぬと思うのでございますが、多数決で物事をきめる連合海区の調整委員会ではないですから、その点は委員の数だけによってどうだこうだと事が運んでいくという心配はないと思うのでございますけれども、今日ではどうも理屈でなしにもう感情的になっておる、こういうような状態でございますから、これについて水産庁としては何か対策がありますかどうか、この際一つ承っておきたいと思います。
  22. 伊東正義

    伊東政府委員 今のお話、参議院でこの法律を御審議いただきますときもいろいろ問題が出たわけでございます。実は瀬戸内等でも県によりまして海区の数が違っております。非常に大きな海岸線を持った県もあり、県の名前を言うとなんでございますが、短い海岸線しか持たないという県もございますが、瀬戸内等におきましても各県選出は一人というようなことで実は運営いたしております。今私、委員会を運営いたしまして、瀬戸内で自分の県はもっとよけい出せという声を実はまだ聞きませんが、玄界につきましては、先生御指摘のようなことがいろいろあったことは私も知っております。知っておりますので、一つこの際はこれで発足していただきまして、運営をよく見てもらう。長崎県の方も運営を見ていただき、あの長崎県の海区は、今度おそらく海区の統合をやりますと、あの辺は二つでなく一つになるのではないかという気もしますが、これはあとの問題でございます。その辺のところ等もにらみ合わせて、まずあれで運営はしていただきたい。そのあとでどういうことになりますか、必要があれば検討いたしたいと思いますが、現時点では今二人にかわるものとしてこういうことだという対策は実は持っておりませんが、もう少し先になりまして運営の模様を見まして、そういうことの必要があるかないかということを判断いたしたいというふうに思っております。
  23. 田口長治郎

    田口(長)委員 ただいまの問題につきましては、地元では事柄を非常に無理にしいられる、そういうような問題があれば長崎県から出ておる委員をやめさせてしまう、こういうようなことまで考えておるようでございますが、話の場だからそんなばかなことを考えてはいかぬじゃないか、こういうことは言っておりますけれども、そういうような気持も相当働いておるようでございます。運用された結果、どうも少し海を広く出したものが非常に大きな犠牲を払うような結果になるというようなことになりますというと、そのままでは済まないような空気でございますから、その点も一つ水産庁としてもよく含んでおいていただいて、そうして運営をよろしくやっていただかなければならぬ、かように考える次第でございます。  ほかに御質問になる方が二、三人おられるようでございますから、その他のことはやめまして、私の質問はこの程度にしておきます。
  24. 小山長規

    小山委員長代理 玉置一徳君。
  25. 玉置一徳

    ○玉置委員 漁業法改正につきまして若干お尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に漁業制度調査会の答申と改正案との関係でございますが、今回の改正は御承知通り漁業法制定以来の根本的な改正といたしまして、政府におかれましてもさきに法律に基づく漁業制度調査会を設置されまして、三年の長日月にわたりまして慎重な審議をされました。これが答申を得た上で改正に着手するなど、非常な御労苦があったわけであります。   〔小山委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら結果的に見ますと、漁業法改正等の提案理由説明にもございますが、答申をしんしゃくし、これに広く各界の意見を加味してこの法律案をとりまとめましたというようになっております。広く各界の代表によりまして構成されまして、しかも三年の長日月にわたって審議されたはずの調査会の答申が、いかなる理由でしんしゃく程度であって尊重されるまでに至らなかったか、今回の改正案にそれほど取り入れられなかった理由は一体那辺にあるか、この点につきましてまず水産庁の御答弁をいただきたいと思います。
  26. 伊東正義

    伊東政府委員 今御質問の点でございますが、私ども考え方の基礎といたしましては答申とそう大きな違いはない。たとえば大臣許可権利化あるいは集中化を防いでいきますとか、あるいは水産協同組合を経済団体としてこれを考えていくという大きな点につきましては、そう違っておらないというか、非常に尊重してやっておるつもりでございますが、一点大きく違いましたのは真珠の点でございます。そのほか若干違っておるところもございますが、一番大きな違いは真珠でございます。真珠につきましては、答申では既存の漁場につきましても従来の経験者と、一定の資格を持つ漁業協同組合が、自営じゃなくて管理漁業権でもらえば組合員に使わせるという形でございますが、これを平等の立場で知事さんがどちらをとるかということを考えたらいいじゃないかという答申がございます。それは私ども法律的にいいましても、経験者自分がやる人と、協同組合管理します場合は自分はやらぬわけでございますから、やる人とやらぬ人を平等の立場で勘案するといってもむずかしいじゃないか、法律的にもこれはどうも疑義があるということは、先ほど田口委員からのお話がありましたように、真珠につきましてはその商品性格からしまして、団体漁業性格にはまだ現時点ではなっていないということに考えておりますので、その点につきましては答申とは違った形の法律案を実は出したわけでありますけれども、その他につきましてはそう大きな違いはない、大体答申の精神をくんであるというふうに考えておる次第でございます。
  27. 玉置一徳

    ○玉置委員 次は区画漁業権更新制度の廃止理由についてであります。田口委員からお尋ねがありまして、それぞれ御答弁されましたので触れる必要もないのですが、私の方としても若干重複しますがもう一度伺いたいと思います。  現行法におきまして区画漁業権更新制度を認められたのでありますが、それは現行法制定以来当分の間ということで、この規定が実施されていたことは事実でありますが、この点につきましていろいろな学者の意見がございます。あるいは永小作権のような考え方をある程度強めたような考え方であるとか、いろいろ法的に考え方があると思います。本来ならば今回の改正によりまして実施に移される段階にきたとも考えられるのでありますけれども、従来からそうでありましたことは、漁場の相互利用目的というようなことで、一挙に廃止されたその理由が薄弱と申しますか、いろいろな問題がその間に起きるのではないか、かように思います。今お話がありましたノリ養殖等の漁業埋め立てとかいろいろな問題もあると思うのですが、しかもこれらの埋め立てを実施する者は、多くの場合知事でございます。これが同時に漁業権免許許可をする人でもあるというようなことで、こういう関係から、関係漁業者の間に更新制度の廃止に対しまして、非常な心配、危惧というものを持っておると思うのです。先ほどお話がありましたが、本制度の廃止に伴いまして、いろいろな問題が起こって参ります。更新補償その他につきまして、田口委員の御質疑に、水産庁からお答えがございましたが、ほんとうに漁民が心配のないように、どういうようにおやりになる御決意がおありか、もう一度一つ念のために伺っておきたい、こう思います。
  28. 伊東正義

    伊東政府委員 御指摘の存続期間の延長の問題でございますが、現在の法律は二十一条に団体管理漁業権だけでなくして、経験者優先真珠その他につきましても、また魚類養殖というようなものにつきましても、全部これは延長制度をとって、附則で当分のうちはその規定を適用しないということをしておったわけでございます。今度の改正ではノリとかそういうものだけでなくて、区画漁業全部につきまして、この規定を私ども一応とりまして、その五年なら五年きました場合に、その漁場をどういうふうに使ったが一番いいかということを検討するということをしたわけでございます。ただこの場合にも、先ほどのノリとかカキにつきましては、これは法律で一定の資格さえありますれば、漁業協同組合が第一優先順位になるということになっておりますので、ほとんどのものはそこにいくだろうと思いますが、先生が御指摘になりました知事さんがやはり免許権者である、それから公有水面の埋立法等からも免許する人は知事である。同じ資格の人が免許をするというようなことで、免許しないのじゃないかということが心配だというお話でございますが、先ほどもお答えいたしましたように、私どもは過去においてはそういうことをいたさなかったのでございますが、今度来年度の切りかえ時には、もしも知事さんが漁場計画を作らない、あるいは免許をしようとしない、ほっておくというようなことをしようとする場合には、一つあらかじめ農林省に報告してどういう理由でそういうことをやらないのだ、免許をしないのだ、漁場計画を作らないのだということを知らしてほしい。そうしますと、農林省としましては、県の方へこれはどういうわけだというようなことで交渉いたしまして、極力そういう心配のないようにしていくべきじゃないかということで、通達を出そうという考え方を私ども持っておりますので、法律通りました後には、必ずそういう通達を出しまして、漁業者心配されることは、なるべく消していくということをやりたいというふうに考えております。
  29. 玉置一徳

    ○玉置委員 次の問題も、これは田口委員からお話がございましたのですが、真珠養殖漁業権の存続期間の延長をはかった理由につきましては御答弁があったわけです。今回の改正によりまして、真珠漁業等の一部の漁業につきまして、その漁業権の存続期間は共同漁業権と同様に十年ということになったわけですが、先ほど申しましたようなノリ養殖業も同じように十年にせなければならないように感ずるのですが、これを五年に据え置かれた理由を一つお伺いいたします。これにつきまして、なお五年にきめられましたけれども、その更新その他につきまして、どういうようにお考えですか。
  30. 伊東正義

    伊東政府委員 十年にいたしましたのは、先生今御質問ありましたように、区画漁業権の中の一部の真珠と大規模魚類養殖の二つであります。あとは協同漁業権が十年、区画定置は全部五年でございましたが、その中から真珠と大規模魚類養殖を十年ということにしたわけでございます。十年にいたしましたのは、真珠等につきましては、中玉、大玉ということになって参りますと、何年に一回というしか収穫がないわけであります。毎年々々収穫があるということではなくて、長期に資本が寝るというようなことがございますので、五年という期間にいたしますと、その間に資本の回転も非常におそくて収益が上がらない。これは経営の面からいたしますと、ちょっと短か過ぎるのではないかという考え方からいたしまして十年ということにいたしたわけでございますが、これにつきましては更新ということはいたしておりません。十年たちますれば、その時点に立って誰が一番よろしいかということ、またその漁場真珠に使うのがいいかどうかということを判断いたすわけであります。ノリにつきましては、これは先ほどお答えいたしましたように五年たちまして、またそこをノリに使うということになりますと、これは個人が入ってくる余地はほとんどございません。これは法律に書いてございまして、漁業協同組合が一定の資格さえあれば第一優先順位になるのだ、これはほとんどが漁業協同組合にいくべき漁業権というふうに思われます。特に法律で延長とか更新ということはいたしておりませんが、先ほどの通達で適格性がある人について一定の要件さえあれば当然協同組合免許するようにという通牒一緒に、もしもそこをノリ区画漁業権として使用しない、知事がほっておくという場合には、あらかじめこういう理由で免許しないのだということを農林省に言ってほしい。そうすれば農林省知事と交渉しまして、そこは埋め立てをするのか、あるいはどうするのか、いろいろ議論をするだろうと思いますが、漁民の方がなるべく不安のないように一応知事農林省との間で話し合いをしよう、こういうことを考えております。
  31. 玉置一徳

    ○玉置委員 それから大臣の許可漁業につきましてちょっとお伺いしたいと思うのですが、まず大臣の許可漁業に関しまして、今回の改正によりまして相当大幅な改正が行なわれたわけでありますが、制度として整備されてきたというふうにも考えられますけれども、その基本をなします具体的な漁業の種類につきましてすべてこれは指定漁業として政令にゆだねられております。従来におきましても一部のものは法定しておったわけですが、しかも法定することが別に悪いということも考えられないのに、あえて政令にゆだねなければならなかった積極的な理由を一つ明らかにしていただきたいと思います。
  32. 伊東正義

    伊東政府委員 従来の大臣許可漁業は二つありまして、一つは指定遠洋漁業ということで法律に書いてあるもの、もう一つ法律の六十五条で省令できめていく漁業がございます。指定遠洋漁業は捕鯨、以西トロール、以西底びき、百トン以上のカツオ、マグロというものが指定遠洋漁業ということになっておりまして、そのほかたとえば母船式の鮭鱒母船式のカニというものになると、これは指定遠洋漁業でなくて省令できめる、そういうふうに大臣許可の取り扱いが実は一つになっておるわけでございますので、今度の法律ではこれは二つにしておく理由はない、これは一本でいいのではないかということで統一いたしたわけでございます。統一いたしました上でどういうものを指定漁業とすることが必要かということにつきましては、これは例示するのも一つ方法でございますが、いろいろ漁業におきましてはいろんな情勢で資源の問題やその他で変わってくることもございますので、これは私ども考え方としましては、中央漁業調整審議会は相談しまして、そのつどどういう漁業指定漁業としたらいいかということを政令できめていきたいというふうに考えております。  ただ、とは申しましても今までの大臣許可漁業を大幅に自由漁業にかえてしまうとか、あるいは知事許可漁業を大幅に大臣許可漁業に取り上げてくれということは現在考えておりません。考えておりませんけれども、若干変わるだろうと思われますのは、たとえばカツオ、マグロでございますと、現在百トン以上が指定遠洋漁業、それから大臣許可でも四十トンから百トンまでは中型カツオ・マグロというようなことになりまして、法制的に違ってきております。たとえば新規なものをやる場合に、指定遠洋漁業になっておりますと、くじ引きでやるというようなことを聞いておりますが、こういうことは統一といたしまして、四十トン以上のカツオ・マグロが大臣許可漁業の制限内ということになることは現在と若干違うかと思いますけれども、大部分は今の大臣許可漁業を踏襲していけるのじゃなかろうか。ただ、そこはいろいろ漁況その他で変わると思いますので、何十トン以上が大臣許可がいいかということで法定しておきますよりも、その点は弾力性を持たして、中審の意見を聞いて定めた方がいいんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  33. 玉置一徳

    ○玉置委員 そのことに関しまして、農林大臣が許可をする場合、中央漁業調整審議会に諮ることは当然でございますが、ここで省令で定める緊急を要する特別の事情があるときにはこういう手続を経ないでもよいということになっておりまして、農林大臣が直接やれるようになっておりますが、どういうことを具体的にお考えいただいたのでありますか。
  34. 伊東正義

    伊東政府委員 今の御指摘の点は、これは非常に限定して考えようと思っております。大体の原則としましては、三カ月を下らない期間申請公示して、それで申請を受けてやっていくというふうなことになっておるわけでございますが、これの例外を作ります場合は、端的に申し上げますと、国際的な理由だけを今考えております。これは省令にはっきり書こうと思うのでございます。たとえば日ソの漁業交渉をやっております。あれは妥結いたしますと、すぐ漁期になって出ていくというようなことがございます。妥結するまでは一体何万トンになるのかというようなことが実はわからぬわけでございます。それに基づいて初めて公示して出ていくということになりますと、漁期を失するというようなことになりますので、ここでははっきり例外を書きますのは、国際的な理由だけのことに非常にしぼって書こうというようなつもりでおります。
  35. 玉置一徳

    ○玉置委員 最後に、海区漁業調整委員の選挙についてですが、その第一に、漁業法の第一条の目的に明らかにされております通り漁業の民主化をはかることが今度の漁業法改正の大きな理由の一つだと思います。この役割を演ずるのはもちろん海区調整委員でございますが、今度の改正でもって大幅に縮小して七十海区、いわゆる一県一海区にされることになっておるわけでございますが、大体具体的にはほんとうにどうされる、七十海区をどういうようにお分けになるのか、これが第一点。  それから調整委員につきまして、海区数が減少しますので、一海区十人のものが、十五名に増員されるわけですが、全体として非常に減ってくる、減ることが漁業法の民主化ということと逆行するような感じがするが、これはどうなのかということ。  もう一つ最後に、非常に大きな地域の選挙になりますと、従来とかく選挙そのものに、啓蒙にも問題がございました。今度は大きな選挙区に一つずつがなって参りますが、選挙意識をとかく問題にされるような漁業海区の調整委員の啓蒙その他に対する対策として、政府はどういうふうに考えているか、この三つにつきましてお答えをいただきたい。
  36. 伊東正義

    伊東政府委員 一番目の海区の数の問題でございますが、現在百二十だったと思います。これを六十ないし七十くらいにするように実は予算もそういうことを考えております。そうしました理由は、漁業がだんだん進んで参りまして、いろいろな調整をやる場合にも、船の能力その他から考えますと、あまり狭い面だけでの調整ではなかなかできなくなってくる。これを相当広げなければならぬというようなことをいたしませんと、調整ができないということが出て参りますので、海区の数を一県に一つというような原則にいたしまして、そうは申しましても、これは県によりましては、たとえば瀬戸内海に面したところと日本海に面したところと自分の県に両方あるようなところもございますし、日本海と太平洋にまたがるところもございます。北海道、長崎のようなところもございますので、これは例外はある程度作っていくということにいたしております。ただ、まだ法律通りません前の現時点で、何県は何海区ということはきめておりませんが、そういう例外を設けながら実情に合わしてやっていきたいと思っております。  それから委員の数が減りまして、予算も減ってしまって、漁業調整というか漁業民主化に反するのではないかという御心配でございますが、予算的には、実はそれで浮いてきましたものは、一つ委員会の経費としてよけい使うということで、ことしも調整費は去年よりも減らしておりません。そういうふうに重点的に使いたいというふうに考えております。  また選挙で出られた人の民主化のいろいろなものの考えに対する認識の問題でございますが、これは実は沿岸漁業等振興法等も出し、この漁業法改正、選挙法の改正、いろいろ御審議を願っておりますので、こういうものが通りますれば、来年が漁業権免許の切りかえ時というようなことにもなりますので、私の方でもいろいろ印刷物その他について若干経費等も計上いたしておりますので、その点御心配をかけるような事態がなるべく起きませんように、私どもとしてもできるだけのことをやりたいという考えでおります。
  37. 野原正勝

    野原委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時七分散会