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1962-06-01 第40回国会 衆議院 内閣委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年六月一日(金曜日)    午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 草野一郎平君    理事 堀内 一雄君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君       安藤  覺君    内海 安吉君       小笠 公韶君    小川 半次君       尾関 義一君    大森 玉木君       倉成  正君    高橋  等君       辻  寛一君    藤原 節夫君       保科善四郎君    森田重次郎君       吉田 重延君    飛鳥田一雄君       緒方 孝男君    田口 誠治君       西村 関一君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  委員外出席者         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         外務事務官         (アメリカ局         長)      安藤 吉光君         外務事務官         (条約局長)  中川  融君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 五月八日  委員受田新吉辞任につき、その補欠として西  村榮一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西村榮一辞任につき、その補欠として受  田新吉君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員安藤覺君、大森玉木君、金子一平君、倉成  正君及び保科善四郎辞任につき、その補欠と  して長谷川峻君、川村善八郎君、尾関義一君、  天野公義君及び森田重次郎君が議長指名で委  員に選任された。 同月三十一日  委員天野公義君、尾関義一君、川村善八郎君及  び長谷川峻辞任につき、その補欠として保科  善四郎君、高橋等君、大森玉木君及び安藤覺君  が議長指名委員に選任された。 六月一日  委員安藤覺君、大森玉木君、高橋等君、保科善  四郎君及び成田知巳辞任につき、その補欠と  して長谷川峻君、倉成正君、尾関義一君、吉田  重延君及び滝井義高君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員倉成正君、吉田重延君及び滝井義高辞任  につき、その補欠として川村善八郎君、天野公  義君及び成田知巳君が議長指名委員に選任  された。     ————————————— 五月七日  一、農林省設置法の一部を改正する法律案(内   閣提出第九九号)  二、行政不服審査法案内閣提出第五八号)  三、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整   理等に関する法律案内閣提出第一五一号)  四、国民の祝日に関する法律の一部を改正する   法律案(纐纈彌三君外七名提出、第三十九回   国会衆法第九号)  五、旧金鵄(し)勲章年金受給者に関する特別   措置法案内田常雄君外十二名提出、第三十   九回国会衆法第一〇号)  六、中小企業省設置法案松平忠久君外二十六   名提出衆法第二六号)  七、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改   正する法律案石橋政嗣君外二十一名提出、   衆法第四四号)  八、行政機構並びにその運営に関する件  九、恩給及び法制一般に関する件  一〇、国の防衛に関する件  一一、公務員の制度及び給与に関する件  一二、栄典制度調査並びに栄典法案起草に関す   る件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石山權作君
  3. 石山權作

    石山委員 アメリカ軍隊タイに駐もしたことについて、わが国ともかたりに深い関係があると私たちは考えているわけです。特に日米安保条約締結以後におけるわが国立場というものは、アメリカ軍行動について非常に微妙な影響を受けざるを得ない立場にあると思いますので、先ごろ、衆参両院外務委員会において、それぞれ討議が進められているのでございますけれども、当委員会としましては、防衛に直接関係があるのでございまして、その意味で深い関心を私どもは持っているわけです。外務省では、新聞等によれば、今回の場合は事前協議対象にならぬなどとあっさり問題を割り切っていられるようでありますが、いずれにしましても、一応の経過をこの際お聞きして、それからそれぞれ質問を申し上げたいと思いますので、経過説明していただきたいと思います。
  4. 安藤吉光

    安藤説明員 私は主としてアメリカを担当いたしておりますので、アメリカの方の関係に重点を置いてお話いたします。  御案内の通り、五月十六日に国防省発表いたしまして、それがいろいろ誤解を生んだことは事実でございます。翌十七日に第五空軍から発表されたのは、これは実に詳細正確に発表されておりますが、この第五空軍発表によりますと、これは防衛庁から御連絡ではっきりわかったところでございますが、昨年秋以来三沢におきます第四十五飛行中隊のごく少数機が、フィリピンに司令部を有する第十三空軍司令官指揮のもとに置かれておりまして、それがこのたびタイの方に移動したというのが向こう関係でございます。これは衆参外務委員会でも外務大臣あるいは防衛庁長官からお話がございましたように、すでに昨年来移動したものが向こうから出たものでございまして、これは事前協議対象にならないということを申しておる次第であります。  なお、この国防省発表がございました前後に、やはり在米大使館あるいはわれわれの方と米側とは、タイあるいはその他の情勢については常時いろいろ話し合いをしておりまして、ただしかし、昨年に東南アジアについてすでに分遣されていて、そして日本から分遣された少数機が現に他の第十三空軍指揮下に入っているものが移動したということをこの際発表するということに対して、明らかな連絡がなかったのは遺憾であるということは、こちらから申しておるわけであります。それで、この国防省と第五空軍発表が食い違っておるやの印象を受けるのでございますが、これはちょっと英語で恐縮でございますけれども国防省発表というのは、英語のもとが非常にばくとした誤解を生みやすい英語になっております。それで、日本語でその内容を申しますと、日本からの第四十五飛行中隊少数機が今度タイ移動したというように訳すべきものが、英語関係少数機というエレメントをほかのものと一緒にかかるものが、どうもかけずに訳しておる。それからフロム・ジャパン、日本からすでに行っていたというものを、訳の方で、今度日本から移動したように訳されておるという点等もあるようでございまして、正確でなかった点については、きわめて不十分であったということが言えると思います。しかし、事実は、第五空軍発表いたしましたし、その後防衛庁並びにわれわれで確めました通り、すでに昨年秋以来移動していた、そしてすでに他の空軍司令官指揮下にあるものが今度行った、従って、事前協議対象にならないということでございます。
  5. 石山權作

    石山委員 たとえば米軍日本基地からどこかへ行く、こういうふうな情報は、防衛庁外務省のどっちが主体になって収集の任に当たっていますか。
  6. 安藤吉光

    安藤説明員 これはおそらく防衛庁の方がよく御存じかと思いますけれども一般的に申しまして、ルーティンのフライ、通常移動というものにつきましては、日本におります空軍あるいは部隊というものは日本にくぎづけされているわけではございませんで、通常移動というものは条約上からもなし得るわけでございます。通常でない移動につきましても、いわゆる単なる移動でございましたならば、これは事前協議対象には条約上はなりません。しかし、防衛庁もそうでございましょうし、私自身といたしましては、合同委員会、これは主として地位協定実施に関して基地問題とかそういった問題等について、常時定期的に会っているわけでありまして、そのつどいろいろな話が出て参るわけでございます。また、特に変わったようなことにつきましては、向こうから電話その他の連絡は私どもにございます。なお、防衛庁はわれわれ以上によくいろいろな情報があるやに承知しております。
  7. 加藤重喜

    加藤説明員 防衛庁在日米軍と密接な連絡をとっておりまして、それぞれ統合幕僚会議事務局在日米軍司令部、それから陸上幕僚監部の方が在日米陸軍司令部海上幕僚監部の方が在日米海軍司令部、それから航空幕僚監部の方が第五空軍というふうに、それぞれ陸海空軍合わせまして密接な連絡をとり、その上にさらに在日米軍司令部統合幕僚会議連絡をとっている、こういうことでございます。
  8. 石山權作

    石山委員 連絡をとっているということは、アメリカ軍隊の動きに対しては知っているということですか。
  9. 加藤重喜

    加藤説明員 今まで米軍の方も、これは程度の問題でございまして、相当大きな移動等になりますと連絡をしてくれておりました。ただ、これは条約上の義務ということでないことは御承知通りでございますが、われわれといたしましても、日本防衛上、在日米軍の兵力を知るということは大事なことでございます。そういう意味合いにおきましても、向こうの方にも報告を要求し、われわれの方からも必要な報告をする、こういうことで連絡をしただけであります。
  10. 石山權作

    石山委員 日米安保条約からすれば、アメリカ日本の国の平和のために駐もしているし、日本の国が他から侵された場合これを防衛するということも言っているわけであります。そうしますと、日本自衛隊の力にアメリカ軍隊の力がプラスされたものが、即日本防衛力になるわけでしょう。ですから、これはもうこまかいことは知らぬでもよろしいし、大きいことだけを知っていればよろしいというふうなのでございますか。
  11. 加藤重喜

    加藤説明員 これは程度の問題で、その辺が私非常にむずかしい問題だと思うのであります。たとえば一機三沢から板付へ移動したとか、あるいは一機ハワイから来た。一機、二機というふうなことになりますと、その事柄自体といたしましてもルーティン行動でございまして、一々日本でそれを知らなければ日本防衛上どうも困るというような問題ではないと私は思います。ただしかし、その一機、二機にいたしましても、非常に大きな力を持っておるものである、あるいは海外へ出ていくというふうなことになりますと、機数のいかんにかかわらず、やはりわれわれとしては相当関心を持たざるを得ない。具体的な事情に応じてやはり違うわけでございまして、その辺の連絡調整をどうするかということが、今後私ども米軍と緊密に連絡をしなければならない問題である、かように考えております。
  12. 石山權作

    石山委員 これから緊密にするというのは、今まであまり緊密にやらぬということですか。たとえば一機と一隻といっても、今の場合は戦力の非常に大きいのがあるわけです。たとえばB70というようなのが一機だ、これは重大な戦力変更でしょう。同じ一機としても、原子力潜水艦が一隻といっても、これは大へんなことになるのだろうと思います。合同委員会の場合は、これは外務省も両方出ているわけでありますが、どんな話をおもになさるわけですか。実例からして……。
  13. 安藤吉光

    安藤説明員 合同委員会は、地位協定実施に関することをやっておるのでございます。地位協定実施と申しますと、要するに、日本施設提供とか、あるいは返還とか、あるいは安保条約の第六条というものがございまして、お読みいたしますと、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍空軍及び海軍日本国において施設及び区域使用することを許される。」施設及び区域使用に主としてでございますが、それに関連しまして、地位協定というようなものができておるわけでございます。その地位協定実施に関しまして協議する機関でございます。ところが、実際問題といたしまして、たとえば施設と申しますと、いわゆるその合同委員会の下に、調達庁長官日本側代表といたします施設委員会がございます。それから向こうとの電波関係についていろいろ調整するには、電波通信に関する委員会がございます。その他、労務に関する委員会とか、十数の分科会といいますか、特別の委員会と申しますか、委員会がございまして、そこで具体的に、いわゆる日本側といたしましては、主として主務官庁向こう担当者と当たりまして、いろいろ協議して、持ってきたものがこの合同委員会にかかりまして、そしてそれが適法であるかどうかということをいろいろ審議しまして、正式にきめて、要すれば、それを内閣報告するなり、あるいは閣議にかけるとか、あるいはまたものによりましては、主務官庁の方からそういった諸般の手続をとりましたあとで一般に公示するとか、いろいろなことがございます。実際、合同委員会地位協定実施に関するいろいろなことを審議するのでございますけれども向こう代表がたまさかプライスという参謀長でございます。私はできるだけ、いわゆる正式の委員会もさることながら、そういった場でいろいろな意見の交換とか、あるいは私は二枚鑑札でございまして、アメリカ局長もやっております関係上、いろいろな情報交換もいたしたり、あるいは言いにくいこともその場でいろいろオフ・レコで話をして、こういうような考え方でやっていかなければ困るというようなことで、そういったようなことも自由に話しておるのでございます。
  14. 石山權作

    石山委員 米軍出入りについては、合同委員会ではあまり話をしないのではなくして、話をせざるを得ないのではないでしょうか。たとえば戦力等の問題を話し合っても、これは会議一つの話題にならざるを得ないのではないかと思う。地位協定だというから、たとえば基地拡充をはかる場合は、戦略論をやらなければ基地拡充に応じられないというふうなことにもなるでしょうし、防衛庁としては、どういう建前で合同委員会に臨んでいるわけですか。  それからもう一つ、これは両方から聞きたいのですが、西ドイツ及びイギリス等におけるアメリカ軍のその国の出入りの場合は、どういう手続でやっているかということを知らしていただきたい。
  15. 安藤吉光

    安藤説明員 今お触れになりました施設提供とか、あるいはそれの返還とか、それから労務管理とか電波管理、それも合同委員会の場でやるというのには、あまりにも問題が複雑であったり、あるいは実質的なものでありますことは、まずこの下部であるところの施設委員会その他の委員会において十分審議されまして、そこで合意になったものが上がってくるというのが実情でございます。従いまして、軍の移動合同委員会のその場において常時報告し合うということはきめてあるわけではございません。しかしながら、先ほど申しましたように、ちょうどいい場であるから、お互いにこういう委員会の場で特に重要と思われるものについては話し合うということを、私どもは積極的にしております。
  16. 加藤重喜

    加藤説明員 防衛庁は、合同委員会には渉外関係を担当している参事官が出ております。これは、日本防衛という見地からいろいろな問題が提起される場合もございますし、また、米軍演習場その他の使用自衛隊との合同使用というようないろいろな問題がございますので、設置されております。
  17. 石山權作

    石山委員 イギリス西ドイツはどうなっていますか。
  18. 中川融

    中川説明員 英国、西独等アメリカ軍隊が駐もしております。これらの軍隊地位につきましては、日本地位協定と同じような協定が、それぞれの国との間にできているわけでございますが、その内容は、各条項とも日本の今回の地位協定とおおむね同じ趣旨でできておるのでございます。結局その一番もとになることは、施設区域提供して、それを米軍が使い得るというのが一番の基礎になっておるわけでございますが、この場合、わが安保条約にあるような事前協議、たとえば安保条約にありますのでは、御承知通り米軍日本に配備する場合におきましても、重要なる変更事前協議対象となるということで縛っておるのでございますが、私の承知しております限り、イギリス西独等にはそのような趣旨事前協議規定はないのでございまして、これは、日本の場合と基本的な考え方イギリス西独とは相当違うのでございまして、むしろ米軍に大いにいてもらいたいというのが基礎でできておりますので、実は事前協議で縛るというようなことは、むしろしていないのでございます。たとえば、今度は西独イギリスとがまた協定を結んでおります。イギリス軍隊がやはり西独にも駐もしておるのでございます。五万五千というイギリス軍隊の数を規定いたしまして、五万五千より減らしてはいけないという規定があるくらいでございまして、むしろ撤退の方を事前協議で縛っておるというようなことで、そういう点はちょっと違いますが、大体の考え方、つまり、駐もいたしております外国軍隊権限地位、こういうものは日本地位協定とほとんど同じで、日本地位協定が大体NATO方式というものを採用したのであって、日本地位協定と同じ仕組みになっておるのでございます。
  19. 石山權作

    石山委員 条約局長にお聞きいたしますが、日米安保条約というものは対等だ、対等だということを何べんもおっしゃっておりましたが、結んで一、二年たっていろいろなことをやってみても、やはり対等だというふうな御見解ですか。
  20. 中川融

    中川説明員 これはこの前の行政協定に比べますと、たとえば裁判権問題等につきまして、対等に変わってきておるのでございます。しかしながら、日本アメリカというものが全然同じ立場協定ができておるかといいますと、これは基本的に、日本施設区域提供し、アメリカはこれを使うという立場でございますから、それに応じまして、もちろんアメリカ側権限というものが強く表へ出てきております。これは事の性質上そういう性質協定でございますから、いたし方のないことでございますが、協定にあたりましては、この前の行政協定は、申すまでもなく、平和条約発効と同時にできたのでございます。従って、そのときにおける日米地位というものは、日本敗戦国アメリカ戦勝国という立場にあったわけでございます。その後約七年を経まして、今回改定いたしました際には、完全に対等主権国という立場でこの条約を作ったので、この意味では完全に対等でございます。しかし、内容につきましては、先ほど申しました通り日本施設提供し、米側はこれを使うということでございますから、米側権利権限というものがいろいろ表に出てくる、これはいたし方のないことであります。
  21. 石山權作

    石山委員 安保条約そのものの十カ条の場合には、対等のような表現を使っておるわけですが、行政協定になってくるとうんと違ってくることは、これはだれしも認めるのであります。政府の方は、この場合におけるアメリカ権利権限、こういうふうなものを喜んで受け入れるわけですか。あなたの方は、西ドイツイギリスの場合は喜んだような格好アメリカ軍を受け入れているから、日本のように事前協議などというめんどうくさいものはないのだ、こう言っているのですが、安保条約の場合は、アメリカ権限——権利と言ってもいいのですが、そういうふうなものを喜んで受け入れているわけですか。
  22. 中川融

    中川説明員 これは安保条約第六条からくる一番のもとといたしまして、日本施設提供して、アメリカがこれを使うというようなことがきまり、それの具体的なやり方をこの地位協定できめておるわけでございますから、第六条できめましたことをできるだけ円滑にできるようにということの規定地位協定で盛っておるわけでございます。従って、その限度におきましては、日本はもちろんアメリカに必要な限度においての便宜を供与するということは、これは当然やったわけでございます。地位協定はそういう趣旨で作ったわけでございます。しかし、同時に、米軍が相当多数日本に駐在するということになりますと、日本国民との間に常時接触が出てくるわけでございまして、その分野におきましては日本国民権利というものは十分擁護しなければいかぬ、これは政府義務でございます。その間の調整ということにいろいろ苦慮して、この地位協定ができておるわけでございます。その調整の面におきましては、先ほど申しましたように、最初の行政協定に比べますと、相当の改善を今度の地位協定は行なっておる。たとえば十八条でございますか、裁判管轄というふうな点、あるいは入ってきます米軍荷物等を税関で検査する、あるいは郵便物特権免除、こういうようないろいろな点におきまして、行政協定に比べると地位協定改善をしておるわけでございます。改善の主たる内容は、日本国民権利あるいは日本国政府権利というものと米軍に対して便宜供与をするということとの調整を、できるだけ対等国間という立場から調整をしていくという趣旨でやったわけでございます。
  23. 石山權作

    石山委員 便宜供与という言葉で、アメリカ軍権利というものとすりかえた御説明をなさっていますが、私たち安保条約当時の討論を聞いておる場合は、全く互角だ、それから不時のことがあった場合は事前協議をするんだ、こういうことでした。  じゃ、格好を変えてお聞きしてみますが、一体アメリカ軍軍事基地というものは、一軒の家を貸しっぱなしにしているのか、間貸しをしているというのか、どっちの部類に入るのですか。一軒家を貸しているのか、間貸しか、どうなんです。
  24. 中川融

    中川説明員 大体におきましては、日本の中に必要な区域施設提供するということでありますので、大きな家であればその中の一間を貸しておるということであろうと思うのでございます。また、その中には、一間を専属で貸すのではなくて、日本と共用でやるという道もあるのでございまして、いわば一部を貸しておる、一軒そのまま全部貸しておるというのではなく、一間を貸しておる、こういうことであろうと思います。
  25. 石山權作

    石山委員 そうすると、アメリカ軍の飛行機なり船なりが同居をする、しかも、同居をしていても、家主に何にも断わりなく玄関を出たり入ったりすることが日本習慣としていいのか。最近は日本人も、都会の人たちは隣の人ともあいさつしないという習慣になっているらしいけれども、普通だと、朝勤めに出るにしても——勤めということは、私に言わせれば訓練だ、訓練に出るにしても、出る場合には、おはようございます。行って参りますとか言う。そうすると、こっちもつき合いで、元気で行っていらっしゃいとか、御苦労さまですと言うだろう。ましてや、出張した場合、国へ結婚するのに帰るというふうな変わりごとがあった場合、おそらくちゃんと断わるだろう。内容をかなり教えるだろうと思う。今度の場合はそれじゃないじゃないですか。あなたに言わせれば、確かに一軒の家の一間を貸しておるというふうなのだが、そういう点から見ると、まるで一軒家——その一軒家も離れたところの一軒家で、勝手気ままに、強盗をやろうが、殺人を起こそうがかまわないような格好一軒家を貸した、こんな格好じゃないだろうか、私はそう思われてならぬ。一間じゃない、一軒家を貸している格好じゃないですか。
  26. 中川融

    中川説明員 人に自分の家の一間を貸した場合は、その人が出入りする際に、そこの家の人に会えばあいさつをする、これは当然だろうと思います。社会道徳としてあいさつをする、あるいは旅行に行くときに一応あいさつする、これは当然だろうと思いますが、同時に、毎朝出勤したり、よそから帰ってきたりすることに一々その人に了解を求めて入るというのではこれは部屋を借りた意味もないのでありまして自由にお使い下さい、出入りは御自由でございますということになっておるわけでございます。しかし、社会道徳として、今常識的に相当大きな変化のあるような際は、今度私はどこへ旅行いたしますということを言うことは当然でございますが、これは義務とは実はしていないのでありまして、任意の協議の形にゆだねられておるのでございます。向こう事前に了解を求めなければいけないのは、交換公文に書いてありますような。部屋を使ってそこからけんかをするというのはいけないぞということになっておるのでございまして、今度そういう部屋を使ってけんかをするというのではなく、外に出ていっただけだということで、協議義務はないということであります。
  27. 石山權作

    石山委員 郷里に帰るような場合には通告をする、この通告が、あの当時の説明では義務づけられるものだというふうに説明されているはずなのです。だから、事前協議は鬼の首でも取ったようにひらひらさしたでしょう。だけれども、私どもは、そんなものなんか一片の紙きれで、にしきの御旗にはなり得ないのだ、問題があれば、何ら通告なしに日本軍事基地の兵力をば動かすものだ、こういうふうに言ったら、あなた方は、そうじゃないのだ、必ず教える、それは義務だ。それが今旦三沢を出た飛行機が戦闘機でないとか何とか言っておる。今の戦争というものは、戦闘機だけが戦争するものじゃない。第二次大戦のとき、一億総戦力というような言葉で、われわれ人間まで全部戦力に入っておった。ましてや、飛行機と名がつけば、これはもっと強い戦力の表徴でございましょう。それが移動しておる。船も移動する。それが今になれば、ずっと四月だとか三月だとかでたらめを言っておるのだけれども、実際はそうじゃないでしょう。その当時の事前協議というものは義務づけられたものだというふうに政府説明しているはずです。今日となれば、一方交通で、向こうが忘れたりすればそれまでだというのだな。何と情けない日米安保条約であったことかなと思っておる。全部うそを言ったんじゃないですか、あの当時の説明は。
  28. 中川融

    中川説明員 事前協議対象になっておりますのは、御承知通り交換公文で三つの場合でございます。日本国への米軍の配備の場合における重要なる変更ということが第一でございます。第二は、合衆国軍隊、米国軍隊の装備における重要なる変更、これが第二でございます。第三には、日本施設区域を使って米軍が戦闘作戦行動を行なう場合というのが第三でございます。従って、この三つの場合は事前協議対象となっており、この事前協議というものは、アメリカとしても事前協議する義務がある。協議する以上は、日本が同意を与えなければこういうことは行ない得ないのだ、この点ははっきりしておるのだ、決して間違えることはない、抜かりはないのだということを何回も繰り返して、安保条約の御審議を願いました際にお答えしておるのでございます。従って、この三つの場合に当たることであれば、これは当然アメリカ協議すべきでありましょう。またするでありましょうが、日本が同意しなければアメリカは行ない得ないのでございますから、今回アメリカがとった処置というのは、このいずれにも当たらないというのでございまして、もし幾らかでも当たる可能性を考えれば、一番最後の戦闘作戦行動ということでございますが、戦闘作戦行動というのは、ほんとうに武力を使って戦闘を行なうために日本から出ていく場合でありまして、いわばけんかをしにこの部屋から出ていく場合でございますので、今の場合は単に飛行機が移動したというだけでございまして、これには当たらない。しかも、この移動は六カ月も前のことであり、タイに行ったのではないということでございますので、どう見ても戦闘作戦行動には当たらない、事前協議には当たらない。従って、仁義としてあいさつぐらいしたらよかったじゃないかという問題が残るわけでございますが、これは単に一機か二機という少数の飛行機が出ていった際に仁義を切る必要があるかという問題があるのでございます。しかし、いずれにせよ、日本と相談しないでまぎらわしい声明をしたことははなはだおもしろくないということで、日本から文句を言ったということはあるのでございます。   〔委員長退席、堀内委員長代理着席〕
  29. 石山權作

    石山委員 安保条約の一条に、武力による威嚇または武力の行使を慎むことを約束するというふうになっておるけれどもタイアメリカ軍が出兵しても、わが日本の自衛軍なるものは何ら反応を示さぬわけですか、防衛庁長官、どういう考えですか。
  30. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 米軍が今回タイに派兵をいたしましたいきさつについては、すでに説明員の方から説明があったと存じます。タイの要請によって、タイの安全のために行ったわけでございます。従いまして、自衛隊が何らかの反応を示さないかということは、この時限においては、これはあくまでタイの安全をはかるためのものである。従いまして、日本の安全との関係が現在においてあるとは考えられない。そういう点におきましては、自衛隊といたしましては、この時点において何らの処置をとるということはいたしておりません。ただ、東南アジアの情勢というものは、極東の安全、あるいはさらにひいては日本の安全と密接な関係もございますから、事態の推移につきましては注意深く見守っておるということでございます。
  31. 石山權作

    石山委員 長官、この前のときは、ベトナムの場合を大へん気にしておったと思っておりますが、あにはからんや、ベトナムではなくてラオス問題であった。どうもそういう点で、わが自衛隊情報キャッチはもやもやしているんじゃないか、ピントがはずれているんじゃないか、私はそう思えてならぬのです。それからタイの場合は、タイの平和を守るためという言葉を使ったわけなんですが、タイの平和を守るということは、北ラオス、パテト・ラオを刺激しないかということです。アメリカタイを守ってあげるといったことが、逆に問題を惹起する導火線にならないなどと、あんのんとしたそういう物事の判断というものは甘いんじゃないか。そういう見解であれば、われわれの自衛隊は要らぬといってもいいじゃないですか。不測に備える、そんなことを言って、われわれは役に立たぬと言っているけれども、二十七万も集めちゃった。それはそういう解釈じゃないんでしょう。そういう解釈でないというので自衛隊をふやしているんじゃないですか。ですから、タイの解釈なんというのは、長官、あまりのんびりし過ぎた解釈じゃないですか。僕らに言わせれば、それは東南アジアの導火線になりかねない。もっとも、一部では、東南アジアの問題が紛糾すれば、倉庫にたまっている品物が売れるだろうというのが皆さんの仲間にいるらしいけれども、われわれはそう願っていない。逆なんだ。人の火事を見て、家を建てることができるなんて喜んでいるわけにはいかぬ。ですから、タイの問題は、わが自衛隊にとっても、いわゆる平和に対する脅威というふうに感じなければならぬのです。この脅威を感ずれば、一方の要請に応じて協議を行なわなければならぬというふうに規定されているじゃありませんか。安保条約の中にあるいわゆる日米安全保障協議委員会なるものを開いてこういう話し合いをしたことがあるのですか。タイに兵を進めれば、ラオスに兵を進めれば、ベトナムに兵を進めればなんて、問題はあるわけなんだ。起き得る問題なんだから、その問題を検討しないというのは、あなたは役目に忠実じゃないじゃないですか。アメリカが出ていっているのだ。これを一ぺんでも開いて活用して、どんな話をしたか、私に教えていただきたい。
  32. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 今回のタイの問題につきましては、御承知のように、パテト・ラオのタイ国境への進出というものが動機になった。そしてタイ国境に紛争の起きることを防止するために、タイ国の要請に応じてアメリカが派兵いたしたということであります。また、ベトナムの情勢につきましても、これはわれわれ常に重大な関心を持たざるを得ない状態であることは御承知通りでございます。従いまして、こういう東南アジアの各種の情勢というものが、さらに極東の平和と安全、あるいはひいて日本の安全のためにもいろいろと問題を起こす可能性はあります。従いまして、そういう点について、事態の推移はわれわれは常に注意深く見守っておるわけでございますが、現事態において、そういう動機からアメリカタイに派兵をいたしたというそのこと自体を現時点において解釈いたしますならば、今おあげになりました安保条約第一条の日本の平和に対する脅威という段階には至ってないということであります。しかしながら、この東南アジア全体の情勢というものは、常にわれわれは注意深く見守らなければならぬことでありますし、その点につきましては、米側とも常に密接な連絡をとりつつその情勢を見守っておりますが、特に安保条約第一条によるような脅威と感じて安保協議委員会を開くという段階になってないという判断に立っておるわけでございます。
  33. 石山權作

    石山委員 私は日米安保条約対等だというふうに信じていたのですが、条約局長の話を聞くと、情報等については一方的にやり得るという点が明らかにされているわけなんです。あなたは注目している、注視していると言うけれども、何を注目して注目しているんですか。一人よがりで腕を組んで考えたって、これは物事にならぬ。相手とよく話し合って、相手の言い分が無理であればそれを押える、こういうのが会議の持つよさなんでしょう、協議の持つよさなんでしょう。一人で注目したり注視したりしたって、向こうの方に通知するか通知しないかは勝手だということになれば、これは何ら役に立たないではございませんか。そのためにあなたは提唱したのでしょう。内閣で、開くことをどうするかというふうに小坂さんに提案したら、小坂さんは、何か選挙があるからうまくないといって聞かなかったというじゃありませんか。選挙で日本の平和を否定するというふうな考え方を持つから、全く小坂外務大臣はけしからぬと思って、きょう来てもらおうと思ったら、どこかへいっちゃって来ない。選挙があるし、日米安全保障条約というものは対等でないことが明らかにされるから、日本自衛隊というものはアメリカ軍の一歩手前で働く兵隊である、こういう認定を受けそうだから、もろもろのことはあったでしょうけれども日本にとっては有利でないということで、選挙の前であるから、日米安全保障協議会は開かぬというふうに決定したと思うのです。日本のためによくなるものであったら、選挙であろうが何であろうが開いたらいいじゃありませんか。おそらく今まで一ぺんも開いたことがないというふうに聞いているが、それはどうなんですか。
  34. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 安保協議会は一昨年の夏開いただけでございます。そして、今何か選挙に関連して開くとか開かぬとか言っておるような御指摘でございますが、そんなことは全然ございません。適当な時期に開くということを考えて、外務大臣とよりより御相談をしておるわけでございます。ただ、ラオスの問題で協議会を開くということは必ずしも適当でないという外務大臣考え方は、私も賛成でございます。しかし、この協議会そのものにつきましてはそういう特定の話題がなくても、世界の情勢や極東の情勢その他について常に情報交換するだけでも有意義だと存じます。そういう意味で適当な時期にということでございまして、選挙の前後というようなことは毛頭考えておりませんことを申し上げておきます。
  35. 石山權作

    石山委員 選挙のことばかり力こぶを入れて答弁をしておるのじゃいけません。私の聞きたいことはもう常識だと思うのです。あなたの方では常識にしていないけれども、今年中に西ドイツ等の問題はアメリカは大体けりをつける、問題は東南アジア等に集中するだろうというのは、軍事、経済を論ずる者からすれば常識になっている。その常識になっていることを、去年一ぺんやった、あと何もやらないというのじゃ、あなたは日本の国を防衛する担当者としてけしからぬじゃありませんか。アメリカが東南アジアに投入する軍隊というのはどのくらいの実勢力かわからぬで、何で日本自衛隊の数をふやすなんということを想定できるのですか。そういうことは事前協議対象になるはずなんです。あるいは情勢によってはアメリカ軍隊は行ってもいいということになるかもしれない。黙って、開かないで、一方交通の通告だけ待っているのじゃ、いつまでたっても問題はよくもならぬし悪くもならぬ、現状維持だけで終わるということでしょう。そしてずるずると兵隊をふやされる、ということよりも、経費がかさむということ、そういうようなことを考えてくると、黙っておるわけにはいかぬ。問題はなかったわけじゃないでしょう、あるわけでしょう。知らぬ振りをしているというのが現実じゃございませんか。タイはおれたち関係がない、ラオスは適当でないという、そんなばかな話がありますか。何も主題目以外は話ができないというのじゃないでしょう。そういう点では、特に日米安全保障協議会を開かなかったというのは、ほんとうに話題がなくて開かなかったのか、それとも、何か都合が悪くて開かなかったのか、もう少し克明に御説明願いたい。
  36. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 日米安保協議会を適当な機会に開こうということは、もう一致した考え方でございます。ただ、タイの派兵に関達して直ちにそれを要求するという事態ではないということでございます。  それからタイの問題につきましては、何かそれが非常に日本の安全への脅威に発展するということを御前提になさっておられるようでございますが、御承知のように、その後の事態は、西側も東側もラオスの中立政府を作るという努力については、依然として変わらずその方向で進んでおることは、ソ連あるいはアメリカ等の首脳者の意見が発表されて、御承知通りでございます。従いまして、今回のラオスの事態におきましては、そういう方向に進んでおるという認識の上に立っておるわけでございます。事態を見守っておるというのは、何もばく然と見守っておるわけではございません。十分米軍側の動きその他につきましても情報交換しつつ、大きな目で見れば、やはり東南アジアの事態というものは日本の安全にも影響のあることでございますので、そういう事態の推移は、十分に注意深く情報交換し見守っておるということを申し上げておるのでございまして、タイは何も関係ないのだから何もしないという意味ではございませんことを御理解いただきたいと思います。
  37. 石山權作

    石山委員 これは私こう思うのですよ。たとえば千八百名なり軍隊タイに行ったということは、東南アジアにとってどういう影響を与えるだろうか、こういうことは日米の戦略上重大な問題でしょう、重大な問題であるはずなんです。ですから、もし真に日米安保条約日本の平和を考えて結ばれたものとするならば、まあ経済ということも中に入っておるけれども、平和ということを考えた場合には、タイに出兵するということは日本の平和に非常に関係がある。脅威を感じないということは、藤枝長官は脅威を感じないかもしれぬけれども石山権作は脅威を感ずるのです。ものの判断というものはそういうものでしょう。あなたたちと私たち自衛隊存続問題についてもそれなんです。あなたたちは脅威を感ずるわけなんでしょう。脅威を感ずるから、兵力は増強しなければならぬと言っておる。その兵力を増強するのは、やはり東南アジア等を見ている関係でしょう。われわれはそんなことはないと言っておる。今の場合は長官の見解は全然逆じゃありませんか。あなたは脅威を感じないと言っておる。脅威というものはどこからくるか、これはいろいろむずかしいと思うのだけれどもタイアメリカ軍が出兵していることは平和のために寄与した、そういうふうに言えますか、よかったと言えますか。私ならば、日本政府がほんとうに根性っ骨があるならば、遺憾であるという表現の政府発表が当然なければならぬはずだと思う。それは、タイ条約アメリカ軍の出兵を要請したのですよ。要請したということを私も知っておる。タイアメリカはいいかもしらぬけれども、その周辺の人たちがいいか悪いかという発言権まで押えることをわれわれは容認することはできない。日米安保条約では、アメリカ政府に対して政府は遺憾であるということは言えないのですか。
  38. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 私は、今回の米軍タイ派兵ということは、そのもとは、休戦協定ができておるにもかかわりませず、パテト・ラオ親共軍が政府軍の要衝を攻略して参った、そしてタイの国境が不安になったということから起こったことでございます。従い、まして、アメリカの派兵によってそうした事態がよき方向に進み、そしてまた、ラオスについては、東西両陣営とも中立政府を樹立するということに向かっていっておるのでございまして、そういう点におきまして、日本タイ派兵を遺憾であるというようなことを言う必要はないと考えております。
  39. 石山權作

    石山委員 たまたま今回の場合は中立政府を作る方向に向かっているからいいですが、南ベトナム、北ベトナム、北朝鮮、韓国、こういうのは一体だれのしわざだったろう。タイ国の無謀なやり方のために、民族が二つに割れているわけでしょう。これは好ましいことですか。好ましくないはずなんです。けれども、今の政府では、好ましくないということに対してどうも意見発表ができないような態勢じゃないですか。事前協議をやらなければならぬにもかかわらず、事前協議を避けている。安保条約というものは、皆さんの場合は、何べんも私たちの耳にタコができるほど、相互援助だ、お互いが対等だ、そんなことを言っているが、ちっとも対等じゃないじゃないですか。そうすると、今度の出兵はよろしかったというのが政府の見解ですか。
  40. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 対等でないというのは、どういうことをおさしになるかわかりませんが、安保条約そのものはどこまでも日本の安全を守るためのもので、それの処置としては、日米対等立場においてやっているということでございます。今回アメリカタイに派兵をいたしたということは、何度も繰り返して申し上げるようでございますが、そういう事態になって、タイ国の安全のためにタイの要請によって派兵をし、しかも、事態は平静に推移しつつあるということでございまして、私はここに何らアメリカの処置を云々する必要はないと考えております。もちろん、他のいろいろな事態につきましては、そのときそのときにつきまして十分われわれの判断に立って協議もし、あるいは打ち合わせもするということに相なると思います。
  41. 石山權作

    石山委員 条約局長にも防衛庁長官にもお二人にお聞きするのですが、安保条約のために政府の軍事上の発表というものは何ら押えられているものではないのだ、こういうふうに受け取ってよろしいのでございますか。
  42. 中川融

    中川説明員 安保条約があるから日本政府がその見解なり発表を差し控えなければならないということは、絶対にないのでございまして、政府は完全に自由でございます。
  43. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 お尋ねは、何か安保条約があるから今回のタイに対するアメリカ行動についても何も言わないのかということだと思います。そういうことではなくて、私は積極的に、先ほどから申し上げているような事態でありますので、この米国の処置は妥当なものだというふうに考えておるわけでございまして、安保条約があるからいやなものも黙っているというようなことではございません。
  44. 石山權作

    石山委員 条約局長の解釈が法的にはその通りだと思う。けれども、共同作業を行なう自衛隊、古い武器であっても相互援助を受けている自衛隊、こういうものはかなり政治的な動きを示さざるを得ないと思う。御厄介になっているわけなのですから、御厄介になっているときはへいへい頭を下げるが、いい悪いのときにははっきり言うと口では言うけれども、実際の政治とか経済というものはそういう格好では動かぬ。だから、私はしつこく聞いているわけです。日本自衛隊、自衛力にとって、アメリカ軍隊タイへ出たのは、東南アジア対策として有利であるというふうな見解がほのめかされているのですが、その通りですか。
  45. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 日本防衛のために有利とか有利でないとかでなくて、今回の事態はああいう原因から起こり、その結果としても平静の方に向いておるのだから、それは妥当な処置だということでございまして、日本自衛隊に有利とか有利でないとかいう問題とは別の問題であります。
  46. 石山權作

    石山委員 今回はたまたまよかったのだ。よくなるか悪くなるかということは未知数なんです。その未知数をいろいろと検討するのが事前協議なんだ。もし悪くなったらどうします。悪くならぬとは限らぬでしょう。いや、どこから見ても、文殊の知恵を寄せ集めてみても、大丈夫だという判定を下すのが事前協議でしょう。アメリカが出兵する場合、一体その制定はどこで下したのだろう。おそらくタイアメリカだけでしょう。あなたは御相談にあずかりましたか。
  47. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 最初にお断わり申しておきますが、この交換公文による事前協議対象というものは、すでに石山さん十分御承知通りのものでございます。従いまして、米軍日本の安全あるいは極東の平和と安全に関係なくどこかに動くのを、一々どうするかということについて協議をする性質のものではございません。従いまして、今回の米軍タイ派兵については、各般の情勢を判断いたし、また、米軍行動その他を判断をいたしまして考えたわけでございます。もちろん、たとえば、そういうことはあり得ないのでございますけれども、戦闘行動日本基地を中心として行なわれるということになりますれば、これはもう当然事前協議対象になるわけでございます。しかし、今回につきましてはそういう事態でございますし、また、事前協議として約束をいたしておりまする条項には該当をいたさないわけでございます。従って、安保条約上の安保協議会その他というような形はとっておらないわけであります。しかしながら、事態については、たびたび申し上げるようでございますが、注意深く情報も入手し、事態の推移を見守っておるということでございます。
  48. 石山權作

    石山委員 交換文書の趣旨からすれば、これは事前協議対象にならぬことはあたりまえです。ただし、協議会を開いておれば、極東の安全、東南アジアの平和というふうなものを論ぜられるわけなのでしょう。私はなぜ開かなかったかということを第一に言っている。ヨーロッパから問題が東南アジア等に移るということに対して、十分にこれは協議する価値があるわけなのです。それからこれからもこういう類似なことが起こった場合に布石になるじゃございませんか。われわれとしては、アメリカが無理して軍隊をベトナムあるいはラオス等に出兵さすことはいけないということも言い得るじゃありませんか。協議会を開かなくては何も言えないではございませんか。それを私は言っているわけなのです。協議会はこの条項以外は話をしてはいかぬという建前じゃないでしょう。日米対等なんだ。アメリカが脅威を感じなくても、日本は脅威を感ずる場合があるでしょう。大ありなんだ。東南アジアに関してアメリカは出兵しても、助けてやるのだといういばり方のような格好タイに出兵をしたろうと思う。だけれども、われわれはそのことを脅威に感ずるんだ。脅威という問題はこの中にあるのじゃございませんか。脅威というのはちゃんとある。それで厳に慎めと言っているのですよ。武力による威嚇または武力の行使を慎むことを約束するとある。その同盟国の一方がタイに出兵するということは、事前協議対象にはならぬだろうけれども協議会を開いてあれば、われわれはわれわれの言い分をこの会議に出すことができるじゃありませんか。もっともあなたみたいに、タイに出兵することはいい、いいと言っていれば、これは何ら協議の価値がなかったかもしらぬけれども、われわれはそう思わない。タイ、ベトナム、ラオス、南北朝鮮、これはいつ導火線になるかわからないという情勢でしょう。そういう場合における真の意味日本民族の平和のために、やはりわれわれはいつの場合でもアメリカに強い発言権を持つ、そしてたくさんの機会を持つという工夫がなされなければならぬにかかわらず、こういう情勢上にありながらも協議会を開かぬ、これはわれわれなかなか納得できないことなんです。タイの問題はたまたま条件がよかったということであって、このことはだれも判定する能力がないと思う。われわれは脅威を感ぜざるを得ない。ですから、自衛隊としては早急に開くという努力を重ねて——日本に対して何ら事前協議対象でないからといってタイに出兵をする、ラオスに出兵をする、条約上は影響ない、しかし、実際の政治問題、経済問題には大影響があるということでしょう。軍事的にも影響があるということでしょう。ですから、私は、やっぱり早く開いていただいて、国会でも脅威を感じている分子がかなりいるということ等を含めて、極東情勢、東南アジア情勢というものを再検討する必要があるのではないかと思うのです。
  49. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、安保協議会は適当なときに開くように今寄り寄り相談をいたしておるところでございます。何かこのタイに対する派兵が日本の安全に脅威であるというふうに御判断でございます。   〔堀内委員長代理退席、委員長着席〕 私どもはそうは考えていないのでございます。(石山委員タイだけじゃない、東南アジア全体だ。」と呼ぶ)石山さんはすぐタイばかりではなくて南北朝鮮までを持ち出されて、概括的におっしゃいますが、タイに関する今回の問題については、私はそういうことでございます。これから起こり得べき東南アジアあるいは極東の問題につきましては、その事態の性質によってあるいは随時協議の問題にもなります。あるいは日本基地を使うというような場合には事前協議の問題にもなります。そればかりでなくて、そうした安保条約上の安保協議会という形をとらずにも、随時密接な連絡を持ちまして、極東あるいは東南アジアの情勢については、常に検討を怠らないようにいたしておるわけでございます。
  50. 石山權作

    石山委員 外務省発表として、日本からたとえば軍隊が沖繩に撤収して、沖繩を主として行動するときにも、事前協議はなくても仕方がないと思う、これは条約上の正確な解釈だと思うのですが、その通りですか。
  51. 中川融

    中川説明員 これは事前協議に関する公換公文での、要するに、日本施設及び区域から戦闘作戦行動が行なわれる場合というのがあるわけでございますが、これはあくまでも日本施設及び区域を使ってやるわけでございます。そこがベースになってやる場合でありますから、従って、そこから一応外へ移りまして、日本以外のところへ移りまして、その日本以外のところを根拠地として、そこから戦闘作戦行動をやるという場合であれば、日本からそこへ移動したわけでありまして、日本から戦闘作戦行動をしたのではないという解釈にならざるを得ないのであります。従って、そういう事態であれば、これは事前協議対象にならないということを申したわけでございます。
  52. 石山權作

    石山委員 そうすると、たとえば日本一つの後方地の兵站部化する、そうしてここに軍隊でも、たまでも、船でも、飛行機でも、ごっそり置くわけです。そしてどこかの地域に絶えず送ってやる。これは前線基地だ。そこから戦闘機なり軍艦なり出て行くとする、それも条約上から見ればやむを得ないということですね。
  53. 中川融

    中川説明員 事前協議対象にはするわけにはいかないということでございます。しかしながら、同時に、日本にそういう大量の兵器、弾薬がいつも入ってきて、しかも、どこかで戦闘が行なわれている。直接でないけれども、要するに、それが日本から外へ出て行くというような事態であれば、これは相当重要な問題でありますので、これはいわゆる任意協議対象には当然することができると思うのでございまして、いわゆる第四条に基づきまして、随時この条約の運営について協議することになっております。従って、協議があるということは、これは想像されるのでございます。条約上の義務として、アメリカ事前日本協議して日本の同意を取りつけなければ何もできない、こういう意味のいわゆる事前協議対象にはならないということでございます。
  54. 石山權作

    石山委員 それだと、ちょうど池田さんの高度成長経済がみなうそであったと同じだ。まるでこの前の安保条約の討論とは違ったことになっているじゃありませんか。条約上はそうかもしれぬ。けれども、四条の場合には、やり得るということが、いずれか一方の締約国の要請により協議するという条項があるわけでしょう。これが事前協議の名前であろうが何であろうが、何でそんな——あなたは条約局長だから、法律文句に拘泥すればいいわけだから、あるいはそれでいいと思うのですが、あまりにも何だかしゃくし定木で困るじゃないですか。そういう外交の仕方をするから、日本の外交は下手だといわれているのですよ。そんなしゃくし定木のことをするから、商売人の外交官はだめだから、民間から登用せいなどという声が出るのじゃないでしょうか。もっと融通無碍でなければ外交はやれないはずだと思う、条約というものは、自分の側に有利に解釈して交渉に持ち込むという建前でなければおくれをとるわけじゃないですか。あなた方は一方的にあなた方の判断できめている。非常に客観性を欠いた、日本外務省だけの判断じゃございませんか。それじゃいかぬと思うのです。事前協議対象になるとかならないとか、随時に継続的に反復されて、そういうふうに軍隊移動が行なわれて、黙って見ている外交はないと思うのです。敵対国は黙っているわけにいかない。日本軍事基地として、兵站部として、相手から攻撃を受けるというのは当然でしょう。その場合に、あなたのように事前協議対象にならないなどと言っているのでは、日本は戦争に巻き込まれるのは当然ではございませんか。その場合、日本防衛を担当している長官としては、そういうふうに反復繰り返されるような場合に、事前協議対象にならぬと言うが、じゃどういう形であなたたちはそういう場合に日本の意思表示をするのか、この四条にはそういうことがあるのだが、どういう格好手続でやるのか、伺いたい。
  55. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 第一に、日本に対して相当の兵力が参ることは、これは御承知のように事前協議対象になります。陸軍で言えば大体一個師団以上というようなことでございますが、そういう点は事前協議のまず対象になります。  それから、そういう移動は行なわれないが、たとえば多量の兵器弾薬等が日本基地に置かれて、そしてそれが継続的に他の作戦行動基地に送られるというような場台でございますと、これは今局長の言われたように、事前協議事前協議をしなければ何らの行動もとれないという拘束はございませんけれども、しかしながら、それは今御指摘のように、そういう多量の兵器弾薬等が日本施設区域使用されて他に補給をされるというようなことは、日本の安全というものに非常に影響があることでございます。従いまして、第四条による協議を申し出る、そして協議をするということには相なると思います。
  56. 石山權作

    石山委員 外務省の方々にも協力方を私要請しておきたい点は、早く協議会を開くように工夫をしてくれということです。外務省関係はそれでいいです。  それからあと、防衛庁長官にナイキの問題について一つお聞きしたいのですが、土十九日でしたか、防衛庁長官の責任において、ナイキをば関東に四カ所、これをそれぞれの県の所在地に決定したというのですが、それはその通りでございますか。
  57. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 その通りでございます。
  58. 石山權作

    石山委員 地元ではそれぞれ反対だと言っているのだが、何でもございませんか。
  59. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 一部反対の動きあるいは運動等もございます。しかしながら、また防衛庁といたしましては、ナイキの性質あるいはその他の解明に努めまして、当該県あるいは県議会、市町村当局並びに市村町議会等にもいろいろと連絡をいたしまして、御了解をいただいておるような次第でございます。
  60. 石山權作

    石山委員 県庁の役人の御了解をいただいたって、県庁の役人がその土地を持っているのじゃない。  それからもう一つは、ナイキという武器は日本へ入っているわけですか。
  61. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 今後日本にだんだん送られてくるわけでございます。
  62. 石山權作

    石山委員 一かたまりもきておりませんか。
  63. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 現在はきておりません。
  64. 石山權作

    石山委員 それからナイキの演習か練習かわからぬけれども、いずれにしても、これの操作の実弾射撃ですか、こういうのは日本でできないといわれているのですが、やっぱりできないのですか。
  65. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 日本の現在の国土の状況等からいくと、非常に困難だと思います。従いまして、現在、私どもの考えておりますのは、実弾射撃につきましては、アメリカその他の現にそういう施設のあるところを使用させてもらう予定でございます。
  66. 石山權作

    石山委員 ナイキの一大隊三百三十九人がアメリカへ行っているわけですが、それは帰ってきましたか。
  67. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 この秋に帰る予定でございます。
  68. 石山權作

    石山委員 秋の何日に帰り、それまでに費用は何ぼになるかお知らせ願いたい。
  69. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 大体十月ごろでございます。そうしてこの訓練の費用はマップ供与でございます。
  70. 石山權作

    石山委員 今後も内地でやることができぬで、アメリカ等でやらなければならぬとすれば、そういう方便を今後も用いる予定でございますか。
  71. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 アメリカにおいて実弾射撃の訓練をやる場合には、これはマップ供与に相なるものと考えております。
  72. 石山權作

    石山委員 その費用全額ですか。食べ物も往復の旅費も全部ですか。
  73. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 往復の旅費は日本負担であったと存じます。向こうの滞在費は全部米国持ちでございます。
  74. 石山權作

    石山委員 これは会計がきていないからわからぬだろうけれども、そういうのはもっと明細に報告する義務があると思うのです。それはなぜかというと、今後もそういうふうにやるとすれば、費用の点等も考えざるを得ないだろうし、それから自衛隊法の中には、兵隊を海外に研究に出すとかなんとかいうことは何ら規定されておりませんが、普通公務員の出張になっているのですか。
  75. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 旅費等は防衛庁の外国旅費の中に組んでございます。自衛隊法の中に外国で訓練するとかしないとかいう問題はございませんけれども、外国へ出張させて、そこで訓練を委託をするということはやっているわけでございます。
  76. 石山權作

    石山委員 長期の海外研究生は海外へ派兵の形になりませんか。
  77. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 これはどこまでも訓練を受けるわけでございまして、いわゆる海外派兵という性質のものではないと考えております。
  78. 石山權作

    石山委員 訓練を受ける場合にはいいけれども、この前、あなたは韓国に長期に視察に将校をやるというようなことが新聞発表に一ぺん出ていたのですが、視察とか指導とかいう任務を自衛隊は持つことができますか、海外の兵隊に対して。
  79. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 海外のいろいろな軍事情勢を視察するということは、これは当然あることになりますが、海外の軍隊を指導するというような、そういう任務はございません。
  80. 石山權作

    石山委員 視察には規制がないわけですね。だから、長期の視察に名前をかりて、南ベトナムあるいは韓国、南ラオス、こういうところへ将校さんをば出すという計画は今のところございませんか。それからもう一つアメリカからその点は要請されても、長期の視察などということはやりませんか。
  81. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 現在そういう計画はございません。また、アメリカの要請というようなことについて、それに従うというような考え方はございません。ただ、われわれとしては、世界のどこの国についても、その軍事情勢等は常に把握いたしたいのでございまして、いろいろなルートを通じて把握に努めておりますが、場合によっては視察をするということは、これはあり得ると思いますが、現在のところございません。
  82. 石山權作

    石山委員 せんだって、私は秋田の新聞で見たのですが、空幕長が、ナイキはおれのところのものだというふうな発言をしているのですが、所属は一体どういうふうにお考えになっているのですか。
  83. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 現在アメリカにトレーニングに行っておりまする者が帰ります十一月ごろを目途として決定をいたす所存でございます。
  84. 石山權作

    石山委員 藤枝さん、あなたは十月まで残っているつもりでいるのですか。そんなゆうちょうなことじゃいかぬじゃないですか。所属がきまらぬというなら、どうです。あなたの直属部下にしては。そういう方便はいかぬですか。
  85. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 このパッケージ・トレーニングの部隊が帰ってきたときにきめるということが、防衛庁の庁議として決定をいたしておるのでございます。従いまして、その庁議通りに決定するということは、たとい防衛庁長官がかわりましても、変わらないことでございます。
  86. 石山權作

    石山委員 そんなゆうちょうなことではいかぬじゃないかと言っているのですよ。もっと早くやれという意味ですよ。そうすると、今度は陸幕だって、空幕に言われたら、いやいや、それは違う、空飛ぶものでない、地上にいるナイキじゃないか、足は地上にあるのだから、おれたちの方だってなんて言い始めたらどうなるのです。それまでの間浮かしておくというわけですか。まさか海軍がおれの方とまでは言わぬだろうけれども、当然十一月までなら十一月までああでもない、こうでもないというふうなことにならぬでしょうか。あなたが一にらみすれば泣く子も黙るというなら黙っているかもしれませんが、そうじゃないじゃありませんか。これはやっぱり早くやった方が、私はいわゆる部隊の統一のためには必要なのではないかと思うから言っているのです。ナイキなんか置くのはわれわれは反対なんです。でも、所属する土地は四カ所きめるというでしょう。だれが一体監督して据え付けるのですか。
  87. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先ほど申しましたように、所属の決定をこの訓練部隊が帰ってからやるということが、防衛庁の方針としてきまっておる。それをあえて現在変える必要はないと私は考えております。陣地の構築その他につきましては、予算上は陸幕の予算に組んでおりまして、そうして分担をきめまして、陣地の構築その他に支障のないようにはいたしております。
  88. 石山權作

    石山委員 工事については、土地の折衝等も調達庁がおやりになるわけですか。
  89. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 今回の陣地は既存の自衛隊区域の中にやるのでございまして、土地を拡張して購入するとか借り上げるというようなことはございません。
  90. 石山權作

    石山委員 これで終わりますけれども自衛隊なんというものはなかなか武者ぶりりりしくて、あなたは、庁議で一たんきめたものは十一月だなんていばっているのだが、なぜ庁議で、ナイキは陸だとか、空だとか、ぱちんときめないのですか。十一月だ、十一月だと力み返るくらいなら、今力み返った方が置きみやげになるのではないですか。どうもそういう点ではわが精鋭自衛隊もあまり信用できませんな。どうですか。ぱちんときめるということはやはりなかなかめんどうな点がたくさんあるというなら、めんどうな点を三つくらい教えて下さい。それなら私は満足する。
  91. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 これは運営の面と、それから維持をやっていくような面、その他につきまして、いろいろ一利一害がございます。しかし、そういうものを比較検討をいたしまして決定するわけでございますが、別に十一月を固執しているわけではございませんけれども防衛庁の方針として、十一月ごろきめるということがすでに決定されておりまして、それを今特に変更して直ちにきめるというほどの理由はないのではないかということで、私は、この方針通り決定するのが妥当であると考えておるわけでございます。
  92. 石山權作

    石山委員 軍人がPRするのは、しょっちゅうアメリカなんかでやっておるのを見ていますから、あまり気にする必要はないと思いますけれども、おれの方だ、おれの方だなんて新聞発表なとされると——自衛隊はそういう点ではなれていないでしょう。国民もなれていませんよ。だから、軍隊がそういうことをやると、内輪もめだ、仲間もめだ、各庁のなわ張り争いより、与える影響が大きい。そういう点を心配しておるから言っておるのであって、私の方から言えば、十一月だ、来年の十一月だ、再来年の十一月だと言っておれば、そのうちわれわれは政権をとるから、そんなものはつけないということになると思いますから、なるべく延ばしたいのが本心ですけれども、延ばすと、そういう影響があるから、十分注意していただきたいということです。
  93. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 御注意になりますことは、私わかりますので、私の就任以来毛、部内でいろいろと意見を戦わせることは大いにやるべきである、しかしながら、それがいかにも自衛隊内部の不一致のような印象を国民の皆さんに与えるような行動は厳に慎むように申しておるわけでありまして、その方針を今後もさらに堅持して参りたいと存じます。
  94. 中島茂喜

    中島委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたしたいと存じますが、先刻の理事会の協議により、七月十日に開会する予定でありますので、御了承願います。  これにて散会いたします。    午後零時二十四分散会