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1962-04-28 第40回国会 衆議院 地方行政委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十八日(土曜日)    午前十時二十八分開議  出席委員   委員長 園田  直君    理事 纐纈 彌三君 理事 高田 富與君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 太田 一夫君 理事 阪上安太郎君    理事 野口 忠夫君       伊藤  幟君    小澤 太郎君       亀岡 高夫君    前田 義雄君       山崎  巖君    川村 継義君       二宮 武夫君    安井 吉典君       山口 鶴男君    門司  亮君  出席政府委員         文部事務官         (管理局長)  杉江  清君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         文部事務官         (管理局福利課         長)      清水 成之君         自治事務官         (行政局公務員         課長)     松浦  功君         参  考  人         (社会福祉審議         会委員)    大野木克彦君         参  考  人         (東京教職員         組合執行委員婦         人部長)    加藤  郁君         参  考  人         (日本社会保障         研究所理事)  堀江信二郎君         参  考  人         (全日本自治団         体労働組合副委         員長)     丸山 康雄君         参  考  人         (島田市長)  森  昌也君         参  考  人         (全国町村会長山本 力蔵君         専  門  員 曾根  隆君     ————————————— 四月二十八日  委員渡辺惣蔵君辞任につき、その補  欠として安井吉典君が議長の指名で  委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方公務員共済組合法案内閣提出  第一二〇号)(参議院送付)  地方公務員共済組合法長期給付に  関する施行法案内閣提出第一三六  号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 園田直

    園田委員長 これより会議を開きます。  地方公務員共済組合法案及び地方公務員共済組合法長期給付に関する施行法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  本日は参考人方々の御出席を願い、両案についての御意見を聴取することになっております。御出席を願っております参考人方々は、社会福祉審議会委員大野木克彦君、東京教職員組合執行委員婦人部長加藤郁君、日本社会保障研究所理事堀江信二郎君、全日本自治団体労働組合委員長丸山康雄君、島田市長昌也君、全国町村会長山本力蔵君、以上六名の方々であります。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人の各位には非常に御多忙のところ、当委員会法律案審査のために御出席をいただき、まことにありがとうございました。何とぞ両法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べ願えればまことに幸いと存じます。ただ、議事の整理上、初めに御意見をそれぞれ十分程度に取りまとめてお述べ願い、次に委員諸君からの質疑に対しましても、十分にお答えをお願いいたしたいと存じます。  それでは、初めに大野木参考人にお願いいたします。
  3. 大野木克彦

    大野木参考人 本日、地方公務員共済組合法案及び同法の長期給付に関する施行法案につきまして、意見を申し上げます機会を与えられましたことを厚くお礼申し上げます。   〔委員長退席渡海委員長代理着 席〕  まず初めに、今回の地方公務員共済組合制度の根幹となっておりますものは、恩給による年金から共済方式による年金制度への移行であると存じます。この制度移行が、国民年金の一環として、大まかに申しますと、厚生年金国民年金とともに三本の足として、公務員について整備されるものと考えられます。この意味におきまして、従来の公務員年金制度を見ますと、すでに国家公務員関係につきましては、昭和三十四年十月から全面的に、官吏雇用員の別なく一律に共済年金制度適用を受けております。しかるに地方公務員関係につきましては、現在、恩給条例によるもの、市町村職員共済組合によるもの等、地方公共団体により、また職種、身分等によりまして多種多様でございます。従って、こうした地方公務員についての今回の改正の方向は賛成してよいと存じます。  御承知の通り、戦後、官吏雇用員身分差を撤廃した新しい公務員制度が、国及び地方に対して樹立されたにもかかわりませず、年金制度につきましては、戦前からの恩給方式と新しい共済方式とが、それぞれ官吏雇用員に対して別々に、しばらくの間二本立で適用されて参りました。それを国においては、先ほども申し上げました通りに、昭和三十四年から共済年金方式に一本化されたわけでございます。こうした趨勢からいたしましても、ひとり地方のみが従前方式を残しておくということは、国、地方を通じての公務員制度といたしましても適当とは考えられませんし、また地方公務員法に規定されております共済制度実施趣旨から見ましても、やはり国が全面的に従来の恩恵的な恩給制度から社会保障制度に移ったように、地方公務員につきましても、同様の制度実施されることが望ましいと言わなければなりません。  新しく立案されましたこの共済制度内容につきましては、現行地方公務員法第四十三条、四十四条で要求されております趣旨からいたしましても、国家公務員に対する共済制度権衡を失しないようにすることが必要であると存ぜられます。そして、この新しい制度によって年金の通算が可能となりまして、職員の交流が、この方面において円滑になりますれば、公務員制度一つの進展に寄与するところと考えられるのでございます。  次に、新しい制度の個々の内容のおもなるものについて申し上げたいと存じます。  組合の設置の単位につきましては、現行国家公務員共済組合法に準じます地方職員共済組合警察共済組合公立学校共済組合等既存制度及び各都市特殊事情を考慮して定められておりますので、大体よろしいのではないかと存ぜられます。  組合運営方式につきましては、地方警察公立学校三つ共済組合につきましては運営審議会方式、その他の組合については組合会方式となっており、一見、片方は諮問機関的なものであり、片方は議決的なものでありまして、どうして違った方式をとる必要があるのか、その点が必ずしも明らかではございませんけれども、この制度全体として、なるべく従来の沿革が尊重されております立場から、既存警察地方公立三つ共済組合におきましては、従前国家公務員共済組合と同じような運営審議会方式がとられておりまして、市町村共済組合においては組合会方式がとられておりましたその歴史的な事情からきたのだろうと存ぜられます。ただこの二つの方式は、一定の重要な事項につきましては、いずれも審議会あるいは組合会の議決を経なければならないようになっておりまして、審議会と申しましても、純粋な諮問だけの機関ではないようでございます。それで結局は、この点若干問題はあると思いますけれども、要は、どちらの方式をとるにしましても、実質的に委員なり議員なりの任命に関して十分留意をして、公共団体側職員側との民主的な運営がされることが必要であろうと思われます。  次に、新制度による給付内容につきましては、短期給付については健康保険に上る給付を上回っているようでありますし、また、従来の恩給にかわる長期給付につきましては、これまた全般的にいって給付がよくなっているようでありますから、この点はよいのではないかと思われます。ただ十幾つかの都市年金制度の方が、新制度よりも職員にとって有利なように実施されていると思いますが、ただそれらのものにつきましても、不利になる部分をカバーするために、地方公共団体において付加年金制度を設けることができる仕組みになっているようでございますから、一応既得権期待権保障されているものと見てよいのではないかと存ぜられます。  また、さきの参議院における審議で、若年停止制度がなくなったことが問題として取り上げられたと伺っておりますが、この点につきましては、新制度恩給制度建前を全く別にしていることを考えますと、公平な負担と公平な給付ということで、結局はもらう総額においては、数理的には平均すると同じというようなことになるというふうに伺うのでございますけれども、現実の問題といたしましては、いろんな点で個人々々には問題があると存じます。この若年停止の取り扱いにつきましては、なお関係御当局において十分御検討下さることを希望いたしたいと存じます。  次に掛金についてでありますが、新制度社会保険制度でありますので、やはり国が長期給付に要する費用の一部は負担するのがいいのじゃないかと考えます。このたびは、国は地方交付税を通じて負担するということで、法文上はすべて地方公共団体負担となったようでありますが、もちろん地方公共団体は私企業とは違っておりますけれども、何かこの問題について国の責任が不明確になったような感じがいたします。また、この交付税の行き方でいきますと、相当の人数をかかえております東京都などのいわゆる不交付団体は、何も恩恵を受けないというようなことになります。また、職員負担につきましては、大体長期掛金が千分の四十四となって、現行恩給制度掛金に比べて倍程度になるようでありますが、全般的に見て、まあ現行よりよい給付実施するために保険数理によって算出された率であるということでございますから、やむを得ないのかと存じますが、現実にこれが公務員にとりましては、当面相当な負担になることは申すまでもございませんので、結局は不利にはならぬということでございますけれども、こういう点につきましては、みなが納得がいくように一つ十分にPRをしていただきたいと思うのでございます。全体として、この年金制度は非常に複雑でむずかしいのでございますので、よくみなに理解がいくように一つ御努力をお願いしたいと存じます。なお五年ごとには、これは再計算されるということでございますので、その節はまた十分検討されるようにお願いしておきたいと思います。  それから長期積立金運用につきましては、職員福利厚生及び地方公共団体行政目的のために運用されるということになっておりますが、特に職員福利厚生のために十分活用されるようにお願いいたしたいと存じます。それから資金運用部に預託するのは、国庫支弁職員にかかる長期積立金の一部と存じますが、これはまあやむを得ないことかもしれませんが、国費職員以外の地方公共団体職員にかかる長期積立金については、将来とも地方職員及び地方公共団体のために運用されるように十分御配慮願いたいと存じます。  また、この制度とは別でございますが、国家公務員昭和三十四年十月から全面的に共済年金制度移行した際に、退職手当平均二五%引き上げた趣旨と合わせて、この制度改正に伴って、地方職員についても同様の措置が行なわれることが附則に明文化されておりますが、これはまあ本年十月以降に退職される職員については朗報であろうと存じます。  なお、組合追加費用は、政令で定めるところによって、国または地方公共団体負担となっておりますが、地方公共団体の財政を圧迫することがないように、その支払い方法について十分御留意を願いたいと存じます。  また知事会とか市長会とか、地方職員のための福祉事業を行なう団体職員など、いわゆる関係団体職員に対しても、将来はこの制度適用をお考え願いたいと存じます。  なお主務大臣が行なう監督権限につきましては、国の場合に比べますと、よほど局限されているようでございますけれども、この行使にあたりましては、なお共済組合としての自主性を阻害されぬように、十分な留意を願いたいと存じます。  終わりに新制度を全般的に振り返ってみますと、一部の都市職員を除いては、地方職員全体としては年金給付はよくなるものでありますし、また不利となる職員についても付加制度実施が認められております等、期待権既得権はできるだけ生かされていると存ぜられますので、大体においてけっこうではないかと存じます。   〔渡海委員長代理退席纐纈委員   長代理着席〕 ただ掛金の点については、保険制度建前から、どうしても高目にならざるを得ないものと思われますが、将来さらに検討を願いたいと存じます。ともかくこの新制度によって、従来の年金制度の複雑さがすっきりした社会保障的なものとなり、退職手当が大きく引き上げられることによる利点等を総合的に勘案いたしますと、若年停止等、確かに幾つかの問題点はあるかと存じますが、新制度実施職員にとって不利になるものとは思われませんので、国家公務員が三年も前から実施していることとの権衡上からも、やはり実施されてしかるべきものかと存じます。  はなはだ雑駁でございますが、参考人としての所見を申し上げました。(拍手
  4. 纐纈彌三

    纐纈委員長代理 ありがとうございました。  次は加藤参考人にお願いいたします。
  5. 加藤郁

    加藤参考人 東京教職員組合婦人部長をいたしております加藤と申します。  最初に、地方行政委員先生方には、日ごろ地方公務員並びに家族福祉対策を初め、地方自治体の問題につきましていろいろと御尽力下さっておりますことにつきまして厚く御礼申し上げる次第でございます。  私は婦人公務員として、また婦人教師立場から、地方公務員共済組合法案並びにその長期給付に関する施行法案につきまして、意見を述べてみたいと存じます。  今回の新退職年金法案を見ました場合、従来の恩給法という恩恵的なものから、社会保険システムになったというようなことをおっしゃっている方がございますが、なるほど形はそうなっておりますが、実際は数々の問題点がございますので、私は反対をいたすものでございます。特に次のような点を申し上げたいと存じます。  まず第一に、資格年限についての問題でございます。従来の恩給法によりますと十七年でございましたのが、新法によりますと二十年に延長されました。これはたった三年延期されただけではないかというようにもおっしゃいますが、この三年間は実に大へんな三年間と言うことができるのでございます。特に女子教職員にとりましては、十七年勤めるためにも、激務に耐え得るような丈夫なからだ、また家族の協力や、社会的には安心して預けられる保育所の少ないこと、また保育所の絶対数の不足のために、共かせぎの先生高給取りだから自分で解決しなさいといって、保育所にも預ってもらえない実態や、家事も安心して預けられる、まかせられるお手伝いさんの不足、また執拗な退職勧告等々、一々枚挙にいとまはございませんが、このような一つ一つの困難な問題を払いのけていくのは並み大ていのことではございません。こうした血のにじむような一年々々の積み重ねの三年間でございますので、三年延長されましたことは、婦人教師ばかりでなく、婦人公務員にとりましては容易なことではございません。十七年ならば資格がついたのに、資格がとれたのに、あと三年はどうしても続かないという方も出て参ります。むしろ婦人の場合は、男子の場合よりも一年でも年限を引き下げることの方がどんなにか温情のあるやり方と言えるのではないでしょうか。そのほか積算の基礎が、恩給法では最終時の俸給ということになっておりますが、新法では過去三年間の俸給平均額になっておりますので、実質的には一号ぐらい下回った金額で計算されることになり、これも既得権の侵害ということになると存じます。  第二番目に言えますことは、掛金が大幅にふえたことでございます。従来の千分の二十が千分の四十四というように一挙に二・二倍に増加しております。月給三万円の者に例をとりますと、これは文部省資料でございますが、七百二十円も負担増になり、新たに課税されたようなものでございます。ところが、給付率はこれに見合ってよくなっておりません。四十五才で三万四千百六十四円の給料の人をかりに見てみますと、恩給法では一万二千八百三十七円となり、新法では一万四千百七十八円で、わずか千三百四十一円の増加にしかなっておりません。これでは私どもの負担倍増による保険システムでありまして、真の社会保障ではございません。これはつまるところ国庫負担がほとんどなされていないところに原因があるのだと存じます。ほとんどの財源組合掛金地方自治体負担にかかっているからでございます。昭和三十七年度予算によりますと、交付税という形で自治体関係十五億、文部省関係二十七億五千万が補助されているにすぎないところに大きな原因がございます。  第三番目といたしまして、運営面に問題がございます。共済組合組織運営及び役員選任方法が、組合によって統一されていないところに問題がございます。地方共済及び公立学校共済警察共済の三共済は、大臣任命による運営審議会委員によって運営され、他の四共済の場合は任命及び選挙による議員により組合会方式によって運営されるようになっておりますが、どうしてこのように組合によって差別をつけるのか、まことに納得いたしかねるものがございます。   〔纐纈委員長代理退席渡海委員   長代理着席財源的に一切を地方自治体並びに組合員負担させておきながら、運営面の実権だけを国が押えているというやり方は問題がございます。共済制度は、大多数の組合員が半分の財源負担しているのですから、運営面についても、自分たちで選んだ議員を参画させるような組合会方式をとるのが民主的な方法と言えるのではないでしょうか。  第四番目に、資金運用の面でも問題がございます。国庫負担がほとんどなされていないのに、公立学校共済の場合、組合員掛金の四分の一が大蔵省の資金運用部へ回されるのはどうしたことでしょうか。これは当然組合員の住宅の資金にするとか、保育所施設とか、組合員福利厚生のために役立てるのが、共済の意義を深めることになるというふうに存じております。  最後に、女子公務員にとりまして重要な問題は、恩給法による若年停止が廃止されて減額年金制度になるという点でございます。これは全国二十五万の婦人教師にとりまして死活の問題でございます。従来の若年停止方式では、恩給法第五十八条の三によりまして、四十五才より四十九才までは十分の五支給、五十才より五十四才までは十分の七支給、五十五才からは全額支給という形で、四十五才から支給を受ける者も五十五才になれば全額支給されるので、十分な額ではありませんが、ある程度安心感が持たれたわけでございます。ところが、新方式によりますと、この制度が取り入れられておりませんで、減額年金制度になっております。これによりますと、五十五才と支給開始年令との差一年につき年金額の四%を差し引いた額となっておりますので、かりに四十五才より支給を受ける方は四〇%が差し引かれることになりますので、受取額は六〇%ということになりまして、年々六〇%の支給しか受けられず、五十五才に達しても従来のような全額支給に復活することがございません。  文部省資料によりまして具体的な例をあげますと、四十五才でやめた場合、恩給法では、最初は六千四百十八円ですが、五十才になりますと八千九百八十六円になりまして、五十五才になりますと一万二千八百三十七円になります。ところが新法によりますと、四十五才で八千五百七円で、一生それが続くことになります。この八千五百七円では生活保護基準にも満たない額でございます。生活保護基準でも一万二千円程度になっております。これが十年も二十年も先々まで続き、老後生活が全く思いやられます。さらに心配になります点は、インフレの波に乗り貨幣価値の変動も予想されますので、先行きがどうなるのか、現在の八千五百円がまるで紙くずのような値打ちのないものにならないとも限りません。  それならば五十五才まで勤めればよいのではないかという人がありますが、婦人教師が五十五才まで勤めることがいかに困難であるかは前に申し述べました。日教組の昨年の調査では、五十五才以上は〇・〇九%というきわめて僅少な数しか残っておりません。特に地方の場合は、四十才を過ぎてこれから業務に専念できるときになりますと、必ず退職勧告を受けます。事教育という仕事は、あすの日本を背負う子供の育成に当たりますので、五年、十年の経験よりも、さらに長年の経験がりっぱな教育を打ち立てることになります。子供を育てた経験を持つママさん教師の存在はきわめて大切であります。このような教師が退職させられることは、教育にとってもマイナスでございます。にもかかわらず、共かせぎの婦人教師には、夫を栄進させるからやめなさい、子供さんをあなたのかわりに就職させてあげるからあなたはやめなさいとか、あるいはそのほかさまざまな理由をつけて、強引に退職勧告をされているのでございます。また退職勧告に応じない場合は、夫婦別居を余儀なくされるような遠方に妻が飛ばされたり、子供をかかえた婦人教師がお医者さんもいない村に飛ばされたり、ついに心ならずもやめていく人々がどんなに多いことか。こうした婦人教師がほとんど減額年金制度該当者になることは明らかでございます。  以上、数々の問題点を指摘いたしましたが、低賃金の中から月々相当高額を積み立てながら、老後生活保護基準にも満たないような保障しかされておらない減額年金制度につきましては、表面的には男女差をつけていないようでございますが、実質は婦人が差別されるということになりますので、十分御考慮の上、若年停止方式を復活されますよう切にお願いいたしまして、意見を終わりたいと存じます。(拍手
  6. 渡海元三郎

    渡海委員長代理 次に森参考人にお願いいたします。
  7. 森昌也

    森参考人 島田市長の森でありますが、私、全国市長会地方制度分科会委員長をしばらくいたしておりますので、全国市長会意見を申し上げたいと存じます。  この新法が、地方公務員相互救済目的とする共済組合制度を設けるという趣旨でありまして、「地方公務員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するとともに、公務員能率的運営に資する」ということをうたっておられるわけでありますが、この基本的な点につきましては、この制度全体を通じまして、共済保険制度の一歩前進であるという点について賛成をいたします。しかし、市長会といたしましては、この一歩前進という点に期待をしておるわけでありまして、現実にはたくさんの問題点があるわけでございます。この点につきまして、数年にわたって全部の各市長からいろいろな角度からのアンケートをとりまして、繰り返し討議を続けてきたわけでございます。分科委員会でも検討いたしましたし、評議員会あるいは総会等にかけまして、大体の意見がまとまっておるわけでございます。  問題点と申しますのは、第一は、この制度によりまして、市の負担が非常に増加をするという点であります。これは一つは恒久的に増加をするわけでありますが、もう一つは、経過措置として追加費用等の問題が出てくるわけでございます。それから第二は、職員組合員としての掛金増加が著しいという点であります。これは実情を申しますと、吏員をとってみますと、二百四の都市現行二%であります。中にはわずかに一%、あるいは一・二%、一・五%という都市もあるわけでありますが、これが、実際やってみなければわからぬと思いますが、一応示されたところの四・四ということになって参りますと、この負担が非常に激増してくるという点が、問題点としてあるわけであります。この点については各市からいろいろな意見が出たわけでございますが、ただ、もちろん保険制度の一歩前進でありますので、給付その他について進んだ給付が見られ、全般的に改善をしていきますならば、ただ負担増加をするから反対だということは、保険制度の何ものであるかということを理解しない考えだと考えますので、掛金増加あるいは市費負担増加等につきましては、給付内容が著しく改善されますならば、ある程度やむを得ないと考えるべきであると私どもは考えるのであります。これに対しましては、市長会は、国庫費用負担の一〇%を引き受けるべきであるという主張をもって折衝をし、陳情もしたのでございますが、これが拒否されまして、自治体の負担が五五、掛金によるものが四五というところに落ちつきましたことは、まことに遺憾であると存じます。しかも、この自治体の財源措置といたしまして、地方交付税の中でこれを見るという解決が示されておるわけでございますが、これは関連いたしまして、多少議題外に及びますが、地方交付税によって財源措置をするという考え方は、不交付団体に対しては何ら益するところはないわけであります。この一切を地方交付税制度に持っていって解決をしたと考える考え方が、私は、現在のわが国における地方自治体に対する政府の財政対策として大きな欠陥であると考えております。この点は賢明なる委員の皆様方におかれましては、地方交付税制度そのものについて問題があるということをぜひお考えをいただきたいと思うのでございます。  もう一つは、組合の財産の自主的な運営によりまして、将来掛金の減少あるいは地方自治体に対する負担の減少というものを正しい運営によってぜひはかっていただきたい、こういうことが考えられるのでございます。この点は、組合財産と申しますか、積立金を政府が吸い上げるということが最初考えられたのでありますが、これは自治省等の御尽力によりまして、組合の管理に置かれるということ、組合員福祉あるいはこういった運営によるところの掛金の減少等を目ざして、この資金運用をされるということに、少なくとも都市関係におきましてはなってきておるということについては、大へん私どもは満足をするわけでございます。  もう一つは、給付内容の改善によりますならば、掛金の増あるいは自治体の負担の増等も納得のいく理解を得ることができるであろうというふうに考えまして、この点については今後において格段の成果が上がりますような措置をお願いいたしたいと思うのであります。私どもたくさんの職員をかかえておりますが、都市職員からも、いろいろな要望がございます。中には先ほど申し上げましたように、負担増加をするから反対であるというだけの反対もございます。これは私どもは必ずしも当たっておるとは思わないのでありまして、保険制度であり、相互扶助でありますので、必ずしも当たっていると思わないのでありますが、しかし実情は、中にはほんとうに負担の増に苦しんでおるという職員もあるわけでございますので、こういう点については、ぜひ組合の将来の運営において少しでも負担が軽減をされるように、よい給付とより少ない負担ということを、自治体の立場からも、職員立場からも、運営について強くお願いいたしたいと思うのでございます。そのことは、現在のこの新しい法律の運営によってできると私は考えておりますので、そういう点を条件として賛成をする次第でございます。  以上のような点から申しまして、市長会として特に関心を持ちました点が四つございます。第一は、今申し上げました資金組合による運営の線を確立するという点、これは法にすでに明示されておりますので、この点についてはけっこうであると思います。第二は、組織単位の問題でございます。これは先ほど申し上げましたように、都市によりましては、この法律が示すよりも、よりよい給付あるいはより少ない負担をもって運営をしておる都市もあるわけであります。中には、これによって改善をされる都市もございます。こういうふうないろいろな都市につきましては、指定都市あるいは適用除外を受けておる都市あるいはその他の町村と一緒になって組合を作る都市というふうに、いろいろな組織単位の問題について弾力性のある措置が法の中にとられておりますので、この点につきましては市長会の意向が全面的に取り入れられた法律を作って下すったということで賛成をいたします。それから第三は、組合員職員既得権期待権の尊重という点でございます。これも先ほど申し上げましたような掛金率の問題、それからもう一つは最短の年金年限、十二年というのもございますし、十四年、十五年、十六年、十七年というふうに、いろいろ短い年限を持っておる都市があるわけでございますが、これは別にございます施行法によりまして、いろいろな経過措置がとられて、この点については既得権期待権の尊重がかなりこまかく行なわれておるということを知りまして、この点につきましても大体満足する次第でございます。それから第四は、組合会の民主的な運営という点でございます。これは都市組合あるいは市町村組合に関する限りは、この法律によりまして民主的な運営の道が開かれておると私は考えます。こういう点につきましても、外に向かっても、組合の内部におきましても、民主的な運営という点を貫いていただきたい。これによってこの保険制度についての大方の納得を得ることができるであろうと考えますので、この点についても大へんけっこうだと思うのであります。  要は、保険制度の一歩前進という意味で、私どもはこの法律に期待をし、賛成をするわけでございますので、いろいろな追加費用の問題あるいは将来の給付等の改善に要するものが自治体の財政の圧迫となり、あるいは掛金率の引き下げを妨げる、こういうことがないように国においての強力な御支援をいただかなければ、かえってこれが改悪になるのでなかろうかというふうに考えます。  全般としてこの法律につきましては、私どもは、自治体も、職員も、新しい保険制度確立のためにある程度の犠牲は覚悟をしつつ、そうして給付内容を改善をしていくという積極的な態度に立ってこの問題に当たるべきであるというふうに考える次第でございます。  以上、市長会としての意見を申し上げます。(拍手
  8. 渡海元三郎

    渡海委員長代理 ありがとうございました。  次に、堀江参考人にお願いいたします。
  9. 堀江信二郎

    ○堀江参考人 私は、この法案が賛成か、反対かということではなくて、これからこの審議を進めていく場合に、どうしてもこれは必要だ、また私としても希望したいと思っていることについて、一、二意見を述べたいと思います。  まず第一は、この法案の提案者である政府に対して、幾つかの姿勢と行動と申しますか、そういうことを要請してもらう必要があるのじゃないか。と申しますことの第一は、どういうことかと申しますと、地方公務員関係者に対して、地方公務員年金制度から起きてくる一切の問題についてこれをよく知らせ、それから考えさせ、判断を持たせる、こういうことをぜひ政府に対してやらせる。こういうことをやはり大事な条件としてこの審議を進めていただきたい。こう言うと、これは十分審議したとおっしゃると思うのです。私はこういう資料をいただいております。それからまた今、先に述べられた方々も、三年にわたってこれは討議したとおっしゃるわけです。しかもこれは、今度いただいた参議院の討議を見ますと、全体に知らされている、こういうとらえ方を政府はされているようです。ところが、私は決してこれは全体に知らしているという形にはとらえておりません。まず社会保険で年金をやるといったような場合、出てくる社会保険がどんな働きを起こすかというと、一人々々が幾らかけて、何年になったら幾らもらうという一人々々の条件の問題が当然第一でしょう。それから地方自治体方々が今まで自治体内で約束してきた自治体の条件がどう変化していくか、これも大事な問題だと思います。そういう働きを起こします。ところが、そのほかにより大きな働きを起こす。ということは、地方公務員全体対政府の間でこれは非常に大きな働きを起こしてくるものであります。これを簡単に言いますと、あなた方の積立金が全部いわゆる中央政府の手のもとに管理される。ところが資金運用部は四分の一で、あとは地方自治体が自主的にということだ、従ってこれは非常に会心の作だと政府は参議院で答弁しております。地方公務員年金制度の中で一番会心の作は何だといったら、資金運用の問題が一番会心の作だ、こう答えておる。ところが、今までの日本の社会保険のやり方を見てみますと、資金運用部に入れないという金は、一銭一厘だって自分たちがほんとうに自主的に使っているものは一つもないのです。これは一銭一厘だって大蔵省の指示のもとに動かさなくちゃならぬような仕組みになっている。だから島田市長さんが言われましたように、自主的に地方の自治体内部に使えると思ったら、私はそうじゃないのじゃないかと思っている。もしそうならその証拠を具体的に示す必要があると思いますが、とにかくそういったように非常に大きな積立金が中央に掌握される、支配される。ところが掛金というのは貨幣です。貨幣というのは、資本主義社会における一切の経済活動を媒介しているわけです。だから、言ってみるなら、地方公務員の皆さんが一年に六百億から六百五十億中央の支配のもとに置くということは、三井、三菱といった大きな財閥を幾つも作り上げるということです。あなた方の年金制度の中からそういう大きな働きを一面には作っていく、こういうことになるわけです。そういう金は御存じの通り資金運用部や財政投融資によって全部国民の利益のために使われている、こう説明しております。ところが、そう簡単に受け取っていいのかどうか、これは私は問題だと思う。と申しますのは、資金運用部や財政投融資を通じて流される金というのは、日本のあらゆる産業に対して、さらにまた地方の自治体の一人々々の台所のすみずみまで影響するような使われ方をしております。従って、ただ簡単に国会で報告されておるように、ほとんどが国民の利益に還元している、こういう形で受け取っては十分じゃない。少なくとも皆さんの場で審議していただく場合は、実際に自分生活の一切が影響を受けている、そういう地方の住民の生活の上から出た意見をまとめさせるようにして、それを聞くようにして、では、はたしてそれが言うがごとく国民の利益に還元されておるか、あるいはまただれのための利益に使われておるか、こういうことをはっきり見届けるという中で、やはりあなた方の年金の起こしてくる機能を判断していただきたい、これが私は重要だと思うわけです。こういうことは必ずしも十分じゃないと私は思っております。このことはただあなた方の積立金だけの問題ではなくて、私は、日本社会保障の金というものの一切に通じていると思う。と申しますのは、たとえば岸さんが三十五年度予算を組むとき、前の年よりは二百七十六億円多く社会保障国庫負担をした。そしてこれを非常に大きく宣伝をされました。ところが、社会保障実施している金というのは、一般会計から二百七十六億多く出したといっても、実際に動いていく過程は、特別会計を一緒に調べていただく必要がある。特別会計の場合を調べてみますと、岸さんは二百七十六億多く国の持っておる貨幣を出したぞと言いますけれども、実は特別会計を合わせて計算してみると、労働者や国民のふところから一千億よけい金を中央政府が預かった、こういう結果が出ております。この国民のふところから預かった掛金というのは、実は国民生活費そのものを預けるわけですから、これは貨幣には変わりはないわけです。だからこれは、岸さんは二百七十六億多く負担したぞと言っても、実は一千億近い金をよけいあなた方から、自分が思うように使えるような形にして社会保障を通じて預かった、こういう結果を出しておりますよ。ところが、池田さんが今度三十六年度予算を組むときに、岸さんより六百三十六億よけい組んだぞと、こうおっしゃっている。ところが、特別会計の方と合わして計算してみますと、池田さんはみごとに岸さんの二倍の二千億以上、国民生活費の一部分を自分の手に握られた。まさにこれは池田さんの所得倍増じゃないが、収入倍増ですか、一番早くそれを社会保障の場を通じてやっておられると言ってもいいのじゃないかと私は思う。こういうことは、やはり国民の一人々々の生活費を岸さん、池田さんに渡すわけですから、しかもそれがどういう形に使われるかということになるわけですから、従って私は、これは非常に複雑でわかりにくいなんというようなことを言ってないで、そういうことは積極的にそういう住民の生活立場からの意見もまとめて出さしていく、こういう姿勢でもって、そういう判断を持たせるようにやらせる。これが何といっても地方公務員年金を討議していただく場合のまず一つの条件になる。そういうことをしていただく必要があるのじゃないかと考えます。  次の問題は、皆さんが国会で討議していただく場合に、その前において、いわゆる労使間において、どういう考え方なりやり方なり水準について討議して結論を出していいのか、こういう問題を重視して、いわば国会審議の前に、必ず労使の間で、地方公務員年金制度の考え方や、やり方や、どういう水準にするということを一応の結論をつけるようにして、国会審議の場に持ってこい、こういうやり方をしていただく必要があるのじゃないか、こう思っております。なぜそういうことを申しますかというと、これはやはり社会保険という形でこういう年金をやるとかいう場合の本質だと私は思う。これはあまり長くなると悪いですが、とにかく社会保険の財源というのは、一応あなた方の受け取った賃金の一部分を出す。それからそのほかは当局が負担しますね。ところが、実は負担する金というのは、賃金と同じように労働力に対して社会保険の支払いとして払われたものだ、こういう本質を持っております。これは私が言うだけじゃなくて、国際的に統一しております。従ってこれは、いわば賃金は一人々々に払う、社会保険の支払いというのは集団的に支払う、これだけの違いでしかないわけです。従って、当然そういう労働力に対しての支払いであるならば、ここで当然一切のことが労使の間で話し合われる必要があるわけです。幾ら払うのか、払った金でどういうことをやるのか、どういうやり方をするか、これは労使の間で当然話し合われるというのが、社会保険の場合の国際的な本質であり常識だと思います。ところが日本においては、一貫して社会保険の中における労使関係の話し合いを拒否しております。拒否しているという中において非常に奇妙なことが出てきた。私は参議院審議をずっと読んでみて感ずるわけですが、政府側の答弁の中で、いろんなことを議員先生方が言われますと、いやそれは相互救済制度だ、それから保険数理に基づいている、それから国家公務員共済制度のあれに準じている、こういうことをきめ手として押されているようであります。相互救済というと、お互いが助け合うためにやっている、こういう工合な概念です。しかし、決してこれは相互救済ではなくて、いわゆる支払いだ、働いた労働力に対して社会保険的な支払いをすることなんだ。決してわれわれが相互救済をやっているものではないわけですから、非常にこの点は私は奇妙な押しつけだと思う。それから保険数理ということを言う。保険数理だから仕方がないのだと。また一般にそういう受け取らせ方をしています。ところが、私はこれも非常に奇妙だと思うのは、保険数理というのは、大体十万人の集団の中で、みんなが一緒に病気になったり死んだりやめたりするわけはないのですから、十万人の人の中で病気になる人、やめる人、次々と出てくるわけですが、十万人の集団の中で一定の年金をやるためには幾らの財源が必要なんだろうかということを計算するのが保険数理でしょう。ただそれだけでしかない。非常に技術的なものである。ところが問題は、そういう計算したものをどういう負担の仕方をするか、たとえば労働者がかりに五を出したら向こうが五を出すということは労使間は交渉の問題です。労働者が四出して資本家が六出すべきだ、いや全額資本家の方が出すべきだ、こういうことは当然労使間において出てこなくちゃならないものである。結局は、そういう労使間のルールがないと、これは保険数理によって仕方がないのだという形で押えられていくといったような奇妙な状態が出てくる。国際的にこういう形できているというのは日本くらいのものじゃないかと私は思う。一方の必要経費というのは保険数理で計算します。だが、あとどうするかということは労使間の問題なんです。従って、世界各国の社会保険の負担金の割合は全部違っている。そういうのに比較するならば、日本はまず労働者としては最低の状態だ。というのはそういうルールを拒否しておりますから。だからこの辺が問題だ。それから国家公務員共済組合に準じていると簡単に割り切って言われますが、国家公務員共済組合の諸君は、実は国家公務員の法ができるときに非常に大きな問題を提起して反対しました。しかも、それを実施してきている中において国家公務員の方はまだ承知しておりません。われわれの了解するようなことを答えろ、やれということでたくさんの問題を出している。しかも国家公務員の場合は三カ年の実績を持ってそれを要請しています。ところが実を言うと、それに対してはほとんど答えてはいません。そういう状態になっている国家公務員共済組合法に準じてということ、これが一つのきめ手として使われているようですが、もしこれをきめ手に使うならば、国家公務員共済組合法の中において労使間が現在これをどう受け取っておるか、国会で説明されたようなことが事実労使関係として実践されているか、こういうことを明らかにする中で、やはり国家公務員共済組合法に準じてということ、ほんとうにそれでいいのか悪いのかということの判断をここではっきりつけるように審議していただく必要がある、こう考えます。  それで今加藤さんが述べられた減額退職年金の問題ですが、やはりこういう労使関係を否定して、ただ保険数理だ、相互扶助だ、国家公務員共済組合でやったのだからそれに準じてという形で押しつけてくるのではなくて——そういう姿勢がとられるからこそああいう減額退職年金なんというものが、ただ政府の考え方で出てきている、こう私は考えるのです。従って、そういう問題では何といっても皆さんの討議をする場合に、その基礎として、労使間にどういう折衝や取り組みが行なわれたかということを特に原則として重視しながら討議を進めていただくことが必要じゃないか。  ここで、よく問題になっている管理運営の問題を言っていますが、私の見る限りでは、今出ている組合会とか運営審議会は労使関係からいえばごまかしだと思う。これは正しい労使関係のもとに行なわれているならば、ああいうことにこだわる必要はないわけです。管理運営の問題の本質は何かというと、やはり社会保険としての本質である支払いなのです。そしてまず一番大事なことは、労使間において一切のことがきめられるようにしておかなくてはならない、そういうルールがなくてはならない。そういう原則の上に立って管理運営の問題が考えられる必要があると思います。  もう一つの問題は、私は、皆さんの年金の問題は、特に中央政府それから地方の自治体と地方の住民の関係の中で新しい問題を起こしてくるということをはっきりつかまえるという形でこの審議を進めていただきたいと思います。これは時間が超過しますから内容は略します。  今言ったように、三つの点をあげてみますと、これは単に地方公務員が幾らの掛金をかけて幾らもらうようになるかということだけの討議ではなくて、非常に大きな日本の経済問題です。これは日本の社会労働問題、非常に大きな日本の政治問題じゃないか、そういう角度から実は地方公務員年金制度を検討していただきたいということです。ところが、単に日本の経済問題それから社会労働問題、政治問題としてとらえるだけでは十分じゃない。それは国際的な政治問題という形でとらえていただきたい。と申しますのは、日本年金の積立金というのは、資金運用部なりあるいは財政投融資なりを通じて動きます。実は最近ずっと力を入れられている日本の海外経済援助という資金がこれと非常に大きな関係を持っている。衆議院で問題にされたいわゆるガリオア、エロア、タイ特別円の問題と非常に大きな関係を持っている。ところが、現在世界の資本主義体制の全般的危機の中で行なわれている海外援助計画というものは、世界において新植民地主義政策と規定されております。そういう傾向を持っている。海外援助計画というのが新植民地政策なら戦争政策と一体のものだと思います。そういう財源地方公務員年金というものの中から非常に大きな部分を負担してくるような政策が行なわれるとしたならば、それは日本だけの問題じゃなくて、いわゆる東南アジアの平和の問題にも非常に大きく関係してくるわけです。従って、私はこれからの討議を進めていただく場合には、国会のお都合もあるかもしれませんが、ぜひそういうことをはっきりしていく、全国民に対してそういうことに対する疑問を解明してやるというような取り組みの中でこの審議を進めていただくということが必要じゃないか。もちろん、私としてもそういうことを希望いたしたいと思っております。  以上で終わります。(拍手
  10. 渡海元三郎

    渡海委員長代理 次に丸山参考人にお願いいたします。
  11. 丸山康雄

    丸山参考人 御紹介をいただきました全日本自治団体労働組合委員長丸山でございます。  まず最初に、地方自治体に働く多くの職員及び家族の身分、給与等の改善のために御尽力をいただいております地方行政委員方々に心から厚くお礼を申し上げたいと思います。  今回政府が提案されました地方公務員共済組合法案及び同法施行法案について、私は地方公務員の真の福祉の増進と地方自治の自主性とその発展の立場から考え、残念ながら反対の立場意見を申し述べさせていただきたいと存じます。私たちがこの法案に反対する主要な点は次の五つの点にあります。  第一に、国家公務員に準ずるということで低い条件で統合されるために、従前既得権が侵害され、さらに自治体ごとにそれぞれ持っている制度についても保障されないために、公務員労働者にとって生涯の大きな問題である年金問題について重大な脅威となっている点であります。  第二番目に、掛金の急激な増加によりまして、実質的な賃金引き下げになるということであります。具体的にその一例を申し上げますと、都道府県職員の吏員の場合、従前の百分の二が百分の四・四と二・二倍になり、かりに本俸二万円の場合には八百八十円に引き上げられることになります。さらに現在自治体がそれぞれの沿革に基づいて制度的に持っている中には、これらの掛金本人負担が無拠出のところもありますけれども、この場合にも毎月八百八十円、年間実に一万円をこえる負担が新しく増加するということになるわけでありまして、これが生活に与える影響はきわめて大きなものとなります。このことは先ほどの御意見の際も話がございましたが、単に負担が増大することのみではございません。なぜ百分の四・四にしなければならないかの具体的な根拠が明らかでない点についても、私どもは理解のできない点でございます。  第三に、共済組合組織運営及び役員の選任の方法が、各種組合間に統一を欠き、さらに民主主義の原則にそむき、組合員の利益を守るために適当でないということであります。地方共済及び公立学校共済警察共済の三共済の場合には、大臣任命による運営審議会委員によって運営され、都職員共済及び指定都市職員市町村及び都市共済の四共済の場合には、任命及び選挙による議員により、いわゆる組合会方式によって重要な事項が議決されることになっております。また役員である理事長、理事、監事の選任についても、前者の場合には主務大臣の専権に属しておりますし、後者の場合にはおおむね選挙制をとっているのであります。また委員議員の権限についても非常に差がありますし、議員についても、三共済の場合は対象人員も非常に多数であるにもかかわらず、十名以内というような数に局限し、四共済の場合には逆に倍数以上になっております。同じ法律で定められる共済組合運営について、このような異なった方式をとらなければならないという理由をどうしても理解できないのであります。また、何がゆえに、地方共済等の三共済では組合会方式をとろうとしないのでしょうか。今回の法律案作成の過程では、少なくとも昨年の暮れごろまでは自治省においてさえ認めておりましたこの方式が、理由なく最終案の中から消えてしまったことについても、大きな疑惑を抱かざるを得ないのであります。  このような状態では、共済組合という社会保険の性格を持ち、相互扶助といわれる組織である場合に、多数の掛金負担する組合員が不信感を持ち不満を持つことは当然であります。私は、類似の組合組織や法人で、健康保険組合や各種の協同組合等の例をあげるまでもなく、組合員に議決機関選任の権限を一切与えないという非民主的な運営をとっている組織をほとんど聞いたことがありません。政府の説明によりますと、国家公務員に準ずることを根拠にしておりますけれども、もともと国家公務員の場合も、組合員の側では大きな反対を持っておりますし、すでに国家公務員共済組合法の制定の過程における衆参両院の附帯決議の中にも、これらの趣旨が具体的に盛られておるのであります。さらに各自治体においては、労使の協議によりそれぞれの代表が参加する形の中で円満な共済制度運営がはかられてきておる実情から考えましても、ぜひとも改められなければならない重要な事項であると考えております。  第四に、資金運用について十分労働者の福祉に還元される方途が講ぜられていない点であります。この制度が発足することによって集められます六百五十億円といわれる膨大な金額が、資金運用部に入れられ、さらに地方公共団体行政目的の実現に資するということでその資金運用されることは大きな問題点であります。相互扶助の制度として発足する共済組合といわれる本旨からいっても了解のできない点であります。  第五に、追加費用その他によって地方自治体における財政上の負担が増大し、将来に大きな不安を残している点であります。この点につきましては、単に受給者の心配のみでなく、地方自治体関係者がひとしく心配しておるところであります。さらに政府が、従前社会保障制度の一環としてこの制度を樹立するためには、最低一割の国庫負担を必要として、過去二年にわたって予算計上がないことを理由にして提案を取りやめた経過もありますし、今回こういうことが何ら理由なしに国庫補助がないままに制度を発足させようとする考え方については、きわめて不可解なことと考えている次第でございます。  次に、この法律案が提案されるに至りますまで、私どもは自治省及び政府当局と種々交渉を重ねて参りましたが、今日に至るまで、多くの解明されない点が残され、了解できないままに放置されている中にあるという事情でございます。本来、賃金問題を初めこの種職員生活に重大な影響を持つ共済制度の樹立にあたっては、労使の間で十分な話し合い、交渉が持たれ、当事者の十分な理解と納得のもとに制定されるべきものと考えておりますが、特に共済制度の場合には、今後相当長期にわたって、在職者はもちろん、今後新しく就職する公務員にも大きく影響を持つという特殊な性格のものであり、一そうの重要さを加えるものと考えます。さらに現に数多くの自治体においては、この種問題については労使の交渉によって円満に運営がはかられてきておりましたものが、統合という名のもとに労使協議の場がいろいろ制限され、労使のよき慣行が阻害をされることは、民主主義の立場からも思わしくなく、ひいては地方自治の自主性も失われるのではないかと心配いたすものであります。  最後に、私どもがよりよい労働者福祉立場から共済制度の確立を希望し、従前から政府を初め関係方面、国会の諸先生方にも要請を続けて参りましたが、この間、多くの機関でそれぞれの意見を発表されております。すでにこの制度実施に関連いたしまして、地方制度調査会、最近に至りましては社会保障制度審議会の答申がそれぞれ出され、私どもの要求に関係する幾つかの内容が明らかにされました。ところが、これらの事項がいかに法案に反映されておるのか、さらにこれらの問題に関連してどういうつながりがあるのか、何ら十分な解明もされないままにおることも、私どもとしては了解のできない点でございます。政府の説明によりますと、国家公務員に準ずることを強調されておりますが、ただいままで申し上げました諸点については、すでに国家公務員労働者自身も、同じ立場意見を持ちながら現行制度改正に強い主張を持っている現状にあります。  さらに昭和三十二年国家公務員共済組合法制定にあたりまして、衆議院大蔵委員会参議院内閣委員会において決議されました附帯決議について、いまだにこれらのことが具体的に実現されておらないのが実情であります。この決議は十項からなっており、先ほど来申し述べて参りました私どもの要望に沿ったものと考えております。今回、地方公務員共済制度がまた同じような状態のままこの制度実施されるとしたならば、関係公務員労働者の不安は一そう増大し、安心して意欲的に行政に励むことも困難になるのではないかという心配を持っておるわけであります。  私どもは地方公務員法の制約があり、十分な団体行動をとる保障がございません。こういうような事情にあることを十分御了察いただきまして、どうか地方行政委員先生の御理解によりまして、私どもの要望事項が国会審議の中で十分取り上げられ、これが実現をされ、従来この種問題については労使の十分な交渉による理解の上に事が運ばれますように一そうの御指導とお世話を心からお願い申し上げまして、参考意見の発表を終わらせていただきたいと存じます。(拍手
  12. 渡海元三郎

    渡海委員長代理 ありがとうございました。  次に山本参考人にお願いいたします。
  13. 山本力蔵

    山本参考人 全国町村会長山本であります。  ただいま当委員会におきまして御審議中の地方公務員共済組合法案並びにその施行法案につきまして、意見を述べさしていただきたいと思います。  私は、結論から申し上げますと、この内容につきましては、ただいま各参考人さんからもいろいろ御意見があったようでありますが、私ども町村会といたしましても、若干の意見がございますし、不満の点もございますが、現在の段階におきましては、ぜひとも本国会におきましてこの法案を成立していただきたいということを強く希望するものでございます。  その理由といたしましては、この共済組合法案の前提といたしましては、昭和三十三年の八月に地方制度調査会に御諮問がございまして、私も、その委員といたしましてこの問題をいろいろ審議したのでございます。御承知の通り、現在の地方公務員年金制度におきましては、種々雑多な制度がございまして、支給内容等につきましても、条件におきましても相当変わるところがございます。われわれ町村会の方におきましては、恩給組合あるいは地方公務員共済組合、このいずれかに全部入っているわけでございます。そこで従来の恩給組合共済組合との条件と申しますか、これが新法とどういう利害があるかというようなことで、いろいろ検討したのでございます。むろん掛金が、恩給職員にいたしますと二倍以上に上がる、共済組合職員は御承知の通り雇用人でございますが、ただいま千分の三十八でございます。これも二割くらい上がるわけでございます。これらの問題は確かに問題でございますが、結果といたしまして支給内容が改善されておる。それから、あわせまして退職手当が増額になるのでございます。この二つをにらんで見ますと、結論といたしまして、町村の職員に対しましてはマイナスでない。ことに現在職を奉じている者に対しましては、きわめて有利であるというような点が判明したのでございます。  なお、その他の組合組織運営等の問題につきましても、自治体のうちにはいろいろな団体がございますので、当初はなかなか意見が一致しないのでございます。われわれといたしましても直ちに賛成はできなかったのでございますが、御承知の通り、過去三年半にわたりまして、私ども自治団体におきましては、市長会あるいは知事会、町村会、また団体におきましては恩給組合の各機関、また共済組合におきまして十分検討いたしまして、いろいろ要望事項もあったのでございますが、それらの要望も大多数は今度の法案に盛られておる。また職員立場におきましても、なるほど部分的にはいろいろな問題がございましょうが、私ども町村団体におきましては、大多数の職員におきましては、早く共済組合を作ってもらいたい、三年半もこういう問題でもめておっては不安で仕方がない。たとえば自然退職の御希望等につきましても、新法になりますと退職手当が増額になりますのと、それから支給の基準も上がるということで、やはりこれを待っている者もあるのでございます。特に雇用人におきましては、従来一般吏員に比しまして非常に高い掛金を払っておる、しかも支給率が非常に悪い。こういう状態でございまして、今度の新法になりますと、雇用人と一般吏員との差を撤廃され、しかも通算措置ができておるというような点で、これまた相当希望している点が多いのでございます。こういう点を勘案いたしまして、われわれ団体といたしましても、もう三年もこの問題を心配させられては困る。将来のいろいろな不満あるいは改善していただく点は今後の改正に待つといたしまして、現在の段階においては、ぜひとも法案を成立していただきたいというのが町村会の意見でございます。先ほど申し上げましたが、あわせてわれわれ地方団体におきましても、恩給組合におきましても、共済組合におきましても、それぞれの機関を通じて協議の結果、そういう態度に決定しているわけでございます。  そこで法案につきましての御意見を申し上げたいと存じます。  もうどなたからも申し述べられました国庫負担の問題でございますが、これも地方制度調査会が社会保障制度の一環といたしまして、事務費の全額、それから掛金の一〇%を出すということになったのでございまして、私どもも、当然国が責任を持つためには、これぐらいの負担はすべきだという建前で、過去三年要求したのでございますが、先般の予算編成におきまして政府内に意見がまとまりませんで、交付税でとりあえず処理されたのでございます。これにつきましては、むろん不満でございますが、前に申し上げました通り、この共済組合法がじんぜんと三年も四年も長引くということは、私どもといたしましても非常に遺憾でございますので、この際交付税方式によりまして一応発足することが適当であるということに了承した次第でございます。今後それらの点につきましては、参議院におきましても御意見があったようでございますので、十分国におきまして御検討を賜わりたい、かようにお願いする次第でございます。  それからさらに今後新組合運営するにつきましては、追加費用の額が相当地方自治体にかかると存じます。さらにまた団体によりましては、掛金等の費用が相当増高すると存じますので、これらに対する国の財源措置は十分にしていただきたいということを希望する次第でございます。  それから次は、地方自治関係団体職員共済制度の点でございます。現在町村会関係市長会関係知事会関係、あるいは国民健康保険組合等に使用されております職員は、実際は公費の負担によりまして、大体地方自治体職員と同様の執務をしておるわけでございます。これらに対する保障制度が何らございません。このためにこれらに対する職員の採用あるいは身分保障等についてきわめて不満足な点がございますので、この法案の中にこれらを取り入れていただかないことは、まことに残念でございますが、今後十分御検討下さいまして、自治関係団体職員共済制度を近い将来に確立していただきたい、かようにお願いする次第でございます。  それからいま一つ希望を申し上げますが、旧樺太におりました市町村職員に対する措置でございます。旧樺太の市町村に勤務しておりました引き揚げの職員でありまして、退隠料受給の既得権者に年金支給していただきたい。また引き揚げ後国家公務員または地方公務員として勤務しておる者に通算措置を認めていただきたい。かような点が関係者からも強い請願がございますので、これまたあわせて御研究の上、要望に沿うように御高配を賜わりたいとお願いする次第でございます。  以上簡単でございますが、意見の陳述を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手
  14. 渡海元三郎

    渡海委員長代理 以上をもちまして参考人よりの御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  15. 渡海元三郎

    渡海委員長代理 次に、質疑の通告がありますので、これを許します。高田富與君。
  16. 高田富與

    ○高田(富與委員 まず堀江参考人に一言お伺いいたしたいと存じます。  あなたの御意見は、政府の姿勢なり態度なり、あるいはわれわれの審議についての姿勢なり態度なりについていろいろお教えをいただきました。ただ御意見がきわめて深遠でありましたたために、いささか私どもの理解に苦しむところもあったのでありますが、私どもは現実的な問題にぶつかっておりまするので、その点についていささかお伺いしたい。  従来の恩恵的な制度である恩給制度共済制度に振りかわるということは、これは時代の趨勢でないかと思いますが、その点はいかがでありましょう。
  17. 堀江信二郎

    ○堀江参考人 恩給制度というものを一口にあれは恩恵的だ、こういう工合に規定されておりますが、私は恩給制度の中には非常に違った機能が幾つかあると思うのです。大体分類しますと、勤労公務員に対する恩給と、軍人に対する恩給と、それからいわゆる上層軍人、特権官僚というグループに対する恩給とは違う働きを持つように一緒の中で仕組んでいる。これをやはりはっきり分離して、そしてどういうところが恩恵的であって、どういうところが恩恵的なものでないかということをはっきりすべきだということを今まで言ってきておりますが、それが今まで非常にわれわれの処理の中であいまいになっておるのではないか。それをはっきり処理すれば、恩給制度というものを地方公務員共済制度に切りかえる場合に、どういうことを中心にどういう考え方でやるべきかということがすっきり出てくると思います。だから私は、恩給制度というものは恩恵的だから当然近代的な保険システムで、こういうことを言いますけれども、このこと自体はあまり簡単過ぎるのではないかと思います。結局、恩給制度というものは全部国が出すように見えておりますけれども、やはり百分の二の掛金公務員は出しておるのですから、表面に出して保険数理は言わないけれども、実は私は、政府のふところはふところ勘定でちゃんとそろばんが出ていると思います。国がやるのだ、国がやるのだと言うけれども、公務員賃金から百分の二の掛金を毎月取っていますから、結局公務員の賃金の中に入る部分と、実際において国の負担する、使用者の負担する分というものは、これはよく調べてみないとはっきりしたことはつかめない。と言いますのは、戦後のインフレの時期に恩給というものの給付を全部押えました。ところがインフレだからどんどん賃金が上がる。そうすると百分の二の恩給掛金の額はふえてきます。だから、その当時の恩給の払った金というのと、百分の二の納付金として入ってくる額を比較した場合、実は百分の二の恩給納付金の額の方が多かったというような数字が出ていると聞いています。それくらいの経済的な関係というものを持っております。だから一がいに恩恵的なものは当然保険システムでというような形で簡単に受け取ることはどうかという考えを持っております。
  18. 高田富與

    ○高田(富與委員 次に加藤参考人にお伺いいたしたいと思います。  国の負担関係ですが、この点は市長会の代表、町村会の代表の方も、国が法律を制定いたしまして施行するところの共済制度であれば、国の補助というような形でなくて、むしろこれは国が当然一割なり二割なりを負担するとか、事務費を負担するとかということは、私どもも当然だと思っております。おりますが、ただあなたのお話で、国の負担がないために掛金増加する、こういう考え方は、地方公共団体がその分を負担するのですから、国家公務員共済制度組合員掛金は同率になっておりますので、あなたのお考えはどうかと思うのですが、その点については、国の負担がないことによって掛金増加するというのはどういう点でおっしゃっておるわけでしょうか。
  19. 加藤郁

    加藤参考人 人事院勧告によりましても、個人負担は大体二五%というような点で個人の負担が少なくて、地方自治体及び国の負担で七五%というくらいのことを勧告をいたしております。そういう意味におきまして、やはり国庫負担が増大いたせば個人の負担は少なくなるというふうに考えているのであります。そういう点で反対をいたしたわけでございます。
  20. 高田富與

    ○高田(富與委員 そこで、今までの制度は、市町村なり府県なりがばらばらに恩給制度をとったり、あるいはまた町村や一部の市のように共済制度をとったりいたしておるわけです。これは法律に基づくわけですが、こういうのを地方公務員全体について統一的な措置をとるということについては、あなたは御賛成でしょうか、どうでしょうか。
  21. 加藤郁

    加藤参考人 ただいまの点につきましては、統一的な方向をとるということは賛成でございます。ただし、その運用の面におきまして、地方共済の場合も、やはり運営面が、公立学校共済組合あるいは警察共済組合それから都市共済組合というふうに、運営面理事の選任とか、組合会方式の問題、運営審議会委員による運営というように、統一的な運営が必ずしもされているというふうには考えておりませんので、組織として統一的に統合していくというそのこと自体は賛成でございます。
  22. 高田富與

    ○高田(富與委員 そうしますと、旧来の制度がこの法律の目的に掲げておるような共済制度に振りかわることについては別段御異存がない、こう理解してよろしゅうございますか。
  23. 加藤郁

    加藤参考人 その点だけはそのように解しております。
  24. 高田富與

    ○高田(富與委員 そうしますと、あなたが御指摘になったような事柄が是正されれば、この法律は皆さんとしては御満足になってしかるべきだ、こういうことになるわけですね。
  25. 加藤郁

    加藤参考人 ただいま私が申し上げましたのは、共済方式ということについてのみ賛成でございますというふうに申し上げたのでございまして、いろいろ既得権が侵害されているという点につきましては、私は五点にわたって先ほど詳しく申し上げたはずでございますので、この法案につきましては反対の立場をとっておるわけでございます。
  26. 高田富與

    ○高田(富與委員 あなたが指摘された五つの点が是正されれば、皆さんとしては満足してよろしい、こういうことになるわけですね。
  27. 加藤郁

    加藤参考人 もとより私どもは全面的に新退職年金法について絶対反対ということではございませんで、あくまでも現在の意図を改めまして合理的な年金制度を確立して、そして働く者たちがほんとうに自分たちのものとしてこれを受けとめる形のものに改善されるならば、賛成であるという態度をとっております。
  28. 高田富與

    ○高田(富與委員 そこで既得権侵害の問題ですが、現実に現在のあなたの職場の制度と、新しいこの法律案との関係をお考えになった時分に、やはり既得権が侵害されているとお考えになりましようか。
  29. 加藤郁

    加藤参考人 現在の場合でございますか——今紙が回って参りまして、ちょっとそれを見ておりましたので、まことに恐縮でございますが、もう一度簡単にお願いします。
  30. 高田富與

    ○高田(富與委員 現在のあなたの職場における恩給制度と、この新しい法律案共済制度と比較いたしまして、やはり既得権が侵害されておるとお考えになっておるかどらか。もしお考えになるとすれば、具体的にどういう点か。
  31. 加藤郁

    加藤参考人 ただいまの問題でありますが、私は東京でございますので、地方の場合より退職勧告という形では迫ってきておりません。しかし、先ほども申し上げましたように、婦人教師が、教育という職場は非常に激務でございまして、それに耐え得る丈夫なからだ、そしてまた家庭の協力、家族関係、社会的な施設としての保育所というようなものがないために、本人の意思は最後まで勤めたいというふうに考えておりましても、なかなか最後まで勤務いたしかねるという現状は、東京におきましてもすでに出てきておりまして、一万三千名の女子組合員のうち、五十才以上の者はわずかに一五%そこそこでございます。このように考えました場合に、私どもはどうしても早くやめなければならないという事態にぶつかりまして、減額退職年金を受けざるを得ない立場に追い込まれて参るのでございます。従いまして、減額退職年金制度によりますと、先ほどからも詳しく御説明いたしましたように、支給開始年月と五十五才との差、一年につき四%ずつ差し引かれることになりますので、実質収入がきわめて低くなるという現状は、先ほど文部省資料に例をとって申し上げましたが、東京都の場合におきましても同じような現象が起こって参ります。従いまして、既得権があらゆる面で侵害されるというふうに考えております。
  32. 太田一夫

    ○太田委員 ちょっと関連して。加藤さん、今おっしゃったことは先ほど具体的におっしゃったと思うのですが、四十五くらいで女の先生は多くおやめになる。百八十八万八千人の地方公務員の中で、七十五万くらいが教職員です。その中で半数近いものが女子の先生だ、こういうところから女の問題もそう軽視されては因る。いろいろなことが男と女と対々にできておるのですから、そういう女子の問題を十分配慮して、実情に即するようにやってもらわなければ困る。荒木文部大臣は四十三や四十五でやめろとは言わない。いつまででもお勤め下さいと言われながら、実際は四十三、四十五、四十六で退職基準を作っておいて勧告をするものですから、その際に、新法によれば減額年金しかないんだから、減額年金になれば、先ほどおっしゃいましたように本給三万四千円程度の方は月額約五千円ずつ年金は損をするということをあなたはおっしゃったと思うのです。これが若年停止という今の恩給方式でいくならば、最初は減額年金よりも少ないかもしれないが、五十才になればふえていって、五十五才になれば一〇〇%、年金額全額をもらえることになるから非常にいいんだ。早く死ぬ人は減額年金をもらった方がいいですね。四十五才か四十六才で死ぬ人は減額年金をもらった方がいいけれども、五十五か六十、七十まで長生きしょうと思ったら、減額年金をもらったらどえらい損害になるということをおっしゃった。それを高田先生はふに落ちないから御質問になったんですが、女の先生が月五千円ずつ死ぬまで損をするということはもっと大きい声で……。(笑声)そういうことでございましょう。
  33. 高田富與

    ○高田(富與委員 大体わかりました。この若年停止の問題は大野木さんもおっしゃっておるので、これは一応ごもっともなところがあると私どもも考えるわけですが、ただそう申し上げますと、堀江さんにやられるかもしれぬけれども、保険計数とかの関係からいって、これも若年停止にすると掛金をふやさなければならぬとかなんとかいう問題が、政府側からいえばそうなる。こういうふうに思うので、これはわれわれとしても相当考えてみなければならぬとは思います。それはわかりました。  次いで丸山参考人にお伺いしたいのですが、あなたの最後のお話ですが、大体労使間の従前からの、つまりきわめて円滑な折衝による運営が乱されるおそれがあり、従ってそれが地方自治体自主性をそこなうことになりはしないか、こういう御意見がありましたが、この点について、もう少し具体的に御意見をお述べいただきたいと思います。
  34. 丸山康雄

    丸山参考人 ただいま御質問のありました点につきましては、私どもとしては、現在地方自治体ごとに持っている制度が、統合という形で一本化されようとしておりますものに比較して、相当条件のいいものも率直に言っておるわけであります。これらの問題について、統合という形で大どころが画一的に制定されてしまいますと、その問題については、それぞれの自治体の中で使用者側と労働組合の方とが相談をしてでき上がってきた事柄が、制度的に拡大できなくなるのじゃないか、その点について具体的に心配をいたしておるわけでございます。
  35. 高田富與

    ○高田(富與委員 そうすると、従前ばらばらになっておったこの年金制度を統一的に、この法案のように共済制度に改めるということについては、あなたのお考えはどうでしょうか。
  36. 丸山康雄

    丸山参考人 当面統一的にやられるという方向については反対いたしませんですけれども、ただ沿革的に持っているそれぞれの条件が、あまりにも統合という形の中で無視をされる。その点については直接被害をこうむる側の者としては、やはりもう少し日にちをかけてその辺のところは十分考えていただくよう配慮を願いたい、こういうことでございます。
  37. 高田富與

    ○高田(富與委員 その点についていささか誤解があるように私は思うのです。既得権についても相当経過措置がこの法律ではとられておりますし、また新たに作られる組合につきましても、給付につきましても、条件のいいところは、あるいは市については十一市であったと思うのですが、九市ともいわれておりますが、それらについては付加給付をすることができるように定められておりますので、そういう面についての既得権が侵されるという考え方はちょっとどうかと思うのですが、その既得権が侵されているという具体的な事実がおわかりでしたならば、御指摘をいただきたいと思います。
  38. 丸山康雄

    丸山参考人 ただいまお話がございました既得権が部分的に期待の度合いにより一部認められておる。その点については私どもも承知をいたしております。ところが、年金率の問題についてはそういうような経過措置がとられるようになっておるようでございますが、そのほかのそれぞれの自治体が持っている制度としての、たとえば年金受給資格年限の問題でありますとか、あるいは掛金の問題でありますとか、あるいは給付の問題でありますとか、これらの問題については条例で制定することができる、そういうことにはなっておらないように私ども理解をしておるわけであります。
  39. 渡海元三郎

    渡海委員長代理 山口君。
  40. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 参考人方々に、二、三簡単にお尋ねをいたしてみたいと思うのであります。  まず社会福祉審議会委員をなされております大野木さんにお尋ねをいたしたいと思います。先ほどのお話をお伺いいたしたのでありますが、その中で次のようなことをお述べになっておられますね。それは、今回の給付内容については従前よりよくなっており、一応既得権期待権も配慮いたしておる。私どもとしては十分に期待権既得権が確保されておるとは思っておりませんけれども、しかし一応はそういうことは配慮しておる。従って問題はその掛金に問題があるのだけれども、これは保険数理上の計算で出たものであって、ある程度増額されることはやむを得ない。ただ問題は、掛金が相当額上がることでもあるから、みなが納得をしていくような措置を政府はとらなければいかぬのではないか、この内容をよく組合員全体にPRし、納得させることが必要ではないか、こういうことを強調せられたように拝聴いたしました。そこでお尋ねをいたしたいのですけれども、実は私どもも当委員会でそういう問題についていろいろ当局にお尋ねをいたしておるわけであります。問題は保険数理と言いましても、十分組合の人たちに納得させるということになれば、最近の資料を使って、しかも現段階の給料の実態というものを踏まえて、そうしてしかも五年先、十年先には会計全体がどういうふうになるのだという見通しをつけて、保険数理を当然計算して財源率をはじき出して、しかも公共団体組合負担するその割合についても十分話し合いの上できめていくということであればけっこうなんでありますが、私どもが当委員会でいろいろただしてみますと、この財源率の計算の根拠になっておる資料というものは、四年も五年も昔のものであって、給料自体にしても全く古いものを使っておる。しかも警察の場合、公立学校の場合、地方職員の場合等(記号なし)計算の年次というものはみな違って、ばらばらなんです。しかも、それではその掛金をかけた場合に、将来五年後、十年後、二十年後における会計全体の姿はどうなっておるかというと、そういうものすら計算をしていない、こういうのです。そういう状態では、全く当局が組合方々に納得させる努力を怠っているばかりでなく、法律を審議しておるわれわれ国会に対しても納得させる努力が全く不足であるというふうに言わざるを得ないと思うのです。特に大野木さんは直接の御関係はないでしょうが、同じような社会保障制度審議会でこの問題を論議して答申を出しております。お読みになっておると思うのでありますが、この答申にも、財源関係の基本である保険数理の計算は最も慎重であるべきなのに、その準備は不十分であり、将来に大きな問題となるおそれがある、こう言っておるわけです。そういう実態というものを大野木さん御承知になってどうですか。そういう準備も不満足だ、PRの努力すら全くされていない、しかもその財源率の計算は全く古いものを使って、われわれを納得させる努力すらやっておらぬ。こういう全く不十分な状態の中でこの法律が国会を通っていくというようなことについて、大野木さん一体どうお考えでございますか。
  41. 大野木克彦

    大野木参考人 ただいま伺いましたところ、私自身詳しいことを承知しておらないのでございますけれども、この保険数理によるということは、この前の地方公務員法の中にも規定されておりますので、それによられることは当然だと存じますが、ただ、もちろんその計算の基礎その他は、なるべく新しいものを使っていただきたいことは申すまでもございません。おそらく政府の方でも手に入る限りは新しいものをお使いになったのじゃないかと存じますが、立法の場合、あの程度既存資料をお使いになることはやむを得ないのじゃないかと存じます。なおPRの点につきましては、特にそういうむずかしい問題がございますので、個々の地方公共団体等の負担その他に関する問題ももちろん大事でございますけれども、個々の人が自分たちの将来について安心感を持つように、納得のいくような説明をしていただきたいと存じております。
  42. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 どうも大野木さんは、そう申しては恐縮ですが、実態の認識がちょっと不足していると思います。でき得る限り新しい資料を使ってやったのではないか、こう好意的に言われておるのでありますが、国家公務員共済制度が国会で論議になりました昭和三十四年、その当時作ったものを三年間も全く放置をいたしまして、全く再計算もなされないでそのままを出しておるというのが実態なんです。そういうことについてどうお考えですか。しかも国民年金実施する場合にいろいろ議論がございました。しかし、当時厚生省は、これは大野木さん御存じだと思うのでありますが、国民から国民年金掛金が一年間に幾ら集まり、その利子が一体幾らになる、給付額が幾らであって、十年後、二十年後の会計全体の姿はどうなるかという表は、これは国会に示して論議の対象にせられましたが、ところが今回のこの——社会保険といえば同じですよ、同じ社会保険のこの問題に関して、五年後、十年後、二十年後の今言った会計の姿すら、昨日わが党の滝井委員が政府に質問いたしましたら、そういう用意はないということでした。そういう中で大変好意的な意味の御発言でございましたが、そういう実態のはっきりした中においてどうお考えでございますか。  あわせて私は堀江参考人にもお伺いをいたしたいと思うのであります。堀江参考人は、この法案に対して賛成とか反対とか、そういう御表明はなされませんでした。ただ、この法案を審議する過程においてはどういう点を論議すべきかという点を幾つか示唆いただいたわけでございます。たくさん示唆がございましたが、長くなりますから今話の出ております保険数理の問題にしぼってお尋ねをいたしたいと思うのであります。要するに、これは計算の方式もきまっているのだ、問題は分担率が団体とそれから組合員とでどうなるべきかということは、労使間の話し合いで十分納得するように進めてきめるべきだ、しかもその根拠の数字というものは明確に示した中で話し合いによってきめていくべきものだ、こういう御趣旨を申されたと思うのであります。今のような実態をお知りになった場合にどうお考えでございますか。これまた参考までにお二人から一つお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  43. 大野木克彦

    大野木参考人 ただいま実情をいろいろとお伺いいたしたのでございますが、それは私といたしましても、なるべく十分な資料、新しい資料を出して御審議を願うことが一番望ましいとは存じますが、できるだけのことはしていただくよりほか手がないのじゃないか、このように考えております。
  44. 堀江信二郎

    ○堀江参考人 保険数理の計算の場合、どういう資料を使うかということは、大野木さんも言われましたけれども、実際に正しい現実の数字の状態をはっきりつかんでいく。ところが保険数理として計算をする場合に、その前に労使の間でどう取り組まれるかということが非常に重要だと思うのです。と申しますのは、保険数理として計算する場合に、四十年間にわたってこれらの地方公務員の賃金が幾らどう変化していくかということを入れるでしょう、これは地方公務員としては自分たち生活条件そのものでございますね。それからさらに、一体幾つになったらやめるだろうかということ、それからやめた後何年たったら死ぬだろうということ、死んだ後その家族がどういう条件で引き継がれるだろうということがありますから、そうすると、保険数理の計算をする場合に、実態をつかむ場合に、地方公務員の働いておる労働条件全体、それからやめた後の家族生活水準の全体も含まっているわけです。従って、保険数理の計算に入る前に、労使間において、そういう労働条件、生活条件の一切がそこに入るのだから、もちろんそこで話し合いがなかったらとんでもないことになると思うのです。自分生活だけじゃなくて、死んだ後の家族生活条件まで約束するわけですから、これは当然労使間でそういうことに触れて、どういう基準で計算に入るかということをやはりやってもらわなければいかぬ。それから問題としましては、そういう場合に、どういう条件で年金をやるかということもそこで当然出なければならぬと思うのです。今問題になっておる恩給若年停止の問題も、こういうやり方でやるか、今のような減額年金でやるか、これは労使間の交渉事項だと思うのです。そういうことをきめて計算に入るということです。だから計算に入る問題の労使関係の姿勢の問題と、それから計算に使う場合の数字ですね。これを政府だけの数字でとるのじゃなくて、労働者側の生活実態や賃金実態の中からも数字を出して、両方出し合って、どの数字でいくかということをきめていく。だから、これはできるだけ新しい数字で、しかも全体的、普遍的な状態をはっきりつかむ。その意味からすれば、私は地方公務員共済の計算の仕方というのは、これは計算をされた方としょっちゅう話し合っておるわけですが、実に大ざっぱ過ぎるものだと思います。これは地方公務員の実態が大ざっぱなだけじゃなくて、そのほかの、日本年金というのは大体が大ざっぱ過ぎるのじゃないでしょうか。そういう意味において計算のとり方自体が——これは労働組合はよく言っているのですけれども、政府側はなかなかそれに応じない。従って、私は先ほど非常におこがましいような意見でしたけれども、国会に期待したいということを申したのはそういうことなんです。
  45. 安井吉典

    安井委員 関連して。時間の都合でちょっと間に入れさしていただきたいのですが、ごく概念的な問題を一、二お尋ねをしたいと思います。  初めに大野木参考人にお尋ねしたいわけでありますが、これはずいぶん難解な法案でございますので、私もよくわからない点がたくさんあるわけでございますが、ただこういったような印象を持つわけです。つまり、日本社会保障制度というのはまだ非常に若いわけです。たとえば国民年金だって毎年改正が行なわれておるというふうな状態であります。そしてまた一ぺんにみなできたのではなしに、次々とできてくるわけです。そして今地方公務員についての退職年金制度が生まれようとしておる。こういう段階であります。そういう一連の流れの中から考えますと、あとになってできる制度は、前のいろいろな制度の長所や欠点をみな見抜いた上で作られるわけですから、あとからできるものほどよりよい姿で出てくるのが当然だと私は思うわけです。ところが、今日までの審議の中で明らかにされておるのは、国家公務員制度がこうなんだから、これもこうしなければいけないということですが、これは私はどうも筋が通らないと思うのです。それは国家公務員制度がすでにできていて、各委員会でもいろいろそれに対する欠点が指摘されている。先ほども加藤さんから女子職員若年停止の問題が一つの例として提起されておりますけれども、現にいろいろたくさんあるのです。あとにできるものが前の悪いものの通りやらなくちゃいかぬというのは、どうも私は筋が通らないと思うのです。ですから、そういうふうな社会保障制度をより前進させていくという前向きの姿勢の中で考えました場合に、この点ずいぶん矛盾があると思うわけでございますが、どういうことでしょう、御見解を伺いたい。
  46. 大野木克彦

    大野木参考人 実は御承知の通りでございますが、地方公務員につきましては、根本的な法律である地方公務員法によりまして、たとえば給与の問題にいたしましても、こういう年金の問題なんかにいたしましても、国家公務員との権衡を考えると、国家公務員に準ずるという基本的な立場がございますので、私ども地力に関係しておる者といたしましては、そういう地方の状況でございますので、まず一つ国家公務員の方をよくしていただいて、地方もそれについていけるようにしていただきたいと思うのでございます。
  47. 安井吉典

    安井委員 きょうは論争ではございませんので深入りはいたしませんけれども、私は、新しい仕組みの中で一つりっぱなものを仕立てて、その次当然国家公務員の問題についても手を触れなくてはならぬわけですから、この次国家公務員も直す。こういうような段階で漸進的な姿勢でいくということが正しいのではないかというような気持がするわけであります。  次に、これは地方財政の問題等がありますので山本さんに伺いたいのでありますが、今度のこの制度を施行する場合に、財源の問題で市町村、都道府県のやりくりがきわめてめんどうな——その中に背負い込むわけですから大へん御苦労をされると思うわけでありますが、先ほどもその財源措置についての不満を強くお述べになりました。これは森市長さんも同様に述べられたわけでありますが、地方交付税で一部措置をしたというようなことでは、これはとうていいけるわけはないわけであります。特に私は地方公営企業に従事する職員の問題を心配するわけでありますが、それらについては地方交付税もこれは関係がないような形になるのじゃないかというような気がするわけでありますが、その点どうお考えですか。
  48. 山本力蔵

    山本参考人 御質問の通り本年度の財政措置は、表向き交付税の引き上げ率〇・一でございますので、十五億でございますので、全く財政的には、本年度はかりに本法律ができ上がりましても半年でありますが、十分な財政措置とは思われません。特に先生からおっしゃいました公営企業の分につきましては財政措置はないわけでございます。それから不交付団体につきましても同様ございません。これらの点は今後十分お考えを願いたい、こう思っております。
  49. 安井吉典

    安井委員 不交付団体の場合は、これは一般会計の問題として見られるわけですから、あるいは大蔵省から地方団体間の財源バランスの結果としてできておるのだという説明で納得できるかもしれませんけれども、できないながらもあるいは筋が通るかもしれませんが、地方公営企業については、幾ら交付税を増しても、そんなものは無意味なわけです。しかも、経済生活が非常に複雑になってくるに従って地方公営企業の数がどんどんふえてきて、たとえば水道だとか、電気だとか、病院だとか、その他いろいろな施設がどんどんふえてくる傾向にある。これは都道府県においても市町村においても同様だと思うのです。しかも、その相当部分が採算割れがしている。住民福祉のために作りはしたけれども、どうにもならない。たとえば都営のバスだとか、電車だとか、そういったようなものも含めて、地方公営企業が非常に苦しい状態にある。それに対して今日政府が財源措置をしたというところの〇・一%の地方交付税の増も意味はないわけです。だからこの問題は、根本的にやはり他の社会保障並みに国が金を出すという仕組みを作らなければ問題が結論的に解決ができないのではないか、そういうことであるわけです。ですから私は、この制度の成否を決するのは、根本的にはやはり国の負担をどうするかといった問題、それに一番大きな根本的な問題を私どもは認めなくてはならないのではないか、そう思うのですが、重ねて一つ伺います。
  50. 山本力蔵

    山本参考人 その通りでございまして、私ども過去二年にわたりまして、国庫負担の問題を強力に要求して参ったのでございますが、われわれの要求が認められませんでした。しかし、前述いたしました通り、過去三年、私どもはこの新年金制度の生みの悩みをしたものでございますので、この際、一応発足していただきたいというのが、各団体が協議いたしました結果、やむを得ずそれで了承したわけでございます。原則的には国庫負担をぜひしていただきたいというのでございます。
  51. 安井吉典

    安井委員 そこで最後に一つ伺いたいのでありますが、実はこれは森参考人がいらっしゃれば、ずいぶんはっきり問題点を指摘されておりますので、お尋ねしやすいわけでございますが、時間の関係でお帰りになったそうでございますので、山本さんに、特にこれは地方公共団体の御意見を代表するという形でないにしても、実質的にはそういうふうなお気持でさっきも御発言があったわけでございますので、伺いたいのであります。  とにかく待ち切れなくて、欠点はあるけれども通してもらいたいというのが本音だというふうなおっしゃり方を今なすったわけでございますが、島田市長さんは、いろいろ長所も若干ある、その反面に問題点も非常にたくさんあるということを、反対される人と同じような論調で強力に指摘された。財源の問題その他でいろいろ指摘された。しかし、運営の問題では、こんないいところもある。ですからいいところと悪いところと天びんにかけて、悪いところの方が——根本的な財源の問題が解決されていないのですから、悪いところの方が多ければ、結果的に反対するのはあたりまえじゃないかという気がするわけですが、いいところと悪いところとどちらもある。悪いところがあるということは全参考人共通の御意見であるわけですね。これはいいところと悪いところの認識の比重かもしれませんけれども、非常に悪いところがたくさんあるということを御認識になりながら、もう待ち切れないから何とか一つ通せというようなおっしゃり方は、少しものの取り上げ方が軽過ぎはしないかというような気がするわけであります。そこで、それほど悪いところを御認識だとすれば、この法律案を原案通り通されては山本さんも困るのではないか。原案に対してできれば修正をすべきではないか、そういう御意見を持っておられると思うのでありますが、その点いかがですか。
  52. 山本力蔵

    山本参考人 御質問につきましては、悪いところがあるのにばかに急ぐじゃないかという御質問、ごもっともでございますが、私どもも実際には、この新しい制度ができますにつきまして、従来ございます恩給組合、それから共済組合等を解散いたしまして、新団体移行するについては、それぞれの団体立場がございまして、なかなか問題があったわけでございます。しかし、いろいろ協議の結果、なるほど国庫負担はできなかったけれども、その他の点についてよいところの方が多いということで、まあ全部の意見を集めたわけではございませんが、団体としては全部の意見を、協議の結果集めたわけでございまして、早く成立さしていただきたい。しかし、修正の過程で私どもの要望が取り入れられるということであれば、何も原案に固執するわけではございませんから、この国会で一つ成立さして発足さしていただきたいというのが要望でございます。
  53. 安井吉典

    安井委員 ですから結論的には、もしできるなら修正をしてもらいたい、そういうことだと理解して差しつかえないですね。
  54. 山本力蔵

    山本参考人 はい。
  55. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 一つお伺いをいたしておきたいと思うのですが、それは責任準備金、追加費用の問題でございます。社会保障制度審議会の答申では、在職期間通算のための責任準備金の移管方法についてきわめて安易なな与え方をしているが、その実行には懸念が持たれる、こういう形ではっきりと疑問を提示をいたしておることは大野木さんも御承知だろうと存ずるのであります。現在、この六つの共済組合全体を通じまして、一人当たり平均約四十五万円の従来の掛金があり、それだけの追加費用が一人当たりあるということになっておりまして、総計いたしますと、約八千三百億円に上る責任準備金、これをどう措置するかということが、この制度の大きな問題になっているわけでございます。ところが、私ども国会でいろいろ政府のこの責任準備金、追加費用措置の仕方についてお尋ねをいたしておるのでありますが、全く明確なお答えがないのであります。将来考えるというふうなことでありまして、現に三年間にわたって施行されておる国家公務員の場合におきましてはどうなっておるかと言いますと、一年目は追加費用についてはゼロ、二年目においては十億、三年目において十五億、本年度昭和三十七年において二十億の追加費用をつかみ金として出しているにすぎないのであります。現在、前歴の計算を一生懸命やっておって、そうしてその後この措置はどうするかというようなことは、すでに発足した国家公務員についてすら不明確なままで現在あるのでございます。地方の場合、この施行法では、国と地方公共団体がこの追加費用については責任を持つという形になっておるのでありますが、国と地方公共団体が一体どういう形で責任を持つのか、その追加費用共済組合に対する支出の仕方はどうかということは、これまた一切不明のままでございます。大野木参考人は、この追加費用地方公共団体の財政を圧迫しないことを特に留意する必要がある。こういうふうに言われておるのでありまするが、そういった国会において明らかにされました実情をお考えになりまして、この追加費用という重大な問題ですらあいまいな形でこの制度が提案をされておるということについて、先ほど掛金率の問題でお尋ねしたのでありますが、同じような意味でお考え方を一つお示しをいただきたいと思うのです。  あわせて私は、山本参考人にもお尋ねいたしたいと思うのでありますが、山本さんが所属をしておられまする地方制度調査会におきましても、この追加費用の問題については、相当具体的な答申をなされておりますね。山本さん御存じの通りだろうと思います。現在いいものも悪いものも天びんにかけてと、こう言いましたですが、地方公共団体とすれば、この追加費用が一体どうなるのだということは、将来の地方財政にとって非常に大きな問題だと思うのです。この給付の一割とそれから事務費で七十五億の国庫負担がだめになって、〇・一%の十五億の交付税でごまかされたというところに地方公共団体としての財政上大きな問題があると思いますけれども、しかし、追加費用の問題は、この問題よりさらに大きな額の問題に当然なると思う。八千三百億円のかりに五分五厘を年々共済組合に繰り入れるとすれば、四百五十億円をこえるわけです。   〔渡海委員長代理退席委員長着   席〕 こういうものが負担区分も不明確であって、しかもその貫任がどうなるということも不明確の中で、地方団体として、特に全国町村会として、この問題について一体どう考えておるのか、この点も私はあわせて山本さんにお伺いをいたしたいと思うのです。
  56. 山本力蔵

    山本参考人 ただいまお尋ねの追加費用の問題でございますが、それはこの制度の変更されましたときに問題になったのでございます。私どもといたしましては、いずれ公共団体の貫任になるわけでございますから、当然国におきまして完全に追加費用を必要なときには負担してもらうという建前に了承しております。
  57. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 非常に楽観的で、私は驚くべきことだと思うのですけれども、それは、そういう建前でもって自治省に大いに要求されることはけっこうです。大いにやっていただきたいと思う。しかし、それではいよいよその制度に対して賛成か反対かという御意見をきめるときに、自治団体としてはそういう要求をせられたが、自治省がそれに対して責任ある御回答をなされたのですか。しかも現実には国家公務員の例を引けば、国家公務員だって、年々責任準備金の五分五厘を共済組合に繰り入れるとするならば、二百億に上るお金を計算上は当然年々入れなければならないはずなんです。それが第一年目ゼロ、二年目十億、三年目十五億、本年になって二十億、これだけの金でごまかされているわけです。しかも国の共済組合が、前歴を持った方がおやめになりますと、おやめになった方の過去の分は、当然追加費用を国がよこすべきものなのです。その額は今言った十億、十五億、二十億というものが不足をしている現状なんです、現在の状態においてすら。そういうことは山本さんもよく御存じだと思うのです。しかも自治省の方では明確な言明はなされなかったでしょう、しているんですか。また、そういう国家公務員の実態をごらんになって、そうした楽観論だけで、多分やってくれるだろうから賛成というふうに地方公共団体として踏み切ることはあまりにも冒険過ぎるんじゃないだろうか。そういう点、自治省と折衝された中における自治省側の明確な御回答があったのかないのか、あわせて地方公共団体の考え方についてもお答えをいただきたいと思うのです。  それからそのあと、大野木参考人からも先ほどの質問に対してお答えを願います。
  58. 山本力蔵

    山本参考人 追加費用内容につきましては、たとえばわれわれ団体のうちにも恩給組合にも加入しておる職員もございます。これは相当の追加費用を充当しております。これについては、当然現在追加費用として納めております不足分につきましては、国で財源措置をするということをはっきり私どもは伺っております。そういう建前で賛成しております。  それから団体が全然積み立てをしておらぬ、予算方式でやっておりますところの追加費用が膨大になります。これらについては、どうしても市町村あるいは自治体の責任でございますから、これに対しても財政計画その他におきましても十分措置をしてもらうという前提でなければならぬと思います。
  59. 大野木克彦

    大野木参考人 私も実は、財政当局でございませんので具体的なことをよく知らないのでございますが、ただ観念的に御指摘のように非常に巨額に上るものであるということは考えられますので、この措置は何とか将来よほど考えておかなければならないことだと思います。うっかりすると非常な圧迫を地方団体の財政に来たす結果に陥りはしないかということを心配いたしまして、ああいう表現で申し上げましたので、具体的なことにつきましては残念ながらよく存じません。
  60. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これでやめますけれども、私は、大野木参考人にも山本参考人にもお願いをいたしておきたいと思うのですけれども、それは、いろいろお立場があって、いいところ悪いところをはかりにかけて、いろいろな御意見があることはやむを得ないと思いますけれども、しかし、今言った掛金の問題にしましても、PRとか納得というふうなことがきわめて不備であるし、それから地方財政に与える影響につきましても、楽観的なお考えをなされることは御自由でございましょうけれども、しかし、少なくとも地方団体として地方公共団体の責任ある立場におられる方としては、やはりこの問題については明確なお考え方をして対処される必要があるんじゃないかと思うのです。自治省は、山本参考人にはきわめて明確なお答えをなされたやにお伺いいたしますが、国会ではそう言っておりません。そういうところを十分お考えをいただいて、そうしてこの問題について御対処していただくことを心からお願いをいたします。
  61. 園田直

    園田委員長 二宮武夫君。
  62. 二宮武夫

    ○二宮委員 少し蛇足のようでございますけれども、二十四日に私ども参議院から法案を送ってもらいまして審議に入ったわけなんですが、山本参考人そのほかの皆さん方から大へん貴重な御意見をいただきまして、私ども今後の審議資料としまして大へんありがたいと思っておるのでありますが、ただ問題は、こういう既成概念をお持ちになっていただかないようにお願い申し上げたいと思います。というのは、今申し上げましたような日程で法案の審議をいたしておりまして、特に内閣委員会とか外務委員会とか、あるいは与党だ野党だ、自民党だ社会党だ、民社党だというようになっておるが、われわれの委員会は非常になごやかでございまして、そういう点は修正すべきは修正をしようということで意見の一致し得る可能性が非常に強いのであります。従って、参考人の御意見は、ただ形式的に日程に上せたというのではなくて、皆さん方からいただいた意見審議資料としてほんとうに生かしていく。ほかの委員会に比較いたしまして、この委員会は特にそれが生かされる委員会であるというように考えておるのです。そこで、もうすでに通ったものだ、通りそうだから急いで早くやってくれというようにお考え下さらぬようにしていただきたい。佐久間行政局長がそばにおると、こちらの皆さん方に圧力が加わるおそれがあるので——まあいいですよ。そういうわけで自由な立場でおっしゃっていただきたい。私どもにいろいろ参考になる御意見をお聞かせいただきたいと思うわけであります。  そこで山本参考人にお聞きしたいのですが、先ほど山口君も申しましたけれども、三十三年八月に地方制度調査会から答申案が出た。近ごろの政府は答申案に対してはなかなか尊重しないという悪いくせができてきておるのでありまして、これは地方制度調査会にしろ、税制調査会にしろ、あるいは選挙制度調査会にしても、非常によくない傾向が出てきておるわけです。そこで山本さんも構成員の一人だということになりますと、こういうように皆さん方が英知をしぼってでき上がった答申案を、政府が尊重しないというようなことになりますと、やはりその中の皆さん方はある程度——選挙制度調査会の人は、非常に腹をお立てになって、やめようかという方も出てきたくらいなんですが、どうですか、皆さん方が諮問をされて、一生懸命勉強して出てきた答申案が骨抜きにされたというような状況でこの制度が発足しようということになっておる段階で、その制度委員であるあなた方が、まあまあとにかく急いで、その答申案とは違った線だけれどもできるだけ早くやってもらいたいという御発言に対しては、少し私ども納得ができかねるのですが、政府のそうした答申に対する態度、この際は地方制度調査会に限定をいたしますけれども、それに対しての御感想はどうですか。
  63. 山本力蔵

    山本参考人 地方制度調査会の答申案とその答申の内容につきましては、私ども全部を賛成したわけではございません。その後、各団体等の意見を聴取されまして、法案は改善されておる点があるわけであります、組織、運営等の面において。私ども地方制度調査会委員といたしまして、せっかく答申したものを政府が全面的に取り入れていただくということは当然でございまするが、そのうちで私、委員個人として意見の違った点もあるわけであります。法案の作成中において、私どもの要望をできるだけ取り入れていただくべく要望し運動をしたのでございますが、ただ国庫負担の問題につきましては全く遺憾に存じます。あの答申が全然踏みにじられておるという点については遺憾でございますけれども、先ほど申し上げました事由によりまして、われわれの立場におきましては、これ以上法律が延びることは困るという事情でございます。
  64. 二宮武夫

    ○二宮委員 法律は十月一日から発足するのですし、それがためには、委員会としては皆様方に御意見を出していただいて、鋭意政府側と折衝しながら成立をする方向へ進めておるわけですから、そう急ぐことはないと思うのです。今すぐあしたから間に合うというような法案でもないわけなんです。そこで具体的にお尋ねしますけれども、要望事項は、その折衝の間にいれられてこの法案の中に盛られておるので私は改正案に賛成である、こうおっしゃられるのですが、その点は、今後私ども審議していきます際に非常に大事な問題になると思うのですけれども、あなた方の方で具体的に要望されて、そしてこの法案の立案途中において具体的にそれが法案の中に盛られたというような条項は、一体どういうことをおさしになっておられるのですか。これは大へん参考になろうかと思うので、お聞かせをいただきたいと思います。
  65. 山本力蔵

    山本参考人 私どもの地方制度調査会の答申案で、まず心配になります点につきましては、組織の問題でございまして、恩給組合共済組合が一本化するという点でございます。われわれといたしましては、最初は、町村は町村だけで作ろう、市は市だけで作ろうというようないろいろな意見がございまして、当初われわれといたしましては、町村側は町村側だけで作りたい、それから恩給組合恩給組合で従来通りの組織で移行したい、共済組合におきましては共済組合で作りたいというような問題があったのでございます。当時の答申案につきましては、これは現在と同様な市町村一本でございましたが、そこで積立金を持っているものと積立金を持っておらないものの追加費用等の問題があったのでございます。これらにつきましても、積立金を持っておる団体と持っておらないところとではいろいろ条件が違いますので、これらがお互いに納得のいくような組織、運営をしていただきたいというようなことを陳情したのでございます。大体組織は一応市町村一本になりましたけれども、積立金その他の処置につきましては、私どもの要望の通りになろうかと存じておるのでございます。それから恩給組合におきましては長の特例が取り入れられておるのでございまして、これも新組合に取り入れていただきたいという陳情をいたしました。それから団体職員の問題も陳情いたしましたが、これは今回の法案には取り入れてございません。それから監督規定の問題でございますが、最初の答申では相当大臣の監督規定が強うございましたが、これが民主的に監督規定を大幅に緩和されておるというような点も、私どもの希望が取り入れられたことと存ずるのでございます。  大体以上のような点でございます。
  66. 二宮武夫

    ○二宮委員 どうもありがとうございました。またわれわれの審議の参考にして進めて参りたいと思います。なおまだ質疑者がございますので、あと一点だけお尋ねをいたしたいと思います。  堀江参考人にお尋ねしたいのですが、きのう大蔵大臣にここへ来てもらって尋ねましても、あるいは提案者であるところの自治省の責任者にいろいろ質疑をいたしましても、国家公務員共済年金ができておるからそれにならってやるのだ、それに右へならえということで、理論的な問題はそれに全部おっかぶせてしまって、それを是正をし、それの欠点をこの際一緒によくしようというような熱意は全然見られない。国家公務員共済年金法というものが非常に基準になりまして、そしてそれにすべてをおっかぶさるというような傾向——すべてと言っては言葉が強過ぎますけれども、どうもそういう傾向が政府側の答弁の中に見られるわけであります。そこで先ほど堀江参考人から、国家公務員共済年金の問題についても、すでに実施の段階において問題が起こっておる、問題があるのだ、こういうことが御発言にあったようですけれども、具体的にどういう問題が起こっているのか。きのうもこの点が出て参ったのでありますけれども、これはほんとうに参考として一つお聞かせを願いたいと思います。
  67. 堀江信二郎

    ○堀江参考人 やはりあの法案が出るときに、国家公務員の諸君が問題にしたことが非常にたくさんあるわけでございます。物事全部が実施段階の中において納得ができないということが事実として現われているのではないか、こういう今のとらえ方になっております。  第一は、財源を計算する場合に、いろいろ保険数理だから、保険数理だからと言ってやっているけれども、今ここで問題になっているように、計算のやり方なり数字のとり方ですね。これは私らは加わっておりませんから、なかなか了解ができないところがたくさんあるのです。だから財源計算も、一方的に政府だけの考えでやるのじゃなくて、労使対等の間で一つ計算を作ろうじゃないか、こういうことをしょっちゅう言っているわけです。そういう中において四十四という掛金がもしも必要ならば了承するだろう。しかし、四十四という掛金が正しいかどうかということもわからないのだから、これははっきりさせるようにしろということはもう一貫してやってきております。これがまず一番でございましょう。  ところが次の今問題になっている整理資源の問題なんかは初めから言っております。恩給公務員というのは百分の二を納めているけれども、これが積み立てられていないわけです。従って過去の恩給期間を新しく積み立てた金の中から払うわけだから、過去に積み立てていなかった恩給期間を払う金は政府が全部今の積立金の中に入れろということは当然なわけです。これは追加費用の問題です。ところが政府は、みなおれが責任を持つのだと言っておりますけれども、先ほどそこの方が申されましたように、実際は見られていない。ところが、これは公務員共済年金の沿革をたどると、ただ単に国家公務員だけのものじゃないのです。その前段において公共企業体や現業公務員の整理資源と追加費用というものもやはり非常に複雑なやり方でやっておるわけです。これは入れる入れると言いながら入れてきていない。この事実などは大きいと思うのです。公共企業体と現業公務員の歴史は長いですからね。こういう人たちの整理資源の入れ方を見ていただくと、非常にすっきりしない、どなたが聞いても理解しにくいようなやり方がとられているわけです。そういう事態を国家公務員共済制度の新しい発足の機会において全部はっきりしろという要求は全部一貫して出ているわけです。しかも先ほど言われたように、入れる入れると言いながらも、実はゼロの年、十億の年、十五億の年といったような形で、事実をもってそれを証明している。入れないでどうなるかというと、やめる人はやはり高給の恩給公務員がやめていくのですが、その分はどこから払うかというと、今新しく積み立てた金の中から払っていくという関係が出てくる。だから、こういうすっきりしない影をはっきりしろというのが出ております。  それから先ほど申しました管理運営の問題で、やはり国家公務員に準じて審議会方式をとっていこうというのでありますが、国家公務員もあのことは非常に問題にしたわけです。これは労使関係の問題だから対等で運営審議できるようにしろというのでありまして、これは約束したはずです。参議院でも衆議院でもおそらく附帯決議が出ている。ところが、今日に至るまで国家公務員共済組合審議で——まずこれは短期と長期と分けておりますが、長期という年金部門は連合会というところで一本でやっております。ところが、短期の場合でも運営審議会組合員の代表が出ないでいるところすらあるわけです。当局の代表だけで運営審議会をやっている。それから大きな年金の金を集め、これを管理し運用する連合会というところには、組員側の代表は一人も出ていない。これは各省の人事課長なり会計課長なりで構成しているわけで、これは昔から問題にしてきているところです。それで三十四年当時約束したことでもあるが、いまだこれが一歩も前進していないほど変化を見せていない。こういう事実があるわけです。  だから、こういう今地方公務員共済年金実施していく場で出ているという問題は、全部やはり国家公務員の中で課題として残されているということ、しかもそれは三カ年の時日の中でそれを指摘しながらやっているということです。
  68. 園田直

    園田委員長 川村継義君。
  69. 川村継義

    ○川村(継)委員 参考人の皆さんどうも御苦労さんでございます。大へん長時間になりましたので、いろいろお聞きしたいことがありますが、二つ、三つ、ごく簡単に御意見をお聞きしておきたいと思います。  一つ運営の問題でございます。ただいま国家公務員の場合の運営についての運営審議会の実態を堀江参考人からお話しいただいたのでございますが、実はこの問題については、私たちも非常に大きな問題として考えております。今日御列席の加藤参考人、それから丸山参考人等は、この問題については十分なる不満を表明されたようでございます。さらには大野木参考人とされましても、任命方式をとる運営審議会については十分なる留意をしなければならない、できるだけ民主的的運営をする必要がある、このような御意見であったと承ったのでございます。さらに堀江さんの方では、先ほどいろいろ労使間の問題等御意見を承った中に、このような運営方式というものは一つのごまかしじゃないかというような率直なる御意見もあったようでございますが、私たちは、今申し上げましたような点を考え、さらには今日まで審議して参りました過程を考えてみると、当局も、できるだけ一つ民主的にやりましょう、こうは答えておるのですね。答えておりますけれども、やはり国家公務員運営の状態を考えると、われわれなかなかそうは納得できない。そこで、いわゆる四つの団体適用される組合方式というような、労使双方と言いましょうか、少なくともこういう形で運営される方式をとるべきじゃないか。そういう点を考えて参りますと、この法律案に規定しております組合方式——名前は運営審議会であっても、法律の規定の上からはやはり対等に委員を選んで、民主的な運営をするということを法文化する必要が最低あるのじゃないか、このように考えておるわけでございますが、それについて大野木さんの御意見と堀江さんの御意見をいただきたいと思います。
  70. 大野木克彦

    大野木参考人 先ほど私申し上げましたように、なるべくこの審議会が民主的に構成されるように希望いたしておるのでございますが、ただ率直に申しまして、私といたしましては、こういう機関はなるべく簡素な形でやっていかれることがいいのじゃないかと思いますので、そういう意味で、この審議会方式一つの行き方だろうとは存じますが、ただその内容が一方に偏しないように十分留意して委員の選任等を考えていただきたい、こういうふうに考えております。
  71. 堀江信二郎

    ○堀江参考人 おっしゃる通り、これはどうしても労働者の代表と当局の代表が少なくとも半々で、そして審議会でもいいし、組合会でもいいし、審議決定するということですね。そういう性格を持つようなものにしていく、しかもそれを法律で規定していく、これは私は原則じゃないかと思います。だから私は先ほど労働問題としてお願いしたいと言ったことは、そのこと自体は実は労働問題です。だから、共済組合法は労働法に属する系統だ、こういう工合にも考えております。その場合、ただ数だけが出ればいいのではなくて、そういう代表が選挙されて出てこなければならない。みんなの賃金の支払い部分を一緒に集めて集団的にやるところですから、少なくともそういうものを審議決定する代表というものは、みんなが一人々々の実際の選挙によって出てくる。民主的とおっしゃるならば、こういうことが何といっても原則だ。どこもそうなっていると思います。  それから、その場合、現在の日本の法律の中で管理運営について審議会問題を考える場合、ただ審議会の構成が半々ならばいいだろうという角度から問題にしたのでは、これは不足だ。と申しますのは、そういう半々にしましても、実際において一銭一厘の金の使い方まで実は法律でもって縛ってきている。やはり中央でもって支配するようにできてきているわけです。そうすると、そういうワクの中でもって審議会でやる場合は、向こうのきめたワクの中で——たとえば百万円を福利厚生費に使うのだと向こうできめてくる。そうすると、これをどう使うという甲を乙に切りかえるというようなことぐらいしかやれないという状態になっておりますから、そういうことを審議会でやるならば、そういう一切の事業計画と言いますか、やり方と言いますか、そういうことも一切審議会でルールを決定されていく。そういうものにするのでないと、実は形だけの民主的な審議会なり組合会方式になる。現状はそうなっております。  それから、大野木さんの方では、できるだけ簡単な機構でと言われましたけれども、私はできるだけ大きな機構にしていかなければならないと思います。これは中央だけではなくて、やはり地方段階でも、地方公務員たちが、そういう運営の中で自分たちの考えを一切常に出せるような仕組みが大事だろう。今の法律上はおそらく中央だけのものになっているのではないかと思いますが、私は、そういうことで絶えずこの問題は全体の地方公務員にも知らされていく、地方団体にも知らされていく。その中から、地方でも意見を労使間でもってまとめて、中央の審議会に上げてくる。こういう格好がとられないと、やはり民主的な審議会なり組合会方式というものは出てこないのではないか、こう考えております。やり方としてはおっしゃる通りだと思います。
  72. 川村継義

    ○川村(継)委員 ありがとうございました。  その次にお尋ねしたいと思いますが、これは堀江参考人からお聞かせいただきたいと思いますが、申し上げるまでもなく、こういう共済年金等の問題は、よく政府側も、社会保障の一環としてやるのだ、しかしその建前は社会保険の建前をとるのだ、いろいろと申しておりますが、そういう考え方から、いわゆる掛金の折半という思想が横たわっておる。この掛金を折半するという思想、これをやらなければならぬという思想は一体いいのか、そういう考えをとらぬでもいいではないかという考えを私は持っているのですが、社会保障という一つ立場から見て、この掛金の折半というものの考え方、これについて御意見がございましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  73. 堀江信二郎

    ○堀江参考人 おっしゃる通り、折半負担なんという原則はないですよ。世界じゅう探しても、そんな原則はどこからも出てこない。その関連は、まず皆さんが審議する前に労使間でやってほしい。参議院のいろいろな説明を聞いてみますと、保険数理を基礎にしているから折半負担が原則のように言われておりますけれども、保険数理というものは、ただ必要な金が幾ら要るかということを計算してみることだけでしかないのであって、あとは労使間の問題になっていくというのがほんとうのことであろう。従って、負担をどうするかということは、そこで労使間で話し合わせる。そしてその結果を国会の審議の中で制度として現わして持ってくる、こういうことだろうと私は思います。それで相互扶助とか折半負担ということは、一応資本家と労働者と大まかに分けた場合、日本においては大体政府と資本家ということになりますが、そういう側の考え方だけである。こう理解していいのではないかと私は思います。だから戦後——明治以来の社会保険の発達を見てみましても、折半負担なんということは初めから出ているわけじゃないですよ。初め国鉄の共済などは、労働者が三負担して当局が二負担するというやり方でやってきました。ところが第二次世界大戦の影響を受けて、公務員の雇用人にも年金をやる、そして恩給でなくて共済組合の中でやるということを考えた場合に、初めてここで折半負担という考え方を出してきております。だから、これは決して考え方としてのルールとしての原則ではなくて、日本の政府や資本家側の人がそういう考えでやりたいんだ、こういうものだと理解していいのじゃないかと私は考えております。
  74. 川村継義

    ○川村(継)委員 最後に山本参考人にちょっとお聞きしておきたいのですが、先ほど二宮さんの御質問で、あなたのお考え、よく了解できたのでございますが、国庫負担の問題について、これは申し上げるまでもなく、地方公務員共済組合法案が今日まで提案されなかったということは、一つの大きな理由として、この国庫負担の問題を解決しなければならぬという点があった。これは皆さん方の六団体としても強く政府当局に要望せられてきた問題で、自治省としても、これを毎年大蔵省に強く折衝してきた問題であります。当委員会でも、たびたび大蔵大臣を国会のつど呼んで、そうすべきであるといって実はやってきたわけであります。そこで、国庫負担の問題を解決してこの法案を提出するというのが一つの大きな考え方になってきておりまして、今日まで延びたわけであります。その考え方の根本は、これは大蔵省とわれわれの考えとはずいぶん違うわけですが、御存じの通り、大蔵大臣としては、公経済の立場から、これは地方公共団体負担すればいいのだ、国が負担する必要はない、これ一点張りにきております。そこで、だんだん話が出て参りますように、人事院の勧告の精神も、公務員制度調査会の答申も、地方制度調査会の答申も、社会保障制度審議会の答申にあるような考え方も、全部これを踏みにじって、国庫負担をしていないのです。このような状態の中で、皆さん方が、ぜひ一つ将来国庫負担をしてもらいたいということを期待しておられまして、地方財政の面で問題を考えていこうとなさっても、非常にむずかしい。この共済組合が発足したら、これはおそらくできないのじゃないかという心配を私としては持っております。まあ、あながちできぬとは言えないでしょうけれども、そのような今までの長い経過から考えて、非常に心配を持っておる。そうなりますと、やはりわれわれは、この際、全力をあげて、答申の線に従い、六団体の皆さん方の意見に従い、国会のこの委員会の意思を十分貫徹して、国庫負担の問題を解決して、いわゆる地方団体の財政上の荷が軽くなるようにしてからこれを発足させてもいいのではないかと私考えるのでございますが、これはやはり山本さんの御意見のように、それはそれとして早く作ってくれというお考えにお立ちになっておるようでございますが、われわれとしては、どちらの方に立って考えたらいいのか、くどいようでございますけれども、もう一ぺんお聞かせいただきたい。
  75. 山本力蔵

    山本参考人 ただいまのお話、ごもっともでございますが、この国庫負担の問題につきましては、私どもも全力を傾けて運動したのでございますが、どうしても政府内の調整ができない。国庫負担を待っては、ことによると、共済組合が当分成立しないじゃないかというような点を考えまして、私ども関係者が相談の結果、現段階において成立をしていただくことが、拙速でございますが、よいだろうということに意見がきまったわけでございまして、ここで私個人として、それまで待ったらどうだろうということも申し上げかねるわけであります。団体意見がそういうことに一致したわけでございます。
  76. 園田直

    園田委員長 門司亮君。
  77. 門司亮

    ○門司委員 ごく簡単に一つか二つだけ聞いておきたいと思います。  参考人意見を、私なまけておりまして十分にお聞きしておりませんので、あるいは見当違いのことを言うかもしれないと思いますが、最初に聞いておきたいと思いますことは、非常にわからない点がありますので、これを一つ職掌柄堀江さんにお聞きしておきたいと思います。  参議院会議録を読んでみますと、政府当局の答弁では、社会保障としたものであるということをはっきり答弁しているのです。これは政務次官がそうされておる。社会保障制度の一環だということを明確に答弁されておる。そこで問題になりますのは、聞かしていただきたいと思いますことは、実は私の意見でありませんが、杉村章三郎先生のお書きになりましたものの地方自治法の欄をずっと読んでおりますと、いわゆる地方公務員法の四十二条の解釈でありますが、四十二条のくだりのところに——多少私の記憶違いがあるかもしれませんが、私の勉強した範囲ではこういうふうに書いてあると思います。国または地方団体が行なう一種の保障であると言うことができるので、一般の社会保障とは本質が異なる、こういう解釈がつけてあると思います。四十三条はいわゆる共済組合制度ができるという条文であります。こうなりますと、政府の答弁とちょっと食い違っておるような気がするのでございますが、国または地方公共団体保障するという意味だといたしますと、保険制度という今日のこのものの考え方とは多少違ってくる。いわゆる保障という言葉を使っておりますから、当然給与の一つとして与える。国または地方公共団体保障すべきだというのなら、すべての責任は国または地方公共団体にあるわけでありますから、掛金が二つに分かれておる、折半されておるというところに疑問が出てくる。これはどう解釈したらいいですか。私はどう考えても、この杉村先生のお書きになったものを読んでみますと、掛金の問題でぶつかってきて、問題がおかしいじゃないかという、国が保障すべきじゃないかという形が出てくる。同時にまた——それから先のことは長くなりますから、それだけ一つ聞いておきたいと思います。社会保障の一環として、あるいは社会保険の一環として考える必要があるのか、あるいは国または地方団体公務員の将来の保障として考えることが正しいのか、どっちが正しいかということです。
  78. 堀江信二郎

    ○堀江参考人 社会保障制度社会保険制度として考えることがいいのか、地方自治体保障するということでいいのかという、その違いですな。これは、あり方としては、やはり社会保険制度であり、社会保障制度である。その理由としましては、やはり地方公務員も、自分の労働力を地方自治体に提供して、その労働力の作り出した中からの支払いで自分の労働力を再生産していくという賃金の労働者ですから、そういう労働者に対しては、やはり賃金の支払いとともに社会保険的な支払い、こういう形でいくべきだ、大体こういう考え方になっておる。こういうことは実は先生のいられないときに私は申し述べた。ですから、労働力の価値に対しての支払いとして、賃金的な支払いと社会保険的な支払いと、こういうものがなくちゃならない。そういうことをやろうということは国際的になっているわけですから……。だから支払いとしてやられるのが当然なんだ、こういうことをお話ししたわけです。従って、地方公務員年金というものは、そういう社会保険的な支払い、社会保障的な観点からの支払いという角度でやられるべきであろう、こういうことをお話しした。  そこで、もう一つここで問題になるのは、地方の自治体に労働力を提供しているから、地方の自治体だけがその賃金支払いと社会保険的な支払いをするべきなのか、あるいはまた中央政府が国としてそれを支払うべきなのかという問題が一つあると思うのでございます。これは、資本主義がだんだん発展していく中に、地方自治体ごとに非常にアンバラを作ってくると思うのです。従って、こういうアンバラは資本主義の発展していく中でより強まっていくわけですから、こういう段階においては、やはり全部地方自治体に払い切らせるという状態を作っていけないわけですから、当然中央政府たる国が、そういうアンバランスな地方自治体の実態に合わせて、中央政府としての支払い方で、地方公務員のそういう賃金支払い、社会保険支払いをやっていく、これが大体筋だろう、こういう工合に私自身としては考えております。だから結局は、地方公務員だから実際は全部給与として見るべきだ、そういうように先生はおっしゃったわけですけれども、そのこと自体は実は私、今言ったような賃金的な支払い、社会保険的な支払いというのは、当然第一段階においては自治団体が払うべきだろうけれども、しかし、こういう資本主義のだんだん発展している中においては、それはやはり中央政府が地方の自治体全体を通じて、地方公務員の賃金支払い、社会保険支払いを中央政府の責任において払わなければならぬという状態を作ってくるのではないか、こういう工合に考えた方がいいのではないかと思っております。
  79. 門司亮

    ○門司委員 私は、これを賃金の一つとして考えるべきではないかという疑問のありますのは、たとえば私企業において労働組合の諸君が退職金の問題を非常に問題にしております。これは実際は積み立てられていないのです。そうすると、それは恩恵的なものであるという考え方が古い思想では出るかもしれませんが、実際論としては、私はやはり賃金の一つだと解釈すべきだと思います。そうしますと、この法律ではそこが折半になっているのです。そこに私は疑問が出てくると思うのです。だからこれは二つ一緒になっているのだ、重なり合っているのだという解釈をして、従って半分だけはそういう意味で公共団体が出すのだという解釈をすれば、半分だけは組合員が積み立てる。ところが、この法律の中をずっと読んでみますと、中にもう一つ大きな矛盾にぶつかるのは、たとえば犯罪その他の場合においては懲罰規定があるのですね。公務員の懲罰規定がありましても、たとえば懲罰にひっかかっても、公務員の積み立てたものについては、利息だとか何かをつけて支払うべきであるということは当然なことである。そういうふうに幾つかの矛盾と言いますか、おかしな点が出てくるのでありますから、その点をまず私はお聞きしておきたいと思いましたけれども、時間がありませんからこれ以上申し上げませんが、私にはどうしても限界がはっきりしてこない。杉村先生はこういうふうに教えられておりまして、一つ保障を意味するものであって、従来の社会保険とは異なるものだという御解釈をされているようでございます。それについて先生一つ意見がありましたら、お聞かせ願いたい。
  80. 堀江信二郎

    ○堀江参考人 それは先生が来られない前に、今おっしゃるように組合員がかけた掛金と、当局が負担した分との関係の割り切れない問題ですね。これは特に日本の社会保険、社会保障の特徴だと思います。これの概念規定をすっきりさせなければならない。ところが、それをさせるところの一番大事な基礎は、社会保険、社会保障という中における労使関係がゆがめられている。そのゆがめられ方は、そういうものが徹底的に労使関係の問題だということを当局が否定している。否定しているからこそ、そういう概念規定——相互扶助だとか、あるいは保険数理によってやむを得ぬだとかということが出てくるのだということは、実は先生が来られない前に意見として申し上げたことなのであります。おっしゃる通り、概念規定ということは地方公務員だけではなくて、日本の社会労働問題としての非常に大きな課題ではないかと思います。
  81. 門司亮

    ○門司委員 その辺はどうしてもなかなか割り切れない問題があるのであります。もしこれを給与の一つだという概念から考えていけば、当然こういうものは法律で画一的なものを制定すべきではない。個々の自治体における当事者同士の間で話い合いを進むべき、いわゆる労働法に基く処置がとられてしかるべきだと考えるのです。私どもがそう考えますのは、どう考えても現行地方公務員法の四十四条がそういうふうにできているのです。また四十三条には、これを進めなければならないとちゃんと書いてある。この四十三条と四十四条では、そういう意味で私は地方にまかせてあると思うのですね。地方にまかせてあれば、内容はかりにこういうような複雑なものができるといたしましても、労使——労使という言葉はどうかと思いますが、とにかく使用者側と使用される者との間の話し合いによって解決さるべきものだということで現行法ができておるのですね。この四十四条は、一面においては地方自治を尊重しているきわめて大きな柱であったと思う。その柱を今度の法律で削るのですね。削除すると書いてある。そこに非常に大きな問題が出てきますので、実は今大野木さんにお聞かせを願いたいと思いますことは、このように四十四条を削除いたしましたその上に、財政措置として地方交付税で見るという政府の答弁でありますが、ここに非常に大きな矛盾があると思うのでありまして、地方交付税で見るならば、これはやはり四十四条を生かすべきである。四十四条がありますならば、地方自治体で退職金に支払うべきあるいは共済金に支払うべき地方自治体の拠出金というものは、当然政府が見るということになるわけであります。ところがこの場合は、そういう形でなくして、ただこれが詰め込まれている、こういうことなんですね。そうすると、地方交付税は御承知のようにひもつきであってはならないということが原則なんです。だから私は、もし地方交付税の中に織り込むというような事態でありますると、非常に大きな矛盾が出てきて、それならこの指数を地方交付税法の別表に書くかどうかということ、そうでもしなければ一体どれだけやったんだかわからぬでしょう。それが出てくれば別です。この際は、これだけこの法律に基づいて支出をした、その支出についてはこれだけ出すということになるわけであります。しかしその場合でも、百億という金は限定されておるのであって、必ずしもそれを保障するものではない。  それからもう一つの問題は、不交付団体があるということであります。国が法律でこういうものをきめようといたしておりますときに、不交付団体には交付税は参りませんから、結局はそこに非常に大きな問題が出てきやしないかということであります。ですから、どう考えてもこの法律は現行制度と非常にかけ離れた、自治行政の面から見ますと、ある意味における自治の侵害だと言っても私は差しつかえないものではないかと思う。こういうことになって参りますと、自治体の権威はどこにもないということになるわけであります。同時にまた自治体のうま味——うま味という言葉を使うのは悪うございますけれども、憲法にいういわゆる住民自治の姿、自治の本質という言葉もなくなってしまう。国が全部画一的に行なうということになれば、自治も何もあったものではない。国の全くの下部機構という概念が非常に強く出てくる。そういうふうに考えて参りますと、この四十四条とこの法律との関係は、どうしても私には割り切れないのであります。しかもその制度は、大体類似をした自治体との均衡がとれておらなければならないという規定が現行法にあるのですから、これ以上政府がおせっかいをして、そうして画一的なものをこしらえる、しかも財源措置も十分にしないというようなことでは、これはほんとうに私は自治の侵害だと思いますが、先生はどういうふうにお考えになりますか。
  82. 大野木克彦

    大野木参考人 ただいまお話の点は、実は私も割り切れてはおらないのでございます。四十三条、四十四条にあります国との権衡という点にむしろ重点がおかれまして、そうして国に準じているという形として解釈しなければならぬのではないかというふうに思っております。それから交付税の問題につきましては、先ほども私ちょっと申し上げたのですが、不交付団体の問題がありますし、財政をとにかく交付税でまかなうということ自体に相当無理があるんじゃないかというふうに、私もお説のように考えております。
  83. 門司亮

    ○門司委員 私、それだけお聞きすればけっこうでございます。  あと立ったついでですから、自治省に一つ要求がある。資料をもらっているのだが、この資料の中には、指数の問題について一つ、二つ欠けておるところがある。これを一つこの際出しておいてもらわぬと、こういう保険数理なんてむずかしいわれわれに解釈のできない言葉を使っているのですが、一つはこの中に大体ずっと書いてあるようでありますが、この種の保険をやろうとすれば、むろん組合員の給与に対します指数であるとか、脱退の率であるとか、死亡率であるとか、疾病の率であるとか、年金受給者のその後における死亡率、あるいは受給権の消滅というものは、当然書かるべきなんですね。こんなことは保険業法としてあたりまえなんですね。この中で欠けておりますことが一つありますから出しておいてもらいたいと思いますことは、年金受給者の死亡率がこの中に書いてありますから、大体それでよろしいかとは思いますけれども、念のために聞いておきたいと思うことは、受給者の平均年令ですね。これが一体どのくらいになっているかということです。  それからもう一つの問題は、毎年度の新規加入の組合員の見込みというのがこの中に書いてあります。これは一面において、政府の方では大体組合員の昇給指数というものは書いてある。大ていはそういう言葉を使っておりませんが、書いてありますからいいように見えますけれども、私どもの考え方からいたしますと、やはりこれについては毎年度の新しい組合員の加入数というものをこの中に加えておかないと、私は、正しい数値は出てこないんじゃないか、こう考えられますので、それを一つ出しておいていただきたいということであります。  それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、各職種別に勤務の平均年数が大体どのくらいかということを一つわかれば明確にしていただきたい。私がこういうお願いをいたしますのは、地方公務員というのはいろいろ職種によって実はたくさんの違いがあるのであります。国家公務員とは、この辺はかなり趣を異にいたしておりまして、ことに市町村になりますと、たとえば衛生関係に勤めておるような人たちの就職年令というのは非常に高いんですね。就職年令が高ければ勤務年数は短くなるにきまっているので、これらの人に同じような形をとって参りますと、結局恩給——ここでは恩給と言っておりません。年金と言っておりますが、年金の受給資格年限に達しないうちにいやがおうでもやめなければならない事態ができてくる。それらに対しましてもやはり画一的のものであってはならない。やはりある程度の救済が必要になりはしないかというように考えられる。このことは、この法律が、今さっきから話しておりますように、社会保障制度一つであり、あるいは社会保険の一つであるというように考えて参りますと、そこにはどうしても職種別の問題が起こってきやしないか。一つの例は、御承知のように警察がそうでしょう。職種によって年限が違っておりますね。あるいは消防というものも違ってきておる。従って、これは単に警察あるいは消防ということでなくして、あらゆる職種と、同時にまた性別に関係があるわけであります。先進国と言いますか、主として欧米あるいは外国の社会保障制度あるいはこの種の制度を見て参りますと、その辺がかなり明確に書いてあります。これはソ連の例でありますが、労働者の職種によっておのおのちゃんと違ったことが書いてある。あるいは地下労働者であり、危険を伴っておるような仕事に従事しているような人、あるいは高熱労働に従事している人、あるいはその他のほんとうの筋肉労働としての重労働に従事している人というような人たちは、一般の事務員やなんかとは違う受給年限というものがちゃんと書かれている。それから性別によってやはりちゃんと書かれておる。私は、やはりこういう制度でなければ、ほんとうに老後に労働に報いる建前にはならないと思うのです。ところが日本の場合は、国家公務員もみな同じような形で、ただおまわりさんと消防さんだけが職種で違えられている。そういうことではいけないのじゃないか。ことに地方公務員は、今申し上げましたように就職年令の非常に高い職種がございますし、そのほか職種によって必ずしも一律一体にこれを認めるというわけにはいかないのじゃないかというような気がしますが、この辺の資料があったらこの際出しておいていただきたい。これだけ一つお願いしておきます。
  84. 園田直

  85. 阪上安太郎

    ○阪上委員 大へん時間をとっておりますので、きわめて簡単に一問だけ質問しておきたいと思います。  自治労の丸山さんに質問いたします。  わが国において、こういった職種の立法が次々と出てくるわけなんでありますが、私の考えとしては、これはすべて違憲立法だ、こういうふうにまで考えておるわけです。少なくとも憲法二十九条等にあるところの財産権、こういうものを侵害する立法だと日ごろ考えておるわけです。これはただ単にこの共済組合法案ばかりではなく、すでに施行されておるこの種の法律はすべてそうだ、たとえば国民健康保険法にしても同じだ、こういう考え方を私は持っております。もしこれが任意組合として出発されるならば何ら問題はない。あるいは任意加入が認められておるならば何でもない。しかし、この種の法律を施行して強制的に加入をしているということになると、明らかに違憲立法だ、私はこういう考え方を持っておるわけなんです。少なくとも憲法に保障されておるところの権利義務、その中には公共の福祉に反しないようにそういう権利に対して規制をすることはできますけれども、このように明らかに任意制度を認めないし任意加入を認めない行き方というものは、明らかに違憲立法だ、こういう考え方を持っております。たといこの場合国が公共の福祉ということを考えたとしたって、この法律の場合における公共の福祉とは一体だれの福祉か、こういうことなんであります。これはあなた方地方公務員労働者のための法律なんです。そこでこういう議論はいずれ政府といたしますけれども、私は、この法律の審議に際して一番重大なことは、地方の労働者であるあなた方が、この法律を納得できるかできないかということが一番大きな問題だ、こういうように考えておるのです。先ほどからいろいろ参考人の各位から御意見を拝聴いたしておりますが、特にあなたの考え方をこの際一つ聞いておきたいと思うわけです。そこで、もう時間がありませんので、ざっくばらんに、おれたちはこれは納得できないのだ、先ほどあなたは五項目あげられました。こういう点において大きな欠陥を持っておる、われわれどうしても納得できないのだ、こういうように私は聞いたのであります。そこで、違憲であるか違憲でないかは別といたしまして、これは論議の分かれるところでありますが、少なくともあなた方が了承しなければいけないのじゃないか、こういうように私は考えております。そこであなた方は一体、この法律をかりに通すとするならば、最低限ぎりぎりがまんしても、地方公務員労働者として、この点とこの点とこの点はどうしても納得できない、こういう点がありましたら、これは審議にきわめて重要でございますので、この際はっきりと一つお教え願っておきたい、こういうように思います。
  86. 丸山康雄

    丸山参考人 違憲立法であるかどうかという点については、実は私ども、機関でもそこまで徹底的に話し合って結論を出しておりませんけれども、ただ先ほど来いろいろお話がありましたように、私どもとしては、この種の問題が労使の完全な交渉、協議、話し合いによって決定をされるという仕組みが現実にできておりませんし、あるいはそういう意味では、労働者あるいは労働組合の基本的な権利というものが非常に制限をされておる。そういう立場では基本的に今先生のお話と立場を同じにするものであります。ただ、先ほど申し上げました五項目の問題について、実はぎりぎりのところどことどこかという指摘でございますが、しいて言うならば、最後の財源措置の問題については、私ども自身の問題にも関係はありますけれども、これはむしろ地方自治体地方財政の問題でありますので、それを除いた四点に集約されるのではないか、そういうように考えております。
  87. 園田直

    園田委員長 参考人方々には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。   一  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十一分散会