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菅政府委員 海外経済協力基金法の一部を
改正する
法律案の
提案理由を御
説明申し上げます。
海外経済協力基金法は、
昭和三十五年十二月公布、三十六年一月に施行されまして、同法に基づき三十六年三月に海外経済協力基金が設立され、今日に至っております。
御
承知の
通り、東南アジアその他の開発途上にある
地域に対する経済協力は、最近ますますその重要性を増してきておるのであります。すなわち、開発途上にある諸国は、急速な経済の発展と国民生活水準の向上を意図しているのでありますが、このような諸国の要請にこたえて、先進諸国は、OECDすなわち経済協力開発
機構の下部
機構としての開発援助
委員会(DAC)の設立あるいはインド、パキスタンに対する債権
国会議の開催等に見られますように、経済協力を国際的規模において一そう強力に、かつ、効果的に
推進しようと努めてきております。わが国といたしましては、このような世界経済環境のほかに、さらに、輸出入市場の開拓、確保といった国内経済面からの要請により、東南アジア諸国等との経済
関係の一そうの緊密化をはかる必要がありますので、これらの国に対する経済協力を積極的に
推進することがこの際特に必要であると考えられるのであります。
海外経済協力基金は、海外経済協力を
促進することを目的として、東南アジア等の
地域の産業の開発に寄与するため、その開発に必要な資金の円滑な供給をはかる等の業務を行なう機関として設立されたものでありますが、先ほど申し上げました理由で今後わが国が経済協力を一そう
促進していく場合に、経済協力
促進の中枢的な機関として基金の役割はさらに重要なものとなると思われるのであります。今回の基金法の
改正は、基金発足後一年の経緯から考えまして、その業務活動の積極化を期待する観点から
提案いたす次第であります。
今回の
改正の第一点は、基金の
理事の定数を増加することであります。基金の
理事は現在二人で、うち一人は
日本輸出入銀行の
理事の兼任となっております。基金発足の当初は極力
機構を簡素なものとする建前で
理事の数も最小限にとどめたのでございますが、基金の資本金も三十七年度には発足当初の三倍以上ともなる予定であり、これに付いその業務量も増大する見込みでございますので、こうした事情を考慮いたしまして、この際
理事の定数を増加したいと存じます。
改正の第二点は、基金が貸付または出資をする場合の要件を改めることであります。
現行法におきましては、
事業計画の
内容が適切であり、その達成が確実であると認められる場合に限り貸付または出資をし得ることとなっておりますが、経済協力案件は
事業の
性質上、相手国の事情その他の不確定要素に左右される面が大きく、将来における
事業計画の達成が確実でなければならないという要件は厳格に過ぎますので、基金の貸付または出資を円滑に行なわしめる意味で、この要件を実態に即応するよう
改正したいと存じます。
以上二点がこの
法律案の
内容でございます。
何とぞ慎重御審議の上、
改正の
趣旨に御賛同いただき、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。