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1962-04-24 第40回国会 衆議院 商工委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十四日(火曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員   委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 岡本  茂君    理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    小沢 辰男君       海部 俊樹君    神田  博君       齋藤 憲三君    始関 伊平君       首藤 新八君    田中 榮一君       田中 龍夫君    中垣 國男君       原田  憲君    南  好雄君       北山 愛郎君    久保田 豊君       小林 ちづ君    中村 重光君       渡辺 惣蔵君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         経済企画政務次         官       菅  太郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  曾田  忠君         通商産業事務官         (通商局長)  今井 善衞君         通商産業事務官         (企業局長)  佐橋  滋君  委員外出席者         議     員 相川 勝六君         議     員 小枝 一雄君         衆議院法制局参         事         (第四部長)  大井 民雄君         総理府技官         (経済企画庁総         合開発局国土調         査課長)    高木 正夫君         通商産業事務官         (通商局輸出振         興部輸出保険課         長)      井原  清君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した案件  工業用水法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四〇号)(参議院送付)  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一八号)(参議院送付)  海外経済協力基金法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一四七号)(参議院送付)  国土調査促進特別措置法案相川勝六君外五名  提出衆法第四〇号)      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員長代理 これより会議を開きます。  都合により委員長が不在でありますので、私が委員長の職を勤めます。  相川勝六君外五名提出国土調査促進特別措置法案議題とし、質疑に入ります。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 まず本法案について提案者にお伺いいたしたいのですが、この法律内容はわかっておりますが、この法律は一体どういう性格を持ち、どういうことを目的とした法律であるかをお答え願いたいと思うのです。
  4. 相川勝六

    相川議員 この法律は、御承知通り昭和二十六年に国土調査法制定されております。そして昭和三十二年には同法の一部改正もありまして国土調査推進していっておりますが、なかなかこの調査が進みません。ちょっとくどいようでありますが、一例を申し上げますと、昭和三十二年の法案改正によりまして、特定計画というものができた。   〔長谷川(四)委員長代理退席中村(幸)委員長代理着席〕 全国の可耕地三万五千平方キロの調査を十年間でやるということでやったのでありますが、五年間にわずか一割しかできていない。そうしますと三万五千平方キロは、今までの成績でいきますれば、五十年かかるわけであります。三万五千平方キロというのは、日本可耕地六万六千平方キロの約半数です。結局今までのような進行でいきますれば百年かかる。これはいかにも進行がうまくいかないのですね。そこで、御承知通り、この法案最初から社会党さんと自民党一緒になって満場一致法案を通しております。うまくいかぬために今度は共同決議もしております。一部改正もやっております。それでもうまくいかない。そこでここらで何とかせなければならない。欧州の先進国あたりではもう十九世紀にやってしまっておるし、日本だけなんです。そこで今度はこういう母法調査法があるほかに促進法というものを作った、こういう趣旨でございます。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 今提案者からお話もありましたように、国土調査法昭和二十六年に成立いたしまして、その後二十七、二十八、三十一、三十二、三十五、三十六年と改正をいたしておるのであります。一番最近は去年改正をしておるのです。しかもそのときに決議があったと思うのです。にもかかわらず、今こういった法律提出せねばならないということは、これを担当する経済企画庁、ここが法律運用しなかった、そこでこういうことをなさざるを得なかったのだと理解するわけです。それじゃ一体今までこの法律施行担当であったところの経済企画庁は一体何をしておったか。法律があり、国会決議があるにかかわらず、なおかつ議員立法でこういうものを出さざるを得ないといったようなことは、一体今まで何をしておったのか、そのことをお伺いします。なぜやらなかったのか、なぜできなかったのか。
  6. 曾田忠

    曾田政委員 お答えいたします。国土調査につきましては、国土調査法が施行されまして相当な期間を経過しておるわけでございます。その問われわれといたしましては、この法律趣旨にのっとりまして運用努力して参ったつもりでございますが、いろいろな事情で事業進捗がおくれておりますことは、まことに申しわけない次第と存じております。  事業範囲の問題、あるいは補助率の問題等いろいろな経過があったわけでございますが、特に補助率の問題について申し上げますと、法律制定当時は四分の一の補助率であったわけでございますが、それをその後逐次三分の一の補助率に上げ、また二分の一の補助率に上げ、それからなお三十二年から三分の二の補助率に上げまして、事業執行者事業推進円滑化をはかったわけでございます。また国の補助金といたしましては、率直に申し上げまして三十一年度以降一億三、四千万円程度であまり伸びはなかったわけでございますけれども、三十六年度におきましては、前年度の約五割増し、また三十七年度におきましても前年度の約五割増しというふうに、できるだけ事業進捗をはかって参ったつもりでございますが、先生のおしかりのように、はなはだ事業進捗がおそいということは申しわけない次第でありまして、今後とも一そう努力をいたして参るつもりであります。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 本法案は、政府提案として成立をしたが、その後の数次にわたる改正、これは全部議員立法形式ですか、それとも内閣提出形式ですか。
  8. 曾田忠

    曾田政委員 いずれも政府提案と記憶しております。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 あなた、最初議員立法だと言ったでしょう。
  10. 相川勝六

    相川議員 いや、共同決議議員提案であります。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、内閣提出成立をし、自後六回にわたって改正をいたしておるのです。必要ならば、なぜ今回も政府の方でこういったものを作ってこなかったのか。あなた方がやらないから議員立法という格好になったのであろうと思うのです。しかも、法律形式からいえば、たとえば十カ年計画等は、この母法自体改正すべき性格だと思うのです。にもかかわらず、法律促進する法律、こういうものはあまり例を見ません。前例がどれほどあるか、一つそれを提案者並びに当局に伺いたいと思います。なお、母法の修正、母法改正、こういうようなふうにやれなかったのかどうか、あわせてお伺いいたします。
  12. 相川勝六

    相川議員 まことにごもっともな御意見でございますが、ただいま申し上げる通り、なかなかこれの進行がおそい。そこで、政府提案母法を一部改正してやっておりますけれども、現在のような状態で、まことに残念であります。そこで、今度は三党共同提案議員立法政府に迫りたいというわけであります。そこで、そういうのが少し不合理じゃないかというような御意見もあろうかと思うのですが、今度の促進法調査法そのままのものじゃないのです。調査法調査項目の一部でございます。全部じゃございません。それから調査する個所も、国土全部ではございません。そこで本法とは少し違っております。そうして、三十八年から十年間やるというのでありますから、性質としては臨時立法のわけであります。十年間過ぎれば、これはなくなる、こういうわけで、母法とは多少違うと私は思っております。  そこで、こういう例は、御承知通り、申し上げるまでもございませんか、りっぱな道路法というのがあるにかかわらず、道路整備がよくいかぬために、道路整備緊急措置法というものを作って、五カ年計画でこれを促進しております。それからまた治山治水につきましても、河川法砂防法があるにかかわらず、治山治水の十カ年計画緊急措置法がある。それから港湾法があるにかかわらず、港湾整備緊急措置法があって、これも五カ年計画促進しております。母法があるにかかわらず、どうしてもそういかぬときには、やはり議員立法のようなことで、国会全員意思を反映して政府に迫っていく、こういうやり方をとるほかないのじゃないか。従来も政府法律改正もいたしておりますが、それでもいかない。そこで、三党共同提案政府に迫っていこう、こういう趣旨に御了解願いたいと思います。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 今提案者は二、三の例をあげられました。その一々についてその母法促進法関係調査いたしておりませんので、的確には言えないと思うのですが、この法案と若干趣が違うと私は思うのです。それはさておき、要は、これは臨時的促進法であって、調査法の全体ではない、従ってこういうことはいいのだ、こういうようなお説のようでございますが、法律というものは、全部同じ範囲のことを書かなければいけないという必要はないわけです。今ねらいとするところは、母法改正で十分やれるわけです。しかも、これは去年改正がなされておるわけです。去年改正をなさっておって、なお促進しないから促進法を出すというのは、どうにも筋が通らない。これは経済企画庁があまり法律を重視しない、あるいは国会決議を尊重しない、そこにこういう問題が起こってきたのだと思うのです。また議員みずからが、母法があるにもかかわらず、これを促進させる法律を作るということは、私は国会権威、法の権威を落とすのじゃなかろうかと思うのです。もしこの式でいくとするならば、現在法律があって空文のごときものがたくさんあります。たとえば、先日当委員会において不当景品類及び不当表示防止法を審議したときに明らかになったわけでありますが、薬事法六十六条、証券取引法五十八条にはそれぞれ過大広告あるいは不公正取引を禁止しております。しかしながら、審議の過程で明らかになったのは、いまだかつてこれらの条文が動かせなかったということであります。この理屈を通していくならば、何々法第何条何項に関する緊急措置法促進措置法ということも考えられると思うのです。法体系からいって、このようなことは許すべきではない、私はこのように考えておるわけですが、当局提案者側双方答弁を求めます。
  14. 相川勝六

    相川議員 ごもっともな御意見でございますが、今までの状態があまりいかぬものですから、やはり国会全員意思によって政府を督励する。われわれ与党におきまして政府に対する督励の仕方が足らなかったことを恥じます。しかしながら、実際いっておりません。そこで、これには単に経済企画庁だけを責めるだけでもいかぬじゃないか、政府全体の機構がそういうふうに動いてこないといかぬじゃないか、あるいは根本的に申しますと、官庁のこれを実行する体制、これが現在のままでいいかどうか、そういうことも考えなくてはならない。いろいろ広範にわたる問題でありますので、単に経済企画庁だけの責任でもなさそうでございます。大蔵省もございますし、法務省の関係もございますし、建設省、農林省各省関係がございます。そういうわけで皆さん共同提案をぜひ一つ御了承願いたいと思います。
  15. 曾田忠

    曾田政委員 国土調査促進をいたします本法案趣旨につきましては、われわれといたしましても十分尊重して参りたいと考えておる次第でございます。
  16. 田中武夫

    田中(武)委員 変な答弁をしては困る。今まで国会決議をした、それを尊重してきておるならば、こういう促進法は必要としないわけです。しかも、毎年にわたっての改正をやっておるわけなんです。にもかかわらず、今日こういうことをしなければならないのは何ゆえか。結局十分やっていないということです。それでは、法律になれば役所は動くが、国会決議ならば動かない、こういうことなのか。筋とすれば、これが臨時的措置法であっても、母法附則においてこれを追加し、そして促進方決議する、これでいいじゃないか、別に法律を作る必要はないじゃないか、こういうふうに考えておるわけです。法律でなければ動かせない、提案者からも今そういう趣旨答弁がありました。企画庁だけでなく、政府全体を動かす。決議ならばそれほど権威がないのか、法律でなければならないのかということについては納得ができないのですが、政府に対する国会意思表示は、法律制定議員立法だけでなく、決議においても十分国会意思は反映できると思いますが、この点、提案者はいかがでございますか。
  17. 相川勝六

    相川議員 今の御意見もごもっともでございますが、何年でございますか、たしか社会党自民党一緒になって促進決議をやっておったと思います。ところが、それでも動かない、まことにこれは政府の怠慢でございます。共同決議をやっておるのです。昭和三十四年四月、衆議院国土総合開発特別委員会推進に関する決議をやっております。これは全会一致であります。そうやっておるにかかわらずいかぬのです。
  18. 田中武夫

    田中(武)委員 相川さんは、やっておるのに、全会一致決議であるにかかわらず、やらないからこれを出すと言う。こういうことを私が言っておるのは、先ほど相川さんは、この法律制定することによって国会意思を強く表わして、政府に迫るんだと言われた。それならば決議においても同じことじゃないか。なお十カ年計画等を臨時的に緊急にやるということであるならば、母法附則改正によってできるのじゃないか。独立の立法を必要としない。かりにこれを許すならば——今までの港湾とが道路等で二、三の例をあげられましたが、少しニュアンスが違うと思う。そうならば、あらゆる法律、現在法律の中の条文において眠っておるのがあります。それの促進法、眠っておるものをゆり動かすところの法律を作らなければならない、こういうことになるわけです。私はこの法律内容については反対ではございません。だがしかし、この形式に大きな疑問を持ちます。こういう法律を作ること自体国会がみずからの権威を失墜しも法の権威を失墜せしむる行為だ、かように考えるから御質問するわけであります。提案者はいかがでございますか。
  19. 相川勝六

    相川議員 御心配はごもっともですが、今度は一つこの法律によって、社会党、民社党、自民党、三党の力であらゆる方面に施策を講じたいと思います。これは経済企画庁だけの問題ではございません。範囲が非常に広いのでございますから、この法律が通ったら、それの実施については、また皆さんと相談して次々の手を打ってみたいと思います。そうするにはやはり法律形式が最も有力じゃないかと考えたのであります。どうか一つ御了承願いたいと思います。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 菅政務次官経済企画庁当局に聞きますが、皆さん方法律ならば守るが、国会決議は守らない、そういう考えですか。
  21. 菅太郎

    菅政府委員 そういうことを申し上げるわけではありません。決議は尊重してできるだけ御趣旨に沿うようにいたします。法律の場合は当然政府としては執行に当たるということでございまして、多少事の性質は違うかもしれませんが、国会決議は十分尊重して行政の上に反映するという努力をいたすことは当然でございます。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 なるほど、法律になればその執行の義務を政府は負う。国会決議議長名をもって内閣に勧告する、法律的にいうならば、勧告だから法律よりは軽いんだ、こういうことを言外に言われたと思うのです。しかし、そういうこと自体が私は国会権威の問題だと思う。決議をやったが、やらないから法律を作るんだ、こういうことは、自分みずからが国会権威を傷つけておる。かりに決議を十分尊重してやってきたならば、こういう法律は必要としないのです。かりにそれを実施するために重点施策として十カ年計画等をしようとするならば、議員立法をなすまでもなく、あなた方自体母法改正、しかもそれを臨時立法とするならば、必要があるなら附則においてできるわけです。それをやらないから、こういうことになったわけです。これは経済企画庁だけの問題ではありませんが、政府全体が国会意思を尊重しない、こういうところにこういう問題が起きてきたと思うのです。そこで、議員提案、しかも話し合いがついて三党共同提案になっておりますから、私はここでこの法案をつぶすとか、そういうことは考えておりません。しかし、こういう法案を作らねばならないということ自体が、政府当局国会を軽視しておるということ、こういうことを作らねばならないということは、国会みずからが国会意思表示に対して、やはり決議よりか法律の方が強いんだというような、みずからのひがみといいますか、みずからの権威を失墜せしめた結果だと思うのです。こういうことについては、承服できません。従いまして、本法案は特異中の特異、特別中の特別のものであるということに理解いたしまして、今後こういう法案は断じて作らない。もしこれを作るとするならば、私は国会権威法律権威に関すると思うのです。  従いまして、そういうことは絶対にやらない、こういうことを当委員会委員各位確認をすると同時に、国会全体がその気持を持って確認をする。こういうことを前提といたしまして、本法案にはやむを得ず私は採決することに応じましょう。従いまして、これ以上申し上げましても理論の交換になるだけだと思います。私の言っているのが正論だと考えます。従いまして、そうでないとするならば続けますが、これは正論である、間違いない、これはしようがないから、われわれはやむを得ずそれではということで、この法案に対する質問は終わります。
  23. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 他に本案についての質疑通告がありませんので、本案についての質疑は終局いたしました。   〔中村(幸)委員長代理退席委員長着席〕     —————————————
  24. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 お待たせいたしました。  引き続き本案討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案原案通り可決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  25. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 起立総員。よって、本案原案通り可決いたされました。     —————————————
  26. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、自由民主党日本社会党及び民主社会党の三党を代表して、白浜仁吉君、田中武夫君及び伊藤卯四郎君より本案に対し附帯決議を付すべしとの動議提出されております。まず、提出者より趣旨説明を聴取することといたします。田中武夫君。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいま採決いたしました国土調査促進特別措置法案に対しまして自民、社会並びに民社三党を代表し、委員各位の御同意を得まして附帯決議提案をいたしたいと思います。まずその案文を朗読いたします。    国土調査促進特別措置法附帯決議(案)   政府は、国土調査事業が極めて重要であるにも拘らず、国土調査事業が甚しく遅延している実状にかんがみ、事業の速かな完了を急ぐとともに、左記事項について特段の措置を講ずべきである。      記  一、国土調査事業十ケ年計画には、全国土調査早期完了を目途とし、事業量を可及的大幅に組み入れること。  二、山林原野などについても、必要ある土地については、その実測を推進すること。  三、国土調査事業十ケ年計画実施を確保するため、所要の財政措置を講ずること。  四、地籍調査に関する国庫補助単価の引上げ及び国土調査法による職権登記に必要な経費の増額を考慮すること。  五、国土調査事業実施の制度、機構及び地籍維持管理体制整備拡充するとともに、国土調査従事職員の育成をはかること。 以上でございます。 本法案提出されました経緯にかんがみまして、また本法案提案理由にも示した通りでございまして、この決議案は当然のものであります。従いまして、委員各位の御賛同をお願いいたします。  なお議員立法にかかわらず附帯決議を付すとはどうかというような御意見もあるようでございまするが、本法成立いたしました際には、その執行政府が行ないます。従いまして、法施行にあたってのわれわれの希望は当然つけるべきであります。  さらに、この決議案本案すなわち促進特別措置法のみにかかわらず、その母法たる国土調査法に対しての国会委員会意思を反映したものでありますので、さように御了解をしていただきまして、満場一致の御可決をお願いし、趣旨説明を終わります。
  28. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  29. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 起立総員。よって、本動議通り附帯決議を付するに決しました。  この際、経済企画庁政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。骨経済企画庁政務次官
  30. 菅太郎

    菅政府委員 ただいまの御決議に対しまして、政府当局といたしましては、善処をいたし、本調査事業推進努力をはらいたいと存じます。     —————————————
  31. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、念のため申し上げておきたいと存じますが、理事会において、本案のごとく母法が存在し、国会決議があったにもかかわらず、その運用に万全を期し得ないために、その特例措置法を定めなければならないことは遺憾であり、今後はかくのごとき方法がとられないよう法の運用に万全を期すべきとの意向が強かったことをこの際御報告を申し上げておきます。      ————◇—————
  33. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、内閣提出工業用水法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案についての質疑は、前回の委員会で終了いたしておりますので、直ちに討論に入るのでありますが、討論通告もありませんので、直ちに採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  34. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 起立総員。よって、本案原案通り可決いたされました。     —————————————
  35. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、自由民主党日本社会党及び民主社会党の三党を代表して、白浜仁吉君、久保田豊君及び伊藤卯四郎君より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を聴取することにいたします。久保田豊君。
  36. 久保田豊

    久保田(豊)委員 本案に対して附帯決議を三党の共同提案で付したいと思います。  まず、案文を読み上げます。    工業用水法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   工業用水等のための地下水汲上げによる地盤沈下等被害が急速に増大しつつある実情にかんがみ、政府は、本法の厳格なる実施とともに、特に左記の諸事項を早急に実施するよう努力すべきである。  (一) 特に被害の甚しい地域においては、一定の種類、規模の工場の新設、拡張の制限を充分考慮すること。  (二) 現行法による地域指定の要件の適用については、実情に即して地盤沈下防止に万全を期するよう充分なる配慮を行うこと。  (三) 右に即応して現在の工業用水道整備計画を大幅に拡大し、且つその事業期限を極力短くするようにすること。  (四) 工業用水道事業に対する国の補助率を引上げ、且つこれに関する地方起債の枠を大きくし、地方公共団体の負担の軽減と、工業用水道料金の大幅引下げを実現すること。  簡単に趣旨説明を申し上げます。  審議の過程で明らかなように、工業用水等のための地下水くみ上げがひどくなりまして、政府施策があとを追っかけておる。そのために、地盤沈下というふうな非常にゆゆしい問題の防止が十分にいっておりません。またそのために、たとえば高潮対策その他のごとく、非常に大きな資料と国帑をこの穴埋めといいますか、しりぬぐいのために使っておるのが現状であります。政府といたしましては、これに対する施策を今のような程度並びにテンポでなく、さらに大幅に引き上げてやることが絶対必要な状況であります。ですが、これには非常に大きな金も要しますし、計画も綿密を要しますので、とりあえずこの法律の一部改正に即応して、以上あげましたような四つの諸点について、政府一つ十分にこれが実現をするようにはかるべきであるというのがこの附帯決議趣旨であります。  どうか皆さんの御賛同を得て、この決議成立するようにお願いいたしたいと思います。
  37. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  38. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 起立総員。よって、本動議通り附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許します。佐藤通商産業大臣
  39. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいま全会一致をもちまして附帯決議がなされました。政府といたしましては、附帯決議趣旨を尊重いたしまして、地盤沈下防止並びに工業用水道の整備による工業用水の確保に一そう努力する所存でございます。(拍手)     —————————————
  40. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  42. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 それでは、日程を変更いたしまして、内閣提出海外経済協力基金法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  43. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 まず、経済企画庁政務次官より趣旨説明を聴取することといたします。菅経済企画庁政務次官
  44. 菅太郎

    菅政府委員 海外経済協力基金法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  海外経済協力基金法は、昭和三十五年十二月公布、三十六年一月に施行されまして、同法に基づき三十六年三月に海外経済協力基金が設立され、今日に至っております。  御承知通り、東南アジアその他の開発途上にある地域に対する経済協力は、最近ますますその重要性を増してきておるのであります。すなわち、開発途上にある諸国は、急速な経済の発展と国民生活水準の向上を意図しているのでありますが、このような諸国の要請にこたえて、先進諸国は、OECDすなわち経済協力開発機構の下部機構としての開発援助委員会(DAC)の設立あるいはインド、パキスタンに対する債権国会議の開催等に見られますように、経済協力を国際的規模において一そう強力に、かつ、効果的に推進しようと努めてきております。わが国といたしましては、このような世界経済環境のほかに、さらに、輸出入市場の開拓、確保といった国内経済面からの要請により、東南アジア諸国等との経済関係の一そうの緊密化をはかる必要がありますので、これらの国に対する経済協力を積極的に推進することがこの際特に必要であると考えられるのであります。  海外経済協力基金は、海外経済協力を促進することを目的として、東南アジア等の地域の産業の開発に寄与するため、その開発に必要な資金の円滑な供給をはかる等の業務を行なう機関として設立されたものでありますが、先ほど申し上げました理由で今後わが国が経済協力を一そう促進していく場合に、経済協力促進の中枢的な機関として基金の役割はさらに重要なものとなると思われるのであります。今回の基金法の改正は、基金発足後一年の経緯から考えまして、その業務活動の積極化を期待する観点から提案いたす次第であります。  今回の改正の第一点は、基金の理事の定数を増加することであります。基金の理事は現在二人で、うち一人は日本輸出入銀行の理事の兼任となっております。基金発足の当初は極力機構を簡素なものとする建前で理事の数も最小限にとどめたのでございますが、基金の資本金も三十七年度には発足当初の三倍以上ともなる予定であり、これに付いその業務量も増大する見込みでございますので、こうした事情を考慮いたしまして、この際理事の定数を増加したいと存じます。改正の第二点は、基金が貸付または出資をする場合の要件を改めることであります。現行法におきましては、事業計画内容が適切であり、その達成が確実であると認められる場合に限り貸付または出資をし得ることとなっておりますが、経済協力案件は事業性質上、相手国の事情その他の不確定要素に左右される面が大きく、将来における事業計画の達成が確実でなければならないという要件は厳格に過ぎますので、基金の貸付または出資を円滑に行なわしめる意味で、この要件を実態に即応するよう改正したいと存じます。  以上二点がこの法律案内容でございます。  何とぞ慎重御審議の上、改正趣旨に御賛同いただき、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  45. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本案についての質疑はあとに譲ることといたします。      ————◇—————
  46. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、内閣提出輸出保険法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。板川正吾君。
  47. 板川正吾

    ○板川委員 輸出保険法の一部を改正する法律案について、若干質問いたしたいと思います。  まず、わが国の輸出保険制度の現状の概要を説明してほしいと思うのです。それとあわせて、欧米諸国との制度的な比較でどの程度の違いがあるかという点について御説明を願いたいと思うのです。
  48. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 この輸出保険制度と申しますのは、元来輸出貿易は非常に遠隔な地域と取引するわけでございます。従って、非常に危険が多いということで、たとえば相手国が為替制限によりまして輸入制限するとか、あるいは相手国のバイヤーが破産するとか、いろいろな問題が起こります場合に、国がうしろだてとなりまして、保険しようというのが元来この制度の趣旨でございます。この制度はイギリス等におきましては非常に早くから発足していたものでございますが、わが国におきましては、戦後は昭和二十五年に発足して参ったのでございます。その後におきましていろいろの新しい保険を追加しておりまして、現在の保険の種類は八種類に及んでおります。この全部の名前をあげるのは避けますけれども、中心になる保険は普通輸出保険、それから輸出代金保険、これはプラント類等の延べ払い危険を担保する保険でございます。それから輸出手形保険、これは信用取引によらないいわゆるDA、DPの危険を担保する保険でございます。その他投資に関する保険が二種類ございます。それで八種類の保険があるわけでございます。イギリス等におきまして、このほかの違った保険があるかという御質問でございますが、イギリス等も名前は変わっておりますけれども、大体似たり寄ったりの種類の保険がございます。ただイギリスにおきましては、バイヤーの信用調査というものが非常に発達しております。従いまして、契約しまして船積みまでに相手方が破産するとか、あるいはキャンセルしてくるとか、そういった場合の保険も手広くやっておるのでございます。わが国におきましては、契約後船積みまでの信用危険の担保というものは今までございませんので、今回提案しておりますような保険を作りたいということでございます。そのほか、イギリスにおきましては海外融資保険というふうな制度がございまして、これは直接相手国バイヤーに対して民間の銀行なり保険会社が金融を与える。その場合に政府が担保するというふうな日本にはない保険もございます。わが国といたしましては、現在やっております機構は、御承知通り、通産省の中にございます特別会計でやっておるわけでございまして、年々この業務は拡大して参っておりまして、現在の保険契約残高はたしか五千億程度に上っておるのでございます。イギリス等におきましてはやはり国営でやっておりまして、イギリスは保険庁という国営機関でやっております。ドイツは国営でやっておりますけれども、それを民間に委託してやっておるというふうな関係になっております。保険の引き受け限度から申し上げますと、日本は残高は五千億でございますが、七千八十一億の引き受け限度ということにしております。イギリスは約二倍の一兆四千億、ドイツは一兆五千億というように非常に大きな引き受け限度になっております。もっともこれは輸出額の違いということを加味しますと、ほぼ似たり寄ったりの比率になるのではないか、かように考えておる次第でございます。  それから詳しくなりまして恐縮でございますが、この特別会計の内容がどうなっておるかということを簡単に説明さしていただきますと、出資金は三十億でございますが、たとえばこの出資金に対する利子収入だとか、あるいは保険料はもらっておるけれども、まだこの延べ払い等の場合におきましては責任が残っておる保険料があるというふうなことで、資金の総額は九十数億円、約百億円に近いものになっております。大体以上のようなことでございます。
  49. 板川正吾

    ○板川委員 八種類ほどの保険がありますが、その各種の保険の利用度の高いものと、利用度の低いものがあるようでございますが、その各種保険と利用度の関係について説明願いたいと思います。
  50. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 一番利用度の高い保険は輸出手形保険と申しまして、これは通常の取引におきましては、相方手から信用状を送ってもらいまして、それで取引するのでございます。この輸出手形保険の対象になります場合におきましては、LCが来ないで、いわゆるDA、DP、荷物を送りましてから向こうでもって支払いを受けるという取引形態の場合に付される保険でございます。そういう取引には、もうほとんど全部がかかっておるというふううな保険でございます。これは中南米とか、そういうところに多いわけでございます。  それから大きな保険としまして普通輸出保険というのがございます。普通輸出保険は、いわゆる保険制度の本体のようなことになっておるわけでございますが、これは大体LC取引、DP取引にもあるわけでございますが、取引をしました後に、たとえば相手国において戦乱が起こるとか、動乱が起こるとか、あるいは向こうが為替資金がなくなって輸入制限をするとか、あるいは関税を引き上げるとかいうことによりまして、こちらの方で損失をこうむるという場合に、その実損をてん補するという保険でございまして、これは大体種類としまして包括保険制度、個別保険制度、二つに分かれております。包括保険制度と申しますのは、繊維、機械その他の組合員を対象にしておる保険でございます。個別保険は組合自体が包括保険制度をとらない場合、輸出者が各自の選択によりましてかかる保険でございます。大体利用率は三分の一程度になっております。要するにあらゆる輸出の場合の三分の一程度は、その保険にかかっております。  それからもう一つは、代金保険でございます。代金保険は、これはプラント輸出、輸銀が対象としておりますような延べ払い輸出のような場合には、必ずこの保険を付しているわけでございます。従いまして、ほとんど一〇〇%延べ払いについてはこの保険の対象になっております。  そのほか投資保険が二種類ございます。あるいは広告保険だとか委託販売保険だとか輸出金融保険とか、いろいろの保険がございますけれども、以上申し上げました三つの保険制度以外は普及していない、利用率はそれほど高くないということになっております。
  51. 板川正吾

    ○板川委員 今次の改正は、輸出保険審議会の答申に基づいて改正が行なわれておると思うのです。昨年三十六年九月二十二日に輸出保険審議会で通産大臣に保険の改善方について答申しております。今度のものはその答申の第四項を立法化したものだと思うのでありますが、この答申のその他の項目で伺いたいのであります。  この答申の第一項に「基本的運営」ということをいっております。それは輸出保険法の一条の四には独立採算制というのを基本的にうたっておる。ここではそういう独立採算的な思想は肯定しているが、それを短期的に見るな、長期的に収支のバランスがはかられればいいんだから、短期的に多少の赤字が出ても、料率を上げたり何かして利用しづらいようにするなという意味でいっていると思うのです。こうした考え方をわれわれも妥当だと思うのですが、この思想について運用上の考え方としてどうですか。
  52. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 この答申の基本的な問題としまして、ただいま御指摘のありましたように、あまり独立採算制というものを短期的に考えるなということがうたってあるわけでございます。これは特別会計によってやっておりますので、従って、一年ごとの予算制度によりまして運用しているわけでございます。その場合に毎年々々の予算制度ということで厳格に独立採算ということを考えますと、必ず赤字が出ないようにということで、あまりにも慎重になり過ぎると思います。そこで、必ずしも毎年々々の収支にこだわらないで、数年間長期的に見た収支が均衡すればいいという建前をとる場合におきましては、たとえば保険料率等につきましても、相当引き下げの余地があるのじゃないかというふうなことも考えられるわけでございます。昨年の十月、さような趣旨からいたしまして、保険料率につきまして、当時の保険料率を平均三割引き下げております。今後におきましても、あまり短期的なバランスにとらわれることなく、長期的に弾力的な態度でもって運用したい、かように私どもは考えております。
  53. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、この答申の第一項の趣旨については、運営上十分考慮していく、こういう方針でおられるということでいいわけですね。次に、この答申の二の保険料率の引き下げですが、昨年十月三〇%程度引き下げた。答申の二では、料率を大幅に引き下げろ、二分の一程度に引き下げたらいいという一つのめどを示しておるのですが、それがとりあえず昨年十月から三〇%下げておるということですね。将来資本金の大幅な増額でさらに引き下げるという、これは次の三項とも関連がありますが、さらに引き下げる最近の予定といいますか、計画というものはございませんか。
  54. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 日本の保険制度の保険料率は諸外国に比べまして決して高くはないという程度の状態になっておりますけれども、しかし、保険制度の持つ意味合いから申しまして、外国から一番非難を受けないところの輸出振興策である、私どもといたしまして、できるだけ保険料率は今後とも下げる努力をしたい、かように考えておるわけでございます。出資との関係でございますが、保険業務が次第にふえますに従いまして、私どもといたしまして、出資金もふやしたい、かように考えまして三十七年度の予算におきましても、八十億円の出資金の増額を要求したわけでございますが、不幸にしてそれが実現しなかったという関係になっております。ただ先ほど申しましたように、出資金は三十億でございますが、そのほかにいろいろの形でもって基金全体としては百億になんなんとするような基金を持っておるわけでございます。もっと今後におきましても私どもとして資本金の形で増額したい。資本金の形で増額いたしますれば、それが利子を生みますので、従いまして、利子収入も一部料率の引き下げに充て得る筋合いになるわけでございますので、今後におきましてさような考えで資本金の増額並びに保険料率の引き下げに努力したい、かように考えております。
  55. 板川正吾

    ○板川委員 具体的にはいつごろやるというめどはない、しかし、今後資本金の増額と見合ってさらに引き下げを行なっていきたい、こういう方針でおられるということですか。
  56. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 その通りでございます。
  57. 板川正吾

    ○板川委員 答申の三項で大幅に資本金の増額をしろ、特に先ほども説明がありましたが、二十七年以降三十億に据え置かれておるが、これはある意味では輸出振興に対する政府全体の関心が薄いことの現われであるとも言えると思うのです。せっかく今年八十億を要求したんだが、残念ながらそれが一銭も計上されないというのは、どうも実力通産大臣のもとでまことにけしからぬ結果だと思うのです。まあしかし今さらそれを言っても仕方がありませんが、来たる臨時国会なりあるいは来年の通常国会には、今度一つ大幅に資本金の増額をして料率の引き下げと保険全体の体制の強化をすべきだ、こう思うのです。これはもう通産省としては異論のないところだと思うのです。問題は大蔵省だと思うのですが、これは大臣にあとの機会に質問して、実力を発揮してもらおうと思うのです。  そこで四は立法化したから一応いいとしまして、第五の「海外投資保険の改善について」という項目の答申がございますが、これは現在、海外投資保険というのはあまり利用されておらないのですね。これは料率が高かったり補率が低かったりすることが原因して、魅力のある保険制度ではない、こういう状態だろうと思うのです。これはイギリス等でも大いに活用されておるというのですから、輸出の重要性から考えて、これを魅力ある制度に改正しろという答申が出ておるのですが、この答申についての考え方はいかがですか。
  58. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、この投資保険は今まで填料率が高いということ、それから実は担保する危険が株式を持った場合だけに限られておりまして、たとえば向こうに金を貸したというふうな場合は含まれていないのでございます。それらの点を改めたらどうかというのが答申の趣旨でございまして、料率の問題につきましては、平均三割引き下げました際に、投資保険については四割引き下げております。それから危険の担保の問題につきましては、今後投資制度というのは、単に保険のみならず、いろいろの角度からやはり検討すべき問題である。これは実は国際機関でありますところのDAG等も投資の問題は全般的に取り上げておるような形になっておりますので、そういう国際機関との関係、それから今後経済協力の見通しをいかなる形で進めていくか、これらの問題を総合的に勘案しまして、この問題を取り上げていきたいということで、今回は直接この問題だけは、答申がございましたけれども取り上げなかったという事情でございます。
  59. 板川正吾

    ○板川委員 次に、六項目で信用調査機能を拡充しろ、もちろんこれは先ほども言いましたように、資本金を増額して、まず資金的な裏づけをもって保険制度の拡充をはかると同時に、海外における調査機能を充実しろ、こういうことを答申でいっておるのであります。海外の調査機能を強化するということは、駐在員をふやせとかあるいは大規模に資料を収集せよ、こういうふうなことをいっておるのですが、一体具体的には信用調査の機能を拡充するということはどういうことをやれということですか。
  60. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 保険制度としましては、イギリスが最も完備した信用調査を行なっておるのでございまして、海外のおもなバイヤーと申しますか、約二十万件を対象にいたしまして、その資産内容の信用状態なり、非常に詳しいものを整備しておるのでございます。保険にかかる希望者が出ました場合、その信用調査状態を見ながら判断するということをやっておるわけでございます。信用調査の完備ということは日本においても同様の意味を持つわけでございまして、海外のバイヤーについてできるだけ多くのものについて完備した調書を作っておきたいということでございます。実は、この問題につきましては、日本としましては、三十五年度から取り上げたのでございます。三十五年度は大したことはございませんが、引き続き三十六年度につきましては、二百五十万円の予算でもって調査をやったのでございますが、三十七年度におきましてはこの調査費用を四千万円にふやしまして、そうして約三万件の海外バイヤーにつきまして調査をしたいということにしております。従いまして三十七年度末におきましては、四万二千件の海外バイヤーについて調査完了したい、かように考えておるわけでございます。調査のやり方としましては、日本にありまする保険特別会計にあります資料の収集、整備ももちろんございますし、それから外国と取引をしております為替銀行のいろいろの調査結果を使うということもございますが、一番主要なものは、海外の信用のある調査機関に委託をいたしまして、たとえばアメリカでいいますとダンというふうな非常に大きな調査網を持っておる機関がございます。そういうところに委託しまして、その調査結果を取り寄せて整備するということでございます。ことしは三万件、年度末に四万二千件ということでございますが、今後ともできるだけ急速にこの調査を拡大して参りたい、かように考えております。
  61. 板川正吾

    ○板川委員 イギリスの信用調査機能が非常に充実しておるというのですが、イギリスの調査機能程度まで何とか肩を並べる程度までなるのは、一体日本で何万件くらいカードを用意し、あと今の状態ではどのくらいかかりますか。
  62. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 イギリスは非常に古い歴史を持っておりまして、昔から民間会社が輸出保険というものをやっておったような関係で、二十万件というふうな非常に膨大な調書を持っておるわけでございますが、日本はおくればせながらスタートしておるわけでございますけれども、大体十万件程度完備いたしますれば事務に支障がない程度になるのではないか。十万件ということになりますと、来年三十八年度に六万数千件調査完了すればよろしいということになりますので、私どもの目標としましては、三十八年度末にできるだけそういう状態になるように努力したい、かように考えております。
  63. 板川正吾

    ○板川委員 ことし資本金八十億円要求した。それはだめであったが、今度の補正予算なり、あるいは次の通常国会でそれが実現をされれば資金的には十万件程度までは何とかかんとかいけるということでしょうか。
  64. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 その通りです。
  65. 板川正吾

    ○板川委員 大幅な資本金の増額があれば、三十八年度中に日本でも十万件程度のカードを用意できる、そうすればイギリスを追い越すわけにいかないが、大体輸出の量等から見てまあまあ肩を並べ得られる条件になる、こう考えていいのですか。
  66. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 その通りでございます。
  67. 板川正吾

    ○板川委員 第七項で、保険制度の運用についてもうちょっと簡素化したり、利用されやすい状態にしろ、こういっております。しかし、業務が非常に増大して参っておるから、その増大した量を考慮して一つ人員、機構整備しろ、とりあえずこの輸出保険課を部としろ、こういうような答申が出ておる。これは大臣に聞いてもいいのですが、この答申に対して通産省としては一体こういう機構整備したり、人員をさらに充実するような計画が現在おありですか。
  68. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 ただいま課でございますが、それを部にしたいということで、三十七年度予算の場合に部として要求したのでございます。これも実現できなかったということでございます。ただし、人員につきましては、若干十数名ふえまして、まあとにかく日常の仕事はなんとかやっていけるという程度に拡充できたのでございます。この機構の問題につきましては、部の問題だとか、あるいはそのほか特別な機構にしたらという民間の一部の意見もございまして、それらの点については今後慎重に検討したい、かように考えております。
  69. 板川正吾

    ○板川委員 今、御承知のように、池田内閣は、一番輸出が伸びないということによって経済の計画が大幅に狂ってきておる。問題は、私は、輸出を伸ばせば外貨の関係の引き締めもする必要はなかったし、輸出ということが非常に重要だと思うのです。しかし、池田さんは従来輸出は輸入をまかなえばいいのだというような、非常に輸出について消極的な態度をとっておった。最近は幾らか、いやそうじゃないとは言いますが、しかし、二年前のことを考えると、池田さんは、いや輸出は輸入をまかなえばいいのだ、こういうことで輸出というものを軽く見ておった。そういうところに輸出保険全体のまだ充実もおくれている原因があると思うのです。御承知のように、国が輸出をふやすといったって、国家貿易をやるわけにいきませんし、国があまり援助するようなことになれば、当然ガットの関係で問題になってくるでしょう。結局国として輸出をふやすというようなことは、こういう輸出ができやすいような制度、たとえば輸出保険制度のようなものを充実をして、輸出しやすい状態にするということが、まあガットの関係からいったって文句はないし、好ましい傾向だと思うのです。そういう点からいうと、この資金の充実等について、ことし実現できなかったのは残念ですが、これは大臣に一つまた私の方から言ってぜひ次の機会には実現してもらいたい、こう思っております。  それで、次に伺いたいのですが、一応独立採算をめどにしておりますが、輸出保険の現状の運営の実績といいますか、収支状況、これはどういう程度でございますか。
  70. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 三十六年度について申し上げますと、大体事業収支とそれから資本収支に分かれておりますが、事業収支と申しますのは、保険料をとりましたり、あるいは回収金を向こうに請求したりするのが事業収入になっておりまして、それから保険金の支払いがそれに対する支出ということになっておるのでございます。三十六年度におきましては、事業収支としましては一億一千万円ばかりの黒字になっておりまして、そのほかに先ほど申しましたような基金がございますので、それが利子を生みます。従いまして、その利子収入が約四億ばかりございまして、五億程度の黒字になっております。それから三十七年度は、先ほど申しましたように、この保険会計でできるだけ黒字を出さないで収支とんとん長い目で均衡するようにいきたいというつもりでやっておりますので、事業収支につきましては、おそらく今のところ三億三千万円くらいの赤字が見込まれておるわけでございまして、利子収入等は四億四千万円ございますので、結局差し引くと一億円程度の黒字というふうに見ております。事業収支自体はマイナスだけれども、利子収入でそれをカバーして、とんとんよりかすかに黒字という程度に見ております。この保険制度が創設されましたのは二十五年でございます。それから現在までの状態を申しますと、先ほど基金として百億になんなんとしているということを申し上げましたが、その内訳は、資本金が三十億円でございまして、未経過保険料が二十九億、それから支払備金と称しまして、保険事由が発生しておりまして、いつまで支払うということをイヤマークする——この未経過保険料にいたしましても、支払備金にいたしましても、これは純粋な利益じゃございませんが、支払備金が約十四億五千万円、そのほかに純粋な益金といたしまして事業収入によるものが六億、それから利子収入が約十九億、全体で九十九億ということに相なっております。
  71. 板川正吾

    ○板川委員 こういうことですか、三十六年度の収支は五億程度黒字であった、そこで三十六年の後半に料率を下げて、あまり短期的な収支にこだわらないで、料率を三割程度下げたために、三十七年度はとんとんか一億程度の黒字、こういうふうに予想しておるんですか。
  72. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 さようでございます。
  73. 板川正吾

    ○板川委員 この発生以来からいっても、やはり黒字なんですね。基金会計が、二十五年ですかからずっとやっておっても、全体で黒字のようですが、この中から一億程度黒字ですが、やはり基金をふやさない以上は、さらに料率は下がらない、こういうことですね。
  74. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 この発生以来の純粋な黒字は約二十五億でございます。そのほか未経過保険料だとか支払備金は、一応金は現在ございますけれども、場合によりまして、保険金として支払わなければならぬというものでございまして、それは黒字ではない、今基金としてはなっておりますけれども、それは黒字ではないということになっております。
  75. 板川正吾

    ○板川委員 今度の法律改正は二点ですね。改正点の一つは、普通輸出保険の担保危険の範囲を拡大しておるのですけれども、しかし、その拡大する内容については、相手が破産した場合と、また相手が、外国の地方団体、政府、公社、公団、公的な機関で約束を守らなかった場合にということと二つになっておると思うのですが、この保険に対する填補の率というのはどういうことになっておりますか。
  76. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 填補の問題でございますが、これは包括保険と個別保険と二通りございます。包括保険と申しますのは、輸出組合がやっておる保険でございますが、これは填補率は八 〇%でございます。それから、それ以外の個別保険は、填補率は六〇%ということにする予定でございます。
  77. 板川正吾

    ○板川委員 この填補率は、外国の填補率等から比較すると、まあまあというところですね。イギリスが八五%、西独が八〇%というところですから、まあ包括保険で八〇%というのは外国と大体同程度のようでありますが、個別保険の場合に填補率が六〇%というのは、外国に比較して水準としてどういうことになりますか。やや低目に感じられますが……。
  78. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 実はイギリスは商社包括保険というのをとっておりまして、その商社が保険契約を結びます場合には、その商社がやるあらゆる輸出について包括的に保険するということになっております。従いまして、イギリスの場合は全部が包括保険であるということが言えるわけでございます。包括保険の態様は違いますけれども、全部包括保険である、個別保険はない、個別保険は日本だけのものであると考えております。
  79. 板川正吾

    ○板川委員 個別保険というのは日本にのみある保険だ、これは保険料が四銭五厘で六〇%というのですが、この個別保険の利用は、個別保険と包括保険との利用の度合いといいますか、どういう程度の割合ですか。
  80. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 普通輸出保険のうちで、今、包括保険が九〇%以上占めております。個別保険は一〇%程度ということであります。
  81. 板川正吾

    ○板川委員 そうしますると、制度的に見ましても、填補率八〇%のものが九割を占めている、個別保険というのは、料率も高い、填補率は低いがこれは特殊の場合の一〇%程度、こういうふうに考えますと、大体英独等とおおむね肩を並べている、こういう程度ですね。
  82. 今井善衞

    ○今井(善)政府委員 そういうふうに御了解願いたいと思います。
  83. 板川正吾

    ○板川委員 あとは、あす大臣が参りましたら資本金増額等について要望することにしまして、きょうは時間の都合もありますから、これで質問を終わります。
  84. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は明二十五日午前十時より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十九分散会