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1962-02-07 第40回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月七日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 岡本  茂君    理事 中村 幸八君 理事 長谷川四郎君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    小沢 辰男君       海部 俊樹君    佐々木秀世君       齋藤 憲三君    首藤 新八君       田中 龍夫君    中垣 國男君       村上  勇君    岡田 利春君       北上 愛郎君    久保田 豊君       小林 ちづ君    中嶋 英夫君       中村 重光君    西村 力弥君       山口シヅエ君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         法制局参事官         (第三部長)  吉國 一郎君         総理府事務官         (公正取引委         員会事務局長) 坂根 哲夫君         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君         通商産業政務次         官       森   清君         通商産業事務官         (大臣官房長) 塚本 敏夫君         通商産業事務官         (通商局長)  今井 善衞君         中小企業庁長官 大堀  弘君  委員外出席者         中小企業金融公         庫総裁     森永貞一郎君         国民金融公庫理         事       松田 文蔵君         中小企業信用保         険公庫理事長  山本  茂君         参  考  人         (全国中小企業         団体中央会常任         理事)     伊藤朝市君         参  考  人         (商工組合中央         金庫理事長)  北野 重雄君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 二月六日  新産業都市建設促進法案内閣提出第五五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第三六号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四七号)      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより会議を開きます。  商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑に入ります。  本日は、両案審査のため、政府側から、中小企業庁長官中小企業金融公庫総裁中小企業信用保険公庫理事長国民金融公庫理事松田文蔵君等が出席されております。ほかに参考人として、商工組合中央金庫理事長北野重雄君、全国中小企業団体中央会常任理事伊藤朝市君が出席されております。  最初に、中小企業庁長官より発言を求めておられますので、これを許します。大堀長官
  3. 大堀弘

    大堀政府委員 昨日の商工委員会におきまして、中小企業金融対策についてとりました措置についての数字の報告資料を提出せよというお話がございまして、ただいまお手元に一枚紙の簡単に要約しました資料をお配りしてございますが、一言説明をさせていただきたいと思います。  昨年の金融引き締め以来、中小企業に対するしわ寄せを防止する意味におきまして、一般の市中金融機関協力を求め、さらに大企業支払い遅延の防止について、各方面と協力してやって参っておりますが、政府政府関係機関に対しての資金追加と、同時に、市中金融機関に対する資金運用部資金によります金融債買い上げ——買いオペと言っておりますが、買いオペ措置を、合わせて三度にわたって実施して参りましたのでございまして、第一回と書いてございますのが、大体十月に実施いたしましたものでございますが、国民公庫、中小公庫商工中金、合わせて三百五十億円の資金追加をいたしました。同時に、都市銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫の民間金融機関に対する買いオペレーションによって、二百億円の資金を、中小企業向けに流れますように措置をいたしたわけでございます。これが第一回は五百五十億でございますが、第二回は、十二月に入りまして措置をとったわけでございまして、同じく三機関に対して百億円の資金追加をいたしますと同時に、百五十億円の買いオペレーションを実施いたしまして、二百五十億円の資金を流したわけでございます。第三回とございますのが、今年一月末に決定いたしましたものでございまして、現に実施に移しておるわけでございますが、三機関に対して百十億、買いオペレーション百五十億、合わせて二百六十億円の資金追加いたしたわけでございます。これを全部合計いたしますと、結局三公庫に五百六十億、市中金融機関に対する買いオペレーションで五百億、合わせまして千六十億という金を、中小企業対策として中小企業向け財政投融資金を流したわけでございます。もちろん資金需要から言いますれば、ますます多い方がよろしいわけでございますが、今回の措置は、三十二年当時と比べましても、画期的に大きな措置をとっておるわけでございまして、今後も引き続いて、私どもとしましては、情勢に応じて必要な措置追加していくように努力いたしたいと考えておる次第でございます。  一言報告を申し上げます。
  4. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、質疑を行ないます前に出席されております各公庫方に及び参考人により、最近の資金情勢等について御説明を願った後、質疑を行なうことといたします。  まず、商工組合中央金庫理事長北野重雄君にお願いをいたします。
  5. 北野重雄

    北野参考人 商工中金資金状況はまず三十六年度年度当初におきましては、貸し出し純増三百十億ということで出発いたしましたが、昨年の七月以降の金融引き締め中小企業に及ぼすしわ寄せを緩和するために、商工中金自体といたしまして、商工債券市中消化その他いわゆる自己調達につきましての自己努力に最善を尽くしたわけでございますけれども、御承知のように、その中でも、特に割引商工債券の売れ行きは、証券市場状況等からいたしまして、きわめて不振でございまして、それに対する補てん措置もそれぞれ講じたわけでございますが、いわゆる自己調達のみをもってしては、とうてい旺盛な資金需要にこたえることができません。これに対しまして、政府におかれましては、幸い、ただいま中小企業庁長官から御説明のありましたように、昨年十月以来三回にわたりまして財政投融資追加をしていただいたわけでございます。その中にはすでに御承知のように、政府資金運用部資金等における財源関係からいたしまして、長期資金が非常に少ないというふうな関係もございまして、追加財投資金は主として短期的な資金ではございます。しかしながら、商工中金に関しましては、三回にわたりまして、総額二百四十五億というかってない多額追加をいただいたわけであります。もちろんその中には、三月未に政府にお返ししなければならぬ五十億も含んでおります関係もございますので、これがまるまる昭和三十六年度年度を通じての資金として使えない関係もござますので、年度末における貸し出し純増といたしましては、当初のただいま申しました三百十億が四百九十億ということになるわけでございます。これでもって昨年の末までは、もちろん業界の旺盛な資金需要というものに対しまして決して十分とは申せませんけれども、特に貴重な資金でもございますので、運用面におきましては、業界の真に必要とする資金需要には極力おこたえするという心がまえをもちまして、融資の面では、いろいろきめこまかく配慮いたしました。関係業界におきましては、どうやらこうやら昨年の年末を年越しされた、こういう状況でございます。  さらに問題になりますのは、この一月から三月に至るいわゆる第四・四半期でございます。商工中金は、他の政府機関とは違いまして、これまた御承知のことでございますが、元来短期資金が全体の六割近い比重を占めております。そういう関係もございまして、例年十二月が年末資金その他の関係で非常に残高がふえるわけであります。これが一月に入りまして三月までの期間におきまして返済をされてくるのでありまして、貸し出し計画といたしましては、貸し出し純増という面からいきますと、いわゆる第四・四半期純減になるわけであります。大体百億近い純減ということになるわけでございます。しかし、これに対しましても、幸い先月末に第三回の追加等によりまして、長期資金を含めまして総額五十億の追加をいただきました。従いまして第四・四半期貸し出し純増は、貸し出し純減という形におきまして、それだけ減るわけでございます。貸し増しが五十億の分だけはできるわけでございます。  引き続きまして所属組合を中心といたしましての資金需要状況を絶えず把握することに努めておりますが、おもな点を申しますと、大体二つに要約されると思うのであります。一つは引き続きましての大企業金詰まりによります関連中小企業へのしわ寄せでございます。超一流企業におきましても、今年に入りましてからは資金繰り関係上、支払い条件を従来通りに維持できないという向きがだんだんふえてきております。そういう関係からいたしましてのしわ寄せ資金が、やはりかなり大きく出てきそうでございます。もう一つ繊維産業あるいは中小炭鉱、こういった面の不況業種につきましての、いわばうしろ向き金融の必要が出てきておるのであります。綿スフ織物絹人絹織物、あるいは毛織物業、いずれも需要の不振その他いろいろな悪条件によりまして、不況に陥っておるわけでありまして、昨年の当委員会におきましても御決議いただいておりますが、いわゆる不況織布業小織布業あるいは中小炭鉱、こういうようなものに対して特に金融上配慮するようにという御決議をいただいております。そういう面の金繰りがますます深刻になってくるおそれがございます。  大体この二つの点に要約されるわけでございますが、まず第一のしわ寄せ関係におきましては、私どもといたしましては、その取引先であります中小企業の親企業に当たる大企業、あるいは支払い関係にあります大企業の方とも絶えず連絡をいたしまして、金繰り支払い条件が悪くなるのはやむを得ないといたしましても、極力関連中小企業に対する配慮をしていただきまして、支払い条件を何とか維持するように努めていただくように話しかけております。中にはその資金源の面におきましてあるいは商工債券の引き受けをやるというふうな面におきまして、若干の資金的協力もしていただくというようなこともいたしまして、何とかこの一−三月を切り抜けていけるようにしたいというふうにきめのこまかい取り扱いをしておる次第であります。  また第二の、いわゆる不況業種につきましても、これまた各地区ごと業界状況をよく把握するように努力いたしまして、真になくちゃならぬ資金につきまして重点的にこれを手当するというような考えで進めてきております。率直に申しまして、今までの政府財政投融資は、幸い相当多額をいただいたわけでありますが、こういう資金源強化等措置がとられておりますけれども、それではこれで十分か、こういうことになりますと、決して十分とは言えないと思います。多々ますます弁ずるといいますか、極端な言い方をいたしますと、金は幾らあっても足りない、こういうような状況なんでございます。それでまず一月ないし三月の期間を今の計画でうまくやっていけるかということになりますと、十分の自信はございませんけれども、しかし政府とされましても、その財政資金の原資の足りない中におきましても、最大限の考慮をお払い願っておるわけでありますので、現在の段階におきましては、与えられました資金によりまして、何とかまずこの一−三月をやりくりいたしまして、関連中小企業業界の方に大きな混乱のないように、先ほど申したように、できるだけきめのこまかい取り扱いによりまして処置していきたい、まずどうやらこうやらいくのじゃなかろうか、またぜひそうありたい、こう考えております。ただいま中小企業庁長官からもお話がございましたが、今後の状況によりましては、あるいはまた政府においてもお考えをいただかなければならぬこともあるのじゃないかと思いますが、一応これでいけるのじゃないかと思います。  大体三十六年度状況を主として申し上げましたが、あともし必要がございますれば、さらに三十七年度状況等も申し上げてみたいと思いますが、一応この程度の御説明にとどめたいと思います。     —————————————
  6. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 各公庫金庫等の方々の説明の途中でありますが、内田委員より、のっぴきならぬ所用のため、商工組合中央金庫理事長に対して質問がしたいという申し出がございますので、これを許します。内田常雄君。
  7. 内田常雄

    内田委員 私まことに失礼ですが、葬式がありますので、商工中金理事長あるいは中小企業庁当局法律上の質問をいたします。  今度の商工中金法改正は、主として資本金増額だと思います。  資本金二十億円を増額するという規定と、それからその二十億円は政府出資をする、こういう二つ規定が入れてありますが、商工中金資本金というものはたびたびふえておりますし、そのふえ方が、政府出資商工中金構成員のいわゆる民間出資と両方ありまして、これをやったら資本金幾らになるのかさっぱりわからないのであります。  今度の二十億円を見ますと、資本金は何ぼになりますか、これは手元商工中金から「商工組合中央金庫概況」というものが配られておりますが、その二十ページにあるようですが、その点について……。
  8. 北野重雄

    北野参考人 このお配りいたしました「商工組合中央金庫概況」というパンフレットの二十ページに出ておりますが、その一番下の欄の、三十六年三月末現在、政府出資が五十七億余りでございます。  一方組合出資の方は、三十三億弱になるわけでございます。  合わせまして九十億、これが現在の姿でございますが、組合出資の方は、本年三月に十億増資をいたします。  従いまして、組合出資の方はこの三十三億弱が四十三億弱になりまして、ことしの年度末、この三月末におきましては、出資金総額が百億になるわけでございます。  それで今度御審議いただいております法律案の中の政府出資二十億これが御決定いただきますれば、来年度におきまして、政府出資が現に五十七億でございますものが七十七億になりまして、出資金総額が百二十億になるわけであります。
  9. 内田常雄

    内田委員 よくわかりましたが、つまり、今の理事長お話では、政府出資が三十七年度に行なわれる前に、民間出資が三月中に十億円ある。合わせて三十億円になる。ほかに、商工中金資金計画では、三十七年度中に民間出資が七億あるというふうに資金計画に載っておりますし、それにさらに八億加わって、三十八年度中には合計額が百二十八億ということになると思いますが……
  10. 北野重雄

    北野参考人 今失念しておりました。おっしゃる通りでございます。
  11. 内田常雄

    内田委員 そこでお尋ねしたいのは商工中金——これは法規上の問題でまことに恐縮でございますが、商工中金資本は、法律を直す際に、政府出資の分だけ二十億円増資するという改正案になっておりますが、今民間出資の分が、この三月になっての十億円なり、あるいは三十七年度増資を予定しておる八億円なり、その分を増資するという計画は、これはお入れにならなくていいのでありましょうか。入れてないから、資本金幾らかわからない。同じ資本金増加中小企業信用保険公庫の万にもありますが、これは幾らになっておるのを幾らに直すということでありますから、中小企業信用保険公庫の方は幾らだということは聞かなくてもわかるのでありますが、商工中金の方は、増資になるたびに政府の方の増額分だけを今度何億増資する、何億増資するということが規定されております。もともとこの商工中金資本は一千万円から出発しておる。それは商工中金法の第六条にあるのですが、あと足したり引いたりしますと、幾らかということは出るはずでありますが、それが出ない。政府出資の分だけ出ていて、民間出資の方は資本金増加分が載っからぬものですから、さっぱりわけがわからぬ。のみならず、何か法律上こういう規定の仕方に欠陥があるのではないかと思うのですが、これは政府当局の方からでも、法制局からでもちょっと説明していただきたいと思います。
  12. 大堀弘

    大堀政府委員 商工組合中央金庫法自身が非常に古い法律でございまして、最近の法律と書き方も多少違っておる点がありますが、ただいまの御質問の点は、民間の方の出資定款において総会の決議をもって定めるということに相なっておりまして、今日は前例によって政府出資をいたします場合だけ法律規定していく。商工組合中央金庫定款におきましても、第七条の二項の資本金規定のところにおいて、政府出資については次の総代会までの間は前項の規定にかかわらず政府出資増加した分を加えたものを資本金とするというような規定を入れてやっておるわけでございます。
  13. 内田常雄

    内田委員 その説明はどうも違うようです。違うようですということは、今度ここに出ています改正法律案でも、六条の七というのを追加して「商工組合中央金庫資本金ヲ二十億円増加シ」こういう一項が入れてあります。要するに、商工組合中央金庫資本金は、政府出資民間出資かわからないが、資本金そのものを二十億円増資するのが一本あって、それから今度はその改正規定の次に、右の二十億円を政府出資をする、こう二段がまえになっている。ですから、今大堀長官が言うように、ずっと昔からそういうことになっていて、資本金増資分政府出資分だけだということなら、何もこのように二本に書く必要はない。現に論より証拠、まず第六条の一で資本金を一千万円とし、その次に昭和何年かに六条の二で、「商工組合中央金庫資本金ヲ千四百万円増加」するという規定を入れて、今度は、それを受けて八条の二には、右の増資をする千四百万円のうち政府が一千万円を出資する、こう二つに分けて書いてある。ですから、商工組合中央金庫資本金幾ら増資するか、二十億とか三十億とか増資する、そのうち政府が半分出すとか八割出すとか、こういう規定の仕方を初めはとってあるのです。それがいつの間にか民間資本の方の増資分を落としてしまって、規定を入れないで、御丁寧にも政府増資分だけを二本入れてある。ですから、ここで私流に言えば、さっき理事長がお答えになったように、民間増資が十億と八億とで十八億あるし、それに政府が二十億増加するから、三十八億円増資する、六条の七では資本金を三十八億円増資する、そして八条の七へ持ってきて、そのうち二十億円を政府出資をする、こう書くべきじゃないかという気がしますが、これを御研究願いたい。
  14. 大堀弘

    大堀政府委員 ただいまの御指摘の八条及び八条の二、実はここまでの法律改正の場合は旧商法が施行になっておりましたときで、このときは、出資金払い込み方法について、四分の一以下にすることはできない建前になっておりましたのを、八条で五分の一を払い込むことができるという商法の特例の規定を設ける必要があったために、この当時は民間払い込みについてもこういう規定をして、同時に六条の二において民間増資分についてはこういう規定をせざるを得ないという格好に相なっているというふうに伺っておりました。その後商法改正になりまして、今日では全額一本払い込みになっておりますので、その追加がなくなりました。従って、民間の方については特に規定する必要がないといういきさつにあるようでございます。
  15. 内田常雄

    内田委員 どうもその説明は納得できない。六条の二項というのがあって、ここでは払い込み前といえども増資をすることができるという規定になっている。これは私が先ほど申したのと違うのですが、これは御研究願いたい。そうでないと、今度の六条の七というものと八条の七というものとで資本金を二十億円増資すると二つ書いてあっても、その二十億円を政府が出す意味がない。これはお互いに政府与党のことですから、研究問題にしたいと思いますが、私の伺いたいのは、商工組合中央金庫資本金について、これは政府が出すのですから、二十億と書こうが十億と書こうがいいのですが、民間出資の方は定款改正ということで主務大臣認可を受けておやりになるということの御説明ですが、この法律に掲げる認可でいいかどうかということは、疑問を残します。その際にこういう問題があると思います。商工中金の金を貸すのは、中小企業ならだれにも貸すのではなくて、商工中金構成員にお金をお貸しになるわけであります。現に毎年三百億円から四百億円ぐらいの新規貸付が、これは純増貸付ですが、商工中金で行なわれるわけでありまして、純増でありますから、その中には新しい取引先がたくさん入っているわけです。私が協同組合を作りまして、商工中金に借入金を申し込みますと、商工中金は、お前は協同組合であるから金を貸す資格はあるけれども自分のところの出資者になってくれ、そうでないと法律上金は貸せない、こうおっしゃるのであります。それで私は、よろしい、一つ一千万円借りたいから出資をする、何ぼ出資をしようかというと、それじゃお前に一千万円貸すから出資を百万円してくれ、しかし出資といっても、増資ができないから、だれか百万円の出資を持っている人を自分の方で探すから、その人の分を内田組合に譲り渡すからちょっと待ってくれというわけで、その際に商工中金資本金増加しないで、たとえば政務次官の森協同組合商工中金資本金を二百万円持っておるとしますと、森協同組合のところに行って、今度内田協同組合に金を貸すつもりだから、あなたの出資のうち百万円を内田組合の方に譲り渡してくれということで、森組合資本金を私が譲り受けて、そうして商工中金から一千万円を借りるということになるわけで、商工中金資本金一つもふえないわけであります。私はそれはつまらぬじゃないか、森組合森組合商工中金構成員になっておって、金を貸したり借りたりしているんだから、二百万円自分で持たしておきなさい、私は一千万円金を借りたいんだから、商工中金構成員になりたいということで、自由に増資ができて、そうして私の資本金というものが商工中金資金源になるように、かりに商工中金貸し出しが千五百億円あって、そのうちの民間出資が三百億があるとしますと、大体その一割かその程度資本金を持たしておると思いますから、三百何十億貸せば、新しい資本金を持たせる道を作れば、年々その関係で三十億や五十億の資本金が充実できると思うのです。何か民間資本については法律に書けということを私はさっき言ったようでありますが、そうではなしに、逆に何か一種の授権資本的な考え方で、包括的に主務大臣認可を受けておいて、登記なんかでもまとめて登記を受けるようにしておけばいいようにして、そのつど登記の手続をしないで、一年間に一ぺんだか何だかまとめて登記するようにして、新しい取引先へ新しい金を貸すたびごとに自動的に商工中金資本金がふやせる措置にした方が、この際あなたの方の資金源にいいじゃないか。現に今度の改正案では、商工債券を少しでも持たせるようにいろいろな改正を二カ条ばかりおやりになっておるのだが、商工債券消化ももとより大切だけれども商工中金に金を借りるときには新しい出資金を持たせるという方法を講じるように法律適用措置をやったらいいじゃないか。実はこのことはたびたび商工中金当局あるいは中小企業庁の方に私がお尋ねしたことがあるのですが、お前の考えは悪くないというだけで結論が出ないものですから、公の席上でお尋ねするのですが、どういうことなんでしょうか。
  16. 大堀弘

    大堀政府委員 ただいまの内田先生の御質問の点は、私どももできるだけおっしゃった趣旨で出資をふやしていくという方向に、やりやすいようにするということはけっこうなことだと考えておるのでございますが、法律上の問題についていろいろ検討して参ったわけでございます。  一つは、この商中法はやはり商法の株式会社法の授権資本規定を適用できるかどうか、これは法務省あたりの意見をいろいろ聞いてみたのでございますが、商工中金法というのは非常に旧式な組織になっていまして、大体組合的な運用といいますか、昔の産業組合法の規定が準用されておりまして、表決権も全部一人一票というような立て方で、どっちかといいますと、組合員の個性がかなり尊重された形になっております法体系でできておりまして、株式会社法の授権資本をそのままこれに適用するのは、ちょっと法律的には無理があるんじゃないか。  たとえば有限会社の場合にはそれが認められておりませんと同様に、どうもその点が少し法体系として無理じゃないかという点が一つ問題点になっております。  もう一点は、やはり増資をそのつどやりますと、先生御指摘のように、一括して登記するとか定款の変更をするといういき方について方法があろうかと思いますけれども、小きざみに増資をしていくということが実際上非常にむずかしい手続上の問題があるわけで、こういった点で、御趣旨は非常にいい方向でございますけれども、実は法律としてなかなか具体案にならないということでございますので、さらに今後も検討して参りたいということで一応中間的に御了承願いたいと思います。
  17. 内田常雄

    内田委員 どうもあまりいい答えではないのですが、一体商工中金が新しい取引先にお金を貸すときに、どういうことをおやりになっていますかということを聞きたいのです。現に今度の改正法案でも、新しく商工中金構成員というか、貸付先に、輸出組合、輸入組合というものを加えるわけです。つまり輸出組合、輸入組合、輸出入組合というものが商工中金構成員になって、その組合には長期、短期の金が貸せるということをおやりになるわけです。これはこの法律改正だけでは輸出組合にも輸入組合にも金を貸せないので、やはり出資を持たせるわけだろうと思う。持たせる際に、私のところに来て、内田さん、輸入組合に金を貸すので出資を持たせたいのだけれども、あなたの持っている出資一つ譲ってやってくれないかというので、せっかくあなたの方に拠出している私の金を向こうに譲るということよりも、商工中金の金を借りたければ、お前の方は新しい出資を持ちなさいということをなぜしないかというのです。こんなものを法律だけで作っても、資本金はちっともふえないので、そうして政府出資をしてくれ、くれといって——隣に銀行局長がおられるけれども商工中金民間出資を集める努力を一つもしないからやらないのだといって、いつも大蔵省にいばられているのだからつまらないじゃないかという忠告であります。この法律規定がむずかしければ私が作ってあげます。現に四十九条の規定民間資本を優遇するために民間出資が六分以上の配当にならぬ限り、政府出資に配当しなくてもいいという規定は、私が発起人になって議員修正で入れてあげた。これと同じような工合に、資本金がふえるような措置を私が一晩で作って入れてあげてもいいというふうに思っております。  これはこのくらいにしておいて、もう一つ、同じ法律の中に、中小企業信用保険公庫法の資本金改正規定が載っておるのですが、これもちょっと法律論で恐縮でありますが、長官にお尋ねします。この改正中小企業信用保険公庫は二十五億増資をしたと考えるわけでありますが、この法律の書き方が、公庫法の「第四条第一項中「二十億円」を「四十五億円」に改める。」と書いてある。ところが公庫法四条一項、これは公庫資本金に関する条項でありますが、この四条一項の中には、「二十億円」という字が二カ所あるわけであります。二カ所あるということは、公庫資本金というものは複合資本金で、一般会計から出されている資本金政府の産業投資特別会計から出されている資本金、また経済基盤強化資金から出されている資本金あるいは前の特別会計の引き継ぎ資本、いろいろありまして、その合計額公庫資本金になっているわけであります。たまたまきょう配られた法律集を見るとすぐおわかりになることでありますが、これの四百九十六ページにありますが、四条には、「公庫資本金は、政府の一般会計からの出資金二十億円、」途中を略しますが、ずっとありまして、また「政府の産業投資特別会計からの出資金二十億円及び」これこれの合計額とありまして、二十億円が二つある。そうすると、この二十億円とありますのは、両方にありますから、これが二カ所とも四十五億円になるということでしょうか。つまり、二十五億円ずつ五十億円増資になるというふうに読めるように思うのですが、これは私の読み間違いか、ちょっと御説明願いたいと思います。
  18. 大堀弘

    大堀政府委員 お配りしました法律集には三十六年の改正が抜けておりまして、産投会計の出資は五十八億円になっておりまして、前段の一般会計からの「二十億」を「四十五億」に改めるということでございます。
  19. 内田常雄

    内田委員 最後に、信用保険公庫理事長は今度総裁と改めると法律改正されておりますが、商工中金の方にも理事長がいらっしゃるので、ついでにみんな総裁にする方がいいではないか。あるいは一つでも残すなら、何も総裁にしないで理事長にしておいた方がいいという議論が国会の間に横行いたしておりますので、同じ法律二つ出てきておるのに、一方は理事長のままで一方は総裁にするというのは、何か魂胆があるのか、統一見解を一つ…。
  20. 大堀弘

    大堀政府委員 決して他意はございませんが、実は、商工中金は、御承知のように、半官半民の機関になっておりまして、政府全額出資公庫と称するものは現在八公庫ございまして、その八公庫の中で、保険公庫と医療公庫二つだけが名称が理事長となっております。その他の六公庫は全部総裁ということになっておるわけであります。ただこれは名称の変更でございまして、格別の意味はございませんが、医療公庫の方も今回例によって総裁ということにいたしますということになっておりますので、保険公庫だけが何か一人だけ違ったような感じで扱われますことはわれわれとしてもいかがかと思いまして、この機会に総裁ということに改めさせていただきたいというだけのお願いでありまして、よろしくお願いいたします。     —————————————
  21. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 それでは、中断いたしましたが、参考人及び公庫の方々から説明を続けていただきます。時間の関係でなるべく簡単にお願いをいたしたいと思います。  次は中小企業信用保険公庫理事長の山本茂君にお願いいたします。山本君。
  22. 山本茂

    ○山本説明員 信用保証制度と信用保険制度の現状の概要について御説明申し上げます。  昭和三十二年に初めて国家資金十億というものが保証協会に投入されることになりまして、三十三年に私どもの方の保険公庫が発足したわけであります。地方の公共団体、あるいは協会自体の努力といったようなものがありまして、保証協会は非常に成長いたしまして、保証規模というものも飛躍的に増加しているわけであります。お手元にお配りしましたこういう資料の八ページの中段のところに、保証の平均残高がどんなに増加したかということをしるしてございますが、三十三年度に六百八十六億円でありましたものが三十四年度には八百三十一億円になっておりまして、前年に比べて二一%増加しております。それから三十五年度になりますると、千七十五億円になりまして、やはり前年に比べまして二九%増加しております。三十六年度はまだ年度末になりませんので、集計ができておりませんが、見込みを申し上げますると、千四百五億円になる見込みであります。こういう数字になりますると、前年に比べて三一%増加するというようなことになるかと思うわけであります。  それから、一中小企業者に対する保証限度の額であります。これは、個人に対しては、制度としては七百万円が最高限になっておりまするが、協会によりましては、協会の規模の関係上、従前はそれ以下の五百万円といったようなところもありまして、現在二、三のものが七百万円までに至っておりませんが、大体制度の最高限近くまで引き上げられる状況になっております。制度としては、個人では七百万円が最高限、それから法人では一千万円ということが最高限になっておりますが、協会の実力のあるところは八百万円以上一千万円以下といったような協会が九協会もありますし、それどころか一千万円以上の保証もやっておるといったような協会も四協会あるわけでありまして、こういった実力のある協会は、保険の限度以上については、自分の責任において保証をしておるわけでございます。  それから保証料でございますが、八ページの下段に書いてあります。この実収保証料というものが、三十一年度には年に二分三厘一毛でありましたのが、三十二年度には二分一厘八毛になりまして、前年に比べて五・六%引き下げになっております。三十三年度には年に二分一厘二毛になりまして、三十四年度になりますると二分に引き下がりました。三十五年度にはさらに二分を割って一分八厘九毛ということになっております。三十六年度は、これは見込みでありますが、さらにそれを下回って一分七厘九毛くらいになるんじゃないかという見込みを持っておるわけでございます。それから信用保険制度の方でありますが、信用保証協会の保証規模の増大に対応しまして、保険規模も増大の一途をたどって参っております。ことに三十六年度からは全面的に包括保険制度になりまして、その規模が一そう飛躍的に増大を示しておるわけでございます。保険につけられた付保の総額は、三十四年度には九百十三億でありましたが、三十五年になりますと千四百二十億、三十六年度の見込みでは二千六百八十億といったようなふうに、飛躍的の増大を示しておるわけでございます。それから、昨年の十二月末の保証付の融資の状況でございますが、これは合計しまして千八百億でありまして、従前の最高のレコードを示しております。前年の同期に比べまして五百三十億の増加でありまして、四一%の増加ということになっております。  保証協会も近年非常に成長しまして、ことに国会の附帯決議で、小規模協会のレベル・アップといったような附帯決議をいただいたのでありますが、われわれの方でも、貸付金の融資にあたりましてはそういう点を十分考慮しました結果、小規模協会も非常に成長いたしまして、前年に比べて、保証平残において五割以上伸びた協会が十九協会もあります。保証平残が十億未満といったものを一応われわれの方では小規模の協会としておったのでございますが、それが前年には二十二ほどあったのが十三くらいになっているというふうに非常に成長してきておるわけでございまして、保証協会の成長発展につれまして、地方の銀行の協会に対する信用度も非常に増しまして、保証協会としては大いに中小企業者のために仕事がしやすくなっております。  それで最後にお願いなんですが、国家資金の地方の保証協会に対する貸付金は現在八十八億でございまして、さらに予算に二十五億計上されておりまして、これが成立しますると、合計しまして百十三億になるわけでありますが、地方の保証協会に対する力の入れ方は、出捐金で約五十八億、貸付金で百二十億、合計しまして百七十八億という力を入れておるのでありまして、国家としては地方に比べてまだまだ力の入れ方が少ないのじゃないかと思いますので、諸先生方の御支援によりまして、なお一そう地方の保証協会が成長するように、融資資金増加についてこの上とも御尽力をお願いしたいわけであります。  簡単に現状をお話し申し上げました。
  23. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、全国中小企業団体中央会常任理事伊藤朝市君にお願いをいたします。
  24. 伊藤今朝市

    伊藤参考人 いろいろの問題について申し上げたいと思います。  昨年の四月に融資保険の制度が廃案になりまして、その後衆参両院でそれにかわるべき新しい保険制度をこしらえるという御決議だけになっておりますが、今日になってまだその制度ができません。ぜひとも一つこれにかわるべき適当なる案をこしらえていただきたいということを切望いたします。  それから、ただいまの資金状態でありますが、われわれが一番問題といたしておりますのは、昨年の金融逼迫以来、大企業支払いが現金であったものが手形になり、手形であったものが済度が非常に長くなるという現状を来たして参りました。現在では、今まで六十日の手形であったものが九十日あるいは百二十日、はなはだしいのになると百五十日以上の手形の支払いを受けなければならないような状態になっております。これは、中小企業がそういう手形を受け取りましても、割ることができないような問題があり、また済度が長くなりますと、手形の割引のワクが——済度が倍になればワクが倍要るわけであります。ところが、現在商工中金等においてそれほどたくさんの資金がないのでありまして、この問題につきましては、昨年十一月十四日にわれわれ全国の代表者会議を開きまして、そして公取へ行ってぜひともこの下請への支払いを促進してもらうように要求しましたが、公取では、予算がないからそういう調査はとうていできない、一年に一ぺんくらいしか調査する余裕がないというようなことで、公取の運営というものは実に無能であるということを私は痛感して参りました。そういうことで、現在一番困っておりますのが下請に対する大企業支払い遅延及び手形の乱発ということで、そのために中小企業はこれに対する利息を負わなければならぬ、それからこれに対する割引の問題を考えなければならぬということでありまして、これは資金以前の問題として一つ十分に御検討を願いたい。大企業中小企業に対する支払いの遅延を何とか一つ行政措置において短縮することのできまするように一つお願いをいたしたいと思います。  それから資金源の問題につきましては、われわれは一番関心を持っておるのであります。  去る一月十四日にわれわれは全国中央会の金融委員会を開きまして、三公庫においでを願って、三月までの資金繰りについていろいろと御相談をいたしまして、状態を聞きました。  その節、商工中金では三月末までにどうしても二百億の資金を必要とする、それから中小企業金融公庫では八十五億の金を必要とする、国民金融公庫では六十五億を必要とする。  国民金融公庫のごときはごく零細な資金で、一人当たり平均二十七万円くらいな資金でありますから、こういうものが申し込んで一カ月も二カ月もたたなければ貸せないような状態ではほとんど役に立たない。であるから、資金繰りを無理をしないようにぜひしたい上には、どうしても六十五億要る。  結局三百五十億の必要資金を要するというわけで、われわれはそのことを大蔵省及び各政党へも陳情いたしておきましたが、これが先日百十億円の財政投融資と百五十億の買いオペ、合計二百六十億ということになって、われわれが三公庫と打ち合わせをいたしました額に比較いたしますれば、約九十億円の不足をしております。  九十億円の不足というものは、これは三公庫でいろいろやりくりをしてこれでやりましょうけれども、これはほんとうのやりくりであって、実際の必要を満たすことができないということであります。  それで商工中金などは本年の三月に短期資金五十億を政府に返さなければならないことになっておりますので、現在でも少しまとまった手形で三月末をこすものは現在割引ができないというような現状になっております。そういうわけでありますから、この資金源についてもせひ何とかしていただいて商工中金の五十億円の三月末の問題も繰り延べをしていただくようなことにしていただきたいと思います。  実際においてこの三公庫が現在中小企業ないし零細企業との直接取引になっておりますので、これが非常なやりくりでは、影響が直接に中小企業、零細企業に参りますので、この辺を一つ特に御相談を願いたいと思います。  それから保険の問題でありますが、保険は保険料が下がりましても、これは全国的に保証協会がその制度、その資金量すべてが違いますので、これもぜひ全国的に統一をいたして、保証料の引き下げをしていただきたいということを切望いたします。  以上であります。
  25. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、中小企業金融公庫総裁森永貞一郎君にお願いいたします。
  26. 森永貞一郎

    ○森永説明員 ごく最近の概況を簡単に御説明申し上げたいと思います。  最近の御承知のような金融状況を反映いたしまして、私ども公庫に対する資金需要は、近来特に激増をいたして参っております。  ごく端的に申し上げますと昨年の四月から十二月までの間に、直接貸付では、前年同期に対しまして約八割の資金需要増加でございましたが、そのうち第三・四半期だけをとってみますと、二三〇%——二・三倍の資金需要、申し込みの増加ということでございます。  代理貸しにつきましては、四月——十二月で二割二、三分の増加でございます。  そのうち第三・四半期だけをとってみますと、三九%、約四〇%近くの資金需要増、申し込みの増加ということに相なっております。代理貸しの方が低い数字になっておりますのは、これは、御承知のように、代理貸しにつきまして、あらかじめワクを各代理店に配りまして、その中で運用をいたさせておる関係もございますので、ワク以上にそう無限に申し込みを受けられないという金融機関、代理店のみずからの制約がございます関係で、今まで四割にとどまっておりますが、おそらくは正式な申し込みにならないでも、ウエイティング・リストに載っておりますものを全部集計いたしますと、やはり直接貸しにも劣らない資金需要増加に相なっておるのではないかと存ずる次第であります。  そのような資金需要増加を反映いたしまして、昨年十二月末における申し込みの手持ちを、毎月の資金払い出し可能額で割ってみますと、直接貸付につきましては、大体六カ月分の払い出し量に相当する申し込み、代理貸しにつきましても大体四カ月分に相当する申し込みというような非常な資金需要増加に相なっておるわけでございます。  そのような資金需要増加に応じまして、政府でもいち早く財政資金追加措置を講じていただいたわけでございまして、昨年中に二回、第一回は九十億、そのうち十億は短期資金でございました。第二回は四十億へこの四十億は準長期資金ですが、これだけの追加を見たわけでございます。その結果、当公庫の供給資金量の方は第三・四半期で三百五十九億、前年同期に対しまして、約三割の増加ということに相なります。もちろんこれで十分であったとは存じませんが、どうにかこうにか当面の資金需要を充足することができまして、ともかくさしたる問題もなく越年をいたしたような次第でございます。  次いで今年になりましてからの情勢でございますが、まだ申し込みの実績につきましての集計は整っておりませんが、従来にまさるとも劣らぬ資金需要でございまして、ますます申し込みが増加しつつございます。しかもそれに対する資金の供給の方はどうかと申しますと、これは従来第四・四半期はどちらかというと閑散期ということで、資金計画も第三・四半期に重点を置いて、この第四・四半期幾ら資金量を減らして参っておったわけでございます。先ほど申しましたような資金需要の増勢もございまして、追加をいただきました資金もすべて第三・四半期までに注入いたしました関係上、第四・四半期は当初の計画では第三・四半期よりも激減をいたし、百七十五億と第三・四半期の半分くらいになっていたのでありますが、これではこの資金需要の増勢に応じ切れないので、第三次の資金需要追加財政投融資をお願い申し上げておったわけでございます。それに対しまして一月末に先ほど来御説明がございました対策の一環として、私ども公庫にも三十五億、うち長期資金が二十億で、十五億は来年度の半ばに返す準長期でございますが、追加投資をいただくことになった次第でございまして、その結果この当初の百七十五億の計画が二百十億という数字に相なった次第でございます。この二百十億を前年同期の数字に比べますと、五割六分くらいの資金供給量の増加と相なるわけでございます。最近の資金需要の大勢から申しますと、もちろん多々ますます弁ずということではあると存じますが、財政投融資につきましても、非常に困難なところを捻出していただきました貴重な資金でもございますので、私どもといたしましては、さしあたりこの二百十億の資金をもちまして第四・四半期をどうにかやり切って参りたいというふうに考えておる次第でございます。追加額のうち十億くらいを二月に、それから三月がやはり一つの区切りでございますので二十五億を三月に追加投入いたしまして、当面の資金需要にこたえたいというふうに考えております。  なお私ども公庫は、従来設備資金需要増加が非常に多かったのでございますが、昨今の金融情勢を反映いたしまして、運転資金の方の需要の増勢が昨今は著しくなっておるようでございます。私どもといたしましても、これらの資金需要の大勢に処しまして、運転資金の供給の方を少しふやしていかなければならないのではないか、そんなような心組みで、直接貸しはもちろんでありますが、代理店貸しに対しましても指導をいたしておるような実情でございます。  以上、簡単でございますが、主として第四・四半期資金需要、それに対する供給を中心といたしまして申し上げました次第であります。
  27. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、国民金融公庫理事松田文藏君にお願いいたします。
  28. 松田文蔵

    松田説明員 それではごく簡単に御説明申し上げます。  国金の三十六年度年度当初の普通貸付の年間計画は千六十九億であったのでありますけれども、先ほど来のお話のように昨年第二・四半期から第三・四半期にかけて資金追加をしていただきまして、資金計画としては年間千二百十三億になりました。さらに今回二十五億の資金措置を講じていただきましたので、その分だけ増加する、こういうことになるわけでございます。おかげさまで、最近の事態に対処して相当額の資金の増配を御配慮下さいまして、年間計画としては大体においてまあまあやっていける、こういう見通しを持っておるような次第でございます。  最近の情勢でございますが、第三・四半期、年末貸付につきましては、公庫といたしましては四百九十六億という公庫始まって以来の大きな金額の貸付を実行いたしました。その関係で今年に持ち越した申込額も約百十億でございます。一昨年が百四億でございましたが、今回は若干ふえました。けれども、金額の全体が非常に大きくふくらんでおりますので、その点を総体的に考えますと、貸し付け得るものは貸付できた、こういう感じがいたしておるのでございます。そういうことで越年をいたしたわけでございます。  この第四・四半期の見通しの問題でございますけれども資金計画としましては、一応当初計画は百八十二億でございます。第四・四半期は従来の例でございますと比較的に閑散期になるのでございますが、それにいたしましても、前年が百五十三億余りでございましたので、それが百八十二億になっておりますから、二割増の資金計画になっておる次第でございます。それがさらに今回二十五億が加わりまして、約二百億程度の金は貸付し得る、こういうことに相なっておりますので、従来の例から見ますと相当の貸付増が今回は行なえる、こういうふうに考えていいのじゃないかと思っておる次第でございます。  一月の申し込みの状態を一応集計をとっておるのでございますが、前年同期に対しましては一七%ぐらいの増になっております。見込みとしては二〇%いくのじゃないかと考えておったのでありますけれども、一応一七%の増、こういうことに相なっておる次第でございます。もっとも二月、三月は、やはり前年よりももう少し増加工合は上がっていくのじゃないか、かような考え方を持っておるのでございますが、御承知のように零細業者の非常に大せいの方の申し込みを受けますし、その動向についてはばく然とした経済統計その他をもって判断するわけに参りませんので、公庫の支所も八十八カ所でございますし、代理所も七百余りございますので、全部が一体になって今後の経済の——経済と申しましても、私どもの客層の動き、特にこの引き締めの事態に応じてその影響がどういうふうに出てきて、どういうふうに公庫の窓口に現われてくるかということについては、情勢の把握ということには努めまして善処していきたい、かように考えているような次第でございます。  現在のところ、一月になって私ども役員が各地に参りまして、所長を集めまた外部の方とも会ってお話を伺っておるのでございますが、比較的に平穏でございます。問題はやはり三月からもっと先に移っていくのじゃないか、こういう見通しも立てておるのでございますけれども、これはしかし個々のお客さんとお話するというわけにもいきませんので、十分に注意して対処していきたい、皆様方の御期待に沿うべく私ども全力を尽くしたい、かように考えておりますので、どうぞ一つよろしくお願いいたします。
  29. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 以上で各公庫、金庫の方々の説明は終わりました。     —————————————
  30. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 引き続き両案についての質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。中村重光君。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 両案に対して質問をいたしたいと思います。幸い大臣がおいでになりますから、一言お尋ねいたしますが、先日予算委員会で永井委員の質問に対して池田総理から、中小企業は大企業ほど金詰まりではないんだ、こういった御答弁がありました。比較のことで申されたといたしましても、私意外な感を持って聞いたのでございます。ただいま大臣もお聞きの通り、中央会の常任理事の意見あるいは各説明員の意見を聞いてみましても、中小企業金詰まりというものは非常に深刻である。通産大臣としてこの中小企業金融の実態というものをどうお考えになっておられるか、その点に対してお考えを聞かしていただきたいと思います。
  32. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 実は私きょう予算委員会が始まらないというものですから皆さんが参考人を呼んでいらっしゃるということですから、私も聞きたいと思って参上したのですが、つかまりましてお尋ねをいただいたので……。  私ども同様に、中小企業ばかりではございません。企業全般についての金融の実際と申しますか、実勢、これはどうしても十分把握したい、かように思い、今日まで努力して参りました。御承知のように、景気の調整策に入りまして、いろいろの手を打って参りましたが、なかなかこれというきめ手がない。最後に金融引き締めという処置をとって参りましたので、これが各方面に非常な影響を与えておる、かように実は思い、経済の発展、伸長にどういうように影響しておるか、絶えず気をつけておるわけでございます。今日まで総理のお答えにしても、私の永井さんに対するお答えにいたしましても、金融引き締めの際総体的に非常にお困りに違いないが、それにしても中小企業に対しては、特にその実態等についてわれわれとすれば理解をしたつもりで、理解のほどを年末融資等の増額、そういう形で、資金増額で手当をしたのだ、こういうお話を実はいたしたのであります。先ほど来三公庫の方々からお話を伺いましても、最近の経済の拡大といいますか、伸展と申しますか、これは予想外に拡大されております。従いまして、金融を積極的に引き締める、こういたしますと、引き締めの効果もなかなか及びかねますが、また同時にある程度資金をふやすと申しましても、その事業内容が拡大しておりますから、ふえた効果というものが一部で考えるようにはなかなかいきかねるのであります。先ほどのお話を聞いておりましても、もちろん繰り越しの金額が前年に比べて大差がない状況である、こういうことをいわれましても、それでは貸し出した方はどうかというと、貸し出した方の金額は例年に見ない増加されたものだと思います。それだけ経済が拡大されておるというその実勢を私どもも十分見ていかないと、融通を受けない部門が非常に困ったことになるだろう、こういうことを心配するわけであります。ただ総体的に申しますと、昨年末に私どもが心配したような事態は比較的起こらなくて済んだのじゃないか、この意味で金額の多い少ないという御批判はございますが、政府のとりました臨機の措置は相当効果を上げたのではないか、かように私は見ております。  一——三月については、先ほど来お話がありましたように、大体第四・四半期というものは、在来の例から見ますと、そう特別に手当をするということでなしに経過しやすい期だと思います。大体は第三・四半期に手当をいたしまして、第四・四半期はその収縮状況を見るというのが普通でございます。しかし、今回の金融措置長期資金よりも短期資金が相当にあったということもございますので、第四・四半期につきましても例年に見ない手当を必要とするのではないか、かように考えまして、これまたおしかりを受けるかわかりませんが、ある程度金融措置をしたということであります。しからば今度は、年度が変わったら一体どうなのか、年度が変わると在来の第三・四半期、第四・四半期に短期融資をいたしておりますだけに、それらの回収についての処置もしていかなければならないのではないか、だから今の処置というものがある期間引っぱっていかれる、そういうことで、金融の実態から申しまして収縮をいたすにいたしましても、その悪影響をできるだけ減殺することにもなるのじゃないか、かように実は思いますので、大蔵当局ともそういう意味の話し合いはいたしておるわけであります。私は今の措置で十分とは絶対に申しません。大勢として大企業についてのような思い切った引き締めをしておるそういう際に、金額はわずかでも中小企業の特異性というものを考え増額した措置、これは一つ超党派的で御支援をいただきたい、かように思います。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 もちろん私ども中小企業金融難の打開、中小企業の抜本的な強化対策を講ずることについて、イデオロギーにとらわれたような発言というものはいたしておりません現在の中小企業の実態はそういった余裕がない非常に深刻であると考えております。三公庫の幹部の人たちはやはり大臣あるいは大蔵省、そういった方々の前での発言というものは比較的に遠慮されたような発言がある。またそういうことが報告の中にもともとすれば出てきて、安易な気持を持たせるといったようなきらいがなきにしもあらずと私は思うのです。東京興信所が調査いたしておるのを発表いたしておりますが、一年間に倒産した事業件数一千二百件、戦後六番目ということがいわれておるのであります。そういった例、あるいはまた大企業金融調整という形の上において金詰まりが来ておる、そのしわ寄せというものが取引条件の悪化ということによって中小企業しわ寄せされておることは、これは議論の余地がありません。従いまして、先ほど森永総裁の説明の中からうかがいましても、非常に直貸しあるいは代理店貸しという面におきましても申し込み件数の三あるいは四〇%消化しておるにすぎないのだ、そのように考えておるわけであります。これに対しましての大臣の取り組む考え方、これに対してはいずれまた適当な機会に、きょうは時間がないようでございますから、伺いたいと思うのであります。  さらにまた、申し上げるまでもないことでございますけれども中小企業金融難に陥っておる、非常に困っておるということから、そのつど金融措置をすればいいんだ、こういう態度というものでは、中小企業のほんとうの強化発展をはかり、二重構造をなくするということにはならないと私は思うやはりここには抜本的な意欲的な政策というものを講じていくのでなければならない、このように考えるわけでございます。まあしかし、ただいま申し上げましたように、非常に重大な問題でございますので、きょうは時間もありません。大臣も時間がないようでございますから、いずれあらためて大臣に対する質問はいたしたい、このように考えます。  法律案に対して質問をいたしますが今度商工組合中央金庫法の一部改正、さらに中小企業信用保険公庫法の一部改正、この二つ法律案が一本にまとめて提案をされておる。これは私は融資の面におきましても、片や政府出資一方は財政投融資である、こういった面からいたしましても、これは異質のものであるというように考えられるわけでありますが、これを一本にして提案されたのはどういう根拠によるのか、その点を伺いたいと思います。
  34. 大堀弘

    大堀政府委員 本日いたしましたことは格別の意味はございませんが、いずれも組織法に関する商工中金及び保険公庫という二つ機関についてのたまたま出資が主体の改正でござますので、便宜取り扱い上一本にしたということでございます。特別のそれ以上の理由で考えているわけではございません。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 別に特別の意味はない。便宜やったのだ、こう言われるわけでありますが、やはり異質のものを一本の法律として、改正案として出すということに対しては、これはどうかと思うのでありますが、この点に対しては差しつかえないという考え方の上に立っておられますか。
  36. 大堀弘

    大堀政府委員 一本で差しつかえないという見解を持っております。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 中小企業信用保険法は別の法律で出す、これは法的に適当でないからという、こういう考え方ですか。
  38. 大堀弘

    大堀政府委員 保険法の方は、保険でございますので、非常に技術的な事項がありますので、これはまあ全体三つ一緒にしても法律としておかしいということはないかと思いますが、われわれの事務的な検討の事情もございまして、保険法の方は多少やはり技術的でございますので別途な扱いにいたしたわけでございます。それ以上の理由はございません。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 どうも法律案改正としてはあまりにも便宜主義だという感じがいたします。まあこの点に対してはいま少しく検討してみたいと思うのでありますが、やはり法律案改正というものは、従来別々の形で提案されておったと思う。だからやはりそういう形で法律案は別々に提案される、こういうことが適当ではないか、こう思います。一応この点に対しての質問は留保いたしまして質問を続けてみたいと思います。  この第七条に、輸出組合、輸入組合あるいは輸出入組合、これを追加しておるわけでありますが、これの追加の理由、その必要性、これに対してお答え願います。
  40. 大堀弘

    大堀政府委員 輸出組合につきましては、輸入組合、輸出組合と形式上そろえておるわけでございますが、実質的には輸出組合が中心であると考えております。この輸出組合につきましても、従来商工中金の所属資格団体になっておりませんために、たとえば真珠の輸出組合等におきましては別に協同組合を作りまして、そうして二重の機構を作って商工中金から融資を受けておるというようなことをやっておるわけでございます。私どもといたしまして、やはり輸出振興という見地から考えましても、輸出組合であっても、かつ中小企業者が、これはもう当然中小企業者が主体になっている場合、これは一般の協同組合と同じでございますが、その場合においては直接商工中金から借りられるというふうに直すことが適当ではないか、かように考えまして、そういう意味で今申し上げましたような例もございますので、新しく資格団体に追加いたしたいということで案を提出いたしておるわけでございます。輸出組合の中でも、大企業が中心になっておりますものは適用にならないわけでございまして、現代輸出組合は三十三でございますが、この商工中金に所属する資格のある組合といたしましては、組合員の三分の二以上が常時三十人以下の従業員を使用する中小規模の貿易商社でございますが、これが三十三のうち十五でございます。これは主として組合の共同施設事業とか、あるいは組合員の集荷のための資金というようなものを金庫から貸し出しができる、こういう体制を認めるということでございます。趣旨と申しましては、やはり輸出振興という立場も考えまして、私どもとしましては、そういう扱いをしてしかるべきではないか、かように考えて資格団体に追加をいたしたい、かようなわけでございます。
  41. 中村重光

    中村(重)委員 実は私どもが非常に重視するのはその点にあるわけなんです。輸出振興ということは、もちろんこれは大切であります。ところが、この輸出重点ということにおいて、商工中金に対する融資というものがやはりそれに片寄っていく、こういう形になって参りますと、これに伴って資金量をふやしてもらえばいいわけですけれども、なかなか資金量はふやさない、輸出をふやすためにこれに融資が片寄るということになって参りますと、一般の中小企業金融というものが非常に窮屈になる、こういうおそれがあると私は思うのであります。そうした点に対しての配慮を持っておられるかどうか。
  42. 大堀弘

    大堀政府委員 私ども、この点については特に輸出組合を入れますために全体の資金量に圧迫を加えるような結果になりませんように十分運用上考えて参りたいと思いますが、現実的にはそうたくさんのものが、また輸出金融までやるつもりはございませんので、そういった御心配のような事態を生ずることはないと考えておりますが、運用の面においても十分注意をして参りたいと思います。
  43. 中村重光

    中村(重)委員 輸出金融はやらない、こうおっしゃるんですが、輸出金融であるなしというようなことはどういう基準でこれを判断をいたしますか。そういうことにならないというんですか。はっきりそういう制度をお作りになるのですか。
  44. 大堀弘

    大堀政府委員 外国為替の割引事務等は現在扱わないということになっているので、そこまでは扱いません。ただ国内の集荷資金あるいは共同事業をやります場合の資金、そういうものを主として考えておるわけでございます。
  45. 中村重光

    中村(重)委員 私どもは、そういう窮屈な意味で輸出金融であるとかそうでないとかいうことは言わない。また中小企業というものは、そうしたはっきりした形で資金繰りをやるという形の余裕というものは私はないと思う。やはりこういう制度をお作りになる以上は、十分資金的に手当をしていく、こういう考え方というものがなければならない、こう思うのであります。大月銀行局長考え方をちょっと聞いてみたいと思います。
  46. 大月高

    ○大月政府委員 ただいま長官から御説明がありました輸出金融につきましては、いろいろ広い意味、狭い意味があるかと思います。今の商中のやります輸出金融は、少なくとも先ほどお話のございましたようないわゆる輸出貿手の割引、これは組合に対してはやらない、またやれない、こういう建前になっておると思います。ただ一般に輸出の前の段階の集荷資金、輸出前貸し、こういうような問題を輸出貿手の形によらないでやるということは実行しておられるはずでございまして、またその範囲においてこの中小企業金融にも役に立たせるということで考えて参りたいと思っております。
  47. 中村重光

    中村(重)委員 次に、第六条の七に、「商工組合中央金庫資本金ヲ二十億円増加」する。こういうことになっておるわけでありますが、先ほど来からいろいろ参考人あるいは説明員の報告によっても明らかなように、中小企業金融公庫の資金量というものは、幾らあっても足りない、こういう実態であります。特に私ども資本金に相当重点を置かなければならないと考えますのは、いわゆる貸付利率の問題でありまして、資本金をふやしていくのでなければ、商工中金の貸付利子は下がって参りません。中小企業の今日の実態は、やはり資本金をできるだけふやして金利を下げていく、こういうことが必要になってくると思うのであります。かつて商工中金に対して指定預金をしておられて、これを引き揚げられたそのことが、融資に際して相当貸付利率というものが高くなってきた、これは否定できないわけでありまして、いろいろとむずかしい関係もございましょうけれども、この指定預金の制度を復活する、これが望ましいものであるということは、ひとり商工中金だけでなくて、中小企業金融緩和、利率の引き下げ、これを考えておる人のひとしく期待しているところであろうと思うのであります。そういったような意味から、この二十億というものをもっとふやす必要があると思うのでありますが、通産省としてはこれを大蔵省にどの程度要求して二十億というものが認められたのか、まず当初要求されたのは、私聞くところによりますと、たしか八十億程度要求したやにも聞くのでありますが、まず二十億に決定をした経過またこれでいいかどうか、これらの点に対して伺ってみたいと思います。
  48. 大堀弘

    大堀政府委員 御指摘のように、私どももできるだけ政府機関中小企業向け貸し出しの金利を引き下げる方向につきましては努力をしていかなければならない点であると考えておりまして、その意味におきまして、実は商工中金に、当初の要求としましては百億円の出資ということで要求をいたしておったのでございます。  出ました結論は二十億でございますが、今日の段階で一般的な金利水準引下げの措置をとるということは、時期的に必ずしも適当ではないのじゃないかという時期的の問題もございまして、   〔委員長退席、岡本(茂)委員長代理着席〕  この点についての要請は私どもとしても遠慮いたしまして、資金量の確保ということに重点を置きまして、財政投融資面の増額をはかったわけでございます。  二十億につきましては、金利水準の変更ということではございませんけれども商工中金の特に長期の貸付金利が非常に中公と比べて高くなっておる、それで、十億の出資を得ましたこの機会に、長期の金利は多少手直しをして、一厘程度引き下げるようにということにいたしたいと考えておる次第でございます。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 ただいまの答弁は、非常に消極的だと思います。  もっと積極的な態度で中小企業庁長官に臨んでもらうのでなければ、私はだめだと思う。商工中金資金というものは、財政投融資にいたしましても非常に短期である、これは大きな問題点となっておるわけであります。  さらに、先ほど私が申し上げましたが、指定預金、法律的にはいろいろの疑義もある、こういうことも言われておるのでありますが、これを復活するという意思が大蔵省はないのかどうか、もしこれができないとすれば、今日の中小企業金融の実態から考えて、何かこれにかわるいわゆる金利を安く中小企業に融資するという考え方の上に立った特別の措置考えられないかどうか、その点を伺ってみたいと思います。
  50. 大月高

    ○大月政府委員 国庫余裕金の指定預金の問題につきましては、従来からいろいろ問題がございまして、商工中金につきましても、かって六十二、三億ございましたのを引き揚げたのであります。ほかの金融機関にございましたものも全部引き揚げたわけでございます。  これは一つ法律上の疑義がございまして、政府としてこういう措置ができるかどうかという点について、会計検査院の御指摘がございましたので、引き揚げたような次第でございます。  その他実態上の理由といたしましては、国庫金を統一的に運用するという面からいきまして、各金融機関に分散して預金をするということは、国庫の統一運用を害するというようなこと、あるいは一度指定預金をいたしますと、政府の都合で引き揚げたい場合になかなか引き揚げにくい。  特に趣旨が中小企業金融というようなことにありますと、前回の場合にも数年にわたって——約束は多分三カ月の期限であったかと思うのでありますけれども、これが数年にわたって据え置かれたというようなことでございまして、国庫の立場としては非常にむずかしいというような事情がございます。  それで、ただいまのところ、大蔵省としては指定預金を復活するつもりはないわけでございますが、今のように財政上の引き揚げが非常に強くて金融に圧迫を加えておる、これに対してどうするかという検討は続けておるわけでありまして、それに対しては先般来の三政府機関に対する資金追加もその一環でございますし、あるいは市中金融機関の持っております金融債資金運用部で買い上げまして、これを放出するということもやっておるわけでございまして、これは全般的な資金の調節及び全体としての中小企業金融に対する考え方でございます。  具体的にそれでは商工中金について金利を下げるためにどうするかということになりますと、仰せのように、出資をするのが最善の方法であろうと思います。しかし、この原資は、御存じのように、産業投資特別会計の原資でございまして、非常に限定的なものでございます。そういたしますと、他にかわるべき方法といたしましては、やはり金融債を引き受けるということになろうかと思うのでございますけれども、それも長期の金融債と短期の金融債とございますが、比較的安い短期の金融債を中心にして引き受けていく。それが現在の商工中金貸し出しペースとにらみ合わせまして、ある程度資金緩和に役立っておるんじゃないか、こういうふうに考えております。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 いろいろ考え方もあるようですが、ともかく指定預金が法律的に疑義がある、こういうことでありますならば、出資をして資本金をふやしていく、ともかく資金量をふやして、しかも安い金利で貸付ができるように特段の配慮を強く要望しておきます。  第二十九条に「其ノ他ノ金融機関」というのを追加しておるわけですが、これはどういう理由からまた必要からこれを追加されたのですか。
  52. 大堀弘

    大堀政府委員 現行法の規定によりますと、「主務大臣認可ヲ受ケタル銀行」にだけ預金ができるとなっておりますが、銀行という名前で、相互銀行までは銀行ということで読んでおりますが、信用金庫あるいは信用協同組合というものは銀行という概念に入りませんものですから、これを相手にすることができないというのが現状でございますが、御承知のように信用金庫も十年以上の歴史もありまして基礎も非常にかたくなっておりますから、やはりこれらにも同じように預金ができるというように改めることが当然ではないか、かように考えまして、またこれによりましてこういった面に対する商工債券の発行等をふやしていくということも可能になろうかと考えまして、そういう意味で「銀行」とあるのを「銀行其ノ他ノ金融機関」と改めたいというふうに考えた次第でありますす。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 おそらくこれの最大のねらいは、商工債を消化させるということにあるのではないか、こう見ておるわけでありますが、これに対してはいろいろと議論もあるところであります。  この商工債重点になり過ぎるということは安易な金融だ、こう思うのであります。商工債に重点を置くために、ここでいわゆる貸付金利が非常に高くなってくる、こういうことになるわけであります。しかしこの点は、商工中金が商工債というものに相当なウエートを置いてやっておることでありますから、この法律案改正の中でこれはやむを得ないと思うわけであります。また根本的な問題としては、さらに議論を深めて適切な方策を講じなくちゃならぬと思うわけであります。  次に、この改正案の問題点の一つであろうと思うのでありますが、「商工債券ノ所有者ニ対シ主務大臣認可ヲ受ケ当該債券ヲ担保トスル短期貸付ヲ為スコト」、これでありますが、これは一種のサラリーマン金融だ、私はこう見ておるのであります。そうでないかどうか、これもまたいわゆる商工債を消化するということに相当なねらいがあるのではなかろうか、こういうように見るのでありますが、この点どうでしょう。
  54. 大堀弘

    大堀政府委員 私どもといたしましては、これはやはり商工債券の売れ行きを拡大するというのがねらいでございまして、この貸付の制度につきましては、それを促進する意味考えておるわけでございますが、運用としても余裕金の運用に限っておるわけでございます。余裕金の運用としてこういった債券担保の短期の貸付をやる。従いまして貸付の比率も制限する、一人当たりの最高限度もきめていく、こういうことで縛っておりまして、こういうことができることによって債券の売れ行きを広めることができると考えておるわけでございます。そういう意味で制度の貸付全体の運用を大きく変えるという考え方ではございませんので、御了承をいただきたいと思います。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 端的に言って、このやり方はいわゆる両建債券あるいは割引債券という形にもなると思います。確かにこういういろいろな制度を作って商工債券消化させていこうということですね。これは一種の逃げ場ですね。非常に安易な行き方だ、健全な方向というようには受け取りかねる面があるわけであります。  今度の商工組合中央金庫法と中小企業信用保険公庫法の二つ法律改正に対して、これを一本の法律として提案をしておる。これに対しては私ども疑義があるわけであります。大堀長官としては別に特別の意味はないのだ、便宜こういうことをやったのだという答弁であったのでありますが、法制局としてはこれに対してどういう見解を持っておられますか。
  56. 吉國一郎

    吉國政府委員 ただいまの商工組合中央金庫法の改正中小企業信用保険公庫法の改正とを一本の法律案とした理由についての御質問でございますが、私どもといたしましては、商工組合中央金庫法もまた中小企業信用保険公庫法も、いずれも中小企業金融につきましてのいわば組織法でございまして、その組織法につきまして昭和三十七年度予算において認められました組織上の変更を加えるということを内容としておりますので、法律の趣旨といたしましては全く同一の趣旨に出るものでございますので、一本の法律として商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案として処理する方が、法律改正の体裁としては整うという考え方でございます。  同時に、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を提案いたしておるわけでございますが、中小企業信用保険法の一部改正案の方は、商工組合中央金庫法等の一部改正案とは異なりまして、予算に直接関係を持っておりませんことと、商工組合中央金庫法等の一部改正のごとく中小企業関係金融機関の組織を定めるものではございませんで、いわばその中小企業金融の行為について規律する法律改正でございまして、やや趣旨を異にする点がございますので、別の法律案にいたしました。さように考えております。
  57. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいまの問題に関連をしてお伺いをいたします。法制局部長の答弁によると、両法が中小企業金融の組織に関する法律として共通点がある、さらに予算によって変わったのだから一緒にしたのだということなんですが、私が今まで常織として考えておるところは、一つ法律をもって他の法律改正をする場合は、その法律が制定あるいは改正せられることによって他の法律に影響があるというような場合に附則でやったと思うのです。あなたのおっしゃるようなことであるなら、なぜ改正法案の見出しを商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案としなかったのか。商工組合中央金庫法ということを先に出しておいて、その中の二条において中小企業信用保険公庫法を出すということになるならば、一方が主であって一方が従になる。商工中金改正中小企業信用保険公庫法の改正との間にどういう関連がありますか。
  58. 吉國一郎

    吉國政府委員 ただいまの御質問でございますが、先ほどお答え申し上げました中で、同一の趣旨に出ると申し上げましたのは、商工組合中央金庫及び中小企業信用保険公庫に対する政府出資増額という点、これは今後の両機関の運営につきまして非常に重要な意味を持つことでございますが、その点において共通しておるということは、法律制定の理由といたしまして、これは一番重要な事項であると私ども考えたわけでございます。  それから、従来は一定の事項を本則に置いて、たとえばある甲なら甲という法律改正して、それに伴うものを附則で改正するというのが例であったではないかということでございますが、その点はまさにその通りでございますけれども、本件の場合はそれとは異なりまして、商工組合中央金庫法の一部改正中小企業信用保険公庫法の一部改正とは、商工組合中央金庫法の改正をいたしたがために中小企業信用保険公庫法の改正をいたすという趣旨のものではございませんで、いわばそれぞれ独自の改正内容でございますが、先ほど申し上げましたように、政府出資増額をいたすという点において相当重要な要素が共通をいたしておりますので、一本の法律にしたということでございます。  それから第三に、それでは何ゆえに中小企業信用保険公庫法ということを題名に掲記しないかというお話でございますが、この点につきましてはまことにその通りでございまして、商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律といたしましてももちろん差しつかえございませんし、あるいはそうすることも確かに一つ考えと思いますが、内容も非常に少なうございますし、それから分量から申しますと、商工組合中央金庫法の一部を改正する部分がやや多いという関係から、従来でも二つ以上の法律を一時に改正する場合には何々法等の一部を改正する法律、あるいは何々法等の一部を改正するほかにまた廃止、その他のことがございます場合には、何々法を改正する等の法律というような題名を使ってやって参ったわけでございますので、今回も商工組合中央金庫法を先に掲記いたしまして、その等の一部改正という格好にしたわけでございます。  それからもう一つ商工組合中央金庫法を前に出しましたのは、法律の制定の順序に従ったわけでございまして、商工組合中央金庫法が昭和十一年の制定であるのに対しまして中小企業信用保険公庫法は昭和三十三年でありますので、商工組合中央金庫法を第一条にいたした。そして先ほど申し上げましたように、商工組合中央金庫法の改正の部分がやや長いということもあわせ考えまして、商工組合中央金庫法等の一部改正という題名にいたしたわけでございます。
  59. 田中武夫

    田中(武)委員 いろいろと理屈を言っているが、私はこういう形式は認められない。なるほど中小企業金融に関する組織の法律であるという点は双方の共通点です。それなら今後あらゆる法律も、探せばどこかにそういうような共通点が出てくる。従って、予算によってというなら予算関連法律案は二本か三本で国会は終わるということになるのです。こういうくせはつけたくない。これがかりに成立した場合には、この法律はやはり昭和三十七年法第何号ということで施行になると思うのです。そうした場合に、中身が分かれて、一つ商工中金の方の法律にいく、一つ中小企業信用保険公庫法律にいく、そういうふうに分解するわけです。従って、そういうことは、便宜的だか何だか知りませんが、題名は「等」となってごまかしておりますが、一方が主としての攻正であり、他がそれに伴うところの改正であるならいざ知らず、双方独立した、関連性のない一つ法律であります。従って委員長に申し上げます。この法律は、二つ法律改正の手続として出してこられない限り、われわれは審議を拒否いたします。
  60. 中村重光

    中村(重)委員 これは便宜主義もはなはだしいと思うのです。あなたは先ほど法律の体裁としてはこれがいいのだということを言うが、これはでたらめだと思います。これは体裁としては全くなっておらぬ、こういうことをやるべきでない、こう思います。ましてや一方は半官半民的な性格のものです。公庫そのものの性格が違う。しかもこの二つは人格が違っておる。それを一つの組織法的なものに、こういう形でこのような法律改正という非常に重要なものを便宜主義的におやりになる。しかも法制局が得々としてこれがいいのだと言うに至っては、私はまことにけしからぬと思います。このことに対してはいずれ、ただいま田中委員から発言がありましたように、私ども委員会としてこれに対する適当な態度を決定する、こういうことにいたしたいと思います。
  61. 田中武夫

    田中(武)委員 与党はそろっておりませんが、今からこれの撤回の決議案を出したいと思いますが、いかがですか。それとも委員会をやめて理事会で相談しますか。
  62. 岡本茂

    ○岡本(茂)委員長代理 暫時休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ————◇—————    午後零時五十五分開議
  63. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人の方々には、御繁忙中にもかかわらず、長時間にわたりましていろいろ御説明をいただき、感謝にたえません。厚く御礼を申し上げます。  本日はこの程度で散会をいたしまして、次の委員会は公報をもってお知らせ申し上げます。    午後零時五十六分散会