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1962-08-02 第40回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月二日(木曜日)    午前十時十七分開議  出席委員    委員長代理理事 古川 丈吉君    理事 秋山 利恭君 理事 永田 亮一君    理事 岡本 隆一君 理事 角屋堅次郎君       岡崎 英城君    上林山榮吉君       仮谷 忠男君    倉成  正君       田口長治郎君    田中 榮一君       馬場 元治君    保科善四郎君       森田重次郎君    井手 以誠君       稻村 隆一君    坂本 泰良君       田口 誠治君    中村 重光君       二宮 武夫君    玉置 一徳君  委員外出席者         内閣官房長官  黒金 泰美君         大蔵事務官         (主計官)   高柳 忠夫君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      五十嵐義明君         農林政務次官  津島 文治君         農林事務官         (大臣官房長) 林田悠紀夫君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  久我 通武君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君         農林事務官         (振興局参事         官)      橘  武夫君         林野庁長官   吉村 清英君         水産庁次長   村田 豊三君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      和田 正明君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    加藤 悌次君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建設事務官         (住宅局住宅総         務課長)    沖  達男君         自治事務官         (財政局財政課         長)      茨木  広君         自治事務官         (財政局理財課         長)      立田 清士君         日本国有鉄道参         与         (施設課長)  山口 和雄君     ————————————— 七月二十日  委員原田憲辞任につき、その補欠として綱島  正興君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員生田宏一君、大石武一君、綱島正興君、渡  海元三郎君、松澤雄藏君及び保岡武久辞任に  つき、その補欠として川村善八郎君、浦野幸男  君、田中正巳君、尾關義一君、森田重次郎君及  び中馬辰猪君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員田中正巳辞任につき、その補欠として綱  島正興君が議長指名委員に選任された。 八月一日  委員浦野幸男君及び纐纈彌三君辞任につき、そ  の補欠として大久保武雄君及び倉成正君が議長  の指名委員に選任された。 同月二日  委員大野市郎君、金子一平君、薩摩雄次君、首  藤新八君、正示啓次郎君、足鹿覺君、小林進君  及び中村英男辞任につき、その補欠として馬  場元治君、保科善四郎君、岡崎英城君、田口長  治郎君、田中榮一君、井手以誠君中村重光君  及び坂本泰良君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員岡崎英城君、田口長治郎君、田中榮一君、  馬場元治君、保科善四郎君、井手以誠君坂本  泰良君及び中村重光辞任につき、その補欠と  して薩摩雄次君、首藤新八君、正示啓次郎君、  大野市郎君、金子一平君、足鹿覺君、中村英男  君及び小林進君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件  派遣委員から報告聴取      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川委員長代理 これより会議を開  きます。  委員長所用のため、理事の私が委員長の職務を行ないます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  さきに七月上旬の集中豪雨による被害状況調査のため九州地方に派遣されました委員から報告を聴取することにいたします。秋山君。
  3. 秋山利恭

    秋山委員 去る七月二十六日から三十日に至る五日間にわたり、北九州における七月上旬の集中豪雨被害調査のため、岡本隆一委員二宮武夫委員玉置一徳委員と私が派遣され、また現地において議員稲富稜人君、同じく倉成正君、同じく中村重光君、同じく坂本泰良君、同じく白浜仁吉君の参加を得て、つぶさに現地調査いたしました結果を私から御報告いたします。  今回の災害は、去る七月一日以降梅雨前線活動により九州、西日本各地に断続的に集中豪雨があり特に三日福岡熊本両県の県境集中豪雨をもたらし、さらに七日夜半より八日早朝にかけて佐賀長崎県境太良山系中心に襲いました集中豪雨により、局地的には千ミリという驚異的な降雨量記録し、この間、特に時間降雨量において百ミリ以上という昭和二十八年六月これらの地方を襲った大災害時の記録をはるかに上回ったのであります。このため、福岡佐賀長崎熊本の各県におきましては、河川はんらん堤防決壊ボタ山崩壊地すべり等が起こり、道路鉄道寸断による交通途絶浸水家屋流失崩壊等被害が生じたのであります。四県におきましては、四百五十三名の多数の死傷者を出したのを初め、農林水産関係公共土木施設関係被害等総額にして実に二百八十五億円という巨額に達し、局地的災害としては、昭和二十八年の西日本水害昭和三十四年の諫早災害に次ぐものでありまして、その復旧は容易ならざるものがあるのであります。  以下、各県別に概要を御説明申し上げます。  まず佐賀県におきましては、県庁において、地方建設局農地事務局通商産業局から所轄各県の被害状況及び対策について説明を聴取し、次いで佐賀県当局より県下被害状況について説明を聴取した後、最も被害の大きかった武雄市、塩田町、鹿島市、太良町、嬉野町等の各被災個所について視察いたしました。  佐賀県においては七月一日から六日にかけて断続的な大雨があり、早くもがけくずれ等の被害が出始めたのでありますが、さらに七日夜から八日朝にかけて再び前線の活動が活発となり、特に有田、鹿島地方においては、時間雨量七十ミリ内外を記録したのであります。一日から六日までにすでに四百ミリから六百ミリの大雨があった直後のことでもあり、太良町で大きな山津波が発生したのを始め、県下各地昭和二十八年以来の大水害となったのであります。  本災害特色である局地的集中豪雨は、県南西部鹿島市、藤津郡、武雄市、杵島郡地方を襲い、被害は甚大をきわめ、主として六角川水系武雄川、朝見川、及び太良岳に源を発する塩田川鹿島川その他の小河川堤防が至るところに決壊し、濁流による家屋流失、倒壊が相次ぎ、軒下浸水はおびただしい数となり、また藤津太良大浦地区では山津波によって亀ノ浦部落を埋没し、三十数名の多数の死者と行方不明を出したのであります。被害の大きかった太良町、鹿島市、塩田町、武雄市、北方町、嬉野町に災害救助法適用され、官民一体となって救助に当たったのであります。  被害状況は、死者六十名、行方不明三名重軽傷者三百三十七名に上り、被害総額は百十億五千万円余に及んでおります。そのおもなものは、河川道路橋梁等土木関係被害は、約三千六百カ所、二十五億一千万円余で、農地水稲等作物被害林業関係水産関係被害が約四十七億九千万円余であります。次に住宅、学校の被害が約二十七億円で、住家の被害が大部分を占めております。次に商工関係被害でありますがその被害額は九億九千万円となっております。ちょうどお盆の中元売り出し用商品を仕入れてあってこれらの商品流失浸水さしたのが多かったのであります。  以上、佐賀県の被害額について概数を申し述べましたが、各県共通の問題はあとに取りまとめて申し上げることとし、本県被害特殊事情にかんがみ痛感した諸点を重点的に申し上げます。  まず第一は、直轄河川である六角川の早期完成であります。六角川は神六山に源を発し、白石平野を貫いて有明海に注ぐ延長二十五キロの河川でありますが、六角川河口住江橋武雄市の鳴瀬橋との縦断匂配は二メートルで、ほとんど落差のない河川でありまして、わずか五十ミリ程度の降雨によっても流域は水浸しとなり、毎年多額の被害をこうむる水害襲地帯であります。現在直轄河川として国により改修工事が行なわれておりますが、改修費五十億円のうちやっと本年までに五億円で、その改修工事もやっとその緒についたばかりでありまして、いまだ完成にほど遠いのであります。特に政府においては、木河川改修工事を急ぐ必要があると思います。  次に塩田川でありますが、本河川は今までにたびたび決壊しているのでありますが、特に今回は上流の嬉野町の被害を初め、塩田町では百五、六十メートル余の提防決壊が二カ所に起こり、多数の死傷者、行方不明を出し、家屋流失農地等被害が甚大で、復旧見込みも全く立たない状態であります。この際、本河川直轄河川に編入し、抜本的改修の必要を痛感するのであります。  また、塩田川の下流に位置する鹿島市は、太良山系に源を発した多くの小河川の集中するところであり、これら小河川の溢水、決壊により市街地周辺全域水浸しとなり、商工業農業関係に多大の被害をこうむっております。  次に、太良町亀ノ浦における権現山の地すべりであります。これにつきましては、われわれはすでに新聞、テレビ等によりその惨状は承知いたしておったのでありますが、その惨たんたる水魔のつめ跡は想像に絶するものがあり、亀ノ浦部落中心地三分の一を埋め尽くし、四十一名の死者を出す惨禍を招いたのであります。私たちが調査に参りました際も、なお二人の遺体が発見できないので、部落の人々が総出動してくずれた土砂を掘り起こして死体を探していたありさまは、全く悲惨な姿でありました。当地区は佐賀県における低開発地域でありまして、黙々として復旧作業に当たる住民の姿には、何か悲壮なものが感ぜられたのであります。政府はこれが復旧には急いで万全の措置をとるべきであります。  次に、長崎県について申し上げます。  長崎県においては、北松浦郡江迎町、佐世保市、川棚町、東彼杵町、大村市、諫早市、小長井村、瑞穂村、島原市等の各被災個所について視察いたしました。  長崎県においても、七月一日以降六日にかけて県下各地域に四百ミリ前後の降雨があり、そのため各地において地盤がゆるみ、きわめて危険な状態にあったのに対し、さらに七日から八日にかけて、川棚大村佐世保等各地域に二百ミリから三百ミリの多量の降雨をもたらしたため、多良山系中心に県中南部の大村湾に注ぐ諸河川有明海に注ぐ本明川ほか北高地方の諸河川及び南高河川提防決壊し、非常に大きな被害を受けたのであります。さらに江迎町においては、北松、日窒鉱業所ボタ山地すべりにより多数の家屋を倒壊し、鉄道道路寸断したのであります。八日から九日にかけて最も被害の大きかった十二市町村、すなわち市、大村市、東彼杵町、江迎町、有明村、高来町、小長井村、佐世保市、国見町、瑞穂村、吾妻村、愛野村に災害救助法適用されました。  県下被害状況を申し上げますと、重軽傷者十四名、被害総額は八十七億九千万円となっております。その内訳のおもなるものは、河川道路橋梁等土木関係被害は、約二千カ所、約二十三億五千万円、農地農作物林業施設等農業関係被害が約四十三億九千万円、住宅教育関係被害は約十四億八千万円、そのうち住宅被害が大部分を占めており、商工関係被害六億一千万円となっております。そのほかに、江迎町のボタ山地すべりによる被害が約十億円に上っております。以上が長崎県の被害概数でありますが、本県について特に痛感した諸点を申し述べます。  まず第一は、本明川上流改修工事促進であります。本明川は五家原嶽に端を発し、有明海に注ぐ河川でありますが、この地方は過去昭和三十二年及び三十六年と再三災害があり、災害襲地帯であります。復旧工事改良を多く加えたところは被害が少なかったのでありますが、原形復旧のところに被害が多かったことであります。三十二年に災害をこうむり、本年ようやく原形復旧を完了した個所が再び損壊しており、地元の痛手はまことに大きいのであります。特に本明川上流の各河川改修工事促進について、特段の留意が必要であります。  さらに、市の繁華街におきましては、満水になるとたちまち水位が上がるため、内水排除事業を施行しなければなりませんが、これには技術と巨額の資金を要するため、国の補助率引き上げ等、抜本的な対策が必要であると思います。  次に、江迎潜竜地区ボタ山地すべり被害についてでありますが、七月八日、集中豪雨により日窒鉱業江迎鉱業所ボタ山の一部およそ三百万立方米近い土量が流出し、炭住、民家二百十八世帯、国鉄潜竜駅、変電所鉄道、国道三百メートル及び江迎川三百メートルにわたり埋没したのであります。幸い事前に住民を強制避難させておりましたために、人命の被害は一人もなかったのでありますが、その被害は十億円をこえるものと見られております。応急工事として、河川のつけかえ工事道路鉄道排土作業が急がれておりますが、排土の処理について難点があるように聞いております。この地方炭鉱地帯でありますため、特に今後十分なるボタ山対策を講ずる必要を痛感いたしたわけであります。  なお、今次災害におきましては、ボタ山崩壊特徴でありまして、筑豊、唐津、北松炭田には危険なボタ山が数多く存在しておると聞いたのでありますが、これについては抜本的対策を立てる必要を痛感いたしました。  次に、熊本県について申し上げます。県当局から県下被害状況について説明を聴取した後、長洲町、三名市、菊水町、山鹿市、南関町、荒尾市等の各被災個所について視察いたしました。  熊本県においては、七月三日から九日にかけて県下全域を襲った豪雨は短時間のうちに集中し、特に山鹿市、南関町、鹿北村におきましては千ミリ以上の雨量に達したのであります。このため、小袋山周辺中小河川菊池川本流及び菊池川水系中小河川熊本周辺の諸河川等はんらんし、各所堤防決壊、がけくずれ、山津波による被害が頻発し、田畑が埋没、冠水し、道路各所決壊を見たのであります。このため被害の特に著しかった山鹿市、三名市、菊水町、荒尾市、南関町に災害救助法が発動されたのであります。  被害状況について申し上げますと、死者十六名、行方不明二名、重軽傷者は十八名に上り、その被害総額は約四十二億円に及んでおります。おもなるものを申し上げますと、河川道路橋梁等土木関係被害は、約二千八百カ所、十三億九千万円、農地農作物林地崩壊等被害が約二十二億八千万円、家屋教育関係被害が約十六億三千万円、工商関係被害が一億一千万円となっております。  本県におきましては、鹿本郡、三名郡一帯において特に被害が著しく、菊池川本流及び菊池川水系の各河川改修工事に特に意を用いなければなりません。菊池川堤防が改修していないために、六月の長雨、七月の集中豪雨に見舞われ、短期間のうちに三、四回も浸水した個所もあります。ゆえに一日も早く菊池川改修工事完成してほしいというのが、地元民の切なる要望でありました。  なお、県当局からは、最近町村合併により市町村の規模が大きくなったため、部分的な被害が大きくても災害救助法適用を受けられないところが多いので、この点について配慮してほしいとの要望がありました。  次に、福岡県であります。  福岡県におきましては、大牟田市において県当局から県下被害状況について説明を聴取した後、大牟田市、高田町、山川村、瀬高町等の各被害個所について視察いたしました。  福岡県においては、七月一日から八日にかけての降雨量は、局地的には九百八十六ミリという驚異的な数字を記録し、特にこのうち大牟田周辺地域におきましては、時間降雨量九十七ミリを記録し、二十八年大災害時の記録をはるかに上回ったのであります。これがため各所河川はんらん堤防決壊が起こり、道路鉄道寸断による交通途絶浸水家屋流失等による被災者の続出、田畑冠水流失等被害が相次ぎ、特に大牟田地域における被害激甚をきわめております。被害の大きかった大牟田市、山田市、高田町、瀬高町の四市町に災害救助法が発動されました。  被害状況を申し上げますと、死者二名、重軽傷者十二名、被害総額約六十一億二千万円余に及んでおります。内訳といたしましては、河川道路橋梁等土木関係被害は約十一億八千万円、農地農作物林地崩壊等被害が約二十一億円、水産関係五億六千万円、家屋教育関係被害が約二十一億五千万円、商工関係一億円等となっております。  大牟田地域においては、鉱害のため地盤の沈下が著しいのでありますが、臨鉱法の建前は、原形復旧でなく、効用回復ということになっているので、これを原形復旧原則としてほしいとの陳情がありました。また、高田町、山川村、瀬高町は、がけくずれ、地すべり被害が目立っております。視察した山川村の地くずれの被害個所におきましては、ミカン山の鞍部に亀裂を生じ、山くずれを起こし、いまだに部落民は避難しており、いつ再度の地くずれがあるかも知れず、仕事も手につかないありさまであります。このような地くずれは各所に起こり、今なお危険な個所が多々見受けられました。早急にこれが対策を立てる必要があるのであります。  なお、今回の災害に際しましては、いち早く自衛隊が出動し、被災者の救済、応急復旧工事に目ざましい活動が続けられたのでありますが、特に福岡県側からは、災害の場合は委託者負担となっているが、これを自衛隊法第八十三条による出動とし、地元負担を軽減してほしいとの強い要望がありました。  以上、佐賀県、長崎県、熊本県、福岡県の四県の被害状況について概略申し上げましたが、今回の現地視察の結果に基づき、重点的に総合的な所見を申し述べておきたいと存じます。  まず第一は、今次の激甚災害に対する立法措置についてであります。政府におきましては、去る第四十回国会において、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律案を提出いたしましたが、会期末に提出されましたために成立するに至らず、本院において継続審査に付されたのであります。本法律案が成立いたしますれば、今後起こり得る激甚災害につきまして、おおむね過去の激甚災害特例法並み地方公共団体に対する特別の財政援助あるいは被災者に対する特別の助成措置ができるわけでございますが、地元各県においては、本法案を早急に成立せしめ、今次の災害にも適用されるよう配慮されたい旨の強い要望がありました。さらに、本法律案におきましては、政令委任事項が非常に多いのでありますが、政令に盛られるところの大蔵省原案ではかなり不十分なものもあるので、この点につき特に配慮してほしい旨の要望がありました。今次災害に本法の適用がなされますならば、ある程度地元要望にもこたえることができるものと考えられますので、本法案は来たるべき臨時国会において早急に成立せしめる必要があると存じます。  第二は、農薬PCP被害対策についてであります。今回の集中豪雨によりまして、すでに出水前と水田に使用いたしました除草剤PCPが大量に有明海に流入したため、魚介類はほとんど死滅し、その被害は約十億円にのぼるといわれ、被害を受けた漁民はたちまち生業を失い、零細漁民はあすのかてを求めるすべもなく、社会問題としても険悪なる様相を呈しておるのであります。従いまして、今回の被害の実情にかんがみ、国は万全の措置をなすべきであります。関係漁民及び各県側から罹災漁民生活資金の交付、被災漁場清掃耕転、稚貝の導入まきつけ並びに採苗施設について適切なる措置の実施、魚毒性のない農薬の選定普及等について強い要望があったことを申し添えておきます。  第三は、治水事業促進であります。今回の災害は、いずれも中小河川溢水決壊に起因するものでありまして、この際、各河川治水事業計画の大幅な改訂と、繰り上げ施行の措置の必要を痛感いたしたのであります。従来の改修工事進捗状況を見ますと、はなはだ緩慢であります。従来の数倍の予算措置により早急に改修工事完成するよう切に望むものであります。  第四は、緊急砂防及び緊急地すべり対策であります。山地崩壊に起因する被害額が著しく大きいことも今次災害特色であります。今後の降雨により、さらに土石の流出による被害の再発、拡大が起こることも予想されますので、緊急砂防及び緊急地すべり対策事業早急実施がぜひとも必要であります。各県当局におきましても特に意を用い、それぞれ対策を講じておりますが、この際国においても強力な措置をとる必要があると考えます。  第五は、小規模災害に対する措置であります。今次の災害におきましては、小災害が多いのが特徴であります。各県におきましては、特に市町村の施行する公共土木施設の小災害復旧事業については、国庫負担基準を五万円に引き下げ、三万円以上十万円未満の農地農業用施設の小災害復旧事業について国庫補助の対象となるよう所要の措置を講ぜられたい旨の要望がありました。  第六は、公共土木施設復旧について改良復旧工法を採択することであります。従来から改良復旧工法の採択について被災各地においても強い要望があり、かつまた、当委員会におきましても常に論議が繰り返されて参りまして、近時原形復旧から漸次改良復旧に移行しつつあるようでありますが、いまだ十分とは言えないのであります。被災地を見ましても、改良を多く加えたところは被害が少なく、原形復旧を施行した個所被害が多いのであります。従いまして、関連工事を含み、抜本的な措置が必要であります。  第七は、災害復旧年限短縮についてであります。現行の復旧事業査定基準の進度では、復旧工事完成を待たずして再び災害を招く結果となるのであります。これは各県の要望のごとく、原則として初年度五割、次年度三割、三年度二割とすべきであると考えます。  第八は、排土事業等に対する特別措置であります。これにつまきしては各地で苦慮している問題であります。崩壊によって堆積した土砂排除は迅速かつ計画的に施行する必要がありますので、早急に立法措置を必要とするのであります。  第九は、国鉄復旧工事についてであります。今次の災害により、国鉄長崎本線、鹿児島本線、松浦線各所において浸水山津波等による被害をこうむったのであります。漸次復旧いたしておりますが、長崎本線多良駅−小長井駅間は不通でありましたし、松浦線潜竜駅付近は開通の見込みが立たない状態でありました。聞くところによれば、この種の国鉄復旧工事昼夜兼行でなされるのが例であるようでありますが、今回の復旧工事は比較的緩慢のように見受けられます。復旧工事は、一面被害地元民現金収入の道を与えることにもなりますので、特にこの点国鉄当局の再考を促しておきたいと思います。  なお、国鉄長崎本線及び大村線は海岸に沿って高く道床が築かれているため、小河川をせきとめる堤防の役目を果したし、ここに散在する部落等がため池のようになり、かつ道床を突き破った個所も多く見受けられたのであります。この点につきましても将来さらに検討を要する問題であります。  最後に、現地において特に要望のあった点について申し上げておきたいと存じます。  まず、路面の洗いはぎに対する措置でありますが、道路の場合、路面の洗いはぎによる被害額は相当額に達する実情であるので、これが復旧についても国庫負担の対象とされたい。  次に、応急復旧工事の基準緩和についてであります。応急復旧工事について、本工事が公共災害事業として承認される場合、応急仮工事についての基準を緩和されたい。  次に、被災農家に対する金融措置についてであります。これについては、天災融資法のすみやかな地域指定と自作農創設維持資金並びに農林漁業資金の貸付ワクを増額されたい。  また、開拓地農作物被害に対しましては、一般農家に対する措置のほか、営農振興臨時措置法に基づく災害資金の資付を講じ、特に被害激甚地の開拓者については、開拓者資金、系統資金の貸付並びに償還繰り延べの措置を講ぜられたい。  また、入植施設、開拓道路、水路、ため池等の復旧に対する補助率の引き上げと、農畜舎、サイロ、飲料水等の施設の復旧事業に対しましても特別の措置を講ぜられたい。  次に、被災水稲、蔬菜等に対する助成措置についてであります。被災水稲の再仕立苗代の設置、種苗の輸送、病害虫緊急防除のための機具購入、冠水農機具の修理等に対する特別措置、被災跡地に蔬菜の代作を実施するに要する種子購入経費に対する助成措置、ミカン等果樹園の復旧費に対する高率補助と樹勢回復に要する肥料、農薬の経費に対して助成措置を講ぜられたい。  次に、農地農業用施設復旧に対する助成措置についてであります。農地及び農業用施設、特にため池、頭首工等用水源の復旧は緊急を要するので、これに対する早急な予算措置を講ぜられたい。復旧工事設計書に計上する工事雑費を、物価の値上がり等を考慮して、三十三年度以前の通り四%に増額されたい。応急復旧工事の採択基準を緩和し、一地区五万円以上を三万円以上に引き下げること。本工事費の二割以内を三割以内とすること。  次に、林道復旧工事に対する助成措置についてでありますが、これについては、現行の国庫負担率を引き上げることにより、地方負担の軽減をはかるとともに、土木施設の場合と同様、三カ年を目途として復旧できるよう措置されたい。  次に、罹災中小企業者に対する復旧資金についてであります。これについては、国民金融公庫、商工組合中央金庫、中小企業金融公庫の低利長期貸し出しの資金ワクを増額されたい。また、中小企業信用保証協会が信用保険に付する場合の保険の填補率の引き上げ並びに保険料率の引き下げを行なうとともに、保険公庫の長期貸出金の増額をはかられたい。災害救助法適用地域の中小企業で災害の著しいものに対しては、国民金融公庫、中小企業金融公庫の利子を年六分五厘以下に引き下げられたい。石炭産業、紡績工業等の被害は相当額に上っているので、復旧事業費として開銀から特別の融資をお願いしたい。  次に、学校施設の災害復旧については、現行の国庫負担率を少なくとも四分の三まで引き上げられたい。  防疫対策について高率補助三分の二の措置をとられたい。  水道施設の復旧については、所要の助成措置をとるとともに、起債充当について特別に配慮されたい。  被害者に対する世帯更生資金及び災害援助資金の国庫補助についても補助率を引き上げられたい。  次に、起債充当率の引き上げ並びに特別交付税による補てん及び普通交付税の繰り上げ交付についてであります。  今回の災害対策は、各県ともに石炭不況との関連において財政的にもきわめて困難な中において処理しなければならない実情であり、特に施設復旧についての起債充当率については一〇〇%まで引き上げられるよう格段の配慮を願うとともに、一般財源をもって実施を必要とする災害諸経費については、特別交付税により十分な補てん措置をとられたい。  また、今次の災害災害救助災害対策並びに応急復旧工事のための経費として県並びに市町村に対し、普通交付税の繰り上げ交付について格段の配慮を願いたい。  以上は、私どもが視察して参りました被災地要望のごく一部を述べたにすぎないのでありますが、今次災害被災者の大部分が零細農家であり、零細商工業者であります。なおかつ、この地方災害襲地帯でありまして、逐年災害をこうむっており、あすの生活に不安を抱き、さらに再び秋の台風シーズンを迎え、不安と恐怖におののいている状況であります。政府におきましては、一刻も早く有効適切な措置を講ずるとともに、この際思い切った助成措置を講じなければ、民生の安定をはかることは不可能であると思います。罹災者諸君の心を心として、なお一そうの奮起を望むものであります。また、本院といたしましても必要なる立法措置を講ずるとともに、行政面に対しましても十分なる指導監督を行なう必要があると存ずる次第であります。  以上をもって報告を終わります。(拍手)
  4. 古川丈吉

    古川委員長代理 派遣委員各位にはまことに御苦労でございました。     —————————————
  5. 古川丈吉

    古川委員長代理 ただいまから質疑に入るのでございますが、官房長官があと七、八分しか時間がございませんので、官房長官に対する質疑を簡単にお願いいたします。井手以誠君
  6. 井手以誠

    井手委員 官房長官に二、三点お伺いをいたします。  今の調査団の報告に関連して二、三点お伺いしたいのは、第一は、政府が提案いたしました激甚災害特別財政援助法案についてであります。この法律案は公布の日より実施するということになっておるのでありますが、今調査団の報告があったように二百八十五億に上る被害があっておりますし、当然激甚災害適用を受けると考えるのであります。従って、政府はこの九州災害激甚災害の法律を適用なさるお考えであるかどうか。もし適用なさるとするならば、政府が進んで、遡及して適用するという原案修正を行なう意思があるのか、あるいはまた、国会の修正を待とうとするお考えであるのか、その点をお伺いいたしいと思います。
  7. 黒金泰美

    ○黒金説明員 ただいまの御質問でありますが、御趣旨よくわかります。従いまして、今般の豪雨による被害に対しましてもこれを適用することが望ましいのではないか、このような考え方でもって今関係方面で検討いたしております。従いまして、政府の方で修正するか、あるいは皆さんの方に御修正を願うか、まだここまできめておりませんが、遡及いたす方向で今検討いたしておりますから、御了承願いたいと思います。
  8. 井手以誠

    井手委員 方針はわかりました。  それでは、続いてお伺いをいたしますが、六月の災害九州水害、さらに七号台風の災害、この災害被害総額は今日幾らになっておるのか、また、激甚災害の法律を適用するとするならば、今日まで起こった災害の国庫負担総額は幾らになっておるのか、この点をお伺いいたしたいと思うのであります。これは補正予算の関係がございますから特にお伺いをいたしておきたいと思います。
  9. 黒金泰美

    ○黒金説明員 今まで集まって参りました調査の範囲では、四百六十億前後ではないか、同時に、それを基礎にいたしますと、国の負担分が九十億前後かと存じます。
  10. 井手以誠

    井手委員 それは少し計算違いではございませんか。四百六十億円に上る被害に対して、もちろん九州水害は高率適用でありましょう。そうなりますと、国庫負担の額というものは私は三百億円前後になろうと考えるのであります。九十億円は間違いじゃございませんか。
  11. 黒金泰美

    ○黒金説明員 言葉が足りなかったかと思いますが、今年度の所要額を申し上げたつもりでございます。
  12. 井手以誠

    井手委員 七月一ぱいまでの国庫負担総額が九十億円になることをただいま承りました。また今後不幸にして相次いで災害が起こるかもしれないことを特にこの際申し上げておきたいと思うのであります。  続いて官房長官にお伺いをいたします。いろいろな問題についてお伺いしたいのでありますが、時間がございませんので、あなたに対してはあと一点だけお伺いします。  調査団の報告によりますと、諫早水害の公共施設の復旧がことしの春完成をした、その年にほとんどの施設が——私も見て参りましたが、改良工事を施した以外の原形復旧のものは、一カ所も残らぬほどに長崎県、佐賀県において損壊をいたしておるのであります。全部やられたのであります。これは国費のむだづかいといわねばなりません。原形復旧は非常識という言葉が現地で盛んに言われておるのであります。せっかく国費を使ったものが再び破壊されるというこの原形復旧に対して、官房長官の所見をこの際承っておきたいと思います。むだづかいがないように、改良工事を含んだ所見を承っておきたいと思います。
  13. 黒金泰美

    ○黒金説明員 まことに仰せの通りでありまして、私どもも自分の郷里におきましてもそういう体験をしばしばいたしております。従いまして、今回の若い経験を繰り返さないように、関係方面を督励いたしまして御趣旨に沿うように努力いたします。
  14. 古川丈吉

    古川委員長代理 上林山榮吉君。
  15. 上林山榮吉

    ○上林山委員 ただいま井手委員から本年度の災害対策の国庫負担が幾らであるかという質問に対して、官房長官から九十億円程度であろうというお話があったのでありますが、それは七月一ぱいの災害は含んでおるものと見て差しつかえございませんか。その点がはっきりしなかったようでありますので、お答え願います。
  16. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 お答えいたします。  七月の豪雨、それから七月の台風七号のうち判明した分だけの数字を含んでおります。
  17. 上林山榮吉

    ○上林山委員 これは判明した分は七月一ぱい分を含んでおる、こういうふうにお答えになったわけですね。
  18. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 そうでございます。
  19. 上林山榮吉

    ○上林山委員 そこで、金額においてあるいは範囲において非常に量が多いところは、大きな災害のように見えるわけでありますし、また、それはそれなりに大きな被害になっておるわけでありますが、これが局部的に、たとえば一町村に集中的に災害が起こったという場合は、かりにその金額が同じ五億円でありましても、一方の広い範囲の方の二十億円あるいは五十億円にも匹敵するような感度をその地域民は受けるわけです。そういう場合には、金額がトータルにおいて小さいから普通の考え方でいいというような行き方では、これは非常に災害復旧がこまかいところに血が通っておらないということになるのですが、そういう小範囲のところに集中的に豪雨がきて災害が起こったところ、たとえば、地域のことを申し上げて恐縮ですが、鹿児島県の笠沙町、ここは薩摩半島の突端でありますが、集中豪雨で約五億円近くの災害を受けておるわけです。たとえば土木関係、林業関係、耕地関係、一般関係、住居関係、畜産関係、こういうように相当の被害があるので、この中の公共施設だけでも約四億五千万円くらいになるのではないかと言われておるところですが、ここは非常に範囲が狭いところに集中的にきまして、交通途絶して船で通っておる、こういう状態のところなんです。範囲が数県にまたがって、その被害がかりに数百億円である、これは国家にとって大きな被害でありますから、根本的な対策を講じなければならぬが、一町村に集中的にきたものも、地域民の受ける感度はひどいのでございますから、血の通った行政をやってもらいたい、こう思っておりますが、これに対して政府側を代表して、農林省からでも建設省からでも、政務次官からでもけっこうでございますから、その方針だけをお示し願って、こまかい問題については席をあらためてまた質疑申し上げたいと思っております。時間の関係でこの程度でやめますが……。
  20. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 もちろん、小さな地域集中豪雨等で被害が大きいという場合には現在の公共土木施設の国庫負担法におきましても、その小さいという限度をはかるめどといたしまして、その町村の標準税収入というものをつかまえております。そういたしますと、小さい町村では当然税収入等は少のうございますから、その少ない額に対比いたしまして災害の額が大きうございますと、国庫の補助率を逓次繰り上げるように、かさ上げするような方式になっております。一般の補助率ですが、標準税収入の二分の一に相当する額までは三分の二でございますが、標準税収入の二分の一をこえて二倍になるような場合は四分の三というような国庫補助率、さらに二倍をこえる額については四分の四、一〇〇%、この現行の国庫負担法のほかに、先ほどもお話のございましたような激甚災に対する国の財政の特別援助措置という法律でさらにこの上にまたかさ上げをしようということを考えまして、法案が今提出されておるわけでございますが、お話のような小さい地区で財政力の小さい市町村に対しては、相当手厚い国庫補助が参るようになろうかと思います。
  21. 上林山榮吉

    ○上林山委員 これは他の委員との関係もございますのでこれでやめまして、席をあらためて申し上げますけれども、法律的な措置、予算的な措置、これは私は概略わかっておりますけれども、私が申し上げるのは、狭い地域に集中的に被害があった場合は、たといそれが十億円の場合であっても、広い地域の三十億や五十億の被害以上の感度を地域民が受けて困っておるのだから、緊急にこの問題を取り上げていってもらわなければいけないという強い要望をかねて質疑をしているわけですが、こまかい点については、各省所管については席をあらためて質疑申し上げますので、時間の関係でこれで質疑を終わります。
  22. 古川丈吉

    古川委員長代理 倉成正君。
  23. 倉成正

    倉成委員 ただいま災害調査派遣委員の詳細な報告がございましたので、今次の集中豪雨に関する概要については明らかになったわけでありますが、七月一日から八日までの九州地方雨量は、御承知のように、三百ミリから五百ミリに及び、特に七月八日に至りまして極端な集中豪雨、時間降雨量百ミリをこえるというような、常識を越えた集中豪雨がございまして、これによって通算いたしますと、七月一日から八日までの間に一千ミリをこえる、年間の雨量の半分以上というような降雨量があったわけであります。従って、ここにわれわれが予想しなかったような大きな被害が起こったことは、秋山委員の御報告の通りであります。ところが、今次の集中豪雨の一つの特色としてあげられることは、先ほども井手委員から御指摘がちょっとございましたように、昭和三十二年の七月の災害によってやられました地域、特に多良山系集中豪雨という地域は、ほとんど三十二年の七月に災害を受けた地域であります。この地域と同じ地域が、若干災害の様相は違いますけれども、同じ形でやられておるというのが非常な大きな特色であります。従って、三十二年の七月の災害について建設省、農林省の災害復旧工事がようやく完成して、特に農地災害等におきましては、ことし初めて作付をして田植えをした直後、翌日にこの災害がやってきた。地元の人はぼう然と空を仰いで、どうしたらよいかというような状況に立っておるのが相当多いのであります。  また、今次の災害でもう一つの特色は、佐賀県の太良大浦地区のような特殊な地域は別といたしましても、たとえば長崎県の江迎町のごとき、あれだけの大災害がありながら、人畜の損害というのがほとんどなかった、非常に現地の方々の適切な処置があったというのも、この災害の大きな特色であろうかと思うのであります。  従って、これらのことを前提といたしまして政府にお尋ねを申し上げたいのは、まず第一に、先ほど官房長官のお答えにございました、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律案を今次の災害適用したいという政府の御方針は明らかになったわけでありますけれども、この法律案はただいま御案内のように継続審議中でありますが、会期末に出されたために、この政令の内容等がまだつまびらかでございません。従って、今次の災害に対して、この激甚災害に対処するための法律案政令案は、一体十分な対策ができるような内容を持ったものであるかどうか。もちろん、こまかい内容については、地方行政委員会に付託されておりますから、その委員会においてあらためて討議するといたしまして、大まかにいって、建設省、農林省両省においてこの政令案を準備されておるとすれば、今次の災害について、従来の事例に照らして心配のないような政令が十分準備されておるかどうかという基本的、な方針をまず第一に建設、林両省から伺いたいと思います。
  24. 山内一郎

    ○山内説明員 ただいま政令のうち建設省で関係いたしておりますのは、公共施設関係のかさ上げの基準の問題でございます。これは御承知のように、建設省の公共土木施設だけではなくて、いろいろな関係の県事業あるいは市町村事業、その県事業は法律できまっておりますが、市町村事業の、あらゆるといいますか、十幾つかのものを合計してきめるということになっておりまして、関係方面と今いろいろ御相談を申し上げている段階でございますが、われわれとしては、従来とりました激甚地に対する特例法でございますけれども、それよりは下がらないというような基本の線で相談を申し上げておる最中でございます。
  25. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 農林関係、特に災害復旧につきましては、農地、農業施設その他ございますが、大体農地と農業施設の災害復旧が大部分かと存じます。それで、従来は災害復旧に対しまする国庫負担の暫定法で措置いたしまして、激甚災の際は特別立法をもって補助率を上げていく、こういう措置をとって参った次第でございますが、御承知の通り、ただいま国会に継続審議中の激甚災に関しまする財政援助措置法によりまして恒久立法化していく、こういうことに相なっておりますことは、ただいま建設省からも御説明があったところと同じでございます。この継続審議中の激甚災に関しまする援助法が成立いたしますれば、先ほど官房長官からも御答弁がありましたように、この九州災害中心といたしまする部分について大体適用に相なると私は存じております。その指定基準なり、あるいは指定されましたあとにおける補助率の問題等については、法律と政令に依存しておるわけでございまして、政令部分はただいま関係方面と折衝いたしております。大体従来の激甚災立法を下らないという線で折衝中でございます。
  26. 倉成正

    倉成委員 ただいの御答弁にありましたように、従来の激甚災害に対する政府措置、これを下らないような線で政令をきめたいということでございますから、了承いたします。私も大体政令の内容等についてこまかく検討いたしまして、多少問題があるような点がございますので、これらの点についてはあらためて委員会で御質疑を申し上げますけれども、ただいまの基本線をくずさないように一つ格段の御努力をお願い申し上げたいと思います。  そこで、今次の災害で農林、建設両省を通じて言い得ることは、先ほどもちょっと御指摘がございましたけれども、昭和三十二年の七月の水害、未曽有といわれたあの水害決壊個所が再びやられたという点であります。三十二年の災害がありましたあとにおいては、再びこういう災害がないように、降雨量その他につきましてもいろいろな検討を加えられまして、万全の施策を講ぜられたはずでございまして、現在までに作られた施設というのは、この三十二年水害に対するいわば試験答案であったわけであります。この答案に対してはいまだ点数がつけられなかった。しかし、今度の災害の結果、これらの試験答案がいわば不合格という点数がはっきり客観的に出てきた。もちろん、今次の異常災害集中豪雨、特に二時間三時間の鉄砲水の災害でありますから、われわれがはかり知れざるいろいろな問題があることもよく承知しております。しかしながら現実には、万全だと思った施設が非常にやられてしまったということになって参りますと、建設、農林両省におきましては、三十二年の災害復旧に際しまして、また、これらの事業の査定にあたりまして、どの程度の災害に対処すると考えられたか、たとえば、今度のような災害がきたらこわれるのはやむを得ないというふうに考えられたのかどうか、この点をまず第一に伺いたいと思います。   〔古川委員長代理退席、秋山委員長代理着席〕
  27. 山内一郎

    ○山内説明員 三十二年の災害は、姓設省関係といたしましては、本明川水系が一番ひどかったように思われます。その復旧の基本的な考え方は、そのときの台風あるいは雨量に耐えられるように、あるいはそれ以上のものがきましても前回のような被害がないように、こういうような心がけで復旧をして参ったわけでございます。従って、本明川につきましては、市街地には、前回のようなといいますか、堤防が欠け落ちて浸水ということはほとんどなかったように聞いております。ただ、内水排除といいますか、内水の関係で浸水があった。そういう点は今後是正をして参りたいと思っておりますが、今後の復旧の方針につきましても、前回と同様に、今回の台風雨量を対象にして、なお強いものを作る、こういう方針で参りたいと思います。
  28. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 今回の災害につきまして特に御質問になりました点は、本明川の問題だろうと思います。本明川につきましては、下流部を建設省が担当されまして、それから上流部は農林省あるいは市町村等が担当してやった、こういうふうになっておりまして、計画高水量等につきましては、建設と農林と十分連絡いたしまして、同じ計画高水量を考えまして対処した次第でございますが、三十二年災害のときには、農林関係ばかりでございませんが、一般に改良復旧という線が現在のようにまだ強く打ち出されてないような状態で、できるだけわれわれといたしましてはそういう計画高水量に対しまして改良復旧の考えで措置した次第でございますけれども、上流部について、練り石積みのところ、あるいはから石積みのところ、あるいは両方とも底の方を練り石積みにして上の方をから石積みにする、こういった、原形復旧に対しまして相当改良復旧の点も考えてやった次第でございます。御承知のように、今回の高水量は大体計画高水量程度でございます。特色といたしまして、非常に土砂流が多かった、そういうような点もございます。また、から石積みのところが先にやられまして、全体として破堤する、こういったような問題が農林関係のところに比較的多かったという点は、まことに遺憾に任ずる次第でございますが、今後の措置といたしまして、最近におきましては、御承知のように改良復旧ということを非常に強くわれわれも取り上げて参るつもりでおります。今回の経験を十分生かしまして、再災害に対しましてさらに改良復旧をいたしまして、今回のような再災害の起こるおそれのないように措置していきたい、こういう考えで査定に臨んでおります。
  29. 倉成正

    倉成委員 ただいまの建設省関係の本明川については、御説明の通りでございます。しかし、私の申しておりますのは、実は中小河川直轄河川でない準用河川等につきましては、ただいまのお話とは少し違って、せっかく作ったのが、やはりもう少し改良を加えておったならばこわれなかったろうというような地域がみごとに決壊しているわけであります。ですから、これは長崎のみならず、熊木、福岡佐賀、すべての地区に共通することでございますけれども、やはり現地の実情を謙虚に反省しまして、これから先、原形復旧——これは国費を使うことでありますから、そうむやみにいろいろなことはできないではありましょうけれども、今度の災害によって、従来やっておったのがみごとこわれたということは、不合格という判定が下ったということであります。不合格の答案を再び書いて国費を乱費するということは、これは国民の前に許さるべきことではございません。やはり思い切って改良工平をやって、再びこういうことがないように、積極的に御指導をいただきたいと私は思います。これは建設省関係では直轄河川の分にはほとんどございませんけれども、準用河川には相当ある。また、農林省工事部分については、大部分がそういう形になっているという事情でございますから、特に注意を喚起したいと思います。  そこで、建設、農林両省の関係で準用河川等の改修をやって参ります場合に、たとえば上流が農林省の所管になり、橋を境として下流が建設省の所管になっておるという場合に、まことに申し上げにくいことでございますけれども、構築の程度に大きな差異がございます。橋を境にして、川は続いておるのでありますけれども、建設省の方では練り積みにやる、農林省の方ではから積みにブロックをやっているということで、建設省の方はこわれないで、農林省の方がこわれたというような地域が、残念ながら相当あるわけであります。こういった調整についてどういうふうな御用意があるか。三十二年の水害は、私も現地におりましてよく実情を承知しておるわけでございますが、非常な大災害で、とにかく一日も早く復申しなければならぬという事情でございましたから、なかなかその間に調整等はむずかしかったと思いますけれども、今度の場合には、そういうことを再び繰り返さないように、もちろん机の上ではりっぱにでき上がりましても、現地住民の目から見ますと、まことにこれはおかしい、全く笑止千万のようなことが現実にまかり通っているということ、これらのことについて実情を御承知であるかどうか、また御承知であるとすれば、こういった両省の調整をどういう形で今やっておられるかということについて伺いたいと思います。
  30. 山内一郎

    ○山内説明員 建設省は河川を所管しているわけでございますが、災害復旧につきましては、準用区域は建設省でやる、それから上流の普通河川の区域は市町村工事災害復旧をやるわけでございます。その工法という点については、同じ査定官が指導いたしまして、一貫した計画でやる、こういう実情でございます。それは原則でございますので、あるいは農林省でおやりになるようなことがある場合といいますか、二重査定といいますか、そういう点については、現地あるいは書類でよく検討いたしまして、そういう重なりはないようにいたしておりますが、河川工事としては全部建設省でやるという建前で進んでいるわけでございます。
  31. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 河川につきまして、準用河川工事区分については、今建設省からお話しになった通りでございます。準用河川区域は建設省ということになっておりますし、それから上の普通河川等につきましては町村でやり、あるいは農地に関係する部分が非常に多いということになりますと、農林省でこの河川を用排水路として使用いたしておりますので、農林省担当で工事をやる、こういうことになっております。その間の調整は、農林、建設で覚書を交換いたしまして、それによって工事区分をきめまして、統一した計画荷水量によって工事を進めていく、こういうことに相なっております。  御指摘の本明川につきまして……。
  32. 倉成正

    倉成委員 本明川ではありません。ほかの河川です。
  33. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 本明川を含めまして、その他災害を受けました河川で農林省で担当をいたしました部分につきましては、三十二年災害のときは、改良復旧という線で相当われわれとしても考えてやった次第でございますけれども、今ほど十分ではなかったという点は、先ほど申し上げた通りでございますが、三十二年災害当時のそういう農林省担当の河川のところは自然のりが多かったわけでございまして、それに対しまして計画高水量等から考えて、底部を練り石積みにし、上部をから石積みにするという改良復旧をいたした次第でございますけれども、その点についてなお不十分だったので、から石積みのところがくずれて、先ほど申し上げました通り、そういう点から破堤を起こした、こういうことに相なっております。この工法等につきましても、農林と建設と違うことのないように、覚書等もございますので、その線に沿って今後統一した河川に対する改良復旧の線を進めて参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  34. 倉成正

    倉成委員 ただいまの御答弁は、私は確かにおっしゃる通りだと思うのです。建前の上から申しますと、よく両省で打ち合わせをし、それから工事の接着点等についても話し合いが行なわれているはずであります。国の工事でありますから、市町村がやろうと県がやろうと、それはそういうばかなことがあり得るはずがございません。しかし現実には、今秋山委員から御報告がありましたように、本明川のみでなく、何十何百という河川でそういう個所があるのです。ですから、現地の人々としてはどうしても納得がいかない。私も現地をつぶさに歩いて、その結果についてお話を申し上げているのであって、決して架空のことを机の上で申し上げているのではございません。これはやはり最高の責任者が、単なる報告を聞くということでなくして、もっと現地に臨んで、これはおかしい、どういうところにそういう査定なりあるいはその他についてそごがあるかという原因を探求することが必要じゃないか。今度初めて起こった災害ではなくして、三十二年のあれだけの災害によって、あれだけ一生懸命に皆さんが努力をしてやられた結果がこういうことになっておるということでありますと、私は、机の上で幾らりっぱな計画ができておりましても、謙虚にこれを反省し、こういうことが再び起こらないように、現地住民が不信感を抱くことないようにすることが、行政当局として当然の任務であると思います。これらの点についてはまだ十分な実感をお持ちでないようでございますから、もう一度だけ、十分御検討をいただきたいということを申し上げておきます。  それらのことと関連をいたしまして、上流災害復旧で行なわれて、下流がそのままになっておる、極端に申しますと、上流は非常に川幅が広くなっておるけれども、下流は非常に狭いままに残されておるというような河川がございます。具体的な事例はまた必要があればあとであげてもよろしゅうございますが、そういうばかなことがありますと、普通の場合にはいいけれども、相当の集中豪雨があるということになってくると、これはどうしても決壊するのが当然であります。河川局長直轄河川だけやればよろしいというふうにお考えかもしれませんけれども、そういったことを御承知であるかどうか、一つ承っておきたい。
  35. 山内一郎

    ○山内説明員 災害復旧をやる場合に、非常に災害個所がつながっておりまして、その個所復旧する場合には、現在の改良復旧で関連事業としてできるわけであります。ところが、その下流が、堤防が低い関係上、溢水はいたしましたけれども、耕作物としてはほとんどやられていないというところは、その区域に入らない場合があると思います。そういう場合には、現在の改良復旧の線をさらに拡大するか、あるいは現在の治水事業を大幅に拡大してやるか、そのいずれかの方法になるわけでありますが、現状では治水十カ年計画に基づいてそういう個所もやるべきではございますが、非常にやる個所が多い関係上、手が及ばなかったということで、そういう個所はあると思います。今後はそういうことにつきましては、治水十カ年計画の大幅繰り上げとか、あるいは改良復旧の線をもう少し拡大していくとか、どちらかの方法によってそういうことのないように努力をして参りたいと思います。
  36. 倉成正

    倉成委員 予算の関係あるいは現地の事情、いろいろなことでそういうことになっておると思います。しかし、何回も同じ災害が出て参りまして、そういうことが原因であるということになると、やはり非常におかしなことを国としては指導するものだという感じを現地住民は持つわけでありますから、これらの点については、今の河川局長御答弁の趣旨を末端まで十分生かしていただきたいと思うのであります。  今度の災害で私現地で特に感じましたのは、やはり砂防工事が十分行なわれているところについては、災害が起こったことは起こっても、災害を最小限度に食いとめることができたということを非常に痛感しております。これは河川局としてやられた分も、あるいは農林省、林野庁でやられた分も含めまして、砂防工事を徹底的にやられないと、計画高水量等をいろいろ計算されましても、土砂の流入があるということになりますと一ぺんにこれは狂ってしまうということでありますから、この砂防工事災害復旧工事とあわせて積極的に進める必要があると思いますけれども、これらの点についてどういうふうなお考えを持っておられるか、伺いたいと思います。
  37. 山内一郎

    ○山内説明員 治水十カ年計画の内容は、砂防、河川、ダムと一緒になっておるのでありますが、一つの川につきましては、今御指摘がございましたように、砂防も考え、計画商水量というものもあわせ考えて工事をやるという考え方なり、そういう方法は、今やっておるのでございますが、先ほども申し上げましたように、現在の十カ年計画のワク内において繰り上げ実施をやっておりますが、なお不十分であるということは認められるわけでございます。今後一そう、災害が起きたときに、砂防がやってあれば非常に被害が少なかったという点も十分生かしまして、そういう進捗に努力をして参りたいと思います。
  38. 倉成正

    倉成委員 これは建設、農林両省に通ずることですが、限られた予算の中でやるわけでありますから、いろいろむずかしい問題があると思います。しかし、集中豪雨がこういうふうに常襲的にやってくる地区には、重点的に砂防工事を行なうことによって、できるだけ最小限に災害を食いとめるという努力について格段の御配慮をお願い申し上げたいと思います。  次は、ちょっと特殊なケースでありますけれども、天然河川、いわば堤防等がなくて自然河川になって、岩盤等を利用した河川など、そういうところで、三十二年も今度もずっと溢水いたしまして農地災害が徹底的に起こっておる。そして地盤が非常に喰いものですから、川自体はこわれないというところが——具体的に名前をあげて恐縮ですが、長崎南高来郡国見町に倉地川という川があります。こういったのを何とかしてやらないと、こわれなければ復旧できないということになってくると、これは非常に気の毒だと思うのですけれども、農地局長、その点どうでしょう。
  39. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 まだ十分にそういう点把握いたしておりませんが、あるいは河川の幅等が不十分じゃないかと思われます。そういう点につきまして、大体小河川農地被害の多いところ、こういうところは農林省で担当することになると思いますけれども、御承知のように、砂防工事等を十分にやっていただいて洪水の出るのを防ぐということを一方でやっていただくとともに、そういった地域についてできるだけ実情に沿って河川敷を広げるとか、あるいは多少の堤防を作る、そういう点を改良復旧という線に入る範囲において検討したらいいんじゃないか、こういうふうに考えております。
  40. 倉成正

    倉成委員 今度の災害は、先ほども申し上げましたように、三十二年の災害で進捗率が三年の部分と四年の部分と二つに分かれておるわけでありますけれども、とにかく復申したらまたやられたということになります。そうすると、せっかく災害復旧ができて、農地の場合でありますと、作付ができたらまたやられたということになりますので、この復旧の進度ということをよほど急いでやらないと、ずっと三十二年から引き続いて七、八年——失対事業その他にいくのは別でありますけれども、農民として何も収入がないということになると、非常に不安を抱くわけです。また、特に特殊なケースでございますけれども、農地を集団化して、そして集団化したところが今度全部災害でやられてしまうということになりますと、むしろ農地の集団化ということをやらないで、危険分散をやっておった方がいいというようなことも、非常に逆説になりますけれども、出てくるわけです。ですから、これらの復旧率という点について、復旧の進度についてどういうふうにお考えになっておるか、建設、農林両省から伺いたいと思います。
  41. 山内一郎

    ○山内説明員 現在は、今お話がございましたように、緊急事業は三年、通常は四年、こういう進度でやっております。進度をできるだけ早くやるということが、災害復旧では一番肝要かと思われますが、やはり施行能力といいますか、そういう点も考慮しなければいけないと思います。そういう点も考えますと、もう一年繰り上げというのは可能ではなかろうか、そういう点で現在検討いたしておりますが、財政の面でどういうふうになるか、そういうことについて関係省ともよく打ち合わせをしまして、少なくとももう一年繰り上げをしたい、こういうふうに考えております。
  42. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 農林関係の災害復旧進度は、御指摘の通りに、緊急の部分は三年、通常は四年、これは建設、農林を通ずるルールになっております。それで、農地等はできるだけ早く作付ができるようにという趣旨から、緊急復旧をできるだけ取り入れて、本工事にかかる場合にそれを込めるようにという緊急措置を今回は特に通達を出しまして、灌漑水の取り入れ等については特別な手を打って、農地の作付ができるだけ早くやれるように、こういうような指導はいたしておりますが、全体としての復旧進度の繰り上げについては、ただいま建設省からもお話がありましたようにいろいろな問題がございまして、各関係省とも打ち合わせをして、これはできるだけ早く復旧ができるように一つ処置するようにいたしたいという考えであります。
  43. 倉成正

    倉成委員 ただいまの点は特に御配慮をお願い申し上げたいと思います。  次は連年災の問題であります。三年間の連年災という概念がございますが、昭和三十二年の七月から今次の災害ということになりますと、四年になります。ところが、連年災のことをいろいろ考えます際には、災害復旧というような面も若干考慮に入っておったと思うのでありますが、実際は災害復旧が全然できていないで、そうしてその効果が十分現われないうちにまた災害が起こった。いわば厳密な法律上の概念としては連年災ではないが、現実に連続の災害であるというものについて、先ほどからの激甚地の災害の法律あるいはその他の点において何か救済の方法があるかどうか。これは建設、農林両省に自治省を加えまして一つ御答弁をいただきたいと思います。次々に災害が起こってどうしようもない、こういうのをどういうふうに救済していくか。地元も今まで貧打をずっとやってきたけれども、その効果が出ないうちにまた災害になるということになると、地元の農民の立場もそうですし、一般の人の立場もそうですし、市町村だって県だって大へんなことになると思います。これは何かこういう連続して起こる災害について処冠があるかどうかということをお伺いしたいと思います。
  44. 山内一郎

    ○山内説明員 公共土木施設の面で申し上げますと、現行法では、連年災というのは、その発生年を含めて過去二年、三年ということになっております。従って、現行法ではそれでやむを得ない、ほかに方法はないと思います。激甚の場合にはさらに優遇措置が考えられておりますが、それ以上にやはり少なくて毎年何件もあるというところは、別に何か措置する必要があるのではなかろうか。あるいは、基本的な考え方は、標準税収入との比較でやっておりますので、あるいはその面でカバーができておるとも考えられますが、その辺よく今後検討してみたいと思います。
  45. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 連年災につきまして負担率をアップするという問題は、やはり毎年災害があるという場合で、建設省のおっしゃる通りであります。ただ、農林省関係といたしまして別に融資をやっておるというような場合におきまして、従来の融資を償還を繰り延べる等、いろいろそういう措置はとれるようになっております。
  46. 茨木広

    ○茨木説明員 ただいまの連年災の問題については、二つございます。一つは起債の問題でございますが、一応、現年災は、公共事業災の地方負担分について、御案内でありますが、一〇〇%つける建前になっておりますが、翌年災になりますと一応七〇%を原則にいたしております。しかし実際の運用といたしましては、連年災地帯につきましては、個別的に検討の上、県に配分いたしましたワクの範囲内において大体八〇%、九〇%というように充当いたすように指導をいたしております。三十六年災の例の場合についても、大体九〇%近い配当を行なっておる、こういうふうになっております。  それからもう一つ特別交付税の問題でございますが、これは御案内のように、公共下業災害を基礎にいたしまして、その事業ワクの二%を基準といたしました特別交付税を当該年度に配付する、もう一つは、災害救助事業費を基礎にいたしまして、その二割を当該年度に配付する、これは翌年度以降はないという建前に一応なっております。御案内のように、連年災害地帯につきましては、やはり特別交付税の配付の際に別途考慮するという扱いにいたしております。
  47. 倉成正

    倉成委員 ただいまの御答弁で大体了承いたしましたが、いろいろ法律の規定、制約等があることはよく承知しておりますけれども、一つ十分そういう実情に合うように御配慮いただきたいと思います。  ついででございますから、自治省関係だけ今申し上げておきますが、災害起債の充当率、現年度は一〇〇%ですが、過年度災から七〇%になっていくということになると、非常に地元の、特に災害が続いて起こってくる町村にとっては困るわけです。この点はどういうふうにお考えでございますか。
  48. 茨木広

    ○茨木説明員 理財課長の方からお答えするのが適当かもしれませんが、従来の考え方といたしましては、起債の建前は、一応当初の予算等から予想されなかったものについて起債で一応つなぎまして、そのあと、公共補助下葉については九五%まで、単独災については二八・五%を原則といたしまして、財政力の弱い団体については五七%まででございますが、交付税の方でしりぬぐいをして参る、 こういう処前をとっております。それで、翌年度以降になりますと、一応地方財政計画といたしましても当初から計画的な運用をする、こういう建前になりますから基準財政需要額等から見ておりますと、当該団体の単独事業の需要額を見ておりますから、そういうものを充当いたしまして対処するという建前のもとに、一応七〇%までということにしておるわけであります。ただ、連年災になりますと、当該団体といたしましてもまた思わざる災害が起きたという事態がございますので、過年度分につきましても起債を見てあげませんと、財政運営が困難だということがございます。こういう事情がございますので、個別の団体の実情に応じましてそういうふうにいたしております。それをさらに進んで制度化する、たとえば翌年度災は九〇%とか、翌々年度災は八〇%とかいうような点まで制度化するという問題もございますが、まだ成案を得るという段階にまで至っておりません。今言ったような運用でやっておるというのが実情でございまして、それが自治省の考え方でございます。
  49. 倉成正

    倉成委員 今の御答弁の通り、実情に即するように、今の制約の中で最大限できることを一つ災害府県あるいは町村に御配慮いただきたいと思います。  そこで、自作農維持資金の点とあるいは天災資金のことに入るわけでございますけれども、そういった連年災のところは自作農資金でもその他でもワク一ぱい借りている。繰り延べのことを今官房長お話しになりましたけれども、もうワク一ぱい借りている。これにまた借りなければいかぬ。そういったワクは、償還延期のみならず、もっと広げるお考えなのかどうか、また今次の災害についてもう十分な手当を準備されておるかどうか、一つお伺いしたいと思います。
  50. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 自創資金でございますが、今次災害が天災法の融資の指定になりますれば、自創資金を出す準備をいたしております。三十二年当時自創資金を借りて、すでに一ぱい借りているじゃないか、借り入れ余裕があるかどうかというような御質問でございます。三十二年の貸付当時は限度が二十万円だったのを、今年度から三十万円にいたしております。従って、少なくとも限度一ぱい借りている者でもなお十万円の貸付余裕はあるということになりましょうし、また限度一ぱい借りていなければ、三十万円から貸付残高を引きました分が借り入れ限度、そういうことに相なろうかと存じます。なお、三十二年当時も、場所によっては限度額二十万円一ぱい借りているところもございましたし、二十万円を切っている農家もあろうかと存じます。またその後の償還等もありますので、現実には相当貸し付けられるとわれわれは考えております。
  51. 倉成正

    倉成委員 迅速な処置を一つお願いします。せっかく農林大臣が決裁しても、自作農資金が末端に来るまでには相当の期間がかかるのが現実です。従って、これはすみやかにそういう取り扱い要領等を明らかにして、すみやかにこれを現地に流していただきたいと思います。  次は、少し特殊なケースでございますが、佐賀太良の地滑りあるいは長崎県の江迎町のボタ山くずれ——佐賀の問題は井手委員に譲るといたしまして、江迎町のボタ山排土の問題ですが、この排土は一体どういう形で行なうか。これについては激甚の法律の第三条十二号にあるようでございますけれども、一体どこが責任を持ってこのボタ山のくずれたものの排土を行なうのかということ、鉄道との関連等もございますから、一つ費用の分担についてお伺いをしたいと思います。
  52. 秋山利恭

    秋山委員長代理 倉成委員に尋ねますが、どこの答弁を希望しておられますか。   〔「通産省じゃないか」と呼ぶ者   あり〕
  53. 倉成正

    倉成委員 いや、通産省じゃないのです。通産省にやっていただくと鉱害とか何とかいうことになりますから——御答弁できる方はおりませんか。——こういうことなのです。これはいろいろ議論があります。私も石炭対策の特別委員として現地に参りましたし、災害委員会でも随行して参りましたが、とにかく排土をしなければいかぬというので、現在のところは自衛隊が国道の開通だけを一生懸命やっておるわけでありますが、それ以上になってくると、やはり費用の問題が出てくる。  それで、国鉄からお見えでございますから、山口施設局長にお尋ねをいたしますけれども、あの排土は、国鉄の開通については国鉄の責任においておやりになるのかどうか、一つお伺いをしたいと思います。
  54. 山口和雄

    ○山口説明員 お答えいたします。  国鉄の方といたしましては、財源の問題は別といたしまして、とりあえずあそこを早く開通させるということで、技術的に目下検討いたしております。聞くところによりますと、七月中に近路がひとまずあくそうでございます。専門家の言によりますと、あの山を全部国鉄側のところを軌かしますと影響があるのじゃなかろうかというお話がございますので、とりあえず勾配をつけまして道路側に木綿をかりに作りまして、そして潜竜の炭鉱が今ありますが、あの付近に仮ホームを作って、とにかく仮線でも線路をつなごうということで、大体機械等も全部準備いたしましたので、九月の中ごろには綿路がつながるという目下の予定でございます。
  55. 倉成正

    倉成委員 これは官房長官その他答弁者がおられないので、私もこれ以上はここでは申し上げませんが、とにかくこれは全額国庫でこの排土をすべきだということを申し上げたいのであります。昨日、いろいろ鉄道営業法その他調べて、もしこれが私鉄であった場合にはどうか、国鉄の場合には予算は心配ないということでありますけれども、私鉄がああいうふうな形でくずれた場合に一体どうなるかというようないろいろな問題が出て参りますので、参考までに伺ったわけでございます。  また、この激甚地の法律の中で「堆積土砂」ということになっておりますけれども、ボタは泡土でもなく、砂れきでもなく、岩石でも樹木でもないので、一体どういうことになってくるか、そういう問題もございますが、本委長会の問題ではないと思いますから、このくらいにいたしますが、ただ農林省に特にお願いをいたし、また御要望を申し上げたい点がございます。それは、この国道を開通するために自衛隊が今排土をやっておる。これは一万五千立方米くらいの土量だと思いますが、この排土を捨てる場所は、現在町有地でやっておるようでございます。しかし、いよいよ国鉄との問題になって参りまして、本格的な排土をやっていく、もちろん、三百万立米に及ぶ全体の土量排土するということは、もう不可能に近い、物理的にはできても、実際にはできないことだと思いますけれども、しかし相当量の排土をしていかなければならぬということになりますと、ボタ山がくずれているわけでありますから、その地域にまたこれを捨てるわけにいかない。また炭鉱もいろいろ出炭をしているということになりますと、そのボタの捨て場所に困ってくるということで、現在白羽の矢が立てられておりますのが、北浦郡の佐々町にあります小浦干拓というところでございます。この小浦干拓約十五町歩くらいのところに一つこの排土を捨てさせてもらいたいという地元の切なる要望があるわけでございます。自衛隊の作業が終わってしまって、国鉄の作業に入っていよいよ本格的な作業に入るとなると、この進度とも関係しますけれども、非常に急を要する、やはり一週間、十日のうちに結論を出さないとうまくいかないという問題でございますので、この点について使用目的また干拓地の造成の問題等、いろいろうるさい問題があることは承知しておりますけれども、何かこれについて御陳情をお聞きになっておるか、また、どういうお考えであるか、一つお伺いしたいと思います。
  56. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 江迎ボタ山排土の捨て場に、佐々町の小浦干拓、これは造成面積が三十一町歩ですが、そこにボタを捨てさせてくれというお話が長崎県知事からございまして、私の方でも検討いたしております。ただ、干拓は、農地を造成するという目的で作っておりますので、これにボタを、大体計画によりますと三十万立米から五十万立米、こういうお話でございますので、それを捨てますと、あと農地としてはもう使えないというような状態に立ち至るわけでございます。そういう場合にどうするかということでございますが、今までの干拓地を市街地あるいは工業用地に転用いたします場合には、大体投入いたしました国費と近傍類地の地価というものを勘案いたしまして、これを売り払う、こういった措置を講じておりますので、長崎県知事についても、農地として使えない以上は、工業用地あるいは市街地その他の農業以外の用地として使い得る道があれば、そういう方法で一つ御検討願いたい、また、ボタを捨てて、さらに農業用地として使うということになると、少なくともその上に相当部分の耕土を客土しなければならぬ、こういうことになるわけでございまして、その客土部分をどういうふうに長崎県でお考えになるか、その比較において長崎県においても十分御検討願いたい、こういうことを申し上げて、長崎県においても検討するということでそのままになっておりますが、その後、長崎県知事から、緊急の分は一応ほかに捨てどころがあった、今後の問題としてまた協議いたしたい、こういうことに相なっております。
  57. 倉成正

    倉成委員 今の問題は、すぐここで御答弁を求めるのは非常にむずかしいと思います。ただ問題は、これを工場敷地として転換は認めるが、時価で買ってくれというようなことでは、災害を受けた県や町村としてはなかなか解決しない。ですから、便法としては、国が所有権を持たれてよろしいから、とにかく緊急避難というか、ボタを捨てなければいけないということで、農地局がお持ちになってけっこうですから、一つボタだけは捨てさせていただいて、将来高く売っていただいてけっこうだから、とにかく何とかこれは救済策を考えてやる。非常に通り一ぺんの事務的な処理でなしに、災害を受けた現地が一生懸命今やろうとして、ほかに方法がないというときには、大農地局も一はだ脱いでこれに協力する、こういうことを一つお願い申し上げたいと思いますから、大臣にも御報告いだだいて、農林、大蔵両省御検討いただいて、結論を早急に出していただきたいと思います。イエスかノーかはっきり言わないと、現地を非常に迷わせる結果になってくると思いますから、これは特に御要望申し上げておきます。  時間もございませんから、最後に一点お伺いしたいのは、今次の災害で特に江迎を例にとりますと、災害救済という点での非常な盲点は、やはり商工業者ではないかと思うのです。これは商店街が全部ボタの下に埋まってしまったわけですから、とにかく何と言っていいかわからない。少数でありますけれども、非常にお気の毒な立場に立っている。まず生活豊に困る、家に困る、商売を再開するのに再建資金に困るということですが、農林その他の方と違って、国のこれに対する施策が十分でないわけです。従って、現在の制度のもとにおきましては、やはり低利、長期の金融の道を迅速に講じてやるということ以外にないと思うのでありますけれども、しかしここでも保証人の問題で現実にぶつかっておる。机の上では保証人のこともいろいろうまくやっておられるかもしれないけれども、実際は保証人がなかなかうまくいかぬとかいうので借りられないということで、非常に困っておるのです。ですから、中小企業庁の振興部長が見えておりますが、この問題についてどういう措置をされるつもりか、またどういう決意を持っておられるか、一つ真剣な御答弁をお願いしたいと思います。
  58. 加藤悌次

    ○加藤説明員 お答えいたします。  江迎の問題を含めまして、炭鉱地帯の商店街に対する全体の融資の問題でございますが、最近決定になりました国民金融公準からの一億というもので処置していきたいというふうに考えております。  それから担保の問題でございますが、国民金融公庫は、御承知のように、いわゆる零細金融のための国の金融機関でございますので、できるだけそういう点についてはむずかしいことを言わないでという方針でおりますが、やはり金融ということで金を出すということになりますと、原則的に保証人を立ててもらっておるわけでありますが、今度の場合、どうしてもそういう措置が非常にむずかしいという場合には、目下のところ、それをどういうふうにするかはっきり考えておりませんが、これは一部おしかりを受けておる例もあるわけでございますけれども、そのために時間が非常にかかるというような場合には、政府金融機関ではございませんが、県の信用保証協会を使う、こういう便法がございまして、そういった措置によって何とかこの問題が解決できるんじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  59. 倉成正

    倉成委員 せっかく中小企業庁という役所が通産省の中にあるわけでありますから、ここの責任者が現地へ飛んでいって、そのお金を貸すところまで見届けるくらいの熱意がなければ、中小企業庁なんかない方がよろしいと私は思うのです。ですから、この一番盲点が中小企業者になっておるという現実のもとにおいて、やはり親切に末端まで見届けるくらいの配慮を一つお願い申し上げたいと思います。
  60. 加藤悌次

    ○加藤説明員 今の先生のお話でございますが、ちょうど先月の半ばごろに、私どもの指導部長が、直接現地までは参りませんでしたが、主要な都市に参りまして、江迎の問題以外に炭鉱の商店街問題全般につきましていろいろ事情を聞いて参ったわけでございます。とりあえずの措置といたしまして、先ほど申し上げました国民金融公庫の融資措置の御検討をいただいておる、こういういきさつになっております。
  61. 倉成正

    倉成委員 これ以上申し上げませんけれども、ここで融資のワクをきめられましても、現地被災者に渡るまでには非常な時間がかかるのです。ですから、この点を親切にやっていただきたいということを重ねて御要望申し上げます。  いろいろPCPの問題とか、まだ災害には残された問題がたくさんございますけれども、同僚委員にお譲りしましてこれで終わりますが、とにかく三十二年の災害政府の書いた答案について合格点が得られなかったという結論が今度の災害で出ているわけでありますから、今度は満足な答案が書かれますように、私どもも御協力申し上げますから、政府におきましても、心機一転、新しい災害対策について取り組まれることを要望いたしまして、質問を終わります。
  62. 秋山利恭

    秋山委員長代理 坂木君。
  63. 坂本泰良

    坂本委員 秋山調査団長の報告で一般的の対策等はすでに示されておりますし、なおまた、同僚委員からだいぶ質問がございましたから、重複の点を避けまして二、三お伺いしたいと思います。主として熊本県関係でございます。  調査団も御存じのように、今度の水害におきましては、直轄河川菊池川水系、この改修ができておりますところは非堂に災害が少なかった。ところが、菊池川水系にしますと、下流の三名地区、中流の山鹿地区ができておりまして、その中間の地帯が非常に災害が起こっておるようであります。それからなお、今度の災害の特殊な現象は、集中豪雨によりますところのいわゆる小さい河川被害が非常に多いのでありまして、荒尾市の菜切川、これは下流は長洲町にいっておりますが、今までほんとうに小さい河川として取り扱われてきた。それから三名郡に参りますと、菊水町の江田川、これもほんとうに小さい河川でありますが、今度の災害では六つの橋が流れまして、反対側の、小学校がありますところは、学校も休まなければならない、こういうような状態が出ておるのであります。  そこで、第一にお伺いしたいのは、菊池川改修工事です。これは戦時中から着工せられまして、ただいま申しましたように、下流地区と中流地区が相当進んでおりますが、なお現在の計画が完成するのについては、今データーを持ちませんから正確なことはわかりませんが、七十数億円かかるわけです。そこで年に一億五千万あるいは二億程度の予算でやっておりますと、なお五十年近くかかるわけでありますから、そうしますと大へんなことになるわけです。この菊池川の改修工平の推進委員長である山鹿古閑市長もきょうは見えておられまして、秋山団長にも現地でいろいろ陳情がありまして、きょうも陳情に見えておりますが、時間がないようでありますから申し上げますが、今四十になる山鹿市長が、これが完成するときは九十才になるわけでありまして、そういうような状態では、こういうような災害が繰り返し行なわれますと、非常な不安ができてくる。それから、これはほかの直轄河川改修工事もそうだと思いますが、特に菊池川を例にあげますと、七十億ですから、やはりこれを少なくとも四、五年程度で完成する、こういうことにならなければ、その流域の住民が安心しておられないじゃないか、こういうふうに考えられるわけでございます。従いまして、こういう災害を機といたしまして、従来の状態では四、五十年もかかるのを、四、五年で完成すべきである、こういう喰い要望があるわけでありますが、これについて建設省あたりのお考えはいかがでありますか。
  64. 山内一郎

    ○山内説明員 御承知のように、昭和三十五年度から治水十カ年計画を作りまして、現在三年目になっているわけでございます。その進捗状況は治水十カ年計画の標準の線よりやや上回っているわけでございまして、繰り上げ実施をやっているという状況でございますが、菊池川、筑後川等の直轄河川につきましては、現在の治水十カ年計画では大体十五年かかる目標のうちの十年分を治水十カ年計画に含んでやっている、こういう現況でございます。しかし、最近のように災害が非常に続いておりますし、非常に地方の御要望もふえて参りまして、現在の十カ年計画をさらにどういうふうにいたしますか、まだ方針はきまっておりませんが、ともかく予算を増額してやるような方向に持って参りたい、こういうふうに考えております。はたして四年ないし五年でできるかどうかという点は自信がございませんが、御要望にできるだけ沿うように、そういうふうに漸進的にやって参りたい、こういうふうに考えております。
  65. 坂本泰良

    坂本委員 そこで、今度は準用河川あるいは準用河川に入らない普通河川、それが集中豪雨によって非常に災害が起きた。それは河川としての取り扱いを今まで全く受けていない。従って、堤防等は、あるところもあるし、ないところもある。今まで災害が生じてその部分的の改修がやられておるところは堤防らしきものがありますが、ほとんど顧みられていないから、豪雨によっていわゆるあるかないかわからない堤防決壊して、非常な災害を受けておる。こういう点が大体熊本県下の今度の豪雨被害で、それが人家に被害を及ぼす、あるいは堤防決壊によって予想しないところが浸水をして、養鶏場に浸水しまして数千羽の鶏が死んでしまう、そういうような被害が起きておるわけですが、これについては、先ほど来の質問等もあったように、原形復旧ではいけない、改良復旧でやらなければならないのですが、しかし、この改良復旧にいたしましても、やはりその水系を十分調査して、系統的な復旧をならなければならぬ。従って、決壊しておる場所だけの原形復旧でなくて、もちろん、改良復旧にしましても、そこだけやってもいけない、こういうように考えられるわけであります。これは佐賀長崎福岡も同じだと思うのでありますが、こういうような今度の小さい河川に対して、建設省並びに農林省は、そそくりの復旧でなくて、何か系統的の組織立った、こういう豪雨が繰り返されてもその被害をなくする、こういうような計画でも今回企図して立てられておるかどうか、その点をお伺いしたい。
  66. 山内一郎

    ○山内説明員 その河川の構造物がこわれている程度によって考え方が違って参ると思いますが、今後いずれにしても災害が再び起きないようなつもりでやるわけでございます。非常に災害個所が大きく、連続して激甚河川につきましては、十分改良復旧でやっていく。ただ、点々と災害個所があるような河川につきましては、先ほど申し上げました治水十カ年の計画の紬に沿ってやるわけでございますが、普通河川の場合には現在の十カ年計画に入っておりませんので、準用河川に格上げをいたしまして計画の中に織り入れてやっていく、こういう考え方をいたしております。
  67. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 農林関係の担当の河川に相なりますれば、建設省の御趣旨と同じような方向で、できるだけ取れる範囲の改良復旧といった点を考えながら、災害を受けないように十分注意してやりたい、こういうふうに考えております。
  68. 坂本泰良

    坂本委員 両方の説明はわかりましたが、大体そこで災害が起きているのは、河川堤防決壊すると、それが農地被害あるいは農地関係の灌漑水路の被害等になって、実際の被害個所は建設省関係の河川関係か、あるいは農林省関係の農地関係かということが、現場に参りますとはっきりしないような状態にあるわけです。しかしながら、これを復旧するについては、国の補助金あるいは市町村に対する交付税によってそれを復旧する場合に、やはりその金の出所は農林省関係と建設省関係と違ってくるのではないか、そういう点についての、いわゆる抜本的な復旧をする場合において、両者の関係においてはどういうような取りはからいでその復旧を進められるかどうか、その点をお伺いしたい。
  69. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 農地、農業施設というものにつきましては、御承知のように哲定法によって災害復旧をいたしております。それから小河川等農業関係が非常に多いという部分につきましても、これは農業関係の施設として、暫定法によって災害復旧をやるように指導いたしております。この区分については、県農林当局とよく打合わせいたしまして、二重査定にならないように、また区分も、間があいたり、あるいは重複したりしないようにという打ち合わせをいたしております。なお、激甚災なれば、暫定法の上に、今回の援助法が通りますと、かさ上げ、こういうことになって国の負担率が多くなる、こういうことになっております。
  70. 坂本泰良

    坂本委員 両方の説明を聞きましたが、それで問題は、早くこれが復旧するように推進してもらわなければならぬ。建設省の方は、自分の方はできているけれども、農林省関係ができないとか、農林省関係はできているけれども、建設省関係ができていないというので復旧がおくれるということになると、実際の被害者並びに被害地の復旧というものが長引くことになりますから、この点はまた、臨時国会になりますと特別委員会が認められますから、そういう際にお伺いすることにいたしますが、いずれにいたしましても、やはり復旧促進してもらって万全を期してもらいたい、こういうふうに考えるわけであります。  次は、今までの被害は、大体常識的な被害は、道路とか、あるいは農地とか、こういうものであったのが、今度は海の被害になって参りまして、問題は農薬のPCPの被害の問題になるわけですが、これは九州各員とも漁業組合の方々の非常な陳情を受けて、当局も受けておられると思うわけですが、この農薬の問題については、災害でない通常の場合についてもこれをどうするかという問題が起きまして、種々これについては検討されておると思いますが、なかなかそれがうまくいかずにやってきて、そうして今度の災害では、御存じのように有明海においては貝が死んでしまう。これに対しては専門的な調査等が行なわれておるのでありますが、秋山団長の報告にも、この被害は十億円以上に達しておる、こういうのでありまして、熊本県関係におきましても数億円ではないか、こういうふうに言われておりますが、この問題について農林省は何か速急に計画を立てておられるかどうか、おられれば、それをお話し願いたいと思います。
  71. 村田豊三

    ○村田説明員 御指摘のありました有明海におきまする魚介類、なかんずく貝類の被害に対する対策でございますが、先ほど秋山調査団長からの御報告にもございましたように、今度の豪雨によりまして、その豪雨とPCPと相互に作用したものだと存じますけれども、魚介類、なかんずく貝類に非常に大きな被害が発生したようでございます。これらにつきましては、有明海周辺の関係県の知事からも水産庁、振興局双方に再三陳情もいただいております。このPCP対策につきましては、抜本的に措置を考えなければならない問題があると私どもは思います。しかし、それはそれといたしまして、当面この非常に甚大な被害を受けましたあの周辺の漁場に対する対策、並びに今後の善業に対する対策をどういうふうにするか、これは実は非常にむずかしい問題がございまして、ただいまのところ、被害県の方からは、漁場の清掃——貝類などか死にまして異常発酵を呈しておりますから、その漁場の清掃をやるなり、あるいは新しくそこに稚貝を放流するための稚貝の購入等について、県の措置なり、あるいは国の措置について早急な対策を講じてほしいという陳情があるのでございます。これらにつきまして、ただいま水産庁といたしましても係官を現地に派遣いたし、先般係官も帰って参りました。現地の事情等も十分聴取いたしておりまして、これらの対策を至急に立てたいと思って目下検討中でございます。
  72. 坂本泰良

    坂本委員 応問もありませんから、あと一つで終わりたいと思いますが、いろいろ災害調査に参りますと、われわれが想像もしない、目に見えない被害が出ているわけなんです。熊本三名郡長洲町地区におきましては、毎年夏は金魚を養殖してこれを売る。それが大体三千万円くらいに達しておる。それが今度の災害で全部金魚が死んでしまった。先ほど申しました養鶏関係も数千羽死んだわけですが、長洲町地区の小さいところで三千万円にも達する金魚が死んでしまう。それから、これは私まだよくわかりませんですが、果樹園ですね、今度の災害で果樹園が非常な災害を受けておる。この果樹園の災害復旧についてはどういうふうになっておるかということが一つ。  それからさらに、地すべりその他豪雨によって家がつぶれる。そうしますと、これは非常に零細な家庭が多いわけですが、畳が災害救助に入っていない。それから先ほども質問がございましたが、住宅については、住宅金融公庫の貸し出しの基準によりますと、半壊以上がその対象になっているわけなんです。従って、半壊以下のものに対してはその貸付の対象にならない。だから、この点について、もちろん臨時国会が開かれて住宅金融公庫法を改正すれば別ですが、早急の問題として、こういうものについて、もっと住宅金融公庫はいわゆる半壊以下のものに対して融資の方法は考えられないかどうか、こういう点がたくさんございまして、佐賀県、長崎県にも相当あると思いますが、大牟田地区は非常に浸水をいたしまして、零細な家庭が住宅をこわされておる、あるいは畳はもうほとんど全部使用にたえない。これは荒尾市、三名市、山鹿市の各地区でもそういう問題がございますが、そういう点について、こまかいようでございますが、やはりこういうことで、日の目を見ないと言っては失礼でございますが、この災害で非常に困っている人が多数あるわけです。こういう点について早急の対策はどうなっておるか、また現在、もう災害後相当日数がたっておりますが、こういう点について現実にその救済の方法をやっておられるかどうか、関係の方々の御答弁を聞きたいと思います。
  73. 村田豊三

    ○村田説明員 金魚に対する対策でございますが、実はまだ関係の県から私ども金魚につきましては具体的な報告を受けておりません。地元の関係県とよく連絡をとりまして、どのような対策が考えられますか、検討してみたいと思います。
  74. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 果樹についてでございますが、果樹園が被害を受けておるというような場合には、これは暫定法の適用によりまして、調査しまして補助していくということになるわけでございます。それから苗木を新たに植えるとか、そういうふうな問題が出てくるわけでございますが、これにつきましては、公庫融資をいたしましたり、あるいは天災融資法の適用を受ける、そういうことになっている次第でございます。  それから住宅の問題につきましては、農林関係としましては自創資金というような制度がございまして、それを利用してやる場合もあるわけでございます。
  75. 沖達男

    ○沖説明員 ただいま御質問がございました公庫融資の点でございますが、半壊について補修費を貸しつけることになっておりますが、半壊と申しましても、半分以上こわれたという意味ではございませんで、被害額が二割以上に及ぶものということでございます。なお、運用にあたりましては不親切なことのないように、いつも公庫の職員の指導に努めておりまして、公庫といたしましては、災害直後にすみやかに地元説明会等を開きまして、融資の要領等を皆さんに説明をいたしております。
  76. 坂本泰良

    坂本委員 住宅公庫の点は、今具体的なお話がありまして、進められておるわけであります。ただしかし、二割以上とおっしゃいましたから、私も多少安心しましたが、その査定なんかについて、やはりこういう問題は住まいの問題ですから、一つ早急にやって融資をしてもらいたいと思います。  そのほかの答弁は、こういうようにやるのだということを御説明になりまして、それくらいのことは私も知っておる。それじゃそれによって、もう災害後一カ月にもなりますが、具体的にどういうふうに進められておるか、それをお聞きしたわけです。その点をなお御説明願いたいと思います。
  77. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 天災融資法の融資につきましては、目下大蔵省と折衝中でございまして、八月十日までに大体天災融資法の政令を出しまして、地域を指定いたしまして、それによって融資をやっていくという運びになっております。天災融資法が適用されますと、同時に公庫の融資もその地域について行なわれるようになりますし、あるいは自創資金についても同じように行なわれる、そういうことになる次第でございます。それから暫定法の適用につきましては、現在農地関係として調査をいたしておる次第でございまして、その調査が済み次第、予算を要求しまして補助をしていくということにいたしております。
  78. 坂本泰良

    坂本委員 大体わかりましたが、そういたしますと、具体的に補助がいくとか、あるいは早急に復旧するという点について、実際金の問題ですから、金がいくのはまだなかなか先になるわけですね。そこで、現地で非常に問題は、もちろん農林省関係も建設省関係も、大体熊本県は本省の調査がきのうごろから始まるわけですね、そうすると、実際の復旧は延びるわけですが、緊急に復申しなければならないところは、そういう補助金等がくるのを待っておるわけに参りません。ですから、その間のつなぎ融資と申しますか、そういう点について、これは自治省の関係になると思いますが、つなぎ融資の問題、それから先ほど来御答弁がありました交付税によってその復旧をやる、こういうようなことについて現在もやっておられるかどうか、つなぎ融資等の点については考えておられるかどうか、またこれを現在実施しておられるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  79. 高柳忠夫

    ○高柳説明員 私、直接の担当でございませんが、つなぎ融資の問題は、預金部の資金と、それから簡易保険の積立金の資金と両方を、従来から災害の場合の応急な措置としての融資をやっておりますので、現在、大蔵省関係といたしましては、財務局に短期の資金のワクを二百数十億全国で与えておりますので、そういう御要望には十分間に合うように資金的には措置してございます。ただ、具体的につなぎ融資を幾らしておるかという点は、ただいま資料がございませんので、また後ほど調べましてお答えいたします。
  80. 坂本泰良

    坂本委員 時間がありませんから、もうやめますが、そこで、私たち現地調査して、また現地住民として考えることは、早急に事務当局でやられることはどんどんやってもらいたい。なお、いわゆる被害調査の面も、市町村、あるいは今度は県から行ってそうして応急に調査をする。ところが、それで信用ができずに、また今度はやはり本省の調査がなければ、実際の補助額、そういういろいろな点はきまらない。そういうようなことでは、やはり長くかかってしょうがない。しかしながら、もうだいぶ過ぎて、熊本県下においては八月一日から建設省も農林省も本省調査にかかっておるということになれば、やはりこれは早急に調査をして、そして早くその復旧に着手するようにしてもらわなければならぬと思うわけです。と同時に、きょうは総理大臣も関係大臣も見えておりませんけれども、自民党の有力な委員も来ておられますが、やはり今度の災害については、先ほど井手委員が官房長官に質問されましたように、四百六十億に達しておる。これをやるには、今新聞で発表されているように、予備金等ではとうていだめじゃないかと思うのです。従って、幸いあさってから臨時国会が開かれますから、法規の改正等についてはもちろんでありますが、こういう九州災害復旧するにおいては、どうしてもやはり補正予算を組んで、そうして抜本的な復旧を実行するというのでなければならないと思うわけであります。従って、あさってから臨時国会が開かれますから、いろいろ先ほど報告がありました十万円以上のワクを三万円に下げるとか、そういう点は、法の改正、さらに補正予算を組んで、そうしてこの北九州災害を早く復申してやる、こういうことに対して、本日は政府の責任者がおられませんから、自民党、社会党の本委員の方々に特にお願いをいたしまして、実現できるように要望いたしまして、質問を終わります。
  81. 秋山利恭

    秋山委員長代理 玉置君。
  82. 玉置一徳

    玉置委員 時間がありませんので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  一番初めに、国鉄復旧のあり方につきまして局長にお伺いしたいと思いますが、災害が起こりました場合に、国道といい、あるいは国鉄といい、一日もすみやかに万難を排して復旧することが、災害地の経済的な混乱と社会不安をなくすゆえんだと思います。従って、従来ともそうでありましたが、今度も、見て参りましたところ、ボタ山の方は三交代で自衛隊でやっていただいておりますが、長崎本線の肥前大浦駅と多良駅の間は、あの復旧は、下関工事事務所の所管でありますか、福岡鉄道管理局の所管でありますか。
  83. 山口和雄

    ○山口説明員 管理局でございます。
  84. 玉置一徳

    玉置委員 そこで、われわれが行きましたあれでは、みんな五時ごろに汽車に乗って帰りますところを見れば、昼夜作業を行なっていないような感じがするのですが、国鉄災害復旧のあり方の建前はどうなっておるか、お答えをいただきたい。
  85. 山口和雄

    ○山口説明員 ただいまの御質問にお答えいたしますが、国鉄といたしましては、災害の場合に、応急につきましては、できるだけ早く列車を通すように昼夜兼行でやるというのが建前でごございます。大浦付近につきましては、私その件を詳細存じておりませんが、機械その他今までの様子から聞きましても、相当困難な個所であったということは聞いております。
  86. 玉置一徳

    玉置委員 肥前大浦駅にたまっております土砂は機械でおやりになっておりまして、その手前の方の多良駅との間は主として人力しか使えないところで、人力を使っておるように思いましたけれども、昼夜作業をやっておるようにはわれわれ見受けられませんでした。私は、国鉄災害復旧のあり方は、従来とも昼夜兼行で一応通すということにやっておいでになったように思っておりましたが、さように思いましたので、一つお調べをいただいて督励していただきたい、かように思います。  二番目に、通産省の方にお伺いしたいのですが、ボタ山の問題あるいは一般の鉱害の問題を災害地に行って伺いましても、非常にわれわれが感じますのは、鉱業法があまりにも鉱業権者の私権を守ることに一生懸命になっておるような法律であって、そういった鉱害もしくはこういう災害時を考えましたときに、もう少し社会公共という観点からもう一度見直さなければならない時期にきておるのではないかと感じますが、一つ御意見をお伺いしたい。
  87. 加藤悌次

    ○加藤説明員 ちょっと所管外でございますので……。
  88. 秋山利恭

    秋山委員長代理 聞いてよく調べて下さい。
  89. 加藤悌次

    ○加藤説明員 かしこまりました。
  90. 玉置一徳

    玉置委員 その次に、一言でけっこうでございますが、河川局長にお伺いしたいのは、先ほどから御意見なり御質疑がございましたが、どこに行っても、このままの計画の繰り上げ施行だけでは満足がいき得ないというのが災害地の状況だと思います。予算の関係もいろいろあると思いますけれども、災害特別委員会、それから国会が全部で、すみやかに根本的に改定しろという要望を出したときには、一体どういうようにされるか、お伺いしたい。
  91. 山内一郎

    ○山内説明員 今のところ、繰り上げでいくか、改定でいくかということは、事務的にはきめておりませんが、国会でもし御決議になるというような場合には、その趣旨の線に沿いましてわれわれは努力する、こういうことになると思います。
  92. 玉置一徳

    玉置委員 ついでで恐縮でございますが、改良復旧ということを非常にやかましく皆さんでおっしゃっております。もうそれしかしようがないと思うのですが、原形復旧では、こうたびたびきたのでは話にならぬ。そこで、改良復旧補助率が今の二分の一では、実際問題として、ものすごい災害を受けた地域にとっては重荷だと思うのです。従来のような思想からいえば二分のでけっこうだったのかもわかりませんけれども、ほとんどすべてが改良復旧関連工事をやらなければならないというようなこういう時代になりますと、二分の一は低きに失する、こう思いますが、いかがであるか、御意見をお聞きしたいのと、もう一つは、各地に行きまして、さすがに災害襲地帯はそれだけの工法ができておるなということを、私は島原の近くの補助河川をずっと見て回りまして感心しましたのは、裏子段を四輪車の小型が通るぐらいなものをコンクリートでいたしまして、一メートルか五十センチほどコンクリートで固めておる。ああやれば二度と災害にあうことがないんじゃないか。府県の課長連中は各地をお回りになって検認をされておりますけれども、そうじゃない方は、主としてそこの地で一生お暮らしになることが多いと思う。従って、各地のそういう工法の妙法を査定官が行って指導するのだと思いますけれども、もう少しお互いに勉強した方がいいのじゃないか、こういうように思うのですが、この二つの問題について御意見をお伺いしたい。
  93. 山内一郎

    ○山内説明員 災害関連事業の補助率の問題でございますが、現在のところ、二分の一を特に上げてくれという要望は聞いておりません。従って、今後よく地方要望を聞きまして、それに対処したいと思っております。  それから工法の点は、やはり査定官が全国を回ってみますと、県によって、県の慣習といいますか、それによって多少違っております。そういう点は、査定官が、いいところの県はそれでようございますが、おくれているような県につきましてはよく指導して、査定の場合に直させるというような方法をとっております。
  94. 玉置一徳

    玉置委員 もう一つ、地すべり対策でございますが、福岡県下を見て参りましたが、結局、真下に人家がございますときに、これはとまるんでしょうか、どうなんでしょうかというので、みんな避難しているわけです。あぶないならあぶない、絶対大丈夫なら大丈夫ということを、すみやかにだれかが来て言ってくれというみんなの要望ですが、みんなで見ておりまして、結局そんな大きな山をどういうことをしたってちょっと手がつかない、すみやかに民家を移転さすことが一番早いんじゃないか、その方が金が要らぬというようになっておりますけれども、町村長さんが移転命令を出しておいでになりますが、びた一文出ない。そうかといって、いつまでも逃げておるというわけにいかない。住宅対策としては今は補助金がもしも出せぬなら、住宅地だけは補助する、その他はほんとうに長期で無利子に近いこういうのがあるから、引越したらどうですかというように言わなければ、現行法では手がつかないのじゃないか、こう思うのですが、こういうことについてどういうように今後お考えになるか、お答えをいただきたい。
  95. 沖達男

    ○沖説明員 地すべり地域につきまして、知事が地すべりの移転に関する事業計画を定めますと、その事業計画に基づいて家屋を移転するという場合には、住宅金融公庫からその移転費について融資をすることになっております。
  96. 玉置一徳

    玉置委員 その手続の問題でなしに、今のままではちょっと手がつかぬ、無利子、少なくとも長期五十年ぐらいのことをせなければ、出ていく者はおらぬのです。そういう点について今後すみやかに検討をいただきたい、こう思います。  最後に、これはもうお話しになりましたから、希望だけしておくわけですが、漁民、ことに沿岸漁民につきましては、農家よりも生活その他が苦しいわけですから、天災融資、自創資金、漁場復旧というような、農家に対するより以上のお手当てを一ついただきたい、かように思います。官房長、一つよろしくお願いしたいと思います。
  97. 井手以誠

    井手委員 ちょっと関連して。本日は臨時国会直前の特別委員会でございまして、報告が主体でございますから、たくさんの質問がございましたが遠慮をいたしました。ただ、今まで答弁を聞いておりますと、災害という緊急事態に対する答弁としてはいささか足りないのです。非常に私は不満に存じます。特に国鉄の施設局長の答弁に対して、私は非常に不満であります。私は先日わざわざ本社に長崎県の実情について調査をお願いいたしまして、門司の管理局長に来ていただきました。私は、国鉄については地方議会では取り上げることが困難でございますから、この国会で十分取り上げたいと存じますが、ただいまの施設局長の御答弁ではきわめて不十分でございます。本日はいろいろ申し上げませんが、特に先刻調査団の報告にありました長崎本線並びに大村線の、あの鉄道道床を高く築いてあるために、それが堤防の役割を果たして、たくさんの人家が屋根までつかった実情を私はよく知っております。その実情をこの間調査してもらいました。その調査の結果があなたの方に報告があったかどうか、私はあとでお伺いいたしますが、ただいまの御答弁のようでは、私は非常に心もとないと思っております。十分その点は門司の管理局長に報告を求められて、臨時国会における特別委員会で——これは設置されることは間違いございませんが、特別委員会で十分な答弁ができるように、御用意を要望いたしておきます。
  98. 秋山利恭

    秋山委員長代理 永田君。
  99. 永田亮一

    ○永田委員 時間がおそくなったから、簡単に御質問いたしますが、厚生省の環境衛生局長さん、一つ明確に答弁をしていただきたいと思います。  この前の災害対策委員会で御質問をいたしまして、考慮するというお約束でございましたが、実は私の郷里の淡路島の南部のタマネギの被害の状況であります。六月の上旬から中旬にかけて梅雨前線集中豪雨がありまして、二昼夜から三昼夜にわたって水びたしになったわけであります。淡路島の南部の方は、冬作は麦を作らない、大体タマネギばかり作っているわけであります。一般の淡路島を御存じない方は、淡路島なんてちっぽけなところで、大した広いところもないし、タマネギも大してありはせぬだろうとお思いになるかもしれませんけれども、淡路島と申しましてもなかなか広うございまして、一千ヘクタールぐらいのところに被害が起きたわけであります。そのタマネギがちょうど収穫の直前でありましたので、水を二昼夜か三昼夜かぶりますと、人間が水死体になったときみたいに水ぶくれになってしまう、それでみんな腐るわけなんです。これはそのあと稲を植えるわけなんですが、普通のものが腐った場合には、ほうっておけば肥やしになるわけで、一向差しつかえないのですが、タマネギは腐ると有毒なガスを発生しまして、あと稲を植えてもみんな枯れてしまうのです。そのタマネギを引き抜いて捨ててしまったあとでないと、稲が植えられない。そういうことで、百姓はみんな腐ったタマネギをあわてて道ばたへどんどんほうり出したわけです。そのために道ばたが山のようなタマネギで、これがじゃまをしまして、私なんかも、その災害の直後に行ったときは、タマネギが道ばたに山のようにずっと何町も続いておって、自動車が通れない。二週間ぐらいして行ったときには、だいぶ片づけてありましたが、それでもタマネギが腐って自動車がすべってしまって、あぶなくて通れないくらいになる。とにかく、えらいくさいにおいで、鼻をつまんで目をつぶって通らないと通れないというような状態であります。川へ捨てたものは海へ流れていって、海岸に養殖してあったハマチがみんな死んでしまう。それから海岸へ打ち上げられたところが、海水浴場、国立公園がございますが、そういうところは、タマネギの腐ったのが一ぱい打ち上がってきてしまったものだから、海水浴目当てにしておったところがお客さんがみんな来なくなってしまって、えらい損害を起こした、そういう派生的なこともございました。  厚生省の環境衛生局長さんに申し上げたいのは、そのタマネギをほうっておくと、腐ったやつにウジがわいて、ハエがたくさんに発生します。それから蚊がわいたりして、とてもその町の者はたまったものではないのです。町としても、町長を初め、ほうっておくと伝染病が発生するし、とにかくハエを発生させないようにしなくてはいかぬというので、あわててダンプカーとかトラックを何十台と動員しまして、人夫を雇って町の道端に積んであるのを持っていって捨てるわけなんです。捨てる場所がまた大へんなので、川へ捨てれば今言ったように魚が死んでしまうし、海水浴場に被害を与える。仕方がないので、穴を掘ってそこへ埋めるのですが、何千万貫というタマネギですから、なまやさしいものではないのです。町としても非常な負担をかけて、ほうっておくわけにいかぬから、自分で町会を開いて臨時の追加予算を組んで、人夫賃とかトラックの雇い代とか、そういうものをみんな支出してやっておるんです。大体もう片はついたと思いますけれども、そのために町としても非常な思わざる出費を来たして、町の赤字が大きくなって、四苦八苦しているわけです。こういう状態になっておりますので、環境衛生の立場から清掃法の適用を受ければ国から半分補助が出るというので、町としても非常に助かるわけなんでして、適用を受ければ、あとの半分は自治省にお願いして特別交付金なりあるいは起債か何かでやっていけるわけですから、ぜひともこの実情を御勘案いただいて清掃法の適用をしていただきたい。この点について御意見を承りたいと思います。
  100. 五十嵐義明

    ○五十嵐説明員 ただいま御質問のタマネギの腐敗した大量の汚物の清掃につきまして、清掃法の適用によって補助金を出せないかというお尋ねでございますが、この事情につきましては、私ども災害の直後にすでに地元の方からいろいろ状況の御報告を受けておりまして、また写真等によりましても実情をよくお伝えいただいておりまして、作物がとれなかった上に、非常に大きな被害が生じているということでありまして、しかも環境衛生上ゆゆしい問題であるというような地元の事情もよく承知いたしておるわけであります。この件につきましては、従来、こういった災害に基づく清掃事業につきまして、予算措置といたしまして、ただいま御質問の中にもございましたように、二分の一の予算措置をいたしておるわけでございますが、今回の淡路の問題につきましては、ただいま、かなりおくれて参りましたが、地元から詳細な金額を入れました資料をちょうだいいたしましたので、この災害に対処いたしまして、何とか地元の環境衛生を完全に保っていくという方向で処理できないかということを今検討いたしておるわけでございます。ただ、この問題につきましては、従来の予算措置の場合と違いまして、困難な事情が一つございます。それは、従来の慣例といたしましては、そういった清掃事業につきましては、一つは災害救助法適用されているということと、それからその地域が清掃法でいいます特別清掃地域であるというようなことが一つの問題点になるかと思います。しかし、今回の災害は非常に大きな環境衛生上ゆゆしい問題だと存じますので、私ども入手いたしました資料を基礎にいたしまして十分検討いたし、また大蔵省とも御相談をいたしまして、できるだけ御趣旨に沿うような方向で検討して参りたい、かように考えております。
  101. 永田亮一

    ○永田委員 御事情はよくわかりましたが、これは当該町村長なりが非常に機敏な措置をとって、自分で自腹を切ってどんどん片づけたから割に早くきれいになりつつありますが、これをほうっておいたら、必ず流行病とか——とにかくウジ虫が一ぱいわくのです。あのくさいタマネギを好きな虫もいると見えて、われわれなら鼻をつまんで通るのだけれども、目がいたくなるようなタマネギに一ぱい虫がわくのです。ほうっておいたら流行病が発生し、伝染病が蔓延して、厚生省はそれで跡始末に大へんな、何倍もかかっただろうと思うのです。それを早く町の方で処理したからそういうことはなかったわけですから、あまりしゃくし定木なことを言わないで、そういうことになったことを考えれば、国としても大きな損をするのだから、そういう措置をとった地元のやり方についてもよく考えていただいて、ぜひ清掃法を適用してもらうようにお願いします。  それから自治省の方に、清掃法が適用された場合に——適用されると私は思っているものですから、その場合に、あとの半分の財政措置について、町としても思わざる赤字ができて町財政が非常に逼迫しておりますので、残りの分について特に考えていただきたい。どういうふうにお考えいただくかについて、一つ御意見をお伺いしたいと思います。
  102. 茨木広

    ○茨木説明員 ただいまの問題でございますが、この前、関係者の方々から写真等によって陳情を受けまして、自治省といたしましてもいろいろ検討を加えております。ただいま御意見のように、清掃法上の問題として厚生省さんの方でお取り組みいただいておりますので、その結果を見まして、特別交付税の方の決定時期でございます第四・四半期になりますが、その時期におきまして検討いたしたいと考えております。
  103. 永田亮一

    ○永田委員 それでけっこうです。  それから、これは結局大蔵省と御相談になって、清掃法の適用を受けるかどうかということをきめられるのだと思いますが、先ほど来私申しましたような事態でありますので、大蔵省としても、ぜひこの清掃法を適用するということに反対をしないように一つお願いしたいと思います。  以上です。     —————————————
  104. 秋山利恭

    秋山委員長代理 台風第七号による被害状況について資料が提出されておりますので、この際、農林省及び建設省から簡単に説明を聴取いたします。林田官房長。
  105. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 農林省関係の台風七号による被害の状況を御説明申し上げます。  お手元に資料がお配りしてありますが、七月災と申しますのは、今回の台風七号ではなくて、その右に台風七号というのが書いてあります。それによりまして、農地農業用施設、海岸、これが三億七千三百万円、それから林業関係が二億三千百万円、漁業関係が漁港その他で一億七千二百万円、そのほかに、畜産の施設あるいは開拓関係、国有林、森林開発公団、そういう施設関係、合計いたしまして八億二千百万円でございます。  そのほかに農林水産物の被害があるわけでございますが、農作物につきましては目下調査中でございます。家畜につきまして六十一万九千円、林産物が千六百万円、水産物が千六百万円、以上の通りでございます。
  106. 山内一郎

    ○山内説明員 お手元に資料が配付してございますが、この資料の一ページに、公共土木施設被害の総括が書いてございます。直轄災害が一億四千六百万円、補助災害が二十二億三千三百万円、合計いたしますと二十三億七千九百万円、その内訳が二ページ以降に書いてございます。  二ページは直轄河川被害の状況でございまして、近畿地方建設局管内の紀ノ川、中部地方建設局管内の菊川、大井川、この三河川でございます。水位の状況、雨量の状況、被害の状況、ここに書いてある通りでございます。  三ページは補助災害でございまして、各県から報告を取りました数字が集計してございます。静岡県が二百八十二カ所で四億五千六百万円、愛知県が二百九十一カ所で二億八千五百万円、三重県が三百八十九カ所で三億八千四百万円、滋賀県が百七十四カ所で三億七千六百万円、奈良県が二百七十九カ所で三億二百万円、大阪が八カ所で七百三十五万円、和歌山県が四百七十九カ所で四億二千百万円、全部で一千九百二カ所で二十二億三千三百万円、こういうような状況でございまして、静岡、和歌山、三重、滋賀、奈良というような順番で被害がございます。  四ページは住宅被害でございまして、ここに書いてある通りでございますが、警察庁の調べをここに掲げた次第でございます。  以上、簡単でございますが、報告を終わります。
  107. 秋山利恭

    秋山委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会