○
穗積委員 日韓会談につきまして
外務大臣から午前中お伺いしたのですけれ
ども、
総理がお見えにならなかったので、ちょっと重要な点だけ二点ばかり
お尋ねしたいと思います。
今、
野原委員からもちょっと話が出ておりましたが、われわれの理解では、事務折衝というものと政治折衝というものと言葉では使い分けをしておりますけれ
ども、たとえば
請求権問題について事務折衝と言い政治折衝と言いましても、基本的なお互いの
立場というものが理解されませんで政治折衝に入りましても、たとえば額を大体の目見当でどの辺にきめようかというようなことになっても、基本の
立場がはっきりしなければ政治的にその総括をすることができないと思うのです。たとえば
請求権問題についても、今事務当局の御報告ではだいぶ煮詰まったようなことをおっしゃっていますけれ
ども、基本的に、たとえば
平和条約の四条の解釈は一体どういうふうにしておるのか。それから、五五年の四月二十九日の
アメリカ国務省から
韓国大使館に対する覚書、
——これは形式は書簡になっておりますけれ
ども。それから、四五年十二月六日の例の軍令三十三号の問題、それから五七年の
アメリカ国務省の覚書としての正式な見解、これは時間的に見ますとそういう順序で出てきておるわけです。そうして、例の相殺をするという問題につきましても、基本的にまだ
両者の
主張そのものの基本が全然一致してない。それから、午前中の論議の中心の
一つになりましたが、今度の
請求権の
基礎としては、三十八度
線南の
範囲に限るのだと言われるが、
向こうは全
朝鮮と言っておる。そういうような
状態で、これを政治的に総括をして最終的な妥結、すなわち額をどういうふうにする、それから
請求権は幾ら、無償による援助が幾ら、有償による経済援助が幾ら、そういうようなことが出てこないと思う。にもかかわらず、これを急速にやられようとしておる。いわゆる
政治会談としてやられようとしておる。基本点が煮詰まってきて合意に達したならば、そこで、最終的に額をどの程度にし、部門をどの程度に分けるかというようなことはできるでしょうけれ
ども、根本的な違いがある。漁業にいたしましても、第一、
向こう側は、李ラインあるいは国防ラインと言い、名前は何でもいいですけれ
ども、その問題については全然触れてないで、ただ暫定的な
漁業協定ということは合意にだんだん近づいておられるようですけれ
ども、それをとってみましても、この
漁業協定の
内容である資源確保のやり方について、捕獲量でいくのか、船の数で制限をしていくのか、あるいは禁止区域を設定するのかどうか、これも全然まだ
意見が対立のままできまっていない。さらに、重要なことは、先般の予算
委員会でもわれわれ問題にした
竹島問題、きょうも問題になりました。これに対して、
向こうは、
議題とするのではなくて、
議題にするしないは別として、
国交正常化のためにはそういうのは別問題である、こういうことで
日本政府との間で基本的に違っておる。にもかかわらず、第一次、第二次の
政治会談をやって急速にこれをまとめてしまう、こういう
態度によって
会議が進められておるということは、はなはだしくわれわれとしては矛盾を感ぜざるを得ない。そうなりますと、
日本の自主的な判断によって、合理的な
基礎によって
会談が進められ
交渉が進められるということではなくて、だれかの力によって、何かに乗せられて非合理的な
基礎によってこれを妥結しようとする、そういう誤った政治的な
会談になる危険があるわけです。それを
総理は一体どういうふうにお
考えになっておられるのか。われわれの疑問は、今申しました通り、事務折衝というか、基本的なものがきまっていない。
会談をするレベルは、
総理であろうと、
外務大臣であろうと、あるいは事務当局であろうと別として、基本的なものがきまってないのです。それを
無理やりに
政治会談で妥結をしてしまうということの理由がさっぱりわからない。そうなると問題は
解決されないで
あとに紛争を残す結果になる。そうして誤った
解決になる。こういうふうにわれわれは心配するわけです。その点についての
総理のお
考えを伺っておきたいと思います。