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1962-03-23 第40回国会 衆議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十三日(金曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 簡牛 凡夫君    理事 高橋清一郎君 理事 塚原 俊郎君    理事 福家 俊一君 理事 山田 彌一君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君       宇田 國榮君    川野 芳滿君       木村 俊夫君    佐々木義武君       壽原 正一君    砂原  格君       竹内 俊吉君    西村 英一君       細田 吉藏君    増田甲子七君       三池  信君    石村 英雄君       加藤 勘十君    勝澤 芳雄君       田中織之進君    松原喜之次君       内海  清君  出席政府委員         運輸政務次官  有馬 英治君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (船員局長)  若狭 得治君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      岡本  悟君  委員外出席者         議     員 久保 三郎君         厚生事務官         (保険局船員保         険課長)    中村 一成君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      林田悠紀夫君         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 森   博君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         日本国有鉄道常         務理事     関  四郎君         日本国有鉄道常         務理事     磯崎  叡君         日本国有鉄道参         与         (施設局長)  柴田 元良君         日本国有鉄道参         与         (船舶局長)  久田 富治君     ————————————— 三月二十二日  委員勝澤芳雄君及び田中織之進君辞任につき、  その補欠として栗林三郎君及び中澤茂一君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員栗林三郎君及び中澤茂一辞任につき、そ  の補欠として勝澤芳雄君及び田中織之進君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十二日  有明湾沿岸港湾建設に関する請願二階堂進  君紹介)(第二七二八号)  古江線高須駅、根占町川北間鉄道敷設予定線の  調査線編入に関する請願二階堂進紹介)(  第二七二九号)  日豊線国分駅、古江線海潟駅間の鉄道敷設促進  に関する請願二階堂進紹介)(第二七三〇  号)  国鉄大崎大宮被服工場等の廃止及び統合反対  に関する請願外二件(平岡忠次郎紹介)(第  二九一六号)  同外十件(小川豊明紹介)(第三一三九号)  同外二件(小林進紹介)(第三一四〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員追加選任に関する件  船員法の一部を改正する法律案内閣提出第三  八号)  鉄道軌道等事業における公共負担国庫負担  等に関する法律案久保三郎君外九名提出、衆  法第二一号)  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 これより会議を開きます。  この際、小委員追加選任についてお諮りいたします。  すなわち、観光に関する小委員の員数を十二名とし、小委員竹内俊吉君を指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 御異議なしと認め、さよう決します。      ————◇—————
  4. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 国鉄経営に関する件について、調査を行ないます。  この際、土讃線の事故について、その後の経過等について国鉄当局より報告いたしたい旨の申し出がありますので、これを許します。吾孫子総裁
  5. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 去る二月十三日以来、三回にわたる土砂崩壊のために不通になっておりました土讃線復旧につきましては、この間、当委員会からも諸先生が直接現地を御視察下さいまして、殉職職員に対する御弔慰をいただき、また、現場の作業に当たっております職員を御激励いただきまして、厚く感謝いたしておる次第でございますが、おかげをもちまして、ようやく開通見込みが立つように相なりました。この間、現地旅客方々、あるいはまた荷主さんの方々に対して、大へん御迷惑をおかけいたしておったわけでございますが、これもただいま申し上げましたように、この二十六日には列車を通す見込みが立ちました。これは、全く皆様の御援助と御激励のたまものでございますが、当初土砂崩壊状況から考えまして、今月一ぱいはどうしても復旧にかかるのではないかと思っておりましたものが、どうにか二十六日から、開通させることができるような見込みが得られましたので、この点御報告を申し上げますと同時に、厚く御礼を申し上げる次第でございます。なお、復旧工事状況並びに輸送の取り扱いに関するもろもろの問題点につきまして、本日担当の常務理事局長等が参っておりますので、補足説明をさしていただきたいと存じます。
  6. 柴田元良

    柴田説明員 ただいま副総裁の御説明補足的な工事の面に関しまして、御説明いたします。ただいま御説明いたしましたように、三月の二十六日から開通をいたす予定になっておりますが、それまでに完了いたします内容は、すでに先生方もごらんいただきましたように、下の危険な個所の切り取りと崩土のすべては取り除いております。その崩土の下部に落石の土どめ擁壁をただいま建設いたしておりますが、おおむね四十メートル程度、二十五日じゅうに高さ一メートル五十に完成をいたしまして、その上に金網を張るということに相なります。そのほか擁壁から五メートルばかり離しまして警報用の電線を張りまして、落石などがございましたときには、この警報装置が非常を告げる、こういう二段の装置を完了いたす予定でございます。そのほか、列車に対する停止信号などは、二基設けられることになります。なお、上部の方が動くのではないかという判断をいたしておったのでありますが、この個所につきましても、計器の設備を六個完了いたしまして、この計器の移動を詳細に下の方の見張りの個所において観測ができる、このように十分の用意をいたしておるわけであります。  なお、開通いたしましても、当分は復旧をいたしました橋梁が木造のささえでこれを維持しておりますので、徐行を伴うわけでありますけれども、これは何ら列車運転に危険はないわけでございます。  そのほか、警戒員を二名常時配置いたしまして、警備に当たらせるわけであります。また、雨その他雨量によりましては、警戒員をふやします。場合によりましては、安全のために列車を一時とめる、このような手配も考えておるわけであります。  開業をいたしまして、引き続き本格的な復旧をこの雨季までの間に完成をいたす予定にいたしておりますが、大体擁壁を全延長六十七メートルにわたって完成をいたしますほか、崩壊いたしました土砂表面コンクリート・モルタルを吹きつける。さらに金網などを張りまして、表面が雨その他のために崩壊しないように強化をいたします。なお、下の方の弱い部分には、コンクリートの格子を張りまして押える、このようなことも考えておるわけであります。なお、吉野川沿い擁壁の方が、少し強化を要します。このような上下の工事を行ないまして強化をして、万全を期す、このように考えておる次第でございます。
  7. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 ちょっと私がお伺いしたいのですが、遺体捜査はどういうことになっておりますか。
  8. 柴田元良

    柴田説明員 その後、小笠原職員遺体は、いまだ発見をされておりませんけれども、現在、当初予定いたしました路盤の上に、コンクリート構造物の下になっておったのではないか、このように考えたのでございましたが、取り除きましたところ、遺体は実はございませんでしたので、ただいま吉野川の架線のところに隧道を掘りまして、擁壁沿いに死体を捜査いたしております。このような状態で捜査を継続いたすつもりでおります。
  9. 磯崎叡

    磯崎説明員 引き続きまして、私から輸送関係状況につきまして、簡単に御報告いたします。  お手元に書いてございますので、補足だけいたしますが、旅客関係につきましては、二十六日の昼ごろの列車から通したいというふうに考えております。ただ、三十一日までは、万が一のこともおもんばかりまして、夜行列車だけは運転をやめたいというふうに考えております。これは夜行列車をやめました時間でもって後ほど申し上げます貨物列車を走らせたいということもございますので、両方の目的から、今月一ぱい夜行列車をやめたい。四月一日から全面的に所定ダイヤでもって運行したいというふうに考えております。  なお、松山−高知間でやっておりました自動車臨時夜行便は、三月二十五日発をもって廃止いたし、さらに、当然のことながら、岩原と大田口の間のバス連絡は、開通と同時にやめたいというふうに考えております。  貨物関係につきましては、大へん先生方にいろいろ御心配にあずかりまして、そこに書きましたような状況になっております。宗谷丸霧島丸、並びにごく最近就航いたしました第五和洋丸の三隻による輸送実績が、上りが十三運航下りが十二運航ございまして、輸送トン数上りが約二千四百トン、下りが約千八百トンの実績がございます。  今後三月二十六日の開通以後、当然貨物列車も同日から運転いたしますが、初め二十六、二十七日の二日間は、とりあえず四往復運転を計画いたしておりまして、主として現在高知現地の間に抑留いたしております、すなわち、貨車に積みましたままになっておる荷物が、約四十車ございます。その四十車をまずはくつもりでおります。これは本来ならば、当然回送すべきものであったものでございますが、荷主側要望によりまして、汽車の通じるまでそのままにしておいてくれという要望のあったものが四十車でございますが、これがそのまま貨車に積んだままになっておりますので、これをまず優先的にはきます。そのほかに、御承知のように輸送回復と同時に、早出し野菜その他の相当強い出荷希望もございますので、四往復貨物列車によりまして、極力現在の滞貨をはぐ。そして二十八日から平常運転をいたしたいと思っております。  それから船につきましては、和洋丸の方は二十七日発まで、現在霧島丸のかわりの檜丸は二十八日発まで、すなわち、開通いたしましても、約三日間は船を使って送りたいというふうに思っております。すなわち、二十八日の高知発が最後になる予定でございます。  それからなお今後の問題といたしまして、現在高知県から国鉄に対しまして輸送要請がすでにございますもの、貨車にまだ積んでないもの、輸送上出ておりますものは、いわゆる滞貨がけさ現在で二千三百トン、この二千三百トンのほかに、さらに開通と同時に、過般の当委員会でもお話がございましたように、相当荷物が殺到するというように考えられますので、約五千トン程度滞貨があるということを一応前提といたしまして、臨時貨物列車並びに補助機関車を増配しまして、大体対前年度実績に対しまして六〇%増程度、すなわち一日約千七百トンベースくらいの輸送をやっていきたというふうに考えております。こういたしますと、大体一週間でもってこの滞貨は解消いたすつもりでございまして、その以後は、一日千百トンくらいの輸送要請でもって、大体輸送力とマッチするというように考えております。大へん長い間御迷惑をおかけいたしましたが、以上のような方法でもって、乗客、貨物とも、今月一ぱいに大体原状通りいくということになっております。大へん長い間御迷惑をおかけいたしました。      ————◇—————
  10. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 去る三月十五日、本委員会に付託されました鉄道軌道等事業における公共負担国庫負担等に関する法律案議題とし、審査を進めます。     —————————————
  11. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 提出者から提案理由説明を求めます。久保三郎君。
  12. 久保三郎

    久保議員 鉄道軌道等事業における公共負担国庫負担等に関する法律案について御説明申上げます。  まず、本法案提出した趣旨について申し上げます。  御承知通り国鉄を初め、鉄道軌道等事業の現況は、従来その固有性格といわれていた陸運における独占的立場が、自動車等新興輸送機関の急速な発達により失われ、これらとの競争をしいられるものとなり、独占性の中で消化し得られたいわゆる公共負担企業内で処理することが困難となって参りました。すなわち、負担力主義による運賃設定によって公共負担を吸収する経営限界に達し、さらに独占立場を失った鉄道事業の本質は、大きく変化したことを認めざるを得ないのであります。  一方、新興輸送機関の進出は、輸送構造変化させ、鉄道軌道の占める比重は相対的に軽くなりつつありますが、輸送の絶対量は減退せず、所得倍増計画においても貨物輸送量年率五・九%、旅客国鉄五・五%、民鉄五・一%の伸びと見ているし、現実にも増加の傾向にあることは否定できないところであります。  よって、必然的に経営の悪化を招来し、輸送力の増強、輸送方式改善等を推進し、輸送需要を充足することに支障を来たしつつあります。  次に、公共負担ということについてでありますが、鉄道軌道等は、本来幾つかの公共的基本義務を負っております。すなわち、運賃に関する義務ダイヤによる列車運行義務企業休止の規制、輸送引き受け義務等で、鉄道軌道なるがゆえに負わねばならぬ固有公共負担でありますが、それ以外の負担、すなわち企業外からの支配、干渉による負担、本法案対象となる産業政策文化政策社会政策として国家要請にこたえて負担しておる公共負担があるわけであります。  この国家政策的公共負担は、さきに申し述べた通り独占性を失った企業に当然のものとして負担さすべきものではなく、これを要請する国家自体において補償すべきものと考えるものであります。  これは独占性の上に立った負担力主義運賃設定中心にしての考え方からでありますが、原価中心とする運賃設定の観点からも、国家補償を妥当と考えるものであります。すなわち、国鉄運賃法に見るごとく、運賃決定原則として、原価を償うこと、公正妥当なものであること、産業発達に資すること、賃金及び物価の安定に寄与することの四原則規定されており、ここでいう原価総体原価を意味するものであるとしても、その他の三つ原則公共負担分をも加味しての原価主義とすることは妥当でありません。通勤通学定期割引貨物暫定割引、あるいは戦傷病者割引、被救護者割引等は、文教、産業社会政策上、国家がその必要に基づいて実行するものであって、輸送用役配分の必要や企業政策上から出たものでないのでありますから、これを原価の中に含め、運賃として個々の鉄道利用者負担さすべきものではなく、これら政策実行責任者である国家負担すべき性質のものであり、今日のごとく、経済のゆがみからくる輸送隘路打開運賃値上げと極端な経営合理化政策責任を転嫁することは、この種事業の健全な発達を阻害するばかりか、国民生活に悪影響を与えるもので、今こそこの種公共負担処理を正しく行なうべき時期と判断いたす次第であります。  次に、鉄道軌道等は、今日公正な競争立場に置かれていない点についてであります。  自動車等新興輸送機関固定施設は、道路港湾空港でありますが、これらはいずれも国または地方公共団体公共投資として提供されており、鉄道等におけるそれは産業投資として企業自体の造成にまかせられており、政府の通念としては区別されるにしても、懐妊期間が長く、かつ莫大な投資を必要とする固定施設に差別をつけ、なお、この種施設課税対象にしておく格差の上に国家政策の一端をになわせることは、その独占性を失いつつある今日、公正な競争を押えるものであって、輸送構造変化がさらに進むにつれ、大量輸送機関としての要請にこたえられない状況に追い込まれることも予想されるのであります。  また、この公共負担処理に関する内外の動向について見まするに、外国においては、西ドイツを初めとするフランス、スイス等では明確に国家負担を実施しつつあり、アメリカ、イギリス、オランダの諸国においても公共的義務から解放し、公正な競争立場に置く等の措置をとりつつあることは、御承知通りでありますし、内においては、国会の論議にも、表現の相違はあるにしても、公共性企業性二律背反的性格を有する国鉄問題を中心として、公共負担国家補償に求むべきであるとの主張が多く、さらに国鉄諮問委員会鉄道運賃制度調査会国鉄監査委員会等公式見解私鉄経営者協会も同様の主張をいたしており、一方、この種事業従業員も強く訴えておるところであって、このことは、公共負担国家補償として早急に決着をつけるべきとの世論であると見るべきであり、よって、ことに提案をいたした次第であります。  次に、法律案内容のおもなるものについて申し上げます。  第一に、公共負担として国庫負担を行なうものとしたものは、国鉄国有鉄道運賃法第五条第二項によって割り引くところの通勤通学定期旅客運賃割引相当額及び国鉄その他鉄道軌道通勤通学定期運賃普通定期運賃より低く定めるものの差額相当額とし、また産業政策文化政策社会政策等国家政策要請に基づいて政令により割引する旅客貨物運賃割引相当額といたしたのであります。  次に、補助対象としては、鉄道軌道政令で定める異常災害による施設の被害に対し、復旧費用の四分の三を補助することといたしました。  次に、この法律適用範囲でありますが、今日公共負担について問題の大きいのは国鉄でありますが、鉄道軌道事業は、それが私鉄であれ、都市交通であれ、同様の問題をかかえており、国鉄経営のあり方により多かれ少なかれその影響を受けているところでありますので、適用範囲国鉄地方鉄道業者及び軌道経営者を含むものといたした次第です。  次に、公共負担にかかる国庫負担について調査審議する運輸大臣諮問機関として、鉄道等公共負担審議会を置き、政策割引設定改廃に公正を期すこととしたのであります。  なお、公共負担対象としての踏切道維持管理費については、別途の立法措置に譲ることといたし、新線建設費については、この法律によらず、財政上の措置とし、政府出資金増額等を考慮することとし、取り入れないことにいたしました。いわゆる赤字線区経営については、これら支線が幹線の培養線としての機能及び今日の経営全体から見て、今後の研究課題として保留し、線路等固定施設原価償却費については、他の輸送機関道路港湾空港等関係について公正な競争立場から考慮すべき事柄ではありますが、一応今回は見送ることとしたのであります。  以上、法律案の概要について説明を終わります。
  13. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 本案に対する質疑は、次会に譲ることといたします。      ————◇—————
  14. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 船員法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  15. 久保三郎

    久保委員 運輸省にお尋ねするわけでありますが、先般も若干お尋ねをしたわけでありまして、多少重複いたしますが、確認のためにお許しをいただきたいと思います。  まず第一に、船員法適用範囲でありますが、適用範囲というのはいかなる基準によってきめられるものであるか。なるほど、ここには幾つかの条項がございます。たとえば適用除外の項が一、二、三の三つの項目がありますが、この性格というか、中身は何なのか。たとえば船舶の大きさによって基準がきまるのか。それとも航行範囲によってきまるのか。それとも船舶の種類によってきまるのか。どうなんですか。
  16. 若狭得治

    若狭政府委員 船員法は、労働立法といたしましては労働基準法特別法でございますので、その範囲につきましては、厳格に法律できめておるわけでございますけれども、現在の規定によりますれば、三十トン以上の漁船、五トン以上の貨物船一般船舶、そういうものに適用いたしておるわけでございます。この趣旨は、海上労働特殊性の特に顕著なものに限定いたしまして適用するということでございまして、必ずしもその仕事の内容、あるいは船の大きさという面からだけ規定いたしておるわけではございませんで、海上労働としての特殊性の顕著なものという意味で、現在の規定ができ上がっておるわけでございます。たとえば貨物船一般船舶については五トン以上、それから漁船については三十トン以上というふうに規定いたしておりますのも、この除外されている船舶は、陸上生活根拠として労働しているというものについては、海上労働としての特殊性が薄いということで、現在は適用除外をいたしておるわけでございます。従いまして、船員法適用するか、あるいは労働基準法適用するかという問題につきましては、その限界点においては、もちろんあいまいな点が実態的にあるわけでございますけれども、一応海上労働としての特殊性を有するもの、特殊性の顕著なるものに現在適用するということで規定いたしておるわけでございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 海上労働特殊性というところから船員法ができているというのでありますが、その海上労働特殊性というのは、船の形や、航行範囲や、船の種別ではないはずです。いわゆる海上労働という特殊なものに対する労働基準法、こういうふうに解釈すれば、今のかような適用除外条項には幾多問題があると思うのでありますが、いかがですか。
  18. 若狭得治

    若狭政府委員 このたびの改正で、二十トン以上の政令で定める漁船適用範囲を拡張いたしますのも、その後の情勢の変化によって、漁業の実態が非常に変わって参りました。たとえば法律制定当時においては、三十トン未満の船舶遠洋に行くものはほとんどなかったわけでありますが、最近におきましては、沿岸漁業の不振あるいは船舶の性能の向上というような、経済的あるいは技術的な両面からの原因によりまして、二十トン程度船舶でも、遠洋に行って働くという船舶が多数出て参ったわけであります。そういう点に着目いたしまして、現在法律改正案提案いたしておるわけであります。今後、こういうような漁業変化により懐して、その適用範囲をさらに検討するというような面もありましょうし、また、現在の規定においては、三十トン以上の第一種の従業制限を有する船舶についても、船員法適用いたしておるわけであります。こういう点につきましては、船舶の大きさに着目いたしまして、その程度船舶については、やはりこの航行組織体としての船舶特殊性船員労働特殊性というものを規律する必要から、こういうものも船員法適用対象としておるわけでありますので、そういう面についても、さらに今後検討を続ける必要があるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  19. 久保三郎

    久保委員 船員局長お話は、わかったようでわからない。なぜわからないかというと、これはこの前に御答弁になったように、また今もお話に出ておるように、陸上労働基準法適用する者は、あなたの言葉を借りて言えば、家庭根拠として働いておる者だ、これは陸の労働基準法だ。ところが、どこまでが陸の基準でいくのか。やはり同じ海上労働者です。だから、船員法というのは、家庭根拠にしようがしまいが、海上労働者は全部適用されるというふうに割り切らないと、いつも問題がすっきりしない。だから、その割り切り方をしないから、今日混迷しておる。何がゆえに家庭根拠にすれば船員法適用を受けなくて、陸上の一般の労働基準法適用してよいという理屈ができるのか、これはいかがですか。  だから、船員法性格をまず聞いておるのです。この前も聞きましたが、わかりません。船員法というものは、何かお言葉にちょっと出ましたが、海上労働者基準法だという。海上労働者基準法だというならば、海上で働く者全体が、いわゆる陸に働く者と条件が違うのだから、この特殊な基準法的な船員法で規律するのだ、こういうことの基本理念がすっきりしなければならない。もちろん、今日の状況の中ですべてをこれで律するわけにはいかない場合がある。しかし、基本的な理念を正しくしておいて経過措置があるべきだと思いますが、今までの御説明では、残念ながら経過措置が重点であって、基本理念は次のことだ、こういうことになっておる。この割り切り方をしない限りは、あなたの今の御答弁で、後段にありましたごとく、今後検討して改善を加えていくという趣旨にはならないと思いますが、いかがですか。
  20. 若狭得治

    若狭政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、船員法特別法でございますので、海上労働特殊性というものは何かということを明確にする必要があると存じますけれども、まず第一に、海上労働特殊性といわれるものについては、一番根幹をなすものは、二つあるというふうに私たちは考えておるわけでございます。その一つは、船舶が沿岸から孤立いたしまして一つの社会を形成するという、陸上の警察とかあるいはいろいろな社会制度というものから離れた生活を一つの組織体としてやっていかなければならぬという点に特殊性がある。それからもう一つは、家庭を離れて乗組員が共同生活を長期間にわたって行なわなければならぬということ、この二つの面が、海上労働の最も大きな特色ではないかというふうに考えるわけでございます。従いまして、こういう点からいたしますれば、陸上労働との相違点と申しますものは、たとえば遠洋に行きまして長期間漁業に従事する船舶、あるいは遠洋航海を行なう貨物船旅客船というようなものは、最も陸上労働とは異った態様を示しておるわけでございますけれども、船舶の型が小型になり、また、その就航区域が沿岸に近くなって参りますと同時に、その労働の実態というものもだんだん陸上労働に近寄ってくる。たとえば、具体的に申しますと、家庭根拠として生活するということによりまして、先ほど申し上げました長期間家庭を離れて共同生活を行なうという面が、少なくなって参ります。また、たとえば港湾内で働いている、動いているというような船舶につきましては、陸上労働と全く同様な労働が行なわれるわけでございまして、そういう点につきましては、水上、海上において生活する、労働しているという点だけでは、労働基準法適用を除外するという積極的な理由に乏しいわけでございます。そういうように、海上労働につきましては、その就航区域、船舶のトン数等によりまして、その特殊性にいろいろ濃淡があるわけでございまして、現在のところは、二十トン以上の漁船、五トン以上の貨物船というように、大体において海上労働特殊性に着目して、陸上の労働法規から別個の規定をするのが適当であるという見解に立ちまして、こういう改正をいたしておるわけでございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 この前もお尋ねしましたが、二十トン以上というふうに改正した趣旨は、こういうことだという御説明はありましたが、二十トンと切った理由は何だと聞きたいのです。それが明確でない。十九・九トンというのはどうなんです。その切り方はどうなんですか。
  22. 若狭得治

    若狭政府委員 現在遠洋に出漁するというような漁船は、大部分二十トン以上だ。もちろん十九トン程度船舶もあると思いますけれども、それは例外でございまして、数は非常に少ないということで、一応大数的に観察いたしまして、二十トン以上のものに適用するというふうにしたわけでございます。
  23. 久保三郎

    久保委員 局長、十九トンという船は、大数的に計算して少ないというのですが、それでは数字を御発表いただきましょう。−私の方から御披露申し上げましょう、大へん失礼でございますが……。もちろん、十九トンの船はとってありません。五トン以上二十トン未満の海水動力船、これが一万五千六百二十二、これは三十五年の十二月末でありますから、ふえていると見なければなりません。それから二十トン以上三十トン未満の船、あなたらがこの適用範囲で差別をつけようとする第一種の従業制限の船が九百九十九、第二種が五百七、第三種が百十七、二十トン未満の船が一万五千あるんですよ。二十トン以上三十トンまでの船は、千五百しかない。だから、こういう実態について御検討をいただいた上で二十トンで切ったのだろうと、私は好意的に見るわけでありますが、どうも二十トンと切った意味も、ちっともわからぬ。わからぬままにわれわれ先へ進むわけにいきませんので、もう一ぺんくどいようでありますが、二十トンと切った、そのトン数の切り方の理由は何でありましょうか。
  24. 若狭得治

    若狭政府委員 今久保委員から数字の御説明をいただいたわけでございますが、これは第一種、第二種を含めた数字だと思いますが、今船員法適用をいたそうとしておりますのは、第二種及び第三種の従業制限を有する船舶対象と考えておるわけであります。と申しますのは、第二種、第三種につきましては、沿岸の漁業でございませんで、遠く沿岸から離れて作業に従事するということに着目しまして、船員法適用を考えておるわけでございます。従いまして、先ほど申しました十九トン以下につきましても、もちろん第二種の従業制限を有するものはあると思いますけれども、その比率は、今先生がおっしゃいましたような比率ではございませんで、第二種の従業制限を有する十九トン未満の船舶というものは、数は非常に少ないという状況でございます。資料は今調べておりますので、後ほど御答弁させていただきたいと思います。
  25. 久保三郎

    久保委員 局長、私の話を勘違って聞かれたようですが、私は、別に第二種で十九トン以下はどうなんだという数字を聞いておるのではなしに、二十トンに切った意味は何だ、十九トン九分というのもたくさんあるじゃないか。それで、私が調べた範囲で、五トン以上二十トン未満の船が一万五千六百二十二、二十トン以上三十トン未満は、千五、六百しかない。しかも、これは漁船の方でありますが、片方は、貨物船は五トン以上のものは船員法適用だ。どうも私はしろうとのせいかよくわかりませんが、何がゆえに二十トンと切ったのか。先般の御説明でも、大体二十トン以上の中でも、第一種従業制限によるものは、これは日帰りになるものだから適用除外だと言っているが、その話の前に私は聞きたいのは、二十トンと切った理由は何かというと、今の御答弁のように、十九トン以下の第二種、第三種はそうはないんだ——そうはないんだというが、あるんですよ。あるとするならば、第二種、第三種は入れるという御方針ならば、全部第二種、第三種は入れるべきじゃないですか。二十トンと切った意味は、何もないじゃないですか。二十トンときっちり切るならば、これはトン数ですっきり切ったんだ。理屈は別に立たないにしても、二十トンという数字が基準になる。しかし、そこまで第二種、第三種だけ入れるんだという。ところが、二十トン以下には、数は少ないが第二種もあるのです。そうすると、二十トン以外に従業制限というものがある。むしろ、この際は従業制限というものが比重になっておるようだとするならば、十九トン以下についても、第二種、第三種は入れるべきだ。第三種はないかもしれないが、第二種は数は少ないけれどもある。数が少ないから法適用範囲ではないというのでは、これは法の上に公平でなくてはならないという法の原則からはずれるのではないでしょうか。いかがでしょうか。
  26. 若狭得治

    若狭政府委員 船舶の大きさと従業制限との関係につきましては、現在の法律におきましても、三十トン以上の船舶で第一種の漁業に従事する船舶があるわけでございます。この法律を制定いたしました当時は、船舶の大きさに着目いたしまして、従業制限というような考え方は取り入れておらなかったわけでございます。しかし、この三十トン以上の船舶というふうに規定いたしました趣旨は、陸岸から離れて海上において長期間にわたって労働するという趣旨に間違いないと思うわけでございますけれども、その実態を詳細に調べてみますれば、第一種の従業制限を有するもので該当するものがあるというわけでございますので、現在の規定におきましても、このトン数というものと従業制限というものとの実態的な混淆の問題は、当然入っておるわけでございます。従いまして、とのたびの改正におきまして、二十トン以上の第二種、第三種に適用しようというふうに現在考えておりますのも、現在の三十トン以上の規定がすでに不備になってきているという意味でトン数を下げたわけでございますけれども、トン数を下げましても、なお今先生がおっしゃいましたような具体的な従業制限、具体的な労働の実態というものと、それからトシ数というものが必ずしもマッチしないという面があるわけでございまして、われわれも、こういう点については非常に苦慮いたしておるわけでございます。政令によって定めることといたしておりますけれども、その政令の制定につきましては、今後慎重に検討していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  27. 久保三郎

    久保委員 あなたの御答弁でもわかりましたが、二十トンで切り、なおかつ従業制限によって区分するということについては、あなた自身も割り切っておらないようであります。それは当然のことだと思うのです。結局、今日の特に漁業経営の実態というか、前時代的な労働慣行が今日駆逐されない原因も、一つここにある。やっぱり法は、先んじてそういう前近代的な労働慣行は是正するという気がまえがなければ、いつまでたっても漁業労働者なり、漁業関係の近代化はなし得ないと思うのです。もちろん、今度の改正案で第二種、第三種が二十トン以上は全部入るということでありますから、多少の前進ではありましょう。ありましょうが、少なくともこれではいわゆる画龍点睛を欠くうらみがありはしないか、こう思うのです。そこで私は、くどいようでありますが、従業制限というのは何から出ているのか。船舶安全の立場から出ているのか、どうなのか。私は、漁船特殊規則でありますか、そういうのをよく読んでおりませんが、これはいかなる性格の規則なのか。それから、この第一種、第二種、第三種の区別は、いかなる観点から区別しているのか。船員労働関係から区別しているのかどうか。そういう点はいかがですか。これはむしろ水産庁の漁政部長さんからお伺いした方が早わかりだと思うのでありますが、林田さん、この漁船特殊規則というのは、いかなる観点の規則で、何を規制しようとするのか。
  28. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 漁船特殊規則につきましては、これは船舶の安全という見地から、一種、二種、三種と分けまして、一種の船は、この漁船特殊規則の三条に書いてあるわけですが、こういうふうな漁業により従事できないとか、あるいは二種はこういう漁業であるというふうに、船の検査をしまして、その検査を受けて、一種ということになりましたならば、一種の漁業により従事できないというふうに規定してあるわけでございます。
  29. 久保三郎

    久保委員 ただいま御説明があった通り船舶の安全の問題から、この特殊規則というものがきめられている。一種というのは、早くいえば、一番安全性では低い方、そして三種は一番高い方というふうになるわけです。ここで船員労働の問題に立ち返って考えれば、何を一番先に保護しなければならぬかというと、一番安全性の乏しいものから保護するのが建前ではなかろうかと思う。ところが、との改正の中身について御説明があったことによれば、第一種の一番安全性の低い方を除外しようという。どうも法の性格をそこで——私は、船員法というのは、労働者の保護法なのか、何をやろうとするのかさっぱりわからぬということだ。いかがですか。何がゆえに船舶安全の観点からきめた第一種、第二種の区別を船員法適用しようとするのか、これが私はわかりませんので、もう一ぺんお答えをいただきたいと思います。
  30. 若狭得治

    若狭政府委員 漁船特殊規則によりまして、第一種、第二種、第三種と定めております。第一種は、最も安全度の低いものということになっておりますけれども、これは大体において沿岸漁業でございますので、日帰りができる、陸岸からあまり遠く離れて作業を行なわないというところに着目いたしまして、その構造につきましては簡易でいいという規定がございます。第二種、第三種につきましては、遠洋にも出漁できるということを前提といたしまして、船舶の構造をきめておるわけでございます。現在の船員法は、先ほどから申しておりますように、海上労働特殊性ということに着目いたしまして、その適用範囲を決定いたしておるわけでございますので、大体において第二種、第三種というように、長期間海上において漁業に従事するものというものを適用対象にいたしておるわけでございます。従いまして、安全度という面につきましては、第一種の船舶につきましては、陸岸からそう遠くないところで漁業に従事するということが原則でございますので、そういう点で、特殊規則の方はそういう規定でできておりますけれども、海上労働といたしましては、むしろこの遠洋の長期間海上に滞留するということに着目しているわけでございまして、その間、船舶安全法と船員法との間のそごというような問題はないのではないかというふうに考えております。
  31. 久保三郎

    久保委員 船舶安全の観点からできた法律で、そこで、遠くへ長期間にわたって出ていってはいけないから第一種にしたのだ、ここですよ。ところが、漁業の実態は、あなた御存じの通り、先般の質問でも申し上げた通り、近くて日帰りとは限っちゃいない。船舶の安全に適していれば、どこまでも行く、そういうものがあるはずなんですね。そうだとするなら、やはりこの第一種とか第二種の区別によって船員法適用をどうするかという根拠にはならない、薄い、こういうふうにわれわれは思う。どうもこの辺は船員法そのものもすっきりしませんからなんでしょうが、まあこれは私の推測かもわかりませんが、先ほども申し上げたように、そういう第一種従業制限になっているものは、経営自体も零細あるいは中小企業だということから、船員法適用になっては経営が持たぬということもあるんじゃなかろうか。それから先般厚生省にお伺いしましたが、厚生省は別に差しつかえはございません、こういう話です。実際話によれば、厚生省としては、保険財政の面があるからちょっと待ってほしいという意見が出ておるそうであります。その辺がいわゆる二十トンで第一種を省くという根拠になったんであろう。そうでないとするならば、私が今まであげた幾つかの理由によって、二十トンできめたことは私も譲歩していい。しかし、第一種を除外するについては、理屈にならぬから、再検討を要する。いかがですか。
  32. 若狭得治

    若狭政府委員 船員法改正につきましては、船員中央労働委員会に諮問いたしまして、審議を重ねてきたわけでございまして、その結論をそのまま実は改正案の中に盛り込んでおるわけでございます。このたび船舶適用範囲を二十トンに引き下げるという問題につきましても、中央労働委員会の答申のあったそのまま実は法律改正をいたしておるわけでございますけれども、こういうふうに二十トンと限定したことにつきましては、労働委員会で十分審議されたわけでございますけれども、先ほど申しましたように、大部分の第二種及び第三種の従業制限を有する船が、この二十トンの制限の中に入って、あとは十九トン以下のものは少数ございますけれども、大体において、遠洋において漁業に従事するものはこれによって救われ得るということで、こういうふうな制限をつけたわけでございます。第一種につきまして、十九トン以下というふうな多数の船舶適用するということにつきましては、先ほど先生がおっしゃいましたようないろんな問題もございますし、今後さらに慎重に研究を続けていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  33. 久保三郎

    久保委員 今後御検討をいただくことはけっこうでありますが、そこで水産庁の漁政部長にお尋ねするのであります。  ここ二、三年間のに第二種から第一種に格下げといっては語弊がありますが、そういう変更をした船の数は、多いのですか、少ないのですか、いかがですか。そういう変更はございましたですか。
  34. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 先般第二種から第一種に移動いたしましたのは、日本の近海において営まれておりまする以東底びきにつきまして、移動をいたしたわけでございます。隻数はちょっと不明でございまするが、そう多くないと思っております。
  35. 久保三郎

    久保委員 今後の傾向として、そういう従業制限資格の移動はございますか。
  36. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 大体この前以東底びきを移動いたしましたので、今後におきましてもあまりないと存じております。
  37. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、船員局長、お尋ねしますが、適用範囲が、漁船の特殊規則というような、いわゆるしょっちゅうといっては語弊がありますが、あまりこれからたくさんはないだろうというお話でありますが、少なくとも移動する可能性を持っている。そういう規則によって、きのうまでは第二種であったが、きょうは一種になった。船員の身分はずっと同じなんですね。こういう不合理が出てくるわけなんです。これはどういうふうに考えられますか。これはやはりあなたの御見解からいけば、変わったとたんに、今度はほかの基準法を適用する、船員法適用はございませんという、それ一つとっても大きな変化でございます。これはどうなんですか。
  38. 若狭得治

    若狭政府委員 現在、船員法適用基準といたしておりますのは、船舶の資格によって決定いたしておりますので、その具体的な漁業の実態によってその適用をきめるという制度にはいたしておらないわけでございます。従いまして、第二種から第一種に資格が変わるという場合は、非常に例外でございますし、また、先ほど以東底びきの例がございましたけれども、これにつきましても、船舶の資格はたしか変えておらないというふうに記憶いたしておるわけでございます。そういうものについては、船舶の資格によって船員法適用をするかいなかということをきめるということになっておりますので、その適用関係が常に不安定であるというような問題は、生じないのではないかというふうに考えております。
  39. 久保三郎

    久保委員 今の御答弁、わかりません。わかりませんから、もう一ぺん御答弁いただきたいのでありますが、そのほかに、今あなたのお話の中で、船舶の資格によってきめると、こういうことであります。そうしますと、冒頭私が、船員法適用というのは、船の種類か、大きさか、航行範囲か、その三つのうちのどれできめるのかとお話を申し上げたところが、それじゃない、海上労働者としての特殊性を考えて、これは海上労働者基準法であるというふうに御答弁があったと思います。ここにも矛盾が出てくるわけですね。これはどういうふうに解釈されますか。いかがですか。
  40. 若狭得治

    若狭政府委員 先ほど申し上げましたように、特別法でございますので、この適用範囲につきましては、浮動いたしませんように厳格に規定する必要があるわけでございまして、船舶の資格という面から、漁船につきまして適用範囲を決定いたそうとしているわけでございます。もちろんその基礎には船舶の大きさというものが入ってくるわけでございますけれども、トン数とそれから船舶の資格という面から、船員法適用対象をきめていくというふうに考えておるわけでございます。
  41. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、先ほどのお話とはちょっと違うのですね。適用範囲の問題については……。私が申し上げた三つの例は、一つ足りませんけれども、船舶の安全というか、そういう問題で一つ要素が足りませんが、そういうように四つを勘案したものが、船舶の資格でしょう。船舶の資格によって船員法適用するかどうかをきめる、こういうことでありますね。そうだとするなら、実際いって、一貫していないということですよ。だから、私はその問題はまたあとにしますが、ここでお尋ねしておるのは、第二種から第一種に変わった場合には、明確にどうなるのか、いかがですか。どうも私の聞きようが悪かったかもしれませんが、わかりません。
  42. 若狭得治

    若狭政府委員 第二種から第一種に変わりました場合には、船員法適用除外になるということでございますけれども、そういう例は非常に少ない。おそらく……。(久保委員「多い少ないを聞いておるのじゃない。どうなるのかを聞いておる」と呼ぶ)適用除外になるわけでございます。
  43. 久保三郎

    久保委員 多いか少ないかという話が出ましたが、多いか少ないかでやられたのじゃ、実際いって、これはかなわぬと思うのです。そういう不安定な労働関係にあっては、船員法を近代的な海上労働者基準法というか、保護法として貫き通そうという熱意が政府にはないのじゃないかと疑うのですが、いかがですか。ほんとうに保護しようという考えがあっておやりになっておるのですか。保険一つとっても、重大な問題です。きのうまでは船員法、きょうは一般だ、こうなれば大へんな問題です。これは政令によってそうきめるのですか。今の御見解通りにきめるのですか。
  44. 若狭得治

    若狭政府委員 政令におきましては、現在のところ、中央労働委員会の答申に従いまして、第二種及び第三種の従業制限を有する総トン数二十トン以上の漁船というふうに定めたいと思っておりますけれども、今後の問題といたしましては、このトン数の問題及び従業制限の問題につきましては、さらに検討を重ねていきたいというふうに考えております。
  45. 久保三郎

    久保委員 さらに検討を加えていくというのは当然かもしれませんが、現実の問題として、私は提案されたものについてお尋ねしておるわけです。だから、あなたにお尋ねするのは、二種から一種に切りかえられた場合は、あなたのおっしゃる通り政令できめるのか。それでは実情に合わないじゃないか。こういうことなんです。それはあまりにも偏狭なきめ方じゃないかと言うのです。
  46. 若狭得治

    若狭政府委員 法律上当然二種から一種に切りかわる場合には、保険関係適用につきましても、船員保険からはずれて、陸上の共済保険その他に変わっていくということになるわけでございます。
  47. 久保三郎

    久保委員 そういうきめ方については、われわれはちょっと納得しません。そういうことでありますから、政令にまかせるというのはあまり好きじゃないのです。しかも、船員中労委の議を経てという、なるほどそれはりっぱでしょう。しかし、この間も運輸大臣に御質問申し上げた通り、あなたの方の諮問は、適用範囲をどうするかという諮問なんです。政府自体のお考えがない。当然三者構成で円満に結論を得れば、との辺がまあまあですよ。二十トンで二種、三種を入れる、前進がないじゃないですか。何年かかってきたのか。しかも、これは諮問したのは、昭和二十八年の十二月十一日なんです。こういうものを昭和三十七年の三月の今日、出してきているのです。二十八年から今日まで、時代は変わっているのですよ。九年間の時代の推移を考えなければいけない。だから、せめて二十トンで第一種を云々というならば、そういう切りかえたものは継続すべきではなかろうか。くどいようですが、もう一ぺん二十八年の十二月から今日までの時代の推移を考えて、これはお考えをいただきたいということです。
  48. 若狭得治

    若狭政府委員 第一種、第二種の従業制限を有する船舶につきまして、その相互間の変動をどうするかという問題でございますけれども、われわれといたしましては、第二種の従業制限を有するものは、明らかに船員法適用対象として適当なものである。しかし、第一種の従業制限を有するものについては、その実態が沿岸漁業でございますし、陸上の法規によって現在処理しておるわけでございますので、その方がより適当ではないかということでこの答申が出たものと思うわけでございますけれども、もちろん、船員法適用のものにつきましては、先ほどから申し上げましたように、現在三十トン以上のものについても第一種のものがある、また二十トン以下のものについても第二種の船舶があるというふうに、この適用関係につきましては、確かに先生がおっしゃっておりますように、その限界に参りますと、非常に不明確なものがあることは、われわれも認めざるを得ないというふうに考えておるわけであります。現実、問題として二十トン以上の第一種にこの船員法適用するかどうかという問題につきましては、保険関係の問題、あるいは漁業事業者の問題等、いろいろ困難な問題があるわけでございますので、この政令を具体的にきめるまでに、そういう点についてさらに検討を加えていきたいというふうに考えております。
  49. 久保三郎

    久保委員 まあ考えていくというから、その問題は一応その程度にしておきます。  そこで、水産庁にお尋ねしますが、三十二年七月十日から今日現在まで、第二種から第一種に移されたものが、船としてあるかどうか。
  50. 森博

    ○森説明員 先ほど漁政部長がお答えいたしました通り、以東底びきが第二種から第一種に移された次第でございます。
  51. 久保三郎

    久保委員 船員局長、この以東底びきは、新しい改正では適用範囲ですね。
  52. 若狭得治

    若狭政府委員 以東底びきは、第一種でございますので、現在のところ適用する考えはございません。
  53. 久保三郎

    久保委員 あなたは、先ほど船員中労委の答申に基づいてこれをやってきたと言われた。船員中労委の答申の中身には「昭和三十二年七月十日現在の第二種及び第三種の従業制限を有するものには、船員法適用すること。」という一項がある。お忘れじゃないでしょう。いかがですか。
  54. 若狭得治

    若狭政府委員 この法律が制定されまして、その後において政令が作られるわけでございます。そのときの時点において、第二種及び第三種の従業制限を有するものというふうに現在のところは規定する考えでございますけれども、以東底びきにつきましては、そのとき以前にすでに第一種に変更しておるというものでありますれば、当然適用対象にはならないというふうに考えておるわけでございます。
  55. 久保三郎

    久保委員 大臣はおられませんが、政務次官に運輸大臣としてお尋ねします。  この答申が三十四年七月三日に出ておるのです。その中身に、今お話し申し上げたように適用範囲として「総トン数二十トン以上三十トン未満の漁船であって、昭和三十二年七月十日現在の第二種及び第三種の従業制限を有するものには、船員法適用すること。」となっておる。答申通りやろう、やろうといっておって、その後段について考慮しないというのは、これは納得がいかない。これはあなたの方から出した書類ですよ。間違いなんですか。
  56. 有馬英治

    ○有馬政府委員 運輸省といたしましては、従って運輸大臣といたしましては、答申はどこまでも尊重いたして参りましたし、また今後も尊重していく考えでございます。久保委員の先ほど来の事柄は、従業員の利害に重大な影響を及ぼす問題でございますので、運輸省といたしましては、今後十分検討いたします。政令は、まだ今日きまったわけではございません。今後政令を制定する場合には、法の精神にどこまでも忠実に従いまして、しかも、実際問題を十分加味して考えなければなりませんので、さらに各関係省と十分検討いたしまして、また久保委員の非常にしさいな御注意に対しましても、十分これを参考に取り入れまして、できるだけ従業員の福利になるように定めていきたいと思います。  なお、具体的な問題といたしまして、底びきの問題でございますが、実質的には取り扱いの方法があるように聞いておりますが、船員局長からもう一度その点は答弁さしていただきたいと思います。
  57. 若狭得治

    若狭政府委員 今具体的に例にあげられましたものにつきましては、沿岸漁業には従事しておるけれども、船舶の資格は変更いたしておらないわけでございますので、具体的なものについては、適用の問題につきましては、従来通り、われわれの考える通り適用するわけでございます。ただ、今後におきまして、第二種の従業制限を有する船舶が第一種に変更するという場合におきましては、その資格を変更するという場合におきましては、当然この法の適用関係は変わってくると思いますけれども、現在のところは、先ほど問題になりました以東底びきにつきましては、第二種の従業制限船舶の資格として持っておりながら、沿岸漁業に従事する、その場合に、船舶の資格を第一種に変更するという場合は、実際上行なわれないというふうにわれわれ考えておるわけでございまして、そういう点についての問題は、実際問題としては起きないというふうにわれわれは考えるわけです。
  58. 久保三郎

    久保委員 まあ以東底びきは入るというような御意見ですから、深くあまり追及する必要はないと思うのですが、念のために、私しろうとでわかりません。ただいま船員局長お話では、以東底びきでは、第一種の資格変更はしない。ところが、あなたの方の御答弁では、第一種にそれはなった、こういう御答弁をされた。わかりませんから、一つそれは御説明いただきたい。
  59. 森博

    ○森説明員 以東底びきに従事いたしております船が、以東底びきには従事いたしておりますけれども、その船は、引き続き第二種の検査を受けて合格した船が、以東底びきに従事しているというのが実態であります。こういう趣旨でございます。
  60. 久保三郎

    久保委員 それじゃ、以東底びきじゃなくて、二種から一種に変更になったものはありますか。
  61. 森博

    ○森説明員 今はございません。
  62. 久保三郎

    久保委員 将来も、そういうものはございませんか。
  63. 森博

    ○森説明員 これは私直接所管いたしておりませんですが、私が現在聞いているところでは、最近そういうことはございませんし、将来も、あろうということは伺っておりません。
  64. 久保三郎

    久保委員 船員局長、いかがですか、そういうことは予想されるかどうか。
  65. 若狭得治

    若狭政府委員 第二種から第一種に変更するという具体的な問題につきましては、私は、ほとんど実際問題としては起きないのではないかというふうに考えております。と申しますのは、第二種の資格を持っておる方が行動範囲が広いわけでございますので、船舶の設備が特に老朽化してくるというような問題がございますれば、あるいはそういう資格変更の問題が起きる可能性がないと申し上げることはできませんけれども、通常の状態においては、その行動範囲の広い資格を持つべきでございますので、そういう点におきましては、漁業法の許可と、それから船舶の資格というものは、必ずしも一致しないわけでございます。従いまして、今後船舶の資格を特に従業——漁業の種類が変わったから船舶の資格を直ちに変えるというような場合は、ほとんど起きないであろうというふうに考えておるわけであります。
  66. 久保三郎

    久保委員 そこで、今の以東底びきの例でありますが、以東底びきは、二十トン以上三十トン未満でやっておるわけですね。これは第二種の船舶資格を持っており、あえて第一種の漁業に従事している、こういう御説明なんです。そうしますと、同じ海面において同じ漁法をやっている者が、出てきはしないかと思います。その場合、底びきは第一種のようでありますから、それは同じような形をやっていながら、片方は船員法適用を受ける、こういうことでは、労働の法の建前からいっても、少し矛盾がありはしないか、こういうふうに思うわけです。こういう矛盾の解決をいかように考えられているか。具体的にございますか。
  67. 若狭得治

    若狭政府委員 この適用範囲につきましては、同じような漁場で同じ労働に従事しておって、しかも適用される法律が異なるという場合につきましては、できるだけこれを救済していこうということで、具体的には、たとえばまき網漁業に従事する漁船等につきましては、親船と子船とを同一の法律適用対象に入れるというふうに改正するわけでございます。従いまして、今御指摘の問題につきましては、全く同様な関係にあるわけでございますけれども、第一種の従業制限を有する船舶をすべて船員法適用対象として取り上げるということにつきましては、漁業者の問題及び保険の問題、あるいは労務管理、監査の問題等、いろいろな問題が出て参りますので、今直ちにこれを全部船員法適用対象にするということにつきましては、いろいろな困難があるというふうに考えますので、一応現在のところ、この改正案のようにトン数及び従業制限で両面から改正していこうというふうに考えておるわけでございます。
  68. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、保険財政とか経営の実態とかいうことが比重になって、あたら船員法がこの部面では死んでしまうということなんで、実際から言って非常に残念だと思うのです。しかし、われわれは残念だと言ってあきらめるわけにいかぬ。あなたらはそれでいいかもしれぬ。厚生省おいでになっておりますが、保険財政がかようなものを入れるというと、大なる圧迫を加えるのかどうか。いかがですか。
  69. 中村卓

    中村説明員 私どもの方といたしまして、先生のおっしゃいましたような船員の実態につきまして、承知いたしておりません。従いまして、保険に適用されました場合に保険にどういう影響を与えるかということにつきましての見通し等につきましては、今数字を持ち合わせておりません。
  70. 久保三郎

    久保委員 これはやはり有馬政務次官にお尋ねしなければならぬ。政府責任だと思う。今の厚生省の御答弁は、そういうものについていまだ承知してないとおっしゃる。ところが、政府として、この船員法改正は出てきておるわけですね。そうだとするなら、今日までこの法案が国会に出されるまでの間に、相当な年月を経ているわけです。三十四年に答申があった。それを運輸省は抱きかかえておいて、最近において、厚生省とこの法案提出する直前にだけ打ち合わせしたのかどうか。いかがですか。   〔委員長退席、高橋(清)委員長代理着席〕
  71. 有馬英治

    ○有馬政府委員 運輸省といたしましては、かねがねから関係各方面と十分連絡をとり、打ち合わせをして参ってきたのでございます。ただいま厚生省からの御答弁がございましたが、おそらく全然御存じないということではなくして、影響についての数字的な問題がはっきりしてないということをお答えになったのではないかと私は了承したわけでございますが、この点につきましては、運輸省と厚生省は十分折衝したように私は聞いております。  また、詳細につきましては、船員局長からお聞き取りを願いたいと思います。
  72. 若狭得治

    若狭政府委員 従来運輸省と厚生省との間におきましては、船員中央労働委員会からの答申が出ましてから、その答申にあります二十トン以上の第二種及び第三種の適用をどうするか、及びまき網漁業をどうするかという問題について、保険財政の面から検討をお願いしてきたわけでございまして、昨年の暮れ、ようやくそういう問題についての両者の意見が一致したという状況であります。
  73. 久保三郎

    久保委員 船員局長、最初はいつ御相談なされましたか。
  74. 若狭得治

    若狭政府委員 最初の答申が、昭和三十四年にこの適用範囲につきましては出ておりますので、その後、厚生省との折衝を行なってきたのでございます。
  75. 久保三郎

    久保委員 中村船員保険課長、ただいまの運輸省のお話を考えれば、あなたの方が承知していないというのは、うそではないのだろうか、失礼ですが、こう私は思うのですがね。率直に、この場所で、今までの経緯について御説明いただきたい。三十四年答申の直後、運輸省から御折衝というか、いわゆる合議というか、お話を申し上げているそうでありますが、その間の経緯について御説明をいただきたい、こういうように思います。
  76. 中村卓

    中村説明員 私の答弁が適当でございませんでしたので、もう一度御説明申し上げますが、船員法改正の問題、特に適用範囲の問題につきましては、運輸省と私どもの方とは、常に密接なる関係がございますので、常時相談をいたして今日まで参っております。従いまして、先生おっしゃいましたように、船員中央労働委員会からの答申のありました直後から、特に適用範囲の問題につきましては、いろいろとお互レに検討を重ねていることは、その通りでございます。私が申し上げましたのは、実は私の聞き違いかと思いますが、私は、先生が先ほどから御質問になっていらっしゃいます適用範囲の、一種を適用範囲に広げた場合に、それがどうなるかという御質問じゃなかったかと思ったものですから、それにつきまして明確な数字を私ども持っておりませんので、ないというふうに申し上げたわけでございますが、もちろん、私どもといたしまして、社会保険、船員保険の立場から、他のいろいろな社会保険との関係適用範囲の問題、あるいは保険の内部におきましては、船員保険の内部の問題等につきましては、常に研究をしておるわけでございます。
  77. 久保三郎

    久保委員 第一種については研究されておらないとおっしゃるし、船員保険全体についてはふだんから御研究をやっているという御答弁、どうもわれわれは、それは漁船船員全体にかければどのくらいになり、あるいは二十トンに切った場合に、第一種を入れてどうなるか、そういう御研究、御検討はあってしかるべきだし、やっておられるんじゃないですか。やった結果として、それまで第一種を入れると困る、こうなったのじゃないですか。いかがです。持って回ったお話をしているわけじゃないのです。そのものずばりでいかがです。
  78. 中村卓

    中村説明員 ただいま申し上げました通り、一種、二種、三種ごとに明確な計算ができまして、それによって議論をしたというわけじゃ毛頭ございませんので、私の方は、要するに、先ほどから運輸省の船員局長からお話がございましたように、船員中央労働委員会における答申の趣旨というものを中心にいたしましてお話し合いをしておるわけでございまして、厚生省の方から、どれは入れる、どれは入れない、そういうようなことを申し上げてしているわけじゃございません。
  79. 久保三郎

    久保委員 厚生省では選択の自由を持っていない、こういうことでありまするが、船員局では選択をしてやるつもりか。最初からそういう考えでおりますか。いかがですか。
  80. 若狭得治

    若狭政府委員 船員局といたしましては、船員法適用対象につきましては、海上労働特殊性ということに着目いたしておりますので、このたびの二十トンに引き下げるという問題につきましても、その特殊性に着目いたしまして、三十トン未満の第一種の従業制限を有する船舶については、まだ十分な検討を行なっておらないというのが実情でございます。
  81. 久保三郎

    久保委員 それは怠慢でしょう、十分な検討を行なっていないというのは。船員法立場にあるあなたのところで検討しておらないという答弁は、怠慢じゃないですか。いかがです。それとも、第一種は必要ない、こういう限定でおかかりになっているのかどうか。そういう第一種の従業制限にかかる漁船の船員は、船員法という船員保険の適用範囲外でもよろしいという既定概念にとらわれてやっているのかどうか。それをお尋ねしたい。
  82. 若狭得治

    若狭政府委員 この問題につきましては、検討しておらないというのは言葉が適当ではなかったかと思いますけれども、さしあたりの問題といたしましては、中央労働委員会で答申のありました二十トン以上の第二種、第三種を適用範囲にするという問題につきましては、農林省関係及び厚生省関係との協議に相当手間取ったわけでございます。従いまして、第一種の船舶について適用範囲に加えるかどうかという問題につきましては、われわれといたしましては、いろいろな具体的な数字あるいは実態等についての調査をいたしておりますけれども、適用範囲とするということで各省と折衝するというような検討は、今日まで行なわれなかったということを申し上げたわけでございます。従いまして、今日までのところ、第二種及び第三種の従業制限を有する漁船適用範囲にするという問題だけでも、折衝に相当の日数を要したという事実を申し上げておきたいというふうに考えます。
  83. 久保三郎

    久保委員 御苦労のほどは十分わかりますが、そこで、あなたにこの問題で念のためにお尋ねしたいのは、第一種の従業制限漁船船員は、今のような形でいいのか、それとも船員法適用になって、船員保険のいわゆる恩恵に浴した方がいいのか、どっちか。いずれでしょう。
  84. 若狭得治

    若狭政府委員 この問題につきましては、今後とも十分検討を続けていきたいというふうに考えておりますけれども、船員法改正の問題につきましては、中央労働委員会に諮問いたしまして、その結論を得て実施するという考えでございますので、われわれといたしましては、この問題についての十分な調査をなお今後とも行ないますと同時に、関係各省とも御相談いたしまして、成案を得次第、中央労働委員会に諮って、今後の問題を決定していきたいというふうに考えております。
  85. 久保三郎

    久保委員 あなたのお考えとしては、検討して、これから船員中央労働委員会にかけて結論を得たい、こういうことで、これは事務的な手続でありまして、私は、どちらがいいのかとお聞きしておるわけです。単純な質問です。だから、単純にお答えをいただきたい。
  86. 若狭得治

    若狭政府委員 船員労働行政の面から見ますれば、第一種の従業制限を有する船舶にも船員法適用する、二十トン以上の船舶船員法適用するという問題については、むしろ望ましいことであるというふうに私は考えております。しかし、政令の段階におきまして、これをそういうふうに規定し得るかどうかという問題につきましては、今後関係省との折衝もございますし、また、中央労働委員会の意見も聞く必要がございますので、私の船員行政の面からのみ、こういう問題は、結論を申し上げるということは少しむずかしいのではないか、そういうふうに考えております。
  87. 久保三郎

    久保委員 そこで水産庁にお尋ねしますが、あなたの方も、漁船船員については関心を十分持たなければならぬところだと思います。そういう点では同様の質問でありますが、今の漁船船員が、第一種の従業制限にあるものは、今のような状態であった方がいいのか、それとも、船員法適用で船員保険の恩恵に浴された方がいいのか、いずれでしょうか。
  88. 森博

    ○森説明員 われわれ水産庁といたしましても、でき得ますれば、第一種につきましても、将来船員法適用を受けられるということは、望ましいと考えております。
  89. 久保三郎

    久保委員 そこで船員保険課長、お聞きの通りでございますが、あなたの方ではいかように考えておられますか。
  90. 中村卓

    中村説明員 純粋に社会保険という立場に立ちまして、船員保険というものを考えました場合において、その適用をどうするかという問題は、非常にむずかしい問題であります。と申しますのは、船員保険というのは、いわゆる労働者保険、被用者保険という系統の保険でございます。一方、たとえば疾病保険あるいは年金保険につきましては、国民健康保険あるいは国民年金というような制度がございます。それで対象になりますところの被保険者が、地域保険でとられた方がより適当であるか、あるいは被用者保険でとられた方がいいかという点に立ちまして、保険の考え方の一つとして、そういうような検討が、いわゆる社会保険的な考え方になっておるわけであります。それで、漁船の船員の場合につきましては、現在も三十トン以上の方々適用になっておるわけでありますけれども、その中には、汽船船員と同じように、終身雇用の者と、季節的な雇用関係にある方とあるわけでございまして、社会保険の適用の問題からも、総合的な調整をどうはかるべきかという立場に立った場合におきましては、その辺は割り切ってどちらがいいんだというふうにはっきりお答えすることは、非常に困難であります。現在におきまして、すでに三十トン以上の漁船の被保険者の方でも、年間雇用でない方々は、休漁期においては、今度は国民健康保険の適用になる、また、船員保険の適用になるということで、一年間において何回か変わっておるというような状態でございます。現在三十トン以上の船員の方についていろいろ問題があるわけでございまして、これを三十トン、二十トン、十トンと伸ばす問題につきましては、私どもといたしましては、保険的な立場から見れば、そのトン数というような考え方よりも、むしろとられる被保険者の方々の一般社会、経済的な立場というものから考えて、これを検討するということになるわけでございます。それで先生のおっしゃいました御質問に対しまして、率直にそれはいいかということに対しましては、なかなかむずかしい問題であるというふうにお答えせざるを得ないと思います。ただどちらがよりいいんだというふうには割り切れないんじゃないかと、私は考えております。
  91. 久保三郎

    久保委員 船員保険にしろ、国民健康保険にしろ、同じ社会保障制度ではあります。あなたが専門で御承知のように、その社会保障制度には今日濃淡があります。しかも、一番社会保障制度を適用させてやらなくちゃならない階層は何かということ、そこに社会保障制度の重点がなくちゃならぬと私は思うのです。そういう考えは当然だと思うのですが、そういう考えからいくならば、当然のごとく、救われないそういう小さい船に乗っている者に、船員保険というのはまず適用させるというのが順序ではないだろうかとさえ、私は考えております。これは極端な話です。ものには順序がありますから、あるいは保険の立場から、その他の条件はいろいろありましょうが、単純に考えれば、そういうことになる。そうだとするならば、国家財政の問題や経営管理の問題は別として——もちろんこれは度外視はできませんが、制度そのものの値打を考えれば、これは今日、第一種従業制限にひっかかるところの漁船船員にも、当然のごとく船員保険は適用さるべきだという考えを持つわけです。私の前提の二つの条件を除いて、今の話はどうですか。聞けますか。
  92. 中村卓

    中村説明員 先生からただいまお話がございましたように、現在の船員保険の給付内容というものは、他の社会保険に比しまして非常に充実されているというふうに、私ども関係者として思っているわけでございます。従って、船員の方が船員保険の適用を受けられるという場合において、現在において、他の地域保険よりも、給付の内容からしまして、それがむしろ適用を受けるならばより厚い保護を受けられるというその点においては、先生のおっしゃる通りでございます。ただ、私の方の立場としましては、ただいま社会保障制度審議会等におきまして、あるいは政府部内におきまして、社会保険の適用の問題については非常な検討がなされて、近くその結論も出ようというような状態であるときでございますので、私の立場といたしまして、船員保険の適用に入れるべきだということをいわゆる保険の立場から申し上げるのは、いかがかと思って差し控えた次第でございます。しかしながら、船員保険の被保険者というのは、船員法の船員をその対象としておりますので、従って、船員法適用範囲によりまして、従属的に変わって参りますから、その点においては、現在の法律制度のもとにおいて、一方船員法のとらえ方によって、適用範囲はあるいは変わってくるということは当然のこととして、私どもはお受けするわけでございます。
  93. 久保三郎

    久保委員 先般の保険局次長のお話と、結論は同じであります。率直にその通り受け取れればいいのでありますが、運輸省は言外に意味を含め、水産庁またしかりということは、あなたのところが一つのネックになっておる。船員中労委ももちろんネックになっておる。船員中労委が労働者のためのいわゆる公正な機関であるとするならば、少なくともここでネックとなることについては、非常に残念に思う。これがまず第一番目。  第二番目は、政府の大方針がそういうところでゆがんでおるということも、残念である。だから、ここで政務次官に一言申し上げたいのは、保険財政のそういう問題から政府自体が考えることも一つでありましょう。しかしながら、船員保険という社会保障制度が、恵まれない者に十分に適用されて初めて値打が出るのであります。でありますから、これは少なくとも二十トン以上であっても、第一種なるがゆえに、その船員には船員保険が適用できないというようなことは、とうてい忍びがたいものだと思う。ついては、これは近い将来において改正するつもりがあるかどうか。
  94. 有馬英治

    ○有馬政府委員 先ほど来、久保委員の思いやりの深い御説に敬服をしておるわけでございます。社会保障は、御承知のように、できるだけ多くの人が恩恵に浴することが、社会保障としての制度を生かすことになるわけでございまして、運輸省といたしましては、もともと何事もできるだけ広い範囲に均霑することがいいという考え方で進めて参りました。しかしながら、その他の社会保障と同じように、財政方面または技術面のいろいろな難関もございますことは、御承知通りでございます。しかし、運輸省といたしましては、久保委員の本日の御意見は直ちに運輸大臣にも十分伝えまして、後日にわたってこれを実現する方向にできるだけの努力をしていきたいと思います。
  95. 久保三郎

    久保委員 船員局長にまたお尋ねしますが、先ほどの御答弁では、二十トン以上の中の第一種についてはさらに研究を続けて、船員中労委にかけて改善していきたいという御答弁ですが、いつごろまでに研究は終わりますか。
  96. 若狭得治

    若狭政府委員 法律改正によって当然船員保険法の適用の問題が出てくるわけでございますけれども、厚生省とも連絡いたしまして、できるだけ早い機会に、現在の規定によって追加される部分についての保険の適用を行なっていただくということで、われわれ今日まで折衝してきたわけであります。従いまして、具体的の内容は、政令によってきまるわけでございます。政令の制定をいつまでに行なうかという問題につきましては、厚生省とも連絡いたしておりますけれども、大体において、今日までの折衝におきましては、明年四月一日からこの保険の適用ができるようにということで、厚生省にお願いしておるわけでございます。従いまして、政令はそれ以前に制定されるわけでございますので、この政令を定める段階におきまして、先ほどから問題になっております第一種の問題についても、検討を続けていきたいというふうに考えております。
  97. 久保三郎

    久保委員 そこで、それ以上お話を申し上げても無理かと思いますが、一応——そうしますと、政令をきめる間にも、私の考えをくんで折衝を続けるということになりますね。だめ押しをしますと、そうですね。
  98. 若狭得治

    若狭政府委員 そういう考え方で今後折衝いたしたいというふうに考えます。
  99. 久保三郎

    久保委員 そこで、あなたの方の考えも多少くまなければいかぬ立場もあるが、そういうことでありまして、第一種全体を除くことについては、問題がある。先般の質問でも、その通り、あなたの論議にも乱れがある。日帰りを原則というが、原則であって、日帰りでないものもあります。そこで、私が確認を申し上げておきたいことは、少なくともイカ釣などは、あるいはやむを得ないかもわかりません。しかし、カツオの一本釣あるいははえなわ、まき網、特にまき網の中でも大臣許可の指定中型まき網、こういうもの、さらにはサンマ棒受網、突っきん棒漁業、それから先ほど出ましたいわゆるひき網、特に底びき、さらには小型捕鯨漁業、こういうものは、せめて適用範囲に入れるべきではないかと思うのです。これについていかがですか。
  100. 若狭得治

    若狭政府委員 具体的な適用範囲の問題につきましてはさらに検討したいと思いますけれども、一応今先生がおっしゃいましたイカ釣等を除きましては、船員法適用対象として取り上げるということについては、前々からわれわれの方でも検討をしてきたわけでございます。今後とも、この方針で折衝を行ないたいという工合に考えております。
  101. 久保三郎

    久保委員 その場合やはり問題になるのは、中村船員保険課長のところだと思うのですが、どうなんです。
  102. 中村卓

    中村説明員 先ほどから保険財政というのは船員法適用範囲につきまして重大な問題であるという先生お話でございますが、もちろん、船員法適用範囲の拡大というのは、船員保険法の適用範囲の拡大に即なるという制度になっておりますから、従いまして、船員保険という立場からいたしまして、いろいろ検討すべきことでございますけれども、しかしながら、私どもの方は、先ほどから申し上げております通り、保険の立場から、船員法範囲につきまして、それが優先するということは、これはおかしなことでございます。それで今先生お話の、いろいろな漁業について船員保険としてどう考えるかという御質問でございますが、私どもは、実は漁業につきましては、全くのしろうとでございますので、全くわからないわけでございます。従いまして、関係省の方々お話を伺いまして、私どもとしましては、できるだけ、先生お話につきまして、きょうよく拝聴さしていただきましたので、検討さしていただきたい、こういうふうに考える次第でございます。
  103. 久保三郎

    久保委員 そこで、水産庁の方にお伺いしますが、私が今お尋ねしたというよりは、念を押したことについて、御異論ございますか。いかがですか。
  104. 森博

    ○森説明員 この内容のことにつきましては、私ちょっと今即答いたしかねますので、差し控えさせていただきたいと思います。
  105. 久保三郎

    久保委員 それでは無理を申し上げても何ですから、この審議中に御返答いただきましょうか。ただ、忘れないでほしいのは、漁業の近代化といって、船や漁具が近代化されても、それをとったり操作する人間が近代化されなければ、御案内の通り漁業の近代化には相なりません。やはり三者並行して近代化をはかるべきだという考え方から、一つ後刻御返答いただきたいと思います。  次に、予備船員の問題であります。予備船員の範囲については、いかなる規定範囲をきめるのか。いかがですか。
  106. 若狭得治

    若狭政府委員 予備船員の範囲はどういうものであるかという御質問でございますけれども、まず第一に、新造船の艤装員、待機員及び有給休暇中の者。次に、特別休暇、請暇、依願休職及び依命休職の状態にある者で、雇用目的が船舶の外で使用するためのものでない限り、予備船員である。それから傷病、療養休職中の者は、船員としての雇用関係が存続する限り、予備船員である。大体予備員の範囲は、この三種に考えております。
  107. 久保三郎

    久保委員 特別休職中というのは、どういうものですか。特別休職中の者は予備船員でないというのは、どういう意味なんですか。
  108. 若狭得治

    若狭政府委員 特別休職というのは、自己の都合のため特に休職を願い出ている者をさすのでございまして、これは労働協約において予備船員としないというふうに現在きめております。
  109. 久保三郎

    久保委員 ちょっと聞き落としましたが、私がお尋ねしておるのは、政令とか規則とかでそういう範囲をおきめになるのかどうかということです。
  110. 若狭得治

    若狭政府委員 現在の船員法規定に予備船員の定義がございますので、それによってきめるわけでございます。
  111. 久保三郎

    久保委員 予備船員は、特に今度の改正にある四十四条の二の解雇制限の条項は、新しく適用になるわけですね。
  112. 若狭得治

    若狭政府委員 その通りでございます。
  113. 久保三郎

    久保委員 予備船員の労働条件の規定のうち、五十八条の歩合による報酬が新たに適用される以外には、ほかの規定適用は何もないわけですね、予備船員というのは。いかがですか。
  114. 若狭得治

    若狭政府委員 このたびの改正で、四十四条の二項におきまして、予備船員の解雇についての制限を設けております。予備船員というのは、船舶に乗り込んでいない者、従って、現実に海上労働に従事していない者をさすわけでございまして、働いていないという状態でございますので、給料その他に関する規定を除きまして、他の規定につきましては適用がないわけでございます。
  115. 久保三郎

    久保委員 そういたしますと、これは一般の労働基準法に基づくということになりますか。
  116. 若狭得治

    若狭政府委員 船員法適用されている船員でございますので、労働基準法適用はございません。
  117. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、それぞれの労働条件は、船員法でなくて、雇用契約できめる、こういうことですか。
  118. 若狭得治

    若狭政府委員 その通りでございます。
  119. 久保三郎

    久保委員 そこでもう一つお伺いしたいのは、予備船員の制度がない場合、有給休暇をとるために下船した場合には、直ちに雇いどめという形になると思うのですが、そうですか。
  120. 若狭得治

    若狭政府委員 現在の扱いは、雇いどめを行なっております。
  121. 久保三郎

    久保委員 そうなった場合、有給休暇というのは実際は適用されないのではなかろうかと思うのですが、いかがですか。
  122. 若狭得治

    若狭政府委員 有給休暇中の給料を支払っておるわけでございます。
  123. 久保三郎

    久保委員 支払っておるわけだと言うが、それを命じてあるのは何条ですか。
  124. 若狭得治

    若狭政府委員 現行法七十八条に、「船舶所有者は、有給休暇中船員に給料並びに命令の定める手当及び食費を支払わなければならない。」この規定によって、雇いどめをいたしました後においても給料及び食費を払っておるわけでございます。
  125. 久保三郎

    久保委員 それで、この予備船員という制度は、現在日本の特に漁船船員の中で、そういう者がたくさんございますか。
  126. 若狭得治

    若狭政府委員 母船式漁業を行なっておる会社におきましては、予備員を保有いたしておりまして、それ以外の会社におきましては、ほとんど予備員は保有していないという状況でございますが、昭和三十五年十二月末現在の船員法適用漁船について見ますと、乗組員の数が十二万三百七十四名に対して、予備員は千三百六十七名という状態になっております。汽船の方は、八万一千四百九十八名の乗組員で、予備員が一万二千九百四十三名というふうに、汽船の予備員数というものは著しく充実いたしておりますけれども、漁船については、予備員の数が非常に少ない。と申しますのは、ごく大きな漁業会社だけが予備員を保有して、その他におきましては、ほとんど予備員を置いていないという実情からきておるものと思います。
  127. 久保三郎

    久保委員 そこでお尋ねいたしますが、なるほど、汽船船員は八万に対して一万程度の予備員がある。これは大体雇用形態は、正常にいっておると見るべきでしょう。しかし、漁船の方は、十二万に対して千三百、こういう形態は、好ましいと思うかどうか。いかがでしょう。
  128. 若狭得治

    若狭政府委員 漁業につきましては、終年漁業の者を除きまして、大部分の者が季節的な労働でございますので、予備員を保有いたしまして船舶運航を年間を通じて行なうという場合が、非常に少ないわけでございます。そういった点から予備員数が少ないかと考えております。
  129. 久保三郎

    久保委員 それは季節的な漁業もあるけれども、船員局長は御存じだろうと思いますが、たとえは春職なら春職をやって参りますと、そこで雇いどめの形になっておる。実際はあとの修理や何かに使っておるわけです。そういう形態は好ましいと思うかどうか。いかがですか。
  130. 若狭得治

    若狭政府委員 季節的な労働でございますので、その休漁期の期間いかんによりまして判断さるべき問題であると思うわけでございますけれども、休漁期の非常に短いものにつきましては、今後の指導によりまして、できるだけ予備員数を保有させるような方向に指導するということは、当然考えなければならない問題であると思っております。
  131. 久保三郎

    久保委員 実際は予備船員的な形態でありながら、そうでない形をとっているわけです。それを指導でやっていくとおっしゃるが、それは指導じゃなくて、その形を改めさせる法規制があってしかるべきだとわれわれは考えるのですが、どうなんですか、そういうのは。
  132. 若狭得治

    若狭政府委員 漁業は季節的な労働でございますので、休漁期が相当長いというものについては、予備員の制度を置かないというのもやむを得ないと思いますけれども、具体的に、船舶の修繕中その期間だけ雇いどめを行なって、船舶の修理が終わったらまた雇い入れを行なうというようなものについては、船舶の修繕期間中も雇い入れ契約を存続させるという指導をこれからやっていきたいし、また、今までもそういう考え方で指導を行なっているわけでございます。
  133. 久保三郎

    久保委員 実は、あとから出て参ります船員労務官にしても、多くの船員をかかえているところに一人や二人おられましても、実際にその指導の成果は的確に上がらぬのではなかろうかと、私どもは思っておる。そうだとするならば、やはり法律によってある程度基準をきめて、これを守っていただくということでないと、今日、組織の存在もなし、そういうようなところの漁船船員は、昔ながらの雇用形態を是認せざるを得ない立場になる。船員法というものはこれを直さぬではならぬではないかと思う。水産庁としては、いかがですか、そういう問題について。あなたの方は、直接魚の方でありますから、船員法の方はどうであろうかと思いますが、やはり深い関係があります。いかがですか。
  134. 森博

    ○森説明員 漁業の労働の実態が、非常におくれております。船員法をどういうふうに適用していくかということにつきましては、まだわれわれの方も不勉強でございまして、大いに今後勉強していきたいと思っております。
  135. 久保三郎

    久保委員 これはやはり運輸省の所管というか、そういうことでございまして、今船員局長おっしゃったような指導の方針を強化することも一つの方法でございますが、具体的な強化の方針がなければ、やはり前進はしないと思う。具体的な方針を次会までにお考えをいただけましょうか。いかがでしょうか。
  136. 若狭得治

    若狭政府委員 漁業に従事いたしております船員につきましては、たとえば労働時間の問題、あるいは有給休暇の問題、あるいは給料の問題、歩合制の問題というように、今後労働保護の見地から改善すべきものが非常に多いわけでございます。しかし、漁業労働の実態というものは、非常に季節的なものでございますし、あるいは賃金形態等におきましても、漁獲との関係が不安定であるというような問題等、いろいろ問題があるわけでございまして、われわれといたしましては、今後の行政指導にあたり、労働時間の問題、あるいは有給休暇等の問題について、できるだけ現在の船員法あるいは国際労働条約の勧告というようなものを考慮に入れながら行政指導を行ないまして、そういう実績をある程度積み上げ、また実情も把握した上で、法律改正の必要があれば改正するというふうに、今後措置していきたいと考えております。
  137. 久保三郎

    久保委員 なかなか慎重な御答弁でありまして、やらないということになると思うのです。大へん失礼ですが、そういうことに通ずるわけでございまして、慎重な御答弁というのは、やりませんというふうに官庁用語ではとるそうであります。これは私が言うんじゃありませんよ。世間がそうおっしゃっておる。  そこで、水産庁の方でもこれからということで、どうもだれの手前かわかりませんが、あまり乗り気でないようにも見受けられる。これはもちろん各省庁にまたがるものでありますから、水産庁独自の立場でできるものでもない。運輸省さんの方でありますから、そういうお考えだと思う。これは水産庁の立場は、半分くらい了とします。  船員局長お話は、どうもいただきかねるというふうに申し上げざるを得ないのであります。ほんとうに船員を保護するのだということなら、もっと積極的な御答弁なり、御方針があってしかるべきだと思います。先ほど申し上げたように、私は改正条文について逐条にずっと御質問をしまして、そのあと改正されない部分について——二十三年以来だれも手をつけておりませんし、今まで国会としてもだれも、と言っては語弊がありますが、全体的にいたしませんから、それをまたおさらいをしていきたいと思いますが、少なくとも労働保護ということからいくならば、実際言うと、そういう実態を調査してというんではちょっと心もとない。そういう実態がたくさんある。これに対して臨むところの御方針が聞きたいんです。条文の数から言えばこれは大改正ですが、中身は大したことはございません。予備員というのを予備船員にしたから、その条文の修正、属員というのを部員にしたからその修正、そういうことであって、これは改正でも何でもありません。しかも、九年間かかっているのです。船員局長の御責任ではなさそうでありますが、まだ局長になって幾らもなりませんから。しかし、運輸省自体の責任でありましょうね。ですから、私はここで約束してほしいと思うのです。私は、まだ条文にすれば二カ条しかいってません。たくさん改正されておりますから、まだ時間をいただかなければならぬと思うのであります。だから、次会にこの漁船の予備船員というか、雇用形態について、いかなる御方針で臨むのか、大筋ぐらいは一つお示しいただきたいと思うのですが、お約束できましょうか。
  138. 若狭得治

    若狭政府委員 そのように次会までに準備をいたしまして、御答弁申し上げたいと思います。
  139. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 次会は、来たる二十八日、水曜日、午前十時より開会することといたします。  なお、理事会は、来たる二十七日、火曜日、午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十九分散会