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1961-10-10 第39回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月十日(火曜日)    午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 黒金 泰美君    理事 細田 義安君 理事 毛利 松平君    理事 山中 貞則君 理事 辻原 弘市君    理事 横山 利秋君       足立 篤郎君    伊藤 五郎君       大久保武雄君    岡田 修一君       金子 一平君    田澤 吉郎君       高見 三郎君    藤井 勝志君       吉田 重延君    有馬 輝武君       石村 英雄君    佐藤觀次郎君       藤原豊次郎君    堀  昌雄君       武藤 山治君  出席政府委員         大蔵政務次官  天野 公義君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      上林 英男君         大蔵事務官         (主税局長)  村山 達雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      大村 筆雄君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 十月十日  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第六五号) 同月六日  合成清酒名称変更等反対に関する請願外一件  (武藤山治紹介)(第二号)  同(柳田秀一紹介)(第三号)  同外四件(前田義雄紹介)(第六五号)  同(安藤覺紹介)(第九八号)  同(飛鳥田一雄紹介)(第九九号)  同(伊能繁次郎紹介)(第一〇〇号)  同(板川正吾紹介)(第一〇一号)  同(臼井莊一君紹介)(第一〇二号)  同(内田常雄紹介)(第一〇三号)  同外一件(大野市郎紹介)(第一〇四号)  同(風見章紹介)(第一〇五号)  同外一件(金丸信紹介)(第一〇六号)  同(栗原俊夫紹介)(第一〇七号)  同(小泉純也君紹介)(第一〇八号)  同(小金義照紹介)(第一〇九号)  同外九件(小林ちづ君紹介)(第一一〇号)  同(始関伊平紹介)(第一一一号)  同(下平正一紹介)(第一一二号)  同(東海林稔紹介)(第一一三号)  同(園田直紹介)(第一一四号)  同(田川誠一紹介)(第一一五号)  同(田中榮一紹介)(第一一六号)  同(田邉國男紹介)(第一一七号)  同(田邊誠紹介)(第一一八号)  同(高田富之紹介)(第一一九号)  同(千葉三郎紹介)(第一二〇号)  同(津雲國利紹介)(第一二一号)  同外二十件(塚田十一郎紹介)(第一二二  号)  同(与島降太郎紹介)(第一二三号)  同(中村庸一郎紹介)(第一二四号)  同(戸叶里子紹介)(第一二五号)  同(中島巖紹介)(第一二六号)  同(中村高一君紹介)(第一二七号)  同(野田武夫紹介)(第一二八号)  同(畑和紹介)(第一二九号)  同(濱野清吾紹介)(第一三〇号)  同(平岡忠次郎紹介)(第一三一号)  同(福田篤泰紹介)(第一三二号)  同(藤枝泉介紹介)(第一三三号)  同(細田義安紹介)(第一三四号)  同(松平忠久紹介)(第一三五号)  同(森清紹介)(第一三六号)  同(山田長司紹介)(第一三七号)  同(山村新治郎君紹介)(第一三八号)  同(青木正紹介)(第一八三号)  同(荒舩清十郎紹介)(第一八四号)  同(井出一太郎紹介)(第一八五号)  同(井堀繁雄紹介)(第一八六号)  同(石田宥全君紹介)(第一八七号)  同(稲葉修紹介)(節一八八号)  同(稻村隆一君紹介)(第一八九号)  同(小川平二紹介)(第一九〇号)  同(小沢辰男紹介)(第一九一号)  同(尾関義一紹介)(第一九二号)  同(大沢雄一紹介)(第一九三号)  同(大高康紹介)(第一九四号)  同(大野市郎紹介)(第一九五号)  同(岡木隆一紹介)(第一九六号)  同(加藤高蔵紹介)(第一九七号)  同(鴨田宗一紹介)(第一九八号)  同(唐澤俊樹紹介)(第一九九号)  同外五件(北澤直吉紹介)(第二〇〇号)  同(久保田円次紹介)(第二〇一号)  同(倉石忠雄紹介)(第二〇二号)  同(小坂善太郎紹介)(第二〇三号)  同(小平久雄紹介)(第二〇四号)  同(小林進紹介)(第二〇五号)  同(五島虎雄紹介)(第二〇六号)  同(佐藤洋之助紹介)(第二〇七号)  同(笹本一雄紹介)(第二〇八号)  同(田中織之進君紹介)(第二〇九号)  同(田中角榮紹介)(第二一〇号)  同(高橋清一郎紹介)(第二一一号)  同(塚田十一郎紹介)(第二一二号)  同(塚原俊郎紹介)(第二二三号)  同(辻原弘市君紹介)(第二一四号)  同(中曽根康弘紹介)(第二一五号)  同(中山榮一紹介)(第二一六号)  同外六件(丹羽喬四郎紹介)(第二一七号)  同(羽田武嗣郎料紹介)(第二一八号)  同(長谷川四郎紹介)(第二一九号)  同(橋本登美三郎紹介)(第二二〇号)  同(肥田次郎紹介)(第二二一号)  同外一件(広瀬秀吉紹介)(第二二二号)  同(福田赳夫紹介)(第二二三号)  同(福永健司紹介)(第二二四号)  同(藤枝泉介紹介)(第二二五号)  同(堀昌雄紹介)(築二二六号)  同(増田甲子七君紹介)(第二二七  号)  同(松井誠紹介)(第二二八号)  同(松永東紹介)(第二二九号)  同(松原喜之次紹介)(第二三〇号)  同(松山千惠子紹介)(第二三一号)  同(三木喜夫紹介)(第二三二号)  同(三宅正一紹介)(第二三三号)  同(宮澤胤勇紹介)(第二三四号)  同(森山欽司紹介)(第二三五号)  同(八木一男紹介)(第二三六号)  同(山口好一紹介)(第二三七号)  同(山口丈太郎紹介)(第二三八号)  同(山口六郎次紹介)(第二三九号)  同外一件(山手滿男紹介)(第二四〇号)  同(渡邊良夫紹介)(第二四一号)  葉たばこ収納価格引上げ等に関する請願伊藤  幟君紹介)(第四号)  同(大竹作摩紹介)(第五号)  同外三件(八田貞義君外一名紹介)(第六号)  同外二件(松井政吉紹介)(第一三九号)  同(鈴木義男紹介)(第二四三号)  しよう脳事業転廃業者の補償に関する請願(池  田清志紹介)(第一七〇号)  身体障害者用車両課税減免に関す  る請願賀屋興宣紹介)(第二四二  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月六日  府県開発公社に対する非課税措置等に関する陳情書(第六八号)  国の会計年度暦年度改正する陳情書(第七三号)  積雪寒冷地帯に対する所得税特別控除に関する陳情書(第七五号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第六五号)  会計の一部を改正する法律案内閣提出第三四号)(予)      ――――◇―――――
  2. 小川平二

    小川委員長 これより会議を開きます。  参考人出席要求の件についてお諮りいたします。  金融に関する件について、来たる十三日午前十時より山際日本銀行総裁参考人として出席を求め、その意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小川平二

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 小川平二

    小川委員長 ただいま付託になりました租税特別措置法の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を聴取するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小川平二

    小川委員長 御異議なしと認めます。それでは政府より提案理由説明を聴取いたします。天野大蔵政務次官。     —————————————
  6. 天野公義

    天野政府委員 ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、さき政府において決定した木材価格緊急安定対策及び国際収支改善対策一環として、税制面において、山林伐採実績の増加した者について昭和三十六年分及び昭和三十七年分の山林所得につき所得税軽減措置を講ずるとともに、輸出実績の伸張した者について輸出所得特別控除制度簡素化及び特別償却制度の創設を行ない、あわせて産炭地域振興臨時措置法案提案に伴い、産炭地域において取得する工業用機械等につき特別償却を認めることとする等の改正を行なおうとするものであります。  以下改正案内容につきまして簡単に御説明申し上げます。改正案の概要の第一は、立木伐採を促進するための特別措置であります。  最近における木材価格の値上がりが、わが国の経済及び国民生活に与えている影響に顧み、用材用立木伐採を奨励するため昭和三十六年または昭和三十七年に伐採または譲渡した山林のうち、原則として既往三年間における山林平均伐採実績をこえて伐採した部分についての山林所得に対する税額を二分の一軽減しようとするものであります。また、昭和二十八年一月一日の町評価日前から所有している山林伐採または譲渡した場合には、資産再評価法規定により、再評価税が課せられることになっておりますが、今後の税法整備方向を勘案し、とりあえず昭和三十六年または昭和三十七年に伐採または譲渡した山林所得については、再評価税課税を行なわないで昭和二十八年一月一日における価額取得価額とみなすことによりその計算簡易化をはかるとともに、山林所得に対する課税軽減を行なうこととしております。  第二は、国際収支改善対策一環としての輸出関係特別措置であります。  まず輸出所得控除制度については、青色申告者昭和三十六年十月一日から昭和三十八年三月三十一日までの期間内の輸出金額が前一年の輸出実績をこえる場合に限り、その輸出所得控除額の二つの計算基準すなわち所得基準取引基準とのうち、取引基準を適用しないで所得基準のみを適用することとし、輸出所得控除額計算簡素化をはかっております。  次に、同じく青色申告者昭和三十六年十月一日から昭和三十八年三月三十一日までの期間内の輸出金額が前一年の輸出実績をこえ、かつ、その期間内の輸出金額の総収入金額のうちに占める割合が前一年のその割合をこえた場合には、すべての償却資歴償却範囲額にそのこえる割合を乗じて計算した金額普通償却の別ワクとして特例償却することを認めることとしております。  第三は、産炭地域振興関係特別措置であります。  産炭地域振興をはかるため、青色申告者産炭地域内の指定された地域において製造の事業の用に供する設備を新設または増設する場合において一定条件に該当するときは、その取得した機械設備等について取得価額の三分の一(建物は五分の一)の特別償却普通償却の別ワクとして認めることとしております。  また、権炭地域内の指定された地域工場等を建設するために一定条件に該当する工場用土地を買いかえた場合には、圧縮記帳等方法により譲渡所得課税を行なわないこととしております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申しあげます。
  7. 小川平二

    小川委員長 これにて提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  8. 小川平二

    小川委員長 会計法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。武藤山治君。
  9. 武藤山治

    武藤委員 ただいま本委員会に上程されておりまする会計法の一部を改正する法律案について、以下常識的な点かもしれませんがお尋ねをして参考にしたいと思うわけであります。  以前、大蔵省からいただきました契約実績調という資料によりますと、一般競争契約、さらに指名競争随意契約の三つの部類に分けて、その入札金額パーセンテージなどを調べてみますると、今日本全体の一年間の契約金額が大体三千三百九十三億円ございますが、そのうち法律原則として定められておる一般競争に付しておるのはわずか十億円程度でございます。あまりにも一般競争に付しておる額が少な過ぎる。パーセンテージにしては一%も出てこない、こういう実態は一体なぜ出てきておるのか、なぜ一般競争原則とするという法律の建前になっておるのに一般競争がこんなにも少ないという、何か根本的な原因があろうと思うわけであります。そういう原因当局は一体どのように考えておるかを最初にお尋ねしてみたいと思います。
  10. 上林英男

    上林政府委員 お答え申し上げます。  国の行ないまする契約につきましては、その性質にかんがみまして、できるだけ均等な機会を与えて、公正な手続で行ないまするために一般競争契約原則といたしておるわけでございます。ところが一般競争契約と申しましても、おのおの契約内容に従いまして技術なり信用なりということが必要でございまして、従って、今御指摘のように一般競争が行なわれておりません一つ理由といたしましては、一般競争によりまするときは、不信用、不誠実な者が入るおそれがあるということが一番大きな理由として掲げられております。そのほかに技術的には、一般競争でございますると、手数が繁雑であるとかあるいは緊急の要に間に合わないとか、いろいろな理由があげられております。後者の方につきましては、いろいろと技術的な研究の結果、なお改善せらるべき余地があると思います。基本的に一番問題とされておりますのは、さきに申しました不信用、不誠実な者が入るおそれがあって、かえって国に不利になるというような議論が強く行なわれているわけでございます。
  11. 武藤山治

    武藤委員 なるほど予決令にも幾つかの、契約性質または目的により競争に加わるべき者が少数である場合、あるいは予定価格が百万円をこえない場合とか、そういう限定はありますが、性質、さらに目的の認定は契約担当官が勝手にきめておるわけですね。そういたしました場合に、常識的に考えても、パーセンテージの出ないほど一般競争が少なくて、指名随意がこんなにもあるということは二十九条の違反ではないか、こう考えられるのでありますが、ことごとく、あなたが今おっしゃるように、不誠実な業者が飛び込んでくるとか、技術的にむずかしいとか、手数が繁雑になる、緊急性やむを得ない、こういう範疇に入らないものが大半ではなかろうかと思われるのです。そういう点、主計局当局者として、各省の現在行なっておる契約というものが、ほんとうに法の精神からはずれていないか、それともかなり無理のある指名随意というものが行なわれておるのではないか、私はあげ足をとろうと思っておるわけではありませんから、この数字実態というものがどういうものであるかということを知りたいために質問しておるわけですから、一つ率直にお答え願いたいと思います。
  12. 上林英男

    上林政府委員 ただいまの御質問ごもっともでございまして、国の行ないまする契約につきまして、一般競争がよろしいのか、あるいは随意契約なり、指名競争契約がよろしいのかということにつきましては、ひとりわが国だけでございませんで、各国とも非常に論争のあるところでございます。理念といたしましては、先ほど申しましたような意味から一般競争契約というものが原則であるべきだということは、各国とも同じように考えているわけでありますが、さて実行の段階になりますと、いろいろな問題がございます。ことに国の発注いたします工事なり物品なりの水準も高くなって参りますると、確かに一般競争という理念はございますにいたしましても、なかなかほんとう意味一般競争というのはできにくいというのが現状であるかと思っております。各省がやっておりまする契約方式につきましては、もちろん各契約担当官は、この精神に基づいてできるだけ公正にやるように努力いたしていると私どもは思っておりまするが、現実契約にあたりましては、いろいろな理由からなかなか一般競争契約ができない。従いまして、会計法及び予法令で許されておりまする範囲内におきまして、指名競争なり、あるいは随意契約なりというものによらざるを得ないというのが実情ではなかったかと思っております。そういうような状況にかんがみまして、実は今の問題は非常に大きな問題でございまするが、財政制度審議会でもいろいろ御議論を願いましたりして、そういう現実であるならば、むしろこの際一般競争契約原則という旗じるしをやめてしまったらどうかという議論もあったわけであります。しかしながら、やはり国の行ないまする契約につきましては、広く公開をいたしまして、できるだけ公開競争でもって行なうことが正しい理念であるという観点から、その理念はこれを残しまして、できる限り公正な公開競争をやっていこう。しかしながら、競争契約と申しますと指名競争契約がほとんど支配的でございますが、その指名競争の分野におきましても、今申しましたような、公正な機会均等競争契約という趣旨に沿って、この指名競争契約自体運営についても、改善を施していくべきではないか。そういうことによって、おのずから会計法の考えております契約方式というものが達成されるのではなかろうかというような考え方によりまして、今回の改正を考えたわけでございます。
  13. 武藤山治

    武藤委員 一般競争契約をするということが最も不正を防止し、役人と業者とのなれ合いというものを防ぎ、国家に対して最も有利な契約方式だと思うのです。ところが過去のわが国契約実績というものは大半、九九%は指名随意である。こういうことは、やはり会計検査院から指弾を受け、さらに監督の地位にある者から当然忠告をなさるべきだと思うので、過去において、こういう契約実態に対して、当局は強い訓戒なりあるいは適切な処理の仕方なり、そういう指導を具体的にしたということはあるのですか。その点一つお尋ねしておきます。
  14. 上林英男

    上林政府委員 一般競争契約原則であるという考え方につきましては、各契約担当官はその通り考えておるわけでございまして、できるだけそういうことをやろうという考え方であることは、私間違いないと思っております。ただ現実の問題といたしましては御指摘通りでございまして、各省契約担当官に、会計法規定によりまして、指名契約なり随意契約なりおのおの契約方式をとれる道がゆだねられております。この会計法規定におきまして、大蔵大臣にたとえば協議を要するような場合も規定されておるわけでございますが、最近におきましてはそういう場合がほとんどなくなっております。と申しますのは、明治会計法以来だんだんと各省判断によりまして、指名競争なり随意契約なりの採用できる道が広げられてきておるわけでございまして、そういう意味におきましては、私どもの方と御相談をする機会が少なくなっては参っておりますけれども、場合によりましてはこれを一般競争契約ではなくして、こういう理由随意契約によりたいとかいうような御相談があります場合には、できる限り競争契約の道をとるようにお話を進めておるわけでございます。また各省におきましても、いろいろと契約方式につきまして私どもお話をいたしますときには、この競争契約の道にできるだけよりたい、それについてはこういうような改善を考えてほしいというようなこともときには言って参るわけであります。そういうときにはできるだけそういう道で方法を考えるということもいたしております。  また会計検査院におきましても、もちろんいろいろのこういう具体的な競争契約自体が、指名契約を許されるかどうか、あるいは随意契約を許されるかどうかということは、決算検査段階におきましてよく見ていただいておるわけでございます。その点もこの会計法に許される範囲内でやっておるというふうに考えております。
  15. 武藤山治

    武藤委員 そうしますと、従来の実績から見た、われわれしろうとから見た場合、大へん妥当でないという判断が立つのですが、会計検査院では予決令九十二条の「一般競争に付することを不利と認める場合」、こういう場合がこれだけの数字になるという、一応妥当性を持っておるという考え方に立っておるわけですか。その点はどうですか。
  16. 上林英男

    上林政府委員 数字から申しますと確かに御指摘通りでございますが、個々の契約につきまして、おそらく会計検査院が見て参りました場合に、それぞれの契約方式を選んだことは、会計検査院としてもやむを得なかったというふうに考えておるのではないかと考えております。  実はほかの国のこういう場合を私調べたことがあるわけでございます。たとえばフランスにおきまして、つい最近契約制度改正いたしたのでございますが、その前までは一般競争契約が絶対的な原則であったわけでございます。ところがやはり同じように一般競争契約というものがほとんどございません。そこでフランスの場合には日本で申しますと指名競争と申しますか、あるいは今後の改正において考えておりますような制限付一般競争というような方式を採用いたしました。それによりましてそういう制限付一般公開競争というものの比率が約四〇%程度にふえておる。実際問題といたしましては、今申しました制限付一般競争と申しますのは、一定資格をきめまして、その資格を得た者が公開競争をやるというシステムでございまして、それによって実質的な公開競争目的を達したいというようなことを言われておるわけでございますが、そういうような格好で実際問題の解決といたしましては、公正な機会均等を得た正しい能力に従った公開競争という方向に今後は進まざるを得ないのではないか。しかしながら、一般競争というものの持っております理念はこれを高く評価して、今後もその理念のもとに運営されていくべきである。こういうふうに考えておるわけでございます。
  17. 武藤山治

    武藤委員 一般競争中心にすべきか、随意指名中心にすべきかということは非常にむずかしい議論ですから一応省略をして、次にこまかい点を幾つかお尋ねしておきますが、一般競争契約の場合、「大正一一年大蔵令三三号」というので、「一般競争ニ加ラムトスル者ニ必要ナル資格ニ関スル件」という省令が出ておりますが、これなどはだいぶ古い規定でありますが、今回の改正に対応して資格取得要件原則をどこに置くのか、原則最初にお示しを願いたいと思います。
  18. 上林英男

    上林政府委員 今御指摘のございました大正十一年の大蔵令は非常に古いものでございますので、現行の運営におきましてはあまり役立っておらないわけでございます。従いまして、今回の改正法律が制定されます場合には、それも含めまして資格制限規定を変えて参りたいと思っております。具体的には、たとえば禁治産者とか準禁治産者とかいうような無能力者に対します制限を置きますほかに、一つは従来も似たようなことをやっておったわけでございますが、国の工事に対しまして不正を行ないましたり、あるいは手抜きをいたしましたり、談合をやりまして、国に不測の損害を与えたというような人たち一定期間国契約に参加させないというシステムが今までもあったわけでございまして、こういうものを活用いたしまして、今後はそれを国の内部の各契約担当官に通報できるような方法を考えていきたいというようなことも一つ考えております。また契約の態様はいろいろございますので、それに応じまして各省各庁におきまして資力、信用技術その他の点につきまして一定基準を作りまして、それに基づきました有資格者名簿というようなものを作成いたしまして、そういう名簿に登載されました有資格者公開競争というような道も今後は考えていきたいというふうに考えているわけでございます。
  19. 武藤山治

    武藤委員 資格要件というものをさらに拡大をして、不正工事手抜き談合、そういうようなものまで資格要件の中に今度きっちり入れるということは望ましいことだと思いますが、従来の予決令規定でいきますと、談合した場合には二年間競争に加わらしめないことができるという規定になっておる。これでは業者はびっくりしないので、談合というようなものは日常茶飯事に行なわれておる。談合のない入札というのはほとんど今日はないくらいにもう慣例になっておる、こういう状態をどう改めるかということが、やはり今回の改正の大きなねらいでなければならぬと私は思うのです。そういう観点から見た場合は、加わらしめないことができるという規定じゃなくて、はっきり五年間くらい加わらしめない、そういう禁止規定予決令の中にはっきりうたうべきだと思うのですが、その点あなたのお考えはどうですか。
  20. 上林英男

    上林政府委員 原則的には御指摘通りだと考えております。ただ具体的な場合といたしまして、各省運営いたして参ります場合に原則がございますけれども、特に業者についてはやらざるを得ないというような判断があるかもしれないと申しますか、そういうことがあり得るということを各省からも意見が出ております。従いまして、ただいま考えておりますことは、原則としては今後はそういうものは一定期間国契約に参加させないということで規定を置きたいと思っておりますが、ただし特別の事情がある場合につきましては、例外措置もあり得るというような考え方をいたしております。
  21. 武藤山治

    武藤委員 そうしますと、談合した場合にははっきり加わらしめないという禁止規定を設けるという方向で、今日各規則や予決令の方の改正、検討をしておるのか、その点もう一回確認しておきたい。
  22. 上林英男

    上林政府委員 今お答えいたしました通り原則としては、そういう国に損害を与えたことのあるような業者につきましては、一定期間国契約に参加せしめないという原則をたてたいと考えております。
  23. 武藤山治

    武藤委員 現在談合とか、役人と業者とのなれ合い、そういう形で汚職が発展をされたり、いつも疑惑を持たれるケースというものは、何といっても古手官僚が退職してから会社の重役になり、その重役と担当官が知り合いで、なあなあで予定価格を教えたりして不正が起っている。たとえばつい最近の東海道新幹線の汚職などもそのいい例ではないかと思う。大野工事局次長と塗装工場の片山取締役という人たちは、三十年も長い間国鉄で勤務しておって友人関係にある、そういう過去の職場における上下のつながりというものが、退職をして後もつながっておる、それによって契約内容金額、設計、仕様書なども漏れてしまう。こういうところに今日の契約の問題をめぐって見苦しい汚職の問題なども起こっている。これはただ単に東海道新幹線だけではなく、国鉄の契約などの末端を調べてみると、まことに不合理です。小さな道路の踏み切り一つ作るにしても、鉄道が随意契約で指定している業者以外には絶対に仕事をさせない。一カ月間くらいでできる仕事を一年もかかる。あるいは市で測量させると二十万くらいでできる踏切が六十万もかかっている。こういうようなことはやはり一般競争を排除し、指名随意というところから出てくる大きな欠陥だと私は思うのです。そういう弊害を今回の改正で、何らかの規定でもってなくすような考慮というものはしているのか。そういう点を承わりたい。
  24. 上林英男

    上林政府委員 御指摘の点につきましては、一般の官吏の綱紀というような問題につながる問題でございまするので、会計法規定だけからは万全を期しがたい。実際問題といたしまして、法規を整備いたしても、物事はことに契約制度は運用ということが大切でございますので、そういうことからの万全を期していくということがむしろ必要でございまするが、この種の会計法改正におきましても、その点が特に議論中心であったわけでございまして、その意味におきましては、先ほどから御議論がございました一般競争契約方式がいいのか、あるいは指名競争契約をさらに改善するという方法を考えるのかという議論にいくわけでございますが、そういう意味におきましては、今回の改正におきましては、一般競争契約原則とはいたしますると同時に、なおその一般競争契約の中に実行可能のように一定資格制限をいたしました、いわば能力に応じた公開競争というような道を開きたいというのが一点ございます。なお指名競争におきましても、指名基準を確立いたしまして、この業者が好きであるから、この業者にやらせるということをできるだけ避けるような方向、従って一定指名基準を確立して、その指名基準に従っての契約の相手方の選定という方向に進んで参りたいというふうな配慮をいたしておるわけであります。
  25. 武藤山治

    武藤委員 能力に応じた指名基準を作れば、そういう汚職の温床や談合というものが極力防げるというお考えのようでありますが、問題は指名基準そのものにあるわけであります。たとえば私などがいつも県会で問題にいたしました点は、A、B、C、Dと業者の範疇を定めて、A業者、B業者、C業者とあって、Cの業者はBとDの両方に入れるが、DはCしか入れない。いつも小さい業者は大きな仕事にはとっつけない。いつも二、三十万のちっぽけな工事しかやれない、先へ出られない。こういう今の基準の作成の仕方で業者を縛りつけていきますと、中小企業の量というものは非常に小さくなって、大企業中心の迅速確実に仕事ができればいいという観点だけで入札制度を検討していきますと、地方の業者はばたばたつぶれていきます。特にこればかりではありませんが、そういう大資本の進出によって、中小企業者というものが本年に入ってすでに五十軒も倒産しておるということを新聞が報じておりますが、そういうところにまで影響を与えるわけです。従って、この指名基準というものの作成の仕方を各省にまかしておいたのでは、やはり根本的な対策は立たぬと思うのです。これを大蔵省なら大蔵省が統一的な一つ基準を作って、性質目的はこれこれこういうものに限って指名とか随意はこうだ、金額は大体こうだというような、何か国全体を一つに統一できる基準というようなものも大蔵省で考える必要があると思うのです。大蔵省が建設省や国鉄の仕事にまで手を出すと、役人の権限、分野を冒すというので反対もあろうと思うけれども、しかしそのくらいのやはり何か統一的な基準を作らぬことには、今日の各省のセクトと矛盾というものは解決できないような気がするわけですが、その点はどのようにお考えでありますか。
  26. 上林英男

    上林政府委員 ただいまの指名基準は確かに一番重要な問題でございまする上に、非常にむずかしい問題でございますが、たとえば建設工事につきましては、現に建設省が建設業の委員会を作ってその審議を経まして、いろいろな基準を作っております。また各省におきましても、おおむねそれに類似いたしましたような基準を作って、運営にあたっておるわけでございます。今後はさらにその道を拡充して参りまして、運営の万全を期したいと考えておるわけでありますが、さらに具体的には建設省にも十分その基準の検討をお願いいたしますと同時に、各省も合わせまして、さらにその基準がまちまちになりませんように、また御指摘のような問題を起こしませんように、よく相談をするためにあるいは連絡会議などを設けまして相談をし、いい基準を作って参りたいというふうに考えているわけです。
  27. 武藤山治

    武藤委員 やはり今日の近代財政というものは、ただ単に国家が直接財政によって国の仕事をまかなうというだけの性質でなくて、もっと民間企業なり民間の業種というものに対する有効需要の拡大ということも近代財政の大きなねらいになっておるわけです。そういう点も契約制度の中で十分考えて、中小企業がある程度一定の率をいつも確保できるような契約の制度というものが私は考えられると思うのです。そういう点の検討は今回の改正では全くなされていない、こういわなければなりません。そこで今言った基準を作成する場合にも、比較的中小零細な業者指名随意の中に入れるような、そういう点の考慮というものをあなたはどのように考えておるか、またこれからの規則や予決令改正の中に織り込もうとしておるか、全くそういう点は考慮していないというのか、むずかしくてできないというのか、そういう点も一つお聞かせ願いたいと思います。
  28. 上林英男

    上林政府委員 御指摘の点につきましては十分考えて、いろいろな基準を作って参りたいと思っております。ただ会計法のねらいますところは、国が行ないます契約につきまして、いわば税金を財源といたしまする国の契約が効率的にかつ公正に行なわれるということをねらいました、いわば手続の範疇に属するものでございます。従いましてまたその面から申しますと、もちろん御議論はあるわけでございますけれども一定割合を中小企業に確保せしめるというようなことになりますと、なかなかそういう面がむずかしい問題を生じて参るわけでございますので、技術的な困難な問題が起こってくるわけでございます。しかしながら、もちろん中小企業が占めまする地位というものにかんがみまして、その保護育成ということをはかって参りますことは大切なことでございますし、今の会計法の体系におきましても、中小企業協同組合の保護育成のためには随意契約ができるというような特例も作ってあるわけです。そういう意味におきまして、今後の基準を検討して参ります場合には、よく御趣旨の点を考えまして、検討して参りたいというふうに考えております。
  29. 武藤山治

    武藤委員 それは考えるということですから、十分考えを確定する前にわれわれ野党の議員にも耳に入れてもらって、よりりっぱなものを作っていただきたいのでありますが、問題は具体的に考えた場合に、A、B、C、D、Eと五段階あったとしますね、その場合、今は個人で指名を受ける、会社で指名を受けるということですから、それをさらにCとDが共同で指名を受けられるとか、そういう共同工事施行というものはできるようにしてやる。その場合には、Bの仕事まで指名範囲に入れてやるとか、そういう形でCDEあたりの下の方の業体に対して、特別なそういう扱い方をするというようなことも基準の中でできると思うので、そういう共同請負というような形でAの仕事までやれる、こういうところまで引き上げてやれば、中小企業は比較的大企業からの圧迫を排除することが可能なんです。こういう点の配慮などは、手続法をいじる場合にはむずかしくてできないのか、やろうと思えばできるのか、その点はどうですか。
  30. 上林英男

    上林政府委員 ただいまの御質問はジョイント・ヴェンチャーが国の契約の対象になるかどうかという問題かと思います。ジョイント・ヴェンチャーにつきましては、すでに建設業などにおきましては、建設省からこういう場合にはむしろ積極的にジョイント・ヴェンチャーの作り方とかいろいろなものについて主張をいたしておるようでありますし、そういう方法も十分可能であると思っております。具体的にどういうふうに基準を作っていくかという問題については、なお建設省その他ともよく相談をしてやって参りたいと思います。
  31. 武藤山治

    武藤委員 それでは今の点は十分建設省やさらに国鉄等とも相談をして、大蔵省でより抜本的な指名基準を作成してもらうということを要望して次に移りたいと思います。  今回の改正の中で、入札保証金百分の五、契約保証金百分の十という従来の制度で、今までは現金と国債だけであったわけですが、今度は他の十分の担保力のある債券ということも規定されるようでありますが、この十分な担保にできる債券の中には普通の株式、こういうようなものもなぜ一体含めないのか、電電公社の債券とか、何か国が保証しておるようなもの以外は認めないという立場のようでありますが、社債は含めるつもりなのか、含めないつもりなのか、その点をお尋ねしておきます。
  32. 上林英男

    上林政府委員 ただいまの質問でございますが、この国の契約保証金というものは、原則として現金と国債でございます。ただ現金と国債、に限りますと、非常に保証金が納めにくくなるということで、できるだけ確実なものにつきましてはこれを担保にとり得るというように持っていきたいということで、今御指摘のございましたような株式あるいは社債につきましては、国が担保にとるのに適当かどうかという問題があるかと思います。従いまして、さしあたってはこれを入れるつもりはないわけであります。ことに株式につきましては、御存じのように、その性質からいたしましても、国の契約の保証金というかわりにとるのに適さないのではないかというふうに考えておるのであります。
  33. 武藤山治

    武藤委員 なぜ適さないのですか。変動が激しいからですか。その点を一つ
  34. 上林英男

    上林政府委員 御指摘通り、変動も激しゅうございますし、それから掛目その他のいろいろな技術的な問題もございますので、契約担当官といたしましては、単純な画一的な行為でもってその掛目を算定したり、それからそのおのおのの銘柄につきまして、これが確実であるかどうかというような判断をいたして、これをとっていくというのは、会計職員が約五万と言われておりますが、そういうような非常に大勢の会計職員が扱いますのにはむしろ適当でないのではないか、こういう感じで申し上げたわけでございます。
  35. 武藤山治

    武藤委員 さらに入札保証金と契約保証金の場合、必要ないと認めた場合にはこれを担保としてとらない、こういう方針のようでありますが、必要ないと認めるのは契約担当官が認めるわけですね。そうなりますと、指名してすでに利益を受け、さらに保証金や契約金を免除してもらってまた恩恵を受ける、どうも特定の業者ばかりがいつもそういう厚い利益を受けるということになりますが、私は担当官と業者というもののなれ合いが一そう深くなるような気がしますが、そういう点についてはどうお考えですか。
  36. 上林英男

    上林政府委員 その点につきましても、もちろん会計規定だけでは取り締まれない面もあるかと思いますので、今後の考え方といたしましては、できるだけそういう免除基準というものも確立をいたしまして、公正に取り扱いを行なわれるようにというふうに考えて参りたいと思います。
  37. 武藤山治

    武藤委員 統一的に行なわれるようにと言いますが、必要ないと認めた場合、具体的に担当官がこれは保証金をとる必要はない、契約金をとる必要はないという認定の基準というのは一体何ですか、それは規則は予決令できめるのですか。その点を一つ……。
  38. 上林英男

    上林政府委員 ただいまの予決令でも、たとえば指名競争をやります場合、あるいは随意契約によります場合におきましては、これが指名業者として十分能力を持っておる、あるいは随意契約の対象として十分能力を持っておるというようなことを審査いたしまして、契約の相手方に選定するわけでございます。従いまして、そういう契約をいたしまする場合には、その前提として信用調査なり技術調査なりをいたすわけでございますけれども、それに応じまして、その保証金を納める必要があるかないかという判断もできるわけになっております。一般競争の場合には保証金を免除しないということになるわけでございまするが、そういうようなあらかじめ資格といいますか、信用調査、能力調査をいたしまする場合におきましては、その調査の結果に従いまして、保証金を免除するということにいたしたいと思っておるわけでございます。なお、特定の分野におきましては、入札保険等の制度も行なわれておるわけでございます。そういう保険をかけて参りましたものにつきましては、保証金を免除するというような方法も開いて参りたいというふうに考えております。
  39. 武藤山治

    武藤委員 その免除する場合も、業者に特定の利益を与え過ぎるがごとき乱用のないように、やはり今度の改正を契機にして十分保証をするような規則を制定してもらいたいということを強く要望しておきます。  次に、指名競争契約の場合には、性質または目的によって競争に加わることがむずかしいという場合以外に百万円以下の工事、それから、随意契約の場合には五十万円以下の金額、これに対しては指名随意でやれるということに現在の規則はなっておりますが、今回の改正でこれをさらに引き下げるとか、あるいは引き上げるとか、そういう考え方があるのかどうか、あるとしたらどういう理由でこの金額をいじるのか、そういう点も非常に乱用のおそれのある規定でありますから、この点の一つ明快なお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  40. 上林英男

    上林政府委員 御趣旨の点は、契約に加わりまする予定価格が少額でありまする場合に、指名競争なり随意契約なりの道が許されているわけでございます。ただいまの予決令規定昭和二十三年にきめられたものでございまして、その後の物価の推移あるいは財政規模などから考えますと、これを改訂するのが適当ではないかということを考えておりまして、ただいまこれをどの程度にしたらよろしいかということを、各省の実際の運営に当たっております担当官などと相談をいたしております。目下のところいろいろな議論が出ておりまして、まだ確定の段階には至っておりませんが、その予定価格があまりにも小さくて、従って、むしろ一般競争その他の手続になじめないと申しますか、それをやるほどのこともないというものにつきましては、今後検討いたしまして若干この金額ワクを拡げていきたいというふうに考えておるわけであります。
  41. 武藤山治

    武藤委員 百万円、五十万円という現在の金紙を若干広げるといいますが、これは広げることの方が実際に業者と担当官との間の不正というものを起こす率がふえるのか、それともこれはできるだけ縮めた方がいいのか、そういう点の基本的な考え方はどうですか。それと、幾らか広げたいと思うと言われるが、広げるとしたらどの程度百万円を引き上げ、五十万円を引き上げるつもりですか。というのは、国全体の仕事から見れば百万、五十万というのは微々たるものですが、これがやがて一つの見本ができますと、地方自治体もこの政府の方針に右へならえしていきますから、そうなりますとかなり全国に与える影響は大きいわけですから、そういう点から私は一応心配しているわけですが、その点の引き上げの率を一つお聞かせ願いたいと思います。
  42. 上林英男

    上林政府委員 引き上げの幅につきましては、今申し上げましたように、各省の実際契約の衝に当たっております人々の御意見も伺っておるところでありまして、まだどの程度上げるかということはきまっておりません。  なお、その金額が少ない方がいいのか、多い方がいいのかということでございますが、先ほどから申し上げておりますように、できる限り公開競争をいたしまして、国民に機会均等を与えるという意味からいきますと、いかに小さい金額でありましても、これをそういう方向で解決していくのがいいやり方であると思っております。ただ具体的な処理の問題になりますと、やはり指名競争入札ということになりますと手数もかかりますし、それから時日も要するわけでございます。それとのかね合いにおきまして、どの程度までの金額であるならば、これは指名競争なり随契にゆだねてしかるべきであるかという考え方によって検討していくということではないかと考えております。
  43. 武藤山治

    武藤委員 そうすると、この引き上げは、昭和二十三年にできた規定であるからその後の物価の推移、そういう点を勘案して検討する、そう理解してよろしいわけですね。そうすると、大体百万を百五、六十万、高くいっても二百万にならぬ程度に考えてよろしゅうございますか。
  44. 上林英男

    上林政府委員 その引き上げの幅につきましては、繰り返すことになるのでありますが、ただいま各省ともよく相談をいたしておる段階でございますので、どの程度になるか、ちょっと今のところ申し上げることができないのであります。
  45. 武藤山治

    武藤委員 それから、今回の改正の二十九条の六の中で、非常に重要なことを規定しておるわけでありますが、これは競争契約の場合の落札方式が変わるわけです。従来は歳出原因の場合には最低の入札者を必ず落札人とする、こういう原則で幾ら安くとも安い者に契約が落ちるわけでありますが、今回の改正でいくと、その低い値で入札をした者が著しく不適当だ、あるいは公正な取引の秩序を乱す場合、この二つの制限規定があって、これに触れた場合には順次位の入札者に契約をさせるわけですが、そうなりました場合、担当官がこれを乱用する気になれば乱用できるような規定だろうと私は思うのです。たとえば一番安く入れたものが業者仲間で憎まれておったとか、あるいは八分にされておったという場合に、あいつは少し安く入れ過ぎた、あいつはあんなに安くできるわけがないというようなことで業者間で担当官に陰口をきいて、担当官がそれに動かされるというような場合に、最下位のものがはずされて次のものが落札者にたる、こういうような乱用が心配になるわけですが、そういう点の一定基準というものは一体どのように考えておるか。また今度の規則の中で、そういう乱用がないような保証というものは、どういう規定で抑えようとしておるのか、その点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  46. 上林英男

    上林政府委員 御指摘の点は確かにこの制定を開きまする場合に一番問題になり、かつ慎重に扱わねばならぬ問題であると考えております。従いまして、この措置を実行いたしまする場合はむしろ例外であるというふうに考えておりまするが、従いまして、これを実行いたしまする場合には、一定の加重した要件のもとに、この手続によって最低の落札者等を排除するようにいたしております。具体的に申し上げますると、そのものの申し出によりまする価格によりましては、当該契約内容に適合した履行がなされないおそれがあるというような場合には、契約担当官が十分調査をいたしまして、かつその調査の結果、別に契約審査委員というものを設けるつもりにいたしておりますが、それに諮問をいたしまして、その意見を参考にいたしまして契約担当官が自分の意思を決定していく。かつそういう経緯を全部文書に残しておきまして、会計検査院及び大蔵省にこれを通報していただく、いわばこういうことをやりましたという立証責任をこの契約担当官に課していく。従いまして、会計検査院はそれに基づきまして検査をし、もしそれが間違っておれば予責法上の契約担当官の責任を負うというような、そういう一定の加重した要件のもとにこの規定を発動させるというふうに考えておるわけであります。
  47. 武藤山治

    武藤委員 審査会の意見を聞くということにはなっておりますが、審査会というのはあくまで諮問機関であって、強制力を持っていないんですね。そうしますと、担当官がおれは順次位の人を入れるのが至当だと思うというような形で、陰で業者と結託して順次位のものを入れた、それをはずされた最下位の業者が審査会に持ちかけて審査員に調べてもらった、それでもなおかつ担当官は、何おれの考えは間違いないと思って、その審査会の意見というものを守らなくてもいいんですから、自分の意見をあくまで強行していいわけですからね、ただし自分の考え方大蔵大臣に申達をする、それだけの義務でありますから、その場合担当官が自分の意思を貫こうとすれば幾らでも貫けるのでありますから、審査会なんというものは、まああってなきにひとしいような存在だと私は思うのです。その場合もし審査会の意見と担当官の意見が食い違っておる場合の、最後の最終的な担当官に対する制裁というものは何ですか。責任を負うと申しましたが、どういう責任を負うわけですか。
  48. 上林英男

    上林政府委員 御存じだと思いますが、予算執行職員の責任に関する法律という予責法の規定がございます。これによりますると契約担当職員というものは、その行ないました行為によりまして国に損害を与えました場合には、予算法上の責任を負うことになっております。そういう関係で、その貞任との関係におきまして、かつその責任を明確化いたしまするために 契約担当職員というものの意思を尊重して、その意思決定に従って国との契約を行なうという建前を貫きまするために、契約審査委員の意見というものはもちろん文書で残しまするし、その残しました意見と契約担当職員の意見というものとの両者を、最終的には会計検査院に送付いたしまして、それによって、その行為が間違っていたかどうかという判断は、最終的には会計検査院がいたす格好になるわけであります。そういうような建前から、契約担当職員の意見決定を国の最後の意思決定としたわけでございます。そういうような手続につきましては、わが国だけではございませんで、大体こういう最低落札者を排除いたしまする場合には、たとえばイギリスとかそういうような国におきましても、同じように一定の要件を課して、慎重な手続でやるという建前を他の国でもとっているようでございます。
  49. 武藤山治

    武藤委員 そうしますと、それは予算法で制裁を受けるという場合には、損害金の賠償責任、あるいは罷免、そういうような規定になっておりますか、ちょっと参考のために……。
  50. 上林英男

    上林政府委員 今お話しの通り、賠償責任、あるいはもちろん行政処分も行ない得るようになっておるわけでございます。
  51. 武藤山治

    武藤委員 それから、従来の規定では、契約後に監督、検査というものを行なうということが明確に法文化されてなかった、今度はそれを規定しようという趣旨のようでありますが、この監督、検査をやる構成あるいは権限、また任命権、そういうようなものはどこにあるのですか。
  52. 上林英男

    上林政府委員 この改正法案の二十九条の十一に、契約担当官原則として検査、監督の責めを負うことになっております。もちろん、実際の検査、監督につきましては、それ相応の技術その他が要るわけでございますので、契約担当官は、場合によりましては補助者を命じまして、検査、監督を行なわしめるという道を、この改正法案の二十九条の十一に規矩をいたしております。なお、この補助静として命ぜられました監督員、検査員につきましてもり、同じように予算法の適用を受けまして責任を負わしめるように改正をいたしておるわけであります。
  53. 武藤山治

    武藤委員 この検査、監督をする人を契約担当官が任命をする、あるいは委嘱をする、これでは実際の工事契約の履行というものが適正であるか、公正であるかというようなことを、ほんとうに中立的立場で監督、検査できないと思うのですが、そういう点は、別な機関を作って、そういう検査というものは厳重にやる必要があると思うのですが、そういう点、この程度規定で万全が期せられるとお思いですか。
  54. 上林英男

    上林政府委員 国の契約につきましては、だれにどういうものを注文いたしまして、その注文通りのものが入って、国に納入されるかどうかというところまで一貫して契約担当官の職責になっておるわけでございます。従いまして、契約担当官といたしましてはそのすべてにつきまして国を代表し、国のために行為を行なうわけでございます。その意味におきまして、検査、監督につきましても、あるいはみずから、あるいは必要に応じまして補助者を命じて、検査、監督をしていくという建前をとっているわけでございます。
  55. 武藤山治

    武藤委員 物を買う場合は、一般の価格というものがありますから、比較的これは問題ありませんが、問題は請負工事ですね、そういうような場合の検査、監督となると、任命された者では、不正なところがあっても、あるいは妥当でないところがあっても指摘できない、そういう心配があろうと思うのですね。別な機関で検査、監督をするような機関というものが考えられないものかどうか。そういう点はむずかしくて考えられないから、部内から担当官が委嘱する、こういう形では不十分なような気がするわけですが、その点はどうでしょう。
  56. 上林英男

    上林政府委員 先ほど申しましたように、契約担当官契約全般につきまして国の行為をいたすわけでございますので、一体どういうものを発注し、どういうものを作らせるかということにつきましては全責任を負い、かつその契約内容に従いまして検査、監督をするわけでございますので、別の系統の検査、監督というのはむしろ例外的な場合ではないかというふうに考えているわけでございます。ただ、たとえば検査、監督の内容におきまして、民間に非常なエキスパートがおられる、むしろそれに検査、監督を依頼した方がその目的を十分達し得るというような場合につきましては、そういう民間のコンサルタントなどの検査、監督にお願いする道を今回の改正法案では開いているわけでございます。
  57. 武藤山治

    武藤委員 大へんわかったのでありますが、まだ予決令改正案、あるいは規則の内容どもわかりませんので、こまかい点は十分承知するわけには参りませんが、これから契約事務取扱規則や予法令の改正、こういうようなものを根本的にやるのだと思うわけでありますが、その際に、先ほど質問の中である程度意見も含んで申し上げたわけでありますが、今度は特に一般競争入札がさらに減って指名随意が正当化されて、この改正を契機として大っぴらに指名随意という形で契約がなされると思うのです。そうなりました際には、さらに私は汚職や不正の率というものがふえるのではないかという心配をしておるわけです。従ってその際に、リストを作る場合の考慮とか、あるいは資格要件を定める際の規定というものは、十分一つ指名随意の弊害というものを考慮して厳格な規定を作らないと、せっかく法改正を行ななっても、末端においては不正や乱用の温床になる、こういう点が今度の改正の中で危険に思われる点であります。  さらに第二の点は、中小企業や零細企業がリストを作られて、上のランクの仕事ができない、いつも一定の場所にくぎづけされて、仕事量も非常に限られておる、こういう弊害が起こらないとも限らぬわけであります。そういう先ほど申し上げましたような数々の点を十分一つ考慮して、これからの改正規則、予法令等を検討してもらいたい。そういう要望を申し上げて一応質問を終わりたいと思います。
  58. 小川平二

    小川委員長 石村英雄君。
  59. 石村英雄

    ○石村委員 私の質問はきわめて事務的なことで、そうしてその内容は与党といえどもおそらく反対ではないことだと思います。お答えは事務当局でけっこうでございますが、最後には、政務次官として、民主政治家としての確信のある御答弁をお願いしたいと思います。  今日の膨大な日本の予算について、この予算がわからないというのが世間の声であり、その分からぬ根本原因は、積算の基礎が予算書の中に明示されていない。従ってずいぶん前から、積算の基礎を予算書の中にはっきり書くようにということが天下の世論でもあるわけであります。ところが依然としてそれはほとんどなされておりません。また単に世論であるばかりではなく、予算決算会計令の中にも、計算の基づくところを明細に書いて出す、こういうことが——もちろん各月の明細計は国会の正式な提出書類ではないかもしれませんが、積算の基礎を予算の中で明確にしなければならないということは、この法令——政令ではありますが、その中にもはっきり盛られておる。しかるにそれが依然としてやられておらない。わずかに給与、そういうものについてはかなり明細なことが書いてありますが、その他についてはほとんど何もないといって過言でないと思うのです。私もこんな膨大な国の予算を、詳しく積算の基礎を一々書けば膨大な書類になるだろうとは思います。しかし、ある程度のことは相当書き得ることだし、またそれを書くことによって、この予算書が三倍にも四倍にもなっても、予算というものがほんとうに国民のものになるという意味においては、予算書が少々膨大になろうがその経費なんかは問題ではないと思うのですが、今日なお依然としてほとんど積算の基礎が明示されていないのはなぜか。大蔵省としては、またそれに対してはどのような考えで進んでおられるか、お答えを願いたいと思います。
  60. 大村筆雄

    ○大村説明員 お答え申し上げます。  御承知の通り、現在予算書におきまして、項ごとに国会の御議決をいただいておるわけでございますが、予算書の中に、同冊の中に、参照書といたしまして歳入、歳出に分けまして、歳入につきましては部款項目別、それから組織別、歳出につきましては組織別、それから項別、日別、事項別に御説明申し上げたものを差し上げておりまして、なおそのほかに、分科会等で御審議なさるために必要な書類を出しまして、各日明細書というのを作りまして、それに目以下のさらにこまかい内訳をしまして差し上げておるところでございます。そのほか、おっしゃいますように予算自体が相当膨大でございまして、なかなか全貌がわかりにくいという点がございますので、さらに予算の説明というのを別に用意いたしまして御審議参考資料に差し上げる、そのほか財政法二十八条に基づくところの予算参考書類を作りまして、御審議の御参考に供しておるわけでございます。ただいまの御質問は、事務的に解釈いたしますと、積算の基礎がよくわからぬ、そういう御質問かと思うのでございますけれども、ただいま申し上げましたように、いろいろ差し上げてある中にも相当積算の基礎があるわけでございますけれども、その中でさらにこまかい積算基礎といいますと、各日明細書の積算の基礎ということになるかと思うのですが、御承知の通り、きわめて短期間の間にこれだけの膨大な書類を実は用意して出さなければならないという点で、事務的にも時間的にも非常に制約されておる関係もございまして、そこまでの資料は用意して差し上げてはございませんですけれども、特に問題になります場合には、そのつど御要求に応じまして適切に資料を作成して差し上げて御審議をお願いする、そういうことにいたしておる次第でございます。
  61. 石村英雄

    ○石村委員 もちろん国会でわれわれが質問をして、この基礎は何かといえばお答えになると思う。しかし、こうした書類はこの中にはほとんどないわけなんです。われわれはこれをもらっても、専門家ならともかく、一般の者はこれはただ書類箱へ入れておくにすぎない。これはあけて見たってさっぱりわからない。補助費にいたしましても、法律で何分の一補助というようなことがあって、事業量を幾らと見て、その何分の一の補助だからこれだけ見積もったというようなことさえこの中には書いてないのです。道路整備にいたしましても、それは今の予算の説明だとか、あるいは国の予算とか、ああいうものを参考にすればある程度わかるとは思います。また日ごろから新聞に出ることなんかを見ておればわかるかもしれませんが、この中でもう少しわかりいいようにしてもらわなければならぬ。われわれがこの中を開けてみると、何かの補助金がある、これは本年度の事業量を幾ら見て、それに対して国としてはどれだけのことを考えているのかということが簡単にこれでわかるようにしてもらえればこの予算書も生きてくると思うのです。それぞれの担当の専門家でなくても、必要に応じてあけてみればそれがわかる、そうすることによって、議員自体についても予算が漸次頭の中に入ってくるし、そうしてそれは国民にもまたわかってくると思うのです。説明するからよろしいんだでは私は済まないと思う。あの予算決算会計令の中にそういうことがわざわざ書いてある。国会に予算を提出したあとで、各月明細書を作って提出するように書いてある。時間的余裕も与えてあるわけです。この各目明細書は一般議員には配布になってはおりません。予算委員だけに配布になっておるようでありますが、この各月明細書でも——私はここに持ってきておりませんが、あの中をあけてみても、この予算決算会計令の中に規定してあるほどの計算の基礎は明らかにはされていない。これは私が言わなくても、専門家のあなた方が当然わかっていることだと思いますから例をあげては私は申しません。もっと親切にやられたらどうだろうか。もちろん経費は要りましょう。印刷費は多くなるかもしれません。しかし、印刷費が千万、二千万、あるいは一億や一億ふえたって、そういうことをすることによって予算というものは初めて国民のものになるのではないか、その経費なんかは決して惜しむべきものではないと思うのです。このことをぜひやっていただきたいと思います。  続いて、それに対する確約をいただく前に、もう少し内容についてお尋ねしますが、この各日明細書の中に積算の基礎をはっきり書いていただければ問題がないことではありますが、実は私はこの夏、国の予算全体——一般会計と特別会計を合わせると約六兆、そうして二十八条の参考書類によって重複額を差し引いたものを見ると約四兆が純計額だと、こういうことになっておるわけですが、この約四兆の内容を歳出別に分ければどのような内容になるものか、それを調べてみたいと思って手をつけかけてみたところが、実はわれわれの手ではとうていやりきれない問題だということがわかりました。初め私は予算の説明の中に使途別の明細があります。あそこに他会計への繰り入れという項があって、合計額がある。従って、私は一般会計と特別会計の重複額というものはこの他会計への繰り入れを合計すれば、あの二十八条によって提出された純計予算の重複額が出てくるものだ、こう私は初め考えた。それについて、内容を見る意味で他会計繰り入れの内容を一々拾い上げてあれと対照したのです。ところが、初め一般会計についてやったら大体合っていた。合わないのは三十億の問題があるだけだ、この三十億はおそらく農業近代化資金ですか、あれを他会計への繰り入れとして計算された結果だ、それで一般会計はわかったと自分では考えた。そうして今度は特別会計の方に入って、その合わしたものをこの二十八条の参考書類の重複額と対照してみたら膨大な開きがあるのにびっくりした。私はこれは他会計への繰り入れという意味が違っておるのかといろいろ考えてみたのですが、重複額を計算する以上他会計への繰り入れというものを計上していけばいいはずだという結論に一応なったわけであります。そこに膨大な違いがあるわけです。そうしてこの違いがある数字が今度の補正予算の説明の中にも三十六年度当初予算の予算の説明にある他会計への繰入額jがそのまま踏襲されておる。私の言い分から言うならば、膨大な違いのあるままで今度の補正予算の予算の説明の中にもやはり計上してある。これは私としてはさらに合点のいかぬ問題だということについて事務当局にある程度お尋ねしましたが、一応この予算の説明における他会計への繰り入れということはどういう趣旨であれは作られたものか、御説明願いたいと思います。
  62. 大村筆雄

    ○大村説明員 お答えいたします。  他会計へ繰り入れと申しますのは、一般会計からほかの特別会計へ繰り入れるという性質金額でございます。
  63. 石村英雄

    ○石村委員 それと同時に、特別会計においては、特別会計もそれぞれの会計から他会計へ、特別会計あるいは一般会計への繰り入れ、また特別会計と特別会計の中の勘定間の繰り入れ、そうしたものを含むものだと思います。ところが、それが合わないんです。例をあげて言うならば、そういうふうな、たとえば特別会計の他会計への繰り入れば約一千何百億の違いが出てくる。大きなものを具体的に言うならば、五十億余りの借入金の返済がある、それから預金部資金運用部の預託金利子の支払いの一千二百何十億というものがあれには計上していない。これはなぜこんな大きな数字を計上しないか。つまり他会計への繰り入れという大蔵省の考え方と重複額ということの考え方には違いがあるのじゃないか、こう私は考える。私から言うならば、違いがあるのはおかしいですが、大蔵省の従来の考え方は、これは違いがあって何ら不思議はないという考え方のようにとれるわけです。
  64. 大村筆雄

    ○大村説明員 先ほど御質問でお触れになりました三十億の違いがあったという仰せでございます。これは農業近代化資金ではございませんで、すでに御承知かと思いますが、農業共済再保険特別会計からの受入金の三十億でございまして、実はこれは古いことでございますが、農業共済再保険特別会計が一時相当赤字になったことがございます。その場合に、その赤字補てんのために一般会計から繰り入れいたしまして、それで再保険特別会計が黒字になれば——決算時になって黒字になればこれは一般会計へ返すという特例法に基づいた金でございます。  そういう黒字になった場合の一般会計への返し方に二通りでございまして、当該特別会計におきまして一般会計へ繰り入れということで歳出に立てまして一般会計へ返す場合と、歳出を通さないで、決算上当然出てきたものを自動的に一般会計へ返す場合と二通りあるのでありますが、この場合、農業共済再保険特別会計の場合は当然決算上返せるという仕組みになっておりますので、従いまして、農業共済再保険特別会計は歳出はもちろんこれは通して返すわけではありません。ところが、純計を作成ずる段階で、それが重複ということに勘違いいたしました結果、純計作成上これは一種の間違いであると存じます。その点はだいぶ御迷惑をかけたと思いますが、おわび申し上げます。  それからもう一点御指摘になりました資金運用部特別会計への点でございます。これは実は資金運用部特別会計への預託金利子の歳出の金額と、それから特別会計からの受入金額が合わないという問題……。
  65. 石村英雄

    ○石村委員 私の言っているのは違うんだが、まあ説明して下さい。
  66. 大村筆雄

    ○大村説明員 その場合、合わない点はあるわけです。これは失業保険特別会計への預託金利子の支払いの分と、それから失業保険特別会計の受け入れの金額が約九億余り合わないわけでございます。これは失業保険特別会計は各保険料収入、一般会計受け入れ等を合わせましたものを財源といたしまして、失業保険金等の業務関係経費と予備費を計上して、歳入、歳出をバランスさせておる特別会計でございます。従いまして、余裕金を資金運用部へ預託いたしまして、預託金利子を受けるわけでございますが、特別会計といたしましては、予備費にあげた金額はまずまず通常の事態であれば使わない金でございますが、万が一大きな保険事故があって使う場合があり得るということで、予備費に見合う預託金利子は最初から予定していないわけでございます。ところが資金運用部におきましては、従来の実績等からいきますと、当然予備費に見合うものも預託されるという前提のもとにその預託金利子を歳出に計上しております関係で、それが不突合になっておるという、そういう点がございます。その点を御説明申し上げておきます。
  67. 石村英雄

    ○石村委員 私の聞いておる意味を課長さんは全然理解していらっしゃらない。おそらくこういうそろばんを入れるような仕事は課長さんは直接おやりになっていないから、三十億といえばすぐ三十億という同じ金額の問題を計算してお答えになったのだと思うのです。資金運用部といえば資金運用部の問題のある預託金利子をそのまま御説明になったのだと思います。今御説明になったことはやはり重要なことですから、私はさえぎらずに黙って聞いておったのですが、私の言う三十億の違いというのは、一般会計の歳出の項の他会計への繰り入れが三十億というものを入れなければ予算の説明数字に合わないということを言っておるのです。あの農業共済の剰余金の繰り入れば一般会計の歳入になっておる。私の言う歳出の他会計への繰り入れの中の三十億とは縁もゆかりもないものだと私は考える。私の推定にすぎませんが、やはり三十億は農業近代化資金、これを他会計への繰り入れにお入れになったのだと思うのです。ですから、ただいま課長さんは全然別個の問題をお答えになったのだと思います。
  68. 大村筆雄

    ○大村説明員 ちょっと私も先生の御質疑がわからないのでございます。予算の説明というのを実は差し上げてございますが、その中に一般会計のところにおきまして、他会計へ繰り入れをいたしまして、総額七千八百二十五億六千八百四十八万九千円という金額がございます。それが先生は三十億違っておるのじゃないかというふうにおっしゃっておるのかと思いますが、先生がおっしゃいますのは、どこと違うかということをおっしゃっていらっしゃるのですか。
  69. 石村英雄

    ○石村委員 これを正確にいえば、三十億三十八万七千円違うのです。その三十億というのは、私の推定では農業近代化資金として三十億出しておる。この他会計への繰り入れというのは、一般会計にしろ何にしろ、これは予算の説明では歳出の項で歳入の項じゃない。あなたの言われる農業共済の金は一般会計の歳出にはなっていないはずです。歳入に入っているわけです。現にあなたの方から一昨日ちょうだいした資料には三十億というものは一般会計の受入金として計上してある。だから私の言うのは、農業近代化資金が他会計への繰り入れになるかならぬかということには、実はあまりこだわっていない。ただ自分で計算してみたら、たまたまあなたの方の予算の説明とぴったりこの点が合った。三十八万七千円という違いはあるが、この荘十億の方はこの分を大蔵省の考えでは他会計への繰り入れにお入れになったのだろう。三十八万七千円だけはわからないということで、三十億だけそのように解釈したわけです。それで合ったと自分で判断をして、そしてこういうやり方でやれば重複額と合致するはずだと判断をしたわけです。ところが重複額と合致しないから、これはどういうことだろうかといろいろ苦心するに至ったわけです。それでいろいろ皆さんの方からお教えを個人的にお願いして、私もある程度わかりましたが、今度の補正予算でも今の数字が違うところもある。これをそのまま踏襲せられるのは理由があるのじゃないか。大蔵省なりの従来の考え方、私はある程度それは想像しておりますが、私から言うならばそれは間違った考え方だと思うが、そういうやり方でこの他会計への繰り入れが作られておる。だからさっき申しました特別会計の預金部の預託金の利子千何百億円というものを計上しない、あるいは五十億何ぼという借入金の償還も他会計へ繰り入れたが、やはりこれに計上していない理由がそこにあるはずだというわけです。それを聞いておるわけです。なぜ資金運用部の歳出の千二百何十億という大きな金を他会計への繰り入れの中に入れないか、五十億何千万円という金を入れないかというその大蔵省の考え方を聞いておる。
  70. 大村筆雄

    ○大村説明員 お答え申し上げます。  資金運用部におきまするところの預託金利子につきましては、これは一般会計、特別会計、それから政府関係機関を入れまして、預託されておりますものにつく利子でございます。従いまして、一般会計とそれから資金運用部との関係は、かりに預託利子が出るといたしますれば歳入の関係でございます。各特別会計と預金部との関係になりますと、これもやはり歳入における関係でございます。預託金利子の点に関しましては、資金運用部特別会計は他会計へ繰り入れという場合に預託金利子がどういうふうにやられているかということになるわけでございますが、実は政府関係機関等も相当ございますものですから、たとえばそういう関係で郵政事業特別会計等においては、この点は、最近の実態は全部預金部でございますので、国債整理基金特別会計を通じて償還その他がありますものですから、あるいは他会計への繰り入れが適当であったかと思いますが、公債及び借入金、償還金というような名称でやった関係上、直ちに他会計へ繰り入れの点がわからない点で大へん御迷惑をかけたかと存じます。
  71. 石村英雄

    ○石村委員 終わりごろになったら課長さんにも大体問題がのみ込めたような気がするのですが、最後におっしゃったように、この予算の説明の中にある他会計への繰り入ればそれぞれの会計について、歳出にはっきりと他会計への繰り入れが明示してある、名前がつけてあるものだけがこれに計上してある。実質は地会計への繰り入れだが名前が他会計へ繰り入れと、項、あるいは目において明示しなければ、実費的には他会計へ繰り入れだから、一方の受け入れの方はどの会計から幾ら受け入れた、こういうことになるわけです。この予算の説明では歳出の項目において名前がつけてないからこれには計上しない、これが大蔵省の考え方なのです。私はこんなおかしな考え方はないと思うのです。長年やっておいでになったことかもしれませんが、これでは、例を引いて言うならば、牧場に行って馬を集めてくれと言ったら馬を集めてくれた、まだ向こうに馬がいるじゃないかと言ったら、いやあれはあの馬のおるさくの表札が動物という表札がかかっておるから、馬としてわれわれの方では扱えませんから、馬としては集めませんということと同じことだと思う。名前は動物かもしれません、表札は動物と書いてあるかもしれませんが、馬は馬なのです。だから馬を集めろと言ったら、馬を全部集めたらいい。ところが大蔵省の形式主義は、表札に動物と書いてあるから馬としては扱えません、これが大蔵省のやり方なんだと思います。これは間違いだと私は考えます。長年こういうことをおそらくやっておいでになったと思いますが、これはやはり課長さん、間違いでしょう。預託金の利子にしても、特別会計の資金運用部で千何百億特別会計関係へ出すということが目の明細の中には説明があるわけです。従って大蔵省にはこれは他会計へ繰り入れる金だということはわかっているはずです。また目の明細書にないことでも、あなた方の方では積算の基礎をみな持っていらっしゃる。従って内容はわかるのです。この予算の説明において使途別の分類をして議員にお配りになる場合には、名前を他会計へ繰り入れと、項あるいは目において明示しなくても、内容がはっきりと他会計へ繰り入れられるものだということがわかっておればこの中にも私は入れるべきだと思う。それを入れておいでになれば合計したときまず間違いさえなければ、重複額と合致するはずなのです。それが千何百億も違うということは形式主義でこの場合にはおやりになる、もちろん大蔵省の方にはそれは重複額の力でちゃんとやっているから文句はないじゃないかとおっしゃるかもしれません。しかしわれわれしろうとは、そんなことがわかるわけじゃありません。予算の説明の中で、他会計へ繰り入れが幾らとお書きになっておれば他会計への繰り入れの金額はこれだけだと判断せざるを得ない。そうして一方では予算の収穫ではそれははっきりおやりになっていらっしゃる。まあ重複額の中にも、さっきの三十億の問題もあるし、七千何百万円という間違いもありますが、とにかく議員にはそういうわけのわからぬやり方をして資料としてお出しになっていただいたのでは、ますますこの予算というものはわれわれには手がつかない。この形式主義をやめるということにはおそらく御異存はないと思うのですが、何かよほどの理由があってこういう形式主義——動物と書いてあるから馬と扱わぬというなら、そうだという理由説明していただきたい。
  72. 大村筆雄

    ○大村説明員 ただいまの御質問で、資金運用部の預託金利子を、そのうち幾らを他会計への繰り入れにするかという点であります。実は先ほど御説明申し上げましたように、政府関係機関をも入れまして一緒に預託金にしてございますので、最初から他会計へ繰り入れと、特別会計の方にいくものとはっきりわかっておりましたら、目の名称から変えて、他会計へ繰り入れという目を立てまして、それで整理するのが一番適当かと存じます。最初から他の会計へ幾らというのは、この年度ずっと見なければわからぬということもありますから、目としては預託一木の方が実際予算の実行上も適切じゃないかということで、そういう目をもって使っております。  それと特別会計はどうも分けがたいというので、他会計へ繰り入れになりますから一応そうしておりますけれども、先生の御意見ごもっともでございますので、この点年度初めの見込みで、確実にこの会計に幾らということが予測がつけばあるいはその方がよろしいかと思いますので、そういう点十分研究させていただきたいと思います。
  73. 石村英雄

    ○石村委員 どうも実際おやりになっていらっしゃらぬ課長に一々突っ込むのはこちらも少し気の毒なように思いますが、あなたの今の答弁は間違いなんです。ここに私は持っておりませんが、皆さんも持ってきていらっしゃらないと思いますが、各日明細の資金運用部のところをあけてごらんになれば、その中に明細が帯いてあるのですよ。特別会計の預託金は総額において幾ら、平均利回りがどのくらい、利子が幾らだ、政府機関がどうだ、共済組合関係が幾らだということの明細が実は各目明細書の中に説明がついておる。わからぬはずはありません。しかもこういうことの計算のやり方について事務的な問題ですが、大蔵省に手落ちがあると思うのは、ただ歳入か歳出かどっちかだけ計上して、それに対応した相手方の明細を計上して対照をしていらっやゃらぬという技術的な問題なんです。それがあるために、小さなことでありますから、ここで言おうとも思いませんでしたが、いかに間違いがあるか。収支の受け入れ、払い出しの両方合わせて、そうして合うか合わぬか見るという作業をしていらっしゃらぬ結果から起こる間違いを申し上げますが、それは例の郵政関係の繰入金の問題ですが、郵政事業の特別会計では歳入について一般会計から二十億六千二百七十万二千円という受け入れをしておると書いてある。これは私は今あらためて専門家のあなた方にいなわくてもわかっておることが、この中の二億何ぼは間違いなんです。一般会計からの受け入れではないのです。これは国民健康保険の特別会計からこの二億何ぼという金は入っている。決して一般会計からの受け入れではありません。これを対照していらっしゃらぬから、その間違いが発見できない。そうして以前国民年金特別会計ができていなかったときのままで、これをお作になった。と同時に、国民年金特別会計を集計してごらんになって対照せられたら、一致しないことがわかるはずです。一般会計の歳出みんな合わせでみれば……。項目の入れかえがあるということがわかるはずである。それをおやりになっていない。ただ受け入れだけを計上する。だからその間違いのままになる。これを受け入れと支払いと両方を各会計別にお書きになって対照なさったら間違いが出てくるはずだ。こんな予算井、参考書類かもしれませんが、国会に出す参考勝利が単なるミス・プリントでなしに、間違いがあることは、二億何ぼの金額かもしれませんが、私は許せないことだと思う。そういう間違いが起こるのは、結局そういうことをなさらぬから起こる。  ついでに言いますが、今の資金運用部の預託金利子にしても、あなたはわからぬから計上しないんだとおっしゃる。ところが各特別会計には資金運用部から幾らの利子を受けているということが書いてある。それを対照すればわかるはずです。またそのときそれを対照していらっしゃれば、あの開きがどこで出たか、それがわかっておれば、九億何ぼは予備的なものだというなら、分類の仕方がもっとあったはずだ。それをやっていらっしゃらぬから、そのままで出ている。払い出しがあるが受け入れがないというものが出てきた。つまり従来のやり方は悪く言えばでたらめだ、いいかげんだ。こんなことは数字を出しておけば、議員はそのままうっかりうのみにするだろうから、まあめんどうくさいことはやらぬでもよろしいというくらいの考え方であるいはおやりになったんじゃないかととれる。こんなことはおもしろくないから掛当官の方もあまりやる気はないかもしれませんが、しかし私はこれはやっていただいて、数字が合うか合わぬか、人間のやることですから間違いが起こるのは当然なんです。その間違いが起こらぬようにするのが仕事なんだ。私は間違うことを責めようとは思いません。ただ間違いの発見できないやり方が間違いだと思うのです。
  74. 大村筆雄

    ○大村説明員 お答え申し上げます。  石村さん大へん御勉強なさった結果で、おそれ入ります。先ほど国民健康保険とおっしゃいましたが、実は国民年金の間違いかと思います。これは御指摘通り、昨年までは一般会計で所管しておりまして、ことしから特別会計ができましたものですから、そういう点の多少の勘違いもあったかと思いますが、実質的には一般会計から国民年金特別会計を通じて融資として回ってくる、一般会計から来ることには決して間違いがないわけでございますけれども、その点は不明確だとおっしゃられればおっしゃる通りだと思います。  それから今数字を合わせていなくてでたらめじゃないかというおしかりを受けたのでございますけれども、これはそう言うとお言葉を返すようでございますけれども、あれだけの短時間の間にこれだけ膨大な一般会計、特別会計政府関係機関の全体の数字の照合をきわめて少人数でもってやりまして、先生が御指摘なさった点以外の間違いはまずないと私ども確信をいたしているわけでございますが、それだけの努力は買っていただきたいと思います。  それから先生おっしゃいました通りに、間違いがあってはいかぬわけでございますから、そういう間違いがないように今後十分気をつけたいと思いますけれども、私どもとしてはもう精一ぱいの努力をして万遺漏のないことを期しておるわけでございますので、どうぞ御了承賜わりたいと思います。
  75. 石村英雄

    ○石村委員 私もこんなめんどうくさい、おもしろくもない仕事をおやりになる担当の方はさぞつらいだろうと思います。だから上の課長がそのつらいということをよく知って、間違いが起こらぬ方法を講じていかなければいかぬ。そしてその労苦を慰労する程度も、従来もビールくらいのものをお飲ませになったかもしれぬが、今度はもっと飲ましてよくやるようになさるべきだと思うのです。それにしてもやはり制度としてそういうことの起こらぬようなやり方を今後やらなくてはいかぬじゃないか。従って、他会計への繰り入れのことを言えば、この予算書を見ると、他会計への繰り入れが項であがっておるものがあります。それから目であがっておるものがある。何にもないのがある。これは何も私の、はっきりした間違いのない考え方だとは思いませんが、財政法で見ると、項というものは目的によって項を立てるとあります。これはやはり、金は直接出すのは一応他会計へ入るかもしれぬが、その金の性質によって、目的によって項の名前はつけるのが至当じゃないか。そして目あるいは目の細分において、実際こういう性質の金はこの会計を通じて出すのだということを明示する、そういうやり方をすれば、おそらくこうした間違いは起こらぬと思うのです。それが今までは、ある場合には項にある、ある場合には目にある、ある場合には目にも何にもない、目の細分にもない。あの防衛庁の三百何十万円というのは、私はこれを郵政事業特別会計の受け入れの方を探して発見したのです。そのとき考えたことは、防衛庁の三百何十万円というのは金額が少ないから他会計への繰り入れということを書かないのかと思ってほかを見たら、それよりはるかに小さな数字のものが、一方では他会計への繰り入れが明示してあるのです。ところが防衛庁の分にはそれが明示してない。私の判断からいけば、そのやり方に統一が全然ないということなんです。だから今後こうしたものの扱い方を統一して、項においては性質目的を表わす。それこそ名札をおつけになって、目、目の細分では今度はどこへ出すということを明示すべきではないか、そうすれば直接事務を担当せられる方も、そう苦労なしに数字が出てきて、間違いが起こらないのではないか、またしろうとのわれわれがこれを拾い上げて純計予算を出し、そして純計予算額の中の支途別を作り出すということは、われわれの手でもそうしていただければできるのじゃないかと思う。専門家でなければわからぬというような予算の作り方はやめていただきたい。それをおやりになるからあなた方が間違うのです。しろうとにもわかるような体裁を整えてお出しになれば、専門家のあなた方は絶対に間違わないと思う。何とかかんとか言われたが、こういう間違いは理屈を言えば許せませんよ。なるほど郵政事業へ入ってくる二億何千万円というのは、元の金は一般会計からかもしれません。しかし国会に提示されておる予算書でいうならば、一般会計から国民年金の特別会計へ繰り入れて、国民年金の特別会計から郵政事業の特別会計へ繰り入れておるわけなんです。元が一般会計だからどこを通じてこようが、この中にこの分だけ入れる。それならほかのだってみんな一般会計に入れなければならぬ。税金から出してくるいろいろなものがあるでしょう。やはり予算でせっかくそういう項目を立ててやっておるわけなんですから、それに従ってやるのが当然だと思う。結局一般会計から来る金だからかまいませんなんということは、私は夢にも答弁してはならないことだと思う。
  76. 大村筆雄

    ○大村説明員 決して先生がおっしゃいましたように、元が一般会計だからかまいませんということを申し上げておるのではございませんで、その点はあるいは先生おっしゃいましたように明示するのが適当だと思います。  それから予算書全般の作り方でございますけれども、いろいろ御意見もおありであろうかと存じます。私どもももちろんできるだけ御審議のしやすいような、国民のわかりやすいような予算のあり方というものは常に血に置いているわけでございますけれども、もちろん短時間に少数の人間でもって編集する関係で、一つはどうしてもその点の制約があるという点がございます。それからこれだけ大きな予算になりますと、あまりこまか過ぎるとかえってわかりにくくなるのじゃないかという点で、むしろ簡素、合理化すべきじゃないかという点もございます。いろいろ各方面からの御意見もございますものですから、この点は十分先生の御意見も参考にさせていただきまして、勉強さしていただきたい、かように考えております。
  77. 石村英雄

    ○石村委員 簡素にすべきだということ、それは予算自体を簡素にするのはけっこうですが、内容を簡素にしてわからぬようにせられたのでは困る。今何やらわからぬものが出ておるから問題にしておる。今の他会計繰り入れ問題でも、何もこれこそ膨大でやり切れぬという問題じゃないのです。ただ書くのをそう書くか書かぬかというだけです。項のところで目的を書いて、目で他会計繰り入れ分と明細を書くか書かぬか、そう大した問題じゃない。あなた方の方では積算の基礎が全部あるわけなんです。これを印刷することはそれほどむずかしい問題じゃない。それは大蔵省の五人や六人で全部これを編成なさるのならそれは不可能でしょう。しかし各省にたくさんそういうなにがいる。大蔵省も五人や十人じゃない。各省がちゃんと一定の大蔵省の示した基準で書いてきたのを合わせて、そうして印刷すればすぐできる。そうむずかしい問題じゃない。つまりやろうという意欲があまりないのじゃないか。大蔵省は、こっちがわかるようにしろと言うと、性質がわかるようにしろだから反対はしないが、めんどうくさい、あまりやりたくない、従来の惰性でやりたい、こういう考えがあるのじゃないか。今度のこの機会に、どの程度わかりよくなるかならぬかは別問題として、もっともっとわかりいいように積算の基礎をできるだけ明細にお書きになること、それから今の他会計の関係はしろうとでもすぐわかるような記載の方法をやっていただくこと、これだけを私は三十七年度の予算からやることをお願いする、むしろ要求するわけです。これは政治家として国民に予算をわからせるという大問題として、政務次官のお考えをお聞きしたい。
  78. 天野公義

    天野政府委員 従来大蔵省の予算書につきましては、読みにくい、わかりにくいというようないろいろな御批評もいただいております。また私自身読みましてもなかなかむずかしい点もあったわけであります。今後におきましては、合理的にしかもわかりやすいようなすっきりした予算露を作るようにいろいろ研究して実行していきたいと思っている次第でございます。
  79. 石村英雄

    ○石村委員 今の答弁よりしょうがないかと思います。まさか不合理に作りますという答弁はできないと思いますから、そういう答弁もまじめな答弁だと思いますが、とにかく今の私の他会計問題でもごく簡単なことなんです。それと補助金なんかのこと、これは需要量全体を幾らと見て、国の補助が何割だから幾ら見積ってあるんだというくらいのこと。法律で幾らとある、これは、法律ではない予算として何割だということくらいは簡単に書けるはずだ。それだけくらい一つ約束して下さい。三十七年度からやるということ。これは政務次官にお答え願いたい。簡単なことです。
  80. 天野公義

    天野政府委員 御趣旨の点を体しまして、事務当局ともよく打ち合わせをいたしまして善処していきたいと思っております。
  81. 石村英雄

    ○石村委員 政務次官の良識を信頼して、また政治家として、今の予算が国民のものになっていないということを考えていらっしゃると思う。その意味で必ず大きな進歩が、三十七年度の予算の編成のときに予算書の書き方に現われるだろうということを私も確信してこの質問を終わりたいと思う。政務次官も具体的にはおっしゃらないが、一つほんとうに腹を据えてやっていただきたい。これは簡単なことだが、今までの、長年の惰性が続いておるから改めにくい。ちょっと惰性を切りかえればすぐできることなんだ。ぜひやっていただくことをお願いしまして、これで終わります。
  82. 横山利秋

    ○横山委員 ちょっと資料を要求しておきます。会計法改正案が必要であるという具体的事例を二、三資料として提供していただきたい。たとえば皇太子の家の問題とか、そういうような具体的事例をできるだけたくさんお願いしたいと思う。できなければ二、三でよろしい。  それから委員長にお願いしたいのですが、次会には会計検査院の担当の方に御出席を願って、こういうような問題について監査をした実際の状況について、説明を聞きたいし質問したいのでお願いしたいと思います。
  83. 小川平二

    小川委員長 来たる十二日午後四時より常任委員長室において税制調査会委員との懇談会を開きますから、委員各位の御出席をお願いいたします。  次会は来たる十三日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会