○岡田(利)
委員 ただいま
伊藤委員から質問された
燃料コストの問題について、一点だけお伺いしたい。これは質問というよりもある
程度要請という面が非常に強くなると思うわけです。
今のわが国の
エネルギー価格の問題なんですが、これを国際的に比較をする場合に、
石油はほぼ国際
価格、もしくは下がりぎみにある。それから
石炭の場合にはもちろん高いわけなんですが、
電力の場合には、平均して欧米に比べて大体六〇%くらいのところじゃないか。
産業向けの
電力の場合は大体六〇くらいなんです。ところが小口電灯料金については、一五〇%になっておるわけです。平均をして欧米に比べて
電力の場合は大体八〇、こういう国際比価が出ておるわけです。ですから、総体で見ると、わが国の
エネルギー・コストは高いという工合に、一方的にきめつけることはどうかと思うわけです。しかるに、一方において
電力の場合を見ますと、九分断をされておる結果、実は非常に
電力単価の違いが出ておるわけです。今回九州
電力並びに東京
電力の料金値上げが行なわれましたけれ
ども、それ以前の場合には、小口
電力単価では最高四国の七円七十六銭、これに対して東京
電力は五円五十四銭であって、二円二十二銭違う。
大口電力単価の場合は、最高四円九銭、最低二円六十九銭で、三割五分も違うわけです。これはもちろん
電力料金の値上がりによって若干違ってきますけれ
ども、九分断されておる
電力会社それ自体で、これだけの単価の違いが出てきておるわけです。それでは、国際的に見て
電力料金が非常に安い、しかも九分断してみると非常に較差がある、これがわが国の
産業構造に
燃料コストとしてどういう
影響があるか。これは先般
大臣が出ないときに質問しましたり、実は前国会でも商工
委員会で質問したのですが、この面についてなかなか納得できる資料が出てこないわけです。あるいはそういう実態は一体通産省としてつかんでいるのかどうか、この点の資料を要求しても出てこないのです。
一般論で
答弁しておるだけであって、実際わが国の
燃料コストというものは一体どういう実態にあるのか、各業種別には一体どういう状態にあるかということになると、非常にお粗末ではないかという気がするわけです。しかも、先ほど
大臣が言われましたように、
電力会社の場合にも
水力、
火力、両方あるわけですから、これを
電力会社自体の
燃料コストとしてずっと検討して参りますと、三十五年の統計で見て、三つの
電力会社を調べたのですが、大蔵省に届け出る有価証券報告書によれば、大体二五%、安いところは一四・八%の
燃料コストになるわけです。これはもちろん、
水力があるわけですから。そうすると、
電力は国際的に比較しても安いわけですから、こういう面でも、何か実態をはっきり把握しないで
燃料コストを論議しておるような気がするわけです。あるいは鉄鋼の場合には、それも大体六・二%あるいは七・二%というように
燃料コストはきわめて低いわけです。化学
工業をずっと調べて参りますと、もちろん苛性ソーダとかあるいは電気亜鉛、電気鉛、こういうような場合は比較的高くつくわけですが、一番高くて三〇%、しかしこれはむしろ、横ばいか下がりぎみに今日なっておるわけです。それ以外の化学
工業の場合は五%から一〇%、機械製造
工業のごときは、有価証券報告書を分析しても
数字として出てこないというのが実態なんです。ですから、総体的に見ると
燃料価格が二割下がっても、実際
産業的に
影響するところは、二%
程度しか
燃料コストは下がらぬ、こういうことが実はいわれておるわけなんですが、これも実態としてどこまで詳しく把握しておるかということは、私非常に疑問があると思うのです。総合
エネルギー政策を立案するというけれ
ども、そういうわが国の
産業構造における各
産業に占める
燃料コストの実態というものがはっきり正確に把握されないと、私は、やはり総合
エネルギー政策を立てる場合に大きな支障を来たしたり、あるいはこの
燃料コストの問題について、
一般論だけで常識的に通ってしまう、こういう気がするわけなんです。従って、そういう点についてずいぶん私も質問しておるのですが、何ら具体的な納得のできるような、実態を把握したような統計なり資料は示されておらぬわけです。こういう点について、特に通産省として、この重大な時期においてわが国の
産業の各業種別の
燃料コストというものが、実際にどういう
影響を及ぼすか、しかも、それがそれぞれの部門における生産性で吸収される面についてどんな障害があるのか、こういう点をはっきりしなければ、何か将来われわれの
恒久的な
対策を立てる場合に論議がから回りする、こういう気がするわけなんです。この点についての
大臣の所見を聞くとともに、強くこういう点についての
配慮を要請したいと思うのです。