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1961-10-10 第39回国会 衆議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月十日(火曜日)    午後零時四十六分開議  出席委員    委員長 森下 國雄君    理事 床次 徳二君 理事 野田 武夫君    理事 岡田 春夫君 理事 戸叶 里子君    理事 松本 七郎君       池田正之輔君    椎熊 三郎君       正示啓次郎君    竹山祐太郎君       福家 俊一君    堀内 一雄君       稻村 隆一君    帆足  計君       森島 守人君    川上 貫一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小坂善太郎君  出席政府委員         外務事務官         (アジア局長) 伊關佑二郎君         外務事務官         (アメリカ局         長)      安藤 吉光君         外務事務官         (欧亜局長)  法眼 晋作君         外務事務官         (条約局長)  中川  融君         外務事務官         (国際連合局長         事務代理)   高橋  覺君  委員外出席者         専  門  員 佐藤 敏人君     ――――――――――――― 十月六日  在日朝鮮人帰国協定の延長に関する請願(草野  一郎平君紹介)(第一八二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月六日  沖繩日本復帰に関する陳情書  (第一一号)  海外移住振興対策強化に関する陳情書  (第一二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 森下國雄

    森下委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。戸叶里子君。
  3. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は本日の質問に入ります前に、ちょっと二点ほどお伺いしておきたいと思います。  先ごろシリアの新国家ができたわけですけれども日本国家承認の要請がきているかどうか、この点を伺いたいと思います。
  4. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 日本にもきておりますが、これは全部の国に対してなされておるようでございます。
  5. 戸叶里子

    ○戸叶委員 日本にもきているという大臣お話でございましたが、これに対して日本政府としてはどういうふうな態度をおとりになるか伺いたい。
  6. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 シリアのその後における政治経済社会安定度状況を見まして、これをいかにするか考えたいと思います。大体において安定の方向に向かいつつあるようにいわれておりますので、さような方針承認をする方向において考慮するということになろうかと思います。現在のところまだきめておりません。
  7. 戸叶里子

    ○戸叶委員 承認するという方向において検討するわけですれ。そうしますと、それじゃ大体承認ということで近いうちにそのあれを出すわけでございますか。なぜかと申しますと、大国でも大体シリア承認方向に向かってきておりますので、今の政府お話によりますと、日本もやはり大国であるという立場に立っていらっしゃるので、一体いつごろその承認をされるかということを念のために伺っておきたいと思います。
  8. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 先ほど申し上げましたように、シリア国におきます政治経済社会の安定の状況を見まして、早からざる時期、しかもおそからざる時期ということになろうかと思います。
  9. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は、早からざる、おそからざる時期というのがいつですかということは、伺ってもはっきりお答えになれないのじゃないかと思うのですけれども、近い将来ということに了承しておきたいと思います。  それからもう一点、質問に入る前に私も確かめておきたいと思います。それは、この前ちょうど松本委員質問の最中でございましたから、私は関連質問であまり多くを申し上げることができなかったのですけれどもサンフランシスコ講和条約が、領土の問題やそのほかの沖繩問題等日本国民の必ずしも好ましからざるものというよりも、むしろああいう敗戦の中にあっての卑屈な調印ということで、何とかこれを改定したいという希望が多いし、またああいう領土条項というものについて特に考えるべきであるというふうに私ども考えますので、それを改定するような声を出したらどうかということを申し上げましたところが、外務大臣はそれはファッショに通ずるというようなことをおっしゃったわけですが、ファッショにどうして通ずるのか考えてみたらわからなかったものですから、一ぺんはっきりさしておいていただきたいと思います。
  10. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は、戸叶さんがこれを改定したい、それはどうかというお話ではなくて、あのときはそういうような意向があることについてはどう思うというような御質問と了承いたしましたので、決して戸叶さんに対して何かきめつけたような意味ではなくて、私の気持を申し上げたわけです。いかなる場合にも講和条約というようなものは戦勝国戦敗国との間に結ばれてきておるのが歴史上の事実でございます。戦敗国には思うようなこともなかなか十分に言えないような状況のもとに今までなっておるわけです。しかし、サンフランシスコ平和条約は、一応和解と平和のための条約ということになっておりまして、従来のベルサイユ条約その他に比べれば著しく寛大な講和条約であったということは言えると思うのであります。私どもはそう思っております。そこで、あのときはあのときとして、すぐに講和条約を変えたいということを言いますと、これはやはり講和条約を一度関係各国と結んで、それを当時の情勢じゃ理不尽だからということをすぐに言い出しますことは、やはり日本対外信用というものにもかかわろうと思うのであります。  なお、ファッショ云々でございますが、これは御承知のように、ヒトラーベルサイユ体制打破ということを掲げまして、最近よく言われておる言葉のようでありますが、レバンチズム、国民のそういうものをかり立てて、超国家主義、超右翼主義というものにかり立てる実績があるわけです。そこで、そういう問題についてはわれわれ慎重に考えなければなるまい、こういうことを言っておるわけであります。
  11. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は二つの点で不満でございます。  その一つは、講和条約だから、平和と将来のことを考えての条約だから、そういうものを改正するというのはちょっと合わないというふうなお話でございますけれども、不当なものである条約ならやはり改正していいと思うのです。今まで日本でも不平等条約改正のためにずいぶん歴代の内閣が苦労してきた歴史もあるわけでございまして、そういう歴史を見るならば、不平等なもの、国民の望まないものは改正するというような意見を出してもいいんじゃないかということが一つ、もう一つは、ヒトラーベルサイユ体制打破ということをおっしゃいましたけれども、あのときにはドイツ自身自分の方からこれを破ろうというだけである。しかし今回の場合には日本だけが条約を守らないというのじゃなくて、こういう点が悪いから——たとえば沖繩の問題、千島の問題、いろいろある、だからこういう点を改正していきたいと思うけれどもということで話し合いに持っていくことがどうして悪いのかということが私は納得に苦しむわけです。これをヒトラーと結びつけて、あのときは一方的に打破しようとしている。こっちは一方的に守らないということじゃないのです。みんなで話し合って、悪いところは直していこうということです。それをヒトラーと同じようにそれはファッシズムに通ずるんだというようなきめつけ方をされるような外交では、私は将来おそろしいと思うのです。だから、それを納得させていただきたい。そういうふうな態度こそファシスト的な言い方じゃないかということを私はつくづく考えたものですから、やはり納得のいくように外務大臣に説明しておいていただきませんと、私は日本の将来ということを考えましてどうも寝られないわけです。ですから、今日確かめたわけでございまして、今の私ども考えているのは、一方的に破棄するのじゃない、悪い点を直そうとするような空気を作っていくことはどうかというふうな考え方を伺っておるわけでございますが、この点をもう一度説明していただきたい。
  12. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 先ほどもお断わりしたように、私は戸叶さんがファッショだと言ったわけでは全然ありませんから、どうぞその点ははっきりしておいて下さい。なお、平和条約を変えようというのは、ヒトラーは一方的に変えようと言ったのでああいうことになった。これは話し合いによって変えることはどうか、こういうことでございますが、問題は、その相手が応ずるか応じないかということでございまして、多くの場合は応じないということでございます。応じないものをどうしても変えるということになれば、一方から変えるということになるわけでございます。
  13. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私はそれ以上のことを申し上げませんけれども相手のあることですから応じない場合もあり得るわけであります。しかし、応ずるか応じないか、声も出さないで、向こうはきっと応じないだろう、そういうふうなやり方というものは、私は非常に卑屈じゃないかと思いますので、こういう点はもう一度お考えになっていただきたいと思います。  きょうは沖繩問題についてお伺いしたいと思いますが、去年ごろから日本アメリカ沖繩との問題の日米琉懇談会を持つというようなことが話されて参りましたけれども、とうとうそのままになっておるわけです。ことしの池田ケネディ会談でも日米琉懇談会を持とうという話が出たということも聞いておりますし、またキャラウェイ高等弁務官もそういうふうなアメリカ琉球政府日本との三者構成日米琉懇談会を持とうというようなことも新聞に発表をしておったわけでございますけれども、一体その後それはどうなっておるか、伺いたいと思います。
  14. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ちょっとさっきの問題に戻りますけれども、こっちが聞いてもみないでだめだというようにきめているというようなお話でありましたが、十数年ばかりたって、調印した講和条約をすぐ変えたいというようなことを言うことは、国際間の常識上対外信用に関すると私は考えます。従って私は、これはどうも無理な話だ、またかりに言い出せば必ずよけいな問題を起こすと思う。そこで、われわれの考えでは、この条約上当然にわれわれが主張し得ることを取り上げて主張する、こういうことの方がより実際的であるし、また国としての威巖の上からいっても、国際信用の上からいっても当然のことであると思います。  それから日米琉懇話会でございますけれども、この問題はだんだんに進んでおります。何といたしましても、大きく施政権者であるアメリカと、それから日本国民沖繩に持っておる日本政府、それから地元の沖繩政府、これらが十分に意思を疎通さして、いわゆる血の通う行政をやっていくということがよろしかろうというととで、いかなる形においてこれをするかということを寄り寄り研究をいたしております。今のところは、御承知と思いますけれども池田ケネディ会談の結果、アメリカ沖繩については日本県並みの待遇を与えるように考慮しよう、こういうことを言っておるわけであります。すなわち、現在の国際情勢のもとにあって直ちに施政権返還というようなことを言うことは実際的じゃないけれども、しかし、沖繩住民諸君生活がよくなる、そしてその生活をよくすることに日本も貢献しておる、大きな高い程度において貢献しておる、こういうことによって、自然に、水の流れるがごとく適当な時期に日本施政権下沖繩が復帰してくる、こういうことが一番実際的であろうということで、その方向でもって努力しておるわけであります。大統領特別顧問のケーセンというハーバート大学の教授でありますが、この方が今沖繩調査団を連れていっておるわけでありますが、その報告を持って日本にも寄られ、またアメリカへ帰って、そしてアメリカ政府ともいろいろ打ち合わせることになっておるわけであります。そういう大筋のことをしておいて、そしてその下部でいろいろな問題の処理の方法を日米琉懇話会においてどう処理するか、こういうことを考えておるわけであります。こういうことで、今着々具体化しつつあるような次第であります。
  15. 戸叶里子

    ○戸叶委員 ずいぶん長いお話になるわけですけれども日米琉懇談会が作られるということで沖繩人たちも相当期待しているわけなんですけれども、これからいろいろ検討した上で作るというふうにもおっしゃったわけです。ところが、ところが、私はちょうど八月ごろでしたか、キャラウエイ高等弁務官が、日米琉懇談会といっても、沖繩というのは外交権を持った一つの国でもないのに、それを日本アメリカと対等の形でもって作るのはどうかと思うから、日本アメリカとの間で小委員会でも作って、そして話し合っていけばいいのではないか。たとえば琉球政府要望高等弁務官に伝えて、高等弁務官から今度は日本にあるアメリカの大使館に伝えて、そこから日本政府に伝えるというふうにしたらいいのじゃないかというような意見発表されたということも聞いているわけでございます。従って、今外務大臣のおっしゃった日本アメリカ琉球政府とが入っての日米琉懇談会というようなものではないというような形をアメリカ考えているのじゃないかと思いますけれども、この点のところはいかがでございましょうか。はっきりさせていただきたいと思います。
  16. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は今そういうふうに申し上げておったのです。大綱は、日本アメリカとの両国政府で大きな予算その他についての話し合いはしていく。しかし、それを実施に移す段階において、あるいは大綱を作るについてのいろいろなデータを出す場合において、日米琉懇話会というものを現地に設けて、そしてそとで話し合っていくということが一番実際的ではないか、こういう方向でやっているわけです。
  17. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、日本アメリカと大体大きな問題を話して、そしていろいろなこまかい問題は琉球政府に入ってもらう、こういうことになりますと、今まで日本アメリカと、沖繩の問題については、いろいろ外交関係を通じて話していたわけでございますけれども、それと何ら発展がないように思うのですけれども、何かそこに日米琉懇談会を作るという発表があったからには、何らかの成果現地の人は期待しているわけですけれども成果が上がるというふうにお考えになるのでしょうか。それとも、また、それをいつごろからお開きになるというお考えであるのでしょうか。
  18. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 成果は大いに上がると思います。  それからいつごろからやるかということですが、これは今その実現の方向に向かって鋭意努力をいたしておるわけであります。
  19. 戸叶里子

    ○戸叶委員 上がらないうちに大いに上がるといったら案外上がらないものですから、お気をつけになった方がいいと思うのです。  そこで、成田さんが本会議施政方針演説に対する質問といたしまして、沖繩施政権返還について、池田さんはアメリカで何も言わなかったというようなことを申し上げましたところが、池田総理大臣は色をなして、成田さん、それはドグマだ言ってきめつけられたわけです。そしてその池田さんのおっしゃった答弁を聞いておりましたところが、今の場合直ちに施政権返還ということにはいかないとアメリカは言った、こういうふうなことをおっしゃったのですけれどもほんとう施政権返還というようなことを口にされたかどうかということは、私どもはどうも信ずることができないわけでございますけれども、一体公式の場所で施政権返還を話し合ったというようなことが何度おありになるのでしょうか。おありになったら具体的にその点を実証していただきたいと思います。
  20. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ずいぶん疑い深いお話でございますが、私は、やったという以上やったので、これはやらないだろうという方が無理だと思います。やったことはやったと申し上げるよりしようがない。その話しました結果、公共建物にも日本の日の丸をあげるということを先方は了承したわけでありますし、それから先ほど来お話しておるように、もっと沖繩に奮発してアメリカ財政支出をする、日本もまたいろいろなことを要求する、日本としてもできるだけの支出をするということは、これは当然のことだと思いますが、そういう合意に達しまして、そうして施政権返還というような問題は、これは奪い取る形で、日米対抗して、よこせ、よこさぬ、いやどうしても奪い取るのだというような形でやるよりも、今申し上げましたように、沖繩住民の幸福というものを日米双方が相ともに努力いたしまして、そうして水の流るるような自然の形で日本施政権が返ってくる、こういうことにしようじゃないか、こういうことになっているわけです。条約上に何か根拠があるようなお話で伺いましたが、条約上には実はないのであります。御承知だと思いますが、条約上にはアメリカ政府を唯一の施政権者とする沖繩信託統治を、アメリカが提案した場合にはそれを認める。それに至らぬ場合には、アメリカ立法行政、司法の三権の全部あるいは一部を行使するということを認めておるだけでございまして、条約にはそれはないのであります。
  21. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それではもう少し具体的に伺いますけれども池田さん、また小坂外務大臣が渡米をされる前に、日本に来られた沖繩議員団池田さんにお会いいたしましたときに、三十五年の岸・アイク会談で出された声明程度のものであれば、沖繩住民は失望しますということを申し上げたときに、総理大臣が、あのときは、ただ申し出たにすぎなかったというふうに言われて、今度こそ積極的にその問題を取り上げましょう、こういうふうに言われて、沖繩から来られた国会議員団は、今度は何か成果が上がるぞといって大喜びで帰ったということが伝えられたわけでございます。ところがどうも池田さん、それから小坂外務大臣アメリカへ行って帰られてから、大して沖繩に対して成果も上がらなかったということで、沖繩人たちは失望しておるわけでございますけれども、大体あのときの岸・アイク共同声明以上に、今度は沖繩にとってこういう面でプラスであった、こういうふうな面があったら、具体的にお示しになっていただきたい。あのときからこれだけ前進しておるのだということがあったらお示し願いたいと思います。
  22. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 おわかりでしょうから、コミュニケを読むのは遠慮いたしますけれども、要するに、今度のコミュニケにおいては、アメリカ合衆国が施政権を持ち、そこには日本潜在主権を持つ、琉球並びに小笠原諸島に関しては、もうこれは前提になって出ておるわけです。この前のコミュニケでは、施政権返還については日本国の強い要望日本国総理大臣が強調したというようなことになっておるわけです。そこにも多少のニュアンスの相違があるのですけれども、具体的には、さっきから申し上げているように、アメリカも本腰を入れて一つ日本と協調して、沖繩住民の幸福のためにうんとやりましょう、こういう約束をしておるのでありますし、しかも大統領特別補佐官が、現在琉球へ行って大いに沖繩の援助のために一はだも二はだも脱ぎましょうということでやっているわけです。しかも、日本潜在主権ということをほんとうに形の上でも確認する意味で、今までできなかった公共建物への国旗掲揚、こういうことも認めておるわけでございまして、この点については、沖繩の有力の方々がお見えになりまして、今度はよくやっていただいて非常にありがたい、私に直接そういうお言葉をいただいておるわけであります。私は、そのお言葉にこたえる意味においても、大いに今後これを進めたいと考えております。
  23. 戸叶里子

    ○戸叶委員 国旗掲揚でもって、岸・アイク共同声明よりだいぶ前進したというようなお話でございまするが、それでは大して私は前進していないと思います。今度の池田さんとケネディさんとの会談におきまして、はっきりと潜在主権日本にあるというようなことを確認したと言いますけれども、その裏を返せば、はっきりと言っていることは、施政権は完全でなければならない、こういうことを言っているわけです。そういうことは何を意味するかといえば、潜在主権日本にあるという確認よりも、むしろ施政権は完全にアメリカのものであるということを強調したいから言ったにすぎないとしか私ども考えられないわけでございまして、今度の国旗掲揚にいたしましても、制限つき国旗掲揚となっている。もしも、それだけ日本に喜んでもらうとか、あるいはまた沖繩の人を喜ばせるというならば、なぜ制限つき沖繩国旗掲揚というようなことにしたのか。たとえば日本の国と同じように扱う意味において、憲法発布記念日国旗を立てようとしても、それはいけないというようなことを言っているようですけれども憲法を制定した記念日国旗を立ててはいけないというその理由がどういうところにあったか、御存じであったらお話し願いたいと思います。
  24. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は、この問題は、日本政府がそういうことを要望したのに対して、これは一つ沖繩の事情にまかせよう、これは日本より祝祭日が多いわけですね。従ってそれだけよけいに掲げることになったのであって、今お話のようなことはあまりよく聞いておりません。それから共同コミュニケに、先ほど言いましたほかに、そのあとに続いて、大統領は、アメリカ沖繩住民の幸福とそれから生活福祉向上を進めるために今後さらに努力することを言い、そしてこの努力に対する日本の協力というものを歓迎するということを打ち出しております。この両国はこの目的に向かってさらに継続した努力をするということを確言したということになっておるのです。ですからその国旗一つのことでありますけれども、さらに大きなことは、日本日本立場において沖繩住民福祉生活向上のために大いに努力するし、またアメリカの側においてもこれを大いに進めよう、こういうことを約束したことに非常に大きな意味があると思っております。
  25. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それではお伺いいたしますけれども池田さんとそれからケネディとの会談あとでの三日後に、アメリカはすでに沖繩メースB持ち込みということを発表しているわけでございます。メースを持ち込むということに対しては立法院人たちが超党派で、こぞってこれに反対をしてその決議までいたしているわけです。私ども沖繩へ訪問いたしましたときに、どうか、まくら元に爆弾をかかえているような危険な状態から解放されるためにも、メースB持ち込みには強く反対をしてほしい、こういうことをいわれてきたわけでございますけれども、もしも今外務大臣がおっしゃったように、日本人として沖繩の同胞のしあわせのために主張をするのだというお考えがあるならば、沖繩島民あげてのメースB持ち込み反対という、しかも立法院決議まで通った、そういうことに対して何らかの手を打つべきではないか、こう考えるわけでございますけれども日米琉懇談会等でそういう問題も持ち出すのか、それともそういうふうなことを聞いたら、すぐアメリカにその要望を出すべきではないかと思いますが、この点はいかがでございましょうか。
  26. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 これは日米琉懇話会というのは、そういう政策の大綱を決定するということじゃなくて、さっき申し上げたようなものを考えているわけでございます。それからメース持ち込み云々の問題でございますけれども、これはアメリカ施政権下にあるわけでございますから、これはアメリカが一方的に決定するということでできるわけです。そこでわれわれの考え方でございますが、私どもとしては極東の緊張というものが一日も早くなくなって、そういうことが全体に必要でないようになる事態というものをわれわれとしては一番望んでおるわけで、そういう方向に向かってわれわれも東西の緊張緩和努力するということをすべきだと思うのであります。御承知のように北方の領土においては軍事基地が非常に強化されている、これは御承知の通りでございます。そこでわれわれがそういうものを全部なくしてしまって裸でいるからもう何もするな、こういっても、裸でいるためにかえって魅力があるという場合もあるわけでございまして、そういう点もいろいろ考えてみなければいけない、こういうふうに考えております。
  27. 戸叶里子

    ○戸叶委員 外務大臣はすぐ沖繩のことを申し上げますと、北方の領土のことをおっしゃいます。これはそれも一理あるかと思いますけれども、私どもは北方の領土というのは地域的な解釈についての疑義があるわけでございまして、沖繩のような場合とは違うというふうに考えているわけです。さらにまた沖繩人たちから言わせるならば、北方の領土には人が住んでいない。しかし沖繩の問題は、絶えずそうやって引き合いに出して、ずるずるにされてほしくない。自分たちの問題は九十万人の人たちが住んでいるのだから、そういう立場において解決をしてもらいたい、こういうことを強く要望されているわけでございます。従って、今私が伺いました質問に対して、外務大臣は、それに対する答弁としてのお答えはいただいていないわけです。たとえばもしも沖繩人たちのしあわせということを考えるならば、立法院できめられたことぐらいはアメリカに言ってもいいじゃないか、要望してもいいじゃないかということを申し上げたんですが、それではそういうことは一体アメリカ側にお話しにならなかったかどうか、この点を伺いたいと思います。メースB持ち込みについて立法院が超党派で反対決議をしているけれども、それを沖繩人たち立場に立ってアメリカに話をしたかどうか、この点を伺いたいと思います。
  28. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私はさっき申し上げたように、これは今日極東において緊張がある。緊張があるけれども平和が保たれておるというのは、やはり勢力が均衡しておるということも、これは一つの大きな要素になっておると思うのであります。そこでこっちがすっかりまる裸になったということで、緊張がたちまち緩和されるかというと、どうもそういう状態にはならないであろうということが根本の問題でございます。沖繩の問題についてはわれわれが言わなくても、立法院決議があったということは、アメリカにおいては十分に承知しておると思います。
  29. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それじゃそのことは交渉しないというふうに了承するわけですけれども、交渉しないということになると、沖繩人たち要望というものをになって日本政府は立っていないというふうに私は言わざるを得ない。沖繩の人々は、こぞってそれに反対をしているのに、日本政府はそういうものが国際緊張のために必要であるのだから仕方がないという断定の上に立って、勝手に交渉しないということになると、沖繩の人々のしあわせということのために働いていないのではないかというふうに考えるわけですけれども、この点をもう一度念のために伺いたいと思います。
  30. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 結局私はこういうことだと思うのです。日本として考える場合に、沖繩人たちがこう言っておる。従って、われわれもぜひこれを強力にバック・アップしなければならぬ、こういう問題と、それからわれわれがもっと大きな世界政策の上から、これについては容啄し得ないという問題と二つあると思います。今のお話は後者に属すると思います。
  31. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうすると沖繩住民要望であっても、日本政府としてはバック・アップできない問題とできる問題がある、こういうふうに大臣はおっしゃったわけですが、それではやはり沖繩の島民、沖繩県人の立場に立って、日本外務大臣がその福祉としあわせとを考えて働いてあげるのだというふうにはとれないと思うのです。ですからあまり大きなことをおっしゃって、われわれは沖繩人たちのしあわせのためにやっているんですよということは言えないというふうに考えるのです。そこでバック・アップできる問題とできない問題とあるとおっしゃいましたが、バック・アップできない問題はほかにどんな問題がありますか。
  32. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は、ほかにといわれても、将来どういう問題が起きるかよくわかりませんけれども、要するにわれわれは沖繩に対して施政権を持っていないわけです。われわれが潜在主権を持っているということの範囲においてできることもそれぞれ限界があるのではないかというふうに考えております。
  33. 戸叶里子

    ○戸叶委員 潜在主権でできることはどんなことがありますか。
  34. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 いろいろございますけれども沖繩県民の大いに要望していることについて、たとえばマイクロウエーブを作るとかあるいは農業の土地改良をやるとかあるいは厚生福祉の施設について大いに協力をするとか、そういうわが国において財政支出を増すことによって民生安定、産業向上ということに貢献できる面がたくさんあるわけです。そういう面において内地県並み考えていこう、日本政府の決意を持って財政支出をしていくということは幾らでもできると思うのであります。
  35. 戸叶里子

    ○戸叶委員 マイクロウエーブなどに対してお金を注ぐということが潜在主権と結びつくことなんですか、その点もう少しはっきりしておいていただきたいと思います。
  36. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は法律論を言っているのではない。法律論は前段に申し上げたのです。何か具体的にあるのかといえば、具体的にやっていることはたくさんある、その一つとしてこういうことをやっていますということを申し上げたのです。
  37. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 関連して。潜在主権として、法的に権利として、マイクロウエーブを設置する権利があるんですか、潜在主権の権利として。これは中川さんでけっこうです。
  38. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 そういう法律的な話が初めあって、それから具体的に何をやっているかというから具体的にやっている話をしたんで、そのお話ならばまたお答えいたしますが、たとえば具体的には旅券の問題とか、そういうものも日本国民であるということから関連があると思います。
  39. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それじゃマイクロウエーブとかそういう問題は、法的には当然の権限としてあるものじゃないという点は、あなたもお認めになるわけでしょう。
  40. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 それはもうそういうことです。
  41. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 その通りですね。それじゃ潜在主権の当然の権限として行ない得るということは、今中川さんと御相談になったようですが、旅券の問題とおっしゃるんですか。旅券の問題なら、日本国民の権利として固有の問題であるという面で憲法上の行使を認める、こういう意味お話しになったんですか。
  42. 中川融

    ○中川政府委員 沖繩潜在主権がある結果として、あすこの住民日本国籍を持っております。従って、日本国民としての沖繩の人の地位というものに関しては、日本は当然主張ができるわけでありまして、ただいま大臣の言われました旅券の問題、これもその一つでございます。それ以外に、しかしあすこの住民の方々は非常に不当な待遇を受けているというような事態があれば、これは日本政府は、あすこにおる人が日本国民であるという見地から、やはりアメリカに対してある程度の主張は当然できると思います。当然やっていくことはできるわけであります。
  43. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ある程度のとおっしゃいましたね。ある程度のというのは、権限があるんだが、それに何か限度があるんですか。
  44. 中川融

    ○中川政府委員 これは結局日本の主権国家といいますか、国籍が属しておる日本の権利と、それからあすこが平和条約三条によりましてアメリカ行政権の全部を行なっておる、そういう法律的な地位と、この両方が競合する場合に、たとえばその日本の権限がどの程度までいくかという問題、これはおのおのの問題についてどうしても限界が出てくるわけであります。従って、ある程度と申し上げましたのは、そういう場合に向こうの条約上の権利もある程度認めなければいけない、日本側の権利ももちろん当然ある程度いくのでありまして、個々の問題について、おのずからその限度は違うところが出てくると思うのであります。たとえば旅券の問題あたりは、これは全面的に日本の旅券を発行し得るのでありますが、あすこにいる住民の保護、福祉向上ということになりますと、おのずから向こうの行政権との間に競合が出てくるわけでありまして、従って、ここにどうしても限度が出てくるということは認めざるを得ないわけでございます。
  45. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 旅券の問題は今戸叶さんがやりますが、あなたのおっしゃるのは、そうすると、潜在主権の中で主権の行使はある程度認め得る、こういうことですね。問題は、潜在主権ですから、主権というものを行使することは日本にもある程度認められている、こういう意味ですね。問題は、主権が潜在しているというんですから、主権が眠っている。行使することが眠らされている。主権というものは潜在的にあるんだが、行使することが眠らされているというのが潜在主権なんです。あなたのおっしゃっているのは、主権というものは原則的に眠っているが、ある部分において行使することが認められている、従って、潜在主権という言葉の中で潜在でない部分がある、こういう解釈をおとりになっているようですが、それでいいんですか。
  46. 中川融

    ○中川政府委員 日本の主権が沖繩について潜在いたしておりますのは、平和条約三条できめた限度においていわば潜在といいますか、行使できない状態にあるわけでございまして、平和条約三条でカバーされていない部分につきましては、当然これは沖繩住民に対しても日本の主権が及ぶわけでございまして、ただいまの旅券の問題などはその非常にいい例でございます。従って、沖繩の人が沖繩以外の地に出て参ります場合には、当然日本国民として、日本の主権の完全な保護下にあるわけでございます。また沖繩におられる場合でも、これは日本国民としての立場から、この日本国民とのつながりがあるという意味では、日本の主権がある程度はその人に及ぶということも、これは当然考えられるのでありまして、しかしこの場合には、先方の条約に基づく権限との重複問題が当然出て参りますので、個々の場合に検討しなければ、その限度はきめられないということでございます。
  47. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ごまかしですよ。私はそういう点を聞いているのじゃない。さっきから伺っているのは、小坂さんに対しての戸叶さんの質問も、沖繩の中において日本の主権が行使し得るのかどうか、こういう点をさっきから聞いているのですよ。それは沖繩にいる日本国民が外国に行った場合の外交保護権の問題その他については、これはもう当然な話であって、そうではなくて、沖繩の中で日本の主権が行使し得るかどうか。その場合においては、あなたのおっしゃったように、沖繩の中においてアメリカが行使している三権というもの、立法、司法、行政、これの権利、いわゆる行使の権限ですね、これ以外のものに潜在主権として行使し得る権限というのは沖繩の中にありますか。
  48. 中川融

    ○中川政府委員 国の行政権の発動の態様といたしましては、立法、司法、行政、これが発動の全部でありまして、従って、アメリカは、条約上のその全部の権限を沖繩において発動する権利を持っているわけでございます。しかしながら、アメリカ沖繩においてもしその権限の全部を行使しないで、一部日本の主権の行使を認めるという場合もあるのでございまして、そういう場合には、その限度では日本の主権が当然及ぶわけでございます。現にたとえば、戦災者の遺族扶助料を支給するとかいろいろの問題で、日本行政権がある程度沖繩にも及んでいるのでございます。これは先方との話し合いによりまして、その限度を個々の事項についてきめまして、その限度で及んでいるわけでございます。
  49. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それはあなた、日本の持っている潜在主権の本来的な権利の行使ですか。そうじゃないでしょう。アメリカの三権の行使を日本に対して譲り渡した、認めた、本来持っていないものが日本に与えられた、法律的な解釈からいえばそういうことになりましょう。当然の権利として潜在主権を行使し得るのですか。当然の権利を行使できるのですか、話し合いなしに。あなたは今答弁の中で、話し合いによってということをおっしゃったじゃないですか。だから、明らかに向こうが権限を日本に認めたということ以外に認められないのであって、本来潜在主権には権利の行使は認められておりませんよ。認められておるという法的な解釈ができるなら、これは法的に御解釈いただいたらけっこうなんです。ありますか。
  50. 中川融

    ○中川政府委員 一国の主権の及ぶ範囲がどこであるかどうかといういわば国際法の基本問題になるわけでございますが、一国の主権は必ずしもその国の領土のみに限られないのでありまして、外国におります日本国民の保護ということも当然あるのでございまして、これはやはり一国の主権というものは、必ずしも領土のみに限局されないので、相手国の許容する限度において、これは条約上において許容する場合もありますし、あるいは一般の慣行で許容する場合もありますが、その場合には、対人的に一国の主権が領域外に及ぶわけでございまして、沖繩においても当然そういうととがあるわけでございます。
  51. 戸叶里子

    ○戸叶委員 沖繩の中で日本の主権が行使できるかどうかということは、まあほとんどできない、アメリカに一々お伺いをしなければ、たとえば社会保障関係の予算を組むにしても、一々アメリカの許可を得なければいけないということが、さらにはっきりされたわけですが、先ほどのお話の中で、旅券などの問題は全部許可されているかのような御発言がごさいました。ところが、私は、先ごろ沖繩に行ってみまして、相当の制限のあることを確認したわけでございます。こういうこともまさか政府としても御存じないわけはないと思いますけれども、その点はどういうふうにお考えになるのでしょうか。たとえば沖繩からかつてアメリカへ行ったことのある労働組合の指導者が日本に来ようと思っても、なかなか制限を受けていて来れないというような実例があるわけでございますけれども、こういうようなことがあった場合に、外務大臣はどういうふうになさるか伺いたいと思います。
  52. 伊關佑二郎

    ○伊關政府委員 私は、そういう事例についての不平はまだ聞いておりませんから、よく調べることにいたしますが、先ほど申し上げました旅券というのは、沖繩の人が海外に参ります場合に、沖繩で旅行証明書をもらってもよし、あるいは日本に来れば日本政府が旅券を出すという点を申し上げたわけであります。
  53. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は、今の伊關局長のお言葉で、全く驚きました。先ごろ沖繩から日本を訪問してこられました議員が陳情された中にも入っていたと思うのです。沖繩から日本に来る人を自由に来させてもらいたい、制限しないでほしい、日本はわれわれの国なんだ、こういうことを言われたんです。ところが実際行ってみますと、三人ないし四人というものが、現に私どもは行きたくてもアメリカで許してくれないんです、こういうことを言っておられたわけです。さらにまた、大内先生なんかも、けしからぬな、僕は沖繩へ行きたくても許可がおりないんですよと言っておられました。松岡さんなんかにしても許可がおりないというようなことも聞いているわけです。私は沖繩で、実際に行きたくてもパスポートをもらえなかったという人の話をいろいろ聞いてきたわけでございますが、そういうことが外務省に入っていないとなるとこれは大へんな問題だと思うのです。もしそういうことが事実であったとしたならば、一体外務省として、外務大臣としてどういう処置をおとりになるかを伺いたいと思います。
  54. 伊關佑二郎

    ○伊關政府委員 私がその点について、そういう問題を聞いておらないということを申し上げたのでありますが、あるいは私の方の所管の方で聞いておるかもしれません。よく調べたいと思いますが、いずれにいたしましても、外へ出ると申しますか、入れるか入れないかという自由、それはあるわけでございます。外国人に対して、一般的に申しまして国に入れる入れぬという自由は政府行政権の裁量でもって持っておるということはいえるわけでございます。また国を出ていく場合につきましても、いろいろ旅券法の関係でもって制限する場合はあり得るわけでございますから、どういう事例に該当しておるかを調べませんと、ちょっと何とも御答弁申し上げかねるわけでございます。
  55. 戸叶里子

    ○戸叶委員 どういう事例に該当するかとか旅券法のどこに触れるとか、そんな問題じゃないのです。沖繩にいる人たち日本人です。そして沖繩県民です。その人たち日本の国へ来るのに、大体パスポートを必要とするということ自体おかしいのですけれども、おかしな状態に置かれているから仕方がないとしても、その中になお制限があるわけなんです。どういう人に制限があるかといえば、何でもない、労働組合の指導的立場にある人が、かつてはアメリカに招待されて行ってきた、ところが今度は、施政権返還をしてもらいたいというような運動はなるほどやっておりますが、そういう人が日本に来るという場合には、いろいろと考慮しなければいけないとかなんとか言っていて、そして、いけないということは最後まで言わないのですけれども、再調査をするとか、あるいは、いつどこで結婚して共産党のだれと話をしたかとか、めんどくさいことをいろいろ書かなければ来れないというような状態に置かれているわけです。潜在主権といわれるからには、これぐらいは何とか解決して、だれもが日本人なんですから、日本に来れるくらいはあたりまえじゃないかと思うのですが、この点はどうなんですか。
  56. 伊關佑二郎

    ○伊關政府委員 おっしゃる通りの事例であれば、私の方から交渉して直さすようにいたします。
  57. 戸叶里子

    ○戸叶委員 今のお言葉で大へんに私も安心したわけですが、こういう問題では解決しないで困っている例がたくさんありますから、それでは今度その事例を持って参りますから早く解決をしていただきたい。伊關さんの今の力強いお言葉で私も安心しました。  それから次に、いろいろな今までのアメリカの司令官の発言を聞いておりますと、大体において沖繩施政権というものは軍事基地維持の支柱であるかのような発言をし、軍事基地施政権というものが一体であるような発言をしているわけでございます。そうなって参りますと、沖繩人たちが何とかして施政権返還してもらいたい、そして日本国民と同じような扱いをしてもらいたいという悲願というものもなかなか達せられないわけでございまして、この点を何とか打開しなければならないというのが私たちの考え方でございます。大臣はおそらく沖繩へ行ったことがないと思うのですが、外務大臣としてやはり沖繩あたりに行って沖繩ほんとうの声というものをお聞きになっていらした方がいいんじゃないかと思いますが、外務大臣として沖繩へいらして、沖繩の人のほんとうの声をお聞きになるようなお考えがあるかどうかが一つです。  それからもう一つはこのなかなかむずかしい状態を打開できないとするならば、国連の方でちょうど植民地解放宣言というものも一九六〇年には満場一致で決議されているわけでございますから、そういうふうな線をたどって国連の総会で、この問題を植民地解放というような意味から、沖繩の解放というような願いを出すようなお考えはないかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  58. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 沖繩状況についてはできるだけ有力な方に見ていただいた方がいいということで、先般も戸叶先生に特に議員団として御渡航願ったわけであります。沖繩の問題は御承知のように総理府の所管になって、総務長官がやっておりまするので、私はせっかくやっていらっしゃる権限を侵してもという気持が若干あるわけでございます。必要があれば渡航するにやぶさかではございません。  なお国連においては今戸叶さんのおっしゃったような意味で、ソ連から沖繩問題に触れに提案があったわけでございます。要するに、西欧陣営というものは昨年の植民地解放宣言をサポっておるじゃないかというふうなことをソ連が言っておりますけれども、私はこの言う趣旨は若干違うと考えております。決して沖繩が植民地になったとは考えておりません。サンフランシスコ平和条約の示すところによって、条約的な根拠を持ってアメリカ施政権を行使しておるし、しかも日本においては潜在主権が認められておるし、日本としても大いに協力していこう、アメリカ県並みの待遇を与えよう、こういうことを言っておるわけです。ソ連の提案に賛成する気持はございません。
  59. 戸叶里子

    ○戸叶委員 ソ連の提案とか何とかいうことを私は言っているわけじゃなくて、国連におきましても民族の自決権というものが尊重されており、アメリカは先ごろドイツの統一問題について民族の自決主義というものを持ち出しているわけでございます。従って、私はアメリカ自身が沖繩にもこの原則を適用すべきだと思う。しかも沖繩の問題は東西ドイツのような場合と違って、お互いに対立しているんじゃなくて、日本国民も復帰を望んでいるのです。沖繩も復帰したがっている。従って、もし政府がドイツに対するアメリカの民族自決主義というものに賛成をするならば、まず自分の国のこの問題について態度を明らかにすべきではないか、私はこういうふうに考えますけれども、この点はいかがでございましょう。
  60. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 先ほども申し上げたように、沖繩の問題はこれは違うのであります。先ほども言ったように施政権者アメリカであるけれども潜在主権はわれわれが持っておって、相協力してその民生安定に貢献しようとこうやっております。問題は東西の緊張下において沖繩の諸種の防備というものをなくさせたいという要望と、いや、これを持っていなければ東西間の力関係が極東においてくずれるという考え方、この二つが問題として激しく対立しているんだと思う。われわれとしてはそういう問題を、日本の方から進んで自由陣営側の防備といいますか、対抗する手段というものをことさらに弱くするということは不得策である、こう思っているわけです。
  61. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうすると沖繩に対しては今外務大臣は何もすることがない、仕方がないからアメリカがやっているようにして、そして何とか少しでも福祉的な問題を考えて、予算も、こういうふうな予算をこういうふうに使ってもいいですか、アメリカがいけないといえばそれじゃ引っ込んでしまう、こういうような程度しか沖繩に対しては手が施せないというふうにしか、私は今までの質疑応答の中で結論としてそれだけしかとれなかったわけでございます。  それではもう一つ沖繩について伺いたいのですが、沖繩人たちの願っておりますところの立法院主席の任命制というようなことと、それから国会の代表を日本に送りたいということ、こういうふうな問題についてはどういうふうにお考えになるか、外務大臣のお考えを一応承っておきたいと思います。——ちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、主席の任命制を今とっているわけですけれども、これを選挙にするという行き方ですね。
  62. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 二つの問題を目下検討をいたしております。
  63. 戸叶里子

    ○戸叶委員 検討中という言葉政府の答弁としてはお好きのようでございます。検討中といえば大体ごまかされちゃうわけですけれども、検討もいいかげんにしませんと、時勢がどんどん変わってきますから、そういうこともお考え置き願いたいと思います。今、岡田委員から関連質問があるそうですから……。
  64. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ちょっと関連ですから簡単に伺いますが、先ほどの潜在主権の問題については、私はもう蒸し返しません。ただ潜在主権というのは、中川さんに釈迦に説法かもしれませんが、領土処分権の問題だけであって、今さら領土処分権以外何があるかというようなごまかしの答弁は、条約局長はやられるのだとは私は考えておりませんから、これは一つだけ申し上げておきます。  ただもう一つ伺っておきますが、私は第三条の規定に基づいて、アメリカを唯一の施政権者とする信託統治を国連に提案した場合に、これは憲章違反だと思いますが、この点はどうですか。小坂さん、何か大臣としてお答えいただければけっこうなんですが、憲章違反じゃありませんか。
  65. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 サンフランシスコ講和条約が国連憲章に違反している、こういう意味になりますね。そうですね。講和条約にはそう書いてあるのを、その通りやったら憲章違反かどうか。そう思いません。理由は……。
  66. 中川融

    ○中川政府委員 私どもは、サンフランシスコ平和条約三条は国連憲章違反であると思っていないのでございまして、理由は別に、そう思っていないのでありますから、別にないわけであります。
  67. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それじゃ具体的に伺いましょう。国連憲章七十六条、七十七条、七十八条に違反しておりませんか。それの方がいいでしょう。もう少し追加して——関連ですからあまり申し上げるのもどうかと思っていたのですが、七十六条の場合の基本目的に反するではないか。七十七条の信託統治の地域として指定されたa、b、cの三地域に該当しないではないか。それから七十八条の国際連合の加盟国となった地域には規定されないではないか。この三つからいって憲章違反じゃありませんか。
  68. 中川融

    ○中川政府委員 今御指摘の信託統治制度の基本目的ということで、国連憲章に四つあげているわけでありますが、この基本目的というのがどういう意味のものであるかということで、おそらく岡田委員の御質問は、この基本目的として掲げてある四つの全部を沖繩信託統治制度は満足していない、従って七十六条に合致しないということがまず第一の点だと思うのでございますが、ここにあげております基本目的というのは、これは原文で見ますと、この信託統治制度の「ザ・ベイシック・オブジェクティブス」と書いてあります。これについては、たとえば国連自体の目的というところが第一条ですか、第二条ですかにございますが、これの方は「パーパシス・オブ・ザ・ユナイテド・ネーションズ」という、目的が何であるかということでございます。この信託統治制度の基本目的の方は、むしろできました信託統治をどういう方向に持っていくべきか、施政をする場合の基本的なオブジェクティブ、つまり施政の結果到達すべき目標というようなニュアンスが強いと思うのでございます。その例証といたしまして、ここにあげておりますたとえば第四の基本目的でございますが、この第四の基本目的を見ますと、この信託統治制度の基本目的として、すべての国際連合加盟国に対して平等の待遇を確保しなければならない、その国民に平等の待遇を与えなければいけないというようなことが書いてございます。つまり信託統治制度を作る際に、国連加盟国全体に平等の待遇を与えるために信託統治制度を作るというなら非常に論理上おかしいのでございまして、できました信託統治をどう施政するかという場合に、各国民に平等の待遇を保障するようにとの運用をしなければいかぬ、むしろこういう趣旨であろうかと思うのでありまして、従って、こういうことからいいまして、沖繩がもしかりに平和条約第三条によりまして信託統治に付せられましたならば、その信託統治協定には、当然この七十六条に掲げているようないろいろな四つの原則を盛り込んだ一つ信託統治協定ができ得たであろうと思います。しかしこれはまだ付せられておりませんので、こういう協定ができておりませんが、むしろそういうふうに解釈すべきではないかと思います。  その次の信託統治制度にどういうものが置かれるかという規定でございますが、これは三つのものをあげております。「現に委任統治の下にある地域、第二次世界戦争の結果として敵国から分離される地域、施政について責任を負う国によって自発的にこの制度の下におかれる地域」、この三つの制度を掲げております。われわれは、このサンフランシスコ平和条約によって平和条約を受諾したのでありますが、その際に、もしこれが第三条によりまして沖繩信託統治制度に付せられる場合には、おそらくこの第二のbとして掲げております「敵国から分離される地域」、これによって信託統治に付せられるのであろうと推定いたしております。それはその席上におきまして、ダレス全権の説明にそういうことが言ってあります。また大体この三つのうちでどれに当たるかといえば、おそらくbが最もそれに適合する項目ではないかと思っているわけでございます。従って、この七十七条に特に違反するということはないと思います。  その次の七十八条でございますが、これはこの条文の読み方が国会でも常に問題になるわけでございますが、これは国連加盟国はお互いに平等の原則に基づいているのであるから、信託統治制度は、加盟国となった地域には適用しないというように書いてあるのでございます。これがどういう意味がということは、国連憲章を採決いたしましたサンフランシスコの会議におきまして十分明らかになっておるのでございまして、これはかつて国際連合の委任統治区域であった地域、たとえばシリアでありますとか、レバノンでありますとか、こういうものが国際連合加盟国に認められた際には、これは国際連合の信託統治地域にはしないのだ、これは独立国として国際連合に加盟するのだ、こういう趣旨の規定でありまして、一国のうちの一つの地域を何かの理由でその国が信託統治制度に付するということはこの規定とは関係ないのでございまして、これは現にその前の条項におきまして、第三の理由としてあげております「施政について責任を負う国によって自発的にこの制度の下におかれる地域」という規定がすでにございますがこれによって、その一部が自分の施政下にある地域を自発的に信託統治に付するという場合が当然あることを予定しておるのであります。従って、一国の一部がその国によって信託統治に付せられるという場合は当然あるわけでございまして、この規定にも特に違反はしていないというふうに考えております。
  69. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 関連ですからあまりやりませんが、一つは七十七条のbにしても、今御答弁のダレスがサンフランシスコ条約でそう言ったというようにお話しになっていますが、断定はしておりません。ダレスはbに適用するかもしれないと言っている。ここら辺にいわゆるアメリカの提案の弱さがあるわけです。その点はきょうはやらないのですが、具体的には信託統治の提案をした場合、この信託統治に、小坂さん、戦略信託統治と非戦略信託統治と二つあるわけですね。これはどちらに具体的な提案をしても、実際問題として提案は私は不可能だと思う。というのは、戦略信託統治の場合には安保理事会の承認が必要だが、安保理事会でソ連が拒否権を行使すれば、当然これは成立しない。それから一般信託統治沖繩をするということ自体、これは非常に問題があるのです。というのは、軍事基地であるところの沖繩を一般信託統治にするということは問題があるのです。たとえばそれをしてみたところで、この一般信託統治に提案をして、これが国連総会で可決された場合において、これについては信託統治理事会が定期視察をするということになっておる。定期視察をすることになれば、その場合には安保理事会の常任理事国が必ず参加することになっております。そうすると、ソ連が沖繩の視察の中に参加するということになるわけですが、そういうことは、実際問題としてはアメリカはやらないと思う。こういう点は明らかだと思うので、法的にも違法であるだけではなくて、実際問題として、信託統治にすることは不可能である、どういう観点に今日立つべきだと私は思う。今予鈴が鳴りましたので、きょうはこれ以上言いませんが、もう一つ中川さんに伺っておきたいのですが、提案はアメリカだけが提案するのではなくて、日本だって提案することは法的にできるでしょう。
  70. 中川融

    ○中川政府委員 これは平和条約第三条がございまして、沖繩については、要するにアメリカが提案する場合には日本が同意するということが書いてあるのでありまして、その規定があるにもかかわらず、沖繩日本信託統治に付するという提案はできないと思います。
  71. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 これはアメリカが提案する場合に日本が同意するということを書いてあるのであって、日本が提案しちゃいけないなんて書いてないですよ。これは明らかです。  それから、これはおそらく小坂さんでも、伊關さんでも、おれは知らないと言うだろうと思うのですが、沖繩にU2機が来ているはずです。もし御存じならば今お答え願いたいし、御存じなかったら、この次までにお調べ願って御答弁願いたいと思います。
  72. 安藤吉光

    ○安藤政府委員 御答弁申し上げます。時期はちょっと忘れましたが、一カ月半くらい前ですか、アメリカ側で発表しております。U2機は沖繩に来て、天体の空気の観測とか、ちりを集める、そういうことをやっております。それからその際はっきりわれわれが確かめたところでは、日本の領空とか領海の上は絶対に飛ばないということがはっきりしております。それから他の国の領海はもちろん、領空も侵さないということをはっきり言っております。
  73. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 その前に申し上げておきますけれども、サンフランシスコの講和条約は、もうすっかり専門家である岡田さんにあるいは失礼になるかもしれませんけれども、三条にこう書いてあるわけです。アメリカを唯一の施政権者とする国連の信託統治の要求が出た場合に、日本はこれに反対しないということが書いてある。だから信託統治にする場合には、アメリカが唯一の施政権者になるという前提があるわけです。従って、日本はできないと思う、こういうことです。  それからもう一つのU2機の問題は、アメリカ局長からお答えした通りでありますけれども、これはあくまで天体のちりその他を集めて、それで気象の観測をする。そのことについては、日本の領海、領空はもちろん、他のいかなる国の領海、領空も侵さない、そしてその結果については、純技術的、科学的なものであるから、要求があれば、いつでも公表するということをアメリカ発表しております。
  74. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 何台来ておりますか。
  75. 安藤吉光

    ○安藤政府委員 台数については、明確なことはわかりません。
  76. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は、韓国の問題もありましたが、時間がありませんので、これで終わります。
  77. 帆足計

    ○帆足委員 これは重大問題ですから、この次の外務委員会で続けて質問しますが、今岡田君が信託統治になった場合はどうかということをいろいろ質問しましたが、その点については、日本が提案した場合または他の諸国が連合で国際連合にこの問題を上程した場合に、法的にはどうなるかということをお調べ願いたい。  もう一つは、植民地の定義についてですが、一体信託統治にするかのごとく見せて、実際上はしないでいて、占領を継続している。軍事同盟なら両方満足して主権は譲り渡さぬで、一定の土地を貸す。ところが沖繩の同胞がどうなるか。植民地と同じ状況になっていることは明確な事実だから、何とかそれを緩和しようとしてせっかく政府が今努力しているわけです。従って植民地的状況であることは明らかである。植民地というのは、戦争に負けたためになったり、侵略されたためになったり、歴史的諸関係でなったり、いろいろな型があります。従って、国際連合が決議した植民地の定義は外務大臣ほどのようにお考えになっておるか。植民地反対というのは今天下の趨勢です。十年前には、植民地といえば不逞鮮人とか不逞インド人とかいわれて、二十年の懲役になった。しかし今は植民地反対というのは公正なる世論になっている。そこで植民地の定義を一言承っておきたい。
  78. 中川融

    ○中川政府委員 重要な問題でございますので、検討いたしまして、この次の機会にお答えいたします。
  79. 森下國雄

    森下委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十七分散会