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国務大臣(
水田三喜男君) 御
承知のように、
会計年度独立の
原則というものがございますが、ただ、この
原則だけでは
財政運用がうまくいかない。今すぐ必要な金でなくても、将来必要がはっきりしておるものに対しては、場合によったら
資金というものをもって運用することの方がいい、こういうときには
資金というものを作ることができるのだ。ただ、やたらに作られてはいけないので、
法律をもって作るならよろしいという
一つの
例外、
原則に対するいわば
例外の
措置が
財政法において認められております。
産投会計に
一つの
資金を作ったということは、
政府の出資需要に対して弾力的に適宜適切に運用できるように、その必要があるというので
資金というものが作られておることは御
承知だと思うのでございますが、そういう必要で三十一年度に
資金が
法律でできて、そのときには、
補正予算をもって三百億円この
資金の
繰り入れをやった。この
資金を三十二年度に使い、三十三年度に使い、さらに三十四年度に使って、今年度この
資金が今枯渇しております。ところが、その
資金需要がどういうふうになったかと申しますと、三十五年度の経済の見通しというものについても、見込みについても、当初
予算作成のときに若干の狂いがあったことは御
承知の
通りでございまして、非常に当初の想像以上に経済が伸びた。さらにまた、当初予算を作った後に、ドル防衛の問題とか、自由化の問題とか、いろいろの問題が起こってきましたので、これに対処するために、将来の
政府に対する出資需要というものが非常に多くなっておる。にもかかわらず、それらに充てるための
産投会計の
資金というものは
不足で、将来にこれを対処することができなくなっている。しかも、三十六年度以降の
資金需要を見ますというと、住宅問題から農林問題、中小企業問題に対しての出資需要というものが、少なくとも四百億ぐらいは避けられないものだというふうに今見通されておりますが、そうしますると、明らかに保有の
産投会計の原資というものは今ないのでございますから、何とかしてこれを補給しなければならぬという必要に現在迫られておりますので、今年使うというのでしたら今年の歳出でいいわけですが、今後これに対処するにどうしても必要だというためにできている
資金でございますから、その
資金をここで補給することはどうしても必要なことであるし、明らかに
不足を生じている問題であるから、今年度財源的に可能なときに、この
資金の
繰り入れという歳出行為をここで行なおうとするのでございますので、私
どもは、そういう
意味で、二十九条に
違反している行為ではないという
考えで、現に今までも、
補正予算の際において
資金の
繰り入れはもう前例がたくさんあることでございますので、私
どもは、今回に限って違法行為をやっておるというような
考えは今のところ持っておりません。しかし、先ほど申しましたように、
疑義がないかと申しますと、私
どもの方にはあまりないのでございましたが、はっきりとあるのだあるのだということで
論議が出ている以上は、
疑義が生じているという事実は認めないわけには参りませんので、今後そういうことのないように、
疑義を生じないような
措置は皆
考えようじゃないか、これには賛成でございますが、今回の
資金に
繰り入れということは、今年使わなければならぬということじゃなくて、もう将来にそういう必要が出ていることははっきりして、今それに迫られていることでございますから、必要なものとして判断して、そうしてそこへの
繰り入れをやろうとするのでございますから、これは、
財政法上りっぱに許されたやり方ではないかと私は
考えております。