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1961-06-06 第38回国会 参議院 農林水産委員会 第55号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年六月六日(火曜日)    午前十一時十一分開会   —————————————   委員異動 六月五日委員亀田得治辞任につき、 その補欠として大森創造君を議長にお いて指名した。 本日委員戸叶武辞任につき、その補 欠として阿部竹松君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤野 繁雄君    理事            秋山俊一郎君            櫻井 志郎君            北村  暢君            東   隆君            森 八三一君    委員            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            河野 謙三君            重政 庸徳君            田中 啓一君            高橋  衛君            仲原 善一君            堀本 宜実君            阿部 竹松君            清澤 俊英君            安田 敏雄君            棚橋 小虎君            千田  正君            北條 雋八君   政府委員    農林政務次官  井原 岸高君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省畜産局長 安田善一郎君    水産庁長官   西村健次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○魚価安定基金法案内閣提出、衆議  院送付) ○漁業生産調整組合法案内閣提出、  衆議院送付) ○農林中央金庫法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○農業近代化資金助成法案(内閣送  付、予備審査) ○農業信用基金協会法案内閣送付、  予備審査)   —————————————
  2. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会開会いたします。  委員異動について報告いたします。  五日、亀田得治君が辞任され、その補欠として大森創造君が選任されました。   —————————————
  3. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) この際、理事補欠互選についてお諮りいたします。  委員異動に伴い理事が欠員となっております。よって、理事補欠互選成規の手続を省略して、便宜委員長から指名することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。よって、委員長理事北村暢君を指名いたします。   —————————————
  5. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 魚価安定基金法案閣法第七四号)、漁業生産調整組合法案閣法第七五号)、以上、いずれも衆議院送付の二法案一括議題といたします。  両案に対し御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
  6. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは農林大臣からお伺いした方がいいと思うのですけれども、まあこういう開会でありますから、西村さんからでもよくわかるようにしてもらいたいのであります。この二法案は、農業基本法中心にして作られたのか、あるいは先般ここであげました漁期の延長の法案等と同じように、いずれ根本的に漁業問題については基本法も出す、こういうようなことを農林大臣も言うているのでありますから、その際またこの二法案中心にして変えるという暫定的なものであるかどうか。これをまず中心で、いろいろお伺いする筋も違ってくると思うのです。
  7. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 漁業につきましての基本法の問題、これは農林大臣がこの前御答弁あったと思いますけれども、これは漁業制度については漁業法、あるいは団体制度については水産業協同組合法、こういうものと関連しまして、あるいは沿岸漁業の振興、いろいろ法律名前はともあれ、今後の漁業の向こうべき方向について、いずれ次の機会においてこれらについて提案は必至とわれわれは考えておるわけでございます。ただしからは、この二つ法案が暫定的なものかと申しますと、実はこれはこの法案にありますように、大衆的多獲性魚類のいわゆる大漁貧乏というものを防ぐ、こういう趣旨のものでございまして、全般的な体系ができました場合においても、やはりこの二法案というのは機能を発揮すべきものである、そういう意味におきまして、とりあえずという意味じゃございませんで、これはこれとして、今後においてもやはり大漁貧乏というものを防いで参る。もちろん今後これを中心の軸としましてもっと発展すべき必要はあると思います。まあそういうふうに御了解願いたいと思います。
  8. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでこの補足説明等にもありますように暫定的だと思われることは、大漁貧乏という一時的に、一地区に集まる魚の値下がりをただ防ぐと、こういう形をとっているですけれども水産漁業調査報告書ですか、答申書か、などを見ますと、やはりこういう大衆魚についてもこれから先、漁獲に対しては相当考えなきゃならぬ。魚族の保存というようなことを考えなきゃならぬというようなことを答申してあると思うですがね、そういうものが一つもこれには片鱗も認められない、片鱗も認めてないです。そこで先般も西村さんおいではなかったけれども、ちょうど大臣がおりましたとき、サンマの約二十センチですか、十五センチぐらいの、ちょうど万年筆ぐらいの目刺しのようなものを現在市販やっているのです。そういうことをやっておりましたら、将来私はまたニシンの二の舞を踏むようなことになりゃしないか、こういうようなことも考えられる。そういうものが、何ら考慮しないのですね。それでほんとう漁業調整というものを考えるならば、そういう面からもやはり何かが盛られなければならない。こういうことを考えますので、そういうお伺いをしたのですが、そういう点に対するものは、これからの基本法という名前でなくとも、漁業に対する根本的な対策を立てられるときそういうものは考慮していかれるのかどうか。
  9. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) ただいま清澤委員の御指摘になりました点は、実は漁業制度調査会の審議におきましても議論となった点でございます。これはこれで魚価安定というための生産調整組合、こういうものは必要だと、しかし、また別に資源保護なりあるいは他の漁業との調整をはかるためのそういう調整をするような自主的組織も必要ではないか、こういうことが問題として提起されて、ずいぶん議論されました。私どもはもちろんその必要性も感じておるわけでございまして、その点につきましては、あるいはそういう場合でやろうか、あるいは従来のような取締規則でやるか、いろいろ態様によって違うと思います。これはぜひ今後考えて参りたい。しかし、そういうものができました暁も、これは要らなくなるものじゃありませんので、これはこれで必要だ。しかし、今清澤委員のおっしゃる点は確かにそういう点がございます。ただサンマにつきましては、現在までのところ科学者の見解によれば資源的には心配ない、今御指摘の点は、せっかく大きくなるものを、小さくというのは資源の利用上、これは好ましいことじゃないじゃないかということは確かに言える。これは漁期等も今調整しておりますが、あるいはそういう点あまり小さいサンマが取れる、ただこれは科学者に言わせれば群が別の群だという議論もありますけれどもそういう点であれば、その漁期等によってそこをもっと大きくして取るというようなことが考えられる。こういうふうに思っております。
  10. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただそれを中心にしましてだんだんと漁業の方式が大型船になり、遠くまで出て回遊魚をみんな取ってしまうというようなことで、沿岩漁民との問題等もお伺いしたいですけれども、きょうはそういうことを一切抜きにして、この大漁貧乏中心にした価格の点と、それからいま一つどもが重大に見ておりますのは、第十八条にあります規定がどういうものであるか、とれに非常な重点を置いてこれからお伺いしたいと思いますが、十八条は「組合組合員は、調整規程に従いその漁業生産活動制限するに当たっては、その従業者不利益を及ぼすことがないように努めなければならない。」とあります。こうなっているのですがね、これは厳格に水産当局の皆さんが本調整法案を作られるとき、船の乗組員を擁護した一つの条項であると私ども考えておる。従いまして、これはあるいは陸揚げ制限をするとか、運搬制限をやるとか、あるいは全般的の漁獲という言葉を使っておりますが、漁獲制限をするとか、こういうような場合に、漁獲の場合にはどうも補償は出ないようでありますが、補償の出るような場合、あるいは補償の出ないような場合における漁業生産活動制限するにあたっては、その漁業者賃金に及ぼすようなことがあってはならない、こう私は読みかえておるのでありますが、そう解釈してよろしゅうございますか。
  11. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) この十八条の趣旨は、ここに番いてありますように、要するにいろいろなそれは犠牲と申しますかしいることになる、その場合にその犠牲をこうむる組合員というのは、いわゆる船主でございます。船主乗組員にしわ寄せすることがないようにやる。もっと具体的に申しますと、たとえば生産調整組合から給料補償陸揚げ制限ですか出た場合に、その配分方法等が具体的に問題になると思います。これはしかし具体的な問題としてここで法定するわけにもいきませんので、強行するわけには参らない。従ってここで一応十八条では訓示規定趣旨をはっきりしておるわけです。これの精神にのっとりまして、具体的な場合については、乗組員にしわ寄せがいかないようにということは、これにはっきりうたわれておるわけでございます。
  12. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこでそれが重大なんです。今のお話が重大なので、組合は、調整組合が加入の協同組合もしくは個人も入っておるのですね、そういうものの組合員に対して調整補償金を出していく、これはその中には従業員経営者と、こう二つに分かれる、持っていったものが、これはこういう操作に上ってこれだけの経費損害あるから、こういうことで組合に渡される、協同組合に渡される、もしくは制圧を受けた個人の船に渡される、こうなりますと、船主の方では場合によりますと、これはおれがもらったんだ、おれがもらったんだということで、なかなか労働者補償というものは完全なものがいかないのです。これが実例なんです。われわれが長い間経験しておりますこと、農地などの関係上、たまたま地主小作関係がある。農地の買い上げがあって補償が出る場合には、大体表面に立って交渉をするものは地主なんです。だからそこに鉄道なら鉄道、あるいは工場なら工場の方から幾らの、補償として、当然離職する小作人補償も区別して渡されてあるけれども、実際問題として、これを分けるときはもうぐしゃぐしゃになってしまって、そして補償ほんとうに入り用な労働者の、農民の補償というようなものは消えてしまうのです。だからそれは非常な懸念であり不安である。従いまして多くの従業員がこの規定中心にして、この補償を出すときの、損害補償をするときの区分についてはっきりしてもらいたい、こういうことを言うのです。
  13. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) この規定は、全く今清澤委員の御指摘の点の懸念がありますので、私どもわざわざこの規定を入れました。具体的な場合にはこの規定に基づきまして、強くこの点は指導して参る。法律的にこれは組合員漁業経営者ですから、経営者について渡されるものである。しかし、それが令部経営者ふところに入ることのないように、この規定によって強く指導して参る。ただ具体的な問題としてはいろいろございます。
  14. 清澤俊英

    清澤俊英君 それじゃあ、ちょっとやはり危険性があるのです。全部ふところに入れるようなことはない、厳重に警告してやると申しましても、これははっきり区別して渡さないと問題が生ずるのです。これは労働者賃金でありますから、当然それは全額補償することはあたりまえの話です。ところがなかなかそう参らないで、その一部だけを渡してやる、こういう形がもう始終残されるのです。だから、われわれの要求することは、この規定を生かして参りますのには、どうしても渡されるとき、これは労働者賃金として補償するのだ、この部分経営者のいわゆる漁業者のそれの損害である、これを区別してはっきりしたものにしてお渡しを願いたい、こういうことなんです。
  15. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 清澤委員のおっしゃる趣旨はよくわかるのでございますが、私どもこれを具体的な問題では、陸揚げ制限をしますけれども、いずれそれは水揚げされるわけです。水揚げ金額にこの金額をプラスして、それから大仲経費を引いて、あと配分する、だから船主だけが取るということは絶対でき得ないというふうに考えているのです。大仲経費というのは油……。
  16. 清澤俊英

    清澤俊英君 なかなか私が言いましたように、海の仕事はなかなかわかりませんから、わかるように一つ
  17. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 大仲経費というのは、たとえば船の油代とか、それから網代とかの償却費みたいなもので、直接経費ですね。それを取ってあとで幾対幾つで、これは船主とあれの契約でそういう分け方を今賃金、これは歩合制ですから、その場合においてその比率でやる。従って、補償金も当然水揚げと同じように分けられる、これは補償される、こういうことです。
  18. 清澤俊英

    清澤俊英君 水揚げと同じように分けられるというのはおかしいじゃないですか。水揚げ制限したのだから、制限して、そこに損害が生じたのだから、そうすると停船なら停船しているでしょう。そうしてかりに漁民は陸へ上がっちまった、こういうような場合がありました場合に、何もお前仕事をしておらんのだから、やらんでいいじゃないか、おれの方はこういうことをやっていて、これだけの損害があったのだからというような問題が出て参りましたときは、これは一体どう解釈していくのですか。
  19. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 実はこの陸揚げ制限というのは、乗組員が陸へ上がっちゃって、船はやめてしまうというようなことは、生産調整組合で予定していないわけです。たとえば、この港に陸揚げする場合、その日は非常にこんでいる、それで漁価が暴落するという場合、一日待て二日待てという場合、それによってこうむる損害補償するわけです。いずれその漁獲物水揚げされるわけです。それにプラスして要するに値下がりというと語弊がありますが、二日なら二日陸止めをしたことに伴う損害補償する、こういう救済をするわけです。これは当然乗組員が陸へ上がっちゃうというようなことは考えていないわけです。
  20. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうも実際がわからんから、勘定がなかなか私にはのみ込めないで、だからそう幾ら何しましても、複雑な漁獲分けをやりますね。歩合分けをやるような場合、なかなか賃金計算で出すというようなことも無理だと思いますけれども、少なくともこれをやるときには、親切にこれは労働者賃金分としてということをはっきりうたって渡されるか渡されないか、それでいいです。
  21. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 具体的な額として出ました場合に、その部分幾ら部分乗組員にいくかというようなことは、おそらく額としてもはっきりその場合は出ると思います。従ってはっきり出るように指導して、それは乗組員にいくと、こういうふうに指導して参ります。
  22. 清澤俊英

    清澤俊英君 もうこれでやめます。わからんことを幾ら言い合ってみたって仕方がないから。そこで、問題として一つ残したいことは、もし、分け前の額において、非常な労働者の方に正当な不満があったとしたならば、これに対する何か抗告規定ですか、あなた方のところにこういうふうな分け合いで歩合分けではなはだわれわれは不当な不利益を受けている、こういう場合に取り扱う何らかの規定政令一つ入れていただけませんか。これは絶対必要だと思います。
  23. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私どもとしては、先ほどからるる清澤委員の御指摘されるような点があっちゃいけないので、わざわざこの規定を入れたわけでございます。まあ法律的に見ますると、この規定自身もいろいろ文句が出るかもわかりませんが、あえてこの規定を入れた趣旨は、全く清澤委員のおっしゃった通りでございます。私どもといたしましては、組合に対する指導ということでこの十八条の規定がいささかも曲げられることのないように強く指導して参りたいと思っております。
  24. 清澤俊英

    清澤俊英君 だから私は初めから、あなた方の意向というものは十八条で出ているのだと、ところが、ただまあこれを見ますと、「組合組合員は、調整規程に従いその漁業生産活動制限するに当たっては、その従業者に」と、こういうふうにうたってあるのですから、これは労働者一つ保護規定だと非常に感謝しているのです。だからこれを生かしていく上にはいろいろお伺いしてみても、普通の賃金状態とは違うので、私どももここではっきりした線を出すわけにいかないからそこでお伺いしてお願いするのです。これはだから大臣がおられれば一番いいのです。お願いしたいことは、政令等を出される場合に、いずれ政令も出るだろうと思うのです。その中にもし漁業者が十八条の取り扱い上の不満が生じた場合、その正当な理由を付して農林大臣にこれを訴えることができるという一項ぐらいは何か一つ考えていただけるかいただけないか。
  25. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 法律的な問題になりますけれども政令よりこの法律の十八条自体が非常に法律ですから一番強いと思います。この規定に従って直接これはけしからぬじゃないかというようなことがありました場合には、当然われわれとしましては、取り上げまして事実を究明して、強力に指導して参りたい、これは政令より法律そのものでございます。
  26. 東隆

    東隆君 今の十八条の関連なんですが、御承知のように歩合制度になっておりますが、それでいろいろな場合に問題が起きてくることは、今清澤委員のおっしゃる通りだろうと思う。そこで、あり得べき状態のものを一応お考えになってその場合における配分の考え方を明示するとか、そういうようなことはできませんか。
  27. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 仰せのようにまあ歩合制もいろいろありますし、また固定給歩合制とのかみ合わせもあり得ますので、いろいろな場合がありますので、今御指摘の点につきましては、この法律の施行にあたりましては、その組合員に対しましてあり得べき状態を考えて、この場合にはこうだというようなことは至急ぜひそういうことにやっていきたい、こういうふうに考えております。
  28. 清澤俊英

    清澤俊英君 それではこの問題はこれで打ち切りまして、できますれば散会後委員長中心になって附帯決議か何か少しはっきりしたものに一つ相談を願いたいと思います。それを委員長にお願いしてこの十八条の問題はやめます。  次に価格の問題でございます。先般千田さんが高橋さんに、大体安定価格として安定させる価格の線はどれぐらいだということを考えておられるか、こういう質問をせられたと思うのです。そうしまするとその価格は大体十一円ぐらいと考えておる、こういう御答弁でありました。そこでその前に漁政部長であったかあるいは漁政課のお方に、このあなたの方から出ている参考資料の十一ページにありまする資料のうちで、大体トン数ですか、船の大きさに従った形における平均生産価格というものをお伺いしたのですが、それで参りますと、大体が私の資料をきょう忘れてきましたので詳しいことは申し上げられませんが、大体十三円ぐらいになっているかと思う。十三円というお答えであったかと思うのです、平均価格が。そうするとすでに安定しようと考えておられる価格は十一円、この資料によって出ました生産価格は十三円、そうすると非常に低い線で安定しようとしておられるが、これはちょっとおかしいのじゃないか、こういうことが考えられるのです。
  29. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 確かに「さんま漁業経営費」、これはこの前お断りしたと思いますけれども、たしか三十八隻に通じてやったものですから、もう一度われわれとしては検討しなくちゃいけない要素があると思います。たとえば五十トンないし百トンというところは非常に高い、百トン以上がまた安くなっているというようなコスト計算になっております。この点はあります。しかし今の点につきましては全体としての十三円というのは、キログラム当たりコスト計算からしますと、一応この数字だとそうなる。しかし御承知のようにサンマ漁船というのは、取ってきた漁獲物が全部かすになるわけではございませんので、かすは全体としての二〇%程度である。平均しまして多いときでもそういうことでございますので、全体の価格レベル、これはもっと上位にあるわけでございます。かすとしましては大体キロ当たり十一円のベースにおいてはこの目的は達するということで、必ずしもこの生産費と直接には結びつきません。そういうことでございます。
  30. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは非常に問題になっているのではないですか。せっかく価格を安定しようとこう意図せられるものが、もうかすであることが間違いじゃないかという議論が相当あるのですね。これは結局すれば中小漁業者経営の安定を欠くことになりはしないか、一番最低の価格で押えていくのですね。しかも今西村さんが言われる通り平均価格は十三円である。〇トンから十トンはこれは不明な点ですね。生産費は不明だ。そうしてこれはまあ除外せられてある。いずれごく零細な沿岸漁民のことを指しているのだろうと思いますが、そこで十トンから三十トンは十円三十銭でありますからこれは少しばかり間に合うのですね、十一円でも。三十トンから五十トンは十二円で損、五十トンから百トンは十六円五十銭で非常な損害で、それから百トンから二百トンに至りましては十三円二十銭でこれも損、大体が損の線で安定しようということはこれは無理な話であり、しかも約一割ぐらいのものを少しばかりめんどうみたからといって、ほんとうの全体の上の安定ができるかどうか、これは非常な疑問の多いところだと思います。
  31. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) その点は先ほど申し上げましたようにサンマ漁船が取ってきた漁獲物を全部かすにするということであれば、なるほどそういう議論も立つと思いますけれども漁獲物のわずか二〇%、一番多くても三〇%がかすになるわけであります。あとのものは加工あるいはひらきとか、冷凍とか、カン詰、あるいは鮮魚で出荷する、この価格ははるかに高いわけであります。全体として見れば、これはそんな低位にはならない。ずっと上のところにいく、手取りは。こういうことになるわけであります。全部をかすで処理している漁船がかりにあれば、それは仰せのようなことがあると思います。そういう事実はございませんし、ごく一部でございます。各漁船漁獲物の二割ないし一割にすぎない、こういうことでございますので、その点は仰せのような御心配はない、こう考えます。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、こんなめんどうなことをやって、魚価の安定とか何とかということがおかしいくらいなものですね。ただわずかなものがかすになるのだから、かすのところだけが値が下がると悪いから、こういうような御説明だ、今のお話ならば。このかす一つの値をささえることによって、私どもの解釈しているところでは、鮮魚値段なり、あるいは加工物値段なりの値下がりを押えて、そしてそれによって安定価格に必然的に入っていく、こういう形を考えております。ところが、このことは、もう鮮魚その他の加工値段は別だ、こういう御説明は納得がいかない。
  33. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 別だということをはっきり申し上げたわけじゃございません。手取りとして見ればということを申し上げたのであります。同じ表にもありますように、やはり大漁で揚がった場合に非常に値下がりを、ごく時期的に非常に下がる。それを防ごう、こういうことでございます。その魚価安定の目的はそこに、多獲性大衆魚についてはあるわけであります。それを防げば、非常に高い時期もありますから、全体として引当にいいところにいくのじゃないか。べらぼうないわゆる大漁貧乏ということをほうり出すということはできるだけやめようじゃないか。それは生産調整あるいは十一円をベースとして調整、保管したものに、保管料なり、金利を補助する、こういうことになるわけであります。
  34. 清澤俊英

    清澤俊英君 その点は私はあまり納得はできませんけれども、どうも何か割り切れないものがあります。一番最低の線で、お説によれば、ごくわずかの魚かす値段だけをささえていこう、こういう考えで、はたしてどれだけの効果があるか。効果として認められるのは、結局すれば、魚価の最低線が大体きまるというわけですね。十一円くらいのところに抑えろというわけですから、損のところで押えろというわけですから、そうすると、そこには非常な魚価の標準に対して無理ができている。これはいずれは鮮魚やいろいろなものに回っていくのでありますから、無理が通じていくのじゃないか。その無理がずっと及ぼしていくのじゃないか、こういうことが考えられるので、私は少なくとも十三円以下くらいには下げないのだ。これが魚かすにいこうといくまいと、一応はこれを何らかの方法をもって、冷蔵するなり、何なりして、価格の安定を期するというのが、ほんとうのやり方じゃないかと思います。将来はそういうことは考えられるか、あるいはそういうことも考えておいでになって、そうして今年度の予算等については、漁連等に相当額の冷蔵施設の予算なども組んであるようでありますから、その点は十分考えておられるとは思いますが、そうであればあるほど、魚かすの安定標準価格として、現に生産費を割っているものを中心にするという打ち出し方をとられることは間違いじゃないか。こういうふうに私は考えるのです。
  35. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 全体としての流通改善のために、あるいは冷蔵庫の施設を拡充する。あるいは取引機構を改善するとか、いろいろなやるべきことは多々ございますし、われわれの方としましても、要は全体が円滑に処理されるということにあるわけでございます。その方向はあくまで基本的なものとして今後強く進めて参りたい。それをやりましても、サンマ等の多獲性大衆魚につきましては、ごく短期間についてはそういう事態ができるわけです。それを防ぐ必要がある。値段につきましても最低じゃないかというお話でございますけれども、まあお手元へお配りしました資料にもありますように、局地的に、あるいは局時的と申しますか、ある時間には七円とか九円という値段も出ております。それはもうやめようじゃないか、それを十一円より下げないようにしよう。それをやりまして、全体としての漁業者手取りは相当いいところにいく、そういうふうに考えております。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体、水産年鑑か何か、そういうものに出ているというので、私この間ちょっとほかの方で見たのでありますが、それによりますと、最近の漁獲のうちで、鮮魚として回る分はだんだん減ってきているんですね。鮮魚として消費せられるものは、市場の比率が下がってきて、加工の方がだんだん率がふえてきている。何か全体の漁業の中の五%くらいが鮮魚に回っている。だが海草とかそういうようなものをまぜると、鮮魚用が大体一二%くらいに今なっていると思うのですね。これも実際は魚屋の店頭で冷凍品等を解凍して、そうして鮮魚としたようなものもまぜて一二%くらい。あとは大体加工に回っている。こういうことをいわれるのですね。そういう場合に、この漁業調整組合から見ますと、その加工業者が、調整組合に入っている加工業者と漁業生産者というものは、おそらくは原料を中心にして相対立した関係にあるのじゃないか。これは普通の常識だと思うのです。そこでまあ普通の常識ですが、最近におきましては、漁業協同組合等が加工業にも乗り出しているのでありますから、お伺いしたいのは、大体そういう加工と称せられるうち、練り物、カン詰、塩乾魚というようないろいろなものがありましょうが、このうちで漁民が現に取り扱う干魚などは、大体漁民がやるのじゃないかと思います。漁民がやっていくのじゃないかと思うのです。われわれが浜に行って見ますと、イリコにしてみましても、ああいうイワシの小さいようなものを干したり、あるいはアジ、サバを割って干物として出すような場合は、沿岸漁民、もしくはそれに付属した家族の私は生産品じゃないかと思うが、カン詰、練りものになりましたら、これはもうほとんど別なものがやっておる、別な資本でやっておる、これが大体多いと思うのです。だが、最近は協同組合等でもそういうことを始めておりまして、従いましてその割合はどれくらいになっているでしょうか。
  37. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 御質問の趣旨が、一体魚の加工鮮魚の割合とかそういうものという御質問か、あるいは協同組合でやるのか加工業者がやるのかという……。
  38. 清澤俊英

    清澤俊英君 いま一度はっきり整理して申し上げますが、大体漁獲量のうち鮮魚として売られるもの、これは何パーセントになっているか。
  39. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私どもの方の今ここに持っております表では、鮮魚と冷凍魚が一緒になっております。しかしそれによりますと昭和三十三年が二七%、これは昭和二十七年が四九%でありましたものが、累年パーセンテージが減っておる。しかもこの鮮魚と冷凍魚のうち、冷凍魚のパーセンテージがどんどんふえておるように私は思います。そうするとこの減り分よりももっと多くの分が鮮魚としての消費が減っておる、こういうふうに考えております。われわれの方が鮮魚と冷凍をなぜ一緒の欄に入れたかと申しますと、これは結局最終的な消費において、鮮魚と同じような扱いをする。たとえば東京の消費地の市場で取引される際とか、小売商ではこれは鮮魚と冷凍魚は一緒に取り扱われるという関係で一緒にしております。ただ、今申し上げましたように鮮魚のパーセンテージが非常に減っておる、こういうことははっきり申し上げられると思います。ただ、魚種によってこの程度が非常に違っております。
  40. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、全体の加工でなく、サンマ等の大衆魚加工漁業協同組合等がやっておるものと、それから他の資本ですね、漁業者にあらざるものの資本によってやっているものの比率はどんな工合になっておりますか。
  41. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) サンマに例をとりますと、サンマ加工と申しますのはひらきでございますが、ひらきとかあるいは冷凍、カン詰、それからかす、いろいろあるわけでございます。このパーセンテージはいろいろございますが、それを生産者の団体でやっているか、あるいは加工業者か、これは土地によって非常に違いまして、たとえば青森県あたりは、このサンマについての加工はもっぱら加工業者がやっておる。それから岩手県あたりは、漁業協同組合の共同加工というような格好になっております。これは漁業の形態によっても、大型の漁船なんかの場合においては、おそらくこれは加工業者の専門になるんじゃないかと思います、漁獲物が大量に上がるから。ことにサンマについては、そういう例がございます。いろいろ協同組合の共同加工と申しましても、そこに従業員を雇ってやっているという例が多いと思います。それからなお、その冷凍魚についても、また時期によりまして今度ひらきにするというような形態もあります。もちろんカン詰等は、これはもう明らかにカン詰の企業者がやっておるわけでございます。
  42. 清澤俊英

    清澤俊英君 その資料西村さんあとで、次回でもいいですからいずれちょうだいしたいんですが、それは中央卸売市場法の審議の際に非常に重要性をもつと思いますので、ちょっとこまかしいのをちょうだいしておきたいと思います。  そこで、今問題になっている資料でわかっていることは、この調整組合法の中に利害の相対立する中小加工業者を入れて、そうしてそれが調整をやろうということになれば、加工業者としては安い魚を買って加工に移すということが、これが本来の姿ですよ。そういうことを願うことは、これは加工業者として当然な考え方だろうと思います。そういうものが中へ入って調整する、その調整価格かすを作るために、生産割れのものが大体標準になっていく。これじゃあほんとう大漁貧乏をなくすという価格安定の本質に、矛盾があるのじゃないか、そういうやり方をしておったならば、中小漁業者は、これはだんだん経営が困難になるのじゃないか、こういう議論が相当起きていると思うのです。私も聞いているのです。この点がもっとはっきりわかるように解明していただきたいと思うのです。
  43. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 漁業生産調整組合には加工業者は入れません。むしろこの生産調整組合は、加工業者の団体と団体協約を結ぶというようなことを予想しているわけでございますので、不当な値段で買いたたきなんかやってもらわないように、魚価安定活金の方の出資者として加工業者も入るようにしよう。これは主としてかすの生産者、これはこれらの加工業者というものとの関係が円滑にいかれることが望ましい。それから魚価の不当にフラクチュエートする、非常にフラクチュエートするということは、加工業者としても決して得じゃない、こういうことで魚価安定基金の方の出資者として加工業者も含めよう、こういうことでございます。それから生産調整組合には加工業者は入れません。加工業者はそこの事業活動については何ら口を入れません。
  44. 清澤俊英

    清澤俊英君 間違いました。基金の方には入っています。金を出して入っている、非常に発言権を持っていると思うのです。これはそう考えているのだが、またそう考えている人も非常に多いんです。そういった場合に、さっき言いましたように、十一円というような価格割りの線で考えておられることがどうもおかしいのじゃないか、こういうことをわれわれは考えられるのです。
  45. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 御承知のように、この魚価安定に対する活動は、漁業生産調整組合、これが生産の面を担当する。それからそのできたかす等の保管というもの、これは加工業者なり、あるいは漁業生産者の段階でする。これらの補助金なり、そういうものを魚価安定基金が出す、こういうことになっております。魚価安定基金を出す場合に、かすを保管する場合、価格十一円以上で買ったものを保管する場合に出す。魚価安定基金の業務につきましては、業務方法書を農林大臣が認可をいたしまして、それによって十分御懸念の点はないように運用していく、こういうふうに考えております。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 まあもうこれくらいで大体でやめますが、ただ一言申し上げておきたいのは、こうやっていろいろ突きつめていきますと、鮮魚は冷凍をまぜて、だんだん減ってきている。あなた方の水産年鑑によれば、冷凍まぜて店頭売りのものが一五%くらいが考えられる。三十五年では一二・四%だと、鮮魚はこうずっと下がってきているのです。大体あと加工だと思ってもいいんです、魚かすまでまぜれば。そうしますと、鮮魚というものを取り扱う上には、非常な楽な形ができているのじゃないかと思う。冷凍や冷蔵と進んできて参りますれば、鮮魚価格を押えていく上には、非常な楽な形ができてきているのじゃないかと思う。こうした場合に、いずれ中央市場法の審議の際に、われわれが一番大きな問題にしたいのは、鮮魚は大体の価格標準は、鮮度が非常に重要な度合いを持つと思うのです。鮮度、魚の鮮度、同じサンマを持ってきましても、サバをもってきても、冷凍のサバと、すぐ浜から上がったぴちぴちして、しっぽをもってもぴんとして立つような魚とはもう価格は非常な違いを持つと思う。そういう場合に、一般の蔬菜や、果実や、そういうものと同じように、一応中央市場へ集まって、それから地方市場へ回るというような場合は、これは十分考えなければならない。そうしますると、中央市場法等を制定するとき、鮮魚物に限っては、地方市場をもっと充実さして、そうして水揚地区からすぐ直接最近はどんな自動車でもできるんですから、冷蔵自動車でも何でも作って、どんどんと送り出したらどうか。これは現在やっている業者も、これを要望しておるし、またこういうやり方が古来からの私は魚の取引の実情じゃなかったかと思うんです。浜で取れましたものを遠くの東京までなんていうことは考えなかった。その地方で分散して、いわゆるすげこというものが肩にかついで、分散してやっていたものが一つの形です。そういうものが逐次発達してきた。最近は地方市場へ、遠くへ出す。それが非常に弱い、あやふやなんです。だからそういうものが出先でたくさんの荷を取って倒産でもやられましてはこれはたまらぬから、一番信用のある中央市場へ出す。そして昨年のごときは、これは八月のまっ最中に中央市場に鮮魚が三十車も三日も滞貨したという話がある。そんなばかなことをしないで、なぜにあなた方が中央市場法の制定に際して、中央市場法は魚は別なんだ、こういう建前をとっていただけなかったのか。ということと、いま一つは、最近におきまする中央市場の形態は、大洋とかあるいは日水を中心にして魚類市場卸売会社を作っているんです。これが全部系列化して、自分の品物だけを自分で売るような形を加工品と一緒に流しております。いずれはもう中央市場の機能を失うことは、遠い将来でない実情ができてきております。こういうものに対して一体どう考えておられるか。私は、魚価の安定をほんとうに考えるならば、水揚市場のあり方と同時に、そうしてこれを流通さしていく市場形成を、ほんとうに水産庁が中心になって考えなければならぬ段階に来ていると思う。しかも、日本の国の水産業に対する、まあいろいろの振興策として急激な一つの振興策をとられたために、大資本の擁護ができてきて、そして漁民を差しおいてほんとうの資本経常の企業化されたものが順次発進してきている。そして沿岸問題が出てきている今日、私はそういう中央市場までが大資本による系列化を進めてきておるという形の中では、これはもう中小漁業者などは問題にならないと思うのです。この法案の中からもいろいろ統制の圏内に入るものですね、その中に同じ漁船という中に加わりまする冷凍、冷蔵船というものが抜けてある。もし沖買いして、ぱっぱとこれはどうせ浜は安くなるのだからというので沖で安く買って、どんどんと東京へ持ってきて、まだ品物がどこもこないうちにぱっと売ってしまったということになれば、これはもう大資本だけが勝負することであって、私は大きな穴があいているんじゃないかと思う。どうもあなた方はあまり正直過ぎるが、商売人というものはきんちゃく切りと同じで、そう思えば間違いないんですよ。えらそうな顔して、どこの会社の重役だなんていっていると、まことに紳士づらはしていますけれども、金をもうけるというときになったら、まあこれだけは義理も人情も情けもない。これが本質なんです。そういうことの抜け穴がぽつぽつとあるのです。だから私は三日分ぐらいの質問があるというのです。だから整理せぬから、非常にあなた方も答弁に困るでしょうけれども、流通市場に対する水揚市場の歴史などもよく考えていただきたい。現在の水揚市場などは全く私は、正当な成長を来たしている水揚市場もありますが、これはごく小さい市場なんです。少し大きいところへいきましたら、全然別なものによって市場形成ができている。ほんとうの勝負するところになったら、そういう形ができているから、だから水揚げ市場から散布する、地方市場に至るまでの中央市場等の関係におけるこれらのものを、これからどう考えていかれるか。一体水産庁の中に市場係のようなものが一課ができておりますかどうか。
  47. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 今清澤委員からいろいろ指摘のありました点、たとえば冷凍鮮魚がどんどん減っておる、これはやはり国民の食生活というものの非常な変化が見られます。その方から今後もそういう動きは非常に強いと思っております。全体の生活の変化に伴いまして消費の面が変わって参る。それに伴ってひいてはそれが水産物の流通機構まで影響を及ぼすであろう。言いかえれば、今加工品であればこれは定価販売ができるわけであります。中央卸売市場を利用いたしておりますけれども、それは物理的な施設として利用するにすぎないので、せりの機能を利用する必要はない。こういうことも十分考えていかなければならない。それと同時に、産地の市場、これも非常に問題がございます。私ども実は産地市場問題協議会を設置しまして、現地のほんとうの第一線の大きな水揚地で活動しておられる方々とよく話し合いをしております。今、日ソ交渉、国会開会中でちょっと中断いたしましたが、終わりましたらさっそくこの問題に取り組んで参りたい。さらに消費地と直結と申しますか、農山村との問題、これら等も十分考えて参りたい。今年度の予算で、はなはだ少ない、試験的としかいえないのでありますけれども、冷蔵自動車というものを三台配置しまして、その結果を見てみようということで、この補助金を少額でございましたが組みました。今後全体としましてそういう消費生活の変化、それから片や漁業の変化、こういうものをどう組み合わせるかという問題は、非常にむずかしい問題であると同時に、私どもはそれは真剣に考えなくちゃいけない。これは水産庁の中にも水産課がございまして、これらの問題と取り組んでおります。中央卸売市場の方も、主管部局であります農林経済局と緊密な連絡をとりつつ本問題に取り組んで参りたい、こう思っております。
  48. 清澤俊英

    清澤俊英君 長官に要望しておきますがね。私は水産庁の中に漁業流通の一つの一課ぐらいは設けてやることが重大問題だと思うのです。今、もう長官が言われる通り鮮魚はだんだん減ってきているのです。食生活の変わりと同時に、大体食生活というよりは、人間の居住生活の変わり方、これらもまじって、そうしてだんだん加工がふえておるのです。鮮魚はだんだん減ってきておるのです。加工品になりますれば、これは生産費をぴしゃっと補償したものが、それを中心にして系統でもってどんどん出してくるのです。これに鮮魚が押されないとは断じて私は考えられない。これは決して損はないのです。損するような、損割れはしませんですよ。だから系統販売をやって、そうして系列販売をやって、もう押し出してきているのです。猛烈な勢いでやっている。大洋会だとか、まるは会だとか、日の丸会だとかいってずっとやっているのです。これは動かすことなどは絶対できない事実だと思います。ことに沿岸漁業法などを出される場合に、こんなものができましたら全部沖買いをして、沖取りをしてしまって、先般も西村さんに鮭鱒のことを聞いておるのだが、聞きましたら、ずいぶん妙なことを言うておられましたがね。実際、浜では幾らぐらいであるが、沖では二十万円というのですか、何かそこでちょっと割のいいような買い方をしておりますけれども、実際の浜の取引から見れば半分ぐらいで買っているのですね。こういうお答えがあったと思うのだ、数字は私は忘れましたけれども、独航船の問題で、花咲あたりの独航船の問題で私が聞いたときに、沖買いをする場合に、こういう工合に買っていると言われるけれども、実際浜相場からいけば半分ぐらいで買っているのだ。こういうものがだんだん成長して参りますから、従いまして私は水産庁内にそういう流通の形を正す一つの一課ぐらい設けてやることがほんとうじゃないかと思う。幾ら西村さんぎゃあぎゃあ言ったって、これは問題にならないと思うのです。これはどうですか、一つ大臣がいれば聞きますけれども……。
  49. 井原岸高

    政府委員(井原岸高君) 提案しております法案趣旨は、いろいろ魚価安定法にいたしましても、調整法にいたしましても、これは全く弱小業者を擁護する、これをかばうのが法の精神の根本である考えで提案いたしておりますので、ただいま清澤委員の具体的な御説明のようなことが、だんだんと大資本に押されて小業者が経常困難に陥る点が、事実存在することは間違いないと思いますが、従いましておっしゃるような流通に関しまする専門的な課を設けまするか、あるいはまたどういうものを作りますか、よく大臣とも相談いたしまして、何かの形を作って漁民の安心の得られるような方向へ進めるように、政府といたしましても努力いたしたいと存じます。
  50. 清澤俊英

    清澤俊英君 まことに、西村さんたち、非常にたくさんの錯綜した中から質問している形で、整理して参りませんで、抜いて参りましたので、資料等の抽出にも困難したようなことで、質問が非常に無理だったと思うのですが、いずれ沿岸漁業法も出ましょうから、その際あといろいろお伺することにして、きょうはこれでやめますが、ぜひ委員長からこれが終わりましたらちょっと休憩していただいて、そうしてこの決議を理事会で相談していただきたいと思います。
  51. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 この法案は全くしろうとで愚問だと思うのですが、一つあまり勉強もしない質問ですからお教えを願いたいと思いますが、調整組合というものを今後作るということになりますと、その調整組合というものは、一業種について一組合ということになるだろう。その指定漁業というものは、その業種というものはサンマ、それからイカ、アジ、サバだろうと思いますが、これは系統的に一指定業種ごとに一組合ずつ全国的に作るわけですか。
  52. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) これは法律の一条でございますか、この「指定漁業」というのは「一定の海域において多獲性の水産物の採捕を目的とする漁業で、」そこにあります要件を備えておるもの、こういうことでございます。具体的にいずれ政令で指定することになっておりますが、政令の指定は、サンマにつきましては、千葉県以北の太平洋におけるサンマ漁業、これは一本でございます。それから青森県沖合いの太平洋におけるイカつり漁業、それから鳥取県及び島根県の日本海におけるアジ、サバ巻き綱、山口県以西の日本海、黄海、支那海におけるアジ、サバ巻網、千葉県以北のアジ、サバ巻き網、こういうものを今想像いたしております。
  53. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 わかりました。これが調整をされて、調整組合を作って、その組合員はその基金の利用をはかっていくわけです。それで同じ時期に多数多獲されたものの価格を安定しようというわけですが、こういう調整組合ができて、そうして価格調整をする、そうして一部のものは陸揚げをしないで生産費に引き合いにかかるようにしよう、もし生産費に引き合いにかからなければ、一部犠牲者といいますか、不利益者が出てくるわけですが、その不利益者には金で補いをつけてやろう、こういうのだろうと思うのですが、それは独占禁止には触れませんか。
  54. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) これはこの法案の立案にあたりましては、公正取引委員会とも十分協議をいたしまして、この組合の活動が、この何条でございますか、不公正な取引方法を用いる場合以外は独占禁止に触れない。こういうことになっております。
  55. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 どうもその辺が法律規定してあって、公正取引委員会がそれを認定をして独占禁止法に触れないということのようですが、それは独占禁止法というもの自体が優先するのであって、将来そういうことがないということならそれでもいいのでありますが、その点はそれじゃそれでもうよろしゅうございます。  それからもう一つ伺いたいと思いますのは、このサンマ、スルメ、アジというようなもののようですが、三十六年度から基金の活用に対処のできるものはサンマかすということのようですが、将来は今言う全指定漁業に適用するように業務の拡大をしていこう、こういうことだろうと思います。そういうふうに理解をいたしての質問なのでありますが、一部の漁業者不利益を与えられて、これはうまくいかないと大へん問題が起こるのではないかと私は思うのですが、先の船が相当の漁獲物を積んで帰ったこの市場、この地方では満度にきている。あなたの方は一つ調整金というのですか、何というのですか、それを交付してやるから、もう陸揚げするに及ばぬという価格の認定等が相当私はめんどうなものが起こってくるのではなかろうかというように思いますことが第一点。  それからこの運用に対して一億六千万円の国あるいは都道府県それぞれの組合、そういうものから一定の割合をもって出資をしたものが基金を構成することのようでありますが、その一億六千万円の運用益でこの調整資金に充てよう、こういうのですが、どうも大へん金額が小さいように思うのですが、今のサンマかすだけならば、これの利率を幾らにして運用金額というものがどのくらいになる予定でおいでになりましょうか、伺いたいと思います。
  56. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 第一の御質問の点につきましては、この漁業生産調整組合、これはあくまで漁業者の自主的な組織活動によって調整をやっていく、こういうことでございますので、この調整組合調整規程のきめ方等に、その辺は相当慎重を要するであろう。従いましてその点につきまして調整規程農林大臣が認可をする。しかも、農林大臣が認可をするに際しましては、公正取引委員会に協議をする、こういうことになっております。  それから第二の点につきまして、今後さしあたりこの魚価安定基金というものの運用益をもってやっていくのはサンマでございますけれども、将来におきまして、あるいはほかのアジ、サバ巻き網というようなものについては、それぞれ違った調整方式なり、これはサンマだけをかすという格好で保管する。従ってそれについて今後発展的にものを考えて参りたい、こういうふうに思っております。  それから運用益は大体七分としまして千百二十万円、こういうことになるわけでございますが、大体三年に二回支出するということで、これは運用益をもっておおむねサンマかす十万俵程度を調整保管できる。総生産量八十俵でございますからおおむね相当豊漁のとき、これで十分足りるのではないか、もちろんこのほかの業種についてやる場合はまた別の考え方、それからなお原資も場合によってはふえることになっております。特にある年、非常に多い場合原資もふえる、こういうことになっております。
  57. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 そうすると、他の魚種にこれが及ぶ場合には原資の増額をする、が、今は当面サンマかすの対象としての金額である、こういうふうに了解をするわけでありますが、そこで一定の金頭以上の、これは豊漁というような、全く水ものですから、借入金等が必要になった場合に、借入金については金融機関から借り入れられることになっておるようでありますが、それは農林大臣の認可を、承認を経なければならぬというように了解をいたしておるのですが、そうでございますか、もしそうだとするならば、そういう非常に足の早い鮮魚というものに対しての取り扱いが、資金構成というものが大臣の承認を経なければ融通ができないということは、大へん困ることになると思うのですが、その点はどうお考えになりますか。
  58. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 三十六条によりまして、基金は農林大臣の認可を受けて一時借り入れをする、一時そのときのランディングの資金にする、今のような、御質問のような点は、われわれとしましてそういうことのないように迅速にやっていきたい、こういうふうに考えております。
  59. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 そういうことのないようにと言っても、それは言葉の上ではそうなんですよ、長官。ところが足の早いなま魚を積んで帰ってそうして調整金を渡さなければ、これは陸揚げをして調整をされるのだという対象になった零細漁業なんというものは、全く困ったものなんですよ。それで金はいずれ農林大臣の認可を経て払いますとか、そういうような考え方自体が私は大へん弱い、理想的にはできているようだけれども大へん弱いと思うのです。その点についてはなお一そうの研究をして、すみやかにその需要に応ぜられるよう行政しの処置をとられるように私は要望をここでしておきます。委員長、まだ続いてあります。それは、今要望ですから、もう答え要りません。答え聞いても適当にやるということでしょうから、そんなことは何回聞いても同じことで、聞く必要はない。  そこで私はこういうふうなことを思うのです。それはちょっとこの問題から離れるかもしれませんが、沿岸漁業振興法というものをお出しになる、こういうことを聞くのですが、まことにけっこうなことだと思うのです。農業基本法のようにそういう法案をお出しになって零細漁民を救済しようとされることは、まことにけっこうだと思うのですが、これは農業でも言えることなんです。基本法ができても、あるいは沿岸振興法ができても、それではなかなか救済されないと私は思うのです。非常にむずかしい問題だと思っております。どういうことができるか知りませんが、いずれできたときにそれに対する意見を申し上げることにいたしまして、ともあれそれで急がれることはけっこうだと思います。ぜひ一つ御提出を願いたい。  そこで私はこれから笑われる話といいますか、話にならない話をして、私の考え方を一つ御提案を申し上げて御研究を願いたいと思うことがあります。それは最近沿岸漁業者が大へん一本釣りというか、遊覧釣りといいますか、遊び釣りといいますか、そういうような一つのレクリエーション、あるいはスポーツの形においてのが、だんだんとレジャー・ブームというのですか、だんだんと広く津々浦々にそういうような業者がふえてくる。そこで釣れなければ釣る人もおもしろくないのですよ。そこで釣れるようにするということには、やはり魚族というものが豊富でたければならぬということがまず一つ言えると思うのです。そこで漁業権というものがあってなかなかむずかしい問題だとは思うんだが、たとえば東京湾、あるいは瀬戸内海等、そういうところでこまかい目の網を使って、海のギャングみたいな形で漁業をやむなくしている人たちに、将来一定の融資をすることにおいて、あるいは五馬力、十馬力程度のモーターをつけて、そしてえさをつけ、いろいろな遊覧施設にマッチするような形でそういうものを助成して、一方今まで許可をしておる業種というものをとめて、そして、その今やっている業者をそういう方向へ転換せしめるようなことが必要ではないか。たとえば、私は瀬戸内海に近いところにいるんですからよく知っております。私も釣りが好きでよく釣りに参りますので知っておりますが、今度夢のかけ橋とかいわれる、たとえば神戸から高松に参りますか、あるいは小豆島を通りますか、あるいは徳島へ上がりますか別といたしまして、これに橋だとか鉄道とかかかることはもう調査し、すでに二年も続けられておりますので、実現は確実にできると私は了承いたしております。またただいま設計費がついて盛んに研究をいたしておりますが、愛媛県の今治から尾道ないし三原、糸崎方面に橋をかけて参るわけでありますが、あの多島海であります瀬戸内海、たとえば東京湾というようなところの風景が私は将来一変すると思うのですが、そういうようなことを利用して釣堀というと大へん、公海を釣堀に指定するということはどうかと思うのだが、そういう方面で生活の安定ができて、これ以上にその業者をふやさないということで、何かそういう方面で零細沿岸漁民を救済する方法があるのではなかろうかと私は思う。私の所は小さい町でありますが、三百八十戸ほどの漁業家がありますが、そのうち特殊な漁業以外は、はえなわでありますとか、あるいは特別イワシ網とかいうようなものを除いたものの一本釣りに似たもの、小さいゆりこぎ舟などは、夏が来ますと、直ちに今いう遊覧船用の船頭に早変わりをするわけです。そうしてそれが引っぱりだこで、夏の間にかせいで冬の生活費用に充てるというのが、大体生活あるいは所得の状態のように私は見受けておる、それが夏の間に、四人ないし五人程度を連れて参りまする人たちからおおむね二千円くらい取るようであります。そういうことを将来私は沿岸漁業の振興として取り入れて考える必要があるというふうに考えるのでありますが、何か研究されたことがありますか、何か急いでおられるようで、簡単でよろしゅうございます。
  60. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) ただいまの堀本委員のおっしゃられることは、決してとっぴではございませんので、現に真剣にそういう意見をやられたことも、特に瀬戸内海についてはございます。私どもとしましても、今成案があるとか、そういうことは申し上げることはできませんが、そういう問題、要は沿岸小漁業者の経済的地位を上げるにはいかにしたらいいかということでいろいろ研究はいたしております。現に明石あたりでは、むしろ観光漁業者漁業組合が踏み切った、あるいは千葉県あたりもそういうことがございます。ただ問題は、千葉県の例によりますと、優秀な漁業者が全部観光漁業者になってしまうというようなところに一つの悩みが出ておるようでございます。私どもはそういう問題も含めまして、いかにすべきかということを真剣に考えていきたい、こう思っております。
  61. 安田敏雄

    安田敏雄君 この前の金曜日、委員長理事会のお打ち合わせもあったのでございますが、従って私はその精神に従ってこの審議につきましては協力するつもりでございます。そこで、質問申し上げたいのは、私は、漁業沿岸漁業の方は全然しろうとでわからないわけでございますけれども、この調整組合の問題については、大体中小企業の各業種別の、かつて調整組合が出たことの経緯からして質問申し上げたいと思うのであります。そこで、第七条と第二条と関連しておるわけでございますけれども、第三条の「漁業を営む個人」、あるいは「漁業を営む漁業協同組合」、「漁業生産組合」、「漁業を営む法人」、こういう四つの部門が「中小漁業者」だという規定になっておって、これが第七条の、組合を構成する要素になっております。その要素としては、三分の二以上ということが規定せられておるようなわけでございますけれども、これは加入する資格としては、たとえば一指定漁区ごとに、先ほど千葉だとか、新潟、鳥取をあげましたが、そういう指定漁区に対しまして、こういう個人の資格、あるいは漁業協同組合の資格、漁業生産組合の資格、あるいはまた、小さいながらも漁業を営む法人の資格、こういうような、多極にわたってそれぞれその一つ調整組合へ加入することができるということになっておるわけですか、その点を……。
  62. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 二条の二項にあります個人、あるいは協同組合、生産組合、あるいは法人は、一定の限度がございます。これはそれぞれ漁業を営む経営体である限り、組合員になれる、こういうことであります。
  63. 安田敏雄

    安田敏雄君 実は、私は、この条文を一通りずっと読んでみますと、非常にあちらこちら疑点が多いわけです。というのは、私どものところの例ですと、中小企業の織物がかつて非常に不況に陥ったときに、こういう調整組合を作らなければいけない、それは、当時の通産省では、任意加入でよろしい、こういうことを言っておったわけなんです。しかし実際には、設立の経緯を見ますというと、ほとんど強制的な形で業者にしいられてくるわけです。そこで組合を作っておるところ比較的年額生産高を上げておるところについては、そのまま了承して調整組合に入れますが、最も弱い、弱小業者においてはそれが入れないということになりますというと、かなり地域的な、法には強制しないと言いながら、強制的な行為でいわゆる強制加入をさせられるというような事態があったわけなんです。しかし問題は、生産を調整する、その調整したことによって、いわゆるその当時の織物業者の収入が上がるのだ、こういうようなことで、実際は入ってみた。みたところが、その後の調整組合の運用というものは、もうほとんど、その地方における、いわゆる中小企業者でありましても、いわゆる業界における支配者がほとんどその調整組合を利用して金融を受けたり、あるいは生産物に対するところのいわゆる利潤を優先的に獲得したりしているという実情があったわけなんです。従って順次、組合員は賦課金を払うことができず、あるいは負担金を納入することができないというような状態で、みずから除名されていくという形が出ておるわけなんです。それで今日では、その調整の機能というものはほとんどなくなってしまっておるというのが今日の中小企業に課せられた調整組合の現状だと思うのです。従って、私は、そういう経験からして、まあその当時、私も、調整組合の設立にも多少の尽力をしてやっておったのですが、結論においてはそういう形になってきてしまった。そしてこの条文を見ておりますというと、ほとんど、当時における中小企業調整組合と、まあ多少違ったところもありますけれども、大体性格を同じにしておるというように判断できるわけです。ですから、そういう意味において、私は、さっき、構成の問題におきまして、いわゆるこういう漁業を営む人たちがこういう雑多な形で、一指定漁区に一つのものを作る、先ほども堀本先生がおっしゃったように、独占禁止法に抵触するのではないか。それは公正取引委員会のいわゆる認可を受けておるからいいのだとは言いながらも、非常にこれは問題が出てくるのではないかということを考えておる。従って、こういう、すべて中小企業といわず、漁業といわず、こういうような弱小業者に対して、いわゆる今後における生産高を上げ、同時に収入を上げるという措置については、私としては政府はもっと抜本的に物事を考えるべきではないかと、こういうように考えておるわけなんです。こういう点について非常に苦い経験を持っておるので、質問にはならぬわけでございますが、そういう角度から、この調整組合発足後において、はたして政府が意図するように、最も低い弱小業者のいわゆる底あげをしていくのだということに、はたして役立つ調整組合ができて運営できるかという自信があるかどうかという点について、これは全般的な問題としてお聞きしたいわけなんです。
  64. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) ただいま商工組合ですか、に関連しましたいろいろな御経験に基づくお話がございましたが、私どもとしましても、この調整組合が一部のボスの支配下に入るというようなことになってはいけないと思っております。その点は厳に戒心すべきことであり、われわれとして最も指導に力を入れるべきであると思います。  それから、なお、この組合は、商工組合と違いまして非出資組合でございまして、経済事業はいたしません。経済事業は漁業協同組合の系統団体でやるという建前にしております。その辺にも商工組合のいわゆる経済事業をするものとは違うニュアンスが出ております。いずれにしましても、われわれとしまして、この調整規程農林大臣が認可する、さらに農林大臣は公正取引委員会に協議するということを、単に形式的でなく、実質的に実効あらしめる。それによって業者の正当な活動による生産調整が行なわれる、こういうように指導したいと思っております。
  65. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連して。今、安田君の質問に私のは逆になるのですが、この六十九条の組合員以外の資格者ですね、この規制を行なわれる場合、これは何ら効力を発しないと思うのです。時期的に、一地区に一どきに集まってくるのです。これはいつだかわからないのです。あらかじめわかるものじゃないのです。これは漁獲の通常性だと思うのです。そこで、組合員だけしか規制しないというか、仲間でない者を規制しないで、妙なことをやられては困るのです。これは契約によって規制しよう、こうなっておる。ところが、これをやる場合のいろいろな規定を見ますと、あるいは公取委員会の意見を聞かなければいかぬとか、総会の決議を経なければならぬとか、そうして農林大臣の許可を受けなければならぬとか、いろいろ錯綜したものが出ております。総会を開くにも、十日前にまず議案を送って総会を開かなければならぬという総会の規定がある。そうしますと、ここに魚がきた、さあ、それからやりましょうといって考えてみましても、議案を作ってやっていては、魚は行ってしまう、こういうような形になるので、実際問題としては、私はこれは規制は間に合わない。そこで、一方では規制するわ、片一方では沖取りか何かをやって冷凍船に載せて運んで、どんどん別の方面の魚の少ない方面に持っていって売りさばいてしまって、あとの祭りだ。私は逆の立場で実は危惧しておるので、これらの点もよくお伺いしようと思ったけれども、実は遠慮しておったわけです。幸い問題が出ましたので、そういう心配はないのですか。今の規定だけを、私なりに条文に従って考えて参りますと、これはほとんど効力がない規制法になっているのではないか、こういうふうに考えられるが、その契約の内容とか、あるいはあらかじめそういう場合を想定した契約を結んでいくとか、こういうようなことが行なわれるのかどうか。
  66. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 今のお話は、調整規程の定め方いかんという問題だろうと思うのです。これはなるほど組合の決議できめますけれども、これはたとえば、サンマにつきましても、漁期はいつで漁場はどこか、これは大体例年わかっております。いつごろの時期になれば気仙沼の沖合いに来るとか、それは漁場の多少の相違はあります。そこで、調整規程をあらかじめ作っておきまして、こういう場合にはこういう休漁日の設定とか、陸揚げ制限、具体的にたとえば何日休漁日ということは理事者に一任するということは十分考えられるわけです。現在サンマにつきましては、サンマ漁業協議会というものに自主的に生産調整等をやらせておりまして、ある程度効果を上げております。端的に申しますと、サンマにつきましては、それに法的裏打ちをする。ただ、員外者というものがあって、自主的だからなかなか徹底しないのだと、従ってこういう生産調整組合を設定すれば十分効果が上がる、こういうふうに言われております。私どもは、今清澤委員の御懸念のようなことのないように、全くこの規程が動かなければ、これは何のためかわかりません。その点は十分気をつけたいと、こう思っております。
  67. 安田敏雄

    安田敏雄君 ただいまの西村さんの答弁で、漁業協同組合だとか漁業生産組合とこの調整組合は違うのだということはよくわかります。生産を調整して、魚価を安定させていくのだと、そして収入を調整組合の加入者に有利に導いていくのだという点は、わかるわけなんです。ところが、たとえば個人の資格でその調整組合に入る、あるいは同じ漁業協同組合でも、その地方に支配力をかなり強めている人たちが入る、そうでない弱小の漁業協同組合も入っていくということになっているわけなんです。そういうもので構成するということになると、私の経験では、ほとんどそういう力のある組合を背景にした者が入りますと、たとえば品物の発注がある、それを受注した場合に、注文を受けた場合に、大てい、さっき清澤さんの質問の中にありましたが、みな紳士のような顔をしておっても、なかなかこすいのだというお話がありましたが、いわゆる自分の基盤となっているその協同組合に、売り先が有利のようにその調整組合の役員が持っていくおそれがある。そういうことは、多くの織物組合やその他の組合、刃物もあるでしょうが、その他のいろいろな業者がありますが、大ていそういうことが行なわれて、今日では調整組合というものが非常に一般の業界から不信感を持って見られておる、そういう経験を私は現実に見ておるわけであります。これもやはり、そういうような方向になるということをおそれるからこそ質問するわけなんです。条文の中には、いろいろな問題について質問したいこともあるわけなのでございますけれども、先ほど北村さんの方からもいろいろなお話もあったし、清澤さんの質問だけで何か終了するのだというようなことも聞いておりますから、これ以上申し上げないわけでございますけれども、特にこの調整組合の運用については、私は下からの人たちを生かしていく、この人たちの利益に奉仕するのだというような方向において調整組合が運営されるようにお願いしたいと思うわけなんです。そこで問題は、第十七条に検査員の問題があるわけです。今まで調整組合に来た検査員なんというのは、これはもう何の役もしていない、ほとんど組合の役員と宴会をやって、そうして検査したごとくになっているのが通例です。だから、検査員に対する給与であるとか、資格であるとか、そういういろいろな問題があると思うが、調整組合を作って、資本主義経済の中でそれをうまく調整していくには、この検査員がほんとうにどういう立場で機能を発揮するかということが、私は非常に重大な要素ともなろうかと思うわけであります。こういう点についても、特にそれが強制的な行為を発揮しないような形において、いわば民主的ということがありますが、内容のある民主的な行為ができ得るような検査活動というものが大切ではないかと、こういうように考えているわけでございまするので、こういう点についても特に一つ御留意願いたいと思うわけであります。
  68. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) ただいま御指摘の点につきましては、われわれの方としましても、そういう組合の運営がごく少数のためのものになるようなことのないように、あるいは検査員につきましても、これが公正な、しかもよい意味の民主的な運営のもとに職務が実施できるように十分指導して参りたいと、こういうふうに考えております。
  69. 東隆

    東隆君 先ほど長官のお話で、系統の漁業組合が一番中心になるようなお話でありますけれども、第二条の中小漁業者の定義を見ますと、漁業を営む個人漁業を営む漁業協同組合漁業生産組合漁業を営む法人、こういうように並べてみますと、系統漁業協同組合、主として沿岸漁業協同組合ですね、これはかえって中心にならぬのではないか、こんなような気がするのですが、そうじゃないですか。私は、かえって特殊漁業協同組合のようなものが中心になるおそれもあるし、それから株式会社とまでいかなくても、相当でっかいのが中に入っていくのではないか。そうすると、出資の面は、協同組合関係が出資をして、そうして結局利益を享受する面は、そっちの方に行かないのではないか、こんなような気がするのですが、その辺はどういうふうにお考えですか。
  70. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私の御説明があるいは足らなかったかと思いますが、この調整組合は経済活動をしないということを申し上げたわけです。経済活動は、そこの市場なり、あるいは協同組合かす調整、保管というようなことになりますと、あるいは加工業者もしくは漁業者の系統団体において調整、保管をする、こういうことを申し上げたわけであります。調整組合は、実は調整組合を立案するに際しまして、経済事業まであわせて行なわせるという意見も強かったわけでありますが、これはなかなか問題がありまして、協同組合との関係がございます。これは漁業生産調整のためのみの組合である。従って、非出資であり、経済事業は行なわせない、こういうことを申し上げたわけであります。
  71. 仲原善一

    ○仲原善一君 組合の構成の問題について一つだけお伺いいたします。先ほど堀本委員の御質問の際に、政令によって、千葉沖であるとか、山陰沖であるとか、そういうふうに業種別に研究をされるようなお話でございましたが、その場合に、具体的な例をとって御質問申し上げてみますが、山陰沖のまき網漁業、これについては、鳥取、島根、山口、福岡、長崎と、これだけの県が関係しております。これを許可される、あるいは設立される場合に、各県の知事の意向も何か聞くように、八十二条ですか、なっておりますが、これはほかの業種にも非常に影響のある問題になろうかと考えます。そういう場合に、各県知事の意向を必ず聞かれる。ところが、必ずしも各県知事の意見が一致しないことが予想されるわけであります。そういう場合に、水産庁としてどういうような考え方でこれは進めていかれるのか、多少具体的な問題になりますけれども、お伺いします。
  72. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) ただいま仲原委員の御質問の御懸念の点は、むしろ漁業調整の点がからんでいると思います。しかしこれは漁業調整ではございませんで、生産調整でございます。これは同じ漁場において同じ漁法によって同じ魚種を取っているというものでありますから、生産者相互になる漁業調整とは違いまして、知事ごとで意見の対立ということはむしろ予想されないわけでございます。なお、この政令で指定する場合におきましても、これは中央漁業審議会に諮問いたしまして、あるいは実際問題として各県知事の意向も十分聞きまして遺憾なきを期したい。現実にはそういう反対の意見は一つも出ておりません。
  73. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまの御説明で大体わかりましたが、ただ、その具体的の問題になりますと、ほかの業種の漁業者との関連が出てきたり、あるいは先ほど東委員からお話のありました漁業協同組合との関係も出てきたり、必ずしも沿海の人全部の人が同じ意見でスムースにこの調整ができるかどうか。その点に多少懸念があるわけでございますので、その点、質問したわけでございますけれども、まあその点は水産庁において、中央のいろいろな諮問機関もあるようで、そういうところにも聞いてきめるというお話のようでございますからよろしゅうございますが、ただ、組合員法律にもあります通りに加入、脱退が自由なわけでございまして、そういう場合に、脱退が自由である、あるいは加入が自由であるということで、組合員以外のいわゆるアウトサイダーの規制の問題が残ってくるわけですけれども、これはこの法律の中に、よく詳しく勉強しておりませんけれども、アウトサイダーの規制が十分でありますのか。それと、先ほどの公取引委との関係の問題、その辺でその統制がくずれるような心配はないのか。アウトサイダーの問題とその辺の見通しをちょっと御説明願います。
  74. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) このアウトサイダーにつきましては、六十九条に規制命令を付することになっております。アウトサイダーに対しても同じ調整規程に従うことを命ずる、こういうことになっております。
  75. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。  それではこれより両案の討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もなければ、討論は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず漁価安定基金法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成のお方の挙手を願います。   「賛成者挙手」
  78. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 多数でございます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、漁業生産調整組合法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  79. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 多数でございます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案についての本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 御異議ないものと認めます。よってさよう決定いたしました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  81. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記をつけて。  それでは暫時休憩いたします。午後二時から再開いたします。    午後一時四分休憩   —————————————    午後二時二十三分開会
  82. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 委員会を再開いたします。  この際、委員異動について報告いたします。  本日、戸叶武君が辞任され、その補欠として阿部竹松君が選任されました。   —————————————
  83. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 農林中央金庫法の一部を改正する法律案(閣法第二〇三号、予備審査)を議題といたします。まず、本案提案理由の説明並びに補足説明を求めます。
  84. 井原岸高

    政府委員(井原岸高君) ただいま提案になりました農林中央金庫法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように、農林中央金庫は、大正十二年産業組合中央金庫として設立されて以来、三十有余年農林水産関係各団体の中央金融機関としての役割を果たして参ったのでありますが、最近における組合系統資金の充実により、昭和三十四年七月に、それまで金庫に対して行なわれていた総額二十億円にしる政府の優先出資が全額償還され、現在金庫の出資は民間出資のみによって構成されている次第であります。  農業の近代化を進めて参ります場合に、これが資金として、農林漁業金融公庫等の政府資金による融資を拡充していく必要があることはもちろんでありますが、組合系統資金の積極的活用をはかることがきわめて大切な問題であることは御承知通りであります。これがためには、組合系統金融組織の整備拡充と活発な活動が必要と思うのでありますが、特に金庫につきましても、構成団体との間に相互信頼に基づいた有機的結合を深め、真に農林金融の中枢機関としてその機能を充分に発揮できるよう、その体制を整備する必要が痛感されるのであります。  以上の事情に基づきまして、従来、金庫の役員が政府任命でありましたものを、出資者総会による選任に改めるほか、事業に対する監督規定を整備する等、所要の改正を行なおうとするものであります。  次に、この法律案のおもな内容を御説明申し上げます。  第一は、役員の主務大臣任命制を廃止いたしまして、理事上長及び監事は出資者総会で選任することとし、副理事長及び理事理事長が任命することとする等、金庫の役員に関する規定の改正を行なうことであります。  第二は、金庫の業務の重要性にかんがみ、業務の運営に関する重要事項を審議するため、理事長の諮問機関として、主務大臣の認可を受けて理事長が委嘱する審議委員制度を新たに設置し、従来の評議員の制度を廃止することとしたことであります。  第三は、農林中央金庫監理官を廃止すること並びに主務大臣の監督に関する規定及び罰則その他条文の整備を行なうことであります。  これは役員選任方法の改正と関連いたしまして、事業面における監督を強化し、金庫の業務の運営及び財産の管理の適正を期する必要がありますので、これらの点につきまして主務大臣が予防的あるいは補正的な指導監督等を行ない得るよう、主務大臣の監督に関する規定及び罰則を整備いたすこととし、これに伴い従来の農林中央金庫監理官を廃止することといたしたのであります。  以上が、この法律案を提案する理由及びそのおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さらんことを御願いいたす次第でございます。
  85. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) それでは、ただいま農林中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして提案理由の説明があったのでございますが、それにつきまして補足して御説明を申し上げたいと思います。  この法律案は、ただいま御説明申し上げましたように、農林中央金庫と構成団体との関係を一そう緊密なものにいたしまして、真に農林金融の中枢機関としての機能を円滑に遂行することができますよう、その組織の整備をはかることを目的として、農林中央金庫法の一部を改正しようとするものであります。その内容の第一点は、役員に関する規定の改正であります。  そのうちの第一は、役員の定数に関する第九条の規定を改正いたしまして、監事の定数を三人以上から二人以上とすることでございます。これは、現在金庫の監事三名のうち一名が非常勤でありまして、常勤しておりますのは二名でありますが、今次の改正以後は、常勤役員のみによって業務に専念させる体制をとることが適当と考えられますので、現在の常勤監事の定数である二名に合わせるよう二名以上と改正をいたしたのであります。  第二は、役員の選任方法及び任期に関する第十一条の規定の改正でございます。  その第一は、役員の主務大臣による任命制を廃止いたしまして、現在は役員は全部が主務大臣の任命でございますが、この制度を廃止いたしまして、理事長及び監事は、出資者総会で選任をし、副理事長及び理事理事長が任命する、こういうことといたしたわけでございます。これは、役員を構成団体がみずからの意思と責任によって選任することによって金庫と構成団体の結合を一そう緊密化し、それを通じて金庫の業務が一層円滑に行なわれることを期待している次第であります。これは長い間の懸案の問題でございまして、いわゆる農林中金の民主化という問題になっておるところでございます。具体的な選任の方法につきましては、主務大臣の認可を必要とする定款に規定せしめることとして、その適正を確保することといたしております。これは実際問題といたしましては、農林中金の定款におきまして管理委員会という組織を作りまして、その管理委員会が大体役員の選任についての下相談をするといいますか、打ち合わせ、相談をいたしまして、それが何といいますか、役員選任についての実質的な相談をいたしまする機関にしよう、こういう考え方をとって、そういうふうに定款を直していこうと、こういう考え方で現在おるわけでございます。  その第二は、理事長、副理事長及び理事の任期を一年短縮して四年としたことであります。  金庫の業務運営に構成団体の意思が正しく反映されるようにするためには、選任の機会が多いこと、すなわち任期が比較的短いことが望ましいのでありますが、他方、あまり短くては業務に専念すること及び業務の責任の所在を明確にするという点から適当でありませんので、政府関係金融機関等の例をも参考にいたしまして四年といたしたのであります。  第三点は第十一条の二の規定を新設して役員の兼職を禁止することとしたことであります。  これは役員が他の報酬のある職務または営業に従事しますことは、金庫の業務に専念する上からも、また金庫の業務の公正かつ中立な運営を確保する上からも適当でないと考えられますので、兼職を禁止することとしたのであります。以上が役員に関する規定の改正であります。  この第十一条の二につきましては、別にお配りしてございますように、衆議院の方におきまして、審議の過程でただし書きが修正としてつけられたわけでございます。「但シ主務大臣ノ承認ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ」ということで、政府の原案はこれがついてなかったのでございまするが、こういう規定を入れなければ、たとえば協同組合陣営等から役員になるというような機会が奪われるのではないかと、こういう懸念のもとにこのただし書きをつけるということで全会一致で修正をされておるわけでございます。  それから今回の改正のおもな点の第二は、第十二条の改正により新たに業務運営に関する重要事項につき理事長の諮問に応ずる機関として主務大臣の認可を受けて理事長が委嘱する審議委員制度を設け、従来の評議員の制度を廃止することとしたことであります。なお、審議委員の定数は十名以内、その任期は四年以内とすることといたしております。  これは、金庫の業務の重要性にかんがみ、広い視野に立つた公正妥当な意見を金庫の業務に反映せしめ、金庫の業務の適正を確保するために、従来の評議員にかわり、審議委員制度を設けるための改正であります。これはどちらかといえば、考え方といたしましては、人間のつながりにおきましては、完全に民主化をいたしまして、民選にいたしまして、しかし仕事の内容につきましては、今後いろいろ農業の近代化を進めていくというような場合におきましても、ますます政府といろいろ密接な関係を持たなければならない面もございますので、この審議委員と申しまするのは、例をあげますると、日銀の政策委員というような感覚のものでございまして、そこで金庫の運営についての重要事項等を審議をして、運営の問題の研究に、運営に参画してもらうと、こういうことでございまするところから、政府の原案としては主務大臣の認可にかけておりましたわけでございまするが、衆議院の方におきまして主務大臣の認可を受けるということを修正で削られましたわけでございます。  それから第三は、主務大臣の監督に関する規定の整備を行なうことであります。役員の主務大臣任命制を廃止することによって、この面からの監督は行なわれなくなりますが、農林金融の中枢機関としての金庫の地位、役割の重要性にかんがみまして、主務大臣が予防的または補正的な指導監督を行なっていく必要がありますので、他の金融機関の例を参照の上、主務大臣の監督に関する規定を整備することといたしました。すなわち第二十八条及び第二十九条の規定の改正によりまして、それぞれ金庫の業務及び財産の状況の報告並びに検査の規定を整備するとともに、従来主務大臣のもとにあって金庫の業務の監視の任にありました農林中央金庫監理官について規定しておりました第三十一条及び第三十二条の規定を改正して監理官の制度を廃止し、新に主務大臣の監督命令に関する規定(第三十一条)及び金庫が法令定款または主務大臣の命令に違反した場合、主務大臣は金庫の業務の停止または役員の改任を命じ得る旨の規定を設け(第三十二条)監督に関する規定の整備をはかった次第であります。  第四は、罰則その他条文が現状に適さない点がございますので、その整備を行なうこととしたことであります。  以上が大体今度の改正の、内部の改正につきましての内容でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
  86. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 以上で提案の理由の説明並びに補足説明を終わりました。   —————————————
  87. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 次に、農業近代化資金助成法案閣法第一〇八号)農業信用基金協会法案閣法第一一一号)以上いずれも予備審査の二案を一括議題といたします。  両案につきましては、去る三月九日、提案の理由の説明を聴取いたしておりますので、合わせて両案の補足説明を求めます。坂村農林経済局長
  88. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) それでは先に農業近代化資金助成法案説明を申し上げます。  この法律案は、農業者等の資本装備の高度化と農業経営の近代化に資するため、最近充実を示して参りました農協等の組合系統資金を積極的に活用し、農業者等の生産施設の整備をはかることを目的として創設されます農業近代化資金融通制度の根拠となるものでありまして、昭和三十六年度におきましては、この制度により年七分五厘以内の金利で三百億円の融資を行なうことを予定いたしておりますが、以下この法律案の内容につきまして御説明を申し上げます。  第一条は、この法律目的について規定いたしております。すなわち、第一条は、農業者等に対し、農業協同組合、農業協同組合連合会等の融資機関が農業生産施設等のための長期低利の資金を貸し付けることを円滑にするため、都道府県が融資機関に対して行なう利子補給等の助成措置に対して国が助成を行なうことにより、農業者等の資本装備の高度化と農業経営の近代化に資することを、この法律目的とする旨を規定いたしております。  第二条は、農業近代化資金を借り入れることができます農業者等、融資機関及び農業近代化資金ということを定義いたしております。  第一項は、国の助成の対象となります農業近代化資金を借り入れることのできます農業者等というのは、第一号で農業、この場合には、農業には畜産業及び養蚕業を含むものといたしておりまするけれども、農業を営む者でありまして、農業を営む者が第一号でございます。で、この場合におきましては、現在提案いたしております農業協同組合法の改正等におきまして、農業生産協同組合というようなものができました場合においては、当然この農業者という考え方で、これに含めるという考え方をとっておりましたわけでございます。第二号は、農業協同組合であり、第三号は、農業協同組合連合会であります。第四号は、第一号から第三号までの、すなわち農業者及び農業協同組合等の構成員または出資者となっている法人として農業共済組合、同連合会等を政令で指定する予定でございます。  第二項は、農業近代化資金を貸し付ける融資機関を規定いたしておりますが、個人施設については貸付事業を行なう農業協同組合中心に、しかし不振単協等で貸し付けられない場合もございますので、そういう場合の農業者、あるいは投資規模が非常に大きい場合等には信連等が直接貸付をする、こういうことを認めることといたしておりまして、共同利用施設につきましては、信連、共済連及び農林中央金庫、こういうことにいたしております。  第三項は、国の助成の対象となる農業近代化資金の内容を規定いたしております。これは、農業者等の資本装備の高度化及び経営の近代化に資するため、さきに申し上げました融資機関が年七分五厘以内、償還期限、原則として十年以内、据置期間三年以内の条件で農業者等に貸し付ける施設資金でございまして、その細目については政令によりきめることといたしておりますが、これにつきましては、衆議院の委員会におきまして、お配りしてございますように、十年以内というのを、十五年以内ということに修正を受けておるわけでございます。従いまして政令におきましても十五年以内で、その施設の償還期限等に応じまして規定をいたしたいというように考えております。  貸付限度につきましては、一般の農業者にありましては二百万円以内、農業生産法人等、いわゆる法人につきましては一千万円以内、農業協同組合等にありましては、原則として五千万円以内、この場合特別の理由がある場合におきましては、農林大臣が承認したときは、五千万円をこえて、その承認をした金額というふうに考えておりまして、協同組合の場合におきましては五千万円以上の貸付ができる、こういう考え方をいたしております。細目についてはこれも政令できめる、こういうふうなことになっておるのでございます。  第三条は、このような内容の農業近代化資金に対して行われますところの都道府県の利子補給に対する政府の助成についての規定でございまして、この利子、補給、補助は、農業近代化資金を貸し付ける融資機関と都道府県との契約によります都道府県が利子補給を行なうに要する経費の全部または一部を国が補助する、こういうことになっておりまして、補助率は政令できめるということになっておりますが、一般には二分の一という考え方でございまして、従来有畜農家創設資金につきましては、これを全額補助いたしておるのでございまして、これを今までと比べて不利にするということもございませんので、有畜農家の創設資金を引き継ぎましたいわゆる家畜導入の分につきましては十分の十、こういう考え方で政令できめたいというふうに考えております。  なお、この政府の行ないます利子補給の補助の財源といたしましては、農業近代化助成資金を一般会計に設けまして、その運用益をもって充てることといたしております。別途農業近代化助成資金の設置に関する法律案を提案いたして、これは大蔵委員会で審議いたしております、三十六年度には三十億円の基金を設置をいたしまして、三十億円の基金を一般会計から繰り入れるということになっております。  第四条は、農業信用基金協会の制度に関する規定でございまして、なおこの農業信用基金協会につきましては、こまかいことにつきましては、別の法案があるのでありますが、近代化資金の中にも一部規定をいたしておるわけでございます。  第一項は、農業者等に対する農業近代化資金の融通を円滑にするため、農業近代化資金にかかる農業者等の債務を保証することをその業務とする農業信用基金協会の制度を設ける。こういう趣旨規定でございます。  第二項は、農業信用基金協会に関しては、農業信用基金協会法の定めるところによる旨の規定でございまして、これにつきましては、別にあとから御説明申し上げます。  第五条は、新たに各都道府県に設立されます農業信用基金協会に対する政府の助成に関する規定でございます。  この農業信用基金協会は、農業近代化資金にかかる債務保証とそれ以外の農業者等が借り入れる一般資金にかかる債務保証の双方の業務ができることといたしておりますが、前者つまり農業近代化資金の債務保証に充てるための基金として、都道府県が農業信用基金協会に対して出資を行なうに必要な経費の一部を国が補助するものでございまして、補助率は政令できめることにたっております。これは二分の一ということで、政令できめたいというふうに考えております。すなわち、従来各県におきまして債務保証協会がございまして、いわゆる農業近代化資金というものでない、その他の一般の融資についての債務等もやっておるのでございまするので、その分も引き継ぎましで、そういう一般の債務保証と、農業近代化資金に対する債務保証と、両方の仕事を信用基金協会には持たせよう、こういう考え方でございます。第六条は、納付金に関する規定でございまして、第五条の規定によりまして、政府の補助を受けて都道府県が出資した農業信用基金協会が解散をいたしました場合には、その都道府県に分配されました残余財産の領の一部を、また農業近代化資金にかかる債務の保証の業務を廃止した場合には、農業近代化資金にかかる債務の弁済に充てるための基金の領と、農業近代化資金にかかる債務の弁済によって取得した求償権の行使によって、その後に取得した金額との合計額の一部を、それぞれ政府から補助を受けた割合に応じて、都道府県から政府に納付しなければならないことといたしておりますが、納付金額の算出方法等具体的な事項につきましては、必要が生じました場合に政令できめる。こういうことになっております。いわゆる信用基金協会が解散したとか、あるいは事業を廃止した場合の残有財産の整理の問題でございまして、その場合に余ったものを、補助金を受けた率に応じて国庫に納付する。こういう内容のものでございます。  以上が、この法案の内容のおもな点でございますが、附則におきまして、関係法律規定に所要の整備をいたすこととしております。すなわち、有畜農家創設資金および農業改良資金制度のうち、施設資金がこの制度に統合されるのに伴いまして、有畜農家創設特別措置法の廃止と、農業改良資金助成法の一部改正を行ないますとともに、これに伴う経過措置を整備いたすこととしておりますほか、農業倉庫に対する不動産取得税の課税に際し、農業近代化資金についても、農林公庫資金と同様に、これを課税標準より控除する取り扱いをするよう地方税法の改正を行ないますこと等がそのおもな内容でございます。  以上が農業近代化資金助成法案につきましての内容でございます。   —————————————  次に農業信用基金協会法案の内容について御説明を申し上げます。  この法案は、先ほど申し上げましたように、農業近代化資金を貸し出す場合におきまして、債務の保証をするために、農業信用基金協会を各県に作る。こういう考え方の法案でございます。  この法案は、総則、業務、会員、設立、管理、解散及び清算、監督及び罰則の八章並びに附則からなっておりますが、以下各章について簡単に御説明いたします。  第一章は、総則でございまして、第一条に、この法律目的として、農業経営に必要な資金の融通を円滑にするため、農業協同組合等の融資機関の農業者等に対する貸付についてその債務を保証することを業務とする農業信用基金協会の制度を確立し、もって農業の生産性の向上と、農業経営の改善に資する旨を規定いたしております。  第二条には、この協会の構成員となり、また被保証者となり得る農業者等の定義及び融資機関の定義を掲げております。  第一号の農業を営む者には、農業生産協同組合——今もしかりに、現在の農業協同組合法が通りますれば、そこに規定してあります農業生産協同組合等の農業生産法人を含むことは、農業近代化資金助成法案と同様でありますが、農業に従事する者を加えましたのは、主として農家の家族従事者の生活資金等につきましても保証の対象とする必要があるからであります。第四号の政令で定める法人といいますのは、農業共済組合とか、土地改良区、農業協同組合中央会というものが、今までの各県の債務保証協会でも保証の対象になっておりましたので、そういうようなものも今度取り入れたいというふうに考えております。融資機関といたしましては、貸付事業を営む農協、これには開拓農協とか、酪農協とか、こういう特殊農協も含まれます。信連、共済連、農林中金のほか、銀行等の一般金融機関につきましても、政令で指定できることといたしております。このほか、この協会の法人格、その他総則として必要な事項につきまして、第三条から第七条までに規定いたしております。  第二章は、この協会の業務について規定いたしております。この協会の業務は、第八条に規定しておりますように、大別いたしますと、農業近代化資金に関する債務の保証と、その他一般の事業または生活に必要な資金に関する債務の保証とに分れております。この場合、会員たる農業者等の負担する債務の保証を行うわけでありますが、農業協同組合が会員でありますときは、その組合員は会員と同様に取り扱うように規定いたしておりますので、特別の場合を除きまして農業者が直接加入する必要はないということとなっております。この業務のうち農業近代化資金に係る債務の保証額は三十六年度末において二百億円をこえるという見当をつけております。このほか、この二つの業務に付帯する業務といたしましては、被保証者についての指導その他この協会の目的達成に寄与する業務をも行ない得ることといたしております。  次に第九条におきましては保証業務を行なうための基金について規定いたしております。すなわち、協会は、以上の保証業務を行ないます基金として、出資金、準備金からの繰入金、保証債務の弁済に充てることを条件として交付される金銭及び求償権の行使によって取得した金銭を安全、確実に管理することが要求されるわけでありますが、その運用対象といたしましては、信連、農林中金または銀行への預金、金銭信託、国債証券、地方債証券、その他主務大臣が安全、確実であり、しかもなるべく有利な運用が可能と認めて指定する有価証券に限られることとなっております。このほか、第十条におきまして毎年度の剰余金は全額を準備金として積み立てなければならないこととするとともに、この準備金は、欠損のてん補にあてるか、または基金に繰り入れる場合のほかは取りくずしてはならないということにいたしております。  次に、この債務の保証の事業には農業近代化資金にかかるものと、一般の事業または生活に必要な資金にかかるものとがあり、そのうち国の助成措置の対象になりますのは、農業近代化資金にかかるものだけでございますので、その助成措置の実効を期しますため、第十一条において農業近代化資金にかかる債務の保証の業務をそれ以外の業務と区分して経理しなければならない、こういう経理の内容の区分についての規定をいたしております。  農業信用基金協会は、今述べて参りましたような業務を行なうわけでありますが、その実行にあたりましては、信用調査、債権管理等に関して融資機関の機構、能力、経験等を利用することが便利でありますため、第十三条におきまして債務の保証の決定を除き、その業務の一部を融資機関に委託して行なわせることができることとしております。なお、第十二条は事業年度に関する規定でございます。  第三章は、この協会を構成します会員についての規定でございます。  まず第十四条におきまして会員の資格について規定いたしております。すなわち、農業信用基金協会の会員たる資格を有します者は、各都道府県の区域に従って、その協会の区域内に住所を有する農業者等のほか、都道府県及び市町村となっております。  特に都道府県、市町村につきましては、協会の会員になろうとするときは、その議会の議決を経なければならないということにいたしておりまして、その住民の意思による自主的な加入を期待しているのでございます。  次に、会員の出資につきましては、協会の業務の性格上、その財政的基盤の充実は不可欠の要請でもありますので第十五条におきまして、会員は、出資一口以上を持たなければならないものとしております。第十六条におきましては持ち分の譲渡について規定し、第十七条におきまして議決権についての規定をいたしておりますが、出資一口につき、一個の議決権を有するものといたしております。  またこの趣旨はいわゆる債務保証協会というようなものを考えまする場合に、財団的な組織にするか、あるいは社団的な組織にするかということは非常に問題でございますけれども、一応やはり基金というものを中心にいたしまして運用する団体でございまするので、どちらかといえば、財団的な性格が強いと思うのでございます。現在各県にありまするところの債務保証協会は大体財団法人でございます。二十八ほどございますけれども財団法人でございます。しかしいろいろこの運営の問題、それから今後ますます近代化資金が増ワクとしていかなければならないという情勢にありまして、基金の増資という問題が将来の問題として非常に大きな問題であろうと思うのでございまして、そういう意味からいいますと、むしろ組織としては社団の組織にしておくことがいいのじゃないかというようなことから、社団という性格を持ちまして、内容につきましては出資の一口について一個の議決権を持つという財団的な性格を付与した団体というふうに考えたわけでございまするが、この点につきましてはいろいろ衆議院の委員会におきましても御意見がございまして、お配りしてあります修正案のように、会員は各一個及び出資一口につき一個の議決権を有する、こういう工合に修正を受けております。と申しまするのは、たとえば出資一口につき一個の議決権と申しますると、大体県が半分を持つわけでございます。国の補助金と合わせまして県の出資が半分を持つわけでございまするから、そういう意味で債務保証協会の運営が県によっていつでも支配されてしまう、こういうことになるのでございまして、これはおもしろくないんじゃないかということからいたしまして、ここにいろいろ検討をいたしまして出資による議決権と、それから各一人一票による議決権と、これを組み合わせました議決権というふうに修正をいたされましたわけでございます。  また、この協会の公共的性格にかんがみまして、第十八条におきまして会員たる資格を有する者が、加入しようとするときは、正当な理由がないのにその加入を拒んではならないこととしておりますほか加入、脱退その他会員の権利義務につき第十八条から第二十二条までにおいて必要な規定を設けております。  第四章は、この協会の設立につきまして規定いたしております。  第二十三条から第二十五条までの規定によりまして協会を設立するには、会員たる資格を有する者で協会の会員になろうとするもの十五人以上が発起人とならなければならないことといたしまして、発起人は、定款及び業務方法書を作成し、事前に公告の上創立総会を開き、その終了後遅滞なく主務大臣に設立の認可の申請をしなければならないこととしております。  第二十六条におきましては、この申請があったときは、主務大臣は、設立手続、申請書等に欠陥がなく、また区域を同じくする他の協会がすでに成立していませんで、かつ、その事業が健全に行なわれ、農業の生産性の向上と農業経営の改善に資すると認められるときは、設立の認可をしなければならないというふうに認可の制限をいたしております。  以上のほか第二十七条におきましては、設立認可があった場合の発起人より理事への事務の引き継ぎ、第二十八条におきましては協会の設立の時期について規定しております。  第五章は、この協会の管理について規定いたしております。  第二十九条におきましては、定款に記載すべき事項、第三十条におきましては、業務方法書に記載すべき事項をそれぞれ規定いたしておりますが、いずれも現在この種の事業を行なっております特殊法人と同様の事項を規定いたしております。次に第三十一条におきまして協会は定款、業務方法書で定めなければならないもののほか、規約を定めることができることとしております。  協会の役員につきましては、第三十二条から第三十六条までに規定しておりますが、理事の定数は五人以上、監事の定数は二人以上といたしており、その選任につきましては、会員、法人たる会員の役員、会員たる地方公共団体の長またはその職員の中から、総会において選任しますほか、農業または金融に関する学識経験者より委嘱することができる、こういう工合にいたしております。  なお、第四十三条及び第四十四条におきまして、それぞれ役員の協会及び第三者に対する責任及び役員に関する民法の準用をいたしております。以上が役員に関する規定でございます。  次に、総会につきましては、第三十七条から第三十九条までの規定により招集の方法を定め、議決事項、特別の議決等につきまして、第四十五条から第四十八条までの規定において同様の特殊法人の例にならって規定しております。  以上のほか、第四十条、第四十一条及び第四十二条におきまして、会員に対する通知または催告の手続、定款その他の書類の備えつけ及び閲覧等につき規定しております。  第六章は、解散及び清算について規定いたしておりますが、第四十九条において総会の議決、破産及び法令等の違反に対する解散命令を協会の解散事由といたしますとともに、解散の決議は、主務大臣の認可を要するものとしますほか、第五十条から第五十三条までにおいて清算事務に関して必要な規定を設けております。  第七章は、監督でございまして、この協会は、債務保証を行なう特殊法人としての公共的性格を持っておりますので、これについての監督を十分にいたすための規定をいたしておるわけでございます。  第八章は、罰則でありますが、他の特殊法人の諸法制に準じて第六十条から第六十二条までにおいて各法条の違反に対しまして、その軽重に応じまして、三万円以下の罰金または過料を科することとして、法の実効性を確保することといたしております。  最後に附則につきましては、第一条において施行期日を定め、第二条におきましては、現在各都道府県においてこの協会の業務と同様の業務を行なっております財団法人たる農業信用基金協会が、その寄付行為の定めるところによりましてその住所のあります都道府県を区域とする新しい農業信用基金協会の発起人に対しまして、当該財団法人の権利及び義務を承継するようにと申し出ることができるものといたしておりまして、この申し出が新協会の創立総会の議決によって承認されたときは、財団法人の権利義務は、新協会成立のときにこの協会に承継されまして、財団法人はそのときにおいて解散するものとし、従来の協会からの業務の引き継ぎの円滑化をはかっておるわけであります。従来の財団法人からの引継ぎの規定でございます。  第三条は名称制限についての経過措置であります。  第四条及び第五条は、従来農業改良資金助成法に基づいて都道府県が行なって参りました農業改良資金の施設資金に対する債務保証業務も、この資金が三十六年度以降農業近代化資金に統合されることとなりました関係上、協会に移管することといたしまして、そのために必要な農業改良資金助成法の改正及び都道府県がすでに実施しております保証業務の引き継ぎのための権利義務の承継に関する規定を設けております。  第六条においては、この協会を農林中央金庫の会員といたしますため、農林中央金庫法を改正するものでありますが、このほか、第七条及び第八条において監督規定を整備するための大蔵、農林両省設置法の改正、第九条においてこの協会の職員の身分を安定させるための農林漁業団体職員共済組合法の一部改正の規定を設けております。  第一条から第十四条までは、協会に対し、開拓融資保証協会等類似の特殊法人と同程度の税法しの優遇措置を講じますため、登録税法、印紙税法、所得税法、法人税法、地方税法について所要の改正を行なうものであります。  以上が大体の内容でございます。  なおこの両法案の審議の際におきまして、衆議院の委員会におきまして附帯決議が議決いたされております。お読みいたしますと、  それで附帯決議の二項でございますが、これは現在七分五厘の末端金利に資するために、国が一分の利子、県が一分の利子を補給して、農業共同組合の末端金利のベースを九分五厘と押えまして、県と国で二分の利子補給をする、国の利子補給を二分以上に引き上げることにするのが一つと、実際の運用の面からいたしましても、末端金利がおおむね五分五厘にするように考えたらどうかという御趣旨のようでございます。この点につきましては、現在いずれ御審議のときに明らかになると思いますけれども、たとえば末端の協同組合の金利を現在九分五厘というふうに押えておりますのが、協同組合が非常に勉強いたしまして八分五厘あるいは八分という金利でこれが出される、そういう場合におきまして、それでは利子補給を減らすということもこれはおかしなことになるのでございますので、この場合におきましても二分の利子補給はそのまま続ける、同時に非常に特殊なものに対して、非常に安い金利で出しておる、ほかの一般の金利は高いものであるにもかかわらず、特別の場合にわずかな金だけのものを低金利でやることがございますが、大体一般の金利の水準を考えまして、政府として大体末端の金利のベースが七分五厘程度までのものについては、一般と同じように二分の利子補給を続けよう、こういう考え方で運用しようと思っております。ですから、従いまして、七分五厘に対して利子補給も二分でございますから、五分五厘までの実際の運用はできる、こういうことで農業協同組合の勉強いかんによってはそこまで利子が下がると、こういう内容で運用いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  以上、非常に急ぎましてわかりにくかったと思いまするが一応御説明を申し上げました。
  89. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 以上で両案の補足説明を終わりました。  それではただいま提案理由の説明並びに補足説明を聴取いたしました三案を、一括して議題として質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
  90. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 法案直接ではありませんが、今衆議院の附帯決議について経済局長から若干の説明があったのでありますけれども、どうも一番そばにおっていて、しかも最後の説明がよく聞き取れなかったのでありますから、従って、もっと遠くにいらっしゃる方も私ははっきりしなかったのじゃないか、そういう点もありますので、若干この点についてお尋ねいたします。  もう六月になって、一カ月もすればすでに政府におかれては三十七年度の予算編成準備にかかる、目捷の間にその作業が迫っておるわけでありますから、ここで三十七年度もしくはそれ以降の近代化資金についてはどうしていくかという考え方については、もうすでに考え方というものは大体きまっておられるだろうと、そういう想定のもとにお尋ねするわけでありますが、現在の三十六年度の案の、政府が一分、県が一分、合わせまして標準としては七分五厘、坂村局長は、この七分五厘の貸し出しで大へん歓迎を受けておると、こういうお話をたびたびしておられたのでありますが、たとえば去る五月二十二日、地方において農業基本法案に対するいわゆる聴聞会を開いたのでありますけれども、その際における三十一人かの純然たる農業者の陳述の中で一番多かった問題は、農産物、特に重要農産物の価格問題、それから農業近代化の第一前提になる農地の整備という問題と、いま一つは、この近代化資金というものだったかと私記憶しておるのであります。この近代化資金については、ひとしく農業者の方々がその制度に対しては大へん喜んでおられるように受け取るのでありますけれども、肝心の利子補給、結論的には借入者の利子という点から見ると、今の七分五厘ではまことに農業者の方々の期待するところとほど遠い、できれば五分五厘あるいは五分程度にまでこの問題を切り下げていってもらわなければならないという希望が、非常に多かったと記憶をいたしております。それからまたそうした希望があるなしにかかわらず、基本法にいう所得の均衡という問題や、あるいはまた将来国際競争力に耐えていくだけの力を農業経営者の中に涵養していく。といいましても、これは短期間でできるものでは当然ありませんので、長期の努力ということで初めて国際競争力にも耐え得る農業経営というものが可能であるというふうに考えられるのでありますから、せっかくこうした新しい制度を開こうという段階において、今の七分五厘というようなことではなしに、どうしてももっと切り下げた利率でやっていかなければならないと思います。それからまたいま一つは、外国の、特に農業基本法あるいはこれに類似した法制制度をとっておるような国々におけるこうしたいわゆる系統資金というものの利率が、おそらくは日本ほど、ここで利子補給をして七分五厘というものと比べても、おそらく相当割高じゃないか、そうしたいろいろの点からいたしましても、三十七年度予算編成の段階においては、これはどうしても切り下げをやっていく必要があると思うのでありますが、衆議院の附帯決議にもあわせ、先ほどの説明とあなた方の現在の決心といいましょうか、そうした問題について、もう少し率直に御説明をお願いいたします。
  91. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) ごもっともなお話でございまして、農業の近代化を進めていきます場合にはもちろん資金が相当大きなウエイトを持つと思うのでございます。そこで、農業金融につきましてそれじゃ、どれだけの期限、どれだけの金利、どれだけの条件というものがほんとうに農業金融に対して大切なものかどうかという問題は、なかなかこれはむずかしい問題であろうと思うわけでございます。一面におきましては、やはり全体の国の財政事情、全体の金利の水準というようなものもどうしても一つの制約にもなりますし、そういう点からいたしまして、三十六年度に農業近代化資金助成法を考えました場合におきまして、まあいろいろそういう意味から七分五厘というような末端の金利で押えてみましたのでございます。この押え方の考え方は、一面において日本の農業金融は御承知のように非常にきわめて長期のもので低利なものとこういうあれにつきましては、農林漁業金融公庫が、これは政府の直接の融資といたしまして農林漁業金融公庫があるわけでございます。そうして長期を要するようなものについては、大体三分五厘から七分五厘の範囲で、平均利回りは大体五分五厘という内容で、これは政府の直接融資をいたしておりますわけでございます。それでなかなか十分ではございませんので、しかも現実には農業協同組合系統に相当の金がある、しかもこれは現実の姿を見ますと、一割前後の金で農民に貸されるというような状況でございますので、これを一面においては農業協同組合の合理化をとにかく進めて、農協の金でございますから、農協が自分で合理化をはかって積極的に農業還元をやっていくと、こういうことにならなければならぬと思うのでございますけれども、それが今の情勢ではいろいろの施策を講じておりましても、なかなかそこまで参りませんので、政府がてこ入れをいたしまして、金利についても補強をやっていこうという考え方で、そこで農林漁業金融公庫の金の条件等との関連等もございまして、七分五厘というところで発足をいたさしたらどうかというふうに考えております次第でございます。しかし、今後の問題といたしましては、先ほどおっしゃるように、欧米等におきましては農業金融はもちろんこういう高利の状態ではございません。非常にまあ低利でもございますし、それから融資の期間等も非常に長期のものがありますわけでございます。しかし、これらも全体の資本の蓄積の情勢がだいぶ日本とは違うと思うのでありまして、全体の金利水準も外国においては相当低いわけでございます。ですから一例をとって中央銀行の公定歩合等を見ましても、相当日本の状況よりも低いわけでございますので、そういう点と必ずしも段階的に一致するというわけにはなかなかいかぬと思いますけれども、方向といたしましては、農業金融が今のような状態では満足するはずはないと思うのでございまするので、今後の問題といたしましては、できるだけこれが合理化をはかっていきますように、農業協同組合の合理化と政府の援助と両方とをあわせて一つ考えていきたいというふうに考えております。おっしゃるように、今もう近く三十七年度の予算編成の時期になるのでございますけれども、まだこの三十六年度の近代化資金の助成法案、あるいは信用基金の協会法案というようなものの成立の仕事にいろいろと追われておりまして、三十七年度におきましてどういう予算を組むかというところまでは検討はいたしておりませんけれども、方向といたしましては、この衆議院の決議にも沿いますように努力をいたしたいという考えでいるのでございます。
  92. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 簡単にもう一言だけでありますが、今の局長の答弁を聞いておりますと、たとえば欧米諸国家と日本の公定歩合はどうだとか、だから一律にどうは言えないとか、そういうようなこと私は承知して聞いておるのです。ただ、それに歩調を合わせるということを言っておるのではないのであって、現在の時点において、そうした国々における農業の設備投資なり、あるいは農業の生産費なり、いろんな点から見ても現在の日本の農業の中では、あるいは設備投資が非常に少ないとか、いろんな点がハンディキャップがあるので、逆に言えばそのハンディキャップをできるだけすみやかに解消する意味からいっても、こうした近代化資金の利率という問題については、もっと私は積極的な考え方を持って農林省が臨まれるのが当然じゃないか、そういう意味でお尋ねしておるのです。
  93. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃる通り、積極的な考え方を持っておるのでございますが、いろいろな制約がございまするので、なかなかそれが思う通りには進まないという実情でございますので、いろいろ国会の先生方等におきましても、各方面から一つ御援助をいただきたいと思っておる次第であります。
  94. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 これは櫻井さんからだいぶお話がございましたが、どうも一番困ったことは、どんな法律が出ましても、大臣も次官もそう長くやっておるわけではないのですよ。一番やらなければならぬのは局長なんです。これがどうもそうなんだ。そこで局長の考え方のよし悪しによって、とんでもないことになってしまうのが実態です。僕は最初から、あんなことをされてこれが実行できるどうというそんなことはあまり考えていないが、しかし肝心なところだけは身を挺してやろうと思っているから……。金利が七分五厘ということではどうなるものじゃないと最初から思っている。だけれども反対を言ってもいけないから黙っておるけれども、この七分五厘の金利なんということはとんでもないことです。どうでしょう、夕べのあの格好を見たら、あんなことをしていたら法律の肝心なことができない。それが一番やらなければならぬ局長がそういう御返答では困る。大臣とか次官というものがこれは大へん長くおるとけっこうだけれども、実を結ばせるのは局長なんです。これはどうも困ったもので、そんな考えではいかんよ、もっとしっかりしてやってもらわなければ。だから今度の予算は、櫻井さんもおっしゃる通り、三十七年度の予算にはどんなことがあっても何とかいくということでないと、とてもそれは有利にも何もならない。
  95. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 非常に今後の問題といたしましても根本問題になる問題でございまするし、先ほどおっしゃるように、最善の努力を私たちもいたしたいと思っております。
  96. 東隆

    東隆君 七分五厘の金利、これは非常に高いと思いますけれども、しかし、貸付の対象によっては七分五厘も非常に安いのもあるんじゃないかと思うんです。それで、問題は、私は「七分五厘以内」ということで非常に安い資金もなければならぬと思うんですが、そういうような考え方ですか。これは一律に七分五厘というような考え方でもって一応お考えになっておるんですか。どういうようなお考えですか。
  97. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 全般的な問題といたしましては、末端の農業協同組合における金利として七分五厘と、こういう考え方でおりまするが、ただ今までの制度金融を引き継ぎましたものがございます。で、それは、従来農業改良資金の施設資金でやっておりました中に、工事費が十万円以下の非常に小規模の土地改良がございますが、こういうようなものは五分でございまするし、耕地防風林の造成というようなものもこれでやっておるのでございますが、これは従来の通り五分五厘ということで考えております。しかし、おっしゃる通り、これは前にそういう五分や五分五厘でやっていたものを引き継ぎましたからそれをそのままやっておるんでありまして、本来の制度といたしましては、一般的に末端金利を七分五厘と、こういう押え方をしておるわけでございます。と申しますのは、今農業協同組合の金利が大体末端で押えますると九分八厘ぐらいになるわけでございます、平均で言いまして。そういうことでございまするので、本来は農協の金が農民に還元されることが一番大事な問題でございまするので、農協が合理化をして末端へどんどん貸していくと、こういう態勢ができますると、末端の農協の預金金利は、定期の一年もので考えますと、大体現在、この間改訂をいたしまして五分六厘であろうと思います。ですから、そういう状況でありますると、末端で本気になって貸す態勢ができますれば、相当金利が下げられるだろう、こういう情勢にあろうと思います。しかし、現状は、たとえば末端の農協での預金は八千億ございまするが、これは四千億以上のものが信連に預金されておるという状態で、三千億が貸付に回っているという実際の姿になっているわけでございます。そこで、問題は、末端で預金を集めたものがほんとうに末端で貸し出しができる、あるいはそれで余ったものは信連で貸し出しができる、そういう態勢を作っていくことが必要であろうというふうに考えておるわけでございまして、そういう方面とあわせまして考えていくべきじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  98. 東隆

    東隆君 配付になった「農業近代化資金助成法案政令規定見込事項」と、こういうプリントがあるんですが、これの第一項第三号ですね、三号の、共同会社みたいなものだろうと思うんですが、それに対する融資、そういうものをお考えのようですが、この場合における考え方は、これは段階は単協じゃなくって、もっと大きい会社を考えておるんじゃないんですか。
  99. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) この政令で(農業者等の指定)として指定しようと思って考えておりますものは、これはいわゆる今まで議論されました共同会社というような内容のものでございまして、農産物の加工あるいは製造、それから貯蔵というようなもの、あるいは農業資材の製造というようなものを農協あるいは農民が大体主たる構成員となってやっているような会社、これは従来農林漁業金融公庫におきましても九割会社は農業者として公庫からも貸し出すと、こういうことをやっておりましたものでございまするが、ここで扱うことが非常にむずかしい面もございまするので、近代化資金におきましては、これは農協の金でございまするから、農協が主たる構成員になっている、あるいは農民が主たる構成員になっているというようなものについては農協と同じように扱って一つこれは近代化資金を貸すようにしていこう、こういう考え方でございます。
  100. 東隆

    東隆君 今申しました共同会社のようなものとそれから単協の組合員を対象とした場合とでは、これは相当金利の問題でもって違って参りますし、それから希望が非常に違っておるのじゃないか。近代化資金という名前でもって金利を下げてもらわなければならんと要望しておるのは、こういう共同会社のような種類のところではないのじゃないですか。農業者または協同組合に加盟をするところの法人ですね、そういうようなものが金利の低いのを希望しておるのであって、共同会社のような意味のものは七分五厘程度でもってこれでも十分だ、今使っておる市中銀行に比較するとこれでも相当安いのだからと、こんなような考え方になっておるのじゃないかと思うんですが、そうじゃないですか。
  101. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 実態から申し上げますと、もちろん農業者が経営規模を拡大し資本装備を高度化していこう、こういう場合に金が要るわけでございまして、これは非常に大きな部分を占めると思うのでございます。で、こういうようなものに対して金利の安いものがとにかく供給されることが必要であるということが非常に大きなウエートを占めるだろうと思います。  それから、農業法人の問題は、今あちらこちらに農業法人もございまするけれども、本格的に農地法に認められたような農業法人というところまではまだ法律改正ができておりませんので、いっておりません。従いまして、もちろんこれは農業法人ができますると、これの資金需要というやつは非常に大きいと思うのでございまするが、現状においてはまだそこまでの問題ではなくて、むしろ農民の経営規模の拡大とかあるいは資本装備の高度化という需要が大きいのじゃないかという感じがいたします、金額といたしましてはですね。  それから、いわゆる共同会社といいまするようなものは、農民あるいは農協が加工、製造、そういう方面にだんだん注目をして力を入れて参っておるのでございまして、そういうものがだんだんと出て参っておるわけでございまして、これをやはり政府としても助長する必要があるというふうに考えられるのでございまして、そういう意味からいたしまして、農協と同じようにこれは扱っていったらどうかというふうに考えているわけでございます。構成員におきましてもそれから資本構成におきましてもそういう会社で農協や農民が過半数を占める、こういうようなものをとり上げていったらどうかと考えているわけでございます。
  102. 東隆

    東隆君 まだ農地法の改正が行なわれておりませんから、農業法人の問題はお考えになっておらんようでありますけれども、しかし、農業者が作った農業法人ですから、この建物から言うと、近代化資金は農業法人の方に出る可能性が十分にあるのじゃないですか。この規定でいくと出ていくようになるのじゃないですか。本式は農地法の改正をやってそうして農業法人が農業協同組合に加盟をすると、こういうような形になってはじめてこれはスムーズにいくと思いますけれども、しかし、それができなくても近代化資金は何とか貸せそうですが、三号のところを拡大解釈をいたしますと、「農業を営む者、農業協同組合又は農業協同組合連合会がその発行済株式の過半数に相当する株式を保有しているもの」「株式会社」と書いてありますけれども、しかし、有限会社であるとか、それから合資会社、合名会社、そういうようなものは、これは農業者が作っておるのだったら出せそうに思いますが、どうですか。
  103. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 第三号の「農業者」というのは当然、これ補足説明のときにも申し上げましたように、農業生産法人がありますれば、当然これは農業者という考え方で考えるつもりでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、現在生産農協というようなものはまだできておりませんから、そこで具体的にそれが対象になるような生産農協がございませんと思いますが、農業法人である場合に、生産農協ができるということになりますれば、当然農業者という考え方ですね、この中に包含する、こういうつもりでございます。
  104. 東隆

    東隆君 それから、実はこれ農業基本法の問題のときにちょっとお聞きをしたのですけれども、例の資金源ですね。系統農協を通して農林中金に集まっておるという資金というのは短期の資金で、そうしてこれは非常に高いものでありますから、これに利子の補給をしてもそう安くならないわけですね。そこで資金源を考えなければならぬと思うのです。その資金源のうちで考うるべきものは、私は、岡村さんのおやりになっておる共済農協連が集めておる——今一千億以上あるのじゃないかと思うのですが、この金は、考えようによっては非常に安い金利の資金ではないかと、こういうふうに考えておるのですが、この資金を、私は、県段階その他においてかりに使うとすると、これは相当安い資金が農業関係の団体に還元をされるのじゃないか、こういう気がするのですが、この方面どういうお考えですか。
  105. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃる通りでございまして、現在、共済農協の農業協同組合がやっておる共済の責任準備金の積み立ては大体七、八百億をこえておると思います。昨年の暮れで六百億前後になっておりましたので、八百億ないし九百億に達しているのじゃないかというふうに私考えております。で、これは非常に、純粋に考えますると、非常に低利の金でございまして、長期の金でございますが、いろいろとその共済事業につきましても、民間会社等との競争等もございまして、実際問題としてはやはりコストを七分ないし七分五厘くらいに見ないと、なかなか使えないのじゃないか、こういう実情のようでございます。で、これの使い方といたしましては、御承知のように、現在これは、ほとんど全部か——九十何%が信連の預金になっております。そういう関係で農業協同組合として信連がとにかく低利の金を回していく、こういう場合に一番大きなこれが柱になっておるのでございまして、そういう意味で、農協の金利につきましても、こういうものがどんどんふえてくるのでございますから、自分の合理化も進み、金利も、既往の金利をどんどん下げていく、こういう方向に指導して参りたいというふうに考えておるわけでございます。
  106. 高橋衛

    高橋衛君 先ほど櫻井委員並びに東委員からお尋ねのありました金利の問題についてもう少しお伺いいたしたいと思います。先ほどの御答弁によりますと、現在農協で貸付をしておる平均金利が九分八厘ということに相なっておるというお話でございます。そこでお伺いしたい第一点は、先般国会を通過して成立した農業協同組合の合併促進法によって今後合併が促進されることになると思うのでありますが、あの程度の促進ではなかなか理想的な整理促進はできないかと思いますけれども、農林省として大体、経営規模としてこの程度の経営規模ならば普通の金融機関として今後十分に整理していけるじゃないかという一つの理想的な形があろうかと思いますので、もちろん多きにこしたことはないと思いますが、協同組合としての性格を失わない範囲で、また実際にそれが実現可能な程度においてお考えになっている一つのアイデアル・タイプというのですか、そういうものが局長などの頭におありになるのじゃないかと思うのです。そういう場合に、そういうふうな農協において、先ほども御答弁にありました通り、一年物の定期でもって預金コストは五分五厘、そのほかに半年物もあるでありましょうし、定期でないものもあるでありましょうから、おそらくは預金コストとしてはごく低利じゃないか、一般金融機関のそれに対するところの事務費その他のコスト——頭金コスト以外のコストというものを考えてみますと、おそらくはあの常識からいって二分五厘あれば十分じゃないか、そういうふうな感じがするのであります。そうすれば、なるほど法律では九分五厘というものを一応予定して、それに二分を補給して七分五厘以下ということで法の制定をされておるわけでありますが、実際上それは相当そういうふうな合併が促進され、そうして農協が健全にだんだん育っていくという姿を考えるならば、そういうふうなところに到達し得るところのものであるのじゃないか、かように考えるわけであります。そこで、その点について、そういうふうな、ある程度、その程度の合併ができ、この程度の整理ができたならばという姿を描いて、その場合において、どの程度のつまり預金コストになり、さらに貸し出し金利のコストの水準になるかという点についてお尋ねいたしたいのであります。
  107. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 非常にむずかしい御質問でございますが、おかげさまで農協合併促進法が通りまして、現在いろいろ農協合併が進んでおるわけであります。この際、どういう姿の農協ならば一番理想的なものかということは、なかなかこれは機械的には言えないと思うのでございます。地方の実情に応じて考える面が非常に多いと思うのでございます。そこで現在、御質問にぴったり合うようなことで、こういう理想の農協ではどのくらいのコストになって、どのくらいの金利、こういうものはございませんけれども、一応今までの資料によりまして平均のコストで見てみますると、農協の段階で、預金の利回りが大体四・九六%、四分九厘六毛、これは全国平均でございますが、それから経費率が一分七厘六毛、合計をいたしまして六分七厘二毛というのが大体農協の、何といいますか、まず一般的に言ってコストということに言えると思うのでございますが、信連の場合におきましては、預金利回りは大体六分四厘一毛、それから経費率が九厘九毛ということで、合計をいたしまして七分四厘というものが信連のコストになっております。それから農林中金の場合を見てみますると、預金利回りが六分九毛でございます。六・〇九%、経費率が一・〇八%、一分八毛ということになっておりまして、合計をいたしまして七分一厘七毛、こうなっておりますが、これはこのほかに農林中金では預金のための奨励金を出しておりますので、これが大体一分一厘六毛ぐらいでございます。それからそれを加えますと八分三厘三毛ぐらいで農林中金の段階のコストがなりますわけでございます。これで銀行のものと、これは一応、はたしてきちんと比べられるかどうかわかりませんけれども、都市銀行と地方銀行を例にとって比べてみますと、都市銀行で、大体下期の方はコストが低いわけでございますので、下期のコストをとってみますと、預金の利回りが四・一四%、四分一厘四毛、経費率が二分四厘七毛、合計で六分六厘一毛。それから地方銀行においては預金の利回りが四分四厘一毛、経費率が二分五厘、合計して六分九厘一毛、こういうようなことになっておりまして、全体を比べてみますると、農協系統機関のコストというものがやはり比較的高くなるというような実情にございます。ですから、従いまして標準の農協になった場合にどういうところまで金利が下げられるかという問題は、まだ私どもの方で検討しておりませんけれども、十分検討してみたいと思います。
  108. 高橋衛

    高橋衛君 ただいまの点は、今後農協がどうあるべきかということを考え、また農業金融というもの、ことに近代化資金というものがどういうふうに運用されるかという面について非常に重要なポイントでありますから、ただそういうふうなぼんやりしたことでなしに、もう少し的確な一つの理想形をお作りになって、そしてそれをもって一般の改善をするところの指標にしていくというふうにぜひお願いいたしておきたいと思います。  それから、それに関連いたしましていま一つの点は、例の財務処理基準令があるわけでございますが、財務処理基準令において相当農協の資金の運用を制限しておられるわけでございますが、この近代化資金の運用に関連して、どういう点をどういうふうに改善される予定であるか、その点を一つお伺いいたしたいと思います。
  109. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 第一の、先ほどの問題につきましては、十分御趣旨に沿いまして私どもも勉強をいたしたいといっておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  それから財務処理基準令の問題は、今までも非常に問題がございまして、今度農業近代化資金を実施をいたします場合におきましても、これが貸し出しの制約になるようなことがあっちゃいかぬというふうなことを考えておるわけでございます。そういう意味でこれを相当大幅に改訂をいたしたいというふうに考えております。ただその前に一応、かりに改訂をいたさないといたしましても、農業近代化資金のように政府の利子補給、あるいは県の利子補給、債務保証等を受けておるような資金につきましては、貸出限度についてはこの財務処理基準令の適用を受けない、こういう考え方でおるのでございますので、改正をしなくても財務処理基準令の規制は貸出限度においては受けないということが可能でございます。しかし、そのことは別にいたしまして、一般の農協の貸付等におきましても非常に問題でございますので、主として貸付限度の問題、その点を中心にいたしまして改正をいたすべく、今政府部内で検討中でございます。できれば貸付限度を撤廃してもいいんじゃないか。それから農協の総会で、貸付限度をきめる、この程度で実際問題としていいのではないかというようなことを考えております。これは率直に申し上げますると、この問題が財務処理基準令の中心問題であると思いますけれども、大蔵省でもいろいろ意見がございまして、まだごく最終的には煮詰まっておりませんから、そういう方向で考えたいと思っております。ただ、現実には財務処理基準令による計算でいたしますると、農協の全国平均でいきますと、貸付限度は一人当たり現在の資産状況からいいますと、平均してみますと百万円をこえる金額になります。ただ実際問題は、総会におきまして非常に限度を押えているというのが実情でありまして、二十万円以下に押えておりますものが七〇%ございます、全体の農協で。そういう状態でございますから、非常に農協の貸し出しができないという状態になっているのではないかと思います。それから、現実問題として、農業協同組合組織の一つの問題であろうかと思いまするけれども、現地に行ってこういう話を聞いてみますると、貸し倒れ準備金を積んで、きちんと貸付ができる態勢を作ったらいいじゃないか、こういう話をしますと、貸し倒れ準備なんてものを積むということ自体が、総会で大問題になって、なかなか大へんだ。人の金を踏み倒すようなやつに金を貸すのか、こういう議論が出て、なかなかそういう態勢ができないということが実情としてはあるようでございますので、農業協同組合の実際の考え方といいますか、運用の問題を十分指導して参りませんと、なかなか限度だけをはずしてもいかないのではないかということを心配しておりますが、十分一つ指導して参りたいと思っております。
  110. 高橋衛

    高橋衛君 さっきの第一の質問に関連してのもう一つの点でございますが、農協の資金コストが高くなっているところの一つの原因に、農協の経理の区分が必ずしも明確でない。また明確であっても、他の事業部門、または指導部門に対して相当食われている。全国平均としては、二、三年前の統計だったと思いますけれども、六分くらいの金が信用部から他の部門に使われているというふうに記憶いたしておるのでありますが、そういうふうな他の部門に使われているということは、これはどうしても改善できぬ問題であるかどうか、私はそういうような信用部門というものをやはり経理区分をはっきりさして、そうして独立採算的にいくのが理論的であり、また農業金融というものを今後ほんとうに育てていくという面から考えれば、当然そうすべきであるのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、それで、その点について、その他の部門の経費を負担するというものの性格には二つあるかと思うのであります。一つは、たとえば中央会とか、その他指導関係経費の負担金と、それから他の事業部門の赤字の補てんと申しますか、経費の負担、その二つあるかと思うのでありますが、それが一体この資金コストにどの程度の影響を及ぼしているかという点を一つ説明願いたいと思います。
  111. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 的確な資料はございませんが、おっしゃる通り、非常に信用事業がほかの事業に食われているというのが大体実態であろうと思うのでございます。これは昭和三十一年、三十二年、三十三年の調べでございまして、全国の調査でございまするが、信用部門が大体三十一年、三十二年、三十三年とも黒字でございます。しかし購買、販売、それから加工、利用、共済その他の事業、指導部、こういうものは大体持ち出しになっている、赤字になっております。販売事業、購買部門が三十二年から三十三年は黒字になっております。それから倉庫部門は、これはずっと一貫して黒字でございますが、全国調査をいたしますと、実態はそういう趨勢になっております。そこで三十三年でこれを調べてみますると、三十三年は、二百九十組合の調査でございまするが、信用部門の黒字が五十三万七千円、これは一組合当たりです。それから購買部が十三万八千円の黒字、それから販売部が九万円の赤、倉庫部が五万七千円の黒、それから加工部が二十二万七千円の赤、利用部が六万三千円の赤、共済部が五万三千円の赤、その他の事業部で二十五万四千円の赤、指導部が一千円の赤、管理部が一千円の赤、こういう状態でございまして、これが信用部門に相当しわ寄せをされている、こういう状態でございます。そこで経理の区分につきましては、財務処理基準令においても経理区分ということを厳重にするようにということで、信用事業以外の事業を区分して経理しなければならないという、こういう条項があるのでございます。そうして信用事業にかかる経費には、資産として現金、預け金、こうこうこういうものを、それから負債として貯金その他のこういうようなものをというふうに入れる、それから「信用事業以外の事業に係る経理には、信用事業に係る経理に属しない資産、負債、収入及び支出を属さしめなければならない。」という工合に計いてあるのでありますが、現実問題といたしまして、これの指導がいわゆる現金というような、あるいは預け金というようなものはこんがらがっておる、実際問題といたしましてそういう状況でありますので、経理区分を財務処理基準令でこういう工合にきめておきましても、実際きちんと経理区分ができていない、こういう状況であろうと思うのでありまして、これはやはり信用部門あるいは販売部門というようなものは、現金と預け金から何に至るまで、全部ちゃんと経理をやって、はたしてどこでどういう収支区分ができるのかということをはっきりさせて、一部門に対するしわ寄せをさせる、そうして合理化するものは合理化するようにしていくべきであろうと思うのでありまして、そういうような意味で、今後財務処理基準令のこの経理区分の適用というのは厳重に、強力に指導していったらどうかというふうに考えております。
  112. 高橋衛

    高橋衛君 ただいまの御説明で大体はわかるのでございますが、私ども現実の農協というものを見てみた場合に、なるほど財務処理基準令はちゃんとできているのでございますが、実際の問題としてそのように行なわれていない。それで私ども端的にこれを批判するならば、農協は高利貸しをしていろいろな赤字を埋めている、また農協の総会において貸付限度を制限するのが一般的な風潮でありますが、これは高い金利で貸すものだから自然回収が困難だ、またあぶない金を貸さなければいかぬというような面がどうしても利関連して生じて参る、そんな関係からいたしまして貸付限度も制限する、また同時に、そういうふうな金であるから理事機関に対する信用その他の面もいろいろ問題を生じてくるということができて参るのでございまして、従って財務処理基準令をきちんとそのまま的確に指導するということが、今後は非常に大切な問題じゃなかろうかと思うのであります。それで、これはもちろん農協の第一線の方々も、ものの考え方をもう少しはっきりと割り切ってお考え願う、そしてほんとうに今後農業基本法のいろいろな施策をやっていく上におきまして、これが根幹になろうかと思うのでありますが、その根幹たる使命を達成するのにはどうしてもこれがちゃんとしなければ困るのでありますが、その点について、いま少しく政府として一体どれだけの信念と自信を持っているかという点をお伺いいたしたいのであります。  それからもう一つ、それと関連して現在の農協の実態から申しますと、なるほど貸付限度は相当徹底するなり引き上げるなりいたしましても、先ほど御答弁になりました通り、現実の姿としては農協の総会において相当制限されてしまって、しかも農協に集まる金はなるほど短期も相当ございますけれども、固定をしては農協の資金運用の上からいって相当困難な面もあるかと思うのであります。従って、こういうふうな農協の近代化資金の対象になる、相当金額のまとまったものであって、しかも中等以上の金ということになれば、農協だけでもって融資をするというふうなことが、必ずしも現実の場合としては適当でないというふうな場合もあるかと思うので、ありますが、従って、農協自体としては、余剰金がありながらそれを信連に預けて、そうして信連からまた逆に貸していただくというふうな道をとらざるを得ない場合が、現実の姿として相当あるのじゃないかと私ども思うのでありますが、そういう場合には、実際はその債務保証については保証基金の運用を受け、十分保証力があるわけでもあり、また現実には信連の帳簿を通すだけの問題である。従って、その間、金利をわざわざかせがせるために信連の名前を使うというふうな格好にもなるわけでありますが、その辺、信連のコストをそのまま全部引っかぶるというのじゃなしに、何か現実の指導の方面でうまく運用する方法がないか、その二つの点を一つお伺いいたしたいと存じます。
  113. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 農協の合理化と指導の問題につきましては、これはおっしゃる通り、非常に今後とも大事な問題でございまするので、法令の整備等はもちろんでございまするが、十分本来としての指導等も、あるいは中央会系統、そういうようなものとも十分連綿をとりまして、指導に当たっていきたいと思っております。  それから第二番目の問題の、単協等で貸せないような場合に、信連から貸すというようなことも考えられるわけでございまするが、そういう場合もございまするが、そういう場合におきましては、もちろんそのために非常なコストが実際問題としてはかかるわけでございますが、そういう一つの場合といたしましては、とにかくこの農協ではどうしても貸せないというふうな場合には、信連から、直貸しをしようということを一つ考えなければいかぬと思っております。その場合には、単協が信連から金を借りておいて貸すという場合よりも、コストが下がるわけでございます。安いわけでございまして、その場合においては、大体単協が貸した場合と同じように九分五厘という押え方をいたしまして、もちろんその単協が事務代理をいたしますから、そのためにいろいろな経費もございますが、九分五厘と同じようなレベルで抑える、そうして直貸しができるようにしたらどうかというふうに考えておるわけでございます。それらの点を中核にいたしまして、この運用について十分一つ円滑に参りまするように指導して参りたいと思っております。
  114. 高橋衛

    高橋衛君 もう一点だけ。一つ、この近代化資金助成法ができる前、今までにおきましても各都道府県等におきましては、自主的に相当利子の補給をやっておる例が相当多いように私聞いておるのでありますが、そういうふうな、つまりたとえば府県または農業団体等において、実質的にやっているものが、相当高いものは四分くらいも補給しているものがあるかのように聞いておりますが、そういうふうな高い利子を補給をした場合におきましても、この国の利子補給というものは当然につけていい性格のものであろうかと思うのでありますが、その実情と、それから国としては七分五厘以下ということと、都道府県も一分の利子補給をするということだけが要件になって……、それが三分または四分、利子補給をすることはちっとも差しつかえないと思うのでありますが、その点と二つだけ、一つ
  115. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 現在、三十五年の調査でございまするが、各都道府県におきましては、三十八都道府県で八十二種類の系統金融を実施いたしております。これの貸し出し総額は六十三億という程度でございます。これにはいろいろの融資の条件がございますが、しかしこの場合におきましても、ほんとうにそれでは七分五厘以下のものがどれだけあるかというふうに調べてみますると、七分五厘以下のものは総額にいたしまして、全体で三十億しかございません。そういう実態でございまするので、やはりその全体の金利の水準というのは、相当高いのじゃないかというふうに考えております。もちろん県なり道なり利子補給をいたしまして、そうしてこれを金利を下げていって参りますものは、これはその分だけはプラスして金利が下がる、こういう工合にこの問題についても、この近代化資金についても、当然県が一分といわず二分あるいは三分というふうに利子補給をいたしました場合には、当然それだけ金利が下がるのだというふうに考えております。
  116. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 これは中金の民主化等との関係もあるのですが、一つ伺っておきたいと思うのですが、中金が何か清算事務でもやれば別だが、そうでないと、もう今までのような、例の財務基準令というようなものが変更されてきて、そうして単協なりあるいは信連の段階で、ことに近代化資金なんというものは、今度保証制度が完備して——完備するかどうかは別として、保証機関というようなものが作られる。そうすると、上まで上げてきてまた金借りるということでなしに、制度資金は別として、系統資金ならば、上の方へ持っていかぬで、それぞれの地域に金があるのだから、私は、従来農村が金をほしがっていたというところに、この近代化資金の役割というものは相当大きな役割をするのではないか、こういうふうに考えのです、そこで、今後中金というもののあり方といいますか、中金の姿といいますか、そういうものをどういうふうにお考えになりますか。
  117. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃる通りでございまして、今度どんどん系統金融が末端において促進されて参りますると、何も末端で貸せるものを中金まで、そのまま今までのような考え方で上がっていくというようなことはだんだん変わってくるのじゃないか、姿が変わってくるのじゃないかというふうに考えております。しかしながら、やはり一つの問題は、農民の金が系統に集まるということが一つの問題であろうと思うのでございまして、そのためには、今度の民主化のもとに、とにかく末端と中金とがつながって、そうして農協、信連、中金という一つの系統機関によって、系統の金というものは、預金もとにかく安心だと、それから貸付も、足りないときにはそういう大きな系統の力で有無相通ずるのだと、こういうようなことが農業系統金融としては一番大事なことであろうと思うのでございまして、そういう意味におきまして、私は、今度の農林中金の民主化ということは、非常に今後の農業金融の発展、系統金融の発展のために意義があるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。また、かりに、今度は末端で本当に金が十分に貸されて、中央までくるのがないというような場合には、全体の農業金融の調整のためには、農林中金は今の債券発行の機能を持っておりまして、毎年これは五百億前後のものを農林債券で調達しております。そういう機能もありまして、また、そういう調達方法でほんとうに足りないところに債券発行の原資を今度は回していくということも可能であろうと思うのでございまして、そういうようなことで、全体としての系統金融の頂点に立って全体の調整をするということの機能が今後大いに期待されるのじゃないかというふうに考えております。
  118. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 そうですがね。それはまあ今のところあなたの方も、中金がずっと、そういう近代化資金等によって荷が軽くなり、また系統金融というものの役割がだんだん薄らいでくるという、あとで清算事務をやるのだというふうに、極端な表現もできないだろうと私は思う。がしかしね、よう考えてみると、基本法というものが通って、五年も前から、農民が曲がりかどにきたというのだが、一体どっちに曲がるのかといったときに、今度はその曲がる方向というものを、あらかじめ、こういうふうに曲がるべきものだ、曲がるための指導をしなければならないというのが基本法だと私は思う。その場合に、農民みずからが、この基本法に調子を合わせるように、いろいろな角度から、今までの農協というものの根本的な立場を改変して、改めて参るであろうし、また参らなければならぬ。そういうふうに、農民も受け入れていかなければならぬと私は思う。そのときに、農業団体というものが、従来の姿だけで、従来のような姿で放任されておけるはずないのであります。頭を清めて衣服を改めて、そうして、この新しい農業の門出をしなければならぬときに、農業団体が、従来の姿でおってよろしいなんということがあり得ようはずがない。ことに、単農を一本にしようという動きは静岡あたりにも出てきて、そうして三年五年というような、何といいますか、その一地域の、町村合併をされたところの農業協同組合の合併にとどまらずと、郡は郡単位でやり、あるいは郡はもう要らぬじゃないか、県は県単位でやろうじゃないかというようなことが起こって参っております。それから農家が生産した販売の、共同販売にいたしましても、そこそこでマージンをとられて、ストローみたいなものでマージンをそこそこで吸い上げたのではたまらないですよ。ですから、そういうことの改正というものを、私は整備というものをしなければならぬ時期が、今こそきているのだと思う。それが、農林中金なんというようなものも、今までは、私は決して農林中金を誹謗するわけでも非難するわけでもないのでありますが、今五段階制ですよね、農業協同組合、しいて言わせれば。単農に、それから県に、それから中央ときておりますが、ところが中央の機関は各府県へ支店を、支所をおろしているのですよ。そうして、県連は郡へ支所をおろしている。みんなそれぞれ人をつけて、ことにこの中金あたりの支所なんというものは、私は地方の農民には必ずしもいい印象を与えておらぬと思う。その府県の県庁の所在地に、鉄筋コンクリートで家を建てて、そうして相当いばった角度で生活をしている。そういう、どうしてこれは農民から吸い上げていった金か、あるいは制度資金の中渡しのマージンか、そういうことにおいてああいう経常ぶりをしておるのだろうが、私は、将来の農業、農林中金というようなものの姿というものは変わってくるだろうというふうにお考えになるのが当然だと私は思う。それが、いろいろまだ債券の発行だとか、その他いろいろな仕事があるから大して変わらぬとお思いになるのなら、私は大へんな間違いだと思う。そうして、農業協同組合ほんとうにここで調子を合わしてやらないと、農民の自主的団体であるという組合が、私は大へんなことになる。ことに制度資金と中金とのあり方の問題ですね。つまり、まだ例の農林漁業金融公庫のそれぞれの出張所なり支店なりが、各都道府県に全部があるわけじゃございません。そういうことで、そういう金融の部面は一部農中もお世話をしておると思うのですが、こういう関係についても、将来整備をしていかなければならぬ問題があるから、ことにわれわれの団体の関係も若干ある。団体の整備強化といいますか、非常に都合がいい言葉で表現すれば整備強化というのでしょう。ともあれ、何かこのままでやっていけるはずがない。農業団体なんというものは四十幾つもの団体があるのですが、この整備強化し、ことにこの農村金融というものを、なお一そうこれを機会に徹底をしよう、整備強化をしようというお考えがございますか。
  119. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃる通りでございまして、いろいろむずかしい問題がございますが、団体等につきましても。そこで、私も農林中金が今のままで将来あるだろうということを申し上げたのではございませんで、近代化資金等が整備をされて参りますると、末端で農協がほんとうに活動をする態勢ができれば、ほんとうにその協同組合の金融ができるならば、これはだんだん姿が変わってくるだろうということを申し上げたわけでございます。しかし、その場合におきましても、系統金融といたしましては、いろいろ地域的なアンバランス、それから業種間のアンバランスがございます。そういうような場合に、これに対する資金の調整の役割は、どうしても中央でやっているわけでありまして、そういう意味におきましては、私は今債券発行機能等を持っておる農林中金があるということで、これは引当やはり地域的な、あるいは協同組合間のアンバランス等の調整ができるのじゃないか、こういう工合に考えております。現状は、全体農林中金で、三十五年で大体三千四、五百億の貸付がございまするが、この中で、いわゆる会員貸付と申しますか、員内貸付は五百五十億と、残りは員外貸付であります。員外貸付の中でも、これは農業部は、金を集めてくる部分は非常に少ないので、二百億でございまして、むしろその水産であるとか林業であるとか、そういう方面には自分の資金がないわけでございまして、そこで、そういう農業から集めた金が相互融資で融資をされておる、そういう実態であろうと思います。そういうような意味で、農林中金というものは、資金の調整の機能というものが、相当今後大きく考えなきゃならぬという問題もあるのじゃなかろうかというように考えております。
  120. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 その他の農業団体に対する整備強化に対する御意見は、中金の分はこれでいいのですが。
  121. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) ごもっともでございまして、それは農業団体の整備強化というものは、基本法の施策を進めていく上に非常に大事なことであろうと思います。なかなかむずかしい問題でございまして、十分いろいろの面を考えながら検討しなければならぬ問題だと思いますけれども、できるだけ早く何とかそういう方向で各方面ともそういうつもりで一つやっていく、事に処していくという覚悟が必要である、私ども一つ十分そういうつもりで勉強いたしたいと思っております。
  122. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 私は、覚悟はほとんど全農業団体できておると思います。そこで大へん御心配をされると思う、いろいろな角度で何かバランスをとらなければいかぬとか、ここをいったらこっちが腹を立てたりしやしないかというような大へん遠慮をされることが多いと思うのですが、もう遠慮なしに、この際遠慮しておる段階ではないと思う。今までの企業なり団体そのものを温存させておく事態でもないと思う。ほんとうに新しい角度で踏み出そうという立場に立っては、農業団体というものの整備と言っただけではいけますまい、強化と言わなければいかぬと思いますが、そういうことによって初めて有終の美をなす、それがためには指導機関である農林省の立場から、早く相談をされてやっていかれるという努力が、勇気が必要なのではなかろうか、こういうふうに思いますので、激励を申し上げておきたいと思います。
  123. 高橋衛

    高橋衛君 先ほど堀木君が農林中金について御質問申し上げたのに対して、御答弁の中に、農林中金の機能として金融調節的な機能、そのほかに債券の発行できる機能がある。現に五百億程度の債券を発行しておるという御説明があったのであります。この点について私どもときどきいろいろの批判を聞くものでありますから、この機会に政府当局に御解明を願っておいたらどうかという趣旨で質問をするわけであります。と申しますのは、現実に農林中金は相当下部の農協または信連から資金が吸い上げられて相当多額の資金が現に保有されておる。しかもそれが系統団体に融資されるという分は割合に少なく、多くの金がその他の方面——最も極端な例は、高い高利に当てられているというような現実の姿があるわけでございますが、そんな関係から申しますと、債券発行というものは権限はあるのでございますが、必ずしも今日債券発行によって資金を吸収しなければならぬという必要性はないかのように私はうかがえる。また、そういう批判を近ごろ聞くのであります。もちろんそれを高く融資をするということであれば、債券発行の五百億の金を非常に有効に使われるでありましょうが、いろいろ説明を聞いてみると、たとえば金融市場において、農林債券というものの証券市場におけるところの地位を保持していくためには、やはり年々ある程度の債券を発行していくことが必要だというお話も伺います。しかし、あるいは悪口を言う人は、農業団体等の中にそういうような批判をする人があるわけでございます。農林中金はそのために、証券会社に対する義理立てのために五百億からの債券を発行しておる。それはもちろん有利に運用するから中金としてはもうかっておりましょうが、しかし、必要でないところの金を吸い上げ、農林中金本来の仕事であるとはとうてい考えられないような運用の仕方をしておるというふうな、私どもは批判をときどき外部から伺うわけでありますが、そういう点について政府当局はどういうふうな見解を持っておられるか、誤解が各方面に散らばっているような感じもいたしますので、この際解明をしていただきたいと思います。
  124. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃる通り、農林中金の債券発行機能につきましては、現状の姿におきましては相当系統の金が集まってきておるのでございまして、金額といたしましては、物理的にも、あるいは理論的にもこういうものはそう要らぬのじゃないかという感じがすると思うのでございます。しかし、一面から言いますと、先ほどおっしゃいましたように、やはり債券をいざ必要なときに出そうとしても、これは市場の消化の問題がありますから、それをつないでずっと市場を確保しておくということは、ある緊急事態が起きた場合におきましてもぜひとも必要なことであろうというようなことで、つないで市場を確保しておくということは、こういうことは私は一面から申しますれば金融機関としては当然ではないか、こういうようなことを考えているわけでございます。  それか一つの問題といたしましては、農林中金が発足当時におきましては、政府の金を大体主体にして、そしてまあ金融をするんだ、こういうことできておるわけでございますけれども、だんだん系統の金が集まってきているから、政府の金もウエートが減って参ったわけでありますけれども、そこで債券発行の機能というものが残っておりまするが、今後の農林中金の姿を考えてみますと、末端でほんとうに農業に対する還元融資ができて参りますると、農林中金に集まってくるのはほんとうの余裕金と考えていいのではないかと思うのでございまして、その際に農林中金としては農業の近代化のためにほんとうにそれじゃ農業投資だけに終始していいか。いわゆる関連産業等も積極的に扱っていって、そして農業の近代化を盛り立てていくというような機能も当然ある程度平等に考えていっていいのじゃないかというような感じがするのであります。現在、そこで余裕金の運用の状況を見ますと、先ほど貸付の二千億のうち五百億が大体系統内で、千五、六百億が系統外に出ている。こういうことを申し上げましたが、その中で関連産業に出ているのが非常に多くのものが出ているわけでございます。たとえば肥料であるとか、農機具であるとか、そういうような意味におきましては、私はむしろ農林中金まできた金については、むしろそういう方面の開拓とか確保ということのために少し積極的に考えていいのではないかという感じがいたしておるのでありまして、あるいは、これはまあ私たちの考えでありまして、政務次官なり大臣なりの御意見等も伺って農林省としてはどういうふうにしていくかということをきめていかなければならぬと思いますが、私は近代化という資金を作りました以上は農林中金にそういう機能をある程度期待していいんではないかと思います。そういう意味におきまして債券発行というものを、今の段階で系統の金があるからといって、これをやめるべきではないというような考えを持っております。
  125. 高橋衛

    高橋衛君 ただいまの答弁はとうてい満足できる程度の御答弁ではございませんが、一つ政府において十分御検討の上、なるべくすっきりした形に、また外部の誤解を招かないような方向に御指導願うことを希望申し上げて私の質問を終わります。
  126. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 三案については、この程度にいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時十八分散会    ————・————