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1961-09-12 第38回国会 参議院 外務委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年九月十二日(火曜日)    午前十時三十四分開会    ――――――――――   委員の異動 八月一日委員羽生三七君辞任につき、 その補欠として松澤兼人君を議長にお いて指名した。 八月九日委員松澤兼人辞任につき、 その補欠として羽生三七君を議長にお いて指名した。    ――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     木内 四郎君    理事            井上 清一君            森 元治郎君    委員            笹森 順造君            杉原 荒太君            永野  護君            野村吉三郎君            堀木 鎌三君            加藤シヅエ君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            石田 次男君            曾祢  益君            佐藤 尚武君   事務局側    庶務部庶務課長 上野山正輝君    常任委員会専門    員       結城司郎次君   説明員    外務政務次官  川村善八郎君    外務大臣官房総    務参事官    安川  壮君    外務省アジア局    長       伊関佑二郎君    ――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件)    ――――――――――
  2. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  本日は国際情勢等に関する調査を議題として質疑をいたしたいと思います。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 杉原荒太

    杉原荒太君 本日は、重大な問題について外務当局責任ある答弁を求める。それは、辻政信氏の保護に関する国家の責務の問題であります。辻氏の行方不明が伝えられてから、われわれは重大な関心憂慮をもって案じてきておるところでありますが、従来ひとえにわれわれのこの憂慮が杞憂に終わることを期待して、実はこの国会の問題にもすることを差し控えてきておるのであります。しかるに、今日となっては黙視するわけにいかぬ。それで外務当局として、辻氏の保護に関して政府として今日までとってこられた具体的の措置及びその結集の詳細をお伺いしたい。
  4. 伊関佑二郎

    説明員伊関佑二郎君) この問題は、外務省では官房で扱っておりますけれども、官房長はきょう来ておりませんので、私が知っております点を申し上げます。
  5. 杉原荒太

    杉原荒太君 それでは、そういう知っておる限りというのではなく、実はこれは外務大臣から聞くべき性質のものだと思う。呼んでもらいたい。
  6. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ちょっと速記をとめて。    午前十時三十七分速記中止    ――――・――――    午前十時五十四分速記開始
  7. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記を始めて。  安川外務省総務参事官が来ておりますから。
  8. 杉原荒太

    杉原荒太君 責任ある答弁ができるなら……。
  9. 安川壮

    説明員安川壮君) お答え申し上げます。辻議員の従来旅行されました状況を、現在まで外務省外出先公館を通じまして調べましてわかっております範囲で、事実をそのまま申し上げます。  辻議員は四月四日東京をお立ちになりまして、サイゴンにその日に到着されております。それから四月八日にサイゴンでゴ・ジンジェム前大統領と会見されております。それから四月の十一日にバンコックに向け、カンボジアを出発されております。それから四月十四日に、これはバンコックにおります防衛駐在官の伊藤を帯同されまして、ラオスヴィエンチャンに到着されております。そのときに、ラオス駐在別府大使に対して、自分パテト・ラオ地域に入りたいということを言われた模様でございます。次いで、四月十九日にクンタという寺院の住職を同行しまして、ヴィエンチャンの郊外のお寺を訪問されております。そして、これは確認されておりませんけれども、状況によって判断いたしますと、四月の二十一日の午前九時ごろにパテト・ラオ地域に入られたという状況でございます。  その後、外務省で、その後の状況を各在外公館に五月二十四日に消息調査するように訓令いたしました。それに対しまして、各在外公館から報告が来ておりますが、いずれもはっきりした消息はわからないと、こういう状況でございます。  その後、在外公館を通じて何らはっきりした情報がございませんでしたので、七月に入りまして、たまたま日本ベトナム友好協会坂本という方が用務をもって北ベトナムに旅行するということを聞きましたので、この坂本氏に対して非公式に何か辻議員情報があったら調べて報告するように依頼しておきましたところ、同人が帰ってきてからの報告によりますと、北ベトナム辻議員が入られたという状況ではないという、形跡はないという報告がございました。その後引き続いて在外公館には極力消息を調べるように訓令しておきましたところが、八月の末になりまして、ラオス別府大使よりの報告によりますと、一中国人パテト・ラオ地域ヴァンヴィエンというところで辻議員らしき人に会ったという聞き込みがございましたので、その中国人についていろいろ状況を聞いてみましたところが、確かに辻議員と思われる方に自分ヴァンヴィエンで会った。そのときに辻議員は、自分としてはこれからシェンクーアンに行ってスーバナプーマに会いたいということを申されておったということを申し立てております。ただし、それは六月七日でございまして、その中国人の言っていることが事実としますと、六月七日までは辻議員ヴァンヴィエンにおられたということになるわけでございます。それで、その中国人には、辻議員写真を見せまして、この人に間違いないかと確かめましたところが、その中国人は、確かに辻議員に間違いないということを申し立てたそうでございます。その情報が、外務省が現在持っております一番新しい情報でございますが、それに基づきまして、大体六月七日まではヴァンヴィエンにおられたということがほぼ確実ではないかと判断されるわけでございます。  その後の状況につきましても、さらにラオス大使館訓令いたしまして、さらにあらゆる方法を通じて消息を調べるようにということは訓令してございます。これが現在の状況でございます。
  10. 杉原荒太

    杉原荒太君 本省からの出先に対する訓令内容と、それから出先におけるところの訓令執行、それは具体的にどういうふうなんですか。
  11. 安川壮

    説明員安川壮君) 訓令は、辻議員消息をあらゆる方法を通じて調査するようにという訓令でございまして、それから出先においていろいろ調査しました経路その他についても、ある程度報告が来ておりますが、これはどういう経路を通じたかということは、いろいろ差しさわりもございますし、今後の調査にいろいろ影響すると思われますので、詳しいことは差し控えさしていただきたいと思います。御了承願います。
  12. 杉原荒太

    杉原荒太君 私の聞きたい点は、本省からの訓令及び出先訓令執行措置の中に、ラオスについていえば、ラオス政府に対して辻氏の保護要求されたかどうかという点です。
  13. 安川壮

    説明員安川壮君) 御承知のように、ラオスは二地域に分れておりまして、辻議員パテト・ラオ側に入られておるという前提に立って調査いたしますとなりますと、いわゆる日本国交を持っておりますラオス正統政府にかけ合いましても、これは相手が違いますので、さればといって、パテト・ラオ側とは日本政府として関係を持っておりませんので、そういう正式に相手国政府に対して保護を求めるという関係にないということでございますので、目下そういう非公式なルートを通じて調査しておる、こういうことでございます。
  14. 杉原荒太

    杉原荒太君 つまり、今言われたように、相手国に対して保護要求ということはやっていないと、こういうことですね。
  15. 安川壮

    説明員安川壮君) ラオス政府に対して正式に保護要求するという措置はとっておりません。
  16. 杉原荒太

    杉原荒太君 これは人間というのは移動するものだから、たとえば六月何日はどこにおっても、どこに行くかわからぬ。事実上の関係においても、パテト・ラオ地域か、その圏内としても、少なくともあの付近、近傍、あらゆるところになるべく手配して、そうして正式に保護要求すべき性質のものだと私は思う。これは私が講釈するまでもなく、人の生命に関する人道上の重大問題であるということは言うまでもないが、さらにその上に、国家としても直接の――辻個人の問題じゃない。日本の国としてはもちろん国民を外国に対して保護をする権利を持っておる。その権利を怠っておるかどうかという問題であり、相手国とすれば義務がある。その義務を怠っているかどうかの問題だ。これがもし、外務省人たちはよく知っておられるように、このケースがアメリカなり、イギリスなりに起こってみてごらんなさい。これは国交の重大問題であり、国論の沸騰する問題ですよ。私は努力はしておられることは認めるけれども、まだその努力が十分でないと思う。実は私、外務大臣にこの点は質問もし、要求もしたかった問題です。外務省の方から何らかの答弁要求します。お座なりのことなら要らぬですよ。
  17. 安川壮

    説明員安川壮君) ただいまの御発言もございますので、外務省としましては、正式に保護要求するかどうか、至急に検討して措置をいたしたいと思います。
  18. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 今の問題に関連して私から特に質問をしたいと思いますが、辻議員は、第一に参議院議員である。そこで、参議院としては一体この問題についてどういう処置をとったか、辻議員の御家族の方から何ら参議院に対して申し出があったのかどうか。それに基づいて参議院としての手段をとったかどうか。そういう申し出がなかったとしても、参議院としてこれを今まで不問に付しておったのかどうかということについて、私は説明を求めたいと思います。これは事務総長にでもお聞きしなければならぬ問題だと思います。
  19. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまの佐藤委員からの御質問事務総長連絡して、事務総長から答弁させたいと思います。今連絡しますから、その間これはあとに回していただいたらいかがかと思いますが、どうでしょうか。来るまでお待ち願えますか。
  20. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 もし事務総長が今すぐ来られないということなら、あとに回して差しつかえありません。
  21. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 直ちに連絡いたしまして、その都合によりまして議事を運びたいと思います。
  22. 井上清一

    井上清一君 辻議員旅券は、外交旅券ですか、公用旅券ですか、一般旅券ですか、どっちで行ったのですか。
  23. 安川壮

    説明員安川壮君) 公用旅券でございます。
  24. 井上清一

    井上清一君 それから、たとえば北ベトナムに入ったらしいという先ほどの御答弁なんですが、外交関係がないからといって、調査をする手段が全然ないということには私はならぬだろうと思うのです。たとえば他の国を通ずるとか、いろいろ方法手段があると思うのですが、そういう手段について、これまで何ら処置をとっていないと思うのですが、それらの点について、何かもしおやりになっているのなら、どういう処置をとっているかということを承りたいと思う。
  25. 安川壮

    説明員安川壮君) ラオス、それからベトナムとも直接はやっておりませんけれども、第三国を通じて調査依頼はしております。
  26. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ちょっと委員長から申し上げますが、さっきあなたの言われたところとちょっと違いますので、第三国を通じて調査しておられるならおられるということを杉原委員に対しても答弁をされなければ、ただ調査依頼しておりませんということでは――今のあなたの御答弁では、第三国を通じて調査依頼しておるというのだから、それはやはり杉原委員に対しても答弁されなければおかしいですね。
  27. 井上清一

    井上清一君 どうも先ほど来いろいろお話を承っておりますと、辻議員は、従来のいろいろな行動から見て、いずれ出てこられるだろう、どっかに潜入しているのだろうというようなことで、どうも調査の方が少し真剣味を欠いておったような感じを私は受けるのです。それで、どうもこれまでの状況をいろいろ判断しておりますと、杉原さんが先ほど来御心配しておられるように、何かどうも非常な異変があったのではないかというような感じをこのごろ非常に深くするのです。ですから、この際一つ外務省としても、この問題を真剣に掘り下げて、いろいろな調査をあらゆる手段を通じてやるということをこの際はっきりしていただく方がよいのではないかと、こう私は考えるわけですが、どうですか。
  28. 川村善八郎

    説明員川村善八郎君) ただいまの御発言につきましては、いろいろ外務省の方でもやったけれども、第三国を通じて調査を進めておるというような最後の安川参事官お話ですが、私らの方といたしましても、外務大臣とよく相談をいたしまして、ただいまの御発言に沿うような調査を積極的にやらしたいと存じます。
  29. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ですから、第三国を通じて調査依頼されたのならその結果も……。
  30. 安川壮

    説明員安川壮君) 先ほど調査経路については、今後のこともあるから差し控えさせていただきたいと申し上げましたが、どこの国に頼んだかは、ここで申し上げるのを差し控えさせていただきたいと思いますが、頼んだことは事実でございます。ただ、その経路を通じてはまだ何ら報告に接しておらないというのが現状でございます。
  31. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 事務総長が参りますまで、ちょっと時間がかかるようですので、その他に御発言があれば……。
  32. 杉原荒太

    杉原荒太君 この問題はきょうこの席だけで終わる問題じゃありません。今後この問題に対して政府のとる措置について、委員長から適当な要求をされることを私は希望いたします。その際申すまでもないことですが、この問題の重大性について政府の注意を特に喚起してもらいたい。
  33. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいま杉原委員のおっしゃったこと、ごもっともです。私からも伝えますが、政務次官がすでにここにおられまして、先ほどその御趣旨を体して適当な措置を講ずる、こういう御答弁でありましたので、政務次官からも十分外務大臣にお伝え願いたいと思います。
  34. 川村善八郎

    説明員川村善八郎君) 承知いたしました。
  35. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 佐藤さんに申し上げますが、先ほどの御質問につきましては、一番事情をよく承知しております上野山庶務課長が参りましたから、庶務課長からその間の事情を一応説明させたらいかがかと思いますが……。
  36. 上野山正輝

    参事上野山正輝君) ただいままで辻先生の御家族から正式に事務局には何もお話がございません。
  37. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 辻議員の御家族からは何らまだ参議院に対して申し出が今までのところないということでありますが、しからば、参議院として、辻議員消息を確かめるということについて、何らかの手段をとられたかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  38. 上野山正輝

    参事上野山正輝君) それでは御説明申し上げます。辻先生があちらへ参られましてから、事務局といたしましてはいろいろ調査方外務省依頼いたしましたので、簡単にその経緯を申し上げます。  四月四日に辻先生は羽田を出発されたのでございますが、五月二十三日になりまして、衆議院の堀内外務委員長が、これは御親戚だそうでございますが、外務省に対しまして口頭でもって調査依頼したことを伺いました。それと前後いたしまして、事務局といたしましても外務省に対しまして、これは文書ではございませんけれども、私が直接向こうへ参りましたり、あるいは電話なりでその消息をたびたび聞いていたのでございます。一番最近に私が外務省に聞きに参りましたのが先月の末でございます。それまでは消息不明ということでございましたが、八月の三十一日になりまして、外務省の方からやや明確な説明がございました。それによりますと、辻先生は四月の十四日にヴィエンチャンに到着、四月の十九日に僧形に変わられまして奥地に入られ、それ以後消息を断たれたわけでございます。ところが、六月七日前後の期間ヴィエンチャンとルアンプラバンの中間にございますヴァンヴィエンというところで日本人に会ったという中国人がおることを耳にいたしました。大使館の方からその中国人に会って辻さんの写真を見せて確かめましたところが、御当人であるということを認めたそうでございます。従いまして、大体六月七日ごろにはヴァンヴィエン辻先生がおられたと言って差しつかえがないのではないかとの説明を聞いたのでございます。  現在までのところは、そういうことでございます。
  39. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 関連してお聞きするのですが、辻議員請暇はいつまでだったのですか。
  40. 上野山正輝

    参事上野山正輝君) 請暇は四月の四日から五月の十三日まで、四十日間でした。
  41. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 そうすると、請暇期間が切れても家族から何らの申し出がなければ、参議院の方は、家族なり、あるいは何らかの申し出がなければ、請暇期間が切れた以後も、議員がどういう行動をしておるかということについては、関心がないのですか。
  42. 上野山正輝

    参事上野山正輝君) これは庶務課長といたしましても議員の身分という所管がございますので、そういう点からも非常に心配いたしまして、 先ほど申し上げましたように、外務省からの情報収集に努めていたわけでございます。なお、六月の十九日には、私の方から辻議員の御夫人に電話をかけましてお見舞を申し上げますと同時に、先生から何か連絡でもありました場合には、直ちに当方に御通報願いたい、私の方からも消息がわかり次第、お知らせするからということを申し上げた次第でございます。
  43. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私は、先ほど来の質問を聞いていて感じることは、むろん議員でなくてもそうだと思うのだが、国会議員行動については、むろん議員の方の責任もあるけれども、国会そのものからも積極的にものを考えてそうして当たるべきだと思うし、どうも、先ほどから外務省の話を聞いていると、非常に頼りないような気がする。で、詳細はいろいろな支障があって御答弁なさらないにしても、こういう公開の席でなくてもいいのだが、もっと積極的に、この種の問題について、日本国政府として当たるべきじゃないかということを感じるのです。だから、先ほど政務次官が聞いておられるからいいと言われるけれども、どうも政務次官の御答弁を聞いておっても、私どもここでもって、ほんとう身体の安全と自由を守ってくれるかどうかということについての、何というか、もう少し積極的かつ信頼できるようなことにお取り扱いになることが当然じゃなかろうか。たまたま質問が起こったから、それによってさらに積極的に考えるべき性質のものじゃなかろうと私は考えるのです。そういう点については、なお事態の究明に積極的に当たるべき性質のものである。場合によれば、国会に同じく席を置く者すべてがそう考えるべきじゃなかろうかというふうに考えるのです。先ほど委員長の、何というか、善処を要求されたような御発言もありましたが、これは、おそらくここで御発言になっていない各議員も御同感じゃなかろうかというふうに考えますので、ぜひ委員長としても、その点について特段の御配慮を願いたい、こういうことを特にお願い申し上げます。
  44. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまの堀木委員の御発言、ごもっともですから、できるだけ委員長としても努力したいと思います。
  45. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 実はこの問題は、辻議員の御家族からも何ら参議院に対してお申し出でがなかったように私も仄聞しておったのであります上に、辻議員は無所属に属しておられる議員であり、他の会派所属議員に対して、われわれがかれこれ口を出すということもいかがかと思って、実は差し控えておったわけであります。しかるに本日は、杉原委員から重大問題――議員生命に関する重大問題として、辻議員消息に関しての質問外務当局に対して発せられたということがありましたので、私は他の方面、すなわち参議院議員である辻議員に対して、参議院としてどういう手段をとられたかということをお聞きしたいと思って、先ほど参議院事務当局においでを願ったようなわけでありますが、庶務課長の御説明では、辻議員消息に関して、とうから外務省に対して随時お尋ねをしておられた、調べておられたということを聞きまして、私はこれは大へんいいことであったと考え、その点ではいささか安心をしたようなわけであります。しかし問題は、参議院議員としての行動ないしはその生命に関する問題でありまするがゆえに、参議院当局としても、今後におきましても、一そう直接の責任当局である外務省に対して逐次連絡をとられ、あるいは御家族の方と連絡をとられるというようなことでもって、その問題の消息を明らかにするように一つ努力をしていただきたいと思います。これは今も堀木先生からお話がありました通り、全議員に関する大きな問題だと思いますので、私もあえて一言参議院当局に対して御依頼を申し上げた、こういうことでございます。
  46. 曾禰益

    ○曾祢益君 この問題は、各委員から御発言があったように、確かに参議院議員としてばかりでなくて、むしろ海外にある日本国民生命等保護する政府義務といいますか、務めといいますか、そういう点からいって非常に重大であることは、各委員の言われた通りだと思います。ただ今まで、そういうこともお考えの上の発言だと思うのですが、その点からいってもう一つ問題がありはせぬかと思うのは、政府国民生命身体等保護の場合に、やはりある程度の監督とか、あるいはそういう危険な地域にはこれは行かないようにアドヴァイスする、場合によっては、居留民でも引き掲げさせる場合もある。そういうことがやはり政府の当然の務めの機能としては私はあるのではないかと思います。たとえば、辻議員向こうに行かれた真の目的についてはわかりませんけれども、行動から判断すると、南ベトナムから、いわゆる戦乱のちまたと言ってもゲリラ戦かと思いますけれども、北ベトナムに入ろうということは、それはもう非常な危険を伴うことであり、私は、通常の場合に、国会議員が、しかも公用旅券を持ってそういうところに行くということは、これは少し異例であり、事前にそういうことがわかったならば、そういうことに対して賛成かどうかということは、当然に政府責任、あるいは公用旅券要求する議長責任として問題にされなければならない。つまり、無条件にそういうことをいいという態度、これに問題の実は発端があった。むろん、そのことにかかわらず、できてしまった消息不明ということに対して、今、堀木委員あるいは佐藤委員の言われたこと、全くその通りで、そのことにかかわらず重大な段階になっている。政府保護責任あるいは調査責任が完全に行なわれなければならない。しかし、その前の責任も非常にこれは重大だと思う。たとえば、坂本徳松なる人が北ベトナムに行くときにどういう旅券が出されたかわからない。日本が、政府から見ると今認めていない北ベトナムに行くことは、平穏に行かれるのですね、これは平穏に北の実際の当局と話し合いがついているから安全だと思って行っているのだろうと思う。しかし、少なくとも辻議員の場合には、非常に危険な行動であることは明瞭です。ですから、私はこの際、事が重大であればこそ、そういう点については、やはり外務大臣議長に――議長にお聞きするのは失礼でしょうから、専務総長にでもこの次来ていただいて、そういうときの責任を含めてもう一ぺんこの問題はこの委員会で正式に取り上げるのがほんとうではないかと思うのです。きょうは、そういう私が見た問題の一面について、そういうやはり危険なととろに行くのについて、どれほどおやめになるようにアドバイスしたかということも、これは一つの問題だろうと思う。保護という、そういうものがあるということを私はちょっと発言だけしておきたいと思います。
  47. 上野山正輝

    参事上野山正輝君) ただいま曾祢先生から議長責任というようなお話がございましたが、実は辻先生旅券発給申請書というものを議長あてに提出いたしましたときには、北ベトナム奥地に行くという事情は全然事務局にはわからなかったのであります。辻先生のお申し出は、東南アジア各国を回って来たい。ただし、今のところでは予定がはっきり立っているのはサイゴン、プノンペン、バンコックヴィエンチャン程度で、あとは現地に行って考えるというお申し出でございましたので、単純に東南アジアのタイ、ビルマ等をお回りになるのだろうというような軽い気持からその発給申請書を受領したわけでございます。なお、事務局といたしましても、議員公用旅券の発給につきましては、従来から慎重な態度をとっておりまして、申請書が出ましても、一般外貨の審査がパスしない場合には、これは発給の申請を出さない。一般外貨の審査がパスした場合には、外務省あるいは大蔵省としても海外に旅券を持って出ることを一応お認めになったのだというふうに考えて差しつかえないのではなかろうか、そういう方々に対しましては公用旅券の発給申請をするというふうに、一つのラインといいますか、線を引いて処理しております。辻先生の場合にも、一般外貨の申請が許可になったというお話がございまして、初めて公用旅券の発給申請を外務省に出したわけでございます。結果におきましてこういうことになりましたことはまことに遺憾でございます。今後、公用旅券の発給申請等につきましては、一そう慎重な態度を期したいと思っております。
  48. 安川壮

    説明員安川壮君) ただいまの御質問の点につきましては、辻議員が御出発になる前に外務省にお見えになりましたときには、北側に入るというはっきりした御意思の御表明はなかったというふうに了解しております。ただ現地に行かれました後、サイゴンそれからラオスヴィエンチャンにおいでになりまして、それぞれわが方の別府大使並びに当時の久保田大使にお会いになりましたときには、辻議員から、自分は実は北の方に入りたいのだという御意向を表明なさった模様でございます。これに対して両大使とも極力思いとどまられるように説得した模様でございますけれども、結果的に、辻議員はそれをお聞き届けにならなかったようなことのようでございます。それはそういうように現地の大使から報告が参っております。
  49. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御発言あられますか。御発言別にありませんか。
  50. 森元治郎

    ○森元治郎君 一つ聞いておくが、辻議員は生きていると判断するのか、完全に行方不明か、その辺はどういうふうに、いろいろと情報をつかんでいる外務省筋の判断はどうですか。絶望なのか。判断なしにただうろうろその辺に頼んで回っても容易じゃないので、どういうふうに思っておりますか、安川君。
  51. 安川壮

    説明員安川壮君) 先ほど申し上げましたように第三国人の、中国人が言っておることはほぼ確実と思われますので、六月七日までヴァンヴィエンに健在であったということは、ほぼ確実と見てよろしかろうと思いますが、その後の情勢については、これは何とも申し上げかねますが、それまで無事におられたということから判断しまして、私どもとしては、生命に何らかの危険が生じたとは判断しておりません。しかし、これは何とも申し上げかねるわけでありますが、大体の状況から判断いたしまして、やはりどこかにおられるというふうに判断するわけであります。
  52. 森元治郎

    ○森元治郎君 両大使とも危険だということを辻さんに、極力という字が入ったと思うんだが、極力注意を喚起したわけだ。あぶないということは一体どういうことなのか。
  53. 安川壮

    説明員安川壮君) たとえばサイゴンの久保田大使には辻議員は、自分は前にもあの地方には行ったことがあるし、事情はよく知っておる。それから自分が昔使った部下もあの辺におるから大丈夫だということを言われたようでございます。これに対して久保田大使は、必ずしも状況は前と今とは違う。治安必ずしもよくないし、対日感情も当時とは必ずしも同じではない。従って、生命の安全というものは保証できない。従って、行かない方がいいということを極力説得された模様でございます。それからラオスでも同じように当時の別府大使から説得されまして、特に辻議員は僧侶に変装して行くというようなことも言われたようでございますけれども、そういうことも、国会議員がそういうことをされるのは現地の大使としては迷惑だという趣旨を言われまして、極力説得した模様でございます。
  54. 森元治郎

    ○森元治郎君 パテト・ラオというけれども、パテト・ラオとこのラオス政府はジュネーブで一応話し合いになっている仲だから、これはパテト・ラオの方へ、ラオスの別府節弥大使を通じ、君の方からちょっとパテト・ラオに話をしろということは当然言える関係だ。今けんかしているのじゃないのだから。そういうことは、さっき安川さんが言った情報入手の経路は申し上げかねるという中に当然入っていると思うのだが、どうですか。
  55. 安川壮

    説明員安川壮君) これは現地の大使には、もうあらゆる可能な方法を通じて調べるようにという訓令が出してありますので、それを現地の大使の判断によりまして、最も有効だと思う方法を極力使って調査をしておるということでございます。
  56. 森元治郎

    ○森元治郎君 現地の大使が妥当と思うことをやっておるだろうという判断の中には、日本が承認をしておる政府側に頼んでパテト・ラオ側と話をしたということは当然あり得ると思うんだが、どうですか。向こうは全然外国だというので話し合わない、頼みもしないというなら情報はわかりっこないので、そこは同じラオス人でありますから、親戚同士でもあるし、親玉の方は。だから、話は通ずると思う、ああいう国は。
  57. 安川壮

    説明員安川壮君) もちろん現地の大使としましては、第三国を通ずるほか、当面の相手国政府でありますいわゆる日本国交関係を持っております現在のラオス政府に対しても、当然アプローチをしておるわけでございまして、それに基づいてラオス政府パテト・ラオ側連絡をとってくれるものかどうか、それは向こうの問題でありますが、現地の大使としては、相手国政府と折衝しておるということは当然のことでございます。
  58. 羽生三七

    羽生三七君 実は、私も予算委員会で辻さんとすぐ近くに席を並べておって、出発直前までいろいろ話をしておりましたから、関心は持っておったのですが、心配しておった一人でありますけれども、ただ、問題が、かりに国交のない国へ入られたものとして、どういう目的で入られておるのか、その目的もわからないし、その間国会議員としていろいろ問題も起こってはと非常に心配をしておった一人です。しかし、きょうここでこういうふうに問題になってきたから意見を申し上げますが、どういう目的で向こうへ入られたのか、しかも、国交のない国にとってはなおさらそこのところは問題になると思う。だから、そこは非常に外務省としてもやりにくいだろうと思う。しかし、そうではあるが、一身上の生命の危険もすでにどうかと言われるような今日の段階になっては、そういうことの理由のいかんを問わず、また、先ほど佐藤先生から、無所属の人であるがというお話がありましたけれども、そういう会派のいかんも問わず、私どもも心配をしておる一人であります。ただ、問題は、もしかりに連絡がつくとするならば、生命保護を頼むというだけじゃいかぬと思う。これはすみやかに議会として帰れということでないと、相手の国に生命保護はしてもらって国交の回復はできておらぬ国にどういう調査をやっても、自由というようなことにはならぬと思うので、その辺は私はおそらく、なかなか連絡はつかないだろうと想像しておりますが、かりにもし連絡がつくとするならば、議会としては臨時国会もあることだからして、すみやかに帰れ、そういう形の連絡でないと私は意味をなさないと思うんです。だから、生命の安全を守ってもらうとともに、議会としてはすみやかに帰ってもらうことを要請する方が筋ではないかと思います。別にこれは答弁は要りません。所見を申し上げます。
  59. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御発言がなければ……。
  60. 曾禰益

    ○曾祢益君 これでもう打ち切るのですか。
  61. 木内四郎

    委員長木内四郎君) いや、外務大臣に出席を要求していますから、来られれば……。それまで休憩したらどうかと思いますが。
  62. 曾禰益

    ○曾祢益君 この問題は杉原委員が指摘された問題でして、お打ち切りになってもかまいませんけれども、私はこの問題は、事務総長は来ておられるが、外務大臣が来られてその席上で、今、きょうでなくてもやっぱりやるのがほんとうじゃないか、こう思うんです。しかし、それは私は自分の発議でございませんから、さっきそういうことを申し上げました。正式に動議としては提出しません。それは委員長が適当におきめになってかまいません。ただ、先ほど来伺って、政府答弁がまだわからない。両大使が辻議員に対して潜入をやめるように勧告した。それは当然だと思うですね。しかし、両大使の勧告だけでそれでよかったのか。外務大臣としては、たとえば家族連絡をして、家族から訴えですか何だか知りません、そういうことでもとめる、そういう方法も当然にとられるべきだった。私はもっと率直に露骨に言えば、一体ラオスの交戦地帯であって、ラオスのあっちから戦乱地帯に行くのがラオスの法律から見てそういうことが許されるか、住民の一人として。たとえば戒厳令を敷いておれば戦乱の地帯に自由に行けるはずはないと思う。その国の、少なくとも日本が認めているラオス政府がおそらくやっておるであろう戒厳令下において、少なくともそういう危険な戦乱の状態において危険区域への立ち入りは禁止されていると思う。そのラオス国の命令を明瞭に侵すという意思を辻議員日本の大使に言ったとき、日本の大使としてはただおやめなさいとアドヴァイスだけで済みますか。治外法権を持っていないし、強制力は持っていない日本の大使は非常に困られると思う。困られるけれども、ほんとう国民生命財産を守ることに忠実であるなら、ラオス側をして一応保護監禁するという方法だってあると思う。あるいは日本の法律にそういうことはあるかどうか知りませんが、日本が強制送還するという措置だってある。そこまで問題の深刻性を考えての措置をとられているかどうか。これは私は非常に問題だと思う。そういう点についても、政府保護責任という意味から言うと、そこまで考えた責任をやらないとこれは私はおかしいと思う。国会議員としての何といいますか、行動という点についても、両面から問題を見ていかなきゃならぬ。こういう面もありますので、もし委員会の御意向ならばもう一ぺん本格的に議論をする価値がある問題ではないかと思いますので、意見だけを申し上げます。
  63. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 暫時休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩    ――――・――――    午前十一時五十七分開会
  64. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  外務大臣は御出席願うことになっておりましたけれども、外務大臣の御子息の手術の関係上こちらにおいでになりませんので、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会