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1961-06-01 第38回国会 衆議院 農林水産委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年六月一日(木曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員    委員長 坂田 英一君    理事 秋山 利恭君 理事 大野 市郎君    理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       川村善八郎君    久保田円次君       倉成  正君    小枝 一雄君       田邉 國男君    谷垣 專一君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       寺島隆太郎君    内藤  隆君       中山 榮一君    野原 正勝君       藤田 義光君    本名  武君       松浦 東介君    森田重次郎君       八木 徹雄君    足鹿  覺君       片島  港君    北山 愛郎君       東海林 稔君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    西村 関一君       湯山  勇君    稲富 稜人君       玉置 一徳君  出席政府委員         農林政務次官  井原 岸高君         農林事務官         (大臣官房長) 昌谷  孝君         農林事務官         (農林経済局長坂村 吉正君         農林事務官         (畜産局長)  安田善一郎君  委員外出席者         議     員 内海 安吉君         大蔵事務官         (主計官)   相沢 英之君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    中島 清明君         農林事務官         (農地局管理部         長)      丹羽雅次郎君         農林漁業金融公         庫総裁     清井  正君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 六月一日  委員西村関一辞任につき、その補欠として三  鍋義三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員三鍋義三辞任につき、その補欠として西  村関一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業近代化資金助成法案内閣提出第一〇八  号)  農業信用基金協会法案内閣提出第一一一号)  農林中央金庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第二〇三号)  自作農維持創設資金融通法の一部を改正する法  律案内海安吉君外四名提出衆法第四一号)  自作農維持創設資金融通法の一部を改正する法  律案芳賀貢君外十一名提出衆法第四五号)      ————◇—————
  2. 坂田英一

    坂田委員長 これより会議を開きます。  湯山勇君。
  3. 湯山勇

    湯山委員 この際資料要求をいたしたいと思いますす。  それは、昭和三十二年に臨時通貨法の一部改正に関連するみつまた対策要綱というのが出されました。これは、御存じのように、百円銀貨が発行されるにあたって、ミツマタ耕作者にいろいろな影響がある、それに対して、政府の方では、閣議決定をもって、みつまた需給協議会というのを設置して、これに対応するいろいろな措置を講じていく、こういうことになっておりました。この対策要綱閣議決定になって今日まで約四カ年たちましたが、つい先般、五月二十三日に、この臨時通貨法の一部改正に関連するみつまた対策要綱閣議決定改正になって、需給協議会というものは一応形の上では廃止になったわけです。この問題の根本的なものについては、これはまた別な機会に大蔵省等に来てもらって質問いたしたいと思いますけれども、その対策要綱の中に、昭和三十二年に決定された要綱にも、あるいはまた今回五月二十三日に閣議決定になった内容にも、ミツマタ生産者に対する将来の対策農林省においてすみやかに樹立すること、こういうのが同じように決定されております。ところが、実際はこの対策というものが農林省ではあまり講じられてないのじゃないかという印象を受けるし、実際においてもそういうことがありますので、この際、過去四カ年間にどういう対策農林省においてミツマタ生産者に対して講じてきたか、それから、これによればあと六年間期間が残っておるわけですが、その六年間にどういう対策を講じようとしておるか、この二点について、できるだけ詳細な資料を御提出願いたいと思います。このミツマタ関係県というのは十一県ありまして、当時それぞれ各党で特別対策委員会を作って政府との折衝に当たってきたことは御存じだと思います。そういう関係県も非常に多いことですから、一つぜひその資料を早急に御提出願いたい。  以上ですが、委員長において一つお取り計らい願いたいと思います。
  4. 坂田英一

    坂田委員長 ただいまの湯山勇君の資料要求に対して、了承いたしました。      ————◇—————
  5. 坂田英一

  6. 坂村吉正

    坂村政府委員 それでは、ただいま議題となりました農業近代化資金助成法案農業信用基金協会法案及び農林中央金庫法の一部を改正する法律案提案理由につきまして、補足的な説明を申し上げたいと思います。  まず第一に、農業近代化資金助成法案でございますが、この法律案は、農業者等資本装備高度化農業経営近代化に資するために、最近充実を示して参りました農協等組合系統資金を積極的に活用し、農業者等生産施設の整備をはかることを目的として創設されます農業近代化資金融通制度の根拠となるものでございまして、昭和三十六年度におきましてはこの制度により年七分五厘以内の金利で三百億円の融資を行なうことを予定しておりますが、以下この法律案内容につきまして御説明を申し上げます。  第一条でございますが、これは、この法律目的について規定をいたしております。すなわち、第一条は、農業者等に対し農業協同組合農業協同組合連合会等融資機関農業生産施設等のための長期・低利の資金を貸し付けることを円滑にするために、都道府県融資機関に対して行ないますところの利子補給等助成措置に対して国が助成を行なう、こういうことによりまして、農業者等資本装備高度化農業経営近代化に資することをこの法律目的とする旨を規定しておるのでございます。  第二条でございますが、これは、農業近代化資金を借り入れることができますところの農業者等、また、融資機関及び農業近代化資金定義をいたしておるのでございます。  第一項は、国の助成対象となる農業近代化資金を借り入れることのできまする農業者等規定しておるのでございまするが、第一号は農業、この場合には、農業には畜産業及び養蚕業をも含むものといたしておりまするが、第一号の農業を営む者といたしまして、農業生産協同組合、これは、現在農業協同組合法等改正法案を提案いたしておりまして、その中に指定しておるのでございまするが、農業生産協同組合農業を営む有限会社等のいわゆる農業法人もこの中に含まれるという考え方であります。第二号は農業協同組合であり、第三号は農業協同組合連合会であります。第四号は、第一号から第三号までの者が主たる構成員または出資者になっている法人、すなわち、農業者あるいは農業協同組合、それから農業協同組合連合会、こういうようなものが主たる構成員あるいは出資者となっている法人として農業共済組合連合会等政令指定する予定でございます。そこで、ただいまお配りしてございまするが、「農業近代化助成法案政令規定見込事項」、そこで第一番目に農業者等のこの法律政令指定するということになっております者を指定をいたしたいと思うのでございます。それは、農業共済組合及び農業共済組合連合会、これは共済組合系統互助事業等をやっておるのでございまして、そのために、道具を買う、機械を買うというような面もございまするので、そういうようなための資金の需要があります場合のことを考えておるわけでございます。それから、第二番目に、たばこ耕作組合等も一緒に考えて取り入れていきたいというように考えておるわけでございます。それから、第三番目には、農畜産物を原料もしくは材料として使用する製造もしくは加工、農畜産物の貯蔵または農業生産に必要な資材の製造の事業を主たる事業として営む株式会社でありまして、農業を営む者、農業協同組合あるいは農業協同組合連合会等がその発行済み株式過半数を持っておるもの、一般共同会社と言われておりますが、構成員として今申し上げましたようなものが発行済株式過半数を持っているという格好の株式会社でありました場合には、農業近代化資金農業者等という指定の中に取り入れまして、共同会社の育成をはかっていきたいということを考えておるわけでございます。  それから、第二項でございまするが、これは農業近代化資金を貸し付ける融資機関規定いたしておりますが、個人施設については貸付事業を行なう農業協同組合中心にいたしまして、不振単協傘下農業者あるいは投資規模が非常に大きい場合におきましては、農業協同組合から貸し付けられぬ場合もございますので、そういう場合は信連等が直接貸付をするということを認めることといたしております。それから、農業協同組合共同利用施設につきましては、これは信連共済連及び農林中央金庫融資機関になるという考え方でございます。  第三項は、国の助成対象となりますところの農業近代化資金内容規定しておるのでございます。これは、農業者等のいわゆる資本装備高度化及び経営の近代化に資するために、さきに申し上げました融資機関が年七分五厘以内、償還期限は原則として十年以内、据置期間が三年以内という条件農業者等に貸し付ける施設資金でございまして、その細目につきましては政令で定めるこういうことになっておるわけであります。  その細目につきましては、この政令規定見込事項の第二というところに書いてございまするが、「法第二条第三項の政令で定める資金は、次の表の農業近代化資金種類の欄に掲げるとおりとし、同項第二号の政令で定める期限、同項第三号の政令で定める期間及び同項第四号の政令で定める利率は、当該資金種類に応じ、それぞれ同表の償還期限据置期間及び利率の欄に掲げるとおりとする」という考え方でございます。ただし、利率が同じでありますところの二種類以上の資金を同時に借り入れる場合におきまするところのその資金償還期限及び据置期間は、それぞれそのうちの最も長いものをとるという考え方にいたしております。  その表にございまするように、第一に、農舎、畜舎、それから蚕室、葉たばこ、こういう今まで農林漁業金融公庫主務大臣指定施設というようなもので整理をされて参りましたもの、それから共同利用施設として整理されて参りましたその施設であります。これにつきましては、償還期限十年、ただし、協同組合協同組合連合会に貸し付けます場合には、現在の農林漁業金融公庫でも十五年ということになっておりますので、これよりも条件を下げるというわけには参りませんので、十五年ということで共同利用施設は考えております。据置期間は三年、利率は年七分五厘という考え方であります。それから、第一につけ加えて申し上げますが、人工授精施設であるとか家畜の市場であるとかいうようなものが地方的にもあるのでございます。こういうものは今までの農林漁業金融公庫では非常にあいまいな面があったのでございまして、こういう点も一つこの際はこれを貸し付けられるということにはっきりいたしたいと考えております。こういう近代化のために必要な施設についてはできるだけ取り上げていく、こういう考え方でおります。  第二番目には、農機具その他の機械器具でございますが、これにつきましては、償還期限は七年ということにいたしております。しかし、これも非常な大農具でありまして協同組合あるいは協同組合会等共同利用施設として持っておりますものは、現在の農林漁業金融公庫におきましても十年ということになっていますので、やはりこの近代化資金におきましても十年ということにいたしたい。据置期間は二年、利率は七分五厘、こういうことでございます。  三番目は、果樹、オリーブ樹、それから茶樹またはホップの植栽に要する資金というようなことで、これは、果樹振興法がございまして、御承知のように農林漁業金融公庫から果樹振興法に基づきますところの融資は出るのでございますが、この場合は、それ以外のものにつきましてこの近代化資金で扱っていこう、こういう考え方であります。これについては、償還期限十年、据置期間三年、年利は七分五厘という考え方でございます。  四番目に、家畜であります。これは、牛、馬、綿羊、ヤギまたは豚の購入に必要な資金という考え方でございまして、これは、償還期限は五年で、据置期間二年、利率を年七分五厘という考え方であります。そして、この場合に鶏の問題が出ておるのでございますが、ブロイラー等で鶏の飼育施設が非常にお金がかかるものが最近できておるのでありますが、これにつきましては、昨日も連合審査の際に御質問がございましてお答え申し上げました通り、鶏の購入資金というのは非常に短期資金でございます。鶏とかえさとかこういうものは農業協同組合系統資金を大体使っていく、短期資金はそういう考え方でいく。それと同時に、施設につきましては、もちろんこれはこの近代化資金で考えていくという考え方にいたしたいというふうに考えております。  その他、耕地防風林の造成に対する資金でございまして、これは今までの農業改良資金から引き続いて参りましたものでございますが、これは、その条件に合わせまして、償還期限十年、据置期間二年、年利は五分五厘ということで、今の条件を引き継いでおります。  その次に、農林大臣の定める規模を越えない規模の農地または牧野の改良、造成に必要な資金、これは工事費十万円以下の土地改良事業であります。きわめて小さな土地改良事業中心でございます。これは今までも農業改良資金から出しておりましたのでございまするが、これも今までの条件の通りの条件を引き継ぎまして、償還期限は十年、据置期間は二年、年利五分、こういう考え方で考えておるのでございます。  それから、貸付限度につきましては、これも、政令で定める、こういうことになっておるのでございますが、一般農業者にありましては二百万円以内、それから、農業生産法人等いわゆる政令で定めるもの、こういうものにつきましては一千万円以内、農業協同組合等にありましては原則として五千万円以内、この場合、特別の理由がある場合におきましては農林大臣が承認した場合には五千万円をこえてその承認をした金額とすると、こういうことに相なっておりまするが、との一千万円以内という政令で定めるものにつきましては、その見込事項の第三に、「法第二条第三項第一号の政令で定めるものは、農業生産協同組合並びに農業を営む合名会社合資会社及び有限会社並びに法人以外の団体で農業を営む者の組織するものとすること。」、こういうことで、一千万円限度のものは大体農業生産法人等、こういう工合にしてありますが、こういうようなものを一応政令規定したいというふうに考えております。それから、貸付限度につきまして、農業を営む者で都道府県知事がその者の農業経営規模等を勘案しまして必要であると認めたようなものにつきましては二百万円で、その他のものについては百万円と、こういうような考え方で二百万円以内ということになっておりますけれども、いろいろ償還面等も考えなければいけないと思いますので、そういう百万円と二百万円両方の口を考えておいたらどうかというふうに考えております。  それから、第三条は、このような内容農業近代化資金に対して行なわれますところの都道府県利子補給に対する政府助成について規定いたしております。  この利子補給補助は、農業近代化資金を貸し付ける融資機関都道府県との契約によりまして都道府県利子補給を行なうに要しまするところの経費の全部または一部を国が補助すると、こういうことになっておるのでございます。補助率政令で定めることといたしておりますが、それは、政令規定見込事項の第五というところに書いてございます。法第三条の規定により政府都道府県に対して交付する補助金の額は、農業近代化資金のうち農林大臣の定めるものにかかる利子補給については都道府県当該利子補給に要する経費の全額、その他の資金にかかる利子補給については半分と、こういうことでございます。これは、初めの全額といいますのは、今まで有畜農家創設資金制度によりましてやっておりましたものをこの制度に引き継ぎましたものですから、有畜農家創設資金におきましては十分の十の国の利子補給をやっておりましたものでございますから、それをそのまま、条件を下げるわけにも参りませんので、十分の十ということを考えているわけでございます。その他のものは大体半額の利子補給と、こういう考え方でございます。  この政府の行ないまする利子補給補助の財源といたしまして、農業近代化助成資金一般会計に設けまして、その運用益をもって充てる、こういうことにしておるのでございまして、別途農業近代化助成資金の設置に関する法律案を提案いたしまして、大蔵委員会で審議をされておるわけでございます。三十六年度には三十億円をこの資金に入れております。  第四条は、農業信用基金協会制度に関する規定でございまして、これは別途に農業信用基金協会法がございまするが、ここにも要点が規定してあるわけでございます。  第一項は、農業者等に対する農業近代化資金融通を円滑にするために、農業近代化資金にかかる農業者等債務保証することをその業務とする農業信用基金協会制度を設ける旨の規定でございます。  第二項は、農業信用基金協会に関しましては農業信用基金協会法の定めるところによる旨の規定でございまして、これにつきましては、農業信用基金協会の設立・運営等につき規定いたしました農業信用基金協会法案を別途に提案いたしておるわけでございます。  第五条は、新たに各都道府県に設立されます農業信用基金協会に対する政府助成に関する規定でございます。  この農業信用基金協会は、農業近代化資金にかかる債務保証と、それ以外の農業者等が借り入れる一般資金にかかる債務保証の双方の業務ができることといたしておりますが、前者、つまり農業近代化資金債務保証に充てるための基金といたしまして都道府県農業信用基金協会に対し出資を行なうのに必要な経費の一部を国が補助するものといたしております。この補助率政令できめる、こういうことになっておるのでございまして、これは経費の二分の一という考え方政令規定事項に書いております。ここでどうしてこういう工合にいたしましたかと申しますと、今まで信連あるいは県等中心になりまして債務保証協会が全国三十六ほどございます。そのうち法人格を持っておりますのが二十八ございまして、これが今までいろいろの債務保証をやっているわけでございます。そこで、それを大体中核にして引き継いでいったらどうかという考え方がございまして、近代化資金対象にならないものも、相当今までの事業としてやっている面もございますので、そういう点と二つをこの基金協会ができるようにしております。従いまして、基金協会におきましては、近代化資金と、そうでない部分との債務保証、二つの性格を持つ仕事をやっていく、こういう考え方になっているわけでございます。  第六条は、納付金に関する規定でございまして、これは、第五条の規定による政府補助を受けて都道府県出資をしました農業信用基金協会解散をいたしました場合には、その都道府県に分配されました残余財産の額の一部を、また、農業近代化資金にかかる債務保証業務を廃止した場合には、農業近代化資金にかかる債務の弁済に充てるための基金の額と、農業近代化資金にかかる債務の弁済によって取得した求償権の行使によってその後に取得した金額との合計額の一部を、それぞれ政府から補助を受けた割合に応じて都道府県から政府に納付しなければならない、こういうことにいたしております。解散の場合の規定であります。納付金額の算出方法等具体的な問題につきましては、必要が生じた場合に政令できめるということにいたしております。  以上がこの近代化資金法案内容でございまして、その附則といたしましては、今までの農業改良資金のうちの施設資金、それから有畜農家創設資金を引き継いでおるのでございまして、これらについての経過措置規定をいたしておるわけでございます。  次に、農業信用基金協会法案補足説明をいたしたいと思います。  この法案は、農業経営に必要な資金融通を円滑にいたしますための施策の一つでありまして、別に提案されておりますところの、先ほど申し上げました農業近代化資金助成法案とともに、新たに発足をいたします農業近代化資金融通制度を形づくるものでございます。  この法案は、総則、業務、会員、設立、管理、解散及び清算、監督及び罰則の八章並びに附則からなっておりますが、以下各章について簡単に申し上げたいと思います。  第一章は総則でございまして、第一条に、この法律目的として、農業経営に必要な資金融通を円滑にするため、農業協同組合等融資機関農業者等に対する貸付についてその債務保証することを業務とする農業信用基金協会制度を確立し、もって農業生産性の向上と農業経営の改善に資する旨を規定いたしておるわけであります。  第二条には、この協会構成員となり、また被保証者となり得るところの、農業者等定義及び融資機関定義を掲げております。  第一号の「農業を営む者」には、農業生産協同組合等農業生産法人等を含むことは、農業近代化資金の場合と同じでございますけれども、「農業に従事する者」を加えましたのは、主として農家家事従業者生活資金につきましても保証対象とする必要があるからでございます。これは、農業協同組合法農業従事者等に生活の資金を貸し付けるということもできることになっておりますので、これらの者も、従来一般に今まで債務保証協会でもやっている面もございますので、そういう面も取り入れまして農業従事者も入れてありますわけでございます。  第四号の政令で定める法人といいますのは、これは、ここにございますように、政令規定見込事項というのでお配りしてございますが、農業信用基金協会法第二条第一項第四号の政令で定める法人は、大体、農業協同組合中央会農業共済組合及びその連合会、それから土地改良区及び土地改良連合たばこ耕作組合、それから、先ほど申し上げました共同会社というようなものでございます。ここでは、今までの例から見ましても、中央会とかあるいは土地改良区とかいうようなものも取り込んでおく必要があるというふうに考えられますので、これを加えたいと考えております。  それから、融資機関といたしましては、貸付事業を営む農協、これには開拓農協酪農協等特殊農協も当然含まれますけれども、信連共済連、農林中金のほかに、銀行等一般金融機関につきましても政令指定ができるという、こういう法律の条文になっておるわけでございまして、これにつきましては、政令規定見込事項の第二にございますが、大体、政令指定する金融機関としては、銀行、相互銀行、信用金庫というようなものを指定いたしたいというふうに考えております。現在のところでは、銀行に対して現在ありますところの債務保証協会が銀行から借りたものに対して保証しているというものはあまり例はないようであります。しかし、今後、いわゆる近代化資金ではございませんで、別の資金の面で銀行、信用金庫等から借りる場合もあるかと思いますが、そういう場合に債務保証もできるというような道を開いておいた方がいいんじゃないかということが考えられるわけでございます。   〔委員長退席、小山委員長代理着   席〕  それから、第二章は、この協会業務について規定いたしております。  この協会業務は、第八条に規定しておりますように、大別いたしますと、農業近代化資金に関する債務保証と、その他の一般事業または生活に必要な資金に関する債務保証と、二つに分かれております。この場合に、会員たる農業者等の負担する債務保証を行なうわけでありますけれども、農業協同組合が会員でありますときは、その組合員は会員と同様に取り扱うように規定いたしておりますので、特別の場合を除き農業者が直接加入する必要はないというふうにいたしております。これは一応この農業信用基金協会を財団組織にするか社団組織にするかというところでいろいろ検討する問題があるのでございますが、今後資金を造成するという面等から考えますと、社団組織にする方が便宜であろうということで、考え方としては法律では社団の組織を考えておるのでございますけれども、その場合に、一々の農業者出資をして会員になるということは非常にやっかいなことでございますので、農業協同組合出資をして会員になっておけば、農業協同組合の組合員は当然会員たる資格を持って債務保証が受けられる、こういう格好にいたしておるわけでございます。この業務のうち、農業近代化資金にかかる債務保証額は、三十六年度末におきましては大体二百億円をこえるという見込みで考えております。  このほか、この二つの業務に付帯する業務といたしまして、被保証者についての指導その他この協会目的達成に寄与する業務をも行ない得ることにいたしております。  次に、第九条でございますが、ここでは保証業務を行なうための基金につきまして規定をいたしております。すなわち、協会は、以上の保証業務を行ないます基金として、出資金、準備金からの繰入金、保証債務の弁済に充てることを条件として交付される金銭及び求償権の行使によって取得した金銭を安全確実に管理することが要求されるわけでありますが、その運用対象としましては、信連、農林中金あるいは銀行等への預金、金銭信託、国債証券、地方債証券、その他主務大臣が安全確実でありしかもなるべく有利な運用が可能と認めて指定いたしますところの有価証券に限られることといたしております。  このほか、第十条におきまして、毎年度の剰余金は全額を準備金として積み立てなければならないことといたしております。また、この準備金は欠損の補てん金に充てるかあるいは基金に繰り入れる場合のほかは取りくずしてはならないという、こういうことを規定いたしておりまして、基金の充実をはかっていこうという考え方でございます。  次に、この債務保証事業には、農業近代化資金にかかるものと、先ほど申し上げましたように一般事業または生活に必要な資金にかかるものと二つがあるわけでございまして、そのうち、国の助成措置対象となりますものは、農業近代化資金にかかるものだけでございますので、その助成措置の実効を期しますために、第十一条におきまして、農業近代化資金にかかる債務保証業務をそれ以外の業務と区分して経理しなければならない、こういう規定になっておるのでございます。  農業信用基金協会は、今述べて参りましたような業務を行なうわけでございますが、その実行にあたりましては、信用調査、債権管理等に関して、融資機関の機構、能力、経験等を利用することが便利でありますため、第十三条におきまして、債務保証の決定を除き、その業務の一部を融資機関に委託して行なわせることができるようにいたしております。  なお、第十二条は、事業年度にかかる規定でございます。  それから、第三章は、この協会を構成します会員について規定をいたしております。  まず、第十四条におきまして、会員の資格について規定いたしております。すなわち、農業信用基金協会の会員たる資格を有します者は、各都道府県の区域に従って、その協会の区域内に住所を有する農業者等のほか、都道府県及び市町村ということになっておりまして、都道府県や市町村も会員として取り込めるというような規定になっておるのでございます。特に、都道府県、市町村につきましては、協会の会員になろうとするときはその議会の議決を経なければならないものとして、その住民の意思による自主的な加入を期待いたしておるのでございます。これは、当然、都道府県におきましても市町村におきましても相当大きな出資をするのでございまして、これに対して責任を負うということになるのでございますから、議会の議決を要するというようなことにいたしたわけでございます。  次に、会員の出資につきましては、協会業務の性格上、その財政的基礎の充実は不可欠の要請でもございますので、第十五条におきまして、会員は出資一口以上を有しなければならないものとしております。  第十六条におきましては持ち分の譲渡について規定し、第十七条におきまして、議決権については出資一口につき一個の議決権を有するものといたしております。  この出資一口につき一個の議決権を有するということはいろいろ議論のあるところであろうと思うのでございますが、先ほど申し上げましたように、構成といたしましては信用基金協会は社団の構成をとっておりますけれども、実質的には財産、いわゆる基金中心にして債務保証の運用をやっている財産権を中心にした団体でございます。そういう関係からいいまして、実際的に申し上げますと、県の出資が大体半分を占める、それから、その残りの半分におきましても、おそらく相当部分が信連出資になろうと思うのでございます。そうして、そういうような状況でその他の会員がやはり出資を持つわけでございますが、その場合に、議決権はこの場合一人一票といういわゆる協同組合方式がいいのか、あるいは一口一票といういわゆる出資に応じた議決権を持つのがいいのか、いろいろ問題のあるところでございますが、この場合におきましては、一口一票という出資に基づく議決権を考えたわけでございます。これは、ずっと前には、たとえば農林省の例でも、開拓融資保証協会というものがございまして、そういうような場合にはこれは一人一票という制度で発足をして、現在もそれでやっているものもございます。しかし、この場合におきましては、その後たとえば中小漁業の信用保証協会が生まれたのでございますが、それらにつきましては、どうもやはり信用保証協会というようなものは一人一票の制度では適当でない、こういう考え方のもとに、考え方を改めまして、一口につきまして一票という議決権を持つ形に、中小漁業の保証協会制度をきめる場合に農林省としても考え方を改めたわけでございます。現在、いろいろその他の基金あるいは保証協会、そういうようなものの例を見ましても、大体そういう考え方をとっておるものが多いのでございます。一面から言いまして、農業協同組合の金を使うのだから、これは農業協同組合と同じように、一人一票の方がいいのじゃないかという御意見もございまするけれども、これはむしろ農業協同組合外の機関であるというふうに観念していいのじゃないかというふうに考えております。本来であれば、農業協同組合がこの金融については信用補強をしなければならない、自分で貸す金については、自主性を持っておればほんとうに自分で貸し倒れ準備金を積むなりあるいは自分の力で信用強化をやらなければならぬということが言えるのでございますが、それが農協の現状ではできませんから、政府とか県とかそういう他の力をもって農民の保護のために信用補強をやっていこう、こういう制度でございまするので、この制度に対して農協と同じように一人一票制度という考え方を取り入れるのは適当でないというふうに考えておるわけでございます。  第十八条におきまして、会員たる資格を有する者が加入しようとするときは、正当な理由がないのにその加入を拒んではならないこととしておりますほか、加入、脱退その他会員の権利義務につき第十八条より第二十二条までにおいて必要な規定を設けております。  第四章は、この協会の設立につきまして規定いたしております。  第二十三条から第二十五条までの規定によりまして、協会を設立するには会員たる資格を有する者で協会の会員になろうとするものは十五人以上が発起人とならなければならないこととするとともに、発起人は、定款及び業務方法書を作成し、事前に公告の上創立総会を開き、その終了後遅滞なく主務大臣に設立の認可の申請をしなければならないこととしております。  第二十六条におきましては、この申請があったときは、主務大臣は、設立手続、申請書等に欠陥がなく、また区域を同じくする他の協会がすでに成立しておらず、かつ、その事業が健全に行なわれ、農業生産性の向上と農業経営の改善に資すると認められるときは、設立の認可をしなければならないことといたしております。  以上のほか、第二十七条におきましては、設立認可があった場合の発起人より理事への事務の引き継ぎを規定し、第二十八条におきましては協会の成立の時期について規定しております。  第五章は、この協会の管理について規定いたしております。  第二十九条におきましては定款に記載すべき事項、第三十条におきましては、業務方法書に記載すべき事項をそれぞれ規定いたしておりますが、いずれも現在この種の事業を行なっております特殊法人と同様の事項を規定いたしております。  次に、第三十一条におきまして、協会は、定款、業務方法書で定めなければならないもののほか、規約を定めることができることとしております。  協会の役員につきましては、第三十二条から第三十六条までに規定しておりますが、理事の定数は五人以上、監事の定数は二人以上といたしており、その選任につきましては、会員、法人たる会員の役員、会員たる地方公共団体の長またはその職員の中から総会において選任しますほか、農業または金融に関する学識経験者より委嘱することができる、こういうことにいたしております。なお、第四十三条及び第四十四条におきまして、それぞれ役員の協会及び第三者に対する責任及び役員に関する民法の準用について規定しております。以上役員に関する規定でございます。  次に、総会につきましては、第三十七条から第三十九条までの規定により招集の方法を定め、議決事項、特別の議決等につきまして、第四十五条から第四十八条までの規定において同様の特殊法人の例にならい規定しております。  以上のほか、第四十条、第四十一条及び第四十二条におきまして、会員に対する通知または催告の手続、定款その他の書類の備え付け及び閲覧等につき規定いたしております。  第六章は、解散及び清算について規定いたしておりますが、第四十九条において、総会の議決、破産及び法令等の違反に対する解散命令を協会解散事由といたしますとともに、解算の決議は主務大臣の認可を要するものとしますほか、第五十条から第五十三条までにおいて清算事務に関し必要な規定を設け、第五十四条において解散及び清算に関する民法及び非訟事件手続法の規定の準用について規定いたしております。  第七章は、監督であります。  この協会は、債務保証を行なう特殊法人としての公共的性格を持っておりますので、これと同様の事業を行なう他の法人に対する監督と同程度の監督を予定しておりますが、その主要なものは、第五十五条の規定による業務または財産の状況に関する報告の徴収、第五十六条の規定による一定割合以上の会員から請求があった場合及び法令等に違反するおそれのある場合の検査、及び毎年一回の常例検査、第五十七条の規定による法令等の違反についての役員の解任、業務の停止等の必要措置命令、及びこの命令に従わない場合の役員の解任または協会解散の命令等であります。  このほか、第五十八条において、法令等に違反した総会の決議等についての是正手段として、会員の一定割合以上より請求があった場合において主務大臣は総会の決議を取り消すことができることといたしております。  また、第五十九条において、以上の監督措置についての主務大臣は農林大臣及び大蔵大臣といたしておりますが、報告の徴収及び検査の権限は、両大臣がそれぞれ単独に行使してもよいことといたしますとともに、政令で定めるところにより、その権限の一部たとえば報告徴収、検査等を都道府県知事に行なわせることができるものといたしております。  第八章は、罰則でございます。  最後に、附則につきましては、第一条において施行期日を定め、第二条におきましては、現在各都道府県においてこの協会業務と同様の業務を行なっております。先ほど申し上げました財団法人たる農業信用基金協会が、その寄付行為の定めるところにより、その住所のあります都道府県を区域とする新しい農業信用基金協会の発起人に対して、当該財団法人の権利及び義務を承継するようにと申し出ることができるものとし、この申し出が新協会の創立総会の議決によって承認されたときは、財団法人の権利義務は新協会成立の時にこの協会に承継され、財団法人はその時において解散する、こういうことで引き継ぎの規定をいたしておるわけでございます。  第三条は名称制限についての経過措置であります。  第四条及び第五条は、従来農業改良資金助成法に基づいて都道府県が行なって参りました農業改良資金施設資金に対する債務保証業務も、この資金が三十六年度以降農業近代化資金に統合されることとなりました関係上、協会に移管することといたしまして、そのために必要な農業改良資金助成法の改正及び都道府県がすでに実施しております保証業務の引き継ぎのための権利義務の承継に関する規定を設けております。  第六条においては、この協会農林中央金庫の会員といたしますため、農林中央金庫法改正するものでありますが、このほか、第七条及び第八条において、監督規定を整備するための大蔵、農林両省設置法の改正、第九条において、この協会の職員の身分を安定させるための農林漁業団体職員共済組合法の一部改正規定を設けております。これは農林漁業団体職員共済組合法の適用を受けるということにいたしておるわけでございます。  第十条から第十四条までは、協会に対し開拓融資保証協会等類似の特殊法人と同程度の税法上の優遇措置を講じますため、登録税法、印紙税法、所得税法、法人税法、地方税法について所要の改正を行う、こういう内容のものでございます。次に農林中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由補足説明を申し上げます。  この法律案は、農林中央金庫と構成団体との関係を一層緊密なものにして、真に農林金融の中枢機関としての機能を円滑に遂行することができるよう、その組織の整備をはかることを目的として農林中央金庫法の一部を改正しようとするものであります。  以下改正内容について御説明いたします。  第一は、役員に関する規定改正であります。  今まで役員についてはすべて政府任命でございましたが、役員の定数につきましては、第九条の規定改正して、監事の定数を三人以上から二人以上ということに減らしたわけでございます。そのかわりこれを全部常勤にするという考え方でございます。これは、現在金庫の監事三名のうち一名が非常勤であり、常勤しておりますのは二名でありますが、今次の改正以後は、常勤役員のみに上って業務に専念させる体制をとることが適当と考えられますので、現在の常勤監事の定数である二名に合わせるよう二名以上といたしたのであります。  第二点は、役員の選任方法及び任期に関する第十一条の規定改正であります。  その第一は、役員の主務大臣による任命制を廃止して、理事長及び監事は出資者総会で選任し、副理事長及び理事理事長が任命することとすることであります。これは、役員を構成団体がみずからの意思と責任によって選任することによって金庫と構成団体の結合を一そう緊密化し、それを通じて金庫の業務が一そう円滑に行なわれることを期待しているのであります。一面におきまして、今まで農林漁業中央金庫は政府出資が半分で発足をしたのでございますが、その後いろいろな変遷がございまして、現在は十六億円の純然たる民間出資でもございますので、これに対する役員を全部政府任命ということも適当ではないというふうに考えておるわけでございます。具体的な選任の方法につきましては、主務大臣の認可を必要とする定款に規定せしめることとして、その適正を確保することといたしました。  その第二は、理事長、副理事長及び理事の任期を一年短縮して四年としたことであります。金庫の業務運営に構成団体の意思が正しく反映されるようにするためには、選任の機会が多いこと、すなわち任期が比較的短いことが望ましいのでありますが、他方、あまり短くては業務に専念すること及び業務の責任の所在を明確にするという点から適当でありませんので、政府関係金融機関等の例をも参考の上、四年といたしたのであります。  第三点は、第十一条の二の規定を新設して役員の兼職を禁止することとしたことであります。これは、役員が他の報酬ある職務または営業に従事しますことは、金庫の業務に専念する上からも、また、金庫の業務の公正かつ中立な運営を確保する上からも適当でないと考えられますので、兼職を禁止することとしたのであります。この兼業禁止につきましては、兼業を禁止することによって、農業協同組合陣営から役員が入れないのじゃないかという意見もございます。これは、実際問題としては、農業協同組合陣営から役員として入りましても、その役員に専念していただけまするためには、農業協同組合陣営の方でいろいろの仕事をやって報酬をもらうということをやめてもらいたい、こういうことに割り切ることが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。また、実際の選任の方法といたしましては、定款の中で管理委員会というものを設けまして、ここでいろいろ会員の代表者等を入れまして、そこでどういう役員を選ぶかというような問題も相談する、それに基づいて理事長に任命してもらう、こういう運用をするというふうに指導いたして参りたいというふうに考えております。  以上が役員に関する規定でございます。  今回の改正のおもな点の第二は、第十二条の改正により、新たに、業務運営に関する重要事項につき理事長の諮問に応ずる機関として、主務大臣の認可を受けて理事長が委嘱する審議委員制度を設け、従来の評議員の制度を廃止することとしたのであります。しかし、この審議委員の任命につきましては、農林大臣の認可を必要とする、こういうようなことであります。これは、役員につきましては、あくまで、農林中金の民主化ということで、農業団体に血を通わす、こういうことに徹底をいたしまして、役員の選任について、総代会で任命した者を農林大臣が承認するとか認可するとか、そういうことはいたしません。そのかわり、事業につきましては、今後の農業金融の上に占めます農林中金の役割が非常に大きいので、そういう関係から、事業につきましては十分強化いたしますと同時に、この審議委員という制度は、たとえて言いますれば日銀の政策委員というようなつもりで考えていきたいということでございまして、農林中金におきまする重要業務をそこで審議していただく、こういう考え方でございますので、これにつきましては、審議委員の任命について主務大臣の認可を受けることになっておるわけでございます。  その他、監督の強化という規定など所要の法律改正を行なう、こういうようなことに相なっておるのでございますが、あまり長くなりまして申しわけございませんので、この辺で終わりたいと思います。     —————————————
  7. 小山長規

    ○小山委員長代理 次に、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。足鹿覺君。
  8. 足鹿覺

    足鹿委員 昨日の参考人の意見聴取の際にも、私見をまじえて質疑をいたしましたあの各委員の御意見は、大部分参考人に対する意見ないし質疑でありますが、事実はまた同時に政府に対する質問の意味も私は多分にあったと思う。でありますが、本日は、あらためて、若干重複するかもしれませんが、政府にお尋ねをいたしたい。最初に一般的な事項についてお尋ねを申し上げ、後段において具体的な疑問を若干提出してみたいと思っております。  昨日も申し上げたことでありますが、この近代化資金法並びにこれに関連する二、三の法案についてでありますが、これは新しい農林金融の方向に一応手をつけたという程度にすぎないではないかと思うのであります。問題は、今後この緒についた新しい農林金融がどう充実し、拡充されて、真に農民が求めておる近代化へ大きく貢献する内容のものになるか、また、するのかというところ私ども期待をしておるのでありまして、この案そのものにはきわめて不満であります。が、しかし、今述べたような意味合いから、私どもは次の段階に大きな期待を持っておる。今回の審議を通じて、どこに問題があるのかという点を明確にいたしまして、でき得る限りすみやかにその問題点に政府が対処されたい、そういう気持を持っておるということをまずよく御理解になった上で御答弁を願いたいと思うのであります。  まず最初に、農林大臣がおいでになりませんので、政務次官にお伺いを申し上げますが、政府農業近代化に関するところの基本的な考え方であります。近代化が今日のごとくやかましく叫ばれてきましたのは、農業と他産業との所得の不均衡の問題、また、その拡大に対していろいろな角度からこれを是正・均衡せしめていかなければならぬということになりまして、そこで、従来かくのごとき大きな不均衡の生じた、言いかえますならば、他産業が目ざましい近代化を遂げるにもかかわらず農業が前近代的なままに今日まで来たその根本原因は何であったかということに対する検討なしには、われわれはこの近代化問題を論ずることはできないと思うのであります。そういう見地から、私どもは、農地がきわめて狭小であったということ、同時に、農家に蓄積資金が乏しかったということ、また、それをカバーする長期・低利の農林金融の道が開けていなかったということ、それから、それらが相原因して、過小農業経営の特徴でありますところの神武天皇以来の前々近代的な技術体系のままに放置されておったということ、生産面からのみ見ましても、これらのものが相累積し、関連し合って、農村は今日のような非近代的な現状に甘んじなければならないという実情ではなかったかと思うのであります。従って、これらの原因は、農民みずからの責任に帰するといいますよりは、むしろ農政の責任に帰しなければならぬ、つまり、政府の施策上の欠陥が大きく作用しておったということは言い過ぎでないと思うのであります。そういう見地に立って私どもがこの近代化資金法等を考えてみた場合におきまして、なぜ政府政府みずからの責任においてこの近代化資金の構想をもっと徹底充実した独自の制度金融を考えられなかったのかということをこの際お伺いいたしたい。そのお答えをいただくと同時に、日本農業近代化とは一体何かということに対する政府の基本的な考え方もあわせて御答弁をわずらわせておきたいと思います。
  9. 井原岸高

    ○井原政府委員 御承知のように、農業基本法の中にもうたっておりますように、自然的ということはむろんでございますが、それに相関連いたしまして、おっしゃるようなふうに、農政の面からも非常に欠陥が従来あったというようなことが、今日ああいう政府提出いたしましたような基本法を作る原因になったわけでございます。従いまして、近代化するためにはいろいろな問題があろうかと思います。こういう問題につきましては、具体的には、審議会で経験者の方々に、また国会でも御審議を願って方向をきめるわけでございますが、その中で、特に近代化資金につきましては、申すまでもなく、ああいうような基本法の大きな建前からいたしまして、総ワクにいたしましても、おっしゃるように、これはほんのかけ出しの額でございます。さように言えると思うのでございます。また、歩率等につきましても、七分五厘という歩率は、農業の現在の経営実態から申しまして、これ自体で満足できる歩率でもございません。総理も、予算委員会におきまして、将来は四分にあるいは三分にもしなければならないであろうというふうなことを述べられておるようでございますが、政府としては、皆さんの御協力をいただき、お説のような方向へ進むようなふうに努力いたしたいと考えております。
  10. 足鹿覺

    足鹿委員 どう言っていいのかわかりませんが、これ以上お尋ねを申し上げることは差し控えておきたいと思いますが、とにかく、政府みずからの責任においてどうしてなされなかったのかということに対する次官としての御所信もあってしかるべきではないかと思うのです。と申しますのは、農協系統資金を三百億この近代化資金に充当する。三百億と申しますと、一応そのかけ声はその近代化にこたえるある程度の金額のように思えますが、実際は三十億の金を政府が事実上積んで、しかもその運用益の一億八千万円でもって金利補給を一分やるということでありまして、政府自身の腹は一つも痛んでおらないのであります。こういう内容を農民がほんとうに知ったといたしますならば、おそらく、政府が大きなかけ声をかけております農業基本法、その中身の中で一番大きな比率を占めるであろうこの近代化資金について、農民は落胆するのではないかと私どもは思うわけですが、一応、その看板は、看板そのものにおいては反対すべき何ものもありませんので、私どもとしましては、その内容を掘り下げて、この充実拡大をはかっていかなければならぬ、そういう気持に立っておるわけであります七そういう点から、次官も、もう少し虚心たんかいに、われわれと意見を一にするならする、将来に向かってはこうあらねばならぬのだという所信をこの際表明されませんと、ただ答弁をすればいいということでは、この法案の成否にもかかわるような事態になると思うのですが、いかがでしょうか。
  11. 井原岸高

    ○井原政府委員 立場上まことに明確さを欠いているかと思いますが、全く同感でございます。運用益でもって補給をしていくというようなことに法の建前はなっておりますけれども、これは建前でございまして、実際の面から言ってみれば、それだけの額でやれるかどうかということは、正直に言って、私自身は確信がないわけであります。ある場合にはそのもと金にあるいは食い込んでいかなければならないようなことにもなるのではないか、運用の結果がそういうことを生ずるのではないかというふうに考えておるわけでございます。お説のような方向へ向かうべくむろん考えております。
  12. 足鹿覺

    足鹿委員 この点は非常に重要な点でありまして、私どもの審議態度にもこの点が非常に大きく作用するわけですから、農林次官で不満とは申しませんが、やはり、責任者であります農林大臣から、締めくくりの際には御出席になって所信を開陳されない限り、私どもの審議に支障を生ずるということを御理解願って、御善処願いたいと思います。  そこで、政府みずからの責任において新しい制度金融の道を開くことをやめて、農協系統資金にたより、農協資金においてこの運用をはかろうという構想に至りました以上は、系統農協のあり方、その現状と今後のあり方というものに対する政府考え方なり方針というものが、この際明らかにされなければならぬと思うのであります。なるほど、連合会の整備促進も一段落つき、単協の再建整備も一応のめどがついたと言われておりますけれども、個々の単協をとってみた場合、昨日の参考人の意見にもありましたが、連合会の場合はともかくとして、単協の場合はまだ相当単協自体の中にも不振単協がある。従って、合併促進法で一応お茶を濁した感がないでもありませんが、その不振単協の窓口の場合におきましては、この近代化資金貸付をめぐって十分徹底を欠きはしないか、実際問題としてそういう場合が相当出てくると思うのであります。これが単協の窓口を通じて行なわれるゆえに、特に私どもは系統農協一本の姿でこの窓口を堅持しそれを貫きたいと思いますがゆえに、特にこの点を重視するわけでありますが、それに対するところの政府対策はどのように考えておられますか、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  13. 坂村吉正

    坂村政府委員 御説の通り、この近代化資金制度は、農業協同組合資金を積極的に活用しよう、こういうことでございまして、先ほどお話がございましたように、政府の責任において近代化を進めていくということはもちろんでございますが、これは、一面におきましては、農林漁業金融公庫という、これは政府のまるがかえの政府資金近代化を推進するためのきわめて長期・低利の金を貸す、こういう体制があるのでございまして、これはこれといたしまして、三十六年度におきましても百億以上の増加をいたしておるのでございますが、今後ともこれは十分充実をしていきたいというふうに考えておるわけでございまして、一面、御承知と思いますが、農業協同組合に現在のように八千億の資金が大体集まっておるというような状況でございますので、これをもっと積極的に農業投資に向けるのが農業協同組合金融の本来の姿ではないか、こういうことが一つのねらいになっておるわけでございます。  そこで、それでは農業協同組合の八千億の預金がほんとうに有効に農民に再投資をされておるかどうかということを考えますと、現状においては遺憾な面が非常に多いわけでございます。それは、先ほどおっしゃいましたように、農業協同組合自体の組織あるいは内容が充実していないとか、そういうような面にも問題がございます。そういう面がございまして、一面において農協の強化ということをいろいろな面でやって参っておるのでございますけれども、なかなか急速には進みません。そういう状況でありますけれども、しかし、これをほうっておくわけにも参りませんので、とにかく、政府でもできるだけの援助をして農協資金を積極的に農業近代化に活用しよう、こういうことで考えたわけでございますので、これはやはり、政府の直接の融資、そういうものと対応し、対になりまして、農協資金農協が積極的に農業に還元をしていくという体制を強化していこう、こういうねらいを持っているわけでございます。ですから、いろいろ、この運用の問題につきましては、ただいまおっしゃいましたように、非常な不振農協等がございます。そういう状況でございますので、一面においては農協の合併促進その他強化の施策をいろいろ講じて参っておりますと同時に、事務的には、たとえば不振農協等におきまして農民が借りる場合には非常に借りられないというような場合もございますので、信連が農民に対する直接貸しをするという道もはっきりとつけまして、農民に対する資金が円滑に流れるように、こういう考え方をとっておるわけでございます。そういう考え方のもとに、その両面を十分今後私どもは努力していきたいということでございます。
  14. 足鹿覺

    足鹿委員 昨日も申し上げたのでありますが、農協に対する財務処理基準令の大幅改定について農林省としてはいかようにお考えになっておりますか。現在の単協中心に申し上げますと、財務処理基準令の示すところによりますと、出資金との関係もありますが、個人貸し出しの限界は、少ないところでは五万円程度であります。共同貸付が二十万円そこそこという現状であります。なるほど、農林漁業金融公庫制度金融によって協同化等に百数十億の資金ワクがある。それをカバーして今度の近代化資金でいくのであるというお話でありますが、昨日の参考人の意見によりましても、北海道の中央会長が言われたように、資金のワクの割当があっても、その貸付がきわめてきびしい条件のために利用者が半分もない、こういう実情が昨日の参考人の意見では切々とした述べられておる。そういった実情をわれわれが考えましたときに、他の制度金融の成果があがっておれば、今日このような事態で近代化資金法を出さなくても、それを大幅に充実徹底すれば事足りると思うのです。それがそういかないところから、今日この法案提出を余儀なくせしめられておるのではないかとも一面考えるわけでありますが、これはともかくとしまして、系統農協のその責任におけるところの融資を一方に伴なわない限り、この農林金融の解決はあり得ないと思うのであります。でありますから、どうしましても単協の財務処理基準令の今のようなあり方ではこの目的が達成できぬと思いますが、農林省としては、財務処理基準令をそのままにほうっておいて、農協の合併で指導するからある程度是正ができる、信連の直接貸しの道が開いてあるから、それでいいんだというふうなおざなりな御答弁で事態を済まされる御所存でありますか。この点、重要でありますので、詳細に伺いたいと思います。
  15. 坂村吉正

    坂村政府委員 御説の通りでございまして、せっかく制度を作りましても、これが円滑に末端に流れなければ何にもならないと思うのであります。それで、現在問題になっておりますのは、財務処理基準令が農協の貸し出しの障害になっておるのではないかという意見も一般的な議論としてもございます。今度の近代化資金を実施いたします場合においても、そういう問題を解決しなければいかぬのではないかということもございます。そこで、これは、農協が金融機関としてほんとうに活動いたしますためには、農協が農民に対する貸付を積極的にやるという体制を作らなければならぬと思うのであります。一面においては、その貸付体制を十分にできるように施設整備をいたしたい、と同時に、財務処理基準令につきましても、これは制限になっておる面は撤廃をしたいというふうに考えておるわけでございます。それは、財務処理基準令の六条でございますけれども、ここでは、一組合員に対する貸付金の限度は、貯金、定期積金または有価証券を担保とする貸付金及び主務大臣の指定するその他の貸付金を除き、その組合の自己資金の百分の十五、それから家族を含めて百分の二十五、こういうことになっておるわけでございます。しかし、実際問題といたしまして、それではこの財務処理基準令でほんとうに農民に対する貸付がじゃまになっているかどうかということを試算をしてみますと、この限度で貸しましても、全国平均で大体一組合員に対して百万円をこえる金額になります。これを基礎にして総会で限度をきめておるわけです。それで、総会で限度をきめる場合に非常にしぼってきめているのが実際でございまして、昨年の調査でございますが、二十万円以下の限度をきめている組合が六〇%から七〇%という状況でございます。そこで、昨年、実は、こういうことであるから、財務処理基準令の範囲内においても総会の決定のいかんによってはもっと貸せるのだから、できるだけ総会の制限をゆるめて一組合員当たりの貸し出しをふやすようにという指導通牒を農林省と大蔵省とが出しておるわけでございます。そういうような問題もございますが、しかし、今後貸し出しをどんどん促進して参りますためにはこの点を直さなければいかぬということで、今検討いたしております。  また、近代化資金の場合におきましては、これは財務処理基準令の適用がございませんから、財務処理基準令の限度によって近代化資金貸付が縛られるということはございません。
  16. 足鹿覺

    足鹿委員 十二時半でもありますし、定足数も足りませんから、午後に質問したいと思います。
  17. 小山長規

    ○小山委員長代理 それでは、一時半より再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ————◇—————    午後三時七分開議
  18. 坂田英一

    坂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出農業近代化資金助成法案農業信用基金協会法案農林中央金庫法の一部を改正する法律案内海安吉君外四名提出自作農維持創設資金融通法の一部を改正する法律案及び芳賀貢君外十一名提出自作農維持創設資金融通法の一部を改正する法律案議題として、質疑を続行します。  足鹿覺君。
  19. 足鹿覺

    足鹿委員 午前中の質疑を続けますが、その際の御答弁がちょっと明瞭でありませんでしたので、財務処理基準令の改廃の問題について農林省の方針をいま一度御説明願いたい。
  20. 坂村吉正

    坂村政府委員 午前中の御質問の財務処理基準令第六条の問題でございますが、一組合員に対する貸付限度を財務処理基準令で制限をしておるわけでございます。この点につきましては、実情から言いましても、この基準令で制限をする必要はないのじゃないかということで、これを大幅に緩和するなりあるいは撤廃するなりということで、現在詰めております。大体そういう方向で直したい、こういう工合に考えております。  ただ、もう一点、問題は、財務処理基準令の現在の貸付限度が末端で徹底しない原因は、どちらかといいますと、財務処理基準令の問題ではないわけでございまして、財務処理基準令のもとにおきまして総会の決議で貸付限度をきめておるわけでございますが、その総会の決議が非常に消極的になっておるわけでございます。現実を申し上げますと、二十万円以下というようなふうに押えているのが七〇%ぐらいあるわけです。平均で見ましても、財務処理基準令の基準で考えますと、一組合員平均大体今の財産状況からいいますと百万円以上のものが貸付限度になり得るという制限でございます。そういう状況でございますが、財務処理基準令の方は直したいと考えております。
  21. 足鹿覺

    足鹿委員 それはあなたが御調査になったことですから間違いはないとは思いますが、少なくとも実情は今局長の言われたこととはよほど異なっておるのです。と申しますのは、都道府県が組合検査をいたします。その検査たるや非常に厳正緻密な検査が行なわれる。そうした場合に、財務処理基準令の限度を越えてでも組合員の要請に基づいて総会決定等で相当額の貸し出しをした場合、必ず問題が起きる。事実、貸し出し限度は、今局長が言われるように二十万円といった程度のものではありません。個人の場合は大体私どもの地方では平均五、六万円、大体部落共同の場合等が二十万円前後、こういろことになっておりまして、それが著しく全国的に大きな幅があるとは私は思えません。いずれにいたしましても、必要上行なったことに対しても、その財務処理基準令によって非常にやかましく言われる。それをまた一つの口実とするというと語弊がありますが、なるべく押えようということになりまして、総会または総代会はこの問題をめぐって最近相当論議が行なわれておることは、すでに当局も御存じだろうと思います。でありますから、いずれにいたしましても、この財務処理基準令を今言われるように早急に検討し、撤廃すべき条項は撤廃し、今日の情勢に即応するように願いたい。特にこの基準令がかくのごとくきびしくなったのは、単協の場合で申しますならば、赤字組合が続出をした、いわゆる経営不振の農協が次々と出てきたために、国が再建整備のめんどうを見る、そういうような場合において、財務処理の仕方については、その基準を厳正にして、この不振組合の振興をはかるためにことさらにきびしくなった面もないではないと思うのでありまして、今日の情勢から見まして、組合もほぼ再建され、また、農協金融が農業近代化の上に占める地位というものは、いかように他に制度金融の道が開かれたといたしましても、それ自体として私は大きな意味を持つものだと思いますので、でき得る限り農協自体が近代化にみずからの創意と努力によって農民の要望する融資にこたえるような道を開く、それを制限するようないろいろな規定や通牒その他はでき得る限りこれを改廃していくべきである、そういうような見地から申し上げておるわけであります。大体いつごろになる見込みでしょうか。
  22. 坂村吉正

    坂村政府委員 お説の通りでございますので、できるだけ早くということで、この法律の施行の際には同時に一つ財務処理基準令も直す、こういう心がまえで考えております。
  23. 足鹿覺

    足鹿委員 次に、現在の三百億の資金ワクをすでに農林省都道府県に対して内示をしておられるわけでありますが、それはもちろんけっこうだと思います。法実施の際に直ちに事務が進むようにされることはけっこうだと思いますが、その各府県へワクを内示された場合のその根拠と申しますか、基準は何によって算出されておりますか。私どもの県の実情から言いますと、四億五千万ということに聞いております。九州のさる県では、私どもの県よりも農業県としては相当実力のある県だと思いますが、二億円という話も聞いております。いずれが真偽か私は存じませんが、すでに割当をしておられるならば、それを資料として御提示を願いたいと同時に、昨日も参考人の意見聴取の際にもいろいろと問題になりましたが、その割当の基準なり根拠というものは、資金需要との関係等とも考えまして、画一的な割当にならないように十分な配慮をすることが肝要だと思われますが、そういったような点について御答弁願いたいと思います。
  24. 坂村吉正

    坂村政府委員 はなはだ何でございますけれども、どういうお間違いかはわかりませんが、今のところ資金の内示等はいたしておりません。ただ、現在、近代化資金法案通りません場合におきましては、従来の有畜農家創設資金であるとか、改良資金施設資金であるとか、こういうようなものがこの制度に乗り移ることになっておりますのでストップをされておるわけでございます。そういうようなことで、資金融資がとまりますと非常に農民も困るということが考えられましたので、大体、今までの有畜農家創設資金とか、それから農業改良施設資金に類するようなものについては、とにかく一応どうしても必要なものについては融資措置を考えておきなさい、もしかりに近代化資金通りました場合にはそれについて今後善処をして参りますから、こういう意味のつなぎのための通牒だけを経済局長名で出しておりまして、内示は出しておりません。内示を出します場合に、県に対する割当等をいたします場合には、おっしゃる通り、ほんとうに資金需要等も考えまして、ワクが三百億でございますから、十分有効にこれが使われますように考えたいと思っております。
  25. 足鹿覺

    足鹿委員 それはおかしいことを聞くのですが、いかような形式かは知りません。内示という形式かどうか知りませんけれども、とにかく、各府県のワクが示されておるのです。しかも、その内容についても、近代化資金融資のワクの中のまた内訳といいますか、それがちゃんと示されておる。私どもの県の実情から申しますと、全体が四億五千万、その内訳は、一般分と称するものが二億、有畜農家関係が一億三千万、協業化が三千万、共同利用が七千万、その他二千万、合計四億五千万、こういうことになっておるのです。こういうふうに、全体のワクのみならず、その内訳まで、しかもその内訳のおもなる種目について金額も示されておるわけであります。別にそれが悪いとは私は申し上げるわけではありませんが、その内容について見ますと、当然国の三百億の場合も内訳の大体のワクが定められておるであろう、検討されておるだろうということが想像できるわけなんです。この場合、中央でも、私が今指摘したように、一般分、有畜農分、協業化、共同利用、その他、こういう分け方でありますならば、中央の三百億の内訳を種類別にこの際御説明願いたい。資料があれば資料を御提示願いたいと思います。
  26. 坂村吉正

    坂村政府委員 私の方でも決してごまかしているわけではございませんで、いかなる形におきましても内示等はいたしておりません。ただ、今まで県に対して、こういう趣旨の近代化資金制度ができました場合にはどういう事項についてどういう需要があるか、こういう調査はいたしております。その調査は、畜産関係のものと、それから一般のものと、こういう工合に分けまして、そして調査いたしております。ただ、私の方では、それを基礎にいたしまして、県別にいろいろ検討をいたしておる段階でありまして、外部には全然そういうものはまだ出ておりません。その場合に、農林省としてのワクの考え方は、今までのものに有畜農家創設資金がございまして、その分につきましては、先ほど御説明申し上げました通り利子補給が十割の利子補給でございますから、これだけは特別に一つワクを作っておかなければいかぬだろうということで、大体これは四十億程度というくらいのところで考えておるというところが、今のところの私の方のしいてワクと言えばそういう内容でございます。
  27. 足鹿覺

    足鹿委員 ないと言われれば、どうもこれ以上いかんともいたし方はないが、別にあなた方もお隠しになることはなかろうと思う。これは各都道府県もみなもらっておるのです。自分のうちは何ぼ、自分のうちは何ほと、みな言っておりますよ。それを、何を言ってるんですか。それはおかしいですよ。私は何も糾弾的な質問をしているんではないのですよ。何も隠す必要はないじゃないですか。法律が通った際における準備として、そういう準備をしておるということは何も悪いことではない。
  28. 坂村吉正

    坂村政府委員 この点は、何とおっしゃられましても、私の方では仕事をやっている事務当局は全然出しておらないわけでございます。いろいろ検討中でありまして、どういうお間違いかわかりませんけれども、それは新聞か何かに出ておるものでございましょうか。
  29. 足鹿覺

    足鹿委員 何であろうと、これは、主管課長会議をお聞きになるとか、あるいは部長を集められたときの指示とか、正式文書でやられたかどうか知りませんが、何らかの形で流しておられると思うのです。そうでなかったら、地方の新聞紙やあるいはその他私どもの方へもその内容についていろいろ尋ねが来るはずはないですよ。ですから、要するに、都道府県には出しておられぬということであれば、別に私はそれをこまかく言うつもりはありません。が、三百億のワクの内訳はすでにできておるでしょう。一例から申しますと、一般分というものが、私の県の場合が、四億五千万のうちで、約半分の四五%程度の二億円というものが一般分なんです。それで、有畜農家関係が一億三千万円、協業化がわずかに三千万、共同利用が七千万、その他二千万という格好でして、一般分の二億円というものが大半を占めて、あとのこま切れば、有畜農家が相当の量を占めているのに反しまして、協業化だとか共同利用といったようなものはきわめて少額の内訳になっておる。といたしますと、この近代化資金の運用の面にあって、この資金は一体何をやろうとしておるのか、この割当内訳というものが、結局、事実上の協業化に対する熱意があってもそのワクがない、あるいは共同利用に対しての非常な資金需要があってもワクがないといったようなことにおいて、これが制限を受けるというような結果にならないようにということを私は申し上げたいのであります。そういう点について国はいかような考えであるか知りませんが、地方にこのように趣旨普及を兼ねて流しておられるが、中央では一体どういう内訳配分をもって対処されようとしておるのか、それをまず明らかにしていただきたいということです。
  30. 坂村吉正

    坂村政府委員 まことに申しわけないのでございますが、足鹿委員のおっしゃいますような事実がございませんものですから、申し上げたいと思いますが、農林省でいろいろ各県に現在需要の調査をいたしておりますものも、そういうこまかい区分では絶対いたしておりません。御趣旨のように、これは、できるだけ弾力性を持たせた運営でないと、総合的な運営ができないと困ると思いますので、私の方では、先ほど申し上げましたように、家畜の分と一般の分と、こういう区分で県からの需要調査をいたしております。そうして、鳥取県からは全体で四億三千の需要が来ております。そういう県の需要を現在いろいろ調査をいたしておりまして、これを何とか整理をしまして、今月の十二日に主管課長会議をやろう、こういうことで計画をいたしておりますので、その際までにいろいろ検討したいという段取りで進めておるわけでございますが、その場合におきましても、私の方といたしましては、一応、今の考え方では、家畜一般分と、こういうぐらいの大まかな考え方で県に対する配分等もいたしたい。それで、いろいろその間の融通といいますか、弾力的な運用で、共同利用がどうだとか何がどうだとかいうようなことのないように一つやっていきたい、こういうつもりで考えております。
  31. 足鹿覺

    足鹿委員 これ以上申し上げませんが、何かやはりヒントとなるものを示唆されておりはしないか。私だけの県で聞いておるのではない。よその県でも、君のところはどうだ、おれのところはどうだというふうに話があるから、これは、一般共通的に何らかの示唆等を与えられ、それに基づいて資金需要等の内々の調査等を求められておるのではないか、そういうふうにも考えられるわけでありますが、とにかく、少なくとも、何らの根拠のないことが対外的に大きな影響を持つ報道機関に発表されるわけがないのでありますから、十分その点はあなた方も御調査願いたいと思います。とにかく、有畜農家分と一般分というふうに大まかに分けるということでありますが、その一般分の中を、さらに、共同利用がどう、協業化がどう、その他がどうというふうに細目に分けてこれは指示されるのかどうか。一応の資金需要とにらみ合わせて県のワクがきまった場合においては、その県内におけるところの系統金融機関、また信用基金協会等の連絡等によって、その自主性においておやりになる所存かどうか。この点が重要でありますから、確かめておきたいと思います。
  32. 坂村吉正

    坂村政府委員 何らか誤解のありますような点につきましては、私どもも十分調査いたしたいと思います。  それから、農林省がかりに県に割当をいたします場合等におきましては、先ほど申し上げましたように、大体、家畜の関係と、それから一般の分、そういうふうに少なくとも二つぐらいの分け方をしてやっていきたい。それから、あるいは、いろいろ省内各局等の事情もありまして、かりに何らかその中で指示することがございましても、それらの点については、十分融通りつくような形で、決してこれをきちっと縛るようなことは考えていきたくないというつもりで処理いたしたいと思っております。
  33. 足鹿覺

    足鹿委員 次には、貸付条件の問題でありますが、貸付条件を定められるにあたって、あなた方の基準となるべきものはどういう基準からこういう貸付条件が編み出されたのか。安いとか高いとか、これを長期にするとかいったことは、これは長期で安ければ安いほどいいにきまっておるのでありますから、この点についてはあえてくどくど申し上げませんが、少なくともこういった貸付条件によって農業近代化がなし遂げられるとお考えになったその判断の基礎と申しますか、それと、償還期限あるいは据置期間、金利といったような点について、少し詳細に御説明を願いたい。
  34. 坂村吉正

    坂村政府委員 貸付条件等につきましては、その具体的なものは、先ほど御説明申し上げましたように政令指定しよう、こういうふうに考えておるわけでございます。そういたしまして、貸付条件、金利、あるいは償還期限等をどういう工合にきめるかという問題は、これはなかなか絶対的なものはあるまいと思うのでございます。これであれば農業近代化が完全にできるのだというようなものは、絶対的にきめられるものじゃないというふうに考えるのでございますが、今までの農林漁業金融公庫等におきましていろいろ融資をして参りました条件、あるいは今まで制度金融として農業改良資金あるいは有畜農家創設資金というようなことで運用して参りましたその条件、そういう条件等を勘案いたしまして、それから、施設によりましていろいろ耐用年数等も考えまして、それも、非常に数多くの施設対象とするわけでありますから、一々のものがぴちっと耐用年数がこうだというわけには参りませんけれども、大体のところそういう耐用年数等も考えまして条件をきめましたわけであります。ですから、そういうようなことで、午前中に申し上げましたように、第一に、共同利用施設といいますか、比較的大きな施設、たとえば農舎、畜舎、蚕室、葉たばこ乾燥室、人工授精室、そういういろいろの施設がございます。そういうところについては十年で据置期間三年、それから、農機具類につきましては、大体こういう機械・器具類を中心といたしましたものは、これよりも耐用年数等も幾らか短くなるということでございますので、七年と二年というふうにきめましたわけでございます。大体そういうようなことでございまして、必ずしも機械的にこれはこうだというような計算で出てきたというものでもございません。  それから、金利の問題については、先ほどいろいろ御討議がございましたように、非常にむずかしい問題でございますが、今までの日本全体のいろいろな金利の条件、あるいは農業協同組合の今の金利の条件、そういうものを勘案いたしまして、とにかく、とりあえず七分五厘ということで発足しようということで考えたわけでございます。
  35. 足鹿覺

    足鹿委員 この貸付条件の中で特に重要な問題は金利の問題でありますが、市町村の末端窓口の農協の金利が大体一割程度と想定されましてこの金利の算出がなされておるのではないかと思われるのですが、そうですが。
  36. 坂村吉正

    坂村政府委員 現在、平均をいたしまして、末端の農業協同組合の貸し出す金利は九分八厘程度でございます。平均をいたしますとそういうようなことになっております。ですから、それを、農協におきましても十分合理化を進めて、農協においてもやはり勉強をしてもらう、こういうことで九分五厘という押え方をいたしました。これに対して利子補給を二分やって七分五厘、こういう押え方をいたしたわけでございます。
  37. 足鹿覺

    足鹿委員 その場合に、安いほどいいわけですから、末端の単協が九分五厘のものを大体八分で出す、あるいは七分五厘で出すといった場合もあり得るわけですね。資金の充実した健全な経営をしておる農協の場合はそれは可能なんですね。そうした場合も、やはり国、県の利子補給を合わせてストレートでいくわけですか。
  38. 坂村吉正

    坂村政府委員 その問題につきましては非常にデリケートな問題でございますけれども、法律上は、七分五厘以内で貸し出す、こういうことで、以内ということになっております。そこで、一応農協の現在の平均の金利を九分五厘と押えまして、七分五厘以内というふうに考えておるのでございますが、そういうような意味で、ある単協がほんとうに合理化されまして、そこでは金利が八分であるというような場合には、それではその利子補給を減らすのだという考え方は適当でないと思いますので、その点は、そういう場合におきましても初めの二分というものの利子補給はやっていきたい、こういうつもりで運用は考えたいと思っております。法律の問題としては七分五厘以内でございます。  ただ、それが、非常に極端に、たとえば一般の金利と思われ得ないようなことで三分だ五分だといって押えてみて、特定なものに対してわずかな金額を出すというような場合におきましてまでそういうことをやっていいかどうかという点は、やはり問題だろうと思うのであります。そこで、一応今事務的な運営の問題として考えておりますのは、末端の金利が合理化されて七分五厘程度まででやっていけるというようなところにつきましては、二分の利子補給はそのまま続けていったらどうだろうかと考えまして、大蔵省と大体そういう話を固めつつあります。従いまして、末端の農協が非常に合理化されて金利が下がっておるというような場合におきましては、五分五厘までの金利になる、こういうことになるのではないかと考えております。
  39. 足鹿覺

    足鹿委員 この点は実際問題として非常に重要な点だと思うのです。まだ明確でないようですが、昨日参考人との間にいろいろと意見の交換が行なわれたのもこの点だったと思う。この点はもう少しはっきりしてもらいたい。予算委員会の分科会で私はこの点について若干触れたと思うのですが、すべてというわけには相ならぬかもしれぬ。その資金種類等によってはあるいは場合によっては若干の段階等を付することもあり得るかもしれない。しかしながら、この資金の性質から言って、池田総理が、農林水産委員会における基本法審議の際に、口をすべらしたか本音かどうかわかりませんが、とにかく、三分五厘、三十年、場合によっては二分五厘ということまで口をすべらした。これは重大な発言で、今後のこの種農林金融の一つの方向を示されたものとして私どもは重視しておるのでありますが、そういった面からいきますと、五分五厘というものはもう言わずして明らかなことなんです。北海道のマル寒資金の例を見ましても、五分五厘というものはすでにわが国においても実施されておる。今われわれが問題にしておるのは、農業の場合における高度の近代化という大事業をこの資金によってなし遂げようというわけでありますから、少なくとも、三十年、三分五厘といった程度のものは常識として何ら差しつかえのある条件ではないと思うのであります。そういう点から見まして、安いのがいいからといって全部ただにするというわけではありませんが、少なくとも単協が自力によって国の施策に相呼応して金利を三分五厘ないし四分で実需者に貸付するという事態のところに対しては、何らちゅうちょすることなしに現在の国の条件を当てはめていってよろしいと思う。  ただ、問題は、作目から問題になっております資金需要の面について、ある県では余っておる、ある県では不足して困る、また、県の場合、ある町村では需要が非常に多い、ある町村では少ないといったような事例が出てくると思う。そうしますと、今後の割当と申しますか、一定のワクを設定する場合に、なかなかデリケートでむずかしいと思いますが、少なくとも需要と調整をとったワクが町村別にきまる、組合別にきまる、そういった場合は、そのワク内において単協がどのように努力して金利を下げようとも、それは国の施策に最大限の協力をするわけでありますから、国はそれについてちゅうちょされることはおかしいと思う。大蔵省とその点で折衝しなければまだはっきりできない、デリケートだと言われる筋はないと私は思うのです。もっとその点は明確にしてもらわないといかぬと思うのですが、大蔵省と何を折衝しているのですか。
  40. 坂村吉正

    坂村政府委員 ごもっともな御質問でございまして、その点は、私どもも、できるだけ安くて条件がいいのがいいと思うのでございますが、とりあえず今度の近代化資金につきましては七分五厘ということを目標にして発足をいたしましたわけでございます。そこで、いろいろ、長期・低利のものにつきましては、午前中も申し上げましたように、農林漁業金融公庫資金を相当大幅に今後も拡大をいたしまして、長期・低利のものについては大いに充実していく、それにある程度劣るといいますか、及ばないような程度の中期のもので、しかも金利もその系統金融を使ってもそう無理のないというようなところのものに政府の援助をして、その近代化資金をやっていこう、こういう考え方でございます。そこで、七分五厘ということで一応押えたわけでございますけれども、農協がほんとうに勉強して自分の合理化をやりまして金利を下げた場合に、それに対しては利子補給が行かないのだ、こういうことは、制度を実施いたします場合にもおもしろくないことであろうと思うのでございますので、その点を、ある程度のところまでの分につきましては二分の利子補給をそのまま出していく、こういうことで考えておるわけでございます。たとえば、一例を申し上げますと、一千万の資金を貸しております農協がありまして、そのうちの十万円か二十万円に対しては五分で貸しています、あとのものは一割取っております、一割二分取っておりますというようなことで、ほかの全体にしわ寄せしたような形でわずかのものが行なわれることがありました場合には、かえっておかしなことになりはしないかというような感じもいたしますので、大体のところの押え方でございますが、農協の金利のベースが大体七分五厘程度、その程度まで合理化されて金利が安くなっているというようなところであったら、それに対しては惜しまず二分の利子補給をほかと同じようにやりまして、そうして、そういう合理化されたところについてはほかよりも安い金が出るということにいたしたいと考えておるわけであります。大体そういうことで決定ができると思っております。
  41. 足鹿覺

    足鹿委員 私は昨日も申し上げたのですが、農協の金利が末端において七分五厘程度に合理化されたところはいいじゃないかという御意見なのですが、七分五厘が八分五厘でありましょうとも、組合が、少なくともこの資金の制定の趣旨に沿って、たとえば、一般の金利はまだそこまで行っていないが、剰余金は持っておる、その剰余金等をもっていわゆる金利をカバーするといったようなことは、やろうと思えば理事会等の協議によって単協はやり得るのです。そういう場合に、金利そのものが合理化されておらないからということになりますと、それでは趣旨に沿わないでしょう。ですから、少なくともそれは意思の問題だと思う。組合なら組合の意思の問題だろうと思うのです。七分五厘以下で農民に融資をする、こういう意思をきめて、それに必要な施策を組合が決定をしていけば、国はそれに対して援助をすることにやぶさかであってはならぬと思うのですが、農林政務次官、いかがでしょうか。これは政策上の大きな問題ですよ。
  42. 井原岸高

    ○井原政府委員 ただいま経済局長からお答えいたしましたように、現在の平均金利は、さっき申し上げましたように、九分五厘に押えておる。それをもう少し合理化し、また、事務費等も節約してもらって、七分五厘くらいまではどうしても下げられる方向で指導していくべきであろう。おっしゃるように、もっと安くなればなおけっこうでありますが、今のところ七分五厘程度までの目標で進みまして、おっしゃるようなふうに、それが末端農協の方の意思に基づきまして四分になる場合もあるでしょうし、あるいはもっと少なくなる場合もあるかと思いますが、そういうような方向へ向いて参りますれば、この法の目的近代化を進めるための政府助成の仕事でございますので、当然おっしゃるような方向へ向かわなければならないんだ、今の場合はただいま局長からお答えいたしました程度の考え方で進みたい、かように考えておるわけでございます。
  43. 足鹿覺

    足鹿委員 どうも私はこの点はっきりしませんが、これは、後ほど農林大臣がおいでになりましたら、政策にもつながる問題ですし、農林金融体系のうちの貸付条件の問題でありますから、これはもう少し議論をしてみたいし、所信を明らかにしてもらいたいと思いますが、一応この程度で、あとに譲ります。  そこで、現在まで、各都道府県におきましては、一般農業振興基金のようなものを設けておる都道府県が十六府県くらいございますし、共同化資金としてはっきり農業近代化の方法としての共同化を育成助長するための基金制を持っておる都道府県が約十府県くらいあるように私どもは記憶しておりますが、そうした場合、共同化基金制を持っておるところの都道府県の貸し出し条件はきわめて金利も低いし、相当貸付条件が緩和されておるようであります。その面から見ますと、都道府県の場合で大体六分五厘程度でもうすでに実行しておる。といたしますと、私がこの前予算委員会で心配した点は、局長も御存じでございましょうが、私の考えからしますれば、六分五厘にすでに県が踏み切りをしておるわけでありますから、少なくとも現在の政府考え方よりも二倍ないし三倍の負担を府県においてして、この種資金を受けて農業近代化に努力をしておるわけであります。ですから、そういう努力をしておる都道府県の場合から見ますと、今度の制度は相当後退したものなんです。末端で七分五厘をねらっておるわけでありますから、後退したと言わなければならぬ。むしろこの近代化資金ができることによって、都道府県の進んだ制度が後退しはしないかという心配もあながち杞憂ではないと私は思うのであります。ですから、今私がしつこくお尋ねをいたしましたように、そういう進んだところに対しては、国の一分の利子助成を、全体として県が二分持っておるならば国も二分持ち、県が三分持つならば国も三分持つというように、積極的に、都道府県の熱意と努力を買って、国がそれに対してはさらに援助をする。しかし、都道府県の財政の貧弱なところではなかなかそれができませんから、できないところの県に対してはさらに国がめんどうを見る、こういった配慮が行なわれてこそ、近代化資金というものが地方公共団体の協力と緊密な提携によって本来の使命を発揮できるのではないか、そういうふうに私は常々考えておるわけであります。そういった点につきまして、少なくとも政府が考えておりますこの資金種類の一覧表によりますと、農舎、施設果樹等については、十年で据え置き三年、七分五厘ということにし、農機具等については、七年の償還、二年、年利七分五厘というふうにこれは若干落としており、牛、馬、綿羊、ヤギ等の動物については、五年、二年というふうに等差をつけておられますが、私は、この際、この近代化資金のそれは意義にも関係のあることだと思いますけれども、共同化等については、さらにもう少しこの内容において手厚くすべきではないか、そういうことを申し上げたいのでありますが、それは、今申しましたように、都道府県ですでに共同化資金というものを持っておるのですから、そして、一般の振興資金制をしているところもあるわけでありますから、当然この中にはそれらにも共通していくような取り扱いがなされるべき筋合いではないかというふうに思います。  と同時に、この中で一番問題になりますことは、二百万円の貸しつけ限度でございます。大体施設金融的な色彩を持ってくると思うのですが、どの程度の経営規模を描いてこの二百万円というものを出され、そしてこの償還期限据置期間等を定められたのか。そして、それにもよりますが、運転資金といったようなものについてはどのように配慮されておりますか。農家が共同化をやったりあるいは近代化に踏み出す場合に一番困りますのは運転資金です。ことほど一ぱい施設や飼養動物の購入に充てる。農機具なんかの場合は別でありますが、新しく近代的な共同の事業を始める等の場合においては一番その点に困るのであります。そういう点についてはどういう配慮をなされようとしておりますか。この二点を一つ説明願いたい。
  44. 坂村吉正

    坂村政府委員 第一の点でございますが、県庁等でいろいろ制度金融なんかございまして、非常に低利なもの、長期なもの、有利な条件のものがございます。いろいろなものがございまするが、しかし、全体として金額を見ますると、総体といたしましては非常に小さな金額でございます。全国で、七分五厘以下の融資をいたしておりますものを合わせますと、わずかに三十億でございます。そういう状況でございますので、県でいろいろやっておりますものはますますこれは助長してけっこうだと思いますし、この制度に取り入れまして県費なりあるいは町村費でいろいろ補助をして参りますものは、その分は政府の方でもそれをすぐやめろということは言いませんので、その分だけ利子が下がるということになるのでありまして、そういうことで十分に連絡をつけまして運営をして参りたいというふうに考えているわけであります。  そこで、共同化の問題につきましては、これもほかのものに比べますと条件を非常によくしておるわけでございまして、大体十年というものが一応の基準でございましたけれども、この共同化というか共同利用施設等については十五年、こういうことで償還期限等も長くいたしておるわけでございます。その他いろいろ個人施設等も合わされまして共同化ということも行なわれると思うのでございます。そういうことでセット融資という形になろうかと思いますが、そういう場合には、同じ金利のものにつきましては、融資償還期限等もその中で一番最高のものを適用させるようにしようというふうに考えておりまして、そういう形で、できるだけ有利に扱いたいという気持でございます。なお、今後の運用等も見まして、そういう点については十分に注意をいたしまして、今後共同化が阻害されることのないような運営をして参りたいと考えております。  それから、運転資金の問題でございますが、これは昨日も午前中でございますか申し上げたのでございまするけれども、大体この制度は一応施設資金という考え方で発足をいたしておるのでございまして、運転資金につきましては、一面において農業協同組合の合理化を促進しますと同時に、農協におきましても、運転資金一般短期資金でございますから、プロパーなものを積極的に勉強して貸すように、こういう指導で持って参りたいというふうに考えておるわけであります。  それから、それではかりにこの二百万円というようなことでどの程度の近代化ができるか、こういうことでございますが、これは一応の試算でございまするけれども、二百万円で酪農経営をやる場合を考えてみますと、ほんとうの試算でございますからいろいろ御批判を得たいと思いまするけれども、大体乳牛五頭を飼育することができまして、そこで畜舎、サイロ、それから堆肥舎、それから飼養のための係留具とかその他の機具、カッター、牧草乾燥機、トレーラーその他の動力機というようなもので、そのほかオート三輪、その程度のものは、大体乳牛五頭飼育ということで、乳牛五頭のあれも入れましてそろうのではないかというふうに考えておるのでございます。
  45. 足鹿覺

    足鹿委員 どうも十分納得はいきませんが、まあ、全体としての資金ワクなりあるいは貸付条件がもっと緩和されれば、私の言っていることは目的を達するのですが、この範囲内においてはこれ以上申し上げてもどうにもならぬと思いますが、ただ、運転資金の問題は、協同組合に勉強してやれというふうに指導するとおっしゃるが、実はこれが一番問題なんです。で、この点についてはさらに十分検討を願いたいと思います。私はまた別に具体的な意見は持っておりますが、これはまた別な機会にとくと私の意見を申し上げることにいたします。  最後にお伺いいたしたいのは、貸付手続等の問題であります。これは予算委員会の際にも私は申し上げたのでありますが、漸次この種の貸付手続等が簡素化される方向にあることは私も認めますが、必ずしもその実はあがっておらぬと思うのであります。一例を申し上げますと、これは長野県のある開拓農村の例でありますが、全村で百工、三十戸の農家のところで、五人の役員が三日三晩判こを押さなければ書類の整備ができなかったという体たらくであります。開拓地でありますから全く財産もないので、その判は全部組合長、役員が保管をしておってそういうことでございます。実際驚いたわけでありますが、ことほどさように、まだ貸付手続等が簡易化されておらぬと思うのであります。今度の近代化資金貸付の手続等の概要につきまして、どういうふうに今までの傾向を是正して簡素化していかれる御所存でありますか。その点をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  46. 坂村吉正

    坂村政府委員 貸付手続が非常に煩雑でありますことは、たとえば自作農維持創設資金を貸し付ける場合等におきましても、非常に問題があるのでございまして、漸次簡素化して参ったわけでございます。御承知の通り、これは何とか簡素化をして農民が楽に借り入れられるようにしたい、こういうことで一生懸命やっておるわけでございます。  今度の近代化資金につきましては、御承知の通り、総合的に弾力的に貸付ができるようにということを一つのねらいにしておりますので、こまかいことまでいろいろ干渉するようなことがありませんように、大体県なら県である程度近代化の目標に従って町村に対する割当等もいたしまして、そういう範囲内で農民が農協に持っていったものを貸し付ける、その中で特にこれは信用基金協会保証をしてもらいというようなものは、また取りまとめて信用基金協会に持っていけばいい、こういう荒筋で、それができるだけスムーズに進みますように一つ指導して参りたいと思っております。
  47. 足鹿覺

    足鹿委員 それについて、何か手続の様式とか、ひな形とでもいいますか、そういったようなものをお考えになっておりますか。県を通じて系統農協に協力を求められる何か基準といったものがあったら一つ……。
  48. 坂村吉正

    坂村政府委員 一応事務的に書いてみたものはございまするけれども、率直に申し上げますと、実は私の方でまだ検討しておらないところでございまして、係のところで案を整理しているという案の段階でございますので、これを公に出すわけには参らぬかと思っております。一応筋だけは書いております。
  49. 足鹿覺

    足鹿委員 実はそれが私ら地方を歩きまして一番大事な最後の締めくくりになると思うのです。どのようなりっぱなことを掲げてみましても、昨日の北海道の農中の会長のお話のように、マル寒資金のような五分五厘という日本の農林金融としては初めてのケースで、農民からあれだけ歓迎されたものが、割当を消化しない。これは一体どこに原因があるのか。結局、お話によれば、貸付手続があまりにも繁雑でやかまし過ぎる、こういうことだったのです。これに対して今事務当局が検討しておられるということでありますが、全体の構想をここまでまとめられるのにも相当苦労されたと思いますが、むしろ、それにもまして、あなた方が全力を注がなければならぬのはその問題なんです。これは、ただ事務当局にまかせておくということではなしに、その道の人々や実際の経験を持つ人々を集めて、もっと根本的にこの農林金融の貸出手続の簡素化の方法について大いに検討される価値があると思うのです。あなた方事務当局がやってこの国会に間に合わせよう、それ急いでやれといったようなことではなしに、腰を落ちつけて、どの農林金融に対しても、一から十まで重箱のすみをつつき出すような煩瑣なことをやめるには一体どうしたらいいか、一つ画期的な対策を立ててもらいたいと思うのです。そうでなければ、これは絵にかいたもちに終わるのではないか。今度の近代化資金も、隔靴掻痒の悩みを農民に持たしめないように、少なくとも鼻の先にぶら下がってきたごちそうのにおいだけかがせるような結果にならないようにするためには、この貸出手続の問題を一つ本気に取り上げなければならぬ。当委員会は長い間機会あるごとに貸付手続の簡素化の問題の附帯決議をやっておるのでありますが、一向に実があがりません。今度はこの点についてしっかりやってもらいたいと思いますが、農林大臣にかわって、政務次官においては、この点御同感であろうと思いますが、はっきりとした御所信を御表明していただけば幸いと思います。
  50. 井原岸高

    ○井原政府委員 お説の通りでございまして、そういうふうに非常に煩瑣なために、せっかくいろいろな希望を持って出発いたしましたが、途中でやめてしまうというようなことをよく聞くのでございまして、ごもっともなことだと思います。従いまして、大臣にも報告いたしまして、この際ちょうどいい時期に早急にそういう研究を十分いたすように努力いたしたいと思います。
  51. 坂田英一

    坂田委員長 次は、芳賀貢君。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 まず農林中金法の改正案について内容的なお尋ねをしたい。  中金民主化の声が多年叫ばれてきたのです。その声にこたえたような改正とも受け取れるのでありますが、第一点は役員の選任の問題でございます。改正案によりますと、理事長及び監事は出資者総会において選任するということになっておりますが、副理事長及び理事をなぜ総会において選任しないのか、あるいはできないのか、その点について経済局長から明らかにしていただきたいと思います。
  53. 坂村吉正

    坂村政府委員 おっしゃる通り、今度の改正案は、農林中金の人的な民主化をはかるというようなことで、理事長と監事は出資者総会で選任するということに考えておるわけでございますが、その場合に、理事につきましては、ああいう金融機関でございますから、できるだけ理事長の統一ある一つの指導のもとに動くという必要があるのでございます。しかも、現在の農林中金で代表権を持っておりますのは理事長一人でございまして、そういう意味から言いましても、どちらかといいますと理事長が自分の事務的なほんとうの補佐役という意味で使っていく考え方の方が色彩として強いのではないかという感じもするのであります。そういうような意味で、頂点だけをほんとうに民選にいたしまして、内部のそういう役員につきましては理事長が任命するという方が運用上も適当であろうと考えたわけでございます。
  54. 芳賀貢

    芳賀委員 私の聞いておるのは、副理事長、理事はなぜ総会で選任する必要がないかということです。
  55. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほどから申し上げましたように、農林中金におきましては、代表権を持っておるのは理事長だけでございます。そういうような格好でございますし、金融機関でございますので、理事長を頂点とした金融機関としてのしっかりした組織がかたまることが必要であろう、そういうような意味から言いまして、理事長が任命する方が適当ではないか、こういうことを考えたわけでございます。
  56. 芳賀貢

    芳賀委員 副理事長、理事は必ずしも総会の意思を反映しない人物でもいいということになるのですか。
  57. 坂村吉正

    坂村政府委員 これは一つの理屈でございますけれども、長としての理事長が総会で任命されるということで、理事長の任命された者が当然総会にも意思がつながっておることは、理屈として言えると思います。これは理屈でありますが、しかし、実際の運用の問題といたしましては、協同組合系統との関係をつなぐという意味もございますので、定款におきまして管理委員会というものを作りまして、理事長がどういう理事を任命するかという人選等については管理委員会に相談してやる。こういう運用を農林中金でもやろうということで考えておりますし、私の方でもそういう指導をして参りたいと思っておりますので、理事長が副理事長あるいは理事を任命する場合におきましてもそこにおいて相当会員の意思が反映する、こういうことに運用していったら民主化の趣旨にはずれることはないであろうというふうに考えております。
  58. 芳賀貢

    芳賀委員 その管理委員会というのは総会の意思を体して管理委員会が設けられるわけでしょう。従って、管理委員会で選考をした者は、理事長が先に選任されるのですから、理事長と管理委員会がそこで相談するということも運営上可能なんです。そして、管理委員会で一応の結論が出たのを総会に報告して、それが選任されたことになる、あるいは、選任方法は、総会で設けた管理委員会で選考して、そうして決定したものを総会の選任にする、こういうことは随時やれるわけですね。今の農協法の運営の中でも、これは当初と内容が変わって、総会で選挙をすることもできるし、それから、選任制ですから、選考委員会等をあげて、それで総会で選任するということもできるわけです。だから、運営の方法によって今局長が言ったような選任は行なえるわけです。しかも、それが理事長の任命でなくて総会の選任の形で結果的にそうととのえば、これくらい理想的なことはないと思う。ですから、当然、理事長以下、副理事長、理事、監事は総会の選任ということを原則としてこの法律規定して、しかし一番重要な理事長については総会の選挙方式をとって選任するとか、監事もそうするとか、他の副理事長、理事については、私が今言った通り、総会の意思によってその選考方針等を定めて、それによって理事長等とも合議する機会も設けて、そうして最終的にはその決定というものが総会の選任ということになるのが当然だと思うのです。そうじゃないですか。
  59. 坂村吉正

    坂村政府委員 御意見のようなそういう方法もあろうかと思うのであります。しかし、現在、先ほどから申し上げますように、農林中金におきましては、内部にも、あるいは農業、林業、それから水産業、おのおの団体がございまして、そのような関係の会員が理事長という頂点を選任いたしまして、理事長に全部そういう運営をまかせるという格好に一応なるわけでございますから、内部の役員の組織としては、理事長に任命をさして、そこで統一的な運営ができる、こういうことが今の農林中金の状態ではぜひとも必要であろうと思うのであります。ここで中央の意思がいろいろの理事によってあるいは理事長の統一にきちっと整備されないようなことも、率直に言いましてないとも限らないのでございまして、そういうことでは会員の金融の面にも非常に影響がよくないと思うのでございます。そういう意味からいたしまして、現状におきましては、少なくともやはり理事長一人が代表権を持っておるのでございますから、そこで、理事長を任意で選任をして、あとは理事長にまかせる、こういう形に持っていくのが適当であろう、こういうふうに考えております。
  60. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、民間の金融会社等の役員選任の方法はおおむねどうなっていますか。
  61. 坂村吉正

    坂村政府委員 ほかの銀行等におきましては、あれは商法の規定株式会社法によるものでございまして、株主総会で選任をすることになっております。
  62. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、頭取が副頭取とかあるいは取締役を任命するというのは事例がありますか。
  63. 坂村吉正

    坂村政府委員 一般の銀行におきましては、私はそういうものはないかと思います。しかし、実際問題といたしまして、一般の銀行におきまする頭取、副頭取あるいは取締役任命は、これは金の関係その他で非常に統制力があり得る、こういうことがあろうと思うのであります。しかし、現実問題として、農林中金はそういうものでなくて、人的なつながりが中心でございます。そういうような意味から言いますれば、やはり、今の制度中心にいたしまして、そうして農林中金の業務の運営が統一的に強固にできる、迅速にできる、そういうことに持っていくことが適当ではないかというふうに私どもは確信をいたしております。
  64. 芳賀貢

    芳賀委員 今度の改正によって、先ほど午前中局長の説明もありましたが、政府は自主的に中金に何ら関与するつながりというものはない。かつては幾ばくの出資をしておったが、現在においては資本金に対しても出資はしていないということになると、あまりとやかく中金に対して介入するのはちょっとけしからぬということになりませんか。農林省として農業とか農業団体等に対する適切な指導あるいは業務運営上に対する監督を正しくやっていくということは、これはいつまでたっても必要でありますが、法律まで政府が押しつけて、いやこれは理事長の任命でなければ筋が通らぬとかいうのは、ちょっとおかしいのじゃないですか。株式会社でもない、農協方式でもないということになって宙ぶらりんのものをわざわざでっち上げるというのは、ますます複雑怪奇になると思うんですね。これはやはり一考する必要があるのじゃないですか。
  65. 坂村吉正

    坂村政府委員 農業協同組合については、農業協同組合として、また、金融の面については金融の面として政府の監督とか指導とかいうものが当然伴うわけであります。従いまして、農林中金におきましても、実質的には、協同組合組織ではございませんが、協同組合金融の頂点として、農林水産業関係のほとんど全部の系統金融が頂点に集まるわけでありますから、そういう意味からいたしまして、金融関係の面からいたしましても、これは十分政府としても指導監督しなければならぬ立場にあるわけであります。そこで、役員等につきましては民主化というようなことで今度の法律改正を考えたわけでありますが、事業面につきましては、やはり、そういう監督を強化していく、こういうつもりでおるのでありまして、性格が、はっきり株式会社でもございませんし、あるいは農業協同組合でもございませんし、特殊な法律でできている会社でありますから、指導の面等にも、どこにこれが例があるかといいましても、なかなかつらいのでありますが、あるいは全部ぴったり合うものはなかなかほかにもないと思いますけれども、そういう性格のものというふうに観念をいたしておるということで御了承を得たいと思います。
  66. 芳賀貢

    芳賀委員 いろいろくだくだしいことは言いたくないのですが、とにかく、利潤追求の機関でないことは明らかですね。それから、やはり、性格的には協同組合の性格を包括しているわけですね。出資者がそうですから。そうなると、役員の場合も、理事なら理事の連帯性というものは相当強く保てるようにしないといけないと思う。法律では、理事長だけが権限が強く、それ以外の副理事長、理事理事長の代理執行権がないというようなことを局長は言っておったが、それはあるようにすることはできるわけですね。法律規定を変えればそれはやれることだと思う。絶対に動かせないという問題ではない。連帯制にするなら、あわせてこれを改正すればいいんですからね。こちらで修正してもいいわけです。ですから、がんばる根拠はないじゃないですか。ただ、そうしたいという気持は、総会選任となると、たとえば政府とか外部から理事長の意思を通じて副理事長や理事を選任するという機会を失うわけですね。それをおそれて理事長権限ということになれば、将来はどうなるか。現在は理事長は農林省出身ということになるわけです。そういうところに副理事長、理事をはめ込めようとすれば、やはり、理事長に大きな権限を与えてその任命ということにして、直接総会の意思が役員選任に全体的に及ばないということにしておけば、理事長の意思が中心で副理事長、理事は選ぶのですから、そこに作用する機会というものは十分あり得るわけですね。その目的のためにこういうことをやるというのは、これはちょっとおかしいじゃないですか。そういう野望というのは絶対にないのですか。
  67. 坂村吉正

    坂村政府委員 御質問の御趣旨は、非常に、何といいますか、まことに失礼でございますけれども、それは非常に思い過ごしではないかというふうに感ずるわけでございます。これは決して理事長だけを総会の選任にするというつもりで考えておるわけではございません。いろいろ申し上げましたけれども、実際問題といたしましては、農林中金の現状が今それではどういう状況にあるかといいますと、ほとんど大部分の金はこれは農業から吸収いたしております。そうして、これが農業に還元される部分は非常に少ないわけでございます。そこで、どちらに行っているかといいますと、漁業に行く、あるいは林業に行く、あるいは関連産業に行くという状態でございますから、それで、たとえば会員から理事というものを総会で選任した場合に、ほんとにスムーズに動くかどうかということを考えなければならぬと思うのでございます。従いまして、現状におきましては、理事長だけを選任にして、あとは理事長の任命にするということでやらなければ、農林中金の活動が非常に会員のために円滑にいかないという確信を私は持っておるわけでございます。今後の問題といたしましては、その運用状況等を見ましていろいろ検討する問題であろうと思います。もちろん、全部の役員を民選にするということも一つの方法でございまして、将来の問題としては、今度この改正をしていただまして、そして、運用の状況を見まして、ほんとに農業協同組合がスムーズに動いているという状況になりつつあるときに、ほんとにそういう姿が出てくるのではあるまいかという感じがいたしておるのでございまして、率直な考え方でございますが、今の農林金融というものはそこまでいってないというふうに感じております。
  68. 芳賀貢

    芳賀委員 私は、会員中から選べということは一度も言ってないのです。この法律にも会員から選べということは何らの規定がないのです。私ども、現在の中金のすべての出資者の中から適格者があるとは残念ながら断じかねておるわけです。だから、員外でもいいんです。中金にとって最適な人材があれば、全部員外の人材でもいいんですよ。この法律は会員内から選びなさいということは何らうたっていないのですから、われわれはそういうけちな量見は持っていないわけです。理事長としても、会員内に人があればいいですよ。なければやむを得ぬですね。しかし、役所から送り込む場合も、もう停年になったり衰えてから送り込むということは、私はいけないと思うのです。少壮気鋭のうちに中金の役員に迎えるべきであるという形でたとえば農林省から理事長が行くということであればいいが、もう停年に達して、さあどこへ向けるかということになってからたまたま中金の理事長になるとか副理事長云々ということになると、当然これではちょっと困るということになるのです。だから、人材でさえあれば、どこから連れてきてもよいという原則にはわれわれ異存はない。しかし、あくまでも、その選任の原則というものは、これは総会の意思によるということを貫かなければいかぬと思うのですよ。ただ、総会ということになると、いろいろな野心家もおるし、それぞれの縄張りの者をひっぱろうということになって、これはむずかしいでしょうが、それは、先ほど局長が言った通り、役員選任のための管理委員なら管理委員というものを総会で選んで、この管理委員会において十分候補者を選考して、そうして、そこでえりすぐって、それを総会の承認を得て選任されたという形をとれば、管理委員会が理事長と相談して理事長に任命させるということも、これは方法としては同じじゃないですか。結果が総会の意思による選任か理事長の任命かということに分かれるだけであって、これはやはり当然そういうことにすべきだと思うのですよ。内部で泥試合をやるような場合は、これは農林省が十分な監督をすればいいじゃないですか。
  69. 坂村吉正

    坂村政府委員 そういうごもっともな御意見もあるわけでございますけれども、今までの実情を見ますと、全部の役員が政府任命という現状で運用して参ったわけでございます。そこで、農業協同組合の金融組織につきましても、今の状況では必ずしも十分な民主化がそのままできるとは思いませんけれども、とにかく民主化しようということで発足いたすのでございますから、今の現状では、理事長だけでも民選にして、そうして、今後運用を十分円滑にするように各方面から指導をいたしまして、だんだん農業協同組合金融が活発に動くように持っていきたい。今のところは、中金がほんとうに一体になって動けるかどうかというところが一番問題でございます。そこを重点にして一つ民主化をやりたい、こういうつもりでございますから、将来の問題として、そういう問題は、動き出してから一つ今後の状況等を見ました上で十分検討をする問題にしていただければ、非常に幸いだ、現状に即した体制になろうかというふうに考えておるわけでございます。
  70. 芳賀貢

    芳賀委員 これ以上は議論になるが、なお、参考までに、この中金民主化のいわゆる農業団体を網羅した民主化協議会ですか、この民主化協議会は、役員選任方法については政府案と同じような意向を持っておったのですか。
  71. 坂村吉正

    坂村政府委員 今資料を調べておりますけれども、その民主化委員会といいますか、農業団体の方で作りました委員会の案は、当初は、「理事長、副理事長、理事及監事ハ定款ノ定ムル所ニ従ヒ第七条ニ於テ準用スル産業組合法第三十八条ノ二ノ総代会ニ於テ選任スル」、こういうことになっておりましたが、その後いろいろこれが変わりまして、あるいは管理委員会を置いて管理委員会で任命するとか、いろいろなことに変遷をいたしまして、最終的には現在の政府案と同じになっております。
  72. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、最初は筋の通ったものであったのを、局長や何かとの話し合いで、大体まあ一歩前進ということで、こういうことに向こうの方も納得したわけですね。
  73. 坂村吉正

    坂村政府委員 そういうことではございませんで、私どもは、この問題について、いろいろ議論をしましたり、押しつけたりいたしたことは決してございません。いろいろ情勢を考えまして、きのうも参考人の楠見理事長からいろいろお話がございましたが、中金の運営というものは今非常にむずかしいわけで、そういう状況でございますから、それをこのように現状の認識をいたしまして、団体側におきましても、現在の政府案の任命方式に全面的に賛成をいたしておりまして、ぜひこれで一つやってもらいたい、こういう御意向を私ども強く承っております。
  74. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう農業団体だからだめなんです。それを今度は理由にして、農林省は、あれだからまだまだだめなんだということになるのですが、しかし、いつまでたっても、おやじの時代も孫の時代もだめだということになれば、未来永劫、農業団体にしても中金にして毛、完全な自主性の回復ということはできない。回復じゃない、今までもないのだからしようがないが、確立はできないのじゃないか。この点は大事なんですよ。困難であっても、やはり、民主化を進めるとすれば、せめて役員の選任方法ぐらいは総会の意思によってやるぐらいのことをちゃんと改正でうたうべきだとわれわれは考えておる。  第二点は、兼職禁止規定なんですが、こういう表現の兼職禁止規定というのはないんじゃないですか。
  75. 坂村吉正

    坂村政府委員 ほかの例といたしましては、東北開発株式会社の例がこういう例でございます。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 そのほかには……。
  77. 坂村吉正

    坂村政府委員 今までの例といたしましては、東北開発株式会社だけが目につくのでございますが、いろいろ調べてみますとほかにもあるかと思います。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員 この「報酬アル職務又ハ営業ニ従事スル」というのは、どの範囲ですか。その報酬の範疇ですね。
  79. 坂村吉正

    坂村政府委員 考え方といたしましては、働いたことに対する、いわゆる労務の対価として金をもらっておる、こういうことが一応「報酬アル」ということに当たるというふうな考え方をしておるのでございます。
  80. 芳賀貢

    芳賀委員 特に、この協同組合関係は、常勤役員の場合は当然報酬は出しておるが、この役員報酬というのは必ず総会の議決を経て出さなければならぬということになっておるんですね。ですから、これは常勤者の報酬というのはわかるのですが、この常勤役員でない場合も、これはわずかの手当等を出す場合にもやはり報酬という形で総会の承認や議決が要るわけですね。だから、これで縛っていくと、常勤者であっても非常勤者であっても、協同組合関係の団体のいささかたりとも報酬を受ける職にある者はこの役員になれぬということになるわけですね。そうすると、もう完全にこれは締め出してしまうか、あるいは、もう一切のそういう役職を遮断して中金の役員に専任しなければならない。しかし、それ以外の団体や会社等に身柄を置く場合には、これは農業協同組合とだいぶ違ってくるわけですね。それから、役所等から来る場合は、とにかく役人の地位をやめてからだから、これは報酬に当たらぬし、恩給とか年金というものはこれは報酬になるかならぬか、私はそこまでまだ吟味しておらぬが、非常に微妙な点が出てくると思うのですよ。ですから、ここでいうその報酬を受ける者はというのは、どの程度までを意図しておるか。
  81. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほど申し上げましたように、労働の対価として金が払われておるというようなことが、抽象的に言いますと「報酬アル」ということになろうと思うのでございます。従いまして、農業協同組合等で常勤役員——これは、役員の場合には、役員報酬ということもございましょうし、あるいは役員手当ということもあるかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、いわゆる月給じゃございませんでも、そういうものは、やはり、役員なら役員として正当の報酬をもらって、それが大部分その人の収入になっておるというような場合には、その兼職を禁止するという建前でございます。その意味は、農林中金の役員は、常勤の建前をとりまして、常勤として専念してもらいたい、こういう趣旨でございます。ですから、現実問題といたしまして、それでは信連の会長さんが、そちらでも常勤で、それから農林中金の理事になってこれも常勤で、両方の常勤が勤まるかということになると、現実にこれはできないと思うのでございます。そういうようなことで、かりにそういう場合に農林中金の理事になる場合には、信連の会長さんをやめてもらうというような形になろうかと思うのでございます。それから、非常勤の役員の場合にはどうかということでございますが、非常勤の場合は、たとえば、現実問題として車代をもらうとか、あるいはいろいろ出張した場合の実費弁償をもらうとかいうようなこともございますし、そういう程度のものは、まずこれは報酬と言えないというふうに私どもは考えております。
  82. 芳賀貢

    芳賀委員 連合会段階くらいになれば、非常勤であっても、役員報酬というような名前で、金額はわずかにしても通例そういうものは支給されている場合が多いですね。ですから、それは明らかに報酬なんだから、そういうものも全部いけないということになると、これはほとんど農業団体に関係のある者はいけないということになるわけですね。常勤であるときは、これはきまっているんだから、何も論議の余地はないのですよ。ですから、ここにやはり一線を画する必要があると思うのです。  それと、もう一つの盲点は、いや一銭も報酬をもらってないからおれは兼職できるのだということも、これは口実になるのではないですか。
  83. 坂村吉正

    坂村政府委員 この法文から言いますれば、一銭も報酬をもらっていなければ、これは兼職を禁止する趣旨ではございません。農林中金におきましては、御承知のように、これは役員の手当、報酬も相当高いのでございます。そういう状況で、農林中金でほんとうに専心して働く場合においては、農林中金できちんとした手当、報酬は出るわけでございまして、そういうような意味で、ある一部からやはり何らかの形で報酬というものをもらっておりますと、それがいろいろ農林中金の業務運営の上にもあまり適正な運営ができないというようなことにもなりかねないという点もございまするので、報酬ある職務または営業を禁止した、こういうことでございます。
  84. 芳賀貢

    芳賀委員 ただ報酬だけで規定するのは、これは無理なんですね。だから、報酬をもらっていないとかもらわないということになれば、事実上依然としてその職にとどまって、中金の役員等を兼職できるわけですね。だから、兼職がいけないなら、これこれの他の役職は兼職できないとか、これに就任した場合には現職を辞さなければならぬとか、その方がはっきりするのではないのですか。
  85. 坂村吉正

    坂村政府委員 全然報酬をもらっていない職といいますると、これは一般的には名誉職みたいなものでございまして、ほんとうに名前だけ出しておるというものが多いのではないかと思うのでございます。そういうような場合には、かりに現実問題といたしましてそういう人が農林中金の理事になりましても、私どもは、そのためにこれが利害でいろいろ動くということも起らぬと思うのであります。しかし、人間でございますから、ほんとうに現実に現なまで金をもらっておる、そういう職にありますれば、やはりいろいろと運用上考えなければならぬというような問題もございますので、ここは一応報酬というところで一つ兼職を縛ろう、こういうつもりで考えたわけでございます。
  86. 芳賀貢

    芳賀委員 他の役職でわずかの報酬をもらっておるという場合、中金の役員をやっておりながら、他の役職を兼任して、その地位を利用するということの方が弊害が多いのではないですか。ことに、利用が目的であれば、報酬を辞すればそれで受けていないということになるのですから、これに就任するまでは報酬を受けておっても、選任されたとたんにその報酬を辞退すれば、常勤はできないことはもちろんだが、非常勤で報酬は要りませんということになれば、依然として報酬を辞退した形のまま兼職が続くわけですね。そういうことになりませんか。
  87. 坂村吉正

    坂村政府委員 法をくぐっていろいろなことをやろうと思えば、いろいろなことができるということに毛なるのでございますけれども、実際は、農林中金の理事長が総会で選任をされまして、これは総会で選任されるものでございますから、相当りっぱな理事長であろうと思うのです。その理事長が任命するという形になっておれば、そういういろいろの問題も防げるのではないかと思うのでございます。しかし、それが、先ほど芳賀委員のおっしゃるように、総会で理事まで全部選任するのだということになりますと、くぐる人もあるいは出てきはせぬかという感じもいたします。——率直なお話が。ですから、そういうごまかしや法律をくぐっていろいろやることがないように、農林中金の運営が一つうまくいくように、りっぱな理事長を総会で選任する、こういうようなことでお考えいただければ、別に心配はないのじゃないかと思います。
  88. 芳賀貢

    芳賀委員 兼職禁止はわれわれももとから賛成なんです。ですから、こういう法律の表現に問題があると思うのです。  それから、農林省の原案にはただし書きがついておったですね。それを自民党の政調で削られたという経緯はどういうことなんですか。
  89. 坂村吉正

    坂村政府委員 最初の原案、これは原案であって、ただし書きで、農林大臣の許可を受けた場合はこの限りでないというようなことをつけて、自民党の政調におきましてもいろいろお話をいたしたわけでございますけれども、いろいろ考えてみますと、御意見もございまして、農林大臣がその許可をするという場合に、はたしてどういうものを許可すればいいのか、許可をいたしましても、それでは報酬ある者を理事としてつけておいていいだろうかどうだろうかということにやはり非常に問題がございまして、それならもうすっぱりと報酬ある職にある者は理事と兼職でないというふうに割り切った方がいいのじゃないかという大多数の御意見でございました。なるほどごもっともな御意見でございますので、農林省といたしましてもそういうことに考えまして、これは単なる原案でございましたものですから、直したという過程はございます。
  90. 芳賀貢

    芳賀委員 内閣提案の法案というものは、何も何々政党に提案してそこで審議してもらわなければならぬということじゃないでしょう。そこに持っていくからいろいろ曲げられちゃうでしょう。内閣で作ったものと全く異質なものにされて、そうしてそれを内閣提案ということで国会に出している法案がたくさんあるでしょう。最初農林省のあなた方権威者ぞろいが苦心さんたんして作ったものが、与党にちょっとねじられたからといって、よく考えてみればその方がよかったなんということは権威がないですよ。ほんとうは、ただし書きがあった方がいいのでしょう。この認可というのは判断の基準ですよ。ただし書きは、常勤はもちろんいかぬが、非常勤の場合、この程度のものはいいとか悪いとか一応認定を与えるので、認可とか許可という性格のものではなかったと私は思っておるのですが、そういうことであれば話はわかるのです。やはり自民党の言うのがもっともだと思っておるのですか。
  91. 坂村吉正

    坂村政府委員 お言葉を返すようでまことに恐縮でございますが、政府原案ではございませんで、いろいろ案を作りまする場合には、閣議決定いたしますような場合には、私どもも、自民党ばかりではございませんで、あるいは社会党の先生方の御意見を伺いますし、各方面の御意見を伺いまして、そうして、一番適正なものにしたい、こういうことでいろいろ案を作っておるのでございまするが、そういう過程でそういう経過もあったわけでございます。
  92. 芳賀貢

    芳賀委員 それから、第三点は、第十二条の審議委員選任の問題ですが、これは理事長が委嘱をすればいいのじゃないですか。副理事長や理事に対してさえ任命権を与えておって、審議委員程度のものが農林大臣の認可がなければ委嘱できないなんというのはちょっとおかしいと思うのです。
  93. 坂村吉正

    坂村政府委員 この点は、先ほど御説明申し上げましたように、農林中金の民主化ということの一番最初としてとにかく手をつけていこうということで、問題は人的なつながりにありまして、総会が理事長を選任するというところに手をつけたわけでございまして、これにつきましては、政府部内におきましても、理事長の選任を総会でやりました場合に、その後に、政府が認可したらいいじゃないかというような意見も一部にございましたが、これは民主化する上はほんとうに民主化すべきであるというふうに割り切った次第でございます。ただ、事業内容につきましては、先ほど申し上げましたように、農林中金の事業は、今後協同組合融資の頂点として、いろいろ農業近代化を進めて参ります場合にも大事な役割に相なるわけであります。そこで、これは、政府といつでも密接不可分な関係で金融については動いていく、こういうことが必要であろうと思うのでございます。そこで、審議委員という制度は、何といいまするか、日銀における政府委員というようなもので、あそこで日銀の金融政策がいろいろ相談されるわけでございますけれども、農業金融の農林中金における事業というものは、この審議委員によっていろいろ政策的なものを審議していく、こういうつもりで考えておるのでございます。これについては政府としても無関心でいるわけには参らないわけでございます。従いまして、この審議委員の任命については主務大臣の認可を受けるということにいたしますと同時に、一面またいろいろ監督規定等も強化をして、事業面では、間違いがなく、また、政府の金融政策にも協力ができ、農業協同組合金融が合理的に動くように、円滑に動くように、こういうことを企図しているわけであります。
  94. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、副理事長、理事理事長の任命でもこれはまかせられるが、審議委員はちょっとまかしかねるということになるのですね。審議委員という方が任務は重いのですか。
  95. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほど申し上げましたように、実際農林中金が行ないますところの金融事業そのものに参画をしていろいろ相談をするものでございまして、これは、どちらかといいますと、たとえば近代化資金にいたしましても、あるいは公庫資金にいたしましても、農林省、大蔵省がいろいろ金融政策を進めていく上にも非常に密接な関係を持つわけであります。そういうような意味からいたしまして、ここは、審議委員の選任については、農林省、大蔵省もどうしても直接密接な関係を持つ必要がある、こういうふうに考えておるのであります。ただ、全体の金庫そのものの運営といいますものは、御承知のように農林金庫理事長が責任を持ちますから、その中の仕事については理事長におまかせをする、こういう体制をとったらどうかというふうに考えております。
  96. 芳賀貢

    芳賀委員 局長の答弁の熱意はわかりますが、なるべく簡潔明瞭にやって下さい。どちらも協力しますから……。  この審議委員法律でも諮問機関ということになっておりますね。この任務は理事長の諮問に応ずるのだから、政府のいろいろな諮問機関を主務大臣が任命したり委嘱するのと大体同じじゃないですか。だから、それは理事長にまかしておいた方がいいんじゃないですか。   〔委員長退席、小山委員長代理着   席〕
  97. 坂村吉正

    坂村政府委員 お説のような考え方もあると思いまするが、今の状況では、農業金融というものも、農林中金というものを頂点にして非常に政府と密接な関係を持つものがあるのでございます。ぜひともここは主務大臣と関連をつけておきたいということでございます。
  98. 芳賀貢

    芳賀委員 次は、近代化法案についてですが、われわれとして一番問題としたいのは、金利を七分五厘と定めたところに一番の問題があるわけです。これは農林大臣が来れば明らかにしてもらいたいのですが、農業基本法と少しぐらいは関係がありますか。
  99. 坂村吉正

    坂村政府委員 金利の七分五厘は直接農業基本法と関係するわけではございませんけれども、近代化資金が、今までの系統資金の金利を政府の援助で下げて、そうして農業近代化を進めていくための資金である、こういう意味におきましては農業基本法と関係がございます。
  100. 芳賀貢

    芳賀委員 関係があれば、金融制度だから、これはやはり、金利を幾らにするとか年限を幾らにするとか、条件が一番中身だと思うのです。これを除いたら近代化資金法という法律にはならぬと思うのです。関係があるとすれば、政府としてはこれではちょっと情けないんじゃないですか。総理大臣は最低二分五厘の金利を考えておるということを明らかにしました。農林大臣は三分五厘・三十年以上の資金は来年から実施すると言っているわけなんです。だから、関係があれば、名前が近代化ですから、農業近代化を促進するてこにするということになれば、総理大臣と農林大臣の意思が大体反映する程度の条件を整えるということは一番忠実なやり方だと思うのです。これはいかがでしょうか。これを出すときにはまだ農基法は通ってはいなかった。今もまだ通ってはいないが、その精神というのは脈絡一貫していかなければいかぬのですね。これはどうですか。
  101. 坂村吉正

    坂村政府委員 おっしゃる通り、それは七分五厘の金利ということで満足なものじゃないというふうには考えます。しかし、今の状況で、農林漁業金融公庫の金利の状況、現在の農協の金利の状況、一般の金融の金利の状況、そういうものを考えますと、まずとにかく近代化資金として発足するのですから、七分五厘はとにかく不満足でありましても、そこを察して、この問題は今後の問題として進めていったらいいんじゃないかというふうに考えておるわけであります。
  102. 芳賀貢

    芳賀委員 これを五分五厘にした場合に、国の負担はどのくらいふえますか。三百億でいいですが……。
  103. 坂村吉正

    坂村政府委員 今の運用益ではじくということにいたしますと、七分五厘は国の負担が一分で三十億の基金でございますから、県費負担も同じ率で負担するということにいたしますれば、大体倍ぐらいの六、七十億という基金が当初の年に必要なのではないかという感じがいたします。
  104. 芳賀貢

    芳賀委員 利子補給の方の増額は大したことないでしょう。
  105. 坂村吉正

    坂村政府委員 利子補給は、ことしの三百億については一億七千万でございますから、これは大したことはございません。ただ、利子補給といいますのは、融資額がどんどん累積されれば累増いたしまして、ピーク時は非常に大きなものになろうと思います。おそらく百億ないし二百億ぐらいになるのじゃないかという見当でございます。
  106. 芳賀貢

    芳賀委員 そんなばかなことはないですよ。課長でもだれでもいいから計算をしてみなさい。百億の利子補給なんというばかな話はない。
  107. 坂村吉正

    坂村政府委員 基金でございます。
  108. 芳賀貢

    芳賀委員 それは三千億ぐらいのピークになった場合にはそうかもしれないが、今直ちに一億七千万から百億になるということはないでしょう。
  109. 坂村吉正

    坂村政府委員 それでは、今計算をいたしまして御答弁申し上げます。
  110. 芳賀貢

    芳賀委員 それから、利子補給や損失補てんの国のやり方ですが、今までは、まず地方公共団体に措置をさせて、それを行なったものに対して半額とかあるいは全額補助をするというやり方をとっておるわけですが、そういうことでなくて、やはり、直接国がこの分に対してはこれだけ利子補給するということをまず打ち出すべきだと思うのです。そういうことはどうなんですか。
  111. 坂村吉正

    坂村政府委員 補助金の交付の方法といたしましてはいろいろの方法があろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、農業関係の仕事につきましては、県でも相当ウエートを置きまして大事な問題として考えておるのでありまして、ある程度県と同時に仕事をやっていくという体制でございますので、県と国とがやはり協力してやっていくということが必要だろうと思っております。
  112. 芳賀貢

    芳賀委員 都道府県の財政状態というのは私が言うまでもないが、農業主体の都道府県の方が財政困難の実情にあることはおわかりでしょう。ですから、利子補給等についても国と府県が二分の一ずつということになれば、都道府県農家の人口が非常に多いとかあるいは農業に対する行政的な熱意が非常に強いと思われるようなところでは強力にやるわけですね。そういう場合には財政事情の苦しい府県が非常な負担をしなければならない。全体の人口の中で農業者が少ないという、たとえば東京都のごときは、幾らも都として利子負担をする必要はない。こういう矛盾は確かに出てくると思うのです。ですから、府県にその法律に基づいて利子負担をやらすという場合は、やはり交付税交付金等における当然の措置というものは事前に講じてなければ、こういうことを法律を通じて自治体に負担させるということは無理だと思いますが、それらの措置はどうなっておりますか。
  113. 坂村吉正

    坂村政府委員 おっしゃる通りでございまして、本年の予算におきまして基準財政需要に見まして交付税交付金に組んで、これが支出に対して支障のないように措置をいたしております。
  114. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、府県の負担分の全額は財政需要の中に計算上入るというのですか。
  115. 坂村吉正

    坂村政府委員 その通りでございます。
  116. 芳賀貢

    芳賀委員 それで、社会党としては、少なくとも中長期資金は五分五厘以内くらいにするのが当然だと考えておるのです。特に、農林金融公庫の業務の中の共同利用施設の分のごときは、今度は近代化資金の方に業務上だんだん中心が移ってくるわけです。そうなると、公庫の方では共同利用施設は十五年の期限でしょう。そういう点とにらみ合わせた場合も、これによると、返済期限は十年以内で、ただし十五年のものも特別にあるという程度なんです。ですから、そういう点から考えた場合も、やはり五分五厘を基準にした金利体系に直すべきであるというふうに考えるわけですが、そういう点は、農林省として積極的に、法律をまず作って、これを基本にして大蔵省に対しても予算の要求をしないといけないと思うのであります。そういうことは間違いないでしょうか。
  117. 坂村吉正

    坂村政府委員 公庫におきまする共同利用施設は、協同組合協同組合連合会等の施設に対する融資でございますから、これは十五年の七分五厘でございます。従いまして、今度近代化資金に移しましたものもその通り十五年の七分五厘ということで移したわけでございます。そこで、これをそれじゃ急に今すぐに五分五厘ということで考えられるかといいますと、公庫の金利体系そのものも考えませんとバランスがとれなくなるということもございます。公庫の共同利用施設では、今後ウエートを占めますのは、林業関係、漁業関係、それから、非常に長期を要する病院であるとか、あるいは公共的な発電施設とか、こういうようなものはおそらく協同組合資金で貸すというわけには参るまいと思いまして、そういう特殊なものは農林漁業金融公庫融資対象として残しておるわけでございます。これについては、条件は十五年の七分五厘ということでございますから、今直ちに近代化資金の金利を五分五厘にしたらいいかどうかということにつきましては、そういうものとのバランスを十分に考える必要があろうと考えております。
  118. 芳賀貢

    芳賀委員 農林金融の金利が高過ぎる、だから、どこかで突破口を作らなければだめなんです。従って、近代化資金が五分五厘になれば、当然今度は公庫の金利体系も変える必要があるということになる。公庫の方を大幅に下げれば、近代化資金もこれじゃ高過ぎるじゃないかということになる。どっちか先にそれをやらなければいけないのです。近代化資金の方は初めて出る法律ですから、ここで五分五厘なら五分五厘にしておけば、次の機会には公庫の金利をずっと大幅に引き下げるということも当然これはそうなっていくでしょう。そうならぬですか。公庫が高いからこっちも高くするというのでは、前進しない。
  119. 坂村吉正

    坂村政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、実際問題として、各種各方面の業種を農林省はかかえておるのでございまして、また、いろいろの金融制度がございます。それらのバランスを十分考えて、非常にちぐはぐなものにならぬようにやっていきたいということを念願しておるわけでございます。
  120. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ、現在はこの程度だが、これは速急に五分五厘なら五分五厘まで引き下げる必要性を認めておるわけですか。
  121. 坂村吉正

    坂村政府委員 農業金融につきましては、もちろん、それはできれば安い方がいい、それから長期の方がいいということは考えていますが、何でもかんでも農業金融であるから全部が全部安くなければいかぬということはないかとも思いますけれども、とにかく、安い方がいいということは考えております。
  122. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう理論のない、安いに越したことはないだろうということで軽く処理するからだめなんです。なぜ農林金融というのは安くしなければならぬかというその理由というものは幾多あるでしょう。農業基本法を作る場合にも、そういうものは必要性の中に入っておると思うのですよ。総理大臣にしたって、この農林予算を国の予算の中で今後増額する点についても、金融的な措置をするについても、全部財政的措置という中に含まされておるから心配ないということを言っておるじゃありませんか。そろばん勘定の高い総理大臣でさえも、農業というものは収益性が非常に低い産業であり、他産業に比べて非常に後進的な性格を持っておるからして、これを是正するためにはやはり金融面においても相当大幅にこれを保護していかなければならぬと言っておる。そういう目的から出発しておるわけですね。それを、あなた方が、それは安いに越したことはないだろうけれども、そういうわけにもいかぬなんて言うのは、これは理論性の全くない意見じゃないですか。農林金融を安くしなければいかぬという理論的な必要というのを認めていないのですか。
  123. 坂村吉正

    坂村政府委員 おっしゃる通り、それは理論的な必要性から安い方がいいということを言っているわけでございます。ただ、具体的に何分がそれではほんとうにいいのかということについては、これはなかなかむずかしい問題でございますから、今のところ、安い方がいいということを申し上げたのでございまして、その点はどうぞ一つ誤解のないように御了解いただきたいと思います。
  124. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、償還年限についてでありますが、これは政令案の内容資料になって配付されておりますが、これを見ましても、大体十年以内ということになっておるが、その中では、たとえば七年資金とか五年資金、あるいは据置期間についても、大部分が二年、あとは三年ということになっておるのですが、やはり、年限についても、これは貸付限度とにらみ合わせてきめなければいけないと思うのです。農業従事者に対しては百万円ないし二百万円ということになっておりますが、たとえば百万円の借り受けをしても、やはりこれは農業経営を通じての収益の中から返済しなければならぬということになると、近代化資金だけが農家の実態で言えば借金ではないわけですね。ですから、貸付限度が高くなればなるほど返済可能な条件というものを年限の中でもこれは考慮していく必要があると思うわけなんです。ですから、百万円ないし二百万円ということになれば、少なくともその基本的な返済年限というものは十五年くらいに限度を置くべきじゃないか、そして、その範囲内において、貸し出しの種目についてはあるいは十年とか七年があるとしても、やはり基本というものは十五年程度に置くべきでないかとわれわれは考えておるわけです。そういうふうに十五年ということになれば、据置期間についても長いのはやはり五年くらい、そういうものを設定すべきじゃないか、そういうふうに考えておるのですが、その点はどうなんですか。
  125. 坂村吉正

    坂村政府委員 仰せの通りでございます。そういう御趣旨に沿うた考え方で、十年、七年というようなものを一応政令案の中でも考えたわけでございます。ここで十年にしておりますのは、施設内容から見ましても非常に貸付の額が大きなものであり、耐用年数等も考えて十年にしてあるのでありまして、それよりも低くていいようなものは七年というふうに考えて整理をしたわけでございます。そこで、貸付限度との関連で見ますと、たとえば法人に対します場合には一千万円というようなことを考えておりまするし、農業協同組合等に対しまする場合には五千万円ということに考えておりますものすでから、そういうようなものについては、十五年ということで、期限等も長いものにして考えておるわけでございます。
  126. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、御承知の、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法というのがあるのですが、これは昭和三十四年の国会で修正して成立したんです。これによると、これは条件は年五分五厘資金ということになっておるのです。この中には大体近代化資金に類せられるものが相当包括されておると思うのですが、これは国会の意思によって政府原案を大幅に修正した経緯がありますが、しかし、前例としてはこういうものが現存しておるわけです。ですから、これらと比較した場合に、今度の近代化資金というものは非常に高い金利体系ということになるんじゃないかと思いますが、われわれが努力してこういうものを作っておるのですから、せめてこれらに比較した場合遜色のないようなものを出すべきだったと思うのですが、どうですか。
  127. 坂村吉正

    坂村政府委員 寒冷地資金の場合におきましては、北海道のような特殊な地帯を対象といたしたわけでございまして、信用力等も非常に低いというようなこともございますし、経済的にも非常に低いような状態のものを相手にしておるわけでございますから、五分五厘ということであるわけでございますが、国会の御修正でそういうような工合になったわけでございますけれども、一応全体的に見ますと、先ほど申し上げましたように、農林漁業金融公庫の金利の関係もございますし、そういう点とのバランス等も考えまして、現在七分五厘ということで発足いたしたいというふうに考えるわけでございます。
  128. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、近代化資金の運営の問題ですが、金融機関が貸し出しをする場合、資金コストが九分五厘以上の場合は九分五厘とみなして、そうして七分五厘との間の差額の二分を国と府県が折半して負担することになるのですが、昨日の参考人の意見にもありました通り、中金とか、連合会とか、単協等のいわゆる法律指定される金融機関のそれぞれの資金コストというものは必ずしも同一でないわけです。一割のものもあるが、これは九分五厘とみなすわけですが、九分五厘とか八分五厘もあるということを昨日参考人がそれぞれ述べておられた。それから、一般の理解ですが、九分五厘以下のコストの資金の場合は、たとえば二分負担すればこれは七分とか六分五厘になる場合があるわけですが、この場合も二分負担してくれるんだということが一般には伝わっておる。しかし、われわれがこの法律をながめた場合には、そういうことはないわけです。しかしながら、この一般の理解というものに対して、政府法律に基づいてやるのか、世間一般が善意に理解している方法でやるのか、その点いかがですか。
  129. 坂村吉正

    坂村政府委員 ごもっともな御質問でありまして、法律では七分五厘以内ということで、以内ということになっておるのでございます。そうして、あくまで末端の単協段階における金利を九分五厘と押えまして、二分の利子補給をやって七分五厘というように考えておるわけであります。そこで、これは、先ほど申し上げましたように、単協で非常に勉強いたしまして金利の水準を下げまして、八分であれ、あるいは八分五厘であるというようなものでございましょうとも、そういう場合には、これに対してやはり利子補給をやらないということは適当でないと思いますので、大体、今のところでは、七分五厘程度までのコストのものについては二分の利子補給を出そうというふうに考えて検討いたしております。
  130. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、九分の場合には、二分の利子補給が行なわれて、これは七分で流れる、八分の場合は六分になり、七分五厘の場合は五分五厘になるというように、二分の利子補給を受けられるということになるのですね。それで、この近代化資金の種別の一号、二号、三号、四号、五号、六号までの、それぞれの償還期限据置期間利率とは関係ないわけですね。九分五厘以下のコストの場合には、その資金コストのいかんにかかわらず必ず最低二分利子補給をする。   〔小山委員長代理退席、委員長着   席〕 そうして、この政令で定められた、六号の農林大臣が定める資金の五分とか、あるいは五号の耕地防風林等の五分五厘、これは別に扱うわけですね。その点をはっきりしてもらわぬと、またあとであなた方ごまかしますから。
  131. 坂村吉正

    坂村政府委員 その通りでございます。
  132. 芳賀貢

    芳賀委員 その次は、農業信用基金協会法、これも問題は幾多あるわけですね。昨日来われわれの問題にしているのは第十七条の議決権の問題ですね。「会員は、出資一口につき一個の議決権を有する。」、これは非常に問題があるのですよ。きのうの参考人も、五人のうち、北海道農協中央会の高橋参考人だけはおかしいと言ったが、あこの諸君は、残念ながら御本人の意思を明らかに述べられなかったのであります。この点についてはやはり政府として責任ある見解を述べるべきだと思う。
  133. 坂村吉正

    坂村政府委員 農業信用基金協会の議決権の問題は、法律においては、出資一口につき一個という、出資口数による議決権の行使ができるようにいたしております。この問題につきましては、この農業信用基金協会といいますものは、債務保証という業務の性格から、その仕事の基礎となっておりますものは会員の出資をしております資金がおもな源泉となっておるわけでありまして、そういう基金が大体基礎になりまして、そうして仕事が行なわれるわけでございます。従いまして、現在この法律におきましては一応その組織は社団的な組織を考えておりますけれども、実際には、どちらかといいますれば財団的な性格を持っておるようなものでございます。そこで、いろいろこれらの運用の面を考えました場合におきまして、これは一人一票という考え方でいきますことは必ずしも運用上適当な運営ができるとは思われないのでございまして、具体的に申し上げますると、県で半分の出資をするということになるのでございますが、また、その残りにつきましても、相当部分信連出資をするのでありましょうし、また、非常に協力をいたしますところでは相当の出資をするところもございましょうが、そういう非常に種類の違った性格の金が入り込んで参りまして、そこで一人一票でやられた場合には、おそらく運営上非常な困難が起こるだろうと思うのでございます。そこで、今後の問題といたしまして、いろいろ国会等でも御要望がございまして、近代化資金が大幅に増額されていくという傾向にあるのでございますから、そうなりますと、基金も相当増資をしてやらなければならぬということになろうと存じます。その場合に、一人一票でこういう制度を運用しておりました場合には、おそらく資金はここには集まらないと思います。協同組合等におきましても、一口持って、一票持っていれば勝手な口がきけるんだということになりますと困りますので、そういうような今後の増資等の問題も考えますと、やはり、財産といいますか、出資口数を主体にした発言権を持たせるということが適当ではあるまいかというふうに考えております。現在の農林省制度では、開拓融資保証制度と、それから中小漁業の信用保証制度とございます。開拓融資保証制度は古い制度でございまして、これはどちらかというと終戦直後早くできたものでございます。これは一人一票の制度でできておりますが、性格的には、同じようなレベルの会員が集まっているというようなものが多いのでございます。その場合に県は会員になっておりません。ですから、開拓農協だけが会員になっておるわけでございます。この場合には一人一票ということでいっておりますが、しかし、その後できました漁業信用基金におきましては、この考え方を改めまして、今の近代化資金で考えておりますように、出資口数に応ずる議決権というふうに直しまして、現在はそういうふうに運用をしておるわけでございます。ほかのいろいろな基金等につきましても、大体現在ではそういう制度になっておりますのが多い状況でございますので、出資数に応じた議決権というふうに考えたわけでございます。
  134. 芳賀貢

    芳賀委員 結局、そういうことでいくと、都道府県が二分の一の出資をやるわけで、その二分の一出資した都道府県に対しては国がまたその二分の一の補助をするということになるわけですが、そうなると、株式会社と同じように、出資口数によって運営するということになれば、これは官製的なものになってしまうですよ。そうなれば、総会をやって役員の選任をする場合にも、株式会社と同じように、総会の招集前に、役員はだれだれとか、これはこうするとかいうことをきめて、そうして、総会というものは、もう発言権の少ない会員は来なくていい、大きい会員だけが少し集まってやればいいというようなことになるわけです。会議の成立にしても、都道府県とあと二、三の会員が来ればやれる、あるいは都道府県だけでも開催はやれるわけですね。そういう弊害が出てきませんか。
  135. 坂村吉正

    坂村政府委員 この条文の二十四条にもございますように、会議の成立については人数で成立をするように、人数で考えております。しかし、先ほど申しましたように、県が半分持っておるといいましても、この制度は、私どもの考え方といたしましては、率直に申し上げまして、本来であれば、農業協同組合系統内部において、当然、貸出金の貸し倒れ準備をするとか、あるいは信用強化をやるとか、そういうことをやるべきであると思います。しかし、現在の段階では農協にそれだけの力がございません。そこで、多くの金をかかえておるけれども農民には貸せないという状況にあるのでございますから、農業融資を進めるために、いわゆる農協の外から農民に対する信用の強化をしていく、こういう制度でございまして、農協内部の制度とはちょっと性格が違うのでございます。そういう意味から、どちらかといいますれば、公共的な、公益的な性格を持った仕事であるというように考えていいんじゃないかと思うのでございまして、そういう意味から、県が半分の出資をしまして、それに応じて相当の発言権を持つということも、現状におきましては当然のことではないかというように考えるわけでございます。
  136. 芳賀貢

    芳賀委員 会議の成立が会員数によるということになると、完全な議決権の行使ができないときがあるのですね。議決権は出資一口について一個の議決権で行使をして、会議の成立は会員数によるということになると、議決のできないことがある。会議というものは議決権の行使が一番中心になるんじゃないですか。会議だけ成立しても議決権の行使ができない場合とか、議決権の行使はできる状態だが会議が成立しないということが出てくるわけですね。
  137. 坂村吉正

    坂村政府委員 運用の問題といたしましてはいろいろ御意見もございますけれども、たとえば、三十八条等におきますように、会議を招集する権利等がございます。こういうようなものについては、その会員というものも一応メルクマールにしますし、それとともに、——ともにと申しますか、別にあるいは出資総額の何分の一という考え方でも、どちらでもメルクマールにするということで、両方で運用していくようにしたいと考えておるわけでございます。しかし、実際の議決権というものはやはり出資口数によってやっていくことが運営上からいけば適当であろうと考えております。
  138. 芳賀貢

    芳賀委員 会議の成立要件は第何条に書いてあるのですか。
  139. 坂村吉正

    坂村政府委員 第二十四条におきまして創立総会の場合におきます規定がございます。その他のものにつきましては定款に譲るということになっております。
  140. 芳賀貢

    芳賀委員 これでいけば、とにかく会員が過半数出なければ開けない。議決権がないんだから、会議だけに出ても、これは結局過半数出資者の意思に従わざるを得ないから、そんな会議には出る必要はないということになって出てこなければ、どうしようもないのじゃないですか。普通の株式会社であれば、これは議決権と同じような会議の成立要件ですね。株式の数で過半数になれば総会が開けるが、これはそれも開けない。別に故意にボイコットする意思がないとしても、そういうことになるのじゃないですか。
  141. 坂村吉正

    坂村政府委員 ここでは創立総会のときの例でございますが、「会員たる資格を有する者であってその開会までに出資引受けをしたものの半数以上で、かつ、その引き受けた出資合計額が引受出資総額の二分の一以上になるものが出席し」、こういうことになっておるのでありまして、この人数の面と、それから出資引き受け総額の面と両方で会議の成立を抑えていくことが適当であろうというふうに考えておるわけでございます。
  142. 芳賀貢

    芳賀委員 それなら、そういうようによく読んで、自分で法律を読んでいなければいかぬじゃないですか。最初は会員だけの過半数会議が成立すると言うし、今度は複数制でしょう。会員一人々々も一個の出席の人数になるし、議決権も出席の数に加算されるということになれば、これは複数制になってくるんじゃないですか。そういうことなんですか。
  143. 坂村吉正

    坂村政府委員 非常に条文があるものですから、ちょっと条文を調べてからお答え申し上げます。
  144. 芳賀貢

    芳賀委員 これは、局長の手元で作って、自民党に見てもらって、それから内閣提案として出した。自分の作った法律を見てからというのはおかしいですよ。二十四条を見れば、なるほどそう書いてあるんですよ。
  145. 坂村吉正

    坂村政府委員 ただいま申し上げましたのは創立総会のときの条文でございまして、実はその会議の成立要件その他の問題は定款できめることになっておるのでございます。定款できめればいいわけでございます。
  146. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、創立総会以外の総会はこれと違う様式で定款できめさせるのですか。
  147. 坂村吉正

    坂村政府委員 その通りでございます。
  148. 芳賀貢

    芳賀委員 それはおかしいですよ。どんな団体機関でもそういうばかなことはないですよ。それでは、定款できめる場合にはどういうことを考えておるのですか。会議の成立要件として、模範定款例でもあれば示してもらいたい。
  149. 中島清明

    ○中島説明員 一応、模範定款例におきましては、「会員が総会員の五分の一以上、またはその出資合計額出資総額の五分の一以上となる会員の同意を得て、会議目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事会に提出して、総会の招集を請求した場合には、理事は総会を招集する」というのが一つの案でございますが、そういう案を作っておりまして、さらに、総会の議決につきましては、総会は総会員の半数以上で、かつ出資合計額出資総額の二分の一以上となる会員が出席しなければ、議事を開いて議決することができない、という工合に今の案は作っておるわけでございます。
  150. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、株式だけではいかぬわけですね。やはり会員の権利というものはある程度尊重しておるのですよ。だから、会議を開く場合は、そうやって開いた以上は、開いてからの決議の内容についても、決議に対する権限についても、これはやはり十分考慮してやる必要があると思うのですが、一人一票まであなた方が踏み切れぬでも、株式だけでやるというのはおかしいですよ。株式でやるのなら、総会の成立要件もその方式でやった方がいいと思うのです。ですから、こういう複数制でやるとすれば、これは議決権の行使も複数制ということがあり得るでしょう。たとえば、会員一人に対しては一個の議決権がある、それから株式出資口数に対しも一個の発言権がある、こういうこともあり得ると思うのです。やればやれるですよ。原則的にはこれは一人一票が正しいのですよ。しかし、あなた方の苦心のほどもあるので、こういう会議の成立要件が複数制の権利を与えておるとするならば、やはり、議決権についても、出資の多い者だけが勝手なことをやれるというのはおかしいじゃないですか。
  151. 坂村吉正

    坂村政府委員 おっしゃる通り、そういう考え方もあろうかと思います。しかし、私どもの提案をいたしました案は、あくまで出資口数を主体にした議決権、こういうことで考えておるのでございまするが、もちろん、そこにある程度農業協同組合的な色彩も一部加えまして、そして一人一票の制度をそこに織り込むということも、これは考えられないことはない案ではないかというような感じもいたします。
  152. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、妥当な案だと考えますか。その会員に対しては一人一個の議決権は当然与える、それだけでいけばいいんだが、しかし、原案は出資一口云々とも書いてあるが、それにあわせて出資一口についての議決権も認めるということにすれば、今度はこの過半数都道府県が勝手なことはできないですね。出資については二分の一を持つが、会員の数からいうと、都道府県は半数の出資をしても会員としては一人ですからね。それはそういうことになるでしょう。農協、単協なんか、口数は少なくても何百人という会員がいるから、それでいわゆる株式会社の弊害というものは除去できると思うのです。その方が適切な案じゃないですか。
  153. 坂村吉正

    坂村政府委員 原案よりもその方が適切な案であるかどうかについては、いろいろ御意見もあろうと思いまするけれども、一つ考え方であろうとは思っております。
  154. 芳賀貢

    芳賀委員 これで三案の質問を終わりますが、最後に、自創法について農地局に伺いますが、ことしの国会においても、自創法による公庫の業務方法書の貸付限度を改定して、三十六年から三十万円に引き上げるということは、これは農林大臣も言明しているわけですが、それはもう決定して、各府県にはそういう通達は出ているのですか。
  155. 丹羽雅次郎

    丹羽説明員 公庫の業務方法書を本年度三十万円に変えますことについては、ただいま公庫の業務方法書の改正として手続中でございます。
  156. 芳賀貢

    芳賀委員 どうしておくらかしているのですか。
  157. 丹羽雅次郎

    丹羽説明員 おくらかしているわけではございませんで、公庫の業務方法書の改正点、多々ございますので、あわせて一括して公庫において手続中でございます。
  158. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は各都道府県は非常に迷惑しているのです。三十万円に上げるということは昨年あたりから確定的に伝わっておるわけです。ところが、借り入れ申請書を出す場合には、いわゆるその限度額がきまらなければ、その計画を作成して、そして借り入れ申請をする作業が全然できないでしょう。そういう怠慢というのはいけないと思うのです。限度をきめるならきめると、はっきりそういうことは随時通牒を出すなら出して、現地で逐次作業を進めるようにやってもらう必要があると思うのですが、大体いつごろ地方にそういう通達が出されるわけですか。
  159. 清井正

    ○清井説明員 おしかりを受けてはなはだ恐縮でございますが、ただいま手続中でございまして、農林、大蔵両大臣の認可が近日中におりると思っておりますが、実態といたしましては、私どもの支店を通じまして、それぞれの信連にはいろいろ連絡をいたしておりますので、実際は各関係者の方は十分御承知なさっておるかと思うのでございますが、正式の業務方法書の改正につきましては、ただいま管理部長から御説明申し上げた通り、ただいま認可申請中でございますので、近日認可があると思いますが、本日までおくれましたことにつきましては、その点、申しわけなく、御了解願いたいと思います。
  160. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、今年度の自創資金の当初資金計画は百六十億ということになっておって、われわれが聞くところによると、ことしの自創資金の貸し出し方針は、重点を農地の取得資金に置くというような、そういう通達は早くから出ておるというふうに聞いておりますが、それはいかがですか。
  161. 丹羽雅次郎

    丹羽説明員 本年度の自創資金の使用のあり方につきましては、予算委員会その他でいろいろ御意見等もございまして、私ども慎重に考えたわけでございます。そこで、ものの考え方といたしましては、維持資金を急激に減らすというような考え方はとらないという考え方で、増加いたしました部分はできますならば取得資金の方の増強に回したい、こういう考え方で、四月に、昨年度の維持資金は災害その他を除きまして狭義の維持資金は約三十一億でございまして、とりあえず三十億を各府県に配賦いたし、百六十億のうち、取得資金といたしまして五十九億を配賦いたしまして、残は中央において保留中でございまして、今後の推移を見て弾力的に処理したい、かように考えておるわけでございます。
  162. 芳賀貢

    芳賀委員 現在社会党と自民党からそれぞれ自創法の改正法案が出ておることは、政府も御承知のことと思います。これは審議に入るわけではないのですが、特に昨日も参考人から意見がありましたが、北海道においては相当固定した負債が多い。きのう中金の理事長の話では、内地府県の平均負債は五万何千円であるが、北海道の場合には固定化負債が二十一万円程度になっておるということで、これは農林省が調べた通りなんです。われわれとしては先年負債整理法を国会に提案したのですが、これは与党の賛成を得られなくて廃案になったような経緯があるのです。それらの法案審議の中において、政府は、負債整理の問題等についても現行の自創法の適用によって相当程度これは解決できるという、そういう政府の態度の表明も実はあった。それは結局維持資金のワク内において処理されてきておるわけですが、とにかく、現在の最高限度二十万の範囲内ではどうすることもできないわけです。従って、今後政府の方針か、たとえば基本法等で政府案に基づいて特定の農家だけに農地の大幅な集中移動をやるということになれば、ほとんど、その自創資金というものを、経済力の豊かな土地を大幅に拡大できる農家だけに全部向けなければならぬという弊害も起きてくるわけなんですが、従来の懸案になっておる負債整理をこの自創法の制度の中で行なって、せめて現在の農業経営というものを維持できるようなことも、この法律の精神であるとわれわれはかたく考えておるわけです。それらを今年度においてはどういうふうに扱う方針でおるか。これを具体的に述べてもらいたい。
  163. 丹羽雅次郎

    丹羽説明員 なお、先ほど申し落としたわけでございますが、本年度配賦いたしました維持と取得に関しましては、北海道につきまして国会等でいろいろ議員提案の御意向等もございまして、北海道分はまだ全部配賦いたしておりませんで保留をいたしておりまして、国会の法案の御決定の姿等を見て、貸付限度等も検討の上配賦をいたすという考え方でございまして、北海道を除く数字であることを申し添えさしていただきます。  それから、維持についての考え方はどうかという問題でございますが、自創資金は、御承知の通り農家が土地を取得する面に対する裏づけの資金としての一面と、農家が土地を手放すことを、金を融資することによって防いで参りたいという二面を持っておるわけでございますが、先ほど申しました通り、やはり、現在の維持資金の姿というものに急激な変化を与えるべきではないという考え方で、昨年度放出しました程度の規模におきましての維持資金はぜひとも堅持して参りたい、増額になりました分は経営が拡大するような姿の方になるべく回して参りたい、しかし、各地方においてそれぞれの事情もございましょうから、運営にあたっては弾力的に考えていきたい、かように考えておるわけでございまして、ラジカルに、自創資金を取得の方に回しまして、在来やって参りました維持資金の運用を大幅に変えるという考えはとっておらないわけでございます。
  164. 芳賀貢

    芳賀委員 この北海道分については、現在法案審議中だからその成り行きを見てというような話でしたが、それは社会党提案の自創改正案が通るか通らぬかということを見きわめた後にという意味なんですか。
  165. 丹羽雅次郎

    丹羽説明員 社会党から議員提案されました分と自民党から議員提案されました分、両方私ども承っておるわけでございます。これにつきまして本委員会で審議がございますので、その結果を大いに考えて配分率を考えたい、こういうことでございます。
  166. 芳賀貢

    芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。自民党案は何も関係ないでしょう。自民党の改正案は、附則改正になっておって、それは据置期間と返済年限を若干延ばすというだけのことであって、関係がないじゃないですか。社会党の方は、三分五厘にして、五年据え置きの三十五年、貸付限度については法律で明記して一農家当たり百万円ということになっておるので、これは重大な関係があるですね。これが通れば百万円まで貸さなければならぬということになるし、中身は全然違ってくるのです。私は、率直に、あなたの言われる審議を見てというのは、社会党案がどうなるかということを見てというふうに考えておるのですが、自民党案は何か貸し出した関係があるのですか。
  167. 丹羽雅次郎

    丹羽説明員 法律といたしましては、今おっしゃいました通り期間と金利の問題でございまして、自民党からお出しになっております法案期間に触れておるのでございますが、この法案との関係で公庫の業務方法書上の扱いがあるわけでございまして、北海道問題なら北海道問題の解決とあわせて北海道の融資限度も考える必要がある、そういう角度で、先ほど申したような態度をとっておるわけであります。
  168. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、与党案の関係はどうなるのですか。限度が上がるのですか。与党の改正案の場合は、現在の三十万が五十万とか六十万に変わるのですか。
  169. 丹羽雅次郎

    丹羽説明員 北海道の負債整理に限定いたしますと、期限期間と金利と限度の問題がございます。やはりこれらは相関を持っておるわけでございまして、そのうちの法律事項でございます部分の決定と同時に業務方法書上の限度を考えたい、こういうことでございます。
  170. 芳賀貢

    芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。どういうふうに関係があるのですか。据え置きの三年が五年に延びるのでしょう。二十年が二十五年になることによって業務方法書が変わっていくというのはどういう意味ですか。
  171. 丹羽雅次郎

    丹羽説明員 繰り返すようでございますが、問題を北海道の負債整理に限定いたしますれば、融資限度の問題もやはり一つの問題点であったわけですから、法律事項としての期間の問題が立法措置として何らかの解決を見た際に限度の問題をあわせて考えたい、こういうことであります。
  172. 芳賀貢

    芳賀委員 それをもう少し中味を言ってもらわぬと……。法律の影響というのは何もないじゃないですか。業務方法書の限度のきめ方は、主務大臣がきめることになるのでしょう。われわれは、法律に定める必要があるというので、法律に百万円ということをうたっているのです。こういうふうにしなければ、いかにりっぱな法律を作っても、政府考え方いかんで業務方法書で限度を押えられれば十分な運営ができないということになるのですね。今あなたはなかなかいいことを言ったのだが、年限の延長さえどんどんやっていけば、自然に貸付限度が上がるということであれば、われわれも考えがあるのですよ。そういういいやり方があれば、たとえば据置期間五年とか償還年限五十年とすれば、何も限度や何かをうたわぬでもそれで百万円くらいに業務方法書がなるとすれば、なかなかこれはいいやり方なのですよ。——自動的にそういう関連があるとすれば。これはここではっきりしてもらいたい。
  173. 丹羽雅次郎

    丹羽説明員 繰り返すようでございますが、北海道の負債整理の問題は、やはり総合的な問題だろうと私ども存じておるわけであります。従って、法律上の法律事項と運用上の業務方法書による貸付限度は同時に考えたい、こういうふうに考えている、従って、それはただいま分けて決定してはおりません、そういうことを申し上げたわけであります。
  174. 坂村吉正

    坂村政府委員 私の方でも公庫資金を預かっておる関係もございますのでお答え申し上げますけれども、御承知のように、国会におきましても今非常に問題になっておる問題でございます。そこで、自民党案も社会党案も今までに出ているわけでございますけれども、法律問題としては、もちろんある程度限定された問題があろうと思います。社会党案においては金額も書いてございます。自民党案は金額は書いてございませんけれども、法律問題としては、当然、北海道の負債整理をどうするかという問題が主体の問題でございますので、法律審議状況、そういうものがどういう工合に落ちつきますか、そういう点を考えて、この北海道の負債整理をどうするかということを農林省としても自創資金のワク内でとにかく考えていかなければならぬ、こういうつもりで考えておるわけでございます。そこで、北海道の分については最終的な決定ということをいたしませんで留保している、こういうことになっておるわけでございます。どうぞ一つ御了承いただきたいと思います。
  175. 芳賀貢

    芳賀委員 貸付限度はあなた方に法律上まかしてあるのですよ。だから、北海道を中心とした負債整理を維持資金の中でやるということになれば、それが可能な限度業務方法書を引き上げればいいじゃないですか。それは行政機関にまかしてあるのですからね。それをやらないでおいて、法律が通るか通らぬかを見てからやるとかやれぬとかと言うのは越権ですよ。ですから、現行よりも償還期限が五年延びた場合には、三十万円を予想している貸付限度というのはどのくらいふえるか、その算定の根拠というものを明らかにしてもらいたい。年限が短いから限度を上げられないという理由であれば、年限さえ長くすれば限度が上がって自動的にまた総体のワクがふえるということであれば、これは簡単なやり方なのです。それをはっきりしなさい。
  176. 坂村吉正

    坂村政府委員 今のところ、貸付限度の問題につきましては、これは政府部内の問題でございまして、法律問題ではございません。業務方法書できめられる問題でございますので、これは、北海道の負債の状況にかんがみまして、ある程度これは上げなければやっていけないのじゃないかというつもりで検討しておるわけでございます。大体の目安といたしましては、現在四十万円程度に上げたらどうかということで検討いたしておるのでございます。そういう問題もございますので、一応北海道のワクというものが留保されているということになっております。
  177. 芳賀貢

    芳賀委員 最初からその言えばわかるけれども、四十万円にするということは、与党が出してある法律が通らなければできないのですか。それでは三十万円に上げる場合には年限の延長は要らぬのかということになるですね。現在は二十万しか限度がないでしょう。これは三年据え置きで二十年の年限だから二十万円しか貸し出しできないのだとすれば、十万円ふやす場合には何年か延ばさなればできないじゃないですか。二十万円ふやす場合には法律改正が必要で、十万円ふやす場合には法律改正が必要でないという理由を、一応明らかしていただきたい。
  178. 坂村吉正

    坂村政府委員 機械的にきちっとこうであるからこうであるという筋はなかなかむずかしいのでございますけれども、自作農資金の問題につきましては、限度額の問題が昨年以来いろいろ問題になっておりますので、ことしは法律はいじらなくてもとにかく限度額については十万円上げよう、そうして、年限は今まで二十年であっても、無理してでも一つやっていくようにということで参ったわけでございますけれども、もしこれがかりに四十万円に上げるということになりますと、これは急に倍になるわけでございますから、こういう場合におきましては、そのまま二十年でこれをやれというのはなかなかむずかしい問題ではないかというふうに感じておるのでございまして、そこはやはり期間とかそういうものも総合的に考えていかないと片づかない問題だろうというふうに考えております。
  179. 芳賀貢

    芳賀委員 今まで、政府の財政投融資計画の中で、たとえば公庫の資金源が非常に貧弱なんですね。公庫全体の資金計画の中で、百億とか百二十億とか百六十億とか、これはほんとうにわずかな額ですよ。三十六年度の投融資計画は七千二百億でしょう。その中で農林省は六百億しかないじゃないですか。ワクが少なくて全国的な需要が多いから、特定の少数の者だけに五十万とか六十万とか貸付をやった場合には全体の需要に応ずることができないから、やむを得ず貸付限度を二十万なら二十万に押えて、そしてちょっぴりずつ多くの人たちに貸し付ける、こういう変則な運営を行なってきた。そういうことをわれわれは理由として認めてきたわけです。ところが、あなた方は、そういうことを理由にしないで、現在の法律が三年据え置きで二十年償還ということであって、年限が短過ぎるから二十万か三十万しか貸し出しができないということであれば、これは問題とその原因が違ってくるわけです。もし、貸出限度を延ばしたいけれども法律改正が行なわれないからできないということであれば、これはここで共同提案でも何でもして、この際五年据え置きの五十年償還ぐらいに年限だけ延ばしてやってもいい。そうすれば百万円くらいに業務方法書の改正はやれるでしょう。そういう点を正直に正しく言ってもらいたいのですよ。詭弁を弄して、法律改正が行なわれていないから貸せないのだなんていう、そういうばかな話はないですよ。これは実は農林大臣にはっきりしてもらいたいのですが、まあ局長が代弁して言ってごらんなさい。
  180. 坂村吉正

    坂村政府委員 その点は、お言葉でございますが、決して詭弁を弄しておるわけではございませんで、先ほど申し上げましたように、限度額を上げようという問題になっておりますし、一面におきましては、これにつきまして国会でもいろいろ論議をされておるのでございまして、そういう点と関連をいたしまして留保しておりました、こういうことを申し上げたわけでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、今まで二十万円でやっておるものを三十万円に上げました場合には、期限をいじらなくても、ある程度は限度を上げるということだけを一応中心にしてもやっていけますけれども、倍になるということになりますと、期限の問題まで別に考え合わせませんと、なかなかむずかしいのじゃないかという点があるのでございます。それと同時に、ただ法律期限や何かだけを延ばしましても、やはり財政問題とも関連する問題でございますから、そういう面も一緒に考えませんと片づく問題ではないというふうに考えますので、そういう面も同時に考えまして、必要な場合には法律改正もお願いする、そういう建前で考えておるわけでございます。
  181. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、先ほどの政府側の発言は、立法府にたてつくような発言ですよ。法律期限が短いから貸せないんだというような不遜なことは取り消すべきです。そういうけしからぬことを言って、自分たちは資金ワクもとれないで、ささやかな貸し出ししかできない。現在の法律が三年据え置きの二十年だから、せいぜい貸しても三十万しか貸せないんだ、もっと借りたければ、年限を国会議員に言って延ばさせるくらいのことはおそらく言っておるのでしょう。そういう態度だからして、国会軽視という考えがだんだん強くなり、国会へ出れば低姿勢でやっておるが、出ないときには、何だあのやろうということで、官僚制度の悪弊というものがだんだん高まってくるわけですね。陰では与党とやみ取引をやるようなことをやっているじゃないですか。だから、率直に言うことがあったら言ってもらいたい。法律改正をしてもらいたいならしてもらいたいと言えば、わが党からちゃんと筋の通ったものが出ているのですから、社会党案に期待するなら期待するということを言ったらいいじゃないですか。これはいい機会だから、はっきりしてもらいたい。あなた方は、負債整理は何か恩に着せたようなことを言っておるでしょう。だから、実際に四十万円にしたいけれども今の法律では年限が短過ぎるからして延ばしてもらいたいというなら、政府提案でそういう欠陥というものは是正すべきですよ。自民党の方針でも、与党だけの議員立法はやらないという方針がきまっているじゃないですか。そういう大きな欠陥があれば、今国会では通さぬでもいいような法律を幾多出しておるが、それよりこれが大事であるとすれば、政府提案で自創法を改正して、年限の延長をやって、そうして四十万でも五十万でも出せるだけの金を負債整理に出してやれば、それが善政ということになる。どうしますか。
  182. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほどの丹羽管理部長の御答弁も、私の御答弁がもし御了解が得られるのであれば、これは同じ趣旨で言っておるのでございまして、いろいろ言い方は人によってニュアンスがございますので、お聞き取りになります場合にもいろいろなお取り方もあると思うのでございますけれども、これは同じ趣旨のお話を申し上げておるのでございますので、ぜひ一つ御了承をいただきたいと思います。
  183. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、最後に、四十万に負債整理を中心にした維持資金限度を上げたいと言われたことは了としますが、それをやるためには、今年度自創法の改正した年限の面において行なわなければそれは絶対できないものかどうか、その点はどうなんです。
  184. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほども申し上げましたように、今までの二十万円の限度を四十万円と倍にするのでございますから、もし四十万円ということが負債整理のために適当である、適当といいますか、必要でありますれば、これはやはり法律改正をいたしますことが適当であろうかと思います。
  185. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、近代化資金は、三年据え置きの十年償還、百万ないし二百万の貸し出しはできるわけです。これは、四十万円から見ると、二百万円は五倍の貸し出しで十年間に払える、自創資金の方は三年据え置きの二十年償還で四十万円の金を貸せないということはちょっとおかしいじゃないか。同じ農業者に貸し出す場合に、近代化では払えるが、自創資金では払えないというのは、どういうわけですか。
  186. 坂村吉正

    坂村政府委員 近代化資金の場合と自創資金の場合とだいぶ貸付対象が違うと思います。そういうような意味において、自創資金における金利の条件あるいは償還期限の年限、そういうようなものも近代化資金の場合とは非常な開きがあるのでございまして、そういう実態から相違があろうと思っております。
  187. 芳賀貢

    芳賀委員 負債のある農家近代化資金を借りられるのでしょう。負債のある農家近代化資金を貸さないという方針ではないでしょう。そういう経営力の弱い農家に有利な資金を貸して農業の健全化をはかる目的がこの近代化資金にあるのです。借金のある農家には近代化資金を貸しませんぞということになると、この法律はまた内容がおかしいということになる。だから、近代化資金では二百万まで貸せるのでしょう。少なくとも百万は貸せる。これは長いので三年据え置きの十カ年償還ということで、百万ないし二百万円を返さなければならぬ、返えせるという判断で貸すわけです。現在の自創資金は、三年据え置きの二十年償還で、金利も五分です。七分五厘よりもまだ安い。それで、今度三十万円にするというけれども、四十万では二十年間年五分では絶対返せないから貸さないということにはならぬ。それじゃ近代化資金の年限も二十年くらいに延ばさなければ無理じゃないですか。
  188. 坂村吉正

    坂村政府委員 近代化資金の場合におきましては、どちらかといいますれば前向きの資金でございます。それから、自作農資金は、どちらかといえば、消極的な資金といいますか、負債整理なんかを例にとれば、ほとんど過去の負債の借りかえとか負債の穴埋め等でございまして、土地取得資金等を考えましても、非常に長期のものでございますから、性格的には近代化資金と自作農資金とはおのずから非常に開きがあるわけでございます。そこで、近代化資金におきましては、たといつぎ込みましても、借りましても、これが経営近代化によって負債の償還が可能だという見通しのもとにわれわれは考えておるのでございます。自作農資金近代化以前の問題に実際問題としてなるのではないかというふうな感じがするのでございます。そこで、おのずから条件等も変えていかなければならぬというふうに考えております。
  189. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、その条件以前の問題の方が大事でしょう。前向きにする以前の問題を処理しなければ、前向きにできないじゃないか。だから、その前向きにする問題解決のためには、必要な負債整理資金というものを積極的に貸し出さなかったならば、いつまでたっても前向きにはならぬでしょう。脱農させるならば別ですよ。今や政府や与党が考えているように、経営困難な者は百姓をやめなさい、土地は農協に信託して処分して、借金を差し引いてもらえという冷酷なやり方で、いわば前向きにならぬ者は全部首を切ってしまうなら話は早いが、われわれはそういう冷酷なことはできない。だから、前向きにできない者をまずどうするかということのために、この自創法ができた。それを、ちゅうちょして、やれませんとかやりますとかいうことを言っておれば、農政の発展なんかできませんよ。そういう答弁だけ繰り返しているのなら、これ以上質疑をしてもむだになりますから、農林大臣、総理大臣に来てもらいます。
  190. 坂村吉正

    坂村政府委員 仰せの通りでございます。ですから、そのためにこそ、北海道の負債整理等に対しましても、この二、三年の間に三十億以上の自創資金融資をしているわけであります。これは、何としても、いわゆる近代化以前にこの問題は片づけなければいかぬという感じを私ども持っておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、いろいろ財政上の問題等もありまして、なかなかこれが思うようにいきませんものでしたから、今まで問題が十分には片づかないで参っておるというわけであります。どうぞ御了承を得たいと思います。
  191. 芳賀貢

    芳賀委員 委員長に申し上げますが、これ以上質疑をしても発展しませんから、大臣の出席を要求します。今大臣がすぐ来られるなら待ちますが、直ちに出席できないのであれば、本日は保留して、明日質疑を継続いたします。
  192. 坂田英一

    坂田委員長 次会は明二日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時一分散会