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1961-05-31 第38回国会 衆議院 外務委員会農林水産委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月三十一日(水曜日)    午前十一時十四分開議  出席委員  外務委員会    委員長 堀内 一雄君    理事 北澤 直吉君 理事 竹内 俊吉君    理事 野田 武夫君 理事 森下 國雄君    理事 岡田 春夫君 理事 戸叶 里子君    理事 松本 七郎君       愛知 揆一君    宇都宮徳馬君       賀屋 興宣君    小泉 純也君       椎熊 三郎君    正示啓次郎君       床次 徳二君    橋本 龍伍君       松本 俊一君    稻村 隆一君       穗積 七郎君    森島 守人君       川上 貫一君  農林水産委員会    理事 秋山 利恭君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君       寺島隆太郎君    中山 榮一君       野原 正勝君    本名  武君       八木 徹雄君  出席政府委員         外務政務次官  津島 文治君         食糧庁長官   須賀 賢二君  委員外出席者         外務事務官         (経済局次長) 高野 藤吉君         外務事務官         (条約局外務参         事官)     東郷 文彦君         大 蔵 技 官         (主税局関税調         査官)     宗  知武君         農林事務官         (農林経済局参         事官)     松岡  亮君         専  門  員 佐藤 敏人君     ————————————— 本日の会議に付した案件  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三  十八表(日本国譲許表)に掲げる状況修正  し、又は撤回するためのアメリカ合衆国との交  渉の結果に関する文書締結について承認を求  めるの件(条約第二〇号)      ————◇—————   〔堀内外務委員長委員長席に着く〕
  2. 堀内一雄

    堀内委員長 これより外務委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  関税及び貿易に関する一般協定に付属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件を議題といたします。  これより前会に引き続き質疑を行ないます。本名君。
  3. 本名武

    本名委員 ただいま議題になりました関税に関することについて二、三お伺いいたしますが、それに先立って今度の修正内容を拝見いたしますと、相当数多くの農水産物資が含まれているのでありますが、この中で特に私どもは、まず第一に国内生産状況からいたしまして、相当考慮を要するものがあろうと思います。大豆にいたしましても、粉乳、獣脂等にいたしましても、相当国内生産影響することは申すまでもございません。けれども政府は今日の日本産業経済あるいは国際貿易の観点からこのような処置をおとりになったのであろうと考える一方、特にたとえば大豆のようなものを考えてみましても、国内生産自給度というものが非常に低く、劣悪な状態に置かれているものを今日消費需要の面からいたしまして、特に自由化をしようとはかられた。このことについてはいささか私どもには疑点がございます。けれども、ひとりこの大豆生産あるいは需給の面からだけ考えてこれを論ずるのは、あるいは今日の国際経済状態あるいは国内需給状況からして軽率であるかもしれませんが、一応この大豆自由化をはかると同時に関税の三%引き上げということは、どういう具体的な国内生産施策の上に立って計画され、実行に移されようとするかをお伺いいたしたいと思うのであります。申すまでもなく自由化の得失と必要性は今さら言うまでもないと思いますが、大豆国内生産が遅々として上昇しない現段階において、少なくとも自由化に備える施策としては、当然むしろ常識的に行なうのは関税率引き上げであろうと思います。その関税率引き上げとあわせてとられることは、直接大豆生産に対する増産あるいはコスト低減施策がとられなければならない。同時にまた当然それを実行するためには価格政策増産対策というものが財政措置の上からも、あるいは営農指導の上からも政府は当然積極的に行なわなければならない、こういうふうに考えるのでありますが、特にそれらに先立って関税引き上げるという御処置をなさって条約を結ばれて協定を結ばれた。しかもその率が三%になったということ、これらの関連においてどういうふうなお考えから三%の引き上げをなされたのか、言葉をかえて申し上げれば、私どもはいわゆる国内生産体制を整備するという施策の今申し上げた諸種の施策の中の関税措置によるという場合には、三%では関税引き上げによるところの国内生産体制整備効果というものは十分に上がらないのではないかと思うのでありますが、その点の見解を一度お聞きしておきたいと思います。
  4. 須賀賢二

    須賀政府委員 今回の大豆自由化関連をいたしまして、ただいま御審議をいただいておりまするように関税引き上げを計画しておるわけであります。大豆自由化関連をいたしまして、われわれそれに関連をいたしまする措置といたしまして、関税の問題と同時に、国内におきまする国内産大豆生産性の向上、これは端的に申し上げますと、国内産大豆反収が非常に低いわけでございます、国際的に競争力が非常に乏しいわけでございます。この状態をできるだけ早く改めていかなければならぬ。それから、自由化をいたしますと、国内産大豆につきましては、従来より価格がある程度下がるということが予想されるわけでございます。これに対しましては、別途、大豆、なたねに対しまする交付金制度を立案いたしまして、予算及び法律の形において御審議を願っておるわけであります。それらを総合いたしまして、輸入大豆自由化に備えておるわけでございます。関税率の問題は国内産保護という見地からいたしますると、できるだけ率が高いことが望ましいことはもちろんでございますが、いろいろ相手国とも交渉を要する問題でもございますし、それらも総合いたしまして、ただいま申し上げましたような、国内産に対しましては、一方生産対策、一方当面の価格対策、それらをそれぞれ並行して措置を講ずるということにいたしまして、関税の方は三%の引き上げということに考えておる次第でございます。
  5. 本名武

    本名委員 私の伺っているのは、国内生産体制を整備するということは、価格なりあるいは直接圃場に対する予算措置その他による生産増強、これは当然であるが、それと関税対策とあわせて考えて、どれだけの効果をねらって三%とおきめになったか、その意味をお聞きしているわけなんです。もっと非常に砕いた言い方をしますと、実は今日まで法案は、交付金法が出ておりますが、これはまだ通過しておりません。そのほか、今長官のおっしゃった、当面の価格対策その他によって生産を増強されるということ、いずれにいたしましても、はっきり申し上げると、これはまだ確定したものではないと思う。その上に立って、今ここで関税の定率だけを決定しようとする。するからには、少なくともそういう態勢下にあって、関税措置としての効果というものは、どういうふうにお考えになって三%となされたか、それをお聞きしたわけなんですよ。  そこで関連して、ついでですからお聞きいたしますが、それならば、当面の価格対策というものも処置するとおっしゃる、あるいはまた、交付金制度によって生産の確保並びに増産態勢をとろうとおっしゃるが、その点から今度は関税三%——当面の価格対策というものをどうするか、あるいは交付金制度というものの活用によって実際の効果がどう現われてくるかということが納得されて初めて、なるほど3%でよかろうとか、あるいはもっと上げろとか、あるいは上げる必要がないとか——まあないことにはならぬと思いますが、そういうような意見がまとまって出てくることと思うわけであります。そこで、その当面の対策でありますが、実は、生産者なり国内生産実態からいたしますと、当面の対策なりあるいは当面の価格対策なり生産体制というものがどうなるかということが、むし国内的には重大であろうと思う。その上に立って、さらに足らないところをどうする、こうするという論議がなされることの方が、私は国の政治としてはむしろ本筋じゃないか、こう思うわけであります。そこで、その当面の価格対策として問題になるのは、まず第一に、先般来問題になっております三十五年産のわゆる手持ちいたしております大豆、これを一体どうするかということ、これは従来伺っているところでは、とりあえず三千二百円、その基準で処置をするということであります。この三十五年産価格というものは、先般来各関係委員会でいろいろ論議されましたが、それとこの交付金制度というもうは一応、これは個人的な考えとしては、切り離して考えていって、三十六年産からいわゆる関税なり価格なりあるいは生産体制なりというものを整備するというものが同時に作り上げなければならない。けれども、それを作り上げるための末端における農民経済心理やあるいはまた生産増強の意欲というものを考えると、やはり三十五年産の残ったものの始末というものをどうするかということが、非常に大きな問題になって今日まで論議されてきたわけです。それからもう一つ、なぜそういう三十五年産が大きく論議されるかという事由は、自由化に備えての論議もさることながら、自由化論議が数年前から繰り返されているさなかにあって、国内価格というものが、これは実は経済原則需給原則のみならず、自由化というかけ声だけで非常に価格変動があったということ、こういう事実も考え合わせて参りますと、どうしてもこの三十五年産処置というもうが今後の施策に非常に重大に影響してくると思うのであります。そこで、今さらに申し上げるまでもなく、その三十五年産論争の中心は、いわゆる三千二百円という価格をつとにお出しになりましたが、このいわゆる取引場所取引の方法というもうが非常に不明確であるというところに、論争一つ問題点があったと思います。具体的に申し上げれば、三千二百円は農家手取りである。私は、少なくとも将来農家手取りというものは、でき得れば最終消費価格まで農家手取りが伸びることが理想である。従って、その間における流通経費というものは努めて節減されなければならない。けれども、三十五年産におきましては、従来の慣習、商取引実態からいたしまして、やはり依然として、農家生産品は、素俵生産検査をいたしておりますが、実質の取引は、作り加工いたしまして消費地まで運んでの商売をしている。この間にあって農家手取りを確保するということ、すなわち三千二百円を確保するということが、この自由化対策に対する農民のいわゆる経済心理に刺戟を与え、次の議施策によって増産の道がより一そう確保されると思うので、私は、この三十五年産価格をどう扱われるかということを具体的にこの機会に、もうすでに政府は発表なされなければならないと思うのでありますが、この点についてどういうふうに御処置なさろうとするかをお伺いいたします。
  6. 須賀賢二

    須賀政府委員 三十五年産大豆につきましてはただいま御指摘もありましたように、ちょうど輸入大豆自由化に切り変わります直前の取引でございます。いろいろ自由化気がまえにあります大豆の市価の推移等によりまして、実際に北海道大豆生産いたしております農家が、急激に大きな影響を受けないようにということを、特に私ども十分配慮しながら考えておる問題でございます。この問題につきましては、かねがね、農林水産委員会の方でも数次にわたりまして御検討になりました問題で、いろいろ過去におきましても論議経過等もございまして、非常に問題が込み入っております。また、一面におきまして、もう現実に実際に取引をされました三十五年産大豆の自後におきます価格補償措置というような面も持っておるわけでございます。それで、いろいろ検討をいたしました結果、おおむね従来の経過等も織り込みまして、農林水産委員会等論議をされましたような方向によって処理をいたしますように目下具体的に財政当局とも話し合いをいたしております。おおむねその方向処理をいたしまする目安をつけて参っておるわけでございます。当委員会におきまする昨日来の御審議経過もございますので、できれば農林大臣出席をいたしました際に、農林大臣から具体的にその内容を申し上げるという方がよろしいのではないだろうかと考えております。
  7. 本名武

    本名委員 長官としてはその程度のお答えしかできないかもしれませんが、大臣出席を要求いたしましてもいろいろ御都合があって出られない。少なくとも大臣に私は責任あるお答えをお聞きしたいのは当然であります。けれども大臣お答えするのはこれは決定的なお答えになる。この決定的な段階として、おそらく大臣がお一人で財政当局交渉しておるははずない。まず第一におおむね農林委員会等における御意見の線に沿って財政当局とその方向に向かって決定するであろうというふうに私は解釈するのでありますが、今はもうあろうではなくして、大臣がここにいらっしゃればあなたと同じお答えをいただいて一向差しつかえない。そうでなければここで大豆関税審議する問題には触れられなくなる。それから一方においてはその他の問題としては交付金の問題であり、振興局等増産のいろいろな予算措置行政措置がある。これは別途に私はその場所でお聞きしたいと思いますが、とりあえずそういう一つ関税論議する当面のポイントであるこの問題が、今長官からおおむねであるとかあるいは財政当局交渉中であるというならば、この委員会大臣出席するまでは、二日も三日も関税の問題はきまらぬということになる。これではいけないから少なくともわれわれ委員としてはこの関税に対して一つのめどをつけるために長官から最終的な意見を、大臣と同じお答えでいいと私は思う。もし長官がその大臣と同じお答えができないなら、大臣がここにいらっしやらなければできないかもしれない。そんなことではなく、ここで明確に一つお答えをしていただきたいと思う。
  8. 須賀賢二

    須賀政府委員 私は昨日来の経過から考えまして、農林大臣の御出席の際に申し上げた方がよろしいと判断をいたしたわけでございますが、重ねてお尋ねでございますので、この件につきましては昨日来財政当局とも協議を進めておりまして、結論的に申し上げますと三十五年産大豆、これは具体的には北海道産の大豆でございます。農業団体が集荷いたしました約五万トンの大豆でございます。これにつきましてはかねてから農家手取り三千二百円と相なるよう措置をするようにという強い御要請があった次第であります。その線に即しましてさよう措置するように政府としては方針をとりきめた次第でございます。従いましてこれはやや専門的な事柄になりますが、従来問題の争点になっておりましたのは、北海道大豆につきましては、実際の取引の姿が二回検査を行なっておるわけです。二回検査を行ないましてその間いわゆる再調製をいたすわけでございます。この再調製経費をどこで負担をするかということが現実の問題となっておるわけでございます。従いまして農家手取り三千二百円の線に相なるように措置をとるということになりますとこの再調製経費農家負担にならない。その分は結果的に政府でその分も含めて負担をするということに相なります。農家手取りは実際に三千二百円に相なるわけでございます。さような方針をもちまして三十五年産大豆処置をすように目下進めております。
  9. 本名武

    本名委員 非常に明確になりました。そういう御方針処理するということを政府としては御決定になりました。いずれこれを確認し、また責任あるお言葉として拝聴したいので、別の機会大臣からお伺いいたします。そこで長官に具体的に今のことについて一点お伺いしておきたいと思います。実質的に手取り三千二百円になるとおっしゃるが、いわゆる農家が農協において受け渡します素俵生産検査をいたしまして、さらにそれを作り加工いたしておりまして、それが第二段目の製品再調製だと思うのですが、その作り加工費用政府負担する、こういうふうに端的に解釈してよろしゅうございますか。
  10. 須賀賢二

    須賀政府委員 結局そういうことに相なるわけであります。
  11. 本名武

    本名委員 私一人で質問するのはどうかと思いますが、一応大局ははっきりわかりました。そのことによって私は今日までいろいろ価格に対する不信、不安あるいはまた将来の生産に対する非常なもやもやした気持が一応この段階で払拭されまして、今後はその他の予算並びに法律処置指導処置によって一応増産をして自給度を高め、生産費を低減する努力がなされる一つの道が開かれたと私は確信いたします。  そこで重ねて一つこの機会に申し上げてお伺いしておきたいことは、せっかくそのようにして政府努力を下すったわけでありますが、これは実は前にも申し上げたように将来への一つの大きな力になってこの政策が実っていかなければならない。その場合に私はやはり関連した施策というものが当然十分になされなければならない。関連というのは申すまでもなく圃場から消費に至るまでの施策であります。その中でちょっと気になりますのは、将来交付金法律審議したり、予算あるいは指導論議をいたしますときに、製品品種を向上させるということ、反収を上げるということ、これは当然考えなければならない。流通過程においていろいろな矛盾がありはしないか、あるとするならばその矛盾をどういうふうにして取り除いていくかということ、これがここまで徹底しなければこの施策は生きてこない。たとえば、従来は内地の生産者消費に至るまで一本の検査取引がなされておった。北海道のものは——実はわれわれは北海道大豆というものはかなりいいものが出てきておると思った。なるほど再調製の結果、作り加工いたしましていいものだけ使うと北海道大豆は非常にいい。しかし、四等、五等になると非常に悪い。そういうものをお使いにならなければコストの合わないメーカーは、北海道の豆は悪い、あるいは黒目が多いから北海道の豆が悪いといろいろ批判がありますが、そういう現象は今後は圃場対策によってやっていける、品種改良土壌改良その他によっ対抗していけると思いますが、中身は同じでも流通手段がちっとも進歩がない、改革がなければ依然として生産費あるいは自家相場の一割五分も二割も占めるこの費用というものがむだになっていく。あるいは時勢に合わない。合理化された流通過程をたどれないということになれば、生産の方に幾ら力を入れてもその部面で非常にロスが多い。ひいてはそのことが生産者に響き、生産増強に支障を来たすということになる。この機会にちょっとお聞きしたい。将来はこの流通手段に対して、生産農家の手を離れてから消費地に行き、取引がなされるまでの流通手段において何かお考えになっておることがないかどうか、その点を伺っておきたい。
  12. 須賀賢二

    須賀政府委員 今回の三十五年産大豆価格の問題が検討されました経過を振り返ってみますると、ただいま本名委員からも御指摘がありましたように、北海道産の大豆につきましては、農家が出荷をいたしましてから実際の消費市場まで流通いたしまする過程におきまして、十分検討を要する問題があるということがいろいろな面から表面に出てきておると思います。これらの点につきましては、いずれ交付金法に基づきまして、三十六年産大豆措置いたします際に、具体的に十分検討いたしまして対策をきめなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  13. 本名武

    本名委員 このことは交付金法法律審議しますときにもう少しお尋ねして明らかにしておきたいと思います。いずれにしてもそういうことも考え合わせ、将来の変動に備えて生産を安定させ、生産者の所得を合理的に増大させるということが一つの大きな問題点だろうと思いますが、次の機会までに一つ十分なる御検討をいただきたいと思います。そこで話をもとに戻しまして、関税の問題に移りたいと思いますが、生産に対しましては政府においては今お話のようないろいろな施策をとり、特に長い間論議過程であった当面の価格対策も今伺うような処置をとって、国内対策を充実しようという努力をしておられる。その場合にこれが対策の一環である関税措置というものがどういう形できめられたかということは、われわれとしても非常に重大な関心を持たざるを得ないのであります。ガットにおける国際的な、特にアメリカに対するいろいろな交渉の経緯というものは、なかなかなまやさしい容易なものではないと思います。このもの一つ交渉ではないことはもちろんであり、また国の経済、今後の貿易全般影響する問題でもありますから、非常に困難ではあろうと思う。しかし少なくとも一国の政治国内生産影響し、またはそれを助長するという両面から考え関税処置であるとするならば、私は三%におきめになるのは、単なる話し合い妥協点が三%だということだけではいけない。同時に今後におけるこの関税交渉におきましては、少なくともこれほど国内で困難をきわめ大論争いたし、そして国民の相当数を占める——特に農産物に対しての関税決定にあたっては、決して話し合いで、妥協点できまりましたというだけでは今後は済まないのではないかと思う。従って国内における諸施策にいろいろ御努力をなさったと同じように、関税交渉においても相当決意を持って臨まれなければならないと思う。むしろ私はこの国際的な一つ取引における条件として重大な関税の問題については、国内事情が十分に考慮されて、しかも内政における努力にもまさった努力が国外に払われてこそ、初めてこの経済貿易における、特に国内経済成長農業の発展における一つの大きな問題だろうと思う。それがきのうの質問で、私は初めから聞いたわけではありませんが、三%におきめになったということにまだ十分に納得ができない、しかし現実はもうすでに調印されたあとでありますので、今後において一つ新たなる覚悟のもとに、今後起きるのであろうところのこれらの交渉に対して臨んでいただきたいと思う。その点について一つ外務当局経過かあるいは今後の御決意などをお聞かせをいただきたい。
  14. 高野藤吉

    高野説明員 お答え申し上げます。大豆自由化は前からいろいろ叫ばれておりまして、自由化と同時に国内生産者をいかに保護するかということは、前々から関係各省でいろいろ相談いたしましたが、それぞれいろいろ考え方があって、意見の一致を見ていなかった次第でございますが、最後的に関税を一応従量税でいくという考えで参ったわけでございます。しかし交渉過程におきましてアメリカ側からぜひ従価税にしてくれということで、従価一三%になったわけであります。自由化に即応いたしまして、国内生産者を保護する意味合いからいきますと、ある程度関税の高い方がよろしいのでございますが、しかしガット大豆関税を上げますと、またほかの品目におきまして関税を下げなければならない。そうしますとその方の関税者におきましてまた非常に影響を与える、そこにおきましてその両者の利益の妥協によりまして、従価十三%、そういうふうになった次第でございます。しかし今後の自由化に即応いたしまして、外務省といたしましてもガット関係上、相手の国といろいろ交渉いたします際に、国内も慎重に考えまして、今後とも善処していきたいと思います。
  15. 本名武

    本名委員 御事情はわからぬわけでもないので、まさにその通りだと思います。さっきも申し上げましたように、どうも他の商品との見合いにおいて比較されますと、従来の例からいくと、この農産物というものと他の商品との関税のになうその趣旨というものがどうも農産物というものは弱い。財政投資効果はなかなかほかの産業、ほかの商品生産と違って上がりにくいのが農業生産物の特色であります。にもかかわらず、関税におきましてはどうもその措置としては、これはひとり関税ばかりではありませんが、自由化考える場合でもあるいは貿易効果全般の場合でも、出すにしても入れるにしてもどうしても扱いが弱い、この際一つ外務省、特に大蔵省関税当局にはその点も十分考慮されて、今後の農産物関係のある関税措置というものは、どうか国内実態というものを、農林省まかせではなくて、もう少し見きわめて、強く交渉していただきたい。  なおほかにも御質問の方があると思いますので、希望を申し上げて私の質問を終わります。
  16. 堀内一雄

    堀内委員長 この際暫時休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      ————◇—————    〔休憩後は会議を開くに至らなか    った〕