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1961-05-30 第38回国会 衆議院 外務委員会農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月三十日(火曜日)    午前十一時十七分開議  出席委員   外務委員会    委員長 堀内 一雄君    理事 北澤 直吉君 理事 竹内 俊吉君    理事 森下 國雄君 理事 岡田 春夫君    理事 戸叶 里子君       小泉 純也君    椎熊 三郎君       正示啓次郎君    床次 徳二君       橋本 龍伍君    松本 俊一君       稻村 隆一君    黒田 寿男君       穗積 七郎君  農林水産委員会    理事 秋山 利恭君 理事 大野 市郎君    理事 小山 長規君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君       本名  武君    足鹿  覺君       中澤 茂一君    西村 関一君       山田 長司君    湯山  勇君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小坂善太郎君  出席政府委員         外務政務次官  津島 文治君         農林政務次官  八田 貞義君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君  委員外出席者         外務事務官         (経済局次長) 高野 藤吉君         大 蔵 技 官         (主税局税関部         関税調査官)  宗  知武君         農林事務官         (農林経済局参         事官)     松岡  亮君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    村田 豊三君         専  門  員 佐藤 敏人君     ————————————— 本日の会議に付した案件  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三  十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正  し、又は撤回するためのアメリカ合衆国との交  渉の結果に関する文書締結について承認を求  めるの件(条約第二〇号)      ————◇————— 〔堀内外務委員長委員長席に着く〕
  2. 堀内一雄

    堀内委員長 これより外務委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  慣例によりまして私が委員長の職務を行ないますので、さよう御了承を願います。  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件を議題といたします。
  3. 堀内一雄

    堀内委員長 まず政府側より提案理由説明を聴取いたします。外務大臣小坂善太郎君。
  4. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ただいま議題となりました関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  わが国は、昭和三十年のガット加入の際の関税交渉昭和三十一年の第四回ガット関税交渉並びに昭和三十三年の対ブラジル及び対スイス関税交渉に参加し、わが国関税率表の九百四十三税目のうち二百七十九税目についてガット締約国に対して譲許を行なってきておりますが、一部の現行譲許税率については、その後の経済事情変化に即応しないものとなりましたので、その修正または撤回の必要が生じて参りました。このため、昨年来ガット第二十八条に基づくガットの再交渉会議が開催されました機会に、大豆工作機械などの二十四品目につきまして、これらの譲許原交渉国であるアメリカ合衆国譲許税率修正及び撤回のための交渉を行ない、その際、トウモロコシ牛脂ギアカッターなど十九品目についての譲許を新たに代償として提供することにより、このほど交渉を完了し、去る四月十日ジュネーブ日米両国代表団の間に、右交渉の結果に関する文書への署名を行なった次第であります。  この新しい譲許は、第二十八条に基づく関税交渉の結果の適用に関するガット上の一般的な手続に従い、わが国締約国団書記局長に対して適用通告を行なうことにより、右通告において指定する日から実施されることとなっておりますところ、これらの譲許のうち、工作機械については若干おくれますが、その他のものについては、本年七月一日までに実施に移す予定であります。  よって、ここに、この文書締結について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。     —————————————
  5. 堀内一雄

    堀内委員長 これより質疑を行ないます。質疑通告がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  6. 芳賀貢

    芳賀委員 外務大臣にお尋ねしますが、ただいま提案趣旨を述べられたわけでありますが、この機会交渉経過の概要について一応の説明を願いたい。
  7. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 御承知のように、この関税及び貿易に関する一般協定ガットと言いならわしておるものでございますが、この第二十八条では、一九五八年一月一日から始まりまする各三年ごとに、原交渉国及び主要供給国との間で交渉いたしまして、かつ合意することによって、実質的な利害関係国と協議することを条件といたしまして、ガット譲許税率修正しまたは撤回することを認めておるわけであります。従って今年一月一日がその三年目に当たるということでございますので、昨年の九月一日からジュネーブにおいて、このガット二十八条に基づくいわゆる再交渉関税交渉会議が持たれたわけでございます。わが国は、一九五五年のガット加入のための交渉を初め、一九五六年の第四回関税交渉及び一九五八年の対ブラジル並びスイス関税交渉に参加いたしまして、今申し上げたような二百七十九税目についての譲許を行なっておるわけでございますが、その後の経済情勢変化に即応しなくなっておるということで、この修正の必要を感じ、再交渉を行なったわけでございますが、長い日数を経ましたあげく、このほどトウモロコシ牛脂ギアカッターなどの十九品目を新たに代償として提供する、かようなことになったわけでございます。
  8. 芳賀貢

    芳賀委員 それはいただいた資料に述べてあるのですが、問題は、今回の交渉目的とするところはわれわれの判断によると、政府が進めようとしておるいわゆる貿易自由化実施が一番中心になっておるのじゃないかと考えるわけです。特にその場合、大豆中心とした農産物自由化を進めるためにこれらの交渉が行なわれてきたわけですが、これはやはり貿易自由化中心になった交渉内容というふうにわれわれは判断しておるわけです。そういうことになると、交渉内容についても、特に農産物自由化等については、国内においては非常な批判と反対があるわけです。こういうものをどういうふうに頭の中へ入れて相手国交渉を行なったか、そのことの経過とか内容について具体的に述べてもらいたい。
  9. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 その後における経済情勢変化ということを申し上げました中には、現在世界的な傾向としていわれておりまする貿易自由化問題も含まれているわけでございますが、御承知のように、大豆問題はアメリカとだけは禁止しているわけであります。アメリカだけエクスクルーシブに扱われているということについては、非常に不満も先方にあるわけであります。そこでこの問題をどう扱うかということになりますと、今、芳賀さんおっしゃいましたように、国内的に相当大豆その他については問題が多いわけであります。そこで御説明の中にございまするように、大豆については、現行譲許税率を三%引き上げているわけであります。ただ、このガット関係に入っている国が、今まで一定の関税率お互い譲許し合っているわけですが、その中で、片方でもってそういうものが入ってくるために国内市場が撹乱される場合には関税率を引き上げてこれを保護するわけです。しかし一方にそういう引き上げるものがあれば一方に引き下げるものがあって、お互いガット関係国の間の友好関係を保とうということになっているわけでございますが、今回はその点でいろいろ交渉いたしまして、ここに資料で提出いたしておりまする品目について、それぞれ引き上げたり引き下げたりしたわけです。引き上げましたるところの十九品目貿易実績というのは一億一千五百万ドルでございますが、代償として今度は引き下げましたものの貿易実績は六千四百万ドルということでございまして、この点、片方で引き上げるかわりに片方で引き下げますが、引き上げて保護すべき品目の方が非常に多い。その点では、非常に先方の理解を得ることに成功した、こう申し上げてもよろしいのではないかと思っているわけであります。
  10. 芳賀貢

    芳賀委員 今回の対象品目の一番代表的なものが大豆でありますが、その大豆自由化については、政府においても、完全なる国内保護措置が講ぜられてから、しかる後自由化を行なうということを明らかにしているわけです。ところが、いまだにこの国内の完全なる保護措置は全く講ぜられていないわけです。従ってそういうことになると、関税交渉において対外的にこのような取りきめを行なっても、前提になる国内における保護的な措置が完了しないうちに自由化をやることはできないと思うのです。特に池田総理が六月の十八日に渡米するわけなんですが、そういう状態のままでは、これは向こうに行ってもなかなかいいおみやげにならないと思いますが、そういうことについてはいかがですか。
  11. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 御承知のように、大豆、なたねに関する補助金交付法律案が今国会提案されておりまして、国内産の大豆またなたね生産農家の所得が減少されることに対する保護措置というものは、一方において講ずることを考えているわけであります。さような点で、一方から申しますと、全体の大豆自由化の問題というのは、アメリカについてだけ相当排他的な扱いをしているということは、国際的にも、日本の将来の貿易拡大の上からいいましても非常な障害があるということでございますので、その法案もあわせて御通過を願いますように特に一つお願いを申し上げておく次第であります。
  12. 芳賀貢

    芳賀委員 今、外務大臣が述べられた法案は、農林委員会に付託になっていることは事実なんだが、全然審議はしてないのですよ。それはその法案内容をごらんになればわかる通り、名前だけは大豆、なたねに対する交付金交付ということになっておりますが、政府農民に約束した、農林委員会等において言明した内容とは全く異質なものが法律の中に盛られておるわけです。ですからこういうものは審議に値しないということでわれわれは審議をしておらないわけなんです。従ってそのような大豆たね法案の場合にはこの国会は絶対通らないということになる。通らなければこれは国内保護措置は何もやらなかったということになるわけです。もう一つは、その交付金法昭和三十六年産以降の大豆対象にするわけですが、その前に政府として処理しなければならぬ問題がある。それは昭和三十五年産大豆については、これは貿易自由化を行なう場合には、必ずその前提条件として農家庭先価格手取り六十キロ一俵を三千二百円で政府は全量買い上げしますということを、これは福田農林大臣南條農林大臣以来一貫してそういうことを言明しておるわけなんです。これもまだ実行に移されていないんですね。それは国内に対する政府言明というものは全然実施に移っていない。ただアリメカとだけ関税貿易協定を急いで、そうして譲許表修正とか撤回を行なって、現行よりも若干譲許税率が高まったからこれでいいでしょうというようなことではこれは相済まぬわけなんですね。一体国民農民に対して先に約束を実行する必要があると考えるのですが、それはやらないでもいいということになるんですか。そういうことをやるから国際信義にもとるような行為がしばしば繰り返される。
  13. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 国際信義にもとるような行動というものは政府としてはとっておらぬのであります。なおこの法案に関係いたしまして、農林関係の御質問がございましたが、これは主管省農林省の方からお答え願うのが筋だと思いますからさようにいたしたいと思います。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員 それはいいですよ、農林委員会でやっているんだから。
  15. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 それじゃちょっと補足して申し上げますが、今お答えした通りでございますが、まあ私ども外務省といたしましては、この関係各省との間に十分連絡をとりまして、関係各省と合意の上で交渉しているのでございます。従いましてこのガット譲許表交渉につきましては日本政府としてやっておるわけでございますから、もちろん農林当局と十分打ち合わせの上でやっておることでございます。従ってその問題については、農林関係の事柄については、専門の農林省に十分お聞き取りを願いたいと思います。
  16. 芳賀貢

    芳賀委員 私どもは、外務大臣であってもこれはやはり政府を代表する大臣だと考えているんです。そうでなかったら外交交渉はできないんじゃないですか。
  17. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 政府を代表しているんです。農林省意見を聞いて……。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 だからあなたは答弁できるんでしょう。国内の問題であっても一応頭の中に入れておかなければ、外交をやることはできないんじゃないですか。それでお尋ねしますが、この交渉に当たっても特にアメリカとしてはドル防衛措置として、日本に対しては特に貿易自由化実施されない品目に対してはすみやかに自由化を促進させる。そういう態度で臨んでおるわけですが、その中に大豆自由化をすみやかにやってもらわなければ困るというような向こう態度というものは明らかになっておるわけです。そういうことになると、政府としては大豆自由化については一体その実施の時期をいつに求めようとしておるわけですか。
  19. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 まあ私外務大臣としての個人的な意見を申し上げる必要はないのみならず、それはよろしくないことだと思っておるのでございまして、これは政府意見を申し上げておるわけでございます。政府としてはこれは主管の省は農林省でございますから、農林省の方と十分協議しているということを申し上げているわけです。大豆の方の自由化の問題は、先ほども説明したようにほかの国からは大豆を入れているのであります。アメリカだけいけない。これは非常におかしいじゃないかということは、先方にしてみれば十分理のあることだと思います。ただこちらとしてはそういうものが入ることによって、日本の農村がいろいろと打撃を受けるようなことは、これは困るということなんであります。しかし一方においてその要請を満たしつつ、しかも一方においてわれわれの要請を満たすにはどうしたらいいかということでありまして、そのためにこの税率改正ということを言い、かたがた一方においては国内的に補助金法案を出し、また大豆そのものの研究についても大いに日本国内としてやって参る、こういうことが必要であろう、こういうことでこの関税交渉にわれわれとしては臨んでおるわけであります。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 それで自由化実施をいつごろからやろうとするかということを聞いているのです。
  21. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 七月一日でございます。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 今までもアメリカから大豆輸入を差しとめておいたわけではないですね。ただ輸入措置について自由化にしていなかったということであって、従来の実績から見ても一年間に大体百万トン前後の大豆輸入しているわけでしょう。ですから、アメリカにとっては大豆の輸出については日本が最大のお得意ということになるわけですね。それではなぜ自由化を行なわなかったということになると、やはり一方においては国内においても大豆が生産されておる、国内価格輸入大豆価格が相当格差があるわけですね。もう一つは、大豆はやはり食糧ですからして国民生活国産大豆を使用して不足する分だけを輸入すれば事足りるわけですね。ですから、これを入れるためにはやはり計画的に大豆輸入を行なうということで、今までこれは自由化からはずされておったわけです。自由化になると、今度は無計画にどんどん入ってくるということになると、この調整がなかなか国内的にも困難になるわけですからね。ですから、それにはやはりその前提になるのは、国内における農産物価格安定等が、貿易自由化によって圧迫されないような完全なる措置というものが講ぜられなければ、これは自由化というものはやるべきでない。この点は政府としても同意しておるわけですが、先ほど言った通り国内における法案等が出ておっても、これが通過しない、する見込みがないという場合に、七月一日から実施するということは、事実上これは不可能なことになると思うのですが、その点はいかがですか。これは八田政務次官からでも……。
  23. 八田貞義

    八田政府委員 先ほど外務大臣から御答弁がありましたように大豆自由化につきましては予算上、法律上の処置を十分に補足しまして、その上で自由化にする、この基本方針は貫いていく考えでございます。こういった予算上、法律上の処置を十分なにした上で自由化するという考えでございますが、このためには目下御審議を願っている大豆たね交付金法案、これをぜひとも御成立お願いいたしておるところでございます。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、昭和三十五年産大豆処理並びに今政務次官が言われた交付金法が成立しない場合は七月一日から実施できない、しない、こういうことになるわけですね。
  25. 八田貞義

    八田政府委員 三十五年産大豆につきましては、予算上の措置によりましてこれをやっていく考えであります。それで、もしもこの法案が成立しないということは、私の方では考えておらぬのでございまして、ぜひとも今国会で成立さしていただきたい、こういう考えでございます。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 結局会期は幾日もないわけですね。特に次官が言われた三十五年の大豆についても予算的な措置をする、もっともこれは予算が成立しておりますから、その中に三十五年産大豆に対する政府予算措置としては三十億円のうち大体八億円くらい見積もってあるわけでしょう。それだけは要らないのですよ、三千二百円の手取り価格を保証するという場合にも。ただ問題は、政府が従来約束した農家手取り庭先で三千二百円を保証する意思がないから行政措置がおくれておるというだけなんですよ。歴代の大臣言明を忠実に行政実施するという責任感があれば、これはもうすでに解決済みなんです。それが先日農林水産委員会においても今国会会期中には何とかしますという程度のことしか言っていないでしょう。会期末ということになれば、六月八日ですからね。だから今の三十五年産についても政務次官が言われた通り、ほんとうに農家手取り三千二百円を確保する措置を、もう方針がきまっておるのならばきまっておるということをこの機会に明らかにしてもらえばいいと思うのですが、そういうことが明らかにならぬと外務大臣も困るわけですね。
  27. 村田豊三

    村田説明員 御指摘の三十五年産大豆予算上の処理の問題でございますが、ただいま政務次官からお答えのございましたように、三十五年産大豆国内法措置は、ただいま国会提案いたしておりまする法案のらち外におきまして、すでに成立を見ておりまする三十六年度予算でこれを処理して参るという態度で、ただいまその処理具体案について検討中でございます。なおその具体案に対しまして、先般来芳賀先生から農林委員会等におきましてしばしば御指摘がございまして、それにつきましては、つい先般の農林委員会におきまして食糧庁長官から答弁いたしましたような趣旨で、ただいま私の方は鋭意検討いたしておるような次第でございますので、御了承願います。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう抽象的なことでなく、これはアメリカとの交渉をする場合も、日本国内においては、あなたの国と自由化をする場合、こういうふうに国の負担において措置をしていますということを明らかにしないと、ただ向こうに追随して、何でもかんでも押しつけられて自由化農産物を買い付けねばならぬ、そういうものじゃないと思うのです。ですから向こうにも、アメリカ自由化する場合は、このように政府としては国の負担において日本農民保護をやっておる、そのくらいのことはわかるように言って聞かせなければ、交渉というものはうまく対等に進まないと思うのです。今村田部長の言った程度のことでは、外務大臣はいかにもうまくやっているというような印象しか受けないわけですね。あなたの食糧庁長官の言った通りというのは、三千二百円で買わないという保証をするという意味なんですよ。それではだめなんでしょう。
  29. 村田豊三

    村田説明員 たびたび御指摘がございましたように、三十五年産大豆に予定いたしておりまする予算上の金額は、ただいま全販連が処理をいたしつつございまする大豆保護措置をとります上には、予算的には十分な額があるわけでございます。それらの額につきまして、それをどういうふうに実施して参るか、これについては大蔵省の方との折衝も必要があるわけでございます。それらについてただいま御趣旨に沿えるような努力もいたしておるわけです。ただ相手のあることでございますので、若干まだ時間等もかかるかと思います。私どもも具体的にはたして金額がどうなるかということをただいまのところまだ申し上げる段階になっておらないことを御了承願いたいと思います。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 今言われた相手のあるというその相手は一体だれなんです、アメリカですか。
  31. 村田豊三

    村田説明員 大蔵省とただいま折衝いたしております。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、連合審査会ですから、何日もやるわけにいかぬので、委員長から相手であるところの大蔵大臣を呼んでもらいたい。  それではこの問題については、大蔵大臣出席を得てから質疑をしますが、その次にお尋ねしたい点は、この国会において御承知通り関税定率法改正特別措置法改正とをやっておるわけです。特に大豆の問題については、関税定率法におきましては従来の従量税のやり方を今度は従価税に変えたわけですね。ところがこの協定によりますと、依然として従価税率を引き上げるというような、そういう協定内容になっておるわけですが、国内法改正とこの協定内容との関連というものはどういうふうに判断しておるのですか。
  33. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 そこまで御質問いただくと、だんだん本筋へ入って参る御質問のように思うのでございますが、実は大豆につきましては、課税技術上の便宜と、低額輸入品に対しまして保護効果を持続させる目的から、従量税が適当と認められまして、今回の改正においては、国定税率を過去三カ年の輸入平均価格の一三%に相当する従量税率キロ当たり四円八十銭ということにいたしたものでございます。一方、アメリカ産の大豆価格は、ここ数年来漸落の傾向がございましたが、交渉の末期になりまして御承知のように大豆価格が急騰して参りました。そういうこともございまして、当分の間米国産の大豆価格は高水準を続けるのじゃないかというふうな見通しが生じて参りました。従って従価一三%の課税は実質的には改正税率の四円八十銭をこえるものと見られるに至りましたので、従来の従価の考え方、従価一三%の協定をするということになりましたものでございます。これは一方において、先ほど申し上げたように、関税を上げるものがあると、今度はそれに見合うだけの関税を下げるものを拠出しなければならぬ。それが今回の交渉では、関税を上げる方の品目について、日本に入ってくる品物については千二百万ドルくらいのものを上げた。ところが日本に入ってくるもので関税をこっちが下げるもの、関税を下げれば安い品物日本へ入ってくるわけですが、それをどれくらいのものを下げるかということについて、これは六百万ドルくらい、約半分のものを下げることに成功したということになっているわけで、そういうふうな両方の見合いもあってこの従価率にいたしたものでございます。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 そこでキロ当たり四円八十銭の算出と、今度一三%に是正する、その算出共通点というものはあると思うのです。一体この一三%は国内関税定率の改正においてキロ四円八十銭にした場合とのどういう時限でこういう引き上げ率になったか、その試算の内容をこの際一応説明してもらいたい。
  35. 宗知武

    ○宗説明員 国定税率キロ当たり四円八十銭になっておりまして、協定で一三%で協定したわけでございますが、CIF価格が百二ドル五十六セントでちょうどキロ当たり四円八十銭に相なります。それで先ほど外務大臣が御答弁になりましたように、昨年及び一昨年あたりの大豆価格は比較的低かったのですが、最近上がっておりまして、最近の価格はCIFに換算いたしまして大体百二十ドルないし百三十ドル程度になっております。これは少し異常な価格と存じますので、もう少し低落はいたすと思いますが、大体今後の水準といたしまして百二ドルあるいは百二ドルをちょっとこえる価格アメリカからの普通の輸入価格になる、一応こういうふうにわれわれは試算いたしました。従いまして従価一三%はこれも交渉の途次で代償との関係で、代償を極力少なくするという意味において一三%でやったわけでありますが、実態は国定税率の従量四円八十銭と何ら変わりない、こういうふうに了解いたしております。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 この税率引き上げをやる場合も、昨年の政府方針大豆自由化をやる場合は国内保護措置をやる必要があるので、現行の一〇%を二〇%に引き上げれば、その税収の増加分だけ、国内大豆についてはこれは庭先三千二百円の保護ができる、そういう言明を当時しておったわけです。ところがことしの関税改正にしても非常に低い率でキロ四円八十銭というふうにきまって、今度の協定においてもわずかの引き上げということになっておるわけです。これはアメリカの方では増産して処分に困っておるわけです。ですからこれをこっちで買い付けてやる場合は、こういう機会にこそ、われわれは自由化には反対であるけれども、もし自由化をやる場合は思い切った改定を行なって、そうしてその関税の増収分において十分な国内価格維持であるとかあるいは大豆の増産に対するそういう助成措置を講ずる必要があったと思うのですが、そういう点については何ら考慮しなかったのですか。
  37. 松岡亮

    ○松岡説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、昨年農林省といたしましてはABC三案といろいろな案を考えまして、御指摘のように九%程度上げたいというような案も作ったのでございます。しかしながらこれは一方で代償を提供する関係がございますので、できるだけ代償を少なくして、しかも交渉の成立の可能性のある程度にとどめて、国内的な措置はまた別途とるということで今度の一三%の線できまったのでございます。  それからもう一つ指摘がありましたけれども、現在アメリカ大豆はむしろ不足ぎみでございます。端境期には在庫は払底しそうな状態でございます。さらに大幅な増産を計画しておるようでございまして、必ずしも買手市場とは言えないのでございます。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうばかな見通しは間違っております。そんな見通しで政府の基本法に基づく長期見通しなんか立てられると非常に農民が迷惑しますよ。ことしの国際的な大豆の需給の逼迫は、中国における凶作が原因しておるわけです。中国の凶作のおかげでアメリカ大豆の市場価格が高騰しておるわけでしょう。今のアメリカ大豆が上がっておるのは中国の凶作のおかげなんですよ。そうじゃないですか。それにもかかわらず買手市場でないというようなばかなことはないじゃないですか。そういう国際情勢の判断とか見通しを、誤ってはいけないんですよ。故意に歪曲して、これだからというような発言をするのはちょっとおかしいじゃないですか。
  39. 松岡亮

    ○松岡説明員 現在は必ずしも買手市場ではないと申し上げたのでございますが、先につきましてもアメリカ自体の大豆の需要は相当増加しておるようでございます。中共産の大豆の成り行きがどうなるかということは、これはまだ相当不明な材料も多いのでございますけれども、そう楽観できないのではないかという情報もございます。私としてはただいま申し上げた言葉が足りなかったかもしれませんが、必ずしも現在は買手市場ではない、こういう趣旨で申し上げたのでございます。
  40. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ちょっとそれに関連して申し上げますが、おっしゃるように中共大豆の不作ということは確かに大きな原因でございまして、世界的な供給不足が現在は見込まれておるという事情が一方にはございます。それに加えて九年産大豆の繰り越しが——これはやはり今年のところもそうでございますが、昨年度からそういう傾向があったわけでございますから、繰り越し滅になっております。一方油脂源としての大豆の需要の増加がございます。これは化繊の伸びに伴う綿実の生産減ということがございます。今まで天然繊維の原料である綿の生産が多かった。今度は化繊というものに変わって参りましたから従って綿実というものの原料が減ってくる。こういう関係もあろうかと思います。そんなことで需給のバランスというのは、ここのところまた変わってきておるということが言えると思います。もう一つは、アメリカ自身で国内大豆価格支持というものを非常に大きく取り上げておりますので、当分そういうことで大豆価格の水準が高い状況を続けるのじゃないかと思う次第でございます。またそうなってくると一方からいうと思惑買いというものも出てくる。そんなことが因となり果となって大豆価格水準は相当高くつくのじゃないかというように現在見られるわけでございます。
  41. 芳賀貢

    芳賀委員 長期的に今後アメリカ大豆価格が相当高値であるという判断に立った場合は、自由化を急ぐのは相当考えものだと思うのですがいかがですか。
  42. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 それは私は逆だと思うのでございます。御承知のように今アメリカ大豆だけはFAでほかの大豆はAA制でやっております。世界中みなこのAA制がいかぬということであれば、ほかの国もみなFAにすべきだということは筋として言えると思う。そういうことでほかはAAでやっておるからアメリカだけはFAにとどめておくということは、とてもいつまでもそういうことはやっておくべきではない。そこでやはりAAにするが関税は上げていく、そうして国内的には補助金も出していく、こういうことで世界的な貿易一つの筋に乗ってやっていくということは、逆に申しますれば、日本の輸出もその線でふえるということにもなるわけかと存じておるわけでございます。一方アメリカ大豆が高くなれば、高いものが入ってくるのですから、日本に安いものが入ってきて撹乱されるという要素は逆に少なくなってくる。かように考えるわけであります。
  43. 芳賀貢

    芳賀委員 そうではないのですよ。今は買手市場じゃないと言ったでしょう。だからAA制を採用しなければ、必要最小限のものを外貨の割当によって計画的に買い上げるわけですね。今度はAA制になれば、結局アメリカにとっては日本側からの需要が無計画に急激にふえるということになるわけです。そうなれば経済の原則から見ても、結局値上がりを促進させるという、そういう素因が出てくるのじゃないですか。われわれはそう判断するのです。AAにした方が安くなるということにはならぬじゃないですか、買手市場の場合にはそういうことになるかもしれないが……。
  44. 松岡亮

    ○松岡説明員 外務大臣の申し上げられたことを補足いたしますと、今日まではいわゆるドル不足のためにドル地域に対して差別待遇をやっておるというようなことでございますが、御承知のごとくもうドルの不足という事態はなくなったのでございます。従って今までは協定上、通貨上の理由で差別待遇を与えることができたのでございますが、それがその理由がなくなったといった関係から差別待遇の廃止を急ぐ必要がある、こういうことでございます。
  45. 芳賀貢

    芳賀委員 そうじゃなくてAA制にすると安くなって、しなければ高くなる、そういう説明外務大臣がしたわけです。品不足の場合それは逆じゃないかということを私は言っているのです。
  46. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私の言葉が足りなかったかもしれませんが、私はそういう意味で申し上げたのではございません。それは今大豆価格が高くなっている。前に安いときに入れる場合よりも、高くなっているときに入れる場合の方が、入れることによって国内的に撹乱される要素は少なくなると見るべきじゃないか、こういうことを私は申し上げたのです。
  47. 芳賀貢

    芳賀委員 だからその場合、今までは割当制によって抱き合わせ方式なんということもいい方法ではないが、外貨の割当に合わせて、そして国内大豆処理をやっておったわけです。今度はそれがAAになるとできなくなるのですね。できなくなるかわりに政府国内産の大豆の買い上げ措置をやるとか、あるいは基準価格というものをきめてそれに対する不足金の支払いを国が行なうとか、そういうことがあわせて実施されなければ、国内大豆中心とした農産物の市場の不安あるいは農家経済の不安というものが醸成されるわけだから、それにはやはり完全な国内の行なうべき措置というものが先行しなければならぬ。それが全然今できていないのですから、それを今急いだらどうですか、予算的には問題がないというのですから。予算は余るほど確保しておるといいながらその金を惜しんで使わないというのは全く変則な状態なんです。これを一挙にどうして打開するかということが明確にならなければ、この協定承認国会でできないのじゃないですか。
  48. 村田豊三

    村田説明員 三十五年産大豆予算的な処理につきまして農林水産委員会等におきましてもしばしば御指摘もございまして、それらの具体的な実施の方法等につきましては先般食糧庁長官からもお答えいたしましたように、ただいま実施の方法等を鋭意急いで検討いたしている次第でございます。
  49. 芳賀貢

    芳賀委員 なお法案の関係も、あの法案は三千二百円を保証するという法律じゃないのですね。これもおかしいと思うのです。予算で通過した三十億円という金は一体何に使うために確保したのか、その点をこの際八田さんからでもいいから説明されたらいいと思う。外務委員の方はそういうことはあまりわからぬですから。
  50. 村田豊三

    村田説明員 ただいま農林委員会に付託になっております法案内容でございますが、大豆自由化によって国産大豆につきまして農家の所得に急激な変化が起こらないように、それを保証する措置を講ずるための法律的な措置をとるというために法律案提案いたしまして御審議を願っておるような状況であります。
  51. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私の知っている限りのことを少し申し上げます。これは専門のわけではございませんけれども予算に関係のあることでございますから、私も若干承知しております。  これは御承知通り農家所得を安定さすために国産大豆及びなたねに対する交付金を交付することにいたしまして、この所要額が三十億円ということになっているわけであります。そこで三十六年度の予算はすでに御可決いただいておるわけでありまして、この実施につきましては、この法案が要るわけでございますが、この法律については大豆たね交付金暫定措置法案というものを御審議願っておるわけであります。  なおその中で、芳賀さん御郷里の十勝小粒大豆のごときは、もう少し品質をよくせぬといかぬ問題があるわけであります。中澤さんがおられますが、われわれの郷里の大豆はなかなか品質がいいのです。そこでこういうことのために、やはりもっと思い切って研究助成の金を出すべきであるということで、大体所要額は九千八百万円ということになっておって、これは三十六年度予算に計上をしてある、こういうことでございます。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 問題は三十億円の使い道がなくて困っているのです。政府が約束通り金を出せば、それは三十億でも足らぬかもしれぬが、使う気にならぬから停頓しているのです。二つに分けて、三十五年産大豆はわずか五万トン分に対して庭先三千二百円になるように不足払いをすればそれでいいわけですね、これは八億円なんか要らないのです。それから三十六年産についても、せっかく自由化をやるという場合には、生産者価格を幾らに保証するということを農民に作付け前に約束しておかなければこれはいけないわけなんですが、そういうことが提案された大豆たね交付金の法案の中には全然示されていないわけです。法律の抽象的な文句だけは出ておるが、中身というものは何もないのです。それでは農家は安心することができませんし、中身がきまらぬ限り三十億円の金は使えないということになります。そういう点をもう少し明確にしてもらう必要がある。お答えできなければ農林大臣を呼んでもらいたい。この協定承認を急ぐならば、国内問題を先に片づけてもらわぬと、これはなかなか簡単にいかないと思うのです。承認ができなければ池田さんがアメリカにちょっと行きかねるということになると思う。その辺はなかなか大事だと思うのです。どうですか。
  53. 八田貞義

    八田政府委員 芳賀委員はその間の事情をよく御存じの上でお話しになっていられると思いますが、先ほどから申し上げますように、大豆自由化に対しましては、予算法律上の万般の準備が整っての上で自由化をするということでございまして、そのためには今審議を願っておりますところの大豆たね交付金法案をぜひとも成立さすことに御協力願いたい、こういうふうにお願いいたす次第でございます。
  54. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは整わなければやらないということですね。ここだけはっきりして下さい。あなたで無理なら農林大臣に……。簡単にその点だけはっきりしておいてもらいたい。
  55. 八田貞義

    八田政府委員 成立を期待して、成立するものというふうに考えまして、御協力をお願いいたしたいと思います。
  56. 芳賀貢

    芳賀委員 中身が全然わかっていないのですよ。中身がわからぬから審議もできない状態にあるわけです。審議が進まなければ、この国会では審議ができないから成立しないということにもなることは、これは自明のことなんですよ。だからいくら善良な八田さんがそう言っても、見通しとしてはこれは成立しないのですよ。そうなれば七月一日からの実施はこれはできないということに自然なるわけですね。だからそれができなければ七月一日から予定された自由化実施はやれない、こういうことになるじゃないですか。その点だけを政府を代表して明らかにしてもらいたい。
  57. 八田貞義

    八田政府委員 先ほどからお願いしておりますように、ぜひとも成立いたしますように御協力をお願いいたします。
  58. 芳賀貢

    芳賀委員 くどいことを言いたくはないですけれども国内の態勢が整わなければ、諸般の措置が整わなければ、これは七月一日を予定しても大豆自由化実施できないということになると思うのです。その場合は、政府としては不本意であろうと思いますが、これは政府の怠慢にもよる点が多いのですよ。ですから、その場合は実施できないとかしないとか、そのくらいのことは言明しなければ、せっかく連合審査を開いても意味がないと思うのですよ。八田さんで無理なら農林大臣が来てその点だけ明らかにしてもらいたい。   〔「そんなあいまいなことじゃ困る。」と呼ぶ者あり〕
  59. 八田貞義

    八田政府委員 先ほどから申し上げておりますように、どうしても現在御審議を願っておりますなたね及び大豆交付金暫定法案が成立しなければ、大豆自由化というのが困難になってくるだろう、こういうような考えを持っております。   〔「農林大臣どうした」「農林大臣呼んでもらわなければ」と呼ぶ者あり〕
  60. 堀内一雄

    堀内委員長 交渉中です。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  61. 堀内一雄

    堀内委員長 では速記を始めて。  午後一時半まで休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ————◇—————    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕