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1961-05-31 第38回国会 衆議院 外務委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月三十一日(水曜日)     午後零時四分開議  出席委員    委員長 堀内 一雄君    理事 北澤 直吉君 理事 竹内 俊吉君    理事 野田 武夫君 理事 森下 國雄君    理事 岡田 春雄君 理事 戸叶 里子君    理事 松本 七郎君       愛知 揆一君    宇都宮徳馬君       賀屋 興宣君    小泉 純也君       椎熊 三郎君    正示啓次郎君       床次 徳二君    橋本 龍伍君       松本 俊一君    稻村 隆一君       穗積 七郎君    森島 守人君       川上 貫一君  出席政府委員         外務政務次官  津島 文治君  委員外出席者         外務事務官         (アジア局賠償         部調整課長)  高杉 幹二君         外務事務官         (経済局次長) 高野 藤吉君         外務事務官         (条約局参事         官)      東郷 文彦君         専  門  員 佐藤 敏人君     ————————————— 五月三十日  委員西尾末廣君辞任につき、その補欠として受  田新吉君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 五月三十日  日中政府貿易協定即時締結に関する請願外九件  (阿部五郎紹介)(第四三五三号)  同外四件(井岡大治紹介)(第四三五四号)  同外十五件(井手以誠君紹介)(第四三五五  号)  同外九件(猪俣浩三紹介)(第四三五六号)  同外十件(石村英雄紹介)(第四三五七号)  同外九件(緒方孝男紹介)(第四三五八号)  同外九件(岡田春夫紹介)(第四三五九号)  同外九件(加藤清二紹介)(第四三六〇号)  同外三十九件(勝間田清一紹介)(第四三六  一号)  同外十二件(川上貫一紹介)(第四三六二  号)  同外十件(木原津與志君紹介)(第四三六三  号)  同外四件(佐藤觀次郎紹介)(第四三六四  号)  同外十三件(志賀義雄紹介)(第四三六五  号)  同外十件(田中武夫紹介)(第四三六六号)  同外十件(田原春次紹介)(第四三六七号)  同外十三件(谷口善太郎紹介)(第四三六八  号)  同外四十四件(堂森芳夫紹介)(第四三六九  号)  同外九件(中村高一君紹介)(第四三七〇号)  同外九件(西村関一紹介)(第四三七一号)  同外三十九件(肥田次郎紹介)(第四三七二  号)  同外九件(帆足計紹介)(第四三七三号)  同外九件(細迫兼光紹介)(第四三七四号)  同外九件(松前重義紹介)(第四三七五号)  同外九件(松平忠久紹介)(第四三七六号)  同外九件(矢尾喜三郎紹介)(第四三七七  号)  同外九件(柳田秀一紹介)(第四三七八号)  同外九件(山内広紹介)(第四三七九号)  同外九件(稻村隆一君紹介)(第四四〇二号)  同外三件(内海清紹介)(第四四〇三号)  同外十四件(春日一幸紹介)(第四四〇四  号)  同外十四件(川上貫一紹介)(第四四〇五  号)  同外九件(佐野憲治紹介)(第四四〇六号)  同外十六件(志賀義雄紹介)(第四四〇七  号)  同外十三件(谷口善太郎紹介)(第四四〇八  号)  同外九件(玉置一徳紹介)(第四四〇九号)  同外九件(戸叶里子紹介)(第四四一〇号)  同外九件(中嶋英夫紹介)(第四四一一号)  同外九件(永井勝次郎紹介)(第四四一二  号)  同外九件(松本七郎紹介)(第四四一三号)  同外九件(門司亮紹介)(第四四一四号)  同外九件(横路節雄紹介)(第四四一五号)  同外九件(阿部五郎紹介)(第四四三一号)  同外四件(井岡大治紹介)(第四四三二号)  同外九件(井手以誠君紹介)(第四四三三号)  同外九件(猪俣浩三紹介)(第四四三四号)  同外九件(稻村隆一君紹介)(第四四三五号)  同外十一件(緒方孝男紹介)(第四四三六  号)  同外九件(岡田春夫紹介)(第四四三七号)  同外十件(加藤清二紹介)(第四四三八号)  同外九件(河野正紹介)(第四四三九号)  同外六件(川上貫一紹介)(第四四四〇号)  同外九件(木原津與志君紹介)(第四四四一  号)  同外四件(佐藤觀次郎紹介)(第四四四二  号)  同外九件(佐野憲治紹介)(第四四四三号)  同外八件(志賀義雄紹介)(第四四四四号)  同外九件(田中武夫紹介)(第四四四五号)  同外十件(田原春次紹介)(第四四四六号)  同外六件(谷口善太郎紹介)(第四四四七  号)  同外九件(戸叶里子紹介)(第四四四八号)  同外七件(中嶋英夫紹介)(第四四四九号)  同外九件(中村高一君紹介)(第四四五〇号)  同外九件(永井勝次郎紹介)(第四四五一  号)  同外十件(西村関一紹介)(第四四五二号)  同外九件(帆足計紹介)(第四四五三号)  同外九件(細迫兼光紹介)(第四四五四号)  同外八件(松平忠久紹介)(第四四五五号)  同外十一件(松前重義紹介)(第四四五六  号)  同外七件(松本七郎紹介)(第四四五七号)  同外八件(矢尾喜三郎紹介)(第四四五八  号)  同外九件(柳田秀一紹介)(第四四五九号)  同外九件(山内広紹介)(第四四六〇号)  同外七件(横路節雄紹介)(第四四六一号)  同外二十件(阿部五郎紹介)(第四五〇五  号)  同外二件(井岡大治紹介)(第四五〇六号)  同外十三件(井手以誠君紹介)(第四五〇七  号)  同外二十一件(石村英雄紹介)(第四五〇八  号)  同外十八件(稻村隆一君紹介)(第四五〇九  号)  同外二十件(猪俣浩三紹介)(第四五一〇  号)  同外十九件(岡田春夫紹介)(第四五一一  号)  同外十件(緒方孝男紹介)(第四五一二号)  同外十九件(加藤清二紹介)(第四五一三  号)  同外十九件(勝澤芳雄紹介)(第四五一四  号)  同外六件(川上貫一紹介)(第四五一五号)  同外六件(河野正紹介)(第四五一六号)  同外十九件(木原津與志君紹介)(第四五一七  号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第四五一八号)  同外十九件(佐野憲治紹介)(第四五一九  号)  同外六件(志賀義雄紹介)(第四五二〇号)  同外二十七件(田中武夫紹介)(第四五二一  号)  同外七件(田原春次紹介)(第四五二二号)  同外六件(谷口善太郎紹介)(第四五二三  号)  同外十九件(戸叶里子紹介)(第四五二四  号)  同外十九件(永井勝次郎紹介)(第四五二五  号)  同外十九件(中嶋英夫紹介)(第四五二六  号)  同外十六件(中村高一君紹介)(第四五二七  号)  同外十八件(西村関一紹介)(第四五二八  号)  同外十九件(野口忠夫紹介)(第四五二九  号)  同外十九件(帆足計紹介)(第四五三〇号)  同外十九件(細迫兼光紹介)(第四五三一  号)  同外十七件(松平忠久紹介)(第四五三二  号)  同外十八件(松前重義紹介)(第四五三三  号)  同外四件(松本七郎紹介)(第四五三四号)  同外二十件(矢尾喜三郎紹介)(第四五三五  号)  同外六件(山内広紹介)(第四五三六号)  同外二十八件(山口シヅエ紹介)(第四五三  七号)  同外十六件(柳田秀一紹介)(第四五三八  号)  同外二十一件(横路節雄紹介)(第四五三九  号)  同外六件(川上貫一紹介)(第四六一〇号)  同外十四件(勝澤芳雄紹介)(第四六一一  号)  同外六件(志賀義雄紹介)(第四六一二号)  同外六件(谷口善太郎紹介)(第四六一三  号)  同外十件(野口忠雄紹介)(第四六一四号)  同外九件(帆足計紹介)(第四六一五号)  同外十六件(穗積七郎紹介)(第四六一六  号)  同外三十四件(松井政吉紹介)(第四六一七  号)  同外十八件(飛鳥田一雄紹介)(第四六四五  号)  同外五件(勝澤芳雄紹介)(第四六四六号)  同外四件(川上貫一紹介)(第四六四七号)  同外四件(志賀義雄紹介)(第四六四八号)  同外十九件(滝井義高紹介)(第四六四九  号)  同外六件(谷口善太郎紹介)(第四六五〇  号)  同外一件(中嶋英雄紹介)(第四六五一号)  同外五件(野口忠夫紹介)(第四六五二号)  同外九件(野原覺紹介)(第四六五三号)  同外十四件(肥田次郎紹介)(第四六五四  号)  同外十二件(穗積七郎紹介)(第四六五五  号)  同外十二件(帆足計紹介)(第四六五六号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第四六五七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国フィリピン共和国との間の友好通商航  海条約締結について承認を求めるの件(条約  第一三号)  第二次国際すず協定締結について承認を求め  るの件(条約第一九号)      ————◇—————
  2. 堀内一雄

    堀内委員長 これより会議を開きます。  日本国フィリピン共和国との間の友好通商航海条約締結について承認を求めるの件及び第二次国際すず協定締結について承認を求めるの件、右二件を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので順次これを許します。床次徳二君。
  3. 床次徳二

    床次委員 私はこの条約締結につきましては、長年の懸案であったのでありまして、できるだけすみやかにこれが成立することが望ましいと思うのでありまするが、実は先日五月十二日の新聞によりますると、フィリピンガルシア大統領は、本条約審議を来年に延期したということがあるのでありまするが、この事実に対していかようなる問題があったか、政府の知るところを知らしてもらいたいと思うのです。なおさような場合におきましては、万一わが方が先にこの条約を批准して、フィリピン側が来年の上院審議において、あるいは承認を拒否する、あるいは一部修正するというようなことが発生いたしました場合には、どういうことになるかという点についてお尋ねしたいのであります。なお政府説明しておりますごとく、フィリピンといたしましてはこの条約は独立いたしました後の最初の通商航海条約でありまして、非常に意義のある条約であることをフィリピンも認めておるのでありまするが、かような状態になっておりますることに対しまして、どういうわけか政府の知れるところを御説明いただきたいと思うのであります。
  4. 高野藤吉

    高野説明員 御承知通りフィリピンとは長年来通商条約を結びたいということで、政府といたしましても努力いたしておった次第でございます。おととしこちらが正式に条約交渉につきまして申し入れいたしまして、昨年の二月から交渉をいたし、約十カ月かかりまして、昨年の十二月交渉は署名を終わった次第でございます。御指摘通りフィリピン側におきましては今次国会には上程しなかったことは先刻来のガルシア大統領の声明と申しますか、話の通りでございまして、これはフィリピンといたしましては、まだ、非常に日本に対する感情がよくなりましたのですが、日本のまた進出をおそれるという動きがございまして、大体の人は日本経済的には提携していかなければならぬという考えでございますが、いろいろ反対論がありますので、しかもことしの十一月に大統領選挙がございますので、これを国会に出しますと、非常な論議をかもし出すので、一応この条約意義をよく国内に納得させた上で、しかる上来年の国会に提出するというふうに仄聞いたしております。  また御質問の、これが来国会におきましてフィリピン側において批准を拒否し、ないしは一部修正するというようなことがあるかどうか、またその場合にはどうするかという御質問でございますが、われわれといたしましては、そのためにフィリピン側国会の提出を延ばし、またそのためにいろいろ国会においてこれの認識を深めるように措置をいたしておりますので、そういうことは万々ないとわれわれは希望して、またそういう事態はあまり今までも起きなかった次第でございます。
  5. 床次徳二

    床次委員 フィリピン側におきましては対日通商条約に対していろいろ考慮しておるという点は、過去においてアメリカとの貿易に対して相当今後の日本フィリピン問貿易というものが圧迫を加えるのじゃないかというようなところにも関係者においていろいろとちゅうちょするゆえんであるかと思うのでありまするが、フィリピン自体といたしましては、独立いたしました後にはロムロ・ラングェー協定でありますか、これをもちまして米国に対しまして関税定率の特権を漸次修正する。そうしてフィリピンアメリカに対しましてある程度まで優位と申しますか、特恵的な処置から普通の状態に入ろうとしておるわけであります。この点から見ますると、当然日本フィリピンに対して貿易が伸びていくということはもう予想されたことである。漸次その趨勢にあるべきだと思っておるのでありまするが、日本の今日までの貿易状態、同時にアメリカフィリピンの間の貿易の推移というものがどんなふうな傾向をたどっておるか、この点伺いたいのであります。
  6. 高野藤吉

    高野説明員 わが国フィリピンとの貿易は毎年逐次ふえております。数字をもって御説明申し上げますと、一九五七年わが方の輸出が約六千七百万ドル、輸入が七千万ドル、それから各年少しずつふえておりまして、昨年度におきましては二、三年来に比べまして約二千万ドル——八千四百万ドルになっております。輸入はまたより以上にふえまして、一億一千三百万ドル、わが方の二千八百万ドルばかりの入超になっておる次第であります。御指摘アメリカフィリピンとの特恵も一九七四年に大体終了いたし、その間に逐次関税特恵率が少なくなって、わが方といたしましてはこの条約締結をもちましてより以上に相互の貿易額がふえることを期待しておる次第であります。
  7. 床次徳二

    床次委員 当然アメリカとの関係におきまして日本がこれにかわって進出し得るという期待は持てると思うのでありますが、今度の条約によりましてわが国に与える利益というものはどういうものであるか。言いかえますならば条約締結前におきましては、終戦以来わが国経済活動等におきましては第三国に対して相当不利だった、それにもかかわらずただいま言われましたような数字的な伸びを示しておるわけでありますが、今後この条約締結せられましたときはどのような見通しを持っておられるのか伺いたいのであります。
  8. 高野藤吉

    高野説明員 概括的に申し上げれば、通商条約が結ばれれば両国経済貿易関係が正常化し、従って貿易が増進する。個別的に申し上げれば日本人の入国、滞在、事業活動最恵国待遇によってほかの国より不利を受けない、船舶条項におきましても最恵国待遇を受けて船舶の取り扱いがよくなる、そういう点におきまして日本はほかの国から差別待遇を受けずに、今後在留事業活動関税問題、それから船舶におきまして非常に確固たる基礎の上に安心して経済活動貿易活動ができるようになるという次第であります。
  9. 床次徳二

    床次委員 今回の条約の第一条に関する交換公文というのがありますが、これによると、日本の将来のフィリピンに対する入国関係におきましては商用目的の者は六カ月在留し、その他は企業もしくは資本を投下して企業を発展させ、その企業の運営のために指揮する、そのための入国は三年といった意味におきまして、ある程度まで事業活動職業活動におきましては制限を受けておるのでありますが、かような形で将来の日本国民フィリピンにおける活動において支障はないか、通商航海条約を結んだ、目的を十分達することができるのかどうか、政府見解を聞きたいのであります。
  10. 高野藤吉

    高野説明員 今までは非常に厳格な制限を受けておりましたが、とりあえず三年という期限があれば一応事業活動職業活動において不便はない、またその後の延長考えられますので、今までよりも格段の改善が認められると考えておる次第でございます。実際は米国でも一年しか認められていない、もちろん延長はされておりますが、その点におきましてわが方は非常に有利になっておる、そういう次第でございます。
  11. 床次徳二

    床次委員 今米国と比べてそんなに不利ではないという話でありますが、事業活動並びに職業活動についてほかの外国人との間に今回の新しい通商航海条約案はどの程度の差があるか、大きな不利があるかどうか伺いたい。
  12. 高野藤吉

    高野説明員 今まで日本支店設置が認められておりませんでしたが、この条約が発効いたしますれば各国並み支店設置が認められるということで非常に有利になるという次第であります。
  13. 床次徳二

    床次委員 賠償協定と同時に、フィリピンに対しましては経済協力協定が結ばれておるわけであります。借款二億五千万ドルという予定になっておりまするが、その借款進捗状況というものがどういうふうになって、またどの程度効果を上げているか、今日わかっておれば知りたいのであります。なお東南アジアの各国賠償と同時に経済協力協定を結んでおるところがあるわけでありますが、他の国と比較いたしましてフィリピンでは特に特色を持っておるかどうかという点について説明を願います。
  14. 高杉幹二

    高杉説明員 御説明を申し上げます。  二億五千万ドルの経済開発借款につきましては、本年の三月先方から賠償委員が参りまして、わが国との間で二億五千万ドルの借款をどういうふうにやるか、先方としては借款条件緩和してくれ、そういうような申し込みがあったわけであります。わが方といたしましては、賠億協定が成立した一九五六年以来、通常の延べ払いによりまして、約七千万ドル程度延べ払い輸出ができている、それはこの二億五千万ドルのうちのものであると了解している、こういうふうに先方に申しまして、先方はこれはフィリピン国内国内的手続について欠くるところがあるので、これが全部入るということには同意できないけれども、日本側要望をよく検討する、そういうようなことでありまして、借款条件緩和ということにつきましては、わが方としては他国との関係もありますので、他の国と比べて不利でないような条件を与えることはもちろんであるけれども、そのほかの部分についてはプロジェクトが提示されて、そのつどケースバイケースに検討するというように申しております。従いましてわが方といたしましては、二億五千万ドルの経済協力借款は今までのところ七千万ドル程度は進捗しておる、こういうふうに了解しております。
  15. 床次徳二

    床次委員 経済協力関係が七千万ドルばかり進捗しておるというのでありますが、なお地元からのいろいろプロジェクト要望というものは相当あって、日本経済協力に対して期待が大きいのかどうか、歓迎せられておるのかどうか、また過去のものが相当効果を上げておるかどうかということを聞きたいのであります。
  16. 高杉幹二

    高杉説明員 先方はただいま申し上げました交捗が思う通り借款条件緩和されるならば借款を受けたいというプロジェクトはたくさんある、そういうふうに申しております。これはフィリピンは御承知のように非常にほかの求償国と異なりまして経済活動が比較的活発でございますので、賠償ワクであります毎年の二千五百万ドルのワクに入りきらないというようなプロジェクトがかなりあるわけでございますが、そういうようなものをこの借款で持っていきたいという意欲があるようであります。従いましてわが方に対して時期を見て借款要請がやがてだんだん来るものと思います。
  17. 床次徳二

    床次委員 今お話がありました借款要請でありますが、条件緩和についてインドその他において行なっておる経済協力の年限あるいは利率等条件と比べて、フェリピンの関係は大体同じであるかあるいはそれ以上の特例というものをフィリピン要望しておるのかどうか、いかがでありましょう。
  18. 高杉幹二

    高杉説明員 ただいま申し上げましたことは原則的に他の国よりも不利でないという借款条件を与える、こう申したわけでありますが、借款の対象になるものは御承知のごとく各プロジェクトによって異なるわけでありまして、たとえばそのプロジェクトわが国に対する経済影響それからのその借款、当事者の信用度、それからその国の外貨保有高、そういうようなことでケースバイケースできめていかなければならないわけであります。インドとの借款とどういう関係かと申しますと、インドよりは不利ではないというごとは原則的に申せると思いますが、インドより有利というようなことは考えておりません。
  19. 床次徳二

    床次委員 最後に、先ほどフィリピンの政界の関係として、今年大統領選挙が行なわれるというお話でありまするが、今日までのこの大統領選挙状況、なおこれが政局に及ぼす影響等について、政府として情報がありまするならば情報説明せられたいと思います。
  20. 高野藤吉

    高野説明員 なかなかデリケートな問題でございまして、御承知通りフィリピンにはナショナリスタとリベラルの二つの政党がございまして、現在ナショナリスタが政権にありますが、どちらの党が勝つか、私は個人的にはある程度考えを持っておりますが、今度の選挙におきまして、どちらが勝つかということを申し上げるのはちょっとデリケートであるので、差し控えさせていただけたらと思います。
  21. 床次徳二

    床次委員 外交問題でありますので、当然そうだと思いまするが、日本との関係におきまして、たといさような選挙がありましょうとも、日本に対するいわゆる親善関係というものには大して影響はないのじゃないか。さような意味におきまして、航海条約というものは促進していいのではないかと思いまするが、かかる意味政治的見通しを実は伺いたいと思ったのです。とかくこの条約国会における審議がおくれがちであるということは、先方国内としても好ましくないかもしれませんが、また日本に対する信用からいっても、この点は好ましくないものであれば、どんどん促進していくことが両国のために非常にいいと思います。さような意味におきまして先ほど来質問したわけであります。この点あらためて政府見解を伺いたいと思います。
  22. 高野藤吉

    高野説明員 お説の通り、どちらの党が勝ちましても、この航海条約及び日・比間の経済関係につきましては影響がないとわれわれは考えておる次第であります。
  23. 戸叶里子

    ○戸叶委員 関連して。あらためて質問いたしますけれども、今床次委員質疑を聞いておりまして、その御答弁でわからない点がありますので、はっきりさせておいていただきたいと思います。  先ほど床次委員が、フィリピンの方ではこの協定に対して来年に延期というようなことが新聞に出ていた、それは一体どういうふうな事情なのかということを御質問になりましたときに、そのことにはあまりはっきりと、こういうわけだろうと思うということさえもおっしゃらなかったように思います。ただ、来年になって新しい政府ができても、この協定日本だけが批准して、向こうが批准しないということのないことを希望しますというふうにはおっしゃったのですけれども、なぜ向こうが延期しているかということに対する見通しというものについては、はっきり御説明がなかったように思いますので、この点はどうお考えになるかを伺いたいと思います。  それからもう一つの問題で、ついでですから伺いたいのですが、借款の問題で、二億五千万ドルの借款のうち七千万ドルは大体今までに約束をされて、今後の見通しということを御質問になりましたところが、条件緩和さえあればいいと言っているというふうなことですが、先方が言うその条件緩和ということは、具体的にはどういうことを希望しているのか、この点もお話し願いたいと思います。どういうふうな条件をどういうふうにしろというのか、それを伺いたいと思います。   〔堀内委員長退席竹内委員長代理着席
  24. 高野藤吉

    高野説明員 先ほど床次先生の御質問で、どうしてフィリピンが今国会へ出さなかったのかという点に対する私のお答えが、少しあいまいであるという御指摘でございますが、私は私なりに申し上げたわけでございますが、もう少しはっきり申し上げますと、ことしの十一月に選挙がございまして、大体向こうでは、本条約につきましては、いろいろ意見はございますが、しかし、選挙の前にこれを出しますと、いろいろ無用の政治上のあれになるということをおそれて民主的にお互いに議を尽くして、あとで選挙が終わったらゆっくり審議しよう、そういうことじゃないかと私は推測しております。
  25. 高杉幹二

    高杉説明員 借款条件緩和につきまして、先方から申し出がありましたその内容でございますが、先方は、もちろん支払いは長いほどいいわけでございまして、利率は低いほどいいわけでありますが、その限度として先方が一応非公式にいうのは七年ないし十年というようなことです。借款の利率は協調を含めて五・七五%くらいにしてもらいたい、そういうようなことをいっております。これは非公式でございます。
  26. 竹内俊吉

    竹内委員長代理 正示啓次郎君。
  27. 正示啓次郎

    ○正示委員 それでは第二次国際すず協定につきまして一、二御質問申し上げます。  まず第一に、今回第二次国際すず協定日本が加盟しようとしたわけでありますが、第一次に加盟しないで第二次に加盟する理由、この点を一つ教えて下さい。
  28. 高野藤吉

    高野説明員 お答え申し上げます。  第一次のときは、いろいろ国内にも論議がございまして、またこの協定は砂糖とか小麦とかと違いまして、ある度程加盟国に対する権利義務関係が非常に希薄なものでございまして、今回入りましたのは、御承知通り、すずのおもな生産国は、東南アジアのマラヤ、インドネシア、タイという諸国でございまして、これらの国は、日本がこれに入ってくれということを非常に熱望しておるわけでございまして、こういう第一次産品生産国に対する関係上、日本が入ったのがおもな理由でございます。
  29. 正示啓次郎

    ○正示委員 すずにつきましては日本はたしかに一万七、八千トンの消費になっておりまして、国内ではわずか二千五百トンくらい生産するというふうに承知しておるのですが、すなわち非常な消費国であり輸入国でありますことは御承知通りですが、同じように今お話の、東南アジアの生産国であるマラヤ、インドネシア、タイその他、これはかねてこの協定に入っておることは非常によく理解できるわけでございますが、日本と並んですずの消費国であり輸入国であるたとえばアメリカあるいは西ドイツ、こういう国は一体この協定に対してどういう態度をとっておりますか、御説明を願います。
  30. 高野藤吉

    高野説明員 御承知通りアメリカは入っておりません。アメリカは純然たる輸入国の立場にございまして、この協定は先ほど申し上げた通り、輸入国として加盟してもそう義務が生じないということで、日本ほど東南アジア、マレー、ビルマ、タイという関係を主に考えずに、一応加入せずともすずの輸入には支障ないということで入っておらないというふうに承知しております。
  31. 正示啓次郎

    ○正示委員 そうすると第二次協定もそういうおもな消費国といいますか輸入国といいますか、これはあまり入ることは期待できないので、日本はたしか世界で第三番目というふうに承知をしておるのですが、日本は第三番目の大消費国であり輸入国であるが、主としては東南アジアの生産国との経済関係を一そう緊密にするという考え方で入るのだ、こういう意味に理解してよろしゅうごごいますか。
  32. 高野藤吉

    高野説明員 われわれは大体そのように了解して、今後これを運営していきたいと考えております。
  33. 正示啓次郎

    ○正示委員 結局先ほど床次委員から、また私も先般御質問申し上げましたフィリピンとの経済関係を緊密にする通商航海条約、それから国際すず協定、いずれも東南アジアの重要な経済上の関係をさらに一そう緊密にするための一つの施策である、こういうふうにわれわれ理解をするわけであります。さてこのすず協定は、すでに批准の承認を求めておるわけでございますが、たとえばこの協定に加入することによっての国際分担金、これはたしか今年度の予算でもすでに通過しておると思うのですが、そういうことからも考えて、外務省当局としてはいつまでに承認を取りつけて、ほんとうに協定の効力発生をどういう時限において必要としておるか、最後にその点を伺いたいと思います。
  34. 高野藤吉

    高野説明員 この分担金につきましては、約二百三十万円予算に計上いたしてあります。それからこれは六月の終わりまでに加盟通告いたしまして、七月一日から発効するというようになっておる次第でごごいます。
  35. 竹内俊吉

    竹内委員長代理 川上貫一君。
  36. 川上貫一

    川上委員 さっきの御答弁がどうもよくわからなかったのですが、フィリピンの方では今批准を延ばしておる、その理由はこれをやるとフィリピンの国民感情に影響するところがあって、どうも今やるのは工合が悪いというように報道されておる。これはどういうことなのか。フィリピンが批准をせぬというようなものをどうして急いで日本は批准しなければならぬか、どういうわけでこれは国民感情に工合が悪いというようなことをフィリピン当局は言っておるのか、これは選挙の問題だとか何とかいうことと違うと思うのです。少なくとも国際的に通商航海条約を結ぶという時分に相手の国がいろんな事情があって批准ができないというようなものを、簡単にこちらの方ではよろしいというて批准するわけにはいかぬのじゃないか。その批准はもちろん国会の問題ですが、政府の方ではこれを一体どう考えておるか。またこれをやれば日本の国民感情にどういう影響を与えるかというような点は、もう少し親切な説明が要るのじゃないか。御答弁では、一片の答弁ですけれども、もしこれを国民に聞きましたらそれじゃ納得できない。それをもっと親切に、実際の実情を詳しく説明なさる必要があるし、われわれがこれを審議する上にも、もっと詳しく聞いておく必要がある。一般の普通の常識からいうても、相手の当事国が批准ができないというようなものをこちらの方は急いで批准しなければならぬという理由が立たないと思う。この点だけ。
  37. 高野藤吉

    高野説明員 お答え申し上げます。フィリピンにおいて、非常に国民感情から反対ということではなくて、フィリピンといたしましては初めての通商航海条約でございまして、この条約の内容、意義をよく国民に徹底させて、ことしの大統領選挙を終わった来年に上程するということでありまして、悪感情とかいうようなことではありませんで、向こうは慎重にこれを国民に認識させて、その上国会へ出す。それから向こうが批准をしないものをこちらが批准する意味はないという御説でございますが、これは各国とも国会の期間ないし時期が違っておりまして、あらゆる条約を同時にお互いが批准するということは実際上不可能でございまして、たとえば昨年日本が結びましたキューバとの条約におきましてもキューバはいち早く批准いたしましたが、日本はだいぶおくれました。それからパキスタンの場合も同様でありまして、批准の時期の問題は各国の議会制度の時期ないしは期間によって違うわけでございまして、一般的に申せばその一番最近の国会において批准をする。両者が合意して、大体いいと両政府がしたものは、最近の国会でできるだけやるのが慣行または主義になっておりますので、その間何らのあれはないと思います。
  38. 川上貫一

    川上委員 その説明じゃよけいいけないのです。一ぺんに批准しなければならぬということじゃありません。それは国会を開会する時期の問題とか、国会における討議が長引いた問題とか、あるいはいろいろ審議を深める問題とかあるし、また日本アメリカ条約にしても時期が違いますから、手続上それぞれ承認をするのにこれは差がつくのですが、フィリピンは違うのです。今やらぬということははっきりしておる。選挙が済んだあとでなければいかぬということを明瞭に言うておるのです。審議をしながらいろいろのまだ疑問があったりするから審議を続けておるというのではない。今しないというのです。そうしてこういうことがあってあとでするという、こういうことになってしまっておる。その中には今これをすると、フィリピンの国民感情に対してよくないということがあるということは新聞でも伝えておるわけですから、あとの分を詳しくおっしゃいましたが、前のいろいろな事情で審議が延びているのと違う。今これを批准しないと言うておる。違うのです。時期がずれるという問題じゃない。そのような条約をこちらの方では非常に急いでどうしてしなければならぬだろうか。これは国民が納得せぬじゃないか、こういうことです。
  39. 高野藤吉

    高野説明員 フィリピン国会は御承知通り、一月終わりから五月の十八日に終わりまして、時間が短い。それから総選挙を前に控えまして、できるだけこの通商条約意義を国民によく浸透させて、その上、総選挙が終わって、新しい国会で国民のできるだけの支持と賛同を得てやりたいということで、われわれとしてもフィリピン側に何ら他意はないというふうに了解いたしておる次第でごごいます。
  40. 川上貫一

    川上委員 やはりおもしろくないな。日本では二回か三回外務委員会を開いてきめようとしている。それほどこれにはむずかしい内容があるのか、それほどフィリピンにとってはまことに慎重に国民に知らしてからやらなければならぬ内容があるのか、私はそうは思わぬ。そうではなくて、この条約フィリピンにとって、報道されておるように、国民感情におもしろくないことが生じてきて、選挙の結果にも影響するからという問題があるからに違いない。この報道は確かだと思う。これはどういうことなのかということをやはりここで説明なさらぬと、向こうは慎重審議をして国民に周知させる時間が要るんだ、日本の外務委員会は数回の審議でこれを承認しよう、こうなるんですから、事がフィリピンの方でそういうことになっている以上は、もっと親切な説明がなければ国民が納得するわけにいかない。
  41. 高野藤吉

    高野説明員 私が先ほど御説明申し上げましたように、フィリピンといたしましてはこれが最初の通商航海条約でございます。日本といたしましては戦前はもちろん戦後多くの通商航海条約がございまして、各条約によって若干の違いはありますが、パターンがございます。国民はもちろん、皆様方よく御存じなものでありますが、フィリピンといたしましては、最初の通商航海条約でございますから、非常に慎重に審議し、また各層にこの意義効果を浸透せしめるにはある程度の時間がかかるということでございまして、その点御心配のようなことはないとわれわれは考えておる次第でございます。
  42. 川上貫一

    川上委員 私はこれだけで終わりますけれども、この底には日本の独占資本の経済的進出という問題がある。東南アジアでも日本は反撃を受けておる。日本の外交の方針が影響しておるのです。フィリピンに対して日本の独占資本が経済的な新しい植民主義とまでは言いませんけれども、とにかく進出する——東南アジアにもそうでありますが、日本の政治の中にそういう野望があるとフィリピンはにらんでおる。そこで簡単に通商航海条約というけれども、日本の独占資本の抑圧的な進出が問題だ。これを国民が非常に警戒しておる。そういう時分に簡単にこの通商条約を結ぶと、国民の感情を刺激して悪い感情を与えるというのがフィリピンの実情に違いない。この問題については、私の質問はこれでは抽象論になりますから、それはあなたがそう考えるだけであって、われわれはそう考えぬ、こう言われたらそれまでになりますので、私はきょうはこれで終わりますけれども、今のような御答弁ではいけない。これは日本の外交の根本問題、日本経済進出の基本問題に関係があとる思う。そのことからやはり相当明らかにしませんと、フィリピンとの問題だけではなしに、今後日本が東南アジアあるいはその他のところに向かってこういう形をとろうとする時分に、必ず大きい問題にぶつかってくる。これがたとえばフィリピンのような国でない国でこういうことが起こった時分には、私はこれほどこれを問題にしない。ところがフィリピンにこれが起こったということは、ただフィリピンの取り扱い上の技術上の問題などということではなくて、その奥に日本の独占資本とフィリピンその他東南アジア方面における民族資本と国民感情との食い違いが出てきておるのだ、ここに目をつけませんと日本の外交というものは挫折すると思う。将来失敗すると思う。こういう要因を含んでおることによって、フィリピンにおける批准延期が起こっておる、こう解釈しませんと、条約の批准さえすればいいという問題じゃない。日本の今後の外交政策の基本に関する問題だと思うので、私はきょうこれだけ質問しておきます。さらにあためて質問する時期があるだろうと思いますが、きょうは時間も十分ありませんし、ほかの委員の方の質問もあるかもしれませんから、私の質問はこれで終わります。答弁はなさらぬでもよろしい。この次の時分に答弁して下さればけっこうです。
  43. 高野藤吉

    高野説明員 議論は申し上げるつもりではございませんが、私は川上委員のお考えになっておることには承服いたしかねるといいますか。同意しかねるという点だけ申し述べさしていただきます。
  44. 竹内俊吉

    竹内委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十六分散会