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川上委員 私はこれだけで終わりますけれども、この底には
日本の独占資本の
経済的進出という問題がある。東南アジアでも
日本は反撃を受けておる。
日本の外交の方針が
影響しておるのです。
フィリピンに対して
日本の独占資本が
経済的な新しい植民主義とまでは言いませんけれども、とにかく進出する——東南アジアにもそうでありますが、
日本の政治の中にそういう野望があると
フィリピンはにらんでおる。そこで簡単に
通商航海条約というけれども、
日本の独占資本の抑圧的な進出が問題だ。これを国民が非常に警戒しておる。そういう時分に簡単にこの
通商条約を結ぶと、国民の感情を刺激して悪い感情を与えるというのが
フィリピンの実情に違いない。この問題については、私の
質問はこれでは抽象論になりますから、それはあなたがそう
考えるだけであって、われわれはそう
考えぬ、こう言われたらそれまでになりますので、私はきょうはこれで終わりますけれども、今のような御答弁ではいけない。これは
日本の外交の根本問題、
日本の
経済進出の基本問題に
関係があとる思う。そのことからやはり相当明らかにしませんと、
フィリピンとの問題だけではなしに、今後
日本が東南アジアあるいはその他のところに向かってこういう形をとろうとする時分に、必ず大きい問題にぶつかってくる。これがたとえば
フィリピンのような国でない国でこういうことが起こった時分には、私はこれほどこれを問題にしない。ところが
フィリピンにこれが起こったということは、ただ
フィリピンの取り扱い上の技術上の問題などということではなくて、その奥に
日本の独占資本と
フィリピンその他東南アジア方面における民族資本と国民感情との食い違いが出てきておるのだ、ここに目をつけませんと
日本の外交というものは挫折すると思う。将来失敗すると思う。こういう要因を含んでおることによって、
フィリピンにおける批准延期が起こっておる、こう解釈しませんと、
条約の批准さえすればいいという問題じゃない。
日本の今後の外交政策の基本に関する問題だと思うので、私はきょうこれだけ
質問しておきます。さらにあためて
質問する時期があるだろうと思いますが、きょうは時間も十分ありませんし、ほかの
委員の方の
質問もあるかもしれませんから、私の
質問はこれで終わります。答弁はなさらぬでもよろしい。この次の時分に答弁して下さればけっこうです。