運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-05-19 第38回国会 衆議院 外務委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月十九日(金曜日)    午前十一時二分開議  出席委員    委員長 堀内 一雄君    理事 北澤 直吉君 理事 竹内 俊吉君    理事 野田 武夫君 理事 森下 國雄君    理事 戸叶 里子君 理事 松本 七郎君       小泉 純也君    椎熊 三郎君       正示啓次郎君    床次 徳二君       内藤  隆君    橋本 龍伍君       松本 俊一君    勝間田清一君       穗積 七郎君    川上 貫一君  出席政府委員         外務政務次官  津島 文治君         運輸事務官         (航空局長)  今井 榮文君  委員外出席者         外務事務官         (経済局次長) 高野 藤吉君         外務事務官         (条約局外務参         事官)     東郷 文彦君         外務事務官         (情報文化局外         務参事官)   高橋  明君         通商産業事務官         (通商局次長) 瓜生 復男君         専  門  員 佐藤 敏人君     ————————————— 五月十九日  委員園田直君及び宇都宮徳馬辞任につき、そ  の補欠として内藤隆君及び田中角榮君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員内藤隆君及び田中角榮辞任につき、その  補欠として園田直君及び宇都宮徳馬君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国ブラジル合衆国との間の文化協定の締  結について承認を求めるの件(条約第八号)(  参議院送付航空業務に関する日本国とベルギ  ーとの間の協定締結について承認を求めるの  件(条約第九号)(参議院送付)  航空業務に関する日本国ドイツ連邦共和国と  の間の協定締結について承認を求めるの件(  条約第一〇号)(参議院送付)  日本国フィリピン共和国との間の友好通商航  海条約締結について承認を求めるの件(条約  第一三号)      ————◇—————
  2. 堀内一雄

    堀内委員長 これより会議を開きます。  日本国フィリピン共和国との間の友好通商航海条約締結について承認を求めるの件を議題といたし、質疑を行ないます。  正示啓次郎君。
  3. 正示啓次郎

    ○正示委員 日本フィリピン共和国との友好通商航海条約につきまして、私は特に現下のわが国経済外交見地から二、三御質問を申し上げたいと存じます。  申し上げるまでもなく、わが国経済成長政策におきまして、国際収支の問題がきわめて大切な問題になっておりまして、この点につきましては与党野党の区別なく、ほんとうに心からこれは心配をいたしておるのであります。問題は、もちろん国際収支と一がいに申しましても、いわゆる経常的な輸出輸入関係、これがまさにポイントでありまして、最近われわれの特に寒心にたえないのは、また従ってその打開のためにあらゆる努力を払わなければならないのは輸出増進にあること、これはもうあらためて申し上げるまでもございません。現に最近の予算委員会におきまして、日本社会党を代表されて永井委員から、この点についてはきわめて適切なる御指摘が行なわれまして、予算委員会のわれわれ一同傾聴いたしたところであります。すなわち、わが国貿易関係を結んでおりまする東南アジアの諸国の状況を通観いたしますと、フィリピンは全く、永井さんの表現を借りれば、いわゆる一億ドル単位のきわめて大切なるお客様でありまして、わが国フィリピンからいろいろと大切な、経済成長政策に必要なる原材料等輸入をいたしており、またわが国フィリピンに対しまして、独立以来、フィリピン国民の需要せられる諸般の大切な生活必需物資輸出しておることは申し上げるまでもございません。特にフィリピンに対しましてはいち早く、御承知のように日比賠償協定締結実施いたしておるのでございまして、この賠償の額はとてもほかの国には比較にならない額になっておるのもあらためて申し上げるまでもございません。この賠償が逐年実施いたされまして、戦争によりて荒廃したるフィリピンの国土の建設のために、必要なる諸般の資材あるいはプラント等輸出が行なわれておるのでございまして、さらにまた先般は賠償を担保にいたしましての特別の経済協力関係が、マリキナ・ダムの建設あるいは通信施設等の整備の面において妥結を見たことも御承知通りであります。いわばフィリピンはわれわれの同胞の血を流し、さらにまたわれわれ国民の巨額なる財政負担を投じまして、これから伸びていくべき隣国であります。従ってこのフィリピンとの友好通商航海条約を、先般私の親友である湯川大使が中心になりまして、長年苦労をいたしまして、めでたくこれを妥結に持っていったことに対しては、衷心私は敬意を表しておるのであります。願わくはすみやかにこの条約案につきまして御審議を進めていただきまして、その承認をしていただきたい、これが私の質問の眼目であることをまず第一に申し上げておく次第でございます。  さて本日は外務政務次官その他関係方々がお見えでございますので、具体的に一、二の点をお伺いし申上げます。  まずお伺いいたしたいのは、フィリピンとの通商航海条約締結にあたりまして、非常に長い時間を要し、御苦労をなすったと思うのでございますが、その経緯につきまして大体のところを御説明いただきたいと存じます。
  4. 高野藤吉

    高野説明員 お答え申し上げます。  フィリピンとの間におきまして平和条約が効力を生じたのは、御承知通り若干おくれまして、それは賠償問題でなかなか解決しなかったのでございますが、それが三十一年に平和条約発効いたしました。しかしフィリピンの対日感情は非常に悪うございまして、政治的にもかつ経済的にもなかなか関係がうまくいきませんでした。しかし日本といたしましてはできるだけ早くフィリピン通商航海条約を結びまして、貿易を正常の形に置くべくいろいろ努力いたしておったわけでございます。特に入国の問題につきましていろいろ話をし、及び関税、輸入制度につきましてできるだけ好意的な取り扱いをするという暫定的な話し合いをいたしましたが、何にいたしましても正式の通商航海条約がございませんと、安心して貿易が伸長しないということで、政府といたしましても昭和三十四年正式に通商条約を結ぶことを提案いたしまして、いろいろ紆余曲折の結果、昨年の二月から正式に交渉を開始いたしまして、これも相当難航いたしましたのですが、両者の妥協譲歩によりまして、昨年の十二月ようやっと署名調印することになった次第であります。これを契機といたしまして日本といたしましては、非常に大きな貿易額、昨年におきましては輸出が八十万ドル、輸入が一億一千万ドルと相当の額に上っておりますが、この通商航海条約ができましたら、もっと画期的に貿易を伸ばしていきたいと考えております。
  5. 正示啓次郎

    ○正示委員 ただいま大体のことを伺いましたが、私はずっと通観いたしますると、準備段階とも申すべき賠償協定あるいは清算勘定方式を現金、キャッシュ方式に切りかえ、あるいは貿易書簡の交換、入国滞在手続簡素化に関する暫定取りきめ、これらの一連のいわば準備段階がありまして、その後、今お話しのように、交渉段階に入りまして以来実に足かけ五年、正式交渉開始以来まさに十カ月の長期間にわたりまして、大へんな御努力をしておられると思うのでありますが、われわれ国会に籍を置く者といたしましては、日本経済が伸びていくためにはほんとう隣国と有無相通じまして、それぞれの経済の発展をはかっていく、こういうことがいかに大切であるかということが、このフィリピンとの交渉の歴史をちょっと一覧しただけでもよくわかると思うのであります。ただフィリピンもいわゆる独立後日なお浅く、国内においては非常にナショナリズムが強く、国民一つの、何といいますか、感情的なものになっておる面、さらにまた日本が戦時中にいろいろと現地において加えました損害その他の問題がございまして、これは賠償協定等によって逐次緩和されておりますけれども、なおなかなかむずかしい諸問題があったかにうかがわれるのであります。  そこでこの交渉中の過程におきまして、どういう問題がおもに出ておったかという点、これは今後われわれがこの条約承認いたしまして、フィリピンとの通商関係をますます緊密にする上においても、十分これは考慮していかなければならぬ問題だと思うのでありますが、交渉中に提起せられましたおもな問題特に将来配意すべき点につきまして御説明をいただきたいと存じます。
  6. 高野藤吉

    高野説明員 フィリピンとの広い意味における経済問題の中には、通商貿易関係以外に、御承知賠償問題、経済協力問題、それから航空関係、船舶の関係等いろいろあるわけでございまして、フィリピンからは賠償の繰り上げないしは経済協力促進してくれというような注文が交渉過程でございました。しかしわが方といたしましては、ほかの国との関係もございますので、賠償の繰り上げ実施は不可能である。それから経済協力促進ということは、この通商条約とは別のチャンネルで大いに誠意をもって話そうということになっております。  それから航空問題につきましては、フィリピンは強い希望を持っておりましたので、これは正式の調印一つ話し合おうじゃないかということで一応話が済みまして、特にこの通商条約調印に関して自主的に具体的に約束したという経緯はございます。
  7. 正示啓次郎

    ○正示委員 今お述べになりましたほかに、たしかテリトリアル・ウオーターズ、いわゆる比国水域の問題、これは韓国その他との関係においても、きわめて重要な問題でありますが、こういう問題も提起されたかのごとくわれわれ仄聞いたしておりますが、こういう問題がどう処理されたか、この点をお伺いするとともに、お述べになりました航空関係、この点について、本日航空局からも政府委員がお見えでございますから、まず今のいわゆる水域問題について外務省から御説明いただくとともに、あと航空局から航空協定の問題についてお伺いしたいと思います。
  8. 高野藤吉

    高野説明員 御指摘水域問題も非常に大きな問題でございまして、フィリピンといたしましては、非常な広範囲の水域を自分の領域といたしたい、それを条約の中に織り込みたいという強い希望がございました。しかし日本といたしましては、国際海洋法の問題もございますし、一般国際法に背馳するような広い海域を二国間の条約で認め合うということは、国際法上も不可能でございますので、わが方といたしましては、向こうの非常な強い希望にもかかわらず、終始これは困るということで拒否いたしましたので、これは向こうもおりたという格好になっております。  それから、申しおくれましたが、フィリピンといたしましては、入国滞在はある程度認めるけれど、永住権と申しますか、移民的な関係のことは、本協定とは関係ないという向こうの強い申し出がありまして、それはわが方といたしましても了承いたしたのであります。  航空関係につきましては運輸省の方から。
  9. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 フィリピンとの航空協定につきましては、すでに昭和三十四年の三月二日に両国の間で定期航空業務についての暫定取りきめを行政的にいたしております。これによりましてフィリピン航空はマニラから台北を経まして東京へ、日本航空東京から台北を経てマニラヘというような相互乗り入れについての一応の取りきめができております。しかしながら実際問題としましては、フィリピン航空もまだ現在は東京まで乗り入れておりませんし、日本航空も、東南アジア路線はまだフィリピンマニラヘは寄っておらないという状況でございます。  なおその後の状況でございますが、今般の通商航海条約と関連いたしまして、フィリピン側としては協定締結についての強い要望を持っておりますので、近くその要望が具体化すれば、私どもとしては交渉に入る、こういうふうに考えております。
  10. 正示啓次郎

    ○正示委員 航空局長の御説明通りだと存じますが、これに関連して、きょうは大蔵省来ておりませんが、外務省からお答えいただけばけっこうですが、たしか航空協定とともに、先般シンガポール自治州について本委員会において御審議、決定をいただき、すでに本会議を通過いたしました、いわゆる二重課税防止条約につきましても、私どもとしては、一日も早くシンガポール自治州と同じように締結されることを期待いたしておるのですが、この点についてどういうことになっておりますか。
  11. 高野藤吉

    高野説明員 二重課税防止条約通商を伸ばす意味合いにおきまして非常に重要な点でございまして、この点もこの条約発効いたしましたら、フィリピンとの間に至急二重課税防止条約を結ぶように話し合いができておる次第でございます。
  12. 正示啓次郎

    ○正示委員 さて、いわば経緯とその交渉過程における主たる問題点をお伺いいたしましたが、今回の通商航海条約を拝見いたしますると、いわば東南アジアにおいて、すでにパキスタン、インドですか、こういうものとはわが国締結し、承認を受けておるわけであります。さっきるる御説明のありましたような背景のもとフィリピンとの今度のこの条約が、大体において無条件最恵国待遇を規定することを骨子としておるように承知をいたすのでありますが、最近またペルー等とも通商航海条約締結が行なわれ、これから冒頭申し上げたような非常に高い見地からの輸出増進の基本的な政策にのっとりまして、今後東南アジア各国もとより広く世界各国通商航海条約締結を進めていくことはきわめて大切なことだと思うのですが、このフィリピンとの無条件最恵国待遇を基本とする今回の条約、これに対していわゆる内国民待遇を要求するようなやり方、いろいろパターンがあるわけでありますが、今回のフィリピンとの関係条約が大体こういう一つの型になりましたことは——これは先ほどのいろいろな事情によってわかると思うのですが、ほかの国との関係、いわば先進国との通商航海条約と、決して後進国とか弱小国とか私は申すわけではありませんが、今後東南アジア各国といろいろ条約をやっていく場合の通商航海条約一つの型といいますか、考え方といいますか、こういう点について外務当局はどういう態度をとっていかれようとするか、この点についてお伺いしたいと思います。
  13. 高野藤吉

    高野説明員 外務省といたしましては輸出振興増進のためにできるだけ各国通商航海条約を結んでいきたい。今国会におきましても、パキスタンそれからキューバと御審議願いまして御承認いただいた次第でございます。そして現在なおインドネシアアルゼンチンとは具体的に交渉中でございます。通商航海条約パターンといたしましては、フィリピンとの条約が簡単でありますが、大体必要な事項は盛ってございまして、一応のパターンと考えている次第でございます。もっともパキスタンとかペルーの場合には海運条項が抜けております。しかしフィリピンの場合には若干不十分の点がありますが海運条項も載っておりますので、このパターン東南アジア各国ともやっていきたい。具体的には現在インドネシアアルゼンチンほどには進捗しておりませんが、イラン、エジプト等も考えている次第でございます。
  14. 正示啓次郎

    ○正示委員 そこで今度は具体的に、この条約発効になりましてのいわば日比通商貿易増進に与える利益、こういう点を少しお伺いをしたいと思うのですが、実はさっき申し上げたように昨日予算委員会日本社会党委員の方がいろいろ御質問になっておりました。私も大へん参考になりまして、伺ったあと社会党の方ともお話をした。現にさっき申し上げた昭和三十三年でございますか、入国滞在手続簡素化に関する暫定取りきめというような一応の取りきめがございまして、日本商社方々フィリピンにお入りになる、そうして大へんいろいろ不自由をしておられるということ、これは外務当局もお詳しいと思うのです。その不自由な諸条件もとに大へんいろいろやりくりをしながら、とにかくフィリピンとの貿易は、ここに資料をいただいておりますが、一九六〇年世界主要国との貿易のうちで米国をトップにいたしましてフィリピンは香港の次の六番目という大へん大切なランキングになっております。わが国への輸入額が一億一千三百六十三万四千ドルというきわめて大きな金額を占めておるわけであります。商社その他貿易従事者の御苦労まことに察するに余りあるわけであります。そこで、これは今までどういうふうになっておって、今回この条約発効になるとそれがどうなるか、この点を具体的に御説明をしていただきたいと思います。
  15. 高野藤吉

    高野説明員 先ほど申し上げましたように入国滞在は暫定取りきめで一応ある程度確保されておりましたが、人数制限され、期間がたしか六カ月ということで再延長することになっておりましたが、今度の条約発効いたしますれば人数制限はもちろんございませんので、商社方々も自由に入国滞在ができ、また事業活動もできるということになりまして、貿易の伸長のためには非常に期待ができるのではないかと考えておるわけであります。
  16. 正示啓次郎

    ○正示委員 たしか従来は三百五十名を限度にして、延長を認めても一年、こういうことになっているために一年で交代するということになるとあとがよくわからない。特定の商社においてはやむを得ず無理をしてよけいに一人出しておいて、オーバーラップする期間は短いでしょうが、ちゃんと事務引き継ぎを受けて次の人にバトン・タッチするという大へんにむだをやっておるのだということを聞いておるのであります。それが今度三年になってその点が非常に緩和される、こういうことになると思うのであります。  それからまたフィリピンナショナリズムの問題のほかに、たとえば小売商業というようなものについては、従来いわゆる華僑との関係等で大へんきびしい制限があるやに伺っておりますが、そういう問題があるとともに、何と申しましても、日本にとってこれは非常に友邦でございますけれども、商売の上で仮借なき競争相手はアメリカだと思う。フィリピン米国との歴史的な関係というものを考えましても、今後フィリピンは、先ほど申し上げたようにわれわれとしてはかけがえのない大へんな犠性を払ってこれから確保していかなければならない市場でありまするが、一方米国フィリピンにおける。プライオリティといいますか、諸条件において日本より有利な点もまた見のがすことはできないと思う。そういうバックグラウンドのもとケネディ新政権のいわゆる輸出ドライヴ、これが大いに行なわれておる最中であるわけであります。われわれ日本国民としてはじっとしておれない。きょうはほんとう友党皆さん方にもそういう私の心情をぜひおくみ取り願いたい。相手はまさに燃えんばかりの熱情を傾けてフィリピンマーケット確保に努めておるわけであります。そこで今私が一、二あげた問題のほかに、たとえば今後商社向こう支店を設置していろいろやるとか、あるいは合弁事業を行なうとかいうふうな場合、現在とこの条約発効後とでどういうことになりましょうか。この点を一つ通産省から具体的にお伺いしたいと思います。
  17. 瓜生復男

    瓜生説明員 二国間の貿易促進していく中心的な基礎になりますのは、やはりお互いの国に滞在しております商社駐在員たちでございまして、それらの活動が阻害されたり、あるいは不安な状態に置かれますと、どうしても貿易促進というものは阻害されるわけでございます。今回この通商航海条約によりまして、実際上の待遇もよくなりました上に、その待遇が非常に安定した基礎の上に置かれるということになりますれば、駐在員は非常に安心して活動ができる、そういう意味で、直ちに即効を求めることは無理かもしれませんけれども、必ずや両国貿易の拡大、ことに日本からの輸出という面において非常にいい効果をもたらすと信じております。また事業活動の面におきまして、従来は支店設置それから比国内での事業活動についても、本邦商社第三国商社と同様の待遇を受けることは確保されるわけでございまして、その意味におきまして第三国競争相手と対等の立場に立って競争ができるということになるわけでございます。しかもそれが非常に安定した基礎の上に立ってできるという意味におきまして、これまた両国経済関係増進、わが方から言いますればわが方の経済的進出輸出増進ということに非常に役立つと信じております。
  18. 正示啓次郎

    ○正示委員 合弁事業はどうですか。
  19. 高野藤吉

    高野説明員 今までは、合弁事業日比間で日本としてはできなかったわけでありますが、この条約ができますと、大体向こうが六こちらが四という比率で合弁事業ができるようになります。
  20. 正示啓次郎

    ○正示委員 フィリピンはこの条約交渉にあたりまして、ガルシア大統領もと向こう全権団をいろいろ苦心をして作られたということでございますが、この全権団顔ぶれを見ますと、前下院議長ですかを首席といたしまして、非常に多方面の方々を選んでおられる。ここに私は、やはりフィリピン新興独立国家として日本との今度の初めての通商航海条約でありますが、これに対する非常な苦心向こうにもなされておったということがよく読み取れると思うのであります。特に顔ぶれの中にいわゆる野党方々も一緒に入っておられまして、いわば超党派で日本との今回の初めての条約を進められたという点は、きわめて意義深いものがあると思うのであります。そこでお伺いいたしますのは、たしかこの秋というよりは十一月ですから冬ですか、大統領選挙が予定されておるわけであります。そういうときに、フィリピンとしてはこの条約をこれからどう扱おうとしておるか、これについてまず外務省からお伺いいたしたいと思います。
  21. 高野藤吉

    高野説明員 お説の通りフィリピンの今度の交渉団は各方面の有力者を集めまして、非常な大規模と申しますか大きな交渉団でございまして、それからもフィリピン側の熱意のほどが知られると思います。そこでこの条約フィリピンにおける批准の模様でございますが、フィリピン国会は一月に始まりまして今月の中ごろに大体終わっておる次第でございまして、この批准は来年一月から始まる来国会になるかと存じます。その上大統領選挙がこの十一月にございまして、その選挙が終わったあとで来国会でやるという格好でございます。日本といたしまして、数年来フィリピン通商関係を正常のもとに置きたいということで当方から非常に慫慂した点もございまして、日本が先に批准をやるということは、日本誠意努力相手に認められると同時に、フィリピン内においても、最近は非常に好転しておるやに聞いておりますが、いろいろ意見もございますので、日本が長い間苦心をして署名調印を終わったこの条約を早く国会の御承認を得るということは、相手に対して非常にいい結果を与えるのじゃないかと考えておる次第でございます。
  22. 正示啓次郎

    ○正示委員 今お答えになった点にすでに入っておりますが、十一月の大統領選挙の結果はわれわれは予測つかないのでありますけれども、いずれにしてもさっき申し上げたようなラウレル前下院議長等いわゆる与党、それから野党、ナショナリスタ、リベラルですか、こういうそれぞれの党の代表も入っておるわけでありますから、フィリピンとしてはいかなる状態もとにおいても、来年の国会において早々これは批准されることをわれわれとしては期待をしておる、こういうことだと思うのであります。そこで、この機会に日本がいち早くこれを批准をする、これが今お答えのように非常にいい結果を与える、こういうことだと思うのです。これはほかにもいろいろの例があったと思うのですが、大体そういうことが一般に定石的なやり方であるのか、私は、特にフィリピンとの関係においては先ほど来るる申し上げたように、これは一日も早くわが国として批准すべきだ、こう思っておりますけれども、この点外交慣例等から申してもしかるべきものであるかどうか、こういう点について重ねて御説明伺いまして、私の質問を終わる次第であります。
  23. 高野藤吉

    高野説明員 本国会で御承認をいただきましたキューバ及びパキスタンの例をとりますと、キューバは昨年署名調印いたしましてたしか四月でございましたが、五月キューバにおきましてはすでにもう批准をいたしておる。それからパキスタンにおきましても、いち早く国内手続を了しているわけでございまして、外交上と申しますか、各国における批准の手続ないしは国会の会期及びそのときにおける国内の政治情勢等によりまして、この国会の御承認は必ずしも軌を一にしない場合が多いのでございます。一応署名調印いたしましたら、できるだけ早く、各国が一番早い国会において御承認をいただくというのが国際慣行になっております。またそれが国際礼儀でもあろうかと存じます。      ————◇—————
  24. 堀内一雄

    堀内委員長 次に、日本国ブラジル合衆国との間の文化協定締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行ないます。戸叶里子君。
  25. 戸叶里子

    戸叶委員 ただいま議題になりました文化協定は、日本が戦後締結したいろいろの文化協定と大体同じようなものと思いますので、私は多くを質問いたしませんが、ただ二点だけお伺いしたいと思います。  その第一点は、ブラジル協定というのが昭和十五年に署名された協定昭和二十八年に引き続いて受け、さらに三十二年に改正したということになっておりますが、ずいぶん前に結んだ協定でありますが、ほかの文化協定よりもおそらく非常に古い歴史を持っておるのじゃないかと思います。そこでこの協定が古くから結ばれているということによって、ほかの国と比べて文化的に特にこういう関係があるというようなすぐれた面があったら、それを御指摘願ひたいと思います。
  26. 高橋明

    ○高橋説明員 御承知のように、わが国が現在結んでおります文化協定は、ブラジルを除きましていずれも戦後新しく結んだものでございます。ブラジルにつきましては、戦前に締結しておりました文化協定が戦後平和条約の条項によりましてブラジル国政府からその復活を希望して参りました、その通告がございまして、有効になって現在存続しておる。戦前わが国はブラジルのほかにも、たとえばドイツとかイタリアとかタイ国とかいうような諸国と文化協定を結んでおったわけでございますが、これが戦争の影響によりましていずれも失効した形になりました。その効力が復活されまして存続したのがブラジルとの文化協定一つ、こういうことになっておるわけであります。
  27. 戸叶里子

    戸叶委員 私はそのことは提案理由にも書いてあってわかっているのですけれども、そういうふうに古くから結んでいる文化協定でありますから、何か特にほかの国と比べて文化的にブラジルとの間にこういうふうなすぐれた面があるということがあるかどうかということを御指摘願いたいと思うわけです。
  28. 高橋明

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  私の申し上げました言葉が足りないようでございましたが、特に文化協定は大体各国とも同じようなパターンになっておりまして、特にブラジルとの戦前の協定が非常に特色的なものであるということはございません。ただ、今般新しく交渉いたしまして締結いたしましたものは——何分にも戦前のもので、戦後は大体同じような、相当具体的な取りきめを盛りまして、たとえば混合委員会の設置というな条項を盛り込んだ一つのフォームがございますが、先方側からこれは最近の新しい形にいたしたいという希望に基づきまして、現在御審議をお願いいたしております協定締結をいたしたわけでございます。特にそれだからと申しまして、戦前に特色的なものがあったというわけではございません。
  29. 戸叶里子

    戸叶委員 文化協定を古くから結んでいるけれども、大して実績はない。それから文化協定パターンというものはどこの国と結んでも大体同じようなものだ、こういうふうなことはこれの説明を読めばわかることでありまして、ただいまの御答弁の中から、この協定が古くからあったために日本とブラジルの間の文化交流はこうであったという実績が示されなかったことは、私はまことに残念だと思っております。ただそこで考えられますことは、この間審議をいたしました日本国とグレート・ブリテンとの間の文化協定の際にも明らかにされたところでございますけれども文化協定を結んでいろいろな約束をしても、予算の面とかいろいろな面でそれが実施する上にあたって非常な暗礁に乗り上げているというようなことも説明されたわけでございまして、せっかく各国とこうやって文化協定を結んでいくとするならば、十分にその実績を上げるような内容といいますか、実績を上げるような方途をお考えになっていただきたい、ただ協定を結ぶだけに終わらないようにしていただきたい、こういうことをこの際強く要望いたしておきます。
  30. 堀内一雄

    堀内委員長 他に御質疑はありませんか。——御質疑がないようでありますから、事件に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  31. 堀内一雄

    堀内委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決をいたします。  日本国ブラジル合衆国との間の文化協定締結について承認を求めるの件、事件を承認すべきものと議決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 堀内一雄

    堀内委員長 御異議なしと認めます。よって本件は承認すべきものと決しました。  なお本件に関する報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 堀内一雄

    堀内委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。     —————————————
  34. 堀内一雄

    堀内委員長 次に、航空業務に関する日本国とベルギーとの間の協定締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国ドイツ連邦共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、右両件を一括議題とし、質疑を行ないます。戸叶里子君。
  35. 戸叶里子

    戸叶委員 航空局の方来ていらっしゃいますか。——この際航空局の方から一点だけ伺っておきたいことは、日本の国際線の現状と今後の見通しがどういうふうになっているかを御説明願いたいと思います。
  36. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 簡単に御説明いたします。  日本の国際線の現状でありますが、まず日本航空の国際路線の運営につきましては、現在御承知のように日本航空は主として太平洋線並びに東南アジアの二路線を運営いたしております。太平洋線につきましては、東京からアメリカの西海岸の三ゲート、つまりシアトル、ロスアンゼルス、サンフランシスコ、この三ゲートにそれぞれ定期に運航いたしております。それからなお南につきましては、東京から沖繩、台北、香港、シンガポールというふうな方面に路線を運営いたしております。日本航空の今後の計画といたしましては、従来の太平洋線並びに東南アジア線をさらにヨーロッパに乗り入れるということで、昨年ドイツ並びに英国との間に協定交渉を行ないまして、ことしの六月から日本航空はアンカレッジ、コペンハーゲンを経由いたしまして、ロンドン、パリに北極線を開設する計画を進めております。なお南回りの欧州線につきましては、現在香港、シンガポールまでいっております路線をインド、パキスタン、アラブ連合を経由いたしまして、ローマからドイツに入りまして、ドイツからパリ、ロンドン、こういうふうな南回りの路線の開設を来年に予定いたしております。それからなお最近アメリカ側との間に交渉開始の話がまとまりまして、これができますれば、将来、日本航空の現在太平洋の西岸にいっております路線をニューヨークからさらにその以遠に延ばして、大西洋を経てロンドンに行く、将来南回りのインド洋経由の欧州線と接続いたしまして、年来の念願でございます世界一周線を完成する、こういうふうな計画であるわけでございます。
  37. 戸叶里子

    戸叶委員 ただいま御説明にありましたように、来年に航空路線をふやし、また今回この協定を結ぶことによって、ドイツなりベルギーなり、日本航空機が入れるようにするわけでございますね。そうしますと、韓国との間の航空協定というものは結ばれていないと思うのですけれども、この関係はどうなっているのですか。
  38. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 協定締結そのものにつきましては、外務省の所管でございますが、航空局といたしましての考えを申し上げますと、韓国につきましては、現在御承知のように東京と韓国を結ぶ、あるいは日本と韓国を結ぶ路線につきましては、アメリカのノースウエスト、台湾のキャット、この二路線が東京−京城路線をやっております。韓国の方でもしばしば民間航空に関する関係者が東京へ参りまして、できるだけ早い機会に日韓航空路線を開きたいという強い希望をいって参っておりますし、私どもといたしましても、特に両国の従来からの緊密な関係からいたしましても、できるだけ早い機会に韓国との間に航空路線を開きたい、こういうふうな考えでおるわけでございます。従いまして、今度政変がございまして、その後どういうふうな状況になるか、私ども存じ上げませんが、できるだけ早い機会に韓国との間に航空路線を開きたい、かように考えております。
  39. 戸叶里子

    戸叶委員 韓国との間に航空路線を開きたいかどうか、そういうことまで私は伺ったわけではないのですけれども、そうしますと、韓国からの飛行機が毎日日本に入っているわけですね。それはアメリカと日本との間で契約しておいて、そうして韓国から入ってくることになっておるのでしょうか、その間の事情はどうなっているのでしょうか。
  40. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 ノースウエストの関係についていいますと、ノースウエストは日米航空協定の中で、東京並びに東京以遠という権利を持っているわけでございます。従って、東京以遠権の中で京城に着陸しておる。韓国から東京へくる路線につきましては、韓国とアメリカとの協定におきまして、ノースウエストの東京への路線を認めておる、こういうわけです。
  41. 堀内一雄

    堀内委員長 川上貫一君。
  42. 川上貫一

    ○川上委員 私の質問は簡単ですし、なお航空業務については全くのしろうとでありますから、事務的なことでちょっとお聞きしておきたいだけなんです。  この協定の第二条の(b)項「運輸以外の目的で自国の領域に着陸する権利」この「運輸以外の目的で」という範囲を聞かしてもらいたい。
  43. 東郷文彦

    ○東郷説明員 「運輸以外の目的で」という言葉は英語でいうとテクニカル・ランディングというので、修繕とか補給とかそういうお客ないし荷物の積みおろしに関係ない技術上の理由による着陸ということでございます。
  44. 川上貫一

    ○川上委員 ちょっとわからぬのですが、具体的にはどういうことですか。
  45. 東郷文彦

    ○東郷説明員 最もいい例は給油でございます。あるいは修理とかそういう商売に関係のない着陸でございます。
  46. 川上貫一

    ○川上委員 そうすると「運輸以外の目的」の中には、軍事的要務を帯びる輸送、着陸は全部加わっておらぬということになるでしょうか。
  47. 東郷文彦

    ○東郷説明員 この協定自体が民間航空業務に関する規定でございまして、軍用機はここでは扱っておらないわけでございます。
  48. 川上貫一

    ○川上委員 軍用機のことを聞いておるのではないのです。民間機です。民間機が軍の要務、並びに軍需品がありますから、こういうものの運搬輸送、これはどうなるかということです。
  49. 東郷文彦

    ○東郷説明員 かりに軍が全く商業ベースで民間航空会社の飛行機を使って送るという場合には、この協定の範囲内で積荷を運んでおる飛行機はこの協定の規定に服するわけですが、たとえば、多くの場合そうだろうと思いますが、軍が民間機をチャーターしたというような場合には、この協定からはずれて参ります。
  50. 川上貫一

    ○川上委員 軍がチャーターして軍用機になってしまえばこの協定は適用ないと思うのですが、民間航空であって、それで軍の要務を帯びて、そして商業ベースで軍需品に類するものを送るのではなくて、事実上は軍の要務で仮定ですけれども、民間航空機で軍需品を戦地に送った場合はどうなるのですか。
  51. 東郷文彦

    ○東郷説明員 この協定で扱っておりますのは、先ほど民間航空と申しましたのは、民間航空の中でも特に定期航空相互乗り入れの問題を扱っておるわけでございますので、実際問題として、先ほど私申しましたように軍が民間航空で軍需品を送る、また定期民間航空を利用して物を送るという場合にはこれが適用になりますが、そうしたことからむずかしい問題が起こるということはないのじゃないかと思うのですが……。
  52. 川上貫一

    ○川上委員 あなたが思われるのはどう思われてもいいが、実際そういうことがある場合にはこの協定の範囲外であって、この協定では認めぬということになるでしょう。
  53. 東郷文彦

    ○東郷説明員 そういう場合には、むしろ今度積荷が飛行機によってかりにある国に入る。その入ること自体の問題でございまして、この協定の問題にはならぬと思います。
  54. 川上貫一

    ○川上委員 そうじゃないのです。この協定で民間機は入る権利を持って入ります。この飛行機が商業ベースによって軍需品を運送するというのではなくて、軍の目的をもって軍需品を輸送することができるかどうかということなんです。
  55. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 軍の目的をもって軍需品を輸送することはできない建前になっております。
  56. 川上貫一

    ○川上委員 そういうことをしておるかしておらぬか、どこで調べるのですか。
  57. 東郷文彦

    ○東郷説明員 結局実際の物の輸出入になりますが、その場合には輸出入自体の規制の問題がほかにあり得るわけでございます。それで実際ある民間航空機がそういうことをやったかどうかというのは、その場合の事実問題になると思います。その結果輸出入の関係の規則に反するとか、あるいは定期民間航空が民間航空でないことをやっておるということになれば、おのずからこの協定の問題から離れてくるわけであります。
  58. 川上貫一

    ○川上委員 それではちょっとわからぬのです。航空法第百二十八条で軍需品を輸送することはならぬことになっておりますから、この協定の中での航空で軍需品を運送してはならぬ。もちろんこれがさっき言いましたように、商業ベースで、それに軍需品あるいは軍需品に類するものがある場合、その運搬はできるだろうと思うのです。しかし軍の目的をもって軍需品を輸送するということになるとできないとあなた言われたと思うのです。しかしそれがたとえば協定あるいは許可によって、この民間航空機がアメリカの基地を使うておる場合があるでしょう。こういう場合はないのですか。アメリカの基地に着陸する、ここから出るということはないのですか、ありますか。
  59. 東郷文彦

    ○東郷説明員 足りないところはあと航空局長から補足していただきますが、たとえば羽田空港の返還以前は、羽田空港は軍との取りきめによって……。
  60. 川上貫一

    ○川上委員 いや、現在……。
  61. 東郷文彦

    ○東郷説明員 現在は民間航空機が軍の施設を使っているということはございません。ただお天気の関係その他で、予定した、たとえば羽田に着けない場合には、補助着陸地を指定するということにたしかなっておると思いますが、そういう場合に軍の飛行場を指定することはあるかと思います。しかし実際定期航空が定期に使っておるということはございません。
  62. 川上貫一

    ○川上委員 ちょっとはっきり聞いておきたいのですが、運輸省関係でいいです。そうしますと、この協定で——これはベルギーがどうとか西ドイツがどうとかいう意味じゃない、仮定の問題並びに仮定以外の問題にもなると思いますが、現在の協定によって外国の航空機が日本の領土に発着しておる。その中にはアメリカ軍事基地を使うておる航空路というのはないのですか。
  63. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 航空路につきましては、軍用機も民間機もすべて同一の航空路を使用して、一定の管制を受けて入ってきておるわけでございますが、着陸する飛行場につきましては、こちらが提供いたしております。米軍の飛行場もございますし、それから国際航空に従事する航空機のみの発着する東京国際空港のようなものもございます。従いまして、横田基地あるいは立川基地というようなところは、主として米軍の軍用機が離着陸いたしておるのであります。
  64. 川上貫一

    ○川上委員 立川基地、横田基地は現在協定による外国の飛行機が使うておるんですな。
  65. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 協定による外国の定期航空に従事する民間航空機の使用する飛行場は、使用するときにはっきりきめておりまして、現在協定によって権利を与えられたところは東京国際空港あるいは大阪国際空港、こういうふうになっておりまして、ただ天候その他の関係東京、大阪等に着けない場合には、オルタネート空港として、たとえば横田を使うとか三沢を使うとか、あるいは小牧におりるというふうな、飛行機の安全のための予備空港というものを指定しております。
  66. 川上貫一

    ○川上委員 そうすれば、たとえば横田の飛行場を継続的に使って協定による航空機が動いておることはない、こう解釈していいですか。
  67. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 その通りでございます。
  68. 川上貫一

    ○川上委員 次にちょっと聞きますが、軍需品を送ってはならぬということになっておるときに——まあ送りはせぬだろうと思うというのですが、たとえば羽田を使った場合でも、もしくは今の天候その他の場合によればアメリカのあれを使うということになるのですが、その時分に軍需品を輸送するかせぬかということを調べるのはどこですか。
  69. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 これは輸出入品の取り調べになりますから、関税関係でございますので、税関が主管しておると思います。
  70. 川上貫一

    ○川上委員 アメリカの基地から立ったり、そこへ着陸したりする時分はどこで調べるのですか。
  71. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 民間機が軍用基地におりて、そこで貨物の積みおろしをすることは全然ございません。民間機が、たとえば東京の羽田が霧のためにおりられないということで横田基地あるいは三沢基地に不時着するというような場合、三沢で荷物をおろすということは全然ございません。これは先ほど東郷参事官から御説明がありましたようなテクニカル・ランディング、つまり技術着陸でございまして、そういうところで荷物をおろすことは禁ぜられております。必ずそこを飛び立って東京国際空港で荷物をおろして検査を受ける、こういうことになっております。
  72. 川上貫一

    ○川上委員 だいぶわかりましたが、念のために聞いておきます。たとえば羽田が航空路になっておる。それで天候その他の関係でやむを得ずアメリカの基地を使う場合がある。これ以外に、初めからたとえば韓国なら韓国——韓国は協定がないとおっしゃるのですが、あると仮定しまして、韓国以外でもよろしい、協定のある国でもけっこうですが、そこで初めから目的的に横田、立川を使うという、これは全然ないのですか、あるのですか。
  73. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 民間航空機に関する限り全然ございません。
  74. 川上貫一

    ○川上委員 わかりました。  もう一つだけ聞いておきます。そうすると、期間はかまいませんが、外国の民間航空機で日本に出入、発着しておるものが特にアジアだけでよろしいが、一カ月にどのくらいか、一週間にどのくらいかという数字はおよそわかりますか。
  75. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 ただいま詳細な資料を持ち合わせておりませんので、資料で提出いたしたいと思います。
  76. 川上貫一

    ○川上委員 およそでいいです。
  77. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 お答え申し上げます。現在会社別に申し上げますと、パン・アメリカンが十便、ノースウエストが十二便、BOACが九便、CPAが三便、エール・フランスが五便、KLMが四便、 スカンジナヴィアが四便、スイス航空が二便、インド国際航空が二便、カンタス、濠州が二便、それにイギリスのキャセイ・パシフィックが三便、タイ国際航空が三便、CATこれは台湾の航空機ですがこれが四便、それからドイツのルフトハンザがことしの二月から二便入っておりまして、日本航空東京を基地として一週間二十便入っております。これを全部総合いたしますと大体国際線で日本に入ってきております航空機は、約一週間七十便ということになっております。
  78. 川上貫一

    ○川上委員 もう一つだけ聞きますが、今お話がありましたが台湾の方の営業航空路はどうなっておりますか。
  79. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 台湾の航空会社は御承知のようにキャットと申すのでありますが、これは現在台北から沖繩の那覇を経由いたしまして東京に参っております。
  80. 川上貫一

    ○川上委員 東京のどこです。
  81. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 東京の羽田でございます。羽田以外には入っておりません。これがキャットで、先ほど申しましたように京城まで行っております。ですから台湾の航空機は台北を出まして那覇に参りまして、東京国際空港からソウルに行っておる、こういうことでございます。
  82. 川上貫一

    ○川上委員 もう一つだけ。民間機は立川並びに横田の飛行場においては、過去三カ月間に何回ぐらい使用されておりますか。
  83. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 民間機はおそらくないと思います。
  84. 川上貫一

    ○川上委員 おそらくですか、絶対ですか。
  85. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 絶対ないと思います。これは天候の関係以外にはそういう飛行場は使えませんし、この数カ月間において羽田がクローズされたというケースは記憶しておりません。
  86. 川上貫一

    ○川上委員 それで、これは今すぐと言うたら無理と思いますから、あとで過去三カ月間に絶対にないか、一回か二回あるか、それを聞きますから、調べて下さい。
  87. 戸叶里子

    戸叶委員 ちょっと関連。韓国に入っておるのはキャットだけですか。
  88. 今井榮文

    今井(栄)政府委員 ノースウエストもそうです。
  89. 戸叶里子

    戸叶委員 わかりました。
  90. 堀内一雄

    堀内委員長 他に御質疑はありませんか——御質疑はないようでありますから、本件に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  91. 堀内一雄

    堀内委員長 これより討論に入るのでありますが。別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  航空業務に関する日本国とベルギーとの間の協定締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国ドイツ連邦共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、右両件を承認すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を求めます。  〔賛成者起立〕
  92. 堀内一雄

    堀内委員長 起立多数。よって、右両件はいずれも承認すべきものと決しました。  なお、両件に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 堀内一雄

    堀内委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十五分散会      ————◇—————