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1961-05-19 第38回国会 衆議院 外務委員会 第25号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十六年五月十九日(金曜日) 午前十一時二分
開議
出席委員
委員長
堀内
一雄君
理事
北澤 直吉君
理事
竹内 俊吉君
理事
野田 武夫君
理事
森下 國雄君
理事
戸叶
里子君
理事
松本
七郎
君 小泉 純也君
椎熊
三郎君 正
示啓次郎
君 床次 徳二君
内藤
隆君 橋本
龍伍
君
松本
俊一君
勝間田清一
君
穗積
七郎
君 川上 貫一君
出席政府委員
外務政務次官
津島 文治君
運輸事務官
(
航空局長
)
今井
榮文
君
委員外
の
出席者
外務事務官
(
経済局次長
)
高野
藤吉君
外務事務官
(
条約局外務参
事官
) 東郷 文彦君
外務事務官
(
情報文化局外
務参事官
) 高橋 明君
通商産業事務官
(
通商局次長
)
瓜生
復男
君 専 門 員 佐藤 敏人君
—————————————
五月十九日
委員園田直
君及び
宇都宮徳馬
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
内藤隆
君及び
田中角榮
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員内藤隆
君及び
田中角榮
君
辞任
につき、その
補欠
として
園田直
君及び
宇都宮徳馬
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
日本国
と
ブラジル合衆国
との間の
文化協定
の締 結について
承認
を求めるの件(
条約
第八号)(
参議院送付
)
航空業務
に関する
日本国
とベルギ ーとの間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの 件(
条約
第九号)(
参議院送付
)
航空業務
に関する
日本国
と
ドイツ連邦共和国
と の間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件(
条約
第一〇号)(
参議院送付
)
日本国
と
フィリピン共和国
との間の
友好通商航
海条約
の
締結
について
承認
を求めるの件(
条約
第一三号) ————◇—————
堀内一雄
1
○
堀内
委員長
これより
会議
を開きます。
日本国
と
フィリピン共和国
との間の
友好通商航海条約
の
締結
について
承認
を求めるの件を議題といたし、質疑を行ないます。 正
示啓次郎
君。
正示啓次郎
2
○正
示委員
日本
と
フィリピン共和国
との
友好通商航海条約
につきまして、私は特に現下の
わが国
の
経済外交
の
見地
から二、三御
質問
を申し上げたいと存じます。 申し上げるまでもなく、
わが国
の
経済成長政策
におきまして、
国際収支
の問題がきわめて大切な問題になっておりまして、この点につきましては
与党野党
の区別なく、
ほんとう
に心からこれは心配をいたしておるのであります。問題は、もちろん
国際収支
と一がいに申しましても、いわゆる経常的な
輸出
、
輸入
の
関係
、これがまさにポイントでありまして、最近われわれの特に寒心にたえないのは、また従ってその打開のためにあらゆる
努力
を払わなければならないのは
輸出
の
増進
にあること、これはもうあらためて申し上げるまでもございません。現に最近の
予算委員会
におきまして、
日本社会党
を代表されて
永井委員
から、この点についてはきわめて適切なる御
指摘
が行なわれまして、
予算委員会
のわれわれ一同傾聴いたしたところであります。すなわち、
わが国
と
貿易
の
関係
を結んでおりまする
東南アジア
の諸国の
状況
を通観いたしますと、
フィリピン
は全く、
永井
さんの表現を借りれば、いわゆる一億ドル単位のきわめて大切なるお客様でありまして、
わが国
は
フィリピン
からいろいろと大切な、
経済成長政策
に必要なる
原材料等
を
輸入
をいたしており、また
わが国
も
フィリピン
に対しまして、
独立
以来、
フィリピン国民
の需要せられる
諸般
の大切な
生活必需物資
を
輸出
しておることは申し上げるまでもございません。特に
フィリピン
に対しましてはいち早く、御
承知
のように
日比賠償協定
を
締結
実施いたしておるのでございまして、この
賠償
の額はとてもほかの国には比較にならない額になっておるのもあらためて申し上げるまでもございません。この
賠償
が逐年実施いたされまして、戦争によりて荒廃したる
フィリピン
の国土の
建設
のために、必要なる
諸般
の資材あるいは
プラント等
の
輸出
が行なわれておるのでございまして、さらにまた先般は
賠償
を担保にいたしましての特別の
経済協力
の
関係
が、
マリキナ
・ダムの
建設
あるいは
通信施設等
の整備の面において
妥結
を見たことも御
承知
の
通り
であります。いわば
フィリピン
はわれわれの同胞の血を流し、さらにまたわれわれ
国民
の巨額なる
財政負担
を投じまして、これから伸びていくべき
隣国
であります。従ってこの
フィリピン
との
友好通商航海条約
を、先般私の親友である
湯川大使
が中心になりまして、長年苦労をいたしまして、めでたくこれを
妥結
に持っていったことに対しては、衷心私は敬意を表しておるのであります。願わくはすみやかにこの
条約案
につきまして御
審議
を進めていただきまして、その
承認
をしていただきたい、これが私の
質問
の眼目であることをまず第一に申し上げておく次第でございます。 さて本日は
外務政務次官
その他
関係
の
方々
がお
見え
でございますので、具体的に一、二の点をお伺いし申上げます。 まずお伺いいたしたいのは、
フィリピン
との
通商航海条約
の
締結
にあたりまして、非常に長い時間を要し、御苦労をなすったと思うのでございますが、その
経緯
につきまして大体のところを御
説明
いただきたいと存じます。
高野藤吉
3
○
高野説明員
お答え
申し上げます。
フィリピン
との間におきまして
平和条約
が効力を生じたのは、御
承知
の
通り
若干おくれまして、それは
賠償
問題でなかなか解決しなかったのでございますが、それが三十一年に
平和条約
が
発効
いたしました。しかし
フィリピン
の対
日感情
は非常に悪うございまして、政治的にもかつ
経済
的にもなかなか
関係
がうまくいきませんでした。しかし
日本
といたしましてはできるだけ早く
フィリピン
と
通商航海条約
を結びまして、
貿易
を正常の形に置くべくいろいろ
努力
いたしておったわけでございます。特に
入国
の問題につきまして
いろいろ話
をし、及び関税、
輸入制度
につきましてできるだけ好意的な取り扱いをするという暫定的な
話し合い
をいたしましたが、何にいたしましても正式の
通商航海条約
がございませんと、安心して
貿易
が伸長しないということで、
政府
といたしましても
昭和
三十四年正式に
通商条約
を結ぶことを提案いたしまして、いろいろ紆余曲折の結果、昨年の二月から正式に
交渉
を開始いたしまして、これも相当難航いたしましたのですが、両者の
妥協譲歩
によりまして、昨年の十二月ようやっと
署名調印
することになった次第であります。これを契機といたしまして
日本
といたしましては、非常に大きな
貿易額
、昨年におきましては
輸出
が八十万ドル、
輸入
が一億一千万ドルと相当の額に上っておりますが、この
通商航海条約
ができましたら、もっと画期的に
貿易
を伸ばしていきたいと考えております。
正示啓次郎
4
○正
示委員
ただいま大体のことを伺いましたが、私はずっと通観いたしますると、
準備段階
とも申すべき
賠償協定
あるいは
清算勘定方式
を現金、
キャッシュ方式
に切りかえ、あるいは
貿易書簡
の交換、
入国
、
滞在手続
の
簡素化
に関する暫定取りきめ、これらの一連のいわば
準備段階
がありまして、その後、今お話しのように、
交渉
の
段階
に入りまして以来実に足かけ五年、
正式交渉開始
以来まさに十カ月の長
期間
にわたりまして、大
へん
な御
努力
をしておられると思うのでありますが、われわれ
国会
に籍を置く者といたしましては、
日本
の
経済
が伸びていくためには
ほんとう
に
隣国
と有無相通じまして、それぞれの
経済
の発展をはかっていく、こういうことがいかに大切であるかということが、この
フィリピン
との
交渉
の歴史をちょっと一覧しただけでもよくわかると思うのであります。ただ
フィリピン
もいわゆる
独立
後日なお浅く、国内においては非常に
ナショナリズム
が強く、
国民
の
一つ
の、何といいますか、感情的なものになっておる面、さらにまた
日本
が戦時中にいろいろと現地において加えました損害その他の問題がございまして、これは
賠償協定等
によって逐次緩和されておりますけれ
ども
、なおなかなかむずかしい諸問題があったかにうかがわれるのであります。 そこでこの
交渉
中の
過程
におきまして、どういう問題がおもに出ておったかという点、これは今後われわれがこの
条約
を
承認
いたしまして、
フィリピン
との
通商関係
をますます緊密にする上においても、十分これは考慮していかなければならぬ問題だと思うのでありますが、
交渉
中に提起せられましたおもな問題特に将来配意すべき点につきまして御
説明
をいただきたいと存じます。
高野藤吉
5
○
高野説明員
フィリピン
との広い
意味
における
経済
問題の中には、
通商
、
貿易
の
関係
以外に、御
承知
の
賠償
問題、
経済協力
問題、それから
航空
の
関係
、船舶の
関係等
いろいろあるわけでございまして、
フィリピン
からは
賠償
の繰り上げないしは
経済協力
を
促進
してくれというような注文が
交渉
の
過程
でございました。しかしわが方といたしましては、ほかの国との
関係
もございますので、
賠償
の繰り上げ実施は不可能である。それから
経済協力
の
促進
ということは、この
通商条約
とは別のチャンネルで大いに
誠意
をもって話そうということになっております。 それから
航空
問題につきましては、
フィリピン
は強い
希望
を持っておりましたので、これは正式の
調印
後
一つ
話し合おうじゃないかということで一応話が済みまして、特にこの
通商条約
の
調印
に関して自主的に具体的に約束したという
経緯
はございます。
正示啓次郎
6
○正
示委員
今お述べになりましたほかに、たしかテリトリアル・ウオーターズ、いわゆる
比国水域
の問題、これは韓国その他との
関係
においても、きわめて重要な問題でありますが、こういう問題も提起されたかのごとくわれわれ仄聞いたしておりますが、こういう問題がどう処理されたか、この点をお伺いするとともに、お述べになりました
航空
の
関係
、この点について、本日
航空局
からも
政府委員
がお
見え
でございますから、まず今のいわゆる
水域
問題について
外務省
から御
説明
いただくとともに、
あと
で
航空局
から
航空協定
の問題についてお伺いしたいと思います。
高野藤吉
7
○
高野説明員
御
指摘
の
水域
問題も非常に大きな問題でございまして、
フィリピン
といたしましては、非常な広範囲の
水域
を自分の領域といたしたい、それを
条約
の中に織り込みたいという強い
希望
がございました。しかし
日本
といたしましては、
国際海洋法
の問題もございますし、
一般国際法
に背馳するような広い海域を二国間の
条約
で認め合うということは、
国際法
上も不可能でございますので、わが方といたしましては、
向こう
の非常な強い
希望
にもかかわらず、終始これは困るということで拒否いたしましたので、これは
向こう
もおりたという
格好
になっております。 それから、申しおくれましたが、
フィリピン
といたしましては、
入国
、
滞在
はある程度認めるけれど、
永住権
と申しますか、移民的な
関係
のことは、本
協定
とは
関係
ないという
向こう
の強い申し出がありまして、それはわが方といたしましても了承いたしたのであります。
航空関係
につきましては運輸省の方から。
今井榮文
8
○
今井
(栄)
政府委員
フィリピン
との
航空協定
につきましては、すでに
昭和
三十四年の三月二日に
両国
の間で
定期航空業務
についての暫定取りきめを行政的にいたしております。これによりまして
フィリピン航空
はマニラから
台北
を経まして
東京
へ、
日本航空
は
東京
から
台北
を経て
マニラヘ
というような
相互乗り入れ
についての一応の取りきめができております。しかしながら実際問題としましては、
フィリピン航空
もまだ現在は
東京
まで乗り入れておりませんし、
日本航空
も、
東南アジア路線
はまだ
フィリピン
の
マニラヘ
は寄っておらないという
状況
でございます。 なおその後の
状況
でございますが、今般の
通商航海条約
と関連いたしまして、
フィリピン側
としては
協定締結
についての強い
要望
を持っておりますので、近くその
要望
が具体化すれば、私
ども
としては
交渉
に入る、こういうふうに考えております。
正示啓次郎
9
○正
示委員
航空局長
の御
説明
の
通り
だと存じますが、これに関連して、きょうは大蔵省来ておりませんが、
外務省
から
お答え
いただけばけっこうですが、たしか
航空協定
とともに、先般
シンガポール自治
州について本
委員会
において御
審議
、決定をいただき、すでに本
会議
を通過いたしました、いわゆる二重
課税防止
の
条約
につきましても、私
ども
としては、一日も早く
シンガポール自治
州と同じように
締結
されることを
期待
いたしておるのですが、この点についてどういうことになっておりますか。
高野藤吉
10
○
高野説明員
二重
課税防止条約
も
通商
を伸ばす
意味
合いにおきまして非常に重要な点でございまして、この点もこの
条約
が
発効
いたしましたら、
フィリピン
との間に至急二重
課税防止条約
を結ぶように
話し合い
ができておる次第でございます。
正示啓次郎
11
○正
示委員
さて、いわば
経緯
とその
交渉過程
における主たる
問題点
をお伺いいたしましたが、今回の
通商航海条約
を拝見いたしますると、いわば
東南アジア
において、すでに
パキスタン
、インドですか、こういうものとは
わが国
は
締結
し、
承認
を受けておるわけであります。さっきるる御
説明
のありましたような背景の
もと
、
フィリピン
との今度のこの
条約
が、大体において
無条件最恵国待遇
を規定することを骨子としておるように
承知
をいたすのでありますが、最近また
ペルー等
とも
通商航海条約
の
締結
が行なわれ、これから冒頭申し上げたような非常に高い
見地
からの
輸出増進
の基本的な
政策
にのっとりまして、今後
東南アジア各国
は
もと
より広く
世界
の
各国
と
通商航海条約
の
締結
を進めていくことはきわめて大切なことだと思うのですが、この
フィリピン
との
無条件最恵国待遇
を基本とする今回の
条約
、これに対していわゆる内
国民待遇
を要求するような
やり方
、いろいろ
パターン
があるわけでありますが、今回の
フィリピン
との
関係
の
条約
が大体こういう
一つ
の型になりましたことは——これは先ほどのいろいろな事情によってわかると思うのですが、ほかの国との
関係
、いわば
先進国
との
通商航海条約
と、決して
後進国
とか
弱小国
とか私は申すわけではありませんが、今後
東南アジア各国
といろいろ
条約
をやっていく場合の
通商航海条約
の
一つ
の型といいますか、考え方といいますか、こういう点について
外務当局
はどういう態度をとっていかれようとするか、この点についてお伺いしたいと思います。
高野藤吉
12
○
高野説明員
外務省
といたしましては
輸出振興
、
増進
のためにできるだけ
各国
と
通商航海条約
を結んでいきたい。今
国会
におきましても、
パキスタン
それからキューバと御
審議
願いまして御
承認
いただいた次第でございます。そして現在なお
インドネシア
、
アルゼンチン
とは具体的に
交渉
中でございます。
通商航海条約
の
パターン
といたしましては、
フィリピン
との
条約
が簡単でありますが、大体必要な事項は盛ってございまして、一応の
パターン
と考えている次第でございます。もっとも
パキスタン
とか
ペルー
の場合には
海運条項
が抜けております。しかし
フィリピン
の場合には若干不十分の点がありますが
海運条項
も載っておりますので、この
パターン
で
東南アジア
の
各国
ともやっていきたい。具体的には現在
インドネシア
、
アルゼンチン
ほどには進捗しておりませんが、イラン、
エジプト等
も考えている次第でございます。
正示啓次郎
13
○正
示委員
そこで今度は具体的に、この
条約
が
発効
になりましてのいわば
日比通商貿易
の
増進
に与える利益、こういう点を少しお伺いをしたいと思うのですが、実はさっき申し上げたように昨日
予算委員会
で
日本社会党
の
委員
の方がいろいろ御
質問
になっておりました。私も大
へん参考
になりまして、伺った
あと社会党
の方ともお話をした。現にさっき申し上げた
昭和
三十三年でございますか、
入国滞在手続
の
簡素化
に関する暫定取りきめというような一応の取りきめがございまして、
日本
の
商社
の
方々
が
フィリピン
にお入りになる、そうして大
へん
いろいろ不自由をしておられるということ、これは
外務当局
もお詳しいと思うのです。その不自由な諸
条件
の
もと
に大
へんいろいろやりくり
をしながら、とにかく
フィリピン
との
貿易
は、ここに資料をいただいておりますが、一九六〇年
世界主要国
との
貿易
のうちで
米国
をトップにいたしまして
フィリピン
は香港の次の六番目という大
へん
大切なランキングになっております。
わが国
への
輸入額
が一億一千三百六十三万四千ドルというきわめて大きな金額を占めておるわけであります。
商社
その他
貿易従事者
の御苦労まことに察するに余りあるわけであります。そこで、これは今までどういうふうになっておって、今回この
条約発効
になるとそれがどうなるか、この点を具体的に御
説明
をしていただきたいと思います。
高野藤吉
14
○
高野説明員
先ほど申し上げましたように
入国滞在
は暫定取りきめで一応ある程度確保されておりましたが、
人数
が
制限
され、
期間
がたしか六カ月ということで再延長することになっておりましたが、今度の
条約
が
発効
いたしますれば
人数
の
制限
はもちろんございませんので、
商社
の
方々
も自由に
入国滞在
ができ、また
事業活動
もできるということになりまして、
貿易
の伸長のためには非常に
期待
ができるのではないかと考えておるわけであります。
正示啓次郎
15
○正
示委員
たしか従来は三百五十名を限度にして、延長を認めても一年、こういうことになっているために一年で交代するということになると
あと
がよくわからない。特定の
商社
においてはやむを得ず無理をしてよけいに一人出しておいて、オーバーラップする
期間
は短いでしょうが、ちゃんと
事務引き継ぎ
を受けて次の人にバトン・タッチするという大
へん
にむだをやっておるのだということを聞いておるのであります。それが今度三年になってその点が非常に緩和される、こういうことになると思うのであります。 それからまた
フィリピン
の
ナショナリズム
の問題のほかに、たとえば
小売商業
というようなものについては、従来いわゆる華僑との
関係等
で大
へん
きびしい
制限
があるやに伺っておりますが、そういう問題があるとともに、何と申しましても、
日本
にとってこれは非常に友邦でございますけれ
ども
、商売の上で仮借なき
競争相手
はアメリカだと思う。
フィリピン
と
米国
との歴史的な
関係
というものを考えましても、今後
フィリピン
は、先ほど申し上げたようにわれわれとしてはかけがえのない大
へん
な犠性を払ってこれから確保していかなければならない市場でありまするが、一方
米国
の
フィリピン
における。プライオリティといいますか、諸
条件
において
日本
より有利な点もまた見のがすことはできないと思う。そういうバックグラウンドの
もと
ケネディ新政権のいわゆる
輸出
ドライヴ、これが大いに行なわれておる最中であるわけであります。われわれ
日本国民
としてはじっとしておれない。きょうは
ほんとう
に
友党
の
皆さん方
にもそういう私の心情をぜひおくみ取り願いたい。
相手
はまさに燃えんばかりの熱情を傾けて
フィリピン
の
マーケット確保
に努めておるわけであります。そこで今私が一、二あげた問題のほかに、たとえば今後
商社
が
向こう
に
支店
を設置していろいろやるとか、あるいは
合弁事業
を行なうとかいうふうな場合、現在とこの
条約発効
後とでどういうことになりましょうか。この点を
一つ通産省
から具体的にお伺いしたいと思います。
瓜生復男
16
○
瓜生説明員
二国間の
貿易
を
促進
していく中心的な
基礎
になりますのは、やはりお互いの国に
滞在
しております
商社
の
駐在員たち
でございまして、それらの
活動
が阻害されたり、あるいは不安な
状態
に置かれますと、どうしても
貿易
の
促進
というものは阻害されるわけでございます。今回この
通商航海条約
によりまして、実際上の
待遇
もよくなりました上に、その
待遇
が非常に安定した
基礎
の上に置かれるということになりますれば、
駐在員
は非常に安心して
活動
ができる、そういう
意味
で、直ちに即効を求めることは無理かもしれませんけれ
ども
、必ずや
両国
の
貿易
の拡大、ことに
日本
からの
輸出
という面において非常にいい効果をもたらすと信じております。また
事業活動
の面におきまして、従来は
支店設置
それから
比国
内での
事業活動
についても、
本邦商社
は
第三国商社
と同様の
待遇
を受けることは確保されるわけでございまして、その
意味
におきまして
第三国
の
競争相手
と対等の立場に立って
競争
ができるということになるわけでございます。しかもそれが非常に安定した
基礎
の上に立ってできるという
意味
におきまして、これまた
両国
の
経済関係
の
増進
、わが方から言いますればわが方の
経済的進出
、
輸出
の
増進
ということに非常に役立つと信じております。
正示啓次郎
17
○正
示委員
合弁事業
はどうですか。
高野藤吉
18
○
高野説明員
今までは、
合弁事業
は
日比
間で
日本
としてはできなかったわけでありますが、この
条約
ができますと、大体
向こう
が六こちらが四という比率で
合弁事業
ができるようになります。
正示啓次郎
19
○正
示委員
フィリピン
はこの
条約
の
交渉
にあたりまして、
ガルシア大統領
の
もと
、
向こう
の
全権団
をいろいろ
苦心
をして作られたということでございますが、この
全権団
の
顔ぶれ
を見ますと、前
下院議長
ですかを首席といたしまして、非常に多方面の
方々
を選んでおられる。ここに私は、やはり
フィリピン
が
新興独立国家
として
日本
との今度の初めての
通商航海条約
でありますが、これに対する非常な
苦心
が
向こう
にもなされておったということがよく読み取れると思うのであります。特に
顔ぶれ
の中にいわゆる
野党
の
方々
も一緒に入っておられまして、いわば超党派で
日本
との今回の初めての
条約
を進められたという点は、きわめて意義深いものがあると思うのであります。そこでお伺いいたしますのは、たしかこの秋というよりは十一月ですから冬ですか、
大統領選挙
が予定されておるわけであります。そういうときに、
フィリピン
としてはこの
条約
をこれからどう扱おうとしておるか、これについてまず
外務省
からお伺いいたしたいと思います。
高野藤吉
20
○
高野説明員
お説の
通り
、
フィリピン
の今度の
交渉団
は各方面の
有力者
を集めまして、非常な大規模と申しますか大きな
交渉団
でございまして、それからも
フィリピン側
の熱意のほどが知られると思います。そこでこの
条約
の
フィリピン
における
批准
の模様でございますが、
フィリピン
の
国会
は一月に始まりまして今月の中ごろに大体終わっておる次第でございまして、この
批准
は来年一月から始まる来
国会
になるかと存じます。その上
大統領選挙
がこの十一月にございまして、その
選挙
が終わった
あと
で来
国会
でやるという
格好
でございます。
日本
といたしまして、数年来
フィリピン
と
通商関係
を正常の
もと
に置きたいということで当方から非常に慫慂した点もございまして、
日本
が先に
批准
をやるということは、
日本
の
誠意
と
努力
が
相手
に認められると同時に、
フィリピン
内においても、最近は非常に好転しておるやに聞いておりますが、いろいろ意見もございますので、
日本
が長い
間苦心
をして
署名調印
を終わったこの
条約
を早く
国会
の御
承認
を得るということは、
相手
に対して非常にいい結果を与えるのじゃないかと考えておる次第でございます。
正示啓次郎
21
○正
示委員
今
お答え
になった点にすでに入っておりますが、十一月の
大統領選挙
の結果はわれわれは予測つかないのでありますけれ
ども
、いずれにしてもさっき申し上げたようなラウレル前
下院議長等
いわゆる
与党
、それから
野党
、ナショナリスタ、リベラルですか、こういうそれぞれの党の代表も入っておるわけでありますから、
フィリピン
としてはいかなる
状態
の
もと
においても、来年の
国会
において早々これは
批准
されることをわれわれとしては
期待
をしておる、こういうことだと思うのであります。そこで、この機会に
日本
がいち早くこれを
批准
をする、これが今
お答え
のように非常にいい結果を与える、こういうことだと思うのです。これはほかにもいろいろの例があったと思うのですが、大体そういうことが
一般
に定石的な
やり方
であるのか、私は、特に
フィリピン
との
関係
においては先ほど来るる申し上げたように、これは一日も早く
わが国
として
批准
すべきだ、こう思っておりますけれ
ども
、この点
外交
の
慣例等
から申してもしかるべきものであるかどうか、こういう点について重ねて御
説明
伺いまして、私の
質問
を終わる次第であります。
高野藤吉
22
○
高野説明員
本
国会
で御
承認
をいただきましたキューバ及び
パキスタン
の例をとりますと、キューバは昨年
署名調印
いたしましてたしか四月でございましたが、五月キューバにおきましてはすでにもう
批准
をいたしておる。それから
パキスタン
におきましても、いち早く国内手続を了しているわけでございまして、
外交
上と申しますか、
各国
における
批准
の手続ないしは
国会
の会期及びそのときにおける国内の政治情勢等によりまして、この
国会
の御
承認
は必ずしも軌を一にしない場合が多いのでございます。一応
署名調印
いたしましたら、できるだけ早く、
各国
が一番早い
国会
において御
承認
をいただくというのが国際慣行になっております。またそれが国際礼儀でもあろうかと存じます。 ————◇—————
堀内一雄
23
○
堀内
委員長
次に、
日本国
と
ブラジル合衆国
との間の
文化協定
の
締結
について
承認
を求めるの件を議題とし、質疑を行ないます。
戸叶
里子君。
戸叶里子
24
○
戸叶
委員
ただいま議題になりました
文化協定
は、
日本
が戦後
締結
したいろいろの
文化協定
と大体同じようなものと思いますので、私は多くを
質問
いたしませんが、ただ二点だけお伺いしたいと思います。 その第一点は、ブラジル
協定
というのが
昭和
十五年に署名された
協定
を
昭和
二十八年に引き続いて受け、さらに三十二年に改正したということになっておりますが、ずいぶん前に結んだ
協定
でありますが、ほかの
文化協定
よりもおそらく非常に古い歴史を持っておるのじゃないかと思います。そこでこの
協定
が古くから結ばれているということによって、ほかの国と比べて文化的に特にこういう
関係
があるというようなすぐれた面があったら、それを御
指摘
願ひたいと思います。
高橋明
25
○高橋
説明
員 御
承知
のように、
わが国
が現在結んでおります
文化協定
は、ブラジルを除きましていずれも戦後新しく結んだものでございます。ブラジルにつきましては、戦前に
締結
しておりました
文化協定
が戦後
平和条約
の条項によりましてブラジル国
政府
からその復活を
希望
して参りました、その通告がございまして、有効になって現在存続しておる。戦前
わが国
はブラジルのほかにも、たとえばドイツとかイタリアとかタイ国とかいうような諸国と
文化協定
を結んでおったわけでございますが、これが戦争の影響によりましていずれも失効した形になりました。その効力が復活されまして存続したのがブラジルとの
文化協定
一つ
、こういうことになっておるわけであります。
戸叶里子
26
○
戸叶
委員
私はそのことは提案理由にも書いてあってわかっているのですけれ
ども
、そういうふうに古くから結んでいる
文化協定
でありますから、何か特にほかの国と比べて文化的にブラジルとの間にこういうふうなすぐれた面があるということがあるかどうかということを御
指摘
願いたいと思うわけです。
高橋明
27
○高橋
説明
員
お答え
申し上げます。 私の申し上げました言葉が足りないようでございましたが、特に
文化協定
は大体
各国
とも同じような
パターン
になっておりまして、特にブラジルとの戦前の
協定
が非常に特色的なものであるということはございません。ただ、今般新しく
交渉
いたしまして
締結
いたしましたものは——何分にも戦前のもので、戦後は大体同じような、相当具体的な取りきめを盛りまして、たとえば混合
委員会
の設置というな条項を盛り込んだ
一つ
のフォームがございますが、先方側からこれは最近の新しい形にいたしたいという
希望
に基づきまして、現在御
審議
をお願いいたしております
協定
の
締結
をいたしたわけでございます。特にそれだからと申しまして、戦前に特色的なものがあったというわけではございません。
戸叶里子
28
○
戸叶
委員
文化協定
を古くから結んでいるけれ
ども
、大して実績はない。それから
文化協定
の
パターン
というものはどこの国と結んでも大体同じようなものだ、こういうふうなことはこれの
説明
を読めばわかることでありまして、ただいまの御答弁の中から、この
協定
が古くからあったために
日本
とブラジルの間の文化交流はこうであったという実績が示されなかったことは、私はまことに残念だと思っております。ただそこで考えられますことは、この間
審議
をいたしました
日本国
とグレート・ブリテンとの間の
文化協定
の際にも明らかにされたところでございますけれ
ども
、
文化協定
を結んでいろいろな約束をしても、予算の面とかいろいろな面でそれが実施する上にあたって非常な暗礁に乗り上げているというようなことも
説明
されたわけでございまして、せっかく
各国
とこうやって
文化協定
を結んでいくとするならば、十分にその実績を上げるような内容といいますか、実績を上げるような方途をお考えになっていただきたい、ただ
協定
を結ぶだけに終わらないようにしていただきたい、こういうことをこの際強く
要望
いたしておきます。
堀内一雄
29
○
堀内
委員長
他に御質疑はありませんか。——御質疑がないようでありますから、事件に対する質疑はこれにて終了いたしました。
—————————————
堀内一雄
30
○
堀内
委員長
これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決をいたします。
日本国
と
ブラジル合衆国
との間の
文化協定
の
締結
について
承認
を求めるの件、事件を
承認
すべきものと議決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
堀内一雄
31
○
堀内
委員長
御異議なしと認めます。よって本件は
承認
すべきものと決しました。 なお本件に関する報告書の作成につきましては
委員長
に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
堀内一雄
32
○
堀内
委員長
御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。
—————————————
堀内一雄
33
○
堀内
委員長
次に、
航空業務
に関する
日本国
とベルギーとの間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件及び
航空業務
に関する
日本国
と
ドイツ連邦共和国
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件、右両件を一括議題とし、質疑を行ないます。
戸叶
里子君。
戸叶里子
34
○
戸叶
委員
航空局
の方来ていらっしゃいますか。——この際
航空局
の方から一点だけ伺っておきたいことは、
日本
の国際線の現状と今後の見通しがどういうふうになっているかを御
説明
願いたいと思います。
今井榮文
35
○
今井
(栄)
政府委員
簡単に御
説明
いたします。
日本
の国際線の現状でありますが、まず
日本航空
の国際路線の運営につきましては、現在御
承知
のように
日本航空
は主として太平洋線並びに
東南アジア
の二路線を運営いたしております。太平洋線につきましては、
東京
からアメリカの西海岸の三ゲート、つまりシアトル、ロスアンゼルス、サンフランシスコ、この三ゲートにそれぞれ定期に運航いたしております。それからなお南につきましては、
東京
から沖繩、
台北
、香港、シンガポールというふうな方面に路線を運営いたしております。
日本航空
の今後の計画といたしましては、従来の太平洋線並びに
東南アジア
線をさらにヨーロッパに乗り入れるということで、昨年ドイツ並びに英国との間に
協定
の
交渉
を行ないまして、ことしの六月から
日本航空
はアンカレッジ、コペンハーゲンを経由いたしまして、ロンドン、パリに北極線を開設する計画を進めております。なお南回りの欧州線につきましては、現在香港、シンガポールまでいっております路線をインド、
パキスタン
、アラブ連合を経由いたしまして、ローマからドイツに入りまして、ドイツからパリ、ロンドン、こういうふうな南回りの路線の開設を来年に予定いたしております。それからなお最近アメリカ側との間に
交渉
開始の話がまとまりまして、これができますれば、将来、
日本航空
の現在太平洋の西岸にいっております路線をニューヨークからさらにその以遠に延ばして、大西洋を経てロンドンに行く、将来南回りのインド洋経由の欧州線と接続いたしまして、年来の念願でございます
世界
一周線を完成する、こういうふうな計画であるわけでございます。
戸叶里子
36
○
戸叶
委員
ただいま御
説明
にありましたように、来年に
航空
路線をふやし、また今回この
協定
を結ぶことによって、ドイツなりベルギーなり、
日本
に
航空
機が入れるようにするわけでございますね。そうしますと、韓国との間の
航空協定
というものは結ばれていないと思うのですけれ
ども
、この
関係
はどうなっているのですか。
今井榮文
37
○
今井
(栄)
政府委員
協定
の
締結
そのものにつきましては、
外務省
の所管でございますが、
航空局
といたしましての考えを申し上げますと、韓国につきましては、現在御
承知
のように
東京
と韓国を結ぶ、あるいは
日本
と韓国を結ぶ路線につきましては、アメリカのノースウエスト、台湾のキャット、この二路線が
東京
−京城路線をやっております。韓国の方でもしばしば民間
航空
に関する
関係
者が
東京
へ参りまして、できるだけ早い機会に日韓
航空
路線を開きたいという強い
希望
をいって参っておりますし、私
ども
といたしましても、特に
両国
の従来からの緊密な
関係
からいたしましても、できるだけ早い機会に韓国との間に
航空
路線を開きたい、こういうふうな考えでおるわけでございます。従いまして、今度政変がございまして、その後どういうふうな
状況
になるか、私
ども
存じ上げませんが、できるだけ早い機会に韓国との間に
航空
路線を開きたい、かように考えております。
戸叶里子
38
○
戸叶
委員
韓国との間に
航空
路線を開きたいかどうか、そういうことまで私は伺ったわけではないのですけれ
ども
、そうしますと、韓国からの飛行機が毎日
日本
に入っているわけですね。それはアメリカと
日本
との間で契約しておいて、そうして韓国から入ってくることになっておるのでしょうか、その間の事情はどうなっているのでしょうか。
今井榮文
39
○
今井
(栄)
政府委員
ノースウエストの
関係
についていいますと、ノースウエストは日米
航空協定
の中で、
東京
並びに
東京
以遠という権利を持っているわけでございます。従って、
東京
以遠権の中で京城に着陸しておる。韓国から
東京
へくる路線につきましては、韓国とアメリカとの
協定
におきまして、ノースウエストの
東京
への路線を認めておる、こういうわけです。
堀内一雄
40
○
堀内
委員長
川上貫一君。
川上貫一
41
○川上
委員
私の
質問
は簡単ですし、なお
航空業務
については全くのしろうとでありますから、事務的なことでちょっとお聞きしておきたいだけなんです。 この
協定
の第二条の(b)項「運輸以外の目的で自国の領域に着陸する権利」この「運輸以外の目的で」という範囲を聞かしてもらいたい。
東郷文彦
42
○東郷
説明
員 「運輸以外の目的で」という言葉は英語でいうとテクニカル・ランディングというので、修繕とか補給とかそういうお客ないし荷物の積みおろしに
関係
ない技術上の理由による着陸ということでございます。
川上貫一
43
○川上
委員
ちょっとわからぬのですが、具体的にはどういうことですか。
東郷文彦
44
○東郷
説明
員 最もいい例は給油でございます。あるいは修理とかそういう商売に
関係
のない着陸でございます。
川上貫一
45
○川上
委員
そうすると「運輸以外の目的」の中には、軍事的要務を帯びる輸送、着陸は全部加わっておらぬということになるでしょうか。
東郷文彦
46
○東郷
説明
員 この
協定
自体が民間
航空業務
に関する規定でございまして、軍用機はここでは扱っておらないわけでございます。
川上貫一
47
○川上
委員
軍用機のことを聞いておるのではないのです。民間機です。民間機が軍の要務、並びに軍需品がありますから、こういうものの運搬輸送、これはどうなるかということです。
東郷文彦
48
○東郷
説明
員 かりに軍が全く商業ベースで民間
航空
会社の飛行機を使って送るという場合には、この
協定
の範囲内で積荷を運んでおる飛行機はこの
協定
の規定に服するわけですが、たとえば、多くの場合そうだろうと思いますが、軍が民間機をチャーターしたというような場合には、この
協定
からはずれて参ります。
川上貫一
49
○川上
委員
軍がチャーターして軍用機になってしまえばこの
協定
は適用ないと思うのですが、民間
航空
であって、それで軍の要務を帯びて、そして商業ベースで軍需品に類するものを送るのではなくて、事実上は軍の要務で仮定ですけれ
ども
、民間
航空
機で軍需品を戦地に送った場合はどうなるのですか。
東郷文彦
50
○東郷
説明
員 この
協定
で扱っておりますのは、先ほど民間
航空
と申しましたのは、民間
航空
の中でも特に定期
航空
の
相互乗り入れ
の問題を扱っておるわけでございますので、実際問題として、先ほど私申しましたように軍が民間
航空
で軍需品を送る、また定期民間
航空
を利用して物を送るという場合にはこれが適用になりますが、そうしたことからむずかしい問題が起こるということはないのじゃないかと思うのですが……。
川上貫一
51
○川上
委員
あなたが思われるのはどう思われてもいいが、実際そういうことがある場合にはこの
協定
の範囲外であって、この
協定
では認めぬということになるでしょう。
東郷文彦
52
○東郷
説明
員 そういう場合には、むしろ今度積荷が飛行機によってかりにある国に入る。その入ること自体の問題でございまして、この
協定
の問題にはならぬと思います。
川上貫一
53
○川上
委員
そうじゃないのです。この
協定
で民間機は入る権利を持って入ります。この飛行機が商業ベースによって軍需品を運送するというのではなくて、軍の目的をもって軍需品を輸送することができるかどうかということなんです。
今井榮文
54
○
今井
(栄)
政府委員
軍の目的をもって軍需品を輸送することはできない建前になっております。
川上貫一
55
○川上
委員
そういうことをしておるかしておらぬか、どこで調べるのですか。
東郷文彦
56
○東郷
説明
員 結局実際の物の
輸出
入になりますが、その場合には
輸出
入自体の規制の問題がほかにあり得るわけでございます。それで実際ある民間
航空
機がそういうことをやったかどうかというのは、その場合の事実問題になると思います。その結果
輸出
入の
関係
の規則に反するとか、あるいは定期民間
航空
が民間
航空
でないことをやっておるということになれば、おのずからこの
協定
の問題から離れてくるわけであります。
川上貫一
57
○川上
委員
それではちょっとわからぬのです。
航空
法第百二十八条で軍需品を輸送することはならぬことになっておりますから、この
協定
の中での
航空
で軍需品を運送してはならぬ。もちろんこれがさっき言いましたように、商業ベースで、それに軍需品あるいは軍需品に類するものがある場合、その運搬はできるだろうと思うのです。しかし軍の目的をもって軍需品を輸送するということになるとできないとあなた言われたと思うのです。しかしそれがたとえば
協定
あるいは許可によって、この民間
航空
機がアメリカの基地を使うておる場合があるでしょう。こういう場合はないのですか。アメリカの基地に着陸する、ここから出るということはないのですか、ありますか。
東郷文彦
58
○東郷
説明
員 足りないところは
あと
で
航空局長
から補足していただきますが、たとえば羽田空港の返還以前は、羽田空港は軍との取りきめによって……。
川上貫一
59
○川上
委員
いや、現在……。
東郷文彦
60
○東郷
説明
員 現在は民間
航空
機が軍の施設を使っているということはございません。ただお天気の
関係
その他で、予定した、たとえば羽田に着けない場合には、補助着陸地を指定するということにたしかなっておると思いますが、そういう場合に軍の飛行場を指定することはあるかと思います。しかし実際定期
航空
が定期に使っておるということはございません。
川上貫一
61
○川上
委員
ちょっとはっきり聞いておきたいのですが、運輸省
関係
でいいです。そうしますと、この
協定
で——これはベルギーがどうとか西ドイツがどうとかいう
意味
じゃない、仮定の問題並びに仮定以外の問題にもなると思いますが、現在の
協定
によって外国の
航空
機が
日本
の領土に発着しておる。その中にはアメリカ軍事基地を使うておる
航空
路というのはないのですか。
今井榮文
62
○
今井
(栄)
政府委員
航空
路につきましては、軍用機も民間機もすべて同一の
航空
路を使用して、一定の管制を受けて入ってきておるわけでございますが、着陸する飛行場につきましては、こちらが提供いたしております。米軍の飛行場もございますし、それから国際
航空
に従事する
航空
機のみの発着する
東京
国際空港のようなものもございます。従いまして、横田基地あるいは立川基地というようなところは、主として米軍の軍用機が離着陸いたしておるのであります。
川上貫一
63
○川上
委員
立川基地、横田基地は現在
協定
による外国の飛行機が使うておるんですな。
今井榮文
64
○
今井
(栄)
政府委員
協定
による外国の定期
航空
に従事する民間
航空
機の使用する飛行場は、使用するときにはっきりきめておりまして、現在
協定
によって権利を与えられたところは
東京
国際空港あるいは大阪国際空港、こういうふうになっておりまして、ただ天候その他の
関係
で
東京
、大阪等に着けない場合には、オルタネート空港として、たとえば横田を使うとか三沢を使うとか、あるいは小牧におりるというふうな、飛行機の安全のための予備空港というものを指定しております。
川上貫一
65
○川上
委員
そうすれば、たとえば横田の飛行場を継続的に使って
協定
による
航空
機が動いておることはない、こう解釈していいですか。
今井榮文
66
○
今井
(栄)
政府委員
その
通り
でございます。
川上貫一
67
○川上
委員
次にちょっと聞きますが、軍需品を送ってはならぬということになっておるときに——まあ送りはせぬだろうと思うというのですが、たとえば羽田を使った場合でも、もしくは今の天候その他の場合によればアメリカのあれを使うということになるのですが、その時分に軍需品を輸送するかせぬかということを調べるのはどこですか。
今井榮文
68
○
今井
(栄)
政府委員
これは
輸出
入品の取り調べになりますから、関税
関係
でございますので、税関が主管しておると思います。
川上貫一
69
○川上
委員
アメリカの基地から立ったり、そこへ着陸したりする時分はどこで調べるのですか。
今井榮文
70
○
今井
(栄)
政府委員
民間機が軍用基地におりて、そこで貨物の積みおろしをすることは全然ございません。民間機が、たとえば
東京
の羽田が霧のためにおりられないということで横田基地あるいは三沢基地に不時着するというような場合、三沢で荷物をおろすということは全然ございません。これは先ほど東郷参
事官
から御
説明
がありましたようなテクニカル・ランディング、つまり技術着陸でございまして、そういうところで荷物をおろすことは禁ぜられております。必ずそこを飛び立って
東京
国際空港で荷物をおろして検査を受ける、こういうことになっております。
川上貫一
71
○川上
委員
だいぶわかりましたが、念のために聞いておきます。たとえば羽田が
航空
路になっておる。それで天候その他の
関係
でやむを得ずアメリカの基地を使う場合がある。これ以外に、初めからたとえば韓国なら韓国——韓国は
協定
がないとおっしゃるのですが、あると仮定しまして、韓国以外でもよろしい、
協定
のある国でもけっこうですが、そこで初めから目的的に横田、立川を使うという、これは全然ないのですか、あるのですか。
今井榮文
72
○
今井
(栄)
政府委員
民間
航空
機に関する限り全然ございません。
川上貫一
73
○川上
委員
わかりました。 もう
一つ
だけ聞いておきます。そうすると、
期間
はかまいませんが、外国の民間
航空
機で
日本
に出入、発着しておるものが特にアジアだけでよろしいが、一カ月にどのくらいか、一週間にどのくらいかという数字はおよそわかりますか。
今井榮文
74
○
今井
(栄)
政府委員
ただいま詳細な資料を持ち合わせておりませんので、資料で提出いたしたいと思います。
川上貫一
75
○川上
委員
およそでいいです。
今井榮文
76
○
今井
(栄)
政府委員
お答え
申し上げます。現在会社別に申し上げますと、パン・アメリカンが十便、ノースウエストが十二便、BOACが九便、CPAが三便、エール・フランスが五便、KLMが四便、 スカンジナヴィアが四便、スイス
航空
が二便、インド国際
航空
が二便、カンタス、濠州が二便、それにイギリスのキャセイ・パシフィックが三便、タイ国際
航空
が三便、CATこれは台湾の
航空
機ですがこれが四便、それからドイツのルフトハンザがことしの二月から二便入っておりまして、
日本航空
は
東京
を基地として一週間二十便入っております。これを全部総合いたしますと大体国際線で
日本
に入ってきております
航空
機は、約一週間七十便ということになっております。
川上貫一
77
○川上
委員
もう
一つ
だけ聞きますが、今お話がありましたが台湾の方の営業
航空
路はどうなっておりますか。
今井榮文
78
○
今井
(栄)
政府委員
台湾の
航空
会社は御
承知
のようにキャットと申すのでありますが、これは現在
台北
から沖繩の那覇を経由いたしまして
東京
に参っております。
川上貫一
79
○川上
委員
東京
のどこです。
今井榮文
80
○
今井
(栄)
政府委員
東京
の羽田でございます。羽田以外には入っておりません。これがキャットで、先ほど申しましたように京城まで行っております。ですから台湾の
航空
機は
台北
を出まして那覇に参りまして、
東京
国際空港からソウルに行っておる、こういうことでございます。
川上貫一
81
○川上
委員
もう
一つ
だけ。民間機は立川並びに横田の飛行場においては、過去三カ月間に何回ぐらい使用されておりますか。
今井榮文
82
○
今井
(栄)
政府委員
民間機はおそらくないと思います。
川上貫一
83
○川上
委員
おそらくですか、絶対ですか。
今井榮文
84
○
今井
(栄)
政府委員
絶対ないと思います。これは天候の
関係
以外にはそういう飛行場は使えませんし、この数カ月間において羽田がクローズされたというケースは記憶しておりません。
川上貫一
85
○川上
委員
それで、これは今すぐと言うたら無理と思いますから、
あと
で過去三カ月間に絶対にないか、一回か二回あるか、それを聞きますから、調べて下さい。
戸叶里子
86
○
戸叶
委員
ちょっと関連。韓国に入っておるのはキャットだけですか。
今井榮文
87
○
今井
(栄)
政府委員
ノースウエストもそうです。
戸叶里子
88
○
戸叶
委員
わかりました。
堀内一雄
89
○
堀内
委員長
他に御質疑はありませんか——御質疑はないようでありますから、本件に対する質疑はこれにて終了いたしました。
—————————————
堀内一雄
90
○
堀内
委員長
これより討論に入るのでありますが。別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
航空業務
に関する
日本国
とベルギーとの間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件及び
航空業務
に関する
日本国
と
ドイツ連邦共和国
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件、右両件を
承認
すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
堀内一雄
91
○
堀内
委員長
起立多数。よって、右両件はいずれも
承認
すべきものと決しました。 なお、両件に関する報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
堀内一雄
92
○
堀内
委員長
御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時十五分散会 ————◇—————