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1960-12-22 第37回国会 衆議院 法務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十二月二十二日(木曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員    委員長 池田 清志君    理事 田中伊三次君 理事 馬場 元治君    理事 林   博君 理事 牧野 寛索君    理事 山口六郎次君 理事 井伊 誠一君    理事 坂本 泰良君       上村千一郎君    浦野 幸男君       岸本 義廣君    小島 徹三君       田原 春次君    坪野 米男君       畑   和君    三宅 正一君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君  委員外出席者         警 視 総 監 小倉  謙君         警  視  長         (警視庁公安部         長)      石岡  實君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政及び検察行政に関する件      ————◇—————
  2. 池田清志

    池田委員長 これより会議を開きます。  法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。  発言の通告があります。順次これを許します。坂本泰良君。
  3. 坂本泰良

    坂本委員 本日は、浅沼事件の問題について、検察行政並びに警察行政関連しましてお尋ねいたしたいと思いますが、まず法務大臣、見えておりませんが、刑事局長が見えておりますから、お聞きいたしたいのは、去る十一月十八日に浅沼事件捜査結果を、検察庁並び警視庁の方で公表になったわけであります。その公表によりますと、いろいろありますが、お尋ねいたしたい第一点は、その公表の中に四として、これは浅沼事件のことですが、この事件関連して大日本愛国党、全アジア反共青年連盟など、右翼団体資金源調査した。この結果、これらの団体三業地一流会社などから資金を出していることを突きとめた。内容は、関係者のうちに総選挙に立候補しているものもあり公表できない。しかし国会質問があれば内容を明らかにするだけの資料はそろっておる、こういう発表があったわけであります。これは東京地検公安部からの発表だと聞いておりますが、すでに選挙も終わりましたから、この問題は国民がひとしく注視いたしておるところでありますから、すでにもう十一月十八日にその資料がそろっておる、こういうことでありますから、まず第一にその資料がどういうものであるか、さらに三業地並びに一流会社とあり、総選挙に立候補しているものもある、こういうふうに発表されておりますから、まず第一にその氏名、さらにその資料についてお伺いしたいと思います。
  4. 竹内壽平

    竹内政府委員 ただいまの御質問お答えを申し上げる前に、一言御了解を仰いでおかなければならないと思いますのは、御指摘の十一月十八日のいわゆる地検発表と言われるものでございますが、この新聞記事は、いわゆる正式の発表ではございませんで、東京地検の係官が新聞記者方々といろいろ捜査に関してお話をしておる間に、記者の方でいろいろ聞きただされた結果を総合して、ああいう記事になったのであるということでございまして、まずいわゆる正式の発表ではないということを御了解願いたいと思います。  それから正式の発表をすべきかどうかという点につきましては、御指摘のように、本問題はきわめて重大な案件でありまして、国民はひとしくその捜査の結果に期待をいたしておるのでございます。     〔委員長退席林委員長代理着席〕  従って捜査上許されます範囲におきましてできるだけ詳細にこの議場を拝借してお答えを申し上げることは、私どもの責務だと考えております。しかしあの事件新聞に報道されておりますところと事実はかなり違っておるのでございまして、東京地検当局につきまして事情を聞いてみますと、まだ捜査を継続しておるのでございます。私は、これは当然だと思いますが、捜査を継続しておるのでございまして、若干の事項につきましては、もちろんお答えは申し上げることはできますが、特に資金関係につきましては、的確にまだ申し上げる段階に至っていないのでございます。と申しますのは、調べの結果、関係者の供述とか、あるいは押収しました帳簿等によって、いろいろ金動き方はわかるのでございますけれども、提供した方の側が、これを資金として提供したかどうかにつきましては、必ずしも明確でないのでございまして、その資金動き方それ自身に犯罪がひそんでおるやにうかがわれるのでございます。そこでこの関係につきましては、あの新聞報道はさように出ておりますけれども、まだ私どもとしては詳しく御報告申し上げる段階ではない、かように考えておるような次第でございまして、御了承願いたいと思います。
  5. 坂本泰良

    坂本委員 刑事局長の今の御答弁を聞きますと、捜査段階にあるということですが、しかしながら逮捕されておるのも大体全部釈放されておるし、もうすでに十一月の十八日ごろ捜査は終わったのじゃないか、こういうふうに考えられるのです。もうすでに一カ月以上たっておるわけです。それを捜査関係だといって公表されないと、ますます国民の疑いを深めるばかりだ、こういうふうに考えられるわけです。そういうような見地からして、わかった範囲内だけでも——もちろん資金動き方については最終段階までいっていないにしても、やはりどこからどれだけの金が右翼関係団体に出ておるというようなことは発表できると思うのです。そういう点で、一カ月以上たった今日において何も発表されないというのはわれわれ納得できないわけですが、その点いかがですか。
  6. 竹内壽平

    竹内政府委員 なるほど事件が発生いたしましてから一カ月以上たっておるのでございますけれども、そして山口少年が思いがけないことで自殺を遂げてしまった今日になりまして、捜査範囲がせばめられて非常に困難になって参りましたことは事実でございますけれども背後関係糾明ということになりますと、山口少年自殺をしたからといって背後関係糾明をやめなければならぬ筋合いのものではございませんので、私どもとしては法律上許す限りにおいてできるだけ手を尽くして捜査を進めて参りたいという考えでおるわけでございます。資金の点につきましても、もちろん拒否するのではございません。必要な発表をして差しつかえない時期に参りましたならば、私どもの方から進んで報告さしていただきたいと思っております。何と申しましても、先ほどもちょっと触れましたように、まだ裏づけ捜査もできておらないような状況のようでございまして、その調査の完了を待ちまして御報告さしていただきたいと思っております。
  7. 坂本泰良

    坂本委員 先ほどのお話によりますと、出先でやったのだから正式な発表ではないと言われますけれども、しかしながら、正式の発表でなくとも、すでに第一線地検の方で発表をいたしまして、そうしてさらに加えて、内容は、関係者のうちに総選挙に立候補している者もあり公表できない、しかし国会質問があれば内容を明らかにするだけの資料はもうそろっておる、こういう関係なんです。ですから、これだけの発表をした以上は、やはり正式であろうと正式でなかろうと、いやしくも報道機関発表された以上は、国会発表する、その国会が開かれるというのは選挙が終われば次の特別国会ということは想像できるわけです。従って特別国会はきょう終わるわけですが、この段階においてなお捜査関係発表できないというのは——いろいろその後山口少年自殺をする、その自殺についてはまたとやかくのうわさが出ておる、そうしてこの事件についてはもう打ち切りではないか、こういうようなことが言われておるわけであります。従いまして、この捜査関係というのはわれわれとしてはもうないじゃないかと思うのです。捜査関係だともちろん秘密はありましょうが、しかしながら、これは国会ですから、発表できるのは発表しなければならぬと思うのです。従ってどうして、どういう捜査段階であるから発表できないか、またその段階によっては発表できるものとできないものとあると思いますから、発表できるものは発表してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  8. 竹内壽平

    竹内政府委員 地検ではこういう考え発表してもいいという考えであるというふうに新聞報道では見えるのでございますけれども、先ほど申しましたように、新聞記者方々と話をしておる間にそんなふうな記事になるようなことになったようでございまして、検察庁としてもそういうつもりで言ったのではなかったように私は聞いておるのであります。と申しますのは、ただ単に言葉を言ったとか言わぬとかいうことじゃなくて、現にその資金関係についても捜査をしているわけでございます。そういう事情でございますので、早く述べるようにという御趣旨はよく私もわかるのでございますけれども、もうしばらく捜査をさしていただきまして、適当な時期に必ず御報告を申し上げたいと思います。
  9. 坂本泰良

    坂本委員 そのことについて非常に納得できないのは、捜査秘密と申しましても、これはやはり第一線地検捜査をするわけでございますから、そこが、すでに十一月十八日に、国会が開かれたならば発表ができる、その資料もそろっている、こう言ったのを、今のような答弁を聞くと、これは何か上の方で押えている、こういうふうにも疑惑がかかるのでございます。われわれがなぜこれを問題にするかといいますと、御存じのように、浅沼氏は社会党委員長であった、従いまして、選挙中はこの新聞を見ただけでありますが、この国会に入りましてから、第一線捜査の方で発表になった以上は、これはもう発表できるのだというので、社会党としては全員一致でこれを希望し、また国民も希望しているところである。さらに社会党国会対策の方でも決定いたしまして、国会発表する、こういうことですから、それじゃ窓口は法務委員会であるから、法務委員会でその発表をするというので、きょう最終日ですが、わざわざ法務委員会を開いて、その発表期待しているわけです。それを四十日もたった今日において、まだ捜査段階だ、こういうふうにしてやられるのは、これは上の方で押えておるのじゃないか。第一線地検の方は、いやしくも正式でなくても、これだけの責任ある発表報道機関にやる、これは全国の国民に知らしたと同じであります。従って、淺沼委員長が、あの各党立会演説のさなかに刺殺されたのでありますから、重大なる問題であるわけであります。それを選挙の半ばに発表をしまして、そうして今四十日もたった今日において、それの片りんも言えないということについては納得できないわけなんです。これは何か、きのうなんかは裁判で、あの問題で、いろいろ被告の中から警察との関係がある、こういうようなことも新聞に報道されておる。実際そういう発表をしたということもわれわれ聞いておるのでありますが、そういうようないろいろなことがあるから言わぬじゃないか。何でもきのうの問題なんかは、速記録もあるけれども裁判所も報道機関に見せない、検察庁も何もそれについては言わない、ただ傍聴に行った人のことを聞いて、そして新聞発表される。あの裁判の公開でやったことでも発表しない。さらにまた十一月十八日に、すでに資料がそろって発表できると言ったのに、これを発表しないというのは、まことにわれわれは不可思議であり、遺憾であるわけです。ことに発表しないということは、総選挙に立候補している者もあって公表できない、選挙関係するから公表しなかったと思われる。そこで、できなかったならば、しからば資金を出しておる人の中に、今回の総選挙に立候補している人があったかどうか、何人ぐらいあったか、できたら名前も、それだけでも一つ発表してもらいたい。
  10. 竹内壽平

    竹内政府委員 冒頭に申し上げましたように、地検発表と仰せになっております点は、発表ではないのでございます。それから、私どもの出席しておりまする当法務委員会を通じて、御報告申し上げる時期が参りましたならば御報告申し上げるのが、私も適当な場所であるというふうに考えております。ただ、今申しますように、現に捜査をいたしておりまして、発表せぬと申し上げておるのではなくて、この段階で今発表せよというお言葉に対しましては、しばらくお待ちを願いたい、こうお願いしているわけでございます。
  11. 坂本泰良

    坂本委員 それがわれわれは納得できないのです。きょうで特別国会も終わってしまうでしょう。二十六日に通常国会が開かれましても、休会明けは一月の二十八日といわれておる。だから、先に延ばすつもりでそういうことを言うのじゃないかと、こういうふうにまた国民から疑われる。さらに正式の発表と言われますけれども、これは特に政治的に関連し、少なくとも百四十五名を獲得した社会党委員長が刺殺された問題でありまして、十八日の段階においてさえ、三業地あるいは一流会社から資金が出ておることが判明した、そしてその中には、立候補している者もあるから公表できない、こういうところまで発表している以上は、これはもう正式たると、非正式たるとを問わず、検察庁がこれを発表したことは事実でしょう。その点いかがですか。
  12. 竹内壽平

    竹内政府委員 検察庁発表したことはありません。しかしお話をしたことはあるようでございます。そして私ども調査したところによりますと、新聞に出ているような内容のことを、断片的に言われたことも事実のようでございます。従いまして、その書いてある内容について、検察庁の意向であるということで申し上げることは、いかがかと冒頭以来お断わり申し上げている次第であります。
  13. 坂本泰良

    坂本委員 地検の方で発表したら、また国会等質問があれば発表してもいい、すでにそこまできているのですよ。そして、それを代表するのは法務大臣であり、刑事局長であるのです。だからまず聞きたいのは、すでにここに書いてありますように、「右翼団体資金源調査した。この結果、これらの団体三業地一流会社などから資金を出していることをつきとめた。」こうありますが、この点いかがですか。突きとめたのですか、どうですか。
  14. 竹内壽平

    竹内政府委員 私は存じません。
  15. 坂本泰良

    坂本委員 存じませんじゃいかぬと思うのですよ。きのう、おとといから社会党国会対策でもきまって、きょう法務委員会でやるということになっている。そしてあなたはいつでも、第一線の検事を呼んで聞こうと言うと、まずすべては法務大臣なり刑事局長に、この検察の問題は集約されると言われる。だから、正式たると正式でないとを問わず、すでに第一線発表したのは、即法務大臣なり刑事局長はそれを承知して、そして発表すべきが至当だと思う。第一線の方で発表して、上の方で発表しないというのは、これはおかしい。捜査という美名に隠れて、何かの考えがあるか弱点でもあるから発表できない、こういうふうに考えられる。それでは、こういう発表をしたことは事実かどうか、その点確かめもしなかったのですか、どうですか。
  16. 竹内壽平

    竹内政府委員 私もその新聞記事を見まして、びっくりいたした一人でございます。従って、どういういきさつでそういう記事になったかを、すぐ確かめたのでございます。その結果、先ほど申しましたように、雑談という言葉が適当であるかどうかわかりませんが、地検当局の弁明によりますと、そういう言葉を使っておりましたので使わせていただきますと、記者諸君雑談をしていろいろ質問を受けたり何かしているうちに、そういう問題に触れたのでありますが、それを、あしたの朝の新聞で見ますと整理されて、いかにも発表のような形に報道されておったということでありまして、私どもが何らかの政治的な意図を持って抑圧しているとか何とか、そういう問題じゃございません。  この問題は、いつも法務委員会で問題になる点でございまして、すでに御理解をいただいておると思いますが、捜査中の内容につきましては、公表しないのが建前でございますけれども、広く公益の必要があるという場合には、できるだけそれらの点を考え合わせまして、可能なる限り御報告申し上げて、聞きたいという国民の皆様の期待に沿わなければならぬというのが、私ども考えでございます。本件につきましても、技術的に見ますと、たとえば資金関係についてのみ申しますならば、捜査機関といたしまして、背後関係を究明いたしますためには、資金の点を十分洗っていかなければならぬことは当然でありますけれども、その結果、資金を提共したことによって共犯になるというようなことになりますれば、それは犯罪事実の内容をなすわけでありまして、当然明らかにされなければならぬのでございますが、今までの捜査の結果によりますと、山口少年単独犯と見られるような証拠関係になっておるようでございます。そうだといたしますと、資金関係を何で捜査機関発表するのかという問題につきましては、やはり慎重に検討した上で、私どもとしては考えなければならぬことだと、私は法律を執行する立場の者として考えておるのでございまして、決して政治的な意図とか、そういったようなことでちゅうちょしておるのじゃございません。それに、先ほど申しましたように、現に金の動き方につきまして、何らかの犯罪の容疑もあるやに伺っておるのでございまして、もう少しかすに時間をもってしていただきたい、これが私ども立場でございます。
  17. 坂本泰良

    坂本委員 その点が非常に納得できないのさ、雑談局長は言われますけれども雑談であろうと何であろうと、こういう重要な事件について少なくとも発表した以上は、これは責任ある言動だ、こう考えるわけです。その発表が、もうすでに具体的に出ているわけでしょう。「三業地一流会社などから資金を出していることをつきとめた。」私は、この資金源捜査のまず最初にやられるのは、これは当然のことだと思う。そうして、すでにもう突きとめられたその内容は、この十八日当時においては、総選挙に立候補している者もあるから、そういう関係公表できない、雑談で話もできない。私はやはり少なくともこういう重大な事件捜査当局は、雑談であろうと何であろうと、同じ責任だと思うのです。ですから、すでに一カ月以上もたっておる今日において、なお捜査関係発表できないというのがおかしいし、さらに加えて「国会質問があれば内容は明らかにするだけの資料はそろっている。」そこまで雑談にしろ言っておられるでしょう。言った以上、公表と同じじゃありませんか。だから、ここに背後のいろいろなその資金源犯罪関係があるかどうかというような点は、これは除外してもらってけっこうです。けっこうですから、三業地一流会社などが資金を出している。そうしてその関係者はだれだれか、それが一々発表できなければ、それじゃその中に総選挙に立候補している者もあったかどうか、また何名ぐらい立候補したか、その点ぐらいは、何も捜査秘密関係ないと思うので発表願いたいと思うのですが、いかがですか。
  18. 竹内壽平

    竹内政府委員 雑談で言ったのも正式に公表したのも同じじゃないかという御意見でございますが、雑談でも慎重を期して雑談をするということにならざるを得ないものとも思いますが、正式な発表ということになりますと、法規上の制約等もありますので、それからまた確たる証拠裏づけがあるかどうかも検討いたしまして、私ども捜査機関というものは、犯罪捜査するのであって、資金面調査するというのが主たる目的じゃないわけでございます。背後関係を究明するために、関連して捜査していくものでございますから、その辺の裏づけとの関係等を慎重に検討した上で、それからまた捜査中の事件でありましても、どの程度までは発表した方が国民期待に沿うというようなことなども慎重に検討した上でそれこそ文章を作り、メモを作り、そうして申し上げるということにすべきだと私は考えております。  そういう意味から申しますと、雑談と正式な発表とは、性質においてもすこぶる違うのでございまして、記事にはそういうふうに書いてございますけれども検察当局としましても、それからまた私どもとしましても、今この段階では申し上げるのははばかる状況でございますので、何とぞその点を御了承願いたいと思います。
  19. 坂本泰良

    坂本委員 捜査と言われますけれども捜査を離れて、この淺沼委員長刺殺事件の問題は、前国会も、これは最終日でした、法務地方行政合同委員会において、このような問題が起こるこれは一つの現われである、そのほかに、いわゆる安保闘争その他に関連して、この右翼団体に対して、財閥あるいは自由民主党から多数の資金が出ておる、こういうことが疑われまして、そうしてあの合同委員会においては、時間は少なくありましたが、われわれも質問をして、そうしてある程度はこの資金源については明らかになった点もあるわけであります。従いまして、その後引き続いてこの浅沼事件捜査関連して、右翼団体に対する資金源がここにわかりましたならば、これは捜査とは別に、やはりあの前国会において、そのために暴力行為絶滅をするという全会一致決議がある、その前提としては、やはり右翼団体資金源をまず究明しなければならぬ、そうしてそれをなくさないことには暴力をなくするということはできない、こういうことで、全会一致決議案が通過をしておる。その後、やはりこの浅沼事件関連いたしまして、右翼団体に対する資金源がここにわかったことが明らかになっておる。雑談であろうと何であろうと、やはり地検の方で調べて、三業地一流会社から金が出ておる。さらにその中には選挙に立候補した人もあるのだ、だから発表できないと言われるが、名前発表できないけれども、あるということははっきりしておるわけなんです。選挙が終わった今日においては、この右翼団体資金源は、これは捜査関係があるならその点を明示して、それは除外せられてもいい。しかし関係のないものは、われわれはここに——浅沼事件捜査だけでなく、右翼団体に対するところの資金源の究明をいたしまして、ここに捜査過程において明らかになっておるわけです。すでに発表しておる。だからこれは右翼団体資金源としては発表すべきが私は当然だと思う。そういう意味において発表してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  20. 竹内壽平

    竹内政府委員 捜査資金面調査するということは、犯罪との関連においての捜査でございまして、関係団体資金動き方を調べておると私は思います。今お言葉にありましたように、右翼団体資金面調査するというようなことは、捜査当局のなし得るところではありませんので、そういう方面の調査は別の機関がもしすべきものであるならば、すべきであろうと私は考えております。それで犯罪関係のないものを捜査機関が調べた結果であるといって発表するなんということは、捜査機関としてすべきことじゃございません。この点は御理解をいただきたいと思います。そうして今私ども調査をしておりますことは、犯罪関連のある部分として捜査をしたということでありまして、それは今も捜査をしておりますので、時期的に現段階でははばからしていただきたい。これが先ほど来御説明申し上げております趣旨でございます。
  21. 坂本泰良

    坂本委員 ちょっとくどいようですけれども、もちろん地検がこの資金源を突きとめたということは、捜査関連したことでしょう。またこの右翼団体資金源に対する問題については、これは地検だけにまかしておけないでしょう。これは広範な治安対策その他でやるべきでありましょう。しかしながら、この捜査過程において、これが一番重要な問題であったから、その点も捜査過程において出てきたわけでしょう。出てきたのは、やはり政治的にも、実際的にも、国民期待しておるところの右翼団体に対する資金源が、捜査機関の手によってその一部が出てきた。こういうことになったならば、どういうのが出てきたかということは、これは期待するところであり、かりに雑談といたしましても、何度も申しますように、具体的に出ておるわけですから、これはそういうことを報道機関に言わなかったといわれれば別ですけれども、言った以上、やはりそれは刑事局長としては整理して、捜査の機密に関することなら除外して、そうでない点は発表してしかるべきであると思う。局長もこの発表を見て驚いた。そうして地検に聞かれたわけでしょう。聞かれたら、もうあなた方一カ月以上もたっておるから整理がついておるはずです。ほんとうにまだ捜査——われわれは捜査を打ち切っておるのじゃないかと思うのですが、まだ捜査をしておるならば、それに関連しておるならば、捜査のどこに関連するかということを明示して、そうしてその点を除外されるなら、それでいい。しかしながら、すでに捜査過程においてもわかっておる以上は、国民期待し、前国会においてあれだけ問題にされましたところの右翼団体に対するところの資金源の撲滅を前提としたああいう大きい問題が起きて、淺沼委員長の具体的問題まで出て、そうして暴力を追放しなければならぬ、そのためには右翼団体資金源を究明し、そしてそれをなくさなければならない。だからまずわかったならこれを発表すべきだと思うのです。捜査関連があるのなら、どういう点が関連があるからその点は発表できないというならそれでいいのです。その点を明らかにして、それ以外の点は発表してしかるべきであり、発表しないのは、法務大臣その他上層部においてこれを押えておる、あるいは検事総長がこれを押えておるのだ、こういうふうにわれわれも誤解するし、われわれ専門家が誤解する以上は、国民大多数が誤解するだけじゃない、不思議に思う、理解できないと思う。今日は今国会最終日ですから、私はその発表をしてしかるべきだと思う。発表できなければできないで、捜査秘密にこれだけのことが関係するからということを明らかにして、そしてそれは法の命ずるところですからわれわれは聞きません。それ以外の右翼団体資金源に関することは、これは捜査過程においてわかったことであっても、私は発表すべきだと思うのですが、その点いかがですか。
  22. 竹内壽平

    竹内政府委員 法務大臣とかあるいは検事総長とかいう方がこの発表を押えているとか、あるいは都合が悪いことがあるからわざと隠しておるとかいうような誤解がもしございますならば、これは解かなければならぬ。そういうことは絶対にないことを私事務当局の責任者としてお答え申し上げます。  それから右翼資金面を究明いたして、それを断つことによって抜本的な対策を講ずるということの御意見につきましては、私ども全く同感でございます。そういう意味において、犯罪との関連において資金面の究明に多数の検事を動員し、時日もかけて調査をいたしておるのでございます。そうしてそれをまた法律の許す限りにおいて公表するということが、そのような対策に寄与しますことも私は全く同感でございます。従いまして私は隠しておるのじゃなくて、時期を待っていただきたいということをお願いしておるのでございます。待てぬということでございますると、捜査を担当しておる者としましては非常に困るのでございます。この点は検察に対して深い理解をお持ち願いたいと思うのでございます。  それで、なぜこの資金の点が問題なのかということでございますが、これまた説明をいたして御納得をいただくこともできないわけではないと思いますけれども、そのこと自身が今問題になっておるのでございまするから、これも公表をはばからしでいただいておるのでございます。御理解をいただきたいと思いながらも、十分に御理解をいただくような答弁ができないことを遺憾といたしますけれども、どうかしばらく御信頼をいただきまして、もう少し時間をかしていただきたい、そしてその上でできるだけ詳細に御報告を申し上げたいと思います。
  23. 畑和

    ○畑委員 関連して。先ほど来のあの事件に対する資金源公表の問題について、坂本委員に対する刑事局長答弁はあまりにも官僚的であるということで、私もそれに関連して、同じようなことでありまするが質問いたしたい。  あの事件後の十一月十八日の新聞記者への公表というか——公表でない、雑談だと今言われましたけれども、しかしそうした事実を刑事局長はその新聞で見てびっくりした、そしてその当局の方にそういった新聞に出たような事実をしゃべったかどうかという点は、そのとき問いただしてみましたかどうか、その点を伺いたい。
  24. 竹内壽平

    竹内政府委員 もちろん新聞記事に出ておりますような内容のことを話したかどうかという点を尋ねてみました。その結果は、先ほども申し上げたように、必ずしも新聞記事のようには言っておらないのでございますけれども、それに照応するような事実にも触れた形跡があるのでございまして、私は新聞記事が虚偽を報道しておるのだとは考えません。
  25. 畑和

    ○畑委員 そうすると、新聞記事は大体若干のニュアンスはあるといたしましても、大体この新聞記事に書いてあるような資金源についての検事の調べた結果の雑談、これは大体この通りと受け取ってよろしゅうございますか。
  26. 竹内壽平

    竹内政府委員 こまかい点につきましては、新聞にもよりまして、書いてあることが違いますし、どの新聞記事がどの部分が違って、どの部分が正当だというようなことは私も問いただしてはおりませんけれども、大綱におきましてはそれに照応したようなことを述べておるらしいのでございまして、この点は否定できないと思います。
  27. 畑和

    ○畑委員 そうだといたしますならば、それが十一月十八日で、現在まですでに一カ月以上過ぎたが、ただいまの刑事局長答弁はきわめて慎重で、当局として完全を期したい、そうして完全に調べたあげく公表したいということ、その前にかりそめに発表するといろいろ捜査段階において支障を来すというような配慮だとこう言われるけれども、それにしてもそれから後一カ月もたっておる。それだのにその片りんすらも公表できないということで、それに対して坂本委員も非常に不満であります。われわれも不満であります。しからば一体いつごろになればそれが公表できる段階になる見通しがあるか、承りたい。
  28. 竹内壽平

    竹内政府委員 日を限っていつ発表ということをちょっとお答えしにくいのでございますけれども東京地検を督促いたしまして、できるだけ早い機会に発表させていただくように取り計らいたいと考えます。
  29. 畑和

    ○畑委員 それから、その資金の提共、その提共者、その金額、それから先ほど刑事局長がちょっと言いかけたが、それにまつわる犯罪というのはどういうのですか。大体差しつかえない程度で……。
  30. 竹内壽平

    竹内政府委員 実は差しつかえるわけなんでございますけれども、たっての御質問でございますから、一つの例に申し上げますと、たとえば資金を出したとこう言っておりますけれども、出した方の人は恐喝されておる、そういう人がだれが何を出したというふうに言われることは、これは社会的にも名誉を失墜されることであります。そういうような点もありますので、その点を、今度は金の動いたことは先ほど申したように私ども明らかにしておりますが、それでは出した方の人が、どういう意思で出したかということは捜査を現にやっておるわけであります。そういう点を明らかにいたしました上で発表いたしたいと思います。
  31. 畑和

    ○畑委員 そういうことが、ともすれば時間がたち過ぎると真相がむしろ出ないで、そういう人たちの顔を考えるというようなことで、かえってそういった関係が延び、いいかげんに事件を適当にしてしまうというような傾向をわれわれは非常におそれるわけですが、その点はどうですか。
  32. 竹内壽平

    竹内政府委員 仰せの通り、こういう席で国勢調査の対象としてそういう問題が大きく取り上げられておりますと、ほんとうに資金を提供するつもりでやった人も、おれは被害者だというふうに言いかねないこともありますし、また真実被害者のような立場におる人は気の毒な立場になるわけでございまして、そういうことはできるだけ仰せのようにすみやかに、隠密のうちに的確な証拠を押えておかなければならぬというふうに考えます。
  33. 林博

    ○林委員長代理 坪野米男君。
  34. 坪野米男

    ○坪野委員 ただいまの刑事局長答弁で、私も承服しかねる点がありますので、関連してお尋ねしたいと思います  山口犯人はすでに死亡いたしまして、被疑者山口に対する刑事事件というものは一応終了に近づいて、捜査も一応終っているんじゃないか。問題は山口との共犯関係について、なお共犯があるかどうかという点についての捜査が残っておるのかどうか。あるいは被疑者山口に対する捜査、その資金源その他を、捜査の必要上どうしてもまだ調べなければならないという点が残っておるのかどうか、そのいずれかであるかを一つお尋ねしておきたい。
  35. 竹内壽平

    竹内政府委員 山口少年みずからの犯行、殺人の罪につきましては、被疑者死亡ということで事件は終結せざるを得ないわけでございますが、一般に疑惑をもって見られておりましたように、山口少年が単独でこの犯行に及んだかどうか。もし単独であるならば仕方がないのでございますけれども、もし背後にこれを使嗾する者があるとか、あるいは資金を提供して助ける者があるとかいうような関係が伏在しますならば、これは抜本的な対策にはならないのでございまして、その点を究明するという捜査が現在残っておるわけでございます。
  36. 坪野米男

    ○坪野委員 新聞発表されたところでは、地検当局としては山口の単独犯行だ、こういう線が新聞記事では公表されておるわけでありますけれども、その背後関係を重視して共犯関係を追及するといって、具体的に公的に共犯として名ざせるような被疑者が浮んでいるのかどうか。これは捜査秘密上あるいは言えないかもしれませんが、ただばく然と背後関係を重視して資金源をつくという形で捜査をだらだら続けていけば、これは三カ月あるいは半年、一年、幾らでもかかる。背後関係をつくのも、あるいは現在の地検捜査能力ではたしてどこまでその根源を追及できるかどうかという点も疑問でございまして、通常の刑事被疑事件としてそう長く捜査が継続されることはないと私ども理解しておりますが、この事件について、東京地検としては一応の捜査が終了したという見解に立っておるのではないか。それを最高検から、さらにもう少しこういった点の捜査を続けよというような指令でもあって、あと数カ月あるいはどの程度、相当期間という具体的な見込みを持った捜査の継続がなされておるのかどうか。ただ国会答弁として、ただいま捜査中でございます、いつ捜査が終了するか見込みが立たないというような無責任な答弁なのか、あるいは具体的に最高検からの指令で、もう少し捜査を続けよというような根拠があるのかどうか、その点をお尋ねしたい。
  37. 竹内壽平

    竹内政府委員 東京地検捜査を打ち切ったのであるけれども、最高検等がもっと続けろというような指令をしたんじゃないかというような点は、そうじゃなくて、東京地検みずからが捜査を継続しておるということでございます。  それから、どういうふうな捜査を今後行なうのであるかということを、ここで、こういう方法でこういう人に向かってやりますということを言ったんじゃこれは捜査にならないのでございまして、この点は御理解をいただけ得ると思います。しかしながら、そうは申しますものの、私ども抽象的に幾つかのことは考えられるわけです。犯人と密接な関係を持っておった大日本愛国党とか、あるいは全アジア反共青年連盟、あるいは防共挺身隊といったような関係者などが、従来も重点を置いて調べられてきたと思うのでございますが、こういう関係者について、押収しておる証拠資料を整理して、さらに検討をする。そうして必要な補充捜査をしてみる、こういうようなことは、当然私は第三者の私ども立場におりましても考えられることだと思います。  それから、なおそれらの関係者に限らず、犯人の過去の経歴だとか行動等から、犯人に何らかの影響を与えたと思われるような関係者についてのそういう関係者があるかどうか、そういう探究、そういう共犯関係の有無等につきましても捜査の手を延べていくべきである、そういうようなことも当然捜査当局考えて、慎重な捜査を続けておると私は確信いたしております。
  38. 坪野米男

    ○坪野委員 そういたしますと、捜査があとどの程度、数カ月とかあるいは半年、一年という長期にわたっていくか、どの程度で捜査が終わるかという大体の見通しは、今のところ法務当局としてはついておらないのですか。
  39. 竹内壽平

    竹内政府委員 数カ月を要するなんというようなものじゃないと思います。もっと早く御報告ができると思いますが、なお先ほどもちょっと申しましたように、東京地検当局に督促いたしまして、可能な限り早い機会に御報告を申し上げたいと思います。
  40. 坪野米男

    ○坪野委員 先ほどの刑事局長答弁の中に、捜査継続中だから公表ができない、こういう答弁があったわけであります。さらに、捜査上許される範囲内で発表することもあり得る、こういう趣旨答弁もあったわけでありまするが、通常捜査の中間で正式に発表され、公表されていることもあるわけでありまして、捜査秘密を保持する、捜査の必要上から発表を差し控えるということはあるわけでありましょうが、捜査に支障を期たさない範囲で、中間的に事件関係者にも発表することもありましょうし、また一般国民に対して、あるいは国会答弁において公表することも、これは当然法律上も許された行為だと思うのであります。  そこで私は、捜査継続中だから発表できないというような一般論的な答弁で、この資金源公表を拒否するということはとうてい許されないことだと思うのです。先ほど、資金を提共した会社その他が、あるいは脅迫をされて被害者の立場資金を出した、これが右翼団体資金を提共したということで新聞発表されると、かえってそれらの人たちの名誉を傷つけるという考慮から発表を差し控えておる、こういうことでありましたが、右翼暴力団から脅迫されて資金を提共するというような行為、もしそういったことが具体的に一、二でもあるといたしますなら、それはりっぱな犯罪行為であって、その恐喝事件が別個に事件として取り上げられなければならないわけでありまして、そういう、明らかに脅迫を受けて資金を出したというような事実のあるものはわれわれは除外いたしまして、どういう名目であれ、そういった犯罪行為に基づかずに、任意に提共された資金源、そういったものをわれわれは知りたいわけでありまするから、そういう犯罪行為に関連のない右翼に提共した資金源をここで発表されたからといって、これは何ら捜査に支障を来たすというようなものではないと思うのであります。その点の御見解はどうですか。
  41. 竹内壽平

    竹内政府委員 捜査過程におきまして、終了するまでは一切がっさい発表はできないというような考え方は持っておりません。必要によりまして、法律の許す範囲で中間的に意見を申し上げるということは従来もやっておることでございまして、現に私もそういうつもりでおります。ただ、資金関係ということで、先ほどここへ重点がしぼられましてお話がございましたので、この部分は今申したように、新聞の報道では何か用意があるようなことが書いてありますが、私は率直に申しまして、そういう点の調べがまだできていないのだから、用意はなかったのじゃないかというふうに考えるくらいであります。そういうことでありまして、この分につきましての発表は大事なことでございますけれども、鋭意捜査を進めておる段階でございますので、いましばらく御猶予を願いたいと思います。
  42. 坪野米男

    ○坪野委員 そういたしますと、資金を任意に提供した団体、会社あるいは個人名をここで発表することが、どうして共犯関係を追及する捜査の必要上支障を来たすのか、われわれ法律家として、そういう犯罪の根源、しかも直接犯罪行為と関係のない、犯罪者に資金を提供した——関係があれは問題でございますが、ただ右翼団体資金を提供したというだけの事実を発表することが、共犯者の追及に支障を来たすということはとうてい考えられないのですが、なぜそういった資金源発表することが捜査に支障を来たすのか、その点について一つ合理的な御答弁を願いたい。
  43. 竹内壽平

    竹内政府委員 その点は先ほどお答え申し上げたところであります。この資金関係は、背後関係全体の捜査の一環でございます。その資金関係の部分につきましては、任意に提供したものであるか、脅迫に基づいて提供したものであるか、一体だれが——会社々々というけれども、会社がほんとうに出したのであるか、あるいは秘書役のような人が出したのであるか、そういうような点等がまだ十分解明されておりませんので、差し控えておるわけであります。
  44. 坪野米男

    ○坪野委員 それではちょっと理由の説明にならないと思うのであります。共犯関係を追及する上で、右翼資金を提供した会社あるいは個人、そういったものの捜査がすでになされておるということは公知の事実でありまして、ある程度検察当局はおわかりのはずなのでありますが、それを発表することによって今後の背後関係の追及に支障を来たすという理由にはとうていならないと私は思うのです。その資金源発表するということが、現在の段階で何か差しさわりがあるという別個の理由があるのではないか。先ほど法務大臣なりあるいは自民党の方から発表を差しとめられておるのではないかという質問に対して、さようなことはない、局長の一存で答弁しておる、こういうことでありましたが、私は局長の今の説明を聞いておっては、とうてい納得いかない。もしそういうお考えであれば、これは誤りではないか、政治的な考慮から資金源発表を適当でないというお考えであれば、これは当然法務大臣なりあるいは政府の意向が反映しておると考えられるのでありまして、事務当局の法律家である刑事局長の今の御説明では、とうてい捜査の必要からこの発表を差し控えなければならないという根拠は出てこないと思います。その点もう一度はっきりと理由を聞かしていただきたい。
  45. 竹内壽平

    竹内政府委員 私の一存ではっきりと差しとめを受けておるのではないということを申し上げましたが、これは事務当局だからはっきり申し上げられるのでありまして、さような事実は私自身受けておりません。また私も下に流したことはございません。そういう意味におきまして、これははっきりと申し上げられる事項でございます。  それから捜査中であるから待ってほしいという私の気持は、全く捜査技術上の問題でございます。捜査秘密のうちに行なわれなければならないということは、私から申し上げるものでもなく、もし捜査が公にされておるならば、犯人は幾らでも対抗手段を講ずることができるのでありまして、捜査の目的は果たせないという重要な要素が一つあるわけであります。それからもう一つは、捜査過程においてはっきりとそういう関係が究明されていないのにかかわらず、いろいろなことが公表されますことは、関係者の人権上あるいは名誉の問題等を引き起こすのでございまして、この点は、捜査官としては、事が強制力を用いてする捜査もあるのでありまして、そういう関係において述べられた供述とかあるいは証拠資料というようなものは、その取り扱いにつきましては慎重を期していくというのが私どもに課せられた義務でございます。そういう点を御了解願いまして、——さらにそれ以上に公表の必要性ということも、私は十分理解しております。従いまして、ある時期が参りまして、発表しても差しつかえないという時期が参りましたならば、可能なる限り詳細に御報告を申し上げたいと思います。
  46. 坪野米男

    ○坪野委員 捜査段階だ、こう言われたのですが、被疑者あるいは被疑者との共犯関係を疑われておる関係者について、その背後資金関係捜査は、おそらく行なわれたであろうということが予想されますが、さらに一歩進んで、それらの関係者から供述された、こういう先からあるいは何々会社から資金の提供を受けたという供述に基づいて、その先の会社あるいは資金を提供した個人に対する捜査調査というものも、おそらく進められておるのではないかと思うのでありますが、その点の調査まで進めば、一応脅迫されて出したものか、任意に出したものか、おそらく明らかになっているだろうと思うわけでありまして、そういう任意に提供した団体名前がかりに公表されましても、共犯関係追及のための捜査に支障を来たすということは、とうてい考えられないことなのであります。むしろ提供した人たちの名誉はあるいは何らかの形で影響を受けるかもしれませんが、私たち国民は、ああいう右翼暴力テロを根絶するために、背後資金関係をあくまでも追及しなければならない。これを国民の前に明らかにする、そして右翼暴力の根源を絶つ方法をわれわれは講じなければならない。捜査当局は、犯人の捜査さらには裁判所で処罰を求めるということでありますが、われわれは右翼暴力を根絶する措置を講ずるために、この背後関係を今追及しているわけでありますが、捜査の必要ということも刑事訴訟法上の厳格な意味において——ただ検察当局がいつもこれを口実にして弁護人の弁護権を制限したり、あるいは国民に対する公表をはばかるというようなことが往々にして行なわれて参りましたが刑事訴訟法上の捜査秘密ということを公正に、厳正に解釈するならば、資金源公表、それも当局で十分調査された結果であって、あいまいなものを全部発表せよとは申しません。調査された結果、任意に提供された資金源をここで発表なさろうと、それは何ら捜査に支障を来たすというようなものではないと考えるわけでありまして、ただいまの刑事局長の御答弁私はきわめて遺憾であります。  さらに時間が許せばこの点について私は資金源公表を迫る質問を続けていきたいと考えますが、一応この程度で終わります。
  47. 林博

    ○林委員長代理 田原春次君。
  48. 田原春次

    ○田原委員 先ほどから聞いておると捜査の必要上、捜査の必要上というのだけれども、一体何の捜査を今やっているのか。つまり犯人も死んでおるし、被害者も死んでおる。そうすると先ほどの質問から見ると、資金関係の方は少し違う、それじゃ背後関係を調べておるのかどうか、これを明らかにしてもらいたい。現在の捜査は何をやっているか。
  49. 竹内壽平

    竹内政府委員 背後関係調査をいたしております。
  50. 田原春次

    ○田原委員 現在までのところ、被疑者は背後関係での疑わしい者は一応調べ尽くしたかどうか。新たにこれから被疑者が出るのかどうか。現在まで出たもので、その範囲で調べておるのかどうか。
  51. 竹内壽平

    竹内政府委員 一応考えられます背後に現われてくる人物につきましては、捜査をいたしておりますが、さらに事件の重大性にかんがみまして、まだ尽くすべきところがあるのじゃないかということで、軽々しく打ち切るというようなことはせずに、慎重に捜査を進めておる実情でございます。
  52. 田原春次

    ○田原委員 それでは捜査の進行の上において、まだこれから新たなる被疑者が出るわけですか。打ち切ってないということは、これからまだ出るわけですね。
  53. 竹内壽平

    竹内政府委員 将来新しい被疑者が出るかどうかということは、ここで予断をするわけには参らないのでございます。出るかもしれませんし、出ないかもしれません。
  54. 田原春次

    ○田原委員 それでは出るかもしれぬし、出ないかもしれぬということは先のこととして、現在まで調べた範囲でそれがどうして発表できないのですか。この程度は今まで調べておるとか、これこれの人間は調べておる、これはこうであるというように発表できませんか。
  55. 竹内壽平

    竹内政府委員 その点は発表できないと申し上げたことはないので、御質問によりましてはお答えを申し上げようと思いますが、資金面につきましての先ほどの御質疑でありましたので、資金面につきましては今捜査をやっておるから待っていただきたいということを申したのであります。
  56. 田原春次

    ○田原委員 私は、初めから言っておるように資金面のことは聞いておらぬ。背後関係を聞いている。  それでは次に移りますが、被疑者の中に前回の衆議院選挙の立候補者があったといわれるのですが、それは単数ですか、複数ですか。一人の立候補者だったのですか、何名かあったのですか。
  57. 竹内壽平

    竹内政府委員 御質疑の趣旨がわからなかったのですが……。
  58. 田原春次

    ○田原委員 では申しましょう。地検の談話をあなたは全面的に否定しておりません。発表の形式がいけないとかなんとかいうことで押えているらしいけれども、あれもくろうとの新聞記者が聞いたので、法務省出入りの人が聞いている。それでさすがのあなたも、これを否定できない。ただ、公式な法務省の声明じゃないからなんという、声明そのものの内容でなくて声明の形式の問題にとったのですが、地検の当局の談話の中に、先ほど坂本委員が言われましたように、立候補者もあったというのですね。そこで、立候補者があったとすれば、それは複数か単数か、一人の立候補者であったか、何名もあったかということを聞いているのです。それは言えぬことはないでしょう、調べているのだから。
  59. 竹内壽平

    竹内政府委員 先ほどの新聞の報道の件でございますが、形式論を私言っているのじゃないのでございまして、捜査の全段階を大きくながめてみて、言ってはならないこと、まだ秘匿しておかなければならないこと、それからまた法律上支障を生ずる問題等を検討して、その上で発表すべきだと私は考えております。それを雑談的に述べたことが報道されたのでございまして、あの報道記事をもって御質疑がございましても、私はそういう意味においてはお答えしにくいのであります。
  60. 田原春次

    ○田原委員 それではあらためて聞きますが、あの談話に基づいてはお答えができぬというなら、独立して質問すればいいのでありますが、衆議院関係の立候補者が被疑者の中に含まれておるかどうか、こういうことです。
  61. 竹内壽平

    竹内政府委員 含まれておりますが、単数とか複数とかいうようなことを申し上げるならば発表するも同じでございまして、近い機会にその点も含めて御報告を申し上げたいと思います。
  62. 田原春次

    ○田原委員 それでは、そのうちの一つをお尋ねしましょう。新聞で見ますと、日本愛国党の赤尾敏君が取り調べられておる。これは被疑者としての取り調べであるか、参考人として調べたのであるか、証人として調べたのであるか、これはわかるでしょう。  まず取り調べしたかどうかの事実を言って下さい。
  63. 竹内壽平

    竹内政府委員 警察御当局の御答弁もあると思いますが、検察庁におきましては、重要参考人としても調べましたし、被疑者としても調べました。
  64. 田原春次

    ○田原委員 それで、赤尾君が途中で出ておるのですが、これは選挙に立候補のために出したのですか、取り調べが終了して出したのですか、あるいはほかの理由があったのですか。
  65. 竹内壽平

    竹内政府委員 取り調べ終了の上、釈放されたものと思います。
  66. 田原春次

    ○田原委員 次に、お尋ねしますが、十二月十五日に日比谷の公会堂で山口君の弔いの会合をやったようでありますが、その主催、参加団体の名称がおわかりでありましたら、知らせていただきたいと思います。
  67. 石岡實

    ○石岡説明員 参加団体名前は、非常にたくさんあるのですけれども、これを全部読みますか。
  68. 田原春次

    ○田原委員 どのくらいありますか。
  69. 石岡實

    ○石岡説明員 全国で五十五団体あります。二千三百名であります。
  70. 田原春次

    ○田原委員 そのうちのおもだった団体を、この事件関係のある団体もありますから、知らせてもらいたい。
  71. 石岡實

    ○石岡説明員 松葉会とか、義人党、日の丸青年隊、国粋会、愛国青年連盟、護国団、生産党、興論社、防共挺身隊、治安確立同志会、防共新聞社、愛国党、大日本独立青年党、鶴声会、港会などの団体でございます。
  72. 田原春次

    ○田原委員 今あげられた諸団体の中で、今度の事件で参考人その他の名目で警視庁なり検察庁に調べられた団体は何団体であるか。
  73. 石岡實

    ○石岡説明員 浅沼事件で調べた団体のものはほとんど参加をしております。
  74. 田原春次

    ○田原委員 御承知のように、この事件は日本の民主化の過程に起こった事件であり、世界各国こぞって、あるいは軽べつし、あるいは不安の念を持っておったことは、当時の新聞で明らかである。外電はことごとくそれを報じておった。従って、発表の技術の問題でありますが、すでに犯人は死亡し、関係団体からの重要参考人等も調べられたならば、何ゆえに団体的にこれを発表できないかということです。普通の事件とは違うと思うのです。過去において、あるいは大隈伯の事件とか、浜口雄幸氏の事件、あるいは原敬氏の事件、あるいは板垣退助氏の事件等があったときは、即時発表され、不安を持っておった国民がその発表に非常な期待と安心をしておったと思う。今度のこの浅沼事件は、当時の今あげた幾つかの事件よりももっと大きい反響を世界に与えておる。従って、日本の発表というものが、たとえ中間発表であっても、段階的な発表であっても、これは、日本がこれから先世界各国とつき合っていく上において最も必要だと思う。何ゆえ、きょうは法務委員会質問するということになっておるのに、初めから——今、私は委員として聞いておると、いろいろと理屈は言っておるけれども、答えないというつもりでおるらしい。捜査上にどうしてそれが障害になるか、参考人として呼んだ団体の明らかに、あらかじめ刑事局に挑戦するがごとく、十二月十五日の葬式にほとんど全部参加しております。それなのに、何を一体遠慮して発表しないのか、私はおそらくこれは法務大臣や検事総長から何か圧迫がきて、いやおうなしに発表しないのか、そうでなかったら、法務省の本来の建前から、むしろ時々刻々に段階を分けて国民発表して、ここまでわかった、この点は取り調べ中であるというのがあたりまえであって、われわれはせっかく法務委員会でこの機会を作っておるのに、答えをしないで、ただ言葉の技術でもってごまかしておるという感じを与えておる。これははなはだ遺憾である。もっと誠意をもって、——影響するところは世界各国に対する日本の信用の回復なのである。今暴力が横行し、反対党の首領が公然と殺されるようなことがあって、二カ月もたっておるのに、その人名も発表しない。下級機関である東京検察庁の方では、雑談であったけれども、ある程度調べた資料があるということだ。法務委員会からお問い合わせすればお答えしましょうということを、十一月十八日に言っておるのに、せっかくわれわれが機会を作っておるのに、何ゆえに言わないのか、刑事局長の私は誠意を疑う。もっと大胆に、法律を守るという意味において、日本国の世界的信用を回復し、維持するという意味において、少なくともきょうは何ぼか発表すべきであったと思う。初めから発表せずに、ただ質問者に対して、質問者の言葉じりをとらえたり、そういうことでもってやっておるが、私は遺憾であると思う。だから、あなたはもっと考え直して、少なくとも今日まで調べの終わった者——終わったから赤尾だって出したのだ。出したのに、また山口二矢の葬式に行っておるということは道義上から見てもおかしい。だから、そういうことは、今まで調べた団体の責任者のどういう点を調べたか、なぜ一体釈放というか、帰宅させたのか、それを私は聞きたいから、初めに立候補者の数が単数か複数か、それを聞いておる。もっと誠意をもって答えてもらいたい。どうですか。
  75. 竹内壽平

    竹内政府委員 十分誠意をもってお答えを申し上げたいと思います。御質疑によりまして、捜査上支障のない範囲内のことはお答え申し上げておるつもりであります。
  76. 田原春次

    ○田原委員 捜査上支障のないことも、一つも答えておりません。今私はそこで聞いておったけれども、何ら具体的なことは一つも、答えておらない。個人の名前も、団体名前もあるいは取り調べの内容等についても一つも答えておらない。今までだれか主として背後関係のうちの資金の点を聞いたからでありましょう。私は資金関係を聞いたのじゃない。それはあなたが答えたように、迷惑するというなら待ちましょう。団体としてその一つの背後関係、特に愛国党あたりは電柱のポスターなんかで社会党撲滅ということをいっておる。今ごろになってそういうポスターを出しておる。これはけしからぬ話だと思うけれども、こういうことに関連があるから、十七、八才の若い者が先頭に立つわけなんです。あなた方が今まで調べた態度、方針、方法等々がはっきりしておれば、こういう事情によって赤尾君を釈放しました、あるいはその他の団体の責任者を釈放しましたということは、当然だと思う。それを言わないから、われわれは誠意がないと言うのであって、もっと熱意をもってこの事件の反響を——これは国内の社会党の党員だけじゃない。あの事件が起こってから問い合わせや慰問が来るのはこれは百万以上で、党員でも何でもない者から、われわれは非常な同情を受けておるのです。ひとり国内がそうであるのみならず、世界各国が、英米といい、ソ連といい、至るところで日本の民主化いまだし、日本は今なお殺人のような暴力行為が政界に及ぶということを言っておる。これはつまるところ、法務省が取り調べの中間的な結果を発表することによって安心もするのだと思う。もう少し私は、今あなたがそこで帳面なんか出しておるから、何か材料があるはずだから、調べたところだけでも発表してもらいたい。そうでないと、今後検察庁は口を閉ざしてしまって何も言わないことになってしまう。せっかく若い検事諸君が調べたのに対して、こっちはおれが引き受けるからもっと調べて発表しろぐらいのことを言うのが刑事局長である。あわてて翌日地検に聞きに行ったというのはけしからぬ。あなたの考え方が間違っておるのだから、この際一つこの機会に相当大胆に世界にものを言っておるようなつもりで発表してもらいたい。
  77. 竹内壽平

    竹内政府委員 誠意をもって発表しろというお言葉でございますが、中間的なものをも発表しない趣旨でないことは、先ほどもお答え申し上げた通りでございまして、現に地検のあの十一月十八日の報道でございますが、地検の方は雑談的に述べたことでございますけれども、当時警視庁におきましては中間発表として正式に発表されておるのがございまして、警視庁東京地検は相協力してこの事件につきましては捜査をいたしておるのでございまして、事件のあらましは、警視庁から発表されましたあの新聞報道がほとんど大同異曲であり大部分その通りであるということも警視庁御当局も述べております。あの新聞で御承知を願っておる通りだと思います。なお、事件のあらましを申し上げますと、淺沼委員長暗殺事件といたしましては山口少年の殺人事件、これは内容等私がここでるる申し上げるまでもなく、はっきりしておるのでございまして、これは刑法第百九十九条の殺人罪で取り調べをいたしました。十月十二日に逮捕いたしましてから、警視庁並びに東京地検が鋭意捜査をしたのでございます。事件は十一月二日に東京地検から、取り調べを終わりまして、あらためて起訴すべきであるという意見をつけまして、少年でありますために、家庭裁判所に送致をいたしたのでございますが、家庭裁判所におきましては、東京鑑別所に資質鑑別のために拘置処分をいたしております。その処分の結果として同日鑑別所へ参ったのでございますが、その日の夜八時過ぎごろと推定されますが、自殺をしてしまった、こういうことで本件の山口関係事件は終止符を打たざるを得ないのでございますが、しかし山口少年事件をめぐりまして、その少年をそういうふうにかり立てたのはどういう背景によるものであるかということが、今後のこの種のテロ行為を防遏して参りますために究明しなければならない大事な部面でございます。従いまして、今回の捜査背後関係の究明に大きな重点が置かれたわけでございまして、検察庁におきまして、——警察の方はまた警察からお答えをいただけると思いますが、検察庁の陣容としましては、特別な捜査班を作りまして、部長検事以下十名、検察事務官十数名の多数の陣容で、背後関係の究明に乗り出したのであります。それで、関係者を調べた数は、警察の方は数百名に及んでおりますが、検察庁としましてはみずから調べたものの数が七十余名に及んでおります。取り調べ回数は二百回以上に上っております。なお応急捜査のために各所を捜索しておりますが、その個所も十個所以上になっておりますし、押収しました書類等は二百点に及んでおります。こういうような状況調査をして参りましたが、さらに関連事件といたしまして、先ほど話に出ました赤尾敏関係の大日本愛国党の威力業務妨害事件も同時に調べをいたしまして、身柄も拘束し、その事件の取り調べはもとより、山口少年との関係等につきまして厳重に追及をいたしたのでございます。そのほか、全アジア防共青年連盟委員の吉村法俊、中堂利夫という両名についての横領器物毀棄事件をも探知を得まして、それをもとにしまして、その事件の取り調べをするとともに、山口少年との関連につきまして、身柄を拘束した上で厳重に追及をいたしたのでございます。さらに大日本愛国党員であり、防共挺身隊隊長といわれる福田進外一名につきましても、公正証書原本不実記載、同行使の罪を探知いたしました。その関係で身柄を拘束いたしまして、その事件捜査をするとともに、背後関係の究明に厳重に追及をいたしたのでございます。そのほか山口少年の父親山口晋平に対する銃砲刀剣類等所持取締法違反の容疑も出て参りましたので、その関係の取り調べもいたしたのでございます。かようにして関連事件の可能なる限り探知を得て取り調べに当たったのでございますけれども山口少年に対して右翼的な思想的影響を与えた事実はこれは否定できないと思うのでございまするけれども、刑罰法令上のいわゆる共犯、教唆、幇助あるいは破防法上の扇動といったような関係についても鋭意法律的に十分事実関係に基づいて検討いたしましたけれども、その関係の共犯として認むべき証拠を現在までのところ得るに至っていないという状況でございます、
  78. 田原春次

    ○田原委員 剣道の方に詳しい有段者のひとしく認めていることは、山口少年の刺し方は少なくとも三カ月から六カ月ぐらい練習しておる、わら人形でも置いて練習したということをほとんどみな認めております。従って、本人は死んだといたしましても、その背後を調べる、今聞いていますと殺す気持にまで至る教唆なり扇動なり指導、それから殺人行為に対する教唆なり扇動なり指導というものを分けて考えた場合に、今のお話では、その方の取り締まりは一つもいっていないようでありますが、いっておるのですか、発表できないのですか。
  79. 石岡實

    ○石岡説明員 今御指摘のありましたところの、刺し方が非常に専門的でそう簡単にああいうことができないのではないかというふうな点につきましては、私の方といたしましてもこれは相当十分捜査したということで、その点も本人山口二矢に何回も十分調べたわけでありますけれども、彼は、先ほど刑事局長の御答弁のように、単独犯というようなことを主張いたしまして、刺し方につきましては、どうも自分みたいな体力のない者が切ったのではもちろんこれは切れない、どうしてもやはり、相手を殺すときには刺さなければならぬ、これはいろいろ本を見たところが、切るというふうなことよりも刺すということの方が的確に目的が達せるのだ、しかも刺すときにはどういうふうな形で刺すのが一番いいかというふうなことは、彼がほんとうに殺意を具体的に固めたのは、自分の家で押し入れからわきざしを発見したときのようでありますけれども、それからあと明治神宮に参りまして、二、三回明治神宮に自分のやることの成功することをお祈りするとともに、どういうふうな形で刺すのが一番適切かというようなことをだいぶ考えまして、ああいうふうな刺し方をしたのだというふうなことを申しております。しかし、それだけでは信用するわけには参りませんから、あらゆる角度から、ほかからそういうようなことを教えた者があるのではないかというふうなことも調べまして、特に彼と非常に密接な関係にありました吉村というのが、かねがねいろいろの関係で愛国党などにもおりましたから、そういう点なども追及したわけでありますけれども、これも剣道を一般的に教えたということはありますけれども、それほど剣道のうまい男でもありませんし、現在そういうような形で刺し方を教えた事実は全然出て参らない、こういうふうな次第であります。
  80. 田原春次

    ○田原委員 次は山口少年自殺関係してでありますが、国民一惑般の疑は、とうていほんとうの自発的なあの短時間における自殺の決意の遂行とは思っておりません。何人か外から自殺を勧めているのではないか。そうしてその間ちょうど時間をはかって、看守の回らぬときを見て自殺をさしたのではないかということを言っているのですが、自殺の前後の状況をもう少し詳しくお話ししてもらいたい。
  81. 竹内壽平

    竹内政府委員 自殺前後の事情につきましては、東京少年鑑別所内のできごとでございまして、法務省の矯正局長から御答弁申し上げるのが筋でございますが、ただいまここに参っておりませんので、私の承知していることをお答え申し上げます。従いまして、もしささいな点において違いがございましたら、将来御訂正をさせていただきたいと思います。  今の、外部から使嗾されて、そして看守の目を盗んで自殺をしたのではないかということにつきましては、死んだ場合には検視という手続がございまして、この検視には検察官が当たっておりますが、自殺の報を受けまして直ちに東京地方検察庁の担当の検察官が現状に臨みまして調査をしたほか、行政監察医もその席に立ち合いまして死体を検案をいたしました。それらの事情から全く自由意思に基づいて縊死を遂げたのだということを諸般の事情から推定できるという判断に達しまして、検視の手続は犯罪関係がある場合に行なわれるのでございますが、犯罪関係ないということが確認されましたので、検視手続をそういう趣旨において終了いたしまして、その旨法務大臣に御報告申しております。私が今申し上げている答弁は、その報告書に基づいてお答えを申し上げているわけでございます。  なお、入所以来自殺をいたしますまでの間のいろいろ処遇上の問題があります。この点に手ぬかりがなかったかどうかにつきましては、法務省におきましても、監督の立場から厳重にその実情を調査いたしまして、結論を出したい考えでございます。
  82. 田原春次

    ○田原委員 刑事局長の御答弁は、私の質問をすりかえているのです。その検視官が行って自殺であったかどうかをいろいろな角度から調べた。それが自殺だということはみな新聞等で知っているのです。自殺をさせたのはだれか、どういう連絡をしたか、刑事局長本来の職務からいって一応疑ってみるべきじゃないか、たとえば差し入れの中に入れておったとか、あるいは看守を使うとか、あるいはまた面会のときに指針を与えるとか、その方法を私は聞いておるのであって、自殺そのものの方法じゃないのです。その点全然疑いを持たなかったのですか。
  83. 竹内壽平

    竹内政府委員 ただいま御指摘の点をも含めまして、厳重に調査いたしたわけでございまして、もちろん首をつって自殺であるということでありましても、いろいろ今までの経験に徴しまして御疑念のような場合もないとは保しがたいのであります。それらの点につきましても、精密に調査をいたしました結果の結論でございます。
  84. 坂本泰良

    坂本委員 刑事局長に今のに関連してもう一つ聞きたいのですが、新聞などによりますと、七生報国、天皇陛下万歳と書いてあったというのが報道されておりますが、そういうようなことは鑑別所の中ではでき得ないとわれわれは承知しておりますが、そういうのがあったかどうか、お伺いしたい。
  85. 竹内壽平

    竹内政府委員 そういう事実がございました。何か歯みがき粉を水に溶かしまして、それで書いたもののようでございます。縊死しているということを教官が発見いたしましてかけつけましたときには、まだその書いてある文字がやや水けを帯びておったということでございますので、おそらく発見の直前に書いたもの、かように考えております。
  86. 坂本泰良

    坂本委員 こういうようなのは、あなたは、これは捜査秘密と言って言わぬのですが、鑑別所内においてのこういうようなことは外に公表できぬと思うのですが、それが外に出て、しかも先般の慰霊祭のときには、こういうので死んだのだと非常に英雄視し、右翼団体はそれを奨励して非常な一枚看板にしている、こういうふうにも考えられるのですが、どうしてそういうのが外に漏れたか、その点をお伺いしたい。
  87. 竹内壽平

    竹内政府委員 それがどうして漏れましたか、私わかっておらないのでございますが、たしか新聞にも出ておったように記憶いたします。その点がどうしてそういうふうになったかにつきましては、私つまびらかにいたしませんので、担当の局長によく確かめてお答え申し上げるか、あるいは担当の局長からお答えをしていただくようにしたいと思います。
  88. 坂本泰良

    坂本委員 刑事局長がおられる間がいいと思うのですが、先ほど石岡公安部長の報告によると、調べた右翼団体は慰霊祭に出てきたほとんど全部を調べた、こういうようなふうに聞いたわけですが、警視庁の方でその調査をされて、これは警視庁の方としては、浅沼刺殺事件捜査はもちろんでありましょうが、前国会でも問題になりましたように、暴力行為絶滅決議がありました。そのためには、右翼資金源を究明して、そういうことをなくさなければ暴力の絶滅はできない、こういうような法務地方行政合同委員会の質疑が行なわれ、その結果、全会一致である暴力に対する決議案が出たわけであります。そこで警視庁の方にお聞きしたいのですが、そういう観点からいたしまして、この十一月十八日の発表は、これは地検発表警視庁発表もあるわけですが、先ほど来質問をいたしました大日本愛国党あるいはアジア反共青年連盟、その他警視庁で調べられましたところのたくさんの団体、これに対する資金源も調べられたと思うのですが、それに対しては、やはり三業地一流会社その他多数あって、その中には前回の選挙に立候補した者もある、こういうふうに発表されておりますが、そういう点について調査をされたかどうか。調査されましたならば、その内容を一つ警視庁として発表してもらいたいと思います。
  89. 石岡實

    ○石岡説明員 今お話のありましたところからいくと、先ほどの御答弁を間違って私のお話の申し方が悪かったかもしれませんが、誤解されている点がありますから、一つ御訂正願いたいと思います。先般の慰霊祭に出てきた団体を全部調べたと申し上げたわけではないのでありまして、先般山口事件があったときに、それに関係があるかもしれないというようなことで取り調べた団体は全部この慰霊祭に出てきた、こういう趣旨であります。山口事件は特別の事件でありますから、先ほど刑事局長からのお話もありましたように、私の方といたしましても、事件の直後に、公安第二課を中心といたしまして、現場の署並びに捜査の四課の応援を求めまして特別捜査本部を設けまして、徹底的の捜査をいたしたわけであります。その間おおむね四百八十名ばかりの者をあるいは取り調べたり、それ以外いろいろ関係あると思われるところからいろいろの情報をとったり、全力を尽くしてやったわけです。その捜査過程において、いろいろな団体から資金の問題などでわかった点があるのではないかというようなお話であります。反共アジア青年連盟の問題については、先ほど刑事局長からのお話もあったわけですけれども、大日本愛国党の問題などにつきましても、いろいろ資金源をつくるわけですけれども、これは先般の国会でも問題がありましたけれども、帳簿といたしまして出ておるのは、おおむね党首がそれを寄付等でまかなうというふうなことで、党首自体は、資金の問題については、なかなかこれは正確な答えをしないというふうな点もありまして、正確な意味におきましては、なかなか実態をつかむことが困難だというふうな状況であります。
  90. 坂本泰良

    坂本委員 実態はつかめないが、この資金源について、すでに十一月十八日に、ある具体的の問題が二団体についてはここに出ているわけです。だからそのほかの団体について調べられて、そうしてそれが明らかになっている点があると思うのですが、あったならば、ここでわれわれは、本日は大きく暴力絶滅の点からしてやっているわけですから、一つ発表してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  91. 石岡實

    ○石岡説明員 今お話の御趣旨は十分わかるわけですけれども、現在この全体の捜査といたしまして、警察捜査から現在は特に検察庁の方の御方針と連絡をして協力してやるというような段階になっているわけで、私どもの方で軽々しく発表することはいかがかと思うわけであります。
  92. 坂本泰良

    坂本委員 いや、刑事局長は、発表したいけれども、今の関係捜査上の関係発表できない、こういうお話ですね。そこで私は、それに関係するのはこの二団体関係——団体関係でも、厳密に刑事訴訟法からいけば、やはり捜査秘密を明らかにして、この点は発表できないといって、その点は発表できないわけですが、それ以外の点は発表できる。その点は、刑事局長答弁は非常に不満であります。これはやはり政府並びに法務大臣あるいは検事総長から押えられて、事務当局が発表できないのではないか。政治的な圧力によって発表しない、こういうふうに私は考えるのですが、国民多数もやはりそういうふうに考えて、遺憾に感じておるのです。従って警視庁は、この捜査過程において、これは暴力行為の一つである、こういう点から広く暴力行為についての調査はされておると思うのです。ですから、その点について、右翼団体についての資金源という問題は前国会で大きく問題になっておりますから、調査しなければならぬ。調査しておれば、やはりここに発表すべきである。何も浅沼刺殺事件だけに関連した秘密の問題じゃない、私はこういうふうに考えるわけです。でありますから、その関係しない以外のものはここに発表してしかるべきだこう、いうふうに考えますが、いかがですか。
  93. 石岡實

    ○石岡説明員 右翼資金の問題につきまして、いろいろこちらといたしましても、右翼の実態を明らかにする意味において調べるわけでありますけれども、大体におきまして、右翼資金というのは、自分の事業でまかなうことも全然ないというわけではありませんけれども、おおむねは寄付のような、それがあるいは恐喝というふうな形にからんだような寄付のような形、あるいは賛助員というような形でとっているようであります。ただそれが政治資金規正法で明らかになった分につきましては、きわめてこれは明瞭でありますけれども、この政治資金規正法によりまして明らかになったものにつきましても、それは寄付によるものである、寄付は党首の寄付であるというようなことで、それ以上のことは政治資金規正法によりましてもあまりはっきりしないという点があるわけです。それ以外の部分につきましては、いろいろ情報その他の問題はありますけれども、現在私の方でこれがきわめて正確な形であるというふうに発表するような内容は持ち合わせておりません。
  94. 坂本泰良

    坂本委員 これは今突然あれするわけですから、今すぐ発表ということも困難かもわかりませんから、総監も出ておられますが、この点は、先ほど田原委員も申されましたように、大きい問題であるし、世界的問題である。そうしてあの安保反対闘争の問題にからまった大きい問題であるから、この右題団体資金面については、警視庁当局みずから調査されて、そうして発表しなければならぬ。特に浅沼事件がここにありましたから、それに関連して、捜査秘密という点に隠れて発表を拒否すべきものじゃない、発表すべきだと思うのです。従いまして、きょうはできないにしても、近いうちにそういう点について警視庁調査をされて、そうして発表されることができるかどうか、これを承っておきたいと思う。  先ほどわれわれの先輩である田原委員が申されましたように、濱口雄幸事件あるいは板垣退助事件、そういうような大きい事件があった場合は、当時は、警視総監は辞職し、その犯罪捜査に当たっては急速に捜査に当たって、そうして時々刻々発表された、こういうふうにわれわれも聞いておるわけです。そういうような点からいたしまして、浅沼刺殺事件というのは大きい問題である。従って今竹内局長発表されたようなごまかし的な発表でなくて、警視庁自身は、また警視庁第一線にある警察関係からして、これを発表すべきだと思う。従って、そういう意味から、一番今国民の疑惑を招いておることは、この右翼団体資金源の問題であります。これについてぜひ発表すべきである、こういうふうに考えますから、この点について警察当局として発表されることができるかどうか、これは警察庁長官と小倉警視総監のお二人にお聞きしておきたいと思います。
  95. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほど石岡公安部長から申し上げましたように、右翼——右翼に限りませんけれども団体資金調達の一般的な仕方というようなものについては、ある程度推察もし、また実証を得ることもございますけれども、個々の団体につきまして、具体的にどういう方法でだれから幾ら得たということを正確につかむことは、非常に困難なのでございます。自治省関係の政治資金規正法に関する報告は、ある程度真に受けて認めることができると思いますけれども、それ以外のものにつきましては、警察でも責任を持って調査ができるということを申し上げることもできませんし、従いまして、ここで近い機会に発表いたしますということも良心的に申し上げかねる問題でございます。
  96. 小倉謙

    ○小倉説明員 ただいまの長官の答弁と同様でございます。
  97. 坂本泰良

    坂本委員 この問題は国際的の問題もあるというふうなことがいわれておりますし、社会党におきましても、この問題についてはいろいろと調査資料の収集等もやっておるのでありますから、これは今発表しろと言うても良心的にできないといって、何か具体的の問題をあげなければ発表できないのではないかと思う。そういう点については、通常国会になるでしょうが、この点は今後の問題としてわれわれもやらなければならぬと思うし、やはり警察当局としてもこの点については十分の調査をして、そうしてそういうことがないように、この資金源を撲滅をすることが、いわゆる暴力の絶滅を期する最も大きい問題である、こういう点に立脚されて、その点も十分調査していただいて、われわれが国会において質問をする場合はそのお答えができるようにやはり積極的に——良心的にできないとおっしゃるならば具体的の問題としてわれわれは取り上げなければならぬ、こういうふうにも思っておりますから、十分その点を一つ調査を進めていただきたいということを希望いたしておきます。  それで今度警視総監並びに石岡公安部長を中心にしてお聞きしたいと思いますが、先般山口二矢の慰霊祭が日比谷の公会堂で行なわれた際に、警視庁の左翼担当の警部三名が喪章をつけて参列をした、こういう問題について、先般警察庁にはお聞きいたしたのでありますが、これはわれわれ社会党といたしましては、淺沼委員長があの立会演説の最中に刺し殺されている、そしてその涙のかわかないうちに、同じ場所でこの慰霊祭が持たれて、全国の右翼団体がここに参集して慰霊祭をやった。その際に左翼担当の警部が喪章をつけて香典を持って参列した。これは重大な点でございますから、まずこの点について警視総監はそのときの実情について調査されておると思いますから、その点をまずお伺いして、そしてあとの質問を続けたいと思います。
  98. 小倉謙

    ○小倉説明員 私の調査によって知り得ましたところによりますと、当日慰霊祭が行なわれるということを御指摘警察官三名が右翼担当の警察官から聞きまして、その会合には右翼関係者が非常に多く集まるという状況でありましたので、三人の警察官は日ごろ労働争議あるいは大衆運動等の際に現場に出動しておるのでありますが、そういう際に、よくあれは右翼関係者である、ああいう者が来ておるというようなことで、組合の関係者やあるいは政党の方たちから聞かれる、ところが自分たちはどうも顔がわからない。そういう際に非常に困っておった事情もありましたので、そのように当日多数の右翼関係者が集まるならば、その集会に行っていろいろな右翼関係者の顔をできるだけ覚えたい、また右翼関係者がどういうようなことを言うて、どういう気持でおるかということもわれわれとして知っておった方が、今後の自分たちの職務を適正に行なっていくために必要である、こういうように考えまして、その集会に何とか入っていきたい、様子を見たい、こう思ったのであります。そこで一度出かけたのでありますが、ところが右翼警察官から聞いておりますのには、当日は相当多数の者が集まる、しかも大部分が右翼関係者であるということでありましたので、何とか自然に、目立たないように入る方法はないものかということで考えました末、やはり一般の右翼でないものということで行くのには、おそらく香典のようなものを持っていくだろうか、われわれもわずかでもいいからそういうものを用意していった方がいいんじゃないかということで、三人の警察官が五百円入りました包みをふところに入れまして、会場に臨んだのであります。会場の入口で見ておりますと、大部分の右翼関係者が入っていく、そのほかに少数の者は何か名刺を渡しながら入っておるというようなことで、香典を置く者ももちろん中にはおりますし、そういうような状況でありましたので、やはりここでそっとそういう包みを出してさっと入った方が自然に入れるんじゃないか。要するに身分がわからないようにして入って、中の様子を見たいという気持でその包みを出して入ったというのが実情でございます。そして中に入りまして様子をいろいろ見ておりました。何人かのあいさつも聞いて、終わりになりまして玉串を差し出すというような段階になりまして、いや、こんなことでは困るということで、その前に会場を出て役所に帰ってきた、こういうような実情でございます。三人の気持は、極力自然な状況で、気づかわれないようにして中に入って、自然な状況で様子を見、できるだけ右翼関係者の顔を覚えたい、こういうような気持であったのであります。
  99. 坂本泰良

    坂本委員 その三名の方は警部であり、喪章をつけて、そうして三人各自香典を持っていかれた。幾ら持っていかれたか、その点を一つ……。
  100. 石岡實

    ○石岡説明員 三名とも警部でありますし、三名とも喪章はつけて参りました。香典は三名のうち二名持って参りました。それぞれ五百円ずつ持って参りました。
  101. 坂本泰良

    坂本委員 当日は香典や名刺を出さなくても、あの二階の入り口からも大ぜいの人が多数香典を持ったり、名刺を出したりしたのがあったでしょうが、それよりも自由にあすこに入った人が多かった、こういうように聞いておりますが、その点いかがですか。
  102. 石岡實

    ○石岡説明員 当日は特に右翼関係の集まりでありますから、右翼関係の者はあるいは顔を知っているとか、だれか指揮者があるということで入ったり、あるいは報道関係の諸君は入ったのもあるようですけれども、相当の年輩の者が——そうでなければ、大体の者は名刺を出している。しかもその名刺受けの横には相当香典が重なっておるという状況で、自然に入るためにはやはりこれを出した方がいい、こういうふうに感じたようであります。
  103. 坂本泰良

    坂本委員 いやその点でなくて、当日は慰霊祭に行く人は自由に入れて、やったのであって、名刺を出したり、香典を出す人はその一部であったのではないか、そういうふうに聞いておりますが、そうじゃないのですか。入口が一つだけあって、それでそこを通らなければならぬから、喪章をつけて香典を持って行った。この前は警察庁長官答弁を私はお聞きしたように思いますが、ところが聞くところによると、そこだけでなくて、その横から、その他から自由に入れた、そうして一般の人は自由にそこを出入りした、こういふううに聞いておりますが、その点いかがですか。
  104. 石岡實

    ○石岡説明員 入口は一カ所でありまして、そこに長いテーブルを置いてありまして、そこに右翼の者がたくさんかけて受付をいたしておるわけです。その前でありますから、そこ以外には通るところはなかったわけであります。
  105. 坂本泰良

    坂本委員 いや、その点はそう厳格なあれでなくて、自由に入れて、そうして三名のうちの一人の笠原警部は、自由に、喪章も香典もやらずに入ったところが東海林、武川の両警部は、喪章をつけて、そうして香典を出してその中に入った、こういうようなことに聞いておるのですが、その点いかがですか。
  106. 石岡實

    ○石岡説明員 喪章は三人ともつけて行ったわけであります。今申し上げましたように、長いテーブルを置きまして、そこに右翼の者が陣取りまして、香典とか名刺の受付をやっている前であります。その前でありますから、先ほど申しましたように、右翼関係者などは顔見知りでもあるし、あるいは引率者などがありまして入っておった者もあるようでありますけれども、大体においては、そういう関係者でない者は、あるいは名刺を置いて身分をあかす。名刺によってあなただれですかと聞かれておったようでありますが、名刺を置いて身分をあかすか、香典を出すというのが最も自然の形であったというように聞いております。
  107. 坂本泰良

    坂本委員 いや、そうでなくて、自由に入れたのをわざわざ二人は喪章をつけて、香典を持って入られた。一人は、喪章をつけていたかもしれませんが、それは聞いておりませんが、自由に入った、こういうふうに聞いておるのですが、その点いかがですか。
  108. 石岡實

    ○石岡説明員 今申し上げましたように、無理して入ろうと思えばもちろん入れない形でもなかったようでありますけれども、本人たちの気持は、われわれぐらいの年輩の者が、黙って入って、もしそこであなただれですかと、こういうふうに聞かれて、名刺でも出すようなことになれば、初めから自分たちの身分を秘匿いたしまして、十分情報をとろう、こういうふうなこともあって入ったんだから、失敗してがさがさされても困るということから、持って行った香典を出した、こういうふうに聞いております。
  109. 坂本泰良

    坂本委員 そんならお聞きしますが、この問題について記者会見をされて、最初は、山口のような場合に、そんな必要はない、捜査とかなんとかいうそんな必要はない。だから、最初は否定しておられたんじゃないですか。その点いかがです。
  110. 石岡實

    ○石岡説明員 私のところで記者諸君に会いましたのは六時半ごろであります。ところが、私の方の公安二課長のところに警視庁詰めの記者諸君が来られたのは、おそらく四時ごろではなかったかと思います。それで、この点につきましては三人の警部は事前に課長に報告をして行ったわけではなかったわけですから、課長のところに来て、三人が行ったのか、香典でも出したのか、こういうふうなことを課長が聞かれたようですけれども、課長はよく事情を知らない、行っているかどうか知らないし、香典なんというものをやっているかどうかわからない程度でありますから、そういうことはないだろう、こういうふうに答えておったようであります。それで、その後いろいろ話しているうちに、どうも行った連中が帰ってきたらしいというふうなことで、それではここに来て模様を話せというふうなことで、その新聞記者諸君のいるところで、帰ってきた連中がいろいろ話したらしいのでありますけれども、そのときは、行ったことは行った、しかし香典は持って行かなかった、こういうふうなことを言ったようであります。それは先ほど申しましたように、特に最近は右翼関係の情報をとるのも困難になってきたわけでありますけれども、労働関係の者が、先ほど総監の御説明にもありましたような趣旨で現場に行きました関係上、これは事実を明らかにするよりも、やはり秘匿しておくのが当然ではないか、そういうふうに判断したようであります。しかしながら、行ったこと自体はもちろんそれほど隠さなければならないというふうなことでない——というふうなことよりも、帰りぎわに顔見知りの新聞記者に会ったので、行ったことは行ったのだ、しかし、香典を出したというふうな、情報をとるための技術上の方法については、これはできるだけやはり秘匿しておくのが当然ではないか、こういうふうなことで、そういうことはなかったのだ、こういうふうに答えたように聞いております。
  111. 坂本泰良

    坂本委員 どうもおかしいのですが、なお聞くところによると、そんな五百円ぐらいの香典を持って行けない、香典を持って行くなら千円か、それ以上多くなければならぬ、だから、そんな左翼関係担当の警部が行っているわけはないと強力に否定して、そうしていよついよそうではないということがわかったから、今あなたが言うたような理屈をつけて、先ほど警視総監が言われたような理屈をつけて、そうして答弁しているのではないか。その点いかがですか、最初否定したことは。
  112. 小倉謙

    ○小倉説明員 結果的に見ますと、私は初めからありのままを言った方がよかったと思うのです。ただ、警部諸君の気持では、今もいろいろ御批判的なお話がありますように、そういう会合に香典を持って行ったというようなことはなるべく知られない方がいいというような単純な気持から、最初は言わなかったようでありますが、私は、まあ結果的に見ましては、問い詰められたならば、ありのままを言った方がよかったのじゃないかと思います。そこで、香典の額なんかにつきましても、よく聞いてみますと、最初は要するに、そういう自然に入るための方法なんだから、百円くらい入れておいたらいいんじゃないかというような話もしたそうであります。しかし今のあれで、百円の香典というのはおかしいじゃないかということで、五百円にしたのだそうでございまして、私が先ほど申し上げましたように、ほんとうに純粋にそういう情報収集といいますか、右翼の者の顔をできるだけ覚えておきたいという気持でやった行為でございまして、その点は一つ御了承願いたいと思います。
  113. 坂本泰良

    坂本委員 この問題で国民が一番疑惑を置いておるのは、右翼団体警視庁はツウツウじゃないか、そうして、いわゆる正しい労働運動、ストライキその他の労働運動について警視庁は、右翼団体を使っておるのじゃないか、だから、あの慰霊祭に対しても喪章をつけて、そうしてふだんそういうような深い関係があるからやったのではないか、だから、これはこのこと自体によって警察右翼団体とは深いつながりがあるということを証拠立てたものである、こういうふうに国民は言われておる。新聞なんかもそういう報道が出ておるわけでありますから、そこをわれわれは考えるときに、あの淺沼委員長が刺殺されたあの場所で、しかも涙のかわかないうちにあの慰霊祭を許可して、そうしてそこに喪章をつけて香典を持って行く、ふだんのいろいろな関係があるから行ったのじゃないか、こういうふうな疑惑が出ておるのであります。だから、そう考えますと、今総監が言われましたように、最初からさっぱり言えばよかった、そういうように言われますけれども、最初はそういう関係で行ったからそれを否定しておる、そうして、のっぴきならなくなったから、今度は捜査だ、こういうふうに理屈をつけた、一般はこう思っておりますよ。この点の疑惑をはらすためには、今総監の御答弁では、どうしても私は、私自身も納得いかないし、国民自身も納得いかない、こういうふうに思うのですが、その点いかがでしょう。
  114. 小倉謙

    ○小倉説明員 参りました警察官は、御承知のように、右翼の係ではありませんし、左翼の運動といいますか、労働関係警察官でございまして、右翼関係の者とはほとんど知り合いといいますか、顔見知りもないという者であります。最初公安二課長らがそういうことはなかったというのは、そういう事情を知らなかったからそのように話しただけのことでございまして、先ほども御説明を申し上げましたような事情でございますので、決してこのことによって警察右翼関係がどうこういうというような誤解を招くということはない、一般にもそういうような感じはない、私どもはさように存じております。
  115. 坂本泰良

    坂本委員 あなたはそう言われても、一般はそう思っていませんよ。これは会場をあすこにするについても、先般国家公安委員長は、屋内だからやればできないことはない、許可しないわけにはいかない、こういうふうなことを言っておられます。しかし警視庁としては、これは屋外の場合ではありますけれども、集会なんかする場合は、あすこはいけない、ここに変更したらどうか、あすこ以外のことを考えろというようなことを十分指導して、そうして屋外集会なんかをやる場合に、出た場合、やはり公安条例をたてにとって、もうなんぼわれわれがあとから頼みに行っても全然許可しない、こういうようなことがあるから、そういうことを考えたならば、あの場所で、淺沼委員長が刺殺されたあの場所で、そうしてまだ幾らもたたない日にあの慰霊祭をやる、しかも七生報国だ、明治維新の志士のようなふうのあの会合をやらせるというのに、あなたが今の御答弁みたような考えがあるなら、これはもっと指導ができたはずだと思う。そういうことはせずに、そこに許可しておいて、しかも喪章をつけて香典を持ってそこに参列するというところに、香典はわずか五百円であったにしても、これは国民の疑惑は大いにあると思うのです。そういう点についてはどう考えるのですか。それであなたはいいのだ、こういうお考えですかどうですか。
  116. 小倉謙

    ○小倉説明員 あの慰霊祭が事件のありました場所である日比谷公会堂で行なわれるということにつきましては、私どももそれは決して適当なあれではない、かように考えております。従いまして事前に、慰霊祭を行なうという話がありましたころから、日比谷公会堂は避けた方がいいんじゃないか、また避けるようにしろというような話をいろいろ内々指導をいたしたのです。しかしながら、右翼関係者におきましては、いろいろ協議の末、ぜひここでやりたいということで、集会の願いを出してきたのであります。これは御承知のように、集会の自由というものはもちろん尊重しなければなりませんし、まあ個々の場合に応じてその措置をすべきでございますが、あの場合におきましては、この集会を取りやめさせるというだけの理由というものは考えることができないのでございまして、ただそういうような集会をあの場でやろうということであるならば、よく言動等に注意するようにという厳重な、いろいろな条件を付しまして、これを許可したような状況でございます。私はああいうような場所であの集会が行なわれたということは、決して適当でないと考えておりますが、やむを得ない事情であったということを御了承願いたいと思います。
  117. 坂本泰良

    坂本委員 まだまだ質問はございますが、水谷氏の弔辞の本会議だそうですから、休憩願って、本会議終了後に続行していただきたいと思います。
  118. 林博

    ○林委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十一分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕