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久保委員 それぞれ
お話がありましたが、
一定額を支払うということは、
船員法適用のものも
適用でないものも、今の御
説明ではっきりしているわけなのです。これをやっているものはほとんどないといって過言ではない
実情のようであります。先ほど
船員局長は、管轄であるところの
那珂湊支局の
労務官というものがあるから、そういうものを通して問題を解決すべきである、こういうような
意味の
お話がありましたが、実は
労務官も一生懸命におやりになっているようであります。私もそういう話を聞いておりますが、残念ながら
労務官の力ではこれは今の
船主に対抗といっては語弊がありますが、これを
監督し指導することはなかなか困難な
実情があるように私は推測しております。というのはこれは悪い
意味ではなくて、実際は力がどうも向こうが強過ぎるのではなかろうかと思う。そういう点でもう
一つ、これは総括的に
両省に要請をいたしますが、
実態を
一つ、本省からなり、あるいは
支局の
上部機関から行ってお調べになって対策を立てるべきであろう、こういうふうに私は思う。それはもちろん
船員は今出漁中でございますから、その土地にはおらぬと思うのでありますが、これをいつ
調査されるかは別にして、近い時期において
両省とも
一つ合同の
調査をされて、近代的な
労働慣行を確立されるようにした方がいいではないか、こういうふうに思います。
それからもう
一つは
労働協約でいろいろきめるということでありますが、もちろんまだそこまではいっておらない
実情であります。そうするならば
就業規則によってこれはやるのだというのでありますが、それはその
通りでありましょう。ところが
就業規則そのものを守っている
船主というものはほとんどないくらいなのであります。ほとんど守っておらないというのが
実情であります。それからもう
一つは、具体的な例としては
那珂湊の問題ですが、
那珂湊支局に届けてあるところの
就業規則は、これは三十二年に作って
届出ができたわけです。ところが実際にはこれは三十三年に一部
改正されまして、届け出されてはおります。これは
海運支局の御指導もあってやったと思うのでありますが、この
改正された
就業規則をもって実は雇い
入れ契約はやっているわけなのでありますが、この
改正された
部分についてこれは問題があるようでございます。でありますから
改正された
部分についての雇い
入れ契約というものは無効ではないだろうか、こういうふうに思うわけです。それからこれを知っている
海運支局は、私
どもより十分その
内容は御存じなはずなのでありますが、
支局自体はこれについて何もやっておらぬというような事実をわれわれは聞いております。これは非常な怠慢ではなかろうかと思うのであります。最低限のよりどころであるところの
就業規則さえ守られないし、あるいは勝手に
改正をしてやっておるというような
実態を、今日まで見のがしていること
自体も、私は
監督官庁の力が弱過ぎるのだ、こういうふうに考えます。これに対してはどういうふうに考えられているか。さらにもう
一つは雇い
入れの場合ですが、雇い
入れの
契約は先ほど申し上げたように
船員には明示されないままになっているし、また
契約自体も、
船員自体は
内容は全然知らぬ者の方が多いようであります。
船員手帳の問題は先ほどの御
説明でわかりましたが、いずれにしても
契約内容がわからぬ
船員が多い。こういうことでははなはだしくどうも、何と申しますか、
労使慣行からいっても
一般の
労働問題からいっても、今どきあるはずがないような事例だと私は思っております。それから雇い
入れの期間も、これは不定期のようであります。でありますから、港に帰りまして、次の
漁期までの間は、全然
賃金は支払われない。支払われてもこれは全く百二十円とか二百二十円とかいうことで、船の修理に携わったときだけもらうような
実態だ。こういうことがはたしていいのかどうか、こういう点を
一つお聞かせを願いたいのであります。