○岩沢忠恭君 ただいま
議題となりました
公共工事の
前払金保証事業に関する
法律の一部を
改正する
法律案ほか二件について、建設
委員会における審軸の
経過並びに結果について御
報告申し上げます。
まず
公共工事の
前払金保証事業に関する
法律の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
現行法は、
公共工事の前払金の実施を円滑化するため、保証
事業会社がこれを保証する
制度を創設したのであります。すなわち、請負者が債務を履行しない場合、発注者は請負契約を解除して保証
事業会社から保証金を受けることができるようになったのであります。しかしながら、
公共工事の請負も契約の
実情を見ますと、前払金について請負者が保証
事業会社と保証契約を結ぶことを条件とするほか、請負者側に工事完成保証人を立てることが多いのであります。従って、請負者の債務不履行に対して、発注者は、契約を加除しないで工事完成保証人に履行の請求をすることもできるのであります。ただ
現行法によれば、保証
事業会社が保証金を支払うのは請負契約を解除した場合に限られているので、工事完成保証人が請負者にかわって工事を完成した場合には保証金は支払われないのであります。このため、工事完成保証人は発注者から請負金と前払金の差額しか支払われず、前払金についての保証金相当額は請負者に求償できるとはいいながら、自己の負担となってしまうことが多いのであります。よって今回の
改正案においては、この場合、保証
事業会社は支払いを免れた保証金相当額を工事完成保証人に対して支払うことができることとし、工事完成保証人の債務履行を容易ならしめたのであります。
委員会におきましては、発注
機関の前金払いの
実情、保証
事業会社の実態等について詳細な資料の提出を求め、参考人を招致して意見を聴取する等、慎重な
審議をいたしたのであります。
質疑の主なる点について申し上げますと、保証会社発足当時と今日とでは金融状況が変わっており、かつ
公共機関の中でこの
制度を利用しないものがある
実情から見て、保証会社は必要ありやいなやという点、当会社の
業務を
公共工事のみに限らず一般の建設工事に拡大する意思ありやという点、
公共事業の請負契約の片務性の是正に対する
政府の
見解いかん、さらに工事完成保証人の意義等についてでありまして、その詳細は
会議録に譲ることといたします。
かくて
質疑を終了、
討論に入りましたところ、民主社会党を代表して田上
委員から、
本案は
公共事業の促進
対策としては末節の問題と思われるが、一歩前進であるから
賛成する旨の
発言があり、また、
日本社会党を代表して田中
委員から、
本案の背景にある請負契約の実態は片務的であって、これは双務契約に改めなければならない。しかし、
政府はこれに対し善処を約しているので、民主的な契約
制度が確立されることを条件として
賛成する旨の
発言がありました。
討論を終結、
採決の結果、
本案は
全会一致をもって
原案通り可決すべきものと決定いたしました。
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次に、
昭和三十五年五月の
チリ地震津波による
災害を受けた地域における
津波対策事業に関する
特別措置法案は、
災害地域における
津波対策事業を計画的に実施しようとするものでありまして、その
要旨は、第一に、
津波対策事業とは、政令で定める地域において、海岸または海岸附近の河川について
施行する
事業で、津波
災害を防止するに必要な海岸堤防、河川堤防等の新設または改良に関する
事業等であります。第二に、主務大臣は、
関係地方公共団体の意見を聞いて
津波対策事業計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないこととするとともに
総理府に
チリ地震津波対策審議会を置くことといたしたのであります。第三に、
政府は
津波対策事業計画を実施するために必要な
措置を講ずることとし、国の財政の許す
範囲内において実施を促進すべきことといたしております。
次に、
昭和三十五年五月の
チリ地震津波による
災害に伴う
公共住宅法の
特例に関する
法律案の
内容について申し上げます。
本案は、
チリ地震津波による住宅の被害状況にかんがみ、政令で定める地域について、
事業主体が第二種公営住宅を建設するときには、
現行法の
規定にかかわらず、国は
災害滅失戸数の五割以内について建設に要する費用の四分の三を補助することができるものといたしたことであります。
両法案についての
質疑の
内容は速記録で御承知をいただきたいと存じます。
質疑を終了、
討論を省略して
採決の結果、両案とも
全会一致原案通り可決すべきものと決定いたしました。
右御
報告申し上げます。(
拍手)