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1960-03-15 第34回国会 参議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十五日(火曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            伊能繁次郎君            大谷 瑩潤君            下條 康麿君            下村  定君            松村 秀逸君            鶴園 哲夫君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            辻  政信君   国務大臣    国 務 大 臣 石原幹市郎君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    人事院事務総局    職員局長    矢倉 一郎君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    自治庁行政局公    務員課長    今枝 信雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○国家公務員制度及び恩給に関する調  査(国家公務員法ILO第八十七  号条約に関する件)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。  最初に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。公務員の給与に関する件の調査のため、参考人から意見を聴取してはどうかと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。なお、参考人の人選及びその他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  5. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、国家公務員制度及び恩給に関する調査を議題とし、国家公務員法ILO第八十七号条約に関する件の調査を進めます。政府側出席の方々は、淺井人事院総裁矢倉人心院職員局長増子公務員制度調査室長でございます。なお後刻石原自治庁長官松川文部大臣出席の予定に相なっております。御質疑のおありの力は、順次御発言を願います。
  6. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 国公法の九十八条の第二項と、それから人事院規則の、職員団体登録に関する人事院規則、この二つについて伺いたいと思うのでありますが、まず初めに国公法九十八条の二項、これだけに限りましてお伺いをいたしたいと思います。この第二項は「職員は、組合その他の団体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。」こういうふうに規定しておるわけですが、この項から見ますというと、組合構成員職員でなければならないというふうには解釈しにくいように思うわけであります。公労法四条の三項のように、職員に限るという明確な規定国公法にはないわけでありまして、従いまして職員に限るというふうには読みにくいように思うのであります。さらにまた、この文は、「職員は、」というふうに書いてあるわけでありますからして、そのまま読みますというと、職員に限るというふうには読みにくいのじゃないかというふうに思います。また、国公労の第一次改正法律附則第四条によりますというと、職員を主たる構成員とする労働組合または団体は、国公法附則第十六条の規定が適用される日において、現に存在する者は、引き続き存在することができる。こういう規定があります。従ってこの規定からいいますと、職員外の者を構成とする組合が存在し得るということを前提にしておるように思います。こういったような諸点から伺いたいのでありますが、九十八条二項の制定当時の解釈と、その後の解釈、今日と申してもいいと思いますが、その間に差異があるのではないか、あるいは変更があるのではないかという疑念を持たれておるわけでありますが、そういう経緯があったのかどうかという点も伺いたいのであります。
  7. 淺井清

    政府委員淺井清君) ごもっともなお尋ねでございますけれども、結論を申し上げれば、われわれは現在この九十八条二項は、職員に限るものと解釈をいたしております。ただいま御指摘附則規定は、これは国家公務員法制定当時の経過規定と、こういうふうに見ておりますので、ただいまはこれは職員に限ると。それで、この点につきましては、私の記憶では、従来と今と少しも解釈は違っていないのではないかと思っております。
  8. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 制定当時の解釈はそうでなかったように思われておるわけですが、その点は、淺井総裁の「国家公務員法精義」を持ち出してもよろしゅうございますが、制定当時は、今総裁のおっしゃった御意見と違うように思うのでありますが、変更なさった、あるいは差異があるというふうに思われておる、そういう経緯があったのでありますか。
  9. 淺井清

    政府委員淺井清君) 私の記憶が間違っておりませんければ、その解釈変更云々は、その次のところにあったように思っております。「代表者を自ら選んで」、そこにあったように思っております。これは最初は非職員でもよいと、こういう解釈であったように私は今記憶しておるのです。それがその後、やはり職員でなければならぬと、こういうふうに解釈したように思っております。現在では、「代表者を自ら選んで」というのは、つまり職員に限ると、こういう解釈でやっておることは事実であります。
  10. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この国公法の九十八条の第二項の、今私が申し上げた、職長でなければ組合構成員にはなれないという点については、この条文そのものからいいますと、禁止しておるところはどこにもないわけですね。公労法四条の三項に該当するような条文はないわけでありまするから、禁止はしてないと思うのです。ですから、学説としても、今日この二項については、職員でない者も組合員になれるのだと、こういう意見が強いわけですね。しかし、今日人事院としてはそういうお考えでないように思いますが、制定当時はそうであったのではありませんか。国家公務員法制定されましたときには、職員でない者でも組合員になれると、こういうお考えではなかったのでありますか。
  11. 淺井清

    政府委員淺井清君) その公労法との比較でございますが、これは制定された時間的にいって違っていると思うのです。なるほど、公労法では、九十八条二項に該当する条文がまずあって、その次に非職員はなれないという禁止規定があるように承知しております。ところが、公務員法には、そのあとにつけ加えた禁止規定がないのであります。そこで、今鶴園さんの御指摘のようなことがあるのですが、これは公労法を作りましたときと、公務員法を作りましたときと、時間的にだいぶ違いがありますから、そこで、公労法の方では職員に限るとこう解釈してきたのでありまして、ただいまお話し制定当時はそうでなかったというのは、私の記憶では、「代表者を自ら選んで」というところが実際に問題になったように思うので、ただ経過規定の方で、その当時の組合といいますか、団体といいますか、そういうものを取り入れますために、経過規定で、「主たる構成員とする」云々ということが入っていたのだと思います。これは経過規定だと思っております。
  12. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうしますと、九十八条の二項の続いてありますところの、「代表者を自ら選んでこれを指名し、」云々というやつがありますね。これは、組合員でない者でも、非職員でも、代表となれるのだと、当初はそういうお考えであったと、しかし、その後変わったという経緯があるわけでございますね。それはあるわけでございますね。
  13. 淺井清

    政府委員淺井清君) ええ。
  14. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それでは続いて伺いたいと思いますが、次は人事院規則の十四—〇交渉手続をきめた規則であります。それから十四—二、これは職員団体登録をきめた規則、それから十四—三、これは職員団体登録変更をきめた規則でありますが、これについて伺いたいのであります。国家公務員の作りまする職員団体は、今の十四—二職員団体登録人事院規則によって、登録する義務が課せられておるわけであります。ところが、十四二または十四—三を見ましても、職員でない者が入っておる職員団体登録は受け付けない、登録はしないというような規定は、どこにも明示されてないように思うのです。しいて言いますと、十四—二の三項登録申請書でありますが、この登録申請書理事代表者役員官職名を託さなければならぬことになっておりますが、職員でない者がなりますというと、この官職がないということになるのだろうと思うのですが、しいて言うならば、これが若干問題になるだけであって、登録規則でも、職員団体登録変更のところでも、非職員が入っておる職員団体は受け付けない、こうはどこにもないわけでありますが、これは規則によらないで、従来受け付けなかったのは運用でやっておられたわけでありますか。
  15. 淺井清

    政府委員淺井清君) ただいまの御質疑は、人事院規則基礎としての御質疑でございまするが、その人事院規則の上には国家公務員法九十八条二項があるので、その二項において、われわれは、職員でない者はいけないということになっておりますから、それを自明の理として人事院規則ができておるわけでございますから、実際の運用におきましても、非職員が入っておりますと、その登録は受け付けないことになっております。
  16. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 規則には、先ほど申し上げました、職員でない者が職員団体役員あるいは組合役員になった場合、この場合は、先ほどの国家公務員法制定当時からいいますと、これは役員になれるということになっておる。そういう者の入った、たとえばそれが役員になって職員団体登録を拒否しておられる。登録を拒否する法規はどこにもないと思うのです。国家公務員法にもそういうことを明らかに規定しておるものはないし、それから今申し上げた人事院規則登録規則にもそういうものはないと思うのでありますが、それを拒否せられておるのは、解釈行政措置としてやられたわけですか。
  17. 淺井清

    政府委員淺井清君) 法文はすべて何とか解釈しなければいけないのでございますから、もちろん、それは法文解釈上でございます。その基礎となっておるのは九十八条の二項の「代表者を自ら選んで」というのは、ただいまの解釈では職員に限るということになっておりますから、そこで、ただいま御指摘のように、非職員代表者として選んできました場合には、その登録現行法では受け付けないことになっております。
  18. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 八十七号との関連で伺いたいのですが、八十七号の関連で、この制定当時の国家公務員法の九十八条の二項の解釈によりますというと、これは八十七号に抵触しないのではないだろうかという気持を持っておるわけです。総裁は、役員の場合は、制定当時は、職員でない者がなれているというこであったわけですね。職員の場合はその非職員組合員になるということはできない、こういうお話ですが、法文上から言いますと、どう見ても非職員組合員にしちやならないという禁止規定はないわけでありますから、だから制定当時としては、私は国家公務員法では職員でない者が組合員になれたり、職員でない者も役員になれたのだと思うのですが、そういう意味から言うならば八十七号と抵触するという点はないのじゃないでしょうか、制定当時の解釈から言えば。いかがでしょう。
  19. 淺井清

    政府委員淺井清君) 今まで述べましたことは、この八十七号の批准とは全然関係なしに述べておるわけであります。そこでただいま初めて八十七号の問題が出たのですが、この条約批准されたら国家公務員法はどうなるかということは、それは別問題であるということをまず申し上げておきたいと思うのであります。それは私は第一には、条約解釈によると思っておるのです。ところが、この条約解釈は、これは人事院権限ではないのでございます。これは内閣の方の権限でございまするから、まずその条約解釈をきめまして、それによってこの国家公務員法が抵触するかどうかが問題になってくるのではないかと思っております。
  20. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に簡単に伺いたいのですが、この人事院職員団体登録、それから交渉手続、それから登録変更、これを見ますというと、登録できないというと団体交渉権を失うということになるわけですね。従って団体としての存立の目的を失うということになります。しかも登録しないこともできる。人事院規則によりますと、また場合によるというと登録の効力を失わせる、停止させる、あるいは登録を取り消すということも、この人事院規則でできるようになっておるのでありますが、こういうものはやはり行政機関による停止あるいは事前の認可、この八十七号と明かに抵触するように思うのですが、こういう点については、人事院としてどういうふうにお考えになっておられますか。
  21. 淺井清

    政府委員淺井清君) まず、一番初めに正式の団体交渉権はどっちにしてもないわけでございます、今現行法制上は。でございまするから、そこにいう交渉はいわゆる公務員法上の交渉であって地方公務員法交渉と同じでございます。その交渉は、人事院登録されたものに限る、こういうわけでございまして、この登録制度ということは、私はILO条約には違反しないのではないかと思うのでございますが、これは政府解釈によって私はおまかせしたいと思っております。しかし、実際どういうふうな交渉をやっておりまするかというと、たとえば総評代表の諸君が来られても、われわれ快く会っていろいろ話をいたす。それから総評というものはこれは人事院登録団体ではないのであります。また、国公共というようなものもこれまた登録団体でない。登録されているものは個々の組合でございますから、これは八百ぐらいあるわけでございます。しかし、実際は皆さんに会っていろいろな話をしたり聞いたりいたしておる次第でございますが、もしこれを法律的にどうだと仰せられれば、それは登録された団体に限るのだ、こういうことになります。
  22. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 刑事罰について、刑罰ですね、団体罰が論議されておるように新聞等で報じておるのですけれども、この刑罰につきまして公務員制度調査室長に伺いたいのですが、御承知のように国公法では組合運動争議行為怠業的行為関連しまして刑罰を科しておるわけであります。さらに今回団体罰というのが問題になって団体罰を科そうじゃないかという話が、新聞等によって報ぜられている。御承知のように公務員制度調査会答申を行なっておりまして、この答申の中に公務員組合運動刑事罰を科すのはよくないという答申が行なわれておるのであります。あの当時の調査会委員であった一橋大学の田上教授、当時私なんかも田上先生に伺ったのでありますが、公務員組合運動に対して刑事罰を科するのはおかしい、強盗や殺人や窃盗と同じように刑事罰を科するのはおかしい、これはやめるべきだ。こういう説明をしておられるわけですが、団体に対しても刑事罰を科するということになりますと、いよいよ組合運動に対して刑罰でがんじがらめにして刑罰の泥沼に陥るように思うのですが、答申との関連で、いかように室長はお考えになっておられますか。
  23. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) 争議行為についての刑罰につきましては、現行法職員争議行為等につきましては、その限りにおいては刑罰はございません。これは御承知だと思います。職員の違法な争議行為等を共謀したり、あるいは企てたり、あおり、そそのかしたりした場合には、刑罰がございますけれども、これは職員には限っておりませんで、何人もそういうことでございます。この種の刑罰規定が置かれておりますのは、争議行為自体を行なった者に対する刑罰ということでなくて、公務のいわば正常な運営を部外から妨げるという行為につきまして、これはいわゆる行政の正常な運営ということが妨げられる、それを刑罰をもって担保すべきだという考え方、すなわち刑罰によって保障されるべき、保護されるべき法益があるということでできているものと考えております。今いろいろお話しになった点は、それとは趣を異にしている職員争議行為等についての刑罰の問題であろうかと存じます。個人罰はもちろん、団体罰を御指摘になったと思うのでありますが、一般的には御指摘になりましたように、争議行為それ自体刑罰の対象とすることにつきましては、労働関係では好ましくないことと一般にされておるのでございます。ただしこうした行為禁止することそれ自体については、十分な理由があると思っております。今回ILO八十七号条約批准関連しましていろいろな意見が出ていることは事実でございますが、政府におきましてはそれらの意見をいろいろと現在掘り下げて検討中でございます。
  24. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 争議行為あるいは怠業的行為そのものについては、罰しないということですか。団体罰というのはどういうことを意味されているのですか。ちょっと伺いたい。
  25. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) 私の申し上げましたのは、御質問がありますので、それについてのお答えをいたしたわけであります。私どもの方で団体罰をどうこうということを申し上げたわけではございません。
  26. 横川正市

    横川正市君 人事院総裁お尋ねしたいと思うのですが、先ほどの鶴園委員質問の項でちょっとさかのぼってお聞きしたいのですが、ILO条約批准を待たないで私はこういう処置人事院としてはとれないかということなんですが、たとえば職員団体登録事項を見ますと、一から十までそれぞれその内容が明記をされているわけであります。その中には公務員でなければならないという役員構成等について特段な定めはないわけでありますから、そういう意味合いで、この登録認可という考え方登録をさせるのか、それとも、登録というのは単なる届出で、そのことによって組合の内部に何らの干渉を人事院は持たないというような考え方登録というものを考える必要があるのじゃないか。そういう考え方でいけば、この認可というようなことは、自然これは改正しなければいかぬというふうに思うわけでありますが、そういうふうにこの登録制それ自体考えていけば、私は公務員法ILO八十七号の批准について公務員に及ぼす影響力というものは、これは公務員法からいっても必要がなくなってくる、こういうふうに思うわけなんですが、その点についての総裁の御意見をお伺いしたいと思います。
  27. 淺井清

    政府委員淺井清君) ちょっとむずかしい問題があると思いますが、ただいま登録手続云々の問題がありましたが、私の方では認可というような考え方ではない。ただ登録したものが交渉権を獲得する、こういうふうな立場で、その交渉をしますときに非職員を含んではならないということになっておるのでございます。これはその前提として九十八条二項があるわけであります。この二項の「職員は、」というのを、ただいまでは、非職員は含まないと、こう解釈しておりまするから、これはちょっと人事院規則だけの問題じゃないのでございます。ですから、この九十八条の二項の解釈を変えなければならぬという問題になっておるわけでございますが、現在のところ、その解釈を変えるという意思は持ってないのでございます。
  28. 横川正市

    横川正市君 「職員団体登録変更」という項があって、人事院規則の十四—三の四項「定款の変更人事院登録されたときは、民法」、法人取得の問題と関連して「三十八条の認可を得たものとする。」三十八条というのは、これは前に定められた法によって規定されると、そういうことになるわけで、考え方としては、私は、これはやはり単なる届出ではなくて、人事院としては、規則で定められたその処置に従って団体登録をさせる、しかも、それを認可するんだと、こういう考え方でこの登録制というものがきめられているのじゃないか、こういうふうに考えるのでございますが、それでよろしいですか。
  29. 淺井清

    政府委員淺井清君) それは、そうではないのであります。ただいま認可という言葉がありますのは、法人にする場合だけでございます。職員団体法人でないものが大部分でありますが、まあ財産などを持っておると法人にし得るのでございます。この法人にするには民法規定に従って法人にするわけでありますが、これを国家公務員法では、民法規定を要せずして人事院登録することによって民法における法人設立認可があったものとみなす。ですから、お尋ねの点は、法人になる場合だけでございますが、それはむしろ例外でございます。認可というのはその法人設立認可手続民法から公務員法へ移した、こういうのでございます。
  30. 横川正市

    横川正市君 私もその点は、民法上の法人取得の一つの手段だと見ておるわけですが、それと関連をさせて、登録をさせる、そのこと自体に、職員団体としての被雇用用者雇用者に対して交渉権を持つ。それは、団体交渉権として労働法に認められたものではない。ですから、協約、協定は結ばない、こういうことになっていると思うのですが、ただ、この登録をする場合に、先ほど言った九十八条の二項との関係で、これがまあ条約批准の場合に公務員法の問題に関連をして改正の要点に一つなっている。この点を解釈として、職員である者で構成された職員体登録をしなければならない、こういう考え方ではなしに、届出によって、これが行なわれると、そういうふうな解釈で、九十八条二項について私どもがいろいろ解釈した当時には、これは厳重に職員でなければならんというそういう強い考え方というものは当時なくて、在籍しない者であっても、職員団体代表者になり得るのだと、こういう解釈を一時しておったわけですから、そういう意味合いでこの点を解釈していけば、九十八条については別段特別な、取りきめをしなくても公務員についてはいいのじゃないかと、こう私ども考えられるのですが、その点総裁として九十八条二項を強く打ち出してくることになると、おのずとこの公務員正法改正の問題に関係してくる、こうなるわけですから、その点をお伺いしたいわけです。
  31. 淺井清

    政府委員淺井清君) もっともでございますが、つまりILO条約批准されたあとにどうなんだということは、これはただいまわれわれは何もきめておらないのであります。今、政府として統一的に何かしょうと、あるいはしなくてもいいのか、それをきめたい。ただ問題は、国家公務員法だけの問題じゃないんです。これは地方公務員法とくっついている問題でございます。それで国家公務員法は九十八条二項に人事院の定むる手続によりということになっておりまして、それが登録手続になっておる。地方公務員法には、私ども記憶によりますれば、法文の中に登録云々ということが書いてあるように思うのでございます。でございまするから、そういう点もございまするので、地方公務員法国家公務員法と合わせて、この問題は研究しなくちゃいかん。それで今政府で一つ統一的にどうしようかということでございますので、人事院といたしましては、これは国家公務員法だけが云々すべき問題じゃなくて、地方公務員も同じことであろうと思いますので、歩調をそろえてやりたいと思っております。
  32. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 総裁登録の問題につきまして、職員団体登録についての根拠法規ですね、根拠はこの公務員法のどこにあるのでございますか。総裁は二項にあるというようにおっしゃったですが、二項は、これは手続に従って交渉するのですから、人事院規則でいいますと一四—〇「交渉手続」ですね、手続について定めておるだけであって、登録根拠法規というのはここにないのじゃないですか。私は、国家公務員法には登録根拠法はないと思う。そうじゃなくて、経過規定ですね、要するに第一次改正法律附則第四条に登録しなきゃならないと出ておるわけですから、これは経過規定ですから、国家公務員法にはないと思うんですが、あるわけですか。
  33. 淺井清

    政府委員淺井清君) そういう説もあろうと思います。しかしながら、現在やっておりまするのは、その人事院の定むる手続によりと、九十八条の二項のそこに根拠を求めております。そうして地方公務員法におきましては、あれは何条でございましたか、明らかに登録ということを法文の上にうたっておるのでございます。これは同じことであると思います。
  34. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 総裁、この九十八条の二項の人事院の定める手続に従い交渉できる、これに登録根拠があるのだというふうにおっしゃいますけれども、そうじゃないんじゃないですか。先ほど私申し上げた第一次改正法律附則第四条に根拠規定があるのじゃないですか。経過としてあの当時あった職員を含まない組合は、この四条によって登録しなきゃならないというのであって、この九十八条の第二項に根拠法規があるというのはおかしいのじゃないかと思う。さらに、九十八条の二項の、職員でない者が入っている組合は認めないというような考え方も、解釈上そういうような説をとられるのであって、あいまいなものじゃないですか、不明確だと思うのですがね、解釈ですから、決してとれない、法文上そういうふうには……。それは、法律というのは、その情勢によって解釈を変えられるという点もあって、解釈上そうしておられるにすぎないのであって、九十八条二項に、職員でない者が入っているものが組合になつちゃならないということは、どこにもないじゃないですか、非常にあいまいだと思うのです。登録の問題にいたしましても、さらに職員でない者が組合に入っているものは認めないという考え方も、ただ解釈上そういうふうに認められていると思うのですがね。
  35. 淺井清

    政府委員淺井清君) 解釈だとおっしゃられますけれども鶴園さんのおっしゃるのも一つの解釈なんです。それはいろいろの点に解釈もあろうと思いますけれども、私の申し上げたのは、現在人事院がとっているものはそうだと、法文はどうしてもこれは解釈しなければいけないものですから。ただし、公労法第三条のような、非職員が入れないというような明確な禁止規定がないということでございますが、その点から、今おっしゃるような解釈もあろうと思いますが、人事院といたしましては、そういうふうにとっておる。それから登録根拠がないと仰せられますけれども、これは職員団体に関することは、人事院規則で実施できるのでありまして、附則の方の問題は、これは経過規定だけの問題と思っております。でございまするから、今日職員団体ができましても、これは九十八条の二項の人事院の定める手続によりと、それによってやはり登録しなければならぬ、これはわれわれのとっている、いわゆる鶴園さんの解釈でございますけれども、そういうふうにやっております。
  36. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  37. 中野文門

    委員長中野文門君) それでは速記を起こして。  石原自治庁長官出席になりました。質疑のある方は、続行して下さい。
  38. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実は人事院総裁には給与に関する問題、あるいは専従問題についてはいろいろ見解を聞いておるのですが、自治庁長官は初めて本委員会で私質問するのですが、文部大臣についても、実は三人御一緒に一つ来ていただいて、若干見解が私の聞く範囲では違いますので、聞きただしたいと思ったのですが、文部大臣は何か所用で来られない。こういうことでございますので、地方公務員については自治庁長官がその所管でございますので、文部大臣の点も同じ閣僚でございますので、合せて一つ御見解を聞きたいと思います。  まず、専従の問題はあとにいたしまして、公務員の給与に関して一つお尋ねしたいと思いますが、これは地方公務員国家公務員はきわめて給与については関連性がありますので、特に本委員会で質問したいと思います。私の聞くところによりますと、自治庁は地方公務員の給与については、国家公務員の給与に準拠して、基準として都道府県、市町村の職員の給与をきめるように指導されておると聞いているのです。それについて間違いないでしょうか。
  39. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 地方公務員の給与の問題につきましては、今、山本委員からお話がございましたように、国家公務員に準じまして、国家公務員について給与の是正がありましたようなときには、それを受けて地方公務員の給与も是正するように、地方財政計画等にも組み入れまして、そういうふうに指導をしておるわけでございます。
  40. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、去る二月十六日に本委員会において政府からいわゆる一般職の職員の給与の一部改正の法律案が提案されたのです。この地方公務員と密接不可分のことについて長官言われた通りなんですが、そこで、国家公務員の給与に関しては、昨年の七月の十六日に出された人事院の勧告に基づいて給与が出されておるのです。ところが、そばに人事院総裁おられますが、再々私が勧告について質問すると、人事院としては国家公務員の管轄をしておるから、国家公務員については調査をし、考慮して勧告を出しておるけれども地方公務員については実態は私は知らない、こういう答弁でございますので、そうするとこれは論理的にいっても、また実際的に申しましても、現実は勧告自体地方公務員に及ぼすということになっておる。しかるに、人事院が勧告するときには、地方公務員の実態を考えに入れられておらない。それを受けて自治庁がその勧告に基づいた法律を改正されたら、その法律によって地方公務員を規制する、こうなってくると、地方公務員の実態を知らずして、勧告そのものを自治庁でどういう指導をされるのか。この点一つ自治庁長官にお聞きしたいと思うのです。
  41. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 昨年でありましたか、例の中だるみ是正なんかの勧告もあったわけでありまするが、あれに基づいた是正をするように、今回の地方財政計画も組んでおるわけでありまして、それからまた、三十三年の七月一日現在でありましたか、たしかそれを基準にして地方公務員の給与の実態調査というものもやってみたのであります。実態調査をやりました結果、大府県であるとかあるいは大都市等はこれは比較的いいところもあるのでありますが、ことに町村は相当やはり低いところが多いようでありますから、これは三十五年度の財政計画におきましては、国家公務員に準じたような給与をベースにしまして、財政計画には組んでおるのです。それで給与の改善をするように指導を加えておるわけでありますが、これは予算委員会でも申し上げたのでありまするが、形はそうしておりまするけれども、市町村、ことに町村は非常に行政水準も低いし、やらにゃならぬ仕事をたくさん持っておるのでありまするが、なかなか単独事業ができないのでありますから、どうしてもやはりそういう方面に追われがちで、一ぺんには給与是正の力が理想的なところでの解決は困難と思いまするけれども、ただいま日時をかけて、だんだんそういう方向になるように常に指導を加えておるわけであります。
  42. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その点は私も認めますけれども、実際問題として人事院の勧告に基づく給与法の改正そのものについても、われわれ相当問題を提起しておるのです。特に地方公務員の場合は、今指摘されたように、町村の場合は全く問題にならない。淺井人事院総裁はそういうことをご存じかどうか知りませんが、まだ町村の給与については、平均べース一万二千円程度しかいっておらない、こういう実情なんです。それが勧告によってそれと同じような、右へならえのようなことを自治庁で指事されると、幾らたっても町村公務員国家公務員並みにいかない。国家公務員の給与ですらわれわれは問題として、低いといって追及しているのに、なおかつそういう低い層があるということは、人事院総裁も自治庁長官の答弁から十分考えていただきたい。しかし、あなたには権限がないから、地方公務員についてはどうこうということは言えないけれども、そういった少なくとも勧告は、そこまで影響するということを十分認識されて、今後善処してもらいたいと思います。  そこで今、自治庁長官にもう一、二問質問したいのですが、なかなか財政の都合で国家公務員の基準まではいきがたい、こういうことでございますが、われわれとしては財政の関係はよくわかるけれども、実際自治庁の財政規模というものが私はもう少し町村の給与に関して積極的でなければならぬと思います。ようやく一昨年ごろから自治庁もその点を考え出したけれども、そのときまで何ら手をつけておらなかった。これらについて自治庁長官は今後財政々々ということに籍口して、それによって隠れみので隠れてしまわずに、積極的に四月一日にかりにわれわれがいろいろ問題を提起したが、いよいよどういう案にしろ、国家公務員法改正される場合には、そういう点を是正する考えがあるかどうか、特に町村問題について御答弁願いたい。
  43. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 先ほどお答えしましたように、今まで出ております中だるみの勧告であるとか一あるいは給与の実態調査等の結果、非常に低くなっておるような面については、給与の是正ができるように、財政計画に一応組んでおるのであります。しかし先ほど言いましたように、市町村の実態から見て指導はしておりまするけれども、ほかの事業を何もやらないでも、ただ給与だけやれというふうに、財政計画に組んでおるのだからこれをやれというふうに強力な何は、今の機構の上からいうても、そういうことはできませんし、また、市町村の実態に即応して、やはり理事者がいろいろ考えてやることでありましょうから、強制はできませんけれども考え方としては財政計画に組んで極力指導しておるわけであります。そこで必然的に少しずつはおくれてくると思うのであります。いろいろ勧告があり、いろいろなことがあって、そうしてそのあとで財政計画がいろいろ組み立てられていくのでありまして、途中補正予算、いろいろの点で非常に財源がふえてきたような場合には、それは途中からの指導もできますけれども、どうしても財政計画は、年度の初頭に組むのでありますから、ズレが若干あるということは、一つのみ込んでもらわねばならぬと思うのであります。自治庁にも公務員課というものが設けられまして、給与のことについては、非常に意を用いてやっておるということをここで申し上げておきます。
  44. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、次に、専従の問題について文部大臣は御欠席でございますが、これは自治庁長官の管轄でございます。一、二ただしておきたいと思うのです。自治庁長官は、昭和二十六年三月か四月だったかと私は記憶しておりますが、地方公務員法が実施された当時、組合業務に専従する職員の準則というものが、都道府県を通じて各地方公共団体の長に対し指導されておりますが、これを御存じあるかどうか。これは公務員課長おられたら、公務員課長でもけっこうです。
  45. 今枝信雄

    説明員(今枝信雄君) ただいまお尋ねの点は、職員団体の業務にもっぱら従事する職員に関する、いわゆる専従条例のモデル案のことかと思います。
  46. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 御存じですね。
  47. 今枝信雄

    説明員(今枝信雄君) 存じております。
  48. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 石原長官もこれはすでに御存じですね。知っていますね。
  49. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 詳しくは知りませんけれども、大体準則があるということは聞いております。
  50. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、今日よく新聞紙上に出ております岐阜県において、この当時定められた準則から異なった見解で、知事なり教育委員会が、組合に対して相当制圧を加えておることを御存じあるかどうか。
  51. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 岐阜県で専従職員の問題について、県なりあるいは教育委員会でいろいろのことを考え、また、それが問題になっていることも聞いております。
  52. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それなら、この準則を作られた当時と、今日非常に変わった形で、県知事なりあるいは教育委員会が組合に対して制圧を加えておることも御存じだということを聞きましたが、しからば、現在組合がその当時の準則からはなはだしく逸脱した方向で、いわゆる組合運営しておるかどうか。特にこの専従の問題についてその当時認められておったものが、なぜ今日これが問題になっておるか。この点を一つお聞きしたい。なお、それが認められるならば、なぜ自治庁はこれに対して積極的な指導をしないか。私の聞くところでは、これについては、全く自治庁はノータッチの形でおられるということを聞いておるのですが、そうでなければ、どういうことをやっておるかということを、どういう指導をやっておるかということを一つ御答弁願いたい。
  53. 今枝信雄

    説明員(今枝信雄君) 御指摘の通り、専従制度に関しまして、地方公務員法は条例の定めるところによることを建て前といたしておるのでございます。そういう意味におきまして地方公務員法が施行になりました直後に、自治庁といたしましては、おおむねこういうふうな条例を制定することが適当である。あるいは人事委員規則をこういうふうな形で作ることが適当であるという、いわゆるモデル案を示しましたことは御指摘の通りでございます。しかし、もともとそういうモデル条例あるいはモデル案、モデル規則、そういうものには、それぞれ地方団体を法的に拘束する力のないことも御承知の通りでございます。問題になっておりますいわゆる岐阜県の専従の制限の問題でございますが、その点につきましては、もともと自治庁が出しました専従条例の中にもございますように、まず専従が許可せられる条件として、一つは登録を受けた職員団体であること、それからもう一つは、公務に支障のない限り許可が与えられる、もう一つは、期間として一日を単位として一年をこえない範囲、これが原則でございます。特定の場合には更新をすることができる、おおむねこういうふうな三点が許可の条件の中心となっておるわけでございます。その際に条例から察せられますことは、職員たる身分を持ちながら、職員団体の業務にもっぱら従事するという者については、それほど長期にわたる場合とか、あるいはきわめて多人数にわたる場合とか、そういうことを予想しておらなかったように考えられるのでございます。その後いろいろな情勢の変化に応じて、条例の内容を改正したい、こういうふうな御判断を、それぞれ地方団体において自主的に御判断をされました際に、それに対して自治庁として、それがいいとか悪いとかということで、積極的にそれを推進したり、あるいは積極的にそれをとどめたりするまでの権限はないように思うのでございます。地方団体によりましては、それぞれ実情が違うのではなかろうか、こういうふうな考えを持っておるのでございます。
  54. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは一つ長官にお答えを願いたいのです。というのは、これは法文解釈とか歴史を考えるのでなくして、これは大臣として常識的に判断のできる問題ですから……。文部大臣に私は追及しようと思って来たのですが、来ないのですが、あなたも同じような関連性があるのですね。あの条例が改正されたら、単に教員だけを規制するのではないのです。一般の公務員も規制されますので、大臣から一つお答え願いたいのですが、今公務員課長が言われましたが、そういう事態というものは、すでにあの公務員法が昭和二十六年に実施された当時から、すでにそういうことは予定されておる。私も関係しておったから十分知っておる。で、今岐阜県でやっておるような問題は、これを地方公務員法を、国家公務員法もそうでございますが、地方公務員法を十分判断すれば、その当時の立法精神を判断すれば、第五十三条、第三項に私は違反しておると思うのです。人数の問題にいたしましても、期間の問題にいたしましても、そういうことを何も予定しておらない。地方公務員法の第五十三条の三項にこういうことがあります。これは国家公務員法基礎に作ったものですから、具体的にはこれに触れておりませんけれども、それの反対解釈はできるのです。ちょっと読み上げます。第三項「職員団体登録される資格を有し、及び引き続き登録されているためには、規約の作成又は変更役員の選挙その他これらに準ずる重要な行為が、その構成員たるすべての職員が平等に参加する機会を有する直接且つ秘密の投票による全員の多数決によって決定される旨の手続を定め、且つ、現実に、その手続によりこれらの重要な行為が決定されることを必要とする。」この第二項に、それに受けてこの役員ということが、重要な事項の一つに載っておる。そうすると、この条文からいくと、何ら県の条例によってこれを規制するということの根拠が、ここに出てこない。重要な事項はすべてみずから民主的にきめなさいという条項はここにある。それを今枝課長がそのときの判断によって、数とか期間をその条例によって規制できるというようなことは、少なくとも政治的に動くなら別です。政治的に動くなら別であるけれども、真の職員団体運営というものを法に準拠して運営するなら、これは県知事の行き過ぎは、県当局の行き過ぎは歴然たるものがある。こういうことを私は聞きたいのは、自治庁はなぜ指導しないかというのです。今の地方自治法によっては、もちろん地方自治団体、公共団体に対しては、監督あるいは干渉することはできませんけれども、指導するということは他でもやっておられる。なぜこの指導をいつもしないのか、そういう点を私は追及しておるのですから、その点を一つ自治庁長官に明確に御答弁を願いたい。
  55. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) この専従というのは、私から申し上げるまでもなく、一方に職務を持っておりながら、こういう組合の事務に専念して従事するのでありまして、公務員が職務に専念するという義務を一方で免除をしていくのでありまするし、それからいろいろ勤務条件等についても例外を作っていくわけでありまするから、これはやはり条例といいまするか、それだけの人を使用しておる団体においてそれぞれ自主的にいろいろ定めていく、こういうことになっておるのでありますが、先ほど来から話が出ておりまするこの専従条例の基準を、まあ大体こういう筋がいいのではないかということを示しておるのでありまして、それを中心に当該団体がいろいろな判断で定めていくのでありまするから、非常にこれが法令に違反しておるとかどうとかいう場合にはいろいろのことをしなければなりませんが、そうでない限りにおいては、やはり自治といいまするか、自主の精神に則ってこれをやる、こういうことになるのじゃないかと私、考えます。
  56. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今自治庁長官が言い逃れそうに誓われますけれども、岐阜県下ではこの問題で教育上の大きい問題を引き起こすような問題が起こっておるのです。自治庁は、その他大阪の衛星都市の中で給与の問題については、財政局長の通牒という形で相当干渉がましい指導をされておると思う。いわゆるその政府の勝手のいいやつについてはそういう指導をし、政府が若干この問題はいらうと逆な効果があると指導せずに黙って見ておる、地方自治法の精神にのっとって、これは地方公共団体の条例に定めるのだから、自治庁は干渉する余地がない、こう言っておられるのですが、干渉する必要がなければ当初地方公務員法ができた当時に、こういう準則というものを出さない方がいい。準則ということで全国ほとんどこれにのっとって全部画一的にこれがやられておるのです。もしそれと変わったものが逆に出た場合には、それはいかぬじゃないかという指導をされたい、それは今の藤井行政局長が課長当時のことであったと私は記憶しておる。今度の場合はまた変わった意味において非常に逸脱したことを県当局はやっておるのですから、これに対して自治庁は何らかの指導をせなければならぬ義務があると思うわけです。これは文部大臣に私は追及したいのですけれども、そういう点を怠って拱手傍観しておって、問題がだんだん大きくなってきておるこの場合でも、各地方公共団体のものであるから、われわれは干渉しないということを言って見ておっていいかどうか。それなら地方自治法の二百四十条ですか二百五〇条ですか、地方自治庁がいろいろ指導監督するための条文がありますけれども、自分の勝手な方向だけは指導して、ああいう大きい問題を起こしておるのに自治庁は全然これにタッチしないということについて、私は納得できないのですよ。この点について将来もそのまま向こうの言う通りに、県知事がどうやろうともこの専従に関してはそのままであるのか、この点を一つお聞きしたい。
  57. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 大阪市周辺衛星都市の問題を引き合いに出されて言われたのでありまするが、大阪市周辺の衛星都市の給与引き上げの、あの問題につきましては、あれはたしか地方財政法ですか何かに、やはり法令に若干もとる点がありまするので、自治庁として指導を加えたわけでございまして、今回の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、法にもとるとか違法であるとか、あるいは著しく非常に不法であるとかということでありましたならば、これは黙っておれない場合があると思う。ことに違法その他の場合はこれは問題ございませんが、それ以外の場合はそれほど小さい問題をとらえて自治庁がいろいろの指導といいまするか、圧力を加えていくことはこれは僕は適当じゃない、かように考えます。
  58. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は決して圧力をかけろというようなことを言っておるのじゃないのです。先ほど申しましたように、五三条の第三項に、たびたび申し上げますけれどもこういう法文があるのです、「規約の作成又は変更役員の選挙その他これらに準ずる市町な行為が、その構成員たるすべての職員が平等に参加する機会を有する直接且つ秘密の投票に」よって、その多数決によってきめよということがあるのです。それはこの立法精神というのは、職員団体であるから職員が、これは国家公務員法の九十八条との裏腹の条文でございますが、他の干渉を許さない、こういうことを認めておるのです。それを条例で任期が長いからお前やめなさい、いわゆる専従は許しません、また数が多いからどうとかということは、行政措置でいくのは私は行き過ぎじゃないか。しかも、それも組合といろいろと話し合ったらいいものの、それを一方的に押えてやっておる。これをなぜ自治庁は指導権があるのに指導しないか。黙って拱手傍観しておるかということを追及しておるのです。この本質上の問題についてわれわれは別の機会に追及したいが、自治庁としては、何らかの意思表示をしなければ、これはもうすでに福井県にも波及しておる。これは一般職の場合にも、与党の自民党の県会議員から動議を出されて、そういう問題で一悶着を起こしましたが、これは一応撤回されたように聞いておりますが、地方の県会議員とかはそういうことを知らない、これは私たちそういう指示がどこからあるのか知らないけれども、その指示に従って県議会というものは、非常に不明朗になった事実があるから、自治庁としてはこのまま黙っておって全国に波及したときはどうするか。この点を私はお尋ねしておるのです。
  59. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) あなたの御質問に適当な答えになるかどうかちょっとわかりませんけれども、先ほど来申し上げましたように、この専従のきめ方、規定というものは、この職務専念の義務を免除することであるのでありますから、そこでいろいろ勤務条件であるとかどうとかということをきめていくので、これはやはりこの条例で地方の実情に合うようなきめ方をしていくということになると思うのであります。  それからいま一つ、五十三条三項ですか、これは役員の選出方法かなんかの、やはりこれに関する規定の問題で、いろいろ専従に対する条件を条例できめるとかどうとかという問題とは別なのじゃないか、こう思うのでございまするが、なお詳細は一つ公務員課長から補足してもらいます。
  60. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは公務員課長の問題ではないのです。これは昭和二十六年あの当時まだ占領軍があった当時であって、これはマッカーサーに聞いてもらったらわかるけれども、この当時公務員の労働運動に対してはきわめて慎重な態度をとった、これは御存じだと思う。それで国家公務員法ができ、それから引き続いて地方公務員法がこしらえられた。そのときのいきさつというものは、とにかくその団体に所属するもののきわめて民主的な方法で勝手に選ばさんといけない。他の圧力、当時のその他の圧力は、別の圧力とマッカーサーは考ておった。私はここで言いませんけれども、そういう外の圧力で役員が左右されるのではなくして、みずからの手でこれをきめなくちゃならぬということで、国家公務員法の九十八条並びに地方公務員法の第五十三条の第三項が制定された。だから人事院総裁はおそらくその当時の事情はよく御存じであろうと思います。それが結局今日これがどういうように解釈されておるか、政府の圧力で今度役員を左右しようという考え方になってきておる。法律の精神を考えてもらいたい。条例の云々の問題ではない。法文解釈によっていかようでも解釈できますけれども、これはこの法文ができた由来はそこにある。今日は教育委員会なり県当局は、組合役員を左右するような条例を作ろうとする、今そういう企てをされておる。具体的な干渉でないけれども、専従を認めないということによって、役員に制限を加えようとしておる。これが私はこの五十三条の第三項の立法精神に反しておる、また条文にも反しておるということを、私は自治庁長官に認識してもらうと同時に、何らかの手を打ってもらわなければ自治庁としても責任をとれないのじゃないか、こういうことを言っているのです。
  61. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 役員の選出は、民主的というか、御指摘になったような方法でやらなければならぬということは、これは言われた通りでありまするが、役員は必ず専従者でなければならないものではなく、専従についてはこの条例に基づく許可が必要である、こういうことになっておるのであります。役員の選出について民主的な方法で厳格にやらなければならぬということは、あなたの仰せの通りであると私も考えます。
  62. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはその当時のこの立法精神なり、それと、いわゆる専従者の準則を出された当時とは、考え方が非常に歪曲されて、しいて何か意図があるものを前提にしてそういうことを僕は言われておると思うのです。それなら聞きますけれども、すでにこの法律ができて、あの条例ができて十年ほどになるのですよ、その間何らこの問題に触れずして、今直ちに専従問題について各方面で問題を提起していることについて自治庁はどう思うか。もしそういう問題があるならば、もっと早くその問題が提起されてしかるべきなんです。法律はすでに昭和二十六年から現在しておる、条例も。それをきわめて最近になって、特にこの問題が取り上げられた理由というものが那辺にあるかということは、これはもう良識のある人はおのずからわかってくると思う。こういうきわめて政治性の強いものを自治庁がそのまま黙認することは、私は将来自治庁として今後問題が生まれてくるということを、私は自治庁長官に言っておるのです。従ってそれをどこまでも正しいんだと、そういう解釈が正しいのだと言うならば、われわれはどこまでもそれを追及したいと思う。正しいと思うならば、自治庁は十年間というものは何らこれについて考えておらない、しからばあの準則そのものをなぜこういう見解であるからということを、都道府県に通知しないのですか。あの準則はそのまま置いておいて、県当局がそういう変わったものをやった場合に、県当局のそういうことを見のがすことについて、私は自治庁の存在そのものについても疑問を持つのです。この点はどうですか。
  63. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 専従は、お話しのように二十六年からいろいろ行なわれておるわけでありまするが、だんだん行なわれてきたにつきまして、必然的にやはり専従制度というものについてもいろいろ議論もされ、一方におきまして問題も起きてきた。それからまた国家公務員地方公務員についても教育公務員とか、ほかのものであるとか、いろいろなものについて非常に違っておるわけであります。そういうことから専従制度というものについていろいろ論議をされ、また議論もされてきて、地方によりましてその判断によっていろいろの立て方をされて来つつあるのが今の現状ではないかと思うのです。そこで、先ほどから申し上げておりまするように、違法であるとか、著るしくそれがだれが見ても非常に不当なものであるとか、こういう場合には、適正な指導をしなければならぬと思いまするが、そうでない限りにおきましては各地で論議され、いろいろのことがやられているというのも、この地方の状態によって見ていかなければならないのじゃないかと思うのです。ことに、最近は御承知のようにILO条約批准関連してこういう専従の問題も、さらにまた一そう一歩突き進んで大きく論ぜられようとしております。先ほどから言われました役員の選任方法であるとかそういう問題等については、御指摘の通りであろうと思いまするが、今の現状について直ちに自治庁がいろいろ発動して指導を加えなければならないということにつきましては、私にわかに同意見であるということをここで認めることはできないのであります。
  64. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 自治庁長官の人柄を僕はよく知っておりますが、きわめて遠慮された答弁をされていると思うのです。文部大臣に追及する点をあなたが答えているのですから、非常に答弁そのものについても非常に私が聞いている範囲内におきましては、言い回しが非常にむずかしい言い回しをされていると思いますが、私は長官に言っておきますが、この問題についてはILO条約八十七号の批准に伴って問題があるから私もこれに関連して地方公務員の立場の点を追及したのですが、政治的な圧力、そういうものは相当あると思うのです。これは歴然としてあるのです。私自身もそういう点を経験しているのですが、私は少なくとも日本の公務員の運動のあり方というものは十分認識をした上で措置しなければ逆な効果が来るということを、私は政府にこれはむしろ進言しておきたい。あの戦後から今日までずっと一貫して公務員の動きというものを十分観察されておると思うのですが、そのときそのときによって様相、内容は変わっております。変わっておりますけれども、今後そういうものを、ある一部の政治的な圧力でやられると、自治庁自身困るような場合があるということを私は考えて実は質問しておりますので、この点についてはこれ以上質問して追及いたしませんが、考えて措置してもらいたいと思います。今の私のは自治庁長官に対する答弁を求めているのじゃないのですが、あなたの一つ決意というか、見解を、これは人事院総裁もおられますが、人事院総裁と自治庁長官は、公務員に関する労働運動の今後のあり方について、専従問題について相当慎重に考慮をしてもらわぬと逆なものが出てくるという、こういう私は心配をしておるのです。それからきょうは公務員制度調査室長増子さんも見えておられますので、国家公務員関係についてはあなたの関係もあると思うのですが、これについてはこの前の委員会で私がただしましたが、そういう方向で皆さん方が努力されているかどうか。この点一つおのおの見解を述べていただきたいと思う。それは必要でないというならばしていただかなくてもいいのですが、きわめて私はそういう点について心配をし、今後の動向について配慮しておりますので その点を一つお願いいたします。
  65. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 公務員の労働運動といいますか、こういう組合運動、こういう問題につきましては、私も重大な関心を持って常に当たっていかなければならぬと思っているものでありますが、ただ、公務員は一面公務を担当しているものでありまするから、その点でやはりある程度の制約を受けるというのは、これはやむを得ないのじゃないか、公務優先といいますか、公務というものを全然放任して、全く公務から離れたような形になってしまうということについては、これは私は何とか考えなければならぬ。またしかし、一面公務員の労働運動、組合運動でありますから、公務員の一部の者がやはりそれに関係していくということも、そういう考え方も必要なのじゃないかと思っております。まあ、今回のILO条約批准関連して公務員関係の問題が非常にむずかしいめんどうな問題になってきて、まだはっきりした結論にも至らないのも、やはりそういうところからいろいろの議論が出てくると思うのでありますが、私は今申し上げましたように、公務員がある程度関係するということも、もちろん必要なことと私は思いますが、しかし、公務員であるという立場から、相当の制約を受けねばならないということも考えていかなければならない。これが私の、非常に大ざっぱな見解でありまするが、考え方であります。
  66. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ最後に、大事なことを忘れていたのですが、この問題について何か文部大臣と御相談になったことがあるかどうか、その点を一つお聞きをいたしたい。
  67. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 率直に申し上げましてあまり相談したことはありません。
  68. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、自治庁としてはこの問題については積極的に今後タッチしていく考え方はないという受け取りをわれわれはしていいのかどうか。
  69. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 今のところ持っておりません。
  70. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 文部省でもこの問題については相当重要な関心を持っているということを聞いておるのですが、文部当局がその問題にくちばしをいれるということは、地方自治法からいって許されるかどうか、その他の法令関係根拠があるのかどうか、それを伺いたい。
  71. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 御指摘になったことが私よくのみ込めないと思うのでありまするが、教育公務員のことであれば、やはり文部省としても非常な関心を持っておることの一つではないか、かように思います。あなたの質問の答えになるかどうかわからないのですが……。
  72. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 質問をはっきりさせますが、法令ですね、県の条例であれはきめるのですが、県の条例できめるものを、文部当局がそれに対して指導をする権限があるのかどうか、これをお聞きしたのです。
  73. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 教育問題に関しましては、これは言うまでもないことでありまするけれども、必要な指導をしたり、助言をしたり、いろいろな援助をしたりすることはこれはあると思います。しかし、今お話しの条例の制定その他について、文部大臣がそういうことに関心を持つことはあるでありましょうが、そういう指導をすることができるかどうか、ちょっと私今はっきり言えませんけれども、教育と全然別な問題になればこれは権限の範囲外であると思いますが、そこらの関係が、今ごろの新しい法律は、非常に昔の法令と違いましてはっきりしない点がきわめて多いと私は考えております。
  74. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 尋ねる本心というのは、自治庁の管轄内にあるにかかわらず、文部当局、特に文部大臣といってもいいのでありますが、相当干渉がましい意見を言っておられるから、まあ石原長官は閣内においてどういう地位におられるか私存じませんけれども、やはり自治庁としては、自治庁の指導範囲というものをはっきりしておいてもらいたい。それを育っている。それはありません。私は法律学者ではございませんけれども、文部当局があの条例に対してこうすべきであるというようなサゼスチョンを与える権限すらないと私は思う。教員に関する行為とか、そういう文教政策についてはこれは当然ありますけれども、県の条例に対して、事一般地方公務員法に関する問題については、私はそういう判断も聞いたことがない。もしあるなら、一つここに相当な研究者も、政府委員の方もおられますから、私に教えてもらいたいと思う。ないはずなんです。ないとはっきり答えていただきたいというのが、私の質問の要旨なんです。
  75. 中野文門

    委員長中野文門君) だれか答弁ありませんか。
  76. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あるならあるで一つ勇敢に自治庁長官示して下さい。
  77. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) きょうは教育関係の責任大臣の文部大臣もおられませんし、その点は宿題に一つしておいてもらいたい。
  78. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはよくわかりました。なかなかつらい立場であるということもわかりますが、私はないと断定しておるんです。あれば、専従問題についての条例の改正については、教員関係組合については文部大臣の干渉する範囲はこうである、これを一つ文書でけっこうですから……。これは単に自治庁長官だけじゃないのです。自治庁長官は国務大臣として、岸内閣の一国務大臣でございますので、そういう意味において一つ関係大臣と相談をして、内閣委員会に文書でいいから、一つ答弁書をいただきたい。私の質問はこれで打ち切ります。
  79. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ちょっと今の山本委員質問関連して自治庁長官に一点だけお伺いしますが、今、条例の問題が中心になったわけですが、この条例は県議会で決定される。そうしてその具体的な混乱の姿が岐阜県とかその他の御承知のような県に教育界の不祥事としてまだ混乱を続けておる。こういう情勢の中で、たとえば専従の人員を千名に一人、こういうふうに制約したり、たとえばまた期間についても三年に押えようとしておる。こういうことがいわゆる県条例の改正によって強行され、また強行されたところもありますが、そういうことで教育の混乱が続いておるわけです。これが、今問題になっておるILO八十七号、これは近く批准されるでありましょうけれども、それをさておいても、すでに批准済みの九十八号条約の精神から言っても、いわゆる相互不介入の原則からいっても、これはまさしく私どもとしてはこういうような専従制約は相当な根拠のもとにこれは行き過ぎである、違法である、そういうふうに断定せざるを得ないわけです。そこで、この岐阜県の教員組合の専従の制約の問題、これは直接には今指摘のあったように、文部大臣の所管ではありましょうけれども、地方自治のその姿の中で、特に県議会で決定される県条例ということで、自治庁長官としても重大関心もあるし、また相当責任もあるわけです。こういうような立場から根本的な考え方をお伺いしたいということは、こういう姿を自治庁長官として合法に見るのか、あるいは非合法に見るのか。好ましいと思うのか好ましくないと思うのか、こういう点だけをはっきり態度をこの際伺っておきたと思います。
  80. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) これは私先ほどから山本委員質問にもお答えしましたように、専従というのは、やはり一方公務員を持っておりながら、公務を持っておれば、職務に専念しなければならないのでありますが、その専任の職務を免除して、他の事務に従事するのでありますから、それをきめるきめ方というものは著しく非常識でない範囲においては、これはやはり条例できめることが私はできると思います。ことに国家公務員地方公務員、それから教育公務員、非常にいろいろ違うのでありますから、大体今例に示された千人につき一人の割合で、専従期間は三年ぐらいがいいというようなことをきめることを、これは違法であるとは私は思いません。
  81. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ところが、国公法ないしは地公法によって一たんきめられた専従にいっては、逆に言うと、公務はやってはいかぬということになっている。公務に支障があってはいかぬ。これは専従にならなければそうでありましょうけれども、一たん合法的に専従になった以上、これは公務に関係してはいかぬ、そういう規定もあるわけです。これは逆も言えるわけです。従って、あなたのそういう一方的な見解だけでは、この問題は了解できない。そういう一面があるわけです。従って、とえたば岐阜のような姿に対して、はっきりした態度をここで表明していただきたいということなんです。
  82. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) たびたび申し上げておりますように、これが直ちに違法とは考えられません。また、非常に著しく不当とも考えられない。しいて私の意見を言えと言われれば、私はそうお答えしたいと思います。
  83. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それでは、現在すでに批准済みの相互不介入の原則である九十八号条約に対して、これは合法であるか違法であるか、そういうお考えはいかがですか。
  84. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 九十八号条約とこの条例とは、直接の関係はないんじゃないかと思うのでありまするが、この条例は、専従はどういう範囲で専従者を出して、それらの人の勤務を、職務専念の義務を免除しようとかどうとかという、そのワクをきめようという条例でありまするから、先ほどから、いろいろ言っておられますように、専従員は公務にタッチしちやいけないのだとかどうとかというようなこととは、みな別問題じゃないか。専従というものは、こういうワク内で、こういう範囲で出すようにしようと、こういうことをきめるのが条例でありまするから、これは私、たびたびここで申しましたように、公務を持っておる者が、公務をのけてほかの仕事に従事する、その範囲なり免除をきめようというのでありまするから、これは別問題じゃないか、かように考えます。
  85. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この九十八号条約の精神は、御承知のような相互不介入の原則をうたっているわけです。そこで、両者、労使話し合いの上で合意して結論を出すなら、その精神に沿うておるということは言えるわけです。ところが、岐阜県のような場合は、一方的に県条例を数の力で強行して、それで、はたして九十八号の相互不介入の精神に沿うものかどうか、そういうことを伺っておるわけです。従って、それに対する御見解を伺いたい。
  86. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) これは私、先ほどお答えしましたように、別問題だと思います。
  87. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私は、それに対するあなたのお考えを伺いたいわけです。相互不介入というのは、結局、労使がお互いに話し合って結論を出す。ただ、話し合いによるという過程を通らないで、一方的にこれを強行する、これが相互不介入の精神に反するのではなかろうか。従って、結論としては、岐阜のような、一方的に条例によってこれを強行するということは、相互不介入の精神に反するのではないか。それに対するお考えを聞いておるわけです。
  88. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) それは、お話しのように、話し合いできめるとか、話し合うということは、そういうことができればそれは望ましい、その方がいいんでありますが、しかし、この条例は、これは専従のいろいろの制限とかなんとかということは、これは条例できめることでありまして、組合方式で団体交渉できめるとか、こういう性質のものじゃない、かように私は思うのであります。今まで何回もここで繰り返して申し上げておることで、これ以上のことは私はお答えできません。
  89. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ILO条約八十七号批准に伴って、国内法の整備を今政府で急いでおるわけです。あるいは国公法、地公法とか、あるいはまた、公労法、地公労法、いろいろありますが、そこで、国公法にしろ、地公法にしろ、ILOの精神に相いれないような部分については、この際、十分検討しなければならぬ、これが政府の一貫した態度でなければならぬし、現在、そういう方向に大部分はいっておると思います。一部反対はありましても。そこで、この地公法とか国公法とか、たとえば条例の場合は地公法ですが、地公法と条例の内容が違反するようなことは、当然あり得ないと思うのですが、そういう点を伺っておるわけです。
  90. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 地公法と条例とが相反しておるとか、違反しておるということは、私はないと思いますけれども、どうも御質問の要旨がよくわかりません。
  91. 横川正市

    横川正市君 ちょっと関連して。私は、自治庁長官の立場というものを、相当程度現在の情勢に合わして、同情的にものを言って、今まで山本さんやら伊藤さんの質問に幾らか説明を加えながら、大臣の的確な答えをもらいたいと思います。それはもちろん、岐阜県のような問題が好例で、それを例にとって質問しておるのですから、この問題から離れて、他を一律に理解していただかなくとも私はいいと思います。岐阜県の場合には、まず一点としては、県の行政の担当者の責任の衝に当たる方が、まず、よって来たる原因は、自分がその長としての職務を遂行するために云々とこういとよりか、その権力の座にすわるまでのコースの中で、選挙を通じてその座にすわったわけでしょうが、その選挙を通じて自分の考え方に反対した勢力に対して一つの圧力を加えようとして起こったという事実、こういうような事実をやはり前提として質問しておるのですから、もう少し行政の中心にあられる方が、そういう現象を的確にとらえて、正しく指導するという立場に立つことが私はいいと思うのです。そういうことから言えば、たとえば地方公務員の立場で県の行政者に何々を要求する、そのことは納税者の立場に立ってみると、利益は相反する、だから、その中間に立った、その行政担当者がその中間に立って、ものを判断しようとした、それがいいか悪いかということをここであなたに判断をしろ、こういうことではないわけであります。そうではなしに、従来からとり来たっておった慣行ともいうべき方法が、これが岐阜県の場合には、現在の知事が就任いたしましてから著しくこれを阻害して、しかも、そのことを県条例できめて、非常に職員団体の行動に対しては圧迫を加えてきておる、こういうことに対して、自治庁としては一体どういうお考えなんでしょうか。こういう質問が、端的に言って、私は今の二人の方の内容だと思う。もちろん、私どもの立場も片一方に偏して言っておるのじゃなくして、従来からの慣行がはたして、あなたの言うように、両面から考えてみて、それほど支障を来たす問題ではなかった、こういうように判断されるならば、現在のとり来たっておる衆条例の新しい施行というものは、これはいささか行き過ぎではないか、こういう判断が私はつくと思うのです。その点から自治庁長官としてあいまいな答弁ではなしに、従来の経過から見てこれはいいとか悪いとか、こういう判断をお聞かせ願いたい。これがもう質問の中心なんですから、そういう点に留意されて答弁をいただきたい。
  92. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) さっきから申し上げておりますように、違法であるとかあるいはまあ非常に著しく不当であるとかいうことであれば、別でございまするが、まずある一定の範囲内におきまして地方団体、ことに都道府県がいろいろなことを条例できめる際にそれを自治庁としてとやかく言うということは、私はあまり適当じゃないじゃないかと思う。ことに専従というのは国家、地方いろいろあるいは公共企業体等を通じましていろいろの形があるわけでありまするが、公務専念の義務を免除するという形でありまするので、ある程度の制約を受けるということは、これはやむを得ないのではないか。さような意味で自主的にやりますることに対しては、自治庁としてあまり容喙すべきことではない、かように考えておりますのが私のただいまの心境であります。
  93. 横川正市

    横川正市君 この公務に支障があるかないかということは、これはもちろん当事者が判断をしてきめられることでありますけれども、従来からこの種の考え方というのは、あまり問題を起こさなかったわけなんです。当然に問題を起さなかったことが一つの慣行になってきて、公務に支障がある、支障がないということの判断より、先にお互いが話し合って専従の人数その他についてはきめられてきておった。たまたま専従を極度に制限をしようとするところから、今度は公務に支障ありということが利用されて出てきた。こういうところに私は問題があると思うのです。もちろん、自治庁として私は長官が現在自治庁長官としてとられております方針が地方の自治団体の自主性について介入したくない、この気持はしかるべきものであって、これは代がかわろうがどうしようが、当然継承していかなければならん問題だと思うのですけれども、ただ問題になってきておりますのは、たとえば放漫財政をやって県が非常に財政上の問題でいろいろ支障を来たしている。自治庁としてはそれに対していろいろな指導を与える、この程度に私は今度のことに岐阜県のとられております態度というのは、そういう例で示したような類似行為として専従制限が条例として出された、こういうふうに考えてしかるべきではないか、こう考えておりますから、当然自治庁としても不当な介入をするのではなしに当面持っております自治庁としての立場から正当な指示を与えていくと、こういうことが正しいのではないかとこう私ども考えるのであって、もちろん現在の内閣の指導方針が変わってきて、そうして今までの慣行その他を全然変更するのだ。そういうような何かひどく政治的背景があるんならば、これはおそらく私どもがここで言っても平行線で行くでしょうが、在来の慣行が守られるという立場に立っておるならば、今言ったように自治庁として不当に介入するんでなくして、正当な指示を与えることができるのではないか。こう私ども考えておるんですが、この点に対して長官御答弁を願います。
  94. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 議論するわけじゃございませんが、まあ、従来から行なわれて問題もなかったのにということを、たびたび言われるわけでありますが、しかし、それは地方のそれぞれの事情で地方財政の問題もありましょうし、あるいは地方の定員の問題もありましょうし、いろいろあるわけでございまして、ことに専従制度のいろいろ違う形の最も妥当、穏当と思われるような形をとっていこうというような意欲から、いろいろ検討されておることも、事実であろうと思います。まあそういう見地から、いろいろの企画をしておるようでありまするので、これを直ちに現在の現行条例を是正するもの一切これはいけないとか、すぐどうだとかこういう態度はまあ今のところまだとりたくないつもりでおります。
  95. 横川正市

    横川正市君 私はこの問題で質疑の通告を、山本さんからやられたときにも、自治庁長官としては、おそらくその内容について検討をされて、現地の事情等もおそらく例として出された場合には、その内容を詳細説明ができて、県としてはたとえば財政の建て直し上から、どう、それから業務の遂行上から人員の割合はこう、それから正常な運営上からいっても支障があるとかないとか、その判断の基準、こういったものが出されて、その上で説明を受けてわれわれが納得できるような回答であるべきものだったと思うのでありますが、その点がおそらくまあここに来るまでに忙しいので、その検討をされず、現地の事情もあまり精通されないで来ておるんではなかろうかと、今の答弁では非常に抽象的な自治庁の概念だけで御説明されておるような格好で、現在解決のためには、全く何らの足しにもならないような答弁だったと思うのでありまして、これは私はこれ以上質問することはやめますが、それでこの問題はまだまだ紛争する問題だと思いますので、十分一つ検討されて、もしも私どもの言ったようなことが、現地に適した、助言となってでもとれるようなものがあれば、これを実施をしてもらうし、そうでないならばその理由について明確にしておいてもらい、後刻また質疑をしてこの点を明らかにする。こういうふうにして進めていきたいと思いますから、私の質問はこれで終わりますから。
  96. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  97. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ本件はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十四分散会