○
大矢正君 私は、二点について
局長さんにお尋ねをいたしたいのですが、今度の
夕張の
事故が
発生を見ますると同時に、
局長が
現地までさっそく出かけられたことについては、私も非常に喜んでいるものでありますが、それはそれといたしましても、今回のこの
夕張の
爆発事故が、こうだから、従ってこうなんだという
質問で私はなくて、連続して
爆発と出水
事故が起きているという現況にかんがみて、
局長の
考え方を聞いてみたいと思いますが、その一つは、
石炭を
生産する
会社というのは、先ほど
保安と
生産の議論がありましたけれ
ども、
会社としては、
石炭を掘るために
会社を作っているのだし、
石炭を掘るために
従業員を雇っているのですから、
石炭を掘ろうとする意欲が先に立つことは、私は、ある面では資本主義経済の今日の
状態としては、否定することはできないと思います。
しかし、そういうような
事態に対処して、これをチェックするのが、いわば
通産省の行政官庁としての
鉱山保安局の私は立場じゃないかと、こう思うのです。
そう
考えてきますと、たとえば
山野あるいは
新入、そしてまた
夕張というように、連続して
ガス爆発が起こり、これは
保安監督機構のどこかに欠陥があるのか、あるいは不足があるのかというようなことも、一般的には私は
考えられてしかるべきじゃないかと思うのであります。
夕張の
爆発というものが、
保安監督機構の不備のために、ああいう
爆発事故が起きたとは、私はもちろん思っておりません。そういうことではないにしろ、行政官庁としての
監督局としては、これだけ
災害が連続して起こるとすれば、一体どこに
原因があるんだと。そしてまた、それは、単に山々に起きた
部分的な現象ではなくて、
監督機構それ自身においても、どこかに欠陥があるんじゃないだろうかというくらいの、私は
判断をされてもけっこうじゃないかと思うのでありますが、今日までの小岩井さんの
説明、それから新聞、ラジオ等を通じての談話の発表を聞いておる範囲においては、そういうことをうかがい知ることはできないわけです。
それから、もう一つ大事なことは、小岩井さんも、私とともに
北海道へ行かれて、よく御存じの
通り、三区と四区の連れ坑道とベルト坑道を
密閉する際に、私自身
坑内に入って立ち会っております。そこで、あの
密閉作業に入る鉱員が六十名、私と一緒に入坑して来ましたが、そのときの鉱員の顔や、それから
考え方、
言葉というものは、実に悲壮なものです。何とかして一時間も早く、いっときも早く同士を
坑内から救出しなければならないという悲壮な気持がある反面に、あわせて、いつまた連続して
爆発が起きるだろうか、あるいは危険性はないとはいいながら、みずからが検定したわけじゃないんでありますから、
一酸化炭素がどこにあるかもわからない。そうすれば、呼吸を一度か二度やるだけでも、ころりといってしまう、そういう危険性から、非常に緊張した面持でありましたけれ
ども、阿
具根さんと私が中に入って、いろいろ話をしていたから、参議院議員が先頭を切って
坑内に入って行くのだから、もう大丈夫だろう、こういう安心感で
密閉作業が開始されたと言っても過言じゃないと思うのです。しかし現実に深層から、立ち入り坑道に入っていくに際して、
坑内から煙が出てくる、あるいはにおいが出てくるということになりますと、ここでも非常に驚いておりまして、何か、しり込みするような気配もありましたけれ
ども、しかし、みなが入っていくから大丈夫なんだろうという、それだけの人間的な、単に安易な気持で
作業員というものは入っていくわけであります。
そうすると、実際問題としてあなたも御
承知の
通りに、
作業員というものは、たとえば検定器一台持っているわけじゃありません。
ガスの測定ができるわけじゃない。みなが、あぶなくないから入れと言うから、そうかなと思って、入っていくわけでありますから、ましてや、
一酸化炭素の検定をしているわけじゃないから、なおさらのことであります。
そうなって参りますれば、もちろん
保安管理者たる質任もあるでしょう。あるいは、それの下につく
保安の課長、
保安の係長の
責任もあるでしょうけれ
ども、同時に、そういう
現場の実情も絶対に心配がないのだということで安心させる最大の立場の者はだれかといえば、やはり
保安関係の職員であり、そうしてまた、
保安関係と付随する
生産関係の職員じゃないかと思う。
従って、
鉱山保安局としても、これからの
坑内の
事故を未然に防止する意味合いにおいては、先ほど
生産と
保安との競合
関係における
管理者と、それからまた、経営者という立場との両面があることが指摘されましたけれ
ども、それを徹底的にもちろん
究明はしなければなりませんけれ
ども、あわせて実際の
現場で、
作業員を直接指揮してあぶなくないから、お前ら何も心配しないで
作業をやれという、
保安管理員それ自身についても、これからある面では、
鉱山監督局が、何らかの形で教育の
方法を
考えていく必要があるのじゃないか。これは単に罰則を付するとかなんとかいう問題で解決する問題じゃなくて、こういった第一線で働いている
保安管理員というものの教育や、あるいは意識の向上という、そういう問題については、十分
鉱山保安局としては
考えていかなければならぬ問題だということを、私は実は非常に感ずるわけであります。
それからもう一点、非常に
考えさせられることは、
坑内の
保安の技術というものが、現実に進歩していることは事実でありますけれ
ども、しかし、遺憾ながら、まだ今回の
夕張のような、ともすれば偶発的と思われるような
ガス爆発の
事故については、それを事前に察知することができない段階であります。しかし今、工業技術院その他でも、盛んに、ベルによる警報とか、
ガスが、ある一定の濃度になった場合には、警報装置と同様な
方法でやったら非常によろしいのではないか、もし
ガスが停滞して警報が鳴ると、直ちに
ガスを引けば、未然にそういうことも防止できるのだというような
意見も出ているのでありまして、こういう面については、多少政府も努力されているようでありますが、私が本年度の予算の中で察知している範囲内の、工業技術院の
鉱山保安に関する、特に
ガス爆発に関する予算の内容というものは、必ずしも満足するものではないように思います。
炭鉱の経営者は、何とかして
生産をよけいやりたい、そうすれば、どうしても
保安がおろそかになるという実体があり、これをチェックするのが、
保安監督官庁としての
鉱山保安局であるとすれば、
鉱山保安局としては、それを未然に防止するための
施設の面においても、経営者が、やるやらないにかかわらず、私は、
事故防止のための
施設を、これからどうしていくかという研究のための費用を積極的に盛り込む必要性があるのじゃないかということを、今回の三山の
爆発の事例から見ても、非常に痛感しているわけであります。
従って、私は最終的にあなたに御
質問したいことは、やろうとすれば、何らか
保安局としてやる
方法があるのじゃないかと思うのでありますが、あなたが、今日まで発表されておる内容では、あまり目新しいものはない。ただ、経営者に対して警告を発する、こういう連続して
ガス爆発が起これば大へんだから、お前らが注意せよという、単なる精神的なもの以外にないように私は感ずるのでありますが、当事者としての
監督局長は、もっと積極的に、もっと能動的な
対策というものがおありになるのかないのか。その点について、この際承っておきたいと思います。特に
池田通産大臣に聞きたいところでありますけれ
ども、
通産大臣は大蔵省出身でありまして、詳しいことは、これは当然おわかりにならないと思いますから、私は
大臣にお聞き願いつつ、一つ
局長からこの際、御
答弁をいただきたいと思います。