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米田勲君
提案者の
答弁は、私は、客観的に妥当を欠いておると思います。この間、例をあげれば十日の日、本院で
審議をしているこのデモ
規制法反対の
請願がありました。あの
請願は、
国会議員の
登院と
国会の
審議権に著しい影響があると事前に認めるか認めないか、こうなってくると、一体、
提案者はやれますか。しかし、
警視総監は、これは重大なことが起こるんじゃないか、一万人以上も来るのだから、というので、たくさんの警官隊を動員して待機をさせましたが、あれは何ら事故が起こらないで
請願が終わって帰って行った。ああいう例でも明らかなように、
集団示威運動が行なわれない以前に著しい影響があるなどということを的確に判断できるなどということは、あなたのお
考えは、あなたの人柄はどうか知らぬが、客観性が非常にありません。これは要するに、あなたが当初言われた事前の
措置です。予防の
措置にすぎません。あくまでも推測であり想定ですと言う以外にはないのですよ、これは。そうすればあなたは正直な
答弁になる。しかし、そういうことを繰り返してやっておりますと時間だけ使いますから、さらに前に進みます。
結局、的確な判断が、
集団示威運動等が行なわれる以前の問題ですからできない。従って議長の要請がかりになされるとしても、それはあくまで推測をした、想定をした
状況を
一つの根拠として、事前の
措置としての要請がなされるにすぎないので、これは立法上重大な誤謬を犯しております。厳密に言うなら、この
四条の一項の要請はできないことなんです、事実問題として。議長は、
集団示威運動等の許可の取り消しや
条件の変更を要請するというこの要請は、的確に、法的に、また
憲法を尊重している建前を堅持するなら、事実問題としてはできませんよ。しかも、あなたはそういうことをしてもよろしいという
立場をとっておるところに、この立法上の重大な誤謬があることを私は
指摘するわけです。
そこで、さらに前に進めますが、本条に言うところの
国会議員の
登院と
審議権の公正な
行使に著しい影響を与えるおそれがある場合というのは、都
公安条例第三条の「公共の安寧を保持するため緊急の必要がある」云々の場合に対応するものと、
提案者はおそらく
考えておるでありましょうけれども、都の
条例では「明らかに認められるに至ったとき」というようにきめておりますから、これは明白にしてかつ現在の危険の
原則に従って、実は
規制対象は抽象的で明確を欠いておりますけれども、
規制の
基準については、都
条例の方は
条件をきつくしぼっておるのであります。ところが、これに対して
本法は、「著しく影響を与えるおそれがある」ということでありますが、それはあくまでも現在の事態ではない。現在起こっておる事態ではない。それは推測である。将来起こるかもしれないという推測である。あくまでも仮定に立っての判断であります。従って、
原則を犯しておるということが言えるのであります。大体、別な
考え方から言えば、都の
公安条例の三条の三項では、「公共の安寧を保持するため緊急の必要があると明らかに認められるに至ったときは、その許可を取り消し又は
条件を変更することができる。」ということがすでにうたってある。うたってあるにもかかわらず、ここにあらためて
本法四条をあげたゆえんのものは、そのねらっていることは、許可の取り消しまたは
条件の変更をなすために備えなければならない
要件を緩和しようとしておる。それをねらったのが
本法なのであります。ところが、この
条件を緩和している
本法は、
憲法の前に重大な弱点をさらけ出しておるのであります。
提案者は今、起こってしまってからではどうにもならんじゃないか、予防
措置として、事前の
措置として、そのことが起こらない前に要請をすることは何ら問題がないではないかと、こう言い切っております。しかし、あなたによく
考えてもらわなくちゃならぬのは、これは防火の予防
措置、火事が起こるかもしれない、この火事を防ぐための予防
措置、事前の
措置であるなら、お説のように問題はない。盗難があるかもしれない、盗難の予防
措置、事前
措置、そういうことであるなら、問題はないのです。
本法に持ち込んできておるのは、
国民の基本的な
権利、
憲法に保障された
権利である
集団示威運動等の
表現の自由に相対して行なわれることであるから、私は問題がある、
憲法の前に非常に大きな弱点をさらけ出しておるということを
指摘しているので、それを
提案者は、火事や盗難の場合と同じように、事前
措置が許されるんだ、予防
措置が許されるんだと、こういうように言われておりますが、このことは、公聴会における公述人の方々の
説明でも、今日までの討論を経ても、
提案者自身がそういうことではいけないんだということを知っているはずなんだ。繰り返してあなたに申し上げますが、
表現の自由と
国民の
権利の
規制には、厳格な
条件を具備しなければこれは許されないことなのです。明白にしてかつ現在の危険という
原則であります。
提案者は、これらのことに対してどういう
立場で釈明をしようとなさるのか。はっきり
答弁をいただきたいと思います。