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1960-03-15 第34回国会 参議院 議院運営委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十五日(火曜日)    午前十一時十五分開会   —————————————   委員の異動 三月十一日委員亀田得治君辞任につ き、その補欠として占部秀男君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高橋進太郎君    理事            塩見 俊二君            田中 茂穂君            阿部 竹松君            光村 勘助君            北條 雋八君            加賀山之雄君    委員            天埜 良吉君            石谷 憲男君            鹿島 俊雄君            北畠 教真君            後藤 義隆君            佐野  廣君            鈴木 恭一君            徳永 正利君            鍋島 直紹君            松野 孝一君            村上 春藏君            占部 秀男君            椿  繁夫君            豊瀬 禎一君            安田 敏雄君            米田  勲君            永末 英一君   衆議院議員            佐々木盛雄君            長谷川 峻君   政府委員    警察庁長官官房    長       原田  章君    警察庁警備局長 江口 俊男君   事務局側    事 務 総 長 河野 義克君    事 務 次 長 宮坂 完孝君    議 事 部 長 海保 勇三君    委 員 部 長 岸田  実君    委員部副部長  若江 幾造君    記 録 部 長 佐藤 忠雄君    警 務 部 長 渡辺  猛君    庶 務 部 長 小沢 俊郎君    管 理 部 長 佐藤 吉弘君   法制局側    法 制 局 長 斎藤 朔郎君   衆議院法制局側    法 制 次 長 三浦 義男君   説明員    警 視 総 監 小倉  謙君   参考人    東京公安委員    会委員長    堀切善次郎君   —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○国会審議権確保のための秩序保  持に関する法律案(第三十三回国会  衆議院提出)(継続案件)   —————————————
  2. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) これより議院運営委員会を開会いたします。  国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案を議題といたします。  三月十日の委員会におきまして塩見君から、本案に対する質疑終局動議提出されたのでございますが、その後、理事会において、本動議取り扱い並びに今後の運営について協議いたしました結果、なお委員質疑もあるようでございますので、この際、本動議取り扱い委員長に一任することとし、引き続き、なお若干の質疑を行うことに意見の一致をみた次第でございます。  ついては、この際、塩見君にお尋ねいたしますが、塩見君より提出動議は、この際、委員長にその取り扱いを御一任願うこととしてよろしゅうございますか。
  3. 塩見俊二

    塩見俊二君 異議ありません。
  4. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それでは、委員各位に申し上げます。前述の通りでございますので、右御了承の上御質疑を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
  6. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) なお、この際お諮りいたしますが、米田委員等より、本日、本案審議にあたり、東京公安委員会委員長堀切善次郎君の出席を求められたい旨の御要望がございました。堀切善次郎君に対し、参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  8. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それでは、これより本案質疑を続行いたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 米田勲

    米田勲君 質問に入る前に、一、二の点について簡単に皆さん了解を得ておきたいと存じます。  その第一は、前回の委員会で、同僚委員質問が終わるや、突然塩見理事から質疑打ち切り動議が出されましたが、自民党のかかる態度はきわめて遺憾であります。皆さんに言わせれば、十分日数をかけて慎重審議をしたではないかというでありましょう。しかし、これはみなさんにもよく考えてもらわなければなりません。それは、本法案の審議に入ってから、相当期間を経過した三月四日の委員会の最終午後三時三十二分になって、本法案審議上、最も重要な問題の一つである法案の基本的な性格について、提案者か従来の審査で終始答弁をしていたこごと質的には百八十度の変化ともいわれる訂正答弁がなされ、皆さんに御迷惑をおかけいたしましたことをおわひ申し上げますとなったのであります。これは全く常識的には考えられないことであります。おそらく国会史上空前のできごとではないかと思います。しかし、われわれは、慎重審議を尽すという自民党の諸君の態度を了として、一応三月四日の形で了解をしたのであります。従って私にいわせると、軌道に乗った本格的な審議は三月八日から始まったと考えておるのであります。このような経過もあることを十分考慮すべきだと思います。各条にわたって相当突っ込んだ質疑のある段階で、強引に質疑を打ち切らせ、われわれの公正な審議権を封殺することは、良識の府においてなすべきことではないと考えていただかなければなりません。  さらに第二は、条文についての質疑で、多少今までの質疑と重複する部分があるということであります。それは、提案者説明は、その重要な点について訂正があったということ、今までの質疑に対する答弁の中には、明確を欠いていたところがあったが、その場合、直ちに関連質問で明らかにすることは、議事の進行上、遠慮したということであります。従って、私の各条にわたる質問については、ぜひ御理解と御協力をいただきたいということをあらかじめ申し上げたいのであります。  それでは第一条、第二条について御質問を申し上げます。第一条は、この法律目的を示す条項でありますが、今までの質疑応答で明らかになったことは、国会議事堂周辺静穏を保つということがまず満たされなければならない前提条件で、そのことによって国会議員登院審議権の公正な行使確保するという条件が満たされ、その結果として国会の権威を保つということが成り立つ、というように理解をして間違いがないかを提案者にただしたいのであります。
  10. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 同感に感じております。
  11. 米田勲

    米田勲君 そこで「国会議事堂周辺静穏を保つ」というふうにうたわれておりますが、これはただに国会周辺に限らず、国民が生活をし、あるいは作業をしている周辺静穏が保たれるということは、望ましいことであります。しかし、ここで考えなければならないことは、望ましいことだからといって、むやみに法律を作って国民権利規制を加えることができるのだということにはならないのであります。規制が加えられる場合には一定要件が充足されなければならないということなのであります。国会議員登院国会審議権の公正な行使確保するということと、国会議事堂周辺静穏を保つということが、ともに本法目的それ自体になっているということは、きわめて私は重大だと思うのであります。なぜこのことを重大視するかといいますと、国会周辺静穏を保つためには何人権利に対しても規制が加えられないというのであれば、問題はないのであります。ところが、連合審査において、警視総監は次のように答弁をしておられます。出席をされておられますから、このことは御本人も確認されることと思いますが、「今回の法案内容を拝見いたしますと、たとえば、第二条に、「何人も、前条の目的を達成するため、国会議事堂周辺静穏が保たれるように努め、」これこれを「妨げないようにしなければならない。」、こういうふうにございます。そういうような点からしまして、やはり国会周辺では、集団示威運動的な行動というものは、これは避けなくちゃならないものではないだろうか、避けるべきではないか、こういうようなことになろうと思うのであります。」と、こう答えておるのであります。警視総監答弁は、少しく表現が回りくどい言葉ではありますが、国会議事堂周辺静穏を保つという目的、もちろんそのほかに二つの目的はございますけれども、その目的を達成するためには、国会周辺では、集団示威運動などは行なわれないようにしなければならないと申しているのであります。ここでお聞きをいたしますが、提案者警視総監のこの答弁と同じようにお考えになっておられるのかどうか。その点をお聞きいたします。
  12. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 第一条規定の中で、「国会議事堂周辺静穏を保つ」ことも目的ではございまするが、さらにもっと本質的な目的というものは、「国会議員登院国会審議権の公正な行使確保」ということでございます。いわば、国会議員登院国会審議権の公正な行使確保するために必要な議事堂周辺静穏にも解されるわけであります。従って、国会議員登院国会審議権の公正な行使確保いたしまするためには、ぜひとも国会議事堂周辺静穏に保ちたいと考えるわけでありますので、この国会周辺におきまして、不穏当な行動などを防止いたしたいのであります。しかし、さりとて、憲法によって保障されておりますところの、いわゆるデモ行進などの行為を全面的に禁止しようというのが本法目的ではございません。本法は、申すまでもなく、憲法によって保障された集団示威運動等が、非常に静穏に合法的に行なわれまする限りにおきましては、何らこれに対して規制を加えようというのではございません。ただ、それらの行為国会議員登院国会審議権の公正な行使を妨げる場合にのみ本法を適用するという意味でございます。
  13. 米田勲

    米田勲君 提案者は、ただいまのような答弁の中では、これは、きょうだけでなく、私は集団示威運動等を全面的に禁止、抑制しようとするような、そういう考えはないということは、今までたびたび言っているのです。ところが、これは条文の各所にわたって論議が進むと、結局、事実問題としては、その逆になることをまた答弁をしているわけです。しかし私が第一の質問であなたに申し上げました「国会議事周辺静穏を保つことにより」といううたい文句は、これはやはり、あなたがどう説明しようと、本法は、国会議員登院国会審議権の公正な行使確保するということと相並んで、国会議事堂静穏を保つという目的に並列してうたっているということは、間違いないわけです。しかし、二条以下の各条文との関連において、これを見、また先ほど私が申しました警視総監答弁と比較対照いたしますと、やはり本法の中には、国会議事堂周辺静穏を保つという目的を果たすために、集団示威運動などが、——今は佐々木議員は、集団示威運動を全面的に禁止しよう、排除しようというようなことはないのですとは言いながら、あとで私がお伺いするところで明らかになると思いますが、やはり周辺示威運動は行なわれないようにしよう、そうして静穏を保つという目的を果そうとしているのが、この条文であるというふうに、私はどうしても今までの審議過程から読みとれます。しかし、これを再度あなたに質問を申し上げることは遠慮して、次の質問を重ねることによってそのことを明らかにいたしたいと思います。  そこで提案者にも思い起こしてもらいたいのですが、前の議運の審議で、集団示威運動は違法なものではないと、こういうふうにはっきり確認をされております。都の公安条例による届け出があれば、特別の限られた理由のないときには集団示威運動は許されなければならない性質のものであります。これは提案者異議がないと思いますが、いかがですか。
  14. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 異議はございません。
  15. 米田勲

    米田勲君 そこで問題なのは、本法目的である国会周辺静穏を保つという目的を達成するために、この合法的であり、かつ国民の基本的な権利である表現の自由、つまり集団示威運動が行なわれないようにしなければならない、立場をかえて申せば、行なわせないようにしなければならない、ということになってきておるのであります。そもそも憲法に保障されている国民権利請願表現の自由を規制できる場合は、きわめて限られた条件のときであることは、提案者もよく承知しているはずであります。それはすなわち、明白にしてかつ現在の危険の原則の適合することが、規制の場合の必須条件であります。このことは私がここで申し上げなくても、今日までの裁判の判決に徴してもこのことは明らかだと思いますが、提案者にここで最終的に私はお聞きをいたしますが、憲法に保障されている国民権利請願表現の自由を規制できる場合は、きわめて限られた条件、明白にしてかつ現在の危険の現存要件が満たされなければ規制ができないのである、ということをお認めになっておられますか。それを一つお伺いします。
  16. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 表現の自由、集会の自由は、憲法の保障する基本的な人権でございます。従いまして、この基本的人権に対する規制を加えるということは、申すまでもなく、きわめて合理的かつ明確な基準に、もて、それが公共の福祉に反するというような場合にのみ限定されるものと考えます。従って、今御指摘になりました明白かつ現存原則というような、そういう大前提のもとに立つべきものだというように考えます。しかしながら、この条例に対する最高裁の判決等を見ましても、その規制が、かなり特定の場所や、または方法について、合理的かつ明確な基準を設けてやった場合におきましては、必ずしも憲法違反するものではないという立場をとっておるようでございます。従って、本法もまたそういうふうな立場におきまして、全面的に禁止をすることをいたさないで、それが国会議員登院国政の公正な審議権に重大な影響を与え、悪影響を与える、妨害をするという場合のみに限ってやるわけでありまするから、憲法の精神に反するものとは考えておりません。
  17. 米田勲

    米田勲君 提案者の、明白にしてかつ現在の危険の原則内容についての理解というか、認識が、多少今の表現ですと問題があるようですが、これはあと質問の際にあらためて関連してそのことは確認をいたしたいと思います。  次の質問に移ります。国会議員登院国会審議権の公正な行使を妨げるという、明らかな差し迫った危険、明白にしてかつ現在の危険の原則に適合する場合は、そういう条件が明らかに出てきた場合は、表現の自由あるいは請願、陳情といえども一定規制措置がとられることは、私も当然だと思いますし、また、そのような場合に規制措置がとられてもこれは合憲であるということは、私も考えておるところであります。ところが、国会周辺公道における集会言論その他一切の表現の自由は原則としては許さなければならないものであると私は考えております。国会周辺公道における表現自由等のこの権利は、原則としては許されなければならないものである。こういうふうに考えておるのです。しかるに国会周辺静穏を保つという目的を達成するために、静穏でないという理由で、国会周辺における表現の自由、集団示威運動等が、明白にしてかつ現在の危険の原則条件もなしに、一般的抽象的な静穏を保つという条件だけで規制されるということは、明らかに私は憲法違反する措置だと思うのであります。これは、ここだけを、この条文だけを取り上げて言えばいろいろに言えますけれども、四条五条と対照して考えたときに、私はそのことが指摘できると思うのであります。従って第一条、第二条の中には、私に言わしむれば、四条五条と対照して違憲の規制措置を引き出す文言のあることを指摘しないわけにはいかないのであります。提案者はこのことをどういうふうに釈明なさろうとするか、お伺いいたします。
  18. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 第一条、第二条は、これは本法目的をいわば抽象的にかいつまんで書いたわけであります。従って、このこと自体がすぐにこれが憲法違反するとかどうとかいう問題ではなかろうと思います。憲法違反疑い等がある場合におきましては、もう少し具体的な問題について一つ指摘を願いたいと思うわけでありまして、これはむしろ抽象論でございます。従って、このことから直ちにこれをもって憲法違反であるとかどうとかいうようなことは、当たらない問題ではなかろうかと考えております。
  19. 米田勲

    米田勲君 もちろん私も申し上げましたように、一条、二条だけ切り離してこれを検討した場合には、提案者のような主張が成り立つでしょう。しかし、この条文は、あと四条五条と相関連して総合的に成り立っているという立場からみまして、私は、国会周辺静穏を保つというこの目的を達成するために、集団示威運動に対して、規制原則条件が満たされないのにこれを規制する、禁止するというようなことを引き出す、そういう条件を引き出す文言一条一条の中にある、ということを私は主張しているのであります。そういう規制措置を引き出すところの文言一条、二条にあることが憲法違反をする文言であるということを、この際に指摘をしておきますが、三条以下の条文に触れないと、そのことが一そう明らかにならないので、私の質問を進めます。  さて、第三条について御質問を申し上げます。国会周辺道路として、本法指定道路別表の図に示されておりますが、これは実際に国会議員の毎日の登院の場合を検討した上で慎重にきめたものであると理解すべきものでありましょうかどうか。
  20. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そういう原則に立って考えられたわけであります。
  21. 米田勲

    米田勲君 国会議員の毎日の登院の場合を実際に具体的に検討してきめたものであるというふうに理解をするとすれば、私は、この指定された道路について、国会議員登院する実際の状況とはなはだしく違っていると思うのであります。たとえば、議員登院とは関係のない道路までその指定が拡大されていると思われる。そういう疑問を解消させてもらうために、提案者に、衆参両院議員の通常の状態における登院状況徒歩、あるいは自動車バス等登院をしておりますが、その登院実情を、図面と対照してやや具体的に説明していただきたい。なぜそういうことを今ごろになって申し上げるかと申しますと、どうもこの道路指定の仕方が登院にはそんなに関係がない、ほかの要素まで含めてできているように思われてならない。しかし提案者は、国会議員の毎日の登院の場合を具体的に検討してこの道路指定は行なったと言われているのですから、私の考えとだいぶ違うわけですから、ぜひその点を御説明いただきたいわけです。
  22. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 本法別表図面ごらん通り、まず国会議事堂院内、つまり構内に接続いたしまする路面というのが全部入っております。その議事堂を取り巻く接続路面に到達するためにはぜひとも通らなければならない道路を、ことごとくこの区域の中に入れたわけであります。きょう私は、何人がどの道から通っておるかということについては資料を持っておりませんが、およそこの国会議事堂に到達をいたしまするためにはぜひとも通らなければならないという道路は、あげ得る限り全部ここにあげたわけでございます。なお、そのほかには、たとえば国会図書館用地であるとか尾崎記念館用地であるとかという国会用地がございます。これらは院内とは違いまして、管理上きわめて十分に監督が行なわれていない、こういうふうな地域もこれの中に含めておるようなわけであります。その趣旨につきましては、もとより国会議員登院国政の公正な審議権確保するために絶対必要であると考え地域でございます。
  23. 米田勲

    米田勲君 どうも今提案者が一番最後に言われた言葉は、先ほどの答弁と違うのではないですか。あなたは、私がお聞きした国会議員の毎日の登院の場合を具体的に検討した上でこの道路指定は行なったと言われているのですから、それ以外の要素があるのなら、初めからそう言ってもらわなければ、私はほかの要素はないと考えたから質問が出てきたのです。あなたもごらんになっていただきたいのですが、どうもあなたの答弁では納得できないわけです。本院に到達するのにぜひとも通らなければならない道路、こういうふうに説明を聞いて、この図面を見て、なるほどこれは合理的に実際に合ってできていると、うなずけますか。ある地点まで行ってヌの所などですね、二またに分かれている道路の所からヌの所は始まっていますね、指定が。しかしその先の方は一体必要があるのかないのかは、これは私はきわめて疑問なんです。推定の必要があるかないかというような理由提案者に私はなぜこういうことをお聞きするかというと、これほど拡大した道路指定は、実際の議員登院の具体的な実情から言って必要がないということなんです。あなたは資料を今は持ち合わせがないとおっしゃられておるが、おそらく私の推測するところ、両院議員の毎日の登院実情などということは一応は考えてみたであろうけれども、具体的な実情と、この図面の線を引くときとでは、合っておらないのです。私はそう断言します。だから、この図面はどうもちぐはぐにできている、指定の仕方が。私に言わせると、国会議員登院を一体どの地点から確保すればいいのかということは非常に問題である。しかも、登院確保したいという最小限度地域を、道路指定するならば、こんなに拡大する必要はさらさらない。これは毎日の登院実情を調べてごらんになれば私の主張が合います。しかし、あなたとそういうふうに水掛け論をしても依然として同じ答弁を繰り返されますが、こういう図面を大半な法律につけて出すときには、もっと具体的なものと結びつけて慎重にやるべきですよ。極端に言うと、いいかげんに指定をしておるとでも言いたい。データがおそらくないでしょう、あなたの手元に。これを指定をすべき必要なデータはないと私は思う。あれば私の言葉は取り消してもいい。そのデータはないでしょう、どうですか。
  24. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そういうデータの必要はあるかもしれませんが、私たち立場から申しますと、必ずしもデータがなければこの地域指定できないという考え方に立っているわけではないのであります。申し上げるまでもなく、国会議員登院確保でありますが、本法の具体的な規定というものはむしろ第四条以降でありますが、国会議事堂周辺道路において屋外集会集団行進または集団示威運動等が行なわれる場合のことを規定したのが本法でありますから、従って、そういうデモ行為等の行なわれます地域というものにおいて国会議員登院が不能になるということが予想されるわけでありますから、そういう地域をわれわれはあらかじめ予想いたしまして、過去の経験や実績に徴してこの程度のことは必要であろうというところから割り出したわけでありまして登院自動車は何台通るとか、何人徒歩で通るというようなことは、必ずしも私は必要なことではなかろうと考えております。
  25. 米田勲

    米田勲君 これが、今あなたが申されていることが、私たちと思想的に違うところなんです。本委員会でこの法案をめぐって論争をした中でも出てきている。どれだけ今までの集団示威運動国会議員審議権が阻害されたか、その具体的なデータを出しなさいという要求をしても、そんな必要まではありませんというあなたの認識です。この道路指定を行なうのに、国会議員登院実情とマッチさせて最小限度道路指定すべきであるという考え方に立つと、あなたの考え方はきわめてルーズで、自分には都合がいいのです。私の立場で言わしむるならば、国民権利に対して規制を加えるということを今なそうとするのだから、やろうとすることはきわめて厳密でなければならない。これは念には念を入れてという言葉があるが、それだけの具体的な、慎重な、綿密な調査と実情とを把握した上で、しかも、国民権利規制するというような、そういう態度が必要だということを、あなたにあらためて申し上げておきたい。あなたは、そういう点になると、きわめてルーズであります。何か目的を果たすために、事が国民権利規制しようとしておる重大なことをしようとしておるのに、そういう点にわたってはきわめてルーズだということを指摘しておきます。しかし、論争をしても尽きないことでありますから、前に進みます。  次は第四条の一項であります。第四条の一項は、私は三つの点について検討を加えなければならない問題を持っていると思うのです。その第一点の問題から始めたいと思います。第四条一項における両院議長の都公安委員会に対する要請は、第二項と対照をしても明らかなように、いわゆる集団示威運動等が行なわれない以前における要請であるという点は、提案者確認できますかどうですか。
  26. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) その通りに私も考えております。
  27. 米田勲

    米田勲君 これは、あとの私の質問の際にそのことがぼけてくると論議がまた乱れてきますので、四条一項における議長の要請は、集団示威運動等がまだ行なわれない以前のことであるということを、はっきり確認しておいて下さい。それはいいですね。——そういたしますと、この点については、前回豊瀬委員質問に対する提案者説明はありましたけれども、その答弁では私はまだ疑義が解明されておりませんので、ここにあらためてお伺いする次第ですが、両院議長が要請する、つまり許可の取り消しまたは条件の変更の要請をする、その要請が発せられた時点においては、集団示威運動等はまだ行なわれておらない、現実に行なわれておらないのでありますから、要請を出すときの両院議長の判断は、推測の域を脱しないものであるということを提案者はお認めになりますね。
  28. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 推測という言葉がはたして妥当かどうか知りませんが、いわば事態そのものが現実に起こっていない以前のことを予想し、想定をしてするわけでありますから、言葉の使い方によっては想定と言えるかもしれません。しかしながら、それが必ずしも野放図な予想によるというわけではなくして、これを要請いたしまするためには、かなりの判断の資料というものを具体的に把握した上ですることでありまするから、まあ簡単に手当り次第に、何でも、デモ行為等が行なわれるときには片っ端から——もしデモ行為が起こったならば大へんなことになるというわけで、片っ端から許可の取り消しや条件の変更を求めるという意味ではございません。
  29. 米田勲

    米田勲君 提案者答弁が御丁寧で、私の聞いていることは、提案者が当初に申されたそのことだけでいいのです。私はそのあとのことはひっかけて申し上げておらないのですから。  集団示威運動等がまだ行なわれていない以前に要請が行なわれるのですから、議長の要請は、推測、想定と言ってもいいんですよ、それにすぎないんだ、あくまでその域は脱しないんだ、こういうことです。ところが、この推測して判断すべき資料、根拠が、本法案の上では法的に入手できる規定がないのであります。両院の議長は、国会周辺道路において集団示威運動等について許可があったこと、その許可にはどんな条件があったか、などという都公安委員会のそのつどの措置を、どういう方法で知ることができるだろうか。——提案者はこれまでの答弁で、都公安委員会と両院議長の間には常に密接な連絡がとれているであろうから支障はありませんと、こう言っているのです。しかし、提案者によく考えていただかなければならぬことは、その密接な連絡、あなたのおっしゃる密接な連絡というものは、あくまで任意なものであります。好意的なものであります。単なる事実上の連絡ということで、法的にはそれが義務づけられておらないということであります。ところが、議長の要請は、国民の基本的な権利である表現の自由、つまり集団示威運動等に対して、その許可の取り消しを要請するかどうか、また条件の変更を要請するかどうかの判断を要する重大なことにかかわっているのであります。しかるに、両者の間に常に密接な連絡がとられるであろうからという希望的な観測に立ち、あえて法の上で連絡、報告を義務づけてはおらない。単なる好意的な事実上の連絡で動くということは、両院議長の地位から申しましても、また扱う問題の性質から考えましても、はなはだしく妥当を欠くと思うのであります。この点、本法の重要な不備を私は指摘せざるを得ません。提案者は何ゆえに、そのように重要であるべき報告、連絡等のことを本法条文の上で規定をなさらなかったのか、うたわなかったのか、その理由をお聞きいたしたいのであります。
  30. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 四条につきましては、確かに御指摘のように、都公安委員会と国会の議長との間に連絡することを義務づけたのではございません。しかしながら、今日まで、また現に国会におきまして院内警察権の関係におきましても、国会と警察との間にはきわめて緊密な連絡が行なわれているようなわけでございまするから、従いまして、この法律が成立いたしました暁には、公安委員会と国会との間にも、現在、院内警察権について国会と警察との間に行なわれておりますると同じような十分な連絡がとれるものであろうということを期待し、むしろその運用によって遺憾なきを期したい、かように考えておるわけであります。
  31. 米田勲

    米田勲君 私は、こういうふうに指摘をすれば提案者は善処されるものだというふうに善意に考えておりましたが、あなたは、法案の不備を私に指摘されて、あとから何とかつじつまを合わせようというような御説明ですけれども……、あなたに重ねてお伺いしますが、両院議長と都公安委員会との間に、集団示威運動等の申請があった、その処置をされた結果等を必ず報告、連絡させる必要があるとお考えにはならないのですか、どうですか。必ずです。
  32. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) その議長からの要請をいたしましたことに対しては必ず報告があるとは考えます。しかしながら、議長からの要請を受けた公安委員会がいかなる措置をとるかということは、もっぱら公安委員会の自主的判断に基づいて、公安委員会の責任においてやることでありまするから、従って、そのようなことを必ずしも明文の上で義務づける必要はなかろうと考えます。
  33. 米田勲

    米田勲君 提案者は勘違いしていますよ。これは、私の今問題にしているのは、両院議長とは無関係に、集団示威運動等の申請が都公安委員長の方になされるわけです。都公安委員長は公安条例に基づいてそれを処置する。許可をするとかしないとか、条件をつけるとか、処置をする。いいですか。それを議長は知る方法がないのです、法的には。あなたが今まで説明したのでは、その両者の間には密接な連絡がとられるであろうから支障はないのだと言っておりますけれども、どういう許可があったのか、どういう集団示威運動がいつ行なわれるのか、その条件はどうつけられたのかを的確に知らずして議長が要請できるということは、どういうふうな考え違いからできるのでしょうか。そういう実情がわからないでは、要請するどころか、知らんで通ってしまうのでないですか。だから、私に言わせれば、そういう集団示威運動の申請があって、それが措置された、どういう条件がつけられていつ行なわれる、その内容は何だという逐一を、これは絶対に両院議長に、本法の建前からいえば報告が法的に義務づけられなければならぬと思っている。事が重大なことなんですから、議長だって、あなたの言われているようにむやみに要請なんか出せないのですから、そうしてまた要請をする内容たるや実に重大なことなんですから、なぜそういう重大なことを法をもって連絡、報告することを規定をしないで、こういうふうに野放しになさったのですか。その理由を聞いておるのです。
  34. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 本法四条第一項の規定は、単なる議長の要請権にすぎません。本法はあくまでも公安委員会の自主性を尊重する立場に立っております。従って、公安委員会がいかなる処置をとるかということは自由でありまするから、その結果についての報告は、常識的に、また従来からのこういう慣例等から申しまして連絡はあると思いまするが、必ずしもこれを本法によって義務づける必要はなかろうと思います。
  35. 米田勲

    米田勲君 委員長から一つ注意してくれませんか。またも間違って答弁をしている、何べんも。私はむだに時間をとる気はないのです。的確に答弁さえしてくれれば、すぐ次に進むんですが、佐々木さん、あなたは私の言っておることを勘違いしておりませんか。あなたが言っておることは、全部これだけおられる方はわかっておる。あなたは勘違いして答弁しておる。私は意地悪い質問をしているんじゃないですよ。きわめてはっきりしたことを聞いているのに、あなたはどうも質問内容をはき違えておられる、二度にわたって間違った答弁をされているのですから。佐々木さん、こういうことですよ。私は、もう一度時間がかかりますが、言います。あなた、議長要請が四条一項で都の公安委員会になされるでしょう。その要請は、事情に明かるくなければできないじゃないですか。集団示威運動が行なわれるのか行なわれないのかはわからない。都の公安委員長は、どんな許可をしたものやら、どんな条件をつけて許可したものやら、何にもわからない。そういうわからない中で、議長が、一体、都の公安委員会に何か要請できる種でもあるのですか。要請できるきっかけでもあるのですか。何にもわからないのに要請はできないでしょう、要請の必要がたとえあったとしても。そうでないですか。そうでしょう。だから、私は言っているのですよ。都の公安委員会が、集団示威運動等の申請があった場合に、許可をするとかしないとか、条件をつけて許可するとかしないとか措置しますよ。そうでしょう。そのことを両院の議長に報告する、連絡をすることを、なぜ法的に義務づけないのか。もちろん四条の上に義務づけるかどうかは、これは法文の体裁上、それはいろいろに考えなければなりませんよ。しかし、この四条のどこにもそれを法的に義務づけていない。それは間違いないでしょう。だから、なぜそういうふうにしたのか。何か理由があるんですか。大事なことを義務づけていないから、そういうふうに聞いているんです。
  36. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先刻来申しておりまするように、なるほど義務づけはしておりません。むしろこれをわれわれは運用の面において遺憾なきを期したい。つまり行政的な措置をすることによって十分であるという考え方であって、あなたのおっしゃいまするように、これを明確にするということも必要な考え方であるかもわかりません。しかし、私たちは、必ずしもこの法文の上にそのことを明確にしなくても、現在だって、院内警察権について、警察当局と十分な連絡をとって遺憾なきを期しておる次第でありまするから、同様に、本法が成立をいたしまするならば、公安委員会におきましても、常時さような連絡があると思いまするし、また議長が要請をいたしまする場合におきましては、公安委員会にどういう届け出を出しておるかということについても、詳細に検討した上でやることでありまするから、私たちは、もっぱら運用の面においてこれが万全を期したい、かように考えておるわけでございます。
  37. 米田勲

    米田勲君 提案者、あなたは、やはりそういうことが必要だということは考えているんですよ。これは何としても運用の面でそのことをやろうとしているんですからね。技術的な問題だとというふうには、これは私に言わせれば、事務的な問題だというふうに処置はできないんです。なぜかというと、問題が重要な問題なんです。議長が要請権を発動するかしないかということは、これは両院議長の地位からいっても、なおあなたがたびたび言われるように、重要な作用なんですよ、これは。しかも問題が、集団示威運動等の許可があったものを取り消せという要請をしたり、条件がつけられておったのにその条件を変更せいといったりする要請なんです。あなたに言わせれば、義務づけておらぬということは言っても、とにかく大事な要請なんです。このことが、そういう大事なことが行なわれるのに、運用の面でうまくやればいいんだということは、どうもあなたはこういう大事な法律を作るのにルーズな考えをしている。私は、こういう法律の中には、そういう欠けてはならない連絡、報告等のことは、どこかの条文の上できちっと義務づける、それだけの正確さをこの法文全体の上で保たしてこそ、初めてそこに行なわれる警察作用なり要請権の発動なりが的確にいくのです。あなたのようなルーズな考えでは、とうていうまくいかない。そういうことをいつまでもあなたは、法案の不備を指摘されると、何か別な措置でというふうになりますが、まだ審議中ですから、あなたはほんとうに良識があるなら、私の指摘している法案の不備をみずから直されることが必要なんです。しかし、提案者は同じ答弁をなさいますか、まだこれだけ言われても同じ答弁ですか。同じ答弁であれば、大体関連質問の方がありますから、私の質問は、関連質問が終わってからにします。
  38. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 米田委員質問が完結しない前に関連質問一つしておきたいんですが、実は佐々木さん、この国会法の第十四章に「紀律及び警察」ということがある。その第百十四条にこう書いてあります。「国会の会期中各議院の紀律を保持するため、内部警察の権は、この法律及び各議院の定める規則に従い、議長が、これを行う。閉会中もまた、同様とする。」こう書いてございますね。そうすると、「この法律」ということは、今審議している法律ではございません。この国会法のことを指すのでございますから、これはもうきわめて矛盾なんですね。そうすると、当然国会法を直さなければならぬ、こういうことになってくるし、直さなければ相矛盾している。日本国の国会はたった一つしかないんですから。そこがまずきわめて矛盾してくる点で、それを御答弁願いたいということと、それから次の第百十五条、これに「各議院において必要とする警察官は、議長の要求により内閣がこれを派出し、議長の指揮を受ける。」とあって、「内閣が」と、こういうふうに入っている。今度の法文でいくと、両院議長の定めるところによって、警視総監のところへノン・ストップでいく。この矛盾はどうなさるんですか。
  39. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ただいまの御質問は、きわめて私たちの側からいいますと簡単なことでありまして、今御指摘の第百十四条並びに第百十五条は、もっぱら院内警察権に関することであります。しこうして、ただいま御審議を願っておりまするいわゆるデモ規制法なるものは、これは院外のことについての法律でございまして、本法とは全然関係はございません。
  40. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうなってくるとおかしいんです。これは議長が警察権を発動させる場合のことを書いているんですよ。そうしますと、そのほかに何らか入れなければ、議長というものは国会のルールに従ってやるわけですから、二通りも三通りもあっていいということにはならぬ。そうすると、きわめてこれはおかしいでしょう。警察権を発動する指令を出すルールが二つも三つもあってよいということになりませんよ。もう少しよく考えてみて下さい。
  41. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは院内について議長が警察官の出動を要請するわけでありまするが、しかしながら、ただいま御審議を願っておりまする本法につきましては、これは議長は単なる要請をするだけのことなんです。しかも、その要請をするのは、院外の静穏保持のために必要な措置をとられんことを警視総監ないし公安委員会に対して要請をするわけでありまするから、従って、この百十四条並びに百十五条規定とは、何ら抵触するものではないと私は考えております。
  42. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうすると、その論争をする前に、院内と院外の区分はどこであなたはやっているんですか。
  43. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは、この前にも椿委員の御質問にお答えをいたしましたが、これは衆議院におきましては、議院運営委員会の速記録等につきましても、しさいに点検をいたしました。その結果、さく内とさく外で院内と院外を分けておることがきわめて明白になって参りました。これは速記録の中にもその趣旨が出ております。また衆議院規則を見ましても、衆議院規則第二百八条におきまして、「議長は、衛視及び警察官を指揮して議院内部の警察権を行う。」と書いてあります。それから第二百九条には、「衛視は、議院内部の警察を行う。警察官は、議事堂外の警察を行う。但し、議長において特に必要と認めるときは、警察官をして議事堂内の警察を行わせることができる。」こういうふうに衛視と警察官の分担区域をきめております。これによっても明らかのように、院内というものは、議事堂のみならず、議事堂からさく内、門のさく内全般が院内だということになっております。なお、ここに速記録等もございまするが、これは私が調査いたしました結果、衆議院においては確立された原則でございまするし、この慣行に従って今日まで事を運んできたわけでありましてこれにつきましては、野党の諸君も別に異議のあったところではございません。衆議院に関する限りにおきましては、さような慣行になっております。
  44. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 最後に一つ。そうしますと、ここにいただいている図面の中の参議院の方は院内外が明確にきまっておらぬのだが、衆議院の方も、幾ら椿委員が先日きまっておらぬじゃないかと言っても、あなたがきまっていると言っている。そうすると、参議院がないと言っても、あなた方はあると言ったのですから、あなた方があるとおっしゃっているこの参議院の通常言うさくの中は、この法律が適用されているということになるのですね。そうなんですね。
  45. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) さようでございます。ただし罰則の規定は、この院内に侵入してきたということに対して罰則規定のあることは、七条か八条かでございます。しかし、議長の要請をして静穏を保つことを要求する区域というものは、もとより院外でございます。
  46. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうなると、佐々木さん、おかしくなってきたことは、私たちが今まで数回にわたって、これは治安立法じゃないかと言ったら、これは国会関係があり、国会法と密接のつながりがあって、治安立法では毛頭ございませんと言っていたが、そうなると、国会の中は国会法で、院内国会法でやるのだと、全然そこへいったら治安立法ですから、あなたの言うことはまるで……、またその訂正をしていただかなければならぬ。重大食い違いの発言になってきたのじゃないですか。
  47. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは、事が警察官の職権に関することもあるわけでありまするから、さような点から見て治安関係法律ではないかとおっしゃいまするならば、そうも言えるかもしれません。しかしながら、さりとてこれでは国会関係の法規ではないかというのならば、国会関係の法規であることも間違いないわけであります。これは、すべての法律というものが治安関係国会関係の二つのカテゴリーの中に分けなければならぬものじゃなかろうと思います。そこで、単にこれは議長が要請をするだけにすぎないわけでございますから、その議長の要請をするのには、まず国会周辺道路ということに限られておる。また登院確保しようというのが、国会議員登院ということに限られております。一般人の国会へ到達することを言うわけではなくて、国会議員国会登院するということになっている。またそれが、必ずしもその辺の静穏ということではなくて、国会における審議権の公正な行使ということに限定をされておる。さようでありまするから、これは明らかに国会を中心とした国会関係の法規である、かように私たち考えておるようなわけでございます。
  48. 占部秀男

    占部秀男君 今、佐々木議員は、国会法であるか警察治安関係の法規であるか、これを分けることは必ずしも大した問題ではないというふうに言われるのですが、それが一番大きな問題である。というのは、国会関係の法規であるということになれば、国会法は一般法であって、従って、一般法の国会法に対して、これは特別法文なんです。かりにこれが治安関係の法規だとすれば、警察法は一般法であって、これは警察法の特別法規になる。特別法規は一般法のもとに優先するという意味合いにおいて、これは非常に、どっちかにけじめをつけるということで、この運営が非常に変わってくるのですよ。それだから、われわれは、しつこく国会関係の法規であるか治安関係の法規であるかということを聞いておるのです。あなたは、国会関係法規であるか治安関係の法規であるか、そんなことは大した問題じゃないということを言うのは、とんでもない話になるのであって、提案者としてはもう少し言葉を慎しんで答弁をしてもらいたい、私はさように考えるのです。  そこで、今の第三条、第四条が問題になっておりますが、この点で、一つ関連質問をいたしたいことは、第三条の「国会議事堂周辺道路」、この「道路」に対して、今度は、阿部委員並びに米田委員が御質問いたしましたように、ここに図でもって、この点が国会周辺道路であるというように規定されておるわけであります。国会周辺道路以外の点は国会構内と、これは図で明らかなように密接していますから、従って、この国会周辺道路以内の点は国会の構内ということにこの図でなっておる。つまり、この法律ではさように規定しておるわけであります。ところが椿委員の前々からのお話で、参議院ではそういう点はまだ正式機関ではきまっていない。国会の構内がどこであるかという点については正式機関ではきまっていない。衆議院においても、椿委員質問で明らかになったように、それをきめようということはしたけれども、それがはっきりと最後まで結論がついていない、こういうような状態になっておるわけであります。そうなると、この法律で、かりにこれをきめたとするならば、国会関係の法規であるとあなたは言われるのであるから、特別法規は、一般的な一般法としての国会法に優先するということになるのであって、従って、国会の中でまだきめられてないところの国会構内ということを、この法律は直接規定することになってくるのです。単に国会周辺道路指定するというだけではなくて、国会の構内というものを道路の密接した関係においてはこの法律規定することになってくるのであります。そこで、お伺いしたいことは、そういうやり方がはたして正しいかどうかということ。まず参議院の構内というものは、参議院の中で、参議院の議運なりあるいは正式機関の中で、ここがこういう場合にすべきであるということをきめて、その構内をきめた上に立って、初めて国会周辺道路指定したければ勝手に指定した方がいい。ところが、これはそうではなくて、逆に、この法律を通すことによって、参議院の中でまだその問題が結論も出ていないし、また討議もされていない、それだのに、この問題をこういう法律できめる、こういうやり方がはたして正しいかどうか。その点を第一番にお伺いしたい。
  49. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは、参議院と衆議院との区分は明確でないかもしれませんが、この衆議院規則等におきましては、院内外というものはきわめて明白になっておるわけなんであります。このことにつきましては、参議院におきましても私は疑義はなかろうと思います。つまり、この衆議院規則等におきましても、先ほど申し上げましたような条項によって、明らかにこれは、議事堂内部のみならず、議事堂から外の庭の部分、つまり門か、さくに達する部分、それを院内警察権の及ぶ範囲として、それに対して議長が警察権を持っておることは、この中に明確に出ておるわけでありまするから、これに対する解釈を参議院のどの場において公的になされたか知りませんけれども、しかし、少なくとも議長が院内の警察権をお持ちになっておって、議長警察権の及ぶ範囲がわからないなんて、そんなだらしのないことではなかろうと思います。参議院においても独立した解釈はあると思います。
  50. 占部秀男

    占部秀男君 その点なんですが、事務総長の答弁にもあったように、公的機関でそれをきめたことはない、それはもうはっきりしておる。佐々木さんが、そんなだらしのないことではしょうがないと怒っても怒らなくても、事実が事実なんだから、これはやむを得ないですよ。と同時に、そういうような公的機関できめたことがないということは、正式機関で参議院の構内が現在まだきまっていない、これに対して議長は、はらでもってやっておる、こういうことは、事務総長がここで答弁して、ここの速記録にも載っておるのですから、だから私は言っておる。いかがですか。
  51. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は、参議院の方のことはあまりよく知りませんが、しかし先ほど申しました衆議院規則第二百九条の議長の警察権は、衛視が議事堂内、警察官が議事堂外の警察権を行なうということになっておる、その警察権というものを議長が持っているわけでありますから、議長警察権の及ぶ範囲というものは、まあ地理的にいうならば、議事堂内はもとより、その庭、そうして門、さくに達するまでの空間というものは、議長警察権の及ぶ範囲であるから、それを院内というのは、りっぱにここから解釈が出ると思います。明白であると思います。
  52. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 これは、議事堂内は衛視が、議事堂外は一般警察が、その議事堂外というものの範囲は、あなたは先ほどから、門のさく内、前回も門のさく内ということを言われたのですが、また聞かなければならぬ。いつきまったのですか。あなたは、この前、二十四年十月十九日に議院運営委員会できめたと、こう言われるから、私は衆議院の議事録をとって調べてみましたところが、きまっていない。いつきまったのです。それをもう一ぺん言って下さい。
  53. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 院内外に言及した速記録はたくさんございまするが、今御指摘の点について申しますならば、これは昭和二十四年十月の、この間あなたのお読み上げになったのは十九日、それから引き続いた二十一日の議院運営委員会におきまして、大池事務総長の発言がありまするが、「この前、議員会館が院外になるか院内になるかということの決定を保留しておりまして、各党で御研究になった御都合もあるかと思いますが、先ほどの福利小委員会でのお話では、参議院でも院外で取扱っておるようです。従ってこちらが院内ということになると問題になりますので、一応院外ということにお考え願いたいと思います。」皆異議なしということで、それでは院内外の件は院外ということで、つまり議員会館は院外ということで決定をいたしたいと思います。——これは大村委員長が採決をいたしております。それから先ほど申した、つまり衆議院規則の二百九条の説明の場合におきましても、大池事務総長は、衛視は議院内部の警察を行なう。——以前には、衛視は議事堂内、従って、議院内部とはなっておりませんでしたが、今度これを議院内部にしていただきたい。それは議長の警察権が閉会中にも及ぶようになりましたので、閉会中議事堂内でなく、議事堂の庭等において衛視が何も手が出せないということになりますと、警察官を入れなければならぬということになりまするから、これを議院内部の警察を行なうというようにいたしていただきたい。——それについて全員は賛成をいたしておるわけであります。これらをもっていたしましても、私は、すでに院内外の決定というものは確立された方針のように考えておりまするし、参議院においても、公的な機関において御決定がなかったかもしれませんけれども、おそらくこれと異なった見解をお持ちではなかろうと私は思います。
  54. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 私はこの前の委員会でもちゃんとそのことは指摘してあるのです。前回、二十四年十月十九日の衆議院議院運営委員会で決定をしておると言われましたから見ましたところ、委員長はこれをきめないで次回にと言われておりまするから、続いて十月二十一日の議事録を私は調べました。調べましたところ、議員会館は議院外であるということはきめておりますけれども、あなたの言われるように、その辺の門のさく内ということの決定はないのであります。だから、この点を明らかにしておく必要があると私は言っておるのであります。それからさらに本院事務総長は、議長警察権の及ぶ範囲はかくかくであるということを法規として定めたものはございませんと、本年三月八日のこの委員会答弁をしておられます。そういたしますと、かりに百歩譲っで衆議院のそういう決定があるとして、議長警察権の範囲は、衆議院の決定が参議院の議長権限まで拘束することに相なりますか。
  55. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) まあ理論上、衆議院の決定は衆議院の決定であって、参議院を拘束するものではないと思いまするが、しかしながら、今申したこの原則というものは、すでに確立された一つの慣行になっておると思うのであります。早い話が、十一月二十七日の国会乱入事件の場合におきましても、そういう考え方に立って参議院の議長も警察官の派遣を要求されたのではなかろうかと考えます。従ってどこの場において公的にいついかなる決定をしたということがなくても、そういう慣行が続けられておりましたならば、これはやはりその慣行を尊重する必要があろうと考えます。私たちは、この院内院外の確定につきましては、いろいろな文献等から見ましても、すでにそれは社会党の諸君なども賛成をしておられるわけでありまして、今あなたのおっしゃいました昭和二十四年十月十九日の速記録を見ましても、従来は議事堂の構内ということになっておったわけであります。こういうふうなことを言っておりまするが、議事堂のみならず、この門に至るまでの庭というものは院内に含まれております。社会党の土井委員のごときも言っておられます。さく内なれば議院内です。さく外ならば院外であると言って、土井委員自身がこのことを認められておる。そういうわけであります。私は参議院におきましても大体これと同じような角度にお立ちになっておるのではなかろうかと考えます。
  56. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 どうも佐々木さん、土井委員がそういう発言をされておることは、私はこの前も言うてあるのです、ここで。委員が発言をしたのを委員長が取りまとめられて初めて委員会の決定となるのです。途中どの委員がどういう発言をした、どの委員がどういう発言をしたというようなことを言っておりますと、それは決して委員会の決定ではなく、発言なんです。だから私はそのことを言っておるのですが、これはあなたに何ぼ言うてもはっきりせんしね。こちらもきまりが悪くなってくる。そこであなたは先ほどから言われるのですが、これはきまっていない、そして、衆議院の決定は参議院を拘束しないということをちゃんと認めなさいよ。そうすれば、またこちらの方でも何とかやりますよ。それを、衆議院でこういう議論がありましたから参議院も大体こうですということではいけない。この法律がもし成立いたしますならば、これこそ、この法律によって、この議長の警察権の範囲というものが確定するわけです。だから私ども問題にしているのです。だから、そういう議院運営委員会という議長を補佐する機関であるところの意思の確定を見ないままこういう法律を出して、そして何かこう既成事実であるかのごとく、衆議院の委員会委員の発言を準用して、これできまっておるのだなどと独断して、そうして、この法律をきめることによって議長警察権の範囲が確定し、それによって周辺の、東京都の警察官が新たな権限を行使する範囲を確定しようとするのでありますから、これは大切ですよ。この法案審議の上で基本的な問題です。明らかにしておいて下さい。
  57. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ただいまの御質問は、大体二点について私はお答えをいたしたいと思うのでありますが、私も、この議院運営委員会におきまする委員の発言等を取り上げて、それでもって確定した解釈であると申し上げておるわけではございません。この十月十九日並びに二十一日の速記録をよく読んでいただけばわかりますが、審議の過程において、ただいま申し上げました土井委員の発言のように、さく内なれば議院内である、さく外なれば議院外であるというようなことも出ておりますし、他の委員にいたしましても同様なことを言っておる。そして、それを受けついで、議員宿舎とか議員会館等は院内か院外かというようなことにも論及し、議員会館等は明らかにこれは院外であるということになって、最後に大村委員長が、それでは院内院外の範囲につきましては、議員会館につきましては院外であります、ということで採決をしておるわけなんであります。その他の問題につきましては、昭和二十四年の十月十九日と二十一日に初めて院内外がきまったわけではなくして、従来の慣行からいたしまして、このさく内というものが院内であるというような一種の慣行が成り立っておるわけであります。従って、さような見地から、私は衆議院においては確立された解釈であるということを申上げたわけであります。  第二のお答えいたしましては、先刻も私自身が申しましたように、衆議院の解釈が参議院を拘束するものではないことはきわめて明らかであります。しかしながら、これは警察権の問題であるから、参議院においてもそういうふうな解釈が行なわれるのではなかろうかと思うということを言ったので、御決定は皆さんの方においてしていただきたい。
  58. 米田勲

    米田勲君 まだ関連質問をぜひしたいという同僚議員の意見もあるのですが、私の質問が終わったら、これはまだなかなか問題のあるところですから、委員長の方でしかるべく取り扱っていただくことにして、質問を続けたいと思います  先ほど関連質問に入る前に、私のお聞きしたがったことは、両院の議長が要請する、その要請をする以前に、都の公安委員長のもとで集団示威運動等の許可あるいは許可する場合の条件を付したような問題や、どういう内容集団示威運動等が行なわれるか等について、正確に詳細に必ず議長のもとに報告が届くような規定がなければ、単なる任意的、好意的なものでは、議長の要請は的確にいかないということを主張して、あなたに御質問したのですが、あとで別途内規のようなものを作って措置したいというあなたの御意見ですが、これは明らかに法案の不備であります。しかし、この論を続けておってもしようがありませんので、私はさらに質問を前に進めます。  四条一項についての第二の問題点は、都の公安条例第二条には、許可の申請手続だとか申請の内容要件等が種々定められてあります。都公安委員会から許可に関する報告、連絡がかりにあったとしても、その報告、連絡だけで、いまだ集団示威運動等が行なわれない以前に、国会議員登院国会審議権の公正な行使に著しい影響を与えるかどうかを的確に判断することは事実上できないのではありませんか。提案者のこの点に対する所見をお伺いいたしたい。
  59. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 本法が成立をいたしまするならば、四条一項のその認定をいたしまする場合におきましては、公安委員会や警察当局と緊密な連絡をとることになるわけでありまするから、公安委員会に提出されました集団示威運動等の許可申請書というものをもとにして、その主催団体とか、目的とか、あるいは予定される人員、その参加団体その他等をしさいに検討すると同時に、また議長としても、各方面から必要な情報も十分参考とした上で、慎重を期して要請をなされるわけでありまするから、まあ、あなたのおっしゃいまするように、なかなかこれはむずかしい問題ではなかろうかという点もございまするが、議長要請というものを乱発されるものでもなく、かなりの重要な場合に限ってのみ要請がなされるわけでありまするから、従って、その程度の認定というものは両院議長が御相談になって十分でき得るものであろうと考えております。
  60. 米田勲

    米田勲君 私はあなたの答弁には満足できません。大体、集団示威運動等が都公安委員長の方に申請されるときに、その集団示威運動目的は、国会議員登院を阻害し、国会審議権の公正な行使を妨害する目的をもってこれを行なうなどという申請は、全く出るはずがないのです。また、その集団示威運動等の人数が千人であれば阻害をしないが、一万人になると阻害をするなどという、客観的な立証すべき何ものもないはずであります。また、両院の議長といえども、あなた、神様ではないのですよ。立場は重いけれども、あくまでも人間ですよ。そういう条件の中で、集団示威運動等が行なわれない以前に、どのようにして一体、国会議員登院国会審議権の公正な行使に著しい影響があるという断定を下すそういうものがあるのですか。事実上これが行なわれて、阻害をされたという事実、もう阻害をされる寸前だというのなら、これは的確にわかりますよ。しかし、あなたも今まで言われておるように、これは前のことなんです。また行なわれぬ、行なわれもしないのに、——集団示威運動の届出は、安保改定反対、あるいはデモ規制法の絶対反対等の効果的な目的をうたい、合法的な手続をおそらくその中に書き込まれて出されるのでありましょう。それなのに、どうして議長は、ある種の情報を得れば、国会議員登院国会審議権の公正な行使に著しい影響がありと判定できるでしょうか。私は、あなたがそういうふうにがんばるのは、全く根拠のない話ではないかと思うのです。これは実際上その判断はできない、事前であるために的確に判断ができないということが当然あなたの答弁として出てくるはずであります。やはり推測以上には出ないと、こういう答弁が出てくるはずであります。それなのに、両院の議長が相談なさるのだから、あるいは、要請は乱発をしないのだから、いろいろな情報をとるのだから、こういうようなことを幾ら並べ立てても、的確に判断ができるという資料にはなりません。もう一度その点についてあなたに御考慮を願って御答弁をお願いいたします。
  61. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) この四条は、これはなるほど許可の取り消しと条件の変更でありまするから、事件が起こってしまってから後は条件の変更や許可の取り消しはないわけであります。従って、その限りにおいてはこれは事前措置ということになります。事前にやることだから推測だと言われれば、その通りであるかもしれません。しかしながら、少なくとも集会集団示威運動等というものが国民の基本的な権利として認められておるわけでありまするから、これが静穏に行なわれまする限りは、すべてわれわれはこれを尊重しなければならぬ立場に立っております。従って、議長が第四条一項に基づいて要請権を発動される場合におきましては、きわめて限られた、まあいわば一種の非常の場合であろうと考えます。従って、そのようなときにおきましては、警察当局や公安委員会からも国会に対しても事前の報告等もありまするし、また、議長といたしましても、公安委員会や警察当局等から十分に情報を入手し、その上でやることでありまするから、私はお説のように、なるほどそれは困難なことであるかもわかりませんが、困難であるということと絶対不可能であるということはおのずから別でありまして、困難ではあるけれども、これは議長の良識において、議長の入手する資料に基づいて、それくらいの認定はできるものと考えます。
  62. 米田勲

    米田勲君 提案者答弁は、私は、客観的に妥当を欠いておると思います。この間、例をあげれば十日の日、本院で審議をしているこのデモ規制法反対の請願がありました。あの請願は、国会議員登院国会審議権に著しい影響があると事前に認めるか認めないか、こうなってくると、一体、提案者はやれますか。しかし、警視総監は、これは重大なことが起こるんじゃないか、一万人以上も来るのだから、というので、たくさんの警官隊を動員して待機をさせましたが、あれは何ら事故が起こらないで請願が終わって帰って行った。ああいう例でも明らかなように、集団示威運動が行なわれない以前に著しい影響があるなどということを的確に判断できるなどということは、あなたのお考えは、あなたの人柄はどうか知らぬが、客観性が非常にありません。これは要するに、あなたが当初言われた事前の措置です。予防の措置にすぎません。あくまでも推測であり想定ですと言う以外にはないのですよ、これは。そうすればあなたは正直な答弁になる。しかし、そういうことを繰り返してやっておりますと時間だけ使いますから、さらに前に進みます。  結局、的確な判断が、集団示威運動等が行なわれる以前の問題ですからできない。従って議長の要請がかりになされるとしても、それはあくまで推測をした、想定をした状況一つの根拠として、事前の措置としての要請がなされるにすぎないので、これは立法上重大な誤謬を犯しております。厳密に言うなら、この四条の一項の要請はできないことなんです、事実問題として。議長は、集団示威運動等の許可の取り消しや条件の変更を要請するというこの要請は、的確に、法的に、また憲法を尊重している建前を堅持するなら、事実問題としてはできませんよ。しかも、あなたはそういうことをしてもよろしいという立場をとっておるところに、この立法上の重大な誤謬があることを私は指摘するわけです。  そこで、さらに前に進めますが、本条に言うところの国会議員登院審議権の公正な行使に著しい影響を与えるおそれがある場合というのは、都公安条例第三条の「公共の安寧を保持するため緊急の必要がある」云々の場合に対応するものと、提案者はおそらく考えておるでありましょうけれども、都の条例では「明らかに認められるに至ったとき」というようにきめておりますから、これは明白にしてかつ現在の危険の原則に従って、実は規制対象は抽象的で明確を欠いておりますけれども、規制基準については、都条例の方は条件をきつくしぼっておるのであります。ところが、これに対して本法は、「著しく影響を与えるおそれがある」ということでありますが、それはあくまでも現在の事態ではない。現在起こっておる事態ではない。それは推測である。将来起こるかもしれないという推測である。あくまでも仮定に立っての判断であります。従って、原則を犯しておるということが言えるのであります。大体、別な考え方から言えば、都の公安条例の三条の三項では、「公共の安寧を保持するため緊急の必要があると明らかに認められるに至ったときは、その許可を取り消し又は条件を変更することができる。」ということがすでにうたってある。うたってあるにもかかわらず、ここにあらためて本法四条をあげたゆえんのものは、そのねらっていることは、許可の取り消しまたは条件の変更をなすために備えなければならない要件を緩和しようとしておる。それをねらったのが本法なのであります。ところが、この条件を緩和している本法は、憲法の前に重大な弱点をさらけ出しておるのであります。提案者は今、起こってしまってからではどうにもならんじゃないか、予防措置として、事前の措置として、そのことが起こらない前に要請をすることは何ら問題がないではないかと、こう言い切っております。しかし、あなたによく考えてもらわなくちゃならぬのは、これは防火の予防措置、火事が起こるかもしれない、この火事を防ぐための予防措置、事前の措置であるなら、お説のように問題はない。盗難があるかもしれない、盗難の予防措置、事前措置、そういうことであるなら、問題はないのです。本法に持ち込んできておるのは、国民の基本的な権利憲法に保障された権利である集団示威運動等表現の自由に相対して行なわれることであるから、私は問題がある、憲法の前に非常に大きな弱点をさらけ出しておるということを指摘しているので、それを提案者は、火事や盗難の場合と同じように、事前措置が許されるんだ、予防措置が許されるんだと、こういうように言われておりますが、このことは、公聴会における公述人の方々の説明でも、今日までの討論を経ても、提案者自身がそういうことではいけないんだということを知っているはずなんだ。繰り返してあなたに申し上げますが、表現の自由と国民権利規制には、厳格な条件を具備しなければこれは許されないことなのです。明白にしてかつ現在の危険という原則であります。提案者は、これらのことに対してどういう立場で釈明をしようとなさるのか。はっきり答弁をいただきたいと思います。
  63. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先ほども申し上げましたように、われわれは、表現の自由ということは国民の基本的の権利でありますから、これを抑制するどころか、むしろ、これは非常に尊重しなければならぬ、何人もこれは尊重しなければならぬ、こういう建前をとっておるわけでありまするが、しかしながら、一面において、憲法におきましても、表現の自由が国民の基本的権利として認められると同時に、そのことによって公共の福祉に反してはならないということが明記されておるわけであります。そういう観点に立ちまして、たとえば新潟県の条例のごときにおきましても、これが合憲であるということにつきましては、この全面的な届出制度をとるというようなととは、これは憲法違反の疑いがあるけれども、合理的な明確な基準を設けて届出制をとるということ、並びにそのことが非常に公共の安全に差し迫った危険を及ぼすというような場合においては、許可の取り消し等をやったところが、それは憲法違反するものではないと、こういう見解を表明いたしておるわけであります。さような見地に立ちまして、私たちは、議長が要請をされまするにあたりましても、もとより事態の起こらない前のことでありまするから、時間的にいうなれば、確かに推測の時点に立っておるようなことでありまするけれども、しかしながら、議長としては、その行為国会議員登院国会審議権の公正な行使に著しい影響が与えられると認められるという場合でありまするから、これは相当諸般の情勢等を検討した上でなければ、議長が要請をされるわけじゃございません。従って私は、議長の要請にも、あなた自身が御指摘になっておりまするような、何と申しますか、クリア・アンド・プレゼント・ディンジャーというそのプリンシプルに決して相反するものではない。議長の認定をするにあたっては、かなりの、その明白かつ現在の危険という原則に立ってお考えになると思いますから、決して不当に国民権利を抑えつけるものではないと思っております。
  64. 米田勲

    米田勲君 提案者は、今の答弁の前半、この法律を離れて論議をしておられるのです。私もあなたと同じように、たとい、それが憲法に保障された基本的な権利である表現の自由であっても、それが明らかに国会議員登院を妨害し、あるいは国会の公正な審議権を妨害をしたという事実が発生をしても、なおかつ基本的な人権だからこれを侵してはならない、規制をしてはならないなどという、暴論は吐いていないのです。それはあなたと意見は一致している、その点は。しかし、本法の場合になってくると、問題はおのずから違うのです。その点を私は聞いている。先ほどから私は畳みかけて聞いているように、集団示威運動等の行なわれる以前に、あなたに言わせると、いろいろな方法によって情報を集め、連絡をして、一つ集団示威運動の行なわれた状態を議長は頭に描くでしょう。そして、ここに結論を出したとしても、それはあくまでもあなた自身は、推測であって、そのことが的確であるとは言えないはずです。そういう状態にあるにもかかわらず、あたかも国会議員登院が阻害された、国会の公正な審議権が阻害されたという、そういう現実時点の状態と同じようにあなたは判断して、そうして議長が要請するということを正しいという立場主張しておられる。何度もあなたに繰り返しているのであるから、あなたも、自分の考え方に間違いやなんかがあれば、的確に認めるべきですよ、ここは議会ですから。私だって、国民の基本的な権利表現自由等規制する場合はあり得ると言っている。しかし、規制をするからには、その規制という行動を起こすためには、要件が必要だと言っておるのです。その要件というのは、前からも言っておるように、明白にしてかつ現在の危険ですよ。そういう要件が具備されていないのに、そういう事態が起こるであろうと言って、むやみに——私に言わせるならば、むやみである。あなたは慎重にというようなことを言っても、これは仮定ですから、むやみです——要請が出ていくということは、憲法の建前からいって、非常にこの点は問題があるし、弱点である、こういうように指摘しておる。だから、新潟の公安条例だとか、あるいは基本的人権がいかなる場合にも侵されてはいけないという主張などは私はしていない。本法の議長要請、第四条一項の場合は、これは憲法立場からいうと、無理です。こういうことはできないのだ。事実問題としてもできないし、法理論からいってもできない、こういうふうに言っておるのです。どうですか。
  65. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 米田さんの御意見を承っておりますと、あなたの御意見は、現に公安条例に基づいて、条件の変更、許可の取り消しをすること自体が、これは憲法違反であるというようなお考えにお立ちになっておると思います。私たちは、本法におきましては、議長が単なる要請をするのにすぎないのでありまして、従って、要請を受けた公安委員会は、現にその存在しておりまする公安条例に基づいて適当な措置をとられるわけでありますから、従って、決して私は、そのことが憲法違反の疑いがあるとは考えておりません。(「関連」と呼ぶ者あり)
  66. 米田勲

    米田勲君 ちょっと待って下さい、昼休みするのに打ち切らなければならぬから。  本法の第四条一項の場合は、「国会議員登院国会審議権の公正な行使に著しく影響を与えるおそれがある」、このことは、提案者、明白ではないでしょう、著しい影響があるというのは、推測なんだから。明白ということは、そのことが現実的で明らかでなくちゃならぬのです。しかも、現在の危険は起こっていないでしょう、まだ数目的なんだから。このことは、理論的には私は提案者もうなずけると思う。まだ起こっていないのだから、明白ではない。かつ、現在の危険は起こっていませんよ。国会議員登院は阻害されてはいない。審議権が妨害されてはいない。両方の条件が満たされていないのです。ところが、あなたにサゼスチョンをいつもなさる三浦さんは、この聞こういうことを豊瀬議員質問に対して答弁しておる。読んでみますと、「本法四条五条は、警察作用を行なうということ自体ではなくて、警察作用を行なう前提となると申しましょうか、そういう発動を自主的に促すという、自主的にそういう発動をいたします場合の要請段階におけることを四条では規定しておるので、本法の場合は、必ずしも明白かつ現在の危険の原則が適用されるかどうかということは、多少問題が別であります、」という、全く回りくどいことを言って答弁をしておる。この答弁は明らかに私は不当だと思います。不当だという理由は、単なる要請だと、要請段階だからということをあなた方は強調されるけれども、そこにすわっておられるお二人の方は、連合審査でこう言われておるのです。  あなたもお聞きになっておったでしょう。井川議員がこういう質問をした。「議長から要請があり、この要請につきまして適当な措置をせねばならぬ場合に、公正なる国会審議権行使の妨害になるのかどうかという点について判断をすることについて、行ってみなければならぬとか、人をして調査せしめなければならぬというような不便があって、措置を講ずるのに支障を来たすようなことはありませんか。」、こういう質問をしたのですよ。そのときに、お二人の方は、まず堀切都公安委員長は、こう答弁しておられる。「公安委員会といたしましては、議長がそう御判断になりましたならば、その判断を尊重いたします。」、ついで、警視総監は、「議長からそういう要請がございました場合には、これは当然その条文にあります要件による要請であると思いまして、その要請を尊重いたしまして措置をいたしたいと考えます。」と、こう答えているんです。いいですか。私は、わざわざきょうおいでを願ったのは、このことをお二人の前で言いたかったからですよ。これは連合審査の会議録に載っておるお二人の答弁です。これを提案者お聞きになってみてもわかりますように、議長の要請があれば、井川議員の心配したようなことはない、独自の立場であらためて検討をするというのではない。都の公安委員長も、警視総監も、議長さんという地位の高い方からの要請なのだから、すでにその要件は備わっているものと判断をして措置をいたします、と言っている。その措置とは何ですか。許可の取り消し、条件の変更という措置をいたします、と言っている。これは会議録を見てごらん、はっきり二人の方は答弁をしておる。こういうふうになりますと、議長の百要請は単なる要請にすぎませんというような、そういう性質には取り扱われない。きわめて重大な条件をここに持ち込んでおるということは疑いの余地もない。議長の要請を発する時点の判断は、先ほども私が繰り返し繰り返し申し上げましたように、行なわれる以前の判断でありますから、何といっても、国民の基本的な権利規制を加えることのできる条件は具備されておらない。その条件が具備されておるというのであれば、私はこの論を引っ込めます。議長の要請は、執行なさる側ではああいうふうに答弁しておるんですから、これは非常にもう重要な意味を持ってくる。そういうように、相関連をしておる。この条文の中での議長要請は、あなたの言うような、議長要請なんだからという軽い意味に解釈をすることは不当ですよ。従って、議長要請が行なわれるときに、すでにこういう規制を加えるべき原則条件は満たされておるのですと、あなたに立証をしてもらわない限り、私はこの主張は、何とあなたが数を頼みにして強弁しても、憲法の前に明らかに弱点をさらけておるということを、あらためて指摘をいたします。いかがですか。
  67. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) この法律ができましたならば、本法によって議長の要請権というものができるわけでありまするから、従って、その要請を受けた公安委員会とか警視総監が、議長の要請を尊重するとおっしゃいますることは、きわめてあたりまえのことなんであります。逆に、要請が来ましても、それは尊重いたしませんなんて言ったら、それこそ大へんなことになるわけであります。従って、法律の建前から申しましても、また特に国権の最高機関であるところの両院議長の合意に基づく要請でありまするから、そのことを何人も軽んずることはできません。その意味におきましては、十分尊重されることはあたりまえのことであります。そのことを申されたものと思いまするが、そのことと、要請が行なわれたならば、議長の要請通り公安委員会が措置をいたしますということとは、おのずから別のことなんであります。従って(「そこが問題だ」と呼ぶ者あり)議長の要請と、公安委員会の見解が相異なる場合も当然考えられるわけであります。そのことの決定は、もつぱら公安委員会の自主的判断にゆだねられておるわけであります。今のお説を聞いておりますと、議長が要請されたならば、直ちに議長の要請通り、許可の取り消しや条件の変更を行なわなければならないというように、非常に強調をなさっておりまするが、議長の職権というものは、公安委員会の持っておりまする本来の職権の中まで、そこまで食い込んでいくわけじゃないのです。要請は単に要請として出ている。従いまして、許可の取り消しや条件の変更をする要件が具備されておるかどうかということの認定は、もっぱら公安委員会が、公安条例の第三条第三項に基づいて、これは独自に行なうわけであります。従いまして、今あなたのおっしゃいまするような御心配はなかろうと考えます。
  68. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 米田君、どうですか。すでに一時も過ぎていまして、午後もあるのですから、質問は継続されることにして、休憩したいと思いますが。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) では、これにて暫時休憩いたしまして、午後は二時から再開いたします。    午後一時六分休憩    —————・—————    午後二時二十三分開会
  70. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 議院運営委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  71. 米田勲

    米田勲君 ちょっと同僚の豊瀬君と安田君が、先ほど私の午前中に質問した点について、一つずつ関連した質問をしたいというので、委員長の方からそれを取り計らっていただいて、その次に始めたいと思います。
  72. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 豊瀬君。
  73. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 午前中の米田君の質問に対して、特に議長の要請と公安委員会の自主性との関連につきまして、一点だけ質問をいたしておきたいと思います。  と申しますのは、前回の私の質問に対する提案者答弁並びにきょうの質問関連いたしましていささか解せない点がありますので、この点を明快にいたしたいために質問するわけであります。前回も私がお聞きいたしましたように、公安委員会が、届け書を見まして許可をしなかった場合には問題にならないということは、前回も提案者が認めてあるところです。で、許可しておった場合に、その事態を、午前中の答弁でも明らかにありますように、議長がこれこれのおそれある場合と見て、許可の取り消しないしは条件の変更を求める、こういう場合ですね。従って不許可の場合は議長の要請が必要がないと、私はこのように判断するのですが、提案者は、この点どういうふうにお考えですか。公安委員会が許可しなかった場合には、議長の要請は必要はないが、どう思うかということです。
  74. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 御指摘のことは四条一項かと思いますが……。
  75. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうです。
  76. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) それにつきましては、お説の通りであります。
  77. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、議長の要請が必要の場合は、公安委員会が自主的に判断をいたしまして、そのときの諸情勢に基づいて許可をした場合に、初めてこのことが問題になってくると思うのです。従って、議長の期待というものは、公安委員会が自主的に許可したものを取り消す必要ありと認めた場合に、初めて第四条の意味があると思うのですが、その通りと判断してよろしいですか。
  78. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そういうように思います。
  79. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、前回も私は議事録の中でこの点を一ページ半にわたって質問しておるのですが、そういった点を読み上げますと長くなりますので、簡潔に質問を続けたいと思いますが、公安条例に照らして公安委員会がすでに許可の判断をしているものを、議長が別個の判断に基づいて許可の取り消しを要請する、こういう場合に初めて第四条の要請権が生きてくるというただいまの御答弁によりますと、これはどのような言葉提案者が使われようとも、公安委員会の自主的な決定をくつがえすことを百パーセント求めているんだ、このように判断して差しつかえないと思うのですが、提案者はこの点どうですか。
  80. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 御指摘のようなことにはならないと私は思いますが、今おっしゃいまするような場合もあろうかと思います。つまり公安委員会においては集団示威運動等の許可を与えているものに対して、議長の立場から、国会周辺静穏を保つために許可の取り消しまたは条件の変更の要請をすることがあろうかと考えます。しかし、それはあくまでも要請でありまして、その要請を受けた公安委員会といたしましては、公安条例の第三条の規定に基づきまして、はたして許可の取り消しまたは条件の変更をしなければならない要件を具備しているかどうかということを判断をするわけでありますから、従って、私はその間の矛盾はなかろうと思います。
  81. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 それでは、議長が要請する場合は、公安委員会が、ただいま提案者が言われた公安条例に基づいて一つの判断を下した場合、具体的には許可ないしは不許可あるいは条件の取り消し等、こういう判断を下した後に行なわれますか、それとも判断を下す前に行なわれますか、それとも両者の場合のいずれにでも行なわれますか。
  82. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) もとよりこれは許可をされた後だと思います。そうしてこの条件の変更等の判断をする前の段階において議長の要請があるものだと思います。
  83. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 すると、今の御答弁で把握いたしかねるのですが、公安委員会の判断の後に行なわれるか、判断前か、山者いずれの場合かという、そのどれかを、一つだけぴしゃりと答えて下さい。
  84. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私はちょっと今の御質問の趣旨があまりはっきりいたさないのですが、要するに、公安委員会の許可の後、そして公安委員会が取り消しをするかどうかという判断をする前の時点において議長からの要請があるものだと思います。
  85. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、公安委員会が届け書を見て、その判断の前に議長が要請するということになれば、公安委員会が……(「違う違う」と呼ぶ者あり)
  86. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そういう場合もあるけれども……。
  87. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そういう場合もある……
  88. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私、今の御質問の要旨をはっきりと、もう少し具体的に言っていただきまして、お答えをいたしたいと思います。
  89. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 届け書が出ますね。それを見て何月何日にこういう会合がある、これは許可するか、あるいは許可しないかという判断を委員会としてしますね、公安条例に照らして。その判断をして許可をした後、あるいは不許可の場合、この判断決定後に議長の要請という措置が行なわれるか、それとも判断を下す前に、こういう届けが出ておるが、議長はどう思いますかというように、事前に、判断を下す前に行なわれるのか、そのいずれかに限定されるか。あるいはどちらの場合でも行なわれるかと、こう聞いておるのです。
  90. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) それはもとより許可の後であります。許可するのだから、許可をするのは公安委員会が判断をして許可をするわけであります。その許可の後であります。
  91. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうだろうと思います。そこで私は、先ほどの質問がここでなおはっきりしてくるんですが、公安条例に照らして一度許可をした。不許可の場合は問題にならないわけですね。公安委員会が許可をした。それについて議長の方が、何らかの事態把握の後に、許可の取り消しを要請することができますね、公安委員会に。そのときには、すでにあなたの御答弁通り公安委員会は、公安条例に照らして、これはよろしいんだという判断を下した。それを取り消してくれという要請をする。こういうことになれば、あなたが第一回目から私どもの質問に対して答えている、義務は負わないとか、あるいは拘束行為ではなく裁量行為である、こういう言葉を使われても、すでに自主的に判断したことをくつがえすことを期待して要請されておるところに、公安委の自主性、一度決定した自主性ということの変更を明確に意図しておるのではないかと思うんですが、その点はどうですか。
  92. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 公安委員会が許可をした場合におきましては、公安委員会が公安条例に照らして許可すべきものと判断をして許可されたと思うのでありまするが、その後、国会側の立場からこの要請をする場合におきましては、国会側の希望条件を申し出るだけのことであります。ときによりますと、公安委員会が許可をした当時の情勢とその後の事情変更がもたらされておるという場合もあろうかと考えます。しかし、国会側の意向というものも尊重してもらうために、議長から要請することはできます。しかし、その要請を受けたからというて、その通りにしなければならぬというわけではないのであって、院内審議であるとか、国会議員登院等の問題については、直接の責任ある議長の立場から要請されるだけのことであります。
  93. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 もう一つ、二つで打ち切ります。今の御答弁で明らかのように、どういう言葉を飾られようとも、公安委が公安条例に照らしてすでに許可すべきであるという判定を下した後に、国会の諸情勢上、議長という立場からこれをくつがえすことを要請する、こういうことは、もちろん要請があっても、公安委員会の自主性ということが言葉としては残るでしょうけれども、あなたがたびたび言われるように、国権の最高機関の長である議長が連名で要請した、これは十分尊重されるということからすると、一度確立された公安委員会の自主性というものが、議長の要請によって逆にくつがえることを期待する権能を議長に与えたことになるのではないかと、こう言っているのです。
  94. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そうはならないと思います。それは、議長が要請をされるのは、公安条例の第三条第三項によって、公安委員会の持つ権限に基づいて、公安委員会が独自に判断して、善処してほしいことを要求するのであります。公安条例第三条第三項の「公共の安寧を保持するため緊急の必要があると明らかに認められるに至ったときは、その許可を取り消し又は条件を変更することができる。」という、この要件に該当するかどうかということを公安委員会で検討して、その上でその決定をするわけでありまするから、単に議長は、第三条第三項に基づいて措置されたいことを要請するだけのことであります。
  95. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 やはり同じような答弁を繰り返されますので、また次回に、この点については別の形で質問することにいたしまして、関連質問ですので、その点は打ち切りまして、もう一つだけ。  前回の私の質問に答えられまして、あなたの言われた常時連絡という趣旨は、施行規則を作る意思があるかどうか、あるいは何らかの運営機構を作るかという質問に対して、あなたは、施行規則を作る意思もないし、連絡協議会的なものも作る意思がない、こういうことですが、あなたが期待しておられるのは、デモの届け出があったという事態については、ある瞬間の時点までは議長にはわからないと思いますが、とにかく議長が要請権を発動するためには、届け出があったことを知る必要がありますね、何らかの方法で。その知る必要という内容を、議長が先に公安委に連絡することを考えるのでありますか。それとも、公安委員会等が、議長の方に積極的に、こういう届け出が出ておる、あるいは許可しませんでしたという連絡をすることを期待するのでありますか。
  96. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 本法が成立をいたしました場合におきましては、おそらく公安委員会や警察当局と国会との間には、緊密な連絡がとれるような行政措置が必ずとられなければならぬと思います。それは、場合によっては、公安委員会が届け出を受けて、そうしてそれを許可するかどうかという場合にも、事前に国会の方に相談があるということがあるかもわかりません。また、国会から要請したことに対して、どういう措置をとったかということに対しましては、事後においても経過の報告等もあろうかと考えます。しかしながら、さようなことは法律の上に必ずしも明記して法律上の義務関係を明らかにする必要もなく、行政的な措置で十分行ない得ると考えておるわけであります。
  97. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 公安委員長に質問したいのですが、総監ではだめだというのではなくて、不適当ではないかと思いますけれども、公安委員長がおられないので、総監に質問したいと思います。  第四条ですが、この法案を見られて、公安委員会ないしは警視総監としては、積極的に事前連絡の必要があると判断されますか。
  98. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) この法案目的とされておる事柄に関連するような場合には、当然実際問題として御連絡を密にしていく、こういうことになるだろうと思います。
  99. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 もう少しはっきり言って下さい。私が聞いておるのは、連絡を密にするという場合は、佐々木さんの御答弁では、こう、どちらからともなく、うまくいって連絡が緊密にできるのだと、こういう趣旨の答弁があったわけです。私が聞いているのは、議長の方から、不許可したそうだが、あの件について報告をしてくれとか、こういうことがない限りは、あなた方の方はじっとしておいていいかどうかということ、逆に申し上げますと、議長の方から一切何にも来なくても——まだ要請以前の問題ですよ、要請以前の問題として、何にも来なくても、あなたの方から、この事案に関しましては不許可いたしました、あるいは許可しましたと、こういう点を積極的に自発的に連絡をとる必要性を感じるか、その必要性がないかどうか。これだけを明らかにしていただきたい。
  100. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 私は、当然そういうような点は、積極的といいますか自発的といいますか、現在でも連絡を密にしてやっておるわけでございまするから、こういう法案が成立いたしました暁におきましては、当然、自発的といいますか積極的といいますか、連絡を密にしていく、こういうことになろうかと思います。その方法がどうかということは、これは別問題です。
  101. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 もう一点だけ。その自発的ないしは積極的ということは、結局この法案成立後は、従前に連絡しておられたよりもやはりアクティブに連絡する何らかの義務を負うものである、このように判断して差しつかえないですか。そのように総監が判断してあると考えていいですか。
  102. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 義務かどうかということは、私どういうふうに申し上げたらいいかわかりませんが、現在でも国会当局とは緊密な連絡を保ってやっておるわけでございまするから、この法案が成立しました暁には、さらに一そう連絡を密にしなければならない、かように考えます。
  103. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 今、豊瀬委員のお尋ねした四条の二項のことなんですが、豊瀬委員の場合には、四条の要請された側の立場をお尋ねになっておるわけですが、私はそれに関連して、要請する方の側について二、三お尋ねしておきたいと思うのです。佐々木さん、この法律が成立しますと、国会が開会中であろうと閉会中であろうと適用されるのは、これは当然のことでしょうね。
  104. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 閉会中にも法律は適用されます。御承知のように、閉会中でも審議が行なわれることは、国会法の規定するところでございます。従って国会審議が行なわれる限りにおいては、本法は適用されるべきものだと思います。
  105. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 まことに名答弁で、その通りだと思うのですが、そうしますと、「両議院の議長は、警視総監に対して、その集団示威運動等につきその制止のために必要な措置を要請することができる。」「両院議長は」ですね。ですから、一院の議長が欠けた場合には要請することができないという解釈に私はなると思うのですが、これはどうですか。
  106. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) その通りであります。一院だけの議長の要請はできません。両議長の合意の上に要請がなされるのであります。
  107. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、さいぜん佐々木さんから答弁のあった、国会は閉会中である、衆議院の方は解散であるということになると、議長も副議長もおられない。参議院の方は緊急集会等ができるわけで、従って参議院の方は、委員会その他を持つことができるし、院の内外に出入りするというときに、この問題が起きたときには、この法律は何ら効を奏さないということになって、きわめて了解できがたいような事態が起きるように感じるが、この点はいかがですか。
  108. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そうではありません。かりに、たとえば国会が解散になって参議院の緊急集会が行なわれますような場合におきましては、参議院は議長さんがおられましても、衆議院の議長がないということであります。議長がない場合におきましては事務総長が代行することは、国会法の規定するところであります。従って、参議院の議長と衆議院の事務総長との間の合意が成立すれば、それで両議長の合意が成立したものとみなされます。
  109. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それは、午前中、これと中身は違いますが、国会法の範囲内とこの法律の範囲内は、明確にあなた答弁なさったでしょう。しかし今回、国会が衆議院において解散された場合は、国会法に基づいて事務代行者である事務総長がやりますということは、どうも僕は理解に苦しむのですが、そういう内容については、それはほんとうですか。
  110. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) その通りであります。
  111. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そういうことになってきますと、明確にこの法文にうたわなければ一つの法体系をなさぬということになりますよ。これはもう質問してもその通りだということになったら、これは問答無益で、これは一つ法学者の見解を佐々木提案者に聞いてもらわなければならぬ。私は、この法案に賛成するとかしないとかいうのではなく、こういう法律ができますと、私どもも責任を負わなければならぬので、当然この法案に、賛成か反対ではなくて、やはり一本筋を通しておかなければならぬと思う。そうすると、「両議院の議長は、」云々と書いてありまして、両議院の議長以外にできないことを、今度は事務総長が、この院外ですよ、佐々木さんの言う院外のこれに対して、事務総長が議長の資格でやるということになると、これは大問題になってくると思うのですが……。
  112. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 国会の紀律というものは、もとより議長が責任を負わなければならぬところであります。しかし、今申しまするように、国会解散等で現に議長がないという場合に、さりとて国会というものが無秩序の状態でほっといていいというわけではありません。さような場合におきましては、国会法七条の規定によりまして、事務総長が衆議院の議長の職務を行なうことになっておりますから、緊急集会中でも要請する必要が生じた場合においては、参議院の議長と衆議院の事務総長との連名によって行なうということになると思います。
  113. 占部秀男

    占部秀男君 これは非常に重大な点で、そうなると、この第四条の「両議院の議長」というものはどういう議長か、はっきりわけがわからなくなってきます。ちょっとお伺いいたしますが、この「両議院の議長」とここに書かれておりますけれども、休憩前の私の関連質問のときに、佐々木さんも言われたように、この両院の議長の要請というものは、この法によってささえられたものであって、国会法によって別にささえられたものでない。この点はあなた明確になっていると思うのですか、その点はいかがですか。
  114. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) それはその通りであります。
  115. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、国会法の中には確かに事務総長の代行という問題は出ておりますけれども、その事務総長の代行というのは、国会法の範囲内における問題であって、国会法の範囲を出たところの問題ではない。これは法律の建前からいってはっきりしていると思います。その点いかがですか。
  116. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) だから、私はそういう意味からも、この法律は治安関係法規か国会関係法規かということでありますから、これは国会関係法規と言った方が適当であろう、こういうふうに言っておるのでありまして、これは国会立場から議長が要請するのでございます。国会立場から、国会審議権確保という見地に立って議長が要請するわけでありますから、その議長がいろんな事情によって欠けた場合におきましては、場合によって副議長、あるいは場合によって事務総長が議長の職務を代行することは、国会法の規定によって明確であります。    〔阿部竹松君「議事進行」と述ぶ〕
  117. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 阿部君。
  118. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 佐々木提案者は、国会法によらないところの本法案まで、議長が欠けたる場合には代行するとおっしゃるけれども、これはとてもわが党は、佐々木提案者の御答弁理解するところでない。従って、私どもは、若干休憩していただいて、各法律との関連性を調べなければならぬと同時に、提案者においてもそういうことがほんとうに正しいかどうか、法制局と相談してこれは調べていただきたい。われわれは、国会法に基づかぬところの法律を事務総長が代行して、少なくともこれには両院議長と書いてあるのだが、事務総長がやってよろしいという御答弁は、理解に苦しむ。従って、われわれも明確に、お互いにそれぞれ法の担当者に聞いてみなければならぬので、暫時休憩していただきたい。(「法制局の見解をここで聞いて下さい」休憩の動議を出しているのだから」「休憩休憩」と呼ぶ者あり)    〔田中茂穂君「議事進行」と述ぶ〕
  119. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 田中君。
  120. 田中茂穂

    ○田中茂穂君 今の阿部君の発言は、一応その前に、法制局の次長も来ておりますから、法制局次長から一応聞いて、その上で阿部君の議事進行の発言について打ち合わせをいたしたいと、かような意味の議事進行の動議提出いたします。
  121. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) どうですか、阿部さん、一応法制局の意見を聞いてみたら。——それでは……。
  122. 三浦義男

    ○衆議院法制局参事(三浦義男君) 私からただいまの点についてお答え申し上げます。この国会審議権確保に関する法律におきまして、両院議長が要請権を持つ、こういうことを新たに規定いたしましたことは、いわゆる国会法におきますところの議長が、議院の代表権としての権限を持っておりますので、そういう意味におきまして、審議権確保ということは、国会全体の立場から考えて非常に重要なことであるし、それにつきまして要請するというようなことは、両院議長がその代表の資格においてやることが適当であろうと、こういうふうに考えまして立案いたしておるわけでございます。そういう両院議長の要請の権限をこれに規定しておりまするけれども、それが議長が欠けるというような場合は、必ずしも解散の場合等でなくして、いろいろの場合がございます。従いまして、そういう場合にはどうなるかという点は、やはりこの法案とは別に、そういう議長の代表権というものに対しまする基本法は、国会法並びにその一連の法規でございまするので、それによるのが当然だと考えております。たとえば、今は解散中のことのお話がございましたが、これが解散でなくして、議長が欠けておられる、こういう場合に、だれがこの法案に関する議長権限その他を行なうかということになりますると、これはやはり副議長が行なう、こういうことになると思います。これは何の根拠によってやるかと申しますると、やはり国会法規によるわけでございます。それと同じような意味合いにおきまして、両院議長が欠けた場合等におきまして、その権限規定は、ただいま提案者からお話がございました国会法七条の根拠規定による、かように考えます。
  123. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 議事進行を諮ってもらいたいけれども、その前に法制局の三浦さん、あんた勘違いしておらぬですか。たとえば議長が欠けたときは副議長がやる、副議長が欠けたときは仮議長を立てるか、事務総長がやる。緊急集会あとにおいて、衆議院を解散して選挙が終われば、そこで諮ることになっておるのですよ。これは国会法じゃない、全然独立の法律ですよ。独立の法律まで国会法の趣旨に基づいてやるなんて、あなた法律を御承知かどうか知らぬけれども、あなたの話を百歩譲ってよろしいといったところで、どうしても納得いかぬ点があるから、今、委員長に頼んで休憩して僕らも調べてみたい、結論はあなたの言う通りになるかもしらぬけれども、僕らとしては、国会法に基づいて、これも国会法と同じだなんと言ったって……。緊急集会の場合は違いますよ、選挙が終わって国会が召集されたら、あとで諮らなければならぬのだから。これはあなた、一旦指令を出してしまったら、この法律にはあとで諮るなんということはないでしょう。今提案者が緊急集会と言つたけれども、これはおかしい。従ってそのあたりを明確にしたい、反対しているのではないですよ、僕らは。もう少しうちの方の法制局にも聞いてみたいし、ほかの法学者にも、僕らはしろうとだから十分聞いて納得したい、こういうことですから……。どうも今突然聞いても理解に苦しむ。
  124. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 阿部委員に申し上げますが、今、米田委員質問中なんですよ。従って、正確に言えば、質問中にあなたに議事進行のためということで許すこと自体がどうかと思うのですが、しかし、今までのこの委員会運営上、便宜取り扱ってきたのです。従って、そういうことでしたら、米田委員質問の終わったあとに、阿部委員議事進行の休憩が必要かどうか、そういうふうに取り扱いたいと思います。一応米田委員の本来の午前中からの質問が、関連々々という形になって多岐にわたりましたけれども、米田委員質問が継続しておりますから、これより米田委員質問を許します。米田君。    〔椿繁夫君「議事進行」と述ぶ〕
  125. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 椿君。
  126. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 これは今発言を次長に許されましたが、七条を根拠にして今のような見解を述べられるのは暴論ですよ。
  127. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  128. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 速記を始めて。
  129. 米田勲

    米田勲君 昼食の休憩で、どうも腰を折られたようなことになりましたが、午前中の問題になっている点は、四条一項について、議長が都の公安委員会に要請をする時点においては、まだ集団示威運動が行なわれないときである、従って、そこに起こってくるであろうと予想される国会議員登院国会審議権の公正な行使が妨害されるという判断は、あくまでも「だろう」という推測であって、その域を脱しないという私の見方です。それに対して、そういうようになれば、これは少なくもそういう不確定な条件のままでは、都の公安委員会が許可した集団示威運動に対して、許可の取り消し、または条件の変更を要請できるような、そういう権限の付与は、憲法の前にきわめてその根拠が弱体である、私はそういう表現をとる。それをもっと端的に言えば、これは憲法違反の要請ということになりかねないという主張です。しかし、提案者はなかなか私の主張に対しては同意されないわけです。私に占わせれば、同意されない判断はどうも納得できないわけです。しかし、そこに何度もこだわっていてはどうも時間もかかりますので、この際、警視総監にもう一度お伺いをしたい。  先ほどからの質疑応答の中でおわかりのように、一度あなた方の方で判断をされておる、すでに処置をされておる、その処置と違ったものが要請されてくる。この場合に、連合審査の際には、先ほど私も申しましたが、井川議員の、それでは大へん手続がめんどうなことになりはせぬかという心配の質問があった際に、あなたは——会議録にはっきり載っていますが、先ほど申したように、「議長からそういう要請がございました場合には、これは当然その条文にあります要件による要請であると思いまして、その要請を尊重いたしまして措置をいたしたいと考えます。」と、こう言っているのですよ。今でもやはりこのことを考えておられるか。それともこの言葉訂正されるか。そのどちらの立場であるか。ちょっとお伺いします。
  130. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 両院の議長から要請があった場合に、どのような措置をとるかということにつきましては、たびたび御質問がございました。私どもの考えておりますることは、要請は第四条の第一項による場合と第二項による場合と両方ある。第四条の第一項による要請の場合には、その要請がありました場合に、その要請を尊重いたしまして、その要請にありますような状況が現実にあるかどうか、考えられるかどうかというようなことをさらに検討いたしました上で、公安条例の第三条の第三項で、「公共の安寧を保持するため緊急の必要があると明らかに認められるに至ったときは、そういうような状況があるというふうに判断いたしましたときには、公安委員会として許可の取り消しあるいは条件の変更をされる、このように考えております。それから第四条の三項の要請がありましたときには、警視総監に対する要請であります。この場合にも、もちろん同様、両議院の議長さんの要請でありまするから、十分尊重いたしまして、そのような事態が現実にあるかどうかということをいま一度検討してみまして、そのような事態があるというふうに見られました場合には、必要な限度において警告、制止を行なう、こういうように申し上げておるわけであります。
  131. 米田勲

    米田勲君 そういたしますと、警視総監、あなたのこの連合審査の際に答弁されている言葉は、言葉足らずであって、その要請を尊重はいたしますが自主的に種々調査検討をした上でしかるべく措置をしますと、こういう意味のことを、中を省略されておるわけですね。私はこの文章に載せられたものをあらためて検討してみてあなたの答弁は、その要請を尊重いたして措置をいたしたいと考えていますと、こうなっているから、尊重をして措置するということになれば、議長から来たのだから、これは要件がそろっているのだ、尊重をして措置するのだというのだから、そのまま措置するというふうに見られやすい答弁なんです。しかし今の答弁ですと、やはり自主的な立場で、公安条例に照らして、事実そういう問題の発生があるのかどうかということを判断をした上で適宜の措置をします、というふうに答弁されましたから、言葉が省略されたんだ、この連合審査のときの答弁は。そういうふうに解釈していいですね。
  132. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 先ほども申し上げましたように、そういうような趣旨の御質問がたびたびございました。そのたびにお答えいたしておりまするが、先ほど米田委員のお読みになりましたことだけですと確かに言葉足らずの点がございます。私がただいま申し上げましたような趣旨で考えております。
  133. 米田勲

    米田勲君 提案者に私は先ほどから主張を繰り返して申し上げておりましたが、ここで、あなたがいつもこの委員会で、新潟県の公安条例の合憲判決の話を、たびたび自分の主張を裏づける場合の引き合いに出されているのであります。私もまた、この最高裁の合憲判決判決文の中から、先ほどから問題になっているので、引き出して、一つあなたにお話をして、あなたの御見解を聞きたいわけです。  この判決文の中には、公安条例の合憲性を承認するための要件としてこういうことがあります。一つは、規制対象の制限による規制の限定を要求するという問題、もう一つは、規制規準の定立による規制の限定を要求する、この二つがある。こういうふうに抽象的な原則を定立して、その次に、第一にはこういうことが書いてある。集団行動は、公共の福祉に反するような不当な目的または方法によらない限り、本来、国民の自由とするところであるから、単なる届出制と異なる一般的許可制による事前抑制は違憲である。第二は、公安を害するおそれがない場合という一般的抽象的許可基準が拒否決定の唯一の根拠であれば違憲である。「公共の安全に対する明らかな差迫った危険を及ぼすことが予見される」という明白かつ現在の危険の原則に立つ規制の限定を要求するということが、判決文の中にうたわれている。これから推しましても、集団示威運動がまだ行なわれない以前、しかも一方においては、都の公安委員会が公安条例によって許可したものまでも、おそれがある、著しい影響を与えるおそれがあるという、抽象的な基準で、その許可の取り消しあるいは条件の変更を要請すること自体——単なる要請だとはいいながら、少なくともこれは法に基づく要請です。それは、そういうことでは問題は片づかない。違憲の要請である。憲法の前にはそれはとうてい成り立たない条件のもとにおいてあえて議長が要請をするということになるのだと、こういうのが私の主張なんです。四条の一項は実際的にも不可能だし、法理論上もこれをやってはならないということが、私の結局の主張の根拠なんです。それをあなたは、あえて、これは合法的であるし、要請なんだからいいんだといって、最後まで主張されて、この法律の成立に努力されるかどうか。これはどうも私は、あなた方は多数だから通るでしょう。しかし、通っても、私は、最後までこのことは違憲である、成り立たないのだということを主張し続けたということは、はっきりさせたいために、私は言っているのです。このことで時間を長引かそうという考えは毛頭ありません。もう一度提案者にお聞きします。
  134. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 原則論は、重ねて申すまでもなく、あなたの指摘されるところと同じ見解を私も持っておるわけであります。しかしながら、この新潟県条例に対する最高裁大法廷の判決文の中にもありまするように、「公共の安全に対し明らかな差迫った危険を及ぼすことが予見される」場合に、(米田勲君「その次に書いてありますよ」と述ぶ)これは許可しないまたは禁止する旨の規定を設けることができるということも、決して憲法違反するものではないという趣旨のことが書いてございます。従って、さような差し迫った危険が明らかにこれは予見される場合の措置でありまするから、そのことを想定して適当な措置をとることをきめましても、そのゆえにこれは憲法違反であるというふうには、すぐ私は直結しないと思います。
  135. 米田勲

    米田勲君 まあ提案者は最後までそういう主張をなさったということは後世まで残るであろうから、これは私はいつまでも論争を続けたいと思います。このことはこの委員会が終わっても。私は、あなたの認識しておられるその明白、明らかということや、現在のという問題の、その解釈は間違っていると思うのです。あなたは、明白だとか現在の危険という言葉の解釈を根本的にはき違えている。だからそういう主張が成り立つのです。  次に進みます。それではもう一つ、これは事務的な手続に関してのお尋ねですが、両院議長の都公安委員会に対する許可の取り消し、条件の変更の要請は、いつまでできるのですかという質問です、いつまで。集団示威運動が開始せられた後におきましてもできるかどうか。これは簡単なものですが、はっきりさせておきたいと思います。
  136. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 「許可の取消又は条件の変更」ですから、従って事が済んでしまったあと条件の変更はできるはずはないのです。従って私は、その直前までの段階におきまして要請がなされるものであると思っております。
  137. 米田勲

    米田勲君 ちょっと誤解がありますが、この法律地域指定しているわけですね、道路を。だから、もっと向こうから、もっと外郭の方から行動が起こっていることが想定されるわけですよ、実際問題として。その道路に差しかかる以前のそこも進行状態です、全体から見れば。そこで私の質問が出てくるわけです。この道路に入る以前であれば、行動指定道路に入る以前であれば、まだ許可の取り消し、条件の変更ができるというふうにこの法律をうたおうとしているのかどうか。その点はっきりしておきたいのですよ。集団示威運動がすでに開始せられたというときには、もはやこの第四条の一項というのは適用されない。第四条の二項以外は適用されないのかどうか、そういうことをはっきりしておきたい。
  138. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) その通りだと思います。今あなたのおっしゃった通りに思っております。
  139. 米田勲

    米田勲君 私があとに申しました通りなんですね。  それでは次に、先ほどからの論議になっていることですが、提案者は、これまでの答弁によると、両院議長の要請は単なる要請で、一切の措置は、都公安委員会または警視総監がとるのであるから、議長には何ら責任はないのだというふうに言われているわけです。しかし私は、両院の議長の要請というのは、この法律に基づく要請であります。単なる常識的な要請と違うわけです。この法律に基づく要請なんです。法に基づく行動であります。このことは確認できると思いますが、提案者みずからも、今まで、この要請は国権の最高機関である両院議長の要請であるから軽々しくは扱われないであろうというような、非常に政治的な効果を期待するような答弁もあったわけです。また前に述べましたように、都の公安委員長、警視総監は、ともに、議長からの要請であるから相当に強く尊重されるという傾向が出てくることは、いろいろな話からもうかがえるわけです。ですから、この場合、事実問題として考えると、議長要請は単なる要請でというようなことでは相済まぬ責任があるものと私は思う。従って、集団示威運動等について、その許可の取り消し、条件の変更、もしくは警告、制止の要請を行なったという法的の責任を、両院議長は当然負わなければならないと考えるが、その点はどうかという質問であります。その法的の責任が追及されるというのは、いつの場合でもありませんが、議長の要請という法的な行為が、集団示威運動等に対するその規制の要請が、万一、憲法違反して不法に行なわれたような場合においては、その要請が行なわれた場合においては、その不法措置に対する法的な責任が追及されるものであるということを、この席上で確認しておきたいわけです。その点はいかがですか。
  140. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) もうこれは、私、たびたびお答えをいたしておりまするが、別に本法による法律上の責任というものはございません。しかし、それが憲法違反をするとか、あるいはそれが非常な失態を演じるというようなことから生まれてくる政治的責任は、おのずから本法とは別の問題であると思います。
  141. 米田勲

    米田勲君 私は、本法には議長の責任は一つもうたってないのですから、そのことを言っているのではなくて、この法律がもし成立すれば、私の今言っている議長要請が往々にして憲法違反するような弱点を持っているというのです、先ほどから説明しているように。従って、憲法違反するような議長要請が行なわれた場合には、単なる要請だからそれは責任を一切負わなくてもいいという性質のものではなくて、これは、そのような場合が明らかになったときは、法的に責任が追及されるものである、何らこれは責任がないものではないということを、この席上で明らかにしておきたいと、こういう意味なんです。本法でその責任を負うとか負わないとかということではないのです。そんなものは書いてないのですから。
  142. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 本法以外の法律につきましても、これに関連しての要請権でありまするから、要請がかりに間違っておったというようなことから問題が起こりましても、それは政治的な責任であって、別に法律上の責任というものはございません。これはあくまでも要請権でありまして、それに対して別に義務を課すものでもございませんので、責任はございません。
  143. 米田勲

    米田勲君 まあ、佐々木議員とそういうことを討論しておったら日が暮れてしまうでしょうから——私は、必ずそれは議長が法的に責任が追及されるものである、しかも、この法律案は議長をそういう条件に陥れる弱点を常に持っている法律だということを指摘しておきたいのです。問題のところであります。  次は第四条の二項について申し上げます。第四条の二項は、これは前から受けて「行われ、又はまさに行われようとする場合」であるから、実際の場合を想定いたしますと、集団示威運動が、通常の場合は都公安条例に基づく申請手続がとられておって合法的なものであると考えられるわけです、通常の場合は。その集団示威運動等が実際行動に移されて進行中であるか、もしくは行動開始寸前の状態にある場合に行なわれる要請である、こういうふうに解釈をして間違いないと思いますが、どうですか。
  144. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そのように解釈をいたします。
  145. 米田勲

    米田勲君 両院の議長から警視総監に対してその制止の措置要求があり、警視総監は、その要請が適法かいなかの論はまずさておいて、制止の措置をとったとする。集団示威運動等が進行中、制止のために必要な措置がとられるのであるから、これは実際の場合、結局、警察権の発動は実力行使に及ぶであろうということが考えられるわけです。集団示威運動の指揮者も、それに参加している者も、公安条例に基づく申請を経て合法的に行なわれているという自覚に基づいてそのデモが進行をしている。その進行をしているやさきに、突然、もちろん警告というものは事前に発せられるとしても、これは受ける側から見れば突然であります、制止されるということになりますと。その場合の集団の心理的な状態から考えましても、そこに必ず抵抗が起こってくる。私は極端な混乱と激突が免れないと思うのです。おそらく場合によっては流血の惨事が起こり、あるいは人命をそこなうような混乱さえも過去の状態から予想して考えられないわけではない。提案者は、こういう私が申し上げるような非常に困難な状態に陥ることをも十分予想をして、進行中の集団示威運動に突然制止の要請を警視総監にやろうと、あらかじめお考えになっておられるかどうか。そういうことはちょっと考えておらなかったというふうに言われるのか。その点を一つお聞かせ願いたいわけです。
  146. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 申すまでもないことでありまするが、集団示威運動等が静粛に行なわれまする場合におきましては、本法の適用外であります。で、議長が要請をするというときには、ほんとうに非常の事態のときだけおやりになるわけでありますから、そういうときには、場合によりましてはある程度の混乱ということもあろうかと思います。しかし、今もおっしゃいまするように、さようなことは全然考えないで本法を作ったというわけのものではございません。まあ、かなりの混乱がたとえありましても、その行為を制止してもらいたいということを要求するわけであります。
  147. 米田勲

    米田勲君 提案者は、そうすると、この四条二項の「要請」は、そういう極端な混乱や激突、あるいは負傷者や死ぬ者さえできるような、そういう流血の惨事が起こるかもしれないということは重々予想しても、なおかっこの要請を発動させるようにこの法律を組んだと、こういうお話ですが、私は、なぜこのことをお聞きするかと申しますと、そういう極端な混乱や激突、流血の惨事さえも引き起こすことが相当程度予想される、それにもかかわらず制止の要請が出されるのであるから、これは非常に状態はむずかしいです。むやみに出さるべきでない。この点はどうですか。
  148. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) もとよりこれは事実が起こってしまえばもう取り返しのつかないことになるわけでありますから、できるだけ事前措置によって万一の不祥事態の起こらないようにいたしたい、かように考えるわけであります。しかし、その事前措置によって「許可の取消又は条件の変更」ということだけで済まないで、現実にそういった事態が起こって、そして国会議員登院国政審議が著しく阻害されるという直前の事態になりましたときには、やむを得ないときに実力によるところの制止ということも必要ではなかろうかと思います。
  149. 米田勲

    米田勲君 提案者考えていただかなければならぬのは、去年の十一月二十七日のデモのあと、その一隊がこの構内に入り込んできた。しかし、たくさんいる警察官は実力行使をしなかったのです。僕らはあの全学連の幹部に会って極力説得をいたしました、帰れという。警察官はその間、実力行使を発動していないのです。実力をもって排除していない。従って、国会の構内に入ってから出ていくまでの間一人も負傷者は出なかった。私は、あなたが今平気で答弁をしておられるような、そういう事態に立ち至らせるような四条二項の「要請」というものは、これは考え直してもらわなくちゃならぬ。構内に入ったということ自体はまずいことだが、さればといって、議長がこれを排除してくれと要請をしたら、そこに何が起ころうが、人命がそこなわれようが、警察等によって実力行使が行なわれてたくさんの人が傷つく、たくさんの人が傷ついても、死んでも、この構内から即刻早く排除をした方がいいかは、およそ良識あるものは私は考えるであろうと思うのです。しかし、私はその論争を続けるのではなくて、この条文に基づいて私はあなたにお考えを願わなければならぬ。そういうおそるべき状態が起こるということを前もってあなたの頭に入れておいていただいて四条の二項は、「その行為により国会議員登院国会審議権の公正な行使が著しく阻害され、」ここまでは私は納得します。これは現実にそのことが起こっておるのです。「阻害され、」ですから、阻害されておるのですから。しかしその次に書かれた「又は」のところから以下は承服できない。これは先ほどからの私の主張と一貫しておる。「又は阻害されるおそれがあると認められる場合」、これはあなたはもう何度答弁をされようと、現行の諸法規と憲法との関係に照らして、この「又は阻害されるおそれがあると認められる場合」を入れて制止の要請をし、警視総監がその要請を尊重して、制止の実力行使、実力行動に入ったとしたならば、これは大へんなことであります。あなたは、この「又は阻害されるおそれがあると認められる場合」と、国会議員云々の行使が著しく阻害されとは、全く現実の状態が違うということを、現実問題としては違うということを認識されておられますか。認識されておりながらこの二つを並列したのかどうか。その点をお伺いいたします。
  150. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 審議権の公正な行使等が著しく阻害されるときはもちろんのことでありますが、「阻害されるおそれがあると認められる場合」、これはそのまま放置するならば現実に阻害される場合も含まれております。あなたのおっしゃいますのは、そのまま放置しておいても決して公正な審議権行使を阻害しないという場合に限って、あなたのおっしゃいまするように、それがあるいは憲法に抵触するのではないかという論が起こってくるかとも思います。しかし、ほうっておいたならば、その結果、現実に著しく阻害したということが明らかに認められる場合におきましては、これに対して何らかの予防措置を講じなければならないわけでありまするから、この程度のことをすることが決して憲法に抵触するものだというものではなかろうと思います。  それから先ほどのお話の中に、たとえば四条二項によって警視総監に対して制止のための権限を与えた、こういうことでありまするが、これは何回も申しておりまするように、従来からそういう場合におきましては、警察官が警告、制止の権限をこの警職法によって持っておったわけでありまして、ただ十一月二十七日のときには具体的にそれを発動しなかっただけのことであります。従ってこの四条二項におきましても、本法ができたからというて、すぐに四条二項によって一切の行動に対して実力行使によるところの制止をするというものではないのであります。その判断はもっぱら警視総監にあるわけでありまするから、警視総監考えて、いかなる措置をとることが最もこの際必要であるかということは、自主的に判断をされて決定をなさるわけでありまするが、こういう四条二項の規定が直ちに実力行使に移るものだとはわれわれは考えておるわけではないのであります。
  151. 米田勲

    米田勲君 提案者法律論争をするのは私はばからしくなってきますよ。あなたと法律の論争をしておると、こちらでまじめに考えられなくなる。あなたのような解釈で法律をこしらえ始めたら処置がないですよ。大体この公安条例だって、先ほど私が言ったでしょう。許可の取り消しや条件の変更あるいは警告や制止は公安条例の建前からいってもできるのですよ。しぼられておる条件さえ満たされれば。しかも事態は切迫しておるのですよ。もちろん警視総監もその現場で、おそらく事態が悪化しないように警戒をしておるでしょう、こういう状態になってきておれば。そういうときに、当然私らが警視総監の英知に信頼をして、こういうどさくさの激しい状態になっているときに、わざわざ、わざわざですよ、議長要請までもこの上に持ち出してきて制止の要請をするということは、実に実情にそぐわないのでございます。実情にそぐわない。それは警視総監の判断をいたずらに混乱させるだけであります。そういうことは、あなたに考えていただかなければならない。それから、あなたのいい方は、私も肯定しているように、前の方ならいいというのですよ。「行使が著しく阻害され、」という方ならいいというのです。それでもまだいい。これは現実に登院が阻害されている、審議が阻害されているということは現実的なんだから、これは当然であります。なぜそれだけにしないで、その次の「又は阻害されるおそれがあると認められる場合」とつけたか。これは幾らでも拡大解釈できるのですよ。これは「明らかに認められる」という言葉さえもないのです。ただ、おそれがあると認められる、——あなたはどんな行動をしてもこの言葉で言いのがれできるのですよ、この言葉が許されるのだったら。私はそういうおそれがあると認めたのだ。現実にないではないか。しかし、おそれがあると認めたからやったのだということになれば、これは大へんなことなんですよ。それが前段の「著しく阻害され、」ということと同じことのように解釈をして、この「又は」以下から入れたということは、この法律の致命的な欠陥の一つであります。これはあなたが幾らここであなたの味方が多いところでがんばっても、このことは筋が通りません、何と言っても。大体あなたは、警職法の第五条を、毎回論議になっておるから知っておるでしょう。第五条には非常に条件がしぼってあるのですよ。これは、この「警察官は、犯罪がまさに行われようとするのを認めたとき」ですよ。あなたに言わしたら、もうそのときすでに制止をすべきでしょう。そうでないですか。あなたの観念からすれば、「犯罪がまさに行われようとするのを認めたとき」これは当然制止をする権限を発動できるとあなたは考えるでしょう。しかし警職法は「その予防のため関係者に必要な警告を発し、」としか許していないのですよ。そうして、その次に、「もしその行為により人の生命もしくは身体に危険が及び、財産に重大な損害を与えるおそれがあるとき」と特定をしておる。対象を人命、身体の危険、財産に重大な損害というように極端にしぼって、しかもこれだけではなく、急を要する場合と御念を入れてしぼっているのですよ、規制条件を。こういう場合に至って初めてその行為を制止することができるとうたつてあるのです。この警職法の精神は何だと思いますか、あなたは。あなたに言わすと、犯罪が起こるおそれがある、制止して何が悪いのだと、放っておけば犯罪になるかもしれぬじゃないかという論と同じなんですよ。あなたはこういう関連からみても、「又は阻害されるおそれがあると認められる場合」をここへ入れておくことは適当でないと、あなたは思いませんか。
  152. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 「阻害されるおそれがあると認められる場合」に、その集団示威運動等について制止のために必要な措置をとることを要請をするわけであります。従って、この要請に基づいてあるいは警告をする場合もあるでありましょう。あるいはまたそれがもっと深刻になった場合におきましては、直接実力によるところの制止という措置をとる場合もあるかもわかりません。四条の二項というものは、何もこれが直ちに実力をもって大衝突を起こすというような意味の規定ではなくして、何とか適当な措置をとって、そうして国会議員登院国会審議権を阻害しないような措置をとっていただきたいということを、議長が要求をするだけであります。要請を受けた警察側がどういう措置をとるかということは、第五条の第二項によって行なうことになっておるわけであります。
  153. 米田勲

    米田勲君 提案者条文を離れて適当に答弁をしている。どこに書いてありますか、その必要な警告を発してくれということを要請するということは。警告を発してくれということを要請するということはどこにありますか。制止しかないですよ。警告を発せなんて書いてないですよ。なぜそれではそれを入れなかったのですか。
  154. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は、この議長の要請は、そういう行為を制止するために必要な措置をとる、あるいは、ことによると、そういうことはやめてくれといえば、それで制止される場合もあるかもわかりません。実力を使わなくたって、口頭でもって警察官が警告を発しただけで十分目的を達する場合もあろうかと思います。それでもなかなかきかないという場合には、場合によっては実力によるところの排除ということがあろうかと考えます。
  155. 米田勲

    米田勲君 提案者は、私に答弁をするときには、その部分だけを前の関連から離れて一生懸命に説明をしている。私は前から聞いているんです。このときの状態はどんな状態になっているんですか。議長が要請を発するときの現場の状態はどうなっているんですか。その状態を頭に描きながら、この条文に照らして、この条文がどういうことを実際の作用として起こしてくるかということを判断しないで議論をしてもらっては困るんですよ。あなたの答弁であると実際条文と離れてくるんです。特に私は、ここであなたとも繰り返しやっても処置がないほどあなたは適当な答弁をされるので、もうこれ以上はやめにしたいと思うが、「又は阻害されるおそれがあると認められる場合」というのは、何度も申しますが、これはこの制約が非常にばくとして拡大されているんです。規制条件がどの程度かということはわからぬ。しかも「明らかに認められる」なんという言葉さえもないんですよ。これは、制止をする、してくれなどという要件に全然合致しておらぬですよ。制止をしてくれというだけだからいいじゃないかと言うが、そういうことを法的に要請する、その条件さえも生まれていない。それはもう、ほかの警職法の第五条ごらんになっても、裁判の判決ごらんになっても、現行法のいろいろなものを見てごらんなさい。こういうことではいけないのだということがちゃんとはっきりしていますから……。あなた、提案者として記録に残るあなたの答弁は、いかに、私に言わせると、でたらめであるかということです。ぼくは真剣になってこのことを論じているんですよ。それでもあなたの答弁は変わりませんか。
  156. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 答弁の趣旨は結論として変わりません。これは著しく阻害されるおそれがあるという場合でありますから、相当の場合でなければなりません。従って、私の考え方は少しも変わりません。
  157. 米田勲

    米田勲君 全く私と意見を異にしております。
  158. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 四条関連して安田君から関連質問の発言がありますから……。
  159. 米田勲

    米田勲君 もう少しです。いま一つ残っている四条の問題は、前に四条の一項のときにも同じような問題が考えられましたが、国会周辺において集団示威運動等が行なわれ、また、まさに行なわれようとする場合において、その行為により国会議員登院国会審議権の公正な行使が著しく阻害されるという実情確認を、両院議長が当然しなければならぬ、実情確認を。今日までの提案者答弁は、議長さんは最もよくその事情を知る立場におられますのでというようなことを再々言われている。しかし私に言わせると、こういうことでは納得ができません。とにかく制止を要請する、もし制止になるなんということになると、たくさんの人が傷つき、死ぬかもしれない混乱さえも引き起こすということは、提案者自身も想定しておる。しかも先ほど申しました「おそれがあると認められる」という、ばくたる条件でその要請はなされる。警視総監は、本法のこの「おそれがあると認められる場合」というようなこの規制要件の拡大したものを、もし、たてにするなら、警職法でなしに、公安条例でなしに、本法をたてにとって、第五条との関連で制止の行動をとれるんだと考えているかもしれない。そういうような重大なことを起こすのに、議長さんが一番事情に詳しいのでございますといったようなことでは、はなはだ相済まぬことなんです、要請を出すのは。合法的な集団示威運動に対して、これを制止する要請を発するからには、一般的抽象的な、あるいは単なる議長の推測、そういう条件では許さるべきことでないということは、これは再々申し上げておるところであります。両院の議長は、具体的にどのような手段と行動で、集団示威運動がまさにこれこれこれこれの条件になってくるのを確認をし、要請をするのか、そこのところがはっきりしないのです。提案者にも言いますが、議長室におられたのでは、その確認は絶対できませんですぞ。御答弁を願います。
  160. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは、本法が成立いたしたならば、警察当局も何回となく言明いたしておりまするように、国会との間に常時緊密な連絡がございます。また、現在とても国会と警察当局との間には、常々緊密な連絡もあり、いわんや、そういう非常の場合におきましては、緊急の緊密な連絡も行なわれておるわけでありまするから、従って、御指摘の点は四条二項の場合でなかろうかと思いまするが、十分警察側とも連絡をし、情報等も入手する立場から認定をするわけでありまするが、同時に、国会側として、国会議員登院国会審議権ということにつきましては、議長が何人よりも一番そのことをよく把握しなければならぬ当面の責任者でありまするから、議長からその要請をなさる場合において、認定の基準ということは、かなり具体的にしぼられてくるものと思います。
  161. 米田勲

    米田勲君 提案者に聞いておるのは、議長は、そういう条件が発生をしてきたという確認を具体的にどうしてなさるのかということですよ。それは国会議員登院だって何百人もいるのです。議長が何でもかんでも万能者のように考えて、そんなことを確認できるということは、私はわからない。それから、前段にあなたが答えられておる警察当局の方から連絡があるとか、報告があるとか、打ち合わせがあるというなら、そんなことまでしなければならないほどの場合に、なぜ警察当局に、公安条例あるいは警察官職務執行法に基づく警察作用にゆだねられないのですか、自主的な行動に。私はそれで十分だと思う。それなのに、わざわざ第四条の一項を持ち込んで来てそうして、おまけに「又は阻害されるおそれがあると認められる場合」といったようなものまでもくっつけて、議長が一体、具体的にどうやって確認できるかというと、それは、ほとんで警察当局の意見とか報告連絡に基づかなければできないようなあなたのお話なんです。それだったら、むしろ警視総監なり何なりに、一切、——今までの状態だってやれるのですから、許可の取り消し、条件の変更、警告、制止にしたって、それぞれやれる。やれるのに、それをわざわざ警察から報告や連絡を受け、意見を聞き、そういう抽象的な議長の判断で、制止の要請を出させるようなことまでしなければならぬというのは、どうも私は現実問題としてはつじつまが合わない。要らないことなんです、これは。第四条の二項も要らないことなんです。できないことでしょう、現実問題として、警察の方の意見や報告を聞かなければ。どうですか。
  162. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) なるほど現行の公安条例によって、条件の変更、許可の取り消しもやれます。また警職法の第五条によって、先ほどあなたがお読みになった通り、警告ないし制止を行なうこともできます。しかし、かりに警職法第五条の場合に該当しないような場合におきましても、本法におきまして、この国会議員登院国政審議が不能な状態に陥るというような場合におきましては、国会としてそういう見地から要請を行なうようにし、これによって国権の最高機関であるところの国会というものを外部の威圧等から守ろうというわけでありますから、このことが別に、さほど悪い規定であろうとも思いませんし、また議長が要請をするときには、少なくとも両院の議長というものが、良識を持った立場から要請をなさるわけでありまするし、そういう要請というものが、そうしばしば行なわれるわけではなくて、万一の非常な最悪の事態にのみ要請が行なわれると思いますから、これは議長の良識や、議長の入手し得る状況等を判断資料として、要請権を発動されても、間違いはなかろうと思っております。
  163. 米田勲

    米田勲君 法律というものは、個人の良識だとか、常識だとか、そういうものの働く部分をできるだけ少なくしておくことが大事なんですよ。特に基本的な人権規制しようとする種類の法律は。常識なんというものは絶えず変わるものですよ。そういう不確定な要素によってこの事がなされることは……。法律というものはできるだけその部分を、全くなくすることはできませんが、極端にしぼっておくというのが常識なんです。その常識がここには一向注意が払われておらない。そうして、「又は……おそれがあると認められる場合」という憲法違反になるべき文言を入れて、そうして議長自身は、必ずしも独善でその状況を診断できない、判断できないような、そういう立場にある議長の要請を許すというようなことは、非常に当を得ないことなんであります。  もう一つ四条の三項で問題なのは、どうも私、この立法府の両院の議長が、制止のために必要な措置要請を、直接警視総監に行なって、そのあとに、その旨を都の公安委員会に通知するように定めてありますが、こういう手続措置は便宜措置であって、行政機構の秩序が乱され、その責任の所在が不明確であると私は考える。もちろんあなたに言わせれば、それは緊急の事態なんだから、一々そんなことはやってはおられないというふうに言われるかもしれません。しかし、法律をきめる原則的な建前は、行政上の秩序をぴしっと通しておく必要がある。そうしてその上で、カッコ書きか、ただし書きかで、緊急やむを得ない場合の措置をきめてあるのが普通でありますけれども、どうですか。行政機構の中で、局長が自分の下に直属している部長や課長を一切抜きにして、いきなり係長を呼んで、あることを言いつける。措置を要請するというか、指示をする。やらしておいてから、あとから部課長を呼んで、こういうことを係長に命令したぞということを報告する。そういうことがたびたび行なわれれば、行政機関の秩序が乱れるということを考えませんか。それは、めったにあることではないのだからというようなことで、法律にまでこういう便法措置をとっておることは適当ではない。原則的な筋を一本通して、その後に緊急やむを得ざる場合はかくかくだということをうたうのが私は建前だと思う。本法条文のあり方は、行政機構を混乱させ、そしてまた、そこに発生してきた責任の所在をきわめて不明確にしてしまうという四条の三項であると思うが、あなたの意見はどうですか。
  164. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私はそのようには考えません。まあそれ以上はあなたとの見解の相違になると思いまするが、緊急を要する場合でありまするから、事が終わったあとにおいて通知をするということで十分であって、そのことのために、この事務の系統を乱すとか、あるいは不都合を生ずるというようなことはなかろうと思っております。
  165. 米田勲

    米田勲君 委員長、私の四条についての質問は、ああいう答弁をすればまだあるのですが、しかしながら、ここで一応四条は終わります。
  166. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 関連してお伺いしますが、この四条の二項の「国会議員登院国会審議権の公正な行使が」その「又は」のあとで、「阻害されるおそれがあると認められる場合」というのは、これはまだ集団示威運動が開始されておらないという状態なんですね。その点はどうですか。
  167. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) その直前の事態と思います。
  168. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、まだ行なわれていない状態なんですから、そういう場合には、東京都の公安条例の第四条を見ましても、明らかに警視総監は警告、制止をする権限がないように思われますが、この点は、警視総監、どうですか。
  169. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 第四条は、この規定にありますように、公安条例のここに掲げてあります各条に違反して行なわれた集団示威運動でありますから、違反して行なわれたということが必要であります。
  170. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、まだ集団示威運動が行なわれておらない場合には、警視総監は、東京都の公安条例四条規定にある通り、警告または制止の権限は行ない得られないということを確認されたわけですね。その点どうですか。
  171. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) その通りでございます。
  172. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そういうことになりますと、一体この条文は、阻害されるおそれがあると認められる場合におきましては、これは全然警視総監の方は自主的な判断をする余地がないわけです、東京公安条例によって。その自主的な判断をすることができない立場にあるものに対しまして、議長がどうして要請権があるのですか。これを提案者にお伺いします。
  173. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 自主的な判断ができないと私は考えません。
  174. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 どういうわけですか。
  175. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 自主的判断は十分可能であろうと思います。
  176. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 おかしい。まだデモが行なわれておらんときなんです、阻害されるおそれがあるというのは。その場合において、警視総監は、行なわれておらんのだから、東京都の公安条例によっては警告、制止をする権限がないということを言明しておるわけであるから、ですから自主的判断ということはあり得ない。その自主的判断が行なわれないものに対しまして、議長要請するということはおかしい。そういう法律上の手続はおかしいわけなんです。この点の説明をお願いしたいと思います。
  177. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは四条二項を受けた第五条におきまして、警察官のとり得る職権というものが規定されております。これに基づいて警察官が判断をして決定していくのでありますから、十分それはできることだと思います。
  178. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 どうもおかしい。私の言うのは、幾ら議長が要請しても、——阻害されるおそれがあるという場合ですよ。警視総監は、第四条によって全然警告、制止の権限がないわけです。ですから自主的判断のしようがないわけですよ。東京都の公安条例にはそういうように規定してあるわけです。幾ら議長が要請しても、これは全然自主的な判断をする余裕がないんです、第四条からいけば。そういう人に対しましてなぜ議長要請するかというんです。しかも国会の最高権威者であるところの議長がね。おかしいじゃないですか。そういう点どうですか。
  179. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ちょっと私、あなたの質問の趣旨を完全にのみ込めないわけでありますが、ちょっと事務当局の方から御説明願いたいと思います。
  180. 三浦義男

    ○衆議院法制局参事(三浦義男君) ただいまの点はこういうことだろうと思いますが、この法案四条の二項に書いてございますのは、国会議事堂周辺道路において集団示威運動が行なわれておる場合、それからもう一つは、道路においてまさに行なわれようとしておる場合、それから、全然その集団示威運動の形態がないというような場合は、ほとんど四条の二項の適用がないことになります。しかしながら、今の集団示威運動等がある道路においてまさに行なわれようとする場合は、あるいは集団的に来なくても、三々五々来て、そこにおいて隊形を整え、集団示威運動に移ろう、こういう場合においては該当するとも思いますが、要するに四条二項は、その前提条件として、道路において集団示威運動が行なわれる場合ですから、これは一つは、現実に周辺道路の別に図示しましたところで示威運動が行なわれておる場合、それからもう一つは、その道路においてまさに行なわれようとするんですから、道路周辺まで来ておりまして、道路上においてその示威運動が行なわれようとする、こういう前提になりますので、そこにはやはり集団示威運動という一つの形態はあり得るわけでございます。
  181. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 答弁が違うようですが、かりに、国会議員登院国会審議権の公正な行使が著しく阻害されるおそれがある場合、この場合を考え、てみますと、この場合はまだ集団示威運動が行なわれていないときなんですね、そういうことでしょう。そういう場合もあるわけでしょう。その場合に、国会議事堂周辺におきます集団示威運動が、たとえば東京都の公安条例上適法であっても、あるいはいろいろな手続上の不備があって、それが東京公安条例上違法であっても、まだ行なわれておらぬわけですから、国会周辺において。その場合には、さっき警視総監は、東京都の公安条例四条においてはそれは規制することができないということを言明しておるわけです。ですから、そういう面からいきますと、議長要請があっても、自主的判断を東京都の警視総監がする余地がないわけでしょう。四条できめつけてある。制止することができないということがはっきり出ておるわけです。そういうものに対しまして議長要請するということ自体が、非常に矛盾があるということを言っておるわけです。
  182. 三浦義男

    ○衆議院法制局参事(三浦義男君) ただいま警視総監から話がございましたのは、現在の都公安条例四条に基く規定の解釈でございまして、それは明らかに都公安条例の各規定違反して行なわれました集団示威運動について適用があるわけでございます。従いまして、都公安条例におきましては、違反して行なわれた非合法デモでなければ、警察権の行使、つまり警告、制止の権限は発動されないわけでございまするが、この場合は、それと発動条件が、前からたびたび問題になっておりますように、違うわけでございまして、四条の二項の場合は、そういう違反した事実があるなしにかかわらず、四条二項による要請ができると、こういうわけでございまするので、結論においては前提条件が違うわけでございまするから、その点はお含みおきを願いたいと思います。そうして四条二項で要請しました場合は、五条二項の権限が必要な限度において発動される、こういう結果になるわけです。
  183. 北條雋八

    ○北條雋八君 関連して。四条の一項でございますけれども、これは無届けの場合には適用がないのでございましょうか。
  184. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) この四条の一項の場合におきましては、もとより許可の取り相しまたは条件の変更を要求するわけでありまするから、従って、届けば出て許可をされたものに対してでございます。
  185. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうすると適用がないわけですね。
  186. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) その通りであります。
  187. 北條雋八

    ○北條雋八君 先般の十一月二十七日のデモは無届けだという話を聞きましたが、いかがでございますか。
  188. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 許可を受けておりません。
  189. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうすると、ああいうものには、この法案は適用できないのでございますか。
  190. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) さような場合におきまして適用をされるところは、議長の要請権につきましては第四条の第二項、それから、それを受けて警察官のとるべき警告制止の措置につきましては第五条の第二項であると思います。
  191. 北條雋八

    ○北條雋八君 この第四条に、許可の取り消しあるいはその他適切な措置をとるように要請することができるという文句を入れれば、無届けの場合でもこの第四条の一項が生きてくるのじゃないかと思うのですがいかがですか。
  192. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 四条一項の場合においては、すでに許可されたものに対して許可の取り消しまたは条件の変更を要請するわけであります。今御指摘のような場合は、むしろ四条二項の場合に該当するかと思います。従って、そのような無届けの集団示威運動が行なわれ、それが国会議員登院審議権に著しく影響を与えるという場合におきましては、その第二項によって措置することができるわけでありますから、御心配のような点はないのじゃないかと思います。
  193. 三浦義男

    ○衆議院法制局参事(三浦義男君) 私からちょっと補足して御説明申し上げます。ただいまのこの法案四条一項の規定は、御承知の通り、都の公安条例の三条三項の規定と相対応いたすわけでございまして、三条三項の規定は、要するに、都公安委員会の許可を受けました集団示威運動につきまして、場合によりまして、一定条件のもとに、その与えました許可を取り消す、あるいはまた付加いたしました条件を変更する、こういう規定がございますので、それに対応いたしまして、四条一項において、都の公安委員会のそういう持っておる権限に即しまして要請をする、こういうわけでございます。従いまして、初めから無届けなものにつきましては、都公安委員会に何らの手続等がございませんので、そこに出て参りませんので、都公安委員会においても把握しようがないのじゃないかと思っております。従いまして、そういう事態があれば、この法案におきましては四条三項、それから都公安条例に基づきましては四条による違法デモとして、警告制止を受ける、こういうことになります。
  194. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 先ほど安田委員からお尋ねになりました件について、明確になっておりませんから、重ねてお尋ねをいたしますが、示威運動に対して警告制止ができるような場合、警職法におきましては、先ほどもお話がありましたように、人の生命とか財産とか、著しく危険が切迫している、あるいは侵害される明白かつ現在の危険がある場合に限定をしている。都の公安条例によりますと、三条の三項ですか、「公共の安寧を保持するため緊急の必要があると明らかに認められるに至ったときは、その許可を取り消し又は条件を変更することができる。」と、非常に条件を警職法に続いてしぼっているのであります。ところが、本法四条二項は、「阻害されるおそれがあると認められる場合においては、両院の議長は、警視総監に対して、その示威運動等につき制止のために必要な措置を要請することができる。」というふうに、同じ警告、制止をするにいたしましても段階がついている。警職法の場合は最も厳格にしぼっている。都の公安条例は続いて条件を広げている。本法四条二項になると、この条例の三条三項にあるような「緊急の必要があると明らかに認められるに至ったとき」というのを、さらにこれを拡大して、阻害されるおそれがあるような場合でも、議長要請を行なえば警告、制止ができるというように、基本的な人権の制限、規制をいたしますのに、警職法が最も厳格にしぼられ、都条例においてちょっとこれがゆるめられ、さらに本法においては、まことにばくとした阻害されるおそれのある場合、こういうように広がっているが、こういうことは一体お認めになりますかということを、安田委員はお聞きになったのだ、と思います。私もその点明らかにしておいていただきたいと思います。
  195. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 御指摘のように、公安条例の第三条三項は、公共の安全を保持するため緊急の必要があると明らかに認められるに至ったとき、また警職法五条におきましては、人の生命財産に危害が加わろうとし、しかもそれを防止することのできないような急を要する事態というふうに限定をされているわけ、でありますが、本法におきましては、それが、あなたのおっしゃるほど、ばくとしているかというと、私はそれほどばくとしているものじゃないと思います。ということは、まず第一に、これは「国会議員登院国会審議権の公正な行使」ということが大前提でなければなりません。しかもその程度が、あなたのおっしゃいますように、単におそれがあるというだけでなく、著しく阻害されるというおそれがある場合でありますから、さらに二重のしぼりが来ております。さらに三重のしぼりとして、両院の議長の見解が全く一致しなければ要請権が発動できないというように、三つの段階においてしぼられているわけでありまするから、従って私は、やはりその明白かつ現存の危険の原則に照らしましても、具体的な基準というものが明らかになっているのではなかろうかと思っております。
  196. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 警視総監の小倉さんと江口さんにお帰りを願わなければ、東京都の治安が守れないのだったら因るから、いつまでもここにおいでになるわけにいかぬので、小倉さんにお尋ねする分だけ先にお尋ねして、お帰りを願って、東京都の治安を守ってもらいたいと思うのです。  第一点は、これは何回も委員会あるいは合同審査で明らかになったわけですが、とにかく、この法案というものは、都の公安委員会のお世話にならなければならぬ。公安条例がやはり基本になっておるわけですね。行動する場合には。従いまして、私が調べてみたところでは、このように公安条例によりかかった法律はないというように結論が出るわけですが、都の公安条例、あるいは各県で持っている所もありますが、一国の法律で、こういう公安条例を基礎とした法律がほかにもあるかないかということをお尋ねいたします。たとえば、スト規制法もありましょうし、破壊活動防止法もありましょうし、そういうものがありましたかどうか    〔委員長退席、理事田中茂穂君着席〕
  197. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) そのような例は私は聞いておりません。ないと思います。
  198. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこで、私どもの心配することは、まあ一国の法律だからウエートが重くて、都の公安条例だからウエートが軽いということは申し上げませんけれども、立法府の一員として、都の公安条例によって本法を作るということはきわめて妥当ではない。こういうように考えておるわけです。しかし、これは公安委員長なりあるいはまた都の議員各位に聞くのがほんとうかと思いますが、それはさておきまして、警視総監のお立場で、現在の都の公安条例で万全である、あと、こういうところは警視総監立場で直してほしい、あるいはここらは修正してほしい、こういうところを加えてほしいというようなことはございませんか。
  199. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 公安条例で、この国会周辺の公安の保持といいますか、そういうことに対して万全であるかというようなお話に対しましては、先般来十一月二十七日の事件に関連して、私どもの非常に苦心しておるところをいろいろ申し上げた次第であります。ただ、この国会審議権確保という点と、また申されております表現の自由という基本的権利、これとの関係をどうするかということにつきましては、私からは別に意見を申し上げる筋合いのものでもございません。国会で十分御審議いただきたいと思います。
  200. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 警視総監のお立場でそういうことになるかもしれませんが、私ども立法府の者として心配することは、都の公安条例が修正される、たとえば条例の中でこういう点が不備だということで、ほかの点であればいいわけですが、本法関係のある条例が直るということになれば、これは私どもも直ちにこの法案を修正しなければならぬ、こういうことになるわけですよ。東京都の公安条例がもう永久不変であればいいわけです。しかし、もし、こういうところを直したいということで直ってくれば、直ちに国会本法を修正しなければならぬ。そうなると、最前言った通り、どっちがウエートがあるとか何とかいうことは申しませんけれども、法の体系からいって、条例を直すことによって今度は法律を直さなければならぬということは、きわめて立法府の者として権威を失うということを私どもは考えておるわけですよ。提案者はどう考えているかわかりませんが……。従って、もし警視庁なり、あるいは都において、こういうところを直したいというところが出て、直ちに、ことしとは申しませんけれども、明年でも直すということになれば、私どもあわてるわけです。そうでしょう。結局、これは公安条例によっておるのですから、公安条例がなくなったりするとまた大へんです。公安条例がなくなってしまうと。パーになってしまうのです。そういうことを私どもは心配するわけです。ただ私どもが、総監の御答弁があった通りに、日本で公安条例による法律はこれが初めてだということを聞いておるし、将来そういう心配があるかないかということについて、警視総監の個人の立場で——直すとか直さぬということは、東京都のやることでしょう。あるいは公安委員会で意見具申するでしょう。総監のやることでないかもしらぬけれども、総監としては、現在の公安条例で満足であるかどうかということをお尋ねしているわけです。
  201. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 公安条例の個々の条文につきましては議論のあるところであります。現在、御承知のように、合憲、違憲の論争も出ておりまして、近く最高裁の裁判にかかることになっております。警視庁といたしましては、現在この公安条例をどういうふうに修正するとかとうとかという議論は全然ございません。
  202. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 警視総監にお尋ねするのはそれでよろしゅうございます。  提案者にお尋ねしますが、違憲、合憲の論争は、当初委員会を開いた当時二、三度やりましたから、私は触れません。それは将来の問題として残しておいて、今警視総監からお聞きする通り条例をもとととした法律はわが日本国には一本もないわけですよ。日本国には一本もない。何で条例をもととしたような法律を作らなければならないのか。条例が直れば、違憲であろうと——違憲になったら大問題ですが、違憲ということにはならぬでも、その条例の改廃によって本法を直さなければならぬということになれば、きわめて僕は不見識なことだと思う、立法府の一員として。こういう点については、衆議院の自民党には人材がたくさんおるにもかかわらず、何でそういうことをやらなければならなかったかという、その根本理由一つお尋ねいたします。
  203. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私たちは、この条例とてもやはり法形式の一つでございまするし、上位下位という話もありまするが、まあ、法律条例の上位にあるということは、当たりまえであるかもわかりませんけれども、さりとて、その持つ、法律の持つ効力というものが、条例だからどうでもいいのだというわけのものではなくて、同じ効力を持ったものであると考えます。また、私たちは、できるだけ現在ありまする法令の範関内において、できるだけそれに依存をしてやりたい、かように考えましてやったようなわけでありまするし、その条例がすぐに改廃されるとも思いませんが、かりにその条例が改廃されるようなことになりましても、それによって本法が全部死んでしまうわけのものではなくして、あるいは部分的に影響を受けるようなところもあるかもわかりませんが、しかし、その他の部分につきましては、ぜひともこれは必要な部分として残るものだと思っております。
  204. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 条例による部分があるかもしれませんといっても、第四条は、要請の方は今まで論議したわけですが、しかし、第五条行動する面では、百パーセント条例によるということになるでしょう。佐々木さん、そうでしょう。あなたのように「あるかもわかりません」ではないのですよ。必ずある。百パーセントある。そうすると、国会においてはこの法案を存続しようと思っても、東京都の条例のこれに該当する部分が改廃されることによって、われわれが意図しようが意図しまいが、これを論議し、また大修正を加えるか、それを白紙にしなければならぬという事態が生じてくる。そうすると、法律としてきわめて不見識なものになりはせぬか。同時に、これは東京都の例を警視総監に聞きましたが、これは、全然そういう条例その他を根拠にして立法している法律は、いかなる法律にもありませんよ。佐々木盛雄さんの提案した「国会審議権確保のため……」こういう法律たった一つですよ。これはむちゃくちゃですから、その点、なぜそういう本末転倒した法律を作らなければならなかったか。理由をお示し願いたいと思います。
  205. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先ほど言ったように、これは単に公安委員会がとっておりまする許可制を前提としたのに過ぎないのであります。しかし、そのことがきわめて不適当であるともわれわれは考えておりません。この点につきまして、あなたと見解を異にする点でありまするが、しかしながら、かりに東京都の公安条例が違憲であるという最高裁の判決が出まして、そうして許可制というものが変更されるというような場合におきましては、あるいは本法四条の一項とか五条の一項等が、実際これが働かなくなるかもわからないと思います。しかし、さりとて、その他の部分というものは完全に生きているわけでありまするし、また、そのことによって私はすぐさま法の権威を失墜するというふうには考えていないわけであります。
  206. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 働かなくなると思いますといって、四条五条が働かなくなると、この法律は半身不随どころか全身麻痺ですよ。そうしたら、あと罰金を取るとか取らぬとかいうところだけ残って、それは阿部さんと見解が違うというけれども、私は社会党、あなたは自民党という立場でなく、法律を作る者の立場で、僕は法律家でございませんけれども、筋が通っておらぬのではないかと、こういうことを申し上げておるのですよ。ですから、くどいようですが、法制局の三浦次長さんにお尋ねしますが、こういう法律は、佐々木さんは、これはもう四条五条がなくなっても、まだほかは生きているとおっしゃるが、僕は、四条五条がなくなれば半身不随か全身麻痺、だから法律を作る立場の三浦さんは、そういう条例を足がかりとして作るような法律は、衆議院の法制局としては、これをよしとするものか。あるいは佐々木提案者等の圧力によって心ならずも作った法律であるか。そこまでは言えないでしょうけれども、法律家の立場で、一つ明確に、衆議院法制局はこう考えておりますということを、将来のためにここで御答弁願いたい。    〔理事田中茂穂君退席、委員長着席〕
  207. 三浦義男

    ○衆議院法制局参事(三浦義男君) ただいまの点につきましてお答えいたします。この問題につきましては、前に連合審査会で私ちょっとお答え申し上げたかと思っておりまするが、要するに、この規制の対象となりますのは国会議事堂周辺道路という限られた所でございまして、またその行為集団示威運動という特殊の限られた行為になるわけでございます。従いまして、そういう前提条件のもとに何らかの規制措置を講ずるといたしますれば、その場合には二つの方法が考えられると思います。第一は、現在の公安条例というものがございまするので、それがまだ違憲、合憲の最終的な結論は出ておりませんけれども、それが現在有効であります以上は、それを前提といたしまして、その前提に立ちまして、それとのつながりにおいて何らかの法律措置を講ずるということが一つであります。それからもう一つは、公安条例とはかかわりなしに、それらの事柄を新しく法律の形式の上に取り入れまして、そうして公安条例に書いてあります中で必要な事柄も法案の中に書き加えていく、こういう二つの方法が考えられる。私どもといたしましては、どちらの方法でも法律的には別に違法であるとか何とかという問題はございませんので、この法案におきましては、都公安条例が違憲でまだないという前提に立ち、かつ有効でございまするので、そういうことも前提といたしまして立案したわけでございます。
  208. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 三浦さん、私、そういうことをお尋ねしているんじゃないのですよ。違憲、合憲論争は、委員会が始まった当初、あなたも御承知の通り両三度やったから、私どもの方は違憲の例を取り上げて主張しましたし、佐々木提案者の方は、しかしながら合憲の個所もあるではないかということで、なかなか意見の一致を見ないから、私は今さらそれをやるというのじゃない。ただ、あなたのおっしゃるように、これは東京都の一部分で参議院の周辺だからということで法律を作るということは、納得できないわけですよ。たとえば東京の一部であろうが三分の二であろうが、あるいは日本全国に適用する法律であろうが、法律というものは一本の筋を通しておかなきゃいけないものだと思っているのです。これは簡単だから少し曲がってもいいとか、これは大きいからりっぱにしなければならぬということはないでしょう。だから、私のお尋ねしたのはきわめて簡単なこと、この東京都の公安条例が左右することによって本法も左右されるわけですよ。ですから、そういうようなことで法律を作っていいのか悪いのか。私の考えでは、どうも東京都の条例が改廃されることによって本法が改廃しなければならぬようになるから、それは立法をする者として穏当でないと、こういうふうに主張しておるわけです。しかし、条例を頼りにする法律を作ってもよろしいというのが衆議院の法制局の一致した見解ですかと、こう尋ねておるので、どういう方法があるかなんて聞いたり、合憲、違憲を聞いておるのじゃない。きわめて明快です。
  209. 三浦義男

    ○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点につきましては、私は先ほど申し上げましたように、どちらの方式も考えられまするが、今度提案になっておりますような法案の形式も適当であろうと考えております。
  210. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 適当であるか適当でないかと、そういうことではない。法律を作る者として、そういうものを基準として法律を作ることが法律家として正しいことであるかどうか。便法を聞いておるのじゃないのです。国会というのは、廊下で指二本上げても会期延長ということがきまる所です。そんな政治談議をやっているのじゃない。あなたは法律家だと信用するから、法律家として、こういう法律を作って将来に悔を残しませんか。こういう条例を基礎としてこういう法律、しかも議員自身のことだ、自分の自身のことだから、たった八カ条しかありませんけれども、将来のために、東京都の都会議員の左右によってわれわれは左右されなければならないのだから、そういうことがいいかどうかということをお尋ねしているのです。まだわかりませんか。
  211. 三浦義男

    ○衆議院法制局参事(三浦義男君) この法案は、一般的な規制をいたします法案と違いまして、やはり先ほど申し上げましたような東京都の特殊な国会周辺とか何とかということを前提といたしまして規律いたしますから、どうしてもその場合におきましては、現在の公安条例というものがあります以上、しかもそれが憲法第九十四条で正当に認められておりまする以上は、法律的に有効なものでございますので、そういう特殊事情に応じてこの法案規定いたしまする場合には、やむを得ない措置かとも考えております。
  212. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 まあ、やむを得ないわけですね。そうすると、もう質問もやむを得ないことで打ち切りますが、それではもう一つ三浦さんにお尋ねしたい。いろいろ論争の過程において出て来たわけですが、まあ両院の議長さんが要請しますね、そうしたら百パーセント警視総監なり公安委員長がこれを実施してくれるかどうかわからぬ。必ずやってくれるかどうかわからぬ。佐々木提案者の話を聞くと、まあ両院の一番おえらい人がやるのだから、なおざりにやらんでしょうという御答弁はあったけれども、そんなことは答弁の過程ですから、そういうことは法律を作る場合には参考にならない。従って、両院議長が要請をして、要請の結果どういうことになるか。これは公安委員長なり警視総監にお尋ねしましたが、その前に、もしそれを百パーセント利用してくれなかったら、これはこの前も意見が出ましたが、両院議長の権威を失墜するためにも役立つ法律ですね。そういうことになるのですね。百パーセントきいてくれればいいけれども、きかなくたって違法じゃない。そうすると、両院議長は立法府の議長であるけれども、警視総監あるいは東京都の公安委員長からひじ鉄砲をくらったという格好になりますよ。まあ、あなたたちは法制局だから、そういう政治的な配慮は必要ないかもしれないけれども、そういう法律を作って漫然としておるのですか。
  213. 三浦義男

    ○衆議院法制局参事(三浦義男君) 法律論といたしましては御説の通りでございまして、議長の要請がございましても、公安委員会なり警察側の自主的な判断によって決定することでございまするので、そちらの方で要請通りにしなくても、法律上仕方がありません。ただその場合におきましてどういうことになるかということは、今お話のございました全く政治的な問題なり、政治的配慮によって決せられることかとも考えますので、私から申し上げることは差し控えておきたいと思います。
  214. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 あなたに法律家として聞いておるのですから、あなたから聞かれなくては、次に課長さんに聞くわけにはいかんですな。今度衆議院の局長にここにおいでを願って聞く以外にないのですな。僕は党利党略を離れてこれは聞いているのですから。僕は佐々木さんの提案がいいとか悪いとかいうことでなくて、この法律を実行した場合に、議長さんが要請した場合にどういう立場になるか、どういうことになるか、これは党利党略じゃないのですよ。自民党さんが半数以上いるのだから、これは阿部竹松の言うことはけしからんから多数決で押し切れと言って押し切れるのですから、社会党の言い分が通るとか通らぬとかいうことでなく、将来のためにお尋ねしておくわけですよ。
  215. 三浦義男

    ○衆議院法制局参事(三浦義男君) 阿部さんのおっしゃいますことはよくわかりますが、私として申し上げられますことは、要するに法律上は、要請があってもそれに従わない場合もあり得るということだけでございまして、それ以上のことにつきまして、そういう方式をとったことが適当であるかどうか、こういうことは委員会によっておきめになることでございまするので、私からちょっと申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  216. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 委員会でおきめになることだと言ってうまく逃げましたが、あなたは、今まで十数回の委員会あるいは合同審査で、佐々木さんのふところ刀として答弁して、今度いよいよ怪しくなったものだから、それは委員会できめることですと言う。それは確かに委員会できめることですが、しかし、あなたはこの企画立案に参加したのでしょう。
  217. 三浦義男

    ○衆議院法制局参事(三浦義男君) 参加いたしております。
  218. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、あなたはこれは一切がっさい知っておられるわけですね。従って、一切がっさい知っておられるのだから、わからないはずがないのです。ただ、法的にいえば、それは委員会なり、最終的には本会議できめることですから、あなたのおっしゃる通りですよ。しかし、あなたは今まで佐々木提案者をある場合には押しのけてまで答弁しておった。それなら何で委員会できめることですからと言ってあなたは答弁したのですか。あまり言いますと、これは佐々木さんから、こじつけだとおしかりをこうむると困りますからやめますが、そうしますと、三浦さん、結局ある場合においては議長の要請を百パーセントいれることもあるし、ある場合においては議長の要請というものがゼロになって両院の議長の権威全く地に落ちるということもあり得るわけですな。
  219. 三浦義男

    ○衆議院法制局参事(三浦義男君) 法律的にはまさにその通りでございます。
  220. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうすると、われわれと違って、法律の大家である三浦さんが、法律的にはその通りでありますということになると、法律的に議長の要請がけ飛ばされても、議長は何ら策を講ずることができないというような法律を作るという法律家は、これはまことに穏当でないというような気もしますが、これはいかがでしょうか。
  221. 三浦義男

    ○衆議院法制局参事(三浦義男君) この法案の要綱が、大体そういうようなことで、そういう前提のもとにできておりますので、私としては何ともしょうがございません。
  222. 占部秀男

    占部秀男君 警視総監がお帰りになるので、簡単に一つお伺いしておきます。それは、従来から、都の公安条例ができて以来というものは、都内の示威運動といいますか、デモ行進、こういうものについては国会周辺をほとんど許可してないわけですな。国会周辺をよけてデモがずうっと通っておる。これは、都の公安条例の中に、今度の法律のような地域指定というものがないわけですから、従って、そのつど、そのつど、警視総監なり公安委員会なりの考え方でそういうことがなされておる、かように思うのですが、そうでありますか。
  223. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 従来、国会周辺における集団示威運動等の件ですが、その大部分の場合が、実は何万何千とかいう参加者が国会に対して集団的な陳情をされる、あるいは請願行動をされるというような場合でございまして、これは、その状況を従来見ておりますると、交通の妨害になったり、あるいは道路上における集会になったり、そういうような点がすでにございますので、そういうような方法では困る、もっと何か合法的に行ない得るようなやり方にしてもらえないかということで、いろいろお話をしておるわけです。そういうような関係で、今まで許可をしたということが近年においてはございません。
  224. 占部秀男

    占部秀男君 僕の言うのは、集団請願だとかそういうことじゃなくて、一般的なデモが、普通のデモが国会周辺をずうっと通っていないわけでね。組合の方としては、そこを通ろうとして許可を願っても、それは、そのときの判断というので、条件が変更されて、ここを通っていない。それは、やはり警視総監として、今まではそういうものを通すことが国会周辺のいわば静穏——直接には関係ないけれども、そういうようなところに関連があるからというので、この国会周辺道路をデモが通ることについては許可しない、こういうことになっておるわけでしょう。
  225. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) デモ等の取り扱いにつきましては、主として私どもの方で考えておりますることは、交通上相当妨害になるのじゃないかというような点、それから、ここらでありますと、主要な官公庁が多うございます。そういうような面の妨害になりゃしないかというような点を主として考え措置をいたしておるわけであります。
  226. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、今度のこの法律案がかりに通ったといたしますと、今度はこの法律案の中で国会周辺道路というものが明確に指定されるわけです。そこで、この逆に、この法律案を読んで言うならば、「国会議員登院国会審議権の公正な行使確保し、」というのですから、それが確保できるような示威運動、あるいは普通のデモ行進、こういうものは当然ここを通すということを許すべきである、逆にいえば、こういうふうに言えると思うのですが、総監いかがですか。
  227. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) ただいま申し上げましたように、交通上の問題、あるいは主要官公庁等に対する関係、並びにこの法案が成立しました暁におきましては、そのデモが平穏に、あるいはこういうような心配なしに秩序立って行なわれるというようなことになれば、そういう際には、ただいまの交通の問題、主要官公庁の問題等、いろいろあわせまして、総合的に判断して取り扱っていきたい、かように考えております。
  228. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、交通の問題と、それから国会周辺静穏というのですが、そういう基準は、どういうところに基準を置いて考えているんですか。もし、きょう言えなければこの次でけっこうです。一ぺん総監からそういう場合の基準を明確に聞きたい。これは将来の国会のデモの問題ですから、もし、きょうじゃなかったら、この次でけっこうです。
  229. 小倉謙

    説明員(小倉謙君) 具体的には、要するに、そのデモが行なわれる場所、あるいは時間、その方法等によりまして、交通が相当混乱する、こういうようなことが考えられるような場合、あるいは官公庁等の事務が相当阻害されるというような場合、まあ抽象的なようでございますけれども、これは、個々のそのデモ等が行なわれる具体的な場所、方法、時間等に関してでなければ、ちょっとお答え申し上げかねると思います。    〔椿繁夫君「議事進行」と述ぶ〕
  230. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 椿君。
  231. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 私は、今ちょっと見まして、警察庁の江口警備局長がおいでになっていることを今初めて知ったのですが、次回に警備局長と警察庁長官、国家公安委員長がおいで願えますか。おいで願えれば、きょうは質問を留保したいと思います。いかがですか。
  232. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 質問して下さい。
  233. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 おいで願えますか。先ほどの委員長のお話の通り、まだ今、米田委員質問中であって、関連々々と花が咲いて、ちょっと横道にそれておるものですから、まだ続行中ですからね、それで私は、次回に公安委員長と警察庁長官のおいでを願えますかということを、ちょっと江口さんからお聞きしたい。
  234. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 委員長から椿君に申し上げますが、大体の話し合いでは、きょう大体質問を終わる、こういうことになっていますから、従って、警備局長なり何なりへの御質問があれば、一つこれからその手配をして出席を求めてやりますから。
  235. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 どこでそういう話がついているのですか。これは私は今聞くのが初めてなんで、まだこれから何回も機会があるものと、こう思って今お尋ねをしたのですが、そうすると、あなたが先ほど言われたように、今は米田委員質問中なんですよ。今度は横に入ってもいいのですか。
  236. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) いや、あなたの質問は、米田君の質問が継続中であれば、これは米田君のあと一つお願いします。
  237. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 そうですが。それじゃ重ねてお願いをしておきますが、前回にも私は長期欠席者の資料を催促したのですが、審議が済んでからは要らぬのです。審議の参考にしたいので、資料提出をお願いしたのですが、いまだにいただいていない。それがまだいただけないのに、きょうじゅうで質問を打ち切ることになっているというのは……。要求しております資料は何時ごろに出してもらえますか。
  238. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 私からお答えしますが、椿委員要求資料等につきましては、それぞれ衆議院並びに参議院の事務当局にお願いをいたしまして、速急に出すように頼んであります。ただ、事の性質上、かりに本会議に出席せられなくとも委員会出席せられた場合もあり、またその個人々々の議員のこれは重大なる関係等もございますので、きわめて慎重に今調査している、こういう中間的報告がございました。なお審議に間に合うように極力督促をいたします。(「きょうは十二時までやるから」と呼ぶ者あり)
  239. 米田勲

    米田勲君 十二時までやっていいのですか、ほんとうに。不規則発言でしょう。——それでは五条の一項の方に入らしていただきます。都の公安委員会が「自らその職権を行使する」というのは、公安条例の定めるところによって、その権限の許される範囲において、集団示威運動等について許可をする。許可をしない、条件を付して許可をする等の職権行使をするわけです。ところが、「ほか、」云々とあるので、両院議長の要請があったときには「必要な措置を講ずる」ということになっておる。この「必要な措置」というのは、今までの質疑応答では、提案者答弁は、許可の取り消し、条件の変更の範囲内における「必要な措置」であるということを説明されておられましたが、その点についてお伺いをします。「必要な措置」というのと、「由らその職権の行使」とは同義語と考えてよいのかどうか。今までの答弁から見て同義語のように考えられるのですが、これはいかがですか。
  240. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 五条の一項に関しましては、同義語という言葉がまあ適当な表現かどうか知りませんが、この「自らその職権を行使する」ということと、「必要な措置を講ずるようにしなければならない。」というところの「必要な措置」というものは、みずからの職権によって講ぜられるという意味でありまするから、まあ同義語といえば同義語というようなことにも解釈できるかと思います。
  241. 米田勲

    米田勲君 提案者、そんなものは答弁にならぬでしょう。あんたはっきり言って下さいよ。同義語であるのかないのか。まことに法律案審議している答弁としてはあいまいですよ。どっちにでも解釈できるようなそういうあいまいなことで答弁されたのでは、何べんでも同じことをお聞きしなけりゃならなくなる。時間だけかかるですよ。はっきりして下さい。
  242. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは公安条例の第三条第三項についてのことでありまするから、まあ「自らその職権を行使する」ということの方が、少しまあ、ほかのこともあるわけでありまするから、広いかと思います。しかし、原則として二つのものは同一のことだと思います。
  243. 米田勲

    米田勲君 ほかのこともあるなんという話をしていますが、これは集団示威運動という申請が行なわれたら、この申請に対して、公安条例に対応させて許可をする、あるいは許可をしない、条件をつけて許可をすると、こういう措置をするのでしょう。そうでしょう。これがここにいう「自らその職権を行使する」ことなんですよ。そのほかにもあるなんということを言われたが、何があるのか。また化けものでも出てきやしないかと——言い方がみんなあいまいなんだな。そのほかのものもあるんですか、これは一体。
  244. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) いずれも同一の内容であります。
  245. 米田勲

    米田勲君 それならそれのように答えてほしいのです。同一の内容であるというのは、許可をするとかしないとか、条件をつけて許可をするとかという、そういう言葉の上では同じだと言っておるのかどうかということが問題なんですよ、今のあなたの答弁は。私は同義語でないと思って聞いているのです。同じなんですか、それでも。私は同じでないと思って聞いているのですよ。それは許可をするとかしないとか、条件をつけて許可をすると、そのこと自体は同じ言葉かもしらぬ。同義語じゃないのですよ。
  246. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私が先ほど申し上げましたのは、たとえば道路交通法というようなことにつきましても公安委員会が取り扱っておるようなわけでありまするから、従って、まあその公安委員会は、公安条例第三条に基づく許可の取り消し、条件の変更以外にも、早い話が、道路交通取締法というようなことも、そういう職権を持っておるわけでありまするから、従って、やや広いと思いましたが、ここで申しますることの内容と同一のものだと申し上げておるのであります。
  247. 米田勲

    米田勲君 これは今までそういう答弁をしておられたので特にお聞きをしたのですが、この場合の、議長要請を受けたときの「必要な措置」というのは、都の公安委員会が公安条例に基づく職権で許可をする。これに対応する要請に対する「必要な措置」というのは、これは許可をしない、許可の取り消し、それからこの公安委員会の側の条件付で許可をする、これに対して、条件を追加する、条件を変更するということなんです。まあ許可をしないといえばこれはまあ問題です。従って、「必要な措置」というものは、この場合同じものではない。職権を行使する、行使された職権とは集団示威運動の場合。だから私は、集団示威運動等に対して、それが著しく影響を与えるおそれがあるとして、まだその事実が発生もしないのに、きわめて不確実なものであると言わなければならぬような推測で認定し、そうして申請されたのに対して、常に公安条例の規則の、規制されたもののワクを越えて規制が強められる、禁止されるというような方向に向かうものであります。大体これはいろいろな形であなたは表現をしておりますが、禁止しようというのが最終的なねらいなんです。第五条に至ってきてそれがだんだん露骨になってきておる。こういうことは、表現の自由に対する不当な圧迫がこの辺の条文にもあるというふうに指摘をされます。特に第五条の二項に至っては、かつて一昨年警職法の改正案が出されて、日本国中の識者が、警察権が不当に拡大をして、国民権利に対して脅威を与えるというので、激しい抵抗と反対があった。あなた方の党もむやみにこれを押し切ることができなくて廃案になった。そのことを公聴会の公述人も言っておりましたが、あの警職法以上に権限を与えようとしておる。きつくしぼっておる条件をばらして、きわめてのんびりした条件の中で警告、制止を発動させようとしておる。本法の中では最大のこれは悪い条文の入ったところであります。おそらくこの条文は、公務執行妨害等で裁判が起こったら、私は、必ずこの法律憲法違反であるということが、最高裁でやがて判決を受ける時期がくるということの確信を持っています。しかし、この第五条についての論争は、あなたの答弁を聞いても、おそらく、そうではありません、そうは考えませんというふうにおっしゃるだろうから、このこと等については、もうここで繰り返す質問は省きます。他の方から質問があればそれは別ですが……。従って第六条に私は移らしていただきたい。  第六条で、「請願、陳情その他の名義をもってする集団示威運動等も含む」云々というようにされているところがある。いっか一回問題になったことがあると思いますが、これは私、理解できないのです。請願、陳情が示威を伴っておるという一方的なきめつけ方で、これを規制し、抑圧しようとしておる第六条は、露骨に国民請願権に対してこれを侵害しようとしておる条文であります。その点から言ってまこに不法な第六条であります。請願や陳情は、佐々木さんも御存じではあろうと思うけれども、言葉の上では、被支配者が支配者に対して、支配権力者の前に土下座をして哀訴嘆願することではないのであります。請願ということは、ともすると、権力者の前に被支配者が土下座して哀訴嘆願することであるかのように錯覚を起こしているところに、この請願の問題の扱い方がとんでもない方向に流れていくわけなんです。これは、主権者である国民が、国会に対して、個人または集団で、自分たち国政に対する不平、不満、願望を訴えて、これを明らかにして、そうしてその解決を要求する行為請願行為であります。だから、どうでもいいんです。哀訴嘆願しているのではないのだから、あなたに気があったらお願いしますなどという、そういうことではないのだから、当然これは、熱意を持ってくればくるほど、そこに示威的な傾向を持つことは、むしろ請願に価当然つきものであります。それを、示威的な傾向を持つ請願、陳情は不穏な行動である、平穏でない請願は許されないと、こういうように提案者は今まで答弁をして通してきている。ところが、憲法にいう平穏な請願という「平穏」という言葉、それから、参議院規則等にある平穏な提出の仕方、平穏な内容、用語でなければならぬというふうに書かれてある「平穏」は、もっぱら音響的な事象、音に関係して使われておる「静穏」ということと同一概念ではないということを、あなたは理解しておられるかどうか。静穏と、この憲法に使われておる平穏ということを同一概念だと考えておられるところに、第六条が持ち出されてくるということを私は考えるわけです。その点について提案者にお聞きをして、あなたの忍識をただしたいわけです。あなたは同じようにこの概念を理解されておられるのではないか、こう思いますが、いかがですか。
  248. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) まあ平穏ということと静穏ということは、あなたの今おっしゃいまするように、静穏というものは何かその音響に関係のあるようなお話でありまするが、そういう場合もあろうかと思いまするが、私たちは、この静穏という概念と平穏という概念は、大体において同じ概念の中に入るものだと思っております。
  249. 米田勲

    米田勲君 そういう同一概念として把握をしているところにいろいろな問題が発生してきているのです。憲法に言うところの平穏な請願の「平穏」ということは、これは私、ここで少しくあなたに話をして、あなたの御答弁を聞かなければならぬので申し上げますが、これは抵抗権あるいは革命的抵抗権と相対立している概念なんです、この平穏という言葉は。抵抗権は、中世の封建的な国家権力に対して、キリスト教教会の対立抗争の歴史の中に成立してきているものでありまして、その抵抗権の本質は、憲法秩序を否認し、これに反対をし、憲法のもとに組み立てられている一切の政治機構を否定し、これを破壊する意図を持ち、実定法上の義務を守ることを拒否する権利として、基本的人権を戦い取る過程において、自然法理上これが認められてきたのであります、この抵抗権ということは。これに対して請願権の方は、その根拠とする憲法のもとに成立したものでありまして、その本質は、憲法秩序の中で作られた国家の各級機関を容認するということをまず前提にしております。国家機関に自己の主張を述べる権利を言うのでありまして、本質的には抵抗権と相対立した概念なのであります。そういう抵抗権と相対立した概念のもとに、それを表わす言葉として平穏という言葉が使われておるのであります。私は、これをもっと詳しくお話すると、あいつは時間引き延ばしじゃないかと言われるので、非常にかいつまんで今、端的に申し上げましたが、そういう概念であって、静穏という概念とは全く違うのです。静穏というのは、あなたのお考えになっているように、これは穏やかであるとか、静かであるとか、もっぱらまあ現象的な、音響的なものを静穏と言っているわけなんです。憲法に言う平穏は、そういう静かだとか、穏やかだとかということではなしに、まあ穏やかということになると多少ひっかかりが出てきますが、静かだということではないのです。だから最近行なわれている請願が、あなた方に言わせると、どうも威力を張っておる、静かでない、歌を歌ったりする、あれは平穏な請願でないと、こう言っていますが、これは間違いであります。それは明らかにその概念が間違っている。だから、少しでも威力を示す示威的な傾向がある請願というのは、すべてこれは憲法に許された請願ではないのだときめつけてしまっておる。提案者は一体、私のこの主張を否定するかどうか、お伺いをいたします。
  250. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 御意見を承りまして、裨益するところきわめて多かったわけでありますが、私は何も、プラカードを持って行進をすること、ないし集団の力によってデモンストレーションをすることが、それが違法であるとは毛頭考えておりません。それは明らかに表現の自由によって国民に与えられた基本的な権利であると考えております。そこで、憲法で申しまする平穏に請願することの権利を認められたのは、そのことが特に公の秩序を乱したり、あるいは社会公共の福祉に反するというようなことのない平穏、ということは、請願をするには請願をする規則や手続等があるわけでありまするから、その規則や手続等に従って合法的に行なわれるものなれば、旗を持とうとプラカードを持とうと、何万人が行進しようと、そのことは私は何ら違法なものであるという考え方は毛頭持っていないわけであります。ただ、しかしながら、それがそういうふうに規則や手続や法律、そういうものに違反して行なわれるような請願というものは平穏な請願として認められない。請願をするからには、それらの手続や法令等に基づいて合法的に行なわれるべきものである、かように考えております。
  251. 米田勲

    米田勲君 あなたは、きょうそういうことを言うであろうと思って、ずっと前に私は詳細に聞いた。請願というのは、あなたの言うように、なるほど手続をとったところから、この前の話も請願とはっきり確認ができるわけです。ところが、一体、家から出てみんなが国会請願をしようとしてやってくる。あなたに言わせると、人数の多少が請願行動の合法か非合法かを分けるそういう根拠にはならないと前におっしゃいましたね。どうですか、言いましたでしょう。そうすると、その辺まで請願に来たのに、人数が多いからといってああいうところで阻止するのは、違法行為だと思いませんか。それから、代表が出て手続を今とろうとしておる、それなのに、ずっと向こうの方で警察隊が出て請願に来た者をみな阻止してしまう、これは違法行為でないですか、あなたの今の説明から言うと。
  252. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) それは警察官が、ときによってそういう行為を制止するようなことがあったかと思いまするが、それは道路交通取締法であるとか、あるいはその他の法令に基づいてとった措置であろうと考えます。具体的には、やはりこの請願というものは文書によって提出をするものでありまするから、その文書提出措置をとったということから請願ということが始まってくるのじゃなかろうか、法律的にどこが限界かと言えば、その辺のあたりからではなかろうかとも思っております。
  253. 米田勲

    米田勲君 だから、十日のこの間の請願はあそこで阻止をされました。警視庁が妙なことを、阻止をしたから。しかし、あのときには、みんなの持ってきた請願書を取りまとめて少数の代表者が議長に請願をしているわけです。事がなくおさまっているわけです。あなたの思想からすると、示威を伴っているような請願行動であれば一切集団示威運動だ、規制をする対象だ、こういうふうにしているのは、みずからその集団示威運動は元来合法的なものなんだ、それはむやみに押えてはならぬものなんだと、あなた自身が言いながら、反面、こういう条文を持ち込んできて抑えつけようとしておる。特に私がこの条文で言いたいのは、直接的な暴力行為が行なわれようというのであれば別ですよ。この請願にやってきたものが直接的に暴力行為をふるう、こういうのは問題はない。当然これは何とかしなければならぬ。そういう暴力行為が起こらない、またふるおうとしてもいない、そういう集団にもかかわらず、その集団が威力を示したといって、あなたの言葉をかりると、国会議員に有形無形の圧力を加える示威的なものだから、従って、議員登院国会審議権の公正な行使を妨げる不法行為だと言っておる。有形無形の圧力を議員に与えるものだ、こういう思想は一体どういうところから出てくるのですか。私は、集団になって来たり、その陳情者が暴力をふるったとか、何かこわしたとか、そういう不法行為を働くのであれば、これは請願だといったって問題ではない、そういうことをやり始めるのだったら。しかし、大ぜいいるから、大ぜいいれば、当然これは、あなた方ずらっと並んでおると、われわれに威力を与えていますよ。まあ、これは冗談だが、たくさん集まっていれば威力を有形無形に議員に与えるのだという考え方であれば、不穏な請願だ、静穏請願でないというきめつけ方を提案者はするのでしょう、どうですか。だから、この第六条が起こってきたのじゃないですか。あなたがこう書いているなら別なんです。請願、陳情その他の名義をもってしても、暴力的なものや非合法の行為のあるものについては云々とうたうなら、また別ですよ。そういう不法行為をするものについては、何ぼ請願に来たのだと言っても問題ではない。しかし、ここの場合は、あなたが「名義をもってする」と押しつけたのは、大ぜいだからおそらく押しつけたのだ。違いますか。その点はどうですか。
  254. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 第六条の規定は、「集団示威運動」という言葉の中には、本法屋外集会集団行進または集団示威運動等を含んでおるわけでありまするが、その中には、請願や陳情やその他のいかなる名義をもってする集団示威運動も含まれておるということを規定したのでありまして、第六条から直ちにそれに対して警告や制止をする対象にするというわけではないのでありまして、ただ、それらの集団示威運動等が、第四条の一、二項によりまして、国会議員登院国会の公正な審議権を著しく侵すというような場合についてのみ第五条の適用が行なわれるわけでございます。あなたの御議論を承っておりますると、請願や陳情その他の名義をもってするものをことごとくこれは違法な行為である、こういうようにわれわれがきめつけて、そうして基本的な人権であるところの表現の自由などを規制するものである。こういうふうに飛躍して強調されておるようでありまするが、そういう意味ではないのでございます。
  255. 米田勲

    米田勲君 飛躍してといって、あなたは逆に僕をそう言って攻撃しておるが、あなたの主張がおかしい。ここで請願や陳情が暴力行為を伴っておるとか不法行為を伴っておるようなものは、何と名義をつけようが云々……あとは云々と言うなら別なんですよ。私は、請願や陳情にやって来たものまでも、名義をもってする集団示威運動というふうにきめつけて、そうして本法に言う集団示威運動の中にそれを一応入れる。請願や陳情を一応入れて、入れたからには、一条からずっときておる関連性からいったって、当然あなたは規制を加えるものの対象として考慮するのでしょう。そこが私はおかしいというのですよ。何のために請願や陳情に来る者まで、別に不法行為をし、暴力行為をするものでもないものまで、この場合おそらく人数がよけいだからという理由で、それを本法規制をしようとする対象になっておる集団示威運動の中に一括入れてしまっておることが、それが不当である、不法である、こう言っておるのですよ。なぜそういうものを、人数が多少多くなってきたからといって、すべてこれが名義をもってする集団示威運動も含むということになると、それは人数さえ多くなれば、全部そのワクの中に入れるのですよ。この場合は、なぜそれほどまでして大勢で来る請願、それを防がなければならぬのですか。それはあなたは六条で防ぐのではないと言っておりますよ。しかし、本法全体をごらんなさい。そんなことでは済まんですよ。なぜ集団示威運動のプールの中に、人数がよけい来たからといってぶち込もうとしておるのですか。それが問題なんですよ。特別にかくかくかくかくの行為を伴っておる陳情や請願というのなら、また別なんですよ。何度も言いますが、なぜそんなプールの中にこれをぶち込んだのですか。これは請願や陳情に対して圧迫を加えると言ったって、あなたは言い開きができないはずですよ、あたりまえに答弁しようとすれば……。どうですか。
  256. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 「屋外集会集団行進又は集団示威運動」というものの内容はどういうものかということであれば、これは、特定の目的をもって多人数が屋外一定の場所に集まるのが屋外集会だと思います。また、同様の目的をもって人間や車馬が行進をすることが集団行進だと思います。また同じような多数の人々が特定の共同目的をもって公衆に対して気勢を示す行為というものが集団示威運動であろうと考えます。従って、陳情という名前を使おうと、請願という名前を使おうと、あるいは安保反対という名前を使おうと、どういう名前を使おうと、いかなる名義をもってしても、今申しましたような屋外集会集団行進集団示威運動等の中に含まれるものは、すべてこの本法の中で「集団示威運動等」という言葉の中に含まれておるのだと、こういうことを規定しただけであって、第六条からは、繰り返し申しまするように、何ら第五条の適用も受けるものではございません。従って、それらの集団示威運動等が平穏に行なわれまする限りにおきましては、もとより本法の適用外のものであります。
  257. 米田勲

    米田勲君 提案者、今最後に言われた言葉はどこに書いてありますか。それはどこに書いてあるか。もとより平穏に行なわれる陳情や請願はその中に入らないと、どこに書いてあるのですか。書いてないでしょう。
  258. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そんなことは書いてなくても、きわめて明白な根本の原則であります。そういう根本の原則本法は何ら否定するものではないのであります。
  259. 米田勲

    米田勲君 あなたは、ここではっきりしてもらわなくては困る。あなたは数が多いからといって、そういうでたらめな答弁はやめて下さいよ。ここで何か暴力行為を伴う、あるいは不法行為を伴うような場合に、たとえそれが請願や陳情という名前をもってきてもこれはいかぬ、これは規制を加えるものと認めるぞというのなら、私は話はわかるというのですよ。しかし、この場合だったら、この集団示威運動等と陳情や請願には多少の差はあったって、その示威的な形は現われますよ。当然一生懸命になっているのだから、そのことを実現してもらいたいと思っているのだから、当然でしょう。提案者どうですか。多少の示威的なものは出てくるのは当然でしょう。それを人数がよけいであるからというので、請願や陳情だといってやってきても、全部今本法によって規制を加えようとする集団示威運動のプールの中にこれを一応全部入れてしまう。全部入れてしまう。平穏な請願や陳情は除くなんて書いてないんだ。ただし、ここには「集団示威運動等」というんだから、示威を伴って、しかも人数がよけいだ、こういうことはありますよ。しかし、暴力行為ということが伴っているとは、これはなっていないのだ。示威が伴い、人数がよけいな場合は、陳情、請願といえども、全部集団示威運動本法規制対象にしようとするワクの中に一度これを入れてしまう、それが問題だと言うんです。あなた方の作った法律案請願や陳情に対して不当な圧迫を加えようとしているのではないかということが、この条文から出てきている。
  260. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) だいぶ誤解があるようであります。それは第六条は、集団示威運動という定義の中に、たとえば請願や陳情やその他のいかなる名義をもってするものも包含するということを規定したにすぎないのでありまして、(「そこが問題だ」と呼ぶ者あり)しかしながら、本法によって規制の対象になりまするものは、第四条、第五条の中において明らかに要件が備わらなければなりません。すなわち、国会議員登院国政審議権の公正な行使に著しい影響があるという場合に限ってこの規制の対象となるわけでありますから、あなたのお説のように、この請願行為が人数が多数だからすぐさまこれを取り締まるのだというようなことは、本法のどこからも生まれてこないと思います。
  261. 米田勲

    米田勲君 どうも提案者は、理論的にものを考え答弁をしてくれないのだね。私の言っているのは、六条でそのままこれを規制なんということを言っていませんよ。集団示威運動等という一つの概念があるんです。それはとりもなおさず本法条文全体からきて一つ規制対象にしようとしている概念なんだ。そうでしょう。その概念の中に、この請願や陳情にやってくる者たちが示威的な傾向があったり人数が多い場合には、一応その集団示威運動等の概念の中に入れてしまって、あなたは都合よく、行使が著しく阻害されるという方を強調していますが、先ほど私が言ったように、阻害されるおそれがあるものまで言っているんですよ。規制条件は広がっているんですよ。そういうものまで、何のために請願や陳情をそういう概念の中に入れなければならぬのですか。ここのところに使われるからには、請願や陳情という名義をもってきているけれども、暴力行為や不法な行為なりを伴うものについてはこの規制の対象にするとか何とかいうなら、私は話がわかるのだ。しかし、初めから請願や陳情その他の名義をもってする集団示威運動というのは、これは非常に主観的でしょう、そのきめつけ方が。百人の者が来た、千人の者が来た、人数で何も不法だとか何とかいうことは区別できないのだと言っているのだ。しかし、そのたくさんの者が一生懸命になっていることを実現してほしいからには、どうしても相当これはやっきになってきますよ。いいです、あなたの御随意ですというのでないんですからね。そうしたら、多少これは、ぜひやってもらわなければならぬといってやってくるのだから、示威的な傾向は伴うのだ、その請願は。しかし、示威的な行動が伴ったからといって、即それが暴力的な行動だということにはならぬでしょう。不法行為だということにはならぬでしょう。その人数が多ければ、これは集団になりますが、それを全部規制しようとする概念のプールの中になぜそのまま入れようとするのか。条件付の請願や陳情じゃないのだ、この場合は。それが僕はわからないのだ。
  262. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 第六条の請願や陳情その他いかなる名前をもってしても、それが先刻申し上げました屋外集会集団行進集団示威運動等の範疇の中に含まれる場合におきましては、集団示威運動として取り扱うということを言うだけのことでありまして、そのことが直ちに規制の対象になるわけではございません。その規制の対象となりまする場合には、先刻申しましたように、国会審議権に著しい影響を与える場合だけでありまするから、従って、平穏に行なわれまする陳情や請願や、あるいはその他いかなる名義をもっていたしましても、それが集団行進であろうと屋外集会であろうと、それから集団示威運動でありましょうとも、合法的に、かつまたそれが平穏に行なわれまする限りにおいては、何らこれに対して規制を加えようという趣旨のものではございません。
  263. 米田勲

    米田勲君 それじゃ、この「請願、陳情その他の名義をもってする」と、なぜわざわざうたったのですか。
  264. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 最近の傾向を見ましても、屋外集会や、あるいは集団行進集団示威運動というものが、おおむね国会周辺におきましては、陳情や請願という名目で行なわれる場合が非常に多いわけであります。しかしながら、陳情や請願というような名目で行なわれたものであろうと、具体的に言うならば、この間の安保反対の統一行動というような名前でいきましょうとも、あるいはデモ規制反対というようなことで行なわれましょうとも、それは先ほど申しましたように集団示威運動というものの概念の中に入るということを申したわけであって、そのことがすぐ取り締まりの対象になるというわけのものではないのであります。
  265. 米田勲

    米田勲君 何としても私はあなたの答弁はわからないのです。最近の傾向を見れば非常に多いということを言っているが、何がそんなにありますか、何回あったのですか、最近の傾向というのは。非常にたくさんあると言うなら、相当頻発していなければならぬはずですよ。たった一ぺんや二へん行なわれたことについて、非常にそういう傾向を見ると頻発しているような話をされても、わけがわかりませんよ。私は不愉快なんだ、そんな答弁をされては。もっとまじめにこの条文を見てごらんなさい。請願や陳情をしに来る人たちの人数が多い、多少示威的な行動が伴っているからといって、今、本法規制しようとする集団示威運動のワクの中になぜ一応入れようとするのか、それを規制するとかしないとかという問題ではないのだ、私の言っているのは。そういうブールの中になぜ入れたかということです、請願や陳情に来る者を。これは、こうなっておれば別なんですよ。請願や陳情に名をかりて不法行為や暴力行為を伴い、議員登院を阻害したり、あるいは審議権の公正な行使を妨害するようなものは、請願や陳情と認めない、というようになっているのなら、まだ話はわかる。しかし、これはそうでないのだ。あなた方あきたろうけれども、よく見て下さいよ、自分らが今通そうとする法律案だから。これは請願や陳情ということでやって来た人たちが、人数が多少多い。そうして多少示威的である。そうして、多少暴力的だとはなっていないのだから……。ここには不法行為を行なうとはなっていない。それをなぜ集団示威運動の中に全部入れなければならないのか。それはとりもなおさず、請願や陳情に大ぜいでここへ来ることを阻止しようとする考え方から発している、正体は。そうでなければこんなものまで規制をしようとするプールの中に入れなくてもいいはずなんです。これを除く意思はありませんか。
  266. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 除く意思は毛頭ありませんし、また、私は現在でも、請願や陳情やその他いかなる名前を使いましょうと、先刻申しました集団示威運動等、つまり具体的に申しますと、屋外集会集団行進集団示威運動等の中に含まれるべきものは、やはりこれは公安委員会の許可の対象となっておるわけでありまして、本法によって特別に新しく請願陳情等を集団示威運動の中に含めたというものではないのでありまして、現にそういう取り扱いを私はいたしておるのではなかろうかと思っておるわけであります。
  267. 米田勲

    米田勲君 もうこの条文の論争は並行してきましたからやめて、次の方に移ります。
  268. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 第五条関連して……。あとでいいですか。
  269. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) いいです。
  270. 米田勲

    米田勲君 それでは、第七条に言う集団示威運動は、この条文表現から見ますと、両院議長から格別の要請があったものでもなく、通常の合法的な集団示威運動の場合と解釈されるのですが、提案者、その点はいかがですか。
  271. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 今の御質問を第七条の解釈に限っての御質問考えまして、その限りにおいて御答弁をいたしまするが、これは、合法なデモであろうと非合法なデモであろうと、議長の要請があろうとなかろうと、それには関係はございません。
  272. 米田勲

    米田勲君 それからもう一つは、この七条に言う集団示威運動、これは国会議員登院国会審議権の公正な行使が阻害されるような、そういう特定な集団示威運動でもないというふうに解釈されますが、いかがですか、そういう、特定していないと……。
  273. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そういう特定はございません。
  274. 米田勲

    米田勲君 今二つの質問で明らかになりましたが、議長が格別の要請をしたようなものでもない示威運動、しかも国会議員登院審議権の公正な行使が阻害されているという特定の集団示威運動でもないものに対して、「正当な理由がないのに」という、非常にばくたる、一般的抽象的な条件を設定して、構内に入った指揮者や率先して入った者を懲役または罰金に処するようになっておるわけです。いいですか。しかも今質問した二つのことから考えて、刑法の百三十条の住居侵入罪が、現在三年以下の懲役、二万五千円以下の罰金になっておるのに比べて、別に国会議員登院を妨害したんでもない、審議権行使を阻害したのでもない、議長から格別の要請があって何とかしてくれと言われたというものでもない、そういう集団示威運動の指揮者または率先して入って来た者に対しては、住居侵入罪よりもきわめて重い刑罰を科そうとしておる。これが私に言わせると、「何人も」ということになっていれば別なんです、「何人も」ということなら。ところが、何人もでなくて、「その集団示威運動の参加者で」と限定しておるわけです。しかもこの集団示威運動は、何回も言うように、別に国会議員登院を妨害している集団示威運動でない、そういう特定の集団示威運動でない、審議権を妨害しておるそういう特定の集団示威運動でない、議長からの格別の要請のあった示威運動でもない、そういう示威運動に参加をしておったという理由で、指揮者や率先して入ったという者に対して住居侵入罪よりもはるかに重いところの刑罰をもってこれに対処しようとするのは、一体何がゆえか。「何人も」というのなら話はわかるが、なぜこういうふうに特定をして住居侵入罪よりもはるかに重い刑罰をもって臨もうとしておるのか。私にはその真意がわからない。しかも、これは「五年以下の懲役又は五万円以下の罰金」ということになっておって、罰金と懲役の関係は、一年が一万円に相当するほかの刑罰から見て、非常にこれはバランスを失しておる。しかもこの行為の性質から見て、これを懲役だけにするというような考え方も、他の刑法上のいろいろな問題と比較対照してみて、禁固ということを用いなかったのも、私は穏当を欠いておる、バランスがとれていない、こういうふうに考えますが、総合的に私の今お尋ねをしたことについて、わかるように説明をして聞かして下さい。
  275. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 本法第七条は、他人を指揮し、または他人に率先して議事堂またはその構内に侵入した場合の処罰規定であります。刑法百三十条は御指摘のように建造物侵入罪がございます。その住居侵入罪が懲役三年以下または罰金二千五百円、今は五十円の五十倍でありまするが、こうなっておることに比較をいたしまして、「五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」ということにしたことは、決してバランスを失したものであるとは考えません。特に、現行刑法の百六条の多数暴行罪等におきましても、他人を指揮しまたは他人に率先した場合の懲役または禁固の刑がございまするが、そういう点から考えましても、この第七条の法定刑というものは、同条の保護法域が一般の住居とは異なっておりまして、特に平穏を必要とする国会議事堂の平穏であるということ、また他人を指揮したり助成したりした行為の地位等を考えまして、刑法百三十条よりも罪をいささか重くしたことは、必ずしもバランスを失したものとは考えていないわけであります。
  276. 米田勲

    米田勲君 繰り返しの質問で、時間がおそいのに恐縮なんですが、あなたは、先ほども言ったように、何人も正当な理由がないのに国会の構内に入ってきたという場合にはこうだというなら、これは私、またそういう考え方もあろうかと思うのです。これは罰則の規定がバランスがとれてないという主張は残っても、何人も正当な理由がなくしてこの構内に入ってきてはいかぬというなら、それはそれで筋が通ると思う。ところが集団示威運動に参加しておった者のみに限っておるのです。それも、侵入してきて国会議員登院をはばんだとか、暴力を加えたとか、審議に障害を与えたとかいう、そういうものを伴っているなら、これは刑罰は重くてもしようがないという考え方は筋が通る。しかしこの場合は、何度も言うように、そういう特定の集団示威運動でないのだ、議長も要請を出しておらない、この場合は、(後藤義隆君「そういう場合もある」と述ぶ)いや、そういう場合、この法律上は私の言うのは成り立つのだ、法律上はね。そういうのでもない。議長が要請もしてない。しかも、これは先ほども言ったように、本法の言っておる議員登院審議権の公正な行使を妨害しておらぬ。そういう集団示威運動であっても、それに参加しておった者が他人を指揮し、他人に率先して入ってきて何々をした場合にはとか、どういうことになった場合にはということなら、まだ私はわかるのですよ。入ってきたというそれだけの理由で、集団示威運動の参加者や指揮者が入ってきたというだけで、なぜこんな重い刑罰が必要なんだろう。あまりにもこれは集団示威運動に対して憎しみを持っているのではないか。何人も正当な理由がないのに構内に入ってきたら云々というふうに筋を通すか、または集団示威運動の参加者が他人を指揮し、他人に率先して入ってきて、国会議員登院を妨害したり、審議に対して障害を与えるようなことをなしたような場合には、かくかくの処罰をするということになっておるならば、私はそれで筋が通ると思う。しかし、これはあまりにも、集団示威運動の参加者なるがゆえに、指揮者なるがゆえに、入ってきたというだけで、住居侵入罪よりもはるかに重い刑罰をもって報いるというのは、いかにも集団示威運動を敵視し、不当な圧迫を加えようとしているのだというふうに理解されてもやむを得ないのではないか。あまりにも穏当を欠いているのではないかと、こういうふうに思うのだが、もう一ぺん聞きたい、その考えを。
  277. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先ほど申し上げましたように、現行刑法の中にも多数の暴行罪というのがありまするが、これにおきましても、「他人ヲ指揮シ又ハ他人ニ率先シテ勢ヲ助ケタル者ハ」という特別の重い刑が規定をされておるわけであります。ここで申します指揮をするというのは、デモ行進を指揮したというわけじゃなくて、国会へ乱入するということを指揮したわけなんで、また、国会の構内へ乱入することを他人に率先して入ってきたというものであります。でありまするから、さような考え方から、これは実質的には集団の力を利用して侵入するということでありまするから、ほかの場合よりも罪を重くするということは、決してバランスを失したものであるとは考えません。
  278. 米田勲

    米田勲君 まあ提案者相手の論争ですから、チャランポランにされるのはやむを得ないかと思うが、集団で暴力行為を働いたというような特定の場合は、話はまた別ですよ、あなた。入ってきただけなんですよ。入ってきただけでやられるんですよ。そうでしょう、提案者。入ってきて乱暴をしたらなんて書いてない。「侵入したものは、」と書いてある。ただ入ってきただけなんですよ。その入ってきた人間が、入ってくる以前に、「集団示威運動の参加者で」と書いてある。特定しているんです。集団示威運動の参加者で、それ以外のものじゃない。わざわざこういう特定をして、入ってきて乱暴も働かない、何んにもしないとも言える、入ってきただけだから。そういう入ってきただけで、しかも、集団示威運動の参加者であったというだけで、人より先に入ってきたといってこういう刑罰をもって報いるというのは、これはあなた大体考えが違っておらんか、あなたの頭は。集団暴力なんという例には当たらんですよ、これは。入ってきて何をしたというんですか。入ってきてこうこうこういうことをしたならというのならわかるけれども、入ってきて何にもしない。入ってきたというだけなんだ。
  279. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) あなたと私とはだいぶん考え方は違うようでありまするが、私たちは、入ってくること自体が不法だと思っておる。刑法の建造物侵入罪というものは、入ってきて何をしたかということと関係ない。入ること自体が刑罰に値するのですから。従って、国会の構内へ正当な理由なくということは、門を閉ざしておるのを飛び越えて入ってくるとか、衛視が制止するのを、それを聞かないで入ってくるということは、これはまさに違法なことなんであります。そのようなことをやった場合におきまして、しかもそれの陣頭に立って率先してこれをやったというものを、他の一般刑法の建造物侵入罪よりも罪を重くするということ、これは国会というものの特殊性等から考えましても、私はこのくらいがちようど適当な刑罰規定ではなかろうかと思っております。
  280. 米田勲

    米田勲君 説明をされるときには、門を飛び越えてとか、衛視がとめるのもきかないでという説明を使うのですよ。しかし、この法律は「正当な理由がないのに、」だけしかない。なぜあなたの言うようなことをここに書かないのですか。ここの法律には「正当な理由がないのに、」というばくたることにしておる。そうして説明するときには、特定の、門を飛び越えて入ってくるとか、衛視がとめるのもきかないで入ってくるという、そういう条件説明されても、この法律は違うのだよ。そこが法律の論争では私は大事だと思うのだよ。あなたの言うような条件が書いてあれば、私はまた別な考えになるかもしれない。ところがこれは「正当な理由がないのに、」というだけであって、これは単に説明してもはっきりしないのですよ、正当な理由があるかないかということは。正当な理由があるかないかなんという話は、全く水かけ論争になるようなばくたるものなんだ。そういう理由だけを書かれておいて、そうして集団示威運動の参加者なるがゆえに、飛び越えて入った場合とか、あるいは衛視を突きのけて入ったとか、条件を特定してあれば別ですよ。そういう条件を特定してないのに、入ったというだけでこの罪は成り立つのですよ。入ったということが論証されれば、へいを乗り越えて入ったと書いてないので、そういう事実はなくてもいい。入ればいい。この法律に対する罰則の裏づけはできるのだ、入ったという事実があれば。そこが問題なんだ。それをなぜ住居侵入罪程度のものにしないかと言うのですよ。それで事は足りるじゃないか。
  281. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 住居侵入罪をお読みになったと思いますが、これもまた正当の理由がないのにと書いてある。
  282. 米田勲

    米田勲君 だから同じにしたらどうか。
  283. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 同じにしたら……。この場合、国会は国権の最高機関であるということにもかんがみまして、これは一般の個人の住居の場合とは違って、国会の権威を保持するというような立場からも、それよりもやや罪を重くするということは、別にさほど不当なことではないと思います。しかもこれは他人を指揮し、率先をするのでありますから、先ほど申しましたように、刑法の多数暴行罪においても「率先シテ勢ヲ助ケタル者」というのは、特別に罪を重くすることになっているのであります。従って本法第七条におきましても、陣頭に立って率先して指揮するというような者は、現行の刑法の規定よりもやや重くするということは当然のことではなかろうかと思います。
  284. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 なくなった刑法の百三十一条に皇居侵入罪というのがある、ちょうど刑罰が同じなんです。皇居侵入罪……。国会は国権の最高の機関であるということで、普通の住居侵入の罪よりも重くするという理由は、ちょうどこれは刑法の皇居侵入罪の思想に通じているのじゃなかろうか。これは今はなくなっているのですよ。それをちょうど復活している、たまたま罪が……。そういう前時代的な特権意識が、こういう刑罰を定めさせているのじゃないかという気がするが、それはどうなんですか。
  285. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そういうような皇居侵入罪を復活するというな、ないしそういうような考え方に立ってやったのじゃありません。ただ、一般の住居侵入罪におきましても、単に、これは率先をしない場合でも、正当な理由がないのに「人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅、建造物若クハ艦船ニ侵入シ又ハ要求ヲ受ケテ其場所ヨリ退去セサル者」、これに対しましては三年以下の懲役になっているわけです。今度の場合におきましては、それのみか、国会の構内におきまして、率先をし、陣頭指揮して、そうしてそういう違法な行為を起こさせた者に対しまして、五年以下の懲役にするわけでありますから、これは私は決してアンバランスの規定であるとは考えません。
  286. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 あなたの説明では、どうも私は納得がいかぬ。で、この「集団示威運動等」、いつかこれは問題になりましたが、「等」といいますと、公安条例では、遠足、運動会、国会の見学、葬式、お祭り、こういうふうなものを条例ではちゃんと除外しているのですが、法律形式から言いますと、そういうものは当てはまらぬのだということを、あなたは言われるだろうと思います。言われますけれども、こういう条文の体裁では、これだけを見ますと、そういうものも入ることになる。条例でさえ、都の公安条例でさえ、これは除外規定を持っている。そういう除外規定を持たないで、「集団示威運動等が行われる場合において、」、こういう法律形式というものはどうですかね。私はあなたの説明を聞くまでもない、明らかにそれは別ですということを言われるのだ、言われるなら、これは明らかに書く必要があるのじゃないかということをお尋ねしたい。
  287. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) それは第七条の「正当な理由がないのに」、という規定がありまするから、ここでやはり除かれると思います。
  288. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 何ですって、正当な理由がないということで、お祭りや、遠足や、見学などは入らないということに読めますか、これが。法律的に読めますか。
  289. 三浦義男

    ○衆議院法制局参事(三浦義男君) まず七条の関係について申し上げますれば、ただいま提案者からお話のございましたように、そういう遠足とか、あるいは修学旅行とか、見学とかいうような目的で入ってこられます場合におきましては、これでもう一定の手続を経て構内に入る、こういうことに現在、の国会法規等でなっておりますので、少なくとも七条に関する限りにおきましては、すべて「正当な理由がないのに、」というのは当たりませんので、常に「正当な理由」、この中で除外されることになっておると思います。ただ、もう一つ問題はこういう点にあるのじゃないかと思います。それは現在の四条でございまするが、四条におきまして、集団示威運動等の定義をいたしておりますが、その場合における集団示威運動は、御指摘通り屋外集会集団行進、それから集団示威運動、こういうことになりまするが、その場合に、都の公安条例みたいな除外例をなぜ置かないかというようなお話になるのじゃないかと思います。それは、この四条におきまして、特にそういう限定をいたしませんのは、要するに四条の一項、二項を通じまして、一項におきましては、そういうものは公安条例の許可の取り消しとか、条件の変更、こういう事項には該当いたしませんので、たとい遠足等が集団示威運動等に入っておりましても、公安条例に基づく許可の取り消しとか何とかは、四条の一項で行なわないことになりますから、実際はそれを制限することにならないだろうと思います。ただ問題は、四条の二項におきまして一応は形式的には入ることになるだろうと思います。しかしながら、結果におきまして、ここに先ほどから申し上げておられまするように、三つの条件と申しまするか、そういう四条二項でも、両院議長とか、阻害されるおそれがあるのが著しい状態であるとか、あるいは集団示威運動等周辺道路に行なわれるというような、限定された場合に限られますので、そういう意味におきまして、結果においては、そういうものが四条二項の要請を受ける対象になるというようなことはないだろうと考えます。
  290. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 これは参議院の法制局長、今の三浦さんの御答弁は、そういう答弁をされるだろうと私はちゃんと思っているのです。思って予定して、なお法律形式としてこういうことでよろしいかと、こう言うのです。斎藤法制局長、どうお考えになりますか。私は、やっぱり条例で除外しておるようなものは、法律でありますから、なおさら厳格に除格すべきものはする、この立場を明らかにする必要があると思うのです。それから、議長の要請のあるなしにかかわらず、この七条、八条では、理由がなくして入ってきたもの——理由がなくして入ってくるものはない。正当な理由がみなあって入ってくるのです。そういうことが一体これは許されるでしょうか。  この二点について、参議院法制局長の、法律家としての意見を求めたいと思います。
  291. 斎藤朔郎

    ○法制局長(斎藤朔郎君) ただいまの七条の問題でございますが、まあ七条の文言を読みますと、「国会議事堂周辺道路において集団示威運動等が行われる場合において、」とございまして、集団示威運動というものについて何らの限定がない。結局、これは四条屋外集会集団行進集団示威運動、それのどれかに当たるものであれば、集団示威運動ということになるのですから、東京都その他の公安条例で除外例を設けておりますような冠婚葬祭とか、学生の修学旅行のようなものとか、そういうものも、文理上はこの集団示威運動等というものに含まれるのじゃないか。そういうものが周辺道路で行なわれておる場合において、正当な理由がないのに、入ってならない場合、多くの場合は許可を受けずに、ほしいままに入る。さっき三浦次長の言われましたように、見学をするというので許可を受けて国会の構内に入っておる、そういう場合じゃなくて、学生の行列が道路で行なわれて、それは別に国会の見学をするために行なわれておるわけじゃないので、何らかの他の目的で行なわれておった、そういう集団示威運動の参加者等で、他人を指揮し、または他人に率先して議事堂構内に入ってきた場合に、七条の適用があるかないか、こういう問題であろうと思うのであります。文句としてそういうようなものが入らないというようには、これは読めないんじゃないかと私は思います。集団示威運動等というものに限定がなくて、それが行なわれて、その機会に、正当の理由がないのに、すなわち入ることを許されておらないのに、その集団示威運動の参加者等で他人を指揮し、又は他人に率先して構内に入った者は「五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」という文言でございますから、条文自体、そういう場合にあった場合に——場合があるかないかは、これは実際問題でございますから、そういう場合がないということも言えるかもしれませんが、かりにあった場合に、それが入らないというようには私はちょっと言えないのじゃないかと思いますが、ただ、それが入った場合に不当じゃないか。——不当かどうかということは、侵入された場所、客体が、普通の住居、邸宅ではない、国会の構内であるという、非常に特殊な地位を持った場所であるということ、それから住居侵入その他の場合、いかなる犯罪におきましても、他人を指揮し、または他人に率先して犯罪行為等をやるというようなものにつきましては、これは情が重いとして過重される。こういうことも例があるわけでございますから、侵入した先が特殊な場所である、それから侵入の形態が普通の侵入行為でなくて、他人を指揮し、または他人に率先するという情の重い侵入のやり方であるということで、こういう過重規定を特に設けることがいいか悪いかということは、これは立法政策の問題だと思います。こういう規定を設けてやれない——法律上できないことかどうかということでありますれば、それはやれないことではないので、それは、そういう罰則を設ける必要があるか、またはそういう罰則を設けることが妥当かという立法政策によってきめるべき問題だと私は考えます。条文の解釈上は、それは、そういう異例な実例を考えて、かりにそういうものがあるとすれば、入らないというようには私は言えないと思います。
  292. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 もう一ぺんはっきりとお尋ねしますが、この「他人を指揮し、」「率先し」というのは、学校の先生などだったら指揮し、率先して入ってくる。この条文の中で、都の公安条例一条ですか二条ですかで除いておりますような、かくかくかくかくというものを除くということがこの条文で読めますかというのです。それを聞いておる。
  293. 斎藤朔郎

    ○法制局長(斎藤朔郎君) さっき私が申しましたところで当然おわかりになっておることと思いましたが、それは入ると申しております。
  294. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 入るということは、読めないということですね。
  295. 斎藤朔郎

    ○法制局長(斎藤朔郎君) 条文は入っておるというように読まざるを得ないというふうに申しました。
  296. 米田勲

    米田勲君 第七条のことについて、提案者も三浦さんも、先ほどの説明を取り消す意思はありませんか、椿さんの質問に対して。ああいう説明を修正する意思は二人ともありませんか。
  297. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私も、この形式上は今参議院の法制局長のおっしゃった通りであります。そのことと私は別に違ったことを今まで言ってきておるわけじゃございません。しかし実際問題としては……。法律上の話から形式論を言うならばその通りであります。
  298. 三浦義男

    ○衆議院法制局参事(三浦義男君) 私も先ほど申し上げましたが、形式上は集団示威運動等の中に、先ほど御指摘になりましたような行為は入ると、こう考えております。
  299. 米田勲

    米田勲君 まあ先ほどどう言ったかは、速記録を読まないとはっきりしないが、先ほどはどうもそうでないようなふうに説明をされたようです。
  300. 三浦義男

    ○衆議院法制局参事(三浦義男君) いや、そんなことはないと思います。
  301. 米田勲

    米田勲君 そんなことはないと言ったって、こっちは聞いていて、あなたの政治的な発言では納得していないのだから……。とにかく、これを何度論争しても、これは提案者のような答弁であれば前進しない。そして法案に不備があっても直そうとされないのです。あなた方は、みずからそういう不備があるならこの際自主的に直そうという腹でもあるなら、私はもう少し話をしてもいいのだが、あなた方は、出したものはどんな不備でもとにかく数をもってこのまま通したいという、そういう人と論争するのだから、どうも勝手が悪い。(笑声)ここは良識の府ではだんだんなくなってきていますよ。良識の府なら、先ほどからも明確になっているそういうものは除くとしなければならぬ。これは法文には全く不備になっている。まあそのままでいかれようとするのであれば次に進みます。  第八条は、これも第七条の場合と同じように、この集団示威運動等は、まず議長の要請があるような特定したものではないわけだ。それからこの示威運動は議院の審議権の公正な行使を阻害するようなものではない。ここに「国会議員登院を妨げた者は、」というふうになっているのであるが、その上にうたわれてある「威力を用いて」という言葉がある、「威力を用いて」。私はここでもう一度あなたの答弁したことを思い起こして答弁をしてもらいたいのだが、有形無形の圧力を加えて議員登院を阻止するという答弁がある。もちろんこれは無形の圧力などというものまでやっぱりここでは加えるのかどうか。有形無形の圧力、そういうことをまずお尋ねします。
  302. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私が、有形無形の圧力を加えてと前に申しましたのは、そういう有形無形の圧力によって審議権の公正な行使を阻害する場合のことを言ったように記憶をいたしております。で、八条の「威力を用いて」ということとは違います。
  303. 米田勲

    米田勲君 ここの「威力を用いて」という言葉を使ってあるのは、概念がはっきりしないのですよ。私は、自分の解釈では、これは別にピケを張って登院を妨げたというのでもないじゃないか。そういうふうに明瞭に書かれていないのです。それから暴力をふるって登院を妨げたというのでもないじゃないか。そうなってくると、「威力を用いて」ということは、はなはだあいまいなんです。もしこれが単なる威勢を張る行為のようなものまで「威力を用いて」ということになるなら、これは人おのおのによってみんな違う。私のような気の弱いのは、ちょっと威力をふるわれると、もう妨害されたように感ずるんですが、こういう「威力を用いて」という言葉は、概念が非常にあいまいなんですよ。一体これはどういうことを具体的に想定しているのか。もしそういう具体的に想定をしていることがはっきりするなら、これと入れかえてほしいわけです。この点はどうですか。
  304. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 第八条の「威力を用いて」というのは、刑法の二百三十四条の「威力ヲ用ヒ人ノ業務ヲ妨害シタル者」という規定におきまする威力と同義に解釈をいたしております。最高裁の判例等によりますると、暴行、脅迫を行なう場合に限らず、地位権勢を利用して人を威圧する場合も含んでおりまして、それは手段方法のいかんにかかわらず、犯人の威勢、人数及び四囲の情勢から見て、被害者の自由意思を制圧するに足る勢力を用いれば、この「威力を用いて」というところに該当することに判例が出ております。本法案の場合におきましては、たとえばスクラムを組んだり、あるいは多人数が大きな声でどなり散らして、そうして議員登院を妨害をする、議員登院が不能なような状態に陥らしめるというような場合も、この「威力を用いて」という概念の中に含まれると思います。
  305. 米田勲

    米田勲君 私は、八条の「威力を用いて」というのは、今のような提案者説明では非常にあいまいであって、納得ができないのですよ。これは「国会議員登院を妨げた者」、ここはいいのですが、その上にかぶっている言葉が非常に概念があいまいなんですよ。今説明を聞いたようにこの法律が通用するならいいですよ。しかし、これは考える人によって非常にこの言葉は変化をさして理解できる、適用できる。どうも一貫してこういう「威力を用いて」の部類は、この法律案に流れている非常にあいまいな概念で、実にそういうようなあいまいさをもって登院を妨げたと称している。これが懲役になったり罰金になったりするのでは、これは大へん問題な条文であるということを申し上げておきます。いずれにしても、私は今までずっとお聞きして参りまして、提案者説明の中には、多々法理論上問題があります。また憲法の前に非常に弱点が各所に現われておる。こういうことをるる申し上げましたが、提案者に最終的に一言お聞きしたいが、この法律案は、いかなる不備を指摘され、いかなる点を指摘されても、あなたはこのまま通したいというがんこ一徹な気持に変わりはないか。それを一つ最後にお聞きをいたしたい。
  306. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 提案者といたしましては、責任をもってこれが最善なりと考え提出いたしたわけでありまするから、このまま通ることが私の最大の願望であることは申すまでもございません。しかし、この審議は当委員会においてやっていただくわけでありまするから、最終的決定は、当委員会の皆様方の御決定にゆだねられているわけであります。提案者の願望はどうかという御質問でございましたなれば、一言半句も修正することなく、このまま通過することを、心から期待いたしておる次第であります。
  307. 米田勲

    米田勲君 りっぱだ、非常にりっぱだ。僕はもうこれで終わりましたから……。
  308. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 議事の都合により、暫時休憩いたします。    午後六時十八分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕