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政府委員(木村行蔵君) この六条と七条を分けて御説明申し上げたいと思いますが、七条の
関係は、これは交通
規制の根本的な制度でありまして、これは現行法でもあるわけでありますが、公安
委員会なりあるいはそれに類似するような機関において通行の禁止及び制限をいたすということは、世界中どこでもあるわけであります。この第一項の方は、たとえば一方交通をする、あるいは一時的にここは通行禁止という公安
委員会の指定をして処分をするわけでありますが、その場合には道路標識を立てまして、いわゆるはっきりした表示をいたすと同時に、道路管理者に通知をいたすこと。従いましてこれは決していわゆる強制
行為とか直接
行為でなくて、一極の行政処分といいますか、行政
行為。それから第二項は、これは新設の規定でありまして、今まで公安
委員会ですべて通行の禁止及び制限をいたしておりましたけれ
ども、特に大府県あたりでは非常に
規制の数が多うございまして、一方交通をする場合でも、あるいは通行の制限をする場合でも、何百とあります。全国的にはおそらく万をこえるかと思うのでありますが、それを一々公安
委員会できめるというのは、実情にも合いませんし、実際は無理な点があります。そういう場合には、たとえば四、五日間の通行禁止、あるいは非常に短い一時的期間、道路工事をやるとか、あるいはお祭り、かあって二、三日縁日が開かれているというような、非常に臨時的な短期間の短区間のものにつきましては、公安
委員会の自由裁量で、場合によっては署長にその禁止制限をまかせる、これは実際やむを得ないのじゃないかと思います。それから、第三項は、あるいはこれだけ読みますと御心配になる点もあるかと思いますけれ
ども、これは現行法にもありまして、むしろ現行法よりもしほりをかけた点は、「必要な限度において、」警官が道路上の危険を防止するために、「緊急の必要があると認めるときは、一時、歩行者又は車両等の通行を禁止上、又は制限することができる。」こういうふうに相なっておるわけであります。「必要な限度」ということは現行法にはないのでありますが、今度の
法案ではそれをむしろ入れまして若干整備いたした。これはたとえば、交通事故が起こった、あるいは火事が起こった、がけくずれがあったというような、その
現場において緊急に起こった事故に対しまして、やはりこの
現場の
警察官が、その場で緊急避難的に、一時的に通行の禁止、制限をせざるを得ない場合があるわけであります。そういう
関係からいたしまして、これはもちろんデモを
規制する目的ではさらさらありませんし、今までこの現行法の規定でデモを
規制したことは一度もありません。
それから第六条は、これは若干善き方が詳しくなっておりますが、これとても、実は現行法の第五条に、道路通行上の歩行者、車馬などは「命令の定むるところにより、信号機、」云々、
警察官の手信号または指示に従わなければならぬ、こういう規定がございます。この規定を、最近のように非常に交通の錯綜している、また事故の多いむずかしい交通事情に対応しまして、若干現行法よりも積極的な
表現にいたしました。で、この第六条には
条件がやはりありまして、「車両等の通行が著しく停滞した」、すなわち何百という車が、たとえば尾張町でかみ合ってしまった、停滞してしまった、「著しく停滞した」という事実、その事実によって当該道路における交通が著しく混雑してしまうおそれがある、そういう場合、また当該道路における「交通の円滑をはかるためにやむを得ないと認めるとき」、しかもその間において、
現場における混雑ということを緩和するために、必要な限度において、進行してくる車両に対して、一時とまっておれ。あるいは場合によっては、ほんとうは中央線を突破して、踏み越えて自動車の右側に行くことは非常に危険でありますけれ
ども、この際は、非常にかみ合った輻湊した停滞に対する取りほぐしのために、右側に出てもよろしい。あるいは駐車場所でないところに対してお前ここで駐車しておれというような、若干通常の車両の通行方法に対する正規の方法と異なる臨機応変の指示ができるように命令することができるようにいたしております。この規定は、主として車両等に対する
規制が中心であります。ただ後段で、「又はその
現場にある
関係者に対し必要な指示をすることができる。」こういうことがございますが、これは
現場における歩行者とかあるいはヤジウマ、そういうものに対して、やはり非常に危険である、あるいはますます混雑するという場合に、その危険防止のために
現場に対して必要な指示ができる、こういうようにいたしております。この指示は罰則はかかっておりません。いわば、まあ常識的にいうと、注意的な
警察官の指示であります。いわゆる罰則によって担保するところの命令
行為ではありません。