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1960-03-10 第34回国会 参議院 議院運営委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十日(木曜日)    午前十一時十九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員占部秀男君辞任につき、その 補欠として亀田得治君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高橋進太郎君    理事            塩見 俊二君            田中 茂穂君            阿部 竹松君            光村 甚助君            向井 長年君            北條 雋八君            加賀山之雄君    委員            天埜 良吉君            石谷 憲男君            鹿島 俊雄君            北畠 教真君            後藤 義隆君            佐野  廣君            鈴木 恭一君            徳永 正利君            鍋島 直紹君            松野 孝一君            村上 春藏君            亀田 得治君            椿  繁夫君            豊瀬 禎一君            安田 敏雄君            米田  勲君            永末 英一君   衆議院議員            佐々木盛雄君            長谷川 峻君   政府委員    警察庁長官官房    長       原田  章君    警察庁保安局長 木村 行蔵君    警察庁警備局長 江口 俊男君   事務局側    事 務 総 長 河野 義克君    事 務 次 長 宮坂 完孝君    議 事 部 長 海保 勇三君    委 員 部 長 岸田  実君    委員部副部長  若江 幾造君    記 録 部 長 佐藤 忠雄君    警 務 部 長 渡辺  猛君    庶 務 部 長 小沢 俊郎君    管 理 部 長 佐藤 吉弘君   法制局側    法 制 局 長 斎藤 朔郎君   衆議院法制局側    法 制 次 長 三浦 義男君   説明員    警 視 総 監 小倉  謙君   —————————————   本日の会議に付した案件国会審議権確保のための秩序保  持に関する法律案(第三十三回国会  衆議院提出)(継続案件)   —————————————
  2. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) これより議院運営委員会を開会いたします。  国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私は、大体、表現の自由と請願権との関係につきまして、条文としては四条を主として質問をしたいと思います。  その前に二、三提案者にお尋ねいたしたいのですが、提案者趣旨説明書によりますと、あたかも十一月二十七日の事件が何か非常に大きな事態のように、用語としてはわが国憲政空前不祥事件のごとく書いてあります。私の知るところでは、以前にもこういうことがあったのですが、まず第一にお尋ねいたしたいのは、大正十一年でしたか、普選法が通過した際の事件ですが、この普選法通過そのものは、日本憲政史上に、提案者としては、マイナスであったと考えておられますか。
  4. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) マイナスであったとは考えておりません。
  5. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 それならば、大正九年二月十一日に、普選促進同盟全国学生同盟等デモ隊議事堂玄関前を埋め、気勢をあげた事件がありますが、普選派議員がこれに対しまして、これを喜んで迎えて、この普選促進大衆のエネルギーと院内における普選通過の各議員の努力が一体となって普選法が通過したように、大日本帝国議会史の中に記録されております。さらに九年の二月十四日、小山松寿代議士ですか、この人の議会発言も、「本日ハ選挙法重大案件議スルノ日二当リマシテ、我々二面会求ムル者多々アルノデアリマス、然ルニ衆議院一般公衆通用門ハ、絶対二交通ヲ遮断致シマシテ、更二面会求ムル者就テモ、其交通ヲ阻止シテ居ル」と議会史の中に書いてあります。こういう状況の中で、十一年の二月二十四日、普選法は通過いたしておりますが、この事件に対して、提案者は、十一月二十七日の件と関連して、あえてわが国憲政空前不祥事件発生という表現を使われましたが、今申し上げました二月十四日の大日本帝国議会史の一ページ、並びに二月十一日の普選同盟普選促進議員派議事堂玄関前における行動に対しては、どういう判断をされますか。
  6. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私が先ほど申し上げたのは、普通選挙法の施行によって広く国民が政治に参加することができるようになったという意味において、法律成立を喜ぶという意味において、マイナスではなかった、プラスであったということを申し上げたわけであります。そのことと、デモ行為あるいは集団的な陳情行為とは同一のことではないわけであります。私は、そういう古いことについては不幸にしてつまびらかにしておりませんけれども、しかし、その当時におきましては、おそらくは国会の取り締まりの規則の中にも、あるいは天皇陛下の御通行なさりまする正門等につきましては、あるいは皇居の侵入罪のようなことも適用されたり、もう少し秩序が保たれていたのじゃなかろうか。いずれにいたしましても、去る十一月三十七日の事件は、私たちの知る限り、憲政始まって以来空前不祥事態であると考えております。
  7. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 続いてお尋ねいたします。提案者は、趣旨説明の中にも、また法案の中にも、国会権威保持ということを非常に強調しておられますし、第一条によりますと、「もって国会権威保持に遺憾なきを期する、」これが本法の終局の目標と判断できると思います。ここで提案者が、端的に具体的に指向されておるところの国会権威というものは、本法との関係において具体的にどういうことですか。
  8. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 申すまでもなく、今日、国民主権原則のもとにおいて、国会が国権の最高機関であることは申すまでもございません。しからば、最高機関としての機能を遺憾なく発揮するためには、その国会内部において、審議権が公正に行使されるということが何よりも必要なことでございます。かような点から考えまして、国会権威を保つということの、いろいろな面もあるのでありましょうが、われわれ国会に席を有する議員の一員といたしましては、審議権だけは、外部の圧力あるいは妨害等によって公正に行なうことができなくなったというような事態はまことに好ましくない。ぜひともそのような事態というものを排除しなければならぬ、かように考えるわけでありまして、ここで申し上げます国会権威保持ということの大きな目標は、国会審議権確保ということでございます。
  9. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 具体的問題に入る前に、もう一つ、二つ、前段質問させていただきたいと思いますが、今、提案者も言われましたように、国会権威というものは、議事堂の建物とかあるいは議員特権化ということでなくして、憲法にうたってあるところの基本的人権保障あるいは拡張のための、また、ほかの角度からいいますと、国民主権の立場に立つ憲法の諸条章確保しながら国政が審議されていく、このように提案者考えておられると判断して差しつかえございませんか。
  10. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 御趣旨に対しましては、私も同感に思っております。
  11. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、国会権威というものは、国政運用の際にあたりまして、もっとも新憲法生命とするところの基本的人権保障乃至はこれの維持、拡大というところにあるということが明らかになりましたが、基本的人権につきまして、憲法ではいろいろの条章でうたっておりますが、たとえば十三条におきましては、生命、自由、幸福追求権利をうたったり、あるいはいろいろの思想、信仰等の自由をうたっておりますが、特に私は、二十一条の表現の自由というものは、財産権とかその他いろいろなほかのものに比して、その自由のワクというものは、非常に大きく広く、そうして大切なものだと判断いたしておりますが、提案者は、二十一条の表現の自由について、憲法保障されている基本的人権の幾つかの柱の中で、これをどう判断されますか。
  12. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 憲法保障された国民基本的人権もいろいろあるわけでありますが、その中で、表現の自由ということは、近代的文明社会におきましてはもっとも重要な点であるという点におきましては、御同感であります。
  13. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうであるとするならば、提案者は、表現の自由の一つ態様として、二十八条の団体行動ないしは、憲法には具体的にないかと思いますが、たとえば団体行動一つであるところの集団示威運動というものも、表現の自由の一つ態様として認められますか。
  14. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私、御趣旨をよく把握できなかったのでありますが、二十八条は、これは勤労者団結権団体交渉権であります。これが表現の自由ということに直接なるかどうか知りませんが、まあ広い意味におきまして、自分たちの希望を団体交渉の力によって表明するということではあろうかと考えまするが、すぐにこれが表現の自由だというのとはどうかと考えます。
  15. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ちょっと質問回わりくどかったと思いますが、私がお尋ねいたしておりますのは、二十八条の中の団体行動ということをとらえているのですが、この団体行動あるいは集団示威運動というものを表現の自由の一つ態様と見られますかと聞いているのであります。
  16. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そのように考えます。
  17. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、ほかの条章表現の自由ももちろんですが、二十八条の団体行動にいたしましても、集団示威運動にいたしましても、表現の自由という、基本的人権として最も尊重さるべきものであるということは、提案者も確認願ったと思いますが、私の質問は、これから具体的に入りますために、このことはきわめて重大でございますので、はなはだ先輩に対して失礼でございますけれども、本委員会でたびたび重要な問題につきまして取り消し等事態がございました  ので、できますならば、長谷川議員もこの点についてだけは御見解を表明し  ていただきたいと思います。
  18. 長谷川峻

    衆議院議員長谷川峻君) 佐々木君同様であります。
  19. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ありがとうございました。そうであるとするならば、これを抑制、禁止するにはいろいろの問題があると思いますけれども提案者前回言われたところの、単に公共秩序とか安全といったような抽象的なもので何らかの抑制規制ないしは禁止がされるものではなくして、一九〇〇年の当初でしたか、ホームズ判事が言い始めて有名になりました、明白にして現在の危険という諸条件が完全に具備されておらなければ、これを抑制することは、憲法の少なくとも精神に反すると、こういうふうに提案者も判断されていると考えてよろしゅうございますか。
  20. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そういう原則論に立っております。
  21. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 このことは昭和二十七年十月の東京地裁、あるいは二十九年九月の東京高裁、あるいは二十九年九月の釧路地裁、その他、京都地裁、津の地裁等における判決文の中にも明らかにされております。提案者もまた御同意をいただいたようですので、問題はないと思いますが、そこで、明白にして現在の危険という内容について提案者に再度明らかにしていただきたいと思います。  私の知っている範囲内では、今申し上げましたいろいろな公安事件判決文、あるいは破防法等判決文を見ましても、「明白にして」とは、疑いを持ち得ないほどにという意味であり、必ず害悪を生ずるか、または、その害悪発生がほとんど不可避であるとの立証、またはその行なわれようとしている行為害悪とに明確な因果関係がなければならない、このように判断するのですか、「明白にして」という言葉を、提案者は私が申し上げたような意味に理解していただいていますか。
  22. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私も、御趣旨において同感でありますけれども、なお一つ法制当局あたりからその間の見解を明らかにしてもらって、補足していただきたいと思います。
  23. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) ただいまお尋ねの点につきましては、明白かつ現在の危険と、こういう問題は、現在の警察比例原則といたしまして、そういう角度に立って警察作用を行なったり抑制措置を行なったりする場合は考えなければならぬ、こういうことであろうと考えております。こちらの方で考えておりますこの四条五条等の問題におきましては、その警察作用を行なうということ自体ではございませんで、警察作用を行なう前提となると申しますか、そういう発動を自主的に促すという、自主的にそういう発動をいたします場合の要請段階におけることを四条では規定いたしておりますので、こちらの方の四条の場合におきましては、必ずしも明白かつ現在の危険の原則が適用されるかどうかということは、多少別問題として考えなければならない、かように考えます。
  24. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 提案者にも、また委員長にも、三浦さんにもお願いしたいのですが、私がお尋ねいたしたのは、「明白にして」という言葉内容について提案者見解をただしたのでありますので、不必要な笹舟はできるだけ避けていただくようにお願いいたしたいと思います。ただいまの中で、主として前段に出て参りました、五浦さんの前段答弁について、提案者見解を同じうされますか。
  25. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 同じ考えを持っております。
  26. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体私が最初に申し上げました内容とほぼ一致しておるという意味提案者答弁を解します。  次に、「現在の」ということですが、これも、ほかの官業でその意味なり含むところを表現するとすれば、あるいは切迫したとか、直ちに危険をもたらすとか、こういった、……ある裁判所の判例によれば、教育による時間的な余裕とかあるいは説得の時間的余裕がなくして、非常に緊迫した、直ちに危険をもたらすというような内容といいますか、事態のときに、「現在の」という言葉が適用される、このように私は判断いたしておるのですが、提案者はどうお考えですか。
  27. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) さように考えます。
  28. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 警視総監が来ておられると思いますが、総監にお尋ねいたします。警察法並びに警察官職務執行法によりますと、すなわち警察法第一条によりますと、「この法律は、個人権利と自由を保護し、」と冒頭にうたっていますし、警察官職務執行法第一条には、個人生命身体財産等保障といいますか、これを冒頭にうたっております。このことは、私が先ほど申し上げましたように、この趣旨は、公共の福祉、あるいはそれよりももっと、概念にあるところの公共の安全、秩序といったものよりも、いわゆる憲法論議の際に申し上げました、個々の基本的人権をうたっておる憲法趣旨から、そうしたものよりも、個人基本権というもの、人権というものを尊重することを、警察法第一条も、警職法第一条も、ともに強調しておるものと私は判断しておるのですが、総監はこの条章についてどういう御見解を持っておられますか。
  29. 小倉謙

    説明員小倉謙君) お答えします。  警察法にも、「個人権利と自由を保護し、」また、「公共の安全と秩序を維持するため、」これこれ、こういうふうに書いておりますので、必ずしもどちらがどうということは私は言えないと思いますけれども、しかしながら、従来の警察あり方、過去におけるあり方等から考えまして、個人基本的権利、自由というものは、十分尊重して運営されていかなければならない、かように考えております。
  30. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 言葉にこだわるようですが、どちらか判断できないとおっしゃっておりますけれども提案者も同意されました憲法基本精神からしても、また、それを受けて、ずっと出てきました警察法第一条の表現形式からいたしましても、これらの警察官が守るべき第一のものは、ここに書いてあるところの個人権利と自由を保護することであるし、個人生命身体財産の保護であるということは、私はあまりにも論議の余地ない明らかな事実と思うのですが、もう一度その点に関して、総監の明確な御答弁をお願いいたします。
  31. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 私、先ほど答弁申し上げた通りでございまするか、そのようにお考えになっているというお気持につきましては、私も同感であります。
  32. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 前回連合審査会の際に、高田委員その他の委員質問に対しまして、総監は、警告制止の具体的態様なり、あるいはその事態における武器使用の問題なり、また、さらには、従来の法規本法成立後における関係につきましても答弁をされたわけですが、特に私は、警察官職務執行法第五条の予防並びに制止の問題について、本法との関係を明らかにしていくために、総監にもう二、三点ただしておきたいと思います。私からここで申し上げるまでもなく、第五条にうたわれている警告、特に阻止制止の場合もそうですが、「犯罪がまさに行われようとするのを認めたとき」というのは、これは先ほど提案者と私が確認し合ったところの、明白にして現在の危険という精神を受けていると判断しているのですが、総監見解はどうでしょうか。
  33. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 私も同様に考えます。
  34. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 制止要件として、この条章にも明らかにしておりますように、生命身体の危険や財産に、重大な損害があると認められたとき、あるいは急を要するとき、こう大体二つあげていいと思うのですが、このいずれかの条件が充足されれば第五条は発動してよろしいと、総監は判断しておられましょうか。それとも、両方とも具備しなけれ、は発動できない、このように判断しておられましょうか。
  35. 小倉謙

    説明員小倉謙君) ただいまのは、警職法の第五条でございますね。……。これはちょっと今の御質問内容を把握していないかと思いますが、ここに書いてあります通り警告につきましては、「犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、その予防のため」警告を発する。制止の場合には、その行為によって人の生命身体に危険が及び、または財産に重大な損害を受けるおそれがあって、しかも急を要する場合、このように制止の場合には一段と強い制限のもとに行なわれる、かように解釈いたしております。
  36. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私の質問が少し不明確であったと思うのですが、ここにあげてありますように、「その行為により人の生命若しくは身体に危険が及び、」、これが一つ要件だと思います。「又は財産に重大な損害を受ける虞があって、」、これも一つ要件、そうして、このいずれかの場合を受けて、しかも「急を要する場合」という要件が具備されなければ、第五条の発動、第五条と言いますか、制止発動はできない、このように私は考えておるのですかという質問です。
  37. 小倉謙

    説明員小倉謙君) その通りであります。
  38. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そこで、総監に具体的問題について一二お尋ねいたしますが、二月二十五日の連合審査会議事録によりましても、また総監自身も御記憶になっておると思いますが、田畑さんの質問に対しまして、総監は、「私どもが今後取り締りをしていく場合におきましても、あるいは相手方と話し合いをしていく場合におきましても、非常に私は何といいますか、やはりよくなっていく、こういうような考えがいたすのであります。そういうような意味におきまして、この法案がもし成立いたしますならば、一そう今後の取り締りが適切に行なわれていく、こういうふうに考えておるのであります。」という御答弁をされております。が、十一月二十七日、私も農林省前におったのですが、あの際に総監は、現在の前回連合審査会にも答弁されました諸法規の中であの事態に対処されて、本法成立していない前の現行法規の中であの事態に対処されて、特に不都合を感じられたことがありましたらお答えいただきたい。
  39. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 前回連合審査会の際に、私が、先ほどお読みになりましたような趣旨の御答弁をいたしたのであります。その際の趣旨は、その前の方をずっとお読みいただけばわかりまするが、また重ねてくどく申し上げることになりますが、普通の場合の集団示威運動等につきましては、その事柄につきまして、警察側の見るところと、それを行なわれる方たち考えと、まあほとんど違わないのであります。ところが、国会周辺において、国会に対する集団陳情あるいは請願行動ということで行なわれます場合には、私ども見解としましては、それが現実屋外集会なりあるいは集団示威運動の形をとる場合には、これはやはり公安条例対象として扱うべきものである、こういう見解を持っているのに対しまして、それを行なわれる方たち、あるいは指導される方たち見解は、いや、国会に対する場合には、それはもう請願という認められた権限の中に入るんだから、そういうことは公安条例対象じゃないのだと、こういう考え方で、双方の考えが違うのであります。そういうような違いから、いろいろ話し合いをする場合におきましても、あるいは現場における折衝等の場合におきましても、まあトラブルが生ずるのであります。そういう例が従来多々あるのです。従いまして、この法案がかり成立しました場合には、この法案趣旨である、国会周辺審議権の行使を確保するために静穏でなければならない、こういう趣旨でこの法案ができております。従いまして、この法案成立しました場合には、その法律趣旨に何人といえども従う、こういう考えになりますので、従って、先ほど申し上げましたような警察側見解と、そういう行動を行なわれる方たちとの見解の問に違いがほとんどなくなってきた。それで、いろんな話し合いの場合にもスムーズにいく、こういうことを申し上げた次第であります。
  40. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 このことは、つぶさに議事録を見まして、同様の趣旨であったと考えておるのですが、具体的にあの大衆行動を阻止なさったと思います。その場合に、現行法規において不都合を感じられたことがありましたかということを聞いておるのです。
  41. 小倉謙

    説明員小倉謙君) ただいま申し上げましたような見解の相違がございますので、警察といたしましては必要な警告なり制止措置をとったのであります。ところが、それを行なう側の方たち気持としては、いや、これは違法じゃないのだということで、そこに相当のもみ合いができる。そこで現実に困ったということは確かに申し上げられると思います。
  42. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 警告は何に基づいてなされましたか。また、どういう警告をなさったのですか。
  43. 小倉謙

    説明員小倉謙君) これは公安条例に基づく警告でございます。その行動公安条例のいろんな規定に反しておる、そういうような見解から警告をいたした次第でございます。
  44. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私は公安委員長出席も要請しておったのですが、おられませんので、総監にお尋ねしますが、主として警告の根拠は、都公安条例第三条の具体的事項の一から六まで列挙してあるこの条項と判断してよろしいですか。もしその中で特にこれに基づいてということであったら、明らかにしていただきたいと思います。
  45. 小倉謙

    説明員小倉謙君) もちろん道交法との関係もございますけれども、主として都公安条例の第四条による警告措置でございます。
  46. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 具体的に現場において、私がおったのは丸ノ内署長の所管のところだったろうと思いますが、大衆が行進をしようとした場合に阻止行為を命じられたと思うのです。制止行為をですね。これもやはり第四条に基づいて発動されましたか。
  47. 小倉謙

    説明員小倉謙君) その通りであります。
  48. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あの場合に、総監は、先ほどから私がお尋ねいたしておりました明白にして現在の危険という、規制といいますか、原則線、これが明らかにそこなわれたと判断してやられたと思いますが、その具体的な現場の実態による、先ほど申し上げました立証ないしは困果関係を説明していただきたいと思います。
  49. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 都公安条例の第四条をごらんいただきますとおわかりでございますが、あの際の行動は、農林省前を含めまして、全体の一連の行動を観察して見まするに、これは先ほどもくどく申し上げましたが、警察側見解といたしましては、都公安条例の第一条によって許可を受けておらない、要するに無許可のものであります。こういう見解で第四条の規定に基づく警告あるいは制止措置をいたしたのであります。
  50. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 第一条の無許可ということよりも、私は、先ほど総監答弁された第四条の後段の方の二、三行といいますか、これに主目的があったように現場では判断したのですが、総監の判断はどちらですか。
  51. 小倉謙

    説明員小倉謙君) ちょっと御質問趣旨がのみ込めませんけれども、第四条をお読みいただくとわかりますが、第一条の規定あるいは第二条云々とありますが、こういうような規定に違反して行なわれた集会、集団行進または集団示威運動の参加者に対して、公共秩序保持するため警告あるいは制止をする。こういう規定でございます。この第四条に基づきまして、主として第一条の規定に違反して行なわれたものであると、こういう見解警告あるいは制止をいたしました。こういうことです。
  52. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、許可を受けたか受けないかということによって、あるいは許可をしなかったという条例の根拠が、先ほどからるる質問して参りました憲法の基本的精神なり、あるいはそれを受けておる警察法の第一条、特に警職法の第五条の、私が先ほど申し上げました諸要件の具備ないしは特に明白にして現在の危険ですね、許可されておらないから、そういう疑いの余地がない、そうして現在時間的な余裕もないような、害悪を生じるような行動と判断されたのは、あの具体的な大衆行動のどこからですか。許可がないということは紙きれ一枚出ていないからすく判断できると思います。しかし、大衆行動の具体的な事例の中からでは、どれをとられて明白にして現在の危険を判断されたのですか。私は制止行為について特にお聞きしたいのです。
  53. 小倉謙

    説明員小倉謙君) これは、あの当時の状況を申し上げますと、非常に多数の人たち、何万という人たちが、この前も申し上げましたか、旗を持ち、あるいは歌をうたい、あるいは中にはデモ的な行動もされる、そういうような状況でございまして、警察見解といたしましては、これは当然、都公安条例の許可を受けて行なう行動である、しかも、現実に交通その他の障害を来たしておる。こういうような状況で、第四条の規定に該当するものと、こういう見解で、警告制止を行なったのであります。
  54. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私はあそこにおって見ておりまして——別の角度から質問したいと思いますが、あそこにおりました警察官は、少なくとも請願と称して国会の方に行進しようとする大衆に対して、実力で阻止するという意欲と申しますか、態勢がなかったように今判断しておるのです。私自身も警察の装甲車の上に上がって見ておったのですが、(笑声)大体、阻止の仕方なり、引き揚げ方ですね、これが非常に、ここでとめなければ、公共秩序、あるいは困るのだといったようなことよりもむしろ現場警察官というのは、……許可されていないという点については御指摘の通りであるけれども、たとえ歌をうたおうが、旗を持とうが、これはたびたび私が申し上げてきた表現の自由に基づく大衆行動である、こういう角度から、警告は無許可という意味で発し得ても、制止するということは、警職法五条の精神に明らかに違反しておる行為であると、こういう見解があったからだと私は判断しておるのですが、総監もそこに内心の疑義があったために、人数だけはいたずらに出し、自動車も道路一ぱいにとめて交通の妨害を事前になさったけれども、そういう意欲が出なかったのは、あの制止行動が第五条の違反行為であるというように判断されたからではないですか。
  55. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 決してそういうようなことはないのでありまして、人事院ビル前のことだけのお感じでは、あるいはそのようなお感じがあったかもしれませんか、全体としてごらんになるとおわかりになると思いまするか、あの際は、チャペル・センター前、人事院ビル、それから特許庁の方、この三方面からいわゆる請願行動が行なわれたわけであります。それで、それに対して必要な警告制止を行ないまして、場所によっては警察官に相当の負傷者が出ておるのでございますが、ことに、例の問題になりましたチャペル・センター前から国会の正門を突破されて国会の構内に入られた、こういうような事態が残念ながら生じましたので、急遽、警察官を全員国会周辺に集めまして、そうして国会の建物を最後に守る、こういうような態勢に移したわけであります。従いまして、人事院ビル前で押えておりました警察官も、その全体を見ての命令に従ってそれを急遽引き揚げて、国会周辺に集結した、こういうような状況でございますので、全体を見て一つ御観察を願いたいと思います。
  56. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 総監は時間が急がれるそうでございますので、もう一、二点にしぼりたいと思いますが、警察官職務執行法の改正が提案された際に大きく問題になりましたのは、あの第五条の中に、公共の安全と秩序が署しく乱されるということが入ったこと。総監の判断の中にも、私はたびたび申し上げております、基本的人権としての表現の自由としての集会ないしは、いろいろな法律学者が言っておる、「動く集会である」と言われておる大衆の行進ですね、これに対して、請願権とか、あるいは表現の自由ということに、いわゆる警察法第一条の精神に軍点を置かれないので、公共の安全と秩序という、きわめてあいまいな内容を根拠にしてこれを制止されたのではないかと、こういう疑惑を持ちますし、十一月二十八日の「毎日」の夕刊に書いておりますように国会側に、デモ隊の一部を国会に引き入れることによってデモ禁止法を制定したいと考えられる向きがあったので、警察の態勢もこうであったし、廊下で「しめた」と、入ってよかったと歓声をあげた一部議員がおるというようにやっておるのですが、やはり警視総監の頭の中には、一つは根本的には大衆行動というものに対する尊重の観念の欠除と、それにすりかえるに、公共の安全と秩序ということが、大きくのしかかってきておったのじゃないか、こういう気がするのです。言いかえますると、警職法の改正の精神が、あの制止行動の中には行使されたのじゃないか、こういう印象を現場におりまして強く持ったのですが、そうではないのですか。
  57. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 私も、個人基本的権利として認められておりまする表現の自由を初め、いろいろな権利を、最も尊重すべきものであるということは、もう当然に考えております。ただ、その個人基本的権利あるいは自由というものも、これは憲法に明らかなように、いわゆる公共の福祉に反しない限りにおいて認められているということでございまして、やはり公共秩序あるいは安全というものと、両立するものでなければならない、かように考えている次第でございます。従いまして、そういうような表現の自由その他の権利、自由というものは、十分尊重さるべきでありますが、公共秩序等に抵触する場合には、これはやはりそれぞれの所定の法規に基づいて、必要な措置を講じていく、こういうふうな考えで現におりまするし、また当日もそのような考え方で対処した次第でございます。
  58. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 もう一つだけ、総監質問して終わりたいと思うのですか、ただその前に、今言われた際に、基本的人権公共の福祉、が同じ資格、ウエートをもって並立するかのごとき発言をされましたが、これは後日、本委員会におきまして、再度おいで願いまして、議事録を調べました上に、十分ただしていきたいと思います。  最後にお尋ねしたい一点は、総監先ほど弁明されました、本法成立すると、いろいろやりやすくなるという意味ですが、現在の警職法その他の法規内容においては、先ほどから私がたびたび申し上げておりますように、たとえば前回のごとき行動でも、届けということが一つ条件になっているし、それから特に「自らその職権を行使するほか、」と、こういう職権の行使の際にも、第五条では特に、制止行為の際は「急を要する場合においては、」という必須条件が満たされない場合には発動できないという点があるために、そのような条件が満たされなくても、要請があったときは「警告を発し、又その行為制止することができる。」、こういうふうに総監が判断をしておられるために、言いかえますると、佐々木議員が言われた警職法プラス・アルファということは、警告を発しその行為制止することができるという言葉の持つ警察官の職権ではなくして、五条において制約を受けている条件が満たされなくても、「要請があったときは、必要な限度」というあいまいな言葉の中において、警告ないしは制止ができると、このように総監の後段の御答弁から私は受け取ってきたのですが、総監はそういう見解ではないですか。
  59. 小倉謙

    説明員小倉謙君) ただいまのお答えの前に、先ほど申し上げました個人権利、自由との関係ですが、私が申し上げましたのは、個人の自由、権利というものは十分尊重されなければならないが、それは公共の福祉に反しない限り尊重さるべきである、こういう趣旨に申し上げましたので、その点を一つ御了承願います。  それから、ただいまの御質問でありますが、私がこの前の連合審査会で申し上げました気持は、先ほどお答えいたしましたように、この法案全体の趣旨といいますか、特に第二条で明らかになっておりまするが、国会周辺においては、審議権の行使等のために静穏を保たなければならない、こううい精神、この法案精神が明らかにされるならば、非常に相手方との話し合い等の際にスムーズにいくと、こういう気持で申し上げたのでございます。ただ御指摘のように、第五条第二項の警告制止の場合は、現在の法規で認められておるものと比べまして、その発動要件が幾らか違っておりますことは確かでございます。しかしながら、私がこの法案に関して特に感じておりまするところは、そういうような点よりも、むしろ全体の精神考え方というものの徹底によって今後の措置がスムーズにいくのではないか、かように考えておるのでございます。
  60. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 もう一度だけ確認さしておいて下さい。そのような点よりも、という段は、それはやはり私が指摘したように「自らその職権を行使する」いわゆる第五条の規制の範囲内において職権を行使するほかに、その五条の規制要件が満たされなくても、要請があった際には、——もっと詳しく言いますと、人の生命もしくは身体に危険が及び、もしくは財産に重大なる損害を与えるおそれがあって、急を要する場合という要件が満たされなくとも、そのほかに、要請があれば、必要な限度においてこれこれができる、ということを総監考えておられるのですね。そのような点よりもこちらをより重く考えておるということは、そのようなこともあるけれども、こちらの方を重視しておる、こういう意味に受け取ったのですが。
  61. 小倉謙

    説明員小倉謙君) この法案の解釈といいますか、字句からいいまするならば、確かに前々から御指摘のように、現在の法規に比べまして警告制止等の発動要件がふくらんでおります。そういう点は確かにこの条文の解釈から出てくると思います。しかし現実の問題といたしましては、どの程度これがものになりますか、また、まさに行なわれようとする場合において、審議権の行使等が阻害されあるいは阻害されるおそれがある、そういうような場合がどういうふうになってきまするか、今後の御審議の状況、またこの法案をどう解釈するか、これに従って私ども考えていきたいと思いまするが、実際問題といたしましては、そういうような点よりも、先ほどからくどく申し上げておりまするように、警察側見解請願行動等を行なわれる方たち考え方が、実はまるで今は違っているのです。そういう点が非常に私どもとして困っているわけでございまして、そういう点については、この法案がかり成立いたしまするならば、とにかく国会周辺は静穏にするのであるというような点につきまして見解が一致するわけでございまするから、そういう意味において措置がスムーズに行なっていけるのではないか、かように現在考えておる次第でございます。
  62. 亀田得治

    亀田得治君 私は この前の質問の際に保留しておいた点について若干お尋ねをしたいと思います。提案者の方でも、この前は少し御準備がなかったようですが、十分準備されてると思いますから、一つ詳細にお答えを願いたい。まず最初に道路交通法案ですね、これが成立いたしますと、それなりに、いわゆるデモ行進等にもこの法律が適用される、そのことはどういうふうにお考えですか。
  63. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私も、この道路交通法というのは、この間、亀田さんから御質出を受けましたときには読んでいなかったわけであります。その後、警察庁の関係官にも会いまして、いろいろ御説明を承りました。しかしながら、道路交通法というのは、要するに歩行者の保護ということに非常に重点を置いたものである、そのために、たとえば道路の上に自動車を置きっぱなしにしておるというような状態のないように、今のところは置きっぱなしになっておりますが、これは強制撤去なんかできない、今度はこの法律ができますると、道路上の物件等については強制的に撤去ができる。あるいはまた、歩行者の保護に重点がありまするから、運転手の酔っぱらいの取り締まりの規則は現にありますが、もっとこれらも厳重にする。あるいはまた運転手と雇い主との義務関係も明確にする。あるいは罰則規定につきましても現行法よりも重くすると、そういったことに重点があるのであって、デモ行進等については、この道路交通法がねらっているところではないということを承っておるような次第であります。
  64. 亀田得治

    亀田得治君 どうもお答えがはっきりしませんが、適用はされないのですか。適用されないなら関係は出てきません。どういう考えですか。
  65. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私が聞いたのは、この何条でありましたか、大体第五章の八十条前後であったかと思うのでありますが、私たちの聞いた範囲におきましては、デモ行進、いわゆる本法で申しまするような集団運動等は対象外のように承っておりまするが、どうか一つ、ここにその立案者の方も関係者もおられるようでありますから、専門にそちらの方からお聞きいただきたいと思います。
  66. 亀田得治

    亀田得治君 法律は、これは提案者なりの考え方自体が明確であることが大事です。そういう補助者の意見がどうとかいったことを私は聞くんではないのです。本法との関係というような立場から聞いておるわけですから……。道路交通法は、もちろんあなたの立案されたものではありませんが、これは従来の例から見ても重大な関係があるわけです。だから、そういうことでは、また多少教えてあげないと質問が進まぬような格好ですから……。まず第一に、あなたは非常に考え違いをしておる。それはどの点かというと、道路交通法の第一条、ここにはちゃんと法律の目的を書いてあります。見て下さい。「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図ることを目的とする。」非常に広い意味なんです。いろんなものが入る。それから東京都条例ですね、これも、都条例は何もデモを取り締まるのが目的ではないです。いわゆる公安条例という名称がつくものですから、何かデモそのものを対象にしておるような感じを持っておるのですが、そうじゃないのです。デモによる交通といいますか、道路上のいろんな混雑、それが目的なんです、中身は。デモ自体は、憲法上もはっきりと保障されておることである。それに対する十二条あるいは十二条等に基づく最小限度の制限というわけなんです。中身は、結局そういう道路上における混雑と、こういうことなんです。この違憲といわれる条例の第一条を見たって、デモそのものを禁止するのが目的だなんて書いてやせぬ。だから、あたかも道交法と条例というものが全く違うものだといったような説明の仕方は、これは専門的じゃない。そういうことは雑駁なんです。その頭でこれは考えてもらわぬといかん。そこで再度お尋ねするわけですが、道路の上を歩くデモ行進が、道交法対象に結局はならぬわけですか。ならぬのなら、私はその立場で多少また聞き方も変わるわけですが、どうなんです、はっきりして下さい。
  67. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私たちは、関係の当局から新しい道路交通法案の提案の説明を承りました際は、先ほど申しましたように、これは歩行者の保護ということに重点が置かれているので、従来から道路交通の取り締まり法規やあるいは政令等があった、しかし、これは占領下のいろんな関係もあって、法律が少なくて政令に多く依存をいたしておった、従って、今度はそういう法体系を整備する意味において一本にまとめたものであるのだ。従いまして、私たちがただいま提案をいたしておりまする俗に言われておりまするデモ規制法と何か非常な関係があるかということは、実は聞きましたところが、そういうものとは全然関係のないことであります。従来あったものをそういうふうに整備し、また歩行者の保護ということの立場から所要の改正を加えたものにすぎない、こういうことでございました。なお、これは私たちがいわゆるデモ規制法なるものを提案をいたしまして後に関係当局から御提案になったものでありまして、従いまして、私たちがいわゆるデモ規制法を立案するにあたりましては、この問題を、この道路交通法案については何ら検討を加えていなかったわけでございます。どうか一つそういうわけでございまするし、幸い専門家の関係当局もおられるのでありますから、一そうそのことを明確にする意味において、当局の意向も徴していただきたいと思います。
  68. 亀田得治

    亀田得治君 それは、ちょうどおられるから、あとで若干聞いてもいいですが、そうすると、あなたの考えからいきますと、道交法デモ行為には適用されないものだと……。趣旨だとか、そういうややこしいことじゃだめなんです。適用されるかされぬか、はっきりしたことを私は聞いているのですから、あなたの見解はどっちなんです。もう一度それをはっきりさしてもらってから、私は関係者に聞きたいと思います。
  69. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先刻も申し上げましたように、道路交通法そのものは、デモに対する、あるいはデモ行為から起こることについて何らかの規制を加えようというものじゃございませんが、しかし、道路上に発生する危険であるとか、交通の妨害等が生まれました場合におきましては、それは道路交通法の適用を受けることは、現在もそうではなかろうかと思っております。
  70. 亀田得治

    亀田得治君 うしろの方で聞いてから、えらいはっきり開き直るように、あなたはおっしゃったんですけれども、それじゃ適用されるわけです、今の答弁ではね。適用されるかされないかということを聞いたので、適用されますと、こうはっきりおっしゃればいいわけでしょう。
  71. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私の先刻来申し上げておりますることは、本法でいう集団示威運動等に適用されるという意味ではございません。交通の妨害や交通の危険というような立場から適用されることがあるのでありまして、決してデモ行為そのものを対象としていないという意味のことを申したわけであります。
  72. 亀田得治

    亀田得治君 それは、デモ行為そのものを対象にするようなものはあってならないのです。どこにもありません。そんなことはあなた、憲法を変えなければできませんよ。公安条例だってそんなことはない。そんなことは、普通にそう言っておるだけです。交通に何も障害がなかったら、公安条例自体の根拠だって失いますよ。そうでしょう。そんなことはない。交通状態がどうであろうと、デモそのものを許さぬ場合を設けなければいかぬのだ。そんなものじゃないですよ。公安条例を作った当時の説明自体がそうです。どこへ行ったってそうです。だから、そういう普通の常識的な説明を、すぐ専門的な検討の場合に持ってきて簡単に片づけるわけにこれはいかぬのです。  そこで、適用されるようですから、警視総監に、先にお帰りになるというのであれば、ちょっとそこを聞いておきたい。適用はありますね。
  73. 小倉謙

    説明員小倉謙君) 佐々木さんからお話がありましたように、状況によって適用される。要するに、道路上の危険あるいは交通妨害というようなことがありました場合に、それぞれの法規に該当する場合は適用される場合があります。
  74. 亀田得治

    亀田得治君 やはり総監の方がいつも取り扱っておるからはっきりしているわけです。そうなりますと、関係のところだけ一ぺん提案者に確かめておいて、そうして本論に移りたいわけですか、道交法の第十一条ですね、この最初に書いてある「学生生徒の隊列、葬列その他の行列」、ここには当然入りますね、デモ行進は。私は、佐々木さんにこの前、特に道交法との関係だということでお話をしておいたわけですからね。関係条文というのは四つか五つ程度なんですからね。あなたは当然準備されてきておると思ってお尋ねしておるのですが、あなた自身の考えをはっきりして下さい。非常に重要な問題です。
  75. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) この道路交通法というのは、参議院の方に提案され、参議院の地方行政委員会においてまだ審議中の段階でありまして、法律としてできておるわけでも何でもないわけであります。しかも、道路交通法というものと今度のデモ規制法と、まあ、あなたのようにおっしゃれば幾らか関係はあるかわかりませんけれども、私はこの道路交通法の提案者じゃないのですから、この問題を逐条的に、しかもそういうむずかしい問題を持ち出して、お前、明答しろなんて言われたって、ちょっとこれは実際できないですよ。あなたも立場を変えてやってごらんなさい。こんなことできませんよ。だから、関係者がおるのだから、これは関係当局に聞いて下さい。
  76. 亀田得治

    亀田得治君 提案者というものは、質問者にまじめに答えたらいい。「あなたも」までは要らぬことですよ。私があなたの提案者の立場になれば、あなた以上にこれは明快に答えますよ。当然なことです、質問者から指摘されておる問題なんですから。それはどういうふうに解釈しておるのですか、提案者は。
  77. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) 私からお答えいたします。新しい法律、ただいま御審議願っておる法律の第十一条の「学生生徒の隊列、葬列その他の行列」の中にはデモも入ります。入りますが、これは御承知のように、現行法の第四条ただし書きのところにありまする内容と中身は同じものでございまして、右側を通れ、現在の政令で定めてあるそういう意味のものであると存じます。
  78. 亀田得治

    亀田得治君 まあそういうふうに逐次問題点を明快に答えてもらえればいいのです。何もここで地方行政委員会のやっている道交法の審議を求めておるわけでも何でもない。それは筋違いです。  それから七十六条ですね、第四項の第二号「道路において、交通の妨害となるような方法で」云々として、「又は立ちどまっていること。」こういうことは、一体、デモ行進が停止しておるような場合には対象になりますか。
  79. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) お答えいたします。現在この第二十五条で適用いたしておりまする程度におきましては、将来といえども同じ文言でございまするから適用になると考えております。
  80. 亀田得治

    亀田得治君 非常に重大なことです、そういうふうになってくれば。それからこの同項の第七号ですね、「前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は署しく交通の妨害となるおそれがあると認めた行為」、これも抽象的な文言としてはデモ行進も含む可能性というものがあるのじゃないですか。これは新しい規定のはずですが、どうなんですか。
  81. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) これは新しい規定ではございません。現在の法二十五条、施行令六十八条第十三号にございまする文章と大体同じでございます。
  82. 亀田得治

    亀田得治君 新しいかどうかは、私、ちょっと勘違いしましたが、デモ行進というものが入るかというのです。
  83. 原田章

    政府委員(原田章君) 七十大条の場合には、そういうことは予想しておりません。たとえば寒い時期に、氷が張るような寒い日に水をまくというようなことはいけないとか、道路にガラス片とか、くぎとか、そういうものを置いてはいけない、こういうことを各府県ではうたっておるようであります。
  84. 亀田得治

    亀田得治君 ここで、公安委員会が認めると、こうなっておりますが、これは個々の案件について認定をするのか、あるいは、あらかじめ一定の基準等を公安委員会が設けて運用していくことになるのか、これはどっちなんですか。
  85. 原田章

    政府委員(原田章君) 予想されるものにつきまして規定をするということです。
  86. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、自然に一定の基準を設けていく立場でおるわけですか。
  87. 原田章

    政府委員(原田章君) 公安委員会規則でそういうものを規定するわけであります。
  88. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、その場合にはデモ行進を除く、こういうことを明確に入れるおつもりなんですか。
  89. 原田章

    政府委員(原田章君) デモ行進に適用になるならぬということは問題でございませんで、そういう交通を妨害する、あるいは道路で危険を生ずるものにつきまして、こういうことはいけないということを規定するわけでございます。
  90. 亀田得治

    亀田得治君 多少こまかいことになると、またそれは地方行政でやれと言われますから、あまりこまかいことは聞きたくはないのですが、法律の規定の仕方からいきますと、そういう一般的な基準を設けてやってもいいし、あるいは個々の具体的なデモなり行列なりそういうものについてこの判断を下すやり方をとってもいい、法律の体裁そのものからいったら……。そういうことは可能ですね。
  91. 原田章

    政府委員(原田章君) この法文の趣旨から言いますと、そういう規定をするものではないと思います。
  92. 亀田得治

    亀田得治君 この趣旨が大まかなことは、これは議論外で皆わかっておるのです。公安条例がどういう方向で、道交法がどういう方向かという、そういうことをお聞きしているのじゃなしに、この第七号の書き方であれば、たとえば新潟なら新潟の公安委員会が、具体的なデモならデモそのことについて、その条項に当てはめて判断した場合に、それが違法だと、お前の公安委員会のやり方は違法だ、こういうことは言えないでしよう、こう聞いている。
  93. 原田章

    政府委員(原田章君) この七十六条の四項に、六号までは具体的にあがっておるわけでありますが、七号で、そういう六号までの事例に似通うようなもので、交通に危険を生じさせたり、交通の妨害となるおそれのあるものを公安委員会できめるということになっております。従いまして、現在各府県で規定しておりますものも、集団行進云々とか、そういうようなことを規定しておる県はございません。
  94. 亀田得治

    亀田得治君 それは、一方にはこの公安条例というものが違憲であるにもかかわらずできておるから、急ぐ必要がないわけです。ところが、われわれは公安条例は違憲だと思っている。それで最高裁では争っているわけです。ぴしゃっとその結論が出れば、公安条例はパーになってしまう。そうすると、どこかに何かなかろうかということになれば、これしかないわけだ。だから、それは、そういう場合になると、案外一番すみの方にちょっと番いてあることが息を吹き返してくる。こういうものなんです。そういう意味で私はお聞きしているのであって、公安条例があるから公安委員会はそんなことを規定しないだろう、そんな何も予想とかを聞いているのじゃない。法文自体から言えば、公安委員会がデモ行進を対象にして一つの処分ができるのではないか、もしここの七号に書いてあるような条件が満たされておると認定する場合には、それは違法ではないだろう、もしこの法律ができ上がれば。
  95. 原田章

    政府委員(原田章君) この七十六条のは、著しく危険を生じ、あるいは交通を妨害するもののみでございまして、これは禁止するわけであります。お話のような事実につきましては、禁止をする趣旨ではございません。また、するのは適当でないと思います。
  96. 亀田得治

    亀田得治君 これはどうも同じことを何回も聞くのはむだですからやめますが、趣旨はわかります、趣旨は。しかし、ただいまの答弁からいいましても、それは趣旨であって、法律解釈自体としては、やはり適用され得る余地というものがあるわけなんです。こういうふうに一つ提案者は了解をしておいてもらいたい、あとから関係ありますから。  それから七十七条の第四号です。第四号に「前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態」云々と、こう出ているわけですが、これはどうです。概念自体としてはデモ行進のようなものも入る余地が十分あるわけですが、いかがですか。提案者は、さっきからいろいろなことをやったので、大体類推的にすべて自分で判断して答えて下さい。
  97. 木村行蔵

    政府委員(木村行蔵君) 七十七条の規定は、現行法の二十六条と根本的には変わっておりません。むしろ現行法は「公安委員会の定める行為をしようとする者」ということで、非常に抽象的に書いてあります。これを今回の法律案におきましては、第四号で具体的に明確に表わしまして、しかも、この道交法案の根本精神からいいますと、道路上の危険を予防する、あるいは交通の安全をはかるという観点から、若干現行法よりもしぼりをかけまして、限定いたしまして、そういう観点では若干現行法よりは署長に対する許可関係の範囲は狭まっていると、こういうふうに申し上げていいと思います。  そこで、デモ行進などの関係でありますが、この第四号で二つのしぼりをかけておりますが、一つは、「一般の交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態」または「方法により道路を使用する行為」、すなわち、その通行の形態なり方法が一般交通に非常に影響が大きいという場合と、それから「道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼす」という場合、これはロケーションなどが入るわけでございます。こういうふうな二つのワクを、現行法よりも限定的に書きまして、しかもこれは、たとえば東京などのような大都会と、それから、言葉は悪いかもしれませんが、いなかのような地方の府県とは、交通事情も道路状況なども違いますので、それぞれの公安委員会の自主的な、良識のある判定によりまして、都道府県によっては署長の許可事項としてかからせる場合もあるし、そうでない場合もある。しかし、それは現行法といえども全然同じでございます。ただ、その根本の趣旨は同じでありますけれども、現行法よりはしぼりをかけている、そういう意味では非常に条件が明確になっているというふうに言えると思います。
  98. 亀田得治

    亀田得治君 いや、そういう条件が明確であるかどうかということをお聞きしたのじゃなしに、このデモ行進というものが、場合によっては、ここに書いてある概念に含まれるのではないか、絶対含まれぬというのか、その点をお聞きしている。
  99. 木村行蔵

    政府委員(木村行蔵君) デモ行進と言いましてもいろいろ形態が千差万別でありますけれども、大体、通常行なわれているような、非常に多数で、しかもプラカードを持ち、気勢を張る、威勢を張って歩くような行為につきましては、一般の交通に署しい影響を及ぼす通行の形態及び方法ということで、道路を使用する行為に相なるわけであります。これにつきましては、現在も現行法で「公安委員会の定める行為をしようとする者」ということで、県によっては公安委員会で規則を作りまして、デモ行進をする場合には署長の許可をとられているという所があるわけであります。その点については現行法と改正案とは変わりませんけれども、ここに明確な限定的な条文を入れたという点で、若干運用が明確になるわけであります。
  100. 亀田得治

    亀田得治君 だんだん入っていくわけです、みんな。  それからもう二つだけ前提問、題をお聞きしておきますが、「通行の禁止及び制限」の第七条、それから「混雑緩和の措置」の第六条、これらも場合によっては、デモ行進においてもここに書かれているような条件が出てきておるというふうに警察が認めると、適用の対象になってくるのじゃないですか。そんなものを大いに適用してくれという意味で聞いておるのじゃないですよ。
  101. 木村行蔵

    政府委員(木村行蔵君) この六条と七条を分けて御説明申し上げたいと思いますが、七条の関係は、これは交通規制の根本的な制度でありまして、これは現行法でもあるわけでありますが、公安委員会なりあるいはそれに類似するような機関において通行の禁止及び制限をいたすということは、世界中どこでもあるわけであります。この第一項の方は、たとえば一方交通をする、あるいは一時的にここは通行禁止という公安委員会の指定をして処分をするわけでありますが、その場合には道路標識を立てまして、いわゆるはっきりした表示をいたすと同時に、道路管理者に通知をいたすこと。従いましてこれは決していわゆる強制行為とか直接行為でなくて、一極の行政処分といいますか、行政行為。それから第二項は、これは新設の規定でありまして、今まで公安委員会ですべて通行の禁止及び制限をいたしておりましたけれども、特に大府県あたりでは非常に規制の数が多うございまして、一方交通をする場合でも、あるいは通行の制限をする場合でも、何百とあります。全国的にはおそらく万をこえるかと思うのでありますが、それを一々公安委員会できめるというのは、実情にも合いませんし、実際は無理な点があります。そういう場合には、たとえば四、五日間の通行禁止、あるいは非常に短い一時的期間、道路工事をやるとか、あるいはお祭り、かあって二、三日縁日が開かれているというような、非常に臨時的な短期間の短区間のものにつきましては、公安委員会の自由裁量で、場合によっては署長にその禁止制限をまかせる、これは実際やむを得ないのじゃないかと思います。それから、第三項は、あるいはこれだけ読みますと御心配になる点もあるかと思いますけれども、これは現行法にもありまして、むしろ現行法よりもしほりをかけた点は、「必要な限度において、」警官が道路上の危険を防止するために、「緊急の必要があると認めるときは、一時、歩行者又は車両等の通行を禁止上、又は制限することができる。」こういうふうに相なっておるわけであります。「必要な限度」ということは現行法にはないのでありますが、今度の法案ではそれをむしろ入れまして若干整備いたした。これはたとえば、交通事故が起こった、あるいは火事が起こった、がけくずれがあったというような、その現場において緊急に起こった事故に対しまして、やはりこの現場警察官が、その場で緊急避難的に、一時的に通行の禁止、制限をせざるを得ない場合があるわけであります。そういう関係からいたしまして、これはもちろんデモを規制する目的ではさらさらありませんし、今までこの現行法の規定でデモを規制したことは一度もありません。  それから第六条は、これは若干善き方が詳しくなっておりますが、これとても、実は現行法の第五条に、道路通行上の歩行者、車馬などは「命令の定むるところにより、信号機、」云々、警察官の手信号または指示に従わなければならぬ、こういう規定がございます。この規定を、最近のように非常に交通の錯綜している、また事故の多いむずかしい交通事情に対応しまして、若干現行法よりも積極的な表現にいたしました。で、この第六条には条件がやはりありまして、「車両等の通行が著しく停滞した」、すなわち何百という車が、たとえば尾張町でかみ合ってしまった、停滞してしまった、「著しく停滞した」という事実、その事実によって当該道路における交通が著しく混雑してしまうおそれがある、そういう場合、また当該道路における「交通の円滑をはかるためにやむを得ないと認めるとき」、しかもその間において、現場における混雑ということを緩和するために、必要な限度において、進行してくる車両に対して、一時とまっておれ。あるいは場合によっては、ほんとうは中央線を突破して、踏み越えて自動車の右側に行くことは非常に危険でありますけれども、この際は、非常にかみ合った輻湊した停滞に対する取りほぐしのために、右側に出てもよろしい。あるいは駐車場所でないところに対してお前ここで駐車しておれというような、若干通常の車両の通行方法に対する正規の方法と異なる臨機応変の指示ができるように命令することができるようにいたしております。この規定は、主として車両等に対する規制が中心であります。ただ後段で、「又はその現場にある関係者に対し必要な指示をすることができる。」こういうことがございますが、これは現場における歩行者とかあるいはヤジウマ、そういうものに対して、やはり非常に危険である、あるいはますます混雑するという場合に、その危険防止のために現場に対して必要な指示ができる、こういうようにいたしております。この指示は罰則はかかっておりません。いわば、まあ常識的にいうと、注意的な警察官の指示であります。いわゆる罰則によって担保するところの命令行為ではありません。
  102. 亀田得治

    亀田得治君 まあ、いろいろ詳しい説明がありましたが、まず、第七条ですね。これは一項、二項、三項とも問題になるわけですが、一番やはり重要なのは第三項です。これは現場警察官が、デモ行進等があって、これが何か挑発なり右翼のなぐり込みといったようなこと等で混雑しますと、それを理由にして通行の禁止、制限ですから、事実上はデモができなくなる。デモというのは歩くことなんですから、歩くことを制限したけれどもデモは制限していないというようなことは言えない。そういうことにこれはなるわけです。だから、デモの場合には絶対にどういうことがあってもこれは適用けしないんだと、こういうふうにはっきり言えるのかどうか。「必要な限度」なんて書いてありますけれども、こんなことは、書いてあってもなくても、それこそ警察権の発動なんというものは必要限度以上を越えてはならない。だから、どんな場合でもデモ行為はここからは抜けられておるという解釈かとっておるのかどうか。明確にして下さい。
  103. 木村行蔵

    政府委員(木村行蔵君) これはデモによって混雑しただけではこの規定にはかかりません。この規定は道路上における危険を防止するためでありますから、デモが非常にあばれまして、えらくその事態が変わりまして、その現場における道路上の危険がもしかりに起こった場合は、これはあり得るかもしれませんが、現在のところ、そういうことは今までもありませんでしたし、この規定は適用していませんけれども、観念的には、デモによって絶対に道路上の危険が起こされないのだということも、絶対的には言えないかと思いますので、それはケースによってはあるかもしれませんが、それは例外的な場合でないかと思います。
  104. 亀田得治

    亀田得治君 絶対ないと、こうおっしゃるわけですが、事実絶対ないのです。デモなんというものは秩序整然とやっているわけですからね。ないですが、そのこと自体の認定の仕方が違う。認定の問題について、警視総監、さっきからずいぶん言っておったように、非常に微妙なところがある。そういう意味で、絶対に適用はしないんではないということになると、これは重大な関連性が出てくる。それからもう一つ、第六条ですがね。これはなるほど罰則はないとおっしゃいますけれども、罰則はないからどうも軽く考えてくれという意味のようですが、デモで一番大事なことは、あとから罰金幾らになるとかならぬとか、そういうことでなしに、デモ行為自体を事実上とめられてしまう、制限されてしまう、これがつまり重大な問題なんです。それで聞くわけですが、ここに「当該車両等」とある。「車両」と書いてあればはっきりするのですが、「等」というものを入れますと、これは、はなはだ複雑ですが、この「等」には人が入っておりますか。
  105. 木村行蔵

    政府委員(木村行蔵君) これは路面電車が入っているだけでありまして、「車両等」というこの定義は、第二条の何号でしたか……、これは路面電車だけが入っております。それ以外は入っておりません。
  106. 亀田得治

    亀田得治君 どこかにそれは定義が書いてありましたか。
  107. 木村行蔵

    政府委員(木村行蔵君) 第二条の十七号に「道路において車両又は路面電車(以下「車両等と」いう。)」とあります。
  108. 亀田得治

    亀田得治君 わかりました。そこで、大体条文の方はおおよそ了解つきましたが、提案者に今度はほんとうの質問に移ります。今答弁がありましたように、道交法の第七十七条というものも適用がある。道交法全体が、すでにこれは前段最初にお答えがあったように、道交法なりの適用があるわけですね。それによりますと、デモをやる場合に、第七十七条による使用許可、こういうものが公安条例に基づく許可と別個に要るのかどうか。各府県の扱いが若干違う点もあるようですが、一体、正しい考え方としてはそこはどう考えておるのか。
  109. 木村行蔵

    政府委員(木村行蔵君) 公安条例と、道交法に基づく公安委員会規則による署長の許可というものが、目的が違いますし、公安条例の方は、各県の公安委員会の許可または届出であります。従いまして、一応、制度としては二本建てでありますので、両方に申請して許可または届出をすることになるのでありますけれども、実際の運用におきましては、その主催者の利便も考えまして、場合によっては一方の申請によって、他方の申請も合わせて、トンネルで一本にする。しかし、許可の場合はもちろん二本の許可を出します。若干の便宜を計らっておりますけれども、建前としては二本建てである、こういうことであります。
  110. 亀田得治

    亀田得治君 建前は二本建てだが、一本建てでもいいように便宜を計らっておる、こういうふうな多少あいまいな答弁ですが、それならば、私たちがデモ行進をやる場合に、七十七条の許可をとって、デモ行進をやる。それ一本でも可能なように法律的には考えるのですが、それはいかがですか。
  111. 木村行蔵

    政府委員(木村行蔵君) この七十七条は、道路上の危険を防止し、また道路上の交通の安全をはかる、道交法の目的によって作っている各県の公安委員会規則の規制であると思います。それから公安条例は、もちろんその目的には交通秩序の維持ということも一部ありますけれども、それ以外に、もっと広く、社会公共の安寧、秩序維持、その他、相当道交法規制している範囲以外にわたっておりますので、道交法に基づく公安委員会規則による警察署長の許可だけで、公安条例の許可も全部カバーするというわけには参らぬかと思います。
  112. 亀田得治

    亀田得治君 公安条例は、これは条例で、法律以下のものです。しかも非常に疑義がある。ところが、道交法によって行列が道路を使うことの許可というものを取っておりながら、それが歩けない。こういう根拠は一体どこから出てくるのです。その場合に道交法違反になりますか。
  113. 木村行蔵

    政府委員(木村行蔵君) 道交法で許可事項にかかっている場合に、その許可事項に違反して、あるいは条件をつけた、その条件に違反したり、あるいは許可を受けないでやった場合には、道交法違反として罰則がかかることになるわけであります。
  114. 亀田得治

    亀田得治君 だから、道交法による許可を取って、その許可を取るには七十七条二項にまたいろんな条件等がついているわけだ。公安条例と多少似通ったところもある、そういう条件を満たして許可を取って、それでしかも道路を歩けない、こんなことは私はあり得ないと思うのです。条例にどんなことが書いてあろうと、法律で許可を取るのですから。
  115. 木村行蔵

    政府委員(木村行蔵君) 確かに道交法だけの観点からいえば、その点、その通りでありますけれども、県によって、もし公安条例ができておりまして、公安条例に基づいて公安委員会の許可を受けなければならぬ場合には、公安委員会条件も付せられると思います。その他、公安条例によりますと、若干道交法規制と違う手段が与えられる、そういう面で必ずしも亀田先生の言われるように、道交法条件だけを満たしておれば、もうそれでいいのだ、また歩けるのだというわけには参らぬのでありまして、やはり公安条例の方の関係の許可なり、あるいはそれに際しての条件というものも満たさなきゃいけません。で、道交法条件は、ただ交通の危険を防止し、安全をはかる観点からだけの条件でありますので、公安条例の場合の条件と若干違うと思います。
  116. 亀田得治

    亀田得治君 それはなるほど公安条例の書き方と道交法の書き方は違いますがね。交通の秩序を乱さないということが明確である場合に、この道交法の許可を取りながら、なおかつ公安条例も許可を取らぬといけない。そういうことは法律上からは出てこぬのじゃないですか。むしろあなたの方の先ほどの説明だと、どうも公安条例の許可を取れば、道交法の方はまあまあということで、大体便宜措置をとっているような説明であったのだが、むしろ、それができるのであれば、道交法の方は法律ですから、そっちの方で一本の許可を取れば——それは二本あった方がよけいいいかもしれぬが——それでも合法的になるわけじゃないですか、実際の今までの扱いから見ても。
  117. 木村行蔵

    政府委員(木村行蔵君) 公安条例もやはり地方自治法に基づいて作っている条例でございまして、その淵源する法体系は、根拠は同等だろうと思います。しかも、先ほどから申し上げておるように、公安条例の方は、道路交通の安全をはかるだけでなしに、公共の安全を保持するために条例で定めておりますので、道交法関係範囲よりもはみ出ている。こういうふうに言えますので、その点はお含みいただけるのじゃないかと思います。
  118. 亀田得治

    亀田得治君 かりに、道交法による許可だけを取ったと……。(「地方行政でやればいいよ」と呼ぶ者あり)何ですか、田中君、委員長発言を許しておる。黙りなさい、あんた。(「地方行政でしてくれ」と呼ぶ者あり)要らぬこと言うな。(「あまりだよ、黙っておれば」と呼ぶ者あり)静かにしなさい。議事の妨害じゃないか。そんな、議員質問をあまり制約しなさんな。どういう関係にあるかということは、全部聞かなきゃわからんじゃないですか。(田中茂穂君「ほんとうは地方行政で聞けばいいのだよ、直接関係ないじゃないか」と述ぶ)関係ありますよ。質問者が関係があるから聞いているのだ。おかしいじゃないか。(「ちょっとひどいよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  119. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 静粛に願います。(「ちょっとひどいよ」と呼ぶ者あり)
  120. 亀田得治

    亀田得治君 何がひどい。
  121. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) ただ、亀田君、十二時もだいぶ過ぎておりますから、そこをお含みの上、……質問内容はいいが、ただ時間が十二時をだいぶ過ぎておりますので、一時を過ぎておりますし、そこいらをお含みの上で……。
  122. 亀田得治

    亀田得治君 それは田中君と私とは頭の向け方が違う。違うのだから、質問というものは立場が違えば観点が違ってくるでしょう。(「直接の質問をやってもらいたい」と呼ぶ者あり)だんだん直接の質問に入っているでしょうが。わからないのですか。私は何も特に時間かせぎにやっているんじゃないのですから。(「そういうふうにとれるんだよ、こっちは」と呼ぶ者あり)
  123. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 私語を禁じます。質問を続行して下さい。
  124. 亀田得治

    亀田得治君 そこで、今度提案者に聞きます。結局いろいろ検討すると、一つデモ行為というものについて、これを制限したり制止したりする法、規定ですね、これが非常にたくさんこう出てきているわけです。それらの違いというものを、特に本法との違いというものを、提案者はどういうふうに考えておるか、詳細にあなた自身説明して下さい。本法との違いです。デモ行為自体を制限したりあるいは制止したりする法律というものは、これで四つそろうわけです。制限とその要件ですね。それを提案者から……。本法との違いを特に明確にしてほしい。
  125. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 今あなたのおっしゃいまする本法というのは、国会周辺秩序保持に関する法律だと、こう思います。そこで、警告制止のできるという法規が四つあるというお話でありまするが、私の今まで承知しておりまする限りでは、三つではなかろうかと思います。いわゆる根拠とも言うべきものは。というのは、公安条例によって、緊急に非常に危険が差し迫ったというようなときに、この警告制止ができる。あるいは警職法の第五条でありまするかによりまして警告制止ができる。なお本法第五条の2という場合もあると思います。今御指摘の道路交通法に関する限りにおきましては、私は、これは提案者から承りました限りにおいて、警告制止の規定というものは全然ございません。
  126. 亀田得治

    亀田得治君 そういうことをおっしゃるから、私は関連性のある道交法の条文について十分検討してほしいと、前に注文してある。ところが十分検討されておらぬから、私は関係のある各条について明らかにしてもらいたいと思って、先ほどから質疑した。先ほどのことにまた戻るようですけれども、先はどからの答えでは、デモ行進というものについても、概念的にはちゃんとそれが含まる場合が多数出てきているじゃないですか。だから出てきておるとすれば、道交法の立案者がどういうふうにお考えになろうと、法律としてでき上ってしまえばこれは動くわけですから、だから、佐々木君が提案しておるこの法律とそれらとの関係、違いというものをはっきりさせてほしい。そういう立場でその関係を明確にしてほしいと、こう言っておる。その明確の仕方によっては、どっちかの法律が要らぬことになるかもしれぬ。要件自体の規定の仕方ではそうなります。だから、その三つだと言うのはおかしいでしょう。まず四つでしょう、既成の法律というのは。
  127. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は今もって三つだと思っております。あなたの御指摘のこの道路交通法は、先刻来御説明を承っておりましても、この中から警告制止というものは生まれてこないと思います。
  128. 亀田得治

    亀田得治君 警告制止という言葉にとらわれる必要はないのです。必要な措置とか制限とか、こういうことはみんな実体的には同じになってくる。言葉のことを言っているのではないのです。そうなりませんか。
  129. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先刻来、木村局長も御説明になっておりましたように、この道路交通法におきましては、対人強制権というものはない。対物強制権と申しますか、物件を強制的に撤去するというようなことはあると思いますけれども、人間を強制的に制止するというようなことは、この道路交通法の中にはないというふうに、今、私はここで承っておったのです。従いまして本法とは関係ないと思います。
  130. 亀田得治

    亀田得治君 それは関係があるものを関係がないとおっしゃってもだめなんですよ。決して対物関係だけじゃありませんよ。先ほどから何回もこれは私が念を押してお尋ねしているので、人に対する関係だってはっきりあるわけです。関係ないというようなことでは話にならぬじゃないですか。関係があるがどういう違いになるのかというところが大事なところなんじゃないですか。あなたのように、法律は三つだ、関係がないのだ、それだったら、さっきからのいろいろな質疑と矛盾してくるじゃないですか。
  131. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 同じことを繰り返す以外にありませんが、私は、警告制止のできる根拠法というものは、先刻申した三つであると思います。道路交通法におきましては対人強制権というものはございません。しかし、さらにここに専門家がおられるわけですから、一つ詳しく聞いて下さい。私の考え方にあなたは承服されないのでありますから、提案者がここにおられるわけですから、道路交通法の意見を一つ聞いて下さい。
  132. 亀田得治

    亀田得治君 これは非常に佐々木君の答弁は……。さっきからあなたに、田中君からやかましく言われながら私が質疑を続けてきたのは、そういう前提関係を明確にしておいて、結論のところを十分確かめたい、こう思ってやっていたのです。私は先ほど警告制止という言葉を使ったから、それの言葉をつかまえてあなた盛んにおっしゃるけれども、そんな言葉を私は特に言うのではない。中身を言っている。制止ということと、あるいは通行の禁止、制限、こういう中身は、いろいろ似通ってくるわけです。関係がないという、そういうことでは問題にならぬじゃないですか。
  133. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) いわゆる集団示威運動の場合、その集団示威の取り締まり法規ではなくても、そういう場合に適用される法規というものは、それはあるでしょう。たとえば、場合によっては公務執行妨害もあるでしょう。あるいは道路交通取締法もあるでしょう。あるいは建造物侵入罪もあるでしょう。いろいろなものが現行法規においてもあると思います。しかし、あなたの先刻来のこの場での話は、その警告制止の権限についてのお話をなさるのでありますから、あなた方は私に、いつも抽象的な概念については、ここは法律を審議している場だから、もっと法的に言葉を注意して言えと、いつもおっしゃるではありませんか。私はあなたのおっしゃった言葉に忠実に答弁する意味において申し上げているわけです。しかし亀田さん、今度の国会周辺秩序保持に関する法律案、これは、たった八条ですよ。この八条でも、あなた方今もってなかなか承服をしていただくことができない。この道路交通法を見ると百三十条あるのですよ。(笑声)このたった八条の答弁でもあなた方に満足できないのだから、それをいわんや、私の全然関係のない道路交通法案を持ち出して、百三十条にわたって満足な答弁をしろと、それは無理ですよ。だから、私は答弁できませんから、ここに専門家がおられるから、どうか道路交通法に関する限りは、この法律案提案者の方に聞くように一つお願いしたいと思います。
  134. 亀田得治

    亀田得治君 そんなあなた、いいかげんなことでごまかしちゃいけませんよ。こういう法律は——(発言する者多し)あまり横からごちゃごちゃ言いなさんな、まじめに審議しておるのだから。こういう基本的人権を制限するような法律は、本来は一本でなければいかぬのですよ。あっちにもこっちにもこう関係条文があったり、同じようなことを規定されるのでは、これは困るわけなんですよ。そういう前提はあなた考えておられますか。私たちが非常にこういう法案の審議にほかのことを持ち出すのは、本来そういうところにこの不明確な無理があるから、これは自然にそうなってくるのです。そういう点どうお考えです。実際、あなたが提案されたこの法律だけにしたって、この法律だけじゃわからないわけでしょう。当然これは公安条例のことが入ってくるわけです。公安条例のことはずいぶんいろいろな人から聞かれておる。そのときは答弁しておって、あなたが自分でよく研究しておらぬからというので、今度は道交法のことを聞いたらば、今のようなことをおっしゃるのは、これは明らかに不当なことです。そうでしょう。実際、こういうことを言っては失礼ですけれども、このデモ規制法即公安条例と、こういう結びつきを常識的にみんなが考えておるから、そういう質問には相当時間をかけておる。しかし実際はそうじゃない。同じ道路において行なわれることなんですから、その点を私が強く育ったからといって、これはどういう一体文句があるか、そういう見方があるかということです。当然にこれは慎重に審議すべきなんです。そんな、たくさんの人が寄ってわいわい人の発言を封殺するようなことをしてはだめですよ。そこで、私のお聞きしたいのは……
  135. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 亀田君に委員長から申し上げますが、提案者も言っておられるので、あなたのおっしゃる本旨は、要するに道交法と今度提案せられたデモ規制法との関係を聞かれると思いますから、従ってその関係のところをあなたから指摘せられて、具体的に一つ提案者に聞いて下さいませんか。
  136. 亀田得治

    亀田得治君 関係のところを聞いておるつもりです。聞いておるつもりなんですよ。それがあなた、なかなか先に進まんだけなんです。そんな、無関係なことを聞いておるつもりは絶対ないのです。
  137. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それですから、具体的に一つ……
  138. 亀田得治

    亀田得治君 たとえば第五条の一項、二項、これはいろいろと審議でも相当明らかになっておるわけですが、新たな権限というものが警察官に付与されておるということ、それと、道交法における、場合によってはデモ行為にも適用され得る条文発動条件、そういうものとの違いです、最終的に私の聞きたいのは。それをあなた答えて下さい。
  139. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これはまあ、関係ないと言ったら、またあなたに怒られるかもしれませんが、関係ないと私は思います。なぜならば、現に道路交通取締規則というものはあるわけでありまするし、また今ある道路交通取締法にもこのデモの場合がひっかかったこともないという御説明を、先ほども承ったのであります。そういうわけでありまするし、これは議長の要請を受けたときに、第五条の二項に基づいて警告制止を行なうわけでありまするから、関係があるかとおっしゃられまするなれば、提案者としては関係はないと答えざるを得ないのであります。
  140. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、警察の方に聞きますが、デモ行進に現在の道路交通取締法を適用したことはないのですか。
  141. 木村行蔵

    政府委員(木村行蔵君) 関係、無関係ということは、非常に言葉として微妙でありますけれども、このデモ関係に対する規制は、先ほど申し上げましたように、現行法は二十六条、それから道交法案では七十七条によりまして、地方の実情によりましては、道路上の危険を防止するために、公安委員会が規則を作りまして、署長の許可をデモ行進について受けさせるということ、その関係においては規制があり得るわけであります。それから亀田先生、ちょっと念のために……
  142. 亀田得治

    亀田得治君 まあ要らぬことはやめて下さい。私がお聞きしたのは、道路交通取締法をデモ行進に適用した前例がないかということを言っているのです。今、佐々木君は何かそういうことかないようにおっしゃったが。
  143. 木村行蔵

    政府委員(木村行蔵君) 先ほど申し上げたように、署長の許可にかかることになっている県によっては、規制を受けることがあるわけです。
  144. 亀田得治

    亀田得治君 私の質問にぴたっと答えないから、何べんもこれは委員長から注意して下さい。今の答えなんか明らかに質問をそらしておるわけじゃないですか。答えは、デモ行進への適用といいますか、適用を排除していない意味に答えておる。そこはまた佐々木君ともこれは違うわけですが、私の聞きたいのは、その理論じゃなしに、過去において道交法をデモに適用しているじゃないか、あれは誤りだった、今後はそういうことはないのだと、ここではっきりするなら、これは本法との関係というものをやかましく言う必要はないのです。だから、そういう使い方をしたことがあるかないかということを、それを聞いているのです。ぴたっと答えて下さい。
  145. 木村行蔵

    政府委員(木村行蔵君) 先ほど申したような条件で適用したこと、かあります。
  146. 亀田得治

    亀田得治君 そうしたら、提案者考えというものは全くこれは支離滅裂です、本法道交法との関係においては。そういう不勉強なことで、こういう重大な法案をやられてはだめなんです。道交法との比較すらそれはできないですな、あなたはもうそれは関係ないと言うておるのだから。私は関係があることを前提にして、本法の第五条それから道交法関係条文との比較をしてもらいたい、その比較の仕方によっては、そう無理してまで本法のようなものを作る必要がないのではないか、というところに実は持っていきたいわけなんだが、どうもそこまでいかない。しかし私は、この問題は、質疑がどうも食い違っておるから、このままでいい、もう時間がいったから多数でもう打ち切って、あとは審議を進めていくの、だ、そんな問題じゃないと思うのです。審議権確保するというのは、こういうあなた重天な、提案者法律の立案者との大きな食い違いなんかができておる、こういうところについて慎重に糾明しなければ、こんなものは形式的な、審議になってしまう。私はこの点だけ委員長に、こういうところの扱いを一体どうするかという点についての善処を、一つこれは要求しておきます。私は、幾ら多数であっても、そういう筋の通らぬことで審議を打ち切るというようなことは絶対了承できない。法制局長もそこでこの質疑をずっと聞いておって、おそらく佐々木君の説明なんか了承されておらぬと思う。だから、十分その点の検討を求めておきまして、私は、きょうはもう道交法の問題はこれで質問を終わる予定で無理してきたわけなんですが、今日のようなことでは、私は質問を保留しておきます。
  147. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) これにて暫時休憩いたします。    午後一時三十分休憩    —————・—————    午後二時五十五分開会
  148. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 議院運営委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案を議題として、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  149. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 午前中、警視総監の最後の答弁の中に、第五条の第二項に関しまして、一番最後に書いてある警告制止の条項について、従来の警職法の範囲よりも、この条項の警告制止は、ふくらんでくるものと判断する、こういう答弁がありましたが、この点に関しまして、提案者はどういう見解を持っておられますか。
  150. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先ほど警視総監でありましたかの答弁もあったようでありまするが、私は私の責任において、この問題を申し上げておきたいと思います。というのは、議長側からの要請を受けた都の公安委員会委員長並びに警視総監がいかなる職権を行使するかは、もつぱらそれらの自主的な決定に待つわけでありまするが、しかしながら、第五条第二項におきまして、議長からの要請を受けたときに、必要な限度において警告を発し、また制止を行なうことができるようになっております。この点を、従来なかったものがふくらんだのではないかと言われたのではなかろうかと思いますが、要は、警告制止の職権を少しも越えるものではございませんが、その警告制止の職権を発動する要件というものが、警職法第五条の場合並びに公安条例四条の場合以外に、本法第五条第二項においても行なうことができるようになったことでございます。その意味におきまして、あるいはふくらんだのじゃなかろうかというような、そういう御説明じゃなかったかと思います。
  151. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ただいまの答弁によりますと、発動要件がふくらんでくる、言いかえますと、従来の警職法の中には、制止の場合には、たびたび申し上げているように、生命身体の危険と財産損害、その二つの要件が、急を要する場合においてという最終的な要件の具備のもとに初めて可能である。そのことを備えなくても制止警告、特に制止ができる、こういう意味に私は質問した。今私が申し上げました五条の制止要件である前段の二要件と、最終的な要件である「急を要する場合においては」という条件が具備されなくても、本文によりますと、「必要な限度において」というただし書きのもとに制止行為本法によって与えられる。こういうように判断してよろしいかと提案者に聞いておる。
  152. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 議長から要請を受けました警視総監警告制止を行ない得る場合には、公安条例「第四条におきまして、公共の安全に対して明らかに差し迫った危険があるという場合であります。さらに警察官といたしましては、警職法の第五条に基づいて、さきに犯罪が行なわれようという場合に警告をすることができる。しかも、その犯罪行為によって人の生命財産に危険が加わり、しかも放っておけない緊急を要する事態、そういう場合において制止を行なうことができることになっておるわけでありますが、その二つ以外に、議長から要請を受けて——議長が要請し得るためには前提条件があることは申すまでもありませんが、議長から要請を受けた警察官が、本法五条二項に基づいて新たに警告制止を行ない得る要件が生まれてくるわけであります。
  153. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 だから、簡単に言いますと、警職法五条の条件が備わらずとも警察官制止することができるという権能を本法は与えようと意図しておるのだ、こう判断してよろしいですね。
  154. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そうでございます。
  155. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 次に第四条に移りますが、四条では、議長の要請権をうたうとともに、その具体的な意図として、「許可の取消又は条件の変更」ということが書いてあります。この「許可の取消又は条件の変更」も、同様に公安条例の規定を越えて、規制を越えて、要請があった際には別個に取消変更の権限が与えられると、このように判断してよろしいですか。
  156. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 今御指摘のような権限が与えられるわけではございません。議長が要請をいたしましたときには、それは公安条例に基づいて、公安条例の範囲内において許可の取り消しまたは条件の変更を行なうことができるだけのことであります。
  157. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 すなわち、それを要請するだけであって、第四条は、取り消しまたは変更の、公安条例以上の権限は目的としていない、こういうことなんですね。
  158. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 御指摘の通りであります。
  159. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 その要請の根拠となるものは、国会議員の登院と国会審議権の公正な行使ということのために、公安委員会に対して、新たに公安委員会の独自の判断以外の取り消しまたは変更を要請することを四条は目的としておるのですね。
  160. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先ほどあなたのおっしゃったこととは全然別の御質問じゃないかと思います。先ほど答弁いたした通りでありまして……
  161. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 質問内容が違うのですよ。
  162. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 御質問が非常に微妙な御質問でありますので、もう少しはっきり言っていただけるならば、はっきりと御答弁いたします。
  163. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私の言っているのは、あなたの先ほどの御答弁ではっきりしましたように、取り消しまたは変更の条件となるものは公安条例だけである。以外のものではない。しかし、議長のこの取り消しと変更要請をするため必要を感じておるものは、議員の登院と国会審議権の公正な行使ということですか、ということです。
  164. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) その通りであります。
  165. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、この二つのために、公安委員会公安条例に基づいて判断したこと以上のものを、この四条一項は公安委員会に要請する権能を定めようとしておるわけですね。
  166. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先刻も申し上げましたように、議長の要請権というものは、もっぱら公安委員会の自主的判断の範囲内であります。決してこの公安条例を越えたものを議長が要請するものじゃございません。
  167. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そう言っているのです。だから僕の質問が成り立つわけです。あなたの答弁をその通りに理解しておるのですよ。私が聞いておるのは、届け出というものがかりに行なわれておるとすれば、議長の要請権発動前に公安委員会に大体届けられておるはずですね、そうでしょう。その際に、公安委員会は許可をしておる場合があるでしょう、許可していない場合もある。許可しておる場合は、公安条例の範囲内においてそれを認めたわけですね。そういう事態があっても、先ほど私が云った二つの目的のためには、許可しておっても取り消して下さいという、要請をすることをねらっておるのですね、という質問です。
  168. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 何か非常に回りくどいようでありますが、大体あなたのおっしゃることと同じ意味であります。
  169. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体では……、私は朝から四条に大体主力を置いて質問したいと思っておるのですから、はっきりお答えしていただきたいのですが、お隣の長谷川さんも同様の見解ですか。
  170. 長谷川峻

    衆議院議員長谷川峻君) 同様であります。
  171. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、なるほど判断は、公安委員会の「講ずるようにしなければならない」ということは、あなたが言われたように期待性であって、言いかえますると、三浦さんの宵葉を借りれば、覊束行為ではなくして裁量行為である、こういうことですね。しかし、あるいは前の公安委員会の決定と同等の決定が出る場合もあるし、前の決定と異なった、議長の要請という立場に立って、異なった、言いかえますると、取り消しという議長の期待することが出てくる。このことは、公安条例で一度有効と認めながらも、有効といいますか、公安条例そのままの適用を認めながらも、議長の要請の場合には、公安条例の判断を再度くつがえすことを期待しておるわけですね。公定条例に基づいた公安委員会の意思決定をくつがえすことも含めて期待しているわけでしょう。
  172. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 期待しておるということかどうか知りませんが、そういうこともあろうかと思います。公安委員会は、公安条例に基づいて許可した集団示威運動でありましても、議長からの要請を受けたり、その後の情勢判断をして、これが国会議員の登院と国政の公正な審議権に著しい影響があるということで議長さんから要請が行なわれたような場合におきましては、そういう場合もあろうかと思います。
  173. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 非常にあいまいになってきたようですが、そういう場合もあるということですが、取り消さないでいいですか。提案者、そうじゃないでしょう。それを期待するから要請権を法律で認めようとするのだ。場合もあるじゃなくて、そのことを期待しなければ、そういう場合もあるだろうということで、あなたの言葉を借りれば、国権の最高機関の長がわざわざ連名で要請することはないじゃないですか。そのこと、だけを期待している……。
  174. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 御質問がほんとうに私にはっきりとわからないのですが、要するに、議長からの要請を受けた公安委員会が行なうことは、公安条例の第三条の第三項、これだけであります。つまり「公安委員会は、前二項の規定にかかわらず、公共の安寧を保持するため緊急の必要があると明らかに認められるに至ったときは、その許可を取り消し又は条件を変更することができる。」、これだけであります。
  175. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そのことも先ほど答弁で理解したから私は聞いているのです。私が聞いているのは、公安委員会に届出が出る、そのことを公安委員会は条例に照らして適宜の判断をして許可、不許可の両方がある。許可になった場合にも、議長は、先ほどの二つのことを目標にして、二つの並列条件をねらいとして取り消しの要請をする、その際の取り消しの要請のねらいは、あなたの言った、「場合もある」ということでなくて、取り消しそのものだけをねらって要請をされるん、だ。そうでなければこの立法はおかしいですよ。委員長はもう最初から僕の質問はおわかりですよ。(笑声)うんうんと、うなずいておられる。そうでしょうと聞いているのです。
  176. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そのときも、この三条に当てはまるかどうか、ということを検討した上で決定をするわけであります。だから根拠となるのは第三条の第三項であります。
  177. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 委員長が頭を振って違うというのは、答弁内容が違うということだ。あなたのおっしゃったことは私は納得するのです。その通りですよ。その際、判断の根拠となるものは、公安委員会ですから公安条例です。しかし、議長要請の意図するものは、その「場合もある」ということでなくして、取り消しだけを百パーセントのねらいとして要請するというのでしょう。だから、イエスだけでしょう。
  178. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) その点についてはそうであります。
  179. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そこで、公安委員会が一度条例に照らして判断したことを、国会の議長という立場に立って百パーセントこれをくつがえすことをねらいとして要請するということが明らかになりましたので、次に質問を進めたいと思います。  そこで、議長が要請する場合ですが、これも前回からたびたび問題になっておりますように、この四条前段の幾つかの行為によりまして、「著しく影響を与えるおそれがあると認められる場合」、このことは、あなたが今日までたびたびの委員会で、今日までの国会の具体的事跡を幾つかあげられて説明されたのですが、ここで「著しく影響を与える」という抽象的な用語の中に含まれているもの、言いかえますると、予測してある事態はどういうものでしょうか。
  180. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは、そのときの状態によって、いわばケース・バイ・ケースで違うと思います。行なわれまするところの集団示威運動等がいかなる態様を持つかということによって変わってくると思いまするが、要は、国会議員の登院と国会審議権の公正な行使に有形無形の圧迫を加える、そういうふうに判断された場合のことであります。
  181. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 無形の圧迫があった場合でも、あなたが言われたように、公安委員会が公安例に照らして一度判断したことでも、国会議員の登院と国会審議権という名目のもとに百パーセント反対の決定が出ることを期待される要請を出されるわけですか。
  182. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) たとえば、この無形の場合におきましても、それが何らかの外部からの力、影響力によりまして、国会審議権を妨害すると、うような事態になりましたときにおきましては、やはり議長としては、これが国政の審議を公正に行なうことができないと判断されました場合におきましては、要請することかもとよりできると思います。
  183. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 生きている国会議員か、あなたの指定されておるところから見ると、具体的な場所に、——国会に登院するために歩行を続けておる、あるいは国会の審議が生きた人間によって具体的に運営されておる、その際に、無形の著しく影響を与えるというのは、大体どういうことなんでしょうか。あなたの期待しておる法案が作られる際に、あなたが予測してある事態というのはどういうことですか。
  184. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は先刻申しましたように、そのときどきの事情によってもずいぶん違うと思いまするが、要は、議員が単に物理的に妨害される場合はもとよりのことでありまするが、精神的にも公正に自主的判断をすることができない状態に置かれる、あるいは公正に審議することのできないような状態に置かれる、そういうふうな場合におきましては、必ずしも、何といいますか、外部からの実力か、実際の有形上の力のみならず、無形のむしろ精神上の影響力の場合も含める、こういう意味であります。
  185. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、大体あなたが予測してある無形の影響というものは、その議員の受ける心理作用、こう判断していいですか。
  186. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 今御指摘のような場合も含まれると思います。なお、一つ法制局からも意見を聞いて下さい。
  187. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) ただいま提案者の御説明になりましたようなことで、大体私も同じ意見を持っております。(「それなら言う必要ない」と呼ぶ者あり)    〔阿部竹松君「議事進行」と述ぶ〕
  188. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 阿部君。
  189. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 提案者は、その通りたと思うけれども、なお法制局の方に聞いてくれと言っておるのですよ。それで今度法制局の三浦さんが、提案者と同じだと言う。そんなべらぼうな答弁がありますか。そんなべらぼうな答弁ないですよ。答弁をやり直しなさい。(発言する者多し)
  190. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 静粛に願います。
  191. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) ただいま提案者からお話がありました点につきましては、私もそのように考えておるからそう申し上げただけでありまして、別に他意はございません。この審議権の公正な行使に影響があるかどうかということは、具体的には、そのときの具体的な事情によって、それによって社会通念より判断するより仕方がないと考えておりまするが、結局、議院の構成メンバーでありまするところの議員の皆さん方が、それぞれ独自のそれぞれの審議権を持っておられる、それを行使する立場にあるわけでございまするから、それが、外部の有形的なあるいは物理的な、無形のあるいは精神的な影響を与えるような何らかの力によって、ゆがめられることがないようにする、そういうことが審議権の公正な行使と、こういうふうに考えておるわけでございます。
  192. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 「外部の」というのは、主として主権者である国民考えてよろしいですか。
  193. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 本法でいう「集団示威運動等」のことであります。
  194. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 集団示威運動によるこれこれですね、一般国民ではなくして。そうですが。
  195. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 今御指摘の通り本法の「集団示威運動等」の行為によってであります。
  196. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 それでは、集団示威運動という場合には、法律の条文としては不特定多数でしょうか、具体的に届けが出され、あるいは条件の届けが出されて行なわれることによりですから、この条文が発動される際には、具体的に特定の団体ないし集会ないし示威運動があっているわけですね。その際の無形の影響というのも、人が集まっておる、こちらに請願に来るらしいという風評によるところの議員の心理作用、こういうことですか。
  197. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 風評が立ったから直ちにどうというようなことは、ここで私たち考えておるわけじゃございませんが、しかしながら、かりにそういうデモ行為が行なわれたならばというよう場合も含まれるかと思います。
  198. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体、問題が核心にだんだんと近づいてきたのですが、その際に集まっておる人々の思想内容も、いわゆる議員先ほどおっしゃった心理作用における影響と見て差しつかえないのですか。
  199. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そういう意味でこの精神的影響ということを申したわけじゃございません。もとより、いかなる思想を抱くかは、それは自由なことでございます。
  200. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、無形の心理作用というのは、大衆の主として数を予測してありますか、示威運動の。
  201. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) まあ数を一多数をかってというようなことがおもかとも思いまするが、しかし、必ずしも数の問題だけが絶対的なものであるとは考えておりません。
  202. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そこで、あなたが提案されておる法案の中で、第一条に「周辺の静穏」という言葉がありますが、憲法によって請願を定めておる条項による「平穏」と「静穏」は、区別してここで使い分けてありますか。
  203. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 大体「静穏」も「平穏」も同じような概念に立っております。
  204. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私は、この憲法に、請願権を定めておるところにいうところの「平穏」というのは、いわゆる音響的なもの、あるいは集団の数とか、こういったものでなくして、少なくともここで定めている法の精神というものは、現行憲法精神ですね、午前中に私とあなたと全く意見の一致したところの現行憲法精神と、そのもとにおけるいわゆる機構、憲法に定められた諸機構ですね、これを認定するということが最低要素であって、そのほかの別段の内容を含んでいないと思うのですが、提案者もそのように判断されますか。
  205. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) この憲法第十六条の規定かと思いまするが、これには数の考え方というものが考慮されたものとは思いません。
  206. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 だから、「平穏」というものが含んでいるものは、現行憲法精神を体するといいますか、憲法を全く破壊してしまうとか、憲法に基づくところの諸法規によって定められておる現在の機構というものを完全に破壊しようというような意味を否定した内容にすぎない。数とか、あるいは午前中にちょっと二、三言葉が出た、赤旗を持っておるとか、自分の意思表示の代弁としてプラカードに何か自分の要求を書いている、意図を書いている、こういったものをもって、いわゆる憲法にいう「平穏」ではないという判断はできないでしょうと言っておるのですが、その通りですか。
  207. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) プラカードを持ったり、あるいは文書を配付するというようなことは、要するにこれは憲法保障する表現の自由の範疇に入るものと考えます。従ってプラカードを持っておるから、それが平穏でないと、こうは考えておりません。
  208. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、集団示威運動が行なわれることによって、一万人来た、あるいはプラカードの中に安保改定反対と、こういうことが書かれている、あるいは本法律の名前を書いて、法律案に反対と、こういうことが書かれてある、こういったことではないことで著しく影響を与えるおそれがあると判断するのは、どういう事象で判断されるのですか。
  209. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) それは一がいにここでその明確なる基準を出せとおっしゃっても非常に無理じゃないかと思うのであります。やはりそのときそのときの事情によって判断をする以外に道はなかろうかと思います。
  210. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 しかし、議長か要請権を発動する際には、著しく影響を与えるおそれがあるかないかでしょう。そうすると、そのことは、大体あなたがおっしゃったように、私も明確にこれとこれであるということを言って下さいと言っているのじゃない。しかし、法律を作って要請権を与えられる以上は、予測しておる幾つかの具体的な内容というものは、当然これは、抽象的な権能を与えるのじゃないのですから、具体的なもので判断をしてやるのですから、それはお考えになっておると思うのですか、それは全然お考えになっていないのですか。
  211. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) この議長の要請というものは決して乱発されるわけのものでもなく、おそらく議長かこういう要請をなさるということは、きわめてまれな、いわば一種の非常の事態であろうかと思います。議長は良識を持たれて御判断になって、こういう外部の情勢というものから公正な審議権を行使することができない、こういう状態では国会議員の登院ができないというような事態というものか、おのずから決定をしてくるのじゃなかろうかと思います。今一がいに、どういう場合か一つ示してみろとおっしゃいましても、これを例証することは非常に困難であります。    〔委員長退席、理事田中茂穂君着席〕 しかし、この本法におきましては、議長も、一院だけの議長ではなくして、両院の議長の意見の一致を見ることも必要になっておるのでありまして、従って、国会議員の登院と審議権の公正な行使に著しい影響を与えるというような事態は、そのときに臨んでみなければ、どういう場合かということは言えませんけれども、きわめてまれな場合でありますから、そうこれが乱用されるということはなかろうと考えております。
  212. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私も提案者同様に、そう思いますし、ましてや議院の議長というものは、そういうことを乱発したり乱用する非常識なことはなかろうと思うのです。しかし、法律個人の良識に根底を置いて作るのではなくて、伝は、松野さんであろうと、だれであろうと、議長の良識の幅とは別に厳然として存在するものです。従って、私が午前中たびたびたびどいように原則論を展開しましたように、請願という特に憲法で定められた国民基本的人権を、一度公安委員会が許可したにもかかわらず、取り消しを期待して要諦をする、という権限を法律で与える以上は、少なくとも、著しく影響を与えるおそれがあると認める内容については、予測すべき幾つかの事象がなければ、全く架空なことになる。これは質問にならないで、意見的になりますけれども、午前中にあげた普選法の通過する場合であっても、後にはりっぱな法律だと言われたけれども、時の内閣は、警察や憲兵を動かしてこれを阻止しようとした。これは明らかに大日本帝国議会史の中に書いてある。今日では普選ということはいいけれども、時の権力者にとってはきわめて好ましくない法律だったということで、弾圧をしたのだろうと思います。従って、そのことがいいか悪いかの判断は、全く個人の基本的な主観になります。そこで、くどいようですけれども、全然「著しく影響を与えるおそれがある」という事象についての具体例はなくて、抽象的にお考えなら、それでもよろしい。少なくとも私は、何か幾つかの事態——こういう場合もあるだろう、こんなことでは困るからということがあったのではないかと思うのですが、なければ、全然考えないでやったのだ、この答弁でもよろしいですから、もう少し明確に、議長の良識問題ということでなくして、法文の内容として、明らかに御答弁願いたいと思います。
  213. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) この法文の文言の中に表わされておりますることは、きわめて抽象的な概念のようでありまするが、しかし、これを突き詰めて具体的に判断をして参りますると、かなりこれは具体性を帯びてくるのじゃなかろうかと思います。この国会議員の登院が不能な状態、国政の審議が不可能な状態ということは、実際問題としては、かなり具体的にしぼられてくるのじゃなかろうかと思います。では全然そういう例がないのかとおっしゃいまするならば早い話が、昨年の十一月二十七日のごとき事件は、ああいう場合においては、当然この本法によって議長は要請をなさるのじゃないかということを、私たちは期待をいたしております。
  214. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 このことはだいぶ論争しましたけれども、明らかにならないので、次に移りたいと思います。  そこで、私が特に第四条で気にしているのは、第六条にも書いてありますように、あなたは集団請願、多数による請願というのも合法である、憲法十六条でいうところの平穏な請願と判断する、こう言っておられる。そうして憲法の中で、公共の福祉という言葉よりも、基本的人権ということの方が、少なくとも憲法では優位にあるということも答弁されている。ところが、あなたの前回の安田委員質問に対する答弁によれば、第一条は、国の公安にも関係があるし、公共秩序、安全にも関係がある。そこで、憲法でいうところの公共の福祉というものと、公共の安全、秩序というものを、あなたは全く同じものに見ておられますか。
  215. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 基本的人権というものは、これは絶対に守られなければならないものだと思います。それこそまさに基本的な人権でありまするから、すべての国民が平等に享受しなければならない基本的なものでありますから、まずこれは大前提だろうと思います。しかし、これは国民権利及び義務の憲法の定めの中におきましても、憲法第十二条におきましても、国民は、これを濫用してはならない、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負わなければならないということも規定されておりまするし、第十三条におきましては、公共の福祉に反しない限り、国民には生命、自由及び幸福追求権利もあるということを認められているわけであります。従って、この二者択一というようなものではなかろうと思います。
  216. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 二者というのは、私は、憲法では公共の福祉というものがきちんと定められていなくて、今あなたがいみじくも指摘されたように、基本的人権の展開の一つ条件として「反しない限り」ということが定められている。これは憲法前文で御承知のように、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威国民に由来し、」と明記してあるし、また憲法第十章、最高法規の骨子として定めたところの第九十七条にも、基本的人権の本旨として「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、」と、こう明記してある。従って、午前中にあなたと私が意見の一致したところの基本的人権の中の表現の自由というものは特に大切である。従って、このことが、公共の福祉という、基本的人権の展開の際の一つ条件となっている言葉とすりかえられては憲法違反である、ということを私は言っているのですが、その公共の福祉でなくして、前の国会に出されたところの警職法改正の中にあるところの公共の安全、秩序、こういった公共の福祉よりもっと下位概念にあるところのもので置きかえられようとしているところに、この法律憲法違反であるということを言いたいのですが、それはまた後に……。あなたに今端的にお伺いするのは、公共の福祉ということと安田委員答弁された公共の安全秩序というものを、同じに考えられますかということを聞いている。
  217. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 憲法でいう公共の福祉という場合と、あるいは公安条例等におきます公共の安全秩序、これがたまたま一緒の場合もあろうかと思います。また、その公安条例警職法等におきます公共の安全、それから公共秩序維持ということが、公共の福祉という広い概念の中に含まれることもあろうかと思います。まあそういう考え方であります。
  218. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 公共の福祉ということをいろいろな角度から論ずると長くなりますので、この程度におきますけれども、私は、憲法にいうところの公共の福祉というもの、これは国民基本的人権の累積保障であって、たびたび憲法違反の疑いを持つ公安条例が使っておるところの公共の安全と秩序というものとは、おのずから違うという判断を持っておるのですが、これは法務大臣や国家公安委員長出席の際に、またあらためて質問することにいたしたいと思います。  そこで、先ほどから請願権に移っておるのですが、第六条と第四条との関係におきまして、請願とか陳情とかといったもの、請願、陳情というのは、国家機関の恩恵と見ておられますか。それとも、主権者である国民の主権行為発動の一様態である、こう見ておられますか。
  219. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) というものは、当然すべての国民に与えられた権利であると考えております。
  220. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、先ほどからの御答弁で明らかになっておりますように、集まった人の数でもない、自分たちの意思表示をしておるところの物体、プラカードとかその他のものでもない。ただ、あなたが具体的にあげられた昨年の十一月二十七日のごときもの、こういうきわめて不明確な条件のもとに、あなたの強調しておられる国民基本的権利を、公安条例に照らして一度許可したものまでもくつがえすことを要請する権能を国会の議長に与えるということは、あなたが午前中からたびたび答弁してきておられる憲法の主軸が人権の尊重にあるということと食い違っていはしませんか。
  221. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 基本的人権というものは、すべての国民に平等に与えられたものであります。プラカードをかついでデモ行為をやる者だけに基本的人権があって、国会議員基本的人権がないという意味ではございません。従いまして、そのプラカードをかついでデモ行進等を行なうことは、憲法保障する表現や集会、結社等の自由に属すると思いますが、その基本的な人権であるという名によって、人さまにはどんな迷惑がかかったって、自分の基本的人権を守るためにはかまわないのだという議論は、少し暴論だと思うのです。従って、すべての国民基本的人権があるわけでありますから、外部の圧力等によって、国会議員国会へ登院するというその基本的人権を妨害される事態、あるいは国会議員として今日国民主権の立場にありますところの国権の最高機関議員が公正な審議を行なうことのできないような状態に置かれることは、国会議員としての基本的人権を侵害されたわけであります。従いまして、私は、あなたのおっしゃいますることは、この集団デモ等をやる者の基本的人権があるから、それに対して、公共の福祉に反するということによってあるいは許可の取り消しや条件の変更等をやることは、これは基本的人権を侵害するものだという議論には、どうも私は矛盾があるように思うわけでございます。
  222. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私も、基本的人権が、デモをしている人あるいは示威行為をしている人にのみあるなどとは考えてもおりませんし、言っておりません。また国会議員もその通りでしょう。それは憲法の定める範囲内において、私が第二回目の本委員会の審査のときに申し上げたように、現在の国民と同じ基本的人権保障されている国会議員だから、国会議員様がお通りになるときには車も人も通るなという選民意識ではなくして、現在の道路交通取締法にしても、警職法にしても、現在の国民と平等な法律のもとに制約を受けるにとどめらるべきだと、こう言っておるわけですが、そのことは別にして、請願権を認められましたので、次に進んでいきたいと思いますが、国民は現在国会で審議されている法案に対して賛否の意見があると思います。その際に、自分たちの選んだところの代表に、憲法十六条に基づく国民権利として、あるいはもっと基本的な主権者として、この法案を反対である、あるいはこの政策は否定したい、こういうときには、文書で議員に言うこともありましょう。    〔理事田中茂穂君退席、委員長着席〕 あるいは言葉で訴えることもありましょう。いろいろの方法があると思いますけれども、最も直接的な方法は議員に自分の意思表示をすることである、こう思うのですが、あなたがたびたび言われている最高の機関であるところの国会議員が公正に国政を審議するためには、国民の声を最も直接的に聞き、これを反映することが、最も公正な行使と私は思うのですが、提案者はどう考えられますか。
  223. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 国民の声を国会議員が正しく聞いて、それを政治の上に反映するということ、それがいわゆる国民主権の民主政治の根底でございます。ただし、そのことと、それがきわめて不穏当な状態において、ないし非合法な状態において、あるいはまた請願、陳情等に必要な手続等を踏まないでやった場合とは、おのずから違うわけでございまして、基本的に言うならば、国会議員は、喜んで国民と接触してその意見を聞き、陳情を聞くということは、それはもとよりけっこうなことであります。そのことについて本法は何の関係もございません。ただ、そういうことがきわめて不穏当な状態に行なわれて、国政の審議が妨害されるという場合にのみ本法を適用するという考え方でございます。
  224. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 だから、再々言っておりますように、具体的にその行為が行なわれたときに、Aという議員に対して登院阻止の行為があり、そのために審議権の行使ができないという具体的な事例の際には、現行法規の適用で現在まで十分であったはずです。それを私が四条をとらえて聞いているのは、まだ行なわれていない、「おそれがあると認められる」という、そういう場合に表現の自由を制限することは憲法精神に違反すると、こう言っているのです。たとえば、あなたが会館からおいでになる際に、あなたを取り巻いて、きょうの議運の説明会に行っては困るといって妨害すれば別でしょう。しかし届けば出ている。あなたの前回の説明によると、何日か前もあり得る。いいですか。届けが出て、何日か前に議長が判断をして、おそれがあると認めて、これを不許可にする。ここに僕は問題があると、こう言っている。その何日か前では、あなたの言われた条件が全くつかめないのです。数でもない。数であれば何時間か前にわかるでしょう。一万人の集会ということであればすくわかる。それはいかぬということになる。ところが、あなたは数の多少にはよらないと、こう言っている。意思表示の具体的な事物にもよらないと、こう言っている。それを、何日か前におそれがあると認めて、基本的な言論あるいは集会、行進、表現の自由というものを取り消させようとしているところに問題があると、私は言っているのですよ。あなたの答弁とは違うでしょう。何日か前にどうしてわかりますか、あなたが阻止されるということが。ここを聞いているのですよ。おそれがありと認められる場合、先ほど答弁と私の今の質問との関係はどうなのですか。
  225. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは国会議員の登院の確保審議権確保ということが私たちの所期の目的でございます。従って、現実に登院ができなくなって審議ができなくなってしまえば、もうこの法律の効果というものは何もなくなるわけです。従って、そういう予防措置をとるところにこそ本法というものの意義があるわけでありまして、本法には罰則の規定もありますけれども、罰則の規定を適用することのみが本法の目的ではないわけでありまして、私たちは、国会審議権確保したいということが一つの目的なのでございます。従って、事前の措置をとるということがまず必要なことだと思うのです。はたしてそのような認定ができるかという御質問でございまするならば、その事前の認定をいたしまするような場合におきましては、公安委員会警察当局と緊密な連絡をとって、公安委員会に提出されました集団示威運動等の許可申請書をもととして、その主催者とか、目的とか、日時あるいは進路、場所、参加予定の団体、参加予定人員等を詳細に検討いたしました上で、さらに各方面からの情報も十分に参考にいたしまして判断されることと思いまするが、この要請を必要とする事態にあるかどうかという事前の認定は、私は可能のことではなかろうかと思いまするし、またそれが非常に乱用されるというようなおそれはないと思います。
  226. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 予防措置ということはわかるのですが、予防措置精神といいますか、これは新憲法のもとでは強く否定ないしは抑制されておるはずです。それが警職法第五条の精神であるし、それではなかなか警察権力で個人の自由や思想の自由を抑圧することができないと判断されたために、警職法の改正が行なわれようとしたのです。それでは、あなたは今具体的に一、二の例をあげましたけれども、集会の届出が出た——単なる風聞でないとおっしゃったが、届出が出たということは議長は何で知られるのですか。
  227. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) かりに本法成立をいたしました暁におきましては、本法の遺憾なき運用を期するためから、あるいは公安委員会や警視総監等とも常時緊密な連絡をとることになると思います。従って、そういう情報を入手することはできることだと思います。
  228. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 常時連絡というのは、本法律の施行規則的なものを作るという意味ですか。
  229. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 本法ができたから、この本法に基づいて連絡協議会を作るとか何かという意味のことを言っておるわけじゃございませんけれども、要は国会周辺に関することでありまするから、本法成立いたしました暁には、公安委員会や警視総監本法趣旨を体して、常時国会側にも連絡もあることと思いまするし、また議長の方からも、そういう場合においては、あらかじめ事前に連絡をしてもらうようにというようなことを要請すると思いまするから、それらの情報等については遺憾なき措置がとれるのじゃなかろうかと思っております。
  230. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、集団示威運動ですね、あなたは、六条に規定されておる集団示威運動等とは、「屋外集会、集団行進又は集団示威運動(以下これらを「集団示威運動等」という。)」、この四条のカッコの中の意味に解しておる。集団示威運動の届けがあった場合には、議長が求めなくとも、公安委員会あるいは警視総監は連絡をする義務を本法によって負うわけですか。
  231. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そういう義務を本法において規定はいたしておりません。しかし、この国会周辺、特に本法の附則に図示しておりますような周辺において届出等が行なわれる場合におきましては、少なくとも本法成立した暁におきましては、公安委員会や警視総監の方からも連絡があってしかるべきものであると常識的には判断いたしております。
  232. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 常識論では困るのです。あなたの本法を作られるときの意図は、議長が公安委員会に連絡をそのつど要請することを期待してあるのか、あるいは公安委員会が自発的に議長の方に連絡をとることを期待してあるのか、いずれですか。
  233. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そういうことを、いずれかというようなことを、本法において規定いたしているわけではございません。しかしながら、本法成立いたしまするならば、本法趣旨に従って、公安委員会等におきましても、国会側に情報の提供等があるであろうと思いますし、また議長さんの方からも、こういう法律が新しくできたのであるから、この趣旨を体して、万一の場合等においてはあらかじめ事前に通知をしていた、だきたいということを申し出られるごとと思いますから、御心配のようなことはなかろうと思います。
  234. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 条件の変更とかあるいは許可の取り消し、その他、五条一項に言うところの「必要な措置」ですね。これですらも、あなたの方の法制局当局も鵬束行為でなく裁量行為である、しかも公安委員会の自主性は従来通り百パーセント保持されている、このように言っている。そうすると、あなたが勝手に本法ができたらするのか常識だろうとかといっても、これは法律の制約にはなりません。そうすると、もっと具体的に申し上げると、この法律ができても、この法律は公安委員会が自発的に連絡することを期待していないと、あなたがおっしゃる以上、公安委員会が何にも連絡しなくてもかまわぬのですね。
  235. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 法文上は、御指摘の通り、公安委員会国会側に対して何ら情報の提供をしなくたって一向かまわない。しかし事実問題としては、おそらくこれは行政的な措置として、情報の交換等は常時行なわれることに運営上なっていくのではなかろうかということを期待いたしております。
  236. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 法律の規定としては連絡の必要は全然ない。そうすると、行政的にうまくいった場合はそうでしょうが、例が悪いのですけれども、経験、か乏しいので許していただきたいと思いますが、たとえば、議長と公安委員会が政治的に対立しているような立場にあった場合、これは日本の今の政情の中であり得ないことでもない。こういう場合に、この法律の意図するものは、公安委員会法律によっては完全に公安委員会の自発的、自主性にまかせられているとすると、連絡がない。そうすると、この法律は完全に空に浮いてしまう。こういうことがあるわけですね。これは法としてきわめて不備ではないですか。
  237. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) まあ非常に仮定の、空想に近いようなお話でありまするから、従って私の答弁も明確にできないかと思いまするが、本法は、何回も繰り返しまするように、公安委員会の自主的決定にゆだねているわけでありまするから、議長は公安委員会に対して特別の干渉をするわけのものでも何でもございません。従いまして、万一、議長から要請をされましても、公安委員会の方がこれを受けて、議長の期待するような措置をとらなくても、それは法律上はやむを得ないことでございます。
  238. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、その際にはこの法律の発効はほとんど不可能になる。そういう場合ですね、あなたは空想とおっしゃったけれども、私のおる福岡県では、この法文通りではないけれども、県知事、公安委員警察本部長との関係に幾つかの事例を持っているのです。これは決して、あなたは空想という用語をお使いになったけれども、それほど空想のことではないのです。もしそれを空想とおっしゃるならば、日本の政治情勢にお暗いのではないかと私は危惧するのですが、私が今聞いているのは、法律上は、その際には、要請をしても——要請をしようと思ってもがまず第一番にきますね、しょうと思っても、その事態を把握する根拠がない。集会の当事者か、あるいは新聞で知るか、いろいろな方法はありましょう。しかし、少なくとも権威ある情報としては把握が困難になるのではないか、こう言っているのですよ。
  239. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 理論を推理的に推し進めてくればそういうこともあろうかと思います。しかし、私たちは、そんなことができる、そういう事態になるだろうなどということを考えているわけではありませんけれども、なるほど理論としてはお説の通りのこともあろうかと思います。
  240. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 推理とおっしゃるけれども、あなたのこの法文そのものが推理から出発している。全く数日前の判断から出発していますよ。あなたがおっしゃったように、何か届け出の紙を見ておいて、著しく影響が与えられるであろう、自分は国会の中である特定の団体に対して悪口ばかり言っているから、きょうは自分の登院が阻害されやしないかと思ってびくびくして脈博が多くなる、こういうことなのですよ、あなたがおっしゃっているのは。この要請権発動の根拠そのものが数日前の推理じゃないですか。大体そういうことが、最悪の場合には判断すべき根拠も義務づけられていない、根拠の提出も義務づけられていない、このことも第四条としてはきわめておかしなものになってくる。そうしてしかもそのことは、一片のペーパーによって、しかもその内容としては、数の多少でもない。書かれているところの思想内容でもない、要求しているところのスローガンでもない、こうおっしゃった。それを数日前から、自分の登院が困難になるだろう、議員の登院、か困難になるだろうと議長が判断するということが、良識ある人間だったらできないというのが、僕は過去二十数年間学んで来た心理学の鉄則なんですか、佐々木先生はそれが可能とおっしゃるのですか。
  241. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 良識のある人間ならばそういう認定はできない、だろうというお話でありまするが、またその裏を返すと、良識のある人間なればそれぐらいの認定はできるのじゃなかろうかとも甘えるのじゃなかろうかと思っておりますが、私たちはそのくらいの認定は可能であると考えまするし、また、今日の公安委員会が、国権の最高機関である国会周辺の静穏を保つための新しい法律ができたというときに、あなたの今おっしゃいまするような、議長の要請とまるで逆行するような考え方をお持ちになるとは、私は良識から判断しかねるわけであります。従って私は、失礼なから、あなたのお説は、だいぶ空想的じゃないかということを申したわけでありまして、私は、本法ができましたなら、ば、少なくとも今日、東京都の公安委員会に関しましては、常時必要な連絡もとっていただくものと期待しております。
  242. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 だいぶ長くなりましたので、あと一つ、二つで終わりたいと思います。  たびたび申し上、げておりますように、国会議員の登院ということ、あるいはそのことによる国会審議権の公正な行使ということ、これは現行憲法のうたっておる範囲内では、決して一般的な意味におきまして基本的人権の抑圧の理由にならないと私は思います。ただ、それが正当化されるのは、あなたがおっしゃったように、国会議員国民も基本的な人権としては同じ権利しか持っていない。だから、同じ法律の下に保護される。同じ法律の下に権利義務が与えられる。このことが当然である。そしてあなたは、一部のデモ隊とおっしゃったけれども、これはそのときは一部ですすね、不特定でしょう。法律の期待するものは特定じゃないですね、不特定でしょう。ここに国会議員の登院と国会の、審議権の公正な行使という美名に隠れた基本的人権の抑圧がある。こういうふうに私は判断しておるし、そしてしかも、これは良識の問題ではなくして、明確な、著しく影響を与えた場合については、少なくとも現行刑法あるいは警職法前回、刑法の規定を十幾つかあげましたけれども、この範囲内のいずれかに該当する行為でなければならないと私は思う。それを全く抽象的な内容をもって、単に議長がおそれがあると判断して制約するというのは、これはあなたがどう強弁されようとも、やはり主権者である国民に対して、憲法でいう国権の最高機関という、法律的には根拠のない用語によって、これを優先させようとする意図を含んでおるものである。言いかえますと、別の面から見ると、警職法公共の安全と秩序というあの改正の趣旨の一ここには場所を限定しておりますけれども、復活であると判断せざるを得ないのです。この点に対しましてはどういうふうにお考えですか。
  243. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 本法は何も、国会議員だけに特別の保護規則を設けて特別待遇をしようというものではございません。もとより、すべての国民法律の前に平等であるという原則に立っております。しかし、あなたも先刻来仰せられまする基本的人権であるとか、あるいは民主主義というようなことは、今日、国民主権の政治の形態をとっておりまするもとにおきましては、まずその国会における公正な審議が行なわれずして基本的人権を期待することもできないわけでございます。そういう意味から申しますなれば、まず、何はさておき、国会の公正な審議が行なえるような状態に置くということは、国民主権の立場から申しても、国民が当然努めなければならないことだと私は考えます。従いまして、この法律というものが、特に国会議員だけを特別扱いをして、他の国民というものに差別待遇を加える、そういうふうな観点には少しも立っていないと考えるわけでございます。
  244. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体よくわかりましたが、だからこそ、新たに集団示威運動が行なわれた際に、しかも行なわれない前において、それを行なわせないことを期待した措置を公安委員会に要請するということは誤りではないか、現行刑法やその他の諸法律の範囲内においてそのことは確保さるべきではないか、こう言っているんですよ。そのことをどうお考えかと聞いておる。
  245. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) その表現の自由や集会の自由ということが、なるほど憲法保障する基本的人権であることにつきましては、申すまでもございません。しかしながら、不祥事態というふうなことが起こってしまってからは、もういたし方がないわけでございます。従って、これを未然に防止する措置ということが必要なんでございます。そのことにおきまして、頭から全面的に、表現、集会の自由を禁止する、制限を加えるのではなくして、かなり合理的な、かつ明確な一定の基準というものを設け、あるいは一定の場所を限って、そこで必要な限度におけるところの措置を講ずるということは、私は、この各条例の合憲判決の理由の中にもそういう点が現われておると思います。従いまして、本法におきましては、議長の要請権もかなり合理的かつ明確な基準にあると思います。まず第一に、それは国会議員の登院と国会審議権の公正な行使ということ、それから、それが著しく阻害されるということ、普通の事態じゃないんです。著しい影響を受けるという場合です。しかも、単に一院の議長の独断によるのではなくして、両院の議長の合意の上に要請がなされるというわけでありまするから、かなり具体的に、そして合理的に明確な基準ができておると思いますので、決してこの程度のことをすることが憲法保障された基本的人権に不当な制限を加えるものではないという確信に立っております。
  246. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 最後に一つだけ……。第二回の委員会の際に提案者にお尋ねをいたしましたように、あなたの答弁の中からだけ判断いたしますと、どうしてもこの法律は無理があるような気がします。そこで、あのときに私が申し上げましたように、あなたの答弁趣旨は、いわゆる院内の警察権については明らかに規定しておりますね。だから、少なくとも国会議員の登院や国会審議権の公正な行使という美名のもとに基本的人権を抑圧する意図がないとすれば、最小限度、国会法の中で、具体的な現行諸法律の適用範囲内における議長の要請権をうたうということだけで、あなたの趣旨は、あなたの御答弁によれば尽きると思うのですが、今日に至ってもなおそういう意図は提案者としてはないのですか。
  247. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 国会法を改正して、その中に議長の要請権の項目を規定したらそれでいいじゃないか、というような御質問であったかと思うのであります。まあ、そういう規定を国会法の中に設けるというようなことも一つのお考えかとも思います。しかし、それにもまして、私たちは、ぜひとも国会周辺秩序保持のための本法成立せしめたいと考えましたのは、単に院内のみならず、院外に対しましても、最近の動向等から判断して、ぜひとも昨年十一月二十七日のようなああいう不祥事態は回避したい、かような見地からこれを考えたようなわけであります。また、今あなたのおっしゃいまするような国会法の改正ということにも、私は全面的に反対をするわけではございません。
  248. 塩見俊二

    ○塩見俊二君 本案の審議は、二月九日開始以来、すでに理事会申し合わせの口数をこえまして、連合審査もすでに三回に及び、公聴会をも開催し、三十七時間余にわたりまして十分な審議が行なわれておるのであります。従いまして、質疑はこの程度にして、私はここに質疑打ち切りの動議を提出いたします。(「賛成」「質問じゃないじゃないか」「採決々々」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  249. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 静粛に願います。ただいま塩見君から質疑打ち切りの動議が出ましたが、この動議の取り扱い並びに今後の審議につきましては、理事会において打ち合わせをいたしまして決定いたしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十九分散会