運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-04-12 第34回国会 参議院 外務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十二日(火曜日)    午前十一時十一分開会   —————————————   委員の異動 四月七日委員苫米地英俊辞任につ き、その補欠として谷口慶吉君を議長 において指名した。 四月八日委員谷口慶吉辞任につき、 その補欠として苫米地英俊君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木内 四郎君    理事            青柳 秀夫君            井上 清一君            苫米地英俊君            森 元治郎君    委員            鹿島守之助君            笹森 順造君            杉原 荒太君            永野  護君            野村吉三郎君            堀木 鎌三君            小林 孝平君            羽生 三七君            大和 与一君            石田 次男君            佐藤 尚武君   国務大臣    外 務 大 臣 藤山愛一郎君   政府委員    外務政務次官  小林 絹治君    外務省欧亜局長 金山 政英君   事務局側    常任委員会専門    員       渡邊 信雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢等に関する件) ○理事補欠互選の件   —————————————
  2. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまより外務委員会開会いたします。  まず、国際情勢等に関する調査を議題といたしまして、質疑を行なうことにいたしたいと思います。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 森元治郎

    森元治郎君 大臣に、時間がありませんから、簡単に要領よく質問いたしますから、質問したことに対しては御返事を願います。  あした、福田農林大臣モスクワに行かれるその前日の閣議が漁業問題でごたごたしているということは、どうも、われわれかねて想像したようなことだと思うので、一体、ことしは大へん日本政府態度がおとなしく感ぜられる。上品な言葉で言えば慎重である。何か安保国会審議交渉と考え合わせて低姿勢であるように見えるのですが、また具体的に言うと、みずから漁獲量も低い数字がちらほら出ていることが一つ。  それから区域外規制などについても自粛するというような先手を打っているようですが、政府根本的態度一つ伺いたいと思います。
  4. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 日ソ漁業交渉は御承知通り漁業条約に基づく毎年の規制及び漁獲量等をきめます委員会——純専門的な委員会でございます。従いましてこれに対する政府態度としては、この委員会を通じて科学的な検討を行ない、魚族保存見地からして両者適当に話し合いをしまして、永久魚族を保存しながら相互漁獲量を確保していくということが主たる目的でございます。従って委員会経過から申しましても、特に政治的な問題に関連を持ち、あるいはこれに惑わされるという問題ではないのでありまして、そういう意味において、安保条約審議されているから非常に低姿勢だ、あるいは安保条約がないときは高姿勢だというような関係は全然ございません。その点は御理解をいただきたいと思います。  ただ委員会結論がつきにくい場合、すなわち規制区域の問題でありますとか、あるいは総漁獲量の問題でありますとか、相互に科学的な見地に立ちましてディスカッションいたしました結論が必ずしも一致しないような場合に、そのいずれの点において最終的にまとめるかということは、これは政治的な関係が出て参りますので、日本においても毎年当該国務大臣なり何なりを代表にいたしまして、最終的にはソ連の幹部と別個政治的解決が行なわれるわけであるますが、この政治的解決という意味は、今申し上げましたような技術的見地に立っての妥結しない数量等に対しての政治的解決でございまして、日ソ両国の他の政治問題に関連した意味における政治的解決ではないのでございます。そういう態度でありますから、決して特に本年が低姿勢であるとか、あるいは年によって高姿勢であるというようなことはございません。
  5. 森元治郎

    森元治郎君 従来の日ソ漁業交渉は三回やって今度が四回目でありますが、三十二年の十二万トン、次の十一万トン、去年の八万五千トン、だんだん下がっていく。最近は六万トンなどという声も聞かれる。一体条約の期限は十年でありますが、早くも四年目でこういうふうに減ってくる。これはどういう理由か。それが一つと、私の見るところでは、日本側では今、大臣が言われました漁業条約の精神というものに対してほんとう理解がなくて、資源保護の措置などについても説得力、具体的な手段を持った説得力がないこと。第二点は、十カ年間長期的な原則というものが確立されていない。こればいいのだ、たくさん魚はいるのだというようなことも原因であろうと思うのですが、このままでいくならば、あと六年どういうふうになっていくか、憂うべきものだと思うが、長期的点と、それから、これらに対する態度という根本一つ伺います。
  6. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 申すまでもなくこの漁業委員会交渉の問題は、先ほども申し上げましたように、魚族を保護してそうして永久両国漁獲量を確保していける、こういうために結ばれた条約でございます。従いまして適当な規制を加えながら魚族が繁殖するようにして、そうして両国が年々適当な量をとっていけるということが主たる目的であること申すまでもないわけであります。そこで、すでに三年を経過しておりまして、それらの魚族保護あるいは繁殖状況というようなものについて、お互い科学的な検討をしながらいく。で、御承知通り、最初は両国それぞれの調査でございましたけれども、最近は大部分共同調査をやって、そうして両方の調査結論がなるべく食い違わないようにしていこう、こういうことでございます。それらについて、まだ海洋資源の問題でございますから、必ずしも両者の基礎的な調査の上に立ちました意見というものが一致しているわけではございません。そうしてソ連側から言いますれば、現状のように推移していくと、ますます魚族保護立場が軽くなっていてのじゃないかという立場をとっておりますことは御承知通りだと思います。そういう点に関しまして日本側におきましてもむろんそれらの見地に立っておりますけれども、調査の結果から見れば、必ずしもソ連側の言うよりな状況にある程度ないということと、まあ技術的な意味においてしきりこディスカッションいたしておるのが7日までの現状でございます。ただ、ソ連側から申しますと、規制区域外における漁獲量というものについてもある程度制限をしております。その後における規制区域外において相当日本数量がふえておる、そのこと自体が、全体としての魚族保護見地、あるいは事実サヶマス資源が減りつつあるというような見地、また同時に、それは産卵期に上陸してくる、産卵のために出てくるそういうような数字からして変わっているのだというような点もございます。そういう点で若干観測地帯を陸上を主として観測をしておりますのと、海上を中心にして観測しております日本との間に意見の差はありますことも、これはやむを得ないことでありまして、そういう点から自然過去数回の委員会におきましても、おのずから漁獲量の問題、あるいは規制区域の問題というものが問題化してくるわけであります。そういうものは、日本側におきましても魚族がなくなってしまっていいという立場をとっておるわけではございません。むろん保護されてそれが増殖され、そうして十分永久に確保することができることが望ましいという立場に立っておりますから、そういう意味において日本側調査、またあるいは日本側態度もあることは、これはもう当然のことだと思っております。
  7. 森元治郎

    森元治郎君 討論する時間がないから先に進みます。  私は、やはり安保条約審議というものがこの交渉にも影響があるというふうに考えるのですが、もう一ぺんお答え願いたいと思います。というのは、何しろ安保条約というものは、日本では防衛的といいましても、向こうでは、はなはだ不愉快なものであるという立場でありますから、不愉快なものに喜んだ顔をして話をするということは、どちらの国家でもできない場合が多いので、しかも、今衆議院でいよいよ最高潮になってきておる状態を、もう少し見ようというふうな態度に出るかもしらぬというふうな心配が一点。  次の点は、漁獲量でありますが、去年あたりは十六万五千トンなんというでほうらくを言っておる。このごろは政府も現実的な線を出すという、訂正をしておるようでありますが、一体、どのくらいをほしいのか。日本政府の行き方は、ソ連と違って、漁獲計画量というものをいつも出さないで、ただずばり何トンほしいと、こういうのが従来の経過であったようです。そこで漁獲量については、外務大臣は十一万トンと言ったように私は記憶している。それから業界では、去年の九月ごろ会合したときに、あるいは最近までも八万五千トンというふうなことを一言っておりました。それを、どのくらいとりたいんだということ、これは一体どうなのか。それから、十一万トン、あるいは八万五千トン、あるいは六万トンというのは、一体どこがほんとうなのか。それが第二点ですね。  それから第三点は……二点だけそれじゃ伺います。
  8. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知通り日本として北洋漁業関係している業者、あるいは漁船員方々というものは相当ございますので、むろん相当量を確保して、そうして出漁船の数、あるいはそれに関連しております労働者方々を多数にこれによってやっていくことが望ましいこと、むろんでございます。一方、今日の世界の何と申しますか、サヶカン詰の需要というものは決して減っておるわけでございません。従って、そういう見地から見ましても、できるだけよけいとることが望ましいことは申すまでもないことでございます。しかしながら、今申し上げましたように、魚族保存という見地、そうして事実、科学的に立証されてくるような魚族減少の事実があるとすれば、それに対応して問題を考えなければならぬことも、これまた当然のことでありまして、従いまして、それらの数字を決定するには、今申し上げましたように、大体技術的な見地に立った基礎の上に立ってきめて参るというのが必要でありまして、日本の船がこれだけあるのだから、あるいは労務者がこれだけだから、ぜひともこれだけでなければならないと、そうしてサケ、マス資源は減少しちゃったってかまわないのだ、これだけとりさえすればいいのだということでは永久立場にはならぬと思います。でありますから、そういう見地に立って言っておるのであります。何か私が十一万トンというようなことを言ったということですが、これは交渉の始まります前に、何といったって、去年の十六万トンなんという数字を言ったって不確定な数字であります。今年そんなに大きな数字を言うわけにはいかないのだ、最少の数字でなければいけないのだというような雑談をいたしましたときに、たまたま、それしゃ十一万トンですかというような話か出たのでそういうことを申し上げたので、今日われわれとして確定的に何万トンということを申し上げる筋合いでないことは、交渉を直前に控えて当然のことでありまして、その点については、はっきりした数字を申し上げるわけにはいかないと存じます。
  9. 森元治郎

    森元治郎君 交渉の前に臨んで数字を言えないということですが、過去三回みな言っておるのです。今回は言えないというわけでありますからかんべんして上げます。  次にいきますが、塩見顧問が六万五千トンをソ連が打診してきたというようなことを言っておりますが、私らの情報では1情報というのはいろいろ入りますから、私らの情報では、そんなことはない、これは風船だ、しかも、下がる風船ではないか。それは高碕さんも、いつでしたか、自分が六万トンぐらいとって帰ってきたらば、僕はかまわないが、それだけでは困るだろうというような話もしておる。それから業界筋では六万トンという数字がよく出るのです。一体ソ連側は、まだ計画量も示さないうちから、裏口から、ちょこっと君だけに教えるのだということはやらない建前の国なんで、日本と違うのですが、一体、六万五千トンという数字は、少し風船玉が過ぎやしないかと思うのですが、いかがですか。
  10. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私の、塩見顧問からの話によって了承しておるところでは、また、会議を通じての公電を通じまして、ソ連側が六万五千トンということを申し出たことはございません。ただ、今日まで、まだ総漁獲量の問題について正式には一つも話をいたしておらぬというのが実際の実情でございます。ただ、塩見顧問が言われましたのは、まあ委員会の席上でなしに、非公式にカクテル・パーティその他でいろいろ話をしておる、ソ連側は非常に今年は、まずきびしい提案をしてくるのじゃないか、まあ八万トンというような、あるいは八万五千トンというような去年のあれから見て、まあ非常にきびしいところを言ってくるのじゃないかというようなことを、塩見顧問自身がそうした話の間で若干感じられたということであるわけでありまして、それが六万五千トンというような確定的な数字で表わされたものとは私、思っておりません。
  11. 森元治郎

    森元治郎君 塩見顧問感じられたということで、人間の感じ数字で表わすというのは少しよけいなことだと思うのです。  次に本論に入って、政府が三人の交渉代表を任命した、それが一体首席代表というものがあるのかどうか、それから三人にはもちろん訓令が渡された、こういう方針でいくのだということは出先門脇大使とそれから高碕氏両氏に言われたと思うのですが、そういう根本訓令、その範囲内で折衝せよということは出ているのかどうか。特に高碕氏代表に任命した理由、これを伺いたい。
  12. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今回任命いたしました三政府代表福田農林大臣首席でございます。そして高碕代表を選任しましたのは、御承知通り高碕氏は大日本水産会の会長でございまして、この最終的な漁獲量もしくは規制区域等を政治的な交渉によりまして妥決して参ります場合に、ある場合には業者の自粛を要求しなければならぬ場合もございます。そういうような場合に業界に対して説得力を持つという関連を持った人が必要であることは申すまでもないわけであります。そういう意味から言いましても、だれか業界代表する人を一人入れておきますことが適当であると思うのでありまして、高碕代表が一番適当な人であろうと、こう考えたわけでございます。
  13. 森元治郎

    森元治郎君 首席は。
  14. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 首席福田農林大臣です。特に首席という名前はつけませんけれども、福田農林大臣首席ということであります。
  15. 森元治郎

    森元治郎君 この前赤城代表が行かれたときには、多分赤城さんの自由裁量の余地を認めて行かした。今度はその行動のワクをはめられたというので、けさの閣議でも福田さんあたりは相当おもしろくないというので、委員会開会にまで影響されたかと思うのです。それが一点。  高碕さんは先に行ってしまう、こういうのは、やはり政府代表はある訓令のもとに動くとすれば一緒に行ってもいいんじゃないか。先に行って、しかもイシコフ漁業相に会ってしまったんでは、福田さんも何だかこう関係がおかしくなって、感情的におもしろくないようなこともあるらしいのです。政府代表は一本の形で、一本の訓令で動くにしては少しくおかしい。代表政府間との腹が合っていないような感じがするのです。その点を一つ伺います。
  16. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 福田農林大臣が行かれますことでありますから、国務大臣のことでありますし、福田農林大臣の現地における折衝について一々こまかい制限を加えるというようなことはいたしておりません。  また、ただいま何か閣議でもって問題があったということでございますけれども、本日の閣議の長時間とりました問題は、全然別個の国内問題について出たのでありまして、その点は全然違っております。水産行政主管大臣が行かれますことでありますし、事前に絶えずお打ち合わせいたしております。福田農林大臣の手腕を拘束するような何か訓令をいたすことはいたしておりません。
  17. 森元治郎

    森元治郎君 水産業界では、昨年択捉、国後について南千島の領土問題をたな上げして平和条約を早く結べ、そして領土の帰属が最終的にきまるまでは、それらの南千島の島々に接岸して操業が安全にできるようにしてもらいたいというような二つの大きな原則をきめて、高碕さんもこれに十分賛同をされた人であります。その人が今度はモスクワに行かれるというのですが、内容については次に伺いますが、福田農林大臣漁獲量交渉担当で、安全操業高碕さんの、あるいは政治問題に関連することは高碕さんの所管、事務的なことといいますか、全般の交渉技術専門家門脇大使、こういうふうに分けておるのですか、どうですか。
  18. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 政府代表としてそういう分け方をいたしておりません。一体になって活動をするわけでありまして、今回高碕代表の行かれますのは、全く日ソ漁業交渉における最終段階の政治的な解決に行かれるのでありまして、権限もそれ以上のものを持っては行かれないのであります。むろん個人としてソ連有力者高碕さんの経歴からして接触されるところがあろうと思いますけれども、そういう場合にも言説を一々縛るわけにはむろん政府としても参りません。しかし、漁業代表としては近海操業の問題については触れられないわけでございます。近海操業の問題は、御承知通り通常外交ルートを通じまして、日ソ漁業交渉とは全然別個の問題として、絶えずソ連側接触を保って今日まできておるのであります。そういう意味から申しましても、今回高碕さんの行かれる目的というものは、近海安全操業の問題で何か分担して行かれるということでは全然ございません。
  19. 森元治郎

    森元治郎君 しかし、高碕代表は出発前からあらゆる機会に、それがために自民党内から批判が出て、高碕氏の口に輪をはめてしまえ、何をソ連に行って言うかわからぬというような心配があると言われるくらいで、御本人の話を聞くと、漁業交渉安保条約をからませるべきではないけれども、相手誤解しているならばこの誤解を解かなくちゃならない。解くとすればこれは大きな政治問題になる。ところが高碕さんが会うときには、おれは個人で会うのだ。しかし肩書きは政府代表として政府の金で派遣された人が、有力者——たとえばフルシチョフなどに、会ってくれるかどうかはわかりませんが、有力者に会ったときには個人で話をする。そうなりますると、大臣が手綱をよく引き締めても、出先政府代表と中央というものとの関係が離れてしまうのではないか。一体それを制御することができるかどうか。近海操業問題は話ししないといってもフルシチョフに、有力者に会ったときには、おそらく近海零細漁業者についても陳情的話をするのだ。しかし、そのときには個人でやるのだということを御本人が言っているのです。全然安全操業の問題には触れないで、ただ漁獲量だけで行くのですか。
  20. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 高崎代表福田農林大臣及び私との今回の了解においては、政府代表としては近海安全操業の問題については触れられないことに了解をいたしております。
  21. 森元治郎

    森元治郎君 それならばなぜイシコフ代表にきのうでしたか会って、その結果そういう近海操業のような政治的色彩のものは自分は取り計らいはできないから、もっと上級のフルシチヨフとかあるいは外務大臣とかに紹介をしようというような電報が来ておるのは、これは政府方針に反する行動じゃないですか。
  22. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろん政府代表として高碕さんがそういうような行動をとられることはございません。ただ、個人として何かいろいろな機会に若干そういう問題に触れるところまでこれをとめるわけには参らぬことはこれはまあ当然でございます。しかしながら、あくまでもそれは個人として言われることでありまして、それに対して政府が何らの責任を持つものではございません。
  23. 森元治郎

    森元治郎君 それでは高碕さんが個人資格で、平和条約にまで触れて、領土問題をたな上げあるいは潜在主権という表現を使っておりますが、そういうわけで一つ平和条約を結びたいがどうだろう、平和条約は結べないものだろうかという話はすることはかまわない。私は平和条約の話は、共同宣言にあるようにいつでも話を交渉していいのですから、当然やっていただくのがいいことだと思うのだが、その点はどうですか。
  24. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろん今度は、行かれますときに政府代表として高碕さんがそういうことを発言することについては、われわれ今申し上げましたように、福田農林大臣とともに、そういう立場にないことを高碕さんとの間にはっきり話し合いをいたしております。同時に、今日漁業問題を別にして、日ソ関係というものは、非常にデリケートな段階になっておるから、個人としての発言については十分つつしんでいただきたいということはわれわれ申し上げておるところでございます。
  25. 森元治郎

    森元治郎君 非常にデリケートなんですが、個人的な発言注意をしてくれ、それは当然そう言ったでしょうが、注意だけじゃなくて、一切独自の行動は許さぬということは、私はだれに会うとか、どういう内容をしゃべるということは、従来の外交交渉では厳重にこれは縛らなければ統一ある外交はできない。それで個人で話すのまでは押えられないというのですが、何もあそこに行って魚の話をするというわけでもない、魚に関連してソ連領土のぐるりの話をするのですから、勢い政治問題は出てきます。私は考えるのに、政府はずるい。あれは個人だ。しかし、個人高碕に上手にちょっと接触させるー一よくやります接触というのを。そうして聞かせよう。一体フルシチョフにかりに会ったとして、そういう政府代表ではあるが、個人できたのだというような者を相手ほんとうの話をするか、それも私は疑わしいと思うが、政府の腹は、高碕氏個人行動は取り締まらない、何をしゃべってもかまわない、押えられない、しかし、うまい話でも引き出してくれたならば、安保条約審議の上からソ連の対日態度の打診の一助にもなりはしないかというような小わざを使っておるような感じがする。むしろ堂々と話し合いなさった方がよろしいのではないか、平和条約の話は交渉をするようになっておるのですから、共同宣言で。それは領土問題で話は合わないことはもちろんわかっております。合わないからこそ協議することは事前協議で、大臣もこの間おっしゃっておる、合わないから話をするのですから、当然今度のような機会に話をさせた方がよかったのではないか。個人資格政府代表資格と使い分けをしていったのでは、これは話にならないし、向こうも本気になって話もしてくれない。どうですか。
  26. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私は外交をやってみまして、今森委員の言われるような小手先きの芸当をやる柄でもありませんし、またやるべきであろうとも考えておりません。従いまして、何か個人資格という理由にして、それをいいことにして、高碕代表から何か引き出そうという考えは毛頭持っておりません。近海操業の問題につきましては、駐ソ大使を通じて正式の外交によってこれを行うこと当然であります。
  27. 森元治郎

    森元治郎君 しつこいようですが、高碕代表個人資格で話す場合、有力者に、誤解があれば解くということになってくれば、自然安保条約のことにも触れていく、話はそれからそれへと発展していくだろう、この結果、向こう政府代表として話を取り上げてくるとややこしいことになりますが、それは個人だからといったのでは、個人のことだからこれは知らないというのでは、ちょっと醜態なことに国交上なりゃせぬかという心配があるのです。それから漁業交渉を見ていると、漁獲の問題でよく大臣が行きますが、単に今回のような表面事務的な交渉の進行状態ならば、駐ソ大使という公の外交の機関があるわけですね。これで十分話し合える問題じゃないか、こういったような科学的な基礎の上に立って漁獲量の話しですから、何もこっちから代表が行かなくてもできるのじゃないかと思うのだが、その点どうですか。
  28. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知のように、漁業委員会は専門家の会合でありまして、そうして、もし両方の調査の結果が一致しておりますれば特別な政府代表を任命する必要もございませんし、ただいまお話のありましたような
  29. 森元治郎

    森元治郎君 しつこいようですが、ないくらい技術的な問題として、はっきりきまってもくると思います。しかし残念ながら今日まで三年も経過しておりますし、あるいは共同調査も一昨年からいたしておりますけれども、まだそういう意味において調査のデータの上に立って、はっきりした話し合いができないような状態にございます。従いまして過渡期におきましては、ある程度それらの高碕代表個人資格で話す場合、有力者に、誤解があれば解くということになってくれば、自然安保条約のことにも触れていく、話はそれからそれへと発展していくだろう、この結果、向こう政府代表として話を取り上げてくるとややこしいことになりますが、それは個人だからといったのでは、個人のことだからこれは知らないというのでは、ちょっと醜態なことに国交上なりゃせぬかという心配があるのです。  それから漁業交渉をいう意味からいいまして政府代表を任命し、そうしてそれについては、主管大臣、あるいは業界の人を連れていくというようなことによりまして、国内的な措置等にも合わせ及ぶ問題でございますから、それらを解決していくという今日の段階にありますので、現状においてはやむを得ないことではないのかと存じておる次第でございます。
  30. 羽生三七

    ○羽生三七君 関連して。この種の問題をこの委員会であまり微妙なことをお尋ねするのもどうかと思って私も差し控えておったのですが、今、森委員のお尋ねもあったように、また先ほど外務大臣のお話があった中にもあるのですが、この外務大臣が言われた、最初の政治性なしに、より高度の、他の政治問題との関連なしにこの問題が片づくかどうかという問題であります。私は年々漁獲量が減っていくというこの事実を見、それからまたその都度出してくるソ連の各種いろいろな提案や条件というものを必ずしもそのまま容認するものでもないし、またソ連の大国主義的なにおいのするような態度も必ずしも私は愉快に思ってはいない。しかし、そうは思うが、愉快であるとかないとかいうことは別にして、実際問題として、より高度な政治的な問題との関連なしに、この年々歳々漁獲量の減少を来たしておるこの日本の当面している現実を打開する可能性があるかどうか、それは純然たる技術的な、科学的な基礎に立つ、純然たる技術上の問題であること、またそれが望ましいこと、他の問題をからめないこと、それが望ましい姿であることは私も政府と同様です。しかし、それにもかかわらず、それが望ましいとか、望ましくないとか、けしかるとか、けしからぬとかいうことでなしに、現に当面している事態は私は、より高度な政治的な問題と関連なしには、なかなか有利な解決はできないという政治的判断をいたしておるわけです。そこで今度の交渉の場合も、また今後もあるのですが、政府は年々こうなってくるこの日ソ漁業問題の根本的な有利な鮮決をはかるために、何らかの政治的な問題について、局面を打開していくことに何らの考慮も払われてないのか、私は純然たる技術的な問題だからということで、年々歳々ことしよりも来年よりはもっと減るかもしれない。それでもやむを得ないというお考えなのか、これを打開するために何らかの政治的考慮をなさるお気持ちがあるのかどうか、この一点だけを伺っておきたいと思うのです。
  31. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) このソ連との漁業交渉にあたって、何かいわゆる高度の政治的問題、たとえば安保条約というような問題が何か関連しているんじゃないかという疑いを持たれることは、ある程度われわれもうなずけるわけでありますが、しかし私は従来ソ連交渉しておりまして、たとえば日ソの通商協定を今回やりました。これは御承知通り、昨年の暮れから第三年度の通商交渉をやりました。その期間は安保条約の調印であり、あるいは国会提出でありを経過したのでありますけれども、その交渉経過を見ておりましても、何らそういうような高度の政治問題、そういう問題については、からませてソ連側はきておりません。私も今日、日ソ漁業委員会経過を見ておりまして、今日までのところ、そういう事情は一つもないように思っております。でありますから、こういう問題について、特に何か高度の政治的問題があるためにソ連側が非常に強硬だとか、あるいはそれに対して日本側は何か対策を作らなければならぬというような問題は、私はその意味においては考えておりません。ただお話のように、日ソ国交全般の上に立ちまして共同宣言をさらに発展させていくという問題につきましては、これは常時われわれとして外交ルートの上で考えていかなければなりませんし、御承知通り領土問題等に対する日本立場をはっきりしながら、ソ連に対して何らかの方法を考えていくということは、これは当然われわれとして考えなければならない問題ですけれども、この問題自身が当面そうした問題にすぐ関連していくとは考えておりません。
  32. 羽生三七

    ○羽生三七君 私は必ずしも安保ソ連が今からめるような形で外交折衝が行なわれているとは思いません。そんなことを表面上正面切ってやってくるような、そういう外交交渉というものはないだろうと思います。問題は私はそうではなしに、一般的底流としてそれはあるわけですが、それとは別に、かりに、今度高碕さんがもしフルシチョフ首相とかりに会談するような機会を持った場合、そういうような場合に、安保のことはともかくとして、平和条約なり、あるいは何らかのそういう意味の日ソ間の友好親善関係をさらに一そう促進するような意味での会談が持たれたような場合、個人代表であるかどうかはしらぬけれども、そういう問題について十分日本政府として考慮することを考えているのかどうか、この機会にそれだけを伺っておきたい。
  33. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知通りに、日ソの関係を最終的に解決するのは領土問題の解決がなければこれはいかぬわけです。その点は日本態度というものはこれははっきりいたしておると思っております。従って、われわれとしては、むろんそういう状況を考慮しながらソ連に対して当たって参らなければならぬし、するわけでありまして、そういう線をはずれて今、日本国民の意思から申しまして、何か急速にこの問題を解決しなければならぬという気持にはないことは、これはもう明らかな事実であります。従って、高碕氏個人として何か雑談をされるような場合でも、その点については十分留意されて話をされなければならぬことはむろんのことでありまして、また高碕代表として当然であろうし、個人として当然それは了承しておられる方だと思っておりますので、特別に今回の場合において何らかそういうことが問題を惹起するということはあり得ないと思っております。
  34. 大和与一

    ○大和与一君 関連して。高碕さんだけをえらいおっしゃっておりますけれども、私はやっぱり今度の漁獲量の問題を含めても、平和条約について、お互いに話し合いをしようじゃないかという日ソ共同宣言があるのですから、むしろこれを、本命を忘れてはいかぬけれども、こちらからもそういう話をしながらその話し合いをすることの方が結論はいいのじゃないか。私は一九四七年に片山さんと一しょに行って、フルシチョフ、ミコヤンと会って、ゆっくり話をしてみたのですけれども、今のお話では漁獲量の問題が一番主であって、ほかの問題には触れないでもらいたい、特に高碕さん個人としては言動を慎んでもらいたい、こういう意味のお話があったのですけれども、これはむしろ高碕さんだけではなくて、イシコフと話がすっときまれば別ですけれども、きまらなければフルシチョフでも、ミコヤンでもそういう連中と会って話し合いをするということになる。その場合に領土問題だけのことではなしに、別に積み重ね方式というか、その他のいろいろな懸案事項がたくさんあるのですから、そういう問題も突っ込んでいって、平和条約の方向に日本政府が誠意を持ってやはり話し合いをしていく。その中で漁獲量の問題ももちろん中心になって進めていくということに、これは当然——もし高碕さがんフルシチョフにでも会ったりしたらそういう問題が当然出てくると思う。そういう場合に個人の言動だからしようがないということでなくして、日本政府として、向こうからもそういうことが出るということも考えられるし、それに対する基本的な領土の問題はありますけれども、その他のいろいろな懸案とかの進め方について、やはり農林大臣なりにもある程度の含みといいますか、腹がまえを持ってもらわなければいかぬのではないか。そういうことは十分にお考えになっておるかどうかということをお尋ねします。
  35. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私は日ソ間の、たとえば漁業委員会の問題でありますとか、通商協定の問題でありますとか、そういう問題を政治的なものにからませることは、あるいはその雰囲気の中において解決するようにやって参りますことは、将来の漁業交渉なりあるいは通商協定なりを非常に曲げていく、またそのときどきにそういう問題に関連して何か話ができるということになりますことは、私は適当だと思っておりません。従って、漁業問題は漁業問題として、通商協定は通商協定として、経済問題としてこれをはっきりやっていく。ソ連側も、いろいろ御意見もございますけれども、今日までの態度からすれば、そうした技術的な見地あるいは経済的見地というものから交渉を進めておることは事実でございまして、特にそういう問題をからましてきておりませんし、われわれの方からもそういうことをからませないで、問題の経済的なあるいは技術的な解決をはかっていくのが適当であろう。日ソ間の問題についてはやはり平常の状態において通常の外交ルートを通じて問題の解決をはかる。その場合に必要があれば、あるいは個人的な、先ほど森委員のお話のように、打診をするということも必要であるが、委員会の席上にからまして、あるいはその雰囲気の中でということは私は適当だとは思っておりません。
  36. 森元治郎

    森元治郎君 さっき御返事がなかったかと思うのですが、領土問題たな上げで平和条約を結んで、領土が最終決定に至るまで接岸漁業を許してくれというような水産業界の意向、これは日本の一部にも相当支持者がある考え方だと思うのですが、政府はこれに対してどうお考えになっておりますか。
  37. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今政府としましては、日ソの関係の調整の一番の基本的な問題はやはり領土問題の解決にあると思っております。従って、領土問題そのものを何か経済的な方便に使いたいということは考えておりません。
  38. 森元治郎

    森元治郎君 時間もありませんので安全操業の話はしない。しかし個人的には高碕氏フルシチョフ、あるいは外務ミコヤン、そういう人たちに会って、たまたま領土問題にからめるような話を向こうから持ちかけられたときには代表は返事をしていいのですか。政府代表としては返事ができないが、個人としては返事していい、その返事する内容は今度は自由勝手である、個人だから。そういう態度であるかどうか。私は問題が会議の進行上ぜひ必要だからあらためて伺っておきます。
  39. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 政府代表としてはそういうことに対して何らの発言を、態度を表明されることはこれは絶対に適当ではございませんし、そうあってはならないのであります。その点は高碕代表に、はっきり申し上げております。
  40. 森元治郎

    森元治郎君 そういう問題がかりに、おそらくそういうふうに話題が発展していくと思うのですが、そういう場合には訓令を仰げ、だまって返事するなというだけじゃ済まないのですから、留保して訓令を仰ぐということをよく伝えてあるのかどうか。
  41. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 政府代表としてそういうことを発言されることがないわけでありますから、訓令を仰ぐとか何とかいうことはございません。
  42. 森元治郎

    森元治郎君 しつこいですが、もう一ぺん。安全操業は今度は話さない、こういうことですね。
  43. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今度の会議漁業委員会の話でございまして、御承知のように安全操業の問題につきましては、平常外交ルートであります門脇大使を通じて外務省といたしましては交渉いたしておるわけであります。もちろんこの交渉が難渋していることは事実でございますが、そういう状態でございますから、今回の会議関連して安全操業の問題は政府としては一切話はいたしません。
  44. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御質疑がなければ、国際情勢等に関する調査に関する質疑はこの程度にいたしたいと思います。
  45. 木内四郎

    委員長木内四郎君) この際理事補欠互選についてお諮りいたします。  理事苫米地英俊君が去る七日に委員辞任されましたために、理事に一名欠員を生じておりましたところ、翌八日に再び同氏が委員になられました。よって苫米地英俊君を理事に指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と命ぶ者あり〕
  46. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは他に御発言がなければ本日はこの程度で散会いたしたいと思います。    午後零時二分散会