○佐藤国務大臣 ただいまお尋ねの貿易の自由化、同時にこれと関連しまして為替の自由化、これは大へんな大きな問題でございます。一昨年欧州共同市場が発足いたしまして、まず為替の面において交換性を回復した、こういう
事態が起こりました。昨年一年間は、この欧州共同体の経済発展、ことに通貨の交換性を回復する、こういう点についていろいろ準備を続けて参ったわけであります。大体昨年一年の経過によりまして、
国内経済においてもまた
国際的にも、為替貿易の自由化の方向に強く発展していくという、いわゆる
国際的潮流がはっきりして参りました。わが国におきましても、これにおくれをとらないように諸準備を進める。そこで、この一月の初めになりまして、経済企画庁を
中心にして、
関係閣僚で、貿易の自由化の促進閣僚懇談会を持つことになりまして、そうして、この懇談会を通じて、各種の計画を発表していく。その発表の計画のうちには、ただいま通産大臣から御説明いたしましたような、通産
関係物資を主体としての貿易の面についての自由化の方向の大体のスケジュールを一応立てております。ところで、為替の方の自由化はややおくれておりますが、さきにドル為替の導入、これをいたしましたものの、円為替の導入という点になりますと、なお相当の準備を必要とするのであります。
ところで、この為替の問題もさることですが、貿易を自由化した場合の
国内産業に及ぼす影響、これが、原材料であるというだけでございますが、この扱い方がもし間違うと、弱肉強食というような結果にもなって参るでございましょう。従いまして、受け入れ態勢を十分整備しなければならぬ。そういう
意味において、業界の自主的調整の
方法も
考えて参りたいと
考えております。同時にまた、在来の為替管理の方式から、これが自由になる、割当がなくなる、こういう
意味から、いろいろただいま申したような、業界自身に混乱を来たさないようにすることが一つ、同時にまた、事業自身を強化して、
国際競争に負けないようにする、こういう面においては、御
指摘の資金の面であるとか、あるいは関税政策の面であるとか、あるいは
国内税制面等についても、十分事業自身を強化する方策をとっていくということを
考えておるわけであります。
ところで、この貿易の自由化をいたします場合に、各品種別にそれぞれの影響度が違っております。また
関係する範囲も違っております。従いまして、一口に自由化とは申しますが、それぞれのケースに対応して処置をしていかなければならない。先ほど通産大臣が
お話しになりましたように、原綿、原毛ということになれば、わが国の繊維
関係は、これは大へんな問題だし、さらに合成繊維、化繊の非常に発達しておる今日から見ますると、原綿、原毛の自由化をはかった場合に化繊その他がどうなるか。しかもこの繊維
関係と申しましても、大企業、中小企業、綿紡と織機
関係をいかにするか、こういうような問題も十分
考えなければならないし、また原皮という皮の問題にいたしましても、わが国の皮の扱い業者が非常に小さいというようなことを
考えると、これの自由化については、特段の
措置を
考えていかなければならない。こういうように非常に範囲が広いのです。先ほど
お話のありました大豆な
ども、ドル地域以外においてはもうすでに自由化になっておりますが、ドル地域の大豆が自由に入ってくるということになれば、
国内産大豆との
関係、ただ生産者ばかりの問題ではない、大豆を原料にして二次製品をやっておるもの、それらについてどういう影響があるか、それぞれ
考えていかなければならないということで、これは自由化については、一応の目標を作りまして、そしてその目標に合わして諸準備を進めていく、こういうことで
政府も非常に本腰を入れて対策を作る。そうしてその目標達成に最善の
努力を払う、こういうような
考え方でございます。