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1960-05-06 第34回国会 衆議院 本会議 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月六日(金曜日)     —————————————  議事日程 第二十五号   昭和三十五年五月六日     午後三時開議  第一 船主相互保険組合法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第二 厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案(第三十一回国会内閣提出)  第三 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 航空法の一部を改正する法律案内閣提出)  第五 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第六 特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第八 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出)  第九 日本電信電話公社法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十 医療金融公庫法案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  日本電信電話公社経営委員会委員任命につき同意を求めるの件  電波監理審議会委員任命につき同意を求めるの件  西村榮一君の故議員小西寅松君に対する追悼演説  原子力委員会設置法の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付)  日程第一 船主相互保険組合法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第二 厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案(第三十一回国会内閣提 出)  日程第三 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 航空法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第六 特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第八 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第九 日本電信電話公社法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十 医療金融公庫法案内閣提出)  国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案議院運営委員長提出 農地法の一部を改正する法律案内閣提出)及び農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明及びこれに対する質疑     午後三時三十七分開議
  2. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議員請暇の件
  3. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) お諮りいたします。  議員吉田茂君及び同北澤直吉君から、日米修好百年祭に出席並びに米国及び西欧各国政治事情視察のため、五月十二日から本会期請暇申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。寺      ————◇—————  日本電信電話公社経営委員会委員   任命につき同意を求めるの件
  5. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) なお、お諮りいたします。  内閣から、日本電信電話公社経営委員会委員大和田悌二君及び中山素平君を任命したいので、日本電信電話公社法第十二条第一項の規定により本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出通り同意を与えるに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。      ————◇—————  電波監理審議会委員任命につき同   意を求めるの件
  7. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 次に、電波監理審議会委員秋山龍君及び丹羽保次郎君を任命したいので、電波法第九十九条の三第一項の規定により本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出通り同意を与えるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。      ————◇—————  西村榮一君の故議員小西寅松君に   対する追悼演説
  9. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 去る四月十四日逝去いたされました議員小西寅松君に対し弔意を表するため、西村榮一君から発言を求められております。これを許します。西村榮一君。     〔西村榮一登壇
  10. 西村榮一

    西村榮一君 本院議員従四位勲二等小西寅松君は、去る四月十四日早暁、東京の自宅において、にわかに逝去せられました。私は、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼の言葉を申し述べたいと存じます。(拍手)  私は、小西君と、第二十二回総選挙以来、同じ選挙区から毎回出馬して今日に至り、政治的立場を異にはいたしておりましたが、平素から何かと親交を重ねて参ったものであります。前日まできわめて元気に活躍しておられた君が、突如として御逝去になったとの報に接し、驚愕おくところを知らなかった次第であります。  小西君は、明治三十五年九月、泉大津市に出生せられました。君は、幼時より貧家に育ち、小学校さえ中途で退学しなければならないほどでありましたが、独立独行、進んで自由労働者の中に身を投じ、実社会を通じて幾多の貴重な体験を重ねられたのであります。  終戦後、君は、政治家となって広く社会民衆に奉仕せんことを志し、昭和二十一年四月の第二十二回衆議院議員選挙に出馬し、みごと本院議員の栄冠を得られたのであります。自来、現在まで、連続して当選すること七回、在職十四年の長きに及んでおります。  その間、君は、かつては海外同胞引揚に関する特別委員として、当時なお海外に残留していた多数同胞の引き揚げの促進に力をいたし、最近は、大蔵委員として、国民の税負担の軽減に努力したのを初め、国政上の諸般の問題について、多年の経験を生かして熱心に審議を続けられたのであります。よく国会議員の職務に精励された君の功績は、まことに顕著であると信じます。  君は、また、昭和二十五年には、第三次吉田内閣賠償政務次官に抜擢せられ、戦後の困難な賠償問題の処理に参画せられました。昨年十月にはアメリカに渡り、土木事業を視察し、また、わが国繊維品輸出市場の実態を調査するなど、政治経済上の見聞を大いに広めて帰朝されたのであります。  党内にあっては、総務または相談役となって党務に尽瘁し、また、自由民主党の大阪連合会長として、府下の党勢の拡大に大きな成果をおさめられたのであります  君は、また、郷土大阪において、府民の要望を中央に反映せしむるため、常時、格段の努力を続けて参られました。同時に、大阪漁港協会会長大阪土木建築協同組合理事長等、多くの要職につき、その発展のために党派を超越して目ざましい活躍を示し、各方面の厚い信望を受けておられたのであります。中でも、昭和二十七年に大阪消防協会が結成されまして以来、今日まで引き続いてその会長の職にあって、消防施設強化拡充に、消防士福祉増進に貢献せられたのであります。これは、府民の決して忘れることのできない、君の偉大な功績であると信じます。  小西君は、生来、強固な意思の持ち主であり、常に自己の信ずる道を堂々と邁進するという性格でありました。また、若くして世の辛酸をつぶさになめてとられた君は、すこぶる人情に厚く、逆境にある人に、いつも変わらぬ、あたたかい手を差し伸べておられました。中でも、受刑者並びに刑余者保護更生には終始力を尽くし、刑事政策の推進に協力されたことは、君の大きな功績と申すべきであります。  君は、また、誠意の人でありました。しかも、度量はきわめて広く、人を信ずること、はなはだ厚かったのであります。近来、とみに円熟味を増してきたその人柄は、温情と相待って、接する人に深い敬愛の念を呼び起こさずにはおかなかったのであります。  小西君は、若いころからほとんど病気を知らぬ健康の持ち主であり、今国会においても相変わらず国政審議に尽瘁しておられました。この君が、病のために突然他界されようとは、私どもの夢にも思わなかったことでありまして、まことに惜しみても余りあるところであります。  顧みるに、小西君は、恵まれない家庭に生まれ、困苦の中におい立ち、ただ自己努力のみによって人生苦難の道を開拓し、ついに名誉ある衆議院議員となり、多くの人々にその徳を慕われ、その功を仰がれて、最後を飾られたのであります。まさに立志伝中の人物と申さねばなりません。  今日の日本は、内治に、外交に、なお幾多の懸案を擁して、政局の前途はますます多事多難であります。このときにあたり、小西君のごときよわいはまだ六十に満たず、政治家としていよいよその本領を発揮すべき練達の士がにわかに長逝せられましたことは、邦家のため一大損失でありまして、まことに痛恨きわまりない次第であります。  ここに、小西君生前の風格をしのび、その業績をたたえ、もって追悼言葉といたします。(拍手)      ————◇—————  原子力委員会設置法の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付
  11. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) お諮りいたします。  参議院から、内閣提出原子力委員会設置法の一部を改正する法律案が本院に回付されております。この際議事日程に追加して右回付案議題とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。  原子力委員会設置法の一部を改正する法律案参議院付案議題といたします。     —————————————
  13. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 採決いたします。  本案参議院修正同意するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、参議院修正同意するに決しました。      ————◇—————  日程第一 船主相互保険組合法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第二 厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案(第三十一回国会内閣提出)  日程第三 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案内閣提出
  15. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 日程第一、船主相互保険組合法の一部を改正する法律案日程第二、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案(第三十一回国会内閣提出)、日程第三、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。     —————————————
  16. 清瀬一郎

  17. 植木庚子郎

    植木庚子郎君 ただいま議題となりました三法律案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。     〔議長退席、副議長着席〕  まず、船主相互保険組合法の一部を改正する法律案について申し上げます。  現行船主相互保険組合法昭和二十五年に制定せられたものでありますが、その年この法律に基づいて設立せられた日本船主責任相互保険組合の行ないまする保険事業におきまして、その保険に付し得る範囲は、現行法によりますれば、船舶所有者または賃借人たる組合員が、その所有または賃借船舶の航海に伴って生ずる事故による費用責任とに限られておるのであります。従いまして、組合員が他から用船して運送に従事する場合や、船舶回航を請け負う場合の費用及び責任につきましては、保険に付すことができないのであります。しかるに、最近におけるわが国海運界傾向としまして、運航船舶相当部分を用船によっている実情や、新造船、解体船等回航を請け負う事例も少なくないのに顧みまして、この際、外国の例等にもならい、これらの場合におきましてもそれぞれ保険を付し得るよう、現行法改正しようとするものであります。  本案につきましては、審議の結果、去る四月二十六日質疑を終了し、採決を行ないましたところ、全会一致をもって原案の通り可決となりました。  次に、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、第三十一回国会に提出せられ、自来、本院において継続審査となっていたものでありまして、厚生保険特別会計法及び船員保険特別会計法につきまして、それぞれ次のような改正を行なおうとするものであります。  まず、厚生保険特別会計法の一部改正について申し上げます。  政府は、第二十二回国会におきまして、厚生保険特別会計健康勘定における保険給付費支払い財源の不足を補てんするため、昭和三十年度以降七カ年度間、毎年度一般会計から十億円を限度としてこの会計繰り入れ得る措置を講じ、その第一年度たる昭和三十年度においてはこれを実行したのであります。しかるに、その後、本特別会計健康勘定に別途国庫補助金繰り入れることになった関係もありまして、昭和三十一、二、三の各年度においては、そのつど法律改正しまして、この一般会計からの繰り入れはこれを昭和三十四年度以降に繰り延べてきておるのであります。しかして、本改正案は、同様の理由により、昭和三十四年度においても、さらにこれを昭和三十五年度以降に繰り延べようとするものであります。  次に、船員保険特別会計法の一部改正について申し上げます。  船員保険につきましても、政府は、第二十二回国会におきまして、療養給付等支払い財源の一部に充てるため、昭和三十年度以降六カ年度間、毎年度一般会計から二千五百万円を限度としてこの会計繰り入れ得る措置を講じ、その第一年度たる昭和三十年度においてはこれを実行したのでありますが、昭和三十一、二、三の各年度においては、前述健康保険の例に準じまして、この一般会計からの繰り入れ昭和三十四年度以降に繰り延べてきたのであります。しかして、本改正案は、前述健康保険の場合と同様、昭和三十四年度においても、さらにこれを昭和三十五年度以降に繰り延べようとするものであります。  本案に対しましては、各派共同提案にかかる修正案が提出せられました。すなわち、本案の成立を前提といたしまして、さらにこれに対する改正を行ないますため、別途、今国会厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案が提出せられておりまして、その内容は、昭和三十五年度においても、厚生保険特別会計及び船員保険特別会計に対する前述財源補てんのための一般会計からの繰り入れば、さらにこれを昭和三十六年度以降に繰り延べようとしておるのであります。そこで、すなわち、この内容をそのまま継続審査中の本案に織り込むこととしようとするのが修正案趣旨でございます。  本案並びに修正案につきましては、審議の結果、去る四月二十八日質疑を終了し、採決を行ないましたところ、全会一致をもって修正議決となりました。  最後に、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案によるおもなる改正点は次の二点であります。  まず、第一点は、御承知の通り、現在、国等公庫等との間で人事の交流が行なわれておるのでありますが、現行国家公務員等退職手当法によりますと、退職手当算定基礎たる勤続期間計算につきましては、引き続き公務員等としての身分を保有していた期間をもって在職期間とすることとしており、また、退職手当支給割合につきましては、長期勤続者ほど優遇する建前をとっておりますため、国家公務員等であって、任命権者の要請により途中で一たん公庫等職員となり、再び公務員等に復帰した者が退職する場合におきましては、退職手当の面で不利益をこうむる結果となっておるのであります。従いまして、今回、こうした場合における退職手当計算について特例を設け、その不合理を是正しようとするものであります。すなわち、公庫等から復帰した職員退職する場合においては、前後の公務員等期間を通算した場合に受けることとなる退職手当支給割合から前の公務員等期間に対する退職手当支給割合を差し引いた割合当該退職者最終俸給月額に乗じた額をもって退職手当として支給することにしようとするものであります。  なお、この特例は本年四月一日以降の退職者について適用することといたしております。  改正の第二点は、現在、国家公務員等退職後失業している場合におきまして、すでに支給を受けた退職手当の額が失業保険法に定める給付相当額に達しておらないときは、その差額を当該失業者退職手当として支給することとし、これが支給事務はすべて公共職業安定所の窓口において実施いたしておるのでありますが、季節的に多数の退職者が同一地域で発生するような場合におきましては、安定所本来の業務運営が阻害される傾向がありますので、今同、この点について特例を設け、一定職員につきましては、その者が退職の際所属いたしておりました官署または事務所等でこれを支給することができることとしようとするものであります。  本案に対しましては、各派共同提案にかかる修正案が提出せられました。修正趣旨は次の通りであります。  すなわち、別途今国会で成立いたしました失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律によりまして、職業訓練施設に入所した者等、特定の失業者に対しまして、失業保険金給付日数を特に延長してこれを支給し得ることとし、また、失業保険金を受ける資格のある者が就職した場合には就職支度金支給し得ることとするなど、失業保険給付内容改正せられましたので、国家公務員等が失業している場合の退職手当内容につきましても、右に準じて所要改正を行なおうとするものであります。  以上の修正案につきましては、国会法第五十七条の三の規定により内閣意見を求めましたところ、やむを得ないと認める旨の意見が述べられました。   本案並びに修正案につきましては、去る四月二十八日、質疑を終了し、採決を行ないましたところ、全会一致をもって修正議決となりました。   なお、本案に対しましては、全会一致をもって附帯決議を付すべきものと決しました。附帯決議内容は次の通りであります。  すなわち、外地在職し、引揚げ後再就職した公務員退職手当算定基礎となる在職期間計算については、外地在職期間通算条件につきさらに検討を加えるべきである。というものであります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  18. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 三案を一括して採決いたします。  日程第一の委員長報告可決、第二及び第三の委員長報告はいずれも修正であります。三案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 御異議なしと認めます。よって、三案は委員長報告通り決しました。
  20. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 日程第四、航空法の一部を改正する法律案日程第五、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————
  21. 中村高一

  22. 平井義一

    平井義一君 ただいま議題となりました航空法の一部を改正する法律案外一法案について、運輸委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、航空法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法案は、最近におけるわが国民間航空発展に即応して、航空の安全及び航空輸送の秩序を確保するため、現行法所要改正を加えようとするものでありまして、主要な改正点を申し上げますと、  第一点は、運輸大臣が行なう航空機及び装備品修理または改造検査について、運輸大臣が認定した事業場において当該修理または改造を行なった場合には検査を省略することができるようにするものであります。  第二点は、公共の用に供する飛行場について、水平表面の上に出る物件設置を制限するとともに、一定の空港について、新たに延長進入表面円錐表面または外側水平表面を設定して、これらの表面の上に出る物件設置を制限し、また、地表または水面から六十メートル以上の高さの物件設置者に対して、航空障害灯あるいは昼間障害標識設置義務を課そうとするものであります。  第三点は、運輸大臣が指定する空域を飛行する場合には、計器飛行方式によらなければ飛行できないこととするとともに、政令で定める自衛隊の飛行場航空交通管制業務防衛庁長官に委任しようとするものであります。  第四点は、利用航空運送事業を新たに免許制にするとともに、爆発物輸送禁止規定整備航空機検査手数料適正化をはかろうとするものであります。  本法案は、三月十六日本委員会に付託され、同月二十二日、政府より提案理由説明を聴取し、四月六日、十三日、二十日、二十七日質疑を行ないましたが、その内容会議録により御承知願います。  かくて、同二十七日、討論を省略し採決の結果、本法案全会一致をもって政府原案通り可決いたしました。  なお、日本社会党久保三郎委員より、政府は、航空の安全を確保するため、管制本部の移転、管制施設整備拡充管制官待遇改善等措置を講ずべき趣旨附帯決議案が提出され、採決の結果、これまた全会一致をもって可決いたしました。  次に、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案について申し上げます。  現行法は、戦後のわが国外航商船隊の再建をはかるために、船舶建造を調整する必要上、昭和二十八年に制定されたものでありまして、法律存続期間昭和三十六年三月三十一日までと規定されております。しかしながら、今後予想される貿易量の増大に伴い、外航船舶整備拡充することは、わが国経済自立発展をはかるために欠くことのできないものでありますので、政府は、今後も外航船舶建造に積極的な助成策をとることとなっておりますが、その目的を達成する上において、なお引き続き船舶建造を規制する必要がありますので、わが国国際海運の現状から見て、法律存続期間昭和四十年三月三十一日まで延長しようとするものであります。  本法案は、去る二月二十六日本委員会予備付託となり、三月二日、政府より提案理由説明を聴取し、四月十三日本付託となり、四月二十日、二十七日質疑を行ないましたが、その内容会議録により御承知願います。  かくて、五月四日、討論を省略し採決の結果、本法案全会一致をもって政府原案通り可決いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  23. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 両案を一括して採決いたします。  両案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第六 特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第八 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出
  25. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 日程第六、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案日程第七、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案日程第八、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。     —————————————
  26. 中村高一

  27. 高橋禎一

    高橋禎一君 ただいま議題となりました三法案につきまして、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の要旨は、  第一に、昨年七月十六日付の人事院勧告を全面的に実施するため、六月十五日に支給する期末手当の額を〇・一月分増額して〇・七五月分とし、各俸給表を改正して中級職員の俸給月額を最高千百円引き上げ、研究職員及び医師については、さらにおおむね一号俸程度の給与改善を行ない、これらに伴う昇給間差額の調整を行ない、若干の号俸について昇給期間をそれぞれ三月短縮する措置を行なっていることであります。  第二に、昨年十月に一部俸給繰り入れ措置がとられました暫定手当の今後の整理につきましては、これが一般職国家公務員給与体系全般と密接に関連する問題でありますため、人事院の調査研究の結果を待って処理することが至当と考えられまするところから、暫定手当の整理を含め、いわゆる地域給に関し適当と認める措置国会及び内閣に勧告するため、全国各地における生計費等を調査研究することを人事院の権限に加えていることであります。  第三に、特殊勤務手当に関する規定整備を行なうとともに、従来その一種として設けられております遠隔地手当を独立した手当として設定していることであります。  なお、施行期日は本年四月一日といたしております。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の要旨は、今回の一般職の中級職員給与改訂に伴い、従来より一般職職員との均衡を考慮してその俸給が定められております秘書官につきましても、同様に俸給月額の改訂を行なおうとするものであります。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の要旨は、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の例に準じまして、防衛庁職員の俸給月額等の改訂を行ない、あわせて、特殊勤務手当等に関する現行規定につきましても、一般職に準じて整備を行なおうとするものであります。  以上三法案は、いずれも二月八日本委員会に付託となり、二月十一日政府より提案理由説明を聴取し、二月十九日より質疑に入り、慎重審議を行ない、四月二十八日質疑を終了いたしましたところ、右三法案に対し、自由民主党、民主社会党両党共同提案にかかる修正案がそれぞれ提出され、高橋禎一委員より趣旨説明がなされましたが、その要旨は、いずれも施行期日にかかわるものでありまして、「昭和三十五年四月一日」としてありますものを「公布の日」に改め、俸給表の改正規定等は本年四月一日から適用する等であります。  かくて、討論の通告もなく、直ちに採決の結果、右三法案は起立多数をもっていずれも修正案通り修正議決すべきものと決しました。  なお、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、石山權作委員より三党共同の附帯決議案が提出され、全会一致の議決を見たのであります。  附帯決議を朗読いたします。  一、公務員給与と民間給与との格差が相当率に達している現状にかんがみ政府は、速やかにこれが解消  のため公務員給与の改訂措置を講ずべきである。一、昭和三十二年四月一日以降の法律改正による昇給期間改正により、不均衡を生じた給与については、人事院において、これを調整する措置を採ることを考慮すべきである。右決議する。以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  28. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 三案を一括して採決いたします。  三案の委員長報告はいずれも修正であります。三案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  29. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 起立多数。よって、三案は委員長報告通り決しました。(拍手)      ————◇—————  日程第九 日本電信電話公社法の   一部を改正する法律案内閣提   出)
  30. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 日程第九、日本電信電話公社法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  31. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 委員長報告を求めます。逓信委員長佐藤洋之助君。     —————————————     〔報告書会議録追録掲載〕     —————————————     〔佐藤洋之助君登壇
  32. 佐藤洋之助

    ○佐藤洋之助君 ただいま議題となりました日本電信電話公社法の一部を改正する法律案に関し、逓信委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案は、去る二月二十日内閣から提出されたものでありますが、その趣旨とするところは、日本電信電話公社の電気通信設備長期拡充計画の遂行上必要とする建設資金の一部を調達するため、公社が外国通貨をもって表示する電信電話債券を発行し、及び国際復興開発銀行から外貨資金の借り入れをすることができるように、日本電信電話公社法等の関係規定整備しようとするものであります。  本法案は、外貨電信電話債券の発行認可、発行事務の委託、利子に対する免税及び世銀借り入れの場合の公社財産に対する先取特権に関する規定等を内容とするものでありますが、細目にわたる御説明は省略いたします。  逓信委員会におきましては、本案の付託を受けまして以来、しばしば会議を開き、政府提案理由説明を聴取し、政府及び日本電信電話公社当局に対して質疑を行ない、慎重審議を重ねたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  かくして、委員会は、四月二十八日日本案に対する質疑を終了し、討論を省略、直ちに採決を行ないましたところ、多数をもって本案可決いたした次第であります。  これをもって御報告を終わります。(拍手)     —————————————
  33. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  34. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 起立多数。よって、本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第十 医療金融公庫法案内閣提出
  35. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 日程第十、医療金融公庫法案議題といたします。     —————————————
  36. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 委員長報告を求めます。社会労働委員長永山忠則君。     —————————————     〔報告書会議録追録掲載〕     —————————————     〔永山忠則君登壇
  37. 永山忠則

    ○永山忠則君 ただいま議題となりました医療金融公庫法案について、社会労働委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  国民皆保険制度はいよいよ明年四月には実現の運びとなったのでありますが、これがためには、公私の医療機関の適正な整備と機能の向上をはかることがきわめて肝要であります。しかして、現在、公的医療機関の整備につきましては、国庫補助、政府融資等の諸施策が講ぜられておるのであります。これに反して、私的医療機関に対しましては、財政資金による融資の方法としては、国民金融公庫及び中小企業金融公庫による融資が行なわれておるのみでございまして、現下における私的医療機関の担当すべき使命の重大性と公的医療機関への融資との均衡上、その整備に必要な資金を長期かつ低利に融通することが最も必要に迫られたのでございます。そのゆえに、専門の金融機関として医療金融公庫を新設する本法案が提出されたのでございます。  そのおもなる内容について申し上げますれば、  第一に、医療金融公庫は、国民の健康な生活を確保するに足りる医療の適正な普及向上に資するため、私立の病院、診療所等の設置及びその機能の向上に必要な長期かつ低利の資金であって、一般の金融機関が融通することを困難とするものに融通することを目的とするものでございます。  第二に、公庫の業務の範囲を定めるとともに、役員の任命など公庫の組織に関すること、予算、決算、その他会計の方法、業務に対する主務大臣の監督等について、他の公庫の例にならい規定しております。  第三に、公庫の資本金は十億円とし、全額政府出資で、このほか、公庫は主務大臣の認可を受けて政府から資金の借り入れをなすことができることとなっておるのでございますが、昭和三十五年度は、政府資金の借入金二十億円で、合計額三十億円をもって発足することとなっております。  本法案は、二月十日本委員会に付託され、同月二十五日渡邊厚生大臣より提案理由説明を聴取した後、四月二十八日質疑を終了し、直ちに採決を行ないましたところ、本案全会一致原案の通り可決すべきものと議決いたした次第でございます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  38. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 採決いたします。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案   (議院運営委員長提出
  40. 天野公義

    ○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、議院運営委員長提出国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  41. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 天野公義君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  43. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員会理事三和精一君。     〔三和精一君登壇
  44. 三和精一

    ○三和精一君 ただいま議題となりました国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案について、提案の理由を簡単に説明いたします。  本案は、先刻議決されました一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案において一般職職員の俸給月額が改訂されるに伴い、国会議員の秘書の給料月額を一般職職員と同様に増額するものでありまして、月額二万二千三百円を二万四千四百円に改訂するものであります。  何とぞ御賛成あらんことをお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  45. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 採決いたします。  本案可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 御異議なしと認めます。よって、本案可決いたしました。      ————◇—————  農地法の一部を改正する法律案   (内閣提出)及び農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  47. 中村高一

    ○副議長中村高一君) この際、議院運営委員会の決定により、内閣提出農地法の一部を改正する法律案、及び、同、農業協同組合法の一部を改正する法律案趣旨説明を求めます。国務大臣菅野和太郎君。     〔国務大臣菅野和太郎君登壇
  48. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) 農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  農地改革及び農業協同組合法の制定は、農村における民主的傾向の促進、農業生産力の増進と農民の経済的、社会的地位の向上とをはかることを期して行なわれたのでありますが、自来十余年、最近におきまして、農民みずからの創意によりまして農業経営の合理化をはかるために、法人組織による農業経営を行なおうとする動きが高まってきておりますことは、すでに御承知の通りでございます。  このように、農民みずからの創意によりまして農業経営の合理化をはかろうとする動きが高まって参りましたことは、一面におきまして、農地改革や農業協同組合に関する施策の成果の現われと見ることができると存ずるのでありますが、また、一面におきまして、現行農地法農業協同組合法等は、このような法人組織による農業経営の発生を予想しておりませんことから、これに対応する規定を欠いておりますために、これらの動きは、これら現行の法制の整備を要請しているものと見ることができるのであります。すなわち、農地法は、農地改革の成果を維持することを主眼といたしまして、農地の権利移動の統制をし、小作地の所有制限をし、その他小作関係の調整をいたしておりますが、法人組織による農業経営を行なおうとする場合に、これらの統制規定をどのように適用すべきかにつきましては、必ずしも明確ではないのであります。また、農業協同組合法につきましても、生産の全面的な共同化を内容とする農業経営を農業協同組合が行なうことは認められず、その構成人員の最低限度を十五人としておりますことは、農業協同組合が農業経営を行なう場合の最低限度として必ずしも適当でないと考えられます。  以上の点にかんがみまして、この際、農民の創意を生かし、現行法の原則に沿って法人組織による農業経営が行なえるよう、早急に関係法律規定整備したいというのが、今回両法案を提出いたしました主目的でございます。  次に、法案の主要点を御説明いたしますと、まず、農地法の一部を改正する法律案につきまして、  第一に、法人が農地の使用収益権を取得する場合の許可基準でございますが、実質的に自作農の延長発展と見られるような法人に限り許可を行なうことが適当であるという考え方から、試験研究または農事指導の用に供する等、相当の事由がある場合を除きましては、一定の要件を満たす法人、すなわち、その法人の事業が農業及びこれに付帯する事業に限られ、その法人の構成員となる農民は、すべてその法人に農地を貸し付け、かつ、すべてその法人の事業に常時従事する者であるという要件を満たす法人に限りまして許可を行なうこととしております。また、法人組織をとることによりまして、土地の兼併とか、実質的な不在地主の発生とか、あるいは小作料統制の逸脱等、農地法の基本原則に反する事態を招くことのないよう、これを未然に防止するという趣旨のもとに、取得し得る権利の種類は、試験研究または農事指導の用に供する等、相当の事由がある場合を除きましては、賃借権及び使用貸借による権利に限定しております。そして、要件を満たす法人につきましては、農地の借り受けの最高制限面積を、その構成員の属する世帯の数に応じて引き上げることといたします。  第二に、小作地の保有限度に関してでございますが、要件を満たす法人の構成員が所有し、かつ、その法人に貸し付けている農地は、法律上小作地ということになりまして、現行法では、在村一町歩という保有限度に制約されるのでありますが、このような農地は、これを一般の小作地と同様の取り扱いとすることは適当ではございませんので、この保有限度の例外とする措置をとることとしております。  第三に、要件を満たす法人が、許可後においてその要件を欠くに至りました場合、またはその法人の構成員でなくなった場合の措置でございますが、このような場合には、その法人に農地を貸付けております構成員が、貸付地を引き揚げまして、もとの自作農に戻りますことが妥当であろうという考え方のもとに、貸付契約の解約等をいたします場合の許可の基準を整備することといたし、一定期間内にその解約等が行なわれないような場合で、その貸付地が農地改革により創設された土地でありますとか、または在村一町歩の小作地の保有限度を越えるものでありますとか、かような場合には、国がこれを買収することとしております。  以上、農地について御説明申し上げましたが、採草放牧地につきましても、これと同様の取り扱いをすることとしております。  なお、以上の農地法改正に伴いまして、要件を満たす法人の構成員等には農業委員会の委員の選挙権及び被選挙権を与え、また、果樹農業振興資金や有畜農家創設事業の施策の要件を満たす法人に対しても行ない得るよう、附則で関係法律規定整備することとしております。  次に、農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、主要点を御説明いたしますと、第一に、農業協同組合が農業経営を行なうことができることとしております。現行法のもとでは、農業協同組合は、組合員たる農家の個別経営を育成することを目的とし、その個別経営に便益を供するために、採種圃、稚蚕共同飼育桑園等の農業経営を行なうことができるのでありますが、最近見られますような、農業の経営を法人組織により行なって農業生産の合理化をはかろうとする要請にこたえるには、農業協同組合が独立の事業主体として組合員の協同のもとに農業の経営を行なう道を開くことが必要であります。  次に、組合員の数につきましては、現行法のもとでは、農業協同組合の設立には組合員が十五人以上必要とされておりますが、当面農業経営の共同化の予想されますのは、二戸、三戸といった小規模な地縁的または血縁的な結合に基づく団体も多いと考えられますので、農業経営のみを行なう農業協同組合に限り、その設立に必要な組合員の最低数を引き下げる等の措置を講ずることとしております。  なお、農業経営のみを行なう農業協同組合は、その名称を農業生産協同組合とすることによりまして、農業経営のみを行なうものであることを明らかにすることとしております。  以上が両法案のおもな内容でございますが、なお、農地法の一部改正を行なうに際しまして、次の改正を一点つけ加えております。すなわち、かねて国により買収され、現在自作農創設特別措置特別会計に所属する土地等で、自作農創設または土地の農業上の利用の増進という買収の目的を喪失したものの旧所有者への売り払いは、現行法では旧所有者一代限りとなっておりますが、町村合併の促進や宗教法人の組織がえが国の政策として推進されたことにかんがみまして、これらの一般承継人に対してもこの売り払いを行なうことが、現行法趣旨を生かすゆえんであると存じますし、また、個人につきましても法人との均衡をとる必要があると考えますので、この際、この売り払いの対象を旧所有者の一般承継人にまで拡大することといたしたのであります。  以上が農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  農地法の一部を改正する法律案   (内閣提出)及び農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  49. 中村高一

    ○副議長中村高一君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。西村関一君。     〔西村関一君登壇
  50. 西村関一

    ○西村関一君 私は、ただいま趣旨説明のございました農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党を代表して、政府当局に若干の質問を試みようとするものであります。(拍手)  この改正法案の背景となっているものは、ただいまの趣旨説明にもありましたように、農業法人化への農民の強い自主的な要求そのものであることは、申すまでもありません。それは、依然として低い所得水準にある農民が、価格問題とか、補助金要求とか、いわば現在の農業構造のもとで陳情運動を重ねてきた従来の状態から新しく目ざめて、法人化への動きを通して日本農業の体質改善を要求する前向きのかまえとなってきたということ、そして、小農的農業構造の上にあぐらをかいてきた農政当局に対し、その反省を求め、農政転換のとびらを開いたという点で、歴史的に高く評価されてよいと思われるのであります。(拍手)  政府は、当初、このような農民の強い法人化への動きに対してきわめて消極的であるばかりか、むしろ、これを押えようとさえしていたのであります。(拍手)このとき、昨昭和三十四年三月二十八日の本院農林水産委員会において、全会一致をもって農業法人育成に関する決議を行なったのであります。自来、われわれは、千六百万農民とともに、農業法人の法制化と、これにつながる農政の根本問題の解決をはかられるよう、機会あるごとに政府に強く要望して参ったのであります。しかるに、その後一カ年余りも経過した今日、ようやく出されてきたのがこの法律改正案でありまして、私は、これを拝見いたしまして、率直に申し上げて、その期待の大きかっただけに、大いなる失望を感ぜざるを得ないのであります。(拍手)  以下、順を追うてお尋ねいたします。  まず最初に、岸内閣総理大臣にお尋ねいたします。  あなたは内閣の最高責任者として、日本の農政に対し、どのようなお考えをお持ちでございますか。あなたは、多分、これからの私の質問に対して、いずれ農林漁業基本問題調査会の答申を待って結論を出したいとお答えになるでしょう。それはそれとして、今のこの時点において、総理御自身、他産業または国際農業との関連において、日本の農政をどういう方向に持っていこうとお考えでございますか。日本農業は、農民の創意工夫と異常な勤勉とによって、戦後、著しい生産力の発展を遂げて参りました。米作は五年続きの豊作、年収八千万石は平年作だとさえいわれるようになりました。しかし、このような数字上の発展と農民の実生活とは必ずしも一致していません。ごく一部の富農層を除けば、一般農家は依然として低所得にあえいでいます。畑作農家や開拓農家のごときは、豊作の恩恵にさえ浴さないで、今なお日の当たらない場所に置き去りにされております。総理は、かかる日本農村の停滞、日本農業の発展を阻害している諸原因を、どのようにお考えですか。また、これらの諸原因を取り除いて、わが国農業の伸展と農家経済の振興をはかるために、どのような展望を、そして、抱負経綸をお持ちになっていらっしゃいますか。  本法案は、自然発生的に作られてきた全国各地の農業法人に対して、しぶしぶ一応の認知を与えたようなものである。朝日新聞も指摘いたしておりましたように、いわば、いやいやながら私生子を認知せざるを得ない状態になったという印象を受けるのであります。法人設立への道を開いたという意味では一歩前進だと言えましょうが、農業の共同化、法人化を積極的に推進していこうとする農民の意欲をかき立てる何らの政策も熱意も見出せません。ましてや、日本農業の特質である経営構造の小農形態に対して、根本的な対策が少しも打ち出されていません。これらの点、総理はどのようにお考えになっていますか。丁寧に、具体的にお答え願いとうございます。  次に、農林大臣代理菅野国務大臣にお伺いいたします。  この改正案は、農地法の建前にあまりこまかくこだわり過ぎて、将来の農業発展なり経営規模の拡大をむしろ制約するのではないかと思われるような、めんどうな規定がつけ加えられております。農地改革において農地法の果たしてきた役割の大きかったことは言うまでもありませんが、今日の段階においては、農業の発展、農民所得の向上をはかるために、現行農地法所有耕地三町歩の原則的制限のワクがそのままに残されていてよろしいとお考えになりますか。これでは、わが国農政の悩みである小農の問題は解決しないし、政府の言われる、経営規模を拡大するために、現在の農業就業人口一千六百万人を一千百五十万人に減らそうという政策とも矛盾をいたします。依然として小農維持政策の中で問題を処理しようとする弥縫策と思われますが、いかがでしょうか。農業基本法の先例としてよく引き合いに出される農業法を制定いたしました西ドイツにおいては、すでに二十ヘクタール以下の小農は農業外へ整理して、農業経営を構造転換しようとしているのに比べて、その経営の内容が違うとはいえ、あまりにもその開きが大き過ぎると思いますが、どうでしょうか。  次に、政府の農業基本問題調査会の合同小委員会が取りまとめた農業の基本問題と基本対策によれば、さきにも触れましたように、今後十年間に農業従事者を千百五十万人に減らす、すなわち、年平均約四十万人の働き手を毎年農業外に排出していくということになっています。これは、貿易自由化を前提としつつ、会社法人によって農地を一部の富農の手へ集中し、零細農を切り捨てていく構想につながるものであると考えられますが、いかがでしょうか。また、現在、農業外の第二次、第三次産業部門でも失業者の処理がつかず、ことに、あれだけの社会問題を引き起こしておる炭鉱離職者の新規就職のめどもつかず、何の保障もできないような現自民党政府が、この上年四十万人も農業部門からはじき出されるところの農民に、一体どのような新しい仕事を与える見通しを持っておられますか、総理並びに農林大臣の責任ある御答弁をお伺いいたしたい。  次に、農業法人は組合法人の形を原則とすべきであると思いますが、政府案が会社法人を認めておることは、農民の一部を土地資本を所有するところの資本主義的農業企業者へ、他の農民を土地資本から分離された農業労働者に分解させることになりはしないでしょうか。現在できておる法人の多くは会社法人の形式のものであり、これを法人として認めることは賛成でありますが、将来の発展の方向としては、これを漸次組合法人の形へと切りかえていくように指導しなければならぬと思いますが、政府の御見解を承りたい。  次に、政府案では、生産農業協同組合、あるいは会社組織による農業法人を、総合農協の準組合員とすることとしておりますが、今後の農業政策の共同化、近代化の前進を展望するならば、これらを正組合員とすることができるとすべきではないでしょうか。将来の農業経営は、何らかの形において農業生産組合に共同化され、そして、総合農協は規模を拡大して、原則として農業生産組合をその組合員とするという姿が、日本農業の真の近代化への道であると思われますが、この点について、政府はどうお考えになっていらっしゃいますか。  次に、政府案では、法人は農地の所有権を取得できないこととしています。確かに、会社法人方式を前提として法人の農地所有権の取得を認めるならば、農民の土地からの分離を促進することとなります。従って、問題があります。そこで、会社法人でなく、組合法人という建前で、そうして、真に自作農の発展形態としての農業生産協同組合へ、農民が農地所有権まで出資できるようにすべきではないでしょうか。すでに、現実に、農民の間から、農地所有権まで出資し合って合理的な共同経営をやろうとする意欲が各所に現われてきておることを、政府はどう見ておられるのでありますか。  次に、農業法人問題の前提として、農産物に関係する貿易自由化は今にわかに行なわないことを強く要求いたします。農産物の貿易自由化が行なわれたならば、現在の日本の農産物で、外国農業と太刀打ちできるものが、一部の果樹作物を除いて、何一つでもありますか。もしも農産物輸入の自由化が進められるならば、現在の零細な過小農経営はもとより、法人化された農業経営といえども、その存立の基礎を失い、農村は破産と失業の大混乱に陥ることを憂うるものであります。(拍手)この点、農林大臣及び池田通産大臣の御見解を承りたい。  次に、貿易・為替の自由化をやる前に、西ドイツのごとく、農業への財政金融措置を大幅に拡大して、思い切った農政の大転換をやらなければならぬと考えます。適切な財政金融措置の裏づけなしに、ただ法人化の形式的法制化をしても、農業経営の発展はあり得ないと考えます。(拍手)この点について、予算並びに財政投融資等の面で積極的な措置をとるべきであると思いますが、大蔵大臣がおいでになりませんから、総理並びに農林大臣の御信念を承りたいと存じます。  最後に、農地改革が、多年社会的にも経済的にも圧迫され搾取されてきた小作農の人間解放であったとするならば、この運動は、今日もなお続いておるものと見るべきでありましょう。この意味から、農民の手足を縛るような法律体系やその他の施策は追放されなければなりません。あらゆる助成政策は、農民を政治権力やボス支配のもとに従属させることであってはなりません。個々の農民の人間的向上、農業の長期的発展を目的として、農民みずからの意欲を援助するものでなければなりません。農業法人化をめぐるこの法制的改革は、それ自体、そのような日本農政の自己改革、その根本的な自己変革の発端として重視していきたいという希望意見をつけ加えまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣岸信介君登壇
  51. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。  農政に関する基本的な私の考えをできるだけ具体的に説明しろ、こういう御要望でございます。言うまでもなく、日本の農業の実態を見ますると、御指摘にもありましたように、他産業に比して、その生産性や所得が低位である。また、最近におけるいわゆる経済の拡大の状況におきましても、他産業に比して、その成長率が劣っておるということは、はっきりと数字に現われておるところであります。また、日本の農業を他の外国の農業に比べますると、いろいろな点において日本の農業が非常に立場が悪いということも、これは事実でございます。一体、そういうことが、どこからそれでは原因してきておるか、日本の農民は、世界のどの国の農民よりも一そう勤勉であり、非常な努力をしておる人々であるが、それにもかかわらず、そういうような点はどこからきているかといえば、言うまでもなく、農地が限られておって、しかも、農村の人口が非常に多いというところに基因しまして、日本の農業経営がきわめて零細である、従って、近代的技術を取り入れるとか、生産性を向上するにしましても、非常な限られた限度にあるということからきているように思われるのであります。こういう意味において、この日本の農村の将来を考え、農業というものの立て直しを考えていくならば、どうしても、いわゆる農政が一つの曲がりかどにきておるということがいわれるのでございます。政府としましては、その根本的なことについては、御承知の通り、農林業の基本問題についての調査会におきまして、有識者を集めて、この十分な検討をしておるところでございます。もちろん、それの結論を得まして、総合的には——具体的にきめなければなりませんが、今申し上げましたように、私どもは、どうしても農政の基本として考えなければならぬことは、日本の農業の生産性を高め、その所得を高めていく、あるいは、われわれが、この問題につきまして、これをあらゆる点から総合的に考えなければならぬ。基本の問題が、さっき申しますように、日本の農地が限られておって、農村における人口が非常に多いというところに原因しておりますから、農村から他の産業への転出を考えるということも当然考えなければなりません。また、農地の利用につきましても、零細化を防いで、そして、近代的技術を取り入れるような経営方式を考えていくということは、当然、基本として考えなければならぬ。今日提案をいたしておりますこの農業法人の問題につきましても、これはいろいろな地方に自然発生的に農民の間から起こってきておるということは、御指摘の通りであります。あるいは、最初には、主として税金の点が主題になっておるような議論もございましたが、しかし、何といっても、農民が、今申しますような経営の零細化からくるこの非常な弱点というものを克服する方法として、自発的に、自主的に考えられておるところのものでありますから、政府としては、適当な方法においてこの法人化を認めて助成していくということを考えるのが適当である、かように考えております。  なお、大蔵大臣にかわって——御質問になりました為替の自由化、貿易の自由化に先だって、農村に関する金融問題について、政府が十分な裏づけの積極的な考えを持たなければならぬじゃないかという御指摘でございます。当然政府として考えなければならぬことは言うを待ちません。私どもは、従って、従来農林方面に融通されるところの資金量をふやすということ、並びに、農村に対する貸付について、低利の資金を融通するという道については従来も努力をいたしておりますが、さらに格段の努力をいたす考えでございます。(拍手)     〔国務大臣池田勇人君登壇
  52. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 貿易・為替の自由化は、日本経済のこの上の発展を目ざす手段でございます。従いまして、経済界、ことに農業の関係者の困るようなことはいたさないのが本筋でございます。これは私ばかりではございません。外国におきましても、常にそういう考えでいっております。為替・貿易の自由化は、あくまでも慎重に、ことに農業に関しては、その上の慎重を期する考えでございます。(拍手)     〔国務大臣菅野和太郎君登壇
  53. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) お答えいたします。  農地法改正案では、小農の問題が解決されてないではないかという御質問があったと思うのでありますが、御承知の通り、この法人組織の農業経営という問題が起こりましたのは、零細経営ということが問題になってきて、そしてその生産性向上というようなことから、この法人組織の経営化という問題が起こってきたのでありまして、従いまして、今回の改正法によりまして、その法人組織の経営化ということを認めることにいたしましたので、この経営規模の拡大がおのずから行なわれるということを趣旨といたしておりますから、従って、お尋ねの件は、この法人化によって大体解決されるのではないかと、こういうように考えておるのであります。  それから、農業人口が減るというようなことで、一体その離村する農村人口をどうして吸収するかというお尋ねがあったかと思うのでありますが、これはいわゆる第二次産業、第三次産業を発展させることによって農村人口を吸収するということを考えておるのでありまして、目下経済企画庁で計画いたしております国民所得倍増の長期経済計画におきまして、この第二次、第三次産業の拡大をはかって、そして、この農村人口を吸収するという計画をいたしておる次第であります。  それから、組合法人を原則としてやったらいいじゃないかという御質問であったかと思うのでありますが、大体、現行法上の法人ということにいたしまして、それには会社法人と組合法人があるのでありまして、まず両方とも平等に認めるということで今回改正をいたしたのでありまして、これはもう少し実際やってみて、その推移によって将来検討すべき問題である、こう考えておる次第であります。  それから、法人を農協の準組合員でなくして正組合員にしたらどうかというお話でありましたが、これは、農協は大体自然人を組合員とするという建前になっております。法人は準組合員として協力することになっております。また、その法人の構成員は農協の正組合員になりますから、従って、お尋ねの件は、まず準組合員になることによって十分達成される、こう考えておるのであります。  それから、組合法人の場合には所有権を認めていいじゃないかというお話でありますが、これは、先ほどの私の趣旨説明の中にもありました通り、大体現行農地法の基本原則を堅持してやるということで、いわゆる自作農の延長発展ということを建前にいたしております。従いまして、土地の兼併とか、そういうようなことの弊害を防止したいという考えをいたしておりまするし、また一面、この法人を組織した構成員の間に異動があった場合にはもとの自作農に返れる道も講じたいということで、所有権を持って法人を組織するということはしないようにして、大体その使用権で経営の規模の拡大をはかるということを考えた次第であります。  それから、貿易自由化の問題についてのことは、ただいま通産大臣から詳細にお話がありましたが、農産物については、弊害のないような具体策を目下農林省において研究中であります。従いまして、農業生産には、貿易・為替の自由化をやっても弊害を及ばせない対策を、目下研究中なのであります。(拍手)     —————————————
  54. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 小沢貞孝君。     〔小沢貞孝君登壇
  55. 小沢貞孝

    ○小沢貞孝君 私は、民主社会党を代表して、先ほど説明がありました農協法の一部改正農地法の一部改正について、若干の質問をいたしたいと思います。  政府は、このたび農地法の一部改正並びに農協法の一部改正を行ない、ここ二、三年間問題になっておりました農業法人を認めることに踏み切ったように考えられるのであります。言うまでもなく、農業法人は、徳島県のミカン農家にその端を発したのでありますが、そのもとは、税金対策として出発したのであります。しかしながら、今日の段階においては、全国的にその研究が進められ、これが単なる税金対策としてではなく、農地法等によって固められたわが国農業の特質である小農制の壁に対する、伸びようとする農業生産力の挑戦としてとらえることができるわけであります。  岸総理は、今国会の施政方針演説並びに委員会等において、たびたび農業の生産性向上を説かれておるわけでありますが、言うまでもなく、わが国農業の低生産性は、狭い農地に対する過剰な労働力投下が災いしていることは、ひとしく認められているところであります。このように考えるならば、今回の改正は、農業法人の名をもって提出されてはおりませんが、その目ざすところは、農業の近代化、農業生産性の向上に通ずるものでなければならないことは明らかでございます。(拍手)過般明らかにされた農業基本問題調査会の中間発表にも示されておるごとく、農業構造の組みかえは必至と見られ、その転換は、これからの農業政策、いな、わが国経済政策の重大な課題となっておるわけであります。岸総理は、このような転換期に立つ日本農業をいかに考えるか。農協法、農地法の一部改正による農業法人を、これら転換期に立つ農業の隘路打開の一方策として考えておるのであろうか。農業近代化と農業法人との関連につき、岸総理の所信をお尋ねいたしたいと思うわけでございます。(拍手)  また、農業法人が農業近代化への道を示すものでなければならないことは言うまでもございませんが、同時に、それが農民の意思に沿った近代化への道でなければならないことは、申し上げるまでもございません。昨年、全国農業会議は、農業法人問題について、農業法人制度の成立につき支障とならざるよう、その法制的措置を講ずること、農民の創意を助長し、農業経営の近代化を促進すること等をうたっておるわけでございます。また、衆議院農林水産委員会の決議においては、その第一項におきまして、「すみやかに農業法人制度の法的措置を講じ、これが育成を期すること。この場合、農地法およびこれに基く農業関係諸法律の原則を変更することなく、農民の創意を助長し、農業生産の共同化等農業経営の近代的合理化を促進し得るよう考慮すること。」としておるわけでございます。この衆議院農林水産委員会の決議にも見られますように、農民の要求する農業法人は、農業生産の共同化を通じての近代化、合理化をはからんとするわけでございます。しかるに、今回の農協法、農地法等の一部改正は、委員会決議の「農業関係諸法律の原則を変更することなく」ということにのみ重点が置かれまして、共同化、近代化への道を全く等閑に付しておるように見受けられるわけでございます。(拍手)言うまでもなく、「農業関係諸法律の原則を変更することなく」という言葉の意味は、戦前のごとき旧地主制度の復活をおそれたからでございます。旧地主の台頭を押える現行農地法等農業関係諸法規の改正に籍口する戦前への逆行を憂えたからにほかなりません。  しかるに、政府は、他方において、農地法の基本的精神を否定するかのごとき農地被買収者問題調査会法案なるものを通過せしめ、農業法人のごとき農業近代化への農民の要求、そして、日本農業の隘路を打開しようとする問題については、積極的にその態度を示さず、やむを得ず認めるものというがごとき法案の提出は、岸内閣の農業政策のあり方が農民軽視であり、一歩進んで考えるならば、農業の犠牲において貿易自由化を推進しようとしておるのではないかとさえ思われるのでございます。岸総理は、農業近代化の促進について、今回の一部改正で十分と考えるかどうか、この点についての所信を承りたいと思うわけでございます。  次に、具体的問題について菅野農林大臣代理にお尋ねしたいと思います。  前にも述べたごとく、農業法人は、農業の共同化、合理的経営に直結するものでなければならないことは、申すまでもございません。少なくとも、課税対策のみの法人化であってはならないわけでございます。しかるに、今回の改正案は、共同化、合理化を指向する何ものもないのではないかという疑問を持たざるを得ないわけであります。  すなわち、適格要件において、第一に、法人の土地所有を認めておらないわけであります。これは、生産の共同化ではなくて生産手段の共同化であって、本質的な共同化を意味するものとは考えられないわけでございます。  第二は、法人の構成員、すなわち、社員、株主に至るまで、法人に参加し、ものの世帯員に限定し、法人組織の有機性を奪うものではないかという点でございます。  第三は、法人の耕作し得る農地を、現行農地法に許された個人の所有可能面積に法人に参加した世帯数を乗じた面積のみとしておるわけでございまして、個人に対しては現行農地法でも例外措置を認めておるにもかかわらず、農業法人に対しては、極端にその点を制限しようとしておるわけでございます。これでは法人による経営規模の拡大は望まれないことは、もとよりでございます。  第四には、小作人の法人参加を認めておるという点でございます。すなわち、又小作のごとき感があるわけであります。農地法に基づく自作農主義を貫く限り、小作人をなくすことが本質でなければなりません。又小作を認めることは主客転倒のたぐいといわなくてはならないわけでございます。  第五には、農協法を改正し、農協による農業生産の道を開いたが、農業を行なう農協も、農地法に基づく適格要件の範囲内を限度としておるわけであります。これでは農地法に基づく農業法人も、農協法に基づく生産農協も、相違は全くございません。これは、いたずらに農民を混乱させるわけでございます。法人化は、いずれか一方に一元化すべきではなかったでありましょうか。農業法人、生産農協の競合関係を、将来において惹起する懸念がないではないということを憂うるわけであります。  以上の点から今度の改正をながめるならば、法人化の道は開かれたとはいえ、現行農地法、すなわち、耕作制限のワクから一歩も踏み出しておらないわけであります。これでは旧地主の復活のおそれを抱くことなく、近代化を行なうための農業法人も、農民の願いとは全くかけ離れた、単なる税金対策としか受け取れません。法人問題も今では全くその性格を異にしておること、そして、法人化は本来農業近代化の第一歩であることは、先ほど来申し上げている通りでございます。こうしたことを政府はあらためて認識しなければならないわけであります。菅野農林大臣代理に、私が指摘いたしました諸点を含めて、農業法人に対する認識並びに今後の法人化の方向をお尋ねいたしたいと思うわけでございます。  私は、現行農地法の精神は守らなければならないと考えております。それは小さな農地を農民に押しつけようとところの自主的な農業法人に対する要望というものは、日本農業の零細化の現状にかんがみて、これの経営を共同化し、そして近代化していく、そして、生産性を上げ、所得を上げていくという願望にほかならないのでありまして、私どもがこの農業法人の制度を認めるということも、その趣旨にほかならないのであります。  第二は、そういう意味において、農民の創意を助長し、共同化、近代化を進めていく上において、今回の農業法人を認めることで、はたして十分であると考えておるか、ということでございますが、もちろん、これだけでもって十分であるということは考えられません。また、農業法人の問題も初めて認めるわけでございまして、今後、農民の創意により、自主的な努力により、これの発達助成というものに対する国家の政策よろしきを得まして、十分にその目的を達するようにいたしたいと思います。  第三は、農地法改正についてどう考えておるかという問題でございますが、言うまでもなく、今御指摘になりました農地法の基本というものは、かつてありました地主と小作人の封建的な関係を打破して、そうして、自作農を中心とした農村の解放を意味しておりまして、その基本はこれを変えるべきものでないことは言うを待ちません。そういう意味において、私は、農地法改正については考えておりません。  最後に、工業の計画的、地方的配置を考えるために特別の立法等を考えたらどうか。工業立地の問題については、かねて、政府におきましても、いろいろな点から調査し、また、いわゆる後進地域における産業の基盤であるところの動力の問題であるとか、交通の問題であるとか、港湾の問題であるとか、いろいろな問題につきまして従来努力をするとともに、なるべくそういう方面に工業が分散されることを指導して参っておりますが、それをきめるところの法律を立法すべきかどうかというようなことにつきましては、なお検討を要する問題だと考えます。(拍手)     〔国務大臣池田勇人君登壇
  56. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。  小澤さんの考え方につきましては、私は賛成でございます。政府におきましても、工場立地の調査等に関する法律によりまして、全国にわたって工業の適正地域を調査いたしております。通産省といたしましては、その調査の結果に基づきまして、工場の配置といいますか、工場誘致につきまして、いろいろ指導をして参っておるのであります。私は、ただいまのところ、この程度でいいのではないか、イギリスのごとく、お話しのように法律をもってここに工場を設けるというふうなことは、今の段階では行き過ぎと考えております。今後におきまして十分適正地域を調査いたしまして、政府の誘導によって工場の適正配置をやっていくのだ、今直ちに法的にこれを規制するということにつきましては、今後十分検討したいと考えております。(拍手)     〔国務大臣菅野和太郎君登壇
  57. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) お答えいたします。  まず最初に、法人の土地所有を認めておらないが、これは生産手段の共同化であって、本質的な共同化ではない、というような御意見だったと思うのでありますが、法人に土地所有を認めておりませんことは、先ほど趣旨説明の中にも申し上げました通り、現段階で法人の土地所有を認めることには弊害が起こりはしないかということを心配いたしまして、それを防止する意味で、法人には土地の所有を認めないということにいたしておるのであります。なお、もし、この法人が解消する場合には、もとの自作農へその土地が返るということもあらかじめ考慮する必要があると考えましたので、法人には土地の所有権を与えないという趣旨で、この改正をしたのであります。  それから次に、法人の構成員を、社員、株主に至るまで、法人に参加した者の世帯員に限定し、法人組織の育成を奪っておるのではないか、というような意味の御質問があったと思うのですが、この法案では、自作農の延長発展と見られるような法人に限り農地の使用収益権の取得を認めることといたしておりますので、法人の構成員を、法人に農地を貸し付ける者またはその世帯員に限るというふうにいたしたわけであります。  第三に、法人の耕作面積を、法人の所有可能面積に法人参加世帯数を乗じた面積とし、現行農地法でも例外措置を認めておるにかかわらず、法人に対しては極端に制限しておるではないか、というお尋ねであったと思うのですが、法人に農地の使用収益権の取得を認める面積につきましては、個人の場合との均衡を考慮いたしまして、現行法の規制を緩和することといたしております。しかし、法人という形を利用して大面積の土地の支配が行なわれるようなことは好ましくないので、これを一定の範囲内にとどめることといたしたのであります。  次に、小作人の法人参加を認めておるということについてお尋ねがあったと思いますが、小作人といえども法人に参加する道を開く必要がありまするし、また、小作地の適格法人への転貸については、法人自身が自作農の延長発展と見られるような形のものであり、また、転貸する小作人自身が法人の事業に常時従事するものということでありますからして、これを一般の小作地の転貸の場合と区別して、特にこの転貸を認めることが適当であると考えておるのであります。  最後に、農協法を改正して農協による農業生産の道を開いたが、農業を行なう農協も、農地法に基づく適格要件の範囲内に限定しておる、これでは、農地法に基づく農業法人と農協法に基づく生産農協も相違は全くない、というようなお尋ねであったと思うのでありますが、今回の立法措置の考え方は、農地法の要件を満たすものであれば、農協でも会社でも、農地の使用収益権の取得ができるような道を開く趣旨でございまして、いかなる経営形態をとるかは、これは現段階では、農民の自主的な選択にまかした方がいいのではないかということにしておりまして、組合法人がいいか会社法人がいいかということは、今後の推移を見て検討してみたい、こう考えておる次第であります。  なお、農業法人の単独法を制定する意思があるかないかというお話がありましたが、これも、今回の改正法によって一応推移を見て、その上で検討してみたいと考えておる次第であります。  なお、農地法を根本的に改正する意思ありやいなやということにつきましては、総理大臣からお答えがありましたので、私も総理大臣と同じ考えであります。(拍手
  58. 中村高一

    ○副議長中村高一君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  59. 中村高一

    ○副議長中村高一君) 本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十一分散会