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1960-04-06 第34回国会 衆議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月六日(水曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 纐纈 彌三君    理事 飯塚 定輔君 理事 田中 榮一君    理事 吉田 重延君 理事 加賀田 進君    理事 阪上安太郎君 理事 門司  亮君       相川 勝六君    加藤 精三君       金子 岩三君    亀山 孝一君       高田 富與君    津島 文治君       富田 健治君    三田村武夫君       山崎  巖君    太田 一夫君       川村 継義君    佐野 憲治君       野口 忠夫君    大矢 省三君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      中川 董治君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁警備局         警備第三課長) 倉井  潔君         警 視 総 監 小倉  謙君     ————————————— 四月四日  委員齋藤邦吉君辞任につき、その補欠として林  讓治君が議長の指名委員に選任された。 同月五日  委員林讓治君が死去された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  警察に関する件(三井三池炭鉱乱闘事件及び毎  日新聞社襲撃事件等)      ————◇—————
  2. 纐纈彌三

    纐纈委員長代理 これより会議を開きます。  濱地委員長には本日お差しつかえがありますので、その指名により私が委員長職務を行ないます。  警察に関する件につきまして調査を進めます。  三井三池炭鉱乱闘事件及び毎日新聞社襲撃事件等、最近各地に発生いたしました一連の暴力事件に対する取り締まり等について質疑の通告があります。順次これを許します。川村委員
  3. 川村継義

    川村委員 先日三池の争議をめぐっていろいろ不祥事件が起きて、その大体の経過説明は、この前江口警備局長ですか、口頭で聴取いたしまして、若干の質疑をいたしました。今手元に文書で、この警察がとられた措置等についての報告が出されております。この報告に基づいて、何か警察当局で補足的に説明がありましたら、この際追加してお話し願いたい。
  4. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 特に補足して御説明する必要は現在ないと思います。
  5. 川村継義

    川村委員 今、国家公安委員長はお見えになっておりませんが、私は、まず第一に国家公安委員長にいろいろお聞きしたいと思っておったのでありますが、お見えになりましたら、あとでまた追加することにして、まず長官に第一点として、この相次ぐ暴力団等の横行に対して、国家公安委員長及び岸首相等の昨日の本会議等における言明を聞いておりますと、どうしても現在の警察官職務執行法ではその取り締まりが十分じゃないから警職法改正しなければならぬ、そういう考え方を持っているのだ、こういうことを言明しておられるようであります。柏村長官として、今度三池に起こった事件、あるいは毎日新聞社襲撃事件等考えて、どういう点を改正をしなければ十分な取り締まりができないのか、どういう点に改正の必要があるのか、あなたのお考えを聞かせていただきたい。
  6. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 今回の三井三池におきまする不祥事案とか、あるいは毎日新聞社襲撃事件ということに関連しましていろいろと質疑が行なわれ、その間において警職法問題が論議されて、これについて石原大臣等警職法について改正考えたいというふうに言われたように私も拝聞をしておるわけでございますが、私どもといたしまして、今度の事件について、警職法改正してあればああいう事件は起こらなかったというふうな考えを持っておるものではございません。従いまして、今度の事件のみを考えて、警職法を急速に改正しなければならないとも考えておりません。ただ、警職法改正の必要ということにつきましては、一昨年秋に国会に提出いたしましたときに考えておりました必要性ということについては、依然として改正の必要ということを考えていないわけではございませんが、今度の事件等が起りましたことに伴いまして、あれが改正になっていなかったから事件が起こったとか、警察がやりにくかったとか、従って、ああいう事件の直後においてこの改正をする必要が強く認識されたというふうなことは全くわれわれにはございません。
  7. 川村継義

    川村委員 警察庁当局としても、全国的な各種の事犯等考えると、まだまだ三十三年秋に提案されたあのような警職法改正必要性というものは考えておる。しかし、今回の三池の事件あるいは毎日新聞社襲撃事件等、そのことによって警職法改正しなければならぬということは考えていない。こういうふうに御答弁いただいたと理解するわけでありますが、さらにその点につきましては、また国家公安委員長等の見解も聞いておきたいと思います。  そこでこの前、三池事件等のこの残念な事態に対して警察当局がとられた措置についていろいろと質疑をいたしましたが、その当時はまだ十分なる事態の解明が当局においてもなされていないので、明確な点はお聞きすることができませんでした。従って、当局措置についてもいろいろと世間から誤解されておるように思っております。この際もう少し長官みずから明らかにしていただきたいと思うのであります。  第一は、二十九日四山鉱を中心として大へん残念な事件が起きた。久保という人がついに暴力団の手によって刺殺をされた。まことに残念な事件であります。ところが、今あなたの方からいただいたこの資料を見てみても、また、この前お話しいただいた経過からいたしましても、ちょうど四山事件が起こる前に、いわゆる山代組という一隊がハイヤー十四台、トラック一台に約百人くらいの者が分乗して荒尾市内に入って行き、四山鉱南門で七名くらいの警官の固めておる検問所でこれを停止させようとしたけれども、それを聞かなくて、正門に至って、ピケを張っておった労組員と混乱を起こしてついにあのような不祥事態を起こした。こういうことであります。そのとき私が江口局長に対して、そのトラックに乗っておったという暴力団諸君をなぜその警察はそのまま見過ごしたかということを聞いておいた。ということは、トラックには山代組という大きなネームが入っておるトラックであります。おらくこれには三十名余りの者が乗っておったと思われる。その山代組トラック、それらの一隊を警察は約二十五、六分近くの時間にわたってうしろからずっと三百メートルくらいの間隔をおいてついていきながら、こういうものを制止しなかったのはなぜであったか、こういうことを私はこの前聞いたのでありますが、その後、そのトラックについては、いわゆる制限外乗車というものが認められておったのであるかどうか、あるいは認められていなかったかどうか、そんなことをよく調べて返答するということでありましたが、この点について、まずどのような状態であったか、その調べられた結果をお話し願いたい。
  8. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 山代組トラックが先頭に進んで参り、そのあとハイヤーが十数台続いていた。これに対していかなる取り締まりをしたかということのように承ったのでありますが、大牟田市内におきましても、このトラック乗車している者については警告を与え、車からおろさせているという事実があったようであります。また四山鉱に向かいます際におきましても、検問所においてこれに停止を命じておるわけでございます。ところが、その停止の命令を聞かずにそこを過ぎ去ってしまった。それでさっそく本部連絡をして急を告げたという事実がございます。七名の検問警察官をもってして、実力をもってとめ得なかったことは遺憾に思いますけれども、全然見過したということではございませんで、とまるように注意を与えたにかかわらず通り過ぎた。従ってこの山代組が通ったということについて、これを警備本部の方に連絡をした、こういう実情でございます。
  9. 川村継義

    川村委員 お話ですが、今私の方に配られたこの報告書によりますと、この前の江口さんの説明と少し違っているところがある。今度の説明書によりますと、いわゆる大亀田市内トラックに乗っておった三十名程度の者には一応警告を発して下車させたと書いてある。これは前の説明と少し違っておる。この前江口さんの説明は、後段の方の「また事件発生直前山代組等四山鉱方面に向かっていたのを発見した福岡県部隊はこれを追尾し警戒に当たった」と書いてある。このところに当たる問題だと思う。これは四時半ごろから四時五十何分まで約二十五、六分、三十分足らず、うしろから三百メートルくらいの間隔をおいて一個小隊ばかりの警官隊が、この山代紀トラックをずっとついていっているわけですね。そしてそのままトラックは四山に入った、こういうことがあるのです。これはこの前江口さんの説明で明らかでありますから、その前の下車させたということと、あとの方とは違うわけですね。そのあとの方の二十何分もずっとうしろからついていって、ハイヤーには百名くらいの者が分乗して乗っている。トラックにはやはり相当数の者が乗っておる。そのトラックを、なぜ四山に入る前に、うしろからただついていくのではなくて、そういうような乗車をしておる者は、これは不法乗車です。こういう乗車をしている者は、そういうときにも手落ちなく停止して下車させるというような措置をとらなかったのか、この点であります。それと、そのトラックは、一体制限外乗車等許可を受けておったのかどうか。こういうことを私はこの前聞いて、調査をしてもらうように頼んである。その点についてどういうようになっているかお聞きしたい。
  10. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 大牟田市内において下車させたことがあるということは事実でございます。その後、例の二個小隊、六十数名の福岡県の警察の者が追尾した。と申しますのは、これはもっぱらこの山代組警戒追尾するという任務を帯びておったものではなくして、山代組等警戒を要するものであるという認識のもとに、たまたまパトロール中にこれを見つけて、そうして福岡県境からこれを追尾しておったということでございます。従ってトラックから下車させたという取り締まりを行なったものと、この小隊とは別個のものであろうと考えておるわけでございます。
  11. 川村継義

    川村委員 江口警備局長の話と、今のあなたの答弁はちょっとぴったりしないのですよ。そうしてもう一ぺん申しますと、今のこの報告書に書いてある大牟田市内において、三十名程度トラックに乗っておった者を下車させたということは、この前の江口さんの報告には全然ない。それが新たに加わって報告されている。ですから私も、そういうこともあったろうなと、これを認めるにやぶさかではありません。ただし、別に山代紀というトラックに乗って、ハイヤー十四台に分乗して、約百名くらいの者が荒尾市内の方に向かっておる。それを一個小隊か二個小隊諸君がこれをうしろからずっとつけておるのですけれども、そのつけていっているのが、今長官説明では、たまたまパトロールしておったというのだけれども、それはいずれでもかまわぬじゃありませんか。そのつけていったところの諸君が、なぜそのトラックに乗っておる者を、荒尾市内に入る前とか適当なときに、すばやくこれを停止させて、さらにおろす、こういうような手だてをとらなかったのか、この点であります。
  12. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 大牟田市内において停車して下車させたという事実があった。ところがその後荒尾市内においても、またこれに対して警告を発し、下車させてトラックの運行をやめさせるということができれば、ああいうことは起こらなかったではないかという趣旨の御質問かと思いますが、荒尾市内においても警察はいたし、暴力は使わないというようなことについて注意を与えてはおりますけれども制限外乗車取り締まりまで行なったというふうには確認いたしておらないわけであります。
  13. 川村継義

    川村委員 そのようなことを警察の方が割合と軽く考えておられるから、警察のとった措置が、重大な結果を起こしたあとでどうも手ぬるくやられたのではないかというような一般の見方が出てくるわけです。そのときにそういう乗車をしておる者を、これは山代組という暴力的なあれがあるわけですから、そういうことならもうわかっておる者を下車させるというような至急な措置をとるべきであった。これは長官意思ではありませんけれども、そういうことをやらぬでおいて——やるべきことをやっておけば、非常な重大な結果が防げる。こういうようなことをやらぬでおいて、重大な結果を引き起こしてから、あなたの意思ではないですけれども、どうも警職法というものが改正されておらぬからというような理論を引っぱり出してくることは当を得ていない、私はこういうふうに考えるわけであります。今の制限外トラックの問題、制限外乗車にいたしましても、なぜそれを見のがしたのでしょうね。これは普通の場合ですよ、普通の一般の者やらあるいは組合の職員やらあるいはわれわれでもそうですが、小型三輪等で何かの宣伝をやって回るときに、許可をとっておっても、うっかりして一人でも多く乗せておったらストップをかけられまして、見せろと言われる、そうして見せる、うっかりしておって人員が一人、二人多かったときにはひどい目にあいますよ。ただ何かの宣伝のために許可をとって車を回しておるようなときでもそういうことが非常に多いのです。それだのに、こういう状況の中にこれらの者がたくさんのトラックに乗って、そうして何か少し違った空気の中に行動しておるのを、そのまま見過ごすという手はないと思う。なぜこれをやらなかったのでしょうか、長官どうお考えになっておりますか。
  14. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 トラック制限外乗車を取り締まらなかったということが警察取り締まりの適正を欠いたものであるという御趣旨と承るわけでございますが、まさしくそのこと自体をとって申せばそう思いますし、あと考えますれば、もっと手きびしくいろいろな措置をとるべきであったということも申せるかと思うのでありますが、あれほど重大な事件と結びつくものとしてこれを考えていなかったことはもちろん事実でございますし、あれだけの不法を特に見のがしたという筋のものではなかった。従って、なぜ見のがしたかと言われても、その積極的な理由というものは、私どもも理解しがたいわけでございます。申し上げかねるわけでございます。
  15. 川村継義

    川村委員 おそらく今あなたがおっしゃったその点に関しては、やはり現地の指揮をしておりました小隊長なら小隊長責任者考え方というものがよくわからなければ、あなたもはっきり答弁はできないと思う。しかしこの一事をもって見ても、やはりある点、警察がこういう諸君暴力を取り締るについて遺憾な点があったということは、これは警察としても、長官としても、率直に認めざるを得ないのじゃないかと私は思うのであります。申し上げるまでもなく、これは運送車両法の規定によりましても、そういうものにちゃんと罰を食わせるようになっているでしょう。そういう点からもちゃんと取り締まれる法律があるはずです。そういうことを普通の場合さえ非常に手きびしく取り締まっておるのですから、こういうときに、なおさらそういう点に注意をする必要がやはり警察当局としてあったと思う。そうすればあのようなおそろしい事態は起こらなかったのじゃないか、こういうことを指摘せざるを得ないのであります。なお、その団体はさらに四山の南門に入った。ところが、検問所におりました警官諸君は、これは非常に疲れてもおったことであろうと、それとなく考えてみるわけなんですが、ただこれはどういう情報があなたの方に入っておるかわかりませんが、現地の目撃しておった人の話を聞くと、ただ簡単にとまれという合図をしただけだそうですね。だからすうっと通ってしまった。こういうことがいわれております。これは私、現地で見たわけではありませんから、それを目撃したところの第三者の人の言葉をかりて今申したわけですが、やはりそこにもちょっと何かしら、あまり強く、そういう事態暴力団行動であったと判断していなかった手落ちがあったのじゃないかと思う。それからその隊が正面に向かって行った。ところが、正面に向かって行くその途中——四山鉱南門から正門までどれくらい距離があるか、長官御存じですか。
  16. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私、四、五百メートルと聞いております。
  17. 川村継義

    川村委員 大体それくらいの距離だと思われます。その中間において、工場内から新しいつるはしの棒の束にしたものが百本余り投げ出されて、そのトラックに渡されておる。このことをあなたの方では調べられておりますか。
  18. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 別の機会におきましても、この山代組等の百名ほどの者と会社側との関係があるやに報道されている面がございますので、こういう点については詳細に目下調査中でございます。
  19. 川村継義

    川村委員 その点についてどれくらい判明いたしておりますか。
  20. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 今までのところ、そういう協力があったということは明確にされておりません。
  21. 川村継義

    川村委員 あなたの方に報告が入っていないのか、あるいは報告がないのか知りませんが、これはきのう私の方の赤松議員が本会議でも指摘しておったと思いますけれども採炭主任の白谷という機械係、この人が告訴されておるわけです。あるいは熊本南署につかまっておる上野組の組長の上野という興行師、こういうのが調べられておりますが、これが、そういうものを会社から手渡されたという事実を自白しております。こういう取り調べの結果はまだあなたの方には報告がありませんか。
  22. 中川董治

    中川政府委員 本件事案に関しましては厳重捜査中でございますが、現在のところ六十四名の被疑者を割り出しまして逮捕状を発行し、しかも二十九名につきましては現実に逮捕いたしまして捜査を進めております。ただいまのようなお話の点は、いろいろ各方面捜査しておることと思いますけれども、具体的に今お示しになりましたような状況等につきましては、まだ報告がございません。
  23. 川村継義

    川村委員 それでは今の点については鋭意捜査が進んでいると思いますから、またいずれ事実も判明すると思いますが、問題は、この前の委員会でも指摘されましたように、このような暴力団ばっこさせるものは何かということです。これは必ず何か背後になければならぬ。われわれしろうとだってそう考える。専門家のあなたたちの方は、それはぴんと頭にくるはずです。ただ単なる興行師や町に遊んでいる連中団体諸君が、何もないのに自分から出ていってそういう火中のクリを拾うような行動はとらない。必ずそれに対する行動に対して報酬があるはずです。その報酬はどこから出てきたか、こういうことを十分に突き詰めていって、それらの根源を断つというやり方をしないから、今日まで幾つかのこういう暴力団ばっこが根絶しないのじゃないか。私はここに一つ問題があると思う。毎日事件にしてもそうです。数え上げると次から次ときりがないでしょう。どんなに岸さんが暴力追放などと言ったって、こういう団体ばっこが実にひどい。これはやはりその後にこれを培養するものがあると見なければならぬ。その培養するものは何かということを突きとめて、あなたたちの方で徹底的に根絶する対策というものがなければ、どんなに当局が力み返ってみたって、その目的を達しないのじゃないか。今度の三池事件にしても、あの連中がただ単に好きこのんで出しゃばりをしているとは思われません。こういう写真がある。ごらんになったと思います。私が今左に持っておるのは警官諸君制止しておる。この男が持っているのはおのですよ。そのおの写真はこれです。これを振りかざしてあばれておる。これをつかまえて——これは服装組合員服装はしておりますけれども組合員じゃないのです。これは会社が雇い入れたところの暴力団の一員なんです。これを警官制止しておる。ただ私が残念に思うことは、この男を制止して、おそるべき殺害等の危害を加えるようなことは防いだけれども、この男を逮捕していないことです。長官、これを逮捕できますか、できませんか。おのを振り回しておるのを逮捕できますか、できませんか。
  24. 中川董治

    中川政府委員 ただいまの事件につきましては、熊本警察におきまして厳重捜査中でございます。ただいまお示しの人物が、現在逮捕されたかどうかということについては、ちょっと確認できませんけれども、御質問趣旨は、そういうことを現認した場合に現行犯逮捕ができるか、できないかという御質問だろうと考えましてお答えいたしますが、今お示しになりましたようなことが現行犯として行なわれたことを認知いたしますれば、現行犯逮捕はできます。ただし、現場におきましての事案につきましては、そのときに居合わせました警察官は、できるだけの努力をいたしまして、みずから負傷をするまで制止に当たったのでございますけれども、人数の不足その他によってできない面があった。こういうふうに聞いておるのであります。そういう状況の場合におきましては、事後に、ただいまお示しいただきました資料その他を関係警察当局が周密に集めまして、犯罪捜査をして厳重にやっておる次第であります。
  25. 川村継義

    川村委員 中川さんの一般的な考え方、それはわかりますよ。ただ私が今お尋ねしたのは、こういうことをやっているのをただ制止するのではなくて、逮捕できるかできないかということです。現行犯でしょう。あなたは答弁の中で逮捕ができると言われた。逮捕できたら、こういうものを逮捕して徹底的に調べる必要がありますね。それをやらないで、ただ制止をして、あとは逃がしてやったというところに私は問題があるんじゃないかと思いますが、長官どうなんですか、これは労組員服装はしておりますけれども労組員じゃないですよ。
  26. 中川董治

    中川政府委員 ただいま申したのですが、そういうことを警察官が現認し、現行犯逮捕はできると考えております。この場合しなかったゆえんは、政策をもってしなかったにあらずして、現にその場に居合わせた警察官が非常に少なうございまして、少ない警察官はみずからの危険をかえりみず、けがまでして処置をしたけれども、そういうものを逮捕することができなかった、こういうような実情であるという状況でございます。
  27. 川村継義

    川村委員 政策にあらずして、それはそうかもしれません。政策的に逃がしたとはまさか今ここで私は言いたくありません。数少なくしてというが、これは警官が二人いるのですよ。二人で一人の男をつかまえていったっていいんじゃないですか。勢力か少なかったからだというあなたの今の答弁には、この場合私としてはどうも納得できないのですよ。とにかく、こういうようなことを見のがしておるということも、やはり一つの例として考えるならば、今度の三池の事件の、こういう暴力団が介入した背後に何かあるということをよく察知して、十分なる手を打ってもらわなければならぬということが一つと、こういうような状態を続けておれば、暴力団等がつけ上がるということはいつまでたってもなくならない。今、中川さんは政治的配慮にあらずしてとおっしゃったから、私も言いたくありませんけれども、うっかりすると地方においては、そういうような政治的配慮がよく出ている。だからこういうものがばっこするということが言えるわけです。たとえば事案が違いますけれども、この前の選挙のときでも、善良なる一市民がある新聞社が出した選挙関係の号外を配ったということで、ちょっといろいろ事情を聞きたいから警察まで来てくれないか、そうですかといって飛んで行った。飛んで行って二言、三言聞いておりましたら、すぐそこで逮捕状を出して、そのまま検事局に送ってしまった。そして勾留期間一ぱい調べて、何と言い開きしても聞き入れられないという、ほんとうに何も背景のない者はそういう目にあっている。ところが一方では、いわゆるその地方の有識者といわれる人たち、あえて自民党の人たちとは言いませんけれども、そういう人たちが手を加えて、もっと大きな選挙違反等の事実があがっておっても難なく帰されているということがないでもない。これは事案が違いますけれども、そういうような取り扱いの形をとると、警察のほんとうの正しい行政あるいは警察の責務を全うすることになり得ないのではないか。こういう問題にしましても、中川さんが言っておられるように、あるいはこのときには何か事情があったかもしれませんけれども、こういうおそるべき凶器を振り回わしてあばれかかった者を、ただ制止をして見のがして帰してやる手はないと思います。これはやはり逮捕して、あくまでも追及することが必要になってくるのではないか。だから現地に居合わせた市民の諸君も、警察人たちのやり方がどうも手ぬるいからああいう事件が起こるのではないか、こういうようにあなたたちの一生懸命にやっておる努力も結局水のあわに帰するような結果になるでしょう。こういう点は今後十分注意をしてもらわなければならぬと思うのです。  それからもう一点長官にお聞きしておきますが、さかのぼって二十八日の事態でありますが、私はこの前江口局長にいろいろ警官隊警備状況、それから衝突が起こった現場までの時間的なもの、あるいは措置等について聞きましたが、きょういただいた報告にもそれが書いてあります。そこで私がこの際長官にお聞きしておきたいことは、第一組合が三川鉱の三つの門でピケを張って入構を阻止しようという態勢をとっておる。これに第二組合といわれる人たちが、これを突破しようというので三方面に分かれてその門に向かった、このときに白はち巻等をして白い服装をしておる者、それから黄色いはち巻をしておる者、緑の服装、はち巻等のしるしをつけている者、この三つの編隊ができているわけですね。これを警察当局はどういうような編成と見ておられたのか、これはわかっておりますか。
  28. 倉井潔

    ○倉井説明員 詳細は今までの報告ではありませんけれども、三隊に分かれていたということにつきましては調査報告が来ております。
  29. 川村継義

    川村委員 三隊に分かれておったことはこの報告の中にも、どこかに書いてあります。ところが衝突の起こる場所まで、警官諸君が全員待機をしたところからは大体三分程度で行ける場所であるというのが、江口さんの説明でありました。ところが実際は十五分ばかりかかって行っているということであります。ここに一つの疑問が出てくる。ということは、今の黄色いはち巻、しるしをしている者がまず先頭を切って第一のピケ隊に突入しておりますね。これはあなたの報告にも書いてある。ところが、黄色いしるしをしている者は実は組合員じゃないのですね。そういうところの調べはついておりますか。
  30. 倉井潔

    ○倉井説明員 確かに第一組合といいますか、旧労と初めに衝突しましたのは白隊であることはわかっております。またその白隊の第一線は黄色の帽子をかぶっていたということにつきましても調査はついておりますが、ただし、その黄色の部隊が労組員であったかどうかということにつきましては、目下調査中であります。
  31. 川村継義

    川村委員 目下調査中だそうですが、これは江口さんの話によっても、私服の人が相当あそこに警戒に当たっていますよ。そうすると、この黄色のしるしをつけておる者がどういう者であるか、それくらいのことは賢明なるあなた方の警察としてはキャッチできているはずだと私は思う。この報告書を見ても、「黄色のヘルメット着用の約三十名が旧労ピケ隊ともみ合いを始め、その後、新、旧労組員が入り乱れて乱闘となった」と書いてある。この黄色のしるしをつけた者は第二組合員ではないのです。これは会社の方で雇ったところのいわゆる別の連中なんです。あえて私はここで今暴力団とは言いませんが、会社で雇ったそういう連中ですよ。この連中が、まず先に行って襲いかかってピケを破ろうとしておる。そういう事態警察警戒に当たった人たちが、特に私服もおるのですから、わかっておれば、三分くらいの距離に待機をしておるのですから、すぐかけつけて、そうしてこれを何とか制止するとかいろいろなことができたとわれわれは判断するのですが、それを十五分もかかって、そうして突破されてあとに行ったということは、何かしらあなたの方の措置が世間から疑われるのです。私はその点を、警官をあえてどうこうではありませんけれども、その点をはっきり釈明していただかなければ非常に残念に思うのです。長官、いかがですか。
  32. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私の聞いておりますところでは、まず前提として、旧労、新労、会社ともに暴力的な衝突は避けたいということと、それから新労におきましても強行入構ということは考えないということが前提にあったようであります。従いまして、門のところにおいてある程度のいざこざがかりにあるにしても、それほど激しいものにならないでお互い引き分けるという筋書きと警察が当初判断しておったことは事実のようでございます。  それからもう一つは、新労が入構の行為を開始する時局について、警察がキャッチしておりましたものよりも、相当早くこれが行なわれたということも事実のようでございます。そういうようなことから警察が、一番大きい問題は入構後の、あれだけの負傷者を出したときに間に合っていなかったという問題に相なるわけだと思いますが、根本の問題といたしまして、ああした争議に伴う事案というものは、やはり当事者間の良識というものによって解決せらるべきものであって、これがもしああいう乱闘がもう必至であるということでありますならば、これは警察として相当に事前措置をとるということが必要でありましょうけれども、何よりもやはり当事者間において良識をもって解決するということが基本になければならないと思うのであります。また非常な犠牲を払うということについては、それに備えるいろいろの考え方がなければならぬと思うのでありまして、警察として、当初会社側、両組合側が申しておることを信用したのが悪い、甘い、こう言われればそれまででありますが、とにかくそういうふうな両者の意向であったということと、時間がずれたということが、警察が現場に事前に配置してあの乱闘を防止し得なかったという最大の原因ではないかと私は考えております。
  33. 加賀田進

    ○加賀田委員 関連して。今長官説明の中で、組合間の良識に基づいて平和的に解決がするだろうという楽観的な希望のようであったのですが、組合間の問題は別としても、それと同時に、今第三者として山代組という暴力団がそういう争議の中に介入したということも含めて一つの労働争議という見方を警察官がしたというところに、私は甘いという問題が起こるのじゃないかと思う。山代組というのは、御存じのように二年来殺人事件を起こした明確な暴力的要素を持った団体であるということもよくわかっておるのです。しかもそれが検問所でストップを命じたが、それを突破したという事態だけでも、公務執行妨害という形で、場合によっては威嚇発砲ができるということは警職法にちゃんと載っておるわけです。そうでしょう。そういうような組合間における紛争に暴力団が介入して、しかも命御無用という連中が、特に人命を失わそうというような要素を持った第三者が介入しておるにもかかわらず、今言ったように労働争議というものはできるだけ平和的に双方の話し合いのうちに解決して、警察官の介入は許さない。許さないというよりも、できるだけ手をゆるめるというそういう態度を山代組にまでとったというところに、一つの大きな問題が私はあるのじゃなかろうかと思うのです。だから二十八日のときにも、ヘルメットをかぶった先頭部隊に第三者が入っておったということが今川村君からも発表があったわけです。それにやはり警察としての暴力事犯その他に対する非常に誤った問題があるし、その根底として、先般来問題になった警察暴力団に対して非常に弱腰ではないかという世論も起こってくる大きな原因があるのじゃないかと私は思う。だから、そういう労働争議に派生的に起こった問題であろうとも、山代組という暴力団が入ってきたこと自体においても、警察が新たな見地からやはり取り締まる態度をとらなければならぬと思う。あとでその他いろいろな問題が質問されると思いますけれども、そういう点で警察としてはどうも手落ちがその間にあったのじゃないか。同じような見方によってこの争議問題を見たのではないかと思うのですが、警察側としてどう考えるか。
  34. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 確かに結果的に見まして、あれほどの事案を起こしたことについては、私どもまことに遺憾に思うわけでございます。またああいうふうなことが行なわれるということがほんとうに明確にわかるというだけの情報活動なりあるいは見識なりというものも、何も組合の争議だからすべて平和に行なわれるであろうというような楽観的見方でやるべきでないこともお話しの通りでございます。暴力団の介入ということにつきましては、これまたあの山代組が、少なくとも今までは情宣活動を主にやっておったというようなことが、先ほど川村委員からもお話のありましたように、事前的な取り締まりが結果的に見て徹底的に行なわれ得なかった一つの原因になっておるかと思います。暴力団はもちろんでありますが、暴力団と限らず、かりに争議行為に関連するものでありましても、とにかく暴力的な行動暴力行為というようなものについては、警察としては断固として取り締まっていく考えでございますし、目下今の第一組合のピケそのものが、いわゆる平和的説得の域を越えて、実力によってこれを阻止するということ自体が違法を構成することに相なるわけでございますし、そういうことがまた相当見識のある人によって指導されておるという現状も、私は非常に遺憾に思っておるわけであります。従いまして、暴力団についてはもちろんでございますが、暴力団を含め、暴力行為を行ない、また行なう雰囲気を作るという状況については、これを徹底的に是正して参るように、その後、事後ではございますが、棒きれの取り上げもすでに手数百本いたしておりますし、炭住街における部隊警ら等も徹底してやる、それから今までに起こっております暴行事件についての捜査も徹底して推進するということをやって、現在炭住街を含むあの地域の民心の安定、生活権の確保ということに警察は今全力をあげている次第でございます。
  35. 川村継義

    川村委員 長官答弁、そのお気持はよくわかります。ところが、この写真一つ見て下さい。暴力団がりゅうとしてせびろを着こなして、そしていろいろな凶器を持って第一組合員の詰所に襲いかかっておる。こういうのを全然見送られているわけなんですね。そこで私が先ほど聞いておりますように、こういうことやら、それから黄色いしるしでちゃんと色分けしたところの暴力団等会社が雇い込んで使っておるということ、こういうことはおそらく現地警察諸君も知らないことはないと思うのです。それを徹底的に取り締まっていないというところに、今度の不祥事件が起きた原因があると言わざるを得ないと思うのです。こういう点が私は問題だと思うし、こういうのを見のがしておきますから、先ほども言っておるように、こういうもののばっこというものが根絶できないのではないかと思うのです。  なおいま一つは、二十九日久保さんを刺殺した事件があって、相当数が荒尾署に連れてこられた。そしていろいろと取り調べを受けている。あのときどうして直ちに全部釈放してしまったのですか。私はその辺の取り扱いがよくわからぬのです。それはだれがやったかはわからなかっただろうけれども、あの中に人を殺した者がおるはずなんです。あるいは逃げておるかもしれぬが、それを釈放しないでおいて徹底的に調べていったら、もっと事件の解決は早くなったのではないか。一応釈放してしまったあとで何とかかんとか指名手配をやっても、もう連中はどこへ飛んでしまうかわからぬですね。非常に解決が困難になってくる。こういうことが言えるんじゃありませんか。これは中川さんの方から一つ……。
  36. 中川董治

    中川政府委員 当日、お話しのような事件が起こりましたので、そこに居合わせた人たちを任意に署に来ていただきまして、確かにおっしゃるように調べたのでございます。調べたのでございますが、これは御案内と思いますが、犯罪につきましては、個人々々を個別的に殺人とか傷害ということを疎明して逮捕状をもらわないことには、留置は不可能であります。二十九日の状況につきましては、一種の混乱が起こって、警察官も負傷までしていろいろなことをやったのですけれども、被害者から自分はこうこうこういう被害を受けたという供述を取って、裁判官の令状をもらわないでとめ置くわけにいかないのであります。それで同日はその場の処置といたしまして、そこに居合わせた関係者に任意に警察に来ていただきまして事情を聞いて、直ちに——被害者の関係その他もございますので、個々の犯罪について被疑事実が確定できませんので、裁判官の令状をもらうことができなかったのでございます。令状をもらわずして逮捕すると憲法違反になりますので、やむを得ず事情を聞いて釈放して、さらに犯罪の事実を捜査して摘発する、こういうことでございます。
  37. 川村継義

    川村委員 それはしろうと考えでもおかしいですよ。警察法には二十四時間かの勾留をする権限があるでしょう。そうすると、呼んで、それがわからないからといってすぐ釈放する手はありませんがね。それだけの手続をちゃんとやるだけの間置いておいたって、差しつかえないんじゃありませんか。どうです。
  38. 中川董治

    中川政府委員 犯罪の痕跡があるとかなんとかいうことになれば、現行犯として確かに四十八時間あるのであります。ただし、そこにおいで願った人たちに痕跡その他認められませんので、通常逮捕状の発行を見るにあらざれば逮捕はできない、従って一分間といえども強制的には置けない。それで裁判官の令状をとる手続をして逮捕するよりほかに方法がございません。お話しの何時間か逮捕できるというのは、確かに現行犯並びに準現行犯については可能でございます。ただし、現行犯並びに準現行犯にするためには、現場で現行犯として逮捕するという状態でなければなりませんし、しかも準現行犯の場合は痕跡その他がなければなりません。しからば何がゆえに現行犯にしなかったかということになるのでございますが、現場で警察力その他が充美しておれば根こそぎ現行犯逮捕することが可能であったのでございますが、そのときはそこに居合わせた警官制止するのに手一ぱいで、自分の負傷を手当するというようなことでこれができなかった、こういうのが真相でございます。
  39. 川村継義

    川村委員 それはえらい親切ですね。とにかく久保さんを殺しておるんでしょう。だれが殺したかわからぬけれども、その何十人かの中におるはずですね。あるいは逃げておるかもしれぬけれども……。そうするとその中のだれかを、これはやはり被疑者としてつかまえて徹底的に調べるということはできませんか。大へんどうも暴力団に親切なお答えですが、ちょっとわれわれは理解できません。その点は、ほかの場合だったら簡単にやられますよ。
  40. 中川董治

    中川政府委員 その任意同行いたしました人間の中に、具体的に久保氏を殺害した人間であるということを疑うに足る資料がございました場合につきましては、その人についてはできます。ところが当日におきましては、被害者の協力も比較的得られなかったという状況でもあり、具体的に人間を集めてきましても、その中にだれかがいるということでみんな置くことになりますと、これは大へんな憲法違反になりますので、具体的に被疑者を確定するにあらざればできない。これは暴力団に限ったことではないのでございまして、すべての刑事手続の根本原則であります。
  41. 川村継義

    川村委員 とにかく棒を振り回してなぐったというような者、これはおるわけですからね。どうも今のあなたのお話では、われわれは納得できないのですがね。要するに今のような釈放の問題、それからこういうような暴力団の襲撃を食いとめていないというようなことやら、黄色いしるしをつけた暴力団が、まず初めに灰とかコショウとか、こういうものをピケ隊の中にふりまいて、ピケ隊がひるむところを突破して行った。こういうようなことをやはり現地人たちは察知しておると私は思うんですよ。それが十分に取り締まりが行なわれていないというところに、警察がとった処置に手落ちがあったんじゃないか、こう疑われる。私はそれが残念だと思うのです。そういうような点からいろいろと問題が多いわけですけれども、やはり暴力団ばっこする原因というものをもう少し根絶する立場でやっていただかなければ、こういう事態は一応一つは片づいても、次から次に出てくるんじゃないか。この際長官から、こういうような暴力団取り締まりについてのお考えをもう一度はっきりお聞かせ願いたい。
  42. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほどから申し上げておりますように、暴力団の発生し存続していく原因というものはいろいろあろうかと思いますけれども暴力団につきましては、その暴力行為を徹底的に追及してこれを取り締まっていく一面、これは絶対警察の仕事として、責任としてやっていかなければなりませんし、さらにこれの存続を許すような条件というものをできるだけ究明し、警察のみならず、関係方面とも十分連絡をとって、そうした原因になるようなものを除去していくということにも努めて参りたいというふうに考えておるわけでございます。
  43. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 関連して。暴力問題について盛んに社会党が論ぜられますけれども、日本社会党は、警職法のときなんかに委員室を占拠して、(「関連質問をしろ」と呼ぶ者あり)暴力を働いているんですから、暴力問題を論ずるということはどうもあんまり資格がないんじゃないかと思うのです。御不満だったら、公務執行妨害で私、告発してあげますよ。それで二十九日だけを問題にして、二十八日の、ピッケルとか五寸くぎのついた棒とか、そういう多数の凶悪なる兵器様のものを持って大ぜい押しかけて、そして全く無防備な、素手の事務所職員や新労働組合の方の連中の頭を割ったりするような、そういう問題、それはいかぬということを加賀田さんが認めて言われたということは大きなことです。労働争議、労働運動という名に隠れて、ほとんどあらゆることが可能であるような暴力、ピケ等を張るという……。(「事件そのものについて質問しろ」と呼ぶ者あり)事件そのものについて聞いております。そういうようなことは一つも問題にしないで、そうしてひたすらに二十九日だけのことを問題にするというような態度は、どうも私はふに落ちない。警察に対して、警職法を否決して、ほとんど実効的な取り締まり制止や凶器取り上げをさせないでおいて、そしてどういうわけで徹底的な警察力を行使しないかと言っても、とんでもない話だ。     〔発言する者あり〕
  44. 纐纈彌三

    纐纈委員長代理 加藤委員質問をして下さい。時間の関係がありますから。
  45. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 私の質問は、こういう事態をなくするために、少なくとも日本社会党さんの方でも、凶悪なる凶器というものは、第一組合の方からも全部取り上げてしまった方がいいのですから、今から立法して、直ちに凶悪なる凶器を、紛擾の起こると認められる、出血の惨事を起こすことがほとんど明らかだ——指名解雇の人は、とにかく第一組合の方は、もはやどうにもならないほどの敗北でございまして、そして手負いのようなもので、ますます荒れ狂う可能性もあるのでありますから、そういうような凶器にわたるピッケルとか五寸くぎのついた棒でもって、抵抗した人の頭を割るようなことを、
  46. 纐纈彌三

    纐纈委員長代理 加藤君、関連質問でありましたら、議論にわたらないようにして下さい。
  47. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 そういうことをやることをどうして黙っているのですか。国会で暴力を使う社会党が、暴力を使う可能性のあるものをすべて暴力団という言葉で言うならば、暴力団を論ずる資格はないと私は思う。さすがに民主社会党の代表者、もとの炭労の委員長は、全く無防備なものに対して凶器をもって当たるとは何ごとだと本会議で言うて下さったのであります。これが日本人の良識です。そういうことはいずれがやってもいかぬのだから、そして日本には、いわゆる暴力性を持っている、ほとんど警察が決死隊を作らなければやっていけないような団体も若干残っていると思います。そして事態が一カ月も二カ月も続く可能性もあろうと思いますので、そういう状態にかんがみまして、現場から凶器を取り上げることについて何らかの立法をされることは、私はおそらく日本社会党も民主社会党も自民党も全部賛成だと思います。いいことだと思うのです。いいことなら、どんな困難なことでも短期間にやり遂げて、いいことをみなするということに日本の政治力を発揮すべきだ。今の日本の政治は、実際あまりに貧困なんです。四の五の理屈ばかり言うから、何を立法しようと思っても反対ばかりするから、日本の政治は貧困なんです。われわれは国民の一人でも傷つけてはいかぬ。一人でも重傷を負ってはいかぬ。一人でも死んじゃいかぬ。われわれは直ちに委員会をあげて、現場から武器を取り上げることの可能な、話し合いでなしに、場合によってはここへそっと忍び込ましているようなものを取り上げるというような立法を進めたいと思いますが、一おそらく日本社会党、民主社会党、全部賛成だと思います。そういう議員立法をする場合には、警察庁長官その他幹部の方は、それに賛成して協力する意思があるかどうか、それをお聞きしたい。問題はそこなんです。
  48. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいま、不穏な状態においては凶器をすべて取り上げることについての立法はどうかというお話でございました。これは国会等で議員立法でお考えいただく場合において、資料等を提出することについては、お話によっていたしたいと思います。ただいま法律的には持凶器集合罪というものがございまして、ある程度取り締まりはこれによって可能かと思います。現在法律的に強制はできませんが、先ほども申し上げましたように、現地につきましては、第一組合側も第二組合側も、その他暴力団に類するようなものからも、こん棒等、いわゆる用法凶器的なものはすべて、任意ではありますが相当強力に警察が勧奨して、これを取り上げている実情でございまして、だいぶその点の成果はあがってきているように思います。今後もこれを続けて、御趣旨のような方向に進みたいと考えます。
  49. 川村継義

    川村委員 私はこの前江口さんにいろいろ聞いたときに二十八日のことを聞きましたので、きょうはその点について触れる必要はないと思います。ただ私がここに持っております地元の新聞報道にいたしましても、二十八日の事態は一口に言って、先ほど申し上げましたように、第一組合のピケラインに対して黄色いしるしをつけたところの諸君が、まずまっ先にコショウの目つぶしであるとか、そういうものを振りかけて、そしてうしろから青い鉢巻きをしめた者が大きな石をピケラインに落としている、そしてピケラインが破れて、中に入っておる。そこでピケを張っておった第一組合員が引き返していって構内で大きな乱闘を起こした。こういうことを目撃しておった新聞報道がすべて伝えております。しかしこれはどちらがいいとか悪いということでなくて、そういう事態を起こしたことは残念であります。いずれも青竹とかこん棒とか、そういうものを持ってはいけない。私はそういう事態を絶対に起こしてはいけないと思います。ただ、今加藤先生が言っているように、第一組合だけがこん棒や青竹を持っておったというような前提で話をされることは、実際と食い違っているわけです。これは現地で目撃しておった新聞報道班員の報道が、第三者の見方として、私たちはこれを正しく見なければいかぬと思っております。しかしいずれにいたしましても、ああいう事態が起こったということはよくない。ただし、私が先ほどから申しておりますように、大へんあなたたちを責めているようでありますけれども山代組行動取り締まりにいたしましても、運送車両法とか、あるいは銃砲刀剣類等の取締法であるとか、現在ある法律をそのまま正しく使ってやったならば、十分に取り締まりができたはずだし、またかりに事が起こっても最小限に済んだのじゃなかろうか。こういう点について当局はこの後十分配慮していただきたい。これが望ましいことであります。  それからもう一つは、先ほどからたびたび言っているように、こういう暴力団背後関係というものを根絶するためには、より大きな勇断をもって対処してもらいたい。長官は先ほど警職法等の問題に触れられて、三池の問題、毎日新聞等の事件について、警職法改正する必要はない、こういうことを言っておられますが、そのことだけではこういうことは出てこない。そうだと思います。毎日新聞の事件については、あとで加賀田委員がかわってお尋ねいたしますが、あの毎日新聞の事件にいたしましても、夜中に警察の方から、あるいはこういうことがあるかもしれないぞということが新聞社の方に伝わっておりますね。これは新聞に載っておるのです。夜明け方にああいう暴力団が襲撃したのですが、それを警察は早く察知しておるのですから、御苦労でも、それに対してちゃんと予防態勢をとって下さるならば、新聞社の入口においてこれは阻止できたかもしれない。それを、まあ、ああ言うけれどもそうした事件は起こるまい、こういうところに甘さがあったということも指摘できる。だから毎日新聞襲撃事件という事態が起こってから、そういうことにひっかけて警職法がどうのこうのと言うことは、これはちょっと飛躍しております。こういうことは一つ十分考えていただきたい。石原委員長にも、警職法改正がないからやれなかったのだなぞということを軽率に言明なさらないように、長官からよく話していただきたい。時間がたちましたから、次の方に譲りたいと思います。
  50. 纐纈彌三

  51. 門司亮

    ○門司委員 今いろいろ討論されておりますが、私は最初に言っておきたいと思いますことは、三池の争議に関する報告書に矛盾が非常にたくさんあることです。今川村委員からいろいろ指摘をされておりますが、報告書を読んで見ますと、方々に矛盾がたくさん出ております。しかし、このことを全部こまかくここで聞きただそうとは考えておりませんが、ただ非常に気になりますのは、例の四山鉱正門で起こった事件に対する警察の処置であります。それが報告書の中に落ちている面がありますので、はっきり聞いておきたいと思いますページは書いてないのですが、裏から一枚目とうしろから二枚目のところの一番下にこう書いてあります。ごく簡単に読みますと、「警備本部報告した」と書いてある。そうして警備本部のとった処置は書いてないのですが、警備本部は何をしておったのですか。私は、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  52. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 警備本部報告いたしまして、その報告に基づいて整備本部から二個中隊のものが現場に急行したということでございます。
  53. 門司亮

    ○門司委員 その報告はこの中には書いてないですね。二個中隊と今言われておりますが、それならその二個中隊がどういう行動をしたかということもやはりつけ加えてもらいませんと、事件の概要を知るのに非常に不便であります。この報告書から見ても、警察のとっております態度というものがきわめてあいまいであって、一向はっきりしない。それから、これはある意味においてはよけいなことであろうかと思いますが、この報告書を読んで警察に最も遺憾に私が考えておりますのは、この報告書の中の一番最後であります。注と書いて、現場の責任者の名前が書いてある。これらの諸君はいずれも警察官としては下級の警察官であります。警部補以下であります。もしこの事件責任者を書くならば、九州におる管区の本部長、あるいは福岡県の本部長、熊本県の本部長、現場を受け持っておる署長というような人が責任者である。こういう残酷なことをするものじゃないですよ。私はこれを見て驚いた。事件の起こったときに、これらの現場にいた諸君は警部補、巡査部長ですよ。一体どうしてこういう者の名前を書くのですか。これはほんとうに残酷ですよ。このことが警察官の士気にどれだけ影響してくるかということです。警察の内部というものはもう少しあたたかいものであって、そうしてほんとうに警察官一つになって治安の確保に当たれるような態勢を整えないと、そういう問題が起こってくる。事件責任者はこれらじゃないのですよ。それはたまたま現場におったにすぎない。私がさっき警備本部報告して処置がとられていないというのを聞いたのはそれなのです。派出所の巡査部長といっても、派出所の巡査部長は六人の警察官しか持っていなかったのですよ。六人で何ができるのですか。あばれ者が百人も乗り込んでいって、しかも凶器を持った者がやっておる。何ができるのですか。これは現場に警察官がおったら退治ができておると思う。この場合は警察官の武器使用が許されるでしょう。相手方が殺人行為をやっているのですから、またそういう凶暴な態度をとっているのですから、警察官さえおれば警察官の武器使用も許されている。ピストルを撃つことも許されている。警棒を使うことも許されている。法律はそれを認めているでしょう。そういうときに、ただ現場の派出所におった巡査部長の名前などを書いて国会に報告するという警察庁の態度というのは、私は非常に遺憾に考えている。こういう点は警察行政としては一つ慎んでもらいたい。  そこで本論に入りますが、報告書の中にはそういう処置は書いてない。そうして無気力であったと思われる。あるいはきわめて少ない責任者の名前等があげられておりますが、これらの諸君に私どもは責任を負わせようとは考えておりませんし、またこれらの諸君がそれだけ大きな責任を負う必要はないと考えておる。やはり警察本部の作戦といいますか、行動計画に間違いがあったということを、私はこの際率直に警察庁は認めるべきだと考える。それから議論をする方が私はよろしいと思っているが、一体警察庁は今度の事件について、今までの話の中に多少ないわけではございませんが、警備に手抜かりがあったということを率直にこの際認められることが私はよろしいと思うのだが、そういう点の御所見を伺っておきたいと思います。
  54. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 まず最初に、この小隊責任者等の氏名につきましては、先般川村委員から御要求があったので書いたというふうに私は聞いておるわけでございまして、われわれも、これらの者が最終的な責任である、また非常に重い責任を負わされるべきものであるというふうには書いておらぬわけでありまして、門司委員からお話しのように、警察というものは、県の警察といたしますならば、本部長以下一体となってあたたかく団結の堅固さを保っていくということでなければならぬと思うのでありまして、決して部下に責任を転嫁するというようなつもりでここに掲げたものでないことは御了承いただきたいと思います。  それから警察警備措置についての問題でございますが、先ほど来申し上げておりますように、私は、二十八日また二十九日等においてああした不祥事件が起こったことについて、心から遺憾の意を持つものでございます。またそういうことから、結果的に警察警備方法、取り締まり方法等についても反省すべきものがあるということ、また、ここはこうあったからよかったというようなことはもちろんあるわけでございますけれども、事前の状況警察のキャッチしたいろいろな情報というようなものからして、非常に警察警備がずさんだった、手抜かりが非常に大きかったというふうにのみ直ちに警察の処置を考えるということは、私は、必ずしもその事態を正確に見るものではないのではないか。やはりこういう事態が起こるというのは、警察警備のみをもってして、はたして防ぎ得るものであるかどうか。もちろん警察の守備というものが非常に大きな役割を果たす場合もあるわけでございますけれども警察力のみをもってしては防ぎ得ないいろいろな深い要因というものがあるように思うのであります。従って、私は責任のがれを申すわけではございませんが、率直に申せと言われても、ああいう事態が起こったというのは警察の責任でございますと、私がここで断言することははばかりたいのでございます。
  55. 門司亮

    ○門司委員 いろいろお話がありますが、この前の委員会においても、私ははっきり申し上げておったのだが、ちょうど長官見えておりませんでしたけれども警察のあり方についてはあなたの方の学校で教えている公安警備警察の要綱といいますか、何かあるわけですね。弊視庁にも、何か警察職務について書いてある。その中の冒頭にも、ちゃんとはっきり、警察の使命というものは事犯が起こってからでは間に合わないのだ、事犯が起こらない前にこれを十分察知して警戒することでなければ警察の信用はなくなるということは、あなたの方の教科書にもちゃんと書いてある。これは私の方よりあなたの方が、教えているのだからちゃんと知っておられると思う。ですから結局、今度の事件というものは、返らないことだから繰り言を言うようでありますが、警察の態度というものはもう少し親切というか、むしろ大胆に行なわるべきだと思う。警察は、ただ単に警察官として非難を受けない、争議が起こると、いわゆる争議介入というような非難を受けないというようなことだけに頭が一ぱいになっておる。それから起こる治安を確保しようというようなことについては、ほとんど考えていないのじゃないかというような気がする。だから、その問題については先ほど川村委員からも聞かれましたし、私もこの前の委員会でかなりお聞きをいたしておりますので、もう申し上げませんか、この際聞いておきたいと思いますことは、まず警視総監から、毎日新聞社襲撃事件に対する原因、その後の経過というようなものを御報告願いたいと思います。
  56. 小倉謙

    ○小倉説明員 事件の概要を申し上げますと、松葉会の幹部でありました市橋某が中心となりまして、約十名くらいの者が砂袋あるいは消火器を持ちまして、去る四月二日の午前四時十五分ごろ、毎日新聞本社の北側入り口から、係員の制止を聞かず印刷室に乱入いたしまして、輪転機に砂袋を投げつける、また鉛版をこわすというような暴行をいたしました後、二階の発送室に侵入いたしまして、作業員等に砂袋を投げつけ、消火器を発射して、発送用の台を転覆させて、その業務を妨害し、さらにガラスを十枚くらい損壊して逃走した。こういうような事案でありまして、この犯行の時間は約十分くらいの間のことであったと思われるのであります。  この事件の原因につきましては、新聞紙上にもありますように、去る三月十四日、松葉会会長夫人の葬儀が行なわれたのでありますが、これにつきまして毎日新聞が、同日の夕刊紙上に記事を掲載いたしました。この掲載しました記事の内容につきまして松葉会の者が反対的気持を持ちまして、三月の十八日に松葉会の幹部の数名の者が毎日新聞社に対して抗議をし、いろいろ文句を申しておるのであります。さらにその後三月二十八日、松葉会の市橋某が単独でさらに毎日新聞の本社に行き、新聞社側の人に対しまして抗議をし、いろいろ話がありました末、その際は大体新聞社側の説明を了承して談笑裡に終わったというふうに聞いておるのであります。しかしながらその後、先ほども申し上げましたように今回の事件が起こったのであります。申すまでもなく、言論機関に対するきわめて悪質な事犯でございますので、警視庁といたしましても、この事件を徹底的に追及いたすために、目下真相を究明中でございます。   ただいままでに逮捕いたしました者は、これも新聞紙上に出ておりますが、先ほどの市橋某、猪狩某、それから静某、この五名の者でございましてそのほかにすでに指名手配中の者もございます。また大体のメンバーがその後の捜査によって判明いたしつつある状況でございます。市橋らの話によりますと、先ほども申し上げました松葉会会長夫人の葬儀に対して毎日新聞が書きました記事が、この辞儀にけちをつけたといいますか、そういうような気持が相当あるようでございます。そのために、自分たちは松葉会を脱退して今回の事件をやったというふうにただいまのところは申しておりまするが、しかしながら、はたしてそのようなことであるかどうかということは十分検討を要すると思いますので、この背後関係等につきまして鋭意取り調べ中でございます。  大体、事件の概要は以上であります。
  57. 門司亮

    ○門司委員 次にお聞きをしておきたいと思いますことは、この松葉会というものは、聞くところによりますと政治結社だということになっておるようでありますが、政治結社の関係はどうなっておりますか。
  58. 小倉謙

    ○小倉説明員 松葉会の概要を申し上げますと、前に関根組という土建業を看板といたしておりました組がございます。これが二十四、五年ごろでしたか解散になっておりますが、その後二十八年ごろに藤田卯一郎という者が中心になりまして、この関根組の構成分子と申しますか、並びに地盤を中心にしまして、親睦会というような名目で再編成をはかり、松葉会と称したものでありますが、その後昭和三十四年の初めごろから政治運動を標榜いたしまして、若干の活動を行なうようになり、同年二月二十一日に政治資金規正法による届け出を行なっております。そして同年の九月に日比谷公会堂において政治結社松葉会の発会式を行なっておる状況でございます。
  59. 門司亮

    ○門司委員 私の聞きたいのはその性格ですが、そういう経路は必要でありますが、これが政治結社としての届け出をして、その後政治活動というものについてはどういうものが行なわれておったかということであります。このことについてもしおわかりでしたらはっきりしておいていただきたいと思います。
  60. 小倉謙

    ○小倉説明員 ここに何月何日にどうしたというような資料を持ち合わせておりませんが、その後の状況といたしましては、安保改定促進運動などに参加をいたしておりまして、若干の活動がございますが、一口にいって大した活動ではないと申し上げてよいかと思います。
  61. 門司亮

    ○門司委員 それからもう一つの問題は、この松葉会が一応表面上は政治結社という届け出をしておる。そうしてその後の活動状況については今のお話のようなことがあった。一面この会は、先ほどからお話がありましたように、関根組であるとか、藤田組というような形で成長をしてきたわけですが、従って現在の松葉会のあり方というものは、通念的に見て政治結社とみなされる面が多いのか、あるいは何らかそうした一つの事業団体としての性格を持っておるのか、この点についての御見解を聞かしていただきたいと思います。
  62. 小倉謙

    ○小倉説明員 警視庁といたしまして特にこの会につきまして関心を持っておりますのは、この松葉会の構成員の中に恐喝であるとか、暴行傷害であるとか、あるいは賭博、景品買いというようなことで、いわば暴力的な事件を起こす者が非常に多いというような観点から特に注目をいたしておるような次第であります。
  63. 門司亮

    ○門司委員 私の聞いておりますのは、今日までこういうものが、一つは政治結社という擬装のもとに世間の目をごまかして、内実は、今のお話のように、構成分子としてはかなり世間を騒がした諸君、あるいは犯罪を犯した諸君の集まりである。従って私どもから考えますと、この松葉会というものはどうしても擬装された政治結社だと言うことが一応妥当じゃないか、社会通念から考えればそう見るべきじゃないかとわれわれは考えておるのですが、警察のこれに対する考え方はどういうことですか。
  64. 小倉謙

    ○小倉説明員 この綱領には、天皇を中心とした民主主義国家の確立、共産主義思想の阻止、道義に基づく愛国精神の育成というようなことがうたってありますが、現実には先ほど申し上げましたように、政治的な活動というものは低調である。こういうことで、私どもはそれが擬装というところまで言えるかどうかということは非常に疑問だと思います。といいますのは、多少でもとにかくそういう政治的な活動というものがあるわけですから疑問であると思いますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、暴力的な事案を起こす分子が相当入っておるというような点について特に注目をいたしておる、かように申しておるのであります。
  65. 門司亮

    ○門司委員 そこで問題になりますのは、こういう種類というと多少語弊がありますが、形のものがかなり従来からありはしないかと私は考える。それらに対する今日までの警察の監視という言葉を使えば少し行き過ぎますが、これを注意しておる実情というようなものがもし明確にされるならば、この際はっきりしておいていただきたいと思います。
  66. 小倉謙

    ○小倉説明員 ここで個々に具体的に団体の名前をあげることは、私はいかがかと思いますから申し上げませんが、いわゆる博徒といいますか、あるいはテキ屋その他暴力的な事案を起こしやすいような分子がかなり入っておるというような団体で、政治的な活動にも最近出てきておる、こういうような団体が都内に数団体あるのでありまして、これらの動向につきましては、そのような事案の発生を防止するというような見地から関心を持って注意をいたしておるような次第でございます。
  67. 門司亮

    ○門司委員 これらの団体については、世間では一応政治結社であるというような考え方で見ていないと私は思います。これはやはり一つの何組というようなものであって、決して届け出の趣旨に沿う、あるいは届け出のような形で政治活動をする団体ではないと見る方が私は正しいと思う。そこで問題になりますのは、松葉組の会長の夫人がなくなって葬式に花輪を送ったとか送らないとか、どういう花輪があったとかいうことが記事に書かれておったというようなことが事件の発端だ、こういうことが一応新聞には伝えられております。従って今の取り調べの段階で、そういうことが事実はっきりしているかどうか。そういう新聞に伝えられておるような原因でああいう事件が起こったのかどうかということが警察の今までの調べの段階で出ておるかどうかということを、もしわかっておってはっきりできるなら、一つはっきりしておいてもらいたいと思います。
  68. 小倉謙

    ○小倉説明員 大体新聞に出ております通りでございまして、問題になりました毎日新聞の記事が原因となりまして、それに基づいてあのような事案が発生した、かように了承していただいてけっこうだと思います。
  69. 門司亮

    ○門司委員 私どもが奇怪に思うのは、そういうことなんですが、もしこれが政治結社であり——新聞の報道が自由であることはもとよりであります。従ってもし新聞の記事に間違いがあるならば、新聞社が責任を持って取り消しをするなり何なりすれば事が足りることであって、ここまでこの事件がこなくてもよかったのではないか。これが事件の内容を見てみますと、必ずしもそうではないらしいので、今逮捕されておる三人は、何かなくなった夫人に非常にかわいがられるといいますか、めんどうを見てもらった特殊な諸君だということが新聞にも書かれておる。そうだとしますと、事件自体と新聞の記事とは関係が非常に薄くなりはしないかという気が私はするのです。公の問題に関しての取り扱いではなくして、私憤というような形が出てきやしないかということであって、何も新聞社の記事に対する抗議でなくて、特別の恩顧を受けた者が、言いかえれば多少けちをつけたというようなことで、おもしろくないから仕返しをしてやったのだという、いわゆる暴力団的な、やくざ的なものの考え方でやったものだということに大体なろうと思うのです。その辺に対する総監の考え方はどうですか。
  70. 小倉謙

    ○小倉説明員 さらに捜査を進めてみないとわかりませんが、事件が発生前の毎日新聞社側との折衝におきましては、ああいうような記事につきまして、これを訂正してもらいたいということを盛んに抗議をいたしておるのであります。要するに松葉会というものが暴力団であるということで記事が書かれておる。そのことが自分たちの会長夫人の葬儀に関連して書かれておるということにつきまして、そういうふうな記事を訂正してくれというような抗議を盛んにいたしておったように聞いております。
  71. 門司亮

    ○門司委員 問題は、少し具体的に事実に触れてみたいと思いますが、先ほど川村委員からちょっとお話がありましたように、この事犯については、ある程度未然に防止することができたのではないかという観測が私は非常に強いのであります。それはその翌日の新聞にも書かれておりましたが、ここに襲撃をしてきた仲間に関係した者の中から、すでに警察に密告があって、大体こういう事件が起こるであろうということが一応察知されて、警察警察との間には連絡があったような記事が載っておりますが、この記事はほんとうですか。
  72. 小倉謙

    ○小倉説明員 当時の状況を詳細に申し上げますが、事件がございましたのが四月の二日でございますが、一日の夜おそく練馬警察署管内のある少年の母親が駐在所に行きまして、子供が酒を相当飲んで帰ってきたが、もう自分はしばらく家に帰らないかもしれないというようなことを言って出ていった。何か悪いことをするのではないか、心配になるからというような届け出がありましたので、練馬署におきましては、その少年が日ごろ池袋の方面で遊んでおるという状況から、池袋の署に通報いたしまして、池袋の盛り場などにおいて、その少年を発見するように努めておったのであります。その後二日の午前一時三十分ごろに、同じ少年の友人が、これもやはり練馬警察署の駐在所に、この少年があした新聞に出るようなことをしてやる、相手は毎日である、午前三時を期してやるんだというようなことを言っていたというような連絡があったのであります。  そこで練馬警察署におきましては、あるいは毎日新聞社に対して何かやるのではないかというようなことで、練馬警察署から丸の内警察署に通報があったのであります。丸の内署におきましては、この通報によりまして毎日新聞社を所轄しております有楽町の巡査派出所に、警ら等に際して警戒するようにということを命ずるとともに、毎日新聞社の担当の人に同じような連絡をいたしまして、警戒方を依頼したのであります。毎日新聞社におきましても、保安課員十数名が、社の内外の警戒に当たられたのでありますが、その後午前四時ごろまで何事もなかったので、一応その警戒態勢を解かれた。こういうようなことでございまして、その後出五分後にこの事件が発生した、こういうような事実関係になっております。でありまして、警察側といたしましても一応の警戒措置はいたしたのでありますが、結果的に見ましてこういうような事件が発生いたしたのであります。もちろん今後十分注意して、この種の事犯の防止については善処して参りたい、かように考えております。
  73. 門司亮

    ○門司委員 大体事件の内容といいますか、様子はわかったのでありますが、問題になりますのは、あらかじめわかっておったこういう事件が、どうして防止できなかったかということが一つ。それからもう一つは、先ほどからお聞きをいたしておりますように、この種の擬装されたと考えられる団体について警視庁の今日までとって参りました態度というものが、あまりにも甘かったのではないかという感じを強くするのであります。ことにこの団体暴力団と言われることがおもしろくないから抗議したというのだが、実際の行為は暴力団の行為ですよ、みずからやっているのだから。そうして会を脱退したとかしないとかということは形式的なものであって、計画的な最も悪質なものなんです。こういう暴力団が許されるわけはないのでありますが、しかもその問題と同時に、この行為というものは十数人の徒党を組んだ一つの行為なんです。従って明らかにこういう事件が起こるであろうということがわかっておって、その警戒を解いた十五分後だと言っておりますが、情報があって、全然出し抜けでなかった事件についての警察の態度というものについては、私は非常に遺憾に考えるのであります。もう少しこれらの諸君行動については、こういう事件はわかってきているのですから、その日のうちに警視庁で連絡をとられれば——一体政治結社であるだけに、あれだけ内容がはっきりしているものですから、これが秘密結社なら別ですけれども、ある程度これらの人間の行動というものはわかっていなければならないはずだと考えておりますが、こういう点について、警視庁は労働組合の動きその他については尾行をしたり、あるいはメモをとったり、いろいろやられて、ときどき問題を起こされるのですが、こういう団体についての取り扱いというものはどうされておりますか。これは野放しですか、何か内偵をしてやられるようなことがあるのですか。私はどうもその辺がふに落ちないのです。労働組合が何か仕事をしようとすれば、尾行をつけてみたり、あるいは思想調査をときどきやってみたり、これには警察の機密費が使われるというようなことで、組合についてはきわめて厳粛——厳粛という言葉はどうかと思いますけれども、苛酷というか、その行動の監視が法のきめているより以上に、あるいは憲法を侵してでもやろうというような傾向かしばしば見受けられる。しかし、これらのように明らかに暴力団であるという考え方が十分にされるものについての監視——監視という言葉は当たらないかもしれませんが、行動を察知するというようなことについて特別の考慮を警察では一体とられているのですか、いないのですか、野放しですか。私が聞きたいのは、野放しになっているのか、あるいは警察は、絶えず動静は許された範囲でキャッチすることになっているのか、どちらですか。
  74. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまの御質問は、単に警視庁の問題でなく、全体的な問題と思いますので、私からお答え申し上げますが、われわれとしては、極左であると極右であると、あるいはそうした政治的な意図にかかわらない暴力団等であろうと、すべてこれが社会に不安をもたらし、犯罪を構成するような企図をもって動きそうなものについては注意をしていくというのが建前でございます。しかしながら、これをその構成員個々についてまで詳細に行動を監視するということは、事実上きわめて困難でもありまするし、また人権の尊重という点から申しまして行き過ぎになる場合もあるわけでございますので、すべての構成員なりあるいはすべての幹部なりについて常に見張りをするというようなことはございませんけれども、必要に応じてわれわれの方で視察をしようとする団体等については注意をするという建前にいたしておるわけであります。しかしながら、そのやり方とか対象とかについては、十分厳重に制限的に慎しんでやっていくという態度はとるようにいたしておるわけでありますが、野放しにしておくという次第ではございません。
  75. 門司亮

    ○門司委員 きょうは非常におそくなっておりますから、多くは聞きませんが、問題になりますのは、この種の暴力団を徹底的になくするという的確な方策があるかどうかという点ですね。今申し上げました労働組合については、たとえば和歌山の問題——もし資料が必要だというなら、写しがありますから持ってきてもいいのですが、警察がちゃんと労働組合の動静を報告したもの、あるいは新潟の問題あるいは大阪の問題、これなどは一つの特定の労働組合に対してちゃんと毎日のように警察報告がされている。そうして会議の内容はあまり詳しく書いてないが、幹部がどこに行ったとか、この会議がどうなったとかということが報告されている。そうしてある程度監視をしておるのでございますが、暴力団に対してはほとんど野放しじゃないかと思うのです。暴力団の撲滅について、この毎日事件というのは非常に大きな事件でありまして、考え方によっては、言論機関に一つの威圧を加えるということは、社会を暗黒にするということにならざるを得ないのです。この事件は、私は特に注意を要すべき事件だと思うんです。そのことは従来の社会の騒擾あるいは暴力革命というようなものが一つの問題になってくることは、多く言論機関を押えるということです。たとえば二・二六事件にしても、そういうことが如実に出ておりますし、言論機関という社会に対する非常に重要な役目あるいは崇高な使命を持っているものがこういう暴力に襲われて、そうしてこれに脅威を与えるということは、社会正義をじゅうりんするきわめて大きな問題だと私は思う。だからこの問題は単に市井の暴力団関係というような考え方警察がおられては、私は非常に迷惑だと思う。だからこの問題については徹底的に洗って、そうして徹底的にこの問題の処置をされないと、報道機関が自由を失うなんということになれば、これは暗黒社会ですから、最も悪質なものだと考える。ただ個人対個人の罪というようなものではないんです。そういう点については、警察側としてはどういう心がまえで今この問題に対処されておるか、この問題を一つ聞かせていただきたい。
  76. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 暴力団等について徹底的にこれを取り締まって参るということは、先ほど来申し上げた通りでございますが、特に今回の報道機関に対する襲撃というようなことは、きわめて悪質な重視すべき問題であろうと思っておるわけでございます。警察といたしましては、その行為自体のみならず、それの背後関係であるとか、そういう関連するところを十分に究明いたしまして、今後こうした事犯の起こらないように万全の備えをして参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  77. 門司亮

    ○門司委員 今の御答弁は、ただ単なる通り一ぺんの答弁だと思うんですよ。そう言わざるを得ないと思うんですよ。だから私は警視総監に聞いておきますが、従って具体的にどういう形で捜査を行われるか、捜査の内容等の発表はこの際できないかもしれませんが、大体のあなた方の心がまえ、あるいはどの辺まで対象にして問題の究明をしようと考えておるかというようなことを、もしここで明らかにされるなら、一つ明らかにしておいていただきたいと思います。
  78. 小倉謙

    ○小倉説明員 ただいま警察庁長官から答弁がございましたように、もちろん今回の事犯はきわめて重要な、かつ悪質な事犯である、かように考えておることは申すまでもございません。従いまして捜査の態勢といたしましても、直ちに捜査第四課長以下多くの警察官が現場に急行いたしまして捜査を開始いたしましたとともに、松葉会の幹部の動向につきましても、関係の各警察署に配置してあります暴力取り締まり専従班員を動員いたしまして、これらの者の動向の視察に当たらしめておるのであります。現在準捜査本部を設置いたしまして鋭意捜査を進めておりますが、十分な心組みをもちまして徹底した捜査を進めていきたい、かように考えております。
  79. 門司亮

    ○門司委員 問題の焦点は、この問題がいかに解明されて、そうして警察側あるいは検察庁がいかにこれに対処するかということか、私は社会的に非常に大きな問題だと考えております。  もう一言聞いておきたいと思いますことは、私は警察関係でふに落ちないことが一つございます。これは新聞だけでありまして、私、実地の調査をしたわけではありませんからわかりませんが、何か乗り逃げをした自動車のナンバーが廃止されたナンバーであったということを聞いておりますが、自動車のナンバーの取りはずしということは、返さなければならぬのが規定だと思いますが、届けておいて、はずさないでおいて乗って歩いていていいか悪いかということ。こういうもの等についても一体警察取り締まりというものはどういうことになっておりますか。これはこまかいことですが、今度の事件一つのかぎになっておるので、聞いておきたいと思います。
  80. 小倉謙

    ○小倉説明員 御指摘のような自動車のナンバーからの捜査ということももちろん進めておるのであります。この自動車は昭和三十四年六月二十日の廃車届けになっておるのであります。従いまして、どういうような事情でこういうようなことになっておるのか。あるいはそのナンバーの間違いということもありますので、他の類似の自動車についても調査中でございます。なお、自動車のナンバーにつきましては陸運局の方で取り扱っておる事柄であることは申すまでもございませんので、これをつけ加えさしていただきます。
  81. 門司亮

    ○門司委員 もしナンバーが、目撃者の記憶が確かであってその通りであったとすれば、そういうことはどう考えてもあり得ないことだとしか考えられない。廃車は三十四年でしょう。去年廃車されたものが依然としてナンバーがついているということは実際はあり得ない事実ですよ。だから目撃者の記憶が正しいとすれば、この廃車自身についても私はおかしいと思う。今陸運局の関係だとおっしゃるけれども、陸運局に行ってお調べになればすぐわかるはずです。しかも、この取り扱いはどこでやっているかというと、大体警察が全然タッチしないわけではないと私は思う。だからもう少し問題の焦点というものがしぼられるかどうかということが一つ。  それから最後に聞いておきたいと思いますことは、こうした松葉会という一つ団体の今までの経過から見ますと、それから行動から見て参りますと、どう考えても、政治団体としての行為というようなものが完全に行なわれていないと私ども考えている。きょう自治庁の諸君が来ておりませんから、政治資金規正法の解釈その他等についてはここで質問するわけには参りませんが、どう考えても、そういうところに幾つかの欠陥が私はあると思う。そうして擬装という言葉はよくない、それに当たるかどうかということを先ほどから総監は言っておりますけれども、私どもには一応擬装されたものだとしか考えられないのだが、こういう団体が方々にできて、そうして政治資金規正法がこれらの団体の隠れみのみたいになって、ときどきこういう事件を起こす。そうしてふだんの行為は明らかにならないというような行為がずっと行なわれておる。たまに仕事をやろうという場合には、それから脱退届を出しておけば、本体には大した影響をしない。個人の行為のようなことに考えられるというような、きわめて複雑なあるいは卑劣な行為が容易に行なわれるような組織になっておるが、これらについて、もし警察側で、きょうは自治庁の諸君がおりませんから、自治庁の諸君に意見を聞くわけに参りませんが、警察側から、こういう問題について、どういう処置をすればそういう隠れみのというものが除かれるかというようなことを、法的にお考えが願えるなら、一応話をしておいていただきたいと思います。
  82. 小倉謙

    ○小倉説明員 初めの、自動車のナンバーの取り扱いにつきましては、これは直接私の方ではタッチしておらないのであります。陸運局系統の機関でやっておりまして、いろいろな交通取り締まり等の際に非常に困っておる事情があるのでございますが、そういう状況でございますので、陸運当局関係につきまして、問題の自動車がどういう事情であるかということを調べておることは申すまでもございません。  それから二番目の、政治結社としての届け出は、私の聞いておりますのでは、これは届け出の一定の要件さえ備われば届け出は自由であるというように聞いております。従いまして、警察といたしましては、やはり現実の具体的な活動が法に触れるかどうかという点をつかまえて、その面から公正な、しかも悪質なものにつきましては厳重な取り締まりをしていく。こういうことより仕方がないじゃないかと思いますが、要するに、こういうような暴力的行為に出やすい組織につきましては、警視庁といたしましては、絶えず必要な取り締まりを続けていくということと、それから盛り場等を中心として、これらの団体の資金源といいますか、そういうことにもなっておりますので、そういう盛り場の環境を浄化するという面から強力なる取り締まりをしていくということで、いわゆる大交番等も設置いたしましたり、さらに詳しい組織の系統等によりまして組織の面からの解明、それによる適切な措置を講じていく、かようなあらゆる角度から、こういう組織の解消に努めておるような次第でございます。
  83. 門司亮

    ○門司委員 私、これしか聞きませんが、そういう今努められていることは事実だと思うのですが、私の聞いておりますのは、そういう隠れみのが一つあって、その隠れみのの下に隠れて、そうしていろいろ変な行動を起こしている。これはしかし政治結社の届け出ですから、別に認可制でもなければ許可制でもないので、届け出があれば仕方がない。しかし、問題になりますのは、その後の行為が、平気でこういう大それたことをやるような分子がたくさん集まっておるとか、あるいは盛り場等でいい行為をしていないというような者が、何かといえば、おれたちは政治結社だということで取り締まりの対象から除かれている。いわゆる暴力団という一つの刻印が打てないということ。もし警察が、それは松葉会というものはある政治結社ではあるが、行為自身は明らかに暴力団的な行為じゃないかということで、この方に重点を置いてこれを取り締まりの対象にするということが、私は政治結社という隠れみのがあれば、実際はなかなか困難だと思う。そういう一つの隠れみのになっておる。従ってこういうものについて、法律的にこれをどう改めたらこういう隠れみのがなくなるかということが一つの私ども考え方であります。そうして政治結社であるならば、今の届け出——ただ綱領とか政策とかいうものの届け出あるいは構成分子の役職の届け出というような体裁だけを整えたものでなく、実質的に政治活動を行なうものでない団体である以上は、これをどうチェックしていくかということを考えられておるかどうか、あるいはそれを取り消すことがどういう形で、平たく言えば、届け出はしたのだけれども何もやらぬじゃないか、看板だけじゃないかといってこれを取り消すことができるかどうか。私は、届け出は届け出でけっこうだと思うが、その後の処置として、こういうものがあることは私は非常に迷惑だと思う。こういう政治結社の届け出をされて、四囲の一般の人から見るならば、政治結社というよりもむしろ暴力的行為の方が多いというようにいわれておる団体が幾つかあるのではないかと思う。そうして今度のような事件がたまたま起こってきたときに、片一方では、入っておったのを除名したとか脱党届を出したとかいうようなことで、結社としての責任は負わぬ。個人の行動としての責任だというようなことでは、暴力団退治は非常に困難だと思う。だんだん追い込まれてくると、こういうところに出てくる。従って、政治結社である限り、善意に解釈すればいろいろな政治家もこれにつながると思う。綱領が同じであるとか、政策が同じであるといえば当然つながるものが出てくる。事実は、暴力団と政治家、暴力団とボスとのつながりであることには間違いないのだが、表面は政治的な結社としてのつながりだということでカムフラージュされておる面が今度暴露されたと私は思う。だからそういうものについてのあなた方の、現行法内の考え方でなくて、これをなくするにはどうすればいいかというようなことが意見として、むろん個人の意見でけっこうだと思いますが、意見としてこの際警察側の態度を一つ聞かしておいていただきたいと思います。
  84. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 政治結社についていろいろお話がございました。そういう政治結社を届け出ることは自由でございますから、届け出て、本人たちはそれを隠れみののごとく思い、あるいは世間では政治結社であるということで敬意を払う人間もおるかもしれませんが、警察取り締まりという点から申しますれば、名が政治結社とつこうがつくまいが、その犯罪については徹底的に取り締まっていく、これはまた現行法内の問題でございますけれども、そういうつもりでおるわけでございます。どうしてそういう隠れみの的なものをしないかということは、むしろ私は制度的な問題も——もちろんこれは自治庁等でお考えになるかもしれませんが、やはり国民が良識に従って、実態について敬意を払いあるいはこれを侮べつするということが出てこなければ、いつまでたっても、制度を変えても、やはり政治と名がつけばえらいのだというような感じを持つのではなかろうかというような気が私はいたしておるわけでございまして、警察としては、そういうことに関係なく、先ほども申し上げましたように、その行為自体というもの、実態というものをとらえて、これを追及して参るという方針を堅持して参りたい、こう考えております。
  85. 門司亮

    ○門司委員 私、これでやめようかと思いましたが、すぐやめるわけにいかなくなった。今の答弁を聞きますと、警察現行犯だけの、現行の法律のワクの中だけの仕事をすればよろしいのだというものの考え方は誤りじゃないですか。それは下級の警察官はそれでよろしいと思う。命ぜられた仕事だけをやる。少なくとも警察庁長官答弁としては、私はあまり感心したものではないと考えるのです。あなたの立場は、いかにして犯罪をなくすかということを四六時中考えられていなければならぬ。現行の法律の中で取り締まりをするというのは、これは警察官個々の諸君の問題です。それらの諸君はそれ以上出られないのですから。あなた自身の立場というものは、ある場合には立法についてのくちばしを入れられる立場です。国全体の治安をどうするかということが考えられる立場なんです。一警察官ではないと私は思うのですよ。日本の治安をどうするかということを考えられる立場なんです。そうすれば、こういうものについてはもう少し確固とした答弁ができるはずだと思う。警視総監にしても同じことなんです。個々の警察官なら私は今の答弁でけっこうだと思う。それ以上命ぜられておりませんから、私どもの職責はこれだけだからということが言えるかもしれません。しかし、あなた方の立場というものは、法律の字句の中に書いてあるだけではございませんで、日本の治安をどうするかということ、首都の治安をどうするかということを始終考えられて、そしてその中に法の不備があれば法の不備はこう直すべきではないか、やりにくいところがあれば、こうやるべきではないかということを私は考えられてしかるべきだと思う。そうしなければ警職法の問題なんかを大体考え出すことができないでしょう。警職法というものはあなた方が考え出したのですよ。現行法の中だけでやっていれば、警職法が必要であるとか必要でないという議論はできないはずだ。またそういうことは考えられないはずだ。私どもも、国会におって法律を考える者の立場としては、絶えず起こった事件をどう処置していくかということ、将来こういう不祥事の起こらないようにするにはどうすればいいかということ、その中には、法律的に変えるものがあるならばこれを変えなければならぬ。われわれにも責任がある。また、あなた方も、日本で一番上にいる治安の責任者として、そういうことが四六時中考えられてしかるべきだと思う。それをあくまでも現行の法律の中だけだというような谷間の川に入ったようなものの考え方では、これは警察が動脈硬化になっていかんともしがたいと思う。その辺を私は聞いておるのであって、もう少しはっきりした——何も遠慮する必要はないと私は思うのですよ。暴力団取り締まりに現行法が不備なら不備で、ここをこうしてもらいたい、隠れみのになっているなら隠れみのになっているで、ここはこうとってもらいたいということを容易に言われるはずだと思う。もう一度答弁を願いたい。
  86. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 どうも私の申し上げ方がまずかったのと、私自身があまりそういうことについての高い見識を持っていないこと、両方から御満足がいかなかったかと思いますが、私が申し上げましたのは、隠れみののつもりでそういうものがおるかもしらぬ、またそういうもので敬意を払うものがおるかもしらぬが、そういうことにかかわりなく警察としてはこれを取り締まっていくという現行法内のことを申し上げると同時に、主管省である自治庁等で研究される場合におきましては、われわれもさらにただいまお話しのような点も考慮に入れて研究に協力して参りたいというふうに思っておるわけでございます。ただ、政治資金規正法で政党等の規正を行なっていくということが、行政機関としての手で触れることができるかというようなこと、またやるべき限界がどうだというような問題はなかなかむずかしい問題があろうかと思います。ただ、ただいまお話しのような御趣旨は私もよく了解できますので、十分研究をして参りたいと考えております。
  87. 纐纈彌三

    纐纈委員長代理 加賀田進君。
  88. 加賀田進

    ○加賀田委員 時間も相当経過いたしておりますので、簡単に三点だけ質問いたしたいと思います。  まず事犯の内容については一点だけですが、今の説明を聞きますと、大体一日の午後ですか、一少年の発言に基づいて、母親が驚いて、練馬区の駐在所の方に届け出た。引き続いて、二日の午前一時ごろですか、友人が同じように、大体午前三時を期して毎日新聞を襲うのだということを聞いた。そこで、説明の中には友人というところまで明確になっておるのだから、練馬署の駐在所にそれを申し出た男は、相当詳細に報告されているのじゃないかと思うのです。しかも三月二十八日には松葉組の幹部が抗議を申し入れているという、そういう背景の中で、事前にそういう報告があったにもかかわらず、単なる丸の内の駐在所を通じて毎日新聞の方に連絡をして、警備をしてもらいたいという考え方で問題がおさまると警察自体は考えていたかどうか。十名程度の毎日新聞の保安職員が警備についておったといいますけれども、これは大体盗難とかあるいは火災予防というようなことが主要な目的であって、暴力団に対して保安を担当する職員として相当訓練を積んでいるという人ではないのですから、それでもって、明確に密告といいましょうか、報告があったにもかかわらず、単なる毎日新聞の警備その他に注意してもらいたいという事前の連絡だけで、警察として事足りると思ったのかどうか。これをもっと真剣に警察が取り上げて、ある程度警備をやっておれば、こういう問題は事前に防止できたのではないか。どうもこの点に対しては、事前のいろいろな状態等を考えると、甘く見ていたのではないか。単なる義務を報告程度で果たしたという安易な考え方だったのではないかと思うが、この点はどうなんですか。
  89. 小倉謙

    ○小倉説明員 事実関係について若干申し上げますが、母親から連絡がありましたのは前の晩、その夜の十一時ごろであります。この連絡は、子供が酒を相当飲んで帰って、しばらく自分は帰らないかもしれないというようなことを言ったので、心配になって連絡をくれたわけであります。それで、この少年の行方を池袋方面で探しておったのであります。その後、午前一時半ごろ、友人と称するものが、この少年がこういうことを青っておる、こういうことで、三時ごろ毎日の方に行くかもしれない、こういうような連絡があったわけであります。そこで、これに対する必要な処置を講じたことは先ほど申し上げた通りでございます。毎日新聞社に対しましては、丸の内署から直接連絡をしまして警戒方をお願いするというようなことであります。それから警察といたしましては、所轄の派出所に命じまして、警らの際には職務質問の励行等によって不穏な状況を発見するというような措置をとったのであります。ところが、三時に行くというのが四時ごろになっても何もないというようなことで、毎日新聞社の方も警戒を解かれるというようなことになったわけであります。警察の方としましても、実はこの事件だけを取り上げて申しておるわけでありますが、そのほかにも幾らも事件なり状況があるわけでございます。そういうようなことで、結果的に見れば、もう三十分あれしておれば事前にこれを食いとめることができたのじゃないかと思いますが、そういうような点で、必要な警戒はしたのでありますが、残念ながら事件が発生した、こういうことであります。  それから、もう一つ申し上げたいのは、毎日新聞社側と松葉会の幹部との話し合いが、大体二度目のことで、了承がついたというふうに私ども警察としても聞いておるし、また毎日新聞社として一応そういうふうにお考えになっておったような事情もございます。それやこれやで、結果的に見れば残念なことでありますし、今後の貴重な教訓となるわけでございますが、決していいかげんにしておったというわけではなくて必要な警戒態勢はとっておった、かように一つ御了承願いたいと思います。
  90. 加賀田進

    ○加賀田委員 事案の内容についてはまたあとで述べたいと思いますが、大体傾向としては、今門司委員も言った通り、政治結社という届け出の中で、実際には暴力的な要素の内容を持っておるわけです。このことは戦前からこういう傾向があったわけです。戦前、戦争に引きずり込んだ大きな力としては、いわゆる政界、財界あるいは軍部が、こういう暴力的な右翼団体といわれた人を経済的にも背後から援助をして、そうして日本をああいう状態に陥れた大きな力となっておるわけですが、そういう傾向が最近やはりわれわれの目の前にときどき頭をもたげているという危険が私はあると思うのです。従って、こうした団体と政界あるいは政治家とのつながりというものも、われわれ調査の中で十分に究明してもらわなければならないんじゃないかと思うんです。そこで昨日の法務委員会でいろいろ同僚議員が質問されたときに発表されなかったわけですが、ここで私は具体的な発表は求めませんけれども、この会長の夫人の葬式に現役の政治家が相当花輪を贈ったといっておりますが、その内容についてはここで発表することは困難でしょうけれども、それについての人名について調査されているかどうか、この点ははっきりしていただきたいと思います。
  91. 小倉謙

    ○小倉説明員 こういうような種類の団体につきましては、私どもといたしましては、いろいろな資料を集めておるのでございます。従いまして、お話しのような事柄につきましても、でき得る限りのことは承知いたすように努力をいたしておるのでございます。
  92. 加賀田進

    ○加賀田委員 では調査されているわけですね。その調査されている中で、私の聞くところによると、前警察職員で現役の政治家が相当多いということを聞いているんですが、その点はどうでしょう。
  93. 小倉謙

    ○小倉説明員 前に警察の経歴を持たれておって政治的な立場にある方が入っておることは事実でございますが、それが多いということはない、かように考えております。なお名前が入っておる花輪が出ておるということも、これは本人に断わりなしに出しておる場合が、こういう場合には非常に多いのでございます。そういうような点も十分承知いたしながら、私どもといたしましてはいろいろ必要な資料を収集しておるような次第でございます。
  94. 加賀田進

    ○加賀田委員 そこで警察と、従来一般に言われておるテキ屋とか暴力団的な要素を持っておる団体の幹部とのくされ縁について一つ質問してみたいと思います。これは前に私が質問したんですけれども捜査を依頼するとか、あるいは捜査の手口をつかみ取るために、各出先の刑事関係では、従来ややともすればこういう親分等との個人的な関係の中でそれらの仕事を有利にするための関係を持っておった。戦後そのことに対してはどうかということです。前に当局質問いたしましたときには、現在もなおそういう事態が残っておるけれども、激しく人事の異動等を行なって、それらのひもを切りたい、こういう答弁があった。これは議事録でもはっきりしていると思うのですが、こういう関係が現在もなお残っているんではないかと危惧しておるわけです。これらの関係に対しては、現在全然そういうことは断ち切られているかどうか、この点について明確にしてもらいたいと思います。
  95. 小倉謙

    ○小倉説明員 昨日の法務委員会でも申し上げましたように、警察官といわゆるこういうような団体との悪い結託関係というものは絶対にございません。そのことは私ははっきり断言いたしたいと思います。なおそのような誤解を受けるような面がかりにありまするならば、そういうような誤解の生じないようにさらに一そう注意をいたしていきたい、かように考えております。
  96. 加賀田進

    ○加賀田委員 時間がありませんから最後に長官にちょっとお尋ねいたしたいと思うんですが、四、五年前に、警察としては暴力取り締まりに対しては、組織をあげて一つしっかりやるんだ。こういって各署に暴力取り締まり本部等を設けて、相当力を入れてやったわけです。しかしわれわれから言いますと、その取り締まりは町のチンピラ等で、大物は全部逃げてしまっておる。町で住民等にこういう暴力行為あるいは恐喝等を行なう青少年等を取り締まることも私は必要だと思うのですけれども、しかし、その背景になる大物については、どうも私は手ぬるい点があるんじゃないか、こう思っておったんですが、最近いつの間にやらこの暴力取り締まり本部というものが、あちらこちらだんだんなくなって、柏村長官になったらほとんどないような状態になった。一体これは取り締まりがすでに完備したのか、あるいはやってもだめなのか、あるいはそういう本部を作ってやっても実効が上がらなかったのか、この点一つ長官として、なぜそういう状態が変更されたかということをちょっと明らかにしてもらいたいと思います。
  97. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 暴力団取り締まりにつきましては、お話しのように、数年前から警察をあげてこれに対処いたしておるわけでございます。その熱意、気がまえという点においては、強くこそなれ、弱っておることはございません。しかしながら、暴力団というものは、非常に根強いものを日本においては持っておりますので、ちょっと散発的にこれを取り締まるというようなことでは、一時影をひそめるように見えて、またすぐ簇生するというのが実情でございますので、長期継続的に根気強くやるということで進めてきておるわけでございます。あるいはかけた看板を取りはずされたという事情があると思いまするけれども、実態として暴力団に対する取り締まりの手をゆるめるということは絶対にございません。なお、これはこの四月一日からでございまするが、警察庁におきましても、従来の刑事局の捜査課を、捜査第一課、捜査第二課に分けて、捜査第二課におきましては、もっぱら暴力団また知能犯というような特殊なものに集中して、これの取り締まりの企画また統計、いろいろな調査、ファイル化というような問題をやるという専門の部課を設けて参ったようなわけでございまして、これはこの当委員会のみならず、各方面から非常に強く御要望と申しますか、御教示がございまするし、われわれとしても、この暴力団取り締まりこそが、やはり日本の社会を明るくする一つの重要な要素であるというふうに考えておりますので、この点につきましては、さらにさらに強化して徹底を期して参りたいと、こう考えておる次第であります。
  98. 加賀田進

    ○加賀田委員 相当取り締まっておるのでしょうけれども、だんだんとそういうものが頭をもたげてくる状態なんですが、暴力団と一言に言いましても、やはり戦後できましたチンピラ、ぐれん隊と言いましょうか、そういうものもありますし、戦後の新興勢力というものも別の形として現われてきておるし、最近現われてきておるのは、戦前派といいましょうか、いわゆる昔のテキ屋とかそういうものが一つの組織としてあらためて出てきておるのではないかと思うのですが、今度の松葉組も、御報告にもあった通り、前は関根組として昭和二十二年ですか、浅草等の一円のやみ市場を支配しておった大親分が、これは占領下において解散を命ぜられて、一応壊滅した。それがその当時の幹部の藤田卯一郎さんですか、この人が再興をはかって、いわゆる政治結社という隠れみのを通じてあらためて組織された。こういう経過もあるわけです。だからこれについても、戦前から言われているいわゆる町の大親分というような形が出てきているのではないか。従って私は、暴力取り締まりといっても、今申し上げた三つの組織から重点的に考えていかなければならぬと思うので、どうも警察の方ではぐれん隊とかそういうものにだけ力を入れて、戦前の大きな黒幕として、今言った財界とかあるいは政界等につながりを持って、一つの威力を住民に与えているようなそういうおそろしい力を持った人々が頭をもたげてきておるのですから、違った方面から、警察としても決意を固めて手を差し伸べてもらわなければならぬと思う。従って今説明の中で、そういう政治結社でありますけれども暴力団的な要素を持った団体、いわゆる政治結社という隠れみのを着た団体というものが東京には相当あると思います。これは私は資料を要求いたしますが、全国でそういう政治結社はどれだけあって、そういう傾向の、おそれのある団体というのはどれだけあるかということを警察としては握っているかどうか。あったとしたら、その点は発表できる範囲で資料として提出をしていただきたいと思う。
  99. 中川董治

    中川政府委員 警察庁長官、警視総監が申し上げましたように、私どもこの暴力団関係につきましては、いろいろな角度から検討をいたしまして、その犯罪の壊滅について努力いたしておるのでありますが、現在戦前派、戦後派というふうに区別しないで、こういった行為をやるものについては、年令のいかんを問わず、また経歴のいかんを間わずやっておりますので、特に今戦前派が多くなっているというような資料は出て参らないのであります。暴力行為をやるおそれのある団体とその組織等については、調べております。その組織のやり方等につきまして、たとえばテキ屋的な方法を用いたものとか、あるいはぐれん隊的な方法を用いたものという分類では、資料を差し上げることは可能なのでありますが、政治結社の形とか、興業の形とか、そういう形で分類する必要がございませんので、政治結社の形を持ったものも確かにあろうと思いますが、そういう政治結社であるかいなかという分類は今までとっておりません。それ以外の分類で資料を差し上げたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  100. 加賀田進

    ○加賀田委員 それ以外と申しますと、全部の暴力団体という要素を持ったものという意味での資料は出せるけれども、政治結社という隠れみのの中で従来の経路からそういう暴力的な行為に出る団体、あるいはややともすればそういう行為に出ようとする団体についての資料はないというわけですか。
  101. 中川董治

    中川政府委員 暴力行為をするおそれのある団体は根こそぎ調べておりまして、その内訳をしいて申しますと、たとえば博徒、テキ屋、不良青少年団、こういった種類の分類でいたしておりますので、この分類に基づいて資料を提出する、こういうことで御了承いただきたいと思います。
  102. 加賀田進

    ○加賀田委員 今問題になっておる松葉会というのは、その中に入っておるのですか。
  103. 中川董治

    中川政府委員 今いろいろ問題になっておる団体等もそういうおそれがある団体でございますので、この数字の中には入っておるわけでございます。
  104. 加賀田進

    ○加賀田委員 その資料はぜひ提出してもらいたいと思うのです。それから最後に、今度の調査の結果、ただこういう暴力事犯だけの範囲において調査するんじゃなくて、徹底的にこれを追及するという言明もあったのですから、これはやはり今申し上げた通りの背後的な関係と、その背後団体と財界、政界との関係にまで、私はメスを突っ込んでもらわなければならないと思うのです。今申し上げた通り、こうした反社会的な団体は、やはり政党関係においても個人的な関係を持っておるし、しかもその間に背後には資金的な関係もあるということもわれわれは聞いております。従って、これが暴力団的な要素を持ったそういう政治結社に対する温存の力として大きな役割を果しておるので、ここまでメスを突っ込まなければこれを解決することはできないと思うのですが、そこまでメスを突っ込むだけの決意があるかどうかということを一つ明らかにしておいていただきたい。
  105. 中川董治

    中川政府委員 お説のように、暴力団取り締まりは、実際の暴力行為をやる実行行為者の取り締まりが重要であると同時に、その背後関係を究明してそれを摘発するということもさらに重要でありますので、その点につきましては常に努力いたしておるのであります。現行法制で申しますと、暴力行為等処罰ニ関スル法律第三条が、その種のことを規定してございますが、この関係を究明するということも一つの目標でございますし、それからそれぞれの刑罰法令中の共犯関係、教唆幇助、こういうふうになるような関係を究明してこれを摘発する、こういう努力をいたしておる次第でございます。
  106. 加賀田進

    ○加賀田委員 総監、それだけの熱意を持って捜査するだけの決意があるかどうかをお伺いしておきます。
  107. 小倉謙

    ○小倉説明員 今回の事件に関連します限り、徹底的な捜査をいたしたいと思います。
  108. 纐纈彌三

    纐纈委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十五分散会