運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-05-10 第34回国会 衆議院 大蔵委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十日(火曜日)     午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君    理事 坊  秀男君 理事 山下 春江君    理事 山中 貞則君 理事 佐藤觀次郎君    理事 廣瀬 勝邦君       鴨田 宗一君    西村 英一君       古川 丈吉君    毛利 松平君       石野 久男君    石村 英雄君       加藤 勘十君    神近 市子君       久保田鶴松君    堀  昌雄君       横山 利秋君    山本 幸一君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 植竹 春彦君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      小熊 孝次君         大蔵事務官         (管財局長心         得)      武樋寅三郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局特別金         融課長)    磯江 重泰君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    太田 康二君         専  門  員 拔井 光三君     ――――――――――――― 五月十日  委員古川丈吉君辞任につき、その補欠として鈴  木善幸君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月二日  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一三四号)(予)  公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する  法律案内閣提出第一三五号)(予) 同月六日  租税特別措置法による生活協同組合の非課税措  置延長に関する請願多賀谷真稔紹介)(第  三一七六号)  国民金融公庫資金増額に関する請願金子岩三  君紹介)(第三二三六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月六日  たばこの民営化反対に関する陳情書  (第七〇九号)  鳥取税務署改築に関する陳情書  (第七一〇号)  更生資金貸付額引上げ等に関する陳情書  (第七一三号)  農業課税に関する陳情書  (第七七八号)  国民金融公庫貸付に関する陳情書  (第八三六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一三四号)(予)  公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する  法律案内閣提出第一三五号)(予)  経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基  金に関する法律の一部を改正する法律案内閣  提出第六〇号)      ――――◇―――――
  2. 植木庚子郎

    植木委員長 これより会議を開きます。  去る二日本委員会予備付託になりました国有財産特別措置法の一部を改正する法律案及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案の二法律案について、それぞれ政府より提案理由説明を聴取いたします。     —————————————
  3. 植木庚子郎

  4. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 ただいま議題となりました国有財産特別措置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  地方公共団体において水道施設として公共の用に供するため普通財産を必要とする場合には、国有財産特別措置法規定により無償貸付ができることとなっておりますが、現在この規定により無償貸付中の水道施設は、大部分が旧軍用財産でありまして、建設以来すでに相当の期間経過し、抜本的な施設改良を必要とする時期に立ち至っております。これらの施設改良を促進し、水道事業を助成するためには、当該地方公共団体に対し、水道施設として公共の用に供する普通財産を譲与することが適当であると考え、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案概要について御説明いたします。地方公共団体において水道施設として公共の用に供するため普通財産を必要とする場合には、その施設の経営が営利を目的としたり、または利益を上げるものでない限り、水道施設用途に供する等のいわゆる用途指定をいたしまして、当該地方公共団体に対し、土地を除いて普通財産を譲与することができることとするものであります。  以上がこの法律案提出いたしました理由並びにその概要であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願いいたします。
  5. 植木庚子郎

  6. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいま議題となりました公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由とその概要を御説明申し上げます。  公共企業体職員等共済組合法は、昭和三十一年に旧国家公務員共済組合法及び恩給法から独立いたしまして、三公社職員等に固有の制度として発足したのでありますが、その後昭和三十三年に国家公務員共済組合法が全部改正になり、また恩給法等の一部改正がありましたので、それと関連する規定改正を必要とするに至ったのであります。すなわち、長期給付につきましては、国家公務員共済組合法の全部改正及び恩給法等の一部改正の後のこれらの給付と比較いたしますと、その内容に不均衡を生ずることとなりましたので、これを合理化する等のために、所要改正を行なおうとするものであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  第一は、軍人恩給公務員期間組合員期間への算入に関する改正でありまして、恩給法等の一部改正に伴い、昭和三十五年七月一日から旧軍人、旧準軍人あるいは旧軍属の七年未満在職年恩給基礎在職年に算入されることとなりましたので、本法におきましても、この際軍人期間除外立法趣旨を変更いたしまして、更新組合員等について当該期間組合員期間に算入する措置をとることといたしております。この措置にあわせまして、軍人一時恩給基礎となった恩給公務員期間組合員期間に算入することとして、また軍人普通恩給基礎となった恩給公務員期間については、受給権者の希望により、当該軍人普通恩給を消滅させて組合員期間に算入することといたしております。  第二は、国家公務員共済組合法の例にならい、組合員期間十年以上二十年未満組合員が死亡した場合にも、遺族年金を支給する制度を設けることとしております。  第三は、遺族の範囲に関する改正でありまして、現行法におきましては、組合員または組合員であった者の死亡当時、その夫、父母または祖父母については、五十五才以上でなければ遺族としないこととなっておりますが、この年令による資格を問わないことといたします。ただし、五十五才までは遺族年金の支給を停止することとしております。  第四は、船員組合員長期給付に関する改正でありまして、船員組合員組合員期間の計算につきましては、船員期間の換算をやめて実期間で計算することとし、これに伴って、船員保険法の例にならい、船員期間が十五年以上あるときは、退職年金等を支給することといたしております。  その組合員期間が二十年未満の場合、またはその組合員期間のうちに民間船員期間がある場合は、一般組合員との均衡を考慮いたしまして、年金額調整を行なうことといたしております。  なお、この法律施行の際、現に船員組合員である者に対しては、期待権を侵害しないように、船員期間の三分の四倍を三分の三・七倍とする経過措置を講ずることといたしております。  第五番目は、国家公務員との交流措置等に関する改正でありまして、国家公務員共済組合法等改正に伴って、国家公務員と交流する者の組合員期間の通算及び給付額調整等について、所要改正を行なうことといたしております。  最後に、第六は、更新組合員等長期給付に関する改正でありまして、本法施行後約四年間の運営の状況にかんがみまして、所要改正を行なうことといたしております。  以上がこの法律案提案理由とその概要でございます。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決下さいますようにお願い申し上げます。
  7. 植木庚子郎

    植木委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  両案に対する質疑次会に譲ります。      ————◇—————
  8. 植木庚子郎

    植木委員長 経済基盤強化のための資金及び特別の法人基金に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。石野久男君。
  9. 石野久男

    石野委員 経済基盤強化特別法人基金について、特に今度の改正をしようとする農林漁業金融公庫の問題でございますが、農林漁業金融公庫貸付のうちで、牧野改良、造成にかかる事業に、今までどういうような貸付をしておったか、この際一つその実績を知らしてもらいたい。
  10. 太田康二

    太田説明員 御承知のように、農林漁業金融公庫は、二十六年、二十七年を特別会計でやりまして、二十八年から農林漁業金融公庫としての融通を始めたわけでございますが、その間におきます牧町の改良実績を、特別会計の時代から順次年を追って申し上げますと、昭和二十六年度が一億五千万、昭和二十七年度が一億二千二百万、昭和二十八年度が六千六百万、昭和二十九年度が九千九百万、三十年度が五千四百万、三十一年度が八千百万、三十二年度が二億六百万、三十三年度が一億九千万、三十四年度が一億七千三百万、三十五年度は二億五千七百万、かように予定いたしております。
  11. 石野久男

    石野委員 今の貸付は、これは牧野の分だけでございますか。全体ですか。
  12. 太田康二

    太田説明員 牧野の分だけでございます。
  13. 石野久男

    石野委員 それは農林漁業金融公庫の全体の貸付の中では大体どのくらいのパーセンテージを占めておるのですか。そしてまた、件数の点からいいますると大体どういうふうになっておりますか。
  14. 太田康二

    太田説明員 公庫の現在までの総貸付残高、これは私の方の手元にあります資料は二月二十九日現在になっておりますが、これによりますと、貸付金残高が全体で千六百七十五億七千五百万、この中に土地改良が六百一億八千九百万で三五・九%ということになっておりますが、実は牧野関係もその中に入っておるわけでございまして、三十三年度までの累計で申し上げますと、総貸出金額が九億二千八百万ということでございまして、全体の公庫の中におきますウエートといたしましては、きわめて微々たるものである、こういう状況でございます。
  15. 石野久男

    石野委員 件数はどのくらいですか。
  16. 太田康二

    太田説明員 件数は三十三年度までの累計で六百六十五件でございます。その際の各事業の総件数が三万二千七百九十四件、こういうことに相なっております。
  17. 石野久男

    石野委員 今貸付されておるのは、全国的に見まして、府県別で大体どういうような配分になっておりますか。
  18. 太田康二

    太田説明員 ただいままでの都道府県別貸付金残高について申し上げますと、今までの公庫貸付の中で最も多いのは北海道でございまして、三十四年三月三十一日末現在でわれわれの調査があるわけでございますが、それによりますと、公庫の総貸付金残高が千四百七十六億ございまして、その際北海道が百七十九億、二番目に多  いのが新潟県で八十二億、三番目が岩手県の七十六億、四番目が秋田県の五十五億、五番目が富城県の四十八億、六番目が長崎県の四十五億、七番目が長野県の四十四億、八番目が香川県の四十一億、九番目が福岡県の三十九億、十番目が静岡県の三十八億、これはすべての事業についての累計でございまして、牧野について申し上げますと、これは実は牧野についての各県別のあれはございませんが、今までの三十三年の決定ベースで見ますと、北海道が八二・五%ということで、あと秋田県に約九%程度ございまして、あとはおもに山形、長野岩手、大分、兵庫、青森、三重というような県に資金融通が行なわれておりまして、やはり東北と北海道に大部分の金が流れておる。牧野につきましてはそういう状況でございます。
  19. 石野久男

    石野委員 この牧野改良というもので貸付対象になっている事業体規模というようなものは、大体どういうような状態になっておるのですか。
  20. 太田康二

    太田説明員 ちょっと今手元資料がございませんので、規模につきましては、後ほど調べましてお答え申し上げたいと思います。
  21. 石野久男

    石野委員 きっちりとどれというふうに数字の上で出さなくてもいいのですが、大体規模としてはどの程度の大きさの事業体に対してやっているか、またその事業体は個人であるかあるいは何か大きな組織になっておるものなのか、そういう点、大体概括でいいですから……。
  22. 太田康二

    太田説明員 現在牧野でやっております事業は、主として集約酪農地域内の牧野とかいうものをおもに高度集約牧野として融資対象にいたしておるわけですが、事業主体といたしましては、市町村とか、農協とか、部落団体、そういったものに融資をいたしておるわけでございまして、大体今申し上げたような事業主体に対する融資を行なっておるわけでございます。
  23. 石野久男

    石野委員 この法律の第十一条の一号に「農林漁業金融公庫にあっては、」ということになっておりまして、「同公庫が行う貸付に係る利子軽減に充てる財源」という項目があるのですが、この「利子軽減に充てる財源」というのは、利子の中にはいろいろと差があるようでございますけれども、そのうちのどの部分を言うのか。この「利子軽減に充てる」という軽減というのは、たとえば六分五厘、三分五厘というのがあるわけですが、この六分五厘を基準にして言うのか、何を基準にしてこの軽減という解釈が行なわれておるのか、その点を一つ伺いたい。
  24. 太田康二

    太田説明員 御承知のように、公庫土地改良事業に対する融資は、補助事業に対する補助の残りの融資と、それから補助を得ないで融資だけでやる単独事業とあるわけでございまして、この経済基盤強化基金運用利息による金利引き下げ事業は、非補助の、いわゆる融資単独でやる事業、すなわち五分のものを三分五厘に引き下げてやる、一分五厘の利子補給をやる、こういうことでございます。
  25. 石野久男

    石野委員 非補助の五分のものを基準にしていくということになるわけですが、その五分というのは、五分を三分五厘にしたときの一分五厘を補助する、それに引き当てる、こういうように読みとるわけですか。
  26. 太田康二

    太田説明員 その通りでございます。
  27. 石野久男

    石野委員 この法案では、大体一億円というものを今度は利子援助のために使う、基金運用の中から出てきた利益金で使うということになっておるのですが、一億円というものを利子援助に使った場合に、どのくらいの貸付が行なわれるのですか。
  28. 太田康二

    太田説明員 ちょっとその点は先生に誤解があるのではないかと思うのですが、融資の総融資額が一億円でございまして、それが事業総額でございます。その事業が本来は五分であるわけですが、この特別の金利引き下げ措置を講ずることによって、五分の事業が三分五厘の金利でできる、その総事業融資総額が一億である、こういうことでございます。一億が金利引き下げのために充てられて、それの何倍かの事業ができる、さようなことではないわけでございます。
  29. 石野久男

    石野委員 そうしますると、この法律改正で新たに牧野というものが入ってくるわけですが、この第十一条第一項第一号中の農地の下に「又は牧野」というものが入るわけです。その牧野が入るときに、具体的に基金の中で基金運用によって出てくるところの金は、総融資額の金というのではないと思うので、利子援助に使うものだ、こういうようにわれわれは理解しておるわけです。そうすると、その基金運用益の中から引き当てられるべき利子援助額というのはどのくらい予想されるのですか。
  30. 太田康二

    太田説明員 現在の基金運用につきましての状況を申し上げますと、御承知のように、この制度を実施して参ったのは昭和三十三年からでございまして、三十三年、三十四年度につきましては、農地土地改良事業のうちの非補助につきまして、五分のものを三分五厘に引き下げたわけでございます。  その経過をちょっと申し上げますと、御承知のように、当初農林漁業金融公庫に、三十三年度に非補助小団地等土地改良助成基金として六十五億の出資をお願いいたしたわけでございますが、その六十五億の基金をもちまして、それを資金運用部に預けまして六分に運用して、昭和三十三年度は二億七千五百六十七万一千円という運用益を得たわけでございます。逆にこれによりまして今度はいかなる利子補給を行なったかということでございますが、三十三年度末では、大体土地改良事業につきまして約四十七億に対しまして利子軽減措置をいたしたわけです。これによります利子軽減額が約二千万円ということになりましたので、差引繰り越しが二億五千五百万円になったわけでございます。三十四年度は、この差引繰越額を当初の基金に加えまして、基金額といたしましては六十七億五千五百万円、これをさらに六分で資金運用部に預けまして、四億五百万円の運用益を生んだわけでございます、三十四年度におきましては、土地改良事業に対しまして八十三億の利子軽減措置を講ずる、これによります利子軽減額が八千九百万円ということで、さらに差引繰り越しが三億一千六百万円、従いまして、三十五年度は前年度基金額でありますところの六十七億と、この差引繰り越しの三億一千六百万円、基金合計額としては七十億七千一百万円という姿で発足するわけでございます。そのうち、当初の六十七債の部分につきましては、これを六分で資金運用部に預けて運用益を生む、従って前年度と同額の四億五百万円の運用益を生むわけでございます。それから、前年度から繰り越しました三億一千万円につきましては、これを五年から七年の五分五厘という運用益で預けることになりまして、これによります運用益が一千七百万円、合わせて運用益が四億二千二百万円、これに対しまして、本年度利子軽減額を考えております事業は、農地で九十億、牧野で今御審議いただいております一億というものが今回新しく加わりまして、合計九十一億の融資につきまして利子軽減措置を講ずる、これによります利子軽減額が二億二百万円ということでございまして、差引繰り越しが二億二千万円ということに相なるわけでございまして、三十六年の姿で申しますと、大体基金額といたしましては、三十六年度当初で七十二億というような姿になる、かようにわれわれの方で想定いたしておるわけでございます。
  31. 石野久男

    石野委員 運用益の中から利子軽減のために援助を与えて、残ったものはまた基金に繰り入れていくわけですが、この基金へ繰り入れていく操作の仕方と、それから利子補給といいますか、援助をするという形へ力をぐっと入れるということとでは、どちらが実際の資金活用において効果があるかという問題が考えられるのですが、それは実際に運営しておる側から見てどういうふうに見られますか。
  32. 太田康二

    太田説明員 実は、この問題が出ましたときに、そういった今先生のおっしゃったような議論が出たわけでございますが、われわれの側といたしましては、実はこういう資金が毎年たとえば原資として公庫出資金になるということでございますれば、もちろんその方が好ましいわけでございますが、御承知のように、そういった資金の余裕というものが年中あるわけでもございませんので、こういった基金という形で出資をしていただいて、その運用益で五分のものを三分五厘に下げるというような政策をとることによりまして、実は非常にこの制度評判がよくて、事業も進展を見ている。今までのように補助金をたよりにしていては、なかなか事業が完成しない。この金融措置によりまして、金利三分五厘程度のものであれば、積極的に金融だけでやれるのだというような空気も出てきておりますので、今の実行の段階から見ますれば、この制度はなかなかうまく運営されているのではないか、かように考えております。
  33. 石野久男

    石野委員 基金を実際に貸し出し原資にしているということと、それから利子補給の形で運用益だけ使っていくのだということと、どちらが有利であるかということは、経済基盤強化基金の作られたときに相当問題になったと思いますし、私たちも今でも非常に大きな問題だと思っております。しかし、実際問題として、この利子補給という形でいく実際の運用といいますか、実際に農民の諸民がこれを利用することが、年次的にはどういうふうにふえてきているか。まずそれが周知徹底しているかという問題は、一方においてやはり私たちとしてもはっきりしなければならぬ問題だと思います。その実情は、先ほど貸し出し資料である程度はわかりますけれども、しかし、それは全国的によく周知徹底されておるか、それともあるところだけに集中的にそういうふうになっているのか。それはこの三年来の経験にかんがみてどういうふうになっておりましょうか。
  34. 太田康二

    太田説明員 実はこの事業が初めて三十三年度に取り上げられましたときに、今先生のおっしゃったように、今まで、農民段階におきましては、やはり補助金の方が金融よりも有利だというような考え方でいたわけですが、三十三年度から、思い切って、金利は下げるかわりに融資でやるのだという制度を作ったわけでございますが、その際、この周知徹底をはかるために、予算にもそういった意味の県の指導費を相当大幅に組みました。おかげをもちまして、先ほどもちょっと申し上げたのですが、この事業評判が非常によくて、実は資金需要がかなり出てくるのを、実際は予算のワクで押えているというような実情でございます。先ほどもちょっと申し上げましたが、当初は三十億程度ということで発足いたしたわけですが、三十四年度には六十三億、さらに明年度は九十一億というようなテンポでふえてきているのも、この事業がいかに評判がいいかということ、また逆に、農民の間にもかなりこの趣旨が徹底したのではないか、かように考えるわけでございます。
  35. 石野久男

    石野委員 非常に農民の側に周知徹底したので、融資を受けるということの方が補助よりもいいだろうというような形から、需要が非常に多くなってきた、需要が多くなってきたけれども、それを抑えているような実情だ、こういうようなお話です。事実そういう状態が出てきているようにわれわれは見受けるのですが、この際、需要をなぜ抑えなければならぬかという問題が、ここでは具体的に解決しなければならぬ問題になってくる。需要をなぜ押えなければならぬかという問題について、やはり基金利用の仕方というものが、ここにまた一つ問題になってくるのではないか。基金運用利子利用ということだけじゃなしに、むしろ基金をこの際ずばり資金として使うということが、そういう需要を満たし得る意味にも即応しまするし、また経済基盤強化趣旨にも適するのではないかというふうに考えるのですが、これは大蔵次官はどういうふうにお考えですか。
  36. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 お尋ねの趣旨は私もよく了解できますが、しかし、その年一年で基金を使ってしまうということになりますと、あとが困りますので、これはやはり資金全体のやりくりの問題と思いますので、今簡単には御答弁いたしかねます。
  37. 石野久男

    石野委員 簡単には答弁できないというのですが、実際この公庫調達資金というものを見てみますと、三十五年度一般会計から出ている額が七億、それから産業投資特別会計が七十億、資金運用部百二十八億、簡易保険年金資金借入金が百三十億、回収金が百五十四億、こういうふうになっているわけですね。実際に回収金が百五十億で、所要資金の三分の一、一般会計から出された資金産業投資特別会計から出たものが七十七億でございますか、両方合わせてようやく半分くらいになるのです。あと簡易保険年金とかあるいは資金運用部資金としての借入金に依存している。こういう借入金依存というものは、やはり年度末には返却しなければならぬということになって、年度末における資金が非常に窮迫するであろうということは、国民金融公庫中小企業金融公庫、みな同じようなことになってくるわけでございます。そういうことの障害は実際に貸し出しや何かの面には出ていないのですか、いるのですか。具体的にはどういうようになっておりますか。
  38. 太田康二

    太田説明員 今までの公庫の運営の実体を見て参りますと、御承知のように、公庫はできる限り早く出資金をもらって、できる限り有利に運営していきたいということで、出資金の方を早くいただいて、借入金の方はできれば年度末にちょうだいするというような運用の仕方をいたしているわけで、確かに、先生のおっしゃいましたように、年度末には非常に借り入れの希望が殺到するというようなこともありますが、今までのところでは借入金に事欠いたというようなことはございませんので、予算で考えておりました借入金は全部借りている、こういう実情でございます。
  39. 石野久男

    石野委員 その場合、実際に貸し出ししている金額というのは、調達資金のうち、いろいろな経費も差し引くでございましょうが、年にならしてどのくいのものを貸し出しているわけですか。
  40. 太田康二

    太田説明員 昭和三十五年度予算の例で申し上げますと、実は、先生先ほどちょっとお触れになりましたように、出資金借入金の比率が公庫自体少し悪くなってきているわけでございまして、現在資金原価中に占める借入金の利息は三分九厘ということに相なっております。
  41. 石野久男

    石野委員 この借入金出資金に対する比率が三割九分ですか、三分九厘ですか。
  42. 太田康二

    太田説明員 三九・五%が出資金で、残りの六〇・五%が借入金、こういうことでございます。
  43. 石野久男

    石野委員 その比率は漸次よくなってきているのですか。最近ずっと数年間にわたってどういう傾向をたどってきているのですか。
  44. 太田康二

    太田説明員 公庫特別会計発足当初は、出資金借入金の比率は、出資金が七五で借入金が二五というような比率であったわけですが、漸次低下いたしまして、三十三年度出資金が四五・一、借入金が五四・九、三十四年度出資金が四一・七、借入金が五八・三、三十五年度出資金が三九・五、借入金が六〇・五、こういうふうに漸次低下いたしておるわけであります。
  45. 石野久男

    石野委員 大蔵次官にお尋ねしますが、先ほど、私は、基金をむしろ資金として使った方がいいのではないかというお尋ねをしましたが、それを資金に使うと、一年だけで使い切ってしまうから、ちょっと簡単には返事ができないのだ、こういう話でした。しかし、公庫の実際の資金の構成比率というものは、今お聞きしますと、漸次悪くなってきている。発足当時七五%であったものが、今三九%の自己資金しか持っていないという実情になりますと、これは政府公庫に対する資金的な面に対しての考え方というものが、どういうふうなところに重点を置いているのかわからないわけなんです。政府としては、むしろこういう公庫なんかの操作にあたって、資金量をなるべく借入金で操作させるという建前であるのかどうか、そういう点を実情に照らして、政府の考え方を一つ聞かしてもらいたい。
  46. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 これは農林漁業金融公庫資金全体の将来の運営の問題でありまして、非常にむずかしい問題と思いますが、せっかくのお尋ねでありますので、かなり私の綱人的なお答えになりますが、それは御了承いただいて、率直に申し上げますと、年々増大する農林漁業金融公庫資金需要を一体どうするかということについて、政府としては予算編成の際などにずいぶん心痛するのであります。それで、一方農林中金に集まるところの各府県の農林関係の系統団体のいわゆる系統資金を、何とか農林漁業金融公庫の方へ活用できないものか。その場合に、ただ政府金融は御承知の通りかなり長期、低利でありますので、利ざやの関係が生じますけれども、それを何とか解決して、将来できるだけ農林漁業金融公庫資金を農林中金から作って参りたい、かような検討を進めておるのであります。農林漁業金融公庫自体の出資金をふやすということが一番けっこうでありますが、その出資金財源の道というものはなかなか簡単には得られませんので、今のところはかように考えておる次第でございます。
  47. 石野久男

    石野委員 農林漁業金融公庫に対して農林中金の方からなるべく金をずっと入れていく、こういうわけですか。農林中金というのは、あれは民間のなにですね。政府の機関である公庫に、民間が主としてその資金をどんどん入れるように持っていこうというのが次官の考え方だというのですか。それはちょっと政府の施策としておかしいのではないか、こう思うのですが、これはあなたの私見ですね。大臣もそういうふうに考えておるのですか。
  48. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 先にお断わり申し上げましたように、私見であります。というのは、系統農林漁業団体から集まってくる農民自体の金が農林中金に集まるとか、あるいは食糧代金などが還流して農林中金に集まるので、これの活用方法をもっと考えなければいかぬじゃないかと、いうことは前々からあるのです。一方農林漁業金融公庫需要の増大する、いわゆる政府の長期、低利の系統融資資金をどこから生み出すかという問題からいたしますと、結局そこへ考えがいくのでありますが、しかし、政府の方の正式な考え方はまとまっておりませんから、私から申し上げるのは単に個人的な意見であるということを、つけ加えて申し上げておる次第であります。
  49. 石野久男

    石野委員 奥村次官の個人的な所見だということですから、これは大臣にまたよく聞かなければいかぬと思いますが、政府機関がだんだんと農民の自前の立場でやれるように移行していかれるならば、政府機関というものはなくする方がいい。しかし、実際には、農民に対する政府施策として、こういう金融公庫というものを作って、それで何とか農民のめんどうを見てやろうという建前で、この金融公庫というものはできていると思います。だから、本来的にいえば、政府が全面的にめんどうを見るという形であるべきだが、財政資金としてはなかなかできないので、政府が操作し得る、たとえば簡易年金保険とか、あるいは資金運用部資金をそこへ入れて、政府の力でそれらのものを助けてやるというのが、公庫に対する一つの考え方だったと思うのです。今の奥村次官の考え方でいきますと、農林中金で集まった金を、ほかへ使うよりもここへ入れろというならば、農林漁業金融公庫というものはなくしてしまって、むしろ民間で自前でやれ、そして、民間で集めた金を自前でやれるようなルートを確立させるように、何か法的措置をするということになってこようと思うので、公庫に対する金融的な政府の施策は非常に変わってくるように思います。私は、あなたの私見だと言うから、多くを言いませんけれども、これはあとで大臣によくお尋ねしてみたい、こういうふうに思っております。
  50. 石村英雄

    ○石村委員 関連して。  今の奥村次官のお考えは重大な考え方だと思います。私見ではありますけれども、政務次官という肩書の私見でありますから、これは政府の今後の施策に大きな影響を与えると思いますので、お尋ねしておきたいと思うのですが、奥村政務次官のお考えは、農林中金の金を農林漁業金融公庫の方へ回そうというお考えと今聞いたのです。それに似た意見は世間にもあるわけです。ずいぶん農林中金の金が遊んでいる、余裕金がある、しかも系統外に出しているじゃないか、けしからぬ、一方農林漁業金融公庫資金は不足だ、そこで、これを公庫の方へ回そうというお考えかと思います。しかし、そのとき問題になるのは、農林中金は金利を払って集めているので、農林中金は損をして公庫へ金を出すわけにはいかぬと思う。そしてまた、そんな高い金利の金を借りて、公庫がこれを安く出すということになると、公庫だけの立場ではなかなか困難だ。そういうときに、当然そうしたことに対する利子補給か何かを別個に考えなければ出せないじゃないかと思います。奥村政務次官の私見は、そういう措置までも考えての私見でございますか。ただ、ここに金があるようだから、こっちへ持ってきましょうという程度の私見か。利子補給公庫に対してやってやはり公庫自体の従来の使命等に従って、低利で出せるようにすることまでお考えになっての私見でしょうか。ただ、あるからこっちへ持っていこうということじゃ困ると思います。その点明らかにしてもらいたい。
  51. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 お答えいたします。  お尋ねの点が今後だんだん大きな問題になろうかと思うのです。というのは、農民自身の貯蓄した金を預かって、それが県信連その他系統団体を通じて農林中金へ上がって参りますと、かなり高い金利のものになります。一方、この土地改良、あるいは今御審議牧野の造成などの資金というのはかなり長期、低利であります。そうすると、このままで推移していきますと、長期、低利の金は政府の金をどんどん使う。農民自身の——ずいぶん莫大な金が、それは資金コストが高いから中金へ集まって、その金は一体どこへ使われるかということになりますと、だんだん矛盾がひどくなっていくのじゃないか。やはり農民自身の金は農民自体がお使いになる方へ還元して使うのが一番いいんじゃないかという考えは当然起こるが、その場合、その利ざやをどうするかということになるので、政府の方でも、予算編成などの際には、この問題に実は相当頭を痛めておるのです。そのほかに、うまい方法はなかなか見つからぬというふうに私は考えておるのであります。だから、何かいい御試案でもあれば聞かしていただきたいと思います。
  52. 石村英雄

    ○石村委員 関連ですからあまり長く申しません。私見ということですから、あまり追及もする考えじゃないのですが、今その点を聞いたのですよ。農林中金の資金コストは高いのじゃないか。その金を片方に持っていくのは、やはりそこに利子補給を考えなければできないのじゃないかということを考えた。いや片方の政府機関では高い金を使う、そうして、集まった農林中金の方は、金利が高いというので使わずに置いておくというような御説明なんです。それはその通りかもしれません。それなら、そっちへ持っていくのには、どうして持っていくか。経済的に資金コストの高いものを公庫の方へ回して、公庫としてやれるようになさる気か、それとも利子補給しないで、公庫はやはりそういう分は高く、農林中金の方では、貸し出しをようしないから、こっちの方で貸し出しをしてやろう、金利はやっぱり高いぞというやり方をなさるのか、どっちのお考えかということを聞いたのです。いい知恵を出すも出さぬもない。あなたの考えを聞いているのです。そこはさっぱりわかりませんということなら、それはそれでいいのです。
  53. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 農林漁業金融公庫が発足した当時、これは農林漁業金融公庫だけじゃなしに、中小企業金融公庫などでもそうですが、こういう政府金融機関の発足した当時は、原則として民間の金融機関で融資のできない特別な金融だけを政府が補完的に融資しようということで発足したのです。ところが、だんだん経過して参りまして、今日では長期であり低利であるからして、むしろ土地改良その他ほとんどのものに農民の使う金は政府資金を使う。それから、農民の貯蓄は、これは系統機関を通じて農林中金へいって、それが系統の融資には必ずしも全部は使われないということになって、だんだん矛盾が大きくなってきたのです。その矛盾をどうするかということについて、政府はただいま非常に苦慮し検討中であります。
  54. 石野久男

    石野委員 あとまだ堀君から質問があるんだそうですから、きょうは私は簡単にあと二つほどにしておきます。  ちょっと次官にお尋ねしますが、とにかく公庫資金が、借入金が非常に多くなって、自己資金が非常に少なくなってきているということは、公庫の運営上非常に窮屈になってきているということなんです。事実上から見ますと、窮屈になってきているということに対して、利子補給というようなことで、率直に言えば基金運用益をそこに使うということのごまかしが行なわれているんだ。そういうことが僕はあまりよくないと思っているわけなんだけれども、これはまたあとで大臣が来てからよく聞きますが、法律の第十三条には、運用益の中でそれの利子補給などに使った残金はまた基金に組み入れるということがあるわけです。現行法はそうなんですが、しかし、資金運用の面からいって、六十五億の基金は、生み出したものを使い切れなかったといって、また基金へ入れるという考え方は、その後三年間の経験にかんがみて、いいのかどうかということなんです。むしろそのときに資金として全部使う方がいいのじゃないかという感じを私は持っておるのですが、この三年間における経験にかんがみて、それをどういうふうに御判断なさっているか、この際次官から御意見を承りたいと思います。
  55. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 ちょっと専門的にわたりますので、事務当局から御答弁いたします。
  56. 小熊孝次

    ○小熊政府委員 十三条の規定は、基金運用益というものを利子軽減に充てるわけでございますが、その場合におきまして、事業は毎年融資残額というものがふえて参るわけでございます。当初の出発点におきましては、基金運用益を全部使わないで、それを基金に入れて、また運用して利子をかせいでいく。それから、漸次融資残高というか事業量が毎年ふえて参ります。相当長期なものですから、だんだん累加していくわけです。そうしますと、漸次この基金へ組み入れられたものの運用益では全部まかない切れなくなって、また基金へ組み入れたものを十三条の二項の規定によって使用していく、こういう過程になるわけです。事業量の規模によりまして、初めは余って参りますが、漸次またそれがだんだんはき出されていく、こういうような形になりますので、その見通しのもとに、この十三条の一項の基金への組み入れ、それから基金からのはき出し、両方の規定を置いたわけでございます。
  57. 石野久男

    石野委員 その場合に、運用益をだんだん食いつぶして、運用益ではどうにもまかなえなくなってしまうという話がありましたが、大体の見通しとしては、いつごろになると運用益では、まかない切れなくなる見通しでございますか。
  58. 太田康二

    太田説明員 われわれの基金運用試算で、三十六年度以降も三十五年度規模と同じように九十一億で横ばいという考えで基金運用を試算いたしたものによりますと、昭和四十一年で運用益だけで利子軽減措置を講ずることが不可能になる。すなわち法律の適用が不能になる。さらに基金を食っていくということで、六十五億に手をつけても、昭和四十七年で基金それ自体も全部食ってしまう、こういう一応の試算をいたしております。
  59. 石野久男

    石野委員 そういう状態である場合の基金の今後の使い方の問題でございますが、これは奥村政務次官からでも御答弁がいただければ得たいと思うし、できなければ大臣からでもいいですが、今政府の方では、そういう事態が大体試算されているわけですが、その場合に、基金というものを今後どういうふうに使っていく構想を持っておられるか、この際お聞かせ願いたいと思います。
  60. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 今御審議をわずらわしております農林漁業金融公庫基金の六十五億なるものは、御承知の通り、昭和三十一年度の剰余金から、こういうものが積み立てられましたので、今後の財政においてそうたびたびこういうゆとりができるということは予想ができません。それなら今後どうするかというふうなことになりますと、ちょっと私ではお答えいたしかねることでありますので、また大蔵大臣から御答弁をいただくようにお願いいたしておきます。
  61. 石野久男

    石野委員 時間がありませんので、この際もう一つだけ聞いておきたいのですけれども、特別法人に出されておるとこの金が幾つかに分かれておるわけですね。特に農林漁業金融公庫、ほかには中小信用保険公庫とか、あるいは輸銀とか貿易振興会、あるいは労働協会というところに出されております。それの運用の実態は今どういうふうになっておるか、それだけをこの際聞かしていただきたいと思います。
  62. 小熊孝次

    ○小熊政府委員 まず、農林漁業金融公庫につきましては、先ほどすでに御説明があった通りでございまして、当初基金六十五億でございます。資金運用部に預託をいたしておるわけでございますが、運用益の使用残高基金分を含めまして、基金の関係が七十億になる予定でございます。それから、中小信用保険準備基金は六十五億でございまして、これは資金運用部に預託いたしております。その運用益公庫の業務に要する費用に充て基金は当公庫の保険事業の損失を補てんするための保険準備金として存続いたしております。それから、日本輸出入銀行でございます。東南アジア開発協力基金の五十億円でございますが、この運用益にかかる積立金、これは三十四年度末で二億六千一百万円でございますが、これと一緒になりまして、今回設置予定の海外経済協力基金に承継されまして、その法人の資本金になる予定になっております。これはただいま国会において御審議をわずらわしておるわけであります。それから、日本貿易振興会の基金でございますが、これは二十億ございます。それから、日本労働協会の基金十五億、これはいずれも資金運用部に預託いたしまして、この運用益をそれぞれの事業運用のために必要な経費の財源に充てておりまして、基金はそのまま現存しておるわけであります。
  63. 石野久男

    石野委員 質問はまたあとでやりますけれども、この際貿易振興会とか、それから日本労働協会は基金がそのままになっておって、運用益はこれは全部使い切っておるわけでございますか。
  64. 小熊孝次

    ○小熊政府委員 ただいま最近の資料がございませんので、正確な決算の数字がわかりません。大部分が使っておると思いますが、もちろん年度の途中でできたというような関係もございますので、若干剰余金があるという場合も想定されるわけでございますが、平年度からいたしますと、もちろん、この基金の経費以外に、一般の補助金や何かも日本貿易振興会なんかに出ておるわけであります。それはもう基金の収益というものは当然事務費に充てまして、なお足りない分を補助金で出しておるという現状でありますから、普通の場合は大体使い切りになっておるのが例でございますが、決算の数字がはっきりいたしておりませんので……。
  65. 石野久男

    石野委員 それでは今ちゃんとした数字がわからないようでありますが、特別法人に対する現在残高、それの運用益は一体どういうふうになっているかという資料をこの次の機会に出していただくことをお願いしまして、私はきょうは質問を保留します。
  66. 小熊孝次

    ○小熊政府委員 ただいまの資料は、さっそく調製いたしまして、お手元提出いたします。
  67. 石村英雄

    ○石村委員 さっきの石野君の質問のときの答弁に、運用益のままだと昭和四十一年で法律運用ができなくなるというような答弁があったように聞いたのですが、私の聞き間違いかどうかはっきりさせていただきたい。
  68. 太田康二

    太田説明員 その通りでございます。
  69. 石村英雄

    ○石村委員 それはどういう意味ですか。運用益にのみよることができなくなるという趣旨は、新しく貸し出しをするということができなくなるという意味なのですか。基金がある以上、基金としての収益はあるはずなのです。その収益がどんどん新しく貸し出しするわけにいかない。これは相当長期の貸し出しになると思いますから、新規の低利貸付が不可能になるという趣旨なのですか。
  70. 太田康二

    太田説明員 その通りでございまして、残高に対していわゆる基金運用益の繰越額で運用いたしました運用益利子補給をやって参るわけでございますから、それをやって参ります場合に、昭和四十一年度になりますと、この運用益だけの利子補給でやっていくことは不可能になります。今先生のおっしゃいましたように、新しい貸付についての五分のものを三分五厘に引き下げて利子補給するということができなくなる、こういう趣旨でございます。
  71. 石村英雄

    ○石村委員 わかりました。      ————◇—————
  72. 植木庚子郎

    植木委員長 去る四月七日開催せられました本委員会における堀委員と奥村政務次官との質疑応答に関連しまして、奥村政務次官より発言を求められておりますので、この際これを許します。奥村政務次官。
  73. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 去る四月七日、当委員会におきましての堀委員の御質問に対する私の答弁に関しまして、ちょっと弁明を申し上げたいと思います。  当日の私の答弁につきましては、かなり私個人の意見にわたる点が多過ぎまして、ために一部誤解を招いたように思いますので、これはまことに遺憾であると存じまして、今後かようなことのないように心得たいと存じます。ただ堀委員の御指摘になりました神戸税関における事実に対する税関当局の処置については、これは妥当であった、かように存じますので、そのように誤解を招かないように善処いたしたいと思います。  以上、弁明申し上げます。
  74. 堀昌雄

    ○堀委員 弁明は、次官の立場としてはやむを得ざるものだというような理解の上に立って、了承いたしますけれども、最後にお答えになりました神戸税関の処置については適当なものであったと思うとおっしゃったことにつきましては、実は私の立場としてはそれを了承するわけにいきません。次官の立場と私の立場は異なります。ですから、次官の立場において弁明されたことは了承しますけれども、後段について了承できないのと、その話が出ましたので、最近の税関行政の中にはやはりちょっと問題がある点があるという事実を、私実は今月上句に確認をして参っておりますので、その問題はいろいろと今後再調査をしていただくようにお願いをしておりますが、その結果がはっきりしました場合には、やはり物事のけじめはつけていただくということも、あわせてこの際要望いたしておきます。その問題は追って次官の方でいろいろ御調査になってけっこうです。結論はもっと先に出ることでございましょうが、やはりそういう点を含めて、私は税関の今の組合員に対する行政のあり方はあれでいいんだというふうには考えませんので、ちょっとそこだけをつけ加えて、了承いたします。
  75. 植木庚子郎

    植木委員長 次会は来たる十二日午前十時三十分より開会することとし本日はこれにて散会いたします。     午後二時四十分散会