○櫻井
委員 引き続いて新潟の地盤沈下について
大臣に御
質問を申し上げます。
先般の
商工委員会でも実は最近の状況について御
質問を申し上げておるわけでありますが、そこで今
高橋議員の質疑に対しての
大臣の
答弁について私少し納得のいかない点がある。そのことは天然ガスの問題が、これは新潟県の非常に重要な産業であって、これが消長ということは新潟県の産業の消長にかかわる、こういう
大臣の
お話でございまするが、しかしこれは非常に
大臣が視野を狭くして
考えておるのじゃないか、この天然ガスの問題は実は新潟県だけの問題ではないわけです。
大臣も十分御
承知のこととは思うのでありますが、今日世界のエネルギー資源というものを見ますと、石炭に石油がかわる、石油はさらにガスに転換されつつある状況であります。特に最近三十三年度における各国の天然ガスの使用量を見ますと、アメリカは一年間に二千百億立方メートル、ソ連は三百億立方メートル、イタリア五十億立方メートル、フランスが十二億、日本はわずか三億こういうふうに、しかもアメリカのごときは最も石油及びガスの開発が進んでおるわけでありますが、アメリカの一九五七年度のエネルギーの消費を見ますと、石油は四一%、石炭が二七%、水力が六%であり、天然ガスは二六%、実に石炭に迫っておる消費量を持っております。このことは今日世界の趨勢としてエネルギー資源が大きく転換しつつある、こういうふうに私
どもは理解するわけでございます。従って日本の天然ガスの最も大きな産地である新潟県のガスの開発ということは、実は日本のガス産業の消長をかけた
一つのテスト・ケースだというふうに私
どもはこれを
把握しておるわけであります。試みに昨年十二月中に新潟で生産したところの天然ガスは一日平均百万立方メートル、これはフリー・ガスが四十万であり、水溶性が六十万立方メートルで、実に
全国の六割から七割を占めておる量であります。ここでこういう大きなガスを採取することによって地盤が沈下するという問題が起きておるのでありますから、これを抜本的に解決しないことには、日本の将来の天然ガスの産業をどのように育成するかということが、非常にここに問題となってくると思うのです。
そこで非常に日本と似ておるのが、御
承知の
通りイタリアにこういう事件が起きております。イタリアはポー河の流域、これは非常に信濃川、阿賀野川の地層と似ております。このポー河の、ミラノを中心としたロンバルヂア平原におけるガスの採取が、大体日本と同じように発足したわけでありますが、最初はやはり水溶性ガスの採掘をやっておりました。ところが、今日ここでは日産二千万立方メートルのガスを採取しておりますが、その実に九五%は構造性ガス、フリー・ガスであります。水溶性ガスはわずか五%にすぎない。こういうことで、イタリアはいち早く水溶性ガスの採取に伴う地盤沈下という問題を解決して、今日は大きくフリー・ガスに転換をしておる。こういう中で日本がやはり将来これと同じ方向をとらなければ、ガス産業の育成
強化はできないのじゃないか。こういう面で今
大臣の、大体のガス産業に対する方針というものをお聞きいたしたわけでありますが、そういう
基本的方針で、これはいつからやられるのか、私
どももっと明瞭に、具体的にお聞きしたいわけであります。
そこで私はもっと問題をしぼりまして、今日新潟の問題について、御
承知の
通り去年の二月と九月に、二回にわたって規制をいたしました。二月は自主的規制であり、九月は
大臣の勧告という形で、
大臣の責任において規制をしておられるわけでありますが、この規制の根拠となった法的背景は何であるか。実は私がこれを聞くのは、今日鉱業法とか鉱山保安法がありますが、この
法律はいずれも石炭を対象にして立法された
法律であって、石油、ガスというものは非常に抜け道がある。そのために、そういうガスというものに対する
通産省の法的見解といったものを明らかにしていかないと、ただ漫然と、将来こうするというようなことでは問題の核心に触れない。そこで私は、
大臣の今日なされておる二十万トンのガス規制という勧告は、一体どのような法的根拠を持ってやっておられるのか、この点をお伺いいたしたいのです。