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1960-02-17 第34回国会 衆議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十七日(水曜日)     午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 中村 幸八君    理事 大島 秀一君 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 長谷川四郎君    理事 南  好雄君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君 理事 武藤 武雄君       岡本  茂君    鹿野 彦吉君       高橋清一郎君    田中 榮一君       中井 一夫君    中垣 國男君       渡邊 本治君    板川 正吾君       勝澤 芳雄君    小林 正美君       櫻井 奎夫君    東海林 稔君       八木  昇君    加藤 鐐造君       北條 秀一君    山下 榮二君  出席国務大臣         通商産業大臣  池田 勇人君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  藤巻 吉生君         通商産業政務次         官       内田 常雄君         通商産業事務官         (鉱山局長)  福井 政男君         通商産業公務監         督官         (鉱山保安局         長)      小岩井康朔君         中小企業庁長官 小山 雄二君  委員外出席者         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    黒沢 俊一君         通商産業技官         (企業局工業用         水課長)    藤岡 大信君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部金融課長) 中川理一郎君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 二月十七日  委員林讓治辞任につき、その補欠として高橋  清一郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員高橋清一郎辞任につき、その補欠として  林讓治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十六日  大島つむぎ業者戦時強制転廃業に対する未交  付資金交付に関する請願保岡武久紹介)(  第一九九号)  零細企業対策強化に伴う商工会法制定促進に関  する請願外二件(小平久雄紹介)(第二一三  号)  同外三件(坂田道太紹介)(第二一四号)  同外八件(高瀬傳紹介)(第二一五号)  同(西村英一紹介)(第二一六号)  同外四件(堀川恭平紹介)(第二一七号)  同(山口好一紹介)(第二一八号)  同外七件(園田直紹介)(第三一〇号)  同外七件(長谷川四郎紹介)(第三一一号)  同外一件(山口六郎次紹介)(第三一二号)  同外一件(小枝一雄紹介)(第四七〇号)  同外二件(世耕弘一紹介)(第四七一号)  同外二十八件(藤本捨助君紹介)(第四七二  号)  ガス料金等値上げ反対に関する請願細田義安  君紹介)(第二五四号)  同(五島虎雄紹介)(第四六九号)  日朝直接貿易実施促進に関する請願今澄勇君  紹介)(第三七七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二九号)  中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三〇号)  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件      ————◇—————
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより会議を開きます。  中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案及び中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑を続行いたします。松平忠久君。
  3. 松平忠久

    松平委員 私は中小企業振興資金助成法に関連して、この際大臣に伺っておきたいと思うのですが、御承知のように自由化によって一番そのしわ寄せを受けるのは中小企業ではないか、こういうことであります。そこで、中小企業の行き方としてはいろいろありますけれども、その一つとしては組織強化ということと、その組織に対して特別の指導助成ということをしなければならぬと思います。そこでそういう問題に関して、大臣はどういうふうにお考えになっているか、今かかっておりますこの法律案は、その意味においては小組合というものに対して振興資金助成法を適用するということでありますので、それは一つ方法を実現させるということで、大いにけっこうでありますけれども、全般的な問題として、これらの組合活動というものに対して、一体どういうふうに将来これを持っていこうとするお考えであるのか、根本的な方針というものがありますならば、この際承っておきたいと思うのです。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 貿易為替自由化ということを除きましても、今の現状から申しましてわが国の中小企業はもっと育成し、もっと強固なものにしなければならぬと思います。従来、まず金融の面から始めましてだんだんそれが組織の面になってきております。何と申しましても、やはり弱い人は相提携していくことが一番いいことであることは、万人の認めるところであります。技術の指導、またいろいろな税制その他の面につきましてもできるだけ手を伸ばしていく、今回御審議願うことに予定しております商工会法案もその意味でありまして、一人立ちのしにくい人は、力を合わせてやっていくことが一番だと考えております。
  5. 松平忠久

    松平委員 その意味において、この問題になっておりますところの小組合と同時に、大臣一つ猛省を促さなければならぬと思うのですが、この小組合というもののできたゆえんというものは、御存じのように議員提案でできたわけであります。当時与野党で一致しまして、こういう組合を作って、零細企業者組織団結をはかっていく必要がある、そのためには相当優遇措置も講じていかなければならない、こういうことになっているわけでありますが、従来の政府考え方の中には二つあるように思うのです。大蔵省的な考え方と、通産省としての考え方かありまして、今日小組合というものは、当局説明によりますと、十しかできていないというわけでありますが、このことに関して大蔵省側は、小組合というものができたのならば、一つ優遇措置を講じてやろう、こういう考えを持っておる。ところが優遇措置というものを講じなければ、遅々として、小組合なんてそういうめんどうくさいものを作らない、こういう考え方になっているわけであります。  ところが当時の、議員提案といたしましたわれわれの趣旨は、中小企業等協同組合法の第二十三条の三にありますように、税制上もしくは金融上において、組合員に対して特別の優遇措置を講ずるのだ、こういう措置政府はしなければならないといって、義務規定になっておるわけなんだけれども政府部内に今申しましたような二つの意見があって、小組合というものができなければそういうものをやらないのだ、こういう大蔵省側考え方に押されて、今日税制上の優遇措置というものはほとんど講じられておらない。従ってうまみがないから、今日三年たっておっても組合というものはたった十しかできない。せっかくわれわれが零細企業者一つの仕事としてやったところのこういう小組合実態というものが、今のような状態であるということは、まことに立法の趣旨に合わないと私は思うのであります。そこで、これは大蔵省に聞かなくちゃならぬ問題であるけれども、しかし通産省考え方として、やはりあの法律趣旨に合うような税制上並びに金融上の特別の優遇措置というものを講じていかなければならないと思うのですが、それは一体どういうふうに考えておられるわけでありますか。現在金融上の措置は若干講じてあります。しかし税制上は何らの特典もない、そういうわけでありますので、その点をお伺いしたいと思います。
  6. 池田勇人

    池田国務大臣 中小企業、ことに零細企業に対しましての税制上の措置は、この小組合というもののあるなしにかかわらず、従来ある程度達成してきておるのであります。しこうして、この小組合ができましてから、そういう税制上、金融上、特別の措置をするとなっておりますが、御案内の通り、今税制に関しまして根本的に検討せられておる途中でございます。ことに今年は、そういう関係税制上の措置は原則としてとらぬ、もっぱら税制調査会答申を待ってやるということに相なっておりますので、税制調査会答申が出ます場合、また出ましてからでも、税制改正措置がとられる場合におきましては、十分御趣旨の点を実現できるように努力していきたいと思います。
  7. 松平忠久

    松平委員 税制調査会でいろいろ審議しておられるというわけでありますが、この問題について、今まで事務当局なり何なりは大蔵省とよく折衝したことがあるのかどうか。今後大臣はどのようにこれを実現化していこうという決意を持っておられるか、決意のほども合わせて伺いたいと思うのです。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 特に小組合等についてどうこうというのでなしに、私は、一般零細企業者に対しての金融、これは今でもある程度できておるか、税制上においてどうするかということにつきましては、十分検討の上、小組合のみならず、他の一般零細企業に対しましても相当の手を打つべきだと考えております。
  9. 松平忠久

    松平委員 零細企業に対して、金融上、税制上の一般的な措置を講じなければならないということはよくわかります。しかしながら、私が今申しておるのは、その中でも特に法律に明示してある、法律にそういう優遇措置を講じなければならないということは——講じなければならないということは、一種の義務でないかと思うのだけれども、そういう明示してあるものについては、特に私は一般的なものよりも優先して考慮しなければならぬと思うのですが、大臣のお考えは、今の答弁によりまして、一般的なものに何でも歩調を合わせるのだ、こういうふうに受け取れるのですが、優先して考えるというお考えはないのですか。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 税制の問題は金融の問題とは違いまして、なかなかやっかいな、いわゆる均衡という本則がございますし、しかもその小組合というものが、これはうらはらになりますが、非常にウエートとして、全国にそういうものがたくさんある場合におきましてはあれでございますが、お話通りこの規定がございますが、十くらいの程度のもので、特にということはなかなか均衡上むずかしいのじゃないか、しかし、税制上特別の措置を講ずればそれが多くなるのだ、こういう議論も私はもちろん承認します。その点は考えまするが、結果においてどの程度出るかと、いう問題につきましてはやはり実態を見ながら、うらはらでいくよりほかにないのじゃないかと思います。
  11. 松平忠久

    松平委員 その点はあまり追及はいたしません。これは当時におきましても、税制均等化と申しますか、そういう考え方に立ちまして、組合自体に対して税法上の特典を与えるというのじゃなくして、組合員もしくは組合員と同じような境遇にある零細企業者に対して、税制上の特典を与えるのだ、こういうふうにわれわれも理解しているわけであります。従ってそれは追及いたしませんが、この点は、しかし小組合が、なぜできないのだということをやはり考えられて、このもろもろの優遇措置というものを講じられていくように私は要望いたします。それから、もう一つ伺いたいのは、小組合というものがだんだん大きくなってきますと、事業協同組合になるわけであります。小組合が大きくなって事業協同組合になるという手続関係というものが、この法律にはございません。従って、小組合から事業協同組合に移るには、小組合を解散して、そうしてさらにその上で事業協同組合というものを設立しなければならない、こういうことになっておるわけであります。私は、これではやはり一貫性がない、こういうふうに考えられますので、解散をせずに、事業協同組合に小組合から移っていく、こういう行き方をしなければいかぬと思いますが、その点に対して、政府はどういうふうにお考えになっておるか、これはもちろん議員提案でありますけれども、現在は法律政府で執行しておって、どうしたら便利がいいかということは、お考えにならなければならぬわけであるけれども、この点を私ども改正しなければならぬと思うわけでありますか、どういうふうにお考えですか。
  12. 内田常雄

    内田(常)政府委員 私は当時御承知のように商工委員をしておりまして、この法律案関係しておりますが、わが党と社会党と妥協した結果、こういうものができたことは御承知通りであります。その際、私どもの理解では、事業協同小組合が成長して、今おっしゃるように、事業協同組合というものになるということを考えたのではなくして、事業協同組合が作れないような、また事業協同組合組合員単独ではなれないような零細企業者が集まって、事業協同小組合を作って、その小組合事業協同組合組合員としての資格を得るような場合を想定してできたと私は記憶いたしております。でありますから、事業協同小組合の人々が力がついて、もう小組合でなくても、堂々と自分たち単独事業協同組合を作ればいいということになりますれば、それは移りいく規定は御説のようにないと思いますけれども、その点は当時想定した問題と別個の問題であって、趣旨は私が述べたような趣旨でできたと思いますので、今回の法律改正におき、ましても、今までは小組合事業協同組合メンバーとして観念しておったから、従って共同設備資金というものも出さなかったものを、それを一般事業協同組合と同じように共同資金を出すような形にして優遇していこうというところに、今度の改正趣旨を私は結びつけておるわけであります。
  13. 松平忠久

    松平委員 そういう趣旨もありますけれども、実際問題として、子組合メンバーは御承知のように、八条かの二に規定してあります通りに、たとえば鉱工業にあっては五人以下だとか、商業にあっては二人以下というふうに規定してあります。しかし、それが大きくなりまして、やはり六人、七人、八人、十人というふうに従業員が多くなっていくことは当然だと思うのです。そういう場合には、法律の建前からいえば、これは小組合としての資格を喪失するということになる。そういうことになると、それは今あなたの言うような工合に小組合は小組合だといって、いつまでも金縛りに縛っておくというような考え方ではだめだ。事前に、従業員が多くなってきた場合には、ほかの形態に移っていくようなことをしなければ、法律違反になってしまう。私はそういうことを言っているわけです。
  14. 内田常雄

    内田(常)政府委員 現在御承知のように、事業協同小組合というものは十くらいできておると思います。あるいは最近はやや若干ふえておると思いますが、私の存じておる限りでは、その十のうちの大部分の事業協同組合は、現状においては小組合というよりも、むしろ事業協同組合として取り扱った方かいいような程度メンバーも多くなっているはずでありますから、松平君の言われることは、私は賛成の点がありますので、小組合メンバーが三十人にも百人にもなってきた場合には、小組合から事業協同組合に乗り移る趣旨規定を私は考えてもいいと思いますので、今後考えて参りたいと思います。
  15. 松平忠久

    松平委員 それから汚水処理については、中小企業の場合に金融難で困る、汚水処理も適当だと思いますけれども、この問題については、どなたか知っている人はありますか。去年法律ができてから、どの程度中小企業汚水処理施設ができたか、あるいは計画しているのがどのくらいあるかということを、ちょっとここで披露してもらいたい。
  16. 藤岡大信

    藤岡説明員 現状把握という点におきましては、今おっしゃいましたような点につきまして、まだ完全な把握はできておりません。といいますのは、現在調査中でございまして、全国一万数千の工場についての調査が、まだ全部行き渡っておりませんので、おっしゃるような調査はできておりません。
  17. 松平忠久

    松平委員 まだできておるかできてないか、調査が完了していないというわけでありますが、おそらくまだあまりできてないと思います。できてないものに対して、今度優遇措置を講ずるというわけだ。小組合は十もある。これに同時にことしようやくやってきた。私はやはりこういう観念がいかぬと思う。初めから小組合に対しても優遇措置を講ずるということが法律に書いてあるのだから、やはりそれはやっていかなくちゃいけない。ちょうど汚水処理をやると同じような考え方で早くやってもらいたい、こう思いますが、汚水処理に関しては、こういう金融上の措置のほかに、一体どういう特典かございますか。
  18. 内田常雄

    内田(常)政府委員 私が存じております限りにおきましては、これは協同組合に対して今度共同施設資金を出す、その出し方も五年ではなかなか借り手かないから無理して七年にするということは述べた通りでありますが、このほかに大体中小企業者が協同して汚水処理施設を作るというのは、ある一定地区共同施設としての汚水処理を作るような場合は、同業種中小企業者が密集してあるという場合が、必ずしも多くないわけであります。皮屋さんがある一定地区に集まっておるというような場合はあるのであります。その他いろいろの業種零細業者はある地区に集まっておるが、それらの工業処理から出てくる水の性質がみな違う。従って汚水処理のやり方が一人々々の企業者について、みな違うものですから、それをプールして施設を作るということが性質上なかなかできにくいというところに問題があるのであります。  ところが実際には、これは皮屋さんの例ではありませんけれども、そういう一定地区に同業種またはそれに近い零細業者が集まっている場合に、地方公共団体がまとめてめんどうを見得る場合がありますが、それに対応いたしまして政府におきましては地方公共団体が、これらの中小企業者汚水処理施設または末端処理施設等を作る場合には、その公共団体に対してたしか四分の一であったと思いますが、四分の一の補助金を出すということで公共団体施設してやる、中小企業者そのもの組合を作って、金を借りて、償還期限を長くしてもらうという業者自身負担ではなしに、公共団体負担として処理する方法幾つかとられておりましてこの方はやった実績も幾つかございます。
  19. 松平忠久

    松平委員 その点私も承知しておりますけれども、今一番困っているのは中小企業汚水処理の問題で、どうもいい金融的な措置というものがないのです。それで現地で単独でやるような場合は非常に困っておる。そこでこれは政府でああいう法律ができました以上は、特別にこれは生産的なことではないのですけれども、そういう点からかえって金融が非常に困るということでありますので、私は一つ政府でこの中小企業汚水処理金融問題については特別に考えてもらいたい、そうしなければあの法律をうまく実行していくのは困難だ、こういうように考えておりますので、その点を要望しまして私は質問を終ります。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっとただいまの松平委員質問に関連をいたしまして、大臣に一問だけお伺いをしたいのであります。と申しますのは、一口に零細企業といわれておるが、大体大臣零細企業というものを、定義といえばむずかしくなりますが、大体どの程度のものを零細企業として考えておられるか、と申しますのは、小組合におきましては工業五名、商業サービス業二名以下、ところがまだ出ておりませんが、近く出す予定になっている商工会法においては小規模企業というのがあります。その点は重工業十五名、商業五名、そういうふうになっているのですが、大体零細企業というのは、どの程度の範囲に考えておられるか。
  21. 池田勇人

    池田国務大臣 これは見方でございまして、今度の商工会法は今の小組合零細企業の五名ないし二名、これも相当多く二十名くらいにしておると思います。これはなかなか区切りはむずかしいのでありまして、商工会法の方は今の零細企業だけではなしに、もっと上の方も入れるようにしております。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 法律で小組合の会員たる資格、あるいは今度商工会法が出てくればそれの小規模企業、いろいろと法律観念が変わってくると思う。従ってこういうのは一つ法律的に一つの線といいますか、大体一致さす必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。もし小組合の方の観念をあるいは少しふやして、商工会法小規模企業と一致させるとか、あるいは一方を下げるとか、何か法律によって、特に零細企業といわれている中にあるいは五名、あるいは十名、あるいは十五名と出てくるのは、これはどうもおかしいのではないかと思うので、そういうことについて一つ観念一定し、そしてそれに対する特別な税制上の措置等考えていくという考え方がいいと思うのですが、大臣、いかがでしょう。
  23. 池田勇人

    池田国務大臣 多種多様でございますし、それから同じ経営の中でも付加価値の問題、地理的な問題、いろいろな点がございます。私はその区切りをつけたい気持はございますが、区切りをつけて、実質上合わぬというような場合もあると思います。従って私は一応の区切り考えておりますが、それをはずれたら絶対にいかぬのだということもいかがなものだというので、観念的には、これは小組合のようなごく零細な企業よりももっと上にして、相当の人が入り得るようなことに商工会法の方はしていきたいと思います。
  24. 中村幸八

    中村委員長 次は北條秀一君。
  25. 北條秀一

    北條委員 池田通産大臣一つだけお聞きしたいのでありますが、先ほど松平委員質問し、かつ要望いたしました点でありますが、特にきょう池田さんにこの委員会に出てもらって、振興資金助成法の一部改正案について、最後にあなたの御意見を聞きたいと考えたのであります。それは先ほどの話の通り税制上の特別の措置をするかどうかということであります。零細企業については、もとより政府も非常に関心を持っておられますし、通産大臣としても関心を払っておられることと私は考えるのでありますが、そこで、この小組合の問題で税制上何らかの措置をする法律になっておるのでありますが、それは今日まで一向に実現されていないということなんであります。ぜひこの際この措置をとってもらいたいということを、私はたって希望するわけでありますが、特に池田さんは税制上の権威者でございますから、あなたは通産大臣として、国務大臣として、小組合に対して税制上の措置をしようと考えておられるか、あるいはすべからざるものだと考えられるか、こういう点をはっきりしていただきたいと思います。  もう一つは、先ほど、税制調査会に諮問をしてその結果を待つのだというお話でありましたが、どうもここで聞いておりますと、おざなりな御答弁のように思うのでありますが、もしそういうお気持ならば、どういうふうな具体的な措置を今までとってこられたか、あるいはこれから税制調査会に対して、何らかの改善の措置を求められるか、こういう点について大臣のお考えをお聞きしたいと考えるのであります。
  26. 池田勇人

    池田国務大臣 租税制度というものはできるだけ簡素にして、そしてまあ財源の許す限り減税していくということは、これはもう基本でございまして、私は戦後財政の衝に当りましたときには、まず第一に何よりも減税ということを先に考えてきたのでございます。そして、減税をするのは、できるだけ小額所得者減税を先にする、これでやってきておるわけであります。基本的に減税に対してどういう考え方かという御質問ならば、政治のうちで減税が一番いい政治だ、こう考えております。しかも、その場合には小所得者の方をまず考える、大衆をまず考える、こういう気持でいっております。従いまして、おざなりの答弁でなしに、私は税制調査会答申ができる前にも委員に働きかけることも必要だと思っております。出ましても、これは単なる考え方でございまして、政治としては、やはり閣議のときにはそういう気持で発言するつもりでおります。
  27. 北條秀一

    北條委員 お話はわかりましたが、特に私どもがきょうの委員会通産大臣に御出席を願いました趣旨は、小組合に対する税制上の措置をぜひ実現させよう、こういう考えであることを、この際特に強く認識していただきたい、こういうことを申し上げまして、私の質問を終わります。
  28. 中村幸八

    中村委員長 他に質疑はございませんか。——他に質疑はないようでありまするから、両案に対する質疑は終局いたしたものと認めます。     —————————————
  29. 中村幸八

    中村委員長 引き続き両案について討論に入るわけでありまするが、討論の通告がありませんので、直ちに両案を一括して採決いたしたいと存じまするか、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案及び中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。  両案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  31. 中村幸八

    中村委員長 起立総員。よって両案はいずれも原案の通り可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。ただいま可決いたしました両法案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。      ————◇—————
  33. 中村幸八

    中村委員長 次に通商産業基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。順次これを許します。高橋清一郎君。
  34. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 地盤沈下の問題でございますが、全国各地におきまして、これは大阪、尼崎ばかりじゃございません。新潟、東京、名古屋等の工業地帯に発生いたしまして、肝心の産業立地の基盤確立の上からゆゆしい問題として大きく取り上げられるに至ったことは御承知通りであります。そのうち特に新潟でございますが、その沈下速度はきわめて激甚であります。そのために産業はもう壊滅一歩手前であるという状況でございます。従いまして、これに対し早急かつ適確な対策が必要であると痛感されておることも、これまた事実であります。私はこうした観点に立ちまして、通産大臣はお忙しいようでありますから、あとで関係局長さん、政務次官の方にお尋ねをさせていただきますが、まず通産大臣から特に次の各項につきましてお答え願いたいと思うのであります。それは地盤沈下に影響があるとされておる水溶性ガスを規制した場合の話でございます。御存じでございましょうが、最近新潟県各地におきまして構造性ガスというのが噴出しかかっておるのであります。この水溶性ガスにかわるものとして構造性ガスに切りかえまするところの転換策でございますが、この転換策こそ、一方におきまして地盤沈下の心配されておりまする状況を防止し、他面産業を育成するという意味におきまして最も賢明な方法であると考えるのであります。これにつきましての大臣の御見解を承りたいということであります。またこの転換策を通産省のガス行政に関する行政指導基本的な方針であると理解して差しつかえないものかどうかということであります。まずこの点を承りたい。
  35. 池田勇人

    池田国務大臣 お話しの通り、最近全国的に地盤沈下の問題がクローズ・アップいたしまして、これが対策につきましていろいろ苦慮、あるいはいろいろ措置を講じておるのでありますが、お話しの新潟地区の地盤沈下は、水溶性ガスの採取が大きな原因の一つとして考えられておるのであります。従いまして昨年の春、秋二回にわたりましで、水溶性ガスの採取規制をいたしまして、二十一万立方米ばかりの規制をいたしたわけであります。しこうしてその規制したことによって地盤地下がどのくらい緩和されたか今試験中でございます。しかし新潟地区におきますガスの採取は、新潟県の工業の基幹をなすものであります。水溶性ガスを規制してそのままに放っておいたら、お話しの通り新潟県の工業は危殆に瀕するわけであります。またタウン・ガス等の問題もございますので、われわれといたしましては、この水溶性ガスにかわるべきお話しの構造性ガス、あるいはまた深いところのあまり水を持たないガスの採取ということを考えまして、先般来構造性ガスにつきましては三本、あまり水を含まない深層のガス採取が一本成効いたしました。今後構造性ガスあるいは深部の水をあまり伴わないガスの開発に力を入れていきたい、こういう気持でおります。しこうして、今までは水溶性ガスにつきましては、法律によりまして補助金等を出すごとにしておりますが、今度構造性ガスにつきましては、水溶性ガスと同様、あるいはそれ以上の補助、奨励をしていきたい。また地域的に構造性ガスは必ずしも新潟市付近ではない。新潟より遠いところのようでございますから、これにつきましてはガス管、輸送管その他につきましても考えていきたい、こういうことで実際の仕事を奨励すると同時に、金融面につきましても今後力を入れていきたいという考えでおります。
  36. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 親心のお示しある程度わかったわけでございますが、この地元におきましても水溶性ガスから構造性ガスに転換され、通産省もその指導方針におそらく変わっていかれるに違いないということを期待しておるわけなんでありますが、その場合におきましても探鉱に対しまして何らかの助成が必要であるわけでございます。この点につきましてもう少し具体的と申しますか、またこの助成をいたしますこと自体が転換を容易ならしめるというふうに、私ども考えておるわけでございます。これに対しまする通産省のお考えというわけでございます。  続きまして各地にただいま申しましたように構造性ガスが出てきます場合でありますが、この需給を調整するためにパイプ・ラインで輸送するということが必要と思うのであります。このパイプ・ライン輸送というものを通産省といたしましてその必要を認めるかどうかということについてお尋ね申し上げるわけでございますが、認めるといたしますならば、これに助成いたしますことを適当とお考えであるかどうか。さらにその場合でありますが、鉱区権者自身の責任で行ないますかどうか、あるいは鉱区権者以外の公共性を加味しましたる組織で行ないますものかどうか、いずれが妥当であるというふうにお考えでございますかということをお伺いするわけでございます。
  37. 池田勇人

    池田国務大臣 ガス採取につきましての補助金は、従来は石油だけであったのでございますが、昭和二十七年か二十八年からか、ガスに対してもやっておる。しかもそれは先ほど申し上げました水溶性ガスを対象としておったのでございます。構造性ガスにも今度補助金を出すようにする、三十五年度につきましては二千七百六十万円の予算を組んでおる次第でございます。  第二の輸送管の問題でございますが、これはやはり原則としては企業体が自分でやるべきだと考えます。しかしその場合におきましても通産省が構造性ガスの奨励をしております関係上、金融その他につきましては十分あっせんの労をとりたいという考えでございます。
  38. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 昭和三十五年度、今年度予算でございますが、地盤沈下関係の各種目にわたります総合計が二十億という金額の内定を見たということは御存じの通りでありますが、しかしながら新潟といたしまして財政上の負担が非常に困難なのでございます。従いましてにわかにどうしてもこの点だけはざっくばらんな言い方をいたしますけれども、県内出身の社会党といわず、自民党といわず、あげて協力してもらわなければならぬことはいわゆる高率補助である。高率補助の実現を期さぬことには予算面の変調を来たさなければならぬ、こういうふうなことが世論として盛り上がりつつありますことは御存じのことであろうと思われるのであります。従いましてこの点でございますが、閣内の実力者と自他ともに認めておられます大臣でございます。親心のお示しでございますが、ぜひその点の御協力方につきまして御熱意を御披瀝願えますものかどうかということにつきましても、とりあえずお尋ね申し上げるわけでございます。
  39. 池田勇人

    池田国務大臣 地盤沈下の問題そうしてまた工業用水の問題、いろいろ要望を聞いております。たとえば工業用水の問題にしましても、ところをあげてはあれでございますが、大阪と尼崎市と比べると、片一方は非常に財政不如意の尼崎市は市でございます。大阪市の方は非常に財政豊か、こういうところに差をつけたらどうか。ことに新潟につきましては一般の沈下のみならず天然ガス採取のためのあれ、特別のいわゆる補助率をきめたらどうかということが、予算折衝中に話題になったということを聞いております。結果はまだ聞いておりません。私はやはり原則としてはその地方の状況、財政負担の状況をある程度考えていくべきではないかという個人的な気持は持っております。何と申しましても所管が違いますので、今私の個人的気持だけを申し上げます。御了承を得たいと思います。
  40. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 構造性ガスが出始めたということが起因となりまして、にわかに今までの暗い面から明るい工業誘致という点についての関心が高まりつつありますことは御存じであると思われるのであります。それにいたしましても、やはり構造性ガスというのが期待されるわけでございまして、これに対する通産省助成策はどうであろうということは、再度重複した質問になるかもしれないのでありますが、非常な高い関心事となっているわけでございます。何らか親心を示していただくならば、どんどん新しい工場の誘致がはかられるという段階でございますということをお認め願いたいと思うのであります。これがひいては既存の産業にも非常な影響をもたらすわけでございます。ガス産業はもちろんでございます。明るい今年度、黄金の年ということは新潟からもこのことに関連して言われることであろうと思うわけでございます。それについてもただいま金融についての親心は出そうというおぼしめしではございますけれども、いま少しく一歩前進した形におきまする助成策を今後いろいろ御検討を賜わりまして、ぜひお願い申し上げたいということを大臣に関しましての質問につけ加えさしていただきまして、大臣については私の質問を終わらしていただきたいと思います。引き続いてまたお願いいたします。
  41. 中村幸八

    中村委員長 櫻井奎夫君。
  42. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 引き続いて新潟の地盤沈下について大臣に御質問を申し上げます。  先般の商工委員会でも実は最近の状況について御質問を申し上げておるわけでありますが、そこで今高橋議員の質疑に対しての大臣答弁について私少し納得のいかない点がある。そのことは天然ガスの問題が、これは新潟県の非常に重要な産業であって、これが消長ということは新潟県の産業の消長にかかわる、こういう大臣お話でございまするが、しかしこれは非常に大臣が視野を狭くして考えておるのじゃないか、この天然ガスの問題は実は新潟県だけの問題ではないわけです。大臣も十分御承知のこととは思うのでありますが、今日世界のエネルギー資源というものを見ますと、石炭に石油がかわる、石油はさらにガスに転換されつつある状況であります。特に最近三十三年度における各国の天然ガスの使用量を見ますと、アメリカは一年間に二千百億立方メートル、ソ連は三百億立方メートル、イタリア五十億立方メートル、フランスが十二億、日本はわずか三億こういうふうに、しかもアメリカのごときは最も石油及びガスの開発が進んでおるわけでありますが、アメリカの一九五七年度のエネルギーの消費を見ますと、石油は四一%、石炭が二七%、水力が六%であり、天然ガスは二六%、実に石炭に迫っておる消費量を持っております。このことは今日世界の趨勢としてエネルギー資源が大きく転換しつつある、こういうふうに私どもは理解するわけでございます。従って日本の天然ガスの最も大きな産地である新潟県のガスの開発ということは、実は日本のガス産業の消長をかけた一つのテスト・ケースだというふうに私どもはこれを把握しておるわけであります。試みに昨年十二月中に新潟で生産したところの天然ガスは一日平均百万立方メートル、これはフリー・ガスが四十万であり、水溶性が六十万立方メートルで、実に全国の六割から七割を占めておる量であります。ここでこういう大きなガスを採取することによって地盤が沈下するという問題が起きておるのでありますから、これを抜本的に解決しないことには、日本の将来の天然ガスの産業をどのように育成するかということが、非常にここに問題となってくると思うのです。  そこで非常に日本と似ておるのが、御承知通りイタリアにこういう事件が起きております。イタリアはポー河の流域、これは非常に信濃川、阿賀野川の地層と似ております。このポー河の、ミラノを中心としたロンバルヂア平原におけるガスの採取が、大体日本と同じように発足したわけでありますが、最初はやはり水溶性ガスの採掘をやっておりました。ところが、今日ここでは日産二千万立方メートルのガスを採取しておりますが、その実に九五%は構造性ガス、フリー・ガスであります。水溶性ガスはわずか五%にすぎない。こういうことで、イタリアはいち早く水溶性ガスの採取に伴う地盤沈下という問題を解決して、今日は大きくフリー・ガスに転換をしておる。こういう中で日本がやはり将来これと同じ方向をとらなければ、ガス産業の育成強化はできないのじゃないか。こういう面で今大臣の、大体のガス産業に対する方針というものをお聞きいたしたわけでありますが、そういう基本的方針で、これはいつからやられるのか、私どももっと明瞭に、具体的にお聞きしたいわけであります。  そこで私はもっと問題をしぼりまして、今日新潟の問題について、御承知通り去年の二月と九月に、二回にわたって規制をいたしました。二月は自主的規制であり、九月は大臣の勧告という形で、大臣の責任において規制をしておられるわけでありますが、この規制の根拠となった法的背景は何であるか。実は私がこれを聞くのは、今日鉱業法とか鉱山保安法がありますが、この法律はいずれも石炭を対象にして立法された法律であって、石油、ガスというものは非常に抜け道がある。そのために、そういうガスというものに対する通産省の法的見解といったものを明らかにしていかないと、ただ漫然と、将来こうするというようなことでは問題の核心に触れない。そこで私は、大臣の今日なされておる二十万トンのガス規制という勧告は、一体どのような法的根拠を持ってやっておられるのか、この点をお伺いいたしたいのです。
  43. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通り、水溶性ガスは今や日本とイタリアくらいのもので、世界各国のガスというものは構造性ガスが九五%、こういうことでございます。日本では構造性ガスの探鉱その他が、今まで手不足だったので、今後は先ほど申し上げましたごとく構造性ガスにつきまして力を入れて、今盛んにやっておる次第でございます。相当有望と私は考えております。  なお第二点の、新潟の昨年秋に行ないました規制は、私はこれは業者へ勧告したのでございます。別に法第何条ということじゃない。お話通り鉱業法その他は石炭を主体にしておりますので、なかなかはっきりしないところがある、しかもまたこれが民間に与える損害、賠償の点等がありますので、今法律的な検討はいたしておりますが、しかしお話通り石炭から石油、ガスという新しい分野が出てきましたので、今後新しい分野につきましての法的の問題につきましては今検討を加えておる次第であります。
  44. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 大臣もお認めのように、今日の鉱業法あるいは鉱山保安法というものは、ガスを縛ることはできないわけであります。おそらくこの大臣の勧告というのは、鉱山保安法二十四条を背景にして、こういうものをうしろに置いて勧告されたと思う。通産大臣は鉱山保安法二十四条によってそういう規制をすることができるわけです。しかしこの法律を発動すると、あまりにもかどか立つから、まず勧告という形でなされたのだろう、従って法的根拠はやはり鉱山保安法二十四条がうしろにある、こういうふうに理解しなければ、あなたは通産大臣だからといって、人の掘っておる一つの権利、そういうものを停止させることはできない、二十四条を背景にしておると思うのですが、それはどうですか。
  45. 池田勇人

    池田国務大臣 二十四条がすぐ適用になるかということにつきましては、先ほど申したように大へん疑問がある。お話の、背景とはこれいかんということになります。だから私は二十四条ということは申し上げずに、とにかくこういう事態が発生しておる、一つ通産大臣としてはこう思うがというので勧告し、業者の考えでいったということでございます。しかしいつまでもこういうわけではいけませんから、や一はり法の不備の点はこれをはっきりさすことが必要であると考えて検討しておる次第でございます。
  46. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 そこで先ほどおっしゃったように、これは無用の摩擦を避けるために勧告という形を出されたのであろうと私は思うので、やはりこの二十四条が根幹になっておるのです。あなたの勧告の背景というものは、これがなければ勧告ができない。そこでとにかく今二十万立方メートルを規制された結果、この前の委員会で私が申し上げましたように、データはもう時間がありませんから、もう一度繰り返すことはいたしませんが、十二月までの地理調査所及び運輸省で測定したところの詳細な結果を私は持っております。その結果では今日は、一昨年の一番沈下のひどかった当時の、実におよそ五割ぐらい沈下の速度が落ちておる、こういうことは万人の認めるところです。そういう客観的事実に立って考察しますならば、やはり昨年六月二十四日に出された資源局の中間報告は、大体間違いがなかったのだ、あれはやはりその裏づけとしてこういうものが一つのデータとして出ておる。やはり私は中間報告というものに今日権威を認めざるを得ないわけでありますが、そこで問題となってくるのは、大臣が今ほどおっしゃったように、この規制をいつまで続けるかという問題です。沈下の速度が鈍ったからといって、これを無限に続けていくということは、これは直ちに鉱業法の五十三条という問題にひっかかってくるわけです。これはいずれにしても鉱区の減少ということはこれは客観的事実です。あなたは勧告でとめさせておるとおっしゃっておりますけれども、業者の方にすれば鉱区を減少されておる、こういう事実が出てきておる、鉱区の減少に対しては五十三条の二によって鉱業権者に対して国は補償しなければならない。五十三条の二は鉱区権の取り消しあるいは鉱区の減少に対する国の賠償責任というものを明瞭にうたい上げておるわけです。従ってこの二十万立方メートルの規制というものは一体いつまで続けるのか。続けていけばこういう五十三条の二というものが当然問題になってくる。こういう非常に微妙な問題であって、業者としてもこういう問題を当然いってくるだろうと私は思う。これに対して一体大臣基本的にどういうふうに考えておるのか。規制したことによって事実沈下は鈍っておる。しからばこの規制をさらに続けていくのか、現状のままに置くのか。あるいはこの規制を解除するのか、これは非常に微妙な段階にあると思うのだが、この五十三条の二との関連においてどのような見通しをもっておられるか、お伺いをいたしたい。
  47. 池田勇人

    池田国務大臣 お話のように、規制をいたしましてから規制地区内の坑井水位は非常に上昇してきまして、地盤沈下が従来のような速度でいってないことは認めております。しかしこれの実態につきましてはただいま調査中でございまして、いろいろの面から調査しておりますが、大体五月ごろ調査の結果がはっきりするのじゃないかと思います。従いまして、わが党といたしましても、新潟の地盤沈下につきまして特別の委員会を設けて検討いたしております。また他面、技術的に科学的に調査を進めておりますので、その調査の結果を見まして私は考えたいと思います。五月ごろには大体結果が出るという見込みでおります。
  48. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 それでは、その調査の結果を見て、今まで通りの二十万立方メートルの規制を続けていくのか、あるいはその規制をさらに五十万立方メートル、六十万立方メートルというふうに拡大していくのか、あるいはこの規制を解除するのか、この三つの方法しかないわけですが、この態度決定をなさるということでございますか。
  49. 池田勇人

    池田国務大臣 大体そういうことでございます。なおまた、先ほど来問題になりました構造性ガスの採取の状況見通し等もきめまして、全般的に考えなければならぬ、他の地区、たとえば見附方面の構造性ガスの新発見等々、今後あの地方でのガスの採取見通し等を考えまして、規制などの一つの材料にいたしたいと考えております。
  50. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 そこで起こり得べき事態として、五十三条の二による業者の方からいうところの補償という問題が一つ残っております。それと今度は鉱業法百九条によるところの無過失賠償の問題、鉱業権者が損害を与えた者に対して賠償の責に任ずるという問題がここに出てくる。従って、このガスが原因だということになってくると、今度は損害を受けた人は百九条によって業者に対して無過失賠償の責務を負わせる、こういう問題が生じてくる。これは、大臣も苦慮して、おられると思うのですが、非常にめんどうな問題を内蔵しておるわけであります。従って、ここで、この法律そのものが油やガスを育成しあるいは規制していくということについて非常に不備な法律でありますから、鉱業法及び鉱山保安法を抜本的に改正なさる意思がおありになるかどうか、この点を明瞭にしていただきたい。
  51. 池田勇人

    池田国務大臣 御承知通り、鉱業法につきましては、先般来委員会を設けまして審議いたしておるのであります。その審議の結果によりまして考えたいと思います。
  52. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 そこで、実は鉱業法の五十二条というものが今日の既存法の中に現存しているわけであります。「通商産業局長は、錯誤により、鉱業権の設定又は鉱区の増減若しくは分割若しくは合併の出願を許可したときは、その錯誤を訂正するため、鉱業権の取消又は変更の処分をしなければならない。」この五十二条というものに、私は一つの活路を見出しておるのではなかろうかと考える。なるほど業者の出願によって鉱区というのは許可をなさっておる。しかしその許可をする場合に、通産局は、当然ガスの採取に伴ってこのような被害が起きるということは予想されなかったに違いない。今日の科学技術をもってしてはそういうことはわからない。従ってこの鉱区の設定というものは、やはり一種の錯誤であったというふうに解釈なさることによって、これは変更することができる、あるいは停止することができるわけでありますが、そのような見解をとられるならば、ここに補償という問題も起きてこないし、その間に先ほどおっしゃるように構造性ガス、フリー・ガスへの転換という措置も講ぜられるわけでありますが、この五十二条に対する通産当局考え方は一体どうなんです。
  53. 福井政男

    ○福井政府委員 五十二条の錯誤により鉱業権の許可をいたしました場合に、取り消しまたは変更の処分ができるという規定につきましては、ただいま櫻井先生の御説が出ましたが、私どもこの条項でそういう適用かできるかどうかということにつきましては、過去において研究したこともございますが、これではむずかしいのではなかろうかというようなことで参っておりますが、さらにそういう解釈ができますかどうか研究をいたしてみたいと思います。
  54. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 大臣は時間がないそうでございますので、大臣に一言だけお聞きをいたしておきたいわけでありますが、今日沈下の問題をめくって、実は各方面からいろいろな動きがあるわけであります。特に今高橋委員からの御説明もあったように、二十億四千万円の総事業量としての予算がついたわけでありますが、この中の十一億四千万円というのは県花の負担であります。従ってこれではとても負担にたえないということで、補助率の引き上げとかなんとかいうことが非常に問題になっておるわけであります。政府当局でもこれはいろいろ真剣に考えておられるようでありますが、常に意見が四分五裂する。その原因はどこにあるかというと沈下が続いておるじゃないか、沈下が続いておって、原因をとめないで補助率を上げる、国の費用をたくさんそういうものに投下する、こういうことは矛盾ではないか。まず原因を究明してその上でこの補助率を上げるとか、こういうことであるならば筋が通るけれども、沈下が続いておってそこに原因がある。そういう原因を排除することなしに補助率を上げるというようなことは、理屈としてもはなはだ一貫しない。特に政府部内にもそういう意見があるわけです。そういうことになると、この問題の今日の焦点は、通産省のガス事業に対する態度そのものが、やはりポイントであるというように考えるわけです。大臣は先ほどパイプ・ラインのお話もなさいましたし、構造性ガスに切りかえるということもお話しになった。これは非常にけっこうなことでありますが、しかしパイプ・ラインの問題にしても大臣の見通しであって、実際そういう動きというものはないのです。こんとんとした中においてやはり通産省がそういう施策を具体的にはっきりすることによって、この問題の焦点が明らかになると思うのでありますが、通産省はそういう積極的な御指導をなさって、この問題の解決のために、まず各省の意見を調整なさる御意向がありますかどうか。
  55. 池田勇人

    池田国務大臣 地盤沈下の問題につきましては、先ほどお話し申し上げましたごとく、政府におきましてもまた党の方におきましても特別委員会を設けまして検討を続けておるのでございます。なお、パイプ・ラインの問題につきましても、御承知通り、構造性ガスは最近非常に有望になって、今県の方でも。パイプ・ラインにつきましての検討を加えておるようでありますが、政府といたしましても、既存の産業か将来構造性ガスにたよる分が多いので、パイプ・ラインというものは構造性ガスの開発と同じウエートで考えていかなければならぬと思っております。
  56. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 先ほどもお話申し上げたのでありますか、新潟県内の、地区別に申し上げますと、松浜、見附、長岡、大潟、北蒲原というところに、石油または構造性ガスを噴出し始めた、それはきわめて有望であるということを新聞で見ておるのでありますが、通産省としての御調査によりまして、その埋蔵量はどの程度のものであろうか。この構造性ガスの種類、数量、それから将来の見通しということにつきまして非常に関心を持っているわけであります。それに関して一つお答え願いたいと思うのであります。
  57. 福井政男

    ○福井政府委員 ただいまのお話のように非常に有望な地帯でございますが、ただ構造性のガスにつきましては、どの程度あるかという具体的な数字につきましてはまだはっきりつかんでおりません。これは技術的にはあらかじめつかみますことが非常にむずかしいように、私ども技術屋その他から聞いております。
  58. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 この構造性ガスの採取は、地盤沈下に影響がないといわれておるのでありますが、これを確認する意味におきまして、通産省の御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  59. 福井政男

    ○福井政府委員 私ども考え方を申し上げますと、ガスの採取が地盤沈下に関係があるのではないかといわれておりますのは水溶性ガスでございますので、水を伴っております、その水の大量のくみ上げが影響しておるのではないかという科学技術庁の資料があるわけでありまして、そういう見地から水をとらないように開発をしていきたいというのが、一つの疑念をかけられない処置であるわけでございます。そういう観点から見ました場合に、構造性ガスと申しますのは水を伴っておりませんので、そのガスそのものをとり上げることができますから、地盤沈下に影響がないのではなかろうか、こういうわけでございます。
  60. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 あと質問したいと思っておりました事項は、櫻井委員と重複いたしますので、私これで終わります。
  61. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 昨年の六月二十四日に勧告をなさった科学技術庁の報告の中で、やはり非常に原因が複雑であるために調査は今後続けていく、こういうことを勧告なさっておるわけでありますが、しかしその実は、安藝委員長を中心とする特別委員会というのは解散をしてしまった。そうして中間報告で、一応地下水の大量くみ上げにあるらしいということで逃げて、その後の結論を出していない。従ってこの結論についてはなかなか業者の方としても納得しないで、今盛んに別の角度からこれを調査する、こういう動きもあるわけでありますが、どうしてこの特別委員会というものは解散をしたのか。続けてこれを調査し報告をするという義務があったのではなかろうか、これは科学技術庁長官にお聞きしたいと思うのでありますが、きょうは長官が見えていないので、資源局長にお尋ねするわけであります。
  62. 黒沢俊一

    ○黒沢説明員 ただいまの件につきましては、資源調査会におきましては、新潟地盤沈下調査特別委員会というのをやめましたが、地盤沈下そのものは相変わらずやっております。防災部会の中に地盤沈下小委員会というのを設けまして、新潟だけでなく、東京、大阪、尼崎、川崎あるいは四日市というようなものと同列に扱いまして、新潟のことも相変わらずやっております。その防災部会地盤沈下小委員会という形になりましてから、おおむね一カ月に一回くらいの割合で新潟の記録が十分にこちらに参るように組織ができておりまして、その地盤沈下小委員会の構成は、小委員長東京大学教授の萩原雄祐先生以下二十名ほどの委員を設けまして、防災部会の中でやっております。それで新潟の特別委員会としては、新潟だけにつきまして大ぜいをいつまでも動員しておくということは困難でございますので解散いたしましたが、ほかの区域と同様に取り扱う。実際はやはり中心は新潟にありまして、新潟の記録の収集というのが一番大きなウエートを占めておりますが、そういう工合で、解散したと申しますのは特別委員会だけが解散いたしましたので、資源調査会として相変わらずやっております。この資源調査会の方の全体として、今後は新潟の件をどうするかと申しますが、これは決して忘れているわけではございませんので、地盤沈下全般といたしまして東京なり大阪なり川崎なり尼崎なりということと同時に、資料をいろいろと収集いたしまして、資料が集まり次第またそういう関係のところへはすぐに行き渡りますように、報告あるいは資料として提出するつもりでおります。
  63. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 そうすると調査を続けて、その結果は発表する、こういうことでありますが、どういう方面に発表なさるのか。
  64. 黒沢俊一

    ○黒沢説明員 これまでにもずっと続けて参りました通り、資源調査会の報告あるいは資料というようなものは、科学技術庁長官に提出いたしまして、なお同時に御希望の方面にできるだけ行き渡りますように、大体予算の関係がございますので非常にたくさんというわけには参りませんが、一応五百部ないし千部ぐらいの印刷の部数を予定しております。
  65. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 昨年六月二十四日に中間報告が出たわけでありますが、その後の報告がまとまっているか、あるいはまとまっていないとすればいつごろまとめられる予定であるか。
  66. 黒沢俊一

    ○黒沢説明員 資料の集まり次第ということにしておりますが、ただいままで観測井の記録はずっと続けております。それから水準測量でございますが、これはおおむね三カ月に一回やっております。一番はっきりいたしますのは不動点からつないできた水準測量でございまして、それが現在新潟地区で進行中でございます。新潟地区で今三月末までにおおむね完了するというようなことを聞いておりますが、その結果が整理されて出てきますのが、おおむね五月でございますので、やはりそれを全部整理して出しますのは六月、昨年の六月に報告を出しておりますので、やはり一年ぐらいかかるのではないかと思います。ことしの六月くらいには、新潟のみならずほかの方も見合わせていかなければなりませんが、おおむねそのころではないかと思っております。
  67. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 小岩井鉱山保安局長にお尋ねします。ただいま大臣お話で既成のこれをどうするかという問題は、五月までの調査を待ったのちに、こういう御意向のようでありますが、今日あなたの方で集めておられるデータはいつまでのを集めておられるか。そして五月までのデータが集まったとして、それの収集、整理をするのは大体いつごろになりますか、その見通しについて承りたい。
  68. 小岩井康朔

    ○小岩井政府委員 私どもで観測いたしておりますのは水位の観測と、それから収縮量であります。しかし地盤の沈下に最もはっきり信頼のできる数値は、やはり水準の測量の結果が一番信頼し得る数値であります。私の方では現在一月まで数値がまとまっております。しかし水位の観測数値と収縮量だけで沈下を批判することは私は少し無理ではないか。従いましてぜひともこの地理調でやっております水準測量の結果がほしいわけであります。私の方は一月までそろっておりますが、地理調の水準測量が、もう一週間ばかり前に始められておりますので、おそらくこれが三月一ぱいには完了の予定のようであります。従いまして、その後一カ月くらいでその精査を終わりまして、私はできるだけ急いでいただくつもりでおりますけれども、総合批判は五月の初めごろになるのじゃないか。私どもは私どもの観測なりで一応解析は進めておりますけれども、その数値だけで押し切るという自信は少しございませんので、かねがね申し上げておりますように、ぜひとも水準測量の結果と兼ね合わせて総合批判をいたしたい、かように考えております。
  69. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 その水準測量との兼ね合わした調査というものが完結するのを、大体いつごろにめどを置いておられるのか、これは非常に重大な問題です。そのデータの出てきたいかんによって、先ほど大臣がおっしゃるように規制を拡大するか、規制を解除するか、現行でいくかという非常な問題点をはらんでおるわけでありますから、その統計の完了するのを一体いつごろにめどを置いておられるのかこういうことをお聞きしている。
  70. 小岩井康朔

    ○小岩井政府委員 ただいまのように水準測量が四月一ぱいかかるわけであります。従って、その結果をいただきまして五月早々、私の方は非常に早く観測がまとまりますので、五月当初くらいからさっそく解析にかかりまして、できるだけ早く、五月中ごろまでには解析を終了したいというふうに考えておりますが、測量を地理調の方でやっております関係もあり、多少時間の、ずれもあるかとも思いますが、そうひどくおくれることはないのではないか、かように考えております。従って、結論も、非常に重大な結論ではありますけれども、五月中にはどんなにおそくとも出したい。しかしこれは先ほどの大臣お話のように、非常に重要な決断をするわけであります。従いまして、私どもかねがね申し上げておりますように、私ども自身としましては一カ年くらいのデータがほしいわけでありますが、刻々沈下を続けておるときに、一カ年間のデータを待たなければ結論が出ない、こういう御返事では誠意を疑われますので、はたして一般世間の十分な信頼を得られるかどうかは別にしまして、私どもとしては一年くらい最小限度ほしいけれども、半年くらいのデータで一応解析を続けてみたい、かように考えておるわけであります。
  71. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 鉱山局長にちょっと伺いたいのですが、今お話のように、五月ごろにはデータが出るわけです。このデータの出方いかんによっては非常に重大な展開、発展をさらに遂げるわけであります。そこでこの水溶性ガスというのは、先ほどしばしば話があったように今やっているのは日本だけなんです。イタリアもほとんど五%くらいしか掘っていない。どうしてもやはり日本の天然ガスというものは、フリー・ガスの方に転換しなければならぬという宿命的な段階に来ておる。そこでそういう水溶性を規制した場合に、直ちにそこに支障を来たさないように、フリー・ガスに転換していくという問題が一つ横にあるわけです。それに対して、大臣はそういうふうな大きな政策を持っておられるのだが、実際上あなたの方でどういうふうに指導しておられるのか、フリー・ガスへの転換に対する指導、この点について具体的に一つお示しを願いたい。
  72. 福井政男

    ○福井政府委員 天然ガスを採取いたしております会社の探鉱につきまして、私どもの方としましては、少なくとも新潟地区につきましては構造性のガスを掘るように、また水溶性の場合でございましても非常に深層から掘れば、水の比率が非常に少ないのではないかということで指導をいたしております。さらに先ほど大臣から御説明申し上げたと思いますが、現在の天然ガスの補助金を出しております対象が、水溶性天然ガスに法律上限られておりますが、今回ぜひそれを改めて、構造性天然ガスにも補助金が出し得るように一つ法律を直していただきたいということで、現在準備をいたしております。
  73. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 それは非常に重大な点ですが、その構造性ガスに補助金をつけるという法律はいつごろ出されるのですか、政府の責任で今国会に出すのか出さぬのか、出すとすればいつごろになるか。
  74. 福井政男

    ○福井政府委員 現在御承知のようにあの法律がございまして、この修正に相なるわけでございますが、今国会に出したいということで現在研究を急いでおります。
  75. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 そこで、その法律が出た場合、法律だけでは何の役もしないと思う。それに裏づけとなるところの補助金、構造性ガスを掘るための補助金、こういうものがなければ法律だけができておっても、実際は動かない。従って補助の額を一体どれくらい予定しておられるのか、今年度の予算の中に入っているのか、入ってないとすれば、法律だけ出してごまかそうとするのか、この法律が通ったあと補正なり何なりで、転換に値するだけの十分の金額をつける、こういうお考えであるのかどうか、はっきり御答弁を願いたい。
  76. 福井政男

    ○福井政府委員 御承知のように天然ガスの試掘につきまして補助金を年々出しておりますが、三十五年度の予算におきましても約二千七百万円計上いたしております。この運用によりまして構造性天然ガスに出していく、こういうことに相なるかと思います。
  77. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 それは全く熱意のない御答弁で、二千七百万円というのは水溶性ガスの探鉱の補助金でしょう。今度新たに法改正をして構造性フリー・ガスの探鉱に広げるというわけでしょう。そのときに二千七百万円くらいの補助金では実際何の運用もできません。今日一本掘るのに三千万円かかります。深掘りのG5層のところを五、六百メートル掘るのに一千万円くらいはかかる。一本掘るのに一千万円かかるのに、それを助成するからといって、二千万円くらいの補助金をつけてこれを助成してやっているのだ、こういう考え方は何も実際の問題を解決することにはならない。法律だけを改正してその裏づけとなる予算というものは何もつけてない、こういうことだから、いつまでも地元がもたもたして解決に前進しない。法を改正して構造性ガスを開発するために助成するということになるならば、助成金として一億くらいの予算をつけたらどうですか。そのくらいなければ転換できませんよ。一つ意見を承りたい。
  78. 福井政男

    ○福井政府委員 予算の額につきましては、先生御指摘のように私ども原局におりますものの立場として、全くそういうふうに考えているわけでありまして、ただ本年度は、私どもただいまお説のような見地から大いに努力して参ったわけでございますけれども、予算の額に縛られまして二千七百万円程度になった、こういうことでございまして、さらに来年度大いに獲得に努力いたしたい、かように考えております。
  79. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 先ほど大臣答弁を聞きましても、行く行くは水溶性ガスをフリー・ガスに振りかえるのだ、それからパイプ・ラインもつけるのだ、全くりっぱなことをおっしゃるけれども、何も実行されていないのです。口先だけなんです。あなたの今の答弁を見てもフリー・ガスにかえるということだけはおっしゃるけれども、何らその裏づけとなるものはないのです。大臣もああいうことを言っておられるが、しからばどういうふうに具体的にこれを——ほかのガス田から出ているのをこっちに持ってくるパイプ・ラインを設置するか、そういう具体的な裏づけも何もない。そこにこの問題が今日解決していない大きな原因があるわけです。しかも私はこの問題を新潟地区だけに限って言っているわけではなく、今日の日本のガス産業をどうするかという、これは一つのテスト・ケースなんです。そういう立場に立つならば、しかも将来を約束されている石油資源を凌駕していこうとする天然ガスの開発、実に無尽蔵に、推定埋蔵量は今日憶測することはできないといわれている。そういうものを日本の国土の資源開発という面から、通産行政の総合的な立場から、あなた方はもっと熱意を持って開発していかなければならぬと思う。ところが構造性に切りかえますけれども、法を改正します、その裏づけとなるものは一本の井戸を掘るにも足らぬ予算をつけて、これでもってやっていくのだ、こういうことでは納得するはずがない。もう少しあなた方は大臣のおっしゃることを首肯するという立場に立つならば、もっと努力をなさってしかるべきだ。そういうところに今日のこの問題のぼやけたところがあるのであって、局長さんたちが一番の第一線に立っておるわけですが、あなた方の熱意いかんというものが、今日の問題解決の焦点でしょう。  そこで、もう一点お伺いしたいのですが、ただいまの二千何百万円の予算の中でやっていきたいということになると、水溶性に対する補助は打ち切って、今度はフリー・ガスの方に向ける、こういうことですか。それとも水溶性ガスとフリー・ガスと両方とも補助を出す、こういうわけですか。
  80. 福井政男

    ○福井政府委員 補助金の対象は構造性、水溶性ともに入っております。御承知のように、ほかの地区でも水溶性のガスもやっておるところもございますので、今後またそういう地点につきましては、対象になり得るものも出てくるとは思いますが、新潟地区につきましては、私ども構造性ガスを中心にしてぜひ考えたい、かように考えております。  それから先ほどお話がありました点につきまして、ちょっと補足させていただきたいと思いますのは、構造性ガスの開発につきまして、補助金が問題になりましたので、補助金だけの額を申し上げましたが、私ども考え方としましては、もちろんこの開発を促進するという意味で、たとえば新潟地区でございますれば、北海道東北開発公庫の融資対象になるようなものにつきましては、できるだけここから融資をしていただくということで進んでおりますし、大きいものになりますと、新潟の融資の対象になるものも出てこよう、かように考えております。
  81. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 大体わかりました。そこで事態は非常に急を要しているわけです。先ほども鉱山保安局長が言われるように、五月、六月か一つの山だ、そういうときにこれはやはり転換が可能な態勢にならなければいけない。そのためにはやはり構造性ガスの探鉱、採掘、こういうものに重点を切りかえなければならぬ時期に来ている。これは新潟だけでない。日本の天然ガスの資源というものは、構造性に移行しなければ世界の進歩に追いついていけない。そういう点から見ても、この六月を契機としておそらく水溶性ガスは規制されると思う。そうしなければ日本はガス産業において落後していきます。そういう意味からも、また地元における摩擦を避ける意味からもいつでも構造性に転換できる、こういう態勢をとることが最も望ましい。そのためにはあなたがおっしゃるように、補助金はわずか二千何百万円しかついていない。それを打開する道としては、やはりそういう構造性ガスの転換、探鉱、採掘に対する大幅な国の金融の融資あっせん、こういうものが大きくこの状態を転換させる要素になるので、あなた方鉱山局あたりは、一つそういうのにもっと熱意を持って、構造性ガスに将来転換していく、混乱を起こさない、そういう点に、さらに一段の努力を要望いたして質問を終わります。
  82. 中村幸八

    中村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。     午前十一時五十五分散会