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1959-12-03 第33回国会 参議院 文教委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月三日(木曜日)    午前十一時三分開会   —————————————   委員異動 十二月二日委員東隆辞任につき、そ の補欠として棚橋小虎君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     相馬 助治君    理事            北畠 教真君            近藤 鶴代君            吉江 勝保君            松永 忠二君    委員            大谷 贇雄君            迫水 久常君            杉浦 武雄君            野本 品吉君            二見 甚郷君            荒木正三郎君            千葉千代世君            豊瀬 禎一君            常岡 一郎君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 松田竹千代君   政府委員    文部大臣官房長 齋藤  正君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省体育局長 清水 康平君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件教育、文化及び学術に関する調査の  件  (岐阜県における教職員組合専従  制限に関する件)   —————————————
  2. 相馬助治

    委員長相馬助治君) これより文教委員会開会いたします。  委員に一部異動がありましたので報告いたします。  昨日、乗隆君が辞任棚橋小虎君が選任されました。   —————————————
  3. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 本日の委員長及び理事打合会経過について概要報告いたします。  本日の案件といたしましては、まず、岐阜教職員組合専従制限に関する条例について取り上げることにいたしました。なお、これに関して実情調査のため議員を派遣すべしとの意見もありましたが、これは慎重に研究して処置することといたしました。次に、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案及び日本学校安全会法案の質疑を継続することにいたしました。  以上の通り、取り運ぶことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 御異議ないと認めます。  それでは、岐阜教職員組合専従制限に関する条例の問題を議題に供します。
  5. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 資料要求をしたいのですがね、条例内容をすぐ出してもらいたい、今あれば。なければ、でき次第出してもらいたい。
  6. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 承知いたしました。開会前に官房長に私から話してあるので、おそらく今準備中だと思います七
  7. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私は去る十一月二十八日、岐阜県の県議会において制定されました、職員給与勤務時間その他の勤務条件に関する条例の一部修正によるところの、職員団体業務にもっぱら従事する職員に関する条例につきまして質問をいたしたいと思います。  その具体的な内容に入る前に、まず大臣お尋ねいたしたいのですが、大臣は去る七月三十一日の本委員会におきまして、この問題に関しまして次のような答弁を行なっております。「これは戦後各省にまたがる諸種の立法措置が全面的にこれが整備、調整されて、合理的にこれらの問題に対して対処することができるようにならなければ明確にならないというふうに私は考えておりますが、今ここで専従を何人に対してどうするというようなことについては私にはお答えはできませんが、要するにちぐはぐになっているいろいろの問題は、これは結局全面的に現在ある立法条例等のことを総合的にそうしたことのないように調整された暁でなければ、明確な解決はつかぬ問題があるように私には考えられるのであります。」このように答弁いたしておるのであります。さらに、九月の一日の本委員会におきましては、大臣は「文部省といたしましては、他の方面、すなわち、国家公務員地方公務員その他の方面にも関係がございまするので、関係各省ともよく協議を重ね、十分各省問調整を待ちまして、その上で実施をしていきたいと、かように考えておる次第であります。」さらに、「まずもって十分に検討をしていきたい。むろん、各省間との調整を完全にはかることができませんければ、実施するという考えはないわけです。」さらにやはり、そういう点について各省との調整もでき、一応の考え方が成り立ってから具体的に実施をするということが妥当だと考えておられると判断をしてよいかという松永委員質問に対して、「さようでございます。」このようにこの問題に対して大臣答弁されておるのですが、現在もなおこの考え方に変更を来たしていないかどうかをお尋ねいたしたいと思います。
  8. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 今もなお検討中でありまして、いまだ結論に達しておりませんから、今なおさように大体考えておる次第であります。
  9. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そういたしますると、文部省としての考え方は、さきの委員会回答通りということでございますので、少なくとも本問題に関する限りは、ある県が単独制定をしたり、あるいは教職員だけに、他の公務員あるいはその他の省との関係を抜きにして制定されることは好ましくない、こういう考え方に立っておると思います。ところが、冒頭に申し上げましたように、岐阜県におきましては、去る二十八日、本条例制定されたわけでございますが、この条例案文は、冒頭荒木委員から要求いたしましたが、現在文部省の方にございましょうか。
  10. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ございます。
  11. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 資料配付要求はあっておりましたか。
  12. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私今ここへ来て伺っただけで、私の分はございますけれども資料を私が来てからの御要求がなかったので、まだ取り寄せておりません。
  13. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 この条例制定される前後に、内藤局長岐阜県のある会合に出席し、さらに県教委吉久教職員課長とかいう者と会談をしたように現地ではいっておりますが、本条例制定される前に局長は本問題に対して関与したかどうかをお尋ねいたしたいと思います。
  14. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 本問題について私何ら関与いたしておりません。先ほどお尋ねがございましたから、ちょっとこの機会に申し上げさせていただきたいと思いますのは、ちょうど二カ月ほど前から、実は岐阜県で町村長町村会議長教育委員長教育長、この市町村関係教育責任者研修協議会をいたしたい、そこで現下の教育行財政の諸問題についてお話をしてくれということで依頼がありました。私は国会開会中でございますから、なかなか出にくいということを話しておりました。ただ、土曜日は慣例によって委員会もないことだし、土曜言ならあるいはお伺いできるのじゃなかろうか、こういうお話をしておりまして、私の希望で二十八日という日がきまったわけです。そこで私案は二十八日の「第一こだま」で参りまして、名古屋に着きましたのが十一時三十五分でございます。それから会場が一時から会議が始まりますので、私は某食堂に寄りまして食事を早々にいたしまして、十分ほど遅刻いたしましてようやく一時に会場に達したという状況でございまして、私が何か関係があるようにお話されるのは、私大へん遺憾に思いますので、この点は御了承いただきたいと思います。
  15. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 現地の新聞の報ずるところによりますと、前夜自民党の幹部数氏は教育委員を呼びつけて、この問題に対して強硬に実施要求し、教育委員会教組にその数日前に、十一月県会においては本条例の提出は好ましくないという正式回答をしておるので、はなはだ困るという見解を申し入れたけれども、同時刻ころには大野伴睦とかいう国会議員あるいは内藤とかいう文部省局長、こういう人たちが一堂に会して相談の上に提出したようにいっておりますけれども、まあ局長は知らぬということでございますが、吉久教職員課長内藤局長というお方にお会いして相談したようにいっておりますが、吉久教職員課長県教育委員会委員が会った内藤局長というのは、今大臣の横にすわっておられる局長ではないのですか。
  16. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) どうもこれは非常に事実と相違するように私思いますので、私先ほど申しましたように、私は「第一こだま」で行ったわけです。ですから、前日の会合がどこにあったのか全然知りませんし、それから教育委員さんにも私全然お会いしていない、同日は県会がございまして、委員長教育長県会に詰めっ切りでございまして、この席には見えなかったわけでございます。ただ教育長開会のあいさつに二分間だけおいでになって、すぐそのままお帰りになったというだけでございまして、私は委員のどなたにもお目にかかっておりませんし、教育長にもお目にかかってお話はいたしておりませんので、この点は御了承いただきたいと思います。
  17. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 一応了解いたします。局長のお手元にあるところの条例というのは、どういう手続で入手されましたか。
  18. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 昨日、知事公室次長と県の教職員課長がこの案文を持って参りまして、その経過を伺ったわけでございます。
  19. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 この条例を見られて、従来の大臣並びに局長の本委員会における答弁ないしは態度に照らして、この条例をどういうふうに考えておられますか。
  20. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 条例の中身につきましては、大体教育長協議会なり委員長協議会でおきめになったことにほぼ近いわけでございまして、ただ異なっておりますのは、委員長協議会できめました中には、専従休暇というものを休暇扱いにしないで、休職にすることが妥当である、これがこの案では違っております。それからいま一点は、経過規定として、千人に一人じゃなくて、一年の問は七百ということになっておりまして、一ぺんに千人というふうにはいたしておりません。それから三年をこえることができないというふうになっておりますが、経過規定の方を読みますと、来年の四月一日からさらに三年間はいいように見受けられるのでございます。こういう点が委員長協議会教育長協議会の案とは違うように見受けられるのでございます。
  21. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 委員長協議会教育長協議会の案と違う、ということを答弁しておられますが、私が聞いておるのは、本委員会における文部省の今日までの見解、これとの相違を聞いておるのですが、今のあなたの御答弁を聞いておると、大体教育委員長協議会教育長協議会のあの案、考え方というものは、あなたが指導して作らせられたように今の答弁では受け取れるのですが、前段と後段について明らかにお答え願いたいと思います。
  22. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 何か私が教育長協議会なり委員長協議会を指導して作ったというふうにお考えになっておりますことは、これは私ども大へん遺憾に思います。これらの点につきましては、すでに当委員会でも木下教育委員長あるいは委員長協議会の会長さん、あるいは都道府県教育長協議会幹事長である本島さんをお呼びになって、十分その真意はお開きになったと思うのです。私が今申しましたのは、その案とそれから岐阜県が現実にお作りになったこの条例との、その相違を申し上げたわけでございます。私ども教育長協議会試案あるいは委員長協議会試案の線は、これは私ども大臣も大体妥当であるという見解を前から表明しておった。ただ、これを全国的に実施するには、これは国家公務員地方公務員全体との関連があるから、十分中央検討してほしいという御要望を受けておりますので、その御要望の線に沿って、ただいま関係官庁で慎重に検討を続けている段階でございまして、私どもは積極的に今こういう案を全国的に実施しようという考えは持っていないのであります。
  23. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 だから、そういう見解を持っておられるのに、この条例ができておるということに対してはどう考えますかということを聞いておるのに、あなたが委員長協議会内容と違う答弁をされたから、そういうふうに了解したのです。現段階において大臣も従来の線と変わらないと、こう言ったし、あなた自身も今の答弁から聞くと、従来の見解と変わらない。そうすると、岐阜県が単独に作ったというものに対してどう考えられますか。
  24. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは地方自治体建前でございますので、私どもが今これについてとやかく申し上げる段階ではないと思っております。
  25. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あなた並びに大臣は、各県ばらばらに作るのは好ましくない、従来こう言っておられます。岐阜単独で、先ほどのいきさつをあなたの答弁で一応了解いたしましたけれども単独でこういう条例を作ったということに対しましては、少なくともあなた方の従来の見解が変わっていないとすれば、またその見解に対してあなた方が忠実であるとすれば、好ましくないと当然考えられてしかるべきだと思うのですが、もちろん権限関係につきましては、私もあなたの答弁を待つまでもなく、地方自治体の独自の権限があるということは承知しております。しかし、従来の大臣並びに局長答弁からすると、好ましくない現象と当然断定さるべきだと思うのですが、この点はどうですか。
  26. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) こういう考え方は、従来から教育長協議会なり委員長協議会から要望されている線でございますので、内容自体についてはおおむね妥当ではなかろうかと考えておるのでございまして、文部省側がこれを積極的に御指導するような段階ではない、こういうことでございます。
  27. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 先日も大臣答弁がいわゆるのらりくらりとして誠意を欠いた点についてしかりを受けましたが、(笑声)局長も当然理解をしておりながら、質問内容と違う答弁を意図的にやっては困りますよ。僕が聞いておるのは、従来の見解と食い達っておるが、それを従来の見解通り考えるかどうかということを聞いているのです。この点を委員長協議会の線からどうはずれておるかとか、そのことをどう思うかということを聞いておるんじゃない。大臣並びに局長が従来本委員会において答弁した見解が変わらないと大臣は言ったが、その見解に当てはめて本条例制定という事態を見ると好ましくないという結論冒頭大臣答弁で出てきたが、その通りであるかどうかということを聞いている。もう一度まじめに答弁してもらいたい。
  28. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私どもはこの条例内容について先ほど来申し上げましたように……。
  29. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 内容を聞いているんじゃない。
  30. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) それですから、態度を申し上げているのです。
  31. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 最初から態度を言いなさい。
  32. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 一つ聞いていただきたいと思います。私どもとしては、この内容法律違反とかなんとかということならば、これはいかぬと思いますけれども内容自体法律違反でもないと思っております。それで、従来私ども関係官庁で十分慎重に検討を続けておりますので、文部省として積極的に地方に指導するような段階ではないということを申し上げてございます。しかし、各県が独自の見解でおやりになったことについてとやかく言う筋合いでは私はなかろうかと思っております。
  33. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 条例の三十一条によりますと、勤務時間について規制をいたしておりますが、勤務割り振り任命権者が決定するようになっておりますが、教職員の場合の任命権者県教委考えますが、この条例はその意味において三十一条は妥当であるかどうか。
  34. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ちょっと、今お尋ねの三十一条というのはどれをおっしゃるのですか。
  35. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 条例の……。
  36. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) あなた、お持ちなんですか。先ほど資料要求がありましたので、私お持ちでないかと思ったのですが、岐阜条例ですね、三十一条の何項ですか。
  37. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 四項です。
  38. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 齋藤官房長資料配れるでしょう。
  39. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 先ほど御要求がございましたので、印刷をするように連絡をいたしました。これは余分にあるものではございませんので、その所要時間はお許し願いたいと思います。
  40. 相馬助治

    委員長相馬助治君) まだできてこないということですね。
  41. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) まだできておりません。
  42. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 任命権者と申しますのは県教育委員会だと思います。
  43. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうしますると、任命権者勤務時間の割り振りをきめるように条例制定されておりますが、文部省訓令次官通知等による——昭和三十三年六月十四日ですか、訓令四号の二条の趣旨に照らして、三十一条の第四項はどういう見解をとられますか。
  44. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私その訓令をちょっと今ここに手元にないのでございますが……。
  45. 相馬助治

    委員長相馬助治君) なお、豊瀬君、資料手元にありませんので、第何条ということをおっしゃると同時に、その第何条の意味をも概略つけ加えて発言して、各委員が審議に便になるように御質問下さるように御努力下さい。
  46. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 承知しました。三十三年六月十四日の訓令四号二条によりますと、「国立学校教員教特法教員の適用又は準用を受けるもの)の勤務時間については、その勤務の態様及び内容に応じ、それぞれ当該学校の長がこれを別に割り振ることが出来る」さらに昭和二十四年二月十六日の次官通知によりますと「あくまで教育効果をあげ、教員素質低下をきたさないようにすること、又一週の時間割振りを学校全体で一律に定めることを要せず、教員個々についてこれを定め得る」としたこの趣旨からして、任命権者が月曜から土曜までの六日間において職員勤務時間の割り振りをするように岐早県条例三十一条四項に制定されましたが、この訓令通達趣旨に合致するか違反するかをお聞きしておるわけです。
  47. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 別にこれとは抵触も違反もいたしてないと存じております。と申しますのは、ここで任命権者が月曜日から土曜日までの六日間において適当に割り振りするわけですが、さらに任命権者はこれを今後どういうふうに訓令をするか、これは任命権者のお考えだと思うのです。文部省が、文部大臣がみずからきめるのを、今訓令によって直轄各部校長なり学長に権限を委任しておる。同様に、教育委員会がこれについてどういうふうになさるか、今後教育委員会責任において再委任等が行われると思うのであります。
  48. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 この訓令通知趣旨からしますと、人体当該学校長がする、あるいは学校一律あるいは教員個々についてこれを定め割り振りをしていく、いわゆる学校自体の運営に立ってこれをきめていくことが望ましいことである。これが訓令趣旨だと思うのです。それを従来は校長が月曜から土曜までの六日間において行なうという条例があったのを、県教委が、任命権者がきめるようにしたことは、明らかにこれは公立の、国立学校に出されたものでありますけれども、この訓令趣旨に反しておると私は考えるのですが、趣旨と申しますか、精神に反して校長権限で定めておったものを、任命権者に変えたことが訓令趣旨に反すると思うのですが、この点はいかがですか。
  49. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) お話のように、国立学校につきましては文部大臣命令権を持っておりますので、そういう意味文部大臣訓令を化したわけでございます。今回の場合は、県の教育委員会がこの条例に基づいて市町村の数台委員会に委任する事項もあるでしょうしあるいは学校長に委任する事項もあろうかと思うのでございまして、この条例自体から私は訓令趣旨が違うということには相ならぬと思うのです。この規則条例に基づいてもちろん次官通達なりあるいは文部省訓令趣旨を生かされるものと考えております。
  50. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 なかなか理屈はうまく成り立つものだと思うのですが、そう一歩護ってみまして、任命権者勤務時間の割り振りまで行なうということになると、超過勤務を行なった場合ですね、当然この条例に従って任命権者が支払うべきだと思うのですが、この点はどうですか。
  51. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 超過勤務が出ないことが建前になっておりますので、教員につきましては超過勤務という実態があってもこれは従来から超過勤務手当は支給しないという関係になっているわけでございます。なるべく超過勤務のないように時間の割り振りをすべきものと考えております。
  52. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 時間の割り振りはそうういうふうにすべきものでありましょうけれども任命権者が時間の割り振りまできめるということになると、現在あるところの法規、諸規定の中からは当然私は条例に従って超過勤務を行なった場合には超過勤務は支払わなければならない義務が生じると思うのです。ここにこの点につきましても重大な問題があると思いますが、三十一条はその程度にいたしまして、次に移りたいと思います。  条例の第四十一条によりますると、先ほど局長が言われたように、専従休暇に関する規定を行なっております。「職員は、職員団体業務に専ら従事する場合には、公務支障のない限り、人事委員会規則の定めるところにより専従休暇を受けることができる。2、専従休暇を与えることのできる職員の数は、職員団体構成員となることのできる職員の総数を千で除して得た人数(一人に満たない人数の端数は一人とする)をこえることができない。3、専従休暇の期間は、一日を単位として一年をこえない範囲内とする。ただし三年をこえない範囲内でこれを更新することができる。」これが四十一条の専従休暇に関する規定ですが、まず前段は差しつかえないとして、第二項の職員団体専従者の数を規定している問題であります。この問題につきましては、従来私どもは、この職員団体専従する役員の数を法律であれ、条例であれ、これを制限することは第一には憲法二十一条並びに二十八条に違反するし、また現在批准することが望ましいという政府見解をとっているILO条約趣旨にも反するということをしばしば述べてきたわけです。憲法二十一条には明らかに結社の自由を認め、二十八条には団結権、あるいは団体交渉権を約束いたしているのであります。ところが、職員団体役員は今日まで私どもが主張して参りましたように、その団体趣旨目的並びに必要性に応じてその団体自身判断をして選出すべきものであります。これを文部省県教委、あるいは法律、諸条例によって制定をするということは明らかに憲法に保障された団結権団体交渉権等の基本的な団体権限に干渉することになるわけであります。たとえば私のおりました福岡県におきまして二万数千名の教職員職員団体を作っておりますが、この組合が、役員が何人おり、組合目的を達成するためにどういう人数の人間がおるということはILO条約八十七号によるところの、「労働者団体及び使用者団体は、その規約及び規則を作成し、完全な自由の下にその代表者を選び」としておる規定、並びに第二項の「公の機関は、この権利制限し又はこの権利の合法的な行使を妨げるようないかなる干渉をも差し控えなければならない。」もちろん批准はいたしておりませんけれども、この精神というのは国際間ですでに尊重されておるし、政府も批准することが望ましいことであるという見解をとっておられることは御承知の通りであります。この趣旨からいたしまして、明らかに法律制定することが望ましいという見解をとっておった文部省考え方に照らしましても、条例が突然制定されたということは憲法違反であるし、さらにILO条約精神にもとるものであると考えるのですが、この点に関しまして大臣はどういう見解をとられますか。
  53. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 今のお尋ねに対して私からお答えしますが、御趣旨の点、全く私ごもっともだと思うのです。職員団体の結成について自由であるし、役員の選出もお話通り自由であります。しかしながら問題は、これは、専従休暇をとるという建前をとっておりまして、専従休暇公務支障のない限り与えることができるという、公務支障があるかないかという前提がついておるわけなんです。この専従というようなそういう制度がないなら私もあなたの御趣旨と全く同じだと思うのです。で、どれだけの役員をおきめになり、どれだけのもっぱら従事する人をおきめになるのも自由だと思う。ただ問題は、公務支障があるかないかという点で専従休暇を許可する。その場合に、公務支障があるかないかという限度をどこで押えるか、こういうことになろうかと思います。そういう、公務支障があるかないか、あまりに人数が多いと、これはそれだけ定数を食うという点で行政上困る、また年限が長過ぎると、現場に復帰するということがないならこれはお話通り何年でもけっこうですけれども、現場に復帰して教育の授業を担当するということになりますと、あまりに現場から長い期同離れておることは、これは適当でない、こういう点でこの条例ができておるものと思います。そこで、千人とか、あるいは三年を限りとかいうことになっておるのでございまして、この点は教職員という身分を持ったままで専従休暇を得ているという特殊事情に基づくものでございまして、これが今お話組合の問題とは私は別の問題だと思っておるのであります。
  54. 岩間正男

    ○岩間正男君 議事進行。今のようなILOの問題になっているのは、これは政府見解を聞かなくてはならない。従って、文部大臣質問しているんですよ。それを局長が横取りした形で答えちゃまずい。これは文部大臣の政治的見解を聞いておる。それについては、当然やはり文相から発言してもらいたいと思うのです。委員長の方でそういうふうに計らってもらいたい。今のような学校内部のそういうことだけでILOの解釈がされたら大へんなことになる。そういう見解じゃだめです。
  55. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 岩間君の話に全く同意見です。私は大臣質問いたします。  今の問題に関連してILO条約と、この岐阜県の条例の内答、これはILO条約違反している、私はそういう見解をとっておる。その点について大臣にただします。このILO条約八十七号、これは非常に現下重大な問題になっております。政府も先般——私も予算委員会質問したのですが、ILO条約八十七号は批准をする、こういう方針を政府として決定しておるわけです。ただ、全逓等の役員問題に関連してこの問題が解決しないのでまだ批准ができない、こういうことでありますが、八十七号批准ということについては、すでに政府態度を決定しておるわけです。その八十七号と、それから今回制定されました岐阜県における専従者の規制に関する条例ですね、専従者を規制する、いわゆる人数を規制するとか、あるいは専従者の期間ですね、何年にするとか、そういう条例内容は、私は八十七号に違反しておると考えておる。その点について、文部大臣はどのようにお考えになっておりますか。
  56. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) ILO八十七号の批准はまだ決定しておらないのであります。その段階におきましては、各自治体がそれぞれの自主性に基づいてやることでありまするから、それに対しては文部省としてはとやかく申す筋合いでない、かように考えておるわけであります。
  57. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ILO八十七号の批准について、政府の方針は決定されました。これは正式な発表になっておる、批准をするという方針を決定されておるわけなんです。批准をするという方針は決定されている、大臣御存じないのですか、なければこれは総理大臣かあるいは関係の労働大臣から私は説明を聞く必要がある。批准をすると、私は質問をしてそういう答弁を待ている。ただ、その時期が国内法の調整等で若干おくれる、こういうことは言われております。しかし、批准するという方針は決定されておる、ILOの総会においても政府代表はそういう発言をしているわけですから、方針を決定されていないということは大胆思い違いじゃありませんか。
  58. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私は方針が決定されていないとは申しておらぬ。今も申しておらぬ。批准されておらぬということを申し上げております。政府としてもいずれILO条約の批准もされるであろう、そうなることも私は好ましいことと思っております。で、いまだ批准されておらない現在の段階においてと、かように申し上げたわけです。
  59. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで私はお尋ねをしているのは、この八十七号の規定ですね、特に今豊瀬委員から読み上げられた第三条第一項、第二項の規定、これは先ほどお話しになりましたから繰り返しませんが、この第三条の規定岐阜県で作られた条例違反している、こういうふうに私は見解をとっているわけです。大臣見解を私は聞いているわけです。
  60. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私は、ILO条約はいまだ批准されておらない現段階において、そうして従来からの慣行等もありまするから、先般の教育委員長教育長会議において定められた線に基づいて、岐阜県がその自主性に基づいて決定されたことに対して、文部省としてはこれはとやかく申す筋合いでないということを申し上げたのでありまするが、もちろん私は豊瀬委員から申されたように、各府県があまりまちまちな条例をこしらえてやるということよりは、いずれILO条約が批准され、またその前に国家公務員地方公務員その他関係各省の諸法令が一応整理された暁において、そろして各府県とも大体一応の方針で専従問題に対する措置をとるということの方が望ましい、かように考えております。
  61. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私の質問しているのは、ILO条約違反しておるんじゃないか、こういう質問をしておるわけなんです。それでILO条約を日本は批准するか、しないかわからないなら、こういう質問はいたしません。しかし、そういう方針を決定しているんですから、いずれ私は近いうちに政府は批准する、こういうふうになるんじゃないか、こういうふうに見ておるんです、政府の今までの言明からいって。ですからこの条例が……現在ILO条約が批准されているということは私は言っておりません、しかし、そういう方針が決定されておるので、その規定違反しているんじゃないか、違反しているような条例が今日作られるということは、私はよろしくないというふうに考えておるわけなんです。そこで、大臣質問しているのは、このILO条約八十七号にこの条例違反しているかどうかということについて、私は大臣見解を聞いているわけなんです。それをお答えを願いたい、違反しているのか、していないのか。
  62. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) ILO条約が批准されるであろうということが想定されまするけれども、いまだ現段階においては批准されておらない。批准されておらないということと、将来されるであろうというところに大きな違いがあるんです。従って現段階においては、岐阜県が自由に条例をこしらえ定めることに対して、私どもとしてはこれをとやかく申し上げない、従って違反しておるということは申し上げられない。
  63. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、同じ答弁を繰り返されるので、同じような質問をするということはどうかと思うので裏側からお尋ねいたします。そうすれば、ILO条約が批准されていない現在であるから、こういう条例を作っても差しつかえない、こういう文部大臣見解のように聞くわけなんですがね。そうすれば、ILO条約が批准されておったならば、こういう条例はよくない、こういうふうにとれると私は思うんですがね。その点の見解を一つお聞かせを願いたいと思います。
  64. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私はILO条約が批准された暁においては、専従問題というようなものはおのずから解決されて、こういう問題は起こらない、かように考えております。
  65. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 だから、こういう問題が起こらないということは、ILO条約が批准されれば専従者を規制する——特に私は、期間の問題について規制するということはできないことである、こういうふうに考えておるわけなんです。それは大臣も司意見であるというふうにとってよろしいですか。
  66. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私はILO条約が批准された暁は、こういう問題は起こらないということは、専従問題は起らないということです。
  67. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 こういう問題が起こうないということは、専従者を規制するような条例というようなのは必要なくなってくると……。
  68. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) ILO条約が批准された暁は、私は専従というような問題は起こらぬ、端的にいえば、なくなってしまう、こう考えております。
  69. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大臣、はっきり言ってもらわぬと、この点は重要ですかう……専従ということが起こらぬということは、専従者はなくなるというふうにもとれますからね、専従者はなくなってしまうんですか、ILO条約八十七号批准によって。
  70. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) ILO条約が批准された暁は、教職員の職にあって休暇とか何とかいうものをとって組合役員の仕事に専従するというようなことはなくなるという私は考えです。
  71. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それはいまだかつてそういう解釈を聞かされたことは、私は聞いていないわけです。ILO八十七号を批准しても専従者は依然としてあります。専従者がなければ組合活動はできないんですから、だから専従者はある、その専従者がいわゆる教員の中から選ばれるか、教員以外から選ばれるか、それはもう自由になるわけです。八十七号を批准すれば、組合員以外から序従者を選ぼうと、それを規制することはできないというのが八十七号の趣旨ですからね。しかし同時に、今までのように教職員の中から専従者を選ぶ、これは当然自由なことなんです。だから、専従問題が全然起こらない、あるいは専従者はなくなってしまうんだ、そういうことは大臣ちょっと考え違いのように思いますが……。
  72. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私は考え違いじゃないと思っている。つまりILO条約が批准ざれた暁には、教職員という職を持ちながら組合役員専従するというようなことはなくなってしまう。(「いやいや大へんな違いだ」「とんでもない」と呼ぶ者あり)
  73. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これはまた別な問題に発展をしていく。それでは内藤局長から今の問題答弁して下さい。そういうことは考えられないのです。
  74. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ILO条約批准に際してどういう態度をとるかということは大へんむずかしい問題でございまして、今政府部内でも身長に検討を続けているわけですが、その一つの議題として個室公務員地方公務員は別であるという意見も一部にあるわけです。それから、別であるという意味は、一般の労働組合はもちろん条約が批准されればその適用を受けるわけでありまして、国家公務員地方公務員は条約から排除すべきである。というのは、公務員たる特殊の性格を持っておるからこれは別だという意見が一部にあります。それからもう一つは、国家公務員地方公務員も含めて批准すべきである、こういう意見もあります。世界の慣行を見ますと、公務員が別であるというのが相当現実にあるようでございます。この場合に、それではこのILO条約国家公務員地方公務員に及ぶという場合に専従という制度が残り得るかどうかという点は、これもいろいろ御見解があると思う。で、一つの見解としては公務支障がない限り専従休暇を許可することができるという、こういう官側の許可ということは制限意味するものでございます。従って、この点は条約の精神違反しないかどうかということが問題になる。条約は結社の自由と机互不介入の原則をきめている。相互不介入の原則かう見ると、専従休暇の許可は、公務支障があるかどうかという判断に立って許可するという行為は、これは組合に対する介入ではないかという意見も一部にある。ですから、こういう点でILO条約批准に際して専従問題が当然再検討されるべきものだ。今大臣がお述べになったのは一つの見解だと思います。
  75. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは、内藤局長は一部の意見というふうにしてお述べになっている。しかし、従来政府はこのILO条約の問題については労働問題懇談会の結論を待って善処したい、こういう方針である。これは政府の方針である。そこで、労働問題懇談会においてはILO条約八十七号批准については相当国内法規等も検討しております。そうしてその答申の、私はここに内容を持っていますが、当然IL O八十七号の批准に際しては公共関係だけでなしに国家公務員地方公務員関係においても関係がある。そうしてその上に立って国家公務員法、地方公務員法を検討しております。そうしてその検討した見解というものを出している。私はこれらは一部の意見というのじゃなしに、私は大体政府も承認する意見じゃないかというふうに考えるのです。ですから、今内藤局長が一部の意見として国家公務員をはずすということは、これは政府の方針として言い得ないことであるというふうに考えております。少なくとも八十七号を批准するということになれば、公共関係だけでなしに公務員関係法律についても検討される。その結論はここに述べておりますように、御承知のように現行の公務員関係法律をこの際ILO八十七号批准によって改正する必要はないだろう、こういうことを言っておるのです。これは若干私どもとしては問題はあると思いますが、一応それを認めるとしても、しかし、職員以外の者の団体に加入することを禁止するというふうな取り扱いを受けるとか、あるいは専従者を規制する、こういう問題をもし法の内容規定しておるものとすれば、これは八十七号違反であるということをここに明記しているわけですね、きっちり意見を出している。ですから、私は八十七号の条約を批准すれば、これは専従者の問題について、その期間を制限すると、こういうことを法律できめるなり、あるいは条例できめるということは八十七号違反であると、こういう見解をとっておるわけです。それに対して、政府違反でないという見解をとっておるのかどうか。まあ大臣にしつこく尋ねたのですが、大臣はその点についての答弁はないわけです。だから、その点を補助的な立場にある局長から答えてもらいたい。いまだ政府として正式な見解がないならない、違反していないというならこの委員会を通じて明白にしてもらいたい。この問題は今でも国際的に問題になっておるのです。ですから、明確にしておく必要があると思いますので、ここではっきりおっしゃっていただきたい。
  76. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ILO条約の批准に際して、国家公務員地方公務員の地位というものは、これは明確にはなっていないのです。労働問題懇談会というお話がありましたが、労働省は国家公務員地方公務員は私どもの所管でないからという、こういう立場をとっているわけです。ですから、国家公務員地方公務員ILO条約の対象になると、こういう前提がまだ固まっていないわけです。そこでその場合に、ILO条約を批准した場合に、専従問題というものを当然再検討されると思う。大臣が先ほどおっしゃったのは、諸外国では、私どもの調べた範囲では専従休暇というような制度がない。もちろん役員に選任されれば当然職を退いてそして役職についておるわけです。ですから、ILO条約批准に際して国家公務員地方公務員の地位がそのまま適用になるかどうかという第一の問題をまず政府は解決しなければならない、その後に専従の問題をどういうふうに扱うという、こういう幾つかの前提がありますので、この地方公務員についての岐阜条例ILO条約違反するかどうかという断定を下す時期ではないと思う。
  77. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 すると、政府見解はまだきまっていない、こういうことなんですか。
  78. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 国家公務員地方公務員について地位、ILO条約との関連についてはまだ決定しておりません。
  79. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大臣もそういうふうに、今内藤局長答弁をもって政府答弁というふうに考えてよろしいですか。
  80. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) よろしいです。
  81. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうするとこの問題は、政府がそういうふうに考えておられるとするならば、問題が今後起こってくると思いますが、政府態度をきめていない、ILO条約八十七号批准に伴う国家公務員地方公務員に対する影響というものについて、どういう影響が実際的に起こってくるかということについて政府態度を決定していないと、こういう前提に立っても、そういう段階にこういう条例を作るということは、これは行き過ぎであると思う。批准後に、この条例というものは八十七号違反という結論が、一歩譲っても、出されるかもしれない、そういう段階、しかも八十七号批准は目腱に差し迫っておる、こういう段階においてこの条例を強行するということは、私は行き過ぎであると思うが、どうでしょうか。
  82. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 今お話のように、ILO条約批准に際して、国家公務員地方公務員の地位が決定していないわけですから、決定したときにおいてどういう決定の仕方がなされるか、そういうものがわかりませんので、それはILO条約が正式に批准され、国家公務員地方公務員の地位が明確になったときに結論が出ることだと思っております。ですから、その前の段階においてこの条例がいいとか悪いとかいうことは私は言えないと思っております。
  83. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 今荒木委員から述べられたように、すでに批准の方針は政府において正式に決定しておる。そうして先ほどからも述べられたように、前提の問題等をめぐって、これが延びておる、そして批准の時期というのは、できるだけ早い時期に批准すべきである、この見解政府としては大体一致しておる。それで、前提問題が片づけば早急に批准の運びになるということは、政府だけではなくして、ひとしく世人の認めるところですね。こういう状況の中で、しかも冒頭大臣もあなたも答弁されましたように、各県ばらばらの形で制定することは好ましくない。やはり全体的に他の省との関連も考慮しながら検討していきたいという方針に立って判断しまするときに、明らかにこの条例制定というのは、基本的にも、また時期的にも、法的にも行き過ぎであると考えるのであります。それから、先ほど局長答弁された、諸外国に例がないということですが、立法調査局ですか、あそこで私が諸外国の教員組合専従を七月ごろ調べさしたのでは、これは資料をきょう持ち合わせておりませんので、どこの国であったか忘れましたけれども、現職のまま専従者になり、しかも給与まで負担している国があります。なるほど日本のように、数がこのように多い国は、その調査資料には出ておりません。日本が一番多いということはいえます。しかし、専従制度が全然ないということはありません。ただ、教員の身分を持たない人が職員団体役員になっている例もまたあります。で、皆無ということはいい得ないと思います。そういうことは抜きにいたしましても、次に進めていきたいと思うんですが、先ほど局長答弁の中で、公務支障があれば制限する、こういうお話がありましたけれども、これは公務支障があるかないかということは、たとえば専従届けを出した具体的な人間のその学校における立場なり、あるいはその学校における職員構成の上から、当該学校校長判断すべきものである。これが少なくとも最優先すべきものであって、この県の職員の数は何千人おるから、従って千名に一名の人間、言いかえますると、二十人でよろしいとか十五人でよろしいとかということを、公務支障という観点から割り出すことは論理の飛躍であり、矛盾であると思うのですが、この点はどうですか。
  84. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これが定数の範囲外なら、これは私も問題はないと思います。少なくとも教員の身分を持っているということは、教員の定数の範囲内でございます。従って範囲内ですから、あまりに専従の数をふやしますと現場教育支障がくる、そこで何らかの制限をすることは、これは妥当であり、また当然だと思うのです。
  85. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私が聞いておるのは、公務支障があるという観点から、千人に一人とか、二千人に一人とかといろ基準は出てくるわけがないと言っておる。あなたが後に言われた、現場復帰と定数の問題は、別に公務支障がないという関係から、千人に一人、五百人に一人という基準は出てこないと言っているのです。この点はどうですか。
  86. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは全体と個との関係です。ですから、具体的に甲の人を許可する場合に、それは一体無制限にワクがあるのかということになりますと、これは許可しようがないと思う。専従にはどういうワクがあって、そうして今度は具体的にその個人が公務支障があるかないかという判断に移るべきであると思うのです。許可する基準がないと思うが、これは一つの許可の基準だと思うから、当然のことだと思います。
  87. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そこで七月だったか、この委員会で私はあなたに、それならば、定数を持ってくるならば、現存五十何万か六十何万か教職員がおりましようが、どの県が専従者の設置によってどの程度の定数が出ておるかという資料を出してもらいたい、こう言っておりましたけれども局長は、現在手元にありません、こういう答弁でした。福岡県におきまして、私、帰りまして教育委員会の方に調査を依頼いたしまして、その出された資料によりますと、局長が御承知のように、福岡県は全国においてもトップにあるところの専従者の数の多い県です。この県においてさえ、まだ定数は出ておりません。これは七月か六月ごろ現在の数です。全国的に定数をはみ出しておるかどうかは、私は調査資料は持ちませんけれども、私の県のような、他県に例を見ない専従者が多い県においてさえこういう状況です。従って、現在岐阜県におきましては、現在の専従者によって定数をはみ出しているという実態がありますか。御承知でしたらお聞かせ願いたいと思います。
  88. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 岐阜県が定数をはみ出しておるかどうか私存じませんけれども、先ほど来申しますように、教員の身分を持っておる以上は、定数の範囲内、従って、専従が多ければ、それだけ現場の教授力が手薄になる、こういうことでございます。
  89. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 これは前回も申し上げましたように、ある人間が、ある日にちに退職をして、そのとたんに補充できるものでないということは御承知の通りです。従って二万おった、あるいは全国的にいうと五十数万の教職員の中から、退職と同時に補てんができるというような器用なことはできないことも御存じの通りです。従って、条例制定された岐阜県の実態は私は存じませんけれども、定数からいっても、先ほど申し上げましたように、かなり膨大な数を持っておる福岡県においてもまだはみ出していない。そうすると、抽象的な定数論をもって専従者の基準を制限するということも、これは論理が成り立たないと思う。さらにこれは日にちは忘れましたけれども、中央労働委員会専従問題であっせん案を出して妥結した例があります。これによりますと、大同毛織の労働争議ですが、この際に、中央労働委員会としては、大同毛織に対しまして、同一工場の中で組合員が一カ所に集まっている労働組合に対して、四百名に一名が妥当であるという線を出している。これは私からるる申し上げなくても御承知のように、教職員の場合は、日本の組合におきましては、どの組合よりも、最も多く職場が分散いたしております。山間僻地の学校もあります。また法の建前からしても、市町村単位で職員団体を構成するようになっております。極端にいいますならば、市町村団体に登録した当該組合が、市町村単位に専従者を設置することも当然のことと存じております。こういう観点からいたしましても、また前回淺井人事院総裁が、いろいろ国家公務員の場合を言いましたけれども、現在の国家公務員法は、専従者制限をつけていない、こう答弁しておりますし、また同じ議事録によりますと、憲法二十八条の解釈論議に際しましても、淺井総裁は、職員団体公務員団結権はこれを尊重する、その内容については、専従者制限問題についてこういう趣旨を述べられております。とういう点からしても、今まで申し上げましたように、他の例からいたしましても、四百名に一名という中労委の基準が出た。こういった点からいたしましても、また教職員組合の職場分散の現状から申しましても、千名に一名が妥当であるということは、先ほどから申しますように、定数論をもってしても成り立たないと思うんです。現場復帰の問題は年限の問題と関係しますが、これは後に触れるといたしまして、以上の問題についてどういう見解をとられますか。
  90. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 一般労働組合の場合に、専従がある程度多いというのは、これは当然だと思うんです。と申しますのは、これは勤務条件給与、その他一切団体交渉でやるわけでございまして、ですから、ある程度の専従職員がおって、絶えず給与条件というものについて、他の労組との関連あるいは会社の内部事情について検討を続けておかなければ団体交渉はできないだろうと思います。ところが、一般公務員につきましては、御承知の通り国家公務員については、人事院があり、地方公務員については人事委員会というものがございまして、一応職員の身分保障あるいは待遇の適正をはかる機関が別にあるわけであります。そして国家公務員につきましては、二千五百人に一人、地方公務員については千二百人に一人というように数が少ないわけであります。この場合に、教育公務員が、私ども、これは教育長協議会の線も同じでございますが、大体そうたくさんなくてもいいのじゃなかろうか。今お話のように、職場が分散しておることも事実でございます。しかし、給与とか勤務条件は、これは主として都道府県の交渉事項であります。都道府県教育委員会が人件費の負担をしておるし、任命権も持っております。ですから、ほとんど教員の問題につきましては、都道府県一本で交渉する段階でございますので、職場が分散しておるという理由は、さほど大きな理由にならないのではないか。そこで、千人に一人が妥当であるかどうか。この点には若干問題があろうかと思いますけれども、大体国家公務員地方公務員との均衡をとれれば、大体千人に一人ぐらいが妥当ではないか。国家公務員専従制限をしないとおっしゃるのは、おそらく二千五百人に一人であって、勤務年限も一、二年で全部交代しておる、こういう特殊事情に基づくのではなかろうか、かように思うのでございます。    〔委員長退席、理事吉江勝保君着席〕 いわば専従制限をする必要がないという状況であると思います。
  91. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 淺井総裁はそういう立場から言ったのではなくして、憲法二十八条の建前からして、さらに国家公務員法の精神に立って、専従制限はしていないし、この自主的な運営は尊重しなければならない、こういう答弁をしております。これは議事録を今さら読み上げませんから……。今、言われた国家公務員の場合は、これは実態を御承知だと思いますけれども、まだ教員組合において終戦直後適用されたような専従制度が今日なお維持されております。これは御承知のことだと思います。従って専従届けをした者の数と、実際に専従活動をしておる者の数ははるかに違います。また職場分散の実態について都道府県単位の問題を言われますけれども、おそらく局長は、人事委員会が過去、たとえば一年間にわたって、教職員の問題によって、都道府県の人事委員会ですね、これがどういう勧告を行ない、それがどう実ったかの調査はないと思います。ほとんど私の承知しておるところでは、人事委員会組合要求があって交渉し、ずいぶん手数をとりながら、ある県においては下回った線において勧告してみたり、あるいはそのまま勧告しておるという実態であります。今日まで国家公務員法の制定によって人事院ができましたけれども、この保護規定精神は全く失われて、むしろ諸条件の維持向上につきましては、職員団体が主たる任務を背負ってきたことも御承知の通りです。なお、組合の民主的運営からすれば、これを大臣が、前回明らかに私の見解に同意の旨を七月の委員会であったと思いますが、述べられておるのは、少なくとも職員団体は一部の幹部によって独善的に支配さるべきものではなくて、その構成員の意思、思考というものができるだけ民主的に反映されることが望ましい、こういった立場に立つと、一片の書数によって、たとえば福岡のごときは九百数十の学校が分散しておるところで意向を取りまとめるということは非常に困難です。やはり職員団体というものは、それぞれの構成機関による人と人との民主的な討議によって民主的な運営がなされておることは論を持たないところであります。こういった意味からも、公務支障とか、現場復帰の問題を一切抜きにして、職員団体の民主的な運営という観点にのみ重点を置いて、論じまするならば、職員団体役員は、多いほどこれが民主的になるということは明らかであります。こういう点から考えましても、教員組合のごとく職場の分散しているところは、他の労働組合はもちろん、割合職場分散のある他の公務員関係よりもより必要だということは明らかであると思います。やはり職員団体が民主的に運営される、こういう観点からしても、今申し上げましたように組合役員の数は多いことが望ましいと考えるのですが、その点に対して局長はどうお考えになりますか。
  92. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私は役員は少ないほどいいと思うのでございます。というのは、少なくて能率が上げられればそれだけ組合費の負担は少なくなるわけですから、いたずらに役員のみ多くて組合費の負担が多くなるということは適当でないと思います。要するに、組合活動が十全にできるかどうかという点にかかってくると思うのであります。
  93. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 組合費が多くなったり、それで職員団体職員が困るということは、これはあなたや大臣や、あるいは法律判断すべき問題でなくして、その当該組合員が自主的に判断する。そういう見解をあなたが持ち、披瀝することがILO八十七号の精神違反するし、憲法二十八条にも違反することだということは前回も申し上げておった通りです。このことを再々局長大臣も、いわゆる行政権者がその組合費の多過ぎる少な過ぎるという判断をするということは、これは今後とも避けてもらいたいと思うのです。  そこでもう一点だけですが、年限の問題にいたしましても、特に御承知のように人数制限は現状は無理であるというのが自民党の九月二十人目、松田大臣、石原自治庁長官、倉石、灘尾、千葉その他のお歴々が集まられた際に、これは人数制限の問題は条例では法に違反するだろう、こういう見解も述べられたやに聞いております。これは私出席しておりませんので真相は知りませんけれども、この九月二十八日の諸会議の線からしても、この条例は逸脱しておると思う。  最後に年限の問題ですが、これも前回申し上げましたように、これは三年やって教職員としての資質に欠けるようになるか、四年やって欠けるようになるか、半年ほかの業務に携わって欠けるようになるかは、これは個々の教員の資質の問題で、    〔理事吉江勝保君退席、委員長着席〕 また、専従期間中の本人の研修態度いかんによるもので、これまた法律条例で画一的に人間の資質を規律すべきものでないと考えるのですが、その点はどうですか。
  94. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 法律なり条例というものは一般論を規定するものでございまして、そこでまず三年ということは大体一つの常識ではなかろうか、三年以上たちますと、現場復帰する際に、やはりそれだけ素質が保っていけない、もちろん、研修その他十分にやっておれば、これは別でございますけれども、一般論として、まあ、職場を離れる期間というものは大体三年ぐらいが妥当ではないかというのが今一般にいわれておるのです。そこで、三年の範囲内で更新するものでございますから、任命権者が主観的に公務支障があるからという条件で、ここにあまりに裁量の範囲が過ぎるのもいかがかと思うのです。こういう点から条例では三年と規定しますと、三年の範囲内で、今お話のように、個々の人によって一年がいい場合もあるでしようし、三年やった方がいい場合もあるでしょうし、そこでいろいろ任命権者の裁量の行為が働くものと、かように考える。条例自体は、やはり規則というものが、一般的な通念を規定したものと、かように思うのでございます。
  95. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体これで終わりたいと思いますが、三年が常識だという局長考え方は、背「石の上にも三年」という荒唐無稽な日本に一つの言葉がある。こういう戦前のコケのついたよらな古い観念に取りつかれて、それが常識だということは、少なくとも避けてもらいたいと思う。やはり、局長が三年が妥当だという見解に立つとすれば、教員の場合は、教員組合結成以来専従しておるものの個々について、四年やった者は現場に復帰してこういう状況になっておるとか、その数は大体何%くらい出ているとか、こういう点を明らかにした資料をもって判断してもらいたい。私の知っておる福岡県教職員組合に関する限りは、専従役員を長くした者は、現在ある者は校長になり、あるいは教務主任となって、むしろ現場におった者より以上に広い視野に立って教育に従事し、学校運営に携わっておる事実があります。こういう点からして、専従者専従年数が長いということは、決して本人の教育者としての資質をマイナスにするのじゃなくて、むしろ多くなすという資料を持っておるわけです。こういう点からしても、三年ということは、全く荒唐無稽の、資料に基づかない考え方であるという点を指摘しておきたいと思うのです。  最後に、私の質問の途中から、荒木委員の方から緊急質問がありましたが、やはり前回からたびたび申しておりますように、少なくとも政府は早急にILO条約を批准しようという方向で進めておる。そうして、文部省も、また労働省としても、これは慎重に検討する必要があるという見解をとっておる。こういう中において、突然、しかもこれは地方自治体のことで、ここで干渉すべきことではありませんけれども、(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)僕の言おうとすることは、議会の中で決定された際にも、他の会派の人がただ一人会場に入場した際に、知事が突如として提案し、五分間の間にこれが決定され、議員相互の間に乱闘が行なわれながら決定した。そうして、当該県の県会議員は、手続と採決について疑義があるとして、無効の訴訟を起こしています。私は、このことに干渉すべきでないと、こう言っておる。こういう事態の中で、政府の基本方針にも逸脱するし、文部省の今日までとってこられた慎重な態度にも相反する、こういう中で条例制定されておるという点から考えて、やはり地方自治体の独自の権限であるという藉口のもとにこの事態を放任せずして、従来勤評問題についても、福岡県におきましては、木田課長がわざわざやってきて一生懸命に実施を強要したあの熱意のごとく、こういう国際慣行に相反し、政府の方針にもとるような条例制定については、当日現地におった局長としては、明らかに助言ないし指導といいますか、これをやらなかったと、私はむしろやるべきだったと思う。私は、やられてなおあなたの努力が実らなかったという報告が聞けるものと考えておったのに、全然関知しておりませんということは、あまりに——向こうが言わなかったにしろ、その当時は新聞記事等に出ておりますので、いろいろ問題になっておったと思うのですが、当然これを制止すべき努力をすべきであったと思う。結論的に、この条例制定されましたけれども文部省の助言、指導、いわゆる行政権の範囲内における立場において、今日この制定された条例に対して、今後これを廃棄するように指導すべきであると思うのですが、その点について大臣見解をまず最初に承りたいと思います。
  96. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私は、県において条例制定された、その過程のことはよく知りませんけれども制定された今日において、これを廃棄するような指導をする考えは持ちません。
  97. 岩間正男

    ○岩間正男君 私今まで質問の様子を聞いておったのでありまするが、非常にいろいろな点で食い違いがあって、不明瞭な点が多いと思うので、この点だけ簡単に私はお聞きしたい。  まず第一にお聞きしたいのは、内藤局長は向こうへ行って会っておられないと言う。しかし、文部省に来てそういう意見をたたかれ、あなたが指導した事実はないのかどうか。そういう問題、指導した事実はないか、あるか。
  98. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 指導した事実はございません。
  99. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたは確実にそういうことが言えますね。もしこの反証が起こった場合に、あなたはどうするか。
  100. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私は、県の教育委員長にも、教育長にも、この問題についてただの一回も本省においでになってお話を聞いたこともないし、私が積極的に指導した事実はございません。これは天地神明に誓って申し上げます。
  101. 岩間正男

    ○岩間正男君 天地神明に誓ってないそうでありますが、反証というものは起こらないというあれはないのですね。その場合において、あなたは十分にそういう事態については責任をとるのですな。  それからその次にお聞きしたいのは、第二の問題で不明瞭だったのは、これは文部大臣の意見として、当委員会で何回か夏以来やられておるのですが、豊瀬委員がさっき申したように、各省同の調整が完全にとれないうちは実施しない、国家公務員並びに地方公務員とのこの問題に対する調整が完全に政府の意見として一致して、そういう方針によらなければやらないと、この点は確認しておるわけですね。ところが、このたびこういうような文部省の方針と反するようなやり方が出たわけです。ある県で突如として、今言ったよらな、しかも乱闘騒ぎまで起こしてやった。これについて文部大臣ははっきりとした意思表示を私はすべきだと思うのですね。これはどうですか。文部大臣として、この問題は、少なくとも文部省がとってきた、文部大臣が当委員会で述べた政府の方針に、これは合致していない。合致していない問題について、あなたはこれに対して勧告をするなり、あるいはこれに対して通達をするなり、そういうような意思表示をすべきであると思いますが、どうですか。
  102. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私は、必ずしも意思表示しなくてもよろしいと、かように考えております。
  103. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうしてですか。委員会で決定して、方針まではっきりしておるのでしょう。その方針に反した事態が起こっておるのに、指導監督するという文部省としては、これは職務怠慢じゃないですか。そのままにして放置するということは、私は正しくないと思うのですが、この点重ねてお伺いしておきます。
  104. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 方針が決定しておるとおっしゃいますけれども、まだ検討中であって決定はされておらない。そのときに、突如として岐阜県でこういう条例制定されたのでありますから、われわれとしては、まちまちにそういうものは出てこない方がよいとまあ考えておったわけであります。しかし、出てきた今日の場合に、これに対して、それはよろしくない、だから取りやめるようにというようなことを指示する考えはないということを申しておるのであります。
  105. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたは方針と言うけれども、方針違いですよ。方針が十分に決定しないうちはこれをやらないという方針を立てておったのが文部省の立場なんです。そうでしょう。私の言っておる方針というのは、そういうことなんです。そういう方針にこれは違反しておる。従って、そういう事態が起こっておるのだから、それについて文部省の意思表示をはっきりするというのは、当然じゃないですか。それでなければ、当委員会を愚弄したことになる。何回も、当委員会でこの問題は確認されておるはずです。(「そうじゃないよ」と呼ぶ者あり)そうじゃないよと言ったって、あなた自身も入っておってやっておる。ちょっと野次やめなさい。
  106. 相馬助治

    委員長相馬助治君) どうぞ続けて下さい。
  107. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは、文部省で私は当然そういうような通達なり勧告なりをすべきだと、こう考えるのですが、少なくともそこに行くまでの段階で、当委員会のこの席上で、あなたはこれを明らかに違反したという意思表示というものはできると思う。文部省のきめてきた方針がはっきり確定するまではやらないという方針をとられたと、当委員会で声明している。そうしてさらにそれをきょうのこの質問の劈頭においてあなたは確認されておる、豊瀬委員質問に対して。しからば、それに対して当然そういうような岐阜県の行動は、これは正しくないという意思表示は、当然されるべきだと思う。これは当然だと思う。いかがですか。
  108. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 岐阜県のとった行動は正しくないとは私は申し上げません。
  109. 松永忠二

    松永忠二君 それは今お話があったのが、この前とにかく検討を要すると言つたのは、地方公務員や国表公務員との均衡の問題もあるし、地方公務員国家公務員についてなお検討しなければできないし、ILOの関係もあって検討しなければできない。検討しなければできないということは、法律的に違反の疑いがあるし、またそういうことも考えられるから検討しなければできないし、そういう検討が済むまでは実施することはよろしくないということを明確に言われていたわけです。従って、大臣はこれが法律違反でないということを積極的に一つ理由をお話下さい、もしそうであるならば。そうでなければ、この前のように検討を要すると言ったことは、そういう法律的な検討をしなければできないから、政府の方針としては、条例はそういう検討が済んでからやる、そうしなければできないというふうに大臣ははっきりここで言われていたのです。従って、そういう検討も済まないうちにこれをやったのでは工合が悪い点があると私どもははっきり考えるのだが、大臣はこれはやらないというならば、これが正しいというそういう証明をして下さい。それからもう一つ、あなたはそういうことはおやりにならないというけれども、これは法律にちゃんと規定しているのです。地方教育行政の法律の中には、五十三条に「調査」ということが出ている。措置を要求するような場合、あるいはその他基準の設定のような問題、あるいは第四十八条の文部省権限として調査をするというようなことも明確になっている。調査もなさらないのですか。そのままに見過ごしておくということなんですか。その点々もっとはっきりと、ただこれは取り消しはようさせませんというような、ただ簡単な言い方でなしに、今岩間委員からなされた質問に答えると同時に、積極的にこれが正しいというそういう論拠を示して下さい。それと同時になぜ調査を、法律にきめてある調査をやらないのか、やる意思があるのかどうか。そういう点について一つ御答弁願いたい。
  110. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) どらも言葉の言い回しによって、全く私ははっきりお答えしているつもりでありますが、それはやや曲げて解釈されているやに聞こえるのであります。私は、まちまちに各県でやられることは好ましいことではない、少なくともILO条約批准の関連において、各省がいろいろ諸法律、諸条例を十分検討整備して、その上で一般的に一つの方針でやった方が好ましいという考えは持って参りましたし、さように申しているわけであります。ところで、それならばといって、地方で独自にやってはいけない、それまで待つがいいというようなことは申しませんけれども、しかし、そういう意思表示は、教育委員会でもこの問題については政府としては検討中であるということは申して参ったわけであります。従って、今ここであなたのおっしゃるように、岐阜県でやった行為に対して、それは政府の方針と反するではないかということは申し上げられないということであります。
  111. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今松永委員から調査の問題が出ておりますが、私もこれは当然な必見だと思うのです。なぜかというと、この間、全国教育委員長協議会会長の木下君と都道府県教育長協議会幹事長を呼んだときに、この専従問題をどういうふうにするかということについて、態度を決しかねている、文部省の意見を聞いております、こういうお話であったわけです。そとで、文部省としてもこの問題は検討されていると思いますが、いまだ大臣もおっしゃったように結論が出ていない、こういうことです。そういう段階で、岐阜県で突如としてこの議案が県会に上程されて決定されたというのです。その教育長協議会あるいは教育委員長協議会には当然岐阜県の教育委員長も入って、相当な疑義があるというので文部省にその方針を尋ねておったわけです。ですから、私は学識から考えて、教育委員会がこの条例の原案を知事に申請して作ったとは考えられない。そういうことは自己矛盾ですから、そういうことはあり得ないと思う。ところが、突如として上程されて決定されているわけです。そこで、私は一抹の疑いを持つわけです。何か教育委員会に圧力がかけられているのじゃないか、あるいは教育委員会の意見が正当に聴取されているかどうか、言うまでもなく教育委員会法には、そういう関係の議案については教育委員会の意見を聞かなければならぬということになっております。従って、私は今までの経緯からいって、教育委員会が、文部省に対して文部省の方針を聞いている段階において、自分勝手にそういう議案を作って出すということは考えられないと思う。そういう事情があるのに突如として決定されたというのには、それ以外の何らかの理由があったのじゃないかと思うのです。ですから、この問題については、松永委員が言われたように、文部省としてはさっそく調査をする必要がある。これは五十三条にはっきり出ているわけです。ですから、この五十三条の規定に従って、文部省は、どういう経緯でこの条例が提案されるに至ったのか、そういうことは調査きるべきであろうと思うのですが、これは一つしっかりした答弁をいただきたいと思う。
  112. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) (「大臣から答弁すべきじゃないか」と呼ぶ者あり)調査内容については、私が申し上げたいと思っております。それ以外に、方針の問題があれば大臣からお答えをいたしていただきます。  実は、昨日岐阜県の知事公室次長教職員課長が私のところへ参りまして、報告をいたしました。その概要を簡単に申し上げさせていただきたいと思います。で、この条例については、特に最近岐阜県においては、にせ電報事件とか、あるいは勤務評定の闘争について、従来に見られなかった烈しい闘争が行なわれている。そこで、知事部局と教育委員会事務当局は案について検討を進めておったようでございます。で、ただ、当日の午前十一時になって教育委員会に知事が意見を聞いて参ったそうです。そこで委員会と人事委員会に聞いて、内容について異議があるかどうか、提案の時期については、これは知事におまかせいただきたい。もしこれが、その場合の条件として、あるいは提案されないかもしれない、されない場合にはなかったものと考えてほしい、こういうことがあったそうでございます。そこで、委員会は十一時に緊急に招集いたしまして、意見をまとめて、現段階においてはやむを得ないという見解を表明して、知事に提出したそうでございます。人事委員会も同様だと、私聞いております。で、法的に、今お尋ねのように、教育委員会の意見も聞いて、そして知事が提案さしたと、こういう状況でございます。ただ、私が伺ったところによると、当日のある新聞の夕刊に、三月に専従条例が出るということが漏れたそうでございます。そこで、知事の判断としては、三月を待ってはこれは非常に困難ではなかろうかと考えて急遽提案したと、こういうふうに伝えられておるのでございます。
  113. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私、さっき言ったように、教育委員会はこの問題について内容上いろいろ疑義があるので、文部省にその方針を聞いておる、こういう段階ですね。ですから私は、今説明がありましたけれども、その間になお調査すべき必要があると思うのですがね。ただ、教育課長ですか、だけの説明でなしに、やはり現地に行って当然十分な調査をするという必要は、理由は十分あると思うのですが、その点に対する答えを順いたいと思うのです。
  114. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 先ほどからも申し上げておるのでありまするが、一応の事情はそれは調べてみてもいいが、しかし、文部省として調査しなければならぬとも考えておらない。
  115. 松永忠二

    松永忠二君 その点だけのことについてお聞きをするわけでありますが、それは少し大臣おかしいじゃないですか。その好ましいものではないと、こう言っておる。検討することが必要だから、今地方でばらばらにすることは好ましいことではないという、その好ましいことではないことをやったわけです。で、検討を要するということは、法的に疑義があるから検討を要するというのだ。法内に疑義があることで好ましくないことをやったと……。あなたはやっていないというのか、やっているというのか、どっちなんです。見解をはっきり言って下さい。
  116. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私は地方自治体が独自にやることに対してとやこう申し上げられないということを言っておるのであって、きわめてはっきりいたしておると思うのであります。ですから、私は政府の意見がはっきりするまでまちまちにやることはむろん好ましいとは思わぬ。それよりも政府の決定を待って、それから専従問題をうんと検討した方がよろしいというふうに考えておるわけであります。しかし、さればといって、文部大臣がイニシアをとって、これをやれとか、やるなという指示はいたしませんということを申し上げているのです。
  117. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたは、とにかく各県まちまちでやるということは好ましくないと言うのですね。この委員会を通じてこれは確認しておきたい。これはその通りそう言わざるを得ない。これは確認しておきます。その上に立たなければこれは論議は進まない。この点ははっきり確認しておきたい。この好ましくないことを行われていることについて、文部省は指導監督の立場にあってこれに対して何らの発動をしない。しかし、従来そうですか。従来いろいろやっているでしょう。これに対して勧告なり、あるいは文部省の意思表示をやったり……。ありましょう。ないですか。こういうことを、この問題についてだけあなたは調査もしない。疑義があると言っておる。その、疑義がある、しかも法的にもきめられておる、そういう問題について調査もしない。タッチしない。ここでほおかむりをする。そうするというと、やはり、これは疑いたくないのだけれども、どうもあなたたちが案外黒幕になっているのだ、こういうように言われたとしても、これはやむを得ない。そうでなしに、不偏不党の立場に立って正しく日本の文教政策を進める、こういう立場に立つならば、私は当然政府の立場としては、これは調査をし、このような事態に対して明確な措置をするのがあたりまえだ。もしも、好ましくないと、こういう前提がないとすれば、私はそのことは、それはその必要はないかもしれない。好ましくないということをはっきり言っている。何回も言っている。そして事実また今までとってこられたあなたのずっと一貫したつまり方針がきまらないうちは、これは各県ばらばらでやらせないのだ、やることは望ましくないのだ、そういう方針でやっているという、この方針ですね、この方針には明らかにこれは違反していることなんです。従って私は、これについて当然あなたが今までの態度を堅持し、そうしてこの方針の上に立ってこの問題を処理する、これは当然の、だれが考えても当然の、これは、私は態度だと思いますが、これはそうすべきだと思いますが、どうですか。
  118. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) そこが少し考えが違うのです。望ましくないということは、私の方としては望ましくないと思っている。さればといって、やれとか、やるなということは申し上げられない、そういうことを言っている。
  119. 岩間正男

    ○岩間正男君 今までそういう意思表示をしたり、やったことないですか、文部省は。たとえば日教組の行動に対していろいろありますね。これは好ましくない、しょっちゅうあなたたちはいろいろ新聞に出し、新聞記者に発表してやり、あるいはまた教育委員会にこれはいろいろな形で通達を出したり、そういうことをやっていませんか。やっていないなら私は引き下がりますよ。これは内藤局長、やったかやらないか言って下ざい。あなたは事務官だからそれはわかるでしょう。
  120. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 法令に基づく必要な指導助言は当然しておりますし、また行政官庁として法の執行をつかさどるものですから、その法の執行が円滑にいくように指導するのは当然だと思います。
  121. 岩間正男

    ○岩間正男君 円滑にいかないのだ、文部省の方針に明らかに反している。これについて、あなたたちはこのままほおかむりして済ますという立場でいくわけですか。この問題だけなぜそうするか、この問題だけなぜ不偏不党の立場に立てないか。文部省として明らかにそうでなければ、文部省は一方に偏しているといわれたってしょうがないじゃないか。これは当然やるべきだと思いますが、あなたは事務的な立場からどうですか、言って下さい。
  122. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) どういう調査ですか。私もその調査内容をお聞きしなきゃわかりませんが、今回の場合は、これは条例できめることはすでに地方公務員法二十四条の六項ですか、地方公務員法に基づく条例でされたことであるし、それから内容について、このことは教育長協議会なりで要望されたことであって、これも適法だと私ども考えておる。これが違法であるということが明確ならば、これはお話のように私どもも必要な調査をしなければなりません。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 文部大臣は政策を持っているのです。現実に政治をやっているのです。そうして当委員会で何回もやったのです、夏に。そこで確認されたことは、国公、地公の調整がうまくとれて方針がはっきり確定しないうちは、この問題を各県でばらばらでやることは望ましくない、それをやらせない方針だ、こういうことを言っているわけでしょう。これが一つの政策だ。この方針に従って違ったような、違反したような事実ができているかどうか。これについてあなたたちは調査をしないというのはおかしい。あなたたちは法的な立場だけでいって、その法のそこのところに該当するとかしないとか、そういうことだけでこれをやるといってきている。従来全部そうですか。たとえば日教組のいろいろな行動については、文部省はどういう立場からやりました。法令に基づいて、法令の規定によって、何条によって文部省は、たとえば日教組に対していろいろ監督をやるとか、あるいはこれに対して反対の意思表示をやるとかやっていましたか。そうでないでしょう。文部省のもっと高い、政治的な一つの立場でしょう。あなたたちの立場でしょう。当然これは指導監督の立場からこの問題について見解を表明するということをやっているわけでしょう。違いますか、この問題。
  124. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私どもが、たとえば勤評の問題にしても、あるいは道徳教育の講習会にいたしましても、これは法令に基づいた措置でございまして、それに対して日教組側で違法行為に出ることのないように、違法行為が起きて教職員が処罰されることは私たちも見るにしのびないので、そういうことのないように十分に厳正に指導していただきたい、こういう指導をするだけのことでございます。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 法令の条項からきたんでないのですよ。それは一つの文部省の方針なんだ。そういうものに基づいて、そうしてそれは今まで何回もやっているでしょう。そういう意味だったら、ああいうようにその監督の意思表示をやるとか、そういうことは、文部省の組織法の中でそういう性格が規定されている。それに基づいてやっているのでしょう。ところが、文部大臣はここ半年間方針を明らかにしておる、当委員会で。そうしてそれをさっきの冒頭質問の中でも確認したのです。確認したのです、明らかに。速記録を見てごらんなさい。そういう問題について違反したような事項が出てきたのに対して、なぜこの問題を調査し、これに対する見解を表明されるということをしないのか。この問題についてあなたたちは法令々々と言って——まあ事務官だから仕方ないけれども。私は文部大臣要求したい。文部大臣どうなんですか。当然だと思うんです。(「調査ぐらいは当然だ」と呼ぶ者あり)調査ぐらいは当然だ。この点に対して、どうなんです、大臣のお考えは。
  126. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 繰り返して言うようでありますが、政府の方針が決定するまでは、まあ方々でまちまちなやり方でやることは好ましくないと言うたことは、何もそれは悪いということじゃない、そこに違いがある。きわめて消極的です、言葉は。好ましくないということは、従って法律的に別に差しつかえないことをやっていることに対して、積極的にそれは悪いとか、いけないとかいうことは申し上げられないと、こういうことです。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 日本語の解釈になるが。好ましくないと、正しくないとは、これは厳密にはどうなんだ。これはちょっと言語学者にやってもらえばいいことなんですが、好ましくない事態が起こっているのをほおかぶりするんですか、文部大臣は。どうですか。あなたはまた正しくないんだと、それじゃあ正しいと言うのですか。このことは正しいと言うのですか、この二つの問題を開きたいんです。好ましくないと言って、好ましくない問題を放置してそのままほおかぶりするのか。もら一つ、それから、このやることは正しいのか、正しいのならおかしいじゃないですか。好ましくないと言うのはおかしいじゃないですか。どうですか、この二点について。
  128. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 御承知のように、言葉の意味について、(「重大ですよ」と呼ぶ者あり)言葉の関係についてですけれども、好ましくないということと、正しくないということとは大へん違いがあると私は思います。
  129. 松永忠二

    松永忠二君 私はここで大臣に、あれを取り消されて、あれがいけないものだというようなことを、ああいうこの条例を……つまり法律違反であるとか、取り消すということをここで言えと言うことは無理だと思うんです。無理だと思うんですよ、ただここの論議だけでは。しかし、今まであなたはおっしゃってきているように、検討することがあると、検討することがあるということは、つまり法律的にも抵触するような点について疑義がとにかくあると、疑義があること自体は政府関係方面の人も認めている。だから、法律的にも整備をしなければできないということを言っているわけです。それから、そういう点でばらばらにやるということはどうもよくないから、好ましくないと言っておるのであって、そういうことで大臣としても、相当明確に各府県やはりこういう検討が済んでから行なわれることであり、そういうふうにしたいというふうなことを事実明確に言われておる現段階において、やはりこの際この法律に基づいて調査をしてみなければできぬ、よく調査をして検討せにゃできぬということで、私はつまり役人のそれとは違うのであって、大臣が今まで言っておることからして、当然、率直にそういうお話を私はあなたからお聞きできると思っていたわけです。私は前の方へあんまり引っかかりをするので、大臣がそういうことを端的におっしゃられないのじゃないかと思うが、やはり調査をしなければできないと……。それからまた先ほど内藤氏がいろいろのことを言っておりますけれども、第四十八条にもちゃんと「適正なる処理を図るため、必要な指導、助言」ができるとか、あるいは著しく適正を欠いたとかいうようなことがあって、必ずしもこれが法違反であるから指導するというのではなくても、法律範囲の中でもこの運営が適切でない、少し適正を欠いているのじゃないかと思うときには、こういう建宮をしてほしい。ということは、現に神奈川の勤評の方式のときにもそういう形で、つまりこれを指導されているじゃありませんか。だから、少なくも特に松田文部大臣は、われわれはそういう意味で非常にそういう面の期待も多いのに、それについてこら前言に引っかかりをもっておっしゃらない。やはり今までのあなたの言ってきた責任からいっても、私はこの際やはり調査を十分にして、そうして適当な指導もするし、考え方もまとめてゆきたいということについては、少なくもそういうことをはっきりおっしゃっていただきたいと思うのであります。この点一つお聞かせいただきたいことと、あなたがそういうことをおっしゃらないということになれば、調査もしないし、おれたちは地方のやることだから仕方がないと、こうおっしゃるなら、私は開き直って、一体どこが正しいのか、なぜそれじゃ法律違反がないという証拠があるかということを、あなたの説明を聞かしてもらいたいと申し上げているのです。
  130. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  131. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をつけて。  午後二時五分まで休憩をいたします。    午後一時五分休憩    —————・—————    午後二時三十八分開会
  132. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 午前に引き続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。
  133. 松永忠二

    松永忠二君 質疑を継続するのではなくて、さっき休憩した前に調査の問題についていろいろ大臣質問をしたし、またそういう点について見解を明快にしてほしいという話もしたわけでありますから、大臣の方からむしろ積極的にその問題について答弁をしてもらいたいと思うのですがね。
  134. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) どういうことを調査せよとおっしゃるのか、それがはっきりすれば適当な人を呼んでみることはいたしますが……。
  135. 松永忠二

    松永忠二君 調査するという一番重要な問題についてはさっき話しましたが、具体的に申し上げると、一つは文部省検討を要すると考え、また全国教育長協議会文部省見解を聞いている際になぜ独自で条例を作ってしまったのか、その理由を明らかにしていただきたいのであります。こういうことがまず最も重要なことであります。それからその次に、十一月県会にこの条例は出さないというようなことを意思表示をした、こういうふうに私たち聞いているのに、早急にこういうふうに実施をしたのは何ゆえであるのか、この点を明らかにしていただきたい。それからその次に、当日の教育委員会の打集の手続であるとか、あるいは議題、出席者、そして教育委員会が正式に専従制限条例検討したのはどういうふうな経過を持っているのか、こういう点を第三に明らかにしてもらいたい。それからこのILOを批准したときに専従者制限の問題はどうなるのか、また他府県の国家公務員との権衡は、この問題についてはどういうふうに考えているのか。また専従者の数を条例制限することができるというような問題についてどういう検討をしてどういう見解を持っていられるのか、それをお聞きしたい。こういう点が私たちの文部省調査してほしい内容であります。この内容を私たちは従来の専従者の討議の経過から考えてみて、文部省としても一応やはり正しく調査をすべき内容を持っているものではないか、そうしてまた私たちはただこれを検討しようという段階ではなくて、それをすでに実施をした段階において明確なるやはり一応の見解を持たれていると思うので、これは今後他府県にも相当波及するし、われわれとしても非常に関心を払い、また検討を要することであるので、この四つの点について、やはり向こうの委員会見解というものを四つの問題について明確にしていただきたい、そうしてこれを明らかにしていくということは、さっき申しましたように、文部大臣地方教育の正常な運営を保持し、また教育の適正な運営をはかるという意味において今までの態度から一応やはり調査する必要があるので、このことについて文部大臣として一つ調査をしてもらいたい。そうすることは決して私たちの党派の独断的な考え方でなくて、当然やはりやっていただかなければいけないことだと考えているわけです。こういう点について調査する意思があるのかないのか、十分にこれをやっていこうという気持があられるのか、誠意のあるところをお聞きしたいと思うのであります。
  136. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) ただいまの各お示しになった条項につきましては、他日に至急適当の人を呼んで調べてみたいと思います。
  137. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ちょっとお尋ねいたしたいのですが、質問趣旨がはっきりしなかったのですが、第一番目に、なぜ岐阜県が独自の条例を作ったかということが第一点。第二点に十一月、十二月県会には出さないという意思表示があったにかかわらず、出したといういきさつ、だれがこれを出したのかこの点が不明確でありますので、これを明らかにしていただきたいことが一つと、それから当日の手続、経過等について教育委員と知事、部局との関係その他について。それからILOの批准に際していかなる地位に立つのか。それから国家公務員地方公務員との均衡をどう考えるか。最後にもう一点あったように伺ったのですが、この点明らかでなかったので重ねて明らかにしていただきたいと思います。
  138. 松永忠二

    松永忠二君 十一月県会にこの条例を出す意思がないということは、教育委員会が私たちの聞いた範囲では教育関係団体について、あるいは教職員組合等にもそういうことを意思表示しておったということを聞いておるのであります。  それから最後の、専従者の数を制限することはできると、いろいろその他の疑問があるけれども、とにかく専従者の数を制限することができるとしているので、そういうことが今の法律ではできるのだということについてどういう検討をされて、どういう見解を持たれているのか。研究しているというなら、いろいろ言うことがあるけれども、もうやってしまっておるのだから、一応の見解を持っておられるはずだから、それをはっきり聞きたいと、こういうことです。文部大臣の方から、……その点わかりましたね、どうなんです。その点調査をして、そうしてわれわれの方へもその調査の結果を明らかにしてくれるのか、大臣から一つ。
  139. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 今のお示しの諸点、先ほど申し上げましたようにすぐにやって、そうして御返事します。
  140. 松永忠二

    松永忠二君 ちょっと私答弁聞こえませんが、大臣答弁調査をして、そうしてこちらに報告するということですか。
  141. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) その通りです。
  142. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 間違いあったらいけませんから、大臣の方からもう一度。
  143. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) ただいまお示しの諸点につきましては、至急にこれを明らかにして御返事いたします。御報告いたします。
  144. 野本品吉

    ○野本品吉君 ただいまの松永委員調査項目についての質問ですが、文部省の当局は一応それを了承されたよろですから私はそれをあえて阻止しようとは考えませんが、ここで私の一番申したいと思いますことは、なぜそういうものをきめたか、それからして十一月県会にやらぬと言ったのをなぜやったか、こういうようなやや詰問的な問い方であるような印象を私は受けるわけです。もしそういうことになりますというと、地方教育委員会というものに与えられておる権限、あるいは自主性というものを自由に発揮することができなくなってくる。逆に言いますというと、今後地方教育委員会がいろいろな条例を設定し、あるいは仕事をする場合に一々文部省に伺いを立てなければならないと、こういう場合が予想し得るわけなんですね。一つ一つ文部省に伺いを立てるというようなことになりますと、今までいろいろと論議されておりますように、文部省の必要以上の指導や干渉やそういうものが起こってくることも心配になる。従ってこの調査の仕方、つまり形式ですね、それから内容等につきましては、あくまでも地方教育委員会の自主性に影響を及ぼさないように、将来に悪い結果を残さないように、私はその点特に心配するわけなんです。この場合の逆を考えてみると、一々文部省に伺いを立てなければ、教育委員会がまたあとでどういうことを聞かれてくるかわからぬというので、何もすることができなくなってくる。この点について、今の松永委員の提案を承認なすった文部省は、どういうふうにお考えになりますか。
  145. 松永忠二

    松永忠二君 だいぶ私の申したことを誤解をされている点もあると思うので、やはりそういうとり方では、大臣答弁もいろいろあると思う。私は詰問的に申し上げたのではなくて、そういう内容を持ったものについての考え方を聞かしてもらいたい、こう言っているわけです。そうしてこれは拘束するとか約束したいとかいうことでなくて、やはり妥当でないものであれば、これはやはり今後考えてもらわないといけないし、妥当であるものについては別にこれはとやかく言う筋合いではないので、これは初めから正しいとか正しくないということをきめつけて言っていることではないので、やはりその回答の中で工合が悪いものがあれば、やはり私たちとして直してもらわなければいけないし、あるいはいいものであればそれを非難する必要はないのであるから、あらかじめ私たちはきめてかかっているのではないということ。それから用語について、詰問的な用語があるということであれば、これは言葉を改めるに何ら私たちとしてはやぶさかではございませんが、ただ趣旨として内容としてこういうことを明確にしたい。こういうのであって、この点は一つ野本さんにもそういう趣旨であることを御了解いただいて、大臣の方から、もちろん野本さんに御答弁いただくことはけっこうであります。そういう趣旨でありますので、誤解をしていただかないように一つお願いをしたい。
  146. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) ただいま松永委員からお話通り、御趣旨はその通り了承いたしましたが、野本委員の御注意まことにごもっともなことと存じます。私も今朝来何はさて地方自治体を尊重して、また地方教育委員会の自主性ということを強く尊重する立場において答弁いたしてきたつもりでございます。従って、ただいま松永委員の御質問も、今御釈明になったような意思に私は受け取っております。従って、こちらから調査するといっても、まずしかるべき人に聞いて一応どういう事情であったということを聞いてみるという意味でございます。
  147. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 岐阜県の議会が、教育委員会実施しないと言ったのを、条例をきめたのはどういう理由かということを大臣はお聞きになるつもりでございますか。
  148. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私もきょう条例についてのなにを知ったばかりでありますので、どういうふうなやり方でやるのかというようなことを、一応その前後の事情を聞いてみるというようなことでございます。
  149. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 松永委員は、十一月でありまするか、教育委員会がやらないと言ったのを、県議会が、知事が提案して、それを議決したという事態は、どういう理由でそういうふうになったのかというように、教育委員会の言明と県議会との何か間の問題を、文部大臣に事情を調べて、ここに報告をしろと、こういうような内容に受け取ったのでありますが、これはもしそういういきさつがありますれば、当然岐阜県の議会におきましても、相当与党もあれば野党もありまして、県議会におきまして、教育委員会責任を追及するでありましょう。また、知事の提案に対しましても責任を追及するのでありまして、こういう問題の今のいきさつのようなものは行政の範囲内でありまして、そういうところまで文部大臣がタッチされますということは、私も野本委員が言われましたように、単に教育の問題だけでなしに、行政の問題にまで入っていろいろ干渉されるようなことになると思うのであります。私は、法律違反しているということがはっきりしているとか……、今松永委員は妥当を欠いているかどうかということを調査するように要求されておりますが、妥当を欠く欠かないということは、これはもう地方の議会あるいは知事にまかされております行政の範囲内でありますので、そういうところまで文部大臣に聞かれるといいますか、調査を受けることは、地方行政の上から申しましても私は異論があるのでありまして、十分にその点は御考慮をわずらわしたいと思います。
  150. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 文部省としては、先ほど申しましたように、あくまでも地方の自主性及び教育委員会の自主性、地方自治体を尊重して、その範囲を決して逸脱するような気持はみじんも持っておりません。最も私は地方自治体の自主的な健全な発達をこいねがう一人として、決して文部大臣に与えられている立場を逸脱して、こういう調べをするというような考えは毛頭ございません。
  151. 松永忠二

    松永忠二君 僕は、この問題は今の大臣答弁もありましたので、また後刻そういうもののいろいろ出てきた際に一つ正式に討議するということで、きょうは私はこの問題については質問はいたしません。
  152. 相馬助治

    委員長相馬助治君) この問題については他に御発言ございませんか。
  153. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 きょうはこの程度にしまして、質疑は次回に譲ってもらってはどうでしょうか。二法案についての……。
  154. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  155. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を回復して下さい。  本日議題に供するようになっております二法案については、次回にその質疑を続行することにいたします。  なお、本日取り扱った議題についての文部省調査は、できるだけ早くこれをまとめて当委員会に報告するように私からも申して努力させます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後二時五十八分散会