○野溝勝君 原さんの見解が明かになったので、
質問するのですが、してみると、この業者三本建はいずれも公平に考えておるというのですが、
先ほどわれわれの同僚が
質問したように、ビールのごときにおける
マージンは何たる状態ですかね。農林
経済研究所の調査によると、ビール一本当たりの
価格が、キリン、サッポロ、アサヒの卸
マージン、二・二七%、
小売の方は一・一四%、卸・
小売加えて三・四一%。しかるに酒の方は
清酒二級で八・一七%、それから新
清酒がやっぱりそのくらいですね。そうするというと、全
酒類販売量を一〇〇とした場合に、ビールの数量は四〇・八%を占めておる。
清酒関係が二九・二%、新
清酒関係が八・七%、しょうちゅうが一六・五%、雑酒が四・二%、その他二%。これはちゃんとあなたの方でよく調べた
数字です。そうすると、何といってもこのうちの王座商品というのはビールなんですね。国税庁の調べによる、これは泉さんの方で調べているのだが、一本当たりの
販売価格は推定で
マージン二円七十銭、現行の
マージンが二円六十銭しかないのです。こういう状態で、
小売業はビールを多く売れば損をする。しかし、この損をすることをあえてしなければならぬというのは、やっぱりこれが必要飲料品であるから、これを置かないとほかのものを買わない。だから、どうしても
小売屋が置かなければならぬようになっているのです。その弱みをしっていて、ぼろいもうけをこの三大会社が全くあぐらをかいてのさばっているのです。これが大衆のために少し税金を下げろとか何とか言っているが、思い切って値下げもしない。そして
小売業を泣かしているビール会社に対し税の捕捉を徹底したらどうですか。
ちょっと筋違いであるけれ
ども、税の捕捉に対して最近国民の不愉快なのは、大衆を踏み台にしてボロイもうけをしている会社並びに一連がある。たとえば、ある映画会社は俳優募集にあたって、あのばかでっかい法外の給料を出している。私はざっくばらんに申しますよ。あなた方の反省を促したい。それから野球界の選手の奪い合い、何たる無鉄砲の給料、手当か。ああいうものを見ておるので、多くの子供たちはいかにも歌を歌うことが上手になったり、芝居、演劇のまねしたり、まね事ができるようになると、ああいう莫大な給料をもらえるかと思って、非常に誤った考え方を持つのが多いですね。このごろ男の子供たちな
ども、野球の選手になれば一躍莫大な手当をもらえるというようなことで、学業などやらないで野球ばっかりやっておる。これは全部じゃございませんよ。こういう傾向は、実際日本の将来、近代的日本を作るにまことに困る。これはアメリカの消費生活教育に罪があるが、
大蔵省にもその
責任がある。特に主税局長が最も
責任があると思う。私は、こういう
一つの課税制度のあやまちの矯正を、あなたが
一つ思い切って近代的官僚として立案してもらいたい。ちょっと逸脱したように見えますが……。
酒税に関係しては、特にビール会社なんというものはそうだと思う。大衆のためだ、大衆が、最近婦人までがビールを飲むので、これをいいことに、それを
一つのいい
理由にしまして、税金を下げろ、税金を下げろ。━━それでは、失礼でございますが、あの会社がどのくらい
利益を得ておるかということについて、大蔵
委員会に、保守党の方々は会社の
内容を知っておるが、われわれ知りませんから、この次の機会までに、戦争前の一カ年と五十四年度、それがわからなければ最近の、最も近い機会の決算でよろしゅうございますから、営業成績の資料を
一つこの大蔵
委員会に提出していただきたい。
こういうわけでございまして、ビールはもちろん以上の
通り、酒に至りましても、醸造家の方々と
小売屋の方々と比較すると、
経済上大きな違いがあると思う。それで、
先ほど主税局長さんは、
小売業者の利潤というものは大体一〇から二一%あると言われておりますが、われわれの調べでは、一切合わせまして九分八厘、いわば九・八%というところに至っておるのでございます。卸の方は大体七%、まあ卸の方は、これは別に末端の
責任を負うわけじゃございません。御
承知のように、伝票操作によって受けておるわけです。伝票をひょっと切れば入ってくる。
業界では伝票利潤といっているのです。これは封建制でございまして、昔のままを今も踏襲しておるので、これは
酒類全体、
業界の悪いくせです。この悪いくせを脱皮する。この点だけを脱皮すれば、この
マージンだけ安く売れば、
消費者に莫大な
利益となり、
小売も喜び、国庫収入も多くなると思うのです。問屋側が失業するじゃないか、失業問題が起るがどうか。━━これは
小売にいっそ転業したらどうですか。
昔は売春
業界には二枚鑑札というものがあったのです。今は、
業界に二枚鑑札があるのは
酒類界なんです。
酒類界には二枚鑑札がある。それはどういう鑑札かというと、
一つはおやじが卸をやり、かかあが
小売をやる。これが二枚鑑札といって、ととうが卸の
マージンをとって、
小売の
マージンをかかあがもうける。それで大きなところへどっとやっておるものだから、相当な
利益を上げられる。これが私は悪い。この点を賢明なる主税局長知らぬことはないと思う。私は、こういう点を
一つ、これは現実の問題として改めてもらえれば、相当
価格制度に改善ができるのではないかと思っております。
その次に申し上げたいことは、
小売業者の諸君は全く
マージンが少ない。しかし、ビールと同じように、日常生活品のような状態になっておりますので、
利益のあるほかの品物と包み合わせて商売がどうかこうかやっておられるというわけです。うまい汁は二枚鑑札に取られてしまう。卸と
小売をやっている大きなところへ取られてしまう。そして
マージンはない。そして
小売をやっておる諸君は、仕方ないから、カン詰をやるとか、あるいはその他
利益率の多いところのものを一緒に、みそとかその他のものをかかえて売っておるという始末でございます。
こういう現実の状態をよく見てもらって、特に税収入として起こっておる
酒税の徴収はだれがやるかというと、末端の第一線業者なんです。二千四、五百億の税収入をみなこれは
小売がやるわけなんです。そして最近におきましては、非常に
小売業の競争が盛んになって参りまして、商売にもなかなか困難です。かといって、現金の取扱いをしなければならぬ。ところが、現金の金が入らぬ。だれが損をするかというと、卸は損をしない。
メーカーはもちろん損をしない。結局、損をするのはだれかというと、末端の
小売業者なんですね。この危険な商売を真剣になって戦っておる
小売業者の諸君でございます。こういう点においても、私は、
価格制度は業者のためにということを主税局長はお話しになったが、実際においてこの
小売業者の現実の苦しみというものをどういうふうに、今後
価格政策を
規定する上において調節していこうとするのか。この点、あまりきちょうめんにならないで、
一つあなたの私見でもよろしゅうございますから、ぜひ
一つ、意のあるところをそんたくして、御答弁願いたいと存じます。