運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-10-09 第32回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十月九日(金曜日)    午前十時三十七分開会   ―――――――――――――   委員の異動 十月一日委員鍋島直紹君辞任につき、 その補欠として田中清一君を議長にお いて指名した。 十月七日委員田中清一君辞任につき、 その補欠として鍋島直紹君議長にお いて指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     新谷寅三郎君    理事            小林 武治君            鍋島 直紹君            加瀬  完君            鈴木  壽君    委員            安部 清美君            大沢 雄一君            郡  祐一君            西郷吉之助君            白井  勇君            館  哲二君            西田 信一君            湯澤三千男君            占部 秀男君            大森 創造君            米田  勲君            中尾 辰義君            杉山 昌作君   説明員    内閣官房内閣審    議室長     大島 寛一君    警察庁警備局長 江口 俊男君    自治庁財政局長 奧野 誠亮君    厚生大臣官房総    務課長     栗山 廉平君    農林省農林経済    局農政課長   小林 誠一君    林野庁指導課長 茅野 一男君    建設省河川局防    災課長     畑谷 正実君    建設省住宅局長 稗田  治君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選地方行政の改革に関する調査の件  (伊勢湾台風による災害対策に関す  る件)   ―――――――――――――
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから委員会を開きます。  まず、理事補欠互選について、お諮りいたします。  十月一日鍋島直紹君委員を辞任せられましたため、理事に一名欠員を生じておりましたところ、七日に鍋島直紹君が再び委員となられましたので、この際、同君を再び理事に指名いたしたいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  速記をとめて。    〔速記中止
  4. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。   ―――――――――――――
  5. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、伊勢湾台風による災害対策に関する作を議題といたします。  まず、被害の現況及びこれに対する対策について説明を求めます。
  6. 大島寛一

    説明員大島寛一君) 御説明いたします。  伊勢湾台風によりまする被害といたしましては、最近の報告によりますと、まず人的被害につきましては、死者が四千百四十九名……。
  7. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと待って。資料がないです。
  8. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止
  9. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。
  10. 江口俊男

    説明員江口俊男君) 警察庁資料につきまして、簡単に御説明をいたします。  この資料は、お配りいたしておりまするのは、昨日の日付でございまして今朝の六時現在の数字が入っておりまするので、多少訂正しながらお話し申し上げたいと思います。ほとんど変りはまあございませんけれど、毎日少しずつ被害がふえているというふうにお考え願いたいと思います。それから私の方は、事柄の性質上、人的な被害ということにどうしても重点がなりがちでございまするので、あとの表に田畑の被害道路等被害も載っておりまするけれども、こういう点につきましては、専門のところからおそらく確実な資料が出ると思いまするので、そういうふうにお読み取りを願いたいと思うのであります。今度の台風十五号は、すでに御存じのように、昭和九年の室戸台風、それから昭和二十年の枕崎台風に、力としてはそれに次ぐものだそうでございまするけれども、ちょうど上りました地域密集地帯であったとか、あるいは上りました時間が、伊勢湾あるいは大阪湾等におきまして、ちょうど満潮時であったというようなことから、そういういろんな条件が競合しまして、未曾有被害、結果としては、先ほど申し上げました二大台風以上の被害が出たということになるわけでございます。  まず、一番初めの一枚目に書いてございますように、死者は四千二百五十三名、これは昨日現在でございまして、今朝現在では、四千一百八十七名になっております。行方不明が少し減りまして八百八十五名、それから建物全壊が三万二千七百七十二、ちょっとふえております。それから半壊が九万五千八百一、流失が三千九百十五、床上浸水、が十九万三千六百二十七、躍災世帯が三十万三千七百八十七世帯、躍災者の数にいたしまして約百五十万という数字負傷者を落しましたが、負傷者は一万七千六百九十四という数字でございます。しかしながら、われわれの方で死者と申しますのは、死体を確認したものであり、行方不明と申しまするのは、現実に届出があったとか、あるいは確実にそこにおったのがいなくなったというものでございまして、今度の災害特色としては、死者、行方不明とも数えられていないものがさらに出てくる。ことに名古屋地帯におきましては、毎日そういうものが出ておるということが事実でございますので、相当この数は将来にわたって伸びるものではなかろうか、こういうふうに思われるわけでございます。  それから、「主要被害府県概況」というところがございますが、これは、後ほど御一覧いただけばわかります通り、まだ愛知、三種、岐阜奈良等におきましては、現在におきましても各種の救助作業が行われているという状態、及びそれがどこで難渋しておるかというような点につきまして簡単に書いておいた次第でございます。  それから、今度の台風被害が東海の三県に非常に大きかったために、そこをいろいろわれわれ論議をいたすのでありまするけれども、今度の台風特色は、九州各県を除きまして、ほとんど全国にわたっておる。三十九の都道府県にわたっておる広範な被害でございまして、愛知岐阜三重を除きましても、今までの台風でございますと、一県で死者十人以上も出すというのは大被害だと、こうわれわれ言っておるのでありまするが、今度の場合は、その三県を除いても、福井の二十五人、兵庫の十二人、奈良の八十人、滋賀の十六人、群馬の十人、山梨の十五人、長野の十八人、青森の十七人、岩手の二十七人というふうに、死者十名をこえるような府県もほかにもたくさんあるのでありまして、この全国的な被害という点におきましても、古今未曾有のものであったということが言えるだろうと思います。  これにつきまして私の方の活動といたしましても、いろいろ御論議になる点もございましょうし、また、今から考えますと、私たちとしても、ああいう場合にはああやったらよかろうということも相当ございますけれども、何しろ全区域にわたって、しかも一瞬に襲ってきた、それから、何よりも悪かったのは、被害の起こる前に電気がみんな消えておったというようなこと、それから、警報は今度の場合非常によく出ておったようでありまするが、それにしましても、時間的なズレは三時間ほどあったようであります。  それからもう一つは、あの地帯一帯の住民が、警報を受けても、今までの事例によって、そう大きなものを予想してない。それから二十八年の台風の場合のあとに、復旧工事として相当堅固だと思われる堤防等がございまして、まあなんとかそれでなるというような考えを持っていて、灯も消えたことだし、そのまま寝てしまったというのが実情のようであります。従いまして、これは余談でございますけれども、犬を飼うておったというような所は、犬が騒いだので、起きてみたら水が一ぱい来ておったというようなことで助かったとか、それから海部郡等につきましても、鶏を非常にあの辺は飼う所でございますが、鶏を飼うておったところが、鶏が、やはり水が来たので、非常な騒ぎを起こした。それで起きてみて助かったというような事例が多いそうでございましてそういうふうに、まくらを高くして、と言っては語弊がございましょうけれども、備えとしても欠けるところがもちろんあったのでございまして、あれやこれや、いろいろな悪条件が重なりまして、こういう災害になったものと考えておるわけであります。私たちといたしましても、でき得る限りの力を尽くして、現在なお救助作業をやっておるということを御報告申し上げます。   簡単でございますが、終ります。
  11. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、資料が出ておりますから、就いて建設省から説明を聴取したいと思います。建設省河川局防災課
  12. 畑谷正実

    説明員畑谷正実君) 建設省関係の十五号台風概況を申し上げます。お手元に差し上げてございます資料の順を追って御説明申し上げます。  ここに、一ページに気象図が書いてございまするが、これは、御承知通り、十五号台風和歌山県に上陸いたしまして、本土を斜断し、新潟県から日本海に出まして、また本土を斜断して北海道に出た、こういう経過をとりましたために、今もお話のありましたように、九州を除きまする本土全般にわたりまして非常な災害、特に今回は、雨と同時に高潮による大災害を起こしたわけでございます。  次に、二ページ目に、直轄河川工事被害状況が書いてございまするが、地建名によりまして、東北地建、これは北上川上流、雄物川、江合鳴瀬川、阿武隈川、これらの川がそれぞれ警戒水位を突破いたしまして、出水をいたしておりまするが、被害としては、一番右の方に書いてありまするように、おもに護岸決壊がそれぞれここに書いてありますような被害を受けております。  次には、関東地建状況でございまするが、ここに書いてございます通りに、利根川以下それぞれの川に出水を来たしております。特に一番下に書いてございます富士川、これは、七号台風によりまして、釜無川において破堤をいたしたのでございますが、さっそく応急工事にとりかかっておった所が再度被災を受けた。出水状況におきましても、計画水位を上回るような川水が出たために、再度災害をこうむった。こういう被守を受けております。  それから三ページ目でございまするが、北陸地建も、ほとんど直軸の全河川にわたりまして、それぞれ警戒水位を突破するような出水がございまして、被害状況も、そう大したことじゃございませんが、それぞれ護岸堤防決壊がございました。  それから中部地建、これは最も被害の大きかった個所でございまして、木曾水系――木曾川、長良川、揖斐川、この三川出水も相当ございましたと同時に、台風による高潮によりまして、河口一帯が非常なる被害をこうむってございます。特に、牧田川根古地地区においては、これも七号台風によって堤防が切れ、相当な冠水面積を出したのでありまするが、七号台風を上回るような、それを突破する洪水が出たために、締め切り工事をやっておる前後から切れて、これも再度被災をこうむった、こういう状況でございます。そこで、右の方に、被害状況のところに書いてございまするが、木曾水系におきましては、破堤の延長が八・四キロメートル、これは、全部潮が出入りするというような状況までこわれた所が八・四キロメートル、それから堤防決壊、これは一部決壊をした所でございまするが、これが二十キロメートル、こういうような被害を受けまして、そのために桑名市、長島町、木曾岬村、こういうようなものが全部浸水をしておる、こういう状況になりました。それから浚渫船、そういうようなものもそこで沈没いたしまして、それぞれの死者を出しておる。こういう状況でございます。  次に、四ページには近畿地建、これも、淀川におきまして相当な出水がございまして、計画高水位を突破するような洪水状態でございましたが、これらは水防によりまして一応事なきを得、多少の提助漏水あるいは護岸決壊はございましたが、破堤のないような結果でおさまったわけでございます。なお紀ノ川、それから円山川、それから九竜頭川、こういうよう川におきましても、計画高水位を突破するような出水がございまして、それぞれ護岸堤防決壊を見ました。  なお中国四国中国天神川、次は、これはミスプリントでございまして、天代川と書いてございますが、千代川の間違いでございます。これらの川も警戒水位を突破する水位が出ております。  四国の那賀川、これも同じような状態出水をいたしております。  それから次には、県関係被害状況でございまするが、県並びに県内の町村を含めました補助関係被害の大体の中心地区、どういう雨が降り、どういう出水状態があるというのをここに概略書いてございますので、五ページに書いてございますように、四国の高知県、愛媛県、香川県、徳島県、これらの県に、それぞれ海岸における高潮被害並びに出水による河川道路決壊、そういうような被害が出てございます。それから中国地方の岡山県、それから六ページの島根県、鳥取県、広島県、和歌山県、奈良県、兵庫大阪、そういうふうに書いてございますが、鳥取県におきましては、県下一円にわたりまして被害がございまして、おもなる被守河川千代川天神川、加勢蛇川、こういうような川でございまするが、しかし実際には、県下一円にわたりまして相当な被害を出しております。それから広島県、これは豊田郡、それから和歌山県は、上陸したところでございまして、県下一円にわたって被害が出ておりまするが、おもな洪水河川紀ノ川、日高川、富田川、新宮川、こういうような河川洪水を招来しております。それから奈良県、この県も相当ひどい損害を受けましておもな地区は大宇陀町、五条市、それから吉野郡の十津川町、日原本町、おもなる河川は寺川、宇陀川、吉野川、神納川、それから国道として二級国道新宮大和高田線交通杜絶状態になっておるわけでございまして、この県におきましては、まだ現地状態が十分把握できないというような状況でございます。それから兵庫県、これは、兵庫県の海岸地帯、それから淡路島、それから丹波、但馬方面、こういうような所で、特に円山川水系、あの辺が相当な被害を受けてございます。  それから大阪市、これは、池田市を大体中心として被害を受けてございます。  それから七ページの京都滋賀福井三重愛知、こういうふうにして、大体被害中心地区とおもなる被害河川海岸及び道路の模様を書いてございますが、京都においては、舞鶴市、宮津市の日本海沿岸高潮並びに附近の洪水による河川道路決壊、こういうような被害が出ております。それから滋賀県、これは湖東、湖北、湖南、ほとんどまあ県下一円にわたって出ております。安曇川、日野川、野州川、天野川、姉川、愛知川、前の七号台風によってやられた所が再度受けたというような所が相当ございます。それから福井県、これは県の南部地方、大野市、これも九頭竜川の上流におきましては、やはり前の災害を受けた所が再度更けたというようなわけでございます。それから三重県と愛知県が今度の災害においては一番大きな県でございまして三重県におきましては、県下一円にわたっておりまするが、特に海岸地帯におきましては、さっきの直轄のところで御説明申し上げましたように、木曾水系木曾、揖斐、長良の三川下流地帯、それから四日市にかけまして、鈴鹿川、中野川、雲出川、長田川、それから海岸地帯四日市海岸鈴鹿海岸津海岸、これらの地区において相当な被害を受けております。これらもまだはっきり情報がつかんでないので、あとから御説明申し上げますが、被害状況にしましても、さらに増大するというようなふうに考えられております。それから愛知県も、御承知通りに、非常に大きな被害を受けまして、これは、県下一円にわたりまして災害救助法が全地区にわたって発令されたというような状態でございまして、ここに書いてあります通りに、おもな河川は新川、庄内川、山崎川、大江川、豊川、鍋田川、海津地帯海部海岸南陽海岸、それから上野横須賀海岸半田武豊海岸松原海岸、こういう海岸地帯においては非常な被害を受けてございます。  それから八ページには、静岡、岐阜、石川、富山、長野山梨、それぞれの県において被害中心地域及び被害のおもな河川海岸道路を書いてございます。これらの県につきましても、やはり七号台風以来の再度災害の余波を受けておるというような個所がそれぞれございまして、相当な被害を出してございます。  それから九ページには、新潟、神奈川、東京、千葉、埼玉、群馬、それから十ページには、栃木、茨城、福島、山形、秋田、宮城、岩手青森、そういうような県が、合計いたしまして三十七県が、ほとんど九州を除く全土にわたりまして被害を受けております。なお、特に市としまして名古屋市、京都市、神戸市、これらの市が被害を受けまして、今まで報告が入ってございます。  その次に、十一ページに、概略の図面でございまするが、特にひどかった愛知三重海岸地帯におきまして、被害を受けた個所並びにそれによりまして侵水を受けた地域を大体書いてございます。このように、名古屋中心といたしまして、名古屋市並びにそれらの郡部地帯、特に木曾三川下流地帯、それから四日市市にかける海岸地帯、知多半島の半田武豊、それから紀ノ川の奥、それから幡豆海岸吉田海岸、そういう地区浸水を受けております。  次に、被害額でございまするが、十二ページに、今まで申し上げました被害個所についてどのくらいの被害報告が入っておるかということを書いてございます。  直轄河川工事といたしまして、東北関東北陸中部近畿中国並び北海道開発局のそれぞれの河川に対して被害報告額を書いてございますが、合計いたしまして、現在までに報告のありましたものが四十三億八千三百二十万円、こういう数字になっております。  それから十三ページ目には、砂防設備関係被害報告関東北陸中部中国合計いたしまして三千四十万円、これが砂防設備関係被害報告額でございます。  それから十四ページには、道路直轄工事被害額、これは中部近畿にわたりまして九千百六十万円という被害報告になっております。  それから十五ページには、補助関係の各県別並び合計が出ておりますが、ごらんの通りに、合計いたしまして四百四十八億二千四百四十八万一千円、これが合計でございます。被害の該当県は三十七都府県並びに三市というふうになっております。特にひどいのは、愛知の八十七億六千七百万円、三毛県の七十億円、それに次ぎますものが奈良県の五十億、それから兵庫の三十七億、京都滋賀鳥取並び岐阜、それらの県がそれぞれ二十億円を突破しております。なお、この数字につきましては、先ほどからお話しておりますように、まだ被害が激甚なために調査が十分行き届いておらない、未調査のところがまだあるのでございまして、さらにこれより上回るというような予想がされてございます。  それから次の十六ページには、国道関係の今回の災害におきとまする被害状況がここに書いてございます。ほとんど交通が一応途絶しましたものの、現在におきましては回復してございますが、特に入会地のようなひどい所はまだまだ交通が不能になっておる、こういうことでございます。  それから十七ページには、これは、直轄河川維持管理をしていない府県道国道個所につきましての同じような支障状況が書いてございます。  それから住宅関係につきましては、住宅局長さんから御説明をしていただきます。  次に、二十ページの応急措置というものがございます。これに、十五号台風発生と同時に、建設省としてそれぞれ急速に措置したということがここに書いてございます。九月二十七日には、建設大臣本部長とする十五号台風災害復旧促進本部を設置いたしまして、それぞれの行動を開始いたしてございます。それから九月二十八日には、特に被害のひどい県、たとえば愛知三重岐阜滋賀京都奈良和歌山兵庫並び鳥取の各県には、それぞれ状況の把握並びに復旧指導に当らせるために、それぞれ災害査定官を派遣しております。それから二十九自には、建設大臣愛知三重並び岐阜の各県を視察に出発しております。二十八日には、政務次官が滋賀京都奈良和歌山及び兵庫に、現地視察のために関係係官を帯同して出向いております。それから九月二十九日には、中部日本災害対策本部開設とともに富樫技官、及び二日には建設事務次官がそれぞれ各方面に派遣されてございます。それから東北関東北陸中国四国及び九州地方建設局からは、中部地方建設局の行なう災害復旧の事務並びに技術を応援させるために、それぞれ係官を派遣するように手配をいたしております。それから府県関係といたしましては、愛知県及び滋賀県の知事からの要請によりまして、災害復旧事業設計技術要員といたしまして、愛知県には十二名、滋賀県には十名をそれぞれ被害の少い県から応援に派遣するようにいたしまして、それぞれ現地に到着いたしております。  それからその次は、緊急復旧措置として、公共土木施設関係としては、被害の激甚な府県については査定官を派遣し、復旧実地指導を行わせるとともに、準備完了次第緊急査定を実施し、その他の府県についても、早期査定を実施する予定をいたしまして、それぞれ万端の措置を講じております。それから、災害復旧のための国庫負担金早期支出をはかり、なお、当面の復旧資金として、情勢に応じつなぎ融資あっせん等を県の要請によってはするというふうにしております。それから次に、直轄河川のうち、とりあえず完全に破堤いたしました個所のありまする木曾川、牧田川堤防復旧費といたしまして、五億円を一応支出して緊急工事を行うほか、次期出水に際し危険のおそれの大きい富士川外河川被災個所について、規定経費より一億二百五十万二千円を支出いたしまして、緊急工事を行なっております。それから伊勢湾海岸被害につきましては、最も問題になりまするのは締め切りポンプ船の問題でございまして、木曾川及び海部海岸堤防締め切り工事早期完了に全力を注ぐこととし、総数三十隻、馬力数にいたしまして一万八千七百九十馬力ポンプ船手配を一応完了して、締め切り工事を督励して施行いたしております。それから海岸堤防復旧計画樹立のための基礎調査を、土木学会を通じまして、それぞれ海岸工学権威者にお願いをいたしまして、現在現地において調査、いろいろな海象、気象調査をしております。それから一級国道不通個所については、少くとも一車線の開通を可能にするため、復旧工事を促進するとともに、迂回路による交通の確保をはかるように努力いたしております。  以上をもちまして、建設省関係住宅以外の説明を終ります。
  13. 稗田治

    説明員稗田治君) 十五号台風建設省関係住宅関係につきまして、災害の御報告並びに対策を申し上げます。  お手元にお配りしてございまする資料の十八%ページでございまするが、そこに建物被害状況が書いてございます。これは、先ほど警察庁の方からさらに新しい被害報告がございましたが、十月六日六時現在で取った統計でございます。総計のところでごらん願いますと、全壊流失が約三万六千でございます。半壊が九万六千近くに相なっているわけでございます。そこで、被害のはなはだしい地域は、全壊流失戸数で申し上げますと、愛知三重岐阜長野奈良山梨といったような所が最も家屋の被害が激甚であった所でございます。  なお、この被害戸数にいたしましても、現在浸水のはなはだしい地域で、愛知県下におきましては、まだ未調査の分がございますので、今後さらに戸数はふえて参るかと予想いたしておるわけでございます。これに対する復旧対策でございますが、災害発生後、直ちに住宅建設課長以下係官を現在に派遣いたしまして、住宅の復興対策につきまして、調査及び指導を行わせておるわけでございます。  まず、対策といたしまして、第一に災害公営住宅の建設がございますが、これは、全壊流失合せました滅失戸数の三割に相当する戸数までの災害公営住宅を建設いたします場合には、国庫補助率三分の二でございますが、国庫補助を行なう予定でございます。第二に、住宅金融公庫の融資によります災害復興住宅の建設の融資の制度があるわけでございますが、被害発生後、直ちに住宅金融公庫に対しまして、災害復興住宅の融資を行なうように指示をいたしたわけでございます。住宅金融公庫におきましては、被害発生後、直ちに名古屋地区等の被災現地に係員を派遣いたしまして、災害調査に当らせる一方、災害復興住宅の貸付の融資相談所及び申し込み受付場所等について、関係機関と打ち合せを行いまして、現在愛知三重及び岐阜県下におきまして六百九カ所の融資相談所を開設いたしまして、被災者の融資相談に応じておるわけでございます。愛知三重岐阜等におきましては、十日からこの申し込み受付を開始するようになっておるわけでございます。その他の地域におきましては、すでに申し込みの受付を開始いたしておるわけでございます。なお、住宅金融公庫の災害復興住宅の融資制度でございますが、これは、建物の価値の二割以上損害を受けた建物に融資をする制度でございまして、二割以上五割未満の損害に対しましては、最高十五万円まで補修資金を融資するわけでございます。五割以上の損害を受けた建物に対しましては、内地におきましては三十万円までの建設資金を貸付いたすわけでございます。なお整地費が要る場合は五万円、また新たに土地を別な所に移転しまして建てる場合には、三万円それにプラスをしまして融資をいたします制度でございます。できるだけ災害公営住宅並びに住宅金融公庫の災害復興住宅の融資制度を活用いたしまして、われわれも万全の措置を講じたいというように考えておるわけでございます。なお、この災害公営住宅等におきましては、補正予算等の措置もいたさなければならないわけでございます。また、住宅金融公庫の融資資金等につきましても、全体の災害の手当といたしましては所要の措置を講ずるつもりでございます。
  14. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、農林当局から御説明を願いたいと思います。
  15. 小林誠一

    説明員小林誠一君) お手元に、横書きの「台風第十五号による農林水産関係の被害概況」というものをお配り申し上げてあるので、それにつきまして御説明申し上げます。  このたびの台風でございますが、一ページの中ほどからございますように、室戸台風枕崎台風に次ぎます第三の超大型台風でございまして、非常に風速がありましたために、北海道とか九州の一部を除きまして、全府県に農林水産関係の被害が発生いたしたのでございます。特に東海地方におきましては、高潮によりまして、干拓地、海岸堤塘の決壊、漁港、漁船、養殖施設等の損傷等が加わりまして、かつてないような大きな被害をこうむったわけでございます。しかし、雨量は、一部の県を除きましては比較的少なかったので、田畑の浸冠水の被害は、風害に比して比較的少なかったわけでございます。  二ページ以下が、農林水産関係の施設等の被害概況でございます。まだ今までのところ、調査交通途絶等のために進んでない所もございますので、詳細は不明でございますが、大体農作物被害を除きまして、この調査時点におきましては、総額五百三十一億円の被害がございますが、これは、調査が進みますにつれまして、まだ増加されることが予想されるわけでございます。  農地及び農業川施設でございますが、これは別表2に掲げてございます。その被害は三十七都府県に及んでおりまして、そこと農地事務局からの報告によりますと、直轄代行の約五十二億円を含めまして、約総額百七十九億というのがお手元資料に出ておるわけでございますが、現在のところわかりましたところでは、これが二百十一億円というふうにふえておりまして、約四十億の増に現在はなっておるわけでございます。少し資料が古くて、まことに恐縮でございますか、約二百億程度の被害があるわけでございます。で、報告のありました府県の中で、最も被害の大きかったのは三重県の二十三億ということで、あと兵庫だとか、鳥取愛知岐阜福井奈良県、山梨滋賀京都府、和歌山等の被害が大きくなっております。これは別表2に詳細出ておりますので、あとからごらん願いたいと思います。  それから林野関係の被害でございますが、これは三十二都府県に及んでおりまして、その総額は、国有林を含めまして約二百三十九億でございます。そのうち林地崩壊、治山林道施設の被害は、県より報告のあった分だけで約七十五億円でありますが、今後増加の見込みでございます。林野関係で最も被害の大きかったのは、愛知県の八十一億円で、次いで岐阜県、三重県、奈良県、山梨県、和歌山県、滋賀県、長野県、京都府、兵庫県、福井県の諸県の被害が大きく出ております。この資料を作成いたしました以後、現在までのところは、これが二百三十九億円でございますが、約六億増加しまして、二百四十五億円という数字が出ております。  その次は水産関係でございますが、これは、二十九都道府県から報告がございまして、その被害総額は約百十四億円でございます。これはこの時点でございますが、現在、報告がありましたのを取りまとめますと、百三十三億円で、約二十億円増加いたしております。そのうち漁港施設の被害は二十六億円となっておりますが、これが二十八億でございまして、これもなお増加することが予想されます。そのほかに漁船、漁具、共同利用施設、養殖施設等の被害が甚大であったのでございますが、特に被害の大きかったのは三重県ですが、これが約七十七億円になっておりますが、その中で特に真珠施設の被害が激甚でございまして、そのほか愛知和歌山の諸県の被害が大きく出ておるわけでございます。  その次に、四ページでございますが、これは農作物被害概況でございます。この農作物被害につきましては、以上申しました被害額の中にまだ入っておらないのでございますが、この農作物被害は、統計調査事務所で目下調査中でございまして、その速報でここにあげてございますが、水陸稲の損傷面積は約七十五万町歩でございまして、全作付面積の二割以上の多きに及んでおります。そこで、先ほども御説明申し上げましたように、やはり今回の台風特色としまして、風害による被害が多いのでございまして、倒伏が約五十万町歩、穂ずれ脱粒等が約八万町歩、浸冠水が約十二万町歩となっております。また一部には、潮風だとかあるいは潮水害が発生しまして、その、面積は約二万町歩でございます。その他畑作物にも風による被害が相当発生しておりまして、特に果樹なんかの落果が著しいのでございます。被害地帯は、四国中国地方より東北地方にわたります全県となっておりますが、特に東海、近畿地方の各県の被害が著るしいのでございます。  以上が農林水産関係の被害概況でございます。これに対しまして農林省といたしまして、これまでどういうふうな対策を講じたかということでございます。これに対します農林省の応急対策につきまして概略を御説明いたしたいと存じます。  この台風発生以来、農林大臣、両政務次官、官防長以下各局長が現地におもむきまして、現地対策本部でいろいろ協議をして、それぞれ応急の手を打っております。各局も、担当官がそれぞれ現地におもむきまして、それぞれ応急の措置をとっておるわけでございますが、まず食糧関係でございます。これに、農林省といたしましては応急用の乾パンの手配、それから米の応急手配について万全の措置を講じておるわけでございます。具体的に申しますと、応急用乾パンでございますが、これは、罹災の県から要求がございましたのが、四百六士五万食応急乾パンの要求がございました。これに対しまして、すでに発送済みのものが四百七十二万食、大体現地の要望通りの乾パンの配給を了したわけでございます。これは十月六日現在でございますが、現地の要求に対しまして応急乾バンの手配はそのようでございます、  次に、米の応急手配につきましても御説明いたしますと、これは愛知県でございますが、これは、応急たき出しにつきましては、販売業者の手持ちの内地精米及び準内地米をもって実施しております。罹災者に対し準内地米約六百トン、消費者に対しまして準内地米約三千トンを出しております。そのほか三五県その他の奈良県、岐阜県につきましても、それぞれ応急配給なりあるいは必要な特配ということを実施いたしておるわけでございます。   次に、復旧用材でございますが、これは、名古屋等の激甚被災地におきまず災害復旧用木材需要に対しまして、地元の名古屋営林局はもちろん、もよりの長野あるいは東京営林局から供給するとともに、必要な場合には、前橋その他の営林局からも供給することを考ております。その線で実施しておるわけでございます。その可能見込み量は、緊急用としまして、名古屋長野、東京三局分で約十万石、その他の四局分十万石、なお引き続き二十万石を供給可能となる見込みでありまして、さらに必要な場合は増量も可能でございます。特に緊急を要するものにつきましては、先ほども申しました営林局材を地元製材工場等で製材せしめて計画出荷するように措置いたしますとともに、岐阜長野、静岡等の木材業界等の協力を得まして、手持材の計画出荷をはかって、この応急復旧用材につきまして、十分な供給ができるように措置いたしておるわけでございます。  それから次は、飼料対策でございますが、家畜等を飼育しております農業者に対しましては、政府保有の輸入ふすまを特別売却するとか、あるいは事故麦を飼料川に向けるとか、あるいは大豆かすを供給するとか、あるいは粗飼料であります稲わらの緊急手配をいたすというような手段を用いまして、家畜の飼料に対する対策を講じておるわけでございます。  それからまた、家畜に対しましては、これは、水没地帯が非常に広範で、かつ浸水期間も非常に長期にわたることが予想されますので、家畜の防疫体制をしくことが必要でございます。そのために防疫事業は反復実施する必要がございまして、死亡家畜の遺体の処理等の特殊な作業を厚生省と緊密な協力体制をとりつつ実施するように措置しております。現在までに、まだ家畜伝染病の発生の点は心配されるところがないようになっておるわけでございます。  次に、蔬菜の種子でございますが、これは、愛知県知事から、九月二十八日に災害対策用の蔬菜種子の売り渡し申請がございましたので、これに対しまして、全国種苗備蓄協同組合理事長あてに、ホウレンソウ等の帯葉種子の売り渡しを指示しまして、その協同組合から被害地に対しまして疏葉種子を売り渡すというような措置をとっておるわけでございます。  次に、農業共済の関係の仮渡し及び概算払いでございますが、これに対しましては、十月一日付で関係知事に対しまして、すみやかに損害評価を実施しまして、共済金及び保険金の仮渡し概算払いの措置を行うように指示しております。その必要量等についても照会いたしました。再保険金を出す必要があります所に対しましては、特別会計からその金を出したいというふうに考えておるわけでございます。また、この評価の問題等につきましては、現地に人を派遣しまして、調査をやりあるいは現地指導をやっておるわけでございます。  それから次に、金融関係でございますが、今回の災害につきましては、そのつなぎ資金をやはり農林漁業者に各金融機関から貸していただく必要がございますので、農林事務次官から農林中央金市の理事長あるいは全国組合金融協会の会長さん方に、この十五号台風による農林漁業関係の災害復旧に対する融資方について依頼をしておるわけでございます。  それから、施設の復旧でございますが、この関係につきましては、農地関係といたしましては、干拓堤防締め切りについての問題あるいは湛水地域の排水の問題について、現地でそれを急いでやっておるわけでございます。水産関係としましては、これは漁船保険を早期に支払うということで係官を派遣し、あるいは新年度より漁船保険組合に対しまして融資を行わしむるようにあっせんする等、早くこの漁船保険の支払いを行うように措置いたしております。そのほかに、漁具等の確保についても万全の措置を講じているような次第でございます。  以上、災害が発生いたしました以後の応急は対策といたしまして、農林省がとりました措置の概要についての説明を終わります。
  16. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、自治庁から御報告をいただきます。奥野財政局長。
  17. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 公共災害被害額、今までのものを全部合せますと、まだ今後数字が相当動くと思うのでありますが、さしあたり府県からの報告をまとめてみますと、二千億程度になっているわけでございます。地方財政計画を作りますときには、現年発生の災害の規模を二百五十億円と見込んでおるわけでございますので、非常な大きな災害の規模になって参ってきているわけでございます。昨年はかなり大きな災害が起きたわけでございますが、三十三年災害の総額が七百五十五億であったのでございますので、それよりもさらにはるかに大きな規模に上っておるということでございます。このような事情でございますので、お手元資料をお配りいたしましたように、三回にわたりまして地方交付税を繰り上げ交付いたしたわけでございます。百五十二億円に上っております。今後災害復旧を進めていきますにつきましては、国の方でも補正予算が組まれますので、その際に地方交付税の増額交付をいたしたい、災害団体の実情を十分考慮して配分していきたいというふうに考えておるわけでございます。なおまた、国が補助いたしましても、残りの地方負担分をまかなわなければなりませんし、また単独でやらなければならないものもございますので、そういうものに充てられますように、地方債を大幅に増額していかなければならないというふうに存じておるわけでございます。  特別な立法措置として考えております問題は、一つは、歳入欠陥なり災害対策の地方負担分なりをまかないますように、そういうようなものにつきましても、地方債を起こせる道を開きたいというふうに存じております。  もう一つは、昨年行いましたように、国庫負担の対象になりません小規模災で、そのうち農地、農業用施設につきましては、国庫補助相当分の間、地方債を市町村に認めて、その元利の全額を国庫で補給していくというような措置をとることになっておるわけでございます。  また公共土木災害、それと、公立学校につきましては、小災害について地方債は当然認めるわけでございますが、一定規模のものにつきましては、一部元利の補給をいたしたいということで話し合いをいたしておるところでございます。
  18. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御報告が前後しましたが、内閣審議室の方から、大体各省から御報告がありましたから、重複しないようにして、簡単な資料が出ておりますが、一つ簡単に御報告を願います。
  19. 大島寛一

    説明員大島寛一君) 御報告申し上げます。  今次の台風による被害状況につきまして、お手元資料を差し上げておりますが、罹災者あるいは公共土木施設、農林関係被害等につきまして、すでにそれぞれ各省庁から詳しく御説明がございましたので、その他の点につきまして申し上げますと、文教施設につきまして、金額にいたしまして五十三億四千二百万円、また交通通信施設につきまして、最近わかっておりますところで百四十余億円でございます。鉄道におきましては四十四億九千八百万円、自動車におきまして二十四億九千九百万円、船舶におきましては五十三億五千四百万円、その他航路標識、航空施設等それぞれ九千九百万あるいは一千三百万の被害と、各省からの報告を受けております。さらに電信電話施設につきまして、金額にいたしまして十六億、回線にいたしまして、市外におきまして一万五千余の回線、市内回線におきまして二十万三千余の回線の被害と、報告を受けておる次第でございまするが、これらにつきましては、すでに調査の進むに従いまして異動があるものと考えております。産業被害のうち、農林関係といたしましては、先ほど農林省から御説明がございました。商工業の関係につきましては、なお調査中でございまするが、現在までに愛知、三市、岐阜の三県につきまして、通産省においてわかっておりまするところで申し上げますと、七百四十五億円ということでございます。  次に、政府としましての措置でございまするが、すでに関係各省からそれぞれ御報告申し上げました次第でございますが、中央におきましては、九月の二十八日に中央災害救助対策協議会を開催いたしまして、当面の救助対策につきまして実情の報告を聞きますとともに、さらにすみやかに、かつ遺憾なき措置をするよう打ち合せた次第でございます。さらに九月二十九日に、災生復旧対策協議会を設置いたしますことと、現地中部日本災害対策本部を設置いたしますことをきめまして、九月三十日から中部日本災害対策本部が現地に設置されまして、当面の応急救助と復旧対策につきまして、中央、現地と並行いたしまして、その遺憾なきを期するよう措置をしておる次第でございます。  なお、来たるべき臨時国会におきましては、必要な補正予算、法律案等提出される予定でございます。
  20. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、厚生当局から報告を願います。栗山官房総務課長
  21. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) 厚生省の状況を簡単に申し上げます。  被害状況につきましては、今お手元にお配り申し上げまする数字におより願いたいと存じます。  厚生省の関係といたしましては、応急救助の関係におきまして、災害救助法に基くいろいろの避難所の増設、応急仮設住宅の設置、たき出しその他食品の給与、飲料水の供給というような関係でございます。それと、もう一つ防疫対策、伝染病対策があるのでございます。今の災害救助法に基く分といたしましては、たき出し等の食品の給与単価は普通五十円でございまするけれども、これを七十五円に単価を引き上げるという措置をとっております。それから応急の仮設住宅の設置のワクでございまするが、これは全壊流失家屋の三割というのが原則になっておりますけれども、これを四割にワクを拡大いたしまして、引き上げるという措置をすでにとっております。そのほか、ただいま申し上げました食糧の給与、それから飲料水の供給等につきましては、万全を期して努力をいたしておるところでございます。  それから伝染病の関係といたしましては、近県から防疫班を多数繰り出しまして目下努めておるところでございまするが、特に今回は冠水が激しゅうございますので、名古屋の検疫所――港の検疫所でございまするが、検疫所におきまして、東京の検疫所、東京空港検疫所、横浜、清水、大阪、神戸といったところの各検疫所から、人的物的の応援を求めまして、検疫班、消毒班を組織して、海港の特に消毒に当って万全を期しております。  それから、今回非常に問題となりましたのは、屎尿の処理対策でございます。冠水が激しゅうございますので、屎尿の始末が非常に今回は問題となりまして、そのためバケツ、石油カン、ドラムカン等の設備を大々的にいたしまして、それをためまして、小型船で仮設の便所まで運び、それからまた、大型船で運搬して適宜処置をするという方法をとっておるところでございます。それからあと大阪、神戸市等からバキューム・カー、ダンプ・カーの大量の配車を受けまして、目下清掃に努力いたしております。  それから、医療班につきましては、すでにたくさんの医療班が編成されまして活躍いたしておりまするが、救護班は、愛知県で救護所を六十二カ所、救護は七十一班、三重県は救護班が十六班、岐阜県では四班が活躍いたしております。それから緊急の医薬品の供給でございまするが、これにつきましてもそれぞれ必要な量を、たとえば石灰、さらし粉、クレゾール、DDTといったようなものを三百トン、価格約一千万円購入して配給いたしております。それからあと必要な脱脂綿、マーキュロ等全部いたしております。  なお、米国のキリスト教関係団体等より、老人、子供用としてビタミン剤の大量寄付がございましてこれがもう届くはずでございます。  それからガス壊疽、破傷風の抗毒素を、ガス壊疽につきましては百五十本、それから破傷風につきましては百名分を措置いたしまして、配付済みでございます。  なお、そのほか特別措置といたしまして、世帯更生資金のワクの増大、それから母子福祉資金の特別な貸し出し、それから被災地に臨時に保育所を設置するということに対して国庫補助を行うという措置をいたしております。なお、この罹災地の保育所に入っている児童につきまして、必要に応じて保育料の徴収減免を行なうという措置をすでにいたしております。  そのほか国民健康保険の療養給付費に対する補助金、それから事務費に対する補助金、その第三四半期分を繰り上げまして総額四億八千二百万円を繰り上げ交付することに措置いたしております。  それからもう一つ、国民健康保険につきまして災害によりまして保険料を減免する、あるいは、一部負担金を減免するという場合に、その減免した額並びに災害を原因として起きました病気、負傷に対するいろいろの国民健康保険からの給付額につきまして、それぞれ特別なる調整交付金を交付することに措置いたしおります。  その他義援金関係でございまするが、赤十字社それから経済五団体、それから先ほど申し上げましたニューヨークの国際キリスト教奉仕団体、ここから義援金それからビタミン剤、義援金につきましては目下大々的募集中、それからビタミンにつきましては、これは到着いたしております。それから米国宗教三団体からも、ノースウエスト機あるいは日航機を使いまして、無料奉仕で乾パン、ミルク、小麦粉、チーズ、衣料等が送られて参っております。
  22. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 以上で大体各省からの御報告を終わりました。それに対して何か御質疑があれば、順次御発言を願います。
  23. 小林武治

    小林武治君 警察庁のいろいろのお話がありましたが、外部からの災害に対する応援といいますか、そういうようなことはどうなっておりますか、実情は。
  24. 江口俊男

    説明員江口俊男君) 現存人的の応援といたしましては、警視庁、大阪等から愛知三重、合せまして六百人余りのものを応援さしております。それから物的な面としましては、警視庁のパト隊あるいは静岡等からも出しまして、ほとんど警察というのは大した装備を持ちませんけれども、災害の救助役立ちそうなもの、たとえば救命艇といいますか、ゴムボートというようなもの、あらゆるものを、あるだけのものを集めて現在やっておる。こういう状態でございます、警察自体といたしまして。ただ、愛知県等でも多少批判があったように聞いておりまするが、なぜ早く呼ばないか、なぜもっと多く応援を受けないかというような問題があったようでございまするが、現地の事情からしまして突発いたしました当初におきましては、装備を伴わない人間だけでは、来てもらってもどうもならぬというような判断、それから、これはそういう遠慮は要らぬとわれわれ言うのでありまするが、やはりよそから応援に来たものに対しては、屋根のあるところででも寝せにゃいかぬとか何とかという遠慮もあったようでございまして、なかなかすぐ来てくれという調子にいかなかったわけであります。現地要請をわれわれの方で削って人間を少くするとか、あるいは時期をずらしたというようなことは絶対ございません。むしろ懲悪をいたしまして、とにかく遠慮をしないで、必要なものだけはとれというような考え方で現在もやっております。
  25. 米田勲

    ○米田勲君 警察法関係で、ついでにちょっとお聞きしたい。  警察の動員されておる人たち救助作業に集中されておるのだろうと思いますがね。どうもいろいろな状況を聞くと、盗難が頻発しておるというように伝えられておりますが、そういう取締りの方面については、特に考慮されて指示をしておるかどうか、そういう状況はどうなっているか、ちょっと御説明していただきたい。
  26. 江口俊男

    説明員江口俊男君) 十五号台風災害については、今となれば、どこがどうやった、あそこがやらなかったというようなことは、話はいろいろ出て参りますが、とにかくあれが起こりました当初においては、これは、警察の事務であるかどうかというようなことは別として、まあ一番早く動員をされ、早く動員をされというよりも、まあ現に起こったときは、警察が何でもやったというのが実情でございます。それは、消防団その他ももちろん分に応じておやり願ったわけでございまするけれども、警察としても、避難誘導あるいはそこにおぼれそうになっている者については救助とか、あるいはその後は物の配給等までとにかくやっておったのであります。しかしながら、だんだん日がたつにつれまして、市役所でやるべきものは市役所でやる、県庁でやるべきものは県庁でやるということにだんだんなって参りましたから、現在におきましては、警察でなくてはやれないといいますか、ただいま御指摘になったような点に重点をおいて仕事をやっておるということに相なっております。盗難が非常に多いということでございまするけれども、非常に多いかどうかというようなことはまあ別としまして、盗難があること以上に、盗難があるであろうというような、その不安というものが多いということは言えるのでございまするから、この面につきましては、強制避難といいますか、まだ水没地帯に十万以上の人間が残っておるようでございまして、これがそこを立ちのくと、物がなくなりはしないか、あるいは帰ってきたときに、うちの中にほかの者が占拠しておりはしないかというような不安があって由ない面があるようでございまするから、そういう面は、極力こちらの方で責任を持って見回るという態勢をとっております。現に警視庁から派遣いたしておりまする二百数十名の機動隊は、今名古屋市内の水没地帯の水上パトロール、これはもともと陸上でございますが、水があるものですかり、船でしかパトロールできない、それに従事しておるというようなこと。それから、三百何名でございましたか、いわゆるこういう災害の時期につけ込んで物を暴利で売り歩くというような者を取り締る、こういうものにも特別の警戒をしております。現実の事件として、この災害に乗じて起こったというようなのは、強盗等もございましたけれども、災害の見舞に来たのか見物に来たのかわからぬような、他県から入り込んできて物を盗んだというようなものをあげた事例はございます。そういう個々の犯罪につきまして、現在災害のときに行なった犯罪が特に刑を加罰されるというような規定は特別の法律にないものですが、幸い普通の刑法の罪にしましても非常に幅かございまするので、これは、警察庁とも申し合せの上で、その幅のあるうちで一番強いところで処理をしていくという申し合せ、結果は、裁判を待たばければこれはきまりませんけれども、考え方としては、そういう人の災難につけ込む犯罪については、情状にわいて仮借するところがないという気付で取り締りをやっておる。従いまして、結論から申し上げますというと、災害の起こりました当初におきましては、盗難の予防、見張りというようなことについて手の回らぬ点もあったかと思いまするけれども、現在におきましては、他地区以上にその点に重点を置いておりますので、特別のそういう事件というものはなかろうかと、こういうふうに考えております。
  27. 小林武治

    小林武治君 応援の問題ですが、こういうようなものは、警察の仕事は、やはり災害に対処するというふうな仕事が非常な大きな仕事であって、今後も応援の問題はやはり起きると思うのですが、そういうものについて何か計画とか、あらかじめ考えておるというような、そういうことはありませんか。  それからもう一つは、応援なんかの経費はどういうふうになりますか。
  28. 江口俊男

    説明員江口俊男君) 応援の問題でありますが、小林委員もよく御承知のように、現在の警察法の建前で、非常事態の発言でもありまする場合、これは別といたしまして、その以外の場合は、受ける側の公安委員会から、その受けたいと思うところの公安委員会要請をしなければならぬ、このことについては、もちろんわれわれの方にも連絡はございますが、連絡するという規定もございまして、そういう仕組みにはなっておりますけれども、とにかく各府県単位でございますから、そのつどそのつど自分のところは、たとえば名古屋でございますれば、名古屋から静岡に、警察官を百名なら百名応援に向けてくれ、こういう要請をしなければならぬということになっているんでありまして、残念ながら、全国的にどこにどういうことが起こったら、どこの県からどう行くというような事柄については、机上のプラン、机上のプランと言っちゃおかしいですが、災害警備計画、これはございますが、それがプラン通り動くかどうかということは、一にかかって現地の判断による。そのことについては、もちろんわれわれがアドバイスはするわけでございますけれども、決定的なことはそういうことになっております。それが第一点。  それから第二点の費用の問題ですが、これは、今度特別に国家的な大災害、大規模災害ということで、予備費なり何なりの支出を要求いたしておりますが、従来これは出なかった、出なかったというのは語弊がございますが、これは、各府県の費用でまかなってそれに対して国庫から、活動旅費については半額の補助というようなことでいったわけでありまして、現実に幾ら出たから、そのものについて国から幾ら見てやったというようなことは、残念ながら従来なかった。去年の静岡県の狩野川台風等におきましてもそういうやり方、ただ、われわれの事実上のやりくりとしては、毎年要求しながら削られておるのに、集団不法行為の取締費というものの中に災害対策という概念が入っているものですから、よそから応援しました分については、小規模であれば、そういうところからめんどうを見たということは事実上はございます。ございますけれども、今までは、これだけ行ったからこれだけ国から直接支出をするとか、あるいはその額はまるまる見て、交付金を増額するとか、補助金をやるとかいうようなことは、残念ながら行なわれていなかった、こう言っていいと思う。しかし今度は、これだけの規模の災害でもございますし、また現地においても、あと金がどうなるかという心配が非常にあるそうでございますから、私の方の大臣なんかも、そういうことは心配しないで活動をし、また応援を受けるものは受けろということを言って、そうしてその心配をなくして十分やってもらいたい、こういう立場をとっております。しかしながら、まだ取れていない予算でございますから、お前のところに幾ら確実にやるのだというようなことを言えないのが残念でございます。
  29. 小林武治

    小林武治君 もう一つ、装備の問題ですが、やはり警察も災害関係等をある程度予想して装備をこれからさせる、ヘリコプターを持つとか、いろいろな問題があると思いますが、そういうふうなことについて、何かこの災害を契機として考えていますか。
  30. 江口俊男

    説明員江口俊男君) ヘリコプターは、きのうの全国都道府県本部長会議の席上、官房長が、各管区ごとに考えている、こういうことを言ったんで、そういうことをちょっと書いてある新聞もございますが、われわれも非常に、要るとして、管区が八つありますから、少くとも八機はすぐでもそろえてもらいたい、こう思うんですが、とりあえず災害の予算の要求としては一機だけ、これはもちろん、通るかどうかわかりませんが、要求しているようであります。それから警視庁は、特別に国の費用じゃなしに、これは都道府県の費用で買うて悪いということは全然ないわけでございます。東京都で一機買うと、こういうことになる。それから大阪等でも、半額ないし三分の一の補助があれば買いたいというような話もございますけれども、この装備に関する予算の立て方が、国費で買ってやるか、あるいは全額県費で買うか以外は、県で買わして、それにある程度の補助をやるという仕組みがない現在の予算の建前では、そういう妥協的なことができない点に非常な不便があります。私などの経験でも、何も警察装備として必ずしも持っておらなければならぬとは思いませんけれども、どこでもいい、私は、民生部でもあるいは土木でもいいから、救命艇を増強してもらいたいというようなことをかつて主張したことがあります、府県に勤務いたしておる場合におきまして。しかし、なかなかそれが通らなったというような実例が過去においてございますが、こうなってみるというと、どっかにあればよかったなあという気が非常にするわけでございまして、もしも県費で買われるというような知事その他の覚悟があれば、何もこれは警察の装備として置かなくても私はいいと思う。警察の装備として置くということになれば、これは、建前は、国で買って配給してやるということになるわけです。将来は、もちろんそういうことに備えて研究しなければならぬと思いますが、ここで災害のためにこういう特別の装備を考えておりますと、あるいは手当をしております。ということを御披露できないのが残念でございますけれども、お互いに検討したい、こう思っております。
  31. 小林武治

    小林武治君 ただいまの問題は、ぜひ考えてほしい。検討をして、やはり警察の非常な大きな任務の一つですから、それに対応する装備というものも考えておいてもらいたいということを注文しておきます。  それから、自治庁が補正予算を組むと、こういうふうな考えがあるようにお話があったので、これももちろん、そういう必要はありますが、今の交付税の増額というようなことを本気で考えていますか。
  32. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) もちろん、補正予算を組みますのは、大蔵省で組まれるわけでございますけれども、その財源に法人税の増収が充てられることは必至だろうと思います。そうしますと、当然二八・五%が地方交付税になるわけでございますので、それだけのものは本年度増額交付したいし、できると、かように考えておるわけであります。
  33. 小林武治

    小林武治君 そうすると、今みたいに自動的の問題だけですね。
  34. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) その通りであります。
  35. 西田信一

    ○西田信一君 先ほどの被害報告に関連して、ちょっとお聞きしたいのですが、これは、的確に被害の実態を把握するということはなかなか困難だと思います。このことはよくわかるのですけれども、御報告あった中で、ちょっと私もふに落ちない点があるので、どういう調査によってこういうことになったのか、たくさんいろいろ問題がありますけれども、そのうち一点だけお聞きしたいのですが、住宅被害ですね。住宅被害は、今、建設省からも、あるいは厚生省からも、警察庁からも、内閣審議室からも御報告があったわけですが、大体一致しておる点もありますが、非常に食い違っておる点もあるわけです。たとえば、全壊戸数半壊戸数というようなものについて、厚生省のほかの三者の御報告は大体一致しておりますけれども、厚生省は非常に食い違っておるのですね。たとえば全壊戸数でも、厚生省は四万一千七百二十二戸と言っておられるが、その他の、建設省では三万二千二百戸ですか、審議室ではやはり三万二千二百六十三、こういうふうになっておりますが、非常に違う。半壊に至りましては、大体九万五千台であるにもかかわらず、厚生省の報告では十三万、こういうふうに非常に違っている。四万戸ぐらい違っている。そういうことで、これはもちろん復旧と非常に重大な関係があるわけです。あそこに張り紙してありますが、あれは責任のある数字じゃないと思うけれども、愛知県だけの全壊戸数が二万五千戸と書いてある。建設省その他の報告では、大体一万八千ないし一万九千以下のところが全壊戸数だという。厚生省の見方は二万五千戸と、こういうふうに違っておるが、あすこに書いてあるのは、こういうふうに書いてある。責任ある数字じゃないと思うけれども、二万五千戸、厚生省と非常に食い違いがあるので、こういう食い違いがあってはまずいと思うのですが、調査の方法等によるものであろうと思うけれども、こういうものは一つ統一される必要があると思うが、どうしてこういう食い違いが出てきたのか。少くとも実態を把握するということは、的確にしかも早くしていただかなければならぬと思うのですが、どうしてこんなふうになっているのですか。これを一つお伺いしておきたい。
  36. 稗田治

    説明員稗田治君) 先ほど建設省で申し上げました住宅の家屋の被害戸数でございますが、表に書いてあります被害戸数は、十月の六日現在の警察庁の御報告をとっているわけでございます。それでなお、実際の災害公営住宅の建設あるいは災事復興住宅の建設資金の融資というような段階になれば、ここにまた詳細な調査現地でいたすわけでございますが、一応全体の国の対策といたしまして考える場合に、早期被害戸数を把握するのに、現在といたしましては、われわれの方では警察庁報告をとっているというわけでございます。  なお、先ほど申し上げましたように、愛知県の報告で、若干今後におきまして相当戸数がふえてくるのではないか、そういうように考えているわけでございます。今、水没地域内に浸水家屋というので、警察庁の方の報告に上っているのがございますが、水が引きました場合に、それが相当倒れている、あるいは引いた際に壁等が脱落しておりますので、力がなくなっておって倒れる、そういうような家屋が出て参るわけであります。現在の状況が水没しておりますので、よく把握できないわけであります。名古屋の方では、そういうような、水が引きました場合に一万五、六千戸の全壊家屋が出てくるのではないか、そういうような予想の報告は現に受けているわけでございます。
  37. 西田信一

    ○西田信一君 もちろん、そういう事情があると思うのですけれども、厚生省がどういう調べ方をされたか知りませんが、半壊戸数なんかでも二万戸も違っているのですね。しかも、先ほど住宅局長のお話によりますと、近く住宅予算をふやさなければならぬし、あるいは公庫の融資ワク等についても考えていかなければならぬというようなお話であって、近く国会も開かれることになっている。そういうときでありますから、見落しがあったりなんかしてはいけないのじゃないかという気持で申し上げるわけであります。こんなふうに、現実に同じ十月七百調べという表において一つの県のやつが二万戸も雇う、全壊戸数で七、八百戸違うというようなことは、どうも同時に御報告を受けるというと、私どもちょっと理解できないものですからお尋ねをしているわけで、これは間違いのないようなということで早く御調査願いたいという意味で御質問申し上げているのですが、そういうふうに違うということは、報告を受けて不審に感ずると同時に、こういうことがあってはならぬと思うので、厚生省はどうしてこういう数字なんですか。
  38. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) 厚生省におきましては、府県が各市町村からまとめてこちらに持ってこられた数字を出したものでございまして、もちろん、確実なものだけの考えで府県は出してくるわけでございまして、今後さらにこの数字は動くものということでわれわれは考えております。
  39. 加瀬完

    ○加瀬完君 奥野さん、さっき小林さんから御質問がございましたが、御説明の中で、補正予算で地方交付税の増額方法を講ずるというお話があったんですけれども、何か小林さんの御質問に対するお答えでは、近く補正予算で何か交付税が大幅にふえるというような内容に聞きとれなかったのですけれども、具体的にもう一度御説明下さいませんか。
  40. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 今度補正予算の規模をどうされるか、まだ承知していないわけでありますけれども、その際に、財源を法人税収入として求める。求めただけの二八・五というものは、歳出に地方交付税として追加される、かように考えておるわけでございます。補正の規模が小さければ別でありますけれども、大災害の実態から考えまして、相当の金額に上ると予想されますので、かなりな地方交付税の増額ということになるのじゃないだろうかという期待を持っておるわけであります。
  41. 加瀬完

    ○加瀬完君 交付税のワクに縛られないで、この災害の地方団体の持ち出し分というものを当然ほかの財源で考えるという形に自治庁はお立ちになっておらないで、交付税だけで処理をしようというお考えですか。
  42. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 先ほどもちょっと申し上げたわけでありますけれども、一つは、歳入欠陥あるいは国がいろいろ講じます災害対策の地方負担というものについても、地方債を起こせるような立法をいたしたい。従って、それに見合う地方債の増額を行なわなければならない、こう考えるわけであります。それから、小災害につきましては、国庫負担の対象になっておりません。これは、当然地方債を認めなければならぬわけでありますが、その一部につきまして、国庫から元利の補給を求める。どの範囲にするかということにつきましては、なお話し合いをしていかなければならぬわけでありますが、そういう措置を講じたいと考えておるわけであります。
  43. 米田勲

    ○米田勲君 重複するかもしれませんが、自治庁の方にお伺いしたいのですが、地方自治体の方から、災害に対する国の援助措置のいろいろ陳情、要請があると思うのですが、自治庁の災害対策の具体的な方針をちょっと簡単にお聞きしますが、そういう自治体から要請してきていることと、あなた方が今実施していることとの間に大きな食い違いがありませんか。
  44. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 災害が強い場合には、そのつど特別な立法措置がとられまして、通常の場合に講ぜられる災害復旧費に対しまする国庫負担の程度をさらに引き上げる、こう思っておるわけであります。それで、現存の災害は二十八年災を上回るようなものだから、少なくとも二十八年災においてとられた国の援助、それ以上に援助してもらいたい、こういう熱烈な希望が地方団体側からも寄せられておるわけでありますが、側々事態につきまして、どこまで国の援助を強めるかということは、なお現在いろいろ検討されている最中でございまして、従いまして、自治体の要望に対して、現在どこまでしか応ぜられないとかいうような問題は、なお今後の問題だというふうに存じております。
  45. 加瀬完

    ○加瀬完君 地方債でまかなっていくということは、今、二十八年災の問題が出ましたが、二十八年災が一つの原因で赤字を生じている団体も相当できたわけです。そのまた原因は、起債で財政措置をしたということが主になって赤字になっておるということも、何回かこの委員会でも問題になったわけです。今度の災害で、またその特別な財源措置ができないで、起債ということだけでやっていくと、またそれが、さっき奈良県の知事がおっしゃいましたが、特に貧弱な県などにおきましては、将来とも財政負担にたえかねるという状態の原因になっていくということにも私はなりかねないと思います。そういう点で御考慮をいただきたいと思います。これは時間がかかりますから、明日でもまた詳しくお伺いいたします。  今、住宅関係でお話が出ましたけれども、住宅金融公庫の災害復興住宅融資、これだけで今度の一体住宅問題の解決がつきますか。実際経済的に非常な破壊をされている各個人が、この条件に当てはまることのできないような、一つの線からもう落ちてしまっている階層も相当多いと思う。その点はどういうようにお考えになっておりますか。これは、厚生省にも関係があると思います。
  46. 稗田治

    説明員稗田治君) 建設省で担当いたしております住宅対策につきましては、もう一つ、災害公営住宅の建設というのがございまして、三分の二の国庫補助の低家賃住宅の建設でございます。これは、被害で滅失いたしました戸数の三割の限度までは国が補助をしなければならないというように、公営住宅法の八条で義務を負っているものでございます。それで、みずから建設するという負担力のない方につきましては、災害公営住宅の建設を行ないまして、そこに低家賃として居住していただくということに相なるわけでございます。  なお、災害住宅金融公庫の災害復興住宅の融資制度でございますが、これは、先ほど申し上げましたように、建設につきましては一戸当り三十万円、補修につきましては十五万円を限度として貸付するものでございますが、この災害復興住宅の融資は、普通の住宅金融公庫の住宅の建設と若干制度が変わっておりまして、頭金をどれだけ自己資金として持たなければならないというような制限はないわけでございます。償還期限を申し上げますと、建設につきましては十八年でございます。補修につきましては十年でございまして、建設の場合はなお、十八年以内の年数でございますけれども、契約から三年間は据置でございます。補修の分につきましては、十年のうち一年が据置期間ということになっているわけでございます。毎月の償還の大体の額は、建設につきましては三千円以内に納まるように、それから補修につきましては二千円以下に納まるようにと、そういう大体標準でやっているわけでございます。
  47. 加瀬完

    ○加瀬完君 頭金はなくても、収入についての制限はあるでしょう。収入についての制限があれば、たとえば今度のような場合は、今まで正業についておった者でもその正業を失う、あるいは商売をしておった者でもその商売ができなくなるということで、収入源が絶たれるような場合が非常に多いですね。そういう者に対して、やはりこの住宅資金は借りられないという制限があっては、実際の住宅対策としては万全ではないと思う。それからもう一つ、整地費なんかの問題、一戸当り五万円とか、あるいは土地の取付費が一戸当り三万円、ああいう割合に地価の高騰している所で、こういったような少額で、整地なりあるいは土地の取得なりということが可能であるということは考えられない。あるいは建設省としては、国自体として、ああいうような低地帯に対するところのいわゆる住宅地としての土地改造をするという考えがないのかどうか。こういうものも当然今度なんか問題にされると思う。一軒一軒で土盛りなんかしようといったって、それはできないことだと思う。これらについては、お考えになっておられるかどうか。簡単でけっこうです。
  48. 稗田治

    説明員稗田治君) 返還能力の点でございまするが、災害復興住宅融資の制度上、一応基準として設けてございますのは、大体当初償還額の六倍というようなことで一応の基準は作ってございます。しかし、災害の際でございますので、これは運用上相当幅を持って運用しておるわけでございますが、特に制度上書く場合には、返済金額の六倍といったような、若干のそういった妥当な標準を作るわけでございますが、適用する場合に当りまして、若干標準でぴったり参りませんのは、農家等の場合でございます。所得税等の収入から推定いたしますと、とても償還能力というようなところが出てこないわけでございます。それで、農家等の場合におきましては、作付しております反別等の証明を市町村から取りまして、それで、大体農家であれば、どのくらい生計費がかかる、その残りは返済に充てられるというようなことで、かなり幅広い運用をいたしておるわけでございます。  なお、災害復興住宅の場合に、市町村が債務を保証するという場合には、これは、保証人も免除できることになっておりまして、相当幅広く運用ができるような制度になっておるわけでございます。府県を通じまして、そういうように現在いろいろと指導をいたしておるわけでございます。  それから、今回の水害区域の住宅建物の規制の問題でございますが、恒久対策といたしましては、低湿地帯における建物の規制あるいはその助成をどういうふうにやっていくかというような問題が当然考えれなければならないというふうに現在思っておるわけでございます。それらの対策につきましても、非常に科学的な検討も要るものでございますから、なお若干期間をちょうだいいたしまして、十分検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  49. 米田勲

    ○米田勲君 関連して。あなたの今の説明ですと、私聞きたいのは、零細な庶民層の人たちが、あなたの方針でやっていって、家屋を復旧することができるかどうか。この災害公営住宅や災事復興住宅の融資に該当して、零細な庶民層の人まで住宅復旧ができるのかどうか、その点についてはっきりしてもらいたいわけなんです。あなたの考えでどうですか。
  50. 稗田治

    説明員稗田治君) 金融公庫の災害復興住宅につきましては、これは融資制度でございますから、もちろん補助金と違いますので、返済していただくということが一応前提でございます。従いまして、返済能力等も当然審査いたさなくちゃならないわけでございますけれども、ただ所得税の額からだけでその人の返済能力を判断するというようなことでは、実情に合わない面もありますので、ほんとうの返済能力というものを審査するという方針で進んでおるわけでございます。なお、当然返済を要しますので、全然返済能力のないという方は、この災害復興住宅の融資制度の適用はむずかしいかと思います。そういう低額所得者につきましては、災害公営住宅の入居ということで住宅を与えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  51. 加瀬完

    ○加瀬完君 今の問題、ニュースなんかで見ても、雨の漏っているじゃなくて、降っているような所に仮住まいをしている世帯も多いですね。ああいう状態を見れば、建設省としては、政府としても、当然仮住宅なり、零細者の収容住宅というものを急いで建てなくてはならぬ。具体的に、おそらくまだどこの地方にどれだけの住宅を建てるという計画は進んでおらないと思う。これは急いで進めていかなければならないと思いますが、御希望申し上げておきます。  厚生省、これはもうすでに一応終了したかと思いまするが、死体の処理ですね。死体の処理に一体自衛隊はどのような活動をしたのか。聞くところによると、各府県から応援に行った衛生部関係の人たちが非常に死体の処理をよくやったけれども、組織としては、自衛隊はあまり動かなかった、また、死体が腐らんしておったり、あるいはちょっとしろうとでは手のつけられないような状態になっておるようなのもありまして、むしろこれを逃げるような形であったということが伝えられておりますが、厚生省としては、どういう対策でこれを処理したか。時間がありませんから、質問を次に移しますから、あとでお答え下さい。  それから農林省、これは、あなたの方で答えられるかどうか。風倒木が相当多いということ、さっき話が出た、相当風倒木の量が多いという見通しがあるならば、既往の手持ちの木材などを相当――さっき二十万石ぐらいは供出できるという話が出ましたけれども、もっとずんずん供給すべきじゃないか。こういう計画がおありかどうか。もう一つ申しますと、風倒木が相当出るというならば、風倒木を、何といいますか、救済資材として配給をするという建前で、現在手持ちのものを配給して、それを風倒木で補う、こういう措置もつくと思うけれども、そういう御計画はおありかどうか。
  52. 占部秀男

    ○占部秀男君 関連してもう一つ。これは、御存じのように、風倒木は値段が安いわけですね、一般のあれよりも。僕の聞いたところじゃ、信濃の方では、石五千円ぐらいのが、風倒木は千二、三百円という話ですが、こういう場合は、風倒木は、国有林のものはもっと早急に、今言った公営住宅やその他を建てるために安く回すとか、私有林の問題についても、風倒木を極度に利用して、安い資材を建築関係に入れるというような大規模な計画が考えられておるかどうか。そういう点もあわせてお願いしたい。
  53. 加瀬完

    ○加瀬完君 厚生省、生活困窮者や直接生業につけない者たちが当然出るわけですから、こういう方々に対して、生活資金的な貸し出しなり、あるいはつなぎ融資なり、こういう形で、何か生活資金といったようなものの対策を厚生省はお考えになっておるかどうか。あわせてそれをお答え下さい。
  54. 占部秀男

    ○占部秀男君 もう一つ、厚生省の方に伺いたいですがな。この発表によると、防疫関係で、赤痢は千人ばかり出ておるのですね。それで、こういうような防疫関係の今後の状況ですね。大きく拡大されていくような傾向にあるかどうか。そういうような点だけ一つ大まかに……。根本的な問題は、あしたから以降聞きますから。
  55. 茅野一男

    説明員(茅野一男君) ただいまお話がありました風倒木でございますが、ただいま集計されてわかっておるだけで、約一千万石程度ございます。ところが、国有林関係の風倒木は約五百万石でございますが、御承知のように、山でございますので、現地へ行くまでに、国道の損壊あるいはまた林道の被害もございまして、それを出してくるまでの間に、相当道路を直さなければなかなか出ないというような実情もございますし、それからなお、民有林の風倒木というものは、所有権がはっきりいたしておりますので、これを国が強制的に徴収するとか、そういうような手を打つことはなかなかめんどうでございます。ただ、私どもは、業界を指導いたしましてなるべく早くそうしたものの輸送その他の手配をいたして出すように努力はいたしております。それから、現在の状況で言いますというと、まだまだ個人の方々がどんどん金を出して住宅復旧をするというような事態は、さらにまたあとになるだろう、そういうことで、ただいま需要のありますものにつきましては、すでに名古屋で、業界の団体の直売場と、それからまた、私どもの国有林でも直売場を聞いておりまして災害復旧を要します。方々のためには、県知事の証明書が参りますというと、適当な数量を全部供給いたしております。その価格も、大体において災害直前の価格より多少下回ったくらいの価格で処置をいたしておりますので、目下のところは、そういう特に資材に困っておるというような点はございません。それからなお、公営住宅の計画がぼつぼつきまって参りましたので、それに対しましては、私どもから直接国有林材を供給いたしましてこれに間に合わせるというような処置をとっております。  なお、風倒木がたくさんございましても、それを処置いたします製材工揚がほとんどやられております。名古屋のごときは、九五%浸水いたしましたので、それに対しましては、速急に資金の融通をいたしまして、製材機の復旧をはかりまして、なるべく早くこれらの運転によりまして資材の供給をはかるということを考えております。
  56. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) 厚生省関係のお答えを申しあげます。  まず、住宅の問題につきまして御質問がございましたが、厚生省におきましては、住宅の関係としましては、応急仮設住宅、これが関係でございまして、先ほど申し上げましたように、全壊流失家屋の三割という原則を四割にワクを拡大いたしまして対処いたしておる次第でございまして、復興の意味の住宅の建設につきましては、あげてこれは建設省の方にやっていただくことに相なっておりまするので、御承知置きを願います。  それから、自衛隊の死体処理状況のお話がございましたが、死体の処理につきましては、県、市の当局がこれに当るということになっておりまして、自衛隊は、県市の当局から要請があった場合に、それに協力するということになっておりまして、要請を受けた自衛隊は、非常によくこの処理に当っていただいておりますことを御報告申し上げます。  それから生活に困った方の問題でございまするが、それにつきましては、世帯更生資金の増額、それから母子福祉資金の特別貸し出しということを現在いたしております。この二つの対策で何とかいたしていくつもりでおりますが、どうしてもこれでやはり困るという方がありまする場合には、生活保護法を適用さしていただきたいというふうに考えております。  それから、赤痢の問題でございまするが、赤痢につきましては、現地係官を派遣いたしまして万全の対策を講じておりまするけれども、現地から帰ってきた専門家のお話を聞きますと、特に冠水地帯におきましては、栄養不足、体力の消耗等によりまして胃腸が非常に弱りまして、その結果下痢が相当多うございます。しかしながら、この下痢かどうかという問題は、これはまあ鑑別せねばいけませんので、これも全部やはり大事をとりまして収容しておるという格好でございますが、選別の結果は、単なる下痢が非常に多いということが実情でございます。それで、ほんとうの赤痢の発生の状況はと申しますと、例年発生しておる赤痢の三割増というところがまあ今までの情勢でございます。今後の傾向といたしましては、これ以上拡大するという懸念は全然ないそうでございます。それから、赤痢の集団発生は岐阜県の養老に一カ所あったたけでございます。他はすべて散発的な発生の状況でございます。  以上であります。
  57. 占部秀男

    ○占部秀男君 委員長にお願いしたいことがあるのですが、それは、実は委員長手元に出してあるのですが、都知事の退職金の条例の問題で、ちょっと質問したいのですけれども、水害関係がたくさんあるので、議事の進行に協力したいと思います。そこで、お願いしたのですけれども、藤井行政局長、それから大臣がいないそうですから、政務次官に必ず来てくれるように、委員長の方からお願いしたいと思うのです。私も議事に協力しますから……。
  58. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  59. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十七分散会