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説明員(
小林誠一君) お
手元に、横書きの「
台風第十五号による農林水産関係の
被害概況」というものをお配り申し上げてあるので、それにつきまして御
説明申し上げます。
このたびの
台風でございますが、一ページの中ほどからございますように、
室戸台風、
枕崎台風に次ぎます第三の超大型
台風でございまして、非常に風速がありましたために、
北海道とか
九州の一部を除きまして、全
府県に農林水産関係の
被害が発生いたしたのでございます。特に東海地方におきましては、
高潮によりまして、干拓地、
海岸堤塘の
決壊、漁港、漁船、養殖施設等の損傷等が加わりまして、かつてないような大きな
被害をこうむったわけでございます。しかし、雨量は、一部の県を除きましては比較的少なかったので、田畑の浸冠水の
被害は、風害に比して比較的少なかったわけでございます。
二ページ以下が、農林水産関係の施設等の
被害概況でございます。まだ今までのところ、
調査が
交通途絶等のために進んでない所もございますので、詳細は不明でございますが、大体農作物
被害を除きまして、この
調査時点におきましては、総額五百三十一億円の
被害がございますが、これは、
調査が進みますにつれまして、まだ増加されることが予想されるわけでございます。
農地及び農業川施設でございますが、これは別表2に掲げてございます。その
被害は三十七都
府県に及んでおりまして、そこと農地事務局からの
報告によりますと、
直轄代行の約五十二億円を含めまして、約総額百七十九億というのがお
手元の
資料に出ておるわけでございますが、現在のところわかりましたところでは、これが二百十一億円というふうにふえておりまして、約四十億の増に現在はなっておるわけでございます。少し
資料が古くて、まことに恐縮でございますか、約二百億程度の
被害があるわけでございます。で、
報告のありました
府県の中で、最も
被害の大きかったのは
三重県の二十三億ということで、
あと兵庫だとか、
鳥取、
愛知、
岐阜、
福井、
奈良県、
山梨、
滋賀、
京都府、
和歌山等の
被害が大きくなっております。これは別表2に詳細出ておりますので、
あとからごらん願いたいと思います。
それから林野関係の
被害でございますが、これは三十二都
府県に及んでおりまして、その総額は、国有林を含めまして約二百三十九億でございます。そのうち林地崩壊、治山林道施設の
被害は、県より
報告のあった分だけで約七十五億円でありますが、今後増加の見込みでございます。林野関係で最も
被害の大きかったのは、
愛知県の八十一億円で、次いで
岐阜県、
三重県、
奈良県、
山梨県、
和歌山県、
滋賀県、
長野県、
京都府、
兵庫県、
福井県の諸県の
被害が大きく出ております。この
資料を作成いたしました以後、現在までのところは、これが二百三十九億円でございますが、約六億増加しまして、二百四十五億円という
数字が出ております。
その次は水産関係でございますが、これは、二十九都道
府県から
報告がございまして、その
被害総額は約百十四億円でございます。これはこの時点でございますが、現在、
報告がありましたのを取りまとめますと、百三十三億円で、約二十億円増加いたしております。そのうち漁港施設の
被害は二十六億円となっておりますが、これが二十八億でございまして、これもなお増加することが予想されます。そのほかに漁船、漁具、共同利用施設、養殖施設等の
被害が甚大であったのでございますが、特に
被害の大きかったのは
三重県ですが、これが約七十七億円になっておりますが、その中で特に真珠施設の
被害が激甚でございまして、そのほか
愛知、
和歌山の諸県の
被害が大きく出ておるわけでございます。
その次に、四ページでございますが、これは農作物
被害の
概況でございます。この農作物
被害につきましては、以上申しました
被害額の中にまだ入っておらないのでございますが、この農作物
被害は、統計
調査事務所で目下
調査中でございまして、その速報でここにあげてございますが、水陸稲の損傷面積は約七十五万町歩でございまして、全作付面積の二割以上の多きに及んでおります。そこで、先ほども御
説明申し上げましたように、やはり今回の
台風の
特色としまして、風害による
被害が多いのでございまして、倒伏が約五十万町歩、穂ずれ脱粒等が約八万町歩、浸冠水が約十二万町歩となっております。また一部には、潮風だとかあるいは潮水害が発生しまして、その、面積は約二万町歩でございます。その他畑作物にも風による
被害が相当発生しておりまして、特に果樹なんかの落果が著しいのでございます。
被害地帯は、
四国、
中国地方より
東北地方にわたります全県となっておりますが、特に東海、
近畿地方の各県の
被害が著るしいのでございます。
以上が農林水産関係の
被害概況でございます。これに対しまして農林省といたしまして、これまでどういうふうな
対策を講じたかということでございます。これに対します農林省の応急
対策につきまして概略を御
説明いたしたいと存じます。
この
台風発生以来、農林大臣、両政務次官、官防長以下各局長が
現地におもむきまして、
現地の
対策本部でいろいろ協議をして、それぞれ応急の手を打っております。各局も、担当官がそれぞれ
現地におもむきまして、それぞれ応急の
措置をとっておるわけでございますが、まず食糧関係でございます。これに、農林省といたしましては応急用の乾パンの
手配、それから米の応急
手配について万全の
措置を講じておるわけでございます。具体的に申しますと、応急用乾パンでございますが、これは、罹災の県から要求がございましたのが、四百六士五万食応急乾パンの要求がございました。これに対しまして、すでに発送済みのものが四百七十二万食、大体
現地の要望
通りの乾パンの配給を了したわけでございます。これは十月六日現在でございますが、
現地の要求に対しまして応急乾バンの
手配はそのようでございます、
次に、米の応急
手配につきましても御
説明いたしますと、これは
愛知県でございますが、これは、応急たき出しにつきましては、販売業者の手持ちの内地精米及び準内地米をもって実施しております。罹
災者に対し準内地米約六百トン、消費者に対しまして準内地米約三千トンを出しております。そのほか三五県その他の
奈良県、
岐阜県につきましても、それぞれ応急配給なりあるいは必要な特配ということを実施いたしておるわけでございます。
次に、
復旧用材でございますが、これは、
名古屋等の激甚
被災地におきまず
災害復旧用木材需要に対しまして、地元の
名古屋営林局はもちろん、もよりの
長野あるいは東京営林局から供給するとともに、必要な場合には、前橋その他の営林局からも供給することを考ております。その線で実施しておるわけでございます。その可能見込み量は、緊急用としまして、
名古屋、
長野、東京三局分で約十万石、その他の四局分十万石、なお引き続き二十万石を供給可能となる見込みでありまして、さらに必要な場合は増量も可能でございます。特に緊急を要するものにつきましては、先ほども申しました営林局材を地元製材工場等で製材せしめて計画出荷するように
措置いたしますとともに、
岐阜、
長野、静岡等の木材業界等の協力を得まして、手持材の計画出荷をはかって、この応急
復旧用材につきまして、十分な供給ができるように
措置いたしておるわけでございます。
それから次は、飼料
対策でございますが、家畜等を飼育しております農業者に対しましては、政府保有の輸入ふすまを特別売却するとか、あるいは事故麦を飼料川に向けるとか、あるいは大豆かすを供給するとか、あるいは粗飼料であります稲わらの緊急
手配をいたすというような手段を用いまして、家畜の飼料に対する
対策を講じておるわけでございます。
それからまた、家畜に対しましては、これは、水没地帯が非常に広範で、かつ
浸水期間も非常に長期にわたることが予想されますので、家畜の防疫体制をしくことが必要でございます。そのために防疫事業は反復実施する必要がございまして、死亡家畜の遺体の処理等の特殊な作業を厚生省と緊密な協力体制をとりつつ実施するように
措置しております。現在までに、まだ家畜伝染病の発生の点は心配されるところがないようになっておるわけでございます。
次に、蔬菜の種子でございますが、これは、
愛知県知事から、九月二十八日に
災害対策用の蔬菜種子の売り渡し申請がございましたので、これに対しまして、全国種苗備蓄協同組合
理事長あてに、ホウレンソウ等の帯葉種子の売り渡しを指示しまして、その協同組合から
被害地に対しまして疏葉種子を売り渡すというような
措置をとっておるわけでございます。
次に、農業共済の関係の仮渡し及び概算払いでございますが、これに対しましては、十月一日付で関係知事に対しまして、すみやかに損害評価を実施しまして、共済金及び保険金の仮渡し概算払いの
措置を行うように指示しております。その必要量等についても照会いたしました。再保険金を出す必要があります所に対しましては、特別会計からその金を出したいというふうに考えておるわけでございます。また、この評価の問題等につきましては、
現地に人を派遣しまして、
調査をやりあるいは
現地指導をやっておるわけでございます。
それから次に、金融関係でございますが、今回の
災害につきましては、そのつなぎ資金をやはり農林漁業者に各金融機関から貸していただく必要がございますので、農林事務次官から農林中央金市の
理事長あるいは全国組合金融協会の会長さん方に、この十五
号台風による農林漁業関係の
災害復旧に対する融資方について依頼をしておるわけでございます。
それから、施設の
復旧でございますが、この関係につきましては、農地関係といたしましては、干拓
堤防の
締め切りについての問題あるいは湛水
地域の排水の問題について、
現地でそれを急いでやっておるわけでございます。水産関係としましては、これは漁船保険を
早期に支払うということで
係官を派遣し、あるいは新年度より漁船保険組合に対しまして融資を行わしむるようにあっせんする等、早くこの漁船保険の支払いを行うように
措置いたしております。そのほかに、漁具等の確保についても万全の
措置を講じているような次第でございます。
以上、
災害が発生いたしました以後の応急は
対策といたしまして、農林省がとりました
措置の概要についての
説明を終わります。