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1959-03-27 第31回国会 参議院 農林水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十七日(金曜日)    午後二時七分開会   —————————————   委員の異動 本日委員平島敏夫君、重政庸徳君及び 戸叶武君辞任につき、その補欠として 柴野和喜夫君、小山邦太郎君及び安部 キミ子君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     秋山俊一郎君    理事            雨森 常夫君            東   隆君            清澤 俊英君            北 勝太郎君    委員            青山 正一君            伊能 芳雄君            小山邦太郎君            柴野和喜夫君            関根 久藏君            田中 茂穂君            仲原 善一君            堀  末治君            安部キミ子君            大河原一次君           小笠原二三男君            河合 義一君            千田  正君            北條 雋八君   国務大臣    農 林 大 臣 三浦 一雄君   政府委員    農林政務次官  高橋  衛君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省蚕糸局長 大澤  融君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○繭糸価格の安定に関する臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○日本蚕繭事業団法案内閣提出、衆  議院送付) ○農林水産政策に関する調査の件  (農林畜水産関係物資日本国有鉄  道貨物運賃等に関する件)   —————————————
  2. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び日本蚕繭事業団法案(いずれも内閣提出衆議院送付)を一括して議題にいたします。  これらの二つの法律案につきましては、去る二月二十四日予備審査を行なっておりますが、繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案は、三月二十五日の衆議院会議において全会一致をもって原案通り、また、日本蚕繭事業団法案は、去る三月十二日衆議院会議において全会一致をもって修正議決され、当院に送付、当委員会に付託されております。  なお、御質問のある方は御質疑を願います。
  3. 清澤俊英

    清澤俊英君 大臣がまだ見えませんから、少しこまかしいことについてお伺いしたいと思いますが、先般、三十三年度夏秋蚕養連における共同保管繭は、養連の梶原君の説明によりますと二百七十万貫、こういう数字の量を一応共管してある。それが、ただいまちょうだいしました保管繭売却価格表によりますと、六百四十五万九千七百十三キログラムとなっています。農林省からちょうだいいたしましたものには、これをちょっと上回って、八百一万四千九百二十二キログラム、約二百十三万貫見当が保管せられて、これが売れていったと。その際に、これは政府出資として大体千二百円で買い上げてくれるのだと、こういう保管であったと思うのであります。ところが、その後、繭不足から繭価が上ってきましたので、従って、政府買い上げ等のことを行わないで、話し合いで、繭の始末がついたと、こういう御説明でありました。それは当然私どもは千二百円を上回る価格話し合いがついたのではないかと、こう考えておりましたが、ただいま提出せられた養連並びに農林省蚕糸局の調べを見ますと、千二百円で片づいておりますものはごくわずかであります。農林省の表によりましても、主養蚕県であります福島、群馬の一部埼玉、長野、あとはひどいところになりますると、千百円、千百四円、そのほかに今まで持っておりました指導費等を持ちましたり、農林省資料によりますと、そのほかに乾繭費等が持たれておるようであります。買い上げに対しましては、乾繭に対する金利、費用等が当然含まれてきておる計算になっていると考えておるのでありますが、御説明とだいぶ違っております。私どもは千二百円以上に売れたのじゃないか、各個協定ができたのじゃないかと思っておった。ところが、今のこの表を見ますと、そういうようなものが全然出ておらないが、これはそういう価格が構成されていないが、これは一体どうしたわけなんですか。
  4. 大澤融

    政府委員大澤融君) 詳しく調べないとわかりませんけれども数量の差は、全養連から出ましたものは全養連のものだけですし、それから私の方からお出ししましたものは糸連が含まれておりますので、それで数量が変っていると思います。おっしゃった二百七十万貫というのは、糸連やなにか全部を含めてでございます。ですから、全養連だけの分ですと、御承知のように百七十二万貫、こういうことになるわけであります。  それから価格の点ですけれども、今おっしゃったようないろいろな経費を含めると、大体千二百円以上になるようですけれども、ことにその私の方からお出ししました資料でごらんいただくとわかりますが、千二百円を割ったようなことになっていますのは、糸連関係が大部分です。これはあとからの精算勘定になるものですから、こういうことになっているのだと思います。おそらく精算の場合は、最後には千二百円をこえるものが農民の手に渡っていくということが予想されます。
  5. 清澤俊英

    清澤俊英君 それにしても、二百七十万貫というのははっきり養連が言うておるのです、私どもには、ここで。その他のものもそれに類した保管をやっている、この前あなたと議論した通りです。それがいつか知らぬうちに非常な安い価格で契約が成立している。これは全くわれわれとしては納得できない取扱いじゃないかと思う。これでいいのですか。こんな千二百円で買い上げるなんということは言わない方がましだ。少くともそれに、繭が不足して繭価が上回るから、乾繭保管をやらないで、政府買い上げをしていただかないで、話し合いがついたと、こういうふうになっておる。ついたのなら千二百円以上にきまらなければならぬはずだ。見れば、ほとんどそういうあれは出ておらない。あらかじめ指導費などというものは、私は振興審議会のときでも言うているし、常にわれわれの主張なのです。こんなものは農民に持たせるなら持たせるとはっきりしておいた方がこういう間違いが出ませんと言っておる。それを計算の中からは、農民が持つようになっておって、そして売れたような妙ちきりんなものが出ている。また指導費が五十円出たとか二十円出たとか、それは結局すれば養連を保つために何らかのここに操作が行われているということがはっきり言える。私はもう過ぎたことを文句は言いませんが、この点に対してやはりそういう考えでやったんではないですか、あまり養連としてはだらしなさ過ぎるのです。
  6. 大澤融

    政府委員大澤融君) この表を御覧になっていただいても、糸連は例外として、原則的には千二百円以上ということで取引がされているように思われます。
  7. 清澤俊英

    清澤俊英君 糸連はそれでいいでしょう。糸連というのはどういう意味合いなのか知りませんが、糸連という解釈は何ですか、農業協同組合による製糸会社のことなんですか、そう解釈していいですか。
  8. 大澤融

    政府委員大澤融君) そうです。
  9. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすれば、それは当りまえの話ですよ、割り返しがこの相場なら来るかもしれない。これ以上に来るかもしれない。だから千二百円とかなんとかいう必要は大して——糸連のものならば場合によっては一つもないという解釈は成り立つと思うのです。それ以外のものが必要なんです。それ以外のものはすっかり消してある。これじゃ問題になりはしない。以外の保管をしてあるものが消えているのです、この表から見ると。それが大体幾らに売れたか、これが重大なことです。以外のものを消してしまって、それだけしかできません。そうすると、これは私は完全にこれ以下の価格で、この表に表わせられない価格で売れたんだ、こう解釈していいですか。そういうことは今度から農林省一つしっかり監督していただかんければ、この事業団法を作って何やってみても、こういうことが行われているなら何ら効果はないと思う。
  10. 大澤融

    政府委員大澤融君) これは昨年の末に、共同乾繭保管されました二百七十万貫全部についてどういうふうに取引されて消えていったかという表でございます。これ以外に何か安く引き取られたものがあるのではないかというお話ですが、それはございません。これが全部です。
  11. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はこの議論はこの前だいぶ深くやったんですからこのくらいにしておきますが、納得しがたいものがたくさん残っております。  それで農林大臣にお伺いしますが、まず、第一番先にお伺いしてみたいのは、三十三年度の初期において、三十三年度繭糸価決定をせられますときには、当然法令によりまするところの審議会に諮問して価格決定をせられて、そのものはその価格最高価格二十三万円、標準取引二十三万円、最低糸価十九万円、繭価千四百円と決定せられた、こう思うのでありますが、それがその後数次の価格変動によりまして、そうして十月の末でありますか、十一月でありまするか、最後農林省としまして最低繭価決定をいたされました。そのときは糸価十四万ちょっと出たようでありますが、幾らか。繭価千円、いわゆる十四万円糸価、一千円繭価最低額といたしまして御指定になりましたが、この際御決定になるとき審議会に諮問せられたか、もしくは審議会等答申があって御決定になったのか、その点をまずお聞かせ願いたい。
  12. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) 法定手続はしたはずです。審議会に付議したはずであります。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 この際の決定は、三十三年度の当初の基準繭糸価決定変更せられた。従いまして、最高価格幾らにきめられたか、その変更の際は。
  14. 大澤融

    政府委員大澤融君) 最高価格変更いたしません。今、先生の言われた十四万、千円ですね、この最低糸価最低繭価、これを改訂したわけです。正式に繭糸価格安定審議会に諮りまして答申を得てやったわけであります。
  15. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは繭糸価格安定法によりますと、農林大臣繭糸価格のこの基準価格を、安定価格をお定めになる、そういうときは、これこれの基準によって最高価格並びに最低価格をきめるのだと、こういうふうに出ていると思うのです。それをどういうわけで最高価格をおきめにならなかったのか。法令違反でないでしょうか、これは。
  16. 大澤融

    政府委員大澤融君) これは年度途中でございます。最高価格年度当初からきまっているわけです。それは何も変更しないということで、きまっているわけですから、差しつかえないと思います。
  17. 清澤俊英

    清澤俊英君 きまる場合には、あらゆる条件を基準にして最高十二割、最低は何割、こういうふうにきまるのでしょう。一方だけ投げてある。これはどうもおかしいじゃないですか。まあそれはかりに法律に違反しないとしても、私はその点はあまり重要視して法律に違反しているからいかぬというようなことはやめますが、問題として残されまするのは、二十三万円にならなければ糸は売れないという、二十三万円にならなければ。そうすると—何か音を出してもらわぬと速記がつきませんよ。首なんかかしげないで、その通りならその通りとやっていただかないと工合が悪い。その場合、糸が変質したり、あるいは汚損したりして、品質低下による価格変動考えられると思うのです。そういうようなものが長く持っていれば出てくると思うのです。将来二十三万円で売れるという目安はありますか。大臣に聞いているのです。
  18. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) 品いたみとか、品質変更ということはあり得ると考えます。同時に、これは現在の、今度御審議いただいております臨時措置法を一年間延期していただくということになりますと、あの規則によりましても改訂ができるわけでございますから、それによって審議会にかけてその最高価格等も改訂していきたいと、こう考えております。
  19. 大澤融

    政府委員大澤融君) 補足して御説明申し上げます。生糸が品いたみしたというような場合には、今の制度でも整理売却ということがございまして、やれるわけです。それから二十三万円の最高価格を当時改訂いたしませんでしたのは、あのような—今から見れば最高価格があった方がいいじゃないかという御議論もあろうかと思うのですが、あの当時のような、ああいう下押し下押しというようなときに、政府の糸を今のもっと安い価格で売り出すというようなことが出ますことは、生糸値下りに対して非常に拍車をかけるというようなことを顧慮いたしまして、上値の方は手をつけずに、あのまま置いたわけであります。そこで、大臣が今言われた臨時措置法では、時価で、臨時措置法で買った生糸時価で処分ができるという規定もございます。そこで、二十三万円、従来からある二十三万円はそのままにしておきましても、今の臨時措置法で売る方法を、ルールをきめれば、今持っている生糸を適当な価格で売り払うこともできるわけです。これを価格安定審議会に諮ってルールを作って売るというふうに持っていきたいと、こういう大臣の御趣旨でございます。
  20. 清澤俊英

    清澤俊英君 十二条かなにかで、価格変動あるいは品質低下等を来たすような場合には、これを適当な価格で売り払うことができると、こうなっているのでありますが、これに対して何か現在の情勢を中心にしてそういうことによって政府手持ち生糸を売り離そうというような御意図があるのですか、どうですか。
  21. 大澤融

    政府委員大澤融君) 御承知のように今の糸値が十七万ちょっとというようなことになってきております。そこで、去年の年末のようなああいうひどい時期とは違いますので、こうなれば上値をきめるということの悪影響はないと思います。そこで、三十一日に来年度価格をきめる価格安定審議会を予定しておりますので、このときに、そういったルールをきめて参るということにいたしたいと思っております。
  22. 清澤俊英

    清澤俊英君 その次に一つお伺いしたいのは、そこに非常な何かしらん私どもに割り切れないものが残っておると思うのですね。大体、繭糸価格安定法というけれども、実際は私はこれは三十三年度の経過を見れば糸価安定法に終っているのじゃないかと思う。糸価の安定に終っているのじゃないかと思います。ところが、繭価はもう底知らずの値下りをして、しわ寄せは全部繭に来ている。だから、三十三年度生糸の荒れ方は、結局、私は織物屋さんなどにも相当影響しているのじゃないかと思う。生糸生産者と繭の生産者がなにをしておって、損害を持っておって—大体私は、生糸の業者としては問屋さんは知りません。思惑で高い糸を持っていて下れば損をするのですから、いわゆる商人は別として、製糸屋さんとしての損害は私はないと思う。これはあなた方の目から見てどうなんですか。あったとしても大した損害はないと思うのです。その点どうですか。
  23. 大澤融

    政府委員大澤融君) どうも今資料を持ちませんので的確にお答え申し上げにくいのでありますが、損害は事実あったのじゃないかというふうなことは思われます。それが何ほどだったかというようなことはちょっとお答えしかねます
  24. 清澤俊英

    清澤俊英君 そういうことはどういうところで見ているわけですか。
  25. 大澤融

    政府委員大澤融君) それは十九万円、千四百円ということで、千四百円の春繭を持ったわけです。そのものが、全部が十九万円が実現すれば得たであろう利益よりは千四百円の繭が全部十九万円の糸として実現しなかったということで、その差額はあったのじゃないか、こう存じます。
  26. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは確かに、計数上からいきますれば、そういう数字は見えますけれども、先般、春の乾繭委託加工して糸に農林省がひきかえようとしたそのとき、委託加工請負価格というものは、これはあなたの方で発表するなというのですから、私はここにあるけれどもここでは言いませんが、価格は御承知通り価格だ。最高二万八千円、最低四千幾らというような、ほとんど問題にならぬ生産費計算をしている。あるいは操業停止による労働者失業保険の支払いだとか、あるいは、その他いろいろの機械を休めることによった損害等考えたり、乾繭保管その他の費用も見られるかはしりませんが、それにしてもあまり安過ぎると思うのです。そうしてみますと、今まで定めておられました製糸加工費というのはもっとずっと安いのじゃないかと思うのです。そういう範囲でおりまするならば、私はそうひどい製糸家損害はなかったのじゃないか、こういうことを考えるのでありまするが、農林省、どう考えておられますか。
  27. 大澤融

    政府委員大澤融君) お説のように、春繭を糸にいたします場合の交換差金の入札の場合に安い価格が出ているということはございました。しかし、これは繭が足りなくて競争して買うと、今、言われたように休ましておくよりは機械を動かした方がいいとか、あるいは副収入もございますし、というようなことを考えて、製糸家があのような価格で落したのだと私は思いますが、これはいわば繭不足ということを前提としておりますので、これがそのまま製糸加工費だというふうには判断できないのじゃないかと、こう思うのです。御参考のために申し上げますが、十四万千円ということできめましたときのあの場合での加工費と見らる額は三万八千円ちょっとということで計算してございます。
  28. 清澤俊英

    清澤俊英君 十四万円できめるときは三万八千円だ、十九万円にするときは五万幾らだといったら、これはどうも私らどもには理由がよくわかりませんですね。人の大事なふところ勘定を、十九万円の最低価格をきめるときには五万幾ら生産費で勘定するが、十四万円にきめるときには大体三万八千円できめる、それと同じものが繭の値をきめるときにも出てきているのじゃないかと思うのです。すべてが繭の生産費中心にしてこの繭価決定、糸の決定も行われておると考えておるのでありまするが、政令による基準によって算出せられた農林省繭価格は一体一貫目幾らになっているのでありますか、三十三年度
  29. 大澤融

    政府委員大澤融君) おっしゃるのは生産費ですか。
  30. 清澤俊英

    清澤俊英君 一貫匁当りの繭の生産価格
  31. 大澤融

    政府委員大澤融君) 千六百四十円であります。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 千六百四十円が繭にかかるという、農林省基準によって定めた価格である。そこで、お伺いしますが、大体、本法によって適正価格水準を維持するために、本法事業性の大綱を作る、こう言われるのです。その標準農林大臣、どこにあるのですか、適正の標準価格。これはこの間も私は局長に聞きました。局長はその際こういう答弁をしておるのであります。売り気、買い気というようなものがあるから、そこで、いろいろ糸の価格の違いが出るから、そういうものを勘案して正常価格水準を安定するために、こういうことが適正価格水準だと言うのです。どうもわかりません、これは。売り気、買い気とはこれは思惑じゃないかと思うのです。あるいは人気じゃないかと思うのです。人気の中に思惑が出てくる、これは架空のようなものじゃないかと思うのです。それによってものが変動してくるやつを、それを安定するのが適正価格だと、正常価格だと、こういう考え方は私はおかしいと思うのです。農林大臣、この点どう思われるか、どう考えておられるか。
  33. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) まあ法定手続によりまして一定の基準価格を想定してやるわけでございますが、この想定した価格そのもの経済の実勢と必ずしもその趣きとは一致し得ない場合があると。そこで、農民団体利益を保護するためにこの事業団等作用しますことは、つまり基準価格等を想定しておりますけれども、それが当時の市場価格その他の動きによって異常な不利をこうむらせないように自衛的な措置を講じ得る措置を作りたいというのがねらいだと思うのであります。すなわち、経済上の変動によって予想さるべき基準価格等を、まあかりに維持が困難である、維持し得ないというようなときには、その事業団作用によってこれを中間的に一つ支持するという作用をねらっておるものと私は思っております。
  34. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは、この提案理由説明にもそういうものは書いてある。大体この提案理由説明を見ますと、実にわからぬところがあるのです。わからぬところというのはほかでもありませんが、この蚕糸局からもらいました関係資料法案あとに書いてある理由は、「繭糸価格安定法等に基き政府の行う繭糸価格の安定に関する措置を補完し」と、こうなっている。「繭及び生糸需給事情からみて適正な繭価水準の実現を図るため」と、こう出ておる。それから提案理由説明を見ますと、「繭の価格最低繭価以上にある場合に、繭価適正水準に維持するための措置はとられておりません。この繭糸価格安定制度の空白を補完して、農業協同組合連合会が繭の価格を、繭及び生糸需給事情から見て適正な水準に実現する努力を行う場合のよりどころとなる機関として、日本蚕繭事業団を設立することといたしたのであります。」、こうなっている。そうしますると、大体繭糸価格安定法などという法律を作ってみましても、結局はそれは養蚕農民から見れば、当てにならぬ価格が出てくるのだから、そういう当てにならぬ場合には、一つこういう事業団等中間機関を作って将来一つめんどうを見てやろう、こういう御趣旨であろうと思う。ただいまの御説明と同じだと思うのです。そうすると、繭糸価格安定法などという法律は名前がどうもおかしいのではないかと思う。大体、繭を基本にしてその生産費中心となって生糸価格を出しておる限りにおいては、今も言った通り、あなたの方で言われる通り基準計算によって繭の価格は千六百円だというと、千六百円のものを千円できめられている、これ自身がおかしいじゃないですか。千円できめられているそれを、ある場合には、まあ千円までは買い上げてやるとか、それではどうも気の毒だから、ある水準価格までこの方法一つやってやろう。それは、出て参りましたところのいわゆる売り気買い気—売り気買い気というのは私は人気だと思うのです。人気によって思惑が生ずる。思惑による相場。私は、現在の相場などというものは、養蚕農民生産費とは大して関係ないと思うのだ。商人利益中心にした思惑であります。そういうものを押えるために、ある限度考えられている。その限度で押えてやろうとするものが幾らぐらいかというと、千二百円ぐらいに押えよう。これは今考えておられるらしい、らしいです。らしいが、大体幾ら水準に定められるのか、これがわからない。大体こういう蚕糸価格安定自身基本的考えにおいて、私は養蚕業というものを放棄せられておるのじゃないかと思います。私はそうじゃないかと思う。そうじゃないのですか、農林大臣
  35. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) これは、もう蚕糸局長からも累次説明していると思いますが、いわゆる糸価安定の方法のあの制度は、今後とも採用いたしたい考えでございます。同時に、昨年来のあの制度を運用するに当りまして、異常な事態にも遭遇したのでございますから、とりあえず繭糸価格臨時措置法を延長していただいて三十四年度はこれに対処して参りたい。それから同時に、糸価安定の基礎的な制度等は、これらの経験に徴しましていかようにこれを改訂すべき事項があるかないか、改訂するならどうするかという問題を審議会等にも御相談しまして、そうして事態に即応した恒久的な制度にこれを仕組んでもっていきたいと、こういう考えでおります。同時に、養蚕を捨てたじゃないかということでございますが、これはこの糸価安定の線に沿うて指導して参りたいということについては変りはございません。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 この問題はこれぐらいにして、幾ら言うてもきりがつきませんから、お伺いしません。  その次にお伺いしたいのは、三十四年度繭糸価格はいつごろ審議会に諮っておきめになるのですか。
  37. 大澤融

    政府委員大澤融君) これは、原則として三月中にきめる、こういうことになっておるわけでございますが、いろんなことを考えまして、三十一日に審議会をいたしまして、その御意見を聞いてすぐきめて参りたい、こういうふうに思っております。
  38. 清澤俊英

    清澤俊英君 その際に、もし、きまります基準価格が繭の場合において非常に低いものが出た、そうして低いものを中心糸価基準も出てくると、こういう形になります。そういう形が当然出てくると思うのです。そういう形が出て参りました際に、この安定法によってそこに狂が出た、繭の値段を幾らか上げたと、こういうものが出たならば、糸価安定法による基準価格とこれの操作はどうなる。そこに矛盾が全然出ないとは私は言われまいと思うのだ。片っぽは定木の中にはまっているのだから、これは定木をはずれてまた何か出ているのだ、そういうことをやってそこに大きな矛盾と混乱が出てこないと考えられるかどうか。
  39. 大澤融

    政府委員大澤融君) 先生の言われる意味が必ずしも私はっきりしないので、誤解しておるかもしれませんけれども、今回、来年度の値段をきめる場合は、まあ最低値が幾ら上値幾らということはきまるわけです。そこで、今度は日本蚕繭事業団がいろいろのことをして活動するというワクは、その下値から上の方で活躍をするというわけですから、何らその間の矛盾は出てこないと思います。
  40. 清澤俊英

    清澤俊英君 それはどうも私はおかしいと思うんだ。下値から上のところで活躍する、大体繭糸価格安定法では、法律による基準によって一応繭の値段もきまるし、糸の値もきまるでしょう。最低最高価格がきまっていく。そのワクの中にまた特別の操作をもって繭の値だけ上げようと、こういうふうになっておる。最低価格を繭の値が割る場合には一つ上げようと、こういうんだ。そうして繭の値段というものと糸の値段というものはいつでもちぐはぐに置くと、こういうことなんですか。どうもその調子をどうしてとるのか。まあ、それを言いかえてみますと、こういうことになるのじゃないですか。結局はもう政府の腹は、千円繭で十四万円生糸で押し通すんだ、従いまして、それじゃどうも実勢上養蚕農民は気の毒だから、一つ千二百円くらいで買えるようにしてやろうじゃないか、それの緩衝機関として蚕繭事業団法を出して少し操作してやったらいいじゃないか、こういうことになるじゃないかと思うんです。
  41. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) 違う。
  42. 清澤俊英

    清澤俊英君 違うならはっきり……。
  43. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) これは最低最高一つ基準価格を認めてやる。これは公定価格でもって確定するわけじゃございませんから、そこで、最低最高の間の糸値の形成というものは、やはり国内の経済状態にもよりましょうし、それからまた海外の需要の消長にも影響すると思うんです。その場合に、えてして繭価の方は不利になったのは、養蚕団体の結合力がない、経済的に弱いものでございますから、有利に処分し得る情勢であるにかかわらず、そいつがいかないというのか一つの欠陥だったろうと思うんですね。そういうことでございますから、最低最高の間に形成される糸価をそういう事情を見て、そこでそれに対応するだけの繭価決定をこの事業団等によって期待し、そうしてその利益養蚕団体に帰属させたい、これがわれわれのねらっておるところでございます。
  44. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで今度別の方面に移りますが、三十四年度に対しましては、大体繭の生産量を二千九百万貫を目標にしておられる、この間の説明通り。それに従いまして桑園の整理は三十四年で資料を見ましても、一万五千町歩の整理も完了して減産していこうと、こういう建前をとられておる。そこで、三十三年度の繭全体を見ますと三千百万貫くらいになっておるかと思うんですが、それらから逆算して参りますと、ただいまの繭の不足しておる混乱はどうもあまりひど過ぎるじゃないかと、こう思う。農林省はその点の見通しはどう見ておられるか。
  45. 大澤融

    政府委員大澤融君) これは、今の繭の不足、従って糸価の問題になるかと思うのでありますが、一つは、御承知のように、昨年十月ぐらいからまあ低位ながら価格が安定しておったというところで、内需にいたしましてもまた輸出にいたしましても、輸出が月々六千俵を十月ぐらいからこえるというようになってきたんです。そのころから先物もだいぶできて、いわば需給の状態が非常に改善されてきたという結果がここへ来て現われて、糸値、従って、繭の値上りというようなこととなっているのが一つの原因だと思いますが、そのほかに、御承知のように、例の春繭ですね、百二十万貫、これを糸にして吸い上げるということをやっておるわけです。これが今まさに端境期であるものですから、市中にある適格の糸をそうした形で取り上げるということが糸値をつり上げて、ひいては繭をつり上げるという形になっておる。年間を通じて繭が不足をして、そのために値段が上っているということではないというふうに私どもは見ております。従って、来年度先ほど申されたようなことで推移して、今のような事態が常時続いていくというようなことはないというふうに見ております。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 このひどい繭価の開きですね、農林省計算によれば、千六百円というようなものを千円や千二百円で維持しようとするに対しましては、ただ事業団法によって幾らかの相場を牽制して価格を維持したとしましても、これは長い将来性を持たないのではないかと思う。これに対してどうお考えになっているのでしょうか。製糸家はいいだろうと思う。製糸家はとにかくに、ある繭の値段に生産費をかけて三十三年度の夏季の変更の際には、生産費を三万八千円ぐらいに見込まれて、これは非常に苦しいかもしれませんけれども、ちょっと上手にいきますれば、その苦しさをカバーして現在は十八万近くゆとりが出ている、こういう埋め合せの時期がある。農民にはそんな埋め合せの時期は一つもない、一つも持たないのだ。安いものを吸い上げられて人が非常にうまいことをやっていても、指をくわえて見ていなければならない。何か方法はないですか。ある程度までは、こういう半分統制のような半分統制でないような妙ちくりんなことをしている限りにおいては、これはある程度やっぱり安定法というようなものをもって安定させる方法も必要だと思うのですけれども。そこで、その操作が誤まって現在二千九百円、大体新聞を毎日見ていると二千九百円、標準糸、ことに皇太子ブームで織物は和服が盛んに売れるというので呉服屋さんは大宣伝をやっておる。これは何も糸屋さんも織物屋さんも非常にもうかる。農民だけは損している。何かうまい方法考えられないですか。こういう場合に現にもうけている。しかも、この間農林省から委託を受けて、非常に安い値段で生糸加工を受けたけれども、代替納付金の値段が上りましたから、一つ交換糸の提出は待ってくれ、できたものは高くみな売ってしまう、来春あたり繭もたくさんできたし、糸も下ったときには一つ政府に交換糸を納めましょう、政府はこれはみな八月末まで延期したということで、またすぐこの次もこの次も延期するかもしれません。この延期などはどうなります。四月までを八月まで再延期したというように新聞に出ているが、こういうものをやはり無理に農林省としてはとるわけにはいきますまい。私は、場合によっては農林省が持った繭に価格を加えて、あのときは千四百円の繭価であったからそう現在の糸価としても大した利益は出ませんでしょうけれども、出たらそれを農民のところへ何とかしてやるぐらいの方法ぐらいやはり考えられていいし、何か別の方法でこういう相場の大変動で片方がもうけたとき、何かするぐらいの措置が常に考えられても、何かそういう緩和措置考えられてもいいんじゃないかと思う。そういう点は大臣、どうお考えになっているのですか。
  47. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) 基本的には繭価をどうきめるかということが第一の問題だろうと思います。先年の経験に徴しますと、これはあまり高目にきめたために、結局あれだけの制度を置きながらひどい糸値が出てきた。結局繭にも影響が出てきた、こういうことになったわけでございます。今後といえどもこの繭価決定に当りましては、不当に高くなりますと、結局たな上げしなければならぬということにばかりなります。しかしまた、これをお説の通り、非常に適正を欠く場合には農民に負担をかけ過ぎる、こういうことになりますので、それの適正なものをにらんでいかなければならないし、同時に、先ほど申し上げました通り、ただ単に生産費をカバーするという制度だけではなくて、年度の初めにきめたことを必ずしもその通り秋までは持たない場合がある。すなわち、糸価の形成等につきましても、変転きわまりない事態もある。現に昨年経験したわけでございますから、その間に処して今の蚕繭事業団等の機能を動かして、そうして不当に養蚕家たちが利益を害されることがないようにする、こういうようなことで運用をして参る必要があろうかと思うのです。ただ、清澤さんの今のお説でございますと、まず第一に、製糸家はもうかっておる、こういう御認識でございますが、それを取り上げてすぐに養蚕家に返すという方法もなかなか考えられないのでございますから、前段に申し上げましたような運用の適正を期して養蚕家を保護するという建前でいかなければならぬ、かように思っております。
  48. 清澤俊英

    清澤俊英君 最後にお伺いしますが、大体私は三十二年の繭価の非常な下落に対しまして、これは政府に一切の責任があるのではないかと思うのです。まず第一番が、八月の十八日だと思うのですが、日経に出ているが、これは生糸が十六万円で繭が千二百円くらいの実行価格、それぐらいに踏み切っていく考えだというような発表もしておられる。今日の糸の値下りは、結局二割制限がうまくいかないので、繭の生産が増大したのだからこういう措置をとらなければならぬのだというような発表が出ている。その際も私は農林大臣に、はなはだ軽率じゃないかといってお伺いしたところ、農林省としてはそういうことは言わない。新聞には出ている。その後八月三十一日、河野、福田の間で必要措置を講ずる。九月一日には大蔵、農林大臣で十四万、千円の繭がきまった。それもどうもおじゃんだったと思うのです。こういうものを農林大臣は、こういう新聞が発表せられれば、ここ二、三日のうちに繭価は大暴落しますよ——その時分は十六万円近くだったと思うのですが、私が農林大臣に言うた翌々日は十四万円を割ってしまった。十四万に落ちてしまった。事実落ちた。その後また同じようなことを閣議決定だとか何んとかということで二、三べん放送されている。それはいずれも大臣は知らないと言っている。政府はそういうことを新聞になんて発表しない、こう言われている。最後に言われる通りのものが実現したのだ。決定せられた、諮問機関によって。これは結局は、私は考え方によりましては、政府一つの政治意図をもって十四万円の千円、繭のアドバルーンを上げておいて下げたのではないかと思うのだ。こういう点に対して農林大臣、どう考えておるか。蚕糸局長、どう考えておるか。だれがああいう発表をして、新聞がああいう勝手なことを書いたのですか。もしあれが政府で知らないということでありまするならば、農民を代表して損害の賠償ぐらいのことを、農林省が督励して新聞社を告発させるようなことをやったらどうかということになる。一大損害ですよ、農民に対しては。そうして最後にそういうものがきまった。一体これはどうしたことなんですか。われわれはどうも納得ができないのだ、三十三年度繭糸価に対しましては。
  49. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) 新聞の発表のことを御指摘になりましたが、これは私どもとして非常に遺憾に思っております。われわれは新聞界の人と相談をして仕事をしているわけじゃない。しかし、これはほんとうに、昨今は言論自由の時代でもございますし、同時にまた、この問題は非常に大きい問題でもございますので、その方面の専門家の人も注意し、また新聞界の方でも、これはまあベテランぞろいでこの問題を調査研究している、そういうことで、その独自な考えを出していることはあると思いまするが、当局としましては、事前にそういうようなことを出した、あるいは相談ずくでやっているというようなことはございません。ただ、私は、昨年の繭糸価の問題等につきましては、幾変遷を経て、いろいろな変動があったということにつきましては、これは非常に、私は農林省としましても遺憾の意で一ぱいでございます。かようなことがないように、同時にまた、平静な、かつ、安定した繭糸価の安定の方策を講じたいと思うものでございますから、新聞等に出ましたこと、これはもう御指摘がありますと、われわれとしましては、まことに遺憾でございますけれども、決してそういうようなことで軽率な処置をとる、あるいはまた問題を起すようなことの措置をとる、少くとも故意もしくは重大な過失をもってやったわけではございませんから、その点は一つ御了承をいただきたいと思います。
  50. 清澤俊英

    清澤俊英君 衆議院で社会党で今修正を出しております。繭糸価格安定法十一条三項かを改正して、大体千円というやつは、政令の繭価決定八割五分と現在の千円の六割の中間の七割五分—七五%を下ってはならないと、これぐらいのものを入れる御意思はないですか。政府としてこれぐらいのものをのんでやっても問題にならないのじゃないかと思います。これで千二百円が、大体千六百円を基本として千二百円ですよ。どうせあなた方の方としても、これだけめんどうなことをやって、それぐらいに持っていこうとなさっておられるのだから、同じことを一つやろうとするならば、もうめんどうなことをして特別機関を作ってやっていくなどということでなく、この法律をちょっと書きかえて、そこでちょっと安定させる方法をとってやったら、そして、どうしてもそれで維持できないで繭価の下落を見たならば、そのときはまた別の方法考えてもいいのじゃないかと思うのですがね。今、企図せられていることは、この団体法で企図せられていることは、この間の説明によれば、大体売り気配、買い気配等というようなものを押えてそうしてある安定線を設けるというのは、千二百円ぐらいを標準にしておられるということを、それとなし局長は言うておられる。それぐらいのものが真実として、十六万円の糸と千二百円の繭価というものが基本考えられるならば、これぐらいのものを——私は社会党の衆議院議員というのはけしからぬと思うのだ。この七五%は、何て気の弱いことを言うているのだろうと。政令で八割とちゃんと書いてあるのだ。八割五分か八割と書いてあるのだ。それをわざわざ本法に七割五分なんて直さなきゃならぬというのは、どうもちっと気が弱いと思うから、そういう、蚕糸事業であるから、ちっと賛成もしてやらなければいかぬと思いますが、これぐらいのことを農林省はのめないことはないでしょう。どういうわけでのめないのですか、これは。
  51. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) こういう経済的に非常にむずかしい問題でございますから、制度上も法律にこれを固定せずに政令に譲り、かりに運用する場合におきましても、学識経験のある専門家の人たちの御意見も十分に聞いて実情に合うような制度にきめるということでありますから、ただいまのようになっておりますことは御承知通りであります。七割五分がいいか八割がいいか、これがつまり生きた経済界のことを律するものですから、やはり固定したものに書くことができない。従って、今の清澤さんのおっしゃいますことは運用上の妙諦としてわれわれは十分に尊重して、そうして誤まりなきを期していきたいが、制度上としてはどうもむずかしいのじゃないかと思います。
  52. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうも、そう言われると私は役人でないから研究が足らぬことになるかもしれないが、この糸価安定法並びにそれに対する政令等を総合してみますと、どうもこうこうこういう基準で出ている、それじゃ、それに対してはとにかくに、繭の生産価格というものが中心になって出ていかなければならない。本法には八割を下ることができないように書いてある。それが中心に出ては、これは当然何にもならないと思いますが、今の実勢価格としては問題にならぬです。だから、さっき申します通り、私は法律違反だとかなんとかというようなめんどうなことは、私至ってその方面にはうといものですから申し上げません。申し上げませんが、われわれの考えではそういうふうになっているのじゃないかということなんです。それを、ぐんぐんと破って、そうして法律違反の価格が結果としてきめられてそうして農民がえらい損をしている。しかも、それが政府放言によって。政府放言じゃないと言われるかもしれぬけれども政府の不注意によって聞きつけられて新聞に宣伝せられてそれがやはり重大な影響をして今度のような大混乱を来たす、そうして今日不用意なことからこれが実際価格となって今、現われている。それの緩和策として団体法等を通そうとしておられる。このように複雑怪奇なものが出ている。もう少しすっきりしたものに書き直して、そうして養蚕も成り立つよう、製糸も成り立つよう、何といいましても私は、最近の蚕糸業一体の中においては養蚕が一番困っているのでありますから、同時に、養蚕というものをとことんまでよくして、そうして内需並びに輸出市場等とにらみ合わしての価格にマッチする糸を作り上げられるようなものを作っていかなければならない、こういう一番の急場に来ているのだ。急場に来ているにかかわらず、この一番根底になる繭価というものの基本線を無条件でたたきつけちまって、それを何とか実勢とかこうとか……、いろいろお話を聞きますと、どうもわれわれとしてはわかるようでわからぬ方法でもってこれを償おうとしておられるのでありまして、どのくらいうまくいくかどうかわからぬ。あるいは繭が足らないで、この法案から見れば、年度始まる前において、一つの予算計画も立てなければならない。一体、三十四年度の繭は大体どのくらい余るとお考えになるのですか。生産においてどのくらい余る。この法案が出るとわずかの手間にこれを設立し、同時に、計画予算書を出さなければならない。そうしますと三十四年度の需給の見通しにおいて、この処置によって買い上げなければならない繭を決定しなければならぬ。どれくらい余ると見ておられるか、足らなければどれくらい足らないと見ておられるか。足らない場合にはこの団体法は要らぬわけになります。そうすると、この団体法で年々そういう予算計画を立てて事業を遂行するということは、毎年余らしていこうということがはっきりわかる。どれくらい余らしていくのか。大体そういう計画があらかじめ年度初めにおいて立つんでしょうか、どうだろうか。どうも私はそういうところを見ますと、どういうところを押えておられるんだかわからぬですよ。だから三十三年度の実績を見まして、桑園は整備して、そうして繭の生産量を二千九百万貫に押えるのだ、それもあるいはそれより少くなるかもしれないんだ、この繭の値段ならば。ということは、肥料の入れ方、桑園の維持管理の方法、そういうようなものに手抜かりをして非常な違算ができたり、まあ違算は出しますまいでしょうけれども、桑の生育等が思わしからずして減産するかもしれないのだ、そういうことを考えますと、どうもあらかじめこういう事業団体でもってどうする、こうする、こういう計画を一体どこで立てていこうとしているのか、これくらい全く私はあって役に立たぬことはないと思うのです。ないと思うけれども、予期せられるがごとき効果というものはあらかじめそう期せられない、非常に糸価が暴落してきて繭価を割る、こういう場合にはお願いして二割なり三割なりこれを活用してやっていくことも非常に私はいいと思う。いいと思うが、そういう場合までいかない場合もまた想定せられる、こういうとき、この事業者団体法の運用は大体どういうことになるのでありましょうか。
  53. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) 私は、まあ具体的なことはまた蚕糸局長からお答えしますが、いわれる需給の事情も、結局二千九百万貫というようなことを想定しているといいましても、これは桑園面積であるとか、従来の反当りの桑の増産量でございますとか、あるいは種を掃いた状況によるとか、そういう普通のファクターを押えて想定するだろうと思うのです。ところが、御承知通り、年によっては凍霜害によって桑園を荒されることもありましょうし、そしてまた昨年のように意外にも非常に好順なために、総量も非常にふえたということもありましょう。これはどうも遺憾ながら役所その他の想定でも捕捉し得ないファクターなわけでございます。そういうような場合でございますから、増減等も私はあると思うのです。ですから、それにやはり即応して臨機の措置を講ずる一つの組織を持ちたい。この組織がなくて、そして多少の出入りでも相当な影響を受けているということは、やはりわれわれとしては無視できないものでございますから、そういうときにいつでも発動し得るだけの機構を備え、財政的な裏づけもあり、そうしていつでも発動し得るような態勢を整えておくことが、やはり養蚕団体を保護するゆえんではないかと、こう考えるものでございますから、それはもう政府の需給の推定でも、年々によってやはり相当違いますから、そういうときに即応してこれを引用していきたい、こういう考えでございます。従いまして、今御指摘になった通り、非常に順調にいきまして、需給のバランスもよくとれる、しかも、安定してきた、同時に、繭価協定等についても最も合理的にいったというふうであるならば、平地に波乱を起すような操作をする必要はないのですから、この事業団は眠っていても、場合によってはよろしいとも考えるわけでありますが、変転きわまりない繭糸事情のことでございますので、その事情に応じて動き得る態勢のものを持って備えておく方がいいのじゃないか、こういう観点に立ってこのことをお願いしているわけでございますから、この点を了承いただきたいと思います。
  54. 清澤俊英

    清澤俊英君 あと二つ三つお伺いして、ほかの人もあると思いますからやめますが、そのあとでまたお伺いしたいと思いますが、大体、乾繭保管は協同組合の責任で行うのだ、こう解釈してよろしゅうございますか。
  55. 大澤融

    政府委員大澤融君) そのように解釈いたしております。
  56. 清澤俊英

    清澤俊英君 その機関は御承知通り約六十万貫くらい、大体自己機関としては六十万貫くらいの能力しかない、これが今まで発表せられた農林省の発表でありますが、それに大した間違いはございませんでしょうか。
  57. 大澤融

    政府委員大澤融君) 乾繭の設備能力、このことを御質問かと思いますが、ちょっと資料が古いのですけれども、三十三年の八月でこちらで得ましたものですが、協同組合が持っております乾繭設備、これの一昼夜当りの乾繭能力が約四十四万貫でございます。それから倉庫能力にしまして、これは協同組合自体の保管能力としてなま繭五百万貫です。そのほか営業倉庫などで農協が使い得るものが別にございますが、農協自体そのものとしてはその程度であります。
  58. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、例年と大して変りなくて少し大量の乾繭保管をするには製糸家に委託乾繭を、保管を依頼しなければならぬ。こういう数字が出てくると思います。これが二つ、それからいま一つは、この事業団がこれを乾繭で売る場合は別として、これを委託製糸に回して糸を作って保管する場合には、これもやはり製糸家に工賃を払って保管することになると思うのですが、何か別の方法がありますか、これはそういう機関を持たない団体でありますから。
  59. 大澤融

    政府委員大澤融君) ちょっと聞き漏らしたかと思いますが、製糸に際して保管をさせる、あるいは乾繭をさせるというときに費用を払うかということですか。
  60. 清澤俊英

    清澤俊英君 費用じゃないのです。そういう場合も出てくる……。
  61. 大澤融

    政府委員大澤融君) あり得ると思います。
  62. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから、もちろんこれを製糸にする場合は、委託製糸の形で製糸料を払って糸に直してもらう、これもやるだろうと思う。ところが、非常な問題になりますのは、御承知通り蚕糸振興会等で、本案が出ました際に製糸業者一体となって、養蚕団体を除いては絶対反対だ、こういうのです。絶対反対しているものが気持よくこれを受け入れてやってくれるだろうかどうだろうか。その保証は、保証というよりは確信をお持ちになるだろうかどうだろうか。これは絶対反対しているのです。反対しているものをあの当時の雰囲気で見ますと、無理に押し切ってこれを通過させておるのでありますが、それに対する確信を持てますか。
  63. 大澤融

    政府委員大澤融君) いろいろの経過がございますけれども清澤先生もよく御存じのように、審議会であのような決定に至って、法案として国会に御審議願うということになったわけでございまして、法案自体、御覧になっていただいておわかりになっておることだと思いますけれども、もちろん製糸その他のものの協力を得て初めて円滑に運用ができるということにもなろうと思いますが、特に重要な点としては、運営審議会というような格好でいろいろの調節と申しますかをやりまして、運営の妙味を大いに発揮していきたいと、こういうふうに考えます。
  64. 清澤俊英

    清澤俊英君 これが一番さっきお伺いした三十三年度に二百七十万貫乾繭の結果と非常に結ばれるものじゃないかと思うのです。二十七年にも養蚕団体としましては自己乾繭の設備々持たなかった。保管設備が非常に微弱であった。従いまして、大体製糸家と特約的な方法をもって、これを一時仮預け、一時金を借りてきて養蚕家には仮払いをして、この方法で産繭全量の保管乾繭をやりました。そのうち自己乾繭量が二百七十万貫とまでいわれた。事実はわれわれが考えてみますと、自己乾繭などというものはそれほど多くなかった。従いまして、製糸家等に大体は委託、乾繭預けという形でおりましたものが、何かのはずみで少し繭の値が出た。こういうことで、あるいは繭の値も出ないうちに先見越しの早い製糸家が千円もしくは千百円、それをちょっと足を出したくらいの、今われわれの手元に回ってきてるくらいに近い価格で協定価格ができ上った、こういう形になっておる。だから、せっかくこれで活用して、何か非常な威力を発掘するがごとく考えてみましても、今申しましたような実力のない一つの団体が十全な機能発揮をして目的を達するようなことが非常にむずかしいのではないか。従いまして、私は農林大臣としては、これに対して、これで十分所期の目的は間違いなく達せられるのだ、こう言い切れますか。私はそこに何らかのものが存在するのじゃないか、そうしてできて参りまするいろいろの機関は、学識経験者の名によって生産者等の代表の数は非常に少い、審議会の顔ぶれを見ましてもそうなんだ。大部分は製糸関係、織物関係、問屋関係、輸出関係、こういう人たちが多いのであります。生産家代表としてほんとうにわずかしか出ておらない。こういう中でいろいろのものがきめられる。こういうことを考えましたとき、大体こういうものがうまくきまるでしょうかどうでしょうか。これに対する自信のほどをお伺いしておきたいことと、それから、もう一つは、第一条におきまするところの適正水準価格をお定めになるときは、これは安定法の審議会委員にでもお聞きになるのか、農林省独自でおきめになるのか、あるいは運営審議会委員がきめるのもちょっとおかしいと思うのですが、あるいは別の機関でおきめになるのか。その適正な水準価格をきめて、そうしてそれにマッチしてきめられる機関ですか、方法機関がなければ方法、いろいろなものを聞いて農林大臣はきめるには違いないでしょうけれども、ただ農林大臣が、政府だけでおきめになるのか、これには規定がないのですが、何か特別の機関を設けられるのか、繭糸価格安定法による審議会委員に諮問しておきめになるのか、これは特別にそのときどきに関係者を集めてお聞きになるのか、その点をちょっとお伺いしたい。
  65. 大澤融

    政府委員大澤融君) 前段の問題ですが、これは運営審議会がございます。ここでは、今まで蚕繭事業団がこうして生れた経過等からも考えまして、運営審議会委員というのは、いわば養蚕農民的な色彩の強い方がウエートとしては大きく占められるということが当然であろうと思います。そういうことと相待って、今、清澤先生からいろいろ御質問でありますけれども、りっぱな運営ができるというような自信を持っていろいろ推進して参りたい、こういう気持でおります。  それから後段の基準価格の問題ですが、これは政府がきめるものではなくて、この事業団自体がきめる、このきめる場合には、実行上の問題として、今の運営審議会に諮ってきめる、今あります価格安定審議会というようなものとは無関係なもの、こういうふうなことになると思います。
  66. 清澤俊英

    清澤俊英君 事業団自身がきめると、こうなりますと、この法律から申しますと、一切が農林大臣の、最後に来ますと責任で全部が運営されている。そうすると特別に機関がないとするならば、農林大臣がきめるという結論になるのですね、これからいきますと。運営委員会がきめるのですか、運営委員等が運営上の問題として基準価格をきめていくのですか。
  67. 大澤融

    政府委員大澤融君) 運営委員会は、いわばこの事業団の中の諮問機関的なものです。そこで、形式的には理事長がきめると、こういうことになると思います。理事長が運営委員会に諮ってきめる、こういうことになっております。
  68. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは農林大臣の認可が要りますね、当然。
  69. 大澤融

    政府委員大澤融君) 事業計画の中に出てくる事項でございますから、農林大臣の認可が要る……。
  70. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、これは大体から見て政府がきめられる、こういうことを考えても私は過言でないと思うのであります。政府がきめられていく。こうしますと、この間、局長はちょっとそれに近いことを漏らしましたが、運営の水準価格は千二百円くらいのところを標準としている考え方に変りはありませんですか。
  71. 大澤融

    政府委員大澤融君) これからの価格の問題、ことに来年の価格の問題ですから、これこそ三十一日に予定されている価格安定審議会に諮ってきめなければならないことでございますから、今は何とも申し上げかねる次第です。   ━━━━━━━━━━━━━
  72. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) この際、委員変更について御報告いたします。  本日重政庸徳君が辞任され、小山邦太郎君が選任されました。   ━━━━━━━━━━━━━
  73. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) ちょっと清澤さんのお尋ねの問題ですが、今、事業団が取りきめする場合に、何か結局農林大臣がきめるのだと、こう仰せになりましたが、農林省はもちろん相談にあずかる、実質的にはいろいろな連絡はあろうと思いますが、いやしくも事業団を作った以上は、その自主的な運営はやっぱり第一に考えなければならぬことですから、はしの上げおろしまで農林省がやるというふうな心組みではございません。両者相待ってこの運営の適正を期す、こういうことでございますから、決して一方的に農林省が何でもかんでも取りきめするという心組みでないことをちょっと補足させていただきます。
  74. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 時間がもうないようでございますから、ごく簡単にお尋ねいたします。私は蚕糸政策について第三分科会において大体を伺いました。これを繰り返すことをやめたいと思います。ただいま清澤委員が意見をまじえた御質問の中には、なかなか傾聴すべきことが多い。よく翫味して運営上効果をもたらすようにお願いしたい。ここに私も強い希望を申し述べておきます。  そこで、政府の去年以来のふらふらした態度で公約変更があったために非常な迷惑を受けたのは、ひとり養蚕家だけにとどまらず、製糸業者も受けている。その一つの証拠には千四百円で繭を買ったものでなければ、十九万の生糸は買わないということの一札を、強制にひとしい態度で政府のバックにより活動しておる輸出生糸保管会社に入れさせておいて、その買入には無制限ということを言いながら、途中で一方的に制限買入は変更し、それがために破産に近い損害こうむった製糸家さえも出たということに実に遺憾であって、これは深く心にとめておいていただかなければならない。それがためにいろいろ政府においても御心配になったようだけれども、この痛手はなかなか今日までの御心配くらいでは補い得るものでない。さらにまた、ふらふらした結果の一つは、先ほど清澤委員のおっしゃる四月に政府の委託生糸を納めるというものを八月にした。これは一面において糸価をあまり高くしてはとの織物業者に対しての考慮でせっかく需要が喚起されてきたものを阻止するおそれがあるからということでございましょうが、約束したことは約束した通りに行わしめ、別に臨時措置法による第六条を発動すれば、政府時価で妥当な数量を放出し、市場の混乱を防ぐこともできるのに、その道は利用せずにしかも、約束の変更を一方的にする、こういうようなことが大へんな迷惑をかけておりまするので、この点を私は先日局長が何と思っておるかお尋ねをいたしたが、半分わかったような、わからないような言葉で濁しておる。深く顧みべきである。  次に、今回の養蚕の縮小生産方針に対しては、ことに政府の責任でございます。二割強制はしなかったと言うけれども、とにかく縮小生産により価格維持に努めたことは事実であって今日あちらこちら桑をどんどん抜いておるのに、繭は高くなり、抜いたものはばかを見たというようなことになっておる。これも一年草でない。三年も経ねば生産効果を示さないような桑については植え付けにしても、抜き取りに当っても、政府としては慎重を期さなければならない現実にして深刻な反省材料です。ことにこの事業が他の産業と違って、外国を相手にし、しかも、需要量なども他競争繊維の影響もあってなかなか測定のできにくいことですから、だれがやってもなかなか困難なことで、結果を見てかれこれ言うというわけじゃありませんが、さればこそこの困難な仕事に当るには腹をすえてやらなければならぬということをこの間も申し上げたのでございます。最初二百五十億になんなんとする勇敢な融資をなすったことは、近来の勇断だと思っておったにもかかわらず、その後ふらふらしたことによって、業界に思わざる損害をかけたことは、将来のために深く顧みられんことを当局に重ねて申し上げて具体的の質問に入ります。  ただいま清澤委員からの御質問で、水準価格決定は運営委員会でやる、運営委員会最後決定は理事長だと。政府はこれを適当に指導するということになっておりますが、運営委員の組織という中には、どういうものが入っておるか。私の心配は、この事業の円満にして堅実なる運営を求むるためには、養蚕家だけでできるものではない。製糸家だけでももとよりできるものではない。種屋だけでもできない。需要者である機屋もその中に加わって、全体の意見が一致したところで初めて円満な運営ができると思う。繭については養蚕家が大きな重さを持つことは当然であって、養蚕家がその主張の中心をなすはよいが、そこには蚕糸各業界の人も入れるのか入れないのか、これをお尋ねします。なぜそう言うかというと、この法律を通すには、業界にかなり強い反対があったので、今度私はこの機関成立については、運営をうまくやって、反対も杞憂であったということにしたい。それには一番大切なこの運営審議会のメンバーがあまりに片寄ってはいけない。私は、ある意味において、ほんとうに繭糸価格安定法が適正に動くならばよいのであって事業であるから、もうかることもあり損することもある。ただ問題は騰落の幅が狭くなければ、私安定は求められないと思うのに今日のような幅が広い場合には、やっぱりこの機関も必要かもしれません。問題は、その水準価格がどういう程度にきまるのか、きめ方によっては十億ぐらいの金はすぐ飛んでしまう。さればといって、あまり低いところにきめ過ぎたのであっても役に立たない。これはなかなかめんどうなことで、結局はやはり業界全体の議を練って定めることが大事であると思うが、その点いかがであるか。
  75. 大澤融

    政府委員大澤融君) ごらんのように、二十条に運営審議会のことが書いてありますが、第二十条の五項に「委員は、事業団の業務に関し学識経験を有する者」、それから選ぶ。そこで今、小山先生言われるように、業界代表だという立場から選ぶのではなくて、学識経験者ということから選ぶ。しかし、そうした場合には、業界の方もこれに入られるということは予想されることだと思います。
  76. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 十億の金は、ただいま申し上げたように、基準価格と申しますか、水準価格のきめ方によっては、もうたちまちにして損失に帰する、この金は政府出資だけで民間からは出資しないのですか。
  77. 大澤融

    政府委員大澤融君) これも法律にございますが、政府出資だけでございます。第四条にございます。
  78. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 いたずらに政府にたよるばかりが能ではありませんが、政府も相当責任をもってこれを指導するので、万一損失によりこれが不足を生ずるというような場合には、政府はさらにこれを追加して、資金投入をする心がまえはあるわけでございましょうと思いますが、いかがでございましょうか。
  79. 大澤融

    政府委員大澤融君) 法案を提出しましたこの十億、これで十分な活動をやっていくということをねらっておりまして、ただいまのところ、これを増資するということは考えておりません。しかし、将来の問題として、仮定で議論はちょっと今しかねると思います。
  80. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 十億をもって足れりとした運営の仕方をするといえば、おのずからその危険をなるべく避けたいということになるのは当然であって、従ってこの基準価格決定の上にも相当にそういう心がまえは影響があることであろうと、それはそれとして、さらにお尋ねしますが、先ほど乾繭設備のお話がありましたが、往年は乾繭設備を相当養蚕家が持っておるものがあったけれども、戦時中供出してしまったけれども、今日新たにこの乾繭設備をするために政府が莫大な資金を融資するという時期でもあるまい。繭は減産に向っておる。これははなはだ遺憾なことで、むしろ日本の蚕糸業を滅亡に導くものだ。私は、こんなばかげた消極政策よりは、やっぱり技術方面の指導によって、減産どころか、増産もなおなし得るような技術指導に向うことの方が大事だと思いまするが、今日の場合、養蚕家に政府が新たに乾繭設備を勧めて金を投ずるというようなことは無用であって、現にある設備を利用し、その設備利用にも養蚕家の発言権がないようではいかぬから、製糸家のものでもでき得れば共同管理のもとに、すなわち両方の出資によって、養蚕家の意思がそこに織り込めるような形態にもっていくということは、二重投資を避ける上においても大事なことではないか。幸いに、これに対しては農林中央金庫で融資の道も開けておりまするので、これらに対しては指導方針とすることが願わしいことで、製糸養蚕と緊密な連絡を保ちながら、望むところの価格維持に当るということにもなり得るので、これを指導方針の一つとしてはいかがか、御意見を伺います。
  81. 大澤融

    政府委員大澤融君) 乾繭設備——まあ年間ほんとうにもう何日かしか、短かい期間しか使わないもの、そのために大きな投資を新たにしていくということはなかなかむずかしい問題であります。そこで、今おっしゃったように、既設のものを上手に使っていくということは、これは大いにやらなきゃならない、こう思っております。
  82. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 重ねてお尋ねします。それがために、その地方の製糸家、その地方の養蚕家が、共同出資のもとにそれを管理していくというような組織をこしらう、たとえば、養蚕製糸とともに、協同組合のようなものをこしらって、それの管理に当る、そうすると、その運営が一方的でなくなるというようなことは、理想形態と私は思うのですが、いかがでございましょうか。
  83. 大澤融

    政府委員大澤融君) 乾繭設備の問題だけでなくて、もっと広く養蚕——蚕糸業の問題として、養蚕家と製糸家がいろいろ共同していくということで、お互いの道が開けていくということが多かろうと思います。
  84. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 大体私のお尋ねいたしたいことは済みました。最後にこの事業団が、ただいま局長の仰せの通り、十億をもって足りるような経営をしていこうということであれば、なるべく損をしないということになるでしょう。すなわち価格維持のために活動する機会も少くなる。そうすれば、十億の利子というものが利益となる。損害に備えて補償のために積み立てるということは必要でございましょうが、消極的に蚕糸業を縮小生産に導いて価格維持をするなんということよりは、進んで技術指導をもっと徹底さして、いわゆる千円養蚕でも、なおかつ養蚕業を継続することが農家経営上利益があるというまでに技術指導に全力を尽すということが大事ではないかと思うのですが、それにも金がなければできない。幸いにして十億の生む利益をその方に振り当てることになれば、現在養蚕指導に政府が予定しておる予算支出に加え行うことによって日本の養蚕に画期的な技術発展を期することができて、蚕糸業の将来を明るくすると思うので、蚕繭事業団利益運用の方針について私の意見を加えてお尋ねします。
  85. 大澤融

    政府委員大澤融君) その点については、政府提出の原案を出しました場合に考えたことは、原案のような目的を果すということが第一義的であって、それをやって、しかる後に利益金がたまり、積立金がたくさんできたというようなときに、初めて法律改正というようなことを考えて、今言ったような問題の仕事をやっていくということを考えておったわけですが、衆議院の方で修正になりまして、積立金を、もちろん将来の損失に備えて積み立てると同時に、その一部は養蚕業の安定と申しますか、そうした今おっしゃったようなことにも充てることができるという修正がなされたわけであります。従いまして、これが生まれた場合は、利益がたまればそういうことができるようになるはずであります。
  86. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 私の質問は終りました。
  87. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私もこの事業団について二、三お伺いしたいのですが、十億の政府全額出資、これはどういうめどでお定めになったものですか。
  88. 大澤融

    政府委員大澤融君) いわば十億の算出基礎、こういうことかと思いますが、事業団が販売の委託を受けた乾繭について、繭価協定見合いの委託者内渡金を支払って、さらに乾繭保管費用とか、あるいは一定期間、販売できなかったというような場合に、生糸に加工する経費というようなものはいろいろ必要になってくるわけです。そこで、これらの資金というものは金融機関から借り入れてくるということが必要なわけです。そこで、この事業団が事業活動いたします場合に、今言ったような資金を借り入れなければならぬので、活動した場合に想定される最大の損失額に見合う自己資金、これだけは少くとも持っていなければならぬということで、十億を算出してきたわけであります。
  89. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、さまざまな形で、借入金等の運用で仕事はやっていく、そうして結局想定される損失金額に見合うものとして十億円を出す、そうですか。
  90. 大澤融

    政府委員大澤融君) 最大限度の損失ができた場合でも自己資本でまかなえるということでないと、金融機関というものは金を貸してくれないわけです。そういう意味合いで、今言ったようなことで十億ということを勘定したわけです。
  91. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この点は、もう少し具体的にお示し願いたいのですが、三十四年蚕期で桑園整理等による繭量ですね、乾繭なら乾繭、それが衆議院の附帯決議のように、各蚕期産繭量のおおむね二割までの繭の操作をする、こういうことになる場合には、最低価格が一応——実勢価格かどうか知らぬが、きまったものとしまして、大体三十四年度はどういう振り分けで、出資金並びに借入金をどの程度にしてやれば大体初年度見合っていくという計算があるわけでしょうが、それを具体的にお示し願いたい。それでなければ、十億というものは言葉ではそう聞いてもどうも私にははっきりわからない。詳しくは事務費、施設費、そういうようなものも当然必要なんでしょうが、少くとも施設費等については、この十億のうち幾らぐらい使われるのか、そういうような点、もう少し詳細に御説明願いたい。三十四年度のそれを見通してお知らせ願いたい。
  92. 大澤融

    政府委員大澤融君) この事業団春繭と、それから夏繭でそれぞれ百五十万貫を扱っておるということを仮定しますと、それに要する費用、それからそいつを扱いましてすっかり売れないで、最後まで売れないで、糸に自分の費用を出してしなければならぬ。倉庫へしまっておいて、金利も払い、それから糸にする加工の費用も支払うというようなこと、それからさらに今度は糸にしたものを政府に買ってもらうまでなお保管しておく倉庫賃とか、金利、こういうものも見る、それからさらに人件費、その事務をやっていく事務費というようなことを一切がっさい試算をいたしてみますと、生糸年度末の今言ったような経費を全部足しますと、総計九億四千六百万円、こういうことになります。それが大体十億に見合うというふうに考えております。
  93. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、初年度は借入金の必要はないというもくろみになっておるわけですか。
  94. 大澤融

    政府委員大澤融君) 全部借り入れで、今言ったような経費が全部損失になるということに仮定して十億あれば足りる、こういうことです。
  95. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その際の金融機関からの借り入れ予想額は幾らなんです。その結論の計数が出るならば、中にも計数があるわけなんで……。
  96. 大澤融

    政府委員大澤融君) あるのです。大体四十九億六千万円、こういうことであります。
  97. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そこで事業団の出す損失というものは、これは当然出る場合が予想されるということですが、それは損失というものはなくなるような運営もできるはずだというのですか、どうなんです、この事業団というものは。
  98. 大澤融

    政府委員大澤融君) 今お尋ねの点は、事業活動する場合に金が必要だ、その金は借りなければならぬ、借りるためには、最大限の損失が出ても、それは資本金でまかなっていけるというだけの資本額がなければならぬ、こういう基礎としての十億でありまして、運営いかんによっては、たとえば繭を買って糸にして、糸がその後大いに値上りをしたという場合には、これが利益を得るということがあるわけであります。
  99. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ですから、相場変動いかんによっては益が出、あるいは欠損となる、というような、事業団の損失が次々と出てくるというような経営というものは、事業団の責任ですか、政府の責任ですか。
  100. 大澤融

    政府委員大澤融君) むずかしい御質問ですが、運営いかんによってそういうことになるわけですから、事業団の責任、こういうことになろうと思います。
  101. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうふうに、事業団の運営いかんによって左右されるというような、そういう運営上の自主性がこの事業団にゆだねられていますか。というのは、権限的にこうしたのだ、ところが、こういう手違いが起ったとか、こういうもうけが出たとか、そういうようなことでなくて、政府が一切がんじがらめにきめて、ただきめた範囲内のことの引き出しの出し入れをすると、そういうような操作の面だけを事業団にやらせるという結果になっていませんかということを尋ねておきたい。
  102. 大澤融

    政府委員大澤融君) 先ほど小山委員からのお尋ねに対して、いや、清澤委員のお尋ねでしたか、大臣からもお話がございましたように、事業団がある以上は、とにかく自主的な運営ということが基本でございます。いろいろな事項について必要がある場合は、農林大臣の認可を要するというふうなこともありますけれども基本大臣が言われたように、自主的な運営ということでございます。
  103. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この二十四条では、事業団は、「繭及び生糸需給事情からみて適正と認められる繭価水準の実現を図ることを旨として、同号の委託を受ける乾繭数量限度を定め、」というふうにありますが、この乾繭数量限度事業団自身が適正な繭価水準の実現をはかることを旨として自由にこれをきめ、そして農林大臣の承認を得るということでこれを出す。農林大臣はこれがいい、悪いといういろいろな交渉があるでしょうが、承認を与えると、あるいは承認しないとなれば別案を出すわけです。そういうふうにしてやって結論は出るでしょうが、ほんとうにこの事業団が自主的に自分の自己責任で繭価水準の実現をはかる、適正なですよ、はかることを旨として乾繭数量限度を定めるという運営が実態の上でできますか。この事業団はほんとうにできますか、そういうことか。
  104. 大澤融

    政府委員大澤融君) そういうことができるように諮問機関として運営審議会というふうな制度もあって、専門家がいろいろ勘案をされる、こういうことになっておるわけです。
  105. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第三十八条では、農林大臣自身さえもが大蔵大臣に協議しなければならぬ事項が列挙されておる。それで見ますと、定款なり、定款の変更なり、あるいは事業の計画なり、業務方法書なり、財務会計の全部、農林省令については一切大蔵大臣との協議です。そして年度の事業計画等もやはり財政に直接、間接影響があるというのでしょうかしらぬが、大蔵大臣との協議、また協議しない限りのものであっても、ほとんどが農林大臣です、これは。従って、結局農林当局として繭価の趨勢を見て逐次この事業団にこうせい、ああせいという強制なり、命令なりはするかもしれぬが、事業団の自主的な判断なんというものが生かされるような運営ができますかということを聞いているのです。
  106. 大澤融

    政府委員大澤融君) 先ほどから申し上げた通りのことなんでございますが、三十八条は、全額を政府が出資するというような機関について、もちろんその出すものが国民の税金だということで、こういう条文が例文として入っております。しかしながら、こういうものがありますけれども、先ほど申されたような自主的な運営ができるように、こういうことでこの機関は運営をしていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  107. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第二十七条では、「事業団は、毎事業年度、収入及び支出の予算、事業計画並びに資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に農林大臣の認可を受けなければならない。」そのことと、第二十四条ですね、事業団の事業を行うものの基礎になる乾繭数量限度をきめるということ、この辺のところで、もうほんとうに事業団の創意というものが生かされるかどうかといえば、それは生かされるのではなくて、農林省の意向なり、政府の意向なりを体して、ただその範囲内の乾繭の委託販売なり、あるいは加工なりという操作をするだけではないか、結果はきっとそうなるだろうと思う。私はそう思うのです。今までの、従来の公社、政府関係機関のものもそうであったが、なおこれはそういう点においてはひどいものが起ると思うのです。これはかえって特別会計なり何なりで、政府が直接おやりになればいいことが、間接的に、いずれ責任は事業団が負う、やらせる主体は政府である、こういう形にならないかということを再三お尋ねしておるわけです。
  108. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) 私からも一言。この事業団は、まあ承認を受けさせる事項であるとか、そういうようなことが取りきめてございます。しかし、具体的な実行につきましては、その範囲内で運営することでございますから、往々にして立法する場合にはやはりこういうふうな規定になります。たとえば本年度においては、最高百万貫なら百万貫の、需給事情によっては百万貫の乾繭保管をやるというようなことを書くわけでございますが、それ自体はすぐにその年に百万貫やるということじゃなくて、その範囲で、その事情に応じて事業団は運営するわけでございます。もともとこの事業団考えましたのは、かりに養蚕団体等が何らかの組織を持ち運営するならば、私はそっちの方面に対して国家の助成なり、あるいはまたこれにかわるべきものをしてやるということも、一つ方法でございましょう。しかしながら、その仕組み等もございませんのみならず、それを結成するといいましても、なかなか短時日にはできない、そういうことでございますので、養蚕団体の方面の事情を、一つの代行といいますか、それにかわってこの操作をさせるということになるわけでございます。先ほども清澤さんのお尋ねに対しまして、糸価等の形成は最高価格最低価格標準の範囲で動く、動く場合におきましても、事情によって相当の繭価を支持することが適当だと思われるような場合も想定されますことは、昨年の実情に徴しても明らかでございますから、そういうような場合には、とりあえず糸価安定の制度を運用しながらも、その範囲内においてやはり養蚕団体等の意向を聞き、その事情をくんで、自主的にこれをさせたいというのが念願でございますから、大綱については相談を受けますけれども、その運営につきましては自主的に、そうして事情に合うように運営させたいというのがわれわれの念願であります。かつ、そのために特に学識経験者をもって構成する運営審議会等も、いわばその道のべテランというものを網羅して、そこで各般の事情を勘案して、そうして実行に移すこと、あたかも適切な例ではございませんけれども、商事会社等における取締役会、そういうふうな機能をここで十分に果させたい、こういうことでございます。
  109. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それではちょっと具体的にお尋ねしますが、この年度の事業計画、資金計画等は年度当初において農林大臣が大蔵大臣と協議せられた結果、承認を得られるとなりました際には、また借入金等についても年度の借入金の最高限度額というようなものが承認になりましたあとは、事業団がそのつどつど時期的な見合いでタイムリーに資金の運用ができる、だれも拘束しない、こういうことになりますか。
  110. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) 建前はそういうふうに考えております。ただし、何ら農林省等がこれに介在しないということは言い切れぬと思う。また、事態の重要な場合には相談も受けるし、同時にこれまた農林省の方面でバック・アップして参らなければならぬ場合もありますから、これは事態によりけりですけれども、一応その事業団の計画、その実行にわれわれは期待する、こういうことでございます。
  111. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、かりに一千万円以上の買い入れ、あるいは何とか支払い、こういうようなことをやるそのつどつど農林当局の許可を受けろとか、大蔵関係当局の承認を求めろとか、そういう業務方法書並びにそういう内規的なものはこの事業団においては作らない、そういうこと言えますか。と申しますのは、政府の出資会社なり、その他の政府関係機関の、それでは一括承認を与えられた形になっておりながら、そのつどつどその資金運用については伺いを立てる、そうして大蔵省が承認しなければその金は使われない、それで年度末になるというふうに時期を失するというような場合が間々あるのです。けれども、その認可申請等をした日付と、それに承認を与えた日付とはちゃんと時間的に合うように、官庁では書類申請はしても受け付けないでおいて、四の五の理屈を言って承認は与えない、承認を与える時期に至ったときにその書類も受理するというような形できちっと官庁的なつじつまを合せる、こういうやり方が方々にあるのですよ。時々小じゅうとのように大蔵当局、あるいは関係監督官庁では、個々のことについて承認がない限り何事もできないという仕組みに持っていくのですよ。そういうことがあれば、この種の相場が日々変動していく、そういう情勢の中で事業運営するこの団としては、不都合な場合が起るのではないかという心配を持つのです。ありませんか、そういうことは。
  112. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) この事業団が作成すべき業務方法書等の策定は、これはあろうと思います。それから同時に、当局としまして承認する事項は大綱について包括的にするという建前でございます。個々のことを、今小笠原さんがしさいに例をあげてお述べになりましたが、さようなことがあったのでは、この事業団は動きません。そういうようなことにはさせたくない、こういうことですし、同時に、しからば全然放置して、いわば一たん事業計画等認可したならば、全然それはタッチしないかというと、それもまた行き過ぎなことでございますので、われわれとしましては業務方法書等を作らせる、そうしてむしろ事業計画等についても包括的な承認をする、同時に運用はこれは特殊のことでございますので、個々のことをあれこれして運用ができないようにはしない、そういう立場で進めたい、こう考えておるわけであります。
  113. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それではもう一点伺いますが、この借入金の借入先はどこになるのですか。
  114. 大澤融

    政府委員大澤融君) 具体的にまだ考えておりませんけれども、農林中金というようなところが主体になろうかと思います。
  115. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、農協団体の系統金融を利用する、こういうことですか。
  116. 大澤融

    政府委員大澤融君) 事業の性格から大体そういうふうなことで考えております。
  117. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、先ほど言われるような五十億程度というものは三十四年度の農林中金の資金計画の中には入っているのですか。
  118. 大澤融

    政府委員大澤融君) 農林中金の資金計画を私は詳細には存じませんけれども、連絡をとりつつこういう仕事を進めておるわけでございます。
  119. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは農林中金の来年度の資金計画で五十億なら五十億が他の資金計画に障害を与えることなしに出てくるというような形での計画にのっておらなければいかぬことでしょう。それがぼやけておってはこれは困るのは農林中金の方ではないかと思うのです。
  120. 大澤融

    政府委員大澤融君) 余裕金も相当出ることでございますから、資金的には差しつかえなくできると、こういうふうに考えております。
  121. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、それはその程度に、また時間をとって悪いですからその程度にしますが、農林大臣に伺いますが、第三十八条のように、大蔵大臣と協議する事項、これは一般の先ほど来申し上げておるような団体が規制されているのと同じであって、それよりも多くもないし少くもない、必要やむを得ないというふうに農林大臣は全部をお認めになっておられるのですか、農林大臣として、農林当局として。
  122. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) これは国家が全額出資いたしておりまするし、立法例等もそうなっておる。事実上またこれだけの国庫金を運用することでございますので、協議をしてむしろ円滑に進めることが適当だと考えて立法いたしたわけでございます。
  123. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それではまたもう一度立ち戻って、いいですか、今までお尋ねした経過から立ち戻って、この事業団には運用の幅が、権限が相当あるのです。あるように運用するのだ、従って事業団の損失等が重ね重ね起ってくるというようなことは事業団に相当な責任がある。それは監督する当局にも責任があるが、事業団に相当な責任があるのです。こういうことになるなら、理事が二名というようなこういう運営は他に例がありますか、理事長以下理事二名。
  124. 大澤融

    政府委員大澤融君) 他にも例がございます。
  125. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 何のですか。
  126. 大澤融

    政府委員大澤融君) 酪農振興基金などもそうだったと思います。
  127. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは金を保管しておって、その出し入れをしておるのとは違うのですから、事業の運営をしなければならないのです。そういうものが重役は理事長以下二人だ、これでいいかどうかということに私は一つの疑問を持つのですが、この理事二人は担当部門はどういうふうに分れるのか、経営と財務ですか。
  128. 大澤融

    政府委員大澤融君) 業務と総務というようなことに分れると思います。
  129. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、この理事長や理事については、ここではどういう人が予定されているかということまでは失礼ですからお聞きしませんが、役人が肩がわりするというようなことはないでしょうね。
  130. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) 現在やっております役人などをやるという意向はございません。今まだ具体的に選考はしておりませんけれども、この審議の過程におまきしてもいろいろ御意見がありますし、同時にまたこれらの道に通暁している人を簡抜し、同時にまたその配分等につきましても十分考究して参りたいと、かように考えております。
  131. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私はこの際申し上げますが、てん菜振興会ですか、ああいう機関もでき、また今度は事業団もできて、これに農林省関係の役人が、あるいは古手といえば失礼ですけれども、そういう古手高級官僚が数多くはまるというような、そういうことはおやめ願いたい。学識経験者の名をかりてやる、そういうやり方はおやめ願いたい。今、農林省関係の諸団体、農民の自主的団体といわれるような農協中央会、あるいは水産団体、一切の団体を見てごらんなさい。元みんな農林省の高級官僚です。自主的だといわれるような全国団体でさえ。私はその人々一人々々を誹謗するのではない。けれども農林省で飯を食っておったということが背景になって、そうしてあらゆる団体の理事あるいは長、こういうような方たちが真に日本のこの農民の民主化なり、この種の団体の民主化なり発展のためには私は望ましいと思わない。農林当局のためにもそれは是としないのです。ずっと並べて農林大臣、一度一切の農業団体の目録をごらんなさい。その中にはまっている者が全部農林官僚ですよ。一時は高級官僚として、そうして天下をへいげいし、農業界をへいげいし、やめれば恩給をとって、なおかつ高級をもってそういうところに入る、そうしてやっぱり農政面にあくまでも発言力を保持する、こういう農林一家というような、そういう体制はおやめになった方がいい。この際私は、大臣も農林官僚だから工合悪いと思いますが——これは元です——工合悪いと思うのですが、十分こういう点は自省されるように希望いたします。必要な人もあって、おはいりになることを私は否定はしない、けれども、それをもって一切の実権を掌握しなくちゃならぬというような形に結果が見えるようなそれは、国民の前にはおやめになったらいかがか、この十億の出資金であれ、あるいはテンサイの方の納付金十二億六千五百万円であれ、これは国民の税金同様のものです。そういうもので運用せられる。学識経験者としてはもう古手農林官僚でなければならぬというような、そういう幅の狭い形で就任を懇請するというようなことは自制してもらいたい。この点は、この際ですから一般的な希望として農林大臣に申し上げたいのです。全部が全部やめろということを言わぬのですから、その点は誤解のないように。
  132. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) 御意見でございますからお答えするのもいかがかと存じますけれども、たとえば農業協同組合等の中央会あるいは地方団体等におきます重要な地位にももとよりかつて農林省に奉職した人がおりますことはお説の通りであります。しかし、御承知通りあの選任の関係から見ましても、また法制上からいっても、農林大臣もしくは政府がこれを推薦するような形はございません。ほんとうに自主的に選任されてきておることでございまして、こちらから要請し、もしくはこれを指示してやっておるということのないことは御承知通りであります。同時に、関係の団体等もございますが、これは適任者を選ぶために非常に苦労をしておるわけでございまして、これらにつきましては、ただいま希望の御意見だということでございましたけれども、われわれとしましては今後十分に心して参りたい、こう考えます。
  133. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の問題についてですが、その前段の御発言については、私は必ずしもそういうふうであるとは考えない、いわゆる農林省は何ら関知しない、自主的に諸団体においてそれは決定せられる、そうは考えません。たとえば、ある相当有力な役人がやめる、必ずどこかの団体の首脳部に異動が起ります。農林中金あるいは農林水産の方の金融公庫、こういうようなものがポストがかわる、かわるとまた今度は別の団体の方にくるっと回っておる、これは私だけがいいかげんに当てずっぽうで悪推量をしておるのなら、お前の悪推量だと断言なさっていただいてけっこうです。しかし、世間には多くの目がある、必ずしもそうは私は信じません。直接、間接いろいろな配慮のもとにその種のことが行われておるということは私は事実に近いと思っています。御答弁は要りませんが、この点は、十分まあ後段の点で農林大臣が善処せられるそうですから、りっぱな人事が行われるように期待します。答弁は要りません。  ところで、先ほどから運営審議会の問題について運営審議会があるのだから、そこで学識経験者十人を集めて十分な討議をするのだから、従って政府がかれこれ言わぬでもきちっとりっぱなことができるような御答弁ですが、なぜ運営審議会委員をそんなら一年、単年度限りの任期にしたのですか、理事者は二年、運営審議会委員は一年、一年でなかったらごめん下さい。ということは、何か伏線があって質問するように思われていかぬから私の疑点を申し上げる。一年ぽっちりで、再任されることがあろうとも、任期がないんだというような任用の仕方をされて、運営審議会委員の方々が真剣に事業団育成のための学識経験を吐露せられると思いますか、しかも重役—当事者である、執行者である者は二年なり三年なりおる、だから経験もある。一方運営審議会の方の委員は一年ごとに変っていく、何ら経験がない。そういうことで十分な成案を練り上げるなどということができますか、あるいは時宜に適した措置ができるというふうにお考えですか。私はこの任期については疑点がある。どうして一年にしたのですか。
  134. 大澤融

    政府委員大澤融君) 特に理由はございませんけれども、学識経験者そのものを選任していくのでありますから、もちろん今おっしゃったような再任ということもございますし、専門的な見地からの運営が、任期がたとえ一年であっても、できるというふうに考えております。
  135. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう少し真剣にお考えになったら、いかがですか。ただ、政府行政機関審議会委員を一年こっきりで任命して、ただ手続上民主的にやりましたというふうな体裁を飾る審議会とは違うんですよ。さっきからの再々の御答弁によると、非常にこの審議会が理事がいるにもかかわらず、大臣の御答弁があった中では民間諸会社の重役会に匹敵するやの御答弁をしている。私はこれは誤まりだと思っていますけれども、民間の重役会にかわるものは理事長並びに理事であって、運営審議会には何の権限もなく、単なる諮問機関です、理事長の。けれども、運用面では重役会議程度の最高決定をするような立場で運営していくような答弁のように私はお聞きしたので、なおこれは重大だと思っている。何にも他意はないと言うけれども、他意がなかったら一年から四年までに分けて、一年委員、二年委員でもよし、総員二年でもよし、半数のそれでもよし、継続的に経験を積み重ねて、そうして重要な施策の決定に参与するというような運びが間違いがないんでないかというふうに思う。ほんとうにたった一年こっきりのそれで真剣な御勉強を願える……一面からいうたら、非常に失礼に当るようにさえ思う。どうですか。
  136. 大澤融

    政府委員大澤融君) 専門的な方そのものを選ぶんでありますし、また今言ったように真剣に取り組んでいただく方を選びますから、御心配のような点はなかろうかと思います。
  137. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、どういう人を選ぶんです。具体的な名前は要らぬのですが、大体選ぶ基準をお示し願いたい、学識経験者といってもたくさんありますから。ことに政府が最近学識経験者と称して選ぶ人は、何のこれは学識なんだ、何の経験なんだと思われる人さえある。
  138. 大澤融

    政府委員大澤融君) 蚕糸業について、たとえば養蚕業をいろいろやっておられて、乾繭保管というようなことについて御経験のある方でなかなかりっぱな方、あるいは製糸をやって製糸について特に専門的な御知識を持っておられる方とか、あるいは生糸あるいは繭の取引について専門的な経験あるいは知識を持っておられる方とか、そういうような方でりっぱな方を選んで参る、こういうふうな考えであります。
  139. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、乾繭事業をやっておる方、製糸業家、あるいは生糸の売買をやっておる人、こうなると、業界の方々じゃないんですか。
  140. 大澤融

    政府委員大澤融君) 学識経験ということでございますから、そういうことをやっておる方あるいはやられた方ということも選考の範囲内にはもちろん入ってくると思いますけれども、実際、御経験がなくても、学識としていろいろ、たとえば乾繭保管についていろんな知識のあられる方というのもあるわけでありまして、そういう方から選んでいく、こういうことであります。必ずしも業界代表というような意味での選考ではございません。
  141. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、逆に聞きますが、事業団の経営いかんによっては利益を受け損を受ける、こういう関係団体、関係会社の中からはこの運営審議会委員は委嘱しないということになりますか。この際、はっきり御答弁願いたい。
  142. 大澤融

    政府委員大澤融君) 公平中正な方を選ぶ、こういうことでございます。
  143. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ですから、私は限定される部分について質問している。具体的にお答え願いたい。
  144. 大澤融

    政府委員大澤融君) ちょっと御質問の意味がよくわからないのですが……。
  145. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃ、もう一度申し上げます。この事業団の運営いかんによっては、乾繭の売り渡しなり、生糸の売り渡しなりいろいろな運営に関係して、俗にもうかる、利益を受ける、こういう製糸あるいは販売、あるいは市場の取引をやっておる商事会社とか、あるいは農協団体関係の代表者、こういう当面事業団の運営について利益を得られると思われる関係団体、関係会社から学識経験者を求めない、こういうことを言えますかと聞いておるのです。
  146. 大澤融

    政府委員大澤融君) 直接と申しますか、利害関係を持っておられるということをどこで断ち切るかという問題もございますが、そういう方であっても厳正公平な立場からこの事業団の運営について真剣に取り組んでいただけるというような方があれば、運営審議会委員に選んで一向差しつかえない、こういうように考えております。
  147. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その点は農林大臣にも重ねてお尋ねしたい。一向差しつかえないと今言っている。政府全額出資のこういう事業団で、一向差しつかえないのですか。
  148. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) 蚕糸局長説明いたしました通り、直接に利益を受けるというようなことはちょっと今のところ予想されませんけれども、そういうふうな、これの運営によって直接利益を受けるとか非常に重大な利害関係を持つという者は極力避けなければならないと思っております。ただし、先ほどの、たとえば農協のことをお引きになりましたが、これは養蚕団体の利益を相当守る意味を持っておりますから、間接的にいきます場合については、これはたとえその方面の出身者でありましても、現に非常な経験を持ち、同時にまた学識を持っておいでになるという人でございまする場合には、これは採用せざるを得ないと思うのでございますが、直接この運営によって利益を受ける、帰属するというようなものの営利法人であるとか、あるいはその他のものでございましたならば、これは避けて参る、こういうことに運営したいと考えております。
  149. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、性格を尋ねる上から具体的にお尋ねした方がいいと思うのですが、農業協同組合連合会といいますと県の連合会をさすと思うのです。俗に経済連などと言うのがこの対象かと思います。あるいは特殊農協としての全養連なんというのが全国の連合会だというなら、そういうのもさすかもしれません。ですから、県の経済連を代表する方、あるいは全養連などというものを代表する方、あるいは全販なり全中なりこれらを代表する方、こういうような方々も入って差しつかえない、こういうのですかどうか、お尋ねいたします。
  150. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) 団体の代表としてはわれわれの方としては採用いたしかねると思います。ただし、そういうふうな経歴を持たれた方であっても、ほんとうに学識経験としてこの方面に運営上適切な方であれば採用はいたしたいと、こういうことです。
  151. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 非常にくどいようですが、じゃもう一度。結果としてそういう肩書を持っておる人が選ばれるが、それは個人の学識経験を買って選ぶのであるから差しつかえないとして、やはり結果としてそういうふうになる人でも選ばれる場合がある、こういうことですか。
  152. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) 今、具体的にはそういうような選考はいたしておりませんけれども、観念的にあり得ると思います。
  153. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もしも、農業協同組合連合会からの委託を受ける乾繭の売り渡し、乾繭生糸への加工、こういうことが事業内容ですから、その農業協同組合連合会の現役であり代表される方が結果としてでも入るということは観念的にあり得る、それで差しつかえないんだ、こういうことなんですか、重ねてこれはお尋ねしておきます。
  154. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) これは具体的な取引のときにどうなるかという問題にも関連するわけでございますが、いろいろな想定をしますとそういうことになりますけれども、具体的な取引の場合には当事者双方の代理としてやれないということはこれはもう基本的なことでございますから、そういう場合にはあるいはその審議の際に御参加を願わないとか、あるいは取引について他の者をしてせしめるとかという便宜の方法はこれは運営上とらざるを得ないと、こう考えます。
  155. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 実は私もこの点は自分きりで判断に迷うんです。入るべきものであるのか、この種の業務内容を持つものとして関係者としてこれは排除すべきものか、この点は私は実際は判断に迷う。しかし、私は、学識経験者といってこの運営審議会委員たる人としては、現役の関係者は業界からは望ましくないというふうにも一面考える。この点は私にも判断がつきませんのですから、何とももうこれ以上申し上げようもありませんが、十分慎重に学識経験の範囲というものは確定願いたい。特にこの種の審議会は、それぞれの方面から強い要請が起ってくる。これは間違いない。この団体からだれを入れろ。今あるいは起っておるかもしらん。そういうようなことは、私は排除されるように望むので、そうしてこの事業運営がまともに進んでいく、そうして政府が期待しているような、養蚕農家が真に守られるという形について、特段な配慮をしていただくというふうにお願いします。  それから最後、これはもう最後ですが、「重要事項を調査審議する。」とありますが、この運営審議会に理事長が諮問するもしないも理事長のこれは職権だと思う。どの程度のものはこれは調査審議させろという何の規定もないようです。だから、これは開店休業のままでもいい。何かこの点については運営上最低手続がございますか。
  156. 大澤融

    政府委員大澤融君) この法律そのものの中には、こういう事項は必ずやらなければいかぬということはございませんが、これは運営上、たとえば事業計画でありますとかいうようなものが、予算とかいうようなもの、みな重要事項として、これを調査審議するということになろうかと思いますけれども、そういうことに理事長がやらなければできないじゃないか、こういうお尋ねだと思いますけれども、三項をごらんになっていただけばわかるように、「運営審議会は、前項の事項に関し、理事長に意見を述べることができる。」ということにも、自発的にも言えることができる道が開かれておるのでありますし、実際の運営上御心配のようなことはないというふうに思っております。
  157. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃ、重ねてお尋ねいたしますが、運営審議会はだれが招集する。
  158. 大澤融

    政府委員大澤融君) 委員長をきめて、委員長が招集するということになると思います。
  159. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 理事長なり事業団の理事当局が何ら関知せざる運営審議会委員長名で自由自在に開かれるのですか。それで適当な調査をし、適当な意見をこしらえあげて事業団へ、理事長へ答申するのですか。
  160. 大澤融

    政府委員大澤融君) 言われる言われ方ちょっとあれですが、そのようなことになるわけです。第三項で、自発的に第二項に書いてあるような事項について調査審議しまして、理事長に意見を述べるということができるわけであります。
  161. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 重ねてこれはお尋ねしますが、農林大臣ほんとうにそうするのですか。
  162. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) これはまあ簡素な書き方をしておりますから何ですが、実際の運営は今、昨今行われております各種の審議会等におきましても、まず審議会の運営の規則を作る、その場合につきましても、相当補充的な、それらの連絡の事項なり、あるいは発動する場合の規定なり置くのは当然やっておるわけですから、もとよりこれを施行するに当りましては、さような連絡は緊密にして、いやしくもばらばらに運営されないように心していきたい、かようなことでございます。そのさまつなことまでは立法はしていない、しかし運営は今申し上げたようにしていきたい、こういうことでございます。
  163. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ささであるかどうかはちょっとわからぬですが、私もね、もう一度お尋ね直す。この三項は自発的に意見を述べることができることを規定した項目ですが、もう一度お尋ねするというのは、「前項の事項に関し、」とありますが、「前項の事項」というのは理事長の諮問に応ずる形で、理事長が主体になっているのですよ。
  164. 大澤融

    政府委員大澤融君) 「前項の事項に関し、」というのはです、事業団の業務の運営に関する重要事項に関し、とこういうふうにお読みいただくわけです。これはこういうような書き方、御不審で御質問がおありのようですが、一般の政府の、たとえば審議会におきましても、大体こういうふうな格好になっているわけです。みずから開いて意見を述べることができる、こういうような格好になっているわけです。
  165. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 しかし、さっきからあなたは政府審議会と言いますが、開発審議会とか、積寒の審議会とか、確かにそうです。しかし、国鉄や電電公社やそういうものの経営委員会に、これは匹敵するものだと、私は性格上見ておる。あの種の経営委員会が経営委員長を置いて、別途自発的に経営委員会を開いて、独自な意見を作り、独自な調査活動をするというようなことは私は聞いたことがないのですね。そういう疑念からお尋ねしているわけなんですね、理事長に意見を述べることができるということですが、意見を述べない範囲において調査審議をするということの独自な活動が、この運営審議会で許されるという理論はおかしくないですか。
  166. 大澤融

    政府委員大澤融君) まあ、先ほどから申し上げたようなことでございまして、実際問題としては、大臣がお答えになったように運営をうまくやっていく。こういうことだと思います。
  167. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから、運営審議会委員長を選ぶんだと、というのですが、それもそういうふうにするのですか。ほんとうにそういう機関としてですね、委員長を置いて、あるいは委員長代理を置いておやりになるのですか。
  168. 大澤融

    政府委員大澤融君) 委員長と申しますか議長と申しますか、そういうものを選んでやるわけでございます。
  169. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 非常に私しつこいようですがね。議長といいますか、委員長といいますかというふうな、ぼやっとした御答弁でなくですね、運営審議会という機関にその長を置く。という形のあるのかないのかということを聞いておる。
  170. 大澤融

    政府委員大澤融君) 委員の互選によってそういう形をとるということにしております。
  171. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 再三お尋ねしてしつこいようですけれども、どうも私はこの運営審議会の運用の仕方についてもふに落ちない。法律の条文としてはこういう書き方があるが、従って運営審議会は独自な活動ができるのだというようなことであっては、これはどうもおかしいというふうに思われる。諮問するからこそ理事長に意見を述べることができることになるので、諮問がないところにまでそういうことをやるという、そういう団の経営なり会社経営なりというようなものは、一業務機関の中にあっていいのかどうかということは、私疑問があるのですね。法律上は差しつかえないのだと、理念的にはそうなんだが、実際上はそうでございませんでしょうでは工合が悪いことのように思う。私は観念的にから回りしておるのかどうかしれませんが、実際の運用上そんなことがあって望ましいと思いますか。  しかも、さっきから言うように、関係団体のそれぞれの人が、代表はしないが、個人として結果としては業界その他の利益を代表する人たちが入っておって、そして活動するという段取りになると、不都合なことが起きませんかね。
  172. 大澤融

    政府委員大澤融君) 実際、運営の場合を、まあここで観念的に考えてみますればです、第二項のようなお仕事をされる場合が多かろうと思います。しかし、理事長が何らかの関係で諮問をしないでいたというような事項であるけれども、運営審議会としては大いに意見を固めて述べなきゃならぬというようなことも考えられるわけです。そこで第三項のようなこともできるようになっておる方がベターだと、こういうふうに私ども考えます。
  173. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあ、まだ質問がありますけれども、時間がないようですからもうやめますが、私は疑念があるから、これはもう少し研究してただしたい。
  174. 東隆

    ○東隆君 この日本蚕繭事業団法のこの事業団ですね、これは新しい使い方であろうと思うのですが、何かほかに例がございますか。
  175. 大澤融

    政府委員大澤融君) 名前としましては、石炭鉱業事業団、こういうのがございます。これは基金があって財団的な性格だというようなときに、こういうような名前をつけることが例になっているようであります。
  176. 東隆

    ○東隆君 私は、この団という名前を使われたことや、それからこの事業団の仕事の内容をずっと見ますと、農林省の中の一部局のような仕事をやるように見えて仕方がないのです。それで、先ほどから小笠原委員がだいぶ質問されましたが、非常に官僚的なシステムがこの中にずっと出ているような気がして仕方がないのです。ちょうどドイツのライヒスネヤ・シュタンドを日本で訳すときに、団を使っておりまして、食糧職分団というふうに訳したようですが、その団に非常に似通っているような気がするのです。で、あまりに役所が中に入り過ぎると、私はどうもヒュラー・システムのようなものがこう何だか出てきそうな気がして、非常に名前からして実は心配したものですからお伺いをしたのですが、石炭の場合に鉱業事業団ですか、そういうようなのができておるようですが、財団に関係しておると、こういうようなお話でありますが、私は、国が資本を全額出資した形でもってでき上ってきているわけでありますから、まあ普通の財団とこれはだいぶ違ってきていると思うのです。  それからこの中にいろいろ疑念を持つのは、たとえば二十一条の秘密保持の場合なんかにしても、これはかえって役所の関係よりもまだ強い秘密保持の事項をここへ規定してあるのです。私はある程度の秘密は保持する必要があろうと思うのですけれども、この中の人がある程度のことをプロパガンダしなければこの仕事はうまいいくものじゃないと思います。ですから、うっかりものを言って、あとでそいつを秘密事項だなんて言われて、えらい目にあわされる心配があるのですが、この二十一条なんというのは、なぜこういうときにこういう条項を入れるのですか、二十一条の条項を。
  177. 大澤融

    政府委員大澤融君) この事業団が活動します場合には、たとえば繭取引あるいは糸の操作をなくするというような場合は、情報を早く流すということはこれはいけないことだ、そういう意味で秘密保持という義務を課しておるわけであります。
  178. 東隆

    ○東隆君 そうすると、今おっしゃったようなことなんですか、これは。「事業団の役員若しくは職員若しくは運営審議会委員又はこれらの職にあった者は、その職務に関して知得した秘密を漏らしてはならない。」と、こうあって、やめてしまってからあとになって秘密を漏らしてもいけない、こういうことですから、これはもう実に範囲が広いのですね、この規定は。今のような場合は、現にその職にあって問題が起っているときですからそれは何でしょうけれども、外にある者は—その「職にあった者は、」とこうなってくるのですから、これは実に過酷な規定じゃないですか。一度この職にあった者をやられると大へんなことになるのですね。そこまで規定しなければなりませんか。
  179. 大澤融

    政府委員大澤融君) おそらくやめたあとで秘密かどうかというようなことを……、やめた翌日はまだ秘密だというようなこともさっき申し上げましたような事項であるわけです。そうしたことを考えて、予想しておるわけでありまして、何が秘密かということは最終的に裁判できまることだと思いますけれども、非常にそういう常識的な意味の規定でございます。
  180. 東隆

    ○東隆君 非常に常識的な規定で、そう将来にわたって拘束するものでないと、こういうことなんですが、私はこの二十一条というのは、実は農林大臣が命令を下部に浸透させるためには実に強い条項だろうと、こう思うわけですが、そういう点で実に統制のとれた、統制に筋金を入れるような、そういうような条文に考えられて仕方がないのです。それで、先ほどから役員の選任の問題であるとか、それから審議会委員の問題、そういう問題がお話がありましたが、それらのものは全部この条項によって占められる。そういうことになりますると、この中にはもう民主的なにおいというものは一つもないわけですね、選任をするのは任命でもってほとんどきめてしまうのですから、従って選挙を通してやるものでもありませんし、もう完全に上意下達のような形でもってでき上ってきて、そうしてことに審議委員の任命も選ぶのは理事長が選んで、そうして農林大臣がそれを任命するという形にもなるようでありますから、いよいよもってこれは官僚の機構をそっくりそのまま持ってきた形のものができ上る。そういうような場合に、私は、そういう形でもって少くとも、これは営利事業をやるわけではありませんけれども、もう少しゆとりのあるものをやらなければ経済活動の上において非常に不便なものができてくるんじゃないか、こう考えるのですが、そういう点は、官僚的なやり方以外に何かうま味が出てくる——うま味と言ったって変なものじゃありませんけれども、運営上にゆとりのあるようなものが出てくるようなものがこの中にありますか。
  181. 大澤融

    政府委員大澤融君) 先ほど来、小笠原委員からの御質問もあった点とも関連すると思いますが、私ども、たとえば認可をいたしますにしても包括的な認可をして、後の事業活動を一々縛るというようなつもりは一向ないのでありまして、そういう意味で包括的なワクの中で大いに自主的に活動をして、この事業団の目的を果してもらう、そういう気持で考えておるわけでございます。
  182. 東隆

    ○東隆君 先ほどからもいろいろな質問、その他お答えの中から、この蚕繭事業団のこの形というものは、今までいろいろ農林省のお声がかりでもってできた団体がたくさんあるのですが、そのうちでこれは実に何というか、筋金の入ったような、そういう団体のように私は見えて仕方がないのですが、そういうような感じがしませんか。農林大臣、そういうような感じがしませんか。私はどうもそういう感じがされて仕方がないのですが……。
  183. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) これは、先ほども申しました通り養蚕団体が経済的に弱い、それからまた、その事態に即して機動的な運営がなかなかできない、そういう点にかんがみまして、その方面の利益を十分に保護するということをねらいとしたものでございまして、立法の形式ではそれはいろいろお感じはございましょうけれども、最小限度の規定をしておりまするし、先ほど来、運営につきましても、一々しさいなことを許可、認可を受けさせるという建前でもございません。従いまして大綱につきましては、政府もその案によって許可、認可をいたしますけれども、その運営自体は先ほども申し上げました通り、業界関係者のほんとうに学識経験のある人たちの総合的な意見を聞き、同時にまたこれを運営していくということを建前にしておりますから、私たちといたしましては、その運営なり、あるいは実績を上げることにつきましては、養蚕家を保護し、同時にまた繭糸価の安定のために役立ちたいということを最高限度に期待し、運営して参りたいと、かように考えているわけでございます。
  184. 清澤俊英

    清澤俊英君 さっき残しましたから……。二十四条の蚕期ごとに適正水準をきめていくというのですが、この二十四条のこの「蚕期ごと」というやつは、製糸年度蚕期ごとですか。そうすると、糸価安定法による年度—三月末、ここでこの法律が通ったらこれをすぐきめられることになるのですか。
  185. 大澤融

    政府委員大澤融君) ここで申します「蚕期」というのは、春と夏秋蚕、こういうことになっております。それから適正水準を実現することを旨として蚕期ごとに受託数量を押える、こういうことになると思います。
  186. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると「蚕期ごと」は生産蚕期ですね。そうすると、大体夏秋蚕はいつごろが蚕期と考えておられますか。前ですか、あとですか。
  187. 大澤融

    政府委員大澤融君) 蚕期の前に定めるわけでございます。
  188. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、糸価安定法と違って二期ですね、二期によって定める……。
  189. 大澤融

    政府委員大澤融君) そうです。
  190. 清澤俊英

    清澤俊英君 さっきも問題になっておったようですが、これはもうかるということだけは仮定できないと思いますね。欠損のあった場合は資金を食いつぶすということになるだろうが、十億がかりに絶えたとしましたならば、これは自然消滅と、こういうことになりますか、どうですか。
  191. 大澤融

    政府委員大澤融君) 将来の予想したことでありまして、そういう事態になったら、そのときにまた考えたいと、こう思います。
  192. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、初めからどうもこの仕組みが、先ほども言いまするように、これでもうける—これはどうも先になってもうけるような仕事じゃないのです。私は少くとも相場によって非常な無理のできるものを、養蚕家のために適正な水準価格でこれを維持してやろう、こういうふうなお話だから、考えだから、私は損する場合が数多いのではないかと思うのだ。今どうももうけのないものはもうやらないのだという考え方のこの事業団体だったら、これは大へんな団体ができてきて、それであればこそ蚕糸振興審議会におきまして、養蚕団体を除いた全団体が猛烈な反対をしている。下手なやり方をせられたら、下手な価格のつけ方をせられたら、これはわれわれは運営できないというので、あれだけの反対をしている。そこいらに私は問題があると思うのです。この計画等があらかじめ不明確なものを、蚕期として、そしてあらかじめこれをきめるということが、私らは間違いじゃないかと思う。ある程度繭が出回って、そこで価格の非常な変動があった、そこでこれはもうほうっておくことができないから、こうきめなければならないと、実は救済的な立場をとられるのがほんとうなんだ。糸価安定法によるきめ方と、これの価格決定のいわゆる蚕期というものは、区別すべき必要があると思うのですが、これはどうお考えになっていますか。
  193. 大澤融

    政府委員大澤融君) 今お説のように、これはあらかじめ蚕期ごとに取扱い数量を定めるわけですけれども、ここにもありますように、その後の事態で、その取扱い数量変更しなきゃならぬような場合ができた場合は、これを同じような手続変更するという制度にしているわけでございます。
  194. 清澤俊英

    清澤俊英君 まあかりにこれがきまりました場合です。糸価安定法とともに、これがきまりました場合、これを発表するというようなことはあるのか。秘密事項として保持せられるのか。と申しますのは、こういうことの発表を見まして、これは重大なまた糸価にはね返り、影響があると思う。これは少しその道の専門家であられる方ならば、私はわかると思うのです。これは秘密事項、あるいは秘密保持事項として厳守せられるかどうか。
  195. 大澤融

    政府委員大澤融君) 外に発表するまでは秘密事項になると思いますが、発表する建前のものでございます。
  196. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は、それなら今度は意見として申し上げますが、これは一応、蚕繭の数量並びに糸価の大勢等を見られてから大体を決定をして、そこで発表して、それがために糸価に及ぼし、従って繭価を動揺せしめるがごときことのないように、一つ十分の私は御検討を願いたい、こういうことを自分の意見としてさし加えてこの質問を終ります。  その次にお伺いしたいことは、三十三条に、先ほどから小笠原並びに東君等によりまして指摘せられるよう、これは農林省の外局です、絶対に。機構全体はさっきも申し上げました通り外局ですよ。すべては農林大臣の責任において行われておるのです。何とあなた方がおっしゃってもそれなんです。理事、役員から、審議会委員から、職員から、何からかにまで全部——計画から、出納から、何からかにまで農林大臣の認可によってやられる。これは外局に違いないですよ。こういうものを運用する場合に、三十三条によって公務員並みの給料をくれるのかどうか。三十三条には、これに対しまして、その給料も農林大臣と相談して定める、退職手当も定めるとしておられる。これは全くの公務員だと思う。準公務員だと思う。これは公務員並みの給料をくれるつもりでおられるのか。
  197. 大澤融

    政府委員大澤融君) 公務員並みと申しますか、普通この種の団体について定められておる程度の給与を定める、こういうことになろうかと思います。
  198. 清澤俊英

    清澤俊英君 もう一度はっきりして下さい。何の団体が定められておるか。
  199. 大澤融

    政府委員大澤融君) こういう性質の、大体政府全額出資というような団体について、定められておるような給与の基準と同じような程度のものが、これについても定められるということになろうと思います。
  200. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、これと同じような、ほとんど政府出資だけを——法令によって農林大臣等が任命する——すべての計画が政府計画なんです。これは小笠原君と東君が言う通りです。何と言われたってそれに違いないのだ。こういうものを現実にやっておるのは何とか団体その一つなんですか。それもこれと同じなんですか。まだほかにたくさんありますか。私は、願わくばこういうものは公務員並みの取扱いをしていただくことがこれは正当だと思うのだ、そうでなかったら悪いことをしますよ、絶対に人間というものは。
  201. 大澤融

    政府委員大澤融君) 公務員並み以上になるというふうに考えていただいてけっこうだと思います。
  202. 清澤俊英

    清澤俊英君 いや、公務員並みになれば私は問題にしませんよ。それはどうもありがとうございました。これで私の質問は終ります。
  203. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  204. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をつけて下さい。  他に御発言もなければ、両法案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。討論は、両法案を一括して行います。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  206. 関根久藏

    ○関根久藏君 ただいま議題になりました繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案並びに日本蚕繭事業団法案に対しまして賛成の意を表するものであります。  この際、附帯決議を付したいと思うのであります。附帯決議の案文を朗読いたします。     日本蚕繭事業団法案に対する附帯決議   政府日本蚕繭事業団が適正な繭価水準を実現するため乾繭の委託販売等を行う場合、各蚕期ごとに十分繭の市場操作を行うことができるよう所要資金の確保等遺憾なき措置を講ずべきである。  右決議する。   昭和三十四年三月二十七日       参議院農林水産委員会  以上であります。
  207. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になりました二法案に対して賛成いたします。なお、関根君提出の附帯決議案に対しましては、これも賛成をして参りますが、本案は、日本蚕繭事業団法は、いろいろ審議の過程で出て参りました通り、大体相場によって糸価の移動を緩和していささか養蚕農家の利益を守ろうとする建前になっておるのでありまするが、これだけでは私は将来における日本の蚕糸業の安定というものは考えられないと、こう思うのであります。従いまして、ほんとうに蚕糸業の安定を考えますればこの法案に盛られておりまするような適正価格でなく、別に現実の化繊との対照もしくは中共の繭との対照あるいは世界市場における消費の推移、日本内需の需要の推移等々のことを中心にして、これは非常な広範な観点から実際の繭価格並びに生糸価格がきまって、それを農林省があらゆる努力を払って、そして推進することによって消費の増大をはかり、同時にただいまのようにジリ貧に、きょうは増反したと思えば明日は減反せんならぬ、だんだん繭は斜陽産業として、蚕糸業一体の斜陽産業としてジリ貧を形どり、こういうようなことを打開すべきことが至当であると私は考えるのであります。それこそほんとうの適正水準価格じゃないかと思う。今出ている適正水準価格とは、これは適正な水準価格ということを申しておりまするが、先ほどから申しますように、思惑人気取りの、それは適正という文字を使うことが僣越だと思う。そういう緩和価格、これをもって何か蚕糸業が磐石になるがごとく考えたら私は大へんな問題だと思う。しかも、この法案の一番、先ほども申します通り、危険とわれわれは考えまするのは、あらかじめ利益あるがごとくすべてが先入観として考えられる、そういうことが一体考えられるかどうか。私はこの点に非常な危惧を持ちますので、運用上大臣も行政的に十分考える、こう言っておられるのでありますから、その点は一つ徹底的に考えていただきたい。どこまでも本旨が養蚕農家の求める価格を維持してやるためである。従って十億円の政府投資は食いつぶしてもよろしいのだ、これぐらいのやはり決心のもとに運用に当られんことを希望すると同時に、私の今申しました真実の適正価格に対して、われわれ社会党としましては、緑風会並びに無所属等の考え方をまとめまして、新しい調査機関を求めて、こういう線を一つ出していただきたい、こういうふうな決議をしたいつもりでありましたが、不幸にして自由党のいれるところにならずして、これは引っ込めましたが、私はそれにかえるに農林当局としても養蚕振興審議会がある、こう言われる。養蚕振興審議会はほとんど業者団体であります。従いまして、おのおのの利益のためには目の色を変えているだけであって、根本的問題を建設する機関とは私は考えられない。従いまして、学者が一人入っているわけじゃない、第三者が一人入っているわけじゃない、これじゃ私は全くほんとうの適正価格というようなものを生み出すには不完全な機関である。もし、こういう適正な価格を出すために、将来振興審議会を有効な機関とするならば、構成に対して格段の一つ御考慮を願って、そうしてやっていただくことを希望条件として、両案に賛成いたします。附帯決議にも賛成いたします。
  208. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 他に御発言もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  まず、繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  210. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 全会一致であります。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、日本蚕繭事業団法案を問題に供します。本案を衆議院修正送付原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  211. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました関根君提出の附帯決議案を議題といたします。  関根君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  212. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 全会一致でございます。よって関根君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ただいまの附帯決議について政府の御所見を伺います。
  214. 三浦一雄

    国務大臣三浦一雄君) ただいま御決議になりました御決議の趣旨は了解いたしました。十分に検討いたして参りたいと存じます。
  215. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  216. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それでは、速記をつけて下さい。  お諮りいたします。昨日、議題になりました農林畜水産関係物資の国有鉄道貨物運賃等に関し、決議することについて委員からの申し出がありましたので、お手元にお配りいたしましたように起案いたしました。決議案を明読いたします。
  217. 安楽城敏男

    ○専門員(安楽城敏男君) では朗読いたします。    農林畜水産関係物資日本国有鉄道貨物運賃等に関する件   政府は国鉄貨物運賃のあり方いかんがわが国農林畜水産業及び国民生活に及ぼす影響のきわめて重大なるにかんがみこれが取扱いについて特に慎重を期しさしあたり左記の通り措置すべきである。      記  一、本年六月末をもって適用期限が終ることになっている公共政策割引は引き続きこれを現行通り存続させること。  一、目下国鉄が意図してるような貨物等級の改訂を行う場合はあらかじめ国会の審議を経ること。  右決議する。   昭和三十四年三月二十七日       参議院農林水産委員会  以上であります。
  218. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 以上であります。  以上について御意見ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議がないようでございますから、右の決議を当委員会の決議とすることに決定いたしました。  送り先は農林大臣、運輸大臣、国鉄総裁、内閣官房長官、これだけに送付したいと思います。  では本日は、これをもって散会いたします。    午後五時四十七分散会