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1959-03-19 第31回国会 参議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十九日(木曜日)    午前十一時一分開会   ―――――――――――――   委員異動 本日委員佐藤清一郎君及び前田佳都男 君辞任につき、その補欠として笹森順 造君及び苫米地義三君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長    理事            永岡 光治君            松岡 平市君            山本 利壽君            千葉  信君            田村 文吉君    委員            大谷藤之助君            木村篤太郎君            笹森 順造君            堀木 鎌三君            前田佳都男君            増原 恵吉君            伊藤 顕道君            横川 正市君            吉田 法晴君            八木 幸吉君   国務大臣    法 務 大 臣 愛知 揆一君    運 輸 大 臣 永野  護君   政府委員    総理府総務長官 松野 頼三君    法務政務次官  木島 虎藏君    法務大臣官房司   法法制調査部長  津田  實君    法務省矯正局長 渡部 善信君    運輸政務次官  中馬 辰猪君    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  八木 利眞君    運輸省航空局長 林   坦君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○総理府設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○法務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○運輸省設置法等の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 永岡光治

    委員長永岡光治君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、昨日衆議院から送付されました総理府設置法の一部を改正する法律案について、提案理由説明を聴取いたします。松野総理府総務長官説明を求めます。
  3. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 総理府設置法の一部を改正する法律案提案理由説明申し上げます。  この法律案は、総理府にその附属機関として、新たに皇居造営審議会以下の五機関を附置しようとするものでかります。  まず第一に、皇居造営審議会設置であります。明治二十一年皇居内に造営されました宮殿は戦時中空襲で焼失しましたため、戦後は宮内庁庁舎の一部を表宮殿とし、御文庫を両陛下の御住居に当てて参りましたが、国際外方復活等に伴い、皇居において行われる国家的行事も増大し現在のような狭くかつ粗末な仮宮殿ではとうていその必要を満たし得なくなっており、また、御文庫防空施設を改装したものであるため、両陛下の御住居としては適当でないと考えられます。従って皇居を造営する必要があると思われますので、この際一年の期間をもって本審議会設置し、宮殿の位置、規模、様式、経費、実施計画その他皇居造営に関する重要事項に関し広く各界有識者意見を聞き、国民の理解と協力を得て現代にふさわしい皇居を造営しようとするものであります。  第二は、訴願制度調査会設置であります。行政の公正な運営と国民権利救済をはかるための訴願制度としては、明治二十三年制定された訴願法とその後これを補足するため制定された数多くの個別法令がありますが、訴願法は、制定後何らの改正も行われず、また、個別の諸法令においてもその内容区々であり、現行訴願制度には全般的に見て幾多の不備不統一があることを否定し得ないのであります。特に現行行政事件訴訟特例法によれば、行政訴訟は、それが訴願を経た後でなければ提起することができないという訴願前置主義がとられており、同法については現在政府において全面的に再検討を加えておりますが、これと歩調をにして訴願制度そのものについても、これを公正かつ能率的なものとする必要がありますので、この際一年の期間をもって本調査会を設け、民意を盛った合理的な成案を得たいと存ずるものであります。  第三は、固定資産評価制度調査会設置であります。固定資産税相続税贈与税及び登録税課税における固定資産評価の現況を見ますと、それぞれの課税標準となる価格が、区々であるとともに、各市町村間の評価の均衡も十分に確保されているとは言いがたく、これがため税務行政にも多大の支障が生じております。よって、この際二年の期間をもって本調査会設置し、固定資産税その他租税の基礎となるべき固定資産評価の適正を期し、あわせて評価の一元化をはかるため、固定資産評価の方法、評価機構等に関する必要な措置について調査審議を行おうとするものであります。  第四は、税制調査会設置であります。昭和二十四年シヤウプ勧告において、国税地方税を通ずる租税制度に関して全般的な検討が行われまして以来、各種税法については、毎年若干の改正が加えられて参りましたが、このような手直しを続けることも、もはやほとんど限度にきていると考えられますので、この際三年の期間をもって本調合会を設け、租税体系あり方企業課税方式等国税地方税を含めた全般的な租税制度あり方について調査検討を加えようとするものであります。  第五は、産業災害防止対策審議会設置であります。最近における産業災害発生状況は、年々増加の傾向にあり、なかんずく中小企業における災害の激増並びに爆発、落盤等による重大災害頻発傾向は、人命の尊重、経済的損失防止等の見地からも看過できない実情にあります。これを昭和三十二年における労働災害について見れば、死傷者数は七十一万人に上り、その経済的損失千五百億と見込まれ、今後ますます増大する趨勢にあります。従って、これら産業災害を防止するため、この際五年の期間をもって本審議会を設け、労使を含めた民間関係者の盛り上る熱意に基く活発な意見を求めてこれが対策を講じ、かつこれを強力に推進して参りたいと考えております。 以上がこの法律案提案する理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。
  4. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 本案の自後の審査は後日に譲ることにいたします。
  5. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。  なお、政府側出席者木島法務政務次官津田司法法制調査部長渡部矯正局長説明員として長戸法務研修所第一部長近藤入国管理局長、以上であります。  速記をちょっととめて。    午前十一時九分速記中止    ―――――・―――――    午前十一時二十三分速記開始
  6. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記起して下さい。  先刻、委員異動がございました。佐藤清一郎君が辞任され、その後任として笹森順造君が委員に選任されました。以上、御報告いたします。   ―――――――――――――
  7. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 法務大臣が見えましたので、質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大臣に、婦人補導院について二、三お伺いしたいと思いますが、これは売春防止法の第十七条の規定によって補導処分に付された者を更生させるための施設と、こういうことは承知しておるわけですが、全国東京大阪福岡と三カ所しかこの施設がないようなんですが、一方、こういう対象になる特殊婦人については、全国相当多いわけですが、あまりにも三カ所ということではなかなか目的が達成できないと思いますが、これは今後増置する御意図であるのかどうか、そういうような点、お伺いしたいと思います。
  9. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) この点は、今後状況に応じまして、あるいは相当数個所開設しなければならんかと思っておるのでありますが、実は前回にもおしかりをいただきましたように、まだ東京の分も実は整備されていないような状況でございまして、さしあたりは、現在予定しておりまするこの東京開設を急ぎますことと、それから既存の分につきましての改善をはかるということに、さしむきは重点を置いて参りたいと思っておるわけでございます。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この婦人補導院法は昨年の制定でその第一条によって作られたと思うのですが、従って、できたばかりなので、その成果を今すぐ期待することはこれは無理だと思うのですが、従って、その成果については今後に期待されなければならないと思うのですが、ただいま申し上げたように、それにしても全国で三カ所というようなことは、――とりあえず試験的に三カ所やつてみると、そういう意図があるのかないのか、そういう点を明確に願いたい。
  11. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 実はこれは、新たに特殊な施設として作らなければならぬ問題でございまするのと、それから、従来実は刑務所等につきましても、御案内のように栃木とか、あるいは和歌山とかいうようなところで、婦人に向くような特殊の施設をやっておるような関係もございまして、一がいに相当個所に同時に開設するということについては、実は相当問題があろうかと思うのでありまして、先ほどお答えいたしましたように、さしむきのところは、現在の予定地重点を置く、それから、すでに売春取締法が完全実施せられて一年になるわけでございますが、その間の臨時応急施設といたしましては、御案内のように東京婦人補導院で申しまするなら、栃木にとりあえず婦人寮を作りまして、それを分院という格好でやっております。また大阪婦人補導院につきましては、和歌山婦人寮を同じく分院として開設をいたしております。また福岡についても同様でございます。たとえば和歌山分院のごときは、現に五十三名在所いたしております。また栃木については十三名というふうに、まあ応急的な措置といたしましてはこの分院制度活用で補充して参りたいと、こういうふう、考えておるわけでございまして、これらの施設については、ところによっていろいろ違いますけれども、相当まだ収容の余力もあるところもあるわけでございますので、さしむきはこれらの活用でやって参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 東京大阪福岡補導院分院の面について収容状況が本年一月で押えておって、それが合計六十九名ということですが、分院の方はみんな資料が出てるのですが、東京大阪福岡補導院それ自体状況は少しも出ていないのですが、これはどういうのですか。それと各補導院収容力とか、現在の状況、ここに分院のは詳しく出ておりますけれども、補導院それ自体のは何らないのですが、それはどういう意味ですか。
  13. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 東京につきましては、前回にも申し上げましたように、まことに申しわけないことでございますが、予定されたところへの本院の建設が場所の変更によっておくれましたために、とりあえず実は栃木婦人寮収容の全部になっておるというような関係で、この資料について若干不整備なところがあったようでございますが、この点については、渡部政府委員から御説明申し上げたいと思います。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 売春防止法の第五条によって刑事処分を受けるようないわゆる勧誘行為ですか、こういう点は、たとえば新宿あたりちょっと散歩してみますと、盛んに展開してくるわけですね、次から次へと。これは形式的な取締りにとどめておるのじゃないかと、そういう感を深くするのでございます、なかなかむずかしいと思うのですが、徹底的な取締りについてはできないものか、何か対策を講じておられるかどうか、こういう点をはっきりさしていただきたい
  15. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 売春取締りに関しまして、いろいろ困難な状況もあると思うのでございますが、現在東京大阪福岡の三カ所に、仰せのごとく補導院を設けることになりまして、各裁判所におきまして、売春防止法違反で検挙されました婦人たちの、判決によりまして補導処分に付せられたものを、目下収容いたしておるのでございます。その取締り徹底ということは、なかなかむずかしいようでございまするが、各警察においても、いろいろとこの取締りについては苦心をされておるようでありますし、また、検察庁方面におきましても、その処分につきましては、各検察庁調査室を設けまして、その処分の適正を期するように処置いたしておる次第でございます。しかしながら、現在はただいま法務大臣より御説明のありましたごとく、本院がございませんので、本格的な補導処分がいまた実施せられて、いないうらみがあるのでございます。さような点から、補導処分手かげんをされておるのではなかろうかというふうに私たちも感じておる次第でございまして、なるべく早く本格的な本院の建設ということに目下努力中でございます。まことにこの建設がおくれましたことは申しわけない次第でございますが、われわれといたしましては、一日も早く本院の設置努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 売春防止法の第十七条だと思いますが、それによって刑の執行を猶予された場合「補導処分に付することができる。」と、これは任意立法になっておりますね。これは「できる。」という程度ですから、やらんでもいいのです。もちろんこれは判事が判定されるでありましょうけれども、このところに何か徹底を欠くように思うのですが、やはり刑の執行を受けた者については、全員これを収容して補導する、そういうようなことが望ましいと思うのですが、これは「できる。」になっておりますから、非常にそういう点は不十分のように思うのですが、これはどういうのでしよう。
  17. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 起訴せられました売春防止法違反婦人に対しよして、ただいま仰せのごとく、刑の執行猶予をいたしました際に補導処分をつけることができることになっておるわけでございます。で大体分けますと、実刑を課せられる者もあると思うのでございます。これは一番程度の高いものと思うのでござといますが、次は刑の執行は猶予する、しかしながら、補導処分によって本人更生の道はかってやろうという処分がその次にくるのだと思うのであります。下の次の段階のものは、これは強制収容は必要、でないけれどもも、やはり何らかの監督が必要だというものにつきましては執行猶予をいたしまして、保護観察に付せられる場合があるわけでございます。さらにもう一つは、何らの処置もなさずに執行猶予をそのまま付せられるものもあると存ずるわけでございます。従いまして裁判に付せられた者でも、実刑に参ります者と、執行猶予に付せられて補導処分になった者と、執行猶予になって保護観察に付された者、それから何もつかないただ執行猶予そのままというものの四段階があるものと思うわけでございますが、それらは事案々々によりまして、判事の最も適切な処分によって裁断されることになると思うのでございます。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 補導処分期間が六ヵ月になっておりますが、これは補導院収容されて、個々によっていろいろ状況は違うと思うのでありますが、収容された後の状況はいかようであろうとも、一律にこれは六ヵ月、何でもかんでも六ヵ月、そういうことであるのかないのか、弾力性はないのですか、そういう点。
  19. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) この補導期間法律によりまして、一律に六ヵ月ということになっておるわけでございます。従いまして、六ヵ月でたとえ不十分十分はございましても、それを延長することはできないわけでございます。しかしながらこの補導処分につきましては、仮退院制度があるわけでございまして、もしも六ヵ月の前に社会に送り出しても差しつかえない段階になりました場合は、仮退院の手続によりまして、早く出ることになっておるわけでございます。しかしながらこれを長ずることは許されてはいないわけでございます。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 一律に六ヵ月ということでございますが、婦人によっては六ヵ月の補導処分十分成果の上るものもありましようけれども、やはり一年、一年半はどうしても必要だ、そういう事情にあるものもあると思いますが、これを一律にやってしまうことは、どうも事情にそぐわないように思うのですが、せっかく六ヵ月やっても、一年を必要とするようなものが六ヵ月で出た場合にまた逆戻りをするというような、そういう事態を繰り返しはしないか。そういう点は何か考えなければならないと思うが、その辺の御見解を伺いたい。
  21. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 実はこの六ヵ月の期間ということにつきましては、いろいろ問題があったわけでございまして、この処分保安処分である限り、六ヵ月に限る必要はないじゃないかという強い意見もあったわけでございますが、この刑事処分期間が六ヵ月ということになっております関係から、その刑との権衡から補導院処分も六ヵ月ということに相なつた次第でございます。従、いまして仰せのごとく本人たちの今後の更正を期する上におきまして、ことに生活のもととなりまする職業指導というふうな面から申しますと、六ヵ月の期間では短か過ぎるきらいがあるのでございますが、われわれといたしましては、その点は厚生省あるいは労働省との提携によりまして、引続き職業補導等を要する場合にはその線に乗せまして、本人たち指導していきたいというふうに考えておる次第でございます。従いまして、この期間の点につきましては、われわれとしてもまことに不十分な点もあるのでございますけれども、刑との関係からそのようなことになりましたので、なるべくその期間中にわれわれとしては効果を上げ、さらに引き続き必要のある場合には、厚生省あるいは労働省との提携によりまして、さらに指導を継続していくような方向に向いつつある次第でございます。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 結局六ヵ月ということで特定の婦人成果が上って更生を誓ったけれども、現在病気所持金もない、そういうようなものを、とにもかくにも六ヵ月したら出すわけですね。他省との関係でそこのところはしているのだとおっしゃるけれども、せっかく更生を誓ったけれども、現在病気所持金もない。そういうようなものがあり得るわけです。現に最近私はそういう実例を知っておるわけですが、これは実際問題としてこういうのをどう救済しようとするのか。結局そこを出されてしまえば、病気で金もない。これは病気ならまた同じことを繰り返す、そういううらみ相当強いと思うが、こういう点がただ他省庁との関連で、連携でやるのだとおっしゃるけれども、これはなかなかむずかしいと思うのですけれども、ここのところをわかるように一つ
  23. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 実は本人たち更生のために賞与金を支給するようにいたしているのでございまして、これはわずかな金ではございまするが、現在の刑務所その他の賞与金から比べますと、相当ふんばって出したつもりでございますけれども、大体三千円程度のお金を目標といたまして賞与金を支給するようにいたしているのでございます。  なお、本人につきましては、この在院中に自己労作をさせることにいたしております。自己労作と申しますのは、これは院の仕事として作業をやらすのではなくて、自分の計算で作業時間外に作業をいたしますと、それを全部自分の所得にさせることにいたしております。この金額が、一生懸命で働きますと、相当金額になるものもおるのでございます。さような面から、退院直後の次の職業を見つけるまでのつなぎに何らかでも役立てるようにと思いまして、さような考慮を払っている次第でございます。で、ただいま仰せのごとく、病気の点でございますが、これは現在の在院者について見ますると、花柳病等にかかっている者は、われわれが考えましたよりも割合少いのでございます。そうしてこれらの病気在院六ヵ月の期間内に治療が大体できております。ただ梅毒等の潜在の者につきましては、ちょっと六ヵ月では手が尽せない面があるのでございますが、これはなかなか根深いものでございまして、それによって直ちに他に感染させるというようなことはないようでございます。従いまして一応の治療は大体六ヵ月の期間内に終えまして出しているのが現在の状況でございます。で、なお、この出ました際に、宿のない者等もあるわけでございますが、これは厚生省の方の婦人相談所を通じまして、各府県にございます婦人寮収容していただいております。で、割合品その点は厚生省の方とも連係を緊密にとりまして、現存さような面に引き継ぎを受けて、そこに一応の住居をかまえまして、それぞれ生活の道を立てるようにいたしているのでございます。で、ただいま仰せのごとく、すでに失敗した例もございまするけれども、しかし大部分の者は、目下のところは、それぞれ親元等に帰りまして正業につきつつある次第でございます。まだ期間が、出ましてから短かいものでございますから、その効果をこれによって判定するわけには参らないと思いまするが、一応出まするときは、本人たち更生の意欲に燃えて現在退院しつつあるようでございます。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係で、最後大臣に一点要望申し上げ、御見解を承わって終りたいと思いますが、先ほども申し上げたように、創設後まだ日も浅いので、現在ただいま成果を期待することは無理かと思いますが、やはり今後に期待しなければならないと思いますが、せっかく売春防止法に即応して、この国立の婦人補導院ができたわけですが、しかし内容を見ると、この程度施設、この程度補導期間ではなかなか成果は期しがたいと思うのです。十分この実情に沿うような抜本的な対策を講ぜられるよう強くお願いして、これに対して大臣どういうふうにお考えか、これを聞いて最後質問といたします。
  25. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) いろいろとお話の点につきましては、私全く御同感でございまして、何分にも有史以来初めての大事業でございますが、これがまだ施行せられましてから日も浅いことで、われわれもいろいろと考え、かつ補強しなければならないところが各方面にあるわけでございますが、ただいまのような御趣旨を体しまして、一つこの点につきましては、あとう限りの努力を払って、国民の御期待に沿うようにいたしたいと考える次第でございます。
  26. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私は伊藤さんの質問に関連して一言だけ申し上げたい。法務省に矯護院でございますかお作りになるということになって、大臣は誠心誠意やられることを私疑いませんが、官僚機構というものは、われわれが考えて、いるほど甘いものじゃなくて、セクショナリズムというものが強いのです。もっと組織なり、制度として、厚生省婦人相談所法務省と御連絡になることができるような仕組みを作っていただかないと、もう、そう言っちゃ悪いのですが、厚生省の中でも局が違うと、なかなか連絡がうまくいかない。いわんや法務省厚生省、省同士になったら、大臣がいかに誠心誠意しようとお考えになっても、なかなかいかない。これは私ども官僚出はよく知っております。だから制度、運用としてそうしなくちゃならんような仕組みを、ぜひお考え願いたい。そうでなければこの問題は解決しないということを、私も責任がありますから、お願いじゃないですよ、ほんとうに議員とて、私はこれはあなたにお願いするだけの責任だとは思っていない。どうでもやらなくちゃいけない。行政官庁にやらせなくちゃいけない問題、こう思っておりますので、それらについて御善処をお願いいたします。それだけ愛知さんの御答弁を伺いたい。
  27. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 堀木さんの御経験からのたっとい御意見でございますし、その通りであります。そういう関係もございましたので、実は中央の売春協議会も、ずっと引き続き、こういったようなことについての連絡を一そう密にするために、継続して非常に御熱心にやっていただいているわけでありますが、法務省としては、御指摘の厚生省の問題ももちろんであります。警察庁との関係等においても、実にこれは、問題が問題でありますだけに扱いが非常に、微妙な、かつ機微な点もある問題でありますから、非常に苦慮しているわけでございますが、いろいろとまたお教えをいただきまして、うまく参るようにいたしたいと思います。
  28. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 伊藤君あるいは堀木等の御質問があったことに関連して、一点だけお伺いしておきたいと思います。それは、今の婦人補導院に関連をしてですが、東京においては、婦人補導院の位置が問題になって変更をされた。同様の事情が地方においても起っておるというか、あるいは起り得る、可能性がある。これはまあ、本省なりあるいは局長の耳に達しておらんかもしれませんけれども、同じような、移転したいというものがあるようでございます。位置の決定、あるいは今後の補導院設置については、十分一つ留意してもらいたいというのが希望の一点。  それからもう一つは、これはお尋ねをいたしたいのですが、売春禁止になりましてからその後の経緯を見ておりますと、新聞、雑誌等で騒がれておりますように、違った形の売春が行われる。ひもつきあるいは中には暴力団等もありますが、そこで、その起って参っておる事態については、法務省で所管されるところもあるだろうと思います。今お話しのように、法務省はこれだけをやるんだ、あるいは厚生省はこれだけをやるんだということでは、ほんとうに売春を根絶し、それからそれぞれに仕事を与えて実際上売春を根絶するということは、より以上の協力とそれから施策がなければ困難だとも思うのですが、補導院に関連をしてでありますけれども、法務大臣としては、最近の事態に対して、どういう工合にお考えになり、それからさらに、実際に売春の実質的な根絶あるいは生活の保障等について、どういうようにお考えになっておるか、その点だけ伺いたいと思います。
  29. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) ただいまの御質問の第一の点でございますが、これは御指摘がございましたように、実はそういったような問題がないわけではないのでございまして、非常に考慮しておる点が多いのでございますが、しかし、同時に売春の取締りということについては、国民的な背景と期待によってやり出しておるわけでございますから、婦人補導院というものの性格なり、あるいはそのあり方等についても、関係の地元の方々のできるだけ理解ある御協力のもとに円満に処置して参りたいと考えておるわけでありますが、もちろん環境その他において第一次的に適地と考えました場合でも、地元の御納得あるいは環境の善悪等によって、再検討しなければならぬ場合は、これは心むなしゅうして、私は謙虚に取り上げて参りたいというふうに考えておるわけであります。  それから第二の点につきましては、いろいろと当委員会でも御質問があった点でございますが、既定の方針や考え方を全然変えようとする気はないのでございまして、売春防止法の完全な実施と、それからそこにおいて立案の当初以来構想せられあるいは取り上げられつつある補導、善導ということについては、政府全体といたしましても、関係の向きとさらに密接に協力をいたしまして推進して参りたいと考えておるわけでございます。
  30. 横川正市

    ○横川正市君 この前の委員会で、大臣がおられない日でしたが、事務当局に対しては十分質問をいたしまして、結果的には現行法規の中では十分尽されておるように回答をいただきましたし、そうだろうと思うのでありますが、三月の十二日の憲法調査会の会議録の中に、東京地方裁判所の判事の岸さんという人が、現在の裁判制度についてのいろいろな問題点を上げておる中に、最高裁の法案提出権といいますか、あるいは予算の問題等をめぐって、法務省にこれらが一任されておるという問題等から、それの修正という意思までもいっておりませんが、問題点として上げられた中に、たまたま説明の一端として、裁判官と検察官の今度提案されました俸給等の問題に関連して、だいぶ詳しく六ベージ、七ページ、八ページ、九ページにわたって説明をされておるわけです、その一端を見ると「法務省自分の有する立案権によりまして、裁判所の見解を無視して、従来の給与体系を崩して裁判官のに検察官の一号を対応させる、」云々ということで案が作られたということが言われ、それから予算の問題では、大蔵省がある程度拘束いたしたようでありまして、その拘束をされているという事実がわかっておりながら、法務省当局は、「裁判所は裁判所で考えればいい」のであって、与えられた予算内でどのように体系を作ろうと、それは裁判所にまかされたことではないかということが言われた。しかし、こう言われたけれども、弁護士会や政党筋の配慮によりまして特号を作つて、特写といっても一号の差は二千円で、一応の給与の体系上ではまがりなりにも筋道を立てたところが、「法務省から横ヤリが入りまして、特号の報酬を受ける裁判官は六十三才以上でなければならないということを法文上明らかにしろ」、それでなければ全国の検察官が納まらない云々ということで、法務省の一声で、せっかく改正の機運にあったこれらがくずれてしまった。その後、検察官の定年が六十三才、裁判官の定年が六十五才で、特号の実施は、この検察官が定年退職をいたしたあとの裁判官の定年退職までの期間特号を設置するというようなことで法案が出されることになってしまった。以上、こういうような法案提案までの経緯があるわけです。私は、検察官、裁判官の報酬給与というのがどうきまるかがいい悪いという問題を、実はここで問題にしようとするのではないのでありまして、問題の一番重要なのは、まあ裁判所と検察庁とは、これはけんかしているのが一番いいのかもわからないですが、しかし、実際には、こういう格好で法務省が最高裁に対して何かあまりすっきりしない印象を与えている点、このことはひいては、私は、問題にされている提案権の問題とか、予算の問題とか、あるいは三権分立の問題とか、いろいろな問題に発展をしていく可能性は十分あるのじゃないかと思う。この前説明を受けたところによりますと、裁判官会議の結論に従いまして法務省は法案提案の手続だけをとったのでありまして、大体問題はなさそうでございます、という意見でございます。しかし、あなたも御案内のように、前回の法務委員会でこの問題が出たときに、まだあまり大した問題が起きておらないときでありましたが、提案大臣からされ、それに対して大川委員から最高裁の事務当局に質問をされ、事務当局は、まことによくやっていただきまして感謝をいたしておりますと、こういう答弁をいたしております。しかし、それを一日置いて翌日は、今度は、衆参両議員におそらく配られたのだと思いますが、東京地方判事から報酬に対する不平が配られてきている。こういう状態を見ると、私はどうもこの点でわれわれとして審議に慎重を期さなきゃいかんというように思いますし、法務委員会の報酬に対する審議は、おそらくその点を十分やっておられるだろうと思うのでありますが、裁判官側の主張から言いますと、まず学歴、それから基礎となるべき条件、そういったものが検察官とは違うという問題、それから年令的な構成も違うという問題、同時に、憲法で七十九条それから九十九条によって裁判官の地位というのはこれはやっぱり正当に評価されなければならないし、報酬は相当の報酬を与えなければならないと、こううたわれている関係、まあこういう関係から見ますと、ここで問題なのは、検察官の問題で、おそらくこれは全国的な検察官の意向としておさまらないであろう、こういう意思表示をされて、常に検察官と裁判官の報酬、給与をきめるときに、何かせり合っていくような気配が見受けられないではない。こういう点について、法務大臣として、相当これは大きな問題が背後にあります関係もありますから、しっかりとした一つ所見を伺っておきたいと思うのです。このことについて、私はこれ以上云々はいたしませんが、どうぞその点ははっきりとした意見をお聞かせ願いたい。
  31. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) ただいま御質疑の問題は、法務委員会におきまして、ただいま当該の法案を十分御審議願っておるわけでございます。それで、その点を私今詳しく申し上げますと相当時間がかると思いますから、簡単に要点だけまずお答えをいたしたいと思うのであります。その第一は、裁判官の報酬についての法律案の作成の途上におけるいろいろの経過が、私ここで裁判官諸君が出されたその意見書に対してとやかく意見を申し上げるわけではないのでありまするが、十分に政府といたしましては、検討検討を加えまして、裁判官の立場というものも十二分に尊重をして、そうして事務的には最高裁判所事務総局との間に完全に意見の一致を見て、その意思表示が最高裁判所の裁判官会議で了承を受けて、手続的にも何らのそごなく法案の提出に至ったわけでございますから、その間の経緯が、事直に申しますると、事務総局側から第一線の裁判官の諸君に、その苦心の存するところが十分に浸透していなかったのではなかろうかと思われる点もあるわけでございまして、ただいまお読み上げになりました点は、その経過や立案の趣旨というものに、非常な誤解というか、あるいは御存じなかった点を一方的に誤解なさっている点があるのではないかと私は思うのであります。  それから報酬の内容の問題につきましては、従来は、御承知のように実額も、判事と検事は天井が一本になっておった。他面において、一般国家公務員の天井と検察官の天井とも、今回はまた天井が同じ額になっておったわけでございます。従って、判事と検事だけの関係考えれば、あるいは最初立案の途上における一案というものが、判事と検事が同額になってしまって困るではないかという意見もあったことは、これは当然に無理からんこととは思いますけれども、同時に、判事と検事だけの開きということを強調するのあまり、検察官の方が一般国家公務員よりも逆に下に下げられるというようなことになっては、これは、そういうような意味においては、検察官の立場においても了解ができないということにもなろうかと思うのであります。従いまして、昭和二十六年以来のやり方を改善いたしまして、裁判官については、検察官や一般国家公務員の到達し行ざるところの特号俸というものをそれは差は二千円にすぎませんけれども額を上に上げて、そうして判事の、何といいますか、優位性ということを保つということにいたしたわけでございます。  それからその判事さんたちの書かれたものについては、先ほどお読み上げになったようなふんまんを漏らしておられるのでありまするが、実は、法務省が、検察官がおさまらないからというてそういう案を作ったのではなくて、財政当局の立場からいっても、特号というものを特に判事のために作る、これが法務省意見だったのでありまするが、その際は、何とかして法律の上で、判事は優位であるにしても、たとえば六十三才以上の者とか、一号俸二年以上の者とかいうことを、むしろ法律の上に書いてもらいたいというのが、財政当局の意向でありましたものを、法務省が中に立ちまして、そういうものを法律の上に付くというのは穏当ではないという見解のもとに、これは法律の上に書くことはやめた。それが政府の意向ということになって、法務省の係官から事務総局の方にそういう話が行ったことが、法務省は検察官のことばかり考えているから、そういうことになったのだという誤解があるのじゃないかと思うのであります。私、今日でもそう思うのでありますが、その請願書でありますか、決議書を書かれる前に、むしろできれば判事諸君と私が責任者として十分その経過その他私どもの考え方を聞き取るだけの心の余裕、時間の余裕をお持ち下さいましたならば、こうやって開会に御迷惑をかけることがなくて済んだのじゃないかと、私はこう思っているので、その点は非常に残念に思うのであります。  それから、これに関連して法律提案権の問題が、御質疑の中にあるわけでありますが、これは前の当委員会において津田政府委員から申し上げましたことが、政府としての確定解釈でございまして、ここに繰り返して申し上げることは省きたいと思いますが、私はこれは裁判の独立といいますか、司法権の独立という点、それから新憲法によりまして最高裁判所には、法律等が憲法に適合するかしないかを決定する権限、いわゆる違憲の審査権が与えられているという点から申しますと、新憲法の精神というものは、裁判所が何らかの形で国会の立法活動に参与するという法制は、新憲法の錠前からとるべきでない、こういうふうに考えるわけでございます。  それから全体に通じて私の所見を率直に申し上げますならば、今回の経緯にもかんがみまして、法務省としては少くとも最高裁判所の事務総局との間に、感情を抜きにした、もっと融和した話し合いというものをできるようにしてやっていかなければならないと、これは私は痛切に感じたわけでございます。今後におきましては、法務省が司法の両翼ともいうべき裁判と検察との間の少くともアドミニストレーシヨンというような関係におきましては、十二分に感情を抜きにしました率直な話し合いをもっともっとすべきじゃなかろうか。私は自分がこの地位におりますから言うわけじゃございませんが、法務省は御承知のように検察庁だけを代表しているのじゃございませんで、法務行政の全般を担当いたしているわけでありますから、私の今後においてとるべき道は、少くとも事務総局との間にもっともっと緊密な連絡をとらなければならない、そうして政治的な立場におきましても、この両者がほんとうに緊密一体となって、いわゆる予算とか、給与とか、営繕とか、そういったようなことに裁判官諸公もわずらわされないで、法務省に十分話がしてあるから法務省を信頼できるという立場において、国民の信頼を受け行るようなりっぱな裁判に専念してもらう、特に当面のところにおいては、裁判の遅延を解決するというところに裁判官諸公の努力がこの上とも集中されるようにしたい、これを私は今回の経験にかんがみまして、最も重点を置いてやつて参りたいと、かように考えているわけでございます。
  32. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 関連ですから簡単にやりたいと思いますが、今、御答弁ございました裁判官とそれから検察官の給与の問題の点だけをお尋ねいたします。なるほど最高裁の事務総局との間に打ち合せがあったから、形式的には裁判所側の同意を得てきめられたということになっておりますが、しかし実際に末端の方と申しますが、あるいは全国的にこの問題を見ますと、やっぱり事務総局で法務省に押えられたと申しますか、引きずられたと申しますか、そういうやっぱり印象が残つておるのです。そこにもっとざっくばらんに打ち合せをすればよかった、あるいは意志の疎通をはかればよかったと言われる答弁の出てくるゆえんがあるのだと思うのですが、私どもが第三者として見ておって、裁判官とそれから検察官との間には、号俸はとにかくとして、あるいは管理職手当、あるいは捜査費ということで差がつくかどうかは知りませんけれども、行政的な費用がございます。けれども、実際には私は差がついておるのじゃなかろうか、こう思うのですが、その点をどういう工合にお考えになりますか。そうしてこの問題については事務総局との間の打ち合せで、こういう工合にしたからこれでよろしいのだと、こういうことには、今の政府案もですか、あるいは修正案で頭が特号が付せられ、あるいは年令的な制限がなくなったにしても、私は問題が残るように思うのです。それについてどういう工合に解決策といいますか、なさろうとするのか、具体的にその点を少し承わりたいと思います。
  33. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) まず具体的な点でございますが、管理職手当等につきましては、実は裁判所の方にもいろいろの名目といいますか、制度的にも管理職手当あるいはそれに準ずるものが出ておるのでございまして、その点といわゆる検察官の捜査費というものとは、必ずしも何と申しますか、実額的にアンバランスではないと私考えております。  それからもう一つは、これも非常に率直に申し上げるのでありますが、御承知のようにここ数年来、一般国家公務員の方のベース・アップが相当速度が早くなっております。このことは非常にけっこうなことなんでありますが、その方に押せ押せでもって、第二国会当時でございますが、その当時はたとえば一万円と片方は一万四千円というふうに開きがあったのでありますが、下の方といいますか、公務員の方のベース・アップがどんどん行われましたので、判検事が、突き上げられてきておる。そこにより根本の問題があるわけでございます。先ほど横川委員のお答えにちょっと答弁漏れがございましたが、現在のところはいろいろ判事補とか判事とかいうような分け方がありましたりして、形式的に見いたしますると、任用制度が違っておるかにも見えますが、実は判検事については任川上の、少くとも任官をして参りますそのところから、任用制度にさしたる区別は、実際的にはないわけでございます。  そういう点もございまするので、判事の将来の優遇ということについては、任用制度という問題を一つやはり確立する必要がある。  それからいま一つは、いわゆる認証官の最高裁判長官と検事総長との関係、あるいは高等裁判所長官と検事長との関係、これには御承知のように格差がずっとついておるわけでありますが、ところが、今度は下から押せ押せになって参りましたから、その上にも待遇の改善をしなければならない。その際には適当の格差を置く考えで私はおるわけでございますが、要するにいろいろの面から判検事の待遇ということについては、この際抜本的に考え直さなければならぬ。で、少くとも現在法務委員会で御審議願っております案は、現状においては、率直に言って押せ押せになりましたので、当面の措置をこれによってやったつもりでございまして、これでもう満足しているわけでは全然ございません。で、これらの点につきましては、何とかしてこの司法官の待遇の改善ということについは、ただいま御指摘ございましたが、管理職手当とか、あるいは捜査費とかいうような点や任用制度、さらには認証官の俸給を上げなければならぬというような問題、それらと相関連して次の通常国会ぐらいのときまでには、まあどこから見ても一応すっきりした形というようなよい案を私はぜひ作るべきであると、こういうふうに考えておるわけでございます。
  34. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認め、これにて本案の質疑を終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの力は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もなければ、これより直ちに採決に入ります。  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)全部を問題に供します。本案を原案通り可決するごとに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  36. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 全会一致と認めます。よって法務省設置法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する考査報告書の作成につきましては、先例により委員長に御任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  暫時休憩いたします。    午後零時十七分休憩    ―――――・―――――    午後一時二十八分開会
  38. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 委員会を再開いたします。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を続行いたします。政府側の出席の方々は、永野運輸大臣、林航空局長、以上であります。  御質疑のおありの力は、順次御発言を願います。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 運輸大臣に二、三お伺いしたいと思いますが、最近、国鉄がいろいろの観点からやかましく論議の的になっておるようですが、いろいろ原因はあろうと思いますが、その一つに、最近の輸送量の増強に対して、なかなかこれを国鉄自体が解消し得ない、そういうことも関係しているのじゃないかと思うのですが、こういう点についてどのようにお考えですか。
  40. 永野護

    国務大臣(永野護君) 御質問のポイントがはずれるかもしれませんけれども、かれこれ批判せられるという点は、いろんな点があるんじゃないかと思いますが、その中で御指摘のようにだんだんふえて参りまする輸送量に施設が追ついていかぬという点は確かにあると思います。運輸省に対する批判は、そればかりではないと思いますけれども、やはりそれが一つになっておることは事実だと思います。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 日本の経済発展上の一つの隘路として、輸送力の不足ということが言われておるわけですが、日本の輸送の主力は何といっても鉄道にあると思う。鉄道といえば国鉄ということになると思うんです。従って国鉄の輸送量を強化、整備しない限りは、なかなかこの問題は解決しがたいと思うんですが、この点いかようにお考えですか。
  42. 永野護

    国務大臣(永野護君) さように考えます。
  43. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この輸送量の問題を解決するためには、国鉄自体としても、また運輸省としては大きな立場から、いろいろ対策を研究しておられると思いますが、現在ただいま運輸省としてあくまで国鉄の立場でその抜本的な対策についてお考えがあるかどうか、またあるとすれば、どのようなものか、ごく大ざっぱでけっこうですから……。
  44. 永野護

    国務大臣(永野護君) まあ最近一番大きい問題といたしましては、東海道の新幹線という問題があります。さらに東北地方におきましても、複線化及び電化という問題が、具体的に工事にかかり、進捗いたしております。山陽線の電化の方も進捗いたしておりまするし、東日本側におきましても、待望の複線及び電化ということが具体的に計画せられ、進んでおるのでございます。なお地方の支線では、一番要望せられて、おりますディーゼルカー、ディゼルカーを入れることを非常に要請されておりますので、その要望に応じまして、できるだけディーゼル車の増強をはかっております。
  45. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほど申し上げたように、日本の輸送の主体は陸運にあるということ、特に鉄道にあるということを申し上げたのですが、大体日本の陸連と海運の輸送率、大ざっぱに言ってどのくらいの比率になっていますか。ごく大ざっぱでけっこうです。
  46. 永野護

    国務大臣(永野護君) 陸運と海運と申しましても、海運は国外、つまり外航船舶、内航船舶とございます。おそらく伊藤委員の御質問は、内航船舶のことではないかと思いますが、内航船舶がどのくらい人間を運び、どのくらい貨物を運んでいるかということにつきましては、私今日数字を今、手元に持っておりませんのですが、これは貨物だけでありますけれども、内航が二千五百万トンに対しまして、国鉄のトン数は一億七千七百七十九万二千トン、こういう比率になっております。
  47. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 海運と陸運との割合、大体わかりましたが、鉄道の輸送力の中で、国鉄対私鉄の関係があるわけですが、国鉄に対して私鉄の割合ですね、これも大ざっぱでけっこうですか……
  48. 永野護

    国務大臣(永野護君) 先ほど申しましたように、国鉄の方は一億七千七百万トン余でありますが、私鉄の方は三千七百七十万トンでございます。
  49. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 鉄道建設審議会がございますが、この答申によって、現在ただいま、国鉄が新線の面についていろいろ計画しておろうかと思うのですか、詳細は聞く必要はありませんか、大ざっぱに、どんなような計画になっているか、ごく構想の大要を伺いたい。
  50. 永野護

    国務大臣(永野護君) お答えいたします。昭和二十七年度以降に新線四十四線建設にかかっております。その中ですでに十八線は竣工いたしております。残る二十六線が、ただいま工事継続中でございます。さらに昭和三十二年に鉄道建設審議会は、今、申し上げましたほかに、新たに調査線を十六線決定いたしました。まだ着工がどの線からするということは決定しておりません。今、研究中でございます。
  51. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 運輸省として動力源の近代化という問題については、相当大きな問題として考えておられると思います。先ほどディーゼル機関車、そういうような問題についてちょっと御説明がございましたが、この点はどういうふうにお考えですか。
  52. 永野護

    国務大臣(永野護君) これはエネルギー源をどこに求めるかということは国鉄ばかりでありませんが、あらゆる産業を通じて、最も大きな問題だと思います。しかし今のところは、とりあえずは、やはり電化を進めていく、幹線は電化をする、支線はディーゼル化でやっていこうということが大体のねらいどころだと思います。おっては原子力の機関車というようなことも考えられますけれども、これはほんとうにまだ研究中でございます。
  53. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 現在の蒸気機関車を電気機関車なり、ディーゼル機関車に切りかえていくことによって、燃料は大体三の分一のくらいに節約できるように伺っておりますが、果してそうなのか、そういう点について。
  54. 永野護

    国務大臣(永野護君) ただいまここに資料がございませんから、資料に基きまして後刻御返事いたします。
  55. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大体先進国では現在ディーゼル・カーとか、特に電化に重点を置いて、そういう面の施策を急いでいるようですが、これは割合はあとで承わるわけですが、燃料の節約、それから煤煙による空気の汚染防ぎ得るとか、いろいろ利点があろうと思うのですが、こういう大乗的な立場から、運輸省のいろいろな考え方があると思いますが、こういう点はどうですか。
  56. 永野護

    国務大臣(永野護君) ごもっともに存じております。それで先ほど冒頭に申しましたように、幹線の電化を重点的に考えて施行しております。
  57. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは私の調査で、あるいは間違っているかもしれませんが、まずその点を確めておきたいと思いますが、現在本の電化区間は二千百キロで、営業キロ数の一〇・五%それから最近国鉄の十カ年計画をみますと、電化の合計が五千三百キロで二六・五%、こういうふうに私はあるものによって調べたわけですけれども、まずこれに間違いがあるかどうかということをお伺いしたいと思います。
  58. 永野護

    国務大臣(永野護君) 間違いでございません。
  59. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうだとすれば、十カ年間で五千三百キロ、まことに遅々として進まないようですが、十カ年計画をできれば五カ年計画くらいでやり得ないものか。相当いろいろな諸般の事情、困難なものがあろうと思いますけれども、これはやはり電化を急ぐ必要があろうと思いますので、十年に五千三百キロでは非常に気の長いような気もするのですけれども、それで隘路はありましようけれども、そういうことを何とか考えられないものでしょうか。
  60. 永野護

    国務大臣(永野護君) お説の通り、なるたけ早くやりたいという心持は十分にあるのでございます。ところが、御承知のあの五カ年計画に基いていろいろな実施をしているのでございますが、現に昨年あたりの減収というようなことがありまして、今の五カ年計画の遂行すら非常に骨が折れているのでございますから、さらにこれを短縮して実行するということは、今の段階ではむずかしいと思います。しかし、御趣意通り電化を一日も早くやるということは、御趣意には全く同感でございますから、できるだけそういうふうに進めていきたい、こう考えております。
  61. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 輸送の能率を引き上げることと、事故防止、こういう点から複線にすることは非常に有効であろうと思うのですが、運輸省としては、将来日本の鉄道複線化についてどうお考えですか。
  62. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 日本の国有鉄道の複線化率というものは、欧米の先進国に比べまして非常に低位でございます。単線で、いわば非常に器用な運転をしております。これがただいまお話がございましたように、輸送力に非常に大きな障害になっておりますと同時に、このために起っている事故もございます。先年の参宮線の事故等も、単線に非常に無理に列車が入っているために起ったわけでありまして、運輸省といたしましては主要幹線につきましては、理想といたしましては全部複線化をいたしたい、こういうように考えているわけでございますが、何しろ膨大な金が要るわけでございます。そこで、少くとも私どもとしましては、現在考えておりますのは、五カ年計画では東北本線の盛岡までを早急に複線化をはかりたい。引き続いてこれは青森へも延長する考えでおります。それから東海迫、山陽はすでに複線化をいたしております。九州につきましては、五カ年評画では一応宇土まででとまっておりますが、これをもう少し南までに改訂をしなければならんのじゃないかということを考えておりますが、これも五カ年評画のことでございまして、その先にどうしても鹿児島まで複線化をやっていかなければならないと考えておる次第でございます。それからなお北陸線が非常に単線で、現在すでに行き詰まっております。これらに続きましては北陸線の問題、それから上越線の問題、そういったようなものが近い将来に、まあ北陸線につきましては、すでに工事に一部着手いたしておるわけでございますけれども、近い将来にこれをやって参らなきゃならない。理想といたしましては、いわゆる主要幹線は全部複線でやることが望ましいので、むしろ非常に今までおくれておったということでございますが、資金その他の関係、電化とのからみ合いもございますが、そういったことで、ただいまのところではその程度の計画を進めておる次第でございます。
  63. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 現在全然複線になっているところは、私が言うまでもなく、東海道本線と山陽本線だけだと思うのです。部分的にはいろいろございましょうが……。ところがこの複線の場合、単線に比較して、車輌運転はもちろん二倍以上になると思うのですが、建設費の方は二倍以下で済むと思いますがね。もちろんこれには莫大な金がかかるのでという御説明ではございますが、これはやはりこれを乗り切らんと、結局日本の陸上輸送力は限界に達するのじゃないか、そういうことが憂慮されるわけですね。従って万難を排して複線化に向って努力すべきではないかと思うのですが、この点いかがですか。
  64. 永野護

    国務大臣(永野護君) 全く御同感でございます。
  65. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は前に、戦前に満鉄におつたのですが、その当時、御承知で、しようが大連からハルピンまで特急に「あじあ」という非常に早い汽車があったのですが、これは満鉄は御承知のように全線広軌になっておるわけですね。ところが、国鉄の場合は主として単線であるし、また狭軌ですね。そういう関係で、スピードもおそいし、輸送力も少い、事故も多い、こういう問題が出てくると思うのですが、そこで、やはり輸送力を増強するためには、広軌にして、そうして複線ということが一番望ましいと思うのです。そういう点から、今お話し申し上げたように、今後あらゆる万難を排して広軌にして複線と、そういうことを目標にして、万難を排して進むべきではないかと思う。そういうことと、ついでだからお伺いしますが、現在国鉄の一番早い特急と、その当時の「あじあ」ですね、そういうものの早さは比較できますか。もしあれば、なければあすでもけつこうですが、それをついでにあわせてお伺いしたいと思います。
  66. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 現在の最も早い特急は、特急の当時の「あじあ」よりははるかに低いのでございます。これはただいま御指摘がございましたように、狭軌でございますので、最高の運転キロを制限いたしておりまして、満鉄の持っておりました最高のキロよりも、たしか二十キロか、二十五キロ、こちらの制限の方が低いと思います。時速でございます。平均の距離に対する運転時間につきましては、明確なところはちょっと調べませんとわかりませんが、「あじあ」の方がまだ今の状況でも早いかと承知しております。
  67. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 山間僻地の場合は、これはもちろん一部には鉄道が通っておりますが、やはり自動車道路を整備して、あるいはバス、トラック、こういう輸送サービスの面がきわめて必要であろうと思いますが、ところが自動車道路については、まことに情けない実情におかれておるわけですが、こういう点はいかようにお考えですか。
  68. 永野護

    国務大臣(永野護君) 大体の大勢といたしましてお説の通りだと思います。列車を不引き合いの所に無理に運転いたしますよりは、これは自動車に置きかえるということが大勢としては正しいと考えております。アメリカでも鉄道が斜陽産業だと言われておりますのは、自動車と飛行機に太刀討ちができないからという理由なのでありますから、日本でも同様のことが言えると思います。ただ、道路がアメリカのように完備しておりませんので、その期間がおくれておるとは申し得ますけれども、大勢は同じようなことになるべきだ、こう考えております。ことに例の道路も一兆円で五カ年計画で整備されますと、全国がほとんど鋪装され、おもな道路は鋪装されるようになりますると、その上を運転いたします、自動車の効率はずっと上って参りますから、今の傾向に拍車をかけるようになる、こう考えております。
  69. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最近自動車工業技術が、著しく進歩してきたので、自動車も大型になってスピードも相当出ております。ただ、今申し上げた道路がかんはしくないために、非常に行き悩んでおると思いますが、やはり大型になって、スピード化、そして道路の整備、こういう三つがそろった場合、非常に重要な効率を上げていくんじゃないかと思いますが、こういう点についてはいかがお考えですか。
  70. 永野護

    国務大臣(永野護君) 全く御同感でございます。道路が整備され、そして自動車がだんだん技術が進歩して参りまして大型になり、スピードも出るようになって参りましたから、道路の整備と相伴いまして、自動車の効率は非常に上ってくる。こう考えております。
  71. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先進国では大体自動車の整備は、今言ったように、大型、スピード化、そして道路の整備、そういう三拍子そろっての、これはいわゆる鉄道輸送の面にだんだん蚕食しておる、そういう段階に来ておるわけですよ。繰り返し申し上げるように、日本のその面については、いろいろ遺憾の点がありますが、特に道路の点で遺憾の面がある。これは失対事業として第二次的に、この道路の整備をやっておる、そういう点も関係しておるのじゃないかと思いますが、もちろん、失業救済事業として道路をやることは非常にけっこうだと思います。が、ただそれだけにたよっておると、相当道路の面については先進国からおくれておるのじゃないか。このままでは、なかなか近代国家としての対面上にもかかわるし、対面だけではなくて、日々非常に不便、そこを来たしておると思いますが、この点については何か対策をお考えですか。
  72. 永野護

    国務大臣(永野護君) 全く御同感に存じまするので、岸内閣はその政綱の最も大きなものといたしまして、道路の整備を政策のおもなものの中に掲げておるのでありまして、いわゆる一兆円予算で、五カ年間に日本の道路のおくれを取り返して整備するということをきめましたから、今まではお説の通り非常に先進国に比べておくれておりました、この五カ年計画が完成いたしますると、やや面目を一新するのじゃないか、こう考えております。
  73. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係最後に一点だけお伺いをいたしますが、今お話しの点ですが、この道路建設については、今まで私どもの知るところによると、失業救済事業の一環としてやっておる。これは大へんけっこうなことだと思いますが、繰り返して申し上げるように、それだけではなかなか所期の目的を達し得ないと思いますが、そのほかには全然考えられていないのですか、私のお伺いしたい点は、現在失業救済事業としてだけ行われているのか、その他としては手を打っていないのか、その点を明確にお答えいただきたい。
  74. 永野護

    国務大臣(永野護君) 今まででも失業対策ばかりではございませんでした。今後は新しい五カ年計画は、全然面目を一新いたしまして、決して失業対策に頼っているわけではございません。
  75. 横川正市

    ○横川正市君 資料の中に出ております「航空保安事務所(航空標識所を含む)と米軍又は自衛隊との業務の分担の表でありますが、これでいくと羽田、伊丹は大体運輸省所管で管理それから航務、管制、航空通信、飛行場ピーコン、事業の監督、こういうふうになっておるのでありますが、小牧、千歳、板付は依然として米軍と自衛隊、それと民間航空との三者で、それぞれその業務についての管理監督はそれぞれの分掌に従って行なっておる、こういうことのようです。そこで、少くとも主要な五つの航空基地について、ことに民間航空の拠点について、全面的にこれを民間航空だけに使用せしめるような、そういう運輸省として折衝して返還を求めるということが必要じゃないか、こう私は思うのです。ただ、この場合でも問題になりますのは、たとえばこの地へ行くと撮影禁止ということは、いわばおそらくアメリカ軍関係の機密に関する云々ということでやかましい規定があるのだろうと思う。それから飛行場外へ間違って通行した場合のいわば交通管制と言いますか、それに対する取締りに引っかかる、あるいは間違って手荷物とか何とかが窃盗されたとか、そういった事件が起きた場合に、当然三者三様な関係が管理の主体の置かれておるところによって違ってくるのじゃないか、そういう不便を依然として現在取り残しておるわけですね。そればかりでなしに、先般質問いたしましたのでは、たとえば千歳なんかの場合には入口のところに、米軍のMPそれから日本の警官それからMPに使用されております警備員、こういった人たちが門に立っておりまして非常に使用の状態、その状態が国民的な感情から言いましておもしろくない状態が著しく残っておる。こういう状態を一日も早く取り除いてもらいたいということと同時に、私は管理そのものがそれぞれの所管に従って整然としておるかのごとくであって実は非常に複雑な状態ではないだろうか、こう思うのでして、事務当局の答弁では非常に努力をして返還をしてもらう、ことに三者共通の飛行場については、民間航空特設の道路をつけるような施設をしたい、こうも言っておるようでありますが、この点についてもう平和条約を結んで数年経過して、しかも、民間航空がこれだけ発展をしてきておるわけですから、もっと積極的にこれらの関係を民間航空使用基地なら基地と明確な内容を備えるべきじゃないだろうか、こう思うのですが、おそらく答弁は努力しているという答弁になるのじゃないかと思いますが、そうではなしに、もっと近々期間をきめて民間航空とそれから軍事使用に使用される飛行場との区別を私はすべきじゃないか。行政協定か、あるいはその他の関係にそれぞれ関連する事項でありましょうが、その点について一つ大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  76. 永野護

    国務大臣(永野護君) 日本人の感情という点からいいますと、御指摘の通りであります。ただ、これは国内だけの行政機構の問題ではどうにもならないのでありまして、御指摘の日米行政協定、安保条約とのにらみ合いで、これからの問題でございますから、そういうときには、できるだけ日本人の感情が満足するように行政協定を結んでもらいたい、この要請はいたすつもりでございます。けれども、結果は、われわれは日本国内の行政の運営に当るわけでありまして、国際的の交渉は、私どもの所管外で、基本の外交折衝に待たなければなりませんので、今、期間を区切つて、いつまでにはこうするというような御返事は、残念ながらいたしかねるのであります。
  77. 横川正市

    ○横川正市君 これはもっと積極的に、今私が期間を切って云々と言っても、それに答弁できないのは当りまえだと思うのですが、少くとも軍事上の必要に迫られて使用している飛行場と、それから民間航空との区別というやつは、私はつけておくのがほんとうじゃないかと思うのですよ。イタリアへ行って、私たちはイタリア語がわからないから、向うの運転手に間違って陸軍の飛行場へ連れて行かれてびっくりしましたが、民間航空はやはり別にローマ郊外にあるわけですね。それから、ドイツへ行っても、やはりフランクフルトの途上に軍用基地があって、それからしばらく行くと、民間の発着所があるというふうに、整然と分けてあるわけですよ。民間航空とそれから軍事目的の飛行場と混淆して、しかも、それが主要な飛行場が使われているということは、これはあまりほめたやり方じゃないので、ことに日本の場合には、自衛隊が使っている飛行場を民間航空が使うというのではなく、米軍の使っている飛行場を日本の民間航空が借り受けているという格好ですね。これは私はちょっとさかさまのような気がする。安保条約か行政協定の問題であって、あなたが所管する問題ではないと言ってみても、民間航空の発達に伴って、その点を整然としたいという気持は当然お持ちになっておるだろうと思いますが、そういうことから、積極的な意味で実は期間ということを最後につけ加えたわけですから、この点を一つ御答弁願います。
  78. 永野護

    国務大臣(永野護君) 御指摘の点は、一々ごもっともだと思います。ただ、今さら申し上げるまでもございませんけれども、日本のいわゆる民間航空の歴史は非常に新しい。でありますから、陸軍や海軍に比べますと、あらゆる面が非常におくれておるのでございます。従いまして、私も、就任以来最も運輸省行政の中でおくれております航空と観光、この二点に重点を置いて行政をやつていこうと、こう考えたわけであります。これは、航空と観光が陸運、海運より必要だという意味ではないのでありまして、他の陸運、海運に比べると非常におくれておるものでございますから、そのおくれを取り戻すために、そういうふうな表現をいたしたわけでございます。ただ、いかにも、今の歴史が新しいということから、理想に比べますると実に不十分で、最も重点的にこのおくれを取り戻すようにしていきたいと、こう考えております。
  79. 横川正市

    ○横川正市君 まあ、国内でいろいろ私どもが耳にし、または目で見る内容で、これじゃどうもいかんじゃないかと思うことが非常にたくさんあるわけです。そういうたくさんあるものを取り上げて、これをすぐ直せということになれば、相当無理があるということも私は承知なんです。しかし、羽田、伊丹は、伊丹の場合は、これは近々じゃないかと思うのですが、すべてのものが運輸省所管でやれるわけですね。ところが、小牧、千歳、板付というのは、これは三つがそれぞれ三者三様により監督されていると、こういうことなんで、この三つを早くしてくれないかということなんですよ。同時に私は、航空がおくれているとは言いながら、ローカル航空基地の予定表やら、それから完成の日時を見てみますと、もう非常に近い時期に国内線というものは整備される段階にあるようであります。そうなれば、この国内線の場合には、一、二をぬかしたほかは、飛行場は大体民間航空の基地になるわけですね。そうなってくれば、千歳とか、それから小牧、板付というようなところは、私はかりに米軍の飛行機が事故でもって着陸しなければならないような場合には、貸してやりますということは、これは当りまえのことなんですが、向うの庭先をちょっと貸してもらって、こちらの民間航空のしかも主要な基地が依然として残されていると、こういうことは、ちょっと見ばえもあまりよくない、だからできるだけ早い機会に返還をするようにしていただきたい、こういうことなんです。これはまあおそらく同じ答弁になると思いますから、時間もないようでありますので、次にちょっと私の方から、運輸省としての計画といいますか、予定といいますか、あるいは将来進歩させるいろいろな問題等について困難な事情があれば、それをどう解決するのかという点等について具体的に御説明願いたいのは、これは北海道の千歳の飛行場を関連をいたしまして、現在丘珠の飛行場を予備飛行場として使用しようという計画があるわけであります。事務当局に聞いてみますと、土地の買収問題とか、地元の協力問題等でなかなか進歩をいたさないということでありますが、あすこの気象状態は、ちょうど千歳から恵庭までの線が、苫小牧を入れて、あの噴火湾の影響力を受けているわけです。それから、その山一つ越えて札幌に参りますと、今度は日本海の影響を受けて、気象は全く違うわけです。その関係で、千歳がもし着陸状況が悪い場合に、最も手っ取り早いのは、丘珠を使用するということが一番便利なわけです。現在は、この苫小牧周辺の気象状況というのは、全国まれに見るよい気象状況で、一年のうち何回かしか悪い着陸できない時期はないといいながらも、実際上は、冬季とか、あるいは春先、秋口になりますと、霧その他で、三沢とか、仙台、あるいは羽田へ引っ返してくる。そういうことで、実際上実務に当られている人も、また利用する者も、できるだけ早くこの丘珠の飛行場使用について、それぞれの機関で使用するように努力してもらいたい、こういう要望があるわけなんです。この要望に沿うて実はやられてしるのだろうと思っておった。ところが、なかなかそれが手がつけられておらない。この点について、一つ大臣からはっきり、必要はお認めになると思いますから、工事その他の問題についてお答えを願いたい。
  80. 永野護

    国務大臣(永野護君) 御存じの通り、丘珠の空港は、目下は陸上自衛隊が主として使っておりますけれども、民間航空といたしましても、DC―3型のものは使用しておるのでありまして、将来はもっと大きく完備した飛行場にするつもりで、その必要性は認めているのでございます。地元の方々もそのように要望しておられまするので、その地元の方々の御協力を得まして、それを実現いたしますように、せっかく今検討を進めておる次第でございます。
  81. 田村文吉

    ○田村文吉君 ちょっと大臣に伺いたいのですが、私どもの常識としてちょっと知っておきたいことなんでありますが、それは、今の海運界は非常に不況である。それでどの船会社でもほとんどぺイしていない。こういうことでありまして、外航船の場合においては、ある程度までの国際的な協定もあり、それによってやっておられるので、それでしかも引き合わないと言えば、それも仕方がないのでありますが、先刻お話しのございました、陸運に比べて海運が約一割強にしかなっておらない。こういうようなことは、戦前にはなかったことで、戦前ではもっと海運がよけい利用されておった、内航船が。なぜ一体そういうふうに海運の運賃というものが陸運に比べて高くなったのだろうか。こういうことを私どもは常に不思議に思っておる。そこで、これがもし相当の運賃で海運が運べるということになりますというと、国内の貨物の輸送等もよほど緩和する点があるのじゃないか。そこで問題は、一体運賃を構成する原価の中で一番大きいものは、やはり初めの、ファースト・コストのデプレシエーション、あるいは金利というような問題が影響しておるのじゃないかと、こう思っておるのでございますが、大体原価の中に占めておるそういう金利並びにデプレシェーションというものは、大体どのくらいを占めておるものなんでございましょうか。それによって運賃がきまってくると、こういうふうに考えられるのでありますが、いかがで、ありましょう。大体のことでけっこうです。もしお知りがあれば。
  82. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) ちょっと待って下さい。
  83. 田村文吉

    ○田村文吉君 その御調査が済むまでの間に、ちょっともう一問挾ましていただきます。気象の関係は、運輸省で所管して、おるのでございますね。  そこで、気象はずいぶん終戦後発達して進歩してきたと思うのでありまするが、常日ごろ、私は日本の気象観測というものが貧弱である。これは一体運輸省というものがお持ちになっておって、満足に予算を、金を出しておやりにならないからこうなるのじゃないかと、こういうことを考えておったのでありますが、そこで、昨今のように航空事業が非常に伸びて参りますと、よけいこの航空気象等の関係もございまして、気象の充実が必要なのじゃないか。まあ簡単でけっこうですが、そういうことに対しては、あまり不安のないような状態にまで、気象観測はできるようになっておるのでありますか。簡単でけっこうでありますから。
  84. 永野護

    国務大臣(永野護君) 気象庁の予算が運輸省についているために非常に不備があるのじゃないかというような御質問なんでございますが、とかく、つまり主流の仕事でないものは、割を食う。どこでもそういう現象がありますけれども、私どもは気象庁の任務の重要性にかんがみまして、ことに農業なんかには非常に重要な影響があります。航空はもちろんであります。そこで最近は相当に奮発して予算をふやして参っているのでございます。昨年の五億一千三百万がことしは六億三百万、まあ一億だけ予算面はふえているのであります。決してこれは十分な予算とは申し上げかねるのでありますけれども、だんだんと整備はいたしております。
  85. 田村文吉

    ○田村文吉君 航空関係には特に気象の問題がやかましいのだろうと思うのですが、そういう方面の御心配はない、欠点がない程度に進んでおりますか。
  86. 林坦

    ○、政府委員(林坦君) 航空につきましては、いろいろとまだ新しく整備しなければならないところがございますが、ひとまず、現在までに東京その他十六飛行場には気象機関を置きまして、航空気象業務をやっております。もちろんこれで十分ではございませんので、今後だんだんそういう面に重点を置いてやっていただくように、気象庁とも連絡をとっております。また、国際航空関係におきましても、気象関係の高層の施段をやるように今年度からすでにとりかかってやつておるわけでございます。
  87. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 先ほどのお尋ねでございまして、調査いたしておりました動力費でございますが、蒸気機関車の場合に比べまして電化をいたします場合には動力費は約三分の一になるわけでございます。それからディーゼルにいたしました場合には蒸気に対して、約六割の燃料費になるわけでございます。大へんおそくなりましたが御報告いたします。
  88. 田村文吉

    ○田村文吉君 先刻の……。
  89. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) ただいま調べておりますからちょっとお待ち下さいませ。
  90. 永岡光治

    委員長永岡光治君) それではこの委員会が終ってからでもいいですか。
  91. 田村文吉

    ○田村文吉君 けっこうです、終ってからで。これは私日本の国策として非常に重要なことだと思うので、海運会社のほとんどが、もうペイできない、こういうことですね。今後船を作るといってもなかなか作らせることもできないし、金を出してやるにも出せない。こういう状況になると思う。そこで内航がすでにそういうふうに陸運に比べて非常に高い運賃になっておりまするから、それは、一面から言えば陸運の方が安いのだという御説明もあるかもしれません。あるかもしれませんが、そういうふうになっているのだから、外航船でもやはり同じような結果になっているのじゃないか。これは国際航運の上から考えてみて非常に考えなければならない。では一体原価の中で金利や償却費はどのくらいを占めているものだろうかということが大きな問題です。私は大ざっぱでもいいから運輸大臣がもしお考えがございますなら御答弁願いたい。
  92. 永野護

    国務大臣(永野護君) 実業家出身のまことに適切な御質問だと思うのであります。私もその点は非常に重点を置いて研究いたしまして、日本の減価償却及び金利の負担と、諸外国海運国の減価償却及び金利負担の割合を比較研究した表を打っておったのでありますけれども、ただいまここに持ちませんので、うろ覚えで申して違ってもいけませんから、正確に、その表を取りそろえましてお目にかけます。
  93. 田村文吉

    ○田村文吉君 本委員会が終りましてからでけっこうですから、資料を出して下さい。
  94. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認め、これにて本案の質疑は終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  96. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記をつけて。  御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もなければ、これより直ちに採決に入ります。  運輸省設置法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)全部を問題に供します。  本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  97. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 全会一致と認めます。よって運輸省設置法等の一部を改正する法律案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する審査報告書の作成につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないのと認め、さよう取り計らいます。  速記をとめて下さい。    〔速記中止
  99. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を起こして下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十一分散会