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1959-03-06 第31回国会 参議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月六日(金曜日)    午後一時三十三分開会   ―――――――――――――   委員異動 本日委員苫米地義三君及び増原恵吉君 辞任につき、その補欠として吉江勝保 君及び仲原善一君を議長において指名 した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    理事            松岡 平市君            山本 利壽君            千葉  信君            田村 文吉君    委員            大谷藤之助君            木村篤太郎君            堀木 鎌三君            松村 秀逸君            吉江 勝保君            伊藤 顕道君            矢嶋 三義君            横川 正市君            八木 幸吉君   国務大臣    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    文部政務次官  高見 三郎君    文部大臣官房総    務参事官    齋藤  正君    文部省社会教育    局長      福田  繁君    文化財保護委員    会委員長    河井 彌八君    文化財保護委員    会事務局長   岡田 孝平君    農林政務次官  高橋  衛君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    水産庁長官   奧原日出男君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    林野庁林政部長 戸嶋 芳雄君    林野庁指導部造    林保護課長   若林 正武君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○水産庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国家行政組織に関する調査の件  (文化財保護委員会所管事務に関  する件) ○科学技術庁設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○文部省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 千葉信

    理事千葉信君) これより内閣委員会を開会いたします。  本日委員異動がございました。苫米地義三君が辞任され、後任とし吉江勝保君が委員に選任されました。  以上御報告いたします。   ―――――――――――――
  3. 千葉信

    理事千葉信君) それではこれより議事に入ります。  農林省設置法の一部を改正する法律案及び水産庁設置法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。 これより両案を一括して質疑に入ります。ただいま出席方々は、高橋農林政務次官齋藤官房長和田文書課長奥原水産庁長官近藤漁政課長日比野農地局総務課長戸嶋林野庁林政部長、以上の方々出席されております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 政務次官に二、三お伺いしたいと思いますが、昨年の十月と記憶しておりますか、行政審議会答申を出しておりますが、それを見ますと、最近行政事務の激増に伴って、行政機構がだんだん複雑になり、拡大される傾向が強い。そういうことになると、結局国民負担も増すという結果になって、はなはだ遺憾である、そこでなるべく行政機構については簡素化すべきである、そういう意味答申が出されておると思うのですか、こういうことに対してどのようにお考えになりますか。
  5. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 一般論といたしまして、行政機構簡素化すべきであるという点につきましては、私どもも全然同感でございます。しかしながら、それぞれの事業内容をずっと検討して参りますると、経済情勢の変化に伴いまして、また、それぞれの必要からいたしまして、どうしても新しく機構を設置するというふうな必要が生ずる場合が相当ございまするし、また、事業分量その他の点から申しまして、どうしても、たとえば農林省設置法改正案においてお願いいたしておりまするように、名古屋に今まで置きました建設事務所仕事相当仕事内容として大きくなって参りましたような関係もございまして、従ってむしろ局に昇格して、そうしてそこでもって管理事務、または設計事務というものも同時に総合的に行うということの方が、行政事務能率をより向上させるという結果を期待されますので、そういう意味におきまして、形の上ではある程度拡充になり、または複雑化するというふうに一見見えますか、要するに行政事務能率化の上からいたしまして、事業内容の変遷に伴いまして、ある程度こうやって充実を要するという場合があるのはやむを得ないのではないかと、かように考えておる次第でございます。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 同じく行政者議会答申の中に、新しい行政事務の処理についても、機構新設は極力これを避けて、既存の機構改組活用によってこれを処理すべきである、そういう意味答申が少しくなされておるのです。この点についてどうですか。
  7. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいまの御指摘の点についても、全く私ども同感でございます。従いまして今回の農林省設置法改正に当りましても、新しく、たとえば農地事務局を作りますとか、林木育種場を作るとかいうふうな改正をいたしましたけれども、同時に一方において、たとえば統計調査事務において相当の員数を減員いたしまして、それらの人を新しい方面に振り向けることによって、より行政能率の向上を期しておる次第でございます。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案内容を見ますと、大体大きく分けて三つになっていると思うのですが、そのうちの一つで、林野庁関係になると思いますが、林木素質を改良して、その生長量を高度に引き上げる、そして短期間に森林資源確保すると、そういうことかうたってあるわけです。これはどなたも異存はないと思います。まことにけっこうなことだと思うわけですが、ただこのことは、今までは林業試験場が一手に引き受けてやっておったわけですが、ところが、今度林木育種場新設によって、これを措置しよう、そういう意味だと思うのですけれども、今最初申し上げた行政機構簡素化とかあるいはまた改組活用によって云々の二項の点から照らして、従来もこの面でできたものだから、わざわざ機構を拡大してまでも林木育種場を作る必要はないじゃないか、そういうふうに考えるが、その点はどうですか。
  9. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 御意見のように、従来も林業試験場等において、こういうふうな林木育種仕事も、ある程度試験研究という立場において実施しておったのでございますが、これが一定の規模になりますると、やはり相当面積を要し、また相当の人を要するというような関係からいたしまして、やはり管理別個責任を持った者がおりましてそれを管理し、そして本来の目的であるところの優秀なる林木を育成して配布する、こういう仕事相当積極的にやるということが必要になって参ったと考えましたので、そしてこういうふうな別個の機関にするということの方が、より行政能率を発揮するゆえんであると、かように考えまして、こういうふうに分離をすることにいたしました次第であります。しかしながら一方において、しからば林業試験場仕事をそれだけ減らしたらどうかという御意見もあろうかと思うのでありますが、林業試験場試験の今後に残された問題等を検討してみますと、まだまだ非常に至らん程度でございまして、これを削減するというふうなことじゃなしに、やはり現下の必要であるところの新しい林木の育成にもっぱら力を注ぐということが、日本の今日の過伐の状況、または森林資源の将来ということを考えまして、今日の急務であろうと、かように考えまして、こういうふうな措置をとった次第でございます。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案趣旨を見ますと、結局素質を改良して、生長量を高める、そして森林資源確保をはかる、これはまことにごもっともなんですが、ただそれだけでは、なかなかに森林資源確保は期しがたいと思うのです。過伐を防ぐとか、その他いろいろな方策を講じない限り、現在の森林資源確保は期しがたいと思うのですけれども、この点についてどのようにお考えですか。
  11. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいま伊藤委員の御指摘通り、新しく林木育種場を作って優秀なる種苗を育成し、配布するということだけでその目的が達成するものじゃありません。従って政府といたしましては、従来からも行なって参りましたところの、たとえば造林助成をいたしますとか、あるいはその他森林の病虫害の防除をいたしまするとか、その他これは補助並びに資金の融通の双方の面で、相当積極的にこれが推進をはかって参っておるような次第でございます。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 日本林野の総面積を見ますと、大体国土の六六%ですか、大体そのくらいあるように記憶しておるのですけれども、そういうことになると、由来資源に乏しい日本の国にとって、六六%の森林資源というものは非常に重要な役割を果しておると思うのですか、そういうことで、これは結局このことが森林資源確保、またその活用ということがいかに有効になされるかということが国民経済に及ぼす影響も非常に大きいと思うのです、広い分野を占めておりますから。そういうことでお尋ねしたいと思うのですが、現在森林資源確保について、特にどのような点に重点を置いて政策がなされておるのかということと、従来の政策の中でいろいろ障害があろうと思うのですけれども、特に資源確保という観点から、いろいろ隘路があろうと思うのであります。そういう面については従来どのような障害があったかということ、そういう点をごくかいつまんでお聞きしたいと思う。
  13. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 御指摘のように国土相当大きな面積林野によって占められておるのでございまして、その林野資源が十分に活用され、また保続されていくということは、日本経済のためにきわめて重要な問題でございます。かような見地から国有林民有林と双方ございますが、国有林につきましては、御承知のように国有林事業といたしまして一方において斫伐をすると同時に、他方造林をするということをずっと進めて参っておる次第でございます。また民有林につきましては、たとえば過伐になる状況は、むしろ里山に近いところにおいて過伐が多いという状況を呈しております。で、奥地林道に対して、ずっと年々助成をいたしまして、奥地でもって木材の、森林資源供給をはかりまして、そうして里山についてはできるだけそれを抑制し、同時にまた、これが森林造林助成をして参っておるような次第でございます。なお、詳細につきましては事務当局から説明させます。
  14. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) ただいま政務次官から造林政策についての概要を申し上げたのでありますが、私から補足的に若干申し上げますと、お話上になりました要点は、要するに日本における林木の、木材資源量相当の広面積を占めておるのに対して、いかに、もっと活用する方策はないのか、あるいはいかような方策考えておるか。こういうふうな御質問のように思われるのであります。資源量としてこれが維持培養をはかることにつきましては、ひとり造林という林業林産資源維持ということばかりでなくて、国土保全というような観点からも、あわせて資源維持培養保続ということを一貫して進めておることは御承知通りでございますが、さし当りの現在行なっておる施策の大綱といたしましては、一つには、資源量をいかにして年年の生長量をふやして、かつまた需要に応ずる供給をいかに確保するような方策を講ずるかということが第一点であります。第二点につきましては、これらの供給量に対しまして、需要量がそれ以上に現状においては伸びておる、つまり木材需要量が最近におきましては、供給量を上回る程度需要量が伸びておる。従って需要の面における消費合理化を進めていく必要がある。これを大きく分けますならば、こういうような二つの考え方に立っていろいろの施策が行われておるのであります。  第一の点について若干申し上げますならば、現在におきまする年々の伐採量は、一億五千万石くらいでございまして、それに対しまして年々の生長量は一億八千万石約七千万石くらいの過伐の状態になっておるのであります。従ってそれにはまず年々の生長量をいかにしてふやしていくか、同時になお造林資源量をいかにしてふやしていくかということに相なるわけでございます。造林施策につきましては、従いまして第一には、できるだけ従来の天然林から人工工造林に切りかえていく、いわゆる拡大造林と申しておりますけれども、そういう方向にだんだん持っていかなければならない。現在のところ農林省で、林野庁計画いたしておりますところの造林計画というものがございます。長期経済計画で五カ年計画を立てるほかに、林業の性質上、昭和七十年までの一応の林業計画を立てる。これによりまするならば、大体昭和七十年までの間において人工造林を拡大して、現在正確な数字はちょっと違っておるかもわかりませんが、約六百万町歩人工造林を一千百万町歩くらいまでに拡大していくというようなことによりまして、大体七十年くらいまでには木材需給については均衡をとるような方向に持っていきたい。それからその間におきまして、いかに造林手段を講じていくかという促進の方法でございます。これにつきましては、先ほど政務次官からもお話がありましたように、一面、国の、国有林としての直轄造林については、計画的に実施するのはもちろんでございますけれども、何としても二千四百七十万町歩の中の大部分民有林でございますので、民有林についての造林が何をおいても重要である。従いまして、民有林造林については、従来ともの補助造林を続けていくことはもとよりでございますけれども、一昨年はさらに分収造林法というものを作りまして、造林者と、あるいは造林者であっても資金の足らない者、土地を持っていても造林ができない者、これらの土地を持っておる者、あるいは造林したい者、資金を提供できる者、これらの三者を結びつけまして造林を促進するような分収造林方法もとるということにいたしておるのであります。これに伴う補助助成のほかに、融資についての措置ももちろん講じて参らなければならぬ。本年度からはさらに融資部面についても相当造林ができるだろうという見通しを立てまして、農林漁業金融公庫からの融資につきましては、融資条件を大幅に緩和いたしまして、従来据置期間が五年でありましたものを二十年に延ばす、そうして償還期間も含めまして三十年というような長期金融に切りかえて、そうしてこれらの資金につきましては、特別に一般会計から公庫に出資して融資資金に充てるというような方法も講ずることにいたしたのであります。農林省としては今言ったような方法造林を今後とも進めていく。なお一面におきましては、先ほど政務次官からお話がありましたように、できるだけ里山の過伐を押えて、奥地林開発に努めたいということで、本年度におきましては、林道拡充を従来と同様に拡充強化するほかに、特に国有林民有林と相関連するような地域におきましてこれを国有林民有林林道、一貫して行うような組織考え森林開発公団に委託してこれを林野特別会計負担で実行するということにいたしたいということで、今国会におきましてもその関係法案を提案いたしたのでありますが、かような奥地林開発についての林道網拡充というようなことも考えている次第であります。  なお第二点の消費合理化については、廃材の活用であるとか、あるいは他の燃料エネルギー源に転換するとかというようなことにつきましては、木材の総合的な合理化ということの見地に立ちまして進めておるような次第であります。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 だいぶ具体的になってきたわけですけれども、問題は需要供給バランスの問題だと思うのですけれども、御承知のように、供給需要については、おそらく戦前の二倍くらいにはね上っているのじゃないですか。そういうことに対して逆に供給である森林資源については、敗戦で国土を三分の一失った、特に樺太を失ったということは非常に痛い点だと思うのです。そういうことで、需要は倍にはね上って、供給資源である森林資源はだんだん漸減しておる、そういう事態なので、これはこのままにほっておけば、ますますその差は大きくなると思うのですがね。そこで、今御説明のような対策は、従来も考えられてき、今後もさらに拡充強化していくという御趣旨であったわけですけれども、尋常一様の方策では、なかなかこの難関は切り抜けられぬと思うのですね。よほど抜本的な方策を立てない限り、計画を立ててもなかなか実現しがたいと思うのですけれども、こういう点について、政務次官としてどのようにお考えですか。
  16. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 先ほど官房長からもお答え申し上げましたように、森林生長最が大体年五千万立米、それに対しまして伐採量が七千五百万立米という、実に大体二千五百万立米の過伐になっておるような現状にある次第でございまして、その点私ども非常に心配しておるような次第でございます。従って、これに対する対策として、先ほども申しましたように、まず第一に今まで未利用のまま捨てておかれたところの奥地木材を切り出すということが一つ、また同時に、一方において消費の節約を必要とするのでございますが、それらのことをいたしましても需要供給バランスがどうしてもとれないという部面につきましては、木材の形において、あるいはまたパルプの形において、ある程度年々輸入せざるを得ないというのが現状でございます。しかし、将来の問題といたしましては、先ほどもお答え申し上げましたように、造林地の面相はまだ非常に少いという現状でございますので、何とかして生長の早いところの優良な種苗を配布いたしまして、そして造林事業を急速に進めていきたい、そして何とかして近い将来において漸次この需要供給がマッチするような方向に持っていきたいというのが私ども考え方でございます。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ここに問題なのは、現在の蓄積が、これは単位がいろいろ出ておるわけですが、ここでは、私の場合は立方メートルで、十八億立方メートル、そのうちで十一億立方メートルが未開発奥地に含まれておるのです。そこに問題があろうと思うのですね。先ほど触れた林道などの策も不十分だし、ほとんど大部分のものが奥地の未開発地帯にあるということ、これは非常に今後問題点であろうと思うのですが、そこで、こういうことに対しては、先ほど林道拡充開発強化とかいうことが言われておるわけですけれども、これはよほどしっかりした方策を立てないと、このままではその品種によっても樹齢というものが違いましょうけれども、みすみす大量の森林が手をつけないままにみんな枯れていくわけですね。一方では木材がなくて困っておる、そういう事態なのに、一方山の奥に行けばどんどん倒れて腐って、その進度は相当のものだと思うのですけれども、そこでここに問題があるということを申し上げたのですか、その点どういうふうにお考えですか。
  18. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいま御指摘になりました通り、未開発奥地木材を切り出すということが、やはり今日の需要供給バランスさせると同時に、過伐の弊を除くための一つ方法でございますので、そういう意味におきまして従来も奥地林道開さく国有林事業として、あるいは民有林の場合には国が補助することによりまして、相当積極的にこれが推進をして参ったのでございますが、国有林民有林と相接する地域におきましては、しかもそれが奥地においては、民有林の場合には地元負担のことがなかなかむずかしいというような関係から、実現が困難な問題が、国が補助をいたしましても林道開さくがむずかしいというようなことがございましたので、そういうような関連する地域におきましては、森林開発公団がかわって、それが開さくをするという建前に今回いたすことにいたしまして、ただいま森林開発公団法改正を実は今国会で御審議を願っておるような次第であります。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 奥地になかなか手が届かないので、里に近い個所で、なるべく近いところから生長量の三倍もの過伐が行われておる。そういうことがひいては治山治水にも関係し、国土保全立場から憂うべき事態となる面が出てくるわけですね。この面でどういうふうに考えられておるか。
  20. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 御指摘通りでございまして、里山地帯における過伐が進行するということになりますと、治山治水関係におきましても、いろいろの支障を来たすのであります。従いまして、一面造林計画は、森林資源需給という問題の面から考えるほかに、一般的にやはり治山治水の全体の計画と密接な関連があるわけでございます。従って、そういう面からも考慮さるべきは当然でございますけれども、なお農林省といたしましては、治水については、治山部面について計画を立てまして、大体戦前におけると同じ状態にいち早く復帰するような措置を講じたいということで、治山五カ年計画を作って、これによって治山についての対策も講ずるということにいたしておるのでございます。なお本年度におきましても、今後の治水と合せて治山問題とも相関連して考える必要があるということで、特に治水計画とも計画を総合調整いたしまして、治山の予算を計上するというようなことにいたしておりますが、今後これらとの関係は一そう調整をとって、治山に遺憾ないような措置を講ずる必要があろうと考えます。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今までの問題を大体大要をまとめてみますと、増大しつつある需要にこたえて、しかも森林資源の荒廃を防ぐ、そういうためには林道網の整備による未開発開発とか、あるいは人工造林、またはこの法案にもありますように品種改良事業による生長量の増大とか、木材利用合理化、いろいろ法案にもありますし、御説明もいただいたわけです。そこで、お伺いしたいわけですが、この林道についていろいろ調べてみますと、これは管理経営するための非常に重要な施設だと思うのですが、ここに一つ例があるのですが、民有林についてみますと、昭和二十六年度から三十二年度の七年間に実施総量一万七千四百十一キロメートル、もし間違いであるならば御訂正いただきたいのですが、で、このことは年間六千五百二十九キロメートルの計画に対して約三八%しか実施されていないということは、はなはだ不成績のわけですか、これはやはり林野庁責任だと思うのですが、せっかく計画立っても、わずか、三八%くらいしか実施されていないということは大へん遺憾なことだと思うのですが、この点はどういう事情になっておるのですか。
  22. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) おっしゃる通りわれわれの当初の計画から申しますと、昭和二十六年度から三十一年度までの実績をとりますと、進捗度は三八%はかりになっております。これは昭和三十三年度を初年度といたします五カ年計画に対しましては大体三%というような数字で、結局一般公共事業費の中の一つとしての林道事業に対する額が少いということが原因でございます。そこで、先ほど政務次官からも申しましたように、一般公共事業費以外に林道事業を進めていく一つ手段といたしまして、国有林野事業特別会計の費用をこれに投じて、そうして民有林国有林野事業で必要な林道と相関連する、関連林道と私の方は称しておりますが、そういう仕事を本年、昭和三十四年度から始めようというので、公団法改正も今国会にお願いをしたようなわけでございます。従ってそれによりまして従来の速度を幾分でも早めたい、そういう考えでございます。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 重ねてお伺いいたしますか、せっかく計画立って六割か七割しかできなかったということであるならば、いろいろ事情によってさもあらんという場合もあり得ると思うのですけれども、せっかくこの計画が立って、さて七年計画実績を見たら三八%しか実施できなかったということは、六二%は全然残されてしまった、そういう計算になると思うのです。これはまことにこういう政策上まずいと思うのです。せっかく予算を取って計画しても、こういうような大量、大部分のものが残されてしまう、こういうことでは、なかなか先ほどもいろいろ御答弁なさっておるような施策が表面は出ておりますけれども、実際に当ってみると、それぞれりっぱにおっしゃることが実施されていないということになると思うのです。これは非常に問題だろうと思うのです。こういうことについて官房長としてはどういうふうにお考えですか。
  24. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 御指摘通り林道なりその他の計画を立ててできるだけその計画通りに進捗すべき予算の確保なり、あるいは実行の能率をあげるなりそういうことが必要であることは御指摘通りでございます。農林省としても従来とも予算なり、あるいは金融資金の面におきまして努力いたしておるところでございますが、私の方の一応の考え方といたしまして、御承知のように長期経済五カ年計画があるわけでございます。その計画目標に沿って年々の予算を要求いたしておるのでございますが、三十七年までの一応の長期計画の目標について現在までの、三十四年度までの予算を含めましての進捗状況を申し上げますと、全体の目標といたしまして計画いたしておる、林野庁――農林省として計画しておるものでございますが、林道の目標といたしまして三十七年に三万一三千六百四十七キロを目標といたしておるのでございますが、三十四年度までの達成率は、これは国有林は四九・七で約五〇%、民有林が二六%、平均して約三〇%ぐらいになるわけでございます。大体食糧農地の開発関係、あるいは造林関係、あるいは漁港関係等の進捗率ともあわせて達観いたしますと、大体三割台のところで全体の達成率、進捗率を示しておるのでございます。今後三十五年、三十六年、三十七年とございますか、今後とも同じような率で伸ばしていきますならば、三十七年には一応目標を達成するようなこともできるという見通しのもとに現在考えておる次第でございます。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 こういうような状態で、今現在開発が可能でありながら未開発のままに放置されておるものが面積にして三一%、蓄積量にして五五%、これは間違いないかどうかということをまずお伺いし、もしそういう間違いがないとするならば、こういう実情であるとするならば、これは先ほどから申し上げておるように、よほど計画だけでなしに計画を着実に相当な熱意でどんどん具体的に進めていかないと憂うべき事態となろうと思うのです。こういう点はどうですか、それの見通しについて何か採算がございますか。
  26. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 現在の状況を申し上げますと、現在開発地域人工造林地が片寄っておりまして、それが大体八七%が開発地域にございます。そうして未開発地域にある人工造林地が一三%ということになっております。これに対してわれわれの、先ほど拡大造林計画ということを申し上げましたか、それによりますと昭和七十年には既開発地域人工造林地を六三%、そうして現在未開発地域になっておるものについて三七%というような割合になるわけでございます。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いろいろ開発のおくれがあるわけですが、御説明によっても民有林の方がだいぶおくれておるわけですが、これはいろいろと民有林の場合は条件も悪いので一応うなずけますけれども、やはり全体として考えた場合、民有林開発ということも非常に大事だと思うのですが、この民有林開発について特に当面どのような政策をとっているのですか。
  28. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 民有林開発の問題につきましては、もっぱら造林をどうして、どんどんやらせるかという点に至難があるかと思うのですが、この点につきましては、昨年分収造林法を提案いたしまして成立を見たのであります。そのほかに今年度新しく先ほど官房長からも御説明申し上げましたか、公有林並びに森林組合の行うところの造林につきましては、今まで五年据置で十五年の年賦償還であったところの造林融資を今回新しく二十年据置で、その後十年の年賦償還、合計三十年の長期金融を、造林融資をすることにいたしまして、従来市町村財政等が、なかなか新しく造林をするような余裕がないためにできなかったことによりまして荒廃しておるところの公有林、並びにさらに森林組合の事業として行うようなものにつきまして、積極的に造林推進するということにいたしておるのでございます。なおそのほかに、民有林の中で相当まとまった土地であり、しかも民有林ではなかなか造林しがたいという部分につきましては、それが適当な土地である場合におきましては、国有林に買い上げまして、国有林事業としてそこに造林をしていくというようなことも、十分実行しているような次第でございます。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほど林道のことについてお伺いしたわけですが、そういうふうに民有林、また国有林開発について一つの重要な役割をするのは林道の開設である、しかも、現在大よそ十二万キロメートル、こういう膨大な林道の開設が要望され、必要視されている。そこで林野庁としては、国有林については六十五年度まで、民有林については五十年度までに完成するという一応の計画を立てておられるようですか、これはその通りであるかどうかということと、もしそうだとすると、昭和三十四年の現在から見て、六十五年というと、ずいぶん気の長い計画のようなんですが、もちろん森林のことですから、国家百年の計を立てねばなりませんが、それにしても、もう少し十二万キロメートルの施設についてはもっと年度を短縮できないものですか。最大限もう少し予算を大幅にして、いろいろな条件をつけたら、もう少短縮できるのじゃないか。ずいぶん先の話のような、計画としては百年の計を立てる必要がありますけれども、この十二万キロメートル、この程度林道の開設については、年数が長くかかり過ぎるように思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。
  30. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) おっしゃるように、われわれの方で現在計画を立てておりますのは国有林で四万四千キロ、民有林で七万五千キロ、大体合せて十一万九千キロに相なっております。これを国有林林道につきましては昭和六十五年までに、民有林につきましては昭和五十年度までに開設する計画を立てております。国有林林道につきましては、御承知のように国有林特別会計でやって参りますが、民有林林道につきましては公共事業費でやるか、あるいは森林開発公団林道でやるか、あるいは融資林道でやるか、あるいは自力でやるかということに相なります。で、その中で特に幹線の林道は大体五千キロ余りあります。そうしてその路線が九百七十木、所要経費が、三百三十三億ということに相なっておりまして、昭和三十三年度、三十四年度の予算の実績から見て参りますと、一年同の実施の実績は大体四百キロ、二十三億程度のものが行われておりまして、この調子で参りますならば、幹線林道は大体十三年で完成する、こういうような見込みを持っております。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この総延長十二万キロメートル、これは場所によりいろいろ林道により一がいには言えないわけですが、通常の条件として十二万キロメートルの林道を作るためには、大よそどのくらいの予算がかかるのですか、概算でいいです、大ざっぱで。
  32. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 大体、二千二、三百億、こういうように見積っております。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは農林省が設置しておる審議会等について最後に一点だけお伺いします。先ほども申し上げたと思いますが、行政審議会答申を見ますと、特に審議会等の整理についての答申が出されておるわけですが、そこで、農林省関係の面を拾ってみますとだいぶあるわけですね。一つとしては、任務が終了し、また近く終了するので廃止を適当とするもの、その中に評価審議会というものがあるのですね、それと、なるべくすみやかに任務を完了して廃止するを適当とするもの、その中に五つほど入っておるのですけれども、この審議会等が。これは冒頭申し上げたように、行政審議会簡素化とか、あるいは活用、こういうような面については政務次官としても、先ほど趣旨は非常に賛成だしという御答弁があったわけです。そういう建前からすると、こういうふうに農林省には特にこういうふうな行政審議会からの答申の面に沿わないものがだいぶあるわけです、こういうものに対してどういうふうにお考えであるか、ただ考えるだけでなくどうするのか。答申がはっきり出ておるわけですから、まず任務を終了して廃止を適当とするもの、評価審議会、これについてはどうお考えですか。
  34. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいま御指摘の蚕糸の評価審議会、これにつきましては事実上任務は終了いたしておりますので、近い機会に廃止をいたしたいと考えておりますが、なおその他相当多数の農林省関係審議会がございますが、その多くは、実はたとえば積寒法でありますとか、あるいは畑地改良促進法と申しますか、または海岸砂地についての法律であるとか、そういうような地域に関するところの特殊立法のものが約八つばかりでございまして、これらはいずれも実は議員立法によって立法されまして、その議員立法の中に審議会も置かれておった性格のものでございます。しかもその中においては、場合によりますると年に一回くらい開かれたという程度のもののあることも事実でございます。しかしながら、政府といたしましては、法律で制定されました趣旨にのっとりまして、できるだけそういうような審議会の機能を十分に発揮するように運用して参った次第でございますが、これらはいずれも時限立法でございまして、今回そのうちの海岸砂地に関する法律と、それから畑地改良に関する法律におきましては、実は期限を三十七年の三月三十一日まで延長することの法律改正案を今国会にお願いをいたしておるのでございますが、御承知のように一方、農林漁業基本問題調査会の設置を来年度において計画いたしまして、これについて必要なやはり法案の御審議をお願いいたしておる次第でございます。この農林漁業基本問題調査会の考え方の線に沿って、一応この時限法律につきましても、三十七年三月三十一日まで期限をずっと延ばしておきまして、その際に一括して問題を考えていきたい、かように考えておる次第ですが、もちろんこの中におきましても、事実上それまでに必要なくなったというようなものができて参りますれば、その際にはそれまで待つことなく十分に検討していきたい、かように考えております。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私のお伺いしておるのは、行政審議会答申のうちで、いろいろ膨大なものがあるわけですけれども、そのうちで審議会等の整理についての答申があるわけですね。その答申の中に農林省の方がはっきり五つ含まれておるわけです。これはまだ答申政務次官はごらんになっていないわけですか。ごらんになっていなければ、これは私は読んでおると非常に時間を取るし、皆が長い名前の審議会であるので、一つ一つ読まなくても、その答申をごらんになれば五つの審議会が入っておるわけです。で、答申したその趣旨そのものは、なるべくすみやかに任務を終了して、近い将来にこれを廃止することを適当と認める。そういう意味答申をなされておる。この五つの審議会について農林省としてはどうするのかということをお尋ねしておるわけです。
  36. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいまお答え申し上げました通り、御指摘になりました五つの審議会は、いずれも地域立法でございまして、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法、湿田伝単作地域農業改良促進法、畑地農業改良促進法、海岸砂地地帯農業振興臨時措置法、急傾斜地帯農業振興臨時措置法の五つでございまして、それらはいずれも先ほど申します通り時限法に相なっておるのでございます。年限を切って、議員立法によって制定された法律でございます。従って、政府としては、議員立法として制定された法律の立法の趣旨にのっとつて、今までずっと運用して参った次第でございますが、先ほども申します通り、来年度から農林漁業の基本問題について、抜本的と申しますか、基本的な方向について検討いたしたいという趣旨から、農林漁業基本問題調査会を設置するごとにいたしましたので、それに見合いまして、大きな方向をきめます際に、同時にこういうふうな問題も検討して、それぞれあるべき姿にもっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  37. 横川正市

    ○横川正市君 まず第一にお伺いしたいのは、終戦後林野行政計画的統計的な一つの目標というものを持って逐次年次計画で遂行されてきております。年間のそれぞれ実績、それから計画との実績、これらの統計資料は年々お持ちになっていらっしゃるでしょうか。
  38. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) まず林道事業について申し上げます。林道事業では昭和二十八年に、……それでは今手持ちに資料がございませんので、林道事業それから造林事業治山事業についてのおのおの実績計画とについての資料を後ほど提出することにいたします。
  39. 横川正市

    ○横川正市君 それともう一つは、今もしお持ちなければ、それと同時に出していただきたいと思うのですが、国営林で植林したものとそれから原始林とに分けて、原始林は逐次これを倒伐するわけですが、大体どのぐらいの計画でこれを植林と入れかえていこうとされているのか、その点も一つ出していただきたい。
  40. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 承知いたしました。
  41. 横川正市

    ○横川正市君 それで、今の問題は資料が出てきてからお伺いいたしたいと思うのですが、もう一つは、国営林を持っております地方の近接する周辺に居住する居住者とそれから国営林を持っております地区の行政との関係なんでありますが、これは普通ならば、山間僻地へ参りますと、たとえば、冬季における新炭の払い下げ問題とか、それからもう一つは、林道等で交通機関を間接的に供給するとか、いろいろ利便が供給されておるようでありますが、こういった問題について具体的な種類といいますか、内容とか、そういったものについておわかりでしょうか。
  42. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 国有林の地元に対する施設といたしましては、一つは共用林の制度がございます。共用林の制度の内容は、地元の山村に対する必要なる薪炭の原木を供給するというようなこと、それから地元の山村の農家の放牧採草地に対してこれを国有林から提供いたしまして放牧採草の用に供するというようなこと、それから国育林においてたとえば落ち葉とか下草あるいはキノコというようなそういう副産物を地元に提供するというような、そういう制度が共用林として設けられております。それから次に、部分林の制度であります。これは国有林を地元に提供いたしまして、そうして地元がそこに植林をする、そうして伐採適期になった場合にそのできた立木を国有林と地元とで分け合うという制度でございます。それから国有林自身の仕事として伐木とか造材をやっておりますので、それに伴っていろいろな要らない枝条とか出て参ります。そういうようなものを地元に特配をするというような、まあそういうようなことをやって地元の振興に役立たせるということを実施いたしております。
  43. 横川正市

    ○横川正市君 たとえば最近ある地方で行われました知事の選挙に打って出た人の公約の中に、何県から何県に通ずる林道を作るから、そのことによって地元民その他の非常な利便に供する。そういうことが非常に選挙と結びついて公約をされているという事実があるわけですが、今言ったようなことは、国有林があるところには、行政上としてはこれは当然のおこぼれであり、それから隣接する住民に対しての利便の供給としては、これは万遍なく行われるものだというふうに思うわけなんですが、そういう供給されたことが、非常に個人と結びついて動いているというような事実は、あなたの方で承知していらっしゃるでしょうか。
  44. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 国有林林道は元来国有林自身の伐木、造材あるいは造林に役立たせる、すなわち国有林開発するための目的で作られるわけでありまして、それがその林道があわせて地元の山村に利便を与えておるということになっておることは、これはあり得ると思いますか、まあ、林道事業がそういう地元の利便だけを目的にしているというようなことはないと思います。そうして今おっしゃったようなことは私は存じておりません。
  45. 横川正市

    ○横川正市君 この問題は非常に個人的な名前を指摘しなければならないから、私もあまり問題にしたくないのでありますが、これは政務次官の所属する政党の全国区の候補者の当選率を大体見ていただくと、林野庁長官をやつた人は、必ず次の全国区に立候補いたしまして、そして必ず当選をするわけたんです。これはどうも私は国有林という国の財産が個人の利益に利用されて、その点で結びつきが非常に強く出てくるのじゃないかというふうに思っておるのでありますが、あなたはどうお考えでしょうか。
  46. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいまの御質問は、もしもそういうふうな関係が意識的に利用されるというふうな、またはそれによって林野庁の機関が動かされるというような事態が起りますると非常に弊害が生じますし、また、はなはだ不公平でもございます。これは絶対に避くべき事柄であると私は考えますが、しかしながら、たまたまそういうふうな官庁におったために昔からの知り合いであるというふうな関係から、その面の方が御投票なさるということはこれは当然の判断でございまして、これはわれわれとしていかんともいたしがたいことかと、かように存ずる次第でございます。
  47. 横川正市

    ○横川正市君 まあこれはそういう簡単なものでなしに、もっと内容の深いものが私はあるのではないかと思いますか、この点についてはまた後刻資料その他を見ながら御質問申し上げたいと思います。  次に、この林町関係行政に従事する職員の問題なんでありますが、普通は一番末端は日雇いとか、あるいは季節雇用とかそれからその上に行政上の末端の職員がおりまして、そしてそれぞれその行政事務に従事されているわけなんであります。これを見てみますと、大体今ここへ数字を持ち合せておりませんか、考え方だけをお聞きいたしたいと思うのでありますが、相当これは長期に原始林と植林との切りかえを逐次行われておるわけでありまして、そういう行われております関係から、相当永続的に雇用関係が持続するというふうに見ていいのではないかと思うのであります。その年次々々で植林の数量が増減をする、こういうことからくる部分的な雇用関係の増減は、これは別問題といたしまして、年間相当長期に植林の計画が進められていくわけでありますから、大体固定した雇用関係というものは、ずっと持続していくのではないかと思うのであります。そういう状態の中で、行政関係に従事する者、それから現場に言ってじかに管理監督をする者、それからそれらの管理監督の下で作業をする者、こういうふうに分けて、それぞれ職種をきめられているわけでありますけれども、これはどこで日雇いだとか、あるいは季節定員であるとか、あるいは職員であるとか、どこでこういうふうに判断をされておるのか、その点一つお聞きいたしておきたい。
  48. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) お尋ねの林野の雇用区分でございますが、雇用区分といたしましては、一つは定員内の職員と申しております定員による職員でございます。それ以外に常勤労務者とそれから常用作業員、定期作業員、それから日雇い作業員、それから日雇いと、こういう非常に雑多な種類がございます。その中で常勤作業員までは、これは雇用期間を定めないで雇っております。それから常用作業員につきましては一年を通じて――一年の雇用期間でありますけれども、二カ月ごとに雇用の期限を切ってこれを雇用をいたしております。それから定期作業員につきましては、これは一年のうち一定の期間継続して、六カ月以上毎年度反復して雇用するという建前で、それもやはり常用と同じく、しかしながら二カ月の期間を切って、雇用をいたしております。それから日雇い作業員といいますのは、一カ月以上、一カ月なりあるいはニカ月なりの期限を切りましてこれを雇用しておる。それから日々の雇いではこれは説明を申すまでもないことであると思います。従って、これは一つ国有林事業計画の特色とでも申しますか、非常にある事業については期間によって左右される。たとえば造林事典と申しますと、一年間造林事業がやれない地方がある。そういうものについては、やはり一定の期間だけの雇用というようなことに当然ならざるを得ないというふうなところもありますが、われわれといたしましては、できるだけ雇用の安定という見地から、国有林事業の実施の方法について工夫をいたしまして、できるだけそういった雇用の不安定のないように心がけて事業の実施計画を立てる、こういう方針でおります。
  49. 横川正市

    ○横川正市君 これは雇用される側からの大体希望というものから推察して、たとえば日雇いで雇用されている者の林野当切に対して、どのような希望を持っているかという点について調査したことがあるでしょうか。月雇いとか、日雇いとかという、その雇われている形式で、雇用されているものの雇用条件に対して林野庁にどういう要望を持っているか、そういう点、調査したことがありますか。
  50. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 私の方では直接調査いたしたことはございませんが、組合の方で調査をしたことがございます。それについての組合側の希望なり、実際に調査したものについても見たことがございます。
  51. 横川正市

    ○横川正市君 これは被雇用者から雇用者をみた場合、取扱いについては条件を示して契約をするから、その契約に基いて雇用された者は、それ以外の希望とか、要望とかというものは、これは出されても受け付ける必要はないんだという行き方で雇用条件を維持されておれば、現在のままであまり問題は起きないんじゃないかと思うのですが、たとえば月雇い、日雇いなんかの場合でも副業的に、季節に自分の仕事の手を放して仕事に従事するという人もいるでしょうし、もう一つは、ほとんど固定的にこの仕事に従事する、こういう場合もあると思うのでありますけれども、そういう人の雇用条件については変更すると、あるいはしてやりたいと、こういうようなことは林野庁としては考えておらないのですか。
  52. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) これはおっしゃるように、その地方の事情によって、あるいは個人々々によっていろいろ事情が違うと思います。そこでできるだけ雇用の安定をしてほしいというような要求のある場合には、専業計画についてもできるだけそういったことをはかるということに心がけたいと思いますし、また反対に、農閑期を利用したいということで、むしろ副業的な考え方でもってやっていきたいというような希望のところもありますので、そういった点も十分実情に合ったようにわれわれとしては考えて参りたい、こう考えております。
  53. 横川正市

    ○横川正市君 その実情に合ったように考えられるなら、雇用上の契約をもっとはっきりしたものにしてほしいという希望が出れば、そのようにあなたの方では雇用関係を結ぶと、こういうことで私は理解していいのですか。
  54. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 先ほど申しましたように、事業計画というものを毎年作ります。従ってその事業計画において、ある一定の計画を立てますので、その計画を立てる場合に、そういった要望にできるだけかなうようにしたい。ただし、計画の途中でもってそういう要求が出るとかというような場合等においては、ある場合にはそういう要望に沿えないということはございますけれども計画を立てる際には、できるだけそういう点を考慮したい、こう考えます。
  55. 横川正市

    ○横川正市君 それでは常勤雇用と、それから定期雇用ですか、この二つの関係は、雇用上の契約でどこが違っておるのでしょうか。常勤雇用と定期雇用との関係ですね。
  56. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 定期の場合は、年間引き続いて勤務をいたさないのでおりまして、大体東北方面に多いのですが、農閑期を利用して、その一定の時期に、六カ月以上継続して勤め、毎年そうやっていつも農閑期の時期に出てくる、こういう形態の雇用になっておるのが定期作業員でございます。それから常用作業員は一年ぶっ続けで勤務をいたす、こういうのが常用作業員であります。
  57. 横川正市

    ○横川正市君 給与上の差と、それから作業上の差についてはどうなんでしょうか。
  58. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) これはしかく明確に、常用作業員はこういう職種のものに従事をさせる、それから定期作業員はこういうものにさせるという、明確なる区分はございません。しかし概して事業の性質から申しまして、定期作業員は季節的なる、何と申しますか、労務者でありますので、大体造林事業等に非常に多いのでございます。
  59. 横川正市

    ○横川正市君 今の点はまた別の機会に委員会でいろいろ審議したいと思いますが、先ほど伊藤委員の質問ともちょっと関連いたしますが、国内で、この木材質源の需要に伴って供給する率と、それから需要をまかないきれなくて、現在はたしか南方からだいぶ木材資源を輸入をいたしておるようでありますが、その関係を、数量その他でちょっと示していただきたいと思います。
  60. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 南方から輸入しております大部分は、フィリピンのラワン材でございます。大体九百万石程度でございます。あと百万石程度がその他の地域、こういうことになっております。
  61. 横川正市

    ○横川正市君 まあ、年々国内で産する木材資源が、その数を減少していっておるわけなんですが、当面この植林をしながら需要に間に合せていくのには、これは現在の植林では追いつかないと、こういうような状況も見受けられて、年々この海外からの輸入がふえてくるという状況ではないかというように思うわけなんですが、それと同時に、この木材資源が、だんだん非常に交通の不便な地域に求めなけりゃならなくなってくる。それと同様に、この輸送賃であるとか、それから人夫賃であるとか、そういったものがかさんで、山ではほとんど木としての値いがないような状態で売買をされて、それか輸送賃、それから人夫賃その他を計算をして価格というものがきまるような状態で、それが南方から入ってくるものとの価格差で、実際上は国内資源を使うよりか南方から入ってくる資源を使った方がいいというような状況とか、こういったことは現在の木材需要供給関係で出てきているのか、きていないのか、あなたの方ではどう把握されているのか、その点を一つ数字がもしわかれば実際上示していただきたい。
  62. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 今の大体輸入の大部分はフィリピンでございますが、フィリピンは御承知のように、最近非常に合板事業が興って参りました。従っておそらくここ数年のうちには、だんだんフィリピン材を輸入に持つということは困難になってくるんじゃないか、こういう傾向でございます。従いましてわれわれとしては、今まで通りのような輸入はとうてい望めない。そこでやはり国内の生産を高める方がよりいいし、特に木材のような運賃その他が非常に高いものは、できるだけ輸入に待たないで国内の生産でやる、そこで先ほどからも出ておるように、さしあたっては奥地開発をやるということが一番急務であるし、実情に合うんじゃないか、そのためには林道事業に対して相当の力を入れる必要がある、こう私ども考えております。
  63. 横川正市

    ○横川正市君 その関係をもっと私の方でも実情をちょっと調べてみてからさらに質問したいと思うのでありますが、もう一つは、北海道あたりの原始林の状況をずっと見ておりますと、腐って立ち枯れしていく状況と、それからそれを促進しているのは、何といいますか、名前は忘れましたが、木についているコケが相当広範に木を痛めている。それに対してほとんど保林の態勢というものは全然とられないで、そのまま投げやりにされているというような状況がずいぶんあるようなんでありますが、結局原始林の場合には、相当人工的にいろいろなこういう木を痛める、ちょっと私は専門家じゃないからわかりませんが、状況を駆逐してやる人工的な手段というものか必要なんではないか。そういうことから非常に大切な資源相当腐っていってしまっているという状況が見受けられるのでありますが、それらに対してほとんど手をつけておらないのじゃないかと見られるのですが、林野庁では実際上手をつけておられるのか、それとも手をつけようにもつけられない状況なのか、相当まあ奥地に行きますとひどい被害があるようなんですけれども、この点についてどうされているか、もし何らかの手段をやっておられるのでしたら、その内容についてお知らせいただきたいと思います。
  64. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 今のはサルヲガセの問題だと思いますが、北海道の原始林には多いと思います。これは目下試験場で研究はいたしておりますけれども、なかなか実際にそれを防除するという手段を見つける衣でには至っておりません。従って今の現状では、まあ放置した状態になっておりますことは、はなはだ遺憾であります。もう少し研究の成果を待ちたいと、こう考えております。
  65. 横川正市

    ○横川正市君 それからもう一つは、木材資源活用して、たとえば王子製紙と同じような工場が最近北海道にあちこち出るわけなんですが、この工場で一年ごとにつぶしていく木材資源と、それから実際に植林をして成長していく木材との関係で、私はどうもつぶす方が少し多過ぎて、そして植林の方があまり進んでおらないのじゃないかと思われるのでありますけれども、これはまあ外国から木材資源を輸入して、ある程度、その工場の運転に差しつかえない程度資源確保できるときならばいいのでありますけれども、その地方の木材だけを利用して大きな工場が立っていく場合、実際上この資源というものを確保することは、これは非常に大切なことだと思うのでありますが、その点で林野庁では、工場が設立される、それから木材資源供給してやる、それから事実上そのあとへ植林をしていく、そんな関係では、実際上は将来あまり問題でなく、大体まあつじつまが合っていくのかどうか、その点どうなっていらっしゃるでしょうか。
  66. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 北海道ではおっしゃるように針葉樹につきましては、むしろここ何年かはずっと供給は減少するというような傾向にあります。しかしながら、闊葉樹の方については、広葉樹の方については、ある程度供給量もふえるという計画にはなっております。しかしながら、元来北海道自身の森林の経営の方針として、従来人工植栽をやるという方向には参っておらなかった。従って人工造林地をふやすといったことについては、非常に消極的であったということは事実であります。そこで、われわれの方で造林長期計画を立てまする場合にも、国有林昭和七十年までに三百万町歩をふやすという計画にしておりますが、そのうちで北海道に二百万町歩人工造林地をふやすという計画にしております。そうして北海道の唯一の資源である森林の蓄積を増大したい、こう考えております。
  67. 横川正市

    ○横川正市君 さっきのサルヲガセというものは、これは木を、枝の葉も、小枝も全部すっかり切ってしまって、そして幹だけにしてしまう、その幹に大きなうろですか、うろを作っていってしまって、最後には枯らしてしまうというような状態になっている。コケですかね、コケのことをいうのですか。
  68. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 一種のコケですが、要するに寄生草といいますか、そこであれはまだ試験の結果がはっきりしないのですが、非常に木が弱ったものにつくという考え方と、強い非常に元気な木でもやはりあれがつく、そして弱るというので、その辺がまだはっきりしないのです。従ってたとえば木の弱ったやつにつくということならまだ被害も少ないのですが、強い木でもあれに侵されるということになると、いろいろ対策が必要である、こう考えております。
  69. 横川正市

    ○横川正市君 その木の生えているところで、被害のある地帯を見ると、これは一本や二本じゃないのです。その地帯全体がやられるわけですから、相当伝染性があるんじゃないか。そうすれば若いとか年取ったとかいうことでなしに、一つのそういう条件の備わった木であれば、若い木でも何でも伝染をしていくのじゃないかというふうに私どもはちょっと見てきたのですが、それはどうなんでしょう、まだ研究ができてないということになれば、相当これは木材資源を食われていることは事実ですから、早く手当てをしないと、みすみすいい木を失ってしまうことになるわけですね。
  70. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) できるだけ急いで対策が立て得るような研究を促進したいと思っております。
  71. 千葉信

    理事千葉信君) 戸嶋部長にお伺いしますが、先ほど横川委員の質問の中で、要求のありました統計上の資料等については、次回の委員会でなければ間に合いませんか。
  72. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 今出しました。
  73. 千葉信

    理事千葉信君) ちょっと説明してくれますか。
  74. 若林正武

    説明員(若林正武君) まず最初に造林について出し上げます。昭和二十八年度三十八万三千町歩、二十九年度四十三万六千町歩、三十年度、三十九万八千町歩、三十一年度三十七万一千町歩、三十二年度三十六万八千町歩、三十三年度以降五カ年計画につきましては、合計いたしまして二百二十四万七千町歩国有林、民間林内訳につきましては、お手元に差し上げました資料をごらんを願います。  次に林道につきまして、申し上げます。昭和二十八年度三千八百八十六キロ、二十九年度二千七百三十四キロ、三十年度二千百九十キロ、三十一年度二千百八十二キロ、三十二年度二千二百八十二キロ、これが実績でございます。昭和三十三年度以降五ヵ年計画におきましては三万四千八百院キロ、年平均六千九百キロということに相なっております。  それから治山でございますが、昭和二十八年度三万五千三百六十六町歩、二十九年度二万六千三百八十八町歩、三十年度四万二千八百八十町歩、三十一年度、三万三千七百十八町歩、三十二年度二万五千六百四十三町歩、以上が実績でございます。三十三年度以降五カ年計画におきましては、二十六万円千三百七十三町歩、年平均五万三千町歩、以上でございます。
  75. 横川正市

    ○横川正市君 この林道の三十三年度、三十四年度は、大体もうこれは実施計画終ったわけですね。林道のことしの実施計画は三十四年度になるわけですね。
  76. 若林正武

    説明員(若林正武君) 実施は三十三年度から五カ年計画に基いて実行いたしております。
  77. 横川正市

    ○横川正市君 ことしは五カ年計画の二年目に入るわけですか。
  78. 若林正武

    説明員(若林正武君) さようでございます。
  79. 横川正市

    ○横川正市君 二年目の計画は、もう大体予算要求をしたときにはできておりますか。
  80. 若林正武

    説明員(若林正武君) これはできております。
  81. 横川正市

    ○横川正市君 その資料を出していただきたい。三十四年度の予算要求をいたしました資料を、あとから出していただきたい。
  82. 若林正武

    説明員(若林正武君) 予算要求の資料はございますか。……後ほどお届けいたします。
  83. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 農林省設置法の一部を改正する法律案について、簡単に二、三お伺いいたしたいと思います。まず、政務次官に伺うのですが、毎年少しずついろいろな機構の増大の法律案が出て参るわけなんですけれども、一体農林省全体として、機構合理化について真剣にお考えになったことがあるかどうか。かような増大案をお出しになるときに、先ほど伊藤委員等から審議会制度の問題が出ておりましたが、減らす方もあわせてお考えになっているかどうかという、ごく基本的な問題なんですが、まず最初に伺っておきたいと思います。
  84. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 先ほど伊藤委員の御質問に対しましてお答えいたしました通り、今回の機構改正におきましても、人員の面におきましても、統計調査関係の職員を約百名、これは本省関係じゃなしに国民年金関係の方面に振り向けるという形で減員した次第であります。その他は省内においての振りかえによって、それぞれ漁港部の設置でありますとか、農林漁業基本問題調査会の職員であるとか、農地事務局新設の職員であるとかいうようなものを、それぞれ配置転換をいたすことにいたしましたのでございます。もちろん、基本的には相当機構そのものについて検討を要する点もあろうかと存じますけれども機構改正ということは、えてして小さくいじりますと、かえって混乱を来たしまして、その間能率の減退を来たすということも考えられますので、抜本的な改正というような問題につきましては、また政府全体としての機会に譲ることにいたしまして、今回はとりあえず当面どうしても必要な意味のたとえば農地事務局の独立でありますとか、その他の改正いたしました。そうして行政事務能率化をはかろうといたしました次第であります。
  85. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今度名古屋に農地事務局新設をされるという問題に関連して、本省の農地局が四百二十九名の定員を持っておられる。それから地方の農地事務局は六局で二千五百九十一人の定員を持っておるわけです。この両方の定員のバランス、事務の適正な配分化というようなことには、むろん御検討あって今回の処置がとられたと思うのですが、念のために伺っておきます。
  86. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 御承知通り農地事務局関係の定員は現在四千三百五名に相なっております。それから本省の農地局は五百十名というのが現在の定員でございます。農地事務局の四千三百五名につきましては、現在農地事務勘が六局ございまして、そのほか名古屋には今回御審議願っております名古屋農地事務局の実は母体になりますところの名古屋農地建設事務所がございます。この建設事務所が実は三重県、それらから愛知県、岐阜県にわたる建設事業の所轄をいたしておるのでございまして、これらに従事しておる職員が現在四百十名配属されておるわけであります。農地事務局全体の定員が四千三百名でございますが、これらの人員につきましては、毎年各事務局管内の事業分量等を参酌いたしまして、そうして人員の事務局間の配置をいたしておるのでございます。農地事務局の、今回設置を予定いたしております名古屋農地事務局としては、定員としては新たに五名のこのたびの増を見たのでございますが、すでに実際上は名古屋建設事務所に約四百十名が配置されておりまするので、今後これらの建設事業のほかに、農地事務局となりますることによりまして、計画の業務、あるいは農地管理の業務もつけ加わりまするので、事務局全体の定員の配置につきましては、事務局設置に伴って当然検討しなければならぬと考えておるのでございます。従いまして、今四百十名と申し上げましたけれども、事務局ができましたあかつきにおきましては、この事務局なり、あるいは本省の定員の中から人員配置をいたす考えでございまして、大体今のところ五百名近くは農地事務局の方に配置することになるように予定いたしております。
  87. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私、今、定員の数を申し上げましたのは、三十三年度行政管理庁から出た資料に基いて申し上げたのですが、その後いつの間にやらというとはなはだ不勉強になりますが、約千八百人ばかり農地事務局の人数がふえておるわけであります。そこでまた現在は名古屋の方も四百十名が五百人くらいになるだろう、こういうお話なんですが、現在あります仙台、東京、金沢、京都、岡山、熊本の六局の配置人員はそれぞれ何名くらいでございますか。
  88. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 三十三年度の定員配分でございますが、仙台が九百六十六名、東京が六百六十九名、金沢が五百二十七名、京都が七百六十五名、うち名古屋の建設事務所の現在員が四百十一名、岡山が五百五十六名、熊本が八百二十二名、事務局全体として四千三百五名、こういうことになっております。
  89. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今のことを伺いますと、京都の七百六十五名が約四百名減ってあとが三十六、七十名になるわけですが、仙台は九百六十六名おって、これをまた将来分けるというようなことはもうすでにお考えになっておるのですか、これはあくまでもこの通りでおやりになりますか。
  90. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 先ほど申し上げましたように、新しく名古屋に事務局ができますと、四百十一名を大体五百名程度に増員したいと考えておりますので、従って各事務局間の定員の配分なりあるいは一部本省の人員を振り向けるなりということを考えております。
  91. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 仙台の九百六十六人は多過ぎるのですが、あるいはこれは二つに分ける必要があるのですか、ないのですか。
  92. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 事務局の定員の配分につきましては、先ほど申し上げましたように、事業分量に応じて配分する、その際のいろいろな基準といたしまして、たとえばその管内の直轄事業費の割合がどうなっておるか、あるいは補助事業でやる事業調査費がどうなっているか、あるいは直轄調査費の割合がどうなっておるか、それぞれの事業についての一応の基準を設けまして、それで配分いたしておりますので、現在、先ほど申し上げました各事務局の定員は、その事業分量の基準に応じて配分いたしておるのでございます。従って、事業分量の移動によりまして、事務局管内の定員の配置というものは異動があると、かように御了承願いたいと思います。
  93. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私の伺うのは、この京都から名古屋に四百名あまり出るでしょう、あとが三百名あまりになる。この三百人あまりが一つ管理単位であるとともに、仙台の約九百六十六人か一つ管理単位であるということが非常にアンバランスであると思うのですが、仙台はこのままでいいのですか、将来二つにお分けになるのですかということが伺いたい。
  94. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 先ほど申し上げましたように、たまたま事業分量関係で仙台が九百六十六名となっておりますけれども、仙台の管轄区域をさらに分けるという考えは、現在のところ持っておりません。
  95. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そういたしますと、つまり仙台は百六十六人であり、一つ管理単位としてそれで適当である、京都は七百六十五人じゃ多過ぎるから二つに分けるのだ、ちょっと納得がいかないのですがね、いかがでしょう。
  96. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 今回名古屋に農地事務局を設けましたのは、その管内におきますところの三重県、愛知県、岐阜県におきますところの農地事務局事業分量が、たとえば国の直轄事業でいきますと全体の一七%、約二割の比重を占めておる。そのほかに最近におきまする農地の移動関係で、いろいろの許可事務であるとか、調査事務であるとか、こういう管理事務というものが非常にふえて参りまして、特に中京におきましてはそういうふうな業務も非常にふえて参りまして、そういうことから事務の敏活な処理をする上におきまして、今の農地事務局におきましては、十分実情に即しないものがあるのみならず、現地における利便というものを考えました場合に、一々京都に参って連絡をするというふうなことになり、さらにまた、農地事務局から東京と連絡するというふうなことがありましたりして、そういう連絡便宜の面から事務局設置の要望も相当地元の方から要望されておるのが実情でございます。そういうようなことから今回名古屋の農地事務局というものを設けるのでございまして、事業分量の点から必要であるのでございまして、特に仙台について現在そのような必要があるというふうにわれわれは考えていないのでございます。
  97. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 青森の仕事は仙台へ持ってきますか。
  98. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) さようでございます。
  99. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 委員長に伺いますが、今横川さんから相当資料の要求がございましたが、きょう質疑を終了して採決にお入りになりますか、またはこの次までお延べになりますか、その関係質疑を次に延ばしたいと思います。
  100. 千葉信

    理事千葉信君) すぐ持ってくるというお考えのようですから……、じゃ続けて下さい。
  101. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それではなるべく伺ったことに対して私も簡単に伺いますから簡単にお答え願います。  木材の払い下げの形式は随意契約、指名契約、一般入札、大体どのくらいの割合になっていますか。
  102. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) ちょっとはっきりした数字を持ち合せませんけれども、大体随意契約が六割くらいだと承知いたしております。あとが指名競争入札でございます。
  103. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そこで政務次官に伺うのですが、随意契約が非常に多いことが、汚職の原因になるといって、しばしば問題になるわけなのですが、これはひとり農林関係だけではございませんけれども一般入札なり、少くとも指名入札ですか、これにもう少し割合をかけるような御配慮はおありにならないかどうか。それを少くするのには一体どうしたらいいかというふうなことをお考えになったことはございますか。
  104. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいま八木委員の御指摘通り、原則として競争入札にすることが望ましいと思いますす。しかしながら、先ほど来他の委員の御質疑にお答えいたしました際に御説明申し上げました通り国有林は地元の山村との関連において、たとえば共有林であるとか、その他密接不離の関係にある場合が非常に多いような事情にございまして、そのために、場合によりまして非常に遠隔なものが入札を落して、そうして従来の設備なりその他のものが全部利用できないというふうなことのために、かえって混乱を起すようなことがありましても、全体としておもしろくないというふうな観点から、漸次競争入札の方向に移しては参っておりますけれども、なおそういうふうな特殊な地元との関係におきまして、随意契約の部分が残っております。かようになっております。
  105. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 その資料をこの本案が決定してから後でもいいですから一つお出しを願いたいのと、本年度その原則の方に近寄る一体目標というものはどのくらい考えているか、たとえば随意契約を少くとも四〇%まで減らすとか、そういう考えはないとか、大体われわれの考え方からいけば、会計法規からいきますれば、一体随意契約が六割以上もあるというようなことは非常に違法なことで、今の政務次官の御答弁の点も、ただ例外をジャスティファイするだけの話しで、六割ということの説明に私はならぬと思う。そこで農林省ではこういうことについて真剣にどの程度考えておられるか、その考え方もあわせてその資料に添付して御提出していただきたい、かように思います。
  106. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 承知いたしました。
  107. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、林木育種場について伺いますが、現在試験場が全国に相当あるはずなんでありますが、試験場の分場やそれから支場に合せてこれを設置するということについては何か支障がございますか。
  108. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 現在試験場は本場が一カ所で、支場が六カ所、分場が五カ所ございます。試験場の方では、主として育種関係で申し上げますと、育種方法論とかそういった面を重視し、それの研究をいたしております。今度新たに設けようとする育種場においては、むしろ実際に前を作って、そしてそれを供給するという事業をやらんとするものであります。従って、農業の方で申しますと、原々種圃五カ所を今度新たに設立いたします林木育種場に作る。そうして、それを営林署、それから県にそこで作った原々種を流しまして、そこで今度は原種圃で苗を作りまして、さらにそれを造林する人、あるいは苗木業者というようなものに配布する、こういう仕組みに考えているわけであります。
  109. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私もなるだけ簡単に伺いますから、要点だけ御返事いただければいいのですが、林業試験場支場六カ所はどことどことどこにありますか。
  110. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 北海道、青森、秋田、岡山、熊本、京都、それだけでございます。
  111. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 その中に一緒に作っても別に病毒がどうとか何とかいうようなことは私はないと思うのですが、たとえば岡山に作るにしても、別のところに作るという必要はどこにあるのですか。
  112. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 先ほど申しましたように、試験場自身では、育種方法の研究ということにつながりがあり、またそれを目的としております。しかしながら、今度の育種場の問題は、造林事業に必要な国有林なり、民有林一般事業の用に供するものを現実に育てて配布するということでありますので、相当面積を要します。大体、二十町歩余を考えておりますが、従って、そういった適当な場所が得られないということ、それからなお、育種事業については気候条件も考えまして、おのおの気候条件によって、大体五つの気候条件をひとしくするブロックを考えまして、そしてそこの気候条件に合った品種を育てて参るという行き方であります。
  113. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 つまり広さの問題で一緒にならない、こう考えていいわけですか。
  114. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) それと気候条件、おのおの気候条件に合った品種を育てていくという点もあります。
  115. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それから今度は林業講習所のことを伺うのですが、これは今度支所ができれば、現在東京でやっておった何割ぐらいをここで持ちますか。
  116. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) これは北海道の国有林野が、現在国有林野となっておりますものは、昭和二十一年までは北海道の経営いたしておりましたものであります。すなわち、内務省所管ということで経営をいたしておったものが一つ、それから御料が経営しておったもの、そしてその二つの種類のものが一緒になって北海道の国有林町ということで統一して、林野庁がこれを預かるということになったわけでありますが、従来の北海道の林業経営に対する方針は、いわゆる人工植栽による造林というものか非常におくれておりました。むしろ消極的に取り扱っておりました。そこでそういう技術が、北海道に在来からいる職員については相当おくれている。しかも、今度は北海道自身が、相当重要な木材資源供給場所にしなければいけないという計画を持っておりますので、そこでその需要に応ずるためにも、そういった職員の養成を急速にはからなくちゃいけない。しかし、なかなか内地の職員を交流いたしましてそこに持っていくということも相当困難でありますので、まず現在いる職員、北海道に在勤する職員の技術の向上等をはかっていきたい、こういう趣旨であります。
  117. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私の伺っているのは、今東京の林業講習会に来ている人が、北海道に支所ができれば、そのうちの一割がそっちに行くのか、あるいはこっちに来ているのではなく新しいのをあっちにやるのか、そのポイントだけを返事して下さい。沿革はもう聞かなくてもいいのです。
  118. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 現在東京でやっております職員の再教育としての者は、これはそのまま再教育をして北海道にやりますが、元来そこの支所でやります者は、大体北海道在勤の者を主眼にしております。
  119. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そうすると、つまり今東京へ来ている人は依然として東京にいる、新しい連中を北海道へやる、こう了解してよろしいですね、新しく講習を受ける人が北海道へ行ける、今まで来ている人は依然として東京に来るのだ、講習とかの関係で東京に来る。北海道は、新しい人か新しい講習をやるためにそこに新しく設ける。それだけふえるというのですが、そういうのだと言うのですか違うのですか。
  120. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 大体そういうことでございます。
  121. 千葉信

    理事千葉信君) 八木委員に申し上げますが、御質問の御都合、順序があろうかと存じますけれども先ほどの問題になりました資料が届くには、まだ若干の時間がかかると思いますが、できれば議事は都合上、ここらで一時両案に対する質疑は中断して、河井文化財保護委員長も来ておられますので、そちらの方に入りたいと思います。そういうことで御異論ございませんか、……。   ―――――――――――――
  122. 千葉信

    理事千葉信君) それではこれから両案に対する質疑を一時中断しまして、文化財保護委員会所管事務関連して、奈良正倉院の重要文化財保存のための環境保全等に関する件について、八木委員から発言を求められておりますので、これを許します。
  123. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 文化財保護委員会委員長にお伺いいたしますが、数日前に、文化財が地方でかなりひどくなっておる現状であるので、文化財保護委員会から各官庁の出先機関に警告を発せられたという新聞記事を拝見をいたしたのであります。大へんけっこうな警告だと思うのですが、そこで、私きょう実は、特に河井委員長ほかの御臨席をお願いしましたのは、前々から問題になっておりました、御承知の点の正倉院の観光道路による御物の汚染の問題なんでありますが、一週間ばかり前に私その後どうなったかしらと思いまして、実は私奈良に参りました。そうして、あの正倉院の近くの道路その他をしさいに視察をして参りましたのですが、あの正倉院の北側とそれから西側の道路の舗装、御承知通り会社が厳重にやるとしばしばお約束になっておる道路が、かなり荒廃をいたしております。あれの北側の方は、両側、はなはだしいところは一間あまりももう普通の土が出ております。少いところでも四尺ぐらい出ていて、砂塵がもうもうと相変らず立っております。それから西側の方はもっと激しくて、ほとんど半分というか、小くとも四割ぐらいは舗装がとれております。そこで、私委員長に申し上げたいのは、各地方に御注意になるのは非常にけっこうですけれども国会でしばしば問題になっておるあそこの道路が、あのようなことではお手並み拝見と言いたいような形なんで、一つ厳重にあれを舗装するように、奈良県当局を通ずるのか、手続のことはよく私知りませんが、舖装するようにおっしゃっていただきたい。ことに、この前も私ここで、その書類がどこへいったかわからぬというようなことを、たしか岡田事務局長がおっしゃったように思うのですけれども、あの会社から出ている舖装の約束は、栗石の上に五センチのコンクリートでするという指定書がちゃんと出ておるのです。これは私どこから手に入れたか忘れちゃったのですけれども、正倉院の事務所にもコピーがありまして、これは会社が文化財保護委に出したものが、さらに宮内庁当局から私の方に来たのじゃないかと思うのですが、あの約束通りさっぱりできておらぬのを黙っておられるのは、私どうも心外でならんのですがね。どうぞ一つ即刻大急ぎでやっていただきたい。あの当時問題になりましたときには、自動車の交通量も年に三万台だったのですが、昨年の三月からことしの一月までのドライブ・ウエイの自動車交通量の調べを正倉院の事務局で伺いましたら、バスが年間一万五千七百五十四台、トラックが五千二百二台、乗用車が三万九十八台、合計五万百五十四台、つまりバスやトラックでさえ、年間二万台その舗装がこわれておる道路の上を走って砂塵をもうもうと立てて、そうして東京国立文化財研究所保存科学部作成の資料「空気汚染の美術品に及ぼす影響」には、あの道路の砂塵が、正倉院の御物に悪影響を与えているということをはっきり報告しているわけですから、内閣委員会の決議の趣旨もございますし、もう少しあれの保存に対して、文化財保護委員会が積極性を持たれるということを、私は特にお願いをしたい。土地の人も非常に憤慨していると思うし、われわれとしても現状を見ると、御老体をここに御出席をわずらわして一言申し上げたいということにならざるを得ないので、一つ善処を要望したいと思います。
  124. 河井彌八

    政府委員(河井彌八君) 八木委員の御注意は非常に適切な御意見であると敬承いたします。実は昨年でありましたか、内閣委員会において決議をされたのでありますが、文化財保護委員会におきましてはその御決議を待つまでもなく、あの道路の許可をいたしましてから条件をつけまして、そうして、ことに今御指摘になりましたようなあの舗装の道路、しかもはなはだ不完全というようなものに対しましては、常に修理を怠ることのないようにという条件を付してまでやっておるのであります。自来、委員会といたしましては、奈良の教育長及び県の教育長、あるいはその文化財の課長などの来るたびに、それからまた、こちらからもずいぶんいろいろな機会におきまして奈良に出張いたしまするたびごとにこの問題はむしろ神経過敏になるぐらいにやかましく申しております。私なども、昨年の十月でありましたか、ほかの用事で参りましたけれども、やはりあの場所を特に見回りまして、そして、これではいけないということで、ずいぶん厳重な忠告をいたしております。しかし、何と申しましても、ただいま八木委員のおっしゃられましたような実情でありまするならば、どうしてもこのままこれで安閑としておるわけにはいきませんからして、もちろん厳重にこのことは忠告をして、そうしてすみやかにその舗装のできまするように努めたい、こういうことをはっきり申し上げておきます。
  125. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 昭和三十年の四月の五日だと思うのですが、日本肥鉄上開発株式会社の社長から、文化財保護委員長に契約書が入っております。その契約書には、正倉院宝物を自動車の通行による塵埃等から切除するための舖装を別紙の通り施工し、と、これは昭和三十年の四月にこういう一札が入っております。そしてその別紙というのはここに私、持っていますが、新若草山ドライブ・ウエイ舗装計画図というものがちゃんとある。これは、着工期日が三十年十一月下旬、工法は瀝青乳剤浸透マガダム、延長は、第一次がメートル、第一次が百五十メートル、第三次か百五十メートル、工事予算が、第一次が三十六万円、第二次が五十四万円、第三次が、五十四万円、こういうはっきりして、しかも図面がついております。ところが、この北側の百メートルも、西側の、これは三百メートルぐらいになりますか、一つもできていない。今、委員長のお話しでありますけれども、私、この正倉院の問題が出てきてから、おそらくあそこへ三回か四回参りましたけれども、一回もこれに対応した舗装を見たことがない。私は一週間ほど前に行って、横が三尺も四尺も五尺も土のままになっておりますが、前に行ったときと少しも状態が変っておりません。だから、昨年委員長がおいでになったときにどうごらんになったのか知らんけれども、私の見方が非常にきびしく厳格に見る、あるいは文化財御当局はゆるやかに見るという違いはあるかもしれないけれども、私の行ったときとちっとも変っていない。そこで、この栗石の上へ五センチ・メートルの舗装をするというこの方法がとられなければ、通行を停止するとか、損害賠償を取るとか、むろん今から四年も前のこの予算ではできないことはわかっていますが、会社がこういうことをしなかったら、どういう行政措置があるか、それを私伺っておきたい。
  126. 河井彌八

    政府委員(河井彌八君) ただいまの御指摘の点でありますが、二十年のときと、その後に路線が変更しておる関係であると考えております。しかし、どちらにしましても、ただいま御指摘のような極端な道路が入る、路面が入るということは、これはどうしても許されませんから、厳重な警告を発しまして、そして、それでも聞き入れなければ、やはり適当な処置をとるほかはない、かように申し上げておきます。
  127. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今、路線変更のお話がありましたが、詳細は私はあまり触れたくありませんけれども、あそこの今申し上げましたところは、路線変更のところでなくて、初めからきまっておるところじゃないかと思う。路線変更は知足院の周囲、旧三百メートル、四百メートル、ここは変更も何もないところだと思うので一言だけ申し上げておきます。それからこの点にあまり時間を取ることは私は希望しませんが、もし向うがやらない場合、私はやるという誠意のない会社だと思っておりますから、やらない場合は、どういう行政措置をとるか、第二段の方策を私は伺っておきたい
  128. 河井彌八

    政府委員(河井彌八君) こちらの命令がどうしても聞き入れられない場合におきましては、やはり文化財保護の立場から厳重な処置をとります。そのことを申し上げます。
  129. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 その厳重な処置というのは、具体的にどういうことですか。
  130. 河井彌八

    政府委員(河井彌八君) それは、法律に規定してありまする罰則の適用までいかなければならぬと考えます。
  131. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それからもう一つは、観光道路から横にゴルフ場への道ができております。あれは不許可になっておるという話でありますけれども、現在自動車が通っておりますが、あの事実は御承知ですか。
  132. 岡田孝平

    政府委員(岡田孝平君) ちょっと、先ほどの正倉院の北側西側の道路の舗装の問題でございますが、これは何回にも分けて実施いたしております。第一回は三十年の九月、北側百二十メートル、第二回は三十一年八月、北側百メートル、第三回は三十二年六月、北側残りと、西側の一部約百二十メートル、第四回は西側残り百十メートルというふうに何回も分けまして実施いたして、合計六百五十メートルの舖装はいたしておりますが、お話しの通り、これは不完全でございまして、ときどきこれはいたみますので、いたみました際には、ぜひ補修をいたしますようにということを厳重に注意いたしておりますが、先ほど委員長の御答弁の通り、厳重に一つなおその点を督励いたしたい、かように考えております。 それからただいまのあとの御質問の、大東善治なるものが、一部跡の指定地域内に通路を設けたというのでありますが、これは実は、正倉院のわきの観光道路を全面的に再検討いたしまして、そうして、途中の山の裏のところからずっと北側に柳生街道の方に抜けた新しい路線を作って、そうするならばこの正倉院に対するほこりの被害の問題は、根本的に解決するだろうということで、昨年来、奈良市、奈良県、奈良教育委員会、県教育委員会、それから建設省、宮内庁、私どもというふうに関係者が寄り合いまして、熱心な審議を続けて参ったわけであります。何回も今申し上げました関係者の会合をいたしまして、ぜひその新しい路線を設けまして、これを都市計画道路の路線にいたしまして、そうしてこの問題を根本的に解決しよう。今申し上げました大東なるもののホテルに至ります通路の問題は、根本的な解決の問題と非常に関連いたしておりますので、あわせてその問題と一緒にして解決いたしたい、かようなことで、いまだ正代なる許可処分あるいは不許可処分もいたしておりませんし、何分の指示あるまでは現状通りとして、大東なるものに工事を進めないようにということは厳重に申しておるのであります。先ほど申し上げました関係者の会議が非常に熱心に持たれまして、特に宮内庁側で、正倉院擁護という見地から、ぜひこの根本的な路線を新たに作るということで解決したならば、これによってこの問題がすっかりなくなるであろうということで、ただいまの段階では宮内庁側でいろいろな資料を取りそろえまして、たとえば道路の路線が一部廃止になった、今までつけた道路が一部廃道になりましたその場合の肥鉄会社に対する措置はどうするかというような点につきまして、宮内庁側でいろいろな資料を取りそろえております。その資料ができましたならば、さらに関係者の会議を進めましてできるだけすみやかにこの問題は解決したい、ただいまちょっとおくれておりますけれども、その問題の解決と合せまして今の大東なんかの問題を解決したい、かように考えておる次第でございます。
  133. 松岡平市

    ○松岡平市君 どうも私は先ほど来、文化財保護委員会の御答弁を聞いておると、きわめて熱心にとか、厳重にとか、すみやかにとかという言葉をたくさんお使いになるけれども、やっていらっしゃることは納得がいきません。八木委員お話しでは舖装してないとおっしゃる、御当局にはいや舗装はしたのだ、それがこわれている。だからそれを直せということは厳重に示達しておるところが、八木委員は現地をごらんになって、ほとんどもう舗装の格好もない、こういうような状況であって、正倉院の御物の被害は日々進んでおる。御当局の話を聞くというと、まあ別な計画があるから、その計画が達成されれば、その問題は解決するから、その別な道路計画に宮内庁が中心になってきわめて熱心にやつておる、道路を直せということは厳重に警告しておる、これじゃ話にならんですよ。これはもう全くそれはだれよりも最も熱心にあなたのところの委員会というものは、正倉院の御物は、日本のみならず世界にかけがえのない宝であるところのあの御物の保護ということについては、これは格段なる御注意をなさっていらっしゃると思うのだが、それが今、日々、八木委員指摘されるような被害をこうむりつつあるというのに、厳重な警告を発しておる、熱心にそのほかの方法考えておるということでは被害の進行、被害が重ねられるということについては、何らの措置ではないと思う。それでいいものか、よければそれは話がつくまで被害が、どんなほこりが立とうとも仕方がないということでしょう、厳重に報告はしていらっしゃるかもしらぬけれども、警告を聞いてないことは事実ですね。だから八木委員は今どうするんだということを聞いていらっしゃる。今までもたびたび河井委員長のお話しでは、奈良県当局その他にもしばしばしておられる。やっておられるけれども、これはもうこの問題について八木委員がこの委員会でしばしば当局の留意を促すような発言をされたことは、私たちもたびたび聞いておるのであります、状況一つもよくなっておらん。これは重大なことですよ。権限がなければないということをはっきりおっしゃって、下さい。あるなら、はっきり、いついつかまでにどうするということをはっきりしていただきたい。私はもうこういう段階になってきて、ただこういう委員会に呼ばれたならば、厳重に注意いたしますとか、そういうことを繰り返しておられて、八木委員の心配しておられる正倉院の御物の保護というものは一つもされておらんということで、そういうことを繰り返すことはやめて、委員会当局のはっきりした決意をお聞かせ願いたい。それはその道路ができるというようなことは将来あるかもしれん、将来のことです、できたらそんなことは問題なくなるけれども、今論議されておることは、できるまでの現在の被害をどうするか、答弁になっておらん。私はかように考えますが、一つその点についての委員会側の御所見をお聞かせ願いたい。
  134. 河井彌八

    政府委員(河井彌八君) 適切な御意見を伺いましてありがとうございます。われわれ委員会といたしましては、すでに一昨年の三月三十日に会社に対しまして厳重な命令を出しました。そしてそれが実行を期待しております。しかし実際にこれを見まするときに、これはそのときによりまして多少の違いはありまするけれども、それがその条件の通りに履行されておらないということが相当あります。でありまするから、これまでいろいろな手段をとりまして、あるいは現地に人を派し、あるいは奈良の教育委員会をしてこれを督励いたしまして条件の履行を迫ったのでありますが、今、八木委員のおっしゃったような程度にまで、あれとは私は考えておりませんでした。繰り返しますが、私は昨年の十月に現地に参りまして、そしてその実情を見まして、これではいかんということで、やはり厳重に警告はいたしましたが、しかしそれでもなお今後ただいま八木委員の御指摘になるがごときことがあります以上は、これに対しましてすでに条件において示してありまする通りの、つまり罰則の適用なり、何なりすべてこれを即座に実行しよう、こう考えております。   ―――――――――――――
  135. 千葉信

    理事千葉信君) ただいま委員異動がございました。増原恵吉君が辞任されまして、仲原善一君が委員に選任されました。以上御報告いたします。   ―――――――――――――
  136. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 さっそく明日にでも一つ責任者を御派遣になりまして、そしてもしあそこを何日までにやらなければ、もうあそこの通行を全部差しとめるというような行政上の措置は、文化財の保護委員会の罰則があるのだから、その罰則もやっていただきたい。  それから先ほどの岡田局長の答弁によると、声が聞き取れないところもあったのですけれども、ゴルフ場の、今無許可のところを自動車が通っているのを、新しい路線ができるまで待っているというのは無許可を黙認するというその態度が困るのですね。やはり無許可のところを自動車が通れば、そのほこりが正倉院に入るのですから、無許可なら遅滞なく通っちゃいけない、これは明らかなことだと思うのですが、結局新路線は六千万円で国が四千万円、地元が二千万円、柳生街道の方へ抜けるのです。これは横道の方へ抜けるのです。この前内閣委員会で決議をしたときに路線の変更ということをつけ加えておいた。それは柳生街道をこっちとしては意味している。ところがそのときの委員長の答弁は、これは速記録にも載っておりますけれども、路線の変更等をぜひやれという趣旨でないと考えているという御発言がありまして、私は非常に不満だったけれども、実は黙っておりましたが、その路線変更が現実に出てきた。出てきたけれども予算は国の方で四千万円取ったからいいと思うのですけれども、それは来年度だ。その路線の変更まで許可のないところに自動車が走っているのに黙って見ていると言ったら、文化財の立場はこれは今度出した通牒と、およそ今、松岡委員の言われたように話しにならんと思うのですが、その点どうなんですか。
  137. 河井彌八

    政府委員(河井彌八君) 重ねて申します。今のどういう手段をとるということは、私の方が自由に決定いたしますからおまかせ願います、しかしながら、すでに八木委員の言われたような実情であるならば、現状に臨んで適当な措置、先に申しあげましたような決意を持って解決をはかることをはっきり申し上げておきます。  それから実は私は昨年の十月にあの大東という者の経営しております宿屋のようなもののところをやはりよく見ました。そしてそれはすでに許可されておりまするあの肥鉄会社の専有の車道であります。それからその宿屋に向って道を開いて、その道を開くであろうということが奈良県から通知があった、知らせがあった。それでそれはいけないのだ、これはその文化財で指定してありまする大切な名勝地区であるのだから、そういうものをやってはいげないのだ、それからなおそのわきにゴルフ場、ゴルフ場といっても、何か練習場かなんかのようでありますか、それもまた絶対にいけないのだということを、その当時からはっきり言ってあります。しかしながら、やはり何といいますかしりませんが、県の当局が許可したとかなんとかいうよりなことがあるのじゃないかと思いますが、とにかくそれが侵されておるのであります。私が行ったときにはゴルフ場は使っておりません。今日でも使っておらないというような報告を最近まで私は聞いております。そしてそれを信用しておるのであります。ただしかし、ホテルの入口だけはどうも使った形跡がある。私が行ったときにその形跡があったのです。ホテルを開業しておったかどうかは知りませんが、そういう形跡があった。だからこれはいけないということをはっきり私は申し渡して、そしてそれをさしとめるということまで言っておるのであります。しかし、その後自分はそれを実地に見たわけではありませんから、わかりませんが、これも同じようにやはり相当な処置をとる、こういう考えを持っております。はっきり言っておきます。
  138. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私はゴルフ場を実際やっておるかどうか知りませんが、観光道路が史跡の中を、大きな道がついておることは事実です。その道はおそらく不許可になっておると思うのです。史跡の原状変更の許可が出ておらないとすれば、あの道そのものは短かい道ではありますけれども、とにかく史跡の中の原状変更には間違いない。おそらく、つまり不許可が無視されておるということは、根本は最初から観光道路を無許可でいろいろなことをやったことがだんだん影響しておる、こういうことであります。しかし時間を取りますから、この辺にしておきますが、もう一点だけで私の質問を終ります  平城宮のあとに三軒か、四軒家が立っております、私は自転車の預り所かなんかであれば、何も史跡の中に特に新しい建物を建てる必要はないと思うのですが、あれは御許可になったように承わっておりますが、御許可になったのですか。
  139. 岡田孝平

    政府委員(岡田孝平君) 平城宮趾に個人が自分の所有地に家を建てるという問題が三軒お話しのようにございました。これにつきましては、ずいぶん慎重に文化財専門審議会でも議論を重ねたのでございますが、まずそれを許可、不許可処分するに先立って、その土地を発掘調査いたしまして、どういう遺跡があるかということを調べて、その後にこれを決定しよう、こういうことになっておりまして、まずその発掘調査をいたしたのでありますが、その結果は、わずかの部分でございますから断定的なことは、まだ結論は出なかったのでございますけれども、やはり昔の遺跡が相当発見されたのであります。それが何であるかということはわからなかったのでありますが、重要なものがあるということは発見されました。でしからばそれを許可するかどうかということにつきまして、さらに専門審議会等で十分審議をいたしましたけれども、この問題の解決のためには、まず平城宮趾を全面的に発掘の計画を立てまして、そしてどの部分が最も重要であるか、どの部分が比較的重要でないかという全体の見通しをたてる。そのためには国で予算を取りまして、平城宮趾の全面的発堀調査をいたしたい。できるだけ早くそれをやりまして、そして比較的、重要でない部分には家を建てるということも許可する。重要な部分には許可しないということをいたしたい、そうでなければ、個人の所有権に対しまして不当に侵害を加えることにたりやしないかというような点を慎重に考慮いたしました結果、とりあえずこの三軒につきましては許可をいたしました。そして今申しました全面的な発掘調査をやることにいたしまして、来年度の予算に必要経費を取りましたので、できるだけ早く全面的な発掘調査をいたしたい。それによりまして今の恒久的保存の方針、対策を立てたい、さようなことになったわけであります。
  140. 松岡平市

    ○松岡平市君 今、八木委員から質問されて、保護委員から御答弁になった自案については、八木委員指摘されたことと、それから御当局の答弁との間にかなり距離があって、事態はかなり重大だと思う。これは私後刻御相談申し上げまして、委員会から調査団を、当委員会に支障のない範囲において至急調査団を派遣して、そしてこの委員会としての……。どうも私は率直に申し上げて保護委員会の方の御態度をいささか、従来、少くとも今委員長が非常に決然たる御決意をお述べになったけれども、従来これはもっと早くそういうことをやらなければならなかったのを、今日までじんぜん日を過しておられるということについては私は非常に遺憾に思う。これはどういう状況であるか。要すれば私はもっと調査団を派遣していただきたいということをこの機会に一応委員長にお願い申し上げておきたい。  それからもう一言お聞きしたいのだが、一体重要文化財の保護の立場から名所、旧跡、それぞれ重要文化財に指定されたもの、天然記念物に指定されたものの保護ですね。これらの保護というものに対しては警察等が十分な協力をしなければ、その保護は必ずしも完全にいかないと私は思う。現にこれは委員長もお聞きになったと思うけれども、京都あたりの指定された重要な建物に向って、子供たちが自由に石を投げるとか、それを禁止する立札を立てれば、これを持っていく。あるいはそういう境内を犬の運動場にして、そして建物を汚損するというようなことを平気でやっておるものが、全国的に非常に多い。修学旅行に行ったものは落書きをする、あるいはそれにナイフで柱にいろいろなことを彫り込むというような事態等も相当に頻発しておって、新聞等にて非難されておりますけれどもこういうものがさして足止されておるというふうには考えられない。これはそういうことについて警察等にどういうふうな協力方を求めておられるのか、今後そういうものについてはどういうふうな措置をとられるのか。この機会に明らかにしておいていただきたい。その点一点をお願いいたします。
  141. 河井彌八

    政府委員(河井彌八君) どうもこれは日本人のくせかもしれませんが、学校の先生が修学旅行に連れていってそして子供――先生まで落書きをするがごとき事態もございます。それから大事な建物等をこわしてみたり、あるいはいろいろな案内の標石、境界の柱などを倒してみたり、実にとほうもない間違ったことをやっております。私はすでに昨年のいつでしたか全国の、ことに被害のはなはだしい京都、奈良等の警察部長に何といいますか、通牒を出しまして、そういうことを厳重に取り締られるようなことまで要望いたしておきました。しかし、さらにそればかりではなくて、平素やはりこういう文化財を尊重しなければならないという教育、それは学校のみならず一般の関心を強く引き起すようなためには、それぞれそのときに応じまして、また一般にもそういう何といいますか、通牒というようなものを出して、文化財の保存に努めております。まだ十分ではありませんが、ありませんけれども、今日のような何といいますか、変な悪風がはやっておりまするときには、一そうこれを努めなければならない、こういうことで努力しておるつもりであります。
  142. 千葉信

    理事千葉信君) それではただいま松岡委員から提起されました正倉院の視察に関する問題につきましては、理事会もしくは委員会等で適当な機会に決定をしていただくことにいたしまして、正倉院の御物保存に関する質疑は、以上をもって終了いたします。   ―――――――――――――
  143. 千葉信

    理事千葉信君) それでは、先ほど中断いたしました農林省設置法及び水産庁設置法に関する質疑を続行いたします。まず、最初に横川委員から要求されました資料について、政府委員から発言を求められております、これを許します。
  144. 戸嶋芳雄

    説明員戸嶋芳雄君) 先ほど横川委員からお尋ねの三十四年度林道計画でございますが、民有林林道計画といたしましては、延長は千二百キロ、工事費にいたしまして四十五億七千六百万円、国庫補助金が二十一億九千三百万円、それから公団林道が延長丘十三キロ、工事費が六億一千万円、国庫補助金が三億一千二百万円、それから国有林が延長千二百八十四キロ、工事費八十二億九十五百万円、このうち関連林道が七十五キロ、金額にして七億九千万円でございます。
  145. 千葉信

    理事千葉信君) 御質疑おありの方は、御発言願います。
  146. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 漁港の新設関連して二、三お伺いしますが、昭和二十六年に漁港整備計画を立てられて、そうして三十年にその一部を改正された、それから三十三年にはさらに長期経済五カ年計画に即応するという建前から、五カ年の整備計画を立てられた。こういうふうに一度立てられた計画が次から次へと変更されているわけです。まことに一貫性がないわけですが、そういうことで漁港の整備が果して期待できるものかどうか、この辺の点が非常に納得しかねるのですけれども、どういう事情であるか。
  147. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 現在実行いたしております漁港整備計画は、昭和三十年に立てました第二次漁港整備計画であります。ただいま三十三年の長期経済計画で漁港整備に関する計画を立てたというお話しでございますが、実はこれは二十年に立てました第二次漁港整備計画を三十三年から三十七年までの間に完成したい、こういうふうな目標を立てた次第であるのであります。  ところで、今それではどういう進捗の状況か、こう申し上げますると、漁港整備計画の全貌といたしまして現在六百四港、事業費として五百十五億、国費として三百四十五億、こういう計画を立てておる次第でございます。ところで、昭和三十四年度以降に残っておりまするものは、事業費といたしまして三百七十億、国庫といたしまして二百四十五億、こういう状況にある次第でございます。そこで昭和三十四年度、おかげをもちまして漁港の修築に関しまする事業費は相当大幅に伸びた次第でございますが、しかし、それをもっていたしましても、昭和三十四年度末におきましての進捗率は、国費の支出について対してみましても三九%でございます。しかしながら、私は漁港の計画一つ計画が完全にでき上るのを待つまでもなく、その中間において不断に実態に合った是正をしていかなければならない、かように考えるのであります。と申し上げまするのは、漁業の実態が四、五年の間は非常に変って参るのでございまして、その実態に合せました漁港整備計画というものを立てる必要がある次第であるのであります。今回お願いいたしておりまする漁港部の設置も、量的な事業量の拡充に応ずる部分もございますけれども、むしろ質的に調査計画に関しまする業務を大いに拡充して参りたい。これはすでに今日の段階におきまして、三十四年度から次の漁港整備計画、これはすでに取り上げておりまするものの残りのものを実態に合すように修正いたしまするとともに、全体の漁港二千六百八十の中で整備計画に取り上げておりませんその他のものにつきましても、やはり必要に応じてこれを取り上げていく、こういう準備にすでに着手しなければならぬ時期に相なっております。かように考えておる次第であります。
  148. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 漁港法によって指定されたものが二千六百八十ですか。
  149. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) さようでございます。
  150. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そのうち六百四港については、整備計画に基いて修築工噂は進められておると、そいうことのようですが、そういうことになりますと、あとの残りは一体どういうことになるのか。
  151. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) われわれの漁港に関しまする事業のうちで、柱が三つございます。災害復旧のことは除外いたしまして、すなわち漁港修築と局部改良、それから海岸保全と、この三つの柱が上ある次第でございます。で、局部改良と申しますのは、漁港整備計画に乗っかっておらない港につきまして応急に防災的な工事をする、こういう必要に応じまするものでございまして、これによりまして毎年整備計画外に取り上げるべきものを取り上げて実施をいたす次第でございます。明年度の予算といたしましても、この部分に関しましては、全体の伸びの中でも非常に重点を持ちました伸びを考慮いたした次第でございます。
  152. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 その六百四港の指定された分について、これはすでに修築工事が進められておるわけですが、大体完成するのはいつごろですか。
  153. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 今年の漁港修築に関しまする予算が、今の三つの柱を全部申し上げますれば四十三億でございますけれども、漁港修築だけの関係のものが三十六億でございます。で、三十四年以降の残が国費といたしまして二百四十五億、従って、これだけの数字では、なかなか完成のめどが立ちにくい次第でございますが、幸いにいたしまして毎年着々と事業が予算の上においては伸びて参っております。その伸びを考慮いたしますれば、われわれが長期計画考えておりまする三十七年度には仕上げたいという目標には、かなり実現性が出てくるのではないかと、かように考えて努力をいたしたいと存じております。
  154. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 六百四港については大体わかりましたが、あとの残りの二千有余の分については次の計画があると思うのですが、大体大よそいつごろまでにこれを整備しようという御計画が、もしお考えがきまっておれば承わりたいと思います。
  155. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 明年度から調査計画樹立についての事業拡充して参りたい、かように考えておる次第でございまして、今これに関しまする具体的な計画を持ち合しておらない次第でございます。しかし、大体現在の漁港整備計画昭和三十六年あたりには、やはり全部新しい計画に切りかえていくという努力をこの二カ年間しなければならないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  156. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この漁港の整備ということについては、非常に大事な緊急を要することであって、これはまあ万人これを認めておると思うのですが、ただ問題は、全額国庫でやるわけでないので、地元の負担という問題が起きてくるわけですね。また、地区によっては水揚げの少いために漁民が生活自体に困窮しておる。そういう状態の中で生活費をさいて負担金を出さなければならない。そういうような事態考えられるわけです。事実また、そういうことを一部聞いておりますが、そういうことに対する対策としては、どういうふうに考えておられますか。
  157. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 漁港整備計画におきましては、現在御承知のごとく漁港を一種から四種に分けておる次第でございますが、ただいま非常に窮迫した、しかも負担金がなかなか出しにくいというふうな実態にありますのは第四種、離島及び交通僻地、こういう所であろうかと思うのであります。そこで、これに関しましては国の負担率を特別に増大をいたしておる次第でございまして、外郭工事に関する範囲内においては現在国が全額持つ、こういうことにいたしておる次第でございます。また、北海道に関しましても、北海道の漁林が非常に窮乏しておるという状況から同じく同様な措置を今日いたしておる次第でございます。しかしながらそれにいたしましても、その他の漁港につきましても、またそれらについても外郭工事以外の工事についての地元負担の問題がございますので、これに関しましては地方債の問題につきまして、不断に自治庁と連絡をとっておる次第でございます。今年度年度の途中で漁港についての地方債がつかないというふうな問題があったのでございますが、今年度の問題といたしましても折衝によって過般これが解決を見、明年度以降の問題といたしましても、漁港についても地方債を得に留保する、こういう話し合いに相なっておる次第であります。
  158. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この整備計画とは別に局部改良事業というものが平行して行われておるように聞いておりますが、この三十四年度の整備計画については、先ほどあったと思いますが、三十五億九千万円と聞いておりますが、この局部改良事業予算については、どのくらいの割になっておりますか。
  159. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 三十三年度予算におきましては二億円であったのでございますが、三十四年度予算におきましては三億一千八百万円と増額をいたした次第でございます。大体六割近い仕事の伸びを見ましたのであります。
  160. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この局部改良事業ですね、予算についてはわかったのですが、それで大体どのくらいの数を当てているのか、これを最後にお聞きして、時間の関係で質問を終ります。
  161. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 現在の漁港整備計画のあるという前提のもとにおきまして、その以外の局部改良を必要とするその他の漁港につきましての実態の調査をいたしまして、一応の計画を持っておる次第でございます。われわれとして今日緊急に局部改良を必要といたします港数は、五百八十八港、国庫といたしまして約十八億くらいの金が今後要るのではないか、かように考えておる次第でございます。
  162. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 簡単に二点だけ伺います。その一点は、漁政課の人員が四十七名、それから漁船課が五十九名、ところが今度昇格しようという漁港課は現員、三十六名で、五名ふやす。人員だけでは申されませんけれども、同じような、人員ではむしろ多い課がほかにおるのに、これだけ部に昇格する理由はどこにあるかという点が一つと、それからもう一つは、水産庁内部で余った人を持っていった方が、生糸検査所から人をつれてくるよりは、この仕事の上からよほどいいのじゃないか、というのはその余地がないのかどうか、生糸検査所の人で間に合うのかどうか。また人員が少くても今の漁港課の仕事は、高級な仕事だからというので、平均給料が今私があげたほかのところより高いのかどうか、それらの点、ごく簡単に伺いたいと思います。
  163. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 漁港課の仕事は、現在先ほど若干触れたのでございますが、現在の職員の構成の中で幹部的な指導的な役割をする職員の充実を必要とする、こういう状況にある次第でございます。従ってこれを一人の課長で統轄するということは、なかなか困難でございますので、部を設置して二課を設けまして、そうして先ほど申し上げました量の拡充ということに対応いたしますのみならず、先ほど申しあげました調査計画及び特にさらにつけ加えますれば設計、監督、こういう仕事をこれから拡充いたしたい、かように考えているのでざいます。私は四十一名の人数は、これは明後年度以降漁港整備計画の再検討等の段階に入りますれば、これは決して十分な人数とは考えておらないのでございます。これに関しましては、これを根っこといたしまして今後の増員を考慮いたして参りたいと、かように考えております次第でございます。また、水産庁内部で人のやり繰りがつかないかという点でございますが、水産庁の本庁関係におきましては、現在定員は一ぱいに要る次第でございます。水産講習所の教官あるいは船舶乗組員等にごく若干少数の欠員がございますが、これも早晩埋めていかなければならない次第でございます。従って水産庁内部における振りかえということは、現状においてはとうてい困難である。また水産庁の仕事も、あの発足当時から質的量的に非常にむずかしくなって参っておりますので、この機構をさらに縮小するというふうなことはかなり困難であると、かように考えている次第でございます。
  164. 横川正市

    ○横川正市君 これは農林水産委員会で当然審議される問題だと思うのでありますが、要望を申し上げておきたいと思うのであります。それは漁族の保護の問題と、それから漁民の生活水準の確保の問題と、それから生命の保護の問題、これは北海道の場合には、去年の冬に二つ、避難港の整備不足それから築港の建設が遅滞しているということから、二度避難しそこなって転覆して、人命をたしか十七、八名それからもう一つは十五、六、家族の目の前で死んでいるという事態があるわけです。そういう問題、それからもう一つ検討していただきたいのは、農産物やその他の場合には価格のある程度の安定策というものがあるのですが、これは漁民の生活の一つの水準確保の問題とあわせて、魚が非常にたくさん取れたときには、かすにしてしまって全くその値段が下落してしまう。取れなければ生活ができない。ある程度私は、これは魚族の保護、それから計画水揚げ、それから生活水準の確保、そういったものが一連とした計画の中で、今までのような野放図な水揚げをしないで、計画的なやり方というものが必要ではないかと、こういうふうに思われますから、その点で、いずれこれは別の委員会でいろいろ審議される項目になりますが、関係の機関で十分一つ検討していただくようにお願いをしたいと思います。
  165. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) ただいまお話のございました点は、実はわれわれ不断に追求努力をいたしている問題でございます。資源の保護培養をはかり、資源に見合った操業の規制をしていく、また沿岸漁村の窮乏している現状にかんがみまして、単に漁業を推進し漁獲をふやすということでなしに、漁民の所得を増大して生活水準を高めていく、また漁港の整備、あるいは漁船の建造に対する指導等によりまして船舶の安全性を高めていく、また水産物の価格の安定に関しまするただいまの御指摘の点等、いずれもそれぞれに実は現在実行中であり、明年度の予算においても、決して満足はいたしておりませんが、その線に即して拡充いたしている次第でございますが、一々お答え申し上げるのも長くなりますので、十分ただいまの御趣旨を体しまして今後努力をいたしたいと存じます。
  166. 千葉信

    理事千葉信君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認め、これにて両案の質疑は終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 千葉信

    理事千葉信君) 御異議ないと認めます。  それではこれより両案を一括して討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御発言もなければ、これより直ちに採決に入ります。  農林省設置法の一部を改正する法律案水産庁設置法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)両案全部を問題に供します。両案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  168. 千葉信

    理事千葉信君) 多数と認めます。よって、農林省設置法の一部を改正する法律案及び水産庁設置法の一部を改正する法律案は、いずれも多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する審査報告書の作成につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  169. 千葉信

    理事千葉信君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。   ―――――――――――――
  170. 千葉信

    理事千葉信君) 次に、衆議院送付にかかる科学技術庁設置法の一部を改正する法律案について、提案理由の説明を求めます。
  171. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいま議題となりました科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につき、御説明申し上げます。科学技術庁は、昭和三十一年五月に設置されて以来現在まで約二年有半を経過いたし、その間科学技術の依拠をはかり国民経済の発展に寄与するため、諸般の施策推進して参ったのでありますが、従来の機構が、科学技術に関する基本的かつ総合的な政策の企画立案という面では必ずしも十分とは考えられないので、これを十全の体制に編成することにより、科学技術振興に関する政府施策の遂行をさらに周密なものたらしめるとともに、あわせて科学技術会議の発足後、同会議の円滑にしてかつ効果的な運営に資するため、来たこれに加えて現在ますます複雑膨大をきわめつつある原子力行政に対処するため現機構の一部を改組する必要がありますので、ここに科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を提案する次第であります。 以下本法案につき、その概略を御説明申し上げます。改正の第一点は、従来の企画調整局及び調査普及局を廃止し、これにかえて計画局及び振興局を設けることであります。現在企画調整局は、科学技術に関する基本的な政策の企画、立案及び推進に関すること、関係行政機関の科学技術に関する事務の総合調整に関すること、関係行政機関の科学技術に関する経費等の見積りの方針の調整に関すること等をその所掌事務といたしておるのでありますが、従来ともすれば実務的な調整専務に労力がさかれ、基本的政策の企画立案が、第二義的に考えられる傾向がありました。今後は、科学技術に関する内外の動向の周密なる調査と分析、あるいは統計を基礎として科学技術に関する基本的政策は強力に推進せらるべきものと考えますので、今回の改正案におきましては、従来企画調整局、調査普及局で取り扱っていた事務のうち調査事務と基本的な政策等の計画事務に関する部分は、これを一体化しこれを新設される計画局の所掌事務とし、右に述べました要請にこたえ得る機構といたしました。これに伴い関係行政機関の事務の総合調整、科学技術の振興、普及等いわゆる行政的実務に属するものは、これを新設される振興局の所掌事務といたし、所掌事務の性格からみて事務を有機的に再配分することにより、効率的な施策の遂行を眼目といたしたいと存じております。  改正の第二点は、科学審議官の職務に関するものであります。現在科学審議官は、命を受け、科学技術庁の所掌事務に関する重要な方針の決定について長官を補佐することとなっておりますが、右に申し上げた今回の機構改正趣旨にかんがみ、科学技術に関する基本的な政策審議することが、科学審議官の職務のうちでも最も重要なものと考えますので、科学技術に関する基本的な政策審議を従来の職務から特に抽出掲記いたした次第であります。  改正の第三点は、原子力局に従来置かれている次長一人を二人に増員することであります。最近英米両国との間に原子力の平和的利用に関する協力協定も締結され、わが国における原子力の平和的利用は、今後さらに促進されることと存じますが、これに伴い増大する原子力価の所掌事務を円滑かつ機動的に運用するため、今回の改正案においては次長一人を増員いたしたいと考えている次第であります。  以上はなはだ簡単でございいますが、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につき出して御説明申し上げました。科学技術振興の重要性に対する皆様の深い御理解により、本法案が可決されるよう心から希望いたします。本法案の慎重なる御審議の上すみやかに可決されるようお願い申し上げます。   ―――――――――――――
  172. 千葉信

    理事千葉信君) 本案に対する資議は後の機会に譲りまして、次に、文部省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより本案の質疑に入ります。高見文部政務次官齋藤務参事官、福田社会教育局長出席されております。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  173. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 政務次官に時間の関係で二、三お伺いしたいと思いますが、文部省では各部局の所掌事務が最近非常にふえてきた。特に総合調整を要する事務が非常に激増してきた、そういうようなことで官房長を置きたい。そういうことのようですが、現在、官房長を置いてないのは、御承知のようにあなたの方の文部省と法務省と郵政省、この三省であるわけです。ほかの省庁はみんな官房長を置いておるのに、今申し上げた三省だけは置いていないので、そういう体面のこともあって官房長を置かれることになったとは断言しませんけれども、そういう点も考えられておるのじゃないですか、率直にお聞かせいただきたいと思います。
  174. 高見三郎

    政府委員(高見三郎君) そうじゃないかと聞かれますとそうじゃございませんとお答えするよりいた仕方ございませんけれども、実は私の方の事務も、最近御承知のように科学技術の問題にしましても、各関係省庁との折衝等の問題で非常に複雑になって参りました。従って今まで参事官をしてこれに当らせておりましたが、実はその点から申しますると、率直に打ち割った話を申し上げれば事務の問題もありまするし、今御指摘のような問題も全然ないとはこれは申し上げられませんので、これは率直にそういう問題もありますということを申し上げざるを得ないのであります。しかし、それが第一義の問題じゃございません。あくまで事務の総合調整という観点に立ちまして官房長を置くことを一つお許しいただきたい、かようなお願いでございます。
  175. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは文部省だけの問題ではないと思うのですが、大体各省庁に共通な基本問題だと思うのですが、大体政務次官の下に事務次官があって、またその下に官房長を置くと、総合調整の仕事というのは大体事務次官が従来やってきたであろうし、また当然事務次官で間に合うと思うのです。これは文部省だけがそうだと申し上げるのじゃないのですよ、各省庁みんな共通の問題です。そこでさらにこの下に官房長を置くというようなことは、屋上さらに屋を重ねるというような感じかするのですが、そういうことについてどういうふうにお考えですか。
  176. 高見三郎

    政府委員(高見三郎君) ごもっともな御質問でございます。これは官庁機構の面から申しますると、確かに御指摘のような点があると思いますが、しかしながら伊藤先生御承知のように、文部省が所管いたしておりまする仕事で、たとえばほかの省には人事部などというものを置いているところもございますけれども、御承知のように五十二の直轄の大学を持っております。これに加えまして、附置研究所だとか附属病院だとかいうものからいたしますと、実に所属人員は六万になりますが、これらの人事の問題あるいは一千七百億にも上ぼります予算で申しましても、この予算は文部省が自身で使いまする予算よりは、配分する素通りの予算の方が多い実態は御承知通りであります。従いまして文部省の場合は次官が統括すればいいじゃないか、こういうことはごもっともだと思いますけれども、これは内部調整をやります管理調整の面から申しますると、私は文部省が今日まで官房長のなかったことがどういうわけであろうかというような感じがいたしておったくらいでありまして、ぜひこの際官房長に次官の補佐役として内部調整の仕事を担当させる地位を一つお認めいただきたい、こういうお願いでございます。
  177. 横川正市

    ○横川正市君 関連して……。今の説明でちょっと納得しかねるのは、たとえば文書決裁の場合に、その官房長限りで文書決裁をする事務内容と、それから次官で決裁をする事務内容、それから政務次官を経由し、大臣によって決裁をするその事務内容等、それは官庁にはそれぞれ種別があると思うのでありますが、そういう事務の増加に伴って官房長を必要とするということよりか、今、伊藤委員の言うように官房長を置くことによって事務増の問題からいえば一つの関門がふえるだけであって、行政上の簡素化からいくならば、かえって複雑になる、官房長を置くいわゆる機械的な物の考え方がそう出てくると思うのです。それからもう一つは官房関係の事務がふえたから官房長を置くのだ、それはいわゆる取りまとめの責任者として置くのだ、こういうことが一説には言われると思うのですが、しかし、実際上事務増に伴って官房の事務関係の定数というのがふえてきて、そしてふえてきた事務が整理されて、そうしてその決裁を受けるということならば、私はその官房長ができたことによってかえって繁雑になる、こういうふうになるので、事実上は官房の人員をふやして官房のふえてきた事務に適合した人員配置を行う、こういうことで済むのではないか、私は提案の理由からいくとこういうふうになると思うのでありますが、提案はまた別個に何か意図するものがあるのではないか、しかも、それはあまりむずかしい問題じゃなしに、均衡上ぐらいの問題、ないしは一つのポストをふやして幾らかでも頭の方をすかしておこうというような考え方、あるいは労務対策というようなものが主眼になるのではないかと思うのですが、その点はどうでしょう、率直に一つお答え願いたいと思います。
  178. 高見三郎

    政府委員(高見三郎君) 重ねての御質問でございますが、伊藤委員にお答え申し上げましたように、私はそういう均衡上の問題が全然ないとは申し上げません。これは率直にそういう問題もあると申し上げますが、それよりも官房事務の事務がふえていっていることは事実でありますし、また、統括いたしまして文部行政の各部局の企画調整をやる機関というものがどうしても必要である、こういう観点からお願いをしておるのでありまして、これは次官が統括すればいいじゃないか、中二階を一つ作る必要はないじゃないかという御議論は、確かにあり得ると思います。あり得ると思いますが、仕事の広がりから考えますというと、内部調整をやります官房長というものは、どうしても必要であろう、こういう観点で実はお願いを申し上げておるのでありまして、全然お話しのような問題がないということは申し上げませんけれども、それが主ではないということを一つ御了承願いたいと思います。
  179. 横川正市

    ○横川正市君 今のあれからいくと、事務上は繁雑になるということだけだと私は考えるわけですよ、これは官房関係の事務がふえたというなら、これは定員の配置でまかなうべき性質のもので、一つ官房長のいすがふえたから仕事の量がスムースにはけるというように結びつかない問題だと思う。それからもう一つは、官房を置いて各省の取りまとめをするのと、それからただ文部省には部局がたくさんありますが、その部局の取りまとめというのは、省議、局議、この二つの機関できめられて、あとは大臣決裁と、こういうことになるわけですね。その事務所掌関係はそうすると一つだけ官房長のところで予備的に取りまとめを行なって、これは局議でやったものを官房長のところに持ってきて、官房長できまったものを今度省議へ持っていって、省議できまったものを今度大臣決裁とこういうふうに事務の処理の仕方からすればなるわけです。ですから取りまとめは単たる取りまとめをする機関として必要なのでございます。ということは、私はそれだけ事務処理が複雑、繁雑になるだけで実際にはあまり置く必要はない。もし置く必要があるとすれば、ねらいがあるとすれば、これは労務管理の問題とかなんとかで、官房長のところで一切それを局長と同格の一つのポストを作っておいて、同格のポストのところで労務管理をやらせようと、こういうぐらいのことが私はねらいじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  180. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 政務次官の答弁に補足いたしましてお答えをいたします。提案理由に申し上げましたように、官房長の設置の理由といたしまして、各局間のいろいろな企画調整ということと、それから第二が官房の本来所掌しております事務の能率的な運営とこの二点でございます。後者につきましては、先ほど先生のおっしゃいましたように一々事務次官の段階まで持っていかないで、しかしながら官房の、文部省で言いますれば、会計なり、人事参事官だけで専決してしまわないでその両名の開催をして、あるものは官房長限りで処理をして事務の能率的な運営をはかる、こういうものがかなりあるのでございます。で、御承知のように、国立大学の人事並びに会計等に関する運営というものは、実は相当膨大な量でございまして、これを一々事務次官のところへ上げないで、官房長が人事、会計の両者を調節して、ある段階のものはすみやかに処理していくということが必要でございます。それから各局間の調整につきましては、その基本的な大綱等は、お説のように、省議あるいは大臣等の決定に待つわけでございますけれども先ほど申し上げましたように、最近における科学技術教育の振興と、初等、中等の段階のもの、それから大学教育の関係の問題、あるいは最近における勤労青少年の教育の問題における社会教育、あるいは学校教育というものとの調整をして企画するということが必要になって参りました。それならばその調整をしやすいように、局自体の改編をしたらいいじゃないかという御意見があるかと思いますけれども、これは学校教育あるいは社会教育、あるいは初等、中等あるいは大学、高等教育というものを、これを一つにまとめることは従来の運営の実際から見て、機構として非常に困難なことでございます、そういう意味におきまして、二つのねらいで官房長を設置をいたしたい、かように考えております。
  181. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、部局を担当される局長官房長との職階上の順位は、どういうふうになるのですか。
  182. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 級別等級の取扱い等は、局長と同格でございます。
  183. 横川正市

    ○横川正市君 僕は、たとえば大官房制をとって、そして書類決裁が次官の手をわずらわさないで官房長の手で相当程度の書類決裁がとれると、そしてその官房長の所掌の中に、まあ級別等級からいけば同格であっても、いわば局長から官房へ行く、官房から次官へという一つの人事の系列というものがおのずと出てくる。そしてそういうことから、事務が実際上はその次官のところへ全部行かないで、相当繁雑な仕事であっても、官房長限りで結末がつくのだと、こういうふうに考えられる場合と、それからもう一つは、形態からいけば、事務次官から、政務次官国会との関係がありますから、行政から言えば事務次官が主体になって、そうして行政上の乗務は、これは局が大体その主体になっている。あとは人事、文書、それから主計、その他官房に属してそれぞれ局との連繋でもって行政事務が動くのだ。この考えからいきますると、局のその局議というものは非常に主体になってくるわけです。一々官房へお伺いを立てなくても、局議がその行政上の責任をもって物事を判断し、きめていく。そしてもとは省議がきめる。この二つの行き方というやつは、私はどちらにも一つの理屈があるのだと思うのです。そして今までは、それである程度の事務処理は行われてきた。ただ、その事務処理が行われてきたのたが、今度は科学技術その他の仕事が出てきたので、だから官房を置くのだと、こういう今までのシステムに科学技術その他の問題が起きたのだから、官房を置くのだというふうに飛躍する機構考え方は、事実上私はどうも少しおかしいと思うのです。事務上の処理その他が起ってきたならば、局の中に責任を持たせて、ある程度定員配置をして処理のできる体制をととのえれば、これはけっこう処理のできる問題ですね。それをポジションがなければならぬというのは、私がさっきいったように、次官の下に官房長官房長のところに掌握されて局と、こういう考え方でこなければ、実際上は私は官房長提案の理由というのはおかしいと思う。その両側からいって、文部省の場合には級別定数その他で同格の官房長を置いて事務上の掌握をさせますと、こういうことになると、系列からいくと私は局長から次官へ、あるいは官房長からも次官へと、こういう普遍的な行き方というものがあると思うのですが、今の説明それ自体からいけば、これはやはり局長から官房長官房長から次官へと、こういうような一つの職階上のきめ方があって今度の提案がされているというふうに見れるわけです。私たちはその必要がないのじゃないかと思うのですが、その点は文部省としてはどうお考えになりますか。
  184. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 官房の仕事の中で、各局間の連絡調整をはかるということの仕事がございます。その点で各局だけで済みますのは、先生のお説のように、局内で十分検討し、上司の判断を仰ぐべきものは次官、大臣の判断を仰いで、その後の実施の責に当るということでいいわけでございますが、先ほど例に申し上げましたように、科学技術の振興であるとか、あるいは学校教育、社会教育画面にわたる勤労青少年問題の対策とかについては、それぞれ各局で担当しておりますものの事務を実施前に調査をするということも必要でございますので、その機能を強化いたしたい。その点はあることか突如として加わったからすぐそうだということではございませんで、そういう機能がだんだん必要になってきたということを先ほど申し上げたわけであります。  第二は、官房自体が処理しております人事、会計等実体的な事務、これが文部省におきましては、沿革的に相当多くの国立大学あるいはそれの附属機関を管理するという、予算なり人事なりについて管理をする。こういう仕事を、別に国立大学に関する管理の面を担当する局を置かないで、省内の内部管理と同様に人事課ないし会計課で担当してきておったわけでございます。これは国立学校運営費四百億、人員にいたしまして六万人余の人事でございますので、相当の量でございますが、これをいろいろ新たな部局を設けて処理するよりは現在の体制で、ある段階のものは課長限り、ある段階のものは官房長責任をもって処理し、ある段階のものはさらに上司の判断を仰ぐ、こういうことが官房自体の事務の遂行を能率的にならしめるのじゃないか、こういうことを申し上げたわけであります。
  185. 千葉信

    理事千葉信君) まだ御質疑はあると存じますけれども、そろそろ時間にもなりましたし、次回の委員会を火曜午前十時から開会することとし、議題は、提案理由の説明を聞きました本付託の六件、さらに内閣委員会に付託されております議員提出の法律案、国務大臣の私企業等への関与の制限に関する法律案一件の提案理由の説明、それから本日保留された百里原の基地建設に関する問題についての質問等は、その委員会で行うことにして、本日はこれで散会したいと存じます。    午後五時八分散会