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政府委員(佐野廣君) ただいま議題となりました
特別鉱害復旧特別会計法を廃止する法律案外二十一法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
まず、
特別鉱害復旧特別会計法を廃止する法律案について申し上げます。
特別鉱害復旧特別会計は、
特別鉱害復旧臨時措置法の規定による
特別鉱害復旧工事に関し、
鉱業権者等からの
納付金等の徴収及びその
納付金等を財源とする
復旧工事の費用の負担のための支出等の経理を明らかにするため、昭和二十五年に設けられ、その後現在までこれらの経理を行なってきたのであります。
特別鉱害復旧臨時措置法は、昨年四月一日から失効いたしたのでありますが、同法付則第二項におきましてそのときまでにした行為に対する
納付金等の徴収及び
特別会計からの費用の交付に関しては、そのとき以後もなお効力を有することとされておりましたので、その整理のために昭和三十三年度も
特別鉱害復旧特別会計を存置したのでありますが、整理も一段落いたしましたので、同会計を本年度限りで廃止とするとともに、同会計に属する資産及び負債は
一般会計に帰属させる等の措置を講じようとするものであります。
次に、昭和二十八年度から昭和三十三年度までの各年度における
国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
昭和二十八年度から昭和三十三年度までの各年度におきましては、国債の償還等に充てるための資金の
繰り入れの特例といたしまして、国債の
元金償還に充てるために
一般会計から
国債整理基金特別会計に
繰り入れるべき
最低金額は、財政法第六条の規定による前々年度の剰余金の二分の一相当額にとどめ、
国債整理基金特別会計法第二条第二項の規定による前年度首における
国債総額の一万分の百十六の三分の一相当額の繰入基準は、これを適用しないこととしております。また、これとともに、
日本国有鉄道または
日本電信電話公社が
日本国有鉄道法施行法第九条または
日本電信電話公社法施行法第八条の規定により
一般会計に対して負ういわゆる法定債務の
償還元利金については、直接、
国債整理基金特別会計に
繰り入れることとし、繰入額に相当する金額については
一般会計から
国債整理基金特別会計に
繰り入れがあったものとみなす特別の措置が講ぜられてきたのでありますが、昭和三十四年度におきましても、
国債償還の状況にかんがみ、かつ、経理の簡素化をはかるため、前年度と同様これらの措置を講じようとするものであります。
次に、交付税及び
譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
この法律案は、別途、今国会に提案することとしております
地方交付税法の一部を改正する法律案において、地方税の減税その他の事情を総合的に勘案し、
地方財政の健全化を推進するため、交付税の総額を所得税、法人税及び酒税の収入額の百分の二十七・五から百分の二十八・五に
引き上げることとしていることに伴い、昭和三十四年度以降毎会計年度、
一般会計からこの会計に
繰り入れる金額の算定の基準となる割合について、所要の改正を行おうとするものであります。
次に、
糸価安定特別会計において昭和三十三年産の生糸及び繭を買い入れるための経費の
支払い財源の一部に充てるための
一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして申し上げます。
政府におきましては、最近における繭及び生糸の需給事情にかんがみ、蚕糸業の長期的安定のため、これらの
価格安定制度につき検討いたしておりますが、当面の措置といたしまして、
糸価安定特別会計の運営を円滑にすることを目的として、同会計におきまして
繭糸価格安定法または
繭糸価格の安定に関する
臨時措置法の規定により、昭和三十三年産の生糸及び繭を買い入れるための経費の支払いの財源の一部に充てるため、昭和三十四年度において、
一般会計から、二十億円を限度といたしまして、この会計に
繰り入れることができることといたしたのであります。なお、この金額は、後日、
一般会計へ繰り戻す建前にいたしております。
次に、
糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
政府におきましては、
糸価安定特別会計における三十億円の資本金、七十億円を限度とする
借入金等及び積立金五億二百万円の合計額の百五億二百万円をもって、
繭糸価格安定法の規定による
繭糸価格の安定をはかつて参りましたが、昭和三十三年度に
繭糸価格の安定に関する
臨時措置法の制定を見、同法による生糸及び繭の
政府買い入れを、この
特別会計において処理することになっております。従って、別途、今国会に提出した御審議を願うこととしております
一般会計からこの会計への繰入金に関する法律案により二十億円をこの会計に
繰り入れますとともに、従来の証券、一時借入金及び借入金の限度額七十億円を二百七十五億円に
引き上げることによって、生糸及び繭の買入原資の確保に資することとした次第であります。
次に、漁船再
保険特別会計における
給与保険の再
保険事業について生じた損失をうめるための
一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして申し上げます。
漁船乗組員給与保険法の規定による漁船の乗組員の抑留を
保険事故とする
給与保険につきましては、昭和三十一年度及び昭和三十二年度において
保険事故が異常に発生いたしましたため、第二十八回国会において成立いたしました漁船再
保険特別会計における
特殊保険及び
給与保険の再
保険事業について生じた損失をうめるための
一般会計からする繰入金に関する法律によりまして、とりあえず、昭和三十二年三月一日から同年十二月末日までの間における損失を埋めるため、
一般会計から、この会計の
給与保険勘定に八千三百五十万円を
繰り入れたのでありますが、昭和三十三年一月から三月までの間におきましても引き続き
保険事故の異常な発生を見、これによる損失千六百八十二万一千円を生じ、さらに、昭和三十三年四月一日から同年十二月末日までの間におきまして、約千五百四十七万四千円の損失を生じたのであります。
この法律は、これらの損失を埋めるため、昭和三十四年度におきまして、
一般会計からこの会計の
給与保険勘定に三千二百五十万円を限度として
繰り入れることができることとしようとするものであります。
次に、
特定多目的ダム建設工事特別会計法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
政府が行う
多目的ダム建設工事に関連して、
電気事業者または
地方公共団体等が行う発電または
灌漑用専用施設の
建設工事や道路の新設または改築の工事は、
ダム建設工事と密接に関連しておりますので、政府が委託を受けて実施している事例が多いのであります。これらの
受託工事の実施につきましては、従来、当事者間の契約により政府が監督その他
工事管理上の
技術的責任を負い、工事の請負等に伴う債務はすべて委託者が直接負担することとしておりました関係から国の歳入歳出として経理されていなかったのでありますが、この
特別会計法の規制の下に工事の
一元的統制と
工事実施に関する責任関係の明確化をはかることが妥当であると認められますので、今回、この
特別会計法を改正し、
受託工事にかかる納付金を同
特別会計の歳入とし、
受託工事に要する費用を同会計の歳出として経理しようとするものであります。
次に、
産業投資特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。
産業投資特別会計において行う投資の財源は、貸付金の回収金及び利子、余裕金の
運用利益金、
特定物資納付金処理特別会計からの受入金、資金からの受入金、前年度の
歳計剰余金等をもってこれに充てることとなっているのでありますが、昭和三十四年度におきましては、その財源の状況に顧み、資金内容の充実をはかるため、さきに設けました
経済基盤強化資金から
一般会計への受入額のうち五十億円を限り、同
特別会計に
繰り入れることとし、その
法的措置を講ずるため、ここにこの法律案を提出した次第であります。
次に、
補助金等の
臨時特例等に関する法律等の一部を改正する法律案について申し上げます。
政府は、国の財政の健全化をはかる等の目的から、
補助金等の
整理合理化につきまして、昭和二十九年度以降予算において所要の措置を講ずるとともに、
法的措置を講ずる必要があるものにつきましては、
補助金等の
臨時特例等に関する法律により、
特例措置を講じてきたのであります。
政府といたしましては、
補助金等の
整理合理化につきましては、今後ともなお調査検討を進めて参る所存でありますが、昭和三十四年度予算の編成に当りましても、
各種補助金等につき検討の結果、一般的には、同年度においても引き続き同法による
特例措置を講ずることといたし、その
有効期限を昭和三十五年三月三十一日まで延長することといたしました。
また、
社会教育法、
図書館法及び
博物館法に基く補助金につきましては、別途御審議をお願いいたしております
社会教育法等の一部を改正する法律案により、
精神衛生法に基く
精神衛生相談所の運営費に対する補助金につきましては、本法案により、それぞれ特例法の規定の趣旨にのつと
つた改正を行うことといたしておりますので、これらに関する
特例措置の規定を削ることといたしております。
次に、
日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案について申し上げます。
日本輸出入銀行は、昭和二十五年十二月二十八日に
日本輸出銀行として設立されて以来、
プラント輸出を中心とする
輸出入金融を行い、
わが国貿易の振興並びに
経済協力の推進に格段の寄与をいたして参っておりますことは、御承知の通りであります。
日本輸出入銀行の業況は、
わが国貿易の進展に伴つて着実に伸びてきており、その融資残高は昨年十二月末において六百六十一億円に達しております。今後も海外からの
プラント輸出等の引き合いは、
東南アジアを初めとして、さらに増加していくことが予想されますとともに、
東南アジア諸国との
経済協力もまた、インド、
フィリピン等を初めとして、一そうその実をあげていくものと思われ、
日本輸出入銀行の融資を必要とする事案はますます増加する見通しであります。
このような状況にかんがみまして、昭和三十四年度の
財政投融資計画において、政府は、
日本輸出入銀行の
融資見込額を八百億円と推算いたしましたが、このため必要な資金として同行に対して新たに三百六十億円の資金を供給することといたしております。このうち七十億円は
産業投資特別会計からの出資金を予定いたしておりますので、
日本輸出入銀行の資本金三百八十八億円を七十億円増加して四百五十八億円とする必要があります。
次に、今次の
税制改正のうち、
所得税法の一部を改正する法律案外五法律案につきまして申し上げます。
政府は、さきの選挙公約の線に沿い平年度七百億円減税を実現するため、昨年来鋭意検討を続けて参りましたが、ここに中央、地方を通ずる
税制改正について成案を得ましたので、昭和三十四年度予算とともに、国会の御審議をお願いすることとしている次第であります。
明年度税制改正については、まず、
低額所得層の
負担軽減を通じて国民生活の
安定向上と中小企業の経営の改善をはかることを主眼として、平年度七百億円の減税を行うこととしているのであります。すなわち、国税においては、
扶養控除の
引き上げ及び
最低税率の
適用範囲の拡大による所得税の
一般的軽減と、
退職所得に対する所得税の
大幅軽減とを行うほか、間接税のうち物品税及び入場税の
軽減合理化をはかることとし、さらに、地方税においても、
個人事業税の
基礎控除の
引き上げ、
法人事業税の税率の引き下げ、所得税の減税に伴う住民税の軽減、
固定資産税の免税点の
引き上げ等を行うこととしているのであります。以上の改正により、初年度におきましては、国税四百三十二億円、地方税百一億円、計五百三十三億円の減税となり、また、平年度におきましては国税四百八十八億円、地方税二百二十九億円、計七百十七億円の減税となるものと見込まれるのであります。
第二に、右のような減税を行う反面、最近の経済情勢に即応して、
租税特別措置の
整理合理化、
道路整備の財源に充てるための
揮発油税の
引き上げ等各般の要請にこたえた税制の改正を行うことといたしております。
なお、租税と一般の債権との関係の
合理的調整をはかる等のため、
国税徴収法を全面的に改めることとしているのであります。
これらの法律案は、今後逐次提案して御審議をお願いすることとなるのでありますが、本日は、そのうちすでに提出いたしました
所得税法の一部を改正する法律案外五法律案につき、その概要を御説明申し上げます。
まず、
所得税法の一部を改正する法律案について、その概要を申し上げます。
所得税につきましては、第一に、
低額所得者層の
負担軽減を主眼として
扶養控除額を
引き上げるとともに、
最低税率の
適用範囲を拡大することといたしております。すなわち、
扶養控除額につきましては、第一人目の扶養親族について五万円から七万円に、第二人目及び第三人目については二万五千円から三万円に、第四人目以下については一万五千円から三万円に、それぞれの控除額を
引き上げることとし、また、税率につきましては、
最低税率である一〇%の税率の
適用範囲の
最高限度額を五万円から十万円に
引き上げることとしているのであります。この結果、
低額所得者の所得税の負担は著しく軽減されることになるのでありまして、夫婦と子供三人のいわゆる標準家族に例をとりますと、平年度において、
給与所得者については年収約三十三万円まで無税、年収四十万円では五割六分の軽減となり、また、
事業所得者については、年所得三十万円では五割七分、年所得四十万円では三割四分の軽減となるのであります。
次に、
退職所得に対する所得税の負担の軽減及び合理化をはかる見地から、老齢で退職する者が若年で退職する者よりも多額の控除が得られるように
退職所得の
特別控除額の計算方法を改め、また、その
最高限度額を五十万円から百万円に
引き上げるとともに、障害者になつたことに直接基因して退職する場合にはこの
特別控除額にさらに五十万円を加算する等の措置を講ずることとしております。
さらに、個々の実情に即した合理的な課税を行うため、借地権の対価として収受するいわゆる権利金のうち一定の要件に該当するものについては、従来のように
不動産所得としてではなく、新たに
譲渡所得として課税することに改めるとともに、役務の提供に関する契約に伴い収受するいわゆる
契約金等のように臨時に発生する一定の所得については、従来
変動所得について認められておりますのと同趣旨の五分五乗課税を行うこととし、また、災害により被害を受けたたなおろし資産にかかる純損失について、
青色申告者以外の者についても、三年間の
繰越控除を認めることとするほか、法人が利益をもって株式を消却した場合には、積立金の資本組み入れの場合に準じて消却されなかった株式を有する株主について
配当所得があったものとみなして課税することとする等、所要の規定の整備をはかつております。
以上申し上げました措置による所得税の減収額は、昭和三十四年度において約三百七十九億円、平年度において約四百二十二億円と見込まれるのであります。
次に、
法人税法の一部を改正する法律案について、その概要を申し上げます。
第一は、
所得税等の場合の例にならい、法人税においても更正請求の制度を創設することとしていることであります。この制度は、法人が各
事業年度の
確定申告書を提出した後その申告書に記載した
所得金額等が過大であることを知つた場合等に、
一定期間内にこれを減額するための更正を請求することができることとする趣旨のものであります。
第二は、
青色申告書の提出の承認について、設立後最初の
事業年度が短期である場合には、設立第二期の
事業年度についてその
事業年度開始後
一定期間内にその
承認申請ができるように、
承認申請書の
提出期限を延長することとしていることであります。
以上のほか、
株式会社が配当すべき利益をもって株式の消却をした場合のみなし配当の規定について、
所得税法の改正に準じた
改正規定を設けております。
次に、
災害被害者に対する租税の減免、
徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案について、その概要を申し上げます。
この法律案は、第一に、
所得税法の改正により所得税の
非課税限度額の
引き上げが行われることに伴い、現在、総所得、
退職所得及び
山林所得の合計額が二十五万円までの者についてはその者の所得税の全部を、所得の合計額が二十五万円から五十万円までの者については所得税の十分の五を、また、所得の合計額が五十万円から八十万円までの者については所得税の十分の二・五を減免することになっておりますのを、それぞれ、所得の合計額が五十万円までの者について所得税の全部を、五十万円から八十万円までの者について十分の五を、八十万円から百二十万円までの者について十分の二・五を減免するよう、
所得限度額の
引き上げを行うことといたしております。
第二に、現在この法律による
徴収猶予は災害のあった日以後一年以内に納付すべき租税についてのみ認められておりますのを、
給与所得者等が
所得税法の規定による雑損失の
繰越控除の適用を受けることができる年分、すなわち災害のあった日の属する年の翌年以後三年以内の各年分の所得税についても、
源泉徴収の猶予を受けることができる制度を新たに設けることといたしております。
次に、酒税法の一部を改正する法律案について、その概要を申し上げます。
この法律案は、
尺貫法系計量単位が
法定計量単位とみなされなくなることに伴い、税率その他の規定について所要の改正を行うとともに、調味料としての使用を主たる用途とする
みりん甲類の税率を調整し、あわせて、最近における酒税法の実施状況に顧み、所要の規定について整備を行おうとするものであります。
第一に、
計量単位をメートル法に切りかえようとするものであります。このため、税率については、現行一石当りを一キロリットル当りに改め、百円未満の端数は切り捨てるとともに、
酒類製造免許の際の
法定制限石数は、百石当り二十キロリットルとして換算することといたしております。
第二に、
みりん甲類はその大部分が調味料に使用されております関係上、他の調味料及び酒類の税負担との権衡を考慮し、その税率、一キロリットル当り現行の二十二万四千五百十二円を十四万円に引き下げ、また、これに応じ、みりん乙類の規格を、最近における消費の趨勢等を考慮して若干
引き上げることといたしております。
なお、最近における酒税法の実施状況等に顧み、即売会場等において臨時に販売場を設けて販売業を行う場合に、期限付の販売業免許を与えることができるようにする等、所要の規定の整備をはかることといたしております。
次に、
揮発油税法の一部を改正する法律案について、その概要を御説明申し上げます。
この法律案は、最近における揮発油の消費の状況及び
道路整備計画に対する所要財源確保の必要性に顧み、
揮発油税の税率を
引き上げるとともに、実情に即するよう諸規定の整備をはかるため、
揮発油税法の一部を改正しようとするものであります。
まず第一に、税率を一キロリットルにつき現行の一万四千八百円から五千五百円
引き上げて二万三百円とすることといたしました。これにより、平年度約二百三十三億円、初年度約百九十三億円の増収となる見込みであります。
第二に、製造場内に現存する揮発油が滞納処分等により換価されたときは、他の間接税と同様、製造場から移出したとみなすこととし、規定の整備をはかることといたしました。
第三に、税率
引き上げに伴いまして、改正法の施行日である昭和三十四年四月一日現在に、製造場及び保税地域以外の場所で、合計五キロリットル以上の揮発油を所持する製造者または販売業者に対して、一キロリットルにつき五千五百円の税率で手持品課税を行うことといたしております。
次に、
地方道路税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は
揮発油税法の一部改正に伴い、
揮発油税及び地方道路税の配分率等を改正するとともに、実情に即するよう諸規定の整備をはかるため、
地方道路税法の一部を改正しようとするものであります。
まず、地方道路税と
揮発油税の配分率についてでありますが、
揮発油税率の
引き上げに伴い、現在地方道路税分百八十三分の三十五、
揮発油税分百八十三分の百四十八となっております配分率を、地方道路税分二百三十八分の三十五、
揮発油税分二百三十八分の二百三に改めるとともに、利子税額、加算税額等の配分割合も同様に改正するごとといたしております。
なお、
揮発油税法の規定の整備に伴い、地方道路税についても所要の改正を行うことといたしております。
以上が
所得税法の一部を改正する法律案外五法律案の提案の理由及びその概要であります。
次に、昭和三十三年産米穀についての所得税の
臨時特例に関する法律案につきまして申し上げます。
この法律案は、昭和三十二年産米穀等について所得税の特例を設けましたのと同様に、政府に対し、事前売り渡し申し込みに基いて昭和三十三年産米穀を売り渡した者の同年分の所得税について、その売り渡しの期間の区分に応じ玄米一石(百五十キログラム)当り平均千四百円を非課税とする措置を講じようとするものであります。
次に、昭和三十三年分の所得税の
確定申告書の
提出期限等の特例に関する法律案につきまして申し上げます。
この法律案は、本年においては、所得税の
確定申告書等の
提出期限及び第三期分の納期限、再評価の申告書の
提出期限並びに再評価税の納期限等である三月十五日が休日に当りますため、これらの期限をその翌日の三月十六日に延期しようとするものであります。
次に、
企業資本充実のための資産再評価等の
特別措置法の一部を改正する法律案及び
株式会社の再
評価積立金の
資本組入に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
再
評価積立金の資本組み入れについては、
企業資本充実のための資産再評価等の
特別措置法の規定により、その促進をはかつて参つたのでありますが、近くこの規定の適用期限が切れることになりますので、わが国の企業経営の現状にかんがみ、この規定を若干強化して引き続き適用する等の改正を行う必要があると考えられるのであります
また、再
評価積立金の資本組み入れを容易にするために組み入れ手続を簡素化し、端数株式の処理等の規定の整備をはかる必要があると考えられるのであります。
以上の理由によりまして、今回この両法律案を提出することとしたのであります。
次に、両法律案につきまして、その概要を申し上げます。
まず、
企業資本充実のための資産再評価等の
特別措置法の一部を改正する法律案におきましては、現在、昭和三十五年三月三十一日を含む
事業年度の直前
事業年度までは、再
評価積立金の資本組み入れの率が、百分の三十に満たない場合には、年一割五分をこえる配当を行なってはならないこととされておりますが、昭和三十五年三月三十一日を含む
事業年度以降は、この方式を若干強化して、その資本組み入れの率が百分の三十に満たない場合には、年一割二分をこえる配当を行なってはならないものとし、また、百分の五十に満たない場合には、年一割五分をこえる配当を行なってはならないことといたしました。
なお、この措置は、さしあたり二年間、すなわち昭和三十七年三月三十一日を含む
事業年度の直前
事業年度まで適用することといたしましたが、その後の方式につきましては、さらに資本組み入れを促進する考え方に従いまして、追つて法律をもって定めることといたしております。
その他、損失を埋めるための再
評価積立金の取りくずしにつきましては、現在、株主総会の普通決議で行うことになっておりますが、企業の資本充実の見地から適切でないと思われますので、資本減少と同様の厳格な手続によることとする等、所要の改正を行うことといたしております。
次に、
株式会社の再
評価積立金の
資本組入に関する法律の一部を改正する法律案におきましては、現在、株主総会の特別決議によらなければならないこととされております再
評価積立金の資本組み入れを取締役会の決議で行い得ることとし、資本組み入れ手続の簡素化をはかることといたしました。
その他、資本組み入れによって新株を発行する場合に生ずる端数株式の処理方法について必要な規定を設ける等、所要の改正を行うことといたしております。
次に、
連合国財産の返還等に伴う損失の処理等に関する法律案につきまして申し上げます。
戦時中旧敵産管理法に基き、旧敵産管理人によって売却処分された
連合国財産は、戦後、旧所有者である連合国人に返還されることとなつたのでありますが、現在では国際紛争案件として残つている二件を除き、その返還は全部完了いたしております。このような
連合国財産の返還に伴いまして、これらの財産の返還時の所有者等に対しましては、返還の際とりあえず戦時中の売却価額相当額のみを支払つたのでありまして、これによって補てんされなかった損失の処理または補償については返還の根拠となる法令において、別に法律で定める旨の規定が設けられているのであります。この法律案は、このような規定に基き、この際右の損失の最終的な処理を行おうとするものであります。
次に、この法律案の概要を申し上げます。
第一は、損失の処理等を請求できる者についてでありますが、これは、
連合国財産である不動産及び動産を返還した所有者並びにその不動産の上に権利を有していた者、
連合国財産である株式の株券を引き渡した株主または発行会社、
連合国財産上の家屋等を収用または除去された所有者及び関係権利者等であります。
第二は、これらの請求者に支払う返還善後処理金の計算方法でありますが、これは、不動産、動産及び不動産の上に存していた権利につきましては、戦時中の売却価額相当額に、売却時から連合国側の返還請求があったときまでの、それぞれの財産別の価格指数の騰貴率と減価償却後の残価率を乗じ、すでに支払つた売却価額相当額を差し引いた金額、株式につきましては、株主には回復請求時の時価からすでに支払つた売却価額相当額を差し引いた金額、発行会社には返還のための株式を取得するに要した金額からすでに支払つた売却価額相当額を差し引いた金額、譲渡または除去された家屋等につきましては、家屋等の請求時の時価及び関連損失に相当する金額でありまして、これらの金額に、さらにそれぞれの財産の請求時からこの法律施行の日の前日まで遅延利息相当分として年五分の加算金を加えた金額を支払うことといたしております。
第三は、返還善後処理金の支払いの方法でありますが、これは、国債をもって交付することといたしております。ただし、国債の最低券面額は五千円とし、五千円未満の端数金額は現金で交付することになっております。
その他、返還善後処理金の請求の方法、異議の申し立て、返還善後処理金の課税に関する特則等、所要の規定を設けております。
最後に、
物品税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
物品税は、多種多様の物品を課税対象としている関係上、生産業界はもとより国民経済にもきわめて密接な関係を有するものでありまして、政府は、その改正につき、一昨年以来各方面の意見を十分に参酌しながら、実体的にも計数的にも深く掘り下げて検討を続けて参つたのでありますが、ようやくその成案を得るに至りましたので、ここにこの法律案を提出した次第であります。
まず、改正案の基本的な考え方を申し上げますと、各物品の消費の性質及び担税力に応じて負担の均衡をはかるとともに、手工業その他零細な中小企業の製品で税負担の転嫁が困難な事情があるものについて所要の減免措置を講ずることとし、その一方、現行の課税物品との権衡上非課税となっていることが明らかに不公平であると考えられる物品について、この際新たに課税しようとするものであります。
次に、改正案の概要でありますが、第一に、税負担の減免を目的とする改正部分について申し述べます。
まず、課税段階の変更でありますが、サッカリン、ズルチンにつきましては、その製造がきわめて容易である等諸般の事情によって、従来の製品課税の方式では課税上適正な執行に困難を感ずる面が少くなかった点に顧みまして、今回その原料段階においても課税できることとし、同時に、税率を現行の一キログラムにつき三百円から百円に引き下げ、これに対する課税の適正化をはかることとしております。また、室内装飾用品、メッキ製品など八品目につきましては、現行納税義務者の規模が零細で執行上の難点が大きく、課税最低限を相当
引き上げて高級品に限つて小売段階で課税する方がより適切な課税ができるものと考えられますので、そのように改正することとしているのであります。
次に、消費の性質、消費支出弾力性等から考えて、他の課税物品との税負担の均衡上軽減を必要とする物品につきましては、税率の引き下げを行うことといたしました。このため、化粧品、つり用具など十四品目の税率を引き下げ、それぞれの実情に応じ、二〇%から最高六六%程度の範囲で税負担の軽減をはかることとしております。
さらに、製造者が零細であり、転嫁が困難である等の事情が顕著であるもの、また、以上検討したような物品の消費の性質から見て、現在非課税となっている物品との均衡上この際その課税を廃止する方が適当であると認められるもの、すなわち、口中剤、玉ラムネ、一部の課税物品の部分品などにつきましては、これを非課税物品とすることにしているのであります。
なお、これらの方法のほか、課税最低限の
引き上げの問題があります。主として零細企業の製造にかかる物品につきましては、右に述べた通り、小売課税に移行する等によるほか、課税最低限の
引き上げによって対処することも一つの有力な方法として考えております。ただし、この措置は、政令事項でありますので、今後なお十分検討を加えて具体案を確定して参りたいと考えております。
第二に、現在物品税の課税対象とされていないことが著しく課税上の不均衡を生じていると認められている物品については、これを新たに課税対象に取り入れることとしております。すなわち、現行課税物品と同種の物品であるトランジスターラジオ、テープレコーダー及びチクロ系甘味料に課税することといたしました。また、衣料品につきましては、一昨年来続けております間接税体系の根本的再検討に際して、消費支出弾力性等客観的資料に基く判断から、これを課税対象外としていることが物品税の大きな欠陥であると認められるのでありまして、この際特に高級織物を課税物品に追加して物品税体系の全きを期そうとしているのであります。これらの物品の税率は、他の課税物品との均衡を考慮し、トランジスターラジオは性能に応じて五%または一〇%、テープレコーダーは一〇%(二年間は暫定的に五%)、チクロ系甘味料については一キログラム当り三十円、高級織物については一〇%といたしております。なお、高級織物については、小売段階において課税しようとするものであります。
第三に、物品税課税の適正を期するため、第一種の物品の委託販売が行われる場合にはその受託者を、展覧会において主催者が第一種の物品を販売する場合にはその主催者を、それぞれ納税義務者とするとともに、新規課税物品である高級織物が既製品として販売される場合には、その所属加工料を控除した価格を課税価格とするなど必要な措置を講ずるほか、輸出物品の免税手続をでき得る限り簡素化するよう、所要の規定の改正を行うこととしております。
なお、この法律案による
改正規定は、本年四月一日から施行することとしておりますが、小売課税に移行する部分及び新規課税の部分につきましては、関係業者の準備の都合も考慮し、五月一日から適用することといたしております。
以上が
特別鉱害復旧特別会計法を廃止する法律案外二十一法律案の提案の理由及びその概要でございます。何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成下さいまするようお願い申し上げます。