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1959-02-24 第31回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月二十四日(火曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 吉川 久衛君    理事 大野 市郎君 理事 丹羽 兵助君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 芳賀  貢君       安倍晋太郎君    秋山 利恭君       五十嵐吉藏君    加藤常太郎君       金丸  信君    笹山茂太郎君       高石幸三郎君    綱島 正興君       内藤  隆君    永田 亮一君       濱地 文平君    松岡嘉兵衛君       三和 精一君    八木 徹雄君       保岡 武久君    足鹿  覺君       角屋堅次郎君    神田 大作君       久保田 豊君    栗林 三郎君       實川 清之君    中澤 茂一君       中村 時雄君    西村 関一君  出席政府委員         農林政務次官  石坂  繁君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君         林野庁長官   山崎  齊君  委員外出席者         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 二月十九日  委員永田亮一君及び茜ケ久保重光辞任につき、  その補欠として野澤清人君及び栗林三郎君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員野澤清人辞任につき、その補欠として永  田亮一君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員足鹿覺辞任につき、その補欠として竹谷  源太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員竹谷源太郎辞任につき、その補欠として  足鹿覺君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十三日  松前大ツクシナイ高台造田開発に関する請願(  椎熊三郎紹介)(第一六五九号)  水産物小売業者育成に関する請願中原健次君  紹介)(第一七四二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十三日  抑留漁船国家補償に関する陳情書  (第三三三号)  植林の雪害及び野兎による被害対策に関する陳  情書(第三五七  号)  森林火災国営保険法の一部改正に関する陳情書  (第三五九号)  農地買収補償金支給等に関する陳情書  (第三六〇  号)  漁船損害補償法の一部改正に関する陳情書  (第三八九号)  農地法建築基準法との運営一体化に関する陳  情書(第  四二一号)  宮城県内国有林払下げに関する陳情書  (第四二二号)  農業改良普及事業充実強化に関する陳情書  (第四二四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  開拓融資保証法の一部を改正する法律案内閣  提出第五九号)  森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第九九号)      ――――◇―――――
  2. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 これより会議を開きます。  本日松浦委員長は都合により出席できませんので、指名により私が委員長の職務を行います。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案及び森林開発公団法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  前会に引き続き質疑を行います。質疑の通告がありますので、順次これを許します。神田大作君。
  3. 神田大作

    神田委員 この前林野行政について御質問申し上げたのでありますが、時間が足りませんでしたので、漏れました部分につきまして御質問を申し上げたいと思います。農林大臣並びに政務次官がおいでにならないようでございますから、それらに関する問題につきましては保留をいたしておきます。  まず林野庁長官にお尋ねしますが、この前も御質問申し上げたのでありますけれども、保安林買い上げ等についての問題につきまして詳しくお尋ねを申し上げたいのでありますが、保安林整備法等によるところの保安林整備概要等につきまして御説明を願いたいと思います。
  4. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 昭和二十八年に未曽有の大風水害を受けまして、政府部内で治山治水対策要綱を策定いたしまして、それによって風水害を将来防除していこうという考え方で進めたのでありますが、これと並行いたしまして、保安林につきましてもその整備強化をはかる必要があるのではないかという点からいたしまして、保安林整備臨時措置法を制定したのであります。これによりまして、重要河川上流地域にあります森林保安林指定いたしまして保全の完璧をはかるということと、さらに、それらの地域におきましても、集団し、特に地形その他で重要な地点につきましては、国有林事業特別会計民有保安林買い上げまして、さらにそれの施業を十分行うということによって保安の効果を十分に維持、増強していくという見地に立って、保安林整備臨時措置法が制定せられたのであります。この計画に従いまして、当時全国におきます保安林は二百万町歩余であったのでありますが、これを約倍の四百万町歩に増加する、その四百万町歩保安林の中におきまして最も重要な地点の約五十万町歩を国によって買い上げるという計画になったのでありまして、この五十万町歩につきましては、それぞれ各地域別に、河川流域別に検討いたしまして、重要な地帯をそれぞれ概定いたします。この概定いたしましたものを、さらに森林法に基いて設置されております中央森林審議会意見を聞いて買い入れ予定地域とするという措置を講じたのであります。この五十万町歩の中から順次重要な地点から保安林買い上げておるという実態にあるわけであります。  一方、保安林指定につきましては、昭和三十三年度までに予定の四百万町歩保安林予定地調査を終了いたしまして、三十四、三十五の二カ年にわたりまして必要な指定措置を講じたいというふうに考えておる次第であります。
  5. 神田大作

    神田委員 この五十万町歩買い入れをきめたということでございますけれども、この五十万町歩買い入れ審議会の議を経てきめておると申されますが、この審議会構成権限、及び、いつこの五十万町歩というものを買い入れ決定し、この買い入れ地域というものをどのように公知されたか、この点お尋ねいたします。
  6. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 中央森林審議会森林法によって規定されておるのでありますが、この構成は、現在におきましては、学識経験者十七名、関係行政機関の長十名、合せて二十七名で構成しておるのであります。学識経験者といたしましては、あとで名簿をおあげしたいと思いますが、各府県及び全国森林組合関係方々が約五名、それから木材その他林産物を利用するという立場の方々が約三名、その他国土総合開発審議会委員であられる、あるいは農林水産業生産性向上会議関係方々、その他農林中央金庫、全国町村会知事代表方々で組織しておるわけであります。  この五十万町歩につきましては、大蔵省と予算の段階におきまして折衝いたしまして、全国で、民有林におきまして約二百四、五十万町歩保安林を作り、あと百七、八十万町歩国有保安林の形になるわけでありますので、この民有林二百数十万町歩保安林の中で重要な河川上流地域を選びまして、それを具体的に図面にも表示いたしまして、中央森林審議会に諮ったという経緯になっておるものであります。中央森林審議会といたしましては、農林大臣からの諮問に応じまして、提示された議案が適当であるかどうかということを御審議いただきまして御答申をいただくという性質のものでございます。
  7. 神田大作

    神田委員 この保安林買い上げにつきまして、五十万町歩保安林の摘出というようなことにつきまして、指定をして買い上げをしておると言われますが、保安林指定されていない場所買い上げ対象になっておるところもあるようでありますが、これはどういうことでありますか。
  8. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 保安林買い入れ事業におきましては、保安林指定されてないところを買うということはないわけであります。
  9. 神田大作

    神田委員 それでは、これは、そういうふうに指定してないかあるかはあとで私の方でいま一度調査してまたお尋ねしたいと思うのでございますが、この保安林買い入れるにつきまして、非常に価格がまちまちでございますが、こういう買い入れ価格はどのようにして決定をし、だれがこれに対して最終的な裁断を下してやるのか、何千万、何億、何十億というような巨額の取引を一体どういう人がどういう権限でしておるのか、お尋ねします。
  10. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 保安林買い入れの場合の価格決定につきましては、先般も簡単に御説明申し上げたと思いますが、土地価格につきましては、大蔵省関係の財務局、財務部等からその評価についての具体的な金額を聞きます。あるいはまた、関係の不動産を主として取り扱うような銀行の意見も聞きますし、また学校その他こういう方面で研究しておられる方の御意見も聞くということにいたしまして、それらをそれぞれ算術平均というふうな方法によりまして土地価格決定するのであります。立木価格につきましては、国有林を売り払います場合と同様に、用材につきましては毎木調査を行い、薪炭林につきましては通例標準地調査という方法を行いまして、その立木樹種、あるいは薪炭林用材別石数というふうなものを調査いたして出すわけであります。一方、それをもとといたしまして、それらのものからどういう丸太が生産されるか、その利用率はどうか、大きさはどうかというふうな点を一定のきめられました方式によって計算するわけであります。さらに、それらの丸太あるいは木炭がその時点におきまして市場において取引されておりますいわゆる市場価格というものを調査いたしまして、この市場価格もとといたしまして、トラックの運賃、あるいは伐木造材に必要とする経費、あるいは搬出路を作るために必要とする経費というようなものを控除いたしまして、残りましたものを立木価格という形にするわけであります。この一町歩当り平均価格は、主としてそこに生えております立木状態樹種がどうであるか、その他の大きさがどうかというふうな状態によって大きく変動することになるわけであります。
  11. 神田大作

  12. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 契約その他の当事者はもちろん営林局長でありますが、買い入れるかどうかということにつきましては林野庁長官認可を必要とすることになっておるわけであります。
  13. 神田大作

    神田委員 営林局長買い入れ責任者であって、林野庁長官買い入れるかどうかの最終的な許可権があると言うか、今まで営林局長から出て林野庁長官が拒否したようなことがあるかどうか。
  14. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 地元と十分話し合いもし折衝もいたしまして、その結果まとまりましたものを林野庁におきましてだめだというふうに処置した例はないように考えております。
  15. 神田大作

    神田委員 そういたしますと、買い入れというものはなかなか容易な仕事じゃないと思うのでございますけれども、この買い入れに関しまして、地方の局長がほとんど権限を持っておる、局長の一言によって保安林というものは取引されておるというふうに考えられますけれども、ここに機構的に非常に問題が残っておるように私は思うのです。このような国の財産を買い入れするのに、何億、何千万というような取引局長にまかせて、そうしてこれを実施させるというようなことについて、これは法的に根拠があるのだろうと思いますけれども、参考のために、こういう問題についての法的の根拠、どういう法律のどういう裏づけによってそういう行為ができるのか、お尋ねします。
  16. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 今ちょっと記憶がありませんので、こちらですぐ調査しまして、わかり次第御回答したいと思います。
  17. 神田大作

    神田委員 何十億というような金の取引をしているのに、法律的に何の法律根拠になってこれを買い入れておるのかわからぬということは、どうもだいぶうかつな話だと思うのだが、それは保安林整備臨時措置法にはないのですか。
  18. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 これは保安林整備臨時措置法にはないように考えております。
  19. 神田大作

    神田委員 それでは、その根拠をはっきり至急調査して御報告願いたい。  それで、お尋ねしますが、この保安林買い入れるにつきまして、紹介者がおるというようなことを聞いておりますが、紹介者がおるのですか。
  20. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 紹介者がおるというようなことはほとんどないのじゃないかと考えております。これは、先ほど申し上げました保安林整備臨時措置法に準拠しまして予定森林というものを定めておりますので、営林局営林署機構によりましてそれぞれ所有者と話し合うということが原則になっておるわけであります。
  21. 神田大作

    神田委員 あなたが、いないというようなことを言われますれば、それでも答弁になるでしょう。しかし、実際には保安林買い入れ一つ一つ衆議院議員とかあるいは参議院議員というような人たち紹介が入っておる。この山はだれの紹介である、この山はだれの紹介であるというように、みんなそういうことが常識的に言われておるのです。これを長官が知らぬというようなことは、どうもおかしいと私は思うのでございますけれども、知らぬと言うならば、私も確たる根拠を示してお尋ねしたいと思いますが、これは人の名前を言わなくてはならぬから、きょうはその人の名前を言うことを私は遠慮しましょう。しかし、長官、こういうことは常識になっておるのでございますから、あなたは、紹介者というようなものはないという、そういう答弁をしておるようでございますけれども、別にぼくらがこれをどうこうというわけではありませんから、七十年来の長い今までの林野行政というものをやはりここらで根本的に改善しなければならぬという時期に来ていると私は思うので、林野行政の中に巣くっておるところのそういう暗い影をこの際やはりぬぐい去らなければならぬと思う。そういう意味合いにおいて私は御質問申し上げるのでございますから、一つ正直に御答弁願いたいと思います。
  22. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 紹介者があるのがほとんど常識だというふうなお話でありますが、われわれとしましては、買い入れをするかどうかという予定のところをきめるというふうな段階におきましては、もちろん先ほど申し上げました予定地というものを中心にしまして、営林局営林署という末端にそれぞれ機構を持っているわけでありますから、そういう機構を通じて森林所有者と話し合っていくという形を原則としてとっておる次第であります。
  23. 神田大作

    神田委員 このように何億、何十億というような保安林買い入れる場合に、局長等権限だけでこういう取引をすることが妥当であるかどうか、長官といたしましての考え方、これの改善を要すべき点があるかないか、その点をお伺いします。
  24. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 現在の機構といたしましては、局長がそういう点につきまして十分な調査もし、確信のあるところを決定いたしまして、それをもとにして考える、林野庁はそれに対してそれが適正であるかどうかという点について検当して認可をする、こういう行き方が現状におきましては最も適当な方法ではないかというふうに考えております。
  25. 神田大作

    神田委員 そうすると、今の保安林買い上げ方法で何ら差しつかえない、こういうふうにお思いでございますか。
  26. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 そういうふうに考えております。
  27. 神田大作

    神田委員 民有保安林買い上げ状況栃木県だけを調べてみたのでありますが、これはあと資料として全国のものを出してもらいたいと思うのでありますが、二十九年に上都賀郡西大蘆の五百十五町歩の山を保安林として買い上げたわけですが、この保安林蓄積が四万三千八百七石、買い上げ金額が六千五百四十三万円、一町歩当りにいたしますと十二万七千円見当になるようでございますが、一体、蓄積が四万三千八百七石しかないこの保安林を六千五百四十三万円で買ったということは、私は常識的に考えても非常に不適当なように思われるのでございますけれども、長官はどう思いますか。
  28. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 はなはだ申しわけないのですが、その買い入れました場所をちょっともう一度お話し願いたいと思います。
  29. 神田大作

    神田委員 二十九年九月七日の栃木上都賀郡の西大蘆です。
  30. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 これにつきましては、実は詳細の資料は現在持っていないのでありますが、面積が五百十五町歩蓄積は四万三千八百九石、買い入れ価格が六千五百四十三万円ということになっておるのでありますが、この中には全体の約三分の一をこす程度の人工造林地を含んでおるというような点から、これの評価価格というものが、先ほど言われましたように面積当りは十何万円になっておるということになった次第だと考えております。
  31. 神田大作

    神田委員 これは現地において詳細に調査しなければわからないことであろうけれども、幼齢林が百七十三町歩入っているのです。木を切ったあとを買っているわけです。しかも水源地涵養林として買っております。林野庁は往々にして、山の木を切ってからっぽの山を買って水源地涵養林と称しておりますけれども、一体山の木というものは十年や二十年で水源を涵養するだけの林になりますか。五十年も百年も二百年もかかって初めて水源地を涵養することになるのです。山を売る人たちは木を切ってうんともうけて、そうして今度細い幼齢林だけを残して、それを一町歩当り十二万円で売りつけているのでございますけれども、いかにどのような理由を——私は現場をまだ見ておりませんからわかりませんけれども、石数で四万三千石しかない山で、どうして六千何百万円の金を払わなくてはならぬのか、その詳しい基礎資料提出すると同時に、長官としてもこういうことが妥当なものであるかどうかということに対しまして調査の上御報告願いたい。今そこで調査してくれと言っても調査できないであろうが、常識的に考えてみてもおかしいのではなかろうかと思うのですが、いかがですか。ほかのものを見ますると、一町歩当り四万円から五万円ですが、これは一町歩当り十二万円です。石数も少い、場所はいいところでありましょうが、しかし、ここにどうもわれわれの納得のいかない数字が出ているのでございますけれども、これについての詳細な報告、しかも必ずあっせん者がいるわけでありますから、そのあっせん者名前一緒に御報告を願います。
  32. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 この山は村有林でありますが、先生が先ほど申されました幼齢林という意味は、切ったあと薪炭林のような小さいものという意味ではなしに、杉とかヒノキあたりを人工造林した、しかも十五年生というような若い山であるというふうにわれわれは考えておるのでありまして、これの詳細な資料につきましてはできるだけ早く提出いたしたいというふうに考えております。
  33. 神田大作

    神田委員 ついでに伺いますが、昭和二十九年十二月九日に、栃木県の塩谷郡栗山で四百三十町歩買っております。これが、蓄積が三十五万石、買い上げ代金が五千百万円でございますけれども、これについても詳細な資料をともに出していただきたいということをお願いします。
  34. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 先ほどの件と一緒にいたしまして、できるだけ早く提出いたします。
  35. 神田大作

    神田委員 なお、全国保安林を何カ所買ったか知りませんけれども、この民有保安林買済箇所調という資料に基きまして、買い入れをした相手方の住所氏名一つ資料として御提出を願いたい。
  36. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 できるだけ早く提出いたします。
  37. 神田大作

    神田委員 栃木県の黒磯町に相当膨大な保安林として買い入れ予定地があるようでございますが、これの所有者石橋正二郎、この人から林野庁保安林としてだいぶ膨大な林野買い入れておるようでございますけれども、この石橋正二郎さんの関係しておるところの日本木材株式会社が実際的にはこれをやっておるのであろうと思うのでございますけれども、この栃木県那須郡の黒磯地区におけるところの石橋正二郎所有保安林指定地の、その前の所有者からいつごろ石橋さんが手に入れたか、そうしてそれを保安林として国が買い入れたわけでございますけれども、このいきさつを調査の上報告してもらいたい。それもついでにお願いします。
  38. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 できるだけ調査いたしまして御報告いたします。
  39. 神田大作

    神田委員 週刊読売の二月八日号に、林野の問題につきましていろいろと書いておりますけれども、この中で山崎長官がこういうことを言っております。林野というものはわれわれが守るのだ、これを守らないというと大小の政治家がこれに対しましてウの目タカの目でもってねらっておる、そういう非常に危険な状態にあるからして私たちはこれを守るのであって、そういう意味合いで今の林野行政というものは新しいものであるというような意味合いのことが週刊読売に出ておりますけれども、長官はそういう心境に変りはないかどうか、あるいはそういうことが事実であるかどうか、お尋ねします。
  40. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 週刊読売に対しましてそういうことを私が話したことはありません。
  41. 神田大作

    神田委員 しかし、週刊読売の一番しまいの方に、長官もお読みになったろうが、書いてあるわけですが、ちょっと読んでみましょう。「緑会のある幹部はおもしろい表現をしていた。「あの高官が立候補するのは当然さ。そもそも国有林利権対象になる。高名な政治家から陣ガサまでこの利権をねらって林野庁圧力をかけてくる。都会のサラリーマンにとって国有林など無縁の存在かも知れないが、政治家には大きな魅力だ。国有林払下げをめぐって実弾もとんだことがある。しかし、いかに政治家圧力をかけてきても国有林の大幹まではけっして食われたことはない。国有林を身をもって守るのは、われら技術官僚だと自負している。その意味でこの高官はわれらの代表である。いまの政治家国有林は安心してまかしておけない。だからこの高官に不正な政治家から林野を守るために立候補していただきたい。それから、緑会が学閥だといわれるが、それにはいいたいことがある。いままでの行政官法律屋が牛耳ってきた。われわれ技術屋法律屋の風下に立たせられてウダツがあがらなかった。そこで昭和十二年に技術屋が団結して緑会をつくり今日に及んだのだ」この話を聞いているとたしかに一理あるとは思ったが、やはり公僕精神を忘れているね。政治家政治家だが……」と、こういうように書いてありますが、これは長官が言ったかどうかちょっとここの点ぼかしてあるようでありますが、そういうことを言ったことがない、そういう考えはないということであれば、私も了解しましょうが、一つお尋ねしますが、終戦後における歴代林野庁長官はその後どういうような官職におつきになっておるか、この点お知りでございますれば御答弁を願います。
  42. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 長官の初代は三浦辰雄先生がやられたのであります。現在は大同商事とかいう会社の社長をしておられるのであります。それから、次は横川信夫先生で、横川先生参議院から今度栃木県の知事に当選されました。その次が柴田栄先生でありますが、現在参議院議員をしておられます。その次は石谷憲男氏でありまして、現在中央林業相談所関係しておられるという状況でございます。
  43. 神田大作

    神田委員 歴代長官が大きな民間会社責任者になっておったり、あるいは政治家として参議院議員横川柴田氏が、また今度石谷さんも立候補する、こういうように言われて、林野庁長官がいずれもりっぱな道を歩んでいられることに対しまして僕はどうこうと言うわけではありませんけれども、こういうふうに週刊読売に言われておるように、局長あるいは署長というものが大きな権限を握って、何億、何千万、何十万円というような取引責任者になっておる。また、今度は、国有林野林産物の払い下げの場合は、特売制度を作って、そうして林産物を特定の人に売りさばく権限を持っておる。そういうような大きな権力を握っておるので、そういう裏にいろいろな問題がやはり存在しておるように世間では思っておる。実際において、今度の栃木県の横川信夫氏の選挙戦等を見ますると、それらの——過去にではあったけれども、そういうような権限が非常な力を発揮しておるということをわれわれは目の前に見せつけられたわけです。  次いでお尋ねしますが、政治家から山を守ることはけっこうでございます。しかし、歴代長官がこういうように大きな民間業者の責任者になっておったりあるいは政治的な責任ある立場に立つ。それでは、各地の局長とかあるいは小さく言えば県の部長とかいうような人が退職されてから現在においてどういうような地位に立っておるかということをわれわれも少し検討してみたいと思う。というのは、地方の局長をやりあるいは署長をやりして常日ごろ業者といろいろな取引をしておって、自分が退職する場合にはそういうところに就職し、あるいはそういう人たちの便宜をはかられておるというようなことをわれわれは聞くのであります。現に栃木県におけるところの前の林務部長の高木君は、私が今言った石橋正二郎さんの関係しておるところの日本木材の顧問をやっておる。そういうふうにして保安林買い入れとかあるいはいろいろの材木の売買等において便宜をはかっておるということが言われておる。これは高木君の名前を申し上げてまことに失礼でございますけれども、そういうことを私は聞きましたものですから、一つの例でございますけれども、こういうように林野庁におるところの高級幹部の方々がそのような立場をとる。これは自由でございます。やめてからどこへ行こうと、だれがどういう職業につこうと、これは自由でございます。けっこうでございます。けっこうでございますけれども、世間ではやはり、いろいろの角度からこれに対しまして、こういう大きな権限をかって持っていた人でございますからして、そこに何らかの関係があるのじゃなかろうかというような目をもって見ておるわけです。あなたは言わぬということですから言わぬでしょうが、週刊読売にあるように、「政治家からわれわれは林野を守る」——私から言わせれば、なるほど政治をやっておる者にもそういう不心得な人もあったかもしれませんが、それよりも、高級官僚に対して、あるいはうしろに大きなパルプ会社あるいは製紙会社、そういう人たちが、特売を取るために人を使って、金を出してやってもらっておるというようなことが言われておる。皆さんは地方の産業育成のために特売制度を実施すると言っておりますけれども、現に、北海道のごときは、こういうようなパルプ業者、製紙会社の手にどんどん特売の山というものが渡って、地方の小さな材木屋とかあるいは薪炭業者というものはそういう恩恵には浴しておらない現実じゃなかろうかと私は思うのでございますけれども、そういうような特権高級の官僚の方々と、またそれの利益を得るところの大業者、——国有林を守るというような美しい言葉の陰に、そういうような特権業者をあなたたちが守っておるのじゃなかろうか、今までそうして何十年となくやってきたのじゃなかろうか、こういうところに大きな疑惑の目が向けられておると思うのでございます。この問題につきまして、私は今後もこれを掘り下げていきたいと思うのでございますけれども、政治家から林野を守るのじゃない。そういう財閥、大資本家、大製紙会社から国有林を守らなくちゃならぬ。こういうように、保安林買い入れについても、一体地方の小さな山持ちがおりますか。一つもおらない。栃木県だけでも、だれが売ったかというのを見ると、さっき言ったように、村有林であったのが西大蘆の古沢伝吉氏、これは例外でしょうが、あとは、日本楽器製造株式会社の川上源一氏、三井農林株式会社の福井亘氏である、あるいはさっき言った石橋正二郎氏が大部分というように、こういうような人たちから保安林買い入れをやっている。また、特売でもって大きな利潤る上げているのは、そういうような大きな製紙会社でありパルプ会社である。一体だれのためにこの国有林を守っているのか。その点について、今後これを改革していかなくちゃならぬという大きな観点に立って、あなたの決意とそれに対する考え方をしっかりとお聞かせ願って、そうして長い間わだかまっているところの特売制度の改善、保安林買い入れ方法に対するところの整備、そういう問題についてのしっかりとした長官考え方をただしたいと思います。お答え願います。
  44. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 国有林の売り払いあるいは買い入れというような問題につきまして、先生から御指摘をいただいたのであります。そういうふうな御指摘をいただくような形になりましたことは、われわれは非常に遺憾であります。国有林関係します職員二万四千名でありますが、これ全体が自粛自戒いたしまして、そういうふうな疑惑なんかのないように今後とも強力に努力していかなければならぬと考えておる次第であります。  なお、特売制度の改善の問題につきましては、先般大臣から答弁がありました通り、われわれといたしましても、この問題の根本的な点につきまして今後十分な検討を加えて、それの改善をはかって参りたい、こういうふうに決心しておる次第であります。
  45. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 神田委員にちょっと申し上げますが、林野行政一般については後日調査を行う機会を持ちたいと思っておりますので、本日のところはなるべく法律案に関連する質疑をお願い申し上げます。
  46. 神田大作

    神田委員 長官からお答えがありましたが、こういういろいろの問題について今後ぜひ御検討の上適切な改革をはかってもらいたいと思うのであります。  今二万何千人の林野庁の職員が自粛自戒すると言われましたが、私は二万何千人の林野庁の職員が自粛自戒するというようなことで言ったのではない。問題はやはり責任者です。長官とかあるいは局長とか署長とかいう責任者であって、働く多くの林野庁の職員は低賃金で奥の山の中にいて非常に苦しい生活をしてまじめに仕事をしておるのでありますから、私はそういう人たちに今の言葉を申したわけではありませんから、誤解のないようにお願いすると同時に、林野庁は今度民有林協力というような線を出しており、これも一つの方法でしょうが、しかしながら、その前に、林野庁に働いている、特に現場におる職員というものは低賃金でもって苦しんでおるのでございますけれども、これについて、現在職員は何人いるのか、給料は幾らぐらい、どういう種類によって払われているか、そういう点をお尋ねしたい。
  47. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 現在いわゆる定員内職員として国有林の仕事に関係しております職員は約一万四千ないし五千弱の人数になるのであります。それから、いわゆる労務者という形で国有林の仕事に関係しております職員は、時によって相当大きい相違があるのでありますが、大体七万ないし十一万程度の職員になっておるのであります。
  48. 神田大作

    神田委員 それでは一つ詳しい現員と現給の状況等は資料でもってあとで御提出願いたいと思います。
  49. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 それはあと資料提出いたしますが、給与についてはここに資料がありますので、簡単に御説明いたしたいと思います。三十三年十月における職員の俸給は一万六千九百八十七円、扶養手当千三百六十九円、勤務地手当が千六十四円、合計いたしまして一万九千四百二十円という給与べースになっておるのであります。
  50. 神田大作

    神田委員 その給与べースはほかの官庁から比較すると少し下っているように見受けられますけれども、これらの職員の年令、学歴構成、そういうものも一緒資料としてあとで御提出を願います。そして、特に奥山で働いておるところの現場の林野庁の職員の待遇というものに対してよほど考慮をしていかなくちゃならぬ。それと同時に、今度はほかの面においていろいろの疑惑がある問題については、待遇は改善する、そしてそのほかの問題についてはきびしくこれをやる、そういう態度をとらなければならぬ。これも週刊読売にもちょっと出ておるようでございましたけれども、ある温泉場の林野庁の療養所といいますか、あるいは宿泊所と申しますか、それが非常にぜいたくなもので作られておる、わざわざ木曽、秋田から木材を取り寄せ、そして豪奢な建物であって、何かどうも納得がいかぬということも言われておるようであります。週刊読売にもそう書いてあるのですけれども、こういうことを私も耳にいたしております。そういうところばかりではないでしょう。ないでしょうけれども、そういう疑惑がある。しかしながら、私は、現場における職員が低賃金で、しかも重労働をされておるというような、こういう待遇改善こそまず先決問題でありまして、こういうことにやはりちゃんとした筋道を通しておくべきじゃなかろうか。そういう意味合いにおいても、これらの待遇改善について特段の努力と理解を持たれるようにお願いするのでありますが、これについての御答弁を願います。
  51. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 林野庁の職員の給与べースは、先ほど申し上げました通り、職員俸給、扶養手当、勤務地手当三つを合計したものにおきましては、他の四現業の中で一番低いという状況になっていることは、御指摘の通りでありますが、これを内部的に見ますと、職員俸給におきましては他の四現業の中でも林野庁は必ずしも低くない。また扶養手当につきましても同様に低くない。ただ、勤務地手当がほかの四現業よりも非常に低いというところに問題があるのでありまして、これは、現在公務員に対します給与の体系というものが都市に偏重されて、そこに勤務地手当が多くつくというふうな実態に基くもののように考えておるのであります。一方また、林野庁におきましては、先生の仰せの通り非常に不便なところに生活する職員も大ぜいおるわけでありまして、こういう職員に対しましてはやはり公務員に準じた隔遠地手当というようなものも出しておるのであります。こういうものを総体いたしまして、林野庁といたしましても今後この職員給与の合理的な改善という点にはなお一そうの努力を払いたいと考えておる次第であります。
  52. 神田大作

    神田委員 国有林野というものが、特に東北、関東において民有林と非常に接近し、しかも村落の軒下まで国有林になっておりまして、地元の農民もこれが払い下げあるいは開拓というようなことを非常に希望しておる個所が多いのでありますけれども、この林野の払い下げ等につきまして、あるいは開拓可能地に対する開墾地としての国有林の払い下げというようなことにつきまして、長官の御見解をお聞きします。
  53. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 開墾適地につきましては、各県の農業委員会が中心になりまして計画を立てまして、県の農地関係、県の林務関係、及び国有林関係営林局というものと打ち合せまして、適地基準というようなものに従ってそれぞれ未墾地として解放する、それは本人に直接売るわけでありませんで自作農創設特別措置の特別会計にこれを一括して譲り渡し、その特別会計からさらに個々の農民に対して売り渡すという方法をとって進んでおるのでありまして、われわれといたしましても、この適地基準に合致し、しかもそこに営農ができるであろうというふうに考えられるところに対しましては、そのそれぞれの機関の要請に基きましてそれを解放していくという線で現在も進んでおる状態であります。
  54. 神田大作

    神田委員 部落に近いところにある国有林野の民間の利用、あるいは一歩進んでこれが払い下げ、それから開拓、開墾というような問題につきましては、多くの農民が非常に渇望している問題でありますし、今日耕作反別が非常に僅少でもって苦んでおる農民でありますから、この点につきましては、一つ抜本的な調査をいたしまして、すみやかにこれらの適地は開拓地として払い下げる方法をとるべきであろう、私はこう思うのでございますので、それらの努力をお願いしたいと思いますが、長官のいま一度御答弁を願います。
  55. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 現在におきましても、国有林を地元山村民のために利用すると申しますか、いわゆる利用権の設定というふうな形において利用させておりますものは、国有林野面積七百五十万町歩に対しまして約二百万町歩という状況になっておるのでありますが、われわれといたしましては、その共用の程度というふうなものを今後ますます強化するという方向、あるいはまた、先ほどお話のありましたように、ほんとうの農地として適当なところはまた農地として未墾地解放の処置をとっていくというふうな点につきましては、林野庁といたしましても積極的にその方向に進みたいと考えておる次第であります。今後ますます努力いたしたいと考えております。
  56. 神田大作

    神田委員 次に、木炭対策について簡単に一問御質問申し上げたいと思います。  御存じのように、現在熱資源の変化によりまして木炭生産者は非常に不安な立場に追いやられておるのでございますが、これに対しましていわゆる需給調節のための融資というようなことを考えておるようであります。これも必要でございましょう。しかし、これ以外に、原木が適正な価格でもって買い入れられないというところに大きな問題があると思うのでございますけれども、この点について長官はどうお考えになりますか、お伺いいたしたい。
  57. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 木炭につきましては、出荷調整という考え方に基きまして、四月、五月、六月という農閑期の労力を利用いたしまして生産し、その生産が終る段階は木炭不需要期になるということに伴いまして非常に価格が下るということを防止しなければならぬというふうな見地に立ちまして、出荷調整の措置を講じて参りたいというふうに考えておるのでありますが、もう一方、原木の問題につきましては、最近におきまして広葉樹に対します化学原料としての用途が相当積極的に進んで参ったという関係、並びに里山に近い民有林の資源がやはり終戦後から引き続く乱伐によって減少したというふうな変化にからみまして、原木確保に困難を覚えるというふうな事態も確かに出て参っておるのであります。こういう点に対する対策といたしましては、国有林におきましてそういうふうなものに充当できます原木があります場合は、それを極力地元の方々にお売りする。しかも従来と違いましてそこに製炭される方々が自発的な組合というふうなものを作って進んでいかれるという場合には、そういう方々に優先して薪炭原木を供給していく。価格もまた、そのときそのときの木炭価格もとにして計算していきますと、需要時期による消費との関係におきます木炭価格の上下にかなり激しい関係一カ年間の木炭の平均価格市場価格にするという考慮も加えましてこれに対処いたしておるという現状にあるのであります。
  58. 神田大作

    神田委員 原木の問題はやはり木炭対策の中心であろうと思うのであります。現に、今原木を売るという立場の人たちは余裕のある人が多く、ある程度高いし、買うというような人は資力のない人が非常に無理をして買っておるというようなことで、どうしても原木の供給は不円滑でございますので、一つ国有林野のこのような原木を、長官も言われたように、農業協同組合とか、あるいは薪炭組合とか、そういう公共性を持つものに優先的に払い下げをして、そうしてこれが供給をはかっていくというような方法を相当強めるとともに、根本的には、これらの木炭林材を持っておる人たちと木炭を生産する人たちとの間において、自由取引でございますから、そこに引き合わなくとも無理をしてやはり買わなくてはならぬという、そういうところに木炭生産業者が非常に苦しい立場に追いやられておると思うのでございまして、これらにつきまして抜本的な対策を林野庁としても立ててもらいたいということを強く要求いたします。  次に、今度の公団でもって、民有林協力というような線に沿って、国有林でない民有林に対しまして林道を設置するというようなことでございますけれども、これの基準は、国有林が七〇%、あるいは民有林が三〇%というような規制があるようでございますが、民有林に国の林道を作った場合に、一体民有林所有者がどのような責務とどのような負担を負うものであるか、それをお尋ねいたします。
  59. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 この林道は、その林道を開設することによりまして民有林ももちろん利益を受けるわけでありますし、あわせて国有林も利益を受ける、両者が受益するという形になるのでありますが、お尋ねの民有林所有者の責務というものは、この林道を民有林という形におきまして国庫補助林道というふうな方法でこれを開設しました場合に、民有林所有者が負うべき責任と申しますか、それの限度において責任を負っていただくという形になるわけであります。
  60. 神田大作

    神田委員 どうも僕にははっきりわからないのですけれども、国有林の林道を作るために民有林もやはりそこに特別会計でもって林道を作るとかあるいは公団方式によって林道を作っていくというような場合における民有林所有者の負担というものは一体どういうことになるのですか。
  61. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 民有林所有者の負担は、いわゆるその林道を使いまして木材を搬出するという場合におきまして、一石幾らという使用料を払っていただくということが義務になるわけであります。
  62. 神田大作

    神田委員 それは公団でもってやる場合はそうだろうと思うのでございますけれども、そうでない、特別会計で民有林へ林道を作る場合はどうですか。
  63. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 これは特別会計の事業として関連林道を作るわけでありますが、この場合におきましても同様でありまして、利用料という形で一定の金額を負担していただくということになるわけであります。現に、こういう考え方でなしに、ほとんどその地域におきます大半が国有林であるというような場合におきまして、そこに国有林事業を行いますために林道をつける、その林道を民有林方々木材搬出等に利用するという場合にも、現在までにおきましても一定の方式に基いて計算を行いましてその利用料というものはすでに払っていただいておるわけでありまして、そういう形をこの林道についてもとろうというふうに考えております。
  64. 神田大作

    神田委員 林野につきましては、私が要求いたしました資料提出になりましてからまたあらためていろいろの問題等につきまして御質疑を申し上げたい、こういうふうに考えております。
  65. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 先ほど調査してお答えすると申し上げました売り払い、買い入れにつきます権限の点について御説明いたしたいと思います。  国有財産法の第九条の規定によりまして、農林大臣国有財産に関する事務を営林局長営林署長に委任できるということになっておるのであります。また、二十九年の保安林整備臨時措置法の制定に伴いまして、農林事務次官の通達が出されまして、これによって、営林局長保安林買い入れるときは農林大臣認可を受けて買い入れることができるということになっておるのであります。なお、三十四年の一月以降から、この認可権限が事務簡素化の趣旨に基きまして林野庁長官に委任されたという形になっておるのであります。
  66. 神田大作

    神田委員 林野の問題につきましては、後刻また要求いたしました資料がそろい次第御質問を申し上げることとして、大臣等に対しましても根本的な考え方をやはり聞かなくちゃならぬ問題もありますから、私の林野に関する質問は保留しておきます。  次に、一言だけ開拓関係について、私がこの前に質問をいたしました問題に対しまして正式な答弁がないので、あらためて御質問を申し上げますが、いわゆる天災融資法に基きます災害資金といたしまして貸し付けられた資金が、現在までに幾ら政府がその補償をしておるか、補償の額は一体幾ら程度になっておるかというような御質問をしたわけですが、その点について御答弁を願います。
  67. 伊東正義

    ○伊東政府委員 今の御質問でございますが、実は損失補償の問題、中金の問題は経済局長から御答弁するのが当然なんでございますが、開拓関係ではまだ実は政府で損失補償をした実績はございません。来年の予算では、実はこれは私の方じゃないのでございますが、経済局の方で損失補償の予算をたしか一億計上いたしておるはずでございまして、今までよりは中金の善良なる管理者の義務というものもある程度ゆるまったといいますか、話し合いがつきまして、その点は政府の損失補償のめんどうを見る幅も広くなっていくのではないかと考えております。詳細は経済局長から御答弁申し上げると思います。
  68. 神田大作

    神田委員 私の知るところでは大体二百二、三十万だろうと思うのでございますが、何億、何十億というような融資のうちで、損失補償ということをりっぱにうたってありながら、二百万程度の補償しかしない。中金が開拓者に融資することを非常に危険がって慎重になっている。法律でりっぱに補償制度を作っておきながら、実際的には、補償をやらぬように、そういうような危険を冒さないようにという態度が、今日中金が苦しい開拓者の災害融資に対しましてこれを十分果すことのできない大きな原因であると思っております。先ほども陳情がありましたように、やはり開拓農家の一番大きな問題は資金問題でありますから、特に何回も何回も引き続いて災害を受ける開拓農家を軌道に乗せ営農計画を完遂させるためには、その裏づけとして低利、長期な資金を供給しなくちゃならぬ。そういう意味合いにおきまして、私は資金対策というものは開拓農家更生のために非常に重大なポイントであると思うのでございますが、この問題について責任ある御答弁をお願いしたいと思います。
  69. 伊東正義

    ○伊東政府委員 今の御質問、ごもっともでございまして、われわれも資金の問題は非常に重要に考えております。来年度におきましても、営農の基礎条件を作ります資金を供給する面におきましても、実は振興資金につきましてある程度大幅な貸付を行う、——これは特別会計でございます。このほかに、公庫でも、ことしは、十二億ということでございましたが、これを十五億に増す、あるいは自作農資金につきましても、来年度は大幅に予算を組みまして、個人の高利で借りております資金は借りかえるというようなことで資金の供給をしたいということを考えております一面、今先生のおっしゃいました履行延期の問題といいますか、これにつきましても、政府の資金につきましては、この前も御説明いたしたのでございますが、今までの国の償還率をだいぶ落しまして、三〇%とわれわれ言っておりますが、これは年度によって若干違いますが、約三〇%ぐらいのものにしか返ってこないじゃないかというような実情に合せた特別会計の組み方をいたしましたことが一点、また、今御質問のありました天災資金によります借り入れを、開拓営農振興臨時措置法に基きます改善資金——これは十年の長期のものでございますが、これに大部分のものを借りかえしていくというような手段を講じまして、資金の供給をはかります一面、何とかできるだけの延期もしていく。国の法律でいきますと、国の債権の管理等に関する法律という法律の弾力的な運営をはかりまして、極力先生のおっしゃいました趣旨のことをやって参りたいというふうに実は来年度考えまして、まあ意図的といいますか、入植者の振興対策をできるだけはかっていきたい考えであります。
  70. 神田大作

    神田委員 ぜひそういうふうに御努力を願いたいと思うのでありますが、往々にして、農林省の言うことと実際資金を貸し出す当事者であるところの農林中金との間に解釈の相違というようなものがあって、実際において貸し出す場合においては、お互いになすり合って、円滑な融資ができない場面が出てきておるのでありまして、この点、農林省といたしましても、実際に貸し出すところの当事者に対しまして農林省の意向を十分伝達し、それが実行されるように努力されんことをお願いいたしまして、以上、私の質問を終りたいと思います。
  71. 伊東正義

    ○伊東政府委員 実例としまして、今先生のおっしゃったようなことがちょいちょい出てきておることは確かにございます。開拓者が守り得ないようなあまり過酷な条件ということになりますと問題になりますので、われわれも、そういう具体的な問題につきましてよく金融機関と協議して、なるべくそういう事態の起らぬように最善の努力を今後とも払うようにいたしたいと思います。
  72. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 次に、西村関一君。
  73. 西村関一

    ○西村(関)委員 私は農林漁業金融全般についてまず御質問をしたいと思っておったのでありますが、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案がすでに本委員会において可決されましたので、本日は、この二法案に関連をいたしまして、金融行政の面について御質問をいたしたいと思います。  まず開拓融資保証法の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、ただいまも神田委員の質問の最後のところにも触れておられたのでありますが、また農地局長の御答弁も承わったのでございますが、もう一度この点につきましてあらためて質問をいたしたいと思うのであります。先ほども開拓者の代表方々が多数本委員会に参られまして、るる血を吐くような陳情をせられたのであります。農林御当局におかれましてもその陳情の趣旨はよくおつかみになったと思うのでございます。私の見るところ、知るところから申し上げましても、今日の開拓農民の窮状はまことに目をおおうところのものがあるのでございます。これはいわば農林大臣の言っておられます三浦農政の基本的施策の一つであります生産基盤の整備拡充という、この大事な政策に殉じて、みずから不毛の地にくわを入れていろいろな犠牲を払って開拓の仕事に従事している開拓農民の営農の条件が向上されますためには、国の責任においてもっと重点的に行わなければならないことは申すまでもないところであると思うのであります。ところが、現状は特に融資の面におきまして非常に行き詰っておる。今日までの融資が不徹底でありまするために、困難な条件を克服して営農の態勢を作るまでには至っていない、非常に苦しいところにその壁を突き破ることができない状態に置かれているのでありまして、今日まで、政府の方の開拓者資金にいたしましても、あるいは中金資金にいたしましても、ないしいわゆる畜舎資金といわれております農林漁業資金にいたしましても、実情に合わない面がある。その据え置き年月にいたしましても、償還年月にいたしましても、あるいはその利子にいたしましても、実情に対して非常に過酷なものがあるという点が、開拓農民を多分に苦しめているように思われるのであります。もとより、国庫の財源には制限がございますから、開拓農民の要求ばかりを取り上げて重点的にやらなければならぬというものの、そういうわけには参らない面もあるということは認めるのでありますが、どうもこの開拓者資金にいたしましても、一律に五カ年据え置き、十五年年賦でもって、三分五厘でありますか、こういうような相当な利子で、これは低利と言えば低利でありますけれども、このような利子を払うというようなことでは、なかなか十分な成果を上げることができない。前の借りた金の利子を払うことができないために、次の金を借りた場合にそれを営農にぶち込むということができないでむしろ利子に充当されてしまうというようなことのために、事実この金融によるところの資金の援助が十分な効果を上げるというところには至らないで、むしろ開拓農民の立ち上る意欲をそぐというような実態に至らしめておると思うのであります。この提案になっておりまする改正案の趣旨も、やはりそういうところからここに出されておるものであると思うのでございますけれども、特に中小家畜導入資金のために八千万円の金を増加してやろうということになっておるのだと思うのでございますが、根本的に開拓者の金融の面に対して農林省はこのままの形でいこうとお考えになっていらっしゃるかどうか、何らかの特別な措置を講じていこうというようなお考えを持っていらっしゃるかどうか、将来において法律改正してでもこの窮状を救うていこうというようなお考えを持っていらっしゃるかどうか、この点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  74. 伊東正義

    ○伊東政府委員 御質問でございますが、結論的に申し上げますと、三十四年度におきましては現行の法律体系を弾力的に運用いたしまして、法律改正ということは今考えていません。御承知のように、実は、開拓営農振興臨時措置法に基きまして、現在、新開拓農家につきましては振興計画を樹立いたしまして、知事の承認を受けているという段階でございます。それで、われわれとしましては、その振興計画をどうやっていくかということをこの新開拓の対策の重点に置きまして、これを中心にいろいろな施策を考えていきたいというふうに思っておりまして、三十四年度につきましては、これが大体三月一ぱいで出そろいますので、これをもとにして施策を考えていく。これと並行いたしまして、開拓者から今までの借入金をある期間たな上げというような声も聞くのでございますが、これにつきましては、問題はそれだけでなくて、さらに財政資金の貸付ということもございますので、事が非常に重大でございますので、われわれとしましては、開拓地の事情をもう少し調査いたしまして、その振興計画をどうやっていくかということは、今後の検討の問題としたいというふうに考えております。
  75. 西村関一

    ○西村(関)委員 ちょっと御参考までに農林当局に申し上げておきたいと思うのでございますが、私は先年イスラエル共和国を見たのであります。イスラエルは、御承知の通り、地中海岸の一部の平野を除きましては全国ほとんど不毛の土地であります。エルサレムの近郊は有名な岩山の不毛の地でありますし、それから南の方は砂漠地帯でありますし、ガリラヤの周辺は荒れ地の丘陵地帯であります。そういうほとんど全国不毛の地といわれ、イギリスが統治しておりました時代において、イギリスの専門家でさえもさじを投げてしまったような不毛の土地であります。現在のイスラエル共和国が出現いたしましてから、着々開拓計画を成功させまして、砂漠が着々緑地化されておる、そういう実情を私は見たのであります。そして、その事業が総合的な国土開発計画に乗って、農業開発が非常な成果を上げておる。その成功のかぎはどこにあるかということをいろいろと調べたのでありますが、その一つは、やはり開拓者に対する重点的な保護政策というものであるということを知ったのであります。これは、日本の公庫もしくは中金を一緒に合せたようなジュウイシ・エージェンシーというものがありまして、そこから、入植する者に対して、大体米貨にして五千ドルぐらいの多額の金を長期無利子で貸すというような制度をとっているのであります。イスラエルは、その国力から言い、民度から言い、はるかに日本よりは劣っている国であります。しかも、周辺のアラブ諸国に取り囲まれて、国境地帯はまだ物情騒然たる状態にある。そういうわが日本とは比較にもならないような条件の悪い国でありますが、しかもこのような重点的な開拓政策をとっている。一例をあげますと、これは条件によって必ずしも一致しておらなくて、条件のいいところと悪いところはやはり区別をしているのでありますけれども、利子などは三分以下の利子で、大体三十年年賦で貸しておるという実情でございます。そういうようなことから、しかも生産協同組合組織をもって協同組合村が二百も三百もできておる。こういうやり方を見て参りました私といたしましては、それと引き比べて、すでに入植以来十二年にもなります今日の開拓農民の実情を見ますときに、これは非常な意気に燃えて入っていった開拓者を全く見殺しにしてしまうような政策であると言っても過言でない。それは当局においてはいろいろ予算のワクに縛られるというような点もございましょうけれども、そういうようなことと見比べまして非常な見劣りがするということを私は率直に申し上げなければならぬのであります。それらの点につきましても、今局長は振興計画に基いてやるというようなお答えでございましたが、これは災害資金に関して五カ年のものを十カ年年賦によって払わせるというようなことも含まれておるようでございますけれども、そのくらいなことではとうてい今日の開拓民の窮状は救うことはできないと思うのであります。これに対する助成金並びに貸付金等をもっと重点的に今後において期待するということが、これはただにこれだけの開拓民を救うということだけでなしに、三浦農政の生産基盤の整備拡充という基本政策を貫く上から言っても大事な点だと思うのでありますが、事実、打ち出しておられる政策はりっぱなんだけれども、ほとんどこれに見合うところの予算が出されていないというところに、私は大きな不満を感ぜざるを得ないのであります。これに対してもう一度局長のお考えを伺いたいと思います。
  76. 伊東正義

    ○伊東政府委員 御質問の点、拝聴いたしました。日本の開拓におきましても、今後の問題と過去の問題は分けて考える必要があると思うのでございます。今後の問題につきましては、過去の轍を踏みませんように、大体、新規入植等につきましては、機械開墾地区でありますとか、あるいは基本営農計画を立てました地区でありますとか、これはある程度建設事業も十分これに並行しまして、入ってから手で開墾していくというような形でなく、入る人につきましてもある程度自己の資金も持てるというようなことを考えまして、過去の轍を踏まぬように、今後の問題は十分注意いたしたいと思います。過去の戦後の開拓につきましては、確かに私も先生のおっしゃいましたようなことがあると思っております。これは、資金の点だけを先生お話しでありましたが、実は建設工事自身が非常にまたおくれておる。ただ入れるというような格好、これはそのときの社会情勢、経済情勢で仕方なかった点もあるのでございますが、建設工事がかなりおくれておるということも実は開拓地の不振の一つの大きな原因であろうと思っております。でありますので、資金の点ももちろんでございますが、私は、過去に入った人については、非常におくれております建設工事につきましても、これはなるべく重点的に取り上げていくというような考え方からいたしまして、来年度につきましては、実は開拓予算の全部のふえ方以上に不振地区につきまして重点を置いたつもりでございます。今後ともそういう態度で進みたいと思います。  それで、われわれといたしましては、新規入植につきましては、先ほど申し上げましたような非常に限定された地区になりますので、ここしばらくはそう大きな新規入植ということを考えず、最重点的な問題として、過去に終戦後から入りました大部分の開拓者の不振地区、これの対策にしばらくの間は重点を注いでいきたいというふうに考えております。
  77. 西村関一

    ○西村(関)委員 建設の面にも力を注いでいきたいというお話でございますが、それはまことにけっこうだと思うのでございます。開拓地の実情から申しまして、いわゆる開拓道というものが近く村道なり町道に編入されるというような事態になっておりますが、しかし、この開拓道がほとんど道路の体裁をなしていない。橋梁は木橋のぼろぼろの状態でありまして、これを村や町当局が引き受けたならば、莫大なこれの補修に要する予算を引き受けなければならぬということでありまして、これは悩みの種になっておる。頭痛の種になっておる。ところが、出先の農林省の方ではそういったようなことはあまり取り上げない。むしろ、そういうことになると、どうもそういう橋梁や道路の工事の十分な監督ができなかったというようなことで上司からしかられるというような点もあるんじゃないかと思いますけれども、それを十分取り上げてくれない。ただ一片の法律によって村もしくは町に移管するというような措置をとっておるようでありますが。こういうことでは地元の福祉を阻害する面が非常に大きいと思うのです。今の建設事業に力を入れると言われました局長のお言葉に対して、こういう実情を御承知であるかどうか、またこういう実情に対して何らかの特別な措置を講ぜられるというお考えがあるかどうか、その点もお伺いいたしたいと思います。
  78. 伊東正義

    ○伊東政府委員 開拓道路の御質問でございますが、今先生のおっしゃいましたように、開拓道路につきましては、特に最近の事情から開拓地が酪農経営等を非常に行いますので、これを市乳として出します場合には交通手段が非常に重要性を持っております。過去にやりました開拓地の中で、実はまだ道路が十分ついておらぬというようなところもございまして、来年度の予算におきましては、開拓道路につきましても、建設工事が終了しました地区につきまして、かなり道が悪いというところに、いわゆる開拓地改良という予算上の名前は使っておりますが、さらに開拓道路の補助金も出して一応よくしていくというように、予算も実は十分とは言えませんが計上いたしております。来年度は開拓地改良の予算の初年度でありますが、今後ともその点につきましては重点を置いてやっていきたいというように考えております。
  79. 西村関一

    ○西村(関)委員 今私の質問いたしましたのは、開拓道路の荒れ果てておる、また開拓橋梁の腐朽しておる、そういうものをそのまま町や村に移管するということに対して、これをよくしてから移管するというような措置をとられるかどうか、そういうことを伺っておるのです。
  80. 伊東正義

    ○伊東政府委員 予算でも、開拓地改良とあわせまして、道路補修という予算を、全国で五千万くらいでございますが、これはすでに建設工事も終った地区でございますが、その地区の道路を補修していく、そしてそのあとで移管するというような形で、五千万でございますが予算は一応計上してございます。
  81. 西村関一

    ○西村(関)委員 その五千万という金は、全国の開拓地の荒廃している道路、腐朽しているところの橋梁がどのくらいあって、それに対して何パーセントくらい適用される見込みでございますか。
  82. 伊東正義

    ○伊東政府委員 今御質問のパーセンテージは、私ちょっと忘れたのでございますが、これを算出しました基礎は、今振興計画をとり、われわれの方といたしまして開拓地の特別不振地区を全国で千百カ所ばかりとっております。これにつきまして、そこの地区について事業をやれば振興計画が達成できるだろうかという経営診断を実は三十三年度まで過去三年についてやりまして、資金面でめんどうを見れば解決するもの、それから、いわゆる行政措置と言っておりますが、これは、さらに今申し上げましたような道路をつけますとかいうような、あるいは道路を補修するというようなことをやって初めて不振地区から脱却していくというような地区を選別いたしまして、そういう行政措置を要するものの中から各地区を積み上げで拾い出して予算の積算の基礎にして要求したのであります。私、今パーセンテージを失念いたしましたが、これは後刻調べて御報告いたしたいと思います。
  83. 西村関一

    ○西村(関)委員 そういうことの調査はすでに農林省でできており、そのことを積算の基礎として予算を要求せられた、というのですが、それでもって一応道路の補修あるいは橋梁の補修がほぼできるというお見込みなんですか。
  84. 伊東正義

    ○伊東政府委員 今申し上げました金額は来年度一年でございますので、われわれといたしましては、一年でこの不振地区解消ということは無理でございます。実は、この前の委員会でもお答えしたのでございますが、不振地区全部の建設工事の完了は何年くらいかかるかという御質問があったのであります。国営等につきましては建設工事で大体五年くらいかかるではなかろうか、いわゆる代行開墾と言っておりますが、これについては七年くらいで全部完了するという目途でわれわれはこれから考えるつもりであります。
  85. 西村関一

    ○西村(関)委員 そのような計画が完成するまで開拓道なりその橋梁を村もしくは町に移管するということはなさらないというお考えでございますか。
  86. 伊東正義

    ○伊東政府委員 これは市町村当局との話し合いもございますが、われわれとしましては、市町村道の規格というものが一応ございますので、その規格までは何とか作りまして、その上で移管していきたいというふうなつもりでおります。
  87. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 本会議が開かれますので、本会議散会後再開いたすこととし、暫時休憩いたします。     午後三時二十五分休憩      ————◇—————     午後三時五十八分開議
  88. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 これより再開いたします。  休憩前に引き続き開拓融資保証法の一部を改正する法律案及び森林開発公団法の一部を改正する法律案の両案に対する質疑を続行いたします。西村関一君。
  89. 西村関一

    ○西村(関)委員 農地局長にお尋ねをいたしますが、先ほどの私の質問に引き続きまして、開拓者の問題でありますが、政府におかれましては、開拓地の立地条件等の相違によりまして非常にいいところと悪いところができておることは言うまでもありませんが、立地条件の悪いところに対しては、特別にその償還期間を延ばすとか、あるいは利子を引き下げるとか、あるいはまた何らかの便法を講じて、こういう不均衡を是正していくようなお考えをお持ちになれるかどうか。また、先ほどお話のございました振興計画に基いて非常に進んでいるところと、おくれているところと、いろいろあるようでございますが、そういうことについての調査資料ができておりまするかどうか。この点を一つお伺いいたしたいと思います。
  90. 伊東正義

    ○伊東政府委員 立地条件の優劣で借りております資金の償還について手心を加えるかどうかという御質問でございますが、私ども今考えておりますのは、立地条件そのものからずばりと出て参りましてどうという問題ではございませんで、立地条件という言葉も非常にむずかしい言葉でございますが、われわれ今考えております履行延期というような問題は、立地条件という形でなくて、今の開拓者の経営の状態がどうであるかという面から見まして、この前の委員会で御答弁いたしたのでございますが、国の債権の管理法という法律がございますが、これはたとえば生活扶助の基準の一・四倍の範囲以下であれば履行延期するとか、いろいろな基準を作ったのでございますが、これは、立地条件という考え方でなくて、一個々々の経営形態として見まして、その経営の内容がどうであるかということを基準として、履行延期をするかせぬかというようなことで国の債権については考えております。
  91. 西村関一

    ○西村(関)委員 そういたしますと、それは、その地区々々によって考慮するというのじゃなくて、たとえばA地区ならA地区でも、特に経営の悪いところに対して考慮する、全般的にA地区ならA地区全体を考慮するということでなしに、個々の農家を対象として考慮する、こういうお考えなんですか。
  92. 伊東正義

    ○伊東政府委員 御質問の通りでございまして、個々の農家の経営を見まして、個々の農家対象で今の履行延期ということを考えて参ります。
  93. 西村関一

    ○西村(関)委員 個々の農家に対する調査というものは、すでにでき上って農林省の方において集約ができておるのでございますか。
  94. 伊東正義

    ○伊東政府委員 御質問でございますが、今の点は、振興法に基きまして個々の農家が改善計画を作りまして、それをもとにしました振興計画が上ってきているものについてはございます。また、それが出て参っておりますのは、今振興を要する農家十万戸と考えられます中で、七万七千戸ばかり実は出てきております。これについては個々の農家別に出されているわけでございますが、あと考えられます二万数千戸のものは、これは提出期限でありますこの三月一ぱいで出て参りますので、それで内容の精査ができるわけであります。
  95. 西村関一

    ○西村(関)委員 その七万数千戸につきまして検討を加えられました結果、そのうちのどれだけが従来のままでもやっていけるというふうな状態にあるのか、あるいはそのうちのどれだけのものが特別な措置をしなければならないというものなのか、あるいはまたその中間くらいのものであるか、その割合はどんなものでございますか。
  96. 伊東正義

    ○伊東政府委員 今の割合でどのくらい出ているかという御質問でございますが、実は、今出ております農家が、これは何らかの対策を要するという農家なんでございます。その場合に、われわれはその農家を対象としまして特別会計の中では振興資金を貸し付けるということを考えているのでございますが、その農家の中でさらに幾らの農家が履行延期を必要とするかというようなところまでは、実はまだ十分調査ができておりません。これにつきましては、財務局、それから農地事務局等におきまして、一定の基準に基きまして、個々の農家について、これは履行延期をするかせぬかということをとっていくわけでございますが、現在のところでは、出ておりますものについて何十パーセントが履行延期をする必要があるかというようなところまでの調査は実はできておりません。ただし、今まで履行延期しましたのは、大体一億七千万実は履行延期をしたのでありますが、おそらく、そういうものが出てくれば、われわれの推定では、三十三年度中にもさらに六、七億程度のものは履行延期できるのではないかという想定はいたしておりますが、先生のおっしゃいます何十パーセントまでそれでは履行延期する必要があるかというところまではまだ調査はできておりません。
  97. 西村関一

    ○西村(関)委員 七割七分の残りの二割三分といいますか、その中からも再建を要する農家があると考えてよろしいのですか。その点出てないのはどういう理由で出てないのか。いろいろな事情があると思いますが、まだまだ出てくるというふうにとってよいのですか。その点どうですか。
  98. 伊東正義

    ○伊東政府委員 開拓農家の総数は大体十五万戸弱であります。十五万戸のうち、申しました十万戸くらいは、今の計画を作って出してくるだろうというふうにわれわれは考えておるわけであります。そのうち現実に県まで上ってきておりますのは約七万七千でありまして、あとの二万三千は、提出期限が一応三月三十一日まででありますので、これまでには当然出てくるというふうにわれわれは考えております。
  99. 西村関一

    ○西村(関)委員 今局長の言われました、履行延期がどのくらい出るかということがまだはっきりとした結論は出ておらないということでありましたから、その結論が出ましたならばぜひ一つ資料を出していただきたいと思います。その点よろしゅうございますか。
  100. 伊東正義

    ○伊東政府委員 できるだけ早く調査いたしまして資料として出したいと思います。
  101. 西村関一

    ○西村(関)委員 その再建を要する開拓農家の調査がそういう状態で進められておるということでございますが、開拓行政全般について、今までの業績から見て、この点を一つ変えなければならない、あるいはこの点を一つ重点的にやらなければならないというような点について、農林省の方においては何らかのそういう特別な調査機関を作るというようなお考えはおありかどうか、その点も伺いたいと思う。
  102. 伊東正義

    ○伊東政府委員 御質問が、行政をやる上において何か特別な機関等を作る必要があるかという御質問でございますが、われわれ今やっております者からいたしまして、さらに新たに特別な機関を作りまして開拓行政を推進していくということについては、実は考えておりません。実は、中央におきましては、特別に審議会調査会とは銘打っておりませんが、開拓者の関係の方、あるいは金融機関の人々と定例的な懇談会を持って、実質的な運営をはかっていくというふうなことも実はやっております。そのほか、県の営農指導員その他を動員しましてやっておりますが、われわれの考え方としましては、この県の営農指導員等につきまして、もう少し人員を充実いたしまして、——現在は七百三十人くらいと思いましたが、この人員をもう少し充実いたしまして、個々の開拓者なりあるいは開拓農協関係の指導までもやるというふうにしたいと思っておりますが、現在のところは特別の機関を考えましてどうというところまでは考えておりません。
  103. 西村関一

    ○西村(関)委員 国会におきましても、開拓農民の問題、開拓行政の問題については特別な調査機関を設けてやらなければならないというふうに考えるのであります。しかし、農林当局におかれましても、先ほどから神田委員も質問され、私も質問して参りましたように、十分に成果が上っていないということは農林当局も認めておられるところであるし、しかも、この十五万からの開拓農家の問題は、先ほど来申し上げて参りましたように非常に重要な問題である。この点については、今の履行を延期するというような措置を講ぜられるということもさることながら、全般的にこの開拓農家の問題を取り上げて、どこに今日の不振の原因があるかということを十分に見きわめて、抜本的なしかも重点的な施策を行われるように希望いたしまして、この点に関する私の質問は終りたいと思います。  次に、森林開発公団法の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、林野庁長官にお伺いしておきます。  林業奨励の面につきまして、関連林道事業でございますが、先ほどの神田委員の質問の中にもございましたが、この林道を敷設する場合に一定の採択基準を持っておられるということでありますが、その点まず伺いたいと思います。
  104. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 これの採択基準につきましては、その林道を開設することによりまして利用区域となります面積が一千町歩以上であること、それから、その民有林蓄積が、用材林におきましては一町歩当り四百一十石、薪炭林におきましては一町歩当り二百石以上という制限を採択基準で置く考えであります。
  105. 西村関一

    ○西村(関)委員 そのうち国有林民有林の比率の問題も、あわせてお伺いいたします。
  106. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 この一千町歩以上の面積のうちで、国有林が三〇%以上、その場合には民有林は七〇%以下になるわけであります。また、民有林が三〇%で国有林が七〇%、その逆も両方一つ考えていきたいと思っております。
  107. 西村関一

    ○西村(関)委員 そのような採択基準によりまして、この関連林道事業の適用を受けまする地区の選定については、どのような機関で、どのような方法でなさるお考えでございますか。
  108. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 民有林及び国有林の両者につきまして、昭和二十九年におきまして、全国のそれらの森林についての林道網計画というものを、県及び営林局でそれぞれ立案されておるのでありまして、第一点として、その林道の計画の仕様に基きまして、先ほど申し上げました選定基準をもととしまして候補の路線を選ぶという方法林野庁においてとるわけであります。その候補路線につきまして、さらに厳密に、先ほど申し上げましたような基準に合致するかどうかということを、県並びに営林局でさらに精査いたし、その結果に基きまして実行すべき路線を林野庁決定いたしまして、政令にそれを載せるという手続をとることといたします。
  109. 西村関一

    ○西村(関)委員 林道網計画というものが昭和二十九年度にでき上っておりますね。この林道網計画に従って、本省で立てたものを県及び営林局で検討をする、そしてそれをまたもう一度本省の方で、林野庁で最後的な決定をする、こういうことでございますね。それで、そういうようなことが、この法案が通りますならば即座にできるような態勢になっておられるのかどうか、その点も一つ伺っておきたいと思います。
  110. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 その点につきましては、先ほどの計画に従いまして四十路線ばかりを候補路線に選びまして、現在営林局並びに県で調査をさせておるわけでありまして、この法案が通りました段階におきましては、すぐ必要な措置がとれるというふうに考えておる次第でありますが、なお四十路線全部について検討が困難な場合は、そのうちの一部につきまして、検討を終ったものにつきまして決定をしていきたいというふうに考えております。
  111. 西村関一

    ○西村(関)委員 その四十路線というものが、私どもいただいたこの書類の中に出ておるようですが、それを見ますると、非常に地域的に偏しておる。これはやはり、採択基準というものに縛られて、この前の委員会において質問いたしましたように、中小森林業者に対してこのような恩典が及ばないうらみがあるというふうに思うのですが、予算のワクがあることではございますけれもど、むしろ採択基準を一千町歩というのを五百町歩くらいに下げた方が、そうして実際に必要だと思われるようなところを重点的に選ばれた方がいいのじゃないかと思われるような感じもするのでありますが、この点に対して長官の考えを伺いたいと思います。
  112. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 この関連林道の問題を取り上げました場合に、先ほど申し上げましたような一千町歩というような基準でいくべきか、あるいはまた五百町歩というふうな下げた基準でいくべきかという点も、種々検討したのでありますが、要するに、林道を開設しました場合に、それを利用しまして開発できます面積が大きいということが、やはり林道開発を行います場合の優先度というふうに考えられるわけでありまして、まず、われわれとしましては、第一段階としてこの一千町歩という大きい団地を対象にしてこの事業を行いまして、その次の段階におきまして、さらに五百町歩とかあるいはそれ以下の利用区域のものまで、こういう考え方でやるかどうかという点をその間に検討したいという考え方で、一千町歩という線にした次第であります。
  113. 西村関一

    ○西村(関)委員 一応この一千町歩と言われた理由は納得がいかないわけではないのでございますが、予定されております四十路線の地区を見ますると、中小山主よりは、非常に大きな何千町歩というようなものを一人で持っているような山主の多い地区に偏しておるというような感じを受けるのであります。一応この利用区域が一千町歩であるということでありましても、その中に幾つかの中小山主が含まれておって、一人でその恩典を受けるというようなことのないように、自力ででも林道を作ることのできるような大きな山主のためにこの法律が恩恵を与えるというようなことでなしに、実際に奥地の資源を開発するということで、それは国の資源も一般民有の資源もともどもではありますが、その場合に一人二人の大山主の利益を守るという結果にならないように、そこに三つ四つ五つと幾つかの一千町歩の中の三〇%もしくは七〇%の民有林の所在いたしまする場合に、それがただ一人の山主の利益にならないということに対しても特別な配慮を払う必要があると思うのでございますが、そういう点に対する長官のお考えを承わりたいと思います。
  114. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 先生のお説と私たちも同様の考え方でありまして、特定の山主のためにこの制度が利用されるようなことは避けなければならぬというふうに考えておる次第であります。現に、森林開発公団が実施しております熊野、剣山の今までの林道におきましても、三十一路線で、その間の受益者が二十二百名にも達しておるという状況にあるのでありまして、その路線と比較いたしますと、この考えております関連林道はさらに関係所有者が細分されておるというふうに考えておる次第であります。
  115. 西村関一

    ○西村(関)委員 その点をなおよく長官におかれましても今後の決定の場合には十分に御考慮をして下さることを希望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。  ありがとうございました。
  116. 吉川久衛

  117. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、神田委員並びに西村委員の質問に引き続きまして、ただいま議題になっております問拓融資保証法の一部を改正する法律案並びに森林開発公団法の一部を改正する法律案のうちで、まず前者の開拓融資保証法の一部を改正する法律案に関連して若干御質問を申し上げたいと思います。  すでに、開拓政策の問題につきましては、本委員会におきましても総括質問の際にそれぞれの関係委員から触れられた問題でございます。しかし、率直に申しまして、戦後十五万戸近くの入植者が入っているわけでございますが、ややともいたしますと、既入植者の安定対策ということに目を奪われまして、積極的なこれからの新規入植という面については相当に後退をしてきておることはいなめない事実であろうと考えるわけでございます。申し上げるまでもなく、今後の農政の舞台における開拓政策の位置づけということは、どれだけ高く評価をしてもし過ぎることはなかろうと私は思います。敗戦の結果四つの島に九千二百万という人口がそれぞれ生活の場を得てお互いに生活していかなければならぬという苦しい悪条件にある以上は、やはり、農業政策の一環としての今後の積極的な開拓政策の推進について、いわゆる戦後の既入植の問題の今日における安定対策ということももちろん重要ではございますが、同時にそれと並行して積極的に考えなければならぬ時期にあると私は思います。そういう点で農業基本法の問題等とも関連をいたしますが、今度農林水産の問題についての調査会を作ろうということで、私どもは、この調査会については、やはり政府の基本的な方針を明らかにして、そして二年かかってじっくりやるならやる、こういう方針でなければならぬという考え方を持っておりますが、いずれにいたしましても、そういう農林漁業の基本問題を討議する過程の中においてもやはり農政の一つの重要な問題として開拓問題というものが論ぜられることだと思うのです。そこで、今日十分に開拓政策の問題を論じて、今当面のところは既入植者の安定対策ということでいくにいたしましても、その結論の出る段階には本格的な積極的な開拓政策にすべり出し得る準備というものを今からやる必要があるのではないか、かように考えるわけでございます。  御承知のように、昭和三十三年度の入植戸数は二千五百、新しい昭和三十四年度においてはこれが一歩後退をいたしまして千七百戸ということに相なっているわけであります。そこで、国の開拓政策として積極的に開拓政策をやるということになれば、やはり少くとも年間計画一万以下の入植戸数でもって開拓政策を積極的にやるというようなことを言ってみたところで、これは単にかけ声にすぎないということに相なろうと思う。そういう面で、私は既入植者の安定対策の問題を論ずる前に、これからの積極的な開拓政策というものについてどういう考え方で臨もうとしているかという点をまず政務次官からお伺いしたいと思います。
  118. 石坂繁

    ○石坂政府委員 終戦後の日本の問題として、ただいま御指摘になりましたような、四つの島に九千万に近い人が棲息している、この点からいたしまして、結局のところ、人口、食糧の問題というものはせんじ詰めるとすべての問題の根本の問題だと考えているのであります。従いまして、開拓政策ということもきわめて重要な問題となって参りますが、一面におきまして、終戦後とりあえず海外から引き揚げて参りました人たち、復員軍人等に急遽緊急に土地を与え職を与える必要がありましたために、御承知の通りの緊急開拓が行われたのでありますが、これは、入植を急ぎました結果、その後に設定されました開拓、ことにパイロット・フアーム等の実情と比較いたしますと非常に隔たりがあるのであります。私ども若干現地を見て参りましたが、終戦後の緊急開拓の人たちはまことに気の毒な現状にございますので、これに対しましては、今日のその営農を安定させ、開拓者の生活を安定させるという点におきまして、現在の法制の許す限りにおいて、またあらゆる施策を集中いたしましてその安定をはからなければならぬと思いまして、このために進んでおるのであります。  この後の入植計画をどうするかという問題でありますが、これは、一面、国内の入植の問題と海外移住の問題とを関連いたしまして、今この具体的の問題につきましては検討をいたしております。
  119. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 農地局長にお伺いをしたいのであります。これはすでにいろいろなデータもあるわけでございますけれども、今後開拓をやる場合の、現在までの科学的な調査の基礎の上に立って見通し得る開墾可能面積、そして最近採用されております新営農類型でそれぞれ適用した場合に合計として入り得る入植者の戸数、こういうものについて概算お伺いをしたいと思う。
  120. 伊東正義

    ○伊東政府委員 今後の開墾につきまして面積の問題でございますが、御承知のように、新長期経済計画をやりまして、今後国土の開発をやっていく場合にどのくらいの開拓を考えたらいいかということをやったわけでございます。これにつきまして、三十七年度まででございますが、開墾と干拓を合せましてたしか二十八万町歩ぐらいのものを開墾していこうということで、これは計画そのものには載っておりませんが、そういうものをバック・データとして実は計画を作りました。農林省におきましては、その後三十七年度からもう少し長期な観点に立って考えようではないかということで考えました場合には百五万町歩、ヘクタールで申しますと百五万ヘクタールくらいのものが開墾可能ではなかろうか、そのうち三十七年までに今申し上げました二十八万ヘクタールくらいの開墾をする、昭和五十年までには百五万ヘクタールくらいまで開墾いたしまして、米については少くとも昭和五十年までには自給の域に達するというような計画を実は作ったわけでございます。ただ、入植戸数につきましては、これは何戸ということを実はその計画にも考えてはおりません。戸数の問題は、先ほど政務次官からも御答弁がございましたが、過去の開拓の場合には、たとえば満州でありますとかあるいは樺太の引き揚げで何万戸の人が待機をしている、これが職がないというようなことがありまして、何戸という戸数を重点に置きまして何戸入れていくということを考えたのでございますが、今後の開拓の問題としましては、私どもは、土地をなるべく高度利用していくという見地に立ちまして、無理に一年何万戸というような戸数の方からは参りませんで、一つ土地の高度利用ということを考えようじゃないかという点と、それから、もう一点は、長期経済計画にもございますが、毎年一万五千町歩という農地転用の面積を実は考えております。これはそれだけ農地が減るということを一応計画のバック・データとして持っておりますので、これに対しまして、農地の絶対量が減っていくということは避けなければいかぬという見地からしまして、われわれとしましては毎年五万町歩程度のものを作りたいというふうには考えておりますが、実はなかなかそこまでいかぬのでございますが、耕地は維持だけじゃなくて拡張していくのだという見地から実はものを考えております。結論的に申し上げますと、五十年の計画では百五万町歩ということを前提にしております。
  121. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 農地局長の今後の開拓政策の問題についての答弁は、まことに自信のない態度でございまして、率直に言って、これが今日のこれからの開拓政策を進める政府あるいは農林省の気持の現状だと私は思う。申し上げるまでもなく、開拓の問題は、自然の改造をやろうという大きな構想になるわけでございまして、与えられた国土の条件の中でどういうふうに農耕地として開拓をやっていくか、どこまで伸ばし得るか、そして、そういう場合に、やはりそれと関連をして、入植させる人々の問題についても、あるいは入植させてからの営農の問題についても、それぞれがっちりした体制を作ってやらなければ、終戦後今日までなめてきた開拓政策の欠陥というものを、今後進める場合にも再びなめなければならないという結果に相なるのではないかと私は思う。道路等については道路五カ年計画とかあるいは十カ年計画とかいうことではなばなしく打ち出されるわけでございますけれども、農政の問題としては、やはり開拓政策の重要性から見て、資金その他総合的な開拓政策の計画というものを立てて、それに見合ったところの開拓政策の推進の態勢というものを作って、そして政府の予算その他の点の作戦にもしていくことが、私はやはり農林省の考え方でなければならぬのじゃないか、こう思うわけですけれども、今のように、農地局長直接責任の衝にありながらまことに自信のない態度では、いかがかと思う。そういう点で最近の入植戸数の後退等も私はうなずけるわけでございますけれども、しかし、先ほども申しましたように、農林水産関係の基本問題の調査を今後二カ年間でやろう、こういう中では、開拓の問題は農政のきわめて重大な問題として出てくる。そこにやはり積極的に農林省自身のプランを出して、そして少くとも二年後には開拓政策というものが重要な政策として実際の作戦に乗っていく、こういう熱意を持ってやるべきじゃないかと思うのですが、もう一度農地局長考え方を伺いたい。
  122. 伊東正義

    ○伊東政府委員 先生の御意見でございますが、私は開墾につきましてはある程度情熱を持ってやっていきたいと思っております。過去の開拓のような、十分建設工事も行わぬでただ人だけを入れていくという形の開拓の結果が、実は私は現在の姿を来たしたというふうに考えておりますので、今後の開拓につきましては、よく言われます機械開墾でございますとか、あるいは基本営農類型を作ったモデル地区とか、そういうような地区を重点的に考えまして、今後入ってくる人につきましては過去の失敗を繰り返さないようにというようなことでやっていきたいと思っております。先ほど申し上げました面積も、実は、過去十カ年を振り返ってみまして、大体入植者関係で開墾をいたしましたのは三十万町歩でございます。長期経済計画では五カ年間で干拓地も入れまして約二十八万町歩くらいのものを開拓したいという計画をいたしておりますので、過去の実績から見ましても、私はこの面積自身はそう小さいものじゃない、この長期経済計画のバック・データを実現するにつきましても相当の努力を要するいわゆる開拓面積であるというふうに考えております。今後とも私は積極的にこの開拓の問題、既入植者の安定対策ということにつきましてはやっていきたいというふうに考えております。
  123. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は今農地局長の今後の開拓政策の問題で面積の大小でもって積極、消極を言うたのではないわけでございますが、御承知の、戦前に満州等に百万戸、五百万移民、こういうふうなものを計画しました際に、私どもは満州にあってその計画の推進の第一線でやったわけでございますけれども、あのときの体制から見ましても、国内においてもあるいは出先においてもやはり相当整備した体制で開拓政策を進めたことは御承知のところだろうと思う。国内で相当大規模な、しかも自然改造を伴うところの開拓政策を本腰を入れてやろうということになった場合には、やはりこれは過去の終戦後の開拓政策の欠陥、経験というものを十分に生かした上に立って緻密な科学的な計画を立てなければならぬ。そういう面から見ると、きわめてずさんな考え方であり答弁である、こういう意味で申し上げたわけでございますが、本日の議題は当面の既入植者の安定に関した問題が多うございますので、問題をさらに既入植者の安定対策と関連さして話を進めて参りたいと考えております。  そこで、まず農地局長にお伺いをしたいわけでございますが、私どものいただいております資料に、開拓営農の概況といたしまして、終戦後の開拓の実績の問題について、入植戸数以下データが出ておるわけでございます。現在入植戸数は昭和三十二年度末において十四万六千六百、開墾面積は三十一万二千六百町歩、家畜保有頭数が十八万七千頭、さらに主要食糧生産の問題についても四十万四千トン、開拓地におけるところの生産総額が三百七十億円、開拓に投じた累年予算額が八百十八億六千万円、開拓者の負債額が二百二十七億三千万円、この負債額の問題については、さらにこのほかにいわゆる個人負債あるいは営農振興資金等の負債総額が七十二億八千万円、こういうふうな一つのデータが出ておるわけでございます。そこで、このデータのうちで、まず開拓に投じた累年予算額の問題について、これの大体歴年的な予算の支出、その内容、これを簡単にお伺いしたい。
  124. 伊東正義

    ○伊東政府委員 今お述べになりました開拓に投じた累年予算額は八百十八億六千万円でございます。内訳は、開拓が六百二億七千万、干拓が二百十五億九千万でございます。  それで、開拓の方を申し上げますと、ここで集計いたしました内容でございますが、開拓の方は、御承知のように、いわゆる開拓計画費、それから一番大きいのは開墾建設事業でございます。今申し上げました建設事業は、国がやります国営のものと代行のものとございます。そのほかに、いわゆる開拓事業の補助金といたしまして、建設付帯工事でありますとかあるいは小団地補助とか、こういうものも入っておるわけでございます。そのほかに、開拓実施費といたしまして、土壌の調査でありますとか、開墾作業費の調査でありますとか、あるいは酸性土壌地の改良、こういうような項目を含んでいるのが開拓でございます。これは累年で六百二億でございますが、少し詳細に申し上げますと、これは二十一年度からの集計でございますが、二十一年度は五億五百万でございます。二十二年度が十九億六百万、二十三年度が三十六億四千四百万、二十四年度が三十三億七千百万、二十五年度が四十五億五百万、二十六年度が四十六億五千九百万、三十七年度が六十八億五千三百万、二十八年度が七十九億千百万、二十九年度が六十九億三千四百万、三十年度が六十四億九千二百万、三十一年度が六十七億九百万、三十二年度が六十七億七千三百万、これを累計いたしまして、三十二年度末までに開拓として六百二億七千万という数字でございます。  それから、もう一つの干拓でございますが、干拓の中には、これも御承知の計画費、それから国営の干拓、これが大部分でございます。そのほかに代行干拓、これは国の事業を県が代行してやるものでございますが、代行干拓、それから補助干拓でございます。これも歴年で申し上げますと、二十一年度が六千九百万でございます。二十二年度が二億二千六百万、二十三年度が七億八千万、二十四年度が八億七百万、二十五年度が十六億八千二百万、二十六年度が十七億七千四百万、二十七年度が二十二億百万、二十八年度が二十七億八千二百万、三十九年度が二十六億千三百万、二十年度が二十六億六千百万、二十一年度が二十七億七百万、三十二年度からふえまして三十二億八千五百万、これを累計いたしますと、先ほどの干拓の二百十五億九千万となります。一戸当りが大体五十五、六万というような予算額になるわけであります。
  125. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次に開拓者負債額の内訳をお聞きしたい。
  126. 伊東正義

    ○伊東政府委員 開拓者の負債額でございますが、先ほど先生がおっしゃいましたように、二百二十七億三千万、一戸当り十五億五千万くらいの負債でございます。これは、個人債務、営農振興資金などは実は除いた政府資金、災害経営資金——これは中金でございますが、それから農林漁業金融公庫資金、これの集計が二百二十七億三千万で、これが残高でございます。内訳は、政府資金が百五十三億八千万、災害経営資金としまして四十六億五千万、それから公庫資金が二十七億ということになっております。それで三十三年三月末で二百二十七億三千万の残高でございます。  それから、そのほかに個人債務その他でございますが、これは、個人債務が四十九億四千万、それから開拓融資保証制度による中金資金、これは今御審議願っております法律によりまして債務保証を受けました借り入れでございますが、これが十六億、それから営農改善資金がその当時まだ借りかえが行われておりませんで二億一千万、それから自作農維持創設資金が、これは三十三年三月でございますから、三十二年度の自作農維持創設資金しかございませんので、五億三千万、それを足しますと七十二億八千万でございます。  両方足しますと大体三百億になりまして、十五万戸の開拓農家で三十万平均、これは全国平均でございますが、二十万というような残高になります。
  127. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 局長、初めの答弁で、一戸当りの債務金額のけたを間違えております。
  128. 伊東正義

    ○伊東政府委員 今の負債の最初の方で十五億と申しましたのは間違いでありまして、さっき申し上げました政府融資の資金と災害経営資金と農林漁業資金を合せますと二百二十七億三千万でありまして、これは一戸当り十五万五千円でございます。これに個人の負債というようなものを足しますと約三百億になりまして、一戸当りが約二十万円ということになります。
  129. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今開拓に投じた累年の予算あるいは開拓者負債の実態というようなものについてそれぞれお伺いしたわけでございますが、実際に既入植者の農家の現況というものをやはり安定対策のためには明らかにしなければならぬわけでございますが、これは御承知の、農林省でも営農実績調査等をやって参りまして、それぞれその実態が明らかになりつつあるわけでございますけれども、もちろんこの調査の内容の数字そのものには開拓者側から見ていろいろ批判等もあるようでありますけれども、一応既開拓農家の現況というようなものについては明らかになっておるわけでございますが、その中で、一つの問題として、終戦後のああいう時期に入った農家の経営面積というものが新営農類型等から見てきわめて狭いということは統計上からも出ておるわけでございまして、いわゆる七反未満、あるいは七反から一町、あるいは一町から一町五反、あるいは一町五反から二町、こういうところまでの農家がほとんど八割以上を占めておるような現況になっておることは御承知の通りだろうと思います。こういう経営の実態にあって、そうして既入植者の安定対策を講じてもらうという場合に、一体安定対策の答えは、一つの問題としてどれをやらなければならぬかというようなことがそういう実態からも明らかに出てこようかと思うわけであります。同時に、そういう実態でございますから、農家の粗収入等についても、昭和三十一年度の営農実績調査等を見ますと、北海道と内地に分けておりますが、全国的に見ますれば、七十万以上あるいは七十万から五十万以上のところが総既入植者のわずか三・三%、五十万から三十万のところが一三・二%、二十万から二十万のところが二三・五%、二十万以下というところが六〇%、つまり、実際に生計を維持していくに必要な一戸の資金というものから考えてみますというと、三十万以下の者が八三・五%を占めておる実態にある。こういうことも既入植者の安定を考える場合に一つの問題点であることは間違いがなかろうと思うわけでございます。従いまして、既入植者の安定対策として今非常に真剣に論ぜられておる問題は、先ほども入植者の方々の切々たる訴えの中にもありましたように、従来の政府融資資金あるいは民間のいろんな融資資金、こういういわゆる負債に類するようなものの償還をどうしていくかという問題が一つの深刻な問題としてあることは当然でございまするが、同時に、安定した農家として今後開拓営農をやっていこうという前提に立てば、今申しましたような経営面積あるいは農家所得という実態からして、さらに積極的な営農振興の対策を講じなければならぬことは当然のことでございます。  まず、そのうちで、既入植者のいわゆる負債整理の問題に関連してでございますが、先ほども内訳をお話しになりましたように、政府融資資金の関係で百五十三億八千万円、災害経営資金の関係で四十六億五千万円、農林漁業資金の関係で二十七億、こういう点から見ましても、政府融資資金が非常に大きな比重を占めておることは明らかでございます。従いまして、負債整理という場合に、今農地局長からお話がありましたようにそれぞれ小分けをして数字が上ってくるわけですが、全体を一括して長期低利の資金にしてもらいたいということは、これは一番話の簡単な、望む結論であろうかと思いますけれども、それももし予算その他の関係でむずかしいとすれば、開拓者がそれにさらに焦点を合せて望んでおるのは、政府融資資金についてこれを一括一つ借りかえをして、そして相当な期間無利子で据え置きをして、そうして長期にわたって計画的に返済をする方法を講じてもらいたい、こういうことは、今お話しになりました実態からして私は当然のことだろうと思う。しかるに、実際問題として、農林省側としては、債権管理法等によってこれを糊塗しよう、こういう考え方のように従来の質問の中でも承わっておるわけでございますけれども、しかし、そういうことでもって、今日の開拓者の窮状というものが救済できるかどうか、こういうことになると、私は答えは明らかであろうと思う。積極的な開拓政策を進めるのは当分押えて既入植者の安定対策というものをこれから本腰を入れてやるんだ、こういう政府の方針であるならば、それに見合ったやはり力強い安定対策というものが出なければならぬと私は思う。そういう観点からいたしますならば、最も大きな比重を占めております、全体の開拓者負債額のうちのほとんど半分を占めておりますところの政府融資資金について、やはり長期にわたる返済計画でもって措置をするような方途を当面当然講ずべきじゃないかと思うのですが、この点について政務次官から見解を承わりたいと思います。
  130. 石坂繁

    ○石坂政府委員 既入植者の安定対策を講ぜなければならぬという先ほどからの再々の御意見は、全くごもっともであります。しかるに、既入植者の一番重荷は、従来の負債が相当増高しておるということ、従ってこの負債整理をいかにするかという問題でございますが、角屋委員の御意見では、相当政府資金を長期に借りかえさして、しかもその間無利息にするということの御主張でありますけれども、他の政府資金の運用なりあるいは政府資金の利息等の観点から、そうできればそれに越したことはないのでありまするけれども、現在直ちにさような方策を実施するということには、まだなかなか難点があるであろうと思います。  他の政府資金の融通なり運用等の関係につきましては、なお農地局長からその点補充して説明させます。
  131. 伊東正義

    ○伊東政府委員 今政務次官から御答弁がありました通りでございまして、これを一括借りかえをして長期に据え置く、そうしてさらに新しい投資をしていくという考え方でございますが、実はこれにつきましては何回も御答弁いたしておりますが、われわれとしましては、振興計画を今やっておる最中でございますので、その結果を待ちましていろいろと検討をして、その上でどうするかという結論を出したい、検討をいたしたいと思っております。ただ、三十四年度につきましては、政府資金につきましても、これは償還期限に来ておりますものを、大体三〇%程度が返るであろうというような前提で予算を組んだわけでございます。借りました金を返さぬでいいというような思想が出てきますことは、今後の資金を貸し付けて参ります点で私は非常におそれる点でございますが、われわれとしましては、大体返せる人は三割くらいはあるんじゃなかろうか、それが実情に合う予算ではなかろうかということを考えまして、昨年度は七割ぐらいは返るであろうという前提の予算を組んだのでございますが、三十四年度はそれを三〇%というふうに率を下げまして、実情に合わして実は予算を組んだつもりでございます。それ以降の問題につきましては、これは振興計画とにらみ合せまして、どういうふうにするかということをもう少し検討いたしたいと思っております。
  132. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 政務次官並びに農地局長の御答弁は従来の考え方を一歩も出ていないわけでございます。開拓の既入植者の安定対策の問題については、過去本委員会においてもいろいろ真剣な討議が重ねられまして、その時期その時期における必要な立法措置等も講ぜられて今日に至っておるわけでございますけれども、しかし、今日の段階で顧みて考えまするというと、やはり、もっと抜本的な対策というものを講じておけば、実際には合計としての金は少くても既入植者の安定はもっと促進をしたのではないか、こういうことも私どもは反省する必要があるだろうと思う。そこで、今の政府資金の一括借りかえあるいは一定期間の無利子、こういうふうな温情ある措置等についても、何かその点についてまだ踏み切れないというお気持のようでございますけれども、今日の段階で既入植者の安定対策にまず本腰を入れるんだということが政府の方針であるならば、最小限そのことだけは打ち出したらどうかというふうに私は考えるわけでございます。もちろん、開拓そのものは戦後国策として推進をされて参りまして、いわゆる既入植者の安定の問題についてはいろいろ手を打つべき問題は多々あろうと思いますけれども、開拓者に国策なるがゆえにということですべて政府に依存をするという気持がもしあるとするならば、これは私は払拭をしなければならぬだろうと思う。少くとも今後積極的に開拓政策を進めようという場合の先駆者として、いわゆる終戦後入った人々はその先駆者としての矜持を持って、最小限政府として手を打ってもらいたい点については緊急に手を打ってもらい、その他の問題については自分みずからの手でも開拓政策を進めていく、私はこういう気持がなければならぬと思いますけれども、そういう前提に立って考えます場合においても、今やはり負債のうちの最も大きな比重を占めておる、しかも直接政府の融資である百五十三億円、この政府資金についてはやはりもっとゆるやかな温情ある措置によって措置をする、こういうことが私は当面緊急の措置として必要であるというふうに考えるわけですが、こういう点について、依然として前進できない考え方に立っておられるのかどうか、政務次官からもう一度御答弁を願いたいと思います。
  133. 石坂繁

    ○石坂政府委員 重ねての御質問でございますが、既入植者の安定対策を講ぜねばならぬというこの点については異存はないのであります。ただ、しかしながら、国家財政の関係から申しましても、他の政府の融資の点から申しましても、さればと申しまして、長期に切りかえることはとにかくといたしまして、その間無利息の融資をするということについて、今直ちに踏み切るかどうかという御指摘でありますが、その点につきましては、農地局長からも申し上げましたような趣旨で、私ども直ちにこれを踏み切るというところには決断いたしかねておるのが現状でございます。
  134. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいまの点につきましては自民党の党内の関係委員会においてもいろいろ真剣に論議をされておるようでありますし、私どもも開拓政策のうちで既入植者の安定対策の一環としてこの問題が最小限必要であるという前提に立っておりますので、この問題は今後とも十分検討していくという前提に立って、一応この問題については打ち切りをいたしたいと思います。  先ほど触れました経営面積の広狭という点と関連をいたしまして、農地局長が言われるように、開拓営農振興臨時措置法に基く振興計画というものを三月一ぱいまでに樹立中であって、そしてこれから三十五万円の一戸当りの所得を目標にして推進をしていくという前提に立っておるわけですけれども、しかし、その場合に、こういう経営面積の実態あるいは所得の実態から見て、この振興計画が単なるプランに終らないかどうか、実際に真実の姿に立った振興計画ということで、いわゆる計画年度が終ったときに一戸当り最低三十五万円以上の所得に達し得る、こういう確信を持っておられるかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
  135. 伊東正義

    ○伊東政府委員 御質問でございますが、面積の広狭の問題、確かに御指摘のような点があると思います。われわれも、ここへ入られた人で非常に過小の面積の人々の対策につきましては、可能であれば、たとえば近くに未墾地の買収した面積がございましてこれが開拓可能であるという場合には、それにつきまして開拓をして、既入植者についてさらに面積を与えていくということもできるだけ考えていきたい。また、離農等がありましたら、これもさらに再配分したいということを実は考えております。  もう一点の、それじゃ振興計画達成時の三十五万ということについて自信あるかという御質問でありますが、われわれとしましては、極力その地域に合いました農業経営を考えまして、過去の穀菽農業だけでなくて、いろいろその地域に合った営農類型を考え営農の形を考えまして、極力ねらっております目的を達成したいということで、追加資金その他につきましても、来年度三十四年度につきましては、三十三年度に比べましてわれわれはかなりなものを計上いたしたつもりでございます。また、自作農資金等につきましても実は大幅に増しまして、来年度で一挙に過去の高利の個人負債は解決していくというようなことも考えておりまして、極力目的を達成するようにいたしたいというふうに考えております。
  136. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 過剰入植地の措置、こういうものが既入植者の安定の問題で一つ今後の大きな問題になるわけですけれども、既入植者の要望としては、新営農類型の目標で一つ適切な措置を講じてもらいたい、こういうふうな要望等も出ておるわけですけれども、具体的に振興計画の中で過剰入植地に対するところの適切な措置というものをどういうふうに考えられ、どういうふうに進められるか、お伺いしたい。
  137. 伊東正義

    ○伊東政府委員 御質問の点でありますが、過剰入植地の対策の問題は、われわれとしても実は頭を悩ましておる点でございますが、これは、新しくたとえば干拓をいたしますとか、あるいは新しい機械開墾地でありますとか、そういうようなところに対しましても、過剰入植者の希望がある人についてはさらにそういうところへ移ってもらうということも考え、残った面積につきましては残存する人にさらに再配分するというふうなことも、これは適時適切に手を打ちまして、極力経営面積の増大ということをはかっていきたいというふうに考えております。
  138. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 開拓地の今後の経営の問題に関連をいたしまして、政府与党の方で数年来新農村建設計画というものを進めておられるわけでございますけれども、これは別に既設農村あるいは開拓地ということにはこだわっておられないと思いますが、現実にそういう点で適用される場合には必ずしも開拓地ということではほとんど入ってないのではないかというふうに考えるわけです。もちろん、既設農村の場合は長い間の農村形態の中で今日の実態をなしておるわけでございますけれども、終戦後の入植地はまだ十数年しか経過してないという経過もございます。しかし、やはり開拓地の今後の振興の問題については、現行の法律の中でいろいろな問題を適用しながらテコを入れていくということを考えなければならぬだろうと私は思う。私どもは、もっと交通整理をいたしまして、開拓政策の推進についてはもっと一本化した政策でやるのがよいと思いますけれども、しかし、現実にいろいろな法律で適用されておるという前提に立てば、新農村建設計画等も開拓地にこれを積極的に適用して新しい村作りをやっていく、共同施設その他についてもそういうものを生かしながら新しい村作りをやっていく、こういう考え方に立たなければならぬのではないか。もちろん既設農村についてもそういう必要性があるわけでありますけれども、やはり既設農村に比して戦後入った入植者が懸隔の大きい状態に置かれておるということをいつまでも放置しておくことは許されない。これは単に建設工事であるとか電灯とかいう問題にとどまらない。もっと積極的に村作りを考える場合には、こういう方面については特別な新農村のワクをとって、開拓地全体の村作りを積極的に進める、こういう必要性があると思うのでありますけれども、従来の現状と、今後のこういう問題に対する私の意見についての政務次官のお考え方を承わりたいと思う。
  139. 石坂繁

    ○石坂政府委員 ただいま進行中の新農村建設計画は、角屋委員御指摘のように、既存の農村あるいは開拓農村というようなことにこだわりましたり区別いたしましたりしてはいないのであります。その当該町村が自主的に民主的にその計画を立てたところにこの計画は進められておるわけでありますが、この中には開拓農村も若干入っておりますが、この後といえども、その建設に向って計画を立てて参りますところは、開拓地ももちろんこの計画の中に入れて振興をはかって参りたいと思います。
  140. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 新農村建設という問題は、私どもからすれば相当批判のある問題でございますけれども、しかし、既設農村と開拓地については差別をしてない、こういうふうに言われておりますが、なるほど表向きは私はそうだろうと思う。しかし、既設農村に新しい開拓地かあるいは山を開墾したりあるいはその他の方法でもって農家として相当な集団的なものが入る、こういう場合の既設農村と開拓地相互間の感情は、やはり既設農村中心主義ということにならざるを得ないと私は思う。そういう場合に、実際に新農村建設計画で上ってくるものは、これはやはり開拓地が第二、第三の考え方で、いつも計画からおくらされてしまうという実情になることは、これは当然の推移じゃないか。そういう点で、私はやはり、開拓地における新しい村作りの意欲をもって考えます場合には、こういう問題についての計画の中で、やはり特別にそういうワクを設定してでも積極的に進める、こういう考え方でやらなければ、区別はしないと言っても実態としてなかなかそういうものは上ってこない、こういうことになるのじゃないかと私は思うので、そういうふうにお伺いしたわけでございます。  従来の実績の問題については農地局長にお伺いしたいと思いますが、私は、数字としてはほとんどそういうものは入ってきていない、こういう実態ではないかと思いますけれども、参考までに一つ農地局長の方からお伺いしたいと思います。
  141. 伊東正義

    ○伊東政府委員 お答えいたします。今の先生の御意見、ごもっともでございまして、政務次官から御答弁のありましたように、開拓の問題は、単に農地局だけではなくて農林省全部として考えていく。もう一点は、農林省の外でも、たとえば市町村等との関係につきまして、開拓地といって孤立する必要は私はないと思うのであります。市町村との関係等についても十分連絡をする、あるいは農協との関係等においても総合農協との関連も十分考えるというふうにしまして、あらゆる手段を考えまして開拓地の振興をはかっていくということは必要だろうと思いますので、先生の御意見とその点私は全然同一でございます。  それでは過去に新農村で開拓地の指定はどうしているかということでございますが、これは、開拓地としての、開拓農村としての指定をしましたものは、実は今数字でここに持っておらないのでございますが、おっしゃいましたように、農村の指定をすることによって当然その市町村の中の開拓地が入ってきて、新しい村作りの対象になっているということが考えられるのでございますが、その市町村の中でたとえば開拓の部落が幾つあるということは、今実は資料を持っておりませんので、これも調査いたしましてお答えいたしたいと思います。
  142. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 既入植者の安定の問題については、私はたくさんの問題が累積をしておると思います。もうすでに各委員からも触れられた問題もあるわけでございますので、時間の関係上省略をいたしますけれども、建設工事の促進等の問題についても、大臣に対する質問の中でも、いろいろ進捗状況について、あるいは今後の見通し等について質問がかわされたわけですけれども、その中でも、やはり積極的に開墾建設工事を促進し得るかということになると、ややともするとそういう新規事業に追われてしまって、既設の建設工事についてはいつもやはり第二、第三に置かれてしまうという実情が私はあろうと思う。こういう問題についても、やはり既入植者の安定の一環として積極的に進めていただかなければならぬと思うわけですが、同時に、その既入植者の安定の問題は、当然営農の安定ということが考えられなければならぬ。その場合に、経営面積の問題その他もあろうと思いますが、同時に、それぞれの地域に見合った営農をやるということに関連をして、試験研究体制についても十分整備をしていくという必要があろうと思う。従来の農林関係の試験研究機関というものは、既設農村の農家を対象にして、それに見合ってのいろいろな研究がやはり中心課題であったろうと思う。やはり新しい開拓地の営農ということを対象にした試験研究というものはまだまだおくれておるのが実態ではなかろうかと思う。今後積極的に開拓政策を進めようという前提に立って考えます場合にも、あるいは既入植者の安定対策という問題から考えましても、もっと国あるいは県等の試験研究機関についても開拓地の営農に関連をした試験研究の充実、こういうことに十分留意をしてやっていく必要があるのではないか。特に今後のいわゆる入植予定地としては北海道、東北等のきわめて悪条件のところが対象になろうとしておる。気象条件その他から見てもやはり相当悪条件にあるところが開墾可能地をたくさん持っておる。そういうところにおいて自然改造として開拓をやっていくという場合には、その裏づけとなる科学的な営農の試験研究というものが整備しないというと私はだめだろうと思う。こういう点で、従来の欠陥あるいはこれからの推進の問題について、政務次官からお考えを承わりたいと思います。
  143. 石坂繁

    ○石坂政府委員 既入植農家の安定対策の問題を中心といたされまして種々御意見を拝聴いたしましたが、そのうちにはいろいろ示唆に富んだ点も少くなかったのであります。この後の入植者の安定対策のみならず、新農村、既設の農村、これらをすべて対象といたしまして、営農対策としての試験研究あるいはその結果の普及運動等について、この後十分に御指摘の点を念頭に置きまして施策を進めて参りたいと思います。
  144. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 法案の中身に若干入りまして、本改正案では八千万円の予算増というこういう計画を出され、それに必要な算定基礎というものを出されておるわけでございますが、この場合に、この都道府県の地方協会に対するところの出資の問題等をいろいろ資料等によってお伺いしますと、一対一の同率に都道府県と会員の出資額がならなければならないはずでありますけれども、農林省としてもそういう指導をやっておられておりますが、各県別に見ますると必ずしもそういうふうになっていない、こういう実情があるわけであります。やはり開拓営農の一環としてこの資金もそれぞれ相当な意味を持っているわけでございます。そういう場合に、特に成績不良県等も出ておりますが、これはどういうふうな実情でこういうふうになっておるのか、あるいは農林省としてどういうふうにその点について指導されておるのか、具体的にお伺いしたいと思うのです。
  145. 伊東正義

    ○伊東政府委員 御指摘の点でございますが、たしか、お手元に差し上げておる資料で参りますと、開拓者の出資金よりも県の出資金の少い県が二十七県ぐらいございまして、金額にしまして二千万円くらい下回っているという数字を差し上げてあるかもしれません。これにつきましては、農林省の方では、従前から次官通達を出しまして、これは開拓者の出資と県の出資は一緒にするようにということで指導いたしております。今申し上げました数字から、実は最近、一番大口が北海道でございますが、北海道が大体五百万くらい開拓者の出資よりも下回っていたのでございますが、これにつきましては解決をしまして、北海道は大体開拓者と一緒の出資にしたということも出て参りました。下回っている原因はいろいろございますが、県の財政事情もございましょう。また、県によりましては、実は、従来県が出資していたものを切りかえます際に、県の出資を開拓者の出資ということにしてしまった関係上、こういう操作の関係で県の方が下回っているというような県も実は一、二県この中に入っております。県によりましていろいろ事情は違いますが、われわれの方としましては、今申し上げましたように、次官通達を出しておりまして、極力県の出資と開拓者の出資は一対一になるようにというようなことで話しております。先ほども申し上げました北海道のごときは大体問題を解消したということでございます。
  146. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次に、保証限度と実績の問題に関連しまして、資料でも、問題点として、この法案が通過して適用される場合に現実の保証余裕金というものが約一億二千万円だ、こういうふうに言われておるわけでございます。そこで、これが実際に適用される場合に、昭和三十四年度の春肥につきましては、すでにもう着手をしておる時期でございますので、現実に増額分の出資が出回るまでにすでに春肥の資金手当というものは時期が過ぎてしまっておる、こういうことに相なるのじゃないかということが心配をされておるわけでございますが、こういう問題についてどういうふうに開拓者の要請にこたえて措置をされる準備をしておられるか、お伺いをしたいと思います。
  147. 伊東正義

    ○伊東政府委員 今の御質問でございますが、私、金額的に一億数千万というようなことはちょっと理解いたしかねるのでありますが、これは実は、三十三年、去年の春肥について融資しましたものは、大体これは一年の期限でございますので、これから実は返ってくるところでございます。おそらく今おっしゃいました一億数千万という数字は、それが全然返らなければという前提でなかろうかと思うのでございますが、これが一年たてば相当程度返ってくるわけでございますので、私は、今度の植付に対する資金につきましては、この政府資金の八千万を出すことによりましても、もちろんこれだけでございませんで、これも一助になりますが、ある程度のものはまかなえるのじゃなかろうか。たとえば、肥料について考えますと、過去の例で参りますと四割前後のものがこの制度を利用いたしております。実はわれわれも、来年度はこの出資の増をいたしますことによって四割七、八分ぐらいに上げてこの制度の利用を高めていきたいというように考えておる次第でございます。
  148. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次に、貸付業務の運営の問題と関連して、これは先般農林漁業金融公庫の問題を論じた場合にも、農林金融の一般的な性格として、やはり農政の保護政策の一環として行われる金融のあり方という問題についていろいろ論議が行われたわけでございます。実際問題として、やはり中金にいたしましても公庫にいたしましても、金融機関がこういう問題を取り扱う場合には、やはり金融機関の考え方というものが非常に強く出て参りまして、現実に金を借り受けようという場合に、従来の負債の問題あるいは延滞金の問題、いろいろな問題がからんで、実際にワクがありながらこれが借りられないという実態が私は多々あろうと思うわけでございます。ここはやはり、農林漁業という原始産業的な金融の場合には、一般の市中銀行的な金融機関の考え方でなしに、もっと関係の金融機関自身がそういう特性を十分生かしてやるような指導を農林省としてする必要があるのじゃなかろうか。この間楠見さんあるいは清井さんが来られたときにもいろいろ論議されたところでございまして、楠見さんあたりの話を聞くとなるほどと思われる点もあるわけでございますけれども、しかし、対象になる農家、漁家等の実態から申しますれば、そういう考え方をやはり実態に見合ってやっていくということが必要だろうと思うのですが、こういう点は何か抜本的にそういう問題についての切りかえというものができないものでございましょうか、政務次官からお答え願いたいと思います。
  149. 石坂繁

    ○石坂政府委員 農林漁家に対する施策をやらなければならぬ農林省でありまして、その事業の根本を農林漁家のためにはかるということに置くべきことは当然のことでございます。しかし、ただいま金融その他のことについて抜本的な政策がなかろうかというお尋ねでございましたが、これについての抜本的の名案があればお示しをお願いいたしたい。
  150. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは逆に私の方へ名案を聞かれたわけでございますが、私が述べればそのまま実施をするということであれば、またさらに時間をかけて、私の考え方、というよりもむしろわれわれの党の考え方を述べればいいわけでございますけれども、今はやはり政権は石坂さんの方でとっておられるわけでございまして、むしろそういう特性そのものについては論議がないわけでございまして、実際の運営問題として、中金あるいは公庫の場合はどうしてもやはり金融機関的な性格で取り扱う。その点が、農家、漁家から見て、どらも実態から見てしっくりいかないという実態になることは、これは間違いない事実でございます。そこをやはり農民、漁民の立場に立ってどうするかということは、これは政府の責任において考えてもらわなければならぬと思うわけでございます。開拓融資保証法の一部を改正する法律案の問題についても、やはり基本的な開拓政策の問題、特に、この問題に関連しては、既入植者の安定対策の問題に関連して、こういう一部改正だけでいいかどうか、こういうことはやはり真剣に政府自身も考えてもらわなければならぬ問題だと思いますが、この法案そのものはやはり必要な予算の増ということでございますから、私どもとしても特にこの法案自身については異論はなかろうと思います。しかし、既入植者の安定対策に本腰を入れるという政府の方針から言えば、これだけでは問題は解決しないということは明らかでありますので、この点について今後十分善処されるように要望しておきたいと思います。
  151. 石坂繁

    ○石坂政府委員 先ほど私は妙な答弁をいたしまして、はなはだ失礼いたしましたが、実は、ありていに申しまして、抜本的の政策いかんと聞かれるというと明快な答弁ができかねておる現状でございます。御指摘の通りに、金融の立場としての考え方、それと農林漁家の立場との相違をいかに調節して農林漁家のために利益になる政策を講じていくかということが考え方の基本であろうと思います。いろいろ御指摘になりました点は、もちろん政府の責任におきまして十分検討せなければならない問題でございます。御趣旨の点を私は十分念頭に置きまして検討いたしたいと思います。
  152. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次に、森林開発公団法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、二、三質問を申し上げたいと思います。  本改正案の提案の理由の中に、国有林民有林とが相接して所在している特定の地域内における森林を開発するために必要な奥地幹線林道の開設、改良及び災害復旧の事業であって国有林野事業として行われるものを、国の委託により森林開発公団が行うことができるようにする必要があって本法案を提出した、こういうふうになっておるわけでございますが、そこで、森林開発公団が設置をされて今日までそれ相当の実績を残してきておられるわけでございますけれども、まず森林開発公団の大体の陣容というものについて簡単にお伺いいたしたいと思います。
  153. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 役員が四名、職員百三十三名、合計いたしまして百三十七名の陣容であります。
  154. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この一部改正法案の趣旨説明の中を見ますと、今後四年間で四カ所の開発を終了すれば、一応公団の行う森林開発地域はなくなるということで、公団は従って解散をする、こういうことに相なると考えてよろしいのでございますか。
  155. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 この関連林道、面積におきまして千町歩という条件のもとに開発します開発林道というものは、この四年間で終了する予定でありますが、その後におきましてさらに面積の基準というものも下げまして同様な様式で開発を行うべきかどうかという問題、並びに、林道開発の仕事も順次進展するに伴いまして、受益者負担金という面からますます調達困難なような路線が残されるというふうな実情からいたしまして、一般の民有林林道につきましてもやはり従来やっておりました公団というふうな方式による実行も必要ではないかというふうな問題も出ておるわけでありまして、これらの点につきまして今後十分検討を加えて、公団を存続するかいなかという問題について検討を加えたいと思っております。
  156. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 森林開発公団の今後の問題については、これはまだ先のことでございますけれども、しかし、それ相当の陣容を持ち、そして事業に対する経験を得たという、こういう前提に立って考えます場合には、今当面四カ年実施する計画が終ればさらに基準を下げたところの奥地林道の開発等にも手を伸ばすということで森林開発公団等の今後の新しい生きる道を見出すことも必要だろうかと思いますが、これは当面の問題でないのでこの程度にいたしまして、関連林道の実施計画の中に入るわけでございますけれども、今度の四カ年の計画で具体的には実際未開発林の中のどの程度の林道の開発ができるか、簡単に伺いたい。
  157. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 この四十路線の関連林道を開設することによりまして、面積におきましては、国有林民有林合せて十二万二千町歩蓄積にいたしましても両者を合せまして六千百十万石というものの開発ができると考えております。
  158. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 資料によりますと、森林開発公団の事業の概要の中で、第一期事業計画の中の進捗率、こういう点で大体七九%というふうに相なっておるわけですが、これは予定通り進んでおるというパーセンテージでございましょうか、あるいは予定よりもおくれておるというパーセンテージの実績でございましょうか。
  159. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 昨年の十二月末におきまして七九%の進捗率を示しております。三月末におきましては約九 〇%の進捗率を示すものと期待いたしておりまして、大体当初の予定した線の通り事業は進んでおるというふうに考えております。
  160. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この機会に、林道の採択基準というのが、いろいろ専門の人々に聞いてみますと、補助規程とも関連して問題があるようでございますけれども、採択基準について若干お答えを願いたいと思います。
  161. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 現在の公共事業費によります補助林道は四種類に分れておるのでありまして、補助率は六割、五割、四割、三割の四段階になっておるのでありまして、六割補助の林道につきましては、利用区域の面積が千町歩以上、一町歩当り蓄積が、用材林では五百石以上、薪炭林では二百石以上、五割の補助林道におきましては、利用区域の面積は五百町歩蓄積は、用材林は四百二十石、薪炭林が二百石、四割補助林道は、事業区域の面積が百町歩以上、用材林の一町歩当り蓄積が三百六十石、薪炭林は大体百六十石、三割補助林道におきましては、利用区域の面積が百町歩以上、用材林の蓄積が三百六十石、薪炭林百二十石ということになっておるのであります。
  162. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今度の関連林道の実施については、県の負担金も全然徴収しない、受益者負担についても、事業実施及び幹線に関連して調整せずに、受益地区内の森林を伐採したりあるいはその関連林道を使用する際において、使用料に含めて開設費をその利用に応じて徴収するという説明に相なっているわけでございますが、使用料は具体的にはどういう額をどういう方針でやられるか、少しお伺いいたしたい。
  163. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 民有林国有林と両者が協力してやらなければならない林道につきましては、そのそれぞれの面積国有林民有林におきます資源の実態、そういうものをもとにいたしまして、全体の開発のために必要とします工事の費用をそれぞれ按分いたしまして、民有林の負担分が何ぼ、国有林の負担分が何ぼというふうに当初にきめるわけであります。民有林の負担分につきまして、公共事業でやります場合はもちろん国、県の補助金が出るわけであります。受益者負担金がその残りとして生ずるわけでありまして、その受益者負担金を限度といたしましてこの使用料を徴収するという考え方で進めたいと思っておるのであります。この場合、その受益者負担金相当額を約十五年ないし二十年間に伐採したもので償却するという考え方でこの使用料を計算して参りたいと考えておるのであります。年々の維持費と両者合せまして、現在のところ大体トラック一台当り千円程度になるものと予想しております。
  164. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 森林開発公団は開通の仕事だけで、実際の維持管理は国有林野事業の特別会計といいますか国有林野業として行う、こういうふうに承知事してよろしゅうございますか。
  165. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 その通りであります。
  166. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先ほどお尋ねをしました林道の採択基準の補助規程その他の問題と関連をいたしまして、森林開発公団の問題に直接関係はないわけでございますけれども、先般私の選挙区等においても問題があったわけでございますが、実際に地元負担という問題に当面します場合に、山の所有者は必ずしも地元におらないであっちこっちに散在しておる。大きな所有者になると必ずしも地元におらないというようなこともありまして、地元負担の問題が、直接地元におる人々の間での相談は進展をいたしましても、地元におらない不在の山林所有者、こういう者との連絡もなかなか十分できませんし、また、いろいろ話を進めましてもなかなか納得がいかないということで、林道の建設についていろいろ支障が起るというふうな話をよく聞くわけでございます。三重県にもそういう例があったわけでございますけれども、こういう林道の建設の進捗の問題と関連をして、耕地等の場合と違いまして、山林所有者の場合にはそういう実態でございますが、現実に地元負担の問題の適切な指導はどういうふうにやっておられるか、お伺いしたいと思います。
  167. 山崎齊

    山崎(齊)政府委員 お話の通り、不在地主というようなものが相当多いというのが現状でありまして、森林開発公団の事業を行います場合にも、受益者負担金の調整あるいは不在地主というようなものに対する了解を取りつけるというようなことが、林道開設の上に非常に重要な問題になったのでありますが、われわれといたしましては、補助林道等の開設を行います場合にも、県はもちろん、森林組合、町村というふうなものが一体となりまして、それらの不在地主等に直接会いまして実情をよく話して了解を得る、どこまでも了解してもらうという方法を講じてこの両者間の調整に当ってきたわけでありまして、今後ともそういう方向で進みたいと思っております。しかしながら、この事業が進むに従いまして、そういうふうなことだけではなかなか納得を得られないというふうな場合もあり得るかと思いますが、そういうふうな問題の林道に対しましては、この関連林道のような様式で林道を作りまして、受益者負担金の相当額は伐採したときにとるというふうな考え方も、やはり今後の問題点として検討しなければいかぬというふうに考えておる次第であります。
  168. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 最後に、この前の私の総括質問の際にも国内の山林政策の問題でいろいろお伺したかったわけでございますが、主として外材の輸入というような問題で、これは他の委員等に質問を譲ったわけでございますけれども、今後木材需要は御承知のように漸増の傾向にありまして、ここ数年のうちには相当な量を内外から得なければならぬという段階にあることは言うまでもないわけであります。森林開発公団法を一部改正することによって、国有林に関連した林道の建設というものがさらに進んで参るわけでございますけれども、林道の建設事業は必ずしもこれで足れりということでなくて、さっきの林道の採択基準と関連をしての補助の問題あるいは実際の地元負担の問題等に関連しましてもいろいろ問題があるやに私ども聞いておるわけでございまして、抜本的な森林資源の開発の面で今後とも農林省としても十分御検討願うように希望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  169. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 明日は午前十時より開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十二分散会