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1958-10-17 第30回国会 衆議院 議院運営委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月十七日(金曜日)     午後三時四分開議  出席委員    委員長 江崎 真澄君    理事 荒舩清十郎君 理事 武知 勇記君    理事 福家 俊一君 理事 松澤 雄藏君    理事 池田 禎治君 理事 佐々木良作君    理事 山本 幸一君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       内田 常雄君    木倉和一郎君       佐々木盛雄君    渡海元三郎君       丹羽喬四郎君    長谷川 峻君       原田  憲君    古川 丈吉君       三和 精一君    毛利 松平君       栗原 俊夫君    小林  進君       小牧 次生君    下平 正一君       八木  昇君  出席国務大臣         内閣総理大臣  岸  信介君         国 務 大 臣 青木  正君  出席政府委員         内閣官房長官  赤城 宗徳君         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     原田  章君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      原 文兵衞君  委員外出席者         議     長 星島 二郎君         副  議  長 椎熊 三郎君         事 務 総 長 鈴木 隆夫君         衆議院参事         (委員部長)  久保田義麿君         衆議院参事         (警務部長)  山野 雄吉君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道総         裁室調査役   武内 慎一君     ――――――――――――― 十月十七日  委員原田憲君及び毛利松平君辞任につき、その  補欠として安倍晋太郎君及び木倉和一郎君が議  長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道新潟鉄道監理局長発言問題に関  する件  災害対策特別委員会設置に関する決議案取扱  院内の秩序維持に関する件  昨十六日の本会議における岸内閣総理大臣の発  言に関する件  警察官職務執行法の一部を改正する法律案の提  出等に関する件  警察官職務執行法の一部を改正する法律案の撤  回要求決議案取扱  本日の本会議議事及び次回の本会議の件      ――――◇―――――
  2. 江崎真澄

    江崎委員長 これより会議を開きます。  御報告を申し上げます。先ほど淺沼稻次郎対外五名から、災害対策特別委員会設置に関する決議案が提出されました。なお、淺沼稻次郎君外四名から、警察官職務執行法の一部を改正する法律案撤回要求決議案がそれぞれ提出されました。  まず、本会議議事についてであります。警察官職務執行法の一部を改正する法律案につきましては、昨日議長の発議に基きまして、同日の当委員会において、本日の本会議でその趣旨説明を聴取し、質疑を行うことと相なつておりますので、これに対する取扱い方について御協議を願うのが順序でありますが、昨夜の社会党よりの新潟鉄道監理局長発言に関する問題についての質疑が残つておりますから、最初にこれを継続することに御異議ありませんか。   『県議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 江崎真澄

    江崎委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。  なお、申し上げておきますが、政府側から赤城内閣官房長官小倉日本国有鉄道総裁武内日本国有鉄道調査役が出席しておられます。
  4. 池田禎治

    池田(禎)委員 昨晩おそくまで国鉄関係者官房長官にお待ちを願つたことは大へん恐縮でございました。あなた方に関係のない案件のために非常に手間取つたということは申しわけないところと思つて、深くその点はおわび申し上げます。  私は、昨晩官房長官のこれに対する御答弁小倉国鉄総裁の御答弁等を伺いまして、一点心配にたえないことは、あなた方をこの国会に呼んで、何か委員会の力をもつて、いかにも当局側をへこましてやろうというような考え方で、そこで、あなた方も極力低姿勢をとつて、「まことにどうも相済みません、ごかんべんを願います」というような御態度でありますが、これは、そういう意味ではない。国会議員国会における発言は、院外においてその責任を問われないという、憲法上の保障に基く議員身分土の権利に基くものであります。もし、国会における発言院外においてみだりに責任を問われるとするならば、言論の府たるところの国会の権威いずこにあるでありましよう。この議員身分を保障し、議員の地位を確保することは、本委員会の当然の責務であります。従つて昨晩のような議論が出たのでありますが、ほんとうに、官房長官国鉄総裁も、新潟鉄道監理局長のこの言動に対して、心から遺憾の意を表されるという――国会圧力によるにあらずして、あなた方みずからの信念に基くところの御答弁を、まずお伺いいたしたい。
  5. 赤城宗徳

    赤城政府委員 ただいまのお言葉でありますが、私、官房長官をいたしておりますけれども、私も議員の一人でありますので、議員としての発言に対してとやかく言われたり、あるいは特に公務員がこれを誹謗するというようなことは、許すべからざることであります。こういうふうに考えております。
  6. 小倉俊夫

    小倉説明員 今回の新潟日報に出ました記事につきましては、まことに相済まない、おわびをする以外に方法がないのでございまして、ただいま仰せられました議院内の発言の尊厳ということも、私ども十分心得ている次第でございます。ただ、一時の感情で、ついああいう記事になりましたことにつきましては、まことに申しわけない、こういうことで、おわびを申し上げた次第でございます。
  7. 池田禎治

    池田(禎)委員 この問題が本委員会において取り上げられたときにおきましては、自由民主党におきましてでも、これはきわめて不謹慎な態度であるといつうことで、当時、与党議員の方々もこれをお取り上げになつたのであります。従つて、本委員会において問題になつたのでありますが、この際、自由民主党の見解もお伺いいたしたい。
  8. 荒舩清十郎

    荒舩委員 先ほど池田君から御発言がありましたが、わが党におきましても同感でございます。議院内の議員発言というものは憲法に保障されておることは、小倉総裁も御本知だと思うのでございます。私は、新聞記事、あるいはその発言内容については詳しく調査してありませんが、伝えられることにつきましては、まことに遺憾千万だと考えております。昨日来小倉総裁は、まことにいんぎんな態度でこの会議に臨まれておりますが、ただあやまるだけで、事が済むものではないと私ども考えております。そこで、小倉総裁は、これに対していかなる処置をとられるか、はつきりした御答弁を願いたいと思います。
  9. 小倉俊夫

    小倉説明員 本件につきましては国有鉄道総裁も非常に心痛いたしておりまして、本人に対してば厳重に注意する、今後の反省を促す、それで、どうぞ私からも諸先生におわびして御了解をお願いするようにということでございまして、前の社労委員会におきましても、総裁は遺憾の意を述べている次第でございます。今後かようなことが再び起らないように、本人には厳重注意を与えてございまして、二度と繰り返すことはございませんので、何とか御宥恕をお願い申し上げたい、かように存ずる次第でございます。
  10. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 私、きのうも発言したわけでありますけれども、これから云々と言われますが、客観的に、われわれ政治家にとつて言論機関に報道されるということはまことに重大なる問題で、現実にその現象が起きてしまつているわけです。そして、そのことのために、まことに不当ないろいろな犠牲をしいられてきているわけであります。従つて、今後云々と言われることだけで私どもは承服するわけにいかないのであります。すでに与えた損害に対して、あるいはやるべからざることをやつたことに対して、どういう措置をとられるおつもりか、重ねてお伺いいたしたい。
  11. 小倉俊夫

    小倉説明員 仰せの通りに、新聞公器でございまして、公器たる新聞にかような記事が出ましたことは、何とも申しわけないと存じます。ただ、実は、あれは本人の決して根のある発言ではございませんで、つい一時の感情に走り、不注意からああいうことが取材せられたのでございます。こういう点は重々おわびする次第で、今までのことにつきましては御宥恕を願い、今後は十分注意いたさせたい、かように存ずる次第でございます。
  12. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 私は、議事協議会新潟局長の問題が取り上げられたことは、非常に不敏でしたが、きのう知つたのです。大体、終戦後いろいろなものが民主化されているが、役人の世界だけは民主化されていない。私は運輸委員をやつているけれども、その現われが、やはり新潟のこういう発言になつていると思う。今までいろいろやつている間のいきさつ、かれこれは、それぞれ社労なり運輸委員会調ベる問題も出ておる。それはいろいろいきさつもあるでしよう。そういう問題とは別にいたしまして、国会議員言動を一局長新聞記者に向つて発言し、それを誹謗するようなことは、これは何と言つたつて官僚政治の現われである。こういう意味では、超党派的に大いに糾弾すべきことだ。しかし、ゆうべから、あの通り七重のひざを八重に折つて相済みませんと言つており、そうして当該者小林君も、きのうからにこにこしている。大体自分立場というものは釈明されつつあるというふうにも見られるし、あと、この問題については関係社労委員会なり運輸委員会などにおいて、徹底的に小林君も材料を出し、あるいはまた答えるべき筋があるならば、官僚政治の面から答えるところは答えて、徹底的にやつてもらうことにして、議運ではこの程度にして、一つ大いに警告を発してもらいたいと思う。
  13. 栗原俊夫

    栗原委員 小倉総裁に一言確認しておきたい。新潟日報に出た記事中心にして、今、長谷川君の言う通り、七重のひざを八面に折つて陳弁これ努めているわけです。そうすると、あの記事になつている内容については間違いない、こういうことを前提としてあやまつておられるのだと思うのですけれども、そのように理解していいでしようね。
  14. 小倉俊夫

    小倉説明員 とにかく、本人におきましては、新聞記事というものは不特定多数の目に入るものでありまして、そういうところにああいう記事が出ましたことにつきまして、非常に遺憾の意を表している次第でございます。
  15. 栗原俊夫

    栗原委員 問うところに対して的がはずれている。というのは、副総裁がここに出てきてあやまつている、以上は、もちろん本人との話し合いもあつたと思うのだが、あの記事になつている内容は、河村局長の話した内容と間違いがないのだ、こう了承していいのですか。もちろん、そうでなければあやまる筋はないだろう、間違いないからこそ、あやまつているのだろうと思う。その点、一つ確認をしておきたい。
  16. 小倉俊夫

    小倉説明員 あれは、新聞記者の方から面会の申し込みがございまして、一人の新聞記者とプライベートに会つて話したことでございまして、私としましては、詳細な正確なその場の言葉を存じませんが、大体ああいう記事を出されてもいたし方ないというふうな発言はあつたかと存じます。
  17. 江崎真澄

    江崎委員長 いかがでございましよう。先ほど長谷川君の御意見もありましたし、この程度にしていただきまして、なお、運輸委員会なり社労なり、それぞれ別の場面で御究明を願うということで御了承を願います。
  18. 池田禎治

    池田(禎)委員 委員長の申されること、長谷川右の言われること、ごもつともと思います。しかし、これは社会労働委員会運輸委員会のことではあるが、議員身分上の問題につきましては、本委員会の担当でございます。従つて、本日これを私はこれ以上追及しようとは思いませんけれども、いずれ適当な機会新潟鉄道監理局長を喚問いたしまして、本人の心境なり、その経緯をただしたいと思いますので、そういうことを許されるならば、本日はこれ以上は追及いたしません。
  19. 荒舩清十郎

    荒舩委員 わが党も、ただいまの池田君の御発言賛成でございます。
  20. 江崎真澄

    江崎委員長 よく承わりました。     ―――――――――――――
  21. 江崎真澄

    江崎委員長 次に、先はど提出された災害対策特別委員会設置に関する決議案の正取扱いについてでありますが、いかがいたしますか、御協議を願います。両党にはそれぞれ御意見があることと思いますが、順次御意見をお述べ願います。
  22. 栗原俊夫

    栗原委員  この件につきましては、国会が開会される劈頭から、わが党はぜひ設置をしていただきたいということを主張しました。当時、四つの特別委員会を作る、これとからんでいろいろ論議されたわけですが、これがいろいろな事情で今日まで決定を見ずにきたわけでございます。大蔵大臣佐藤さんも帰つてきて、いよいよ災害対策も本格化する、こういう段階に入つて、わが党としてはぜひとも災害対策特別委員会設置してもらわなければならぬ、こういうことで、でき得れば、両党話し合いでこれができればまことにけつこうだが、いずれにしても、わが党としては、この特別委員会をこの際ぜひとも作るべきだ、こういう建前で、決議案という形でここに提出したものであつて、じんぜん日を送る案件ではございません。もつと早くこれらが論議され、所定の措置をされなければならぬ問題でしたが、いろいろな事情で今日まできたので、ぜひとも本日取り上げて、適当なよき結論の出る取扱いをしていただきたい、かように思うわけです。
  23. 荒舩清十郎

    荒舩委員 ただいまの栗原君の御発言、ごもつともな点もございますが、大蔵大臣が数日前に帰られましたので、大蔵大臣に会いましたところ、補正を組む腹がまえもあるやに私は聞いて参りました。従つて、いつ補正を組むかということがこの災害に対する大問題でございます。なおまた、そのめどがつかないうちにこの委員会設置するということにつきましては、わが党にもいろいろ賛否両論がございます。従つて、わが党といたしましては、党の意見をまとめまして後日御相談申し上げ、また、その方針について御賛成をいただきたい、こう思つているのでございまして、本日は警察官職務執行法の一部改正法案が上程されている際でございます。なお、さつき申し上げたように、補正とかみ合いの問題もございますので、きようでなく、なるべく早い機会に、来週にでもこの問題を本格的に取り上げていただきまして御審議を願いたい、かように考えておる次第でございます。
  24. 山本幸一

    山本(幸)委員 ちよつと荒舩さん、あなた方の言うことはいつも筋が通つておらぬ。今回のいわゆる両党の協定の四項目に、議長は、特に今後は一つ国会の正常かということを入れている。少くとも災害は、警職法の問題がここで議論せられる以前の問題なんです。しかも、非常に国民心配している問題であつて、私どもの承わるところによると、千五百億とか千八百億という非常な被害があつたということを聞いている。それをわれわれが心配して、先般四特別委員会設置の問題のときに、これともあわせて検討すべきだと主張したにもかかわらず、四特別委員会だけは自分らの思うままに強引に多数決で通しておいて、しかも、その四特別委員会については、私は不要とは言いませんが、その中には、必ずしも特別委員会を作らなくても、現在ある常任委員会に付託すればやれるものもある。しかもその中には、特別委員会でなくて、常任委員会に直した方がいいというものもある。こういうことを懇々とあなた方に御説明申し上げて、従つて、四特別委員会をどうしても強引に作られようとするならば、この四特別委員会の持つ重要性もさることながら、それよりも、もつともつと今この災害国民が非常に重大な関心と心配を持つて見守つておる問題だから、一日もすみやかに国民が安心するような措置考えてやることが、国会義務だと私は思うのです。そういう意味においても、これはぜひ一つ作つてもらいたいと言つてから、もうすでに日を数うること十数日たつておるわけです。これはめちやくちやですよ。ですから、この間言つたことと、きよう言つたことと、言葉を二重に使わないようにして、やはり持つべきものは持つのだ、筋の通るものは通してやるのだ、こういう立場をおとりになる方がいいと思う。これは、きようぜひ持つような措置を講じてもらいたい。どうしても持てなければ、この決議案を出さしてもらう。そこであなた方に堂々と否決してもらえばけつこうですよ。
  25. 荒舩清十郎

    荒舩委員 今回の水害というものは、近年まれに見る水害であることは申すまでもございません。あなたの御承知通りでございます。なおまた、これに対してすみやかに救助の手を伸ばすことこそ、国会の緊急な課題であると私は思います。そういう点につきましては同感でございます。しかしながら、何といたしましても、子算を組まなければ、空理空論では何にもなりません。補正を早く組むことこそ、救いの手の前進したゆえんであると私は思う。そういう点につきまして、大蔵大臣にも私ども委員会の様子を報告し、あなたはどう考えておるかというようなことを打ち合せてみたのでございます。しかしながら、帰つてきたばかりでございまして、いろいろの問題もありましよう。そこで、数日間お待ち願いたいということで――これは私の観測によりますと、早い機会補正めどがつくと私は見てとつて参りました。そういうことと照らし合せて特別委員会審議をしなければならない、こんなふうに考えております。なお、先ほどお話がございましたが、四特別委員会の問題とこの水害対策の問題とを、何か山本さんはひつくるめてお考えのようでございますが、私は、あなたのおつしやることの議論が、少しせん気筋だと思うのです。そこらのところをなおお聞かせ願えれば、一つせん気でないように考えてみたいと思います。よろしくお願いいたします。
  26. 山本幸一

    山本(幸)委員 せん気筋でも、筋は筋だから、このせん気筋を通してもらわなければならぬ。やはり筋の一つだからね。そこで、いかにも補正予算が出なければ、特別委員会を持つたつて意味がないというあなたの議論だけれども、それは逆なんで、むしろ特別委員会を作ることによつて補正予算を促進せしめ、かつまた、補正予算で出されたものを公平に災害地に分配し、そうして適切なる復旧をさせる、それが重要なことであつて特別委員会補正予算を出さなければできないなどということは、どこの規則にもない。あるいは慣例も先例もありません。これは、むしろ進んで特別委員会を作り、そうして補正予算を早く出すように促進する。元米、佐藤大蔵大臣は、この国会が開かれたのに、それは重要な用件かもしれませんが、一国の大蔵大臣が、このべらばうに大きな災害があるにもかかわらず、国会を捨てて海外に行かれた。そのこと自体でも、国会を侮辱し、国民をばかにしておる従つて、本来ならば、もし行かれるならば、ちやんと補正予算の準備をして行かれるのが当りまえである。それすらもやらずに、べんべんと日をおくらしておる。しかも、そういうとんでもない大蔵大臣のしりをひつぱたいて促進させ、早く国民に安心させることが与党責任である。そういう、特に野党よりも重い責任を持つておると思う。その意味において、むしろ与党から進んで特別委員会作つて、これを実施させる、そういうようにあなた方の御理解と御協力を賜わりたいと思うのです。
  27. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 災害対策特別委員会はそれぞれ党にあると思う。きよう社会党の案を見ましても、補正予算要求の額もあるし、私どもの方でも、今山本君の言うように、補正予算を組まなくても、自民党責任において何とかしなければならぬというので、災害対策特別委員会を作り、われわれも視察したり、あるいはその数字を練つたりしまして着々やつておるところです。その集計を補正予算に今度出してもらう、また、出してもらわなければならぬと考えておる。巷間今まで伝えられる補正予算の額よりは、私どもの方の災害対策特別委員会要求によつて、大幅にそれを上回るような圧力を私どもは今かけておる。なかんずく、今皆さん心配されておる狩野川の問題などは、従来は災害対策補助金は、三割、五割、二割だつた。これは皆さん承知通り。だから、今度の狩野川の問題などは、七割の補助金をつけるように今一生懸命やつておりますから、その上で、今荒船キャップが言われたように、一つあとで御協議を願うことにしたい。この間、私どもはじんぜん日を送つておりません。何とか期待に沿うように一生懸命やりたいと思つております。
  28. 山本幸一

    山本(幸)委員 あなた方の御努力はわかるのですよ。何も自民党がほつといておるというのではない。お互い政党として、われわれは国民から選ばれた議員なんだから、従つて災害があれば、臨時国会ができるできないにかかわらず、それぞれの政党で、国民がなるべく安心するように、一日も早く、政府のことはさておいてでも、政党特別対策委員会作つて、いろいろな調査をするなり何なりする努力は、私は当然払わなければならぬ政党義務だと思うのです。それからもう一つは、長谷川さんのお説を聞くと、自民党責任を持つてつているから心配するなと言われるのだが、自民党責任を持つてやるから心配するなということになると、国会は必要がないということになる。これは、自民党だけで何でもおやりになるからいいということになる。そういうこととは違うと思う。自民党社会党中心なつてこ国会を構成しているのですから、従つて政党政党の独自の研究、独自の調査、独自の立場によつていろいろな案を作られることは、大いにけつこうです。しかし、それをお互いに持ち寄つて――ほかのことと違つて、特に緊急を要することだから、従つて国会の中に正規の機関をお作りになつて政党同士がいろいろ熱心に研究し、調査し、成案を作り、これを持ち寄つてそこで村議をされる。その討議の過程を通じて、初めて予算というものがどれくらい要るかということのお互いの真剣な議論ができると思う。そういう点を、むしろあなた方に御理解を賜わりたいと思つておるのです。
  29. 荒舩清十郎

    荒舩委員 まことに山本さんの御議論は雄弁であり、けつこうですが、あなたのおつしやることを先ほどからお伺いしておると、何か特別委員会を作らなければ災害対策はできないのだという御議論のように私承わりました、私は、もちろん農林委員会もあれば、建設委員会もありますし、なおまた、補正を組めば、予算委員会も開いて、予算委員会においての審議もできるのでございまして、実は特別委員会というものがオールマイテーだというようなお考えは、少し違い過ぎてはいないか、少し議論の論点が違いはしないか、こんなふうに思うわけでございます。しかしながら、さつきおつしやる通りに、この水害の問題につきましても、全く近年にない惨たんたる被害をこうむつたのでございます。金の面ばかりでなく、人間の問題にしても非常な犠牲が出ておるのでございます。これは、ひとり政府だけの問題ばかりでなく、議院といたしましても、すみやかにこれに救助の手を差し伸ベなければならないことは当然でございます。従つて、われわれはすみやかに政府補正を組みまして、そうして、この救助のあたたかい手が一日も早く伸びるようにしなければならぬ、こう考えておりまして、根本の考え方は、全く山本君に同感でございます。しかしながら、特別委員会を作らなければ、これはできないのだという論拠は、私ども反対でございます。しかしながら、わが党といたしましても、党内の特別委員会がございますので、それらと打ち合せて、なお、大蔵省と補正の問題につきましてよく協議を重ねまして、そうして来週、すみやかに皆さんの御期待に沿うように、努力していきたいと考えております。なおまた、きようは、さつき申し上げるように、警職法の問題で、重点がそちらにかかつております。そうして、この警職法の問題につきましては、実は議長が両堂の間に立ちまして四者会談を開き、すみやかに正常な姿に戻したいという御努力をなされ、なお、社会党さんも、これに対して全面的な賛成をされておる際でございます。従つて、本日はまず重点をこの警職法審議、これを本会議にすみやかにかける、こういう点に御尽力を願い、今申された特別委員会の問題は、ぜひ、われわれもすみやかにこれを一日も早く検討いたしまして、来週中にでもよき結論を出したい、こう考えております。従つて、この問題は一つ次会までお待ちを願いたい、こういうことをお願い申し上げる次第でございます。
  30. 池田禎治

    池田(禎)委員 何か警職法を上げるために、どうもきゆうきゆうとしておる。まことにお急ぎで、他のものは顧みられないようですが、これは、私ども警職法が出る以前から災害対策特別委員会作つて、この大水害に対するところの救助対策国会として講ずべきことを提唱しておるのです。それを、自民党は待つてくれ、待つてくれということで、今日まで延びておる。警職法が通るか通らないか、そんなことは、今日何ら災害関係ありません。それもあなた方やるというならば、それは並行してやるべきだ。たとえば、そう必要でもないような委員会を作るにとに派閥の両係できゆうきゆうとしており、実質的に国民に対して必要な特別委員会のごときは顧みないという態度に対して、私どもは大きなふんまんを感じておるのであります。従つて、こういうようなものを出すときに当つては、大蔵省と打ち合せてとか、そんなことはこつけいなことですよ。先ほど来の御答弁をみると、まるで大蔵大臣の御答弁のようである。私は、政府態度政府態度、立法府は立法府みずからの権威と自主性を持つて、どいううことをするかということを考えなければならぬ。これがわが党の提唱する災害対策特別委員会設置に対する考え方であります。だから、自由民主党がいやならば、本決議案を私どもは上程いたしますから、どうぞ多数の力をもつて、こういうものは必要でないということで、否決してただくならば、これは国民の前に明らかにどうなつたかということを示すわけであります。私は、そういう議論をなされるよりも、やはり事実に即して、大政党の襟度をもつて欣然と賛同されることの方が、今日最も至当なことではないか、こういうふうに思います。
  31. 江崎真澄

    江崎委員長 いかがでしよう。本件につきましては、お聞き及びの通り意見が分れて一致をいたしません。そこで、まことにやむを得ませんので、採決をすることにいたします。  それでは、本決議案を本日の本会議に上程することに賛成の諸君の挙手をお順いいたします。     〔賛成者挙手〕
  32. 江崎真澄

    江崎委員長 単手少数。よつて、本決議案は本日の本会議に上程しないことに決定いたしました。  それでは、本決議案取扱いにつきましては、本日のところはこれを留保することにいたし、次会ということで御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり」
  33. 江崎真澄

    江崎委員長 御異議なしと認めます。よつて、さよう決定いたしました。
  34. 池田禎治

    池田(禎)委員 そういうことこそ、自由民主党責任においてあなた方はこれを取り上げる、こういうところの態度がなければ、失礼ながら、自由民主党みずからがお困りになりませんか。私は、あなた方の党の中にも作れという議論が相当強いということを聞いておる。それを、警職法を上げることを急ぐのあまり、他のものは一切棒に振つてもということは、大政党のとるべき道ではないと思うのです。これはわれわれは国民の前に、自由民主党はこれに反対したということを堂々と出します。
  35. 荒舩清十郎

    荒舩委員 少し池田君の御議論は飛躍なさつておるように思います。次回の議院運営委員会において検討をしよということでございますから、どうぞ気を静めていただきまして、そうして御議論をお願いいたします。
  36. 池田禎治

    池田(禎)委員 運営委員会のルールからいたしまして、一事不再理の原理、そういうことを、言を左右にして言うということは不届千万です。そういうことを言つたつて、本日上程を否決したにの事実について、明日には取り扱う、そういうような議事取扱いはありません。こういうことは前例がないことであります。これをきようは議論をやめてくれというのならばいいが、少くとも、今日の段階において、本会議に上程しないということを表決に問うたのでありますから、そのことを十分今日記録にとどめておきます。こういうことにつきましては、明日ならいい、あさつてならいい、さようなら悪い、そういうお扱いというものは、これは国会運営のルールにおいて慣例を見ないのでありますから、そういう機会が参りましたら、ただいまの言を留保いたして置くということを、語録にとどめておきます。     ―――――――――――――
  37. 江崎真澄

    江崎委員長 次に、院内の秩序維持に関する問題につきまして、社会党佐々木良作君から発言を求められておりますので、これを許します。佐々木良作君。
  38. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 先ほど来、警職法取扱いについて、早く早くというお話でありますが、その前に、この問題に関連して起りましたところの院内の秩序の問題につきまして御審議をお願い申し上げたいと思います。御承知通り議長のあつせん案なるものの第四項にも、はつきりと、議会の運営を正規のルートに乗つけて云々ということになつておりますから、この点は、十四日の夜を中心として起りましたところの事態につきまして、その遠き原因を突きとめるとともに、その現象の扱い方について間違いがあつたかなかつたか、その辺を十分に審議しておくのでなければ、本格的に議会の運営を正当なるルートに乗つけることは不可能であると思うからであります。  そこで、まず私は、警務部長にお伺いをいたしたい、こう思うわけであります。十四言を中心として起りました事件について、数百人になんなんとするところの、まことに多数の衛視を動員されておりましたが、これはどういういきさつにより、どういう指揮命令によつて措置をとられたか、まず、お伺いいたしたいのであります。
  39. 山野雄吉

    ○山野参事 ただいまの佐々木先生の御質問にお答えを申し上げます。当日出動いたさせました衛視の最高の人数は、百二十名でございます。院内の秩序を維持するために衛視を動員いたしますことは、もちろん議長警察権の作用でございますが、従来の慣例といたしまして、そうしたことを発動するのには、一々御指示を仰ぐいとまがない場合、あるいはそういつたような余裕のない場合が多いのでございまして、当夜は、私のまず第一の責任において衛視を動かしたわけでございます。
  40. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 今、山野君の御答弁によりますと、多分十四日の晩のことをいわれておるように思いますが、慣例によると、何とかかんとかのいとまのない場合云々というお話でございました。しかしながら、御承知のようにあれは相当前からの話がずつと続いておりまして、現実に衛視を動員されておりましたのは、あのときの朝早くからであります。また、例の問題の起きたときも、夜おそくなつてからであります。従いまして、突発的な事項というわけではないのであります。どういう職権とどういう規定に基きまして、あなたが動員されたか、重ねて伺いたいと思う。
  41. 山野雄吉

    ○山野参事 衛視の総数と申しますのは、現在病人等を除きまして百六十七名でございます。そのうち出入口等に勤務している者を除きますと、総数が約百二十名でございまして、当日特に動員をいつもよりよけいしたというような事実はございません。
  42. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 山野さん、そういう詭弁を言つちやいけません。動員をしないということは、普通の配置につけるということのはずです。だれが見ておつても知つているように、あの廊下一ぱいに整列しておつて、交通を整理するなり、あるいはまたその他の目的を持つてやられたような配置につけておりながら、動員しておらない普通の状態だ、そういう詭弁はやめてもらいたいと思います。
  43. 山野雄吉

    ○山野参事 私の言葉が足らぬようで申しわけございませんが、常時百二十名の衛視がいるという意味のことを申し上げたのであります。そうして、その百二十名の衛視を、通常の場合には、一時間置きに勤務をさせておるのでありまして、休憩時間等で休んでおる者がありますが、総数は百二十名動かし得るのであります。特にそれ以上の衛視はおらぬのでございますから、動員はいたしておらぬと申し上げたのでございます。  それから、事態が発生しましたつどに百二十名の全部なり、あるいは一部を動かしたということは、私の責任でやつたことであります。
  44. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 ちよつと聞き漏らしたのですが、後半何と言われたのですか。
  45. 山野雄吉

    ○山野参事 百三十名は常時おりますが、たとえば具体的に申しますと、その百二十名を朝から動かしているわけではございません。休憩もさしておつたのでございます。第一委員室の状況が、どうしても衛視を多数持つてつて、何とかしてあすこへ議員さんが出入できるように、あるいは中におられまする秘書のお方にお出を願つた方がいいのではないか、この判断がもしか間違つておれば私の責任でございますが、そういう考えでもつて、多数の当時おりました衛視を、そのつど動員したことは事実でございます。
  46. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 しかし、一番最初の山野さんのお話によりますと、緊急の事態が起きて問題を処理する場合に、いとまのないような状態のときに、あなたの権限というか、そういうものを発動されるということが慣例であつたと言われる。あのときの事態は、最初からずつと継続的にだんだんと発生していつたのでありまして、それに応じて、ずつとあなたは、御承知のように――動員という言葉は悪いのか、特別配置という言葉か知りませんけれども、配置されていつたはずであります。従いまして、突発事項に適当に対処されるというようなやり方では、私はなかつたと思うのであります。重ねて山野さんにお聞きいたします。慣例と言われますが、警察権の発動というものはいやしくもそう軽々しく発動さるべきものでないことは、御承知通りであると思うのであります。どういう規則と、どういう方法によつて議長に専属いたしているところの警察権を、あの十四日のいついかなるときにあなたはみずからの権限に切りかえてやられたのか、お伺いいたしたい。
  47. 山野雄吉

    ○山野参事 従来の慣例と申しますのは、十四日にきまつたことではないのでございまして、院の内外におきまして、たとえば外では多数のデモ隊が襲来するというようなこともございます。それから院内においては、先般だけが初めての例ではございません、前にも世間にいわれる乱闘といつたようなことがございまして、そういつたような場合には、先ほど先生一つだけお聞きのようでございましたが、そのいとまがないとき、またはその余裕がないときというように申し上げたのでございまして、いとまがないというのは、物理的に、瞬間的に、対処しなければならぬときでございます。それからまた、そういう余裕がないときと申しますのは、私の警察権に関する上司は、総長を通じて議長でございまするが、総長、議長におかれまして、他のいろいろのことでもつてお忙しい、むしろ、第一線的なことは自分責任においてやつた方がいいと判断する場合には、私の責任において第一次的にやつておるのでございまして、これは、法規の根拠と申しましても、別にございません。そういつたような慣例が、前からあるのでございます。
  48. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、議長、総長には一つも相談されませんでしたか。
  49. 山野雄吉

    ○山野参事 十四日半日のことについては、何ら御相談も申し上げませんし、何ら御指示も得ておりません。
  50. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 これは、まことに重大な発言だと思います。私は、議長がそこにおられますから、それなら議長にお伺いいたしたいと思います。当時議長は、たびたびこういう事態がないことを云々されまして、しかるベく相談をし、そうして事態が発生しないようにということをいろいろな方面に、いろいろな状態で動いておられることを私は承知いたしておりますが、今の警務部長のお話の通り警務部長とは一ぺんも相談をされなかつたか、あるいはまた、事務総長も全然その相談にあずからなかつたか、私は重ねて伺いたいと思います。なお、その場合に、重ねてお伺いをいたしておきますが、院内秩序の保持と警察権の執行に関する権限は、議長に専属している権限でありますことを、もう一度はつきりと法条に照らして言つておきますから、お答えを願いたい。
  51. 星島二郎

    ○星島議長 ただいま山野君が佐々木君にお答えした通りでありまして、私もここに長年出入りしておりますが、大体最近仰せの通りに、すべての院内警察権は、議長にまかされております。しかし、議長は、この警察権というもののふだんの行使は、山野君といいますか、警務部長に委任しておりまして、個々に動くことを全部一々相談を受けるものではございません。それで従来運営してきておるわけでございますから、十四日の当日におきましても、その前例によりまして、すべてをまかしておつたような次第でございます。今後ともそういう方法でやつていきたいと思います。観念的には、何とか平穏にいきたいものだ、この混乱を防ぎたいものだという観念は通じてはおりましようけれども言葉で指令したことはございません。私は、それでいいんだろう、かように思つております。しかし、責任は全部私にある次第でございます。
  52. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 どうも議長さんに言うのは工合が悪いかもしれませんけれども、私は、法律の専門家ではありませんから、よく知りません。しかしながら、院内警察、特に議長に専属しているところの警察権を発動するということは、まことに重大な話であります。先例々々と言われますけれども、そういう先例でよかつたかどうかも、吟味することがほんとうは必要である。しかしながら、従来の先例といいましても、同じような事態がいつでも起つているわけではありませんので、それこそ先ほどの山野君の言うように、突発的な、あるいは非常事態に処する問題でありますから、非常事態の大きさによつて判断されるのが当然だと思います。議長に工合が悪いなら、私は事務総長にお伺いしてもいいと思いますけれども、一体議長に専属して、いるところの警察権限を、包括的に、あらかじめ、あるいは問題の起きる前に、他の者に委任する、そういう行為が可能であるか、私は専門家でありませんから、よく知りませんけれども、法律家といたしまして、一身に専属しているところの警察権を、何事も事態のないときに、あらかじめ他の者にゆだねるというようなことが許されるのかどうか、純粋に法律的な見解を伺いたいと思います。
  53. 鈴木隆夫

    ○鈴木事務総長 お答え申し上げます。院内警察権は、仰せのように議長に専属いたしております。しかし、議長がその権限を行使する場合は、普通国会が召集されましたときに、警察官の派遣を要求する場合、あるいは一たん派遣されたものにさらに増員を要求する場合に限るわけでございます。非常のとき以外は、議長みずから指揮をしたことはございません。それが今までの慣例でございます。臨機の措置は、みな警務部長に一任しているのが、今までの慣例でございます。
  54. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 私は、参考のために法律的な、むしろ法律書生として御見解を伺つておきたいのですが、議長に専属してありますところの警察権限は――もつと一般的に言うならば、一般の司法警察とか行政警察とかの警察権限なるものは、何にも起らぬときに、包括的にある者にゆだねるということができ得るような性質のものであるかどうか。
  55. 鈴木隆夫

    ○鈴木事務総長 それは、普通の警察官の場合でも同様だと思います。指揮官が、必ずしも一々上官に指揮を仰がないで、下級の指揮に当る者がやることが間々あるわけでございます。
  56. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 これはすぐやめますからお許しを願いたいと思いますけれども、それは、具体的な行為、たとえば犯罪が起りかけているときにつかまえるとかなんとかいう場合の、警察官に初めから専属している権限であつて、たとえば、警部補なら警部補、あるいは警察署長なら警察署長の権限を、特定の巡査に、何にも起らぬ前に、お前がおれのかわりにやつておけということが許されるものであるかどうか。
  57. 鈴木隆夫

    ○鈴木事務総長 そういうことはないと思います。従いまして、あらゆる者がやつているわけではなくて、法規をごらんになればおわかりになりますように、院内において逮捕する場合には、議場内の場合には、議長の命令がなければだめだというふうに書いてございますのと同様でございます。ですから、全部をみな許しているわけではないのでありまして、普通に委任している場合には、臨機の措置をとることを許しているだけであります。包括的にすべてのものを許しているわけではないのであります。
  58. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 こういう議運の席上で、私のような、内容をあまり知らない書生論、法律論を言つては悪いと思いますから、問題をほんとうの焦点に移していきたいと思います。私は、そもそも本来であるならば、議長に専属している院内秩序の保持に関する警察権限は、みだりに人にゆだねたりするような、特に包括的に委任するということは、してはならないものだと思います。従いまして、他の院等における従来の慣例によりますと、具体的な行為、たとえば十四日なら十四日の行為というものが起きそうなときになりまして、こういうことが起きるかもしれないが、そのときの措置をゆだねるという特別の決裁を得ております。私の知つている他の院におきましては。この院におきましては、そういう場合は書類でやるのかどうか知りませんけれども、そういう本来院内警察権というものは――院内でなくても、院外でも、警察権というようなものは、包括的や抽象的に人に委任をされたりするような性質のものではない。従いまして、きようは他の問題がありますから、論議はあとに譲りたいと思いますが、ほんとうに包括的な、重要な権限を、知らぬ間に、また具体的な行為もなしに、適当な者、たとえば警務部長でも何でもいいのですが、そういう者にゆだねられているようなことがあるとしますならば、別のときに十分論議を戦わしまして、院内秩序を守るためにはそういうことであつていいのかどうかということを含めて、本格的に論議されんことをまず希望申し上げまして、ほかの問題に移りたいと思います。
  59. 小林進

    小林(進)委員 ただいまの院内の警務部長の動員の問題ですが、先ほどの、何のために動員をしたのかという御質問に対して、何か議員が出入りできるようにするとか、秘書が云々とか、あとはちよつと聞き取れませんでしたが、その動員の理由、目的をいま一度明確に部長からお答え願いたい。
  60. 山野雄吉

    ○山野参事 当日、別に衛視の総数をふやしたわけではございませんことは、申し上げた通りでございます。そうして第一委員室における事態が発生いたしまして、その際に、通常衛視を出している数と比べまして、数倍多い衛視をそこに集中しなければならぬと判断いたしましたのは、当時の客観的情勢によりまして、第一に考えましたのは、党派のいかんを問わず、議員の身辺を保護するということ、第二には、第一委員室内部の状態が、委員会を開こうとした場合に、あれでは開けないので、何とか――はつきり申しますと、秘書のお方にはお出を願つて議員さん方がお入りになつて委員会が開けるようにという念願から、そのつど動員をいたしたわけでございます。
  61. 小林進

    小林(進)委員 議員の身辺を守つていただくとか、第一委員室に出入りするとか、秘書云々とかいうお話がありましたけれども、たしかわれわれは、その前に、むしろこの議院におきまして秩序が乱れておつて、もし身辺を守る必要があるとすれば、議員同士の間にあらずして、議員や秘書にあらざる者が、この国会の中にいろいろ合法に名をかりて出入りをしている、これがむしろ危険を醸成するおそれがあるから、これを一つ事前に防がなければならないということで、警察小委員の一員であります私も、責任を感じまして、私と山本理事ですか、一緒に山野部長のところに同道をいたしまして、その旨を正式に申し入れた。たとえて言えば、正式の通行証を持たざる者が出入りをしている、秘書にあらざる者が国会の廊下を濶歩している、そういうところの秩序を維持しないで、しかもこの国会の主人公たる議員のみの行動その他を監視して歩くような態度をとることは、はなはだどうもけしからぬということで、われわれは抗議を申し込んだ。そういうことに対して、一体警務部長はどういう処置を講ぜられたか、私は一つそれを承わりたい。
  62. 山野雄吉

    ○山野参事 さような仰せもございました。ごもつともなことでございますので、第一委員室における事態の発生する前に、客観的情勢によりまして、当日の通行証というものをお貸ししておる方がございますが、――これは議員さんにお貸ししているのですが、そういうものを一切ストップして、なおその後、今小林先生がおつしやつたような事態があつたやに聞いておりますので、これは仰せのように重大なことでありますので、ただいま、そういうことについては、よく調査をするようにしております。
  63. 小林進

    小林(進)委員 どうも今日事態が終了した後に、調査をしているなどというようなことは、先ほど国鉄総裁の話と同じで、丁重いんぎん無礼な話である。実にわれわれを軽視したものである。私どもは、あのときに、実は議長に正式に申し入れるべきであつたけれども、山野警務部長の方で責任を持つて処置いたしますからというので、私は、それだけで終つたのであります。そのときに、私は、調査しろとは言つていない、こういう通行証もなければ、当然内部に入る権限のない者が、わが家のごとく国会の中をとにかく横行濶歩しているから、それを直ちにつまみ出せ、出すために万全の措置を講じなさい、――調査しろと言つたのではない、追い出すために万全の処置をいたせと言つたら、よろしゆうございます、直ちに処置いたしますと言つた。しかし、ただいまの答弁は、それに対する処置をしたというのではなくして、調査をするという答弁である。私は、調査をしろと要求をしてはおりません。そういうごまかしの答弁では困りますので、どういうような処置を具体的に講じて、一体何人権限のない者をつまみ出したか、そういうことを私はお伺いしなければならぬ。
  64. 山野雄吉

    ○山野参事 私の言葉が足らぬのかもしれませんが、そういうお話がございましたので、直ちに通行証による通行を禁止して、未然に防止しようと努力したのでございます。ただいま調査しておると申しますのは、あの事態が発生しまして翌日でございますか、社会党の先生方からこういつたような事態があるというお話を承わりましたので、その前にも通行証の発行を停止して、何かいかがわしい者があつたらば、それに対して対処せよということは言つてございますが、具体的に、こういう者がいたからつまみ出したとかなんとかいうことはございませんでした。事態が起きましてから後に、あのごたごたしているときに、私自身が全部見て回つているわけではございませんので、確認はいたしておりませんが、社会党の先生からお話がありましたので、先生方のお話には間違いない、間違いないから、よく調査して、今後さようなことがないようにしなければならぬ。それには方々いろいろと警備したわけでございますが、どこかでこういつたようなお話があるんだから、そういうのは見ないかどうかということで、今調査をしていると申し上げているわけでありまして、先生方にごまかしの答弁をしようなどという考えは毛頭ございません。
  65. 小林進

    小林(進)委員 それは議員同士のいろいろ政策の行き違いで何かのやりとりはあつていいと思いますけれども、しかし、率直に申し上げまして、わが党の中には、どうも衛視の最近の行動がおもしろくない、与党にさえ平身低頭これ努めておれば、少数の野党などはどうでもいい……。(発言する者多し)ひがみとおつしやるなら、ひがみでよろしい。しかし、こういう機会をかりて、われわれのひがみなら、ひがみを明確にしておかなければ、なかなか機会というものはあり得ないから、こういうときに発言のお許しを願つて、いたずらに私の質問を、私語をもつて軽べつするようなことはおやめを願いたいと思う。  そういうことで、私は、実はまだ部長にお聞きしたいのであるけれども、たしか午後の十時ごろでしたか、第二委員室と第一委員室の境のとびらがあけられて、そこから多数の方がお入りになつた。もちろん、自民党議員がお入りになるのはけつこうでありますけれども、そのときにワイシャツ一枚で、代議士のバッジもなければ、議員秘書のバッジもない、まさに顔にこんな傷のある、勇ましいような、そういう者が、第二委員室から第一委員室に多数勇猛果敢な姿で乗り込んできた。そのあとに、それを保護する形で、衛視の諸君が大体二十名くらい、非常に強力な力をもつてそれを援護するような形で乗り込んできた。でありますから、私は直ちに衛視をつかまえて、指揮官はだれだ、今最初に入つてきたのは、議員のバッジもなければ、秘書のバッジもない、通行証を持つておるかと一々聞いたところ、通行証は持つていない。通行証もない、議員のバッジもない、秘書でもない者が先陣を勤めて、十数名腕力を振いながら入つてきた。そのあとに衛視が二十名か三十名入つてきた。一体、この人たちの身分はどういう資格でここにお入りになつたのか、直ちにそれを調べて、もし資格がない者ならば、それを直ちにこの部屋から出せ、衛視の仕事はそうじやないかと言いましたら、そのときに立ち会いました責任者は何といいましたか――そこらにいませんか。もちろん、部長は知つているでしようから、部長に聞けばよろしいが、衛視がそういう人たちを先頭に立てて、なだれを打つてつてこられたのは、一体どういう目的で入つてきたのか、これが第一。第二は、そういう通行証も、秘書のバッジも、代議士のバッジもない者が、なぜ、一体衛視に守られて入つてこなければならないのか、その理由を、私は当面の責任者である山野部長から聞きたい。
  66. 山野雄吉

    ○山野参事 私、先ほど若干の何か暴力団に似たかのごとき人が衛視とともに出入したというお話を社会党のある先生から伺いましたので、それについて極力調査をするように命じております。ただいま小林先生の仰せの、数十人が、ワイシャツといいますか、シャツ姿で乱入したということは、今初めて伺いました。
  67. 荒舩清十郎

    荒舩委員 ただいま社会党の方々から、院内の秩序についての御発言がございました。私どもも、常に院内の秩序に関しましては関心を持つておるものでございます。特に十四日のあの乱闘といいましようか、押し合いといいましようか、まことに遺憾千万であつたと思います。数々の点について、小林君の御発言のような点もあつたかのように私も見受けました。また、御発言中にありますように、衛視の行動についても、ああいう際でございますから、目に余るような事態もあつたかもしれません。しかしながら、私どもつくづく考えてみますときに、衛視の問題ばかりではございません。議員みずからああいう乱闘を引き起さないようなことも成しめ合わなくちやならぬと私は思う。あの問題が起りましたことは、決して社会党さんがどうとか、わが党がどうとかいうことではございません。議員全体の責任において院内の秩序が保たれなければならないことは、私が申し上げるまでもございません。そこでこの問題は、いろいろの点があると思いますが、後日、来週中にも警察小委員会を開きまして、まずよく検討し、そして、結論を出したいと考えている次第でございます。まことに抽象的なことを申し上げますが、どうかそういうことで、この点につきましては、小林さんのような、特に御造詣の深い方等も御発言を願いまして、そうして、研究をしてみたいと考えている次第でございます。
  68. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 すべて来週という話で、警察官職務執行法云々、それを前提として論議をされる。これも全部流して来週ということで、また一週間頭を冷やしてというなら話はわかりますけれども、そもそもの問題は、十四日の事件にあるわけでありますから、もう少し問題を明らかにしておいて、そうして、後日ということなら後日ということにされたいと思います。と申しますのは、先ほども申しますように、あくまでも、あの事態をもう少し明確にしておかないと、済んでしまうと、済んでしまつたということになつてしまつて、妙な、慣例だというような言葉が累積されて、従つて議長の就任のとき以来の念願でありますところの、本格的な議会の正常な運営を妨げることになろうと思うのであります。先ほど来、山野君が小林君の質問に対して答えられた具体的な問題につきまして、いろいろ問題はありますけれども先ほど私が申しましたように、最初にお考えを願いたいのは、包括的な警察権というようなものが、警務部長というようなところにゆだねらるべきものであるかどうか。先ほど山野君のお話の中でも、秘書みたいな人がたくさんおつて、これはやはり委員室外に出てもらつた方がいいとかなんとかいう話がありました。それも御承知のように、国会法の百十八条の二をごらんなさい。明確に「議員以外の者が議院内部において秩序をみだしたときは、議長は、これを院外に退去させ、」云々、少くとも警察権の執行に関することは、すべて議長云々ということになつておるわけでありまして、もし、その判断をさえも山野君にゆだねたとするならば、これはまことに重大な問題であります。私は、そういう判断をゆだねることは不可能であるという前提に立つわけであります。しかしながら、今の山野君の問題は、私は相当実情は承知いたしておりますけれども……。(発言する者あり)発言中であります。御承知のように、あのときの事態で、議長や警察小委員長さんあたりもいろいろ辛苦された事情を私もよく知つている。しかしながら、ここで何ぼ言うてみても、警務部長さんは警務部長さんの人柄におさめて、そうして、すべての責任警務部長にかぶれということになつているらしい。従いまして、この問題は、そういうことになつているらしいことを推定したところで、問題をまたあとに延ばしてもよかろうと思います。  もう一つつている問題は、これまで閉ざしたままになつている第二委員室のとびらがあかつた。それから、第二委員室から第一委員室へのとびらがあかつてしまつた。そこで、一つ委員部長さんにお伺いいたしたい。  委員室のかぎというものは、私は、普通は警務部で保管しているものだと思つてつたのでありますが、聞くところによりますと、そういうかぎは委員部で保管しているというお話でありますが、これは事実でありますか。
  69. 久保田義麿

    ○久保田参事 お答えいたします。従来から、委員会の部屋のかぎは、私の方で保管することになつております。
  70. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 委員部で保管されるということになつておるそうでありますので、それを前提としてお伺いをいたしたいと思います。荒舩さんからも時間を大へんせかれておりますので、なるべく簡単に質問を進めたいと思いますから、お許しを願いたい。  御承知のように、十四日の朝委員部長さんに、われわれは、第一委員室において九時か十時か知らぬけれども、閉会ということになつているが、私どもは傍聴いたしたいから、第一委員室のかぎをあけてくれということを陳情これ努め、党を代表して参つたのですが、あなたは、何としても、普通のときの慣例に従つて、開会の二十分前でなければこれはあけられませんと言い切られて、私どもは、野党である悲しさをもつて、権威ある委員部長の言に服して、とうとう、とびらの外に待つてつて、開会のときになつてやつと中に入れていただいた。私がここまで言えば、賢明な委員部長さんは御判断を願つていると思いますが、その十四日の晩の事態が起きましたときには、どの委員会も、すでにもう散会をしているときでありますから、どの委員室も当然にかぎがかかつてしまつているはずである。しかも、そのときにわが党の代表がそれをあなたに確かめて、そうして、委員会が開会されるのでなければ開かれる理由はあるまいな、と念を押されたのにかかわらず、それから数十分後には、どういう経路でどうなつたか知りませんけれども、御承知のように第二委員室のとびらが開かれ、またそこに、先ほど警務部長の判断によつて重大なる動員がされたところの衛視諸君が詰めかけて、そうして、あまつさえ、今度はあかずのとびらでありましたところの第一委員室と第二委員室との間のとびらが、これまた知らぬ間に幽霊のごとくにするすると開かれた、こういう事態があつたと思いますけれども、その辺の経緯を、なるべくしろうとにもわかるように御説明をお願いいたしたいと思います。
  71. 久保田義麿

    ○久保田参事 ただいま佐々木先生のお話のように、午前中、佐々木先生初め多数の社会党の先生方が私のところに見えまして、第一委員室をあけるようにというお話はございました。私は、慣例によりまして二十分前におあけするということで、二十分前まであけませんでしたことも事実でございます。その後、夜になりまして、山本先生外二人の先生が私のところに見えまして、公報に通知がある場合及び全委員に周知徹底しない限りは、委員室をあけたり変更したりすることはしないように、なお、そういう場合には議運の理事に申し出るようにというお話も、確かに私は伺いました。それから三十分ぐらいあとと私は記憶しておりますが、第一委員室のところで相当の騒ぎが起りましたので、私も責任者の一人として、本会議場の裏の記者クラブの通路のところから私は第一委員室の方に参つたわけであります。そういたしましたら、あの狭いところで、議員さんも衛視さんも、たくさんの方で押し合いへし合いがありました。ちようどそのとき、お名前はよくわかりませんでしたが、議員さんが、階段が高いためか、あそこからころげ落ちられて、衛視に助けられて上に上つておられるようなことも私は見ました。このままの状態で、あの狭いところで押し合いへし合いすれば、きつとけが人が出るだろうと思いましたので、私は部屋に帰りまして、係に第二委員室をあけるようにということを命令をいたしました。  それから、第二委員室と第一委員室との間の問題でございますが、これはお言葉を返すようでございますが、あそこのかぎは、数年前から委員部にはないのでございます。その意味におきまして、私の方では、その点がどういうふうにしてあいたか、あるいはあいておつたのかどうか、その点については関知いたしておりません。
  72. 山本幸一

    山本(幸)委員 私は、このことについてあまりそう委員部長を責め立てるような発言をしたくないと思つて先ほどから実はがまんしておつた。ただいまの久保田委員部長の説明によると、おそらく、これほどむちやな話はないと思います。そこで、私はあらためて一つ久保田委員部長に御質問を申し上げたいと思う。その質問をする前に、特に私がその日にはその問題に当つたのですから、今佐々木君から一応の経過の説明がありましたけれども、この際、やはり私みずから当つたというその事実を皆さんに申し上げて、その事実の認識の上に一つお聞きいただきたい。また、そのあとで久保田委員部長にお尋ねをしたいと思うわけです。  今佐々木君の申されましたように、私どもは当日、すなわち、十四日の朝、議員諸君が、早く行かぬと、きようはおそらく与党も相当多数の傍聴者がありそうだ、そういうふうな情報によつて、それぞれ八時ごろ第一委員室に行つて傍聴しようといたしましたところ、議員たる者が、自分たちの職場といわれている院内で、その傍聴に入ろうとする委員室に施錠がしてあります。そこで、私と池田理事佐々木理事の三人が久保田委員部長に会つて、われわれが責任を持つから、ぜひあけて、中にすわれるようにしてやつてもらえぬかということを、私の記憶では、たしか一時間三、四十分頼んだと思うのですが、そのときに久保田君の返答によると、従来の慣例としては、公報で指定された時間、すなわち、開会時間の二十分前でなければ、そのとびらをあけることは許されておりせん、こういうことで、そのかぎをあけることについてはお許しを願いたい、こういう久保田君の説明であつたわけです。そこで私どもは、しからば、委員室のとびらをあけるについては、今言われた慣例の二十分前以外には何があるのかと尋ねましたところ、その際には委員長の命令がなければあけません、こういうふうに明快なお答えがあつた。そこで私どもは、まあいろいろ申しましたけれども、この二点で、それ以上久保山部長に要請するということは、これは職員でもありますから、それ以上は気の毒だと思いまして、やむなく私どももあきらめて引き揚げたわけです。そういう経過をたどつて、晩の混乱状態に入つたわけですが、その晩の混乱状態で、きようは、われわれ議運の委員としては、ああいう混乱の渦中に巻き込まれるのでなく、でき得る限り、われわれがパイプの役割を果して、この混乱を正常化する役割を果すのが私どもの任務ですから、その意味において、私は混乱の事実は認めながらも、できる限り、さらに大きな刺激を与えてその混乱をより大きくさせないようにしなければいけないと考えましたので、実はわが党の中村高一議員と滝井議員と三人で、先ほど申し上げましたような、委員室は委員長の命令、または委員会が開かれる二十分前でなければ開くわけにはいかないという朝の部長の説明に基いて、委員会の部屋を回つてみたわけです。さよういたしますと、その晩は、第一委員室を除いては、全部の部屋が委員会は散会したという札がかかつております。従つて委員会はもう散会しております。ですから、久保田部長の言に基いて言つても、散会後は、次に委員長委員会を必要とするからこの部屋を開けと言うときでなければ開けない、または、次の委員会を招集せられたその時間の二十分前でなければ開かれぬことは当然です。そこで私どもは、どの部屋も施錠のしてあることを確認し、その散会の札を確認して、久保山部長の部屋に参りまして、久保田部長に、私どもは実は今部屋を回つてきた、どの部屋も全部施錠がしてあるし、それぞれ委員会散会の札がかかつているが、これは間違いないかと言つて念を押しましたところ、間違いないという。そこで、けさほど君にも話をしたけれども、そういうときに、もし委員室を無断にあけたりなどいたしますと、あの混乱にさらに刺激を与えることになつて、われわれパイプの役割を果している者も非常に迷惑であるから、従つて刺激を与えないためにも、あの部屋については、君が言われる、委員会開会二十分前または委員長の命令のときでなければあけてはなりません、そういうことを私は申し入れたわけです。さよう承知いたしました、言葉の上だけで承知したのでは困るから、メモをとつてもらいたいということで、メモをとらせました。さらに、私はその足で、委員部長だけではいけないと思いましたから、今度はその監督の地位にある事務総長にお目にかかつて同じことを申し上げて、事務総長にもメモをとつてもらつたわけであります。さよういたしますと、わずか三十分たたないうちに、いわゆる第二委員室のとびらがあけられた、こういうことを私は耳にしました。そこで自分責任上、私どもはあの混乱の渦中におりませんで、幸いこちらに引き下つて避難をしておりましたから、さような関係で、すぐそれが耳に入つたので、第二委員室に飛んで参りました。ちようどそのときに、ここにおられる福家理事も来ておられたから御承知ですが、まさに、とびらはあいておりました。あいておつて、そうして、自民党議員諸君が大挙二、三十人、そのとびらから中へなだれ込まれた。そこで、私どもが入ろうといたしますと、先ほど問題になつた衛視が、私どもをとびらを締めて阻止した。自民党議員はこの部屋に入れたけれども、われわれは同じ議員で、同じ歳費をちようだいし、同じ選挙で当選し、同じ権利と義務を持つ、そういう国会議員が、第二委員室には一人も入れなんだ。そういう経過をたどつているわけです。  そこで私は、久保国君に、君、それは先ほど三十分前に僕があれほど注意したのに、なぜあけたのか、こう言つて尋ねましたところが、今の答弁にありましたように、自分は危険な状態と考えたから、そこであれをあけたのだ、こういう答弁でありましたので、私は、私の見る範囲では、お互いに認識の相違はあろうけれども、第二委員室の入口まで人は込み合つておりません、かりに込み合つておるとしても、あの廊下はえんえんと無限に近いほど長いのだ、参議院の廊下まで続いておつて、まだ二千人や三千人はあそこでもんでも、優に――もむことはよくないけれども、危険な状態とは私は考えない、それは現実に見ていらつしやい、そこで百歩譲歩して、久保田部長の言うように、危険を感じたということで部屋をあけられるならば、ことさらに紛争をかもすような、第一委員室の隣の第二委員室のとびらをあけないで、他の委員室をなぜあけられなかつたのか、あるいはまた、もう百歩譲歩して、第二委員室をあけなければ危険な状態であると考えるならば、何のために第一と第二の境をあけたのか、こう私が質問いたしましたところ、彼は、もう下を向いたまま黙して語らず、そういうことです。そこで私は、第一と第二の境のかぎの設備はあるのか、こう尋ねましたところが、久保田部長の話では、まあ事務局の人か衛視か知りませんが、そこのこまかいところの記憶はありませんが、その人からの聞くところによりますと、あそこには施錠の設備はありません、こういうお話であつたわけです。それは、後ほど私どもが確認すると、施錠設備があつたということです。そこで、今久保田君の答弁を聞いておると、数年前からあそこのかぎを見たことがないので知りませんということです。何のために一体国から給料をもらつて、そうして、国会の各委員室の管理をしておるのか。重要な委員室のとびらや委員室の境のかぎがあるかないかわからぬような、そういうとぼけた委員部長というものはないと思う。それをぬけぬけと、平気で、四、五年前から存じませんでした、私は、このことだけでもきわめて重要な問題だ、こう考えるわけです。こういう一つの経過をたどつておりますから、自民党の諸君もはなはだ御迷惑であるけれども、この経過があつたということを一つ御了承を願いたい。これは事務総長にも久保田部長にも私は言つたことであり、一つ言葉は変つておりません。  そこで私は、この際、一つ久保田部長に尋ねるのだが、あなたは、たびたび私どもとの言葉のやりとりの中で、慣例として二十分前しかあけられません、それ以外のときは委員長の命令がなければあけられません、こう言つてわれわれにはつきり答弁をなさつたのです。なぜ、そのときは、あなたは委員長の命を受けてあけられなかつたのか、あるいは委員長が不在ならば、事務総長の命なり議長の命を受けてあなたはあけられなかつたのか。あなたの最初の説明によると、二十分前の慣例と委員長の命によるということを二つ示されたのだが、なぜ、そのときだけは、私どもに、自分が勝手にあけられるという権限がありながら、そのことを言われなかつたのか、このことを久保田山君に尋ねたいと思う。
  73. 久保田義麿

    ○久保田参事 私の説明が足りませんで、まことに申しわけないと思いますが、委員長からあけろと言われますのは、そのときも申し上げたかと思いますが、開会日のその部屋に当つておりまする委員長からの命令であるということを申し上げたわけであります。散会後その部屋をあける場合と申しますのは、あるいは掃除をする場合もあけることもございますし、委員会関係のない場合には、私が所管でございますので、これをあけることはございます。この点を申し添えませんでしたことは、まことに申しわけない次第でございます。
  74. 山本幸一

    山本(幸)委員 騒擾か掃除か、どつちなのか。
  75. 久保田義麿

    ○久保田参事 私が説明いたしました、いわゆる委員長の命令と、それから、慣例によりまする二十分前にあけると申し上げました点以外において、掃除その他あるいは非常事態という場合に、私だけの独断であけます場合もありますことを、その節山本先生に申し上げなかつたことを、私まことに申しわけないと存じます。
  76. 山本幸一

    山本(幸)委員 そうすると、この際尋ねておくが、あなたが判定すれば、あける必要がなくとも、いつでもどこでもあけられるということですね。そう了承してよろしいですか。
  77. 久保田義麿

    ○久保田参事 私が勝手に使うためにあけること以外に、私が管理をまかされておる範囲内におきましては、委員会の行われない間においては、私に権限があると思います。
  78. 江崎真澄

    江崎委員長 この機会に事務総長から発言をしたいという申し出がありますので、これを許します。
  79. 鈴木隆夫

    ○鈴木事務総長 ただいま社会党皆さんから、いろいろせんだつてのことにつきましてお話がございました。その点については、監督者といたしまして、私より深くおわびを申し上げます。両部長とも、決して一党一派に偏するような行動をする考えは毛頭ないと私は信じております。国会職員は常に厳正公平にその仕事をやることが、当然過ぎるほど当然でございますので、今後は皆さんのお話にございましたように、一そうその点注意をして仕事に当りたい。このたびのことは、私に監督不行き届きの点がございまして、まことに申しわけございませんでした。御了承を願いたいと思います。し
  80. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 われわれ議員が事務局をここで責めるということは、まことに弱い者いじめみたいで、私どもも非常にやりずらい。しかしながら、御承知のように、大議親を滅す、私は先ほどから言うように、院内秩序の保持ということは、根本的に重大な問題だと思う。従いまして、当時の事情を明確にいたしまして、警務部長の職務権限の範囲、委員部長の職務権限の範囲、それから事務総長の職務権限の範囲、これらがもつと明確にならなければ、私は、とうていその辺がうまくいきつこない、こういうふうに思わざるを得ないのであります。御承知のように、事務総長としては、あくまでも監督不行き届きということで、部下の責めを一身に背負つてというような、先ほどのお話のような格好でありますけれども、私は、そう簡単に人情論ではいかないと思う。たとえば、先ほどからしつこく言いますけれども、院内警察の問題というものは、これは、そう簡単に、警務部長の上長であるからということだけで事務総長の職務権限の中には入りがたいものである。議長に専属しておる権限を云々するということでありますから、従つて、事務総長のお話はまことにごもつともであり、非常に私どもも言いにくい話ではありますけれども、この辺はまことにあれでありますが、明確にしなければならない。今お話があリましたように、委員室の計量のかぎを、かりに委員部長が預かるという規定になつておつたといたしましても、このあけるための判断を、委員部長が廊下に起きた事態に対して、これを危険と感じたかどうかということによつて委員室のかぎをあけるあけぬということがあり得るのか、その判断は警務部長にあるのか。先ほど警務部長は、だれにも相談せず特別の配置云々と言われましたけれども、これは相談せずにできつこない。少くとも、委員部長のあなたに、廊下の危険を判断して、かぎを使うところの権限があるかどうか、これは非常に疑問であると思わざるを得ないのであります。従いまして、時間の問題があり云々ということでございますれば、これは適当な後日に譲りまして、そうして警務部長委員部長その他の職務権限をもつと明確にし、今回起つたところの事態に対しまして、やはり責任をとるべきものはとり、そうして、あしたから明朗なる、議長が言われるような、第四項に該当するような、本格的な議事の運営ができるようにするという相談を別にすることは、私も反対ではありません。しかしながら、今起きておるところの問題は、そう簡単に――委員部長発言によりますところの答弁と、われわれが承知したところの事態と、事実の食い違いが相当あるわけでありますから、私は、もう少しこの辺は明瞭にしておく必要があろう、こういうふうに思うわけであります。従いまして、荒舩さんも先を急がれて、まことに恐縮でありますけれども、もう少しその辺を明瞭にいたしていただきい、こう思うわけであります。  委員脚長さんと警務部長さんにお伺いいたします。第一委員室や第二委員室、第五、第六まで続いておりまするその廊下の状態が危険であるという判断は、だれがすべきものであるか、十四日のような事態が起りました場合に、これは危険であるという判断は、だれがすべきものであるか、両方からお伺いいたしたい。
  81. 山野雄吉

    ○山野参事 そのときの状態にもよろうかと思いますが、先般のような事態が起きておる場合には、委員部長は、委員会の開会ということについて、まず事務的な責任者でございますから、委員部長考えることでございましやうし、私は警務部長として、警備の面から私も同様に考える次第でございます。
  82. 久保田義麿

    ○久保田参事 私は、あの事態のときに、第一委員室と第二委員室の廊下の境のところに参りまして、そのことによつて、どなたがけがをされましても危険だ、私は第二委員室のかぎを持つておる者でございますので、私は、これはきわめて緊急の危険と感じまして、私の責任においてあけた次第でございます。
  83. 池田禎治

    池田(禎)委員 私は、ちよつと警務部長に……。これは事務総長も聞いて下さい。あの当日、夜おそくなつて自由民主党の多くの代議士が大挙して押しかけるというときに、衛視が先頭に立つて、そうして突撃してくるというのはどういうわけですか。これでは衛視はあたかも自由民主党の衛視であるかのような印象を与えておるじやないか、これはいけません。自由民主党の代議士が入れないから、衛視がこれをあけるための処置が必要であるとするならば、委員会において、そこの妨害をしておるものを排除することはいいでしよう。しかし、大挙して乗り込むという自由民主党の代議士でないところの人、その周囲の人々を護衛するような格好でいくというようなことは、私は今後やめてもらいたい。これは、あたかも衛視というものは自由民主党のためにあるような印象を与えて、社会党議員にとつてはまことに目ざわり千万なことである。社会党議員が大挙していくときに、衛視が一ぺんでも先に立つたということがありますか、ありません。国会における職員は、一党一派に偏せず、ほんとうに身をもつて事務局の中正を守るという姿を、実質的にも形式的にも備えなければならぬ、このことを私は特に申し上げておきます。
  84. 山野雄吉

    ○山野参事 ただいま池田先生の仰せは、まことに御趣旨の通りと存じます。私が指示を当夜いたしたわけでございますが、全部の個所について見回つたわけではございませんが、池田先生の仰せの通りにやつたところもあつたように思います。現場々々の指揮者の判断が、現場においては、多少私の意図したことと違つた面もあつたかのように思うのであります。たとえば、三階の第一委員室の南側の通路のごときは、衛視が壁を作りまして、どの党派の議員たるとを問わず、これを完全に通行できるようにいたしたはずでございます。これらは私の意図のごとくにやつたことであると思います。そのほかの場所におきまして、先ほど小林先生からお話のございましたことは初めて聞いたことでございますが、今の池田先生の仰せに反してそういう事能が起きたことは、これはいけないことでございまして、私もいろいろと非難も受けております。いろいろとお話を承わつておりまして、今後におきましては、自分の職責をもし許されていたしますならば、社会党の先生方の今仰せのような点は、十分反省もし、自粛自戒して、今後の職務に当りたいと思つております。
  85. 江崎真澄

    江崎委員長 だんだん御議論はお聞きの通りであります。すでに鈴木事務総長も責任を感じ、今後善処するという言葉もございました。どうぞ、いろいろ御意見の存するところは、鈴木事務総長も警務部長委員部長も十分留意せられて、善処せられんことを希望いたします。特に、熱心な傍聴者が押しかけたときに、部屋へ入るのを延期させたり、また、そこで阻止せられたからといつて、熱心な傍聴者を別の口から誘導したりというようなことのありませんように御留意を願います。
  86. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 この問題は委員長発言で、今後善処ということでありますが、私は、今後善処ということでこれが打ち切られるならば、何としたつて、また黒白をつけなければならぬ。従いまして、私は委員長にお願いをするわけでありますが、先ほどから言うておりますように、本格的な院内の秩序を保持するためのいろいろな問題がここでできておると思いますから、先ほど来の院内警察の問題についての議長あるいは事務総長、さらにまた、委員部長警務部長の職務権限等について、本質的な明確なる相談をされるように、さらにまた、今回起きた具体的な事態に対する究明と、必要があれば、やはりその責任もとつてもらわなければならぬことがあり得ると思いますので、一般的な院内秩序の問題に対する審議を後日やられること、並びにこの間起きた事態に対しての具体的な直相をもつと明らかにして、ただすべきものはただし、また、処分すべきものは処分しなければならぬかもしれませんから、その辺が明確にされる機会を与えられることを望んで、一応打ち切りたいと思います。
  87. 江崎真澄

    江崎委員長 十分承わつておきます。     ―――――――――――――
  88. 江崎真澄

    江崎委員長 次に、昨日の本会議における岸内閣総理大臣発言に関する問題について、日本社会党池田禎治君から発言を求められておりますので、これを許します。池田君。
  89. 池田禎治

    池田(禎)委員 私は、実は最初官房長官にお尋ねをいたしたいと思つておりましたけれども、それを官房長官に今ここで答えよと申しても、正直なところ御無理なことではないかと思います。従つて、私は、この機会に総理大臣の出席を要求いたします。
  90. 荒舩清十郎

    荒舩委員 昨日の本会議におきまして内閣総理大臣の御発言がございました。そのことについてということでございますが、具体的に、どういうことで総理大臣を御要求でございましようか、一つお聞かせを願いたい。
  91. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それは簡単に申しますと、岸総理がブラン記者に語られた話の内容そのことが、きわめて重大であることはもちろんであります。それについては、われわれこれを徹底的に追及しなければならぬと思つておりますが、しかし、議運の段階においては、その点についてはできる限り遠慮をしたいと思います。しかし、きのうの岸総理の国会答弁の中で、非常に重大な食言の疑いがあるわけです。と申しますのは、きのう成田氏が、岸総理に質問をいたした中に、次のようなことがございました。もし、NBC放送なるものが間違つておるならば、その取り消しについて総理は要求をするのかという質問があつたわけです。これに対して総理の答弁は、簡単に言えば、その放送原稿を調査した上で善処をしたい、善後措置を講じたい、こういう御答弁でございました。ところが、きのうの本会議が始まります数時間前です。私ども社会党の方の代表者が、官房長官のところへこの放送の問題について抗議を申し入れに行つた際に、官房副長官からすでにNBC放送の原稿のフル・テキスト全文の手渡しを受けておるのでありますから、あの本会議で岸総理が答弁に立たれます少くとも何時間か前に、すでに岸総理はこの放送原稿を十分に御承知になつておつたにかかわらず、これについて先方に問い合せて、内容を把握してから善処するという、まことに許すべからざる国会に対する食言をしているという点について、私は確かめたい、こう思つております。
  92. 荒舩清十郎

    荒舩委員 それは、私もどういうことかわかりませんが、こういうことじやないですか。NBC放送のブラウン記者のアメリカ向けの原稿ですね。このことでしよう、違いますか。
  93. 池田禎治

    池田(禎)委員 違います。成田君から、録音のテキストがもし事実と違つておるなら、あなたはなぜブラウン氏に取り消しを要求しないか、要求するのかしないのか、こういう答弁を求めたわけです。これに対し総理大臣は、成田君に、録音のテキストを見た上で善処をいたします、かように答えたのであります。ところが、すでに昨日の午前、わが党の代表に対して松本官房副長官は、この録音のテキストを渡しております。それに基いてわれわれは質問をしているわけです。従つて、私は、こういう重大な本会議場におけるところの総理大臣の食言は、当然国会運営上に責任のあるこの委員会において、総理大臣の出席を求めて究明したいのであります。もちろん、私どもは、総理大臣の言動がどうである、こうであるという内容については、本委員会のあずかり知らざるところであります。本会議場におけるところの総理大臣の発言が大きく食い違つているという事実は、何といたしましても本委員会におきまして総理大臣の所信を伺わなければ、今後の本会議の運営はきわめて困難でありますから、この際、私はぜひとも総理大臣の出席をお願いしたい。
  94. 福家俊一

    ○福家委員 ただいま総理大臣の御出席の要求でありますけれども、昨日、私の聞き及んでおりますところによりますと、社会党さんからの、正式に本会議において釈明してはどうだという要求政府が応じて、総理みずからが本会議に立たれて発言したと思うのであります。その際に、十分にこれの誤報であるということをお答えになり、かつまた、成田君は再質問もされまして、この問題は一応終つたとわれわれは解釈するのであります。ただ、今池田君からのお話で、あの際総理大臣が、NBCのブラウン記者のテキストをすでに官房副長官からわれわれ社会党に渡してあるのに、なお、テキストを取り寄せて調査すると言つたのは失言である、こういうようなことで要求されておると思うのでありますが、私の聞き及んでおりますのは、NBCのブラウン氏が書いた原稿をAP、UPに売つたわけですね。これは日本の新聞にはないことですが、外国の著名なる記者は、自分の書いた原稿を他社に売ることができる。そこでAP、UPに売つている関係上、念のためにAP、UPのテキストを取り寄せて、その両方を突き合せて十分検討したいという意味に言つたものと私は解釈しておるのであります。その点、確かめてみないとわかりませんが、この程度のことであれば、総理大臣をわざわざ議運に――本会議場において釈明しているにかかわらず、呼び寄せられる必要は私はないと思うのであります。
  95. 江崎真澄

    江崎委員長 ただいま福家君からの御発言はお聞きの通りでありますが、その間の事情については、ちようど官房長官も出席しておられますので、この機会官房長官から一つ御説明を願います。
  96. 赤城宗徳

    赤城政府委員 昨日の本会議で、成田君の御質問に対して、総理がNBCのブラウン記者のフル・テキストを見てから検討する、こういうお答えをしたわけであります。ところが、今お話のように、その前にテキストが社会党の方へ松本副長官から渡つておるじやないか、これは非常な食言じやないかということであります。そのことにつきまして私の承知していることを申し上げますならば、NBCのブラウン記者は、サンフランシスコで自分のNBC放送の原稿をレコードに吹き込んだのであります。そして、その一部の中共問題等については放送があつたようでありますが、その大部分は、ピオ十二世の逝去のためにプログラムが変りまして、放送いたしません。そこで、その間においてアメリカのAPがブラウン記者から取材したものがあります。その取材したものが、きのう私の方に届いておりますので、それを松本副長官がお渡しした、こういうことでありまして、きのうお渡しいたしましたのは、AP記者がブラウン記者から取材したものであります。ブラウン記者のものそのものは、まだきのうは取り寄せてないのであります。でありますので、正確を期するためには、ブラウン記者が向うで吹き込みましたものそのものを取り寄せましてから検討いたしたい、そういうことであります。御指摘のテキストは、AP記者が取材したテキストでありますので、ブラウン記者そのもののテキストでなかつた、こういう意味におきまして、ブラウン記者のテキストを取り寄せて検討いたしたい、こういう答弁をいたしたのでありますので、その点を御了解願います。
  97. 山本幸一

    山本(幸)委員 今のあなたの説明を、説明なりに伺えばそうでございましよう。私の方が松本君からいただいたフル・テキストというのは、これですね。ただ、あなたのおつしやつたことは、ちよつと矛盾が一つあるんです。なぜかというと、きのう成田君が演説をやつたときには、あなたの方からいただいたフル・テキストに基いてやつているんだ、こう言つた際に、岸さんは、実はそれについては、今取り寄せ中であるから、しばらく持つてもらいたい、こういう意味答弁をなさつた。それはまだ来ておりませんね。来ておらぬことは間違いないですね。ところが、きようの参議院におけるところの岡田宗司書の質問に対しましては、来ておらぬとは言わぬのです。これをちやんと認めておるのです。これがフル・テキストであることを認めております。うそだつたら、速記を取り寄せてごらんなさい。なお、うそだと言うなら、岡田君と対決させましよう。これは憲法上の重大な問題ですから。その意味においても、あなたのお話は了といたしますが、その間のことについて、まだあなた御存じないと思うから、あなたには済まぬけれも、そこのところは、あなたに聞いてもしようがないので、岸総理の出席を求めて、私どもはその事実を確かめたい。われわれは、国会の運営上やむを得ずやらなければならぬと思いますから、そういう意味において岸さんの出席を要求いたします。
  98. 赤城宗徳

    赤城政府委員 このAPのテキストでないテキストは、きようか手に入れておるはずだと思います。これははつきりいたしません。そこで、参議院の岡田議員に対しての総理の答弁は、そのテキストと、その後ブラウン記者がだれとかいう記者と対談いたしておりますが、その対談しているのが、また食い違つておりますので、そういう点もよく調査してから検討をいたしたい、こういうふうに岡田議員に答えたわけであります。そういう事情でありますので、その点を、なおつけ加えて御説明申し上げます。
  99. 荒舩清十郎

    荒舩委員 ただいま山本君の質問に対しまして官房長官から明確な答弁がありまして、きのうの問題が食言であるとは私ども考えておりません。なおまた、今の官房長官の説明ではつきりしておりますので、きようまた再びこの議運に総理を呼び出す必要がない、こういうふうにわが党は考えております。しかも昨日は、総理自身が進んでこの誤解を解くように発言をしておりますので、これに対して、私は決して疑義をはさむ余地がないように考えております。従つて、きようは総理を呼ぶ段階ではないと私は考えております。そういう意味で、官房長官になおお尋ねをしていただくことはけつこうでございましようが、総理をここへまた呼ぶというようなことは、どうも必要がないように考えます、
  100. 池田禎治

    池田(禎)委員 昨日わが党は、岸総理のブラウン記者に対する憲法改正をめぐるこれらの内容について重大な疑点があるというので、特に外務委員会や当該の委員会だけでなく、これは日本国憲法、わが国の基本憲章である憲法の、しかも、憲法九条を含めたところの具体的な言動であつて、一国の総理大臣としては、現行憲法に対する容易ならざる冒涜であります。従つて、われわれは、本会議において総理が進んでその所信を披瀝し、これについて野党たる立場において社会党質疑をするということを要求し、政府与党もこれを了承いたしました。私の知る限りでは、これはきわめて例の少い方式ではなかろうかと思いますけれども、私は率直に言つて、これは、政府の能度を賞賛してちつともかまわないと思う。常に言論の府で、議会が開会されておるときにおいては、国民の中に大きな疑惑を持ち、しかも、憲法上の疑義について、国民心配していることを野党に求められたならば、進んで政府がその所信を披瀝する、野党の質問に答える、これは私は、国会運営上において、言論の府におけるまことにみごとな両党の態度ではなかろうかと思う。しかるに、さらに今日その討議を重ねた後、疑義が発生したのであります。何ものにもまして、総理大臣のこの発言内容は重大であります。これは本委員会におきまして、総理大臣みずからが進んで解明することが最も妥当である、私はこういうふうに思います。きのうのみごとなフアイン・プレーに対して、本日も総理大臣が出席して、さらにみごとなフアイン・プレーを演ずることは、私はまことに政府のために、言論の府たる議会のために、最も喜ばしいことではないかと思いますから、与党の諸君が、ただ単に総理大臣を呼ぶことをあなた方の立場で防ぐというような小さな量見でなく、天下国家、国民のために、進んでこの疑惑を解かれることを私は心から期待いたします。
  101. 荒舩清十郎

    荒舩委員 ただいま池田さんの御発言、まことにごもつともでございます。憲法、しかも、第九条に触れる問題でありまして、数日来の新聞記事を見ると、私ども自由民主党の党員でも、これは大へんな問題だ、これはひとり社会党さんばかりでなく、わが党にとりましても重大なる関心事である、こういうふうに考えました。そこで、この問題につきましては、社会党さんの希望だけでなく、進んで総理がこの問題を解明することこそ、民主政治の本義である、こういうふうに考えまして、総理にわれわれといたしましても進言し、しかも、堂々と昨日その所信を披瀝しておるのであります。これに対する成田氏の質問、再質問もございましたが、あの質問によりまして、わが党といたしましては、一点の疑点がない。また、ただいま、これはNBCのブラウン記者がAP記者に漏らしたテキストである、こういう発言官房長官がしているのでございます。そのAP記者とブラウン記者との間の話し合い、あるいはまた聞きの問題でございまして、そのテキストを取り寄せてよく見る、そしてこれに対して善処する、こういうことでございますから、私どもは一点の疑点がない。従つて、本日総理をこの議運の委員会に呼び出す必要はない、こういうふうに私は信念を持つて考えております。しかしながら、政党政治、しかも民主政治の時代でございますので、これは社会党さんにもよく御協力を願いまして、いたずらに、ブラウン記者からAP記者に渡つた話について、この議運の席上に総理を呼ぶというようなことは、まことに根拠のないことで、総理を一一議運の委員会に呼ばなくちやならないということは悪例だ、こういうふうに信じておりますので、どうぞ御協力をお願いいたします。
  102. 山本幸一

    山本(幸)委員 私の受けた認識と、あなたの受けた認識とは違います。私どもの受けた認識というものは、あそこの議場ではつきりと岸総理は、ただいまブラウン記者のフル・テキストについては取り寄せ中であるから云々言つているのですから、こう言つている限りは、そういうものを午前中に渡している限りにおいて、これは総理を呼んで、ここで事能を明確にすれば、きわめて簡単なことなんです。岸総理にそれをはつきり聞いて、もし岸総理が本会議で言つた通り答弁をされるのか、それともまた、情勢が変つて、それに準じた答弁をされるのか、そのことによつて明確になるのですから、別に総理がここに出ることが不見識でもなければ、あるいはおそれることもない。何か総理が雲土人みたいなつもりで、ここに引つぱり出すことはもつたいないというような感覚でものをしやべつてもらつては困る。ここは、憲法できめられた国権の最高の府です。総理は、国会できまつたことを施行する行政官を兼ねているんじやないですか。その行政官に、私どもは聞こうというのです。何を遠慮することがありますか。総理に、あなた万国会議員が遠慮しなければならぬということはありませんよ。不見識ではない。きわめて見識のあることで、われわれは聞いているわけです。
  103. 荒舩清十郎

    荒舩委員 山本さん、興奮しないで下さい。総理を呼び出すことは、それは疑義があれば、もちろん呼び出すべきであるし、また総理を呼び出すことをわれわれがちゆうちよしている、そういうことは考えておりません。そこで、もう一ぺん官房長官に、先ほど来の誤解を解くようにはつきりお答えを願いまして、その上で、社会党さんのおつしやるような問題、総理を呼ぶか、呼ばないかの問題について、御審議をしていただきたいと思います。もう一ぺん官房長官発言を願います。
  104. 池田禎治

    池田(禎)委員 あなた方の方では、官房長官に聞きたいかもしれない。それは、ただしたいことはただしなさい。野党の方は、総理大臣の出席を求めている。根本的に違う。官房長官から、これ以上の御答弁はわれわれは要りません。自由民主党の方でお聞きになりたければ、私どもちつともこれを妨げません。私ども社会党といたしましては、あくまでも総理大臣がこの席に出席して、この疑義を解明されんことを厳に要望いたします。
  105. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 ただいま社会党のおつしやることを承わつておりますと、まず第一には、ブラウン記者との会談の内容が非常に重大なことであるから、当委員会としてもほつておけないから、ここに出席を求めて、直接当事者である総理から聞きたいというお説の方もある。池田さんのごときはそうです。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)他の方つきましては、そうではなくて、食言したから、その食言ということだけについて聞くのだというお話のようであります。内容につきましては、すでに本会議場に、おいて述べられ、また本日は衆議院の外務委員会においても、すでにこのことを明確にされております、社会党の外務委員の方もおられますが、ブラウン記者との問答については、いい機会だから、この際総理大臣に社会党の方から聞いて、疑義のないようにして下さいということは言つておる。でありますから、たとい食言の問題があつたといたしましても、それならば、当該の外務委員会において、その内容と関連して、食言があれば、その問題について質疑をなさるべきであると思う。     〔「国会運営の問題だ、それとは違う」と呼び、その他発言する者多し〕
  106. 江崎真澄

    江崎委員長 御静粛に願います。
  107. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 この運営委員会において、先刻来いろいろなことを承わつておりましたが、私はこの議院運営委員会の本来の使命というものはいかにして円滑に議事を進行するかということにあると思うのです。そういう点から考えて、これはやや行き過ぎだ、横道に入つているんじやないかと考えます。本日は、日程の中にもありますように、あれほど大混乱を来たしたのでありますけれども議長のあつせんを両党最高首脳部において満場一致受諾した、その結果、本日午後一時から開会することになつてつたのが、すでに五時になつているわけでありまして、やはり一刻もすみやかに警察官職務執行法の一部を改正する法律案を上程いたしたいという考え方から、先刻来のあなた方のお説に対しては、遺憾ながら私は賛成しがたい点もたくさんあり、私の意見も述べたいと思いましたけれども、一刻も早く議事を運営したいという念願から、ひたすら私は沈黙を続けておつた次第であります。これらの問題につきましては、総理大臣の出席を求めるというような悪例を残すことなく、またその必要はないと思います。従つて社会党態度にはわれわれは反対であります。
  108. 山本幸一

    山本(幸)委員 佐々木君は相当誤解をしてみえる。われわれはいかに議事を軌道に乗せるかということで、この議運の使命を果していると思う。あなたがそうでないと個人的に思われることは、あなたの認識ですから、あなたにおまかせします。私ども先ほどから申し上げていることは、岸総理の答弁が正しいのか、あるいは正しくないのか、その点を明確にしませんと、もし正しくなかつたら、憲法を侵害することになる。憲法を侵害する大臣を相手にして、私どもはうからかと本会議委員会審議に参加できましようか。従つて、これは外務委員会とか内閣委員会とか、そういう委員会の問題ではございません。国会の運営全体を総括するこの議院運営委員会で、その事実を明らかにして、しかる後、岸総理の言うことが正しければ、私どもは釈然として皆さんのおつしやる通りつていきます。その点御心配は要りませんから、どうぞそういう点は誤解のないように願います。
  109. 池田禎治

    池田(禎)委員 佐々木君にちよつと申し上げますが、総理とブラウン記者との会談の内容がどうだこうだということは、本委員会のあずかり知るところではございません。これはあなたの言う通り、外務委員会なりでやることが適当でしよう。ただ、本会議において発生しました事案につきましては、これは本委員会が扱うべきが適当であります。あなた方がいかに警察官職務執行法改正案の上程を急がれるといえども議長のあつせんの中におきまして、尽すべき言論は十分に尽して、しかる後に審議に応ずるという四者協定がありますので、私どもは厳にこれを守つていきたいと思います。従つて、私ども内容審議をいたそうとは思いません。本会議場において発生しましたことは、当委員会の当然の務めでありますから、本委員会においでを願う。議案の内容につきましては、外務委員会あるいは内閣委員会でありましよう。もとより本委員会のあずかり知るところではございません。この点は、厳に区別をしていただきたい。
  110. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 さつきから聞いていると、きのう総理はAP記者が発表したもので答弁している。ところが、ブラウン記者の原稿は、今官房長官の話だと、きのうの演説のあとで手に入つたかもしれない、こういえ答弁があつた。ですから、私はそれは食言でないと思う。そこで、官房長官からその間のいきさつをお話し願えば、社会党皆さん方が総理大臣をここに呼んでくれという問題は解決するのではなかろうかと思いますから、官房長官、その経過をここで御説明願いたい。
  111. 池田禎治

    池田(禎)委員 これは、そうあなた方も固執なさいますな。
  112. 武知勇記

    武知委員 私は当委員会の末席を汚しまして、本日まで一言も発言したことはございません。皆さんの御意見を静かに拝聴いたしておりますと、さすがに議運の委員ともなれば、われわれを啓発していただくような、まことに傾聴するに足る御議論が連日出ております。こういう心境を持つてただいまの皆さんのお話を承わつておりますと、社会党の主張にも聞くべきものがある。さればとて、自由民主党態度も当然でございます。このままこれを並行して参りましたら、いつまでたつても尽きるところはございません。この際暫時休憩せられんことを望みます。
  113. 江崎真澄

    江崎委員長 武知君からお聞きの通りの動議がございましたが、動議の通り暫時休憩いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 江崎真澄

    江崎委員長 御異議がなければ、二十分間休憩いたします。     午後五時十五分休憩      ――――◇―――――     午後六時二十九分開議
  115. 江崎真澄

    江崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
  116. 荒舩清十郎

    荒舩委員 先ほど社会党さんより、ブラウン記者の問題につきまして、当委員会に総理の出席を強く要望されております。この状況を総理に伝えましたところ、さすがに岸総理は民主主義に徹しておられまして、そういう問題につきまして疑義がございますれば、進んで当委員会に出席をするということでございます。どうぞ御了承を願いとうございます。
  117. 江崎真澄

    江崎委員長 間もなく総理は出席いたしますから、このままの姿でしばらくお待ち下さい。  この際、岸総理が出席されましたので、先ほどのブラウン問題について、八木昇君に発言を許します。ただし、お約束の時間は二十分程度でありますから、御了承を願います。
  118. 八木昇

    ○八木(昇)委員 時間が極度に制限せられておりますし、さらに警職法の問題についても質疑があるようでございますので、私は、この際は非常に簡潔に、しかも端的に二つの点だけを御質問申し上げたいと思います。  そこでまず第一の質問をするわけでございますが、それは昨日の衆議院の本会議におきまして、社会党の成田議員の質問に対して岸総理が御答弁をされました。その成田議員の質問は、ここで申しますると、ブラウン記者に岸総理が語つたことは、きわめて日本の将来にとつて重大なる内容を持つておる、もしブラン記者がNBC放送で発表をしておるものが、岸総理が言われた事実と違つておるとするならば、このNBCに対し、すなわちブラウンに対して、取り消し要求を岸総理はなさるかという質問をされたわけであります。これに対して総理の御答弁は、現在NBC放送の放送原稿を調査するために取り寄せ中であるから、まずそれを取り寄せて調べた上で善後措置を講じたいと思う、こういうお答えでございました。ところがこれは、私ども考えまするに、非常な食言であると思います。と申しますのは、きのうの午前中、すでに私どもの党の代表者に、NBC放送原稿をあなたの方の、政府の官房副長官から出されておるのであります。このことから明らかなように、きのうの本会議答弁を岸総理がなさる以前に、すでにNBC放送の原稿を岸総理はお読みになつておつたはずです。にもかかわらず、それは原稿を取り調べた上で善処をするという食言をなされたことは、国会に対し、ひいては国民に対して、総理の口から偽わりを言われたと私どもは了解せざるを得ない、きわめて重大な問題であると思うのであります。この点について先ほど赤城官房長官に私ども質問をいたしましたところが、それはNBCの方からAPの方へその原稿なるものが渡されて、その原稿をすでに政府が持つてつたのであつて、NBCそのもののなまのものをまだ見ていなかつた、こういう意味合いのことを官房長官は御答弁になつたのでありますけれども、それについても私は了解ができないのであります。すなわち、官房副長官からきのうの午前中社会党の代表が受け取つた原稿には、NBC放送の四回にわたる放送のその原稿であるという見出しがはつきりついておる。この内容を見ますると、ジャパン・タイムスに載つておる、やはり同じくNBCの放送原稿であると称するものと、一言一句違わないのであります。しかもきのうの朝日新聞の夕刊にも、またNBCの放送原稿として新聞に全文発表せられておるものと、全く同文でございます。このことから見ますると、明らかに総理は国会において偽わりの答弁をせられ、食言をせられたと私ども考えるのであります。その政治責任は非常に重大である。明快な御答弁を願いたいと思います。
  119. 岸信介

    ○岸国務大臣 昨日、成田議員の質問に対しまして私がお答えを申し上げたときにおきましては、私は、セシル・ブラウン君の放送のフル・テキストはまだ手に入れておらなかつたのであります。今おあげになりましたのは、当時いろいろその出所を調べましたところ、それはAPが取材してこれをこちらに送つたものであるということでありますので、さらに大事なことでありますから、直接にNBCのセシル・ブラウン君の放送の内容のフル・テキストを私は外務省を通じて別に請求をしておりまして、まだそれは、当時は入手しておらなかつたのでございます。決して私は偽わりを申したつもりではございませんし、また、当時の事情は今私が申し上げた通りであります。
  120. 八木昇

    ○八木(昇)委員 私は、そういうふうにおつしやることについては、今のこの見出しからいたしましても、明らかに、ことさらに言葉のあやでもつてそういうふうに申しておられるものと理解するほかにはございません。で、もし万一われわれ一歩下つてこれを考えてみましても、内容の大筋において、APというものがNBCから買つたところの内容を、APが今度は違えて出すということはあり得ないのであります。どう考えつて、これは明らかにごまかしの答弁をせられたものと私ども考えざるを得ないし、国民は全都そう考えると思うのであります。  そこで、この点については、時間がありませんし、いろいろと弁解をせられるでありましようから、さらに一応先へ問題を進めますが、それならば、このブラウン氏の発表せられた、いろいろなものの大体の大筋の内容は、すでに今日わかつておるのであります。でありますから、もし岸総理の会見のときに言われたところの内容と違うとおつしやるならば、きのうの国会では違うとおつしやつたのであるから、もしそうだとするならば、この際ブラウン記者に対し、あるいはNBC放送に対して、明確に取り消し要求をなさる用意が総理におありであるかどうか、この点を一つ明確にお答えをしておいていただきたいと思うのであります。  さらにもう一点、その推移にもよるでありましようけれども、この際国民が非常な疑惑を持つておるこの問題について、総理はブラウンその他、その会見のときに立ち合つた通訳等の関係者と、国民の目の前で明確に対決をする用意がおありであるかどうか、この際はつきりとお答えをいただきたいと思います。
  121. 岸信介

    ○岸国務大臣 セシル・ブラウン君と私との会談内容につきましては、私は昨日の衆議院の本会議及び本日の参議院の本会議におきまして、これが新聞の報道に関連していろいろな誤解を生じておるということを考えまして、私自身が責任を持つて、私の会談内容については、これらの場所におきまして明確に私は説明をいたしております。これによつて私の会談をいたしました内容は明瞭になつてつて、このブラウン君の発表との間における相違点というものは、明瞭になつておると思います。ただ、これがいかにしてそういうふうな事態を生じたかということにつきましては、私は、十分その事情も詳細に検討した上において善処することが適当じやないか。内容そのものについては、今申しますように、最も権威ある衆議院の本会議におきまして、私も責任を持つて内容について明らかにいたしておることでありますからねさよう御了承願いたいと思います。  今お話の対決するとかどうとかいうようなことにつきましては、私はそういう性質のものではないと思います。しかしながら、さらに誤解を抹消するという必要のためにとるべき措置につきましては、十分に検討して善処するつもりであります。
  122. 江崎真澄

    江崎委員長 八木君、時間がありませんから簡単に願います。
  123. 八木昇

    ○八木(昇)委員 簡単にやります。私が今質問をいたしました二つのうちの一つについて、まだ明確なお答えがないと思うのであります。総理はきのうの本会議において、今報道せられておるがごとき内容のことは言わなかつたとおつしやつた以上、これは取り消し要求をせられるかどうか。その取り消し要求をすべき責任が当然ある。これについてのお答えがございませんから、これをお答え願うことが一つ。もう一つは、ブラウン氏なる人は、NBC放送という非常に権威のあるアメリカの放送会社のしかも東京支局長という、非常に権威のある立場の人でございます。この人の言つたことについて、それは誤まり伝えられておるということを一国の総理が言われる以上、相手のブラウン氏にとつては、これは自分の一身上の重大問題でございます。だとするならば、当然ここにおいて国民の目の前で、両者のその食い違いの問題について、これを明らかにしなければならぬ一国の総理としての政治責任がある、この点についてお答えをいただきたい。
  124. 岸信介

    ○岸国務大臣 私は、ただブラウン甘の言つておることは違つておるというような、抽象的なことを申しておるわけではございません。内容的に私は会見内容を正確に、明瞭に、国会を通じて国民の前に明らかにいたしております。これは国内に対すると同様に国際的にも、国の内外に一国の総理大臣がはつきりと責任を持つて責任があるところにおいて言明をいたしておるのでありますから、私はこの上にさらに取り消しとか、対決とかいうような処置を講ずることが、果して適当であるかどうかにつきましては十分考えなければならぬと思います。     ―――――――――――――
  125. 江崎真澄

    江崎委員長 次に、警察官職務執行法の一部を改正する法律案の提出等に関しまして、日本社会党池田禎治君より発言を求められておりますので、これを許します。池田君。
  126. 池田禎治

    池田(禎)委員 岸総理大臣にお尋ねをいたしますが、ただいま国会に提出をされておりまする警察官職務執行法の一部改正については、これは非常な憲法違反のおそれある法律として、私ども社会党といたしましては全力をあげてこれが撤回のために戦い抜く、これがわが党の基本的方針でございます。先般来、官房長官その他のおいでを願つて、いろいろと提出までのいきさつを伺つたのであります。ところが官房長官は、出すか出さないかという方針がきまらなかつたと、これはきわめて率直に申し述ベておるのであります。ところがこれが強引に国会に提出をされてきたときに及んで、私どもから見るならば、全く陰謀的に提出したのではないかとさえ疑われる節があります。従つてこの際、私は総理大臣から、国会提出についての政府の最高責任者としてのあなたの決意と、その心境というものを伺いたいと思うのであります。
  127. 岸信介

    ○岸国務大臣 警察官職務執行法の改正の問題につきましては、政府及び党におきましても、相当長い間、これは研究をいたして参つておつた問題でございます。しかしながら今池田委員の御指摘のように、法律がきわめて重大なる法律でありますので十分に内容を検討し、憲法その他の法律との関係につきましても、確信を得るように検討を続けて参つてつたのでございます。しかして私どもはこの成案を得、これが憲法違反その他の内容を持つものでないという確信に立ちましたので、諸般の事情を考慮して、この臨時国会に提案するところの運びになつたわけであります。臨時国会の始まる当時におきまして、この国会に提案すべき法律案等の大体の予想を、国会の方へお話を官房長官からいたしたのでありますが、その際におきましては、まだ私ども態度がきまつておりません。きまつておらなかつたことに基いて、その中に入れておらなかつたという事情でございますが、きわめて慎重に検討し、確信を得たのでこれを提案いたした、こういうことでございます。
  128. 池田禎治

    池田(禎)委員 私はこう思うのです。慎重にというけれども官房長官国会に提出すべきところの、またすでに提出をしている法案、これから提出を準備する法案、提出をするかしないかわからないが、検討をしている法案、それらのものを四項目に分けて、本委員会で説明をしております。その中に全然ございません。また、総理大臣が国会の劈頭におきまして、進んで施政方針の演説をなさつておりますが、これほど重要な法案の説明に、あなたは一言もお触れになつておらないのであります。これは、私どもは俗な言い分で申しまして失礼な言い分かもしれませんが、あのワン・マンのいわれた吉田さんでさえも、警察法などを国会に提出するときには、本会議の劈頭の所信の披瀝において、施政方針の演説において必ず国会に報告をいたしまして、国民の前にこれを明らかにしておるのであります。あなたのように、そつのないお方にしては、大へんなそつがあつたとしか私には思われませんが、そのときのあなたの御心境はいかがでございましよう。
  129. 岸信介

    ○岸国務大臣 この法案を本会議に提案するに至りました関係は、先ほど申し上げた通りであります。これを施政方針の中に言わなかつたということは、適当でないじやないかという御質問でございます。先ほど申し上げましたように、私自身、また内閣とし、党として、この重要な法案についてのはつきりした成案をまだ得ておらないときにこういうことを言うわけには参りませんので、これを施政方針の中に言わなかつたのでありまして、私自身としては、今申しましたような考えのもとに、これを出しておるわけであります。
  130. 池田禎治

    池田(禎)委員 その御答弁からするならば、当時出すかどうかわからなかつたものを突如として出したという感じは、いよいよ私どもは深くせざるを得ないのであります。御承知のように、国民のひとしく憂うる点はまた日本に戦前の警察国家の再現があるのではなかろうか、あるいは特高警察が復活するにあらずや、こういうことが国民の中の大きな不安であります。人権を尊重するということが、現行憲法のほんとうの背骨になつておるのであります。その中において、日本の国民憲法を守り、憲法の精神を生かすために、警察国家の再現ということは極度におそれるのであります。このことは、私どもは、今後といえども強く主張して参るゆえんであります。かかるがゆえに、私どもは、本法案の撤回のために全力を尽さなければならぬという異常なる決意をいたしております。自由民主党の幹事長の川島君は、わが党の代表との会談におきましてわが党が撤回を求めたときにも、あるいは記者団の発表におきましても、社会党が応じなければ自由民主党だけでもつてやる、自由民主党だけでも定足数はそろうのであるから、強行してでもやる、こういうことを言われたのであります。今日、わが党はなるほど少数党でございますが、国会におきまして三分の一の勢力を占めております。その二大政党のもとにおきまして、反対党の存在を無視するごとき言動は、換言いたしますならば、これは独裁政治への驀進であります。私はこれを思うとき、あの戦時中における、あるいは戦前の姿というものを思うときに、ほんとうに日本を民主主義の国家として、将来ますます発展せしめていきたいという念願からいたしますならば、まことに暴言もきわまれりというのほかはありません。私は、あらためて総理大臣が、自由民主党総裁として、こういう反対党の立場を無視するがごときところの国会審議をお考えになつているかどうかということを、この席上におきまして親しく言明していただきたいのであります。
  131. 岸信介

    ○岸国務大臣 この法案に対して、あるいは戦前の警察国家なり、特高というものを復活するのではないかというような一部に御懸念があるようでありますが、これは御審議を通じて、私は、十分に論議をお尽しになると、そういうものでないということがはつきりすると思います。あくまでも国会審議を通じて、あらゆる点から御検討を願い、そうしてこれのそういう疑点を一掃することが、私は国会の務めであると思つております。これの審議につきましては、そういう意味におきまして、十分にそういう疑念があり、また疑問がある点についてば御質問があるでしようから、政府責任を持つてそうでないことを洋細に御説明申し上げまして、国民をして納得せしめることが必要である。しかして審議に際して、今お話しのように、もしも二大政党である他の政党が出なくても、一党だけでこれを審議し、決定するというようなことは、私は民主政治の国会運営の正常なる姿として、そういうことはあつてはならぬと考えております。また、そういうことをしてこの案を通そうというような考えは持つておりません。
  132. 山本幸一

    山本(幸)委員 あまり時間がないようですから、総理に、私はきわめて端的に、しかも大まかに二、三点お尋ねしたいと思うのですが、まず最初に、先ほど池田君から、今度の法案がこのような問題を起し、国民の世論が非常に高まつておる、従つて、重要な法律だが、政府側としてはその扱い方が軽率ではないかという質問に対して、総理は、党及び政府では今日まで十分に検討してきた結果において提案したんだ、こういう総理の御答弁だつたと私は記憶しております。ところが、この間官房長官は、私が協議会で質問をしたとき、こういう答弁をしておる。出すか出さないかはわからなかつた、三日の日に警察当局に問い合せたところ、出すような動きが出てきた、そこで七日に要綱を作つて、八日に持ち回り閣議でやつたんだ、こういう言明をしてみえるんです。その点は間違いありませんか。
  133. 岸信介

    ○岸国務大臣 大へん恐縮でありますが、書額の事務的な処理のことは、私承知いたしておりません。
  134. 山本幸一

    山本(幸)委員 なかなか総理らしい御答弁です。それじやお尋ねしますが、重要法案については、総理も特に慎重であろうと思うのです。この法案について、何回閣議にかけられましたか。閣浅の責任者であられるあなたは、これを何回閣議にかけられましたか。
  135. 岸信介

    ○岸国務大臣 正式の閣議は、たしか二回かかつたかと記憶しております。
  136. 山本幸一

    山本(幸)委員 一向は持ち回り閣議でしよう。
  137. 岸信介

    ○岸国務大臣 持ち回り閣議を入れると、三回になるようであります。
  138. 山本幸一

    山本(幸)委員 それじやお尋ね申し上げますが、元来、私どもの記憶するところでは、あらゆる重要な法案については審議会を持たれるなり、あるいは閣議で相当検討されるなり、政党でも政策審議会で相当検討されて、しかも、その間に世間の世論を何らかの形で相当問うて、お出しになつておられると思います。それが、私は重要法案といわれておると思います。法律の軽重は私どもは問いませんけれども、その中でも国民の世論を沸かせるようなものは、いわゆる重要法案と称していいと思うのです。今度の警察法は明らかに国民の世論を沸かしておるのですから、そういう重要法案を、なぜあなた方は審議会等におかけにならなかつたのですか、それを一つお尋ねしたいと思います。
  139. 岸信介

    ○岸国務大臣 警察の関係につきましては、御承知のように国家公安委員会というものがございます。この公平なる第三者の立場からこういう問題を十分検討するようになつておりますので、別に審議会は作つておりません。
  140. 山本幸一

    山本(幸)委員 さらに、手続のことについては、青木国務相も来ておるから申し上げますが、もう一つお尋ねしたいと思うのです。実は私の記憶では政府のおつしやつたのを聞いていると、今度の臨時国会は、政府が選挙中に約束した公約履行のワン・ステップだ、こういうふうに受け取つております。同時に今度の臨時国会は、補正予算を出す意思がありません、従つて、その目標とするところは、この臨時国会でなるべくなら予算を伴わないような法律をこなして、通常国会が、会期を縮めることはできぬにしても、事実上、地方選挙、参議院の選挙が始まりますので、なるべく事実上の審議にあまり長引かぬようにしたい、こういうおつもりで臨時国会に臨まれたのではありませんか。
  141. 岸信介

    ○岸国務大臣 今山本委員からお述べになりましたような事情も、私は今度の臨時国会についてはあつたと思います。しかしながら、提案をいたしました法案等につきましては、いろいろな事情を考慮して、必要であるとわれわれが確信をしたものは、これを提案することにいたしたのであります。
  142. 江崎真澄

    江崎委員長 ちよつと山本君に申し上げますが、お約束の時間が過ぎておりますのでなるべく簡潔に願います。
  143. 山本幸一

    山本(幸)委員 なるべく民主的にやりますから……。私が申し上げたことの一部を肯定なさつたのですが、私は実は、岸さんは頭のいい方で、私が問おうとすることを先に読んで、うまいことを答弁なさつてみえると感心しておるんだが、本質はそこにあつたと思うのです。ところが、そういう目標で国会を開いたにもかかわらず、こういう混乱をするような法律をお出しになつた。その混乱をするということを、あなたは予測せられなかつたのですか。これは、今度の国会に重要な関係があると思うのです。こういう法律を出されて、混乱すると予測されなかつたのですか、あるいは国民が強い反発を盛り上げてくるということを予測せられなかつたのですか。
  144. 岸信介

    ○岸国務大臣 もちろん私どもは、警察官職務執行法というものの性質上、これに対するいろいろな論議も行われることは予想いたしておつたのでございます。しかし、すでに二大政党として、お互いに民主主義のルールを守つて国会を運営しようという基本原則の上に立つておりますから、実は今日までのような混乱がくるとは私も考えていなかつたのであります。
  145. 山本幸一

    山本(幸)委員 もう一つ伺いますが、先ほど総理は、私が、これほどの重要な法律ですから、できることなら、他の重要な法律のように審議会等の機関にかけて慎重に検討なされましたか、こう尋ねましたら、それは警察に関係のある公安委員会というものが第三者において持たれておるから、そこで十分検討したことだと思う、こういう御答弁であります。しからば、一体公安委員会とは、その性格は何です。公安委員会は、あなたや私どものように、国民から直接選挙で選ばれたものではありません。任命ですね。しかも、公安委員会委員長は、残念ながら青木さんです。青木国務相です。そういう公安委員会が、果して第三者――いわゆる純粋な国民の構成による審議会と、こういう第三者のものとは一緒にならぬと思うのです。その点について、もう一ぺんお尋ねしておきたい。
  146. 岸信介

    ○岸国務大臣 もちろん公安委員会の構成は、国民の選挙によつて作られておるものではございません。しかしながら、その委員の選任につきましては、歴代の内閣におきましても、最も公平に、公正な警察の運営ができるような顔ぶれを選任いたしておりまして、私の内閣になりましても、やはりそういう基礎においてやつておるわけであります。もちろんこれが最後的決定をいたすものではございませんで、言うまでもなく最後的な決定は、先ほど申しましたように、国会を通じて十分御審議を願うということであると思います。
  147. 池田禎治

    池田(禎)委員 これは、私どもの聞いた範囲におきましては、閣議にはほんとうに極秘のうちに、袋の中に入れて官房長官から渡して、これは自民党で決定したものでございますから、と言つてお出しになつておる。どういうことをするにしても、こういうような重要な法案について、政府みずからの意思でなくして、しかも民間も入れたところの言出な討議もなくして、おやりになつている。これはまことに、私は不当な処置であると思います。総理大臣は、民主的な国会において、こういう混乱が起ると思わなかつたというが、私は、当然起るべくして起つたと思います。この事態については、議長を初め両党の人々におきましてもいろいろな御芳心があつて国会がまさに大激突の一歩前に参つたのであります。ことに、理論的にいかに申しましようとも、現実的には、国権の最高機関である国会が大混乱を来たそうとした事実は、否定することができないのであります。この事実は国会を守る者として、いかに将来を考えなければならぬかという源をここに発しておると思うのであります。これは率直に申しますならば、こういう国会の運営を誤まるがごとき法案については、尽すべき手段を尽して、なおかつ、これでも手抜かりはないかという十分な配慮がなされて出さなければならないのであります。いわんや、今日数の相違はあれ、二大政党対立のもとにおきまして、一方の政党の存在を否定するがごとき考え方の人がおるがゆえに、この国会の大混乱となつたのであります。このことは、一国の総理大臣とし、一党の総裁として、十分お考えになつてしかるべきだと思います。従つて私は、あなたは民主的な運営をもつて今後の審議を願う、反対党の意見を十分聞くとおつしやいますけれども、そもそもの出発点にこういう手続上の疎漏があり、きわめて不備なるものがあるということは否定できません。私は、今からでもいい、政府は一ぺん撤回をなさつて、あらためて所定の手続を経て、所要の機関を経て、しかる後に国会審議に待つというお考えがあられるかどうか、総理大臣の心境、所見を伺いたいのであります。
  148. 岸信介

    ○岸国務大臣 いろいろこれが提案に至りますまでのいきさつにつきまして、御意見も拝聴いたしました。私ども考えも申し述べたのでありますが、私は、今日においてはあくまでも、先ほど申し上げたように、国会において十分に御審議を願い、論議を尽して本案の成立を希望する、これが政府考えでありまして、撤回をする意思は持つておりません。
  149. 池田禎治

    池田(禎)委員 私は、お約束した時間ですから、残念ながらそう意地の悪いことはいたしませんけれども、この際、総理大臣に申し上げておきます。この国会にこれほどの混乱が起ることを予想しなかつたということは、大へんなミスです。あなたのようなきわめてそつのない人にしては、大へんなミスだと私は繰り返して言わなければなりません。そこで、これはもう今日、議長のあつせんをもつて両党がこれを本会議に上程し、趣旨説明を聞くという協定がなつて、文書をもつてこれが交換をされたのであります。しかし、今後ともこの法案の審議に当りましては、政府が一方的に与党の多数を頼みにいたしまして、あなた方みずからが野党の言論を封ずるがごとき行為があるならば、国会の正常なる運営を望むわれわれといえども、さらに国会の混乱を来たすことは、残念ながら想起されるのであります。それは、かかつて政府与党が、ほんとうに率直に国会を通じて、国民の前に民主的な運営をするかどうかという決意のいかんにあるものと思うのでありますから、このことは、総理大臣に私は要望として申しておきます。
  150. 江崎真澄

    江崎委員長 それでは質疑を御継続願います。ただいま赤城内閣官房長官、青木国務大臣、警察庁保安局長、警察庁官房長が参つております。これらの人々に対しまして、御質疑を継続願います。
  151. 栗原俊夫

    栗原委員 そういう方々に対する質疑に入る前に、これからいろいろ論議される警職法の問題が、ここで論議されるに至つた経過についての二、一の点について、議長並びに与党の方にお尋ねをしておきたいのです。それは、両党の中に議長が調停に立つていただいて、円満に協定ができた。このことは、今後の議会の運営にまず明るい第一歩を印するわけですが、このことだけを両党の協定ということでぎつちり守つていく、こういうことではならぬと思うのです。なぜ私がこういうことを言おうとしているかというのは、この臨時国会の始まるときの会期を決定するときに、われわれは二つの党が寄つて、会期についてかたい申し合せをし、そのことは議事録にも載つておる。国会対策委員長の福家君が、はつきりと四十日で、これ以上は延ばさぬのだ、こういうことを速記録に残しているのです。それは両党の協定であり、この運営委員会できめられた一つのワクであります。こういうことについても、もちろん間違いなく守つてくれることとわれわれは信じておりますけれども、両党の間に立つて調停をなさつた議長さんは、こういうことについても、協定によつて正常な国会の運営のできるような考え方を持つておられると思いますが、ここでしつかりとその点を御確言を願いたいし、いま一つは、与党である自民党の方々にも、一つここで再確認を願いたい。伝えられるところによると、どうも空費された分だけ延ばすのは当然だというようなことを幹事長が言つているように新聞には伝えられているけれども、これをきめるときには、この法案が出ることも何も知らさずにちやんときめてある。土俵がきまつている中で、もしも会期が足らぬような法案ならば、はつきりとやらなければいかぬと思うのですが、この点、一つ議長の所信と与党の代表の所信を伺つて、あの取りきめをここで再確認してもらいたい、かように考えます。
  152. 荒舩清十郎

    荒舩委員 ただいま栗原君の御発言でございますが、これは両党の関係でございまして、会期の問題は、議長関係はないと私は思うのですが、いかがでしよう。
  153. 栗原俊夫

    栗原委員 このことは、議長も両党の門に立つて国会を正常化する、こういうことでごあつせんを願い、しかも、そういうことで今後議会の運営を円滑にしていこうというわけです。私がこういうことを言うのは、このことがもしも破られることになると、遺憾ながら議長の念願している円滑な運営が破れるおそれがある。両党が、国会を始めるに当つてしつかりと取りきめ、しかもこの議運において明確に議事録に残して取りきめられたものであつて、決して新たなものを私は与党皆さんに望んでいるのではない。あの線をお互いに守つて、議会を正常に運営していきましよう、そのことをここで再確認いたしましよう、こういうことを言うのであつて議長も、そういうことをやつていこうと言うのは、議長の任務だと思うのです。その通りやりたいということが、議長に言えないはずはないと思うし、そういうことを四項にも入れてあるから、議会の運営を正常化するという立場に立つてあの約束をやつていくことについての所見を伺うことは、少しも行き過ぎでないと私は思う。
  154. 荒舩清十郎

    荒舩委員 今の栗原料の御意見に対しては、これはどういうふうにお考えかわかりませんが、両党の協議のもとにそういう約束ができたのでありまして、議長の問題とは関係はない。なおまた、国会正常化の問題は、あくまでも正常化しなければなりません。この問題については、議長さんは、議会を代表してそういう責任はございましようが、会期の問題は、私と考えが違いますが、これは議長さんの問題ではない、私はこう考えております。
  155. 栗原俊夫

    栗原委員 荒船君に言葉を返すようだけれども、私が言つているのは、両党があれだけ混乱したものを、議長のあつせんによつてお互いに協定して、協定にのつとつて運営していこう、こういうことなんです。従つて、われわれは、こればかりについて協定しているのではなくて、まずこの国会の初めに当つて、会期について協定をし、この線についてはつきりと取りきめをしているのであるが、これをしつかり守つていく、こういうことについて議会を運営していく議長さんの御所見を伺いたい。その通りやるのが当然だと言つてもらえると、私は期待している。別なことを求めているわけではありません。
  156. 星島二郎

    ○星島議長 先般来の空費のあとで、議長のあつせん案によりまして両党が一応円満にこのような運営委員会が開かれ、まさに本会議が開かれることは、感謝にたえません。議長といたしましては、かれこれ申しませんが、この運営が正常にいくように最善の努力を払うつもりでございます。     〔「答弁になつていない」と呼ぶ者あり〕
  157. 栗原俊夫

    栗原委員 先ほどの四十日の会期の問題について、与党側の所見を伺つておきたいと思う。
  158. 荒舩清十郎

    荒舩委員 これはお約束ですから、その取りきめにつきまして、われわれはそのお約束通りにいくように善処したいと考えております。
  159. 山本幸一

    山本(幸)委員 荒舩さん、この国会の始まる当初、会期をきめるときに、わが党からはぜひ二カ月ということ主張申し上げたが、結局わが党の主張が通らずに、与党のおつしやるままに私どもは承認したわけです。そのときに、特にこれは議運だけの約束でなしに、政党政党とが、書記長、幹事長、両国会対策委員長会議の席上において、会期は再び延ばしません、こういうことの確認の上で、そこで自民党の御要望である会期にきめたわけなんです。そういうことが一線のわれわれの耳にも入りましたから、私どもは、けしからぬ、大体そういうことは議運できめるべきことだ、それを四者会談等できめたこと自体おかしいと思うが、しかし、われわれも政党に所属しているのであるから、そこできめたことはお互いに守ろうというので、私どもはあなた方と笑いながら、ぜひ守つていこうじやないか、オーケーということになつているわけですから、これは一つ荒舩さん、きようもこの間と変らざる言葉で、約束は守ります、こうおつしやつていただきたい。
  160. 荒舩清十郎

    荒舩委員 おつしやる通りでございます。
  161. 池田禎治

    池田(禎)委員 警察庁の保安局長さんにお尋ねいたしますが、聞くところによると、あなたは、十月一日の地方行政委員会理事会において、この国会には警察関係の法案は出さない、こういうことを言明し、さらに委員会におきましても、これを確認されたと私は聞いておりますが、私の聞いたことが正しいかどうか、その辺のところの当時の模様をお聞かせ願いたい。
  162. 原文兵衞

    ○原(文)政府委員 警察庁保安局長の原でございます。私は、一日の午前中に開かれました理事会には出席しておりますが、そのような発言はしておりません。
  163. 池田禎治

    池田(禎)委員 もう一回お尋ねしますが、あなたは委員会において、確認をされたと聞いておりますが……。
  164. 原文兵衞

    ○原(文)政府委員 私は、理事会におきましても、委員会におきましても、そのような発言はしておりません。
  165. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 私どもは官房長と保安局長と両方出席のところでそのような発言があつたと聞いております。違つておつたならば、どなたからか、どのような状態のときにどう言われたのか、明瞭にしていただきたいと思います。
  166. 原田章

    原田(章)政府委員 一日の理事会には私出まして、私から申し上げました。私は、警察庁といたしましてはただいまのところ、風俗営業取締法の一部を改正する法律案を提出いたしますというふうに申し上上げました。
  167. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 それは保安局長さんにまことに申しわけなかつたと思いますが、そうでありますならば、官房長さんが、警察庁としては提案の意思なきことを明瞭にされたと思います。それから、いついかなるときに、今度は政府の方が出すということになつたわけですか。いついかなるときに、あなたの方はその話を受けられて、警察庁としての態度をおきめになつたか、伺いたいと思います。
  168. 原田章

    原田(章)政府委員 私が先ほど、警察庁としてはと申し上げましたのは、警察関係の前に自治庁の関係がございましたので、警察庁関係の分としましては、という意味でございます。
  169. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 日本人に、普通の人間にわかるように話して下さい。
  170. 山本幸一

    山本(幸)委員 最初からごまかすようなことを言うなよ。
  171. 原田章

    原田(章)政府委員 いよいよこの法律案を提出するに至りましたのは、八日の閣議決定によりまして、提出する運びにいたしました
  172. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 先ほどの総理のお話によりますと、最初は十分考えておつたのだけれども、どうのこうのして、それからだんだんと相談ができて、警察庁の方でもこれが必要であるという状態になつて、いろいろ審議した結果そうなつたという話でありますが、官房長さんにもう一ぺん伺いたいと思いますけれども政府の方としての態度決定が先なのか、あなたの方から、今度は、こういう状態であるから、何とか今国会に提案をいたしたいと思うということになつたのか、次官会議か何か知りませんけれども、そこに出されるまでの警察庁としての決定は、どういうふうにして、いつされたのですか。少くともあなたは、先ごろ、警察庁として出す方針がないということをこの院内で発言をされているわけですから、従つて、その裏返しであるならば、裏返しの御答弁がなければ、工合が悪くなるわけです。
  173. 原田章

    原田(章)政府委員 私は、職務執行法の一部改正の法律案を出さないというふうには申し上げておりません。この改正案につきましては、昨年から研究が積まれておりまして、警察といたしましては、ぜひともこれを提案していただきたいという念願を持つておりまして、政府の御決定を待つておつた次第でございます。政府の御決定によつて、われわれも事務的に運ぶことができたわけでございます。
  174. 池田禎治

    池田(禎)委員 ちよつとお尋ねします。これは、あなたは重大な食言でありますぞ。あなたは、警察関係の法案は、今国会には風俗営業関係一件だ、警察官の職務執行に関する法律案は出すかということに対しては、それを出す用意はありませんと答えている。この委員会は、決算委員会でもありませんから、その証拠を突き詰めてやろうとは思いませんけれども、そういう食言はおやめなさい。あなたがいかに出したいと思つても、あなたがいかに出すまいと思つても、これは政府がきめることであり、同時に大臣がきめることであることは、私どもつております。あなたの片々たる地位についての責任を問おうとするのではありません。しかし、本委員会において、地方行政委員会において発言したことと異なることを言うということは、残念ながら、この委員会は少々のことでは許しませんぞ。国会運営上の責任をあずかつている議院運営委員会において、さような言は許しません。正直に申しなさい。言つたことは言つたと正直に言いなさい。それがいいか悪いかということは、本委員会で問うところでありません。すなおに申しなさい。その責任をあなたに問いません。
  175. 原田章

    原田(章)政府委員 私は、先ほど申し上げましたように、ただいまのところはこの法律案でございますと言つただけでございます。
  176. 池田禎治

    池田(禎)委員 あなたが理事会で申し述べた場合は、これはおそらく速記録はなかつたと思う。しかし、国会審議というものは、速記録に載つているからどう、載つておらぬからどうというものでない。単にあなただけでなく、いかなる役所といえども自分ではこう思つておつたけれども、上の命令で、こうせいと言われるときもありましようし、政府がやる気になれば、その下に立案を命ぜられることもありましよう。そのことについて、あなたに言うのではない。当時はそうであつたけれども、こういう事態になつたならなかつたで、その通りに申しなさい。そのことに対して率直に言わなければ、あなたは政府委員として来ているか、あるいは補助員として来ているか知らぬけれども、あなたの身分というものについて、私どもは重大なる制肘を加えざるを得ません。率直なことを言つて下さい。
  177. 原田章

    原田(章)政府委員 全部の発言を申し上げます。自治庁関係が終りまして、警察庁の分はどうであるかというお話がございましたので、お手元の資料に書いでございます風俗営業取締法の一部改正案でございますと申し上げました。そのあとで中井先生が、警察官の身分云々というお話がございまして、私はよく聞きとれませんでした。そのときに亀山先生と中井先生がお話し合いになつておりまして、そのあとで、私は重ねて、ただいまのところはこれこれでございますというふうに申し上げました。
  178. 池田禎治

    池田(禎)委員 青木国務大臣にちよつとお尋ねいたします。ただいまのあなたの下僚の答弁について、私どもは納得いたしません。いやしくもわが党の責任ある議員にはつきり答えたことを、記録がないからといつて、ただいまのところであるとか、あるいは出さないとは言わなかつたとか、そういうことについて私どもは許すわけに参りません。あなたは、そのときにはどうお考えでありましたか、あなたの当時のお考えを伺いたい。
  179. 青木正

    ○青木国務大臣 私、当日は他の方の会合に出ておりまして、地方行政委員会に出ていなかつたのであります。そのあとでお話のことを承りましたので、私としても、自分責任として、原田房長がどういう答弁をしたかを聞いておかなければなりませんので、直ちに原由官房長を呼びまして、どういうふうな答えをしたかということを聞きましたところ、ただいま官房長から申し上げたようなことを申し上げた、それ以上のことは申し上げていない、こういうことであつたのでありまして、私は、原田房長の言つたことをそのまま、そうであつたろうと、現在も考えておるわけであります。
  180. 池田禎治

    池田(禎)委員 あなたは、その当時出すお考えであつたかどうかということを聞いている。
  181. 青木正

    ○青木国務大臣 私自身といたしまして、一日のころは、まだ政府としてこの法案を臨時国会に提出するかどうか決定する段階に至つておりませんので私といたしましても、その段階においては、提出する考えがあるというようなことを申し上げる段階には至つていなかつたのであります。私としても、同様のことを出し上げます。
  182. 池田禎治

    池田(禎)委員 官房長官やあなたの答えは率直でよろしい。先ほどから繰り返して言うように、あなたが出そうと思つてつても、政府が出さないといえば仕方がないと思う。閣僚としてあなたががんばつても、出すなということであれば出せない。また、あなたが出すまいと思つても出せと言われれば仕方がない。それを私はこの委員会で取り上げようとは思いません。ただ、あなたに申し上げたいことは、先般の国会の開会中に、議員逮捕許諾に対する請求書が参つた。あなたの県で、あなたの県の警察が警察庁を通じてこれは行われた。しかるところ、それは自由民主党の多数をもつて、逮捕は許されないということをおきめになりました。国会議員自分は、保障されております。国会開会中は、院の許諾がなければ逮捕は不可能である。そこで、高石君はついに逮捕されなかつた。ところが、国会の終了と同時に、彼は逮捕されました。長い間ぶち込まれて、しかも今日出てきて、今や不起訴か起訴か、まだ決定しない。私どもの聞く範囲では、ほとんど起訴する根拠はないという状態にあるやに開いております。そういう不法を、国会議員身分であろうと、警察が平気でやつている。そういうことで、あなた方が答弁の中に、ときに及んで右し、ときによつて左する、右顧左晒するような便宜主義はやめてもらいたい。あなたが、みずから国家警察担当の大臣として、この議院運営委員会でいかなる説明をしましたか。そういう自由民主党議員のときには、あなたはどうなさつたか。私どもは、警察国家の再現を憂えるがゆえに、今後においてあくまでも国会審議を尽したいというのが、社会党の主張です。同時に、こういうものは、私どもは撤回させたい。閣議においては、あなたはどうなんですか。そのときの心境は、やはり政府が出すときまつたから出さざるを得なかつたのか、それとも、自分も初めから出すように考えておつたのか、その点をもう一ぺん伺いたい。
  183. 青木正

    ○青木国務大臣 警察官職務執行法の改正の問題につきましては、総理も先ほど申し上げておりました通り、前々からの提案でありましたので、私どもといたしましては、これは十分検討しなければならぬという考え方で、警察庁内部において検討もいたし、また党におきましても、この問題についていろいろ検討いたしておつたのであります。従いまして、私といたしましては、党の政調の部会等におきまして検討中でありましたので、その段階におきましては、私としても提案するかどうかという決定をいたしかねておつたのであります。決定をいたしかねるといいますか、私としても、この段階で臨時国会に提案するということを、自分としてもきめることはできなかつたような状態であります。従いまして、その後、党内の各方面の意見も一致し、政府部内においても一致し、その段階に至つて政府において閣議で決定した、こういうことになつておるのであります。一日の段階におきましては、まだそこまでいつていなかつたというのが、実際の状態でございます。
  184. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 ちよつと関連して伺いたいのでありますが、どうも青木大臣のお話を聞いておりますと、非常に消極的で、受け身で、何かどこからかともかく出せといわれたから、だんだんそういう形を整えなければならなくなつたような感じに聞えてならないのであります。先ほど池田委員からお話がありましたように、あなたは国家公安委員長でもあるはずであります。先ほど総理大臣は、公安委員会もあるから、そこでも十分相談したから云々従つて審議会みたいなものは要らなんだ、こういうお話でありましたが、国家公安委員長として、公安委員会でいつ内閣から相談を受けて、そうして国家公安委員会の権限で、どういう相談をされて、どういう答弁をされましたか。
  185. 青木正

    ○青木国務大臣 先ほど申し上げましたごとく、この問題は、二十八国会当時からの問題でありましたので、私国家公安委員長になりまして、当然この問題は再び問題になつてくるということを、私自身としても考えておつたわけであります。そこで、率直に申し上げまして、この問題について警察庁事務当局としても、当然検討しなければならぬ問題でありますので、警察庁もいろいろ引き続いて検討いたしておつたようであります。国家公安委員会におきましては、日は忘れましたが、警察庁の方から国家公安委員会に対しまして、この問題について検討をいたしたいという話がありまして、そのときの国家公安委員会に話が出ましたのは、第二十八国会で検討された案を基礎として、警察庁としても検討するというような報告的な話があつたわけであります。それからその後になりまして、私どもといたしましても、臨時国会あるいは通常国会もだんだん近寄つて参りますので、当然これは具体的に検討しなければならぬ段階に入つてくるわけであります。そこで、それからしばらくたちましてから、さらに国家公安委員会におきまして、警察庁の当局からこういう方針で検討いたしたいという報告があり、国家公安委員会の了承を得て、それから事務的な折衝、党の政調部会等の審議、こういうような手続をいたしたのであります。従つて、国家公安委員会には、最初検討を始めます前に、一応事務的に報告をいたし、それから一応の案と申しますか、それができましたときに、国家公安委員会にさらに報告をして、国家公安委員会皆さんの御賛成を得て、具体的な折衝に入つた、こういうことであります。
  186. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そういうことであるから、なおさら私どもは疑いを深めざるを得ない。先ほど総理大臣は、公安委員会みたいなものがあるから、――あとからすぐ訂正されたようではありますけれども審議会にかわるような感じで、十分相談をしたと聞えんばかりのお話をなさつたわけです。そつのない方でありますから、なかなかそつのないような答弁をなさつておつたと思いますが、その辺に私は総理大臣の思惑違いがあつたのじやなかろうかと思います。しかしながら、事実上はそれにしても、公安委員会では、公安委員会としての立場で、この原案について私は相当に検討されたのじやなかろうかと、こう思つておりました。ところが、今のお話によりますと、最初に二十八国会当時の原案を報告した、それから今度の原案がまとまつたときに報告をして、了承を待たということでありまして、そこではほんとうの意味で、それこそ速記録をとるとかなんとかいうことでなくても、十分な相談をしたというような段階はなかつたと伺つていいわけですりね。
  187. 青木正

    ○青木国務大臣 第一回の場合は、私もまだ就任する前のことでございまして、二十八国会でいろいろ国家公安委員会で検討したその案を御報告――今度やるとすれば、こういう案を基礎にしてやるというようなお話があつたのでありまして、二十八国会当時、公安委員会としては一回検討願つたわけであります。それから次にまた、第二回のときに原案についていろいろ御協議つたのであります。こういうことになつております。
  188. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 青木国務大臣、どう私どもは承わりましても、まことにどうもあまり自信のない御答弁で、二十八国会当時からのお話を言われれば言われるほど、当時から警察当局部内に、こういうものを作りたいというお話がひそひそあつて、原案みたいなものをこそこそやつておつた。しかしながら、少くともこの臨時国会において、まさかこういうものを出して、あなたがひどい目に会おうとは思いがけなかつたというのが、私は本音に聞えて仕方がないのであります。従いまして、青木さんは、非常に正直な方でありますから、その辺は結局、いつどういう事情で出さなければならぬような羽目に陥つたか、どういたしましても、私どもは今自主的に大いなる決意をあなたがされて、臨時国会で何としても、こういう感じの御答弁には受けとれぬわけです。従つて、私どもは、先ほど手続論でいろいろわが党の委員が次々に立つて皆さんに質問いたしましても、何としてもこれは突如として出されたという感を深くせざるを得ないのであります。もし突如として出されという私どもの感じが何としても打ち消されないとするならば、私は同様な意味において、あなたも似た感じを受けておられるというふうに感ぜざるを得ないのであります。一番私が疑うのは一番当局であるあなた方のところでさえも、そういう感じでやられておつたのにかかわらず、どうしてこう急にこういう問題が出てきたのか、あなたが受け身に立たれたその動機を承わりたい。何としても出さなければならぬという状態に追い込まれた動機を、一つ承わりたい。
  189. 青木正

    ○青木国務大臣 私、ただいまどういうふうに審議されてきたかという経過を説明せよということでありましたので、経過を御説明申し上げたのであります。しかし私自身といたしましては、二十八国会当時すでにその内容につきまして、いろいろな説明も聞いており、その後国家公安委員会委員長となり、私自身としても検討いたしました結果、私としては、現在の警察制度の上から見まして、これはどうしてもできるだけ早い機会に改正すべきものであるということを、私自身も確信を持つたのであります。ただしかし、私自身だけ確信を持ちましても、党内その他各方面の意見が一致しませんければ、これは提出するわけには参りません。そこで、党内の各方面の意見、また政府全体の御決定を待つて提出するほかないことが当然でありますので、私は、決して他からしいられたとかなんとかいうことでなしに、私自身、私なりにいろいろと考えて、現在の警察制度については、この程度の改正はしなければならぬ、こういう自分自身の確信のもとに、私は閣議に提出いたしたのであります。
  190. 山本幸一

    山本(幸)委員 あなたの答弁は長過ぎる。簡単に言つてもらいたい。そこで、あなたは二十八国会当時と言われた、二十八国会とは何月当時ですか。
  191. 青木正

    ○青木国務大臣 ことしです。
  192. 山本幸一

    山本(幸)委員 そうすると、岸さんとあなたと官房長官の言うことはでたらめです。岸さんは、昨年米、官房長官は、正力国務相の時代、あなたはことしと言うのだ。どつちをとればいいのか。
  193. 青木正

    ○青木国務大臣 私が二十八国会のことを申し上げましたのは私、その当時副幹事長をいたしておつたのであります。そこで、初めて六役会議に出まして、その問題があることを承知いたしましたので、あるいは政府としてはその前からいろいろと御検討になつておつたかもしれません。私自身が承知いたしたのは、その当時であつた、こういうことでありますので、御了承を願います。
  194. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 先ほどの御答弁で、確信を持つに至つたと言われましたが、私の先ほど聞いたのは、その確信を持つに至られた動機、本国会に提案をしなければならぬと確信をされた動機、これが長いことぐずぐずしておつて、最初のときは出そうという決意もなかつた、それがいつどういう動機に基いて確信を持たれたか、これは十分に通るという確信を持たれたか、これを伺いたい。
  195. 青木正

    ○青木国務大臣 私は、先ほど出し上げましたごとく、現在の警察制度から見まして、この程度の改正は、警察官の職責を果たす上において改正すべきである、こういう信念を持つた。しかし、出すか出さないかという問題は私自身だけでとうていきめられることではないのでありまして、党内並びに閣内の意見が一致いたしましたので、提出するにとに私も決意をいたした次第であります。
  196. 小林進

    小林(進)委員 私は、法案の内容はいずれ委員会審議に願いまして、こまかい細部の内容には触れませんけれども、しかしやはり憲法国会法に抵触するおそれのある問題は、この議運において一応質問をしておかなければならない。その意味において質問するのですが、そもそも警職法は、憲法に当然個人の自由、生命、身体、財産が保障されておるけれども、さらに念を人れて、不当な警察の弾圧や権力の弾圧から個人の自由、身体、財産、生命を守らなければならない、そういう立法の趣旨に基いてでき上つておる。ところが、このたびの改正によつて憲法の精神も、個人の自由も、ことごとくじゆうりんをせられておる。いわゆる憲法違反である。重大な憲法違反が、この警職法改正に盛られておると私ども考えておる。どうですか、公安委員長、こういうふうなことをお考えになりませんか。
  197. 青木正

    ○青木国務大臣 私どもは、この法律改正案を作るに当りまして、そういう点も十分に検討いたしたのでありますが、憲法違反のおそれはない、かように確信いたしておる次第であります。
  198. 江崎真澄

    江崎委員長 小林君にちよつと申し上げますが、八時から本会議を開くことになつておりますので、どうぞ結論をお急ぎ願います。
  199. 小林進

    小林(進)委員 とにかく、憲法十七条には、何人も、公務員の不法行為により損害を受けたりすることはない、といつておる。しかし、このたびの改正によると、単なる一つの警察官の判断によつて、いわゆる一つの公務員の行為によつて、われわれは損害を受けたり、あるいは憲法十八条には「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。」とあるのに、今度の改正法案によつて、われわれは拘束を受ける。警察官がこれはおかしいと判断すれば、われわれは憲法十八条に保障されておるこの拘束を受けなければならない。損害も受けなければならない。これは憲法違反である。(「委言員会でやれ」と呼ぶ者あり)いや、憲法問題である。国会法問題である。私は、その意味において責木公安委員長は、今度の警職法の問題は、憲法の十七条、十八条並びに十九条にこれは明確に抵触する、国会法にも抵触する、こういうことを一体了承して、この改正をおやりになつて、この法案を憲法を守るこの国会に提出されたか、明確なる答弁一つ要求する。
  200. 青木正

    ○青木国務大臣 警察官が公務員として御指摘のようなことをいたした場合は、これは当然処罰せられることは言うまでもないことであります。     〔「内容は、委員会でやれ」と呼び、   その他発言する者多し〕
  201. 江崎真澄

    江崎委員長 御静粛に願います。
  202. 小林進

    小林(進)委員 これは内容ではない。特にこの法案の中には、こういうことで個人の自由や生命や身体や財産を公務員によつて侵害せられて、損害を受けて、無界になつて、疑義がうせたといつて釈放されても、損害賠償、救済の規定が一つもない。これも明らかに憲法十七条の違反行為である。どこかに救済規定がありますか。一体この損害をどう補償するのですか。こういうことは憲法のいろはなんですよ。
  203. 青木正

    ○青木国務大臣 そういう事態がありますれば、当然それは国家賠償法によつて賠償せられるものと思います。     ―――――――――――――
  204. 江崎真澄

    江崎委員長 次に、警察官職務執行法の一部を改正する法律案撤回要求決議案取扱いについてでありますが、これは、本日の同法案に対する趣旨説明を聴取する件と関連がありますので、あわせて御協議いただきたいと存じます。
  205. 荒舩清十郎

    荒舩委員 この問題は、従来の例によりますと、内閣不信任案とか議長の不信任案とかの決議案は、両党一致のものでなければ、即日本会議に上程するということはできなかつたという前例がございますが、この決議案につきましては、国民も非常な関心があるために、本日特例をもつて上程せられますることをわが党は希望いたします。
  206. 武知勇記

    武知委員 撤回要求決議案は、趣旨説明聴取の後ですか、先にお出しになるのですか。
  207. 池田禎治

    池田(禎)委員 政府提出の警察官職務執行法の一部改正というものは、きわめて暴案である。私ども、ほんとうはこれはあくまでも撤回を求める。この運動は変らない。しかし、今回は議長の職権あつせんによつて、両党が国会の運営の正常化のためということで、これは規定がある。従つて、私どもは、一応ここまできて、今日拒否することはできない。従つて、私どもは、これは当然本会議において堂々とやる。先にやります。
  208. 武知勇記

    武知委員 それはわかります。ところが撤回要求決議案の扱いは、本来普通の場合は、御承知のように先議すべきものです。しかし、今度の場合は、議長のあつせんに基いて、本会議で趣旨の説明を聴取しようということになつておるんだから、それは聴取した後に提案せられる、これが私至当だと思います。
  209. 池田禎治

    池田(禎)委員 それは、議長が両党の代表を呼んであつせんをお出しになつて、一項目から四項目までのものを申し渡されました。私どもは、昨晩議長に呼び出されまして、これを申し波されたのであります。そのときに、わが党は、わが党の立場としては議長のあつせんに信義をもつて応じます、しかし尽すベき論議を尽し、所要のことは尽してやる、社会党としてこのことの了解を求めておりますから、当然私はその言に基きまして、事前に撤回の要求案を本会議に上程することを主張いたします。
  210. 武知勇記

    武知委員 池田君の今の御意見通りでよろしゆうございます。
  211. 江崎真澄

    江崎委員長 この決議案趣旨説明は、日本社会党の猪俣浩三君が行われることになつております。また、討論につきましては、自由民主党の山村新治郎君から反対討論、日本社会党の中井徳次郎君から賛成討論の通告があります。  それでは、この決議案を、本日の本会議の劈頭に上程することといたしまするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 江崎真澄

    江崎委員長 御異議なしと認めます。よつて、さよう決定いたしました。  なお、本決議案の採決は、起立、記名投票、このいずれかによつて行う、これも御相談を願います。
  213. 池田禎治

    池田(禎)委員 記名採決を願います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 江崎真澄

    江崎委員長 記名採決といたします。  討論の時間につきまして、御協議を願います。
  215. 池田禎治

    池田(禎)委員 従来の慣例通り。良識をもつてやりますから。
  216. 江崎真澄

    江崎委員長 それでは、ちよつと念のために委員長から申し上げますが、先般の議長あつせんによつて国会の運営は正常の軌道に乗つたわけでありますから、趣旨説明も、質疑等の時間も、従来の例にならつて、良識ある範囲内ということでいかがなものでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 江崎真澄

    江崎委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。  しかして、同決議案が否決せられましたときは、次に、同法案の趣旨説明を聴取することになります。趣旨説明は、国務大臣青木正君が行うことになります。  なお、右の趣旨説明に対し、日本社会党の門司亮君から質疑の通告がありますが、これを許可することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 江崎真澄

    江崎委員長 御異議なしと認めます。よつて、さよう決定いたしました。     〔「無制限か」「良識」と呼ぶ者あり〕
  219. 江崎真澄

    江崎委員長 そこで、開会の時間を御協議願いたいと存じます。
  220. 荒舩清十郎

    荒舩委員 八時二十分予鈴。
  221. 江崎真澄

    江崎委員長 それでは申し上げます。予鈴八時二十分、本鈴八時三十分と決定いたします。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 江崎真澄

    江崎委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、追つてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後七時五十四分散会