○
清澤俊英君 私は、
原案に反対し、
原案を
修正して、
修正部分を除いた
原案には
賛成したいのであります。ただいま提出せられておりまする
原案には反対して、
修正意見に
賛成したいと思うのであります。いささかその
修正意見に
賛成の
意見を申し述べたいと思います。
本
臨時措置法を見ましても、第
一条におきまして明確に出ております
通り、「この
法律は、
昭和三十三
年産の繭及びこれを原料とする
生糸につき、その
価格の安定を図るための
臨時措置を定めるものとする。」で、まず、
生糸の
価格安定というものが
中心にしてあってそして、
繭価は、これにつけ足しとして取り扱われる。この問題は、ひとりこの
繭糸価格の安定に関する
臨時措置法だけではなく、
昭和二十六年と思いますが、この本法とも言われまする
繭糸価格安定法ができまする際に、当初に提出せられましたる
法案は、
生糸価格の安定の
法律案でありました、これは。そこで、非常な問題が起きまして、これでは糸の
価格を安定するだけであって繭のことは何ら考えておらないんじゃないか、こういうことで、油然たる空気が出て参りました。そうして、ようやくにして繭という字を頭へつけたのが
実情でありまして、実際問題は、アメリカへ
輸出する際の
価格の安定、非常に
価格が急騰急落いたしますると、アメリカヘの
輸出が障害を来たすから、従って、これを一応の線で安定させる。その安定させる線は、
繭糸価格安定審議会にかけて、そうしてそれを
関係者によってきめさせる。その
維持をするために、一応、
最低価格を割りました場合に、
安定資金三十億であり、
買い入れ俵数二万俵だと思います。
最低買い入れ価格が十五万円に下った場合、二万俵を
買い入れて、これを持つことによって、
価格の高騰した場合にそれを売り出す。
最高安定価を割った場合の
売り出し操作用として
安定生糸の買い上げが行われる。だから、これは
生糸価格を
中心にして考えられておった。それが、この
法律の
精神自身が、この危急した場合のこの
法律の中にも、繭と
生糸という観念に欠けて、繭を忘れ、
生糸だけを
中心としたその
精神そのままが生きてこの
法案の中に躍動している。
法案全部を見ますると、非常に躍動している。従って、農村で作りますところの繭の
価格を安定させるという線に至りましては、全く私は不明確であり、安心ができない、これが
実情だと思います。われわれも昨日来二日にわたりまする
質疑の中で聞きましても、あるいは
業者との
協定によってそれは安心しられるとか何とかと言われますけれども、
春繭だけは、約
半数、千五百万貫の
半数にわたる繭、七万五千俵分は、
乾繭並びに
生糸でもって
安定策はとられる。
夏秋蚕に至りますれば、全くこれはその安定の余地は見られないのであります。一つも見られない。
現実に
取引がせられておりまする情勢を見ましても、この
法案から見ますと、
乾繭せられるものを
買い入れると、こうなっている。
乾繭能力はどうかといいますれば、昨日
審議の中に出て参りましたように、約千五百万貫以上の
春繭の出回りに対して、
乾繭を現にやっているものは二百六、七十万貫であります。これだけが
対象になっている。あとのものは何ら
対象になっていない
実情だ。これは、きのうもその問題でずいぶん
蚕糸局長と
話し合いをしましたが、いまだかつて
製糸家の方とは
話し合いがつかない。その設備を貸せるとも言わない。拒否しております。従って、売り急ぐ
農民は、
現実において
価格を割って売っている。まだようやくきょうあたり、お話によりますれば、中央において
養連の
幹部と
製糸の
幹部との
話し合いをつけて、そうしてそれが
末端までいって、
繭価協定で千四百円の
政府の
支持価格で買う、こういうことをこれからきめるのだ。きまって
末端に参ります時分には、大てい終えてしまうのではないかと思う。大
部分は終えてしまうのじゃないかと思う。それまでに対しまするところの実際的な
処置と、
農民にのみ込ました線が、どこまでいっているかというような線は、まだ
質問はたくさんありましたけれども、非常に先を急がれるために、
里要な
質問もまだ私どもは持っておったが、それもすることはできないで、まことに残念でありまするが、
現実においてはそういう形で、大体千二百円
繭価、
生糸の
生産費四万円、十六万円糸価、これがもっとになって
現実に動いているのじゃないかと思う。こういうものがかりに動いたとしまするならば、安い
繭がかりに
製糸家の
手元へ入ったとしまするならば、きのうも申しました
通り、あるいは
輸出業者の
意向、
消費者であるところの
人たちの
意向、
織物業者の
意向、あるいは
製糸業者自身が自分の製品の
売れ行き拡大を考えるための
意向等の、重要な世論的の
方向を考えまするならば、そういう
方向に、安い繭を手に入れたとしたならば、おのずから私は走るのじゃないかと思う。よほどの強力な
処置をとって
繭価を守るという形をとっていただかなかったならば、これは重大問題だと思う。と同時に、私は申し上げまするならば、このたびのこの
法案を出しまする前提として、二十八
国会において四十億の
臨時手当をしたと言われる。この
臨時手当自身だが、私は、
政府においてはっきりした確信を持っておられなかったと思う。今ちょうどわれわれに
説明せられる
通り、こういう
意図を持っている。こういうふうにやったらうまく話がいくであろうということと同じ私は
意図であったと思う。それはどういうことかと申しまするならば、
業者全体は、
養蚕家並びに
製糸家、あるいはこの
販売業者、
輸出業者もありますれば、
横浜等の
中間業者もある。いわゆる
蚕糸振興委員を
中心にいたしました
代表の、二十八
国会に対しまする、
買い入れ限度は百億円にしてもらいたい、それでなかったらどうしてもこれから先の安定は望めないから、百億円を何とかしてくれ。これに対しまして、
大蔵省は、ようやく二十億を私は
承認したと思う。これは
局長はよく知っておいでだと思う。そこで、これがあるいは
予算委員会の問題になり、本
委員会の問題になって、二十億円ぐらいの
予算であったならば、おそらく四月まで持たぬであろう、
価格維持はできないであろうということが非常な問題になって、これは四十億にふやされた。そうして五月の末期になりまして金が足らなくなった。足らなくなった
処置は、何をとられたか、こう申しますると、百億円を手当する。その百億円で繭で三万貫、
乾繭にして二万貫、この数字は逆になるかもしれませんけれども、大体五万貫を手当する、そういうチクチクとしたものの出し方をせられて、しかもその
買い入れは、
製糸会社に対しまして割当制をもって三千円を
限度にして
買い入れる、こういうような御発表があったと思う。これは五月の四日にこの当
委員会でわれわれが閣議決定として了承した
処置であります。これらのごとが結局しまするならば、われわれは将来において三十三年度のこういうやり方、あるいは
政府の
考え方がこういうけちくさい
考え方であるならば、もう
生糸の
価格は将来において安定
維持することができない自分らの力ではできない、この恐怖と不安とが問題になって、十六万円までに暴落したということは、あらゆる
業者一斉の私は世論だと思う。そういうことにはうとい方でありますが、世論としては、私はそういうふうに聞いておる。これと同じものがこの
法案にできておるのではないか。いやしくも国家が一つの
法律を出して、国外の貿易の信用を保持して
輸出を増大するというならば、
法律の
精神の十九万円ぐらいは徹底的な
維持をするのだという証明をしていただけまするならば、私はあの十六万円の暴落はなかったと思う。従って、六月二十四日になりましてそれが
修正せられて、新聞では繭並びに
生糸、これらの無
制限買い入れを発表せられて、そしてこの臨時的な
処置として百五十億円が付加せられることと考えるのであります。それ以来、ようやくにしてジリ高を今たどって、あるいは十九万円の最低標準
価格ぐらいには近くいくかもしれませんが、これは相場であります。あるいは一つのそこに危険でも感じましたときは、一ぺんにまた十六万円に引き下らぬとは、だれも私は
保証できぬと思います。こういう不安の中で、今まであの
修正の中に出て参りました
通り、実際の
取引はさっき私が申した
通りであります。何ら
農民の繭に対しましてはまだ一つの
保証もありません。しからば自分で
乾繭するかというと、
乾繭能力は持ちません。従って、団交も何もない、頭を下げて繭を預かってくれ、これよりないと思う。だから長野県のごときは、この間小山さんが言われる
通り、千四百円の団交もできた、
価格協定もできたといわれるところでさえ、千百円の概算払いで、わずかに概算払い千円というものが一、二、新聞に見られるだけで、大
部分はその概算払いもどうなるかわからぬ。果して
繭価協定ができたといたしましても、
——関根さんなどはよく御存じだと思います。地方によりましては、
政府の購繭
資金の手当がどうなるか、これによりまして大体地銀の力に待つ、そうしますと、地銀は先行き不安であるとかいろいろな理屈をいって、その千円までの
協定の概算払いをしてくれない場合がある。そういう建前の上に、かりに今勧誘しておられまするような
価格協定ができなかったとするならば、これは一体どうなるのでありましょう。あなた方に、これに対する
処置、
農民に
繭価を
保証するという
処置ができるのかどうか、私は断じてできないと思う。できなかったら、一体だれが責任を持ってそれをしりぬぐいしてくれるのか、
現実において、先日もわれわれの同僚
委員でありますところの藤野さんが、自分の方の繭が全部なま繭で千円で売買が済んでしまったと言っておる。これほど
農民は非常に先行き不安を感じているのであります。実際の問題として、なま繭を持った
農民の心理あるいは一方の強い実勢
価格を堅持しておりまする態勢に対しまして、一体、
農民の繭の
価格というものが、何で
保証されるのか。これは結局しまするところ、この
価格安定法という本法自身が、すでに
生糸を
中心にしてやられたことであって、これ自身も全く
繭価のこれは軽視をしており、
生糸の
価格さえ定まったならば、必ずそれに引き続いて繭の
価格もきまるであろう、それに引き続いて買い上げられるであろうという構想で今まで行われておりましたのが
繭価協定であります。しかしながら、これは御承知の
通り昨年暮れまではどうにかこうにか上向いた需給
関係を持っておりました。ある時期におきましては抜き買いの
実情もありました。それがだんだんとその様相を変更して参りました。そうしてきたその原因が、恒久的のものであるか、臨時的、今年一年のものであるか、この点に対しまして、われわれは非常に心配しておる。いろいろ
政府にお尋ねしますけれども、皆さんも御承知の
通り、
政府においてもその目安がつかない。きのう
大臣ははっきり言うておられる。われわれは恒久対策に対する根本の問題は、これから研究して出すのである。こういうような
実情に置かれておる。従って、全く混迷の中でこういう不完全なものをもって向われましても、ほんとうの
価格の安定ができるのかどうか、私は疑問にたえない。従って、われわれが
意図するところは、もっと
政府が自分の出した
法律を、しかも海外
関係に重大な信用保持の
関係を持つ
法律でありますならば、もっと本気になって
価格維持と同時に、
農民のために繭の
保証をしてやられることを具体化されることがほんとうじゃないかと、この考えるのであります。それは全くできておりません。私、今何べんも同じことを言うようでありますが、だから十六万円に糸が下りました際に、新聞によりますと、アメリカの
業者から、日本の
政府は
法律をもって糸価の安定法というものを作っておるはずだ、それに対してもっと責任を持って積極的の施策をやって糸価の安定をすべきであるという勧告文がきたと、私は新聞をもって了承しておる。こういうような
法律、こんなだらしのない、という言葉はどうも出過ぎでありますが、不確実な
法律をもっておさまるとお考えになると言うなら、これは大きな間違いを生ずると思っております。従って、私はここで五十億くらいのものをつけたしたからというて、果して安定するかどうか、まだ私は疑問であります。それでも、まだ安心度を強めるために、五十億をふやして、その上
買い入れに対する
罰則等をつけて、そうして厳重な監視と
政府の心がまえがはっきりして参りますならば、私は、そう金は要らないで、糸価が安定するのじゃないか。要は、
政府の腹がまえの表現、それを具体化したものが出ればいい。いろいろ
予算措置を心配しておられるが、思い切った
予算措置をして、心配なしということになるならば、私は、そう金が要らないで大体ものがおさまるのじゃないか、こう考えるほど、この
法案の不備を考えますので、
原案には反対します。そうして
修正案をつけて
賛成していきたいと考えるのであります。
はなはだ粗雑でありましたが、私の
修正の
部分の
賛成の
意見を申し述べました。