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1958-07-03 第29回国会 参議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年七月三日(木曜日)    午前十一時七分開会   —————————————   委員の異動 七月二日委員有馬英二辞任につき、 その補欠として小山邦太郎君を議長に おいて指名した。 本日委員田中茂穂辞任につき、その 補欠として伊能芳雄君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            藤野 繁雄君            堀本 宜實君            東   隆君            北村  暢君            梶原 茂嘉君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            伊能 芳雄君            小山邦太郎君            関根 久藏君            田中 啓一君            仲原 善一君            堀  末治君            横川 信夫君            安部キミ子君            大河原一次君            河合 義一君            清澤 俊英君            島村 軍次君            千田  正君            北條 雋八君   政府委員    農林政務次官  高橋  衛君    農林省蚕糸局長 須賀 賢二君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○繭糸価格の安定に関する臨時措置法  案(内閣提出衆議院送付) ○継続調査要求の件 ○委員派遣承認要求の件 ○施肥合理化対策強化拡充に関する  請願(第五号) ○凍霜害救済対策早期実現に関する請  願(第一〇号) ○畜産物輸入制限に関する請願(第  一一号) ○学童給食用牛乳供給事業助成に関す  る請願(第一八号) ○本州製紙株式会社江戸川工場による  汚水防止等請願(第五〇号) ○農地法第四条、第五条改正に関する  請願(第九〇号) ○異常気象による麦類等被害救済の  請願(第一〇〇号) ○地方卸売市場に関する立法措置の請  願(第一〇七号) ○水質汚濁防止法制定に関する請願  (第一一二号) ○農地等集団化に関する請願(第一  一三号) ○昭和三十三年産米価格決定等に関す  る請願(第一一六号)(第一二〇  号)(第一五一号)(第一六三号)  (第一七一号) ○岩手県釜石漁港第二期修築工事促進  に関する請願(第一二三号) ○蚕糸業危機打開対策に関する請願  (第一三六号) ○北海道、東北地方漁港整備事業促  進に関する請願(第一三七号) ○自作農維持創設資金災害わくの適  用に関する請願(第一三八号) ○自作農維持創設資金わく増額に関す  る請願(第一三九号) ○東北地方土地改良事業費国庫補助増  額に関する請願(第一四〇号) ○農業共済制度改善に関する請願(第  一四一号) ○秋田県八郎潟干拓事業促進に関する  請願(第一四二号) ○特定地域開発事業促進に関する請願  (第一四六号) ○静岡県浜名用水等取水施設改良に  関する請願(第一六七号) ○油脂による千葉県木更津市地先のの  り被害救済請願(第一七二号) ○関東地方奥地水源地帯改善等に関  する請願(第一七三号) ○福島県西郷村開拓地水田用ダム建設  に関する請願(第一七六号)(第一  七七号)   —————————————
  2. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初に、委員の変更について御報告いたします。昨日、有馬英二君が辞任され、小山邦太郎君が選任され、本日、田中茂穂君が辞任され、伊能芳雄君が選任されました。   —————————————
  3. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 繭糸価格の安定に関する臨時措置法案議題といたします。  本案につきましては、昨日質疑を終局いたしておりますので、この際、お諮りいたします。東委員から委員長手元修正案が提出されておりますので、本修正案議題といたしますことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。それでは、東委員より修正案趣旨説明を願います。
  5. 東隆

    東隆君 私は、社会党を代表いたしまして、繭糸価格の安定に関する臨時措置法案に対しまして、修正案を出します。その修正案の案文は、お手元に配付いたしてあります。一応朗読をいたします。    繭糸価格の安定に関する臨時措    置法案に対する修正案   繭糸価格の安定に関する臨時措置  法案の一部を次のように修正する。   第二条第一項第四号中「第五条第  一項」を「第六条第一項」に改め、  同条に次の一項を加える。  3 会社は、前項規定する日まで   は、農業協同組合連合会から第一   項第二号の事業に係る乾繭売渡   の申込があったときは、これに応   じなければならない。   第九条を第十条とし、第六条から第八条までを一条ずつ繰り下げ、第五条第三項第一号中「百億円」を「百三十億円」に、同項第二号中「五十億円」を「七十億円」に改め、同条を第六条とし、第四条の次に次の一条を加える。  (繭の低価買入禁止)第五条 何人も、繭糸価格安定法第  十一条第一項の規定により農林大  臣の定める額を基準として生繭及  び乾繭につきその品位別農林大  臣が告示で定める額に達しなた価  格により昭和三十三年産当該品  位を生繭又は乾繭買い入れては  ならない。  新第十条の次に次の一条を加え  る。  (罰則)第十一条 第五条の規定に違反して  生繭又は乾繭買い入れた者は、  一年以下の懲役若しくは十万円以  下の罰金に処し、又はこれらを併  科する。2 法人代表者又は法人若しくは  人の代理人、使用人その他の従業  者が、その法人又は人の業務に関  して前項違反行為をしたとき  は、その行為者を罰するほか、そ  の法人又は人に対し、同項の罰金  刑を科する。  附則第二項中「繭糸価格の安定に関する臨時措置法第七条」を「繭糸価格の安定に関する臨時措置法第八条」に改める。以上のような修正案でありまするが、その修正の要旨は四つになるのであります。  第一は、日本輸出生糸保管会社は、農協連合会からの保管乾繭売り込み申し入れをこばんではならない。  第二は、三十三年度に生産される生糸政府買い入れ限度を三十億円増額して百三十億円とし、繭については五十億円を二十億円増額して七十億円とすること。  第三は、何人も三十三年度の繭を政府保証最低繭値以下で売買してはならないということ。  第四は、買い入れ禁止に違反した買い主は、一年以下の懲役または十万円以下の罰金に処し、またはこれを併課する。修正点は以上の四つ項目に集約されるのであります。  そこで、説明を加えますが、第二十八国会において、政府繭糸価格の安定のために措置をされたのでありますが、微温的なものでありましたために、今回の臨時措置を必要としたのであります。従って、政府措置は、相当腹を据えて作ったところの原案を提案すべきであったはずであります。しかるにその法案は、なお非常に微温的なもので、ことに蚕糸業者に対しては補償等の道が考えられておりまするが、養蚕農家に対する政府考え方は、単に繭の価格保証と、こういうことになっておりますが、乾繭施設を持っていない今の大部分養蚕農家は、こういうような措置法によっては、決していい取引をやることもできず、政府保証いたしたといたしましても、その価格取引ができないような状態になっておるのであります。これはなぜかと申しますと、製糸業者養蚕農家の利害が完全に相対立しているからであると思うのであります。この法案は、御承知のように繭糸価格の安定に関する臨時措置法案、こうなっておりますけれども、この繭のケンの字は繭ではなくて絹の方のケンじゃないか、こういうふうにさえ考えるのであります。で、絹糸の方ばかりをお考えになっておるのでありまして、決して繭の生産者であるところの養蚕農家方面については、非常に冷酷なものがあるように思われるのであります。われわれは、千四百円という繭の最低価格を保持するために、無制限農業協同組合連合会からの保管乾繭を、日本輸出生糸保管会社買い入れなければならぬことを義務づけてあるのであります。これが第一の要項であります。  第二番目は、新繭の相当部分がすでに製糸業者の手にあるということであります。政府は、行政指導によって千四百円の価格維持するというのでありますが、春蚕がすでに以上のような状態であります。従って、夏秋蚕については自主的に減産の手以外に何ものも持っておらぬのであります。そこで、資金増額によって政府価格保証を効果あらしめようとして、前に申しましたように五十億の増額を考えたのであります。これが修正案の第二の項目であります。  第三は、千四百円の政府保証価格夏秋蚕までくずさないための強制規定を入れたのであります。政府のように春蚕だけでは問題にならぬと思うのであります。夏秋蚕を考えないで、そうして措置を講じても、これは片手落ちになると、こう考はておるのであります。おそらく夏秋蚕が出回る時期において大きな混乱が起きるのではないか、こういうことを予想されますので、それを未然に防いでいこうと、こういう考え方強制規定をここに入れたわけであります。  第四は、罰則規定して置きました。これは、この罰則があることによって、業者方面においても相当これによって将来の問題もございますから、規制されると考えたわけであります。しかもその罰則は、繭糸価格安定法の第十七条、第十九条の罰則と何ら変ったものではないのであります。従って、そういうような規定をここに入れることによって、この法案を、完璧なものとは考えませんけれども、相当効果のあるものにこれは修正をしたのであります。どうぞそういうような意味で、この四つ項目について、今説明を申し上げた点を御了承なすってそうして賛成をしていただきたいと思うのであります。この法律案通過に際しては、付帯決議等の議もあるようでありますが、立法府に参画しておるわれわれは、この際、法律をできるだけりっぱなものに仕上げていって、そうしてわが国の養蚕業、従って蚕糸業等の安定をはかることが必要だろう、こういうふうに考えますので、以上の説明を、賢明な皆さんは十分に御了承下さいまして、そうしてここに修正案賛成をしていただきたい、こう思うわけであります。
  6. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) ただいまの東委員提出修正案は、予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三により、内閣に対し意見を述べる機会を与えなければなりません。よって、ただいまの修正案に対し、内閣から意見を聴取いたします。
  7. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいま提出されました修正案に対しましては、内閣といたしましては、今回の政府原案措置によりまして、繭糸価格維持安定を期し得ると、かように考えておりますので、政府原案修正には賛成を申し上げることができないということを申し上げておきます。
  8. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) それでは、ただいまの修正案及び内閣意見に対し、質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
  9. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは、三十三年度の予算にはあまり関係ないと思います。要すれば、昨日農林大臣にお伺いして、また後に付帯決議も出て参りまするように、この法案で、もしうまくいかなかった場合には、夏秋蚕に対しては適宜な処置をとると、これは私は、政府部内の腹がきまりますれば、至って簡単にできるのじゃないかと思う。と申しますることは、三十三年度の予算に何ら関係することなく、三十四年度の予算で訂正できると思う、これは。今から三十四年度のことまで考えておられるということになるとおかしな話ですが、実際問題として、かりに夏秋蚕処置がうまくいかない——これは買い入れ資金等を増大して、一応保管会社に預けるという措置を行政的な措置でおとりになれば、これはできると思う、ただし、今の場合、昨日質疑応答の中で蚕糸局長が言われる通り、大体そういう金を出す場合には、目標額無限大になる。結局しますれば、それらの額はこの法案に盛られた百五十億がめどで貸し出しをせられるであろうと、こういうことに言われておるようなもので、私は、予算は三十四年度に関するものであって、三十三年度には問題はないように思うのですが、その点はどうなりますか。あまり財政法とか、そういうものを詳しく存じませんが、そういう取扱いになるのだから、直接ここで補正予算を出すとかというようなことは要らないと思う。
  10. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 先ほど委員長から意見を求められましたのは、国会法第五十七条の三の規定に基くものでございまして、この中ほどに、「予算増額を伴うもの若しくは予算を伴うこととなるものについては、内閣に対して、意見を述べる機会を与えなければならない」と。こういうふうに相なっておるのであります。この根拠に基いて委員長から内閣意見を求められました次第でございまして、これは明らかに三十四年度に措置する予算になるとは思いますけれども、しかし、とにかく予算を伴うものになるという事柄については、何ら差異がない次第でございまして、さような趣旨をもってお答えを申し上げました次第でございます。
  11. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは大蔵省のベテランでいられる次官が言われることだから、その点は了承しますが、しからば、昨日の農林大臣が言われる、臨機適宜の処置をとって夏秋蚕には対応せられると言われることは、その場合には予算措置は要らないのですか。その場合どうお取扱いになる。
  12. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 今後の事態に対して、大臣といたされましては拱手傍観することなく、必ず適宜の措置をとって、繭糸価格維持をはかっていきたいということを御答弁申し上げておる次第でございますが、もちろんそれに関しましては、場合によって予算措置を必要とする場合もあろうかと思いますが、そういう場合には、あらためて国会の御承認と申しますか、御審議を経まして措置することになると思う次第でございます。
  13. 北村暢

    北村暢君 今の問題ですが、これは百五十億そのものも実は農林中金から融資を受けて今回は処理して、それについて一年たってもなおかつ売り渡しができないで、残った損害を受けたものについては、政府として予算——穴埋めをすると、こういうふうになっていると思うのです。従って、この法案自体が百五十億という金を、予算ということを頭に入れれば、これは補正予算を組まなければ、繭価安定特別会計ですか、この特別会計補正予算を組まないと、私は簡単にできないのだろうと思うのです。従って、一時農林中金から融資を受けて、そうして処理をしよう、こういう考え方でこの法律そのものができておると思うのです。従って、この考え方を敷衍していけば、なるほど国会法上の予算を伴うものについては、政府意見を述べなければならないことは事実ですが、その意見の内容は、私は、今言った次官意見というのは、いわゆる適当じゃないのじゃないかというふうに考える。従って、この三十四年度で処理できるとするならば、まだもう少し含みのある回答があっていいのじゃないだろうか、こういうふうに感ずるのです。そういう点に対してのあなたの意見意見でいいのですが、その意見は、直ちに出す意思がないとか何とかいうことは、今後、来年度で考えればいいとするならば、今直ちに予算措置が必要でないとするならば、こういうことも可能でないか、こういうふうに考えるのですが、それに対する見解を一つ承わっておきたいと思います。
  14. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) この臨時措置法の第五条で規定しておりますように、百五十億円までを政府買い入れ限度として規定をいたしておる次第でございます。もちろん、これは本年度内の措置といたしましては、農林中金とか市中金融機関等からの融資を受けて措置をいたすのでございますけれども、来年度におきましては、それがこの会社において政府に対して買い入れ申し入れをいたしました場合には、そこまでは政府として買い入れ義務がある次第でございます。従ってそれだけの将来に対する、予算に対するところの、つまり政府としては義務を受けることに相なる次第でございます。従って、結局この規定予算を伴うものになるということは、これはもう御了承願えると思うのでありますが、かような見地からこの百五十億円をさらに五十億円増すということになりますれば、それだけ政府としての責任の限度が広がることなる次第でございますので、その点については、内閣意見といたしましては、今回の政府の百五十億円という措置維持安定ができると、こういうふうに考えておりますので、かような趣旨から、これを増額することについては、御賛成申し上げがたいという御回答を申し上げる次第でございます。
  15. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて、これより原案並びに修正案について討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。  御意見のおありの方は、原案並びに修正案について、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  17. 関根久藏

    関根久藏君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題になっております繭糸価格の安定に関する臨時措置法案に対しまして、その措置を妥当と認めまして、原案賛成するものであります。なお、修正案に対しましては、反対いたすものであります。
  18. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は、原案に反対し、原案修正して、修正部分を除いた原案には賛成したいのであります。ただいま提出せられておりまする原案には反対して、修正意見賛成したいと思うのであります。いささかその修正意見賛成意見を申し述べたいと思います。  本臨時措置法を見ましても、第一条におきまして明確に出ております通り、「この法律は、昭和三十三年産の繭及びこれを原料とする生糸につき、その価格の安定を図るための臨時措置を定めるものとする。」で、まず、生糸価格安定というものが中心にしてあってそして、繭価は、これにつけ足しとして取り扱われる。この問題は、ひとりこの繭糸価格の安定に関する臨時措置法だけではなく、昭和二十六年と思いますが、この本法とも言われまする繭糸価格安定法ができまする際に、当初に提出せられましたる法案は、生糸価格の安定の法律案でありました、これは。そこで、非常な問題が起きまして、これでは糸の価格を安定するだけであって繭のことは何ら考えておらないんじゃないか、こういうことで、油然たる空気が出て参りました。そうして、ようやくにして繭という字を頭へつけたのが実情でありまして、実際問題は、アメリカへ輸出する際の価格の安定、非常に価格が急騰急落いたしますると、アメリカヘの輸出が障害を来たすから、従って、これを一応の線で安定させる。その安定させる線は、繭糸価格安定審議会にかけて、そうしてそれを関係者によってきめさせる。その維持をするために、一応、最低価格を割りました場合に、安定資金三十億であり、買い入れ俵数二万俵だと思います。最低買い入れ価格が十五万円に下った場合、二万俵を買い入れて、これを持つことによって、価格の高騰した場合にそれを売り出す。最高安定価を割った場合の売り出し操作用として安定生糸の買い上げが行われる。だから、これは生糸価格中心にして考えられておった。それが、この法律精神自身が、この危急した場合のこの法律の中にも、繭と生糸という観念に欠けて、繭を忘れ、生糸だけを中心としたその精神そのままが生きてこの法案の中に躍動している。法案全部を見ますると、非常に躍動している。従って、農村で作りますところの繭の価格を安定させるという線に至りましては、全く私は不明確であり、安心ができない、これが実情だと思います。われわれも昨日来二日にわたりまする質疑の中で聞きましても、あるいは業者との協定によってそれは安心しられるとか何とかと言われますけれども、春繭だけは、約半数、千五百万貫の半数にわたる繭、七万五千俵分は、乾繭並びに生糸でもって安定策はとられる。夏秋蚕に至りますれば、全くこれはその安定の余地は見られないのであります。一つも見られない。現実取引がせられておりまする情勢を見ましても、この法案から見ますと、乾繭せられるものを買い入れると、こうなっている。乾繭能力はどうかといいますれば、昨日審議の中に出て参りましたように、約千五百万貫以上の春繭の出回りに対して、乾繭を現にやっているものは二百六、七十万貫であります。これだけが対象になっている。あとのものは何ら対象になっていない実情だ。これは、きのうもその問題でずいぶん蚕糸局長話し合いをしましたが、いまだかつて製糸家の方とは話し合いがつかない。その設備を貸せるとも言わない。拒否しております。従って、売り急ぐ農民は、現実において価格を割って売っている。まだようやくきょうあたり、お話によりますれば、中央において養連幹部製糸幹部との話し合いをつけて、そうしてそれが末端までいって、繭価協定で千四百円の政府支持価格で買う、こういうことをこれからきめるのだ。きまって末端に参ります時分には、大てい終えてしまうのではないかと思う。大部分は終えてしまうのじゃないかと思う。それまでに対しまするところの実際的な処置と、農民にのみ込ました線が、どこまでいっているかというような線は、まだ質問はたくさんありましたけれども、非常に先を急がれるために、里要質問もまだ私どもは持っておったが、それもすることはできないで、まことに残念でありまするが、現実においてはそういう形で、大体千二百円繭価生糸生産費四万円、十六万円糸価、これがもっとになって現実に動いているのじゃないかと思う。こういうものがかりに動いたとしまするならば、安い繭がかり製糸家手元へ入ったとしまするならば、きのうも申しました通り、あるいは輸出業者意向消費者であるところの人たち意向織物業者意向、あるいは製糸業者自身が自分の製品の売れ行き拡大を考えるための意向等の、重要な世論的の方向を考えまするならば、そういう方向に、安い繭を手に入れたとしたならば、おのずから私は走るのじゃないかと思う。よほどの強力な処置をとって繭価を守るという形をとっていただかなかったならば、これは重大問題だと思う。と同時に、私は申し上げまするならば、このたびのこの法案を出しまする前提として、二十八国会において四十億の臨時手当をしたと言われる。この臨時手当自身だが、私は、政府においてはっきりした確信を持っておられなかったと思う。今ちょうどわれわれに説明せられる通り、こういう意図を持っている。こういうふうにやったらうまく話がいくであろうということと同じ私は意図であったと思う。それはどういうことかと申しまするならば、業者全体は、養蚕家並びに製糸家、あるいはこの販売業者輸出業者もありますれば、横浜等中間業者もある。いわゆる蚕糸振興委員中心にいたしました代表の、二十八国会に対しまする、買い入れ限度は百億円にしてもらいたい、それでなかったらどうしてもこれから先の安定は望めないから、百億円を何とかしてくれ。これに対しまして、大蔵省は、ようやく二十億を私は承認したと思う。これは局長はよく知っておいでだと思う。そこで、これがあるいは予算委員会の問題になり、本委員会の問題になって、二十億円ぐらいの予算であったならば、おそらく四月まで持たぬであろう、価格維持はできないであろうということが非常な問題になって、これは四十億にふやされた。そうして五月の末期になりまして金が足らなくなった。足らなくなった処置は、何をとられたか、こう申しますると、百億円を手当する。その百億円で繭で三万貫、乾繭にして二万貫、この数字は逆になるかもしれませんけれども、大体五万貫を手当する、そういうチクチクとしたものの出し方をせられて、しかもその買い入れは、製糸会社に対しまして割当制をもって三千円を限度にして買い入れる、こういうような御発表があったと思う。これは五月の四日にこの当委員会でわれわれが閣議決定として了承した処置であります。これらのごとが結局しまするならば、われわれは将来において三十三年度のこういうやり方、あるいは政府考え方がこういうけちくさい考え方であるならば、もう生糸価格は将来において安定維持することができない自分らの力ではできない、この恐怖と不安とが問題になって、十六万円までに暴落したということは、あらゆる業者一斉の私は世論だと思う。そういうことにはうとい方でありますが、世論としては、私はそういうふうに聞いておる。これと同じものがこの法案にできておるのではないか。いやしくも国家が一つの法律を出して、国外の貿易の信用を保持して輸出を増大するというならば、法律精神の十九万円ぐらいは徹底的な維持をするのだという証明をしていただけまするならば、私はあの十六万円の暴落はなかったと思う。従って、六月二十四日になりましてそれが修正せられて、新聞では繭並びに生糸、これらの無制限買い入れを発表せられて、そしてこの臨時的な処置として百五十億円が付加せられることと考えるのであります。それ以来、ようやくにしてジリ高を今たどって、あるいは十九万円の最低標準価格ぐらいには近くいくかもしれませんが、これは相場であります。あるいは一つのそこに危険でも感じましたときは、一ぺんにまた十六万円に引き下らぬとは、だれも私は保証できぬと思います。こういう不安の中で、今まであの修正の中に出て参りました通り、実際の取引はさっき私が申した通りであります。何ら農民の繭に対しましてはまだ一つの保証もありません。しからば自分で乾繭するかというと、乾繭能力は持ちません。従って、団交も何もない、頭を下げて繭を預かってくれ、これよりないと思う。だから長野県のごときは、この間小山さんが言われる通り、千四百円の団交もできた、価格協定もできたといわれるところでさえ、千百円の概算払いで、わずかに概算払い千円というものが一、二、新聞に見られるだけで、大部分はその概算払いもどうなるかわからぬ。果して繭価協定ができたといたしましても、——関根さんなどはよく御存じだと思います。地方によりましては、政府の購繭資金の手当がどうなるか、これによりまして大体地銀の力に待つ、そうしますと、地銀は先行き不安であるとかいろいろな理屈をいって、その千円までの協定の概算払いをしてくれない場合がある。そういう建前の上に、かりに今勧誘しておられまするような価格協定ができなかったとするならば、これは一体どうなるのでありましょう。あなた方に、これに対する処置農民繭価保証するという処置ができるのかどうか、私は断じてできないと思う。できなかったら、一体だれが責任を持ってそれをしりぬぐいしてくれるのか、現実において、先日もわれわれの同僚委員でありますところの藤野さんが、自分の方の繭が全部なま繭で千円で売買が済んでしまったと言っておる。これほど農民は非常に先行き不安を感じているのであります。実際の問題として、なま繭を持った農民の心理あるいは一方の強い実勢価格を堅持しておりまする態勢に対しまして、一体、農民の繭の価格というものが、何で保証されるのか。これは結局しまするところ、この価格安定法という本法自身が、すでに生糸中心にしてやられたことであって、これ自身も全く繭価のこれは軽視をしており、生糸価格さえ定まったならば、必ずそれに引き続いて繭の価格もきまるであろう、それに引き続いて買い上げられるであろうという構想で今まで行われておりましたのが繭価協定であります。しかしながら、これは御承知の通り昨年暮れまではどうにかこうにか上向いた需給関係を持っておりました。ある時期におきましては抜き買いの実情もありました。それがだんだんとその様相を変更して参りました。そうしてきたその原因が、恒久的のものであるか、臨時的、今年一年のものであるか、この点に対しまして、われわれは非常に心配しておる。いろいろ政府にお尋ねしますけれども、皆さんも御承知の通り政府においてもその目安がつかない。きのう大臣ははっきり言うておられる。われわれは恒久対策に対する根本の問題は、これから研究して出すのである。こういうような実情に置かれておる。従って、全く混迷の中でこういう不完全なものをもって向われましても、ほんとうの価格の安定ができるのかどうか、私は疑問にたえない。従って、われわれが意図するところは、もっと政府が自分の出した法律を、しかも海外関係に重大な信用保持の関係を持つ法律でありますならば、もっと本気になって価格維持と同時に、農民のために繭の保証をしてやられることを具体化されることがほんとうじゃないかと、この考えるのであります。それは全くできておりません。私、今何べんも同じことを言うようでありますが、だから十六万円に糸が下りました際に、新聞によりますと、アメリカの業者から、日本の政府法律をもって糸価の安定法というものを作っておるはずだ、それに対してもっと責任を持って積極的の施策をやって糸価の安定をすべきであるという勧告文がきたと、私は新聞をもって了承しておる。こういうような法律、こんなだらしのない、という言葉はどうも出過ぎでありますが、不確実な法律をもっておさまるとお考えになると言うなら、これは大きな間違いを生ずると思っております。従って、私はここで五十億くらいのものをつけたしたからというて、果して安定するかどうか、まだ私は疑問であります。それでも、まだ安心度を強めるために、五十億をふやして、その上買い入れに対する罰則等をつけて、そうして厳重な監視と政府の心がまえがはっきりして参りますならば、私は、そう金は要らないで、糸価が安定するのじゃないか。要は、政府の腹がまえの表現、それを具体化したものが出ればいい。いろいろ予算措置を心配しておられるが、思い切った予算措置をして、心配なしということになるならば、私は、そう金が要らないで大体ものがおさまるのじゃないか、こう考えるほど、この法案の不備を考えますので、原案には反対します。そうして修正案をつけて賛成していきたいと考えるのであります。  はなはだ粗雑でありましたが、私の修正部分賛成意見を申し述べました。
  19. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私は緑風会を代表して繭価の安定に関する臨時措置法案賛成をいたす次第であります。最近の蚕糸の需給事情は、特に繭糸価格の現状から見まして、これに対して応急的な措置を何としてもとらなければならないのであります。従って、応急の措置として私はこの法案はやむを得ざる施策であろうと思うのであります。ただ、今回のこの法案に盛られております内容は、いずれも繭糸価格政策の基本的な事項に関連をする問題であります。特に夏秋蚕につきましては、生産の抑制というものをその政策の裏づけに必要とするということは、私は、きわめて重要な事柄であろうと思います。従って、この法案の実施につきましては、十分実際に即して慎重な態度をとることが必要不可欠である、そうでないと、将来の蚕糸政策に思わざる破綻を引き起す危険があると思うのであります。一面におきまして、諸般の情勢から見まして、これまでの蚕糸政策の基本を、これを真剣に再検討しなくちゃならぬ場面に私は当面しておると思うのであります。今回のこの施策も、そういうことの現われであろうと思います。従って、できるだけ早く蚕糸政策の基本について真剣な検討が、政府において行われることを、私は要望いたして、賛意を表するのであります。  次に、修正案でありますが、残念ながら修正案には賛成できない、修正案意図しておる一半は、原案方向を同じくするのであります。ある意味においては、程度の差のようにも思われるのであります。ただ、内容のうちに罰則規定があるのであります。すでに三十三年の繭の取引は、今、清澤委員の言われましたように現に行われておる、これが公布になりますと、直ちに相当強度の罰則をもって、間々正常な喜取引というものを制約することになるのであります。こういう経済施策の裏づけにこういう形において罰則を持ち込むことが、果して、果してですよ、蚕糸政策の観点から賢明かどうか、私はにわかにこれは賛成ができないのであります。  以上をもちまして、討論を結ぶ次第であります。
  20. 千田正

    ○千田正君 私は、この臨時措置法案はあくまで臨時措置法であるという立場に立って、今まで論議が尽されておりますが、十分なる論議が尽されない論議のうちにおいても、この法案の不十分な点は多々あるということを看取するのであります。同時に、また修正案を出されました社会党の案も、この際もつともなことだと思っておりますけれども、現実の問題は、会期がもうすでになくなった、明日で切れる、今ここでかりに修正案を皆さんで御審議願って通過しましても、衆議院に差し戻しになる、また案を練る、あるいは財政法の問題から政府が応諾しないというような問題が出てきて、いたずらに混迷を続けるということは、私は現段階におけるところの蚕糸業界のためにも、また生産農家に対しても感心しないと思いますので、万やむを得ず、緊急処置として、不本意ながらも、政府が提出をしておるところの臨時措置法案に対して賛成をせざるを得ないのであります。  以上、賛成をいたします。
  21. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 他に御意見もないようですから、討論は、終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。まず、東君提出の修正案を問題に供します。東君提出の修正案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  23. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 少数でございます。よって東君提出の修正案は否決されました。  それでは次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  24. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、関根委員から発言を求められているので、これを許可します。
  25. 関根久藏

    関根久藏君 今後の事態に備えまして、政府におきましてのあらゆる万全の措置を促すために、次のような付帯決議を行うことを提案いたしたいと思います。  次に付帯決議案を朗読いたします。    繭糸価格の安定に関する臨時措    置法案     附帯決議(案)  一、この法律による措置にかかわら   ず、なお、繭糸価格の先行不安の   事態を生ずる場合においては、速   やかに、政府生糸及び繭の買入   保管を一段と強化する等繭糸価格   の維持のため万全の措置を講じ養   蚕経営の安定に遺憾なきを期すべ   きである。  一、政府は蚕糸政策を根本的に検討   し、生糸の需要増進、繭糸価格の   維持及び養蚕経営の安定のため抜   本的恒久対策を確立すべきであ   る。  右決議する。  以上であります。
  26. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 次に、ただいま述べられました関根君提出の付帯決議案を議題といたします。  関根君提出の付帯決議案を、委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成場者挙手〕
  27. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 全会一致と認めます。よって関根君提出の付帯決議案は、全回一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  ただいまの付帯決議に対して、政府の所見を求めます。
  29. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいまの繭糸価格安定に関する臨時措置法案に対する本委員会の全会一致の付帯決議につきましては、この二つの事項ともに、政府といたしましても、最も重要な点であると考えておりまして、先般来御審議の際に、政府の所信を申し上げた次第でございますが、この御決議の趣旨を十分に体しまして、政府といたしましても、今後善処いたしていきたいと思います。   —————————————
  30. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 次に、継続調査要求書に関する件についてお諮りいたします。  農林水産政策に関する調査を進めて参りましたが、会期も切迫し、今期中に調査を完了することは困難でありますので、本院規則第五十三条によりまして、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。  なお、要求書の作成は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  33. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  閉会中、農林水産政策に関する調査のため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認めます。つきましては、委員派遣承認要求書を議長に提出しなければならないことになっておりますので、その内容及び手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  36. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 請願議題にいたします。先例に従って、懇談によって御審査を願うことにいたします。    午後零時二分速記中止    ————————    午後零時九分速記開始
  37. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 速記を始めて下さい。  ただいままで御審議願いました請願二十九件中、第九十号及び第百三十八号を除き、第五号外二十六件は、いずれも議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものと決定して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  なお、報告書については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 重政庸徳

    委員長重政庸徳君) 御異議ないと認め、さよう取り計います。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時十分散会